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1949/05/30 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第38号
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1949/05/30 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 本会議 第38号

#1
第005回国会 本会議 第38号
昭和二十四年五月三十日(月曜日)
   午前十時四十九分開議
 議事日程 第三十七号
  昭和二十四年五月三十日
   午前十時開議
 第一 議員金子洋文君、中西功君、岩間正男君、原虎一君、板野勝次君、細川嘉六君、中村正雄君、カニエ邦彦君、天田勝正君を懲罰委員会に付託するの動議(草葉隆圓君外一名提出)、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君、矢野酉雄君を懲罰委員会に付託するの動議(木下源吾君外四名提出)、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君、矢野酉雄君を懲罰委員会に付託するの動議(中野重治君提出)(前回の続)
 第二 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。岡田宗司君より予算委員を、小野哲君より決算委員を、川村松助君より議院運営委員を、齋武雄君より懲罰委員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として、予算委員会に齋武雄君を、決算委員に結城安次君を、議院運営委員に中川幸平君を、懲罰委員に岡田宗司君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○副議長(松嶋喜作君) この際、去る二十五日休憩のため中止せられました天田勝正君外二十二名発議による議長不信任決議案を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。これより本決議案の採決をいたします。議長不信任案決議案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#7
○副議長(松嶋喜作君) 少数と認めます。よつて本決議案は否決せられました。(拍手)
   〔副議長退席、議長著席〕
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) 日程第一、議員金子洋文君、中西功君、岩間正男君、原虎一君、板野勝次君、細川嘉六君、中村正男君、カニエ邦彦君、天田勝正君を懲罰委員会に付託するの動議、(草葉隆圓君外一名提出)議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君、矢野酉雄君を懲罰委員会に付託するの動議、(木下源吾君外四名提出)議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君、矢野酉雄君を懲罰委員会に付託するの動議(中野重治君提出)(前会の続)を議題といたします。
 先ず、草葉隆圓君外一名提出の懲罰動議に対し、その各議員よりそれぞれ一身上の弁明を求められました。順次許可いたします。カニエ邦彦君。
   〔カニエ邦彦君登壇、拍手〕
#9
○カニエ邦彦君 私は一昨二十八日の本会議においての草葉隆圓君の懲罰動議の趣旨説明に対しまして、全く事実と相違しておりますので、ここに率直に事実を申上げたいと思うのでございます。
 私は事件のこの突発の少し前、第六控室、いわゆる社会党の控室から東側の廊下を廻りまして、議長サロンに、我が党の議院運営委員に対して、実は懲罰動議並びにこの不信任案提出につきまして、連絡のために参つたのでありますが、議長サロンは御承知のように非常に大勢の人でありまして、その人混みの中をやつと前に出たかと思う頃、背後から私の右の肩から首を持つてがつと引摺り返そうとする者がありますので、ひよつと後ろを見ましたところが、それが政務次官の実は加藤君であつたのでございます。そこで私も、まあやられたままに默つておれば、これはよかつたのでありますが、御承知のように、あの場合は非常に私だけでなくとも皆が急いでおつたことと、それから非常に昂奮しておつたということで、私もいきなり加藤君に対して一撃突き返したことは、これはもう事実でございます。(笑声、「当り前だ」と呼ぶ者あり)併し私はそのときに何をぬかすかと言つたようなことは、これはございません。又数回に亘つて、加藤君を何回もこうやつて殴り付けたという、殴つたというようなことを草葉君は言つておられるのですが、そんなことはこれも全然ございません。そのとき傍らにおつた政務次官の池田君が、私に突きかかつて來たということは事実であります。私と加藤君のこれはいさかいでありまして、側におられる池田君には何にもこれは何係のないことであります。從つて池田君が加藤君に加勢されることは、これはまあ人情として当然だろうと思いますが、そういうことによつて余計その混乱を來したように実は思つておるのでございます。從つて草葉君の説明にも言われておりますように、何にもその関係がない、おとなしく默つて側に立つておられた加藤君を、私が突然に殴り付けたというような筈は、これはないのでございます。(「当り前だ」と呼ぶ者あり)從つてそのときの現場は、加藤君がそこで両手を肩に当てて、じつとしておられたというようなことでなくして、騒ぎと同時に、側におつた人たちが私と加藤君の間に直ぐもうだだつと中に分けて入つたのでございます。從つて加藤君の所にまで最初の一回はこう行つたことは事実でございますが、二回、三回と、こうやるということには手が届かんのです。それは事実は……。(笑声)加藤君の所にそうその数回に亘つて殴り付けるというような、そんなことでは実際はなかつたのであります。その点は写眞で御覽になつても分る通りであります。あの写眞というものは、恐らく私はもう直ぐにでも撮つたように記憶しておるのでありまして、写眞を撮る間の時間というものは、殆んどもう時間的には間があつたようには思つておりません。草葉君の説明によりますと、言葉によりますと、加藤君が熱心に傍聽していたところが、人波に押されて、そうして後ろから私を突き飛ばしたというような御説明になつておるのでございますが、あのときの状態というものは、私がこう入つて行つたときには、後ろの方は大体空いておりました。而も入口の所で衞視が議員でない者は入れないと言つて、私が入るときにも実は咎められたくらいでありまして、後ろにそんなに沢山大勢の人がおつて、後ろから押し倒すというようなこともありませんし、又その時刻は問題の起つていなかつたときでありまして、從つて後ろから大勢が押したというような、騒いだといえようなこともございません。極めて平靜の状態であつたのでございます。この点は何と言われましても、加藤君が後ろから私に手を出されたことは、これははつきり私は記憶しております。併しあとからこれを考えて見ますると、加藤君も決してその惡氣があつて私をやろうというような考えではなかつたのではないかということも考えられるのでありまして、まあ加藤君の考えを想像して見ますれば、まあ前に出て行くと、ああいう場合ですから、まあ間違いでもあつてはならんというような点から、私であるか誰であるか分らんけれども、まあ、とにかく私の前に出る行動を後ろへ阻止されたのだと思われるのでありますが、併し何にいたしましても、あのときのことは咄嗟のことでありまして、今考える程、私にも冷静な判断をするような時間的な余裕もなかつたことは、これはもう事実でございます。併しいずれにいたしましても、加藤君がどんな意味でおやりになつてにいたしましても、あの場合、手を出さなかつたならば、又かような事件も起らなんだということを今では残念に思つておる次第であります。
 次に本会議のことでございますが、これこそもう全く事実を知られない方方が一方的に考えておられるのではないかと思つております。殊に草葉君は何にもあのときの事実を御承知ではなくして言つておられるように私は思つておるのです。草葉君の説明によりますと、板野君、中村君、中西君、細川君、岩間君、天田君等と一緒にスクラムを組んで議長の登壇をするのを阻止したというのでありますが、私は決してスクラムを組んで上つた覚えは何にもございません。又共に集團的な行動をしたことはございません。ただ私はこの点につきましては皆様とは、外の同志諸君とは、違つた実はあのときは考えを持つておりました。と申しますのは、本会議の時間もあのときはもう十分そこそこしかございませんし、從いまして前に出しておる懲罰動議、又その次に出すところの不信任案等のものがございますので、時間的にもこれは絶対にもう今日は、やれないということを私は知つておりました。從つて議長サロンからこちら側の、西側の廊下を來るときにも、もうこれは本会議をやろうと、そうして、やつても今日はこれはどつち道やれないのだから、本会議をやれやれということを言い続けて、私は廊下を廻つて参つて程でございまして、その点では非常に他の人たちとは見解を異にしておつたのでありまして、ただ演壇の上に、そこに下條君がおりましたので、これを引下すために私は演壇の上に一人で上つたというのであつて、而も相当私は早目に上つたように記憶しておるのです。從つて私が今度こちらに降りようというときには、皆さんも御承知にように沢山の人がどつと上つて來て、そうして私が降りるにも降りられぬような実は状態になつて、その中には両脇には殆んど衞視の方も大勢おつたように記憶しております。而もそのときには足がこちらの方に、議長席の方に私の足がありまして、そうして肝腎の身体は反対の西の方に実はあつたのでございます。(笑声)そうして而もそのときに私は片一方の足を、これは誰か分らないのでありますが、踏まれて実はおつたのです。そのために、どうにもこうにも身体の姿勢が眞直ぐにとれなかつたのです。誰が肩をすかしたのかどうしたのか、それは知りませんが、とにかく、そういうことで押されるのと、身体が向う向いておるのとで、斜かいになつておるのです。ところで実はあすこに斜かいに倒されたのでありますが、從つて草葉君の説明にあるように、あのいわゆるぎつしりになつておるさ中に飛び込んだり、又潜り込んだりというような、そんな実は余裕は全く……私の又あの場合そんな軽業師のような業は、お互いに誰が考えてもできないと私は思うのでございます。私は曾て中日事変の当時におきまして京都駅のプラツトフオームで数百人の人が押し倒されて、而も数十人の人が下敷になつて殺されたことを私は眼のあたりに見ておるのでございます。そのときも從つて自分がどうして立ち上るか、どうやつて起き直らねばならないかということに懸命の努力をしておりまして、誰に縋り付いて起き上るかということで、実は自分があのときはどうしても起き上れないのです。誰かに掴まらなければ、(笑声)実際は起き上ることができないのです。上から人が來て……。(笑声)そうして、それが上の方では下に私が倒れておるわ、踏まれておるわ、上の方では皆が押し合つておるために、どうにもこうにも恰好が実はとれんのでありまして、從つてあの時の心持というものは、議長が演壇に上つておるのか、議長が上つておらないのか、下におる者としては誰が誰の身体やら、足やら、そんなことは絶対に分つたものじやございません、これは……。(拍手)ただ無茶苦茶に皆が踏むものですから、どうやつて……顔だけをこうやつて穏そうか、そうして胸の上にがんがん踏んで來るというようなことでございまして、実際は殆んどまあ、あの時は私の側におつた、足許におつた人ぐらいの者がその事情を知つておつて、外の人にはそんな事情は私は分つておる筈がないと思うのです。而もあの時はもう自分が人のことよりも自分の命の方が肝腎でありまして、(笑声)如何にして自分が逃れるかということだけ考えておりましたために、そんな議長が演壇に上ろうが上るまいが、そんなことは問題じやないのです。(笑声)自分の身体の方が大体問題だつたのです。あの時は……(笑声)從つて誰からしがみ付いて上ろうというように実はもがいておりましたので、そうして最後にはもう誰かが胸のここを踏んでおるのじやないか、押えておつたのです。誰かが押えて、ぐつと押えておつたために苦しくて堪らなんだのです。それで從つてもう、しようがないから、助けて呉れ、助けて呉れと言うて悲鳴を上げたのです。(笑声、拍手)そこで、それを下から誰か聞きつけたか、守衞の人が上つて、そうして両脇を持つてやつと上に上げて呉れたというのが実際の現状でありまして、殆んどあの時の現状というものは、そんな皆さんがお考え……、多分まあそうであろうというようなやね、恐らく多数の人がそういう恰好になつておつたから、そうであろうというようなことで、私は言われたものじやないかしらんと承知いたしております。從つて全く草葉君の考えておられるであろうようなものとは違うのであります。又むしろ議院運営委員会の場合におきましては、私は別といたしまして、この演壇のここにおいてのことについては、私はどつちかと言えば被害者の一人でありまして、実際誰か私の胸を押えつけ、踏んでいたという人があれば、実際私はその人を訴えたいくらいです。(笑声)併し御承知のように誰の足が……誰が踏んでおるのか実際分らんし、踏まれ通して、頭も小突かれ通して、それで終りということに(笑声)実はなつておる次第であります。
 以上で大体事実をありのままに申上げた通りでございますが、併しまあこれで大体皆さんにも眞相が分つて頂いたのだと思います。併し最後に、本國会に皆さんともうお別れを告げて出て行くことが、この議会の運営のためにも又將來この民主國会のためにも非常によいということであれば、私は潔くお別れをして出て参ります。(拍手)併しながら事実と違う点において処分をされ、又除名をされるというようなことについては、甚だ残念に思います。この点をよろしく皆さんの良識によつて然るべきよう一つ御審議を願いたいと思います。(拍手)
#10
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#11
○板野勝次君 昨日中野重公君が淺岡君外五名の懲罰に対する趣旨弁明に立ちました。その言葉に結ぶに当りまして、証人は議長、私、鈴木清一君、当夜の傍聽者であると言つたのでありました。全く当夜の傍聽者は冷静に見ていたことを私は確信いたします。草葉君は、板野君を先頭に中村、中西、細川、岩間、原、天田の諸君らがスクラムを組んで議長を阻止した。一体草葉君、どこを捏造したならばどこを叩いたならば、このような捏造ができるのですか。僞りのことを決して議員として言うべきではありません。草葉君は作り話の名人らしい。作り話なら作り話をするような場所でおやりまさい。この演壇は作り話を人に聽かせるような寄席ではない。(「その通り」と呼ぶ者あり)この目で見たというのなら当夜の証人がおるでありましよう。或いは草葉君は言うかも知れない。作り話ではない。新聞に書いてあつたからと、こう逃げ口上を言うかも知れない。成る程沢山の新聞紙を調べて見ますと、読賣新聞にはこの通り出ておりました。五月の二十四日の読賣新聞を参照いたしますと、横組みの見出しに、「指の採決」という見出しの中に「参院会期延長の混乱」の下の段にこう書いてある。「この混乱が引続き参院本会議に持ち込まれ、先ず本会議場には民自、緑風両派の議員が入場すると同時に、松平議長が護衞付きで議長席に着こうとすると、中西、板野、細川氏ら共産党議員及び中村正雄氏らがスクラムを組んでこれを阻止した。」この記事だけは確かに出ておることは確実であります。朝日、毎日にはこのことは書かれていない。この記事がどのようにして書かれるに至つたかは私は知りませんが、全くの誤報であります。誤報の記事をそのまま採つて趣旨弁明とするならば、草葉君が政治家として誠に幼稚至極なものであると断ぜざるを得ないのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)新聞の誤報か否かを確かめてやるべきだし、草葉君等が若し記事を提供したと仮定するならば、惡意ある作爲だと言わなければならないし、この記事も当夜の議長、中野君、鈴木清一君及び傍聽者によつて必ず私は否定されるに相違ないと思う。
 又草葉君は言つた。計画的である。計画的にスクラムを組んで、議長席に着かんとする議長を阻止したという起訴状は、全く我々議員を誣告するも甚だしいもので、懲罰に値すると若し言うならば、実に草葉君自身でなければならないと思う。議員を懲罰に付せようとするならば、確実な証拠の上になされなければならないのでありまして、軽率というよりも、出來事を捏造する、嘘をつく、こういうことは議員として愼しむべきものであると私は思うのであります。思うばかりではなく、ここにおいでになつておられる皆樣も、嘘を作り出すというふうなことを政治家がやつていいと賛成せられる人たちは、恐らく草葉君以外にはないであろうことを私は確信いたします。(拍手)又草葉君は、我々が日本國憲法ではなくと、こうおつしやつた。日本民主憲法を無視しておるような意味の言葉を言つたり、暴力革命について攻撃されました。從つて私は第一回國会以來、果して憲法、國会法並びに参議院規則について守つて來たか、守つて來ないかというこの一身の弁明は極めて重要となつて参りました。そうして又私たちが暴力革命をやろうとするかしないかということにつきましても、この懲罰動議を決せられる上に極めて重要な問題を成しまするので、果して日本國憲法を踏みにじつた者は誰か。國会法を踏みにじり、参議院規則を無視して参つた者は誰であるか。先ずこの問題から出発して参らなければならないのでありましよう。そうしなければ私の一身上の弁明は盡すことはできないのであります。
 御承知のように新憲法は、人類普通の原理として、民主主権に基き、又人類が多年その自由獲得の努力を続け、その努力の成果としてここに保障するところの一つの原則を基といたしておりますことは、議員の諸君のすでによく御存じのところであります。即ち日本國憲法前文中には、「そもそも國政は、國民の嚴粛な信託によるものであつて、その権威は國民に由來し、その権力は國民の代表者がこれを行使し、その福利は國民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と書かれております。從つて基本的人権という観念が、人民主権或いは國政信託という原則の前提であり、根本であると断言できると思うのであります。新憲法の本質は正にここにあります。それでは基本的人権とは何か。この基本的の人権の食い違いがありますればこそ、第一回國会以來今日までにおける幾多の議案や或いは議事の進行上につきまして、幾多不法な行爲がとられて参つたのでありましよう。「新憲法講話」、これは議員にも配付されております。これの中における基本的人権の定義にはかく書かれておるのであります。その「新憲法講話」の百五十一頁には……誰かの書いた基本的人権の規定であります。それの中には、「今私どもが考察しようといたしまする基本的人権というのも、いやしくも憲法において認むるところの権利なのであり、言うまでもなく國の法によつて、國の法たる憲法によつて保障され承認されなければ、法的効果をもちえないのでありますから、そのかぎりにおいて、從來のいわわゆる権利概念に当然包括されるように考えられるのであります。」こういうことが書かれて、その次に、「確かに基本的人権は日本の憲法が、そしてまた今後時々制定されるであろうところの法律その他の実質的の諸法令がこれを保障するものでなければならないのであります。しかしながら基本的人権が、單にそのような國の法律が承認する、國の法律が保障するところのもの、というような概念をもつてして解釈するならば、果して十分に解釈できるでありましようか。また、さらに從來権利の公権私権のわけ方、公権自身につきましても、多くの学者は御承知のようにこれを自由権、或は利益権、或は参政権……こういう自由権、利益権ないし参政権というように三大別しておつたのであります。」こういうことを書きましたのちに、次のような最も大切な基本的人権にこの著者は触れているのであります。「私は基本的人権の概念を正しく理解するためには、まず單に國の法律がこれを承認保障したところのものであるという概念そのものをもう一度再檢討しなければならないと考えるのであります。また第二に、從來的も普遍的に考えられたところの只今申した三つの権利範疇、これをもつて基本的人権の内容を分類しつくし得ない。すなわち今後においては、社会的経済的基本権なる新しいカテゴリーをも考えて、從來の分類についても嚴重に再檢討しなければならないと考えるのであります。たとえば法律の名においてすべての國民は平等であるということは、新憲法自身においても規定いたしておるところの一つの基本的人権の基礎的内容とされておるのでございますが、人間が法律の前に平等である、ありうる権利があるということは、國の法律が認めたからそうなのでありましようか。もちろん國の法律が法の前においてすべての國民を性別、人種別、あるいは血統別、そういう一切の差別を拔きにして平等に扱うということを認めなければ、法の前の平等ということは、いかに社会的運動として、社会的要求としてこれを唱えましても、決して國法上の権利とはなりえないのでありますから、この場合にも、権利は國の法律が正当と認めたものであるという概念が適用されるように思われるのでありますが、しかしながらわれわれが法律の前において平等である、平等でありうる権利があるという主張は、かりにある國の法律が國民の法の前における平等を正当として承認していない場合には、その法律自身が誤りである、その法律を改正して、そうして法律の前にすべての國民が平等となることをわれわれは要求する、そういう社会的な、一つの……」(「議長々々……」と呼ぶ者あり)「根強い要求を起しうるところのものなのであります。」(「議長は何故職権を行使しない」と呼ぶ者あり)議長議場を整理して下さい。(「整理じやない」「本なんか読んでどうする」と呼ぶ者あり)いや紹介しているのだ。(「文章を朗読してどうする」と呼ぶ者あり)これは弁明の基礎である。(発言する者多し)議長、議事を妨害する者を整理して下い。
#12
○議長(松平恒雄君) 板野君に御注意をいたします。一身上の弁明に限られんことを願います。
#13
○板野勝次君(続) 弁明の條件であります。もう少し……そこでこのように法の前に平等であるということを示しておるのでありますが、長くなりますから、引用することは省きますが、このような意味を持つ基本的人権について、憲法第十一條、第十二條、第九十七條、第九十八條及び第九十九條は総論的に規定しまして、基本的人権の享有尊重が國政の基本的目標であることを示し、又國家の構成員、國家機関、更に今後の法令、詔勅がすべてこれを尊重すべき義務を有することを宣言しておるのであります。然るに第一回國会以來この総理的な規定は尊重されて参らなかつたのであります。第十八條、第十九條、第二十條、第二十一條、第二十二條、第二十三條等の自由権の規定でありますが、旧憲法において考えられましたような立法権自身を以てすれば制限することのできる、行政権の濫用に対する自由権という観念ではなく、立法権を以てしても制限することのできない基本的絶対主義、一切の國家作用に対しての自由権の概念であります。(「簡單にやれ」と呼ぶ者あり)この規定は全く尊重されていない状態であります。このことは公務員法において集中的に表現されておるのであります。第二十七條、勤労の権利、第二十八條の團結権、第二十六條の教育の権利等の社会的、経済的、基本的権利におきましても、労働組合法の改惡、六・三制問題において明らかなごとく、憲法に違反しておるのであります。(「憲法了承」と呼ぶ者あり)このように憲法に違反して來たものは新憲法施行以來の歴代の内閣であり、憲法違反に協力したものは議席の多数を占める保守派の議員諸君でありまして……(「脱線々々」と呼ぶ者あり)草葉君の言う憲法違反者の言葉はそのまま草葉君に下げ渡さなければならないと思うのであります。(拍手)我々は絶えず憲法を守り続けて來た、守つて來たということが、私の一身上の弁明をする方に極めて重要なる意義を持つておりますればこそ、このようなことを申上げるのであります。皆さんもよく辛抱して聞いて頂きたいと思う。(「辛抱できないよ」と呼ぶ者あり)我々は絶えず憲法を守り続けて來た。第五國会は、去る五月二十三日は御承知のごとく会期の末日でありまして、我が党は会期延長に対して眞向から反対いたしました。何故に私達は反対したか。人民の利益に反する反動的な立法であるところの定員法、食糧確保臨時措置法及び食糧管理法の一部改正の法律案、農業資産相続特例法案、更に又……
#14
○議長(松平恒雄君) 板野君に重ねて御注意申上げます。発言は議題の外にわたられぬように願います。(「その通り」と呼ぶ者あり)
#15
○板野勝次君(続) 而もこれらの上に、一方においては首切りが行われようとするのに、参政官の設置、國鉄の拂下げ等々があつたのであります。これがために我々は会期延長に反対しました。而もこれらの法案の中には公務員の大量の首切り、農民に対する超過供出の強要、轉落農家に対する遅配欠配の合理化、農業資産相続に特例を設けて父家長制の復活等、これは明らかに憲法第十四條、第二十五條、第二十七條等の違憲問題を含んでおつたものでありまして、(「問題外」と呼ぶ者あり)而もこれらの諸法案が決して日本再建に役立つものでないので、我々は憲法第十九條に保障されておる思想及び良心の自由に從つて行動したのであります。而も國会法及び参議院規則を嚴守して正当防衞のために鬪つたのであります。保守政党の諸君の中には、提出された議案はどんな法案でも審議成立せしめるのが國政運用に忠実であるものとの誤解があります。これは國会法第六十八條には、「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない」とあるが、この規定は明らかにこの考え方を打ち破るものであります。吉田内閣は会期延長の問題に関して如何なる態度をとつたか、今月十六日会期切れになる数日前に、官房長官は議院運営委員会へ來て、政府としては会期延長を申入れる意思はない、会期延長は議院の自由意思にして欲しいと放言したのであります。当時定員法の関係書類だけでも一貫八百匁もあると、この壇上から社会党のカニエ君が首相に会期問題の意思を質した。首相のいつもの傲慢な答弁は野党議員の諸君を憤激させたのでありました。会期延長に対してもできるだけ短かくして、多数を恃んで遮二無二通過を図るために七日間の会期延長を主張し、民主党の門屋委員らの諸君は十日間を主張しておりました。我々はもとより会期延長には反対でありました。採決の結果は(「議長注意」と呼ぶ者あり)民自党、緑風会の運営委員諸君の希望のごとく(「一身上の弁明に入るべし」と呼ぶ者あり)七日間と決りました。民主党の十日間説は葬られたのであります。民自党、緑風会の運営委員の諸君は、二十三日の会期終末に更に会期延長は義理にも言い出せない立場でありましたし、政府としても延長申入れのできない立場に置かれていましたことは、運営委員会の委員の全員の認めるところでありました。会期は勿論自主的に決定されるものでありますが、政府はいつもこれに嘴を入れて來ました。この政府申入れは國会法には規定されていないし、これは越権の沙汰であります。國会法にはその第十一條、「臨時会及び特別会の会期は、両議院一致の議決で、これを定める」ことになつております。第十二條「國会の会期は、両議院一致の議決で、これを延長することができる。」第十三條「前二條の場合において、両議院一致の議決に至らないときは、衆議院の議決したところによる。」こういうふうになつておりますので、(「今更言わなくてもいい」「分つている」と呼ぶ者あり)二十三日中に参議院が議決しなかつた場合は、(「それが一身上の弁明か」と呼ぶ者あり)当然閉会となる規定となつておるのであります。(「一身上の弁明に限るべし」と呼ぶ者あり)これは國会法の不備であつて、議決した場合、議決が一致しなかつたときだけ衆議院の議決したところによるとなつております。(「議長、整理」と呼ぶ者あり)これは参議院の多数派が、一方的に会期延長を一切の合理的手続を無視して強行したことによりましても明瞭であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)政府は五月二十三日午後八時半になつて、官房長官が議長のところへ会期延長申入れに來ましたと、議院運営委員会の速記録に書いてありまするが、速記録によりますと、午後九時二十五分再開の議院運営委員会で官房長官が会期延長を申入れております。私はそれまで食糧確保臨時措置法一部改正法律案及び食糧管理法改正法律案の討論採決のために農林委員会に出て、出席していなかつたのでありますが、私は十時二十五分再開のときから出席いたしました。午後十時二十五分に再開されるまでの休憩は、官房長官ではいけないから、内閣総理大臣に出席して欲しいというために休憩していましたことが、その議院運営委員に出て初めて分つたのであります。(「議長何故一身上の弁明以外にしやべらすんだ」と呼ぶ者あり)これは私の弁明です。私の一身上に関係しております。一身上に関係しております。一身上というものは、私の一身上というものは一切を含んでおります。(「独断だ」と呼ぶ者あり)私はそう解釈しておる。(「議院の体面を汚したんだ」と呼ぶ者あり)そこでこの当夜における混乱がこのようにして行われて來たが、私が議院運営委員会においてどのようなことをやつて來たか、そうして議場内にどのような状態で入つて來たかは、当日における私の行動の詳細を説明して、私の一身上の弁明をする必要があると思う。そこで午後九時二十五分開会の議院運営委員会の模樣について見ますると、中村君が、内閣の代金である総理大臣から説明を願いたい、官房長官は内閣の代表とは認めないということで、このことのために内閣総理大臣がしばしば出て來ない、こういう過去の……
#16
○議長(松平恒雄君) 板野君……
#17
○板野勝次君(続) 経歴から……
#18
○議長(松平恒雄君) 板野君もう一回御注意いたします。一身上の弁明の範囲を(「よく聞いておれ」と呼ぶ者あり)逸脱しないように御注意を願います。
#19
○板野勝次君(続) 私は一身上の弁明をしておるわけです。(「良識がないぞ」と呼ぶ者あり)そこでこの議院運営委員会におきます状態について明らかになつたことは、総理大臣が來ていないということをはつきりと知ることができましたので、私は午後十時二十五分の再開の委員会におきまして、動議を提出して、この問題について発言を求めようとしたのであります。ところが國務大臣の発言を求めているのとかち合いまして、なかなか議院運営委員長は私に対して、挙手をしておりますのにも拘わりませず、一方的に参議院の議事規則を無視いたしまして、そうして議事進行について発言を求めている私に対して発言を許さない。(「そんなことあるか」と呼ぶ者あり)そうして梅原委員長は副総理の説明を聞く方の動議の採決をとつているのであります。そうして起立採決に問うて、一方的に私の議事進行に対する動議を否定してしまつた。そうして林副総理からの答弁を聞いているのであります。この林副総理の答弁は、「少々の風邪氣味で、夜分におきましては私共休養して頂くように願つておりまして、私が代つてお願いを申上げるわけであります。会期も迫つているから、今日中に重要な法案も残つているから、二日間だけ是非延長して頂くようにお願いしたいと考える」(「議長何故注意しないか」と呼ぶ者あり)こういうことでありましたので、私はこれに対して更に発言を求めたのであります。このことは皆さんがおつしやつていますのが、議院運営委員会におきましては、私の問題、カニエ君の問題等が関連して、別々な形でなくして、しておりますので、議院運営委員会における状態は極めて重要であります。そこで私はやつと議院運営委員長から発言を許されて発言したのであります。私はそのときにこういうことを発言いたしております。先日官房長官がここに見えられたときに、事務当局と官房長官との間に食い違いが、(「弁明にならん」と呼ぶ者あり)事務当局の方では止むを得ざる事由があつて総理大臣が來られないと言う。そこで運営委員会は、どういうふうにそれじや止むを得ない事由があるのかどうなのか、官房長官が來て風邪引きである、こう言つて、参議院の事務当局と政府側の官房長官が言うところの間に食い違いがある。一方では風邪引きであると言う、一方には止むを得ない事由だ、こういう食い違いがありました。このことを私は指摘いたしまして、今又、そのときに丁度日曜日でありましたが、いつも総理大臣が國政をサボつて來ているということを私はそのときに質問したのでありました。何か都合が惡くなりますと病氣である、こういうふうに政府側は言われるのであります。私はそのときに、吉田内閣は絶対多数を取つたならどんなことでもできる。総理大臣は國政をサボタージユしている。職場を離脱してしばしば大磯の方に参りましても、これはただ一片の病氣で済むということで片付けられている。このように今日のような重要な段階まで來ておつて、総理大臣が少々風邪氣味であるから(「議長、注意々々」と呼ぶ者あり)といつて、ここに出席しないことは、全く國政に対する誠意を持つていないことを明白に暴露している。このようにいつもいつも病氣で会議に列席できないというような総理大臣がいますことは、國政の運用上大きな障碍である。(「それが一身上の理由か」と呼ぶ者あり)ただ民自党が絶対多数を恃んで、このような國政に対して怠慢な、傲慢な、而も國会軽視の態度を多数で支えてやつている。これは決して國民に対していい影響は與えられない。重病の床に就いて内閣総理大臣がどうしても出席することができないということでありましたならば、私はこのようなことを申さない。こういうことまで言いました。そうして私は最後に、前に決定された総理大臣が出席するまでは運営委員会は再開しない、休憩しておるということは、今尚生きているのだから、私は総理大臣がどのような状態にあるか、ここに出て來られないところの客観的な止むを得ない事由があるかどうかということをはつきりと説明して頂きたい。事務当局が総理大臣のところへ行つて、どういう状態にあるのかということを確めて來て貰いたい。それまでは議院運営委員会は休憩継続の宣告をして頂きたい。こういう動議を提出するものだ。こういうことを言つておるのであります。ところがこれに対しても、委員長はこの動議を採択しようとしなかつたのであります。而もこの動議の採択をしないばかりでなく、続いて発言する者が多くて、矢野君に対しましては発言を許可して参つたのであります。(「議長、整理」「議長無能」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そうして矢野君は動議を提出いたしまして、その動議を委員長は採択して、私の動議に対しましては採り上げていない。このことに対しまして社会党の議院運営委員であります中村正雄君が、「私は採決に疑義があると申しましたのは、矢野君の動議を採り上げる前に……。」
#20
○議長(松平恒雄君) 板野君、もう一度御注意いたします。発言は一身上の弁明に範囲内に願います。
#21
○板野勝次君(続) その通りにいたしております。(「一身上の弁明を逸脱している」と呼ぶ者あり、其の他発言する者多し)そこは逸脱しておりません。「板野君の動議が出ている。それを矢野君の動議を……」(議場騒然)議長、整理をして下さい。私は一身上の弁明をしているのだから……。そこで……(議場騒然)議長整理を願います。中村正雄君が「私は採決に疑義があると申しましたのは、矢野君の動議を採り上げる前に板野君の動議が出ておる。矢野君の動議を採り上げて採決した点が委員長の間違つている点ではないか」、こう申しておる。これは私はしばしば委員長の発言の許可を求めておりました。門屋氏も議事進行について発言を求められ、いろいろこの当夜におきましては、議院運営の上におきましては横暴が極められまして、私たち野党派に対しまして、なかなか委員長は参議院の規則を無視いたしまして、発言を許して呉れなかつた。やつとあらゆる努力を拂いまして、遂に発言の機会を再び得ることができたのであります。そこで私は重ねて総理大臣の問題について質したのであります。若し議院運営委員会におきまして、総理大臣が今どこにおり、どういう状態にあるのだということが、事務当局若しくは政府当局によつて誠意ある答弁がなされたならば、あのような紛乱、混乱は断じて巻き起すことはなかつたのであります。(拍手)私は二度目にやつと発言を得ましたときに、このようなことを速記録の中で申しました。「過去の慣例からいたしましても、総理大臣が國会をサボつておられる。國会の上に君臨しておるというふうな考えを若し総理大臣が持つておる。ところが我々は内閣総理大臣と雖も、これは人民の公僕であると思う。我々國会議員は國政の重要な諸立法を審議するための人民の代表である。総理大臣は公僕なんだ。公僕であるなら少々の風邪くらいは押して無理をしても出て來る。この國政のために斃れてこそ政治家としての本壞ではないか」。(拍手)「僅かの風邪引でこのような重要な時に出て來ないというのは全く國政の怠慢でありますから」、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)「これに対して我々が納得の行くように、あの総理大臣が來るまでは是非とも休憩して欲しいということに対して委員長に報告して貰いたい」、こういうことを再び申したのであります。(「一身上の弁明じやないよ」「一身上の弁明をするものじやないか」「それが弁明であるか」「これを聞くのが恐ろしいのか」と呼ぶ者あり、笑声)我々がこのときに附け加えて申しました。(「運営委員会における自己の発言を紹介するのじやないか」と呼ぶ者あり)一身上の極めて重要なる弁明であります。(「混乱するな」「議長」「余計なことを言うな」「謹聽謹聽」と呼ぶ者あり)議長、整理して下さい。(「騒々しいのは共産党だ」「疚しいところがなかつたら默つて聽け」と呼ぶ者あり、議場騒然)私はその後から……議長、議場を整理して下さい。私は決して議事を妨害していない。議事が円滑に進行して参りますために、数日前までは議場におきまして定足数をやかましく申しました。併しながら昨日以來今日までしばしば定足数を欠けておりましたけれども、我々はその定足数について特に採決上必要ある以外におきましては、この欠けておる点を默過して参りました。委員の方々が決して議事を妨害するのではなくして、議事を円満に運営さして行きたい。こういうために特に我々は取計らつて参つたのだ。こういうことまで議院運営上について申しました。そもそも新憲法を蹂躪して参りましたものは、参議院の運営におきましても定足数を欠いて來た。これは参議院の規則を無視しておるばかりじやなくして、憲法の中にちやんと書かれておる定足数の問題を、すでに参議院は今日まで蹂躪して來ておるのであります。併しながら私たちは、当夜は極めて重要な問題であるし、規則に則つて我々が飽くまで合理的に会期延長と取組む必要がありました。そのために二十三日前の数日間も全く憲法を無視してこの会議が進められておりますのにも拘わらず、議事を妨害されたと世間で言われてはならないので、我々は定足数についてやかましくは言わなかつたということは、議長並びに事務当局がよくその定足数の状態を調査された過程において明らかであつたと思うのであります。続いて更に政府当局から、総理大臣は今少々の風邪引きだと言われるが、熱は一体何度であるのか、どういう状態にあり、今どこにおるのかということは少しもその時に明らかにされなかつた。そこで重要な段階が來たと認められました。門屋委員はこの國会法上につきます國会法の第十一條、十二條、十三條の問題につきまして重要な発言をされたのでありました。これは門屋委員としましても、十一條、十二條、十三條の解釈如何を明らかにせられたのは、十三條によりまして、参議院が議決しなかつた場合でも参議院が優先するのだという解釈が成り立つならば、決してこの紛乱の必要はないというふうに、非常に円満なる議院運営委員会の進行を図らんとされての質疑應答が重ねられておつたものだと私は確信するのであります。そこで私の更に議事進行上についての発言は、門屋委員のこの國会法第十一條、十二條、十三條をめぐりましていろいろと質疑が交わされて参りました。そこで暫らく経ちまして、段々と時計は進んで参りまして、そのときに初めて梅原委員長が「板野君の発言がありましたが、総理の病状に関して副総理から発言をして頂きます。」と、やつと……相当な時間を経過してやつて言われた。その時の林副総理の答弁は、「総理の状況につきましては、先程延長をお願いいたしましたときに申上げましたように、少々風邪の氣味であるものですから、夜分は靜養して頂く方がいいと考えまして、私共靜養して頂いているわけであります。さよう御了承願います。」こういう納得の行くことのできない答弁しか得ることのできなかつたことは、私たち参議院の議院運営委員といたしまして実に憤慨せざるを得なかつたばかりでなく、この國の極めて重要なときに、而も二十三日は重要な法案が出積しております場合に、副総理のこのような「少々風邪の氣味であるものですから夜分は靜養をして頂いた方がいいと考えまして」、(「議長、議事進行」と呼ぶ者あり)靜養をして貰つているというふうな答弁であつたのでありまして、八千万の國民がどうして納得するでありましたよう。私は総理大臣が若し四十度の熱がある、そうして大磯へ帰つて靜養をしておられるというのでありましたならば、何を苦しんで総理の出席を追求いたしましよう。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)このような事態が若し平然として見送ることができるのは、恐らく今野次つておられる民自党の議員諸君以外には、このような不遜を答弁を見逃すことはできなかつたと思います。(拍手)民自党と緑風会の一部議員の諸君以外は、この総理大臣の國会を軽視した態度に対して憤激しておられた。ところが、これに対して、この副総理の答弁に対して、私が重ねて質問を重ねようとしたときには、民自党の小林英三君が「この際……」と言つて速記録の中に書かれておる。私は「この関連している」というので、更に答弁を重ねようとした。併し小林君は「委員長が発言を許した。委員長が発言を許したじやないか。」こう言つておる。私は「関連している。林副総理が……。」こう言つております。民自党の小林君は「默れつ。動議を提出いたします。」と言つて、私が関連しておるものを引つたくるようにしてやられた。これがあの大きな紛糾の原因をなして來た。そうして委員長は民自党の小林君の意見を採り上げられた。私が重ねて副総理に対して質問しようとするのを中断されてしまつた。全く事の眞相を明らかにされていないのであります。そのために議場が騒然となつてしまいました。まあ極めて短い時間でありまして、これは日本の國民全体に知つて頂きたい。我が参議院における第一回國会以來今日までにおける議院運営委員会の醜態は、このようにして最後の段階に突入して参ろうとしたのであります。(「その通りだ」「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)そこで私は速記録を見ました。そこには小林君の動議は、
  会期も頗る切迫しているのでありまするから、会期の延長の問題を提議いたします。(「発言中だ」と呼ぶ者あり)我々は会期の延長をするかしないかということを討論を省略いたしまして、(発言する者多し)するとかしないかということ、その次に会期の延長を何日間とする、そういうことに対しましての採決をお願いいたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)、(発言する者多し)、
 これで「議長騒然」としております。
 ○委員長(梅原眞隆君) 採決に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 ○板野勝次君 再質問をしているのだ。副総理の答弁に対して更に質問がある。(「徹底しない」「何の採決だ」と呼ぶ者あり)
 ○板野勝次君 委員長何をしている。
 ○委員長(梅原眞隆君) 今の動議に賛成者は……
   〔発言する者多し〕
   〔「委員長不信任だ」「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
   〔議場騒然〕
 ○委員長(梅原眞隆君) 休憩いたします。
 このときに午後十一時三十二分であります。午後十一時四十七分に再開されました。この事態は極めて重要であります。私はお終いは簡單でありますから、その速記録のままを読みます。
 ○委員長(梅原眞隆君) 委員以外の方の御退場を願います。(「そんな権限はない」「開会を諮つていないじやないか」「そんな馬鹿なことがあるか」と呼ぶあり、その他発言する者多く、議場騒然)委員外の方の御退場を願います。これより開会いたします。(議場騒然、発言する者多し、聽取不能)……。(「まだ質問が残つておる」と呼ぶ者あり、議場騒然)委員外の方の御退場を求めます。(「議員の退場を求めるとは何だ、俺は議員だ」「速記はそんなところで書いてはいけない」「委員長そんなところでかけ引するのはよせ」「まだ開会は言つておらんぞ」「議事進行」「まだ開会はしていないぞ」と呼ぶ者あり、議場騒然)
 ○矢野酉雄君 私は次の動議を提出いたします。(「まだ開会しておらんのに動議があるか」と呼ぶ者あり、議場騒然)会期二日間の延長の動議を提出いたします。
   〔「賛成」「反対」と呼ぶ者あり、議場騒然〕
 ○委員長(梅原眞隆君) 委員外の方の御退場を願います。只今の動議に賛成の方の御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
 ○委員長(梅原眞隆君) 多数であります。よつてこの動議は成立いたしました。……、散会……。
   〔議場騒然、「まだ散会していない」「散会をしろ」「本会が始まつた、本会が始まつた」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、議場騒然〕
   午後十一時四十九分散会
 となつております。この議場騒然のうちに本会議開会のベルが鳴つたのであります。私はこの議院運営委員会の進行が、如何に委員長がその議院運営の才を持つていなかつたか、私は委員長のあの人格者に対しまして、この壇上から私は責めようとは思いません。併しながら議院運営委員会が若し良心的な審議を続けて参りまして、政府は吉田総理が明らかに國政をサボタージユしておることを議院運営委員会に、自分が出なくても、副総理若しくは官房長官を通して謝罪いたしましたならば、議院運営委員の多くは必ずこの謝罪に対しまして納得いたしたでありましよう。然るに何ら懇切丁寧なることをすることなく、紛乱に導いて参りました者こそは、政府がこのように議院運営委員会を混乱させ、そのどさくさ紛れに会期延長を図り、重要法案を通そうとする一方的な企らみであり、民自党の諸君がこの紛擾を機として紛乱を更に重ねるがごとき陰謀をとられたことは、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この速記録によりましても、又参議院の議院運営委員会におけるあの立錐の余地なきまでに傍聽者の詰めかけておりました多数の傍聽者諸君の、恐らく証言せられるところであることを私は確信するものであります。(拍手、「これが暴行だというんだ」「これから一身上の弁明だ」と呼ぶ者あり)このような状態が、我々はいつも吉田内閣が國会を無視し、この第五國会に当りましても、僅か八日間程度しか來ていない。こういうことが繰返されて参りましたならば、國会はいつも政府の國会軽視のために紛糾は絶えないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は本会議のベルが鳴りましたので本会議場に急いだのでありまして、その間の細かい問題につきまして、私は今これ以上申そうとは思いません。議場に入りますると、我が党の中西功君が議院運営小委員会の予備員でありますために、議事部長席の方へ向つて上つて行つておる。私はその後を追つたのであります。このときにはすでに議長は多数の守衞に囲まれて(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)入つて來ておりました。淺岡君の大きな身体が何か少し傾いて、何か力をこめてやつておる姿が見えたのであります。これは私が見た姿であります。(「詭弁だよ」「捏造は止せ」と呼ぶ者あり)私は議長にも、議事部長にも近付くことができなかつた。私は小委員会を開いて欲しいと叫んだのでありまして、私が議長を阻止したか、議長と話したかどうかは、議長御自身がよく知つておられる筈である。私は淺岡君に言いますが、草葉隆圓君のごとき(「捏造するな」と呼ぶ者あり)捏造はしない。(「捏造しておるじやないか」と呼ぶ者あり)断じてしていない。(「自分のことは自分で分るじやないか」と呼ぶ者あり)自分の趣旨弁明は自分でやられたらよろしい。私は小委員会を開けと何回申しました。ところが丁度総理がいつも掛けるあのところで、私は議長に対して、委員会を開いて欲しい、その方向に向つて言つたのであります。ところがその向うに、丁度議事部長のおる附近であつたか、今少し向うであつたかと思いますけれども、ここで一分間でもよいから小委員会を開いて欲しい、こういうことを重ねて言つておる議員の声を聽いたのであります。この一分間開いて欲しいということは、草葉隆圓君は、我々が計画的にやつたと申しますけれども、第一この壇を五六人の者がスクラムを組んで上るような状態にあるかどうかということは、(拍手)この壇自身がよく示しておるものでありましよう。(「でたらめ言うな」と呼ぶ者あり)決してここはスクラムを組んで上り得るものでもなければ、又申合せて小委員が寄つて、どうして貰おうかということを互いに相談し合う時間は断じてなかつた。各小委員、各議員とも急いで本会議場に入りましたので、小委員としてその打合せをする暇がなかつた。中西功君は会議の進行について、小委員の予備員として、当然議事部長若しくは議長に対して、この運営について諮つて参りますことは、議院運営の予備員として当然な行爲をした、私はその後に続いたのでありまして、なぜそれでは……そうして小委員会を開いて欲しいと、議長と守衞を隔てて何回となく、一分間開いて欲しいということが聞えました。私は恐らく今あの声は社会党の原虎一君であつたかと思うのであります。私は誠に正々堂々と、一分間でもいい、開いて欲しいということは、この原君が議長を阻止する意思がないばかりでなく、一分間開くことによつて会議が円満に進められて行く、(「詭弁は止せ」と呼ぶ者あり)この立派な交渉は私は称讃に値すると思う。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)私は人垣が作られておるので、近付くことができないので、事務総長の席の前へ行つたのであります。このところへ行つたのであります。ちやんとこれは写眞に載つております。(「写真眞は後だ」と呼ぶ者あり)從つてこの人垣を向うに行くことができないので、私は事務総長のところへ参りまして、議長席のところを見ますと、中西君が副議長に、懲罰動議が先だ、どうして議長がおるのに副議長が勝手に議長席に着くのかと話をしておるのが聞えたのであります。そうしておるうちに本会議が散会となつてしまつたのであります。私は弁解を申しません。私は決してスクラムを組まなかつた。覚えはないし、繰返して申します。誰もスクラムを組んでいた者はなかつた。これは虚僞も甚だしいのであります。議院運営委員会の小委員や予備員が、議長や、事務総長、議事部長と議事に関してこの上に登つて相談し交渉しますることは当然の権利であります。國会法第五十五條の二には「議長は、議事の順序その他必要と認める事項につき、議院運営委員会が選任する小委員と協議することができる。但し、議長は、小委員の意見が一致しないときは、これに拘束されない、」(「その通りだ」と呼ぶ者あり)と規定してあります。國会法第五十五條の二の小委員に関する参議院議院運営委員会の決定の中にも、「議長が協議事項を決定して招集する。議長の諮問機関とする。運営に当つては多数決の原則を適用しない。委員会通則による二分の一の定足数の適用はないものとし、各派より一名以上の出席を以て会議を開く」と決定され、慣例といたしまして、本会議前に議長より招集され、小委員会で本会議の議事日程を定めて、本会議が開かれるのが慣例とされておつたのであります。そのときに限つて議長の職権で本会議の振鈴を鳴らし、小委員会が開かれなかつたのであります。社会党、無所属の小委員と私とは何も相談しなかつたけれども、慣例に慣れておりますので、各小委員に、会期延長と板谷順助君の懲罰動議について議長が当然小委員に諮らなければならない順序でありました。それならばこそ議長に小委員会を開くことが思い思いに要求されたのであります。これは明らかに議長が慣例を無視したものと言わなければならないのであります。從つて各小委員が本会議内におきまして小委員会開催の要求は、参議院規則に照しまして明らかに合法的な態度であり、合法的な要求であります。参議院の規則を見ますると、二百十三條には、「何人も、議長の許可がなければ、演壇に登つてはならない」という規定があります。(「その通り」と呼ぶ者あり)もう一度繰返して申します。参議院規則二百十三條には、「何人も、議長の許可がなければ、演壇に登つてはならない」という規定があります。即ち議長の許可なくして、この演壇に誰も入ることはできないという規定がなされてありますが、演壇以外の場所に行つてはならないという規定は、ここから先は規定されてないのであります。(「理窟だ」と呼ぶ者あり)議員が議場内のどこへ行つてはならないという規定は少しもないばかりでなく、貴族院時代からも慣例はないのであります。演壇以外はどこへ行つてもよいことになつておる。議長席のところへ行つて話をしましても、一向國会法違反でも規則違反でもないのであります。(「議長を阻止したのが惡いのだ」と呼ぶ者あり)衆議院におきましてもしばしば議長の席のところに近付きますけれども、誰も懲罰に付せられた者がいない。又議事交渉のために登りましたからと言つて懲罰には付せられていない。懲罰にできないのが当り前でありまして、何人も議長の許可がなければ、この演壇にだけは登れないことになつておりますが、この演壇に登つてやりました者は規則違反でありましよう。併しその以外の場所において如何なる会と交渉いたしましようとも、何も断じて國会法の違反にも規則の違反にもならないのであります。以上二つの理由から草葉委員から提出されておる懲罰動議の出ておる議員は、全部この参議院規則二百十三條には、いずれも該当していません。勿論私も何の規則違反でもなければ、議長を阻止して議長席に着かしめないようなことを決してしていない。議長に話をさえもしていない。この混乱をなしました議院運営委員会におきましては、先程申した通りでありますが、これを規則の上について檢討して見ますると、委員長は規則第四十八條に「委員は、質疑終局の動議及び討論終局の動議を提出することができる」。第四十九條、「討論が終局したときは、委員長は、問題を宣告して表決に付する」と規定されておるのに、全くこの規則を無視し、徒らに会議を混乱に陷れておるのであります。又規則四十二條、「委員は、議題について、自由に質疑し、及び意見を述べることができる。委員から発言を求めたときは、その要求の順序によつて、委員長がこれを許可する」ことになつておるのに、委員長はこの規則を守らず、発言が総理出席の要求に対しても、委員会に諮ることなく、次の発言者に発言を許したり、先に発言をしておるのにも拘わらず他の委員を先に発言さしたりして混乱させて、委員会進行の能力を欠いていたのであります。総理につきましては先程申した通りであります。而も民自党、緑風会の委員が政治力を欠いて、多数によつて遮二無二混乱の状態を現出さしたのであります。又議長について申しますならば、憲法第五十六條には「総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と規定してあります。これは憲法であります。私が先程來憲法について長々と申しましたのも、我々は憲法を守つて來た。併し國会自身が憲法を守つて來ていない。規則にも第八十四條には「定足数に充たないときは、議長は、延会を宣告する。会議中に退席者があつて定足数を欠くに至つたときは、議長は、休憩又は延会を宣告することができる。」こういうことになつておるにも拘わりませず、運営委員会におきましても、過去においてしばしば定足数が欠いておつた場合におきましても、委員会が開かれております。又本議場におきましても定足数がいつも議場においてやかましく言われましても、しばしば定足数につきましては等閑に付せられて來ておるのであります。これは定足数をやかましく言わない多くの議員諸君が知らず識らずのうちに憲法を蹂躙しておることになり、議長初め多数の議員諸君がこの憲法の明文を明らかに無視しておると断ぜざるを得ないのであります。(「弁明と何の関係があるか」と呼ぶ者あり)参議院規則には第二百十四條に「議長が振鈴を鳴らしたときは、何人も沈默しなければならない。」という規定があります。(「簡單にしろ、簡單に」「簡單に済ませ」と呼ぶ者あり)ところが参議院の規則によりまして、私は昨日、「議長が振鈴を鳴らしたときは、何人も沈默しなければならない」というので、私は衆議院の議場におけるあの議長の前に置かれている鐘を思い出したのであります。この規則によりますと、議場内における混乱がありましたときに、あの鐘を鳴らしたときに議員は沈默しなければならないということが明記されております。これは衆議院自体におきましても何回か知りませんが、使われなかつたという説も聞いておりますし、一回は使つたという説も聞いております。今私は議長の席を見ますると、何も振鈴らしいものが置いてない。或いは鳴るようになつているのかも知れない。若しこの参議院規則第二百十四條の議長ガ振鈴を鳴らしたときに、沈默しなければならないというこの方法がとられておりましたならば、あのような混乱、誰が巻き起したか分らない、あのような混乱は起らなかつたに相違ないと思う。私は参議院における議長がこのような権限を行使されるべきであつたと思う。又國会法二十一條によりますと、「議長に事故があるとき又は議長が欠けたときは、副議長が、議長の職務を行う」ということになつている。二十三日夜、議長に事故があつたわけではない。それなのに独断で副議長が議長の職務を執行したことも混乱の大きな原因をなしているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)又現在懲罰動議が出て採り上げられておりますが、十一條、十二條、十三條によつても、二十三日参議院で議決されていないのだから、参議院は議決しなかつたわけでありますから、十三條の「衆議院の議決したところによる」ということは言えないので、國会はすでに閉会になつている筈であります。これは議院運営委員会におきましても、社会党の中村君、無所属の藤田君、それに私が無効を主張したのであります。議院運営委員会は私たちの動議を多数で否決いたしましたが、これを本会議には諮ろうとはしなかつた。速記録によりましても明らかに参議院規則は無視されている。副議長が着席したことを一歩讓つてこれが合法であるといたしましても、参議院規則第百三十六條「議長は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告しなければならない」ということになつている。それなのに問題を宣告していないのであります。又規則第百三十七條「議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多小を認定して、その可否の結果を宣告する。」これをやつていない。又起立採決を採らなかつたとしても、第百四十三條「議長は、問題について、異議の有無を議院に諮ることができる。異議がないと認めたときは、議長は、可決の旨を宣告する。」然るにこの宣告も、速記録によるとなされていないのであります。從つて議事にはなつていないので無効であります。私はこの不法なる本会議の議事について思い起すのは、第一回國会末の一昨年十二月九日、公國法関係のときのことが思い出されるのであります。(「簡單にやれ」と呼ぶ者あり)あの第一回國会におきまして、衆議院を通過し、それが農林委員会に付託され、更に本会議に付託されておつたのであります。私はこのとき以來、國会が会議法として採られておるところの速記法につきまして疑義を持つに至つたのであります。このことは今度の場合の無効であるということを立証いたします上にも極めて重要なものであります。これは、このときにおきまして未だ我が國憲政史上ないところの時計が止められて來た一大事件でありまして、この時計を発見し、時計の止つておる事実につき最初に追究いたした者はこの私であります。これは一昨年の十二月の九日、衆議院におきまして午後十一時五十三分(「それが何の関係があるか」と呼ぶ者あり)衆議院は散会いたしております。(「先例はやめろ」と呼ぶ者あり)
#22
○議長(松平恒雄君) 板野君……
#23
○板野勝次君(続) 衆議院が散会しまして、参議院に……
#24
○議長(松平恒雄君) 一身上の弁明に限られんことを重ねて御注意します。
#25
○板野勝次君(続) 從つて参議院の農林委員会に、向うから議案が廻つて來ましたときには、参議院の農林委員会が開かれまして、然るにこのときに速記法による速記がとられていなかつた。私は、農林委員として、衆議院における公團法関係の議案がどうなつているかということを見に参りました後に、参議院から私に対しまして、直ぐ帰つて來れということで帰つて参りました。農林委員会に議案が回付されないときに帰つて参りましたときに、この記録を読んで見ますと、参議院の農林委員会は(「止めろ止めろ」と呼ぶ者あり)午後十一時五十六分に開会いたしまして、散会の時間がないのであります。(「議長の言を聞けよ」と呼ぶ者あり)このように十二月九日は、衆議院の本会議が午後十一時三十六分散会、それが農林委員会が午後十一時五十六分散会の時間となつております。そうして本会議が開かれましたのは午後十一時五十六分に開議となり、午後十一時五十七分散会となつておるのであります。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)
#26
○議長(松平恒雄君) 重ねて御注意します。
#27
○板野勝次君(続) 一身上の弁明だ。
#28
○議長(松平恒雄君) 弁明の範囲に限られるよう御注意します。(「結びじやないか」と呼ぶ者あり)
#29
○板野勝次君(続) これは極めて重要な問題である。一切の問題を重要な問題と絡み合せております。過去において私が知つておる國会が会議しておる國会法、参議院規則が無視されておるが、速記録も又頼むに足らない状態、事実について説明しているのだ。片山内閣のときであろうとも同じだ。何のときでも同じことだ。このように時間についても議場の時計が止められている。(「一身上の弁明じやない」と呼ぶ者あり)参議院規則第百五十六條には、「会議録には、速記法によつて、すべての議事を記載しなければならない」となつておるのに拘わりませず、このように、最終日におきましては時計も止められ、会議録も僞りの時間が書かれ、速記録がとられていないのに会議録が作られて來ておる。私はこの当時を思い浮べ、今回の不祥なる状態が惹起して参りまして、誠にこのように多数さえありますれば速記録の時間も書き変えられることもできれば、如何なることも(「降壇々々」と呼ぶ者あり)でき得る状態が作られますことは、眞に民主憲法が、対数の前に、憲法も、国会法も、参議院の規則も暴力的に無視されているこの事実を遺憾とするのであります。(「そうだ」「誰に文句を言つているか」と呼ぶ者あり)我々は飽くまで今期國会はすでに閉会しておる確信の上に立つております。若しこれを参議院が議決していないとしても、衆議院における議決を以て有効である。こういうので若しありまするならば、二十四日以後におきまして、この國会法十一條、十二條及び十三條の解釈を先ず明らかにすべきでありますけれども、何らこのような問題について明らかにしようとしていない。ここに又多数の横暴があり、多数の諸君がみずから作つた規則を多数の力によつて破つて行こうとする意図を窺うことができるのであります。(「詭弁だ詭弁だ」と呼ぶ者あり)我々は憲法、國会法、参議院規則を嚴重に守つて鬪つて來た。今回社会党、共産党、無所属懇談会のとつて参りました態度こそ、正に憲法を守り、國会法を守り、参議院規則のどの一点も否定することなく、あらゆる合法的な規則の利用の上に鬪つておるのであります。(「社会党は違う」「逸脱しておる」「共産党の宣傳を止めろ」と呼ぶ者あり)これを守らなかつた者こそ、議長、副議長、議院運営委員会の委員長並びに與党の多数議員の諸君でありまして、(「その通り」「恥を知れ」と呼ぶ者あり、拍手)私は更に草葉隆圓君が申しました暴力革命の問題について触れる必要があるのでございますけれども、もはや相当に時間を要しております。この問題は他の同僚議員に諸君によつて述べて貰いたいと思う。何故ならば、私は何もこの問題を長時間引張ることによつて、この懲罰動議に対する遷延策をとろうとするためにこの壇上に立つたものではない。(「そうだ、延命策だ」と呼ぶ者あり)憲法、國会法、参議院規則を守るために我々は立つて來ておる。(拍手)そのためだ。そのために我々は立つたのであるから、無理に私が長々とこの問題をしやべらなくても、相当な時間は経過したから、他の人たちによつてやつて貰いたい。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)ただ私は最後に、この私の趣旨弁明を結ぶに当りまして、過去の慣例あらゆるものを調査いたしました結果、野党側の共産党、社会党の同僚議員の諸君は、憲法、國会法、参議院規則を嚴格に守つて來た。何一つこの三つの法規と規律に違反していないことを確信するのであります。(「二十三日はどうしたのだ」と呼ぶ者あり)二十三日における規則無視の犯人は、野党の諸君が負うべきではなくて、與党の諸君が負うべきであります。私の一身上の弁明にして、若し多数の力を以て、この憲法を守り、國会法を守り、参議院規則を守つて、これから一歩も逸脱することのなかつたこの私に懲罰を与えようとするならば、私は無上の光栄を以てこの懲罰を甘んじて受けるでありましよう。(拍手)そこには、多数の力があるところ、如何なる合法的に決定されたものと雖も、この多数の力によつて法律が無視されて來るという事実を、日本の國民の前に、世界の民主主義の前に明らかにするでありましようから……(「その通り」と呼ぶ者あり)私は重ねてこの光栄ある懲罰を甘んじて受けましよう。(拍手)
#30
○議長(松平恒雄君) これにて午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十八分開議
#31
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 日程第一の懲罰動議を休憩前に引続き議題といたします。休憩前に引続き順次一身上の弁明を許可いたしまか。中村正雄君。
   〔中村正雄君登壇、拍手〕
#32
○中村正雄君 私は二十五日草葉隆圓君外一名の方から私に出されておりまする懲罰動議の事実につきまして、一身上の弁明を行いたいと思います。ただ二十三日深夜におきまするあの本会議場の混乱が、あれだけを切り離しまして一應見る場合におきましては、非常な誤まりがある。よつて來つた原因を十分糾明しなければ結論は出ないと思います関係上、私に関することだけでも、恐らく弁明いたしますれば数時間を要すると考えられます。併しながら会議も明日に迫つております関係上、おのずから自分の発言時間に制限をせざるを得なくなる状態であります。ただあの懲罰動議につきまして、如何なるものを懲罰委員会に付託するか、或いは本会議で否決するかの問題になりますれば、私たち運営委員会におきまして、ずつと主張し続けて参りましたように、あの懲罰事犯を十分に檢討いたしますることは、これは権威ある懲罰委員会がやるべきことでありまして、各発議者が責任を以て一定の事実と一定の証拠を添えて出されました以上、我々はすべてこれを懲罰委員会に送り、そこで黒白を付けるべきであるという主張をし続けて來たわけであります。この点を前置きいたしまして、一昨日の草葉隆圓君から趣旨弁明がありました際に、私たちは自分に関係すること、特に我々の会派に関係の多い点から愼重に拜聽いたしておつたわけでありますけれども、聞くに從いまして、余りにも事実に相違をし、事実を捏造いたしておる状態に対しましては、憤懣の情を禁じ得なかつたことは予め申上げて置きたいと思います。(拍手)私はいろいろの方からそれぞれ弁明がありますので、二点についてのみ簡單に申上げて見たいと思います。一つは、結論におきまして、計画的、集團的暴行事件であると、こういうふうに草葉君は断定されております。併しながら果してこれが計画的なものであるかどうかという点につきまして、板野君からも或る程度弁明がなされましたが、私も議院運営委員の一人としまして、又小委員の一人といたしまして、この点につきまして、はつきりさした置きたいと考える次第であります。二十三日最後に再開されました議院運営委員会におきまして、会期延長の件が決定されたか、されないか分らない中に、事実上散会になつたことは、傍聽者の各位並びに委員の方は御承知の通りであります。その際に、私たちはこの散会になつた後におきましては、直ちに小委員会が開催されまして、議事日程について議長より諮問があるということを期待して疑わなかつたわけであります。これは過去二ケ年の間における参議院の本会議上一度も破られたことのない慣例であります。言い換えれば一つの法的根拠を持つまでに至つておりまする慣習法であります。これをまさか我々の選出しました議長が破つてやられるということは、夢想だにもしなかつたわけであります。(拍手)ところが議長サロンに私が残つておりましたときに、突如として本会議再開の振鈴が鳴つたわけであります。そのときに私は初めて議長がこの慣例を破り、小委員会を無視して、本会議を招集した事実を知つたわけであります。そのために、私は自分の控室に帰るのを止めて直ちにそのドアから本会議場に入つたわけでありまして、若し草葉隆圓君のおつしやるように、計画的なことでありますならば、私はあんな下手な眞似いたしません。若し私をして、私の至らざる才能を以ていたしましても、あの僅か十分間の本会議場におきまする議事を遷延するぐらいは、何も議長に本会議場において交渉しなくても、ただ議事部長のところに会期延長の決定は記名投票に願うという一札を出せば、十分や十五分は完全に費すことができるわけであります。(拍手)何を好んで議長に交渉するような、多数の人が上るでありましようか。又私が計画的にやつたのであるならば、多数の人は一歩もこの壇上に上らすことはいたしません。若し打合せがあるならば、私に全部任して貰いたいと、この十分間を延長するのであるならば、記名投票だけで十分延会さす自信は持つておるから待つて貰いたいと言つて、恐らくすべての人をここに阻止することができたわけであります。計画的でなかつたればこそ、偶発的であつたればこそ、あれだけの混乱が起きたということを草葉隆圓君も十分銘記願いたいと思います。私は計画的な暴行事件であるという草葉君のこの事実に対しまして、非常に参議院の権威のために憤懣の情を禁じ得ないものがあるわけであります。草葉君の最後のところの、國会の権威を守り、参議院の権威を守るために泣いて馬謖を斬ると言われておりますが、私をして端的に申上げたならば、かかる事実を歪曲し、一つの事実を捏造いたしまして、その上に独断的な断定を下した草葉隆圓君こそが、國民の前に國会の品位を傷けたものとして断定せざるを得ないわけであります。(拍手)
 次に私の懲罰事実につきましては、スクラムを組んで上つて議長を阻止した、この一点に盡きておるわけであります。これが事実に対して反するということは、私は申上げなくても殆んどの諸君御了解と思いますが、念のため一應申上げて置きます。私は先程申上げましたように、あのドアから入つて参りまして、私の入つた時は、確か二、三人の人しか入つてなかつたと思います。そうして恐らくここに止りましたのは私が一番最初であつたと私は考えております。何故上つたかと申しますと、上つて議事部長の來るのを待つておつたわけであります。そうして議事部長が参りましたならば、議事日程をどうするか。これは皆さんも御承知のように、私が板谷順助君に対しまする懲罰動議を出しております。これは小委員会を開かずに、議長が議長職権でやられる限りにおいては、当然これを先にやるものだと信じておりましたが故に、議事部長のところに参つて、私のが先になつておるかどうかということを質すべく議事部長の席におつたわけであります。このことは恐らく議事部長を証人に申請して、宣誓さして証言さしても明らかな事実であろうと思います。そうして議事部長の席にいました。ところが、あなたのことは原稿に書いてある。こう言われるので、これが先にやられるかどうかということを念を押しましたところ、議事部長は、恐らく先にやられると思うが、これは私ら責任が持てない、こういう話であつたのであります。その時に、向うのドアから議長が入つて來られまして、それから沢山の人が、衞視その他の諸君が上つて來たわけでありますが、私は議長と交渉して見ても、これは無駄だと思つておりましたので、直ちに議事部長の席から、この事務総長の前の所に行つて待つておつたわけであります。これは当日ここにおいでになつた諸君は御承知の通り、私はここにおつたわけであります。決してスクラムを組んで議長と交渉もいたしておりませんし、又スクラムを組んで上つたものでもありません。私は單独に私が一人先に上つたわけであります。そうしてこの事務次長が坐つておる所におきまして、僕のを先にやるのかどうかということを論戰いたしておつたわけであります。にも拘わらず草葉隆圓君から、私が板野君その他の人に続いてスクラムを組んで上つて議長を阻止したという、こういう事実は如何なる証拠によつてこれを言われておるのか。事実の釈明につきましては、証拠を御提出になつておりません関係上、私は分りませんが、幸いにして諸君の御賛成を得まして、私が懲罰委員会に回付されるの光栄に浴したならば、その懲罰委員会において反証を挙げて徹底的に鬪いたいということを念のため申添えて置きます。(拍手)私は過去二ケ年の間におきまして、参議院生活をいたしております。その信念といたしましては、私は民主國会のあり方につきましては、民主主義のあり方につきましては、法を守る、法規を嚴守するということを第一の信念にいたしております。私の行動は如何なる場合においても法規の範囲内であるということを、過去二ケ年の議員生活に、いな過去三十五ケ年の生涯において私の信念といたしております。從つて二十五日の公報を見ました際に、草葉隆圓君から私に対する懲罰動議が提出されておるという事実を見ましたときに、私は如何なる事実によつて出されておるのか、判断に苦しんだわけであります。併しながら私も議院運営委員会におきましては、あらゆる事案を捉え、あらゆる場合において相当発言いたしております。從つて私は、私の発言中に不穏当な言辞があつて、それによつて懲罰動議が出されておる、かように考えておつたわけでありますが、昨日の本会議における草葉君の趣旨弁明においては、私は議長阻止という暴行の事実によつて懲罰動議が出されておるということを初めて知つたわけであります。この点につきましては、私は一應言わして貰いたい点があるわけであります。先程申上げましたように、私の生涯は、法規を守り、民主主義の擁護者なりとしての私は生涯を貫いて來ております。民主主義を守るものはこれは法規を守る、この精神以外にはありません。民主國会を最後まで守るものは遵法精神以外にないと信じております。(拍手)私は法規を破るということは腕力以上の暴力であると考えておる次第であります。そういう私の信念に対しまして、虚僞の事実を以て、如何なる証拠を以て立証せられたかは知りませんけれども、虚僞の事実を以て懲罰動議を出された草葉隆圓君に対しては、憤懣の情を禁じ得ないものがあるわけであります。若し皆さん方の御同情を得まして懲罰委員会に回付せられましたならば、その場合におきまして、私のこの事実が全然無実のことである、草葉隆圓君の提案事実はないという判定が下されますれば、私の生涯の名誉回復のために、私は草葉隆圓君外もう一人の懲罰動議発議者に対しまして、私の名誉回復のために懲罰動議を提出するということを予め申上げまして、私の一身上の弁明を終る次第であります。御清聽を感謝いたします。(拍手)
#33
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#34
○中西功君 草葉議員から提出されました私に関します懲罰動議につきまして、私の一身上の弁明をいたしたいと思います。
 私は先ず最初に当時の私の心境について述べます。我々共産党の者は定員法、大学校、食管法、國立病院特別会計法、日銀改正法、鉄道拂下法案等々の提案に対しましては絶対に反対でありまして、これが通過することは日本の経済と國民を塗炭の苦しみの中に陷れるものと確信している。絶対にこれが通過は默許できなかつたのであります。又私は國民の代表の一人として選挙した全國の労働者や、農民や、学生の人々が、毎日のように陳情文や或いは反対決議をいたして詰めかけて來ました。正にこれらの重要法案は、この人人にとつては死ぬか生きるかの問題でありました。その人々の顏は憤激に燃えておりました。私はその憤激を私の全神経に刻み込みまして、その上私たちがこれらの諸案を審議すればする程、その反人民性、破滅性はいよいよ明白になり、私、又正義の憤激に燃え、日本のためにこれらの法案を阻止することの必要を痛感し、その阻止のために全霊を投げ込んで鬪うことは、私を選挙した人々が私に負託した神聖なる任務を果すゆえんであると我々痛切に感じた次第であります。そして與えられた情勢と條件とを冷靜に考えましたときに、参議院ではこれらを審議未了にすることが可能であると考え、そのために全力を盡したのであります。私は、この行動は、私が選ばれて國会議員の一人として働く以上、当然の而も光栄ある行動と考えました。若し私がこの勤労大衆の負託と期待に背いたとしたならば、それこそ私は直ちに國会から召還されるべきであります。それこそ私は議院の重大な品位を傷けたのであります。これは私の党の公約のために鬪つただけでなく、私は、私たちを信頼して毎日のように詰めかけて來まして、私たちを鼓舞激励した全國の勤労大衆の心を心として鬪いました。私はこれこそが國会議員の生命であり、これこそは議員の最大の権威と品位を維持するゆえんであると思いました。公約を捨てて顧みず、その日暮しをする態度は、決して國会議員としての態度でなく、又國会の信頼を高からしめる行爲でないと考えました。かくて私は日夜眞劍に鬪い、真劍に行動しました。私がこのために鬪つた行動は天地に恥じないものと今も考えておるのであります。
 次に私は二十三日夜の私の行動について、その眞相を述べたいと思います。尚この二十三日夜の問題を十分盡すためには……実は二十三日は一日にして起つたのではないのでありまして、幾多のことが錯綜しておるのであります。併しその大要につきましては、すでに板野議員が可なり詳しく触れておりますので、私はそれを省略いたします。あの当夜の事件が政府並びに與党側のいろいろの強引な問題から起つておるということは、もうすでに板野議員によつて非常に詳しく説明されておるのであります。私は從つてそういう問題については皆省略いたします。私自身の当夜の問題について申しますれば、議院運営委員会が混乱に陷りましたとき、私は議長室に行きました。そこでは増田官房長庁や與党側の人々が議長と事務総長を囲んで本会議を開くことを要求していました。私は議運がまだ結論に達していないと思つておりましたので、議運が結論に達していないのに本会議を強行する意図だと考え、これは議長としても職権の濫用であると考え、社会党の人々と相談して、開会劈頭、議長不信任案を提出しようということを話しました。私は議事部に飛んで行きました。そうしてその不信任案の案文を書き、賛成者の署名を取つておりました。このとき本会議のベルが鳴つたので、直ちに議場に入りました。みずからの議席の方に近付いて行きますと、社会党の議運小委員の原氏が丁度ここら辺のところで、この議場で小委員会を開き、懲罰動議と会期延長問題との採り上げ方を協議して貰おうというので、私は当時その近くに板野議員がおりませんでしたので、議運小委員会の補助小委員として議事部長の席の方に上つて行きました。そのとき議長が左の入口から入つて來られましたので、私は議長に、はつきり一分間でもいいから議運小委員会を開いて呉れと懇願しました。このとき私は議長にいろいろなことを申上げましたが、それは議院のためだ、参議院のためだ、でないと、きつと混乱が起るということを申しました。ところが議長は例の調子でハアハアと言われておつたことは記憶しております。そのとき淺岡委員がその中に分け入つて來まして、同君の怒号が鳴り響き、衞視が多数集まつて來て、議長の周辺及び我々との間に衞視が沢山入つて來ました。そこで私は席に帰ろうとして壇を降りますと、民自、緑風の皆さんの席の方から、副議長が上れという相当大勢の人の大きな声を耳にしたのであります。議長席を見ますと、副議長が席に着きかけておりました。そこで私は議長席の後ろに行き、松嶋君に、議長がそこにいるのに、あなたがどうして議長の席に着くのか、それは不法ではないかということを言いました。金子君が傍にいることも、私はそれが誰か知りません。そのとき北村君がくしやくしやになつた紙を議長席に持つて來ました。これは北村君が持つて來たというよりも、北村君が傍におりまして、誰かが持つて來たのを北村君が取次いだということを私は記憶しております。ともかくも私は参事や或いは事務総長がそういうものを持つて來るならともかくも、一議員の北村君がこんな文書を持ち運ぶのは、これはどう考えてもおかしいと思いましたので、咄嗟に、それは何ですかと言つて、そのくしやくしやの紙を見ようとそれに手をかけました。そうしたら、それが議長が読み上げる議案文であることが分つたので、副議長に対しまして、懲罰動議が出されているのだから、それを先議すべきだ、こう松嶋君に要求しました。松嶋君はそんなことには目もくれず、開会を宣言し出しましたので、私はそのまま壇上を降り、速記席の前で松嶋君の議長振りを見ながら、速記が取れるかどうかを見守つておりました、そうして暫らくして中村君がここに登壇したので、懲罰動議をやるのだなと思つて自分の席に着きましたが、直ぐ十二時になり、私はすぐ速記室に行きその速記を調べましたが、これは複雜な問題で、ここでは直接関連がないので省略いたします。
 以上が私の本会議の行動でありました。発議案の草葉隆圓君は事実を非常に取り違えております。議長に小委員会を開いて呉れと言つたときも、板野君が音頭を取つたごとく言つておりますが、そのことは、そのときには少くとも板野君はいなかつた。そのために私が出掛けて行きました。そのために私が原君などの提案に應じていつたのであります。又集團的にスクラムを組んで議長を阻止したと言われておりますが、私達は決して計画的に、集團的にスクラムを組んで議長の登壇を阻止するために議長のところに行つたのではないのであります。私たちは本会議の始まります前に不信任案を議事部で起草しておつたのであります。私の考えでは、本会議に入る前にこの不信任案を出すべく私は考えておつたのであります。そのことは議事部長が最もよく知つている筈であります。私は議事部長の部室でベルの鳴る直前までこの不信任案を書いておつたのであります。從つてあの行動が計画的でないことは極めて明白なんであります。更に小委員の一人として慣例になつている小委員を開き、休憩前に審議が中途に終つている法案があつたのであります。委員長の報告では中途で終つておりました。又懲罰動議も出ておりました。会期延長問題の緊急上程の問題もありました。その議事を正常化するために小委員会の開催を咄嗟の間に議長に懇請しましたのに過ぎないのであります。それを混乱に陥れたのは、主として淺岡君が大声で怒鳴り、衞視が取り囲んだからであります。若し議長が職務執行不能に陷つたと考えられたならば、議長は衞視に道を開くことを命令することができます。又される筈であります。併し議長は何らの命令も出されなくて、又衞視も我々の身体には一つも触れなかつたのであります。一般に議場内の懲罰問題は、議長の命令或いは制止に違反したというようなことを中心として起つておるのが過去の例であります。それは議場の秩序を保持するのが議長の義務であり又権限であるからであります。故に参議院規則の懲罰の問題のところに眞先にその旨が書いてあります。若し議長が私たちに退去するよう命令され、或いは議長が制止され、衞視が我々を引張つても、尚我々が頑張つておつたならば、それは確かに議長の登壇阻止であります。併し私たちは議長から命令は勿論何事も聞かなかつたし、衞視からも退散を求められなかつたのであります。私はそれは議長の登壇阻止でもなく、もとより公務執行の妨害でもないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)とにかく議長に我々が小委員会の開催を懇望いたしました。その事実は草葉隆圓氏が言われるごとく決して計画的でも又集團的でもない、勿論スクラムを組むというようなものでもないのであります。私はこの点をはつきりとして置きたいと思います。
 更に松嶋君に関係する問題でありますが、動議発議者は、北村君が議長から議案文を受取つて、それを副議長に渡し、その上で副議長が登壇したと言つております。これは全く事実に反しておるのであります。同君は勝手に、即ち松嶋君は勝手に與党に人々に押されて上つたのであります。そうして議案文は後から誰かが北村君に渡し、その北村君が私たちの見ておる前で副議長の前で拡げたのであります。從つてこのような事情も私は、はつきりとして頂きたいと思う。北村君が先に議長から特別に受取つて、そうして副議長に渡し、それが……それから副議長が上つて行つたというのでは絶対ないのであります。私が副議長に、あなたはどうして副議長台に……議長台に上るのか、議長がそこにおるのにどうして上るのかと言つておるときに、そのときにぐしやぐしやになつたところのものがここに置かれたのであります。だから私は、それは何ですか、こう言つてそれを見たのであります。それがいわゆる議案文でありましたので、私は開会するということを知りました。そうして開会するならば、懲罰動議が出ておるのだから、それを先にやつて貰いたいということを議院運営小委員の一人として副議長に交渉しておつたわけであります。草葉隆圓君は、私が松嶋君に暴行を加えたかのように言つておりますが、実は私は全然それを記憶しておりません。勿論皆非常に昂奮しておりましたから、多少の手荒い動作はあつたかも知れませんが、私は小委員として松嶋君が專断的に議長席に着いたと考えました。だからその不法を質しに行つたのであります。私は私の良心を以て申上げますが、暴行を働いたことは今も尚全然記憶していないのであります。但し昂奮中のことではありますし、とにかく昂奮したことは私も十分認めるところでありますが、私自身、議運小委員としてそれを交渉に行つた以外には、而もぐしやぐしやになつた紙を私は取つて見たという以外には、私は何もそれ以外のことを記憶しておりませんし、しなかつたと考えておるのであります。更に私たちの本会議での出來事は、会議中の出來事ではありません。松嶋君が開会を宣しましたときに、私はすでに自分の議席の前におりました。出來事はすべて開会前のことであります。開会中に起つた混乱とは違うのであります。場所は確かに本会議の議場であります。併しまだ本会議は開かれておらなかつたのでありました。その本会議前の議運小委員会を開くか開かないかについて起つた問題なのであります。要する私たちのこの行動に多少の行き過ぎがありましたとしても、私たちは規則や慣例を通すために行動したのであります。むしろ松嶋君に関する問題は、彼の不法行爲を質すためにとつた行動なのであります。併し私は私の主観的意図がどうあろうと、この議院が必要なりとして懲罰動議を提出せられるならば、私はそれを拒否するようなことはいたしません。併しそのためには私はすべての人、今問題になつておるすべての人を公平に懲罰委員会に送つて、その懲罰委員会において本当に徹底的に黒白を明らかにして貰いたい、そのことが又我々自身の今の氣持を充たすだけではなくて、実際に参議院自身の権威を高めるゆえんだと私は考えるのであります。
 次に私は草葉隆圓君が私の罪状に関して数え上げられましたいろいろな問題について私の見解を述べさせて頂きたいと思います。その前に、極めて簡單でありますが、私は懲罰問題と、そして政治問題とを完全に切離さなければならない、こう今考えております。それは草葉隆圓氏の我々に対する懲罰動議の説明が、完全に政治問題と、そして懲罰問題とを混同しておるからであります。故意にこんがらかしておるからであります。これは私が今更改めて言うまでもなく、懲罰問題と政治問題とは完全に切離して考えるべきものなのであります。併しそれにも拘わらず現実には知らず識らずのうちか、或いは故意にか、この両者の問題が非常にこんがらかつております。例えばそんなことは衆議院では許されるとしても参議院では許されないというようなことが言われます。又この問題が起つた結果、参議院の存在が問題になつた、或いは又これは参議院が政党化した現われである、又衆議院を通過したものを参議院であのような形で審議未了にするのは怪しからん、或いは会期延長に反対して審議未了にするのは怪しからん、いろいろのことが言われております。現に甚だしきに至つては、今回我々が定員法の通過阻止のために努力いたしましたことが参議院にあるまじきことだ、或いは今度の事件を共産党の暴力革命云々と殊更に結びつけようとする人もあります。皆樣も御承知のごとく今日、日本共産党は暴力革命を公式に否定しております。從つて草葉氏の言説は勿論謂われなき我々に対する誣告ではありますが、併し、併しながら若し日本共産党が暴力革命を表明いたしておりましたとしても、それは党の政治方針の問題でありまして、決して院内の懲罰問題とは何らの関係がないのであります。更に二院制の問題や、参議院の特殊性の問題も、これは政治問題であります。又参議院が政党化するしないの問題も政治問題であります。若し参議院が政党化した結果、今回の事件が起つたのだというふうに考える人々は、懲罰問題を正しく考えていないか、殊更に政治問題を懲罰問題化しようとしている人々であります。私が指摘するまでもなく、憲法五十八條では、院内の秩序を乱した議員を懲罰することができると明記してあるのであります。この院内の秩序とは主として國会法及び参議院規則であり、或いは議院の品位を傷けたという場合でもそれは飽くまでもその個人の問題であります。総じて言えば、懲罰問題は紀律違反の問題である。その意味では、その意味で、その意味で正しく超党派的な問題であります。併しこのことはよく言われる参議院の超党派的存在云々とは何らの関係のないことであります。参議院の超党派的な存在から懲罰問題を云云される人々があります。併しこれは実はそのこと自身懲罰問題を政治化し政党化したのであります。参議院を超党派的なものと考えるか考えないかはその人々の政治的見解であります。又参議院のあり方について再檢討を加えることもその人々の自由であり、これは確かに大きい一つの政治問題であります。從つて今度の事件を参議院の性格に絡ませ、衆議院ではともかく、参議院では許されないといつたような考え方は、懲罰問題を不純化するものであります。又今世間で流行しておる参議院の再檢討という問題も、それを主張するのは各人の自由でありますが、併しそれと懲罰問題とを直接に結び付けることは懲罰問題を不純化するものでありまして、即ち懲罰問題はかくありたい、参議院のあり方に関係する問題ではなく、現在の國会法及び参議院規則に触れているかいないかの問題なんであります。私は皆さんにこの点を先ず申上げて、次に草葉隆圓氏の私たちに申されました直接の問題について述べたいと思います。
 草葉君は大別して次の四つのことに触れられました。第一は、私たちが暴力を以て民主國会を破壞し、憲法を破壞せんとする行爲をしたということ、第二は参議院の使命を冒涜したということ、第三は議院の品位体面を汚したということ、第四番目は、計画的、集團的に暴力行動を行い、暴力革命或いはクーデターを企てた、こういうような四つのことを申されたのであります。私は率直に言いまして、発議者のこのような問題の採り上げ方に対しまして、心から憤激を感ずるのであります。(拍手)第一、この國会が民主國会であるか、又私たちが憲法を守つているかいないかということ、このことと懲罰問題とは何の関係があるでしようか。その人々が憲法を守るかどうかは議院内の懲罰では済まされない問題であります。私は敢えて労働法規の改惡が憲法の蹂躪であること、それに賛成した人々が憲法の精神を蹂躪しておることには、ここでは触れません。又先日田村議員がストライキ即ち武力行使であると言つて、憲法のストライキ権を完全に蹂躪しましたが、併しその故を以て彼を誰しも懲罰に付さなかつたことを改めて採り上げません。私は草葉君が何故に殊更にかくも問題を拡大するのかを全く疑いたくなるのであります。民主國会の問題にいたしましても、國会が民主的であるかどうかは、根本的にはそれは國民の本当の意思と要求に應じているかどうかによつて決まるのであつて、決して誰かが感情的に殴り合いをやつたかどうかによつて決まるものではないのであります。民主國会の何よりの根本は、選ばれた人々が正直に、眞劔に、選んだ人々の要求のために鬪つておるかどうかにあるのであります。もつと端的に言いますならば、総選挙の時掲げたみずからの公約に忠実であるかどうかによつて決まるのであります。(拍手)從つて公約を捨てて平氣でいることこそが民主國会の破壞であります。併しそれはその人々の政治的良心の問題でありまして、院内の懲罰問題とは何ら関係がありません。從つて公約を捨てた人々がたとえ沢山おりましたとしても、私たちはそれを懲罰にかけようとは思わないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)同樣に、懲罰問題を民主國会云々に拡大することは、全く懲罰の問題を政治化し、不純化するものであり、一定の意図から懲罰問題を考えていると言われても全く仕方がないのであります。第二、参議院の使命の汚辱の問題も全く同樣であります。参議院がどうあるべきかは各自にそれぞれの見解があります。超党派的だと考える人もあり、そうでないと考えている人もあります。衆議院より冷靜にやるべきだという人もありますが、衆議院と雖も同樣に冷靜であるべきだと考えている人もあるのであります。併しいずれにいたしましてもそれは各自の政治的見解であります。又今日の事件によつて参議院の存在を疑われ出したと見る人もありますが、又そうでないと見る人もあるのであります。私はむしろ参議院が今回の諸法案に対しまして高い批判力を行動によつて示しました結果、今日に至つて初めて参議院に対し國民は注目の眼を向けたと思うのであります。我々が如何に考えていましようとも、今までは実際に大して國民に参議院の存在は余りはつきりしなかつたのであります。新聞紙面を見ましても、参議院の問題は非常に少いし、ラヂオでも國会放送討論会は衆議院ばかりでありました。それは基本的には衆議院で通つたものは必ず参議院で通ると考えられていたからであります。実際に今までもそうでありました。参議院はそれ程第二義的な、一つの問題にならぬ政治的なものとしか考えられていなかつたのであります。併し今回衆議院を樂々通して來たものが参議院では否決されたり、或いは審議未了になることがあり得るということがはつきりして來ましたとき、参議院は俄然大きくクローズアツプされて來たのであります。これは参議院の性格にあるのではないのです。これは参議院の性格問題ではないのです。その根本は参議院の政治的構成と、衆議院の政治的構成との間に差ができたからであります。即ち衆議院では民自党が圧倒的多数であるが、参議院ではそうではないという全く單純な算術的な差に基因するのであります。從つて参議院が衆議院を通つて來たものに対しましても、今日ではより批判的になるのが当然であり、而して又このことが今回の事件によつてはつきりと明るみに出たのであります。そうして初めて参議院は衆議院と対等の重味を以て登場し、これによつて参議院の権威を非常に増大したのであります。これは昨日の門屋氏なんかが参加されました放送討論会一つにつきましても、多くの人々は、やはり参議院が大きな國民の問題になつている、一つの政治力になつているということを、はつきり知つております。今日の新聞を見ましても、参議院で修正されたものに対してて政府が非常に苦慮しているということなんかを見ましても、やはり参議院の一つの大きな力を感ずるのであります。勿論これは政府や衆議院與党から見れば大変に厄介なことであります。
#35
○議長(松平恒雄君) 中西君、御注意いたします。御発言は一身上の弁明の範囲内に願います。
#36
○中西功君(続) 私は今日の参議院再檢討論は、主としてこの衆議院の権威の増大を恐れる人々から生れていると思うのであります。これを要するに、私がここで申したいのは、参議院が今日のような旺盛な批判力を行動によつて示すときに、初めて参議院の権威は高まるということ、更に参議院再檢討を急に言い出している人々は、実は参議院を唯々諾々と衆議院や政府に隷属しているのが参議院の性格であると考えている人々であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)私はこのような人々は参議院の権威をなくしてしまう人々であると思うのであります。而もこのことは、この懲罰問題を殊更に参議院の性格や審議の仕方の問題に拡大するとき、一体これはどんな政治的結果を持ち得るでしようか。私は草葉君の説明の中には、單に表現の大袈裟に止まらないものを感ずるのであります。勿論我々の今度の行動のすべてが是なりというのではありませんが、私たちの政治行動は大いに参議院の権威品位を高めたと思うのであります。併し若し個個の懲罰的な行き過ぎがあつたといたしますならば、そして又それが眞に超党派的に処理いたされますならば、私がさつき申しましたように、我々すべて懲罰委員会において徹底的に黒白を明らかにしたいと思うのであります。更に集團的云々や、スクラム云々、暴力革命、クーデター等につきましては、私は述べません。草葉君がここまで言うに至つては、私は草葉君らの発議者の意図が誰の眼にも極めて明白になつたと思うのであります。(拍手)草葉君らはこの懲罰を政治的に利用しようとしているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はこのような態度に対しましては絶対に承服することができないのであります。
 最後に私の結論を申述べます。私は一個の政治家として、一個の國会議員として、私を選んだ人々から負託された任務を果す点において、そのために眞劒に身を粉骨して鬪う点において、私は自分の義務を徹底的に果したと思うのであります。私は私のそのような行動が完全に正しかつた、天地に恥じない行動であるということをはつきり考えております。併し懲罰の問題に関しまして、主観的に私がどうであろうとも、いろいろ客観的な評價もあり得ましようと思います。私はそういう問題に対して何ら拒否的な態度をとろうとするものではないのであります。併し私は最後に一言申させて頂ければ、今この日本の問題は大きな関頭に來ていると思います。今年になりましても、中國ではすでに上海が落ちました。東亞の運命は、東亞の情勢は偉大な変化をしております。今日の電報によりますと、パリの四ケ國外相会議は、この十月に対日講和会議を開くということを決定したそうであります。我々は極めて重大な時期に際会しておりまして、このような日本民族の大きな問題がありますときに、世界の眼は日本の民主主義如何の問題に集中していると思うのであります。この参議院の懲罰問題の帰趨は決して参議院だけの問題ではないと思います。これは日本が如何なる方向に行くのか、日本が本当に民主化されているのか、いないのかの何よりも大きな試金石であると思うのであります。世界のこのような偉大な変革期に際しまして、いよいよ我が民族のこの重大な時期に際しまして、参議院の皆樣が眞に良識を以て、この國会議員は、國民から代表して選挙された國会議員は如何にあるべきかという問題について、正しい判断を與えられんことをお願いいたしまして、私の一身上の弁明を終るものであります。失礼いたしました。(拍手)
#37
○議長(松平恒雄君) 細川嘉六君。
   〔細川嘉六君登壇、拍手〕
#38
○細川嘉六君 私までがこの演壇に立つて一身上の弁明をしなくちやならんということになつたことは苦々しくもあり、誠に遺憾であります。草葉君のなした懲罰動議に関する趣旨弁明は全く事実を歪曲しております。これは詳しく我が同僚議員板野君がすでに具体的に述べたところであります。この趣旨弁明は、私についても議員たる栄誉を毀損し、且つ今日極度に苦悩しておる國民大衆にとつて許すべからざる極めて有害なる政治的意図を持つておるものであります。(拍手)二十三日夜における私の心中と行動とについては、全く天知る、地知る、我知る、議長松平君は知つている。(笑声、拍手)当夜の最後の運営委員会において運営委員長梅原君が非常に難儀しておりました。(笑声)何がために運営委員長になつたかと私も非常に同情しました。(笑声)全く無能振りを発揮しております。そこで最後の休憩があつたときに、人の波を分けて梅原君に、これでは收拾は付かないから、すでに発言を求めている人たちによく話する機会を與えなさい。そうでなければ大変なことになります。こう言いました。それは梅原君もどうしたらいいかと思案投首で私に言いました。そこで私もそう答えたのであります。そうして席上に梅原君が坐り、再開しようとしたときに、板野君だとか中村君だとかの方から出て來る発議者の名前を受け取つて、そこに並べておりました。これでは梅原君も事をよく運ぶかなと思つておつた途端に、猛然と進んで來た者は矢野君であります。(拍手)何か耳打ちしたかと思うた瞬間、梅原君が何か言つた。議場騒然となりました。誠に梅原君も氣の毒であります。(笑声)同時にこの運営委員会によつて國会もえらい目に会つたわけであります。(笑声)本会議におきましては、先程述べました通りに、開会の振鈴が鳴り、そこから私が入つて参りました。そうすると、ここは人で一杯になつており、そこに私の敬愛する松平議長は揉み拔かれておる形であります。(笑声)私はこれを見るに見かねて登壇しました。全く私なんか下手すると踏み潰されるような危險もあつたのでありまするが、松平君の心中を察して上りました。そうして漸く松平君と顔を合せるところまで來ました。一瞬がこうさせたのであります。そうして私が申しました。あなた、こう紛乱しておる最中に開会なさつてはいけません。これはお止めなさつた方がよろしい、こう申したのであります。松平議長はお耳がちよつと遠いと言われておりまするが、言葉が分つたような面持ちでありました。私はそれで漸く目的を達したので揉まれながら降壇したものであります。これが私の二十三日における心中であり行動であるのであります。これを懲罰にかけるという次第でありまするから、この議会もこうしたところまで行つておるのか、甚だ心配であります。(拍手)(「その人をよく見ろ」と呼ぶ者あり)この夜の紛擾というものは、民自党並びに民自党に左袒しておられる議員諸君によつて蹂躪された、蹂躪される危險に瀕しており、憲法、國会法、参議院規則を擁護するというのが、今懲罰に付しなければならぬと言われておる人たちやこれを支持する人たちの目的であります。この他のことは何もありません。議院運営委員会、更に本会議におけるあの混乱は、理非を顧みない、ただ單に多数を頼んだ民自党並びにこれに左袒した議員諸君によつて惹起されたものに外なりません。泥棒が泥棒された者を泥棒と呼ばわり(笑声)暴行者が暴行された者を暴行者と呼ばわる、こういうことがあるとすれば、これより甚だしいものはない。これより許すべからざるものはないのであります。(拍手)道理も何もないことになります。恐るべきことであります。憂うべきことであります。草葉君は、又同君によつて代表される議員諸君は、一体これは正氣であるのかどうか。正氣ならば、私だとか我が党議員を暴力革命主義者ということは言われる筈はありません。多数決とは何か。多数がその力で押すことが多数決と言うのか。多数決は事柄を決定する一つの便利法則であることは勿論であります。(「しつかりやれよ」「眼鏡がないか」と呼ぶ者あり、笑声)我が國民、今日極度に苦悩しておる國民は、参議院の決定がどんどん参議院に運ばれ、参議院において何か参議院が極端に運ばれたことが緩和されるであろうかどうか、これを見守つておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この際、参議院のなすべきことは、民自党であり民主党であるの如何を問わず、極端な決定をなされたものについて愼重にこれを討議し、冷靜にその結論を求める。慌てることはない。参議院から送つて來たから慌ててこれをやらなければ済まぬというような根性では、どうしてこの参議院の立場を守れますか。(拍手)そうして我が國民がこれ程までに困つておる現状をあなた方はお分りですか、分らないと私の言葉は分らなくなつて來る。(拍手)現状を考えて、そうして行過ぎたるものをここで是正して行くという状態でなければ、多数決の原則を彼是言う資格はありません。(「そうだ」と呼ぶ者あり)参議院議員たる地位を保つことはできません。(拍手)我々は、又私もこの國会に入つて來ましてから、殊にこの第五國会においては、何とかして國民が伸び伸びと生き、そうして発展して行く道を求めております。そうしてこれがためにいろいろの法案について全力を捧げて参りました。そうして二十三日のあの混乱は、すでに板野君その他によつて、もうはつきり述べられております。はつきりしておる。それにも拘わらず、草葉君によつて代表される議員諸君は、暴力革命を以て共産党を、又その傍杖を喰つて社会党をも指彈されるのであります。暴力革命とは何ぞや、草葉君これを御存じですか。(拍手)御存じなしにこれを言うとすれば誠に不都合な話であります。暴力革命というものは、いつでもできるものではありません。特高警察があるとか、軍隊があるとか、專制官僚があるとか、財閥がのさばつて、そうして國民大衆が息も付けなくなつて來た、こういう際に乘るかそるかの時における力、それが求めておるところの、なさねばならぬところを行うという運動が暴力革命であります。今日それはあるか、日本にあるか。明治維新を見て御覽なさい。明治維新はあれは何ですか。あれは暴力革命である。徳川幕府に対する現状打破の諸藩の力が、(「自己弁明じやないじやないか」と呼ぶ者あり)進んでこれを打倒したものであります。これが暴力革命であります。アメリカの独立宣言にはこういうことを言つておる。「如何なる政府の形式にせよ、それが人民の生命の自由と幸福を破壞するようになつたときには、いつでも、そのとき、そうした政府の形式を改革し、又は廃止し、そうして一つの新らしい政府を樹立して、これを人民の生命と自由の幸福との原則に上に基礎付け……」
#39
○議長(松平恒雄君) 細川君に御注意いたします。御発言は一身上の弁明の範囲内にお願いいたします。
#40
○細川嘉六君(続) 「その権力を人民の安全と幸福とを実現するような形式に組織することは、人民の基本的権利である。」こう述べております。そういうような場合に、今申したような場合に暴力革命というものは起る。共産主義者が何か專賣特許のようにして暴力革命論をなすというのは間違いであります。世界の歴史あつて以來の事実がこうなんであります。そこで現在我が共産党は、終戰前と終戰後とは異なつておる、日本の状態は異なつて來ました。御存じの通りに民主主義の一片だも許されなかつた戰行の状態は、連合國の力と、國内に潜在しておつた民主的勢力とによつて民主主義的な改革が、大分これも取り壞されておるが、ともかく一般的に行われて來た。この新たなる状態において、若し共産党が暴力革命を戰前と同樣に主張するとすれば、これは馬鹿だ、收拾すべからざる馬鹿である。我が党は合法政党として立つて以來、この理論を時代に合わないものとして取り去つております。その暴力革命の必然なる状態が大きければ、これは直ぐに革命論理として、又大きい実行運動として現われるでありましよう。現実この日本において暴力革命を主張する何らの根拠がない。これははつきりしておる。(拍手)それにも拘わらず草葉君、又同君によつて代表される議員諸君は、暴力革命を共産党は主張しておると、こう言われるのであります。とんでもないことであります。このとんでもないことが本議場で言われ、そうして全國に放送される。これを狙つておる、これらの人たちはそれを狙つておる。共産党の眞面目が分るということを今までの支配階級は恐れた。終戰前の支配階級は徹底的に恐れておつた。それがために一切の彈圧を施しておつた。併しながら今後、終戰後において尚これを続けようとする者は、即ち共産党は暴力革命党である、共産党は暴力革命党である、これを言い続けるのであります。(「宣傳はもういいよ」「宣傳じやない、暴力革命だと言つておるから、それについて弁明しておるんじやないか、まだ分らんか」と呼ぶ者あり)実際に我が共産党に対して、これは暴力革命党であるという人たちの考え方、態度というものは、誠に笑止千万なものであります。これは共産党について冷靜に先入主なくこれを見る人は、必ずこれを理解しておる、その人たちが段々沢山になつて來ておる。共産党というものは終戰前から終戰後にかけて暴力革命党だと言われておつたが、それが嘘であるということが段々分つて來た。それでありまするから、今まで共産党は暴力革命党であると言うて稼いでおつた人たちが、その稼ぎ場がなくなつて來た。(笑声、拍手)そんなために、こんなべらぼうな嘘を吐くのであります。誠に笑止千万な人である。私は諸君がここでお許しになれば、ドイツで有名な(「もうよろしい」と呼ぶ者あり)子供の絵本から一言お話を申上げたいのでありまするが、それは止めましよう。(笑声)マツクス――モリツツという絵本物語があります。これはよく今日の民自党並びにこれに左袒する諸党派諸君の氣持をよく現わしておる。いつかこれを飜訳してお目にかけましよう。諸君は我が共産党を暴力革命党だと言うて、この際もうすでにそうしたいので、それはよく分つておる。殊にこの本國会以來というものは、その策動は、総理大臣吉田君を先頭にしてやつておる。ひしひしと私は見ておる。いろいろの法律案の内容において、その動機においてこれが企まれておることを見ておる「(「怪しからんことを言うな」と呼ぶ者あり)実にこの國民の前途は誠に危險な状態に來ておる。実際我が國というものは、これ程の大破壞を受けた我が國というものは、全体が一致してこれを建設しなければならないところへ來ておる。それがです、少数者の利益、大資本家の利益、これのみを根本とし、最も大事なものとし、一切の負担を働く人たちの上にかけておる。ここに我が國の建設において重大なる危險がある。困難がある。これを惹起しておるがために、今度はその力に押されて、まるで沼にかかつたような氣持で、危險なもの、危險なもの、あの危險なものが迫つておると、そういう感じを持つて民自党その他の諸党派が立つておるのである。警察の増強を言う。國防軍の創設を考える。これは皆國民について不安だから、信用を持たないからである、そこからこの暴力革命論が出ておるということは私は忘れてはならない。ここから嘘八百の暴力革命論が出ておるのであります。私はかくのごとき懲罰動議を出す草葉隆圓君その他の諸君は、御存じかどうだか知らないが、こういうことを増長させて行くこと、これは戰前のフアツシズム、軍國主義の途を開くものであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)ヒツトラーが一九三三年だと思うが、(「脱線をするな」と呼ぶ者あり)そのときに彼のフアツシズムを発展させるために議会を燒いた。ひどいことをやつた。こんなことまでやるようになるのであります。誠に道理を絶したところまで行く。この懲罰動議というものは簡單なものではありません。そういう危險を孕んでおるのである。(拍手、「その通り、その通り」と呼ぶ者あり)双葉の芽生えのうちに取らなければならん。これが政治家である。私は諸君にどうか冷静になつて、戰前のいろいろの経驗を経て來た、痛い経驗を経て來た、そのことに鑑みて、猛反省なさることを私は願わなければなりません。私はこういうことを申すというと、何だか一身上の弁明から逸脱するように、又議長から注意があるかも知れませんが、これはそうじやありません。これこそが大事なところであります。あなた方は思い出して見られるでしよう。東亞共栄圏といつた、或いは八紘一宇という、そうしてこれを礼讃したあなた方だ。これを礼讃しなさらなかつた方がありますか。鬼畜●●といつた鬼畜●●、これに対して反対した方はありますか。鬼畜●●‥‥。
#41
○議長(松平恒雄君) ●●もう一度御注意いたしますが、一身上の弁明だけに範囲をお限り願います。(拍手)
#42
○細川嘉六君(続) どうも遺憾なことであるが、我が敬愛する議長と私の見解が違うので、ほんの僅かのところだけ言わして下さい。鬼畜●●の叫びが起きた。鬼とは鬼、畜とは畜生である。●●と來ますというと、あたな方はよく覚えておられるでしよう。けもの偏にイギリスの英という字を書く、となると、けもの偏に米の字を書いた。けもののようなものだと宣傳された、そういう時代がある。みんな、あれに対してはどうでありましたか、これは怪しからんことであると言いなさつたかどうだか、活字までできたということである。私は不幸にして横浜拘置所におつたから、あとで分つたことでありますが、そういうひどいことまで言つた。民主主義の米英というものは、あれは民主主義だからすぐ倒れる、眞珠湾攻撃の後もう倒れるものと決めておつた。あなた方はその点においてどうでありましたか。民主主義ほど弱いものはないと言つたあの勤労大衆の國ソ連、世界史の上において初めての新らしい國、これは民放の対立からどう瓦解するか。ドイツのヒツトラー軍が勝つであろう。もうそれに決まつておる……諸君はどうでありましたか。誠に國民はこの点において、殊に國民の指導者たる者は余程考えなければならん。(「一身上の弁明」と呼ぶ者あり)これが一身上の弁明である。(「一身上の弁明だ」と呼ぶ者あり)政治的弁明である。そういうところからして、こういうことで懲罰動議を出して、政治的意図、フアツシズムへの意図を企らむ人だ、これ程危險なものはない。我々はこの機会において全國に対して、この危險なるものに対して断乎鬪うでありましよう。(拍手)私は敬愛する松平議長が、こういう衆議院内の混乱、これを困つたこととお考えにならず、このところから参議院が直ちに反省し、更に新たに立ち上つて行くその途ができるように、議長として一つ盡力なさることを望みたい。同時に我々はこの目的を達するために協力したい。以上を以て私の弁明を終ります。(拍手)
#43
○議長(松平恒雄君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#44
○岩間正男君 一身上の弁明ということが言われておるのでありますが、この一身上の弁明は、まるで網にかかつた鳥が、その網からばたばた逃れるために必死の努力をするような、そのような個人的な弁解をするために私は使いたくないのであります。(「その通り、その通り」と呼ぶ者あり)なぜならば、私たちの職責は、絶えず國民大衆の要望に應え、そのために、例えば一分の時間でもそれはそのように使わなければならないと常に痛感しておるからであります。從つてこの参議院の議場に起りました二十三日の混乱の問題について、この懲罰の動議を中心としまして、我々としましては、よりよき参議院の前進のために、この問題を徹底的に討議すべきであり、そうして言わば飛ばつちりのように起つたそのような瑣末な問題に囚われることなく、この問題の原因がどこにあるか、眞の原因がどこに根ざしておるか、こういう点について深い洞察を加え、末梢的ないろいろな妨害物を除去しまして、眞に國民大衆の要望に應え得るような、そのような民主主義議会を建設するために使わなければならぬと私は確信するものであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)從つて現象だけを捉えて瑣末な問題に私は触れる氣持はないのでありまして、飽くまでもこの問題の中心点を突き止めて見たいと思うのであります。
 その次に、もう一つ問題にして置きたいのは、大体懲罰をするのは誰であるかということであります。それは、ここにいられる諸君の一人々々であるけれども、單にそれは諸君だけではない。諸君を選んだところの背後の人民大衆であるということを私は確信しておる。(拍手)人民大衆が諸君の手を通じてこれをなすのであります。從つて問題は、人民大衆に対して我々の今までとつて來たところの言葉や行動が果して正しかつたか、眞に中正であつたか否かということにかかつておるのでありまして、若しこの懲罰動議が個人の感情的な好き好みや、そういうようなものによつて左右されるということは絶対に許されない筈であります。又これも裁くものは同時に日本の歴史である。歴史は何ものにも増して時の審判者であることを忘れてはならない。若しこれらの過ちを犯して、一時的な昂奮やその場当りの考えから、このような重大な問題を決定する者があるとすれば、それは却つて歴史から嚴しく裁かれるものであろうということを私は前提としたいと思うのであります。(拍手)
 そこで本論に入ります。草葉君の懲罰動議の提案説明を要約して見るというと、大体三つに分れるようである。先ず暴力を以て國会を破壞せんとする民主國会の否定であるということが第一点になつている。第二点は、そのためにスクラムを組んで計画的な集團暴行が行われたということを述べております。第三点は、共産党と社会党が手を組んでこのような暴行を行なつた、而もその指導者は共産党であり、社会党はいわば飛ばつちりを食つてその中に巻き込まれたというような趣旨のことを述べておられます。ところで問題は、先ず第一点の暴力があつたかどうかということ、第二点の、それが眞に計画的なものであつたかどうか、第三点の、共産党が指導者で社会党が巻き込まれたかどうか。こういうことを明らかにすれば、提案の理由に対して十分に應えることができると私は信ずるのであります。
 先ず第一点について、暴力とは何だか。その範囲について草葉君は何も挙げられていません。併しながら、あのとき、あの議場の空氣を我々はもう一遍反省して見る必要があるんじやないか。一人々々が立ち上つておつた。何か声を出しておつた。何か叫んでおつた。そのようなことをなされない議員も一人や二人はあつたか知れないが、恐らく多くの議員諸君はそのいずれかの範疇に属することをやつておられたのじやないか。それから、この脇の方に上つた、或いは演壇に上つたというようなことが問題になつておりますけれども、こういうようなものも、ただ一つの証拠であるという写眞を見ますというと、何なり多くの顏振れが見えるのでありまして、このような点から、どのような観点から選ばれたかはこれは明らかにされることであると思うのであります。從つてこのような雰囲氣の中で問題が進行し、事件が起されたというような形になつているのであります。そうして今日は一人々々の議長諸君は平靜にして、この問題とは全然無関係である、お前たちは裁かれる者であり、俺たちは裁く者だというような樣子をしていられます。(笑声)口を拭つて、あのときは自分は何もしなかつたというような顏をしておられる方もなきにしもあらずである。(「邪推をするな」と呼ぶ者あり、笑声)暴行は單に十数人の者によつて行われた、我々は何も知らないのだというような顏をしておられる。併しこれは一体どういう計算になるか私はお聞きしたいのであります。
 第二の問題につきましては、計画的な暴行が果して事実行われたか。私はこれは非常に重要な問題でありますから、確実な証拠を挙げて指摘して欲しいのである。私もそのスクラムを組んで一人であると言われておりますから、あのときの経過を簡單に述べます。私が議場に入つて來たのは大分遲れていたのであります。ここで沢山揉み合つている姿を見ました。私もこの状態を見まして、そこに行つた。それで、そのときに先程ここで話をされた細川議員が多くの衞視諸君の間に揉まれまして、身体が非常に倒れる。私はこれは危いと思つた。それで、これを抱き起すようにして、そうして衞視諸君に向つて、衞視諸君は議員を守る、議員を危險から安全な状態に守るのがその職責じやないか、議員を守れということを私は声を大きくして叫んだのであります。これが私がスクラムを組んで、そうして議長の登壇を阻止したということになつているのであります。從つてそのような根拠については、草葉君は恐らくかりそめにも自分の思いつきや、それから單なる想像でそのようなことをされる方とは思われないのでありまして、必ず確証を握つておられるであろうということを私は信じておる。從つて私は事実そのことを否定しており、はつきりこの演壇を通じまして、私自身のかような阻止をやつたということは、はつきり否定するものでありますから、從つて反証を挙げて頂きたい。若し事実でないとしたならば、事実を歪曲して他を誹謗した責任は、問題が問題だけに極めて重大である。この責任を如何に草葉君は負わんとするか伺いたいと私は思うのであります。(拍手)尤も一昨日の議場におきまして、草葉君は第三の問題でありますところの社会党、共産党というような、その連携によつてあのようなことがなされたということについては、一應取消しておられます。併しあの提案理由をよく読むと、一番問題の中心点は、紛れもなく、共産党が先に立ち、社会党がその尻馬に乘つて、そうしてあのような暴行を行なつたという、そういうような仮定の上に立つてその論を進めておられるのであります。從いまして、草葉君が一應、共産党、社会党ということは取消すと言われた、そのことによつて、あの論旨の大部分は私は意味をなさないものであるということを考えざるを得ないのであります。併しながらすでにこの演壇を通じまして、そのような事実が流布されたことが、一つの流説となつて、新聞にもすでに相当部分紹介されておるのでありますから、この点について、もつて論を初めて見なければならないと思います。私は、社会党が共産党に巻き込まれた。僅か六人の共産党の議員に四十数人の良識を持つた議員諸君が巻き込まれたなどということは、甚だ共産党を侮辱したところの言動じやないかと思う。そのような主体性のない共産党を考えることができるであろうかどうか。これは諸君の良識によつて御判断を願いたいと思うのであります。(「社会党だよ」「反対々々」と呼ぶ者あり)今のなには社会党でありますから、そこのところは訂正いたします。このような架空な事実によつてなされるデマ宣傳は、先程からしばしば繰返されましたように、嚴重に愼むべきじやないかと思うのであります。私はそのようなことを草葉君に嚴重に警告を発したい理由のものは、日本の戰爭前のまざまざとした記憶を持つているからである。戰爭前の思想彈圧の姿はどうであつたか、共産主義が惡い、社会主義がいけない、自由主義さえも彈圧して、そうしてただ一つ超國家主義的なフアシズムに駆り立てられたあの姿を、我我はここで再び思い起す必要がないであろうかどうか。いわば我々はそのような形で、馬車馬的に一方的な思想を上から強力に強いられたのである。よく私は思想の栄養ということを言うのでありますが、澱粉、蛋白質、脂肪、ビタミン、あらゆるもの、これらの栄養を適当にとつてこそ初めて我々の思想の健全は保たれる。然るに戰爭中におきましては、蛋白質が惡い、脂肪が惡い、ビタミンが惡い、まあ澱粉だけ食えばいいというので、澱粉だけ食つた。超國家主義という澱粉だけを食つたことによりまして、我々は思想の物凄い栄養失調を起した。そうしてあのような太平洋の侵略戰爭にまざまざと誘い込まれたのであつたということを、我我はここで思い起さなければならないのでありまして、さような姿がどのような形でなされたかということは、これは先程からも外の同僚諸君によつて思想彈圧の経過については十分に話をされておりますから、私は省きたいと思います。我々はこの未曾有の敗戰というかけ替えのない大きな犠牲によりまして、終戰後、思想の自由を獲得したのである。この折角得たところの思想の自由を、恰かも、「たこ」が自分の足を食べるような形で以て再びみずからを食いさいなんで行くというような、このような哀れな姿に我々自身を落していいかどうか。このような愚かな思想に対するところの不自由な姿こそが、日本の戰爭前、戰爭中を通じての根本的な欠陷であつたということを私たちは考えるのであります。從つて今日草葉君によつてなされておるところの、このような事実に立脚しないところの捏造によつて共産党並びに社会党を誹謗せんとする、この意図するものが何物であるかということを私は疑わざるを得ないのであります。このような行動は、参議院の要覽によれば、曾て愛知縣の軍事援護課長であり、又同縣の軍需品処理局次長であり、又、縣内政部軍事課長などの肩書を持つておられるところの草葉隆圓君の経歴とは全然無関係であれば、非常に幸いと思うところであります。(拍手)元來ルールを破つたのは誰であるか。十六日の会期延長の決定の際に、先程からも申されましたように、野党側が十日を主張したことに対して、飽くまで七日でいいというので、最後には委員長採決によつて決定された。このような事態見通しのなさ、無計画、このような形が一つの大きな原因であつたということが、今日では、ともすると忘れられ勝ちであります。又運営委員会におけるところのあのような慣習の否認、議長権限によるところのあのような強行、その他数々の点につきましては、これは板野君の指摘されたところでありますから私は省きます。
 更にここで私が一点強調して置かなければならないのは、参議院と衆議院の関係であります。吉田内閣が衆議院において絶対多数を占めておる。そういうような形におきまして、この議事の運営の仕方が今まで幾多非民主的な方向を辿られたことが数々指摘されておるのであります。例えば財政法がまだ決定を見ないうちに予算を通過させた。更に地方財政法の決定を見ないうちに、あの厖大予算を通過さしたというような、まるで基本的な審議の法案が決定を見ない以前において、これが多数を恃んで、殆んど審議打切りの形で以て強力に遂行された。このような姿を参議院の我々の立場としまして若しも默つて見送つておるというのならば、日本の政治の全き破壞を意味するのでありまして、参議院こそは、これらに二院制度の最も特質を活かしまして、その機能を発揮しなければならぬ。從つてあのような一方的な多数を恃んだ不当な運営の方向に対しまして、参議院は飽くまでこれに対して正しき制肘を加えるということが当然の任務であつたと私は考えるのであります。参議院の議運の問題についてもいろいろ触れたいのでありますけれども、これは先程中西君が触れたところであります。我々は人民大衆の輿望を担つて今日ここに立つておる。それを実現する、そうして我々の背負つておるところのこの民族の前途を飽くまでも守る、こういうところに我々議員の職責はあるのでありまして、それ以外の第二義、第三義の問題につきまして、今日参議院の運営がどのようになつておるかということは、少くとも大衆諸君はそろそろ実態を分りかけておるのではないか。我々は飽くまでもそのような民主國会の眞の性格を確立するために進まなければならないと、こう思うのであります。
 以上で私の一身上の弁明なるものを終りますが、若し私のこの弁明が共産党員でなかつたならもつと有効であつたろうとも考えられる。残念ながら日本の現在のこの國会の情勢におきましては、そういうような、いわば盲腸のような特殊事情が存在する事実を認めざるを得ない。我々は飽くまでも思想の自由、これを守り拔く。その道こそは日本の眞の民主化確立の道であることを信じ、諸君の公明にして歴史の要請に應える方法によつてこの問題を裁断されることを切望して止まないのであります。(拍手)
#45
○議長(松平恒雄君) 原虎一君。
   〔原虎一君登壇、拍手〕
#46
○原虎一君 草葉隆圓君外一名によりまして提出になりました私に関する懲罰、これについて一身上の弁明を申上げます。
 草葉君の懲罰動議に対する説明を一昨日拜聽いたしたのでありますが、私に関する理由は、要するに私が同僚数名と相擁して、スクラムを組んで集團的に議長の歩行を阻止した。第二点は、そしてこれが計画的に、集團的に行われたという事実であり、單純な個個の暴行と違つて重大であると強調されております。第三点は、だから、これらの暴行議員を追放し、除名し、参議院の使命に立帰り、以て本院の体面を保たねばならないと断定されたこと、そして説明を全体を通じて、私が暴力を肯定する思想の持主のように決めておられるということに盡きると思います。私は草葉君がただ事態を主観のみによつて決定して、私を暴力議員なりとして追放しなければならぬとされる独断は、事実を歪曲するも甚だしいものであり、私の名誉を傷けるものであつて、断じて承服のできないものであります。この点につきましては、同僚の中村君は非常に無実の罪に陷れようとする草葉君の意図に対して、青年有爲の議員として憤慨をいたしております。私も憤慨をする一人であります。(拍手)併し私は中村君より幾らか知らん多いのであります。中村君のように憤慨はいたしません。中村君は、若し皆さんによつて判断され懲罰にかける必要なきものと中村君を決定したならば、君に対して名誉毀損の懲罰動議を提出すると言つております。併し私はそういう考え方を持つておりません。と申しますのは、草葉君が有名な東本願寺の住職の御出身であります。若し本会議で私を懲罰にする必要なし、或いは懲罰委員会に廻されて懲罰に付する必要なし、無罪とされたときには、その非を悟られる佛心を有される人と私は信ずるからであります。(拍手)草葉君が政治的に、社会党は共産党の尻馬に乘つて云々、私に、又同僚の個々の行動に対して、党を誹謗したことに対しましては、中村君が取消しを要求いたしまして、君は取消しました。併し君が取消したと雖も、我々を懲罰動議に付せようとするその魂胆には、社会党、共産党を一つにして社会に投げ出して、これらの党を不利に導こう、輿論を喚起しようという意思があつたと言われても仕方がないではないかと思うのです。併し私はあなたの佛心を要求いたしておるくらいでありますから、これ以上、取消されたあなたに対して私は責めようという考えは毛頭持つておりませんが、ただあなたも御存じと思いまするが、相手方を余りに強く急に攻めようといたしますというと、自分が怪我をするということをお悟りになつたと思うのであります(拍手)(「どつちが坊主だい」と呼ぶ者あり)こういう経過でありまするから、私の一身上の説明は、弁明は、聊か少し範囲が廣くなるかも知れませんが、その点は予めお許しを願いたいと思います。尚私は議院運営委員の一人といたしまして、運営委員会のあの紛糾に対する責任もありますので 運営委員会からの経過を申上げまして、いわゆる草葉君がスクラムを組んで議長の歩行を阻止したという、ここに上つて來るまでのいきさつを申上げたいと思います。運営委員会の紛糾の原因につきましては、これから申し述べたいと思いまするが、二十三日には前後七回に亘り運営委員会が開かれました。その第四回目は午後九時十五分に開会され、そのとき官房長官から会期の延長の申入れがあつたと議長からあつさり御報告がありました。このとき同僚中村君より、政府が國会を尊重する意思があるならば、総理大臣が出席して説明をすべきであるとの提議がなされ、全員一致で総理の出席を求めることになつたのであります。そうして一時休憩を梅原委員長が宣しましたところが、そのとき官房長官が見えたので、梅原委員長が、御承知のようにお慣れになつておりませんから、前の決定を無視して、官房長官が見えたから、長官の説明を聞くことを宣したのであります。これは委員会の決定を無視する委員長の行爲として、民主党の門屋委員が非常に憤慨をされまして退席されたのであります。同時に他の数名の委員諸君も、私も退席いたしました。そうして本議場の議席に來て見ますと、門屋委員が本会に出て、そこにおられます中井人事委員長がこの演壇で報告されておるときに、定足数を問題にされたのであります。そうして本会議は休憩となつたのであります。本國会が開始されました以來、政府が運営委員会を軽視いたします態度に対しましては、委員中には多数の方々が不満を抱くようになりました。この事実は否定できないのであります。單に野党側の我々のみではない。常に嚴正申立を主張される緑風会の中にも相当不満があつたと見えまして、運営委員の奥むめお君は、私共の退席いたしました第四回目の委員会の後で次のごとく発言をされております。速記録の一部を申上げて御参考に供したいと思います。「こういう重要法案が沢山控えて、段々日時がなくなります。こういう際に吉田総理大臣が一度もこちらにお見えにならない。政府の態度は非常に冷淡である。或いは参議院を無視しておると、私も全くそういう氣持を以て今日まで参りました」云々と言われております。全く奥むめお君の言葉通り、本國会の初めから総理大臣が一度も運営委員会には出席されておりません。そうして梅原委員長は、官房長官は大番頭であるからどうですか、或いは民自党の諸君は、官房長官が事実上の番頭だからそれでいいではないかと常に言われます。併しながら官房長官は内閣を代表するものではありません。私が申すまでもなく、芦田内閣、片山内閣当時における官房長官は、副総理であり、國務大臣でありました。ところが今日の官房長官は、御承知のように一官僚であります。総理自身が本当に参議院の権威を認めておりますならば、たびたび我々運営委員が要求いたし、殊に政府みずからが会期の延長を申入れたこの運営委員会には、我々が要求しなくても、総理みずからが出席されて話されるのが当然であろうと思うのであります。(拍手)又門屋委員が憤慨されて飛び出されたことも、責める資格はなかろうと思うのであります。こういう事情で、漸次当日の運営委員会は、政府の不誠意によりまして、段々空氣が惡化して参りましたのであります。梅原委員長は、御承知のように、やはり草葉君と同樣に僧侶の御出身であります。(笑声)御高齢で、非常に人格者でありまするが、甚だ失礼ではありますけれども、議事運営にはお慣れになつていないために、非常に混乱いたしました。併しこれは私は、梅原委員長のみを責めてはならぬ。会議の円満を期するのは、その上に議長がいるということを我々は忘れてはならんのであります。
 私は不肖ではありますけれども、昭和十二年から五年間、東京市会におきまして市会議員を勤めました。当時民政党の松永東君が議長をいたしておりました。御承知のように、東京市会は非常に紛糾するところであります。松永議長は、この紛糾を運営委員会に委せつ放しにはしておりませんでした。これは、ここにおるところの遠山丙市君も、或いは民自党の幹事長をしておりますところの廣川君も、或いは運輸大臣をしておりまするところの小澤佐重喜君も、同樣、松永議長の下に、五年間私共は一緒にやつて参りました。ただ演壇に駈け登つたというか一つの現われと判断するのに、主観のみしよつて決せられるということは、私は全く、先程申上げましたように、相手を責めるに余りに急いではおりませんか。私は梅原委員長を責める氣持は今日はありません。こうした空氣の中で開かれました最後の運営委員会は、御承知のごとき紛糾の状態で、委員長の採決は不明のうちに、午後十一時四十九分閉会になりました。そこで私は、直ちに運営小委員会を議長は開かれるものと思つて、議長サロンに待つておりました。と申しますのは、天田君の提出の議長不信任案、中村正雄君提出の板谷順助君の懲罰動議があり、当然これらの先議の案件の処理について、小委員会に御相談されるものと信じたからであります。ところが三、四分経つて突然振鈴が鳴りましたので、参議院の法規も慣習も無視して本会議を開かれるなと判断し、議長の大胆さに驚きました。
 尚、私の責任上重大なことは、社会党は会期の延長を当初から反対で、法案審議が未了のときは臨時國会を開く主張を持つて來ましたので、三度会期を延長することには絶対反対でありました。若し我々のこの主張通り、会期延長をせずに、臨時國会を開くことにしておりましたならば、今日のごとき事件は発生しなかつたのでありましよう。我々は会期延長の採決には、尚、責任と意思を明らかにするために、参議院規則第百三十八條によつて、記名投票による表決を議長に申入れる方針でありましたので、私は成規の手続をなすべく、議長サロンを出て議場に入り、演壇に向つて左側、即ちこの階段から寺光議事部長の所に行こうとしましたが、すでに多数の衞視と淺岡信夫君に阻止され、遂に寺光部長に会うことはできず、多くの衞視によつて押返されたのであります。私のこの行動は、議院運営委員として当然なる任務の遂行であり、これを阻止する者は公務執行妨害と信ずるのであります。(笑声)尚、皆樣に冷靜に御判断願いたいのは、私が私の任務である記名投票による表決の手続を議長に対して完全にいたしましたならば、当日の本会議は流会となつたということであります。即ち、本会議の開会されたのは午後十一時五十四分であります。これは速記によつて御承知の通り、明確であります。記名投票の時間は、どんなに急ぎましても、投票数を計算して発表するまでには十分を要するのでありまするから、六分間では投票だけでも困難であつたのであります。從つて当日の本会議は、國会法並びに参議院規則に基く合法的な会議は時間的に不可能であつたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)このことは何人も否定できない事実だと信ずるものでありまして、即ち無理を押通そうとする、これに道理が攻めて來る、このとき無理はどんな方法で目的を達しようとするかということは、皆樣の御想像と御判断とを願いたい。尚、当夜の本会議の速記録は、この間の事情を正直に現わしております。時間がありませんから……。速記録はすでに写しができております。翻訳ができておりますから、十分に御覧を願いたい。速記録は明らかにこの間の事情を現わしております。
 以上によりまして、私が議長の歩行を阻止する意思で壇上に登つたものではなく、議員としての任務遂行のための行動であり、而もそれが政務次官たる淺岡君と衛視によつて阻止されたものであることがお分りになると思うのであります。(拍手)草葉君は計画的暴行と強調しておりまするが、私の考えは、今述べました通りに正しいルールによる会議の進行と記名投票による採決であつて、議場の紛糾によつてこれができなかつたことは全く私の計画に反するものであります。誠に遺憾に堪えないのであります。(「よく分りました」と呼ぶ者あり、拍手)
 最後に、草葉君は私が暴力行爲を肯定する暴漢のごとく言われております。從つて私は私の持つ思想、信條を訴えたいと思います。私は簡單に申上げまするが、社会民主主義者を以て任じております。從つて暴力は強く否定しております。又、平和を欲する者は正義を耕せという言葉を信條のごとくいたしているものでございます。而して過去二十数年間、労働組合及び無産政党の運動のために微力ながら活動を続けて参つたものであります。この間私は不正なるものに対しては、暴力以外のあらゆる手段を以て鬪つております。又民主主義政治は多数政治ではありまするが、その運営に当つては少数者の意見を尊重することが大切であり、若し多数を恃んで法規やルールを無視する者があれば、これに対してあらゆる手段を以て鬪わねばならぬと信ずるものであります。殊に時の権力に迎合したり、数を恃んで横車を押すような者に対して参議院が敢然と鬪つてこそ、その権威と品位とを高め、國民の信頼を博するものであると確信いたすものであります。(拍手)今回の事件については、單に懲罰という形式によつて本院の品位を高めるとのみ考えてはならない。もつと大所高所より根本的に参議院らしい措置をなされなければならないと考えますと同時に、今回の事件に対しては何といたしましても、その責任は議長、運営委員長、運営委員にありと考えるものであります。(拍手)この見解につきましては、去る二十七日の運営委員の懇談会におきまして開陳させて頂きました。各派の運営委員諸君に熱心にお聞き頂きまして、私は感謝いたしておるものでありますが、先ず運営委員は総辞職をして、新たなる委員によつて本院自粛に関する方途について協議されることが正しいと主張いたした一人であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)この動議に対しましては、門屋委員その他御共鳴を得ましたけれども、二三の、殊に民自党の諸君からは猛烈なる反対がございまして否決されました。(拍手)以上によりまして、私は草葉君提出の懲罰事犯に適当するものは一つもないと断言いたすものであります。
 最後に申上げまするが、運営委員といたしまして、道義的責任を深く感じておることを申上げまして、私の弁明を終りたいと存じます。(拍手)
#47
○議長(松平恒雄君) 都合により十分間休憩いたします。
   午後四時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十四分開議
#48
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 日程第一の懲罰動議を休憩前に引続き議題といたします。休憩前に引続き順次一身上の弁明を許可いたします。天田勝正君。
   〔天田勝正君登壇、拍手〕
#49
○天田勝正君 一昨日、草葉隆圓君が私共に対する懲罰動議の趣旨弁明といたされまして、実に大演説をぶたれました。草葉君の雄弁、用語の豊富、形容の華麗、実に見事でございました。私は弁舌においては草葉君の恐らく靴の紐を結ぶにも足りません。同君は最高学府を出ております。小学校出身の私とは誠によい対象でございます。私は小心者でありまするから、その表現では到底草葉君には太刀打ちはできません。併しながらこれから私が申述べますることは、良心に誓つて眞実を述べるのでありまするから、私は草葉君の目を眞直ぐに見入りつつ申述べられるのであります。草葉君もどうか私の目を眞直ぐ見られながら、誤まりがあるかどうか判定されたいと存じます。草葉君の演説は華麗でございましたが、速記録の飜訳草稿によりますると、私に関することは次の諸点が挙げられております。第一に、十一時五十分過ぎ再開されんとする本会議において、板野勝次君、中村正雄君、カニエ邦彦君、中西功君、細川嘉六君、岩間正男君、原虎一君らと共にスクラムを組んで、集團的に議長の登壇を阻止したということを指摘しております。この説明の中に、我々八名が壇上に殺到したとか、議長の前に立塞がつたとか附加えております。第二に、議長の職務妨害と、この暴行暴挙は暴力を以て民主國会を破壞せんとする行爲であるという点、民主國会の否定であり、國民負荷の叛逆である。こう言われてあります。第三に、これらの暴行をなす者は一人残らず一掃する。第四に、このことは計画的に集團的に行われた事実であると指摘しております。以上四つでございますが、草葉君の弁明は一人々々の行爲につきまして、これがこうである、あれがこうであるという工合に挙げておらないのでありますが、一貫して計画的であり集團的であつたと言つておりまするから、草葉君の弁明の順序とは逆に、先ず計画的でなかつたという点を明らかにいたしたいと存じます。草葉君は、我々八名の者が計画的であつたと言つて一人決めをされておるのでありますが、その説明では、かくかくの事実があつたから、つまり天田にはこのような行動があつたからして計画的であるという点には何も申されておりません。こういう漠たる弁明に対して、私が更にこれに反駁をするというのはなかなかむずかしいのであります。そこで私は、当夜私が如何なる行動をとつておつたかということを聊さか詳しく順序を逐うて申上げなければ分らないと存じます。私は当日ずつと大藏委員会に出席いたしておりました。同委員会におきまして、丁度日本銀行法の一部を改正する法律案、この採決がございまして、その直後、九時四十四分と記憶いたしておりますが、櫻内大藏委員長は、只今委員長懇談会の通知がありましたから暫時休憩いたしますという宣言をいたされまして、休憩に入つたのであります。併しながら余すところ会社は二時間というような際どいときの休憩でありますから、委員長が帰つて参られたならば、直ちに再開するという含みがあつたのであります。從いまして、私共は暫らくそのまま委員会の席に残つておつたのであります。然るに委員長は一向に帰つて参りません。そのうちに委員は一人減り二人減りという工合で、結局三十分過ぎましても、そこにおりましたのは、私と高橋龍太郎君の二人になりました。私はこの間、國立病院特別会計に対する反対討論の原稿を書いておつたのであります。十時四十分頃になりますと、九鬼紋十郎君が入つて参りまして、運営委員会は揉めておるから到底当委員会は今晩開かれないであろう。このように言いながら又出て行かれました。すでにその頃には高橋さんもおらなくなりました。私は依然原稿書きを続けておつたのであります。そのうちに二階の方に当りまして大勢の人が走るような、つまり、だだつというような音がいたしましたので、あの騒ぎは一体何だと言つてそこにおりました事務局の書記川上君に聞いたのであります。そこへ相羽君という別の書記が入つて参りまして、運営委員会は掴み合わんばかりの激論ですと、こう申します。それでも私はその場を動かずして漸く原稿を書き終えまして、これを整理して立上つたのは十一時二分前でございます。それから議長サロンに参りまして、運営委員会の傍聽をいたしました。私はこの前から、私が党の中村正雄君から板谷順助君に対する懲罰の動議が出されておるということを相談にも與かり知つておつたのであります。この懲罰動議は本院規則によりまして先議になるべき案件だが、どうなつたということを運営委員の諸君に聞きました。ところが一向確定したところの返答は得られなかつたのであります、当時、私は思いまするに、会議はすでに二時間以上休憩しておる、こうした休憩の時間がある以上は、この中村君提出の懲罰動議にいたしましても、又当日すでに各委員会から上つて参りました重要法案件が二十件、これは当然本会議に上程されて通過させるところの時間的の余裕があつた。然るに一向その運びをしないで、ただ運営委員会に時間を潰しておる。こういうことでありましては、必ず会期切れとなりまして、参議院の重大なる責任問題を惹起するであろうと考えたのであります。このように氣を揉んでおりましたが、到頭十一時四十七分になりまして、七回目の議院運営委員会が開かれました。このときの梅原運営委員長の処置は、すでに他の人から申されましたし、又梅原委員長は今日御壯健のままで病氣になられておるそうでございますから(笑声)私は申上げたくないのであります。併しながら経過でありまするから申上げざるを得ません。この十一時四十七分の議院運営委員会の劈頭におきまして、委員長はこのように言うております。「委員以外の方の御退場を願います。」議員以外ではありません、委員以外の方の退場を求めたのであります。而もその閉会に当つては、開会の宣告をいたしておりません。反則すでに二つであります。そこで運営委員の諸君は、そんな権限はどこにあるか、開会を諮つておらない、そんな馬鹿なことがあるか、こういうような発言をあちらでもこちらでもいたしたのであります。もう一遍運営委員長は「委員以外の方の退場を願います。」こう申されまして、又そこに喧騒が起りました。それから氣付かれたかいたしまして、これより開会をいたします。漸くこうした宣告をいたしたのであります。すでに前の反則によつて刺戟されました委員は自由発言する者が多くして、殆んど委員長の発言も、その他の人の発言も聽き取れなかつたのであります。私は当時我が党の運営委員の諸君の眞後ろにおりまして、梅原委員長とは僅かに二メートル離れた程度の位置におつたのであります。こういうことで、委員諸君はまだ質問が残つておるとか、いろいろ言つておりました。もう一遍委員外の退場を求める、こういうことでありまして、私共議員が國会法と本院規則によりまして当然與えられる権限を、一人で否定され、そこで衞視諸君は委員長の決定でありまするから、議長を外に押し出す……、議員を外に押し出そうとし、或いは新聞記者を押し出そうとした。議員の中には「俺は議員だ、議員を出すとは何事だ、」こういうような爭い、又記者諸君は、「成規の手続によらざるところの、祕密会でもないのに、我々報道陣を出て行けというのは何事だ、」こういうようなことが起きたのである。このようにいたしまして、喧騒のうちに矢野君が動議を提出した。この動議には、速記録でも明らかでありまするように、誰も賛成いたしておりません。賛成しておらなければ動議は成立しないのであります。ところが矢野君の動議、即ち会期二日間延長の動議であります。これを直ちに委員長は諮りまして、そこのとは勿論大部分の委員には聞えないのでありますが、「起立多数」ということで採決した。当時、運営委員の諸君はよく御承知の通り、殆んどどの委員も立つておりました。採決の條件としては誠に不十分な條件であります。この開会を宣せざるところの会議、委員以外の退場を求めたという独断、賛成者のないところの動議の採択、この三つの反則によりまして、立法府におる我我が義憤を感じなかつたならば、余程不思議だと思うのであります。私も勿論義憤を感じた一人であります。とにかく、かように三つの反則が行われた委員会が、済んだような済まないような有樣で、「本会議々々々」という怒号が起きまして、それを言つた人は現在でも私は記憶しておりますが、一身上の弁明でありまするから、相手の名前はこの際言いません。そこで私は我が党の委員諸君に、中村君提出の動議を先議しなければ本院規則の違反になるのであるけれども、一体これがどのように決まつたか、こうして聞きましたが、又事務局の人にも聞きました。誰も答えないし、議場は騒然と立ち上つてがやがやしておるばかりであります。私は前にも申しましたように、このことは参議院の責任上何とかしなければというので、この議事の運営を遅らしたという責任、反則に基いて開かれる本会議、こういうことの責任を明らかにいたして置かなければ必ずや問題が起ると考えたので、そこで控室へ取つて返しまして、このことの一番の責任は、誰が負うよりも議長に明らかにして貰わなければならない。そこで私は議長不信任の案を申出ることにいたしたのであります。ところが、一向前から計画しておつたのでありません関係上、理由も書いておりません。決議文も満足にできておりません。ただ、そこに入つて参りまする我が党の議員を捉まえては、この案を出すがということで了解を受けるのが精一杯でございました。このようにいたしておりますうちに、振鈴が二度鳴つたので、私はこの漸くできました書類を掴みまして、議場に入つたときは……、いや、議場に入りましたときは、すでに議場は紛糾いたしておりました。草葉君はこの状態を「騒擾、」こういう言葉で表現いたしておりますが、これは草葉君が騒擾ということを御経驗がないからだと思つております。私は曾て無産政党運動時代に騒擾罪をやつた。從つてよく知つておりますが、騒擾などというのはああいうことではありません。ただ紛糾したに過ぎないのである。この紛糾によりまして、恐らく自分の席に着席しておるという人は一人もない。立つておるか、どこかへ出ておる。こういう状態であります。私は早速議長不信任の成規の手続を採らんといたしまして、ここへ登つて参つたのである。ところが、すでに、このような書類を作るために他人よりもこの議場に入るのが遅れましたために、議事部長の所へ到底行くことができなかつたのである。到底近寄れませんから、私は一旦引返しまして、この速記者席の右の方に立つて見ておつた。このときに「写眞を撮れ」とか「速記者、よく書いて置け」というような声が、私の後ろでいたしました。この人も私は知つておりまするが、この際申上げません。漸く議事部長の所が空いたのを見まして、再び議事部長の席に参りまして、その議長不信任案を手渡したのである、このことは参事寺光忠君がよく知つておる筈であります。このとき寺光議事部長は、今直ぐではこれを出されても困る、小委員会に掛けなければ、これは上程するわけには行きません、こういう話であります。尤もである。併しながら小委員会を開くことを拒否しておるのだから仕方がないではないか。こういうことで、私は少くとも成規の手続で持つて來たのであるという言葉のやり取りがありまして、議長不信任案を寺光君に渡したのであります。自席に戻ろうといたしましたときに、ひよつと後ろを見ますると、事務総長席、この席に事務次長が着いております。その陰になつておる議長席にも誰か腰掛かけております。議事が進められるのであろうと思いまして、私はこの辺まで來て振返つた時に、議長席に着いておるのが松嶋副議長であるということがはつきり分つた。そこで自席に帰ろうといたしまして、丁度原口忠次郎君の席あたりまで戻つて副議長の言うことを聽いたのでありますが、何か叫んでいるのが分つただけで、何もその内容は分りません、そこで私は又この速記者席の前まで出て参りまして聽きました。それでも分らない。そのうちに副議長は立上つて叫んでおる。一向これ又聞えません。今度は副議長はマイクを鷲掴みにいたしまして、そうして叫んだ。これもよく聽取れないという有樣で、それから何か二本指をこう出しまして、昔の株屋さんがやるようにやつた。(笑声)何のことか分りませんが、それが終えますると会期、二日間、決定、こういうのが途切れ途切れに分つたのであります。こういたしました時に、すでにこの辺まで來ておりました中村君は、自分提出の動議についての発言を求めておられたようであります。その時分になりまするというと、幾分か議場が靜かになりましたので、議長が中村君に発言を許したのはよく聞えました。そこで私は自席に戻つてその中村君の趣旨弁明を聽いておりまして、皆さん御承知の通り遂に十二時になりまして、散会ということになつた。この機会に経過と共に申上げて置きたいのは、先程も原虎一君からも申されましたが、この紛乱の根本が、議長が参議院規則と議事運営の慣例を無視したために起つた紛糾の責任であります。顧みますれば、第二回國会の最終日、二十三年の七月五日のことでございました。当時最も政治的な重要な案件というものは、軍事公債利拂停止に関する法律案であつたのであります。この法案が当時の財政金融委員会の審議に付されておりました。そこで運営委員会といたしましては、当然この審議をいたすために、通過をいたすために会期が延長されるものであろうという予測の下に、運営委員会を開いたままにして待機をいたしておつたこと、これ又皆さん御承知の通りであります。そうこういたしまするうちに、多分十一時項、どこからともなしに、大藏委員会はすでにこの軍公利拂の法案があがつたというデマが飛んで参つて、そこで運営委員会は散会になつてしまつた。ところが事実は当時の財政金融委員長は黒田英雄君、この君が(笑声)なかなか賢いのでありまして、(笑声)衆議院から当日十三の案件が参議院の大藏委員会に來ておつて、而もその送付案の中で軍公利拂のこの法案は一番先に來たのであります。この一番先に來たところの軍公利拂法案を十三番目の一番下に持つて行つてしまつた。そうして遂にはこれを大藏委員会の議に掛けないでこういうダマクラシイをやつたのであります。(笑声)こういうとにかく大藏委員会であがつておらないという事情が運営委員会で分りまして、この時間は十一時四十分、その前に十一時半頃、政府からは会期延長の申入れがあつた。このことに基きまして会期を延長しようではないかという話が出て参りましたが、議長は到底時間的余裕がないというのでこれを止められた。二十三日の状態から見れば誠に対蹠的であります。(拍手)議長がこの通り今回とられたごとく、衞視多数に守られて登壇されて、参議院規則も、今日までの参議院の慣例も破つてまでも民主自由党の政府に奉仕するという熱意の半分もございましたならば、当時の政治的大問題でありまする軍事公債利拂停止の問題は解決したでございましよう。(拍手)この対照をいたしましたときに、過日この壇上で私が述べましたように、議長不信任の決議案を上程する趣旨はそこにあります。更にここで私は、運営委員にあらざるところの私が手続をしたということにつきまして、若干弁明いたしたいのであります。私は党内におきましては、第一回國会以來、引続いて院内役員を仰せ付かつております。我が党は院内役員は交代制でやつておるにも拘わらず、どういうわけか私は役のがれをさせて呉れませんで、五回引続いてやつておるのであります。(「えらい」と呼ぶ者あり)第一回当時は院内書記長として、副議長が松本さんでありました当時は、我が党席の中心の最後列、副議長の隣りにいつも位置しておりましたことは御承知の通りであります。現在も又波多野会長の隣りに位置いたしております。こういう関係から私は党の手続係を仰せ付かつております。このことは二十四日の晩、二十五日の当日に、成規の手続というものが、一切私の手許から出ておつたという事実からもお認め願えると思うのであります。こういう経過でございまするが、この申述べました点からいたしまして、何一つ計画性はなかつた。私が計画をやるならば二十五日ぐらいのことは簡單にやります。何も懲罰などという、そういう馬鹿げたことを持ち出されませんでも、あの会期問題のごときは、惡く立廻つて計画的にやるならば簡單に流せたのであります。この点からいたしましても、何一つ計画の事実はなかつたということであります。
 集團暴行のことでありまするが、あらゆる新聞で当晩写眞を撮りまして……。あの写眞の中に私がどこに出ておりますか。私はこの壇上に登つたということを否定するものではありません。登つたについては登るべき理由によつて今申上げた通り登つておりますが、あの写眞のどこを見ましても、誰が集團的に、誰がスクラムを組みましたか、スクラムということについても、これは草葉君が自分でおやりにならないからお分りにならない。あんなにバラバラにおるというスクラムというものはどこにもございません。(拍手、笑声)私は当時この前におつたのであります。ここからスクラムが組めようなどとはこれは恐れ入つた話でありまして、それでこれ又八名が待機して議長の前に立ち塞がつた、これも又嘘も甚だしいのであります。どの写眞を見ましても、誰も立ち塞がつておりません。これは社会党が憎たらしい、共産党が憎たらしい、特に天田という奴は議長不信任の動議をやつた、これだから癪に障るというような点でやられては誠に迷惑千万であります。次に八名で壇上に殺到した、これも又嘘であります。誰も殺到した者はありません。このことは今までの諸君の弁明でも明らかでありまするし、殺到したなどというのは、ああいうものではございません。私は相当爭議に経驗がありまして、ダイナマを吹飛ばし、血刀を振つたこともあります。殺到なんというものは、ああいう殆んど散歩に毛の生えたようなものではないのであります。(笑声)從つて殺到の事実はございません。衞視と揉み合つた、これも又全く虚構であります。これはもう弁明する必要がないくらい明らかでございます。
 次には民主國会を破壞せんとし、憲法に逆行した、こういう話である。実に驚き入つた言葉の綾であります。成規の手続をとり、憲法に発するところのその権限に基いて、國会法の発動に行なつたのである。基は憲法なのである。これがどうして一体憲法に逆行するでありましよう。その本院規則に示された手続をするということが民主國会を破壞するとは、人を誣いるも甚だしいと言わざるを得ないのである。更に民主國会を否定した、これも今申上げたのと同断である。國民の負荷に背く、私共は國民の負荷があり、特に社会党は大衆の党であると言つて呼号をしておる。この國民の負荷があればこそ、立法府におる我々は規則を守ろうとしただけでありまして、どこにも國民の負荷の反逆行爲などはないのである。
 以上で事実の否定は終りまするが、更に草葉君はこれらの者を一人残らず一掃するとか、暴行議員を追放し、除名し、涙を呑んで馬謖を斬る、こういうことを申されております。若し私共のやつたことにつきまして、一つ一つ、一人々々に対しまして事実を挙げて、かくかくの事実があるから懲罰委員会に付託する、こういう主張をなさるならば、まだ一應聞けます。ところが國会法と本院規則二百三十八條の定むるところによりますれば、懲罰動議は討論を用いずして採決する、こういうふうになつておる。よく本院規則を御研究願いたい。討論を用いずである。ところが速記録に明らかなるごとく草葉君の主張は判決の後のことまで言つておる。(笑声)こういうふうに判決までも指定されて決定付けられるのは、私共にとつては誠に大迷惑である。草葉君はさように言つておりましても、それはどうでもよろしい。今日この機会には同僚諸君が公平にこの問題を取扱つて貰いたい。これだけを希望いたします。草葉君は先程も他の同僚議員諸君から申されましたように職業がお坊さんである。誠に人に引導を渡すのは上手であります。(拍手)併し自分の作つたところの本院規則二百三十八條を破つてまでも引導の先渡しというのは、実にこれは聞えません。(笑声「まじめにやれ」と呼ぶ者あり)諸君が笑うからだ(「笑うな」「事柄自体がおかしいのだ」と呼ぶ者あり)とにかく、そのようなことでございまして、私に関しまする限り草葉君が挙げられました事実ということは、ただ一つもございません。集團という点につきましては、他の八名の諸君も共にございません。私は事を明らかにいたしまするために、まだまだ申上げたいけれども、これは懲罰委員会にかかりました機会に、はつきりと申上げることにいたします。先進民主主義國におきましては、報道機関と雖も人の人格問題につきましては容易に言及しないと言われております。一遍傷けられた人格というものは、後で如何に無罪と言いましても、到底とつて帰らないからであります。すでに私の人格は、この壇上に立たせられて弁明をしなければならないということだけども傷けられました。私は重ねて申上げます。どうか同僚議員諸君は、党派の如何を問わず、ただ公平に扱われんことをばお願い申上げまして、私の弁明を終ります。(拍手)
#50
○議長(松平恒雄君) 金子洋文君。
   〔金子洋文君登壇、拍手〕
#51
○金子洋文君 極めて簡單に一身上の弁明を申上げます。
 二十三日の夜半、本会議再開の振鈴を私は社会党の控室で聞いたのでありますが、深夜の振鈴を聞きながら、どうもこれはおかしいと疑念を持つたのであります。というわけは、運営委員会の会議が開かれておりまして、その結果が当然報告されて本会議が開かれてるのに、それがなくて振鈴が鳴つたからであります。(拍手)私は疑念を持ちながら議場に入り、自席に着きました。暫らく経つと松平議長が入つて來られまして、あの紛糾になつたことは皆さんすでに御承知の通りであります。私はあの紛糾を自席にあつて冷靜に眺めて見守つておつたのでありますが(笑声)河崎ナツ議員が、金子さん、あなたは何故默つておる、あの通り騒いでおるのではないか、こういうふうに私は難詰されたのであります。(笑声)併し私は、あの通りいつぱい騒いでおるのに私の出る幕ではありませんと、少しおつかない顔で河崎さんを見返りながら、そうして見守つているうちに、暫らく経て中央に目を移しますと(笑声)北村一男議員が松嶋副議長をこう抱えるように擁しまして、議長席に急いで着かせようとする情景が目に入つたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は劇作家であり、演出家であります。從つて人の姿、ポーズですね、ポーズに対しては一般の人よりは聊さか敏感でありまして、(拍手)それは激情の姿である、あれは愛情を示す姿である、一目して見拔くように習慣付けられておるのであります。北村議員が松嶋議員を抱えるように擁して議長席に着かせようとする奇怪なる姿を見た瞬間、私は、ははあ、これは強引に会期を延長しようとする何か策謀でないかしらと直感したのであります。と同時に松平議長は紛糾の中にあつて、反対の議席にあつた松嶋副議長に意思の傳達は不可能でありますから、それは議長を無視した違法であり、非礼であつて、会社延長のための職権の濫用であると感じたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)そこで、まだ開会が宣告されていないのを幸いに、それを質すために登壇したのでありますが、初めはこの辺で叫んだのでありますが、何しろあの紛糾のさ中でありますから、大きな声でも届く筈はありません。そこで止むを得ず松嶋副議長のそばまで行つて、その不法を問い質したのでありますが、幾ら言葉を重ねても、副議長は固く口を閉じて答えようといたしません。そのうちに大勢の人々が参つて、こちらの方も紛糾となり、衞視が駈け上つて來て人々の降壇を促したので、私も降壇したのでありますが、自席へ帰りかけて速記君席の前を通つたとき、初めて松嶋副議長が開会を宣告するのを耳にいたしたのであります。私が自席へ帰つてからも、議長席のこの辺には大勢の人々がまだおつたようでありまして、何やら叫んでいましたが、やがて副議長が二本の指を示しまして、悲痛な、鳥のような声をあげるのを自席において聞いておつたのであります。以上が当時の実情でありまして、私が登壇しましたのは、松嶋副議長と北村議員の奇怪なる行動に誘発されたものであることを是非御理解願いたいと思います。(拍手)
 次に、草葉隆圓議員の趣旨弁明に述べられた私に関する範囲の事実の相違を明らかにしたいと存じます。
 先ず第一に、私が原嶋副議長を暴力を以て引き摺り下そうとしたということでありますが、この言葉の全き意味において行動をしますとするならば、最も有力な証拠である毎日新聞に二十四日掲載の写眞が作りものとならざるを得ないのであります。あの写眞は、すでに皆さんも御覽済みと思いますが、先ず松嶋副議長が議長席に深々と坐しております。その左手に、副議長の姿を半ば掩うようにして、後ろ姿の北村議員がのつそりと突つ立つておるのであります。そうして私の位置はどうかというに、議長席の右手にあつて、普通談話を交すときと同じくらいの距離で、その不法を問い質しておるのでありまして、副議長のお体には手を触れていないのであります。從つて、僅か一、二分間と思いますが、登壇してから降壇するまで、終始暴力を以て引きずり下そうとしたという言葉議員の言明は、極力他人を罪に落そうとする一片の佛心さえないところの詭弁であり捏造であります。(拍手)副議長の越権と不法をなじつて離席を促したと言われるならば、正しい表現と肯定いたしますが、暴力を以て引き摺り下そうなどという表現は、事実を全く歪曲するものであり、況んや足を引つ張ろうとしたなどということは、眞つ赤な僞りでありまして、私は断じてさような卑法なまねをする男ではありません。(拍手)
 第二は、書類を奪い破ろうとしたという言明でありますが、これも人を罪に落そうとする僞りでありまして、ところどころ朱の入つた墨で書かれた書類が卓上にあつたことは私はよく知つております。ところが私の左側の脇の下から一個の拳骨がのぞきまして、しばしばテーブルを叩きます。その拳がときには書類の上にも落ちるので、その都度北村議員が手を延べて抑えるのでありますが、書類は一度も卓上を離れたことはなかつたようであります。(拍手)書類は手の届く私の目の前にあるのでありますから、私にその意があるならば奪うことも破棄することも自由であります。然るに書類が卓上を離れなかつたということと、聊かも破れていない点からしましても、草葉議員の言明は虚構の言であることを証明しておると思います。次に、マイクの不能を図つたということも、私のいた位置からは離れておりますので、私のかわり知らぬことであります。以上が弁明の大略でありますが、今日顧みて不覚と思いますることは、議員生活が浅いためと、懲罰の法文に具体的なことが示されていないために、開会以前に議長席の近くに登壇することが懲罰に値するということを全く知らなかつたことであります。この不覚のために(「ノーノー」「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)皆さんに多大の御迷惑をかけましたことを心から陳謝しまして、私の弁明を終ります。(拍手)
#52
○議長(松平恒雄君) 次に、木下源吾君外四名提出の懲罰動議及び中野重治君提出の懲罰動議に対し、その各議員よりそれぞれ一身上の弁明を求められました。順次発言を許可いたします。淺岡信夫君。
   〔淺岡信夫君登壇、拍手〕
#53
○淺岡信夫君 本月二十八日当議場におきまして、木下源吾君並びに中野重治君より提出されました私に対する懲罰動議に関しまして一身上の弁明をいたします。
 木下議員は、私が去る二十三日の夜、本議場においてしばしば壇上に登つて暴力を振い、原虎一君が議事部長と交渉中、これを暴力を以て妨害した議員であり政務次官である者が軽々しく喧噪の渦中に飛び込み、暴力を振つたことは、議院の品位を傷けたと言われましたが、私は只今当時の状況を簡單に申しますと、振鈴が鳴り私が自分の自席に着きまして、暫らく経ちますると議長が入つて來られ、この附近から数名の議員諸君が登壇をいたされまして、必死に議長の登壇を阻止されておつたのであります、その揉み合つておる状況、私は暫らく自席からその混乱を見ておつたのであります。暫らくいたしますると、民自党の議員会長である大野木君が私の席に参りまして、淺岡君もう数分しかないぞ、何とか議長を早く議長席に着かしめる方法はないか、早く行け行け、行け、と言われたのでありまするが、私は動かなかつた。(笑声、拍手)動かなかつた。そうして暫らくその混乱の状態を見ておりましたときに、やがて厚生委員長の塚本重藏君がここに上つて行かれたのであります。私は社会党の長老であり、又温厚な塚本議員が上つて行かれましたことによつて制止をされるその状況を見て自席を離れたのであります。ところが離れて、この壇上に上りまして、この附近に参りますると、塚本君は私に、淺岡君、君はここに來ないがよいということを一言、二言言われたのであります。私はその声を聞きましたので、政府委員なるが故に、その委員席に行こうと混乱のさなかを向うに、丁度議事部長の向うの辺に避けたのであります。そうして、その塚本重藏君が私に声をかけられたことは塚本議員の確認せられるところであります。そのときはまだまだ通路は、議長を取り囲んで、丁度ラグビーで申しまするならばルーズ・スクラム、そうした状況で通路は塞がれておつた。私は委員席に行けないので、そこで立往生をいたしておつたのであります。松平議長の進行はいよいよ阻止され、原君その他の議員が議長を中心に大声にわめき且つ騒いで議長を釘付けにしておつたのであります。私は自分の通路を開こうといたしましたが、このときに私の目に触れたのは、青木警務部長が議長に向つて、副議長が議長席に着かれましたと一言、二言告げたのであります。議長は(「そこが肝腎なところだ」と呼ぶ者あり)議長はよろしく頼むというような意味のことを言われて、青木職員にその書類を渡されたのであります。私はそれを見て議長席の後ろに身を寄せたのであります。そうして議長を見ますると、議長席のあの議長椅子の大きなやつがこういうふうに左に傾きかけておつた。そこで私は後ろからそれを支えたのであります。そうしてやや暫らく後ろに抑えておりまして、そうして脇をひよつと見ますると、名前は申上げなくてもお分りだと思いまするが、二人の人が、一人は手を引張り足を引張つておる姿を見たのであります。これを制止いたしまして、副議長が議長席に着いて議事を始められるのを、私も段を降りながら見つつ、自分の議席に帰つたのであります。又中野君は一昨日、この壇上から、小委員会を開け、小委員会を開けと言つているときに、私が暴力を振つて混乱を起させ、議場を紛糾せしめた発端であり、元兇であると專断されましたが、先程申しましたごとく、私が段を登つたときには、すでに混乱の最中でありまして、松平議長を中心に、十名余の議員諸君が激しく怒声を発し、混乱に混乱を重ねておりましたことは、私が壇上に上がりましたのが、塚本重藏君よりも遥かに遅かつたことで、時間的に見ましても明白なることであります。私が議場を混乱せしめた発端者であり、元兇であるということは人を誣いるも甚だしく、私といたしましては誠に迷惑の限りであります。副議長が散会を又しました後、天田議員が血相を変えて副議長の下に殺到いたしましたので、私は急いで副議長を庇いながら議場を出て副議長の室に送り届けたのであります。
 以上のごとく、本会議の間にしばしば壇上に上がつたとか、或いは議場混乱発端の元兇であつたとか、暴力を振つて副議長を議長席に着かしめたとか申されましたが、さような事実の全く無根であることは以上の弁明の通りでございます。野党諸君が議長の職務執行を妨害阻止し、あまつさえ副議長を暴力を以て威圧せんとするのを見て、止むを得ず副議長を庇つたのであります。当夜この議場にありまして眞相をよく御覽になつておられました議員各位皆樣の御明断を仰ぐ次第でございます。(拍手)
#54
○議長(松平恒雄君) 池田宇右衞門君。
   〔池田宇右衞門君登壇、拍手〕
#55
○池田宇右衞門君 私は國民の代表として、國策を論じ、國民の声を反映いたす責任ある身が、みずからの弁明に立つということは、ただただ感概胸に迫る思いがいたすのであります。(笑声、拍手)去る二十三日の夜十一時過ぎ、同志の方より林副総理をお迎えして來て下さいと頼まれ、院内を尋ね廻つたのであります。然るに加藤議員が案内いたすと申されたので、一足先に運営委員室に入りました。委員平岡議員の後ろに立つておりました。從つて事件の起りし場所よりは、四五歩離れた所におりましたのであります。人波と共に大声がするので傍らを見ますと、加藤議員が何者にか殴打されているのを見たのであります。國民の選良が暴行するとは何事だ、お止めなさい、お止めなさいと、二声ばかり出したのであります。この出來事を見んとし、人波の動揺が激しい中に、加藤君はあとへあとへと遂に見えなくなつたのであります。誰人かこれを追うように見受けたのであります。而してこの事件の間には、いつも私との間に一、二の人がおりました。議場に入るとき、同志の一人より私に向つて、君が殴られたと思つたと言われたのであります。翌日の毎日新聞を拜読して驚いたのであります。(笑声)カニエ議員と私との間に事件があつたように記事になつておるのであります。私がこの事件に関係のないのは、傍らにおりました皆樣より証言預けることと固く信じておるのであります。
 次に、議場内であります。私の傍らにおりました議員より、各大臣が見えておるのに農林大臣が見えないではないかと言われましたので、いつもの通り廻つて行こうといたしましたところ、多数の人が立つておりましたので、階段を登つてちよつと前を見ましたら、松嶋副議長の席の傍らで盛んに何事か叫ばれていたのであります。この数人を見たのであります。演壇の傍らにも、演壇の下にも、これ又沢山の人がいたのであります。副議長の傍らよりちよつと顔を出して、政府委員席に参り、再び議席に戻つたのであります。御指摘の方々が私に対して、新聞や写眞を見て御判断をなされたと申されたのであります。当夜壇上に登られた方は二十余名の多数議員諸氏であつたと思います。昂奮の中にあつて、誰人か分らずに報道されることもあると思います。中央の一流新聞ですから私に対してこの誤報の記載があります。この一事でも御理解頂けることと思います。(「お互い樣だ」と呼ぶ者あり)口を開けば民主政治を叫び、正しい政治の実現に向つて邁進される私の尊敬する木下議員、中野議員、その他の数氏において、良心の下、冷靜に御判断願われたならば、私に対する御指摘のようなことはなかつたであろうと固く信ずる次第であります。満場の皆樣、以上のような次第であります。何とぞ何事もなく誤解された私の身上に対し、民理解賜わりたく特にお願い申す次第であります。(拍手)
#56
○議長(松平恒雄君) 岡元義人君。
   〔岡元義人君登壇、拍手〕
#57
○岡元義人君 一昨日、社会党木下源吾君、共産党中野重治君、それぞれより提出されました懲罰動議に対しまして、簡單に一身上の弁明をさして頂きます。
 五月二十三日夜の運営委員会は、極度の昂奮状態の中に会期延長を議せられておつたのであります。夜を十一時四十分頃、傍聽者満員の零囲氣の中に喧騒甚だしく、委員長はしばしば委員外傍聽者の退場を命じたのでありますが、徹底しなかつたのであります。で仕方なく休憩を宣して、そうして議長室に松平議長と打合せをされておる間に、委員外傍聽者は議長室にも殺到して参りました。十一時四十五分再度委員会を開かんといたしましたが、人混みの中で議長室より議長サロンの委員長席に着くことさえ容易ならざる状態であつたのであります。加うるに当日の委員会におきます喧騒と、委員外議員より矢継早なる委員長への交渉に殆んど忙殺され盡した状態でありましたため、初老の梅原委員長は極度の疲労の中に、精神的にも恐らく曾て御体驗にならなかつたであろうと思われる程の試練の中に立たされたわけであります。あの円満にして人格者たる梅原委員長の顔にも悲壯なる苦悩の色を私は見てとつたのであります。同じ会派であり、又我々の委員長をして暴力を以て委員長席に着席せしめたとありますが、かかる混乱の中でありましたので、委員長の身体を氣遺いながら手を取つて混雜の中を拔け出た次第でありまして、この間幸いにも何の事故もなく委員長席に着くことができたのであります。運営委員の一人といたしまして、又同じ会派の一人といたしまして委員長を補佐したまでであります。又当夜の委員会が、矢野、岡元委員とによつて牽制されたかのごとく説明がありましたが、あの混乱と喧騒の中で、委員長の発言もよく聽き取れない状態でありましたので、私は末席に席をとつておりましたけれども、私の隣りの速記の柴田君に対して、こんなところで速記がとれるか、委員長の下にもぐれと言つて、幸いに委員長のところまで行けたのであります。あのときの状態は、こんなところで速記がとれるかと私が叫んだことまでも含めて詳細に記して呉れてありますが、あの速記にもある通り、矢野議員の動議に対し、私外二、三名の賛成の声があり、正式に成立し、又委員長はこれを起立に問うて賛否を決し、直ちに本会議において延長を諮る旨が決定されておるのであります。(拍手)
 次に、本会議場におきましては、御承知の通り喧騒混乱の中でありますので、副議長が議長席に着くや、引摺り下されんとして椅子が倒れかかつておりました。私はその下の方から椅子をしつかり押えながら、副議長の開会の声が議長席に届かない樣子でありますので、よく見ますると、マイクの線が切断されておることに氣が付いたのであります。で議員席から、副議長が宣した延長日数が徹底せず、何日間かと皆が聞いておりますので、副議長に対し、何日間かと聞いておる旨を傳えたのであります。ところが副議長は指を二本出して二日の意を答えて呉れたわけで、何週間か何ケ月間かと尋ねたのではないのであります。副議長の指二本は、はつきり何日間かと尋ねたのに対して指二本でありまして、明らかに二日であります。以上の應酬の中でも、副議長の御異議ないかと諮られた際にも、非常な喧騒の中でありましたので、賛成の議員は起立によつて判然としておるわけであります。ところがこの採決があつてから、突然中村君に登壇の許可があつて、中村君が登壇いたしましたので、先程の採決に対して議員間より不審の声が起りましたので、私は再び事務総長のところに駆け上つて参りまして、先程の会期延長は確認されておるのかと尋ねたのであります。これに対しまして事務総長は、確実に採決された旨を言われましたので、私はこれを確認し、自席に帰つて緑風会の方々に対してこの旨をお傳えして安心して頂いた次第であります。議場内における私の行動は、運営委員会の一人として、又小委員の一人として、その職責を忠実に果すために努めたものでありまして、決して秩序を乱し、議院の品位を傷けたものでないと信じております。(拍手)この点釈明いたしまして、弁明申上げる次第であります。(拍手)
#58
○議長(松平恒雄君) 矢野酉雄君。
   〔矢野酉雄君登壇、拍手〕
#59
○矢野酉雄君 私は当夜、委員会においても、尚本議場においても、議院運営委員とし、又理事とし、更に小委員として與えられたる権限を忠実に行使し、國民のために審議を完全に議員が議了するその環境を作るべく万全を盡したのであります。若しそれ私の行動が懲罰に値いするものでありや否やは、委員会においても、尚、本会議の議場においても、各位が十二分に正しく御認識していらつしやるのでありまするから、何らの弁明をいたしませずして、各位の明断に俟つ次第であります。(拍手)
#60
○議長(松平恒雄君) 加藤常太郎君。
   〔加藤常太郎君登壇、拍手〕
#61
○加藤常太郎君 お疲れですから、原稿によらずして簡單に一身上の弁明をいたしたいと思います。
 私の弁明は、二十三日の草葉議員の趣旨要旨の中に述べておりました通り、当日副総理の出席を議院運営委員会から要求がありましたので、私もその必要を認めましたので、衆議院に至りまして、林副総理と増田官房長官を伴いまして、議院運営委員会へ案内して、私は梅原委員長の斜め後方に立つておつたのであります。私の立つておつた所は、その当日傍聽せられた方は御承知だと思いますが、丁度入口から最短距離でありまして、又委員会の中心点であります関係上、後からの圧力は相当強い所でありました。事件が起きましたときは、後からの人混に押されまして、私は確かに前へよろめいたのであります。そして後から分つたのでありますが、カニエ議員の肩に手をもたしたのは間違いないのであります。これは普通の場合であつたならば、カニエ議員も私に殴打の事件を起すことはなかつたかと思うのでありますが、皆さんが御承知のような昂奮状態でありましたので、カニエ議員が突然後を振向かれまして、何をというような言葉であつたと思いますが、直ぐ樣一撃で來たのであります。続いて二、三回來たと思うのでありますが、これは私の弁明でありませんので回数は申上げませんが、とにかく來たのは間違いないのであります。この点は、今朝のカニエ君の正直な言明によつて、はつきりいたしておるのでありまして、私只今その速記を見たのでありますが、簡單にその一節だけを申しますと、「非常に昂奮しておつたということで、私もいきなり加藤君に対して一撃を突き返したということは事実であります。又加藤君は決して惡意があつて私をやろうというような考えではなかつたのではないかということも考えられるのでありまして、又この人混みの中を、やつと前に出たかと思う頃、後から私の右の肩か首を拘つて且つ引ずり返そうとする者があつた」。こういうふうになつているのであります。私が何らカニエ君に対して意趣のなかつたことは、カニエ君の言明ではつきりしておるのであります。又当時の事情から申しましても、與党である、又政府委員である私が、あのような混乱状態に陷ろうとする前、私から事を構えてやることはありません。私がカニエ君の一撃に対して、実はぐつと來たのでありますが、ここでやつた場合には一大事と思つて堪え忍んだのであります。(拍手)ところが我々の敬愛する木下君なり中公君が、何を間違えて、この無抵抗の防禦態勢である私に対しまして懲罰動議が出たということに対しては、私は実に憤慨に堪えないのであります。この点だけは憤慨に堪えません。併しこれも私の不徳といたして諦めます。もうこれ以上は申しませんが、以上が率直なる事実であります。この点は皆さん、傍聽なさつた方は十分認めておりますので、どうか皆さんの賢明なる御判断をお願いいたします。(拍手)
#62
○議長(松平恒雄君) 北村一男君。
   〔北村一男君登壇、拍手〕
#63
○北村一男君 一昨日懲罰動議提出者の趣旨弁明の中にある私に対する懲罰の理由といたしましては、二点ございます。濫りに登壇したこと、暴力を以て松嶋副議長を議長席に着かしめたという二つの点でございます。私は提案者が如何にこの理由を発見されるに御苦心なさつたかというその御苦労はお察し申上げます。併し事実は全く違つておる。それから先刻金子議員が、私が松嶋副議長を抱えて壇上に登らせたというようなことを仰せになりましたが、さすがに金子君は劇作家である、表現は非常に巧妙である。私は併しこの事実は盡く相違しておるのでありまするが、当夜のこの議場内の空氣は非常に緊張し、昂奮しておつた。昂奮性の強い金子君が避け難い錯覚から、さようなことを仰せられたものであるとして、この誤まりに対しては深く追究いたしません。事実は、当夜松嶋副議長がこの階段の下で立ち止つておられまするので、私は近寄つてその事情をお尋ねいたしましたところ、議長席に着いても議事日程の覚書がなければ、議事の進行ができないから躊躇しておるのであるというような意味合のお話がございました。そこで私は時間も大変切迫いたしておりまするし、このことを議長に御連絡申すことが機宜の措置であると判断いたしまして、松嶋副議長に先立つて、私一人でこの階段を急いで登りまして、議長席の後ろを通つて、揉み合つておる集團に近付いたのでありました。そのとき青木参事が私の前に書類を出して、これを副議長に渡して呉れという依頼でありました。私はその依頼の通り副議長に書類を渡して、自分の議席に帰つたのであります。事柄はこれだけでありまして、極めて簡單であります。その間、私は何びとの抵抗も受けなければ、何びとも爭つたこともございません。両君の申されたように、暴力を以て副議長を議長席に着かしめる必要も、時間的余裕も私になかつたわけでございます。特に私は私の平素を知る皆さんも御承知のように、暴力に対しては最も強い否定者でありまして、このことは動議の説明に当られた中野君、木下君も十分御了承のところと存じております。從いまして、私は決して暴力云々の事実は絶対になかつたということを強調いたして置きたいのでございます。むしろ私はそのとき時間が余り切迫して困るという心配と、今一つは、たとえ國会法の規定によりまして、参議院の議決がなくとも、衆議院のみの議決によりまして会期延長ができたといたしましても、かくては本院の面目、権威を失墜することが少くないということから、何としても参議院独自の意思を以て会期延長を決定しなければならぬとする一念で一杯でございました。(拍手)幸いこの私の願いは、賢明なる議員諸君によつて御賛成を頂きまして、当夜十二時寸前におきまして会期延長の議決を見ましたことは、私の本懐の至りでありますると共に、このことによりまして、我が参議院の面目、権威を失墜せずして相済みましたることは、顧みまして諸君と共に同慶の念を禁ずることができないのであります。私はそのときの氣持ちいたしましては、党派心や感情を一切超越いたしまして、繰返し繰返し申上げるように、ひたすら参議院の名譽、権威、面目の保持に一念を注いでおりましたのでございましたが、一番その後私の恐れましたのは、これを追求するの余り無断で演壇に登つたことも最も私は恐縮に考えて、今日まで謹愼に謹愼を重ねて参つたことも同僚議員のお察し下さるところと存じております。併しながら先刻板野君、中西君その他社会党の各位が、この壇上に登られても、演壇以外の所であれば、これは懲罰に値いしないというようなことをお述べになりましたので、最も私の恐れました演壇に登つたということが、決して懲罰に値いしないということを知りまして、然らば私に対する懲罰の理由、根拠というものは全くなくなつたわけでございまして、この点は皆樣がよろしく御諒察、御了解頂けることと、私は確信して疑わぬのでございます。良心の命ずるままに以上申述べまして、弁明に代えるゆえんであります。(拍手)
#64
○議長(松平恒雄君) 松嶋喜作君。
   〔松嶋喜作君登壇、拍手〕
#65
○松嶋喜作君 このたび騒擾に際しまして、私が懲罰の動議に付せられましたことは、ただに私の不愉快とするところでなしに、本参議院のために甚だ遺憾に思う次第であります。私は常にこの参議院が品位を高め、衆議院と別な意味において、我が國政を円滑にやらむということを常に念願しておつたものであります。殊に先般私が副議長の栄職に選ばれまして以來、愼重に、冷靜に事を処することに專念しておりました。然るところ、このたび不信任、不任信でもありますが、(「懲罰」と呼ぶ者あり)懲罰の動議に付せられましたことは、甚だ不満であります。私はむしろ参議院議員として、副議長としての職責を皆樣のお陰で果し得たと今以て確信しておるものであります。(拍手)併しながら懲罰動議に付せられた以上は、一身上の弁明をいたさざるを得ないのであります。皆さんも当夜の実況は、少数の方は昂奮しておられましたけれども、大部分の方は落着いて冷靜であつたと私は認めております。私自身におきましても、努めて冷靜に行動したいと念願しておつたのであります。然るところ運営委員会は紛糾に紛糾を重ねて、收拾するようにも見えません。先程來いろいろな弁舌を以てこの紛糾を言及されましたけれども、私はこの紛糾の根柢をなすものは、野党の少数の諸君が特定の法案を阻止せんという意図にあるので、決して総理が來ないとか、或いは委員長の取計らいがまずいとか、そういう些々たる問題ではなくして、根柢に横わるところの観念は、特定の法律を阻止せんというところにあると私は見ました。(拍手)喧々囂々たるところの運営委員会は見るに忍びない、私は靜かに(「議長注意しろ」「失言だ」と呼ぶ者あり)議長の、議長の部屋に靜かに下りました。(「副議長たる者が言つてはいけない」「泥を吐いてる」と呼ぶ者あり)そうして私は議長の意思に從つて行動したということを聊か説明したいのであります。議長の意思を侵犯してないということを申上げたいのであります。(「公平にやれ」「松平議長」と呼ぶ者あり)私は運営委員会の樣子を見まして、ひそかに、これはいかんと議長の席に下りました。そのときに、(「議長、注意しろ」と呼ぶ者あり)ここが大事なところであります。(「失言だ」と呼ぶ者あり)ここが大事のところです。事務の或る某君が私に向つて、議長の意図せらるるところを逸脱しないようにという御注意がありました。私も無論さようなことは申すに及ばんことだということを話合いました。そこで私は靜かにしておりましたが、すでに十五分に至りまして開会の振鈴が鳴りましたからして、議席に臨んだのであります。そのときは、すでに議長がここで揉み合つておられました。私はこれは大事である。若し議長がああいうことであつて、この議事を進行しなければ、私の職責は盡せないと考えまして、おもむろにここに参りましたのであります。(拍手)以後は北村君説明の通りであります。
 次にもう一つ弁明さして頂きたいことは、ルール違反ではないかということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その点は私はかように考えております。成る程板谷君の懲罰動議は先に出すべきものであるかも知りませんけれども、すでに六分、十二時、六分ほんの前に迫りましたその時におきましては、若し会期を延長しなければ大変なことになるという私の考えから、これは緊急状態である。更にこれを法規的に考えましても、総理指名の場合におきましても、これは如何なる事件よりも先に先議すべきこととして書いてありまするけれども、併しながら議長、副議長の選任を先にしたことがありますから、大局を考え、緊急状態を考え、これは先に延会を議決しても差支えないとの確信で、私は別に外から強いられたのでもなく、煽てられたのでもなく、全く自分の判断でこれをなしたということを申上げて、私の弁明を終ります。(拍手)
#66
○議長(松平恒雄君) 以上で趣旨弁明はすべて終了いたしました。議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後六時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時三十二分開議
#67
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。
 日程第一の懲罰動議を休憩前に引続き議題といたします。草葉隆圓君より、同君の趣旨説明を補足するため発言を求められました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。草葉隆圓君。(拍手)
#69
○草葉隆圓君 極く簡單でありますから自席から発言することをお許し願います。
   〔「登壇」と呼ぶ者あり〕
#70
○議長(松平恒雄君) 御登壇を願います。御登壇を願います。
   〔草葉隆圓君登壇、拍手〕
#71
○草葉隆圓君 私の先日の懲罰動議に対しまする趣旨説明の中に、かくのごとき暴力議員はこれを追放除名すべしという言葉がありましたが、追放除名ということは懲罰委員会の権限に属しておりまするから、この際誤解を生ずる虞れがありまするので、除名云々の言葉をこれを取消しいたしたいと存じます。
   〔「追放はどうするのだ」と呼ぶ者あり〕
#72
○草葉隆圓君(続) 追放除名という言葉はこれを取消したいと存じます。(拍手)
#73
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。先ず草葉隆圓君外一名提出の懲罰動議を問題といたします。本動議の採決は各議員それぞれ別個に行いたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
 先ずカニエ邦彦君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#75
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつてカニエ君を懲罰委員会に付託することに決定いたしました。
 次に板野勝次君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#76
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて板野勝次君を懲罰委員会に付託することに決定いたしました。
 次に中村正雄君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#77
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて中村正雄君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に中西功君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#78
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて中西功君と懲罰委員会に付託することに決定いたしました。
 次に細川嘉六君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#79
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて細川嘉六君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に岩間正男君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#80
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて岩間正男君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に原虎一君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#81
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて原虎一君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に天田勝正君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#82
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて天田勝正君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に金子洋文君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#83
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて金子洋文君を懲罰委員会に付託することに決定いたしました。
 以上採択の結果に基き、議長はカニエ邦彦君、板野勝次君、中西功君、金子洋文君を懲罰委員会に付託いたします。
     ―――――・―――――
#84
○議長(松平恒雄君) 次に土下源吾君外四名提出の懲罰動議及び中野重治君提出の懲罰動議を一括して問題とすることとし、その採決は各議員それぞれ別個に行いたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
 先ず淺岡信夫君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#86
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて淺岡信夫君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に池田宇右衞門君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#87
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて池田宇右衞門を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に岡元義人君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#88
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて岡元義人君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に矢野酉雄君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#89
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて矢野酉雄君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に加藤常太郎君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#90
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて加藤常太郎君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に加藤常太郎君を懲罰委員会に……(笑声)失礼いたしました。取消します。北村一男君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#91
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます、よつて北村一男君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 次に松嶋喜作君を懲罰委員会に付託することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者少数〕
#92
○議長(松平恒雄君) 少数と認めます。よつて松嶋喜作君を懲罰委員会に付託することは否決せられました。
 議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。(「多数横暴」と呼ぶ者あり)次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。これにて本日は散会いたします。
   午後七時四十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、常任委員辞任及び補欠の件
 一、議長不信任決議案
 一、日程第一 議員金子洋文君、中西功君、岩間正男君、原虎一君、板野勝次君、細川嘉六君、中村正雄君、カニエ邦彦君、天田勝正君を懲罰委員会に付託するの動議、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君、矢野酉雄君を懲罰委員会に付託するの動議、議員松嶋喜作君、淺岡信夫君、加藤常太郎君、池田宇右衞門君、岡元義人君、北村一男君、矢野酉雄君を懲罰委員会に付託するの動議
ソース: 国立国会図書館
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