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1967/12/16 第57回国会 参議院 参議院会議録情報 第057回国会 予算委員会 第2号
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1967/12/16 第57回国会 参議院

参議院会議録情報 第057回国会 予算委員会 第2号

#1
第057回国会 予算委員会 第2号
昭和四十二年十二月十六日(土曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     田中 茂穂君     任田 新治君
     二木 謙吾君     内田 芳郎君
     柴田  栄君     北畠 教真君
 十二月十三日
    辞任         補欠選任
     熊谷太三郎君     塩見 俊二君
 十二月十五日
    辞任         補欠選任
     内田 芳郎君     柳田桃太郎君
 十二月十六日
    辞任         補欠選任
     羽生 三七君     村田 秀三君
     北村  暢君     久保  等君
     宮崎 正義君     北條 雋八君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         新谷寅三郎君
    理 事
                白井  勇君
                玉置 和郎君
                西田 信一君
                平島 敏夫君
                八木 一郎君
                小林  武君
                瀬谷 英行君
                小平 芳平君
    委 員
                青柳 秀夫君
                井川 伊平君
                大谷 贇雄君
                岡本  悟君
                梶原 茂嘉君
                北畠 教真君
                小林  章君
                小山邦太郎君
                古池 信三君
                西郷吉之助君
                杉原 荒太君
                任田 新治君
                内藤誉三郎君
                船田  譲君
                柳田桃太郎君
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
                岡田 宗司君
                久保  等君
                小柳  勇君
                鈴木  強君
                千葉千代世君
                中村 英男君
                村田 秀三君
                矢山 有作君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                北條 雋八君
                矢追 秀彦君
                中沢伊登子君
                春日 正一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  赤間 文三君
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  灘尾 弘吉君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   椎名悦三郎君
       運 輸 大 臣  中曽根康弘君
       郵 政 大 臣  小林 武治君
       労 働 大 臣  小川 平二君
       建 設 大 臣  保利  茂君
       自 治 大 臣  赤澤 正道君
       国 務 大 臣  木村 武雄君
       国 務 大 臣  木村 俊夫君
       国 務 大 臣  田中 龍夫君
       国 務 大 臣  鍋島 直紹君
       国 務 大 臣  増田甲子七君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       内閣法制局第一
       部長       真田 秀夫君
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務総局
       給与局長     尾崎 朝夷君
       総理府人事局長  栗山 廉平君
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       警察庁長官官房
       長        浅沼清太郎君
       防衛庁長官官房
       長        島田  豊君
       防衛庁防衛局長  宍戸 基男君
       防衛庁経理局長  佐々木達夫君
       経済企画庁調整
       局長       赤澤 璋一君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       科学技術庁長官
       官房長      馬場 一也君
       法務省刑事局長  川井 英良君
       法務省入国管理
       局長事務代理   笛吹 亨三君
       外務省アジア局
       長        小川平四郎君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省経済局長  鶴見 清彦君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
       大蔵省主計局長  村上孝太郎君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       大蔵省国際金融
       局長       柏木 雄介君
       文部省大学学術
       局長       宮地  茂君
       文部省管理局長  村山 松雄君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       厚生省援護局長  実本 博次君
       農林大臣官房長  檜垣徳太郎君
       農林省農地局長  和田 正明君
       食糧庁長官    大口 駿一君
       通商産業省通商
       局長       宮沢 鉄蔵君
       通商産業省貿易
       振興局長     原田  明君
       通商産業省企業
       局長       熊谷 典文君
       通商産業省石炭
       局長       中川理一郎君
       運輸省鉄道監督
       局長       増川 遼三君
       郵政大臣官房長  溝呂木 繁君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
       建設省計画局長  川島  博君
       自治大臣官房長  宮澤  弘君
       自治省行政局長  長野 士郎君
       自治省選挙局長  降矢 敬義君
       自治省財政局長  細郷 道一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水谷 国一君
   参考人
       日本銀行総裁   宇佐美 洵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度一般会計補正予算(第1号)(内
 閣提出、衆議院送付)
○昭和四十二年度特別会計補正予算(特第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○昭和四十二年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮崎正義君が辞任され、その補欠として北條雋八君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(新谷寅三郎君) 昭和四十二年度一般会計補正予算、昭和四十二年度特別会計補正予算、昭和四十二年度政府関係機関補正予算。
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長及び理事打合会におきまして、三案の取り扱いについて協議を行ないましたので、その要旨について御報告いたします。
 審査は、本日から開始して五日間といたしました。総括質疑は、十六日、十八日及び十九日の三日間とし、その質疑所要時間は三百二十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ百二十五分、公明党四十分、民主社会党、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ十分とし、その質疑順位は、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党、民主社会党、日本共産党、第二院クラブの順といたしました。
 次に、一般質疑は二十日、一日間とし、質疑所要時間は百三十五分、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ六十分、公明党は十五分とし、その質疑順位は、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党の順といたしました。
 二十一日の締めくくり総括質疑は、質疑所要時間九十九分、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ三十分、公明党十五分、民主社会党、日本共産党、第二院クラブはそれぞれ八分とし、その質疑順位は、日本社会党、自由民主党、公明党、民主社会党、日本共産党及び第二院クラブの順といたしました。
 以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 それでは、これより質疑に入ります。鈴木強君の質疑を行ないます。鈴木強君。
#5
○鈴木強君 私は佐藤内閣の政治姿勢、外交、防衛、それにただいま社会問題になっております今年度の年末調整、税金の問題について質問をいたします。
 まず第一に、液化石油ガス税の法案をめぐっての汚職事件が国民の前に明らかになり、国民はまたかという気持ちで憤激をすると同時に、この事態を見守っておると思います。したがって最初に、この事件の概要と今日までの捜査の状況、さらに今後の見通しについてお尋ねをいたします。
#6
○国務大臣(赤間文三君) 大阪タクシー事件の概要と、今日までの捜査の経過につきまして御説明を申し上げたいと存じます。
 大阪地検におきましては、大阪陸運局職員に汚職の疑いがあるという情報を入手いたしましたので、慎重な内偵を行なった結果、同局職員がタクシー業者から職務に関して供応、接待を受けたとの容疑が濃くなりましたので、捜査を始めたのが端緒でございます。そこで、大阪地検におきましては、前記供応、接待の容疑をもちまして、八月の十二日に大阪タクシー協会事務所ほか二カ所、八月十六日に大阪相互タクシー株式会社ほか四カ所、八月十七日に大阪相互タクシー専務の宅ほか三カ所、八月の二十一日に神戸相互タクシー株式会社ほか一カ所の合計十四カ所の押収捜索を行ないました。多数の証拠書類を押収をいたしました。その後、押収いたしましたきわめて多量の証拠資料と伝票と帳簿等を一々照らし合わせまして、点検するというような至って綿密、たんねんな調査を続けました。かつその間多数の関係者を取り調べまして、いわゆる不明金――金のはっきりしない不明金の測定につとめたのであります。ところが、その調査の過程におきまして、大阪陸運局職員にかかる汚職容疑のほかに、大阪タクシー協会幹部が、昭和四十年の二月、国会に提出をせられました、例の石油ガス税法案の審議に関して、国会議員に相当額の金員提供の申し込みをしたという容疑が生ずるに至ったのでございます。そこで、同年の十一月の二十四日、右の容疑をもって大阪タクシー協会長、またはその協会の理事である相互タクシー株式会社の社長、大阪タクシー株式会社社長、国際興業株式会社副社長、阪急タクシー株式会社社長、日本交通株式会社社長の以上五名を逮捕することとしました。四カ所の押収捜索を行ないまして、同月二十六日に右五名につきまして、勾留請求の上に、引き続き取り調べを行なったのでございます。その結果、前国会議員一名について容疑が濃くなったというので、同人を十二月六日逮捕して、同月八日、匂留請求の上で取り調べを行なうとともに、同人関係について五カ所の押収捜索を行なったのでございます。また、これと並行いたしまして、相当多数の参考人の任意取り調べを行なっているような状態でございます。十二月十五日に、さきに逮捕した贈賄容疑者五名については勾留期限がきましたので、処分を保留したままこれを釈放いたしました。
 以上が今日までの捜査経過の概要であります。検察当局においては、引き続きまして、多数の証拠資料を検討いたしますとともに、被疑者、参考人の取り調べを行ないまして、鋭意真相の糾明に努力をいたしておるという状態でございます。
#7
○鈴木強君 お話を聞きますと、八月十二日ころからのお話でありまして、少し捜査が長引いているように私は思うのであります。この間、私の情報によりますと、八月の十二口に大阪地検が大阪タクシー協会ほか、いまお話しのように三カ所の家宅捜索をやりました。で、地検としては、これに引き続いて直ちにこの業界幹部を逮捕する、そして九月中には問題の国会関係のところまで捜査の手を伸ばすという、そういう方針をきめたようでありますが、ところが残念ながら、法律関係の解釈上の行き違いもありまして、ついに最高検との調整がつかないままに業界幹部の逮捕がおくれた、こういうことがそもそもその捜査を長引かしている原因だ、こういうふうに聞いておるのでありますが、その点はいかがですか。
#8
○国務大臣(赤間文三君) お答えを申し上げます。
 捜査当局におきまして、いろいろと議論があったことはよく承知をいたしております。しかしながら、そのために捜査がおくれたということは聞いておりません。捜査が長引いた理由は、これは御承知のように、この事件は内容が非常に複雑微妙であります。なお、また、これは非常に慎重に捜査をする必要があるという、非常に内容複雑、微妙であるために私は捜査が延びたものと、かように考えておる次第でございます。捜査当局としましては、全部一体となりまして、この捜査ができるだけすみやかに、しかも能率があがるように、全力を尽くしておるという実情にございまするので、御了承願います。
#9
○鈴木強君 問題は、この事件を明らかにするためには、できるだけ早い機会に、その証拠があるならば関係者を逮捕するというのが常道でしょう。だから、そういうことがおくれております間に証拠隠滅とか、いろいろな問題が出てくると思うので、あなたが言うように、微妙だというようなお話でありますが、何か政治的な圧力でも加わったというような、そういうふうなことはないのですか。
#10
○国務大臣(赤間文三君) 他から圧力が加わったとか、そういうことは一切ありません。この事件は、あくまで検察当局の考えによりましてこの糾明をやって、しかも真剣にこの事件の重大性にかんがみまして十分やる、他からの圧力その他のことは一切ありませんから、御了承願います。
#11
○鈴木強君 法務大臣はそうおっしゃるが、国民の多数は、微妙だというようなことばで濁されておりますが、そういったことがかなりあったのではないかという疑義を持っておるということだけは、やはり私ははっきりしておきたいと思います。
 それで、いまここで、捜査の段階でありますから、私はこの個々の事案の内容について触れようとはいたしませんが、少なくとも、これは総理にもお尋ねいたしますが、こういう事件が出てまいりますことは、政治に対する不信をますます多くすることでありまして、絶対に私はいけないことだと思うのであります。共和製糖事件の起こりましたときの国会で、佐藤さんはかなり追及をされました。そのときにも、姿勢を正し、再びこのことのないようにと、国民に誓ったはずであります。ところが、またこういう事件が起きました。一体総理、総裁として、特に自民党の前代議士が逮捕をされ、そしてまた現役の代議士が数名取り調べを受けているというような、こういった事態に対して、どのような責任を感じておられましょうか、お尋ねいたします。
#12
○国務大臣(佐藤榮作君) 政治はもちろん国民から信頼される、そういうものでなければなりません、不信を招くような行為、それはあってはならないと思います。そういう意味におきまして、私は今回この種の事件が起きたことは、まことに遺憾に、残念に思っております。しかし、この種の問題が起きました以上、これはどこまでも検察庁独自の立場において、これを国民の納得のいくように処理をつけることだと、かように思っております。したがいまして、ただいまも、あるいは指揮その他のことがあるのではないかという疑いを持たれておるようでございますが、どこまでも検察当局の独自の立場でこれを進められて、できるだけ早くこの問題自身を適正に処理されること、これを心から願っております。
#13
○鈴木強君 実は、けさの新聞を見ますと、問題の關谷代議士の逮捕許諾については、請求を見合わせるような記事を拝見いたしました。これはまあ検察当局の態度でありましょうからわかりますが、しかし、こういうところにも、私は、やはりいま私が申し上げましたような非常に疑義を国民が持っておるということは、総理も十分承知してもらいたいと思う。
 そこでお話のように、こういう事態を起こすことはまことにまずいのであります。したがって、どうしてもいま一歩思い切った施策をやることが私は必要ではないかと思います。そこで、第一義的には政治家各個人が自覚をし、ほんとうに国民に信頼されるような言動をとることが私は第一条件だと思います。と同時に、いまの政治資金の規正についても非常に問題があります。だからこそ選挙制度調査会も答申をし、総理はこの前の国会で必ずこれは通すんだと、答申どおりに。ところがとうとう骨抜きになったその法案すら、自民党の反対で廃案になってしまったじゃないですか。こういうところに、やはり私はふんどしのゆるみが出てきていると思う。これじゃいかぬと思います。だから、き然たる態度で、規制するところは規制する、そういうことが私は必要だと思いますが、政治資金規正法の改正については、どうお考えでございますか。
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙制度調査会が政治資金規正についての答申を出されました。これは同時に、近く区制についての答申が出てくるだろうということも予定されたことであります。しかし、その区制の問題は明らかな答申を見ることができなかったということでございますが、しからばこの区制の答申が出るまでこれを待つのか、こういうような問題もあろうかと思います。しかし私は、この政治資金規正は、選挙制度調査会が区制の問題に先がけて答申をしたのでございますので、これとはやはり分離してこの問題を処理すべきだ、かように思っております。ただ、過去の国会におきまして苦い経験をなめておりまして、この案の提案、さらにまたその内容等につきましては、十分でき上がること、成立を期する、こういう意味におきまして十分検討を加えて、そうして通常国会に提案する、そしてその成立を期する、かような考えでございます。
#15
○鈴木強君 その担当である赤澤自治大臣のいままでの発言を聞いておりますと、総理の言われているような考え方と違うように思いますが、この際ひとつ明らかにしてもらいたい。
#16
○国務大臣(赤澤正道君) 私の発言がいろいろに伝えられておりますが、実は数カ月前に衆議院で私が与党を代表して演説をいたしました。その内容を一々出されて、いまはどう考えているかという御質問でございますので、私はいろいろそのときの心境を申し上げたわけでして、言うまでもなく、私は自民党の一員でありますとともに、佐藤政府の一閣僚でございますから、私見がいかんともあれ、これを成文化いたしますためには、どうしても党にもはからなければなりませんし、最終は閣議決定を経てきめますものでございます。ですから、私も国務大臣でございますが、聞かれれば考え方を申し述べることはやむを得ないと思います。しかしながら、私の私見そのものが、成文化されるものではないことは、御承知のとおりでございます。今後はこういったことはひとつ区別して、はっきり申し上げたいと思っております。いろいろ新聞に出ましたことは、私の衆議院における発言の内容でございまするので、そういうふうに御理解をお願いいたします。
#17
○鈴木強君 さっぱりよくわからないんでございますがね。要するに、私は私見を申し上げたんだと。しかし、国務大臣として、閣僚の一人であるから、少なくとも総理の言われるような考え方に同調して、担当国務大臣としてやっていくということなのかどうなのか、心境の変化があったのか、そこがはっきりしないんです。
#18
○国務大臣(赤澤正道君) 政界の粛正であるとか、あるいは政治のモラルを高めるということにつきまして、私かねてきつい考え方を持っておりました。総理も非常にきびしいお考えでございます。この際やはり全国民の要望にこたえる意味におきましても、私は真剣にこの問題と取り組みたいという決意を持っております。先ほどもまあ個人の発言と公人としての発言のことがよく問題にされますけれども、事の起こりをいま申し上げたわけでございまするので、私はこの問題に一つの決意を持っておりまするので、どうか今後にひとつ待っていただきたいと思います。
#19
○鈴木強君 よくわからないのですが、総理大臣は、いろいろ問題はあるが、とにかく次の通常国会に提案するようにすると。あなたはそれをそういうふうに確認するのですか、その線に沿ってやるということですか、どうですか。
#20
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま総理が申されましたとおりに、他の選挙法関係の案件とは切り離してでも、すみやかに成案を得て、次の通常国会に提案するつもりでございます。
#21
○鈴木強君 その際ですね、この選挙制度調査会が答申をしたとおりの内容にしていただきたいと思いますが、この点いかがですか。
#22
○国務大臣(赤澤正道君) 答申の趣旨はもちろん尊重いたします。がしかし、答申をそのままに法案化して、それを両院通過ということはなかなかむずかしい実情にございますので、やはり前国会の審議の経緯、またその発言の内容等もしさいに検討いたしまして、前向きにこの問題の解決をはかりたい、かように考えております。
#23
○鈴木強君 どうもわれわれが聞いておって、なるほどというふうな御答弁でない。これはまあひとつ総理その点を十分肝に銘じて、答申の線を尊重してあなたはやるということを何回も言明しているのですから、そのとおりにやっていただきたいと思いますが、どうですか。
#24
○国務大臣(佐藤榮作君) 御意見をよく拝聴しておきます。
#25
○鈴木強君 拝聴しておくだけではこれは困るので、私はそうしてもらいたいということですから、するかしないか、これははっきりしていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほども申しましたように、前国会の苦い経験がございますので、私は理想的なものができることが望ましいこと、これは事実でございますが、しかし、やっぱり現実の問題としては、まず成立しなければ目的を達しないのでございますから、そういう意味で成立さす、十分に自信の持てるものをつくる、こういうことで取り組みたいと思います。したがいまして、御意見をよく拝聴して、皆さま方の御意見にもよくくふうをこらすようにいたしたいと思います。
#27
○鈴木強君 まあこの汚職の根源を断つというなればき然たる態度でやはりやってほしい。そのためには、せっかく選挙制度調査会が答申をした一応の案が出ているわけでありますから、その案をやはり実現できるように総理としては最善の努力をしていただきたい。これは私の重ねての強いお願いとしてあなたに申し上げておきます。
 それからまたもう一つ、次に外交に入りますが、外交に対する総理大臣の姿勢ですが、外交は超党派的にやってほしい。これは国民の願いだと思います。ところが日本の場合にはなかなかそうしかくいっておらない。こういうところに国民は不安を感じていると思います。そこで私はこの機会に、総理大臣が外交問題に対して、できるだけ社会党を中心とする野党についても時間をとってひとつ話をしてもらいたい、私はこう思うのです。そういったやっぱり接触の機会がなく、しかも外交は政府にあるのだという、外交権は、こういうところから秘密主義をどうしてもとっていくような傾向になるわけでありますから、そういうことになりますと、なかなか問題は国民の前に明らかにならない。したがって、できるだけ接触を多くして、時間をかけて重要な問題については話し合いをしてもらいたいと思いますが、この点いかがですか。
#28
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ外交を政争の具に供するということは望ましいことではございません。外交は申すまでもなく国のため、国民のため、国益を代表して行なわれるものであります。そう考えますと、やはり超党派で話が進むべきだと思います。しかし、なかなかわが国の場合においてはそのとおりにならない。私は、この沖縄返還の問題と真剣に取り組む、しかし私の訪米をやはりはばむ者もあるわけでございます。したがいまして、各党と事前にいろいろ打ち合わせをいたし、御意見もよく伺って私は出かけるつもりで、虚心たんかいに、謙虚に各党ともひざを交えて話し合いいたしました。その点では、今回は初めてのことであったが、たいへん私は成功したのだと一応実は喜んでいたのです。しかし、いざ私が出発しようといたしますとそれが分かれてきたと、ここらに私はまことに残念に患うものがあります。さらにわが国の防衛体制というか、さらに一方安全確保の点については、各党にそれぞれの考え方が相違をいたしております。これを、相違したこの姿、それで私は安全確保と取り組まなければならない、ここらにもむずかしさがございます。いま抽象的に言われることは、私にわからないではございませんけれども、現実には必ずしもその線のとおりにいかない。お互いに外交論争を水ぎわでとめる、こういうことでありたいというように私は思っております。
#29
○鈴木強君 総理は、アメリカに行くときに妨害をする動きも出てきたんじゃないだろうか、こういうお話です。それは現実にございました。しかし、私はやはり、そういう一つの現象をとらえるだけでなくて、もっと大局的立場に立って外交政策というものを推進すべきだと思うのです。ですから、できるだけ時間をかけて話し合うということ、これはけっこうだと思います。そしてもちろん野党側の意見もいれて、そうして皆さんの考え方の中にどれだけわれわれの意見がいれられるかということはそれは相談の上だと思いますが、そういうこともあるでしょう。それからまた全く平行線の場合もあるでしょう、これは。そうであっても、私はやはり話し合いをするということはむだではない、こう思います。コスイギン首相とジョンソン大統領がひざを交えて話し合うという、そういう機会が現実に展開されているじゃないですか。そのときにコスイギンさんは、平行線であったけれどもやはり話し合いをしたことは意義があった、こう言っているのですよ。それは総理にもわかるでしょう。だから、そういう意味において、私はやはり相当の時間をかけて――三十分とか四十分なんてそんなけちなことを言わぬで、やっぱり問題によっては一日でもひざを交えて話し合う、そうして問題点はどこにあるかということをやっぱり明らかにするという、そういう姿勢を私はぜひとってこれからの外交政策を推進してもらいたい、これが私の願いなんですね。そういう意味で、あなたにもう一ぺんお答え願いたい。
#30
○国務大臣(佐藤榮作君) 一国を代表する米ソの会談とはこれは違うので、いま国内の問題で、国内をそれぞれの独立国のように、自民党と社会党とこれがそういう立場で話し合うべきではないと、私はかように考えます。このコスイギンとジョンソン大統領の話は、不適当ではないだろうかと思います。私はいま申し上げたように、鈴木君の言われるように、できるだけ時間をとってもっと話し合えとおっしゃる、この御注意は私もよくわかります。しかし、最終的にこの意見が一致しない場合その責任は一体どこにあるのか、これはもうはっきり政府にあるのだと、そういうように思いますが、しかし政府にあるからといって最初から国民の、野党第一党の意思を無視して進んでいくという考えはございません。比較的話がうまくいったと思いますものは、いわゆる核不拡散条約、核拡散防止条約等については、これは大体目的が同一でありますので、話し合いはわりあいに順調に進んでおります。しかし、事柄が今回の訪米にあたりましてはなかなか複雑でございましたので必ずしも一致しなかった、かように思います。しかし、これをさらに時間をかけたらもっといい結果になっているであろう、かようにお考えになりますことも、私にわからないわけではございませんから、将来ひとつ気をつけてまいりたい、このように思います。
#31
○鈴木強君 そこで、問題の日米会談についてお伺いいたしますが、総理は一体この日米会談に臨むに際して一番何をねらいにしておったのでございましょうか。
#32
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、私の考えが一つか二つか、またどちらが問題かというのが、実は皆さんの聞きたいことのようでございます。と申しますのは、今回アメリカに参りましたのは、申すまでもなく、沖縄、小笠原の返還問題、この祖国復帰の問題、これが第一の問題であった。同時に、私はわが国の安全確保の大きな使命を負わされている。この復帰については、各党間において問題なしに差はございません。とにかくできるだけ早く、まあ表現のしかたとしては、即時全面無条件返還、こういうことを言っておる党もありますが、とにかくできるだけ早く返せという、そこにもう尽きるんだと思いますから、これではそう違いがあるとは思いません。しかし、安全確保という問題になりますと、これはずいぶん違っておる。過去の防御論争でも、私どもみずからの手でみずからの国を守る。しかし、憲法のもとで――自分たちか自分の国を守るのですから、憲法のもとの制約は当然受ける。さらにその上に、憲法にはないけれども、あるいは原子力基本法等、その他の自衛隊法等でもちゃんと制約を受けておる。こういうことでございますから、国を守る方法としても、それぞれ制約がございます。しかし、もう最初から、自衛隊はこれは必要なものじゃないんだ、これやめろ、こういう考え方の政党もあるし、私どもは、自衛隊だけじゃ不十分だ、この核の谷間にある日本の安全確保をするためには、さらに日米安全保障条約、これはもう絶対必要だ、かように考えておる。そうしたところが、やはり日米安全保障条約はこれは戦争への道でとんでもないことだ、こういうように安全確保の方法については各党それぞれの主張がございます。ここにむずかしさがあるんです。これはやはり国民の統一した意思表示というものに実はなっておらない。しかし私は、国民大多数の意見が、ただいまの自民党がとっておる、また私どもがとっておるこの政策を支持されるものだ、これはもう国民大多数の意見だ、かように私は考えておりますので、その線で交渉したわけであります。この交渉、この二つが同時に実施できるものではないのか、これは並存できるものではないのか、片一方のために片一方が実現しない、そういう二者択一の関係にあるのではないんじゃないのか、かように私は実は思いましてアメリカとの交渉に臨んだ、こういうのでございます。どうも私は、どちらを先にするのか、あるいは二者択一の関係にあるのではないか、こういうような質問をしばしば受けますが、私はさようには考えておりませんので、これは二つを同時に目的を達することが私に課せられた責務である、かように考えておる次第であります。
#33
○鈴木強君 会談をなさるときに、安全確保の問題について当然触れられたと思うのでありますが、特に沖縄返還との関連で衆議院段階の論議を聞いておりますと、総理は、沖縄に核基地のあることを知らなかった、こういう御発言をなさった。その次に今度は、想像ではあると思う、こういうように発言が変わったのでございますが、それは少なくとも十二月の十二日以降のことでございます。会談は十一月の十四、十五に行なわれておるわけでありますから、日米会談当時に沖縄に核基地のあることは総理は知らなかった、こう国民は理解をしておるのでありますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
#34
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、アメリカが施政権を持っております沖縄についてアメリカ自身がどういうことをやっておるか、それを正確に報告を受けておりませんし、またそれについてのはっきりした資料を持っておるわけじゃありません。したがいまして、責任ある立場におきまして私が当時、沖縄の実情は知らない、かように申したのでございます。しかし、その後さらに防衛庁長官からも御注意がございますし、また皆さんからのいろいろのお指図等もございますので、私どうも不親切な答弁では皆さんも納得されないのだ、だから、ただいま申し上げますように、想像は、ただいま核基地があるだろうと、かように想像する、かように申したような次第でございます。
#35
○鈴木強君 ですから、いまはそう想像されておりますが、会談当時は御存じなかったんでございましょう。
#36
○国務大臣(佐藤榮作君) 会談当時は、ただいま申し上げますような、何といいますか、責任ある立場において私が知らないということは言える、かように思います。しかし、その想像自身、また防衛庁長官のサゼストがなくとも、一応想像しないわけではない。これは、私たいへん不親切な答弁だということをいま申しましたが、そういう意味で衆議院における答弁を修正さしていただいたのでございます。
#37
○鈴木強君 そうすると、会談のときにも想像はしておったんだと、こういうことですか。あのときはもののはずみで、取り消せとこう言ったから、いや取り消すならおれは知らぬのだ、こういうふうに言ったように私はちょっと場面を見ておって感じたんですが、もののはずみだったんですか、は、ずみで言ってしまったんですか。
#38
○国務大臣(佐藤榮作君) まあはずみというわけでもございませんで、とにかくこれは責任ある立場の者が責任ある答弁としては、これは私はやむを得なかったと、かように思っております。
#39
○鈴木強君 しかし、総理、そうは言いましても、少なくとも総理は日本の国防会議の議長をなさっておりますね。そして、日本の国をあなたが言うように守るとするならば、一体日本を取り巻くこの各地域にどのような軍備の配置がなされておるのか、こういうことを知るのが私は戦略、戦術の第一歩だと思うのです。しかも、私いろいろ調べてみましたが、すでにこの質疑は何回も国会の中でやられております。そして特に、総括質問の際に増田防衛庁長官が、「御指摘のとおり、ただいまはメースBというものが配置されている」、このことはことしの四月二十八日の衆議院予算委員会でも言われておるわけであります。そのときに総理大臣が生理的な現象で席を立たれておったかどうか、それはわかりませんが、まあ議事録を見ると、御出席になっておるようになっているのですから、まさか総理がそれを聞かずにおったということもないでしょうが、また、ここにあります防衛年鑑も毎年われわれいただいておりますが、この中を拝見しましても、やはり核ミサイルを主要国がどういうように持っているかという現状が載っておりますが、その中の四三一ページに、メースBが沖縄に配置されているということがはっきりと載っているのであります。そういうことはもちろん、施政権がアメリカにある以上は、あなたに正式にアメリカから通告があるはずはございません。通知があるはずはございません。安保条約の範囲外ですから、事前協議の対象にならない。したがって、そういうことがないのはわかっているのです。だけれども、国民が受けた感じは、いかにも総理の立場、国防会議の議長たる立場にある総理として、もしあのときそれなら、私は想像としてはあることを知っている、こういうふうにお答えになればよかったじゃないですか。それを全然知らぬということを言うものですから、これはたいへんたことが起きた、日米会談は御破算だと、やはりこういうふうなところまでみんなが考え、思ったと思うのです。そういう配慮を、私は非常におそれているのです。そういう意味で、端的に総理の考えを明らかにしていただいて、国民に納得していただかなければ、防衛問題を論ずることはできないと思いますから、私は重ねて聞いているわけです。
#40
○国務大臣(佐藤榮作君) 当日は、ただいま御指摘のとおりでございます。しかし、すぐあらためて翌日その点が明確になりましたから、御了承いただけるだろうと思います。
#41
○鈴木強君 それでは、日米会談に臨むにあたってのあなたのねらいはわかりました。そこで、基本的に安全保障の問題について一体日本はどうあるべきかという態度を持って私は会談に臨まれたと思いますが、その態度をひとつここでお示しいただきたいと思います。
#42
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど御説明申し上げましたように、私どもは、憲法のもと、また各種それぞれの法律のもと、これを守る。そうして国力、国情に応じた自衛力を持ちたい、その形で今日国内の自衛力の整備をはかっております。これだけでは不十分でございますから、アメリカと安全保障条約を結んで、そうしていわゆる核のかさ、アメリカの核のかさのもとにわが国の安全を確保している、これが今日の状況であります。また、この状況のもとにおいて私どもはいましばらく続いていくことが望ましいのではないか、かように考えております。これは、しばしば申し上げております、日米安全保障体制を続けていく、堅持する、こういう表現をいたしておりますから、いわゆるこの体制を、現在もそうだが、今後もこれを続けていく、こういう態度で臨んだのであります。前回のジョンソン大統領と私会いました際、また今回も同様でありますが、アメリカは日本の防衛についてどういうものをどの程度に考えているか、言いかえるならば、通常兵器による攻撃に対して日本を守るということだけなのか、さらにまた、あらゆる武器をもっての攻撃そういう攻撃に対して日本を守るのかということを聞きますと、あらゆる攻撃に対して日本を守る、米国の力をもって可能な範囲において守るということを申しております。いわゆる核の攻撃に対しましても日本を守ってくれるということでございますので、これが基本的な考え方であります。
#43
○鈴木強君 そうしますと、安保条約に対する考え方は、日米の間にきまった考え方は、総理のおっしゃるように、現行の安保体制というものを長期固定化していくということが一つですね。しかし、この中にお話のような核の脅威に対してどうするかという問題が出てきたわけです。その場合に、あらゆる攻撃に対してということになりますと、核問題を含めたやはり当然安全保障ということが言えると思います。ですから、われわれがことばをかえて言うならば、核安保体制というのが適当かどうかわかりませんが、いままでの安保体制を固定化すると同時に、さらにこれを拡大していくということも考えられるでしょうし、具体的にはいま言ったような核の問題についてもやはり今後相当この中に入ってくるというふうに理解していいのですか。
#44
○国務大臣(佐藤榮作君) 間違いないようにお願いしたいのは、日本の持ち得るもの、また日本がそれを持ち得ないから日米安全保障条約でこの日本の防衛を補っている、そういうように考えていただけばいいのであります。いま核安保条約ということばを使われましたが、私は核安全保障条約という意味でもないと思いますが、とにかく日本が攻撃を受ける、そういう場合において日本を守ろう、その攻撃の手段はどういう手段でも、とにかくあらゆる手段に対して日本を守ってやろう、これが安全保障条約のねらいだ、目的だ、かように御理解いただけばいいと思います。
#45
○鈴木強君 日本は核兵器はつくらないし、またつくらなければ当然使わないし、それからまたアメリカの軍隊が日本に核を持ち込むことも絶対に認めない、こういう態度は従来と変わっていないわけでございますか、総理のいまの御発言から。
#46
○国務大臣(佐藤榮作君) 現在におきまして、お説のとおり、いわゆる核三原則といわれているものがある。核兵器は持たない、核兵器は製造しない、核兵器は持ち込みを許さない、いわゆる核の三原則ということが今日いわれております。これのもとにおいての話でございます。これは、もうすでに確認もしておられるように、原子力基本法でははっきりしております。核の平和利用は認める、しかし軍事的利用は認めない、これは禁止されております。そういうようにはっきりした国内の条文でもございますから、その点では誤解のないように願いたいと思います。
#47
○鈴木強君 表向きなことはわかりましたが、実は私ちょっと心配されるのは、十月十二日に下田大使があなたのジョンソンとの会談の打ち合わせに日本に帰られて、ワシントンに今度また帰任されたときに、ワシントンでこういうふうに言っておりますが、沖縄返還に対する日本の態度の中で、日本が闘争的な姿勢をやめるということが一つ、米国及び同盟国共通の良識の線に立つということ、これが二つ、それから極東の安全保障という観点に立って沖縄を考える、この三つが大体政府の考え方としてまとまって、この線でジョンソンとの会談に臨むことになろうというような説明をしておるのですが、こういうことは事実だったのですか。
#48
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いま日米の置かれておる環境、その中で沖縄、小笠原問題を解決しよう、言いかえますならば、親善友好の関係を増進する、この立場においてこの問題を解決していこう、いわゆる闘争あるいは談判というような形ではなくして、ほんとうに相互の話し合いによって、友好親善関係がそこなわれることなしにこれを片づけようというのが、私のねらいでございます。私が出かける際に、しばしばその点を申し上げたところであります。下田君にもそれはわかっておると思います。
 また、その次の問題といたしまして、わが国の安全、平和、これはしばしば言われておりますように、極東の安全、平和、繁栄、これとのうちにおいての日本の安全、平和、繁栄、こういうことが望まれる、こういうことを申しておりますので、極東の情勢についてはもちろん十分考えていかなければならない。また、国論の動向、これを無視してやるべき筋のものでない、これもまた当然でございます。したがいまして、そういうような三点について率直な意見を述べておるのではないかと、かように私は思います。
#49
○鈴木強君 総理は沖縄の問題についていろいろ御苦労されたことはわかりますが、結果的には沖縄はいま返ってくるというめどがつかぬわけであります。非常に遺憾に思いますが、そこで私は、この問題について衆議院のほうでもいろいろやっておりますから、問題点だけを摘出して伺っておきたいと思いますが、結局、アメリカに核基地というものがあるわけです。そしてこの核基地を含む沖縄が極東の安全を守るための重要な基地になっておる。これはまあベトナム戦争の基地になっておることも事実なんです。したがって、こういう場合に、たとえば中共の核の脅威、こういうものを盛んに言われておるわけですが、その中共の核の脅威に対して、一体沖縄というものは抑止力というものを持っておるというふうに判断をして総理はおるのでございますか。
#50
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、まあ沖縄をアメリカが施政権を持っておる限りにおいて、アメリカが軍基地として沖縄で果たしておる役割り、これは確かに抑止力があると、私はかように考えます。これは、アメリカが施政権を持っておる、またその立場に立って基地を整備しておる、こういうことだと思います。
 ところが、沖縄の返還が実現する、そういう際にどうなるのか、こういう問題になりますと、これはただいままで私は白紙で臨んでおる。これは返還のその時期にきめればいいことで、いまからとやかく言ってその方向をつける、これは無理なんです。これこそが、一国の安全確保というものは、一つの方法をきめて、そして安全確保の道をたどることは、なかなかむずかしいことでございます。これはもう安全確保は、申すまでもなく、国際情勢の変化もありましょうし、世論の動向もありましょうし、また科学技術の進歩もあるでしょし、それらによりまして随時にその安全確保の最善の道はそれぞれ変わってくるものである、かように考えますから、私は、この返還の時期はいましばらくありますので、その際に考えればいい、両三年内にアメリカが沖縄を返してくれる、そういうめどをつけることがまず第一だと、これを強く要望したのであります。これらの要望と、軍基地として沖縄が果たしておる役割り、これは双方ともに認識しておりますから、そういう意味で、今後沖縄を返還するという考えのもとに、継続的に両国で共同的に合議し、協議をはかっていこうという合意に達したのであります。そこで私は、沖縄は必ず返ってくるという確信を得た、あるいは二、三年のうちに、そういう確信に到達したということをしばしば申し上げておりますが、ただいま申し上げますように、この返還方式、そのときの基地のあり方等を今日からきめてかかることは、それこそ、今後の情勢の推移なり、あるいは科学技術の進歩なり、世論の動向なりを無視することにもなろうかと思います。そういう点では私は、慎重にものごとを考えるべきだ、かように実は思っておるような次第であります。
#51
○鈴木強君 お説を聞いておりましても、やはりまず第一点として問題になりますのは、あなたが沖縄の返還について両三年内にめどをつけたい、そういうお話をした。しかし、これに対してはっきりそうだというジョンソン大統領の確言はないわけですね。むしろ、われわれがいま外国から来る電報を拝見しておりますと、きのうも米下院外交委員会のアジア太平洋分科会のザブロッキー委員長というのが、現状では沖縄返還は不能と演説をしておる。それから、ワシントン発の十一月十五日のロイター通信等を見ましても、沖縄はおそらく、ベトナム戦争が終結をするか、あるいは中国が極東に平和と安定の復帰を許す場合に認められるであろう、こういう意見を述べておりまして、電報が参っておりまして、いずれも両三年内にめどをつけるというあなたの考え方が否定的になってきておるという事実をひとつぜひ知ってもらいたいと思うんですね。ですから、その辺はなかなか国民として非常に理解ができないところだと思う。それから核基地の問題についても、あなたはそのときになって返還のめどがついたときにやればいいんだとこうおっしゃるが、私はそれは論理的に非常に矛盾を感ずるんです。おそらく、いまから私質問しますが、核基地を持つ沖縄の極東における戦略体制、重要基地としての使命というものは、これはゆるがぬと思うんですね。そうなりますと、沖縄のこの基地をどうするかということがもう話にのぼらない限り、めどのつけようがないんじゃないですか。そんなに簡単に、いつそれじゃ返りましょうと、それじゃ返すときになってから基地の問題を話しましょうなんという、あなたの言うような、そんなことで私はアメリカが持ってくるとは思わぬのです。これは国民が聞いておって、そこが非常にわからぬところなんです。ですから、私はもっと端的に、あなたが行かれて、そうしてこれこれこういうふうに沖縄をして、そうして日本に返還してもらうんだという、そういった態度がなければ、これは非常にいかぬことだと思うんです。もちろん、いまいろいろあなたが言うと、相手方に対する影響や、国内における世論の動向等を考えないといけませんでしょうから、あなたは国防論をぶったら、自分の国は自分の手で守れというようなことを言ったり、核の安保体制を言ったりしておるんだと思うんですがね。国民的な合意を得るという、そういうような一生懸命あなたがやっているときだから、それは言えないんでしょうけれども、それはちょっと見えすいているんですよ。そんなことを言ってみたって、国民は信用しない。だから、そこらをもっと、どうですか、端的に国民に表明したらどうですか。要するに、いまの段階で沖縄の基地というものはゆるがすことのできない重要な立場にあるんだ、これを解決しない限りにおいてはどうにもならぬ、こういうことでしょう。
#52
○国務大臣(佐藤榮作君) いまザブロッキーその他の言を御披露になりましたが、ただいまのようにベトナム戦争が続いておる限り、沖縄の果たしておる役割りはたいへん大きいんですから、これはそう簡単に私は解決するとは思いません。しかし、ベトナム戦争はいつまでも続くだろう、未来永劫続くだろう、そういうものでもないでしょう。これはそのうちに変わってくる。だから、この点は、現状においてはこういうものを出すことが一体いいのかどうか。国際情勢を百も承知なら、こんなときに沖縄問題を持っていくのは、佐藤はどうも国際情勢に対する感覚がないんじゃないか、こういうようなおしかりも実は一部受けたのであります。アメリカへ行って交渉するのは悪いときじゃないか、いまベトナム戦争が行なわれておる、そのときに返すはずはないじゃないか、こういうことを言われた人もあります。また一部においては、アメリカの大使も言っておりましたが、ちょうど日米協会が二、三日前にありました。そのときもアメリカの上院議員がたくさん来ている。また議員の連中が、どうして日本はベトナムに軍事的に協力しないのか、こういうことを言っておる。私どもがあれだけ声を大にして平和憲法を申しましても、これがわかっておらない。アメリカ大使自身が、どうもこの程度の理解ではほんとうに困るのだ、こういうことを実は申しております。これは、もう、いま日本は軍事的に介入はしないんだ、介入はできないんだ、このことを百も承知であるべきアメリカの政治家が、なおそういうことをおっしゃる。こういうことを私はまことに残念に思います。だから、わが国におきまして、しばしばそういう点で誤解を受けて、佐藤は盛んに憲法を守る守ると言っておるけれども、軍事的に介入するんじゃないか、こういうような疑問を投げかけられますが、これはアメリカばかりでなく、日本の国内にもある。これは明確にしなければならない。
 もう一つは、今度のような、あんな沖縄問題で非常な前進を見た、小笠原が返ってきた、何か密約があったのだろう、密約がなければあんなものはできるはずがない、この説であります。これも考え方によってはいかようにもとれることでありますが、非常に成果が大きかったが、密約なしにはそんな成果は果たせなかったのだ、そういうような見方もありますし、あるいはまた、アメリカの思うなりになってきて、何かアメリカに約束をしておるのじゃないか、こういうような疑問もあるようであります。しかし、私どもは、そんなことは一切ないのである、あの共同コミュニケ以外の何ものもございませんということを声を大にして申し上げておりますが、事柄の性質上こういうことについてはたいへんわからないのであります。いま、ただいまの基地のあり方についてのお話でございますが、私がよほど回りくどい話をしておる、そうじゃないのだ、もっと率直に事実をお話しになったらどうですかと言われますが、しかし私は、ただいまのところ、この基地については全然白紙で臨んでおります。だから、沖縄返還問題について、この考え方は私のことばどおりひとつとっていただきたいと思うのであります。もちろん、外国の例などもしばしば引き合いに出しております。欧州における問題なども、軍基地の重要性からもちろんでありますが、しかし同時に、施政権をどこまでも要求しているかというと、そんなことはないのであります。したがいまして、私は、軍基地についてのいろいろの考え方が一致すれば施政権返還の問題が片づくと思います。この軍基地に対する考え方の相違、これは現状においてはありますけれども、今後の国際情勢の変化によってはこれはまた変わってくる、かように私は期待するものであります。そういう意味で、まだ、返還がもうすでにきまったというんならともかく、二、三年のうちに返還のめどをつけようというのでありますから、そのめどがついてから、それから後さらに四、五年と申しますか、あるいはもっと近い機会、三年ないし四、五年のうちにそういうものがきまるのでありますから、そう考えますと、まだ相当の期間がある。したがって、今後の変化等がある際、私は一つの方針をきめて、それを真一文字で臨むことは、今後の進歩、国際情勢の変化、これを無視することにもなる、かように私は思っているので、ただいま白紙だということを申しておるのであります。
#53
○鈴木強君 このめどをつけるというお話でこれからやられるんでしょうけれども、来年の秋にはアメリカの大統領選挙があるわけですね。その前になかなかそういう話に入り切らぬのじゃないだろうかという心配が一つ伝わっているのですけれども、これについてはどうですか。
#54
○国務大臣(佐藤榮作君) これも見方の問題ですね。あるいはただいま直ちにそのことに入るというのは困る場合もありましょう。しかしまた、選挙とは別に、極東の平和、安全のために態度をはっきりさす、こういう意味でどうしてもやらなければならないのだ、こういうふうに考えることもあろうかと思います。また、来年の選挙でジョンソン大統領がどうこうあるのじゃないか、だからいまの共同コミュニケにそこまではっきりしなかったんじゃないか、こういうようなお話も聞きますが、共同コミュニケは、これは両国政府の首脳者、最高首脳者の意見、方針を明示したものであります。したがって、私がどうなろうと、またジョンソン大統領がどうなろうと、両国の首脳者としてのこの共同コミュニケ、この両国を縛っておるそのものは変わりがない、こういうふうに私は理解しております。これは私がかわりましても同様なことが言えるのでありますから、それは同じことだと思います。
#55
○鈴木強君 それで、どうしてもこれはやっぱり固執したいのは、返還の方式についておっしゃるけれどもね、これはやっぱり早く何とか明らかにしてもらいたいと私は思うのです。
 そこで、もう一つお伺いしたいのです。いまも御答弁の中で触れられているように、まあ、これは国際情勢の変化もあるだろうし、それから科学技術の発展に伴って防衛の状態も変わってくるだろう、こうまあおっしゃる。そこでですね、いまポラリス潜水艦を中心にして陸上の核基地と同じような効果をねらう兵器が開発されているようですね。ですから、あなたがよく前からも言われておったのですが、将来沖縄の核基地というものはそういうものに取ってかわるような情勢というものがジョンソンとの問で話があったのでございましょうか。やはり、いまわれわれが常識的に考えるのは、一番早く返してもらいたいというならば、アメリカの核をつけたその基地そのものを日本が認めて、そうしてよろしいとこう言えば、これはもうあしたからというわけにはいきませんでしょうけれども、返還の可能性は一番多いわけでしょう。そのこととの関連で私は科学技術の発展ということをあなた言われましたからね、どういうような情勢を分析しているのか。
#56
○国務大臣(佐藤榮作君) これは私がただ、いま申し上げるいわゆるこの基地をめぐる環境としていろいろなことが考えられるという例を申したのでありまして、そういう点までもちろん話し合ったわけでもございません。しかしまた、しばしば言われておりますように、防衛体制、これはもう自衛権はあるのでございますから、この防衛体制についてのいろいろなくふうがわが国でもなされるだろう、このことを考えていくべきだと、かように思っております。
#57
○矢山有作君 ちょっと関連。先ほどの総理の御答弁に対してちょっとお伺いしたいのですが、沖縄返還のめどがついて後にですね、沖縄返還の方式について決定すればよいのだと、だから、核の扱いをどうするかということについては相当考える余地がまだあると、こういうふうにおっしゃったと思うのですがね。これは私は、最近の外務省の見解からかなり食い違っているのじゃないかと思うのです。外務省の見解はですね、その返還のめどがつく段階には、もうその核の扱いについてはですね、合意に達しておらなきゃだめだろうと、こういうことが言われておる。このことに対しては、木村官房長官も、それを肯定するような発言をされたことが新聞紙上に載っております。そうすると、これはですね、外務省の見解あるいは木村官房長官のそれを肯定するような発言と、いまの佐藤総理の発言とは、相当な食い違いが出てくるわけですね。一体この点はどうなんですか。
#58
○国務大臣(佐藤榮作君) これは私、矢山君にお答えいたしますが、まあ、鶏が先か卵が先か、こういうような問題じゃないかと思います。この沖縄の返還、同時にその基地のあり方、ともに合意に達しないと早く片づかない、これはもうそのとおりであります。でありますから、まず返還はいついつまでにしよう、それじゃ、ついてはどうしようと、こういうようなことじゃなしに、これはやっぱりいろいろな考え方が出てきて、そうして交渉が持たれる。それがその共同しての協議というようなことになり、そうして意見が一致すると、こういうことじゃないかと思います。したがって、私の表現も、また外務省の表現も、それぞれ正確さを欠くものじゃないだろうと思います。私が申しまするように、まあ、そういうような返還の時期になれば、もちろんそういうふうなこともはっきりするのだ、こういうことを実は申しておるので、ただいまの状態から一つの予定したこの前提をきめて、そうして交渉にかかるような筋のものではないだろうということを私は申しておるのであります。
#59
○矢山有作君 関連ですからあまり長くやりませんが、総理のいまのお話でははっきりしないんですよ。外務省の考え方は、両三年のうちに返還のめどが立つというんでしょう。その返還のめどが両三年のうちに立つ、それまでには沖縄の核をどう扱うかという問題については、すでに合意に達しておらなければならぬ、こう言っているわけですよ。あなたのほうは、そのめどがつく段階で合意に達しておる必要はない、返還の合意が行なわれて、その後に核をどうするかという問題をまた考えればいいんだと、こう言っているんですよ。ここには表現のわずかな食い違いどころじゃない、考え方の根本的相違があるんですがね。それはあやふやな答弁でなしに、一体どちらなのかはっきり言ってもらいたい。私はこう考えます。少なくとも沖縄の重要性というものを、核基地を含めて日米の首脳の間で合意した以上は、現在のアジア情勢の中から考えて、返還のめどを立てる両三年のうちに、核基地の扱いをどうするのかということが合意に達しないで返還の時期というものをきめることはできぬと思います。だから、その辺をはっきりしていただきたい。
#60
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、ただいまのように、合意が達成できないとめども立たないことになるだろう、かように私も思います。しかし、ただいま申し上げているのは、この核基地を承認するということを前提にして交渉するか、あるいは、核基地は絶対にないことにして交渉するのか、そういう点が、国際情勢の変化もあり、また、今後の問題もあり、世論の動向もありということでございますから、その一つにきめてかかることはこれはよろしくない。これは流動的で初めてわが国の安全確保ということができるんだということを私は盛んに申し上げております。
#61
○鈴木強君 いまの点は私もお伺いしたい一番大きな点だったんです。それで、あなたがさっき科学技術の発達によってと、こうおっしゃったから、私は、あなたがいま言われたように、沖縄の核というものが、近い将来ポラリス潜水艦あるいは長距離弾道弾等のそういった兵器によって補なわれることになれば、いまの基地の変更ということもこれはあり得るわけですね。ですから、そういう見通しがジョンソンとの間に行なわれてきたとするならばいまあなたがお答えになったようなことも私は一つの想定として出てくるんですよ。そうでしょう。ところが、核基地をなくした、核基地が去っていったその中で交渉するようになるのか、あるいは核基地がある中で交渉するようになるか、こういうお話なんです。したがって、たとえば一年以内に他に移動できるような情勢が科学技術の発展のためにあるというならば、これは一つの話になるんだが、われわれとしては、なかなかそうはいかないだろう、したがって、核基地というものを認めた上においての話でなければ向こうは応じないだろう、こういうことを私は言ったわけですからね。そこのとこら辺の情勢は話に出たんですか。それをあなたは答弁しておかないから困る。
#62
○国務大臣(佐藤榮作君) ここで日本の安全確保の問題が出てくるわけです。(「大事な問題だ」と呼ぶ者あり)大事な問題なんです。いまの状態が、いまのような沖縄の基地、あるいは日米安全保障条約による日本国内の施設、地域等がはたしてわが国の万全を期しておるかどうか、こういう問題が一つある。さらに、これはたいへん余裕のある状態なんだ、だから、もっと日本の安全を確保するのにはこれはここまで後退してもよろしいというものがあるかどうか、そういう点がいろいろ考えられます。もし後退すれば、取ってかわるような施設は何があるのかとか、いろいろそこらに問題があるのであります。でありますから、問題はやっぱりわが国の安全確保、これもやはり大事なことなんだ。沖縄を返してもらいたいんだ。しかし、沖縄は返してもらいたいが、同時に、日本の安全をそこなうような、弱体化するようなことは困るんだ。したがいまして、私が盛んに申しておりますのは、この点では白紙の状態であります。これはやっぱり日本の世論の動向ももちろんございますから、それらのものももちろん見きわめてやらなきゃならぬ、かように私は思っておる。問題は、これはちょうどいい点をお尋ねいただいたのですが、沖縄の返還ということと、それから、片っ方で日本の安全を確保する、この二つの問題が私はどうしても大事な問題だと。同時に、その目的を達しようとしている、したがいまして、これが非常に安全確保にはいま十二分あるいは二十の力があって、十割以上の力があるから、そんなものはもう、少し弱めても差しつかえないのだ、こういう結論が出れば何をか言わないのですね。いまのままでなくてもよろしいのですね。これは御了承いただけるだろう。しかしながら、そういうものでなくて、もっと日本の安全確保のためには強いものが必要だということになると、これから科学技術の変化もございましょうが、取ってかわるようないい方法があるのじゃないか、また、それにしても世論は一体どういうふうに動くのか、国論はどこにきまるか、こういう問題があると思います。したがいまして、これはたいへん重大な問題でありますから、ただいまからこれに私どもが一つの考え方をまとめそうして取り組んでいくということは危険ではないか。私は、それをいま白紙だと、かように申しておるのであります。
#63
○鈴木強君 言わんとすることはおぼろげながらわかるのです。しかし、あなたが白紙だとおっしゃるからまたこだわってくるわけでして。それから、矢山君も言っているように、一体沖縄のめどがつくときには、沖縄の防衛について、核基地の問題について、これは不離一体だと思うのです、私は。ですから、そういうことが解決しなければめどがつかぬだろう、こういうことを言っているのです。木村官房長官は、今度は昔と違いまして、前と違いまして、総理が発言すれば、それをあとから補足というようなことが何回も何回もあるので、ちょっと変わった行き方をしでおるように思うのですが、そのときもあなた、確かに矢山君の言っているように、補足したわけだ。総理が言うと、あれはこうだった。また、高辻法制局長官まで出てきて、本土並みというのはこんなことなんだと言って、一行政官がそういう総理の発言に対して注釈を加えるなどというようなことは失敬千万だと私は思うのです。それはそれとして、どうも補足をしなければならないようなあなたが発言をするのが悪いのですか。また、補足をするほうが総理とよく話し合いをしてやったと思うのだ。そうであるならば、私は木村官房長官にはっきり聞きたいのだが、あなたは外務省の意見に大体統一をしていくという、こういう趣旨の記者会見をしておる、その真相についてこれは明らかにしてもらいたい。
#64
○国務大臣(木村俊夫君) いまのおことばでございますが、私、総理の意思と反したことを一度も申したことはございません。ただ、総理が申し上げたことで、補足したりあるいはそれに追加してブリーフィングすることはございます。しかしながら、補足でございますから、これはいいと思います。
 いまのお尋ねの点ですが、外務省筋でそういう記事が出ました。ただ、これは外務省筋ということでございまして、外務省の見解でも何でもないと思います。その際の記者の方々の御質問に答えまして、もしそういうことであれば事務的にはそう考えるであろう。しかし、この問題は高度の政治性の問題でありますから、いま総理大臣がお答えしたことに私ども全然異論は持っておりません。
#65
○国務大臣(三木武夫君) 外務省ということばが非常に出ますので、私は聞いておって、総理大臣の言っておることと、われわれの考え方との食い違いはない。総理大臣は、最終的に基地のタイプが決定するのは返還が正式にきまるときだと。私もそう思う。なぜかというと、最終的に決定されるときは返還協定ですから、その中に基地のタイプというものが明白になるわけです。ただしかし、それまでの間に何もしないでおって、いきなり協定できまるということはございませんから、総理自身も、その間に基地の問題について両方が共同して協議をすることは当然だといまも答弁をされておりますから、その間の食い違いは私は全然ないというふうに考えます。また、外務省も総理大臣との間に見解の相違を持っていないということでごございます。
#66
○矢山有作君 もう一点だけ簡単に。
 それじゃ外務大臣にお伺いしますが、返還時期について合意するとき、そのときまでに核の扱いは全然きまっておらなくても返還時期については合意することができるのですか。私は返還の時期について合意する段階では、沖縄の核をどう扱うかということがきまっておらぬ以上、返還の時期について向こうが合意するはずはないと思う、論理上。沖縄の果たしておる重要な役割りを考えれば。率直に答えてください。わけのわからぬことを言わずに、簡単明瞭に答えてわかることだ。
#67
○国務大臣(三木武夫君) それは必ずしもその間に最終的に決定しておらなければならぬとも言い切れませんが、やはり、相当基地の問題については話し合いが煮詰まっていないと、返還の時期というものを決定しにくい、この程度にお答えをいたします。
#68
○鈴木強君 あの、総理の答弁の中で、科学技術の発展の問題と関連をして、沖縄の核がどこかに移るような場合もあるというようなちょっと御発言をしたように思ったんですが、そうではないですか。その場合に相当心配されますから。そうだとすれば、これから核の問題について相当に、自民党の幹事長の言っているように、日本人の核アレルギー脱却論ということをきのう言っております。核について日本人はあまりにも神経質だ、自民党の大勢は核アレルギーから脱却せよという方向だというふうにこれは自民党は考えているんですからね。こういう問題と関連をして、日本のどこかにまた核基地を沖縄から移すなんということ、そんなことはあり得ないと思うんですが、どこかほかにいいところがあるんですか、教えてください。
#69
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、日本の本土、あるいは今度小笠原も返ってきますが、そういうところにはちょっとなさそうに思います。ないでしょう。いまいろいろいわれておりますのは、やっぱり沖縄でなしに、もっとアメリカ領に後退するということは考えられる、あるいはアメリカの本土におけるものが一つ考えられるというようなこともいわれますけれども、しかしやっぱりアメリカ自身現状においては遠いところよりも近いところを希望しておるに違いない、かように私は思いますし、また、船のことも言われますけれども、船よりも陸上の基地が普通考えられるところですし、あるいはまた、人工衛星等の問題もございますが、これなどもそう簡単なものではないだろうと思いますが、いろいろくふうされるのだと思いますので、私どもの想像以上のものがそれぞれあると思います。私どもも軍事的な問題については比較的最近は進歩がおくれておりますから、ただいまのような自衛力でとにかくこれが国力、国情に応じたもので、そうして世論の支持もこの程度のものしか考えられていない。しかし、外国のように、自国国民の生活を犠牲にしても兵器の改造、改善、開発には全力を注いでいる国があるのですから、そういうものと比べると非常に見劣りがするだろう。だから、そういう事柄をやっぱりまともに見詰めて、そうして日本の国の安全を確保するということであってほしいと思います。先ほどもちょっと中共の核開発の話に触れられまして、これは中共の問題なども明らかにそのことが言えると思う。中共自身が日本を攻めてくる、かように申すわけじゃございません。しかし、とにかくほんとうに隣の国の中共が、この強大な国が核兵器を開発しておる。これはもう見のがせない事実だと思います。そういう意味で、この国が核兵器を持つということ、それはもう今回の私の東南アジア訪問でもさようでございますが、陸続きのそれぞれの小国、開発途上の国は、非常に危険を感じておる。みずからの安全を確保するのにはどうしたらいいかということで、私はその感じが日本国民のうちにもきっとあると思うのです。そういう意味から、私は、やはりこの国はこの国の国民の手で守るべきだということをやっぱり強く呼びかけたい。これは私が訪米前、東南アジア訪問の結果得た私の体験でございます。
#70
○岡田宗司君 関連。ただいま総理に対して鈴木君のほうから科学技術の変化云々の点が質問されたと思うのですけれども、で、この点につきまして総理は、アメリカがポラリス潜水艦を太平洋沖にすでに七隻配置をしておる。そしてそのために非常に中国大陸から近い距離にある沖縄のメースBが旧式化して、数年のうちにこれはもう陳腐なものとなったから取りはずしてもよくなりはしないか、そういうお考えが含ましておるかどうか、その点をまずお伺いしたいんです。
#71
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまメースBというおことばが出ましたが、私もそれがどの程度に今日の状況で抑止力を果たしておるか、これは正確に申しまして、知りません。したがいまして、これが一体今後どうなるのか、そういうことについての見通しはただいま立たない状況でございます。このメースBがあるとかないとか、かようなことを申しませんし、もうメースBがあることは確かですが、しかし、メースBの働きというか効用というか、これは私には十分わかりません。
#72
○岡田宗司君 メースBの威力、これがどの程度陳腐化したものであるかということについては、いま私もここであえてお聞きしたり論争しようとは思いませんが、前にジュピターという中距離弾道弾がトルコに配置をされています。イタリアにも配置をされております。ところが、六一年以降にポラリス潜水艦が地中海に配置をされるようになりましたので、トルコ並びにイタリアとアメリカとの交渉におきまして、一九六三年にこのジュピターが廃止をされたという事実があるんです。この点につきましては、いずれ他の機会に私からも申し上げまして、総理のお考えなりあるいは外務大臣のお考えなりを聞きたいと存じますが、この事実は御存じであるかどうか。つまり、陳腐化したものはそのままアメリカ側としても廃棄をする場合があるということを御承知になっておるかどうか、また、そういう交渉がトルコとイタリアとアメリカの間に行なわれたということを御承知になっておるかどうか、もしそれを御承知になっておらないとすれば、これは外務省怠慢だと思うのでありますが、もし御承知になっておるとすれば、そういうことを今後の沖縄の核基地の問題についてアメリカ側と討議をされる際に参考とされるかどうかをお伺いしておきたいのであります。
#73
○国務大臣(三木武夫君) トルコとの間には、キューバ事件のあとでそういう話があったことを外務省は承知しておるようでございます。まあ、そういうふうに、軍事科学、軍事戦略、いろいろなものは、これはもう絶対のもので永久不変なものではない、変化し得るものであるということは、これはもう当然のことでございます。
#74
○鈴木強君 まあ、総理はいろいろ言っておられますが、特に国防の問題に重点を置いて沖縄問題を論じているようですが、ここでひとつこういう点を私は明らかにしてもらいたいと思うんですが、また、しておきたいと思うんですが、日本における防衛力というもの、自衛力というものは、過去のいきさつがございまして、憲法九条と自衛隊との関係、これが憲法上で言うならば、われわれは少なくとも一国が防衛をするかどうか、軍隊を持つかどうかということは、やはり国民がきめるものであって、憲法の条章によれば、議会の三分の二の賛成を得て発議をし、国民の過半数を得てそれがきめられる、これが憲法に書いてあるんですが、そういう手続がとられておらない。昭和二十五年、いまはなき吉田茂さんの総理大臣のときに、一片のマッカーサーの書簡によって日本の自衛隊はできたんじゃないですか。死ぬ前に吉田さんはこうおっしゃっておりました。あのときにマッカーサーから再軍備しろというようなお話もあった。しかし、それはなかなかできないのでお断わりした、こう言っていましたね。しかし、お断わりしたんだが、そのかわりに、警察予備隊という名前を変えて、七万五千人の軍隊をつくらされた。八千人の海上保安庁の職員をふやすということによって、いまの自衛隊ができた。そして二十七年には保安隊になり、二十九年には自衛隊になる。今日十八万の兵力を持っているでしょう。こういうところに国論を二分するような防衛論がやはりあるんですよ。これを無視してなかなか国論を統一しろと言っても私はむずかしいと思いますが、総理は一体この点の関係をどう把握されておられますか。
#75
○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君とも実は思えないような御議論のように思いますが、というのは、いま自衛隊が発足してもうすでに何年たつと思いますか、もう二十年近くなっておりますが……。
#76
○鈴木強君 二十五年でしょう。
#77
○国務大臣(佐藤榮作君) そういう状態にある今日、この無効有効、これを議論しても私は現実論ではないような気がする。現実論的には、これはどこまでも憲法九条の解釈の問題で、自衛権を否認したものではない。また、国際紛争を武力によってきめるという、そういうことはしないんだ、これが憲法の基本的な態度でございます。いわゆる平和憲法と言われておるゆえんはそこにあると思います。これは私は、その点では十分自民党政府もこれを考えておるし、これを逸脱するような考え方は毛頭ございません。先ほど来の議論にいたしましても、私どもは基本的には憲法やその他の法律を心から守るんだ、これは順守しなければならないんだ、これは当然のことでございます。そのもとにおきましてわが国の安全が確保ができないか、そこで、これは望ましいことではないだろうが、安全保障条約のもとにおいてこの国の安全を確保しているんだということを繰り返し申しました。また、みずからの手でみずからの国を守れと、さように申しましても、これまた、憲法を無視しろと言うんじゃない。憲法の範囲内でやる、各法律の範囲内においてわれわれがこの国を守るという、そういう気合いがなければ困る。そういう気合いを持って、そうして現実的な措置としての、それぞれの政策を遂行していく、それに協力願いたいというのが私の考え方でございます。
#78
○鈴木強君 それは総理大臣ね、いま私の述べたことは、これは事実でしょう。事実としてそういうことが過去の歴史の中にあるわけです。あるから、その事実を無視して国防論を論じても、なかなか国論の統一はむずかしいですよ、ということを私はあなたに投げかけたわけですよ、そうでしょう、私がうそを言っているなら別ですけれども。ですから、今日の憲法第九条との関係、解釈の問題は、これはいまここで短い時間で論じ合うことはできませんが、そういった過去の厳粛な事実の上に立ってやはりものを考えている人たちがおるわけですよ、そうでしょう。ですから、なかなか国防、防衛論にしましても、なかなかむずかしいということは、私はあなたにはっきりと認識してもらいたいから言っているのです。そういう意味において私は受け取ってもらいたい、どうですか。
#79
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はたいへん大ざっぱに申して相すみませんが、一部そういう御議論のあることは、これは承知しております。だから国論というものが、全部民主主義、民主政治のもとにおいて全部を一様にするということはなかなか困難だと思いますが、大多数の意見がどこにあるか、それによって政治が進められるというのが望ましいことではないか、かように私は思っております。
#80
○鈴木強君 選挙の結果、自民党が五〇%を割って四八%になったという、こういう事実はやはり認めておかなければ、あなた方がかりに三分の二近い議席を持っておっても、やはり国民はそうあるかどうかという判断は、非常にこれはむずかしくなってきたんですよ。そういう点はわかっているのでございましょう。
#81
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんよくわかっておるつもりです。
#82
○鈴木強君 まあ、これからこの防衛論争が非常にあなたの考え方でもって進んでいくと思いますけれどね、一説によると、外交、防衛論争がかなり煮詰まったところで国会を解散する、そうして、信を問うということが言われているのだが、どうですか。
#83
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのように直ちにもう結論を急がれても困りますが、解散という事態は、これはもうたいへんな問題でございますし、軽々しく申せることではございません。また、いまの国防に関する安全確保の問題、これまた、たいへんな重大なる変更、在来の考え方に変更を来たすおそれもある、それこそ、これまた世論に問うということの必要さもあろうかと存じます。ただ、いまいろいろの抽象的な問題でこれを議論することは、ただいまの段階では私は不適当のように思いますが、まあ、この程度でひとつ御了承得たいと思います。
#84
○鈴木強君 時間がどうもなくなりましてね、非常に残念ですが、そこで、これはまたあらためて総理との間にやりたいと思いますが。
 次に、沖縄の警察力の増強対策について総理は警察庁のほうに何か指示をしたというふうに聞いておりますが、事実でございますか。
#85
○国務大臣(佐藤榮作君) これは警察庁長官のほうで現地を視察したのですけれども、そういたしますと、たいへん装備が悪い。無電の問題であるとか、あるいはオートバイ、自動車等の装備の状態が非常に悪い。そういうことが治安の関係にも、また人権の保護、それらの点でも時期を失するような危険が多分にある、こういうことでありますので、本来の警察の職能を達するためには、こういうような点を機械的にもう少し整備すべきじゃないかということを申しつけました。
#86
○鈴木強君 これは法的に日本政府が沖縄の警察力に対して何かものが言えるような仕組みになっているのですか。
#87
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまは、もしこれをやろうとすれば、技術委員会を通じて、日本の金の使い方だとか、こういう方法で使えということは言えると、かように思っております。
#88
○鈴木強君 現在、沖縄の装備が非常に悪いというのですが、その実態をひとつ教えてもらいたい。
#89
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 ただいま総理がおっしゃいましたような沖縄の警察の問題でございまするが、装備の点、あるいはまた、いろいろな技術の点、そういうふうな点につきまして、琉球政府のほうにおきましても、非常に日本のほうに要請もあったやに聞いております。それで特に、たとえば白バイでございますとかなんとかというものの数が非常に少ない。それからまた、科学捜査につきましての技術的な問題が非常に劣っておる。ちょうど戦前の日本の警察のようなレベルに、非常に低いということは、これはやっぱり本土との一体化という問題から申しましても、これは非常に沖縄側のほうにおきましても重要視いたしておる次第でございます。そういう意味で、特に警察学校でございますとか、そういうふうなものの技術並びに科学捜査や、そういうふうな指導を要請してまいった、こういうふうなことでございます。
#90
○鈴木強君 総理の指示で沖縄対策委員会というものを警察庁はつくったのでしょう。いままでどういう仕事をしてきたのですか、わかりますか。
#91
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの沖縄対策委員会を警察庁でつくった、どうこうということは、これは私のほうではちょっと存じません。所管の大臣のほうからお答えいたします。
#92
○鈴木強君 つくってないんですか。――それはどういう根拠に基づいてつくったのか。
#93
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま総理がおっしゃいましたとおりでして、総理から御指示なさったということも聞いておりませんが、示唆であったと申しますか、内部の状態がさっぱりわかりませんし、行政水準も非常に低いようでございまするので、これからいろいろ検討を加えていかなければならぬと考えておる段階でございます。
#94
○鈴木強君 いや、委員会は持ったように聞いているのですがね、沖縄対策委員会を警察庁の中に、そうして具体的に沖縄代表を呼んでやっているのでしょう。
#95
○国務大臣(田中龍夫君) そういうことはございません。この間、警察局長が参りまして、これは陳情でございまするけれども、やっとその際、いろいろな内部の状態もよく聞きまして、これからやっぱりこっちからもしかるべき者を派遣して、どういう実情であるか調べなければならぬ、かように考えております。
#96
○鈴木強君 総理はなぜこういうことだけを先に言い出したのでございましょうか。本土との一体化については、あなたは日米会談で、今度は諮問委員会をつくってやることになっているでしょう。その諮問委員会のあり方についても、何か完全な諮問機関じゃなくして、日本の言い分をそこで出して、それで通じていくのだというようなことだったのだが、きょうの新聞を見ると、アメリカのほうから草案が来ているそうですね、外務大臣に聞かしてもらいたいのだが、それによると、そうでないというふうに聞くんですが、それならそれでおやりになったらどうですか。何もことさら警察力を強化して、何か沖縄の基地反対闘争でも押えつけるような権力的な行き方をとるんじゃないかというような心配をされるようなことを、なぜ急いでやられるんでございましょうか。
#97
○国務大臣(佐藤榮作君) 別に急いではおりませんが、とにかく装備が非常に悪いのです。この点が、しばしば言われますように、人権が侵害されているとか、そういう犯罪の摘発等にも時期を失しておる、おくれておる、かように思います。そういうことをないようにひとつしよう、やはりこれはいま経済問題、あるいは学校問題、あるいは社会保障の問題等と並行して整備さるべき筋のものだと私は考えております。これだけを特に取り上げてやかましく言っておるわけじゃありません。たまたま向こうへ出かけて、そして帰ってきて、同じような地方水準、行政水準のものと比べてみて、これらの点でたいへん見劣りがする、こういうことを言われておりますので、こういうことはひとつ力をかすべきじゃないか、かように私は申しておる。これだけを取り上げて、基地反対闘争に備えるのだ、それはたいへん先ばしった御議論のように私は思います。むしろ、もっと警察本来の職務を達するそのために必要なことじゃないか。いま一番問題は、やっぱりあそこで人権侵害あるいは暴行等の犯罪がずいぶんございます。そういうものは時期を失せず処理されることが望ましいことじゃないかと、かように思います。
#98
○鈴木強君 外務大臣、諮問委員会のやつを答えてください。
#99
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、アメリカから諮問委員会に対するアメリカ側の考え方を言ってきておることは事実でありますが、しかし、新聞に出ておった点は、それは正確にアメリカの言っておることを伝えておりません。たとえば、この諮問委員会に対しては、諮問以外に勧告することはできぬというふうに書いておりますが、そういうふうにはわれわれは考えておらないのでございます。もっと端的に言えば、内容が違っておるけれども、そういうアメリカの意図を日本に言っておることは事実でございます。こういうお答えでございます。
#100
○鈴木強君 こういうことに近いものなんですか、どうなんです、その点は。総理がいままで答弁したようなものなのか、それとも、違うものなのかということをはっきりしてもらいたい。
#101
○国務大臣(三木武夫君) 近いところもあり、遠いところもありということでございますが、われわれの考え方は、この諮問委員会はやはり諮問事項というだけでなしに、一体化に関する社会経済の諸問題について、日本というか、この日本とアメリカと琉球との三者の委員会が勧告できるようなものでなくてはならない、こういうことに対して新聞記事は、私も詳細には読んでおりませんけれども、否定的な記事であったが、そういうことではないというふうにお答えをいたします。われわれ政府がいままで答えておることと非常に大きな違った性格のものになるとは考えていないとお答えいたします。
#102
○鈴木強君 この草案はわれわれには見せてもらえませんか。これが一つ。
 それからもう一つ、近いところは完全に一体になってもらいたい、総理の答弁ですね。それから遠いところはやっぱり近寄っていかなければいかぬ。そういうことはこれからの交渉の中で可能なんですか、どうですか。
#103
○国務大臣(三木武夫君) いまこれ、日本側の見解も述べて、これから折衝するわけでありますから、こういう一つの外交折衝の途中でお配りするわけにはまいりませんが、しかし、われわれがこの国会を通じて答弁をした線に沿うて諮問委員会をつくるために、われわれとしては最善の努力をいたす覚悟でございます。
#104
○鈴木強君 佐藤総理ね、この警察力増強の問題は、この諮問委員会ともやっぱり関係があるんでしょう。だから、その点でおやりになったらいかがですか。まあいろいろ言われておる点もわかりますけれども、逆にあなたの真意というものがとられる危険性もある。
#105
○国務大臣(佐藤榮作君) こういう問題は、いま予算編成の時期になっておる。そこで、沖縄援助費を一体どういうように計上するかという当面の問題でございます、来年度予算編成をするのにあたってですよ。そういう意味で、片一方では一つは予算編成、しかし、まあ向こうの会計年度とこちらの年度と違っておりますから、そこらに何かくふうができるのか、あるいはまた、諮問委員会はできるだけ早く発足したいと、かようにも申しておりますので、いま、先ほど申すような装備の問題ですから、一応調べることはできましても、右から左にやれるとも必ずしも考えませんから、そこらはひとついずれが先とかなんとか言わないで、予算編成の時期に差しかかっておるこの際だから、これはやっぱり沖縄援助費の一部になりますから、そういうことで、政府の目的がどこにあるのか、これをひとつはっきりさせて、国是から誤解を受けないように、デモの取り締まりのために警察力を強化する、これはとんでもない話ですから、そういうことではございませんので、ひとつ御了承いただきたい。
#106
○鈴木強君 私は次に、小笠原の帰属の問題等について、非常に問題になっておりますので、伺いたかったのですが、時間がございません。なお、中期債を引き受けることについても、ぜひ聞きたかったんですが、できませんので、また改めた機会にお伺いすることにいたします。
 そこで最後に、一分ですが、非常に、まあ年末になりまして、年末調整を税法上やられておるのですが、新聞にも出ておりますように、たいへんなこれは社会問題になっておる。これはやはり源泉徴収の税額表をつくる場合に考慮が足りなかったんではないかと私は思うんですけれどね、この点は従来の慣行もありますから、多少返ってくるだろうというような気持ちを持っておったし、また、そうであったんです。ところへ二万円も五千円も引かれるような事態が出てまいりまして、私、まあ具体的にこういう表がありますけれどもね、たいへんなこれは問題になっておる。これらについては、ひとつ大蔵大臣としても、十分に今後御考慮をいただくようにお願いしたいんですけれども、どうでしょうか。
#107
○国務大臣(水田三喜男君) 年末調整における過不足をできるだけ少なくしたいというのが私どもの希望でございましたが、御承知のように、いまの制度でいきますと、保険金の控除とかいうようなものは、最後に調整のときに行なうというようなことになっておりますし、また、扶養家族が途中でふえたとか、あるいは給与のベースアップがあったというようなことがありますので、どうしても年末調整のときには、過納分を還付するという事例が非常に多うございました。これはどうしてもやむを得ないことでございますが、これをどういうふうに過不足のないように調整したらいいかといいますと、結局、賞与のときにいままで多く税を差し引いておったものを、わりあいに少なくすると、そういうことによれば、過納金を還付する事例が少なくなるだろう、こういうことで、むしろ改善を加えたということでございまして、税額に変化があるわけではございませんが、そういう措置をとったんですが、本年からそういうふうに改正されたわけですが、初めてのことでございますので、ここにいままでとは違って、賞与はわりあいに多くなった。ところが、あとから月給において差し引きが多くなったというようなことを起こしたのですが、しかし、私どものいままで聞いたんでは、賞与から取り過ぎると、何とか、せっかくの賞与だから、ここにゆとりを与えてもらいたいというのが、いままでの陳情の方向でございましたので、やはりそのほうがいいと思ってやったんですが、初めての例で相当なまごつきを起こしているようでございます。
#108
○鈴木強君 大蔵大臣ね、ならほど、おっしゃることもよくわかりますけれどもね、しかし、基本的に、源泉徴収税額表をつくる場合の年間のボーナスというものは四カ月にあなたのほうは見ているんです、四カ月程度とね。これではやっぱりいま言ったように問題が出てくる。なるほど、その辺、賞与をもらうときだって、少ないほうがいいですよ、年末調整も少ないほうがいいですよ。それはまあ制度全体のことだから、私はここで根本的なことは言いませんけれども、少なくとも、やるということはけっこうなんだが、四カ月というような見方について、やっぱり問題があるんです。だから、もう少しこれは実態を調べられてやってもらわないと困るということを私は思っておりますので、最初の試みでもありますし、こういうショックをみな受けて、たいへん新聞等にも出るような社会問題になっているわけですから、この点に対する大蔵省の配慮が足りなかったことは事実なんだから、四カ月なんかということはよくわからぬ、その辺をもう少し検討して、来年は少なくとも一万何千円、二万円近くを年間百万くらいとられる人が引かれるようなことがないようにしてもらわないとこれは困ると思いますから、大蔵省、検討してもらいたいと思いますが、どうですか。
#109
○国務大臣(水田三喜男君) 十分検討いたします。
#110
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして鈴木君の質疑は終了いたしました。
 午後一時再開することといたしまして、これにて休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開会
#111
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、羽生三七君、北村暢君が辞任され、その補欠として、村田秀三君、久保等君が選任されました。
    ―――――――――――――
#112
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、参考人の出席要求についておはかりいたします。
 本日、補正予算三案審査のため、宇佐美日銀総裁の出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その手続等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#115
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、午前に引き続き質疑を行ないます。八木一郎君。
#116
○八木一郎君 私は、自由民主党を代表して、沖縄防衛、特に自主防衛精神と申しますか、心の面について、それから経済見通し、財政硬直化、新年度予算など、幾つかの事項について質問を行なうことにいたします。じみちな質問でありまするが、どうか答弁はきっぱりと、テレビを通じて国民の前に信念のほどを、ほとばしっているように、ひとつお答えをいただきたいと思います。
 私が佐藤総理の口から親しく初めて日米会談の成果を聞きましたのは、あの十一月の二十日の帰国第一声でありますが、正直にずばり言って、アメリカが沖縄の施政権を簡単に即時返すものか、ほんとうに会談の成果がこうなったのだろうか、という思いが実感でございます。すぐ返還をするとかりに言われたとしても、ショック的な、当惑する諸問題がいろいろと考えられるからでございまして、日本だけではないと思います。お隣の韓国だって、台湾だって、フィリピンだって、向こう三軒両隣の国々は、いずれも何の準備もなしに沖縄即時返還断行では……、これは正直な、率直な、素朴な私の実感でありまして、問題は、アジア・太平洋平和のために沖縄の上にある大きなかさをどうするかというところに、各国ひとしく問題のヘッドライトを当てて注視しておるという、こういうことを思いますると、一言、質問に入る前に、日米会談の実感についてお聞きしておきたいと思うのであります。
 私は、沖縄・小笠原の返還ということは確かに世界の歴史にもまれなことで、われわれの歴史観から見ても、すばらしいことだと思っています。私がすばらしいことだと言うのは、世界の将来に好ましい平和建設の成果をもたらす、こう信ずるからでありますが、一体、アメリカには基本的に領土的な野心はないのか、また、アメリカの諸情勢の中には、もう沖縄を長期固定的に押えておかなければいけないという時代は過ぎ去りつつあるのか、それとも、科学技術の進歩に依存していく新たな考えがあるのか、あるいは日本の情勢の推移とアジアの流動性に対応してどういうふうに見ておるのか、こういうことは午前中の質疑応答の中に繰り返されてまいりましたきわめてデリケートなことでありますけれども、率直にこの際、佐藤総理と三木外務大臣から、この直感と申しますか、会談がまとまった直後の実感をお聞かせいただきたいのであります。いま私は、「士は己を知る者のために死す」という古めかしいことばを思い出しておるのであります。国民は、ほんとうにこの点について、佐藤総理に、うそは申しませんと言われても、やはりどうであろうかという一まつの心配があるから実感を 一騎打ちをジョンソンとなさったときの時点を回想せられて、実感のこもったお話を伺いたい。
#117
○国務大臣(佐藤榮作君) 国民が聞きたいことは、その点だろうと思います。しかし、限られた時間に全部なかなか尽くしがたいものもございますので、この辺は御推量賜わりたいと思います。
 私が出かけましたその問題、これは、申すまでもなく、国民的輿望にこたえる、国民の輿望は一体何か、沖縄百万の同胞、これを一日も早く、できるだけ早く祖国復帰と、こういう問題でございます。これをとっております。同時にまた、たびたび私が申し上げておりますように、その訪米以前に歴訪をいたしました東南アジア諸国等々、国際情勢下において日本の安全確保の道、また、沖縄が果たしておる安全確保上の軍基地、その点も十分考慮に入れ、そうしてこの願望をいかにして達成するかということで、これと取り組んだのであります。この二つの目的を同時に達するというのが今回の使命であった、かように私はいまなお思っております。そうして、もう一つ、この問題と取り組む姿勢でありますが、いままでも、日米友好親善関係のもとにおいてこの問題を解決していこう、この親善関係を深めるような方法において、損なうことなしにこの問題を解決しようというのが私の基本態度でもあります。
 御承知のように、アメリカが施政権を持っておるその根拠、これは一体何なんだ、日本が無条件降伏をした前戦争の結果とはいえ、アメリカが領土的野心を持ってこれらの島々を占有しておる、そういう状態なのか、かように申しますと、これは、前戦争で私どもは無条件降伏をいたしましたが、サンフランシスコ条約を締結した際に第三条によってアメリカがこれらの地域に施政権を持つことになったのであります。また、いままでもしばしば表現しておりますように、これらの地域は日本が潜在主権を持っておるという言い方をしております。また、そこに住んでおるものは、小笠原は特別な人に限っておりますが、沖縄は明らかに日本人てあり、われらの同胞てあります。したがいまして、小学校の教育にいたしましてもわが国の教科書を使っておる、こういう関係にある。いわゆる領土的野心を持って施政権を行使しているというものではない。このことは非常にはっきりいたしております。同時にまた、アメリカ自身が日本との間に日米安全保障条約を結んでおりますが、その観点に立ってのけさほどの議論で、日本の安全の確保にアメリカ自身が積極的に協力しておる、これは申すまでもないのであります。なお、日本の安全確保のために見のがすことのできない極東の範囲にある諸国に対しましても、それぞれ条約を結んで、そうしてこれらの安全確保にアメリカが寄与しておるのであります。米韓、米華、米比条約等はそれでございます。そのアメリカがこれらの諸国の安全確保に果たしておりますその場合に、沖縄が軍基地としてまた大きな役割りを果たしておるのであります。私どもは、日本の安全繁栄は極東の安全繁栄とこれはつながる、こういうことをかねてから申しておりますので、この意味におきましては日米間に利害は相一致しておる、こういう立場であります。したがいまして、私は、アメリカに出かけて話をするにしても、この友好親善関係に立って相互の理解と協力の上でこの問題を解決しよう、戦後二十二年にわたって異民族の統治下にある同胞のことを考えますと、これはほんとうに一日も早くという、そういう気持ちになるのが日本の総理として当然のことだと思います。また、その点では私も人後に落ちない、日本国民と同様の関心を持ってこれと取り組んでおるのでございます。しかし、同時にまた、わが国の安全、この安全の確保のためにあらゆる考慮を払うというのが総理に課せられた責任でありますし、私の仕事でもあります。したがいまして、私はこの二つの問題を、ただいま申しますような基本的な関係において日米両国の共通の問題とし、また親善友好の関係において解決しようとして出かけていったのであります。その結果、自画自賛と言われるかもわかりませんが、私は今回夜あて共同コミュニケで沖縄については返還するという方針のもとに共同して継続的に協議をする、こういうことに同意ができたことは、これは明らかに前進でございます。自画自賛だと言われるかもわかりませんが、これは大きな前進だと思います。しかも、日本の防衛力をさらにこの際に変更することなく、在来の防衛方針、防衛政策を維持しながらただいまのような沖縄の問題について共同して継続的に協議をしよう、これは明らかに前進だと言っていいと思います。もちろん私がしばしば申します両三年内にというような、そういうことをアメリカ大統領が確認したわけではございません。しかし国民の要望である即時返還ができないまでも両三年内に返還のめどをつけるというこの要望にこたえて私自身が最善を尽くして交渉を持ったのであります。その意味におきましては、ジョンソン大統領も十分日本国民、日本民族の願望を率直に了解してくれたのでございます。したがって、これらの討議の結果、いまの共同かつ継続的な協議をするということに同意をしたのでありますから、私が両三年内に返還のめどをつける確信を得た、かように申すのも御理解が賜われるのではないかと思います。そればかりではありません。その返還の実現するまでに本土との一体化を進めるために――ただいまいろいろお示しになりましたが、いますぐ返れば非常なショッキングを各方面にも与えるだろうと言われますが、そういうような事柄もございますので、一体化を進め、本土への復帰を円滑ならしめる、こういう意味で日米琉三者による諮問委員会が設置されることになりました。いままでも沖縄問題についてはいろいろ日米両国間で随時に協議を開くとか、あるいはわが国が財政的援助をするについては技術的な援助をするために技術委員会とか、いろいろの委員会が設けられました。しかし、いずれもそれらのものは恒常的な機関ではございません。しかし今回の日米琉諮問委員会なるものは、那覇に常置をいたしまして、相手は高等弁務官とはいえ、日本政府の考え方を――高等弁務官の諮問に答えたり、あるいは意見を答申するということができるのでありまして、琉球の最高の責任者に対して日本政府の考え方を率直に表現することができる、かように私は思っております。これは在来にないことであります。さらにまた、この問題を裏書きするように、今回は小笠原諸島の返還が決定されたのであります。これは一年以内には必ず実現する、かように申しましたら、一年以内と言わないでもっと早い機会にできるだけ両者で完全に話し合いがつくようにしたい、こうまで向こうで申しているのであります。私は、これらの事実を考えてみまして、今日の友好親善を破壊することなしに、いまその相互の信頼を増進しながら、このむずかしい問題と取り組みたい、かように私は思っております。しかも非常な前進をみたと、わが国の国民に対しまして私が微力ながら最善を尽くした、かように言い得るのであります。もちろんこの成果につきましては、今回の日米共同コミュニケについて、そのものは条約でも協定でもない。ただ最高責任者がその意向を、その方針を明示しただけだということで、なお不満もあるだろうと思いますが、また即時返還ができなかった、無条件返還ができなかったと、いろいろの批判もあることだろうと思います。しかし私自身は、私の最善を尽くして、そうして得た成果だと、ただいま沖縄問題について大きな前進をみたと、小笠原の問題の解決がもうできるようになったということは、この二つを国民に率直に御披露いたしまして、自画自賛にならないで、この問題についての正しい評価を賜わりたいと、かように私は思っている次第でございます。
#118
○国務大臣(三木武夫君) 会談がまとまった直後の私の実感を言えということでありますが、総理大臣に同行いたしましての成果は、いま総理が言われたとおりでありますが、その背景をなした私の実感は、一つには、アメリカが日本に対する高い評価を持っているということであります。戦後短期間の間に世界の三大工業国とかいわれるような経済の発展を遂げ、しかもそれがアメリカと同じような自由民主主義による発展を遂げたということに対する高い評価、これがアジアに対してどれだけ力づけているか、世界に対して影響力を与えているかということに対する正当な評価を持っているということであります。それだけに、この日本と友好関係を築かなければアジア太平洋のこの平和はない、日本との友好関係というものを、アメリカの対外政策の中のきわめて重要な政策としてアメリカが考えている。しかも、そうするためには、アメリカの考え方を一方的に押しつけるのではなくして、日本の主張に耳を傾けて、対等の責任あるパートナーとしての日米関係を築き上げていかなければならない。このワシントンの考えている日本に対しての評価、あるいは日米関係の将来、こういう考え方の背景が総理の成果を生んだ背景にあったと、私は感じ取ったものでございます。
#119
○八木一郎君 さて、沖縄の諸問題についてただいまの所信をあらためて伺いまして思うことは、これまでも日本は、沖縄援助費について沖縄、本土一体化の――施政権はありませんけれども、いわば行政ベースで吟味し検討してみる問題がたくさんあったと思いますが、この際、担当大臣からこの援助費の内容について詳しく説明を求めておきます。
#120
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 まず、援助費の御質問でございますが、今日まで日本政府の沖縄に援助をいたしました額を申し上げますると、昭和三十七年に十億一千三百万円、三十八年に十八億三千百万円、三十九年十八億六千四百万円、四十年二十八億六千二百万円、四十一年が六十一億六千万円、四十二年が百三億五千二百七十六万八千円でございます。そういたしまして、アメリカ政府の援助もここであわせて申し上げまするが、昭和三十七年には日本円に換算いたしまして、アメリカのほうは二十五億六百万円、三十八年は二十九億三千四百万円、三十九年が四十三億一千七百万円、四十年は四十三億二千万円、四十一年が四十三億二千万円、四十二年が約六十三億円、こういうふうになっております。
 ここで、ただいまの御質問の要点でありますが、第一回の佐藤・ジョンソン会談以来ごらんになりまするように従来が十八億、二十億台でございましたものが、昭和四十一年度から六十一億六千万円に躍進いたしております。なお、これは予算でございまして、その実施面を検討いたしてまいりまする場合に、この予算の実施率というものは非常に高まっておる。すなわち最初は、計画に対しまして一八%程度でありましたものが、日本政府の慫慂によりまして非常に高まってまいっております。三十七年度は一八%、三十八年度は二七%、三十九年度が三五%でございます。ところが、ただいまの佐藤・ジョンソン会談によりまして、四十年度は五一%、四十一年度は七九%と相なっておりまして、総理の第一回の会談以来、現実には非常な躍進をすでに遂げておるのでございます。今後これにつきまして、さらに一体化の問題を推進してまいりたい、かように考えております。
#121
○八木一郎君 そのおもなる仕事を、たとえば遺家族援護だとか警察装備だとか、午前中に出ましたが、おもな大きなものをちょっと披露していただきたい。
#122
○国務大臣(田中龍夫君) これは大体、総理府の特連局が所管いたしておりまする問題でございまするが、おもな項目を申し上げますと、まず第一に、本邦と南方地域に対しまする渡航の問題でございまして、この件数も飛躍的に四十一年から累進いたしております。第二は、南方沖縄方面におられまする日本国民の保護に関する問題でございます。それから第三は、身分関係事項その他の事実につきまして、公の証明を要しまする文書の作成等の問題、第四は、開設をいたし、またあっせんをしなければならない事項がたくさんございます。
 その第一は、沖縄住民に対しまする経済及び技術援助の問題の推進でございます。第二は、本邦と沖縄との間の債権債務の処理でございます、それから第三は、元の沖縄県あるいはまた沖縄県の各市町村所有の財産で本土内にありまするものの管理をいたしております。それから第四は、戦傷病者戦没者遺族等の援護法等々に基づきまして、さらにまた未帰還者留守家族等援護法、こういうような問題に対しまして、援護年金でありますとか、あるいは国債の償還等をいたしております。第五は、軍人恩給、文官恩給、元南西諸島官公署職員に対しまする諸給与の支給事務をいたしております。第六は各種の見舞金の支出をいたしております。それから文化、貿易関係、こういうふうな問題に関しましても、これらの関係行政各機関の総合調整及び推進をいたすのでございまして、たとえば沖縄の学生の本土大学への入学でございますとか、あるいは現地教員の本土におきまする研修、あるいは大学教授等の講師としての派遣、こういうふうな教育文化方面もございまするし、あるいはまた、沖縄におきまする市場調査、販路開拓あるいは見本市の開催のあっせん、あるいは沖縄物産の本土移入に関しまする諸問題の調整等、両地域の貿易交流並びに産業経済の緊密化に対しまして努力をいたしております。さらにまた、本土技術専門家の沖縄への派遣でありますとか、あるいはまた、技術者の本土におきまする技術研修あるいはまた技術援助、かようなこともいたしております。また関係各省庁間のいろいろな問題がございまするが、これらの総合調整、これは総理府の本務といたしております。かような次第で、まず沖縄が内地の県並みになりますることが一体化の根本でありますると同時に、さらにまた、いろいろな外交交渉あるいはその他の折衝の前提となりまするのは、まず一体化だろう、かような意味におきまして、今後一そうこれを推進してまいるために、新しい機構もつくりましたような次第でございます。
#123
○八木一郎君 これまでも行政の機関を十分に動員をして、できるだけの配慮がなされてきておりまするが、個々の問題は別としまして、これからの何年かの間は、これを私はますます拡大をして本土一体化の実態が充実するように努力すべきが課題だと考えております。そうすると外務省の仕事と総理府の仕事と調整をしながら行政一元化とか、そういう問題で従来困ったことはありませんか。大体、いままでやったような状態でこれを拡充強化して、行政活動をしっかりやっていけばいいのだ、こういうお考えでしょうか、伺いたい。
#124
○国務大臣(三木武夫君) 総理府と外務省との関係は非常にうまくいっております。困ったことは少しもございません。
#125
○八木一郎君 沖縄九十五万県民の生活権を保障して、本土一体化へ前進をしていくということは、耳にたこのできるほどにずいぶん聞いてきたことでありますが、この時点に立ちますと、これをひとつタイミングよく具体的な内容を持ったスケジュールを組んで、そうして腹案というようなものを持って善処していく段階に入ってきているのじゃないか、こう思うわけであります。そういうことがあって予算化が期待される、こう思っておりまするが、その考え方について伺います。
#126
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 一体化の問題は、一言に申しましても非常に広範なものであることはただいまお説のとおりでございますが、これを大別いたしまして、まず制度の面から見た一体化がございまするし、さらにまた、基本的人権等に関しまするこれらの問題の一体化、さらに社会保障とか、あるいはまた社会保険に関しまする一体化の施策がございます。
 さらに、産業経済面の一体化、教育の一体化、その他各般の施策をしなければならぬ次第でございます。なお、これにつきましては、制度の面という問題で考えられる点は、あるいは主席公選――ちょうど内地の県と同じような公職選挙法的なものの必要性を感じまするとか、あるいはまた、琉球政府の自治権の拡大でありますとか、行政組織の改革、こういう点も内地の自治体と同じような関係に一日も早くしてまいりたい。ことに市町村間の行政、あるいはまた財政制度の改正、こういうふうなものもあるばかりではなく、各種の試験制度でありまするとか、免許制度、これが今日まで違っておる点も、今後ぜひ直してまいりたい。そのほか、人権等に関しましては、裁判管轄権の問題でありますとか、その他今日まで沖縄がちょうど戦時下の日本のような姿に置かれておりまするが、一日も早くこれを正常なものに直してまいらなくちゃなりません。
 さらにまた、社会保障でありますとか、社会保険、こういう面は非常におくれておりまして、社会保険制度の一体化には、国民年金でありますとか厚生年金、健康保険、国民健康保険等の社会保険制度を日本本土に準じまして、つくっていかなきゃならぬ。まあこういうふうな問題もありまするし、失業保険制度の実施でありまするとか、これらとの相互通算というようなものも、やはり非常に重大な問題であります。社会保障制度の一体化の面におきましては、生活保護、あるいはまた児童福祉、老人福祉、身体障害者福祉等のこういった諸制度の形式、あるいはまた内容も、日本の都道府県と同じような姿にいたしませんと、いよいよ本土復帰というときの非常な障害等にもなるわけであります。
 それからまた、医療制度の拡充整備、沖縄は総理もおいでになりまして、非常にその点を痛感されたようでありまするが、非常に医療関係が劣っておる。これらに対しまして、日本と均衡のとれるまで格段の援助を必要といたします。また、産業経済等の問題におきましても、この経済振興計画を早くつくりまして、そうして沖縄の振興をはかってまいらなくてはなりません。さらに長期金融の問題等も焦眉の急でございます。
 さらにまた、農業関係におきまする先方からの強い要望は、畜産振興を申しておりますので、農林省とも連絡をいたしまして、この振興をはかりたい。同時に、また、教育等につきましても、すでによく御承知のとおりでございまするが、その他、たとえば先般もお話に出ました気象観測業務でございまするとか、あるいは海上及び航空旅客の貨物運賃の本土との問題とか、こういうふうな諸問題がたくさんございます。これらの一体化をほんとうにケース・バイ・ケースでこれから処理してまいらなくちゃならぬ、かように存じております。
#127
○八木一郎君 行政ベースに乗って仕事を進めておる実情は明らかに御説明でわかったわけでありますが、私はこう思っておるのです。小笠原はもうすぐ返ってくる、そうすると、小笠原返還というのは奄美大島とは別に新たなこの時点で返還の実際が行なわれていく。そうすると、返還レールはしかれてしまった、そのレールを走っていく先達的な役割りが小笠原だと考えて、そうしてその間にいままでのいま御披露のあったようなことを反省して、現地の気持ちに合った措置をそれぞれの担当大臣がそれぞれお考えがあると思うのです。きょうはそういうのを一々質問はいたしませんけれども、考え方自体はそうあるべきじゃないかと、こう思っておるわけであります。いずれ行政段階の調査団が派遣になって、小笠原の場合は待っておれないから、すぐ始まるから具体的なことがだんだん出てくると思いますが、小笠原の担当大臣といいますか、これも同じ総理府長官、そうすると、その総理府の一元的な窓口ではあるが、中身は相当に多岐にわたる。こういう点にも配慮して、私はこれはどうなっていくのだろうと思っているのですが、たとえば小笠原については基地は本土並みだ、あるいは開発は国が直轄でやる、あるいはまた日・米・琉の委員会が一方にはできるが、小笠原の問題はどんどんやっていく、従来の経験に徴してこうありたいということを日本側から提案していく、これが三者で協議される、こういうスケジュールで進んでまいるものだかどうだかというような点の説明を求めます。
#128
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 小笠原に関しましては、御承知のとおりに昭和十九年に強制的に本土に引き揚げまして、自来二十四年間ほんとうに荒廃の一途を示しておる次第でございまして、まだ小笠原の問題につきましては、各島の状況がどうであるかということさえ分明いたしておりませんような状態でございます。そこで、今回の小笠原復帰に従いまして、総理府に小笠原復帰準備対策本部を設置いたしまして、関係各省庁、あるいはまた外郭団体、東京都等の皆さま方にも緊急にお集まりをいただきまして、これから今後どうしたらよろしいかを御相談いたしてまいりたい、かように存じております。
#129
○八木一郎君 小笠原、沖縄を通じて、いま私が質問申し上げておるような角度からひとつ伺っておきたいのですが、私はまつ先にどうしてもやってもらわにやならぬと思っていることは、沖縄の戦没英霊二十万の御柱を弔う措置について、どうも私の聞いたところでは、私は沖縄県民の立場に立って満足すべきものでないように思うのです。また、小笠原の問題はこれからでしょうけれども、これは担当大臣、心をくだいて善処すべき課題だと思いますが、厚生大臣何かお考えがあったら、ひとつはっきり言ってください。
#130
○国務大臣(園田直君) これは厚生大臣ではございません。総務長官でございます。
#131
○国務大臣(田中龍夫君) どうも私ばっかり出まして恐縮でございますが、この沖縄の戦没者の問題につきましては、昭和三十二年に戦没者の中央納骨堂をつくりまして、三十三年に英霊の慰霊の日を定めまして、那覇日本政府南方連絡事務所が主催をしていたしました。なお、このほか激戦地でございます十六カ所に慰霊塔を設けまして、そうして英霊の顕彰、お祭りを心からいたしておるような次第でございます。
 次に、小笠原の問題でございまするが、承りますところによりますると、硫黄島のごときは、まだ地下の壕にたくさん英霊がおられて、そうしてそれを仮に入口を閉塞して帰ってしまったというようなことで、この英霊に対しまする今後の措置をわれわれとしましては、ほんとうに国民として心からお祭りをし、またその衝に当たらなければならぬ、かように考えておる次第でございますので、よろしくどうぞ御協力をお願いします。
#132
○八木一郎君 それでは、この沖縄県が復帰してくるときは、全国の府県の位置づけを考えると、私の調べだと、山梨県程度の地位にある、三十七番目くらいであろうというようなふうに言われておりますけれども、これも担当大臣は自治大臣ではなくて、まだ総理府にあるということならば、その問題は後刻に御返事をいただくことにして、この際私は、こうして日程に上ってきた、またアメリカもそのように登場してきておるこの返還の準備態勢を疎外視することのないような――総理が国会を通じて国民に繰り返し繰り返し述べておりまするが、それだけでは足りないんじゃないか。何か官房長官、総理・党首会談でもさせるとか、あるいは対話、市民との対話でも始めるとか、国民とじかに話し合うというような何か方法をとらなければいかぬのじゃないかと思いまするが、この促進、打開について何か考えておられるかどうか。簡単に言えば、本土復帰の、本土と沖縄の一体化のレールをこれから進めていこうというには、いま私が伺ってきた行政ベースでは足りないので、どうしてもこれは政治配慮を先にやらなければいかぬと思う。その一つの方法として、そういうことはお考えになったことはありませんか。
#133
○国務大臣(木村俊夫君) 沖縄と本土との一体化、これはもうすでにレールは引かれております。いまお話のありました日本政府と琉球政府との一体化についての話も、これだけでは足りないと思います。そこで、事あるごとに琉球政府の代表が東京に参りまして、あるいは琉球立法院の議員の方が東京へ参りまして、いろいろ対話の機会を多くしておりますが、今後もそういう場を通じて、できるだけ沖縄と本土との一体化の国民的基盤を広めていきたいと思います。
#134
○八木一郎君 私は、衆参両院を通じて、防衛論争の中でこれまであまり取り上げていないようでありますけれども、きわめて重要だとこう思う数点を、きわめて地道なことでありますが、伺ってみたいと思うのでありますが、この国会で所信表明以来、盛んに自主防衛強化の問題に力が入って論争されて今日に及んできております。これは基本問題でありますから、民族興亡の歴史のことは、物心両面から幾ら論争しても足りない、こういう課題だと思います。私は何事も人づくり、人柄だと、こういうふうに信じておりまするので、わが国には昔から「民族の苗しろ」というようなことばがあります。日本人らしい日本人、ほんとうの日本人らしい日本人になるには、個人から家庭へ、家族主義はなくなったが、この家庭から社会へ、社会から国家へ、国家から世界へと、人類社会連帯の通念というのは、まず家庭を社会形成の単位として、人づくりの苗しろとなって始まるものだ。オギャーと生まれたそのときから、ほんとうに日本に生まれてよかった、この日本をよくしたいというような――私どもがオギャーと生まれた当時を思うと、だいぶ時代の変わりに、二十何年もたってみて、国民の国家に対する責任と義務、義務と責任がわれらの国に対してあるのだと、こういうような考えが、どうもお互いに手をつなぎ手を取り合ってといううたい文句は出てきますけれども、日本国の国民であり、社会の一員であるという自覚にもえるような心がけがどうも足りぬのじゃなかろうかという反省が私にはあるのであります。戦後の日本は占領政策の延長で、基本的人権のうたい文句でうわのそらで、遺憾ながら責任感はきわめて乏しい風潮になってきたと言う人もございます。私は基本的人権に反対するものでは絶対ありません。しかし基本的人権はけっこうですけれども、戦後の日本は基本的人権が乱れてしまって、ほんとうの日本の民族、日本の国を愛する、あるいは日本の国にというような日本人の心のかて、これがどうも失われていく傾向にあるのではないかということを心配しておるのであります。これは私一人ではないと思うのであります。このようなことは、超国家主義と言われたり、戦前のあの軍国主義と言われた時代の、国家といえばすぐそれが先にくる、こういう国民感情の中にあるのでこれも無理からぬことではありますけれども、こういう考えに立って、国民の感情に沿うて思いをめぐらしますと、佐藤総理が所信演説の締めくくりに、日本は国際社会における重要な一員としての責任を分担する決意である、こう述べておられますが、その点はまあそれでいいとしても、佐藤内政の基本的な姿勢の中身に、いま私が問題にしておるりっぱな人づくり問題については、国家とすぐ世界ということで、こういうふうな個人主義社会になってしまっている。民族の苗しろは、オギャーと生まれたとき、家庭から生まれたときから責任と義務が国家につながっていくのだということが、社会につながっていくのだということが、どうも努力不足であったといいますか、反省の中にあるのですが、その点についてのお考えを聞かしていただきたい。
#135
○国務大臣(佐藤榮作君) 文部大臣からお答えしたほうがいいかと思いますが、いわゆる教育の問題になってくると思います。しかし基本的な考え方は、いま言われますように国土、またその文化、民族、こういうものに愛着を感ずると同時に、いいものを保存していくという、そこにまあ国土、文化、民族を愛するというそういうものが基本になるだろうと思います。敗戦後の日本の行き方として、個人的人権、その尊重は非常に強く叫ばれました。そういう意味で、いま御指摘になりましたように、やや個人主義的な方向に走っていないだろうか、いわゆる社会連帯感、あるいは国家形成の連帯感、さらにまた一国家としては国際的な連帯感、そういう連帯感を欠くところに問題があるのではないか、人づくり、たいへんけっこうなことばでございますが、それはただ単に個人としての人づくりばかりではない、やはり社会人として、国家人として、さらにまた国際人として完成する、そういうことでありたいと、かように私は考えております。
#136
○八木一郎君 防衛問題は、民族興亡の歴史ですから大問題でありまするが、実際に静かに振り返って見ますと、文部大臣はこの問題はどう考えておるだろうか、防衛庁長官は、防衛大学校ほか防衛体制の中に教育の責任も持っているのだが、どう考えていらっしゃるのだろうか、これが聞きたいのであります。それぞれ御答弁を願います。
#137
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。
 防衛問題に限らず、すべての問題は私は人に関係いたしておると思うのであります。ことに国を守るというような心情につきましては、もとより重要なものとして何人も持たなければならない大切なことであろうかと考えます。したがって、学校の教育の場におきまして、自分の生まれた自分の国を愛し、またその国のためにはできるだけの奉仕をする、こういうような心持ちを持つように教育していくということは当然のことだと私は思うのであります。と同時に、私はこの問題をただ単に学校教育の場だけの問題として考えるわけにもいかないと思います。よき教育をいたしますためには、やはりその風土がよくなければならぬと思う。つまり、言いかえますれば、現在の社会の担当いたしておりますいわば直接学校教育の対象たることを、卒業したおとなの諸君がやはりそれぞれその心持ちを持ってもらわなければ困る、また家庭においてもそのような心持ちをもって子供さんを育ててもらわなけりゃ困ると思う。それらが相まって初めて私はよき日本人、言いかえますれば、自分の国を愛し国のためにはどんなことでも尽くしていく、こういう心情が養われるのではなかろうかと、そういう心持ちをもって文教行政に当たってまいりたいと存じます。
#138
○国務大臣(増田甲子七君) 国民の全部の方がみずからの国はみずからの手で守るという気概をもってするということは、総理の所信表明にありますそのとおりでございます。私といたしましては、防衛義務というのは憲法には書いてございませんが、やはり警察、消防と同様に、国民全体の道徳的な義務である、こう考えておる次第でございまして、防衛意識を徹底させるために、PRの点にも努力をいたしておる次第でございます。この後とも努力を継続するつもりでございます。
 それから、防衛大学その他に対してどういう方針で臨んでおるかという御質問でございますが、防衛大学、あるいは幹部候補生学校、あるいは幹部学校、あるいは高級幕僚学校等がございます。いずれも幹部自衛官を養成することを目的といたしておるのでございまして、その最初にくるのが防衛大学でございます。防衛大学を卒業した後に幹部候補生学校に入り、さらに幹部学校に入る、さらに統合幕僚学校等に入るわけでございます。その趣旨とするところは、幹部自衛官を養成することにある。そうして二十五万の自衛隊員をりっぱな、民主主義を守る、自由をとうとび民主主義を守るわが国の自衛官にふさわしい幹部要員にしょうと、こういうことでございまするが、特に保安大学、防衛大学が創設された当時は、なき吉田先生が非常に力を入れられまして、校長には特別にりっぱな人をということで、小泉信三先生をわずらわしまして、損先生というりっぱな方が十年間大学の校長でございました。その教育の方針とするところは、幹部自衛官になる前にゼントルマンになることが必要であると。それで、防衛大学の学生はまだ自衛官ではございません。四年間は学生でございまして、卒業のときに自衛官になるわけでございます。そこで、よき社会の指導者としてのりっぱなゼントルマンになるということに一番力を入れて、それから学科の内容とするところは、そういう道徳教育のほかに、理工科系のものを主としておりまするが、一生懸命十年間力を入れて勇退されたのが槇先生でございます。現在の防衛大学校長もこれを受けられました。まずゼントルマンになる、その次に幹部自衛官になる、こういう目標で民主主義的の自衛官ができるように努力をいたしておりまするが、この方針は吉田先生の立てられた方針で、りっぱな方針であると思っております。われわれはこれを受け、これを継承して、大いに努力をしてまいりたい、こういう所存でございます。
#139
○八木一郎君 国民は、かたい強い信念もなく、いたずらに大勢に引きずられて、大勢に押し流されていくというよりほかに能のないといったような政治行動に対しては、極端にきらっておる。いまわれわれがここに問題にしておるこのきびしく批判し見守っていかなければいかぬ課題については、沈黙を守っておる。国民は沈黙を守っておるほどです。声なき声に耳をかしながらオープンで防衛論争がこの国会を通じて開かれておることに、目を見張っておるというふうに私は了解しておるのであります。そうだと思っておるのであります。だとしますと、この心の面から、われわれの生命財産を安んじて託するような国づくり、社会づくり、家庭づくり、人づくりという、こういう面についての努力がまだ足りないのだ、こういう感じは、これはこの考えについて、この姿勢について、総理はどういうお気持ちを持っていらっしゃるか、お伺いします。
#140
○国務大臣(佐藤榮作君) いま八木君が御指摘になりました点については、私もたいへん関心を持っております。ただいまの状態ではなお十分だとは、現状をもってしては言えない。私は、この安全確保の点につき、また人づくりにつき、この上とも十二分にあらゆる努力をしいかなければならぬ、かように思っております。
#141
○八木一郎君 地道な課題をとらえて若干の質問をいたしました私の気持ちを締めくくる意味で申し上げまするが、私も最近ソ連、欧州、大洋州をめぐる十数カ国の他民族の中に旅行を続ける機会を得ました。それぞれの国家の政治、経済、社会の情勢を見たり聞いたり感じたりして帰ってまいりました。特に痛切に感じておるのがこの課題であります。
 そこで、一つの例をあげて所信を伺いたいのでありまするが、その一つは、国を愛する心の問題でございます。日本は敗戦によって、国家意識高揚というようなことばがタブーになって、何だか非進歩的なことを言う、前時代的だというような風潮に押されてきたきらいがないではない。その証拠に、なぜこうなってきたかということを見てくるとです、国家の、国の代表天皇というところを、小学校の本を見ますると、この教科書の中にです、国のかたまりの中心と、こういうふうに子供にわかりやすく書いてある。いかにも天皇が国の象徴、こういうことでは、まあ翻訳調といいますか、少なくも私の国民感情にはどうしても理解しかねる。こういう歴史と伝統を無視されたようなままになってです、総理のいわゆる国民一致してみずからの国をみずからの手で守る気概を持つ、これがひいては近い将来沖縄祖国復帰につながるのだというようなことを念仏にとなえたところで、どうも距離が遠いんじゃないかという感がする。これは二、三年の間がありますが、私どもと同じような国民感情の中に現実におられる有志はたくさんあるのですから、こういう点についてどう考えておられますか。
 もう一つ具体的にいいますと、民族を愛する、民族の古さとは歴史だ、伝統だというのがわれわれの考え方ですけれども、これは権力国家にちょうど対峙しておりますが、その日本人の同じところで、しかも私の郷里で、史跡保存の小牧山に見たことのない建物が建っておる。あれは何だろうかと思っていたら、この間全国テレビでその実情を見まして、聞いたら、国が文化財保護管理、国に管理保護の責任がある、ここへふん尿の処理場をつくってしまう、警察庁舎を建てちゃう。そこで市長は、自分の所有地だからいいじゃないかと言う。国のほうはけしからぬと言う。とうとう社会問題になって、全国テレビ放送となったのを聞いたのですけれども、これなどもわれわれの心のふるさとがこういう史跡保存のところにあるんだということを全く無視された、物だけを見ておって心のほうを忘れてしまったような風潮が出てきたのじゃないかと、私はそう思っているんです。
 これはまた、もう一つ言いますというと、明治百年という、まあ温故知新のときを実らせようとする動きが、各方面から盛り上がっております。もっとも反対気分の人もおりますが、こういうことを私が言うだけでもあんまり気分がよくないという人もおるかもしれませんけれども、私は外国から帰ってきて特に感じておるから、感じたままを率直にここにお訴えをして、貴重な時間でありますけれども。自由主義は、ほんとうに自由主義というものはいつから始まったかといえば、明治百年の土台になった板垣さんが、板垣死すとも自由は死せず、こういう板垣さんのときに端を発して、非常な発展があります。私どもは、古いものほどたっといというわけではありませんが、古いものを無視するということに抗議を申し上げておるのであります。誤った民主主義のために、これが革命主義になってしまい、誤った国家主義、それがいつの間にか世の中が騒々しくなってくるという、この事実を見のがすわけにいきませんので、沖縄問題の解決を前にいたしまして、戦後は終わらないと言ってきた佐藤総理に、いま一度こういう問題について真剣な御決意があることを、私は最初からお聞きをし、またそれについて若干の感想を申し述べさしていただいているのでありますが、ほんとうに日本を愛し、民族を愛し、国民を愛する心に触れて、堂々と大局的な大仕事をなし遂げねばならない国会論争は、笑いごとで済ませる課題ではないという真剣さをもってお尋ねを申し上げて、自由民主党の名において、心の底からこの問題を私は期待をし、その前途に信頼を、もう一度申しますが、古いことばかり言いまするが、士はおのれを知る者のために死すという、こういう決意を期待して臨まなければ容易ならぬ課題だということを繰り返し申し上げて、この段についての質問は終わらしていただきます。
#142
○国務大臣(灘尾弘吉君) 八木君の国を思う熱情に対しましては、私も感銘深く伺いました。ただ、お話の中に、天皇の地位についてかたまりの中心というようなことばを使った教科書がある、こういうことでございますが、私も実は、かたまりではないんでありますが、天皇の地位がまとまりの、国家まとまりの中心、こういうふうに表現した教科書があることは承知しております。相手が実は子供のことであります。国家統合の象徴とか、国民結合の象徴とかいうふうなむずかしいことばではわかりにくいのであります。そこで、まとまりの中心というようなわかりやすいことばをもって表現したものと存じております。
 天皇の問題につきましては、天皇の地位を簡単に説明すればこういうふうな表現になっているということでございますが、私はしかし、天皇を敬愛し、国家を愛する、こういう心情はすべての教育課程を通じ、特にまた社会科でありますとか、国語でありますとか、道徳でありますとか、そういう時間を通じて十分に教えていただきたいものと念願をいたしております。現状において必ずしも満足すべきものではないということもあろうかと存じますが、われわれといたしましては、そのような心情がますます高められるように、教育行政を進めてまいりたいと存じております。
 なお、小牧山の問題についてのお話がございましたが、仰せのとおりに、史跡でありますところの小牧山に関係当局に無断で屎尿処理場を建設せられたという事実を承知いたしました文化財保護委員会といたしましては、これが撤去を指示いたしておるような次第であります。何らかの解決を見るものと存じます。
#143
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま文部大臣からお答えしましたのでおわかりだと思いますが、また、天皇の地位については八木君自身も子供に対してわかりやすい表現をしたのだと思うがということばでございましたので、速記でははっきりさように申しておるわけです。文部大臣もただいま申すように、それぞれの表現を使われておるということであります。もちろん、これは権威をなくする、あるいは象徴とか、いわゆる憲法を無視した考え方でないことはもちろんだと思います。しかして、同時に、国民すべてがどうもこの国の、国内にいると日本のよさがどうもわからない。わかりかねる。しかし、いま率直に御披露になりましたように、海外から日本を見ますと、何もかもなつかしい。このなつかしいということが愛国心につながるのだと私は思います。そういう意味で、外国に出ていかれると特にその感が深い。その気持ちをぜひとも日本に帰っても忘れないように実はしてもらいたいと思うのです。
 それには、ただいま御指摘になりました正しい歴史、同時にまたうるわしき伝統、これは守るようにしたいと思います。この正しい歴史、うるわしき伝統、これを守り抜く、そういうことでなければならないと思います。これはただ単に小学校や中学校、高等学校ばかりではございません。大いに社会教育の場におきまして、人格を完成するという立場に立ちましても、そういうような努力をすべきではないかと思います。ただいま私自身をお名ざしではございませんでしたが、いまのお話を聞きまして、私もたいへん感銘深く聞きましたので、以上の点をお答えしておきます。
#144
○八木一郎君 この基本問題の論争に時間をとる考えではございませんので、同僚内藤君も常々主張もしておられますし、私も共鳴をし、外国回りをして帰って非常に深く感じたものですから、一言触れたわけであります。
 次に、財政問題に移って二、三をお聞きしたいと思うのですが、経済の見通しについて、四十二年は思ったよりか大きな狂いが出てきた。これは個人消費の堅調、二%予想を上回ったり、民間の設備投資が予想以上になったり、七兆円のこの額はこれからも保持しなければならぬだろう、こういうような景気に対し、また経済の見通しに対しては、これまでの質疑応答の中でだんだんはっきりしてまいりましたが、私はひとつ聞きたいのは、景気の見通しで、経企長官、これは財政の中立性ということを標榜してやったのが、ところがそうでなかったのだと、結果からは。だから、三千億の狂いもするような事態その他が出てきたのだと、財政に大きな責任があるような見方が出てきております。これと日銀の公定歩合引き上げ時期がおそかったというような声も出てきております。こういうことに対するいろいろ原因がありますが、やはり大きいウエートは財政の規模、財政の性格、これがそうさせたのだと、こういうふうに見ておりますかどうか、そこを伺いたい。
#145
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、今年度の経済見通しを二月の終わりに立てますときに、設備投資が結果として三割も対前年の上昇があるということについて見通しを持てなかったのは、私の不明のいたすところだと思います。もしそういうことが当初わかっておりましたら、財政としてもあるいは金融としてもその段階で考えられることがあったかもしれないと思いますけれども、その点は私自身の見通しが間違っておった、このように思います。そこで、財政については、財政当局が、今年度の予算編成を私お見かけしておって、最善を尽くされたというふうに考えておりますが、しかも、長年の制度、慣行といったようなものがいわゆる硬直化してまいりました。新しい施策をする必要があるが、古い施策はなかなかいろいろな既成概念等の結果捨て切れないといったような問題は、やはり今年度の財政も含んでおったと思います。これは、しかし、そういう制度なり慣行なりを考え直しませんと、いわゆる義務的な経費でございますから、簡単には切り得ない、そういう事情がまたあったであろうと思います。したがって、明年度からはそういうものについてやはり基本的な検討をいたすべき時期ではなかろうかと、こう思っておるわけであります。
#146
○八木一郎君 いわゆる経済成長論者は、日本経済は非常に大きな力がある、その大きな力は押えるということが無理だ、もっと伸ばしたほうがいい、経済社会発展計画の見込みというのは狂うのはあたりまえだと。こうして狂わしておいて引き締めに苦労していくという、こういう考え方の修正といいますが考え直しということが日程に出てきたようにも見れるのでありますけれども、これに対して、政府は、安定成長で行くのだ、したがって、好不況の波がないようにする、少なくともその波を小さくしていく、そのための財政金融政策については具体的に一体どういうことで安定成長の道を固めていこうとしていらっしゃるのか、この点を伺いたい。
#147
○国務大臣(水田三喜男君) 経済に波を打たせないで安定成長で行かなければならないというふうに思っておりますが、そのためには、先ほど御質問ございましたように、財政が景気に刺激を与えないようにという予算編成は一番大事なことでございます。今年度の予算編成のときに、私どもは、ことしの経済は強い上昇基調にあるということと、このまま行ったら国際収支は安心できないということを考えましたので、景気に刺激を与えない予算を組むというために予算ワクの圧縮には努力しました。また、もう一つは、中央政府それから地方公共団体の財貨サービスの購入、この伸び率と、これが経済成長率に寄与する率との関係を非常に重視しまして、三十五年から四十一年の七年間の寄与率を見ますと、二四%になっている。それよりも圧縮するという意味で、一九%の圧縮をしまして、この伸びを一二・八%というふうにやりましたが、これは相当中立的予算の性格を持ったものだというふうにこの委員会でも私は説明したことがあったのでございますが、今度の経済見通しの改定によりまして、結局、この狂いは、一二・八が一四・七、それから一九%をさらに切って一七%台になっている。こういうことでございますので、こういう点ではことしの財政はそう刺激を与えなかったというような形になっておりますが、もっともこういう形が改定によって出てきました背後には、御承知のように、三千億を上回る予算の繰り延べというようなことをやったからということが言えようと思いますが、私どもは、予算は一応決定したものの、この事情を見て、いつでも財政政策をもって対処するというつもりでずっと見守ってきましたが、イスラエル問題から国際収支の問題はさらに変わってまいりましたし、なかなか経済の基調は強くて、鉱工業生産も少しも衰えないという事情を見ましたから、この七月から引き締め政策に入ったということで、時期をおくれているのじゃないかというのですが、私は、ことしは暫定予算というものを組んで出発したために、最初この点で相当のブレーキがかかっておりますので、七月前後から始めたこの調整策というものはそう時期を失したものではないというふうに思っています。いままでと違って、金融政策だけではなくて、財政政策でやったわけでございますから、どうしてもその効果があがってくるのには四カ月やそれくらいのズレがある。ようやくこの暮れから来年にかけてこの効果が出てくるときでございますので、この効果が出てくれば、私は、そう財政政策で手おくれになったという結果にならないで済むのじゃないかというふうにいま考えております。
#148
○八木一郎君 結果から見ますと、四十二年度は必ずしもうまくいってはいなかった、これはお認めになって、一二・八%でと、こういうお考えのようでありますけれども、四十三年度です。四十三年度は、いまの情勢から見てきてどういうふうに見ておられるのか。衆議院の予算委員会の大蔵大臣の答弁によりますというと、非常に力強く、設備投資会計の中にある七兆円程度の設備は、これは輸出を伸ばし国際収支の関係から必要なんだ、こういうことをはっきり言っておられます。そうなると、明年度の設備投資がさらに大きくは伸びないでしょうけれども、少なくとも七兆円程度は必要だということで、一方、財政のほうは相当きつく景気抑圧型で、景気は抑制方向でと、こういう何か矛盾をそこに持つような気がしますが、日銀総裁も、これに対処するには財政面の抑制がやはり主軸になって当然そうやるべきだ、こう言い切ってもおられるようでございますが、ちょっとお伺いしたいと思います。
#149
○国務大臣(水田三喜男君) 少し誤解があると思います。御承知のように、三十年代の最初の前半は設備投資が二八%平均伸びている。そうして、国民総生産に対する比重が二割というところまでいっておりますが、現在は変わってきまして、国民総生産の中へ占める設備投資の比重は一五%前後にいま落ちております。したがって、これ以上設備投資を落とすということは、将来いろいろ問題になる。で、七兆円くらいの設備投資があってしかるべきというふうに思われますが、問題は、国内経済だけについての問題でございまして、いまのように国際収支の天井にぶつかっているというときにどうするか。総需要を圧縮しなかったら国際収支の改善ができないというこの問題にぶつかっているときのあり方として、設備投資を含む総需要をどう圧縮しようかということは別の問題でございまして、私どもは、これ以上落とせないというところへ来ておっても、国際収支の現状はそれをやらなければいけないところに来ている。特に昭和四十三年度は新しい国際情勢が加わっておるので、相当のことを考えないというと、この経済成長は誤るだろうということをいま心配しておる次第でございます。
#150
○八木一郎君 問題は国際収支のところへ立ちましたが、実際に国際収支問題を見ると、外貨準備高がいつもどうも苦になるんです。一体、十二日でしたか、発表になっております、十一月の国際収支はかってないほど悪化しており、なかなか深刻な状態であるといわなければならぬと思います。わが国の外貨準備高は二十億ドルの線をずっときております。言うまでもなく、ここ十年ぐらいは大体ここへきておるんですけれども、その間に外貨準備高は少しも変わっていない。この中で健全に発展してきた国際収支、輸出輸入の関係ですが、これは御答弁によるというと、三、四カ月分あればそれでたくさんだ一たくさんだということばじゃなかったかしれませんけれども、三、四カ月分だけあればいけるんだというお考えですが、ほかにそうのんきなことを言っておれないんじゃないかという結果が十二日のこの間の収支で出たように思いますが、この点はどうですか。あわせて、輸出振興の話を通産大臣にお願いします。
#151
○国務大臣(水田三喜男君) 外貨の準備高は多いのにましたことはないと思います。幾らなければならぬかという基準はいろいろいわれており、国の輸入状態、あるいはそのほかの経済状態によってこれくらいなければならぬという基準はございませんが、諸外国の保有高から見ますというと、やはり輸入の三、四カ月分の保有は必要だということはよくいわれておるということで、これだけなければならぬという確定した別に説があるわけではないと思いますが、しかし、外貨保有高が少ないということは、国際収支の天井が非常に低いということでございまして、国内政策のやり方としましては非常にむずかしくなる。やはり政策にゆとりをつけるというためには、この国際収支の天井が高いにましたことはない。したがって、できるだけこれを高くすることがほんとうでございますが、過去二、三年におきまして日本の外貨収入が非常に多かったときには、この外貨収入で過去の債務を返すということに非常に力を入れてしまったために、経済がよくなっても保有外貨の量はふえなかったということで、内容は非常によくなっておりますが、外貨の保有高が少ないということは、いま言ったような国際収支の天井を低くすることで、そのための問題がいま出ておるのでございますから、これはできるだけ保有高は多くするという方針で、今後輸出の増進そのほかを真剣にやらなければならないだろうと思っております。
#152
○国務大臣(椎名悦三郎君) いま大蔵大臣からお話がありましたように、国際収支の見通しはまことにかんばしくない。これを打開するためには、一方において輸出振興に力を入れ、一方において輸入の騰勢をもう少し落ちつかせるという政策をとらなければならぬわけであります。ただいま日本も、過般、緊縮政策に踏み切っております。それで、輸入の関係は、この緊縮政策がだんだん浸透してまいりまして、漸次落ちつく、鎮静化するという傾向にございますので、われわれはその結果を見守っておるような状況であります。
 輸出振興の問題としましては、従来、事あるごとに各般のくふうをこらしておりますが、もちろんその範囲を出ないのでありますけれども、いまの情勢下においてどこに力を入れるか、どの点に重点を置いてこの問題を推進するかということにあるわけでありますが、結局金融税制の面からこれを助長する。
 それから、国内の生産体制の問題でありますが、ただいま設備投資の問題が出ましたが、これはもちろん便乗主義による設備投資、あるいは将来のなわ張りをひとつ築いていこうというような、そういう意図で設備投資をするいわゆる不急の設備投資は、これは業界に働きかけて自粛してもらうということに全力を注いでおります。しかし、一面において、日本の設備投資が、三十九年、四十年、四十一年、この景気後退の際には設備投資がわりあい眠っておる。そこで、四十二年に景気が回復してわっと出てきた。でありますから、四十一年と比較すると非常な率の急上昇を見ておりますけれども、これはやはり二、三年眠っておったせいで、その背景があるからそういう非常に急上昇したように見えるのでありますけれども、その内容をよく検討してみますというと、便乗主義やら不急の設備投資がそれはあるにはある。それは自粛を促さなきゃなりませんが、やはりこの自由化問題を控え、あるいは物価上昇のこの趨勢というものを見、労力不足という情勢に処して、これを機械化する、そのための投資である、そういういまの時宜に適したものがかなり少なくないのでありまして、それをもし抑制させるというようなことは、これはどうもいわゆる角をためて牛を殺すということわざがありますが、ややそれに似たような結果になるわけでありまして、この点は十分に注意して対処してまいりたいと考えております。
#153
○八木一郎君 四十二年にふえたのはそれなりの理由を理由づけて説明しておられますけれども、実際にどうですか、輸入は思惑輸入でふえたので、これは自粛していけるのだ、また、輸入はふえて、輸出のほうは伸びない、そして設備の投資は衰えない、こういう情勢が見てとれますけれども、これを打開していく措置について何かお考えですか、輸出増進上。
#154
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまちょっと話のうちに触れましたが、ただいま日本がとっておる緊縮政策が時とともにだんだん浸透してまいりまして、そしてまあ年を越せばほどなく鎮静の傾向に向かうものとわれわれは期待しております。いまのところ、やはり貿易収支は黒でございますけれども、総合収支は、やはり国際情勢のこのきびしい環境の中で、やはり相当の赤字を見込まざるを得ない、こういう情勢でございますが、四十三年度は、これを回復させるという目標のもとに、鋭意その準備をし、進めておるような状況であります。
#155
○八木一郎君 私は、現在のこの時点にこうなってきたには、それなりの事情が十分にわかるわけですが、それかといって、政府がすでにやってきた国債発行予定額を減してみたり、公定歩合を引き上げたり、あるいは公共事業の繰り延べをしたり等々、適切な対応策は講じつつあるけれども、国民総生産はなお行き過ぎと思われるほどに伸びていく、ここに問題をしぼって一二%の足取りだと見ると、おまけに、かてて加えたポンドほか、海外事情のきびしい要因があらわれてきた。そうすると、これは思い切った財政転換の腹をきめてかかるという課題を解決せぬと新年度予算に取っ組めないような、そういう気さえするのですけれども、これに対して衆議院の同僚議員のほうからは、財政の側からもしっかりした態度で経済社会に要請をし、経済社会もこれを受けて、総合的に適当な審議会でもつくっていわゆる転換策に備えようという提案に対して、総理の答弁は、十分に考慮してこれを受けとめてやるかのような印象で聞いたんですけれども、どうなっておりますか、相当日がたっていますから。
#156
○国務大臣(佐藤榮作君) いまいろいろの民間の協力を得るような委員会がございます。それらの委員会を活用すれば、いま提案されるような目的を達することができるんじゃないか、かように私は思っております。そういう意味で、特にあらためて委員会をつくらなくてもいいだろう、かように申したのです。
 ところで、いまお話のように、来年度の予算、これはたいへんむずかしい状況になっております。縮減するとは申しておりますが、今度の私どもが考えておるようないわゆる安定成長の基調に乗せることができるかどうか、いまの考え方であるいは八%、九%というようなことをねらいますと、また今日のような非常な過熱した状態を起こすんじゃないか。ことしの予算が現に中立予算だといわれながらも非常に過熱を来たした、ここに消極的な対策をとらざるを得なくなった。ところが、経済の成長率ですが、これを五%や六%に引き下げるというようなことになると、おそらくたいへんな不景気がくる。これは日本人としてはなかなかこれに耐えられないといういまの状況ではないだろうかと思います。そこで、国際環境は一そうきびしさを増している、いまのポンドの問題、いまなお続いて動揺しております。各国とも輸入を押えて、そうして輸出を進めるという、この輸出競争が一そう激しくなる。そういう際でありますだけに、わが国もよほど心してこういう国際環境に対処していかなきゃならぬ、かように思っておる次第でございます。私は、国民の協力も、そういう意味では理解と協力を求めないと来年の経済はたいへんむずかしい状態になる、かように思っておる次第でございます。
#157
○八木一郎君 そこで、むずかしい問題が重なった中に、当然増と硬直化財政という問題に対処しなきゃならぬと思うのですけれども、一体、毎年臨時国会を開いて相当な規模の追加補正をしていくという、これは財政法から見てもおかしなもんだと思います。そういう意味から、硬直化してきたことの反省の中から当然増の推移を分析してみたいのですが、これは事務当局から詳しく説明を求めます。
#158
○政府委員(村上孝太郎君) お答え申し上げます。
 われわれは当然増と呼んでおりまするカテゴリーの経費は、法律上、制度上義務づけられておりまする、たとえば国債利子の支払いであるとか、あるいは所得、法人、酒税の三税の一定割合を地方に交付する地方交付税であるとか、あるいは、また、国家公務員、あるいは、また、国が法律によって負担しておりまする補助職員の給与というふうなものの支払いであるとか、あるいは、また、もろもろの社会保障関係の義務的に支出を余儀なくされている経費というふうなものを呼んでおるわけでございますが、こうしたものの経費が、従来の経緯をたどってみますというと、四十一年度までは、これは当初予算について申し上げているのでありますが、大体予算全体を六%くらい拡大する力となって働いておったのであります。それが四十二年度におきましては八%台にはね上がりまして、来年度の予算を展望いたしてみますというと、それが一三%相当にこえるというふうな状況に発展してまいっております。これは従来積み重ねられた制度から出てくる膨張圧力というわけでございます。従来のように、さらに新しい種がそれに加わってくるということになりますると、さらにその膨張圧力は一そう強くなってくる、こういう状態にあるわけでございます。
#159
○八木一郎君 このままで六%、八%、一三%、その次はどうなるだろう、こういう心配もできまするし、一体、これだけの規模の補正を毎年やっていかなければならぬという、これが硬直の大きな原因だということは大蔵大臣認めるのですか、どうですか。
#160
○国務大臣(水田三喜男君) これも一つの原因だろうと私は考えております。
#161
○八木一郎君 これは私が調べてみましたところでは、当然増が六千八百十五億円に本年のぼって、大きなかさです。中身を見ると、地方交付税が二千四百億、人件費が一千億、この一般会計の中からくるこういう中身を見ますと、これはやはり問題だが、ここらでむずかしい問題がいろいろ出てきているときですから、このむずかしい問題を総合的に取りまとめて、基本的に対処して予算体系づけをしていくという、このままいっちゃったら困るときが私は出やせぬかという杞憂があるのですが、これは杞憂にすぎるのでしょうか。主要な一つだという御見解だと、あれこれどんなものをお考えになっているでしょうか。硬直化に至った大きな原因、大きなものを一つ、二つ。
#162
○国務大臣(水田三喜男君) いま主計局長が言いましたように、当然増経費の予算膨張圧力ですら一三・七%という数字でございますので、かりに予算額が一三・四%程度の増加ということでしたら、もうそれで終わりというのが実情でございますので、これはもう弾力性というものは全然ない予算になってしまう。したがって、まずこの打開は、この制度なり法律に根ざした義務的な経費ですらいまのままではいけないじゃないか。すでに補助金のごときも、たとえば地方財政が悪いときにきめた率というようなものも、少しでもよくなったというときには中央、地方の財政調整をやれる問題がその中にはないかとか、あらゆる問題についてやはり検討して、その改善の一歩というものを全面的に各項目について一つずつ来年度一歩踏み出すというぐらいの配慮をしなかったら、これはあとしばらくだったらもう財政破綻になってしまうということは必至だろうと私は思っています。ちょうどよく引き合いに出されるドイツの例でございますが、私どもと少し似ておりまして、今年度は一月から実施するから予算はたいして要らないというような法律をつくってしまったら、次は平年度も三百五十億の予算膨張になる。ドイツではこれをたくさんやっておりますが、最近日本もそういうような法律のきめ方とかいうものはたくさんございますので、こういう点に関しては、もう来年度から私どもは真剣な考慮をすべき時期だというふうに考えております。
#163
○八木一郎君 ここらで一歩を踏み出していくという堅実な考えに立たないと破綻に瀕するおそれありと、これならばですね、この中身をとって私も見たんですけれども、たとえば地方交付税が二千四百億も出ておるけれども、これは三税の増税に見合ったものでどうすることもできない。大蔵省ではこれを切るというようことを言っているが、まさか切るというようなことは、作業をしているわけではないだろうと思いますが、どうですか。
#164
○政府委員(村上孝太郎君) 硬直性の原因としましては、いま申されました交付税のほかいろいろな問題がございます。しからばそれをどういうふうに打破していくかという問題でございますけれども、交付税の税率を切り下げるということ自体ではこれは問題は片づかない。現在、公経済の内部におきましては国と地方団体が中心になってこれを支えておるわけでございますが、一体、もっと効率的な、たとえば重複行政を廃するとか、いろんな各種の配慮を加えて公経済の運営というものを能率的にやったらどういうふうになるんだ、あるいはまた与えられた原資というものは公経済には限られておりますが、これを最も有効に使っていけばどういうような節減ができるのだ、こういうふうなところからほぐしてまいりまして、そうして与えられた原資を国、地方ともに健全な財政体質を維持していけるようにやっていくのにはどういうふうな財源配分がよろしいかということを根本的に再検討しまして、そこに初めて結論が出てくるわけでございます。
#165
○八木一郎君 まあはっきりしませんけれども、三二%の現状を切り下げはしませんとは言いません、下げるか下げないか検討中。そうすると、人件費はどうですか、一千億、これも相当な比重を占めているし、検討するほど問題点は出てきますけれども、給与改善の一つの方法として日程に出てきた、つまり年度初めに四月から実際の給与の引き上げを行なう人事院の勧告を待っている。思い切ってこれをやったらどうですか。これに対するお考えをお聞かせください。事務局でいいです、何か作業をしているんでしょう。
#166
○国務大臣(水田三喜男君) 給与の問題、非常に大きい補正予算をいつも残しながら当初予算を組むやり方については、これはもうどう考えても好ましい方法ではございませんので、何らかの改善策はないかと、いま考え中でございます。
#167
○八木一郎君 何らかの改善策ということを期待するわけです。一歩を踏み込もうとするこういう決意ができてないように見えますが、これは総理いかがですか。もう予算すぐですよ。
#168
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま予算もすぐですから、いま大蔵大臣が申しますように、内閣自身としてもこれは真剣に取り組まなければなりません。その一つとして一省庁一局廃止という、そういう問題もさきに決定したばかりであります。これは私ども今日取り得た第一歩。さらにまた予算編成上において年度途中において大きな補正要因、それを残している。この点はぜひともわれわれは工夫をしていかなければならない。給与の問題、もう一つは米価の問題、ここらにむずかしさがあると思います。
#169
○八木一郎君 年度半ばに毎年こういう規模の補正をやること自体は、これは理屈で言えば財政法で適当だということに理解しかねるところがあるのですけれども、その点説明をしてください。その説明を願った上で……。
#170
○政府委員(村上孝太郎君) お答え申し上げます。
 この補正予算に関しまする財政法の規定は、予算作成後に生じた原因によって経費の追加を行なわなければならないというときに編成をいたすわけでございますけれども、たとえば御存じのような米の問題であるとか、あるいは公務員の給与の問題ということは、予算作成後にいろいろな諸要素がきまるという意味では、これは補正の予算を提出する財政法に規定にかなっていると、こういのことは言えようかと思います。
#171
○八木一郎君 基本の解釈自体は私はこじつけだというふうに思うのです。少々の規模でいけるならば、年中行事になっていることは間違いない。この年中行事化してきた問題をここでひとつ手を入れる。こういうことを期待をして、この硬直化予算を前にして新たな予算の編成はどうも年を越していこうというならば、これはむずかしい問題ですけれども、取り組んで誠意ある一歩を前進してもらいたいということを期待して、私の質問を終わります。
#172
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして八木君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#173
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、小柳勇君の質疑を行ないます。小柳勇君。
#174
○小柳勇君 私は経済問題を質問いたしますが、大きく分けて三点質問いたしたいと思います。
 第一点はポンド再切り下げ及びドル危機に対する政府の見解をただして、これからの政府のとる措置、第二点は共同声明後の東南アジアの経済援助について、第三点はいわゆる財政硬直化の実態をただし、政府の財政運営の誤りを追及して、四十三年度予算編成の方針を聞く、以上三点で質問いたしますが、第一点は、四時に日銀総裁が出席されるようです。金プール再編の問題もありますから、日銀総裁が出席されたあとで政府と日銀総裁に一緒に意見を聞きます。したがって第二点から質問に入りたいと思います。
 質問は、共同声明の第六項、「アジア諸国に対する経済援助をさらに強化する必要を認め、」とあります。また、共同声明の第三項では「アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状況を作ることが重要であることに意見が一致した。」と書かれております。そのあとで「自由諸国としては、アジア地域の政治的安定と経済的繁栄の促進のため、引続き協力することが肝要であることに意見が一致した。」と書いてあるのでありまして、ここでは経済援助が中共封じ込め政策の一環と結びつけて考えられるところであります。アジア諸国に対する経済援助を促進することは平和的には望ましいが、平和に寄与するどころか、かえって国際緊張を増すのではないかと考えるが、総理の御見解を承ります。
#175
○国務大臣(佐藤榮作君) 東南アジアの開発途上にある国々に対しまして先進工業国が積極的に援助すべきは、これは当然のことでございます。これは別に中共封じ込め政策のほうにさらに一歩も二歩も前進したというものではございません。この中共に対するいわゆる封じ込め政策というのも最近はだいぶ変わっているように私は見受けております。アメリカ自身がそういうことばを使わない。ここに私どもも目を開いて見ないといかぬ、皆さん方もそれだけ国際情勢が変わってきていることをどうか御理解を賜わりたいと思います。
#176
○小柳勇君 今日までも後進地域開発で援助してまいったのでありますが、特にジョンソン大統領との会談後、共同声明を発表したあとの経済援助については、いままでの経済援助とは主体的にも客観的にも変わるのではないか、私はそう考えるが、総理の見解を聞きたい。
#177
○国務大臣(佐藤榮作君) 基本的な方針は別に変わりません。御承知のようにOECDのDACの会議で、先進工業国は国民所得の一%を援助のほうに回そう、かように申しておりますが、なかなかその一%の数字には達しておりません。また開発途上にある国々、そのうちでも東南アジアあるいはアフリカ諸国あるいは中南米等の国々と比較してみますと、東南アジアに対する先進工業国の援助は他の地域に比べて少ない。そういう意味からも東南アジア――私とも位置しておるその関係からも、東南アジア諸国に対してもっと積極的な各国の援助が望ましい、こういうことを私は痛切に感じておるのであります。御承知のように各国間相互の、二国間の問題もございますが、同時に連帯感に基づいての共同としての問題もございます。アジア開発銀行などはその一例でございます。しかし、このアジア開発銀行に対しまして、域外からの出資、これなども大きく今後とも考えなければならない、かように考えておるものでございまして、実情をよくお考えいただくと共同声明の出てきておるゆえん、これがおわかりだろうと思います。私は共同声明で、幾ら幾ら援助しろ、こういうことは申しておりません。積極的な心理的な心がまえがうたわれておる、かように理解しております。
#178
○小柳勇君 共同声明にわざわざこの第三項、第六項が入りました。それを一気に読みまして、そういうことを感ずるし、おそらくジョンソン大統領も、佐藤総理が自慢たらたらこのアジア開発銀行などの話をされますものですから、喜んで、この際と言って、ドル危機でもあるし、特にこれを共同声明に入れたんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#179
○国務大臣(佐藤榮作君) 別にそういうような背景はございません。
#180
○小柳勇君 通産大臣にお聞きいたしますが、いままでの東南アジアに対する援助、特にベトナム特需といわれる戦争関係の輸出について数字的に御説明願います。
#181
○国務大臣(椎名悦三郎君) 東南アジアに対しまする経済援助は、いま総理からお話がありましたが、特に日本としては、この地域の経済協力に相当力こぶを入れておりまして、全体の低開発国の援助額、経済協力、それの総額の六%前後が東南アジアに注入されている、こう考えております。
 それから第二点のベトナム戦争に関連して数字的なものをあげよ、こういうお話でございましたが、別にベトナム戦争に関連して経済協力をしておるという事実は私はないと信じておりますが、よく数字上からも後刻調べまして申し上げます。
#182
○小柳勇君 いや、後刻じゃない、通告してあるから、あなたのほうの役人知っているんだ。
#183
○国務大臣(椎名悦三郎君) ああ、そうですが。
#184
○政府委員(原田明君) ベトナムに関連をしてというだけで輸出がどのくらいふえておるかという数字は非常に判断困難でございます。ただ、南ベトナムは、一九六五年くらいまで約三千四、五百万ないし三千六百万ドルくらいの輸出をいたしております。それが六六年になりまして一億三千八百万ドル輸出が出ておりますので、約一億ドルの輸出増を見ておるわけであります。それから隣のタイ国でございますが、ここも六五年くらいまで約二億一千三百万ないし九百万程度の輸出をいたしておりましたが、これが六六年になりまして約三億ドルに上がっております。ただ、そのほかのマレーシア、シンガポール、フィリピン等は、六六年の輸出の伸びはほほわが国の全体の輸出の伸びを下回る程度の輸出しか伸びておりませんので、合わせまして二億ドル程度は輸出がこの地域で伸びておるようでございます。ただし、この輸出の伸びには、向こうの外貨事情の好転、輸入の自由化を進めたとかあるいは景気が上がったというようなことによって伸びておるものもございますので、この二億ばかりのうちからどの程度がベトナムということに関連して伸びたかという判断は非常にむずかしいのではないか、かように考えております。
#185
○小柳勇君 貿易の振興状態は私も数字を持っておるのでありますが、この中でいわゆる二十億ドル軍需といわれるいまのベトナム戦争に関連する武器関係の輸出は、一体通産省はどのくらい把握しておるかと、こういう質問であります。
#186
○政府委員(原田明君) 輸出に関しましては、武器の輸出のほうはほとんどやっておりません。
#187
○小柳勇君 通産大臣、いま実は質問通告してあるのです。武器輸出は貿易振興局、経済協力分は輸出業務課あるいは重工業局の輸出課などでタッチしておるから、その実態について調査するようにという通告をしてあるのですが、通産大臣のほうでは、いわゆるベトナム特需といわれ、日本が武器関係で産業が潤っているといわれている、そういうものの実態を把握しておりますか。
#188
○国務大臣(椎名悦三郎君) 東南アジア全体に完成品としての武器を輸出しておるのは、フィリピンに賠償物資として一部あったと思いますが、これは国内治安の方面にもっぱら向けるものであって、決して対外的な紛争にこれを使うものじゃないという言質をとっておりまして、その他の地方においては完成した武器を輸出しておるという事例は、私どもまだ調べておりません。ほとんど見るべきものがないと考えておりますが、なお調べてみます。
#189
○小柳勇君 われわれこれを調査した人も現地を見てきた人も言っておるのだけれども、ナパーム弾など日本製であると、しかも明らかにきのうも聞いておるのでありますから、輸出関係、通産省で把握しておるということをあとで数字で調べて出していただきましょう。ここで押し問答してもしようがありませんから……。出ますか。
#190
○政府委員(原田明君) 武器の輸出の実績を御報告申し上げます。
 四十一年が小銃をタイに五千丁です。これは警察用でございます。それから拳銃約七千丁をカンボジア、スイス、ノルウェー、イギリス等に合わせて出しております。四十二年に入りまして、四月から九月までの間に拳銃約六千丁をアメリカ、イギリス、西独、オーストラリア等に出しております。これはいずれも護身用でございます。
 以上でございます。
#191
○小柳勇君 なお、私のほうの調査と少し違いますから、その問題は押し問答してもしようがありませんから、総理に重ねて質問いたしますが、いままでの武器輸出は、いま言われたように警察とかその他の名前で出ているようです。これから、共同声明にもありましたが、経済援助即これは軍事的な平和を守る協力であるという共同声明が出ておりますが、武器援助など一そう強化される形勢はないか。あるいはそれについての――総理がいま横に顔を、頭を振っておられるが、歯どめがあるかどうか。一切そういうことは許可しませんとか、通産省がそれは認可するのですから把握しますから、そういうことは一切やりませんと言明できますか。
#192
○国務大臣(佐藤榮作君) 紛争国向けの武器輸出は一切いたしません。
#193
○小柳勇君 直接の関係でありませんが、アメリカで総理大臣は五億ドルの武器購入を約束してこられたそうでありますが、これはどうですか。
#194
○国務大臣(佐藤榮作君) そういうことはございません。五億ドルの武器購入、これはたいへんなことです。そういうことはございません。
#195
○小柳勇君 これはあとでまた同僚議員である矢山君がこの問題など質問されると思いますから、数字はそのときに私は譲りまして、あと質問を続けてまいりますが、第三点の国内経済の変動の問題を質問いたします。
 さっき八木君の質問で大蔵大臣がいままでの経済変動に対しての答弁、これから四十三年度の経済変動に対しては相当決意を持っていかなきゃならぬということをおっしゃいましたが、国際的なドル危機、あるいはポンド切り下げによります日本経済の変動についてはどのように把握しておられますか。
#196
○国務大臣(水田三喜男君) ポンドの切り下げはやはり相当日本の国際収支にも影響があると思っております。スターリング地域の貿易全体に対する比率は二割ぐらいでございますので、このほうはそうあまり大きい影響はないんじゃないかと思いますが、たとえばアメリカのような第三国になりまするというと、日本のアメリカへの輸出が三、ポンド、スターリング地域のアメリカへの輸出が二、三と二くらいの割合になっておりますので、この競争というものは相当激しくなる、日本にやはりある程度の影響があるんじゃないかというようなことが考えられますので、貿易全体としての影響は第三国における競争の影響というものを私どもは非常にこれを重視しています。で、これがどのくらいの額になるかということはそう正確には計算できませんが、私どもはこの影響についてはいろいろ検討しておるところでございます。
#197
○小柳勇君 四十三年度の予算がいま編成に入っておりますが、さっきの大蔵大臣の答弁によりますと、四十三年度の編成は現時点における日本の経済情勢の上に立って組もうとしておられる。このいま組もうとしておられる日本の経済成長率なり設備投資なりというものが、これがポンドの再切り下げなりドル危機がもっと深刻になりますと相当変わった形で出発しなければならないと思うが、現時点においていま大蔵省はもうすでに大体の案はできておると思うけれども、あとで日銀総裁が見えてからポンドの再切り下げの問題を聞きますけれども、もしそれが変動があった場合、再切り下げなりドルの危機があった場合に、四十三年度の予算についてはどのような措置をされるか。
#198
○国務大臣(水田三喜男君) 四十三年度の予算は結局四十三年度の経済見通しの上につくられるべきものだろうと思っております。来年度の経済見通しの中には当然そういう国際環境がきびしくなるという要素を織り込みます。で、ドルのいろんな変化によりましてやはり日本の輸出というものは相当抑制されるというようなことも考えられますので、来年度もやはり国際情勢の方向というものとからんだ国内経済の見通しというものを先に立てなければなりません。いまこの仕事をやっておりますが、これは相当まだ少しおくれるような見通しでございますので、これができてからほんとうの来年度の予算編成の方針がきまる、こういうことでございます。
#199
○小柳勇君 その問題は、また第一点の問題を論争したあとお聞きいたします。当面われわれが問題にいたしておりますのは、いわゆる財政硬直化の問題でありますが、財政硬直化の実態なり措置なりをどういうふうにしようと、把握しこれから対策を立てようとしておられるか、大蔵大臣に質問いたします。
#200
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほど主計局から御説明いたしましたように、いわゆる当然増経費、法律制度に基づいた義務的な経費と準義務的な経費、この二つで予算の九割を占めるという状態でございますので、さらに来年度この二つが経済、予算膨張に対して持つ圧力というものはたいへんなものでございまして、普通の予算規模の増大ということではもう新規政策を実行する余裕はないというふうに、硬直化の度合いは来年になって非常にきつく出てまいりますので、したがって、私どもはこの際この硬直化打開のための解決の一歩を来年度の予算において踏み出す、こういう決心でいま各部門にわたっての検討をしておる最中でございます。
#201
○小柳勇君 経済企画庁――ちょっとその前に大蔵省から「ファイナンス」という広報が出ておるのですけれども、大蔵大臣、これは貴省の広報ですからこの中の記事については大臣も御存じでございましょうか。「転換期に立つ財政」といっておたくの主計局調査課長が書いておる論文でございますけれども、御存じでございますか。
#202
○国務大臣(水田三喜男君) 読んでおります。
#203
○小柳勇君 ではこの内容を大蔵大臣の財政硬直化に対する見解だといってここで論争してよろしゅうございますか。
#204
○国務大臣(水田三喜男君) 大体よろしいと思います。
#205
○小柳勇君 経済企画庁長官に質問いたしますが、いま直面しておるといわれるこの財政危機、財政硬直化の原因なり、その実態なり、それに対する措置なり、見解を発表願います。
#206
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政の硬直化というのは、要するに行政の硬直化が財政という数字の形をとってあらわれたと思っておるわけでございます。行政の硬直化というのは、やはり行政をささえる制度であるとか法律であるとか慣行であるとかというものがわが国の成長なり変化に追いつかないようになってきたこと、それから行財政をになう人々の考え方の硬直である、こういうふうに考えております。したがって、この財政硬直化を打開するためには、そういうもろもろの制度、慣行あるいは考え方を改めるということから始めなければなりませんが、いずれにしても長い沿革を持つ制度なり考え方でありますから、やはりそういうものを国民のコンセンサスによって改めるためには一年ぐらいの時間がかかるであろう、したがって、これ以上事態を悪くしないようにしておきながら、慎重に、しかし一定の時期を定めてそれらのものを改めていくべきである、こう考えておるわけであります。
#207
○小柳勇君 宮澤長官、宮澤構想なるものが発表されたんですけれども、財政硬直化の打開策と宮澤構想なるものは関連があるのかないのかですね。ただ、これは宮澤私案でございまして、言いたいことを言ったんだということでございますか。あるいは経済企画庁長官として責任を持って現在の財政危機を乗り切るためにはかくあるべきだという姿を国民にお示しになったのか、見解をお聞きしたいと思うんです。
#208
○国務大臣(宮澤喜一君) もちろん出したものは私案でございますけれども、引き続き内閣にとどまるように総理から言われましたので、来年度の予算編成につきまして私の考えておりますことは、常時大蔵大臣その他の方々に具申をいたしております。
#209
○小柳勇君 大蔵大臣、さっき具体策についてはお示しにならなかったんですが、現在の財政危機については、歳出がふえて歳入が足らぬのだと、したがって、ひとつ国民の皆さんしんぼうしてくれよと、税金をよけい出してしんぼうしてくれということが財政演説の中に出ているんですけれども、そういうことでは解決しないと思うが、もう少し具体的に現在の財政危機の打開策について見解をお述べ願いたいと思うんです。
#210
○国務大臣(水田三喜男君) やはり私は三十年代の日本の高度成長時代、このときには経済が成長すると同時に国の歳入額がこれに伴いまして、この時代にいわゆる自然増が多かったために、本来なら厳密な意味で国の財政が負担すべきでないところにまで財政の手を及ばせていると、こういう国の財政でやらなければならぬ仕事と、それからそうじゃなくて、企業なり昂間側がある程度持ってしかるべき負担というようなもののけじめが相当ゆるやかになって高度成長時代にいろいろの施策をしておりますが、これが積もり積もって今日のやはり財政硬直のもとをなしておると考えております。
 それともう一つは、私はちょうどドッジさんが来られたときに、日本のインフレを押えるという仕事に若干関係いたしましたが、ああいう形で占領下において予算を押えられたために、一面国民は非常に苦しみました。あれによってインフレはおさまったということは確かでございますが、同時にもう戦後のこの国土の荒廃のあとで公共投資の必要に迫られているときに、予算をことごとく切られて、したがって、占領下において予算をもってこの財政需要を満たす、予算編成ということで満たす方法がございませんでした。予算は全部司令部のオーケーがなければ国会に提出できないということでこざいましたので、そこで私どもは一これは私ども自分でやったことで、いいことだったか、悪いことだったか反省しておりますが、これはもう法律でしばるほうがいい、これだけの費用は出さなけりゃならぬという立法措置を別個にやって、予算問題を解決するのがいいというようなことで、あのときに予算を伴う議員立法というものを、作業をやりました。そうしてまた、政府にそういう法案を出させるというようなことから、予算の突破口をあけたということを現にやってきましたが、これによって戦後の日本の復興というものは非常に進んで、私は一面これは非常な功績だったとも思いますが、現在になってみますと、こういうものの累積が一つの慣行になり、制度になって、そして予算膨張のこれが圧力になっておる。この圧力は決して将来の経済成長の速度を計算してつくったものではございませんし、何年先の予算規模はこれくらいがしかるべきというような計画の上につくられた法律制度ではございませんので、いまになってきますというと、この圧力だけで、すでに日本の経済力のこの成長度をこえた大きい予算ワクを要求する。これが原因になっておるという以上は、やはりここらでこの制度、慣行といえども、これについてわれわれが一応の再検討を加えないというと、この財政破綻というものは、これは決して想像でもないので、昨年からことしにかけてこれだけ急速にこういう問題が出るということは、来年度から再来年にかけたら、おそらく財政破綻の状況を起こして、ドイツのように社会保障の給付までみな押える、停止するというような事態にならぬとも限らぬという危険性を私はほんとうに今度は持っておると思います。したがって、まずそういうもの、これに伴うまた準義務的なもの、当然増というものは、少なくともこれだけ計算しても二千億近いものがある、これがまた来年さらに大きい金額になるでしょうし、いまにしてこの問題についての解決の糸口をつくらなければ私はたいへんだというふうに考えております。
#211
○小柳勇君 経済企画庁長官、解決の方法についてあなたはりっぱな私案を持っておられますし、見解をお聞きしたいと思います。
#212
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、先ほど申し上げましたように、これらの制度は非常に沿革の、もう二十年近くあるものでありますし、それについての既成概念、あるいは既存利益みたいなものがございますから、一個人がこれはこうすべきだというふうにして考えるべきではなくて、みんなの人がおのおのの機関において討議をして、そして一年なり何なりの間に新しい制度を育てていくべきものである、こう思っておりますために、私としてはこれはこうしなければならぬということは、私見はありながら今日まで申しておらないわけであります。
#213
○小柳勇君 大蔵大臣の答弁は非常に抽象的でありまして、私が質問しようとするのは、具体的にどうしなければならぬかということを聞いているわけです。経済企画庁長官は口を封ぜられまして答弁できないと言われる。そういたしますと、論争はできないけれども、幸いここにりっぱな論文がありますから、大蔵大臣、これお認めになっておりますから、この中では、いまおっしゃったように、一、二例を言われましたように、社会保障費とか、地方交付税交付金の引き下げとか、人件費の削減とか、そういうことが書いてあります、打ち出してあります、この論文の中に。ちょうど西ドイツの再建法が一番いい手本であるということが書いてあります。そういう方向で経済再建、財政再建をしようと大蔵大臣は考えておられますか。
#214
○国務大臣(水田三喜男君) まだ私は日本の財政はドイツのようになったわけではございませんで、最近日本にもいろいろ傾向がございますが、たとえば一九六四年――六五年にドイツが選挙があったのですが、選挙の前の年に、与野党の議員がみんな経費をふやす立法を二十も一度に議員立法で片づけるということが、今日の破局の直接原因をなしたというようなことも天下有名な事実でございますが、まだ日本の国会はそこまでの節度を失ったようなことではございませんで、これからやれば私はみんな間に合うということを考えておりますので、いまいろんな項目について具体性がないということでございましたが、ただいま予算の編成中でございますので、まだ申し上げる段階ではございませんが、全項目にわたって一応検討しているところでございます。
#215
○小柳勇君 総理大臣、私の質問を聞いてください。
 昭和四十一年三月二十二日の当予算委員会で、わが党の木村委員及び羽生委員が、ちょうどいまの財政硬直化をそのまま予言してあるように、国債発行についてはやるべきでないと、四十二年度の国債は発行すべきでないということを切々と訴えてあるわけですよ。それにもかかわらず、八千億の公債発行があった。そうして、私はこの前も質問いたしましたが、予算案が成立して二カ月たたないうちに七百億の削減と政府保証債五百億の削減をなした。しかも、この経済見通しの修正がでたらめです。さっき、前の議員は、設備投資七兆ぐらいはしようがないとおっしゃいましたけれども、当初の見通しは一四・八%で六兆二千億のものが、改定では二七・九%で七兆一千五百億になっている。まことにこの財政見通しの誤りというか、そういうものが何から一体出ているか。大蔵大臣は何も原因らしいことを言わないけれども、私どもの見解では、国債発行政策の失敗及び物価抑制政策の失敗である、こういうことを考えるが、総理大臣の見解を聞きたい。
 と同時に、こういうふうに委員会で一生懸命に与野党の議員が討論する、そういうものがもうただその場限りで答弁されただけで、何ら取り上げられないままに日本の財政危機を招くということについて、総理はどう考えられるか、責任問題だと思うのですがいかがですか。
#216
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ全体のあり方として、いま財政に安易な気持ちでたより過ぎている、こういうところに一つの問題があると思います。ただいま御指摘になりました物価政策の失敗あるいは公債の発行、これが全然関係なしとは私は申し上げません。しかし、それが一番の原因だ、かようにも思いません。まあそこらの点はよく事態を御認識賜わればいいかと思います。
 私は、この国会を通じての与野党の論議、これはむだだとは決して思いません。政府ももちろん反省すべきは反省をいたします。ただいまの問題にしても、私ば弁解がましいことを申し上げるわけではございませんが、公債を投入するに至った最初の動機は、何といっても不況を克服するにあったと思います。不況の克服をりっぱに果たせば、その後においてはむしろ鎮静化の方向に努力しなければならない、こういうことで、いわゆる本年度の予算作成にあたっては、公債の依存度を小さくしていく、これはどうもこれだけでは足らなかった、さらにもっと思い切ってやればよかったのだろう、かような気がいたします。実はいまだからそのまま正面に告白いたしますが、私ども、年度当初における各種の経済指標、数字をつぶさに見ておりまして、たいへん都合よく実はいっている、上半期は。何だか非常に気味の悪いような思いがいたしまして、これでよろしいのだろうかということでしばしば政府部内でいつも論議をいたしたものです。その際にもうすでに過熱の原因は出ていたと思います。しかしなかなか、私どもが見る統計資料というものは一カ月あるいは一カ月半以上おくれております。そういうところにいつも問題がある。そのために私どもが適切な時期、あるいは前もって前広に適切な対策が立て得ない、そういう欠陥もあろうかと思います。これはたいへん弁解がましくなりますが、私は率直に正直に申し上げているのでございます。したがいまして、今度の予算編成にあたりましては、これはもう縮減の方向であることは、これは毎度申し上げているとおり、公債の発行にしても、依存度を下げるばかりでなく、総額におきましてもこれは縮小の形に向かうだろう、また、財政の規模の拡大、当然増がございますが、今回人員を積極的には整理できませんが、いたしませんが、機構の面で一局廃止、同時にまた、事務の取り扱い方を変えていく。この事務の硬直化が財政の硬直化を来たしているのでありまするから、ちょうどものの考え方が硬直化するとそこに問題が起こると思いますので、この事務処理の方法につきましても、さらにくふうをこらそうじゃないか。もう統制らしいものがなくなって民間にだいぶまかしてしかるべきだ、そういう時期になっているものですから、今後自然減耗等をあと安易に補充しない、そういう形において、積極的に人員整理はいたしませんが、定員減がはかっていかれる、そういうことで、これにはやはり何といっても仕事のしぶりを変えていかなければならない。そこらにお互いの頭の硬直性をひとつなくしていくと、財政だけの硬直性ではございません、私どもの頭自身がいま硬直現象を来たしておりますから、そういうものをひとつ直していこう、こういうことで努力してまいるつもりであります。
 具体的な予算編成にあたりましても、在来のようないわゆる圧力団体に屈するとか、安易な予算をつくるということは、それは同時にそういうものを通したというところにも責任があるのでありますから、政府自身が各種の圧力団体等の言いなりになったというようなことも反省しなければならないと思います。いずれにいたしましても、今回の問題、これを妥結するのは短期間にはできないことだと思います。しばらく時間をかしていただいてこの硬直化を妥結をするように、その方向で最善の努力をすべきだと思います。
#217
○小柳勇君 いま二つの大きな問題を総理が発言されましたから、それのけりをつけていきたいと思うのですが、一つは、国債発行ですね、漸次依存度も絶対額も減らすとおっしゃいましたが、大蔵大臣、計画的にずっと減らしていって、何年くらいで国債発行やめたいと考えておられますか。
#218
○国務大臣(水田三喜男君) これは経済問題が入りますから、計画的に公債をどういうふうにやっていくかということは、簡単にはお答えできませんが、来年の問題につきましては、いま総理がお答えになったとおりでございます。そこで、公債論議につきましては、私は社会党の皆さまのいままでの論議に対して敬意を表します。ただ私どもが考えておったのは、あれだけの不況克服のために公債を発行すると、それだけの効果は、十分にこの役割りは果たしましたが、その場合に、単に公債を発行するだけならよろしゅうございましたが、それでは当時おっつきませんでした。同時に、国民の負担を軽くすると、不況のときでございましたので国民に負担力がなかったので、その軽くする減税分までもこれは公債の発行にまったということでございまして、公債を発行するのにかかわらず、発行した金額の中から三千億円も減税分にこれを振りかえるというようなことをやったために、公債の発行額は多たったのだと思います。ところが、これによって経済がこういうふうに立て直ってまいりまして、そうして国民の負担力というものも当時と違う状態に来ましたので、そうすれば相当思い切って国債を切れる時期に来たのだろうというふうに考えますので、来年から依存度を大きく下げるということにまって、額まで下げるという考慮をすれば、将来国債の負担がまた財政硬直化の大きい原因になるという事態は避けられるのじゃないかと思っております。
#219
○小柳勇君 いま当時の実態を大蔵大臣思い出せておるわけじゃありませんからそういうことを言われるわけですけれども、昨年の速記録読んでください。景気過熱はもうだいじょうぶだと、設備投資も押えられるというようなことを言ってあります。出す必要はないと、発行する必要はないというふうにあるにかかわらず、発行して現在のような状態になっておる。それはちょうど選挙前で選挙対策、自民党の選挙対策、それと放漫財政、さっきおっしゃった圧力団体が幾らでも来るから出しましたということですよ。そういうことを国民にしわ寄せして、あなた方はひとつ税金出しなさいとか、あなた方がしんぼうしなさいというのがこの論文ですよ、西ドイツのやり方。そういうことが納得できないわけです。したがって、いま一つ大問題がありましたが、圧力団体に負けないということですね。しかも、その隠し財源など持たないで、ガラス張りで今度は予算を組みます、ということをひとつ総理大臣、大蔵大臣に言明してもらいたいと思います。
#220
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる圧力団体というものは国民と別なような言い方をされますが、私はさように考えません。それぞれの団体、また、それぞれの要望のあるところ、そういうことを聞くことは、これまた一つの民主政治なんです。でありますから、こういうものを全然無視して、そうして独善的な権力的な政治をすることは、こういう時代には反します。しかしながら、いわゆる圧力団体として、まあ筋はあるが非常な無理なものをどうしても通す、そういうものに屈する、そういう勇気を欠く、こういうふうな点に批判があるのではないかと私は思います。もちろん、ただいま請願の権利もありますし、したがって、政党に対しての各種の陳情は当然のことであります。しかしながら、全体を見たときに、政府、われわれが予算編成にあたっては、その力に屈しない、そうしてみずから信ずる正しいものをつくる、こういう勇気が要る。これを実は私申しておるのでありまして、いわゆる圧力団体は国民ではないのだというような言い方はちょっとこれは訂正していただきます。お願いいたします。
#221
○小柳勇君 そういう、ことばじりをとって、それは総理らしくないですよ。私が言っておりますのは、そういうことでなくて、特別にコネを持って総裁や大臣に言って予算がふえたり減ったりするようなことではなくて、財政の硬直性など十分に考えないと、積み重ね方式のいままでの予算編成方針が、放漫財政がいまの財政硬直化を招いておるではないか、こういうことを言っているわけです。
 それから経済企画庁長官、財政経済の見通しの誤りの問題でありますけれども、あまりにも大き過ぎます。しかも、りっぱなスタッフがあるにかかわりませず、財政の見通しを誤りまして、将来についての自信のほどはいかがですか。これから四十三年度の財政経済見通しも、銀行筋では出ております。消費者物価は五・五%程度であるということが出ておりますが、消費者物価の点だけでもひとつ見通しを聞かせてもらいたいと思うのです。四十三年度の消費者物価についての見通しはいかが見ておられるのですか。
#222
○国務大臣(宮澤喜一君) 今年度の消費者物価の動きが、前半は低うございまして後半にしり上がりになっておりますから、明年度の消費者物価は、かなり高いところから四月に出発することになると思います。したがって、このまま推移いたしてまいりますと、明年度の消費者物価は、かりに年度間全く上昇しないといたしましても、今年度の平均に対比いたしますと、すでに三%余りの上昇が織り込まれているということになります。そこで、明年度内に一・五なり何なり上昇いたしますと、それを三の上へ足さなければならないという情勢であります。今年度の消費者物価がたまたまそういう動きをいたしましたために、明年度の消費者物価の算定は、かなり私ども苦しまなければならないであろう、こう思っております。
#223
○小柳勇君 衆議院の予算委員会の質問で経済企画庁長官は、今年度下期の消費物価は六%程度であろうという見解を発表されました。それは来年度の上期にすべり込んでまいると思うのですが、それと生鮮食料品などの指数の上昇を加味いたしますと、六%でおさまらぬのではないかという心配も持ちますが、いかがでございましょうか。
#224
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の申し上げたこととちょっと――たいしてではございませんが、ちょっと違っておりますのは、今年度四・五%におさまるかというお尋ねでございましたので、私はたぶんそれはおさまると思います、と申しますのは、上期が三・一%でございましたから、かりに下期が六%でありましても、平均いたしますと四・五程度になりますからと、こう申し上げました。六%下期だけで上がるということは、これはまあある程度余裕のある、そこまで天井を打たない数字ではないかと、こう申し上げたわけでございました。しかし、やはりこの年度末に高いところから明年度出発するということは変わりがございませんので、そこで、三%の上に年度内の動きをどの程度に押えられるかということがやはり一番問題であります。そこでやはり寄与率の多いものから申しますと、生鮮食料品でありますとか、あるいは雑費とかいうものであります。かりにほかの公共料金が大体鎮静しておるといたしましても、そういうものはどうも逐年上がっておるわけでございますから、明年度の消費者物価の算定は、私ども非常に苦労があるところだと思います。他方でまた、この一種の、何と申しますか、適当なことばがございませんので、アナウンスメント・エフェクトということばがときどき使われますが、政府があまりに高い消費者物価の見通しを出すということは、それ自身で、物価を守ろうという人々の自衛意識をそこなったり、あるいは便乗を誘ったりいたす点もございます。でたらめを申すという意味ではなくて、やはりそういうことも考えておかなければなりませんから、政策努力で精一ぱいどこまででとめられるであろうかという計算をしなければならない。それを、しかも三%を土台にしてその上にどれだけでとまるかということをいたさなければならぬというのが現状でございます。
#225
○小柳勇君 物価の問題についてはもっと論争しなければなりませんが、あと同僚議員のほうからまた質問がありますから、時間がありませんので先へ進んでまいりますが、経済社会発展計画にも書いてありますように、物価抑制というものがいま一番大切なことはもう論を待たないが、各省庁が協力してもらわなければならぬとも書いてあります。ただ経済企画庁が数字を発表するだけではいかんともしがたいのですが、現在、けさの新聞でございましたか、ふろ代も上がったと。物価はどんどん上がる、公共料金も上がるという情勢でございますから、関係のある各省で、物価抑制政策に対してどういう措置をしておられるか、質問いたしたいと思うのですが、前もって質問通告いたしておりますから、運輸、郵政、それから自治、農林、答弁をお願いいたします。
#226
○国務大臣(中曽根康弘君) 運輸省の問題では、国鉄の定期運賃料金の値上げの問題が一番大きな問題でございます。国鉄は目下、通勤輸送あるいは幹線輸送あるいは保安施設等で第三次増強計画をやっておりますけれども、特に通勤輸送に非常に大きな費用を要しておるわけであります。御存じのように、通勤のラッシュ時間というのは朝の一時間ぐらいでありますが、その間に相当の車両を運転いたします。その車両は昼間は寝ているわけであります。しかも、その相当の車両の寝ておく場所が近郊に必要でありますから、非常な高い地価を払ってその場所を買い、車両のアパートをつくったりしておるわけです。しかるに、定期運賃は、普通のお客さんが百円払うところを、学生さんは十三円しか払っておりません。また一般のサラリーマン定期は約三十二円しか払っておりません。そういうわけでありますから、通勤輸送の関係は赤字になるのはこれはもうあたりまえであります。しかし、現状でほっておくわけにまいりませんので、さらに増強計画をやりまして、複々線にしたり、あるいは高架線にしたりしておるわけであります。この問題をどうするかということが非常に大きな問題でありまして、国鉄といたしましては、そのために相当額の政府出資、三百九十五億円要求しています。それは、たとえば道路公団のような場合は、普通の自動車が通る場合でも国がお金を出して路面を買い、工事をやるわけです。しかし国鉄の場合は、こういう公共サービスをやっておるにかかわらず、国はお金を出しておらない。国鉄の独立採算制の範囲内でやっておるわけてす、これがまた相当な負担になるので、たとえば線路の下のほうだけは国で負担してくれと、電車やあるいはそれを施設するのは国鉄が自分の費用でやりますと、そういう要望から、産投会計からの出資三百九十五億円であるとか、あるいは市中銀行その他からも金を借り、縁故債をやっておりますが、その利子を六分にとどめたい。これを八分や九分の普通の市中の金利でやったら、とてもやれるわけはない。そういう意味で、国がその点は補給してもらいたいというので、六十五億円の利子補給をお願いしたりして、あるいはさらに、国鉄はいままで地方団体に対して納付金をやっておるわけです。これはまあ固定資産税のかわりみたいな意味もあったんでしょう――。いままですでに払った分が八百七十五億円も払っておるわけです。これは昭和三十一年に地方団体が非常に窮乏しましたときに命ぜられて国鉄はいやいやながら払ってきたのでありますが、今日は地方税の収入あるいは三税の収入による譲与税等も相当ふえてきておるので、この際は来年百二十八億円でありますか、これぐらいになるのを免除してもらいたいと、まあ、国鉄がそういうわけでいろいろ施設をするのが、たとえば複々線にするとか、あるいは高架にするとか、住民のサービスのためにやっていることが、今度は固定資産税みたいにはね返ってきているわけであります。そういういろいろな点を苦慮して、それでも足らぬというので国鉄側は定期運賃を上げたいと、ついては学生のほうはなるたけ上げない、三百億のうち二百七十億は通勤者、サラリーマンにやっていただく。これは大体会社負担になっておる。学生のほうは自分の負担になるから三十億程度にとどめたいというのが国鉄側の要望であります。しかし運輸省といたしましては、まだ大蔵省と来年度の予算折衝をしておりませんが、サービス官庁としての趣旨もあり、来年度物価一般も考えまして、なるたけ物価引き下げに協力する、引き上げをセーブする、そういう考えをもちまして、そういう趣旨に沿った交渉を大蔵大臣としょうと思っております、しかし、大蔵省は非常に頑強であります。どうかこの点は各位におかれましても御協力のほどをお願い申し上げます。
#227
○国務大臣(小林武治君) 電報電話料金につきましては、電電公社では来年の十月から平均して二二%上げたいと、こういうことで八月末に大蔵省に概算を提出いたしております。しかし、その後いろいろの事情も変わってまいっておりまするし、また、物価問題等からも慎重に考えなければならない、こういうことでございまして、私どもとしては、なるべく来年度はできるだけ上げないでまいりたい、こういうことで検討をいたしております。
#228
○国務大臣(赤澤正道君) 自治省の場合は公営企業を持っておりますが、主として交通、水道でございます。料金が上がれば、やはり物価に大きな影響がきまずから、私どもといたしましては、つとめて合理的な経営をするように指導もいたしますし、また、企業債などの償還繰り延べ、場合によっては金利の引き下げなどにはずいぶん努力をしてまいっておるつもりですし、今後もそれでやるつもりですが、いまちょっと聞いておりましたら、国鉄の納付金のことに運輸大臣が触れられましたが、これはほかの役所のことでございまするので、私どものふところ勘定をちょっとおっしゃられたようでございまするが、これは立場が違うわけでございまして、これはまた別の機会に私どもも皆さまに立場の御説明をしなければならぬと考えます。
#229
○国務大臣(倉石忠雄君) 農林関係は、御存じのように、たくさん物価に影響のある品目がございますが、その多くは天候等に支配される面もありまして、いろいろ努力いたしましても思うようにいかない点もたくさんありますが、ただいまから年末から正月にかけての野菜、果実、肉類等につきましては、大体諸般の手配をいたしておりますので、ことに肉牛などは若干の不足を生じておりますので、これは輸入もいたし、手配をいたしておりますが、しかし、半永続的に考えますと、やはり野菜につきましては、御承知のように生産地指定を行ないますと同時に、大消費地と直結する流通機構の改善等に四十二年度予算でもかなりの資金を投入いたしております。生産対策は、大体私どもはまずまずのところであると思いますが、さらにこれから情報サービスセンター等に力を入れまして、流通機構ができるだけ完備するようにいたしまして、物価の上昇を防いでまいりたい、こういうことでございます。
#230
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私のほうの関係といえば主として授業料の問題ではないかと存じますが、国立大学の授業料につきましては、文部省としましては、ただいま上げるというような考えは持っておりませんが、ただ私立大学のほうにつきましては、直接文部省でこれを規制する手はないのでございます。むしろ物価騰貴の被害者といったような立場に置かれておるわけでございます。ある程度の授業料の値上げはやむを得ないのではなかろうかと、このように見ております。ただ私どもとしましては、直接どうすることもできないような現状にありますが、できるだけいわゆる私学振興と申しますか、私学の研究施設、設備等の助成でありますとか、あるいは低利の融資でありますとか、こういうような方法を強化することによりまして、私学の財政困難に対しまして援助をいたしてまいりたいと、このような考え方をいたしております。
#231
○小柳勇君 国鉄の問題については、同僚議員からあとで質問いたしますから再質問いたしませんが、郵政大臣に、いまの問題のほかに身近な問題ですから質問許してもらいたいんですが、北九州五市が合併いたしまして一つの市になりました。で、東京では赤電話で十円入れれば全市通用するんでありますが、北九州の場合は一区しか十円で赤電話が活用できない。したがって非常に百万市民、不便でありますが、赤電話で十円で全市話ができるようには、いつなるんですか、時期だけ御説明願いたいと思うんです。
#232
○国務大臣(小林武治君) 行政区域が広がるに従って電話加入区域もなるべくこれに合わせる、こういうふうにするべきだと思っておりますが、北九州市につきましては、すでに相当長い間これらのことが行なわれないで、たいへん御迷惑をかけておりますが、この問題は実は北九州だけでも約二十二億円の金が要る、こういうことでありまするが、来年度はもう早々これを着手をして、北九州地区もこれを市内通話にいたしたい、かように計画をいたしております。
#233
○小柳勇君 財政硬直化打開の方策についての質問途中でありますが、日銀総裁出席されましたので、第一点の質問に移りまして、あと残りはあとで質問したいと思います。したがって日銀総裁に質問いたします。
 先般ポンドの切り下げがありましたが、巷間、再切り下げがあるのではないか、また、ドル危機が非常に深刻になりまして、ドルの引き下げもまたあるのではないかというような不安があるのでありますが、端的な御答弁ができるかできないかわかりませんけれども、現在の国際経済情勢についての御見解を聞きたいと思います。
 なお、そのあとで大蔵大臣からも同じ問題で見解をお聞きいたします。
#234
○参考人(宇佐美洵君) ただいまポンドの問題並びにドルの問題、御質問がございましたが、ポンドが切り下げをまたやるのではないかという御質問かと思うのでございますが、これは私どもとしては、せっかくこういう制度をとりまして、かなりこれだけでも国際的にいろいろこれから問題がございますので、そうたびたび切り下げをやられることは困りますので、ぜひ今度の政策が成功するように、期待しているわけであります。したがって、ドルの問題もいろいろ困難はございましょうけれども、やはりドルはポンドと並んで、しかしポンド以上の大きな力を持って国際通貨として存在しておるわけでございますので、これも国内及び海外の事情をよく考えて、そうして安定してもらいたい、かように考えておるところでございます、将来の予測については、これはもうなかなか何とも御返事しにくい問題でございまして、これでお答えといたします。
#235
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のようにポンドの実勢から見ましたら三〇%くらいの切り下げがあったら落ちつくだろうというようなこともいわれておりましたが、今回一四・三%の切り下げをしたということは、ポンドの切り下げが他に影響を与えないように、波及しないようにという考慮があったからでありますと同時に、その考慮の背景の条件なるものは、やはり国際協力だったと思います。国際協力がうしろにあるために、他へ波及しない程度の切り下げで済ますということだったことから考えてみまして、ポンドにはまだ不安要因があると思います。一般で考えられるよりも少ない率の切り下げだったところに不安要因がありますが、それだけまた国際協力の責任というものがございますので、要するに、イギリスがいまとっておる緊急措置でどれだけ成功するかということと、今後国際協力が依然として維持されるかということで大体この問題はきまるのではないかというふうに考えております。
#236
○小柳勇君 きのうの外電でありますが、去る十一日、スイスのバーゼルで開かれた中央銀行総裁会議で、現在の金プール取りきめを廃止し、新しい取りきめで発足することを報じておる。金プール再編の中には九カ国で、米、英、独、伊、ベルギー、オランダ、カナダ、日本、スウェーデンで、フランスとスイスは加盟しておりませんが、日本はフランス、スイスが入らないようなこのような再編の金プールになぜ入るのか、この問題について質問いたします。
#237
○参考人(宇佐美洵君) 日本は従来いわゆる金プールに入っておりません。そうしてまた、現在私は入ったということを存じません。
#238
○岡田宗司君 関連して。日銀総裁にお伺いしたいのですが、これはドル防衛との関係もございますが、アメリカにおいてですね、金準備率の廃止ということが言われておりまして、これがまあ実現される見込みも走る老けてあります。そうなると、一体ドルの価値というものはどうなるのか。また、それが国際経済に及ぼす影響、その点についてお伺いしたいと思います。
#239
○参考人(宇佐美洵君) アメリカが通貨に対して金の一定の比率をもって、大体四分の一ということになっておりますが、そういうことになっておることは存じております。で、これに対しましてアメリカが、確かにいま金が減ってきておりますので、どういう方策をとりますか、私どもはわからないのであります。いまおそらくアメリカは、これは全く想像でございますが、考えておるんじゃないかと思いますけれども、わからないというところが実情でございます。ただ、アメリカとしましては、単にアメリカのことはむろんでございますけれども、それだけでなく、現在ドルがポンドと格段の力を持って世界の準備通貨になっております。世界各国は金のほかにいずれもドルを持っておるわけでございます。非常に大事な通貨でございますので、これは私どもとしては、ぜひ維持してもらいたい。これは単にアメリカのみならず日本を含んで世界の全体のために維持してもらいたい、かように考えております。
#240
○岡田宗司君 もう一点お伺いいたします。
 まあ、いまのアメリカの金準備率の廃止の問題にはお答えいただかなかったのですが、それならば現在のドルの防衛と申しますか、ドルの価値を維持していく上に日本がどういう寄与をしておるのか、現在どういう態度をとり、さらに将来どういう態度をとるのか、その点御説明願いたい。
#241
○参考人(宇佐美洵君) 申すまでもなく日本はアメリカと貿易上はむろんでありますが、いろいろの点で関係が深いわけでございます。しかし、これはアメリカの通貨を日本だけでどうするというわけにもまいりません。おそらく先ほどお話がございました金プールの諸国もやはり真剣にドルの維持を考えておるんだと思いまするし、そのほかの各国もドルの通貨をどうして維持するかということについては考えておるだろうと思うのであります。で、日本はそれらの各国と一緒になりまして、ドル通貨の安全を協力していかなければならぬ、かように考えております。日本でどうするかとおっしゃいますが、いろいろの点あろうかと思いますが、具体的にはやはり各国と協力してやるということが一番大事なことだろうと思うのでございます。
#242
○岡田宗司君 その内容はどうです。その協力の具体的な内容。
#243
○参考人(宇佐美洵君) 具体的な内容は、これからやはり情勢の変化を見て考えるよりいたしかたないと思います。
#244
○小柳勇君 日銀総裁にもう一問質問いたします。
 去る九月に公定歩合一厘引き上げをやられまして、窓口規制を強化された。中小企業など非常に困っておるわけです。この表を見ましても、倒産がウナギ登りに上がってまいりまして、去る十一月は九百五十四件で、年間合計、いままで年度で一番平均を上回ってまいりました。さらにこの窓口規制を強化されましたら、中小企業などの、市中銀行に対してまではわかっておられるでしょう、もちろん全般の情勢はいつも把握しておられるでしょうが、中小企業などのこのような倒産のみじめな実態など、日銀総裁は十分情勢を把握した上でいろいろの政策をおとりでございましょうかどうか。まあ、これは蛇足でございますけれども、総裁の御見解を聞いておきたいと思うのです。なお、それに対する今後のお考えなどありましたら、お聞かせ願いたいと思うのです。
#245
○参考人(宇佐美洵君) 私どもは、現在の日本の経済をながめまして、どうしても引き締め政策が必要だと考えております。ただ、引き締め政策をとります場合でも、やはり私どもが最も注意しなければならないのは、中小企業だと思っております。中小企業は、申し上げるまでもなく、日本において最も数も多い、種類も多い分野でざいますので、それが非常に不安定になるということは、極力避けなければならぬことは申すまでもないのであります。で、ただいまおっしゃいましたように、最近倒産の数は、確かにふえておりますし、そうしてこれを心配いたしておるのであります。しかし、その内容を私ども種々検討いたしておりますと、やはり今度の――むろんいろいろの理由かございますので、一がいには申し上げられませんけれども、大多数のものは、この引き締め前からいろいろ経営上の困難、いろいろの問題が起こって、それが露呈してきたというのが、大多数のように思うのであります。これはこれとして――むろんほうっておくわけにはまいりませんけれども、さしあたりの問題としましては、やはりこの金融引き締めによって困難にぶつかるというのは、何としても避けていくようにしなければならぬと思っております。それで、九月に金融引き締めをやりましたときに、この対象、銀行の引き締めの対象にするもの、まあ都市銀行及びごく少数の地方銀行に限定いたしまして、むろん現在の日本の状況は、各金融機関いずれも考えてもらわなければなりませんけれども、中小企業を対象にしております地銀あるいは相互銀行、信用金庫等に対しては、これは対象外にいたしておるのであります。引き締めを、私どもは前年の比率に比較いたしまして、増加率に比較しましてどれくらい落としてくれということを言う場合でも、そういうところでは、極力そういう数字的に制限をしないように、まあ何といいますか、現状の認識は必要だけれども、ということで対象外にして、そういうところは十分中小企業のことを考えてもらいたい、ということを言っておるのであります。それからまた、具体的にそういう方針をとっておりますと同時に、常に金融機関に対しましては、もう毎々注意いたしておりまして、中小企業が、こういう健全なる経営をやっておるという中小企業が、今度の引き締め政策によって万一でも非常に困難にならないように指導し、あるいはまた、そういう問題に対しては協力してくれということも言っております。また、たとえば昨日、来年一月――三月の窓口規制の数字を、都市銀行に発表したのでございますけれども、その際も代表者を集めて、中小企業は特別配慮してくれということを申し伝えておるわけでございます。そのほか全支店に対しても、そういうことで中小企業が、これが非常にいいかげんな経営をして当然そういうふうになるのは、これはいたし方ございませんけれども、そうでないものにつきましては極力協力するように、また協力ができない場合についても、どうすれば協力できるんだということを、積極的にひとつ相談してみてくれというようなことに指導しておるような次第でございます。
#246
○小柳勇君 日銀総裁に対する質問は終わりまして、いまの問題、通産大臣、中小企業に対するいま年末金融など当面とられました対策について、御答弁を願います。
#247
○国務大臣(椎名悦三郎君) この倒産の件数が、十一月にきて、すばらしく上昇いたしましたことについては、非常に痛心いたしておる次第でありますが、内容を見ますというと、建設業が多いのですね。それから製造業では食料品の製造及び繊維品、こういったようなものが非常に目立っております。で倒産の原因と申しますか、ただ金詰まりで行き詰まったというものもございますが、これはいかに努力しても、いわゆる構造的な原因をはらんでおるというようなものも少なくないのであります。で、こういったようなことは、いよいよ行き詰まってから騒がないで、これはいかんなと思ったら、やっぱりそれぞれのもよりの地方通産局であるとか、あるいは県であるとか、金融機関等に早目にかけ込んで相談をしてもらう。そうすれば、三十九年の不況時に創設いたしました臨時中小企業不況対策相談室、こういうものも各地方の通産局に置いておるのでありまして、これを極力活用するというような方針をとっておるわけであります。早目にくれば何とかなると、ところがいよいよというときにかけ込んでくるので、もはや間に合わないというのもあるやに聞いております。そういうことで各省庁を通じまして密接に連絡をとって早目にこの相談室に相談をしてもらう。それから構造的原因のものは、これはやっぱり中小企業の近代化、そういうような基本的な対策を講ぜざるを得ない、さような具体的対策で進んでおる次第でございます。
#248
○小柳勇君 通産省がとられた銀行の融資ワクの増大など、具体的な数字は持っておりますが、市中銀行までは通産省の通達は参りますけれども、銀行から下請業者や中小企業になかなかその真意が伝わらぬのです。そこでいまおっしゃったように、かけ込んでくれば何とかなるがという、そのかけ込むまでの決意がつかんのですが、もう少し中小企業に対して、たとえば県の商工課とか、市の商工課など、末端組織にそういう政策がすぐ浸透するような具体策というものはないものでしょうか。
#249
○国務大臣(椎名悦三郎君) それはつとに講じております。ことに県庁等に遠いようなところに、かなり零細な中小企業があるわけであります。極力商工会をつくらせまして、そうして指導員を配置して、かような場合に適切なあっせんをするように指導をいたしておるわけであります。
#250
○小柳勇君 財政硬直化打開の問題の中で、次は住宅問題の解決でありますけれども、住宅問題のいま隘路になっておるのは、土地問題でございます。したがいまして、建設大臣から、いまの土地高騰をどうやって押えるか、土地を財産として押えて、なかなか手放さないような現象など、あるいは土地が高騰いたしまして住宅ができない、このために行政が硬直するという点もありますが、対策をお聞きいたします。
#251
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。
 住宅問題が逼迫いたしておりまして、そのためにたいへん市民生活が苦しくなっている状態は、もう私が申し上げるまでもないわけでございますけれども、四十一年度から五カ年計画を立てて、とにかく六百七十万戸と推定される不足住宅を解消しなければならないというので、ただいま進行いたしておりますが、政府と申しますか、公的機関による住宅が二百七十五尺民間に期待するところが四百万真いずれも四十一年度、四十二年度の推移を見ますと、大体政府の想定いたしているような足取りで進んでおりますけれども、しかし、なかなかこれは現実におきましては、非常に苦しい状態でございます。そうして、せんじ詰めていきますというと、やはり宅地の問題に突き当たってしまう。したがって、どうしましても、宅地の大量供給を確保しなければならない。すでに四十年の十一月の閣僚協議会の決定でこれらの方針が確定されまして、あるいは都市の再開発法案、都市計画法の大改正等も織り込んで国会の御審議をわずらわしているようでございます。これらと相待ちまして、新しい市街地の建設、しかし、これはまあやはり輸送施設との関連なしに考えれば、またたいへんなことになりましょうから、それらとの関連、また一面におきましては、都心部と申しますか、そういうところをできるだけ高層利用をやる。そうして都心部になくてもいいたとえば工場、むしろ工場のごときは外へ出たほうがいいというような工場、あるいは学校、そういうふうなものは都心から出ていっていただく。それにはしかし、またたいへんな予算あるいは財政投資を伴うわけであります。やはり金をかけなければこれはなかなかできないので、そういうくふうを少し積極的に輸送当局とも十分連絡をとって、積極的に宅地の大量供給を確保するということに焦点を合わせて筋道を立ててみたいものだと思います。そうしなければ、結局住宅の問題の行き着くところは宅地の問題、そうして宅地の問題は地価にすぐ響く、全体の地価に響く、その地価があらゆる公共投資の効率を妨げてきているというところに、私どもは着目しなければならないのじゃないか。そういう点でひとつうんと力を入れてみたい、こう考えております。
#252
○小柳勇君 総理大臣に質問いたしますが、さきの予算委員会で、同僚委員から土地の高騰を法律で押える方法はないかという質問に対して、総理は憲法上疑義があるという答弁をなされているようでありますが、いまのような政策的な、行政的な措置では、なかなかいまの土地ブームというものは解消できないのではないかと思うのですが、いまも総理はそういうふうな見解を持っておられますか。
#253
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの状態は、私権の保護がたいへん強く出ております。しかし価格もさることですが、取得の面におきましてこの私権の保護に徹するわけにいかぬ、まず取得方法、そういうもののやはり制度をつくらなければならないということでございますから、必ずしも全部私権の保護に徹しておる、かようには私は考えておりません。ここに憲法上の問題があるということは、小柳君も御承知のとおりであります。いまの土地の問題、やはり建設省だけでなく、関係各省とも協力しないと、地価の安定はなかなか実現しない、かように私考えておりますが、総合的な施策をとるように、いまいろいろくふうしておる最中でございます。
#254
○小柳勇君 次の問題は、今度の財政硬直化の打開の方法として、大蔵省が一番やり玉に上げておる問題は、社会保障費の削減などですね。この間も新聞に出ました生活保護費を押えるとか、あるいは原爆被爆者の援護法を考えるとか、そういう問題があったんですが、厚生大臣から、この間の新聞記事についてはもうすでに御存じと思いますから、社会保障関係の問題について、大衆へのしわ寄せで、現在の財政危機を乗り切ろうとする大蔵省の見解は、われわれは反対でありますが、厚生大臣から見解をお聞きしたいと思います。
#255
○国務大臣(園田直君) 衆議院の予算委員会でも同様な質問が出て、大蔵大臣はそのようにまだ考えをきめていないという答弁がありましたが、御承知のとおりに、わが国の社会保障制度の水準は、西欧諸国に比べて低く、審議会の三十七年度の勧告によりましても、四十七年度までには少なくとも先進諸国の水準に劣らぬように引き上げよということであり、わが国の社会保障制度は、ただいま部門を拡充充実をしなければならぬ段階にあると考えております。政府が策定いたしました経済社会発展計画によりましても、その推進の一大柱は社会保障であるということを明記してございます。そういう点から言いましても、なお内閣の当面の課題でありまするみずから国を守ろうとする意欲も、今日の財政硬直を乗り切ろうとする国民の意欲も、先ほど出ました人づくりの問題も、ことごとくは苦しい財政硬直の中から、国家がやりくりをしながら、底辺を歩く人々に社会保障を充実していこうという苦労と熱情こそが、私はその裏づけになるものであると考えております。であるばかりでなく、社会保障制度福祉施設の予算は、わずか三十万の金で直接小児のガンが目の前で死ぬるか助かるかというりつ然たる姿を、私は現実に拝見いたしております。こういう意味におきましても、他の予算と違いまするので、各位の協力を得て万遺憾なきを期したい所存であります。
#256
○小柳勇君 具体的には、生活保護費はいままでは一二%ぐらい上げておりましたが、七%、八%ぐらいに押えたい。これが押えられますと、失対の賃金にすぐ影響してまいります。それが最低賃金に影響するわけです。それが一番の基礎になるわけでございますから、その問題と、原爆被爆者援護法についてはこの国会、通常国会で出される決意があるかどうか。
 それからもう一つ、国立療養所が、いままで長い間たくさんの結核患者をなおしてきたにかかわりませず、国の補助でなく、一般会計でなくて、独立採算に切りかえようとしておるが、この問題はどうか。三点について具体的に質問をいたします。
#257
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりに、生活保護費を含む水準は、一般消費物価の水準に見合うものでなければなり袋せんので、先般新聞に発表されたようなものでは、これは当然その水準下に押えつけられておるものであると思って、私は反対をいたします。
 なお、次は何でございましたか。
#258
○小柳勇君 原爆被爆者援護法。
#259
○国務大臣(園田直君) 原爆被爆者援護法は、いままで医療法によってやってきておりましたが、これは診断、健康面でございまして、これを改正してやれという意見もございまするが、私としましては、それでは無理であって、この際やはり特別の立法をやって、そうしてさらに特別の環境に置かれた者に対する手厚い措置を講じなければならぬ。したがって、次の国会で御相談する準備を検討中でございます。
 それからただいま国立療養所の問題でございますが、国立療養所の収支状況は、四十一年度の決算で、歳出額が二百七十億四千六百万、歳入額が百四十三億七千六百万、収支比率は五三・二%でございます。国家財政の点から言いましても、あるいは国立療養所の建物、施設が非常に老朽してきた、あるいはベッドが非常にあいている、こういういろんな観点から、これは一応特別会計に入れるべきではなかろうかという方向で検討させてきたものではありますが、しかし、私といたしましては、結核患者のベッドがあいたということは、その陰には、生活苦のために結核菌を持った者で療養所に来られない者がおるのではなかろうか。それから、結核対策は一応ここで終止符を打つべきものではなくて、スモッグあるいは大気の汚染等考えますると、ここでさらに追撃戦をかけなければならぬ段階であって、結核対策が終了したものではない。なお、また特別会計に繰り入れるにいたしましても、一般会計から相当な繰り入れをいただきまして、その他の措置も考えなければ、単に制度を切りかえることによって、患者あるいはその他にしわ寄せがくるようなおそれのあるものは、簡単に私は踏み切りできませんので、慎重にせっかく検討したいと思います。
#260
○小柳勇君 次は、総理府総務長官に質問いたしますが、それは、この前のうちの内閣委員会で、文官の恩給及び共済年金などの基準引き上げが行なわれましたが、そのときに附帯決議があって、今回わずか一〇%であるから、四十三年度目途に引き上げなければならぬ。自動スライドアップにつきましても、四十三年度を目途に検討するという附帯決議がついておるが、どうもいまの財政硬直化などを口実に、これも先に追いやられる危険性があるが、どのような決意をもって、これが成立に努力されるか見解をお聞きいたします。
#261
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 ただいまの仰せのような御要望もよく聞いておりまするし、附帯決議も存じておりまするが、この問題につきましては、ただいま恩給審議会のほうにおいて検討中でございますので、結論を待って善処いたしたいと、かように考えております。
#262
○小柳勇君 総理大臣、大事なことですから質問しておくんですが、いま、昔おやめになりました文官の方々が生活保護に満たない恩給をもらって、その生活保護費から恩給が差し引かれる、あるいは福祉老齢年金との併給ができないんです、二万四千円以上もらいますと。年間ですよ、年間二万四千円以上もらいますと、福祉年金等の支給ができないわけです。ほんとうにみじめな御老人、かつてのわれわれの先輩がおられるわけですが、いま質問いたしましたところ、恩給審議会にまかせてあるという話であります。恩給審議会は三月三十一日、来年で期限切れであります。もちろん、これは再度また諮問がありましょうけれども、非常に重要な時期でありまして、私は、ただ単にこれがさっき総理が言われました圧力団体というようなことの逆の考えです。それは、そういう人を犠牲にして、この放漫財政のしりぬぐいをしてもらってはならぬ。そういう見地から総理の見解を聞いておきたいんですが、いかがですか。
#263
○国務大臣(佐藤榮作君) 具体的な恩給の問題は、ただいま田中国務大臣お答えしたとおりでございます。私は、この際に、硬直化を解消するという場合に、いわゆる弱い者にしわが寄せられるというようなことのないように気をつけていかなければならない、これが私の役目ではないかと、かように思っております。硬直化解決にいたしましても、いわゆる弱者の味方として十分監視するつもりでございます。
#264
○小柳勇君 次の問題、これから三つ大きな問題があるのですが、一つは、食管制度の赤字の問題が、財政硬直化の原因であると言われておりますが、食管制度に対する基本的な考え及びこれをどうするか、これは農林大臣と大蔵大臣から見解をお聞きいたします。
#265
○国務大臣(倉石忠雄君) 食管制度は御承知のように、農政の中でも大きな問題でありますし、同時に物価、財政政策等にも重大な関係があるわけでございますから、私どもはただいまのところ、食管制度を軽々に動かすという意思は持っておりません。しかし、御承知のように、本年のようにたいへんな豊作で、需給の関係が緩和されておる等の事情もございますので、各方面の御意見を徴しながら、慎重に態度をきめてまいりたい、こういう考え方でございます。
#266
○国務大臣(水田三喜男君) いま主管大臣と相談をしておる最中であるわけでございますが、まだ結論は出ておりません。
#267
○小柳勇君 消費者米価を物価上昇分くらい当初予算にぶち込んでいこうというようなことが、もう確定したようにわれわれは聞いておるのですが、その事実はございませんか。
#268
○国務大臣(水田三喜男君) ただいま検討中でございまして、確定しておりません。
#269
○小柳勇君 それから、消費者米価と生産者米価を同町に決定しようというようなことも言われております。もうすぐ予算をきめなければならぬ時期で、いつごろきまりますか。
#270
○国務大臣(水田三喜男君) 臨時国会が終了次第、すぐにそういう問題に取りかかろうと考えております。
#271
○小柳勇君 国会を逃げて――大きな問題みんな閉会中にきまってしまうわけで、そういう弊害はこれはやはり、総理大臣、直しませんと、重要な問題は国会で論議してきめる、これが委員会の任務じゃないかと思うのですがね。いかがでしょう。
#272
○国務大臣(佐藤榮作君) 国会を無視してきまるわけじゃございません。いずれ、予算編成をいたしましたその上で皆さん方の御審議を仰ぐわけでございます。ただいま原案を作成中で、この原案作成中において皆さん方が述べられたこの御意見ももちろん、参考にしておることだと思います。なかなか臨時国会と予算編成と同時に取り組むことはたいへんむずかしいものでございますから、これはまた例年のように、年内のうちに予算編成を終えようとすると、たいへん大蔵省も勉強しなければならぬものですから、そういう意味のことを、いま大蔵大臣は率直に申したわけであります。これは、ひとつどうかそういう意味で御了承を賜わりたいと思います。
#273
○小柳勇君 第二の問題は、公務員給与の問題でございますから、人事院の総裁にお尋ねいたしますが、いま巷間伝えられるところでは、公務員給与のある部分を予備費などに、当初予算で入れておこうという案があるようでございますが、人事院総裁として公務員給与の決定で、そういうあり方がいいか悪いかの問題と、それにどういうふうに関連されるかという点についての御見解をお聞きしておきたいと思います。
#274
○政府委員(佐藤達夫君) お答え申し上げます。
 私どもの念願といたしておりますところは、何とかして私どもの給与勧告を完全に実施していただきたい、それに尽きるわけでありますけれども、その面から、いまのお尋ねの点を考えてみますというと、従来の八月という時期については、いろいろ御批判がありますけれども、それはそれといたしまして、八月に勧告を申し上げますというと、財源をそれからおさがしになって、そうして補正予算をお組みにならなければならぬということであったわけであります。たとえば、次年度における賃金の上昇傾向というものが観測されますならば、あらかじめ、当初予算において、次の勧告に備えてその準備としての財源を用意しておいていただく、そういうことをしていただければ、勧告の完全実施については、むしろプラスになるのではないか。もちろん、準備されました予算の範囲内において、十分に勧告がまかなわれますならば、これはもうこれにこしたことはございません。もし、それからはみ出したパーセンテージになりますならば、その分だけをお手当をいただく、そういう趣旨で私は大賛成でございます。
#275
○小柳勇君 労働大臣にお聞きしたいのですが、前もって物価上昇などを見込んで公務員給与を予算にぶち込むというようなことが、ほかの三公社五現業なりで――民間単産でもその思想が入ってまいりますと、いわゆる、所得政策というようなことで、発展する危険性がありますが、労働大臣としての見解を聞いておきたいと思います。
#276
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 一般に、賃金問題は、労使の話し合いによりまして、その際、国民経済全体の動向も勘案して、自主的に決定されるのが望ましい、かように考えております。いわゆる所得政策なるものは、欧米の実例を見ましても、必ずしも効果をあげておるとは思われない。むしろ反省期に入っているという事情もあるような次第でございます。日本には、日本の特殊な経済の事情、労働の事情がございます。私どもは所得政策を、今日導入しようという考えは持っておりませんし、政府もいずれかの部門で、この政策をとろうという意図のもとに検討を進めているというような事実もないと存じております。
#277
○小柳勇君 自治大臣には、交付税率が三二%から二%下げなければ財政硬直化は打開できぬと言われている。これも非常に大きな問題です。これはあとでまた同僚議員が別の機会に論議しましょうが、きょうは、これも一つのファクターですから、見解を聞いておきたいと思うんです。
#278
○国務大臣(赤澤正道君) 交付税率は、これは税源の国と地方との配分の問題でありまして、ですから、私は三二%の率であるがために、財政が硬直するといえば、このくらい硬直する数字はございませんけれども、やはりいままでの経緯にかんがみまして、地方団体といたしましては、やはりいま自分たちの地方税であるというふうに考えておりますし、またこの間、地方制度調査会から答申をいただきました。それにも、やはり同じ趣旨のことが書いてありまするので、自治大臣といたしても、これに同感をいたしております。
#279
○小柳勇君 二%下げることに同感ですか、削減。
#280
○国務大臣(赤澤正道君) 削減ではない。これは全然財政の硬直化とは関係はないという、こういう判断を地方制度調査会が下しておられます。私たちも、その考え方に立っておるものでございます。
#281
○小柳勇君 二%はどうですか。二%の問題について大蔵省は削ろうとしておりますがどうですか。
#282
○国務大臣(赤澤正道君) その点を御答弁申し上げているのであって、これは財政硬直の原因が、地方税の交付税の三二%にあるがごとき表現をなさることは、私は根っこの考え方が違っておるという観点に立っておるわけでございまするので、まだ三二%の中が硬直化しているかどうかということは、これは別問題でございます。やはり、私どもといたしましては、この税率を引き下げてもらっては、たいへん困るわけでございます。
#283
○小柳勇君 財政硬直化の問題については、まだずいぶん問題がありますが、当初にも私が私どもの見解を申し上げましたように、放漫財政が一つの大きな原因であるし、一つは国債発行及び物価政策の誤り、こういうものをもう少し真剣に考えていかなければ、根本的な改革はなかろうと、こういう見解で質問したわけです。来年度の予算編成になりますが、弱肉強食になりませんような、大衆の犠牲で、財政硬直化が打開されないように、重ねて私は大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#284
○国務大臣(水田三喜男君) 必要な政策を実施できるように、そのための弾力性を予算が保持するために、予算硬直性を打開しようというのでございますから、およそ硬直性を打開するために必要な政策を犠牲にするようなことをするんなら、意味がないことでございますから、そういう観点から、この問題に取り組む考えはございません。
#285
○小柳勇君 歳入歳出の問題等、まだ具体的な問題はたくさんありますが、あとまた同僚議員も質問いたしますから、この問題はこれで終わりまして、あと三問質問いたします。
 第一の問題は、朝鮮人の帰還問題でございますけれども、先般からコロンボ会議がなされておりますが、人道問題でもございますし、早急にこれが実現方をわれわれは希望いたしておりますが、厚生大臣から現状及びこれらの政府の取り組みについて一括して御見解を聞いておきたいと思います。
#286
○国務大臣(園田直君) ただいまの問題は、御承知のごとく、日朝両赤十字社が十一月二十一日以来正式会議を七回いたしまして、朝鮮側からも提案があり、わがほうは帰還申請済み者のその後の暫定措置についての提案を行ない、それが終了後の措置について説明をいたしておりまするが、国際通念に基づきこの会談は進められておりますので、十二月十八日入船の運びになりましたことも、暫定措置一環の先がけと考えまして、これに期待をいたしている次第でございます。
#287
○小柳勇君 第二の問題は、この前の予算委員会問題でありますが、総理は、四十三年には一元化の体制ができるように努力するという確約をいたされましたが、今日なおそれが実現いたしておりません。その現状と、いま取り組んでいる取り組みと、これからの決意について科学技術庁長官から見解をお聞きいたします。
#288
○国務大臣(鍋島直紹君) お答えいたします。
 宇宙開発の問題につきましては、先般来総理から強力にこれを推進するという御答弁があったことは承知いたしております。その現状につきましては、宇宙開発審議会におきまして、現在その答申を、本年度中に答申を出すように非常に努力せられております。御承知のとおり、計画部会からは、四十六年度でございますか、実験衛星の打ち上げ、四十八年度に静止衛星の打ち上げというような計画も出ているわけでございます。いろいろ審議会の内部の問題等もございますけれども、鋭意現在努力をせられております。したがいまして、本年度できるだけ予算に間に合うようにこの御答申を願い、この御答申に従って、強力にひとつ各閣僚及び皆さま方の御協力を得て、これを具体化していくように私は全力を尽してまいりたいと考えております。
#289
○小柳勇君 最後の問題は、石炭産業の問題でありますが、昨年以来関係者の努力によりまして、一千億の金で肩がわりしてスクラップ・アンド・ビルドが推進したと思いましたけれども、最近になりますと、業者の中でも全国一社案など出て、公社あるいは国営の方向もだんだん気運が出てまいりました。抜本対策を再度検討しなければならぬということも、通産大臣が別の機会に発言ざれたようでありますが、この石炭産業をどうするか。私どもは、もう私企業ではこれは限界だ、国営、国有の方向でなければ、石炭エネルギーの活用はできないという見解を持っておりますが、通産大臣並びに総理大臣の見解をお聞きしたいと思う。
#290
○国務大臣(椎名悦三郎君) 抜本策を作成してスタートを切ったばかりでございますが、当初からまことに実績振わざるものがある。それで前大臣が、これを抜本的にまた見直すというような意見を披瀝したようでございます。これをいま直ちに抜本的にまた再検討をするか、もう少し様子を見たならば、いずれにしても重大ないま転機に差しかかっておるように思われますので、同じ再検討するにしても、もう少しこの情勢を分析し、将来を予測して、そうしてしかる後に、この問題を掘り下げてみるということも、私は必ずしもむだではあるまいと、こういうふうに考えております。特に日本の石炭生産地は九州、北海道、それから常磐、こういうふうに非常に飛び飛びになっておりますので、これを一本の形態でやることがはたしていいか悪いか、自然条件等がそれぞれ違いますし、それからまたこれに関連する関連産業の適・不適ということもある。それからまた人事管理の面、いろいろな点においてわりあいに近接した地域でこれを一本に取りまとめることができるような国柄とは、またおのずから状況を異にしておるのでございますので、そういう点から言いましても、よほど言われておる一つの策として提案されておる一本化、国有、国営化というものについては、これまたたぶんに研究する余地もあるように思われます。もう少し情勢の推移を見守り、さらにこれと並行して十分に検討を加えまして、そうかといって、そうだらだらいつまでも時日を遷延するわけじゃございませんが、きわめて重大な問題だけに、それくらいの慎重さをもって取り組むべき問題である、かように考えております。
#291
○国務大臣(佐藤榮作君) いま通産大臣からたいへん慎重なお答えがございました。おそらく小柳君は、もっと積極性を持って早く問題を解決しろ、こういうふうなお気持ちだろうと思います。政府におきましても、ただ慎重なだけではございません。この問題とは、積極的に取り組まなければならない、現在において。そういう時期にきておる、かように思います。通産省事務当局等がすでに有する資料等を基礎にいたしまして、積極的に前向きで解決するようにこれと前向きに取り組む、これを一そう督励するつもりであります。
#292
○小柳勇君 質問を終わります。
#293
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして小柳君の質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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