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1967/12/09 第57回国会 参議院 参議院会議録情報 第057回国会 本会議 第4号
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1967/12/09 第57回国会 参議院

参議院会議録情報 第057回国会 本会議 第4号

#1
第057回国会 本会議 第4号
昭和四十二年十二月九日(土曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和四十二年十二月九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)。
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。小林武君。
   〔小林武君登壇、拍手〕
#5
○小林武君 私は、日本社会党を代表して、主として昭和四十二年度補正予算案を中心とする次の諸点について、総理並びに関係大臣に対して質問をいたします。
 わが党は、自民党政府の昭和四十二年度予算はわが国の財政、経済に次のような矛盾の激化を引き起こすことを、指摘したのであります。
 第一に、公債発行の恒久化によって、一そうインフレは促進し、国債の急速な累増を招き、財政を破綻に追い込み、国民に耐えがたい負担を与える。
 第二に、消費者米価、公共料金の値上げを初め、物価上昇に拍車をかける。昭和四十二年度の消費者物価の上昇は、とうてい政府見通しの四・五%にとどまらないことが明らかである。
 第三に、一般会計に巨額の自然増収を見込んでいるのに、大衆減税は放置され、所得税減税は物価上昇に追いつけない状況になり、他方、利子・配当所得の優遇の延長を行なっている。まさに勤労者には重税、大企業、資産所得には減税という税制をとることによって税の不公平を一そう拡大する。
 第四に、高度成長の招いた住宅、交通、公害等、国民生活の不安を解消する対策が不足し、また、農林漁業、中小企業の危機に対する適切な政策を欠き、地域間不均衡を是正する努力を怠り、その結果、国民生活と経済、社会の格差は一そう拡大する。
 第五に、第三次防衛計画による軍備の増強と兵器の国産化が進み、国民負担を増大させるだけでなくて、産業の軍事化と軍国主義復活の危険性を増大する。
 わが党の指摘は的中しました。政府は、四十三年度予算編成にあたって財政の硬直化、国際収支の悪化、物価、公共料金の値上げなど、インフレ促進の中に困難な問題が続発して、編成が難航しているのは動かしがたい証拠でございます。財政硬直化を中心とする財政の危機は、政府部内から、政界、財界、労働界――国民全体をわき立たせているのであります。
 最初に、この事態の中での当面の責任者である総理、大蔵大臣の政治態度について一言申し上げたいのであります。
 新聞の報道によりますと、佐藤総理は、訪米直前、財政硬直化打開策について財政制度審議会にその所信を寄せて、「国民は財政に何を求めるのではなく、硬直化打開のために何ができるかを考えて、協力してほしい」と述べたというのであります。また、水田大蔵大臣は、第五十七回国会における昭和四十二年度補正予算等に関する演説において、「政府みずからも、行政機構の簡素化、定員の縮減、諸経費の節減に努力するが、国民各位がみずからの家計に対すると同様の真剣さをもって、国の財政問題を考える気風が広く醸成されることを期待してやみません。」と述べています。佐藤総理、水田大蔵大臣に申し上げたい。財政の硬直化の問題といい、国際収支の悪化といい、物価高の問題といい、また、ベトナムに象徴される平和の危機の問題といい、また、沖縄の問題といい、政局を担当される総理を中心とする内閣・政府の責任に属する問題であります。この施政のいかんが国民の日常の生活にしっかり結びついていることを、総理も大蔵大臣もお忘れではないと思うのであります。物価の問題でも、平和の問題でも、合理化による首切りの問題でも、日々の生活がかかっているだけに、政府や官僚よりもっと国民大衆は真剣にそれと対決しているのであります。総理が寄せられたという、財政に何を求めるというのではなく、いかに協力するかを考えよというのは、いかなる所存から、政治的立場からなされたものでありますか。総理は、政治は大衆の生活、願望とは無縁であると言われるようにも思われるが――また、大蔵大臣の発言は、国民大衆の家計に対する真剣さ、すなわち生きることの真剣さ、それは国政に無関係と受けとられるのであるが、これが大蔵大臣の真意でございますか。私は、国の財政が国民一人一人の台所や生活に直結しないというようには理解しないのであります。したがって、失政の被害者である国民にあたかも責任をなすりつけるような、押しつけがましい協力の強要や説教などは、民主主義政治のもとで許さるべきでないと思うが、総理、大蔵大臣の発言の意図を明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、経済見通しについて申し上げたいと思います。十一月二十八日、四十二年度経済見通しが閣議に報告されました。それによると、年度当初の見通しに比べ、主要経済指標が大きく狂って、予想外の大型経済になったのであります。その一は、本年度の経済成長率は、当初見通し、名目一三・四%、実質九%をはるかに上回って、名目一六・九%、実質一二%となった。その二は、国際収支が総合で赤字五億九千万ドル。当初見通しの収支とんとんの線は、これは大幅にくずれていった。民間設備投資は七兆一千五百億円で、当初見通し六兆二千億円を上回り、その伸び率も、前年度比において二七・九%増となっている。消費も堅調で、二十二兆八千億円の見込みで、当初二十二兆四千五百億円を上回り、伸び率は前年度比一五・一%である。卸売り物価は、景気引き締めのもとであるが、上昇を続け、当初一・二%が二・二%アップとなっている。この大幅な経済見通しの誤りについて、総理及び大蔵大臣はその政治的な責任をどう考えていらっしゃるか。
 五十五国会において、総理は、施政方針の演説中で、「経済がいたずらに拡大し、再び過熱の弊を招いてはならない、安定発展を維持するように運営する」と述べていたし、大蔵大臣もまた、「昭和四十二年度の財政は、経済の刺激を与えて景気の行き過ぎのないように運営する」と述べているのであります。当時、すでに、景気回復から景気過熱含みに移行しつつあり、しかも、この景気上昇は、日銀信用の膨張、国債発行によるインフレ政策そのものに由来しているのであって、その結果、大企業の収益は著しく増大を示し、反面、国民大衆はインフレと物価騰貴によって生活の不安におののいていたし、中小企業は、資本の自由化、産業再編成の進行と相まって、経営の行き詰まりと不振に苦しみ、その倒産数の上昇は深刻な状態を示していたのであります。また、これを反映して、国際収支は、輸入の増大、輸出の伸び悩みによって、その前途は楽観を許さない情勢になっていた。それにもかかわらず、政府は、四十二年度予算編成にあたって、この景気過熱含みの経済情勢を無視して、昨年度を上回る国債を発行して、財政をさらに膨張させ、大企業優先の景気刺激政策を続け、所得税の減免、物価の抑制、公害対策、交通地獄解消等の国民の緊急かつ最低の要求を拒んだのであります。今日の経済情勢は、わが党のすでに指摘するように、なるべくしてなった失政以外の何ものでもありません。
 政府の、この大幅な経済見通しの誤りに対しての政治的責任について見解をまず第一に承りたい。
 第二には、見通しの狂いは、景気過熱含みの経済情勢を無視した四十二年度予算にあると思うが、その責任上、編成の欠陥、誤りを国民の前に明らかにすべきであると思うが、これはどうか。
 第三に、四十二年度予算は、大型予算ではあるが、インフレ予算ではない。規模を五兆円に、また公債発行を八千億円にとどめた。これはインフレ防止の考え方が動いてのこと、インフレ防止の政府の努力を認めよと総理は四十二年度予算の場合に答弁されたが、現在、この経済情勢の中でも、なおインフレ予算と認めないのかどうか。
 以上の諸点について、総理並びに大蔵大臣、経済企画庁長官の御答弁をお願いいたしたいのであります。
 次に、財政の硬直化について述べたいと思います。
 総理は、その所信表明において、財政の硬直化に言及して、財政体質の硬直化をもたらしている諸問題について根本的解決をはかる決意を述べたのであります。水田大蔵大臣もまた、公債政策導入以来、財政の景気調整機能は重要性を増してきており、この調整機能と財政固有の資源配分機能とを、相互に矛盾することなく完全に働かせるためには、財政の柔軟な体質を備えなければならぬことを強調されました。政府にとってこの場合最も重要なことは、ことばの上の強調や何かではなくて、その根源ともいうべき問題の究明であり、厳粛な政治責任の上に立った、思い切った対策でなければならないと思うのであります。
 私は、その根源の問題について、政府側の見解について述べたいと思います。「例年にない編成難におちいった」という大蔵省の見解によると、硬直化の原因は、義務的経費を年々一一・七%の率で増加させる要因として、公務員給与、地方交付税、公共事業費、防衛費等の長期計画に従って増加するもの七項目を原因の主たるものとあげているのであります。その総額六千八百十五億円は、来年度予算の伸びを一五%と見込んでも、予算規模の増額分の九〇%は当然経費によって占められるので、新政策費用はわずか一〇%だと、こういっているのであります。財政審議会で討議した財政硬直化対策もまた、この大蔵省の提案によってなされているのであります。また、伝えられる宮澤構想も、その意図はどうであっても、結局財政の硬直化、物価の急上昇という危機感というものを、労働者の賃金の抑制、米価にワクをはめることによって、日本経済の行き詰まりを打開しようとしたものであるから、したがって、硬直化の根源に対する見解は、同様であるといわなければならないのであります。また、福田自民党幹事長は、労働者の賃金引き上げが物価高の張本人であり、これが日本経済に致命的影響を与えていると極論しているのであります。しかし、これらの共通した所論によって、硬直化に対する政府・与党、財界の基本的考えを見ることができるのであります。ここには、一貫して大衆犠牲の硬直化打開の基本方針が設定されているのであります。私は、これに対して反対の立場から次のことを質問したいのです。
 地方交付税の増加を財政硬直化の根源としての税率の引き下げを当然とする妥当性というのはどこにあるのか、その根拠を説明してもらいたい。地方交付税制は、税の名称は持っておりますが、地方配付税と同じく、本質は地方財政資金であり、所得税、法人税、酒税の一定割合を法定して、独立財源として地方公共団体に与える制度であります。地方交付税の膨張は、つまり三税増収の結果であって、硬直化と関連づけられる性格のものではないと考えるのであります。
 二番目には、公務員給与の増額であります。民間給与の上昇に伴う人事院勧告という法律的措置であって、しかも、憲法によって保障された労働基本権の代償としてであります。総理の言う、米ソに次ぐ世界第三の工業国となっても、労働者の賃金水準は、後進国並みの低位に置かれているのであります。この現状を見た場合、公務員給与を財政硬直化の元凶呼ばわりは、的はずれもはなはだしいと思うのであります。(拍手)むしろ、勧告を無視して完全実施を怠ることを慣例化した政府の違憲的行為こそ、自己批判されるべきであると思うのであります。(拍手)
 総理、大蔵、経企長官にお尋ねをいたしたい。政府、財界呼応して所得政策の導入をはかるような印象がきわめて強いが、これに対する見解を承りたい。
 なお、総理大臣にお尋ねしたいのでありますが、憲法上また労働行政のたてまえから、あるいは人事院制度上から見て、勧告どおりの実施が現在まで一度もされていないという事実から見て、制度そのものがすでに死んでいる。したがって、これを廃止して労働三権を返還し、公務員の給与は団体交渉による賃金決定にするべきであると思う。憲法上からも、労使関係の正常化という観点からも最も適切な処置と思うが、これに対する御意見を承りたい。
 生産者米価の据え置き、消費者米価の値上げによって食管会計の赤字解消、物価の抑制をはかると言うが、財政硬直化の原因がはたしてここにあるという根本的究明をなされないままに、鉱工業、大企業中心の産業政策推進の犠牲となった農業が、いまや本来的な小零細規模の経営のもとにあるだけに、その存立が危機的段階にあることは、あなたたちがよく知っているところであります。したがって、その生産性向上に対する思い切った対策の先行なしに、生産者米価の据え置きという手段は、言うなれば、農業の立ち枯れ政策とも言うべきものである。また、売りたいところから買ったらいいじゃないかというような安易な輸入論は、国際的な食糧事情の展望から言って、日本の将来にかけての食糧問題として重要事であると思う。慎重に将来を展望した対策が必要であると思う。軽率、早急な食管制度の否定につながる生産者米価の据え置きは、単に農民泣かせの施策でしかないのでありまして、しかも、農民の協力は得られないと思うが、総理大臣並びに農林大臣の見解をお聞きいたしたいのであります。
 以上、政府のあげる財政硬直化の原因は、財政的危機をもたらした財政硬直化の真の根源ではないと私は断定したい。むしろ、政府は、意図的に賃金の抑制、米価の据え置きによって、当面する財政上の行き詰まりの打開をはかっているにすぎないのである。労働者、農民泣かせのやり方である。それでは、事実存在する財政硬直化は、財政上のいかなるものに原因があるのか確かめることが先決要件であると思うのであります。このことなしに一時を糊塗することができても、硬直化の解消は絶対にあり得ない。財政硬直化の問題は、短時日の間に起こったものでないことは言うまでもないのであります。大蔵省が突然のように大騒ぎすること自体がこっけいである。それより、今日に及んだその怠慢が責められるべきで、職務上の責任問題であるということを銘記すべきであると思うのであります。
 三十九年度予算の審議にあたって、わが党の羽生議員から、財政の硬直化について次のような指摘がかつて行なわれた。「経済成長の鈍化、税の自然増収の関係、歳出の硬直性という関係を総合してみて、どういう型の予算が想定されるか、増税なしに、公債発行なしに、年々強まってくる歳出の硬直性で、新規事業はほとんど予想できないのではないか」とただしたのに対して、当時の大蔵大臣田中さんは、五カ年計画その他の原因で予算の硬直性を認めながら、 「経済の安定成長によって税収の正常な状態で確保できる」、こう述べているのであります。しかし、三十九年度予算に見られる硬直化をもたらした最大のものは、一般会計の四分の一を占める補助金であった。長期計画、補助金と圧力団体、これは選挙目当ての予算要求等にからまる日本の経済、財政の前近代的制度、慣行の所産である。これが根源の一つであります。それから財政硬直化のもう一つの主役は、何といっても公債政策であるということは明らかであります。政府は、四十一年度以降の公債は財政法第四条に基づく建設公債で、歳入補てんを目的とした赤字公債ではない、近代の財政は租税と公債の二本立てで運営するのがむしろ原則であると主張してきました。財政の役割りが飛躍的に増大した今日、公債政策は財政上不可欠の政策手段として高く評価をする立場をとっている。この見解は、当然経済成長を促進するための公債政策の恒常化を持ち込んだのであります。しかし、政府のどのような説明をもってしても、公債政策の恒常化にはインフレの危険が伴うのが常である。政府は、絶対インフレの懸念がないことを力説いたしましたけれども、景気過熱ぎみの際の公債発行がインフレ効果を持つのは当然であって、その恒常化は財政の硬直化を加えてきたのであります。その対策として、私は次のことを質問したいのであります。公債の市中消化も全く困難になった現状であります。また、明年度予算の編成にあたっては、一般会計歳入に占める公債発行収入の割合を極力下げるという方針にまであなたたちは後退した。この際、思い切って租税・公債の財政の二本立て方針を変更して、公債発行を取りやめる方向に、均衡予算を実現させる意思はないかどうかということが一つ。企業・資産所得の減税等の税制を改めて、税の不公平を解消させる意思はないかということが二つ。国民の生活不安を解消し、農林漁業、中小企業の危機に対する適切な政策を盛り込んだ予算編成をなすべきではないかと思うが、これが三つであります。なお、三次防、四次防と、ますます膨張の傾向があるところの防衛予算の削減を、この機会に行なうべきではないかと思うが、以上について総理大臣、大蔵大臣の御答弁をいただきたいのであります。
 最後にお尋ねいたします。総理は、所信表明演説の中で、「国民一致してみずからの国をみずからの手で守る気概を持ち、現実的な対策を考えること、そして、これが沖縄の祖国復帰にもつながることを確信する」と述べているのであります。外交上の問題としては、きのう岡田議員との間に質疑がかわされました。内政の問題としてとらえた場合に、国民にその具体的構想を明らかにする責任が総理にあります。日本国憲法のもとで自主的国防、その現実的対策があるというならば、事柄はきわめて重大であります。総理の核心に触れた、しかも具体的な説明が――これは義務としてあるということを申し上げたい、これが一つであります。私は、総理が訪米後、記者会見をされた。それをテレビで見、また新聞で拝見して、仮想敵国とは言わないがと前置きして、中ソの核武装に警戒的な立場を述べ、自主的防衛の目標をここに置いた印象を私は受けたわけであります。かつて、現役の海上自衛隊最高幹部が、公開の講演において、ソ連を仮想敵国と指摘したことがあるのであります。私は、こういう観点から、自衛隊の最高幹部としてのあなたのこの態度は、自衛隊の任務、装備、教育、訓練等に対して影響があるのではないかと思うが、その点についての御見解を伺いたい。
 なお、ソ連の国防費が、本年度においては前年度をはるかに上回る状態になってきた。このようなことは、日本の態度にこれは対応したものではないか。このように考えたとき、北方領土返還の条件に悪影響を及ぼすのではないかという心配があるが、この点についてはどうであるか、第三次防についてもどのような影響があるか。
 私は、最後に、憲法、教育基本法に基づく学校教育に対し、自主防衛、その現実的対策というものは何か期待するものがあるのか。欠員の多い自衛隊の給源としての教育に化する、そのような意図はないか。教育内容、特に平和教育、これをくずし、一死報国的思想を注入するおそれはないか。国防訓練を教育に持ち込むような違憲的計画はないか。これらの点について総理大臣の御答弁をお願い申し上げたい。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) まず最初に、私の政治姿勢についての御批判がございました。
 私の責任、それは申すまでもなく、わが国の安全を確保し、同時に国民に対し国民生活を守る、同時にその充実をはかる、これが私の責任でありますし、また、そのやり方も権力的であってはならないことは、民主政治の時代でありますから当然のことであります。しかし、私だけがさか立ちをいたしましても、ただいまのような目的はなかなか達することはできません。そこで、国民の協力を願わなければならないのであります。その意味において、私は国民に強くその協力を呼びかけた、かように御了承をいただきたいと思います。
 次に、経済の見通しにつきましていろいろの御批判がございました。申すまでもなく、四十二年の予算編成にあたりまして私が最も重点を置きましたものは、四十年来の不況を克服することが一つの問題であります。同時に、物価を安定さすということを申し、そのために経済成長も安定成長の基調にのぼす、かようにお約束をいたしました。あらゆる努力をいたしました。
 まず第一の、不況の克服、これは幸いにして実現することができました。今日、もう四十年代のような不況はございません。しかしながら、成長は、私どもが安定成長を考えたにかかわらず、依然として強い高度成長を実現いたしました。そのために、私どもの予想を裏切るような事態が次々に起こってまいりました。この点は御指摘のとおりでありまして、その点について深く責任を感じております。しかし、もともとこれらの事柄につきまして、経済は絶えず流動的なものであるから、そのつどそれぞれ適切なる処置をとっていくというお約束もしてまいりました。したがいまして、この四十二年の成長のぐあいを見まして、経済が安定成長、それを行き過ぎておる、かように考えましたから、九月以降に引き締めの方策をとった次第であります。しかしながら、今日なお消費堅調、また設備意欲もなかなか旺盛であります。私はこれは高度成長、かような意味でたいへん喜ばしいことで、必ずやその効果は今後数年の後にまた出てきて、日本の国際収支にも役立つことだとは思いますけれども、とにかく、ただいまの状態で私が予想した以上の成長を見たということは、これは何といたしましても警戒をしなければならないと思います。そのうち順次、九月以降の引き締めの効果があらわれることだと思います。これを強く期待する次第であります。そういう際におきまして、当然のことではありますが、財政と民間投資、これを結びつけまして、国民の総需要を抑制する、かような政策をとらなければならないと思います。これがいわゆる私どもがただいま当面しておる節度ある態度で、今日の経済情勢に向かうというその姿でございます。そういう際に、特に私ども気をつけなければならないのは、中小企業等の力の弱い者にしわ寄せしないようにすることであります。これは年末融資等につきましても、特に考慮を払って、その結果が、中小企業に対して十分この保護等について万全を期する考えでございます。
 今後の問題といたしまして、私どもが一そう気をつけなければならないのは、内需の問題、さらに国際収支の動向に注意することであります。来年度の予算を編成するにあたりましては、もちろんその規模の圧縮につとめ、公債依存度の引き下げ等に努力することはもちろんであります。
 公債を思い切って廃止する、かようなことを考えないかという御提案でございますが、ただいまの情勢、まだ税の収入あるいは財政需要の状況、または減税等の問題等もはっきりいたさない現状におきまして、公債を全部やめる、こういうことはなかなかむずかしいのではないかと私は思いますが、ただ公債依存度を引き下げていく、このことはぜひやりたいものだと、かように考えております。
 物価対策につきましても、ただいまのような景気の抑制、さらに総需要の鎮静化が行なわれますならば、必らずや卸し売り物価にも好影響を与えることだと思います。もともと消費者物価がたいへん高くなったという、これは今日の経済構造の変化に原因するところがその主因でございますから、いわゆる経済の効率化と適正な競争を確保するということで、この消費者物価の安定をはからなければならない、かように考えております。これは、いずれ後ほど経済企画庁長官からお答えすることだと思いますが、大体、私どもが予想した年内における四・五%の上昇程度にはおさまるものでないか、かように考えます。今日最も注意を要しますのは、最近、新聞をにぎわしておりますところの英ポンドの引き下げの問題であります。このことが、国際収支に今後いかに影響を与えますか。各国、諸外国等もこの英ポンドの引き下げの結果、経済運営につきましてその慎重さを加えております。かような状態でございますから、わが国の国際経済もまことにきびしい環境下にある、かように考えなければならない。特に、その点を注意していく必要があると思います。
 次に、財政の硬直化についていろいろの御批判をいただきました。私は、これは一口に申せば、一般には、安易に財政に依存したそのことだ、かように思います。いろいろ六つか七つあげて、そうして、具体的な大蔵省の事務当局の所論を御批判でございました。どうも私にも理解しかねるものがありますから、いずれそれらは大蔵大臣からお答えすることといたしたいと思います。
 次に、公務員の給与、特に、勧告どおり実施されておらない現状から見て、労使正常化のためにも団体交渉できめたらどうだ、こういうお話でございますが、私は、それには賛成はいたしません。そのことは賛成いたしません。
 食管会計の問題についてお触れになりましたが、これまたただいま予算編成の途上でありまして、これをいかにするか、今日からきめるわけにはまいりません。
 また、予算硬直化は、これは放漫政策、あるいは物価政策、あるいは公債政策等の失敗ではないか、かようにおきめつけになったようでございますが、私は、それらのものが全然関係ないとは申しません。ことに、大蔵当局といたしましては、十分これらの事態に、予算編成に当面いたしまして、その主張を達することができなかった、そういうような力がなかった、また、それについては、党自身としても十分考えなければならないと反省をいたす次第でございますが、これが全部だとは、かように私は思いません。とかく、高度成長の際におきましては、おちいりやすい事柄でございますから、今後とも、これらの点には注意してまいるつもりであります。
 次に、国防の問題について最後にお触れになりました。私は、国防と切り離すことのできないいわゆる一国の安全、安全の確保、これが総理である私に課せられた責任でございます。私の担当でございます。したがいまして、この国を安全に置く、こういう意味においての国防、これは、私は当然国民に呼びかける責任があると思います。しかし、今日は、申すまでもなく、平和憲法のもとであります。また、私がしばしば皆さんにお約束をいたしておりますように国防は必要でも、国情、国力に応じてその国防を整備していくんだということをしばしば申し上げております。しかし、この際に、安全を確保する方法、それはどういうことが最も適当なのか、申すまでもなく、この安全確保につきましては、私どものように自衛隊はもちろん必要だ、それを国力、国情に応じて整備していくんだ、この国をまずみずからの手で守る、その気概を持つことだ、こういうような意味で三次防も計画し、すでに皆さま方の協賛も得たのであります。そうして、それだけでは不足だ、かような意味におきまして、さらに米国との間に安全保障条約を結んで、わが国の安全を確保しておるわけであります。私は、中ソが、またアメリカが核武装しておること、その事実は、私どもはっきり認めざるを得ないと思います。これを無視するわけにはいかない。そういうもとにおいての安全保障、これは一体どうしたらいいか。私どもはすでに平和憲法をつくっておる。そして、核をつくらない、核は持ち込まない、かように約束をしておる。そういう場合に、この核保有国と核非保有国との間の軍事的な均衡はいかにして保たれるか、これは、申すまでもなく、集団安全保障条約以外にはないではありませんか。私はそのことを申し上げておる。私は、無防備中立政策によってこの国の安全が達成されるとは思わないのであります。その意味において、国民にも十分御理解をいただきたい、こういう意味でしばしば国防の問題を申し上げております。私は、日本が安全保障条約を結ぶとか、あるいは私が帰りましてからの発言が北方領土の返還に悪影響を与えるなぞ、さような考え方は毛頭考えておりません。当然この国を守るべき責務は総理として果たそう、国民の皆さん方にもぜひ御協力を願いたい、これが私の考え方でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(水田三喜男君) 財政硬直化の原因は非常にたくさんございまして、法律とかあるいは制度等に基づく義務的な経費の累増、いわゆる当然増と申しておりますが、こういうもの、それから当然増に準ずるものとして、所得水準が上がった場合とか、あるいは長期的な計画が進んだ場合に、これに伴って増加を余儀なくされるという経費と、いろいろございますが、やはり根本は、昭和三十年代から経済が成長して相当自然増収が多くなった、そのために、国の財政で持つべきものと民間が負担すべきものとの限界が非常にはっきりしなくなって、できるだけやはり国が負担する、国民のほうも、給付は厚く対価は安くというような風潮が出てきておったことは事実でございます。この累積が結局現在の財政の硬直化を来たしておるという原因であるというふうに私どもは考えますので、財政当局がやはりこれに対して非常に至らなかったということも反省しますと同時に、将来の国の財政のために、ここでこういうものについてのけじめをつけることに一歩踏み出さなければならないだろうというのが私どもの考え方でございまして、これを来年度の予算編成から十分考えたいというふうにいま考えておる次第でございまして、この責任を国民に負わせようというような考えがあるというふうな、さっきおことばでございましたが、そういう意味ではございませんで、われわれの過去における反省に基づいた、新しいやはり機運を国民の中に持っていただきたいという希望を述べただけでございます。
 それから地方交付税についての御質問がございましたが、これはもう御承知のとおり、地方交付税制度は税という名称は持っておりますが、実質は地方配付税と同じように地方財政の調整金でございますので、これは中央・地方の行政事務の配分とも関係しておりますし、非常にむずかしい制度でございますから、私どもは財政硬直化というような角度からのみこれを論議さるべき問題ではないというふうに考えておることは御指摘のとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣がほとんどの項目にわたって答弁をされましたので、物価につきましてだけ補足をいたします。
 消費者物価でございますが、私ども今年度内四・五%という見通しを立ててまいりました。ただいまの時点で判断いたしますと、まず今年度についてはこの見通しのうちにおさまると考えております。ただ御承知のように、今年度当初低うございまして、年度中途以後かなり上がっておりますので、むずかしい問題を明年度に持ち越す感じでございます。それから同じく注意すべきことは、卸売り物価にどうも根強い基調が見えております。私どもの当初見通しと数字の上ではそう大きく狂いませんでしたけれども、しかし、一ポイントほどやはり卸売り物価が強い。これは人手不足といったようなものがだんだん卸売り物価の上に出てくるのではないかという感じがいたします。わが国は決して完全雇用になったわけではございませんけれども、他方で有効求人倍率が一を突破するということで、あたかもそうであるかのような姿になっております。これからあとの労働力のもっと有効適切な活用、いろいろな制度慣行にも関係いたしますから、一日で変えられることではございませんが、時間をかけて、やはりもっと労働力を生産性の高い、いい使い方をするようにつとめてまいりませんと、だんだん卸売り物価にそういう問題が出てくるのではないか、こういう懸念を持っております。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 生産者米価と消費者米価の間にいわゆる逆ざや関係が生じておりますことは、食管制度の上から見ましても問題であると存じます。したがって、私どもは食管制度並びに国家財政全般からみて大きな問題でありますので、米価の決定にあたりましては、これが両米価の間に正常な関係が生じますように、どのようにしたらよいかということについて、来年度予算編成にあたりまして、ただいま検討をいたしておる最中でございます。(拍手)
   〔国務大臣増田甲子七君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(増田甲子七君) 自国のみでは自国の安全と平和とを保持できない。集団保障体制で各国はいずれも自国を守っておるということは、近代国家における現象であるということを総理もしばしば引用されております。日本が国連へ入ったのは昭和三十一年でございまするが、すでに昭和二十六年の平和条約において、国連憲章第五十一条を援用して、現行日米安保条約の改正前の安保条約に加入しておる次第でございます。そこで、御承知のとおり国連憲章第五十一条がすべての集団安全保障条約の基礎でございまして、北大西洋安全保障条約機構、あるいはワルシャワ安全保障条約機構、あるいは二国間、三国間の安全保障条約、すべて国連憲章第五十一条が基礎でございます。日米安保条約もそのとおりでございまして、この安保条約体制のもとにおいて、日本は自国の国力、国情に相応した自主防衛の線を堅持してまいっておるのでございまして、先般の国会において皆さまの御協賛を得ました第三次防のもとにおいて、自主防衛、この線を執行してまいるつもりでございます。決して仮想敵国とか、あるいは対象国ということを考えていないということは、前々国会において、予算委員会において、しばしば小林さんにも言明したとおりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(重宗雄三君) 渋谷邦彦君。
   〔渋谷邦彦君登壇、拍手〕
#12
○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表して、さきに行なわれた政府の所信表明に対し、総理及び関係閣僚に若干の質問をいたしたいと思います。
 今回の首相訪米に際し、全国民が最も要望していた沖縄の返還については、その期待がむざんにも裏切られたという結果に終わったことは、まことに遺憾であります。あえて、その成果に触れるならば、自主防衛の強化、ベトナムにおける北爆の支持という、まことに危険きわまりない政治姿勢を露骨に示したことにあると思うのであります。これは、明らかに米国の歓迎するところであり、戦争協力への積極的参加という以外の何ものでもないのであります。政府の防衛構想は、その態度を一そう鮮明にしたばかりでなく、加えて、その考え方の底流には、客観情勢の変化に伴う、やむを得ない措置ということを口実に、再軍備への正当性を理由づけ、国民の最も心配する、しかも、自民党綱領にうたっている憲法第九条改悪を意図しているのではないかと思うが、総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、ベトナム和平の道は、北爆停止を先決条件とすることは、全世界の世論であります。しかるに、総理は、ベトナムにおける北爆支持を表明したが、北爆の強行が、戦争終結に結びつくという判断によるものかどうか、伺いたいのであります。
 また、かつて、太平洋戦争の際、戦争終結を急いだ米国は、その窮余の手段として、広島、長崎に原爆を投下したのでありますが、再び米国が、いわゆる国内におけるタカ派が主張する、のろわしい核爆弾使用の可能性は絶対にあり得ないのか。あなたは、ジョンソン大統領との会談において、核兵器使用の愚を繰り返してはならないことを強く主張されたかどうか、伺いたいのであります。
 次に、わが国の安全保障にとって無視できない中共の核戦力を、政府はどうとらえているかが問題であります。日米共同声明によれば、政府は、中共の核の脅威を訴え、それに対応できる体制をつくるべきであるとの態度を明らかにいたしました。しかし、政府は、従来、ややもすると、中共の核戦力を口実に、わが国に核戦力を保有しようとする突破口にせんとしているのではないかと、このように思われますが、そうとすれば、これは、まことに危険な考え方と言わざるを得ません。総理は、中共が現在の教条主義を改め、協調的にならない限り、中共とは妥協できない旨を述べられているが、むしろ、協調できる国際環境をつくることに努力することが、最も必要ではないかと思うのであります。第二十二回の国連総会においても、かねてから懸案事項であった中共加盟の件は、またもや重要事項指定方式によって拒否されたが、流動性のきわめて激しい国際情勢下において、いまこそ、世界秩序の維持、核軍縮への方向を確立すべきときであり、中共を軍縮の場に参加させるという意味からも、中共加盟は焦眉の急と思われるのであります。これについて、政府の基本的方針を変更する用意はないか、伺いたいのであります。
 次に、ベトナム戦争、あるいは中共封じ込めに大きな役割りを持っている米第七艦隊の主力空母エンタープライズの日本寄港が正式に決定したようであります。十月二十日付の覚え書によれば、推進系統が異なるのみで、他の水上艦艇と変わるものではないから事前協議の対象にはならない云々としるされておりますが、同艦の規模から推測して、一機動部隊の戦闘力を有するばかりでなく、緊急事態に備えて核爆弾を持っていることも考えられるのであります。そうなれば、当然事前協議の対象たる重要な配置の変更であり、即核の持込みを許すことにもなるので、国民の不安を除く上からもはっきりとしていただきたいのであります。エンタープライズの入港の際、同艦の護衛として原子力巡洋艦ロングビーチと同じく原子力駆逐艦ペインブリッジの二隻が同時に入港すると見られております。
 このように、政府は、原子力潜水艦の寄港以来、なしくずし的に、核装備を有する水上艦艇の入港を継続的に認め、ベトナム戦争への協力を強めようとするねらいがあるように思われるが、どうか。
 政府は、軍事機密に属することまで調査はできないから、米国の申し入れをそのまま信用する以外にないと言明してきましたが、国民の核兵器持ち込みへの大きな危惧を解決するためにも、信用を裏づける何らかの調査ができるようにすべきであるが、どうか。
 また、事前協議については、今日まで正式に行なわれた例があるのか、あるとすれば、いついかなる場合、どのような条件のもとに行なわれたか、あわせて御答弁願いたいのであります。
 次に、核拡散防止条約について、政府の基本的構想を明らかにしてもらいたいのであります。
 この条約の持つ影響は、特に非核保有国に対し顕著であり、それによって生ずる不平等感はぬぐい切れないというのが、同じ立場に置かれている国々の共通した不満でありますが、これに対しどう理解しているのか、お聞かせいただきたいのであります。
 また、このような核防条約に中共は署名しないことは確実であるが、この場合、中共の核実験や核兵器製造による脅威を除くためには、なおさら中共の国連加盟を積極的にはかるべきであるが、重ねてお伺いいたします。
 次に、条約の中で最も重要なことは、第三条項に規定される査察・管理の問題であります。核保有国の平和利用にも厳格に適用すべきだとするのは当然の要求でありますが、これらについて、日本は国連において、またジュネーブの軍縮会議において、どう主張し、その実現をはかるためにどう対処してきたか、具体的に御説明を願いたいのであります。
 次に、内政問題に触れたいと思います。
 総理は、従来、政治的ビジョンとして、人間尊重、社会開発、安定成長と、およそ中身のないキャッチフレーズを乱発してまいりましたが、内閣改造のたびに公約した物価安定、行政改革などの重要政策の目標は、残念ながら国民の期待を大きく裏切っているのであります。今度こそ勇断をもって、物価の安定、行政改革等の実をあげるためにも、本気になって努力すべきであると思うのであります。
 まず財政問題についてでありますが、昭和四十三年度の予算編成にあたって直面する最大の課題は、しばしば言われてまいりましたように、財政の硬直化であります。このような重大な事態を招いたのは、政府の放漫財政によるものであると言わざるを得ません。これは、単純な財政上の局部調整にとどまらず、毎年毎年予算ぶんどり合戦を演じている政府与党の予算編成に対する姿勢から出ているのであり、あげて政府与党の責任であります。しかるに、政府は、減税もほとんど行なわず、一切を国民の負担に転嫁しようとしているのであるが、総理は財政硬直化に対処するためどのような具体的な方針を持っておられるのか、その責任ある見解を示していただきたいのであります。
 さらに、財政硬直化問題の最大のガンは政府の国債政策にあります。予算編成にあたって、財源に窮すれば安易に赤字国債を多量に発行し、いまや国債の残高は約二兆二千億に達し、金融市場は極度に圧迫され、国債価格は発行価格を割り、金融機関は国債発行の再減を要望しているのであります。他方、国債発行による金融難は中小企業を続々と倒産に追いやり、ここにも弱肉強食のおそるべき事態が発生しているのであります。
 総理は所信において「来年度予算編成にあたっては、その規模が過大とならないよう極力抑制するとともに、公債依存度の引き下げに鋭意努力する」と、いままでの態度を幾ぶん反省して述べておられますが、政府は国債発行の再減額、発行条件の改定をする意図はあるかどうか、また、明年度の国債依存度並びに発行予定額をどうするか、また、いつになったら健全財政に戻れるのか、今後の国債政策のあり方を伺いたいのであります。
 続いて、さきに行なわれたポンド切り下げ、アメリカ、カナダ等の公定歩合引き上げは、日本の貿易経済にとっても大きな影響を与えております。まず第一に、資本収支の動きでありますが、海外の高金利から、わが国に流入している短資が欧州に引き揚げられる動きもあり、その現状から見ても、ドル防衛が進展するほど、一そうわが国は苦境に立つことが予悪されますが、この点についてどのような見通しを立てているのか、お聞かせいただきたいのであります。
 第二は、わが国の貿易収支でありますが、ポンド圏輸出は、全体の二〇%ぐらいと思われるが、ポンド切り下げの輸出入面における影響は、どのくらいあるのか。また、米国の公定歩合引き上げは今後わが国に少なからず影響があると思われます。国際収支の改善が叫ばれているときにこのような世界的不況に見舞われ、国際収支の回復時期がかなりおくれる見通しとされているときに、公定歩合の再引き上げ、窓口規制の強化が予想されますが、政府の今後の金融対策はどうか。また、対米輸出に対してどのように対処していくのか。また、少なくともドル防衛の一端をになわされてきた日本として苦々しく思うことは、米国のバイ・アメリカンあるいはシップ・アメリカン政策であります。
 政府はこの重大な問題について何らかの解決を望む交渉があったと思うが、どうか。また、今後の解決にいかなる方針で臨まれるかを伺いたいのであります。
 次に物価については、消費者米価や医療費値上がりをはじめ、今年に入ってからすでに六%の消費者価物上昇率を示しており、さらにまた、年末から明年度にかけて地代、家賃、国鉄定期代、バス料金、さらにガソリン、酒、たばこ、ふろ代、国立大学授業料等、おまけにみそ、しょうゆまで便乗値上げが続出しそうな気配であります。これではまさしく国民は物価高騰の重圧に押しつぶされそうな感があるのであります。政府は、物価安定に名をかりて巧妙に物価をつり上げていると言わざるを得ないのであります。政府の物価行政は、何ら効力を見せず、一体物価安定をやる気があるのかないのか、今後物価値上がりシーズンを迎えてどう対処していくのか、明確にお答え願いたいのであります。
 次に、政府は第五次新道路整備五カ年計画の推進にあたり、その財源調達の手段として、明年から揮発油税、地方道路税、軽油引取税の大幅増税を企画されるやに聞いておりますが、道路整備財源の大半をこのような大幅増税という形によって調達しようとする政府の方針は、国民的な立場より見れば、輸送コスト引き上げ、一般物価の上昇にますます拍車をかけ、経済全般に多大の悪影響を与えるのであり、絶対に税引上げをすべきでないと思うが、大蔵大臣、経済企画庁長官の御所見を承りたいのであります。
 次に、米価問題について質問いたします。水田大蔵大臣は、消費者米価の値上げについて、来年度はせめて両米価の逆ざやを解消するだけの値上げをしたいと、四年連続値上げの予算米価方式を主張し、農林省は、当初予算で消費者米価をきめず、来年の生産者米価決定のとき、同時に値上げをきめる同時決定の態度をとり、また経済企画庁は、消費者米価、生産者米価の値上げに反対という立場をとり、各省ばらばらの主張を唱えているが、総理はどのような態度でこの米価問題を解決しようとするのか、また、国民生活に重大な影響を持つ両米価の決定につき、国会の承認を求めるよう、法律改正をすべきであるが、なぜやらないのか、お聞かせ願いたいのであります。
 次に、行政改革についてお伺いいたします。
 一省一局削減の措置と、来年度は行政機構の簡素化、合理化、定員の縮減等、政府みずからがその姿勢を正し、根本的解決をはかると総理はその所信を表明されたが、少なくとも、いままで仄聞するところでは、局を部に格下げしただけで、実質的には何ら変わらないと言われているのであります。はたして総理は、実質的に一省一局削減をなさる決意なのか、国民に固く約束できるのかどうか、伺いたいのであります。
 また、いままでしばしば問題とされた公社公団の整理に対しても、臨時行政調査会の答申を勧告どおり実行する決意があるのか、明確な対策を示していただきたいのであります。
 また、総理は、国民の信頼にこたえる清潔な政治の実現を唱えておりますが、古くは造船疑獄事件、近くは共和製糖事件、そして、いま問題になっているLPGにかかわる陸運汚職など、一連の政界の黒い霧は一向に払われもせず、国民の政治不信を一段と深くしているのであります。この事件に対し、総理はどう責任を感じられているのか、どう対処なさるのか。総理みずから政治姿勢を正すというのであるならば、LPG汚職にまつわる国会議員の氏名を国民の前に明らかにするほどの、思い切った態度があってもよいと思うのが、どうでありましょう。(拍手)
 また、最近、公務員による収賄、職権乱用等の犯罪が目立って多くなっております。特に公務員の収賄事件は顕著であり、その使途も国民の血税を遊興費に充てるというものであります。これは一般社会に与える影響も大きく、国家としても、ゆゆしきことであります。このような公務員の汚職事件に対して、いかなる対策をお持ちなのか、お聞かせ願いたいのであります。
 最後に、富山県神通川流域に古くから発生し、推定死亡率五八%という水俣病以上におそろしい悲惨な病気である、いわるるイタイイタイ病について、総理及び通産大臣に質問をするものであります。
 イタイイタイ病の原因については、三井金属鉱業株式会社神岡鉱業所より流出せる廃液中のカドミウムであることは、厚生省研究班の中間発表においても表面化しており、政府はこの際、はっきりと鉱毒公害であることを認めるべきであります。にもかかわらず、今日まで長年にわたり、何らの補償もなく、また、その対策措置をとらずに、多くの犠牲者を出したことは、政府の重大な責任であります。今後どのような対策を講じて、この悲惨な鉱毒公害に対処していくのか、具体的かつ明確な方針を示していただきたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 お答えいたします前に、沖縄に全然前進がない、こういうお話でありますが、沖縄返還についての前進、これはもうすでに声明書等しばしば読み上げておりますから、重ねては申しません。ただ、何らの前進がなかったということは残念だという、こういう独断的な批判だけは、ぜひお差し控えを願いたいと思います。
 次にお答えをいたしますが、この防衛論争は、先ほども小林君にお答えいたしましたように、防衛とうらはらをなす安全保障の問題、安全確保の問題があるのであります。私はこの日本の安全確保ということについて、総理としての責任を実は負わされておりますし、また、それは私の義務だと思っております。この安全を確保されているもとに、初めて今日のような繁栄をもたらされたのであります。したがいまして、私の念頭からは、絶えず、どうしたらこの国の安全を確保できるか、かようなことが頭から離れないのであります。もちろん中立論等もございますし、あるいは無防備中立論というような話もございますが、私はさようなことで日本の安全は確保されない、かように思っております。まず憲法のもとで、この自主平和憲法のもとで、どこまでも私どもは他国に脅威を与えない、さような自衛的な軍備は持つ、かような自衛権、防衛権は持つ、しかも、それも力以上のものを持つというのではないんで、国力、国情に応じたものを持つと、こういうことを申しておるのであります。その意味の自衛力の整備をはかろうとしておる。したがいまして、私が自主防衛の大事なことを申しますのは、どうか国民の諸君も、この自主防衛というのは、まずこの国が安全だという、自分たちの立っている立場がゆるがないんだと、こういうことを認識してもらいたいのであります。
 そこで、私どもはいま、わが国の自衛隊だけではこれは不十分だと、かように思う。これは集団安全保障条約、そういうような意味で、日米安全保障条約のもとでわが国の安全を確保していく。アメリカ大統領は、日本がいかなる攻撃にあった場合でも日本を守る、在来の兵器だけではないんだということを私にしばしば申しております。したがいまして、私は日米安全保障条約のこの体制を続けていくということを申したのでありまして、これはアメリカの戦争に協力するものではございません。公明党の方もこれはよくおわかりで、戦争協力ということばをお使いになりましたが、これはアメリカの戦争に協力するものではない。わが国の防衛を確保する、そのための手段としてアメリカとの安全保障条約を結んでおるということであります。
 また、ただいま憲法第九条を改正するような考え方は毛頭持っておりません。憲法の問題については、これは国民とともに考うべきだということをしばしば申しましたが、私自身がこれを改正するというような考え方はいたしておりません。
 次に、たいへん時間が短かったので、はしょられてお尋ねがございましたが、ただいま北爆の強行、これはベトナム戦の終結に結びつくかというお尋ねでございますが、私は北爆のみでは終結はないと思っております。これはできるだけ早期和平の招来が必要でありますし、そのためにこそ、いろいろ私どもも努力しておるんであります。
 また、ベトナムで米国が核兵器を使わないという、そういうことを、使うなということを話したか、さらにまたそういう保証があるかというお尋ねでございますが、私どもは不拡大、エスカレートすることを極力避けろということを、しばしばアメリカに申しております。また、アメリカが核兵器を使用しないということは、これは六五年四月以来数回にわたりまして、大統領並びにマクナマラが米国の上院あるいは記者会見等におきまして、絶対にそういうことはないということを申しております。最も近く核は使用しないと申しましたのは、去る十月十日、このときに米国の上院でそういう証言をいたしております。したがいまして、私どもはその証言を信頼して、さようなことは絶対にあってはならない、かように考えております。
 また次に、中共の核戦力についてお話がございましたが、日本は中共が持とうがフランスが持とうが、またソ連が持とうが、日本人は核兵器を持たない、また持ち込みを許さない、かようなことを国民とともに誓ったはずであります。その誓ったことは、今日なお私どもの胸に深く深く刻み込まれております。御承知のように、中共の核開発は過去におきましてすでに六回の実験をしております。したがいまして、その開発の速度は非常に速いということがいわれております。しかし、まだ核の小型軽量化あるいは運搬手段等が整備されたとは私は思っておりません。しかし、今日までの核開発の速度から考えますと、中共のこれらの開発も非常に速いのではないだろうかと思っております。
 私は、中共の核にだけ反対しているのではありません。過日も社会党の方にお答えしたのでありますが、核兵器そのものがこの世からなくなる、このことを私どもは念願いたしております。したがいまして、新たに核兵器を持つというようなことについては、なおさら私どもは反対であります。さような意味で核拡散防止条約の成立に、心からその精神を支持し、そしてそれこそが核兵器禁止の第一歩ではないか、かように考えている次第であります。こういうような現実の状態、とにかく隣が核開発している、核兵器を持っている、こういうような実情のもとにおける日本の安全確保に、日米安全保障条約の必要なこと、これまた国民はわかっていただけると、かように思います。
 次に、エンタープライズの入港につきましてのいろいろ御心配があるようでございますが、私は、エンタープライズや、あるいは巡洋艦ロングビーチ、駆逐艦ペインブリッジ等が入りましても、これは核の持ち込みとは違うのでありまして、今日その安全性は十分検討され、そしてこれが安全だというので、入港を許しているわけであります。したがって、安全が第一でございますから、この点では核の持ち込みということになれば、これは問題でございますが、さようではございません。また、今日までこういうような原潜が入ったり、あるいはさらにエンタープライズが入ってくる、そういうようなことで、だんだん核兵器持ち込みのなしくずし、そういう効果をねらっているのではないかというようなお話でございますが、私どもはさような小細工をするつもりはありません。また、この核の持ち込みについて、事前の協議が今日まであったか。今日まであった経緯はございません。したがいまして、そのときの話し合いはどうだったかというようなことは、もちろんあるわけではございません。
 また、核拡散防止条約についていろいろお尋ねがございました。これはあげて外務大臣の答弁にまかしていただきたいと思います。お聞き取りをいただきたいと思います。
 次に、内政問題につきまして、財政の硬直化についていろいろの御意見を述べられました。私も、最近の財政の硬直化については心配しておる一人でございます。また、その原因は、先ほどもお答えいたしましたように、多年にわたる安易な財政への依存、そういうような気風ができ上がったところにあると思います。いろいろ具体的な問題をあげることもできるでありましょうが、何といっても、安易に財政に依存するのだ、こういう気風が変わらない限り、この硬直化を直すわけにはいかないと思います。また同時に、在来からの機構の問題、あるいはものの考え方等も硬直化しておりますから、それらの点にも新風を吹き込む、そういうことが必要だと思います。
 先ほど、行政機構の整理や、あるいは公社公団の整理等を思い切ってやれ、こういうお話でございます。私はこれらの問題と取り組むつもりでございますが、ただいま委員会の答申どおりやるかというようなお話でしたが、もちろんそのとおりではございません。委員会の答申どおりではありませんが、積極的にこの問題と取り組む考えでございます。改革はもちろん円滑に、効果をあげるようにやらないと、一挙に思い切ったことをいたしますと、しばしばその弊害のほうが大きく出てまいりますので、そういうことは避けなければならないと思います。
 次に、国債発行の条件を変えることがあるかということでありますが、国債発行の条件、いわば金利の問題、これは国債は長期のものでございますから、長期金利の問題を今日云々することはいかがかと思います。したがいまして、いまの状態で直ちにこの条件を変えなければならぬ、かようには私は考えておりません。
 また、来年度の発行額、これはもちろん今日申し上げるわけにはまいりませんが、公債に対する依存度、これは今後ともだんだん引き下げていく考えでございます。今後の、いつになったら健全財政、いわゆる公債発行をやめることができるか、こういうような思い切ったお尋ねでございますが、こういう健全財政、これは、堅持したいことはもちろんではございます。しかしながら、公債を発行したから健全財政がこわれた、こういうものではない、かように私も思いますが、同時に経済成長の見込みや税収の見込み、減税規模あるいは財政需要、それらのことを勘案していかないと、なかなか支出側だけを縛るわけにもいかないように思います。
 次に、ドルと円の防衛についてお尋ねがございました。最近のポンド切り下げについていろいろ御意見を述べられましたが、私はたいへんありがたく拝聴いたしたのであります。今日の国際環境のもとにおきまして、ポンド切り下げが大きな影響を与えておる。しかして、このドルと円、これはまた非常に密接な関係がある。この関係から申しまして、日本の国際収支が健全であるということは、アメリカもしあわせだと思います。また、アメリカの国際収支が健全であることも、日本にも幸いするのであります。そういう意味で、円を強くすると、こういう場合に、ドルはどうでもいいというような考え方にはなかなかなれないし、ドルさえ強ければ、円はどうでもいいというような考えにもちろんならないのであります。そこらに国際通貨の問題としてのむずかしさがある。しかし、いずれにいたしましても、ポンドの切り下げが今後国際経済に及ぼす影響はまことに大きいと思いますので、今後とも国際収支の動向にこの上とも気をつけていかなければならないと思います。そうして適時適切な対策を立てる、こういうことであると、かように御承知願いたいと思います。
 物価安定の問題については、これはたいへんむずかしい問題であります。幸いにして不況の克服はできた、しかし、物価の安定は私どもが思ったとおりに必ずしも進んでおりません。しかし、今日たいへん国内消費が進んでおると、それだけ国民の生活は豊かになり、向上しておるといろことで、望ましいことではある、かように私は思いますが、同時に、一方で、この国内消費の増加、設備投資と相まちまして、日本の国際収支の状況もだんだん悪化するのではないか、そういう議論がございますから、これらの点を、国民の協力も得まして、そうして国際収支の健全化もはかってまいりたい、かように思います。
 ことに、この物価の問題で一番問題になりますのは、米あるいは中小企業の生産のものでございますが、これは何と申しましても、これらは低生産性部門と言われておりますように、いままでたいへん生産性を上げることが困難な部門であります。言いかえれば、構造的な問題から、どうしてもそれらを扱うものが高くなりがちでございます。今後は一そうこれらの点について近代化を進めていくとか、あるいは流通機構を整備する、あるいは競争条件の整備、労働力の有効需要等によりまして、この物価の安定に一そう努力してまいるつもりであります。
 消費者米価のあり方につき、いろいろの御意見がございましたが、いまちょうど予算編成中でございますので、これをいかにしようかということでございます。国会に、その米価が幾らであってほしいというようなことを、ただいま申し上げる段階でないことを、お許しを得たいと思います。ただ、消費者米価を今後は国会の承認にするようにしたらどうか、こういう御意見でございますが、私は、これは、米価審議会の意見を徴してきめればいいことで、国会の承認をとることは不適当ではないか、かように考えるのであります。
 次に、汚職の問題、腐敗の問題についてお触れになりました。私は、ただいま言われておりますLPガスの事件は、ただいま検察当局においてちょうど捜査中でございます。したがいまして、内容をつまびらかにいたしておりません。したがって、この点は、ただいま発表することは私自身にはできませんが、しかし、それにいたしましても、この種の問題が起きたことはまことに遺憾に思っております。私が、かつて二年前、政界の信頼、国民の信頼を高めるためにもこの種の事柄を厳に戒めなければならない、不信をなくする、こういうことで努力してまいりましたが、そのやさきにこういう問題が明るみに出た、これが明るみに出てこういうものが一掃されること、これは当然のことだと思います。しかし、このこと自身が起きたことをまことに遺憾に思っております。また、公務員の汚職等につきましても、決算委員会その他を通じましていろいろ御注意があったにかかわらず、今日なおそのあとを断たない、こういうことでございまして、これまた政府の最高責任者として、公務員の汚職でありますだけに、その責任を痛感しております。今後とも、責任体制の整備、服務規律の確保、さらに、また、監察制度の強化等をはかりまして、公務員の汚職、官紀のゆるみ、これをないようにいたしたいと、かように念願いたしております。
 次に、最後にお話のありました、いわゆる富山県婦中町のイタイイタイ病のことでございますが、これにつきましては、ただいませっかく調査研究中でございます。できるだけ早くその調査研究の結論を待ちまして、また、同時に、医術の診療の面でもさらに動員をいたしまして、これらの不幸な方々を救うようにいたしたいものだと、かように思います。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(三木武夫君) 核兵器の拡散問題についてお尋ねのありました点をお答えをいたします。
 第一点は、目下、軍縮委員会において審議されておる核兵器拡散防止条約に対する政府の基本的考えはどうかというお尋ねです。これはしばしば申し上げておりますように、核兵器をすでに五カ国が持って、これだけでも人類に不安を与えておることは事実であります。この上に核兵器を持つ国が次々にふえていくことは核戦争の危険を増大する、したがって、核兵器の拡散防止条約ができることは、その精神において賛成である、これは政府の立場であります。ただ、しかし、無条件に賛成というのではない。核兵器を持っていない国ばかりに持つことを押えるだけでなくして、核兵器をすでに持っておる国も、核軍縮を行なうことによって、やがては核兵器が人類の社会からなくなるようにしなければいかぬ。したがって、核軍縮、あるいは、また、このことが原子力の平和利用のために、この研究とか開発というものを束縛するようなものであってはいけない、こういういろいろな条件を付しながら、その条件が満たされるならば、この条約に賛成である、これが日本の政府の態度でございます。いま渋谷さんは、この条約は非常に不公平なことになるのではないかという御質問でありました。なるほど、現在すでに核兵器を持っておる国と持たない国とではすでに不公平が私はある。核兵器を持っておればいろんな点で国際的に強い立場にあることは事実であります。すでに不公平があるので、それはそういう条約を結べばその不公平を固定化するからいかぬではないかという考え方を貫きますと、それならば、次々にみなが核兵器を持って公平にしたほうがいいのかというと、われわれはそういう考えはとらない。みなが核兵器を持てば核兵器の戦争の危険が増大をする。したがって、一通り五カ国に押えておいて、そのかわりに、核兵器を持っておる国の核軍縮というものをやらして、そして核兵器をなくするようにすることが実際的ではないか。したがって、直ちに公平にということはできぬが、それを核軍縮の推進によってできるだけ核というものが持っておる一つの不公平さ、核兵器を持つことによる不公平さをだんだんになくしていくことが実際的ではないかと考えておるのであります。
 中共に対しては、まことに残念でありますが、この条約ができても、中共はこれに加入しない形勢であります。しかし、核兵器をなくしたいという人類の願望に耳を傾けて、中共が国際的な協力の態度に出ることをわれわれは希望するものでございます。
 また、この核の平和利用については、核兵器を持っておる国も平和利用の面については共通の国際査察を受けるべきだという渋谷君の御意見に、全く同感でございます。したがって、われわれは、核兵器を持っておる国に対して強く日本は主張をいたします。この日本の主張というものは、核兵器を持っておる国も耳を傾けなければならぬ。これは非常に妥当性を持っておるわけでありますので、アメリカも、ジョンソン大統領は、先日でございましたか、平和利用についてはアメリカは国際査察を受けるということを申しますし、イギリスは同様にその意思を明らかにしました。したがって、ソ連も、平和利用の面については、核兵器を持たない国と同様な国際査察を受けるようになることを強く希望するものでございます。
 さらに、軍縮委員会に対する日本はどういうふうな関係を持ったかということでございますが、残念なことには軍縮委員会のメンバーでない。入りたいと考えましてわれわれも機会あるごとにその主張をいたしているのですが、まだ実現はいたしておりません。したがって、軍縮委員会に、メンバーでありませんから、出先の外交機関を通じて、そういうメンバーの国々と接触をいたすばかりでなく、特別に大使を特派しまして、田中大使、軍縮担当の大使を二回にわたって派遣をいたしまして軍縮委員会と関連を持たして、日本の主張が核拡散防止条約の中に公正に反映をするよう努力をいたしてまいった次第でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(水田三喜男君) 国債の発行条件についてのお尋ねでございましたが、国債の金利は、長期金利の体系の上で主導的な地位にあるものでございますので、これを動かすことは、長期の金利体系に大きい影響を与えるというものでございます。なるほど、わが国は、いま、国際収支の壁にぶつかってはおりますが、しかし、一面、自由化を前にして、国際競争力をさらにつけなければならないという必要性にも直面しているときでございますので、この長期の金利を短期金利の変動と同一に考えるわけにもいかないと思います。したがって、私は、ただいまのところでは、この国債の条件を改定する必要に迫られているというふうには考えておりません。そのかわり、国債の量においては相当の考慮をしなければならないと思っております。したがって、明年度の予算編成におきましては、この依存率を減らすだけではなくて、発行額についても相当の圧縮をしたいというふうに考えておる次第でございます。
 その次に、いわゆる欧州系の短資についてのお尋ねでございましたが、英米の金利が、公定歩合が上がったということを契機にしまして、海外の短期金利は上昇の傾向にございます。そうしてユーロマネーも金利はかなり上がってまいったことも事実でございますが、しかし一方、日本のほうでも、ただいま国内においては金融引き締め政策をとっておりますために、国内の資金の流動性も乏しくなって、為替銀行の海外短資の受け入れの基本態度というものは、いま変わっておりません。のみならず、年末に際してコールマネーも上がってきましたので、ただいま程度の内外の金利差では短資が日本から流れていくという心配は、いまわりあいに少ないことと思っております。現にこの十一月中は、ほとんど海外短資の異常と思われるような流出は全くございませんでした。しかしながら、海外金融情勢は非常に流動的でございますので、金利の方向、それから短資の傾向というようなものについては、いま慎重に見守っておる最中でございます。
 それから、ガソリン税についてのお尋ねがご、さいましだが、これは慎重に検討すべきものであるというふうに考えて、いま税制調査会の御審議も願っておるところでございますが、政府としても、まだ方針をきめていない段階でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 物価問題につきましては、先ほど小林議員にお答え申し上げましたのでお聞き取りいただいたかと存じます。政府が直接関与し得る料金、価格等につきましては、明年度の予算編成過程を通じまして、できるだけこれを小幅に、あるいは可能な限り回避するという態度で臨みたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(椎名悦三郎君) イタイイタイ病の原因につきましては、今日まで公式には結論が実は出ておりませんが、厚生省の調査によれば、カドミウム等の重金属及び栄養上の障害等が発生原因ではないか、こういうふうに推定をされておる現状でございます。通産省といたしましては、かねてから公害防止のため、強力な監督指導を進めてきたのでございます。最近当省が実施した水質検査におきましては、直接人体に影響を及ぼすと考、えられるほどのカドミウムは検出されるに至らなかったのであります。ただ先ほど渋谷さんからお話がありましたが、厚生省は、現地について調査班を派遣していま調査中でございまして、その調査班の班長が現地で、イタイイタイ病の原因は、鉱山から発生したカドミウムであると推定されるという旨の発表を行なっております。これは同研究班としての最終的な結論ではなく、あくまでも中間発表にすぎないものでございますが、かような発表がございましたので、厚生省の研究班の結論を待って、通産省としてはこれを鉱毒として認めるかどうかということを決定をいたしたい、かような考えでございます。
#18
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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