くにさくロゴ
1967/12/13 第57回国会 参議院 参議院会議録情報 第057回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1967/12/13 第57回国会 参議院

参議院会議録情報 第057回国会 本会議 第5号

#1
第057回国会 本会議 第5号
昭和四十二年十二月十三日(水曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  昭和四十二年十二月十三日
   午前十時開議
 第一 国家公務員等の任命に関する件
 第二 一般職の職員の給与に関する法律等の一
  部を改正する法律案(閣法第一号)、特別職の
  職員の給与に関する法律等の一部を改正する
  法律案、防衛庁職員給与法等の一部を改正す
  る法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一
  部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関
  する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国家公務員等の任命に関する件。
 内閣から、国家公安委員会委員に名川保男君を、
 社会保険審査会委員に大村潤四郎君を、
 日本放送協会経営委員会委員に、網島毅君、伊藤佐十郎君、鈴木信雄君、藤田三郎君を、
 公共企業体等労働委員会委員に隅谷三喜男君を、
 地方財政審議会委員に、新居善太郎君、今吉敏雄君、久保田義麿君、鈴木武雄君、武岡憲一君を任命したことについて、それぞれ本院の同意または承認を求めてまいりました。
 いずれも内閣申し出のとおり、任命に同意または承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意または承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 大蔵大臣から発言を求められました。この際、発言を許します。水田大蔵大臣。
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(水田三喜男君) 去る五日の本会議における私の演説の中で、私が「公定歩合の一厘引き上げ等を行ない、」と申しましたのは、「公定歩合の一厘引き上げ等が行なわれ、」と訂正いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#8
○議長(重宗雄三君) 日程第二、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(閣法第一号)、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 五案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。田中国務大臣。
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(田中龍夫君) 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案及び裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、以上の五法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明申し上げます。
 政府は今回、人事院の国会及び内閣に対しまする本年八月十五日付勧告に基づきまして、本年八月一日以降、一般職の職員の給与を改定することといたしましたが、これに伴いまして、特別職の職員等の給与につきましても所要の改定を行なおうとするものであります。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を次のとおり改めることといたしました。
 第一に、全俸給表の俸給月額を引き上げることにいたしたのであります。この結果、俸給表全体といたしましての改善率は平均七%に相なることとなります。
 第二に、都市手当に関する勧告につきましては、慎重に検討を重ねました結果、勧告の趣旨を実質的に尊重いたし、これを調整手当として実施することといたしました。
 なお、この調整手当につきましては、本法施行後、三年以内に調整手当に関して必要と認められる措置を、国会及び内閣に同時に勧告することを目途として、人事院において調整手当に関する調査研究を行なうべきことを、附則に規定することといたしました。
 第三に、調整手当の新設に伴い、暫定手当について、その一定部分を逐次俸給に繰り入れて、その整理を進めることといたしました。
 その他、医療職俸給表(一)の適用を受ける医師に対する初任給調整手当の支給限度額の改定、宿日直手当及び勤勉手当の改定を、人事院勧告どおり実施することといたしました。
    ―――――――――――――
 次に、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、まず、内閣総理大臣等の俸給月額を引き上げることといたしました。
 内容について御説明をいたしますると、内閣総理大臣は五十五万円、国務大臣等は四十万円、内閣法制局長官等は三十二万円に引き上げ、その他、政務次官等につきましては、それぞれ二万円引き上げることといたしました。なお、大使及び公使につきましては国務大臣以下の改定に準じて、秘書官については一般職の職員に準じて改定することといたしました。
 また、内閣総理大臣等にも新たに調整手当を設け、一般職の職員の例に準じて支給することといたしました。
    ―――――――――――――
 次に、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案につきましては、一般職の職員の給与改定に準じ、防衛庁職員の俸給月額、勤勉手当及び防衛大学校の学生手当について、従前の例にならい改定を行なうとともに、参事官等及び事務官等につきましては調整手当を新設することといたしました。なお、自衛官の営外手当につきましても、これを改定することといたしました。
    ―――――――――――――
 次に、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額を、一般の政府職員の例に準じて改定することといたしました。
 以上が、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案等、五法律案の趣旨でございます。(拍手)
#10
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。山崎昇君。
   〔山崎昇君登壇、拍手〕
#11
○山崎昇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」等に関連して、公務員賃金に対する政府の基本的な見解について、若干の質問をいたしたいと思います。
 まず、佐藤総理に二点お尋ねいたします。
 第一点は、労働基準法に示されているとおり、労働条件、特に賃金については労使が対等の立場で話し合いをし、その決定は労使とも誠実に守るべきものであることは御承知のとおりであります。公務員もまた労働者として本質的にこの権利を有することは言を待たないところであります。しかるに、昭和二十三年七月、一片のマッカーサー書簡によってこの権利が剥奪されたことは不当であり、公務員労働者にとっては許すことのできない暴挙であります。政府は、国家公務員法を改悪して、その暴挙を法律上の規定として労働者に押しつけたのでありますが、立法化の過程において、公務員の賃金は団体交渉で決定するよりも第三者的な公正な機関によって決定すべきであると称し、いわゆる団体交渉にかわる代償機関として人事院を設置し、その勧告を実施することによって公務員の賃金を守ることを約束したのでありますが、昭和二十三年以来二十回にわたる勧告が、ただの一度も完全実施されたことがないのであります。労働者の権利を剥奪し、その代償機関としての人事院勧告を守らないことは、明らかに立法の精神に違反し、公務員労働者に対する不信行為であると断ぜざるを得ないのでありますが、所信を聞きたいのであります。(拍手)
 第二点は、人事院勧告の実施をめぐり、毎年政府と公務員労働者との間に紛争が生じ、政府に対する不信の念を増大しているのであります。そこで、この紛争に対し、世論を代表するといわれる新聞、ラジオ、テレビの社説、論説、解説等を見ますと、各社共通して次のように指摘しているのであります。
 一、政府は、人事院の代償機関としての機能を無視していること。二、人事院勧告始まって以来二十回にわたって守られないことはきわめて遺憾であり、完全実施することが労使紛争の解決の道であること。三、公務員労働者が政府に対し完全実施を要求し、組合として統一的な行動をとることは理解できるが、できれば自重してほしいこと。四、特に重要なのは、昭和四十年七月十六日出されたいわゆるドライヤー報告にもあるように、国際的な常識を無視していること。他の国際的な決定については積極的な姿勢を示す政府が、事、労働問題になると、ことさらに無視する態度をとること、五、使用者としての政府の態度があいまいであること等であるが、この指摘はいずれも核心に触れたものであると思われるが、今後どのようにこの批判にこたえられるのか、所信を聞きたいのであります。
 次に、総務長官に二点お尋ねいたします。
 先ほども少し触れましたドライヤー報告、正確にはILO結社の自由委員会の調査報告でありますが、人事院や人事委員会の委員の任命にあたって、その公平性を確保するために、「労働者団体がその任命に若干の発言権を有すべきことを確保することに対し考慮が払われるべきである。」と述べております。すなわち、委員の任命にあたっては、労働者を代表すべき者の任命について示唆しているのであります。国鉄、電電公社、専売公社、全逓、林野、アルコール、印刷、造幣など、いわゆる三公社五現業の場合の調停委員会及び仲裁委員会は、それぞれ労使・公益の三者構成になっており、少なくとも労働者の意見が労働者側委員を通じ述べることができる仕組みになっているのであります。したがって、人事院及び人事委員会においても、人事官並びに委員のうち一名は労働者を代表する者を任命し、労働者の意見が反映できるようにすべきだと思いますが、この点については、できれば総理の見解を聞きたいのであります。
 第二点は、ただいま提案されております給与法案の内容については、多くの問題点を包蔵しているのでありますが、次の三点に集約してお尋ねいたします。公務員の賃金については三つの格差が存在すると言われております。
 その第一は、民間賃金との格差であります。人事院は、毎年四月一日現在の民間賃金を調査し、その均衡の上に新賃金を勧告しておりますが、対応する等級、職務のとり方、標準生計費の問題、その年の春闘の成果の取り扱いなどによって、加えて勧告そのものが完全実施されないため、現実的にはかなりの格差が生じています。この民間賃金との格差については、かつて太田薫氏と池田総理との間で、近い将来是正をすると約束されたのでありますが、是正されずに経過しております。むしろ格差はますます広がっていく傾向にあると判断されます。今後どう是正されるのか、方針があれば明示願いたいのであります。
 第二の格差は、官庁内における格差であります。例を農林省にとってみても、林野庁の職員は現業ということで、裁定どおり四月から、他の職員は八月から、また、同じ林業経営に従事する職員であっても、自治体勤務の者は一般職として八月実施であります。これは同じ農林省の公務員でありながら、勤務の場所によって、また、同じ職種でありながら明らかに取り扱いが違っており、格差が生じているのであります。この格差をどう是正されるのか、方針を明示願いたいのであります。
 第三の格差は、上下の格差であります。職務によって差のあることを、すべて否定するものではありませんが、現在生じている格差は、身分制度のきびしかった戦前よりはるかに大きいのであります。今回の改定にあたっても、最高は事務次官等の二万円、最低は高卒で千円であり、実に二〇対一の比率であります。また、平均給と最高額の比較においても、戦前は三対一ぐらいでありましたが、現在は六対一ぐらいの比率になっているのであります。また、行政職(二)表という俸給表によって、現場の労働者は極端に低い状態にあり、肉体労働軽視の考え方が支配しているのであります。先日、神奈川県と熊本県において、現職の公務員が生活保護法の適用を受けるに至ったと報ぜられております。額に汗して働く労働者が、その賃金で生活できず、生活保護者になるという、この現実を直視し、極端な上厚下薄の体系、特に行政職(二)表は再検討し、不当な格差はなくすべきだと思いますが、どうでしょうか。お答えをいただきたいのであります。
 次に、大蔵大臣に二点お尋ねいたします。
 あなたは、委員会において、 「人事院勧告の取り扱いは結局財源の問題である」、「今年は財政が苦しいので、八月実施で了承してもらいたい」と、答弁を繰り返しておりますが、皮肉にも財源の問題でないことが明らかになりました。それは、戦後の財政制度に初めて国債が導入され、経済の不況により減少した税収を埋めるため、二千五百九十億円の赤字国債を発行した昭和四十年に一カ月繰り上げ、九月実施となりました。また、財政硬直化が叫ばれ、来年度は予算編成が最も困難だといわれる本年において、一カ月繰り上げ、八月実施となりました。このことは、財源がなく、財政が苦しいときに、実施の時期が繰り上げられ、昭和三十七、八年のように、岩戸景気といわれ、財源に余裕のあるときは、十月実施に据え置かれているのであります。昨年十月十九日の衆議院大蔵委員会において、当時の福田大蔵大臣が、人事院勧告の完全実施は、財源の問題ではない、財政政策の問題である、と答えていますが、まさに、福田さんの言うとおり、財源の問題ではなく、財政政策の問題であり、むしろ、公務員に対する政府の政治姿勢の問題であることの証明ではないでしょうか。実施しようと思えばできる証明ではないでしょうか。「財源がない」ということばは、政府の、人事院勧告を値切ろうとする口実ではないでしょうか。大蔵大臣の見解を聞きたいのであります。
 第二点は、昭和四十三年度の予算編成にあたって、年間予算制度をとり、公務員賃金についても、物価の上昇率を四・五%程度に見積もり、予備費に五百億円程度計上し、年度中途において補正予算を組まないとの方針であると報ぜられております。私は、この年間予算方式には多くの問題を含んでいると思いますが、当面、三つのことについて所信を聞きたいのであります。
 その一は、もしも人事院が、本年同様程度の勧告を行なった場合は、予備費計上額では不足いたしますので、その差額について補正予算を組むのかどうか。
 その二は、物価を四・五%程度と見込んでいますが、物価は一年後でなければ確定いたしません。さらに、経済は動いておりますから、予想外の上昇を来たす場合もありますが、その際は、見込みよりオーバーした分について、賃金のアップ率を変更し、補正予算を組むのかどうか。
 その三は、この年間予算方式は、政府の一方的な考え方で公務員賃金を規制するものであり、いわゆる所得政策の導入の疑いがあるが、どうか。また、実質的には、人事院勧告制度のたな上げになるのではないかと思いますが、人事院の勧告権との関係についても明確なお答えを願いたいのであります。
 次に、労働大臣にお尋ねいたします。
 この給与関係法が臨時国会で成立いたしますと、国家公務員に対しては、年内に新賃金によって支給されるわけでありますが、政府関係機関職員については、目下、関係当局との問に交渉が持たれ、解決に努力中と聞いていますが、関係理事者の怠慢もあって、一部においては年内解決も困難であるやに聞いておるのでありまして、政府関係機関職員に年内支給ができない事態になれば、きわめてたいへんな状態だと考えます。この政府関係機関職員に対する。その妥結の状況及び今後の見通し等について、お答えをいただきたいのであります。
 最後に、自治大臣に三点お尋ねいたします。
 第一点は、超過負担金の解消についてであります。新聞の報ずるところによりますと、さきに、給与改定財源の一部として、三百億円の特別起債が認められ、自治体における給与改定が行なわれたのは、御承知のとおりでありますが、今後交付される交付税から、本年度償還分を含めて二百六十億円が繰り上げ償還することに、自治、大蔵、両大臣の間で話し合いがまとまったといわれておるのでありますが、真実かどうか、お伺いしたいのであります。また、この措置はきわめて片手落ちの感がいたします。自治体に対してはきわめてきびしく取り立ていたしますが、国が法律上あるいは制度上当然措置をしなければならない超過負担金については、一部解消されつつあるとはいいながら、きわめて緩慢な状態にあります。自治体から繰り上げて償還させるなら、超過負担金についても少なくとも来年度じゆうには解消すべきだと思いますが、見解を聞きたいのであります。
 第二点は、公営企業関係職員の賃金についてであります。本来、公営企業関係職員の賃金は団体交渉で決定すべきものであります。自治省は内簡で、この団体交渉を実質的に制限するような指導、さらには賃金改定について圧力と思われるような指導が行なわれておりますが、認めるわけにはまいりません。この内簡を撤回し、賃金は労使の交渉によって決定させるよう指導すべきだと考えますが、見解を聞きたいのであります。
 第三点は、一般的に公営企業の運営については、管理運営事項は団体交渉の対象外とし、当該労働組合の発言を拒否していながら、公営企業の運営が行き詰まり、赤字経営に転ずるや、労働組合に対して協力を求め、管理運営についての発言を認めるのは、きわめて虫のいいやり方ではないでしょうか。公営企業の公共性から見て、労働組合との交渉等を通じその内容を明らかにし、絶えず住民サービスの実をあげるよう努力すべきものと思います。したがって、法律万能主義にとらわれることなく、日常ふだんにおいてあらゆる問題について当該労働組合と話し合いを持つことが大切だと思いますが、その見解を聞きたいのであります。
 まだまだお尋ねしたいことが多々ありますが、予定の時間になったようでもありますし、委員会の審議に譲ることにいたしますが、政府は、公務員労働者が生活に不安を感ずることなく、安心して公務に専念できるよう、労働条件の改善に最善の努力を払われるよう要望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(佐藤榮作君) 山崎君にお答えいたします。
 私が申し上げるまでもなく、私自身がいわゆる行政府の長でございます。最高の責任者でございます。そういう意味で、公務員に適正なる給与が給せられること、これを守る私に責任があると思います。しかしながら、総理大臣自身が一方的にそういうことを考えてはいけない。また、公務員の場合は、国家全体の奉仕者である、ここでいわゆる団体交渉で給与などをきめることは適当でない、かような意味から中立的な人事院という制度が設けられたのであります。人事院制度それ自身は、国家公務員法第五条に人事官たる者の資格が限定されております。したがいまして、これはだれでもがなれるというものではありません。その有資格者のうちから適任者を選んでいく。先ほど、労働者の代表を出さないかというお話でございますが、この人事官の選考の範囲がこの第五条できまっておりますから、それに従うということにならざるを得ない。そこで、この中立的な人事院勧告、この勧告を尊重しなければならないのは政府の責任であります。しばしばいままで申しておりますように、人事院勧告があれば、これを誠意をもって尊重する、かように申してまいりました。しかしながら、今日まで、過去におきましても、ただいま言われますごとく、その時期において完全に実施されておらないという実情であります。そういう意味で、絶えず不平不満が述べられております。御承知のように、この人事院勧告は、予算の途中においてこれがなされる。いつも八月以降においてこの人事院勧告がなされる。したがいまして、これはたいへん多額の財源を必要といたしますので、この勧告に従うことは財政上非常に困難でございます。しかし、いつまでも十月実施とかあるいは九月実施というようなわけにもいかない。今回の場合におきましては、政府は、きびしい財政事情のもとにおきましても、あらゆる財源のくふうをいたしまして、ことしは八月に繰り上げたのであります。その人事院勧告を尊重するということ、これは政府の誠意、努力のあらわれでありまして、この点につきまして、やはり政府のこの誠意は認めていただきたいと思います。私は、これで十分だと、かように申すものではございません。しかし、いいことはいいとして、まず認めていただいて、なお不十分だ、こういうことでおしかりを受けるというような状況が、皆さま方の批判を受ける筋ではないだろうかと、かように思っております。この人事院勧告が年度途中において行なわれるというところに、それの完全実施のむずかしさがございます。今後、人事院のあり方、あるいは勧告のあり方、また予算の編成の組み方等につきまして、完全実施ができるような方法はないか。過去におきましても、いろいろくふうされておりますが、今後もこれらの点について十分くふうをして、そうして、ただいまのような点について問題が起こらないようにいたしたいものと、この上とも努力するつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(田中龍夫君) 私に対しまする御質問に対してお答えいたします。
 まず、第一点の民間と公務員の格差の問題でございますが、御承知のとおりに、人事院勧告が四月におきます民間給与と公務員給与とを比較いたしまして、公務員給与を民間給与水準に引き上げようとするものでございまして、ただいま御提案申しました給与法の改正案が実施されますれば、官民の給与の格差はおのずから解消するものと心得ます。
 第二点は、官庁間の格差の是正でございますが、これは、ただいま御指摘がございました農林本省と林野庁の関係でございます。一般職の非現業職員の給与は、人事院勧告に基づきまして改善が行なわれる。五現業職員の給与は、労使間の団体交渉、また公労委の調停、さらに仲裁によりまして改定がなされます。両者の給与がその決定方式を異にいたしております。人事院勧告も、五現業職員の給与の決定も、民間賃金の動向を一つの柱といたしましてなされておりますので、これも、両者間におきましておのずから均衡がとれるものと存じます。
 第三でございますが、上下の格差のお話がございました。昨年、一昨年の給与改定では、下の職員に有利な下厚上薄でございまするが、本年の民間におきまする階層別の給与の上昇傾向が、各階層を通じまして、おおむね同率の引き上げをいたしておりますので、かような次第で、今回の改定に当たりましては、上下等級を通じましてほぼ同率の引き上げをいたしてございます。
 次に、行政職の(二)表の撤廃の問題でございますが、俸給表は、職務の種類に応じましてつくられておりまして、これを無視いたしまして特定の俸給表を撤廃するということは、なかなかむずかしいことでございます。御指摘の、熊本あるいは神奈川の問題につきましても、これらの特定の俸給表を撤廃するということはなかなか困難で、職務給のたてまえから、これが適正であろうと、かように考えるので、お答えをいたしておきます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、人事院の勧告は、これは完全に実施したいと思います。実施するならば、五月にさかのぼるという勧告もおかしいので、さかのぼるなら、四月にさかのぼるのがほんとうだと思います。(発言する者あり)それがほんとうだと思います。ところが、いま総理大臣から言われましたように、年度途中の勧告ということによって、技術的にこれがなかなかむずかしい。したがって勧告のあり方について、くふうがないかとか、あるいは政府の予算の盛り方について、くふうするところがないかということは、今年度の予算編成におきましても、大蔵省、総理府、人事院、この三者で寄り合って非常に相談いたしましたが、とうとう、いい結論を得ませんでした。したがって、何とかこれはお互いに知恵をしぼって、いいくふうがないか。で、当初予算に、ある程度の見込みをつけた予算の計上をすることはどうであろうかというようなことについて、いま、この問題を解決したいという方向で、政府は関係当事者間で研究しているところでございます。お尋ねは、そういうようなくふうをこらすことによって人事院勧告が制限されるのじゃないかというお尋ねでございましたが、制限されるのではなくて、そういう勧告に円滑に応じられるような態勢をどう考えたらいいかということを中心に、いま考えておるところで、まだ結論を得ておりません。(拍手)
   〔国務大臣小川平二君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 政府関係機関の職員の給与改定につきましては、政府といたしましては、できるだけすみやかに措置するように、各関係機関に要望をいたしておるところでございます。現在、各関係機関におきまして、具体的な回答案の検討を急いでおりまするが、一部においては、すでに具体的な回答の提示されたところもございますし、あるいはまた、妥結にきわめて近い状態にまで到達しておるところもございます。大勢といたしましては、今後、逐次具体的な回答が提示されると思われまするから、交渉は急速に煮詰まってくるであろうと存じます。
 政府関係機関のことごとくが年内に妥結し得るやいなやということになりますれば、労使とも、お互いに相手のあることでございますから、確言はできませんけれども、政府といたしましては、当事者が誠意を持って話し合いを遂げまして、できるだけすみやかに解決がなされることを切望いたしておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣赤澤正道君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(赤澤正道君) お答えいたします。
 政府が今回、交付税の増額分二百億円の旧債の繰り上げ措置をとっているが、そういうことでなくて、超過負担の解消に充てたらどうかという御質疑であったと思います。それは、今回の補正予算による地方交付税の増額をもって地方公務員の給与改定、交通安全対策などの財政需要の増加をまかなうのでありますが、交付税の増加額からこれらの諸経費を差し引いて、二百億円だけ増加額が所要額を上回る見込みでございますので、この際、将来の債務を減らす意味で繰り上げて償還することとしたわけでございます。もとより、最近における地方財政の状況については十分承知しておりますが、政府としては、今回の補正による地方交付税の増加が相当多額であること、かつ年度途中における補正であることなどを考慮いたしまして、他面、また本年度における最終的な地方団体の財政需要などを総合して検討した結果、この措置をとったものでございます。
 この御指摘の、地方団体の超過負担の地方財政に与えております影響がきわめて大きいので、すみやかに解消すべきであると考えております。いままでもその解消に努力してまいりましたが、今回の地方制度調査会の答申の趣旨もありますし、さらに明年度以降は国庫補助負担金の姿勢を正すことによりまして、計画的に解消してまいりたいと考えております。
 それから、公営企業関係職員の賃金は、労使間の交渉によってきめるべきものであって、内簡、通牒などでやるのはけしからんじゃないかということでございます。地方公営企業に従事する職員の給与の性格及び給与決定にあたって考慮すべき事項は、法律で定められておりまして、給与の種類及び基準は条例で定めることになっております。そうして具体的な給与につきましては、法令の範囲内で団体交渉の対象とすることができることになっております。したがいまして、政府としては、通牒、内簡により法令の趣旨を関係者に周知せしめることは必要と考えているのでございまして、決して圧力をかけているわけではございません。
 次に、公営企業の管理運営に関して、現在団体交渉の対象となっていないが、企業が赤字になると組合に協力を要請する、虫がよいではないかということをおっしゃいました。地方公営企業の運営管理に関する事項は、管理者がその責任で処理すべきものでございます。このことは、法律に明記してあります。団体交渉の対象とすべきものではございません。企業経営が悪化いたしまして、経営合理化対策の一環として、もし職員の給与その他、身分の取り扱いに関する事項について変更を生ずる場合がありますれば、その点が団体交渉の対象となると考えております。
 お答えいたしました。(拍手)
#17
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト