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1967/12/22 第57回国会 参議院 参議院会議録情報 第057回国会 物価等対策特別委員会 第2号
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1967/12/22 第57回国会 参議院

参議院会議録情報 第057回国会 物価等対策特別委員会 第2号

#1
第057回国会 物価等対策特別委員会 第2号
昭和四十二年十二月二十二日(金曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         櫻井 志郎君
    理 事
                木村 睦男君
                高橋  衛君
                渡辺 勘吉君
                田代富士男君
    委 員
                岡本  悟君
                岸田 幸雄君
                任田 新治君
                林田悠紀夫君
                山本  杉君
                吉江 勝保君
                木村美智男君
                田中寿美子君
                藤原 道子君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      山田 精一君
       経済企画政務次
       官        山下 春江君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       大蔵政務次官   二木 謙吾君
       厚生政務次官   谷垣 專一君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        前川 憲一君
       大蔵大臣官房財
       務調査官     細見  卓君
       日本専売公社副
       総裁       佐々木庸一君
       日本専売公社販
       売部長      斉藤 欣一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻井志郎君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 これより当面の物価等対策樹立に関する調査中、物価問題に関する件を議題といたします。
 本件に関し質疑のある方は順次御発言を願います。田中君。
#3
○田中寿美子君 きょう私は、大蔵大臣及び専売公社総裁に御質問したかったのですけれども、二人ともおいでになりませんので、少し気抜けがしました。
 税制に関することは、大蔵委員会のほうでいろいろまた後ほど通常国会で詳しく御質問したいと思っていますけれども、それでも、きょう私の質問のテーマは、酒、たばこ、その他間接税の増税についての質問でございます。
 きょうの各紙が報じておりますように、大蔵省は、税制調査会の臨時小委員会に間接税増税の案を提出しております。そして、おそらくこれが採択されて、来年度予算で間接税の値上げがされるものだと思うのですが、まあ、その大蔵省の言い分として、千億の所得税の減税をする、それに見合うだけの増税をしてカバーしてしまいたいという考え方だと思います。そうしますと、税金をまけたということの意味がほとんどなくなってしまいます。自民党の中にも反対の意見があるというふうに新聞では報道しておりますが、この千億の中で、たとえば、たばこで五百億、それから酒で三百億、それからテレビその他の物品税の緩和措置をしていたのを取り除いて何十億か。で、千億ほとんど全部それでカバーしてしまうつもりのようですけれども、物価が上がりますから、物価調整分というのがありますね、物価調整分を政府の計算は三百何十億ぐらいに計算しているようですけれども、それを差し引きますと、七百億も所得税の減税はないと思う。それでもなお実質減税になるかというと、私は絶対にそうではないと思います。この議論は大蔵委員会でしなければならないと思うのですけれども、確かに、課税最低限を十万円程度引き上げても、その上の給与を持つ者、それからベースアップもありますし、昇給もありますから、実質的には、住民税と一緒になって、去年よりはたくさん税金を支払わなければならない者が出てくるのではないかという勘定になると思います。そういう意味で、千億の減税に対して千億の間接税で埋めようという考え方は増税以外の何ものでもないということになると思うのですが、私は政務次官にお伺いしたいのですけれども、第五十五国会のときに、水田大蔵大臣は私の質問に対して、たばこの値上げを来年度考えてはいないというふうにお答えになりました。また、専売公社総裁もそのとおりだと答えられました。先月の末ごろまでの新聞発表によりますと、大蔵大臣もやはり、酒たばこの値上げのことは考えないという方向で談話を出していらっしゃいます。それが、最近、大蔵当局の圧力で、来年度の酒たばこの間接税を値上げして所得税の千億減税の財源を補てんするという考えに傾いたんだと思うのですが、やはりそれは、大蔵大臣の考え方と大蔵当局の考え方には違いがあるんでしょうかどうでしょうか。
#4
○政府委員(二木謙吾君) ただいま御質疑がございましたように、たばこの増税をやるのじゃないか、こういうお話でございますが、この問題については、大蔵大臣があなたの御質問に対して、さきの国会でやらないと、それから専売公社の総裁もやらないと、こういう答弁をいたしておるやに私も聞いておりますが、御承知のとおりに、国際貿易は非常な悪化で、赤字が予想されておるのでございます。また、税の伸びは、われわれの考えておるように伸びておらないのでございます。そうして、この際財政の立て直しをやらなければ日本の将来の経済に大きな破綻を来たす、こういうことで、大蔵省といたしましては、御承知のとおりに、財政面から、あるいはまた日銀のほうで金融面から、緊縮の政策をとっておることは皆さま御存じのとおりでございまして、税の収入面におきましては一般に相当程度の増収が見込まれておるのでもございますが、他面、御承知のとおりに、現在の国内情勢から、公債発行の圧縮は絶対にやらなければいけない、同時に、いままで直接税あるいは間接税の比率を見てまいりますというと、所得税の減税をどうしてもやらなければならないような状況になっておる次第でございまして、しからば、公債は圧縮するわ、税の伸びはないわ、こういうことになりまする際に所得減税を行なうと、こういうことになれば、何かそこに財源を求めなければならない。それには、昨年以来から、間接税を上げたらどうかという御議論もございましたので、酒たばこの税金を考えてみたらどうかと、こういうことになっておりまして、税制調査会のほうへ資料を出して検討をお願いをいたしておる、こういうのが現状でございます。詳細につきましては事務当局からまた説明させてよろしゅうございます。
#5
○田中寿美子君 大蔵大臣の方針なんですけれども、伝えられているところによりますと、いままでの税体系が直接税中心の体系なのを、だんだんと間接税の体系に切りかえていく――酒たばこというような非常に大量な大衆の消費するものを上げて収益をあげるのは非常にたやすい感じがします。そして、税金を取られたという感じが、負担感が薄いわけです。そういうところにしわ寄せしていって大衆から収奪するということに対しては、非常に私どもは遺憾だと思いますし、また、それが物価対策の上に非常にはね返るという意味で、これはよくない方法だと思っております。
 で、税の来年度の自然増収ですね、これは九千五百億くらいというふうに伝えられておりますけれども、どのくらいに見積もっていらっしゃるのでございましょうか。
#6
○政府委員(二木謙吾君) 税の見積もりは、将来の経済の見通しがはっきりいたしませんので、いま幾らということを申し上げることは困難でございますが、大体九千三百億くらいを予想をいたしておるのであります。
 また、いまお話がございましたように、たばこの値上げとか酒の値上げをするということは物価にも影響するのではないか、こういうことについては、私もあなたと同感でございますが、であるから、できるだけこれは避けたいと、こういうふうに考えておりますけれども、さきに申し上げましたように、一方においては所得税の減税をやらなければならない、こういう状況でございますので、まだ、いま酒たばこ必ず上げるということがきまっておるわけではございませんけれども、そういう方向で検討をしておるというのが現在の情勢でございます。
#7
○田中寿美子君 所得減税をしなければならないと言われる一方で、また増税をしているんですから、全然これは減税にならないと思います。その点、単に減税にならないだけではなくて、千億でも私は増税になると思っております。物価が高くなるのと、それから累進課税でベースアップしていくと、高くなると思うのですね。今年度、四十二年度の自然増収は、当初の見積もりは幾らで、そしてことしのは大体どのくらいになっておりますですか。
#8
○説明員(細見卓君) 本年度は、当初七千三百ほどの自然増収を見込んでおったんでございますが、その後の経済の推移等を見まして、今回可決をされました補正予算ではさらに二千九百億を補正財源として税収があるという見積もりを立てております。
#9
○田中寿美子君 それですから、私どもは、来年度の自然増収も一兆円こすと思っているんです。ことしもすでに一兆円をこしているわけですね。それで、それだけ税金はよけいに取ったんだから、ほんとうに実質減税をしなければいけないはずだと思いますが、その方針が非常に間違っているということを初めに指摘しておきたいと思います。
 そして、その税金の問題は大蔵委員会に譲りまして、少し、酒たばこの値上げの問題に関連しての御質問にしたいと思いますが、たばこの益金率ですね、これがだんだん減っているということを盛んにいま宣伝していられるわけですけれども、昭和四十二年度までの益金率のことを少し数字をあげていただきたいと思います。
#10
○説明員(前川憲一君) 昭和三十年の初めごろは、大体六六とか六七%ぐらいでございましたが、それが三十年代を通じてだんだん下がってまいりまして、四十一年度の決算ベースでもって六〇・三%、四十二年度はまだ終わっておりませんのでわかりませんが、推定で申しますと、五八ないし五九ぐらいになるのではないかというふうに思っております。
#11
○田中寿美子君 益金率はなるほど毎年下がっていますけれども、益金の額は上がっておりますね。益金の額をちょっとあげてみていただきたいのですが……。
#12
○説明員(前川憲一君) 益金額は、昭和三十年が千五百四十二億円、途中を飛ばしますが、四十一年の決算ベースで三千三百九十八億円でございます。
#13
○田中寿美子君 四十二年は。
#14
○説明員(前川憲一君) 四十二年は、予算ベースで三千五百四十四億円でございます。
#15
○田中寿美子君 それですから、毎年益金は上がっているわけですね。それで益金率は下がっている。その益金率は一体どのくらいだったら妥当だというふうにお思いになるんでしょうか。私は、これは大蔵大臣に聞きたかったんです。つまり、大蔵省がこれの方針を出すんですから、専売公社というのは大蔵省の言うなりに動くわけですから、大蔵省の方針が聞きたいのですがね。
#16
○説明員(前川憲一君) 益金率というものにつきましては、これはそれ自体としては幾らでなければならないという基準はございません。各国につきましても、専売制度をとっているところでは、高いところでは八〇%ぐらいのところもございますし、また、五〇%ぐらいのところもございます。そういうことでございまして、別に絶対的にどのくらいでなければならないということはございません。しかし、まあ先ほど政務次官のお話にもございましたように、この際たばこを値上げする方向で考えなければならないというのは、背景といたしまして、政務次官がお話しになりました、現在並びに来年度の経済情勢のあり方、その中で財政がどういう姿勢をとるべきか、こういうことのほかに、たばこの値段は、大体、途中でちょっとピースを上げたり下げたりいたしましたが、実質上、昭和二十六年から、定価といたしましては据え置いております。しかし、一般の家計の収入でございますとか、あるいは賃金でございますとか、そういったような所得面、あるいは家計の支出でございますとか、そういったような消費支出面、こういうものは、経済全体の成長につれまして上がってきております。もちろん、その間、たばこの消費の本数もふえておりますし、また、消費の高度化に伴いまして、より高級なたばこを吸うということもございますので、先ほど田中委員御指摘のように、専売益金そのものの額は上がってきております。しかしながら、その上がり方と、一般の物価あるいは所得あるいは家計消費というものの上がり方と比べてみますと、たばこの実質的な上がり方は、昭和三十年を一〇〇として四割七分くらいでございますので、まだ上げる余地があるのではなかろうか、また横に、外国の賃金レベルでありますとか、そういうものと外国と日本のたばこの値段というものを考えましても、まあこれでも、のど元一ぱいだという感じではない、そういうところから、大蔵大臣も、たばこの値上げをする方向で考えるということにしておられるのだと思います。
#17
○田中寿美子君 値段は据え置いてあったという話は必ず出ると思うのですが、その問題はもう少しあとでお尋ねしますが、今回やはり財源を考える場合、たばこの値上げで穴埋めをしよう、そうすると、妥当な益金率というものも必ず原則があるはずだと思うのですね。これは、千億の中の半分ないし七百億くらいをたばこでというような考え方はおかしいのではないかと思います。それから、ほかの物価が上がっているから、たばこも上げなければいけない、こういう言い方は――最近、大蔵省の官僚の人は巧みなことばでPRなさる。いつでも、やりたいと思うことを少し前もってPRなさる。そして意図せざる減税というようなことばをお使いになって、全く私はあれはどうかと思います。論弁だと思います。大体益金率が減少してきた原因は、どこにあるとお思いになりますか。
#18
○政府委員(二木謙吾君) そのおもな原因は、生産コストが上がっている、あるいは労賃その他が上昇をしている、そのために、いまの利益金が下がっているわけでございます。
#19
○田中寿美子君 生産コストというと、どこのところが上がっているのですか。
#20
○説明員(佐々木庸一君) 試算ではございますけれども、三十六年度の千本当たりのコストと、四十一年度の千本当たりのコストと比較してまいりますというと、コストの上がりましたうちで一番大きなのは、原料費と称しております葉たばこの価格でございます。コストが上がりましたのに対する寄与率から申しますというと、二九・八%、およそ三分の一近い数字を示しておる次第でございます。その次が材料費になっております。これはフィルター等の構成比がふえてまいった点がかなり影響しているかと思うわけでございます。そのほか、小売り手数料が一〇%、販売小売り管理費が一九%、というようなものがコスト上昇に対する原因別のウエートになっておるかと思うのでございます。
#21
○田中寿美子君 最近、四十二年度から消費税率が上がりましたね。それで地方に入っていく比率が多くなったということなどがありますけれども、益金は毎年上がっておりますね。四十二年度の国庫納付金と地方消費税のほうですね、推定でどれくらいになりますか。
#22
○説明員(前川憲一君) お答えいたします。
 四十二年度当初予算ベースにおきましては、国庫に入ります分が千六百億円、それから地方にまいります分が千七百億円、こういうようになっております。
#23
○田中寿美子君 納付金が四十一年度千九百八十一億円ですね。それから地方財政のほうに、消費税ですか、これが千二百八十八億。それに比べると、そんなに落ちますか。千六百億ですか、納付が。
#24
○説明員(前川憲一君) 四十一年度は、まだ納付金のほうが、お説のように高かったわけでございますが、四十二年度からは逆転いたしまして、たばこ消費税のほうが高くなっております。
#25
○田中寿美子君 大体どれくらいになるか予想はつきますでしょう、四十二年度の納付金と消費税の額。
#26
○説明員(佐々木庸一君) ただいまのところ、四十二年度見込みを立ててみますというと、専売納付金は千六百八十億程度じゃないかと見ておる次第でございます。先ほど監理官が申されました千六百億に対しまして、補正予算で八十億円の納付金増を計上いたしまして……。地方に納付しますたばこ消費税のほうは千六百八十四億円程度じゃないかと見ておる次第でございます。決算をいたします際には若干の異同がありますことをお許し願いたいと思います。本数減によりまして、先ほど監理官が申されましたよりも若干たばこ消費税のほうは減り気味ではないかという見込みを立てておる次第でございます。
#27
○田中寿美子君 その減る原因は何ですか。
#28
○説明員(佐々木庸一君) 当初見込みましたたばこの売れ行きの本数が予算ほどに達しないという感じが強まっておりますので、したがって、本数に前年度単価を掛けて算出いたしますたばこ消費税の場合においては、少しは地方にいく分が減るかもしれないと見ておる次第でございます。
#29
○田中寿美子君 その売れ行きが減少しているというのは、どういうことですか、なぜでしょうか。
#30
○説明員(斉藤欣一君) 本年度の予算におきまして計上いたしました売れ行きの予定は、千九百八十二億という数字を予定いたしたわけでございます。御承知のとおり、予算を組みますのは、ちょうど昨年のいまごろこの数字をまとめたのでございます。本年度に入りまして売れ行きを見ておりますと、この千九百八十二億という売れ行きは、前年が千八百三十四、五億でございまして、かなり高い増加率になるわけでございます。四月以降の増加率をずっと見ておりますと、現在までのところ、とても千九百八十二億まで達する様子にはございません。それはどういった原因でそういうことに相なっておるかというと、これにつきましては、もちろんいろいろ原因があるわけでございまして、数字でもって、こういう原因に基づいてこれだけ減ったということを申し上げることはきわめてむずかしいかと思いますが、大体の感じを申し上げますと、一つには、例の喫煙と健康の問題、これがかなりやかましくなってまいりました。そのために、私たちの当初見込んでおりましただけの伸びが期待できなかったというふうなことがあるわけでございます。
 それからもう一つ、これも経験的に申し上げることでございますが、天候と喫煙というのはある程度関連があるような――これも経験からそうなっておるわけでございますが、ちょうど年度初めのいわゆるゴールデンウィークと申しまするあのころに雨が、ことに休日の雨が続きまして、その結果、スタートでもって四月の売れ行きが非常に悪かったというようなことがございました。その後、私ども販売努力を続けましてやってまいりましたが、やはり、いまの見込みから申し上げますと、当初予算に組みました数字に比べまして、全体が千九百八十二億という大きな数字でございますが、これに対して一%程度、と申しますと十九億か二十億程度、二十億前後でございますが、その程度は減るのじゃなかろうかというふうに見込んでおる次第でございます。
#31
○田中寿美子君 販売額の増加率は、四十二年度どのくらいに計算していらっしゃるわけですか。
#32
○説明員(斉藤欣一君) 私どもの計画では、前年に対しまして六・八%という当初の販売計画を組んだわけでございます。で、現在、十一月末までの結果で申し上げますと、五・六%くらいの伸び率になっております。
#33
○田中寿美子君 さっき、物価が上がっておるけれども、みな消費水準が上がっていて、そうしてたばこを買うのに一向差しつかえないというようなことばがありましたが、売れ行きが現に落ちているということは、私は問題だと思う。それで、値上げしたらおそらくまた売れ行きが必ず落ちるということを、あとでもう少し追及していきたいと思います。
 で、大蔵省の立場としては、これは日経の十二月七日に載っていたのですが、専売公社は国の財源調達のための政府機関であるという当初の趣旨が薄れてきた、益金が下がってきたというふうなことをいっているのですけれども、公社の目的というのは全く国の財源を調達するのが目的ですか。
#34
○説明員(前川憲一君) たばこの専売は、財政専売でございますから、基本的な専売公社の目的は財源の調達にあると思います。ただ、先生も御指摘になりましたように、それは、たばこという商品を、国民の皆さま、特に喫煙者の皆さま方に買っていただきまして、その買っていただいた結果、そのうちの益金分を、国、または地方に回す分もございますが、ちょうだいする、こういうたてまえをとっておりますので、納税告知書をぱっと突きつけるというふうなことはできないわけでございます。したがいまして、やっぱり物価全体の動きなり、あるいは所得あるいは消費支出の動きというようなものをにらみながら、新しい品種を出してみたり、あるいは定価を改定したり、そういうようなことはやっていかなければならないと思うんでございます。したがいまして、財政専売だから益金率をこれだけに上げろとか、幾らでも値上げできるかという、そういうことではございません。やはり値上げのショックによって売れ行きがあまりにも落ちるというふうなことは、収入面から申しましても安定した増収を得ることができません。これは後刻公社のほうからお話もあろうかと思いますが、やはり公社自体としての生産計画、雇用計画、原料計画、そういったものへの悪いインパクトを食いとめなければならない、こういうことがございます。したがいまして、おのずからそこに財源をあげると申しましても妥当な限界というものが出てまいります。かように考えておりますから、大蔵省としても、益金率をここまで上げなきゃならぬとか、これだけの財源が必要だからこれだけをかせげというふうな一方的なことは考えておりません。
#35
○田中寿美子君 大蔵省の一部に、このごろ益金率が下がってきたんで、ほとんどこれは政府の消費サービス事業になってしまった、だから、消費サービスをする、そういうふうになってしまったから、最初の目的が失われたので、専売公社法を改正して民営に移して、会社のほうに法人税を課して、たばこには酒税と同じような物品税を課す、こうしたらいいなんという極論を吐いている人もあるようですけれども、大蔵省はそういうことも考えられているんですか。私は、やっぱり大衆がたばこを吸って財源をつくり出しているんですから、単に財源調達だけが目的ではないと思っております。
#36
○政府委員(二木謙吾君) これは、いまあなたがおっしゃるとおりに、財源を得るためばかりの仕事ではございません。やはり、たばこというものは国民の嗜好ですからね。これは私の考えですが、できるだけ安くやるということがけっこうなことだと考えてはおるんですけれども、いよいよ財源のないときは考えなければならぬ問題であろうかと思うんですが、まだいまでは、これを値上げをするということが結局きまったということではございませんから、その点ひとつ申し上げておきます。
#37
○田中寿美子君 大体、税制調査会に出すときというのは、ほとんどそれを承認してもらうために出すわけですから、もうあれだけ案ができてしまえば、そうする方針にきまっているに違いないと私は思うんですが、税の自然増収が一兆円、私たちはもっとある、来年度もあると思うんですが、財源がないないと言うけれども、国債発行によるいろいろの財政上の悪影響というものはやっぱり政府の責任なので、これを大衆に転嫁していくというやり方に対しては、私たちは、大ぜいなものですからね、一箱について十円か二十円いつの間にか払わせられてしまうというようなことがたくさん積み重なって物価全体を上げていくわけですから、そういう点で非常に問題だと思います。
 で、この前私が、やはり宮澤経済企画庁長官にだったと思いますが、たばこの税金あるいは酒その他の間接税の逆累進性ということについて御質問したときに、確かにそれは逆累進だということを言っておられますがね。で、たばこの中に含まれている税の比率は、それは国によっては八〇%近く入っているところもあるから、日本はそう高いほうじゃないというふうに言われますけれども、これ、逆進性ということについてお認めになりますか。これは大蔵省に……。
#38
○説明員(細見卓君) いろいろなお説もございますが、酒たばこにつきましては、必ずしも家計に十分あらわれてこない品目なものでございますから、これらの点について逆進的であるということも、なかなか資料によって説明できないと同時に、これは逆進的で全くありませんというようなこともなかなか言えないと思います。かつて先生御案内だと思いますが、こうしたものについて、消費支出弾力性と申しますか、所得がふえた場合にどういう割合でこうした消費が伸びてくるかというようなものについて調査いたしましたのでございますが、非常に高級なものにつきまして、所得が大きくなったときに端的にあらわれてくるということは出てまいりますが、これらの品物が嗜好品であり、まあ、たばこは俗にポケットマネーでのむといいますが、家計に入らない金でたばこを買われるというようなこと、あるいは酒が、いいことか悪いことか知りませんが、いろいろな宴席だとか料理店で飲まれる酒がかなりあるということで、こうしたものがそういう意味でほんとうの逆進的になっておるかどうかということは、今後むしろ統計の整備を待って検討すべきものだと私どもは考えております。
#39
○田中寿美子君 そういう言い方はおかしいと思うのですね。家計費にあらわれてくるだけではないわけです。給与所得者は自分の給料というものがわかっているわけです。その給料の中から毎日たばこを吸う。たばこを吸っている人口が成人の男子八一%というようなことを言われておりますけれども、そうすると、総数量を割ってみれば、一人一日どのくらい吸うということがわかるわけですね。それで、単純な計算かもしれませんけれども、これは「財政読本」の中に大熊一郎さんが逆進性について書いていられますけれども、月収三万円の所得の場合の、たばこの専売益金に払っている率ですね、それは〇・八五です。それが月収十二万円でしたら〇・一八です。ですから、政務次官なんかだったらもっと少なくなる、たばこ一箱をのむたんびに払わされる税金というのは。これは非常に明らかなことじゃないですか、逆進性ということが。だから大衆課税と言うんですね。所得の低い者ほどたくさんの税金を払わされているというような間接税を今後ふやしていくというような方針は、私は全くよくないと思います。どうでしょうか、逆進性について。
#40
○説明員(細見卓君) 逆進性という考え方でございますが、おっしゃるように、所得の大小に必ずしも比例しないで消費が行なわれておるということが逆進的であるという意味であれば、それはおっしゃるとおりかと思いますが、そうした人たちが、何といいますか、たばこを、嗜好品でございますので、のまない人もあり、また、私が申し上げましたのは、たばこの中におきましても、あるいは酒におきましても、趣味の、嗜好の問題として、所得の高い者が必ずより高い、あるいはより税金のよけいかかっているものを吸うというかっこうになっておらないで、その辺がいろいろ入りまじっておって、方向としては、確かに、分母になります所得が大きくなればなるほど分子の消費金額が小さくなってくる、これはもう事実だと思いますが、それをすべて逆進的と言えるかどうかについては、いろいろ考え方もあろうかと、かように考えておるわけでございます。
#41
○田中寿美子君 明らかにポケットから出ていくお金は、同じハイライト七十円でも、三万円の人と十二万円の人とでは、全くはっきりと税金をたくさん払っておると思うのです。私は、それはそういう考え方もあろうかと思うなんておっしゃらないで、認めていいと思うのです。
 で、大蔵大臣はこのような大衆課税の方向に向かおうという考え方を持っている。かつて宮澤経済企画庁長官は、直接税の体系で整理していくべきだというようにおっしゃったと思うのですがね。ちょっと考え方が食い違っているように思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
#42
○説明員(細見卓君) 私どもも、間接税の増徴あるいはたばこの値上げというようなことを実はきめたわけではございませんが、御案内のように、所得税につきまして二・一とか二・二とかいうような弾性値が日本の所得税には出てまいっておるわけでございますが、これは、とりもなおさず、日本の所得税制が、まだ、所得がその後戦後大幅に伸びてまいってきました新しい所得階層区分にぴったりの適合した所得税制になっていないというところに問題があるわけで、所得が一割なり二割なりふえましたときに、それが三割なり四割なりの税負担増となってまいるなら当然でございましょうが、一割ふえましていきなり倍になるというようなこと、これではやはり税制そのものに不備がある、そういう意味で現在の所得税を見てまいりますと、納税者が一千万人をこえるというようなことでありまして、これは、独身その他で見まして、課税最低限、たとえば二十六万円、ことしが二十六万円でございますが、二十六万円とすれば、もう高校を出れば、すべて働きに出れば所得税がかかる、そういうようなところから、所得税のいわゆる所得配分効果というものを働かせるのがいいかどうか、そういうことでやってまいりました。税制もまた新しい所得階層の区分に応じておらないとすれば、こうした点を直すのが、当面必要な、国民の皆さんに健全な生活あるいは健全な貯蓄というようなものを考えていく場合に必要なことであろうと考えますし、一方、先ほど来御議論が出ておるかと思いますが、酒とかあるいはたばこという、特に私どもに関係がございます酒で申しますと、これは御案内のように従量税になっておりまして、従価税でございますと、小売り値段あるいは製造値段が上がってまいりますとそれに応じて税負担もふえていき、いわば世の中の物価の動きにスライドしておるわけでございますが、それが酒とかたばことかいうようなものにつきましては、逆に、一般物価とかなりおくれたといいますか、値上がりの低いかっこうになっております。これは、その部分をもし従価税に置きかえてみますと、大体いまの物価水準一般とほぼ均衡するような形になるわけでありまして、そういう意味において、従量税で入っておるものは、まあことばは適当でございませんが、意図せざる減税が片一方で行なわれ、所得税のほうにおきましては、いわば所得水準が上がっていくことによって意図せざる増税が行なわれる。その間の調整というようなことは考えてもいいのではないかというような議論もあるわけでございます。
#43
○田中寿美子君 ついに意図せざる減税というようなことばが出てまいりました。大蔵官僚の人はいろいろとそういうことばをつくるのがたいへんじょうずで、米価のときも、何ですか、大臣が食べる米と、それから月収二、三万円の独身者の食べる米と両方に補助するということは悪平等だというようなことを流していらっしゃいました。今回も、だいぶ前から、意図せざる減税ということばをはやらせていらっしゃいますが、それは財政経済弘報によりますと、税制調査会に提出された大蔵省の資料の中にちゃんとそういうことを書いてあるわけですね。これは十月二十日ですか、「個別消費税のあり方について」というところに、「たばこ専売益金について」という項目のところですね、「たばこ専売益金率については、葉たばこ収納代金の値上り等コストの上昇に伴い低下し、意図せざる減税が行なわれる結果となっている現状であるが、将来の問題として、納付金の額の算定方式を従価税率又は従量税率による一定率又は一定金額を基礎として行なう方式に切り替えることを検討してみるのも一案と考えられる。」と、そういうふうに税制調査会のほうへ示唆していらっしゃるわけですね。税制調査会はそれを受けるということになるのだろうと思いますが、この「意図せざる減税」なんということばも、私はもう使うべきじゃないと思っております。大体物価が上がっていくほうがおかしいのですね。物価をどんどんどんどん上げていくこと自体がおかしいので、物価が上がっていくのにスライドさせようという考え方、それじゃ物価を抑制するという方策は全然政府にはないということになるのじゃないでしょうか。ですから、そういう、まあお米もスライド制にする、それからたばこもスライド制にする。自動的に上がっていくようにするということであれば、いつまでたっても物価抑制ということはできないということになると思います。それから、増税すべきものという前提に立っていられるからこういうことばが出てくるのだと思います。それから、ベースアップなんかで収入がふえていけばよけいたばこも吸うはずですから、それだけ税はある程度納めていく、だから減税にはならないわけですね、たくさん吸っていけば。益金額はふえていくわけです。
 で、さっき各国のたばこの税率のことをちょっと言われましたけれども、私、これは大蔵大臣に申し上げたいのですが、確かに、アメリカが五一%ぐらいで、イタリアは八三%も取っている、イギリスは七二%取っているというけれども、それと、やっぱり税金というものは、だれでも、どこの国でも、ただ安いといって喜んでいる国民はいないと思うのですけれども、ただ、その税がいかに還元されてくるかというところが大事なんであって、その辺が、日本の社会保障費、振りかえ所得なんかと比べてみたら、まるで格段の違いがありますですね。参考までに申し上げますけれども、日本の社会保障関係費、国民所得に対する割合というものは、四十年度二・一%、四十一年度二・二%、四十二年度二・二%、たいへん低いのです。これは各国とももっとずっと多いのです。それから振りかえ所得になると、四十年度六・一%、四十一年度六・三%、四十二年度は五・八%ぐらいに、またかえって減っているわけです。課税最低限は上がりながら、税の実額はみんなふえていきます。これはサラリーマンがよく知っています。幾ら減税しても、実際の税金額は上がっていっている。それなのに、戻ってくる社会保障費や振りかえ所得なんというものは、むしろ下がってきていると思う。こういう状況に対して、やっぱり大所に立って大蔵大臣は考えていただきたいと思うのです。
 それから、少し時間が迫ってきたようですので、専売公社総裁にお伺いしますが、さっき申しましたように、大蔵委員会のときに、やはり大蔵大臣と一緒に、総裁が、上げる意思はないようにおっしゃいました。しかし、いまや大蔵省のほうからそういうふうな政策をとられると、公社としても上げざるを得ないということになると思うのですけれども、一体値上げによって増収がどのくらいあるとお思いになるか。それから売り上げ数量ですね、数量が、四十三年度以降下がっていくとお思いになるでしょうか。その見通しをお聞かせください。
#44
○説明員(佐々木庸一君) 値上げ率、値上げ幅をどれだけにするかによりまして増収額というものもまた違ってくるべき筋合いのものでございますが、いまのところ、確定的な案というものが出されておりませんので、この数字はお答えしにくい点があるわけでございます。上げ幅によりまして、きつく上がればそれは消費数量も減るであろうということになろうかと思います。したがいまして、私どもは、上げ幅が大幅になっては非常にぐあいが悪いということを、もし上げるにしてもお考え願いたいと主張している次第でございます。
#45
○田中寿美子君 けさの新聞の発表によりますと、やまと、こはく、ホープ、ピース、ハイライト、相当たくさんの銘柄を上げるという予定の計算を大蔵省は出しています。で、過去に少しさかのぼってみますと、昭和二十五年、二十六年、二十九年、三十一年と、価格が改正されておりますね。ことに、値下げされた歴史を持っているわけですね、たばこというのは。昭和二十五年四月一日に、ピース十本入り六十円から五十円に下げておりますね。それから二十五年四月一日に、しんせい二十本入りを四十円に下げておりますね。これらは在庫が多過ぎたので財源を確保するためだというふうに私は聞いておりますね。それから二十五年四月一日に、パイプたばこの桃山というのを、五十グラム二百五十円を二百円に下げた。これはまた、二十六年の四月に二百円から百五十円に下げていますね。こういうふうに下げたときというのは、おそらく在庫が非常に多くなって売れ行きが悪いから下げたのだと思うのですが、ピースはまた、二十六年の四月一日に十本入り五十円から四十円に下げております。それから朝日が、二十六年四月一日に二十本入り四十円を三十円に下げている。そしてまた、ピースが二十九年四月一日に今度は値上げしている。十本入りを四十円から四十五円に値上げした。それから三十一年に富士が、十本六十円を五十円に下げている。この下げる理由は、在庫が多過ぎて売れないから、下げてでも買わせるということであったと思うのです。あるいは後のほうのは、減税が全体的に行なわれたから、たばこも減税したのだというふうに私は説明をこの前大蔵委員会で聞いておる。ところが、二十九年四月一日にピースの十本入りを四十円から四十五円に上げたときに、そのあと二年間たいへん数量が減っております、売り上げ高が。今度こんなにたくさんの銘柄を上げられますね。上げて、また財源がはたして確保できるものかどうかということを私はたいへん疑わしいと思うのです。専売公社のほうではどう考えておいでになりますか。
#46
○説明員(佐々木庸一君) 田中先生御指摘の二十九年のピース値上げの経験というものは、非常に問題を提起し、ある経験だったと思うのでございます。先生御承知でありますように、二十八年は、ピースの売れ行きは、本数で百五十億本余りだったかと思いますが、値上げしましたあとの三十年の本数を見ますと、それは三分の一の五十億本程度に減っておるわけでございます。ただし、その分を越えまして、しんせいが非常に売れ行きがふえたわけでございまして、いまちょっと記憶いたしておりませんが、二百六、七十億本のところから五百億本以上に、二倍以上に、しんせいに落ちている。値段の高いところから安いしんせいのところに落ちていったというふうに見ているわけでございます。したがいまして、たばこの総体の売れ行きは落ちたかといえば、若干疑問があるかと思います。値段の高いほうから下のほうに落ちたということは明らかであるように思われます。したがいまして、もし値段を改定するといいます場合に、二十九年のように特定の品目だけ上げるということになりますというと、その増収をねらった品目の売れ行きが急減するという事態が起こりかねないということを示すものと了解しておるわけでございます。したがいまして、ほかの銘柄とのバランスをとった、銘柄別に見ました場合にバランスが全体にとれておるような上げ方をしないというと、下のほうに消費が転移するということが起きると思いますが、そういうことは避けるような体系で値上げを考えなければならないと考えているものでございます。
#47
○田中寿美子君 たいへん重大なことをおっしゃったと思うのですね。一銘柄だけ上げたのではそれがダウンしてしまうから、軒並み一緒に上げれば、いいのを吸うだろうということなんで、これは問題です。どれもこれも上げられるのではないかという、たいへんおそれを抱くわけです。現在一番売れているのはハイライトではないですか。ハイライトはやはりあらゆる階層が吸っていると思うのですね。それを一つだけ上げたら、今度それの売り上げ高が減るから、ほかのものも一緒に道連れにして値上げするのですか。
#48
○説明員(佐々木庸一君) 私ども、考え方としまして、ハイライトは四割強を占めます一番大きな銘柄でございますから、消費者に対して非常に打撃を与えるような上げ方は、もし定価を改定するといたしましても、やるべきではないと考えている次第でございます。
#49
○田中寿美子君 もう時間がありませんので、少し飛びますけれども、私は、そういう上げ方をすれば、数量が必ず全体で減って、財源をねらっても効果がないのではないかということを予想いたします。1以上は、消費者の立場から、物価へのはね上がりを心配して申し上げたのですけれども、もう一つ、より大切な面があると思うのですね。たばこの生産に携わっている人、販売に携わっている人、あるいは葉たばこを耕作している人、そういう人たちに、もしこの値上がりのために数量がダウンしてきたら、一体どういう影響があるかということです。たとえば、製造工場において、これは四十一年に長期計画をつくられましたね。そしてまたそれを修正された。毎年の数量の増加率ですか、それを少し修正されたようですけれども、去年つくられた中間検討案というものは、ことしたばこの値段を一六・三%上げる予定でした。そのときの数量の増加率というものは四十一年が六・六%。値上げしたらずっとそれより落ちるのではないかということで、それは人員整理が考えられておるのですね。総計して千五百九十五名の減員というものを考えておる。それから耕作面積だって、葉たばこの耕作面積のほうも減らすということも考えられますね。今後そういうことがあり得るということを私は非常に心配するのですけれども、いかがでしょうか。
#50
○説明員(佐々木庸一君) 先生お示しの数字は、社内で検討いたしました、もしあった場合の影響はどういうものか、その影響を最小限度に食いとめるにはどういう対策が必要かという、いわば机上演習のようなものでございまして、それできめたわけではございません。しかし、私ども思いますのに、順調な伸びを示しておったたばこの消費も、おそらく、値上げということになりますと、抵抗反応と申しますか、拒否的な反応というものが出てくるというので、それを計算しておかなければならぬと思うのでございます。そういうことが強くならないように、値上げのやり方につきましてまず十分な調整がはかられなければならぬと思うものでございますけれども、情勢の推移によりましては、欠員があっても補充を避けなければならぬという事態が起きましょうし、また、葉たばこの耕作面におきましても、廃作した人々の分を耕作面積を広げたいという希望があった場合にお回ししておる分も、いままでのようにいかないという事態もあるいは起こることを考えておかなければならぬと思う次第でございます。
#51
○田中寿美子君 非常に重大だと思うのです。昨年度、四十一年度に立てられたその中間検討案によりますと、伸び率を二・九%とたいへん低く見ておる。そして九十六億本減るという予定になって、そして千五百九十五名の減員ということが計算に出ている。そうすると、今度軒並みに銘柄を値上げしますと、もっと出るんじゃないかと思いますね。それで、当分は販売量も下がっていく。そうしますと、生産量を下げなければならぬ。一体、この計算でいくと、どれだけの人間の減員を計画としては考えておられるでしょうか。それからその耕作者の減反を考えておられるのか。そういうプランがなしに私は値上げというものは不可能だと思うのですね。
#52
○説明員(佐々木庸一君) 財政需要が幾らの増収をわれわれに要求されることになるか、そこらが未確定な間は、私どもの確定的な数字はきわめて申し上げにくい段階であることを御了承願いたいと思います。先生御指摘のように、いろいろ勉強はいたしたわけですけれども、これでいきますと、いい案をつくりますにつきましては、根っこの財政的状況が確定しておりませんので、考えておるわけでございます。
#53
○田中寿美子君 それでは、いろいろ聞きたいことはありますけれども終わります。
 私は、消費者の立場からも非常にこれは重大であって、ほかの物価に重大な影響を及ぼすということ、それから増税になるということ、減税になるどころか大衆増税になるということ、それから生産に携わる人、製造に携わる人、販売に携わる人、つまり、たばこ関係で働く者へしわ寄せがくる、この点を十分問題にして考えていただかないと重大なことになるのではないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#54
○委員長(櫻井志郎君) 田代君。
#55
○田代富士男君 私は、前回に引き続きまして、いまも問題になっております医療関係の問題につきまして、薬品を中心とし、また、現在の健康保険の薬価基準につきまして、いろいろなデータの上から、いろいろ御質問を申し上げようと思います。
 今日の医療制度の中で健康保険が大きく取り入れられるようになってきたのは、昭和三十五年以降のことであると思います。そこで、日本製薬団体のデータで、製薬会社が医者向けに製造した薬剤の生産額と、医者が保険医療中で薬剤関連費として請求した金額とを調べてみますと、どのような足あとをたどってきたか、この一点から私が指摘したいことは、今日一千六百億あるいは七百億円の赤字が累積されていた、最近はてこ入れがありまして、その赤字も幾ぶんか少なくなっておりますが、赤字の原因はこの一点から検討していきましても解決不可能ということはないのです。可能な線が出てくるのです。ナポレオンではありませんけれども、彼の辞書には不可能ということばはないといったんですが、保険の赤字を解決することも可能です。これをやるかやらないかという決意によって、きまるのじゃないかと思うわけなんです。
 そこで、いま申しました昭和三十五年、それから四十年に至りますところの、製薬会社が医者向けに製造しました薬の総生産額と、医者が保険医療中で薬剤関係費として請求した金額が、一番こちらの図表に出ております。
  〔委員長退席、理事木村睦男君着席〕
正面から見れば左側の図表になると思います。薬価基準の問題ですが、そこの一番左のほうが昭和三十五年、このときはどういう状態であったかといいますと、製薬会社が医者向けに製造しました薬剤の総生産額、また医者が健康保険医療中薬剤関連費として請求したのはほぼ同額の一千億円であります。この表を見ていただいたらおわかりのとおりに、医者の請求がちょっと低いのです。一千億円よりちょっと低くなっております。一千億円とほぼ同額です。ところが、昭和四十年は、一番右側でございますが、昭和四十年の生産額は、メーカーの製薬会社の生産額でございますが、これは約二千百億円になっております。医者向けの医薬品生産額、赤線の一番突端でございますが、これが二千百億円。ここですね、これが二千百億円です。そうして医者が保険医療中の薬剤関連費として請求したのが四千百億円。これだけの開きがあります。昭和三十五年度におきましては一千億円、とんとんです。三十六、七、八、九、四十というこの五カ年間におきまして、生産額と請求額と二千億もの開きが第一表によって出ているわけなんです。これは、医療機関が二千億円余りで仕入れたものを、その倍の四千億円ばかりで売っていることになるわけです。
 そこで、最近の、ただいま申し上げますところの健康保険財政の累積赤字が膨大にふくれ上がった結果は、保険料の引き上げとなってあらわれております。そうして、その保険料の引き上げ、その負担がだれに来たかというと、これが一般国民にしわ寄せされている。このような不合理なことはないと思います。ここから薬価に対する抜本的対策を講じなくてはならないじゃないかと思うわけなんです、そういう意味におきまして。あの図表、ただいま説明しました図表で一目りょう然わかるあの四千億円と二千億円の中間が、通称、流通マージンあるいは潜在マージンといわれるものでありますが、ここに赤字の根本的な問題というものも含まれておるのではないかと思うわけなんです。この問題は、私がきょう初めてこの委員会で申し上げるのじゃないんです。いままでのこの物価特別委員会におきまして、健康保険の赤字のことについてはたびたび言ってまいりました。しかし、この問題は不可能なことではないんです。これを解決するにはどうすればいいか。これは実践以外にないと思うのです。政府自身が、厚生省がどのように実践してきたか。また、薬関係に対しまして、再販問題等に対して公取委としてどのように指導してきたか。まず最初に、今日までに、政府当局として、この健康保険問題に対しまして、薬価基準その他に対しましてどのように対処しておいでになったか。私は数回指摘しております。それに対して、いままでやってきた政府の実績といいますか、それを最初にお述べになっていただきたいと思います。最初に厚生省、それから経企庁長官まだお見えになっておりませんから、公取委としてどうやってきたか、お願いしたいと思います。この問題から一目りょう然とわかりますから、お願いしたいと思います。
#56
○政府委員(坂元貞一郎君) ただいまお述べになりました薬価基準と実勢価格の関係、これは確かに、傾向としましてこういうような傾向があることもわれわれ承知いたしているわけでございます。そこで、最後にこれまでの厚生省当局としてのとった措置についてお尋ねがございましたので、私から申し上げたいと思うのでございます。
 薬価基準と実勢価格との開き、格差があるということは、われわれも絶対になくする方向で考えなければならぬわけでございます。理論的に申し上げましても、現在の薬価基準というものは、実勢価格、市場価格というものをそのまま、すなおに反映させるというのが基本的なたてまえでございます。したがいまして、そういう方向で厚生省としましても検討を進めてまいったわけでございますが、先般来申し上げておりますとおりに、三十八年までは、毎年薬価調査というものを、実勢価格の調査を実施いたしていたわけでございますが、三十九年、四十年、二カ年間は、その調査が残念ながらできなかった。したがいまして、三十九年、四十年あたりから、この薬価基準価格と実勢価格との間に格差が相当出てきているということは当然だろうと思っております。したがいまして、私どもとしましては、四十一年、つまり昨年度の分としまして、ことしの二月に薬価調査を実施いたしまして、この調査に基づきまして、本年十月から薬価基準の一〇%以上の引き下げを実施いたしたわけでございます。そこで、田代先生御指摘のように、われわれとしましては、今後実勢価格と薬価基準価格との格差をなくしていくという、この基本線を貫くためには、どうしても毎年毎年現実の実勢価格の調査というものをやっていく。これをルール化していくということが、まず第一に大事なことだろうと思います。
  〔理事木村睦男君退席、委員長着席〕
したがいまして、先般来、御承知だろうと思いますが、中央社会保険医療協議会においても、今後薬価調査というものを毎年毎年定期的に実施するということが決議なされております。本年度、四十二年度分としましては、明年の二月をその実施時期として本年度分の薬価調査を実施したい、こういうふうに考えているわけでございます。
 そこで、いま申しましたように、この薬価調査なり、それに基づく薬価基準というものをルール化して、定期的に実施していく、これが第一の措置でございます。
 それから第二の措置としましては、薬価基準のきめ方等に、若干まだ関係者等に異論があるわけでございます。したがいまして、薬価基準のきめ方、そういうようなものについて、現在中央社会保険医療協議会で、先般来鋭意検討を進めております。この結論をできるだけ急いでいただく。これが、現在われわれがやっている第二の方法でございます。
 それから第三の方法としましては、先般来から田代委員申しておられますように、医薬品メーカーなりその他の卸を含めましての医薬関係者の販売態度というものが非常に乱れているのじゃないか、この点につきまして、はなはだわれわれも申しわけないわけでございますが、全般的な傾向としましては、逐次改善の方向に向かっておるわけでございますけれども、まだ、数多いメーカーなり、卸の中に十分そういうふうな認識ができてない面もございます。若干の地方でそういう販売姿勢が乱れている点が見受けられるわけでございます。この点につきましても、昨年に引き続き、ことしもまた、大手の三十六社の最高責任者に対しまして、厚生省の最高責任者から、厳重に販売姿勢の是正方について警告を発する、また、それに基づく全国的な通達も先般来たびたび出しているわけでございます。そのようなことを今後十分前向きにわれわれも考えてまいりまして、何とかして、先ほど来から御指摘のありましたとおり、薬価基準あるいは実勢価格のこの格差というものをできるだけ縮めていく、早急に縮めていく、こういうような方策を考えてまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
#57
○政府委員(山田精一君) お答え申し上げます。
 公正取引委員会といたしまして、ただいま御指摘のございました薬価の問題と関連いたします面は二つあるかと存じます。
 第一点は、薬品のメーカーなり、あるいはディーラーなりの段階におきまして、独占あるいは不公正な取引行為があってはならないという点で監視を続けてまいっております点でございます。第二の点におきましては、御承知の再販売価格維持契約の関連において薬価の問題と取り組んでおるわけでございます。
 第一の点におきましては、私ども、そういうような違法の事実があってはならないという点で監視をいたしておりますが、現在までそういう具体的な事案にはぶつかっておりませんわけでございます。
 第二の点の再販売価格維持契約との関連でございますが、これは、御指摘のございました医家向けの薬品の販売につきましては、再販売価格維持契約の範囲外になっております。これは自由な競争が行なわれるたてまえになっております。販売業者がいかなる値引きをいたそうとも、これは自由な競争ができるたてまえになっております。御承知のように、一般消費者の日常の用に供しまする薬品につきましては、再販売価格の維持契約が認められておりますので、この届け出のありました商品につきましては維持契約が行なわれております。ただし、これがだいぶ指定以来日数がたっておりますので、これの、俗なことばで申せば、洗い直しにつきまして作業をいたしておりますところは前回御説明申し上げたとおりでございます。
 以上が今日に至る措置でございます。
#58
○田代富士男君 ただいま申しましたとおりに、三十五年は一千億、両方そろっていたのが、五年たった四十年には、お医者さんの請求が四千億で、メーカーの生産高の倍が請求になっておる、この点で、いま改革すべきであるということに対して、厚生省として、こちらでも追及してまいった結果、十月には一〇%の薬価基準を下げた、また、全国に対して販売姿勢に対する通達等も出してきた、そのような厚生省がこちらの申したことに対してやってきたという実績を私は認めたいと思うのですが、しかし、さらにまだまだこの薬価基準に対しては私は検討する余地が大いにあるじゃないかと思うわけなんです。だから、その点に対しましては、ただいま話がありましたとおりに、薬価調査を定期的に実施していきたいと、来年二月にそれをやりたいという、その来年の二月には、私がいまから申し上げることを参考にしていただきまして、薬価基準の切り下げ、あるいは公正な販売が行なわれる、そのような薬品であってもらいたいわけなんです。
 そこで第一表はごらんになったとおりでございますが、第二表を見ていただいたらおわかりでございますが、一口に薬品といっても、それにはいろいろの要素があると思います。大別して、医療機関向けの薬品と薬局向けの薬品とがあります。最近はさらに、御承知のように、生協――生活協同組合の進出というものがなされてまいりまして、そちらへの販売ルートというものが開拓されておりますが、そこで、現在、生産される全生産額のうち、どのような機関にどれだけの金額の薬品が流れているか。そこで、わが国の薬剤生産総額が、一説には、これに書いてありますとおりに、五千六百億円、これが薬剤の全生産額です。そのうち、医療機関、要するに病院をはじめとする診療所、この関係に流される薬が、三千三百億円あるいは三千六百億円とも言われております。一応三千三百億円にしておきます。そうして、その他医療関係以外、そこへ出されるところの薬品が二千三百億円でございます。この二千三百億円の内訳を申し上げますと、一般売りの薬、これが千四百億円、仁丹とか、そういうのですね、それがこちら。再販医薬品、いま公取委員長が申されました再販製品、これが九百億円。まあこのような形態で現在流れているわけなんですが、私は先日も、この委員会におきまして、この問題がたいへんであると、再販問題、まあ薬局で扱っていらっしゃる薬を中心として改革すべきであったということを申しましたが、薬全体から言うならば、私は、薬局の店頭で売っているのはもうほんの一部分である、言うならば問題の対象にもならないくらいに、医療機関の問題を解決しなかったならば何にもならないという結論です。医療機関における三千三百億です。一千四百億の中での高い安いよりも、こちらの問題に根本問題があるんじゃないかと思うわけなんです。
 そういう意味におきまして、赤字の根本原因というものは、医療機関でありますが、このように病院関係に大きな問題点があるように思えてしかたがないんですが、当局としてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。その点をお聞かせ願いたいと思います。
#59
○政府委員(坂元貞一郎君) 薬剤のわが国の総生産額は、いま田代先生が五千六百億円というふうに申されましたが、まあ数字のことはとやかく申し上げませんが、違っているかしりませんが、四十一年の総生産額は、私どもの生産動態統計によりますと、五千七十一億円、つまり五千億円ちょっとでございます。そのうち、医家向けの生産額と、それから一般小売り向けの生産額がどのようになっているかということでございますが、これは私どもとして、こまかい科学的な調査をやっておりませんので、はっきりした断定的なことは申し上げられませんが、大体最近の傾向としましては、全体の生産額のうち六割くらいまで医家向け生産額がふえてきている。残りの四割が一般小売り向けの生産額だと、こういうふうにまあ感じ取っているわけでございます。そのうち、一般小売り向けの生産額が、再販制度による医薬品と、そうでない医薬品とに分けられることはお示しの図のとおりでございます。まあ金額は別としまして。そこで、全体の生産額のうち六割程度が医家向けの医薬品として、比率、比重を占めるようになってまいったわけでございますが、この点と医療保険の赤字問題との関連、これは、先般来からも各方面で論議されているわけでございますが、直接に結びつくかどうか、まあ非常に問題があるようでございますが、私どもとしましては、今後医薬品の生産額の中に占める医家向けの生産額というものの比率が逐次高まっていくという傾向は当然予測しているわけでございます。したがいまして、田代先生お述べになったように、一般小売り向けの比率が逐次減少し、医家向けの比率が高まってまいりますと、今後医薬品の問題を論議する場合は、どうしてもやはりこの医家向けの医薬品が全体の大きな比率を占めるわけでございますので、御指摘のように、医家向けの生産額の医薬品が非常にいろいろな意味で問題を持つということは当然予測していい問題だと、かように承知しておるわけであります。
#60
○田代富士男君 そこで、いま厚生省当局より、今後いろいろ問題が起きてくる可能性があるとおっしゃいましたが、ひとつ実例を具体的な問題として申し上げますと、第三番目の表でございます。これは私もお医者さんでありませんから、薬の問題はしろうとでございますが、副腎皮質ホルモンの中に、プレドニゾロン、なかなかむずかしい名前でございますが、そういう薬剤がございます。この第三表、プレドニゾロン、これは各種の製薬メーカーで生産されておりますが、もちろん、薬品名は会社によりまして異っております。薬価は会社によってまたそれぞれの違いがあります。ところが、おもしろいことに、そのような会社のそれぞれの薬価の生産原価というのは違っておりますけれども、健康保険の保険薬価は同一でございます。五ミリグラム十五円と一律になっておるわけであります。そうしますと、どういう現象が起きてくるか。メーカーの単価が違う。ところが健康保険は十五円。ここに書いてありますA社というのは――名前をあげてもよろしいですが、B、C、Dというのは一つの会社じゃない。
 A、B、C、Dと分けたのは金額に応じて会社をまとめてあります。それだから、一つの会社を指定するわけにもまいりません。B会社にも三つ四つの会社がございます。C会社にも三つ四つの会社がありますから、総じてA、B、C、Dという四つの金額の会社に分けております。
 そこで、A社、これは百錠入りが千四百円、五百錠入りが七千円、B社は百錠入りが七百五十円、五百錠入りが三千五百円、C社は百錠入りが六百円、D社は百錠入りが五百円、五百錠入りが二千五百円、このような価格になっております。そうしますと、たとえばある病院がB社の五百錠入りの製品を購入したといたします。そうしますと、三千五百円でございますから、五百錠でございますと一錠七円の原価であります。保険の請求金額は十五円でございますから倍の金額になります。ところが、この三千五百円という薬価は、実は伝票上の話でありまして、実際の購入金額というものは、その三千五百円から三割ないし四割安いものになっております。これは実際の例を申しますと、東京都内の某薬局で調べたところ、五百錠入りの薬品を購入いたしますと、サンプルという名目で百五十錠から二百錠程度の製品を製薬メーカーが黙って余分に置いていくという仕組みになっておるのであります。これは一般の薬業界では裏増しということばで言われております。薬品業界ではこのことが現在の慣例になっておる。だから、保険では十五円ですけれども、いま言うとおりに、B社の製品でいきますと七円であります。七円でありますけれども、いま申し上げたようなサンプルがつきますと、実質的には三円五十銭になる。また、C社、D社の製品になりますと、二円二十銭から二円三十銭というようになります。そして、このような不合理な薬代が、国民から集められた保険金によりまして支払いをされまして、保険財政、ひいては国民に大きな圧迫となってはね返ってきている。それは第一表のこれをごらんになっておわかりです。昭和四十年度は、医者向けの医薬品生産額の倍が医療費中の薬剤費になっているわけです。これは実例でありますけれども、そういう点に対しまして厚生省当局としていかがお考えであるか、お伺いしたいと思うのでございます。これは一つの実例です。
#61
○政府委員(坂元貞一郎君) いま、プレドニゾロンの錠剤についての各メーカーごとの単価、卸価格をお示しになったわけでございますが、プレドニゾロン錠につきましては、現在二十社ぐらいのものが生産をいたしているわけでございますが、本年の二月の薬価調査によりまして、従来五ミリグラム一錠当たり二十一円十銭ということになっていたわけでございますが、それを二月の薬価調査によりまして十五円ということに実勢価格が出てまいりましたので、そのとおり価格改定を行なったわけでございます。いま田代先生、その十五円なるものが、さらにある社の場合は七円ぐらいになっている、それがまた裏サービス等によってそれ以下の価格になっているということでございます。私ども、実ははなはだ申しわけないことでございますが、実際の商取引の裏の行為まで十分当局側として実態を把握するということが困難な場合が非常に多いわけでございます。先ほど申しました明年二月に行なわれる薬価調査によりまして、その実態というものが当然浮かび上がってくるだろうと、私どもはこういうふうに思っているわけでございます。したがいまして、明年の二月の薬価調査の結果によって正しい実勢価格というものをとらえまして、それを薬価基準改定に持っていきたい、かように思っているわけでございます。
 それからサンプルとかあるいは値引きというようなことが薬業界の長年の慣習として行なわれているということも、これも事実でございます。この点につきましても、冒頭に触れましたように、できるだけ、いかに長い商慣習といいながらも、最近の情勢からいいまして、国民の批判を受けるような行き過ぎた過剰サービスというものは、とうていわれわれ当局としても見のがすわけにまいらぬわけでございますので、そういうような行き過ぎた裏サービス行為、過剰サービス行為というものをできるだけ自粛してもらい、また、われわれもそういう方向で指導を従来からやっておるわけでございますが、まだまだ十分なところまでまいっておりませんので、その点は今後、先ほど申しましたように、最大の関心を持って、十分健全な方向にまいりますように、指導を徹底してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#62
○田代富士男君 もう一つ私実例を申し上げます。私も調査しないようないいかげんなことは申しません。全部私自身調査した実例をもって申し上げております。これは、国民の声をこの委員会に反映するのが私の義務じゃないかと思いますから……。
 もう一つの実例を申し上げますと、御承知のとおりに、活性ビタミン剤等を前の委員会におきましても私は取り上げました。薬価基準よりも、いまと同じように、半値以下で入っているという問題を取り上げました。ところが、いま厚生省坂元局長が、数回の通達も出したと、私が追及したために通達も出してきました、そして十月からは一〇%も下がってきましたと、厳重にやっておりますと、その姿勢は私認めます。その姿勢、通達されてきた実績はある程度見えてきました。それは、十月初旬に薬価基準の改正を、通達を出されたと思うんです。たぶんお出しになりましたですね。それで私は大手のメーカーを当たりましたら、武田、田辺、三共、藤沢、こういう四社は、参議院の物価委員会等でこれらが取り上げられたし、厚生省の薬務局長からの通達もあるし、今後添付は一切やめようじゃないかという四社の話し合いができたということも聞いております。そこで、いまさっき坂元局長が、私がこのように委員会で申し上げたことに対して、どのようにやってきたかということに対して、通達を出してやってきたということは私が認めるのは、こういう裏づけがあるから言います。ところが、問題は、大手の四大メーカーが、そのように申し合わせをしたことはよいのですが、その一流メーカーの次に位するランクのメーカーがあるが、二流メーカーとまではいくかいかないか、そこまでは私言いたくありませんが、活性ビタミン剤の製品はさほど違いがありません、大メーカーの製品も。ところが、このときとばかり、四大メーカーが添付しない先に、四大メーカーの市場を荒らそうというわけで、一〇〇%ないし二〇〇%の添付を条件としまして、対抗上荒らしまくったわけなんです。しかし、四大メーカーは、申し合わせをしたところでもありますし、まあ守っていたわけなんですが、あまりにも一〇〇%・二〇〇%の添付です。百錠買えば二百錠ないし三百錠くれるのです。そこで、やむを得ず、そのように市場を荒らされるのだからというので、一たび決意したのはよろしいのですが、また再びもとの状態に最近は戻ってきております。これが状況です。厚生省当局としては、調べていただいたら一目りょう然といたします、これは。一たびは通達で止まったのです。その姿勢は認めるけれども、また出てきた。特に実態は、官公庁病院に対しましては、添付が六〇%から一〇〇%行なわれております。個人の開業医に対しましては一〇〇%から二〇〇%の裏増しがなされております。そのメーカーの名前は、これ、わかっております。言えとおっしゃれば私はここでも申し上げますが、まあ私はそのことはあえて申しません。どうしても聞きたいとおっしゃれば、ここで発表してもよろしいのですけれども、ちゃんとメーカーはわかっております。そのようなことがなされております。
 ところが、いまのこのプレドニゾロンの問題を厚生省当局にお聞きしましたら、十月一日にもこちらの要望に応じて一〇%下げました、しかしまだそういう状態であるならば二月の薬価改定のときにいまの私が申し上げましたデータを参考にして検討しますから、その成果を見てもらいたいという厚生省当局のお話でありますが、活性ビタミン剤のことに対しましても同じことが言えますが、二月の薬価基準の改定のときに、私が国民の声を代表していま言っておりますが、期待してよろしいでしょうか。その点を再度お聞かせ願いたいと思います。
#63
○政府委員(坂元貞一郎君) 田代委員から、先般の国会でも、活性ビタミンの某メーカーが非常に市場を荒らすような行き過ぎた行為をしているということがございました。私どもも、本年二月の調査の結果、そのような事実をつかみましたので、その当該メーカーの活性ビタミンについて市場で現実に売られている価格というものを基礎にして十月一日からの薬価基準改定を実施した例もございます。したがいまして、ただいま御指摘の活性ビタミンの問題につきましても、私どもよくこれから実情を調査いたしますが、来年二月の薬価調査にあたりましては、ただいまお述べになりましたようなことをよく念頭に入れ、また実情を詳細に把握しながら適正な薬価というものを把握して、それを薬価基準改定に持っていきたい、こういうような強い決意を持っていますことを特に申し上げたいと思うのでございます。
#64
○田代富士男君 じゃ私はそれ以上申し上げませんが、大いに期待しております。よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、そのように一〇〇%、二〇〇%添付しておりますと、要するに、裏増しをやっているところの薬品製造元の収支決算は、損しているのか、もうけているのか、その収支決算はどうなっているかということを調べてみました。そこで、昭和四十一年度の製薬会社の決算書、大蔵省の有価証券報告書総覧の中から抜粋してみました。その一覧表がこの第四番目の表でございます。第四番目の表が大蔵省の有価証券報告書総覧でございます。この製薬会社は一般に名前の知られた一流メーカーでありますが、こちらのABCDの会社とはダブっておりません、別個の会社です。ABC――あえて一応名前は隠してあります。しかし、私の手元の資料には、何会社がAであるか、何会社がBであるかということは全部載っております。ただ、私は一つの会社を取り上げるのじゃないんです。薬のメーカー全体をつかむために、個々の名前よりも薬のメーカー全体がどういう動きであるかということを知るために、あえてABCDであらわしてあります。
 これでいきますと、A社は、ここに書いてありますが、全売り上げの五一・七二%が荒利益です。こまかい数字は時間がありません。委員長が時間がないからということを言われておりますから、こまかい数字はごらんになっていただくとわかるんですが、パーセントだけ言いますと、売り上げ原価四八・一六%、荒利益が五一・七二%、B社は売り上げ原価が五六・九五%、荒利益が四三・〇五%、C社は四九・九二%が売り上げ原価、五〇・〇九%が荒利益、また、E社におきましては売り上げ原価が三一・九五%、荒利益が六八・〇五%、G社におきましては売り上げ原価三〇・七八%、荒利益六九・二二%、このように、五〇%ないし六〇、七〇%の荒利益をあげております。そして一番下の表を見ていただきますと、I社です。愛するI社でございますが、このI社は売り上げ原価が九〇・二二%、荒利益は九・七六%でございます。これは、製薬会社と同時にほかのいろいろな紡績会社、化粧品会社を一緒にやっている会社です。その一部分として製薬会社もやっている、その会社は荒利益が一〇%に満たない、こういう事実です。そうすれば、製薬関係の会社が一〇〇%、二〇〇%の添付をやりながら、なおかつ他の産業に比べてみた場合には、膨大な荒利益をあげているこの実態です。まあ私は、これに対する厚生省の見解等を、過去の国会の答弁なんかの議事録をずっと読んでみました。一貫して厚生省の答弁というものは、薬品のメーカーというものは一般の産業と比べて製薬業界の利益率の高いのを許しているのは何かといえば、一つにはリスク、すなわち危険度ですね、危険度の大きい点、さらに競争が激しく製品の売れる期間が二年ないし三年と短いから、そのために医薬品の開発を迫っていかなくちゃならない、またそのほかに、返品率が高いなど、他産業に比べてハンディキャップがあるためにこのような高い荒利益の利潤を認めているのだということが、私が過去の議事録からずっと厚生省答弁を調べました結論でございます。
 そこで私はあえて言いたい。いまの決算書でおわかりのとおりでございますが、決算書を調べてみますと、返品が多いから荒利益が高いといっておりますが、返品あるいはリスク等は売り上げ原価にすでに加算されてあるわけなんです。また、新製品開発のための研究費などを差し引いても、新薬品の研究費が要るからそういう研究費を差し引いても、ここに書いてある純利益というものは平均二〇%あがっております。I社は荒利益が一〇%以下です。ところが、これもこれも引くだけのものを引いても、なをかつ二〇%の利益を上げている。こういうところが、他産業と比べまして、まだまだ薬の問題につきましては、薬価基準を下げても、まだいけるんじゃないかと思うのです。その証拠が、一番右側の第一表で薬価基準とメーカーの薬の問題を検討するならば、あのようなばく大な健康保険の赤字を国民大衆の負担にしなくても済まされるわけなんです。そういう点で、私は、この収支決算表の上から、そのようなメーカーの薬の問題に対しましても一考を要するのではないかと思いますが、この点につきまして厚生省当局としていかがでございましょうか。
#65
○政府委員(坂元貞一郎君) 先般来の委員会等で、ただいま田代先生お述べになった点は、いろいろな角度から取り上げられております。私どもといたしましては、現在の日本の製薬企業というものの経営状況というものがほんとうに健全であるかどうかという点については確かに問題があると、こういうふうに承知いたしておるわけでございます。で、利益率が他の一般産業に比べまして相当高いとか、あるいは、いまお述べになりましたように、荒利益というものが高くなっておるというようなことは、確かに統計資料から見ましたら事実でございます。このような現状というものが、今後の製薬企業のあり方というものを頭に置いて考えた場合に、はたして健全な姿のものであるかどうかという点は、われわれも過去以来相当検討をしておるわけでございます。どうも、現在のわが国の製薬企業というものが、経営方針という点になりますと、いささか問題があるんじゃないか、私どもはこういうふうに思っておるわけでございます。また、現在の経済体制のもとにおきます民間の自由なる私企業でございますので、政府当局として経営分析等についていろいろ差し出がましいことを申し上げるには限度があるわけでございますが、私どもとしましては、少なくとも資本自由化という時代に突入しました今日、また、これからの開放経済体制のもとにおきまして、日本の製薬企業というものが外国の企業と十分太刀打ちできるような基盤というものを持つためには、現在のような経営方法というものが妥当かどうかということは、もう十分再検討する時期に来ていると、私はこういうふうに思っておるわけでございます。したがいまして、そういうような観点から申し上げますと、今後わが国の製薬企業の企業体質というものを強化していくためには、現在のような国内市場中心の過当競争というものについては相当大変革をしていかなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。そういうような観点から先般から通牒も出しましたし、わが国の製薬企業の企業体質の改善強化というものを目標にしまして、われわれ今後業界と相談しながら、そういう方向に製薬企業の経営方針というものを切りかえていくように十分配慮してまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
#66
○田代富士男君 いま局長のお話で、前向きの姿勢で解決をしていきたいという御答弁でございますから、期待をしたいと思います。問題は、メーカーのほうは厚生省当局で、じゃそのように指導してもらう。
 もう一つは、今度はその薬を直接請求したり扱うところのお医者さん、医療機関自身に問題があるのではないかと思うのです。これは、たぶん昭和三十八年の夏でありますが、仙台事件というのがあったと思います。その概要というのは、公立の医療病院で、医療機関で、薬の裏増し品を受け取ったわけなんです。いま申すとおりに、一〇〇%ないし二〇〇%の裏増しがあるわけなんです。ところが、公立の病院は、帳簿上では一万錠の購入で一万三千錠使用したということは許されないわけなんです。そこで、余分の三千錠というものは何とかしなくちゃならないというわけで、その三千錠をお医者さんがやみ問屋に横流しをして、その代金を医者が着服したという事件でございます。この事件につきまして、薬の業界紙のある人は、裏増しなどというものは薬の業界では日常茶飯事のものである、仙台事件のようなものは、もうあちこちにあるのだというようなこともうそぶいていたということも聞いております。こういうようなことに対しましても私は指導の手を伸べていかなくちゃならないじゃないかと思うわけなんです。これが第一点でございます。
 それとまた、医薬分業が完全分業に行なわれないためのいろいろな弊害が起きております。その一つの実例をあげますと、昨年であったと思いますが、九州方面で、健康保険に採用されてないところの、問題を起こしましたニクビタンというビタミン剤の一種でございますが、これを投薬しながら、保険ではアリナミンあるいは他の活性ビタミン剤の薬価として請求していた。ニクビタン等は一円ないし二円の安い活性ビタミン剤でございますけれども、医者がこれを共同購入して治療に使ったということがなされておりますが、このような診療報酬制度の続く限りは、医者の技術よりも、投薬、物に重点を置かれた、どうしても売薬的な医療になっていくのは、もうどうすることもできないじゃないだろうか。ここに医薬分業というものの完全分業が行なわれているならば、こういう点も守られるわけなんです。一円や二円で仕入れた薬が、十三円、十二円で請求される。これは、医薬分業がなされておればこういうことは起きないわけです。こういう点につきましても、医薬分業がなされなければならないし、いま申すとおりに、医者の技術よりも投薬中心の、物に重点が置かれてきた。それがこの第五番目の表でございます。甲表というのは技術中心の点数表でございます。乙表というのは、物中心の、薬中心の点数表でございますが、四十一年三月末には、甲表が三二・八%である。乙表が六七・二%。これは大きい病院です。それが四十二年三月末には二九・九%と甲表は下がってきております。乙表はふえてきております。今度、一般診療所の場合も、四十一年三月は、甲表は四・五%、それから四十二年三月は四・三と下がってきております。乙表は、九五・五%が九五・七%、ほとんどが乙表にかわってきている。こういうような点で、医師本来の技術から、投薬の物、このような売薬的な医療になってきているということに対しまして、どうしてもこの問題に対しましては、医薬分業というものを真剣に考えなくちゃならないと思うのですが、この点に対して当局としていかがでございましょうか。
#67
○政府委員(坂元貞一郎君) 薬務業は私の所管でございますので申し上げますが、申し述べられました医薬分業の必要性ということは、私ども当局の者として全く同感でございます。医薬分業制度が、外国の先進国並みにわが国においてはまだ進んでいない。完全分業に非常にほど遠いわけでございます。したがいまして、そういう現状においては、お述べになりましたようなもろもろの問題が起きているということも私ども十分承知いたしているわけでございます。で、過去昭和三十一年、医薬分業の関係法律というものが一応施行になっておるわけでございますが、実態は完全分業に非常にほど遠いところにあるわけでございますので、先般、田代先生御存じだと思いますが、厚生省事務当局案で医療保険の抜本対策の案をお示ししたわけでございますが、その中にも医薬分業制度の強力な推進というものを一つの柱に掲げてあるわけでございます。私どもは、そういう観点から、もうここらで完全分業というものに一歩でも二歩でも早い機会に近づけるということが、当面の医療問題全般に関するいろいろな問題を解決する最も手っ取り早い道だと、こういうふうに思っているわけでございます。
 そこで、事務当局案にも盛られておりますように、何としましても、現在の診療報酬体系というものを技術中心の制度に変えていく、先生お述べになりましたように、投薬中心の診療報酬体系ではなかなか医薬分業というものは強力に推進できないわけでございますので、技術というものを中心とした制度に診療報酬体系を変えていくということを一つの方針にしているわけでございます。もちろん、この点はいろいろな事情がございますので、一挙にはまいりませんが、今後できるだけ早急にそういう方向でやってまいろうということで、現在中医協で鋭意審議中であります。
 それからもう一つは、医薬分業実施のためには、現在の薬局の側のいわゆる受け入れ態勢というものが非常に貧弱であるわけでございますので、この受け入れ態勢というものを医薬分業のためにできるだけ早急に整備していく、こういうようなこと。それから、もちろんそれに必要なもろもろの施策を考えていく。ちょうどいま、関係団体等においても、この医薬分業制度というものを何とかして一日も早くやろうということを、ほんとうに真剣に考え出してきているムードができ上がっておりますので、医療保険の抜本対策の一環としての医薬分業制度というものを強力に推し進めてまいりたいと、こういうふうに思っているわけであります。
#68
○田代富士男君 委員長から言われておる時間がずんずん参りましたが、経企庁長官もわざわざおいでいただいたのですから、政務次官もおいででございますし、全部いま局長さんがお答えになりましたけれども、次官からも、じゃもう一度……。
 私いま、一二三四五と、五表にわたって、いろいろ懇切丁寧なる質問だと思うのです。(笑声)こんな懇切丁寧なる質問はないと思うのです。そこで、このような五つの表から、事実に照らして、安く流されておる医療向けの薬品、保険制度を悪用している、医者の利益のために医薬が必要以上に使われておる――保険財政に大きな圧迫を加えているものは何かという疑問もおわかりになったと思うわけです。こういう考えも一貫をいたしまして、今後の、来年二月の薬価基準等に対しても当局として反映をさしていく、医薬分業に対しても前向きの姿勢をもっていくという局長の御答弁でありましたが、次官として総体的にどのようにおやりになっておいきになる決意であるか、ひとつ決意のほどをお示しになっていただきたいと思うのです。懇切丁寧な質問ですから、懇切丁寧な決意をやってくださいよ。
#69
○政府委員(谷垣專一君) どうも新米でございまして、先ほどから先生の非常に熱心な御研究と御質問を感心して拝聴いたしておりました。
#70
○田代富士男君 感心だけしておってもだめだ。実践してもらわなくちゃ。
#71
○政府委員(谷垣專一君) まあ、いかにこの医薬の問題あるいは現在の診療の問題がむずかしいものであり、また、よくここまでこんがらかってきたものだという感じを深くいたしております。私たちのほうといたしましては、先ほど局長が申し上げましたように、いろいろないわば過当な商取引のほかに、問題は、薬価基準をどのように現在の状況に即したものに改めていくかということが、行政的には一番大切な問題であろうと思います。しかしながら、だんだんお話がございましたように、何と申しましても、現在の医療体制というものが非常に薬に依存しているということ、やはり医者は医者としての技術をもっと高く評価する体系に直していかなければ、何としても投薬ということに依存をした形のものになるということ、これは大かたの方々がみなそれぞれ御指摘になっておることだと私たちも承知いたしております。だんだんお話のございました点を、よく、いま二年の年期をきめられておるわけでございますが、医療の抜本的な体制をひとつやろうということで、この二年の期間内にそのことをやりますのにはたいへんな問題があろうかと思いますが、いよいよそれに私たちは突き進んでまいりたいと考えております。先ほど御指摘になりました諸点、まずやらなければなりません。また、来年二月の薬価基準の改正の問題がまずございますが、そのもとになります全体の医療体制の立て直しの基本的なものも、二年の期限を限られておりますので、その問題を推進してまいりますときに、いまほどのお話を十分に実現していくように考えてまいりたいと、かように思っておる次第でございますので、今後ともひとつ、御協力、御指導をお願いいたす次第でございます。
#72
○田代富士男君 じゃ、薬の問題で、もう一点だけ。まだいろいろありますけれども、時間が何ですから。
 これは公取委員長にお尋ねしたいと思いますが、クロロマイセチンという薬がありますが、これはソ連から入ってきているということを聞いておりますが、これを取り扱う会社が五社あるいは七社と限定されております。ほかの会社が扱おうとしましても扱うことができないという業界のもっぱらのうわさになっております。そして、同一金額になされておる。これが事実であるならば、これは私、独禁法にひっかかると思うのですけれども、この点、いかがでございましょうか。
#73
○政府委員(山田精一君) 初めて伺いましたわけでございますが、これが、輸入が完全に自由化されておりますものか、あるいは割り当てになっておりますものか、調べませんとわかりませんが、ただいまの御質問の御趣旨を十分体しまして、調査をいたしてみたいと思います。
#74
○政府委員(坂元貞一郎君) 私の所管でございますので、実情だけを申し上げておきます。クロロマイセチン、通称クロマイと言っておる医薬品でございますが、いま公取委員長が述べられましたように、これは現在非自由化品目に相なっておるわけでございます。完全に貿易自由化の品目になっていないわけでございます。そこで、ただいま田代先生、ソ連からだけというお話でございましたが、現在、クロマイの輸入先はソ連だけであるようでございますが、国内生産が数社においてなされておるわけでございます。もちろん、これはアメリカなりドイツなりの技術導入という形で、国内メーカーが国内で生産をしておるものも数社あるわけでございます。輸入先はソ連だけでございますけれども、国内的に、外国技術によって五、六社のものが生産をしておる、こういうことになっておりますが、何ぶんにも、まだ非自由化品目になっておるために、現在輸入するということについてはそれぞれの制約がございます。通産省のほうの外貨の割り当てというような制度もございますので、そういうような完全自由化の品目に現在として相なっていないということだけを御承知おき願いたいと思います。
#75
○田代富士男君 じゃ、厚生省関係は以上で終わりまして、あとの質問は次回の委員会に譲りたいと思います。
 経企庁長官にお尋ねいたしますけれども、質問の趣旨は変わりまして、来年度の予算の編成時期を前にいたしまして、予算委員会あるいは各委員会におきまして、財政硬直化の問題がにわかに国民の前にクローズアップされてきておりますけれども、この財政硬直化ということばで、このごろの新聞でもいわれておるとおりに、予算要求を押えようとしておりますけれども、財政硬直化というのは本年度初めて起きた問題ではないと思うのです。原因の一つは、三十年代の高度成長時代の税収の大幅な伸びを当然のことといたしまして安易に財成を放漫化してきた。それが四十年代の安定成長期に参りまして一挙に表面化してきた。そういうことから考えまして、この問題というものはきわめて根が深いのじゃないかと思うわけなんですが、最初に、この問題をいかに受け取っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
#76
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政の硬直化ということでありますが、これは本会議でも申し上げたところでございますが、財政の硬直化の裏にあるものは、やはり行政全体の硬直化である。政府の行政は、その能率をはかる尺度が民間企業のようにございません。したがって、なかなかこれがわかりにくい。たまたまそれが予算編成という計数であらわれる場を通して、予算編成難となって行政の硬直化があらわれたというふうに考えるわけでございます。そこで、行政の硬直化はどのようにしてあらわれたかといえば、やはり、わが国が現在持っております制度のうちには、占領という不自然な状態の中で生まれたものもございますし、また、そうでなくとも、この二十年の間に非常にわが国は変化をいたしました。二十年前の慣行、制度、ものの考え方が今日そのまま通じるというほうがむしろふしぎなわけでございますから、そういった中に、惰性によって今日の行政がなおささえられておる。行政に当たるものが、私どもをはじめ、また従来と同じような考え方で行政をやろうとしておる。そこらあたりに、この問題を考え直す必要はないか、そこから硬直化が生じておるのではないか、そういうふうなものとして財政の硬直化を受け取っておるわけでございます。
#77
○田代富士男君 いまお話のあったとおりだと思う。私も、一方の見方からすれば、そういう見方もあるのじゃないかと思いますが、この問題は是正していかなくちゃならない問題じゃないかと思うわけなんです。そこで、この財政の硬直化の是正というものは、現在、単に予算の編成上の小手先だけ、あるいは技術的な手直しだけで済まされる問題ではないと思うわけなんです。まあ、硬直化してきた――いま、二十年以前からのというお話もありましたけれども、施策、慣行というものをこの際革新的に変革する以外に根本的な解決はないんじゃないかと思うわけなんです。そこで、時間があれば大臣のお考え等も聞きたいし、また具体的なその対策等もあるならば私も聞きたいと思いましたが、いまも委員長から二十五分までということで制限を受けまして、ほんとうは、最初に長官の質問をゆっくりさしていただいてと思いましたけれども、そういうわけでございますから、まとめてお聞きしたいと思いますが、財政硬直化を直す目標というものは、まず一つは、公債政策からの脱却がなくちゃならないのじゃないかと思うわけなんです。この公債政策からの脱却の条件を探してどういう方法でこれを実現するか、そのように私は思うんですけれども、この認識が政府にお持ちであるのかないのか、まず、その第一点をお聞かせ願いたいと思うのですけれども……。
#78
○国務大臣(宮澤喜一君) 公債政策から完全に脱却すべきかどうかということについては、原則論としては多少の問題があるだろうと思います、当面の問題は別にいたしまして。すなわち、公共投資の中には、現在のわれわれだけでなく、われわれの後に来たるべき人たちがその利益を享受する部分が相当ございますから、したがって、単年度だけの収入をもって公共投資のすべてを必ずしもまかなう必要はない、後の人々に多少の負担を残すこともまた理屈があるのではないかという理論については、それはあたかも、単年度の収入で家を一軒お互いがつくることは必ずしも可能でもないし必要でもない、何年賦かで金を借りるということはそんなに間違いではないといったような私経済の理論と一脈通じるものがあるわけでございます。したがって、すべての政府のつくりました長期的な公共投資が、その年度年度だけの歳入でまかなわれなければならないという理屈は、原則論としては必ずしもないというふうに私は考えております。しかしながら、当面の財政の運営を考えてみますと、その理屈はそうであっても、どうも公債という財源が比較的たよりやすいものでございますから、ともすればそこへもたれかかりやすいということは確かにございます。これはその点をむしろ御指摘だと思いますが、確かにございます。したがって、ことに当面わが国のような財政になってまいりますと、いかにして国債の増発を押えていくかということが、やはり先ほど申しました原則論にもかかわらず、当面の課題であろうと思います。そういたしますと、片方で不必要あるいは必要性の低い歳出を削減するという問題がございますけれども、他方で可能な歳入はできるだけとらえていくという必要もまたあるわけでございまして、私どもできるだけその両面にわたって努力をいたすべきものだと考えます。
#79
○田代富士男君 いま申されたとおりに、公債政策からの脱出というものは容易でないことは私も承知しておりますけれども、政府の財政運営のあり方を百八十度転換しない限り、この数年で公債政策から脱出できないということは明らかじゃないかと思うわけなんですが、まあ脱出するには非常に大きい摩擦もあると思いますが、公債政策脱出の目標だけは失わないでもらいたい。これは希望意見として、時間がありませんから、述べておきたいと思うわけなんです。
 それと、次には財政硬直化に関連しまして、税の問題についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、まあ、財政硬直化を直す場合にはどんな妙案があるかといえば、いろいろありますが、簡単に言うならば、歳出を切り詰めるか、あるいは歳入の増加をはかるか、この二つじゃないかと思うわけなんです、根本は。そうしますと、明年度の税制度について伺うと、まず、租税特別措置で期限切れになるものがずいぶん出てきているんじゃないかと思うわけなんです。これに対する処置をどのようにおとりになるか、これをお聞きしたいと思うわけなんです。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) 来年度の財政を、税法を中心にどのようにするかということは、まだ閣内で決定をいたしておりません。したがってただいまの御質問に正確にお答えいたすことができませんが、租税特別措置の中で、これもやはり硬直化という問題があるわけでございます。その目的をほぼ終わったというものについては、やはりできるだけやめていくのが、これが本来であります。具体的にはまだきまっておりませんし、また、大蔵大臣からむしろお答えいたすべきものかと思いますが、原則論としては、当初の目的を終了したもの、これは、たいてい、やはり新しい制度を始めますときに、向こう何年間インセンティブを与えるというような意味で特別措置を講ずるものが多いのでございますから、そのインセンティブの期間の終わったものについては廃止していく、そして新しいものがまたあればそれに場を与えていくというのが本来だと思います。
#81
○田代富士男君 まあ、所管の違いだということもありますけれども、いまのわが国の税負担というものは決して世界各国から比べて軽くはないと思うわけなんです。そこで、減税の必要はあっても、増税はできない状態じゃないかと思うわけなんです。そこで、税負担の公平の見地からも、期限切れの特別措置はまず延長措置をとらないという基本方針を、まだきまってないということでございますから、明らかにしてやっていただきたいという、これは希望意見として申し上げておきたいと思うわけでございます。
 それと、税収確保の点では、法人企業の交際費が六千億円あるいは六千五百億円とも言われておりますが、この点について、これを経費であるとの理由で課税対象から大部分が落とされてあるわけなんです。これも所管違いかわかりませんけれども、その点について、もっときびしい課税をすべきではなかろうか。そこで考えられることは、いま政府自身は、消費の行き過ぎ、これをないようにということは戒めていらっしゃるわけなんです。その点から言うならば、この企業の交際費こそが行き過ぎをつくる大きな要素になっている。この点につきましても対策がきまっているのかきまってないのか。もしきまってないならば、どのように対処されるか。所管違いかわかりませんが、一応の、希望でもけっこうでございますから、お願いしたいと思うわけです。
#82
○国務大臣(宮澤喜一君) それは非常にいいポイントを御指摘になっておられると思います。実は、明年度の予算編成につきまして、私、大蔵大臣と、すでに延べで十数時間、何回かにわたってお話をしておるわけでございますが、御指摘のように、なかなか歳入が不足がちでございます。そこで、御指摘になりました法人企業の交際費、六千億近くあると言われるものについて、何かこれを歳入に振り向ける方法はないだろうかという問題は、実は私自身も、その会談の経過において提起をいたしておるわけでございます。それに対して――これは大蔵大臣にかわってお答え申し上げるわけにはまいりませんが、一応財政当局の立場は、これについてはごく最近整理を一応したばかりであって、さらにすぐに続いて二の矢をうつということはいかがなものであろうかというような意見が税制調査会などにも多いと、そこで、確かに問題の領域ではあるけれども、この際四十三年度に、はたしていかがなものであろうかというような意見が、ただいまの段階での財政当局の意見らしく思われます。いずれにいたしましても、最終的なものではございません。
 そこで、この問題は、もう申し上げるまでもないことでありますが、本年、企業にとって明らかに経費の実体が経費であれば、これは経費として認容をいたすべきものであります。それから、いかに金額が少なくとも、経費ではないということになれば、これは経費として認容いたすべきものでないはずであります。実際に、各企業とも一つ一つ法人税の調査に当たって、それが現実に経費として意味を持っておるかどうかということを調査することは、実際問題として可能でないわけでございます。たとえば、どこそこの料亭でだれかれを饗応したといったときに、それが会社の経営に対して、はたして経費的に、つまり経営にプラスになるような結果を持つものであるかどうかということは、結果論だけでは判定できませんし、また、意図がそうであっても、結果としてそうならないということもございますし、その点の判定は、たとえ資料が全部集まりましてもわからない場合も多ございます。そこで、擬制を設けまして、フィクションを設けまして、これこれのものまでは経費として認める、それ以外のものは経費として認めないという、これはいわば一種のフィクションでございますが、それで税務の行政をやってまいりました。そのフィクションのとり方が結局大き過ぎるか、少な過ぎるかということがいまの問題であると思うのでございます。私個人の考え方といたしましては、六千億円といった金額は、どうもそれを全部経費として認容するにはいかにも大きくはないか、おそらく田代委員の御意見は、そういう、そちらの方向の御意見と思いますが、私もさように思います。したがって、制度論の問題としては、もう少し締めていってもいいのではないか。と申しますのは、私はここに問題がありはしないかと実は指摘している理由であります。ただ、ごく最近にこれについては斧鉞を加えたばかりでございますから、しばらく時を置いて検討したいという財政当局の立場であれば、それも無理からぬものと思います。しかし、これはいずれにしても、まだ最終的に決着をいたしておらない問題であります。
#83
○田代富士男君 委員長からも二十五分を回ったからということでございますから、次回のときに、もっと詳しいことを経企庁長官にお伺いしたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。
#84
○委員長(櫻井志郎君) 本日はこの程度で散会いたします。
   午後三時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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