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1967/12/12 第57回国会 参議院 参議院会議録情報 第057回国会 地方行政委員会 第1号
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1967/12/12 第57回国会 参議院

参議院会議録情報 第057回国会 地方行政委員会 第1号

#1
第057回国会 地方行政委員会 第1号
昭和四十二年十二月十二日(火曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         仲原 善一君
    理 事         林田悠紀夫君
    理 事         吉武 恵市君
    理 事         占部 秀男君
    理 事         原田  立君
                岸田 幸雄君
                小柳 牧衞君
                沢田 一精君
                高橋文五郎君
                津島 文治君
                中村喜四郎君
                鍋島 直紹君
                林田 正治君
                加瀬  完君
                沢田 政治君
                鈴木  壽君
                林  虎雄君
                松澤 兼人君
                松本 賢一君
                辻  武寿君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲原 善一君
    理 事
                林田悠紀夫君
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
                原田  立君
    委 員
                小柳 牧衞君
                沢田 一精君
                高橋文五郎君
                津島 文治君
                加瀬  完君
                沢田 政治君
                鈴木  壽君
                林  虎雄君
                松澤 兼人君
                松本 賢一君
   国務大臣
       自 治 大 臣  赤澤 正道君
   政府委員
       警察庁長官官房
       長        浅沼清太郎君
       自治大臣官房長  宮澤  弘君
       自治省選挙局長  降矢 敬義君
       自治省税務局長  松島 五郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○派遣委員の報告
○昭和四十二年度分の地方交付税の単位費用の特
 例に関する法律案(内閣送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 調査承認要求についておはかりいたします。
 本委員会におきましては、従来から地方行政の改革に関する調査を行なってまいりましたが、今国会におきましても、本件の調査を行なうこととし、そのための調査承認要求を行ないたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(仲原善一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、要求書については、先例により、委員長に御一任を願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(仲原善一君) 派遣委員の報告に関する件を議題といたします。
 先般当委員会が行ないました地方税財政並びに地域開発諸法律の施行状況、地方公営企業の現状及び道路交通状況の実情調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告をお願いいたします。林委員。
#5
○林虎雄君 仲原委員長、原田理事、岸田委員と私は、去る九月二十五日から五日間にわたり、兵庫、鳥取及び島根の三県並びに三県下の市等を訪問し、地方財政、地方公営企業、地域開発、過密過疎、道路交通安全対策等の現況について調査を行ないました。以下、その調査結果の概要について報告いたします。
 地方財政の状況について、兵庫、鳥取及び島根の三県並びに三県下の各市町村の昭和四十一年度普通会計の決算状況を見ますと、単年度収支及び実質収支において、黒字基調の維持、赤字幅の縮小という結果が認められるのでありますが、歳入歳出の内容を分析しますと、構造的にはむしろ多くの問題をかかえるに至っております。
 各県の歳入構成を見て、まず、注目される点は、鳥取、島根の両県において、地方交付税の伸びが渋滞したのに伴い、一般財源の比重が後退していることであります。兵庫県の場合は、税収の伸びが一五・九%と相対的に低いのを地方交付税が補完する形で伸びており、結果として一般財源の割合は横ばいでありますが、鳥取、島根の両県では、税収が二〇%程度の伸びを示している反面、交付税率の引き上げや臨時地方特例交付金の措置にかかわらず、地方交付税の伸びが前年度を下回ったために、一般財源の割合も後退し、鳥取県が四三・九%、島根県が四〇・二%と、全国平均四五・一%を下回っており、したがって、両県においては、国庫支出金や地方債という依存財源への偏向の傾向が強くあらわれております。
 各県の歳出構成を見ますと、人件費、扶助費及び公債費の義務的経費と、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費の投資的経費の占める割合は八〇%前後に達しており、さらに投資的経費についても、国の補助事業費や直轄事業負担金の割合が高く、単独普通建設事業費は圧縮されている実情にあって、独自の施策展開の余地は著しく狭められております。
 なお、一般財源の多くが義務的経費に費消されており、財政構造の硬直化は一様に指摘されるところであります。
 神戸市の一般財源の割合は、大都市平均が四九%と五〇%を割り込んで注目されている際、三八%と極端に低くなっております。その主因は、税収が大都市中でも最低という事情に負うものでありますが、市街地再開発等の投資的経費の旺盛な需要を控え、自主財源補強のための都市的税目の拡充、関税の一部譲与等の措置を強く希望しております。
 他の市町村は、都市部をはじめとして若干の好転は認められますが、人口減少の激しい山間部の町村においては、低い所得水準、人口流出に伴う税源の減少等のために、財政力がますます弱体化する傾向にあります。他方、これらの町村においては、行政水準の確保、過疎対策の充実等のために、財政需要が累積的に増大しており、災害復旧事業、投資的事業を実施する場合は、国及び県に多くの財源を依存せざるを得ない状況にあります。また、財源に自主性、弾力性が乏しく、勢い、住民に過重な税負担をしいる結果をも招いております。これらの町村にとっては、基本的には広域行政処理、合併による行政の効率化をさらに推進する必要があると考えますが、地元からは、国の恒久的な財源保障について、熱心な要望が提出されております。
 なお、県及び市等から、地方交付税算定にあたっての人口急増補正、人口急減補正に、実態の完全な把握と反映が必要であること、都市河川の災害復旧について、抜本的対策を講ずること、県事業の市町村負担金の軽減をはかること等の陳情がありました。
 超過負担の実態について見ますと、超過負担割合の顕著な費目のみを集計しても、兵庫県が四十二年度十四億五千万円、島根県が四十一年度四億二千万円、神戸市が四十二年度二十八億一千万円、松江市が四十二年度一億三千万円等と、依然として地方財政に大きな負担がしいられており、解消措置の効果はあまり感知されません。巨額な超過負担額は、補助事業費中に、補助単価の低いもの、設置職員数や建物面積等の基準が実情に合わないもの、補助対象の不備なもの等がいかに多いかを実証しておりますが、特に市街地における用地費や建築費の高騰、改定給与等との大きなズレが指摘されており、すみやかに画期的な解消措置を講ずる必要が痛感されます。
 橋梁を含む地方道路整備の状況は、全国平均を上回る兵庫県下は別として、鳥取、島根の両県下では著しく低位にあります。ことに、両県の市町村道は、鳥取県下において改良率一二・四%、舗装率四・二%、島根県下において改良率五・二%、舗装率一・二%という貧弱な状態であり、山陰地区においては、国道九号線等の主要幹線道路の整備状況に照らし、産業開発、生活基盤確保のための地方道路の整備の立ちおくれが目立っております。
 四十二年度の地方道路予算は、おおむね一〇ないし二〇%程度の伸びを示しておりますが、市町村道の財源措置の内訳を見ますと、国庫補助金、普通交付税、県補助金、起債、一般財源のほかに、負担金、寄付金として地域住民の税外負担に依存している事実が指摘されます。県及び市町村に対して特定財源の賦与等、財源補強措置が急がれることは付言するまでもないところであります。
 四十一年度の給与改定の財源措置は、地方交付税の再算定によって充当されたのでありますが、不足財源については、税の増収分のほかに、消費的経費の節減等によって捻出されております。
 本年度の給与改定が八月実施となった場合の所要額は、兵庫県十九億九百万円、鳥取県五億七千九百万円、島根県七億三千七百万円、神戸市六億三千六百万円、鳥取市四千万円、松江市三千七百万円等と推計されておりますが、本年度は税の増収が相当に見込まれているおりから、財源措置の決定には多大の関心が示されており、昨年度と同様の交付税措置が一様に期待されております。
 次に、地方公営企業の概況について見ますと、県営の電気事業、工業水道事業、上水道事業は、収支状況等格別の問題は指摘されません。ただし、工業用水道事業につき、新産・工特地区において、四円五十銭という規制的な政策料金制度がとられることになったのに対し、経営初期の赤字に対して利子補給をされたい等の要望がありました。
 各県営病院事業も、目下のところ、かろうじて収支均衡している状況にはありますが、医業費用の増加は医業収益の伸びを上回っており、特に薬品費の増加が日立っております。また、最近においては、高度化する医療設備、技術の近代化、患者の増加に対処するための病棟の改築等のため、ばく大な資金需要があり、加えて企業債償還費の負担等、資金面ではますます困難な状態となることが予想されております。このため、起債利子や公衆衛生的事業の一般会計負担等について検討する必要があると考えます。
 市町営の公営企業について見ますと、事業によっては、不良債務をかかえ、累積欠損の増大しているものもありますが、最近の総体的な動向を総収益対総費用の比率で見ますと、一〇〇%前後を維持するようになりつつあり、赤字増加の傾向は鈍化していることが認められます。
 公営企業赤字の原因には、企業独自の事情もありますが、共通的なものとして、人件費負担の増加、経営合理化の不徹底が指摘されるところであり、さらに一そうの企業努力が必要であると考えます。
 次に、過密過疎問題について三県の現状を見ますと、阪神間の既成都市における過密化、山陰地区、特に島根県石見地区以西の過疎化の現象が注目されます。阪神間の既成都市においては、交通難、住宅難、水不足、公害等の過密化の弊害がすでに深刻化し、周辺近郊地区の川西市、伊丹市等における人口増加は激しく、スプロール現象を呈しております。このため、都市対策の基本方向の早期確立、人口・産業の計画的受け入れ体制の整備等の必要が提唱され、また、民間企業の団地造成について、市町村と協議することの法制化、関連公共施設の一定範囲のものを開発主体が負担することの法制化等の措置が要請されております。
 島根県の人口流出ははなはだしく、最近の十年間に人口が二〇%以上減少した町村は、合併前の町村数にして半数近くに達します。今回は特に過疎化した農山村として佐田村の視察を行ないました。同村の人口減少率は過去十年間に一八・三%、挙家離村の件数は少ないので、典型的な過疎地区とは言い得ないのでありますが、本年の中卒者二百五十名のうち滞村者はわずか数名にすぎないという事実が示すように、若年労働力の流出が著しく、ゆゆしい問題となっており、八八%が山林のために立地上の制約があって、労働力流出を防止する手段の発見に苦慮しております。さしあたっての懸案として、連年災害に対する八億円の復旧工事の完了が離村に拍車をかけることをおそれ、救農土木工事の導入等を渇望しておりますが、切実な問題として、後継者対策、道路橋梁の整備、中央会館の設置、医師の確保等について熱心な陳情を受けました。
 次に、中海新産地区の概況を申し上げます。同地区は、新産業都市最後の地区として四十一年十一月に指定を受け、従来とかく批判のあった装置大型工業の偏重、人口確保計画の失敗、公害対策の欠除等の諸点を十分考慮に入れ、既存企業、地場資源活用工業の育成開発等を骨子とした堅実なる計画が策定されております。すでに工業団地、住宅団地の造成、埋め立て事業等が相当進捗しておりますが、目標年次における計画達成のために、起債充当率や国の負担割合の引き上げ、先行投資のための長期低利な資金ワクの設定、進出企業に対する開発融資並びに地方税の不均一課税措置の拡大、事業調整費の弾力的な運用等について要望がありました。
 最後に、交通安全対策の概況について申し上げます。三県下の交通事故の発生件数、負傷者や死者等の数は、数年来異常に増加しております。なかんずく、島根県下の死者の増加率は、三十九年に全国一位、四十年に全国二位という芳しからぬ記録を残しております。
 交通安全施設等の整備については、交通安全施設等整備三カ年計画事業等が促進されているほか、各県等においてそれぞれの実情に即応した強力な施策が展開されておりますが、今回の調査を通じ、特に交通モラルを向上して、住民サイドからの協力体制を喚起し、人命尊重を基調とした総合的な安全対策を住民総ぐるみで推進する必要を痛感いたしました。島根県では、四十一年十一月に死者が百名に達した時期をとらえて、全国でも異例と言われる知事の交通事故緊急事態宣言を発し、県民一丸となって運動を展開した結果、死者の減少率全国七位という好記録を得たと報告されております。
 また、最近の交通事故増加の傾向が、大都市から小都市や農村部に移行する状況にあることにかんがみ、財政力弱体市町村の安全施設の整備等についても、今後十分に配慮する必要があると考えます。
 以上で報告を終わります。
#6
○委員長(仲原善一君) ただいまの御報告に対し、御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、派遣委員の報告は、これにて終了いたします。
 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#7
○委員長(仲原善一君) 速記起こして。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(仲原善一君) 赤澤国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。赤澤国務大臣。
#9
○国務大臣(赤澤正道君) 私はこのたび自治大臣兼国家公安委員長を命ぜられました。所管行政の各般にわたり複雑多様な問題をかかえております時期にあたって、その責務の重大さを痛感いたしております。この機会に、地方行財政と治安行政の当面する問題について所懐の一端を申し述べ、各位の御理解と格別の御協力を賜わりたいと存ずるものであります。
 現行地方自治制度も、本年をもって施行以来満二十年を迎え、地方自治もようやく地についたものになってまいりました。しかしながら、近時、国政の進展とともに地方自治行政を取り巻く環境は急速に変化し、地方行政に対する各種の要請はとみに強まり、地方行政のあり方は、その質と量の何面において大きな変貌を遂げつつあります。私は、このように変貌する地方行政の現実に対処し、社会的・経済的諸条件の変動に即応するため、すみやかに適切な施策を講じ、もって地方自治の伸展と国民福祉の向上に万全を期してまいる所存であります。
 もとより、地方公共団体の基礎を強固にし、住民自治の伸展を期することは、地方自治発展のための基本条件でありますが、同時に、この際、国・地方を通じて行政運営の簡素能率化を推進して、国民の負託に応ずることも忘れてはならない課題であると存ずるのであります。このため、国に向かって要請すべきことは、ちゅうちょすることなくこれを求め、この課題の推進に力を注ぎたいと存ずるものであります。
 ところで、最近における社会経済情勢の変化に伴い、行政の運営にあたって、これを広域的に処理する体制を整備することの必要性は一そう強まっていると考えられます。政府といたしましては、このような見地から、広域的地方公共団体としての府県の自治能力の充実強化を期すべく、第五十一回国会以来、都道府県合併特例法案の御審議をわずらわしているところでありますが、当面、都道府県、市町村を通じての事務の共同処理方式の活用を推進する等、行政の広域的、かつ、効率的な運営について積極的な指導を引き続き進めてまいりたいと存じております。
 また、人口及び産業の都市集中化に伴って生じておりますいわゆる過密過疎の問題の解決は、地域格差の是正とともに現在の政治、行政の上で最も重要であり、かつ、緊急を要するものであります。私は、この際、変貌しつつある各地域社会の将来を洞察し、その特性に即応した地方自治体の形成、振興策について、地方中堅都市育成の構想等をも含め、制度、運営の両面にわたり再検討を加えてまいりたいと考えております。
 なお、最近における行政需要の増高に伴い、国・地方を通ずる行政事務はますます複雑多岐となり、行政能率の向上を阻害している面も多く見受けられますので、国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の行政事務の再配分や、補助金の整理等を推進し、行政責任の所在を明らかにし、行政の合理化・能率化につとめてまいりたいと存じます。
 次に、公務員行政につきましては、適正な近代的人事管理の確立をはかるため、各般の努力を重ねておりますが、本年八月、公務員部の設置が実現いたしましたので、これを機会に、充実した責任体制と機構のもとに、なお一そう公務員秩序の確立、近代的な正常な労使関係の樹立、公務能率の向上、適正な給与制度の確立、運用、地方公務員の福祉の増進などを期するとともに、特別職、一般職を問わず、最近ややもすれば問題なしとしない公務員のモラルの向上と士気の高揚に力を入れてまいりたいと考えております。
 次に、選挙制度について申し上げます。今日、各方面から金のかかる選挙の実態につきまして強い批判を受けておりますが、それを打破するためには、今後とも政党の近代化、組織化と国民の政治意識の向上につとめるとともに、個人本位の選挙から政党本位、政策本位の選挙に転換することが要請されているところであります。これらの諸問題については、選挙制度審議会に審議をお願いいたし、去る十一月二日、選挙区制その他選挙制度の改善につきまして答申をいただいた次第でありますが、さしあたって現行選挙制度に関し改善すべき事項についての改正法案を次の国会に提案いたす所存であります。なお、前国会以来懸案となっております政治資金規正法の改正案につきましても、次の国会に提案いたします。
 次に、地方財政について申し上げます。地方財政は、最近におきまして、やや収支の改善が見られるようになったのでありますが、これは御承知のとおり、特別事業債の発行その他単年度限りの臨時的な措置によってもたらされたものであります。地方財政は、これまでも硬直化の打開につとめてまいりましたが、現在もなお、義務的経費の増加が著しく、その構造的な欠陥は是正されないばかりか、さらに硬直化の度合いを強めている状況であります。しかるに、一方におきましては、社会資本の整備の立ちおくれを取り戻すとともに、最近の社会経済状勢の激しい変貌に伴い、社会開発、地域開発を推進することが、現下の急務となってきております。
 このような地方財政の環境を改善するためには、根本的には、地方団体の行財政全般にわたり、適切な配慮が加えられなければならないのでありますが、この点につきましては、現在、地方制度調査会においても種々検討を願っているところでありますので、その答申を得て、安定的な地方財政の充実強化のための諸施策の実現につとめてまいりたいと存じます。
 また、地方団体に対しましても、冗費の節減、経費の重点的、かつ、効率的な使用を徹底させ、地方財政の健全化に一そうの努力を払い、いやしくも住民の不信を招くことのないよう、強く期待し、指導してまいる所存であります。
 地方公営企業につきましては、その経営の基本原則に従い、企業経営の健全性を堅持するよう指導を強化し、公営企業の財政再建を積極的に進めているところであります。
 地方税制につきましては、ここ数年来、困難な地方財政のもとにおいて、あとう限りの減税を行ないながら、税負担の合理化、均衡化を進めてまいりましたが、今後においても、税制調査会の長期税制に関する中間答申の内容の趣旨に沿って、地方税源の充実をはかるとともに、地方財政の状況を考慮しつつ、住民税をはじめとする地方税負担の一そうの合理化と均衡化をはかってまいりたいと存じます。
 さらに、消防行政につきましては、火災及び火災による死傷者の増加する傾向にかんがみ、消防力の充実強化を一そう積極的に進める必要を痛感するのであります。そのため、消防の常備化と広域化の施策を推進するとともに、消防財源を充実して、消防施設の増強をはかってまいる所存であります。特に最近の経済の成長と生活環境の変化とを反映して、危険物及びプロパンガスによる災害が続発しており、また、超高層ビル、地下街等が増加しておりますので、これらに対し、防災上必要な措置を講ずるとともだ、最近の交通事故等の激増している状況に対処するため、救急業務実施市町村の範囲を拡大するなど、全国的な救急体制の整備に力を入れてまいりたいと考えております。なお、これらの施策と並行して消防職員及び団員の教養訓練と処遇の改善についても引き続き努力してまいりたいと存じます。
 次に、国家公安委員長としましての私の所信を申し述べたいと存じます。
 私は、治安の確保は、国家、社会の平和と進歩の基盤であると考えるのでありまして、この意味におきましても、新しい任務につきましての責任の重大さを痛感いたしているのであります。
 最近の相次ぐ羽田事件のような、一部学生による集団暴力事犯の発生は、民主主義を基本とするわが国の発展に重大な支障を及ぼすものとして、まことに憂慮にたえないところであります。私は、この問題の解決は、基本的には文教当局、大学当局の努力にまつべきものと考えるものでありますが、警察としても、治安維持の立場からどのような事態にも適確に対処し得るよう、体制の整備をはかってまいる所存であります。
 次に、御承知のように、わが国の社会経済は、人口の都市集中、国民生活の高度化など、急速に変容しつつありまして、これに伴って治安情勢もまた変容しつつあるのであります。したがいまして、これら時代の進展に即して治安の確保に遺憾なきを期するよう、外勤警察の再編成、広域捜査体制の確立などの方策を積極的に推進してまいる所存であります。
 次に、交通事故は、このまま推移すると、本年中の交通事故による死傷者は六十万人をこえることが予想されるという憂慮にたえない情勢にあります。警察といたしましては、このような状況に対処するため、関係省庁と連絡を密にして総合的対策の推進につとめるとともに、交通安全施設の整備、交通安全思想の普及、運転者対策の推進、交通暴力の排除の徹底、雇用者の安全運転に関する責任体制の確立などの施策を、特に歩行者保護の観点から強力に推進いたす考えであります。
 なお、前国会で御審議いただきました道路交通法の一部を改正する法律によって創設されました交通反則通告制度につきましては、これが適正かつ円滑に実施できるよう、諸般の準備措置を講じますとともに、交通取り締まりの適正化につきましても、格段の留意をしてまいる所存であります。
 組織暴力の取り締まりにつきましては、これまで徹底した取り締まりを重ね、相当の成果を見ていると存ずるのでありますが、さらに、国民各層の御協力を得まして、一そう強力な取り締まりを継続して、その根絶をはかってまいる所存であります。
 また、少年非行は、量的にも質的にも依然として楽観を許さない状況にありまして、わが国の将来に思いをいたすとき、特に重視する必要があると考えております。私は、関係各機関と協力を密にし、補導活動、保護活動の強化、有害な社会環境の浄化に努力してまいりたい所存であります。
 以上、所管行政の当面の諸問題について所信を申し上げたのでありますが、委員各位の格段の御協力によりまして、その実をあげることができますよう、一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(仲原善一君) 次に、昭和四十二年度分の地方交付税の単位費用の特例に関する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。赤澤自治大臣。
#11
○国務大臣(赤澤正道君) ただいま議題となりました昭和四十二年度分の地方交付税の単位費用の特例に関する法律案について、その提案理由と内容の要旨を御説明申し上げます。
 今回、政府におきましては、人事院の勧告に基づき、本年八月一日から国家公務員の給与改定を実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員の給与改定を実施する場合における所要一般財源については、物件費等の節約を考慮の上、基準財政需要額の算定を通じて措置することといたしたいのであります。
 これとともに、去る第五十五回国会において成立した「通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法」の施行に伴い、地方団体において、本年度及び明年度にわたり、通学路にかかる交通安全施設の整備等の事業を緊急に行なう必要があるのでありますが、これに必要な本年度分の財源を、同じく基準財政需要額に算入することにより、同事業の円滑な実施を期することといたしたいのであります。
 なお、本年度においては、地方税収入についても相当の増収が見込まれ、その一部が普通交付税の再算定に際し基準財政収入額に算入される結果、再算定後の地方交付税の所要額は、予算補正後の国税三税の総額に対応する地方交付税の額を約二百億円下回ることになるものと見込まれますので、この際、昭和三十九年度及び昭和四十年度において給与改定の実施に要する経費の財源措置を講ずるため交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れた借り入れ金の未償還額三百億円のうち、二百億円を本年度に繰り上げて償還することとし、別途予算上の措置をいたしておる次第であります。
 その他、財源不足額の再算定に関連して、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律に基づく第一種交付金の算定方法に関する所要の特例規定を設けることといたしております。
 以上が、昭和四十二年度分の地方交付税の単位費用の特例に関する法律案の提案理由及びその内容の要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#12
○委員長(仲原善一君) 本案に対する審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
  午前十時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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