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1967/12/19 第57回国会 参議院 参議院会議録情報 第057回国会 商工委員会 第3号
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1967/12/19 第57回国会 参議院

参議院会議録情報 第057回国会 商工委員会 第3号

#1
第057回国会 商工委員会 第3号
昭和四十二年十二月十九日(火曜日)
   午前十時四十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿島 俊雄君
    理 事
                井川 伊平君
                近藤英一郎君
                柳田桃太郎君
                阿部 竹松君
    委 員
                上原 正吉君
                重政 庸徳君
                津島 文治君
                廣瀬 久忠君
                宮崎 正雄君
                横井 太郎君
                小柳  勇君
                近藤 信一君
                竹田 現照君
                椿  繁夫君
                矢追 秀彦君
   国務大臣
       通商産業大臣   椎名悦三郎君
   政府委員
       通商産業大臣官
       房長       大慈彌嘉久君
       通商産業省通商
       局長       宮沢 鉄蔵君
       中小企業庁長官  乙竹 虔三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局参事官   竹内 直一君
       大蔵大臣官房財
       務調査官     田代 一正君
       水産庁漁政部長  岩本 道夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (中小企業の倒産及び年末融資に関する件)
 (こんぶの輸入に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 この際、通商産業大臣からごあいさつのため発言を求められておりますので、これを許します。椎名通商産業大臣。
#3
○国務大臣(椎名悦三郎君) このたび私は通商産業大臣に就任いたしましたが、この機会に所信の一端を申し述べたいと存じます。
 御承知のとおりわが国経済につきましては、内外ともに現在難問が山積しております。国際的には資本自由化問題、発展途上国、特恵関税問題等、そのいずれもがわが国の将来を決定する重大問題でありますが、つい最近は、さらに英国のポンド切り下げに伴う一連の国際経済情勢の変化が起こっております。国内的には労働力不足の深刻化、物価上界の傾向、公害や都市過密問題等、その根本的解決を迫られている問題が多々あります。このような時期における通商産業政策は、新しい時代の要請にこたえるよう新しいくふうをこらしたものでなければなりません。私は、以下の諸点を今後の通商産業政策の重点として、その実現に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 まず第一は、産業構造改善施策の積極的な推進であります。本格的な開放経済体制を迎えたわが国の産業といたしましては、その国際競争力を一そう強化していくことが大切であります。そのためには、個々の企業の体質強化だけでなく、産業全体の構造を改善していくことが従来にもまして肝要であります。その実現のため、私は格段の努力をいたす所存でございます。
 第二には、中小企業対策の拡充であります。対外的には発展途上国からの激しい追い上げがあり、国内的には労働力需給の逼迫等の課題をかかえるわが国中小企業の健全な発展をはかりますことは、わが国経済の今後の均衡ある発展のために不可欠であります。私は、そのために必要な万般の施策を講じてまいりたいと思います。
 第三は、技術開発力の培養であります。本格的な開放経済体制のもとにおいて、産業の国際競争力の真の基礎をなすものは、独創的な技術であるとの観点に立ちまして、国産技術を積極的に振興する施策を講じてまいる所存であります。
 第四は、輸出の振興であります。あらためて申し述べるまでもなく、一そうきびしさを増している国際経済環境のもとで、官民あげて輸出の振興をはかることが現在ほど強く要請されているときはいまだかってなかったと思います。したがいまして、輸出の振興のためには可能な限りの手段を講じてまいる決意であります。
 第五は、国民生活に密着する産業行政の展開であります。産業の発展と国民福祉の調和をはかる観点から、産業の発展に伴って生じます各種の弊害を除去し、国民の生活環境の改善をはかるため、公害の防止、産業立地の適正化等についての諸施策を講じてまいりたいと思います。また、消費者の利益を保護するため物価安定策を中心とした消費者保護行政を強力に推進してまいる所存であります。
 最後に、昭和四十五年に大阪において開催されます日本万国博覧会は、アジアで開催される初めての万国博覧会でもあり、その意義ははかり知れないものがあると考えられますので、その準備には万全を期する所存でございます。
 私は、以上のような諸施策を通じて、全力を傾けてわが国経済の安定的発展をはかっていく覚悟でございますので、今後とも一そうの御協力をお願いいたす次第であります。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、中小企業の倒産及び年末融資に関する件並びにコンブの輸入に関する件の両件に関し、これより順次調査を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○小柳勇君 中小企業の倒産問題について、先般予算委員会で質問しましたが、時間が足りませんもので長官にまでいきませんでしたが、同僚議員があとはやられますから、私は二、三点、この前質問できなかった問題だけを質問したいと思いますが、一つは中小企業の倒産がひどいことは御存じのとおりです。十一月で九百四十六件、私どもの調べでは、いままで、去年ことしの中で一番多い情勢、なおまた窓口規制がひどくなりまして、十二月、一月相当倒産が出る予想であります。そこで、私が通産大臣に対策を質問いたしました。現在通産省並びに中小企業庁でやっておられる施策は十分承知いたしております。たとえば銀行の融資のワクを拡大するとか、政府金融機関に金をふやしたという実績は知っています。知った上で質問をしているのですが、これは銀行までは通知がいきますが、銀行からあとの中小企業自体になかなかよくわかってない、通達ももちろん来ませんし、新聞などに出ますけれども、そういう人は忙しいから十分新聞も読まぬわけです。銀行にどのくらいいっているのか、年末にどのくらいの金のワクが出たのかわからぬわけですね。そういう具体的に市中銀行なり政府金融機関から中小企業までの間のPRなり周知徹底方なり、もっと手軽に金が借りられるにはどうしますかと大臣に質問しましたところがか、け込み訴えすればいいんだ、中小企業の皆さんがかけ込み訴えしないから、なかなか金が借りられぬのだという答弁をされたわけです。それだけでは答弁にならぬのですね、実際は。それで、その市中銀行なりあるいは政府の三金融機関から各中小企業に対してはどういうふうな周知徹底方をしておられるか、もちろん申し込み数が多いし、金が少ないから、もうくじを引くようなものです。しかし、いま貸してもらえば立ち直る企業もたくさんあるかもしれない、その時点で。そういうものを選別し、優先をつけて貸さなければならぬ。ただ担保能力がいいからとか信用保証協会の保証能力があるからということで、そのかたい一方でやられては、目の前で倒れていくわけですよ。そういうものをどういうふうに考えておられるか、具体的に御説明願いたいと思います。
#6
○政府委員(乙竹虔三君) ただいま御指摘のように、上からの手はいろいろとったわけでございまするが、それが個々の中小業者に周知徹底と申しますか、どうしたらわかってもらえるかという点、これは非常に実は中小企業行政の中で一番むずかしい問題でございます。さしあたり一番金が困って金の借りたい人というのは、これは普通取引先があるわけでございますので、中小企業というと第一は地方銀行とかそれから相互銀行、信用金庫等、取引先へ行って融資の要請をするわけでございます。この辺のいわゆる中小企業専門金融機関に対しましては、日銀及び大蔵省筋に私たちから頼みまして、特に中小企業に対する年末融資について配慮してくれるように、特に金融を引き締めた場合に、従来どおりのシェアと申しますか、中小企業向けのシェアを確保してもらうようにということは、中小企業庁から大蔵省及び日銀に要請いたしまして、これは最高責任者に要請をいたしまして、その責任ある筋からおのおのの地方銀行、特に中小企業の世話をする金融機関の窓口には、いっているはずでございます。これがまあ一つでございます。
 それから大臣がかけ込めというお話をいたしたのでございますが、かけ込んだ人だけを救うということは決してこれは制度としてはいい制度ではございません。やはり一つの組織をつくる必要があるということで、通産局別に金融相談と申しますか、特に非常の場合の相談をするような窓口を実は置いております。これは臨時中小企業不況対策相談室というやつでございますが、この室を各通産局別に置きまして金融のあっせん等をやらしているわけでございます。さらに御承知のように零細筋につきましては、商工会、それから商工会におります経営指導員、これが手足になるわけでございますけれども、この辺に対しましても十分指導いたすように、手は打ってあるわけでございます。いずれにせよ、こういうふうに手は打っておりますものの、先生御指摘のように、何しろ非常に数が多い中小企業者でございますので、いま御指摘の点、非常に私たち難渋しているわけでごいざますが、一生懸命やってまいりたいと思っておる次第でございます。
#7
○小柳勇君 とっぴな質問ですけれども、私も勉強不足ですが、政府関係三金融機関で、貸し倒れとか焦げつきなどについては、どのくらい見ているのですかね。
#8
○政府委員(乙竹虔三君) ちょっといま数字を――至急調べております。
#9
○小柳勇君 もちろん政府の金ですから完全に返済してもらわなければならぬが、その信用担保能力だけ強力に主張しますと、目の前で倒れていくわけです。その選別は、出先機関でやりますから、その点非常にたいへんだと思いますけれども、いまの実態というものは、これは政府の政策の失敗ですよ。たとえば中小企業が倒れる、それはこの間日銀総裁も言われましたけれども、窓口で規制を強化する、九月にやってまたでしょう。十二月にやるでしょう。中小企業が倒れぬように十分配慮しますと言うけれども、日銀総裁は、もちろんやるときはその考えでやるでしょう。実際は、締めますけれどもすぐあらわれませんね。そういたしますと、市中銀行の締めるのは早いですから、そのあとのことを考えないでやる。窓口を締めるのはなぜか。国際収支をよくしなければならない、設備投資をしなきゃならぬという国の政策です。いわゆる財政運営で景気調整したい。その犠牲になるんですからね中小企業は。その犠牲を個人に対してしわ寄せするのはどうであろうか。財政運営によって景気調整をやる。もちろんそれは一つの任務がありますから、財政の任務があるから、それをやるなとは言いませんがね。言いませんが、そのために中小企業が倒れる。個人の場合でも、大きい虫を生かすために小さい虫を殺すといった場面もある。あるいはこれは緊急の場合やむを得ないかもしれません。だから一つの事業を生かすために多数の事業が犠牲にならなきゃならぬ場合もあるかもしれぬ。そういうことを考えますと、もう目の前に中小企業が倒れるときに、いわゆる担保能力とか信用保証協会の保証能力を優先的に考えたら、倒れてしまう。それがいまの実情じゃないかと思う。また、いまの財政硬直化の打開の道を、いま窓口規制などでやろうとしている。おそらくまた今度はポンドの再切り下げをやりましょうけれども、日銀総裁きのう言明されませんでしたけれども、すぐにまた公定歩合の引き上げをやるんじゃないか。そういうことを考えますと、ますます金詰まりですね、中小企業の金詰まり。そのことを考えて、いま貸し倒れとか、焦げつきのことを調べておるのでありますけれども、この際は、大胆に中小企業にしわ寄せをしないように、通産省で対策を考えなきゃならぬと思うが、これは大臣にも聞きますけれども、長官の決意を聞いておきたいと思います。
#10
○政府委員(乙竹虔三君) 引き締めが中小企業者の倒産の直接の契機になるということは、遺憾ながらこれはどうも否定できない事実だと思います。ただ問題は、私たち一審考えなきゃいけませんのは、従来非常に体質の弱っておった中小企業者が、引き締めを契機にして倒れるという場合が非常に多いのでありまして、したがいまして、これはもう急なことでは間に合いませんけれども、やはり金融の引き締めを契機として倒れるわけでございますから、根本的には体質改善をいたさなければならないという努力を常々しておるわけでございます。さらに、倒れそうになったものを、われわれ始終そういうふうな直接的な事例がございますと、金融機関に対しまして、ひとつこのことにもう一回だけ見てくれというような要請をするわけでございますが、金融機関といたしましても、基本的な企業の立て直りの体質改善策が伴いませんと、もうめんどうは見切れない。私たちは預金者を裏に控えおりますからと、こういうふうなことになるわけでございまして、中小企業庁として、やはり体質改善策を常に考えなきゃいけないと思って努力をいたしておるわけでございます。したがいまして、さしあたっての問題といたしまして、この金融の引き締めの結果倒れる。引き締めなければ、私が最初申し上げました体質改善策が功を奏してきて、立ち直るかもしれないのに、金融引き締めの結果倒れるということは極力避けなければならないと思います。いま先生御指摘のように、今回の引き締めは、いわば国民経済が少し勢いがよ過ぎたという結果の引き締めでございまして、中小企業者、確かにおっしゃるように責任がないわけでございますので、これに対するしわ寄せは極力避けねばならないということで、引き締めに入りますときに、総理大臣から、特に日銀総裁、大蔵大臣にもお話があったようでありますけれども、私たち末端の責任者といたしましても、できるだけのことをしておるわけでございます。具体的には、先ほど申し上げましたように、大蔵、日銀当局に対しまして、特に中小企業向けの金融のしわ寄せが、今回の引き締めによって行なわれないようにというために、単にこれは、何と申しますか、精神的な要請をするだけではございませんので、具体的な数字としてたとえば一兆六百億の貸し出しの市中のワクがございますが、この実行を確保してもらうというふうな点でございますとか、それからいままで中小企業と大企業との貸し出しのシェア、これを変えないように要請をするとか、そういうふうな具体的な数字も要請しておるような次第でございます。
#11
○小柳勇君 日銀総裁もいま長官が言われたようなことを言われて、私もそれは気になっているんですよ。もう少し時間があればその問題だけでも追及したかったのですが、できませんので……。それは窓口規制する、金融引き締めする前に、もう倒れかかっていたのだと。窓口規制したから倒れたのじゃないのだということを言われた、日銀総裁は。これはもってのほかだと思いました。日銀総裁は現実を言われたかもしれません。いま長官の中にもちょっとそういうおことばがありましたけれども、ちょっと引っかかりますけれど、そのことが私は中小企業の全部が全部責任じゃないと思います。たとえば、中小企業振興事業団つくりましたけれども、じゃ、指導員何名ふえましたか。ふえていない。県の職員だって市の職員だってそこまで手を伸ばし得ないんですね。中小企業が倒れかかっているから何とかしようと、通産大臣はかけ込みなさいと言っておるが、かけ込んだって指導員行けますか、行けないんですよ。商工会議所だって指導員一人か二人おりますけれども、かけ込んだってすぐ指導できますか、できないんですよ。あの事業団できましたときに、私はそれ確かめました。何人いますか。全国に三十人かそこらしかふえていない。一県に一人か二人でしょう。だから、国会の中ではきれいなことば、文章の中ではいいことばは出ますけれども、もうそういうものを中小企業者は相手にしていないんですよ。そうして実際は大福帳で、帳簿のつけ方も知らないような経営をしている。最近私のほうでも少しそういうことを党のほうでめんどう見まして、実態を見まして実際驚いております。一年間ずっとめんどう見ましたら、信用しまして、金の問題、帳簿の問題一切まかせまして相談されておりますが、そういうものを一体指導できますか。私の言うのはそういうことですよ。大企業にはたくさん有能な人がいます。ところが中小企業はばらばらです。帳簿のつけ方もよく知らない。税務署が来ると、それごまかすことだけ一生懸命考えている。そういうものにどうするかということですね。したがって、金貸すこともいい、金融のワクを広げることも大事ですけれども、こういう時期に、もっとそういう点も強化していかなければ、金貸すだけでは倒産を防ぐことはできぬのではないかと思いますが、実際金の問題はあとでまたこれはやりますけれども、そういう指導面はどう考えておりますか。
#12
○政府委員(乙竹虔三君) 私先ほど少しもたもた申し上げましたけれども、金融引き締めで倒れるのは、もとの病根といいますか、弱いところがあるので、その弱いところを立て直すということが必要であり、それをまあ一生懸命やっておりますということを申し上げましたのは、いま先生御指摘のようなことを努力をしていると、こういう実は意味でございます。ただ何しろ中小企業者、いまおそらく四百万こすと、こういうふうな数でございます。で、経営指導員もこれは四千四百人ちょっとということでございまして、とても手が回らぬということでございますが、しかし私たちとしては回らぬままでも、とにかく経営指導員――商工会制度ないし商工会議所による経営指導員の制度でありまするとか、振興事業団の制度でございますとか、さらに都道府県を使います制度でございますとか、こういうものをフルにいま使っていくよりしようがない。特に私たちそう思いますのは、問題が先生御指摘のように、その企業の持っている体質の問題をどうしても手を触れていかなければいけないわけでございますから、そうなりますと、これは中小企業庁ないしこの系統だけで手を出そうとしてもなかなか手が回らない。おのおのの業種所管の官庁があるわけでありまして、いま倒産で一番大きいのは、これは御承知のとおり建設業であります、数が多いのは。それからその次に商業の中でも多いのはたとえば繊維でございます。こうなりますと、中小企業庁が一人で一生懸命になってもなかなか手が回りませんので、やっぱり建設省と繊維雑貨局が全面的に乗り出すという必要が十二分にあるわけでございまして、そういう面にも実は着目をいたしまして、各省との連絡を特に強化し、各省一斉にそういう面について努力をしようということで、いま相談をしておる次第でございます。
#13
○小柳勇君 私だけ長い時間をとるわけにまいりませんが、提案ですけれども、いまの指導の問題で、役人なり優秀な経営指導者をすぐ増員するわけにはまいらぬでしょうが、年末年始などは、たとえば商学部の学生などもたくさんおりますから、たとえば、皆さんの中の経費を若干さいて、一ぺんに十人とか二十人とか大学の学生とかを、緊急にそういうふうな――たとえば建設業界には協会がありますから、あるいは小売り商あるいは鮮魚商組合などがありますから――その組合に行きますと大体その地域の実態がわかるんですよ。三十名なり二十名なりのバイトでもいいから、短期間要員を雇って、そうしてぐるぐるっとその地域――県なら県、市なら市をぐるっと回るような緊急対策などというものは考えられないものでしょうか。
#14
○政府委員(乙竹虔三君) 実は各省から原局を動員してと申しましたのは、原局の傘下におります業種別の団体を動員していこう、こういう着想も入っておるわけでございまして、いま先生御指摘のような、いろいろなつまり業種別の団体を大いに活用して、そこでやっていくという手があるのではなかろうかというので勉強も始めたわけであります。先生のお話もひとつ勉強させていただきたいと思います。
#15
○阿部竹松君 関連して。大臣がおいでになるまで、小柳委員の質問に関連しまして一、二お尋ねしておきたいわけですが、いつも論議されることですが、中小企業の問題で長官においでを願って論議するときは、いつも指導の問題とお金の問題ですね。しかし指導の問題についても、いま小柳委員が発言されておるように、なかなか上意下達というか、ここで論議されたことが実際下に徹底されていないといううらみもありましょうが、それとあわせて、中身の問題、それから金の問題。一つは中小企業が膨大でありまして、世界で一、二といわれるくらい中小企業はあるわけですから、長官も通産省もなかなかたいへんだと思うわけですが、現在のような中小企業のあり方では、単に少しぐらいの金を出してあげたところで、これから中小企業を発展させて、大手と対抗していくというようなことにはなりませんね。ですから、多くの現地を見たわけではないのですから、何カ所か見て発言するわけですから、的確かどうかは別として、私は私なりに、しろうと考えですが、たとえば乙竹商店とか、阿部商店とか、近畿でも中京でも、ここでも同じですけれどもたくさんあるわけですね。そのたくさんあるのが、共同行為によって仕事をなさったらどうかと思うわけです。たとえば前回おじゃまして見せていただいた和歌山県などへ行って参ってみますと、みんな二、三百坪の土地を持っている。これは全部個々の商店の土地で、たとえばこの土地を売って一つのものに結集すれば、その土地代金だけでも何億の資本がとにかくできあがるわけですね。ですから、これは戦時中の国家総動員法のような法律をつくることはとうていできないし、やるべきではないと思いますけれども、何とか国で金を出す場合には、ABCD全部貸さなければこれはなかなかいかぬわけですし、そうすると総花式になってしまうというようなことがございますので、やはり何とか三の力を一にする、したがって三以上の力が発掘できる、五のものを二にする、こういうような方法で、そこに国が金をつぎ込むような方法がないものだろうか。しろうとですから、常にそういうことを考えるのです。こういうことをひとつ指導していただけないものか。あるいは、中小企業に地方自治体を通じて無利子の金を貸すわけですから、その場合にこういうシステムにしなければ金を貸しませんぞというくらいの国の指導に力を持たせてはいかがなものだろうか、こういうのが第一点。
 それからいま一つ、現在のままでいるのであれば――本年度の予算要求を見せていただきましたが、これは大蔵省の査定でどうなるかわかりません。しかし、現在の通産省のあなたのところの原案では、技術の更新とか価格ですね、そういうほうに非常に力を入れた予算要求のつけ方である。これはもっとものようですが、一方、中小企業の現地を歩いて見てみますと――いま三百万といわれておりますね。三百万が地方の自治体を通じて中小企業に融資されておる。三百万借りてもなかなか思うようにいかない。前回も、菅野さんの通産大臣のときだったと記憶しておりますが、申し上げたのです。この三百万のワクを何とか――機械を一基買っても七百万、八百万かかるのですから、七百万、八百万というように――まあ三百万からいきなりこんなに窓口を広げることができるかどうかは、国全体のことですから疑問ですが、三百万では仏つくって魂入れずというような感がするわけです。菅野さんは、当然のこととして毎回のように善処するという発言をされておりましたが、菅野さんはおかわりになった。これは椎名さんがおいでになってからお話をすればよかったわけですが、実務はあなたがやられるので、こういう点、何とかならぬものかというように考えるのですが、まずこの二点はいかがでしょうかね。
#16
○政府委員(乙竹虔三君) 阿部委員御指摘の第一点でございまするが、もうまことにごもっともでございまして、個々の中小業者が個々では非常に力が足らない。で、自分がだんだん大きくなっていく、そうして大資本に対抗し、開放経済の中で生き抜いていくというのに時間が間に合わないという場合には、先生御指摘のように力を合わせていく以外に手がないと思うわけでございます。そういうことを着想の基本にいたしまして、合理化資金特別会計を発展的に解消して振興事業団にというようなことで、振興事業団で、いま先生御指摘のような小のほうでございますと、たとえば卸し売りの団地でございますとか、それから商店街でございますとか、こういうような、力を合わせた人に対して国及び府県が共同して六割以上の金を御用立てします。こういうような制度はできておるわけであります。各地に団地とか商店街等のいわゆる共同施設ができておるわけでありまして、中にはというか、相当程度は成功しておりますけれども、問題は、どういうふうにしてこの団地に集まったものが能率を上げ、一つのものとして有機的に力を出していくかということがポイントで大事だと思います。 (「簡単」と呼ぶ者あり)
 簡単に第二点をお答えします。第二点の三百万円でございまするが、これは特別な事由がありました場合には、通産局長または通産大臣が特に三百万円のワクをオーバーして貸すことができるというふうな制度になっております。
#17
○委員長(鹿島俊雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#18
○委員長(鹿島俊雄君) 速記をつけて。
#19
○小柳勇君 先般の予算委員会のあれで時間が足らぬもので、不備な点を質問しますが、中小企業倒産がひどいことは御存じのとおりです。中小企業の対策、銀行から金融のワクを広げられたことも知っています。で、どうしたらいいかと質問したら、大臣はかけ込んでくればいいんじゃ、そういう話をされたが、末端の中小企業者は、生きるために精一ぱいですね。そしてその金融のワクが広がったことも十分承知していないし、第一、担保とか信用保証というようなものが頭にきまして、そこまでいかぬわけです。そこで、もう少し具体的に言いますと、貸し倒れなども若干は考えながら、具体的にもっと施策をしなければ、もういま倒れていく。それは政府の責任です。いまの財政硬直化の問題もありますし、窓口規制をやりまして、そして国際収支をよくしよう、景気過熱を押えようとする犠牲を中小企業は負っているんですから、もう少し政府も犠牲を背負って具体的に中小企業をもっと救っていかなければならない。あるいはもう窓口規制する前に倒れかかっている。こういうことでは説明がつかぬわけです。この間の大臣の答弁に沿って、中小企業の倒産が目の前にこんなにたくさんありますのをどうするか。金融のワクと今後の指導体制など、大臣の決意を聞きたいと思うのです。
#20
○国務大臣(椎名悦三郎君) もう少し早く手を打てば倒産しないで済むという場合がかなりあるようでございます。構造的にどうしても体質改善をして近代化というものをやらなければいかぬ。これはどうも急には間に合いません。ですから、それはそれで進めることにして、そうじゃなく当座の問題で、ついいろいろな手元のことに追われて、そういう対策を十分に講ずべく――それそれの機関に響かないという場合が相当あるように思いますから――地方通産局の中に設けてある相談室にとにかく御本人がこられなくとも、しかるべき筋を通じてそれが伝われば、何とかその対策をして切り抜けることができるというチャンスを決して逃がさぬようにしたい、これがどうも焦眉の、当面の問題ではないかということで申し上げたわけでございます。それで、その状況いかんによっては三機関の資金なり、あるいはまた一般金融機関の引き当て金なりというものを、もっと何とかするということも、これは不可能な問題ではないと私は考えまするが、まだ十分に用意されてあるのでございますから、ただいますぐその方面の手当てをするという必要はないように思われます。結局、問題は、これと具体的な倒産に瀕しておる中小企業との間を結びつける。これがただいま緊急にやらなければならぬ手ではないか、かように考えておるわけでございます。
#21
○小柳勇君 細部の問題は、また専門的に各局長などから聞きます。
 もう一つの問題は、手形期間の短縮の問題です。これはおたくからも雪面が親会社には出ておるようですが、これも銀行ぐらいまでしかほんとうは書面がいっていないのではないかと思うが、下請会社が親会社から手形をもらいますと、手形の期間は業種によって、これこれでない、これこれにせよという通達でおたくは指導しておられます。その書面は見ました。ところが実際は不可能なんですよ。それで倒産する中小企業もたくさんあるわけですね。手形を持っておりながらそれが現金化されないために倒れる。したがって、この際重大な決意をしてこの通産省の通達を守らせなければ、中小企業を救済できないと思うのですよ。大臣は通達の内容を御存じであるかどうか。御存じであれば、これを親企業に守らせるために、通産省、中小企業庁は、各県ないし商工課などを指導して、あるいは銀行などを指導して、どうするか。具体的にひとつ大臣と長官から決意を聞いておきたい。
#22
○政府委員(乙竹虔三君) 先生御指摘のような通達を、全国公正取引委員長とそれから通商産業大臣連名をもちまして、親企業のおもなところ及び親企業の業者団体に見さしたわけでございます。中身につきましては、御指摘のように手形の標準期間を守らせるということと、それから必ず支払いをする場合に証書をもって契約をさせるということ、それから手形期間につきましては、ある期間以上には絶対なってはいかぬというような、一番大事な諸点につきまして通達を出しました。この通達の運用につきましては、立ち入り検査もすることができるということになっておりますので、立ち入り検査権を十分に活用いたしまして、中小企業の利益を守ってまいりたいと思っております。
#23
○小柳勇君 その点をもう少し公的に、中小企業の皆さんが知るようにするのが一つ、ところがそれを知っておっても、親企業にあんまり無理を言いますと注文せぬのです。出入り禁止になります。これを救済しなければならぬが、その具体策はどういうことをやるのですか。
#24
○政府委員(乙竹虔三君) 御指摘のように力関係が非常に違っております場合には、いくら公的に縛りましても、事実上それができない。むしろ目をくぐっていけば、なれ合いということで流されてしまうという非常に気の毒な例が多いわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、個々の大企業者と下請との関係には、立ち入り検査等で介入いたしますが、さらに、むしろその業種のやはり行儀として、業界でもってそういう行儀を直してもらうということで、業界の団体に対して通達を出し、業界の一つの行儀を直してもらうというふうなところからやっていくあたりで、なかなかこれはもうむずかしい問題だとは思っております。
#25
○小柳勇君 いまのその業界に対する通達はお出しになったのですか。
#26
○政府委員(乙竹虔三君) 出しております。
#27
○小柳勇君 そういうものは業界のほうではなかなか生きてこないんですよ。それをどうするかということで私ども頭を悩ましていますけれども、何かそれを生かす方法、泣き寝入りさせないで……。これこそかけ込みをやりましたらそれで終わりですね、その下請業者は。何か具体的な方法ございますか。もっともっと強固といいましょうか、具体的な救済の方法があるでしょうか。
#28
○政府委員(乙竹虔三君) 確かにいままでの手ではまだ十分ではないと思います。それ以上どうするかということでございますが、個々のやられております下請業者ですね、これを具体的に言えば、乙竹がやられているというと、乙竹がかけ込めないということでございますので、乙竹が属しております協同組合といいますか、業種別の組合がございますから、組合からも申し出るとかということまでも実はやっておるわけでございます。
#29
○小柳勇君 大臣、いま長官が言われましたお話聞いておりましたから、大臣の決意をお聞きしておきたいと思います。
#30
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私もまだこの職務につく前に、いろいろな大企業と下請の小さな会社との関係なんかについて聞くのですけれども、あらゆる策略を弄してとにかく期限を延ばす、こういうことのようでございます。そうして手形それ自身は九十日とか百二十目とかであるけれども、その手形をもらうために何かいろいろな審査をする期間を設けまして、そうして手形をつかむのにもう一カ月もあるいはそれ以上の間があるというようなことで、ずいぶん大企業は、どうしてこんなことをやっているのかしらと思うようなことをやっておるのでございまして、その点は、まことにどうも弱い者いじめということが現実に行なわれておる。それが相当ひどいいじめ方であるということを私も痛感しております。これをどうすれば防止できるかということにつきましては、これはあらゆる方法に訴える以外にないと私は考えますが、いま乙竹長官から申し上げたように、今度は業界のひとつ世論と申しますか、そういうものでこれに対抗するということも一つの策だと思いますが、しかし、お互いにまた同業種が一つのなわ張り根性を持っておって、そういう同業種なるがゆえに遷延するという場合もありますけれども、同業柿なるがゆえに共同の遷延ということが事実上行なわれにくいということもございましょうし、いろいろそういう点については、長官以下幹部の人たちとよく相談をして、きめのこまかいひとつ督励方法を考えてまいりたいと、こう考えております。
#31
○近藤信一君 私は、貿易問題について大臣に若干の質問を申し上げたいと思いますが、特にわが国の貿易環境というものは、英国のポンドの切り下げ、また米国の輸入制限、こういう非常にきびしい動きに対して、いろいろと対処していかなければならぬ、こういう状況のもとに、日本の貿易の拡大ということは、これは市場の多様化ということをまず考えていかなければならぬでなかろうかと思うのです。特にわが国は、米国との貿易に対しましては三割というものが依存されておるわけでございます。ところが、米国経済の変動がございますと、すぐこの変動が日本に直輸入されておる。これが日本の今日の貿易の現状ではないかというふうに私は思うのです。したがって、日本の経済の安定ということは非常にむずかしい。いわゆる発展性というものがあまりない。そこで、私はただアメリカの貿易だけに依存して日本の経済というものが安定できるというふうに考えませんので、ここで新しい貿易の道、すなわち共産圏の貿易の拡大というものをはかって、日本の経済を安定の方向へ持っていかなければならぬでなかろうかというふうにも私考えるのです。私は十一月の十三日から二十七日まで、いわゆる日本の中小企業貿易促進のためにソビエトに参りまして、ソビエト共産党の代表、それから政府の代表である貿易省の方々と会って、いろいろと貿易問題について私話してまいりました。そのときに、いろいろとソ連におけるところのいわゆる経済の発展、産業問題、こういうことをつぶさに私も調査してまいりました。ソビエトにおきましては、新五カ年計画というものを現在立てて実施中であります。そこで、鉱産物や海産物の資源というものは非常に豊富にある、こういうふうに私ども見てまいりました。そこで私としましては、わが国の貿易を拡大するために、ソ連としても非常な熱意を持っておるというふうに見てきたのです。そこで、ソ連といたしましては、日本から買いたいものが多くある。それは大臣も御承知のように、新五カ年計画による発展途上にあるソビエトでございますから、必要なプラントも多くある。しかし、日本においてソ連との貿易というものが非常に狭められておる。いわゆる日本の輸入というものは狭められておる。そこで、なかなかうまくいかない。このことはいろいろと国会でも問題になりまして、政府におきましても、十一月、いわゆる記者会見で、前の通産大臣である菅野さんが、対ソ貿易の拡大ということに対しては非常にこれは重要であるし必要であるということを力説されておられましたのですが、大臣は、いわゆる通産大臣としては二度目のつとめでございますし、また外務大臣も長らくやっておられましたので、経済外交についても私は深いものを持っておられると思うのですが、椎名通産大臣のまず私は所感を承っておきたいと思います。
#32
○国務大臣(椎名悦三郎君) 御指摘のとおり、ソ連をはじめとする対共産圏貿易は、まだまだ拡大の余地があると思います。これは一つ一つたんねんに努力してまいらなければ、これは一挙に拡大しようと思ってもなかなかむずかしいだろう。現にそのために、ソ連との貿易については、いろいろな業界から提案がされております。とかくこの共産圏の外貨保有高から見て、どうも苦しそうだと、だから物を売るためには、やはり共産圏から買わなければいかぬ。あるいは共産圏の資源開発に、日本の利益に合する限りにおいてはこれに協力して、そうして向こうの購買力をつけると同時に、こっちからいろいろな物を売り込んでいくという、そういう拡大方式を、どうもやはり考えざるを得ないということに落ちつくようでございます。で、対ソ連の関係においては、いま問題になっておりますのは、樺太の石油ガス、これの開発でございますが、だいぶ日本側もこれに対して興味を持って、相当の折衝段階まで進んでおりますが、最後の値段の点において折り合わないためにちょっと足踏み状態であるというのが現状でございますが、そのほかに、日本の木材資源も枯渇しておるのでありますから、沿海州はいわば無限というほど非常に膨大な森林資源がある、で、全面的開発はこれは容易じゃございませんけれども、その一部分でも開発に協力をして、そうして日本が木材の供給をそこに求める、こういう可能性についていろいろソ連側と話をして、まあ大綱については両者の意見に異存はない。で、今度は具体的にどういうふうにこれを進めるかということについて、ただいませっかく両者において研究を進めておる状況にあります。このほか四部シベリアの石油を。パイプラインによって日本海まで持ってくる問題であるとか、あるいはまた、ずっと北のほうにあります銅鉱山の開発等も一応話題にはなったわけでありますが、これはまだまださしあたりの実現の可能性というものはどうも発見できない。
 以上私の申し上げた樺太の天然ガス、森林開発、こういったようなことがいまさしあたりの問題になっておるわけでありまして、私はいずれもきわめて日本の経済に寄与する問題である、そしてこれが日ソ貿易拡大のために非常にものをいう力強い要素であると、こう考えております。
 そのほかにもいろいろあるとは思いまするが、私はあらゆる問題を取り上げて一つ一つこれを解決していくという姿勢をとりたいと、かように考えております。
#33
○近藤信一君 通産大臣の決意のほどはいまお伺いいたしましたが、ここ数年来の表を見てみますると、対米輸出に対しては、先ほど私が申しましたように、倍以上伸びておる。一九六二年から一九六六年までの統計を見ましても約倍以北輸出されておる、輸入もこれに従ってずっと伸びておる。ところがソ連貿易に対しての表を見てみますると、倍まではいっていない。このアンバランスもあるわけでございまするが、これはやはり向こうに輸出すればそれだけのものはまたこちらが買う、向こうから買えばそれだけのものをこちらからまた輸出できる。そこで、近年沿岸貿易は若干活発になってまいりましたけれども、一般貿易についてはまだなかなかうまくいってない。ところが、きょうの新聞を見ますると、繊維製品なんかでは、やはり来年度非常に明るいものがある、もう注文を、だいぶ向こうで契約をした、こういうふうなことも出ておるわけでございますし、やはりソ連は何といいましても膨大な土地を持っておりまして、また、将来シベリア開発をやろう、こういう意欲もございまして、それに対しては日本からもプラントを入れて何とか開発したい、こういうふうな望みもソ連側では持っておるようでございますが、その場合、やはり日本がある程度のものを買わなければ、向こうもシベリア開発するにいたしましても、日本から思うように買わないんじゃないか、こういうようなことが私心配になるわけでございます。いま大臣が言われましたサハリンの天然ガスの問題等につきましても着々と話し合いが進んでおるようでございまするけれども、やはりそうした観点から考えますると、もっと積極的な日ソ貿易というものをやっていかなければ、やはりヨーロッパあたりからも盛んにソ連側に働きかけておるわけでございまするから、将来、日本のいわゆる経済外交というものが立ちおくれていくというふうに私感ずるのですが、この点はどうですか。
#34
○国務大臣(椎名悦三郎君) あらゆる方面に新市場というものを開拓するにあらずんば、このただいまたどっておるカーブがスローダウンするおそれがある。これは容易でない問題でございます。でございますから、御指摘のとおり対ソ貿易は、あらゆる努力を傾注してこれに対する、こういうふうにいたしたいと思います。
#35
○近藤信一君 そこで私は若干具体的に問題に入っていきたいと思うのです。
 先般私が行きまして、いろいろ貿易問題を話しまして、その中で感じたことは、貿易というものはなぜ必要か、これはやはり経済の発展とそれからいろいろと友好の関係もございますし、また物価対策上からの問題もこれに見ることができると思うのです。いまわが国の物価というものはどんどん上がってきておる、これは大臣も御承知のとおりだと思うのです。きょうの新聞を見れば、またたばこの値上げというふうなことも出ておりますし、いま国民の願いというものは、何とか物価を安定さしてもらいたい、それが一つの大きな願いであろうと私は痛感するわけなんです。そこで最近特に高騰を続けておりまするところのコンブの問題について若干伺いたいと思うのです。
 現在コンブというものは、輸入割り当て品目となっておりまして、輸入は今日まで禁止されておるというふうに私聞いおりまするが、いかなる理由でこれが輸入されないのか、このことについて大臣何か理由がありますか。
#36
○国務大臣(椎名悦三郎君) 御承知のとおりこれは北海道、東北の沿岸が産地でございまして、それに従事しておるのはいずれも零細な漁民で、その漁民の保護と申しますか、そういう趣旨において割り当てについては相当の規制をしておるというのが現状でございます。
#37
○近藤信一君 理由は北海道の浴岸漁業の保護と、こういうことでございまするけれども、ただ、私はそれだけの理由で今日の高騰を続けておるコンブ、一体コンブはなぜそれだけ高騰を続けているかということを、まず原因を探求してみますると、やはり不足しておるからどうしても高くなっていくというふうに私聞いておりますし、不足分を補うということであれば、私は浴岸漁業の保護ということだけでなくして、不足分を補うということになれば、私は当然これは物価というものが安定していくというふうに考える。私が総理府の統計局の表を見ますると、コンブの値段というものがずっと三十七年から四十一年にかけて非常に高くなってきておる。そうしてこの高くなっておる表を見まして、ここに一つ不思議に思う点は、大阪と東京におけるところの小売り価格というものが約倍ぐらい違っておるわけなんですが、これはどういう結果で大阪が半分くらいで東京がその倍くらいの小売り価格になっておるのか、この点は経済企画庁だと思うのですが、一ぺんこの辺、明確な答弁を願いたいと思うのです。
#38
○説明員(岩本道夫君) 水産庁のほうからお答え申し上げます。
 コンブは特殊な商品でありまして、日本の国民が伝統的に好む嗜好品でございまして、生産地もただいま大臣から御答弁ございましたように、北海道、東北に片寄っております。同じ北海道でございましても、たとえば噴火湾とか、それから日本海道南地帯とか、あるいは日本海の北のほうとか、あるいは羅臼、根室の方面とか、場所によって生産されるコンブの品質が非常に違っておりまして、また流通、消費の形態も非常に複雑でございまして、加工もトロロコンブがあったり、つくだ煮があったり、いろいろな形態がございまして、値段の形成過程も千差万別でございますので、地区内に需給の問題、価格の問題、コンブをひっくるめて論議することができないいろいろむずかしい点があるわけでございます。ただいま御指摘の消費者価格が上がっておることは事実でございまして、東京と大阪で非常に値段の開きがあるという御指摘でございますが、その製品の需要の違いによっていろいろ価格の形成に差異がございまして、たとえばつくだ煮をとりますと、大阪に需要が集中いたしますために、東京と大阪ではかなり大阪のほうが高いという数字が出てまいりますが、逆に、トロロコンブになりますと、東京に需要が集中いたします結果、東京のほうが大阪に比べて四、五割方高いという数字が出ております。商品の種類と品質によって各地値段の差が出ておるのが現状でございます。
#39
○近藤信一君 いまの答弁ではどうも納得できませんが、産地が北のほうの北海道であって、本来ならば東京のほうが運賃からいえば安い関係なんです。それが大阪のほうが安い。この表を見ますると、三十七年度は百グラムの小売り価格というのが大阪では三十五円三十銭で、東京では七十六円、こうなっている。約倍なんです。それがだんだんと四十一年ごろになってその差は若干は縮まっておりまするけれども、四十二年の十一月でまだ約二十六円というもの大阪が安いわけなんで、私どもが聞いておりまするところによると、やはり大阪のほうが加工業者が多くある。特に大阪方面におけるところのコンブの不足というものはおびただしいものがある。そうすると、大阪のほうはほんとうは高くなっていかなければならぬのに、東京が三十何円も高いというのは、どうも私ども消費者としては納得ができかねるわけですが、この点はどうもいまの説明だけでは私納得ができませんし、また、一般消費物資とコンブとの種々の統計を見ますと、四十年を一〇〇といたしまして、いわゆる三十七年、三十八年、三十九年はずっとコンブの小売り価格というものが高い、一〇二%ぐらいをいっておる。ほかのほうは八八%ぐらい。そこで、四十一年になってコンブは若干下がってきておりまするけれども、四十二年になってまた上がってきておるというふうに私聞いておりまするけれども、これはどうですか。
#40
○説明員(岩本道夫君) 先ほどの東京と大阪の値段の格差の問題でございますが、数字で申し上げますと、たとえばつくだ煮をとりますと、昭和三十七年に東京では百グラム当たり十四円七十銭でありますが、大阪は二十円三十銭でございます。これが四十年になりますと、東京は二十円、大阪が二十五円六十銭ということになって、大阪のほうが高いわけでございますが、逆にトロロコンブになりますと、三十七年に東京で百グラム当たり七十六円、これが大阪では三十五円三十銭でございます。それから四十年には東京で八十五円六十銭、これが大阪では五十七円二十銭でございます。商品によって値段が大阪と東京と違っているわけでございますが、一般的に見まして、加工業者が大阪に集中していることは事実でございまして、大阪のほうに引っぱられるということは事実と思います。また、需給事情から価格がきまっていることも一般的にいえる点でございますが、コンブについて特殊な事情といたしまして、先ほど申し上げましたように、生産地における品質、銘柄の格差というものが価格に非常に影響をいたしまして、良質のコンブは高級品の原料になって高く売れる。それから低級なコンブになりますと、まあ大衆向けということで安く売れる。そこで生産地において同じ量がとれても、高級品がよけいとれるのと低級品がよけいとれるのとでは価段が全般的に違ってくるわけでございまして、需給も量だけではなしに、品質、銘柄を見て判断をしないといけないわけでございまして、そういう点で非常に需給と価格形成との関係がコンブの場合非常にやっかいでございます。御指摘のように、四十一年から四十二年にかけて一五、六%消費者価格が上がっていることは事実でございます。
#41
○近藤信一君 値段のことはその程度にいたしまして、先ほど大臣から言われましたように、北海道のコンブ採取業者、いわゆる沿岸の漁業、小漁業者の保護ということを言われましたけれども、それでは一般漁業なりまた産業と比較してどの程度違っているか、違いがあるから採取漁業の保護をしなければならぬたてまえになっているわけでございますが、その点はどうですか。
#42
○説明員(岩本道夫君) コンブの生産の形態は、大臣から御答弁がありましたように、沿岸の零細漁業者の生産になる商品でございまして、非常に沿岸漁民の依存度の高い産業でございます。北海道の昭和四十年の統計によりますと、道内で二万四千戸がこの漁業に従事しておりまして、四十数億円の生産をあげております。その沿岸漁業の中でコンブ漁業の占める割合は、各支庁によって非常に相異なっておりますが、高いところをとってみますと、たとえば日高支庁管内では沿岸漁業生産に占めるコンブ生産の割合が三六%に達しております。また、釧路では三三%、石狩では二一%、渡島、胆振では一九%、根室では一七%という割合でございまして、大体平均いたしまして二割程度道内で占めているわけでございます。また、一漁家当たりのコンブ収入を見ますと、根室管内では一漁家当たり六十七万三千円に達しております。釧路では六十四万九千円、日高では四十万九千円、胆振では二十二万円ということで、大体漁家二月当たりの収入と申しますと数十万円でござ
 いますが、根室の六十七万とか日高の四十万とか、沿岸漁業生産あるいは漁民の収入という点から見ますと、コンブに対する依存度がいかに高いかということがわかる数字であろうかと思います。
#43
○近藤信一君 零細漁業の保護保護ということを盛んに政府は言われるけれども、実際は零細漁業、いわゆる採取業者なんですけれども、その上に網元というものがあって、それが大かた掌握しておる、こういうふうに私聞いておるのですが、この点はどうですか。
#44
○説明員(岩本道夫君) 漁業にはいろんな生産形態がございまして、たとえば定置網漁業のように網元があって、網元に沿岸の漁民が労働者として使われて、いわば搾取をされるといったような形態の漁業もございますが、コンブはそれとは違いまして、漁業協同組合が共同漁業権を所有しまして、漁業法に基づいてその組合員は協同組合の持っている漁業権を各自行使をする、営む権利を与えられております。そういう形で一人前、自営の漁業者として協同組合の持っている漁業権を行使をしているという形に相なっておりまして、そういう定置漁業のような網元と網子の関係といったようなことはございません。一人前の自営の漁業でございます。
#45
○近藤信一君 聞くところによりますと、コンブ採取のための操業鑑札というものが付与されるわけなんですが、その鑑札を得るためには出漁日数というもの、九十日の実績というものが必要だそうでございます。九十日の実績がなければ交付されないというふうに私聞いておりまするが、それは事実ですか。
#46
○説明員(岩本道夫君) 水産業協同組合法の規定によりまして、漁業協同組合の正組合員たる資格を有する者は、九十日以上漁業に従事する者ということで、定款で定めることになっております。したがいまして、九十日以上漁業に従事するという条件が、漁業協同組合の正組合員として組合が持っております共同漁業権を行使する場合の一つの要件であろうかと思います。
#47
○近藤信一君 九十日の実績というものをつくるために、転廃業をしようとする人も無理して権利を何とか守っていきたい、こういうことで操業しておられるように私聞いておるのです。したがって、一人当たりの採藻量というものは減らす結果になってくる。転廃業したいと言っても、これは権利確保のために無理して九十日の実績をつくる。だからどうしてもこの金額が少なくなってくる、こういうふうに実際は動いていく。水産庁や北海道庁におきましても、沿岸漁業の構造改善の指道寺をしておられるようでございまするが、コンブについては一体どのようにやっておられるのか、また増幅計画はどうなっているのか。構造改善によって現有不足とされている量が満たされるかどうか。何か聞くところによりますると、養殖なんかもやっておられるようでございますけれども、この養殖は何かうまくいかなかったというふうに私聞くわけですが、これはどうですか。
#48
○説明員(岩本道夫君) ただいまの九十日出漁の話でございますが、コンブは沿岸漁業者の生活の依存度の高い商品でございますし、だれもがやりたいというわけでございまして、かりに他の収入があるとしても微々たるもので、コンブからの収入が非常に大きいということで、関係地域の漁民がみなこれに就労したいという希望を持っております。それで、組合員資格は九十日で線を引いておりますが、おっしゃるような事実がはたしてあるかどうか、私十分存じておりまませんし、また、疑問に思っております。
 それからコンブの生産の増強の問題でございますが、現在構造改善事業の一環といたしまして投石、岩礁爆破、あるいはつきいそ事業等につきまして国庫補助を行なっております。昭和三十七年から四十二年までの間に約四億円の補助を行なっております。四十二年度は約八千八百万円でございます。非常に北海道におきましても沿岸漁民の生活依存の高さから、この事業には非常な力を入れておる状態でございまして、道及び北海道漁連独自で国印補助とは別な経費を出して漁民に対する補助をしていこうという気がまえで臨んでおります。
 それから先生から御指摘ございましたコンブの養殖事業でございますが、過去数年北海道試験場を中心に、技術の開発が進みまして昨年から企業化の見通しが立っております。おそらく将来この養殖企業は相当な発展をするのではないかと見込まれております。この養殖事業推進のために道庁及び道漁連において単独の補助金を計上して本格的な生産増強に取り組もうという姿勢を示しております。また、生産地においてコンブの乾燥が非常に大事な問題でございますので、乾燥施設についてもその導入の助成を検討する段階に立ち至っております。現在コンブの生産は平年作で三万三千トンくらい、北海道が三万トン、それから東北の青森、岩手、宮城で三千トンくらいございます。これに対しまする需要は大阪の加工屋さんを中心にいたしまして約三方四、五千トンございますが、北海道のコンブの計画では、この養殖の近代化を中心にしまして、五年後で道内だけで三万六千トンくらいにしたい、内地もございますから四万トンをこえることになろうかと思います。一方、現在の加工需要が三万四、五千トンでございますから、伸びを見ましても四万トンちょっとということで、大体国内生産でもって需要を満たされるのじゃなかろうかという見通しを私どもとしては立てております。
#49
○近藤信一君 漁労日数は九十日で定款で押えておる、転廃業すれば実際コンブ採取業者というものは減ってくるわけなんで、そうすると一人当たりの収穫量というものがふえてくるわけですね。私はそういう指導が零細漁業の保護になるのじゃないかと思うのです。ただ、漁労日数の実績をとらなければならぬということで、無理して漁労している、これでは私は零細漁業の保護にはならぬ、こう思うんですが、その指導はどうですか。
#50
○説明員(岩本道夫君) 御指摘のように漁民一戸当たりの生産性を上げ、所得を上げますためには、漁民の数が減っていくということは望ましいことでございまして、沿岸漁業等振興法、過般法律として制定をしていただきまして、その精神にのっとって沿岸漁業構造改善事業を実施し、沿岸漁業の体質改善に取り組んでおるところでございまして、その取り組む基本精神は、先生のおっしゃるような考え方のとおりでございます。そういうふうな指導を水産庁もしております。ただ、漁業は先ほど申し上げましたように千差万別でございまして、特に協同組合の持っている共同漁業権につきましては、従来から漁民全部に平等にその漁場を利用させるという考え方が、徳川時代以来ずっと定着をしておりまして、にわかにこれを切りかえることは非常にむずかしいわけでございますが、御指摘の点よくわかりますので、従来からもそういうふうに指導をしておることでもあり、また、今後も新しい養殖技術が開発され、それが定着するということともにらみ合わせて、その方向に持っていきたいと考えております。
#51
○近藤信一君 趣旨はよくわかります。これは全部の連中に公平に採取をやらせるという、その趣旨はよくわかるのです。法律できまったから、それによってやるんだということでなく、やはりほんとうに当局で零細漁民を保護するということになれば、こうこうこういう方法もあるじゃないか。生産工場におきましても、いわゆる近代化の方向へいま向かっていろいろと努力しておる。これと同じように、ただ少ないものをみんなで分け合って、これはやっていくんだという意味だけでは、私は実際の保護にならぬと思うのですよ。これに間違いがあると思えば、やはり法改正を政府としては出して、そしてこれをいい方向へ指導するというのが私は政府の立場でなかろうかと思うのです。いま御答弁の中で、国内産だけで間に合うと思うと、こう言っておられまするけれども、間に合うものならば、私は加工業者等から政府に対して陳情が出ていないはずだと思うのです。不足しているから、四十一年も、四十二年も、加工業者から不足分を何とかひとつソ連コンブを輸入して補ってもらいたい、こういう陳情が出ておると思うのですが、どうですか、その点は。
#52
○説明員(岩本道夫君) 確かに陳情が出ておることは事実でございます。コンブの生産は零細な沿岸漁民の生産物でございまして、また海況等の影響も受けまして、非常に年変動の大きい産物でございまして、たしか私の記憶によりますれば、昭和三十七年、八年が豊作でございまして、九年、四十年と不作であったように記憶しております。本年は大体平年作がとれる、三万三千トンぐらいの平年作を確保できると思います。過去一、二年不作の年が続きましたために、加工業者の原料手当てが苦しいという事情、よくわかるわけでございます。しかし今後五年間北海道が非常にコンブの増歴に熱意を入れてやるという意欲を示しておりますので、かりに年変動がありましたとしても、五年といったような中期の期間をとってみれば、大体加工業者の需要は国内生産で満たされるんじゃないか、こういうふうに判断をいたしております。
#53
○近藤信一君 私どもといたしましては、余っているところへ輸入せよということじゃないんですね。陳情書にもありますように、不足しておるから高値を呼んでおる。これは物価対策上からいっても、もっと安くなるはずなんだけれども、不足して、どうも毎年笹年コンブが高くなっているから、何とか不足分だけでも輸入してもらいたい、こういうふうな私陳情だと思うのです。ないものを無理して何とか満たせ満たせといっても、それはから念仏になるので、それは実際に国民の要望に沿うことができないと私は思うのですが、その点はどうですか。あなたがあるあると言われても、実際はないんだから、少ない漁場でそこでみんなでやろうといったって、これは無理だと私は思うのですよ。
#54
○説明員(岩本道夫君) 御質問の御趣旨はよくわかりますが、ただいま申し上げましたように、沿岸漁民の依存度が非常に大きい産品でございますし、長期的には国内川産によって国内需要をまかなっていくということが沿岸漁業政策の基本であろうと思いますので、その方向に沿って、加工業者に御迷惑のかからないような努力を今後十分やっていきたいと考えております。
#55
○近藤信一君 次に、輸入割り当てにしておるところの理由として、北方領土問題を掲げておられますが、大日本水産会とソビエト連邦国民経済会議付属漁業国家委員会とのコンブ採取に関する協定というものがありまして、その第五条で、大日本水産会はソビエト側に対し、採取に従事する各漁船一隻につき二万二千円を支払う、こういうふうになっております。本来わが国の領土としてあるべきものであるとの見解をとるならば、金を支払う必要はないと思いますが、この点、政府の見解は不統一のように私は思うのですが、これはどうですか。
#56
○説明員(岩本道夫君) ただいま先生の御指摘の協定は、政府間協定でなく、民間とソビエト御当局との協定でございまして、その結果、採取権を認めていただくことの肩がわりに一万二千円を船一隻について米ドルで支払っておるわけでございますから、私どもは入漁料というような観念をとっておりました。あくまでもこの採取という事実行為の、まあ迷惑料といったような意味で一万二千円の支払いをしておるものと観念をしておるわけでございまして、ソビエトに漁業権を認めておるという考え方はごうもといっていないところでございます。
#57
○近藤信一君 これは民間協定だから政府は云々ということを言われまするけれども、民間協定といっても、それは政府に黙ってやるわけじゃないし、やはりそれを指導しておられるのは政府であろうと私は思うのですが、民間協定だから政府はこれは何も知らぬということでは、私はこれはうまくいかぬと思うのですが、その点どうですか。
#58
○説明員(岩本道夫君) この協定にこぎつけまするまでには、いろいろ経緯がございまして、発端は昭和三十二年の六月に、日本政府からソ連政府に対して、歯舞、色丹及び千島諸島の周辺、距岸十二海里の水域で、日本漁民の小規模な漁業及びコンブ採取を認めてもらいたいという申し出をしたわけでございますけれども、ソビエト側は、日本政府がいまなお平和条約を締結する用意を表明していないというような理由で、交渉を事実上拒否してまいったわけでございます。その後、この方面で日本漁船の拿捕問題がたくさん出てまいりまして、もめたわけでございますが、昭和三十七年にモスクワで行なわれました日ソ漁業交渉の際、コンブ問題にも触れまして、零細な日本漁民のため、特にコンブの採取を許可するよう、政府当局からもソ連政府に要請をした経緯がございます。その後ソビエト側からはそんなにコンブがほしいのであれば、採取をして輸出してもよいぞという申し入れが大日本水産会の会長あてにあったわけでございますが、当時、なくなられました高碕達之助氏が大日本水産会の会長をしておられまして、日本側は何もコンブを輸入したいという気持ちじゃないんだと、国内で需給は見合っていると、品物が足りないというわけではない、ただ沿岸漁民の窮状を訴えまして、沿岸漁民の窮状を救うために、その就労の場を確保したいという意味で漁場がほしいんだという回答をいたしまして、まあそれがわかっていた、だけましたのか、
  〔委員長退席、理事井川伊平君着席〕
その後、ただいま先生の御指摘のような協定にこぎつけたわけでございまして、この協定があるからといって、日本が領土権を放棄しているんだといったことはごうもないと私ども確信いたしております。
#59
○近藤信一君 そこで、私は領土問題をたてにして貿易をやらない、輸入をしないというようなことは全くおかしいこと、だと思うのですよ。
 もう一つの点は、わが国が固有の領土と主張しているところの南千島、この付近で取れるところのニシンやサケ、マス、これを輸入しているということでございますが、領土問題と貿易の問題は、私は別々に考えるべきだと思うのであります。輸入したいと言っている府社などでは、領土問題の対象とならない樺太産のものを輸入したいと言っているようでございますが、その場合は一体どのような方法をおとりになろうと考えておられますか。
#60
○説明員(岩本道夫君) サケ、マスやニシン等、一部を輸入していることは事実でございますが、それぞれサケ、マス漁業、ニシン漁業とコンブ漁業とは、業態を異にしておりまして、沿岸漁民の依存度も違っておりますので、一律に論ずることは妥当でないと思います。コンブの場合には、先ほど来何回も申し上げておるように、ごく零細な沿岸漁民の産物でありますので、特殊な考慮が必要だろうというふうに考えております。
 樺太からコンブを輸入してはどうかという問題でございますが、これも日本側としましては、先ほど申し上げましたように、沿岸漁民の就労の場を確保するというような児地から、もしそういう方向をとるならば、ソ連側において生産に必要な施設――倉庫とかコンブの干し場等――を提供してもらい、日本側からはコンブの採取に必要ないろいろな漁船とか道具類を提供し、あるいは乾燥機を提供し、日本から漁民が行って取ったものを入れるというような方向にしてもらいたいというような申し入れをソビエトにしたこともございますが、先方では国防上の理由があるとかで、なかなか御承認いただけないということで、そのままになっております。単純に輸入ということではなしに、そういう形で解決をすべきではなかろうかというように考えております。もちろんこれも歯舞、色丹と同じように、わが国の民間対先方の政府といったような交渉方式になるんではなかろうかと考えております。
#61
○近藤信一君 沿岸漁業、沿岸漁業と何回も繰り返して言われますが、私もこれを繰り返して言うように、それじゃコンブを採取しておる漁業者と沿岸漁業者全体の割合というものはどれくらいになるんですか。コンブを採取しておる漁業者の割合ですよ。
#62
○説明員(岩本道夫君) 先ほど申し上げましたように、北海道においてコンブ採取をしております漁家は二万四千戸でございます。北海道漁民の北海道におきまする漁家の総体が七、八万戸くらいだと記憶しておりますので、かなりウエートは高いと考えております。
#63
○近藤信一君 そういたしますと、私が何回も言うように、七、八万戸の全体の漁業者の中の二万四千戸くらいがコンブを採取しておられる。コンブの絶対量がないところで二万四千から五千の人がこのコンブ採取をどうしてもやっていかなければならぬ。このこと自体私はおかしいのじゃないかと思うのであります。ほかに転廃業したいという希望を持っておっても、権利確保のために九十日という漁労日数があるために、これはやむを得ずないところでとらなければならぬ、こういう結果が出てくるわけですよ。あなたがたが、沿岸漁民の保穫だ保護だと番われるけれども、こんなことをしておったら、いつまでたっても保護ができないじゃないですか。ないところでたくさんの漁民が寄ってたかって採取しようということになれば、決してこれは保護にならぬと思うのです。保護ということは、もっと自由に転廃業できても権利というものは一応認めていく、こういうことでなければ私は実際の保護ということにならぬ。もう一つ裏を返して考えますならば、二万何千戸の漁労の人たちが、現在よりよけい取ってはコンブが安くなるから、どうしてもないところで、みんなして現在のないやつを取り合っておるというふうな結果にもなってくるのじゃないか。やはり現在の値段を下げようというあれはないわけなんです。現在どんどんと高くなっていくから、それを押えるために足りない分を輸入したらどうか、こういうことを私は申し上げておるわけなんですから、その点をひとつ十分に考えていただきたいと思うのです。七万から八万戸のうちの二万戸というと大きな比率なんですね。二万四千、二五%の比率になってくる。それじゃ実際に従事しておるコンブ採取業者自身も私は困ると思うのですが、この点はどうですか。
#64
○説明員(岩本道夫君) コンブに従事しておる漁民の数が多過ぎはしないかという御指摘でございますが、確かにそういう傾向がございますので、構造改善事業の実施とからみまして、沿岸漁業の体質を改善し、なるべく漁民の数を減らして、一人当たりの生産性を上げていくという政策、方針はあくまで貫いていきたいと考えております。
  〔理事井川伊平君退席、委員長着席〕
したがいまして、そういう方向で漁民の転廃業についても、あたたかい指導を加えてまいりたいというふうに考えております。あくまでも漁民を沿岸漁業に縛りつけようという考え方はとらないつもりでございます。
#65
○近藤信一君 私は、いままでずっとお尋ねしておりました点から考えますると、やはり輸入を妨げるという理由は、私ははなはだ薄弱じゃないかと思うのです。ただ沿岸漁業の保護だということだけで、零細漁業の保護だという一点だけで、あなた方は答弁をしておられる。しかし、先ほど来私が言っておりますように、国民生活に非常に大きく響くこの値上がりというものを、それではどこで一体あなた方は押えていこうというように考えておられるのか。それをやりたいということで加工業者はあなたのほうへ、私の聞くところによると、二回ほど、昨年も今年も引き続いて陳情しておられるようでございますが、その陳情の内容等につきまして、あなた方は十分見られたのですか。そうしてその内容等をずっと一応あなた方検討されたことがあるのかどうか。検討されたとするならば、昨年も今年も、いわゆる陳情を繰り返しておられる多くの――ほとんど近畿方面すべての業界が陳情しておると思うのです。この点どうですか。
#66
○説明員(岩本道夫君) ソ連コンブの輸入について促進方の陳情は承っております。それに対処いたします道は、先ほど来るる申し上げておりまするように、国内の増産によって需要をカバーするという方向が基本であろうかと存じます。したがいまして、従来からも、投石、岩礁爆発、つきいそ事業等によりまして生産につとめてまいっておりますが、今後もこれらの事業を拡充いたしますとともに、新しくこの企業化が予想されております養殖事業につきましても、格段の推進をいたしまして国内生産を増設してまいりたいと考えております。特に北海道道庁の御当局及び道漁連におきましては、非常に力を入れてこのコンブの増産に取り組むという態勢を示しておりまして、国産補助とは別に独自の予算も計上しておるところでございますので、長期的に見ますと、計画増産の推進によってこの御心配は解消するであろうというふうに期待しております。
#67
○近藤信一君 コンブ取り扱い業者の状況を調査しまするというと、ずっと前からこれはもういろいろと運動しておられるのですね。昭和三十六年ごろからずっと引き続いてやっておられる。それによりますると、オボロ、トロロ用コンブのような上質のものは、ソ連産のコンブの輸入にまつ以外にはないと、こう言っております。消費のほうも、漁業、養殖業生産統計年報によりますと、これは年々減少しておる。加工品等の品質の低下というものも、これは需要減退ということになってまいりますし、また、水産庁におきまして増産のための施策を講じられても、消費者にきらわれ、見棄てられてからでは、これはむだになるという結果になる。それから労働力の効率的な活用――私は、先ほど言いましたように、やはりないものを大ぜいでやっているのじゃなくして、いわゆる低生産部門にこれをとどめておくことはないと思うのであります。もっと効率的な方法というものが私はあるのではないか、こういうふうに考えるのですが、もうこれ以外にあなたのほうでは考えというものはないと、こう言われるのですか。
#68
○説明員(岩本道夫君) 絶対にないということは言い過ぎでございますので、なお御指摘のような点、十分部内で検討いたして努力をしたいと考えますが、考え方の基本は、先ほど来たびたび申し上げておりますように、漁民の生産意欲が非常に強い、またその指導者も、道庁なり道漁連なりの、増産に対する意欲が相当強いということを評価いたしまして、国もそれに対して応分の援助をすることによって国内生産の増強、それから生産性の向上という点を貫いてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
#69
○近藤信一君 まああなたに幾ら私言っても、あなたとしてはあなたの責任以外に御答弁できないと思うので、これはまたの機会に大臣にでもお尋ねしなければならぬと思っておりますけれども、このコンブ加工業者の中には、高級品でいままで製造していたものを、だんだんと格下げしている。中級品、それから下級品に変えていく。これは原料高による経営の苦難を乗り切っていく一つの策だと私は考えておるのですが、コンブの問屋や、それから加工部門における近ごろの利益の動きといいますか、そういうものに対して、あなたのほうで何か調査をされたことがございますか。
#70
○説明員(岩本道夫君) 加工業者の経営の実情については、過去に一部調査をした経験もございますが、最近では一般的にはございません。過去につくだ煮という形で一部調査をしたのはございますが、コンブ全般についてやっておるのは、残念ながらございません。
#71
○近藤信一君 それはつくだ煮だけでは、あなた、コンブ全体の動向というものはわからぬじゃないですか。あなたが先ほどいろいろと答弁しておられるけれども、つくだ煮だけがコンブのあれじゃないからね。やはりコンブ全体の動きというもをもっと調査する必要があると思うのですけれども、つくだ煮だけだったら、あなた何もそう詳しいあれ要らないのじゃないか。どうですか、その点。
#72
○説明員(岩本道夫君) 御指摘のとおり、コンブの加工方面につきましての調査研究は、水産庁として不十分でございますので、至急調査をするように努力をしたいと思います。
#73
○近藤信一君 この採藻業者の零細性、それから労働問題、国内コンブの取り扱い業者等については、採藻業者の零細性についてやや考えるべき点はあるとしても、これは数量において今後解決されていかなければ、私はこの解決の見込みというものは明確でないように思うわけなんですが、この際、試験的にでも輸入するというふうに考えておられないのか。このことは、先ほど来私が言っておりまするように、物価がどんどんと上がってくる、そういうときでございまするから、これは側とか、国民生活の点から考えましても、やはり積極的にこの点は考えなければならぬと私は思うのです。先般来ハバロフスクでこのことについて私どもが正式に会談を持ちまして、そのときにこの話が出たのです。多くはない、わずか一千トンぐらいであるけれども、日本がコンブが不足しておるならば、一千トンぐらいならばこれいつでも出せますから、しかし、まあ日本政府においていまこれを輸入をとめておるから、禁止しておるから、私どもが幾ら日本の皆さん方にコンブを売りたいと言っても、これは出すことができないのだ、こういうふうなことが言われておるわけなんですよ。先ほどあなたの御答弁によると、二万何千という採取業者がある中でわずか一千トンぐらいでございまするから、私は全体のコンブヘの影響というものはない、いわゆる響いてこないと思うのですよ。で、不足分として一千トンぐらい入れるということならば、これは私は十分理由は立つと思いますし、それから、コンブの取り扱い業者や加工業者があなたのほうに陳情しておられるように、これを満たしてやることができるのじゃないか。そのことが国民生活に少しでも私はささえとなると思うので……。その点どうですか。
#74
○説明員(岩本道夫君) 一千トンばかりの数量を試験輸入してはどうかという御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますように、特に樺太コンブの輸入問題につきましてソビエトと交渉の経緯もございまして、当方から入漁方式によって輸入してはどうかという申し入れに対し、先方では国防上の理由等で拒否するということで、その後話し合いが進んでないという事情もございまして、そういう提案をした経緯もあり、ただいまの先生の御提案は、水産庁としては困難な問題であろうかと存じます。また、沿岸漁民に対する影響を考えましても、どういう品質でどういうものを持ってくるかによって影響も違いますが、二万数千の漁家も道内各地に散らばっておりまして、その地帯によって、とれるコンブの銘柄、品種に格差がございますので、さらにこまかく分かれるわけでございますが、千トンといえども、地域を分けてまいりますと、入ってくる品物の銘柄、品種によっては非常な影響を局地的にもたらすことになるわけでございまして、そういう点の検討も要るわけでございまして、わずか千トンだから試験輸入いいではないかという議論には、にわかに御賛同いたしかねる状況でございます。
#75
○阿部竹松君 議事進行について。部長さんがおいでになって、水産庁としては同意しかねるとかどうとかいう答弁をするのは、これは穏当を欠きますよ。水産庁長戸がおいでになってそうおっしゃるなら別問題ですけれども、一行政官がいま初めて聞いて――前に質問して保留しておったのを長官の要求で答弁するのであればけっこうでしょう。しかし、一部長、と言ったらたいへん恐縮なんですが、ぼくはそれまで、皆さん方の服務規程からいってもそんな権限は与えられておらぬのじゃないかという気がするのですが、長行に相談せんで、水産庁としては、近藤委員のあれを取り上げて、賛成しかねるなんていうのは、ちょっと行き過ぎじゃないですかね。
#76
○委員長(鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#77
○委員長(鹿島俊雄君) 速記を起こして。
#78
○説明員(岩本道夫君) 代理の答弁ではなはだ失礼でございますが、御了承いただきたいと存じます。
#79
○近藤信一君 きょうはこの程度にいたしますが、最後に、国民生活局を担当しておられるこの経済企画庁にお尋ねするのですが、輸入割り当ての品目が多くなると、それが消費者を圧迫することになるのではなかろうかと思うのですが、輸入と消費者の利益について、あなたのほうはどのように考えておられますか。
#80
○説明員(竹内直一君) 物価政策の観点からいたしますと、低い価格の産品を輸入しまして国内の価格安定に資するということは、これは原則的に望ましいことであると考えておりますけれども、このきょう問題になっておりますコンブにつきまして、先ほど来いろいろお話がありますように、生産構造に非常な特殊性がある、そういう際に、数量はしぼるといたしましても、輸入をいたします場合に、多数の零細生産者が相当心理的なショックを受けるではないか。そのために生産が落ちて、長期的に見まして、国内生産が減ってくるということになれば、また価格が上がる。そういった悪循環を起こすおそれがありますので、こういった特殊ケースについては、かなり今後の生産の見通しだとか需給の動向だとか、そういったものを慎重に見きわめてきめる必要があるのではないか、かように考えておるわけであります。
#81
○近藤信一君 あなたらとしては、常に国民生活の安定ということを基礎にしていろいろと計画を立てられ、いろいろとやっておられるわけですが、私が先ほど来いろいろと御質問しておる点は、現在物価はどんどん上がっていく、物価対策委員会という委員会までできて、何とかしてこの物価を抑制していきたいという政府の考え、それに対するところのいまの輸入の問題でございまするから、やはり国民生活を安定さしていこうということになれば、高くなるやつを少しでも押えていこう、現在の値段で押えていこうと、これがあなたのほうの目的じゃないかと私は思うのです。そうすれば、当然足りない分に対して輸入して、それの価格を安定さしていこう、こういうことになれば、私は当然足りない分に対しての輸入というものは、あなたのほうも考えていかなければならぬのじゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
#82
○説明員(竹内直一君) 冒頭に申し上げましたように、原則的に需給調整の目的でもって、足りないものを輸入するということは望ましいことである、これはもうはっきりしておりますが、繰り返して申しますように、コンブについて、特殊のケースであるという意味合いにおいて、単純にこれぐらい足りないから、これだけ入れたならば価格は下がるであろうというような短期的なことでもって事をきめるというには、少し事情が複雑な問題ではないかと、かように考えるわけです。
#83
○近藤信一君 このことは、私が言うのでなくて、やはりコンブの取り扱い業者や加工業者がずっと検討されて、そうしていろいろと陳情しておられるその中からもこれはうかがい知ることができると思うのですよ。だから当然経済企画庁としても、そういう面を勘案して、いろいろと企画をすべきじゃないか。あなたはまだ陳情の趣旨というものを御存じないかもしれませんけれども、やはり陳情をされる方々は、そういう趣旨で何とかこれを不足分を補っていけば、現在消費者に対して迷惑をかけておるこの値上がりというものを安定さしていくことができるのじゃないかと、こういうことで陳情しておられるのですから、そういう点をひとつ十分検討されて、そうして善処をしてもらいたいと私は思うのです。
 ついでながら、私、今度は通商局のほうにちょっとお尋ねするわけですが、それは特恵関税と中小企業の影響ということについて一、二お尋ねしていきたいと思います。
 大蔵省の調べによりますというと、一九六四年から六六年にかけまして、米国の輸入のうちの綿織物以下十八品目の占めるシェアは、日本が三六・六%から三二・三%と、こう低下しております。低開発国は、二八・八%から三一・七%に向上を示しておるわけなんであります。関税がこうなったのであるから、特恵関税が実施されれば、この傾向というものは一段と拍車をかけられると私は思うのです。この点について、あなた方はどのように考えておられますか。
#84
○政府委員(宮沢鉄蔵君) ただいま先生御指摘のとおりの可能性があると思います。
#85
○近藤信一君 今後特恵関税が進展いたしますれば、国外市場のみならず、国内市場というものが非常に混乱してくる危険性というものがあるのじゃないかと私思うのです。たとえば低労働賃金等の有利性というものと結びついた開発途上にありまするところのその製品、これが進出してまいりますと、国内製品というものは非常に危険な状態に追い込まれる、こういうふうに私は思うんですが、その点はどうですか。
#86
○政府委員(宮沢鉄蔵君) それも特恵の品目のきめ方によっては、そういう可能性も十分あると思います。したがいまして、特恵に踏み切ります際には、非常に低開発国の競争力のある商品などは例外にするというようなことも考えなければならないのではないかというふうに考えます。
#87
○近藤信一君 それでは、特にほんとうの零細企業、たとえば造花だとか万年筆だとか、手工業的な面にも私は大きく響いてくるんじゃないかということを心配するんですが、それはどうですか。
#88
○政府委員(宮沢鉄蔵君) そういう可能性も十分あると思います。
#89
○近藤信一君 ただあるというだけでなくて、これに対するところのあなたのほうの対策とかなんとか、そういうものが当然なければ、ただあります、ありますじゃ、これはしようがない。
#90
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 先ほど申しましたように、特恩に踏み切ります際に、非常に影響の大きいと予想されるものは例外品目にするというようなことを考えるべきだというふうに考えております。
#91
○近藤信一君 私が心配することは、そういうことになって母体的にあらわれてきた場合に、現在でも倒産が非常にふえてきている。それだから、そういうことになってから、あれあれ、あそこもつぶれた、ここもつぶれたということでは私はだめだと思うんですよ。そういうことになる前に、政府として何らかの措置というものを考えていく、これが私は政府の立場じゃないかと思うんですよ。つぶれてから、あああれはだめだったということでは私はいけないと思うんです。それに対するところのあんたのほうの何か考えでもありますか。
#92
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 特恵の対象は、御承知のように製品及び半製品が一応の対象になっているわけでございます。そういうものにつきまして、基本的にはやはり中小企業の製品が非常に多いわけでございますが、その際にやはり基本的には競争力を増すというか、まあ近代化、合理化を進めて国際競争力のあるような産業に育てていくということが、一帯大事な基本的な対策であると思いますけれども、実施の段階におきまして、それでもなお非常にその大きな影響が予想されるというものにつきましては、先ほど申しましたように、一部は例外品目にする、それから特恵の税率をきめる際に、その税の切り方を多少かげんするというようなことをあわせて考えていきたいという考えです。
#93
○近藤信一君 まあひとついまから十分その対策を考えていってもらいたいと思うんですよ。時間もあまりないからこの程度にしますけれども、先ほど同僚の小柳委員から御質問がございましたが、倒産問題について、あと若干私要点だけ御質問をするわけですが、毎年のことながら、年末になってくると倒産というものがふえてくる。特に十月以来、新聞紙上にも報道されておりまするように、会社の社長が責任を負って自殺したり、また十二月に入ってから一家心中をしなければならぬと、こういう悲惨な状態がこれは毎年続くわけですね。先ほど小柳委員が言われましたように、昨年が戦後最高の倒産軒数だといわれておりますが、今年さらにそれに輪をかけて倒産がふえている。これはいみじくも、昨年私どもが浜松の日本楽器に視察に行きましたときに、日本楽器の社長が言われましたことは、政府の借金政策は困る。政府の借金政策でやるならば、必ずそのしわ寄せというものは経営者にくるから困ると、こうあのときに言われた。政府の借金政策は、公共事業を何とかここで倒れない前にささえていかなければならぬということであの公債発行ということがなされた。ところが、逆にいま政府がてこ入れしたと思われる土木建築が一番大きな率を占めておる。これは完全に私は佐藤内閣の経済政策の失敗だと思うんですよ。こうして毎年繰り返して中小企業の倒産がふえてきている。これはただ東京興信所の一千万円以上のあらわれた表が、現在八千軒近いものが倒産している。これでさらに年を越しまして、この十二月は、年末融資や何かで何とかやりくりはっきますが、例年の例を見ますと、一月はまあまあということになる。二月、三月になってくると、倒産がぐっとふえる、二月が一番多い、今日までの統計を見ると。来年の二月ごろになると私はもっと多くの倒産が出てくるのじゃないかと思っております。倒産が出てから、先ほども申しましたように、あそこも放漫政策だった、ここも放漫政策だというのでは、これは私は済まされない問題だと思いますが、それに対するところのあなたのほうで何か善後策というふうなものを考えておられるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
#94
○政府委員(乙竹虔三君) 倒産問題は、これはほんとうに私たち日夜、いかにしたらいいかと心を苦しめている問題でございます。調べたところによりますと、表向きは、放漫なる経営であるとか、経営方針が誤ったとかというふうなことが表向きの理由にはなっておりますが、この裏はやはり企業の格差がこのごろ開きまして、同じ業種の中でも優良なものは非常に伸びていっておりますけれども、弱い人が引き締めを機会に倒れる、こういう状態であると思います。倒産の反面、また新規の企業の発生数も実は相当多うございまして、毎年中小企業が十万ずつ新たに発生しており、非常に多くの倒産が出てきている、特に建設業等では非常に多い。
 これに対する対策といたしましては、どうもほかに考えに考え抜いたいい手もないのでありますが、従来のとられた対策としては、政府の三機関に対する財政投融資の増強、すなわち、貸し出し規模の拡大、第二に市中金融機関に対する行政指導、事、数量的にはこれ以外にはないかと思うのであります。一面、手形等につきましては、先ほども申し上げましたように、手形等の支払いについて不当なことがないように監督も十分しているわけでありますが、こういうふうないわばマクロの対策だけでは十二分なことはできないので、大臣も先ほど言うておりましたが、具体的に個々のケースで倒産を防止するという手を打っていかなければならない。ほんとうに倒れそうになったやつを元へ戻すということは非常にむずかしいので、このごろは特にできるだけ早く、倒産しそうなものをキャッチいたしまして、そうしてそれを救うというところまでいま努力をしているわけでございます。しかし、まことに残念なことで毎月ふえてきております。今後お話しのように十二月を越えましての年度後さらに引き締めも強化されましょうから、この点を非常に憂慮をしているわけであります。
#95
○近藤信一君 先ほど小柳委員また阿部委員からも質問しておりました、倒産が出てくる、また一方におきまして、あなたのほうの通産省では、近代化をやれ、あるいは協同化をやれ、協業化をやれといろいろ一方においては推し進められるわけでありますが、近代化するにしても協同化するにしても、とにかく金なんです。先ほど小柳委員も言っておられましたように、その金を借りる面になると、今度は金融引き締めによって銀行はなかなか動かない。政府資金を借りようとしても、わずかな金しか出てこない。これでは中小企業の倒産が当然あるわけなんですね。そこで先ほど阿部委員が言っておられましたように、やれ三百万ということでワクを締めるのでなくして、あなたのところでは、もっと大臣のあれによって広げることができるということですが、ところが、できると言われても、これは地方自治体を通じてこう出すのでしょうね。だからなかなかこううまくいかないわけなんです。その点の指導というものを私はもっと十分にやらなければいけないのじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
#96
○政府委員(乙竹虔三君) 先ほど阿部委員の御質問に対しましても、いささかことばが足らなかったのでございますが、あわせて補足させていただきますが、阿部委員の御質問は、設備近代化資金が三百万で頭打ちなので、これでは近代化もできないというお話でございます。ごもっともでございまするので、この三百万というのは、政府と府県と両方合わせました分担分でございますので、実際は六百万の機械が買えることになるわけでございまするが、これを、それで不十分な場合には、通産局長で六百万、したがいまして、千二百万ということになります。さらに、それで不十分な場合には通産大臣の個別審議というふうなことをやっております。ただこの設備近代化資金のほうは、御承知のように、設備近代化でございますので、倒産防止の場合には私は直接は役立たないと思います。で問題は、設備近代化資金等で政府はいろいろ貸し出しておるわけでございますが、こういう金融引き締めの場合には、その貸し出した金が最初の約束どおり返らない、返せないというところに問題がある。この場合には、政府金融機関といたしましては、極力貸し出し条件を改定いたしますとかいうことで、追い込まないように努力をしておるわけでございます。こういう設備近代化資金についての配慮のほかに、先ほど私申し上げましたのは、さしあたり、倒産については一般の金融でその日をつないでいくという措置をしなければなりませんので、主たるやはり私たちの努力は、政府の金融はこれは補完的でございまして、全体の資金量から申しますと八%程度でございますので、九〇%余を占める市中金融機関のほうの態度に、特にこの点あたたかい目を要請する、金融当局もあたたかい態度を中小企業にとるように特に強く行政指導をすると、こういうことをしておる次第でございます。
#97
○近藤信一君 時間もあんまりございませんからあまり詳しくもお尋ねできませんけれども、これは銀行局の関係になろうかと思うのですけれども、中小企業の方々が銀行融資をお願いしても、選別融資ではきびしくてなかなか思うようにいかない。そこで、協同組合に加盟しておる中小企業ではどうしても商工中金のほうに足を運ぶことになるのですね。商工中金のほうに足を運んでいきますると、そこで問題になりますのは、まあ低額の金額の場合は、これは保証協会の保証をとってこい、担保も何も要らないと、こういうことになりまするけれども、少し金額がかさんでいくと、たとえば、先ほど阿部委員が言われましたように、近代化をやろうとしても近代化資金がそう思うようにできない。足りない分は商工中金に依存する、こういうことであって商工中金に行きます。担保物件は十分あるわけなんです。これだけの担保を出すからひとつ貸してもらいたいと、こうやって行くと、今度は商工中金のほうは、いや保証協会の保証をもらってこいと、こういうことになるんですね。その責任をみんな保証協会のほうへおっつけてしまうことが往々にしてあるわけなんです。そこで、どうしても融資をお願いする中小企業としては、商工中金で保証協会の保証を取りつけてこいというから、保証協会へまた足を運ぶ。よく考えてみますると、保証協会に行けばまたそれだけ保証料を出さなければならないということになる。そうして二重負担になるわけですね。借りる中小企業はそれでは私はますます金繰りに困ってくる、こういう傾向がいまずいぶんあっちこっちに出ておるわけなんですね。すぐ保証協会保証協会と、保証協会の保証をもらってこいということになる。それでは政府が財政投融資している半官半民ともいうべき商工中金のあり方として、私はおかしいのではないかと思うのですが、この点はどうですか。
#98
○説明員(田代一正君) お答えいたします。
 ただいまの近藤委員の御質問は、商工中金は半官半民である、そういう機関が資金を貸す場合に、ことさらに信用保証協会の保証のことを云々しなくてもいいんじゃないか、こういうお説だと思います。私も、ちょっと時間がとぎれておりますので、正確な記憶はございませんが、どちらかと申しますというと、商工中金は国民公庫、中小公庫と並んで政府系金融機関でございます。本来ならば、保証協会の保証というものは一般の民間金融機関で借りる場合に主として使われるべきじゃないか、政府系金融機関の場合には、そういうことなしで判断したらいいんではないかという考え方を持っております。ただ商工中金の場合をとりましても、いま実は資料を見せていただいたのですが、保証協会の保証をとるということは非常に少ないように伺っております。ですから、そう極端にそういうものが出ているのではないという気もいたします。なお検討さしていただきます。
#99
○近藤信一君 何か聞くところによると、保証協会の保証をとっていけば返すほうの意欲が出てくるから、どうしても保証協会の保証が必要だというようなことも、何か私ども聞いておりますが、そういたしますると、何もこの中小企業が借りたらもらったと思えというような気持ちばかりではないと思うのですよ。やはり何とか人手が足りないから近代化資金でやっていきたいということと、それからここで若干の金繰りがあれば何とかここをささえていけるというので、特に年末私のところにも相談に来た人も二、三ありますが、この十二月何とか切り抜ければあれですからということで保証協会へ毎日日参してやってきている。ところが、ああでもない、こうでもないといってなかなか間に合わないような状態になってきている。私がこっちに来るまで、月曜日に行って、何とかできなければ倒産をするというようなことも訴えられておるようなわけで、実際この保証協会とその商工中金との間が実はほんとうにうまくいっていない。保証協会のほうへ行きますると、これは何でもこの保証協会のほうへ商工中金ともあろうものがぶっつけてくるというような不満もなきにしもあらず。こういうことなので、その点は、もっと指導をうまくやって、そうしてスムーズに中小企業の危機というものを救ってやるような指導というものは私は必要じゃないかと思うのですが、この点どうですか。
#100
○政府委員(乙竹虔三君) 先生御指摘のとおりでございまして、田代調査官が答えましたように、商工中金でお金を借りる場合には、保証協会の保証はないというのを原則にすべきだ、保証協会の保証は、むしろ保証を受けられれば市中の金融機関から金を借りるということにしないと、国の財政投融資の効率からいってもつまらぬことになるという指導をしておるわけであります。現実に調べましたところ、比較的中金で保証協会の保証をとっているのは少ないようでございます。四十一年度で金額で二・八、それから件数で二・二と少ないようでございまするが、ただあまり少な過ぎますので、もう少し調べましたところ、府県が独特の中小企業のいろいろ助成制度をつくっております。金を中金や保証協会に預託いたしまして、それを何倍か融資ができるというふうな制度をしておる。これは非常にけっこうなことでございますが、この場合に、保証協会の保証を条件づけている県が相当あるようでございます。この辺のところは県独自の見解であると思うのでございますが、今後とも、私たちのほうとしましては、中金の窓口に来る場合には、協会の保証を極力とらないで、中金の窓口から金を御用立てするように指導をしてまいりたいと思います。
#101
○近藤信一君 いま長官が言われましたとおりだと思うんですよ。やはりそう言われましても、なかなか末端までそれが十分浸透していないというきらいがあると思うので、やはり私は、この年末は何とか年末融資で切り抜ける業者は、二月が危機になってくると思うので、やはり二月危機を乗り切るためには、何とかもっと簡潔にあっちへ走りこっちへ走りしなくてもいいように、銀行側、大蔵省側としても、十分商工中金またはその他の中小企業公庫、こういうところに徹底さしておいてもらいたい。それでなければ、また毎年のごとく二月倒産というものがぐっと出てくるじゃないかと私は思いますから、この点をひとつ要望をしておきまして、時間もだいぶんおそくなりましたので、私は終わります。
#102
○阿部竹松君 乙竹長官にお尋ねいたしますが、これは大蔵省の田代さんにも聞いていただきたいんですが――総理大臣その他各大臣を除いて、乙竹長官は行政府の最高の責任ある立場におられるから、こういうことをお考えになったことはございませんか。これは労働省の関係もあるわけですが、日本は、さいぜん申し上げたとおり、中小企業は世界で一、二といわれるくらい多い。したがって、人口は世界で五本の指に達するくらい多い。領土が小さいものですから、人口密度が世界でオランダに次いで二番目である。ところが、これだけ世界で一、二といわれるくらい人口の多いわが国において、中小企業では人が足らぬと言っておるじゃないですか。中小企業では人が足りない。青壮年の男女の皆さん方は、中小企業へ稼働、就職に行く者がないといわれている。これは一〇〇%とは申し上げませんけれども、いかなる地域へ行っても、どうも労働力がない、人手が足りないというのが一致したお話ですよ。ところが、壁頭申し上げましたが、世界一、二の人口密度の多いわが国で、これはふしぎに思ったことはございませんか。ですから、さいぜんからいろいろ問題になっておりましたが、まあ私は、中小企業の交通整理をせぬ限りは、補助金出したり、あるいは若干の融資をしても、資本の自由化、貿易の自由化、経済の自由化ですから、全部助かることが望ましいことであるけれども、全部助かるということは、こういう政治形態をとっている限りはなかなかできない。こういうわけですから、私はもう単なる年末融資とか補助金とか、若干の融資をしても、これはとても助からぬという見解をとっているわけですが、しかし、それもなかなか交通整理が私の言うようにできぬとすれば、手をこまねいて待っているわけにいきませんから、何らかの措置を講ずるということになる。いまのように目の前に迫っているような中小企業の皆さん方に対する政府の施策であり、あるいは保護的な立場をおとりになっているわけですが、そうしますと、開発銀行あたり、これはうしろから漫然と相当な資金の額を与えているわけです。これは地下資源からいろいろなところに行っておりますよ。しかし、億単位の金が、観光という名目で開発銀行法に入っておりますから、観光会社ですね、たとえばあらゆる観光地――横浜でも東京でも借りているでしょう。今度帝国ホテルなんていうのは、膨大な億単位の金を借りるわけですが、ああいう観光のところには膨大な金を貸すわけですが、ところが、いま近藤委員や小柳委員が盛んに注文なさっているような中小企業にはさっぱり金がいかぬわけですよ。ぼくは観光事業に金を貸すな、開発銀行法を改めろということは言いませんけれども、そっちのほうへ億単位の金がいって、大きい企業へ、若い青壮年の日本の中堅になる人が全部そっちへ行っておる。人口一億のわが国で、中小企業に人が行かぬ。これはあなた方ふしぎに思ったことはございませんか。どうですか、長官。
#103
○政府委員(乙竹虔三君) 何と申しますか、世の中の移り変わりのポイントについてのお話だと思うわけでございます。私は、中小企業の労働力確保の問題は小手先ではいけないので、結局のところ、中小企業の収益力が大企業並みにならなければならないと思います。これが先生のおっしゃるいわゆる交通整理ということを、私らが言うとそういうことになるのだと存じますが、幾ら金を貸しましても、収益力のない、つまり将来見込みのないような中小企業でございますと、これはもう金を貸そうとしても、結局収益が生まれませんし、収益が生まれませんならば労働力は確保できない。したがいまして、中小企業を収益力のある中小企業につくり直すというのが私どもの使命だと思います。これがいわゆる体質改善、構造改善の問題だと思っております。これが基本だと思います。
 しかし、さしあたりの問題といたしまして、中小企業は労働環境が大企業に比べてたいへん悪いものでございますので、この辺のところは小手先と申しますか、しょっちゅう手を入れれば、相当労働環境をよくすることはある程度可能であると思いまして、この辺は金融当局と協力し合い、また、特に労働省とは緊密に連絡をとりながら労働環境、働きやすい環境をつくり上げるという努力をいろいろしておる、これが第二でございます。
 観光に金が出ているというお話、大きな金が出るが中小企業に出ない。私は中小企業へぜひ流してほしいし、流してもらわなければいけないし、また、日本がほんとうに近代化するためには、中小企業が近代化しなければならぬと思うわけでありますけれども、やはり金を流す方向が問題であって、その方向は、結局収益力のある中小企業をつくりあげるという方向に金を流してもらうということで、われわれ行政の責任の立場にある者は、そういう方向についての努力をまずまつ先に一番せねばいかぬというふうに思います。
#104
○阿部竹松君 これは長官が皮肉でなしに、いまより十年近い前に、かつては同僚議員であった川上爲治さんという人が、皆さん方の先輩でしょうけれども、中小企業庁の長官をなさったことがある。そのときの答弁をいま持ってきて読んでも当てはまるわけです。十年一日のように、中小企業への大方針というものは変わらぬわけです。私などはもう総花的でなく、神奈川なら神奈川、新潟なら新潟、特定地域にこれをあなたのほうでモデル地域として、そこから交通整理をやってしまへ、こういうふうにやかましく言うのですが、しかし新産都市をつくっても、つくるといったら国会議員が先になって交渉にどんどん押しかけてぶんどり合戦をする。四国に渡る橋をつくれば、これはいいには違いないが、一カ所つくるのに三カ所くらいで国会議員が百人くらいずつ集まって、やろうじゃないかといってやるのが日本の政治形態ですから、なかなか一カ所に集中してモデルケースをつくるということは困難であろうけれども、しかしそれをやらなければ、長官、これは中小企業はもう永久にだめですよ。それと同時に、私はそれを言うているのですが、反面、あなたさいぜん三百万というのは県のほうも出すのだ。もちろん当該県で呼び水として、あなたのほうで出すのは当然だけれども、それだけじゃ足らぬわけですよ。さいぜん申し上げましたが、一つの機械を買うと七百万か八百万はするのですよ。いま四百万、五百万の機械じゃ、これは近代化にもならぬし高度化にもならぬ。あらゆる機械はもう高い、どんな機械でも、繊維であろうが、メリヤスであろうが。そうすると、いま申し上げたとおり、何でも国へぶら下がるということは、これはけしからぬことであるけれども、しかし反面、レジャーブームで、観光ホテルに金を貸すよりも、たとえばいま申し上げたようなところに貸すほうが、国のために将来に向かっても利益ではないか。片一方は三百万円しか貸しません、兵庫県に三万出すとか、福井県に三百万出すとか、これじゃ中小企業は一切もう……。また来年いまごろ近藤委員が同じようなことを言って、あなたはいまと同じような答弁をするということになるわけですよ。ですから、斬新的な構想はないんですか。
 それからもう一つ、予算書を見せていただくと、これもさいぜん関連質問の中で申し上げましたが、通産省のワクがないんですね。大蔵省は、このぐらい田代さんにやかましく言ったら、これはめくら判押してくれると思うけれども、めくら判を押して中小企業庁で要望している金額を全額大蔵省に認めてもらっても、なかなか金額の総体のワクがないから――乙竹長官にお伺いすると、これは大臣が認められれば一千万円ぐらい出すようなお話をなすっておるけれども、ワクがなければ、五県に貸した分を三県にせいということにこれは相なりかねない数字が出ておるんですから、ここで長官のお話を承っても、なかなか得心がいかぬのですよ。これは田代さんは、これからまさか中小企業の要求予算に大なたふるうなどという気でここへおいでになっているのではなかろうと思うんですが、そこらあたりの御見解を――立法府の者が行政府の方に聞くということは、予算もきまらぬうち、ほんとうでないかもしらぬけれども、あなたはどうお考えになるか。大蔵省を代表して、断わりますよというような御答弁はひとつないように願いたい。
#105
○説明員(田代一正君) 私は現在銀行局担当の財務調査官でございまして、予算査定とか、あるいは財政投資の査定の任には直接ないものでございます。ただ私、乙竹長官は前から知っておりますし、通産省の予算の主計官もかつて四年ほどやったことがございます。そういう関係もございまして、かなり中小企業の問題につきましては、ずいぶん過去も考え、また現在もいろいろ考えさせられておるものでございます。そこで、基本的な問題になりますけれども、実は昨年来、好況下でなおかつ倒産が多いのはどういうわけかということが非常に疑問だったわけです。最近では引き締め下の倒産ということも若干ございますが。そこで、日本銀行の諸君とか、私どもの局の中でいろいろ議論してもらったわけですが、その根底に流れておる一つの問題としましては、一つは、皆さん御承知のように、経済社会発展計画をごらんいただくとおわかりだと思いますが、やはり労働力がどんどん逼迫していくという過程にあります。そういたしますというと、従来とかく人海戦術とかいうことで、あるいはまた賃金が安いということで、そのことのみにたよって経営をしているというと、どうも倒産率が高いんじゃないかということですね。それが一点。それから第二点は、やはり、消費者革命といわれておりますが、そういうことが意味するように、消費は非常に高い。したがって、そういった消費の先行需要にマッチするようにしなければならぬわけですが、ところが中小企業は、なかなかそこにマッチできないという人もいる。そういう人はやはり倒産ということになると思います。それが第二点。それから第三の点としましては、これは過去の不況時代の経験から、親企業、下請企業の関係でございますが、やはり下請企業が、ある程度整理の過程にあったということも一つの因をなしている。こういうことがことしの秋ごろのわれわれの判断でございます。したがいまして、そういう点から申しますと、私は何年かを見ておりますが、中小企業にしては非常に大きな転換期にぶつかっているんじゃないか、基本的には。ですから、転換期に即応するような、一言に申しますと中小企業の体質を強化する。しかも、それも非常に抽象的な考え方じゃなく、業種別とか、業態に合わしたものの考え方をしていく。これはさっき乙竹長官も申しておりましたが、そういう角度で考えなきゃいかぬだろう、こう考えております。
 それから第二の御質問の、ホテルと中小企業のお話がございました。おっしゃるとおり、開発銀行ではホテルに対して融資を若干いたしております。これも基本的な考え方といたしましては、一つは国際収支対策ですね。観光ホテルと申しますと、日本に観光客がたくさんくる。そこで外貨をたくさん落とすだろうという一つの大きなねらいから、こういったことをやっておると思います。その額は大体オリンピック前後をピークとしまして、最近は減っておるというようなぐあいに私は了解しております。それからもう一つは、地域開発という観点から国際観光ホテルに融資をするということがあります。これは開発銀行の地方開発というワクの中でやっております。これも実は私は数年前に南九州に行ったことがありますが、南九州のある地域は、農業の生産を上げるということは非常に無理だ、いきおい地域振興をするためには、国内の観光を相当そちらに誘引するということによって県民所得を引き上げるという部面が全然ないとは言えないと思うのです。そういう角度から若干地方開発の中で、ホテル融資が行なわれておるというぐあいに私は考えます。
 以上たいへん雑然と申し上げましたけれども、そういうぐあいに私は考えております。
#106
○阿部竹松君 田代さんあなた銀行局担当だというけれども、銀行局担当だからもちろんたとえば予算組みはできない。予算の組み方をぼくは知らないものですから、全部通産省へ来た分は自由に使えるのだと思ったら、国会で議決した予算でも、あなたのほうで使うのにいろいろな注文をつけているというのですね。つけるあなたのほうが横暴であるのか、あるいはつけられる通産省が腰が弱いのか、わしらがわいわい言うものだから大蔵省がやかましくて困っていると通産省が答弁するのか、その三つのうちどれかでしょうが、とにかくいま申し上げた中小企業を交通整理しなきゃいかぬけれども、これはもう言いません。ただ、いまのようなことをやっておったのでは、さいぜん長官からも答弁があったとおり、十つぶれればまた新しく十できるかもしれぬですよ。しかし、そういうことじゃ個人の損失はもちろんだけれども、国家の損失も積もり積もってたいへんなことになる。だからこれはワクをふやしてくれませんかと、こういうことなんです。そのあたりどうですか。それはいまここでぼくがもらうと言っても無理な話ですから。これはしかし絶対必要なワクですよ。絶対いまのワクでは中小企業はこれはもう助かりませんよ。ですからぼくは総花主義もけっこうだけれども、泣いて馬謖を斬らなければならぬようなことも出てきましょう。ワクがあるのですから無尽蔵に出すわけにもいきませんから。しかしそのくらいの大英断を通産省でまずやってもらわなければならぬ。通産省の話し合いに応じて、大蔵省にも協力体制を大いにやっていただかなければならない。ぼくたちが政権をとれば、大蔵省の皆さん方に全部通産省に来てもらって、通産省をみな大蔵省に行っていただけばよく理解していただけると思うのですが、そういうわけにもいかぬから、その点はまず第一点としてお頼みしておきます。
 その次に、観光関係で、外国のお客をとるのはけっこうですけれども、ぼくが聞くところによると、日本人がレジャーブームで多くホテルを利用している。横浜のホテルニューグランド、名古屋のニューナゴヤホテルというのに金を貸しておりますね。そこへ行ってある人に調べてもらったところ、が、ほとんど日本人です。あちらさんが泊まってドルをかせぐというのは少ないのです、国から融資を受けておるところは。それはあなたのほうでお調べになってみればわかるのです。これは私どもより正確なあなたの方では機構を持っておるわけですから。ですからそういう金を観光という名目でホテルの建築に貸すのもけっこうだが、それを中小企業のほうへ回してくれませんか、こういうことなんです。どうでしょうか。
#107
○説明員(田代一正君) これはいろいろ御注文ございましたけれども、私はいま銀行局の人間でございます。仰せのとおり、省内では先生おっしゃるような方向で、主計局なり理財局に強力に申し入れをいたしたい、こういうふうに考えております。
#108
○阿部竹松君 次にもう一点だけ。これは注文ですが、乙竹長官、あなたのほうから出ている資料、たとえば倒産の件数とか、資本金とか負債とか出ておりますね。ところがあなたのほうの通産省でお調べになるか、地方の通産局でお調べになるか、あるいは商工興信所とか東京興信所ありますね。あなたのほうで参考に出てくる資料の数字がきわめて違うのですな。これは経済企画庁の人においで願っておったから確かめようと思ったんですが、時間がなくなったのでお帰り願ったのですが、ある数字によっては二〇%以上違うわけです。私どもは全然資料を持っておりませんから、経済企画庁なり、立法考査局なり、あるいは皆さんの方のほうで出していただいた資料を参考にしてものを判断し、ものを申し上げておるわけなんですが、これは相当数その数字が違うんですね。これはどういうところに原因があるんでしょうか。それとも、皆さん方の中小企業庁の資料はどこから出てきた統計数字なり計数によって私どものほうに発表されるのですか。
#109
○政府委員(乙竹虔三君) 私たち中小企業庁では、いま倒産の数字を直接には調査を実はしておらないのでございます。私どもがいろいろな数字を使っておりますが、東京商工興信所の数字を一番よけいに使っているわけでございますけれども、これは負債総額一千万円以上の倒産をつかまえておると、こういうことでございます。まあ倒産にもいろいろの態様があるようでございまして、特に一千万円以下になりますと、これは相当あると思うのでございます。先ほどの御質問でも、私たちの調査に非常に大きな数字が出ておりましたが、おそらく負債総額一千万円以下がまた同数くらいあるのではないかと推定をいたしておるわけでございます。そのようなところから、いろいろ数字が違っております。なお、いま申し上げました興信所の数字のほかに、手形交換所が、これは取引停止処分件数、これは非常に客観的な事実でございますが、この数字が別に出ております。で、私たちといたしましては、そういうふうな発生件数の調査はいたしておりませんが、自後この倒産がどういうふうになったかというふうなことで、これは抽出調査でございまするけれども、抽出調査によりますケーススタディーをやっております。なお、倒産が非常に重大になってまいりましたし、いま日本の経済が一つの大きな曲がりかどに来つつある、この曲がりかどに来つつあるものを端的にあらわしているのは倒産であると思いますので、私ども倒産の問題についてといいますか、倒産の調査につきまして、従来のように単に民間に依頼しておくべきじゃなくて、私たち非常に力はございませんけれども、これから数字を集めて自分で調査をするということで乗り出してまいりたいと思っております。
#110
○委員長(鹿島俊雄君) それでは他に御発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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