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1949/04/05 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第4号
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1949/04/05 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第4号

#1
第005回国会 法務委員会 第4号
昭和二十四年四月五日(火曜日)
   午後一時二十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○岐阜地方裁判所大垣支部を甲号支部
 に昇格の請願(第二百七十二号)
○福岡地方裁判所小倉支部並びに福岡
 地方檢察廳小倉支部昇格に関する請
 願(第四十八号)
○宮城刑務所福島支所移転に関する請
 願(第一号)
○郡山市に仙台高等裁判所支部設置の
 請願(第五十九号)
○宮城刑務所相馬支所復活に関する請
 願(第九十七号)
○北見市に地方裁判所設置の請願(第
 二百二十号)
○宮崎縣須木村に須木登記所設置の請
 願(第六十六号)
○借地借家法改正に関する請願(第百
 五十四号)
○労働者の債権に関する法的措置の陳
 情(第百二十六号)
  ―――――――――――――
#2
○理事(岡部常君) これより法務委員会を開きます。
 本日は請願八件ありますから、それを審議いたしたいと思います。
 先ず岐阜地方裁判所大垣支部を甲号支部に昇格の請願、これにつきまして紹介者から御説明を願います。
#3
○大野幸一君 只今議題になりました岐阜地方裁判所大垣支部を甲号支部に昇格の請願につきまして、紹介議員伊藤修君が本日不在のため私が代つて説明をいたし次第であります。
 請願の趣旨は、岐阜地方裁判所大垣支部を甲号支部に昇格せしめられんことを請願するのであります。請願の理由は、大垣市及び安八、不破、養老、海津、揖斐の五郡を管轄する大垣区裁判所は、昭和二十二年五月二日政令第二十五号により岐阜地方裁判所大垣支部と、同年七月十八日法律第八十九号により大垣簡易裁判所と変り、更に同年十二月二十日最高裁判所規則第十四号により大垣家事審判所が併置され今日に及んだのであります。然るところ右大垣支部はその格式卸号支部であつて、上訴事件の取扱いができないために、簡易裁判所で取扱う第一審事件の上訴は、すべて岐阜地方裁判所がこれを管轄し、而も大垣簡易裁判所の受理件数たるや名古屋高等裁判所管内においてその首位を占め、民事事件においても將又刑事事件においてもそれら書類の移送、或いは被告人の移監等に徒らなる手数と無益の日時とを消費し、これがため審理の遅延と、延いては人権保護に欠くるところ少なしとせざるの実情であります。ここにおいて大垣支部を速かに甲号支部に昇格すると同時に、一面職員の充実を図り、以て上訴事件の迅速なる処理をなすは焦眉の急務にして、又西濃一市五郡の一般住民多年の宿望であるゆえんでもある。右の実情十分認識せられ、請願の趣旨を即刻達成せられんことを懇願する次第である。次に参考として、請願の添附書類として、別表以下を添附して置きましたから、愼重御審議の上速かに御可決あらんことを願います。
#4
○政府委員(遠山丙市君) お答をいたして置きます。只今お述べになりました岐阜地方裁判所大垣支部を甲号支部に昇格の請願の御趣旨は御尤もであると考えておるのであります。政府におきましては、請願の御趣旨はよく了承いたしておるのでありまするが、裁判所支部に関しまする事項は、御承知のように最高裁判所の権限に属しておりまするからして、本請願の御趣旨を最高裁判所に伝達いたしまして、十分考慮を願うようにいたしたいと存じておるのであります。極めて簡單でありまするが、さように御承知を願つて置きたいと思います。
#5
○理事(岡部常君) 最高裁判所の御意見を承わりたいと思います。
#6
○説明員(内藤頼博君) 最高裁判所の方としましては、大垣支部を甲号支部に昇格するについては御尤もな御意見と存じております。ただもう支部といたしまして、控訴事件、上訴事件を扱う権限は、現在のところは認められておりませんので、その点は、必ずしも控訴事件が直ちに支部で扱われる結果にはならないと思いますけれども、その外の点におきまして御尤もな点が十分了承されますので、十分に研究いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
#7
○理事(岡部常君) 以上の説明に対し何か御発言がありましたら、この際承わつて置きたいと思います。別段御発言がございませんければ、本件を会議に付するや否やについて御意見を承わりたいと思います。会議に付することについて御同意と認めてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○理事(岡部常君) 御異議ないものと認めます。又更にこれを内閣に送付することについて御意見を承わりたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○理事(岡部常君) 別段御異議もございませんければ、内閣に送付することにいたしたいと思います。
  ―――――――――――――
#10
○理事(岡部常君) 次に、第四十八号福岡地方裁判所小倉支部並びに福岡地方檢察廰小倉支部昇格に関する請願を議題に上したいと思います。先ず紹介者の御説明を願います。
#11
○大野幸一君 只今審議に止せられました福岡地方裁判所小倉支部並びに福岡地方檢察廰小倉支部昇格に関する請願の趣旨とその理由について申述べたいと思います。本件は、紹介議員の島田千壽君本日不出席のため、私が代つて御説明申上げる次第であります。
 請願の趣旨は、福岡地方裁判所小倉敷部並びに福岡地方檢察廰小倉支部をおのおの地方裁判所、地方檢察廰に昇格せしめられるよう謹んで請願いたします。その理由は、福岡地方裁判所小倉支部並びに福岡地方檢察廰小倉支部を、独立の地方裁判所並びに地方檢察廰に昇格せられたいとの希望は、管内官民多年の宿望でありまして、今やその管轄区域は、從來の発展に、加うるに更に一層の大発展を以てし、いわゆる北九州一体の地域は無数の大小工場の建設復興と共に、大小鉱業の開発に伴い、人口著しく増加し、ただに本邦第一の鉱業地たるに止まらず、我が國における一大工業地たるに至り、司法事務又その数を激増し、現在の一支部を以てしては、到底買足な司法事務の実績を上ぐるを得ざるに至りました。これここに多年宿望の実現を請願するゆえんであります。そもそも小倉支部現在の管轄区域は門司、小倉、若松、八幡、戸畑の五市と京都、築上、遠賀の三郡でありますが、戰時中戰災その他の災厄に逢いたるに拘わらずその人口九十万に達し、近接他縣一縣の人口を凌駕し、尚、日に月に増加の一途を辿りつつあり、年ならずしてこれに倍する傾向にあります。なかんずく門司、若松の両市のごときは、國内、海外貿易の要港として、その輸出入の総額は將に五港を凌ぎ、出入の船舶は若松の一港を以てしても本年中五月末現在入港六百余隻を算え、全國の首位にあり、小倉市は全九州を統轄する占領軍二十四師團司令部の外、憲兵総本部、CIC本部並びに米海軍掃海隊の所在地として、將又九州各地交通の要点として殷盛を極め、又市内周辺には一ケ月一万数千トンを出炭しつつある小倉炭鉱を初め足立炭鉱、到津炭鉱も現に採炭を開始し、山田炭鉱及び第一小倉炭鉱も近く採炭開始を急ぎおる外、港内海底炭脈の採掘も小倉炭鉱によつて遠からず着手させることとなりおる等、近き將來この市が急速度発展をなすことは事業人の認むるところである。製鉄所の所在地たる八幡市はその他の大小工場と共に、巨大なる生産力は我が國復興の源泉地をなし、戸畑市亦西日本随一の漁港として相隣接し、これらの五市は恰も小倉市を中心とした人口七十万を擁する総合都市を形成しております。又いわゆる築豊炭田に働く鉱員、無数に林立する工場の工員、その他労働者の数は数十万を算し、管内人口の密度は一平方キロに一千四人の多きを示して東京、大阪に次ぐ状況であります。これがために海上陸上は勿論、地下数千尺下の事件は民刑絹に激増し、司法事務の繁劇なことは全國にその例を見ないところでありまして、小倉支部現在の職員廳舍設備を以てしては、右管下の情勢に即應して遺憾なき実績を挙げることは全く不可能であり、これを職員に強うるは不可能を強うるものであります。席に檢察事務のごとき渉外事件頻発する労働事犯乃至政治事犯等、福岡本廳に檢事正の指揮を仰ぐ要あり、通信連絡の不円滑より敏速を欠きその機宜を失する虞れあるのみならず、控訴抗告等の事要についても福岡本廳に往復せざるべからざるごとき、急迫を要する権利の伸張、防禦にその機を逸すること例少なからず、その不利不便は局内官民の深く遺憾とするところであります。飜つて管内における他の官廳を見るに、全九州を統轄する鉄道局、税関、海運局、海上保安廳はいずれも門司市にあり、殊に全九州に号令する占領軍の第二十四師團司令部、憲兵隊本部、CIC本部はいずれも小倉市に置かれております。これに鑑みるも如何に北九州の土地が枢要なる地域であるか容易に想像し得るところでありまして、ここにおいてひとり司法官廳のみ一支部を以て足るとなすがごときは余りに実情に即せざるものであります。若しそれ一縣下二の地方裁判所並びに檢察廳を置くことの賛否はもとより法規の制限あることなく、ただ事務の繁閑と土地、人口、交通等の関係に順應して適当なる施設を行うべきであり、現に北海道においては一道下に四地方裁判所並びに檢察廳を有する例あるのみならず、最近福岡刑務所小倉支部が小倉本所に昇格し北方刑務所と共に一縣に三刑務所を有しおるがごとき、一縣下に二地方裁判所設置が毫も不当ならず、且つ必要なることの実証なりと信ずるのであります。思うに一府縣下に二地方裁判所を設けることの可否は、畢竟便宜の問題であつて、説けてならんという自然法則があるのではない。だから東京でも二地方裁判所が便宜のために設置された例もあるわけだと考えます。我が小倉支部も、一日も速かに独立の地方裁判所、地方檢察廳として司法実務の完璧を期せられんことを管内官民ひとしく熱望して止みません。邦家民人の利益と公共の福祉を顧念せられる閣下、各位に訴え、ここに小倉支部昇格に関する法規改正の議を立てられ、管内官民多年の宿望を遂げしめられんことを謹んで請願する次第であります。尚、小倉支部が現在五市三郡を管轄しおることは、前にも述べた通りでありますが、昇格実現の曉は現田川支部管轄区域を包括するよう切望するものであります。もともと田川支部は小倉支部の管轄なりしを、戰時中飯塚支部に移されたものにして、旧豊前の國の一部であり、飯塚地方とは人情、風俗な異なるところがあり、取引交通の関係よりするも小倉の管轄とすることを相当とし、住民亦希望切なるものがあるためであります。以上の次第につき、特別の御配慮を謹んでお願いいたします。追つて当支部管内の情勢は統計表を添付いたしましたので、御精査の程を願います。
#12
○理事(岡部常君) 右に対しまして政府の御説明をお願いいたします。
#13
○政府委員(遠山丙市君) 只今お申述べになりましたる福岡地方裁判所小倉支部及び同地方檢察廳小倉支部を地方裁判所及び地方檢察廳に昇格せられたいとう請願の御趣旨は一應御尤もと存じておるのであります。小倉支部は只今詳細請願趣旨で御説明になりましたように、その管内に大きな都市が多く、その事件数は他の地方裁判所の事件数に劣らない程多いのでありますが、小倉市は上訴事件及び行政事件を除きまして、地方裁判所と同じ権限を持つ五支部が置かれておるわけでありまするし、又御承知のように地方裁判所及び地方檢察廳は、北海道という特殊の地域を除く外、各都府縣ごとに一ケ所ずつの割合で設置されておりまするので、一都府縣に二以上の地方裁判所又は地方檢察廳を置かれておる例というものは全然ございません。それで他の地方との権衡の問題も生じますので、最高裁判所と十分協議をいたしまして、將來研究をいたしたいと存じております。御了承を願つて置く次第であります。
#14
○理事(岡部常君) 右に対する最高裁判所の御意見を伺います。
#15
○説明員(内藤頼博君) 小倉市のことなり、或いは裁判所の事件のことにつきましては只今御請願の趣旨の通りでありまして、小倉支部は特に現在判事の数も多い、支部としては大支部になつております。從いまして地方裁判所設置の御請願になりました趣旨も十分御了承申上げるのでありますけれども、只今法務廳の御意見もありましたように、甚だ形式的なことを申上げて恐縮でありますけれども、現在のところ各府縣に一地方裁判所ということになつておるわけであります。前例といたしましては、東京に曾て東京民事地方裁判所、東京刑事地方裁判所の二つの地方裁判所が置かれた例がございますけれども、それは民事、刑事というふうに分れた地方裁判所でありまして、一府縣に同じような地方裁判所を二つ設置いたしました例は今日までもございません。その点につきましては今後一般的にどうするか、十分に研究させて頂きたいと思つております。
#16
○理事(岡部常君) 右に対して御発言ございませんか……御発言ございませんければ、別段御異議ないものを認めますが、本会議に付し、且つ政府に送付することについて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○理事(岡部常君) 御異議ないものと認めましてそのように取計らいます。
  ―――――――――――――
#18
○理事(岡部常君) 次に、請願第一号第五十九号並びに九十七号、これは同じく福島縣下に関することでありまして、紹介議員橋本さんから一括して御説明を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○理事(岡部常君) それでは紹介議員橋本さん。
#20
○委員外議員(橋本萬右衞門君) 紹介議員として説明を申上げます。一つは宮城刑務所福島支所移転に関する請願でございます。請願者は福島市長佐藤元治、宮城刑務所福島支所は、福島市の中央部にあるので市の発展を阻害している。而して同支所所区域一帶は信夫山公園として遊覽の諸施設も備わつており、又兒童公園の建設及び都市計画の重要事業であるトンネルの開鑿工事も計画されているから、速かに廳舍を行当な場所に移転せられたいという請願でございます。全くこの通りでございまして、私の知合いも通刑務所に未決囚として数人入つたことがありますが、その人の感想を聞きますと、あたりが公園地になつておるものでございますから、人に騒がれるのが癪に触わる、こういうようなことを申しておりました。又福島市では移転先の敷地として旧岡山村を用意してございますので、どうぞ適当に訴願の趣意を御審議下さるようにお願いいたします。
 次に郡山市に仙台高等裁判所支部設置の請願でございまして、請願者は福島縣郡山市長本間善庫でございます。本請願に関しましては、第一國会より毎國会数回ここにお願いいたしまして、悉く満場一致で以て採択決定しておりまして、いずれも内閣へ御送付になつておる次第であります。尚、御説明申上げます。裁判所法によつて裁判所の構成と事件の管轄が変更されたため、交通不便の地方の者には、経済事情や交通難から控訴の申立を取止めることとなつて、憲法第三十二條の趣旨にも反するから、地理的に見て東北の要地であり、発展必然性として訴訟件数も増加の傾向にある郡山市に仙台高等裁判所支部を設置せられたいという請願でございます。郡山は皆さん御承知でもございましようが、東京以北北海道に至るまでの間の最大の商工業地でございます。又交通も四通八達でございまして、國有鉄道のみでも五本かございまして、列車の発着は七方面に向つております。それ程枢要地でございますから、どうぞ速かに仙台高等裁判所の支部を御設置下さるようひとかにお願い申上げます。
 もう一つは、宮城刑務所本馬支所復活に関する請願でございます。請願者は福島縣相馬郡中村町長三田四郎外二十三名でございまして、宮城刑務所相馬支所廃止以來、中村地区警察署の留置場は、附近の五警察署より送致せられる被疑者が常時十名乃至二十名の多きに達しているが、刑務所看守の配置がないため累増する兇惡犯罪に対する地元民の不安は極めて大きいから、警備上及び人権擁護の見地からして、速かに施設の整備せられた相馬刑務所支所を復活せられたいとの請願でございます。どうぞよろしく。
#21
○理事(岡部常君) 右に対し政府側の御意見をお述べ願います。
#22
○政府委員(遠山丙市君) お答えいたします。先ず最初に宮城刑務所福島刑務支所の移転に関する請願についてお答を申上げます。本件につきましては、当局といたしまして福島刑務支所の環境が行刑の上から見ましても良好でないことは良く承知をいたしておりまするので、適当な場所に移転したいと思つておるのであります。併しながら予算上の困難が伴いまするので、今急速に移転することは困難な実情にあると考えておるのでありまするが、成るべく御要望の趣旨に副うように努力いたしたいと思つておるのでございます。
 次は、只今御申述べに相成りましたごとく、郡山市に仙台高等裁判所の支部設置に関する請願の御趣旨は十分了承いたしました。本請願はすでに第一國会において衆参両院、又第二、第三國会においては当院の御採決になつておるのでございまして、政府といたしましても御不便の事情は了承いたしておりますが、裁判所支部の設置は最高裁判所の権限に属しておりまするので、最高裁判所へ本請願の趣旨を伝達いたしまして、重ねて十分の考慮を煩わすことにいたしたいと存じております。さよう御了承をお願いする次第であります。
 その次は、福島縣相馬郡中村町に刑務支所を復活設置の請願についてお答え申上げます。本件についてはこの請願の趣旨は当局といたしましても十分了承いたすところでありまして、國家財政の面に制約せられ早急に実現は困難であると思いまするが、成るべく御要望の御趣旨に副うようにいたしたいと存じておるのであります。以上お答え申上げます。
#23
○理事(岡部常君) 次に最高裁判所の御意見を……
#24
○説明員(内藤頼博君) 郡山に仙台高等裁判所支部設置の請願についてお答え申上げます。郡山市の地元に枢要な地位にあること、それから高等裁判所の権限が御承知のような裁判所法の規定になつておりますために、郡山に高等裁判所支部を設置することの請願理由については十分に御了承申上げるわけであります。ただ現在のところ高等裁判所支部を各地に設けたいという氣持がありながら、実際問題として予算上或いは具体的に人員の上から制約を受けておる次第であります。そういつた点につきまして、いろいろまだ研究しなければならない余地があると存じております。尚、郡山につきましても先般甲号支部に昇格になりましたばかりでありまして、甲号支部としての整備もまだ十分でございませんので、そういつた点につきましても今後十分に私の方で力を入れて参りたいと存じております。
#25
○理事(岡部常君) 右三件に関しまして何か御発言ございませんか……御発言ございませんければ、右三件を本会議にかけまして、更に政府に送付することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○理事(岡部常君) 御異議ないものと認めまして、さよう取計らいます。
  ―――――――――――――
#27
○理事(岡部常君) 次に、請願第二百二十号、北見市に地方裁判所設置に関する請願についてであります。先ず紹介議員から御説明を願います。
#28
○委員外議員(堀末治君) 北見市に地方裁判所を設置して頂きたいとの請願につきまして、その理由の概要を御説明申上げます。御承知の通り北見市は北海道の東部の都市でございまして、そのいわゆる網走支廳管内になつているのでございますが、その網走支廳管内の総人口は大凡そ四十五万人でございまして、面積は九千九百五十万キロというような廣い面積になつておりますが、併し非常に北海道の東端にはございますものの、地味は肥沃であり、又産物が非常に多いのでございまして、終戰後郷土の非常に狹くなつた現在の日本としては、非常にこの土地が急速に開発されることと実は存じているのであります。恐らく今後五ケ年計画等も成立ちますれば、ここの人口は少くとも五割以上乃至は倍までの増加を見るのではなかろうかと、かように思うのであります。そうして北見市は現在人口が五万以上約六万もございますのですが、從つて東北海道における諸官衞の中心をなしております。そういういろいろな諸官衞乃至は地方公共團体、かようなものが凡そ二十四ケ所ございまして、從つて可法事務も最近非常に多いのでございまして、犯罪件数なんかも過去五ケ年の統計を見ますと、昭和十九年は千六十五件、二十年は千八百二十九件、二十一年は二千百九十八件、二十二年は三千三百十八件二十三年は五千五百六十八件、かように累増いたしておりまして、殊に北見市と網走、遠軽、紋別、美幌、斜里、この六ケ所には簡易裁判所が設置されておりますだけで、現在北見市には地方裁判所がございません。所轄は釧路市の管轄になつておりますので、釧路には最低三日間、殆んど夜行がございませんものですから、往き帰りとも晝汽車で一日、裁判所の用を足して翌日又汽車で帰るというふうで、最低といたしましても三日間もかかる、かようなことでございますので、その不便は非常に夥しく、同時に又いろいろな裁判所関係の事件が非常に手数がかかつて、各住民は困つている、かようなことでございます。丁度この局内には二市二十七ケ町村がございますので、それらの住民のために、是非國費多端な折柄ではございますが、北見市に地方裁判所を御設置願いたい、かような請願でございます。どうぞよろしく御採択願います。
#29
○理事(岡部常君) 政府の御意見をどうぞ。
#30
○政府委員(遠山丙市君) 只今御請願の御趣旨をお述べになりましたが、北見市に地方裁判所設置の請願でございますが、一應御尤もであると考えているものであります。御説明にもありましたように、北海道はあの廣大なる地域に札幌、函館、旭川及び釧路の四地方裁判所があるのみでありまして、特に北見地方は地方裁判所の所在地たる釧路への距離が甚だ遠く、甚だ不便であることはよく了承いたしておりまするが、御承知のような國家財政の状態でありまして、すでにこの以前から北見市とは別に、帶廣市に現在の釧路地方裁判所を帶廣支部及び北見市支部を管轄区域とする地方裁判所を設置して貰いたいという請願や陳情がたびたび出されておりまして、北見市に地方裁判所を設置する問題とは競願の形になつておりまするから、最高裁判所とも協議いたしまして將來十分研究いたしたいと存じておるのであります。さように御承知を願つて置きたいと思うのであります。
#31
○理事(岡部常君) 最高裁判所の御意見を承わります。
#32
○説明員(内藤頼博君) 御請願の御趣旨は私共の方も十分に御了承申上げるわけでございます。北海道の廣い地域に地方裁判所が増加さるべきものであるということは誠に御説明の通りと存じております。北見市につきましても十分に研究いたしまして、御趣旨に副うようにいたしたいと思います。
#33
○理事(岡部常君) 右に関し御発言ございませんか……別段御発言ございませんければ、本会議に付し、更に政府に伝達することについて御意見を承わりたいと思います。御発言もなければ、そういうように取計つてよろしゆうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○理事(岡部常君) それではさようにいたします。
  ―――――――――――――
#35
○理事(岡部常君) 次に、第六十六号、宮崎縣須木村に頂木登記所設置の請願を上程いたします。
#36
○專門家(泉芳政君) 宮崎縣西諸縣郡須木村長外五十八名よりの請願を水久保甚作議員によつて紹介せられたのでありますが、須木村は非常に山間の不便なところにありまして、隣村の小林町に登記所があるのでありますが、そこへ行くまでに山坂を越えて約五里、而もこの須木村は人口五千四十三人、土地の筆数が二万六千筆、非常に数が多いのでありまして、尚その殆んどが國有林でありますけれども、最近二千町歩は農地として開放されるということになつており、又村有林のうち五百町歩はこれ又拂下済になつているというようなことから、輓近非常に登記事務が増加するということが考えられる、併し非常に不便なために小林町へ行つて登記するのでは一日ではできないというような関係から未登記のものが非常に多く存しておる。一つ村民の不便を救い、又登記がきちんと登記簿に記載される便宜のために登記所を設置して呉れという請願であります。
#37
○理事(岡部常君) 政府の御意見を承わります。
#38
○政府委員(遠山丙市君) この登記所を新設すべきかどうかということは、先ずその地の人口、交通、面積の実態ばかりではなく、その地において処理する事件数をも十分に考慮して決めなければならんことは勿論でありまするが、請願のありましたる須木村における過去三ケ年間の総処理件数を見て見まするのに、昭和二十年には八十六件昭和二十一年には百三十五件、昭和二十二年は百八十件、以上平均百七十三件に上つておるのであります。このように一ケ年間に最高二百件にも満たない事件を処理せしめるために、特にこの地に登記所を新設し職員を駐在させるということは、これによつて受けまする当該村民の利益に比しまして、國庫の負担が聊か多きに過ぐるの憾みがあるのであります。我が國の現状から見まして、直ちにこれを実現することは誠に困難であろうと考えておるのであります。併しながら須木村は、請願中にもありまするように、面積が多く、この地を管轄する小林登記所までには、山間の起伏の多い上に相当な距離もありまするし、村民の不便はさぞかしと思われるのでありますので、政府といたしましても、將來は十分に考慮をいたしたいと考えておるのであります。
#39
○理事(岡部常君) 何か御発言ございませんか……ございませんければ、これを会議に付し、政府に送付することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○理事(岡部常君) ではさように取計らいます。
  ―――――――――――――
#41
○理事(岡部常君) 次に、第百五十四号、借地借家法改正に関する請願、これを議題に供します。
#42
○專門員(泉芳政君) 便宜私より御説明申上げます。請願者は宮城縣仙台市の宮城縣借地借家組合連合会内木村太郎外一万二百九十八名、紹介議員は、中西功、細川嘉六両議員であります。請願の内容は、新憲法第十一條によつて國民はすべての基本的人権の享有を保障せられ、同じく第二十五條によつて、すべて國民は健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利を認められておるにも拘わらず、これと甚だしく矛盾抵触する旧來の借地借家法が現存するため、國民の大多数を占むる借地借家人は絶えざる居住の不安に脅かされ、ために日常生業に勵むことを阻害されるは勿論、惡徳家主の下に呻吟せしめられるものに至つては、遂に身心に異常を來す惨状を呈しつつある者少からざるは眞に由々しき社会問題にして、民主日本再建の重大障害と言わざるを得ない。けだし住居は人間生活の第一基盤なるを以て、新憲法にいわゆる基本的人権も健康で文化的な最低限度の生活も、居住の安定を欠いてはすべて空文たるを免れないのである。ここに我々は民主憲法の大原則に照し、且つは民主日本建設の根基を確立するため、貴院において速かに現行借地借家法を徹底的に改正し、以て居住権を確立せられるよう請願するものであるというのであります。
#43
○理事(岡部常君) これに対し政府の御説明を願います。
#44
○政府委員(遠山丙市君) 借地関係につきましては、借地法、罹災都市借地借家臨時処理法等によりまして、借地権を保護するいろいろな措置が講ぜられておるのでありますし、又借家関係につきましては、借家法第一條の二で正当な事由ある場合でなければ契約の更新を拒み又は解約の申入れをすることができないことになつておるのであります。そうしてその正当なる事由の有無につきましては、裁判所において貸主、借主の諸種の事情や一般経済、社会状況等諸般の事情を斟酌いたしましてこれを決するものと解釈し、その趣旨に則つて裁判、調停を行なつているようであります。かように借地借家人の保護については法的に考慮が拂われておるのでありまするが、更にこれが万全を期すると共に、借地借家関係全般の調整を図るために目下調査研究をいたしておる次第でありまして、その結果によつて必要となりますれば、関係法令の改正もいたしたい所存であります。以上御答弁申上げます。
#45
○理事(岡部常君) 右の関し御発言ございませんか……御発言ないものと認めまして、こういうふうに取扱つたら如何かと思います。これは今読上げましたところによりましても甚だ漠然としておるのであります。惡いところは改めろというように一言に盡せばそういうことになります。その他につきましては概ね委員会といたしましても考えなければならない、みずから発動しなければならない点であろうと思いますので、この趣旨を採択いたしまして、政府に送致せないことに決議いたしたら如何と思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○理事(岡部常君) 御異議なければさように決定いたします。
#47
○星野芳樹君 今までいろいろな請願がありましたが、その請願というのは、土地の事情としては誠に必要であるが、実際國家の経済上、財政上考慮して、直ちに適当かどうかということを討議すべきことで、又問題が非常にあたつたと思うのであります。併し地元民の意思を尊重して、我々はこれを採択して政府に送致する。この請願も成る程抽象的の文句が並べられていて、結果とすることは、借地借家法を改正しろ、惡いところは改めろというに過ぎないのでありますから、只今政府の答弁におきまして、政府の方としてもこれに対して何らかの法的措置を考慮しつつあるというので、別にその点においては國家の大計と背馳するものでもない。この請願のみを政府に送致しないという理由はちよつとないように思うのです。そういたされますと殊に政府に送致するというのは相当嚴格に調べろということになると、今までのようないろいろの請願もいろいろと問題が出て來ると思います。殊に今予算的措置をやらなければならないことでないし、又そういう方針で借家人法案の惡いところを改めろということだけなので、これは送致しても差支えないと思う。これだけを送致しないというのは妙なものです。殊に一万何千の署名を集めておるのですから……差支えなければ送致したら如何かと思うのです。
#48
○理事(岡部常君) 外に御意見ございませんか。
#49
○專門員(泉芳政君) 從來この法案、立法事項に属するような問題の請願については、國会は唯一の立法機関であるという建前から、國会みずからが立法すべきである。ただ現状におきましとは便宜政府をしてそのことに從わしめておるに過ぎないので、そうした請願については國会みずからが衝に当るべきものであるという見地から、採択して本会議には付するが、政府には送らないというふうな扱いをしておるのであります。今日すでに議せられましたその他の問題とは少しくその性質を異にするのではないかというふうに考えます。みずからできることであるから、從來のように政府もその点について立案権は持つておりますけれども、請願に対しては議員みずからが考慮すべきであるという見地から、さように取扱つておるわけであります。
#50
○星野芳樹君 今の点がはつきりすればいいのですがね。今の問題は行政措置の問題で、これは立法措置の問題だから、國会に権限があるのだから國会で採択するということをはつきりすれば問題はないのですが、それをはつきり言われないで、これはこう処置すると委員長が言われたのですが、それは外にも出ようかと思つて一應聞いて見たのです。
#51
○理事(岡部常君) 法案と請願の扱い方を変えるという意味を含んでおりますから……それでは御了承得ましたならば、先程の決定通りにいたします。
#52
○理事(岡部常君) それでは次に、陳情第百二十六号、労働者の債権に関する法的措置の陳情、これを議に付します。
#53
○專門員(泉芳政君) 便宜私より御説明申上げます。本陳情は、中央労働委員会委員長末弘嚴太郎氏よりの陳情でありまするが、その内容とするところは、民法第三百六條第三号に、これは先取特権の問題でありまするが、雇人の給料について先取特権があるという規定があるのであります。「債務者ノ総財産ノ上ニ先取特権ヲ有ス」ということになつておりまするが、この雇人の給料というのでは、從來の扱いから鑑みまして少し狹きに過ぐるから、「雇人ノ賃金又ハソノ性質上賃金ニ準ズルモノ」というふうに改められたい。それから第二番目は、同じく民法の第三百九條の但書を削つて欲しい。その但書と申しますのは、「雇人給料ノ先取特権ハ債務者ノ雇人カ受クヘキ最後ノ六カ月間ノ給料ニ付キ存在ス但其金額ハ五十円ヲ限トス」。つまり雇人の給料五十円について先取特権が認められておるのでありますが、古い民法のことですから、今日の事情では五十円の先取特權というのは意味がない。そこでこの但書を削つて雇人の給料については無制限に先取特權を認めて欲しいということ。それから三番目には民事訴訟法第六百十八條、第二項、これは差押えの制限に関する規定でありまするが、その第二項に、一ケ年に三百円を超過するときはその超過額の半額を押えることができるということがあるのであります。この三百円というようなことも時世には適しなくなつておるから、この三百円というのを現状に適合するよう相当程度の金額に引上げて欲しいという陳情であります。
#54
○政府委員(岡咲恕一君) 只今の陳情に対して、政府としての所見を申述べたいと存じます。労働者の債權に関して法的措置を講ずる点につきまして、民法の先取特權の修正の点につきましては、政府といたしましても目下研究いたしておりまして、近く成案を得てできれば本國会に提案いたし、御審議を煩わしたいと考えております。民事訴訟法の改正の点につきましては、第二國会におきまして、民事訴訟法の一部を改正する法律案を提案いたしまして、幸い御可決を得たのでございまするが、その改正によりまして、只今お述べになりました民事訴訟法第六百十八條の第二項は修正によりまして、「一カ年間に受ク可キ総額ノ四分ノ三ヲ超過スル部分ニ限リ之ヲ差押フルコトヲ得但シ差押ニ困リ債務者カ其生活上窮迫ノ状態ニ陷ルノ恐ナキトキハ裁判所ノ許可ヲ得テ其二分ノ一ニ達スルマテ之ヲ差押フルコトヲ得」というふうに修正になりましたので、民事訟訴法の点につきましては勤労者の債權は十分保護される状態になつておるように考えるのでございます。一應お答え申上げます。
#55
○理事(岡部常君) 御発言はございませんか……御発言ございませんければ、これも前同樣に採択いたしまして、政府に送付しないことに決したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○理事(岡部常君) ではさように取計らいます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後二時二十三分散会
 出席者は左の通り。
   理事      岡部  常君
   委員
           大野 幸一君
          大野木秀次郎君
           鈴木 安孝君
           遠山 丙市君
           深川タマヱ君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  委員外議員
          橋本萬右衞門君
           堀  末治君
  政府委員
   法務政務次官  遠山 丙市君
   法務廳事務次官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
  説明員
   法務廳事務官
   (最高裁判所総
   務局長)    内藤 頼博君
   常任委員会專門
   員       泉  芳政君
ソース: 国立国会図書館
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