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1967/12/08 第57回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第057回国会 本会議 第4号
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1967/12/08 第57回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第057回国会 本会議 第4号

#1
第057回国会 本会議 第4号
昭和四十二年十二月八日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和四十二年十二月八日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
   午後二時七分開議
#2
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
#3
○議長(石井光次郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。平林剛君。
  〔平林剛君登壇〕
#4
○平林剛君 私は、昨日の勝間田委員長に引き続いて、日本社会党を代表し、この臨時国会の焦点として、わが国の経済が当面する諸問題を中心に、佐藤内閣総理大臣をはじめ、経済閣僚に対し、その所信をただしてまいりたいと思うのであります。(拍手)
 まず、佐藤内閣の経済見通しの誤りと財政政策の破綻について追及し、政府の経済財政運営の姿勢についてお尋ねしたいと思います。
 昭和四十二年度の国家予算が成立して間もなく、政府の経済見通しは、その指標が総くずれとなり、わが国経済のあらゆる分野に矛盾と混乱が巻き起こりました。鉱工業の生産活動が拡大の一途をたどる中で、経済の成長率は、当初見込みの一三・四%から一六・九%にはね上がり、早くも景気過熱のきざしが見え始めたのであります。民間企業の設備投資は、予算審議の段階で、四十二年度は六兆二千億円と見込んだのにかかわらず、いまでは何と七兆一千五百億円とふくれ上がりました。国際収支の面でも、海外景気の停滞と、この投資熱にあおられて、収支均衡するはずの見通しが、約六億ドルという大幅な赤字基調となり、ついに一連の緊急措置をとらざるを得なくなりました。「充実した福祉社会を実現する」と出発したはずの公債発行額も、政府保証債を含めて千二百億円、皮肉にも減額する羽目となったのであります。しかるに、国際収支悪化の責任を地方財政に押しつけ、公共投資を中心に財政支出三千億円を繰り延べ、公定歩合の一厘引き上げ、銀行の窓口指導、金融引き締めの措置で、中小零細企業は冷たい師走の風を感じておるのであります。景気変動に弱いこれらの企業は、年末を控えて倒産に次ぐ倒産、きょうもどこかで四十軒の倒産という、交通事故を上回る戦後最高の倒産記録を更新しておるのであります。(拍手)
 佐藤内閣は、この経済の動き、設備投資熱を、予想を上回る勢いと片づけて、その責任を避けておりますが、予想外というより、実は政府の経済見通しの誤りというべきであります。(拍手)まして、一時落ちつきを示したかに見えた消費者物価は、九月に入って急上昇し、十月一日からの米価の値上がりで、その傾向は増大しました。すでに、医療費をはじめ、交通費、みそ、しょうゆに至るまで、物価上昇の圧迫は、国民生活を不安におとし込んでいるのであります。佐藤総理は、この一年における財政政策の課題は、景気変動を調整して、経済の安定成長を実現することにあると述べ、物価問題の解決こそ私の最大の公約と国民に誓ったばかりではありませんか。(拍手)このように、絶えず国民経済に動揺を与え、生活環境に不安を増大させたことは、佐藤内閣の経済見通しの誤りとして見のがすわけにはまいらないのであります。(拍手)総理は、この経済政策の破綻と混乱に対して、一体どういう責任をおとりになるのでありましょうか。
 かくして、物価の安定と経済の効率化、社会開発の推進を重要施策としてはなばなしく四十年代への挑戦を唱えた政府の経済社会開発計画は、その第一年目において土台がくずれ始め、急速経済見通しの改定を発表して、景気調整という引き締め政策に転じたことは、単に見通しの誤りだけでなく、佐藤内閣の経済、財政運営の姿勢に根本的な欠陥があると断ぜざるを得ません。(拍手)
 私ども、日本社会党が、昭和四十二年度国家予算の審議にあたり、これをきびしく指摘したことは、佐藤総理もお忘れではないと思うのであります。特に昭和四十二年度の予算は、昨年末の解散、ことし一月の総選挙、四月の統一選挙と、選挙が続いておりましたので、選挙向け予算のぶんどりをやめて、予算編成の節度を守ること、また、民間経済は拡大の基調にあったので、公債発行政策はインフレと物価騰貴につながること、政府は中立型予算というけれども、財政が景気刺激になっていることを、口がすっぱくなるほど強調したのであります。遺憾ながら、佐藤内閣は、財政を利用して選挙における得票をねらう自民党の体質を改めないばかりか、圧力団体に屈して財政規模をふくらませ、行政管理委員会の勧告を無視して公社、公団を増設し、経済の上昇基調を知りながら、公債は八千億円の巨額を発行する財政を継続したのであります。
 今日の事態は、まさに当然の帰結でありまして、経済政策破綻の原因が、公債政策を軸とした財政の膨張と、佐藤内閣の政治体質、それに大企業の利益だけを考える民間設備投資の放任にあることを、この際率直に認めるべきだと思うのであります。(拍手)現にこの秋の景気調整という政策も、大企業優先の考えに支配され、景気の行き過ぎと国際収支悪化の犯人である設備投資には手を触れようとしないのであります。公定歩合引き上げ措置を日銀のいわゆる対話方式で行ないまして、大企業に借りだめをする余裕を与え、七百億の国債減額さえ、大企業の投資熱を満足させる資金需要に回る結果を招いております。これでどうして景気抑制の効果をあげることができるでありましょうか。私は、政府が、この際、銀行の窓口指導で中小企業だけが引き締め手段の犠牲とならないよう、年末融資ワクの拡大、下請代金支払遅延等防止法の完全実施、特恵関税で転業を迫られる中小零細企業を、むしろ育成強化する責務があると思うのであります。
 また、土台のくずれた政府の経済社会開発計画を根本的に練り直し、経済再建の抜本的対策を打ち出す構想をお持ちでありましょうか。鉄鋼、化学、自動車をはじめ、民間大企業の設備投資を抑制し、合理化機械の特別償却の停止など、景気調整税制の発動を行なうべきであると思いますが、いかがでございましょうか。もし政府において、このままの経済運営を継続するなら、景気調整はいつごろ解除する見通しであるか、お答えを願いたいと思うのであります。
 第二に、私は、いわゆる財政硬直化の問題と、明年度予算の編成について、その根本的解決策と政府の基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
 明年度予算の編成を前にして、財政硬直化の問題が騒がれるようになったことは、御承知のとおりであります。一体、財政の硬直化とは何であるかの認識が問題であります。大蔵省の説明によれば、最近の経済情勢を反映して、予算に占める義務的経費が累増し、現行制度のままでは予算規模を毎年一〇%程度押し上げて、経済社会開発計画を考えると、二二%は膨張するのに、歳入はせいぜい一二、三%しかふえないから、従来のような新規政策はできない、また経済情勢の変動で、一たん税収の伸びが落ちれば、赤字公債を発行するような重大な事態になるというのであります。そして、この財政硬直化のもとでは、福祉国家として時代の要請にこたえることも、財政が景気調整の機能を発揮することも、困難であると告白しておるのであります。しかし、この説明では、財源難のため予算編成が困難だという感覚と、いままでの歳出が、まるで合理的で、かつ効率的であるかの錯覚がありまして、硬直化の真の意味が何であるか、それは佐藤内閣や自由民主党には何の責任もないのかという点において、国民の聞きたい肝心の点が抜けていると思うのであります。(拍手)
 総理、いわゆる財政の硬直化とは、わが国の予算編成が、いままでの経費をそのまま積み上げるだけで、圧力団体や選挙のためにおおばんぶるまいを行ない、放漫な財政を続けた保守政権の体質が問題ではありませんか。年率六%をこえる物価上昇が予算経費の膨張に輪をかけて、歳出がふくらんでしまった物価政策の行き詰まりを示したものではないでしょうか。高度成長政策のもとでは、ともかく税金の自然増収を当てにしていけばよかったものの、いまでは巨額な公債発行がなければ予算が組めなくなって、口では財政新時代とか建設公債と言って、赤字公債発行の政策を続けた誤りが、財政硬直化の正体とは思いませんか。私は、水田大蔵大臣の演説に「従来、ややもすると見受けられた安易な膨張傾向を断ち切り、新たな構想と確固たる決意で財政のあり方を再検討する」というくだりは、これを明瞭に告白していると思うのであります。(拍手)この意味では、佐藤総理が一省一局の削減を自慢そうに述べたことを、根本的解決の第一歩と受け取るわけにはまいらないのであります。
 すなわち、財政硬直化の意味するものは、不況のときは公債を発行し、景気がよくなれば公債を縮小するという政府のフィスカルポリシーも、いまや好況、不況に関係なく、公債がなければ予算も組めない麻薬患者の経済であると、はっきりと申し上げておきたいと思うのであります。(拍手)もともと、佐藤内閣の公債政策は、その出発点から、国民を欺瞞し、誤りの連続でありました。公債は少なくとも昭和四十三年までは発行しないというのが政府の言明でありました。その言明は二枚舌となって、昭和四十年七月、赤字公債の発行が始まったのであります。インフレの歯どめとした公債の市中消化も、最近のように、市場価格が発行価格を下回ると、金融証券業者から供給過剰論が起こり、発行条件の変更、手数料の引き上げを求められて、いままで発行した国債は、その大半が一年おくれの日銀引き受けとなっているではありませんか。公債の残高は、四十一年度末一兆五千八百億、四十二年末には二兆二千八百億円とふえ、新しい経済計画の目標年次の四十六年末には約六兆円、すでに発行した分を加えると十兆円の累積額となりまして、利息を払うだけで、日本の財政はますます硬直化するのであります。佐藤内閣は、この冷厳な現実に直面して、いまごろ、財政の公債に対する依存度の高いことを反省し、その引き下げに鋭意努力すると述べたのでありますが、わが国の国債依存度が一六%で世界で一番高いということは、ベトナム戦争の拡大を続けるアメリカでも公債の依存度が六%、財政の破局を招いた西ドイツでも一〇%といろ割合でありますから、初めからよくわかっていなければならないのであります。(拍手)私は、この際、佐藤総理に対し、このわが国の経済と国民生活を破壊する公債政策のどろ沼から一日も早く脱却することを、国民の名において要求いたしたいと思うのであります。(拍手)財政硬直化のガンである公債政策から抜け出すためにどう措置をするか、公債依存率を下げたとしても、公債発行額は削減するつもりなのか、今後の国債発行計画を明らかにすべきであります。とにかく公債の償還を借りかえ、借りかえと繰り返し、借金を返すために新しい借金をふやすような自転車操業的公債政策をどう縮小するか、佐藤内閣の方針をはっきりと示していただきたいと思うのであります。また、国債の償還計画は、財政法に、国会に提出する政府の義務があります。それをメモ一枚でごまかしておる財政法違反の態度を改め、まじめに、銘柄別に、償還財源のはっきりした裏づけがある償還計画を提出して、まず義務の履行をするかどうか伺います。(拍手)
 次に、明年度予算に関しては、予算編成の基本的な考え方、予算の規模、当面する問題の処理についてお尋ねいたしたいと思います。
 まず、かなり困難でありましょうが、年内編成の自信がありますか。また、伝えられるところによりますと、予算の規模は、一般会計で、前年度当初予算に比べて一五%増の五兆八千億円、財政投融資計画は、前年度計画比の一七%増の二兆八千億円程度となっておりますが、この予算規模は、どう見ても景気抑制型と言えそうにありません。予算編成における政府の姿勢批判に対しても、どういう反省があるか、お答えをいただきたいと思うのであります。
 なお、景気抑制策として三千億円の財政支出の繰り延べはどう処置するつもりか、硬直化問題のしわ寄せを受けている地方交付税率の引き下げについて、政府の統一見解はどうか、消費者米価の問題と生産者米価、食管会計制度をどうする考えであるか、国家公務員給与の引き上げ見込み分を当初予算に計上するという政府の見解はどういうことか、この臨時国会の検討対象となるよう、ぜひその大綱を明らかにするよう願いたいと思うのであります。同時に、私は、いわゆる財政硬直化の問題を国民の犠牲に押しつけて、社会保障政策を後退させないこと、原爆被爆者に関する本院決議をすみやかに実施することを佐藤総理に要求し、その見解を承りたいと思います。
 第三に、私は、当面する物価問題の行き詰まりと、いわゆる宮澤構想について、政府の総合対策と見解をただしてまいりたいと思うのであります。
 この十月、宮澤経済企画庁長官はまことに注目すべき構想を発表いたしました。米価の据え置き、食管会計赤字のたな上げ、減税のストップ、公務員給与にワクをはめるなど、十一項目にわたる構想は、おそらく物価行政をあずかる責任大臣として、このまま物価上昇を放置しては重大な政治不信を招くという認識と、沖縄問題をはじめ、佐藤内閣の外交政策に対する国民の不満が物価上昇に対する国民の怒りと重なったならば、自民党政権の危機となり、予算編成難で破綻した西ドイツの二の舞いを演ずるとの心配から発したのではないでありましょうか。同時に、この構想は、物価問題こそ佐藤内閣の最重要課題とした政府の公約が行き詰まり、公共料金の値上げストップをはじめ、国民を犠牲にしなければ物価を抑えられない政府の無能を物語るものだと思うのであります。(拍手)
 物価の抑制といっても、すでに十月から消費者米価は一四%も引き上げて、交通料金も政府の手で引き上げてしまったではありませんか。明年度の予算編成では、国鉄の定期、電話代の値上げなど、公共料金引き上げは順番を待つように控えておるのであります。一般に、宮澤構想を進めれば物価が安定するかのような世論操作をしながら、一方では、生産拡大でコストも下がったはずの製品や下がるはずの管理価格には手を触れないで、取れるべき大企業の税金は租税特別措置という抜け穴を認めている片手落ちの構想で、どうして物価を安定させることができるでありましょうか。(拍手)つまり、宮澤構想は、財政の硬直性や物価の急上昇という危機感をうまく利用して公務員給与にブレーキをかけ、民間賃金の上昇を押えつけ、米価にはワクをはめることによって、佐藤内閣の財政、公債政策の失敗を切り抜けようとするずるい考え方であります。
 また、宮澤構想には、巧妙な所得政策の導入が隠されているのではありませんか。確かに、大企業の管理価格や企業の利益配分をどうするかの提案がない限り、いわゆる所得政策でないと言えるかもしれません。また、一年間に限った財政上の緊急対策という弁解がありましても、将来にわたってそうではないと言い切れるでありましょうか。
 私ども日本社会党は、当面する物価問題の解決のため、さきの国会において、物価安定緊急措置法案の提案をして、総合的解決をはかろうとしております。佐藤内閣には、国民の犠牲を求めなければ、物価を押える自信がないのでありますか。私は、今回の内閣改造において、宮澤経済企画庁長官を再び閣僚に任命した佐藤総理に対し、いわゆる宮澤構想をどうするおつもりか、明確なお答えを聞きたいと思うのであります。(拍手)
 宮澤長官には、あなたの構想である公共料金を値上げさせておいて、今後の物価抑制にどの程度の自信を持って入閣されたのでありましょうか、伺いたいのであります。
 国鉄定期の値上げ問題、電話代の値上げは一体どうするか、国民の生活必需品であるたばこは六〇%近い税金を取りながら、なお値上げする考えであるか、関係閣僚のお答えを願いたいと思うのであります。
 減税ストップ論については、総選挙において自由民主党が国民に約束した昭和四十五年までに課税最低限を百万円にするという公約、国会においては可及的すみやかに百万円まで税金をかけないよう実施時期を縮めるという決議に反していることは明らかであります。政府大蔵省の調査資料でさえ、国民の税負担は、昭和三十五年に比べて、実質所得が一・三五倍しか伸びないのに、税負担は二・〇六倍にふくれ上がっていると指摘しておるのでありまして、幾ら減税をしても物価上昇に食われてしまい、納税者は二千万人をこえ、高校を出たばかりの子供からも税金を取り立てるわが国の税制をこのまま据え置くことは、断じて許さるべきことでないのであります。(拍手)佐藤総理は、昭和四十五年を待たずとも、課税最低限を百万円まで引き上げる約束を確認するとともに、地方税の減税決議についても、これを忠実に実施することをはっきりしてほしいと思うのであります。
 いま、政府部内と関係方面において、財源に余裕があれば、国債発行の削減か減税かの二者択一論がありますが、これは的はずれの議論であります。財源確保には、政府の決意いかんで、りっぱに第三の道があると思うのであります。かねてより国民の批判が強い租税の特別措置、貯蓄の奨励や産業の助成に名をかりて大企業だけを優遇する不公平な税制を改めれば、それだけで年間二千数百億円をこえる財源ができるのであります。巨額な政治献金、六千億にのぼる交際費、はんらんする広告に対する課税の強化、これこそ第三の道でありまして、問題は、取れるべきところから税金を取らない佐藤内閣の政治姿勢にかかっていると思うのであります。(拍手)佐藤総理、だれが考えても、国民大衆の所得税減税をストップするよりも、租税特別措置のストップ、さらに進んではこの悪法を整理縮小することが緊急の課題と思うのでありますが、これを実施するお考えはありませんか。
 最近、佐藤総理は、物価抑制に関連して、国民の消費抑制を強調し、自動車、カラーテレビ、クーラーの三Cよりも家づくりへと、その健全化を求め、自民党の福田幹事長は、国民の消費動向を昭和の元禄時代と批判したと伝えられております。それでは、最近の消費動向の拡大現象は、はたして国民生活が楽になった反映と見るべきでありましょうか。一世帯平均の消費支出は、岩戸景気の昭和三十五、六年より増加率を高め、三十七、八年には年率二二%と増加しましたが、その後鈍化して、四十年、四十一年度は八%台にとどまっております。百貨店の売り上げ高でも、三十五年当時、年二〇%の急増に対し、四十年にかけて鈍化し、その後ゆるやかに上昇してはおりますが、デパートの売り上げのすべてが個人消費とは限らないのであります。経済企画庁の消費者動向予想調査でも、家計収支がとんとんの世帯が、昭和四十年で四七%、昭和四十二年に四八%、貯金を引き出したり、借金でやりくりする世帯が二五%から三〇%とふえているように、国民生活の余裕とは言えないと思うのであります。総理や福田幹事長は、買いものに行った家庭の主婦が、十円のつり銭の違いに目の色を変える生活を御存じでございましょうか。(拍手)国民生活の一部を表面的にとらえて、元禄時代とか、繁栄の陰に忍び寄る安逸の気風とか国民にお説教し、これを批判するのは当を得ないといわなければなりません。(拍手)また、消費動向の現象には、社会的に強制された購入欲、土地入手の困難性、住宅難のはけ口が手近な消費に傾いているのでありまして、国民生活の水準に水をかけるより、まず政治の姿勢と肝心の土地値上がりをどう抑制するか、住宅の拡充について、政府の所信を聞かせてもらいたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、私はポンド切り下げによる国内経済への影響、当面する政府の金融政策について触れたいと思うのであります。
 十一月十八日、英国政府は特別声明を行ない、ポンド切り下げを発表いたしました。就任以来まる三年、ポンド危機をどうにか切り抜けたウィルソン政府も、ついに投機筋の圧力に屈服し、一四・三%の切り下げ措置と公定歩合八%の引き上げなど、国内デフレ政策を打ち出したのであります。ドルと並んで国際通貨の一翼をになったポンドの崩壊は、国際的影響も国内経済への波紋もかなり深刻なものがあることは言うまでもありません。これが動機となって、幾つかの国は為替相場を切り下げ、アメリカ、カナダも公定歩合を引き上げました。はたして英国経済の再建成るかも問題でありますが、わが国の経済で心配なことは、アメリカの国際収支がベトナム戦争によって、ドル防衛と対軍事支出の両立が困難となり、いま金利引き上げか増税かの選択を迫られておることであります。この国際経済環境のきびしさは、国際収支の危機を抱いた佐藤内閣にとって、まさに四面楚歌と言えましょう。この危機を脱するには、まず、アメリカのベトナム戦争に協力体制をとるような第三次防衛計画の破棄、憲法第九条の精神に基づいて、自衛隊の縮減と改編、そして日本経済の自立に向かって中国、ソ連を含めた貿易構造に転換することであります。とりあえずは、どうして輸出を拡大しながら国際収支の危機を乗り切るか、明年度の輸出入計画の目標はどうか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 また、総理は、今般東南アジア訪問で、国会の承認もなく海外援助を約束したと伝えられ、日米会談では防衛責任とともに、ドル中期債の引き受けや、ドル防衛協力の重荷を押しつけられたようであります。防衛問題だけでなく、経済の分野までアメリカに従属し、ドル依存を続けては、佐藤内閣はドルと心中することになってしまうではありませんか。(拍手)政府の経済自立の方途を示してほしいと思うのであります。
 以上、私は、国内経済全般にわたって政府の政策にあえて論争をいどみ、その質問を続けてまいりましたが、佐藤総理に一言、奇跡の繁栄といわれた西ドイツが、昨年末の深刻な不況で予算審議が難航し、ついにエアハルト政権が退陣したことについて、あなたは何を学び取ったかという感想を求めたいと思うのであります。財政硬直の打開策か、公債の思い切った削減か、経済的な環境でも、経済硬直化の傾向でも、全くわが国と類似した西ドイツ、エアハルト政権の退陣、それはあすの佐藤内閣を象徴するものとは思いませんか。(拍手)
 私の代表質問はこれをもって終わることといたします。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
 今日までの経済の歩み、ことに戦後の歩みを見ましたとき、私は、わが自由民主党のとってきたその政策そのものが誤りでなかった、かように確信をしております。(拍手)御承知のように、戦後社会党が中心で政権を担当した際もございます。しかし、その際は一体どうであったか。その後引き続いてわが自由民主党が政権をとってから、ただいまは世界第三の工業国になりつつある、かような批判すら実は聞くのであります。すばらしい発展を遂げておる。それはわが党の自由経済、それこそが、統制経済に反しての自由経済こそが、との成果をおさめたと思います。もちろん、ただいま御指摘になりましたように、自由経済のもとでございますから、私どもが予想したとおりのそういう結果はなかなか出ておりません。そのとおり出てくれば、たいへんしあわせですが、そのとおりにならないことはまことに残念でございます。しかし、今日、国民は、いわゆる不況を克服するという、私が国民に呼びかけたそのことについては成功した、不況克服ができた、今日消費が非常に伸びておる、また所得も増加しておる、そのことは必ず喜んでくれると思います。しかし、私がお約束したもう一つの問題、物価の安定、安定的経済成長、これは私が予想したとおりではございません。そのとおりを率直にただいま申し上げておきます。しかし、私は、今日まで歩んできたこの歩み方こそ正しい方向であり、今後ともこの方向で進めていくべきだと思います。しかし、もちろん過去一年間の経済の情勢について、私どもは深く反省していかなければならないと思います。もともと、経済の問題については、臨機に景気調整の処置をとる、こういうことは当初から申し上げております。私は、ことしの夏以降の行き過ぎがあったことにかんがみまして、景気調整策をただいま実施中であります。(「おそ過ぎるんだ」と呼ぶ者あり)これがおそ過ぎるという批判もございますが、近く、必ずその効果が出てまいります。その点を十分御理解をいただき、これらの事情に対しましては、慎重にまた真剣に対処していくべきだと思います。
 今後特に私どもが注意をしていかなければならない点は何かといえば、これは国際収支の改善と健全化の問題と、物価の問題でございます。したがいまして、この二つに重点を置いて、予算、金融等あらゆる政策、ここに効果があがるように、今後とも進めてまいる決意でございます。
 ただいま、中小企業はたいへんなしわ寄せを受けて、困難な状態におちいっているというお話がございますが、この中小企業に対しましては、特に年末金融等。につきまして、昨年よりもさらに増加して、おります。それぞれ民間金融あるいは中小企業三機関等におきまして、資金の増加を措置しておりますし、また税制面におきましても、大蔵委員会における特別決議等もございましたので、その趣旨を尊重いたしまして、年末の調査、検査、滞納処分等についても、特別の悪質なものでない限り、これらについて便宜をはかる考えでございます。また、これらの点については、詳細は大蔵大臣から説明していただくこととして、お聞き取りをいただきたいと思います。
 次に、経済社会発展計画で、どうも大企業中心にものごとが進められているんじゃないかという御批判がございます。私は、三十年代の発展過程の不均衡を是正して、そうして四十年代には新たな事態に対処し、均衡のとれた経済発展をはかろうとしたものでございます。したがいまして、この冒頭に申し上げましたように、経済の効率化、社会開発、あるいは調和のとれた社会開発というようなものに特に重点を置いて、これこそが真の経済開発の目標である、こういうことを国民にも理解していただくつもりでおります。そして、国民生活の充実向上、これを実現していくことが必要だと思います。
 私は、最近の消費の抑制につきまして、私自身が率直な考え方を披露いたしましたが、ただいま平林君のような御批判もございます。つり銭の十銭に苦労しておる……(「十銭じゃない、十円だ」と呼ぶ者あり)ただいま十銭と私は聞いたのでございますが、それは十銭でなければ十円でございますが、その十円に苦労をされる方もあるのだ、こういう点に注意をいたしまして、そうして消費生活の行き過ぎをお互いに注意すべきではないかと思います。そして、私はこの際、貯蓄を中心にいたしまして、最も国民の困っておる住宅、このための貯蓄、私どももこれについて特別な税制措置を考えるべきである。もうすでに出発いたしておりますが、この点を一そう普及、理解していただくよう願うつもりであります。
 ただいま設備投資の抑制をしろというお話がございましたが、何だかお話の節には、統制経済あるいは計画経済というような強い気持ちが出るのではないかと思いますが、とにかく私は、統制よりも自由経済のもとで民間が抑制すべきものだ、かように思います。幸いにして、その点が皆さんと御意見が一致しておればたいへんしあわせでございます。
 次に、景気調整税を発動しろ、こういうことでありますが、これは本年度から設定されたものでありまして、もうすでに、これが調整税の弾力的な措置がとられております。この点は、平林君は大蔵委員でもあるから、御承知のことだと思います。
 次に、景気調整の見方と解除の見通しについてお話がございました。御意見について、私もいろいろ伺わしていただきましたが、格別、基調の変化はただいまのところまで見られておりません。まことに残念であります。しかし、先ほど、冒頭に申しましたように、順次私どもの対策が浸透していくと思いますから、この浸透の結果によりましては、この国際収支の動向にも変化がくるだろうと思います。しかし、ただいまは、何と申しましても、御指摘になりましたように、ポンド切り下げ直後でありますし、これらの影響がどういうように響くか、ただいま慎重に注視しておる段階でございます。
 次に、不況の克服について、財政の公債が果たした役割りも実はお認めにならないで、財政硬直化のガンは、ただいま公債だと、かようにきめつけられましたが、私は、お説にもありましたように、財政が不況の際と、あるいは景気のいい際と、それぞれの違いによって公債の発行を増減すべきだ、こういうようなお話がございましたが、そのとおりだと思いますので、ことに、この不況の克服に役立ったことは見のがすことはできません。今後とも私ども、弾力的運営のために、公債の発行については一そう慎重な態度をとりまして、その依存度の引き下げに今後とも注意する、努力するつもりでございます。
 ことしの経済成長が一体どうなるのかということでございますが、それは税収の伸びや、あるいは減税、財政に対する需要、金融情勢等、いろいろの問題がございますから、それらとかみ合わせまして、そうして判断すべきで、ただいま簡単な予断を下すわけにはまいりません。
 次に、国債償還計画を示せということであります。この償還計画は、すでに、予算委員会等におきましても、ただいまも償還計画表、これが第四条第二項に基づいて出されておりまして、すでに、財政制度審議会等も、これでけっこうなんだ、かように申しておりますから、あらためていわゆる償還計画を出す考えはございません。
 次に、明年度の予算規模あるいはその編成の方法でありますが、ただいま、まだ、実はそういう点がはっきりきまっておりません。ただいまいろいろ検討中であります。したがいまして、この際にはっきりしたことは申し上げられませんが、ただいま言えることは、財政規模の膨張はこれを抑制する、公債発行の依存度は引き下げる、こういう点に尽きるかと思います。
 また、減税等につきましては、すでに公約した事柄もございますので、できるだけその公約を忠実に実施するように、この上とも努力する考えでございます。
 公務員の給与の問題やあるいは消費者米価の扱い方等についても、ただいまのところ、申し上げますように、予算の編成途上でございまして、まだ、最終的なものは申し上げかねる次第でございます。
 次に、原爆被爆者援護措置法をこの際考えろということでありますが、原爆被災者に対しては、国会におきましての決議等もございますので、この決議等を十分考慮いたしまして、そうして各方面の意見も聞いて、これが対策を立てるべきだと、かように考えております。ただいま、平林君の御注意もございましたので、さらに、こういう点を考慮に入れて、そうして、これが対策を考えてまいるつもりであります。
 次に、宮澤構想なるものをどうするのかということでありますが、ただいまのところ、物価の安定、財政硬直化の解決は、当面の国際収支改善とともに最大の課題であります。このため、従来の諸制度、慣行、これを全面的に再検討するという時期だと、かように私は考えております。しかし、一挙に思い切った大革新をするということは、これはかえって与える弊害もありますので、それらの点は十分慎重にやらなければならないと思います。したがいまして、いわゆる根本的解決の第一歩を踏み出すというような決意で、各省庁一局削減というような提案もしておるわけであります。その他の事柄につきましても、順次再検討する、この方向で進めてまいるつもりであります。
 減税の点についてはただいま触れましたが、同時に地方税の減税につきましても、同様に考えていかなければならないと思います。これは当然のことでございます。
 またその際に、租税特別措置をストップしろとか、あるいは政治献金、交際費、広告費等の課税強化をやれとか、あるいは第三次防衛計画をやめてしまえとか、いろいろな思い切った御意見が出ております。この税金の問題もなかなか影響するところがありまして、プラスの面もあるが、同時にマイナスの面もあるということでありますから、簡単に実は結論は出ません。ただいまのところ、さように私は考えております。しかし、一方的にそのマイナスを考えないで、プラスのほうだけで思い切って決心しろという、勇気を持てという激励は、私もひとつ伺っておくことにいたします。
 それから、ドルと心中するつもりかというお話でありますが、これは私がしばしば申し上げておりますように、アメリカの国際収支の健全化が日本にも役立つのでありますし、また、日本の国際収支の健全化はアメリカにも役立つのであります。ただいまドルと円との結びつきは、それほど密接でございますから、私はその意味におきまして、これが国益に適するものだ、ただいまの行き方が国益に適するものだ、かように考えております。
 また、中期債云々等のお話がございましたが、私とジョンソン大統領との間では、さような話は全然ございませんから、これこそ私は絶対にうそは申しません。御安心をいただきたいと思います。
 また、最後にお話しになりましたドイツ経済の破綻、同時に政局が不安になった。このことはもちろん御注意までもなく、他山の石として、十分気をつけてまいるつもりであります。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#6
○国務大臣(水田三喜男君) 大部分、総理からお答えのようでございますので、重複しない範囲でお答えしたいと思います。
 まず、政府が経済見通しの改定をいたしましたが、経済見通しが間違っておった、見通しが狂っておったとするなら、当然今日までとられた財政金融政策にも、いろいろな狂いがありはせぬかという御懸念に対する御質問でございましたが、これは本年度の予算編成のときにすでに申しましたように、景気の変動によって、情勢の変化によって、直ちに機動的に必要な措置をとる、こういうことを申しましたが、そのとおりでございまして、この七月以来、景気の動向を見まして、いろいろな措置をとったことは御承知のとおりでございます。そこで、その措置がまだ十分でないというような御批判が非常にございますが、私はそうは思っておりません。もともと財政の繰り延べというような措置は、その効果が四、五カ月先にならなければあらわれてこないものでございますし、また、金融政策におきましても、引き締め措置を公定歩合によってとりましたが、しかし、食管会計を通じて多額の米の代金が出回るというようなこともございまして、この引き締めの切実感が非常に薄められておったという事実もございます。しかし、いよいよ一月−三月の財政揚げ超期に入ってまいりましたら、事態は変わってまいりまして、引き締め政策の効果が広く出てくる、そうして、金融も窮屈になって、国内の需給、国際収支に変化が出てくることは必至であると私は考えております。そこで、もともとこの引き締め政策を行なうにつきましては、私どもは、いままでの経験によりまして、中小企業に特に不当な犠牲を払わせないようにということを非常に心配しておりましたので、金融引き締め中でございましても、この年末の中小企業については特に考慮を払ったつもりでございます。
 どういう措置をとったかという、先ほど御質問がございましたが、まず、政府関係の中小企業金融機関に対しては、下半期の貸し出し計画に千六十億円の追加をいたしました。これは昨年に比べて一三%増の資金量でございますが、引き締め下に特に二二%増の資金をふやしたということ、それから、一般民間の金融機関に対しましては、第三・四半期の貸し出し目標額を一兆九百億円ふやすことにいたしました。これも昨年に比べましては一五%以上のふやし方でございますので、いろいろの問題がございましても、この中小企業が無事に越年できるような措置だけは、今度私どもはとったつもりでございます。したがって、ほんとうに金融引き締めそのほかの政策の効果があらおれてくるのは、私は、来年の一月以降だろうということをいまでも確信しておるものでございます。
 それから、そのほかは、いろいろ予算の編成についてのお話でございましたが、今度の…千億の繰り延べ措置をどうするかというお話でざごいましたが、来年の三月まで、年度末までにこの繰り延べを解除する事態にはどうもなりそうもございません。そういたしますと、これは来年度において引き続き執行されるということになろうかと思います。いずれにいたしましても、来年度は国際収支の問題が中心でございますので、国際収支の問題を解決するためには、総需要を何としても調整しなければなりません。総需要を調整するためには、予算の規模を大きくするというわけにはまいりませんので、来年の経済成長のワク内に予算のワクはとどめるということに私どもは極力骨折ると同時に、公債の依存率は、依存度を下げるだけではなくて、額そのものにおいても相当の圧縮をいたしたいという考えでおります。
 また、来年度の予算に関係しまして、たばこの値上げをどうするかとか、所得税をどうするかという一連の税制についてのお尋ねがございましたが、この税制は、いま全面的に政府の税制調査会の諮問にかけて、そうしていま検討している最中で、政府自信の方針はいまきまっておりませんが、前々から申しました公約の事項はこれを生かしながら、そうして新しい内外の情勢に対処する税制を考えていきたい、こういう方針には変わりございません。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 平林議員の御批判をつつしんで承りました。総理大臣から答弁されましたのと重複いたしません点だけを補足して申し上げたいと存じます。
 今年の三月に当院で総理大臣が所信表明をされました際に、今年の経済は相当基調が強いので、不測のことがあれば、財政、金融の面からすぐに措置をとる、また民間企業に対しても、そういう環境であるから、設備投資はどうぞ十分に自制をしてやってもらいたいものだ、こういう呼びかけを総理が所信表明で述べられたわけであります。その後私ども、産業構造審議会などを通じまして、いわゆる民間企業設備投資の適正な調整について努力をいたしたつもりでございましたが、その結果は十分でございませんでした。そうして、結果といたしまして、九月に引き締め措置をいたしたわけでございます。この九月の措置の効果につきましては、私も、ただいま大蔵大臣の言われましたとおりの見通しを持ってはおるわけでございます。しかし、ともかく今年度に関します限り、いわゆる民間設備投資の対前年の伸びが三割という非常に大きな数字になりました。これは昭和三十六年以降初めてのことでありまして、四十年代にこういう大きな設備投資の増加があったということは、何かやはり特段の理由があるものと考えなければならないのではないか。あまり予想されなかったところであります。
 それを考えてみますと、やはり一つは、資本の自由化等もございますが、技術革新も手伝って、わが国の企業の規模をどうしても国際的な規模にしておかなければならない、規模の利益を追うわけでございます。そういう意欲が企業家にかなり現実に働いてきたということが一つであろうと思います。もう一つは、人手不足が、完全雇用ではございませんが、いわば疑似完全雇用のような状態になってきておる、それに対処しなければならなかった、こういう二つの要因が大きく働いたのではないかと思います。
 それで、民間の企業設備投資が多いこと、したがって、経済の成長率が相当高いということについては、私は先ほど基本的には、総理大臣の言われましたとおり、これまでわが国にとって、それはいいことであったと思っております。ことに成長がなかなかできないで苦しんでおる先進国が御承知のようにたくさんございますことを考えますと、これはよかったことである。大まかに申しまして、疑似完全雇用といわれるまでに雇用が進んできた、失業者が減ってきた、所得水準も、物価を差し引きましても、逐年ともかく上がってまいりました。貿易については、十五億ドルないし二十億ドルという黒字幅を出すようになったわけでございますから、これから先、完全雇用になりますと非常に問題は多いと思いますが、今日までこれでよかったのではないだろうか。ことに国際化の時代になって、企業家が国際的な競争に勝ち抜こう、労働不足に対処しようと考えることは、私はむしろ当然だったのではないだろうか、むしろそういう高い意欲を私どもがもう少し早く見抜いて、経済見通しを考えるべきじゃなかったかとおっしゃられれば、私はそういう点は十分反省しなければならないと考えております。
 なお、こういう企業設備の投資が非常に高かったという点について、平林議員は、それが大企業偏重であるというふうに仰せられたかと思いますが、その点は実際について見ますと、必ずしもそうではございません。中小企業が人手不足を感じておりますことは御承知のとおりでございますから、中小企業自身にやはり自衛対策としての設備更新というものが、昭和四十年、四十一年、四十二年と、相当高うございます。ことに非製造業では、設備投資の伸びは、中小企業のほうが大企業よりもむしろ高いというように見ておるわけでございます。実際についても、また私どもの政策としても、大企業偏重でというようなことはないように考えるわけでございます。
 国際収支でございますが、六億ドルに近い国際収支の赤字が出た、確かでございます。これはおそらくは、先刻申し上げましたような企業設備の大規模化といったようなことから、将来これが貿易の黒字をかせぐという意味での赤字の部分、これは私はいわば有効な国際収支への投資であろうと考えておりますが、もう一つ注目すべきことは、わが国が先進国になるに伴いまして、いわゆる長期の資本供与ということが、いわゆる後進国に相当行なわれるようになりましたことは御承知のとおりであります。したがって、そこからまいります国際収支の不足分を、やはりそれだけ貿易の黒字でかせがなければならないということでございますが、今年度の場合、貿易の黒字が二十億を割りまして、十五億ドルくらいではないかと思われます。この点が、やはり国際収支の中で問題にすべき点ではなかろうか。おそらく、大きな設備投資は、やがてわが国の輸出の規模を増大するとは思いますが、今年暫定的にそういうことが確かに起こっております。
 消費者物価でございますが、見通しはいろいろな点で狂いましたが、消費者物価につきまして、大体年度内四・五%ということを当初申し上げました。ただいまの時点で判断いたしますと、この見通しはほぼ達成できると考えております。むしろ問題は、来年度以降に、御指摘のようにあるのではないかと考えておるわけでございます。
 それから、私が一つの構想を私案として出しましたことにつきまして、どういう発想かというお尋ねでございますが、私案でございますから、あまり長いお時間を拝借してはならないと思いますので、簡単に申し上げます。
 いわゆる財政の硬直化といわれておりますことは、私は、その背後にありますものは行政の硬直化ではないかと考えております。何が行政を硬直化させておるかといえば、一つは、やはり行政をささえておりますところの法制でありますとか、慣行でありますとか、そういう制度が硬直化してきた。もう一つは、私を含めまして行政に当たっておる人間の考え方が、マンネリズムと申しますか、やはり硬直化してきておる、こういうことではなかろうかと思います。それで、ただいまあります制度、慣行の中には、占領中という不自然な事態から免じたものもございますけれども、それでなくても、二十年前のわが国と今日とでは、これだけ社会生活も経済も異なっておりますから、やはりそういう制度について考え直す段階に来たのではないだろうか。この道を進んでまいりますと、先進国の例にも見られるような事態がやがてはあるかと思いますので、おそくならないうちに一度立ちどまって、そういう制度を考え直してみるときに来ておるのではないか、こういうことから、ああいうことを申しましたわけでございます。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕
#8
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体総理大臣以下、関係閣僚の御答弁がありましたので、私から申し上げることはほとんどないくらいであります。ただ多少補足する意味において、民間の設備投資の問題ですが、これは御承知のとおり、四十年、四十一年でほとんど設備投資のほうは休業状態にあった。そして四十二年の景気が出てきて、ここで設備投資ということがやや目立ってまいりましたが、その内容を吟味いたしますと、だんだん人手が不足する、これを機械化する、そういう意味の、ぜひ必要な労務節約の投資、それから資本自由化に対処して日本の産業を弾力性あらしめる、そういう意味の、これもどうも必要な投資、それから、ここへ来て輸出振興ということが盛んにいわれておりますが、何といっても輸出振興のためには、その産業の基盤を強化しなければならない。それから最近非常に消費の動向が強くなっております。これを放置すると物価に響いてくる、こういう意味におきまして、必要な設備投資はここへ来てやらざるを得ない。ただ、これに便乗して不急の工業をさらに拡充しようというような企ては、極力自粛を促すようにしなければならぬ、こう思うのであります。
 それから、輸出振興ということが盛んにやかましくいわれておりますので、われわれとしては、輸出金融及び輸出振興の意味の税制の拡充、それから輸出保険の改善、輸出取引秩序の維持、それから日本貿易振興会等、輸出振興関係機関の活動の強化拡充というようなことを強力に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣赤澤正道君登壇〕
#9
○国務大臣(赤澤正道君) 地方税につきましてですが、ここ数年来、住民税また事業税の各種控除額を引き上げるなど、負担の軽減につとめてまいっております。
 給与所得者の場合でございますが、これは所得税における給与所得控除の引き上げに伴いまして、毎年減税を行なってまいっております。ただ、住民税の課税最低限の引き上げを中心として非常に要請が強いので、今後もできるだけ税負担の軽減、合理化をはかっていきたいと考えております。
 明年の地方税制の改正につきましては、現在税制調査会の審議をわずらわしておる最中でございますが、地方財政全般の状況を考慮いたしまして、住民負担の軽減、合理化について、特に努力してまいりたいと考えております。
 それから政治献金の課税のことにちょっとお触れになりましたが、御案内のとおり、この規正法の改正案は次の国会に提案をいたすつもりでございます。その際、前々国会の審議の内容などもよく勘案いたしまして、慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) お答えいたします。
 国鉄は、通勤輸送、幹線輸送等を中軸とする第三次輸送力増強計画を遂行中でありまして、建設工事等のために、来年度は約千百億円余の赤字が見込まれ、これがため、若干の定期値上げを含めた対策を要望しております。しかし、運輸省といたしましては、これは来年度予算編成に関係することでもありまして、できる限り努力をして定期値上げを回避する考えで、財政当局と折衝する所存であります。(拍手)
  〔国務大臣小林武治君登壇〕
#11
○国務大臣(小林武治君) 電話料金についてのお尋ねでございますが、この問題はなお検討をいたしておるところでございまして、結論は得ておりませんが、世論のいろいろの動向もあり、慎重に対処したい、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣保利茂君登壇〕
#12
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。
 御指摘の住宅問題は、通勤問題と申しますか、都市交通を含めまして、この今日の経済繁栄の中に、一つの社会的摩擦を起こしておる非常に大きな問題だと考えております。一世帯一住宅という悲願は、自民党の基本政策の一つでもありまして、四十一年度から六百七十万戸の住宅を建設するという五カ年計画を進行いたしております。官民それぞれの計画を立てておりますが、おおむね予想どおりに実現はいたしておりますけれども、平林君が言われるように、国民の多くの方々からは、家を持ちたい、手足を伸ばして安らぎたいという住宅に手が届かないという現状を否定するものではありません。私は、皆さま方のお力もいただいて、御協力もいただいて、国民の悲願であるこの願望に手が届くような基盤をつくっていくために、最善を尽くしてまいりたいと考えますから、どうかよろしくお願いをいたします。(拍手)
  〔国務大臣園田直君登壇〕
#13
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 第一、御指摘のとおり、財政硬直のおりから、ややもすると社会福祉保障制度の予算にそのしわ寄せが来るおそれなしとはいたしません。しかしながら、財政硬直を健全財政に直そうとする目的は、国民福祉の向上であり、しかも、その経済上の対策は、これに思想的な裏づけがあってこそ効果があるものであり、その思想的裏づけとは、すなわち、政府の方針を理解し、これに協力しようという国民の協力が必要であります。(拍手)その協力を求めるためには、何といたしましても、ようやく国民生活水準が五〇%を上回った今日、その最低の線及び底辺に苦しむ人々の頭を押えない保障があってこそ、初めて国民の協力が得られるものであると考えます。したがって、財政硬直の今日でありますからこそ、生活保護の水準の引き上げ、特に助けを呼ぶことを知らないかよわき心身障害者、精神薄弱者、母と子の家庭の保護施設及び保育所、あるいはこれに収容される者、これに従事する職員の処遇の改善、あるいはその他民間の社会福祉事業の振興等、予算措置にあたっては万全を期したいと存じますので、この上とも御協力をお願いをいたします。
 第二番目、原爆被災者については、御承知のごとく、法律によって健康診断等、健康面については改善充実をはかってまいりましたが、その後実態の調査も終了いたしましたし、被害者も特別の環境に置かれておる事情等も勘案をし、国会の決議に従い、早急にできるだけの手厚い待遇をすべく、具体的の対策を急いでおりますので、よろしくお願いをいたします。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#14
○国務大臣(倉石忠雄君) 来年度予算でお米の値段をどうするつもりかというお尋ねでありますが、それは総理大臣からお答えいたしましたとおり、ただいま検討中であります。
 第二の、食糧管理制度をどうするかということでありますが、平林さんも御存じのように、これは農業政策、物価政策、財政政策等に重要な関連がございますので、各方面の御意見を聞いておる最中でありますが、ことに、ありがたいことに、ことしはわが国開聞以来の大豊作というわけでありまして、そういうことを念頭に置いて、私の手元で鋭意検討を続けておるという現状であります。(拍手)
  〔国務大臣増田甲子七君登壇〕
#15
○国務大臣(増田甲子七君) 国防のことに関しましては、総理の所信表明、また、ただいま御答弁がございました。
 私の付加する点といたしましては、御承知のとおり、わが国の国防は、日米安保体制を基調といたしまして、従来平和と安全を確保してまいりました。今後ともこの体制を堅持いたしますとともに、わが因みずからも、侵略の抑止力として有効な防衛力を保持すべきものと考えております。具体的には、わが国の国力、国情に応じ、先進国中、一般予算に比べ最小限度のものとして、さきに決定を見ました三次防を、着実、円滑に推進してまいりたいと考えております。何とぞ御協力あらんことを切望いたします。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#16
○国務大臣(三木武夫君) 総理大臣から非常に詳細にお答えになりましたので、私が補足するものはございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(石井光次郎君) 佐々木良作君。
  〔佐々木良作君登壇〕
#18
○佐々木良作君 私は、民社党を代表して、総理の所信表明に対して、若干の質問を行なわんとするものであります。
 まず、外交、防衛の問題、特に沖縄返還を中心とする先般の佐藤・ジョンソン日米会談でありますが、質問に先立って御要望を申し上げたいと思います。
 わが党は、先月末、日米共同声明にわき立っておる現地沖縄に対して、第四次調査団を派遣いたしました。この報告によりますれば、沖縄住民は、共同声明に対してはなはだしい不満を示しております。総理の、両三年中に返還についてのめどがつくとの言明に対して、大きな疑いを持っているからだけではありません。むしろ会談に際して、総理が沖縄住民の民族的意思を率直にアメリカにぶつけてくれなかったのではなかろうかとの疑いからであります。ある意味では、沖縄返還についての成果よりは、むしろ成果はなくとも率直な主張をこそ望んでいたのであります。これを裏切られたふんまんが、いま全島を支配しておる住民の感情であります。
 総理は、一昨年夏、沖縄を訪れられ、「沖縄の返還が実現しない限りわが国の戦後は終わらない」と、感情を込めた名言を吐かれました。この気持ちがいまなお変わらないのでありまするならば、総理は右の反省に立って、直ちに万障を繰り合わせて沖縄におもむかれ、沖縄に在住する日本同胞に対して、会談の真相をつぶさに説明され、かつ総理みずからの決意を披瀝されて、沖縄住民の理解獲得につとめられ、同時にまた激励の労をとられるべきであると存じます。(拍手)われわれでさえ難解な、一片の、どう読んでもよくわからないような、そのような共同声明をもって、遠い東京から、高圧的に自画自賛の成果を押しつけられるだけでは、決して沖縄住民の民意を獲得することはできません。佐藤総理に沖縄訪問の勇気ありやいなや、私の願望を込めてお伺いをする次第であります。(拍手)
 沖縄返還についての質問に移ります。
 総理はたびたび、確信に満ちて、沖縄返還が両三年のうちに日米の合意に達すべき旨の言明を行なわれました。しかるに、そのことは共同声明に明記されていないばかりでなく、米当局も十一月十五日の共同声明の説明に際して、これはあくまでも佐藤総理の希望であると述べて、このことを否定いたしておるのでありますが、佐藤総理の確信は何に基づくものであるのか、その根拠を国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。
 これが質問の第一でありますが、しかしこの問題につきましては、昨日の勝間田氏の質問に対しまして、総理は秘密協定説も否定され、共同声明の文句を適当につなぎ合わせて、これにこじつけ的解釈を付することによって答弁とされました。まことに牽強付会といわざるを得ません。しかし、私は重ねてお尋ねすることのむだを感ずるものでありますがゆえに、むしろ明確なる根拠を要求するかわりに、佐藤総理が、ジョンソン氏との会談において探り得た沖縄返還のための条件と背景について、御所見の明確なる御披瀝をお願いいたしたいと存ずるのであります。いかなる条件と背景が整うならば沖縄の返還は実現されるものであるのか、明確な御説明をお願いいたしたいのであります。あわせて、その条件の充足は、両三年の間に行なわれることとなっておるのでありますから、その手順と方法を丁寧に御説明をいただきたいのであります。それは当然に、野党のみならず、国民の理解と協力を得て初めてなし得るはずのものであると信ずるからであります。もし佐藤総理が、この点をさえごまかして、納得のいく答弁を回避されるようでありまするならば、沖縄返還に関する佐藤総理の言明は完全にでたらめであるか、あるいは民主主義者の資格を完全に放棄した権力主義者のらく印を押さざるを得ないと存ずるのであります。誠意ある御答弁をお願いいたします。(拍手)
 第二の質問は、沖縄返還に関する再交渉――再び交渉をすることが予定されておるかどうかということについてであります。共同声明は、御承知のように、沖縄がいつ返還されるかの時期についての日米合意をここ両三年のうちに達成するように佐藤総理が強調されたのに対しまして、ジョンソン大統領は、その日本側の要望を理解したと述べたにとどまり、したがいまして、返還についての基本的合意は何ら行なわれておらないと解するものであります。そこで私の質問は、今後条件が熟したと考えられる時点において、今回の日米会談と同程度か、あるいはそれに類するハイクラスの会談、交渉が行なわれて初めて返還が確定することになると思うのでありますが、そのような再交渉が予想されておるものかどうか、お答えをいただきたいと思うのであります。
 同時に、これと関連いたしまして、いわゆる沖縄の主席公選の問題と日本への国政参加の問題について、共同声明は一言も触れていないのでありますけれども、今回の日米会談において話し合いが行なわれたのか、行なわれなかったのか、行なわれたとするならば、その内容について、行なわれなかったとするならば、なぜ行なわれなかったのか、その理由を明確にされたいと思うのであります。
 さて、沖縄返還についての質問を終わるにあたりまして、私はあえて総理に一言いたします。
 沖縄、小笠原の返還交渉にあたって何ら取引や交換条件的約束のなかったことを総理は繰り返し言明されました。当然のことだと存じます。沖縄、小笠原の返還要求は、北方領土のそれと同様に、わが国の正当なる主張でありまして、これに対する反対給付的条件のあり得べからざる性格のものであるからであります。(拍手)しかるに一部世人は、今回の返還交渉に際して、いわゆる安全保障の問題とともに、日本はドル防衛に対する協力という重大なる重荷を背負わされ、二重払いの高価な代償が約束せられたのではないかと疑っておるのであります。ドル問題については後ほど具体的にお伺いいたしまするが、このような疑いは、佐藤総理の自画自賛的押しつけがましい態度にその根本の原因があることを強く反省されんことを望むものであります。(拍手)
 日米会談についての第二の質問は、今後のわが国の外交防衛の進路と共同声明との関係についてであります。
 共同声明によりますと、総理は、第一に、北爆を含むジョンソン政権のベトナム政策を支持し、第二に、中共問題に関して、その脅威を強調することによって、いかにもアメリカの中共封じ込め政策に同調するかのごとき態度を示され、そして第三に、一九七〇年の重要課題でありますところの日米安保について、きわめて安易に無条件継続の方針を確認されたようであります。もしそうであるとしまするならば、佐藤総理は、沖縄と日本本土との一体化をはかるための交渉にあたって、その前にまずジョンソン外交との日米一体化を先行せしめたことになります。そして。パートナーシップという美名のもとに、わが国の自主独立たるべき外交路線をまたまた大きく向米一辺倒に傾斜せしめたことに相なります。(拍手)まことに重大といわざるを得ません。
 さらに総理は、昨日の質問に答えられまして、自主防衛という立場を打ち出されました。私は、わが党の同志とともに、自主防衛というのは、第一に、防衛に対する国民意思の合致、政府だけではなくて、国民意思の合致、第二に、平和的国際環境を積極的につくり出していくための平和外交の展開、そして第三には、純粋防衛たる専守防御、もっぱら守る立場の貫徹、以上三点がその根本でなければならぬと確信をいたしております。したがって、日米安保については、あくまでもこの自主防衛を補完するためのものとして位置づけられなければならないと存じます。(拍手)
 しかるに、佐藤総理のいわゆる自主防衛論は、現行日米安保の存続を通じて、アメリカの軍事力による日本防衛を考え、かつアメリカ防衛のための軍事力の一部肩がわりとしてわが国の防衛力を配置せんとする構想のようでありまして、それは、まさに自主防衛をさかさまにした他力防衛、アメリカ側に立つ米主防衛ともいうべき議論ではなかろうかと存じます。(拍手)日米安保の無原則な継続は、明らかに自主防衛とは相矛盾するものであると信じます。自主防衛を口にし、国防に対する国民の自覚を求められるのならば、総理はまずその前に、日米安保を改定する方針をこそ明らかにさるべきであります。(拍手)総理の明確なる御答弁をお願いいたします。
 さらに、第二の課題は、日本外交の任務、わが国の安全と、アジアの平和建設に対する日本外交の使命についてであります。
 今日のアジアの緊張が、米中の対立に根源を有することは、すでに周知の事実であります。安全保障の第一が、平和的国際環境の確立にあることにかんがみまするとき、日本の平和と安全の基礎は、この米中の対立を緩和し、その平和共存を一日も早く実現することでなければならないと信じます。(拍手)その出発点は、言うまでもなく、日本と中国、日中関係の改善であります。佐藤総理が自主防衛を叫び、アジアの平和を唱えられるならば、アメリカの中国政策を全面的に支持される前に、日本としての自主的な日中関係改善策をまず打ち出されなければならぬと存じます。(拍手)佐藤総理にその決意ありやいなや、日中改善の方策を含めて、総理の御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 この問題に対しまして、私は昨日の愛知質問が、まことに私と同様なる意味の内容を総理に対して押しつけようとしたのに対しまして、まことにすれ違いの答弁を総理はなされました。どうか、明確なる御答弁をお願いいたします。
 次は、経済問題であります。
 核のかさのかわりにドルのかさのもとに、あまりにも深く、あまりにも巧妙に織り込まれまして、日本経済はいまや完全に自主性を失い、あまつさえ、ドル転落の巻き添えを食わんとする状況に追い込まれております。私は、まずわが国経済危機のポイントをこの点に強く指摘するものなのであります。かつて七つの海を支配したイギリスのポンドは、その硬直化した政治支配層と、陳腐化した産業設備と、何よりもドルに縛られて、自主性と機動性を失ったがゆえに、ついに今日の悲劇を見るに至りました。自由国家群の国際金融市場が、いままでドルとポンドという二本の柱によってささえられておりましたことは申すに及びません。その一本の柱がいまやくずれ去らんといたしておるのであります。先般のポンド切り下げ以降も、なお動揺はなはだしき状態は、皆さんよく御承知のことだと存じます。そのポンドをささえることのできなかったドル、ベトナムにおける力のエスカレーション政策での財政赤字百六十億ドル、国際収支の赤字約二十億ドル、さらに加えて百四十億ドルにのぼる対外債務、こうした内部的な矛盾に悩み果てているドル、このドルには世界資本主義経済のすべての矛盾とアメリカ経済のすべての困難が集約されておると存ずるのであります。このドルのかさのもとに安逸をむさぼっておるもの、それが日本経済であります。(拍手)
 まず、佐藤総理にお尋ねをいたします。このドルに不安ありやいなや。ポンド切り下げによって裸で防衛の第一線に立たしめられ、すでに第二次のドル売り金買いの白兵攻撃を受けておると伝えられておるこのドルに対して、絶対の信頼感を持ち続けられるやいなや、宮澤経済企画庁長官の御所見をもあわせて承りたいと存じます。よもや不安なしと言い切れないと思うのでありますが、しからば、その不安に対していかなる対策を用意しておられるのか、具体的にその対策を含めて御説明願いたいのであります。大蔵大臣もぜひ御所見をお述べいただきたいと思います。
 ポンド切り下げ直後、世界じゅうがドル不安におののいてこれを売ったとき、日本はこれを買ったのであります。世界がゴールドラッシュで、金を求めて狂奔いたしましたとき、日本は金への交換は自重するといって動きませんでした。さらに今度は、アメリカに請わるるままに、数億ドルのドル防衛協力を約束せしめられようといたしております。これは一体深刻なるドル不安に対する基本認識を持たなかったためなのでありましょうか。それとも、ドルと生死をともにせんとする自己喪失の日本経済必然の姿なのでありましょうか。しからざれば、わずか三億ドルの金をもって、世界第三位の日本経済の物的基礎は守り得るとでも認識されておるのでありましょうか、とくと承りたいのであります。
 ドイツの金保有は四十二億ドルです。フランスは実に五十二億ドルです。イタリアでも二十四億ドルです。しかるに、金を持たず、ドルに全面依存してきたのが、わが国の外貨準備の実態であります。しかも、それはそのまま対米追随、自主性を持たざる自民党政治の姿であるといわざるを得ません。(拍手)もし、私の言ったことが言い過ぎであるとお考えになりますならば、どうか佐藤総理、その具体的な事情を含めて、十分にひとつ御反駁をお願いいたしたいと存じます。しかしながら、私はこの段階において、ツー・レートな、おそ過ぎる金購入を要求するものではありません、もう買えませんから。また、ドル防衛への協力を決して否定しようとするものでもありません。ただ、ドル一辺倒政策に関する過去を率直に反省され、冷静に現状を認識されんことを切望するものなのであります。(拍手)
 今回のポンド切り下げは、何よりも輸出を困難化いたします。資本取引の動向も注目を要します。かくして、本年のわが国の国際収支は、当初の均衡見通しを大幅に変更せしめて、ついに政府においても、五億九千万ドルの赤字を予想せざるを得ない状態と相なりました。来年の状態の困難さは、いまも経済企画庁長官がつけ加えられたとおりであります。わが国の外貨準備は約二十億ドル弱、このうち、自由に使えるドルは五、六億ドル程度でありまするとか、もしそうであるとしまするならば、この赤字は外貨準備の危険ラインに明らかに食い込んでくることに相なります。ドル協力等の形で、国際協力の名において、伝えられておりまするところのスワップ協定の拡大は、こういう場合には確かにわが国の側の一つの救済の手段となり得ましょう。しかしながら、中期債券の引き受けは、逆にわが国の外貨をそれだけ固定化するものでありますことは、御案内のとおりであります。
 いずれにいたしましても、ドル防衛への協力は政治論だけではなくて、経済問題なのであります。このようなわが国の国際収支と外貨準備の現状において、わが国の経済を危険ならしめずして、ドル防衛に何ほどの効果的協力がなし得るというのでありましょうか。私があえて警告いたしたいところのものは、安易にドル協力を口にすることによって、わが国経済の自立への努力を放てきせんとする危険なる態度についてであります。ドル防衛もさることながら、いまやむしろ、円の価値の実質的確保とその流通に対して特殊の考慮をなすべき段階ではありますまいか。総理並びに、特に宮澤企画庁長官、さらに大蔵大臣の御答弁をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
 私は第二に、計画性を持たない日本経済の特徴的矛盾を指摘いたしまして、同町にまた、経済政策に対する政治責任の問題についてお伺いいたしたいと存じます。
 先ほどの平林君もまさに触れたところであります。それは、いわゆる財政硬直化の問題を生んだものでありまするし、自主性喪失の問題と一緒になりまして、いよいよ日本経済の危機的様相を深めつつあると考えるからであります。確かに、敗戦直後は、高度に成長することこそが、経済安定のかぎでありました。しかし、いまや安定と福祉こそが経済成長のかぎであると存じます。しかるに、歴代自民党内閣は、無原則なる成長一本やりの政策をとり、財政またこれを主導し続けてまいりました。昭和三十年以降年平均一〇%という高度成長は、日本経済の体質の中に物価上昇とインフレの慢性化を定着いたさせました。同時に、圧力団体に屈し、予算ぶんどりに狂奔した党利党略の安易な自民党の財政運営の態度が、財政膨張を慢性化いたしたのであります。(拍手)昨日の愛知質問は、この点を逆に自民党の自画自賛にすりかえようとしたようでありますけれども、水田大蔵大臣自身、財政演説におきまして、その非を認め、これが改善を訴えられておるのが今回の実態なのであります。愛知君のあげられました自民党政権の功績の一つ一つが、そのまま水田大蔵大臣が指摘されるところの財政硬直化の原因であります。そしてそれはそのまま、歴代自民党内閣の失政を物語る以外の何ものでもありません。(拍手)公債八千億を含む今年度の大型予算編成のとがめは、直ちに九月、引き締め措置の必要となってあらわれました。その浸透効果のいまだ不十分にして、国際収支の悪化現象に悩んでおりまするときに、突如として今回のポンド切り下げとドル不安が訪れたのであります。備えを怠り、見通しを誤り、日本経済を最大の困難におとしいれようといたしております。この責任は一体だれが負うべきものでありましょうか。すべてが不可抗力として、政治に責任なしとでも言われるのでありましょうか。かつて、政友、民政などの保守政党間で政権が争われていた当時、引き締めと膨張、均衡と拡大は、政権の運命をかけて争われた経済政策の根幹でありましたことを総理は十分に想起されながら、明確なる御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 経済質問の結論に入ります。
 公定歩合の再引き上げを含む引き締め強化と、中小企業の倒産新記録、ポンド切り下げと相次ぐ動揺、フランスの金ドル戦争の強行とドル不安、さらに資本自由化と特恵関税のあらし、一連の経済環境はまことに史上空前のきびしさであります。しかも、国内的には、こうした国際経済の激変と新たな潮流に対処しまするため、産業、企業の国際競争力の増強と、いまだ前時代の中にありまする中小企業、農業の近代化が強く強く要請されております。(拍手)他方、とどまるところを知らない高物価の抑制は、まさに急務であります。異常なる決意と、強力なる施策のみが、この難関を突破し得るものであります。
 私は、昨日の――また引き合いに出して恐縮でございますけれども、昨日の愛知質問中、経済問題に対する質疑応答を通じて、佐藤内閣及び自民党のこの問題に対する取り組み方の安易さに、むしろ驚きをさえ感じておるのであります。(拍手)佐藤内閣の事態認識に欠くるところなきや、宮澤長官に対し、あとになって悔いを残すことのない答弁を要求いたしますると同時に、佐藤総理に難関突破の覚悟ありや、その決意のほどを承りたいのであります。
 同時に、私は、わが民社党を代表し、現下の経済危機突破、自主経済建設への当面の緊急施策といたしまして、次の八大項目を提案し、責任ある野党としての責めを果たさんとするものであります。佐藤総理並びに関係閣僚のこれに対する責任ある御所見を承りたいと存じます。
 第一に、海外市場拡大方策の一つといたしまして、豪州、ニュージーランド、東南アジアの諸地域を包含するアジア太平洋貿易市場の飛躍的拡大を提案いたします。これによって、対米依存度の高いわが国の貿易構造そのものの変革をも期待いたしておるのであります。
 第二に、わが国の景気変動を左右しておる大企業の設備投資と原材料輸入についての計画化を提案いたします。輸入量の行き過ぎの調整を兼ねて、産業資金の投資そのものについての直接的な計画化をはかるため、官民合同の強力なる機関として資金計画委員会とも称すべきものを設置され、その構想を進められんことを望むものであります。(拍手)かくして、いまこそ経済の計画化へ大幅なる一歩を踏み出すべきであると存じます。ただ、先ほどの平林君への答弁を拝聴いたしますと、総理の周辺におきましては、計画経済、統制経済という戦時中のみずから行なった実績だけが頭の中にありまして、官民合同の計画性ある経済の目標に対しては、何と私は遠いのかという感を持ったのであります。
 総理、御承知の、ドイツに行ってごらんになりますと、ドイツの、経済のいまの難関を切り抜けますと同時に、新しい技術革新に対する取り組み方、格別私の専門でありまするところの原子力等の取り組み方に対しまして、まさに完全に官民一体の状態を呈しておるわけであります。どうかその辺も十分参考にしていただきたいと思います。
 第三は、資金計画委員会の設置と並行いたしまして、この委員会の企画を実施に移していく実行機関として、重要産業と金融機関の双方が国の計画に沿った活動を展開いたしまするように、重要産業基本法とも称すべき産業と、これに対する金融のあり方についての新しい秩序づくりが当然に必要であります。
 第四に、政府は積年の病弊を一掃し、財政の弾力性を回復するため、国の歳出予算の一割天引きを断行すべきであると思うのでありまするが、どうか。政府各省、地方公共団体、公社、公団、公庫はいずれも謙虚に既定経費を洗い直し、行政能率、行政の生産性の向上を実現すべきであります。数度にわたる言明に従って、佐藤総理は臨時行政調査会の答申を実施に移すべきであります。一省一局の形式的整理など、まさに欺瞞というべきであります。
 第五に、税制改革の断行であります。それは勤労者標準世帯年収百万円までの免税を目標とする大衆減税と、さらに、高額所得並びに高率収益に対する累進課税の強化とを中心とするものでありましょう。
 第六は、大幅な国債の減額であります。かって福田大蔵大臣時代に、フィスカルポリシーの手段として創設された国債発行は、先ほども指摘されましたように、二年目からは実質的な赤字公債と化し、いまやわが国の財政はこれに安易に寄りかかっております。このような放漫財政からの脱却は、さきに提案した歳出予算の一割天引きと並んで、財政硬直化対策として絶対に不可欠のものだと信じます。
 第七は、当面の物価抑制の焦点を、一切の公共料金の値上げストップに置くよう提案いたします。これと並行して、この際、はなはだしく立ちおくれておる流通機構の抜本的改革を断行し、同時に、大企業製品など、いわゆる管理価格、再販価格等についての公取委員会の監督機能を飛躍的に強化すべきであります。
 そして、最後に、第八に福祉政策の最重点政策として、住宅建設を取りあげ、これを今後の経済拡大の基本政策とするよう提案いたします。(拍手)住宅の大量建設と、これに基づく勤労者の消費購買力の増大とを、今後の最も安定した新しい国内需要の二大支柱とすべきであると確信するからであります。
 以上、私は、現下緊急の外交、防衛並びに経済問題につきまして、特に代案を提示しながら政府の見解をただしたのでありまするが、最後に、佐藤自民党内閣の政治の姿勢について一言いたしたいと存じます。
 近年、政治、経済、外交の重要課題は申すに及ばず、国民生活のすみずみに至りまするまで、政治のウエートはますます高まるばかりでございます。しかるに、これに反比例して、国民の政治への関心はますます遠く、ますます薄く、離れいくばかりであります。まことに憂うべき現象といわざるを得ません。(拍手)
 その原因は何か。一言にしてこれを言えば、政治への不信であります。為政者並びに政治への国民の不信は、いまや日本政治にとって最大の問題であります。政治をする者の側の、上からの押しつけ的態度、対話なき国民への権力的姿勢こそ、国民不満、政治不信の第一の原因かと考えます。事態が困難になればなるほど、国民との対話は一そう多く、一そうきめこまかくならなければならぬものかと存じます。転換期に差しかかっておりまするいまの防衛論議のごとき、まことにその最たるもの、いささかも権力的、独善的態度があっては相ならぬと信じます。総理みずから、その反省の先頭に立たれんことを強く強く要望いたします。
 政治不信の原因の第二は、政治腐敗に対する国民の不満であります。昨年の黒い霧事件以来、とみに高まってまいりました政治腐敗に対する国民の憤りは、政治に対する期待を失わしめ、政治不信の最大の原因となっておるばかりでなく、法秩序の尊厳をすら否定する、おそるべき傾向を生み出しつつあります。(拍手)失礼ながら、多言不実行とは、佐藤総理に対する一部世人の痛烈なる批判でございます。総理みずから政界粛正の陣頭に立ち、政治不信に対する世論に対して、身をもってこたえられんことを切望するものであります。
 この際、せめて、後退を伝えられておりまするところの政治資金規正法に対する総理自身の明確なる態度表明を要求いたしまして、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします前に、私に対する御注意、これは私伺っておきます。ぜひ沖縄に行って、直接沖縄同胞に今回のジョンソン大統領との話をしろという御注意、ありがたく伺っておきます。
 次に申し上げますが、今回のジョンソン大統領との話につきましては、もうすでにたびたび共同コミュニケを中心にしてお話を申し上げましたので、できるだけ省略させていただきたいと思いますが、あのコミュニケには、二、三年のうちにどうこうするということは、はっきり明示してはございません。しかしながら、コミュニケ全体、第七項全体をよく読んでいただくならば、そこに、今後継続的に協議が続けられる、その場合においては、私の要望も――これは全国民の要望でございますが、私が率直に訴えた私の意見も、また大統領からの沖縄が果たしておる防衛基地としてのその役割りも、十分沖縄の地位としてこれを考える、そういろ申し合わせでございますから、私は、両三年のうちに必ず両国が返還の合意に達することができる、かように確信しておるのであります。別に牽強付会あるいはこじつけを申したのでもございませんし、またいわゆる私の希望だけを述べたのでもございません。また共同コミュニケはこれだけでございまして、これ以外にいわゆる秘密協定なるものはございません。この点ももう一度申し上げておきます。
 次に、沖縄の地位についていろいろ話をされるが、その沖縄の地位について、いつ返還されるかとか、あるいはその条件は一体どういうことか、こういうお尋ねでございます。これはなるほど明確でございません。実はこの点をこれから協議するのでございますから、ただいま明確になっておらないのは、これは当然といわなければなりません。
 再交渉する考えがあるかどうかというお話でございますが、ただいま申し上げるような問題、これは今後私どもが外交チャンネル、いわゆる外務大臣を通じまして、外交機関を通じて交渉を持つのであります。いついつ交渉を持つとか、あるいはもうこれで一応打り切りだ、かようなものではございません。一部におきましては、特別な協議会を設けるべきであったのではないか、こういう説がございますけれども、私は、それこそ政治責任のある政府が、政府間同士で話をすることが本来の筋だ、かように考えますので、外交チャンネルでやる。もちろん専門的な知識を必要とするような場合には、専門家を任命いたしまして、これに参画さすということでございまして、それらの点については十分アメリカ側も了承しておるのであります。別に誤解のないところであります。
 琉球、沖縄の国政参加あるいは主席公選等についてお尋ねがございました。おそらくこれは日米協議委員会の問題でもあると思いますし、また諮問委員会におきましても、こういう問題を取り上げないというものではございません。私は、別に諮問委員会自身が非常に限定されたものではないと思うが、何といっても高等弁務官に対して諮問に答える、あるいはその勧告をするという立場でございますから、高等弁務官の仕事、その仕事の範囲内が主になるだろう、かように考えます。しかし、日米協議委員会自身は、これは両国政府間で話すことでございますので、ただいま問題になっておりますような主席公選あるいは国政参加というような点は、この協議委員会におきまして十分協議するつもりでございます。
 次に、いわゆる防衛の問題でございますが、防衛の問題を推進する前に、どうしてもベトナム政策、あるいは中共対策、あるいはまたわが国の安保体制、こういうものに触れないと、十分の話がわからないんじゃないかという御指摘でございますが、これは佐々木君の言われるとおりだと思います。しかし、私が申し上げたいのは、今回の日米の協議によりましてわが国の対ベトナム政策、対中共政策が変化があったかというと、これは変化はないんだ、たびたびお答えいたしましたように、変化はございません。ベトナムに対しましては、私どもはかねてから、一日も早く南北ベトナムが和平をすること、これは同一民族なんだ、同一民族が相戦う、まことに悲惨ではないか、こういうことを実は申しております。そういう意味で、一日も早く和平が招来されるように、また、東南アジア諸国を回りましても、同じような考え方を持っております。むしろ積極的に、このベトナム問題はアジアの問題なんだ、アジアの先進国日本が、そういう点についてさらに積極的な役割りを果たしたらどうか、かようにまで実は鞭撻をしていただいたような筋でございまして、私は、ベトナムについてわが国が今日とっております態度は、これはよく理解されておると思います。もちろん、一部におきまして、これは軍事的に介入するのではないかというような心配をしておられますが、これはもう日本の憲法も許しませんし、私は、憲法にどうあろうと、この点で軍事的に介入するような考えは毛頭ございませんから、それだけははっきり申し上げておきます。
 また、中共に対する考え方でありますが、私が、中共政策は、あらゆる場合に申しておりますように、日本はいかなる国とも仲よくするんだ、そしてお互いに独立を尊重し、お互いに内政に干渉しない、そういうことが最も大事なことではないか、これを実は中共にも申し上げております。したがいまして、中共との政策は、いままで同様政経分離の立場におきまして、貿易もやっておるし、また人の交流も行なわれております。したがいまして、この政策は全然変わりはございません。
 次に申し上げたいのは、安保の体制の問題であります。安保、わが国の安全を確保する、その立場に立ってものごとを考えます場合に、御承知のように、私どものような考え方、いわゆる防衛体制、自主防衛もするが、とにかく現状においては日米安全保障条約を軸にしてやるのだという考え方のものもございます。また、民主社会党のように、いわゆる有事駐留を唱えておられる方もあります。さらに、日米安全保障条約は、それこそ戦争への道だ、こういって攻撃される社会党の諸君もおられるわけであります。私は、ここらに実は問題があるのではないか。この安全確保のために――祖国復帰ということは、非常にわかりいい一つの簡単なことであります、施政権が返ってくるというだけなら。ところが、安全確保という問題になりますと、ただいま申し上げますように、日米安全保障条約が必要なんだ、集団防衛が必要なんだ、かように主張しておる私どももあれば、そういうものは戦争への道だ、こういって、それを排撃する諸君もあるわけであります。
 ここに、私は、この際に申し上げたいのは、どうしても国民自身が、全体が一緒になりまして、いわゆる自主防衛、そしてそのもとにおける具体的対策を考える、これが最も必要だ、かように思うのでありまして、(「自主防衛の内容は何だ」と呼ぶ者あり)どこまでも、この点におきましてこの上とも考えていただきたい。自主防衛の内容は、ただいま第三次防衛計画の実施中、これと取り組んでおるのであります。これが自主防衛であります。これが具体的な内容であります。同時にまた、その国民自身が、みずからの力でみずからの国を守るという、その気概を持ってほしいのであります。私は、この点が大事なことでありますので、特に声を大にしたような次第であります。したがいまして、佐々木君の御所見には私も大いに共鳴を覚えるものがございますが、ただいまお説に述べられました有事駐留という点には、これはかねての御主張でございますが、かねての御主張には、私はどうも賛成ができかねるのであります。
 今日の状況は、私が申し上げるまでもなく、一国が一国の力だけで防衛するということには不適当な状況だと思います。これは、集団防衛、こういう立場にあることが望ましいのであります。また、もちろん国連を中心にして私どもは考えていかなければならないと思います。そこで、ただいま御指摘にもなりましたように、日中の改善の方策、それを含めて、佐藤内閣は積極的な姿勢をとれるか、こういうお話でございますが、私は、先ほど申しましたように、日中関係について、わがほうの態度は明確にいたしております。私は、この態度にやはりこたえていただきたいと思う。やはり共存の関係に中共自身も立って、そして、いまのような偏狭な考え方でなしに、教条主義的な考え方でなしに、もっと世界各国に眼を向けていただきたい、かように思うのであります。
 次に、経済外交の問題についてお触れになりました。確かに、経済外交の問題におきましても、私は、さらにくふうをし、考慮をしなければならぬと思います。ただ、しかし、円をたいへん強いもののようにお話しになりました。円を強くすることは、当然私どもの責任だと思います。しかし、どうも佐々木さんのお話を聞いていると、意気軒高ではあるが、円自身の力はそこまでいっておらないのではないか。現在の状況のもとにおいては、やはりドルと円と、それが相互に協力して、そうして円の位置、地位、また円の価値を維持する、それが同町にドルの価値を維持することにもなるのだ。私がかねてから申しておりますように、米国の国際収支の健全であることは、同時に日本にも利益である、日本の国際収支の健全は、同時に米国のドルにもいい影響を持つのだということを申し上げたいのでございます。そのとおりお考えをいただきたいと思います。
 次に、ただいまの経済状態につきましてのいろいろの御批判を受けました。確かに、先ほども平林君にお答えいたしましたように、ただいままことに困難な情勢に立ち向かっております。ことにポンド異変以来、わが国をめぐる国際経済環境は一そうきびしさを増しております。私どもは、この際、さらに官民一致いたしまして、この難関を突破していかなければならぬ、かように考えるのでありまして、私は一部だけを批判するつもりはございませんし、また、私だけが権力的な態度でこういうことに臨む考えは毛頭ございませんから、十分御理解をいただき、また、その意味におきまして、さらにときに御叱正を賜わり、ときに鞭撻を賜わり、一そうの御協力もお願いしたい、かように考える次第であります。
 最後に、いろいろ八つばかりの案を御提案になりました。これを一々私は批判はいたしませんが、そのうちには、東南アジア、大洋州を中心にしてさらに貿易を拡大すべきではないかとか、あるいは税制、国債の減額、政治腐敗等のお話など、いろいろ耳を傾けるべきりっぱなお説があったと思いますが、ただ、いきなり予算一割天引論というのには、ちょっと私、首をかしげておるのであります。ただいまのところ、そこまでやりますと、社会保障やあるいは教育費や、それらにも手がつくようになるのではないかとたいへん心配をいたしておりますが、これは、その御意向はよくわかりますので、予算の膨張をはからないように、国債を減額するように、いわゆる依存率を低下するように、この上とも努力するつもりであります。税制等につきましては、それぞれの審議会等において、目下十分検討中であります。公共料金等についてもお触れになりましたが、ことに私は、住宅建設について力を入れて、これを中心にして、そして経済の拡大もこれを中心にして進めろ、この大号令につきましては、たいへん共鳴いたしたのでございますので、ありがたくお説にお礼を申し上げておきます。
 最後にお話のありました政治不信の問題、私、これはたいへんなことだと思っております。最近のいろいろのテレビその他を聞きましても、だんだん政治不信が非常に激しくなるのではないか。その点は、御指摘になりましたように、これはやはり政治が大衆に直結しなければならない、そのためには、やはり謙虚に政治家が政治をするというその姿勢でなければならない、その意味におきましては、権力的であってはならないという御注意、これは私もありがたく伺っておきます。
 同時に、これは当局、政府そのものではなくて、お互いに政治家たる者、気をつけなければならないことだろうと思います。これは特に政府がその立場にありますだけに、権力的な政治は毛頭しないようにしなければならないと思います。
 さらにまた、政治の腐敗についてもお触れになりました。これは、政治家たる者はもちろんこの点についてはえりを正して耳を傾けなければならないことだと思います。
 そこで、政治資金規正法を出せ、かようなお話であります。私は、政治資金規正法につきましては、先ほど赤澤君がお答えをいたしましたように、過去の国会審議等にもかんがみまして、次の通常国会にはぜひ提案したい、かように思いまして、ぜひこれらも、どういうような中身にするのか、それらの点についても十分検討しておるような次第であります。(拍手)
  〔国務大臣水田三喜男君登壇〕
#20
○国務大臣(水田三喜男君) 国際経済についてのお尋ねでございましたが、ポンドの引き下げに続いて起こりましたいわゆるゴールドラッシュは、一応落ちついたようでございます。これは結局ドルに対する各国の国際協力があずかって力があった、と同時に、国際収支は近年赤字を続けているとはいうものの、貿易収支では大幅な黒字を持っておる米国の力によるものでありまして、国際基軸通貨たる地位は十分今後も維持されていくものと考えます。
 ただ、しかし、この米ドルの既存の準備資産を補充して、国際流動性が不足しないようにという願望は、世界各国の共通の願望でございまして、ようやく四年がかりで、今回のIMF総会におきまして、特別引き出し権という新しい準備資産を創設する、そうして現行の国際通貨制度を補強するということがきまりましたので、目下、IMFの理事会においてこの協定の改正案が準備されておるところでございます。昨日お話し申しましたように、三月までにできることになりますので、世界各国においてそれぞれ国会に批准をお願いするのは四月以後になるだろうというふうに考えております。
 日本は、ポンドが切り下げられてもこれに追随しないということをいち早く表明いたしました。また、米国、カナダが公定歩合を引き上げましても、日本は一切、円はこれに動揺しませんでした。結局、こういうときになりますというと、人をたよらないで、自国における財政政策と金融政策をしっかりやって、自国の円を守ることが一番必要であると考えます。(拍手)私どももその覚悟で、必ずこの円の地位を守るという政策を今後とっていきたいと考える次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) 過日、金が買い進まれましたときに、ドルの不安ということがいわれたわけでございましたが、私は、これは米国を中心として主たる国が受けて立って売り浴びせるという姿勢を示しさえすれば、おそらく数日でとまるであろうというふうに申しておりました。事実、米国を中心に、一カ国を除きまして、主要国が金プールをつくりましたたために、そこで買いはとまってしまったわけであります。つまり、金利のかかります金で利子のつきません金を買うということは、金の価格が上がるということでなければ、もうかるはずがないわけでございますから、金の価格を上げないんだ、ドルは下げないんだという姿勢を示せばそれで済むはずで、また、現にそうなったわけであります。したがって、今後とも主要国がそういう協力体制をとります限り、ドルについて、あるいは金の問題について不安はない。いわんやいま大蔵大臣の言われましたような新資産の造出もございますので、そう考えております。
 それから、ドルのかさというようなことを言われましたのと、たいへんに御表現は微妙でありましたが、円の流通について「特殊の考慮」というおことばを使われたかと思います。これは、私、想像で申し上げますのですが、いま私どもが防衛しておりますドルは、むろんアメリカの国内通貨のドルとしてではなくて、基軸通貨としてのドルでございます。わが国の貿易もほとんどドルで決済されますし、外貨準備もほとんどドルでございますから、わが国自身の問題であるわけであります。
 そこで、この二つの御質問の連関は、おそらくは、今後ドルを媒体とせずに円で貿易の決済をする、あるいはそういう地域というものがだんだんでき上がっていくべきものではないかと、そういうことを含みにおっしゃったのではないかと思います。確かにそういう考え方があるわけでございますが、わが国のように経済の成長が早い、国内の経済にいろいろ変化があるという国の場合に、自由な国内的な財政、経済措置をとらなければならぬというときに、他の国、一定の地域に及ぼす影響を絶えず考慮していなければならないとなりますと、国内的に自由な経済政策がやはりとりにくいことは御承知のとおりでございますから、いまの段階では、私は、やはり、円決済が少しずつ多くなるということはよろしいことだと思いますが、地域の問題としては考えにくいのではないか、私見でございますが、私はそう思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(石井光次郎君) 竹入義勝君。
  〔竹入義勝君登壇〕
#23
○竹入義勝君 沖縄返還は、国民と沖縄九十五万県民の悲願であります。総理一人のものではないと思うのであります。したがって、日米会談の真相を全国民が知るべき権利があると思うのであります。私は、公明党を代表して、以下幾多の疑問について総理に質問をいたします。
 平和条約締結の吉田総理の訪米は別といたしまして、歴代総理の訪米で、今回のあなたの訪米ほど重要な意味を持つものはなかったと思うのであります。沖縄返還の悲願に燃えて渡米された総理の努力は多といたしますが、その結果は、残念ながらわが国の将来を危惧せしめるものであったといわざるを得ないのであります。
 アメリカのアジア政策の一つは、言うまでもなく、中国敵視政策であり、これを根底にするアメリカのアジア政策が堅持される限り、アジア防衛のかなめである沖縄が返還されることは決して考えられないのであります。ジョンソン大統領が沖縄の返還を拒んだ理由は、制約された日本の防衛力では、沖縄の喪失に伴う極東の安全保障を十分にカバーできないという認識であったと思うのでありますが、総理の所見を伺いたいのであります。
 したがって、沖縄返還を可能ならしめる道は次の二つであるといわざるを得ません。すなわち、一つは、その前提になっているアメリカのアジア政策の変更を強く迫ることにより、アメリカにとっての沖縄基地の重要性を低下させるか。その第二は、わが国の防衛力と防衛範囲をアメリカのアジア政策に合致するよう拡大するかであります。第二の道こそ、ジョンソン大統領の言う責任ある。パートナーシップを意味するものであり、日米会談において総理の選んだ道であります。これは、平和憲法の重大なるじゅうりんを意味し、断じて許されないものであります。(拍手)したがって、わが国に許された沖縄返還の具体的方策は、アメリカのアジア政策の重大な変更を求める以外に道はないとわれわれは主張するものであります。総理の所見を伺いたいのであります。
 しかし、共同声明にある限り、総理は、アメリカのアジア政策そのものの変更を求めるどころか、逆にその強烈な支持を明らかにしているのであります。六五年一月の第一回佐藤・ジョンソン会談の共同声明では、中国問題は、アジアの平和と安全にとって最大の影響を及ぼす問題としてのみとらえていたのでありました。しかるに、今回の共同声明は、「両者は、中共が核兵器の開発を進めている事実に注目し、アジア諸国が中共からの脅威に影響されないような状況をつくることが重要である」ことに同意したと、対中国判断に重大な変更が見られるのであります。さらに、六五年の共同声明は、ベトナム戦争についても何ら支持していないのであります。しかるに、今回は、「北爆の停止には、ハノイにもそれに対応した措置が期待されるべきである」と表明し、北爆を支持したのであります。六五年と今回の二つの共同声明のこのような具体的な変化は、明らかにアメリカの中国封じ込め政策を正式に支持したものであり、これが総理の沖縄交渉の基本的な姿勢なのであります。総理は、いかなる意図で、対中国及びベトナム戦争についてアメリカの政策に同意されたのか、所信のほどを伺いたいのであります。
 しかも、総理は、昨日の答弁の中で、「米国がかつての封じ込め政策から、さらに弾力的な態度に変わった」と発言をいたしておりますが、中共の国連加盟阻止、北爆の強化などを見ても、その態度は変わったとは言えない。いつ、どのように弾力的に変わったか、あわせて具体的に伺っておきたいと思うのであります。
 さらに、共同声明において、日本の安全と極東の平和と安全確保のために日米安保体制の堅持を約束し、極東の平和と安全維持が、軍事、政治、経済の三本の柱でささえられていることを確認し合っております。しかも、日本は、その国力に応じて、アジアの平和と安定のため、積極的に貢献する用意があると確約しているけれども、これはきわめて重要な意味を有するものと判断されるのであります。軍事、政治、経済における積極的な貢献について、国民は多大の不安を持っているものでありますが、具体的に何を意味するか、御説明を願いたいのであります。(拍手)
 あなたに対する国民の最大の失望と不満の原因は、沖縄の返還を求めて渡米されたにもかかわらず、所期の成果もなく、かえって日本を、アジアにおける日米共同防衛体制の中にさらにより深く組み入れてしまったことについてであります。中国に深いみぞを画したままアメリカと運命共同体の誓約を取りかわすことは、沖縄返還という国民の熱望と逆行しているものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 すなわち、一方では、必然的に日本の軍事的共同防衛体制の強化となってあらわれ、他方では、沖縄の戦略的重要性をより高めたものであり、したがって、返還から遠ざかっても決して近づくものではないのであります。これは、沖縄返還に対する政府の姿勢と目的の自己矛盾であります。そのゆえに、総理は、沖縄返還を口にしながら、みずからその要望を強く主張し得なかったのであります。したがって、総理は、両三年内の沖縄返還を交渉の目標とすることができず、わずかに両三年内に返還のめどをつけてもらいたいという希望をするにすぎなかったと思うのであります。ところが、所信表明において、両三年内に、アメリカとの間に、返還の時期について合意に達し得るものと確信していると述べられた。これは、国民に対する重大なる公約であります。
 十一月十九日付のニューヨーク・タイムズには、「共同声明の字句は、日本側によく聞こえるようになっているが、ジョンソン大統領は今後、無期限に沖縄の支配を続けていく方針である」と述べておる。バンディ国務次官補も、わざわざ共同声明内容の補足説明で、「これはあくまで、佐藤首相の希望であり、ジョンソン大統領がその意見に同意したものではない」と断わっているのであります。
 昨日、総理は、沖縄返還のめどが両三年内に必ずつくとの確信の根拠として、次のように言われました。共同声明にある「両三年云々は、確かに私の希望であったが、そのあとに「以上の討議を考慮しつつ、沖縄の地位について共同かつ継続的な検討を行なうことに合意した。」と、私の希望が十分考慮されることになっておりますので、私は確信を強めている次第であります。」とあなたは述べております。しかし、「以上の討議」とは、その前にある、「同時に総理大臣と大統領は、沖縄基地にある米国の軍事施設が、日本と極東の安全を保障するため重要な役割りを果たしていることを双方認めた。」とありますけれども、この米国の軍事施設の重要な役割りについての双方の確認も、「以上の討議」の中に含まれるものであります。したがって、総理の確信を実現するためには、あまりにも大きな負担を覚悟せねばならないと考えるものであります。それは、施政権は返っても現在の基地は返らないという意味なのか、共同声明第七項の「以上の討議を考慮しつつ」云々の具体的な説明を願いたいのであります。
 さらに、今後合意に達する具体的なプログラムはどのようなものか、これもあわせて明らかにお示し願いたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、野党は、返還のめどとともに基地の返還方式をそれぞれ発表いたしております。しかし、その衝に当たる政府の基地についての返還方式はいまだに不明であります。これは無責任きわまる態度であり、国民の不安の原因もここにあります。政府・自民党の責任ある基地返還方式をこの際明らかにしていただきたい。(拍手)
 さらに、共同声明においては、日本及び極東の安全にとって、沖縄基地の重要な役割りを双方が確認しております。もはや、その法的効力を失った平和条約第三条で沖縄を支配していたアメリカにとって、この合意は、新しい沖縄支配の根拠を与えることになったと思わざるを得ないのでありますが、総理の所見を伺いたいと思います。
 今後続けられる沖縄返還の交渉において、この沖縄基地の重要な役割りについての合意は、必ず交渉の前提とされるのであります。そして、沖縄をかためとする極東の安全保障にかわる責任あるパートナーシップの具体的な代案、すなわち、核の持ち込み、基地の自由使用は、もはや避けることは不可能となったと思うのであります。小笠原返還の方式が、沖縄返還のモデルケースになるものと考えられますが、核と基地の自由使用などについて、小笠原の場合はどうなるか、きわめて重要な意味を持つものであります。共同声明に、「日米両国の安全保障上の利益は、小笠原返還の取りきめの中で満たし得る」とあります。奄美大大島返還協定の場合は、その附属の交換公文の中で、日本政府は、同諸島が極東の防衛及び安全と特異の関係を有することを認め、沖縄などの防衛のため、アメリカが必要と認める要求を考慮に入れることを約束しているのであります。共同声明にいう、小笠原返還の取りきめの中で満たし得る両国の安全保障上の利益とは何か、具体的に答弁をいただきたいのであります。
 現に、これら諸島が、ポラリス潜水艦を中心とするアメリカ核戦略に果たしている役割りはいかなるものでありましょうか、この役割りも、今後締結されるであろう小笠原返還協定で満たそうとしているのかどうか、これまた明確なる答弁を求めるものであります。
 さらに、将来マリアナ、グアムの線に極東戦略の第一線が後退したとき、小笠原の持つ重要性は激増するものと思いますが、そのような事態が現実となったとき、小笠原において日本が負担する義務の増大が将来あり得ることでありましょうか。いずれにせよ、小笠原の返還にあたって、製造せず、装備せず、持ち込まずの非核三原則を明確にし得るかいなか、見通しを伺いたいのであります。(拍手)
 緊張緩和、平和共存路線が時代の趨勢となり、各種集団安全保障体制が流動化する傾向は、長期的展望に立つとき、否定できないことであります。国益を目ざす外交姿勢は、常に状態の変化に即応できる柔軟性、つまり、フリーハンドが必要であると言えましょう。まして米中対決のアジアにおいて硬直的な対米依存姿勢は、この緊張を激化するものであって、決してこれを緩和するものではないと思うのであります。われわれは、極東における日米共同防衛体制の解消のため、安保の段階的解消を主張してきたのであります。さらに、われわれは、段階的に解消される日米安保が日中安保に代替されるべきではないと思うのであります。したがって、沖縄返還を可能ならしめるわが国の外交姿勢は、究極的に完全中立を目ざすものでなければならないと思うのであります。(拍手)一九七〇年の時点においては、現条約の段階的解消を前提として、安保体制がやむを得ないとしても、七〇年代を通じてそれを長期にわたり堅持する、いわゆる安保の長期固定化は、以上のような意味において、明らかにわが国の利益に合致するものではない。総理は、安保の長期固定論を否定されるかもしれませんが、すでに述べたごとく、日米会談を契機に、ソ連、中国の核開発の脅威を強調し、それに対抗するアメリカのアジア戦略体制への全面的依存を出発点とし、その方向で日本の安全と極東の平和とが不可分であるとの認識に基づいて、日本を含む極東の平和と安全に対する日本の重大な役割りを約束してこられたのであります。これは、いかに口に長期固定論を否定しても、その発想は長期固定そのものであるといわざるを得ないのであります。この点について、総理の所見を伺いたいのであります。
 さらに、共同声明にいう安保の堅持について、その期間及び具体的方式について総理の構想をあわせて伺いたいのであります。
 これまで、しばしば沖縄基地の核つき自由使用論を唱え、物議をかもしてきた下田駐米大使が、先日またも、「沖縄の核基地を認めても、それは日本本土に核を持ち込ませないという現在の政策の変更でも例外規定でもなく、単に沖縄基地の自由使用を認めるという別の新政策が追加されるにすぎない」という、許しがたい見解を明らかにいたしております。
 総理は、帰国後、記者会見において、ソ連、中国の両国が核兵器の開発を進めていることに国民は何らの脅威も感じないのか、また、日本の憲法は日本国民を拘束はするが、ソ連、中共を拘束しないと言っておりますけれども、これは、明らかに憲法改正の底意を秘めた発言であり、平和憲法に対する公然たる挑戦以外の何ものでもないと思うのであります。(拍手)さらに、共産側の核脅威に対しては、わが国はアメリカの核のかさに依存せざるを得ない、沖縄の米軍基地は、わが国の安全上、重要な軍事価値があると述べておられます。本土防衛についてはっきり国民が立ち上がるというのなら、沖縄は三年といわず、もっと早く返ってくると述べております。これら総理の一連の言動は、アメリカの安保体制のわが国に対する恩恵を強調し、それによって核基地化している沖縄の現状肯定を押しつけ、沖縄の核基地つき返還を正当化しようとしているものであります。
 昨日の答弁の中で、「核兵器を開発しない、また、核を持ち込まない、この立場に立つ」と明快にあなたは答えていますが、この核を持ち込まないという発言は、沖縄返還は核抜き返還を明確にしたものと思うが、この点について明快な答弁をいただきたいと思うわけであります。(拍手)また、「秘密協定はございません」このような答弁もなさいました。秘密協定がないのならば、明快に答弁できるはずであり、もし答弁ができないとすれば、国民の心配している秘密協定があるやの憶測が真実と受け取らざるを得ないのであります。七日朝のロンドン・タイムズでは、「佐藤首相とジョンソン大統領との間で、一九七〇年半ばまでに沖縄の核基地つき返還を認める秘密協定あるいは暗黙の合意が成立した模様であることを明らかにした」との報道すらなされているのであります。核つき返還なのか、核抜き返還なのか、総理の明快なる答弁を重ねて要望するものであります。
 核の抑止力による安全保障には、おのずから限界があります。すなわち、核大国の指導者が、常に正常なる、強い理性と良識と判断力を持つことが必要条件でありますけれども、歴史の示すところ、戦争は指導者の非常識なる判断に基づくものがあまりにも多いのであります。いざというときに、同盟国のため、アメリカが自国を核兵器の攻撃の危険に身をさらすか、きわめて疑問であります。すなわち、わが国にとっての有事が必ずしもアメリカの有事とはなり得ない事態も十分予想されるのでありますが、総理の所見はいかがでありましょうか。
 さらに、中国の長距離ミサイルが完成したとき、恐怖の均衡の上に米中の対話が成立することは、米ソの例を見ても十分可能性があります。西ドイツの例を引くまでもなく、米中対話の段階に、はたして日米安保体制はどれだけの日本の安全にとっての効果を機能し得るか。この疑問に対し、長期的ビジョンに立った総理の考えを示していただきたいと思うのであります。
 政府は、安保体制によってアメリカの核保障を期待するというものの、同時に日本の国内に核兵器の持ち込みは認めないし、また積極的にアメリカの核戦略へ参加する意思もないと言明しておられます。少なくとも日本の核政策がこの線を踏み越えるべきではないというのが、賢明なる国民大多数の合意であり、選択なのであります。総理は、この非核方針の堅持を決意されているかどうか、この点も伺っておきたいと思うのであります。
 中国問題は、歴史的に見ても、日本外交の基本でなければならないと思うのであります。今日の中国は、国際的には孤立し、国内的には未曾有の文化革命を実施し、きわめて多難な道を歩んでおります。しかし、中国の存在は、わが国の将来にとってとうてい無視できるものではないのであります。これに対し、政府の態度はきわめて不当であります。それは中国に対して根本的な国の方針が確立されていないことであり、対米外交を顧慮するあまり、中国の友好を拡大する努力を払わず、中国をいたずらに刺激するという愚を繰り返してきたのであります。(拍手)
 さらに、大国による核軍縮の妨げが中国の核装備であることを考慮するとき、中国を国際社会に引き入れることこそ、非核国たるわが国の国益に合致することであり、流動化しつつあるアジアの将来のさまざまな展望に立って、中国問題に前向きの姿勢で取り組み、アジアの緊張緩和を早める平和外交の方策を探求していくべきであると思うが、総理の対中国外交の展望と構想を明らかに伺いたいと思うのであります。(拍手)
 次に、政府の政治姿勢について伺いたい。
 現在拡大しつつあるLPガス献金事件にかかわる政治献金は、個人と政党を合わせ一億五千万円といわれ、これによって得た業者の利潤は百億円にのぼるといわれております。総理の先ほどの答弁にも、政治不信が激しくなることを心配しているとの発言がありましたが、この問題について、総理はいかがお考えになり、責任をどう感じておられるか、明確に伺っておきたいと思うわけであります。(拍手)
 政治献金の野放し状態が生む政界の腐敗に、国民は大きな憤りを感じております。政治資金規正法の改正が強い世論となっておるゆえんであります。この政治資金規正法の改正は、佐藤総理が特別国会以来公約した政治責任でもあります。にもかかわらず、内閣改造後、赤澤自治相は、政党に対する献金に制限をつけることは妥当でないと発言をしている。この発言は、世論にまっこうから挑戦をする発言であります。(拍手)
 そこで、総理に伺いたいことは、すでに予想できていたはずの今臨時国会になぜ提出できなかったか。国民の至上命令とまで広言し、総理の決意一つで決するこの法案を提出できなかった理由を明らかにしていただきたいと思うわけであります。(拍子)次に、本法を現行法以上に骨抜きにする意図を明らかにした赤澤自治相の発言は、総理了解の発言として受け取ってよいかどうか、この点も、総理の所信を明らかに伺っておきたいと思うわけであります。
 以上で私の質問を終わりといたします。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お尋ねに対して順を追ってお答えいたしたいと思います。
 アメリカの現在のアジア政策が続く限り沖縄は返還されないというような悲観的な見方には、私は同意できません。ジョンソン大統領との会談では、「沖縄の施政権を日本に返還するとの方針の下に、沖縄の地位について共同かつ継続的な検討を行なうことに合意した。」ということになっております。私は、この協議を通じて、必ず両三年内に沖縄の返還時期についてそのめどができる、かように考えております。
 第二の問題として、日米両国間の相互信頼と協力の基礎の上に立って問題に対処することこそ、沖縄問題をわが国の国益にかなう形で解決する最善かつ最短の道であると私は考えております。竹入君のお説のように、沖縄返還への道が二つに限定されているとは考えておりません。米国をはじめ、私が歴訪したアジア諸国は、わが国の平和憲法のたてまえを十分理解しておりますし、私は、この憲法の範囲内で問題の解決をはかるのはもちろんであります。さような方針でございますから、その点では御心配のないように願います。
 前回の共同声明では、日米の対中共観、中共の見方が併記されておりましたが、今回は、両者が「中共が現在の非妥協的態度を捨てて国際社会において共存共栄を図るに至るように」との希望を表明しております。これは、具体的に米国がわが国の考え方に近づいてきたことを示すものであります。前回はどうしてもこの意見が一致しなかった、今回は一致した、それをお考えいただきたい。したがいまして、これは大きな変化であります。ことにジョンソン大統領は、昨年、平和な中国本土が平和なアジアの核心となることを指摘し、中共に対しては、外部の世界を理解させ、平和協力政策をとるようしむけなければならない、かようにも具体的に述べております。そのことからも米国の中共政策は変わってきた、かように考えます。さらに、年頭教書では、具体的に、学者の交流、あるいは新聞記者の交換、あるいは図書出版物の交流、あるいは中共旅行の自由化など、それを呼びかけております。これは明らかに、アメリカの考え方が具体的にも変わっておる証左であります。
 六五年一月の共同声明と今回の共同声明の差異を指摘されておりますが、前回は、私とジョンソン大統領が、ただいま申しましたように、それぞれの立場でそれぞれの意見を述べたのであります。しかし、今回は、ただいま申し上げますように、これが一致しておる。ここらに、アメリカと、具体的にこの点が変わってきたということがはっきり言えるのであります。私は、中共自身も、いままでのような、あまり教条主義的なかたくなな考え方をしないで、やはり世界の実情に眼を開き話し合うという、そういう態度であってほしい、かように思います。
 どうか、皆さん方の御協力もお願いいたしますから、皆さま方それぞれの機会があれば、私どもを説得なさるのもけっこうだ、同時にまた、中共政府に対しましても、この態度を誤解なく伝えていただきたいと思います。したがいまして、いわゆるアメリカの封じ込め政策というようなものは、今日はあまり議論もされておりませんし、私どもが、特にそれを取り上げて考えるほどのものではございません。しばしばまた申し上げておりますように、ベトナム問題はアジアの悲劇でありますし、このことにつきましては、先ほど来、佐々木君に対しても、平林君に対しましても、お答えをいたしましたので、省略さしていただきますが、とにかく、いずれの場合におきましても、わが国のような平和憲法のもとで、絶対に武器は取らない、暴力は排するんだ、この立場で各国があってほしい、そうすれば、必ずお互いに話し合いに入る、そういうチャンスができる、かように私は考えるのであります。
 次に、第四点としてお尋ねになりました、どうも共同声明が、私はやや誤解されておるのではないかと思いますが、先ほども申しましたように、今回の共同声明で、軍事的な協力をするというようなことは、どこにも約束はいたしておりませんし、さような点は絶対にございませんし、どこまでも平和憲法を守る、貫いておる、その点で御了承をいただきたいと思います。
 次に、沖縄の返還方式の問題についてのお尋ねがありました。これはまだ固定した考えはございません。諸情勢を勘案し、国民の賛同を得る線で解決する考え方でございます。したがいまして、このお話でぜひ考えていただきたいのは、施政権と軍基地というもの、必ずしも一緒でなければならない、そういう議論はないと思うのです。だから、施政権があれば軍基地がつぶれるとか、軍基地がある限り施政権は返らないとか、かように考える必要はないのです。この二つを、やはりそれぞれの目的を達成するように考える、それが私の仕事でもありますし、皆さま方が国民のためにお考えになるのも、その点にあると思います。その点をよくお考え願って、そうしてわが国の安全を確保し、しかも施政権が返ってくる、そうして国民が納得する、満足する、そういうようなことであってほしいと思います。
 そういう意味で、この上とも私は、外交ルートを通じ、随時、あらゆる機会に折衝を重ねていくつもりであります。これらの点では、随時折衝を重ねていくのでございますから、御心配がないように。また、政府に対する御鞭撻も、その意味で賜わりたいと思います。
 私が申し上げるまでもなく、沖縄を返してもらうことがまず先決であると考えておりますから、この返還の最終的な方式、たとえば基地の問題の取り扱いなどにつきましては、国際情勢の変化や科学技術の進歩や時間的な要素など、いろいろの要素を考えながら対処するつもりであります。いまから固定的な考えを持ってこれに臨むというつもりはございません。これも誤解のないように願います。
 私は、日米相互信頼と協力の基礎に立つことが、沖縄問題解決の最善かつ最短の道であるということを先ほども申しましたが、この平和条約第三条等の法律論がどうあろうと、法律論で私はアメリカと争うような考えはございません。どこまでもアメリカとの友好親善関係、それを深める形においてこの問題を解決するつもりであります。
 また、その次に基地の自由使用の問題に触れられましたが、先ほどお答えいたしましたように、ただいまこれは国民とともに考え、これも納得のいくような処置をつけるつもりであります。
 次に、私が申し上げましたいわゆるみずからの国をみずからの手で守るという気慨を持ち、現実的な対策を考えようということは、今日の世界の現実の中で、自分の国の安全を確保するという根本的な問題につきましては、いまだに国民的総意が形成されていないので、今後国民一人一人の認識と努力によって、この総意を着実に形成すべきだということであります。国会におきましても十分に論議していただきたいと思います。先ほど佐々木君に私がお答えいたしましたように、この国を守るにつきましては、ずいぶん幅の広い範囲でそれぞれの者がそれぞれの意見を述べておりますから、これらのものが一致するように一そう御意見を聞かしていただきたいと思います。
 第十、十一、十二、この三つは小笠原の返還の問題でありますから、一緒にしてお答えしたいと思います。
 小笠原にある軍事施設は、単に小笠原の防衛だけでなく、わが国を含む極東の安全保障のため重要な役割りを果たしております。したがって、共同声明にいう日米両国の安全保障上の利益とは、わが国を含む極東における日米共通の安全保障上の利益ということであります。
 奇美大島返還の際の交換公文と同様のものが小笠原の場合にも必要ではないかというお尋ねでございますが、私は、小笠原についてはこのような交換公文は必要でない、かように考えております。
 いずれにいたしましても、小笠原に維持される米軍の施設区域は、安全保障条約に基づいて保持されることになるのでありまして、この点は共同声明にも明らかなとおりでございます。そのワクをはずれるような約束が行なわれることはありません。また、小笠原に対してわが国の施政権が及ぶようになれば、その防衛は本土の防衛と全く同様に考えられることになります。政府としては、小笠原の返還と関連して核兵器の保有をせず、その持ち込みを認めないとの従来の方針を変更する考えはありません。(「沖縄はどうだ」と呼ぶ者あり)これはただいま小笠原について、はっきり申し上げたのでございます。(発言する者あり)不規則発言にはお答えいたしません。
 十三、十四、十工、この三つの問題についてお答えをいたします。
 日米安保体制を長期にわたって堅持する方針には変わりありません。
 また、安保条約を堅持する期間及び具体的方針についてはまだきめておりません。
 御質問の十五については、御意見を十分承っておきます。
 十六のお尋ねでございますが、沖縄の返還問題については、前のお尋ねですでにお答えしておりますが、空港の記者会見で申し述べた趣旨は、わが国の最高の国益のために、国民全部が真剣に考え、討議し、取り組んで、防衛問題に対する国民の総意を形成することを期待したものであります。これまでも機会あるごとに述べておりますとおり、憲法を改正する考えはありません。しかしながら、核軍縮が達成されていない現在においては、日本の安全を確保するため、日米安保体制によって、国際的な核の脅威に対処する方針であります。この点は今日も変わりはございません。今後も引き続いてその点を考えてまいります。
 とにかくいずれにいたしましても、私自身が、日本国民は核兵器は開発しない、核兵器は持ち込まない、これはすでに私どもが国民の総意としてはっきり誓ったところであります。アメリカは、日本に対する攻撃からあらゆる場合に日本を守ると、かように明言しておりますので、これで日本の安全は確保されておる、かように私は思っておるのであります。そこで、日米安全保障条約、これの不要論については私は耳をかさない、賛成をしないのであります。
 次に、十八、十九問、これにつきましてお答えをいたしますが、世界の各国が国際紛争を武力によって解決しないというわが国のような平和憲法を持つに至れば、いかなる種類の集団保障体制も不要となることも考えられないではありません。しかし、世界の現実を直視した場合に、わが国としては当分の間、安全保障体制、これを維持せざるを得ない、これもまた、たびたび申し上げたとおりでございます。
 中共が教条主義的な姿勢をやわらげて国際社会に入ることは、もとより歓迎するところであります。しかしながら、現在の中共は核開発を進める一方、みずから孤立化のからに閉じこもろうとしているように見えます。また、北京政府も台湾の国民政府も、中国は一つだと言っております。国連における代表権は国民政府にあるのであります。ここに中国問題のむずかしさがあるわけでありますが、私は、これまでも政経分離のこの原則のもとで、中共とは実際に現実に貿易もし、人的交流なども通じて、窓口はこわさないように留意しております。今後ともこの方針に変わりはないのであります。せっかく、積極的に御指摘になりました対中共政策についてもくふうしろ、かように仰せられましたが、現状におきましては、ただいま申し上げますような政経分離の政策で中国大陸に臨むつもりであります。
 次に、最後に、最近起こりました大阪タクシーの問題についてお尋ねがございました。私は総理大臣になりまして以来、汚職、腐敗、そういう点につきまして、たいへん注意をしてまいっております。先ほど佐々木良作君にもお答えをいたしたのでございますが、この種の事件が起こったことはまことに遺憾に思います。しかし、ただいま捜査中でございますので、その全貌についてとかくの批判はいたしません。しかし、いずれにいたしましても、ただいま捜査を引き起こした、そのこと自身がすでに遺憾な事柄だ、かように私は考えております。また、今後とも一そう十分に注意をいたしまして、この種のことのないように、綱紀粛正に一段と注意するつもりでございます。
 以上、お答えをいたします。(拍手、「政治資金規正は」と呼ぶ者あり)
 政治資金の問題につきましては、先ほどもお答えをいたしました。赤澤君からもお答えをいたしました。これは、通常国会におきまして過去の審議等の経過にもかんがみ、成立のできるような案をくふうしたい、かように思っております。(拍手)
#25
○議長(石井光次郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#26
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣  佐藤 榮作君
       法 務 大 臣 赤間 文三君
       外 務 大 臣 三木 武夫君
       大 蔵 大 臣 水田三喜男君
       文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
       厚 生 大 臣 園田  直君
       農 林 大 臣 倉石 忠雄君
       通商産業大臣  椎名悦三郎君
       運 輸 大 臣 中曽根康弘君
       郵 政 大 臣 小林 武治君
       労 働 大 臣 小川 平二君
       建 設 大 臣 保利  茂君
       自 治 大 臣 赤澤 正道君
       国 務 大 臣 木村 武雄君
       国 務 大 臣 木村 俊夫君
       国 務 大 臣 田中 龍夫君
       国 務 大 臣 鍋島 直紹君
       国 務 大 臣 増田甲子七君
       国 務 大 臣 宮澤 喜一君
 出席政府委員
       内閣法制局長官 高辻 正巳君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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