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1949/05/09 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第10号
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1949/05/09 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第10号

#1
第005回国会 法務委員会 第10号
昭和二十四年五月九日(月曜日)
   午前十時二十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○檢察及び裁判の運営に関する調査の
 件
○皇族の身分を離れた者及び皇族とな
 つた者の戸籍に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出)
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関
 する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○裁判所法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○司法試驗法案(内閣送付)
○証人喚問に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより法務委員会を開きます。先ず、檢察及び裁判の運営に関する調査に関して報告を求めます。
#3
○大野幸一君 調査報告をいたします前に、本日國警本部その他政府側から御出席を頂いておるようでありますから、これに関連して質問を二、三申上げたいと思います。当委員会の決定によりまして、我々は昨日郡山、福島地方に調査に参りました。これは進行中の列車を停車させて乘客を降して、そうして主食その他の違反品を檢挙するという方法についての可否論でありまして、これは当委員会が取上げまして、直接取上げた原因は、四月八日の参議院本会議に柏木庫治議員からこれに関する質問がありまして、当時吉田首相及び法務総裁もこれについて答弁がありました。その答弁の要旨といたしましては、法規的にはどうも行過ぎておるようであるから、今後は中止するように指令する、こういうお話であつたにも拘わらず、十六日の日に再びこの一斉下車による不幸にして人命を失うという、こういうような事件が起きたために、政府は本会議においてさように答弁をして置きながら、依然としてやつておるのはどういうわけかということが調査の動機となりまして、調査しましたのでありますが、そこでこういうことを一体いつ頃からなされておるものか。なされておることについて、本日御出席の國警本部長官は報告を受けておられるのであるか、又は指令されておるものであるか、こういう点、若しそうであるとするならば、何か法律上のよりどころがなければならないのだが、こういう点についてどういう御説明が頂けるかどうか。第三には、今後の方針についてはどう考えておられるか。こういうことをここで御答弁願つて置きたいと思います。
#4
○政府委員(斎藤昇君) お答えいたします。列車を停めまして、経済違反関係の一斉取締をやりますことにつきましては、いろいろと世の中に批判の声があり、当國会において又御意見のありましたことも只今お述べになりました通りであります。私の方もかねがねこの点につきましては非常に心を痛めながら、併し実際上違反が非常に多いという現実の状況から、最近までさような取締をやらざるを得なかつたのであります。これはいつ頃からであつたかというお話でありますが、全國一齊にいつからということはありませんので、各府縣、地方の状況によりまして、早いものは昭和二十一年の中頃から始めたと思います。さようなわけで府縣の実情によりまして、やつたり、やらなかつたりというような状況であつたわけであります。最近は福島、新潟、あの地区が事実上主食の流れ出る非常に大きな関門でもありいたしますために、吾に最近目立つてやつておつたわけであります。併しながら段々主食に対する経済取締の趣旨が徹底をいたして参りましたのと、一方は先程申上げました、これは我々自身といたしましても非常に心配をいたしておつた点でありまするが、廣い言葉で言えば人権蹂躙に近いような場合があり得るのではないかという心配等もあり、かたがた國会において御意見がありましたので、できるだけこれを止めて、列車を遅延せしめるような方法の取締ということは止めるように工夫をいたしておつたのであります。福島におきましては去る四月の三十日、新潟におきましては五月の五日から、かような一斉取締の方法は止めることに相成り、そうして全國的に私の方の刑事部長名を以ちまして、去る七日附を以ちまして、列車を停めて一斉取締をする方法は中止をするように、そうして列車の進行中に警乘員を以て取締をするとか、或いは駅の乘り降りの際に十分なる取締をするというように、取締の方針を変えるというように取牒を出したのであります。これによつて列車による経済違反の取締が相当程度目的を達することができるならば、從來のような方法に帰ることは今後絶対になかろう、かように考えておるのであります。以上お答えいたします。
#5
○大野幸一君 御答弁の全趣旨から見ましても、法規上根拠がないようであります。我が國に憲法が新らしくなりまして、これを遵守する者は我々國会議員から政府の公務員に至るまで、これは守らなければならないのであります。ところで我々が推測するところによりますると、占領治下にありまして、いろいろな思うようにならない場合もあるでございましよう。併しその場合にあつても、日本再建のためには憲法こそ本当に遵守しなければならない。ややもすると日本の政府は名を関係方面に藉りて、これは関係方面の指令である、こういうように一概に國民を屈服せしめてしまおうとする虞れがあるのであります。本件も我々も調査したる結果によりますると、こういう嫌いが十分にあつたのであります。のみならず、この沿革を本員において調べて見ますると、先の内閣のときに、時の法務総裁鈴木義男氏から議会においてこれに関する緊急質問に対してこういうことを述べられております「占領目的が法律以上の力を持つておるということは、総司令官よりの日本政府に宛てられましたる覚書に明記してあるところであります。尚犯罪捜査のために必要なる措置をとります場合には止むを得ないことでありまして、これは鉄道営業法等によりまして、その遅延いたしましたることが程度を超えましたる場合には、それぞれ料金の返還等をいたしまするが、警察の目的のためには、列車を停め得ることは当然であります。」こういうように答弁をされておるのであります。このために今まで國民は、これはいわゆる総司令官の命令だと、こういうように誤解をされておるのであります。一國の國務大臣が軽卒にもこういう答弁をしておる。私は社会党所属議員でありますけれども是は是、非は非でありまして、こういう誤りが即ち下部に至るまで滲透していた。ところが我々の調査の結果は、そうでなかつたということが分つたのであります。余りに向うの協力を、むしろ向うの協力を得たことを、これを命令のごとく誤解してやつておつたのであります。こういうことのないように、飽くまでも憲法は守らなければならん、本員の見解から言わせりば、とにかく乘客を一應降してしまつて、一列に並ばして、そうしてその所持品を調べる。この一列に降した瞬間にすべての乘客を被疑者扱いにする。そうしてあなたの持物を調べるのだと、こういうことになれば、これは捜査令状に基かずして犯罪を捜査するということになります。これを逃げ得る口実として、我々調査した結果によりますと、いや國民の協力を求めているのである。こう言いまするけれども、決して協力というそういう言葉でこれから國民を左右されては困るのであります。國民は眞夜中に叩き起されて降され、そうして更に乘車するときに、もう必至押し合の悲惨な状態を呈して席を取得することに懸命であるという、あの悲惨は何と言いますか、戰爭当時のごたごたを更に陰惨ならしめて我々の眼に見せているのであります。こういう意味で今後においても進駐車関係、或いは又関係方面に名を籍りて、少くとも國民に対して人権蹂躙であるのではないか。こういうことについては一つ篤と愼重なる態度で臨まれることを希望いたします。幸いにして只今國警本部長官から今度はやる意思もなければ、すでに全國に指令をしたということでありまして、この問題はまあ幸いにしてよく結果を得たことを認めますが、今後ともそういうように一つ御盡力願いたいと思います。
#6
○委員長(伊藤修君) 運輸省鉄道公安事務局長に対する御質問をお願いいたします。
#7
○大野幸一君 公安事務局長に質問いたします。
#8
○委員長(伊藤修君) 先程の御答弁を願うのですが、新たに質問があるのですか。
#9
○大野幸一君 私の方から質問いたします。鉄道公安事務局の方に……あなたの方としての今まで取られた見解及び鉄道法との関係について御説明を願いたいと思います。
#10
○説明員(川原道正君) この前御参考までにこちらの委員会にもお出ししてあつたのでございますが、全國で大体今まで一斉取締の回数は四千三百回ばかりになつております。この問題につきましては、前々から國警の方とも常に打合せをやりまして、この一斉取締で下車させることが非常に旅客に対する迷惑でもありますし、又列車の運行を乱すという方面からも非常に惡いといつたようなことで打合せをやりました。そして段々とそのやり方も上手になつて参りまして、最近におきましては一番長くかかつて三十分、短かければ十分ぐらいで済む、こういうふうになつておつたのでありますが、できるだけこういつた方法はやりたくないということで、常に連絡を申上げておつたところ、只今國警の方から説明がございましたように、最近の機関に止められるということになりましたことを非常に私共といたしましても喜びとするところであります。ここで法律上と申されましたけれども、鉄道法規上もこういうことをやつてよろしいということは全然ないのでありまして、どうも実際問題といたしましても、又法規上からいたしましても、できるだけ止めたいといつたような希望を今まで持つていたのであります。
 以上簡單でありますが、御答弁申上げます。
#11
○委員長(伊藤修君) 大野君、報告だけお願いいたします。
#12
○大野幸一君 報告書は相当大部に亘りますので書面を以て報告しますが、概略口頭を以て申上げたいと思うのであります。私達委員、即ち齋武雄委員、大野幸一二人の委員が参りまして、二十六日午後七時二十分上野駅を発車いたしまして、その晩福島の郡山に着しまして、翌日福島地方檢察廳支部において関係者達の会同を願いまして、懇談会を催しました。その集まられましたメンバーは後程申上げまするが、受けました当時の結論を申上げますると、本委員会において先程公安事務局のお方が申されましたように、鉄道側としては非常に迷惑を受けていたという感じがいたしました。それはさすがにいわゆる乘客を大切にすると言いまするか、サービス心の発露から非常にこれについては中止を最初から希望せられておつたのであります。その点は非常に感銘を受けました。そうして警察側の意見といたしましては、法規上のことについては協力を求めておるのであると、あくまで任意であると、こういうように主張せられておりましたし、岡崎檢事は心からそう信じておられるようでありましたが、この点については実情の列車乘客に対する考えをさような感覚に基いてやつておられたということに対しては甚だ遺憾であつて、我々が調査した結果によりましても、決して乘客は心から協力していない。或る乘客は、その当時警察官が早く降りないと人が迷惑をするとこう言いましたら、私達の面前で飛んでもない、迷惑をするのは俺達ではないか、こんなことされて迷惑ではないかと、こういうことでありました。或る乘客は答えて、これは全く國民を馬鹿にしておるやり方である。こういうようなことを我々に答えておりましたところから見ましても、少くとも大多数の乘客はみずから協力しておるのではない。その半面非常に不平を抱いていた。心に不平を抱いていた。ただこれはそのうち若干は関係方面からの強制的で止むを得ないというように観念していたものもありまするけれども、これを警察署側が協力を得ておるということを眞に信じていたとするならば、甚だ感覚が鈍いということになり、又それを口実に止むを得なくてやつていたとするならば、法規違反を知りつつやつていたと、こういう結果を受けましたのであります。翌二十七日、丁度十時二十分に郡山を通過する列車の一斉檢査を現場に視察いたしました。我我が想像した程列車は混雜していなくて、この程度ならば列車内において檢査ができるものと思いましたけれども、例のごとく下車をいたさせまして、そのときは主食のみについていたしました。ただ主食も懇談会のときに述べられたように二升以下の場合には大目に見る。二升から五升までの間は展宜裁量し、五升以上は檢挙しておるということでありましたが、私達が視察した現地では旅行証明を持つていない者は二升と雖も、一升と雖も買上げをしておるようでありました。それは我々が行くことを薄々察知したのか、非常に警察官は乘客に対して丁寧ではあつたけれども、法律の命ずるところによつて一升でも二升でも買上げておるんだということを却つて我々に示したいというような氣分もあつたのか、普段よりは嚴格であつたように見られました。そのときの買上数量と言いますか、約五俵あつたようであります。今まで乘客はこの買上げについて一部疑問を持つておつたようなわけで、あれはどうせどこかに流してしまう、或いは又誤解の多い乘客は警察で自分達が適宜処分してしまうのではないか、こういうような誤解を持つておつたようでありますが、食糧公團が参りまして一々嚴重にこれを査收いたしておりまして、こういう点については毛頭疑いがなく、むしろ警察官は同夜同日においても十時から朝の七時まで六、七回に亘り列車のすべての点檢をしておりましたようであります。警察官の労苦というものは並大抵でないという感じを受けまして、この点は國民が誤解しておるということを我々は察知いたしまして、警察官に対しては感謝の念さえ湧いた次第であります。かようにいたしまして、我々調査員の間においての最終の結論といたしましては、この方法は是非改めて貰いたい。又平たく言えば憲法違反の疑いが十分ある。捜査令状によらずして、被疑者の立場において捜査するという結果を生じて面白くないという結論を抱いて参りました。詳細は報告書を以て御報告申上げたいと思います。以上簡單に口頭報告をいたす次第であります。
#13
○委員長(伊藤修君) 別に御質問もありませんですか。
  ―――――――――――――
#14
○委員長(伊藤修君) この際板野議員より発言を求められております。これを許可することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(伊藤修君) ではこれを許可いたします。板野君。
#16
○委員外議員(板野勝次君) 私は檢務長官に質問したいのですが、刑務所に收容しておる者、又は被疑者の読書する内容について檢討され、或る種のものについては、これを差入れを禁止する処置を取つておられるかどうか、その点について。
#17
○政府委員(木内曾益君) それは矯正関係の所管になつておりますので、私よりも行政長官の佐藤君か、或いは矯正総務局長の古橋君からお答えする方がいいじやないかと思います。
#18
○委員外議員(板野勝次君) ここに見えておりますか。
#19
○政府委員(木内曾益君) 今見えおりませんが、連絡いたします。ちよつとお待ち下さいませんか。
  ―――――――――――――
#20
○委員長(伊藤修君) では下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について政府委員の逐條説明をお願いいたします。只今の法案につきまして、政府の係員が参つておりませんから、後にいたすことにいたします。
  ―――――――――――――
#21
○委員長(伊藤修君) 次に、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について提案理由並びに逐條に対する御説明を願います。
#22
○政府委員(遠山丙市君) 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 「皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律」は、皇室典範の附属法として、又、戸籍法に対する特別法として、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍の取扱を規定しておりますが、同法は、旧戸籍法を基礎として制定されたものでありますので、これを、新戸籍法の建前に沿うように改正する必要がございます。即ち、新戸籍法は、民法の改正に対應して、「一つの夫婦及びこれと氏を同じくする子」を戸籍編製の單位といたし、三代同籍を避ける建前を執つており、又、婚姻によつて氏を改めた者が、離婚等により復籍する場合には、復籍者は、新戸籍編製の申出をすることができることになつておりますが、これ等の点につき現行の「皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律」を新戸籍法の建前に從つて改正すると共に、尚、現行法の戸籍届出に関する規定中新戸籍法の規定によつて不必要となつた部分を整理するため、ここに、この法律案を提出いたす次第でございます。
 次に、この法律案の内容につきまして、簡單に、御説明申し上げます。
 先ず第一條についての改正規定は、現行法第一條によりますと、皇室典範第十一條の規定により皇族の身分を離れた者については、新戸籍を編製し、同第十三條の規定によりこれと同時に皇族の身分を離れた配偶者や直系卑属は、総べてその新戸籍に入ることになつております結果、直系卑属に配偶者や更に直系卑属がある場合にはその新戸籍に一つの夫婦及びこれと氏を同じくする子以外の者も同籍する結果となりますので、このような場合には、その直系卑属については、一つの夫婦とその子、もし、配偶者がない場合にはその者とその子ごとに、それぞれ新戸籍を編製するようにいたそうといるものであります。
 第二條についての改正規定は、現在同條第二項によりますと、皇族典範第十四條第四項の規定により皇族の身分を離れた者は、その直系卑属につき第一條の規定により編製された戸籍に入ることになつておりますが、例えば、その戸籍が祖父母又は曾祖父母等父母より親等の遠い直系尊属について編製されている場合には、三代以上同籍の場合が生ずることがありますので、これを改め、父母について編製した戸籍に入ることとし、又、現在、皇室典範の右規定により皇族の身分を離れた者は、新戸籍編製の申出ができないことになつておりますが、これを改め、一般の離婚復籍者と同族、新戸籍編製の申出ができるようにいたそうとするものであります。
 第三條についての改正規定は、現在同條によりますと、皇室典範第十二條の規定により皇族の身分を離れた者が離婚する場合第一條の規定によりその者の直系尊属につき編製された戸籍があるときはその戸籍に入ることになつておりますが、祖父母又は曾祖父母等について新戸籍が編製されている場合には、やはり第二條と同樣三代以上同籍の場合が生ずることがあり、また、現在右の離婚をした者は戸籍編製の申出をすることができないこととなつておりますが、これを第二條同樣の趣旨に改めようとするものであります。
 最後に、第五條から第七條までについては改正規定について御説明申上げます。
 第五條は、第一條又は第二條の規定による新戸籍編製、第六條は第二條の規定による入籍、第七條は第四條即ち皇族以外の女子が皇后となり又は皇族男子と結姻しその戸籍から除かれる場合の除籍の届書の記載事項等に関する規定でありますが、現行法に列挙されている記載事項は、新戸籍法の規定により記載すべきことが当然明かのものがありますので、これを整理しようといたすものであります。
 以上が、この法律案の内容の要点でございます。何とぞ愼重御審議の上速かに可決されることをお願い申し上げます。
#23
○委員長(伊藤修君) 何か御質問ありませんか……。本法に規定のない事項は戸籍法によるのですが、よらないのですか、その点をお伺いいたします。
#24
○政府委員(村上朝一君) この法律案は戸籍法の特例でありまして、この法律に規定のない事項は戸籍法が当然適用になるという解釈で現行法ができておるのでありますが、多少疑義が生ずる懸念がないこともないと考えますので、その点を明らかにされる方が或いは結構ではないかと考えております。
#25
○委員長(伊藤修君) 御質疑はございませんか。御質疑はないと認めます。
#26
○委員長(伊藤修君) それでは先程の下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の内容の御説明をお願いいたします。
#27
○政府委員(岡咲恕一君) この度御審議を願つておりまする下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の改正の要点は三点でございます。
 第一点は六ケ所の簡易参判所を新設することでございます。即ち岐阜縣の関町、廣島縣の賀茂郡の西條町、岡山縣の兒島市、鳥取縣の岩美郡浦富町、山形縣の東置賜郡赤湯町、それから愛媛縣の新居濱市、この六ケ所に簡易裁判所を増設いたすことが一点でございます。
 第二点は、簡易裁判所の管轄を変更いたす点でございまして、これは宇都宮の簡易裁判所の管内でありました栃木縣上都賀郡西方村外数ケ村を栃木、今市簡易裁判所の管轄に変更すること、それから尾道簡易裁判所管内の瀬戸村、山南村を福山簡易裁判所に変更すること、この二点でございます。それから最後の変更は、裁判所の管轄区域の基準となつておりました市町村、その他の行政区域の名称等が変更になりましたので、本法律案の別表を訂正することでございます。この三点が本法律案改正の要点でございます。簡易裁判所の新設につきましては從前から國会に請願なり、陳情なり或いは法務総裁宛に直接の陳情或いは上申もございまして、政府といたしましてはいろいろ研究いたしたのでございますが、特に岐阜縣の関町に簡易裁判所を新設いたす点につきましては、國会におかれましても両院においてこの設置を相当とお認になりまして、請願を採択せられました関係もございまして、政府といたしましては、特に愼重に研究をし、この御採択の趣旨に副いまして設置することに決定いたした次第でございます。なお細かい点につきましてはお尋ねによりましてお答え申上げたいと存じます。
#28
○政府委員(岡咲恕一君) 只今管轄区域の変更につきまして、宇都宮簡易裁判所の局内の西方村外数村を栃木今市簡易裁判所と申しましたのは、言い間違いでございまして、栃木簡易裁判所の管轄に変更いたすのでございます。訂正いたします。
#29
○大野幸一君 この下級裁判所の設置法に関して、簡易裁判所の設置というのは、人権尊重と結び付いて考えられて、將來に向つて増設されると思うのでありますが、特に参考に聽いて置きますが、閣議においてもこの法案に反対をしたと、こういうことがありましたが、それがために大分この法案の提出が延びたということを仄聞しておりますが、そういうことがあつたかどうか。参考までに伺いたいことは、反対の理由はどういうために反対されたか、反対説というものはどういう根拠かということを、法務総裁から、いつでもよろしいから聽いて置きたい、こういうのであります。幸い出席の政府委員において分るならば、只今御答弁願いたい。
#30
○政府委員(岡咲恕一君) 閣議のお尋ねでございまして、私からお答えいたしますのは多少僣越かと思いますが、法務総裁は現在閣議に出席いたしておりますので、誠に恐縮ですが、私が承わつておりまする範囲におきましてはお答え申上げたいと思います。
 只今大野委員からお尋ねがございましたように、閣議におきましては、多少簡易裁判所の増設につきましては異論がありましたということを承わつております。その理由といたしましては、現在政府におきましては、行政機構の圧縮をいたしておりまして、地方機関につきましては特に成るべく機構を小さくしたいという方途で進んでいるのに、裁判所は、もとより行政機関ではなく、裁判機関であつて、別途に考慮すべきものであるけれども、裁判所だけこの際特に増設するということは如何なものだろうかという御意見があつたそうでございます。それから更にこの増設について疑義を持たれた閣僚の中には、現在簡易裁判所は法律上設置することになつておるけれども、現実に設置されていない裁判所もあるように聞いておる、尚人の配置或いは物的設備の点で極めて不十分な所もあるように聞いておるにも拘わらず、その現状のそのままにして置きながら更に増設するというのは政府としてどんなものであろうかと、この二点が主に反対の理由であつたように承わつております。それに対しまして、法務総裁といたしましては、裁判所の設置は民衆の権利擁護の上に欠くべからざることであるし、幸いこの法案に盛られておるところの設置予定地においては、関係市町村の要望も非常に強く、物的の設備の点については、進んでこれを提供いたしたいというふうな熱意もあるし、裁判所の方におきましても、或いは法務廳におきましても、人員の点については十分補充の見通しもついておるので、行政官廳或いはその出先機関を整備するという問題とは切離して、是非この増設を認めて貰いたいと、これは地方の強い要望に答えるのみならず、裁判所の非常に強い希望でもあるので、その両面から是非この設置は容認して貰いたいということを主張いたしまして、閣議の了承を得たと、かように承わつております。
#31
○大野幸一君 政府委員の御答弁を多といたしますが、そこでこの法案の実施六ケ所の予算というものは幾らであるか。ところが予算外に要る場合があつて、実際に要する額というものはどのくらいか。そこで足りない部分は、從來やつて來たように、地方的の寄附を仰ぐとか、或いは金持とか顏役、ボスというような者が後援すると、そのために本庄事件や福島事件のときのように甚だ面白からざる結果を生ずるようなことがあるが、こういう予算と実額との間のことはどういうふうに調整されるかということを聽いて置きたい。
#32
○政府委員(岡咲恕一君) 新設の予算につきましては、大野委員のお尋ねの趣旨も十分我々了承いたすところでございまして、最高裁判所におかれまして、大藏当局に強く増設の費用を請求いたしたのでございますが、現在の財政上、何と言つてもその新設の費用が賄えないということになりまして、実は新らしい予算の要求は全部大藏当局の認めないところとなつた次第でございます。で、現在簡易裁判所は全國に五百五十九ケ所ございまして、既定の予算経費といたしましては、六百四十五ケ所の予定の下に一應人件費その他多少の物件費が組まれておりまする次第でございます。從いまして、廳舍の新設という点につきましては、どうしても民間の寄附に頼らなければならないのが現実の予算上の状態のように承わつております。ところが大野委員の御指摘のように、民間の寄付に仰ぐということは誠に面白くないことでございまして、できれば政府でこれは賄いたいということは、裁判所におかれましても、或いは法務廳においても全然同感でございまするが、折角民間の方で、こういう建物があつて、これは多少の改造をすれば直ぐ廳舍として御利用願えると、であるから成るべく早く裁判所を設置して頂きたいという希望が非常に強い場合に、折角の申出をむげに断わつてしまうのがよろしいか、それともその寄付の方法について、裁判所においても、或いは法務廳においても、愼重に研究いたしまして、今大野委員の御指摘のように、將來司法権なり、檢察権の運用に対して暗い蔭を及ぼさないような性質の寄付であるならば、むしろこれをお受けして、そうしてそこに裁判所を造るということも、強ち不当な行き方ではないように考えまして、実は裁判所の設置の新設と言いますか、営繕の方の費用は、大部分現地の寄付に依存しなければならないと、こういう関係にある次第でございます。いろいろこの民間から寄付を仰ぐことに関連いたしまして面白くない問題が起きておることは私共深く遺憾といたしておるのでございまして、その点は一層注意しつつこの増設の問題を処理して参りたいと考えております。
#33
○大野幸一君 いつもこういうことを聞くのですが、職員の官舍がないために、これ又職員が民間との関係を生ずるというようなことで、そこで職員の官舍については十分なる処置を講ぜられたい。或いは拘置監というようなものも、どういうふうに善処するようになつているか、警察の留置場を使うか、或いは護送の関係なんかで、例えばの電車中で網笠を被つて、そうして手錠を嵌められて、公衆の面前で目に立つということは甚だよくないことである。こういうようなことを避くべきであるが、これはどういうことになつているか。もう一つは成る程新設されて住民のためには非常にいいかも知れませんが、一方難事件になると弁護士を頼まなければならない。弁護士を頼むには、遠いところから弁護士に來て貰うためには、これに対して報酬、旅費、日当を拂わなければならない。却つて不便になるというか、依頼者の出費が多くなるというようなことは、こういう弁護士、裁判所というようなものに対して考慮を拂われているかどうかという点をもう一言お聽きしたいと思います。
#34
○政府委員(岡咲恕一君) 弁護士の問題につきまして田、私共も実は大野委員と同樣に、裁判所の増設の場合に非常に心配いたす次第でございますが、この度増設を予定いたしておりまする六ケ村につきましては、幸い本廳との距離も甚だしく遠隔ではございませんで、訴訟当事者或いは関係者に対して、弁護士を依頼するということに非常な不便をお與えすることはないであろうと一應考えている次第でございます。併し將來は或いはもつとそういう点では不十分な場所に実は裁判所は置かなければならんという必要も生じることがあるのではないかと考えますが、弁護士の配置というふうな問題は、全國的に考えましてもいろいろ問題がございまして、將來弁護士法を改正いたされまして、東京の弁護士連合会というものが、全國の弁護士会に対して相当強い統制力をお持ちになりましたような場合には、この弁護士の配置の問題についても、一つ愼重に御檢討をお願いいたしたい、かように考えております。それから收容者の関係でございまするが、この点につきましては大野委員の御趣旨をよく酌みまして、政刑当局に遺憾なきように取計らわせたいと考えております。
#35
○大野幸一君 先程の寄付のことについてでありますが、寄付はやはり個人のグループというようなものから受けないで、受けるとすれば公共團体、例えば市町村から受けるようにして貰いたい。こういうようにして飽くまでもこれは警戒して頂きたい。これは希望ですが、こういう新廳舍ができて開設式のあるようなときには、中央からおいでになつて祝辞を述べられるような場合でも、特に寄付と將來の檢察との間においては嚴格にやる、これは峻別して嚴格にやるというようなことを初めから一つ述べて、その所の住民達に毅然とした態度で一つやつて頂きたい。こうすることが却つて將來の忌わしい事件を起さない、こういうふうに私は考えておりますが、参考までに一つお願いして置きたいと思う。
 それからこれは細かいことですが、今度の管轄区域を変更することについての、尾道簡易裁判所管内の廣島縣沼隈郡山南村を福山簡易裁判所管轄に変更すること、これはどういう理由でこういう変更になつたか、こういうことを一つお尋ねしたい。
#36
○政府委員(岡咲恕一君) この山南村の管轄の変更につきましては、昨年の末であつたかと思いますが、当時の衆議院議員であられた高橋禎一氏から直接私にお話がございまして、私が係の者に研究を命じましたところ、確かに高橋さんのお述べのように、これは福山の簡易裁判所の管轄に変更することが適当だという意見を申したのであります。更に現地の裁判所及び檢察廳、確か弁護士会に御照会いたしたかと思いますが、御照会いたしまして、こういう趣旨の陳情があるけれどもどうかということを確かめましたところ、全く交通関係から見ても、諸般の事情から見ても、山南村が尾道の簡易裁判所の管轄にあることは甚だ不自由不便であるので、これを速かに福山の簡易裁判所に変更して貰いたいという一致した報告がありましたので、その報告を斟酌いたしまして、この変更を決定いたした次第でございます。
#37
○鬼丸義齊君 私はこの法案に関連をいたしまして、この際政府の御意見を伺いたいと思いますことは、元來簡易裁判所を設置いたしますることになりましたる趣旨の第一の理由としては、警察署における違警罪即決例廃止に対しまする措置としての裁判所分設問題が起つて参つたのでありまするが、その後簡易裁判所が設立されました後に、從來の設立当時の権限を非常に拡大をいたしまして、刑法の二百三十五條の窃盜罪に関する懲役三年以下の刑に係わる被告人の処分についても、特別な管轄権を有するに至つているのであります。ところが私共は刑法の二百三十五條の窃盜罪によりまする場合における裁判で最も注意を要し、又最も愼重に審理をしなければならない、殊に練達堪能なる知識を持たなければならないものは、むしろ懲役三年以下の短期刑に属するものに対する裁判こそ、一番私はむつかしいものではなかろうかと思つております。若しそれ、三年以上の懲役刑に処する必要がありまするような被告人であるとするならば、累犯が然らされば非常に大罪を犯したか、何らかの理由によつてむしろ三年以上の実刑に処するような事件でありまするならば、それ程までに練達堪能なる知識を持たなくても、むしろ誰が見ても当然のようなふうの事件の方が却つて多いのであります。そこで懲役三年以下の刑に当る被告人であるといたしましたならば、これこそ大部分が初犯者であります。その初犯者を実刑に処することが適当であるかないかというようなことは、今日最も私共は深き関心と愼重なる審理を遂げなければならないことではなかろうかと思つております。元々簡易裁判所は違警罪相当の刑罰を科する意味の極めて簡易な事件の扱いをなさしめることが目的であつたという上からいたしましたならば、いわゆる本格的の裁判所よりも、少くともその構成において第二義的の人をこれに充てるということになるのは当然だと思います。ところがこの設立後事件が非常に輻湊いたしました関係上、應急の措置として恐らくさような事物管轄を拡大するに至つたことと思いますけれども、これに伴いまする弊害は私共全く寒心に堪えない状態でなかろうかと思つております。現に近く私は資料を頂きたいと存じておりまするが、簡易裁判所において第一審裁判として裁判を受けましたる、殊に二百三十五條の該当犯罪に対しまする一審で以てそのまま被告人が承服し、服罪したる事件が一体幾件ありや。又それが控訴いたしましたときに、一審そのまま控訴審において認められたるもの幾件ありや。その点に対しまして私共は甚だ遺憾ながら万全の裁判とは考えていない。むしろこの際段々と事件の整理が落著きますにつれまして、一刻も早くこれをやはり元の制度の状態に返さなければならないのではないかと思いまするにも拘わらず、却つて簡易裁判所の拡充強化の傾向がある嫌いがございます。取敢えずこの場合政府の御方針を伺つて置きたいことは、この刑法の二百三十五條の事物管轄拡充に対しますることについて、從來の精神及びこれに対する將來果して永久に恒久性を持たすべき事物管轄とする意思ありや否や、この際これを伺つて置きたい。現に簡易裁判所の判所を充実いたしまするために、その人を得ることに非常に困難なるがために、裁判所は臨機の措置として裁判所の書記より百数十人を採用いたしました。これがために檢事局においても、果してこの裁判がこの裁判官によつてなし得られるだろうかというようなことから、起訴するに当りましては、法律上許される範囲内において管轄を特に変えて、例えば本廳の所在地裁判所に起訴するというような方法によつてこの間の欠点を補つておると承知いたしております。そのようなことで以て、苟くも裁判という大きな信用の上に立たなければならない裁判所が、そうした膏藥貼りの方法によつて行くことは、私は如何にも裁判所の信用を切賣りするという虞れもございます。先ずこの点に対しまする政府の御意見を伺つて置きたいと思います。
#38
○政府委員(岡咲恕一君) 鬼丸委員の只今お述べになりました御意見は誠に御尤もでございまして、殊に簡易裁判所の管轄裁判権に関する御意見に対しては深く敬意を表する次第でございます。実は裁判所法を修正いたしまして簡易裁判所の管轄、殊に刑事事件の管轄を拡げまする改正の際には、只今鬼丸委員のお述べになりました点は我々も深く考えまして、殊に簡易裁判所におきましては初犯者の取扱いというものが相当多い。殊に懲役刑となれば大部分は……一般にもそうでございまするが、盜罪が甚だ多いのでございまするが、三年以下の懲役に処すべき事犯が簡易裁判所の管轄になりますると、これは大部分の盜罪、殊に初犯の竊盜罪が簡易裁判所の管轄になる。その際に簡易裁判所の判事はその事件の本質をよく洞察して、適正妥当な裁判をして國民の信頼に十分報い得るだろうか、どうだろうかという点は、非常に実は心配いたした次第でございまするが、いろいろ研究いたしました結果、最近におきましては有能な資格のある裁判官が進んで簡易裁判所判事にもなられておる実例もますます殖えて参つておりまするし、鬼丸委員の御指摘になりましたように、從前裁判所書記をいたしておりました者がそのまま簡易裁判所の判事に任命されるというようなことは、將來におきましては甚だ稀な例になるであろうということも考えられましたので、且つは只今御指摘がございましたように、地方裁判所の刑事事件の負担の余りに重きに堪え兼ねまして、それを多少補うという点も考えまして、実は簡易裁判所の管轄を変更いたした次第でございます。事物管轄を拡げた次第でございます。その実績につきましては、まだ十分調査いたしておりませんで、只今直ちにお答え申すことができないのは誠に遺憾でございまするが、果して現状でよいかどうかということにつきましては、その管轄の変更につきまして当面の起案をいたしました私は深く心配しておる次第でございまして、実績につきまして十分檢討を加え、若し多少でも刑事裁判の運用に暗い影を及ぼすという点がありましたならば、私は勇敢にこの管轄の圧縮をいたしたいと考えております。司法制度の改革につきましていろいろ政府なり、最高裁判所でも御檢討のようでございまするが、現在最高裁判所、それから弁護士会、それから檢察廳、それから法務廳、この四者の間に法曹談話会という非公式の会合を設けておりまして、実は三月から定例に一回ずつ会合いたしておりまするが、近く開かれる今月の会合におきましては、簡易裁判所の事物管轄の点につきまして一つ隔意ない意見を交換するということにもなつておりまするし、將來は十分檢討いたしたい、かように考えておる次第でございます。鬼丸委員のお求めになりました資料につきましては、成るべく早く調査いたしまして必らず御報告申上げたいと存じております。
#39
○鬼丸義齊君 只今も政府の御意見のございましたるごとくに、私共簡易裁判所の判事の補充につきましては、果して適材を求め得るや否やということについては、一抹の不安を持つておつたのでありますが、むしろ近來の傾向としては簡易裁判所の権限が設立当時よりも遥かに拡大された。又判事の待遇等についても、他の官吏に比較いたしまして相当に優遇を受けておる。隠居仕事には頗るいいじやないかというような趣旨から段々と人材が集まつて來つつある傾向は私も承知いたしております。ところが私は冒頭に申上げましたごとくに、この簡易裁判所の制度を設けるに至りましたことの沿革は、先に申上げた通りでありますが、元來人間が懲役に入るか否かというようなことは、これは全く死に次ぐべき大きな人生の問題であると一般に考えなければならんことだと思います。果して然らば、懲役に行くか行かんか、死に次ぐべき大きな人生の大問題であるといたしましたならば、土地の遠近などというものはむしろ問題じやない。殊に二里か三里、或いは四里か五里の道程が遠いとか近いとか、不便だとかいうようなことは、むしろ枝葉末節であります。或いは事件本來の重要性から考えますれば、むしろ滑稽に属する。故に私は簡易裁判所としての制度自体の使命といたしましては、やはりこの民事、或いは財産権、刑罰、その他の体刑の伴いまするようなものであるといたしましたならば、いわゆる違警罪、少くともこれ以上に及ぶようなものに対しましては、十分に愼重に愼重を重ねて最後の断案を下すべきではないかと思つております。ところが近來の殆んど裁判所においての事件の中心問題としましては、いわゆる二百三十五條の竊盜罪、殊に懲役三年以下の事件というものは、殆んど満天下を蔽うておるのであります。事件中の一番最高位を占めております。而も相当良家の子弟、或いは洋々たる前途ある青年が社会の一朝の動きに刺激されまして犯します事件というものは、その殆んど大部分であります。一件々々愼重に愼重を期して、本人に対しまする処分というものは、過ちがあるといたしましたならば、それこそ及ぼす影響は大変なものでありますし、日本の前途に大きな暗影を與えることになるような重要な裁判を、こうした趣旨において設けられました簡易裁判所において大部分これを包容審理いたしますることになるならば、これは私は大変なことだと思うのでありますから、これは便宜的だとか或いは事務的だというようなふうに……。我々のようにいつも裁判に携わつておりますものならば等閑に附して軽く扱いまして、それ程関心を深く持つておりませんけれども、社会全体の上から見まするならば、これ程大きな問題は私はないと思う。これを事務的に解決して、それで以て得たりといたしたならば大変なことだと思います。若しそれ今日の如き制度を依然として恒久性を持たしめて行くといたしましたならば、今一歩、数歩退いて、簡易裁判所自体の本質を根本的に改むるにあらざれば、このままにして放置することはできないと思います。今幸に次回の法曹懇談会の議題に供して頂くということでありますれば、この点は是非とも眞劍に檢討を遂げられまして、こうして應急措置として事務的に、人間を懲役に行くか行かんか、子弟の前途を奪うか奪わざるか、人間を殺すか殺さざるかというふうな、或いは一家を滅亡せしめるか否かというふうな重大事件を、簡單な簡易裁判所で以て処断をするということは、如何にも私はふさわしくないと思います。どうかその点に対して特に愼重なる眞劍なる一つ御研究を願つて、制度として置くのであるならば、十分万遺憾なき方法を以てし、然らずとするならば、一刻も早くこれを本裁判の法廷で以て一切事物管轄を取扱わしめて審理して行くというふうにするか、いずれかに私はしなければならんことであると思います。二百三十五條の竊盜罪なんというものは、從來は殆んど常習的の非常な不良の徒が大部分を占めておつたのでありまするが、今日の竊盜の被告人になつております者は、むしろ逆であります。むしろ從來の竊盜被告人のような姿とは全く違いまする者が大部分でありまするから、これは一刻もゆるがせにできないと思います。現在、裁判所に意見を申述べて、次回の議題に供して、特に一つ御研究を願いたいと思います。尚私はでき得ますれば、制度が布かれて後、殊に二百三十五條の事物管轄を與えました後の成績が分りましたならば、分つておる範囲で結構でありますから、是非その資料を頂きたいと思います。
#40
○政府委員(岡咲恕一君) 只今鬼丸委員のお述べになりました御意見は、よく了承いたしまして、十分愼重に研究いたしまして、成るべく適正妥当な簡易裁判所の制度を確立いたすようにいたしたいと考えております。
#41
○委員長(伊藤修君) 他に本法案に対して御質疑はありませんか。他になければ、これを以て質疑を終結することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(伊藤修君) では質疑は終結いたします。
 本案に対するところの討論は省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。
 本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#44
○委員長(伊藤修君) 全員一致、原案通り可決すべきものと決定いたします。
 では本会議におけるところの委員長の口頭報告については、予め御了承を願つて置きます。尚御賛成の諸君の御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    齋  武雄  大野 幸一
    宮城タマヨ  鬼丸 義齊
    松村眞一郎  松井 道夫
    岡部  常  深川タマヱ
#45
○深川タマヱ君 先程大野委員から、福島縣下におきまして、例車の乘客を一斉に下車させまして、主食の携帶の捜査をしておる事件につきまして、これは國民全体を直ちに被疑者と認めて捜査するということは、どうも法律的にも根拠のないことであつて、基本人権を侵害するものであるというふうな御報告でございまして、すでに関係官廳の手によつて全國に指令を下しまして、その方法は中止されたように承わりましたが、さすがは法律の專門家であられるだけに、御観察の鋭さと御裁断のあざやかさ、そうしてそれを直ちに政治に実現して行かれる御手腕については、私は非常に敬服いたしておるのでありますが、ただ一つここに割り切れない問題が残りますことは、占領政策と言いますか、九原則とも関連いたしまして、今後主食の取締りはまずます嚴重を極めると存じます。実際問題といたしまして、一升以上の主食の取締りもいたしておるといたしますと、いわゆる一立方尺以上の荷物に対しましては、警察官の第六感で一應は被疑が成り立つ場合が相当多いと思うのでありますが、民主化とも関連いたして、警察官の捜査の労苦も並大抵ではないと非常に心配いたすのでありますが、実際問題としてそれでは今後この主食の取締に当つて、新らしい一つの法律を作らなければならんと思うのでありますが、これに対しまして関係官廳の方はどう考えておられるかお尋ねいたしたいと思います。
#46
○政府委員(岡咲恕一君) 深川委員のお尋ねに対して私から便宜お答えいたしたいと思います。主食の取締につきまして、現状のままで放置いたして置きまするというと、今深川さんの御指摘になりましたような行過ぎも將來行われ得る虞れもあるわけでございますので、できれば、若しも適当な法的措置が取り得るならば、主食の拂帶或いは運搬について適当な取締の規定を設けたいと政府はかように考えておる次第でございます。
#47
○委員長(伊藤修君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#49
○委員外議員(板野勝次君) それでは法務廳の方にお尋ねしたいのですが、被疑者が拘置所におる場合における書籍等の制限が極めて制限されているということなんですが、果してそのような被疑者に対する拘置所における読書等の制限の通牒が発せられておるかどうか、現状はどうかということを承わりたいのです。
#50
○説明員(関之君) 御質問に対してお答えいたします。お尋ねのごとき通牒は発せられております。その收容者に対する読書の措置は当局といたしましては法律の趣旨に則りましてこれを運用しておるわけでございます。少し繁雜になりますが、根拠から申しますると、監獄法第三十一條に「在監者文書、図書ノ閲読ヲ請フトキハ之ヲ許ス」第二項として「文書、図画ノ閲読ニ関スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」というふうな規定があるわけでございます。これがこの問題に対する根拠の法律になるわけでございます。この法律の規定に基きまして監獄法施行規則第八十六條に「文書図画ノ閲読ハ監獄ノ紀律ニ害ナキモノニ限リ之ヲ許ス、新聞紙及ヒ時事ノ論説ヲ記載スルモノハ其閥読ヲ許サス」、こういうことになつておるわけでございます。そうして第八十七條に「雜居拘禁ニ付セラレタル在監者ニハ同時二二箇以上ノ交書図画ヲ閲読セシムルコトヲ得ズ但字書ハ必要ニ困リ册数ヲ増加スルコトヲ得」こういうふうになつておるわけであります。これが法律上の規定でありまして、行政保護の当局といたしましては、この法律と施行規則の規定に從いまして、これを実際に運用しておるわけであります。これに基きまして昭和二十二年十一月二十七日矯総甲第一五七六号といたしまして、この点とそれ以外の「一般の特殊收容者の処遇について」という通牒を出しておりまして、その中にこの読書の点については次のようなこの法律の趣旨を敷衍したことを命令しておるわけであります。それを読んで見ますと、(ロ)として「差入は、政治的又は社会的勢力の増大を目的とする物は刑務所の紀律維持の観点よりこれを禁止するが、その他の物については、一般刑事被告人の場合と同樣に取扱うこと。」(ハ)として「図書の閲読、石翼的又は左翼的思想の宣傳を目的とする図書の閲読はこれを禁止する。同樣に政府を破壞し社会を混乱せしめる意図のあるものも之を閲読せしめないこういうふうになつておるわけであります。でこの通牒もこの法律及び規則に基き「監獄ノ紀律ニ害ナキモノニ限リ之ヲ許ス」というこの規定の精神を受継ぎまして、その範囲内においてかような規定を出しまして、実際にこれを取計つておる、かような次第でございます。
#51
○委員外議員(板野勝次君) ちよつとお尋ねしますが、二十三年のいつなんです。
#52
○説明員(関之君) 二十三年の十一月二十七日であります。
#53
○委員外議員(板野勝次君) それの中の政治的な影響を與えるもの云々と、それから右翼的左翼的というような言葉が使われておつたのですが、ポツダム宣言の趣旨から行くと、過激な軍國主義的なものを排除するということが目的であつて、占領目的から言つても共産主義的な思想に対する排除というふうなことは決して言われないので、そういうふうな命令が出されることはポツダム宣言の趣旨に対しても反するものだと思うのです。右翼とか左翼とかいう抽象的な言葉でははつきりこれは了解されにくいのであります。例えば帝國主義的な、軍國主義的な思想に対して排除されるということは明かにされておると思うのですが、若し左翼的な文献、社会主義的な文献、共産主義的な文献等が排除されるということならば、当然これは戰時中若しくはそれ以前における特高警察的な意図を目的として文書閲読の自由を極めて制限するものであつて、これは憲法の趣旨にも反するし、勿論ポツダム宣言にも反すると思うので、その点に対する見解を伺いたい。これはむしろ法務総裁に対して質すべきものかも知れないと思いますが、明かにこれは行き過ぎだろうと思う。
#54
○説明員(関之君) お答えいたします。御質問の要点は極めて重大な問題を含んでおる点でありますが、一應事務の当局といたしましては、その点につきましては次のように考えて行なつておるわけであります。それは刑務所におきましては、何分にも各種の犯罪性のある者が收容されておるのでありまして、その治案を維持するということは非常に重要な問題になるわけであります。それでいろいろ右翼的或いはその他ボス的ないろいろなものが入りまして、刑務所の治安が乱されるということになりますと社会全体が非常に不安に陷る、こういうような結果になるわけでありまして、私共衝に当つておる者はひしひしと社会に対して誠に申訳ないという各種の事例を持つておるわけであります。さような観点から刑務所内の紀律をできるだけ嚴格に保つということは、実際のそこを運用する上から見て止むを得ない。又社会に対して果すところの一つの止むを得ないところの責任であり、義務であると、かように考えておるわけであります。さような観点から第八十六條に図書の閲読は監獄の紀律に害なきものというようなことが監獄法及びその施行規則に書いてあるわけでありまして、これらのことは今私共が考えたような趣旨からいたしまして、ポツダム宣言の趣旨に反するものではないと考えて行なつておるわけであります。それでさような観点から監獄法施行規則の規定及びこれに基く訓令も決してポツダムの宣言には違反しない、かように考えて運用しておるのであります。
#55
○委員外議員(板野勝次君) 只今は実に重大な答弁でありまして、現在例えば軍國主義を鼓吹するとか、或いは又風俗を壞乱するとかいうふうなものは当然閲読は禁止されなければならないけれども、言論出席等が自由になされており、風俗を壞乱するというふうなものでない場合においては、明らかに各種の思想等の研究については許されている。ところが今当局の説明によると、そういうふうなことがいろいろ社会的に困つて來るというのですが例えば社会民主主義の思想に関するものを閲読し、若しくは共産主義に関する思想的な研究を拘置所内においてやるということは毫も社会的は破壞、いろいろなものを伴うものとは思えない。決してそのようなものでないし、若しそのようなものであるならば、何らかの取締りがなさるべきだろうけれども、現在なされていないし、言論出版結社というものの自由は認められて來ておる。而も監獄法なんというものは、昔のもので、現在既に我々は監獄というふうな言葉は使つてはいない。而もその曾ての軍國主義時代の残在物であつた監獄法そのものの中から規則を引つぱり出して來て、そういうふうな規則命令を定めること自体が既に大きな間違いだ。只今説明されたような左翼的な文献というものの中にも社会民主主義、社会主義、共産主義等が含まれておる。それが何故刑務所の中で閲読したならば、それが現在の社会が破壞されて來るか、そういうことは毫も考えられないと思うのであります。殊にそれだつたならば、旧時代の特高警察時代の考を法務廳自身が持つておるとしか思われんと思うのであります。果してそういうものを読めば、社会が撹乱され、破壞されるかどうか、そういう趣旨で出されておるならば、もう一度それに対する見解を説明して貰いたい。それは非常に終戰後における法務当局、司法当局がファツシヨ化されて來ていると非難されておるものに、もう一つ輪をかけておる重大な問題だと思います。
#56
○政府委員(遠山丙市君) 只今の御質問を承わつておりますと、事誠に重大なる御質問であろうと思います。今総裁もおいでになつておりませんし、又その方の政府委員も來ておりません。ただ司法当局の見解だけでは納得がいかんと考えますし、適当な機会に総裁から責任ある御答弁をして頂くように連絡いたしますから、御了承願います。
#57
○委員外議員(板野勝次君) それでは今の政務次官がおつしやつた通り、重大な問題であつて、單に我々の個人的な問題ではなくして、大きな全体の問題ですから、法務総裁に是非來で御答弁を願いたいと思います。
#58
○委員長(伊藤修君) それでは政府の要求がありますから、法務廰の意見が纏まつたらあなたの方に御通知申上げることにいたします。
  ―――――――――――――
#59
○委員長(伊藤修君) 次に先程上程いたしました皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案、これに対する御質疑がありましたらお願いいたします。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#60
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#61
○鬼丸義齊君 この際皇族の身分を離れた方がどれくらいあるか、その実情について伺いたいと思います。
#62
○委員長(伊藤修君) 皇族の身分を離れられた方のその後の実情如何ということについて……
#63
○政府委員(村上朝一君) この法律が施行になりまして以來、昭和二十二年の十月十四日の皇族会議を経まして、十一宮家、五十一人の方が皇族の身分を離れられまして本法の適用を受けられましたのでありますが、その後はこの法律の適用を受けた事例はございません。只今のところ直ちに予定されておる方があるということは承わつておりません。
#64
○委員長(伊藤修君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#65
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて……、それじやこれで休憩いたしまして、午後一時から始めます。
   午後零時二十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十分開会
#66
○委員長(伊藤修君) では午前に引続いて法務委員会を開会いたします。
 裁判所法等の一部を改正する法律案を議題に供します。法案法について政府委員から逐條説明をお願いいたします。
#67
○政府委員(岡咲恕一君) 裁判所法等の一部を改正する法律案の改正の重要点につきまして簡單に御説明申上げます。
 第一点は裁判所書記官及び裁判所書記官補という新らしい官職を認めた点でございます。すでに御承知のように現在におきましては、裁判所事務官の中適当なる者を裁判所書記に補しまして、公判の立会いその他訴訟関係に関する事務といたしておるのでございまするが、裁判所事務官は、本來行政官でございまして、司法行政の事務を掌るのが本務でございます。從いまして、その司法行政を担当いたしまする事務官の中から、裁判所書記を補すること自体が、大いに考えられなければならないのでありまして、この際新らしい公務員法の精神に則りまして、全然職種を異にしておる裁判所書記というものを、裁判所事務官から切り離しまして、その職種は適うように裁判所書記官及び裁判所書記官補というものを認めようといたすのであります。これが第一点の改正でございます。次にこれは條文の整理でございまするが、現行法の六十六條によりますると、司法修習生は、高等試驗の司法科試驗に合格した者の中から最高裁判所がこれを命ずるということになつておりまするが、高等試驗令が廃止されまして、これに代る新らしい試驗制度が現に國会に提案されております司法試驗法によつて生れるわけでございまして、この司法試驗法は現に御檢討を願つておりまするので、或いはこの題名とか或いはその内容につきましても、多少の御修正を得るというふうになるかも知れないと考えまするが、この法律によりまする試驗制度を設けるという点は、先ず御了承を得られるであろうと考えております。つきましては、この六十六條を、法律に定むる試驗に合格した者の中から最高裁判所がこれを命ずるという建前に修正いたさなければならないので、さような修正を立案いたした次第でございます。
 第三点は補充裁判官に関する点でございまして、これに現行法においても認めておるのでございまするが、現に繋属しておる裁判所の事件の審判並びに將來繋属するであろう事案のことを考えますると、補充裁判官が一人では不十分である、長期に亘つて、而も内容の複雜多岐な事件を審判いたしまするには、二名の補充裁判官を認めることがむしろ必要であると考えまして、七十八條におきまして補充裁判官の人数を増員するという趣旨の規定を設けた次第でございます。
 その次の改正点は、司法研修所の教官並びに裁判所調査官に、当分の間必要がある場合には、裁判官又は檢察官を以て充てるという規定を設けた点でございます。司法研修所の教育並びに裁判所調査官は、本來その職務を完全に遂行いたしますためには、裁判官若しくは檢察官の閲歴を有する者を以て充てることが要求せられるのでありまして、現に司法研修所の教官並びに裁判所調査官は、殆んど大部分裁判官若しくは檢警官たる資格を有する者を以て充てておるのでございまして、法制の建前から申しますると、裁判官若しくは檢察官たる官におりながら、当然裁判所調査官若しくは教官になるということには、多少困難も伴いますし、又これを轉官いたさせまして、司法研修所教官或いは裁判所調査官といたしますると、先般御審議を仰ぎました裁判官の報酬或いは檢察官の俸給に関するこの法律によりまして、裁判官或いは檢察官は、甚だ高い待遇を受けておるのでございまするが、この裁判官或いは檢察官をその地位から離しまして、司法研修所教官或いは裁判所調査官に充てますると、事実上低き待遇に甘んじなければならないというふうな事態にあるのでございます。これは現在の経済状態なり一般俸給生活者の現状から考えますると、甚だ忍び難いことでございまして、この点から申しましても、成るべく裁判官或いは檢察官の地位に置きまして、こういう教官或いは裁判所調査官に充てるという制度を設けますることが必要であり、且つ現在の事態においては止むを得ないのではないかと考える次第でございます。
 それから最後の本案の改正点の一点は、裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律の一部を改正するのでございまして、これは裁判官以外の職員の分限につきましては、この法律において特例を設けておつたのでございまするが、公務員法が改正せられまして、分限に関する関係は、一般公務員の例によりまして一向差支えない事態になりましたので、第十四條を削りまして、裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律を、裁判官分限法と改め、裁判官のみの分限に関する規定といたした次第でございます。以上が本法律案改正の要点でございます。
#68
○委員長(伊藤修君) では本案に対する質疑に入ります……
  ―――――――――――――
#69
○委員長(伊藤修君) ではこの際本法案と関連を持つところの司法試驗法について御説明を伺つて置きましよう、そういうふうにしてよろしうございますか。
   〔「どうぞ」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(伊藤修君) では司法試驗法を議題に供します。本法案について御説明を願います。
#71
○政府委員(岡咲恕一君) 司法試驗法につきましては、提案理由で概要御説明申上げましたのでございまするが、簡單に法案の内容について逐條御説明を申上げたいと存じます。第一條は司法試驗の性格を規定いたした規定でございまして、この司法試驗は、法律專門家として必要な学識及び應用能力を有するかどうかを判定することを目的といたすのでございます。そうして、この司法試驗に合格いたしました者は、先程の裁判所法等の一部を改正する法律案で申上げましたように、司法修習生になる資格の一つを備えていることになるのでございます。即ちこの司法試驗に合格した者のうちから最高裁判所が適当と思われる者を司法修習生に採用せられるわけでございます。そして裁判所法の六十六條の二項におきまして、前項の試驗に関する事項は、別に法律で定めるとなつておりまして、その別に法律で定める。その法律がこの本法に当るわけでございます。でその趣旨が第一條の二項に示されている次第でございます。この試驗の性格につきましては提案いたしました法務廳といたしましては、一つの資格試驗であると、かように考えまして、第一條の規定を掲げたのでございまするが、この点につきましては、最高裁判所におかれましては見解を異にせられまして、むしろこの試驗は司法研修所への入所資格を檢定する試驗である、言い換えれば司法修習生として採用されることが主たる目的である試驗である、かようにお考えになりまして、この試驗の性格に関しまして裁判所と完全に意見の一致を見られなかつたことを遺憾といたしておるのでございます。
 第二條以下第六條まではこの試驗の内容につきまして規定を設けたのでございまして、司法試驗を分ちまして、第一次試驗と第二次試驗とにいたしております。第一次試驗は、第二季試驗を受けるのに相当な教養と一般的学力を有するかどうかを判定することは目的といたしており、第二次試驗は、法律專門家として必要な学識及び應用能力を有するかどうかを判定することを目的といたすものでございます。そうして第一次試驗におきましては、受驗資格というものを全然規定いたしませんで、関人でも第一次試驗を受けることができるという建前を取つておるのでございます。そうしてその第一次試驗の、試驗の方法及びその試驗の内容につきましては、方法につきましてはこの司法試驗の管理を、司法試驗管理委員会というもので行わせることになつておりますが、その管理委員会でその試驗の方法につきましては詳細な現定を規則で定めるということにいたしておりまして、この試驗の内容とその根本的な点に関しましてのみ本法に規定を設けてある次第でございます。即ち第一次試驗は学校教育法に定める大学卒業程度におきまして、一般教養科目について筆記の方法によつてこれを行うと、かように定めたのでございます。学校教育法に定める大学卒業程度という表現が一見事明瞭を欠くようでございまするが、これはお手許にお配りいたしておりまするこの大学基準協会において檢討されました大学基準によりまして、一般教養科目として大学において履修いたしまする科目は、参考資料の第二基準抄と書いてございまするが、人文科学関係、社会科学関係、自然科学関係と相当廣範囲に亘る科目を履修いたすことになつておりまして、この教育を終りました程度においてこれを試驗するということにいたしておる次第でございます。現実の試驗のやり方でございまするが、その点につきましては、人事院おきまして、公務員の採用試驗をせられました例もありますので、その成績、試驗の結果も承わりまして参酌いたしておるのでございまするが、將來いずれそれは試驗管理委員会において細かく方法を規定せられるかと存じまするが、私共の考えておりまするところでは、細かい学科につきまして、一々いわゆる学術試驗をやるというふうな試驗はいたしませんで、この教養が受驗生の身についておるかどうかということを判定いたしまする程度におきまして、本年度行われました人事院の公務員の採用試驗に近いような試驗が実施されるであろうと、かように予想いたしております。それから店一次の試驗の目的が只今申しましたようなものであります関係上、学校教育法に定める大学においてこの一般教養科目の学習を終つた者、その他これに準ずべき者につきまして第一村試驗を免除するということは当然と考えまして、第四條にその第一次試驗を免除せられる者の範囲を規定いたした次第でございます。これは今申上げましたように、大学におきまして一般教養科目の学習を終つた者、それから次にこれは経過的な規定でございまするが、旧高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科又は旧專門学校令による專門学校を卒業し、又は修了した者にもこの特典を與える。それから旧高等試驗令に定める予備試驗に合確した者、又はその免除を受けておる者、それから更に高等試驗管理委員会の定めるところによりまして、只今申しました試驗の免除を受けておる者と同等以上の教養と一般的学力を有するものと認められておる者、そういう者にはこの第一次試驗を免除することにいたしておるのでございます。
 それから第二次試驗の方法と試驗科目でございまするが、試驗科目につきましては、これを第六條の規定がございまして、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、これは必須科目必ず試驗いたさなければならない科目といたしました。それから商法、或いは行政料はこれはいずれも重要な科目でございまするが、甚だ試驗の範囲が廣い関係もございまするし、いろいろ研究の結果先ず一科目を予め受驗生をして選択せしめるということにいたしたのでございます。それから更に商法、行政法の中で選択しなかつた科目、それから破産法、労働法、國際私法、刑事政策、その中から受驗者の選ぶ科目について受驗せしめると、かようにいたしたのでございます。
 試驗の方法は筆記試驗と、それから口述試驗でございまして、これは口述試驗の方の学科目は憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法の五科目について行うことにいたしたのであります。筆記試驗、口述試驗のやり方につきましては大体從前の高等試驗の司法官試驗の例によるであろうと考えております。この法案におきまして特に重要と考えまするのは、從前の高等試驗は内閣におきましてこれを管理いたしまして、法制局長官が試驗委員長になつておつたのでございまするが、試驗の成るべく公平なやり方を保証いたします建前から、司法試驗管理委員会というものを設けまして、この管理委員会をして試驗の事務を管理いたさせることにいたしたのであります。その管理委員会は法務総裁官房長、最高裁判所事務総長と更に弁護士の中から弁護士会の推薦によつて法務総裁が任命いたしまする委員、この三名によつて構成されました司法試驗管理委員会において管理いたさせることにいたしたのでございます。そうしてこの司法試驗の試驗を現実にいたします機関といたしましては、司法試驗考査委員というものをぢけましてこの考査委員が試驗に当り、その考査委員の合議によりまして司法試驗の合格者を定めるということにいたしたのでございます。そうしてその司法試驗の考査委員の数は試驗科目一科目につきまして四人を起えてはならない、四人の範囲におきまして試驗委員を、その考査委員を選びまして、考査委員をして試驗を直接に行わしめるということにいたしたのでございます。この司法考査委員は法務総裁が司法試驗管理委員会の推薦に基いて試驗ごとに任命いたすことにいたしたのでございます。司法試驗の委員会の庶務はこれは法務総裁の官房において掌ることにいたしました。尚司法試驗の施行に必要ないろいろな細則を定めなければならないと思いまするが、これは司法試驗管理委員会が規則を定めてその規則によつて行うということにいたしたのでございます。この法案によりますると、この司法試驗を管理いたしまする司法試驗管理委員会は法務総裁の所轄に属するということにいたしたのでございます。この点は政府といたしましては、第一條のこの試驗の性格を申上げましたように、これは法律專門家として必要な学識及び應用能力を在するかどうかということを判断するところの國家試驗である、非常な廣い意味における一つの資格試驗であると考えましたので、その性質はむしろ一般行政事務に属するであろう。そういたしますると、行政権を行いまする政府の所管にいたすのが相当である。而も政府の中のどの機関をして行わしむるかと考えますと、法務を統轄しておるところの法務総裁の所轄に属せしめるのが最も適当である、かように考えまして、司法委員会の所轄を法務総裁といたし、從いまして若し問題があるような場合には、法務総裁或いは内閣が國家に対して責任を負うと、その責任の帰属関係を明瞭にいたした次第でございますが、この点につきましては最高裁判所におかれましては、むしろこの試驗に合格した者の大多数は司法修習生として司法研修所に入所するのである。然るに司法研修所は裁判所の管理を属しておる関係上、むしろこの試驗を最高裁判所が管理されることが、この試驗の運用なりその他の点においても極めて妥当であり合目的的である、かような御意見でございまして、最高裁判所とこの試驗の管理の点につきまして試驗管理委員会の所轄につきまして、意見の一致を見なかつた点は、又私共といたしましては遺憾といたしておる点でございます。でこれは関係方面におきましても甚だ重要な関心をお持ちでございまするが、この最高裁判所と意見の一致を見なかつた点につきましては、國会におかれましても十分御檢討頂き、國会において最も適当とお考えになりますように御決定になることを、政府といたしましても希望いたす次第でございます。
 それから附則の点でございまするが、これまでしばしば受驗生から最高裁判所或いは法務廳に、今年度の試驗のことについていろいろ質問を受けておるような事態にあり、且つ試驗施行の期間を差し迫つております関係上、便宜特例を認めまして、昭和二十四年度に限り、この第一次試驗は旧高等試驗令による高等試驗の予備試驗の例によつて行うことといたしたのでございます。それから昨年度に行われました高等試驗司法科試驗の筆記試驗に合格した者につきましては、その願によりまして、最初に行われる司法試驗の筆記試驗を免除するということにいたしております。
 簡單でございまするが、以上を以て法案の説明を終ります。
#72
○委員長(伊藤修君) 両案についての質疑に入りたいと存じます。
#73
○松村眞一郎君 裁判所法の一部改正中の第七十八條の改正ですが、当分の間裁判官又は檢察官を以て充てることができるというのは「充てる」というのはどういうことですか。兼務じやないのですか。兼任ではないので、補職にするという意味なんですか。
#74
○政府委員(岡咲恕一君) これは兼任ではございませんで、裁判官又は檢察官の官にいる者に特に、司法研修所教官又は裁判所調査官を命ずるわけでございます。
#75
○松村眞一郎君 そうすると、それは兼官との差別はどうなりますか。兼官ということも場合によつてはあるのですね。職になつてしまうのですか、官であるのか。兼任もあるのだろうと思いますが、どうなんでしよう。
#76
○政府委員(岡咲恕一君) 兼任はないと考えております。その官に充てるのでございまして、この規定の趣旨では兼官にいたす趣旨ではございません。
#77
○松村眞一郎君 それでは、他の官から司法研修所教官を兼任するということはないのですか。
#78
○政府委員(岡咲恕一君) 現在は兼官を認めていられるように承つておりまするが、この規定が施行せられますと、兼官にいたしませんで、裁判官若しくは檢察官を以てその研修所の教官の職務を採らせるということになるのではないかと考えます。
#79
○松村眞一郎君 裁判官、檢察官以外の官で司法研修所教官にはなることができないのでありますか、どうですか。つまり兼任ですね。裁判所調査官の方はどうかと思いますが、司法研修所教官というものは、例えば大学の先生なんかでも場合によつては兼ねてもいいのではないかというようにも考えられる。司法研修所教官というものは他の官から兼任を許さざる官であるというような御解釈なんですか。或いは裁判官というものは凡そ他の官を兼ねてはいかないというように考えておられるのですか。從來檢察官は司法省参事官とかいうものを兼ねておつたのがあるですね。余程昔の話でありますが……。檢事兼司法参事官と言いますか、そういうものがあつたようですが……。檢察官もこれは兼任を許さざる官である。裁判官も亦他の官を兼任すべからざる官であるというような工合の解釈であるのか。そういうことがはつきり公務員という本質から言えるのかどうかという点はどうでございますか。
#80
○政府委員(岡咲恕一君) 司法研修所教官或いは裁判所調査官は必ず專任でなければならないということは申されないのではないかと思います。即ち兼任でも公務員法によりまして認められる範囲であれば差支えないかと考えまするが、公務員法の建前から申しましても、成るべく兼官、兼職は避けた方がその趣旨に叶うと存じまするし、その司法研修所教官、或いは裁判所調査官の仕事はなかなか繁忙でもあり且つ重要でもございまして、その職に專念すべきことを強く要求される関係上、止むを得ない場合を除くの外は成るべく專任であることが願わしく、又そうすべきものではないかと考えます。
#81
○松村眞一郎君 凡そ如何なる官吏たるを問わず、成るべく本官で担当するのがその官を尊重するゆえんであると思うのでありまして、私のお尋ねする趣旨は、裁判官及び檢察官なるものは、他の官職を兼ねることはいけないというような建前を、はつきり何かとつておられるかどうか。檢察官なり裁判官なりの方面から私は考えておる。司法研修所教官というものは、その本質上、他からの兼任は許さざるものであるということは、そういうことは言い得ないと思います。それは大学の教授でも同じであります。大学の教授というものは他からの兼任を許さざるものであるということは、私は言い得ないと思います。だからそれと同じように、司法研修所教官もそういうことは言い得ないのであつて、むしろ裁判所又は檢察官の方に、專ら裁判に從事する、專ら檢察に從事するというような意味の趣旨が、法律の方に何か現われるのが必要じやないかということが、むしろこの規定によつて考えておられるのではないかと私は思うのであります。それは何故かというと、兼任は許さざるということを言うておるのであります。殊に当分の間特に必要があるということであれば、裁判官、檢察官は他の官を兼ねないことを本旨とする、これがすべての一般の公務員と異なるところであるというような原則を何かはつきりする必要があるのじやないかということを考える。それと同時に現在裁判官なり檢察官で、教職に從事しておる方が相当あるだろうと思いますが、そういうような数はどのくらいあるか、それを何か調ベがあれば承わりたい。東京にはいろいろ大学がありまして、それに対しては裁判官なり檢察官は担当されておるように思いますが、それが許されるならば、司法研修所教官について、かれこれこれだけについて議論をするのも如何かと思いますが、そういう点についての調査書があれば御提出願いたいと思います。今の檢察官、裁判官に対する本質的な何かお考えはありますか。
#82
○政府委員(岡咲恕一君) 松村委員のお尋ねは誠に御尤もでございまして、裁判官、檢察官は、私はその職責上兼務は好ましくないと考えております。成るべく他の職務から離れてその本來の任務に邁進するのが、その職責上当然と考えておるのでございます。第七十八條の末項にこの規定を置きましたのは、裁判官若しくは檢察官の仕事をとりながら、司法研修所教官、或いは裁判所調査官に充てるというのではございませんで、その裁判官若しくは檢察官は、その本來の任務を離れまして、当分の間止むを得ない期間だけその研修所教官、或いは裁判所調査官の仕事に專念するというための規定でございます。尚裁判官或いは檢察官が他の例えば大学における講座を担当しておるかどうかというお尋ねでございますが、裁判官の方は実は詳しく承知いたしておりませんけれども、檢察官の方は勤務時間中の講座の担当は人事院の許可を得なければ受持つことはできないということになつておりまして、現在では勤務時間中の講座は殆んど許可されていない。從つて勤務時間中は講義に出ていないと考えております。夜間の大学における講義の方は、これは一般に人事院から許可を得まして、法務総裁からも講義を担当することの認可を與えておると考えておりますが、その人員の数につきましては、人事課に調査がございまするので、至急取り寄せまして、後刻お目に掛けたいと存じます。
#83
○松村眞一郎君 そうしますとこの規定は、裁判官が司法研修所教官に充てられた場合には、裁判官の仕事は一切しないという規定なんですか。
#84
○政府委員(岡咲恕一君) さようでございます。
#85
○大野幸一君 司法試驗法案についてお尋ねしますが、これを法務総裁の所管に属するか、最高裁判所の所管に属するかということで、最高裁判所の所管にして貰いたいという説の主なる理由を一つここで御披露願いたいと思います。
#86
○説明員(内藤頼博君) 私から御説明申上げます。裁判所法の第六十六條の司法修習生の規定がございます。御承知のように、「司法修習生は、高等試驗司法科試驗に合格した者の中から、最高裁判所がこれを命ずる。」第二項に「前項の試驗に関する事項は、政令でこれを定める。」こういう規定がございます。これが今回の裁判所法改正案によりまして改正されることになるわけでございますが、裁判所法ができます当時、公務員制度がいずれ改革されるということを予定されてはいたのでございますけれども、当時まだ公務員、一般官吏制度はそのままになつておりましたので、そこで從來ございました高等試驗が当分暫くの間は存在するということで、それをそのまま受け継ぎまして高等試驗司法科試驗と規定し、又その試驗は政令でこれを定めるという規定になつてるのでございます。これは過渡的に從來の高等試驗を引き継いだだけの規定であつたのでございます。裁判所法ができます当時、この問題については、実質的にはその点でなくて、司法研修所の問題として討議されたのでございます。御承知と存じますが、当時新らしい憲法の下において司法制度をどう改正すべきかということを檢討いたしますために、司法法制審議会というものが設けられました。これは司法省としては曾てなかつたような大きな委員会でございまして、これに司法制度の改正の諮問を司法大臣からいたされたわけでございます。その審議会におきまして、只今申上げました司法研修所という機関を司法省の所管とするか最高裁判所の所管とするかということで、いろいろな論議があつたのでございます。論議を重ねました結果、審議会の採決によりまして、多数決によつて司法研修所は最高裁判所に置くという結論が出まして、御承知のような裁判所法のその規定になつておるわけでございます。問題の実体は、私共はすでにそのときに、その研修所の設置という問題で一つ結論が出てしまつておるというふうに考えておるわけでございます。その後公務員制度が國家公務員法の制定によりましてすつかり改められまして、御承知のように高等試驗令も廃止されたわけでございます。從つて公務員制度が公務員法のように変つて参りますと、もう從來の高等試驗という観念は当然なくなります。從つて、あと司法官即ち裁判官、檢察官、或いは弁護士という面においては何が残るかと申しますと、要するに司法修習生の制度が残るだけになつたわけであります。そこで司法修習生になるのに或る試驗が必要であるという問題が残るだけのように私共は考えるのであります。そこで試驗の性格につきまして、今回の法務廳で立案されました司法試驗法、この案につきまして実は私共どうも十分に納得しかねるものがあるのでございます。この第一條を見ますと、司法試驗は、法律專門家として必要な学識及びその應用能力を有するかどうかを判定することを目的とする國家試驗であるという規定がございますが、從來の高等試驗の観念をすつかり離れて考えますと、こういつた新らしい司法試驗が果して必要かどうかということを先ず第一に疑わざるを得ないわけでございます。法務廳法案によりますと、法律專門家という一つの新らしい観念をここに付けられまして、その資格試驗のように規定してございますけれども、司法修習生の修習の前提になる一つの試驗を通つたからといつて、直ちにこれが法律專門家として観念付けられることがすでに私共として納得の行かない点がございます。それからこの法律專門家試驗に合格した者を法律專門家と呼ぶとして、これが一体法制上どういう意義を持つかということを見ますと、甚だ曖昧になつてしまうのでありまして、裁判官にあらず、弁護士にあらず、檢察官にあらずして、法律專門家として世の中に生れてしまうわけでございます。或いは会社その他で以て、こういう人達を採用する場合には、法律專門家という一つの資格が買われるのではありません。併しそれは弁護士にあらざる法律專門家でありまして、折角新らしい弁護士法によりまして弁護士制度が確立される際に、その弁護士制度の根本を崩すようなこういつた法律專門家というものを世の中に作られるということは、私共としては賛成しなかねわけでございます。そこでその試驗の性格を申上げますと、先程申上げましたように、ただ司法修習生になる際にやる試驗というだけを観念すればそれで十分なのでありまして、從來の高等試驗のような思想をそのまま残して、而も曖昧にそこに法律專門家というような資格を作つてこういつた試驗を作り出す必要は一つもないように考えております。そこでもう一点申上げますと、それでは、それは司法修習生の入所試驗即ち採用試驗なのか、或いは資格試驗と考えるのかというお尋ねであろうかと存ずるのでありますが、私共の考えではやはりそれは本質は司法修習生に採用される試驗である、というふうに本質はそうあるべきであると考えております。併しながらそれも嚴重な採用試驗、丁度学校の入学試驗のように観念いたしますと、そこに非常に窮屈なものが生じますから、本質はそういう試驗の性格であると考えますけれども、例えば今年その試驗に合格したところが健康上の理由から司法修習生として修習は受けられないというような場合に、その人を翌年健康が回復しておるならば、それは修習生にさせていいだろうということになるわけでございます。そういう意味で学校の入学試驗のような採用試驗ではないのでありまして、附随的には資格試驗の効力を有せしめることは差支えない、又必要はなかろうかと考えるのでありますが、本質におきましては司法修習生になる試驗というふうに考える次第でございます。そこで司法修習生になるための試驗というふうに考えますと、これは当然その司法修習生を預かる司法研修所を置いております最高裁判所の所管するのが当然のことでありまして、何もここに改めて新規の試驗を考案して法務廳の所管にするというふうなことは私共は毛頭ないと考えております。以上簡單でありますが、最高裁判所の考え方を申上げました。
#87
○鬼丸義齊君 私はこの法案審議についての経緯をまだ知りませんが、只今最高裁判所の総務局長の説明は相当長くて、而もそれぞれ内容の大変充実したお話が沢山ありましたようですが、どうも一遍の説明だけでは理解しかねるのですが、それに対するあなたの方の最高裁判所の所管に属するのが適当だという御意見ですか。
#88
○説明員(内藤頼博君) この第一條の試驗の性格の問題になると思うのでありますが、要するに司法試驗と裁判所の六十六條に言う試驗、その試驗というものは必要であるということは考えられますし、その試驗についての法律を作ることは必要になりますが、その試驗は最高裁判所が所管すべきであるというふうに考えておるわけであります。
#89
○鬼丸義齊君 これは最高裁判所とそれから法務廳との間においてすでに折衝したわけですか。
#90
○説明員(内藤頼博君) それは集まりましていろいろ檢討を見たのでありますが、意見の一致を見なかつたわけでございます。
#91
○松井道夫君 これは両方に跨つた質問になるかと思いますが、今の裁判所法の六十六條ですが、以前の法律によりますと、六十六條が一前項の試驗に関する事項は、政令でこれを定める。」ということになつておるのでありますが、この度の改正案には、法律でこれを定めるということになつているのであります。それで政令を法律に改めるというふうになつたのは何か公務員法とか、他の法律に根拠というものがあるのかどうか、その点を先ず伺いたいのでございます。
 それから次に最高裁判所のこの司法試驗に対する態度でありまするが、今のお話によると根本的に違つておりますので、單にその所管のところを修正しただけではいけない。殆んど全面的に何か書き改めるようなことにならなければならんかのごとく聞こえるのでありますが、その点を一つ伺いたいと思います。
#92
○政府委員(岡咲恕一君) 現行法の裁判所法の六十六條には、政令による試驗というふうに定めておるのに、なぜ法律による試驗に改めたかというお尋ねでありますが、実は政令による試驗といたしますと、その試驗は政府が管理いたすのが当然の建前と認め、政府がその試驗を管理するからその試驗の内容、或いはその事項については政令でこれを以て定めるということに現行法は相成つているかと考えるのでございます。この試驗は先程内藤総務局長から説明もございましたように、司法官或いは弁護士となるのにこれに必要な学力、或いは應用能力を有するかどうかということを判定する試驗であります関係上、政令よりもむしろ法律による方が適当であると、かように政府は考えたのでありまするが、法律による試驗といたすことにいたしました経緯といたしましては、実は最高裁判所では、この試驗は司法研修生となる資格を定める試驗であるから、むしろ裁判所の廣い司法行政の範囲にも属し得るのではないか。從つてこの試驗は最高裁判所で定められた規則によつて規定し得るのではないかという考え方をお採りになつたのでございます。で最初に最高裁判所、弁護士会、それから法務廳、学識経驗者そういう方々が集まりまして、会議をいたしました際に、最高裁判所ではこの規則による試驗の案をお考えになつたわけでございまするが、それがこの会議でいろいろ議論がありまして、結局國民の一つの資格、而も甚だ重要なる資格に関する試驗であるが故に、むしろ法律による方が適当であろうということの殆んど意見の一致を見まして、実は法律による試驗にいたすことにいたした次第でございます。
#93
○説明員(内藤頼博君) 只今の御質問にお答えいたしますが、要するに先程申上げたことは、試驗の性格に関する点が一つと、試驗の所管に関する点が一つ、この二点でございます。若し仮にこの法案をその意味で修正ということを考えて見ますと、要するに第一條第一項にあります「法律專門家」というこの第一項の規定が必要でなくなるということ。あと試驗の所管について法務総裁という字句を改めて頂けばそれだけで済むのではないかと考えております。
#94
○松井道夫君 そうすると司法研修所に入るのは、やはり第一次試驗、第二次試驗が必要だというふうになりますか。
#95
○説明員(内藤頼博君) やはり二回の試驗が必要だというふうに考えております。
#96
○鬼丸義齊君 今最高裁判所の総務局長の説明を承つておつたのですが、その六十六條というのは、今度出された裁判所法等の一部を改正する法律案の方にある六十六條に先程御説明になつたのですか。そういうことになりますか。
#97
○説明員(内藤頼博君) 先程ちよつと申上げましたのは、改正前の六十六條が政令で定めるという規定を置いた、立案されました当時の経過を申上げたのであります。当然今度はそれが改正されまして、この法律によつて試驗のことは定めることになるわけでございます。
#98
○鬼丸義齊君 そこでこういうことを一つ如何でございましようか。憲法七十七條によりますると、やはり最高裁判所の規則制定権、並びに弁護士に関する内部規定のところなどを考えて見ますれば、司法関係に関することについては、割合に最高裁判所の方が大分関係が深くなつて來ておるように思います。從來の制度よりも……。そういたしますると、只今の説明は非常に内容ある説明と私の方でもちよつと簡單ながら思いますので、この際最高裁判所の意見をまとめて一つ書面ででも当委員会に審査資料として出して頂きたらということを申上げてこの際お願いいたします。
#99
○委員長(伊藤修君) 鬼丸委員からの要求にかかる意見書みたいなものを文書で一つ御提出願います。
#100
○説明員(内藤頼博君) はい。
#101
○委員長(伊藤修君) では最高裁判所から出して頂くことにいたします。
#102
○大野幸一君 最高裁判所の方に管轄をして貰いたいという外に、何だか政府行政廳がやると試驗の公正が保たれないのじやないか。時によれば政党的に利用されやしないかというようなことを懸念する人があるのですが、今まで高等試驗令がずつてやつて來まして、試驗の不正というようなことに対して不祥事件が起きたことがあるかないかということを、過去を一つ調べて貰いたいということも合せて、資料として御調査を願つて提出して貰いたい。
#103
○委員長(伊藤修君) 本日でなくてよろしうございますから、若しそういう資料がありましたら一つ……
#104
○松井道夫君 只今の問題は非常に重要な点であると存ずるのでありまするが、先に司法研修所が最高裁判所の所轄になるといつた際に、先程の内藤最高裁判所の総務局長のお話によれば、根本の問題はそこで解決したんだと、了解せられるというお話があつたのです。その趣旨は私の理解いたしましたところは、やはりその根本的な司法と行政の区別といつた点から論議されたのではないかと、これは私分りませんけれども、まあ想像するわけです。要するに性質上司法乃至は司法行政に属する、而もそれが固有の司法であつて、最高裁判所の所轄に属する。從つて結局その司法研修所において修習を受けるところの、要するに將來司法の実務に携わる人達に対するその人所の資格を審査するところの試驗、或いは採用するところの試驗、その試驗は事の性質上固有の司法乃至は司法行政の部面に属するのであつて、行政権の主体であるところの政府関係で所轄すべきものではないというように私承つたのであります。その点につきまして間違いがあつたら今の内藤総務局長から御訂正を願つて結構でありまするが、その点についての法務廳側の御意見を一つ承わりたいと思います。
#105
○政府委員(岡咲恕一君) 同法試驗性格につきまして最高裁判所と法務廳が意見の一致を見ないのは先程申した通りでございまするが、くどいようでございまするが、法務廳がこの試驗を如何ように考えておるかということにつきまして改めてもう一度御説明を加えさせて頂きたいと存じます。内藤総務局長はこの第一條の規定が甚だ明確を欠くという御意見でございまするが、この第一條は司法試驗の性格を規定いたしておるのでございまして、これは「法律專門家として必要な学識及びその應用能力を有するかどうかを判定する……」のがこの司法試驗でございます。即ち法律專門家として必要であるところの学識と應用能力のあるかないかという点だけを判定するのでございまして、最高裁判所におきましても司法修習主として採用せられる場合にその学識の点については、この試驗というものの効果を非常に尊重せられる。この試驗に合格した者のみを採用せられるということになるのでございまするが、極端なことを申しますると、この試驗には、先ず國籍上の制限も全然ございませんし、或いは前科者であろうと、或いは極端なる体格の持主であろうと、そういうことは一向構いませんで、苟くもその人が法律專門家として必要な学識を持つているかどうかということを判定するのがこの試驗の目的でございます。この試驗に通れば直ちに司法修習生となる資格があるということは内藤総務局長と雖もお認めになるわけじやないであろうと思います。司法修習生となるためには少くとも二年間の研修に堪えなければならないし、尚且つ將來弁護士或いは檢察官、或いは裁判官として十分の素質を持つているかどうかという点も一應御檢討になりまして、そうしてこれならば國家の費用を以て教育するに値いするという者のみをお選びになつて司法修習生として採用になるのであろうと思います。然らば司法修習生でない者でもこの試驗を受ける資格があるかどうかという問題になるのでございまするが、この試驗に合格いたしますると、その当時は、たとえ虚弱であつたとか、或いはその外の資格において欠ける点がありましても、將來資格が回復せられるならば、更に司法修習生を志願することもできるかとも考えますし、或いは司法修習生になりませんで、会社その外実業方面に進みましても、一つの國家的なテストを経ているという意味において職歴において尊重されることもあるかと思いますが、これは法律的な問題ではございませんで、その外に司法修習生――この司法試驗に合格いたしました者が法務廳の事務官とか、或いは裁判所の事故官、或いは副檢事になりますような場合、或いは簡易裁判所判事に任命されますならば、それぞれその資格におきまして、將來弁護士とか或いは檢事、或いは判事たる資格を得るのでございまして、必ずしもこの試驗に通つた者が全部法律上研修所に入らなければ法律的な意味がないということにはならないであろうと考えるわけでございます。現に今國会において御審議になつておりまする弁護士法案によりますと、司法試驗に合格いたしまして、法務廳の事務官或いは裁判所事務官その外の官職に一定期間在職いたしますると、当然弁護士たる資格を得るのでありまして、そういう面から申しましても、この試驗は必ずしも不可分に研修所に入所する、司法修習生に採用されるという試驗と全く一つであるということは私は言い得ないのではないかと考える次第でございます。かように一つの國家が判定いたしまする資格試驗といたしまするならば、これは司法行政の枠から多少離れるものではないだろうか、むしろ試驗一般といたしまして、行政事務として、行政府が管理いたすのが適当ではないか、かように考えまして、本案では司法試驗管理委員会の所轄は法務総裁の下に置くというふうにいたした次第でございます。
#106
○松井道夫君 この法案が出ておりますので、この法案によれば、今法務廳の御説明になつた通りであると思うのでありまするが、まだこの法案ができない……一歩先の問題といたしまして、要するにまあ司法試驗というものが必要だ、その司法試驗はどこで所轄するかという問題について考えて見ますと、その点で先程最高裁判所の方で、もうすでに司法研修所のときに議論されて、解決済みの問題だというように私として承つたんです。それでまあその点をお尋ねするわけなんです。
#107
○政府委員(岡咲恕一君) 司法研修所の所轄につきましては、先刻内藤総務局長が御説明になりましたような経緯で解決になつたのでございまするが、むしろ裁判所法の六十六條も当時制定されました規定でございまして、この裁判所法六十六條の建前から申しますると、やはり一應この高等試驗司法科試驗というものを考えまして、而もその試驗は政令による試驗、言い換えれば司法科試驗というものを、やはり内閣において管理させるという思想がはつきり出ておりまして、司法研修所の管理が最高裁判所に移されたということから、直ちにこの試驗の性格なりその管理なりが当時決定的に決まつたということは申されないので、むしろ研修所の方は裁判所が管理するけれども、その前提であるところの試驗は、やはり一つの國家試驗として政府が管理するということに決まつたと、こういうふうに考える方が正しいのではないかと考えます。
#108
○松井道夫君 只今の御議論は、先程最高裁判所の方からのお話で、予め試驗の過渡的の制度はどうなつておつたかというお話があつたので、その点直接私の質問に対するお答えには……少くとも私のお尋ねしているところではないのであります。要するにあの頃はまだ試驗が外にもあつたから、從來通りまとめて政府の方で所轄したというように、平たく私は考えておりますので、その後法律その他の変遷で、要するにすべてを軌道に乘せるということになつて、國家公務員法との関係もあり、今回の問題が起きたということであろうと存ずるのであります。そこで、又先程の質問にかえるわけですが、要するに司法研修所が、これは最高裁判所に……まあ理論上のことを私はお伺いしておるのであります、理論上、最高裁判所に附属すべきものだということに論定されて、恐らくそういうことになつたんじやないかと思う、そうしますと、要するに司法研修所に入るところの卵を見分けるところの試驗というものも、これは当然司法研修所も勿論一つの行政事務なんでありますが、当然併し司法事務というものにおいての行政事務、それと同じ意味でやはり最高裁判所でやるのが適当だ――というのはこれは理論上ですよ、理論上そういう方が適当だという御議論が、どうも何か私だけの主観ですが、ぴつたりしないところがあるように思うんですが、そこらのところをお尋ねしたいと思うんです。
#109
○政府委員(岡咲恕一君) 司法試驗に合格した者大部分が司法修習生として研修所に採用さられるというのが極めて願わしいことでもあり、又そうあるだろうと考えるのでございまして、そういうふうに考えますと、むしろ司法研修所に入所するのに適当な学力を有しているかどうかということの試驗、こういうふうに考えることも甚だしく無理ではない、或いはそう考える方が適当であるかとも考えるのでございまするが、この試驗に通つた者が直ちにそのまま修習生になるのではございませんで、そうでない人も相当いるということを考えますと、この試驗をそのまま研修所の入所試驗のように考えるのは、少し行過ぎではないかと、かように考えるのでございます。
#110
○松井道夫君 そうしますと、要するに裁判所法六十六條ですか、その司法試驗というものは、要するに裁判官、檢察官、弁護士、そういつた者を作るための試驗という意味でないので、要するに國家的に法律專門家という一つの範疇が必要なんで、それで裁判所法六十六條にそういう指定を受けた者という意味で規定しているというように政府では考えていらつしやるということに相成るのでしようか。どうも私の言い廻しがまずいかもしれませんが、要するに裁判所法で司法試驗というものを認めた趣旨は、私共、まあ少くとも私は、判事、檢事、弁護士を作るための試驗であるというように考えておつたんです。それで疑問が湧いたわけですが、今の法務廳の御説明によると、裁判所法の今の司法試驗というものは、そういつた狹い意味でないので、國家的に高い法律知識のあるところの專門家というものを発見するための試驗であるというように解しておられるように聞えるのでありますが、その通りであるかどうか。
#111
○政府委員(岡咲恕一君) この試驗に合格いたしました者の大多数が修習生になられるであろうということは十分予想いたしまして、從いまして修習生との非常に繋りの深い試驗であるということは認めるのでございますが、必ずしも修習生とこの試驗とが完全に一致しているものであるというようには考えてないのです。言い換えれば、大部分の人は修習生としての道を選んで、將來裁判官、檢察官、弁護士となるであろうけれども、或いは修習生になりませんで、或いは法務廳の事務官とか、或いは副檢事とかになつて、又弁護士なり檢察官になる人もあり得るということを考えますと、必ずしもこれは狹く考える必要はない、さればといつてこの試驗は司法研修所とは全然無関係な試驗であるというふうには考えている次第ではありません。併し今申上げましたように、修習生とも完全に結び付いて、修習生たる資格試驗であるのだと、修習生となるための採用試驗であるのだというふうには法務廰しとては考えていない次第でございます。
#112
○岡部常君 具体的の問題といたしまして最高裁判所の方のお方にお伺いいたしたいのでございますが、現在の司法研修所はどれだけの能力がありますか。又將來それはどういうふうな御意図がありますか。それらをお伺いいたしたいと思います。と申しますのは、やはりそういう予め採用試驗であるとか、資格試驗であるということをお決めになつて研修所というものを作つておられるかどうか。その点もはつきりさして置きたいと思います。
#113
○説明員(内藤頼博君) お答えいたします。現在のところ司法修習生を命じておりますのは年に二百五十名でございましたが、今度は三百名ぐらい命ずることになるかと存じます。まあ施設の関係上そういつた人数において制限されることは止むを得ないと考えております。尚それにつきましての採用について前提として資格試驗予定して考えているかというお尋ねでございますけれども、まあ採用試驗と申しますか、司法修習生を命ずることを決定いたします前に、一つの或る從來の高等試驗のような資格試驗というものは新らしい制度の下におきましては必要のないことというふうに考えております。ただ先程申上げましたように、採用する際の、司法修習生を命ずる際の試驗が、学校の入学試驗のようなやかましい意味で採用試驗というものは規定できないとは思いますけれども、從來のような高等試驗のような資格試驗は必要ないと考えております。
#114
○岡部常君 大体三百名までには御拡張になるという御計画を承わりましたが、それは將來の裁判官、或いは檢察官、それは無論或る一定の限度を見込んでおられると思いますが、それでは在野の弁護士をどれだけ補充するかということについては、何か基準がございますのでしようか。弁護士は現在何名、それに対してそれを補充して行くのはどのくらい要るか、何か標準がありますか。
#115
○説明員(内藤頼博君) 現在のところ弁護士につきましては全國の弁護士が、何人くらいが相当で、年に何人くらい補充する必要があるかということはまだ檢討は経ておりません。ただ從來高等試驗を経て弁護士補になり、弁護士になつた、そういつた制度の下において受ける人数と大体同樣な扱いをしておるわけでございます。
#116
○大野幸一君 その司法研修出ですが、司法研修所のことについて一つお聞きしたいことがあります。爾來最高裁判所が非常に行政方面に対して御熱心であらせられるのであります。我々は裁判所は民事、刑事の裁判をしてそれに超然としておいでになるのが旧來の……尊いように考えていたのでありますが、近頃新憲法によつて大分行政方面に非常に御熱心なことはこれは結構でありまするが、併しそれも度合によると思うのです。そこでこの試驗まで最高裁判所がやられなければ受驗者にとつてどんな不利益があるかとこういうことの感想がありますか。ただ研修所が俺の方のものであるから俺の方でやるのが理論上正しい、こういうだけのように今まで聞いておりますが、受驗者にとつてどういう不利益があるかということを一つ考え、そういう点から、そういう見地からあなたの方が自分の方が管掌したいという氣持があればお伺いしたいと思います。
#117
○説明員(内藤頼博君) 御尤もな御質問であります。裁判所の司法行政の問題でありますが、御承知のように、新らしい憲法によりまして、立法、行政、司法の三種の分立を旧憲法におけるよりも一層はつきりいたされまして、それと同時に裁判所について申上げますれば、司法とそれから司法に附随するいわゆる司法行政を裁判所の権限にすることを憲法の上においても明確にいたしたわけであります。即ち司法権を運用して行くのに必要な行政は、これは裁判所の権限としたわけでございまして、お話のような司法研修所の所管ということになりますと、これは裁判所、檢察官、弁護士、即ち將來司法に直接関係して行く人達の養成という問題になりますので、これは司法機関たる裁判所の所管にするという考え方に立つのが正しいと存じております。例えばアメリカの制度におきましても、そういつたいわゆる弁護士たる人の試驗、それから弁護士に対する資格の付與、こういつたものはすべて裁判所の所轄の下に置かれまして、裁判所の所轄の下に或る委員会を作つたり、或いは弁護士会の方で裁判所の管轄の下にそういうことを行なつたりしておるのでありまして、これに行政廰が関與することは、そういうことはアメリカの制度で申せば毛頭考えられない事柄なのであります。
 それから受驗生の立場からでございますけれども、受驗生として、裁判所所管の方が公正を感ずるかどうか。これはまあ考えようもあろうかと存じます。ただ併しながら、將來司法のことに関係して行こうという志望を持つております人達の試驗といたしましては、やはり政府が所管するよりは、裁判所が所管した方が、司法の独立と申しますか、行政とは全く切り離された仕事に自分達は関係して行くのだということを、そういう人達の心の上に植え付ける面におきましては、効果があろうと存ずるのであります。要するに、自分達は司法というものを志望しておる、それは政府とは切り離された仕事なんであるという覚悟を、いずれ持つて試驗を受けるでありましようし、そういつた印象をはつきり植え付けるということも必要であろうかと存じますので、受驗生の関係におきましても、やはり最高裁判所が所管する方が、よりいい結果が生ずるだろうというふうに考えております。
#118
○大野幸一君 そういう見解もあるでしようが、これは今まで日本の裁判所の社会に対する印象は、裁判所というものは世間のことは聞かないで、そうして超然として自分の考えが正しいというところがあるようで、むしろ裁判所というものは世間から見ると陰氣に思われる。こういう感じがありまして、なかなか國民の言うことは直接聞かない、こういうような感じを受けていたのであります。近頃大審院の判例を拜読いたしますると、最高裁判所は、さすが民間からお入りになつたり、或いは民行政官廰からお入りになつていて、その議論が溌剌としていて、非常に喜ぶべきことでありますけれども、例えば私はこの間一度招待されて行つたのでありますが、そこで感じましたことは、司法研修所でありますが、やはりあれは將來は、檢事も判事も弁護士もあそこで養成されるのであります。ところがどうも受けた印象は、裁判所の判事若しくは檢事の養成というような考えが多分にあつて、弁護士養成というようなことは第二次的なことだ、こういう考えがあるのじやないか。その証拠には、弁護士会から派遣されておる教官に対しては、私は余り好遇されていないような感じを受けたのでございます。例えば我々委員が行きましても、隅の方で小さくなつておる。こういうことでは、私は弁護士会の意見というものは、司法研修所においてどれ程採用されておるか分らない、こういうふうに考えて帰つて参りましたけれども、やはり三者同一にして、同じように養成するのだ、こういう一つ考えでして頂きたいと、この機会を利用して申上げて置きます。由來この法曹一元と言いまして、一回弁護士をやつておつて、それから判事や檢事を採るというのが、アメリカあたりの思想でありまして、やはり弁護士を養成するということが先ず第一のように考えてもいいのでありまして、初めから官吏臭くすることが民主主義に合うかどうかということであります。そういう点も、一つ將來の参考にして頂きたいと思います。私達はまあ見学さして頂いて、非常にまあ参考にもなり、啓発して頂いて、感謝しますが、併しそのときにも私は座談的に申上げたのでありますが、見聞を廣くするために、國会で法律の作られる過程を一つ司法修習生の人達に見学さしてはどうかということを、座談のうちに申上げて置きまして、賛成を得ていたようでありましたが、未だにそういう運びがありません。そういうことは、私僻むわけではありませんが、なに國会議員なんというものは裁判所とは違うのだ、法律はどう誰に作られようと、解釈は俺の方がするのだと、こういうようでは非常に困る。それが故に、この委員会でいろいろ討論或いは質問應答があつても、それを常に裁判所の解釈において蹂躙されてしまうという点であります。こういう点も一つ御了承されまして、立法の主旨は十分法律解釈の上にも尊重して頂きたい、こういうことをこの機会にお願いして置く次第であります。
#119
○松村眞一郎君 私はこの問題については、元來この司法修習生という問題をここに持出すから、問題が甚だ横道に入ると思うのであります。この原案を見ますというと、法律專門家ということがありますけれども、漠然とした法律專門家というものを國家試驗で資格を認めるという、そういう必要は私はないと思う。又そんなことを國家としてやるべきものではない。法律專門家は何であるかということを、これをもう少し具体的に碎く必要があると思います。それは結局裁判官、檢察官、弁護士であると思うのです。國家は裁判官、檢察官、弁護士として必要なる学識、應用能力を有する基礎的の資格のある者をここで決めればそれでよいのであつて、それを今度裁判官の方に採るときには裁判官の方でやればよいし、檢察官にしたいときには檢察官の方でやればよいし、弁護士なら弁護士の方で実施すればよい。ただ司法修習生という制度を設けて、それを裁判所の中に入れてしまつた結果、目的の方を忘れて、途中半端な修習生の方に頭を入れる結果、研修所というものがすでに裁判所に属しておるものであるから、試驗も又裁判所でやるべきものであるというがごとき誤解がここに生じておるのであつて、現行法をすらつととにかく読めば、司法試驗というものがあるのです。ここにいわゆる法律專門家ということがありますけれども、凡そ國家の見ておる法律專門家というものは今の三つしかない。この三つの法律專門家の基礎になるところの学識を持つておる者を試驗するのが司法科試驗である。それに合格した者を、裁判所の方では判所に養成するがよいでしよう。檢察官の方は檢察官に養成する。弁護士の方は弁護士に養成する、そういうものが從來の司法科試驗の本質であつて、その本質は誰も惡いと考えていない。ところが、たまたま司法の修習生という制度を拵えて、それもよいです。よいが、それを今度は裁判所の方に取つてしまつたから、今度裁判所の方で試驗をするということになりますというと、その試驗は裁判官本体の試驗になることは、これは必然のことでありますから、これは意見になりますけれども、この原案でよいと思う。併しながら、この法律專門家なんという、こんなものは間違つておるのであつて、裁判官、檢察官、弁護士として必要な学識、基礎知識を有する者でよろしいと思う。その基礎知識を有する者の試驗をやつて、それに通つた者を、裁判官になりたい人は裁判官の修習をするがよろし、元來研修所においていろいろ学ぶ人は、初めから裁判官にならんという人も私はあると思う。檢察官になるという志望で入る人がなければならない。何故かと言えば檢察廳法には、修習生の試驗を終つた者を採るということが書いてありますから、檢察官の方の資格にもある。「司法修習生の修習を終えた者」ということが十八條に書いてあります。それですから、檢察官の資格も、修習生の修習を終えた者を採るという心持がありますから、初めから判事は自分はやらんと、自分は檢察官の方に向いておるのだという人が私はあると思う。その人は実は裁判官的の修養よりも檢察官的の修養の方をしたいのでありますから、その人にも万遍なく基礎的の知識があるかどうかということを試驗するのが、この司法試驗の目的であると私は思うのでありますから、今日立法論をするならば、この研修所というものを最高裁判所に附けたことは間違つておると私は思う。むしろ資格において、裁判官も、檢察官も、弁護士も、共通の研修所にしなければならんと私は思う。そういう見地から考えまして、この試驗法を定める場合に、今申しましたような趣旨に合体するような工合な方向にこの法律を持つて行かないというと、裁判所を養成する研修所になつてしまう。この研修所は、裁判官を養或するのではないのです。最高裁判所が所管しておりますけれども、やはり檢察官も養或する場所であり弁護士も養成する場所であるべきであるということを我々は要請するのでありますから、私はこの方向の方がいいと思います。法律專門家ということが間違いであつて、裁判官、檢察官、弁護士として、と書いて一向差支えない。意見を交えましたけれども、この法律專門家ということはいけないということを申して、初めから裁判官、檢察官、弁護士と書いていいでしよう。そうして單に必要なる学識を有するかどうかということの試驗をする、こういうように私は考えたい。それが資格試驗の要点だと思います。外交官試驗もそうなんです。外交官を採るものを試驗するのであります。外交的な何か資格試驗というそういうものは考える必要はない。外交官を採るに必要な資格を定める。元來採用試驗が本当なんです。資格試驗というのはおかしい。併し資格試驗ということにしておかないと直ぐ採用できませんから、司法科の司法試驗も行政試驗も外交試驗もすべで役人になる者がいわゆる從來の交官試驗を受ける、役人にならん者は、試驗を受ける必要はない、ないけれども自分が学力があるというために受けることは、妨げない、けれども國家はそのことを要望しておるのではない。資格試驗であるが、実は今までは採用試驗であるということを私は考えますから、意見を申述べてこの原案に賛或しないということを申上げますが、建て方はこの方向がよろしいと私は考えますが、そういう点についてのお考えはどうですか、両方の政府委員にお伺いします。
#120
○政府委員(岡咲恕一君) 只今お話しの通り法律專門家と書きましたのは、やはり裁判官、檢察官、弁護士というものを國家としてはこれを法律專門家という意味で書いたのでありまして、ただそれを一括して法律專門家という言葉を用いたのが或いは適当でないというふうなお考えもあろうと存じますが、私共といたしましては、これで現わせるのではないというふうに考えたわけです。それから元來資格試驗であるか、採用試驗であるかという問題につきましても、若し例えば大学の卒業資格ということで、法学士になつておれば全部採るというようなことも一案として考えられますけれども、現在のところではそれを以て直ちに一律に取扱うことは、大学のよりましても凸凹があるというような点から、國家試驗でこれを統一するという考えでこれを資格試驗というふうに考えたわけでございまして、成る程司法修習生の修習は裁判所の管理の下に司法研修所が行うということになつておりますが、これはその資格のある者が実務を修習して、將來弁護士になり、檢察官になり、裁判所になるという場合に、実務修習の場所の関係からいつてこれが裁判所が中心になつて取扱われることが適当であろうという見地から現行法ができておると存ずるのであります。併し一般のこれになる資格という点については、やはり國民に國家から與えられる資格という意味におきまして、こういう試驗法という法律により、又その意味において行政府が管理するということになつて差支ないと存ずるわけでありまして、若し採用試驗、而も司法研修所というものが裁判所の管理にある、然るに採用試驗であるというような、敢えてこういうような法律で、採用試驗までも決める必要はないのではないかというふうに考えられるわけであります。
#121
○説明員(内藤頼博君) 松村委員のお尋ねに最高裁判所としてお答え申上げます。法律專門家とは、裁判官、檢察官、弁護士であるということか、それから試驗がその本來はむしろ採用試驗的なものと関言するということに対しましては、私も全く御同感申上げる次第でございます。それから司法研修所は、これは最高裁判所の下に置かれておりますけれども、御承知のように裁判官も養成する、檢察官、弁護士も亦これを司法修習生として養成しておるのでございまして、現在の司法研修所はひとり裁判官の養成のみをしておるわけではないのでございます。從つて將來は恐らく弁護士の養成ということが眼目になつて行くべきであろうと考えるのでありますが、要するに裁判に関係する者、裁判に從事する者、檢察に從來する者、法曹に從事する者、これは斉しく司法研修所で司法修習生として修習を受けるわけであります。司法修習生の性格、実体が採用試驗であるというようには申上げませんけれども、関連さるべきであるということから私共はやはり最高裁判所が所管するのが最も自然な途であると考えておる次第であります。
#122
○鬼丸義齊君 今度の法務廳設置法等の一部を改正する法律案中にもすでに第九條の十において、「司法試驗に関する事項」として一項加えてあるようであります。この最高裁判所が新憲法により独立されたのと同時に、又司法事務に関係いたします内閣規定の中に行政上に関する点もありますが、最高裁判所は例えば國会においても國会政府委員として立つこと自体に対する一つの疑問もあり、又内閣に対して閣員として列して、例えば法律案提出等に対する審議に参画すべきや否や、こういうようなことから考えますと、ひとりこの司法試驗という問題のみならず、今後においても参判所に対する規則制定に関しては内閣としてすべての法案の提案並びに改正或いは廃止等の問題については、法務廳の起案並びに内閣に対する提案等が常に裁判所と交渉中に行われることになるのでありましようか。今後一体そういう関係が繁げく行われることになりはしないか。それなればこそ第九條に、官房において、最高裁判所との間における交渉に関する事項として一項がすでに法務廳設置法等の一部を改正する法律案というものにあるのであります。この点については今後においても裁判所並びに法務廳との関係においてはひとりこれに止まらず、常にこういうことはあり得るのではないかと思います。この点について法務廳としては最高裁判所に関する所管事項についてもどの程度の交渉をして行つて、内部交渉としてすべて意見の一致点を見てから後に審議を進めて行くような方針を持たれておるのであるか。或いは又若し最高裁判所との間においていわゆる交渉事項、いわゆる協議をして、成ることが成らなかつた場合においては、法務廳の意見通りに進行して行くべき方針であるのか。少くとも一線を画して置かなければ、非常に今後ともにこういうような問題はしばしば起つて來やしないかと思います。そういうことになりますると一方においては、法律の改廃制定については大体法務廳が所管するものであるとするならば、最高裁判所は独立しておりましても常に法務廳の手によつて左右をされるというふうな事実上の結果が生じて來やしないかと思います。故に最高裁判所の発言権というものは或る程度有力にその点は動かなければならないというようにも考えられます。その点はどういうふうにお考えになつておるのか、法務廳の御意見を一つ伺いたい。
#123
○政府委員(兼子一君) 私共といたしましては、成る程仰せの通り、最高裁判所は直接國会に責任も負わないし、從つて又政府委員も出されないということになつておりまして、國会との法案の提出その他の連絡の上におきましても非常に不便を感ずるわけでございますが、從來においても法務廳としてはその点につきまして、でき得る限り裁判所の御意向を酌み、十分連絡の上法案の提出その他の点につきまして國会との中継をする所在でございますし、又そういうふうにやつて來たつもりでございます。ただこの司法試驗法案につきましては、御承知の通り根本の所管の点において意見が対立したまま政府におきましてはいずれにしても今年度から從來の司法試驗に代る試驗を実施しなければならんという状態にありますため、政府の意見によりましてこういう法案を提出するようなことになりましたけれども、これは極めて例外的なことでございまして、從來におきまして、又今後におきましても法案の提出等につきまして十分最高裁判所と連絡をし、むしろ最高裁判所のこういう方面について御意向を実現できるようにお世話をするというつもりでやつております。
#124
○鬼丸義齊君 普法の場合には極めてスムースに円滑に進むのでありまするから問題はありませんが、こういた特別の場合というのが、即ち権限の判定していない場合不都合なことになるのであります。そこでこの点については最高裁判所としてはどんな見解を持つておるのであるか、或いは又今日の制度自覆に非常な欠陷があるのか、最高裁判所として満足する今日の制度であるか、或いは今日の制度自体の解釈において考え方が違うのであるか、若し制度自体に欠陷があるためにこういうような問題が起るのだというふうにお考えになつておるのであるかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
#125
○説明員(内藤頼博君) 只今兼子政府委員からお話もあつたように裁判所関係のいろんな法律案その他の所管は法務廳でされておりまして、法務廳には法律家がスタッフとして揃つておられまして、いろんな面で裁判所のために仕事をして下さることにつきましては、これは最高裁判所の方でも常に感謝をいたしておるわけでありまして、平常の場合にそうした不都合を感じておることは決しないのであります。実は今度の問題も最高裁判所の方でこつちへ権限をよこせというふうな形のようにとられますので、実はこれが最高裁判所の権限の問題だと甚だ私共としては法務廳に対しても國会で御説明申上げるのも立場として甚だ心苦しいのでありますけれども、今度のような問題は実はどうも法律家としての理論的な考え方と申しましか、何かものの考え方に筋の通つていないところがあるようにも私共感じているのであります。そういつたときに法律廳としての考えに対して実は私共どうしても同意できないということが極く稀ではありますけれども生じるわけであります。ではそういつた場合に最高裁判所は一体どうしていいかということになりますと、やはり國会に提出される法案は、これはどこまでも政府の責任において提出されるわけでございまして、法務廳はその所革の法案について法務廳のお考えによつて國会に提出されることは当然であろうと思うのであります。ただ現在の法制上は國会法の改正によりまして先般國会の、いわば裁判所に対する特別の御好意から改正をして頂いたのでありますが、改正により最高裁判所長官又はその指定する代理者が國会の委員会に出て説明することができるという規定が設けられたわけでございまして、最高裁判所のこういつた場合の意見はやはり國会の委員会へ出まして最高落判所から申上げるということになるわけでございます。現在の法制におきましては、原案廳たる政府の方の意見、最高裁判所の意見、両方を法務委員会においてお聞きになりましてここで御決定頂くということになるわけなんでございます。裁判所といたしましてもそういつた途を開いて頂きましたので、國会へ出て私共の意見を十分に述べさせて頂く機会がございますので、これによつて御決定頂けばそれで事は済むというふうに考えておるわけでございまして、法律の制定権を持たれる國会において私共の意見を十分に聞いて頂く機会を與えられたということで法制上の処置は足りるのではないかというふうに考えております。
#126
○宮城タマヨ君 一点だけお伺いいたしますが、第三條のところに、「第一次試驗は、第二次試驗を受けるのに相当な教養と一般的学力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし」と書いてございます。そうして第四條の第一号のところに「学校教育法に定める大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終つた者」ということがございますし、それから同條の四号のところに「前三号に該当する者と同様以上の教養と一般的学力を有すると認められた者」というようになつておりますのでございます。それから「学校教育法に定める大学卒業程度において一般教養科目について筆記の方法により行う」ということが第三條に書いてあるのでございますが、そこで第三條で見ましても、この初めに言われております「相当な教養」ということは、これは大学で学ぶところの一般教養科目という意味らしいようでございますけれども、今司法官の質の向上ということがやかましく言われておりますときに、学力の点でございますけれども、人間の本質的な問題がここにあるだろうと思つております。そこでこの「相当な教養」ということはその試驗としまして大変大事なことだと思いますけれども、それが大学卒業程度においても一般教養科目ということになることになりますと、その内容はどういうことになるわけなんでございましようか。
#127
○政府委員(兼子一君) この法案は大体新らしい教育制度を前提として立案されておるのでありまして、新制の大学におきましては、從來の大学のように專門教育のみを偏重せずに專門科目の外に一般教養科目というものを必ず履修しなければならんということに定まつておるのでありまして、この第一次試驗を免除するという、第四條の第一号におきましても「学校教育法に定める大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終つた者」ということになつておりますのは、例えば司法科試驗を受ける者は大体においては大学の法学部を卒業する者になるわけでございますが、併し法学士になりますのにも、大学において一般教養科目というものを履修しなければならないということになるわけでありまして、從來のように法律学だけを專門にやるというのでなしに、いろいろな科目がこれに入つて参るわけであります。從いましてそういう科目を大学においてやる以上は、その大学で講義する程度の一般教養科目即ち法律学以外の科目についてもこれを履修したと同等の学力を有するかどうか、或いは教養を有するかどうかということを第一次試驗で判定するということになるわけでございまして、第四條の第一号が「学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終つた者」となつておりますのは、必ずしも卒業しなくてもその大学における一般教養科目の一定程度の部分を終了しておればそれでよいという建前でありまして、例えば或る大学におきましては、この一般教養科目というものを設置しまして、教養学部において一年半なり、二年なりの一般教養科目を履修したのちに專門の学部に入るというような制度を採つておるところもございます。そういうところですとその教養学部の課程を修了しておれば第一次試驗を免除されるということになるわけであります。それから一般教養科目と專門科目とを学年別に区別しないで混ぜて四ケ年のうたに履修するという学校におきましては、そのうちの一定の單位だけは取らないと学士になれないわけでございますから、在学中でもそれだけの單位を取つたということになり、その証明があれば在学中でも第一次試驗が免除されて直ちに第二次試驗が受けられるということになるわけでございます。いずれにいたしましても今度の新制大学におきまして、專門科目以外に必ず一定の單位の一般教養科目というものを履修しなければならないということを前提といたしまして、第一次試驗の問題を考えたわけでございます。
#128
○岡部常君 私は試驗科目についてお尋ねいたしたいと思います。
 現在の法律生活におきましては、民事と言わず、刑事と言わず経済部面と遊離してこれを見ることができないと考えるのであります。この科目を見ますると必修科目にないのは勿論、選択科目にも経済学という関係のものが見えておらないのであります。これはどういうわけか、誠に遺憾な感じがするのでありますが、それに対するお考えを承わりたいと思います。
#129
○政府委員(兼子一君) 只今御質問の第二次試驗の試驗科目につきましては、從來の高等試驗にはいろいろ專門外の選択科目というものをとる余地があるようにできておりましたけれども、この案におきましては、專ら法律の專門科目だけについて十分な試驗を行うと、そして一般の補助科目等については、第一次試驗の一般教養科目という点で法律を專門とするのに必要かどうかという点を檢定するという態度をとつておるわけでございまして、成る程お説の通り経済学、或いは経済政策というような方面も法律の專門家となるのに必要な知識ではございますけれども、そういうものを加えますことによつて却つて法律そのものの試驗が軽くなるというふうなことではやはり目的を達し難いと存じます。又一方におきまして選択科目をもつと多くするということになりますと、試驗の建前から或いは不公平も出て來るのじやないかという懸念もございますので、この案におきましては、專ら法律の專門科目に集中するという建前をとつたわけでございます。
#130
○岡部常君 大体のお考えは分りましたのでありますが、それでは第一次試驗の中には経済的な科目はどういうものが取入れられておりますか、どういう御意図でありますか、その点を承わります。
#131
○政府委員(岡咲恕一君) 参考資料としましてお手許に多分お配りいたしておるかと存じますが、大学基準協会におきまして大学教育基準というものを定めておりますが、基準協会の基準によりますと、一般教養科目として人文科学関係、その他社会科学関係、自然科学関係と三つに分れておるのでございますが、人文科学において歴史学、人文地理学、或いは心理学、或いは社会学という科目もございますが、社会科学関係においては政治学、経済学、社会学、統計学というような科目も試驗いたすという関係になつておりますので、一應人文科学関係の一般教養科目関係の試驗を受けましてそれに合格しますならば、お尋ねのような経済或いは社会、政治一般に対して法律專門家となるのにふさわしい程度の一般常識というものは、十分檢定し得るであろう。こういうふうに考えております。
#132
○岡部常君 只今大変詳しく御説明がありましたが、それらの挙げられました各科目別に試驗をするということは到底不可能ではないかと考えますが、それに対する試驗の方法等はどんなふうにお考えになつておりますか。或いは沢山の項目、イエス、ノーの形式でおやりになるか、そういう点も承つて置きたいと思います。
#133
○政府委員(岡咲恕一君) 試驗の施行方法につきましては、いずれ管理委員会におきまして、十分御檢討になりまして、適当な規定をお設けになるであろうと私共は想像いたすのでございますが、現在私共が考えておりますところでは、恐らく本年度人事院におきまして、公務員の採用試驗において行われましたような総合的な筆記試驗制度をお取りになるのではないか、こういうふうに考えております。
#134
○岡部常君 もう一つ関連いたしますが、試驗に合格いたしまして、いよいよ研修所に入りまして、研修所において経済或いは更に財政方面というような方面の教養ということに対してどういうお考えを持つておられますか。恐らく何か取入れられておられるように思いますが、それについてどういう科目を挙げて、どのくらい時間を費すか。その点をこれは最高裁判所の方に承わりたいと思います。
#135
○説明員(内藤頼博君) 司法研修所の修習におきましては、やはりどうしても裁判官、檢察官、弁護士としての実務の修習が中心になることは、これは止むを得ない当然のことだと思いますが、それが大体七〇%はそういつた修習に向けられて行く。その外は一般の社会的な常識、只今お話しのございました経済の問題、その他についても修習しておるわけでございます。更に進んでは人間的な情操的な面における修習も考えております例えば経済だけを取上げて経済を何時間くらいやるかというような点につきましては、ちよつと只今お答え申しかねるのでございます。大体の修習の内容なりは今申上げたようになつております。
#136
○岡部常君 次に筆記試驗に合格した者に対しては、その願により次回の司法試驗の筆記試驗を免除するとなつておりますが、その願によりということになつたのはどういうわけでありますか。その理由を御説明願いたいと思います。
#137
○政府委員(岡咲恕一君) これは從前の例によりましたことでございまして、受驗の願書を出します際に筆記試驗に合格いたしまして、口述試驗に落第いたしました場合に、その筆記試驗のたしか免除の願を願書の中に記載しておつたと思います。その從前の例によつたわけであります。
#138
○岡部常君 もう一つ試驗科目のことに触れますが、從前の例によりますと外交科、司法科、行政科とおのおの共通な科目につきましては、他の試驗を受けるときに試驗の免除があつたように思いますが、この司法科試驗についてはそれがないようでございますが、こういうふうな建前になつた理由を御説明願いたい。
#139
○政府委員(岡咲恕一君) 從前の高等試驗の行政科試驗、或いは外交科試驗というものはすでに施行せられまして相当の年月が経つておりますし、新憲法施行後は法制全般に亘りまして随分大きな改革が行われました関係上、以前行政科試驗に合格しておりましたというだけで司法科試驗に必要な科目で行政科試驗ですでに試驗済みの科目を免除するということは行過ぎであろう。余りに受驗者を保護し過ぎるであろうというように考えまして、成るべく新憲法下の新らしい法律を十分理解せしめるということを眼目といたしまして、從前の高等試驗の司法科或いは外交科試驗に合格いたしました者の試驗科目の免除の特権は與えないことにいたした次第でございます。
#140
○委員長(伊藤修君) 両案に対する質疑はこの程度にして明日に讓ることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
#141
○委員長(伊藤修君) 午前中に質疑がありました皇族の身分に離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律の一部を改正する法律案、この法律に対しまして鬼丸委員より質問がありましたので、宮内附次長の林敬三氏が出席されておりますから……
#142
○政府委員(林敬三君) 宮内附次長でございます。林でございます。午前にお尋ねがありました由でございまして、大変遅うございますが、そのことにつきまして申上げたいと存じます。元皇族でいらした方々の現状でございますが、これは御承知のように新らしい皇室典範によりまして一昨年の十月の十四日に皇籍を離脱せられたのでございます。これは御希望によつて離脱せられたわけでございます。そうしてその際に皇室経済法によりまして総額にいたしまして四千七百五十万円の一時金をやられまして、そうして皇籍を離脱されたわけでございますが、その方々のその後の事情というものは各家それぞれに事情を異にしておりまして、実は一概に何とも申上げられないわけでございます。併しながら皇籍を離脱せられます前から財産税を支拂われましたり、その他経済的事情から生活の変化を余儀なくせられておられました関係上、皇籍を離脱されましてから後においても決して御生活はお樂とは考えられないと存ずるのでございます。併しながらそれから後において著しい事情の変更もあつたというようにも見受けられないのでございます。現在におきましては御承知のように一般の國民と全く同じようになつておられます関係上、法律上宮内府といたしましても、これに関係をするということはないわけでございます。また從來の関係上いろいろと割に存じ上げておるという立場からお察し申上げますと、大体そのような状態でございます。民間の諸事業に関係を持たれると聞いております方々もあります。又御自身で少し御事業をやつておられる方々もあるようであります。又皇籍を下がられましたとこのお金を大切にせられまして、靜かに暮しておるという方もおありのようでありますが、実はそれぞれのお家で事情を異にいたします。又直接の法律上の関係がないもので明確なことを申上げられないことを御了承願いたいと思います。
#143
○鬼丸義齊君 私共國民の一員として皇室のその後の御状況がどうであろうかということをひそかに心配しておりますためにこの法案の出ましたことを機会に実は御近況を伺つたのであります。只今の御答弁中にもありました各民間の諸事業にも御関係をしておられる宮家もあるということでありますが、お差支えなくば或る程度承われば幸いだと思います。それから又若しこの元皇族の方々にして民間事業に関係なさる場合には宮内省としては全然今では関與することはないのでありますか。又宮内附としてそれについては何らの発言権もなければ何らの掣肘も受けられない、本当の一般人同樣な自由行動を取れることになつておるのでありますか。宮家離籍者は全体で十一宮家ありますので、若し概略をできましたらお伺いしたいと思います。
#144
○政府委員(林敬三君) このお尋ねのあとの方から申上げますと、元の宮家が皇籍を離脱されまして、その後において民間事業に御関係になる、関係せられるというときにおきましては、宮内府は全然関與いたしておりません。それでいわゆる法律上申しますと、全然発言権はないわけであります。從つて御自由におやりになるのを、これを掣肘するというか、いろいろ御相談申上げるという、御相談するということは、こちらとしては何らの権限を持つておりませんわけであります。ただ從來の関係がございましたり、又現在宮家でいらつしやいます親王家でありますね、こういう方とはおのずから御関係を持つというような関連から、先方から御相談に見える場合はあるやに存じます。そういうときは御相談に乘つておりますが、これは権限としてでなく、從來の御関係からそういうことについて御相談に乘るというような状態であります。それで尚併し、この皇籍を離脱せられたといいましても、皇室及び現在の宮家とはやはりいろいろな点において御親類の関係でございますので、そこで実はその人達のそこの各宮家の昔で言えば宮家の事務官、今言うと家令のような庶務を扱つておる、そういう人達はときどき懇親的な意味で以て実は宮内府にも定期的に集まつて頂いて、いろいろお話合いをする。又こちらで以て総括的に御注意することは、御注意する。こういうようなことはいたしております。
 それからその旧宮家が現在どういう事業に関係していらつしやるかということを実は私も具体的に、どなたが何会社のどこということを本当に存じませんのでございまして、まあ特に名ある有名な事業に御関係になつておるということはないように存じております。御関係になつても極く小さいものに何らかの御関係を持つ、こういうことのように存じておりまして、只今それを申上げる資料とあれを持つておりません。お許しを願いたいと思います。
#145
○鬼丸義齊君 そうするというと、そのいろいろな民間一般人と同じことに事業なさる意味においては、その後宮家の方からも勿論何らの制約を受けないということは只今伺つた通りと承知されまするが、その他にも全然一般人と異なるところなく、自由に職業の選択或いは住居の御自由乃至は品位上に関することとか、というようなことについての事業上の制約はなく、そうして又一般人との交際についても本当の自由になつておるのかどうか、それも一つこの際伺えるならば伺いたいと思います。尚私共特別に世上において皇室の御用品等が出ておりまするにつれて、ひそかに懸念をいたしております。例えば経済状況につきましても、著しくお困りになつておられるようなふうなお方がないのであるか。そうして現在お國の方から先に一時金を出しましたことによつて、何らの職業も新らしく求めずして、自活し得られる程度にあられるかどうか、これも一つ伺いたいと思います。
#146
○政府委員(林敬三君) 皇籍を離脱せられましてからは、今お尋ねがございましたが、民間の一般人とこれは法律上、又事実上全く同樣ということになつております。又その方針でおります。ただやはりこれは元宮樣でいらつしやいましたし、皇室とも深い関係をお持ちでございますから、それぞれの宮家においては、やはりそれだけに御自重をなさらなければならないような立場に社会的に置かれていらつしやるように存じます。それから又品位を保持するために皇籍を離脱されるときに、特別の金があつたわけでございます。それはその趣旨においてこれを活用して頂きたいことを宮内府においても切に希望はしておるところでございます。併しながら実際上それでは具体的にどうということになりますと、事実上の制約は何もございません。それから皇室との間は、いわゆる社交的と言いますか、御交際は勿論ございます。それからいろいろと御連絡も私的な面においてはおありになるように存じます。それから経済上のことになりますと、もう離脱せられましてから、二年近くになりますものでございますから、実は私共も経済の本当の内輪のところまではよく分らないのですが、併しながら大体において総括的に、総合的に私共の存じておりまする限りにおいては、いわゆる十分とは参りませんし、非常にお話のように御不自由な点が随分あると思います。そうしていわゆる幾らこういう時代になりましても、昔の家の格とそれから品位というものを保持することはあると思いますけれども、併し私共経済上特はどうにもならないと、こういうふうにお困りになつているような状況にあるところは見受けられないのでございます。
#147
○委員長(伊藤修君) 外にお尋ねありませんですか。ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#148
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて……明日は今日の法案の質疑の残余をお願いいたしまして、次に刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、檢察廰法の一部を改正する法律案、民法の一部を改正する法律案、この四件を明日審議いたしたいと存じますから、予め御承知を願つて置きます。
 もう一つお諮りして置きたいのですが、公証人法につきましては、弁護士会と公証人会と裁判所のどなたか、この三者の方の御意見を承わりたいと思います。証人として御意見を聞かして頂く、こういうことにいたしたいと思いますが如何でありますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(伊藤修君) さよういたしまして、日にちは委員長一任、人名も御一任願うことにいたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#150
○委員長(伊藤修君) では本日はこれで散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。
   午後四時五十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           深川タマヱ君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  委員外議員
           板野 勝次君
  政府委員
   宮内府次長   林  敬三君
   國家地方警察本
   部長官     斎藤  昇君
   法務政務次官  遠山 丙市君
   檢 務 長 官 木内 曾益君
   法務調査意見長
   官       兼子  一君
   法務廳事務官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
   法務廳事務官
   (民事局長)  村上 朝一君
  説明員
   法務廳事務官
   (法務行政長官
   総務室主幹)  関   之君
   法務廰事務官
   (最高裁判所事
   務総局総務局
   長)      内藤 頼博君
ソース: 国立国会図書館
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