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1947/11/12 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第18号
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1947/11/12 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第18号

#1
第001回国会 予算委員会 第18号
  付託事件
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第七號)(内閣送付)
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第八號)(内閣送付)
○昭和二十二年度特別會計豫算補正
 (特第三號)(内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月十二日(水曜日)
   午後三時二十九分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第七號)
○昭和二十二年度一般會計豫算補正
 (第八號)
○昭和二十二年度特別會計豫算補正
 (特第三號)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開會いたします。議題は昭和二十二年度一般會計豫算補正第七號、昭和二十二年度一般會計豫算補正第八號、昭和二十二年度特別會計予算補正特第三號に對しまする質疑を行いたいと存じます。石坂豊一君
#3
○石坂豊一君 私は豫てから委員長にお願いして置きました通り、冒頭において片山首相にお尋ねをいたし、それより各國務大臣に對し派生する問題を伺つて見たいと考えておつたのでありますが、總理の御都合でまだ御出席がないようであります。併し再三の本委員會の繰延べでありますから、ここにおいて餘り前説を固執することもできないと思いまするから、先ず以て途中のようでありますけれども、文相に對して質疑をしたいと存じます。幸いに御出席でありますから、文相の御髪辯を願いたいのであります。先ず私は文部省の所管についてお尋ねするつもりでありましたが、その前において、本日の本會議において、中西議員よりの質問に對して御答辯になつた事項に對し、文部大臣が國務大臣として御答辯になりました事項に關聯して、これ又全く豫算問題から起つたことでありますが、それについて御所見を質して置きたいと思うのであります。本日中西議員が共産黨を代表せられまして、質疑をせられました中に、國務大臣は嘘をついてはいかんというような、冒頭からして總理の言責竝びに文相の言責を追及せられたのであります。その際に、文相が衆議院議員として、第九十二議會の豫算反對の演説を引用せられまして、現在の追加豫算と比較して、これを文相に詰め寄られたのであります。文部大臣はこれに對するお答えにおいて………あ、總理が見えましたな………お答えにおいて、私は右橋財政に對して、これは實に日本の經濟危機を招來する危險性があるからというので、各種の論點からこれを論難した。正にその通りになつた。故に我々はこれを又救うがために、今囘の追加豫算を出したのであると、こういう御答辯であつた。正に私はその席におつて聞いたのでありまして、言い廻しは勿論違いますけれども、御趣意はその通りに歸結すると思う。私は敢て石橋豫算を辯明する考えは持ちません。私共も石橋豫算に對して、完全無缺のものとは考えておるのではないのでありますが、又これは黨を代表して私はこれを敢て辯明する者でもない。ただ私がその當時の考えで、國務大臣として、文部大臣は一國の通義の育成に對して非常なる責任を持つておられる。その地位においていささか暴言ではなかろうかと考えた。というのは、石橋財政のつまり石橋財政によつて組まれたところの豫算が、この經濟危機を齎した、故に、我々はそれを直すためにこの補正豫算を出したと、こう言われるに至つては、非常に御責任が重いと私は思う。片山内閣が成立しましたのは、社會黨が衆議院によつて、絶對多數ではないが、比較多數になつた。その結果我々も一緒になつて、憲政の常道において片山さんを指名して、内閣を組織して貰つた。その内閣を組織せられて就任せられたのは、年度内僅かに二ケ月の間にできておる。石橋財政を實施した二ケ月の間に、非常に自分の豫言通りになつたから、この補正豫算を出したということを言われるに至つては、いかにも責を石橋財政に轉嫁して、自分たちの政治の力によつて、これを引直して行くという大言をせられるということに相成るのであつて、さようにお考えになつたならば、何が故に今日まで補正豫算の提出を遷延せられ、而して經濟危機の將に極點に達せんとする今日の事態を招來せられたか。私はその點を伺いたい。總理大臣はその席におられましたけれども、これは直接文部大臣の口から出たことでありますから、冒頭において、文部大臣からこれに對する御所見を明瞭にして述べて頂きたい、こう考えるのであります。
#4
○國務大臣(森戸辰男君) 只今石坂委員から御質問でありまして、本會議における私の答辯について、私が石橋財政が今日の經濟危機を持つて來たから、それでこの補正追加豫算を提出するに至つたというような意味の御質問でありましたが、それは恐らくお聞き違いであろうと思うのであります。私の申したのは、石橋財政の不健全性ということの重要な第一點としては、この豫算で行けば、必ず足らなくなつて來て、あとから追加豫算が出て來る。二倍或いは三倍という結果になるのである。そういう點に重點を置いた不健全性がある。實際にそうなつたと。かように申したのであります。その點實は遺憾ながら、その通りのようなことになつておるのであります。經濟危機の接來がそれによつて持ち出されたというような意味のことは一言も申しておりません(「そうだ」と呼ぶ者あり)
#5
○石坂豊一君 いずれ速記を見れば分るでありましようが、それをお聞きになつた方は多數おられるでありましよう。正に私の豫言通りになつたとおつしやつた。即ちその豫言通りということは、石橋財政を攻撃するところの言論から持つて來ておることと私は信じます。さようなことになりますというと、果して石橋財政の運用によつて編成された豫算によつて接來したかどうかは非常な問題だろうと思ひます。この經濟危機のよつて生ずるところは、單に石橋財政の運用によつてできておるものとは何人も私は考えておらんと思います。若しさようなことがあつたら、それは偏見である。勿論各種の事情があつて、その豫算に伴纏するところの經濟事象が起つたのではあろうが、正にその通りであつた、この豫算からかようなことになつたという意味のように聞き取れました。併し只今の御答辯につきましては、更に速記録があることでありますから、それによつて見ますが、只今の御答辯によつては、私は改めて申上げることにして、この貴重な時間を費やす意思はありませんから、これをその通りに聞いて置きたいと思います。何かお答えになることがあれば聞きますが、さもなければ、總理大臣にお聞きします。文相、いかがですか。
#6
○國務大臣(森戸辰男君) 私の言いましたのは、不健全性についてその通り………政治道徳に嵌らんというような御質問があつたので、私は不健全性という點に重點を置いたのはこういう意味であるということを説明いたしましたので、從つてこういう豫算を組むと追加豫算が必ず出るであろう、そうしてその通りに、實は大きな追加豫算が出るという事態になつたということを申上げたのであります。これは速記録を御覽を願いたいと思います。
#7
○石坂豊一君 石橋財政の不健全性についての見方は、これは議論の分れるところでありますから、敢てそこを私は言うのではありませんが、言葉の中に、頗る穩やかならんところがあると考えますから、一言御意見を聞きたく、貴重な時間を費した次第であります。いずれ又この問題は後に速記録の結果によつてお質しするかも知れませんから、それだけ留保して置きます。總理がお見えになつておりますから、總理に若干お尋ねしたいと思います。先ず現内閣において今後提出せられるお見込の追加豫算はどんなものがあるでありましようか。お分りならば今後追加豫算が出るか、出ないか。又出すならばどんな程度のものであるということを伺いたいのであります。
#8
○國務大臣(片山哲君) できるだけ追加追加と重なることを避けたいと思つております。但し六・三制の後の金額につきましては財源をいずれに求むるべきかということは大藏當局において目下檢討中でありまして、豫備金によらない場合におきましてはどうしても追加豫算によらざるを得ないということになりまするので、資材等も睨み合わす必要がありまするが、その場合におきましては追加豫算を計上しなければならない、お諮りしなければならないということになると思います。その他の問題については今のところ確たる案件は考えておりませんが、突發的にそう大きな金額でない費目が或いは出て來ないとも限らないというふうに考えておるのでありまして、これは財政當局とよく檢討いたしたいと思つております。併しできるだけあとあとと尾を引くようなやり方はしないで行きたいということが私共の考えでありまして、この追加豫算案の遅れました所以というのも、できるだけ包括して一時に纒めて御審議を願いたい、こういう考慮が十分に拂われたものでありまするから、非常に遅れたような結果になつたのでありまして、その點御了承願いたいと思います。
#9
○石坂豊一君 追加豫算の檢討は六・三制の實施に伴うことを指摘せられましたが、然らば内務省の解體竝びに司法省の變革、こういう行政機構の變更に基くもの、そんなものはいかがなことに運ばれるつもりでありますか。
 又もう一つは、首相は行政機構の整備竝びに人員の整理を斷行せらるるようにも考えます。又先に本會議におきまして、同僚の方よりの質問に對して國務大臣より御答辯になつておりますが、總理大臣より直接の御言明を伺つておりませんが、この場合において行政整理をどういう程度で實行なさるか、その點をちよつと伺います。
#10
○國務大臣(片山哲君) 豫算の技術上のことを心得ておりませんものですから、先程ちよつと言い落しましたが、内務省解體及び法務廳の問題、それから石炭國管問題が通過いたしました際における處置、これはまあ假定の問題でありまするが、そういうような費目が法案の制定と相呼應いたしまして追加豫算に必要なる費目が計上せらるることとなるという考えを持つております。
 尚行政整理の問題でありまするが、これは本會議においてもお答えいたしましたことでありまするが、大きな問題でありまして、政府におきましては愼重に考えつつあります。行政機構の改革に手を著けておるのでありまして、目下齋藤國務相が中心となりまして機構の改革からやつて行こう、殊に内務省の問題と法務廳の問題、法務院の問題、これに伴いまする各種の影響等を考えまして、相當廣範圍に行政機構の改革、從つて行政整理を伴い、更に又人員の問題にまで及んで參るのであります。これらの問題は愼重考慮いたしまして、追加豫算の問題に現れないで、來年度の豫算に計上せられる運びとなると考えております。
#11
○石坂豊一君 私は今の御言明のうちで、石炭國管の問題も追加豫算の中に現われるかも知れんというお話でありましたが、この石炭國管は不日實施されましても來年度になるものと私は考えておつたのです。それで追加豫算は殊更出ておらんことと考えておつた。只今總理のお話ではこれは假定の問題だとお話でありましたが、然らばこの國管は通らないでも差支えないお考えでさようなことをお考えになるのでありますか。内閣に若しこれを絶對に通す所信があるならば、追加豫算としてこの補正豫算に當然要求せらるべきものではなかつたのでありましようか。何だかこうくだらないことをほじり立てるようでありますが、これは非常に大きな問題、是非通すという考えであるならば、先ず以てこれに必要なるところの追加豫算を補正豫算に入れなければなりません。私はその所信あるに相違ないと思うておつた。けれどもこれが來年度に實施するのであるから、それまでは既定豫算の範圍においてやれるから、特に除いておるのださように考えておつた。ところが、只今の答辯によると、それは出すかも知れん、そうすると片山内閣の所信は場合によると潰れるか知らん。不要のものならば出さんでもよいと、一定の草鞋をお履きになつておるものと考えますが、いかがですか。
#12
○國務大臣(片山哲君) 國管案は是非とも政府といたしましては通して頂きたいと考えております。諸君の御協贊を得まして、この内閣の重要政策として殊に石炭増産を目當てとする國管案でありまして、殊に現下産業發展のために最も必要な對策である、かように考えておりますので、是非とも通過を執望いたしておる次第であります。決して一定の草鞋を履いて輕く考えたり、通らないときの對策をというような考えは毛頭ありません。ただ内容をどう豫算に盛るか、その増産計畫の機構の組み方等によりまして、豫算の組み方が變つて來るものでありますから、それに應じて直ちに遅滯なく對策を立てようと考えておりますので、先程さような意味で申上げたのでありまして、決して一定の草鞋の意味ではないということは御了承願います。
#13
○石坂豊一君 只今の石炭國管に對する御所見についてはお答えに私は滿足する者であります。それ程の決心を以て進んで頂きたい。私共は追加豫算をお出しになるべきであるが、これは年度の都合で出しておられるものと考えておつたところに、片山さんの御返事が何だかその邊徴温的な御答辯がありましたから、これを附加えたのであります。
 次に伺いたいのは、先程文部大臣にちよいと伺つたのでありますが、石橋財政の編成した豫算は、經濟危機を孕むものであり、又このような豫算では大變多額の補正追加を要するものであるというお考えであつたが、そういうお考えであつたならば、なぜもつと經濟危機がこれ程深淵にみすみす陷らない前にこの追加豫算を早く出すべきでなかつただろうか。勿論この間において政府當局の御苦心せられていることは萬々拜察をいたしております。私共は豫算委員會ができましてから、即ち新憲法によつて參議院ができまして、立ちどころに予算委員會ができ、而して大藏大臣が更送になつて、新大藏大臣はここに豫算の内容までも持ち出して説明なさつた。その後延び延びになりまして、三ケ月經つて漸く出た。當時言明せられてから三ケ月經つて漸く出た。この間においてやり難いことは萬々拜察しておる。併しながらそのうちでも、その了解を得られることを放つておけば一層大變なことになるというようなお考えであるなら、もう少しこの期間を縮められることができたのではなかろうか、かように考えるのであります。私は敢えて難きを求める者ではありません。ポツダム宣言を受諾し、十九年九月二日の覺え書によつて、敗戰の慘めなる境遇に陷つている國家としては、やり難いことが萬萬あるということは拜察しております。併しそのうちからも重要なる國策に對しては、斷乎としてやはり進むところがなければならんと思う。非常に元の石橋豫算なるものは惡い豫算であるということをお認めになつておることであるならば、これに對處するところのもつと何かやり方があつたのではなかろうか。六月十一日に經濟緊急對策なる八項目を發表になつております。なつておりますが、併しながらそれは一つの意見であつて、これを實行するのにはどうしてもこの補正豫算というものがなくてはできない。これは初めから分つている。それが内閣成立後、即ちその聲明した後において殆んど半歳に近い期間を要したということは、誠に御尤ではあらうが、その點についてどこにか内閣の御處置において水の漏れたというわけではなからうか。どこかに漏れたことがあつたのではないか、かように考えます。併しそんなことの御返事を求めてみたつて、私は難きを片山さんに求めるようなことであるならば、敢えて返事を求める者ではないが、いかにも緩慢であつた。豫算提出の緩慢であつたというだけの點はお認めにならなければならんと私は考えますが、その点はいかがでございまいようか。一應……。
#14
○國務大臣(片山哲君) 形の上から申しますと、非常に緩慢であつて、インフレ防止に對する具體的な豫算案を最近になつて漸くこれを提出するということになりましたのでありまするが、現下の情勢におきましては誠に止むを得ない情勢でありまして、各方面の意見を聽き、愼重に考慮し、且つ今お示しになりましたような、ポツダム宣言受諾の我が國の立場といたしましては、戰爭の整理のための豫算でありまするから、勢い遅れざるを得ないということは十分に御了承を賜ることができると思うのであります。尚このイフフレ問題につきまして、私共は前内閣のやり方を誹謗したり、或はこれを非難したり、批評したりということを申しておるわけではないのであります。現在進行しておりますイン船レを防止するために全力を傾倒して先ず緊急對策を立て、物價體制を確立してこれを裏付け、これを實現し、これを具體化するための豫算、こういう段階を追いまして、政府の考えておりまする政策を國會に問う。こういうようなやり方で進んだのでありまして、政府の方針をどこに置くかということになりますと、産業發展の政策、經濟秩序の維持のために流通秩序を確立して、經濟力の囘復をやつて行かなければならないという建前を堅持して、どこまでも財政を健全にして、赤字財政でない、健公財政でやつて行かなければならないというところに非常に努力し、閣議も數囘重ねて檢討を続けたためにかように遅れたような次第であります。その點は石坂氏は多年のいろいろの御經驗によつて十分にお認め願えることと思います。
#15
○石坂豊一君 政府當局、殊に片山總理が殆んど寢食を忘れてこの經濟對策、その他法律上、政治上、民主主義政治の立法に努力せられておることは私は萬々承知いたしております。承知いたしておりますが、いかにも事柄の決定が餘りにも時を重ねておる。その點を私共は遺憾に存じておるのでありまして、これは強いて片山内閣の責めに歸するわけではありませんけれども、いかにも我が國の國情においてかようなことになることを私は遺憾に存じております。而して只今我々の前に展開されておりまする追加豫算については、政府より非常に親切な解説書が我々の手許に廻つております。これによつて見ますると、この追加豫算の原因は二つある。一つは人件費、物件費に對する物價騰貴、一つは經濟緊急對策實施に伴う流通秩序の確立、企業經營の健全化を期待するために緊急なる費用竝びに失業對策を實施する。そこに以て來て不幸にして大なる方害に遭つた。その災害の復舊等を當て込んでなされたことでありますから、その經費は相當の額に上るものと我々は勿論考えておつたのでありますが、併しそれにしても誠に大きな豫算でありまして、我々貧弱なる委員としてこれを乘り切れるかどうかも、呑んでよいのかどうかも分らなくなつておるのであります。先に發表せられたる經濟對策、政府の發表によりますると、第四項の第三においてこういうことを言つておられる。「止むをえない歳出の増加は、極力現行税制の適正な運用によつて補う、」今あるところの石橋財政によつて作つた税制の範圍内において追加豫算を認めて行こう。併し事情によつては増税をも考慮する。併し輕く扱つてある。ところが、今度の増税なるものはどうかと申しますと、六百二十億ばかりの本豫算の増税に對して、驚くなかれそれとほぼ類似の五百七十億以上の増税が伴われて來ておる。これは第三項にあるところの事情によつては増税を考慮すると輕く扱つた程度のものでありますかどうか。何人もこれに對しは異論を差狹まざるを得ない。勿論その間においては豫期せざる天災もあります。併しその天災の復舊費に廻る金というものは九牛の一毛、あとはそうじやないのであります。更に又我々がこの日本の現状においては何を差置いても空襲によつて破壞されたるところの、戰爭によつて殆んど撃滅されたところの戰災都市、全國に互るところの百十九の大小の都市、これを復興してやるということが何より先でなければならん。又全國において四百萬からの家が足らん。この家が足らんがために路頭に迷うておるところの家なき人が二千萬に余つておる。こういう状態をどうしても救わなければならん。耶律楚材の言を籍りるのではないけれども「一利を興すは一害を除くにしかず」で、ここに一利を興す前にこれらの苦んでおる者を助けて行かなければ經濟再建も何もあつたものではない。六・三制の實施も何もあつたものではない。その點に對してどうこの豫算が觸れておるかというと、少しも觸れておらん。却つて戰災復興院の經費なるものは五百七十萬圓も減されておる。内閣の經費の收縮したところの總豫算は二億何千萬圓、内閣は諸般の官衙が含まれておる、その含まれておる中で一番大きな縮減の仕方を受けておるものは戰災復興の費用である。これを見るというと、どうも經濟緊急對策なるものに唱えられておることは肝腎の點において空文に歸しておるのではないかと私は考える。私は片山さんの人格を尊重し、かの軍閥跋扈の時代においては翼贊會反對の陣頭に立つて片山さんと運動した。僅かに三十七人の者が四百五十人の者を外へ廻して私共戰つたのであります。その苦んだところの同志であります。又現に私共は總理として片山さんを信じて投票用紙に書いた一久である。決して片山内閣の短命なることを希望する者でもなければ、この内閣に楯突く意思は持つてあらんけれども、天下に向つて公表したる一つの對策を立てられたそのものに對して、これに對して幾分かでも信を置くことのできない點があつたならば、お諌めもするし、苦言を呈することも止むを得ない。その見地に立つて申上げるのでありますが、私は戰災復興院に對する政府の補正豫算に對していかにも輕く見てあることを遺憾に存じます。この點に對して先ず總理の御意見を承りたい。いづれ又具體的の例を申上げますが、この點を一つ辯明を願いたいと思います。
#16
○國務大臣(片山哲君) この敗戰國の財政をやりくりして産業復興に向わしめ、而も健全財政でこれを賄つて行くということには非常に努力を要するのであります。この意味におきまして止むを得ず削減するところもありまするし、又國民の協力を求めるために税金の過徴を願うというところもありまして、思わざる結果を來することは甚だ心苦しいのでありますけれども、これ又止むを得ない事柄ではないかと思うのであります。何しろ歳入が缺乏して産業が擧らない結果、國民所得の點におきましても、缺くるところがあるのであります。併しどうしても國民全體の努力によつて再建しなければならないのでありまするから、國民全體の分に應じたる負擔に願う、こういう意味で、一部からは大衆課税と言われまする大衆にも負擔をして貰う。又できるだけ資力のある方面には、その資力に應じて税金の過徴を求める。こういうようにしまして、財源を多く求めて、この多端なる國家萬般の仕事を處理して行きたい。こういうことで追加豫算に非常な骨を折つたわけであります。税金の問題につきましても、できるだけ擔税能力のある方面より税金を集めて、生活の勞苦を嘗めておる方面には輕い負擔でやつて行かなければならないという建前を取り、且つ又一面においては産業の萎徴沈滯を來たすような課税方法もよろしくないと考えまして、非常にこの點に苦心をいたしたような次第であります。併しどうしてもこの全般を睨み合して行かなければなりませんので、農民の要求を聞くと同時に、消費者、勞働大衆の意見も聞くというような場合におきましては、假りに米價の問題を決定するにつきましても、生産費を割るような場合がありましても、米價の決定は全體の物價體制と睨み合して行かなければならんものでありまするから、農民に辛抱を願う。消費者大衆には、國家が今まで差額を負擔いたしまして、消費者に安く供給しておつたのでありまするけれども、國家がこれを背負つて行きますると、やはり赤字を出さなくちやならんということになります。赤字を出して行くと、結局それは國民大衆の負擔を更に過重するし、財政の健全性を破壞する、從つてインフレは進み、物價に影響して來るというようなことになりまするから、どうしても國家の赤字を除いて、消費者大衆にも高いけれども負邸をして貰わなければならない。こういうように各方面を睨み合せまして、非常に若慮いたしました結果、インフレを防止するという建前を堅持するの追加豫算案として計上されたようなわけでありまして、乏しきを分け合つて、そうして祖國を再建するのに、分に應じて國民各階層に亙つて、國民全般に亙つて、それぞれの能力に應じて國家再建費用を負擔して貰いたいということが私の念願であります。甚だ總括的な答辯でありまするが、細目の點につきましては、政府委員から御答辯いたしたいと思います。
#17
○石坂豊一君 片山則相のお考えを正しいと私は思う。併しながらそのお考えがこの豫算案の上に現われておる場合に、實際問題として私共が考えておりまする戰災復興等に對して非常に輕く扱つておる。又國民全體が最も希望しておるところの住宅問題なども殆んど拒否してある。それはどういうことになつておるかと申しますと、住宅復興資材は物價騰貴若しくは資材の關係上相當にこれは追加をなさらなければならんのに拘わらず一錢の追加もしてありません。六億八千萬圓あつたものを据置きにしておる。これで戰災都市は果していつになつたら復興するか、尤も戰災都市は住宅ばかりじやありません、國土計畫の上からもいろいろ檢討しなければなりませんけれども、先ず以てそこに住むところの住宅というものは大なる關心を持つ、重點をなすべき家のない者がまだ四百萬もある。この報告は現在政府が經濟白書において發表なされておる。それに對していかにも力の盡し方が薄いから、この點を私は總理の御言明を求めておるのです。而して住宅については、日本の今日の住宅としてはバラツクのようなものを建てるのが政治問題になつておりますが、先ず以て要するものは木材であります。その木材に對する對策のごときものは、實に私には理解できない状態になつておる。今片山總理は農林大臣を所管なさつておるが、あなたの所管なさつておる農林省の國有林野の豫算を見ますというと、どんなことになつておるか。國有林野は收益事業でやつておるのであるから、儲からないような仕事はよすのだ。民間の間伐などはもう契約の分を除いてこれを打切つてしまうということで、素材にして九十萬石を減じておる。最初の豫定より……。又國民がこの冬に向つてどうして冬を越すか。炭のごときはまだ一俵も配給されていない。そういう場合において木炭の製造が六百萬貫の減少を來たしておる。そういうことを公然とここに謳つてある。私はこの點について理解に苦しむ。政府は石炭は國家管理でやるべし。自分の所管にある、日本國を眺めて農林省の國有林野くらい廣い持主はないのである。その一番大きな山林の持主が木材を出すことを止める。全然止めたのではない。減少して行く。あとは誰が出すのでありましようか。木材は外國から入つて來ません。日本内地において増産するより以外にない。然らばその増産ができないかというと、木材くらい自由自在に行くものはない。米や麥と違つて、凶作もなければ豐作もない。多年の蓄積によりまして、多く出さんと欲すれば出せる。止めようと思えば一本も出て來ません。そういう政策によつて自由自在に行くときには、私はこの場合においては成るべく多く木材を出して、山林が荒廢するということはありますけれども、農林省の國有林野の技術員などはそんな亂暴なことをするもんでありません。みんな施業案というものを立つて、その中から出て來るその出材を幅を縮めて行くということは、これは果して今日の住宅復興に對する對策として當を得ておるでありましようか。片山總理はそれでも差支ないのであるか。木材はどこからでも出て來る、木材は一番潤澤に出て來るということは言明できるでありましようか。その點を農林大臣であり又首相として御答辯を願いたい。この現にあります説明書に基いて私は伺つておるのであります。
#18
○國務大臣(片山哲君) 復興事業に主力を集中いたしたいということは、石坂君と全然同感でありまして、何とかしてこの荒廢せる状態を囘復して、家屋のない方々に住居を與えなければならないということを考えておるのであります。復興院總裁ともその點については十分に連絡を取つてやつておるのであります。但し復興計畫は全國的に亙りまするし、且つ又都市計畫とも關聯いたしまするし、いろいろの點において、ただやたらに家を建てたらよいというわけにも行きませず、その他の資材とも睨み合しまして、できる範圍内において早くやりつつあるのでありまするが、現状のような状態でありまて、せいぜい努力いたし、住宅を與えて住宅政策の上に遺憾なきを期したいと考えておるわけであります。細かい材木の問題については私深く了承しておりませんので、できるだけ多く出したいということをも考えておりまするし、國民の便益にこれを供する方法を取りたいとも考えております。現在の手續上等については遺憾の點は十分に是正いたします。實際の取扱いは政府委員がお答えいたします。
#19
○委員長(櫻内辰郎君) 總理の次の時間が來ておるんだそうです。今日は……。
#20
○石坂豊一君 そうすると、もう一、二點伺つて……。
#21
○委員長(櫻内辰郎君) それじや簡單にどうぞ……。
#22
○石坂豊一君 端折りまして簡單に伺います。序でにちよつと伺いますが、いずれ政府委員に問えということであるから、その點は又拔かりなくお問いもしましようが、この冬を迎えまして木炭の配給がない。私も随分、北陸の生れでありますから、寒いことに耐えることにおいては、決して人後に落ちないつもりでありますけれども、この頃の寒さに對して一俵の炭も配給がありません。又年内に配給できるかできんか分らない状態である。半俵ぐらいあるかも知れん。私は一昨日玄關を開けますると、私早起きしますから、開けますと、小さな女の子がリユツクサツクを背負つて玄關へ飛び込んで、そうして何か、泥棒にでも入るのかと思いまして、大喝一聲しました。ところがどうか小父さん、助けて下さい。今停車場に著きましたところが、お巡りさんに捕まるところですから、逃がしてくれ。何のことかと思うと、山梨縣から炭を背負つて、闇賣りするために來たんだ。押えられると大變なことになる。どうか十分か二十分、お巡りさんの行くまでかばつてくれということである、どういうことかと聞いてみると、自分の村は山間の村で、そこの澤山の炭がある。然るに通路が惡くて、そこへ積取りに來ない。供出するために行きたいけれども、供出地まで随分遠い。そこで背負つて停車場へ出るのと餘り違わん。どうでもこうでも停車場を辿り著くと、東京へ持つて來ると高い価で賣れるから、持つて來たと言う。小父さんの所で買つてくれんか。幾らだ。一俵四百圓……。驚いてしまつた。それじやどうも買うわけに行かん。いや、逃がしてくれたから、まだ安いんだ。當り前なら四百五十圓なんでけれども、五十圓引いて置くんだというのでしたけれども、私は買いませんでした。ところが、後で聞いてみると、その附近の成る家で喜んでそれを買い取つた。又その娘の言うのには、私は或る所へ持つて行くつもりであつた。そこに赤ちやんがあるので、おむつを乾すのに炭がなくては困るので、幾らでも持つて來てくれ、こういうことであるけれども、怖くてそこへ持つて行けない。こういうことであつた。而して私共話を聞くと、山に炭が滯貨しておる。私共も亦その現場を知つております。昨年の今頃は私は富山市長をやりまして、炭の配給に非常に苦心した。やはり山へ行つて見ると、炭は滯貨しておる。なぜそうなつておるかというと、戰爭以來道路改修を放つて置きましたから、トラツクの運送ができないのであります。これは都市の復興と同時に、治山治水のために、この交通道路の全國的復舊改善を圖るということは、日本の再建に最も必要なことと私は考えておるので、この質問も實は總理にいたすつもりでありましたけれども、今お急ぎであるから、これは差控すますが、先ずかようにことにして、あなたの所管の木炭の薪炭林が寄り得るのであるかどうか。非常に不安である。どうかこれは、幾日間御兼攝になつておるか分りませんけれども、急速にその係の者を督勵せられまして、速かに薪炭を帝都に寄せて、多數の寒さにふるえておる者を助けるように一つなさることが、あなたの所管事項の重大なる仕事でなかろうかと考えるのであります。差當つての問題でありまするから、これに對するお考えを伺つて置きたいと思います。
#23
○國務大臣(片山哲君) 闇の撲滅ということは、逸早く現内閣の重大政策の一つとして掲げておることでありまして、どうしても流通秩序の確立を圖りたい、家庭には配給で生活のできるようにしたい、こういうスローガンの下努力しておるのでありまするが、なかなか困難を覺えて相濟まないと思つておるのであります。千八百圓で辛抱して貰うという問題につきましても、野菜であるとか、魚であるとか、そういうものが十分に配給面に廻つて參りまするならば、赤字家計というものも除かれまして、餘程千八百圓を維持する上において利益が得られるだろうと思つて、今農林當局に對しましても、その點を強く命じておるような次第であります。從いまして今右坂君の御指摘になりました薪炭につきましても、この冬を控えて是非とも廻さなければならない。殊に電力が非常に調節制限されて來ておる時でありまするから、是非とも消費大都市には、炭の廻るようにしなければならないといつて、非常に督勵をいたしておるような次第であります。これは政府は勿論、その責任者といたしまして、各關係者に嚴命を下しまして、十分配給面に廻るように努力しておるのでありまするけれども、いろいろの故障がありまして、遺憾の點が多いので、特に全體の強い後押し、御協力をお願いたしまして、そうして闇の撲滅に對しましては、國民全體の運動といいますような意味に展開して頂くと大變弁利ではないかと思つておるのであります。これは政府が易きにおつて、國民に責任を轉嫁するというようなずるい考えは一つもないのであります。效果を十分に擧げるのには是非ともそうしたいと考えておるものでありまして、十分關係當局を督勵いたしまして、配給の面に薪炭その他の物が廻るように、必需品が廻るように最善の努力を拂う決心をいたしております。
#24
○石坂豊一君 もう一つ序でに、國民生活に非常に密接な關係ある問題でありますから、お急ぎのようでありますけれども伺いますか、主食の配給につきまして、實は東京はかような窮迫しておるということを私は存じませんでした。私はやはり遠く富山に本居を構えておりまして、議會召集中は參つておるのでありますが、十月中米は勿論、主食の配給について、主食は十一日半遲配になつておる。その後十一月の新米穀年度に入つておるようでありますが、伺つたところによりますと、この十一日分に對して、十一月の新年度において十九日分を配給することに表向きは決めるが、併し九日分を棚上げして置く、こういう通牒がその向へ參つておる、こういうことであります。そうすると差引して若干の間が切れることになりますので、政府の新年度扱いとしては、舊年度と新年度の取扱いがよいことになるだろうけれども、市民の腹の中はそうは行かない、やはり遲配になつておつても食う物は食つて行かなければならん、その間において、これは止むを得ず闇買いをするか何かしなければ過せるものではありません。私共もやはり非常に不自由な家庭におるのでありまして、毎日「とうもろこし」の粉とお芋を食べ、私の持參して來ておる米は漸く三日に一遍ぐらいして炊いて呉れない。そういう生活を續けて、私の辨當などを御覽下されば分るが、いつも「とうもろこし」のパンを持つて來ておる。そんな状態で、友たちでもおりますと食堂に入つて食べますけれども、普通はそういう食事をしておる。而して又夜分になると急いで歸りませんと眞つ暗になる。五時判頃からはずつて電氣が消えてしまう。總理大臣の官舍だけはいつでも皎々として電氣がありましようから、夜夜中でも平野さんと睨めつこせられるようなことがあつて、何でも夜を撤して、明け方の四時になつてということでありましたが、歸りにも自動車がありましようし、どこも明るいからそんなことができるでありましようが、そんなことは國民から見ると誠に羨望の至りでありますので、東京に家庭を持つておる人の大部分というものは、生活というものはなつていません。これは最も大衆に身を投じておられる片山さんが夙に御承知でなくちやならんことでありまするが、而して生産地はどうかと申しますと、我々は米の産地の者でありますが、もうすでに割當の五割五分は出ております。六十五萬石も消費地へ持つて來ておる。然るに米なんかは少しも配給はしておらなん。今の出てありまする米は早場米米が多くあるのでありまして、餘り長いこと惜んで倉庫に入れて置きますと腐つてしまいます。米の檢査といつても名ばかりであつて、そうして早く出した者には報奬金をやるというのですが、私は早場米出荷に對しては報奬金は要らんと思います。早く出したがつておるところへ、早く出せば報奬金をやるというので喜んで、二日乾すのを一日乾して早く精米して持つて來る。これは惜し氣もなく配給なさつた方がよいと思います。どうかこの點に對して農林大臣として善處して下さつて、都會の者をして少しでも、他の進駐軍の恩惠によるところの食糧は有難いが、それ以上に國内の米にありつかせるようになすつた方がよいんではなかろうか。一文惜しみの百知らずで、やがて米は腐つてしまつて、これならばやるんだつたというような後悔のないようななすつた方がよいと私は考えますが、この點についてはいかがでございますか。
#25
○國務大臣(片山哲君) 十分督勵いたしまして、御趣旨に副うようにしたいと思います。私共もその點は同感であります。極力流通秩序の碓立、闇撲滅に努力いたすつもりであります。
#26
○委員長(櫻内辰郎君) 総理大臣に對しまする質疑はいずれ次會に讓りまして、文部大臣がお見えになつておりますから、文部大臣に對しまする御質疑をお願いいたしたいと存じます。
#27
○藤田芳雄君 私のは簡單でございますから……。前日來の質問によりまして、六・三制の初め豫定されておりました十四億のうち半分の七億に削られた、後の七億は何とか出すようにするというお話がございましたので、それは分りましたが、その際に地方負擔にするところの十七億というものがどんな取扱になるのか、まだ話を聞いておりませんが、七億に減らされた今の十億の取扱いはどうなるのか。又次に七億を追加される場合に、それがどう變つて行くのか、その點をお聽きいたしたいと思います。
#28
○國務大臣(森戸辰男君) 只今の御質問でありますが、國庫負擔が十四億から差當り七億になつたのであります。地方の負擔の十七億というのは、その枠は大體その形て維持するということになつておるのであります。
#29
○藤田芳雄君 そこで文部當局で考えられておりますことは、三十一億でさえこれが不足な分である。初め豫想したものから見ますというと、正に半額にも及んでおらない。それですからこれは當然次の二十三年度の豫算において考慮をせねばならん問題だと思うのでありますが、二十三年度においてはすでに編成されつつあるものと思いますが、文部當局におきましてはどんなような考えで折衝しておられるか、或いは立案しておられるか、その點を伺いたい。
#30
○國務大臣(森戸辰男君) 十四億のうち七億、差當りこの度の追加豫算に計上されたのであります。殘りの七億につきましては資材その他の状況を勘案いたしまして、別途に何らかの形で本年度中にこれを補足するように極力努力いたしたいと存じております。尚來年度のことにつきましては、六・三制は來年度がいわば山でありまして、この點につきましても最善の努力をいたしまして、いろいろ國の經濟も樂でありませんけれども、六・三制が最小限度を貫徹されるようにと財務當局とも交渉をいたしておる次第であります。
#31
○藤田芳雄君 やはりそれに關聯しまして、先日本院におきましても、教育費を全額國庫負擔にするというような請願を採擇して、政府にも送つておるのでありますが、それらについてのいろいろの處理も考えられておることと思いますが、やはり次年度のその豫算の中には相當考慮されておるものと信じますが、その點いかがでありましようか。
#32
○國務大臣(森戸辰男君) 只今の御質問で、六・三制の必要な費用は全額國庫負擔であることで望ましいということは、本院の考え、その他諸方面からも承つておるのであります。六・三制が義務教育である點、又地方の財政が非常に窮乏しておる點等を考えまして、その方向に努力いたすつもりでございますけれども、他面御承知のように日本の國家の財政は非常に詰つておるのでありまして、この私共の望むところがどの點まで實現できるかということについては只今確言は申し難いのでありまするけれども、そういう方向にあらゆる努力をいたしたいと考えてはおるのであります。
#33
○藤田芳雄君 そこで現代の國民の感情及びその教育される兒童生徒は、この少い豫算のために全く教育ができないような状況になつておりまして、それの精神的な影響は非常に大きいものである。その上この度の追加豫算で、とにかく形だけでも七億に減らされた、或いは次年度における見通しもないというようなことになりますと、これは生徒兒童に與える影響のみならず、國民全般が、あの大多数の國民が國庫全額負擔を願い、或いは六・三制の完全實施を願つておるあの大部分の國氏の期待を裏切り、或いはその不安を驅り、國家全體としての影響するところも非常に大きいと思うのでありますが、これに對して文部當局においては何かそうした生徒兒童及び國民一般の不安に對して安心感を與えるような方策を考えておられるかどうか。その點最後に伺いたいと思います。
#34
○國務大臣(森戸辰男君) 誠に御尤もな御質問でありまして、私共最小限度の實現の費用を求めたのでありますが、併しそれも今のところでは十分という事態にはなつておりません。その點で地方におきましても、父兄、教師、兒童共に或る程度不安を持つておることも十分察せられるのであります。けれども他面においては、この七億が少くとも認められて、更にその上増加の可能性があるということは、坊間ではこの經濟の状態では六・三制は止したらいいという意見もあり、これを延ばしたらいいという意見もあるのであります。これの對してこのことは六・三制をやるのである。そうして從つて來年度もこれをやつて、六・三制を貫徹するものであるということが明らかになつたということは、これは十分ではありませんけれども、他面の不安を除いたものとも考える側面があることを御了承願いたいのであります。ただこれにつきましては決して十分ではありませんので、國も、地方も、先生方も、父兄たちも、子供も、この日本の窮乏の状態を背負いながら、皆が協力をして六・三制を盛立てて行くという強い決意がなければできないことでありまして、私共は地方に至るごとにそのことを父兄たちにも、先生方にも、子供にも、又地方團體の方々にも申上げておりまして、そういうような教育に對する國民の全般的な強い關心があつて初めて窮乏の中での教育刷新が實現できるものと存じておる次第であります。
#35
○石坂豊一君 それに關聯して文部大臣に伺いたいのでありまするが、六・三制六・三制と盛んにどうも非常に飛び付くようなことを皆仰せられるけれども、私はこれは肚の中では皆非常に反對しておると思う。成る程、國民の教養を高めるに何人も異論のないことでありますけれども、實際がなかなかやりにくい。私は現に昨年の今頃は市長をしておりましたが、曾てそういう六・三制というものは目の行に下つておるようなことを誰も言つておる者はなかつた。若しあれば、我々もそのつもりで學校舍を復舊するのであつたが、私の所管内の學校は全部空襲でやられた。十二の學級を一學にして私は作りました。六・三制などというものはないから、そのつもりをしらおらない。そうして一生懸命になつて平均に同一規格によつて十二學級の學校を建ててしまつた。年内に冬を迎えておりますから、北國でありますから、夜を日に次いで私共監督者になつてやつた。建ててしまつて見ると、又更に六・三制ということになつて非常に面食つておる。この非歸つて見るというと、あなた方は六・三制を實施しておるように思つておられるけれども、これは名ばかりである、小學校の玄關口やら兒童の出入口を直して、そこに子弟を竝べてごまかしの教育をしておる。それで全く私の目に映するところは人の子を毒しておる。こういうようなことならば、むしろ戰災に遭つたところの學校のできない所はこれを延ばしてやる。決してこれを止めるのじやありません。できる所とできない所と、これを區別して實際的になさつた方がどうだろうか。私はこれに反對しておるのではない。苛くも學校教育という銘を打つ以上は、學校を持たずに、どうして教育ができますか。昔、萩の郊外にあつたところの松下村塾のごときは、吉田松蔭は野天で教育しておるように思うけれども、そうではない。世田ケ谷の松蔭神社に行つて御覽になれば分る。塾生の子女を教えるに最もふさわしいような塾において、落著いて教育をしておる。決して校舍がなくて兒童を教育できるものではありません。況んやこれから先の烈風の中で、野天で子供を教えるなんということは思いも寄らん話である。そういう中で、六・三制を強要する。これは急がば廻れで、やはり相當の年限、猶豫を與えて、できる所は直ちにやらせる。校舍でも何でも持つておるものは、何學級でも收容して、一つの校舍を何囘でも使つてやるということは別に異論はないけれども、手の出しようのない所へ、今七億や八億、十億やつたところで、金を山と積んで、木材を切つてやつても、石材でやつても、建築というものは、相當期間がなければできるものではない。それにも拘わらず、學校教育を強いて行なおうとする、これ程滑稽なことはない。それを文部大臣は、これは是非實行すると言うて、なんぼおつしやつても、できないものはできない。できない相談というものは世の中に幾らでもある。どんなよいことでも、できないことは時を待たなくてはいけない。私はこれをやることに異論はないが、ただ人の子を毒するようなことはしたくない。子供には力を付けてやりたい。六・三制なら六・三制で、受持つておる教員に聞いて見ると、今日は子供が少くてできなかつた、今日も教具が揃わないでできなかつた。そうしてそう言う教員がどういうことをやつておるかというと、研究に沒頭しておる。今の六・制の生徒は、教員の試驗臺になつておる。こういうことをよく徹底してお調べにならんというと、ただ口先だけで六・三制をやつておるのだということを仰せられても、國民の教養は決して高まるものではない。却つてそのために多くの高學年の生徒が寄つて來るから、小學校の生徒はそれに混つて煙草を喫むことを覺える。尋常小學校の三年生から煙草を喫みます。私は驚いた。男子の生徒だけかと思うと、女の子まで、尋常小學校の三年生から煙草を喫む。この頃電車に乘つて見ますと、幸いに我々は進駐軍の列車に乘ることもできますが、乘つて見ると、駐屯兵は、遠慮なく煙草を喫つております。日本の男子にして、その中にあつて煙草をくすべらしておる紳士も偶には見受けるけれども、多くは女の子が、遠慮なしに、丁年末滿の女の子が煙草をくすべておる。こういうように煙草をくすべるということは、一つのこれは道義の廢頽の原因をなす。私は煙草を喫まんから言うのではないが、一たびこの廢がついたならば止めることができない。どんなに高くしても、ピースを一本五圓で賣つても、これはやはり買つて行きましよう。そういうことが道義が段々廢頽して行くところの原因をなしておる。煙草を喫んで、又酒を飲むことになる。酒を飲めば又餘計な金を必要とする。警視廳に行くと、二十歳から二十五歳までの犯罪者が四割を占めておる。警視廳の犯罪者は、全國の犯罪者の二割を占めておる。その大部分は丁年になつたかならないかの若い者が罪を犯しておる。この道義の昂揚ということについては、いずれあなたに同僚から質問をするでありましようが、苟くも校舍を持たないで人を教育するなんということは、大それた話である。二官尊徳が薪を背負つて本を讀んだと言う人があるかも知れないが、二宮尊徳だつてやはり氣候の良いところの小田原の在において、太平洋の温波を受け、春は緑の木の下で、秋は紅葉の下で、落ち著いて自分の仕事の餘暇に本を讀んでおる。北陸などにおいて、決して薪を背負つて本などは讀まない。雨が降れば、笠を冠らなければならない。これは所による。環境を作つてやらないで教育というものはあるものではありません。そういう場合において、ただ六・三制六・三制、三十億出せ、四十億出せ、これは滑稽な話である。勿論これは財力に從つて、適當に國家が負擔してやる。論より證據、六・三制の費用を全部國庫で持てという説が一番多い。私は材料として事務當局にお願いしておつたのだが、義務教育を國家がやつておる國が世界にどれ程あるかということの材料を要求しておる。まだ持つて參りません。義務教育費を地方團體に分けておるが、全部國家に寄り掛かる。國家はどうです。破滅しておるのではないか。自分で校舍を建ててくれ、教員の俸給も出してくれ、椅子、テーブルを作れ、そんな義務教育を強いられるものではありません。これはやはりならん中から、地方團體においてこれを負擔し、國家も相當に負擔してやるということでなかつたら、本當に實の入つた教育というものはできるものではないと私は信じておる。私はこの六・三制がわけなく實行できればこれに越したことはないと思う。新憲法において、國民の教養を高め、而して國民が教育の機會均等を得るということは當然のことでありますけれども、ものには程度がある。實行の方法も考えなくては政治にならない。この點について、文教の府において非常に御熱心に計畫をせられておる文部大臣は、私の説に對していかにお考えになつておるか。私はこれはできる所とできん所ということを振分けて、相當の年限を以て實行して行くという方が一番賢明ではないかと、かように考える。一本にして全國に押し付けるということは、企てても及ばんと思う。若し私の考えが間違つておるならば、一つその蒙を啓いて頂きたい。
#36
○國務大臣(森戸辰男君) 石坂委員の御質問でありますが、私共は、六・三制は義務教育としていろいろ困つておられる地方もあるけれども、部分的でなく、一齊に行なつて行くのが今日の事態では望ましてことであると存じております。戰災の犠牲となられた地方は大變お氣の毒であると存じますけれども、又そこに、この義務教育の實行が延びたといえば、恐らくは二重に大きな氣の毒なことになるのではないかと私は思つております。できるだけそういう地方も含めて實行いたさなければならんと存じております。尚只今のお話で、富山市の戰災の後間もなく十二校も學校を建てられたという石坂さんの努力に對して、誠に感謝いたしておるのでありますが、若しそういう勢いで以て燒けた土地にも學校が建てられるということでありますれば、私は六・三制についての實行もそれ程困難ではないのではないかというような氣もいたすのであります。尚いろいろ地方での、六・三制を好まない、又子供たち、先生方もこれについて十分な用意がなく、或いは熱意が足らないというような面もあるというお話でございまして、場合によつてはそういう所もあると存じますが、全般的に考えますれば、私は諸地方でも、又先生方も、父兄も、子供たちも、六・三制をやつてくれということが非常に強い聲であると私は聞いておるのであります。なかなか六・三制の實行は今日の窮乏の時代では完全には參りません。私は完全實施ということは初めから望まれないことであるから、この窮乏の間に最大限を行なつて行かなければならん。それは今日の物質的な窮乏の間にあつても、新らしい日本を作つて行くのには、私共の希望の最も大きな希望が、子供にあるというところに重點を置いて、窮乏の間にも新らしい教育を立てて行く、その教育の最も大きな特質的なものでありまする新制中學をこの間にやつて行くということが、私は敗戰日本にとつて非常に大事なことである、こういうように考えておる次第であります。
#37
○委員長(櫻内辰郎君) お諮りをいたします。文部大臣に對する質疑の御通告も澤山におありでありまするが、本日はこの程度に止めまして、次囘に讓ることにいたして、散會することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(櫻内辰郎君) それでは散會をいたします。明日は午前十時からいたしたいと存じます。
   午後五時一分散會
 出席者は左の通り
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           木村禧八郎君
           西郷吉之助君
           村上 義一君
   委員
           大野 幸一君
           カニエ邦彦君
           木下 源吾君
           波多野 鼎君
           村尾 重雄君
           石坂 豊一君
           左藤 義詮君
           鈴木 安孝君
           寺尾  豊君
           田口政五郎君
           江熊 哲翁君
           岡部  常君
           岡本 愛祐君
           奥 むめお君
           川上 嘉市君
           河野 正夫君
           島村 軍次君
           高田  寛君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           池田 恒雄君
           川上  嘉君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   内閣總理大臣  片山  哲君
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
  政府委員
   大藏政務次官  小坂善太郎君
   大藏事務官
   (主計局長)  福田 赳夫君
   大藏事務官
   (主計局次長) 河野 一之君
   大藏事務官
   (主税局長)  前尾繁三郎君
ソース: 国立国会図書館
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