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1949/05/12 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第13号
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1949/05/12 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第13号

#1
第005回国会 法務委員会 第13号
昭和二十四年五月十二日(木曜日)
   午後一時四十一分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員水久保甚作君辞任につき、そ
の補欠として遠山丙市君を議長におい
て選定した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○弁護士法案(衆議院提出)
○証人喚問に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) それではこれより法務委員会を開会いたします。本日は弁護士法を改正する法律案を議題に供します。先ず提案者の提案理由並びに内容の御説明をお願いいたします。
#3
○衆議院議員(花村四郎君) 只今議題と相成りました弁護士法を改正する法律案について、法務委員会を代表して本案の提案理由及びその要旨を御説明いたします。
 本案は第五國会法務委員会の弁護士法起草委員会において可決されたものであります。即ち昭和二十四年三月二十八日、弁護士法を改正する法律案を起草する小委員会が設けられまして、爾來十数回に亘り懇談協議がなされたのでありますが、この間小委員は勿論、弁護士会代表者、法務廳、裁判所等、当局者の出席を求めまして、相互に胸襟を開いて協議を盡し、四月二十七日に至りまして小委員会の成案を得たのでございます。本衆議院の法務委員会は、この小委員会の成案を承認いたしまして、ここに法務委員全員が提出者となりまして、過般衆議院の本会議に上程をいたして次第でございます。併しながら回顧すれば、この法案の起草は由來するところ第一國会末期の司法委員会にあるのであります。即ち我が国司法体制として、在朝法曹については既に裁判所法、檢察廳法ができ上つておるのでありまして、在野法曹については弁護士法改正を議員立法として提出すべしと発議されたのであります。かくて第二國会会期中において法案の骨子はでき上り、爾來法制部において幾度か修正、削除、加入を重ねたのであります。第三國会、第四國会においても、この法案の上程を急ぎましたが、結局上程されるに至らなかつたのであります。その理由は、この法案は何分にも在野法曹に運命を左右し、我が國司法行政の一翼を担う重要な内容を有し、その條文数も九十二ケ條に及ぶ大法案であつたからであります。漸く第五國会に入り、本日ここに上程される運びとなつた次第であります。
 次に、本案の要旨を申上げます。この法案の建前は、大綱として申せば三つの原則から成立しております。即ち第一は、弁護士の使命は憲法上の基本的人権を擁護することにあるとされたことであります。これにより從來一部に存した私益の代表の観念は一掃されました。第二は、弁護士会及び弁護士会連合会に高度の自治を認めると共に、自己責任を嚴重にしたことであります。これにより從來法務総裁の有した監督権は全く排除されたのであります。第三は、両原則の調整に関するもので、苟くも國民にして弁護士の資格を取得した以上、弁護士会入会を拒絶されてその権利が侵害されることのないように、各般の救済措置を認めたことであります。
 以下各章に亘りまして、その大綱を御説明申上げます。第一章といたしまして、弁護士の使命及び職務においては、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とし、その使命達成方法として深い教養と高い品性の陶冶を要求しております。第二章におきましては、弁護士の資格において、司法試驗の合格、司法修習の終了を以て弁護士とする原則を確立し、その特例の範囲を明らかにいたしまして、その不適格者を列記しておるのでございます。第三章においては、弁護士の名簿のみならず、その登録と弁護士会入会の関係を定めております。即ち弁護士を開業せんとする者は、弁護士会に入会し、弁護士名簿に登録を要求されておるのであります。この事務的一元化を定めながらも、苟くも弁護士資格を有する者が弁護士会入会を不当に拒絶されることのないように、登録を拒絶された場合には、異議の申立ては勿論、最後には裁判所に訴えを提起することを認めまして、以て個人の権利侵害の虞れのないように工夫をいたされておるのでございます。第四章といたしま島ては、弁護士の権利業務においては、概ね現行法と同樣でございます。第五章は、弁護士会においては公法人たる組織と運営をいたしまするように現行法を修正して、その整備を図りました。第六章、弁護士会連合会においては、全章新設條文でありまして、その目的、性格、組織、運営等を規定いたしております。本章の規定によつて、從來法務総裁の持つておりましたところの監督権は、悉く連合会に移讓されたのであります。第七章といたしまして、資格審査会においては、弁護士の資格審査に当り、弁護士会独善の弊がないように、資格審査会を設けまして、その委員には判檢事、学識経驗者を選び、以て第三者参加により公平適正なる審査を図つておる次第でございます。第八章といたしましては、懲戒において、國民は何人も弁護士に非行ありと思料する場合においては、懲戒の申立をなすことができることとし、これにより弁護士に対する國民間責の機会を開放いたしました。併しこれには濫り申入れる弊害もありまするので、その調整機関といたしまして綱記委員会を介入せしめて懲戒申入を選択するということに相成つておるのであります。第九章といたしまして、懲戒委員会においては、判檢事、学識経驗者を加え、各弁護士会内に綱記委員会を設けることにいたしました。第十章といたしましては、法律事務の取締の章でありまするが、この章はいわゆる三百代言禁止の單行法をそのまま本法案に挿入をいたしたものでございます。第十一章は罰則規定であり、附則は弁護士会及び弁護士会連合会の経過的の事務規定であります。
 以上が本案の要旨であります。さて、小委員会及び本委員会において論議の中心と相成りました点を申上げます。第一は、判檢事がその就職地において直ちに弁護士を開業する場合の可否でございます。この点は幾度か協議の結果、一年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であつたもので弁護士として適正を欠く虞れある者は、その弁護士会入会が拒絶されることがあると定めたのであります。第二は、衆参両院議員で三年以上法務委員たりし者に弁護士の資格を與えるの可否でありますが、これは差当り設けないことに決定をいたされたのであります。第三は、裁判所の弁護士に関する規則制定権の問題であります。この点は各方面の意見を徴し、憲法に牴触しないと思料したのでございます、第四は、弁護士会の当然加入の問題であります。医師法に比較いたしまして、弁護士会の強制加入はいけないという論議もあつたのでございますが、併し弁護士会自治の建前上、各弁護士は当然弁護士会に入会し、その責任の所在を明らかにすることにいたしたのでございます。尚、委員会においては共産党を代表して梨木、上村両委員より、弁護士の不適格者のうちに禁錮以上の刑に処せられた者とあるが、政治犯による場合は弁護士になれるように修正して欲しいという意見がありましたが、結局採用されなかつたのでございます。
 以上御報告申上げます。
#4
○委員長(伊藤修君) では逐條について概略御説明をお願いいたします。
#5
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 私衆議院の法制局第二部長の福原でございます。この弁護士法の立案に際しましてお手傳いした関係から、便宜只今委員長の御指名によりまして説明員として説明さして頂きます。逐條的に簡單に申上げたいと思います。
 第一條、これはこの度の弁護士法で新たに挿入しました部分でございます。これは日本國憲法下における弁護士の使命というものを特に強張する必要から第一項を設け、更に第二項は、これは從來第二十條で、弁護士が誠実に職務を行うという点はあつたのでございますが、その誠実に職務を行うことを通じて社会秩序の維持或いは法律制度の改善という大目的に邁進するということを明示したものでございます。第二條は、これはやはり現行法の第二十條に相当するものでございますが、その弁護士の職務の根本基準としての心構えを規定したものでございます。これも新らしい條文でございます。第三條は、現行法第一條を大体踏襲したものでございます。尤もそのうちの訴訟に関する行爲というものに今度は行政訴訟事件などが加わりましたので、その点明示してあるのでございます。第二項は、これは現在の弁理士法乃至は税務代理士法で、弁護士は弁理士、税務代理士の事務を登録することによつて行うことができるのでございますが、その登録というような事実をなくして、弁護士は弁護士としてそのままこれらの事務を行うことができるということにいたしたのでございます。
 第二章は、弁護士の資格でございますがこれは現行法と大差はございませんが、これも逐條御説明申します。第四條は弁護士となる資格の原則を示したものでございます。現在は日本國民であるという要件をとつておるのでございますが、その点は多少裁判所法或いは檢察廰法でその資格を外しておるような関係、或いは國家公務員法でその点の明示がないというようなところから、これを弁護士法で特に改めて日本國民である要件を加えることは如何かと思いますので、これを省いてあるのでございます。第五條は、只今の四條の原則の例外でありまして、これは現行法の四條と大体考え方を同じうしておるのでございますが、新時代に即して改めたところがあります。先ず第一号は、「最高裁判所の裁判官の職に在つた者。」とございますが、これらの方には裁判所法によりまして判事たる資格を有しない方がなり得る地位でございますが、一体最高裁判所の裁判官という地位にあられたならば、弁護士となることを当然認めていいじやないかという考え方から新たに設けられた号でございます。第二号は、これは從來もなかつた点なんでございますが、司法修習生となる資格を得た後司法事務の根幹である業務に從事した、而もその從事の期間が五年以上もなされたならば弁護士として職務をとるに十分であろうという考の下に置いたものでございます。第三号は、これは從來三年以上帝國大学の法科大学の教授であられた方に認められた制度なんでございますがこれを拡充いたしまして、別に法律で定めまして、相当の高度の法律学の專攻をされる教授、助教授の方には五年以上在職なすつたならば認めてよろしいであろうというところから、こんなふうに改めたのでございます。四号は、これは二号、三号を兼職されたような場合の年数通算の技術的な規定でございます。第六條は、これは現行法の第五條と大体似ているのでございますが、これは第二号において、彈劾裁判所の罷免の裁判という制度が新たに設けられました関係から、これを設けました。これから三号の懲戒処分による制限と申しまするのは、これは他の公認会計士法とか、或いは弁護士法などにもございますが、それぞれ懲戒処分を受けますと、一定期間業務に就くことを制限されている規定がありますので、弁護士においてもやはり懲戒処分などを受けた者については、少くとも三年以内は弁護士の重要な職責を取らせるには不適当であろうという考え方から、新たに置いたものでございます。第七條は現行法の六條に相当するものでございますが、これは外國の弁護士となる資格を有する者が日本において弁護士の事務を取るということの特例を認めたのでございまして、一項においてはその外國の弁護士となる資格を有する人が、日本國の法律についても相当の知識を有する場合にほぼ弁護士と同樣に、三條に規定する全般の事務を行うことができることといたしました。更に若しその方が日本國の法律について相当な知識を有しない場合は、外國人又は外國法に関してのみ法律事務を行わせることができるというようにいたした次第であります。從來は日本人であつて、外國の弁護士となる資格を有した者に対してはかかる特例は開かれていなかつたのでありますが、第七條においてはそのような人にもその特例が認められるようになりますのが新らしい制度なのでございます。尚この場合の承認については、最高裁判所が試驗又は選考した上で認めるということとし、而もその承認或いは取消しの場合に日本弁護士連合会の意見を聽くことを要件といたしておるのでございます。
 第三章は、これは大体において現行制度と似ているのでございますが、ただ從來法務廰において取扱われました弁護士の登録事務というものを、挙げて日本弁護士連合会に與えたというところが新法の狙いなのでございます。第八條、第九條、第十條、それから第十一條などはそれぞれ現行法の第七條乃至十一條に相当する規定でございます。第十二條は、これは弁護士会の進達拒絶の規定でございまして、この点は從來弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞れのある者というものについてのみかような手続が規定されておるのを、それでは余り抽象的に過ぎるということでありましたので、可なり具体的にこれを掲げるという方針でかような規定ができたものでございます。從來通り弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞れある者については勿論これを含みますが、更に進達を求めた者が心身に故障があるとき、或いはさつき申上げました第六條第三号で、弁護士であつて除名されたとか、或いは弁理士であつて業務を禁止されたとか、公認会計士であつて登録を抹消されたとか、或いは税務代理士であつて許可を取り消されたとか、公務員であつて免職されたという者は、その処分を受けてから三年までは資格はないのでございますが、三年経つてから請求して來たときにも、尚これを弁護士として職務を行わせるということが弁護士事務の重要性から適正を欠く虞れがあると認められたときには進達を拒絶することができるということにいたしたのであります。更に第二項はこれは先に委員長からも御趣旨の御説明がございました通り、判事、檢事の在職地における弁護士開業の弊害ということが可成り世間でやかましくなつたのです。又現在においてもその声は多々あるのでございますが、さような睨み合せから可なりこれは草案においてははつきりした形で、裁判官、檢察官について二年間は少くともその在任地で職務を取らせるということは不都合ではないかという趣旨の規定を置いたのでございますが、又そのような新らしい規定を置くことが法曹一元化という観点から如何かというような点、更に裁判官、檢察官という表現を置くことも如何かという観点から第二項が出されたのでございます。尚この場合には請求前が一年以内にということに制限し、更にその職務を取らせることが特にその適正を欠く虞れがあるとして、第二号よりは多少條件を加重しておる表現をいたしたのでございます。尚この場合これは弁護士としての資格のある者が弁護士として開業することを現実としては拒否することになりますので、極めて大切な手続でございますので、これに対しては進達を受ける方からの保護規定を置くことが是非とも必要だと考えられます。さような見地からかような登録の請求の進達を拒絶するという場合には、これは後に申上げますが、資格審査会の議決を経ることを要件としております。尚この資格審査会はその公正を可なり考慮いたしましてできておる委員会でございます。更に又その資格審査会の議決を経て、かような適正を欠くかどうかということの審査をする場合には後の五十五條において特別に手続規定を設けております。更に又そのように登録又は登録換の請求をした者に対して進達を拒絶する場合は、速かにその旨を通知するという保護規定を第三項に置いたわけでございます。第十三條は、現行法の十二條にほぼ似た考え方でございますが、この度の第十二條で第一項、第二項において特殊の進達拒絶の事項を掲げた観点から、この点について若し進達を求めた者、請求者が虚僞の申告をしていた場合の考慮をする必要がございますので、十三條を特に設け、登録取消の請求を弁護士会がするという新らしい規定を設けた次第でございます。第十四條は、第十二條において進達の拒絶をされた者に対する保護規定でございまして、その要は先ず日本弁護士連合会に対して異議の申立をする、更に第二項においては弁護士会において進達を認められて後三ケ月を経ても尚何らの手続しない場合は、請求者としては大変迷惑のことでございますので、その場合の処置として請求者はこれは進達の拒絶をされたものとみなして異議の申立ができるという保護規定を設けたのであります。かような異議の申立がありますと、第三項において日本弁護士連合会が適当に審査をいたしまして、それぞれ適当に進達を命ずるとか或いは登録取消の請求を差戻すとか、又は場合によつてはその申立に理由がないと認めれば棄却するという手続規定を置いたのでございます。第十五條は、今度は弁護士会が進達をした分について、日本弁護士連合会がこれを拒絶するという旨を規定してあります。そうして十六條では、かように日本弁護士連合会がいたしました処分について尚不服である場合には、その処分を違法又は不当理由として、東京高等裁判所に訴を提起ることができるという最後の保護の規定まで設けたのでございます。この場合高等裁判所に訴を提起することに限定いたしましたのは、これは日本弁護士連合会が常に被告人となる第三項の規定と相俟ちまして、東京高等裁判所にいたしましたことと事柄が相当重要な事項でございまするし、更に全國的に統一するという必要もございますので、これを一つの裁判所の專属管轄にいたした次第でございます。尚この訴訟は本質としては行政訴訟的のものと考えられますので、行政訴訟特例法に倣つて必要規定をこの十六條の三項乃至六項に規定いたした次第でございます。第十七條は、登録取消の事由を列挙いたしましたが、これは現行法と殆んど違いありません。ただ國籍喪失の場合を除いたのでありますが、これは先程の第四條のとこに申上げた理由から削除したのでございます。第十八條は、名簿登録取消の場合の必要規定を設け、更に十九條においては、これを官報を以て公告するというふうにいたしたのでございます。
 第四章の弁護士の権利及び義務については、これは現行法の第十八條以下とほぼ似ておるのでございまして、違つた点だけ申上げます。第十二條で、特に今までは弁護士の事務所というもので表現しておつたものを、特にこの法律で後に述べます法律事務取扱の取締に関する法律を吸收した関係から、新たに法律事務所という制度を置いて、法律事務所というものを法定の名称といたしたのでございます。尚第二十一條以下で、これは御説明申すまでもないことだと思いますが、監督権を法律総裁から日本弁護士連合会に引継ぎました関係から、それぞれの監督的な規定の場合に日本弁護士連合会というものが出てきておる次第でございます。第二十五條も、これも現行法の二十四條に相当する規定でございますが、その中に第三号だけは、これは新らしく入れた規定でございます。これも弁護士の職責の公正さを維持するため入れたものでございます。第二十六條、第二十七條、これは新たに挿入した條文でございます。これはやはり弁護士の職責の重要性に鑑みまして、その公正を維持するというところからその趣旨で入れたものでございます。最後に、第三十條の規定は、これも現行法第二十七條と照合するものでございます。ただ違う点は弁護士が從來は報酬ある公職を兼ねることができない、但し國会又は地方公共團体の議会の議員その他官公署から特定の事項について嘱託された場合を例外としたのでございますが、弁護士の職責が法律家としてますます各方面に需要要求がありますし、且つ又專門的知識によつて國家的な各方面に進出するということが望ましいという観点から、併しながら又一面あらゆる公務員というものに就職することを認めれば、これは公務員というものが無定量の勤務義務を持つということと牴触するものがありますので、そのために常時勤務を要しない公務員ならば、各般の委員とか顧問という形の公務員であるならば、これを兼ねることができるというようにして、弁護士の活動範囲を拡めた次第でございます。
 第五章は、弁護士会の規定でございますが、これも現行法と大体において似ております。その目的などは從來通りでございますが、これを第三十一條第一項で明示した次第でございます。第三十二條、第三十三條は特に申上げるところもないと思いますが、第三十四條は、これは新らしく設けました條文でございまして、弁護士会は法人でありまして、公法人的色彩を非常に持つておるので、これに対して、登記を必要とするということは如何かという説も成立つかと思うのでありますが、弁護士会が從來に増していろいろな面で活動いたしますし、更に先程弁護士会の進達拒絶云々というような問題もありまして、弁護士会の対外的な地位を確立させて置く必要があるというところから、この登記制度を認めたのでございます。第三十五條、これは弁護士会の会長を代表者とする規定でありまして、現行法にもあるのでございますが、二項と三項について、特に明文を設けたのは、会長、副会長の職責が公務に從事する職員として極めて保護されると共に、その責務が加重されるということになる次第でございます。三十六條以下四十四條までは特段申上げることはございません。大体現行法通りでございます。
 第六章において日本弁護士連合会の規定を置きました。これは全條新條文でございます。弁護士の事務について、これをいわゆる官僚的な監督下に置くか、それとも自治統制として制度をとるかということが基本的な問題でございますが、この法案で後の自治統制をとるという形をとつておりまして、その自治統制の中央機関として日本弁護士連合会というものを設けておるのでございます。第四十五條は、その設立の仕方、それからその目的、そうしてその法人としての人格が與えられておるということを明示したのでございます。そうして会則についてはこれは大体各地の弁護士会と同様であつて、必要なものを列挙いたしたのでございます。そうしてその本日弁護士連合会の会員というものは、四十七條において、各弁護士と、それから弁護士会というものが当然にこの会員になるということを明示いたしました。そうして四十八條では、日本弁護士連合会の職責と睨み合せまして、その弁護士或いは弁護士会の指導は、連絡、監督事務について官公署その他に必要な調査依頼の権限があるということを規定し、更に第四十九條では、これと対照的に最高裁判所が必要と認める場合に、日本弁護士連合会を通じて、その弁護士或いは弁護士会に関する調査をするとか、或いは弁護士連合会そのものの行う事務についても報告を求められるということを規定したのでございます。それから五十條は、弁護士会の中で必要な規定を準用しておるのでございます。
 第七章の資格審査会は、これ又全條新設條文でございます。これは弁護士の登録制度と相俟つて、登録をせしむる際の進達を各地の弁護士会はいたしまするし、更に日本弁護士連合会は登録事務を取扱いますので、ここにおいて登録を拒絶するとか、進達を拒絶するという場合に、必要機関としてこの資格審査会を置いたのでございます。この資格審査会は第五十二條においてその組織を明示してありまするが、会長には当然弁護士会或いは日本弁護士連合会の会長があることといたしまして、委員にはこれは弁護士、裁判官と檢察官と、それから学識経驗者の中から会長が委嘱することにいたしたのでございます。即ち委員には四種類あるわけですが、そのうち弁護士と、それから学職経驗者の委員は、これはその弁護士会或いは日本弁護士連合会の総会の決議で推薦いたしまするし、裁判官については、これは高等裁判所若しくは地方裁判所の推薦、或いは日本弁護士連合会においては最高裁判所の推薦ということにいたしました。檢察官についてはこれと照合いたしまして、高等檢察廳の檢事長或いは地方檢察廳の檢事正の推薦或いは日本弁護士連合会につきましては檢事総長の推薦したもの、それを土台として会長が委嘱するという形式をとりました。尚五十三條は、この審査会の仕事が非常に重要なものでございますので、予備委員を置き、更に予備委員の構成も正委員と同じにいたして、弁護士、檢察官、学識経驗者からそれぞれの関係筋の推薦に基いて、或いは総会の決議に基いて選任するということにいたしました。第五十四條は、会長と或いは委員、予備委員の地位、職責を規定したものでございます。第五十五條は、その資格審査会が弁護士の自治統制機関としての最尖端の重要事務を行う関係から、審査に関して必要がありますならば適宜当事者、関係人は勿論、官公署その他に対しても陳述を求め、或いは説明を求め、資料の提出を求めるということができることを明記したのでございます。そうして第二項においては、これはそのような資格審査会の審査によつて登録或いは登録の申立の拒絶というような大きな事柄が行われますので、これの請求者に対して保護をする、余め保護の規定を置く必要がございますので、第二項においてはそれらの者に対しては、若し登録の請求を拒絶するとか、申立を拒絶するとか、或いは登録取消の請求を可とする議決をいたします前に当事者に通知して、その当事者がそれに対しての弁明をする機会を與えようというのでございます。
 第八章の懲戒は、これは大体現在の制度によつたものでございますが、現在までは懲戒裁判所というものを控訴院の中へ設けていたのでございますが、控訴院の制度がなくなつてからは空文になつているかと思いますが、これはその考え方を大体土台にいたしましたが、これも弁護士会自治の原則から、懲戒も他の機関に委ねるということは如何かと思われますので、これも自律的にみずから弁護士会或いは日本弁護士連合会がこれを一時的にするということの精神で規定したものでございます。そうしてこの弁護士会或いは日本弁護士連合会がいたすのでございますが、その場合には弁護士会にあつても、それぞれ弁護士会或いは日本弁護士連合会に設置されてあります懲戒委員会の議決を土台としてこれを行うことを明示したのでございます。先ず第五十六條で、懲戒権は第一次的にはその弁護士の所属の弁護士会が持つておるということを規定し、第五十七條では懲戒の種類を四種類といたしてあります。これは從來過料の規定がありましたが、これは國家機関でない関係から、これを課することが如何かというので除きまして、それに代つて退会命令を入れました。五十七條三号の退会命令というのはこれは新らしい制度であつて、從來の十二條の退会命令というものとほぼ似た制度をここに設けておるわけでございます。第五十八條は、これは弁護士の職務が公務に準ずるような性質から、廣く一般に弁護士の事務について懲戒の理由があるということを知悉した者は、何人でもこれが懲戒の請求ができるということを規定したのでございます。尤もこれは委員長の御説明にもありました通り、日本の現状においては或いは濫用されるんではないかという虞れも十分ございますので、かような懲戒の請求がありました場合に、直ちに懲戒委員会に付するということは行過ぎであろうというところから、第二項においては綱紀委員会で一種の下調べと申しますか、調査をさせるということにいたしました。この綱紀委員会というのは、後に述べます懲戒委員会が大体さつきの審査委員会と同樣に、極めて嚴格な組織の下にあるのと対比いたしまして、綱紀委員会はこれは弁護士会の会員相互の間から選任するという、いわば仲間うちのことを仲間うちで先ず調査しようという考えから綱紀委員会というものができておるのでございます。そうしてこの綱紀委員会で調査いたしまして、その上で請求があつたというようなものについて、やはりこれは懲戒することが相当だと認められた場合に初めて懲戒委員会にかけるというふうにいたしたのでございます。第五十九條では、かような手続をして懲戒を受けた者について尚異議があれば、日本弁護士連合会に異議の申立ができる、そういうことを規定し、日本弁護士連合会では懲戒委員会の議決に基いて、これに若し申立ての理由があれば処分を取消す、若し理由がないということになれば棄却するということにいたしたのでございます。更に第六十條で、日本弁護士連合会においてみずから懲戒するということの権限を認めました。これは場合によつては各地の弁護士会で殊更に懲戒に値するような弁護士についてその処分権を発動しないというような場合を慮つての規定なんでございます。第六十一條は、日本弁護士連合会がみずからした懲戒、或いは弁護士会が懲戒した者について異議の申立てがあり、それに対して日本弁護士連合会がこれを棄却したというような場合、それは棄却した場合にこれは高等裁判所に出訴することができるという規定を六十二條に置いてあるのでございます。併しこれと対蹠的に、今度は懲戒の請求をした者、即ち五十八條で何人も弁護士について懲戒の請求をすることができるのでございますが、この請求したにも拘わらず、弁護士会がこれに相当する手続をしないというような場合には、日本弁護士連合会にその懲戒を請求した者から異議の申立をすることができることにし、更に又弁護士会の懲戒の処分が不当に軽いというときも亦日本弁護士連合会に異議の申立をすることができるということにいたしました。この六十一條は五十八條の規定の趣旨を徹底させたものであります。尚六十三條、六十四條は現行法にも同樣の趣旨の規定があるわけでございます。
 第九章の懲戒委員会及び綱紀委員会は、かような懲戒の重要な職責を弁護士会或いは日本弁護士連合会が誤まりなく執行できるために設けられた制度なんでございまして、懲戒委員会の組織は、これは大体において資格審査会を全く準用しておるのであります。それから第六十七條では、懲戒委員会の審査手続について規定を置いてありまして、この場合の懲戒を受ける弁護士については、十分に陳述をする機会を與えなければならない旨の保護規定を置いたのでございます。第六十八條は、これは判事懲戒法の五十四條などにもございます通り、懲戒が刑事手続と同時に進行しておるような場合には、刑事手続を先に進める方がいいと認められる場合は、懲戒の手続の方を中止して置くことができるという便宜規定であります。第六十九條では、この懲戒委員会の組織等を資格審査会の組織と全く同じにするための準用規定を設けたのでございます。第七十條と七十一條は、綱紀委員会についての規定でございます。第七十條では、綱紀委員会は、前に申しました資格審査会或いは懲戒委員というものが、いわば弁護士としては外部の裁判官、檢察官或いは学識経驗者が加わるということと対比いたしまして、弁護士会の会員みずからの互選でこの綱紀委員会を構成するということが、第七十條の、今までの委員会と異るところでございます。第七十一條では、この性質と相反しない限り、從前のこの資格審査会の規定を準用する旨の規定を置いたのでございます。
 第十章は、これは現在の法律事務取扱の取締に関することを、この法律の第九十二條、末条で以て廃止いたしますが、これと同じ内容のものを第十章に盛り込んだのでございます。
 第十一章は、罰則の規定でございます。このうち新たに設けられたものは第七十五條、それから第七十六條、第七十八條でございます。第七十五條は、弁護士の公の信用ということを確保する必要がございますので、弁護士となる資格を有しない者が、その資格について虚僞の申告をして登録されたというような場合には、これを嚴重に処分するという趣旨から置いたのでございます。尚これはに未遂罪を罰する規定を置きました。第七十六条は、これは弁護士としては、官公吏のいわば涜職の規定と似ておるのでございますが、受任されておる事件の相手方から利益を受けたり、要求したり、又は約束をするということが、弁護士の高い使命に鑑みて極めて排斥すべき行爲なのでございますので、これを重く処分することにいたしたのでございます。それから第七十七條では、二十七條、二十八條で、非弁護士、弁護士でない人を弁護士が利用するとか、或いは係爭権利を讓り受けて、そうして事件を起すというようなことに対する取締りをする意味で、二十七條、二十八條に対する刑を加え、更に從前ありました七十二條、七十三條の規定の罰則を設けたのでございます。それから第七十八條は、これは例の両罰規定でございます。若し一定の使用人を使つてかような罰則行爲がありましたら、これについてその法人或いはその人までも処分をするという規定であります。それから第七十九條、これはやはり從前ありましたものをそのまま踏襲したのであります。尚この罰則については、從來七十七條については、「一年以下の禁錮又は千円以下の罰金」となつておりましたのを、「二年以下の懲役又は五万円以下の罰金」とし、更に七十九條の規定が、從來「千円以下の罰金」であつたのを、「五万円以下の罰金」にしましたのは、ほぼ刑法について罰金等臨時措置法により五十倍の罰金額といたしたことと睨み合せまして、罰金額につき上げ、更にこれと照合する意味で、懲役刑についても多少の年限の延長を認めたわけであります。
 それから附則は、これは大体において経過規定でございまして、それぞれ現行弁護士法からこの法律に乘り移るまでの間における必要規定を網羅したものでございます。そうして大体申上げますと、第八十條は、この法律を今年の九月一日から施行するということにいたしました。第八十一條では、從前の弁護士の資格ある者は、全部的にこの法律においても弁護士としての資格を持つということを明示したものでございます。それから第八十二條は、現在弁護士試補である人についての特例を設け、この方々も勿論弁護士として將來活動できるということを明示したのでございます。それから第八十三條は、これは第六條でいろいろと弁護士の欠格事由を挙げましたが、この中ではそれぞれ新らしく最近に作られた法律の制度を掲げておりますが、それと照合する從來の懲戒処分がございますので、それの一種の読替規定のようなものを置いたのでございます。即ち公認会計士法の前身である経理士法においてやはり懲戒された者であるとか、或いは國家公務員法で以て公務員としての免職の懲戒処分を受けた者は、從前の官吏懲戒令によつて免官の処分を受けた者とみなすというのがその趣旨でございます。それから八十四條から八十七條までは、弁護士名簿その他が從前の法務総裁から日本弁護士連合会に引継がれる関係から、必要なことを拾い上げておるのでございます。先ず弁護士名簿の登録というものは変るわけですが、旧法ですでに弁護士名簿に登録されておる方々については、又改めてこの法律で手続きをとるという煩瑣なことを避けまして、さつき申した八十一條で、当然從前の弁護士の資格ある方は、新法においても弁護士として活動できることなのでございますので、そのままこの法律による弁護士名簿登録とみなし、そうして八十七條で、その弁護士名簿等は從前法務府に備えられておりましたものを、日本弁護士連合会の方に引継ぐことにいたしました。更に丁度この法律と乘移る頃に法務総裁に登録又は登録換の請求をしていたような者は、これは日本弁護士連合会の方にその請求の進達があつたというように八十五條で決め、更に又從前の弁護士の事務所をこの法律による法律事務所であるということにしたのであります。それから八十八條は、これは現在ございます弁護会というものを、そのまま新法の弁護士会とし、そうして現在ございます弁護士会連合会の中で同じ高等裁判所の管轄区域内の弁護士会連合会ならば、これをこの法律による弁護士会連合会と見るということにします。尚それに関連する必要な登記その他の規定を置きます。それから第八十九條は、この法律では第三十二條で一地方裁判所区域に一弁護士会という原則を掲げておるのでございますが、現在かような一地方裁判所区域内に、特殊の事情に基きまして、二個の弁護士会の存在するところがございますので、それでは從來の沿革と実績等を尊重いたしまして、そのままこれを存続させるということに第八十九條で認めたのでございます。尤もそのことはやはり第三十二條の原則から言えば例外的の措置なんでございますので、今若しかような二個以上の弁護士会が將來合併或いは解散するという事態になるような情勢になりますれば、いつ何時でも三十二條の精神に則つて、合併又は解散することができるということを二項、三項で謳つたのでございます。それから九十條は、先程から申しましたように、法務総裁の從來取つております弁護士に関する諸般の事務を日本弁護士連合会が一手に引受けるという画期的な連合会の設立というものが考えられるのでありますが、さような場合この九月一日に直ちに発足するということについては極めて時間的に困難と考えられますので、八十條でこの九月一日から施行するということの以前において、すでに準備手続を直ちに開始することができるような配慮から、九十條を設けたのでございます。それから第九十一條は、これは終戰後の特殊の事情から、外地から戻られた方などの弁護士或いは弁護士試補の資格の特例の法律がございますので、それを從前の通りこの法律がありましても生かして置くという規定でございます。尤もその法律の中に資格審査委員会というものがありまして、そこでその審査することになつておるのですが、これは丁度日本弁護士連合会の資格審査会が行われることが最も妥当と考えますので、それに乘り移らしてあるのであります。それから九十二條は、さつき申上げました法律事務取扱の取締に関する法律は廃止する規定を明示したのであります。それの違反事項については從前通り、この法律廃止後も從前の規定について刑罰を科することができるということを明示したのでございます。非常に簡略にお話し申上げたので、十分この趣旨の徹底しなかつたところがございますと思いますので、御質問に應じまして適宜お答え申上げたいと思います。
#6
○委員長(伊藤修君) では本法に対するところの質疑に入ります。
#7
○來馬琢道君 先程大綱だけを聽いて、実はまだ條文の精読はしていないのでありますが、外國という字がありました。私は司法委員会のときに、満洲國及び朝鮮等において法律事務に携わつた諸君を、我が國における官歴及び業歴と同樣に取扱うという問題について司法当局に質疑をして、そのとき我が國の学説を同じうするから外國でやつてもよかろうということで、朝鮮のことは後にしますが、そのときに満洲國のことを言つておつたのであります。今外國という言葉が又ここに出て参りましたが、外國が大変終戰後範囲が廣くなりまして、シヤム、フィリッピン、朝鮮、中國というような所、まだ外國と言つて取扱つていいかも知れませんが、ビルマとか、インドネシアとか、佛領インド支那、ああいう國、或いはインドのごときでも、大学こそあれイギリス人の建てた大学であつて、インド人の建てた大学でないのが今あるというような状態の國々におきまして、この外國という文字が直ちに用いられることは非常に危い氣がよるのです。こう言いますと、東洋における独立せる國を侮辱するような向きになるかも知れませんけれども、私は自分で踏んで來た土地であるのと同時に、最近の世界情勢に対して一種の危惧の念を抱きますから、その外國ということについては何か國によつて区別を附けることができましようか。できなくて、いたし方ないからそのままにして置いて、あとは内地の方で審査するときにこれを差別待遇するというようなことにでもいたしますのか、そこを立案者の御意見を伺つて置きたい。
#8
○衆議院議員(鍛冶良作君) その点は第七條に関する規定に相当するものと心得るのであります。この第七條の第一項は、外國の弁護士たる資格を持つておつて日本の法律事務を取扱う者と規定いたしました。從つて日本國の法務について相当の知識を有する者、この條件が附いておるのであります。第二項は、外國の弁護士となる資格を有する者で外國人又は外國法に関し、その人に属しておる國の外でもいいかも知れませんが、主としてその属しておる國人の法律事務若しくはその國の法律に関する事務をやる、そういうものならばよろしい。こういうふうに規定いたしましたので、日本へ來て弁護士をやるからといつて、日本の法律事務をそのままやれるということではないのでありますから、今の御疑問の点は相当解決できるかと思うのであります。その上にいずれ両方とも最高裁判所の承認を受けなければならないのでありますから、それが第三項において「最高裁判所は、前二項の承認をする場合には、試驗又は選考をすることができる。」こういうことになつておるのであります。
 もう一つこの規定について御説明申上げたいのは、この原案と申しまするか、いろいろそこで歴史があるのですが、これには外國との相互條約の規定が初めにあつたのであります。これはいずれの國にもありまするので、例えばアメリカの例を取つて言うと、日本の弁護士がアメリカへ行つてアメリカの弁護士になるということをアメリカの法律が認めておれば、それに相應して日本でもアメリカの弁護士をして日本で法律事務を取らせる、こういうことにこれは規定してあつたんですが、ところが戰爭後未だ日本は外國と対等の地位におらんものですから、さような規定を設けることになると、すべて外國人は日本で弁護士になれないことになりますから、それで思い切つてそれを削除いたしまして、かようになつた歴史があるのであります。御参考に申上げて置きます。
#9
○來馬琢道君 曾て中國の人が日本の大学に学びまして、日本の法律は勿論、日本人によつて一般法律の知識を與えられた場合、自分達は日本の大学を卒業した者であると言つて、私共と交際をしたことがあります。その辺のことを考えますので、何か知らん新らしくできた小さな国の中に、そういう例えばビルマ人、印度人が日本に留学することがないとも限らない。ちよつと外國という文字にも危惧の念を持つたのであります。只今のお話のように、第三項においてそれを選考をすればよいかと思います。
#10
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今の例によりますと、ちよつとまだ説明が足らんかも知れませんが、如何なる外國人でも日本で法律を学びまして、そうして日本の司法試驗を受けて、それに及第して修習生を経れば、これは当然なれるということになつております。そうでなくて外國だけで、日本の法律によらず、外國で弁護士の資格がある者、これをここえ規定しております。
#11
○來馬琢道君 大体分りました。
#12
○松村眞一郎君 第三條の二項の「弁護士は、当然、弁理士及び税務代理士の事務を行うことができる。」という意味は、弁護士が弁理士に、弁護士という資格のまま行う意味でなかろうと私は思うのである。やはり弁理士として行い、税務代理士として行うということになるのじやないかと思う。弁護士で当然弁理士の仕事をするというのではないと思う。それであればこういう規定は弁護士法に書くべきでなくて、むしろ弁理士法なり、税務代理士法の方に書くべきであると、私はそう思う、これはどういう意味ですか。当然事務を行うことができる、それは弁護士として事務を行うのであるか、弁理士として事務を行うのであるか、これは甚だ明瞭でない。こういう書き方をしたのでは、弁理士の事務を行うことができる、弁護士は当然弁理士のことができる、こういうつもりであるとすれば、弁護士の方は職務の範囲が廣くなつてしまう。それならばここに書くのはおかしいのであつて、弁護士はこれこれの事務を当然行うということに書かなければいけないと思う。弁護士それ自身の職務の範囲を廣くするというつもりであれば、弁護士法に書く理由があると思う。当然弁理士になるという意味であるならば、これは弁理士法に書くべきものであつて、例えば公証人法の中に、判事や、檢察官はなれるということが公証人法に書いてある。どうも私は余計なことを書いておると思うのですが、その点どういう意味ですか。弁理士の業務を行うという意味は……
#13
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは随分議論のあつた條文なんですが、その出て参りまする元は、第三條の第一項から参りまするので、一項の後の方に「その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」こうあります。從いまして、法律事務に関するものであるならば、弁理士であろうが、税務代理士であろうが、何であろうができるのだ、かように解釈しております。ところがあなたのおつしやるように、弁理士法とか、税務代理士法というのがあるから、そういう疑念が起きたら、どうだということで、或いは当然かも知れませんが、第二項を設けて、これもできるのだ、こういうことを明記した次第であります。
#14
○松村眞一郎君 それでは甚だ不明瞭であると私は思います。この弁理士の仕事は全部法律事務でない、弁理士の仕事全部が……この意味は弁護士は弁理士になれるということを書いたに過ぎないと思う。弁理士の仕事全部が法律事務ではないということが言える。弁理士の仕事は法律事務であるということは言えない。これはどうしても弁護士になつておれば、弁理士になれるのだということの意味にしかとりようがない。弁理士の仕事、税務代理士の仕事は法律事務であるというならば、第二項は要らない。それが法律事務ならば初めから書いてあるのですが、一般の法律事務を取扱うということが書いてある以上は、何も二項は要らない。これはどうしても弁理士法なり、税務代理士法の方に書くべきものだと私は思う。少し横に入つて何でも彼でも弁護士の方で取り込むというような態度の規定に感ぜられる虞れがあるという意味において、これは私はいけないと思うのです。
#15
○衆議院議員(鍛冶良作君) それ以上は議論になりまするが、この前は弁護士法に、弁護士たる者は弁理士になれるということが書いてあつたのです。今あなたがおつしやるように……。ところが弁理士の仕事は、法律事務に非ずということになると、これは議論になりまするが、法律事務である、又法律事務に附随したる技術的なことも、これはあるかも知れませんけれども、これは弁護士にしたところが、訴訟事件などもいろいろあるのでありますが、そういう意味から弁理士の仕事は法律事務なり、こういう解釈の下から、これを書いたのであります。
#16
○松村眞一郎君 そういたしますと、弁護士と書いて特許の事務の出頭ができますか、弁理士ということを書かないで、弁護士だけでよいのですか。
#17
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうです。
#18
○松村眞一郎君 そうすると、弁理士を仕事を当然弁護士がやる、こういう意味ですね。それではそういう意味に承わつて置きます。そういたしますと、例えば弁理士の方が弁理士会を作るとすると、弁護士は全部入つてしまうわけですね。
#19
○衆議院議員(鍛冶良作君) その点は弁理士会にそういう必要があれば入らなければならんと考えます。併しそれこそ弁理士法や、税務代理士法で決めることでありまして、弁護士法で決めることでないのです。弁理士会で弁理士会に入らなければ、これこれのことができんと規定してあれば、入らなければならんと、かように私は解釈しております。
#20
○大野幸一君 本案に対して一册も参考資料というものがないのです。幸い日本の大分アメリカナイズした今日ですから、提案者の方でアメリカの弁護士制度、若しくは英國の弁護士制度の概略の参考書を提出して貰いたいと思います。この機会にそれをお願いします。それからもう一つ資格問題につきまして、「最高裁判所の裁判官の職に在つた者。」以下から四項に至るまでの現在の人員数は、どのくらいあるか、現在の標準としてどのくらいの予定数があるか、いわゆる第五條に相当するものの現在の予定石と申しますか、そういう資格を持つておる者は、どのくらいあるかといす統計、それからいろいろ鍛冶委員長は衆議院において、この懇談会の所きに問題になつたということをかねて御承知でしようが、高等試驗を合格していて、そうして各種立法に関する審議会、委員会、それは法律に基く審議会、委員会等に関するものそういう名簿、こういうものを一つ提出して貰いたい。
#21
○衆議院議員(鍛冶良作君) 何かメモでも後で貰えませんか……。法に嵌るものがどのくらいあるか。
#22
○大野幸一君 それは高等試驗を受けて……、あとで問題になつて來ましてから私が言います。高等試驗を受けて各種立法に対する法律上設けられたる審議会、委員会そういうような種類に属する……
#23
○衆議院議員(鍛冶良作君) その高等試驗とは司法試驗ではないですか。
#24
○大野幸一君 はあ、全部で……
#25
○衆議院議員(鍛冶良作君) もう一つ。
#26
○大野幸一君 最初に申しました英米の弁護士制度に対する簡單なる参考資料。
#27
○委員長(伊藤修君) ではこちらでなるべく早く。
#28
○松村眞一郎君 第三十三条の二項の十一号に「司法修習生の修習に関する規定」というのがありますが、裁判所法の第六十七条の三項を見まするというと修習に関する事項は最高裁判所がこれを定めるということが書いてあります。その最高裁判所の定める関係と弁護士会の定める関係とはどういうふうになるのですか。裁判所の定めることに違反するというやつはおかしいですが、それと違つたことをやるというような場合が私は起り得ると思う。むしろ司法修習生の修習に関することはですね。最高裁判所がやるべきじやないかと思う。弁護士会でこういうことをやるということは、司法修習生の修習ということは、これは全部裁判所に國家としては委任してある。その関係はどうです。
#29
○衆議院議員(鍛冶良作君) 只今の点はですね。この弁護士会の会則は弁護士会の活動についての規定を掲げるものなんでございます。そしてその司法修習生の修習というのは、本則としては裁判所法に基いて裁判所がこれを規定するものでありますが、裁判所の方の司法修習生に関する手続の中には、実務修習には弁護士会において当然実務の修習に当るということが予定されておりまするし、その旨の最高裁判所の規則なども出ておるのでございます。從いましてここにおきまする司法修習生の修習に関する規定というのは、三十三條の各外の号もその通りなんでございますが、弁護士会における司法修習生の修習に関する規定、こういうふうにお読み願えたら非常に結構だと思うのです。
#30
○松村眞一郎君 そういうことに読めないということから私は言つておるのです。修習生の修習ということはすべて裁判所に今委任している。これは議論になりますからそれ以上申しません。修習生に関する規定なら、或いはいいでしよう。併し修習に関する規定ということになれば、これは裁判所の方では弁護士にも向くように、檢察官にも向きようにというので修習するのですから、その裁判所に任せておることを弁護士会の方でかれこれ言うべきことはない筈で、若しそれが不都合ならば裁判所法の方を改正しなければならない、それは別の議論にならなければならないと思う。元來弁護士にもなる人の修習を、全部裁判所にお任せしたという根本論から問題は出発するのでありますが、すでにこういうことになつておる以上は、修習生の修習のでき上るまではすべて最高裁判所にお任せしたという態度で行かなければいかんと思う。これは実は議論になりますが、よくお考え願いたい。なぜ私がこういうことを申すかというと、私の直感が、弁護士法が何となく弁護士の方に何でも抱え込もうというような印象を與えることになつてはいけないという心配からするんです。それはですね、それは一番問題になるのは十二条の二項です。この第十二條の第二項の押録又は登録換の請求前一年以内に公務員であつた者はいけないと、それは場合によつては登録しないことになる。この規定がですね。大きな問題である。これはですね。公務員としてはよろしいであろうかどうかということは私は伺いたい。これはむしろ弁護士法に聽いてもいかないでしよう。外の法に聽いた方がいいかもしれない。国家として檢察官が一年以内に弁護士になることは檢察官として大都会なのかどうかという問題を私は考えなければならない。あとで弁護士になるつもりで初め何らかの工作をするというようなことが若し行われ得るものであるとするならば、それは檢察官の方面で警戒すべきことであつて、それこそ國家の公務員なのですから、現に弁護士は直接の國家のことをやつておるんじやないのですから、国所しては弁護士のことを考えるよりも裁判官及び檢察官のことを考えなければならない。一年間に弁護士になるということが惡いことであるならば、檢察官、裁判官なりがそういうことをやらないような具合に裁判所法の方で書かなければならん。檢察廳法で私は書かなければならないと思うのでありますけれども、私の端的な意見を申しますと、十二條の二項というものはこれは要らないという考えなんです。こんなものは弁護士法で書くべきものではない。こういう頭で私はおるわけなんであります。これを尚立法上から申しますと、弁護士と裁判官というものは私は始程流通するということを考えておる。虚心坦懷に裁判官で弁護士になつて立派に働ける人は迎えた方がよいんじやないかと思う。何が故に昨日まで判事をしておつた者が、その職務の土地で非常に名聲があるという人が弁護士になるならば、むしろ観迎すべきである、弁護士として入るような人があるんであれば、それは弁護士として迎えてよいんじやないかと思う。こういうこと、現に弁護士が利益を害される虞れのあるような意味のことで、こんな規定を置いたということは弁護士の権威に関することと思います。誰でもお出でなさいということを私はむしろ考えます。第十二條の第二項のごときは、これは削除すべきものである。若しそういう必要があるかどうか、これは私はないと思う。弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠く虞れがあるか、どういう場合であるか、どういうことを言つておるのであるか、世間ではそういことで騒いでおる。私は檢察官なり、裁判官などか騒いでおることは私は意味をなさないと思う。職務を迫害するといつておるが、これは弁護士法にこういうことを書くことがおかしい。観迎したらよいじやないか、こういう規定がなぜ要るか、尚具体的に弁護士の職務を行わせることがその適正を欠く虞れがあるかということを具体的に承わりたい。その適正というのは何を意味するのか、「その適正を欠く」という「その」は何を指すのか。文字が甚だ曖昧であると思うが、大体思想が曖昧であるから文字まで曖昧になつて來るのじやないかと私は思つておる。そういう弁護士の職務を行わせることが、その適正を欠く虞はないと私は考えておる。從來弁護士の方でもいろいろこの二項ということで騒いだわけなんです。裁判官も檢察官も騒いでおる。こんなものを規定する必要はない。國の方にお聞きになつたらどうか、裁判官なり。檢察官の方で惡いのかどうか、在職中の者が一年以内にということは殊に公務員法の中に書いてある。営利に関係あるものにはなつちやいかんと公務員法に書いてあるが、裁初官は特別官であるが故に書いていない。檢察官は特別官じやない、そうすると営利の方に入つちやいかんけれども、弁護士になるということは國の方としてはむしろ歓迎していいのじやないか。何故私がそういうことを申すかというと、弁護士の修練を経た人は、裁判官になつて貰いたい。生き生きとした裁判官が直ぐに弁護士になつて來れば尚生き生きした弁ができると思う。何を苦しんでこういう規定を置くのかと世間では思うでしよう。これは弁護士が自己の職務に不利益なるから、ギルドや何かのように職務の門戸を閉鎖して自分さえよければよいという、それこそ営利観念である。そんなことでこういう規定が生れておるというような工合に思われやしないかという意味で、むしろ弁護士として権威にかかるということを私は考えておる。逆なんです。私は歓迎しようというのです。昨日までやつておつた人、生き生きした判事であるからこそ弁護士として生き生きとしてできるのじやないか。私はそう思いますから、立法論として私は反対であると申上げます。理由が分らないということを申上げます。
#31
○衆議院議員(鍛冶良作君) さつきの修習の点は、成る程この字では曖昧であるとおつしやればそうかも知れませんが、今福原法制部長から申しました通り、司法修習生の中で弁護士会でやることをやるのだと、こういう意味で書いてあるのであります。これは表現が惡ければ別ですが、意味だけはそういうことであることを御了承願いたいと思います。更に十二條のその問題は誠に随分議論のあつた問題でありまして、今の御説は私も全部御趣旨としては同感であります。從いまして我々は法曹一元の理論を唱えておりまする以上、御説の通り弁護士はいつでも裁判官、檢察官になれる。又裁判官及び檢察官はいつでも弁護士になれる。常に人事の交流をやらなければならんことは最も深く考えて立案したつもりであります。從いまして若し裁判官及び檢察官が弁護士になつて下さるときには弁護士会は双手を挙げてこれを歓迎するものであることは、ここに私は弁護士会の意見を代表いたしまして明確に申上げて置きます。決してこれに文句を言おうという考えはありません。ただ御指摘のように、裁判官並びに檢察官の在職中に弁護士となつて感心されない行爲のあつた者がままあるのであります。これは中央よりも地方に最も多いのでありまして、地方にはそれに対しては数う切れない程の弊害及び苦情が現われております。これは誠に遺憾なことである。そこで今御説のように、それなら裁判官及び檢察官としての適格を欠いておるのじやないか、その方で然るべくやればいいじやないか、こういう御説である。成る程これも考え方でありますが、その通りびしびしやつて貰えばいいのですが、それをやらないで辞めて來るのですから、辞めて來て弁護士会を入れて呉れと、こう言うのです。そのときに弁護士会から元のやつておつた辞めない先のものが惡かつたから、いわゆる辞めない先を裁判所及び檢察廳でそれを然るべくやれと言つても、ちよつと途はないと考えるのであります。さような人は余程稀でなけりやなりません。又今後はそういうことがないことを我々は希望しておりますが、過去における実例としては実際止むを得ないのです。正直に申しますると、我々東京で初めから弁護士をやつておりますから、それ程痛感されないので、まあいいじやないかという議論もして見たのですが、地方では、実際実例を挙げてどうあつてもやらなければならんというので、前に二年というのを入れましたのです。
 それからもう一つここで公務員というのがありましたのは、これはついこの間を議論があつて改正したのですが、前に判事若しくは檢事をやつておつた者と書いてあつた。それで裁判官並びに檢察官から判事、檢事というものを特に挙げて、どうも判事、檢事をやれば弁護士になれない資格を持つておるような印象を與えることは甚だ面白くないということで、このように改めたのでありまして、これについても御説のように或いは却つて曖昧だという点もあるかも知れませんけれども、いろいろ紆余曲折を経たる結果、かようになつてしまいましたのであります。それから今御指摘になりましたその地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠く虞れというその方は、弁護士の職務を行わせるに適正を欠くという意味でございます。まあ御了承の程をお願いいたします。
#32
○松村眞一郎君 議論になりますが、そういうことなきを希望するという点なれば、そんな規定を置くのは、私は惡いと思う。なきことを希望するなら、それは道徳でやるのがいいのであつて、法律で書くということそれ自身恥辱だと思う。そんな者がおるということを示すことになると私は思う。殊に判事、檢事と書くと困るからというて公務員まで拡張することは何のことであるか、意味をなさない。どんな公務員でもということになると、それは具体的になるから他の公務員は默つてしまつて、公務員はどこまで行つて何を考えているかということを伺うのでなければ、公務員全体の名誉のために極めてこういう漠然とした……、却て惡くなるのですから、弁護士は判事と檢事だけ兼ねられればいいというところに、判事檢事だけはそういうことになるから困るという議論があるからと言つて、それを公務員に拡張するということはごまかしじやないかと私は思う。立法がそういうごまかしとか、妥協ということでやるべきものじやないと思う。神聖な裁判官の職務と並行している弁護士の規定について曖昧模糊たる態度でやるということは、法律の権威を害すると思う。一番大事なことなんです。弁護士というものに、そう大事な職を扱う人に対して曖昧模糊たることを被せて法律を通すというその態度それ自体がよくないと私は思う。何故判事と檢事と書いて惡い、惡ければ惡いとそれで堂々と國会の方に持つて來られて、國会の議員に判断させたらいいじやないか。惡い言葉を以て使うならば、穏かでないかも知れませんが、妥協してそうして漠然とした言葉を使つていることは、或る意味において國会を侮辱していると思う。言い過ぎかも知れませんが、私の心持を御了承願いたい。もう少しまじめに眞劍に行こうじやないか。それが甚だ惡いものであるならば、檢察官と判事の意見を法務廳で聞きます。何故そういうことがいけないのか。私はそれよりもむしろ削る案です。削つてしまつていいと思います。地方に非常に弊害があるという仰せでありますが、それならばその弊害を直すべき判事、檢事が惡いのではありませんか。それならばそういう惡い判事、檢事のあることを弁護士として默認して弁護士法を作るそれ自身が私は弁護士の態度としてよくないと思う。そういう判事、檢事があるならば、その判事、檢事を廓清して貰わなければならないということを先ず唱えるべきであつて、それはそのままにして置く、判事檢事にそういうことがあることは仕方ない、弁護士だけ防止するという態度では眞摯な態度ではないと私は思いますから、そういう趣旨でそれが書いてあるならば、それは私は反対であります。
#33
○衆議院議員(鍛冶良作君) 余り御議論になつてもいかんですが、判事、檢事でそういうことがないことを希望しているのは、これは私一人ではあるまいと思います。從つて今後はそういうようなことのないように上司においてもそのことを命じ、一般からも注意をして言つて貰いたい、こういうようなわけであります。それであるが故にその弊害の一遍になくなるとは認められないのです。これは情ないことでありますが、実情であります。その実情からしてこの規定を設けたものであることを御了承願いたいのであります。それから先程今まで変つて來た例を言いましたが、判事、檢事を除いて公務員にしたということは妥協とおつしやるけれども、そうではありません。向うからの議論では、若しそういう弊害があるものとするならば、判事、檢事ばかりがそういう弊害があるものでなかろう、他にも予想できないことはなかろう。こういうことで我々は篤と考えた結果、成る程そういうことも予想できんこともないから、それではそういう予想のできるものがあれば、これを除くということにしてよかろう。かように考えてやつた次第であります。
#34
○松村眞一郎君 議論になりますから申上げませんが、そういうことを希望しておつて、経過的にそういうことを考えているなら、附則にお書きになつたらいいでしよう。そんなものを本則に書いて堂々と、こういうものが後で審査をして裁判所に持つて行くなんということは、これは重大な問題です。これがひつかかるのです。これは本文に書いてそういうことを堂々と書くこいうことは、私は感服しないということを申上げます。殊に公務員にもあるじやないかということを判檢事が言うたからといつて、公務員を入れられることは甚だ迷惑な話です。判事、檢事が他の公務員のことを言つたからといつて、直ぐ他の公務員に弊害があるというような漠然たることで公務員ということをお書きになるということは、私は非常に立法としても甚だ迂潤であるということを申上げていいと思います。公務員というのはどこまで行くのか分らないのです。何を考えておるかということを具体的におつしやつて頂かなければ困る。どういう公務員を言つておるのか、それを具体的に書きましよう。なぜかというと、これは権利に関することなんです。場合によつては登録されないかも知れんということであるならば明確にせんといかんのです。こうこういうものについてはいけないということを、何だか分らないことを言つたならば、登録をするときにそれで拒絶されるかも知れんという漠然としたことが、人の自由を拘束するということは、私はいけないと思う。登録を拒絶されるかも知れんということであるならば殊に明確に書かなければいかん、こうこういうものについてはいかんと漠然と書いて、それが後で登録を拒絶されるかも知れんというがごとき態度でこの二項をお書きになるということは、立法論として感服しないということを申上げて置きます。そういうようなお考えであるならば、殊に判檢事においてそういうことが事実あるということであるならば、その方を一つ救済することを一日も私は速かにやらなければならんことだと思います。それは弁護士になるだけの問題じやないので、判檢事の問題なんです。その人は弁護士になるかも知れん、ならないかも知れんと平生言つておる、それでは尚困る。弁護士になるという色氣だけ出しておつて弁護士にならない。そうなると尚惡くなつて弊害を起す。それは判檢事の廓清の問題であつて、殊に地方でそういうことがあるということは許すことができない問題と思いますから、今までの御説明では私は承服しかねるということを申上げて置きます。
#35
○來馬琢道君 今の松村委員の御意見について、必ずしも松村君の意見が参議院を代表するものとは思いませんガ、私が実際見て來たことをここに申上げて御参考にしたいと思うのですが、私が過日或る所に私用で参りました。然るところその席におりました人は、その地方において判檢事のどちらかをやつておつた方である。名刺を見ると東京都中央区日本橋に事務所がある。而も住所はその任地の所におりまして、私が面会した用件というのも或る刑事問題について、專ら現職の判檢事の間を往來して、何か依頼した人のために便利を図つておるというような仕事で、法廷には出ないのです。元の任地におつてそうして活動しておるということを見たのであります。私はかねがね司法委員会において聞いておりました問題が、これがやはり一種のもぐりの方法であるということを感じました。先だつてのあの規定ができてもまだこういう方法で一年間ぐらいは働くことができれば、実害と言いましようか、弊害はおのずから伴うなと感じて來たことであります。こういうことについてお考えになつておいでになるのか、松村委員の言われるようにこれを規定することはいかんという程には私は考えないが、何とか制裁する方法がなければならないかとも思つておりますが、その辺について若し御意見を承われますれば我々にも研究したいと思います。
#36
○衆議院議員(鍛冶良作君) 松村先生の御意見は大抵その前提でおつしやつたと思いますから、私は申上げなかつたのでありますが、この法律の精神は判檢事を歓迎するということが、大前提であることに御了解願いたいと思います。從いまして一般の判檢事が弁護士登録を請求されて拒絶するわけがないのです。大歓迎するのです。たまたま甚だ困る人があるのです。これは嫌なことですが、今來馬先生のおつしやつたのはまだいいのです。もう俺はこれから弁護士をやるのだとこう言つて、あらゆる方面に渡りを付け、仕事の方で如何にも恩に着せるようなことをしておる人が実際にあります。それを今松村先生は、そういうものがあつたらそこでびしびしやれとおつしやるのですが、なかなかそうは行かない。すぐ止めて弁護士の登録の請求をするのです。それではどうも困るというので、こういうことを考えたのでありまして、前提としては誰でも入れるのだ。併しただここに書いてある通り、その地域内において弁護士の職務を行わせることが不適当というような事情のある場合、そういうときは拒絶するかも知れない、こういう規定にしております。併しそれでも先程の松村先生のお話のように特に不適当という、特にというようなことはいかんということをおつしやいますが、ここでは審査会に異議の申立ができる途があるから、そこで十分審査して貰えると思います。條文に現われたところを見ると、そういうことにも考えられるかも知れませんが、実際問題といたしましては、そんなに弊害があつたり、特にその公務員を侮辱したつもりのないことはお分り願えるかと、かように考えております。どうぞ御了承願います。
#37
○宮城タマヨ君 第二十條の第三項でございますが、「弁護士はいかなる名義をもつてしても、二箇以上の法律事務所を設けることができない。」この「いかなる名義」ということは想像できる範囲ではどういうことですか、私のような素人が読みますと、如何にもいろいろあの手、この手を以て、それぞれインチキな名前を使つた法律事務所があるかのように読めることは甚だ遺憾だと思いますので、こういう字をここに入れなければならないというのはどうかということを考えたから、ちよつと伺います。
#38
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今おつしやつた通りなのでありまして、何々弁護士法律事務所というのが原則ですが、それをいろいろ法律相談所であるとか、何々法律事務所というように、法律事務所であるように見せかけた実例が今まであつたのであります。そういうものは、弁護士でなかつたら法律事務所という名前を使つてはいけない。こういうふうに規定いたしたのであります。弁護士であれば堂々と書けばいいのです。弁護士にあらざるものがそういう名前を使つて法律事務を取扱うというと、俗に言う三百の弊害というものが現われるのであります。そこで二個以上の法律事務所を作つてはいかんというのも、それから出て参つたので、これも随分議論のあつたところです。何とか地方の実情に合つた便法はないかと考えたのでありますが、この法律を作ります一般の頭はそういうことで、弁護士みずからしておる所でなかつたら、もうその弁護士の法律事務所でということでなかつたら止めよと、それ以外は必ず弊害があるということから出て参りましたものですから、前の法律からそのまま踏襲して参りましたわけであります。
#39
○鬼丸義齊君 私は出席が遅れたので、本法案の提考理由の経過を伺うことができなかつたのでありますが、昨日漸くこの案が私共の手許に参つたのですが、聞くところによりますれば、すでに衆議院の方は本会議を法案が通つたということです。一体こんなに会期の切迫したときに突如としてこういう重要法案を出される。而もこの法案なるものは、すでに数年に亘つて我々の最も深い関心を持つ重要法案であつたにも拘わらず、この法律案を漸く昨日我々の手許に配付するなんてことはどういうことですか。法案自体私共の研究する暇がない。それはどういうような経過であつたか、尚又本法案を出すに至つた経過を一遍伺いたいと思います。
#40
○委員長(伊藤修君) 経過については先程花村委員長から詳細に説明があつたのです。
#41
○鬼丸義齊君 誰から……
#42
○委員長(伊藤修君) 提案者の花村委員長です。
#43
○鬼丸義齊君 提案者は誰です。
#44
○委員長(伊藤修君) 花村委員長です。
#45
○鬼丸義齊君 衆議院の司法委員長ですか。
#46
○衆議院議員(鍛冶良作君) 法務委員会から出したのです。代表して花村委員長が……
#47
○鬼丸義齊君 どうして一体昨日まで……
#48
○衆議院議員(鍛冶良作君) それでは経過について申上げます。これは十何年前から企てまして、そしてこれは全國の弁護士会から意見を集め、中央において案を拵えまして、それから各省の意見も纏めたりして、弁護士会の案なるものができて、第一回國会のときに、すでに衆議院の当時の司法委員会にこういうものを元にして出して貰いたいと言つて要求しておりましたのです。ところがなかなか機会がありませんので、どの國会においても、第四回だけはやらなかつたか知れませんが、一回も二回も三回も審議に入つたのでありまするが、なかなかいろいろ議論がありまして纏まりませんでした、併しこれは鬼丸さんのところへ届いておらなかつたとすれば申訳ないのですが、各國会の際に変つて、案を作りましたときには、参議院に参考案として廻しておつたと心得ておるのでありますが。
#49
○委員長(伊藤修君) それは來ていないということははつきり申上げますから……
#50
○衆議院議員(鍛冶良作君) あなた方の專門員の方だけですか。
#51
○委員長(伊藤修君) 私は一部貰つただけです。何回変つたか知らんけれども、そのうち一つだけこれを貰つただけです。
#52
○衆議院議員(鍛冶良作君) 実は私は参議院の法務委員会では、相当この内容については御承知のことかと思つておつたのであります。ところが今おつしやつたこの議会の切羽詰つてということは、これは一つ御了承願いたいのは、今度の議会でこそ出そうというので、第四回國会のときです、すでに原案としてのGHQリーガル・セクシヨンまで廻しました。リーガル・セクシヨンに廻しましたら、リーガル・セクシヨンから改めて裁判所、法務廰及び弁護士会へ意見を求められました。そうすると前には相当纏まつて出ておつた筈ですが、改めて意見を求められると又違つたそれぞれの意見が出ましたので、それがなかなか纏まらんで、とうとうこの國会まで持越されて來まして、そこでこの國会になりましてから小委員会を設けて、我々が度々三者の方々に寄つて貰つて漸く弁護士法案を、つまりこの一週間程前に、今松村先生からお叱りを受けたが、これだけの案を作つて、これで漸く三者の意見が纏まりましたというて、アプルーヴアルを貰つて來ましたのはこの四五日前であります。そこで早速小委員会の成案として法務委員会に正式に提出し、そこで法務委員会から本会に正式に提出いたしましたのが、一昨日ですか、一昨々日なんでありまして、そこで漸くこちらに参つた次第であります。その前には印刷したものはあつたが、大抵ガリ版刷りの物で、何遍も何遍も刷り変え、刷り変えしてできた。印刷のできたのが漸く四五日前に向うからアプールヴアルして貰つて、初めて作つたわけでありまして、誠にこの会期切迫のときに出しましたことは我々としても遺憾千万なのでありますが、これでも一生懸命やつたことを一つ御了承願いまして、できまするものならば、本國会において通過さして頂くことを特にお願いいたしたいのであります。
#53
○鬼丸義齊君 長い間の懸案であり、殊に新憲法において各法案ともそれぞれ著々整備されつつあるので、残されておりまするこの弁護士法の改正法案も当然解決しなければならんものだとは私も承知しておりまするが、併しながら衆議院の法務委員会において非常に長い期間に亘つて御努力を頂いておることは蔭ながら承知いたしておりましたが、前國会の終りだと思いますが、すでに衆議院の法務委員会においては案を出されて、その案を次回の國会の劈頭に出されるというふうなことに決められたことを私共聞いております。定めて本國会に出されることであろうと思つておりましたにも拘わらず、すでに会期の終らんとしておりまするときまで、何ら音沙汰がなかつた。ところが突如として昨日この法案が提案されたのでありましよう。我々の手許に漸く來たのですから、どうも、同じく両院にすでに專門のものの委員会があるのです。衆議院が法務委員会で以て熱心に檢討されておりまするならば、緊密なる連絡をとられて、そうしてこの法案に対する両委員会の諸君が大体においての帰する点を決めて、そうして進行せられることにしたならば大変よかつたのではないかと思います。私共は他の方面に対して、衆議院の法務委員会が非常な御努力を拂つておらるることは今承わつて承知したのでありまするが、紆余曲折の感もあつたようでありますが、併し少くとも衆議院の法務委員会に対する全体に対しては、恐らく連繋は余りなかつた。故にこの法案を手にいたしまして、漸く夕べから覗いておるようなわけであつて、実際は我々最も重要法案と思つておりますこの法案についての研究については、甚だ隔靴掻痒の感を免かれないのです。遺憾に思つております。ただ私はこれは一つ私見としてさように申上げたのであつて、只今説明を承わつたので止むなく御承認するより外ないと思いますが、私がちよつとここで氣付きました一節についての疑義を持つておりますることとして、第五條の第三号にあります「五年以上別に法律で定める大学の学部、專攻科又は大学院において法律学の教授又は助教授の職に在つた者。」、この人がそれぞれ非常な嚴格なる資格試驗に及第したのと同列な資格を得るということに至つては、大学校その他において教授或いは助教助の採用規定について嚴格なる規定があるのでありますが、この五年という年数を経ることは、常住法務に親しみ、そして本当にこの資格試驗に合格した者と同列なる実力を有する当然の資格を持ちます者のごとき堪能なものにでき得るおつもりであるかどうか、往々にしてありまする大学助教授とか何とかいうのも、殊に近來は非常に学校が濫設しております。その場合にただ名目だけの教授、助教授という名前を持つておりますことも私共聞いております。而も二校、三校が相関連して年数等を通算することになつております。非常なこの点について私は定めて用意周到なる研給を遂げていると思いますけれども、如何にもただ大学の教授或いは助教授というだけのことだけでは、嚴格なる資格試驗と同一なる專門知識を持つているものであるや否やということを確認するには聊か足りないのではないか、かように思います。ここに三号に認められました、これについての根拠を一つ伺いたい。
#54
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私はこれは個人として申述べられるのなら、鬼丸先生と全く同一の意見で、これについても随分これは司法審議会以來、議論に議論を重ねてできた規定なのであります。我々は法曹一元の持論をどこまでも堅持し、更に司法修習生たる資格を得て、修習生を経ない者はいけないのだという、この修習という意味から申しましても、單に法律学を知つているというだけではなくて、弁護士として、もつと言えば法律家としての高等常識、並びに徳育の備わつた者を養成するという意味でありますが故に、大体においてはこの五條のいわゆる特例というものには賛成したくないのであります。ところがいろいろな経緯から参りましたのでありますが、この第三号の出て來ました一番の根拠は、判檢事たる者は弁護士たり得るのである、弁護士たり得る者は判檢事たり得る、こういう原則から、逆さまな議論であるかどうか知りませんが、そういうところから來まして、そこでいろいろな議論が出まして、裁判所構成法の第六十五條には、三年以下帝國大学法科教授若しくは弁護士たる者はこの章に掲げたる試驗及び考試を経ずして判事又は檢事に任ぜられることができる、こうなつております。こういうので法律学の教授になれば判檢事になり得るのだというのであります。
#55
○鬼丸義齊君 新法では何條ですか。
#56
○衆議院議員(鍛冶良作君) 新法では四十二條であります。今の何は十年となつておりますが、四十二條の第六号に「前條第一項第六号の大学の法律学の教授又は助教授」というのが入つているのであります。それから四十一條の六号は「別に法律で定める大学の法律学の教授又は助教授」こういうことになつておりまするので、これに併せて判事、檢事になり得る者ならば弁護士になつてもよかろう、こういう議論が多数を制しまして、遂にこれがここに入つて参つた次第であります。
#57
○鬼丸義齊君 それはあなたの説明がちよつと足らない。だから大学教授ですね、大学教授になり得るのは、どんな資格があるために、一体どういうような閲歴を持つことによつてなり得るのか。ただ教授、助教授という名前だけじやいけない。名前に合つて五ケ年間もあれば、そういう資格を持つまでの充実した專門の知識と学識を備えているものになるかならんかという根拠ですね、こういうことからこれを同列に扱うべきものだという趣旨でなければならないのじやないかと思います。
#58
○衆議院議員(鍛冶良作君) もつと詳しいことはなんですが、四十一條、四十二條にありまするこの何には、「別に法律で定める大学の法律学の教授又は助教授」、これは大学令によつて大学と定めたる大学であつて、而してその大学令にはすべて教授及び助教授となる資格の規定がある筈でありますから、その点を指しているのであります。
#59
○鬼丸義齊君 だから私はもう勿論そうであろうと思つておつたのであるが、大学令に規定しているところの教授、助教授だけでは、実際五ケ年なら五ケ年というものを皆勤して、本当にその資格と同等なる内容を持つ教授、助教授でないと私は思うから、その点をあなたに確かめようとするのです。別に定める法律は百も二百も書いてあるから、その通りに違いない。併しながらこの制度はかくのごときものなるが故に、資格を同一に見ても差支えないというのでなければ、提案者の説明にならない。それを聞くのです。
#60
○衆議院議員(鍛冶良作君) 誠に質問の御趣旨私も同感でありまして、余程この点は考慮すべき余地のあるものと思います。大体裁判所の方でこれを裁判官は十年、檢事は三年、こういうところから來たものと御了承願いたいと思います。理論としては相当考慮すべき余地があると思います。
#61
○鬼丸義齊君 そうしますと、衆議院の方でも御檢討になつて勿論今日まで來ているのですが、衆議院の大勢としては、この三号を削ることについては、若し参議院の方の法務委員会で以てこれを削るとしたら、衆議院の大勢はどうですか。これはざつくばらんに率直に、あなたのような有力な人すら賛成して貰つているのだから、尚以て一つこれは伺つて見たいと思います。
#62
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今おつしやる、衆議院はどうだとおつしやれば、私はそれを答える……
#63
○鬼丸義齊君 大変です。
#64
○衆議院議員(鍛冶良作君) それもちよつと何ですが、私は個人としてはない方が結構な規定とこう思つております。これは随分議論した規定であります。
#65
○鬼丸義齊君 それから、少しこれは職業柄我田引水の感があると存じますが、他の諸君には聞きずらいか知れませんけれども、一点伺つて置きたいと思いますので、委員長が曾て関係方面から、近來の公職者がとかくにして、いろいろ事件に関與して揉消し運動その他を非常にやるので、この弊害は座視するに忍びない、この際何か一つ立案してこの弊害を除くべき案を立てたらどうかというようなことが、サゼッションとして出ておつたということも聞いております。それについて非常な努力を拂われておると聞いております。尤も千万な私共はお考え方と思つておりますが、併しながら、提案後における両院の運命を洞察されて、まだ具体化して参つておりませんが、私は新らしく單行法として御計画になることは非常な困難が伴おうと思います。幸いに弁護士法が新らしく制定されまするのであるならば、この弁護士法の規定中の、例えば七十二條です。七十二條の中で以て少くともその滔々として起るべき弊害の万分の一と雖も防ぎ得らるべき字句を挿入して取締られるならば、或いは委員長の企図されまする趣旨にも若干副うのではなかろうかと思つておりますが、その点について委員長のお考を伺いたい。
#66
○委員長(伊藤修君) 公務員の斡旋賄路に関する立案の方ですか、それに対しましては御承知の通り申上げるまでに至つておりませんが、立案をいたしましてOKもとれる運びになつておりますが、ただ問題は廣く公務員と指した場合におきましては両院議員も含まれるために、多くの議員の人の賛成を得難いと慮りまして、法案通過の見込を考えて、まだ提出していないのでありまして、只今鬼丸委員のお説のごとく、本案の中にその趣旨を取入れることは誠に結構だと存じまするのですが、尚よく研究して見たいと思います。
#67
○鬼丸義齊君 私もそういうふうに聞き及んでおりまするので、結局両院通過の見通しが付かないのであるならば、弊害が滔々として起るのであるならば、少くともこの場合この重要な関係のある法律ができるときに織り込んでやつたならば、幾分なりとも弊害は少くなりはしないかと、こういうふうに感じます。一應一つ御研究願いたいと思います。
#68
○委員長(伊藤修君) 御注意によりまして十分研究したいと思います。
#69
○大野幸一君 ちよつと注意しますが、そのとき我々のごとき二つの職を持つておる者が相当多いと思うのです。そうすると弁護士でも國会議員として公務員であれば、弁護士の職務を停止される、こういう点を一つ考慮頂きたいと思います。
#70
○委員長(伊藤修君) 十分法制局と打合せまして研究いたします。
#71
○鬼丸義齊君 二十條の3にあります弁護士の法律事務所、これは大分ぐるぐる持つて廻つて訳の分らんことになつてしまつておるのですが、但書で「他の弁護士の法律事務所において執務することを妨げない。」、弁護士が一体執務するのに、何も他の弁護士の法律事務所でなくたつて、どこだつて仕事するくらいのことならば差支ないわけなんです。そうすると「執務することを妨げない」というならば、ここで限定したならば、他の弁護士の法律事務所でなければ執務できないといつても、法廷でもできる、議会でもできる。執務する場所を指定しただけでは字句になつていないと思う。然らばこの字句というものは、他の弁護士の法律事務との共同事務所であればよかろうという趣旨か、いわゆる他の弁護士の家へ行つて法律事務所を何々共同事務所と、例えば鍛冶法律事務所の家で弁護士鬼丸義齊の事務所と書いてもよろしいという趣旨か。執務することが差支ないというならば、どこだつて執務することは差支ない。天下いずれの場所と雖も執務を制限される理由はない。併し法律事務所として差支ないというならば、他の弁護士の法律事務所で、鍛冶法律事務所併せて弁護士鬼丸法律事務所で差支ないという趣旨か、その点をお聞きしたい。
#72
○衆議院議員(鍛冶良作君) 如何にも御尤もでございますが、これは前からありましたので、前の弁護士法を作るときに、どういうことでしたか、前の法律にあるのです。それをそのまま受けたんです。結局、一つの事務所を持つておつて、よそへ行つて又事務所と同じようにそこを一定のその人の事務をとる場所としてやることはいかん、こういう趣旨だつたと思つております。但し弁護士の事務所へ行つてそれをやるならば、例えば私が名古屋なら名古屋へ行けば鬼丸事務所で事務をとらして貰うんだ、これならば差支ないんだ、こういう意味だつたかと心得ます。ついでに申上げますが、これは参議院の方でもいろいろな連絡をしたときに、又地方の弁護士の方々からも、成る程弊害もあるか知らんが、地方へ行つてはこれを嚴格にされては非常に事務をとるのに不便だ。だからせめてもう二個だけをいいということにしたらどうだというので、それで又議論しまして、今あなたのおつしやつたように、鬼丸弁護士事務所においてならば鍛冶法律事務所というものを設けてもよろしい。これならばそれ程弊害がないじやないか、こういう議論が出ましたので、これくらいのことならばいいか知らんと思つて、それを挿入するように法制部へ頼んで置いたのであります。ところが法制部でいろいろ研究して見たが、どうもこの法律の建前はもう事務所は一個としてできておるんだから、あらゆる方面に行きつかえてとても、根本的に直せばともかく、それだけでは甚だ困ると言われたので、これは理窟よりも実際面からして、現行法通りのものを出して参つたのであります。尚、立法技術に関する細かいことは、何でしたら、福原君がおりますから、説明して頂いてもよろしうございます。
#73
○鬼丸義齊君 但書の文字に至つては実に法文の体を成していない。執務することができると言つても、執務なんか制限受ける理由がない。天下どこでもできなければならん。それであるから、ここに事新らしく弁護士は他の弁護士の法律事務所以外の場合において執務することを得んというような趣旨の筈はないと思う。だからここに執旨することを得とあるならば、即ち弁護士法律事務所として執務してよいだろうと思います。そうなければいかんと思う。こんな曖昧なことで以て、但し弁護士の法律事務所において執務することを妨げないなんと言つて、弁護士の仕事なんというものは限られたものとは違う。だから法律の事務所を扱うには天下いずれの場所においてもどきるのだから、必ずしも弁護士の法務事務所でなければならんなんということはない。殊に現在は簡易裁判所が設立されまして、全國殆んど数百の、千になんなんとするものが各所にできて、而も簡易裁判所の管轄というものは、二百三十五條の三年以下の懲役に当るべき沢山な刑事事件が現に審理されておるのである。これに対して弁護士が参加しなければならない場合が義務として、訴訟事務に参加しなければならない場合が法律的にも沢山出て來ておる。そのときに当つて特に弁護士法律事務所を一個に限らなければならんということは時代に甚だ合わざるものと思います。聞くところによりますれば、二ケ所以上の事務所を許すということについても大分努力されておると聞いております。併しこれは今日の少くとも現状から言つたならば、若し弁護士というものが訴訟にはなければならないものであると限定いたしましたならば、当然私は二個以上も三個も或いは許さなければ本当に需要を満し得ないと思う。この点を一つ努力されて、どういう理由のために一体それが結論としていけなくなつたのかということをこの際提案者に伺いたいと思います。
#74
○大野幸一君 関連して……。鬼丸委員の意見はそうですが、又提案者に聞きたいのは、由來弁護士が幾つも法律事務所を持つということの弊害は、曾つて三百代言を許した当時起きたことでありまして、法律学に少し素養のある者が各所に法律事務所を拵えて、実はその弁護士はたまにしか來ない。そこで実際三百が弁護士の事務をやつたものだというので、これはいかんというので、あの非弁護士取締法、本法案によると七十二條以下でしよう。こういうものを制定された歴史的由來があるのであります。それで私は第二項はこれを制限し、その弊害を除去するために、そういう非弁護士の管理する事務所はいかんが、併し、弁護士が共同してやるような場合は、そういう弊害はないだろうということで、私は本法案の但書ができたのだろうと思うが、どうですかということをお聞きしたい。例えば名古屋に鬼丸議員が弁護士をしていらして、東京で頼まれる場合も東京の或る弁護士のところに事務所も構えておれば非常に便利だろうと思う。こういう点を私も考えまして、この法案の趣旨はそういうところにあるのではないかと思うのですが、どうですか。
#75
○衆議院議員(鍛冶良作君) 議論としては今おつしやつたようなことも考えられるのでありますが、これは現行法の下においても私が名古屋に行つて鬼丸さんの事務所でいつも來て事務をとるというならばよいのですが、鬼丸さんの事務所に鍛冶事務所と掲げることはいけないと解釈しております。事のよしあしは別として……。ところで今度参議院からいろいろ御議論もありましたし、地方の声もありましたので、弁護士事務所であるならば、そこだけにそういう鬼丸事務所において鍛冶事務所という看板を書いてもよい。併し鬼丸さんが東京に來れば鬼丸事務所としてもよいのではないかということも立法的に考えて見たのですが、どうもそういうことを、一体一個の事務所のための登録その他すべてそういうことになつておるのだから、到底煩に堪えないということで諦めたのですが、その以上の細かいことは福原君から説明をして頂きましよう。
#76
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の鍛冶委員の御説明に補足して申上げます。二十條の第三項は、現行法と全く同じものを公文化したに過ぎないのであります。そうしてこれを立案の過程において二つ以上の法律事務所においての執務を認めるような規定を置いてはどうかということで研究いたしましたところ、弁護士会の関係、即ち何故法律事務所を弁護士一人について一ケ所ということにしておるかということを、現行法は一ケ所主義をとり、そうしてこの昭和八年以前の弁護士法では複数主義をとつておるように思つたのでありますが、そのときの立法過程を見ますと、この單一主義をとつたのは大体四つの理由がありまして、その一つはまあ極端な自由競爭を排除するということ、それから二つが訴訟遅延の防止、即ち二ケ所以上ありますると、訴訟の進行を妨げるものがあるということなのでございます。三番目がいわゆる三百を取締る上から言つても、若し数個の弁護士事務所を置くならば、そこに三百代言に相当するようなものを置かざるを得ないような状況になるのであります。昭和八年の弁護士法改正の当時三百取締りの法律ができたのでありますが、その立法の経過から見てもこれは望めないところだ。これも一つの理由になります。最後に又弁護士の数は大変殖えたから、必ずしも二ケ所主義をとつて置く必要がある程に弁護士の数が少いわけではない。一ケ所主義で十分である。この四つの理由を挙げておるようであります。更に又單数主義の利益として、依頼者に対して弁護士がその地におるということで、依頼者の便宜が大きいということと、更に弁護士に対する監督の面において遥かに複数主義よりはいいという、この二つが掲げられておるようであります。それで今度の弁護士法の最大の眼目が、從來の官僚的な監督から脱して、自治統制をとり、弁護士会に一元的に監督権を委ねておるという関係から申しますと、その弁護士会と弁護士との繋がりは、前よりも増して緊密なものでなければならないと思うのであります。然るところ二ケ所の弁護士事務所を設けますると、その二ケ所というのは、恐らく同一の弁護士会であるならば、これは問題は半分は解消されますが、若し設例のように東京と名古屋といたしますと、その方は名古屋の弁護士会にも所属し、かたがた東京の弁護士会にも所属するという二本建をとらなければならないかと思うのでございます。その場合主たる弁護士事務所と、從たる弁護士事務城と分けるということも考えられますから、これは煩雜に過ぎるものと考えられます。そうして若し二ケ所の弁護士会に所属するということを考えました場合に、名古屋において弁護士会でその者が弁護士会の秩序又は信用を紊したということで、やれ懲戒だとか、それから又退会というような問題が起つた場合に、その方で退会、或いは除名は問題でありませんが、その他のことがあつた。退会というような場合に、外の弁護士会におけるその会員の身分はどうなるかという点もやはり一應書かなければならん。そういうことになりますと、恐らくこの法律の体系から申せば、ちよつと目の子算で見ましても、十ケ條ぐらいのいろいろな関係規定を置く必要があるのではないか、こんなことを考えまして、技術的な困難がある。そういうことから現在旧弁護士法から現行法の單一主義をとつたということは、必らずしも現在でもとれないことはないということで、事なかれ主義で現行法を踏襲した、こういうわけであります。
#77
○鬼丸義齊君 現行法をそのままとられたことは、経過としては或いは御尤もかも知れませんけれども、ここに書いてありますることを靜かに御覽になつて見れば、こんなことで以て一体何の法文かと私は思うのです。弁護士が、但し他の弁護士の法律事務所において執務することができるということで、そうすると法務事務所以外には執務することができない。そんな筈はないと思います。私はこの簡易裁判所のできてから後と、國選弁護士人の制度もでき、新刑事訴訟法制度から行けば、國家的義務を負わされておるときでありますから、むしろそうした若干の弊害が伴うならば、弊害は他の方面において秩序を保つべき軌範規定を置き、そうして需要供給に應ずる措置をとるのが、新法を折角作るならばそうでなければならんのでないか、かように思うのであります。例えば今大野委員が言われました通り、他の弁護士の法律事務所でよろしいというならば、ここで但し弁護士の法律事務所は他の弁護士のいわゆる法律事務所に併置することができるというようなことになれば、何らそこに弊害はできない。主であるとか、從であるとかいうようなあれは、便、不便は物の数でなく、今幾つか述べられましたる大部分というものは、操作によつて立派に盡し得られると思う。それは又、私は他の理由によつて絶対に不可能な理由があるのか、ないのかをこの際伺うだけのことであります……。分りました。尚この法案は十分に研究したいと思うのでありますが、本当に見たばかりであるから、今日直ぐ採決にならないように……
#78
○委員長(伊藤修君) 御尤もです。
#79
○大野幸一君 只今鬼丸委員の他の法律事務所に併置することを妨げないということが一番当を得たものであつて、そこでなければなそれ以外では執務してはいけないということになると、國会で関係してもいかんというような結果を生ずるから、これはそういう解釈は、そういうことにするか、字句を改めるか、どつちかにして置いて貰いたい。
#80
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今申上げた通り、我々も御意見のようにしてもいいだろうということを考えたのでありますが、そういうわけで何ですが、その解決さえできるならば十分一つ考慮したいと思つております。ところがただ実際問題として私は驚いたのですが、私は郷里へ行つて法律事務所どころでない、僕の友達の弁護士のところで、僕に連絡事務所としてあげて呉れと言つたら、そうしないとどこに來るか分らんと言つた。それがいかんと言つてやつて來たのであります。実際問題としてそういう実例があるのですが、併し今のような実際問題からして、弁護士事務所においてやるならば、そんなに弊害になるのじやないと思つております。又あなた方からも十分お智慧を拝借して差支えないことかと思います。
#81
○委員長(伊藤修君) 大体伺うことがありますか。十分間休憩いたします。
   午後四時十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時五十二分開会
#82
○委員長(伊藤修君) 休憩前に引続きまして開会いたします。質疑を継続いたします。
#83
○松井道夫君 第一に伺いたいと思いますのは、弁護士に権利と義務に関することでありますが、これは第四章に規定してあります。ここにございますことは大体において旧法において認められておることのように思うのでございまするが、私は弁護士の職務というものが非常に重要性を増して参つて、且つ刑事訴訟法、民事訴訟法の改正によりまして、弁護士がすべての証拠を申出て蒐集いたしまして、又その主訊問もいたさなければならんというような事態に立入つておるのでありまするから、更に弁護士の職権というものを強化いたす必要があると思うのであります。例えば今の事実の調査権、或いは証拠の蒐集権というものを認めなければならないと思うのであります。勿論從來と雖も当然事実を調査し証拠を蒐集して参つたのでありまするが、併しながらこの作用は從來とかく法律上の根拠がありませんために軽く見られ、これに協力を吝む効言が見受けられておつたのであります。但し弁護士に調査並びに証拠蒐集について強制権を認めというところまで行ければ理想的でありまするが、それは今の状況では不可能に近いと思うのであります。少くとも弁護士法の條文に、弁護士がその職責を全うするために必要な場合には、事実の調査及び証拠蒐集をすることができる、そのために必要な協力を求められた者は、特別に事情、正当の理由がない限り、それを拒むことができない、といつた趣旨と規定を設ける必要があると存ずるのであります。その外いろいろ考えられると思うのでありまするが、立案に当られた方方のおかれてその辺の御配慮があつたかどうか、御意見を伺いたいと思います。
#84
○衆議院議員(鍛冶良作君) 只今の御趣旨勿論我々も同感でありまして、是非そうなければならんと存じまするが、ただ弁護士法に入れることがよろしいか、刑事訴訟法その他これに関するものに入れるがよろしいかは相当問題ではないかと考えます。御研究の結果弁護士法へ入れた方がよろしいというお考えに到達いたしまするならば、あながち我々も反対せないところでありまするが、刑事訴訟法と睨み合せて御研究をお願いしたいと、かように考えます。
#85
○松井道夫君 更に先程出ました問題に関係いたすことも一点お伺いしたいと思うのでありますが、それは先程松村委員から痛切に論難を蒙つたところの、今の第十二條の第二項の規定に関連してであります。先ずその第一項を見ますると「弁議士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者」という言葉があるのでありますが、更に又「職務を行わせることがその適正を欠く虞がある者」という言葉があるのでありますが、その間の差別は一体どういうことであるかということが一つ。
 それから從來地方の個々の弁護士会の規約で、この第二項に相当するような規定を設けてあつたかどうか。若しあつたとするとその個々の弁護士会の規約で規定することでは間に合わないで、弁護士法自体にこれを規定しなければならんというその理由を承りたいのであります。
 それから初めの質問についての意味をちよつと申上げますが、要するにこの第二項の適用によりまして入会を拒絶するという必要のあるような人は、或いは一年の必要がないかも知れんし、或いは二年の必要があるかも知れない、或いはそれ以上のことがあるかも知れない。何まこういう第二項を設けなくとも、この第一項にありまする「弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者」或いはその関連におきまして、「その適正を欠く虞がある者」という第一項の適用で、そういう者の入会を拒絶するということで十分ではないかという疑いもあると思いますが、その点をお尋ねいたしたいと思います。
#86
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 御質問の第一点についてお答え申上げます。
 第十二條の第一項につきまして前段の「弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者」ということは現行法にあります表現をそのまま採りましたものであります。そうしてその後の「適正を欠く虞がある者」というのは、これは一項の一号、二号に掲げました事項に該当する、そうしてその者に弁護士の職務を行わせることが適正を欠く者ということを附加したものであります。それから二項の方は、一号、二号の條件以外の他の條件によつて、「特にその適正を欠く虞がある者」と、こういうふうに三段構えになつておるのでありまして、一項と二項とは必ずしも同一のものを狙つているわけではないのでありまして、一項の「弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者」というのは、これは飽くでも弁護士会の立場から考えての判断なんでございます。それからその後段の又は以下の「適正を欠く虞がある者」というのは、その人に弁護士の職務を行わせるということを判断しい、そうして、その人に特に心身の故障がある、或いは除名とか、業務禁止とか言つて著しく欠陷があつたというようなとき、或いは見方によつては、前段の「弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者」という中に入るものもありますが、必ずしもそうでない観点からこれを後段で律する場合も考えられるというのでこれは入れたものでございます。
#87
○松井道夫君 その他に伺つて置きますことは、要するに個々の弁護士会の規約で、第二項に該当するようなものを規定しておつたものがあつたかどうか、それによつてこの目的は達せられないのか。或いはこの第一項の「弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある」ということで、第二項の者を拒絶することができるのではないかということで、「職務を行わせることが適正を欠く虞がある」ということは、当然面を変えて弁護士会の方から観察すれば「弁護士会の秩序若しくは信用を害する」ことに相成ると私考える。そういう見方も成立すると考える。それでその点をお尋ねしたのであります。
#88
○衆議院議員(鍛冶良作君) 随分お話のような議論もあつたのですが、現在においても各弁護士会において拒絶すれば拒絶できるのですが、それには非常な議論が出まして、大変実際の取扱において紛糾を生ずることがあるから、それでこういうものを一つ弁護士法として設けて置いた方がよろしいという声が、殆んどこれは全國の弁護士会から出て参つたので、弁護士会の世論と言つてよいくらいでありまして、それに應じてこれを設けた次第であります。
#89
○松井道夫君 その点についての質問は又後刻いたすかも知れません。一應留保いたして置きます。
 次に移りますが、先程來馬議員から触れられたのでございますが、七條の関係であります。將來これは日本が國際的に開放されまするならば、こういつた七條に該当するようなことが沢山出て來るのではないかと思うのであります。勿論交通も盛んになりますし文化の交流が非常に旺盛になると思いますから、それでこういう規定についても相当愼重な考慮を必要とすると思うのでありますが、第一に、この弁護士会の自立といいながら、この件に関しますることはすべて最高裁判所でこれを扱うことになつておるのであります。それで個々の事件について携る場合に、個々に承認を受けるのだという場合には、これでよいだろうと思うのでありますが、これが業務としてやることができるということになつて來ますると、これは殆んど弁護士と変りがないことに相成りまするので、それで最高裁判所ということにして、日本弁護士連合会ということにしなかつた理由はどうか、それが第一点であります。
 それからこういつた人が多くなつて参りますると、野放しにして置くのは甚だおかしいんじやないかと思います。これは免状か何か呉れるのかも分りませんが、併し試驗又は選考をした場合には免状を呉れるかも知れませんが、試驗又は選考をしない場合もあるのであります。やはりこういつた外國関係、渉外関係、弁護士でありませんでも法律從事者名簿を日本弁護士連合会に備えつけまして、これについて普断の監督と言いますか、或いは誰がそれに当るかということの紛れが起きないようにする、そういう配慮は將來絶対に必要じやないかと思うのであります。その点の御意見を伺いたいと思います。
#90
○衆議院議員(鍛冶良作君) これはお話御尤もですが、今その法律がここにありませんが、外國人に関するそういうことは官廳でなければならんという規定があつた、それでそういうことにしたんだそうであります。後で又法律を調べて御答弁いたすことにいたします。それから試驗又は選考し、若しくは承認をすれば、日本の弁護士と同等になるのですから、お説の通りであります。從いまして第六項によつて最高裁判所は第一項又は第二項の承認をし、又はこれを取消す場合には、日本弁護士連合会の意見を聽かなければならんということで、結局日本弁護士連合会と連絡をとつてこれをしなければならん、こういうふうに規定したわけであります。
#91
○松井道夫君 そういつた人の名簿か何か作る、弁護士名簿に相当するものを作る必要はないのでしようか、その点もお尋ねいたします。弁護士にはなるのですか。
#92
○衆議院議員(鍛冶良作君) 弁護士にはならないのです。
#93
○松井道夫君 もともと最高裁判所が適切か、弁護士会が適切かという問題があるわけでありますが、その点はその法律を見せて頂いてからにしたいと思います。
 それから第四十九條を拜見いたしますると、「最高裁判所は、必要と認める場合には、日本弁護士連合会に、その行う事務について報告を求め」ということがあるのですが、これは最高裁判所が日本弁護士連合会に対してある種の監督乃至は指導権というものがあつて、それに基いてこの規定ができておるのでありますかどうか。
#94
○衆議院議員(鍛冶良作君) 監督という程のことはありませんが、憲法七十七條の第一項において、「弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する」と、こういうことで監督までは行かないかどうか知りませんが、或る程度まで弁護士会に対する権限があるものと、かように考えますから、その範囲において必要あると言われるならばそれをしなければならん、かように考えてこの規定を設けた次第であります。
#95
○松井道夫君 そうするとこの規定は必ずしも監督権がある、或いは日本弁護士連合会の諸行爲について、最高裁判所で或る種の責任があるという意味が少しもないわけですね。
#96
○衆議院議員(鍛冶良作君) 監督権とは心得えておりません。ただ司法事務の運営において、弁護士会に対してこう望みたいとかこういうふうにやつて貰いたいとかいう規定を設けますから、その関係においてこれだけの指図ができるものと考えております。
#97
○松井道夫君 そこでここに一つの疑問があるのでありまするが、從來法務総裁が弁護士会についての、或る種の監督権といいますかを持つておつたので、結局その弁護士に関する一つの行政と申しますか、その責任を議会において追求する場合には、これは法務総裁が当然それに当ると考えられておつたと存ずるのであります。ところが今回の法律ですべてそういつた弁護士に関する行政は、日本弁護士連合会に委讓せられまして、且つその意味でございましよう、明日に弁護士法で今の会長その他の役員は公務に從事する職員ということに相成つておるのであります。この点はそれでよく理解できるのでありまするが、ただ弁護士連合会の行爲について、國会において誰が一体責任を負うか、多少の監督権、指導権がありまするならば、例えば総会の決議を取消すということができますならば、法務総裁が責任を負うということに相成るのであります。ところがここに日本弁護士連合会というものがありまして、最高裁判所は勿論その責任を負うものじやございませんでしようし、政府亦これに対して責任を負わない、全然監督はしないのでありますから、責任を負わないということに相成りますると、これが一つの行政的性質を持つております以外は、頗る分らんことになりやせんか。たかだか会長さん、福会長さんに國会に出て來て頂いて、いろいろ証人として述べて頂くとか、或いは私的にいろいろ聽くとかいうより外に仕方がないのであります。その点國家の行政と國家内における行政的の作用とこの弁護士に対する弁護士会との関係、國会における関係といつたようなものが、最高裁判所は、これを國会法の改正でその職員にも出て來て頂くことができるというふうになつておりますが、ただ弁護士会というものがあつて、それは國会もどうにもならんというようなことは、頗る一見奇異に感ずると思うのでありますが、私は弁護士でこれでよいのか惡いのか知れませんが、とにかくそういう問題が提出されると思うのでありますが、その点についての御意見を詳聽したいと思うのであります。
#98
○衆議院議員(鍛冶良作君) 最高裁判所が弁護士の所掌事務の運行においての守つて貰うべき規定を作ります以上は、その規定の範囲内において、最高裁判所はその部分に対しては監督といいますか、その法律に実施されることに対する責任があるのじやないかと考えるのであります。その他の事項につきましては公務員としての資格を持つておるのでありまするから、それに從つて忌避或いはこれを追求することは、それはおのおのの機関によつてやれるのではないかと思います。ただ議会の実際から申しますならば、議会に法務委員会があるのでございますから、法務の一つであることは当然でありますから、法務委員会において若しそういうことがあればそれぞれの方法を以て調査なり、取調なりもでき得るのじやないかと思いますが、相当むずかしい問題ですから、その意味でいえば幾らでも追求する方法はあるとかように思います。
#99
○松井道夫君 そうすると成る程公務員ということになつておりますから公務員としての監督もできる。そうするとその監督をするものはやはり法務総裁になるのですか、行政上の意味で聞いております。
#100
○鬼丸義齊君 それは重要だから一つ研究して見て頂きたい。
#101
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今のところでは直迫法務廳の監督は受けんことになつておりますが、予算その他の関係からも相当重要なことですから、今少し研究してから御答弁申上げたいと思います。
#102
○松井道夫君 最後に四十條に「弁護士会の総会の決議が公益を害するときその他法令又はその弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反するときは、日本弁護士連合会は、その決議を取り消すことができる。」ということに相成つておるのですが、これは將來片方が弁護士会なのでありまするから相当議論が湧くと思うのであります。これはやはり行政訴訟特例法によつて取消された弁護士会の方で爭うことができる趣旨なのでしようか。或いはその辺どういうことになるでしようか。
#103
○衆議院議員(鍛冶良作君) 取消した場合ですね。
#104
○松井道夫君 ええ。
#105
○衆議院議員(鍛冶良作君) その点は連合会を以て最高のものと書いておりまする関係上、それ以上の何はありません。
#106
○松井道夫君 先程の質問にも関連がありますが、日本弁護士連合会がこんな間違つてことをするはずがない。最高の議決機関でありまするから、そういうことはまあ考えられないわけなんでありますが、併し憲法の建前からいいまして、弁護士の個々の弁護士の権利義務にかかわります決議を、日本弁護士会で取消されるということになりますると、これは行政官廳ではありませんが一つの行政を行うところの機関ですから、やはり訴訟を以て爭うことができるようにした方がよろしいのではないかという見解も成り立つと思うのであります。勿論特別の管轄規定が必要であるかも知れん。單に行政訴訟の特例法で賄つてよいものかそれは疑問でありまするが、その点ここで日本弁護士連合会の取消が最終のものであるという根拠を承りたいのであります。といいますのは今の進達を拒絶せられたというような場合には現に訴訟が認められておりますので、いろいろ会則上の疑義が起ると思いますのでこの点をお聞きしたいと思います。
#107
○衆議院議員(鍛冶良作君) 各個人の人権が侵害された場合にそれは当然できるかと思います。殊に進達のごときは一種の身分上のものでありますからそれでああいう救済の規定を設けたのでありまするが、会そのもののことはちよつと違うと思います。というのはこの日本弁護士連合会は弁護士会会員として取扱つておりまするが、主としと全國の弁護士おのおのが日本弁護士連合会の会員なので、從いましてその会員のあることによつてこれを決める建前でありまするから、どこまでも自活権を以て、その代り民主的に決議をやらなければならんことはなりますが、そういう考えからよろしいのではないかとかように考えております。
#108
○松井道夫君 弁護士会の自治、最も賛成いたしますところで、今の御説明は尤もであると了承する次第であります。ところでそれに関連してもう一点伺つて置きたいのでありまするが、この懲戒のことでありまするが、懲戒の場合判事と檢事を混えるということは、これは從前の制度はともかくといたしまして、この自治精神からいいまして頗るおかしいのじやないかと思うのであります。これは判事の懲戒では恐らく弁護士は入れて頂けない。檢事の懲戒は、今度國家公務員法におきまして法務総裁がやることになりましたが、そこに仮に委員会を作るといたしましても、弁護士としてそれに参加する必要もありましようが、事実参加するようなことにならんのじやないかと思うのであります。この三役であります判事、檢事、弁護士、弁護士の懲戒のみに判事と檢事の立会をするのは頗る自治の点から言つておかしいのじやないかと思いますが、その点を一つお聞きいたします。
#109
○衆議院議員(鍛冶良作君) お説御尤もで最も議論の多かつた点でありまするが、ただ今までも実例を申しますと弁護士に関する懲戒を弁護士会そのものでやつたら嚴格にやれるかどうか、こういう疑念もあるし、又いろいろ批判もあつたものですから、それに鑑みまして勿論懲戒委員会は弁護士会の自治でやるんだが、それにはこれに関連したる最も正当なる人を一名加えて頂きたい。こういうことで裁判官及び檢察官を加えると、かように言つたわけであります。
#110
○松井道夫君 鍛冶さんの個人の意見は如何なんですか。それから結局妥協ということになつたんですか。
#111
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私ですか、まあそのくらいのことはやろうということで……
#112
○委員長(伊藤修君) それでは本日はこの程度にいたしまして、尚……
#113
○鬼丸義齊君 この九月一日から施行となつているのは何か準備があるのですか。施行について例えば本法は両院を通過した場合、最も早く施行しなければ判檢事が辞めるというふうな影響があるから、やるならば或いは即日施行でやる方がいいと思うが、その点何か特に準備があるためにそうやるのかそれを伺いたい。
#114
○衆議院議員(鍛冶良作君) 相当準備は要りますです。日本弁護士連合会の設立その他についてもありますので、果して三月やそこらでやれるかという疑念はありましたのですが、もう一日も早く施行したいというのだから、まあそれくらいのことであれば何とか無理でもやれるだろう、こういうので決めました。その代りどの規定でしたか、日本弁護士連合会の組織については、施行前と雖もこれをなすことができるという経過規定を設けておきました。相当名簿であるとか、その他の事務局という大きなものを準備してかからなければできないのじやないかと思つておりますが、無理かも知れないが、やりたいとかように考えております。
#115
○委員長(伊藤修君) では本日はこの程度にいたしておきます。尚本案に対しまして、学識経驗者の御意見を伺いたいと存じますが、その人選及び数、日にちは委員長に御一任願うことにいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。では本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時三十四分散会
 出席者は左の通り
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           鈴木 安孝君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
  衆議院議員
   法務委員長   花村 四郎君
           鍛冶 良作君
  政府委員
   法務政務次官  遠山 丙市君
  衆議院法制局側
   参     事
   (第二部長)  福原 忠男君
ソース: 国立国会図書館
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