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1949/05/16 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第14号
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1949/05/16 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第14号

#1
第005回国会 法務委員会 第14号
昭和二十四年五月十六日(月曜日)
   午前十時五十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○弁護士法案(衆議院提出)
○出版法及び新聞紙法を廃止する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○民法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○少年法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○少年院法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○人権擁護委員法案(内閣提出、衆議
 院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより法務委員会を開きます。弁護士法を議題に供します。大野君の質問をお願いいたします。
#3
○大野幸一君 各條に移りまして御質問いたしますが、第五條の第一項「最裁判所の裁判官の職に在つた者。」こういいましてこれに対しては年限を制限していないのであります。顧みますと、最高裁判所の裁判官を任命されまして六ケ月足らずして辞任せられた人がありました。幸い弁護士でありましたからよろしいけれども、これが外交官或いは行政官というような人が若し辞められた場合にも、極端に言えば一ケ月でも二ケ月でも職にあつただけで弁護士の資格を附與するということになりますが、通常の場合を豫想すれば憂いなきものと思いますけれども、法律に作る以上はやはり極端なる場合も想像しなければなりません。從つてこの点について制限を設けなかつた理由を先ずお伺いしたい。
 それから第五條について法務総裁は除外されておりますが、法務総裁こそその最もふさわしきものの國務大臣中よりこれを選任するということになつて、法律知識のあることを前提としておるように考えまするが、法務総裁はこれに含まれていないのはどういうわけか、第五條に関連してこの二点をお伺いいたします。
#4
○衆議院委員(鍛冶良作君) 御質問のごとき問題は、この條文ができまする歴史の上で簡單に出た議論でありまして、誠に重大なる御意見であります。併しこれができましたる理由は、苟しくも最高裁判所の裁判官として現在の選考方法によつて選考せらるる以上は、たとえ前身が外交官であろうが行政官であろうが、最高の法律と知識を有しておる者、こう認めない限りは選考しない筈である。故に苟くも最高裁判所の裁判官の地位についたる人は普通裁判官、檢察官にもなり得るし、又同樣に弁護士ともなり得るという建前でなければならん、こういうことでいろいろ議論はありましたが、結局この規定が入つたわけであります。
 次に法務総裁につきましては、今と同樣の議論も立ち得るかも知れませんけれども、法務総裁の任命は内閣総理大臣の任命でありまして、ちよつと最高裁判所の裁判官の選任とは趣きを異にいたしております。從いまして法律を主とするよりも政治上に重点が置かれることもあるということで、これを入れなかつたわけであります。
#5
○委員長(伊藤修君) 今の大野君のお尋ねは、第一回のときの裁判官の選考方法と現在の選考方法とは違うのですかということで、現在は内閣において直接やつておるわけですね、その場合でもという、御質問の趣旨はそういう趣旨であります。
#6
○衆議院議員(鍛冶良作君) 裁判所法の第四十一條を見ますると、「最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者の中から、これを任命」する、かように書いてありまするから、たとえ選考方法が変りましても、法律の素養のある裁判官として、立派な素養のあるという大前提には変りはないと思いますから、差支えないと思うのであります。
#7
○大野幸一君 次に第七條ですが、第一項の「外國の弁護士となる資格を有し、」云々、その人は「第三條に規定する事務を行うことができる。」、その事務を行なうことができる」ために弁護士会との関係はどうなるか。それからその次の第二項ですが、外國人及び外國法とはどんなことであるか、その当該事件についての例を挙げて一つ説明して貰いたい。「外國人又は外國法に関し、第三條に規定する事務を行うことができる。」例えば当時者の一方が外國人で、その外國人の訴訟代理人になることができるか、或いは又外國人の相手方の日本人の訴訟代理人となることができるのか、双方ともできるのか、又は外國法に言いますが、その意味について一つ御説明を願いたい。第七條について二点を伺います。
#8
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 私からお答え申上げます。只今の御質問のうち、「外國人又は外國法に関し」というのは、これは例えば表現としては、アメリカの弁護士の資格を有する者が、フランス人或いはフランス語に関してもできるようにも読めるということを或いはお考え下さるかと思うのでありますが、その点についての表現が必らずしも適切とは言えませんが、これは少なくともそういう場合は想像してあつて、そのような場合には三項で以て最高裁判所が「試驗又は選考をする」という点で或る程度の制限ができる。こう考えて立案に当りました。又從つてその外國の弁護士の資格を有する者が、如何なる範囲でそのような第三條に規定する事務を行なうことができるかという点は、この事柄が外國人又は外國法に関すればよいのであつて、必らずしもその者の依頼にのみ應じてこれができると狹く解するのではなく、相手方が外國人である場合に、日本人の依頼を受けて、その鑑定或いはその相談に與かるということも十分に可能であると解しております。
#9
○大野幸一君 次に第十二條のしばしば問題になりました第二項ですが、これは弁護士会において入会を拒絶することもできるし、拒絶しなくてもいいという意味ですか。その二項の末段はそういう意味でよろしいのでございますか。
#10
○衆議院議員(鍛冶良作君) これはこの間ずいぶん議論したのですが、拒絶することができるというのでありまして、入会を拒絶することが大前提であります。併し特別に適正を欠く虞れのある者については拒絶できるのだ、こういうことを決めただけでありまして、大前堤はどこまでも皆んな入つて貰う建前からできておる点であることを御了承願いたいと思います。
#11
○大野幸一君 從來もこういうことは弁護士会の自治においてと申しますか、弁護士会の内部的権限において、こういうものは是正されて然るべきだと思いますが、從來まで当該地区で判檢事としていた人に対しては、弁護士会自身の権限ではようしないので、こういうことが法律的の楯を以て、弁護士会ができるというようにするようなふうに考えるのですが、果して然らばこういうことをしなくても、弁護士会自身が入会を拒絶する、或いは弁護士となつて登録してから、その業績が在任当時の間において何かいまわしきものがある。こういう場合には懲戒の手段によつて弁護士会が処分することができる、こういうことになるのでありまして、敢えて第二項を作らなければならぬ必要はない。先程の御答弁にもありましたように、大前提としては歓迎する。こういうのであれば、むしろこの條文は蛇足であつて、その反面にまだ非常にこれは判檢事側を区別して、弁護士会に対立するような感情がある。こういう感情からも、どうしてもこの條文を作らなければならないということも考えられませんし、この間も速記にありませんでしたが、法務廳の意見として考えますれば、今までにも判檢事が弁護士になろうとすると、どうも弁護士会に対してお世辞を使う、しかもそのお世辞は弁護士会の幹部に対して使うのではない、特にこの資格審査会の委員なんかに対してお世辞を使い過ぎる。こういうようなそのお世辞を使い過ぎる反対には、新らしくいわゆる若き弁護士と、そういう委員との間の訴訟事件などにデリケートに影響して來る。こういうので、私はその方面のことも考慮しなければならないと思いますが、この方面についてはどうお考えになるか。或いは弁護士会側としては、非常に今までの弊害からこれを要求するのでありましよう。併し考えれば弁護士会側の今までの力がないのである。こういうところと、それからこの力を弁護士会が強固なものになつて来ると、その力を以つてそこへその力を行使すれば、法律にまでこれを制定する必要はないと思うが、どうお考えになつておりますか。提案者の説明を願いたいと思います。
#12
○衆議院議員(鍛冶良作君) お説の通り現行法においても拒絶すれば拒絶し得るのであります。ところがこれはいわゆる内部規定と申しまするか、又規定がなかつたら内部の人の決議によつてこれをやるのでありまするから、そこには一定の基準はありません。從いまして、これによつて過去においていろいろ紛糾を生じた事実は我々は度々知つておるのであります。その関係からいたしまして、殆んど全國の弁護士の諸君と言うても過言でない問題となりまして、是非ともこの点は明確に條文に入れて置いて貰わなけりやならん。こういうことでこれが入つたのであります。ところが今おつしやる通り、成るべく刺戟をしないように又これあるが故に、これを以て判檢事たる者を阻害することがあつてはいかんというので、いろいろ考慮の結果、現在現われたように、第一段階として入れるのであるが、悪い者がおつたら拒絶することができるんだ。その次は特にそれでもやらせることに特段の弊害のあるということの認められる虞れのあるものでなくちやいかんという、こういう制限をした。更にこれでも尚不服があるならば、連合会に不服の申立ができる。そして連合会では最終にはどうしても当人の弁明その他の証拠等を調べた上でなかつたらこの決定はできんと、この位に三段階までも制限を加えまして、これを入れたわけであります。
 それからこれを入れるために、ボスができるというお話でありまするが、これはまあ見方によるのじやないかと思いまするが、何ら規定によらずして弁護士会の決議でこれを拒絶することができるということになると、尚更そういう現象も考えられるのじやなかろうかと思います。これは見方によります。それよりかこの制限の範囲内だけでは拒絶することができるんだ。それでなかつたら拒絶できないのだということになれば、尚その點は明確になるのではないかと私は考えますが、以上は見方の相違じやないかと思います。
#13
○委員長(伊藤修君) 先程の大野委員の質問に係る第七條の第一項について弁護士会との関係についてお尋ねがあつたが御答弁がなかつたのですが、如何ですか。
#14
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この第七條は現行法第六條に大体照合するものでございますが、從來も現行法第六條というものも活用が殆んどなかつたことと睨み合せ、將來の第七條はこの道を開きましたので、可なり適用をみるという場合も一應想像されるのでございますが、その実績に鑑みて、或いは特定の処置を講ずる必要があるかと思いますが、この段階においては一應從來の実績から見て、少いだろうというところから、最高裁判所の直接の統制だけでよろしいので、弁護士会は一應法律上の関係はないということに立案はしてあるのでございます。
#15
○大野幸一君 外國人を優過することはよろしいけれども、併し弁護士会と何ら関係がないということになると、又これは非常にどうかと思う。昔は三百代言名簿を拵えたときには、まあ宣傳でありましたから、外國人の弁護士は三百代言名簿に載つておつたことはあります。まあ外國人であるといつて、あながちよい人ばかりでもないのでありますし、又その外國の弁護士となる資格においても、日本よりはルーズなところもあるので、この点は弁護士会の監督を何らかの方法においてするというのが、私は妥当と思うが、將來そういうふうに考えて貰いたいと思います。それから先程の第十二の二項に、法務総裁は公務員の中に入るのでありますか。少し素人らしい質問でありますけれども、後のために聞いておきたい。
#16
○衆議院議員(鍛冶良作君) 入ると心得ます。ただ常時勤務ということになれば法務総裁も常時勤務であろうかと考えます。
#17
○大野幸一君 次に二十六條ですが、「弁護士は、受任している事件に関し相手方から利益を受け、又はこれを要求し、若しくは約束してはならない。」こういうふうになつております。ところがこれに加担した相手の弁護士はどういうふうになるかということは、これに表現されておるのかおらないのか、お伺いしたい。例えば弁護士が相手方から不正の金をもらい、その不正の金を出した方はどうなるのか。その点を御説明を願いたい。
#18
○衆議院議員(鍛冶良作君) その相手方の弁護士からもらつた場合を今おつしやいますのですね。
#19
○大野幸一君 出した弁護士のことであります。不正の金を出した弁護士のことです。
#20
○衆議院議員(鍛冶良作君) その場合は相手方の代理人が、相手方の代理として寄越す場合でしよう。
#21
○大野幸一君 そうです。
#22
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうなれば、結局共犯になりはしませんか。共犯と見ていいのではありませんか。
#23
○大野幸一君 それではこの立法例は非常に今までの立法例と違つておるのであります。これは必要的共犯の場合でありまして、必要的共犯の場合に相手を罰する場合には必ずこれを罰しなければならん。例えば、昔は贈賄罪について、あれは必要的共犯であります、贈賄者側と收賄者側がある。收賄者を罰しておつたために、贈賄者側は罪に問われなかつたのでありましたが、特に贈賄者側を罰することにいたしたのであります。特に今度の賣春法にいたしましても、淫賣は罰しても淫買の方は罰していなかつたために、必要的共犯であるために罰していない。これは相手方も罰するということになれば、又相手方も同じということにしなければ從來の立法例と著しく矛盾するところがある。この点はどうお考えになりますか。
#24
○衆議院議員(鍛冶良作君) 相手方が普通のものであれば、これは弁護士を取締るだけの規定でありますから、取つた者だけを罰するより外ないじやないか。取締る外はないのじやないか。かように考えております。
#25
○大野幸一君 それでは私の質問がよく分らないと思いますが、取つた方ではない。出した弁護士です。これはどうなるのですか。いわゆる誘惑して相手を買收した人です。これは買收された規定ですが、買收した人はどうなる。こういうことを聞いておるのです。
#26
○衆議院議員(鍛冶良作君) それじや今の何をよこした相手が一般の人の場合と、弁護士である場合とに区別して申しますと、一般の人である場合は勿論本條の適用はありません。それから弁護士に対しても、その人の弁護士としての徳義上若しくは風記上の問題はどうか知らんが、この規定によつて直ちに罰するということはできないのであると、かように考えます。
#27
○大野幸一君 それでは最初の答弁と後の答弁とは意味が違うということに了解してよろしうございますか。
#28
○衆議院議員(鍛冶良作君) よろしうございます。
#29
○大野幸一君 四十二條の「弁護士会は、日本弁護士連合会から諮問又は協議を受けた事項につき答申しなければならない。」その他の官廰と、こういうことは入れなかつたのは、入れなくてもいいようにどこで解釈できるのか。又その他の官廰は特に除外したのか、お尋ねしたいと思います。
#30
○衆議院議員(鍛冶良作君) 四十二條の第一項は、日本弁護士会及び日本弁護士連合会が答申する義務のあるものだけを規定いたしたのであります。それから第二項としては、義務はないけれどもやつた方がよろしい場合は、答申した方がよろしいということになつております。これについて法務総裁からも諮問をすることができるということにして、それは答申するということにしたらどうかという議論もあつたのでありますが、第二項で諮問に答申することができるということであればよかろうと、こういうことにいたしまして、それでこれを特に入れなかつたのでありまするが、第二項の場合一般において義務ではないけれども、事実上において必要であり、又はやつた方がいいというときには答申した方がいい、こういう考えで認めたものであります。
#31
○大野幸一君 七十二條の、弁護士でないものは報酬を得ることと、これを業とすることができない。この二つを目的としておりまするが、報酬を得ないで業とすると、決して例えば市会議員だとか、都会議員だとか、いろいろな縣会議員というものは報酬を得る目的ではないし、殆んど現在警察、地方檢察廰、非常識な者になると、裁判所まで行つて、都会議員といい、縣会議員というのでいろいろ頼み事をしておる、こういうのは取締り対象としなかつたのか、又しなかつたならばその理由をお聞きしたいと思います。
#32
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは前の何のをそのままここに移したのでありまするが、この法律のできまするときには最も議論のあつたのはその点であります。確かに今のお説のような議論も出ました。又実際私個人としてもできまするときには、その点を随分やかましく言つたのですが、もつと強いことであつたのが、結局これに納まつたのでありますが、そのときのこれを入れなければならんという主張者の論拠は、大体業とする者は報酬を得る目的でやつておるものだと見る外はない。報酬を得なんでそんなに業としてやれるものでなかろう。それから報酬をれ得る目的でなかつたならばそれ程の弊害もないのじやないか、こういうことで両方の制限が入つたのであります。議論のありまする点は私も十分了承できまするが、入れた理由はそういうことで御了承願います。
#33
○大野幸一君 この七十二條に「報酬を得る目的」と書いてあるために、何でも弁護士は報酬を取るといけないのだと、報酬さえ取らなければ携つてもいいのだということになると、弁護士の立場から、何かその人の報酬を取るのを羨やむこういうふうに考えられる。そもそも法律でないものが利権に介入すること自体が却つて紛糾せしめるということになる、又これを他に惡用すると、或いは又顔を利用するとボスが起きて來る、こういうのであります。直接の報酬の目的でなくてもいい、ボスたることを釀成される危險があると私は思いまして、その点についても今質問したわけであります。
 次の七十三條です。「何人も、他人の権利を讓り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。」「何人も」というのは弁護士並びに弁護士以外のものでありましようと思います。そこでこれを罰則の点で七十七條で七十三條の規定に違反した者は、二年以下の徴役又は五万円以下の罰金に処する。ということになつております。これは一般人を規律しておる刑罰規定であると思いまするが、一般人を規律する罰則をこういう特別法にするということはどうかと思います。若しそれならば刑法典に規定すべきものではないかと思いまするが、この点に関する見解をお答え願いたい。
#34
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この点は現行法の法律事務取扱の取締に関する規定当時も可なり議論があつたところでございまして、当時かような現行法のような特別法を作るについては、可なり反対論があり、これは弁護士法の中の一部として規定するべきであるという論が、当時の速記録等にも相当残つておるのであります。この度の改正案に際しては、外の法律のいろいろの形式を見ましても、例えばある種の業務をするのについて認可事項、或いは許可事項等のありました場合に、これを許可を受けなかつた場合の取締の規定を必ず置いてあります。從いまして弁護士法において弁護士の職務範囲、その他これの取締りを行う範囲において、今度は弁護士に非ざるものの取締方法を規定するということも、法律の体制上妥当な措置であるとこういうふうに考えまして、第七十三條を入れたわけであります。從いまして第七十二、第七十三、第七十四條というものは、現在の法律事務の取締の取締に関する法律というものを包攝して、現行弁護士法と分れておるその法律を包攝して、改正弁護士法を作つて行つたと、こういうことになるのであります。
#35
○松村眞一郎君 私は第十二條の第二項がどうしても了解ができない、公務員というのは先程の質問では法務総裁が入る、そうすると法務廰の職員は全部入りますかどうですか。
#36
○衆議院議員(鍛冶良作君) 公務員としては入ります。すべて……
#37
○松村眞一郎君 特許局の職員は全部入りますか、どうですか。これは今度弁護士は特許の弁理士になるのでありますから関係があると思います。それは入りますか。
#38
○衆議院議員(鍛冶良作君) 入ります。皆入ります。
#39
○松村眞一郎君 それでは税務署における職員は全部入りますか。
#40
○衆議院議員(鍛冶良作君) 公務法による公務員であれば入ると思います。
#41
○松村眞一郎君 それではこの具体的の例を一つお示し願いたい。弁護士の職務を行わせることが、特にその適正を欠く虞れがあるという場合はどういう場合ですか。私が今申しました職員について例をやつしやつて頂きたい、特許局の職員であればこういう場合がいけない、法務廰の職員であればこういう場合がいけないと、凡そ皆んな入るということになりますれば、國会の法制局の職員であれば、國会の職員というものはすべて入る、それから農林省の職員も皆入るのでありますか。それをお認めになるのでありますね。それはどういう場合に入るようになると思うのでありますか、具体的の例を言つて頂きたいのであります。そういうすべての公務員を弁護士に使うということになると、これに引つかかるかも知れんというような漠然たる規定を、制限の規定に置くということは、私はいけないということを申上げたのであります。制限の規定を、或る資格を非認するがごとき規定は、明確に限定しなければいけないと私は思う。立法論として。凡そ國家の公務員が何でもかんでも第二項に引掛かるというがごとき危險を感じさせることは、公務員全体の問題になりますから、我々のこの法務委員会だけでは審議できないと思います。そういう大きなことをおつしやるならば。公務員全体の内閣委員会にもこれを相談しなければならん。國家全体の公務員であれば。そういう必要はないと私は思います。私がさつき申上げましたごとく、各公務員ごとに、この規定の適用がある場合の例を示して頂きたい。特許局の職員はこういう場合にその適正を欠く虞れがある、税務署の職員はこういう場合に適正を欠く虞れがある。運輸省の職員はこういう場合に適正を欠く、農林省の職員はこういう場合に適正を欠く虞れがあるということを具体的に言つて頂かないと、各公務員は皆適用があるということを想像しなければならん。それを一一おつしやつて頂いて賛成ができれば、私はこの條文に賛成します。一々おつしやつて頂きたい。判事の場合はどういう場合、檢査の場合はどういう場合、法務廰であればこういう場合、農林省の事務官にはこういう場合、運輸省はこういう場合、大藏省はこういう場合と一々おつしやつて頂きたい。最も特に適正を欠く虞れのある場合というものを想像しないような立法をしなければおかしいと思う。いろいろな場合を想像して立法するのでありますから、一々のことをおつしやつて頂きたい。
#42
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは度度申上げたのですが、今までも反対せられる方の論拠は、こういう規定を設けて入会を拒絶するためにやるのではないかということが前提となつておつしやるようですが、決してさようなことはないのです。皆入れるんです。併しこういうようなことがあれば、これはどうも入れるわけにはいかんから、こういうときだけは拒絶するかも知れんぞという規定であるということを先ず御了承願いたいと思います。それから事例とおつしやいますが、事例の最も大きいのは、如何なる公務員であろうとも、在職中に自分の地位を利用いたしまして、やがて弁護士になればその依頼者になるであろうというものに、特別のコンネクションをつけるべくその公務を惡用し、若しくは恩に着せてやるというような場合を一般に想像しておるのであります。具体的な事例というならばいろいろありましようが、法律上の根拠はそこにあることを御了承願いたい。その外にあるかも知れませんが、主としてそれであります。
#43
○松村眞一郎君 皆を入れるつもりであるというようなことは、これはどこにも書いてない。そんなことは当然なことなんです。凡そ國民が或る職務を取ろうと思うときに、それを拒絶するということが原則であるということはあるべき筈がない。これは議論にならんと思います。凡そ弁護士が登録して誰でもお入りなさいということは当り前です。そんなことはどこに書いてある。これは法律論にはならない。
 その次には、公務員として在職中にいろいろな地位を利用することがあるかも知れないということであれば、凡そ公務員としてよくないことで、在職中に自分が今度退くとすれば、その自分の從來の公務員としての職務を本当に行なつておるものではないと私は思う。自己の現在の職務に忠実であるものであれば、そういうことをやることはない。そういうことは公務員の威信に反することでありますから、それは公務員の懲戒の問題になると思う。これは弁護士の方で御心配になることはない。凡そ國家の公務員としてそういう不都合は許すことはできないのでありますから、そういう概括的のことではない、具体的なことを伺つておるのです。こういう場合にはどんなふうになるか。從來弁護士がこういうことについて論議があつたとか、裁判官でこういう実例があつたということを言つて頂きたい。私は弁護士でないから分らないが、私のような素人によく教えて頂きたい。こういう場合に弊害があつた。だから弁護士について、裁判官について曾て或る者にこういう事例があつたからこれは拒絶をして貰いたい。檢察官にこういう事例があつたから拒絶して貰いたい、そういう必要があるならば、私が先だつて申したごとく、これは裁判官の方で監督しなければいかんと思う。檢察官の方で監督しなければいかんと思う。若しそれが必要であるならば檢察官と裁判官ということに書こうじやありませんか。外のことは必要ない。併し裁判官、檢察官の方で非常に反対があつたからぼやかす。公務員と廣くしたことがそれがいけないと言うのです。ぼやかして立法するということがいけない、眞劍に考えておるのです。漠然たることを考えて、すべての公務員が脅威を感ずるというような法律を認めるということは、私が主張するのは飽くまでも反対は反対なんですから、こういう規定を置くことは……。予め今から言つておきます。曾てこうしたことが判事にあつた、檢事にあつた、外の公務員にこういうことがあつたということをおつしやつて頂かなければ外の公務員は承諾することはできない。判事、檢事にそういう事例があつたとしても、他の公務員にそういう事例がなかつたならば承知しない。未だ事例がないことを弁護士法に掲げるということは、その他の公務員の名誉のために反対せざるを得ない。判事、檢事にそういうことがあつたならば解職されてよかろうと思います。監督不行届であると私は考える。そういう意味において、判事についてこういう惡例があつた、檢察官にこういう惡例があつた、私は弁護士でないから分りませんからそれをおつしやつて頂きたいと思います。
#44
○衆議院議員(鍛冶良作君) 余り議論に亘ることは申上げたくないのですが、我々が、この規定を設けて一般の人を拒絶する意思でないという意味は、今松村先生のおつしやつたようなことであるならば、公務員であつた者が一年以内においと当該地域において弁護士になることはできない。一年以内においてはこれを拒絶するとこう書いてある。拒絶しないのだ。けれどもこういう場合には止むを得ず拒絶するかも知れんという意味で、拒絶することを目的としておる規定でないことはお分りになると思います。これ以上は議論になる。それから惡例のあつた、事例から申しますると、例の最も多いのは、最も弁護士の職に近い檢事及び裁判官でありましよう。実例を申せばそれは枚挙に遑ありません。在職中に俺も遠からず弁護士になるのだ、なつたら一つよろしく頼む、こういう話をしておつて、如何にも具体的の事件に手心を加えることをやつた実例は沢山あります。それから弁護士になつてから自分でみずからを吹聽して歩く者もありますが、それよりも最も悪い者は三百のような事件の仲介人を通しまして、こういう事件はこの間まで裁判長をやつておつたあの人に頼めば保釈になるとか、無罪になるとか、必らずこれは不起訴にして貰えるとか、かようなことを吹聽してやつた例は枚挙に遑がありません。その点から出て來たのでありますが、ところが現職中の職務を利用してそういうコンネクションを付ける、又はそれを振翳すということは、敢て裁判官、檢察官だけではなかろう、必らずそういうようなことも有り得ることである、又有り得たことであります。その点から出ました。殊に先日も松村先生もお聞きの通り、鬼丸さんが質問せられたのは凡そ訴訟事務をやるときには、すべて一般の行政官でも何でもその職務を利用してやるということはすべて禁止しなければならないという議論までも出ておるのでありまして、この点はより一層この第二項だけでなく、一般にそういう弊害があるであろうという議論までも出ておる次第でありまして、一々具体的にどういうものがあつた、こういうものがあつたということはここで申上げかねますけれども、十分そういう弊害があり得ることは予想できると考えておるのであります。
#45
○松村眞一郎君 只今の例でも明瞭であります。判事、檢事が在職中に手心を加えるということであれば、判事、檢事として職責を全うしていないのでありますから、これは判事檢事として懲戒すればいい。在職中に手心を加えるということであれば、それから弁護士になつてから、曾て自分はあの問題については関係しておつたのだから、俺に頼んだらよかろうということを言うならば、それは弁護士として甚だよくないのであつて、弁護士として懲戒すればいい。いずれからいいましても弁護士登録の場合の理由にはならん。今の御説明ならば。在職中に手心を加えるということは、公務員としてよろしいことをお考えになるのか。悪いとお考えになりましよう。それならば公務員全体の問題であつて弁護士の問題ではない。弁護士になつてから過去のことを振廻してやるということがあるならば、弁護士として懲戒すべき問題であるということになります。私は明確なる理由にはならないと思います。議論になるかどうか存じません。それなら弁護士法に書く理由はちつともない。これは公務員として悪いとお認めになるでしよう。在職中に手心を加えるということは公務として悪い。公務員として懲戒すべきものであろう。これは明瞭であると思う。その外どういう場合があります。税務署職員なりについて。
#46
○衆議院議員(鍛冶良作君) この間も御質問にお答したのでありますが、御尤もです。おつしやる通りであります。ところが遺憾ながら在職中にそれをびしびしやつて貰えればいいが、なかなか行われない。而も弁護士になるときには職を辞めて來ておるのですから、遡つてやるということはできんものだから、そこで在職中に悪いことがあつたら懲戒やその他でやつて呉れたら問題はない。やらずに辞めて、そうして出て來るものだから、これは困るということが出て來るのであります。それから税務官吏にしたつて同樣だろうと思います。在職中にいろいろ手心をやつてやつて、そうして遠からず辞めて弁護士になる、更に税務代理士をやるのだと、そういうことを言つてやり得るということは想像できます。これは同じことだろうと考えるのであります。
#47
○松村眞一郎君 結局在職中に不正の行爲があつたことを発見できなかつたという場合の外ないだろうと思います。在職中にあつたということであれば。発見できなかつたというのであれば、官吏の内部の監督不行届ということの責任であつて、それを弁護士の方で補うということは私はおかしいと思う。ともかく公務員として悪いこととお認めになるでしよう。公務員としてそういうことをやることは。公務員として、悪いことであるならば、公務員の方で粛正すべき問題である。公務員としての粛正ができないから、弁護士の方に出願したときに、弁護士の方でそれを矯正するのだということは、國家の法制としても私はおかしてと思う。官吏の全体の吏道の刷新ということの問題になる。そうであるならばすべて役人が在職中に後で就職する場合の便宜を図るようなことをしていけないということを今度公務員法に書いたらいいでしよう。そういうことが心配だつたら。現在の公務員法では営利に関する問題について書いてあります。併しながら日本の吏道というものはそれ程廃頽しておつて、すべての公務員滔々として然りということであるならば、私共は黙認するわけに行かない。公務員法の中に書かなくちやいけない。私はそれ程腐敗しているとは思わない。いろいろお話を伺つて見ても、これは弁護士会の方の地方の空氣であるというようなことを聞いたのでありますが、地方で弁護士が自己の職業の利益を奪われるがごときことを心配して、かくのごときことを法文に書いたのではないかとも思われることがあつてはならないと私は思うのです。弁護士の品位を高く考えておるのでありますから、幾分不満足な点のある者が新たに入つて來ても、從前からの弁護士の方々の品位が高ければ、弁護士の中に入つてから全部浄化される、全部立派な人になるくらいな力がなくちや私はいかんと思う。例え裁判官中に幾分不適当なことをやつたとしても、一旦弁護士会に入るというと弁護士会の中は嚴粛な規定で励行されているのだから、一歩もそういう過去のいろいろな利益を利用することは弁護士会全体が許されいという嚴粛なるところに入つて來たならば、弁護士会に入ると同時にその人が私は浄化されるものと思うのです。そういう見識の下に弁護士を眺めないというと、在職中にそういうことをやつたからというといつて、弁護士の方で困るというようがごとき弱い考えで弁護士法ができるということには私は賛成しない。さつて大野委員からも言われたごとく、弁護士の方でできなかつたから、こういう法律を書いたのであろうということを言われております。それであればますます以てこういう規定を置くよりも、むしろこういう規定でなくて、弁護士会の包容力を大にし、全体の方を増すという方法に進めて行かるべきものだと私は思います。これは立法論であるか存じませんが、ともかく只今の説明では承服できないということを私は申上げて置きます。それだけの説明であれば。私はこの條文について理由を発見することに苦しむということだけ申上げて置きます。
#48
○衆議院議員(鍛冶良作君) もうそれ以上は議論して何ですが、弁護士会が在職中の公務員の非行を矯正せんがために、この規定を設けるとおつしやいますが、そのようなことはありません。御説の通り、在職中に公務員法に基いてそれを矯正して貰えればよかつたのですが、して貰えないで辞めて來たのですから、辞めて來て公務員でなくなつておるのですから、そうして弁護士会に入れてくれというのだから、公務員としての制裁も何も弁護士会としてきでつこない。そこでどうもあの人はこういうことがあつたからこういう人に入つて貰うことは困るということが根本になります。それから度々申しますが、一般の公務員に対して拒絶をされると言われるが、さようなことはありません。これは杉村さん、よく御了承願いたい。一般公務員にはそういうことはないと我々は信じております。けれどもたまたまそういう者があり得るのです。遺憾ながら。僅かでしよう。ほんの僅かのものであろうが、あり得る。そういう者があつたらこれを拒絶するかもしれんぞ、こういうことが本法の精神であるのでありますから、どうぞ御了承の程をお願いいたしたいと思います。
#49
○松村眞一郎君 ますます私は了解できない。それは在職中の行爲で矯正せられなくて済んでしまつたから、弁護士の方で矯正しようというような御議論のようだが、在職中に矯正できなかつたものならそれでいいじやないか。それは官吏の方で行き届かなかつたのですから、弁護士になつてから過去のことまでかれこれ言う必要はないのじやないでしようか。官吏ではこういうことをしたけれども、弁護士になつてからすつかり立派な人になつたらということでそれで私はいいじやないかと思う。過去のことまでかれこれ論ずる必要はない。公務員として立派な人であるということにともかくパスして來たのですから、それでパスして來たものを、向うの目こぼしであるやつをこつちでやかましく言うということが私はおかしい。
 それから他の公務員にないと信ずるというなら、ないと信ずるなら書く必要がない。あるかもしれんというような、万一のことを想像して人の資格の取得を制限するような規定はない方がいいじやないかということを申上げておる。そういう欠点のある人でも弁護士会に包容して、弁護士会に入つた以上は立派な人におなりになるということで、浄化作用を弁護士会自身が持つておつていいじやないかということを私は申している。どんな人でもお入りになつて宜しい、入つた以上は弁護士会は非常に嚴粛でありますからそういうことは許しませんということであつてこそ弁護士会の権威が持てる。むしろ欠点ある人が中に入つたら立派になるという方が、尚しつかりした弁護士会じやないかと私は思う。そういうのですから尚徹底しておることを言つておるのですよ。傷のある人が入つたら困るというようなそういう狹い弱い量見でなくて、傷のある人が入ると立派な人になるということを私は考えておるのでありますから、私の希望はそれで、あるが故にむしろこれを削ろうということになる。狹い量見よりも廣く包容しよう。例えばここに前科の人がある。前科のある人は拒絶するというのでなく、何でもお入りなさい、こつちで立派なものになりますよ、これが堂堂たる見地じやないかということを私は考えておるのですから、全然あなたの考と私の考と根本において違つておる。狹い量見でなく包容しようということが私の頭であります。むしろ欠点のある方でも包容しようというのです。
#50
○委員長(伊藤修君) この程度にして置きましよう。他に御質問ありませんか……。それではこの前に発案者の方で答弁を留保になつた点が四、五ケ所ありますから、それについて御答弁を願つて置きます。
#51
○衆議院議員(鍛冶良作君) 松井さんの質問中最も大きな問題は、弁護士会連合会の監督並びに議会に対する責任の所在及び予算の問題についてお答えいたしたいと思います。日本弁護士連合会は、弁護士及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする公的の機関ではありますが、その運営は挙げてその会の自治に委ねられ、何人からも行政上の監督を受けることなく、又何人に対しても法律上特段の責任を負うことはない完全な自治機関であると考えておるのであります。尤も憲法七十七街の規定によりまして、最高裁判所の規則制定権の範囲に属する事項につきましては、その統制を從わなければなりませんが、これもその監督に服するという関係に立つものでないと考えられるのであります。かような特殊の性格を日本弁護士連合会に與えた理由は、この会が高度の法律專門家である弁護士のみを以て構成される自治機関である実質に鑑みまして、外部からの統制を要せず、これに自立権を與えるに何ら不都合がないと考えられるのであります。
 尚予算のことに関しましては、現在のこの法案においては、國家の事務を取扱わないことになつておりまするが故に、国家の予算を貰うことなく、これ亦弁護士の全くの自治において賄う建前になつております。併しこれを將來に鑑みましてどうかということになれば、相当考慮すべきものがあると思うのであります。なかなか弁護士自身が今まで法務廳でやつておりましたる沢山の行政事務を引受けておるということになりますると、事務費及び人件費等において容易に負担ができないし、又弁護士会という公的の性質から考えましても、国家の事務上弁護士会が取扱つてよろしいというものがあると考えます。從いまして、私自身としましては、それらの事務を、それらの公務を弁護士会が取扱い内閣からの予算を貰つてやつた方がいいのじやないか、かように考えております。その一つは、今問題になつておりまする司令試驗であります。これはいろいろ議論もありましたが、法曹一元の原理から考えまして、弁護士会がこれを取扱うことを最も理想とし、又実際においてもよろしいものと考えられるのであります。その外に考えられるのは、今法務廳でやつておりまする人権擁護局の仕事も、弁護士会においてやることが最もいいのではないかと思いまして、できるだけ早く一つそれらをやれる内容に改めて、一日も早く弁護士会へ移るのがいいのじやないか、かように考えております。これが移りすと、自然國家の事務を掌るのでありますから、これに関する予算も弁護士会で貰つて然るべきものであろうと考えるのであります。そういたしますると、その予算の範囲内において、國家からの監督を受け、玉議会に対しましても責任のあるものと考えるのであります。でその場合においては、やはり今の最高裁判所と同様に、内閣に直属して内閣を通じて予算を得、内閣を通じて議会に責任を負うということになるのが最もふさわしいのじやないかと、かように考えております。これは少し行過ぎた理論かも知れませんが、御質問の趣旨もありましたので、私の意見を申し添えて御答弁に代えます。
#52
○松井道夫君 只今の御答弁で、原案作成者の御意図は分りましたが、ただ一点確めて置きたいと存じますることは、日本弁護士連合会が、國法上完全な自立機関であつて、他の如何なる機関に対しても責任を負わず、又他の如何なる機関よりもその監督を受けるものじやない、と申しますことは、現在の憲法上、國法の構造上といいますか、行政権というものの建前上、憲法上における建前上、そこにいささかの疑問もなく考えられておるのか、相当の問題があると考えておられるのか、その点確めて置きたいと思います。
#53
○衆議院議員(鍛冶良作君) この建前の法案を出しましたる以上は、これで差支えないじやないかという前提の下に出したことは間違いございませんが、実際上においていろいろと考える点はなきしにもあらずと考えます。併し出した意思はこれでいいものだというので出したわけであります。
#54
○大野幸一君 今の点に関連して一、二お伺いいたしたいと思います。本院の要求によりまして、英米弁護士会制度のあれを配付下されましたが、これは簡單でありますけれども、これは明瞭であつて深く感謝いたします。これによりましても、英米の共通しておる点は、法曹一元ということであります。法曹一元ということは弁護士から判檢事を取るということが最もよろしいということになつておるようであります。そこで今回他の法案として司法試驗法案が提出されて参りました。これによりますと、この試驗は法務廳が主催する、こういうことになつておりますし、一面最高裁判所側からは、最高裁判所の方に主催さして貰いたいという強い意見があります。併し私は共にこの両説に心から賛成していないのでありまして、この法曹一元化をするためには、弁護士会がこの司法試驗を主催して、尤もその試驗委員、その他については三者合同することはいいが、原則的には司法試驗を弁護士会が行う、そうして弁護士として何年かを経過せられた後判檢事に取るというのが最もいいことだと思いますが、今度の弁護士法が通過しまして、そうして日本弁護士連合会が鞏固なものになつたときは、この試驗を主催するだけの覚悟と用意、それだけの充実をするつもりであるかどうか、將來はそれに向つて方向付けられることを覚悟しておられるかどうかということを、一應お聞きして置きたい次第であります。
#55
○衆議院議員(鍛冶良作君) 全く我々も同感でありまして、私も弁護士の一人ではありまするが、その責任を、ここで以てお答えするわけに行きませんけれども、弁護士会の方とも話をしまして、一日も早くその実現に当りたい、又当つて貰うように我々の方から弁護士会へ希望しておるのであります。又弁護士会の方でも是非やるように進めたいという話であることを附加えて申上げます。尚この司法試驗の場合においても、今大野委員のおつしやる通り、私も主張いたしましたるところ法務廳においてもすべて同感であります。そこでそれならば今直ぐやつたらどうかというか、その準備ができないというならば、それではやるまでの暫定なのか、こう言いましたところ、勿論暫定と申上げるより外ないという答弁でございましたので、そこで我々はこの司法試驗も暫定であるならば、どこでやつてもいいのじやないか。そうすればむしろ煩雜なる行政事務だから暫くの間行政府としたる法務廳でやつて貰つたら如何かとかように考えて原案を支持して來たのであります。
#56
○大野幸一君 これは全く蛇足でありますが、今私は司法試驗と申しましたが、司法修習生研修所をも又当然のことと思いますが、如何でございますか。
#57
○衆議院議員(鍛冶良作君) 御説の通り勿論それがなかつたら意味をなしません。
#58
○松井道夫君 第七條についてこの前質問いたしたのでありますが、この法律の規定によりますと、今の第七條の一、二項に該当する人については、それが業務としてやつておる事実上、弁護士と同一職務をやつておつても、弁護士会からは何らの指導も監督もこれを行う道がないように感ぜられるのでありますが、これを何らか弁護士会との関連をつけまして、日本弁護士連合会から監督指導するようにする必要があるのじやないかということをこの前伺つてのでありますが、それに続きまして弁護士名簿に準ずるようなものも必要なんじやないかというようなことをお尋ねしたのでありますが、それについて……。
#59
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の御質問は先程大野委員から大体同じような御趣旨の御質問がありましたのでお答えしたのでありますが、この外國の弁護士となる資格を有するものについての弁護士事務を取扱わせることについては、一應原案では最高裁判所がこれに対して試驗し選考し、或いはその後の事務を取扱うというつもりで立案してございます。成る程お説のように日本弁護士連合会がタッチしないということは、將來不都合のあることを想像されるのでありますが、これは現行法の第六條の精神をそのまま本法に採入れたのですが、現行法第六條というのは現実には殆んど動いていなかつたという実際から、將來この第七條が、これは非常にいろいろな点から改正を採らなければならないという事態になれば、第七條はいろいろな意味で改正を予測されることもありますが、現在の段階においては、この程度で最高裁判所の規律の下に置くということでよいんじやないかと思います。勿論第六項におきまして日本弁護士連合会と密接なる関係を持たせるということが重要であると思います。
#60
○松井道夫君 ちよつと細かい点で一、二点聞いて置きたいことは、五十九條でありますが、懲戒の関係であります。第二項ですが、日本弁護士連合会は異議の申立に理由があると認めるときはその処分を取消す、懲戒の処分を取消すことができるということが書いてあるのですが、これは例えば除名という処分を取消して、これを変更いたしまして、例えば二年以内の業務停止処分をするということができるのかどうか、單に取消しのみならず、單に変更することもできるのであるということになりますか。この点を先ず伺いたい。
#61
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 第五十九條第二項は、処分を取消す点だけを規定してございますが、只今のように若し現弁護士会の懲戒の処分を変更するような場合は、その必要を認めるならば、第六十條で日本弁護士連合会がみずから懲戒処分というものを行ないますから、そのような手段を別に取るというつもりで立案してございます。
#62
○松井道夫君 そうしますとこの手続きが二重によるような虞れがあるのでありますが、簡明に変更を認めたらどうなりますか。どうしてその変更の権限を認めないで、更に六十條で日本弁護士会固有の懲戒処分について日本弁護士連合会固有の懲戒権を認めておるのか。
#63
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この現弁護士会の懲戒処分を変更するとうい場合も十分想像されるのでございますが、そのような場合は比較的少ない事例じやないかと考えますことと、それからいろいろな手続き的に変更のときの救済規定などの措置が可なり面倒になつて参りましたものですから、條文を簡明にする意味で六十條というものを生かす観点から変更ということは考えなかつたのであります。
#64
○松井道夫君 それはそれとして、六十一條でありますが、その第二項にその申立に理由があると認めるときは弁護士会に通知するというだけで、取消すというのがないようでありますが、それは取消すというのを入れた方がいいのではないか。第二項ですが……
#65
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の御質問は恐らく第六十一條第一項の後段の懲戒処分が不当に軽いというときに御想像なさつておられるかと思うのでありますが、やはりその場合はさつきお答え申上げたと同じように、みずから懲戒権を行えばいいという考え方でございます。大体六十一條の一項に本文の、みずから弁護士会に何ら懲戒処分に出なかつたということを考えて、或いは又は一定の手続きを経なかつたというときに考えて、その場合には懲戒をせよということを日本弁護士会に通知するということを考えたのでございます。
#66
○松井道夫君 そうすると取消しの必要がある場合は、五十九條の二項によつて取消すということになるわけですね。これがあるから必要がないというわけですか。そういうことになるのでしようか。
#67
○衆議院法制局参事(福原忠男君) この弁護士会の懲戒処分が軽きに過ぎるという場合に、それを取消して、その上に重い処分をして欲しいという六十一條一項の後段の請求があつたという場合の御趣旨でございますか。
#68
○松井道夫君 要するにこの不当に軽い場合、例えば二年以内の業務停止があつた、それを除名して貰わなければならんという場合、申立てた場合それはできるでしよう。そうしますと除名していいという場合には六十條で除名すればそれでいいというそういうお話しですか。その前に元の弁護士会の懲戒処分二年以内の業務停止というものをやはり取消す必要があるのではないか一つの行政法の処分なんですから、それをそのまま放つて置いて外の処分をする、不服を申立てるということは、軽い処分に対して申立てておるのですから、まずそれを取消す心要があると思つたら六十條で除名することになるのではないでしようか、そうすると取消すというのを、二項に書いた方が深切なことであり、そうしなければいかんと思いますが……。
#69
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 尚その点少し研究して見ます。
#70
○松井道夫君 第七十二條ですが、これは先程大野委員も質問されたのでありますが、起訴、不起訴について弁護士でない者が……、誰でもいいのですが、報酬を得る目的で運動する、或いは保釈の申立を被告人がした場合に、その保釈になるようにいろいろ運動をする、弁護士によつて……、という場合には七十二條のいわゆる「法律事務」ということになるのでございましようか、そういうものを除く趣旨か、そういうものを入れる趣旨か……。
#71
○衆議院議員(鍛冶良作君) 当然入ると心得ております。
#72
○松井道夫君 それから先程の御説明でちよつと疑問が出たのですが「報酬を得る目的」ということと「業とする」、業とするということは当然報酬を得る目的でやるのじやないかと思われますが、その関係はどうなりますか。
#73
○衆議院議員(鍛冶良作君) 報酬を得る目的と、業とするということは観念上は全然別だと思います。業としますることは反復して相当期間これをやることなんです。それに報酬を得る目的がくつついておらなければ本法の適用はないということになります。でありまするが、これで随分議論したのです。先程もお答えしたように業とする以上は、報酬がくつついているのが普通じやないか。本当に報酬がくつついておらなかつたらいいじやないかということでこれが入つたわけであります。
#74
○松井道夫君 七十三條は別に報酬を得る目的ということがないのですが、これは七十二條と区別するのはどういう意味か……。
#75
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは人の仕事をやるのではなくて、自分の権利としてやる場合なんでございます。そういうふうに七十二條とは全然趣を異にしているみずからの事件としてやるのであります。
#76
○松井道夫君 その点はちよつと今の御答弁でははつきり了解はできないのです。よく分らないのですが、又後に研究することにいたしまして、七十四條の二項に「利益を得る目的」というのがございますが報酬を得る目的ということとどういう違いがあるのですか。
#77
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは前から、全く規定でありますが、必らずしも金銭的の利益を得る、物質的の利益を得る場合でなくて、それによつて何らか利益があるということでやつた場合を一般に指す考えであります。
#78
○松井道夫君 先程の問題ですが、七十二條の保釈の運動をするとか、起訴、不起訴の運動をするとかいうことが、法律事務に属するかどうかということについて多少の疑があるのじやないかと思われますが、そういう点をはつきりさして頂いたら如何でございますか。今いろいろと司法部内で問題で起きていることは大体そんなようなことが問題になつておるのですが、これは昔の條文を踏襲するのは大いに結構でありますけれども、新らしい又社会情勢によりまして、その情勢々々で特に取上げられているような事柄は、多少の疑でもあればはつきり書いた方が結構だと思いますが、その点を伺います。例えば「又はこれらの周旋」とありますが、又はこれらの周旋運動といつたようなことがはつきりすると思いますが……
#79
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の保釈或いは不起訴の運動というようなものは、やはり訴訟事件に関する項目として、第三條の第一項で弁護士事務として当然包含されるものと考えております。第七十二條はその法律事務を扱うことを非弁護士がするということを禁止しているのでありまして、表現に多少或いは読み辛いと思いますが、現行法もその通りでありますから、改めて法文を変えなかつたという次第でございます。
#80
○松井道夫君 最後に一点お尋ねして置きたいことは、満洲國で弁護士の資格があつたといつた関係の人は、例えば七條の適用を受けることがあるのでございますか。
#81
○衆議院法制局参事(福原忠男君) その点は研究さして頂きます。
#82
○衆議院議員(鍛冶良作君) 先程の私の発言中、「裁判官及び檢察官で在職中その地位を利用して將來の弁護士としてのコンネクションに枚挙に遑がなかつた」ということは余りおだやかでなく、如何にも裁判官がそういうことをやつておるように取れますから、「遺憾ながらさようなものがあつた」というふうに訂正いたします。
#83
○委員長(伊藤修君) 諒承いたしました。なお今の答弁の保留の分は後で願います。午前はこの程度にしまして、午後一時から開会いたします。
   午後零時二十四分休憩
   ―――――・―――――
  午後一時五十五分閣会
#84
○委員長(伊藤修君) これより引続き会議を開きます。
 出版法及び新聞紙法を廃止する法律案を議題といたします。速記を止めて。
   午後一時五十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時十二分速記開始
#85
○委員長(伊藤修君) 速記を初めて。それでは今の二点について……。
#86
○政府委員(遠山丙市君) 先般出版法及び新聞紙法を廃止する法律案の御質問の中に、大野委員からの御質問は、本法が廃止せられた場合において、社会の秩序のために、新しくこれに代るべき法案を用意しておるかどうかというお尋ねであつたのでありまするので、お答え申上げて置きます。仰せのように、本法が廃止せられました後における社会の秩序、いろいろな点を考えてみまするというと、不安の点もないことはないのでありまするので、司令部とも打合せを遂げまして、近い將來に何らか今の時勢に適合いたしますような取締法案を作成いたしてみたいと考えておるのであります。以上御答弁申上げておきます。
#87
○委員長(伊藤修君) 只今の御答弁でよろしうございますか。他に御質疑ありませんか。
#88
○松村眞一郎君 元來表現の自由ということは、憲法において非常に重要視しているのであつて、新聞紙法とか、出版法とかいうことについては、憲法と共に、一應は法律を作ることが必要だろうと私は思うのです。で今このGHQの関係がありますが、今殊に日本は占領治下にあるという関係を考慮いたしましても、新聞紙法、出版法という、成文とか不文とかいうことを止めて考えても、何らか新聞紙法、出版法についてのよるべき法規がなければならんということは、これはどうしても憲法の存する以上は当然のことであると思います。そこでただ卒然として廃止だけいたしておいて、後のことについて何らの明確な方策を示さないで置くということは、どうも無法律状態に非常に重要な事項を置くことになりますから、政府としてはもう少し進んだ決心を以て、案件の速かなる結末を得るについての御行動が必要ではないかと思うのです。どのくらいの程度に從來御相談になつておつたのでありますか、どのくらい時期にそういうものができるのでございますか、或いは或る程度の概括的のようなことを決めて置いて、細目は何か政令に讓るとか、便宜的な措置をとるとか、何らか具体的な御用意が必要じやないかと私は思うのです、もう少し具体的な御考慮はないのでありましようか。そうしませんと、如何にもこういう大事なことをただ進行が困難であるから、暫くそのままにしておるというような態度では、國民に対して十分な申し開きができないのじやないかと私はこう思う。もう少し何か具体的の政府のお心掛があるべき筈だと思うのですが、如何です、その点は……
#89
○政府委員(岡咲恕一君) 昨年法務廳が設置いたされまして、調査意見局、第一局、第二局というものが置かれたのでありますが、第二局長が御就任になりまして、最も大きな問題といたしまして、第二局長みずからこの問題をお取上げになつて、新らしい廃止法律に代るべき法律を檢討いたしたのでございます。そうして外國の立法例あたりも檢討いたしまして、憲法の趣旨に副いまして、表現の自由というものは基本的人権として最も尊重されておる、事前檢閲というものは憲法の建前から申しまして、これは避くべきことのように考えまして、いろいろ檢討いたされまして、大体の基本的な方針はお決めになつたようでございまして、関係方面に御折衝になつたのでございまするが、先程政務次官からお答え申上げましたように、関係方面におきましても、はつきりした御見通しと申しますかを結局お持ちになりませんで、取敢ずの方策としては現行のこの停止されておる二つの法律を廃止しろ、その後については追つて研究いたすというふうなお話がございまして、法務廳といたしましては、一應の檢討はいたしておりますけれども、実はまだ纏まつた法律案というところまでは持つて参ることができなかつた次第でございます。併しいろいろ材料が集まつておりますので、只今政務次官がお答えいたしましたように、新憲法の線に副う新らしい出版、新聞紙に関する法規を作る必要があることは、只今松村委員なり、他の各委員の御意見通りでございますので、法務廳といたしましては、早速具体的案文を作ることに着手いたしたいと、かように考えております。
#90
○大野幸一君 この提案理由によりますと、「出版法及び新聞紙法は、昭和二十年九月二十七日附連合國最高司令官覚書によりその効力を停止されていたが、今般これらは廃止するとともに、」云々とありまして、現在その効力が停止されておるものであります。從つてこれに代るべき取締は、被占領國としていわゆる連合國のプレス・コードによつて現在において取締られる可能性があるように考えますが、どうでしようか。
#91
○政府委員(岡咲恕一君) 現在の環境におきましては、大野委員の御説の通りだと思います。実はプレス・コードによつて占領軍が必要とせられる範囲におきましては、現在言論……と申しますか……に対して或る程度の規制が行われます関係上、強いて早急に法律案を提案する具体的必要がないように関係方面でお考えではないかと考える次第ですが、そのプレス・コードの存在とは別に、私共といたしましては、我々自身の法規を作る必要があるというように考えております。
#92
○松村眞一郎君 元來こういう重大な問題は、政府といいますか、内閣の方だけに一任する問題ではないのであります。立法府としての國会自身も考えなければならないと私は思う。そういうふうに考えまして、政府の方でできておる資料は或る程度こういう議会に、未定稿のものであつても、この程度のいろいろのものがあるのだくらいのことはお示しになつて、内閣の方でも考えるし、國会の方でも議院は議院として考えるということになるべき順序の方が適当じやないかと私は思うのであつて、内閣に全部お任せするという考えでここで質問しておるのではない。ああいう場合は何らかのやはりここまでのものができておるとか、外國の事例もありましよう、そのくらいのことをやはり中間的の資料はやはり御提出になつて、我々も併せて一緒に考えるという態度を取つて頂きたいと思いますから、若し或る程度纏まつておるならば、適当の時期に御配付願いたい。非常に大事な問題でありますから、そういうふうにお願いいたします。
#93
○政府委員(岡咲恕一君) 松村委員のお考えに全然同感でございまして、成るべく早い機会に私共が今手許に纏めておりまする資料をお手許にお届けいたすようにいたしたいと存じております。
#94
○鬼丸義齊君 政府としては、これはもうすでに同僚諸君からいろいろ熱心なる質問があられたことと思いますが、私ちよつと失礼しておりましたから……。この両法案を廃止いたしまして、國内の秩序を保つて行くということに対しては、全然これを手放しで以て廃止し放しにしてよろしいというお見込かどうかということをこの際伺つて置きたいと思います。
#95
○政府委員(岡咲恕一君) 新聞紙法、出版法が停止されまして、現在までの國内の情勢に鑑みますると、出版法、或いは新聞紙法というものの非常に大きな使命は、何と言いましても事前の檢閲による言論の歩みにおける行過ぎの訂正と申しますか、制限ということにあつたのではないかと思います。併し新憲法によりまして、事前の檢閲というふうなことは表現の自由を高く重んじております建前上、これは恐らく新らしい法制を考えます場合でも採用することは困難ではないかと考えます。そういたしますと、表現の自由を逸脱したような、甚だ濫用されておる表現の自由というものによつて、社会の秩序或いは個人の名誉というようなものが侵された場合にどうなるかというと、これが問題になると思つております。現状の場合では刑法の規定も改められまして、相当重い罰則で名誉の保持というものが図られるようになつておると考えますし、そのほか社会一般の秩序に対して破壞的な煽動的な言論を行うという点が多少まあ問題になるのではないかと思いまするので、或いはそういう点につきまして、余りに行き過ぎた言論が横行するということは、変動の甚しい現状態におきましては、確かに好ましくないことでございまするので、行き過ぎたものにつきましては或る程度の罰則によつてこれを是正して参るというふうな方向を取るような立法を必要とするかと考えまするが、現在までの日本の國内の言論の状態を考えまするというと、余りに中央集権的な指導、殊に警察権による余りに甚しい抑圧というものが、日本の國内の民主的な建設の上にどういう効果を持つたかということを考えますると、この点は或いは社会秩の保持の点においては役立つた点もございましようけれども、非常に強固なる國民を基礎にした國家というものの確立の上には、多少弊害もあつたかと考えまするので、その点を考えますると、現状のように何らの規定もないという状態はこれは好ましくないと思いまするけれども、甚しい統制を試みるような出版法、或いは新聞紙法というものは又これも行き過ぎだろうと考えております。でその中庸を図りまして、適当なる限度において表現の自由を十分尊重して、或る程度までの制限を加えて、これを罰則によつて行き過ぎを是正するというふうな法規を立案してはどうかと考えている次第でございます。
#96
○鬼丸義齊君 すでにこの覚書を接受いたしまして、政府におかれましてもこの必要を認められておるといたしまするならば、それに対する当然應急の措置というものが講ぜられて然るべきではないかと思います。それに対する何らの用意なく、又仮に用意したりするも見通しがつかない。私共は新聞紙法並びに出版法両法共に、ひとり行き過ぎを取締るというばかりでなく、又一面においては言論の保護の規定もありまするので、ともかくにもこれ程大きな大法典を何らこれに対する見通しもなく、手放しで以てそのまま我々に賛同せよということは本当に安心ができない感じがいたしまするので、只今松村委員からも御質問がありました、御希望意見がありましたごとく、政府がその必要を認めながら終始傍観して、ただ覚書によつて如何ともすることができないのだということで以て政府の責任を足れりということは私共どうしても考えられません。少くともこの廃止法案に対して賛同いたしまするには、次に來るべき心配の点に対して何らかの安心感を持たなければならないが、この法案をそのまま鵜呑みにせよというのは大体無理がありはしないか、かように考える。恐らくは政府がその必要を認められておるといたしましたならば、当然その次の見通し、それから準備というものが私はなければならんと思います。もう少しやはり私共が安心してこれに賛成し、提案に賛同できるというふにして頂きたいと思います。
#97
○政府委員(岡咲恕一君) 鬼丸委員の御意見は誠に尤もでございまして、有難く拜承いたしたような次第でございます。法律を廃止いたしますことは誠に重大でございまして、全くどうもこれに代るべき政府としての提案を十分準備いたしませんで廃止いたすという点は、誠に心苦しく感ずる次第でございまするが、この法案はすでに効力を停止されておりますので、停止されている法律を一應処置をつけるという意味で廃止いたす、かように一つ御了承を得たいと思います。つきましては、この法律に代るべき新法律といたしまして、十分責任を持つて研究をいたして、成るべく早く機会に鬼丸委員なり、そのほかの各委員の御要望に副うような完備した法案を作成いたすということを御約束申上げてよいかと考えますので、さよう御了承頂きまして、本案に御賛成を頂きたいということを希望にいたします。
#98
○委員長(伊藤修君) 只今の御提案は成るべく近い機会と申しまするのは、次の國会とお伺いしてよろしうございますか。
#99
○松村眞一郎君 元來この効力が停止されておるのだから後始末として廃止するのだという、そういうふうに簡單に片付けるというとは私できないと思う。停止されておるということは存在しておるということを示しておるのですね。存在しておるものが停止されておるということは、ないのと同じ意味であるということはこれは言えないと思う。大変な違いであろうと思います。停止されておるということはとにかく存在しておるということである。どうなるか分らないというような状態で停止してある。その後始末は全部無くすることである、そういう簡單な結論は私は出てこないかと思う。むしろ後始末というならば、新らしいものにつくり変えるというのが後始末ではないかと思う。なぜかというと、新聞紙法なり出版法なりというものが要らないというならば別でありますが、要るということは誰でも認めることだ、そうすると停止されておるその後始末は新らしいものを作るということになる。私はこれは後始末ということになつていないと思う。無法律状態にするということは何らかの政府としては決心をお示しにならないというと、我々がこの案を審議する上においても非常に困難な地位に置かれると思うのです。ですからもう少し政府の内部でも御相談を願つてどうするかということをはつきり言明して頂くことが必要ではないかと私は思いますが、これは委員長にもお伺いするのです。どういう態度で我々法務委員は進むか。
#100
○鬼丸義齊君 私も全然松村委員の御意見と同感です。
#101
○大野幸一君 討論ですか。
#102
○鬼丸義齊君 いや、意見を述べるだけです。松村委員の御意見の通りに私共思います。この資料によりますると、政府は効力を停止しておるというだけでありますが、廃止しようということにも書いてあるようですな。ですからもう令しこの点をはつきり政府の確実な意見を求めたいと思います。
#103
○委員長(伊藤修君) それでは先程政府委員の御答弁に対しまして、釈明を求めました点を一つ明かにして頂きたい。そういたしまするならば各委員の方でもそれによつて了解できると思います。
#104
○政府委員(岡咲恕一君) 了承いたしました。
#105
○委員長(伊藤修君) それでは政府の御意見を纒めるまでこの法案につきましての質疑はこのままにして、次の法案に……。
#106
○大野幸一君 政府が先程速記を止めて司令部の方の交渉を報告しておるのですから、これ以上政府の考えは賢明なる頭を以てすれば推知できると思う。これはそれ程こだわらないでいいと思います。
#107
○委員長(伊藤修君) 要するに本案についての代案……(「公正にやるべしだ」と述ぶ者あり)準備をいつまでにするかという釈明を求められておるのですから、それに対する政府の答弁をお伺いするわけですが――、それでは本案に対しましては後刻に讓ることにいたします。
#108
○委員長(伊藤修君) 次に民法等の一部を改正する法律案を議題に供します。この法案に対しまして、前回に引続き質疑を継続いたします。
#109
○鬼丸義齊君 この法案の提案がありまするこの機会に私はお尋ねいたしたいと思いますのは、民法の全面的な改正について政府の方では用意されつつあると聞いておるのですが、その全面的改正についてはどういう程度になつておりまするか、この際伺つて置きたいと思います。
#110
○政府委員(岡咲恕一君) 法務廳設置法の改正の中にござするように、法務総裁の附属機関といたしまして、法制審議会を設けるということになつておる次第でございまするが、その法制審議会に民法部会とでも申しますか、或いは民事部会というふうなものを設けまして、その審議会におきまして、一つ根本的な御檢討を願いたいとかように考えておる次第でございます。それから政府の部内の事務といたしましては、調査意見第一局におきまして、是非とも民法の改正のための資料を蒐集いたしたいと考えまして、いろいろ各方面にも連絡し、或いはその意見を求めておる次第でございまするが、まだ基本的な方針は現状ではまだ確立されておらないのでございます。ただ基本的な方針と申しますか、要網或いはそれに準ずるようなものはまだ作られておらないのでございます。併し新憲法の趣旨に副いますように、又現下における社会一般の私法関係というものに適應いたしまするように、総則、物権、債権というものを修正する必要があることは私共十分に認めておるのでございまして、全面的に一つ檢討いたすべく、目下材料を蒐集いたしておる状態でございます。
#111
○鬼丸義齊君 全面的に民法の改正は、新憲法に副わないということが理由に一つあるでありましようが、主として早急にこれを解決するにあざればこの法規の存在が意味をなさないのみならず、却つて國情に副わないということについての著しい法務廳の方では例証としては、凡そどういうところを狙つておるのかをこの際伺えまするならば幸せと思います。
#112
○政府委員(岡咲恕一君) これは非常に重大な問題でございまして、多少私見に亘るようなことを申上げて恐縮かと存しまするが、現行の民法はすでに十分御存じのように、フランス法或いはドイツ法、特にドイツ法を中心といたしまして、大陸的な法制を受継いでおる次第でございまするが、大陸法系と英米法系とは非常な大きな対立をいたしておりまするし、日本の今後の関係を考えますると、私法方面におきましても、英米法の影響、或いは英米法との接触というものは甚だ殖えて参るのではないかと思います。從いまして法典の機構、形という面から申しましても、大体英米法のいろいろ新らしい制度というものが民法の中に取入れられるというふうに相成るのではないかと存じます。それからこの民法の性格という点から申しますると、大体十九世紀の終り頃の立法でございまして、主として個人中心と申しますか、規定全体が極めて個人的な規定が多うございますので、成るべくこれを社会的な、社会連体とでも申しますか、みんなの力によりまして社会全体をよくして行くというふうな、社会協力的な、連体的な、社会的な法制というものに移つて行く必要があるのではないかというふうに考える次第でございまするが、いずれにいたしましても、民法の法典自体は甚だ古色蒼然たるものがございますので、折角この成文法であります以上、成るべく新らしい時代の要求なり、新らしい時代の現実に即應するように改正いたしたいと、かように考えている次第でございます。
#113
○委員長(伊藤修君) お手許に参つておりますものは、衆議院でこの法案について修正されたものでありますから、御参考までに申上げます。「第五百七十條第一項第六号を次のように改める。」第六とありますが、その次へ「第六百十八條第二項中「一ケ年間ニ受ク可キ總額ノ四分ノ三ヲ超過スル部分ニ限リ」を「其支拂期ニ受クヘキ金額ノ四分ノ一二限リ」に改める。」そういう修正が加わつております。これは衆議院において修正されて回付されたものであります。この修正について政府から一つ御説明願いたいと思います。
#114
○政府委員(岡咲恕一君) 民事訴訟法の第六百十八條は先だつての國会におきまして修正いたされた規定でございまして、実は政府といたしましては、必ずしも修正をいたさないでも解釈上十分修正のような解釈が許されるのではないかと、かように考えておつたのでございまするが、関係方面の示唆がございまして、成るべく法文に明かにすべきであるというお話で、衆議院におかれましてかように修正いたされた次第でございます。現行法によりますと、ここにありますように、一ケ年間に受くべく総額の四分の一であれば、如何なる時期においてもその四分の一の金額に満つるまでは、差押えが許されるように解釈する虞れがありますので、各支拂期において、受くべき金額の四分の一だけが差押えになるというふうに明かにいたしまして、勤労者の生活を保障いたすように明確にいたしたわけでございます。
#115
○大野幸一君 この差押制限について、昔はこういうふうに記憶しておるんですが、最低の金額は差押えられない。いわゆる基礎金額は差押えられない、かように記憶しておるんですが、現在はこの法案によりますと、その点はどうなつておりますのですか。
#116
○政府委員(岡咲恕一君) 大野委員のお尋ねでございまするが、差押禁止物といたしまして、五百七十條にそれぞれ規定がございまして、官吏或いは神職、僧侶、或いは教師というふうな者については、その收入の一定額というものは差押禁止物ということになつておるのですが、民事訴訟法の五百七十條の第六号では、官吏、神職、僧侶或いは学校の教師というふうに限定されておりまして、六百十八條の第五号、或いは第六号にございまするように、「職工、労役者又ハ雇人」という者の受くる労働の対價たる報酬というものにつきましては差押禁止物となつておらないわけでございます。たとえて申しますと、五百七十條によりますると、「債務者及ヒ其家族ニ必要ナル三ケ月間ノ食料及ヒ薪炭」、これは第二号でございまして、こういうものはその債務者の生活を保持するのに最小限度の生活資料として差押を禁止いたしておるのですが、これが受取つた俸給ということになりますると、官吏或いは神職、僧侶、学校の教師という者ならば、これは一定の金額に限りまして差押を禁止いたしておるんですが、今申しました職工、労役者或いは雇人の賃金は全然差押禁止物になつておらないので、苟しくも手許にそれがある場合にはこれは無條件に差押えられる債権の状態である場合には、六百十八條によつて保護されるという関係になつておるわけでございます。從いまして、そこに多少の均衡を欠いておりますので、五百七十條を本法で修正いたそうといたすわけでございます。
#117
○松村眞一郎君 葬式の費用と雇人費用との関係でありますが、提案理由の中には、民事訴訟法の二百九十五條を引いて……二百九十五條の葬式の問題はどういう関係になるんですか、ちよつと私には分らないので教えて頂きたいと思いますが、私の直感しますところによりますと、二百八條の中で、葬式の費用は「債務者ノ身分ニ應シテ爲シタル葬式ノ費用」というようなことがあり、第二項に扶養すべき親族の分までも先取特権を認めておりますが、或いは身分に應じてというふうなことでなく、葬式の費用というものを誰にでも共通の程度の葬式の費用ということにして、そうして扶養すべき親族の分は除いてしまうという程度の改正でどうかというような工合に思うのですが、やはりこの葬式の費用というものは、何とかして片づけなければならん問題がそこに差迫つておるのですね。そういう関係から言うと、葬式の費用というものが、身分に應じて出すようなものでは困るけれども、誰にでも必要であるという、身体を片付ける意味においとの必要だけに、雇用の給料より優先していいのじやないかと私は思うのですが、これは商法の二百九十五條を引つ張つてあるのですが、これは商法は会社ですから、会社の葬式という、そういう問題はないわけです。どうもここまで進んで葬式を無視してしまうということが適当であるかどうかということの心配なんです。そこに屍体がある、屍体を後始末するということは、これは醇風美俗から申しても適当なことじやないかと思うのですね。それから葬式の費用は一文も出さないで、雇人の給料は先取特権になるということになると、屍体の後始末ができないという問題が是認されることになる。そういうことが果して正しいことであるかどうかということについても、根本的な疑いを持つている。行過ぎておりはしないか。この改正案は、ただ誰にでも必要なる葬式の費用だけに限つて、それは即ち身分の如何に拘わらず必要なる葬式費用だけについて先取特権を認めてもいいのではないかと思うのでありますが、これは立法論のようになりますが、商法との関係を説明して頂きたいと思います。
#118
○政府委員(岡咲恕一君) 商法との関係につきましては、実は商法の二百九十五條の末項にございまするように、先取特権の順位を変更と申しますか、この勤労者の債権につきましては、教育費用に次ぐという趣旨の規定を設けたのでございまするが、私自身もこの規定につきましては疑問を感じまして、会社には全然会社たる自然人というものはおらないわけでございまして、すでにこの葬式の費用というものは会社には当然ないのだ、從いまして、この先取特権があれば、当然教育費用に次ぐのであつて、葬式の費用よりも順位が遅れるということはないわけなのに、何故三号にこういう規定を置いておるのか、商法自体の改正の趣旨が了解がつかなかつたわけでありますが、提案理由に商法を持つて参りましたのは、多少説明といたしまして不十分であつたと考えまして、非常に恐縮に存じておるところでございます。で、雇人の給料の先取特権の順位を葬式の費用の上に置くという点につきましては、成る程松村委員のお述べになりましたように、その葬式費用については、無制限ではございませんで、債務者の身分に應ずる程度の葬式費用にのみ認めておりますので、一見差支えないことのように考えられますし、殊に亡くなつた人を葬むるということは焦眉の問題で、成るべくこれが完全に行われるように、從つてその費用について法律が特別な保障と申しますかを與えることは、尤もと考える次第ですが、半面日用品の供給というような問題も、これは最低限度の生活の保障でございまして、若しもそれが支拂つて貰えないということになりますと、日用品の供給すら仰げないと、從つて忽ちその日の生活に苦しむというふうなことになるのですが、その日用品の供給が順位として最も後に置いてございまするし、その中間に現行法では雇人の給料というものを認めておるわけですが、現状のこの生活の状態から考えますると、雇人は全く給料におきましてその日の生活を支えておるわけでございまして、債務者が雇人の給料を拂わないということになりますると、労働者の生活というものは忽ち脅かされる次第で、憲法に特にこの勤労者の生活というものを擁護するというような趣旨の規定を設けておりまする精神から考えましても、成る程葬式の費用は勿論保障することは保障しなければなりませんけれども、これが勤労者の生活よりも尚強く保障されなければならないということはないのではないかと、やはり現実に生きて働いておる勤労者の生活というものをこの葬式の費用よりも先順位に先取特権の上に認めて行くことが当然であろうと、かように考えましてこの順位を変更いたした次第です。それから又この順位の変更につきましては、中央労働委員会のみならば、地方の労働委員会よりも、非常に強い要望がございまして、非是この順位の変更だけは認めて貰いたいという労働者の強い要望にも應える趣旨を以ちまして、この順位の変更を規定いたした次第でございます。
#119
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はございませんですか……では質疑を終局することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○委員長(伊藤修君) それでは質疑は終局いたします。別に討論もないことと存じますが、討論はこれを省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○委員長(伊藤修君) それでは採決に入ります。衆議院修正付きのまま本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#122
○委員長(伊藤修君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て原案通り可決することに決定いたします。それでは本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容につきましては、予め御了承を願つて置きます。尚本案に御賛成の方の御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    齋  武雄  大野 幸一
    宮城タマヨ  松村眞一郎
    來馬 琢道  鈴木 安孝
    岡部  常  松井 道夫
    遠山 丙市 大野木秀次郎
    星野 芳樹
  ―――――――――――――
#123
○委員長(伊藤修君) 次に少年法の一部を改正する法律案及び少年院法の一部を改正する法律案を議題に供します。両案につきまして、前回の質疑に引続き本日質疑を継続いたします。
#124
○宮城タマヨ君 ちよつとお伺いいたしますが、この少年院法の「第二條第二項を次のように改める。」というところに、これは少年院に送られます少年の年の制限でございますが、十四歳以下の者は少年院に送ることができないということになりますと、そうすると、この少年法で十四歳以下の刑罰法令に触れる行爲をした者は家庭裁判所に送られることになつておりますが、その子供達は家庭裁判所の決定では、この少年院に送ることができないことになるのでございますか。
#125
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。仰せの通りに、少年院が十四歳未満の者は收容できませんので、決定をされましても執行不能ということになりますので、家庭裁判所は結局兒童相談所、或いは司法保護の委員会の方にお廻しになるようになると思います。
#126
○宮城タマヨ君 そういたしますと、非常に質の悪い子供は如何でございましよう。非常に犯罪性の強い者とか、逃走性のある者はどういうことになりますか。
#127
○政府委員(齋藤三郎君) 現在少年院に十四歳未満で入つておる子供が二百人くらいあると存じます。從つて或る程度の施設に入れる必要は実際上起ることも考えられるのであります。從いまして、今度の少年法の改正の中にございまするが、少年法の六條を改正いたしまして第二項、第三項というものを新らたに加えますが、この三項に、都道府縣知事又は兒童相談所長が、少年についてたまたま行動の自由を制限するというような場合は、家庭裁判所の決定を待つてさような強制力を用い得るようなことに相成つております。
#128
○宮城タマヨ君 今十四歳未満のものは二百人くらい少年院に送られておりますというお話でございますが、今まで聞いておりましたところでは、その少年達が非常に成績がよいということでございましたが、それは事実でございましようか。つまり少年院に送られました十四歳未満の子供は非常にそこで成績を上げておるという話でございますが、それは如何でございましよう。
#129
○政府委員(齋藤三郎君) 大体相当の成績を上げておるようでございまするが、中にはまだ困つておるのもあるようでございます。ただ少年院の実情から申しますと、現在やはり十四歳末満の十三とかいうような子供と、十六歳以下の少年が初等少年院において一緒になるということが少年院の運営に当る方に取つては非常に困難を伴つておるという現状でございます。結局十三歳未満の者のような小さな子供は強制力を建前とする少年院に送るというよりは、養護施設というものが適当ではないか、養護施設でどうしても或る期間何か拘束しなければならんというときには家庭裁判所の決定を待つてやるというふうにいたそうというのが今度の少年法、少年院法を通じての関係でございます。
#130
○宮城タマヨ君 実はそれと裏表かも知れませんけれども、兒童福祉法が年齢を上げまして十八歳以下に延びたのでございますが、その延びたときに、虞犯少年などについて私非常に心配いたしましたのでございまして、というのは、今までは教護院におります者は十四歳以下でございましたのが十八歳以下の者もそこへ混りますと、非常に十六から十八というときは、殊に性に関するあの問題について年少の者に悪影響を及ぼすということを心配したのでございます。それで実はそういうふうにして見たのだけれども、困るので少年院に入れなければならない者が沢山出て來て、二百人もの收容があつたのではないかということを、その点を兒童福祉法から申しまして懸念しておりましたのでございますが、如何でございましよう。
#131
○政府委員(齋藤三郎君) 昨年年末までは、御承知のように十四歳未満の少年は兒童相談所で一遍優先的に調査いたしまして、これは到底現在の養護施設、教護院では間に合わないというので、兒童相談所、或いはその上の都道府縣知事から送付せられたものを少年審判所が審理をいたしまして、そうして少年院に入つておつたのでありまして、現在の二百人というのは、本体その時代に送致されたものであると思います。
#132
○委員長(伊藤修君) ちよつと御注意申上げて置きますが、この少年院法につきましては、やはり衆議院で修正されておりますから、お手許に修正プリントが配付済と存じます。
#133
○宮城タマヨ君 第二十一條で伺いたいことがございますけれども、その前にこの観護所で最近いろいろ問題が起つておりますが、この不祥事件の一番大きい原因はどこにございますか。
#134
○政府委員(齋藤三郎君) 観護所で、殊に東京の観護所にたびたび不祥事件を惹起いたしまして、私共誠に申訳がないと存じております。その原因につきましては、我々としても職員側も十分今後更に緊張してやるように注意いたしておりまするが、一面負担し切れない観護所に余りに多くの少年が入つたという観察がなされるのであります。東京の観護所で昨年は平均毎月百七十人くらいの少年を收容しておつたのであります。ところが本年は昨年末切替に際しまして、法務廰といたしましては、審判所から観護所当時の出張所、少年院の出張所に送られて來たものを全部処理いたしまして、全然零にして家庭裁判所から送致された者を收容することにいたしたのでありますが、本年三月十二日、少年の放火によつて全焼するまでの統計を見ますと、昨年の百七十人に対しまして二百五十人という数に上つております。而もその二百五十人の内容でございまするが、御承知のように從來の少年中特に悪質なる少年は、檢事が起訴いたしまして、拘置所に勾留せられておつたのでありますが、今後は檢事が起訴できませんので、全部家庭裁判所に廻ります。さような関係で、昨年度は東京の拘置所に入つておつたであろう少年が皆観護所に入つている。施設は從來通りの脆弱なものであるという点に非常に問題の根本原因があるように観察いたしております。そのために本年度の予算においても或る程度の予算を頂載いたしましたので、至急整備するように努力はいたしますが、何と申しましても相当の日月を要しますので、その間今度の少年法、少年院法の改正によりまして、特に犯罪を犯して逃走の虞れのあるという者につきましては、愼重選別をいたしまして、止むを得ざる者については拘置監の一部を復活いたしましてそれに代用するというような便法を講じたいと存じまして、少年院法の改正をお願いする次第であります。
#135
○宮城タマヨ君 少年院の考査室は使われておるのでございましようか。
#136
○政府委員(齋藤三郎君) 一時余り使わないような方針が最近まであつたのでありますが、今後の問題は、或る期間はどうしても考査室を使うのがよいのではないかと考えております。
#137
○宮城タマヨ君 その考査室をそういう悪質な犯罪少年に充てるだけでは到底足りませんか。
#138
○政府委員(齋藤三郎君) 最近できましたものにつきましては、殆んど考査室というものがございません。と申しますのは、保護團体やら、軍の施設というものを轉用いたしまして、急速に増設いたしました関係上、考査室が非常に足らない、殆んどないところが大半でございます。勿論そのような法案が改正せられましても、少年に対して刑務所の門を潜らせるということは非常に問題である。私共もこれについては非常にいろいろな議論をいたしまして、最近まで決意がつかなかつたのでありますが、最近の家庭裁判所のやり方と比べまして、かような方法を講じなければ実際の運用の上においてどうなるかと申しますと、檢事からの意見によつて二十四時間以内に処理をしなければ皆観護所に入れなければならん。ところが観護所はない。そういたしますと、どういたしましても起訴をどんどん從來通りにやる。こういうことになりますと、結局少年法を改正した根本の趣旨に反する結果になりますので、そこで家庭裁判所は十分一つこの点を考慮して貰いたい。そうして私共の方におきましても、これを軽々に少年をかような便法ができたからといつて、拘置監に入れることは是非とも避ける。併しどうしても止むを得ざる場合には、何らかやはりかような手段を講じて置かなければ賄い得ない。又全然東京のようになければ現在元の廃止せられました保護團体等に二、三百も、新日本学院においては二三週間前の状況でありますが、百八十人ぐらい收容しておる。又仁泉塾においても集團逃走したというようなことで全然逃してしまうというようなことで、警察方面からも非常に苦情が來るというのであれば、どうしても止むを得ないものはやはりかような便法が必要であるということでありまして、提案をした次第であります。運用につきましては、十分愼重を期したいとかように存じております。
#139
○宮城タマヨ君 私共も観護所の施設が非常に脆弱でもございましようし、收容が過剩でございましようし、職員の不足とか質の問題なども勿論ございましようと思いますけれども、この際私共の一番考えたいと思いますことは、目に見える物的の原因よりも、目に見えないところに相当原因があるのではないかというように考えております。というのは、今度できます拘置監の一部分をその收容の場所に充てるなんということになりますと、非常にそこが子供の取扱いが実は愛の法律なんと申しておりますけれども、実際の取扱上は未決拘禁所だつたり、懲治所というような思想が流れておるような感じがございますために、却つてああいう不祥事を起しまして、結局は子供の少年の保護ということより行刑のために入れるような感じがするのでございます。でございますから、成ることならば刑務所の門を子供が潜れないような工夫が何とかできないものか。こういう法律が通りましたにしましても、できるだけこれを使わないようにして、そうして考査室なんというようなものをもつと有効に活用が何とか、子供を本当に愛の法律で保護することというように、その職員も、保護されます子供達も、そういう観念に立つということが結局は子供を救つて行く、保護することになるのではないかというように考えますのでございます。そこでまあ止むを得ない処置としてこれでそれこそ仕方がないかも知れませんが、二十六年の三月以後にできますというものの構想は決まつておいででございましようか。
#140
○政府委員(齋藤三郎君) 観護所につきましては、成人矯正脇で管理いたしております関係上、詳細なことは承知しておりませんが、私も少年矯正局長といたしまして、その基本方針には協力いたしておりますので、大体各府縣には一ケ所を作つて行く。そうして東京、大阪、名古屋、神戸、こういうところには相当数の少年を收容できるようなものを作つて行きたい。そうしてさような大きなところには予算と睨合せることでございますが、煉瓦作りぐらい作つて、そうして外見は余りいかついものではなくして、実際には逃走は到底できない。そうして中庭見たようなものを設けまして、レクリエーシヨンや、運動や、そういうものを取り入れるようなことにするというようなことで、現在設計などをいたしておる状況であります。本年度一杯で全部を作る予算はございませんが、或る程度の予算を頂載しておりまして、本年度中に重点的に必要な場所からどんどん作つて行きたいというつまりでおります。又運用につきましてはお考えの通りでございまして、できるだけ少年を温かい氣持で收容するという方針で行くように考えております。
#141
○宮城タマヨ君 重ねて伺いますが、観護所の中に鑑別所を併置しようという構想はございませんでしようか。
#142
○政府委員(齋藤三郎君) 観護所と鑑別所は切つても切れない関係でありますので、観護所の一部に鑑別所を置くような考えでございます。又場所によつては観護所と鑑別所の職員も兼務でやつて行くというようなことによりまして、円滑にその間行くようにいたしたいと存じております。
#143
○宮城タマヨ君 家庭技判所の方の方に伺うのが本当かも知れませんが、私共見ましたところでは、少年審判所というものが家庭裁判所に変りましたということは、内容はちつとも変らないと思いたいのでございますが、実際に取扱う人というと、語弊があるかも知りませんが、非常に何と申しますか、裁判所流のやり方に流れておるというような傾向がございませんでしようか。その一つの現れといたしまして、あすこから観護所に送られましたり、或いは病院にも送られるのだそうでございますが、そういうときに手錠をはめてあすこを出て、そうして通路を通つております者をたびたび見かけたという話がございます。私も是非その実物を見なければ話にならないと思つて氣を付けておりましたこともございますけれども、私自身が氣を付けておりますときにはそういうことに会いませんでしたけれども、この手錠をはめるということはこれから將來のある子供達にとつては、これ以上の苦しみはないだろうと思つておるのでございますが、そういうことは一つ裁判所といつたような空氣が濃いのじやないかというふうに思つておりますが、如何でございましようか。
#144
○政府委員(齋藤三郎君) 從來少年審判所は行政機関でございまして、同じ司法省の一部にございましたので、少年院と少年審判所というものは非常に親しい間柄で、自分が審判をした少年が入つておる少年院にときどき出かけて行つて、少年の肩を叩いて元氣でやつているかというふうな激励もし、その間非常にうまく行つたのでありまして、今度審判機能が裁判所に移りましたが、さような運用でやることが是非必要であると存じまして、先般も家庭局長に連絡をいたしまして、家庭局長は元審判所長をしておられた方で、その間の事情をよく御承知でありますので、先般つい一週間くらい前でございましたか、全國の地方裁判所長、家庭裁判所長の会同で、その点特に家庭局長から注意をして頂いた。そうして少年院、家庭裁判所などができるだけ協議会等を開いて、実際執行に当る少年院の実情というようなものも十分知つて貰えるように、その上で適切な審判をして貰うようにいろいろ家庭局においても指示をされておりますので、さようなことで行きたいと思つております。
#145
○宮城タマヨ君 これは少年法二十五條から來ておるのでございましようが、試驗観察に付されておりますものが随分数の点においては多いのでございます。全國の統計を見ますというと、一月以來でございますが、九百七十四件にもなつておるのでございますが、これは保護團体がなくなりまして、そうしてこの観護所もなかなか思うようにないというような点から自然にこれを個人委託として試驗観察にされるのだと思つておりますが、この点は委託費その他の関係も如何なものかと思つております。実情はどんなものでございましようか。
#146
○政府委員(齋藤三郎君) 少年法二十五條の試驗観察というのは、家庭裁判所が事件を受理いたしまして審理をする調査の期間内、どういう子供であるか、保護処分をする必要があるかどうか、どういう処分をしたらいいかということを自分だけで決し兼ねて適当な人に或る期間これを預けて、そうして少年の実情をよく見、又家庭環境等も調べる。こういうためのものでございまして、これについて観護所の代用にする、或いは決定後の執行までその面でやるというようなことがありまするならば、法律の趣旨に則することと思つておりますので、家庭裁判所にもその点注意いたして置きます。ただ現在東京におきましては、非常な特殊事情でございまして、観護所が全燒いたしまして、而も一日に警視廳から檢察廳を経由して身柄付という少年が三十人、四十人來るというような実情でございますので、多少法律の本当の意味からは曲げた運営をされておるのでありまするが、これは法務廳といたしましても、観護所がない、設けておらないという点がございますので、將來は法律の本來の精神通のに運用して貰うようにいたしたいと思つております。
#147
○宮城タマヨ君 委託費はどういうことになつておりましようか。
#148
○政府委員(齋藤三郎君) 最近家庭局の方から聞いたところでは一日七十円ということに決つたということであります。
#149
○宮城タマヨ君 それでこういう非常に変則と傾しますか、少年のためにもいいか悪いか疑われるようなことになりますことを思いますというと、あんなにしてやめになつたけれども、少年保護團体をもう一遍作るというようなことはどんなものでございましよう。本当の少年の保護という点から見まして、御当局は如何にお考えでございましようか。
#150
○政府委員(齋藤三郎君) 少年の保護団体を廃止しました経緯については十分御承知のことでありまするが、関係方面の関係等も十分に考慮して、元の少年保護團体の一面極めて惜しまれるべき施設も相当あると私は考えておるのでありますので、これを將來、この人達が数十年本当に天職と心得てやつて來られた経驗なり、知識なる或いは又施設なり、それを十分に活用することは極めて賢明な方法であると考えております。かような方法で今後努力して行きたいと思います。
#151
○宮城タマヨ君 今度は少年法についてお伺いしたいのでございますが、犯罪者予防更生法では、第二條に「青少年」とは、十四歳以上で二十三歳に満たない者」ということが書いてございますが、これ少年法の三条に「十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行爲をした少年」となつて、そこに年齢におい齟齬する点がございますが、今度問題になりますのは、地方少年保護委員会で保護観察に付せられる場合にはこの十四歳未満の者はどういうことになりますのですか。
#152
○政府委員(齋藤三郎君) 十四歳未満の者は結局この犯罪者予防更生法の対象にはならないわけでございます。從いまして兒童相談所、兒童福祉施設と、かような方面に廻ることになると思います。
#153
○宮城タマヨ君 そうすると、十四歳に満たない者で刑罰法令に触れる行爲をしました少年は、結局もう一遍兒童福祉法による保護を受けるより外はないということになるのでございますね。
#154
○政府委員(齋藤三郎君) 先程私がお答しましたとき誤つておりまして、結局十四歳未満は審判は家庭裁判所がいたしまするが、執行は全部福祉法関係ということになるわけでございます。
#155
○宮城タマヨ君 それから少年法の一番最後の第四十七條のところでございますが、これはこの家庭裁判所は家庭の通告とそれから保護司の報告によつて審判に付すべき少年があると思われるときは事件について調査をしなければならないということが少年法の第八條にございます。だから家庭の通告と保護司の報告と、それからいま一つは檢察官、司法警察官、都道府縣知事又は兒童相談所長から家庭裁判所の審判に付すべき少年の送致を受けたときに、又調査の結果審判を開始することが相当と思うときにはその旨の決定をしなければならないという、これは二十一條にございますようですが、どちらにしても審判開始の決定がされた場合でございますが、このときには、必ずしも保護処分の決定があると言われない場合があるのではないでしようか。この点如何ですか。
#156
○政府委員(齋藤三郎君) 審判開始をしたあとにおきましても、十八條の規定に、当る場合であると、結局兒童福祉施設に廻した方がいいというようなことが適切であるというふうに審判の結果になりますると、二十三條によりまして兒童相談所の方へ事件を送致することになります。二十三條で十八條の規定を引用して規定いたしております。
#157
○宮城タマヨ君 そうすると、その公訴の時効の問題はどういうことになりますのでございましようか。
#158
○政府委員(齋藤三郎君) 時効は家庭裁判所に係属中ということに現在いたしておりまして、係属中は進行しないわけでございます。改正いたしましたのは、抗告制度がございますので、抗告いたしますると、家庭裁判所でない上の裁判所がいたすことになりますので、その間も抗告中は時効が進行しない。かように改めた次第でございます。
#159
○宮城タマヨ君 そういたしますと、それは一應分つたようでございますが、審判不開始のときの後始末はどういうことになつておりましようか。
#160
○政府委員(齋藤三郎君) 審判を不開始にした場合は一種の起訴猶予みたいなことになると存じます。保護処分の効力といたしまして四十六條で、罪を犯した少年に対して第二十四條第一項の保護処分、三種類でございます。保護処分をなされたときは改めてその事件を刑事訴追したり、もう一度家庭裁判所の審判に付することができないという一種の既判力を認めておりますのは、二十四條第一項の保護処分がなされたときというふうに少年法の四十六條で規定いたしておりますので、丁度檢事が起訴猶予をいたしたような結果のことになりまして、その後事件は時効にかかつて進行して行く。併しもう一度問題にすればできるということになるわけでございます。結局家庭裁判所は裁判所と檢察廳との中間みたいな一つの特色のある普通の裁判所とは違つた機能を持つているというふうに私共解釈いたしております。
#161
○宮城タマヨ君 これでこの統計表を見ますと、不開始処分というものが非常に多うございまして、五ケ月間に五千三百十五件もございますが、これは又一度に不開始されて者がもう一遍再犯という言葉を使いますが、もう一遍家庭裁判所に事件を起して來るというような者が相当にございませんでしようか。その数は分つておりませんかしら……。
#162
○政府委員(齋藤三郎君) 家庭裁判所は法務廳とはちよつと別個の役所でございまして、さような統計を存じないのでありますが、私共もその統計を見まして、非常にただ不開始し放しのものが多過ぎる、少年審判所の観察に付して貰えるのならば、本人も既判力を生じまして、もう一度問題にされることはないようになりますので、その運用についての意見は家庭裁判所の方に申上げてあります。
#163
○宮城タマヨ君 私共もその点非常に心配しまして、これはやはり收容所の関係も大いにあるだろうと思いますけれども、野放しにこんなに沢山の者をされるということは子供のためにならないと思いますのでございますが、それに付けましても、先程ちよつと申上げました少年保護團体なんというようなものを十分にお考え下さいまして、私共も若しその方面に力添えをして有効のようでございましたら、考えて見たいと思つております。
#164
○政府委員(齋藤三郎君) 全く同感でありまして、今後もさような方針で行きたいと存じます。
#165
○委員長(伊藤修君) 宮城さん、もうよろしうございますか。
#166
○宮城タマヨ君 はあ、私終りました。
#167
○委員長(伊藤修君) 他に両案について質疑はありますですか。――別に質疑はなければ、質疑はこれを以て終局することに御異議はありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#168
○委員長(伊藤修君) では質疑は終局いたします。多く問題もないようでございますが、討論は省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○委員長(伊藤修君) では採決に入ります。少年法はそのままですが、少年院法は衆議院において修正されておりますが、よつて修正字句を以て原案といたします。両案につきまして、原案通り御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#170
○委員長(伊藤修君) 全会一致を以て両案共可決することといたします。尚本会議における委員長の口頭報告の内容について予め御了承を願つて置きます。尚賛成者諸君の御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    齋  武雄  松村眞一郎
    宮城タマヨ 大野木秀次郎
    來馬 琢通  鈴木 安孝
    鬼丸 義齊  松井 道夫
    遠山 丙市  星野 芳樹
    大野 幸一
#171
○委員長(伊藤修君) 御署名洩れはございませんか……。御署名洩れないと認めます。
  ―――――――――――――
#172
○委員長(伊藤修君) では先程質疑の中途で後刻に讓りました出版法を更に質疑を継続いたします。この際政府より御答弁を願つて置きます。
#173
○政府委員(遠山丙市君) この出版法及び新聞紙法を廃止する法律案を今國会に提出するに先立ちまして、代り法案について政府でもいろいろその檢討も遂げておつたのでありましたが、未だ不十分の点もありまするので、鋭意調査研究の上、次の國会までに提出して御審議を煩わしたいと思つているのであります。御了承願います。
#174
○松井道夫君 只今政府委員から御答弁がありまして、私共といたしまして、本法律案を審議いたしまする上におきまして、安心感を與えられましたことは喜びとするところであります。それで、その点について伺つて置きたいのでありまするが、これに代るべき法案を立案いたしまするところの主管の省は、或いは法務廳でごどいますか、その主管いたすところはどこでございましようか、その点をお尋ねいたしたいと思います。私がこの前その点を質問をいたしましたところが、出版関係、新聞関係は現在文部省の主管に相成つておる、それで將來これについて立案するとすれば、そちらの方で立考するのじやなかろうかという趣旨の答弁が政府委員からあつたのであります。それで責任の所在を明らかにする意味においてお尋ねして置きたいと思うのであります。
#175
○政府委員(遠山丙市君) お答えいたします。この次にいわゆる代り法案というものの内容といいますか、性格というものはどういう形になつて來るかということは、これは相当調査を進めて見ないと分らんと思うのでありますが、その性格如何によつては法務廳になる場合もありましよう。或いは又文部省の方でお手数を煩わすようなことになるかとも思つております。今のところ確たることは申上げられません。
#176
○委員長(伊藤修君) 他に本案について御質疑ありませんですか、別に質疑がなければこの程度にて質疑を終結することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(伊藤修君) では質疑は終結いたします。直ちに討論に入ります。御意見のある方はお述べを願いたいと思います。
#178
○松井道夫君 質問を通じまして、大体各委員の政府に対して意図せられておりますところが分明したと存じますけれども、最後に討論の形式で要約して見たいと存ずるのであります。本法即ち出版、新聞新聞係を律する法律の重大性に考えまして、これを無法律状態にいたしますることが甚だ当を得ないということは、これは論ずるまでもないと存ずるのであります。さきに占領軍の命令によりまして、出版法及び新聞紙法というものが廃止さるべきものであり、現在その効力を停止せられて、今回その廃止を見るという段取りになりましたことは、もとよりその然るべき理由があるのでありますが、さきに各議員より指摘されましたごとく、苟くも廃止いたしますならば、新憲法下これに代るべき立派な代案がなければならないのであります。問題になりました覚書の中にも、出版、新聞紙、ラジオ等の関係で公安に害するようなものを取締るべき法規を制定することが日本國政府の義務である趣旨のものがあつたのであります。もとよりその後種々の覚書が出まして、聊か解釈に苦しむ点がないわけではないのでありまするが、我々は日本國の國民といたしまして、みずから自主的の判断を以て民主的に、或る行爲が果して公安を害するものなりや否や、決定すべき自主性を取得しなければならない、又そうあるべきなのであります。プレス・コードによりまして、進駐軍の権力の発動を弁々として待つておるというようなことは甚だ法治國民といたしまして驚くべき、恥ずべきことであると我々考えるのであります。もとよりさきに政府委員より指摘されました勅令の第三百十一号と言われましたが、占領目的を害するような行爲はこれを処罰することができるのでございまするが、これは実にその大まかな立法でありまして、丁度先きに戰爭時代に軍が中國大陸その他におきまして、軍の目的を害するというような法三章式のようなものをやつておりましたものと何んら選ぶところがないのであります。國内法といたしまして、國民にそのよるべきところを示し、その限界を示して、それを超過するものを処罰するといつたような法治國の法治國たるゆえんのものを、かくのごとき漠然たるものを以て律して、以て他に対するがごときは我々のとるべきところではないのであります。須らく占領目的に反するようなことは又勿論といたしまして、そうでないことにいたしましても、先きの新聞紙法出版法におきましても、棄てるにはおしいような規定があつたのであります。それは政府の方でも認められておつて、それ故にこそ廃止にならないで、停止になつておつたと思うのであります。我々は國会議員といたしまして、この法案の審議に当ります責任上、この点を問題にいたさざるを得ないのであります。幸い今政府委員より確たるお約束がございましたので、聊か安堵いたす次第であります。松村議員が適切に指摘されました通り、法律を立案いたしますることは政府のみの責任ではないのであります。立法府におきましても勿論この法律を議決いたしまして、國家の意思表示とするということの以外にこれを立案いたしますることも亦その職能の一つであるのであります。三年間も歴代の政府が何もしなかつたのが怠慢ではないかということは、とりもなおさず又國会も何もこの点について意をいたさなかつたのは失態ではないかと言えるのであります。我々は何も政府の責任のみを追及しようとのみ思つておらない。今日この両法律が廃止せられるに当りましては、とにもかくにもこれに代るべき立派な法律が近い將來に誕生いたすという希望を獲得できたということについてただ満足の意を表するのであります。私はこの出版法及び新聞令法の廃止に賛成いたしまするものでありまするが、更に政府は次の國会に立案、提出せられて、その責任を立派に果されんことをここに願うの共に、又我々もその代るべき立派な法律を作りますることにおきまして、審議を盡し、又その責任を果すということの決意をここに表明いたしまして、討論の言葉といたしたいと存んずるのであります。
#179
○大野幸一君 本員は本法案に賛成をいたすものであります。各賛成の討論者の中でも、私の賛成の意味は聊か異つておるかとも思いますから、その意味において討論をさして頂きます。各委員の賛成の中にも、これに代るべき代案というものを非常に重視しております。それは若しこの出版法及び新聞紙法が廃止になつて、後に來るべき社会公安、社会秩序の点を憂えられるのでありましよう。併しながら元來出版法及び新聞紙法というのは思想を表現する方法に止まらないのでありまして、これを行動に現わすか現わさないかは又別の問題であるのであります。新憲法によりまして、第二十一條「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。檢閲は、これをしてはならない。通信の祕密は、これを侵してはならない。」こういうように二十一條においては、法律、命令を以ても憲法のこの自由を制限することはできないのであります。これが重要なるポイントであります。そこで今までの出版法及び新聞紙法において、あれによつて如何に全体主義を鼓吹したか。あれによつて如何に戰爭に協力せしめたか、民主主義、自由主義を唱える人があれによつて如何に迫害を受けたか。こういう点を十分に観察するならば、我々は一日も早くこの法律の廃止を望んだのであります。これに代るべき代案は少くともこの新憲法二十一條に牴触しないように、ここは非常にむずかしいところであります。先程來政府委員から、関係方面におかれても、この二十一條に副うところの、牴触しないというところの、即ち新聞紙法、出版法に代るべきその代案というものは軽々にできないと言われたのであります。軽々にできない。それは一方技術上非常にむずかしいので、こういう意味においてまだ何らの措置もない。むしろそれも好ましからざる意向が政府から表明せられました。我々は断然戰爭以前の思想に復活することを警戒しなければなりません。こういう意味において愼重にその復活案というもの、代案というものに対しては愼重の上にも愼重を重ねられんことを望むものであります。そもそもこれは本日廃止法案が出ましたが、併しそれこそ、これは憲法第九十八條で「この憲法は、國の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の行爲の全部又は一部は、その効力を有しない。」こういうように当然死文に終つておるのであります。これを廃止することになんで躊躇いたす必要がありましよう。出版法及び新聞紙法を見ましても、その多くは檢閲をする、事前檢閲をするところに大きな効果があつたのであります。その効果とは今までいわゆる封建時代の日本を護るために大きな効果があつたのであります。その檢閲は、これはしてはならない。法律を以てしてはならない。こういうふうに明記せられておりますところを私は思いいたしますならば、この代案に対しては深甚の考慮を拂われて、この憲法條章に触れておれば、我々は新憲法を護る擁護者として愼重であることにここに申上げて、私は本法案を速かに一日も早く、一瞬も早く廃止することに賛成の意を表する次第であります。
#180
○來馬琢道君 私は五十五年前から出版に関係しておりまして、新聞紙法の保証金という制度のごときは、実に我我が苦しんだ次第であります。一千円の公債証書が納めることができないで、百七十五円の公債証書を納めれば発行できるというので郡部の方に発行所を置きまして、編集所は東京の市中に置くということをいたしまして、僅かに新聞に類する雜誌の発行をいたして來たようなことで、その保証金の制度というものは、今から考えれば夢のような感じがするのでありますが、当時一千円の金は相当大きなものであつた。それから出版の方におきましては、著作権とか何とかいうことは、今から五十年の昔を顧みれば実に煩鎖なもので、著作者に対しては余り利益がなくて、出版業者のみ利益があるというようなこともあつたりいたしました。今回のこの我が國の一大更生の時期に当りまして、この両法が廃せられることは当り前のことなんであります。先程からしばしば代案々々という声が出ておりますが、私は代案を作るということは現下の日本におきましては相当困難なことであろうと思うし、又今までの新聞紙法や出版法なるものの精神で代案を作るというようなことは不可能なことだと思いますから、只今いろいろな御意見もありましたが、私はむしろ日本の國の進歩のために、代案のような條件を附けないで、今日において我々はこの廃止案に対して賛成するという意思を表明して置きたいと思います。
#181
○委員長(伊藤修君) 他に御意見はありませんですか。――ではこれを以て討論を終局することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(伊藤修君) では討論はこれを以て終結いたします。直ちに採決に入ります。議案全部を問題に供します。議案全部に賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#183
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、予め……。
#184
○大野幸一君 その口頭報告については、代案という説もありましたし、私や又來馬委員のような説もありましたことを特に委員長が附加されるならば附加して貰いたい。
#185
○委員長(伊藤修君) 御承知の通り本会議におけるところ報告等が輻輳しておりますから、そこまで述べられるかどうか……。
#186
○大野幸一君 すべて述べられなければそれでよろしい。代案という説……。
#187
○委員長(伊藤修君) 代案を報告する場合におきましては両説共報告いたします。省略する場合におきましては、代案も速記録に讓ることをお許し願いたいと思います。
 御賛成の方の御署名を願います。
 多数意見者署名
    齋  武雄  大野 幸一
    宮城タマヨ  松村眞一郎
   大野木秀次郎  來馬 琢道
    鈴木 安孝  岡部  常
    松井 道夫  遠山 丙市
    鬼丸 義齊  星野 芳樹
  ―――――――――――――
#188
○委員長(伊藤修君) それでは次に人権擁護委員法案を議題に供します。前回に引続きまして質疑に入ります。
#189
○鬼丸義齊君 人権擁護に関しまして、いろいろな新らしい法律並びに制度ができて、新憲法の趣旨に頗ぶる適すると思いまするが、何よりも私は焦眉の急として法律の改正をせねばならないことは、刑事補償法のことについては、補償自体に対しましては、憲法の命ずるところでありまして、もはや議論はありませんが、ところがすでに憲法施行後において有らゆる社会の経済状態は殆んど一変しております状態にあります。現在の補償法によりますると、多分不当拘束に対する一日の賠償金は五円と記憶しております。これが今日の國情に副わないばかりでなく、これが一体果して人権擁護に適つておるかどうか、これは前々回の議会等におきまして、政府に対して速かに改正すべきことを私共は強く要望しておりますにも拘らず、今尚政府の方ではこれに対する改正法案が今國会にも出ておらないのであります。一体それはどういうことになつておるのであるかをこの際飼いたいと思います。
#190
○説明員(關之君) 実は刑事補償法は主として檢務局関係の所管になつておりまして、私共人権擁護局としてもその立場から意見はあつたのでありますが、ここ半年くらい檢務局において研究しておるのであります。前國会におけるその言葉も私共は存じませんが、この旨を檢務局の方に申傳えまして、最近の機会にその理由について申上げるようにいたします。
#191
○鬼丸義齊君 所管がいずれにあろうとも、苟くも人権擁護局なんという堂々たる一つの官廳がありましたならば、私は何よりも先にこの問題について取上げて実際に即するようなふうになさらねばならんことが何よりも肝要じやないかと思います。それで所管がいずれにあるといたしましても、それは人権擁護に欠けるところがあると思うならば、人権擁護局は進んでその法案の改正につきまして、献身の努力を拂わなければならんのではなかろうかと思うのであります。そこで私はこの補償法につきましては、どのくらいの程度一体その後準備をしておるのか、どこに一体隘路があるのかということをこの際私は承りたいと思います。若し本日出席せられておりまする政府委員においてお分りにならなかつたならば、そのことの分ります政府委員の出席を求めて御答弁願いたい。今日は人権擁護局の人ですか。
#192
○委員長(伊藤修君) 法案に対する責任政府委員……。
#193
○鬼丸義齊君 それに尚この際、私は擁護局に一度伺いたいと思いまするが……。
#194
○委員長(伊藤修君) それでは先程の問題から……丁度係りの人がお見えになつたそうでありますから、今の刑事補償に対するあなたの御質問に対して……。
#195
○説明員(關之君) この法案と人権擁護局の立場につきまして、誠に御指摘のお言葉の通り、私共も人権擁護の立場から刑事補償法の改正の必要なることを痛感しておりました。そうして前の議会におきましても、その改正その他につき当局に意見を申述べたのですが、何分にも所管が檢務局でありますから、いろいろな都合で私共の意見も行えなかつたのであります。その辺はちよつと変なことでありますが、この努力をいたした点をここで申上げて置きます。
#196
○政府委員(大室亮一君) 只今鬼丸委員のお説御尤もであります。人権擁護局といたしましても、その点には非常な関心を拂つておるのであります。その草案につきまして檢務局で研究いたしておるのでありますが、それにつきまして、いろいろ私の方からもそれに意見なりを述べておりますから、その点ちよつと申上げて置きます。
#197
○説明員(野木新一君) 刑事補償法案のその後の立案状況について御説明申上げます。御承知のように刑事補償法は、憲法附属の法律とも言うべきものでありまして、旧憲法時代から一應刑事補償法がありましたけれども、これは新憲法に照らしますと非常に不十分でありますので、どうしても殆んど全面的改正を必要とすることになつたわけであります。法務廳におきましても、その案を練つておりまして、このての國会に一應の案を作りまして提出しましたけれども、何分この刑事補償法は刑事法規と民事法規との両方面に亘りまして、而も英米法にもない制度でありますし、いろいろ考え出すと非常にむずかしい問題があるのであります。それでこの前の國会のときもこの本質論的なことについて、いろいろ衆議院等においても御意見がありまして、私共もこの前の國会に出しました案は、少し旧憲法下の刑事補償法案に捉われ過ぎていたのじやないかという反省もありました点がありましたので、尚一層より法案を練ろうと思いまして、調査意見局並びに人権擁護局などとも連絡いたしまして、前の案の國会の議論なども参酌いたしまして、徹底的に研究し直しまして、練り直して案を作つたわけでありますが、何分今度の國会が会期が短かくて、法案を提出する期限も切られた関係上、而も基本的な法案でありますから、成るべく早く國会に出しまして、十分の御審議を頂いた方がよいのじやないかという関係で、今度の國会には結局提案できなくなつたわけであります。併しながら、大体各調査意見局及び人権擁護局と連絡いたしまして、前の案を練り直しまして、一應の案を再檢討したのができておりますから今度こそ來國会には冒頭に必ず提出できるものと思つております。その案といたしましては、鬼丸さんがおつしやるように経過的に無罪の裁判のために不利益を與えてはいけませんので、新憲法施行後の無罪の言渡しを受けたものに対しては、この法律を遡及さして適用させることにいたしまして、旧刑事補償法におきまして、補償を受けたものも改ためてこれで補償の請求ができるというようなことといたしまして、極力その経過的な不都合は避けるような案に今達しております。以上そんなようになつておりますから、御報告申上げます。
#198
○鬼丸義齊君 刑事補償法の早急に改正のことにつきましては、これまで法務総裁からもしばしばこの國会において返答を受けておつたのであります。只今政府委員の御説明によりますと、今後若し改正されたならば、遡及して、結局被害者に迷惑をかけないようにすることになるだろうとこういうお話でありましたが、私共の刑事補償法の狙いとしましては、現実の被害者に対する賠償ということよりも、むしろその制度自体によつて人権の擁護をしたいと思つております。現実に被害者である人について賠償するというよりも、その制度が布かれれば、それによつて人権の侵害がないことになることを私共も法の目的としなければならんと、それで金額の高によつてというふうな問題に対しましては、現実に被害者が、そうした無罪の審判を受けましたものが蒙むつた被害の賠償というよりも、私共はその法律自体の嚴として存する威力による人権の擁護を私共の狙いとしたい。その趣旨からいたしまして、何よりも先んじて私はこの法案というものは出して貰わなければならんと思います。殊に今度の國会の会期は短いとか、長いとかいうお話がありましたが、このことはすでに國家賠償法でしたか、何かありましたときにも、法務総裁はもう極めて近い機会に出されるように言つておりましたところ、恬としてその後音沙汰もない、而も人権擁護局は堂々と店開きをして置きながら、こんなことを荏苒として延ばして置くということは、甚だ私共は当を得ないと思うのであります。今更そんな愚痴を申上げても仕方がございませんから、只今の政府のお言葉のごとく、次の國会には必ず冒頭に一つ提出されまするように、責任者の御努力を願うように、擁護局の方からもその点については一つ是非督励をして頂いて実現せんことをお願いして置きます。
 そこで私は続いて擁護局の方が御列席でありまするから、この機会に伺つて置きたいと思いまするのは、人権擁護局は設置されましたのちに挙げられましたる業績の一体何物があるかを私共は分らないのであります。どういうこれまで擁護局はできてからのち大体治績を残しておるか、いわゆる実績をこの際承わりたいと思います。
#199
○委員長(伊藤修君) 資料がお手許に行つております。
#200
○鬼丸義齊君 それは擁護局の今までの活動分野を……。
#201
○説明員(關之君) 全部……
#202
○鬼丸義齊君 新憲法下におきまして、人権の擁護については最も重く用いられておるのでありまするが、從つてこれに対する新しい機構、又制度というものが確立されますことは当然のことでありますが、私の聞き及んでおりまする、極めてこれは管見でありまするけれども、範囲におきましては、擁護護はできておつても、法務廳内に擁護局というものがあつても、本当の人権擁護というものはできないのではないか。ということは同じ官廳内にあつて、その官廳内の人によつて人権を犯されておるということについての調査並びにその善後処置等につきましては、大変いわゆる同廳内におけるものの失敗を摘発するようなふうのことになります。そういうことについてすでに制度が布かれて後日浅きに拘らず、批判に乘つておるように聞いております。この点について、何らか私は本当に名実共に一般國民も安心して人権擁護の全きを期せらるべき機関であり、制度であるということを信ぜしむるに足るべき、今日の制度以上の一段の方法なきやという点をこの際伺つておきたい。
#203
○説明員(關之君) 只今の御質問でございますが、それは法務廳設置法ができまして、その下に人権擁護局が法務廳内に設けられて、私共はその法律の規定に從いまして局の仕事を命ぜられておるような次第であります。お言葉のごとき御意見がしばしば法務擁護局の存在に、そのあり方に対して行われるということも私共十分に存じております。ただ局の私共といたしまして、実際の仕事をやつて見て、確かに御言葉のごとき御批判は十分に理由があるものであるというふうに考えられる節節があるのであります。併しこれはどういうふうにするかという問題になりまするが、この点につきましては事柄が余程重大でございますからして、更に愼重考慮いたしまして、考えて参りたいとかように考えておるのでございます。
#204
○鬼丸義齊君 戰後いろいろ財政等のためにあらゆる施設が完備しないこともいたし方ないといたしましても、現に最も顯著なる人権と重大なる関係にありまする刑務所の施設、過剰拘禁或いは代用監獄、続いて被拘禁者の現状等を見ますれば、一体この姿が本当に憲法の趣旨に副う、人権を尊重する一体施設であるか、状態であるか。定めてお目に止まつておることと思いますが、先ずその点に対する擁護局のこれまで調査し、お考えになりました点をお尋ねしたい。
#205
○説明員(關之君) 刑務所の施設、或いは警察の留置場、よく私共も現状を見たり、調査したりして存じておる次第でございます。そうして例えて申すならば、檢事局の出頭につきまして、あの手錠のままで以て大道を練り歩くという事実なども私共実に心配いたしまして、そうして大藏省、然るべき当局に予算の増額を願つて、少くとも自動車で送り迎へをして貰いたいということを局の立場として話もし、交渉もしておるわけであります。でかような悲しむべき人権擁護、個人の人権の尊重という立場から見ますると、かずかずの氣に合わないことがおのずから目に止まるのであります。そこで私共その場合に直面して、いろいろ予算だけの問題であればその方面に予算の出るように努力して、そうでないものは形の上で努力するというようなことをいろいろ努力したのでありますが、最後に私共はやはり人権擁護ということの事務の遂行上突き当る問題は、國家財政の欠乏である。これは如何ともなし得ない。それでそういうような予算がなくて、金がなくて警察の施設を直した方がよかろうと言つても直せない。これは何と言いましようか、私共の口で言つても力が足りん。國家全体が貧乏で人権擁護全体に欠陷がある。施設的にやり得ない。國家の財政の改善と相俟つて漸次実現して行く。そうしてどうしても目に余ることについては漸次に改善を願つて行く。実はその問題につきましては、本当に私共悩んでおるわけでありますが、現在国家の財政的な欠乏という点に結び付きまして、苦しんでおる次第であります。苦しいけれども、ただ手を拱いておるというようなことにならざるを得ない場合もありまするが、そうかといつて今の大道のまん中を手錠のままで歩くということはできるだけないように直言をいたしたい。種々苦慮いたしておるわけであります。何とぞさような点については非常な悩みを持つておるというような点を御了承願いたいと思います。
#206
○鬼丸義齊君 擁護局が憲法の趣旨に適つてできまして後、未だ日浅いのでありすが、それにも拘わらずすでに世の批判としては、私共法務廳或いはその他の、人権と最も関係のある檢察官或いは警察官、それらの方々の人権侵犯に対しまする、むしろ擁護局は代弁者のような嫌いがありはしないか。例えば一つの人権問題が起つた場合に、擁護局がそれを調査し、そうしてそのいわゆる人軽侵犯の程度が極めて浅きものであるというふうに、いつも申訳に殆んど廻つておるばかりというような、一つの人権の侵犯に対する代弁者のようなふうに赴こうとしておるというような酷評を受けておるようなことを私は耳にいたしております。それには結局擁護局というものに対する制度としての再檢討を要するのじやなかろうか。只今のお説のごとくに、人権を擁護するという大きな使命を持つておる限りにおいては、本当にそれを名実共に擁護し得られるべき実力ある機関でなければならんのじやないかと私は思います。若し現在の制度では、到底國家の財政のためにできない、或いは何かのためにできないというようなことでありましては、一体如何なる制度がありましても何にもならない。現在の制度ではどうしても人権擁護の全きを期し得られるような処置を果し得ようとするならば、その制度自体の、機関自体に対する再檢討を加えて、より高き構成の下に、その主張が嚴として行われるところの制度にしなかつたならば、ただ憲法の手前こんな店開きをしたというだけでは、只今申上げまするごとくに、一つの申訳の代弁者というようなふうの酷評を受けることになつたら大変じやないか、こういうふうに私共は思つておりまするが、現在の擁護局の制度自体において、果してこの人権擁護の全きを期するようなことの見通じか十分にありや否や、なしとするならば如何なる方法によつたらいいのかということについての御意見がありましたら、承りたい。
#207
○説明員(關之君) その点につきましては次のように一應考えておるわけであります。人権擁護という國家の制度的な組織の先輩國としてのアメリカの実情を考えて見ますと、アメリカにおいてはやはり日本で申しますれば法務廳の中に刑事部、クリミナリ・デビジヨンの中にシビル・バテイズ・ニユツト、人権擁護課というものがあるのであります。この制度の発達はやはりそういう刑事的な場面に人権審判事件が起きる、それを救済するには刑事に堪能なる者が観察的な地位に立つて、それを批判する。そういうようなことがシビル・リバテイズ・ニユツトというものが刑事部の中に入つて今日そのままになつて來ておるという発達の沿革であろうと思うのであります。そうしてそれと同じような考え方が法務廳の設置に当りまして、法務廳の中に人権擁護局を設けたゆえんではなかろうかと私は忖度する次第であります。さて、只今は人権擁護局、擁護事務のあり方についての極めて根本的な御質問でありまして、おそらく局の私共がこれにお答えするということは当を得ないかと思うのでありまするが、実際に局の仕事を扱つて見ての考でありまするが、その点から申しますと、確かにお言葉のような点において私共は局のあり方を十分に考えさせられておる次第であります。局全体としての予算の不十分、或いは局全体の局員の不足、或いは法務廳内に局があるということの点などによりまして、いろいろ制限を受けまして、人権擁護局というような大きな名前は冠しますが、実は極めて微々たる働きしかできないというようなことは大変心許なく思つておる次第でありますが、ただ與えられた法律の下、與えられた予算の下でできるだけの努力をするというだけのことであります。尚局のあり方についての鬼丸委員の御意見でございますが、それにつきましては、確かに理論的、抽象的に考えて見ますならば、人権擁護局というものは会計檢査院のようなああいうすべての行政府、或いは司法部その他のものに超越した一つの存在となつて強力にその事務を遂行するというようなことが一つの理想的な型ではないかというような一つの案も考えられるのであります。例えば檢務局においては檢察及び警察を通じて直接人権の問題に関係しておる、その同じ下に人権擁護局があるということは確かに一見矛盾の観がありまして、人権擁護局が人権侵犯の弁解の役しかしないのじやないかというような批判もそこらあたりから出るのじやないかと実は思うのであります。かくて局の仕事を実際して見まして感ずるのであります。これらの点はどうぞ國会でそういう御発言を頂く鬼丸委員などにおきまして、非常に愼重に御考慮下さいまして、御示唆を頂くことは大変結構なことかと思うのでありまするが、私共の只今やる仕事の内容におきましては、さようなふうを感じと考とを以てやつておる次第であります。
#208
○政府委員(大室亮一君) 只今鬼丸委員のお話は私共もその点については非常にいろいろ考えておるのであります。法務廳の中に人権擁護局があるということについてもいろいろ考えて見ておるのでありまするが、先程も説明員からお話しましたように、アメリカにおきましてはやはり司法省のクリミナル・デビジヨン、刑事部の中にあるのであります。尚人権擁護局の権限の問題でありまするが、権限についても現在弱いのでありまして、この点につきましては、どういうふうに権限を持つたらいいかということにつきましてもいろいろ研究もいたしておるのであります。我が國では最初できました局でありますので、いろいろ御意見も承りまして、これからのあり方についても研究を進めて行きたいと考えておるのであります。
 それから擁護局が法務廳にある関係上、いろいろなことについて廳内のことについては言い訳がましくなるようではないかというようなお話がございましたが、そのことにつきましても、私といたしましてはできるだけの努力はいたしておる考でありまして、又警察官などのやりました行爲に対しましても、その訴えがありますると、直ちに出張いたしまして、中には警察官に対しまして告発なんかもいたしたのもあるのでありまして、鬼丸委員のお話もよく御意見を承りまして、十分研究を進めて参りたい、こう考えておるのであります。
#209
○鬼丸義齊君 資料をここに頂きましたので、拜見しておりますると、昭和二十三年度において受理件数四十件、二十四年度は百七十一件、私共在野法曹としていろいろ刑事関係に対しまして接触面が多いのでありますが、若しこの人権擁護局の機能が十分に活用され、必ずや國民の信頼を繋いでおるということに対する認識があるといたしまするならば、四十件はおろか、私は四万件或いは四十万件、局の方は恐らく席の温ままる遑ないくらいの残念ながら現在の状況ではなかろうかと思います。この件数の少いことは事実なくて少いのなら誠に仕合せでありまするけれども、むしろ私は件数の少いのは擁護局の微力を物語つておるのじやないか。スタートを切つて後日浅いのでありましようが、併しながらスタートを切つたときに、一番何よりもこの方面の專門的立場に立つて、この制度ではいけない、かくすべきものである、只今政府委員の御答弁中にもありましたごとく、本当に制度を作り、その制度を生かし得るのでなかつたならば、廳員が幾らありましてもあは成績を上げ得ないと思います。あつちへ行つてぶつかり、こつちへ行つて叱られる、そんなことでどうして人権擁護ができるか。殊に今度できまする委員会等におきましても、確かにこういうふうな形だけはできましようけれども、この結果を考えて見ますと、恐らくは龍頭蛇尾に終りはせんか、ただ委員というだけに終つておつて、仕事の内容と言い、これが果して所期以上の成績をあげることができるかどうかについては、一にかかつて人権擁護局が根本においてもう少し大きな存在にならなければいかんと思います。一千万円の予算の計上があるようでありまするが、併しながらこんなことで人権擁護局なんというふうなことの看板を上げましても、本当に私は却つて世の侮りを受けることになりはしないか、むしろ政府の私は誠意を國民が問いやしないかと思います。やはりもう少し制度として置くのであるのならば、眞劍に活用し、國民の信頼を繋ぐべきものでなければならないと私は思うのであります。今度の予算計上によりますると、一千万円の予算が今度計上されることになるだろうと思いますが、この程度においてこの委員会を結成して、果してどれだけの一体成果が上り得ると御覽になつておるかという見通しでも承られますれば、仕合せだと思います。
#210
○政府委員(大室亮一君) 只今お話になりました四十件と申しますのは、これは昨年度の数字なのであります。昨年の二月十五日に法務廳の発足と同時に人権擁護局も発足いたしたのでありますが、当時私も在野から入つたのですが、局長一人というような何でありまして、昨年はそういう関係から人権擁護局の存在ということも余り知られなかつたと思うのでありまして、僅か四十件程であつたのであります。その後発足以來いろいろとできるだけの啓蒙宣傳もいたしたのであります。で本年になりましては、そういう関係からすでに四月二十一日現在の数字でありますが、それが百七十一件になつておるのであります。昨年の一ケ年間に比べまして、今年は四ケ月間にもうすでに四倍近くにもなつておるのであります。段々相談、或いはそういう申出をして來る者が多くなつておるのであります。現在では定員は二級官と申しますのが七人になつておるのでありますが、僅か二級官が……本当の調査なんかいたします資格のあります者は四人なんであります。それで非常に多忙を極めておるような状況なのであります。それから予算の点でありますが、それは只今鬼丸委員から御指摘になりましたように、局全体の予算が僅か四百六十万円しかないのであります。で局といたしましては相当多額の予算を要求したのでありますが、僅か四百六十万円だけ認められたのであります。今一千万円と仰せになりましたが、それは百万円なんであります。で現在百五十名の人権擁護委員があるのであります、それは弁護士の方が多いのでありますが、先般擁護委員の方々に会合をして頂きましたときにも、いろいろ献身的に御努力下さるというようなお話も承わりましたし、こういう仕事でありますので、予算はそういうわけでありまするが、そういうような名誉職のようなことをお願いしてもこれはやつて見たい。こう考えておるのであります。それからこれが各市町村に少くとも一人づつ以上置くということは、御存じの通りにまだこの自由人権というような思想が隅々まで行渡つていない憾みが多分にあるのでありまして、その村々に、或いは町に一人ずつ以上人権擁護委員になつて頂くということが、自由人権思想の啓蒙宣傳ということを隅々まで徹底させる、こういう効果が多分に私はあると考えるのでありまして、昨年一ケ年の経驗からいたしまして、どうしてもこういう委員を作るということが必要だ、こう考えて、この法案を提出いたしましたような次第であるのであります。
#211
○鬼丸義齊君 擁護局の資料としてここに頂きました活動の模樣を拜見しておりますると、懸賞論文、パンフレツト、新聞、人権相談所の開設と、いろいろ御活動のようでありまするが、これまで例えば擁護局において人権の侵害に対する調査をやりまして、それについて何か責任を明らかにしたようなふうな事例が何かあるのですか。そういう具体的な事実がありますか。
#212
○説明員(關之君) 簡單に御説明いたします。警察官の暴行事件に関しまして告発したものが今日まで一件ございます。これはこの資料の三枚目の裏にありますように告発したものが一件ございます。これは檢察廳に人権侵犯の暴行事件として告発いたしたのであります。その外檢察廳及び警察にその処置が不当であるからして再調査したり、或いはその取扱いが甚だ法律上違法ではないけれども、相当でないという見地から勧告したものが数件ございます。さような次第でございまして、その外の処置といたしましては、或いは本人に対しまして、その人権擁護の方法を指示したりいたしたのがございます。特に又一件、民事事件といたしましては、人権相談をやつておりますと、明瞭なり人身賣買が分りまして、そうしてその人身賣買はこれは明らかに重大なる人権侵犯であるといたしまして、それの適当なる処置を取ろうと思つて進めている間に、本人の方からも出て参りまして、そこで買受けた本人を、女でありましたが、それを親元に帰してその事件は処理した、こういうようなわけになつております。そうして又例の栃木縣下に行われた兒童の下身賣買でありますが、これなども人権局が直ちに取上げまして調査いたしまして、その結果に基きまして関係各省に勧告いたし、又関係各省との会合も開きまして、適当な処置について協議をいたしてそれぞれ処置いたした、かようなことであります。
#213
○鬼丸義齊君 この人権擁護局の調査については何らの強制調査権はないのでございますか。
#214
○説明員(關之君) ありません。
#215
○鬼丸義齊君 私も擁護局が本当に國民の信頼を繋ごうとするならば、擁護局の赴くところ、國民の非常に大きな信頼を受けるようにならなければ、本当のやはり人権擁護の実を挙げることはでき得ないのじやないか。それで私は先の言葉を繰返すようでありますが、どうもこの僅かな予算、僅かな人員で以て、こんな局ができてみたところで、本当はその職に当つておられます方と雖も、私は恐らく忸怩たるものがあるだろうと思います。この点についての何らかの一つ專門的立場から、やはり眞に新憲法の趣旨に適うべき、いわゆる制度として活かすべき途について再檢討を私はこの際お願いいたしたいと思います。
#216
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんでしようか……。速記を止めて。
   〔速記中止〕
#217
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて……。別に御質疑もなければ質疑はこれを以と終局することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(伊藤修君) それでは質疑はこれを以て終局いたしました。討論は別にありませんか。
   〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(伊藤修君) 討論は省略いたしまして、直ちに採決することに御異議ございませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#221
○委員長(伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容については、予め御了承を願いたいと思います。本案に御賛成の方の御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
    齋  武雄  宮城タマヨ
    松村眞一郎  來馬 琢道
    鈴木 安孝  岡部  常
    鬼丸 義齊  遠山 丙市
   大野木秀次郎  星野 芳樹
    大野 幸一
#222
○委員長(伊藤修君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時五十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           鈴木 安孝君
           遠山 丙市君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  衆議院議員
           鍛冶 良作君
  政府委員
   法務政務次官  遠山 丙市君
   法務廳事務官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
   法務廳事務官
   (人権擁護局
   長)      大室 亮一君
   法務廳事務官
   (少年矯正局
   長)      齋藤 三郎君
  衆議院法制局側
   参    事
   (第二部長)  福原 忠男君
  説明員
   法務廳事務官
   (檢察局総務課
   長)      野木 新一君
   法務廳事務官
   (法務行政廳総
   務室主幹)   關   之君
ソース: 国立国会図書館
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