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1949/05/19 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第17号
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1949/05/19 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第17号

#1
第005回国会 法務委員会 第17号
昭和二十四年五月十九日(木曜日)
   午前十一時九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○司法試驗法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○弁護士法案(衆議院提出)
○犯罪者予防更生法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○犯罪者予防更生法施行法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○法務局及び地方法務局設置に伴う関
 係法律の整理等に関する法律案(内
 閣提出)
○裁判所法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○継続調査承認要求の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより法務委員会を開きます。刑事訴訟法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案は衆議院において修正されましたですから修正に関係する部分について政府委員の御説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(岡咲恕一君) 衆議院で修正せられました点について簡單に御説明を申上げます。衆議院におかれましては、この政府提案の刑法の一部を改正する法律案の審議が捗りませんで、御意向といたしましては、これは誠に重大な意義を持つておる改正であつて、一部改正において今直ちに取扱うことについて、十分の檢討を必要とするというふうな御意見もございまして、現在の見通しといたしましては、この法律案は審議未了になるのではないかと予想いたしておるのでございます。從いまして、これが審議未了と相成りますると、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の中で、この刑法の改正に伴う手続規定に関する部分は、すべて不用になりますので、この刑法の一部を改正する法律案に関連のある條文を全部削除いたしたわけでございます。即ち三百三十三條は、御覽の通り、この保護観察に付する旨の言渡しをする手続に関する規定でございます。それから三百四十九條及び三百五十條の規定は、保護観察の言渡しをいたすべき審理の手続と、その裁判に対する不服の申立に関する規定でございまして、これ亦必要がないことになるわけでございます。尤も三百四十九條中第一項を改正する部分は除くのでございまするが、この三百四十九條中第一項の分と申しますのは、執行猶予の取消をする裁判所の中に家庭裁判所を加える規定でございまして、これは提案理由でも申しましたように、現在執行猶予の取消は、その裁判をいたしまして簡易裁判所、或いは地方裁判所においていたすわけでございまするが、新たに成人に対する特殊の少年と関連のある事件につきまして、家庭裁判所において刑事事件と取扱うわけで、執行猶予の取消をいたす場合が生ずるわけでありまして、この点については、家庭裁判所を加える必要があるということになりますので、この部分だけは削除の中から省いたのでございます。
 それから四百六十八條の規定は、ただ字句の整理でございまして、原案におきましては、「第四百六十八條第二項後段を削る」と、こういうふうに規定いたしたのですが、よく檢討いたして見ますと、四百六十八條の三項に、「前項前段の場合においては、略式命令に拘束されない」と、こういうふうに規定がなつておりまして、前項は後段がないわけでございまするから、この場合に「前項前段」とありますのを、ただ「前項」と改めるわけでございます。
 附則の方の但書を削りまするのは、只今申しましたように、保護観察に付する旨の裁判に関する規定は、犯罪者予防更生法の施行の日から施行いたすわけでございまするが、この点の規定が全然不要になりましたので、但書の規定を必要といたさなくなつたので、これを削除いたすわけでございます。
 以上が衆議院で修正になりました点でございます。
#4
○委員長(伊藤修君) それでは前回の質疑に続きまして、質疑を継続いたします。
#5
○大野幸一君 この指紋、足型と書いてあるのでありますが、その意味はどういう意味ですか。というのは、指紋というのは、私達仄聞するところによると、万人必ずこれによつて違うところがあり、又その指紋によつて、ちようど人間の顏が違うごとく指紋が違うということを聞いておるので、足型の方はどうなつておるかというのです。若しそうであると指紋、足紋と言わずして、足型と言つたのであるから、足型の方は足の大きさ程度のものを計るのか、どちらでありましようか。指紋、足紋と言わずして、足型と言つた意味ですね。両者の差異についてお伺いいたしたいと思います。
#6
○政府委員(岡咲恕一君) 大野委員のお尋ねになりました点は、前回岡部委員からお確めがございまして、研究いたしたのでございまするが、この足型は指紋と異なりまして、指紋程被疑者の同一を認識いたすのに次くべからざるものであるかどうかという点は、多少疑問のようでございます。現在我が國におきましてはもとより、アメリカにおきましても、指紋程組織的な系統的な研究或いは取扱をいたしておらないようでございまして、足型は英語のいわゆるフツト・プリントを飜訳いたしたわけでございまして、今大野委員の仰せのような言葉を使つても差支ないわけであるとは思いますが、むしろ足の形と、殊に犯罪捜査におきまして、例えば雪の中を裸足で犯人が歩つたと、ところが偶然捕まえた犯人の足型と雪の上に残されておる足の形とが甚だ似ておるように考えられるという場合に、その足型を取つて見るというふうな場合に実際は行われるのでございまして、指紋のように、各被疑者或いは犯罪者につきまして一様に足型を保存して人の同一を認識するということに役立たせるものではないようでございます。アメリカでも実際は余り使われないようでございまして、私も曾てよく文献を見たことがございますが、秋の指紋と申しますか、足の指の指紋によりまして、果して手の指紋におけるがごとく人の同一を認識する上に有力なものであるかどうかは疑問とされておるように私は了解いたしております。
#7
○大野幸一君 この足型は、紙片に取るのですか、それとも粘土のようなものに取るのですか、どちらなんですか。
#8
○政府委員(岡咲恕一君) やはり紙片に取るのではないかと思いまするが、我が國におきましては、現在殆んど実施しておりませんし、或いは必要があれば粘土のような物に取ることもあり得るかと思いますが、現在想像いたしておるところでは、やはり指紋のように紙の上にそれを再現するというのではないかと思います。
#9
○松井道夫君 被疑者の状態から刑の執行を受ける受刑の階級かで、必ず指紋を取るというような規則ができておるのでありますか。或いは規則のあるなしに拘らず、実際上どこで指紋を取つておるのか。その点を一つ伺いたい。
#10
○政府委員(岡咲恕一君) 警察関係のことは今つまびらかに存じておりませんが、多分正面から指紋の採取を許すような規定はないのではないかと思います。大体本人の承諾を得て便宜指紋を取つておるのではないかと思います。收容者の方におきましては、監獄法の規定いたすところによりまして、確定の受刑者として刑務所を收容いたします際には一樣に取つておるそうでございます。
#11
○松井道夫君 現在その指紋を保管しておる保管の責任のある所はどこなんでありますか。又犯罪関係以外で指紋を取るということがあるかどうか。それを伺いたい。
#12
○政府委員(岡咲恕一君) この受刑者の指紋につきましては、法務廳の矯正総務局で保管いたしております。一般犯罪者の指紋につきましては、確か警視廳と大阪、名古屋でございましたかの警察に保管いたしておるように承つております。尚この犯罪者以外の指紋を取つておりますかどうですか。或いは行政官廳あたりで何か必要によつてそういうものを取つておるところがあるかも分りませんが、現在承知いたしておりません。
#13
○委員長(伊藤修君) 外に御質問がなければ、これで質疑を終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(伊藤修君) では質疑を終局いたします。討論を省略いたしまして、直ちに採決に移ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。では衆議院修正にかかわる本案全部を問題に供します。本案全部に御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#16
○委員長(伊藤修君) 全会一致可決したものと決定いたします。尚本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては予め御了承を願いたいと思います。本案に御賛成の方の御署名を願います。
   多数意見者署名
    齋  武雄   大野 幸一
    松村眞一郎   深川タマヱ
    來馬 琢道   岡部  常
    松井 道夫   遠山 丙市
  ―――――――――――――
#17
○委員長(伊藤修君) 次に司法試驗法を議題に供します。前回に引続きまして質疑を継続いたします。では前回の鬼丸委員の質問に達するところの政府の御答弁をお願いいたします。
#18
○政府委員(岡咲恕一君) 鬼丸委員から從來行われました高等試驗司法科試驗において、不正の受驗行爲があつたかどうか。それからそれがどういうふうな処分を受けたか。その点について説明をお求めになりましたのにつきましてお答えを申上げます。実は司法省の廳舎が戰災が蒙りましたために、昭和十七年以前のこの高等試驗司法科試驗の関係書類が焼失いたしましたので、十七年以前の調査につきましては、これを行うことができませんで、お答えできないのを非常に遺憾といたします。昭和十八年から昭和二十三年までの試驗についてお答え申上げたいと思います。尤も昭和十九年と二十年とには試驗を行いませんので、甚だケースが乏しいわけでございますが、昭和十八年から二十三年までの間の不正行爲について檢討いたしまするのに、大体二年間の一人の割合、言い換えれば三件ぐらいの不正事件があつたのでございます。どういう不正があつたかと申しますと、試驗に使います六法全書に参考條文を記入して受驗をいたしましたり、或いは極く小さい紙片に参考事項を記入したものをひそかに利用して答案を書いておつたという例でございます。その不正行爲に対しましては、処罰といたしまして、三年以内における受驗を停止することにいたしたのでございます。僅か三件でございまして、不正行爲としては、数千人の受驗者に対比いたしますと誠に僅少と言つて差支ないと考えます。
#19
○大野幸一君 鬼丸委員からもそういう質問がありましたが、私が曾つて質問しておつたことを今記憶しておりますが、私の質問は試驗委員若しくはその当時、内閣でやつていた当時の内閣管理において不正行爲をしたかどうかということの実例があるかどうかということであります。というのはやはりこの試驗をどこでやつたらいいか、最高裁判所でやるべきか、法務廳でやるべきかということに関連して、やはり最高裁判所でやるのが公平にできるというのが最高裁判所の意向らしいから、そういう心配があるのかないのかと思いまして、法務廳側に今までやつた実例が、そういうことがあるか。こういうことをお尋ねしたのでございます。特に御調査にならなくとも多年司法部にお出でになる人ですからここで一つお答え願いたいと思います。
#20
○政府委員(岡咲恕一君) 大野委員のお尋ねの試驗
関係者と申しますか、試驗委員やその他の試驗の事務を管掌いたしております職員の不正につきましては、私は大正十五年から在職いたしているのでございますが、曾て一度も聞いたことはございません。
#21
○松井道夫君 最高裁判所の方にお聞きしたいと思うのですが、最高裁判所の御意見としては司法試驗を最高裁判所の所管にいたしたいという御意見のようでありますが、最高裁判所は非常に今忙がしいので、この試驗を更に管理するということになると、ますます事務が殖えて、今の最高裁判所の裁判官がこの事務に精力を取られまして、本來の裁判の方に費やす精力が不足になる、それでそういうことは適当ではないのではないかという意見も各方面にあることを仄聞するのでありますが、その点について最高裁判所の意見を伺いたいと思います。
#22
○説明員(内藤頼博君) 最高裁判所に現在事件が非常に輻輳しております状態からいたしまして誠に御尤もな質問と存じます。併しながらこの司法試驗を最高裁判所が管理いたすことになります場合におきましても、そのために裁判官が、或いは裁判の面を担当しております裁判所調査官なんかがその仕事によつて何らの負担も受けることはないのであります。現在最高裁判所が裁判の他に司法行政を担当いたしております。そのために裁判官の負担が尚一層大変だろうという御推測を頂きますことは誠に御尤もと存じます。併し実際の事務を申上げますと、行政の方は裁判官会議というものを開きまして裁判官が処置されるわけでありますが、その裁判官会議を開いて行政事務を処置いたしますのは、毎週日の決めておりまして、一日か或いは半日を当てておるわけであります。その他の日はすべて裁判に当つておるわけであります。先般新たに裁判官に任命されました穗積裁判官なども言われるのでありますが、裁判官の仕事は非常に忙しいということを、なつて見て実は驚いたということを申されたのでありますが、或る人の問に答えられた。併しそれは全く裁判が忙しいのであつて、行政の方の負担はちつとも感じていないということを漏らされたのであります。そういつた状態から実は司法行政の負担が裁判官に來るだろうということをよく言われますけれども、現実の裁判官の仕事の上では司法行政の負担は殆んど物の数になつておりません。この司法試驗を仮に管理いたすといたしましても、裁判官の仕事の上に加わる負担は御心配を頂くことはないと存じております。
#23
○松井道夫君 この法律廳の原案によりますると、司法試驗管理委員会というものを設置する。その委員は三人で法務総裁、官房長と最高裁判所事務総長とそれから弁護士の一人ということになつておるのでありまするが、最高裁判所がこの試驗を管理するということを考えた場合に、この司法試驗管理委員会の事務の外に、今の裁判官会議の事務として附加されるというような事務量は相当沢山あると考えられるのでしようかどうでしようか、その点一つお伺いいたします。
#24
○説明員(内藤頼博君) それを遂行いたします丁を具体的に考えて見ますと、その管理委員会で実際上の仕事をして参りますし、それに関するいろいろの附随的の事務は最高裁判所の事務総局がこれに当りますので、裁判官が直接当る事務というものは殆んどないというふうに考えております。
#25
○大野幸一君 これは或いは前に御答弁されたかも分りませんが、もう一度繰返したいと思います。双方から最高裁判所側からも御答弁願いたいと思います。附則の四に「高等試驗司法科試驗に合格した者は、この法律による司法試驗に合格した者とみなす」こう書いてあります。これは非常に結構なことであります。それなれば高等試驗の行政科、外交科において合格したる者は他の試驗科目をいわゆる將來の司法試驗の科目にして、前に受けざるものについてこれを受驗したならばいいという意味の附則がないのですが、これは片手落だと思うのです。前のときの司法試驗だけに限る必要はなくて、行政科、外交科に合格した者も他の科目について新らしい試驗を受ければいいのだとしなければ片手落だと思う。若し古い法律時代であるからということならば、高等試驗の司法科だつて古いのであります。相当最高裁判所辺りの判事でも昔試驗を受けられた人が多い。一度試驗を受けたならばまあ何というか、頭というものは試驗されておるのでありますから、どうして附則についてその救済方法を講じられなかつたか、こういうこと。
 それからこの附則では明らかでありませんが、大正十二年前に帝國大学法律科なんかを卒業した人はどうなんでしようか。この点について若しその人達が資格があるならば、当然古い当時の試驗を受けたからといつて私が先程申しました救済をしないというわけはない。やはり双方から一つ御意見を承りたいと思います。
#26
○政府委員(岡咲恕一君) 第一のお尋ねでございますが、高等試驗の他の試驗に合格した者に対して受驗上特権と申しますか、試驗科目を免除するというふうな規定を置かないかというお尋ねでございまするが、これは今大野委員も仰せのように考え方によりましては免除してもよろしいのでございまするけれども、行政科試驗は最近は行われておりません。曾て行政科試驗に合格しました者は、多く旧憲法下における憲法その外重要法律につきまして試驗を経た者でありますので、その行政科試驗に合格したその科目について特にこの試驗を免除するということは適当でない、やはり折角他の科目について新らしく試驗をするのであれば、新らしい憲法下において施行されております新法律についてやはり一應檢討を加えて貰うということが必要と考えまして、行政科或いは外交科試驗に合格した人につきまして、その合格しました科目について司法試驗の科目を免除するということをいたさなかつた次第でございます。
 然らば司法科試驗に合格した者について、当然この法律による司法試驗に合格した者とみなすという規定は行過ぎではないかということに相成ると存ずるのでございまするが、これは現在の裁判官或いは檢察官、弁護士、この資格全体を檢討いたします際に、やはり曾て一つの資格として認められまして、すでに既得権を生じました者について、それを全部奪つて又試驗をやり替えるということになりますと、外との均衡も失するのではないか。殊に昨年司法試驗に現に合格して、家庭の事情とか或いは一身上の、その外の事情によつて司法修習生にならなかつた者、或いは弁護士試補にならなかつた人に対して、今年又もう一度試驗を受けなければ司法修習生になれないのだというのは余りに酷に失しまして、多少人情に反するのではないかと考えましたので、附則の第四項のような規定を置いた次第でございます。これは理論から申しますと、只今お示しのように必ずしも一慣したとは申されないのでございますが、取扱い上そういたすのが適当であるし、受驗生に対して同情のある取計いだろうと考えて、かような附則を設けた次第でございます。
 尚大正十年でございまするか、以前に帝國大学の法学部法律学科を卒業した者に対して弁護士たるの特権を認めておりまするが、それは今も尚効力を持つかという点でございまするが、やはりこれは司法科試驗を免除されておりまする関係上、現在においても効力を持つていると、かように解釈して差支ないものと考えております。
#27
○大野幸一君 それじや全く片手落も亦甚しいので、これはおかしな話です。新憲法当時の法律であるから、新らしい憲法に副うところの法律をという考えについては一應うなずかれます。それなればそういう人に対しては憲法だけを必須科目とすれば、まあその弊害が除かれる、こういうことであります。そこで高等試驗の行政科、外交科は昔の法律で、受驗合格者は今自分は他の科目さえ受ければいつでも司法科の資格を得られるのだという期待を持つていたのでありますから、その期待をここにおいて喪失してしもうことになる。これは今度は高等試驗はなくなつて司法試驗となつて、判檢事、弁護士のみの試驗をやるときに自分達のことだけ考えてその人達のことを考えない。初めから高等試驗の外交科の試驗並びに行政科試驗を忘れてしまつて、司法科試驗だけをやるということはよくないのであります。そこで私はやはりむしろそれは免除科目にする方がいいとこう考えますし、先程の帝國大学法律科を出た人をまだ司法試驗を免除される、こういうことになつてはこれは理論がますます矛盾して來る、こう思うのです。この点どうお考えになるか。その帝國大学の方も生きていると本当に考えられるのか。それならそのことを書き現さなければ、もう高等試驗司法科というものはなくなつてしまつたので、合格した者はないのです。ここに合格した者、若しくは免除されておる者とならなければそう解釈できないのですが、どうも得手勝手な解釈に考えられますがどうでしよう。
#28
○政府委員(岡咲恕一君) ちよつと第二番目のお尋ねの帝國大学の法学科を卒業した者についての関係につきましては、もう一度檢討いたしましてお答えいたしたいと存じます。
#29
○委員長(伊藤修君) 最高裁判所から司法試驗法案における四つの矛盾に対する書面及び司法試驗法案に対する修正意見という両書面が、お手許に出ておると思いますから最高裁判所はこれについて御説明要りましたら簡單に一つ……。
#30
○説明員(内藤頼博君) お手許に配付いたしました書面につきまして極く簡單に御説明申上げます。司法試驗法案は法務廳の方で起案されました法案でございますが、それを拜見いたしますとどうも法制上矛盾を私共は感ずるわけであります。ここに四つの点を拾い上げて極く簡單に書いたおいたわけでございますが、一つは法律專門家という新らしい観念、それが現在の法制上非常に無理があるというふうに考えるのであります。それから次の点は司法試驗という試驗の性格でありますが、これが新らしい裁判所の制度、司法修習生の制度、弁護士制度或いは公務員制度というものに考え合せて見ますと、ただ徒らに從來の高等試驗の思想に捉われているに過ぎないというふうに感じられるのであります。もう一枚差上げました意見という方にございますように、私共の考えといたしましては、現在の法制の下におきましては、この試驗は要するに司法修習生というものを選考えることに繋がる試驗でありまして、司法試驗という名前自体もそれが無意識の中に現われていると思うのでありますが、要するに司法修習生というものと結び付くところの試驗と考えるのであります。そこで司法修習生の性格その修習の方法その他を考えて見ますと、これは現在最高裁判所において命じております。又最高裁判所に置かれておる司法研修所で研修するわけであります。これを若し從來のように裁判官や檢察官になるだけの人達の修習ならば一つの官吏の卵というふうに考え、又その試驗も一つの官吏の資格を定める試驗と考えているのでありますけれども、現在は御承知のように將來弁護士になる人も司法修習生として修習を受けているわけでありまして、從つてその身分は要するに朝野を一体にした法曹を作るところの制度となつているわけであります。そういたしますとこの意見の中に書いてありますように、この試驗も全く行政廳の仕事とは切離されて考えなければならないと思うのであります。先般大野委員からもお尋ねがありましたように、或いはこれは將來日本弁護士連合会というものができ基礎が確立されて参りますれば、そちらで行うべきものであるというお考え、誠に私共も御尤もと存じております。結局それまで一体どこが所管するかということになりますと、現在の法制の上ではやはり最高裁判所が所管することが最も自然であり無理のないところであるというふうに考えるのであります。実はこの問題は何か裁判所側から申しますれば、一つの権限を法務廳から取りたいというふうな印象をお與えするのではないかと思いまして、非常に私共から申上げることは憚かられるような感じがいたすのでありますが、先に日本弁護士連合会におきましても、最高裁判所が所管すべきであるという決議をされましたようなわけでございまして、現在の法制から考えまして最も自然的な方法は、やはり最高裁判所が所管することになるだろうというふうに私共は考えている次第でございます。以上簡單でございますが御説明申上げました。
#31
○松村眞一郎君 お聞きしますと、最高裁判所の御意見は、現行法で司法修習生というものが司法研修所、それが最高裁判所の方で取扱うことになつておるから、それが前提になつてこの司法試驗なるものは、研修所に入る入学試驗のごときものであるという思想から來ていることになりますか。その意味は若し司法研修所というものが法務廳に属したものなれば法務廳でやつてよいという、こういう議論になるわけですか。
#32
○説明員(内藤頼博君) まず司法研修所が最高裁判所にあるということでございますが、その入所試驗と考えますかどうか、これは又別途の問題であると考えます。要するに研修所に入る一つの資格を與えるというふうに考えてもよい問題であると考えております。それから若し研修所が法務廳になつたらどうかというお問いでございますが、これは先程申上げましたように、裁判官、檢察官、弁護士を一体といたしました法曹の養成という点から考えまして、最高裁判所に置かれることになつておるわけでございまして、試驗の性格を考えてみましても、やはりその司法修習生というものの性質から考えなければならないわけでございます。私共の考えでは司法研修所が最高裁判所に置かれることが最も自然で妥当であると同樣に、やはり司法修習生を選ぶ出発の試驗もやはり最高裁判所で行うことが司法修習生というものの性格から自然であり妥当と考えるわけでございます。
#33
○松村眞一郎君 そうでありますと、現在が最高裁判所であるからという御議論であると考えますが、そうですか。それは先程の御答弁の中にもありますが、弁護士会で若し將來そういう修習のことをやるようになれば、或いは弁護士会が試驗をするということもいいというような御議論をされたようであります。それが現行法が最高裁判所の方で修習の仕事を行うことにしておるからというのであつて、現行法によるところの業務であつて、別に最高裁判所でなければならんということの法律上といいますか、憲法上といいますか、そういう御議論でないように思いますが如何ですか。
#34
○説明員(内藤頼博君) 私共の考えといたしましては、只今申上げましたように、司法修習生の性格という点と、それからやはり現在の法制の下においてという考えから、最高裁判所が所管するのが自然妥当であると申上げたのでありまして、それは憲法上とか或いは物事の本質から現在の法制を離れての意見ではございません。
#35
○松村眞一郎君 よく分りました。現在の法制上から考えて、司法試驗というもの、司法試驗と申しますが、試驗の名称は別として、この試驗は裁判所でやつた方がよかろうということになるのでありますから、立法論としては、根本論は今日は止めて、現在の制度の下であつたならばそれが自然である、こういう程度の御議論と考えてよろしうございますか。
#36
○説明員(内藤頼博君) 要するに司法修習生或いは司法研修所といつたような裁判所法を中心とする一連の現在の法制の下においてそういうふうにお考えになつて結構だと思います。
#37
○松井道夫君 私は、私見でございますが、憲法の三権分立の思想を徹底いたしますれば、苟くも行政廳が司法の根本に亘るような事項に関與すべきではない、私はさように考えておるのであります。故にこれは日本弁護士会の意見にもあつたと思うのでありますが、根本理論からこれは法務廳に置くか裁判所に置くかということになれば、これは裁判所に置くべきが至当ではないかと考えておるのであります。これは將來弁護士会に置くべきかどうかというと、又全然別のことでありまして、弁護士会は勿論行政官廳でございませんから、これは弁護士会に置くのも今の法曹一元の徹底した制度を予想いたしますと、これも頗る至当であろうと思うのであります。併しながらいずれにいたしましても、それは三権分立の根本に遡つて考えなければならん問題じやないかと存ずるのでありますが、その点についての最高裁判所側の御意見を伺いたいと思います。
#38
○説明員(内藤頼博君) 誠に御尤もな御意見と存じます。新らしい憲法の下におきまして、從來の憲法と違いまして、立法、司法、行政という三権をはつきり分立をさせました建前からいたしまして、法曹と申しますか、司法に関する人達の問題を当然司法の面において扱うということは、私共全く御同樣に考える次第でございます。ただ先程現在の法制の下においてと申上げましたのは、具体的な試驗なり或いは研修なりを然らば司法の面においてどこで行うかということになりますと、これは法制の立て方によりまして最高裁判所に置くとも考えられますし、或いはやはり司法の面において公法的な存在となりまする日本弁護士連合会というようなものを考えてもいいわけでございまして、要するに司法に関する機関において扱うべきであるという根本においては、全く御意見の通りであると存じております。
#39
○松村眞一郎君 そうしますと、司法試驗というものは、本質上司法権でないことは明瞭です。それから司法行政でないことも明瞭であります。そうすると普通の行政でないかと思います。それであればただ便宜裁判所が今やつておるというだけの話であつて、別にそういう憲法上の根拠から議論する程のものでないと私は思うのですが、本質はどうお考えになりますか。これは司法行政でないことは当然です。司法権でないことも当然です。だから一般行政であるということにお考えになりませんですか。
#40
○説明員(内藤頼博君) その点はむずかしい問題だとは存じますが、アメリカなどの例を見ますと、弁護士の資格の附與ということはやはり裁判所が扱つておるようであります。これを司法行政と名付けるか、或いは一般行政と名付けるか、それは又司法行政なる言葉の観念のしようこだと思いますが、廣い意味におきましては司法行政というふうに考えても差支はないではないかというふうに考えております。
#41
○松村眞一郎君 今司法行政の定義について論議する必要はないと思いますけれども、併しこれはもう常識で考えなければならんと思います。司法権行使の上に必要な行政ということでありましよう、司法行政というのは……。そうしますと、修習生を養成するということは司法権の行使にちつとも必要じやない、それよりもつと全般的のものでありますから、司法行政にあらざることは從來の解釈上当然であると思います。
 それから今いろいろアメリカのことをおつしやいましたけれども、日本の現状にやはり即して考えなければいかんと私は思うのです。その点について最高裁判所の方はどういうふうにお考えになつておるかという意味でお尋ねするのですが、アメリカのような制度であれば弁護士から裁判官になり、大学の先生になるというようなことになつておるような状態でありますけれども、日本の現状はどうであるかといえば、裁判官が弁護士になられるということが相当ある。そういう状態から見ますというと、今度の新らしい憲法の下で漸く弁護士が大分裁判官におなりになることが起つて來ましたけれども、現在はまだそこまで行つていない、裁判官になる人はむしろ終身裁判官で一貫しようということで初めから裁判官で弁護士など考えていない、弁護士も徹底すればそうなるのではないかと思います。殊に檢察官の方は、今日のような檢察廳というものが独立になりますと、檢察の仕事で終始一貫しようという人も私は出て來ると思います。それはすでに今度の内閣……内閣よりも新らしい憲法でできました法務廳の組織において、法務総裁はアトーホー・ゼネラルに当るというので、内閣の最高法律專門家だということに立脚して今行政組織ができている。その意味は裁判所と対等な立派な法務総裁というものを要望しておるのが建前であります。併しながら事実そうまだ行かない。実際はそうであるけれども、法務総裁の人選は私共の言うように行つていないことは現状の事実であります。理想と現実とはなかなか距離がありますけれども、それに行く理想は別として、現実に即したことは考えなければならんと私は思う。その意味から言えば、是非最高裁判所になければならんという議論が私には承服ができない。その点はどうしてもなければならんという御議論でないので、先程の御議論から承つても、現行法の六十六條があるから、そんなようなことで最高裁判所の方でやつた方が適当である、こういうような意味と私は解釈しているんですが、如何ですか。
#42
○説明員(内藤頼博君) 裁判官と弁護士との関係が、從來お話のように全く何と申しますか、それぞれに分れてその職務を分担しておりましたことは誠にお話の通りでございます。併しながらやはり新憲法の下におきまして新らしい司法制度を立てて行くことを考えますと、これは理想としてはやはり弁護士の経驗のある方が裁判官になるということは、今度の司法制度の運営の上におきましてどうしても考えて行かなければならない、又そうなくてはならないところであろうと私共は考えておるわけであります。これはお話のように新憲法によりまして若干そういう例が現われて参りましたけれども、到底まだそういう行き方を確立して行く、全面的なものにして行くというようなことには非常な距離があることを私共も承知いたしておるわけでありますけれども、理想としてはそうなくてはならない。從つていろいろな法制の面におきましても、徐々ながら成るべくその理想に近ずき行くということを心がけて行くべきだろうと私共は考えておる次第でございます。
#43
○松村眞一郎君 私は憲法を眺めて、將來の裁判官は弁護士から出なければならんということは、ちつとも私は出て來ないと思います。むしろそれは変則かも知れない、從來のような工合に裁判官になる者は最初から裁判官で行くのがいいかも知れない。これを更に徹底してもう少しくだけた裁判官が欲しい、そういう專門家で固苦しいものでなく、國民審判、そういうようなものを今要望しておるときでありますから、そういうような裁判官を要請されておる、國民が欲しておるものでなければ、弁護士でなければならん、弁護士から出発しなければならんというようなことは憲法の中にどこにもない。むしろそれこそアメリカやイギリスなんかの制度を見てただ模倣的に考えておる思想であつて、それは或る意味においては本当に徹底した私は法曹一元論じやないかと思います。弁護士から出なければならんということは憲法のどこから出て來ますか、それを伺いたい。
#44
○説明員(内藤頼博君) 只今お話にございましたような、くだけたと申しますか、世間に本当に通じた、酢いも甘いも知つたと申しますか、そういつた裁判官でなければならない、社会の実態に即した裁判というものがされなければならない、然らばそういう裁判官を一体どこに求めるかということになると思うのであります。憲法が弁護士から裁判官を採らなければならんということをここに規定しておるかという御意見でありますが、憲法が期待しております司法というものは、やはり從來の旧憲法の下におけるような裁判所であることはもとより申すまでもないことと存じております。そういつた國民の社会生活に即したものの考え方をする、そういつた裁判所でなければならんと思うのでありまして、そういつた法律家を一体どこから求めるかということになりますと、やはり弁護士の経驗ということが今後高く買われて行かなければならんのじやないかというふうに考えるのであります。
#45
○松村眞一郎君 それは憲法論でないということに伺つていいかと思うのであります。今日の実際から見ましても、最高裁判所の裁判官になつておられる方は、弁護士の経歴がなくても、外交官からも出ておりますし、行政裁判所の評定官からも出ております。將來は行政官から出るということも起つて來ると思うのであります。殊に行政訴訟が非常に多くなれば、民事、刑事だけでなく、一般のいろいろな方面の知識がなければならんということになると、税務の方面について相当の知識がある者を採らなければならんということも、私は起つて來るだろうと思う。そんなことからいえば、從來の司法試驗制度についてもいろいろ試驗科目も考えなければならん。今こういうようないわゆる法律家でなければならんというようなものばかりを掲げてありますが、税法についての知識は一向要らないように書いてあるようなこの試驗科目それ自身が、今度の新憲法から見れば檢討すべきものじやないかと私は思う。例えば労働法規というようなものがここにありますけれども、これは極く選択科目の中でも一番最後に属しているようなことになつている。いろいろな関係から見まして、まだこの裁判所の將來のあり方というものに対して、この試驗が即した科目になつておるかどうかということも私は疑う。先達てもどなたかの御質問の中にありましたが、経済学ということもない。経済九原則というような、経済といつちやおかしいですけれども、九原則というようなことは経済に非常に問題が多い。今いろいろな統制物資に対しての違反事件が非常に多い。経済事犯というものが非常に裁判所の事件の中に大きな部分を占めておるのじやないかと思う。ところがこれに経済についてはちつとも書いてないというようなことでありますから、やはり実際に即したあり方を考えれば、必ずしも裁判所で人を養成するのがいいことかどうかということも、私は疑わしいと思います。ただ今いろいろの御意見を承りましたが、私は少し所見を異にしておるということを申上げて置きます。
#46
○松井道夫君 問題は別でございますが、法務廳の提案者から伺いたいのでありますが、これは以前の委員会にも問題になり、現在の委員会でも触れられたわけでありまするが、この第六條の選択科目のうち社会法とか、或いは経済法とか、そういつたものを除かれてある。又これは直接関係が現在の裁判所にはないかも知れませんが、國際公法というものもないのです。この辺は如何に考えておられるか。成る程一般教養科目につきまして、大学程度のものを第一次試驗でするのでございますが、これが社会法、経済法ということになりますると、これは法律の分野でありまして、裁判の実際問題にも勿論入つて参る。或いは税法を入れるのも結構でありますが、その辺如何に考えておられるか。
 それから外國語でありますが、これは從來予備試驗に外國語というものがありまして、これが実は当時の受驗者には非常に悩みの種であつたのです。終戰以前というものは、これは外國語自体を排斥するような事態になつてしまいました。又外國との交通なんかも非常に制限されましたので、外國語ということになりますと、皆非常に躊躇いたしまして、折角有能な人達が事実上受驗することができなかつたようなわけだつたのであります。それで外國語を廃すべしという意見を当時持つておつた。併しながら現在においては、情勢は又全然変つて参りまして、外國語においても亦新しい考慮を拂わなければならんと思うのでありますが、外國語というものが入るものかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#47
○政府委員(岡咲恕一君) 松井委員のお尋ねの社会法或いは経済法という概念が、どれだけの拡がりを持つておりまするか、お言葉自体で十分了解がつかないのでございまするが、一般教養科目の中で考えられる社会法学的な、或しは社会学的な、或いは経済学的な基礎知識というふうなものは、この第一次試驗の方で或る程度檢定を受けるであろうと、かように考えております。
 それから外國語の問題でございますが、実はこの第一次試驗が如何ように行われまするか、これは司法試驗管理委員会において愼重に御檢討を願い、そこで御決定願うのが適当と考えまして、起案者といたしましては、実は細目までは十分の研究をいたしておるわけではございません。一應斟酌されますのは、人事院で行われました先般の公務員の採用試驗というふうなものがテスト形式になるであろうとは考えております。果して外國語をその場合に当然科目の中からお選びになつて何らかの方法で試驗なさるかどうか。これは專ら試驗管理委員会において御決定になるであろうと考えます。
 それから松村委員のお尋ねとも関連のある問題でございますが、第二次試驗の試驗科目として選ばれておりまするものは、概ね法律学でございまして、ここに掲げてありますのは、必ずしも成文法としてのいわゆる民法、刑法、刑事訴訟法というふうな意味ではございませんで、例えば御事訴訟法という科目について試驗いたしますことは、法典としての御事訴訟法を檢討いたすことは勿論でありますが、これに関連のある最高裁判所の規則というふうなものも、もとより試驗されることと考えております。行政法というようなものも、法文の行政法ばかりでなしに、それに関連のある社会的ないろいろな問題、或いは税法は勿論これは入るであろうかと考えております。私共が学校で教育を受けました当時の法律学と現在の法律学との間には、相当の開きがあるであろうと考えておるのでございまするが、成るべくこの法典のただ字句通りの解釈だけでありませんで、その法典の持つ社会的な意味、或いは経済生活、國家生活各方面との関連において社会秩序というものを見付けて、それを正確に理解するということが私は本当の法律学であろうかと考えまするので、そのためには、例えば商法というものを例に取上げて見ましても、経済生活、殊に最近における変動の甚だしい経済現象というものに対する十分な理解がなければ、企業体としての株式会社法というものも十分理解されないわけでございまするから、形は如何にも法律の試驗のように見えておりましても、その試驗の中には十分経済的な、或いは社会的な、或いは歴史的な社会に対する理解というものが十分でありませんと正しい回答を與えることは困難である、かように考える次第であります。從いまして、試驗科目の選び方といたしましては、如何にも法律偏重のように見えますけれども、試驗のやり方というものによりまして、ただ單に條文の解釈だけでなしに、もつと深いその人の持つている学力というものが、十分テストされるであろうと考えまして、特に今お述べになりました社会法、或いは経済法というようなものを特段に採上げなかつた次第でございます。
 次に國際公法の関係でございまするが、これはもとよりこの國際公法というものも、法律として大きな体系をなすでありましようし、將來世界の行き方というものを考えます場合に、國際公法の持つ意味が非常に高いことは十分了解いたすのでございますけれども、現在の程度におきましては、必ずしも國際公法を加える必要はない、かように考えてこれを加えなかつた次第でございます。
#48
○松井道夫君 どうも試驗科目の点でありまするが、いわゆる六法といつたような昔のいわゆる法律、どうも考え方が少し古いのじやないか。この法律の規定のことを申上げるのでありますが、僅かに労働法というものが出て参りまして、これに新味を加えているに過ぎない。私共が法律を学びました頃はそれでよかつたのであります。ところがその後法律学の進歩で、今の社会法或いは経済法の分野というものが急速に開拓されたことは申すまでもないことであります。或る程基礎学科の一般教養科目、これは学校教育法のものを大体目標にしておられるようでありますが、これは基礎の、今の社会学なら社会学、経済学なら経済学というものを主として試驗されればいいのじやないかと思うのであります。要するに一般教養において將來法曹となるに適当なものであるかどうかということを試驗される。第二次試驗は更に具体的に法曹として法律事務を扱う実力ありや否やということを試驗されるのであります。今の社会法、経済法といいましても、勿論まだどの範囲のものであるかということは、定説はないかも知れませんが、併しながら現実にそういう法律が多々あるのであります。これは経済統制法は多少経済法というものと範囲は一致は勿論いたしませんが、併し経済統制法は毎日の裁判で問題になつていることは、先般松村委員の言われた通りであります。ですからその社会法、経済法というその範囲でどういう法律を出されるかということは、それはその管理委員会で適当に決められるのも結構でありますが、ここに社会法、経済法を入れておかなければ、これからの若い法律学徒が又從來私共が学校で習つたような法律ばかりに沒頭いたしまして、新らしい部面の法律が閉却されて、その法律学が遅れるのみならず、又新らしい社会の進運に即しないような法律ができ上る憂えが多分にあるのであります。私の感じといたしましては、どうしてもそういつた部面のものを加えなければなずいのじやないかと思うのでありますが、更に重ねて御意見を伺いたいと思います。
 尚今の七に書いてありますものは選択科目でありまするから、必須科目でもう十分今の法曹としての欠くべからざるものは、これはここに十分やつてある。選択科目の中にそういつた新らしいものを加えておくことは、少しも差支ないのじやないかと思います。
#49
○政府委員(岡咲恕一君) 元の高等試驗令によりますると、選択科目の中には経済法、社会法、心理学、哲学、その君非常に廣い範囲の科目を選択するような建前になつておつたのでございまするが、実際試驗の実績を見ますと、非常に廣い選択を認めましたことが、今松井委員のお示しになりましたような結果を必ずしも得ているとも考えないのでございます。それから諄いようでございまするが、例えば基本の試驗科目といたしまして、憲法、民法、刑法とございまするが、これはただ憲法は暫く措きまして、民法、刑法といたしましても、必ずしも民法典、刑法典というものに限定をいたすわけではございませんで、いわゆる実体法としての民法、実体法としての刑法というものが、試驗されるだろうと思います。そうしてお説のように、経済学、或いは社会学、或いは社会法というものの深い理解が必要であることは、私も全然同感でございまするが、民法或いは刑法というものを正しく理解いたしますためには、その前提としての知識として、社会或いは経済現象に対する十分の理当がありませんと、結局法文の形だけの解釈しかいたしませんで、本当の精神のある解釈は、私は不可能だと考えます。從いまして民法、刑法というふうな試驗を通しても、その人に十分の社会的な、経済的な、或いは政治的な理解というものを求めることは、試驗のやり方によりましては、必ずしも不可能ではない。むしろこれは試驗管理委員会の方針をそういうふうにお決めになりますならば、松井委員の御指摘になるように、長所を十分採入れた試驗も可能であろうかと考えます。殊に憲法ということになりますと、これは條文をただ論理的に解釈しただけでは、本当の意味はもとより理解することはできませんで、これは人間の生死或いは歴史、それから各本條につきましても、如何にして憲法の上に盛られるようになつたかということを考えますると、これは非常に深い理解がなければ、到底正しい憲法の解釈は私はできないだろうと思います。そういう意味におきまして、松井委員の御指摘のように、知変というものは如何にも形の上から見ますと、いわゆる六法に限定したように見えまするが、試驗のやり方によりましては、松井委員の御指摘のような点は、十分試驗において檢討し得るし、從いまして学生自体をそういう方向に導いて行くということは、十分可能であると考えます。
#50
○松井道夫君 提案者の御意見は大体それで分りましたが、ただちよつと申上げておきたいことは、以前の制度で選択科目に入つておつたのは、飽くまでも経済学であり、財政学であり、社会学であつたのであります。決して経済法であり、財政法であり、社会法であつたわけではないのであります。それで將來、私の申上げたようなことに十分の考慮を拂われんことに要望いたしまして、この辺の打切ります。
#51
○委員長(伊藤修君) この際最高裁判所の方にお願いしておきたいのですが、最高裁判所は司法行政に力を入れて、裁判の方に怠つておるような嫌いがあるという話があるのでありまして、それに関連しまして現在結審になつて判決言渡にならん事件はどのくらいあるか、一ケ月以上、二ケ月以上、六ケ月以上、一年以上というように一つ段階を区切つてお示しを願いたい。ではこの程度で休憩いたしまして午後に続行いたします。午後は一時半から開きます。
   午後零時三十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十五分開会
#52
○委員長(伊藤修君) では午前に引続き開会いたします。弁護士法を議題に供します。前回に引続き質疑を継続いたします。
#53
○松村眞一郎君 弁護士法の六條の第三号ですが、この中には「公認会計士であつて登録をまつ消され」ということがありますが、公認会計士と弁護士との関係はどうなりますか。現在の公認会計士によりますと、弁護士は公認会計士には当然にはなれはしないでしようか。そうすると余り関係がないことになりますが、こんなことを書くのは……。それはもう一つ、公証人には弁護士が当然なれるとなつているが、公以人で免職された者、それは書かないでよろしいのであるかどうかという疑いが起るのです。ここには公認会計士と関係がないのに書いてある。公認会計士のところには弁護士のことは書いてない。ところが公証人のところには弁護士のことが書いてありのだから、それこそ抜けているという感じがあるのですが、如何ですか。
#54
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の六條三号のこの公認会計士であつて、登録抹消せられた者を欠格事由にいたしました理由は、公認会計士と直接弁護士の職務とは関係はないのでございますが、大体同趣旨の業務という見方から、從前現行法においても計理士についての懲戒がなされた場合にかような同種の規定がありました関係から、計理士が公認会計士と実質上改まつたという見方から、ここへ挿入れたものでございます。それから公証人の分につきましては、公証人法はこれは恐らく現在公証人法で定めておりまする懲戒法の規定が生きていないという観点から、これを一應省略いたしましたが、將來若しこの制度が現在挙げております六條三号と同趣旨の懲戒の処分でございますならば、当無ここへ書き加えなければならない。即ち改正を施さなければならないものだと思料いたします。
#55
○松村眞一郎君 私はその公認会計士であつて今度の新らしい公認会計士で、昔の計理士でなく、公任会計士法には弁弁護のことはちつとも書いてない。そうすると公認会計士で弁護士になることは殆んどないであろうと思う。実際問題として過去のことはどうか知りません。將來そういうことがないように思う。そういうことを置くならば、むしろ附則かどこかに置いてよくはありませんか。本則の中に麗々しく……公認会計士であつた弁護士の資格のある人がどのくらいあるかということは調べなければ甚だ実行上困る。適用のないものを書くということは恐らくないのじやないかと思う。恐らく全然資格が、会計学を修めたものということになつておつて弁護士は全然認められていない。そうすると弁護士であつた公認会計士の資格を持つておるというものは殆んどないのじやないかと思う。むしろそうすると本文に書くのはどうもおかしいと思うのですが、これは何かの間違いではないかと思いますが、どうですか。
#56
○衆議院法制局参事(福原忠男君) 実際問題として、公認会計士の方と弁護士の方と同一の方が資格を持つておる場合は或いは少い事例ではないかと思うのでございますが、現行弁護士法が昭和八年に作られたときには、やはり計理士のそういう懲戒の場合、それから更に今度公認会計士法が作られた場合に、弁護士法のその部分を直しまして、現行法でやはり公認会計士として登録抹消を受けた者は弁護士となれないということ規定が、はつきり現行弁護士法の本部を載つておるものですから、今度の改正案というものは、現行弁護士法を基準に作つてものですから、特にこれを現行法にあるもの削つてしまうというだけの理由に乏しかつたものですから、踏襲したということになるのであります。尚たまたま少い例ではありましようが、若し公認会計士として懲戒され、登録を抹消されたものが、若しこの規定がありませんとすると、外の弁理士の方や或いは税務代理士の方の欠格事由と調和が取れないという考え方で置いた次第であります。
#57
○松井道夫君 前回私が質問いたしましたことについて、二点程答弁を保留しておつたところがあつたと思いますから、それをお思いいたします。
#58
○衆議院法制局参事(福原忠男君) お答え申上げます。御質問の趣旨は、満州國において弁護士としての資格を認められていた者の取扱を、この弁護士法案の第七條では如何ようにするのかという御趣旨かと考えますが、これは特に満州國に限らずに、現在すでにこの地上から消減したという國家がございまして、この消滅された国家で弁護士の資格を與えられていた者が、この第七條の適用を受けるかどうかという問題一般として考えてもいいのじやないかと、こう考えるのであります。そうして本條の解釈としては、ここに言う外國の意味乃至適用範囲の問題と解されるわけでありますが、それは最高裁判所の解釈に任せて、適宜の処置が取られると、こう考えられるのでございますが、一應立案の趣旨といたしましては、勿論そのような満州國というものは、外國として当時認められたものでございますし、当然この第七條の範囲の中に入ると、こう解したいと考えております。それから次に、第六十一條の問題であつたかと思うのでございますが、第五十八條の規定によりまして、今後は弁護士に何か不都合の事由がございましたならば、これに対して懲戒の請求を何人もなすことができると、ところがたまたま懲戒の請求を受けた方の弁護士会の方が、その弁護士について懲戒をしなかつたとか、或いは相当の期間において懲戒の手続を取らなかつた、こういうような場合に、請求権者がこれを日本弁護士連合会に異議の申立をすることができるということになつておるのでありますが、更に附加えて、若し一應この請求に應じて弁護士会が懲戒の処分をしたが、その処分が軽過ぎるというような場合にも、同様異議の申立をすることができるというのが六十一條でありますが、かような異議の申立を受けた日本弁護士連合会が、如何ような形でその処理をするかというようなことについての手続的な面について御質問があつたと考えるのでございます。一應その点は、六十一條第二項で、請求の理由があつたというときには、弁護士会において適宜の処置を取つたらよろしいであろうという趣旨の通知を、日本弁護士連合会の方から弁護士会に出す、從つてこの通知を受けた弁護士会は、とつきの懲戒の請求を受けた事由によつて、若し懲戒相当ならば、更に懲戒相当の手続を取り、或いは手続が進行していなかつたならばこれを促進する、更に若し軽かつた場合には、これを差戻しの形式で軽過ぎるという旨を通知するということになるのだと考えます。勿論この間において原弁護士会に送り戻すことが不都合だと思えば、日本弁護士連合会が第六十一條の規定によりみずから懲戒権を行うということもありまするが、これは例外的な措置と考えております。更に又異議の申立に理由がないときは棄却すると、こうなると解釈いたしております。
#59
○松井道夫君 みずから懲戒するような事態がある場合に、原弁護士会の不当に軽い処分を取消すということはできないのですか。取消した上で懲戒をするということになるのでございましようか。
#60
○衆議院法制局參事(福原忠男君) 御質問のように、或いは取消すというところまで認めるのが、日本弁護士連合会の性格上或いはよいかということも十分考えられます。併し原案といたしましては、そのような場合に一應原弁護士会に戻すことを建前として規定いたしました。
#61
○松井道夫君 第四十七條に、「弁護士及び弁護士会は、当然、日本弁護士連合会の会員となる。」ということで、会員が二本建になつておるようですが、他面第四十五條によりますと、「全國の弁護士会は、日本弁護士連合会を設立しなければならない。」とあつて、弁護士会の連合会というようにも本質が取れるのでありまするが、これを第四十七條で二本建にしたというのはどういう理由か、伺いたいと思います。
#62
○衆議院法制局參事(福原忠男君) この点は、日本弁護士連合会の構想を如何ようにするかということで、可なりいろいろと論ぜられた点の一つなのでございます。そうして今御指摘のように、或いは條文上、片方は日本弁護士連合会は全國の弁護士会が建てるんだと、而もその会員はその弁護士会だけでなくて個々の弁護士まで含むという二重性格をとつたのは、多少おかしいではないかという御質疑とお聞きしたのでありまするが、御尤もな御質問だと思うのであります。併しこれは日本弁護士連合会というものは、先般來申上げましたように、特殊の弁護士という高度の法律家の自治的機関であるという点で、初めて発足するようなものでございまするし、この場合個々の弁護士に対する全國的な指導監督と申しますか、そのような統制機関が必要であるということを考え、かたがた又全國にございます弁護士会の指導連絡機関も必要であると、そうすると二つの機関を建てるということも十分考えられるのですが、経費その他の関係、運営の面から考えても、これを一本にするということが組織の簡明化にもなるというところから、かような二重性格のようなものを特に作つたと、こういうのでございます。それで尚日本弁護士連合会の今後の会の運営、経費という会計の面からも考慮していることも附加えて置きたいのでございます。
  ―――――――――――――
#63
○委員長(伊藤修君) それでは便宜ここで司法試驗法案を議題に供します。午前中に引続き質疑をいたします。別に質疑がなければこの程度において質疑を終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(伊藤修君) では質疑は終局いたします。では討論に入ります。
#65
○松井道夫君 討論は後刻に延期されることを願います。
#66
○委員長(伊藤修君) 只今松井さんの申入れに対して如何でしよう。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
  ―――――――――――――
#67
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
 次に、犯罪者予防更生法案及び同施行法案を議題に供します。
#68
○鬼丸義齊君 予防更生法案について伺いますが、この予防更生法に対する対象となつておりますものは、刑の執行猶予中のもの、仮出獄並びに恩赦のこの三つの場合を含まれておるようであります。ところが衆議院は三十三條の第四号において、「刑法第二十五條ノ二の規定により、遵守すべき事項を定めて刑の執行を猶予されている者」という條項を修正されて、「十八歳に満たないとき懲役又は禁こにつき刑の執行猶予の言渡を受け、猶予中の者」というふうに改めてあります。尚、予防更生法案の提案理由中にもありましたごとくに、この予防更生法が活動をしようとするには、言うまでもなく刑法及び刑事訴訟法、或いは監獄法等の関係條項を改正をしなければならないことになる。ところがこの点に対する刑法の一部改正についての法律案が今衆議院において審議中であります。まだこちらに参つておりません。聞くところによりますれば、衆議院の方ではこの刑法の改正については尚疑義があるということのために、恐らくは今議会においてはこれが衆議院を通過するまでには運ばれないようにあると聞いております。果してそれといたしましたならば、この予防更生法中の恐らく代表的の対象になりまする執行猶予の大部分というものが、この中から省かれることになるのではないか。お示しになりました統計表によりますれば、刑の執行猶予中の者は、二十三年度において七万四百二十五名で、これは恐らく二十三年度における現在数を累計された数字だろうと思いますが、いずれにいたしましても、この予防更生法の対象となるべきものの代表的と申しましようか、殆んどその大部分を狙いといたしておりまする点について、その根本であるべき刑法の改正が、本國会において通過がないのであるならば、結局この予防更生法というものの使命は、仮にこれが通りましても何らの活用はできなくて、殆んどこの制度を布かれた趣旨というものの大部分を沒却してしまうことになるのではないか。そういたしますと、尚これも私は傳聞しておるだけのことでありますが、この予防更生法が施行されますることによつて、國家財政の方は二億円の予算を計上してすでに通つておるということであります。先般のこの委員会において同僚委員からの質問によりますと、若しこの対象となるべき範囲が狹くなるならば、この予算の範囲において残りの分に厚く予算を活用することができるということなのだという政府委員の御答弁のように聞いておりましたが、これは大変私は誤まつた考えではないかと思います。政府の方で、衆議院が刑法の改正案が通過せずと雖も、尚且つ仮出獄、或いは恩赦に関する方面がこの対象となり得るから、この法案はどうでもこの議会中に通過せしめなければならないというお氣持であるか。すでにこの法案というものは刑法の改正がない限りにおいては、満身創痍で、殆んど半身不随的な法案としスタートを切ることになると思うが、そういうことになるといたしましたならば、政府としましても、恐らく從來の考え方に対しましては重大なる考慮を拂つて貰わなければならんじやなかろうかと思います。この点に対しまする政府の御意見を先ず伺いたいと思います。
#69
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。只今お話の通りに犯罪者予防更生法の三十三條の四号というものは、刑法第二十五條の二の規定によりまして、昨年度の統計によりますると、一年間に七万幾らの執行猶予のうち、裁判所が特に必要があると認めた者について、遵守すべき事項を定めて刑の執行を猶予されている者を、委員会におきまして保護観察にいたすのであります。これを削除せられました理由は、修正意見の理由として衆議院においてお述べになつたところによりますと、又いろいろ御議論になりましたところを考えますと、執行猶予というものは殊に相当の思慮分別のあるような大人になつた者に対しての執行猶予ということは、無條件でやることの方が却つてよろしいのだ。然るに刑法二十五條の二は、特に必要があると認めた者について條件を附けて保護観察に附するのであるが、実際の運用は裁判所においてなさるのだ。その際全面的に保護観察に附するという、從來ならば無條件で執行猶予にしておつた事案が保護観察に附せられるということになりますと、又反作用が多くなる。又刑法の改正ということは重大でもあるし、更に又進んで、保護観察の実績によつては將來宣告猶予という制度を保護観察と並行して、刑法の改正案にありますような宣告猶予制度を採るということも考えられることではないか。もう少し考えてやることがよろしいのではないかというような考慮の下に、現行法通り現在は十八條未滿の少年について禁錮又は懲役について執行猶予ということになりますると、当然保護観察に附することになつているのでございます。その程度まで引下げたらどうか、そういうような御意見で御修正になつたように伺つたのであります。この三十三條は保護観察の対象といたしましては、少年法二十四條によりまして、家庭裁判所が第一号処分といたしまして、地方少年保護委員会の観察に付するという決定をなさる分も相当数ございます。それから少年院から仮退院するということも相当数ございます。又仮出獄につきましては、昨年度の統計によりますと五分の四は滿期釈放によつて出る者が一万人でありました。これに対しまして仮出獄で出る者が四万二千人あるというような統計になつているのでございます。從來これにつきまして保護委員というものがございまして、或る程度のことをいたしておりました。又少年につきましては、少年審判所の少年保護司というものがありまして、或る程度の観察をいたしておつたのでございまするが、その釈放の期間、取消の期間、そういうものと保護観察の期間と保護の統計をやつておつた関係上、又少年につきましては少年審判所が審判という裁判的な審判の仕事に忙殺されておつた関係上、十分の保護観察を加えることができなかつた次第であります。観承知のように犯罪が非常に殖えて参りまして、收容施設が非常に超滿員のような現状にありまして、仮出獄の制度もできるだけ活用してやる、やらなければならんという情勢にありますので、犯罪者予防更生法を提案した次第でございます。四号を改正することによつて或る程度の対象者の数も出ると思う次第でございますが、その他にもかような対象者もございまするし、又お話のごとくこの委員会が恩赦の仕事も担当する。恩赦の調査をしたり、内閣に意見を出すというような仕事もございます関係もありまするので、相当数の仕事があるわけでございます。むしろ大部分のものは、大部分と申上げますと聊か護弊があるかも知れませんが、相当仕事は大量にあるわけでございます。一方又二億円という予算は、從來の少年審判所の從來の司法保護委員会に要しました予算でございました。今度の経済九原則の関係上新規の事業を認めないという建前で、從來の予算で從來の人員で大体やることに相成つた次第でございまして、私共提案者といたしまして、できるだけ沢山の執行猶予の者を引受けることによりまして、從來ならば執行猶予にならなかつたような方も保護観察という條件の下に執行猶予になる。そうして保護観察を十分にやることによつて本人の更生を図ることができるならば非常に望ましいと存じまするが、それなくしても相当数の仕事がございますので、さような從來通りの予算、從來通りの人員でありまするが、できるだけこの法案の趣旨を貫徹したい、かように存じておる次第でございます。
#70
○鬼丸義齊君 今日の社会情勢から見まして、犯罪者の激増、殊に初犯者の激増に対しましては何らかの方法手段を取るにあらざればいけないことは私共も痛感をいたしておりまして、先に私は青少年に関する青年補導法というものを発議し、提案せんとして努力して参つたのであります。関係方面に対しましては二回のOKを取つて前回の議会において提案し、審議未了に終つておりましたとき、たまたまこの犯罪者予防更生法というのを政府において考えられておるから、これによつて大体青少年の犯罪、殊に初犯に対する青年補導法の狙いとするところも網羅せられることになるのであるから、これで以て賄い得るのじやなかろうかというようなことでありましたので、私もこれは大変結構な話だと思いまして、今議会に青年補導法の提案を取止めたのであります。ところがさて今日になつてこのような状態になつております。刑法の改正もなく、そうして又十八歳未滿の者に対する者のみについて本法の対象となるといたしましたならば、私の青年補導法の狙いといたしておりましたものとは全然これは外れてしもう。私はむしろ青年補導法の対象となるべき者は少年法によらざる青年の初犯者をして、何とかこの再犯を犯さしめることなくして更生せしめて、一般の善良なる國民として立たしむるべきことを狙いとしておつたのであります。ところがこうなつて來ますると、全然その方面は逃れてしまう。なくなつてしまう。一番私が恐れておりますることといたしましては、現に私共扱つておりまする青年の反則者について、執行猶予をいたしますることになれば、そのまま身柄を釈放して、手放しに置くことになりますることによつて、往々にしてこの猶予期間中再犯を犯す例もある。それからと言つて、一回の反則によつてそのまま体刑に持つて行くことはこれ又惜しい。一度体刑に入れて前科者となしますることになりますと、もはや犯罪習癖者の卒業免状を貰つたような、今日の行刑状況では結果しか見られることはできない。故にそうしたものを何とかして救つて、そうして更生せしろようというのが狙いだつたのが、これで見るとすつかり拔けてしまう。若しそういうことでありましたならば、当時政府におきましても、又関係方面においても非常に適切なる法案なりとして当時激励を受けてやりつつあつたのが、今度すつかりこれは拔けてしまつたわけであります。敢えて私はかれこれ自分の自案を守らんがために言つている意味ではありません。併し私はここに政府の出されました統計によつて見ましても、若しこの予防更生法ということによつて再犯防止の國家施設となそうとするならば、ひとり執行猶予のものに限らず、ここの統計によりますると、四十七万二千何ぼという起訴猶予者がある。私はこの資料をまだ頂いておりませんけれども、恐らく起訴猶予者が再犯を犯しまする率といたしましては、非常に大きな高率なものではないだろうかと私は思います。執行猶予の取消よりも、むしろ起訴猶予者の方が再犯の数においては驚くべき私は統計になつているのではなかろうかと思つている。そこでこうしたような事実、この今日の社会状態に即する本当に生きた施設になそうとするには、この面に対しましても私は深く考慮を拂い、何とか適切な方法をお考え願わなければならんじやないか。成る程これらの施設をなそうとするには相当な予算を要しまするが、併し戰爭のもたらしましたる結果として、青少年の受けまする被害というものを考えて見ますと、これはむしろ戰爭ということを仕出かしました跡始末としては当然これは國家の義務として、こうした不良化に直面いたしておりまする者を防止することは、私は戰後の事務処理の一つとしても当然なさなければならんことではなかろうかと思う。從つて予算の二億や五億の問題ではない。かように思つておつたのでありますが、ところがそういう狙いによつて当時ルイス博士も頻りにこの面に対しては、一つ万全の策を以て向はなければならんということで、政府と研究を重ねられてできました案が今度の予防更生法案でありまするが、それにしては余り前触ればかりであつて、実のない法案になつてしまつた。殊にこの刑法の改正ない限りにおきましては、先程も申上げました通りに、更生法制定の殆んど対象となるべき大部分というものが除かれることになりまするならば、全く声の法案であつて、実を掴んでいないというようなことになるのではなかろうかと思うのであります。そこで起訴猶予というものに対する処置並びにこの執行猶予に該当いたしまする者と雖も、観察に付するという一段進んだ方法、手段を以てするならば、二十三年度において七万の執行猶予者があるとするならば、この制度によつて裁判所は必ずやこの新らしき制度を活用されて七万が十四万、或いは二十万になるんじやなかろうか、こういうふうにも考えられるのであります。ここで私はこうした当初狙いとされましたる法案の提案理由中にもありますることとは、著しき変化が生じて参りましたときには、もう一歩私は退いて、折角のこの案については完全と行かなくとも、せめてもの狙いとするところの大部分を掲げて、そうしてこの案を活用するということに政府としてお考えになる意思なきや否やということをこの際お伺いしたいと思います。尚、ここの統計にありまするこの二十三年度の七万四百二十五人という執行猶予というものは、これは二十三年の年に言渡しただけでなく、ずつと二十三年中において執行猶予の処分を受けた者の累計じやないですか。これをちよつと、この統計だけじや分りませんから併してお答えを願いたい。尚、政府の方のお手許において從來起訴猶裁になつたる者を、それが再犯を犯したという者がどのくらいあるか。又刑の執行猶予の取消がここにあつたようですが、この起訴猶予に対する場合と執行猶予の場合との率の比較をお分りなつておりましたらばお示しを願いたい。勿論起訴猶予の場合には從來檢察廳の扱いの実際を見ますると、いわゆる廣き意味においての不起訴、全然罪とならずして不起訴処分にした場合と、それから罪はあるけれども起訴を見合せるというような場合とあるようです。これが一体いつも明確でないのです。それがために本人としては一應の調べは受けたけれども、何にも咎められることなくして終つたというふうに感じている場合が甚だ多い。これらについても何か適切なる方法がありやしないか。定めてこの点は御研究になつたことと思いまするから、併してこの際伺えるならば仕合せだと思います。
#71
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。終戰後の青少年の犯罪について非常に御苦心なり、或いはいろいろお考えなり、その構想については私共全く同感でございます。さような根本的の観点からこの法案、殊に修正された法案を考えますると、まだ十分でない点は多々あると思います。ただ私共考えまするのは、本年度経済九原則というきつい鉄のたがに入りまして十分の予算も取れない、十分の人も頂けない。その際の非常に対象者を從來よりも飛躍的に多くするということになりますると、職員が幾ら勉強しても十分の成績を挙げ得ないということになりますると、却つて元も子も無くするようなことも考えられるのでありまして、さような点も考慮いたしまして、私共といたしましては、與えられたる予算で、與えられた人間でできるだけの勉強をいたしまして、そうしてこの保護観察制度、日本で眞に新らしい制度のいわゆるパロール・プロベーシヨンの制度を確立いたしまして、そうして次の國会、或いは次年度の國会において予算も頂戴し、増員も認めて頂いて、そうして逐次対象者も殖して、そうして理想的なものにする以外にはないのではないか。かように考える次第でございます。只今御指摘のように起訴猶予者の数が非常に多いのでございます。この起訴猶予者のうち、何人が又犯罪を犯して処罰せられるかということにつきましては、統計を持つておりませんので、調査の上お答え申上げたいと存じます。それから執行猶予の七万人という数は、やはり二十三年度の分は、二十三年度中に執行猶予の処分に付せられた者と、かようになつておるのでございます。又この執行猶予、起訴猶予の四十七万人の人の保護につきまして、どういうような構想を持つておるかというお尋ねでございましたが、これについてもこの法案の立案中に研究いたしたのでございます。ただ新らしい新刑事訴訟法全体から、すでに御承知の通りに檢事の認定だけで、犯罪を犯した、そうして保護観察に付するということは、どうしても関係方面の認められるところとならないのでございまして、今後私共は保護観察制度の確立と一諸に、簡易なる決定その他によつて裁判所が簡易なる手続きで保護観察に付するというふうな制度を作ることが適切ではないかと、かように考えておりまするが、廣汎の改正になりまするので、今度の國会には提案する段通りにまで至らなかつた次第でございますが、立案に当りましては、その点もいろいろ研究いたした次第でございます。
#72
○鬼丸義齊君 この法案を拜見しておりますると、表題は犯罪者予防更生法案となつておりまするけれども、実は犯罪者更生法というのが、本当は実に副うのじやないかと思う。と申しまするのは、予防更生法という、振り出しでは立派に挙げてありますが、更生に関する規定はありまするが、予防についての規定は殆んどない。何らの内容を持たざる、名前だけを店開きして、羊頭狗肉の観があるのじやないか。でこの予防については最も國家施設として深き関心と、それから早急にこの手を打たなければならんことが、私は更生に先立つて一番大きな國家事業としての仕事じやないか。この法案を作るに当りましては、定めて予防の方面に対しましても相当に御研究になつておられたことと思います。ところがこの法案に予防に対する対策についての余り規定がないということは、どうしてこれがそういうことになつたのかということについての御見解を承わりたい。
#73
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。この法案の研究の過程において、構想が若干変りましたので、さような犯罪者予防更生法と言いながら、犯罪予防に関する規定は十六條の中央委員会の権限の規定及び地方委員会の権限の規定にございまする程度で、十分のことがございません。当初犯罪者予防更生法という法案を研究いたしました際は、犯罪予防ということを非常に大きなウエイトで考えまして、そのために委員会の構成におきましても内閣総理大臣を委員長とし、関係各大臣及び民間の方を入れた大きな機構であつたのでございまするが、その後経済の実状その他から、さような大きなものを今考えても実際上実施が不可能じやないかというような意見が出まして、そうして現在のような構成になつた次第でございます。從いまして犯罪予防というようなことは、全面的な犯罪予防をこの委員会がいたすとなりますと、勿論犯罪予防につきましてはひとりこの委員会のみならず、警察或いは裁判所、その他行政各般が一面においては犯罪の防止ということを考えておるのでありまして、さような廣汎のことをこの委員会がいたすということは不適当ではないか。この委員会が一つの單位となつて、関係方面と又一つの機関を作つてやるのが理論的に正確であるというふうな意見がありまして、そうしてこの委員会は專ら再犯者の犯罪の防止というような限度にいたしました。そうしてあとは犯罪予防の活動の助長をするとか推進をする、お手傳いをするということになりまして、中央委員会の方にもございますが、この事項については十六條の第一項の但書にもございますが、「但し、第四号に掲げる事項」、これは「犯罪の予防に関する適当な計画を樹立し、犯罪の予防を目的とする諸活動の発達を促進し、援助すること。」この「第四号に掲げる事項は、この委員会の專権に属するものではない。」、犯罪予防計画は皆がなるのだ。この委員会も片棒は担ぐが、これだけでやるというふうなものでないということを書いた次第でございます。
#74
○鬼丸義齊君 先程の御説明によりますると、保護観察の制度は最も新らして進歩的のものだという御説明がありましたが、私は丁度この法案と睨み合わして考えますることは、往年監視規定がありまして、よく監視法違反というのがありました。前科者を若干の期間監視人を付して、丁度これと同じような制度であつたと思う。いろいろの條件を付して刑の執行後警察官をして監視せしめて、そうして旅行とかその他に対してそれぞれ許可を受けて、その監視の違反によつて前科者となつた者は大変な数に上つておる。監視法違反という者が大変な数に上つておつて、つまり保護観察というのですが、警察官の観察、これはまあいい意味になつておりますけれども、この観察制度というものは、もうすでに試驗済であつて、而も非常に惡い。でこれを新らしい制度として礼讃されるということは、どうも私共はちよつとそのことと考え合わして見ると、誠に名案として実は称讃を申上げることはできんと思います。のみならず、こうしたような制度を私は設けるといたしましたならば、少くともこれを機会に、やはりこの法案の名のごとく、予防の面において國家の施設としてもう少し大幅な案を以て臨むことが適当ではないか、ここで以て予防法案の一つの名前を取つてしまつて、僅か一項目か二項目で以て更生委員の権限とか何とかいうのを書いて置いて、それで以てこの社会状態の下に、滔々として犯罪が行なわれておりますところについての対策としては、余りにも貧弱というか、余りにも考えがなさ過ぎるように思う。すでに衆議院においては、本法案と殆んど使命を同じくいたします刑法の改正についても再檢討を要するとして通過困難の状況下にある。この際政府としてはこの法案については改めて一つ再檢討を加えて、この適切なる社会状態に対する犯罪の予防といい、更生といい、これについてはせめてもの私は完全と行かなくとも、或る程度の完成すべきものの法案として、この制度を布いたならばどうか。改めて一つ再檢討を加えて出直すという意思ありや否やということを伺います。
#75
○政府委員(齋藤三郎君) 只今御指摘のような監視というふうな運用にならないように極力研究もいたし、努力もいたすつもりでございます。もともとこの法案の狙いが、世間でややもすると犯罪者を刑務所に送れば終れりと考える軽率な方もございますが、すべて刑務所に入つた者は一定の時期が來ると出て來るのであります。出所するのであります。その出所者が社会に対して反対的な氣分を抱いて出て來るということになりましては、本人のみならず社会も亦保護されないということになりますので、刑務所におきましては本人の更生教育ということに重点を置きまして、そうして行刑の仕事を一生懸命にいたしておる次第でございます。この法案におきましては、その刑務所の更生計画、教育計画に即應いたしまして、受刑者が刑務所に入りますと、直ちに社会復帰の方針を、本人の意見も十分汲入れまして、その社会復帰の方策を立てさせまして、そうして教育の効果を挙げ、できるだけ早く社会に出しまして、そうして拘束、あの非常に自由を制限された世界から、いきなり無條件で世間の荒波に対抗させるというような危險なことをしないで、中間の期間において、中間の場面を一つ作つて、そうしてその期間十分手厚い保護と指導をいたし、本人を更正計画の通りに社会に完全に復帰せしめるという、こういう考えでいたしているものでありまして、その方針、やり方につきましても、十分御指摘のような、曾ての失敗のようなことのないように注意いたして行きたいと存じております。又この法案が非常に理想より遠いという点も、さような観察も確かにそういう点もございます。併しながら現在の仮釈放者、仮出獄者が、満期釈放者が例外であつて、仮出獄者が殆んど大半であるという現状でございますので、これらの多数の人達に対しても、直ぐにでも一日も早くこれに対する指導監督、指導保護の手を差述べる必要があると存じますので、不十分の点については今後十分研究し、又保護観察の成績を挙げまして、そうしてできるだけ早い機会に理想の状態に持つて行きたい、かように存じますので、改めて提案するという考えはないものでございます。尚又先程御質問の起訴猶予者と刑の執行猶予者の再犯状況の調べがございますので、これはお手許に差上げてあると存じますが、四枚目の裏の六というところにございますが、起訴猶予者及び刑事行猶予者の再犯状況というものがございます。昭和二十年だけに限つて申しますと、起訴猶予者が三十万、大きなナンバーだけ申上げますが、再犯者が一万三千、その比率が四・六%、刑の執行猶予者は昭和二十二年度は四万六千人に対しまして再犯者が四千七百人、比率が一〇・二%、かような数字に相成つております。
#76
○大野幸一君 私は昨日に引続いて、この第一條第二項の「すべて國民は、前項の目的を達成するために、その地位と能力に應じ、それぞれ應分の寄與をするように努めなければならない。」というところの應分の寄與ということについては、物資的な意味を含まれているかどうか。即ち寄附という言葉とは違つて、物質以外の、金品以外のことである。こういうことの御答弁が得られれば満足だと思います。それはこの語源から言いましても、寄附と寄與との異なる点は、小柳博士の漢和大辞典によりましても寄與というところに贈る、與える、寄贈する、國家社会等の利益幸福を寄せ與えるとあります。寄附のところに行きまして、殊更に寄附とは金品を公共事業又は社寺の建築等に差出して補助すること、喜捨、こういうようにありまして、この二つの使い分けが金品の有無にかかつている。その日本語から申しましても、私はこの意味はこの應分の寄與とは物質的意味がない、こういうことを考えたのであります。若し然らずとすると、例えば公共のために財産を差出さなければならないということに相成れば、憲法二十九條の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というこの憲法の趣旨と相矛盾する。たとえこの犯罪者予防更生のために出すことは公共のためでありましよう。併しこれを法律によつて強制されるというように誤解されることは正当の補償なくして利用されることになる、用いられることになる、こういうので私は断じてそういう意味では解したくない、こう思います。これを英語で訳すれば、レンダー・ヴアリユアブル・ヘルプということになるそうでありますが、私のこの考えが間違いがないか、更に御確言を願いたいと思います。
#77
○政府委員(齋藤三郎君) 只今大野委員が仰せの通りでございまして、第一條第二項は一つの精神的な規定でございまして、犯罪をした者が法律上は十年経てば前科者でない、復権をいたすのでございますが、併し社会感情において、又ややもすると白い目で見られる。そういうことのないように、この法案の趣旨に賛成をして一つ精神的に協力援助をして頂きたい、こういう意味で物質的な寄附というものは書いていない、かような次第であります。
#78
○松井道夫君 三十三條の三項によりますと、「第一項第一号に掲げる者の保護観察の期間は、本人が二十歳に達するまでとする。」ということになつておるのですが、現行法ですと幾つまでできるのでしようか。
#79
○政府委員(齋藤三郎君) 現行法によりますと、二十三歳ということになつております。
#80
○松井道夫君 現行法で二十三歳までできるというのを特に二十歳まで減らすという理由を伺います。
#81
○政府委員(齋藤三郎君) 只今のお尋ねにお答え申上げます。現在の法律によりますと、改正前の少年院に関する矯正院法によりますと、二十三歳、少年院の收容期垂が二十三歳、そして保護観察の期間も二十三歳、かようになつております。これが新らしい少年院法によりまして、少年院の收容の最高限、一應の最高限でございますが、一應の最高限が二十歳に相成つております。それ以外特に必要があつて收容する場合には、改めて家族裁判所の決定を必要とすると、かようになつております。原則として二十歳ということに相成つておりますので、この観察というものもそれに合せまして、そうして二十歳というふうにいたした次第であります。
#82
○松井道夫君 保護観察ということは、本人を收容してやるということとこれは非常に違うのでありまして、現にこの法律の精神は、例えばこの三十三條の四号と三号も入ると思いますが、成るべく保護観察に付して再犯に陥らないようにするというのが、その精神でないかと存ずるのでありますが、更にこの法律の第二條で、十四歳以上二十三歳までが青少年だということで、この少年委員会ですが、これがそれを受けます青少年については受け持つということになつておるのであります。然るにここにこの三十三條の第一項に当るものを二十歳までにする。現行法より更に縮めて二十歳にするということは、その傾向と全く逆行するもので、どうも納得できないと思うのですが、これを現行法通り二十三歳ということにいたして、どういう不都合があるのですか。
#83
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。格別どうしてもそれでは困るというわけではございません。ただ先般の私共の立案いたしました、考えました考えは、少年院或いは刑務所だとかというものは止むを得ないものであるが、成るべくそういうところに長く入れて置きたくない。それで少年につきましては、すでに宣告猶予に当る制度がございまして、そうして二十四條第一項という制度によりまして、原則的には成るべく保護観察でやつて見る。そうしてそれでうまく行かないときには、或いは少年院へ入れて、或いは少年院に入れてもこれは決して刑罰の対象ではなくして、全く本人を教育するという立場でございまして、できるだけ早く完全な社会人、立派な子供にして社人に帰す、そうして、それもいきなり無條件で自由にするというのではなく、できるだけ早く出して、それから完全に社会に復帰するまでの或る期間、これを保護司が監督する。それによつて又逆に少年院に收容しておる期間が短くなつて、前と後から段々その制度を発達させまして、そうして收容の期間を少くする。こういうような考えで全体ができておるのでございます。從いまして保護観察という期間と收容の期間というものが、やはり一緒なことが一應理論的ではないかという、全くそれだけの考えでございまして、格別松井委員の仰せられたように、これがあつたらどうかということはございませんが、まあ收容よりは軽い処分になる、收容処分が二十歳が一應最高限ならば、それよりも軽い処分なんだから、それより期間が長いというのはおかしいのではないかという、それだけのことであります。
#84
○松井道夫君 どうもそこが納得いかんのですが、重い刑罰だから、收容されるから長く置いてはいかんということはよく分るのでありますが、軽い保護観察だから、何もそう收容するというようなことは不利を與えることではないのだから、精神的な保護という程度なんだから、できるならば必要のある二十三歳、二十五歳でも、いつまでもやつてもよろしい。だからいいのだという見解は成り立つかと思うのですけれども、軽い処分だから收容の……重い処分の收容の期間まで制限されておるから、その期間内でなければならんということはちよつと納得できないのじやないかと思うのですが……、それにその先に二十三歳まで保護観察に付し得るという前の少年法でございますが、少年保護司の観察に付することは、二十五歳までをいうそういう進んだ制度であるのに、その進んだ法に一歩々々進んで行くという意味の大法典の制定の上において、どうも二十歳というのが分らないのですが、まあ御説明がそれまでなら、それで結構ですが、要するに二十三歳までと旧法のようにしても、別に格別いろいろな法律上で支障は起ることはないというふうに思いますが、その点はどうでしようか。
#85
○政府委員(齋藤三郎君) この二十三歳ということにいたしますと、或いは外の條文に多少修正を要する点があるかと存じます。と申しますのは、保護観察というのは一面には非常に優しい法律でありますが、その法律を権威あらしめるというために、取消という、或いはどうも又場合によつては少年院に收容するという途が開かれておるのでございます。この法案におきましては、家庭裁判所に通告いたしまして、そうして虞犯少年というようなことでやるようになると存じます。この四十二條では二十歳以上になつておる場合でも、家庭裁判所に通告し、その場合には家庭裁判所が、対象の少年の年齢は二十歳でございますが、二十歳以上の者であつても、少年とみなして、そうして保護処分の決定ができるという規定がございますし、二十歳未満でございますと、当然家庭裁判所に通告いたしまして、そうして家庭裁判所の判断によつて、或いは外の少年院送致というような決定もあることになつております。かような観点から、やはり保護観察ということが一面においては條件附のものでありまして、場合によつては仮出獄を取消すとか、刑務所に又入所するというようなことになつておりまして、この三十三條の第二項にもございまするが、保護観察は刑期と同じ期間である、それ以上には延びないという思想でありましたので、それで三十三條三項も少年院收容の一應の最高限で起算する、こういうような考え方でございます。
#86
○松井道夫君 そうすると、この三項の建前では、満二十歳に達してからは、要するに言葉は惡いんですけれども、一應野放しになる、こういうことになるわけですね。
#87
○政府委員(齋藤三郎君) 二十歳を過ぎたならば野放しになるのかという御質問だと存じますが、この場合観察期間が二年に満たない場合には二十歳未満、十九歳十一ケ月というような場合には二十一歳と十一ケ月ということになるとしますれば、そうでない十六歳ならば、十六歳で保護観察に付されれば二十歳でこの保護観察は解除になるというか、効力がなくなるというように解しております。
#88
○鬼丸義齊君 本法案において地方成人委員会と地方少年委員会とは別々になつておつて、そうしてこれを中央委員会で又取纒めて、中央委員会の方では少年委員会と成人委員会を合しておる。当初中央においてもやはり成人委員会と少年委員会と別々になつておつたのが、中央委員会では一つになつたと聞いておりまするが、これは何故地方における少年委員会と、それから地方成人委員会というものを別に置く必要があるのか、勿論理由はありましようが、非常に経費も違つて参りましようし、又事務の進捗上においてもこれを分設することがどれ程の利弊があるかを御説明願いたいと思います。それから尚第三條第一項の規定により、法務府の外局としておりますが、部内の一局とすることと外局とすることとにおいて、責任の所在が違つて來ることになるのか、或いは外局としての独立機関の官廳となるのであるか。それから併せてこの委員長というのは、公務員としてどのくらいな地位になるのが、特に從來の公務員の構成と異なつて、本法案において委員長と、名前を改めたことは、恐らく一つの進歩したる民主的な名前として用いられたことと思いますが、殊更その点を本法案において明確にしてないのはどういう趣旨であるか、それから尚この委員会の委員の資格條件について非常に大幅な書き方をしてある。結局第一項においては「教養、経驗、学識及び人格を有する者」とか、二項においては「日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壞することを主張する政党その他の團体」への加入を制限しておるとか、まあ二の方は大したことはありませんが、結局一だけに委員の資格というものを纒めておる。この委員としては殊更、よく他の委員とか公務員とかになりまするについての資格について、禁治産者とか或いは前科ある者とかいうものを除かれてあるのが通例であるに拘わらず、この委員会の委員の職務の権限は相当な大幅のものであり、事業の性質から言つても國家的機関としては相当なものであると思うに拘わらず、これだけに限つてその間に何らの制限規定がない。それは前科を持つ者であつても、却つてそういう体驗者の方がいいというような場合もあり得ると見たのであるか、或いはやはりこういう委員はそういう反則者に対する儀表的人物でなければならんという点に立つのか、これは一体どうしてそんな手放しなことにしたのであるか。尚この法案中にときどき使つてありまする「人格を有する者」というのですが、私共はこの人格というのは、法的にはいろいろなことに用いてあつて、権利の主体となるものを人格として場合もあり、いろいろに用いておるのでありますが、そういう人格という場合もあつてちよつと分らんが、この際法律を作るのであるから、意義を確立して貰いたい。政府委員の責任のある解説を願うことが必要だと思います。
#89
○政府委員(齋藤三郎君) 只今のお尋ねにお答え申上げます。先ず、第一に中央委員会が一本であるに拘わらず、地方委員会及び第一線部隊の保護観察所が、成人と少年との二本建になつておる点についてのお尋ねでございまするが、当初は御指摘のように中央委員も二本になつておつたのでございまするが、事務の進捗であるとか、或いは財政の難点とか、そういう点から中央は一本につたのでございまするが、地方委員会以下は実際にこの対象者が出入りをする、殊に観察所になりますると頻繁に出入りをする、さような対象者の出入りすることを考えますると、少年が大人の対象者と控室その他において一緒になるということも考えられまするので、別個にいたした方がよかろう、こういう考えで地方委員会以下は二本建にいたしたのでございます。それからこの中央委員会が法務府の外局ということでありまするが、勿論責任は法務総裁がおとりになるのでありまして、委員会及び廳、物價廳とかいう廳は総理府、法務府又は各省の外局として置かれるということになつておりまして、直接法務総裁に付いてその下におるものというふうに解釈いたしております。責任はやはり法務総裁が最終の責任をおとりになるというふうに解しております。それから中央委員の資格でございまするが、中央委員会の委員は勿論國家公務員法にいう國家公務員でございまするが、一般職員にあらずして、一般職と違いまして、國会の同意を得てなるのでございまして、特別職ということになつて、國家公務員法その他の條文が適用にならないのでございます。從いまして、中央委員につきましては、服務規律は、服務に関する國家公務員法の規定を準用するということにいたしておるのでございまするが、任用につきまして、かように資格を、資格と申しますか、資格要件を簡素にいたしましたのは、中央委員会の委員の任命に法務総裁が任命するに当りましては、上院、下院の同意を得て、そうして任命するというところによりまして、資格要件をそう細かにする必要はないというふうに考えた次第でございます。尚第五條の第一項に「人格を有する者でなければならない。」というのは、勿論いわゆる人格者という場合の人格であります。さように承知いたしております。
#90
○鬼丸義齊君 ちよつと今の法務府内に置かなくて、外局にしたというのは、法務府内の局として外局とするということは、只今の説明によるというと一向どうも変りはない。それは法務総裁の下に置く局ということならば、普通の局とちつとも変つたことはない。今の説明だとさつぱり外局と府内の局との差異が分らない。もう少し説明を願いたい。それから、從つてこの外局となられる中央委員会ですね。中央委員会はこれはやはり一つの独立官廳として、経理その他はやはり別にできるわけですか、それも一つ伺いたいと思います。
#91
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。只今言葉が足らなくて申訳ございませんが、勿論法務府の中のものでございまするが、内部局ではなくして、外局ということになると存じます。その結果どういうふうに違うかということについては、この普通の内局でございますると、官房において、人事、会計をいたすということになると思います。從來ならば次官の下に内局があつた。外局は直接大臣の下に付くということになつておりましたが、同樣のことになつておるように私は解しております。結局法務府内のものでありまするが、外に長官の下に、法務総裁の下に官房長があり、そこで会計、人事その他文書等のことをいたし、事務については、各長官が法務総裁の下におられまして、そうしてその内部に内局がある。それと別個に横から一本、直接法務総裁の下から一本、筋を下ろして、そこに更生中央委員会というものがある。從つて建前は内部でやはり人事なり会計なりをやる。この法案によりましても、この事務局がありまして、三部ございまして、二十條に中央委員会には総務部、少年部、成人部とありまして、総務部において、人事、会計庶務その他をやることになつておりますが、その点若干相違がございまするが、同じく法務府内にあるというように解釈いたしております。
#92
○鬼丸義齊君 それはどういう必要からそういうことが生じて参つたのですか。次官その他の横の連絡は全然要らないのだ。どうしてもやはり法務総裁直結でなければいかないという趣旨はどこから出たのでありますか。どの必要から出たのでございますか。尚、先程地方少年委員会と地方成人委員会とが別でなければいかん。どうも一緒だて出入りが一緒でおかしいというようなことのために、我々はこんなものを作るということになるならば、これは大変意味が薄いように思う。もう少し何か有力な理由があるのですか。出入りがあるから一緒に持つて行くのはいけない。裁判所に対して行くものも一緒になるし、そんなことの理由だけではないのじやないか、もう少し詳しく……。
#93
○政府委員(齋藤三郎君) 勿論出入りの関係等は一つの例でございまするが、やはり少年には少年の特殊性がある。從つて少年の扱いは成人の扱いと、やはり保護観察をやるについても亦対象につきましても、対象に收容されておる施設につきましても違うのでありまして、処遇の内容も違うのでございまして、さような点から少年には少年らしい地方の委員会及び観察所を置いて、そうして鮮明にさした方が効果があるだろうし、又末梢的でありまするが、別個の成るべく接触のないように処理することもいいというような点もございまするが、主としてはやはりその特殊性に應じていたす。それならば中央委員会も別個の方がいいのではないかということになると存じまするが、これも或いは中央委員会も別個にするという案もあつたのでございまするが、なかなか予算の関係、又実際問題を考えまして、中央委員は直接当るのではないから、一本でもよろしくはないかという程度の考え方でこうなつたのでございます。
#94
○鬼丸義齊君 最從に一つ……大体この法案というものは、全体を見て私共は悉く目新らしいのと、余り実際に当嵌り過ぎて信奉し過ぎると、実はどうも隔靴掻痒の感を免れないので、惡口を言うならば、満身創痍の案だと思う。であるからもう少し徹底したる一つの名として、折角作るならばやりたいと思うのですが、大体これはその法務廳の作られた案か、或いはそれとも関係方面から示された案によつてできたわけですか、その点をお差支えなければ……。
#95
○委員長(伊藤修君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#96
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#97
○深川タマヱ君 法務廳というところは、やはり管轄の性質上、同じく青少年の予防更生の方を取扱つておりましても、文部省とは大分子供の教育については、性質が違いますので、殊にこの法案などは露骨に申しますならば、九原則と関係いたしまして、財政が困窮いたしておりますので、監嶽の設備も職員も殖すことができないのに、一方で犯罪人が激増いたしますので、比較的過激性の少い二十歳以下の青少年はできるだけ社会の方に出して置きまして、監督の目を光らしておいて、どうしてもいけないのは又再び檢挙する、こういう目的のためにできる法案だろうと存じます。それならばこれで私大体纒まつておると思うのであります。併しついでに申して置かなくちやならないことは、この法務廳というところは、やはり当然激増しつつあるこういう青少年の犯罪をですね、防止いたさなければならない立場におりますので、当然やはり文部省ともう少し連繋を緊密にされまして、從來のセクショナリズムの事務をとられないで、余程提携してなされないと効果がよく上らないと思うのであります。それで從前でしたら、同じく青少年の保護監督と申しましても、青年團体などがありまして、落伍者もなく、お互いに自治制度が発達しておりましたし、予算などの額もあつて大変成績が上つておつたのですが、この頃はそういうことがないのみか、教育の基準そのものがぐらついておりまして、やはり戰爭中は日本は國家思想が第一を占めておりまして、その外に生活を裏付ける思想とか、人間存立の基礎というようなものがおろそかにされておりまして、戰爭の結果國家思想が御破算になりましたから、青少年はよりどころを失つて、或いは何かに取り縋ろうといたしておる格恰で、こんな結果になつたと思うのでありますので、それについてやはり文部省の方では至急にこの日本の青少年の徳育の基準を定め、そうしてどしどし訓練をしなければならないと思いますのに、今日の國民学校、中等学校では、お修身の学科もなく、朝礼式というものもございません。極めて、青少年に定められおります徳育の時間が省かれておりますので、それの面にもつと強く着眼して、法務廳と文部省と提携して、一つ御努力願いたいと思います。ついでに申しますと、地方を監察して歩いておりますと、土地によりますと青年男女の度を過したダンス等も危險性を孕んでおるようであります。お氣付きかどうか存じませんが「蜂の巣の子供たち」、「手をつなぐ子ら」、という映画がございますが、これが非常に家出人を増加さして、少年の犯罪の原因になつておりますようでありますし、かすとり燒酎はどうやら最近取締つたのでありますが、それなども各地で非常に青少年を害しておるようであります。それから賣淫取締法など至急出して貰いたいと思います。こういうようなものがありますと、やはり青年が惡くなると思いますので、こういう点に一應御注意願いたいと思いまして、希望を申上げて置きます。
#98
○政府委員(齋藤三郎君) 只今御指摘の点、十分に注意いたしまして、少年問題の解決については十分努力いたしたいと存じます。
#99
○委員長(伊藤修君) 一点明らかにして置きたいのですが、衆議院で目下審議中の刑法の一部を改正する法律案が、今度衆議院で大体廃案になる予定らしいのですが、そうすると、その中で本案に関係する部分として、刑法二十九條第一項第四号を改正する案として、「四」として「仮出嶽中遵守スヘキ事項ヲ遵守シタルトキ」という改正案があるのですが、これが廃案になりますと、本案の四十五條と三十四條に牽連して來るのですが、この場合に現行刑法がこの改正法に代つて生きて來ることになりますから、現行刑法のあの「仮出嶽取締規則ニ違背シタルトキ」というこういう條項が、四十五條の「遵守すべき事項」とかいうことに適合するかどうか。及び、それによつて三十四條の列挙されたる事項及びその以外の事項が、その内容に含まれるかどうか。解釈上多少疑義があると思つて、刑法改正案が出ると思つておつたのですが、それが廃案になると、これとの繋がり、現行法との繋がりはどういうふうになるか、その点を明らかにして頂きたいと思います。
#100
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。刑法の三十九條の第一項第四号に「仮出嶽取締規則ニ違背シタルトキ」と書いてございまして、その仮出嶽取締規則は、刑法の決まりました直ぐの四十一年の議会で決まりました監嶽法の六十七條で、その取締規則ができておるのでございます。即ち「仮出嶽取締規則」ということを書いてございまするが、仮出嶽取締規則という特定の規則は当初からなくて、要するに「仮出嶽取締規則」と言つておりながら、事実は「仮出嶽中ノ指導取締ニ関スル法令ニ違背シタルトキ」、こういすことに読んで差支ないものと考えております。それで今度の犯罪者予防更生法弁行法案におきまして、この仮出嶽取締規則でありまする監嶽法六十七條「仮出嶽ヲ許サレタル者ハ其期間左ノ規定ヲ遵守可シ、一、正業ニ就キ善行ヲ保ツコト」云々として三号ございます。これに対應するものとして、解釈上三十四條の「保護観察に付されている者」には勿論仮出嶽も入つておるのでございまして、仮出嶽者は「第三十一條第三項若しくは第三十八條第一項の規定により地方少年委員会若しくは地方成人委員会が定めた遵守事項……のほか、左に掲げる事項を遵守しなければならない。」と書いてございますので、この一般的な一号から四号の外に、個別的に地方少年委員会或いは地方成人委員会が本人につき更正上特に必要だという事項を決める場合がございます。例えて言うと、田舍から家出して來て犯罪を犯したという少年について、田舍へ帰りなさいというような條件を付すれば、それはやはり仮出嶽取締規則の内容になるものと、かように解釈上なるように釈解いたしております。
#101
○委員長(伊藤修君) それならば、何故刑法の一部を改正する法律名に「四」としてこういう改正案を出されたんですか。当然解釈ができるというならば、何故出されたんですか。
#102
○政府委員(齋藤三郎君) ただ表現上やはりその方が、「遵守スヘキ事項」とこう言つておりますので、その方が非常に解釈上誰でもすらつと分るという観点からでございます。
#103
○委員長(伊藤修君) そうすると、その刑法の一部を改正する法律希の中にあるところの「仮出嶽中遵守スヘキ事項ヲ遵守セサリシトキ」とあるのは、現行規定の解釈の疑義を解決するために、明らかにするようにされたんですか。
#104
○政府委員(齋藤三郎君) さようです。
#105
○委員長(伊藤修君) 現行法でも解釈できる、こういうふうに伺つてよろしいですね。刑法の現行法は改正しないことになりますね、これが廃案になるのですから……。
#106
○政府委員(齋藤三郎君) そうでございます。
#107
○委員長(伊藤修君) だから、その繋がりを聞いておるのです。
#108
○政府委員(齋藤三郎君) それでいいという解釈……。
#109
○委員長(伊藤修君) 現行法で解釈ができるというのですね。
#110
○政府委員(齋藤三郎君) はあ、ただ形の上ではやはり、遵守すべき事項を遵守しなかつたときというのが、誰が見てもはつきり分るという点はございますが、解釈上それだけのことで刑法を改正するというようなことも如何かというような……。
#111
○委員長(伊藤修君) 当然できるというならば、政府がこの改正案を出されたことが誤まつておるのですか。
#112
○政府委員(齋藤三郎君) 誤まりと申しますか、その方がすらつと分る……。
#113
○委員長(伊藤修君) だから、疑義を解決するために……。
#114
○政府委員(齋藤三郎君) そうです。
#115
○委員長(伊藤修君) そのために出されたというならば納得行くけれども……。
#116
○政府委員(齋藤三郎君) 解釈上の疑義を避けるというのであります。
#117
○岡部常君 念のためにお伺いいたしますが、委員の資格に官吏も含まれておりますか、どうですか。
#118
○政府委員(齋藤三郎君) 中央委員ですか。
#119
○岡部常君 中央、地方、両方共……。
#120
○政府委員(齋藤三郎君) 國家公務員法にいう公務員でありまするから、兼務の形ならば可能である、かように解釈いたします。
#121
○岡部常君 この人選はまだ御発表になれますまいけれども、中央には何名官良を充てるというようなお考はなさそうに考えられますが、地方では実際現実の問題が沢山あると思いますので、これはやはりそれに関係の深い官吏をお使いになるつもりがありますか、どうですか。
#122
○政府委員(齋藤三郎君) 地方委員会につきましては、できるだけ專任の人を置くということになすべきであると考えております。ただ万止むを得ない場合に人事院の特別の承認があれば、暫定的にやることは可能であるように考えております。
#123
○大野幸一君 四條の三に「委員長一人を置く。委員長は、委員の中から法務総裁がこれを命ずる。」とある。委員は法務総裁が任命して、而も委員長まで法務総裁が任切するというのでは、何だかこれは官僚臭くなり過ぎるのですが、何故これを委員の互選にしなかつたのでありますか。
#124
○政府委員(齋藤三郎君) 格別特別の理由があつていたしたわけではございませんが、十分内部がうまく行くように、皆の意見を聞く場合も実際においてはあると思います。又そうすべきであると思います。
#125
○大野幸一君 將來法務総裁が内部円滿という意味で、これが適用については委員間の意思を尊重されんことを希望いたします。
#126
○委員長(伊藤修君) では本案につきましてはこの程度にしまして、後に讓りたいと思います。
  ―――――――――――――
#127
○委員長(伊藤修君) 次に弁護士法の質疑に移ります。
#128
○松村眞一郎君 公務員の規定によりますと、この公務員は退職の後は……。
   〔委員長退席、理事岡部常君委員長席に着く〕
 職務に直接の関係のあつた営利の事業に関與してはいけないということが書いてあるわけですね。そんなような思想が判事、檢察官についてはないのであるか、あるのであるかということを伺いたい。その意味は、弁護士法の規定の中の十二條の二項の規定です。これは公務員の方では、在職中に何らの不正行爲もなく極めて嚴正に執務をされた人でも、退職後二年間は密接なる関係がある事業に從事してはいけないと、こうなつておるわけであります。弁護士法の十二條の二項の意味は、そういつた檢事なり判事なりは当然登録するというのであるかどうか。在職中何らの弁護士に対して弁護士の方から見ますというと、格別御機嫌をとつたということもなければ、弁護士の方面からも実に公正に執務されたという判事檢事があつた場合に、それは第二項の適用は適正を欠く虞れの全然ないものであるという解釈であるか、この点をはつきり伺いたい。
#129
○衆議院議員(北川定務君) お答えいたします。第十二條の二項に、一年間はその地において開業する場合に、弁護士会はこれを拒絶することができるというものは、極く札付きの定評のあるような公務員を指しておるのでありまして、在職中に公正に職務を執行しておるような人は、この規定自体からしましても、適正を欠く虞れのあるものでないのでありまして、著しくその地において開業することが弁護士会の品位を傷けるとか、或いは秩序を紊すとかいうように、特殊の場合に限られておるのでございます。お尋ねのような場合には、無論弁護士会は喜んで入会さして呉れるだろうと存じております。
#130
○松村眞一郎君 それでありますと、從來の沿革からいたしまして、判檢事で執務されておられた方は、退職後一年間なり、二年間なりは、弁護士に登録することはしないのであるという思想とは全然これは違うということになつてよろしいですか。そういう考えは全然ないのである。むしろまじめな職務を遂行された判事、檢事は喜んで登録するのであるという、こういう思想でこれは入つておるということになるのですか。
#131
○衆議院議員(北川定務君) お説の通りでございます。
#132
○松村眞一郎君 それであるとますます分らなくなる。なぜかと思しますと、弁護士の職務を行うことに特に適正を欠く虞れのあるというものはないだろうと私は申しておる。なぜかと申しますと、そういうのであるならば、よくよく官吏として默認することのできない、目に余る人でなければならんと思うのであります。それであれば公務員の方面で何らか懲戒しなければならん。そういう者を不問に附して置くわけはないじやないかということも考えますから、そういうことであるならば、尚更十二條の二項は要らない、殆んど場合がないと私は想像していいと思います。私の前申しましたような意味で、退職後はいかないのである。普通の公務員は公正を期するがために、在職中は非常にまじめな人でなければならない。関係のある職務には從事させられないという思想では全然ないのであるということならば、殆んど適用がないということになるのではないかというように私は思う。むしろそれならばこの規定は要らない。目に余る人を今お考えになつておる。それならばそういう判事なり、檢事なりとして在職することを許すことのできない人であるのでありますから、どうも二項は要らないということになればなると思います。その見解はどうですか。そういうような者でも判事なり、檢事なりになつても、國家は默認しておるということにお考えになるのですか、どうですか。この点は如何ですか。在職中に目に余るような人を、それは判事としてそういうものの在職することを許していい。檢察官として在職してよろしいのであるという見解であると、これは逆に裁判所なり、檢察廳にも私は伺うことになります。そういうものを默つておつていいのであるか。そういうものはあり得べきことではないという考えが結論なのであります。それですから、この二項は要らないということになるわけであります。私の論理の行き途は、こういうことになります。
#133
○衆議院議員(北川定務君) お説の通り、在職中に特に非違があつた場合には、無論官吏法上の制裁を受けると思うのでありますが、又受けない場合もあり得ると思うのであります。この規定自体から見ましても、第一項に弁護士の職務を行わせることが、その適正を欠く虞れがある者については進達を拒絶することができると相成つておりまして、これを嚴格に解釈すれば、第二項の規定は、さような場合には要らないようにも思われるのでありますけれども、実際問題といたしまして、弁護士会はさような規定がなければ、なかなかそれを実行することができないのでありまして、さような意味からいたしまして、この規定を特に設けた次第であります。
#134
○松村眞一郎君 そうしますというと、初めの御心配は、これは沿革から申すのですが、この法案ができます前の、初めからの沿革を申しますというと、判事、檢事が一年間は、その所で弁護士におなりにならんようにということの考えから、こういう規定が生れておつた、初めは……。今度はそういうことは全然御心配ない、こういうことになつたのであります。そういたしますというと、そういうようなことを判事、檢事以外のすべての公務員について想像するということは、どういうわけでございましようか。判事、檢事以外の公務員には、殆んどそういうことがないじやないかと思います。弁護士との関係について、その点は前にも繰返して質問している次第でありますが、凡そ公務員は何でも入るという御説明なのであります。そうしますと、大藏省が入ることになるのであるか、農林省が入るのであるか、建設省の職員が入るのであるか、殆んど際限がない。何故かというと、行政訴訟というものがありますから、そうなるというと、公務員はすべて登録の際に拒絶されるかも知れないという、非常に不安なことを感ぜしめるようになるのでありますから、そういうような廣い、無制限な心配のあるような規定はない方が当然ではないか。こういうことを私は前から申しておるのであります。今の関係はどうでしようか、他の役所にそういうことが想像できますか。実際目に余るようなこと、それを公務員として默認しておるという事実があれば、具体的例をお話し願いたいのです。こんな場合に困るのだということがあれば、逆に私は内閣の方に聞いて見たい。そんなものを平生から默つておられるのか、どうかということを聞いて見たい。默つておられないというならば、殆んど適用がないということになる、どういうことを想像しておられるか。判檢事ならば分るのです。今申上げたように判檢事以外の公務員で、どの役所にもそういうことがあるという心配の規定は、私は必要ないと考える。具体的な場合を想像しておつしやつて頂きたい。
#135
○衆議院議員(北川定務君) お尋ねのように場合を、具体的に説明する資料は持ち合しておりませんが、絶無ということもできないと思います。例えば警察の職務を執つておるとか、或いは知事の職務を執つておるというような方に、さようなことがあり得ると思うのであります。併し御説の通り、さような場合は非常に少ないかと存ずるのであります。
#136
○松村眞一郎君 これ以上質問は私いたしません。
#137
○松井道夫君 第四十條の規定によりますと「弁護士会の総会の決議が公益を害するときその他法令又はその弁護士会」云々、「会則に違反するときは、日本弁護士連合会は、その決議を取り消すことができる。」ということになつておるのでありまするが、他方第六章の日本弁護士連合会の規定の中には、日本弁護士連合会の総会の決議が公案を害するとき、その他法令に違反するとき、これを取消すという制度はどこにも書いてないのであります。弁護士会は最高の自治を持つておられるということは、先に承わつたところで結構なことであると存ずるのでありますが、併しながらやはり國家の制授としてある以上は、治外法権の観のあるようなことは、これは弁護士の立場としても考慮すべきものではないかと、私存ずるのであります。それで実際の適用のある、なしということは別でありまするが、謙虚な考慮をいたしまして、日本弁護士連合会の総会の決議が公益を害するとき、その他法令に違反するとき、何らかのこれを是正する方法を設けるということは、これは理由のあることでないかと私存ずるのであります。ただ弁護士会、若しくは日本弁護士連合会の会則に違反するという場合は、これは自治機関でありますから、自分規則に違則しておつても外部からかれこれというべき筋でないと思われる。内部でいろいろ論議せらるべきだと思いますから、それは必要ないと思うのであります。公益を害するときと、法令に違反するときには何らかの方法を設けることを考慮したらどうかと思うのであります。例えばそういつたような場合に、法務総裁が相当期間内に東京高等裁判所に、決議取消の訴訟を提起することができるといつたような規定であります。
   〔理事岡部常君退席、委員長着席〕
 法律総裁も、これは政府を代表いたしまして、法務の最高の顧問であります。又最終の判断は、これは裁判所で行うことになる。裁判所も亦司法権の面におきましての最高の機関であることは言うまでもない。それで弁護士会が最高の自治機関であるという権威に対しましても、別に権威を害するような心配もないと思うのでありますが、その点について、さような考え方についての立案者側の御意見を承わりたい。
#138
○衆議院議員(北川定務君) 日本弁護士連合会は高い知識を有しておる人人、團体の自治機関でありまして、これが公益を害する行爲をなす。法令に反する行爲をなすというようなことは稀有の場合であろうと思うのであります。恰も最高裁判所の裁判に対してこれを攻撃することができないように、日本弁護士連合会の行爲に対しましても、この弁護士会を尊重する意味におきまして、法務総裁等の監督下に置かない方がいいと思うのであります。さような意味において特にさような規定を設けなかつた次第であります。
#139
○松井道夫君 私の申上げるのは、法務総裁が弁護士連合会を監督するというようなことを申上げているのではないので、最高の自治機関を監督するとかいうようなことは、これは今問題にはなつておらないのであります。最高の自治機関で、監督機関がないということについては先にお尋ねいたしまして、明快な答弁を承わつておるのであります。ただこの四十條の弁護士会、これも日本弁護士連合会の構成分子でありまして、勿論高い教養を備えておられるのでありますが、そういうものに総会の決議が公益を害するとか、法令に違反とかいうようなことが想像されておる。謙虚に考えましてそういうようなことが実際上起り得ないと思いますけれども、弁護士会の総会、日本弁護士連合会の総会の決議が公益を害するとか、法令に違反するとかいう疑いを抱かせることはないとは言えないと存ずるのであります。そこで監督機関だというような意味ではなしに、要するに一つの原告の地位に立つ、政府の法務の最高の顧問という立場から、原告の地位に立つというだけのことであつて、別に監督するとかいうようなことを申しているのではありません。最高裁判所の判決でありましても、御承知の通りの異議の申立までも許しているのであります。又最高裁判所の判決が惡ければいろいろ批判もされまして、法律上國民がこれの資格の審査をいたすこともできるのであります。でありまするから、決して最高裁判所は治外法権ではない。むしろ憲法を守る機関であるということは申上げるまでもない。それでこの私の言うような規定がございませんと、日本弁護士連合会に限つてこの治外法権が主張できるというような形になるのでございまして、謙虚な立場に立ちますれば、私の言うような考え方が成立するのではないかと思うのでありますが、実際においてどうでありますか。
#140
○衆議院議員(北川定務君) 御承知の通り、この法案にもありまするがごとく、日本弁護士連合会の諸君は各地方の弁護士会の指導、監督、連絡等の仕事に携わつているものでありまして、特にお説のような公益を害するような決議をする、法令に違反したるところに決議をするというようなことはあり得ないと思うのであります。若しさようなことがありまして、個人の権利を害するようなことがありまするならば、それは又別個の法律問題として取上げられることと思うのであります。又本質問に見まして日本弁護士連合会が完全なる自治機関でありまする立場からいたしまして、その自治機関がなした行爲を取消すというようなことは、自治の本質からしましても適当でないかと思うのであります。
#141
○松井道夫君 場合は違うかも知れませんが、これは地方自治法におきましても、これは議会が不当な決議をする、或いは執行者が不当なことをするというような場合に、これが個人の権利を害するというような場合は、勿論これは行政訴訟にもなる場合があると存ずるのであります。若し違法な決議、或いは行爲をするというような場合には、これはリコールの問題とか、いろいろ法律に規定されておりまして、決してその間是正の途がないわけではないのであります。でありまするからこの本日弁護士連合会におきまして個人の権利を害するような決議をしたというような場合に、これは又他の救済機関、方法があるといたしましても、公益を害するとき、その他法令に違反するとき、そういつたような個人の権利を害するというような場合でありません場合に、やはりそういうことを考慮してする必要があるのじやないかということを考えるのでありまするが、提案者において見解がそれと違うんだと、そう主張されるならば、それは又見解の相違として承わつて置くより仕方がございません。
#142
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑は……。
#143
○深川タマヱ君 登録のところでございますけれども、「登録又は登録換の請求前一年以内に当該弁護士会の地域内において営時勤務を要する公務員であつた者で、その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠く虞があるものについても」という規定がありますけれども、この意味をお尋ねすさことが一つと、それから憲法が許しております合法的な営業の中で弁護士がしてはいけないものは特にどういうものが……。弁護士会の許可を得ればよいことになつておるのでありますけれども、実際問題は、弁護士会は体面とか何とかいう立場があるのかも存じませんけれども、どういう営業は許可をなさらない方針であるか。若しお分りになつておりましたら……。それと第三番目には、弁護士の無資力者に法律扶助をなす規定は弁護士会の方で決められるそうでありますが、これの意味がよく分りませんので、それをお尋ねすること。もう一つは弁護士会の方では報酬を定めるような規定がござるかできないのか、医師会のように……。それもお伺いします。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(伊藤修君) 今のお尋ねの中の第一点は、もう論議が盡されておりますから、第一点は答弁を願わないことにいたしましよう。第二点以下を御答弁願います。
#145
○岡部常君 只今お尋ねの点も重複するように思いますが、会期切迫の折柄、成るべく重複の点は避けるように、我々お互いに自省しなければいけないし、委員長の方でもよろしくお取計い願います。
#146
○委員長(伊藤修君) 先に御答弁になつた分は除いて……。
#147
○衆議院議員(北川定務君) 弁護士が営業をする場合には所属弁護士会の許可を要するというのは、前から規定がありました分をそのまま踏襲して法律になつておるのであります。そうして実際の場合におきましては、大抵営業の許可をすることになつているそうであります。それから第三点の無資力者に対する救済の方法は、会則で從來決められておるのでありまして、本法におきましてもさようなことに相成つておるのであります。報酬も同様であります。
#148
○深川タマヱ君 私講演に参つておりまして大変失礼いたしました。
#149
○委員長(伊藤修君) あなたの御欠席中に相当論議されたのです。
 別に御質疑はありませんですか……。では特許局長官久保敬二郎という方並びに大藏省の主計局長から第三條の第二項について特に発言を求めておられますから、今日は遅いですから明後日の朝発言を許すことにいたします。御了承を願います。
 それでは本案に対してはこの程度に止めまして、明後日にいたすことにいたします。
  ―――――――――――――
#150
○委員長(伊藤修君) では先程質疑をお願いした犯罪者予防更生法並びに同施行法につきまして質疑を継続いたします……別に質疑がなければこの程度において質疑を終局することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(伊藤修君) では質疑は終局いたしました。直ちに討論に入ります。御意見のある方はお述べを願います。
#152
○岡部常君 討論は省略して下さい。
#153
○委員長(伊藤修君) 只今の岡部君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(伊藤修君) では討論はこれを省略いたしまして、直ちに採決に入ります。本案につきましては、衆議院において修正されておりますから、修正附を原案といたします。尚、犯罪者予防更生法と同施行法を一括して問題に供します。両案に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#155
○委員長(伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。では委員長の口頭報告の内容につきましては予め御了承を願つて置きます。尚、両案について御賛成の方は御署名を願います。
   多数意見者署名
    大野 幸一   齋  武雄
    松村眞一郎   深川タマヱ
    來馬 琢道   岡部  常
    松井 道夫   鬼丸 義齊
    遠山 丙市  大野木秀次郎
  ―――――――――――――
#156
○委員長(伊藤修君) 法務局及び地方法務局設置に伴う関係法律の整理等に関する法律案を議題に供します。質疑を継続いたします。本案について御質疑ありませんか。別になければ、本案についての質疑はこれを以て終局することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(伊藤修君) 質疑はこれを以て終局いたします。本法につきましては修正がありますから、関係方面との交渉の結果がまだもたらされておりませんので、先の法案と同様にこの程度にして置きます。
  ―――――――――――――
#158
○委員長(伊藤修君) それでは次に裁判所法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案につきましての質疑を継続いたします。別に御質疑ありませんか……。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#159
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。それでは別に御質疑もなければ、質疑はこれにて終局することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(伊藤修君) では質疑はこれで終了いたしました。本案につきましては修正の意見がありますので、関係方面の打合せもありますから、この程度にして置きます。
  ―――――――――――――
#161
○委員長(伊藤修君) 次に、お諮りいたします。当委員会において從來やつておりましたところの檢察及び裁判の運営に関する調査につきましては、閉会中継続調査をいたしたいと思いますが、継続調査をすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(伊藤修君) 御異議ないと認めます。本委員会において継続調査をすることに決定いたします。
 それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時五十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
          大野木秀次郎君
           遠山 丙市君
           深川タマヱ君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
  衆議院議員
           北川 定務君
  政府委員
   法務政務次官  遠山 丙市君
   法務廳事務官
   (調査意見第一
   局長)     岡咲 恕一君
   法務廳事務官
   (少年矯正局
   長)      齋藤 三郎君
  衆議院法制局側
   参     事
   (第二部長)  福原 忠男君
  説明員
   法務廳事務官
   (最高裁判所事
   務総局総務局
   長)      内藤 頼博君
ソース: 国立国会図書館
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