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1967/08/18 第56回国会 参議院 参議院会議録情報 第056回国会 本会議 第8号
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1967/08/18 第56回国会 参議院

参議院会議録情報 第056回国会 本会議 第8号

#1
第056回国会 本会議 第8号
昭和四十二年八月十八日(金曜日)
   午前一時三十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
  昭和四十二年八月十八日
   午前一時三十分開議
 第一 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に
  関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(前会
  の続)
 第二 国家公務員等の任命に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、検察官適格審査
  会委員、同予備委員及び鉄道建設審議会委員
  の選挙
 一、日程第二
 一、国鉄東北新幹線建設に関する請願外四百四
  十六件の請願
 一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
  の件
     ―――――・―――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を前会に引き続き議題といたします。
#4
○議長(重宗雄三君) 本案に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森勝治君。
   〔森勝治君登壇、拍手〕
#5
○森勝治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案に対しまして質疑を行なうものであります。
 佐藤総理大臣、まず、あなたにお尋ねしたいと存じます。
 国民からその成立の一日も早からんことを期待された政治資金規正法を骨抜き、廃案として、その抜いた骨を今度はオブラートに包んで物価高、税金高で食傷ぎみの国民の口の中へ無理やりに押し込もうというのが、この健康保険法改悪の姿ではないでしょうか。これでは骨がじゃまで飲み込むわけにはまいりません。国民は全く迷惑しごくでございます。しかも、権力の上にあぐらをかき、数にものを言わせ、強引に押し切ろうとするあなたのやり方は全く感心できません。吉田学校の優等生として、秀才の誉れ高いあなたとしたことが、何と教養がじゃまをしたようなやり方ではありませんか。佐藤総理、政治はすべからく弱い者の立場に立つ政治でなければならないのではないでしょうか。古き歴史をたずねるまでもなく、おごれるものは久しきにわたらずというではありませんか。金と健康に見放された貧しきものの行く道、そこには絶望とのろいが待っているのです。福祉行政とは名ばかりではないか、と総理に遺書を残して自殺した浅草の老人を御記憶でしょう。また、公害にたまらず自殺した人も御存じでありましょう。このようにして、毎年毎年生きる希望と喜びを失った多くの人々がいるのです。国民不在の政治ばかりやっておりますと、サトウのまわりに集まるものはアリばかりで、平和を念願する国民の心はあなたから遠く離れてしまいますが、それでも総理、よろしいですか。人心離れて何の政治ぞや。願わくば、あなたが一握りのおごれる人々の頂点に立って国を誤ることなく、清く明るく平和に暮らそうと祈り続けて働く国民の願いをかのう宰相たられんことを心から期待するものであります。かくすれば、あなたの名は、不朽に輝くでありましょう。そのためには、まず、この健康保険法及び船員保険法の臨時特例法案をすみやかに撤回をして、弱い者いじめの政治をやめてください。人間尊重をうたい文句にする佐藤内閣にして、弱い者いじめの政治をやめることができないならば、よろしく挂冠して野に下るべきであります。佐藤総理大臣、われわれは、たとえ、きょう貧しくとも、あしたに開けいくしあわせを信すればこそ、今日のこの苦難にうちかっことができるのではないでしょうか。そうして私どものあとに続くであろう若人や子供たちの未来のしあわせのために、政治に携わるわれわれの力で、明るい美しい社会を、そうして隣近所がにこにこと笑い合ってしあわせに楽しく暮らせる、戦争のない平和な社会をお互いにつくろうではありませんか。いささか真情を吐露し、あえて佐藤総理大臣の政治理念を問う次第でございます。
 次に、本法律案について、政府・自民党は、国民の大多数の反対を押し切って、衆議院社会労働委員会を混乱させ、そのどさくさの中で修正案を通過させて、衆議院本会議でこれを強引に成立させました。さらに本院におきましても、いままた社会労働委員会の中ではっきりとした解明がなされないまま中間報告を要求し、本会議強行の挙に出てまいりました。しばしば会期を延ばして、どうしてもどうしても、この特例法案を通そうとするがごとき執念は、まさに異常そのものであります。これは佐藤内閣がいささか健康をそこなっておるのではないかと危惧するところであります。はたせるかな、社会労働委員会におきましては、総理大臣、厚生大臣、大蔵大臣等三大臣の見解は、三者三様、全く異なるものでありました。すなわち、厚生大臣は国庫支出を多く出すべきであると主張いたし、大蔵大臣は本来国庫が支出すべき性質のものではないと反駁をし、佐藤総理は総理で、かってなごたくを並べたてるという、まさに閣内不統一を暴露したのであります。(拍手)これでは三者三泣きではなく、三者三分裂ではないでしょうか。かくのごとく閣内不統一を来たすようでは、佐藤内閣もじょうぶで長持ちはできないでしょうから、この辺で内閣の健康診断でもおやりになったらいかがですか、総理の所見をお伺いしたいと存じます。
 総理にお伺いをする第三点は、本法案に関する基本的な考え方についてであります。今日、健康保険制度は社会保障制度の中で最も重要なものとされ、その歴史も各種社会保険の中で最も古いものでありますことは、先刻御承知のとおりであります。申すまでもなく、この制度は、国民の健康と生命を守るための最低の保障であり、一九四六年制定の新憲法第二十五条に初めて「社会保障」ということばが掲げられ、人間としての生存権が肯定された中で、国民はひとしくその保障の充実を願っておるところであります。また健康保険制度は、今日に至るまで紆余曲折を経ながらも逐次向上し、国民皆保険の名のもとに、その適用範囲の拡大は、国民の健康に大いに資してまいったところでありまして、特に経済の高度成長下で、その恩恵に浴するどころか、かえってしわ寄せを受け、あえいでいる中小零細企業の労働者にとって、健康保険こそ、命の綱とも言うべきものであります。しかるにこのたび二年間の時限立法と銘打ち、暫定対策に名をかりて、保険料率の大幅引き上げ、初診料、入院料の倍増と薬剤費の一部負担の新設を持ち出し、国庫負担や事業主負担の割合を減らし、一そう労働者大衆の自助、相互扶助を強めようとしております。しかも、これら既成事実の上に、昭和四十三年には医療保険制度の抜本的改革を推し進めようとし、制度の基本から逆行しようとしております。このことは、われわれの常に主張するところの、社会保障は国民の権利であるとの基本的立場とは、全く相いれないものであります。政府は、すべての国民にひとしくよい医療を無料で保障するという立場を、この際とれないものかどうか、総理にお伺いしたいと存じます。
 次に、厚生大臣にお伺いをいたします。
 医療保険の赤字の原因について、国民総医療費は、三十六年度に五千四百六十二億円であったものが、四十一年度には一兆三千百十八億に達し、その伸び率は二四〇・一七%に及び、それは国民所得昭和三十六年度十四兆一千九百六十四億円、四十一年度二十八兆八千百八十七億円、その伸び率二〇三・〇一%を大幅に上回るものとなりました。このような異常な伸び率は、各医療保険の財政を圧迫し、たとえば、政管健保では、四十一年度に約三百三十四億円、四十二年度には約七百四十五億円の赤字と、四十二年度末に予想される累積赤字は、約一千八百八十三億円にのぼるといわれております。このような国民総医療費の伸びや、健保財政の赤字の原因を、政府は一応は医学、薬学の進歩に伴う医療内容の向上、医療機関の整備充実、国民の医療需要の変化に求めながらも、一日当たり金額の著しい伸びは、国民がやたらに医師にかかり過ぎ、医師もまたむだな診療を行ない、薬を使い過ぎることをあらわすものだとして、直接的な原因をそこに求めていることは、断じて容認できないところであります。国民皆保険は、昭和三十六年に発足し、少なくとも医療需要の側においては、国民皆保険、すなわち国民医療ということが、形式的にせよ実現したところであり、その適用率においては、西欧水準を上回るものであるといわれております。その意味で、医療費の増高は、むしろ当然の帰結と言える次第であります。しかし、問題はそれほど単純ではありません。国民皆保険即国民医療である今日、なお高度に発達した医療技術は、低医療政策のもとで営利化せざるを得ない開業医並びに独立採算制を強制された公私の大病院によってになわれ、そこには著しい競合があり、二重投資があります。しかも、医療機関が収入をふやそうと思えば薬剤の使用にたよらざるを得ないという現在の医療制度のあり方、薬業資本の放任、さらにはマンモス化で機能麻痺した政管健保制度、治療中心で健康管理不在の健保制度のあり方にこそ、医療費の増高、健保財政の赤字の主要原因を求めらるべきであります。このような基本的矛盾をそのままにして、もっぱら赤字の原因を労働者大衆と開業医にありとするのは、明らかに不当ではありませんか。厚生大臣の見解を承りたいと存じます。
 次に、保険料率の大幅な引き上げについて、厚生大臣の見解を求めたいと思います。昨年の五十一国会において千分の六十三から千分の六十五に引き上げられ、さらに今回は千分の七十二、修正では千分の七十へ引き上げであります。一昨年の四十八国会で千分の五十五に引き上げられた厚生年金保険料と千分の十四の失業保険料とを加えますならば、いまや労働者大衆の社会保険料負担分は千分の七十・五、修正では千分の六十八・五に達しようとしております。たとえば、賃金月額三万円の労働者は毎月二千一百十五円、修正では二千五十五円の社会保険料を天引きされることになるのであります。ここで明らかなことは、労働者とその家族の生活と健康、さらに老後を守るべき社会保険において、その保険料によって今日の労働者の生活が脅かされていると言っても過言ではありません。特に平均標準報酬月額三万一千六百十五円という中小企業労働者をおもな対象とし、標準月額三万円以下の労働者が六一・一九%を占める政管健保において、このような重い社会保険料負担は、決して許さるべきでないと思います。今回の特例法が実施されない場合、政管健保の保険給付費は三千七百八十二億七千七百万円、そのうち医療給付費は三千四百五億九千二百万円とされております。それに対し、保険料収入は三千六十六億二百万円であります。すなわち、保険給付費に対する国庫負担を、たとえば厚生年金保険並みに定率二〇%として約六百八十一億円、これをもって赤字のほとんどは解消できるわけであります。したがって、政府のよく言われる政府、使用者、労働者で仲よく負担を分かち合うべき三者三泣き論からしても、この際、国庫負担を国民の納得し得る妥当なものとすべきではないかと思いまするが、厚生大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、初診時及び入院時の一部負担金の二倍引き上げについてお伺いをしてみたいと存じます。初診時一部負担金のねらいが労働者大衆の受診抑制にありますことは、衆目の一致するところであります。労働者大衆の生活と健康を守る最低の保障である医療保険において、本来ならば、一部負担金を軽減して受診機会の増大をこそはかるべきであるのに、かえって、その負担を増すことにより受診を制限いたしますことは、労働者大衆の健康増進の立場から容認できないところであります。また、入院時の一部負担金の引き上げは、国立病院においてさえ、ベッドの差額徴収が公然化しておる今日、入院患者の負担増に拍車をかけるものではないでしょうか。かりに、百円の受診料が幾ら以上に上がったなら、早期受診を抑制できるか、科学的に判定することは、まず不可能というほかなく、全く根拠のないものと言わざるを得ません。
 次に、薬剤費一部負担制の新設についてお伺いをしてみたいと思います。去る四十年二月の保険三法改正案で、一カ月二千円を限度とする薬剤費の半額負担を打ち出し、社会保険審議会及び社会保障制度審議会において、制度の基本に触れるとの理由でつぶされたいきさつがあります。今回の改正案は、政府みずからも言うように、あくまでも暫定対策であるとするならば、薬剤費の問題は、医療保険制度の抜本的改革にあたって検討さるべき課題であります。もとより、保険医療費の四〇%を占めようとする薬剤費をそのまま野放しにしておくことは許されないことは重々わかっております。しかし、だからといって、患者にその一部を負担させることによって歯どめをかけ、増高を押えようというのでは、あまりにも安易に過ぎ、無策というよりほかありません。四十年度の医療生産高は四千五百七十六億三千九百万円、三十六年度の二千一百八十億七千五百万円に比べ、二三六%の伸びであります。それは、政管健保における医療給付費の伸び率二三二・八%と決して無縁ではありません。われわれが保険で使用するおもな薬剤について、国が薬業資本の生産及び販売を管理し、それら薬剤の大衆宣伝は厳重に規制すべきであると主張する根拠は、またここにあるのであります。そして、医療機関に対する適正な報酬は、その果たす機能に対し十分に支払われるべきものでありまして、薬剤が介入をすることによって医療の本質がゆがめられている現状は、直ちに改められなければならないと思いますが、厚生大臣の御所見をお聞かせ願いたいと存じます。厚生大臣よろしいですか。また、薬剤費の一部負担金を徴収するようになれば、医療担当者や医療機関の事務はそれだけふえることになり、ことに、看護婦も事務員もおらず、医師一人といった零細な診療所などでは、事務が増加すれば、医療担当者は、肝心の医療行為に使う時間や精力を、事務により多くさかざるを得なくなります。その結果、医療の質が低下することは必至と見なくてはなりません。一体厚生大臣はこの姿をどう思われますか。
 次に、行政努力の内容と国庫負担についてお伺いをしてみたいと思います。行政努力というのは、保険料収納率の向上か、あるいは診療報酬支払いに対する監査強化がその主たるものであります。保険料収納率につきましては九七%を前後し、中小企業の倒産の激しい現在、これ以上の向上は考えられません。といたしますれば、あとは、監査強化や給付制限によって二十五億を生み出すよりほかありません。診療報酬体系の不合理という、政策的制度的欠陥はあるといたしましても、明らかに不正と断ぜられるものに対しましては、監査を強化することはやむを得ない措置ではありますが、そのことが、しばしば医師の良心的治療に対しても、治療方針をたてに強行されることに問題があるのではないかと思いますが、厚生大臣はいかが考えられますか。また、行政努力なるものが、政管健保について申し上げまするならば、さきの保険三法改正案では四十一年度五十八億円、また昨年の健保等一部改正案では九十八億円、さらに今回の改正案では二十五億円というように、常に数字合わせで算出されるところに大きな危機のあることを指摘せざるを得ません。厚生大臣の率直な御所見を承りたいと存じます。
 次に、修正案についてお伺いをしてみたいと思います。
 その中の抜本的対策と、今後の見通しについてであります。二年間の時限立法としたことによりまして、厚生省当局は、二年後には、抜本的対策が緒につく程度ではなく、相当部分がすでに実現している状態にしなければならなくなったとして、秋には試案をまとめると言っておられますが、この「相当部分がすでに実現している状態」ということは、明らかに現行制度持ち込み以外の何ものでもありません。したがって、一体、抜本的対策という意味及び具体的に抜本的対策の内容をどう考えておられるのか、この際はっきりとお示し願いたいと存じます。
 さらに、抜本的対策の内容について、昨年、牛丸前事務次官を中心とした牛丸委員会なるものが項目的に整理したものがあるやにお伺いいたしておりますが、どのような内容のものか、また、その内容について厚生省はどうされようとしておられるのか、お伺いしたいところであります。
 今回の法律がかりに通過いたしましたとしても、二年後に残る累積赤字をどういう方法で埋められるのか。再び労働者大衆の負担により、まかなう危険性ありと懸念をいたしますがゆえに、はっきりと所見を述べていただきたいと存じます。
 法律の期限が二年、その間に抜本的対策が立てられるそうですが、四十四年八月が期限として、四十三年末の通常国会までには新法案が提案されなければなりません。したがって、残された期間は一年数カ月、医師会をはじめ、健保連、総評、同盟など関係諸団体を向こうに回し、期限までに抜本策を講ぜられる自信、厚生大臣にありやなしや、お伺いをしてみたいと存じます。
 次に、修正案の中身の問題に触れてみたいと思います。薬剤費免除の取り扱いについてであります。修正案によりますならば、低所得者に対しては、会社、事業所を通じて、社会保険事務所から免除申請書なるものを交付し、免除者は窓口にそれを提示すれば薬代を支払わなくても済むとありますが、これはほとんど実効性のないものと言わざるを得ません。なぜならば、証明書を使用することは精神的な負担となって、よほど重い病気で、高い薬を長期間必要とするとき以外は、被保険者のプライドがそれを許さないからであります。これは初診時一部負担金の倍増とあわせ、必要な受診を制限し、治療の原則であるところの早期診断、早期治療をも妨げることとなりますが、厚生大臣の御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、薬代の一部自己負担の問題についてお伺いをしてみたいと思います。薬代の一部を自己負担にするということは、明らかに法の後退であり、受益者負担的要素を濃くするところでありまするから、このような手段はとるべきではないと存じます。またこれは、一日一剤十五円はたいへん低い額のようでありまするが、現在の医療の実態から見て、被保険者が外来で診察を受ける回数は年平均四回で、一回の診察日数は平均四日間、このうち八〇%が一日二剤の投薬を受けていると言われております。一剤が十五円とし、一日に二剤の投薬を受け、年間延べ十六日間、薬の世話になるといたしますと、四百八十円の負担となります。これに初診時負担分引き上げを加えますと、年間八百八十円の負担となります。これは平均を例にとったもので、からだの弱い人の負担はもっときびしく、特に慢性病、なかんずく高血圧、胃腸病、心臓病、糖尿病、ガン、精神病などの長期通院患者にとりましては、大きな負担となるところであります。また、時間の浪費もばかにはなりません。たとえば、初めて医者にかかり、そのときに二種類の薬を三日分もらったといたしまして、現在普通の病院では、大体薬を三日分を標準として出しておるそうであります。そうして治療費は五百円だったといたしますと、従来は保険負担分が四百円と被保険者負担分が五分の一であったものが、今回の改正でいきますと、保険分が二百十円とほぼ負担分が五分の三になるわけでありますし、窓口事務は、その計算や金の受け渡しなどの事務が複雑になるために、普通の医院で患者一人につき四十六分、病院では一時間四十一分という時間がみすみす食われることになります。これは……。
#6
○議長(重宗雄三君) 森君、制限時間になりました。
#7
○森勝治君(続) 私が申し上げるまでもなく、厚生省が本年四月に答申を出した社会保険審議会の中で発表した数字でありまするが、実際にはもっと長い時間にわたって待たされているのが現状であります。ただでさえ長い待ち時間がますます長くなり、むだな時間が治療時間に食い込んで、医療内容を圧迫する結果となるのではありませんか。これらについて、一体どのように厚生大臣は対処されるおつもりなのか、とくとお聞かせ願いたいものであります。
 厚生大臣にもっともっと質問をし、社会労働委員会において審議の尽くさざるところを、かゆいところに手の届くような質疑応答を重ねたいと、かように念願して、この壇上に立ちましたが、議長からのたび重なる命令が盛んに出ておりますので、やむなく、厚生大臣に対する質問は、一応この程度にとどめます。したがいまして、以上私が列挙し、厚生大臣の所見をただしました点につきましては、十分納得のいくように、慎重、御親切に答弁あらんことを、特に厚生大臣にお願いをいたしまして、次に、大蔵大臣に質問をいたします。
 議長からのしばしばの御注意がありますので、はなはだ不本意でございますが、私は、厚生大臣に申し上げましたように、大蔵大臣にも、ごく簡略に質問をいたしますので、十分意のあるところのお答えを賜わりたいと存じます。
 人間は、だれしも病気にかからないとは言えません。ことに、労働者の場合は、人間として、少なくとも労働力の売り手として、かつ、それによって生きていかなければならない社会にあって、病気は、その期間が長い、短いにかかわらず、労働不能を意味するものであります。労働不能ということは、ことばをかえて申しますならば、失業ということであります。失業は再就職を困難にし、勢い、生活保護と結びつくのが常であります。しかも、わが国の社会保障が、その制度間のスムーズな連結のないために、貧因状態に対して十分な保障が得られないことが多く、公的扶助を受けたといたしましても、中身はまことに希薄で、労働者を死に追いやる実例がまま見受けられるところであります。
 本院の社会労働委員会において、大蔵大臣は、わが国における最も古い歴史を持つ健保制度に対する基本的な考え方の中で、あくまでも、保険主義を主張されました。そして政管健保の赤字を、その多くを被保険者たる労働者におおいかぶせ、ことに賃金格差も激しく、劣悪な労働条件下にある中小企業労働者は、たとえ一円たりとも、おろそかにできない生活をしいられている中で、今回の負担増は、まさに骨身を削られる思いでおるのであります。このような現実を、はたしてあなたはどう受けとめておられるのでしょうか。より貧困化し、生きていく意欲を失わせられていく姿を見て、あなたは、冷然とその死を見詰められるほど、血も涙もない方なのでありましょうか。
 佐藤総理は、よく団十郎ばりといわれております。しかし、佐藤総理は冷たい人といわれております。私は夏なお寒いのは木曾の御嶽さんばかりと思いましたが、一国の代表であります佐藤総理の胸は、この御嶽さんよりもさらに冷たく国民に当たるということを聞き、まことに残念で、佐藤総理も、十年の知己に会うときは、胸襟を開くこともあるでありましょうから、どうか働く大衆のために、胸襟を開き、それらの人々のしあわせを念願していただきたいと思うのであります。佐藤総理大臣は、いみじくも、人間尊重ということをしばしば口にされておりますが、その台所を預かりまする大蔵大臣といたしまして、抜本的思想改造を求めるものでありますが、大臣の所見をお伺いしたいと存じます。
 もっともっと大蔵大臣にたくさんの質問をしたいのでありますが、議長が非常に厳重な監視で、催促でございますので、不本意ではございますが、次に労働大臣にお伺いをしてみたいと存じます。
 戦後、わが国の生産を四倍に引き上げ、世界第一流にいたしましたのは、資本の力ではなくして、ほかならぬ労働者の努力のたまものであります。しかるに、その代価たるべき賃金はまことに低く、労働福祉対策もまた遅々たるありさまであります。労働者が家族の生活をささえ、安心して働くことのできるように、国や経営者は労働者の健康と生活を守る責任があることは、げだしまた当然でありましょう。しかるに、本法案をはじめとして、政治のひずみを、弱い立場にある労働者に押しつけようとすることは、本末転倒もはなはだしきものと言わざるを得ません。労働大臣は、かねてから労働者の立場を守るためにうんちくを傾けておられるとお聞きするのでありまするが、労働者を大切にしないかかる傾向を何と見られるか、また労働福祉をはかるための抜本的対策はいかにあるべきか、お伺いしたいものでございます。
 さらに労働大臣にお伺いしてみたいことは、今日のように、次から次へと労働者を搾取し、すなわち大衆収奪の思想に立つ佐藤内閣のもとでは、日本の働く労働者の生活はますます危殆に瀕するばかりでありますので、日本の労働行政の当面の責任者であります労働大臣は、こういう問題についてはどう対処せられるのかお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(佐藤榮作君) 森君にお答えいたします。
 いろいろ御意見を交えての私の政治姿勢その他についての御批判でございます。私は謙虚にお話を伺ったつもりでございます。私の政治理念は、しばしば申し上げますように、人間尊重、その立場に立ちまして、今日の社会福祉国家を建設すること、これが私の政治目標でもございます。そこで、いろいろ今回の特例法案について御意見を述べられ、人間尊重の立場からはむしろ撤回すべきではないか、かような結論でございます。しかし、私は、人間尊重の立場に立てばこそ、ぜひともこの特例法案の成立を期したいのであります。そういう意味で、重ねて皆さま方の御協力をお願いしておる次第でございます。私が申し上げるまでもなく、今回のこの改正は、医療保険制度を維持し、国民医療の確保を期せよう、こういう立場からの改正でございます。どうかそういう意味で、御賛成を願いたい、心からお願いいたします。
 また、第二の問題といたしまして、内閣が不統一ではないか、厚生大臣並びに大蔵大臣の答弁が違っておる――これにつきましては、私は不統一はない、かように確信をいたしておりますので、その意味では、内閣の健康診断は必要でないように、かように考えております。私が申し上げるまでもなく、今回の特例法案におきましても、限られた財政予算の範囲内におきまして、政府はできるだけの増額をしたつもりでございます。御承知のように、前年に比べては五割増の国庫負担を今回はきめたのでございます。この点で、いわゆる国庫の支出をふやしたいという厚生大臣、また、健全予算をつくる、そういう立場から十分考慮したという大蔵大臣の考え方、これは別に不統一はないのでございます。この特別な国庫支出をいたしましたことにつきまして、ぜひ格別の御理解をいただきたいと思います。
 最後にお尋ねがありましたように、今回の改正はややもすると弱い者いじめになる、かような御批判がございます。しかし、私どもが特に保険制度そのものを守る、こういう立場で、所得の少ない人たちにとりましても、特に負担が増加しないように、特別なくふうをいたしたつもりでございます。したがいまして、いま森君からお話しになりましたように、社会保障ではないか、だから全部国の負担でまかなえ、こういう御意見でございますが、私は、今回取り扱っておる医療保険制度、これは広い意味の社会保障の一つの柱ではございますが、どこまでも保険制度として行なわれておる医療保険でございますから、その立場においての改正、くふうをすること、これはまた当然でございます。そういう際に、国または事業主、被保険者並びに給付を受ける者、それらの間にすべてが納得のいくような負担の改善をするということでございますので、どうか御了承をお願いいたしたい。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 近来の医療費が増高いたしております一つの大きな原因といたしましては、医学、薬学、医術等が非常に進歩発展いたしまして、したがいまして、当然医療費の質量ともに向上いたしたということが一つの大きな原因になっておることは、森議員御承知のことと思いますけれども、しかし、御指摘になりましたこの医療保険制度におきまして、制度上の薬価基準の適正化等の薬対策、それから診療報酬体系の合理化など、制度的な面での検討を要するということは、これはもう御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、薬価基準の問題については、本年二月の薬価調査の結果に基づきまして近くその改定を行なう予定であり、また、診療報酬体系のあり方につきましては、現在中央社会保険医療協議会におきまして、せっかく審議されているところでございまして、その結論を待って、すみやかに善処いたしたいと存じております。
 それから保険料率引き上げについての御質問でございますが、社会保険制度の趣旨にかんがみまして、被保険者が応分の保険料負担をすることは、これはもうやむを得ないことと存じております。ことに今回の臨時財政対策における健保の保険料率の引き上げは労使折半でございますので、千分の二・五の幅にとどまっております。月額三万円の賃金労働者にとりましては、月額約七十五円の負担増でございまして、この程度の負担は十分がまんをしていただけるものであろうと考えております。
 それから初診時及び入院時の一部負担についての御質問でございますが、現行の初診時及び入院時の一部負担金は、昭和三十二年に初診時一部負担金が百円、入院時一部負担金が一日について三十円ということにきめられて以来、十年間据え置かれたまま今日に至っておるのでございまして、この間に本人の医療費は急激な増高を見せており、また、労働者の賃金、家庭消費支出の上昇傾向等を考え合わせると、この二倍程度の引き上げは、まあやむを得ないことと考えられます。これによって必要な受診を抑制するような意図は毛頭ございませんし、またそういう事態は生じないと考えております。
 薬代の一部負担でございますが、しばしば委員会でも申し上げておりますとおり、今度の臨時特例におきましては、国を含めて関係者がそれぞれ応分の負担を願いたいと、そこで現に給付を受ける方々についても、応分の御負担を願いたいということで、現行制度としてございまする初診時の一部負担、入院時の一部負担の拡張と申しますか、延長と申しますか、そういったような意味におきまして、薬代の一部負担をきめたのでございます。なお、これにつきまして証明書を云々のお話がございましたが、診療者におきまして、こういったような対策をやるにあたりまして、これは衆議院段階における修正でございますが、低所得対策といたしまして、この負担を免除するということに相なったのでございますが、その実施をするにあたりまして、診療者側において、一体どの方がこれは免除に該当するかということが、そのままではわかりませんので、そこで証明書を添付する、こういうことにいたしたわけでございまして、これがいろいろ御議論もございまして、保険証に対してあるいは判こを押すとかといったことも考えられたのでございますが、これは御指摘のように、その方に対して少しぎらつくのじゃなかろうかと思いまして、別個に証明書を出す、こういうことにいたしたわけでございます。
 なお、薬代の一部負担によりまして、約九〇%の方々が月額四百五十円以下の負担ということになりまして、あとのほんのわずかの方々が四百五十円以上の負担ということに相なることになっております。なお、外来投薬時定額負担は、医療機関が現に医療報酬算定にあたって用いている単位について十五円を課することとしておりますので、医療機関にとり簡明で、事務的にも混乱は生じないと考えております。事務量の若干の増は免れないにしましても、これが本来の医療業務の支障になるような程度のものではないと考えております。
 それから、行政努力と指導監査の問題でありますが、保険医療機関に対する指導監査は、いわゆる行政努力の一環として行なっているものではございません。別個の問題でございます。従前ともその充実につとめてきたところでありますが、良心的な医師を圧迫するような事態は今日までなかったと考えております。保険医療の円滑な運営をはかるため、今後ともこの指導監査の適正な実施をやってまいりたいと思っております。今回の行政努力二十五億円は、前年度の九十八億に比べまして非常に低いのでございますが、それは前年度におきまして九十八億という行政努力をいたしたあとでございますので、本年は、四十二年度は前年度に比して少ないということを御了承願いたいと思います。
 それから、医療保険の抜本的対策についてでございますが、これもしばしば申し上げておりますが、この問題は非常に関係する方面が広範多岐でございますが、今後、政府部内における調整はもとより、この広範な関係者の意見もよくお聞きいたしまして、制度の均衡ある発展を期しまして、そうして対策を早急に策定してまいりたいと、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、今日御審議を願っております臨時緊急対策を通過成立させていただきまして、そうして直ちにこの抜本対策の詰めをいたしまして、そしてこれを四十三年度をめどとして実現をしていまりたい、かように考えております。厚生省におきましては、御指摘の、いわゆる牛丸委員会におきまして、いろいろの抜本対策についての課題の整理をいたしておりますが、その課題をどういうふうにこれを編集していくか、どういうふうにこれを取捨していくかということにつきまして、目下鋭意検討を続けておるのでございまして、本年秋ごろに厚生省といたしましては、その青写真というものを、これを一応厚生省案としてきめまして、そうして皆さんの御批判をお願い申し上げたい、かように考えております。
 なお、累積赤字を、これをやがて被保険者なり勤労者に全部負担せしめるのではないかという御質問でございますが、この累積赤字の処理につきましては、ただいまこれを慎重に検討いたしておりますが、これをストレートに、この全部を被保険者等に負担のしわ寄せをしていこうといったようなことは考えておりません。
 大体以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(水田三喜男君) 健康保険に対する国費の補助、負担ということについての考え方に対するお答えであったように存じますが、(「何だ、ばかにするんじゃないよ」「お答えとは何だ」と呼ぶ者あり)たとえば、国民健康保険というようなものはいわゆる事業主というものがございませんので、国が事業主にかわって負担をするということが必要でございますので、したがって、国保に対しては国が御承知のように千六百億円の負担をしているというのが実情でございますし、また、日雇健保のように、保険料の負担力が十分でないという健保に対しましては、国が相当の国費の負担をする。また、組合健保とかあるいは政府管掌の健康保険につきましては、一応事業主もあることでございますし、保険料収入によってまかなうというたてまえになってはおりますが、しかし、この政府管掌健康保険は、中小企業の雇用者が被保険者でございますので、やはり保険料の負担力が十分でないという事情もございますので、国はこの財政の健全化をはかるという意味から補助をしておる。で、従来も補助金を出しておったのでございますが、最近のように大きい赤字が出てまいりましたので、単年度の赤字をとりあえず解決して、そうしてその間に抜本的な解決をするというために、事業主、被保険者、患者、それぞれが応分の負担をするということを前提としまして、国もこれについて相当の負担をするという立場から、今回の応急対策を立てたというような次第でございまして、政府管掌の健保に対しても国費の負担はすべきであるというふうに私どもは考えて、今度の対策をつくったという次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣早川崇君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(早川崇君) 戦後の経済復興の主力をなしたのは、労働者の勤勉並びに能力に負うところが非常に多いという御主張、全く同感でございます。それに伴う労働対策はどうか、労働政策はどうだ、こういう御質問でございます。これに関しましては、経済の復興に伴いまして、労働賃金も、御承知のように、この十年間で二倍の上昇を見ているわけであります。また、最も大きい問題の、失業者というものがほとんどなくなりまして、完全雇用に近い状況が実現されているわけでございまして、私といたしましては、この完全雇用が質量ともにりっぱな雇用形態になるよう持っていこう、こういうことで努力をいたしている次第であります。また、労働災害の防止につきましても新たに力を注いでまいりたい。もう一つ重要な問題は、同時に取り残された日の当たらない労働者の対策、こういう観点で、労働省といたしましては、今国会に最賃法の改正案を提案いたしております。また、五人未満の零細企業の失業保険も改正案を提案いたしているわけでございまして、今後は労働省といたしましては、どちらかといえば、そういう大企業の労働者よりも、取り残されたそういう日のあたらない勤労者の福祉向上につきまして、一そうの努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。(拍手)
#12
○議長(重宗雄三君) 厚生大臣から答弁の補足があります。坊厚生大臣。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(坊秀男君) 先ほどの御答弁を補足いたさせてもらいます。
 抜本対策の内容について少し述べろ、こういうようなお話でございまして、先ほども申し上げましたとおり、牛丸委員会において検討を加えてまいりました。その内容はかくかくのことをやる、こういうところまでは決定いたしておりませんが、その課題を整理いたしておりますので、これについて申し上げます。
 非常に広範で複雑でございますので、その体系の大きな項目を申し上げます。制度の体系に関する事項といたしまして、各制度の統合、統合には一本化ということもございますし、あるいは被用者保険と地域保険とのそれぞれの統合ということもございましょう。統合とまでいかなくとも、各制度間の総合調整ということもございましょう。また、国保の経営主体、これがどういうことに経営主体を持っていこうか、すなわち、国とか都道府県とか市町村、それから、組合制度のあり方であります。
 それから、第二といたしまして、給付の基本的なあり方に関する事項でございます。一体、この給付水準の最終目標をどこに置くべきか、府県によってカバーすべき医療給付の範囲をどうするか。また、一部負担のあり方、療養費支払い制度の再検討でございます。それから、診療報酬のあり方に関する事項、これもたいへんいろいろ問題をかもしておりますが、診療報酬支払い方式の再検討。診療報酬体系の適正化、診療報酬決定のルールでございます。それから、負担の基本的なあり方に関する事項でございます。保険料負担、国庫負担及び患者負担等の負担区分をどうしていくか。それから、保険料負担の公平、適正ということでございます。国庫負担のあり方、これも非常に重要な問題でございます。そういったような事項につきまして、委員会におきまして課題となるものを整理いたしておるのでございます。
 次に、医薬費の増高の原因といたしまして、私は、主としてこれは乱受診だとか過剰投薬だとかいうようなことが、たといないにいたしましても、先ほど申し上げました医学、医術、薬学等の非常なる近年目ざましい進歩がございますので、そこで、質量ともに保険の中におきまする給付が非常にこれは向上いたしておりますので、これが一つの大きな原因となって、そうして医療費が増高しておるということを申し上げたのでございます。
 以上でございます。(「まだ残っているじゃないか」と呼ぶ者あり)
#14
○議長(重宗雄三君) 時間がありません。
   〔森勝治君発言の許可を求む〕
#15
○議長(重宗雄三君) 何ですか。答弁漏れがありますれば、自席において御指摘ください。
#16
○森勝治君 声が届きません。私が医療保険の赤字の原因について質問をいたした中で、答弁漏れがあるわけであります。たとえば赤字の原因の……(「登壇、登壇と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#17
○議長(重宗雄三君) 届きませんか。
#18
○森勝治君 議長、登壇をお許しいただきたい。
#19
○議長(重宗雄三君) 時間が二十分過ぎております。(「聞こえないんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御静粛に願います。そこから言えませんか。(「聞こえない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)聞こえます。(「聞こえない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御静粛に願います。
#20
○森勝治君 私の発言は、厚生大臣の……(「登壇、登壇」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#21
○議長(重宗雄三君) そうはいかない。(「そうはいかないとは何だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)森君の再登壇を許します。
   〔森勝治君登壇、拍手〕
#22
○森勝治君 私は、医療保険の赤字の原因についての質問の中で、労働者大衆と開業医のみにこの原因がある、赤字の問題はそういう問題から出てくるということを言っておるが、そのことについては、勤労者大衆や開業医にそういう原因がありとすることは明らかに不当ではありませんか、厚生大臣の見解を承りたいと、こういう御質問をしておりますが、これにはお答えがないのであります。これを明らかにしていただきたい。
 さらにもう一点は、三者三泣き論という問題で私が申し上げたときに、国庫負担を国民の納得し得る妥当なものとすべきではないか、いかがですかという御質問をしておりますが、このことについてもお答えがないのであります。
 さらに、薬剤費の一部負担の新設という問題で、私がだいぶ質問をしておるわけでありますが、その中の後段で、具体的な医療機関の事務その他の問題を言っておりますけれども、このことはちょっと触れただけで、私が具体的に指摘をしておることについてのお答えがないのです。その結果、医療の質が低下することは必至と見なければなりません、一体厚生大臣はこの姿をどう思われますかということを質問をしておりまするが、この点についてのお答えがないわけであります。
 それから修正案の問題につきましても、私はこういうふうに述べて、大臣の御答弁を促しておるわけであります。二年間の時限立法をしたことによって、厚生当局は、二年後には抜本的対策の緒につく程度でなく、相当部分がすでに実現している状態にしなければならなくなったとして、秋には試案をまとめると言っておるが、この相当部分がすでに実現している状態ということは、明らかに現行制度持ち込み以外の何ものでもない、したがって云々という発言をいたしておりますので、この問題についても具体的にお答えをいただきたい。
   〔国務大臣坊秀男君登壇〕
#23
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 政管健保に赤字が出てきたのは、労働者及び開業医に原因があると、私が申し上げたようなことをおっしゃっていらっしゃいますけれども、私はさようには申し上げておりません。赤字が出てまいりました原因の一番大きなものは、先ほども申し上げましたとおり、この医療給付の、質量ともに向上いたしてきた、こういうことが医療費の増高の原因であると、かように申し上げております。
 それから、国庫負担を妥当なものにしたらどうか、こういうお話でございますが、これは私どもは現行の制度にかんがみまして、今日やりました国庫負担というものが、私どもといたしましては妥当なものであると確信いたしております。
 それから、薬剤費の一部負担については、先ほどお答え申し上げましたとおりのことでございます。
 それから、二年後には抜本対策の相当部分が実現しておるのではないか。私どもといたしましては、抜本対策は、もう二年後を待たずに、来年度におきましてその緒につく、こういう方針でもってやっておるのでございまするので、したがいまして、二年後には相当程度の進捗はいたします。しかしながら、今日の暫定対策がそっくりそのまますべり込んでいくというのじゃないかと、こういう御質問でございますが、さようなことは考えておりません。
 以上でございます。(拍手)
#24
○議長(重宗雄三君) 小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#25
○小柳勇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法特例法について、総理並びに関係大臣に質問する者であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
特に、一昨日の社会労働委員会で、厚生大臣並びに大蔵大臣の意見の食い違いを確かめるために質問を続行しようといたしましたが、中断されました。そういうものをこの本会議で質問を通じて確かめていきたいと思います。
 質問の第一は、この臨時国会を召集して、ばく大な国費のむだづかいをし、国会議員と行政府の首脳部を東京にくぎづけして、日本の経済活動にブレーキをかけ、その上国民から政治に対する信頼を失った政府並びに与党である自民党の責任について質問いたします。
 今回のこの臨時国会の議案は健保特例法のみであります。この法律は、さきの第五十五国会に上程されたものでありますが、あまりにも問題が多く、ついに廃案になったしろものであります。問題点についてはあとで述べますが、百七十有余日の通常国会でついに問題が解決されず、与野党一致で廃案になったものが、再びそのままの姿でこの臨時国会に持ち込まれました。しかも、わずか四、五日間の衆議院の審議の中で、政府原案の根本的な矛盾と欠陥が追及されるや、手のひらを返すがように、その法律を二カ年間の時限立法とし、また、薬代一部負担の効果を、初めの予定の四分の一に削減する自民党の修正に簡単に応じてしまったわけであります。このような無定見さ、無見識さは、われわれの常識では納得できないところでありまして、政府がこの法律をさきの国会に提案した理由は、次のようになっております。「近年、医療保険の財政は、各制度とも悪化の傾向にありますが、特に政管健保及び船員保険では深刻な財政危機に直面しており、このままで推移すれば、制度の崩壊すらおそれられる事態になる。したがって、両保険について当面の収支の均衡をはかり、何としても制度を維持するため、まず国が極力大幅な国庫負担を行なうこととし、同時にこの難局に対処するため、被保険者、事業主、及び実際に給付を受ける方にも協力を願って、臨時応急対策を策定した」、これが原案の提案理由であります。制度というのは、現行制度と解釈するのが至当でありますから、原案は赤字の救済がその主体でありました。
 ところが、衆議院の修正案によりますと、七百四十五億円の赤字補てんは、結局四百二十五億円に削減されてしまった。その中でも、外来投薬の本人一部負担は、本年度わずかに十五億円の増収にしかならないのであります。抜本対策に着手するという来年度の増収見込みを加えても、わずかに五十一億円であります。この五十一億円の補てん財源が、保険関係機関みずからの行政努力でさえ、これを代替することができるではないかと、われわれが社会労働委員会で追及いたしますと、ついに本来の提案理由をかってに変更して、赤字補てんよりも、目的は、むしろこの制度をついに導入する――ただいま森君の質問に答えましたように、抜本改正の中に制度を導入することをその目的とする答弁に変わってまいったのであります。このような無節操な、無責任なことば、こういうような変わった法案をこの国会に持ち込むことは、断じて許せないことでございます。国会を欺瞞し、国民を愚弄し、羊頭を掲げて狗肉を売るような、こういうやり方、これは許せない、これが私どもの主張でございます。この健康保険法改悪が、日本の社会保障制度の後退をもたらすのみならず、政治道義に反するものであり、その無定見、無見識さに対して、厚生大臣の責任を追及いたしたいと存ずるところであります。
 この法案は、社会保険審議会でも論議が紛糾し、社会保障審議会も条件を付して答申しておる内容であります。また、日本医師会、総評、中立系労働組合など、支払い側もこぞって反対している法律であります。この法案が国会に上程されるや、連日、各地から、各職場から反対陳情がなされていることは、皆さん御存じのとおりでございます。このような問題をたくさん持った法律は、慎重に審議されなければなりません。しかるに、この法案が国会に上程されるや、衆参両院とも、与党である自由民主党は、その数の多きを頼んで強引に審議を打ち切り、その本質もわからないまま、この中間報告を求むるの動議を成立せしめ、ここに法律を成立せしめようといたしておるのでありまして、この暴挙は、政治に対する国民の信頼を裏切り、国会の権威は地に落ちるものと断ぜざるを得ないのでございます。現在、国民の最も求めているのは、政治道義であり、国民のためにどのように政治がなされておるか、このことを国民は求めておると考えるところであります。臨時国会を開くならば、政治資金規正法など、政治の姿勢を正す法律をまず成立せしめた後、国民の政治に対する信頼をつないで、しかる後に、国民生活にどのようにこたえるかを論ずべきが、われわれのいまの任務であろうかと考えているところであります。日米安保条約や日韓条約など、イエスかノーかの問題ならばいざ知りません。この種の経済問題で委員会の審議を妨害し、しかも、白を黒と言うがごとき国会審議のあり方は、国民の前に深く恥ずべきことであります。自民党の総裁であり、一国の行政の責任者である総理大臣の責任は重大だと思いますが、総理の釈明を求める次第であります。
 質問の第二は、健康保険の赤字を生ぜしめた責任は、政府にあります。この赤字は、患者負担ではなく、国庫で負担すべきものであると断言できます。組合健保は組合が保険者であります。運営、管理、経理、一切の責任を組合がとるのであります。政管健保は政府が管掌する保険でありますから、運営、管理一切、その経理の赤字も政府が当然責任をとらなければなりません。医療保険の経営では、国保、共済組合の保険あるいは組合健保でも、保険料を負担している側が参加して、その経営の責任を持っております。ところが、政府管掌のこの保険では、安易な法律改正の上にあぐらをかいた官僚独裁制であります。保険料を負担している側は、社会保険審議会で少数意見として述べる機会が与えられているだけで、保険の経営については何ら責任を持つ組織とはなっておちぬのであります。その経営は官僚独裁という形がとられながら、保険運営上赤字を生じた場合に、これを保険料や、一部負担の引き上げによって、労使に負担を押しつけようとするところに問題があり、労使の抵抗が生ずるのは当然であります。政府の管掌する健康保険の経営の責任者は、保険者としての国であるから、その財政上生じた赤字に対しては、政府が責任をとるという原則を、この国会で確認していただきたいのであります。(拍手)
 また、政府の責任であるという第二の理由は、ここであります。保険財政は昭和三十五年度から警戒を要する状態にありました。昭和三十七年、社会保障制度審議会は、総合調整問題を勧告し、制度の根本的検討を指摘したところであります。収支の破綻は昭和三十八年度から発生したが、政府は事態の重要性に関する認識に乏しかったのであります。ついに、去る四月二十四日の答申では  ことしの答申であります。「当然果たさるべき行政努力すら、そのごく一部分が見られたにとどまり、赤字は赤字を重ね、崩壊の危機に瀕している。この間における政府の無策は、いかなる事情があったにせよ、強く責められなければならない」と訴えておるところであります。また、去る四十年十月の社会保険審議会も、「政府管掌健康保険制度が今日の赤字を生むに至ったことについて、政府側に大きな責任がある」と言明をいたしておるところであります。抜本対策を早急に樹立するよう勧告されても、それを手がけることもできず、今日の危機的状態を招来した政府の責任者として、総理の釈明を求めるところであります。
 赤字の第三の原因は、この健康保険の体質自体にあります。御存じのように、この政管健保は、中小企業、零細企業、一人親方の健康保険でありまして、平均給与所得が、組合健保に比べて約三割ぐらい低いのであります。したがって、保険料率が同じでも、保険金の合計はこの政管健保のほうが少ないのであります。また、組合健保の組合員も、この政管健保の被保険者も、病気になってかかるお医者さんは同じでありますから、医療費は同じであります。医療水準は世界的に年々向上しております。給与所得は大企業と中小企業との格差がはなはだしく、医療水準の向上に追いつかないのであります。これが赤字の原因であります。
 赤字の第四の原因は、診療報酬支払いの方法に不合理があるのであります。組合健保のほうは、保険者が組合でありますから、会社の厚生課などで医療費を再審査することができます。一応請求したものが、また請求用紙が返ってまいりまして、厚生課で点検をいたします。しかし、この政管健保では、支払い基金に出た請求書が再び組合に返ることはありません。だから、行政努力による再審査のほかに、何もチェックする方法がないのであります。出来高払い制度の今日の診療報酬支払い自体に多くの問題があります。
 以上のように、政管健保の赤字は、政府の責任にあるので、国庫負担によってまかなうべきであると私どもは主張するのであります。患者の料率引き上げや、薬代一部負担によって埋めるべき性質のものではございません。
 それでは一体、その国庫負担の法律的根拠はどうか、これを先般の社会労働委員会でわれわれが追及したのであります。大蔵大臣と厚生大臣の意見は食い違っております。ただいまから詳しくこれを申し上げます。
 昭和三十二年――さっき厚生大臣が申しました年でありますが、昭和三十二年に健康保険法が改正されまして、第七十条ノ三が誕生いたしました。この七十条ノ三に次のように書いてあります。「国庫ハ第七十条ニ規定スル費用ノ外予算ノ範囲内ニ於テ政府ノ管掌スル健康保険事業ノ執行ニ要スル費用ノ一部ヲ補助ス」とあります。先日の委員会の審議では、大蔵省の見解としては、七十条ノ三は、赤字のときに補助することができるという解釈をとっているのであります。厚生省の立法当時の解釈では――私は昭和三十二年の、厚生省の解釈した本を読んでおるのでありますが、補助するという規定の性格は、補助することを得という規定とは異なり、その額は別として、毎年度国庫が補助すべき義務を負うべきことを表明したものであると言明しておるのであります。なお、国会審議過程で、当時の昭和三十二年の衆議院の社会労働委員会でありますが、いまの自民党の大橋委員がこういう質問をしております。「一体、国は、どれだけ責任を健康保険について持つべきであるか、その理論的根拠をお伺いしたい。」、こういう質問に対しまして、その当時の政府委員がこう答えております。「今日私たちは、一割ということを政府管掌について望ましい姿と考えております。御存じのように、政府管掌というものは、中小企業というようなものが主でございまして、さような観点から、被保険者の実情なり、あるいは財政状態なりというようなものを考え合わせまして、国として税金の一部をそこにさいて投入してもらっても、十分理由は立つのではないかと考えているわけであります。」、こういうふうに当時の政府委員は答弁しております。また、「社会保険に対する政府の補助は、病気についての社会全体の責任の一部を国家が果たすという意味ですね。」と、こう質問いたしましたところが、「そういう方向でものを考えているわけであります。」と答えているのであります。すなわち、国の責任において、社会全体の責任の一部として、保険財政の一割程度を毎年国庫補助するということであります。
 そこで、大蔵大臣及び厚生大臣に質問するのでありますが、この七十条ノ三の解釈は、立法当時の解釈であり、政管健保の国庫補助の法的根拠でありますから、これをこの本会議で確認していただきたいのであります。
 今年度二百二十五億円の国庫補助に対して、大蔵大臣は、赤字だから三者三泣きの立場から補助したと言明され、その算出の基礎は前年度百五十億円の五割増しと言っておられます。また、三者三泣きだから、患者負担がなければ補助しないということも言われました。さっきも、そういうことを、患者や事業主が負担することを前提として国が補助する、こういうことをいまさっき言われましたけれども、これは間違っていると私は考えます。この際、立法当時の解釈を確認しておきたいのであります。
 なお、国庫補助の金額について、昭和三十二年の法第七十条ノ三立法当時には、政府の方針は保険財政の一割くらいという定率補助を言明しているのでありますが、その後、昭和四十年の十月、社会保険審議会は次のように答申をいたしております。「暫定対策実施期間につき平年度二百億円に相当する国庫負担額を追加計上し、残金は借り入れ金でまかなうべきである。」、毎年、平年度二百億ばかりを追加計上して、もし赤字があったならば、それは借り入れ金でまかなっておきなさい、こういうふうに答申をいたしているのであります。この答申を尊重するとすれば、国庫補助として昭和四十一年度は二百三十億円になります。昭和四十二年度は四百三十億円を追加計上できるのでありますから、七百四十五億円の赤字に対して、残金の三百十五億円を借り入れ金でまかなうということであります。現在、二百二十五億円を国庫負担してありますから、さらに二百五億円を追加して残金を借り入れ金でまかなって、患者負担は一切撤回することが答申の趣旨であると考えるが、どうでございましょうか。(拍手)
 なお、七百四十五億円の赤字の問題でありますが、四十年度までは、さっき厚生大臣も答弁しましたように、医療給付費が急激に上昇しましたが、保険料は増加しなかったのであります。ところが、四十一年度、四十二年度では、保険料が急速度に伸びまして、医療給付費は減少しつつあるのであります。いま、これを率で申しますというと 前年対比で見ますと、一人当たり保険料は、四十年度が一一・二%、四十一年度が一七・九%、四十二年度が一九・三%であります。また、一人当たり医療給付費は、四十年度が一九%、四十一年度が一四%、四十二年度が一〇・七%に減少しております。これで見ますというと、いま赤字を予想しておる七百四十五億円のことしの赤字見込みは相当減少するのではないかと私は考えておるところであります。四十一年度決算によっても、約六十八億円赤字が減少しております。これは、この間社会労働委員会で問題になったのでありますが、おそらく、この法律を撤回しても、総理大臣、この法律を撤回しても、来年度までには赤字の大部分が解消するのではないかと私は考えております。もし、赤字が減少した場合でも、政管健保の国庫補助は、ことしを基礎に追加計上されるかどうか、大蔵大臣に質問しておきたいのであります。
 質問の第四は、抜本的改正の問題であります。
 これは、いま森君が質問いたしましたから重複を避けたいと存じます。抜本的改正の内容を早急に国民の前に明らかにしてもらいたい。これは、政府がいま言っておりますように、抜本的改正、抜本的改正と言って、一切それに逃げ込んでおります。だから問題があるのであります。いま国会が混乱しておるのであります。抜本的改正の内容が明らかになりますというと、一部負担の問題もこれに関連するかしないかということで納得するのでありますから、いま若干ここで報告になりましたそういう毛のを、もう少し詳しく国民の前に明らかにいたしますと、この国会はそう紛糾しなくて済んだのではないかと私は考えるのでありますが、問題はたくさんあります。
 いま厚生大臣が言われました問題のあとにもたくさん問題があります。たとえば、医療費の問題があります。これは、中央医療協議会がいま開店休業でありますから、委員がきまりますと、答申がありましょう。この秋には答申がありますから、医療の診療報酬はこれできまってまいりますが、同時に、私ども支払い側が主張しておりますのは、医業経済実態調査をすぐやってもらいたい、医者の実態調査をすぐやってもらいたいということを常々私どもは主張しております。この問題について「文化と緑化」という雑誌に載っておった論文でありますが、ちょっと読んでおきたいと思います。「衆参両院に三百二十余人の医療議員といわれるものがあり、選挙を考えるなら医師会を無視できないというのが定評のようである。四十一年の高額所得者の所得番付で、茨城ではベストテンのうち医師が五人も占めていたが、それだけでなく五百万から一千万円の医師は税務署調査によると、三十八年の九八一人、三十九年二、〇七二人、四十年三、七八六人、とふえており、同様に一千万円以上は一二五人、二六二人、五七四人と倍増しているという。また活性ビタミン剤の保険基金への請求がわが国の総生産額を越えており、医師の手を通じての活性ビタミン剤は総生産額の半分以下という奇怪なうわさも流布されている。これでは医師会が医業実態調査を拒否するのも、ありそうなことだと信じたくなるのは筆者だけではあるまい。こうしたことに対して、何らの憤りも感ぜず、これを見越してただ応急策の提案と、それに対する反対に終わっているのが国会であるとすれば、何をかいわんやである。これでは諮問機関が四十三年には必ず抜本対策を示せと要望しても、一厚生大臣の手に負えまい。与党も野党もあげて断乎起つ気概が必要である。」云々という論文がありますが、抜本対策と医業経済実態調査について、現在の取り組みを、厚生大臣からお聞きしたいのでございます。
 第二は薬価調査の問題でありますが、四十二年度の総医療費は、さっき森君も言いましたように、一兆四千億と言われ、その四〇%は薬剤費であり、金額にしておよそ五千六百億円であります。この医薬品代の一〇%を値下げするとすれば、およそ五百六十億円の医療費の減額になるのでありまして、現在の医療保険の一つの大きな問題点であります。薬価基準の引き下げなり、九〇%バルクラインの改定など、薬剤費の根幹をなすものについて、厚生省の抜本改正の取り組みを詳しく聞きたいのであります。なお、一流製薬会社が、薬品卸業者に対して、医家納入薬品希望価格を秘密文書で指示していることも、委員会の論議の中で出てまいりました。これは衆議院でも参議院でも問題になったのでありますが、これが薬価調査に悪影響を及ぼさないよう、今後の措置をお願いしたいのでございます。
 第三は診療報酬支払い制度の問題でありますが、これは森君もさっき問題にされました。先般、私の地元のほうで厚生技官二人が逮捕されました。これは贈収賄でありますが、逮捕されました。現在、歯科医師の方が多数参考人として召喚されておりますが、これは簡単な問題であります。平素お世話になるからといって、お中元を贈ったりということが投書によって――医師会の内部の派閥の問題とか聞きましたけれども、投書によって出た問題でありますが、制度の問題でありまして、この診療報酬支払い制度の問題は早急に抜本的に改正しなければ、さらに問題は悪くなる、こういうふうに考えるところであります。
 こういうことで、抜本対策の根本は、社会保障制度の前進の方向で問題が検討されなければなりません。特に社会保障制度審議会が答申しておりますように、ことしは一兆円予算を希望しました。ところが、残念ながら七千億でとまっているところであります。この社会保障制度の前進のために、総理大臣なり大蔵大臣はどういう御決意であるか、聞きたいのであります。
 最後に、総理に質問いたします。以上のように、この法案は原案の趣旨と異なり、異質のものとなって、いまここで論議されておるのでございます。ただいま最後の討論のさなかでありますが、保険財政の赤字は国の責任であり、制度の改変は総合的な抜本対策の樹立のときに検討さるべき問題であります。いずれにしろ、ここでこの法案を通過せしめることは、社会保障の前進のためにブレーキとなり、低所得階層の受診率を低下せしめて、国民健康の向上を阻害するものでありますから、直ちにこれを撤回して、あらためて再検討されることを総理大臣にお願いいたしまして、私の質問を終わるところであります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(佐藤榮作君) 小柳君にお答えいたします。
 今回、この臨時国会に、前特別国会で廃案になったものを引き継いで出した、さらにまた会期も延長した、そうして混乱させたその責任はまことに重大だと、こういうおしかりを受けたのでございます。私が申し上げるまでもなく、政治を担当しております政府といたしましては、もちろん国民に対して、国民のためになる法案を提案しておるのでございます。私はそういう意味で、国民の批判を受けること、これは当然、謙虚にその批判を受けるつもりでございます。
 また、その内容について、これは制度上の改悪で、それを志向するものではないかというお話でございますが、これは、たびたび委員会等におきましても申し上げましたように、いわゆる制度上あるいは法制上のひとつの問題ではございません。これは、どこまでも特例法であるということを、委員会においても説明いたしましたが、重ねて申し上げておきます。
 次に、今回のこの政府管掌健康保険の赤字は、これは政府の責任だと、こう言って、政府の責任なるがゆえに、当然国庫で負担すべしと、こういう結論を出していらっしゃいます。しかし、この赤字は、先ほども森君に厚生大臣からお答えいたしましたように、医療給付費がふえておる、急にふえたと、そのための赤字でございます。その医療給付費がどういうわけでふえたか、これにはいろいろの理由がございます。いわゆる医学、薬学は、たいへんな発展でございますし、また、医療機関の整備、充実もできました。また、所得水準の向上もございます。あるいは人口構成の変化等、いわゆる医療の面における需給――需給の面における変化が大きく影響しております。同時に、また、御指摘になりましたように、制度上の問題もございます。したがいまして、今回は臨時特例を設けますけれども、これらの問題を探求して、いわゆる抜本対策、基本対策を講じなければならないこと、これはもう当然でございます。したがいまして、これらの点については、しばしば厚生大臣からもお答えいたしたのでございます。政府といたしましては、これらの問題と真剣に取り組んで、そうして四十三年度におきましては、その緒につきたい、かように考えておるような次第でございます。
 次に、この社会保障制度の充実、前進をはかれ、こういう御意見でございますが、私どもも、財政の許す限り、その方向で前進をする決意でございます。
 また、最後に、これはお願いだと、かように小柳君は断わられました。そうして、今回は、ぜひこの暫定特例法を引っ込めてくれ、こういうお願いでございますというお話でございますが、私のほうからもお願いをしたい。今回は、ぜひこの特例法を成立させていただきたい、これをお願いいたしまして、私の答弁を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(坊秀男君) お答え申し上げます。
 薬の一部負担についてでございますが、この薬の一部負担は、大蔵大臣との間に意見の相違があるじゃないかと、こういうお話でございますが、薬の一部負担は、今度の臨時緊急対策の中の、これは一つの大きな柱だと私は考えております。その柱でございますので、結局、十五億円という財政効果ということになりましても、この十五億という財政効果が非常に少ないから、やめたらどうだ、こういうお話でございますけれども、暫定対策としては、これを一つの大きな柱と考えておりますので、これをやめるということは考えません。しかしながら、これを健康保険の中の仕組みとして、そうして抜本対策にすべり込ましていこうというようなことは、しばしば申し上げておりますとおり、考えていないということを、ここではっきりと申し上げておきます。
 それから、健康保険法第七十条ノ三の問題でございますが、これにつきましては、この規定は政府管掌健康保険の健全な財政運営によりまして、その発展をはかるという見地から、国が予算の範囲内で国庫補助を行なうという趣旨のものでございまして、単なる赤字補てんのための国庫補助の規定ではないと考えます。政府は、この規定の趣旨に基づきまして、その後毎年度政管健保に対する国庫補助を継続して行なっておりまして、特に財政収支の均衡を失したような場合には、もちろん健康保険の健全なる発展を期していかなければならないということでございますので、この規定を強く適用いたしておるというわけでございまして、たとえば、昭和四十年度、四十一年度及び本年四十二年度予算に見られるように、大幅な国庫補助を行なっているところでございます。
 それから、昭和四十二年度において四百三十億円の国庫補助をせよと、こういうお話でございますが、これは、おそらくは、昭和三十二年度において赤字見込みが五十四億円に対して三十億円の国庫補助がなされているところから、昭和四十二年度においては七百四十五億円の赤字見込みであるから、それ相当の補助をすれば四百三十億円となるということであろうと考えられますが、保険給付費に対する国庫補助額について見ると、昭和三十二年度においては六百一億円の保険給付費に対しまして三十億円の国庫補助がなされております。昭和四十二年度において、これと同様に見積もるとすれば、国庫補助額は百九十億円となるものでありまして、今日の国庫補助額二百二十五億円は、当時の状況に照らしても、決して少額のものではないと思います。三十二年度における保険給付費の見込みは六百一億円でございまして、四十二年度におきましては保険給付費の見込みが三千七百八十三億円でございます。両者の国庫補助が、三十二年度において三十億円、四十二年度において御案内のとおり二百二十五億でございますが、三十二年度においてはその割合としては五%でございまして、四十二年度におきましては五・九%と相なっておるわけでございます。
 それから、政府管掌の健康保険は、これは組合健保に比べまして、その背景が非常に脆弱であって、したがって、非常に内容が悪くなるじゃないか、一に赤字が出てくるというのは、そういうことではないか、経営が困難になってくるのは、そういうことに端を発するのじゃないか、こういうお話でございますが、私も、政管健保と組合健保との背景、内容等については、相当の違い、開きのあることは、認めざるを得ないと思います。さようなわけで、政管健保に対しましては、先ほども申し上げておりますとおりの、国庫の腰入れと国のささえというものを政管健保のほうではやってきておるというわけでございます。
 それから薬価の問題でございますが、薬価の問題につきましては、政府といたしましては、薬価基準が常にそのときの実勢薬価にあまり乖離しないというように持っていかなければならないことは当然のことでございまして、鋭意努力をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、実勢の薬価を調査するためには、関係者の協力がなければ、なかなか困難なことでございますが、最近におきまして、いよいよ本年二月の薬価を調査いたしまして、そして薬価の実勢というものを調べまして、そうしてこの実勢が薬価基準に反映されるように、これを最も近い機会に実現をしてまいる、こういうふうに考えております。
 それから、「ボウ」メーカー、私ではありませんが、あるメーカーでございます。ある薬のメーカーの希望納入価格表の希望につきましては、現在これが真相を究明中でありまして、この事実について確証が得られたならば、それに基づきまして、きびしく責任を持って措置いたす所存でございます。
 なお、しばしば申し上げておりますとおり、抜本対策の中には、私どもといたしましては、診療報酬体系が、これが適正化されるということが抜本対策の一つの大きな車の両輪とも考えておるのでございまして、この診療報酬体系を中央医療協におきまして、その方法論等について検討をしていただいておりますが、その結果がきわめて近い機会にもたらされるということに相なっておりますので、これに基づきまして善処をしてまいりたいと考えておるのでございます。
 大体以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(水田三喜男君) 最初に、社会保障費の一兆円問題に対してお答えいたします。社会保障に対する国庫負担は、国民経済の発展に応じて充実強化をはかるべきものであると考えます。で、本年度の社会保障関係費は、御承知のように七千百九十五億円、社会保障に類似する恩給費を加えると九千三百七十四億円ということになっておりますが、いずれにしろ、まだ社会保障費が一兆円という目標には達しておりません。そこで、今回の経済社会発展計画を政府でつくりましたが、この計画でも、四十六年度の振替所得を国民所得に対して七・二%程度に引き上げるということを、この計画で目標としておりますが、四十六年度までに七・二%に引き上げるということは、たいへんな努力で、少なくともいままでの社会保障費の伸び率よりも相当多い伸び率を確保しないと、この目標に達しないということでございますが、しかし、私どもはこの目標に従って今後の社会保障関係費の拡充をはかってまいりたいと、そういうふうにいま考えております。これは何とかこの目標に沿うように私どもはやっていきたいといま思っております。
 それから、健庫保険法の七十条ノ三の規定についての御意見でございましたが、これは先ほどのお話で、大蔵省は赤字に対してだけ補助するという解釈だというふうなお話でございましたが、私どもはそういうふうに解釈しておりません。健全な財政運営によって、その発展をはかるという見地から、国が予算の範囲内で国庫補助を行なうという趣旨でございまして、これは単なる赤字補てんのための国庫補助の規定ではないというふうに考えております。したがって、この規定の趣旨に沿って毎年度政管健保には政府は補助金を出しておりまして、ただ三十億出したあとでこの政管健保が非常に黒字になってきまして、二百億の積立金を持つ、こういうようになってきましたので、昭和三十五年以後、五億円、八億円というような補助で三十九年までまいりましたが、四十年になって赤字が出てまいりましたので、三十億円にするし、四十一年に百五十億円、四十二年度――本年度は二百二十五億円というふうに、国庫の負担を年々増してまいりましたが、これは特にこう多くふえたということは、この赤字を国が負担する意味だという説明をしただけでございまして、この七十条ノ三の趣旨が赤字にだけ金を出す趣旨だということを、私はこの前の委員会で申したわけではございません。
 それから審議会の答申で二百億円という話でございましたが、これは四十年度の審議会の答申でございまして、当時の財政事情から、二百億円くらい国の補助が必要である、この答申に基づいて、四十一年度に百五十億円を国が負担したということでございますし、今年度の二百二十五億円については、また今年度のいろいろ審議会関係の答申を得て、やむを得ないという答申を得て二百二十五億円の予算を計上したということでございまして、審議会もやはりこの政管健保については、そのときどきの財政事情によって、これくらいの負担が適当であろうという答申をしておるということでございまして、別に何億円、これを定期的に国庫が負担しなけりゃならぬというような趣旨の答申をしているということではございません。そういうふうに私どもは解釈して、今年度は今年度の対策として二百二十五億円を計上したという次第でございます。(拍手)
   〔小柳勇君発言の許可を求む〕
#29
○副議長(河野謙三君) 小柳君、答弁漏れですか。御登壇の上、御質疑を願います。(「再質問、再質問」と呼ぶ者あり)再質問ですか。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#30
○小柳勇君 ただいまの厚生大臣並びに大蔵大臣の答弁で、私が質問いたしましたのは、この七十条ノ三は昭和三十二年の三月に成立いたしました。そのときの考え方は、その前のほうだけは正しいわけです。その健全化と制度の合理化とをはかるべく、保険給付費などに対する国庫補助制度を明文化したものである。そうしてその解釈として、なお、「補助ス」という規定の性格は、「補助することを得」という規定とは異なり、その額は別として、毎年度国庫が補助すべき義務を負うことを表明したものである。この健康保険法七十条ノ三ができたそのときの考え方が、こうでありますから、これはいま大蔵大臣も最後に言われましたように、答申の線に沿って毎年毎年この政管健保に対する補助が変わっては困るわけです。そんなにその答申をいいほうにだけ、政府のいい都合にだけ使っては困るわけでありまして、政管健保の国庫補助というのは、七十条ノ三によって毎年義務的に補助するものでありますぞと、これをまず確認してください。その金額は、当時の立法者が言っているのは、およそ一割程度を定額補助す、これが政管健保の性格上正しいでしょうという、この法律解釈も議会に速記録がありますが、そう言っておりますから、こういう線で今後とも考えていかれることを確認していいかと、これが私の質問です。この点につきましては、厚生大臣も非常に消極的な解釈です。これでは政管健保の保険がよくなるはずはないと私は思う。もっと積極的に、こういうふうな解釈があるのだから、これを大蔵省に主張して、定率補助の方向に持っていかなければ、政管健保の発達はないのではないか。
 それから、ただいま最後のほうで大蔵大臣が言われた社会保険審議会の答申が、これは四十年十月の答申は、暫定対策実施期間につき平年度二百億円に相当する国庫負担額を追加計上し――追加計上ですね、昨年度百五十億を補助したならば、ことしは平年度二百億を追加計上して、なお残余の金が必要である場合は、借り入れ金でまかなうのが至当であると、こういう答申ですよ。それをまた、ことし適当にその答申を変えて、ことしは二百二十五億やった。国会の委員会の答弁では、昨年が百五十億でありましたから、ことしは五割増しにいたしました、こういう答弁をしておられる。そういうような基礎では毎年毎年補助が変わりますから、これでは政管健保をやっているものが困る。一番困るのは厚生省なんです。そういうことでは困るから、定率補助、あるいは定額補助でもかまわぬけれども、こういうような答申の線なり法律の精神に沿って、政管健保は国が責任者であるから、この健全な発達のためには、国が責任を持って国庫でめんどうを見る。いま国民健康保険に対しまして定率四割の補助が確立されたように、政管健保についてもこの七十条ノ三によって定率の補助が毎年出る、こういう体制をつくらなければ、この法律を通すわけにまいらぬというのが、私どもの主張であります。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(坊秀男君) 健保法七十条ノ三についての御質問でございますが、これは先ほどからお答え申し上げましたとおり、政管健保の健全なる運営をやっていくために、予算の定むるところによりまして、政府がこれを国庫補助をしていく、こういう規定でございます。そこで、赤字があるとかないとかいったようなことに関係なく、健康保険を健全に運営していくというために予算の範囲内で補助をいたしていくということでございます。
 そこで、一体、定率でもって、具体的に申し上げますと、やるかやらぬか、こういう御質問でございますが、この政管健保に対しまして、国庫補助を定率でやるか、あるいは定額でやるか、何かそういったような方式をきめたらどうかということでございますが、これは非常に重大なる問題でございまして、私どもといたしましても、この問題を決して軽視したりなんかするつもりはございません。かような重大問題こそは、これが抜本対策における一つの重大なる課題といたしまして、これを検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(水田三喜男君) 政管健保の財政の健全化をはかるために国庫が補助する、この原則はおっしゃるとおり、私も十分認めます。しかし、金額をどうするというのは、いわゆる予算の範囲内においてということでございまして、これを定率とかあるいは定額というような問題になりますというと、これはいま厚生大臣の言われるように相当大きい問題でございますので、これの解決はやはりこの抜本解決の問題になるのではないかというふうに私も考えます。(拍手)
#33
○副議長(河野謙三君) 小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#34
○小柳勇君 いまの厚生大臣並びに大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、私どもがいままで論議したものからもっと後退しているわけです。この二百二十五億円、ことし補助いたしました。この金すらほんの涙金でして、全然その根拠がなかったわけです。これでは今後の政管健保の発達などということを口にすべきではないのですよ、政府は。法七十条ノ三ができたときに、それまでこの法律がなかったから、政管健保がもう非常にひ弱かったから、あやふやだった。だから、厚生省の皆さんの先輩が苦労して七十条ノ三を昭和三十二年の三月につくったわけです。それで政管健保が――そのときの答弁にもありますように、いまの運輸大臣大橋武夫君が衆議院の社会労働委員会で質問している。それに対して政府委員が答えている。それは、政管健保が非常に弱い中小企業、零細企業のものであるから、この程度の政府の補助をしなければ健全な発達はできないと、そういうことで大橋君の質問に政府委員が答えているわけです。それで私は言った。あなた方のいまの答えはこの当時から一歩後退しているわけです。それではいまの二百二十五億の補助をもう来年は――もしいまこれから予想の七百四十五億の金が、少し保険料がよくなって、これが少なくなると、二百二十五億の補助すらゼロになる危険性がある。あなたは、また、今後料率を上げる、あるいは一部負担をふやして、患者からしぼり取る方法しか考えないではないか。そういう問題があるから、そういう弱い者に、もっとこの法律なり、社会保険審議会の答申なりを積極的な方向で取り上げて、さっき一兆円の社会保障の予算、総理大臣がはっきり言明されたけれども、そういうものとして考えていってもらわなければ困るわけです。しかも、厚生大臣は抜本対策の中でこれを検討するなんて、まだ逃げ口上を言う。だから、この国会は混乱しておるわけですよ。もしこのことが、いま私が言ったようなことを抜本対策に入れるならば、抜本対策の一環として、私が言っておることを取り上げることがこの国会の大きな意義ではないか、御答弁を願いたいのであります。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(坊秀男君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、政管健保は組合健保等に比べまして、これはその背景、それの結成、組織しております分子と申しますか、そういったような方々が、財政的にも経済的にも非常に弱いということは、これは認めざるを得ないと思います。そこで、七十条ノ三というものが、これが政管健保に対して特別に予算の定めるところによって政府がささえるということをきめておるのでございまして、その額等につきましては、小柳委員先ほども御指摘になりましたように、額はともかくとして、何とかその率といったようなものを、これをきめるべきである、こういうことでございますが、その率をきめるということは、これは制度の根幹に触れる問題であると私は思います。制度の根幹に触れる問題は、積極的に考えましても、これは抜本対策の一つの大きな問題であるということでもって、これを解決してまいりたい、かように考える次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほど申しましたように、政管健保に対する国の補助ということは必要であり、この原則を認めておりますが、さて、補助のしかたを定率でやれとか、あるいは定額でやれという問題になりますというと、いま厚生大臣が言いましたように、これはやはり制度として大きい問題である。したがって、もし政管健保をこのままにして置くのか、あるいは他の健康保険と一緒にするとか、この保険給付の均衡をどういうように保つかとか、いろいろな問題がこれから研究される抜本対策だと思います。で、その対策のいかんによっては、あるいはこういう健康保険の、定額の国庫補助が必要だとか、あるいは定率の補助が必要だというようなことが出てくるかもしれませんが、いまのところ、国が補助するという原則は認めておっても、その問題に触れるところまではいっておりませんので、結局これを合理的に解決するためには、やはり抜本対策の過程の中で解決していくよりほかしかたがないのではないか、私もそういうふうに考えます。(拍手)
#37
○副議長(河野謙三君) 厚生大臣から答弁の補足があります。坊厚生大臣。
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
 当時七十条ノ三について政府委員が答弁いたしましたことは、当時の金額といたしましては一体どれくらい補助するかということについて、その当時の金額については一割というぐらいの趣旨のことを申し上げたのでございまして、これが常に恒常的に定率をきめる、こういうふうにお答えしたことではないというふうに私は理解いたしております。(拍手)
#39
○副議長(河野謙三君) 白木義一郎君。(「そんな答弁はないよ」「われわれは了承ができない」「総理にやってもらわなければだめだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)佐藤内閣総理大臣。
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(佐藤榮作君) 大蔵大臣、厚生大臣からお答えをいたしたのでございますが、私が総理でございますので、責任者としてお答えをいたします。
 政府は、もちろん法律は守らなければなりません。したがいまして、法律の立法の趣旨、これを尊重していく、これには間違いございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○副議長(河野謙三君) 白木義一郎君。
   〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#42
○白木義一郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 およそ健康と生命を守ることは、働く人々の幸福と社会の繁栄を築く最も基本的な問題であり、わが国憲法においても、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定されております。したがって、人間として生まれた以上、生きる権利とそれを守る健康とは、社会全体の責任として保障されるべきであります。
 健康保険法は、働く国民の健康と生命を守る大切な制度でありますが、政府は、保険財政の大幅赤字を理由に、保険料率等の値上げを含む改悪案を前国会に提出し、国民の支持を得られず、ついに廃案になったものであります。それをそのまま臨時国会に持ち出し、国民の声を聞こうともせず、この改悪案を強行成立させようとしているのであります。すなわち、自民党は、八月二日に、衆議院社会労働委員会で各党が取りかわした慎重審議の約束を一方的に破り、たった三秒間で与党修正案まで一緒に強行採決いたしました。これは議会制民主主義を踏みにじった許すことのできない自民党の暴挙と言わなければなりません。そして七日には、衆議院本会議において絶対多数の力を頼み改悪案を成立させ、十日には、会期を八日間も延ばし、参議院の質疑もいまだ終わらないうちに中間報告を求め、一挙に成立をはかろうとしていることは、わが国憲政史上一大汚点を残すものと言わざるを得ないのであります。
 そこで、まず佐藤総理に対し、自由民主党総裁として、このような改悪法を提出し国会を混乱させたことについて、その責任をどう考えているか伺いたいのであります。
 第二間は、保険制度の抜本策について、すでに社会保険審議会から四十年十月に、抜本的対策の早期樹立についての要求がなされ、かつきびしく警告されていたことは御承知のとおりであります。すなわち「診療報酬体系の適正化、医療経済に関する調査の実施、薬価基準の適正化、各種医療保険制度のあり方等について抜本的な検討を加え、すみやかに制度の健全化の方途を講ずべきである」と答申がありましたが、二年を経過した今日、いまだに政府として対策が立てられていないことは、重大なサボタージュであると言っても過言ではありません。これまでも政府は、昭和四十二年度から抜本対策を講ずる旨を強調しておきながら、いまだにその具体化もなく、ただ漫然として赤字の累積のまま今日に至った怠慢のそしりは免れないと思うのであります。医療問題は、とかく政治的に取り扱われ、そのため政府として当然果たすべき多くの責任が果たされず、幾たびか政府の公約は流されてきたのであります。したがって、国民の政府に対する不信感は、きわめて根強いものがあります。佐藤総理は右顧左べんに終始することなく、物価高や重税に苦しむ国民大衆のために、本気で英断をもって、その改革案の青写真を示さなければならないときがきているのでありますが、その抜本対策の具体的にして明確なるプログラムをお示しいただきたいと思います。ただいまの質疑にありましたとおりに、坊厚生大臣は防戦これつとめている状態であります。厚生大臣の、平均の任期は、七、八カ月であります。したがいまして、当面の責任者といいましても、最高の責任者は総理大臣であると思いますので、この重大な国民生活に関係のある保険制度につきまして、総理大臣は抜本的に責任のある対策を明示すべきであると思うのであります。たとえて言えば、いまある家はこわれかかってきた。したがって、今後においてりっぱな家を建てたい、一体木造にするのか、あるいは鉄筋の家を建てるのか、その根本的な政策、考え方を、総理は国民の前に、現在明らかにすべきであると考えるものであります。
 第三問は、保険財政の赤字対策についてお伺いしたい。政府の無策にひとしい医療行政の拙劣、怠慢、ひいては抜本対策に対する弱腰から、健康保険制度発足以来、最大の試練に直面した保険財政の行き詰まりを、安易に国民大衆の負担にすりかえて、生活と健康管理に重点を置いて考えるべき医療問題を、財政面からのみとらえ、処理しようとする政治のあり方には絶対反対であります。
 政府は国民の反対をおそれ、本法に一部の修正を加え、保険料率の千分の七十二を七十に、また、二万四千円以下の低所得者からは薬代の一部を取らないことに改正しておりますが、いずれにしても、国民の願うところとは逆に、保険料率の大幅引き上げをはじめ、一部負担の増額、薬代の一部負担の新設など、勤労者を極度に圧迫する今回の特例法案は、まさに健康保険法の改悪であると断定せざるを得ません。保険財政に赤字が出たから、保険料の値上げをして埋め合わせをするという安易な対策なら、佐藤内閣でなくても、子供でもできるでしょう。これではあまりにも智恵がなさ過ぎはしないでしょうか。
 したがって、政府の責任において、抜本対策の確立までは、社会保障的見地に立って、国庫負担の大幅増額や借り入れ金でまかなうべきであると思います。幸いに、本年度は経済の成長率が大きく、税の自然増収も五、六千億円見込まれておるので、財源には何らこと欠かないと思われますが、総理及び大蔵大臣の所信をお伺いしたいと思うのであります。
 第四には、健康保険制度自体に大きな欠陥が指摘されております。特に、実情にそぐわない現行の薬価基準が膨大なる赤字の原因となっていることであります。先ほど申し上げた答申にもありましたように、診療報酬体系の整備、薬価基準の改正、病院の経営監査の実施等々、一刻も早く着手しなければならない課題が山積しており、薬価基準の適正化などは、すぐにも手をつけられることの可能なものであります。
 昭和三十八年以来、いまだにこの薬価基準の改正は行なわれておりません。現在厚生大臣がきめている基準の価格より、実際に医師や薬剤師が購入する値段には、かなりの開きがあるのです。
 一例をあげるならば、薬とは、戦前の概念でいえば、病気にかかったときに飲むものでありました。ところが、戦後の薬は、「病気にかからないように」という予防薬として、そして最近では、「健康を維持する」保健薬として売られるようになりました。このように薬のイメージは変わってまいったのであります。薬はいまや、病人だけが飲むものでなく、健康な人も飲むものとなりました。これが、薬が数多く売れるようになった原因であります。医薬品業者は、治療薬から保健薬に戦略の転換を行なうことによって、市場の拡大に成功したのであります。現在、病人の数は、健康人に比べれば、はるかに少ないのであります。したがって、病人だけを対象にしていては、薬の市場は広がらない。健康人にどうして薬を飲ませるか、これが戦後の医薬品メーカーの一貫した課題となってまいりました。多くの日本人は、安定して見える社会生活の中にあって、政治不信を頂点とした生活苦、交通地獄、戦争への不安といった、心の底に何らかの不安を持って暮らしているのであります。医薬品メーカーは、こうした生活上の不安を、健康上の不安と結びつけて、「とれない疲れ」「だるい・腰が痛い・朝食がまずい」「三十代から始まる病気でない病気」、毎日のように不安をかきたてられると、多くの人は、この薬を飲まねば現代を生き抜けないのではないかと錯覚させられるのであります。「病人でもないあなたに、もし、だるい・腰が痛い・朝食がまずい、こんな不快な自覚症状がありましたら、やはりあなたも「半健康人」の仲間です」――「半健康人」、うまいことばではないですか。病人ではない、しかし、完全な健康人でもない。この活性ビタミン剤の広告は、現代人の不安を巧妙にかきたて、拡大することによって、新しい需要を呼び起こしております。しかも、常備薬にしたため、かえって、からだをそこなう結果を招くものすらあります。総理は、このような国民の健康を侵害してまでの薬の販売合戦をどのように考え、どのように規制せんとするか、お伺いいたしたいと思います。
 こうして、大衆薬はこの数年間に飛躍的な成長を遂げたのであります。ビタミン剤の総生産額は、昭和四十一年で一千億円近くに達しております。そこで、活性ビタミン剤がどのように扱かわれているか、実情を示し質問をしたいと思います。
 活性ビタミン剤の代表であるある製品は一般消費者向けと医者向けと二種類あります。薬の内容は、医者向けの活性ビタミン剤にB6とB12が加わったのが、一般消費者向けの製品であります。
 B6とB12は、どういう効果をあらわすかといえば、これが微妙なもので、薬屋さんの説明によりますと、神経系統から筋肉系統の機能を円滑にする役目をするそうであります。だから薬を飲んで気分が爽快になったらきいたんだなあと、そういうことも言えるわけであります。そういう内容から言えば、医者向けと一般消費者向けと分けること自身がどうかと思われてくるのであります。そうして、一般消費者に対しては、二十五ミリ一錠二十一円と再販価格で押えて高いものを買わし、医者向けには、定価は十五円四十銭でありますが、実際には半値の七円ないし八円の自由価格で安く売られております。私は、こういうところに消費者不在の医薬行政の不合理な点があると思いますが、総理大臣の御所見を伺いたいと思います。かつてマッカーサー司令部の環境衛生担当官であったサムス准将が、日本の医者は薬屋だ、歯医者は金細工屋、薬屋は雑貨商であると、日本の医薬業界を批評しておりましたが、まさにそのとおりであります。この汚名返上のため、終戦後二十二年政府はどのような対策をとってきたか併せてお答え願いたいと思います。
 このことについて昭和四十一年八月十二日号の週刊朝日は、物価特集として「ビタミン戦争の実態」という記事を載せております。この記事は超マスコミ商品といわれる活性ビタミン剤を中心に、現在のビタミン戦争の内幕をえぐり出して話題を呼んだものであります。この記事にも指摘されておりますが、先ほど申し述べたとおり、一般消費者向けのものは当時一錠十五円四十銭で売られております。ところが、病院など大口需要者には、一万錠につき一万錠のおまけをつけるという販売方法がとられております。つまり病院向けは、表面上の定価は同じでも、実質は半値で、一錠七円五、六十銭にしかならない。製薬会社はこの事実を否定しておりますが、他の会社の営業マンは「大口需要者をねらうビタミン戦争は、そりゃ激しいもんです。ことにあとから割り込もうとすると、新参の悲しさ、他社が一万錠に一万錠つけるたら、こちらは二万錠三万錠と添付を増さなければならない。そうなると、表向き一錠十五円もするものが三円ないしは四円となる。それでもビタミン剤はもうかるんですなあ。」と語っております。この記事に対して製薬会社から強い圧力や抗議が出され、しばらくの間広告面に影響があったという話が伝えられております。
 健康保険では薬によって利益をあげてはならないことになっておりますが、先ほど述べた例でもわかりますように、高くて八円、安くて四円ぐらいで購入して、十四円で請求をしております。健保の規定では、一日六錠でありますから、八十四円の申請をして、半分以上、あるいは、三分の二が薬代の利益になるのであります。このような例は、活性ビタミン剤だけでなく、ズルファミン剤など、すべての薬品に見られるのであります。このような矛盾した薬価基準があってよいものでしょうか、このことから考えても、薬価基準の引き下げをするのは当然であると思いますが、総理大臣並びに厚生大臣は、いかなるお考えであるか、お聞きかせ願いたいと思います。このように現在の購入価格と薬価基準の差をなくせば、三百億円ぐらいの財源が浮くはずであると指摘をされているのであります。なるほどメーカーの申し合わせ価格は、その約半値なのでありますから、三百億円の節約も可能であると考えられますが、厚生大臣の薬価基準の改定について御所見を承りたいと思います。
 第五に、懸案の医療経営実態調査の件について厚生大臣にお伺いいたします。
 これは診療報酬の算定の基礎となる重要事項であり、第三者機関による公正な実態調査は、絶対必要欠くべからざるものと考えますが、何ゆえ今日までできなかったのか、またその実施について、今後どのようにしてやるのか、その決意をお答え願いたいのであります。
 第六問は、医療機関の指導、監査の現況について厚生大臣にお伺いしたい。
 保険財政の赤字対策と関連して、薬剤の乱用、保険医の乱診、並びに指導、監査については、支払い側団体からしばしば指摘されているとおりであります。注射や投薬に重点を置いた現行の診療報酬体系に、適切なる改正を加えると同時に、保険医の不正治療等について、その未然防止のため、指導、監査を強化する必要があるのではないでしょうか。また、最近における指導、監査の回数、監査の結果についてお伺いいたしたい。各府県別に見て、監査回数が年にわずか一回あるいはゼロというのは、いかなる理由によるものでしょうか。また一人当たりの診療費について、佐賀県、京都府が特に高いのはなぜか。また、監査にあたって、監査を拒否する診療所に対して、いかなる今後手を打っていくか、お聞かせ願いたいと思います。
 特に去る四月五日の社会保険審議会の席上で、京都の医療給付の高い点が問題となり、厚生当局は、「京都の保険医の間では、低医療費に対する抵抗として、三ケタ運動という水増し請求が行なわれた事実があり、その結果、京都の医療給付額が、他の地域に比べて非常に高くなったと推定している」と答えておりますが、三ケタ運動とはいかなる運動をいうのか、お答えを願いたいと思います。
 第七問は、医療制度、特に専門医制度と医薬分業についてお伺いいたします。わが国の医学、医療は高度の進歩を遂げ、国際的水準に達しているにもかかわらず、病院と診療所との機能分化、すなわち専門医制度が、欧州先進国よりきわめて立ちおくれております。また、医療機関が地域的に偏在することなどから、医師の不足が問題にされております。もともと、医師の数は、その人口当たりにしても、諸外国に比べ、それほど低いほうではありません。ソ連、イタリアには及ばないとしても、オランダ、ノルウェー、英国など社会保障の進んだ国に比べて同じ水準にあることが、統計で明らかであります。にもかかわらず、医師の不足を感じさせるのは、医療制度の欠陥によるものであります。今後ますます医療需要が増大される傾向にある今日、わが国の医療の仕組みは、早急に検討されねばなりません。また待遇と養成に大きな問題を持つ看護婦の件など、数多くの改正すべき点をはらんでおります。専門医制度についても、しかりであります。日本では専門医制度という制度がまだできておりません。このことは、文明国といわれる国のなかで日本だけです。まことに情けない状態であります。病院と診療所の機能を分化し、それぞれの働きに応ずる診療に専念できるように推し進めていけば、高度に専門化しつつある医学の実際から見ても、それぞれの病気はそれぞれの専門の医師によって診断され、治療さるべきだということとなります。この考え方はかなり古くからあり、日本でも、眼科や耳鼻咽喉科、皮膚科など専門化してはおりますが、深く検討を加え、いまから制度化していかねばならぬ重要な問題であります。これに対する政府の見解をお伺いしておきたいのであります。
 次に、医薬分業について伺います。
 日本の医療には、外国人などが見るとふしぎと思えるほどわかりにくいことが多いということであります。その中に、日本の医薬分業の実態が指摘されているのであります。医薬分業という制度は、昭和二十六年六月に法律が公布され、三十一年に実施となってからすでに十年の歳月を経過しているのでありますが、実際には、準備期間として二カ年間見送られる間に医師の反対が出、何度も延期されて、三十一年四月、やっと実施にこぎつけた状態であります。しかも、実施になったとはいえ、実際には従前とたいした変化はなく、審議の途中で、患者が希望した場合は医師が調剤できるという項目がつけ加えられて、医薬分業は事実上骨抜きになって、今日では、医薬分業などということば自体が忘れられようとしております。日本の医療界の実情が、まだ医薬分業を実施する基盤や整備がなされていないと言えばそれまででありますが、医師や薬剤師がそれぞれの知識を尊重し、特に医師の報酬を診断や技術中心とするためには、この分業は絶対に必要なことであります。総理並びに厚生大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、診療報酬の適正化についてお尋ねいたします。
 現行の診療報酬体系の最大の欠陥は、医療の技術よりは薬剤に重点をおいてつくられているということであります。したがって、医療の技術で報酬が保障される前向きの診療報酬体系に改善されねばなりません。それには、その技術差を診療面でどのような方法で評価するかが重要な問題であると思うのでありますが、厚生大臣の見解をお伺いいたします。
 また、現在問題になっている薬剤の乱用については、被保険者側にもその原因となっている面があることは否定しませんが、しかし、保険局長は、社会保険審議会の席上で、薬剤についての一部負担は、あくまでも財政悪化に対する緊急措置であって、薬剤の乱用防止という趣旨は含まれていない、ただ財政のバランスをとる必要から、給付に際しての普遍的対策として薬剤に一部負担を課したのであって、それによって薬剤使用がチェックされるというような波及的効果はないと考えると述べているごとく、薬代の一部患者負担により、受診の低下、医療機関の事務量は大幅に増大する等の逆効果はあっても、薬剤の乱用をチェックすることは不可能と思うのであります。
 また、今度の修正案は、二万四千円以下の低所得者からは薬代の一部負担を取らないことになっておりますが、保険者から低所得者であることの証明はいかにしてとるのか。また、薬代一部負担の免除を受けるため、保険者発行の低所得者証明書の交付を受け、これを保険医に提示することは、低所得者、被保険者の人権無視であり、低所得者であるがゆえに保険医と患者との人間関係や、安い薬しかくれないのではないかという医療に対する信頼関係が薄くなり、医療に対する悪影響は大なるものがあると危惧するものであります。このような制度は暫定対策には織り込むべきではないと思いますが、厚生大臣の見解はどうか。
 次に、保険料率の改定であります。
 料率改定による一時的な赤字対策の臨時特例法は、今回初めて行なわれたものではありません。政府は昨年も収入の千分の六十三を七十に引き上げる案を出し、国会審議で現行の千分の六十五に修正決定したいきさつがあり、さらにそれ以前においても同じ方式がとられております。保険料の引き上げといい、一部負担の強化といい、このたびの改正案は被保険者にとってはマイナスの面ばかりで、プラス面は全く皆無という法案であります。失業保険のように五人未満の零細事業への健康保険の適用拡大をはかるとか、家族の給付率を五割から七割に引き上げるとか、何がしかのプラス面を考慮せずに、ただ健保の赤字対策であり、暫定措置であるから、被保険者も医療担当者も、しばらくの間がまんしてくれなどという虫のいい法案が通ると思うこと自体が国民を愚弄するものであります。
 また、政管健保の値上げは他の公共料金並びに物価の値上げを誘発し、国民の健康と生命を守るための医療保障が国民大衆の健康水準を低下させ、圧殺するこのような政策不在、大衆無視の政治姿勢を国民は声を大にして非難しているのであります。これらの観点から、私は国民医療の将来を考え、この改悪法案はいさぎよく撤回すべきであると思いますが、総理大臣にお伺いして私の質問を終了いたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 この国会が正常化されていない、あるいは議会制度のこれは破壊ではないか、かようなお尋ねがございます。私は衆議院におきましても各党と話し合いまして、一日も早く国会の正常化をはかろう、かような努力がなされました。私、やはり参議院におきましても同じ考え方でございます。どうしても国会は軌道に乗せて正常化することが、まず第一根本の問題だと思います。その意味におきまして、多数党はもちろん寛容であり、また謙虚な態度で国会の運営に臨まなければならないと思います。また少数党といえども、発言の機会を確保する、かようなことがやはり正常化のわれわれの努力すべき方向ではないかと、かように思っております。問題は、それぞれルールがありますから、そのルールを守るということであってほしいと思います。どうか国会の正常化について、私も総理、総裁として国民に対して責任をとるつもりでございます。どうか各党とも、ただいま申し上げたような意味合いにおきまして、国会の正常化について一そうの協力をする、こういう態度が望ましい、かようにお願いをする次第でございます。
 次のお尋ねといたしまして、保険制度の抜本策は一体何か、こういうお尋ねでございます。これを明確にしろということでありますが、もちろん具体的なその内容をお示しすることは今日の段階ではできませんけれども、しかし、原則的な、基本的な考え方といたしまして、今後取り上げられるべき方向、これについて申し上げますならば、まず給付水準の格差を是正する、あるいは費用負担の均衡をはかる、あるいはまた医療保険財政の長期的な安定をはかる、また診療報酬体系の適正化をはかる、かような方向で、この問題が取り組まれるだろうと思います。そういう意味の基本的な検討をすべきだと思っております。ただ、非常に関係するところが複雑であり、多岐にわたるのでありますために、なかなかその間の意見の調整をするということがまことに困難だと思います。しかし、この困難を克服する、こういうことで、政府は、この問題と真剣に取り組むつもりでおりまして、四十三年度におきましては、この抜本対策を実行するその緒につきたい、かように考えておる次第でございます。
 その次の、保険財政の赤字について、これは、ことしは自然増収もあるから、税収でまかなったらどうかという御意見でございますが、私は、今日、この健康保険の赤字対策として考えられる最も適正な方法として、原案を作成いたしたのでございます。その原案が、衆議院段階において修正をされたということで、あるいは考え方が変わったのではないかというような御意見でございますが、私どもがこれを修正をいたしましたのは、審議の過程におきまして、各党の意見なども、これは謙虚に私どもが取り入れるべきは取り入れる、かような立場で実は修正をいたしたのであります。しかし、この修正案の、ただいま御審議いただいておりますものが、現段階におきましては最も適切な案だ、かように私は考えておる次第でございまして、どこまでも保険制度、この体系はつぶしたくない、その立場で対策を立てておる次第でございます。これをどうか御理解を得たいと、かようにお願いをいたします。
 次に、薬の問題について、いろいろ御意見も述べられたり、お話がございました。申し上げるまでもなく、薬価基準の適正化をはかる、これは大きな一つの問題だと思います。ぜひとも私どもも、その方向で努力しなければなりません。また、今日、薬がはんらんをしておる、この薬の販売について、政府はどんな取り締まりを考えておるかというお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく、薬学の発展から申しまして、薬がだんだんふえる、これまた当然なこと、薬学、医学の発展から申しまして、これは当然のことだと思いますが、ともすると、過大広告になる、かようなことは、積極的に取り締まらなければならないと思います。したがいまして、この販売等については、先ほどの薬価基準の適正化とあわせて、今後とも、適正なる監督指導をいたすつもりでおります。
 次に、ことに、例としてあげられました家庭的の消費者に対する薬価と、大口消費者である病院等に販売する価格と、その間に非常な差がある、かような御指摘でございますが、これなどは、今後の私どもの取り締まるべき方向を示唆されておる、かように考えますので、十分事務当局に命じまして、適正価格の方向に努力してまいるつもりでございます。
 次に、医薬分業の実態についてるる実情を説明され、また、その方向に誤りがないのだということでございますが、私どももさように考えておりますので、今後とも実情を、医薬分業の確立の方向に指導するように、この上とも努力するつもりでございます。
 最後に、この国会で、ただいま特例法案の成立を願っておるのでございますが、これについては、先ほど小柳君や森君にお答えいたしましたので、重ねては申し上げません。私どもの政府の願いでありまして、今日、この制度が最も適当なる施策だと、かように考えますので、各党におきましても、ぜひ御協力を得たいと思います。ただ、その御意見のうちに、保険料率の引き上げ、これは国民生活にも影響するのではないかという御意見でございますが、そのとおりでございます。これは国民生活にも多大の影響のある問題でございます。したがいまして、保険料率の引き上げということは、もちろん御指摘になるまでもなく、政府は慎重でなければならない、かように思っております。しかし、このたびの保険料率の引き上げ、この程度のものは私は国民の皆さん方からも納得していただけるんではないか、かように思いまして今回改正いたしたような次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問にお答えするとともに、総理の御答弁に対しまして補足をするつもりで御答弁をいたしたいと思います。
 医薬品メーカーの態度につきましていろいろと御意見がございましたが、まことに御指摘ごもっともな点もございます。過当競争によるいろいろの行き過ぎ、たとえば、添付をしたり、誇大広告をしたりすることにつきましては、従来からいろいろと指導監督をしてまいりましたが、今後とも販売姿勢を正すとともに、薬価についても実勢価格に合致させるように努力をしてまいりたいと思います。
 それから、ビタミン剤を含めまして、医家向けと一般向けとの間にその価格の格差が非常に大きいじゃないかと、これも私は御指摘のとおりだと思いますが、いずれにいたしましても、医家向きのものは卸売り価格ベースでもっていっておりますし、それから一般向きは小売りベースでもっていっておるということもありますので、そこに若干の開きのあるということは、これはやむを得ないことだと思いますが、それにいたしましても、著しい開きというものにつきましては、これは鋭意是正をしてまいらなければならない、かように考えております。さような意味におきまして、薬価基準については、本年二月の薬価調査を基礎といたしまして、近く薬価基準の全面的改定を行ないまして、そして実勢価格にできるだけ開きがないようにしてまいりたいと、かように考えております。
 それから、医療経営の実態調査について、第三者機関によってやれ、こういうことでございますが、これは私もしごく御意見ごもっともだと存じます。この調査は関係各方面の十分な御理解と御協力を得て実施することが必要でありますが、幸い目下中央医療協議会におきまして御審議をわずらわしておりますが、その大綱についてはすでに関係者の了解が得られている段階に至っているのでございます。いずれ中医協からの御意見がまとまり次第、本年度中にもこれを実施いたしたい、かように考えております。
 それから、保険医療機関の指導等についての御意見でございますが、保険医療機関に対しては、従前から厚生大臣または都道府県知事が指導及び監督を行なっているところでありますが、今後とも適正にこれを行なって、万一明らかなる不正のある場合には、断固たる態度をもってこれに臨みたいと考えております。
 政府管掌健康保険の医療給付費を県別に見た場合に、京都が他の県に比して高いという事実がございます。医療給付費の県別格差の原因は人口、年齢構成、医療機関の多寡、その他各種の要素が複雑にからみ合っておりますので、特定の原因を明示することは困難だと思います。しかしながら、御指摘になりました京都府におけるいわゆる三ケタ運動ということは、私どもも聞いておるのでございます。しかし、この三ケタ運動のみが、高い原因にこれだけが作用しているのかどうかということについては、まだ研究をしてみる必要があると思います。三ケタ運動とは一体何か、こういう御質問でございましたが、三ケタ運動というのは、昭和三十五年ごろから京都府において実施された三ケタの会という保険医の運動でございまして、三ケタとは、当時全国の平均診療点数が百点未満、つまり二ケタであったのでありますが、この保険医が伸び伸び診察すれば当然百点になるということで、こういう運動をしておったのをいわゆる三ケタ運動と言われておったのでございます。
 次に、医療制度について専門医制度、医療分業等についての御意見がございましたが、医学、医術の進歩に従いまして、診療領域が細分化するというのは自然の趨勢でありまして、こういったような事実の上に、各領域の診療の進歩のために、専門医療制度の確立は私も必要であると考えます。幸いにして、専門医制度については、各学会におきまして真剣に検討を行なっており、すでに内科、小児科等、幾つかの学会では、その構想を公にしているというところまでまいっております。今後も学会による自主的な専門医制度が推進されることを私は念願いたしておりますが、これを医療制度の上にどういうふうに取り上げていくかということにつきましては、この事実の推移を見て十分に検討してまいりたいと考えております。
 医薬分業につきましては、すでに制度的には一応確立しておりますが、実質的にはまだ十分に行なわれていないということは、御承知のとおりでございます。これを実質的に推進していくために、薬局における処方せんの受け入れ態勢を整備するなど、関連諸問題を解決しながら、逐次その実をあげてまいることが必要であろうと思います。今後もこれらの条件整備につとめ、前向きの姿勢でもって努力してまいりたいと考えます。
 それから診療報酬の適正化についてでございますが、診療報酬体系の適正化につきましては、中央社会保険医療協議会においてなお鋭意検討されておりまして、やはり近くその結論が得られる見通しでございます。この結論を待ちまして、早急に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、薬代の一部負担を設けた趣旨でございますが、これは先ほどからしばしば申し上げたとおりで、今度の政管健保の非常に危殆に瀕したときに、関係者がそれぞれ応分の負担をしていただくということで、現に給付を受ける方々に対しましてはひとつ負担をしていただこうということで、薬代の一部負担ということをきめたのでございまして、この程度のことにつきましては、政管健保が非常に危殆に瀕しておるという事実に対しましても、関係者の皆さんの御負担をひとつお願い申し上げたい、こういうわけでございます。
 それから、薬代の一部負担の免除につきましては、衆議院段階におきまして、そういう旨の修正がいたされたわけでございます。この低所得者に対する免除でございますが、一体、診療所、病院等におきまして、この該当者がはっきりとわかりませんと、この低所得対策が実施できませんので、そこで、これに対して社会保険事務所より事業主を通じて証明書を交付する、こういうふうに運んでまいる所存でございます。
 それから、一部負担、初診料等の引き上げでございますが、今回の財政対策は、政管健保が当面いたしておりまする赤字危機に対処するため、まず国が大幅な負担を行なうとともに、被保険者、事業主及び実際給付を受ける方々にも応分の負担を願うこととして策定した最小限度の措置でございまして、これはしばしば今日まで申し上げたところでございますが、そこで、政管健保を維持いたしまして、国民の医療を確保するため、ぜひとも今国会におきまして健保等の、いま御審議を願っておりまする臨時特例法を御審議、御可決していただきたい、かようにお願い申す次第でございます。
 なお、保険料の変動が国民の生活に深い関係を持つことは言うまでもなく、その引き上げについては慎重を要することが必要であります。しかし、医療保険は、たてまえといたしまして、被保険者等が拠出する保険料を財源として不時の病傷事故に備えるという制度でありまして、現在、この保険制度が非常に危険に瀕しておりますことから考えまして、今回の対策程度の料率引き上げにつきましては、大方の御納得を得るものと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(水田三喜男君) 私への御質問は、先ほど総理からお答えになりましたが、恒久対策ができるまでは、従来の累積赤字を全部たな上げする、そうしてとりあえず単年度の赤字を避ける措置を講じて、制度の崩壊を防ごうとする応急対策でございますので、したがって、事業主、被保険者、患者、政府がそれぞれ分に応じて負担をして、この制度を守ろうとするのがたてまえでございますので、自然増も含むということによって、このたてまえをくずすということは私は適当でないというふうに考える次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○副議長(河野謙三君) 高山恒雄君。
   〔高山恒雄君登壇、拍手〕
#47
○高山恒雄君 私は、ただいま提案されております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案につきまして、民社党を代表して、佐藤総理並びに関係各大臣に質問を行なわんとするものであります。
 わが国の医療保険制度の四十年の歴史は、さまざまな問題点をはらみながらも、被保険者の人口の拡大、保険医療の社会化をもたらし、ある程度安心して医療の機会に恵まれる役割りを果たしてきた事実は否定し得ないものであります。しかし、ここ数年来、いわゆる医療危機の声が次第に高まり、医療保険財政の連続赤字とその累積、その結果、医療保険制度の部分的技術的手直しが幾たびか進められてきたのでありますが、それら改正は決して労働者、国民に有利な改正とは言えないのであります。今回提案されました改正法案を見ましても、従前の小手先改正の域を出ないのでありまして、医療保険制度の危機はこのような改正案では決して救われるものではありません。
 こうした一連の改悪案はまさに国民不在の政治の最たるものと断言せざるを得ないのであります。すなわち、まず第一に、佐藤総理は、第五十五国会の冒頭において「社会の主体は人間であり、経済の繁栄は人間の尊重と社会福祉に奉仕するものでなければならない」と述べておられます。坊厚生大臣は「国民生活の安定と高度の福祉水準の実現をはかりたい」と述べておられるのであります。しかしながら、今回の改正案は、関係大臣の所信表明とは全く反対の方針が織り込まれているのであります。すなわち、保険料率の引き上げ、被保険者の一部負担、特に薬剤投与の一部負担という新制度までも強行しようと企図していることは、まことに許しがたいことであって、社会保障の後退を意味する以外の何ものでもありません。さらに、社会保障制度審議会は、答申の際、政府の怠慢を指摘しておるではありませんか。「このままでは医療保険の破局をもたらすばかりか、社会保障の均衡ある発展を阻止し、ひいてはわが国の社会開発全体に一大障害となることは明らかである」と極言しているのであります。
 また、政府は、四十二年度よりしばしば抜本対策を講ずる旨を強調してまいったのであります。今回提案されました法案の説明によれば、「諸般の事情により抜本対策の案を得るに至らなかった」と述べておられます。この諸般の事情とは一体いかなるものであるのか。さらに、この諸般の事情が一朝にして好転するものではありますまい。あるいは総理は英断をもってこれに当たる決意をお持ちであるのかどうか、抜本対策のその確信について総理の責任ある明快な御答弁をお聞きしたいのであります。
 第二といたしまして、改正案は赤字解消のための臨時応急処置と言われ、このまま推移すれば制度の崩壊する事態に立ち至っておると言われておるのでありますが、かくまで赤字の累積をさせた原因の主たるものは何なのか。その責任はだれが負うべきものでありますか。政府は、赤字の解消策として、保険料率の引き上げ、初診料、入院料の倍額、さらに薬剤の一部負担を新設することにしておりますが、これは、政府責任を最終的には労働者、国民に負担を転嫁することによって、保険財政を再建せんとするものであって、国民の福祉を積極的に高める考えはその片りんすら見られません。これは、勢い、医療制度を後退させる以外の何ものでもないのであります。特に、政管健康保険の対象者は、そのほとんどが中小零細企業に働く労働者なのであります。よく医療制度においてむだが多いとか、ただであるから医療費が増高になるとか、政管保険の赤字の要因が指摘されますが、特定の社用族でただ酒を飲んで二日酔いで受診をするようなことは、中小企業の労働者には考えられないのであります。今回の政府案は、このような低所得の労働者にますます深い苦痛を与えるのみで、この改悪案に対し総理はいかに弁明しようとするのか、その所見を伺いたいのであります。
 次に、改正案の中で具体的な点について大蔵大臣並びに厚生大臣にお尋ねいたします。
 その第一は、七百四十五億円の赤字についてでありますが、被保険者一人当たりの給付費を見ましても、四十年度までは約二〇%であったのですが、四十一年度で一四%と伸びが縮小してきております。この問題については小柳委員も質問されたのでありますが、これに対して被保険者一人当たり保険料は、四十年度までは約一〇%であったものが、四十一年度は一七・九%となって、伸びが大きくなっているのであります。単年度の収支状況を見ても、四十一年度では三百三十四億で、三十九年、四十年を下回っているにもかかわらず、四十二年度は七百四十五億と見積もられています。以上の状況を考慮したとき、はたしてこの七百四十五億円はこれでよいのかという大きな疑問がここに生まれてくるのであります。現在のように、赤字予算を当初から計上し、見込み数字とは言え、それが決算において著しく違うという結果が出るとしたなら、これは必ずしも正確な数理計算をしておらないことになるのではないか、この点について大臣はどう考えられるのか、この算出方法について明確なる弁解をお願いいたします。
 第二といたしまして、薬剤費の問題であります。医療費に占める薬剤は四五%ぐらいといわれ、医療費への影響力は無視できないのであります。最近の医療費の急激な増加は、医療品の過剰使用がその増大の原因をなしていることは衆目の一致するところであります。にもかかわらず、肝心の薬の値段は、これまた公明党からも指摘がございましたように、明確になっていないのであります。医療制度のおくれもさることながら、長年にわたって薬価調査一つできず、今日まで放置してきた政府の医療行政は、あまりにも無責任過ぎるのではないでしょうか。現に薬価基準の価格と医師の購入する価格の間にはかなりの開きがあるのではないのか。この点について大臣の所見をお伺いしたいのであります。
 最後に、重ねて総理大臣並びに厚生大臣にお尋ねいたしますが、政府は医療制度の抜本対策を講ずるにあたって、その内容並びに基本的な構想をここに持っておられるのかどうか。持っておられるならば、私はぜひ明らかにしてもらいたい。それがないのであるならば、したがって、この際、この労働者に大きな負担を負わす値上げの健康保険の改悪に対しては、同時に、この法案はここで撤回すべきだと私は考えるのであります。
 以上をもって私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(佐藤榮作君) 高山君にお答えいたします。
 御指摘のように、この抜本対策を立てるにいたしましても、なかなか容易なことではございません。御承知のように、鈴木前厚生大臣以来この問題と取り組んでおります。しかして、基本的な検討を必要とする各部門について、あらゆる面から検討をし、同時に、関係者の意見の調整をはかっております。しかし、なかなか広範多岐にわたるものでございますから、この意見の調整を見ることができなくて、まだその成案を得ておらない、こういうような実情でございます。政府は、今回特例法を出しまして臨時措置を講じますが、これも時限立法でございますから、どうしても早急に抜本対策を立てなければなりません。そこで、申すまでもなく、困難だからと申しまして、これを等閑に付すわけにまいりませんので、政府は勇気をふるい立てまして、この問題と取り組むつもりでおります。したがいまして、四十三年、この抜本対策を取り上げてその緒につきたいと、かように考えて努力しております。
 次に、今回の改正は、私が申し上げるまでもなく、もうたびたび説明をいたしたのでありますが、保険制度のたてまえから、これは何と申しましても、事業主あるいは被保険者並びに給付を受けておる側におきまして、それぞれの方々がそれぞれの面において御負担を願うと、こういうことで案を立てたのであります。その際には、もちろん政府が大幅に国庫負担をするというたてまえで、昨年よりも五割増しの、今回は二百二十五億円を国庫負担したと、こういうことでございます。また、この内容、中身におきましても、御指摘になりましたように、低所得層の方々の負担を過重しないようにいろいろくふうをしてまいったのであります。その意味におきまして、今回の処置では大方の賛成を得るのではないかと、かように考えております。この案を私どもは最も緊急やむを得ない措置だと、かように考えておりますので、今回御審議をいただいております。どうか、この案が成立するように、この上ともよろしくお願いをいたします。
 最後にお話がありましたように、これは、しばらくこの案を撤回すべきではないか、かような御意見でございますが、私は、ただいま申し上げますように、ただいま適正なる案はこれ以外にないと、かように考えておりますので、これを撤回するということはいたしません。
 抜本対策の基本的構想等につきましては、後ほど厚生大臣からお答えすることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣坊秀男君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(坊秀男君) 保険財政の赤字額の見込みと実績におきまして、現実に若干の差を生じてきたということは、事実でございます。この差を生じたおもな原因は、医療給付費が予測をこえて大幅に増加してきたことでございます。しかし、現行制度のもとにおいて、医療給付費の伸びを的確に見込むということはきわめて困難であるので、今回の赤字の際のように、医療費の激増期にあたっては、このような差を生じてきたことは、まあ一面やむを得ないところがあろうと思いますけれども、これを数字的に御説明申し上げますと、一人当たりの保険料の前年に対する伸びは、過去数年間、おおむね一一%前後の実績を示しておりますが、たまたま昭和四十一年度については、標準報酬上限改正及び保険料率の引き上げが行なわれたために、二〇%弱の伸びとなっております。しかし、これは、法律改正が行なわれたことによる一時的な高率な伸びにすぎず、これを平年度化いたしますと、九%強にとどまるものでございます。一方、一人当たりの医療給付費については、昭和四十一年度の伸びを自然増で見ると、おおむね一四%であり、これは、三十八年度ないし三十九年度における異常な伸びに比較すると、確かに低目となってはおりますけれども、昭和四十年度の伸び率二%に比較すると、これを上回る状況になっております。したがって、医療費の伸び率は保険料収入の伸びを上回る状況が依然として続いておることは、事実でございます。すでに絶対的な収支の不均衡が生じている上に、昭和四十二年度も、医療費の伸びが保険料収入の伸びを上回るものと見込まれますので、今回の七百四十五億円の単年度赤字見込みは、現在のところ、妥当なところであろうと考えております。
 それから薬価基準の問題でございますが、薬価基準価格と実勢価格との間に乖離がないよう、定期的に薬価調査を実施して、実勢価格が薬価基準に反映するようにいたしてまいりたいと思います。
 なお、調査の方法、調査結果に基づく薬価基準価格の決定方法等につきましては、ただいま中央社会保険医療協議会で鋭意検討していただいております。近くその結論が得られる見通しでございますので、この結論をまって早急に対処いたしたいと考えております。
 次に、抜本対策の構想を示せという御意見でございますが、この抜本対策につきましては、先ほどもお答え申しておりますとおりです。厚生省におきましては、いかなる課題についてこれをやるべきかというようなことについての問題の整理は、すでにいたしております。この問題につきましては、先ほど大体の概要を申し上げたとおりでございますが、ただいま御審議を願っておりまするこの臨時特例法案が御審議、御決定を得られましたならば、早急に、ことしの秋にでも厚生省案としてこれを策定いたしまして、そして皆さま方の御批判に待ちたい、かように考えておる次第でございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(水田三喜男君) 御指摘にございましたように、三十九年度の赤字は三百六十三億円、四十年度の赤字が四百九十七億円、四十一年度が二百六十六億円の赤字でございまして、確かに四十年、三十九年より赤字は減少しておりますが、この理由は、四十一年になりまして、標準報酬の上限改正を行なったこと、保険料率の引き上げを行なったこと、それから国庫の補助も、四十年には三十億でございましたが、四十一年には百五十億の補助をいたすというようなことで、この四十一年度の赤字が前年よりも減ったということでございます。したがって、もし四十二年度でこういう処置を講じなかったらどれだけの赤字が出るかという、七百四十五億円の赤字見込みにつきましては、過去の実績によって算定したものでございますので、そう過大な評価ではないというふうに考えております。(拍手)
     ―――――・―――――
#51
○副議長(河野謙三君) 沢田一精君外一名から、成規の賛成者を得て、
 質疑終局の動議が提出されました。
 これより本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#52
○副議長(河野謙三君) すみやかに御投票ください。――すみやかに御投票願います。――投票を急いでください。――まだ投票をなさらない諸君は、すみやかに御投票願います。――御投票をお急きください。――投票開始から相当の時間の経過をみております。すみやかに投票されませんと、議長は投票時間の制限をせざるを得ません。投票を急いでください。――すみやかに御投票願います。――ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間がまいりますれば投票箱を閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。
 制限時間に達しました。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#53
○副議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#54
○副議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百九票
  白色票          百二十二票
  青色票           八十七票
 よって、質疑は終局することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百二十二名
      林   塩君    横井 太郎君
      植木 光教君    山崎  斉君
      二木 謙吾君    前田佳都男君
      白井  勇君    伊藤 五郎君
      林田 正治君    大谷 贇雄君
      横山 フク君    寺尾  豊君
      笹森 順造君    植竹 春彦君
      新谷寅三郎君    鬼丸 勝之君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    佐藤 一郎君
      山内 一郎君    柳田桃太郎君
      宮崎 正雄君    船田  譲君
      平泉  渉君    八田 一朗君
      和田 鶴一君    木村 睦男君
      高橋文五郎君    内田 芳郎君
      大森 久司君    園田 清充君
      野知 浩之君    源田  実君
      熊谷太三郎君    温水 三郎君
      岸田 幸雄君    長谷川 仁君
      沢田 一精君    吉江 勝保君
      石井  桂君    豊田 雅孝君
      稲浦 鹿藏君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      徳永 正利君    青柳 秀夫君
      佐藤 芳男君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      堀本 宜実君    塩見 俊二君
      鍋島 直紹君    石原幹市郎君
      上原 正吉君    古池 信三君
      郡  祐一君    斎藤  昇君
      米田 正文君    小林 篤一君
      栗原 祐幸君    久保 勘一君
      北畠 教真君    西村 尚治君
      中村喜四郎君    内藤誉三郎君
      任田 新治君    土屋 義彦君
      高橋雄之助君    玉置 和郎君
      藤田 正明君    岡本  悟君
      奥村 悦造君    楠  正俊君
      黒木 利克君    金丸 冨夫君
      日高 広為君    丸茂 重貞君
      山本  杉君    谷村 貞治君
      木島 義夫君    谷口 慶吉君
      柴田  栄君    後藤 義隆君
      鈴木 万平君    竹中 恒夫君
      天坊 裕彦君    中野 文門君
      西田 信一君    迫水 久常君
      田中 茂穂君    梶原 茂嘉君
      八木 一郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    西郷吉之助君
      木内 四郎君    林屋亀次郎君
      安井  謙君    増原 恵吉君
      平井 太郎君    青木 一男君
      小山邦太郎君    重政 庸徳君
      小林  章君    近藤英一郎君
      田村 賢作君    鹿島 俊雄君
      井川 伊平君    赤間 文三君
      津島 文治君    青田源太郎君
      紅露 みつ君    小林 武治君
      剱木 亨弘君    松平 勇雄君
      高橋  衛君    吉武 恵市君
      中山 福藏君    小柳 牧衞君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     八十七名
      鬼木 勝利君    原田  立君
      山高しげり君    黒柳  明君
      矢追 秀彦君    中沢伊登子君
      市川 房枝君    中尾 辰義君
      片山 武夫君    田代富士男君
      二宮 文造君    北條 雋八君
      高山 恒雄君    多田 省吾君
      向井 長年君    渋谷 邦彦君
      鈴木 一弘君    山田 徹一君
      中村 正雄君    白木義一郎君
      鈴木 市藏君    達田 龍彦君
      前川  旦君    戸田 菊雄君
      竹田 現照君    相澤 重明君
      山崎  昇君    木村美智男君
      村田 秀三君    小野  明君
      田中寿美子君    矢山 有作君
      野々山一三君    松本 賢一君
      杉山善太郎君    大森 創造君
      大矢  正君    森中 守義君
      柴谷  要君    小柳  勇君
      中村 英男君    伊藤 顕道君
      加瀬  完君    小酒井義男君
      田中  一君    光村 甚助君
      久保  等君    大和 与一君
      森  勝治君    鈴木  力君
      中村 波男君    川村 清一君
      柳岡 秋夫君    瀬谷 英行君
      稲葉 誠一君    吉田忠三郎君
      渡辺 勘吉君    小林  武君
      鶴園 哲夫君    林  虎雄君
      中村 順造君    千葉千代世君
      野上  元君    武内 五郎君
      山本伊三郎君    松永 忠二君
      北村  暢君    鈴木  強君
      藤田藤太郎君    西村 関一君
      占部 秀男君    森 元治郎君
      鈴木  壽君    永岡 光治君
      藤田  進君    成瀬 幡治君
      大倉 精一君    近藤 信一君
      椿  繁夫君    横川 正市君
      木村禧八郎君    佐多 忠隆君
      岡田 宗司君    藤原 道子君
      加藤シヅエ君    松澤 兼人君
      羽生 三七君
     ―――――・―――――
#55
○副議長(河野謙三君) 暫時休憩いたします。
   午前六時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午前八時十二分開議
#56
○副議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。佐野芳雄君。
   〔佐野芳雄君登壇、拍手〕
#57
○佐野芳雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました健康保険法及び船員保険法の臨時特例法案に対し、激しい憤りをもって反対討論をいたすものであります。
 さて、私は、討論に入るに先立ち、衆議院において、また、参議院における本法案の採決に対する委員会並びに議会運営の有効性の問題について、若干申し述べる必要があると考えます。
 第五十五回特別国会に提案された健康保険臨時特例法案は、健康保険制度始まって以来の大改悪であって、百五十余の地方自治体議会の反対決議、全国の医療機関の反対、それら代表の連日にわたる国会陳情、さらには、国民の強い反対、批判の高まりと、わが社会党をはじめ野党各派の反対のため、ついに廃案になったのであります。
 ところが、政府自民党は、この国民の声を聞こうともせず、一週間を経ずして、健保国会と称せられる臨時国会を召集し、さきに廃案となった原案をそのまま再び提案し、その後、自民党の修正による改悪法をもって、会期延長まで行ない、ごり押しに強行成立をはかろうとしているのであります。本来、議会政治のあり方として、これほど国民各層の強い反対にあい、そのため廃案となった法律案でありますからには、当然、政府はこの国民の声にこたえて再検討し、出直すのが民主政治のあるべき姿なのであります。(拍手)
 ところで、衆議院での審議においては、さきに同僚議員がしばしば述べたように、八月二日の社会労働委員会理事懇談会は、自民、社会、民社、公明の四党間で、健保法案の委員会の審議については慎重に審議を行なうことを前提として、社会八、民社三、公明二の十三人の質問を実施する、そして、その間、質問中は円満に委員会を運営することを確認して質疑に入ったのであります。しかるに、質問第一陣に立ったわが党佐藤委員の質問中、突然自民党の委員は、さきの四党合意の協定を無視し、質疑打ち切り動議を提出、あわせて自民党修正案の採決を強行したのであります。その後における衆議院の混乱は御承知のとおりであるが、まさしくこの混乱の責任は、自民党を含めた四党合意の協定を無視して、だまし討ち的暴挙を行なった政府・自民党が負うべきであり、許すことのできないファッショ行為であります。(拍手)
 国民の生活と健康を守るための重要な政管健保の改正は、国会において十分審議を尽くし、その内容を国民の前に明らかにして、理解と納得を得る努力をすべきなのであります。したがって、わが社会労働委員会では、この立場に立って、衆議院から送付された八日以来、真剣な審議の努力をしてきたのであります。
 しかるに、このわれわれの努力もむなしく、多数を頼む政府自民党は、去る十六日、委員会の権限を封じて中間報告の暴挙を強行し、またもや国民の政治への信頼を踏みにじったのであります。特に、去る十六日の委員会においては、たとえば、患者の薬剤費負担は今年度は十五億円であるに過ぎないのだから政府の健保財政の赤字に対する財政的措置の方法があればその実施を延期すべきではないか、との小柳委員の質問に対して、佐藤総理は、今回の健保改正法案は単なる赤字対策というだけではなく、将来の抜本対策のために、また、保険主義のたてまえから、健保の被保険者並びに事業主の負担増を求め、かつ、治療を受ける患者を受益者とみなして、その負担増を求めることも当然のことのように主張したのであります。この総理の主張は、八日以来社労委の審議の中で厚生大臣が何度となく言明してきたところの、今回の健保改正案は直面する健保財政の赤字対策であり暫定対策であるという主張とは、見解の食い違いが露呈したのであります。それで、総理退席後も、続いてさらに大蔵大臣に究明しようとしたのでありますが、しかも、なお審議を尽くす日程があるにもかかわらず、このような中間報告を求める処置をとったことは、まさに国会法第五十六条の三を乱用するものであり、かくのごとき暴挙こそ、議会運営における民主主義の危機を招来する危険をおかすものと言わねばなりません(拍手)。議会政治の真髄は、各党の各議員が十分論議を尽くし、審議を重ね、政府はまた、議員の質疑に対し納得のできる十分な答弁を行なうところに、議案審議の円滑が約束されるのであります。しかるに、多数を力とし、多数は万能なりとして暴挙を繰り返す政府・自民党に強く反省を求めようとせず、むしろこの暴挙に手をかすかのごとく、議長職権をもって本会議を開会し中間報告を求めようとする重宗議長の責任は、また、まことに重大と言わねばなりません。ただいま不幸にして議長はおりませんが、副議長また責任の一半を持つものであることを銘記していただきたいと思います。
 さて、医療問題をめぐって、今日までしばしば紛糾が続き、社会問題、政治問題となって国民に非常に大きな不安を与えております。
 保険医療は、近年異常な医療費の増大となって重大な危機を迎えているのでありますが、政管健保は四十一年度に約三百三十四億円、四十二年度には約七百四十五億円の赤字、四十二年度末に予想されるその累積赤字はほぼ千八百八十三億円にのぼる見込みでありますが、まことにこの政管健保こそ、日本の医療保険にはらむ内部矛盾が集中的にあらわれた、いわば象徴ともいうべきであり、単なる部分的、技術的手直しだけでは決して解決しないものであります。だが、問題は政管健保だけでなく、船員保険においても単年度十六億九千万円の赤字を出し、いまや政管健保及び船員保険ともに財政状態は最悪の事態におちいり、制度そのものまで重大な危機的状況に追い込まれているといって決して過言ではないのであります。しかも、それは政管健保だけではなく、日雇い健康保険、国民健康保険など、各医療保険全般に連なる問題であるが、その原因はどこにあるのか。それは国民所得や賃金上昇率を上回って、年に二〇%以上も急増した医療費の増大にほかなりません。国民総医療費は三十五年度の四千四百二十六億円から、四十一年度には一兆三千百十八億円にも達し、その伸び率は二九%以上で、実に三倍近くの伸びを示し、直接的にはこの増大が各医療保険の財政を圧迫し、保険財政が危機におちいったのであります。だが、問題は増大した医療費そのものより、その増大した医療費が何に使用され、どれほど国民の医療の向上に役立ち、国民の健康と直結しているかということが重大な問題なのであります。
 そして、医療費の増大によって医療機関の経営状態は好転したかといえば、事態は全く逆であります。特に国立、公立病院の経営危機は一そう深まり、しかも、公立病院に至っては営利化、独立採算制によってきびしい医療合理化政策が強められ、医療労働者の賃金、労働条件はますますみじめで、劣悪な実態であり、それが医療サービスの低下となって患者大衆にはね返っているのが現状なのであります。したがって、健康保険財政の直面した問題を検討すべき点は、医療費の急激な上昇の原因と、それに対する政府施策や保険医療行政のどこに問題があるか、医療費の増加が、はたして病気の追放と健康と福祉の増進となって国民に返っているか、医療機関や医師側から、現在のシステムに問題はないかといった面に焦点を当て、十分検討すべきであると考えるのであります。そして、保険の収入面のみに偏した現在のあり方を支出面に検討を加える必要があることはいまさら言うまでもありません。ところが政府は、常に赤字対策で保険財政のバランスを維持するための負担を、労働者、患者に押しつけ、保険主義、財政主義、そして受益者負担などで切り抜けようとしているのでありますが、いまや赤字補てんを労働者やその事業主、そして患者負担で切り抜けようとするだけでは、現在の医療問題の解決は不可能である。まして政府の従来の赤字対策として、常に被保険者の負担区分を増すことで責任のがれをしようとする糊塗策やほおかぶり政策では、この混乱した危機的状況を迎えているこの医療保険制度を救うことはできません。国民に責任を押しつけて解決しようとすることは、ますます事態を混乱におとしいれるばかりであります。したがって、医療制度そのもののあり方に徹底的なメスを入れない限り、保険財政の安定すら不可能なのが現在の事態と言わなければならぬのであります。
 さて、厚生省は三月一日、社会保険審議会及び社会保障制度審議会に対して、健康保険法及び船員保険法の一部改正について諮問し、その内容は、保険料率の千分の六十五を千分の七十二へ引き上げ、初診料の百円を二百円、入院時の一部負担金三十円を六十円にと、いずれも倍額引き上げ、さらに、健保始まって以来の改悪というべき薬剤費の一日一剤十五円の患者負担、同じく船員保険も初診料、薬剤費の同額引き上げと、料率千分の五十四を六十に引き上げをもくろんだのであります。その財政効果の内容は、すでに同僚議員が指摘したように、労働者の保険料負担額百六十二億五千万円、患者の一部負担額百七十億円に対し、事業主の負担額は百六十二億五千万円にすぎず、しかも、国庫負担は、四十一年度に比べ、わずか七十五億円を上積みして、政府の責任を回避しようとするものであります。政管健保赤字の見込み額七百四十五億円のうち、四五%に当たる三百三十二億円余は、国民大衆の保険料と患者の一部負担金でまかなおうとするものであります。先ほどの質問で小柳委員が指摘したように、政管健保の保険者は政府であります。だから、当然その赤字対策の責任は、政府みずからが負うべきものであることを重ねて指摘しておきます。
 ところが、この改悪案に対し、前特別国会において、わが社会党及び野党が一致して反対し、百五十余の地方自治体や医療機関のみならず、与党の内部においてさえも、この改悪案に反対する者のある実情の中で、一部の修正が行なわれたのでありますが、政府によって提出された法律案が、与党自民党の手によって修正されなければならないという事実に、政府は深く反省せねばならないと思うのであります。
 だが、修正されたとはいえ、その中身は、保険料率を標準報酬の千分の七十とし、薬代の患者一部負担は、標準報酬二万四千円以下の被保険者と、扶養家族一人につき六千円ずつ、その免除額を引き上げるというもので、基本的には何ら原案を変えていないのであります。このようなごまかしの内容で逃げようとすることは、断じて許されるべきではありません。そこにあるものは、赤字なら保険料率を上げ、それがだめなら、薬代の一部を含めて患者負担に肩がわりさせようとする、従来どおりの態度が露骨に貫かれているのであります。
 先ほどの小柳委員の質問に対し、厚生大臣は、時に、この薬剤費一部負担は、制度の問題であり、今回の改正の一つの柱であると言って、社労委員会における総理の答弁に歩調を合わせ、再質問に対しては、抜本対策の際にこの制度をすべり込ませる意図はないと言い、その答弁の食い違いを、厚生大臣みずから重ねて露呈しているのであります。この答弁に示された矛盾こそ、社会保障税を国民大衆から取り立てることによって、保険財政を維持するという財政主義と、暫定対策の名をかりて、国庫負担や事業主負担の割合を軽からしめ、しかも、医療保険制度の抜本改正への布石をしき、労働者や患者の負担増を既成事実としようとする意図の表面化を、その場のがれの答弁でごまかそうとする事実を暴露したものでありまして、断じて許さるべきではないと存じます。
 しかも、政府独占資本は、一方で労働災害、職業病、公害、農薬中毒、交通事故など、疾病、災害を、この十年間に倍増させ、ばく大な医療保険の赤字を生む原因をつくり、勤労大衆の生命と健康を破壊しながら、それらの責任をほおかぶりをして、健康保険法の改悪をもくろみ、低賃金や低所得に苦しむ労働者国民を、医療から締め出そうとさえしているのであります。
 このたびの改正案で、政府は、自助・相互扶助の原則をたてに、保険主義、財政主義を固守して、医療の現状を無視し、臨時財政対策ということに名をかり、薬代一部負担制の導入など、制度的改悪を目ざしているのであります。また、財政効果でも明らかなように、赤字見込み額七百四十五億のうち、被保険者及び患者の負担、合わせて三百二十二億五千万円で、その四五%を労働者大衆に負担のしわ寄せを行なおうとしているのであります。問題は、政府が「にしきの御旗」のように振り回すその七百四十五億円の赤字見込み額の算出方法自体がずさんで、昭和三十七年以降赤字見込み額と実際上の赤字額がただの一度も合ったためしはないのであります。たとえば、昭和三十八年、赤字見込み額五億円に対し、実際上は十三億円、四十年度には、六百五十九億円の見込み額に対し、四百九十七億円で、当たるも八卦当たらぬも八卦式ではじき出されているのであります。今回提案された最大の理由である赤字額七百四十五億円の四十二年度赤字算定基礎毛明白でなく、しかも、経済情勢、改正後における受診率の低下など、その赤字見積もり額の積算方法は全く根拠がないと断ぜざるを得ないのであります。
 第二は、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会は、幾たびとなく医療制度と保険財政の安定のため、医療制度に検討を加え、抜本的対策を早急に取り組むべきことを警告しているにもかかわらず、政府は何らの対策も立てず、その日暮らしの赤字対策で終始してきました。昨年に引き続き赤字緊急対策の審議をせざるを得ないのは、政府が抜本改正を怠ったからにほかならず、しかも、四十二年度から抜本対策を実施すると言明しながら、再び赤字解消の暫定改正案を出してくる政府の態度は、絶対に許すことはできないのであります。抜本改正対策が打ち出せなかったのは、明らかに政府の責任であり、国民が負う責任ではありません。したがって、真に暫定的な赤字対策とするならば、保険財政及び医療制度の健全化のための抜本的検討を怠った政府の責任で解決するのが当然であります。しかも、四十三年度には抜本改正を行なうと言いながら、露骨な政治的意図のもとに、臨時特例法第一条に「当分の問」の条件を挿入し、修正案において初めて二年間の時限立法となっていることを明らかにしなければなりません。それでは、四十三年度を目ざして抜本改正を行なうという従来の政府の態度をみずからくつがえすこととなり、このような場当たり的な姿勢は断じて許すべきでなく、今後厳重に監視する決意を一そう強くしたことを忘れないでもらいたいと思います。
 第三は、政府は健康保険法の一部改正の理由として、極度に窮迫した財政状況に対する当面の赤字財政解決策と述べております。しかるに、この改正案が実施されるならば、自動的に国家公務員共済組合法、地方公務員共済組合法及び公共企業体職員共済組合法に基ついて、財政的にも法律的にも全く別個の各種共済組合法をはじめ、各種医療保険のすべてに適用されることになり、決して暫定赤字対策ではなく、まさに抜本的改悪そのものであります。
 第四は、医療費の改正についてであります。昨年の保険料の引き上げに続き、再びことしはさらに高い保険料率の引き上げに加えて、一部負担まで増加されることになり、国民はどうして弱い者がこういう負担をしなくてはならないのかという疑問を持っております。だがこれに対し、医療経済の実態調査、医療機関の経営状態等の客観的資料も提出できないままに、国民大衆に負担を押しつけようとしているが、医療費の赤字はもとより、保険医療費の四〇%を占める薬剤費と薬価基準をこのまま放置することは許されません。また、審議会の答申をまつまでもなく、赤字の原因は医療保険制度そのものから生じているのであり、制度そのものに強力なメスを入れない限り今日の紛糾の解決は絶対に不可能であります。しかるに、政府は、一部負担制に見られるごとく、国民の医療機関のかかり過ぎと薬の乱用に直接的な原因を求め、受診の抑制政策をとろうとしておりますが、薬剤費の増大は患者の薬剤乱用の責任ではなく、医師の「技術」に医療費が支払われるのではなく、注射や投薬による「物」に対して支払われる現行の不合理な診療報酬体系が医療の本質をゆがめ、また、医療機関に強制される独立採算制と薬業資本の生産、流通が全く放任されているところに、財政赤字の原因があることを忘れてはならないのであります。
 すでに同僚議員が指摘したように、一昨年の第四十八国会で、厚生年金千分の五十五、失業保険料の千分の十四の引き上げに続き、昨年の健康保険料千分の六十五から、さらに今回は、修正されたとはいえ、千分の七十への大幅な引き上げを加えれば、いまや勤労大衆の社会保険料は千分の六十九・五に達し、特に平均標準報酬月額三万五百九十二円という中小企業労働者の保険料は、二千百二十六円となるのであります。標準月額三万円以下の労働者が六三・八%を占める政管健保において、社会保障審議会も指摘しているとおり、医療保険は国民に強制する保険であり、医療費は最大の公共料金であって、しかも代がえを許さないものだけに、今日提案された保険料率は、常識を逸したものと言わなければなりません。しかも、被保険者は、同率の保険料をかげながら、いざ医療保険を利用するとなると、薬代の一部負担を負わなければならず、所得水準による医療給付の差別が現実に出てくるのであります。労働者とその家族の生活と健康を守るべき社会保険が、逆に、大幅な保険料率の引き上げで最低生活に食い込み、いわば保険料は社会保障税の形となって勤労大衆の生活を脅かしており、もはや労働者の保険料負担は限界に来ているとき、このような大幅な保険料率の引き上げは絶対に認めるととはできないのであります。
 第五は、薬代一部負担制の採用によって徴収事務を行なうとなれば、医療担当者、医療機関の事務量がそれだけ増加するだけでなく、患者の診療を阻害する結果を見ることは必至であります。とともに、医療担当者は雑務に追われ、当然保険制度の医療水準を低下させることになります。このように医療の現状を無視した薬代一部負担制の導入は、窓口事務や請求事務が一そう繁雑となることによって医師の診療能力を低下させ、医療機関従事者を一そう労働強化に追い込むことになり、この制度の新設には、医療機関の立場からは特に強い反対があるのであります。
 特に、修正によって、月収二万四千円以下、被扶養者一人につき六千円を加算するという、低所得者からは薬代一部負担は取らないという薬代一部負担の免除の方法  保険者から低所得者である旨の証明書の交付を受け、これを保険医療機関に提示して、薬代一部負担金の免除を受けるというものでありますが、健康保険法でいう保険者とは政府であるが、薬代の一部負担の免除を受けるため、保険者発行の低所得者証明書の交付を受けこれを保険医療機関に提示するということは、低所得被保険者の人権を無視することとなり、患者への心理的な影響ははかり知れないものがあります。愚者はおそらく、低所得者証明書の交付を受けても、これを喜んで利用しないでありましょうし、さらに問題は、証明書発行に伴う膨大な事務の増加であります。証明書の発行は被保険者証と別に発行するのか、それとも、被保険者証の種類をたがえて発行するのか。いずれにいたしましても、医療機関はそれを確認しなければなりません。また、患者がそれを持参しない場合の取り扱いや、あとで持ってきた場合に、医療機関と患者の間に派生するであろういろいろめんどうな問題、しかも、薬代一部負担の該当者と免除者が、扶養家族の出生、死亡、あるいは被保険者の所得の変化につれて絶えず異動することに伴う証明書の交付と返還、それに伴う医療機関側の確認事務がまたたいへんであります。これらの繁雑さは、日常、診療中ばかりでなく、診療報酬請求書の作成や、診療報酬請求書の点検、支払基金の審査事務にも及ぶのでありまして、このように低所得者証明書の発行、交付による事務量の増加は、被保険者、患者、医療機関ばかりでなく、支払基金、保険者の政府の下部機関が相互に関連し合って、一そう取り扱い事務を複雑にし、さらに修正案は低所得者証明書の発行を通じて低所得者の受診制限を強化するねらいを持っていると疑わざるを得ないのであります。それは、被保険者を薬代一部負担の該当者と免除者に二分するだけでなく、受診のつど及び受診中は毎月低所得者証明書を保険者に申請し、証明書の交付を受けなければならないとすることによって、さらに受診抑制が強化されるということであります。この場合、医療機関の取り扱い事務はさらに繁雑になります。医療機関が証明書を紛失しないように保管し、毎月末、請求明細書作成時に明細書に一々証明書を添付して薬代一部負担の免除者であることを証明しなければなりません。そうしなければ、支払基金では薬代一部負担徴収の有無がわからないからであります。
 以上のように低所得者の薬代一部負担の免除の方法を具体的に検討していくと、その取り扱い方法が繁雑で、いたずらに事務量を膨大にするばかりでなく、政管健保の被保険者の七一・二%が免除の対象者であるとしても、多くの対象者はその利用を放棄し、低所得者証明書の交付を通じて患者の受診が抑制されるのであります。また、もし免除対象者である者が証明書を提示しないまま受診した場合、負担金徴収義務者である保険医療機関が負担金の徴収を怠ったことにより数カ月後に請求明細書が返戻されるという事態を招き、ますます保険医療機関の事務の繁雑化に拍車をかけるものであろうと思うのでありますが、厚生大臣は十分この点留意を願わなければならぬのであります。
 以上のように低所得者証明書の発行によって、受診時及び受診中における申請方法でもって利用権を放棄させ、低所得者の受診制限、並びに受診抑制に真のねらいがあり、低所得者のためにという一見慈悲的な修正案の中に、悪らつな手段と陰謀が含まれていると言わなければなりません。
 第六には、薬代一部患者負担制度及び初診料、入院料の倍額引き上げは、国民の生命と医療を守る上にあまりにも重大な問題を含んでおります。なぜなら、それによって当然受診を抑制することは言うまでもないからであります。健全なる社会建設のかなめは、すべての国民の健康を守ることであり、そのためには早期治療は不可欠であります。本来ならば一部負担を軽減し、受診機会の増大をこそ努力すべきにもかかわらず、その負担を増大させることは、本末転倒もはなはだしいと言わざるを得ません。初診時及び入院時の負担金の倍額引き上げで四十四億円の財政効果をねらっているが、現在、ベットの差額徴収が公然化している今日、一そうの入院患者の負担に拍車をかける結果となり、しかも厚生省の「国民健康調査」でも明らかにいたしておりますように、国民皆保険体制でありながら、治療費用の全額自費が四五・一%、買薬で済ます者が三九・九%という調査結果が出ております。このたびの改正案は、まさにこの買薬治療に拍車をかけることは言うまでもなく、病気のしろうと療法が蔓延し、憂うべき事態が起こることはもはや火を見るよりも明らかであります。
 さらに、長期の傷病あるいは重症には多額の医療費が必要となり、長期にわたるほど負担額が増大し、給付水準の低下となって患者を苦しめることは論をまたないところであります。将来に向かって進むべき医療保障から逆行し、それは医療保険からさえ大きな後退であるばかりでなく、医療保険制度の崩壊をも意味するものであります。政府は赤字財政のみに目を奪われて、この重大な事態を何と考えているのだろうか。
 第八は、政府の言う行政努力によって生み出すべき二十五億円が、非民主的な監査行政となって、反国民的な医療行政となる危険性を含んでいることであります。行政努力は具体的には保険収納率の向上と診療報酬支払いに対する監査強化しかありません。ところが、保険料収納率は九七%前後で、これ以上の向上は不可能であり、あとは監査強化と給付制限による以外にはないのであります。もちろん、不正請求については監査強化は当然の措置でありますけれども、しかし、一カ月に二千万枚をこえる請求書審査は、「メクリ業」といわれるように九九・五%ないし九九・八%までは合格で、不正や不当請求を発見することはきわめてむずかしいのが現行の制度であります。しかも、過去においてしばしば医師側の医療内容まで、治療指針をたてに、適正医療の名のもとに薬剤指定と制限診療等が強行される不当な介入の問題があるだけに、官僚的な監査強化の行政措置が強められることが十分予想されるのであります。
 最後に、医療保険問題は九千万国民の生命と健康に直結したきわめて重大な問題であることはいまさら申すまでもありません。本来、国は医療保険から医療保障へ政府の責任において努力していかねばならないにもかかわらず、今日まで保険主義と財政主義ですべて国民大衆に肩がわりさせてきたのであります。さらに、このたびの改悪によって、暫定対策の名をかり、巨額な赤字処理を労働者、患者にしわ寄せしょうとし、抜本的改正への布石として、薬代一部負担制まで導入するきわめて悪質な方法がとられており、まさに国民医療制度不在の措置と言わざるを得ないのであります。自民党諸君においても心ある者は、このような給付水準及び医療制度のかつて見ない改悪案に対して、必ずしも賛成するものではないと信じます。ある同僚の議員は、あくまで改悪に反対し、断固戦うと電報を打ったと聞いております。一体、政府は、国民の生命と医療保険の財政主義と、どちらが大切で、どちらを守るというのでしょうか。このようなあまりにも冷酷無慈悲で官僚的な改悪案は、直ちに撤回されんことを強く要求いたしまして、日本社会党を代表しての私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#58
○副議長(河野謙三君) 佐藤芳男君。
   〔佐藤芳男君登壇、拍手〕
#59
○佐藤芳男君 私は、自由民主党を代表いたしまして、衆議院において修正の上本院に送付されました健保法等臨時特例法案に対し、賛成するものでございます。
 医療保険の赤字傾向は、ここ数年来医療保険制度全般を通じて見らるるところでありまして、その基本的な原因は、近年来、国民所得や賃金水準の伸びを上回って、医療費が毎年二〇%近くも上昇し、そのため収入と支出の間にはなはだしいギャップを生じておるためであります。いまこれをマクロ的に国民総医療費について見るとき、三十七年度に六千五百二十六億円であったものが、四十一年度推計では一兆三千百十七億円へと、四年間に二倍以上に増大し、年間平均では千六百億円も増大しているということであります。対国民所得比率では、四・一%から五%へと激増しているのであります。したがって、このような医療費増大の原因に対して十分な分析を行ない、これに必要な対策を講ずることをしない限り、抜本的な原因療法にはならないわけであります。
 この医療費増大の主要原因としては、薬剤使用の増大が指摘され、総医療費中に占める薬剤の割合が、従来は二〇%程度であったものが、昨今は世界的にも異例な四〇%という比率に激増していることがあげられるのであります。こうしたことは医療保険の危機というよりも、医療自体の危機とも言うべきであります。こうした医療費激増の反面、一方には、病院等医療経営の困難が切実に叫ばれており、医療費がどのように配分されているのか、その配分の構造に幾多の問題が伏在しているものと言わなければなりません。もちろん、これは根深い医療保険制度の問題点の一断面を指摘したにすぎないものであります。
 わが国の医療保険制度については、今日あらゆる角度から、すなわち、保険制度の構造、仕組み、運営など、医療保険制度のあり方の面と、病院、診療所の経営、分布、薬品制度、医療制度などを含めて、広く医療供給側の面からも十分考えねばなりません。さらにまた、国民医療と財政負担の面からも考えて、効率的に国民医療を確保するためにはどうしたらよいかを総合的に検討しなければならない段階にきておるのであります。このことは、今日ではまさしく国民の声でございます。こうした根本問題に手がつけられないところへ、まっ先に焦眉の問題として登場いたしましたのが政管健保でございます。
 四十一年度末に約一千億円の累積赤字をかかえ、本年度赤字は七百四十五億円であり、毎日二億円の累増でありますから、私の持ち時間二十分の討論の間に刻々と実に二百八十万円赤字が増加していくのであります。もしも、このまま推移いたしますれば、医療費の支払い遅延を来たし、国民医療の混乱と崩壊を招くことは必定であります。したがって、政府が抜本改善を行なうまでの暫定措置として、時限立法で健保法等臨時特例法案を提出しました立場は基本的に了解されるところであります。
 以下、特例法案のおもな内容について所見を述べることといたします。
 第一点は、保険料率の引き上げでありますが、この点について被保険者側から抵抗のありますことはわからないでもありません。しかしながら、政府としても四十二年度の推定赤字七百四十五億円に対して、二百二十五億円の国庫補助を計上していることであり、当初、保険料率を千分の七引き上げて、これを労使で負担することとしたのは、保険制度であるというたてまえから言って、当面やむを得ない措置と考えます。しかも、衆議院で千分の二保険料率を減じましたので、被保険者の負担はそれだけ減じたのであります。
 第二点は、初診時一部負担の百円から二百円への引き上げ、入院時一部負担の一日三十円を六十円への引き上げでありますと、この点は、との一部負担制度が設けられました昭和三十二年以降の賃金水準、国民所得の上昇などを考えれば当然の措置と考えざるを得ないのであります。この一部負担につきましては、次に述べまする薬剤の一部負担もそうでございますが、国の大幅な財政負担や、被保険者、事業主の保険料の引き上げによっても、危機に直面した政管健保等の当面の赤字が埋めることができないので、この際、保険給付を受ける者についても、応分の負担を願うことにしたものであると、政府は説明をいたしておるのであります。被保険者の中には、常日ごろ健康に留意し、給付を受けることのない者、給付を受けることの少ない者も多いと思いますが、それらの人々の負担の均衡という見地から、保険により給付を受ける者について、ある程度の費用負担を求めることはやむを得ないと私は考えざるを得ないのでございます。もし一部負担をなくするといたしますれば、それだけ保険料負担を多くしなければならないことになるわけでありますが、こうすることはかえって被保険者に余分の負担を課する結果となり、被保険者全体としての利益を守ることにはならないものと考えるべきであります。一部負担はこの意味からいってやむを得ざるものと私は了承するのであります。
 第三点は、外来診療、投薬時における本人の薬剤の一部負担であります。この点に関しては新たなる制度の導入であり、抜本改正に際して行なうべきだという御意見もありますが、今日の保険医療費の増大が主として薬剤費の増加に原因している現状から考え、また、一部負担による被保険者の負担の財源を初診時の一部負担だけに求めようとするならば、初診時の負担が過大になることを考えるとき、政府提案はやむを得ないと考えざるを得ないのであります。しかしながら、このような薬剤一部負担を行なうについては、所得の低い被保険者に対する配慮が必要であります。この点について衆議院において所得の比較的低い人々に対する一部負担の免除措置を内容とする修正を行なったのでありますが、免除の基準としては、おおむね所得税の課税されない者が免除されるよう配慮されておるのであります。このような免除措置が講ぜられることになっていることでもあり、薬剤の一部負担についても、この際、やむを得ないと考えるのであります。なお、社会保障の国といわれまする西独、スエーデンを初め、オーストリア、フィンランドにおいても薬剤の一部負担はやっており、ソ連のごときは全額患者負担でございます。これを付言しておきたいと思います。さらに、この法案が社会保障制度審議会に総理より諮問がございました際、審議会におきましては日数をかけて、その結果、数点を指摘して政府の注意を喚起いたしましたものの、結論といたしましては、この際これを認めることが妥当だと、総評、社会党を含め、満場一致答申をいたしたことをこれまた付言をいたしておくところでございます。
 最後に、私は、委員会等でしばしば御議論を拝聴いたしたのでございますが、社会党の方々の反対理由の根幹をなす二つの論点について反駁をいたすことのお許しを得たいと思うのでございます。
 その第一は、およそ社会保険は、保険方式を越えた社会保障の立場で、一切税によってまかなうことが理想だと主張されるのでありますが、本来、社会保険も社会保障の一環でありまして、この二つは決して対立するものではありませんし、一切を税によってまかなうという考え方は、医療国営に通ずる思想でありまして、自由経済に進歩性を加えつつ自由経済社会を維持していこうとする私どもの断じて承服しあたわざるところであることを明らかにしたいと思うのであります。私どもは、総理がいずれかの機会におっしゃったのでありますが、防貧政策の大宗である社会保険を守りつつ抜本対策を断行し、社会保険の特質にかんがみ、被保険者や事業主の実情を勘案して、必要によって国庫負担を増額してこの制度の充実発展をはかろうとするものであることを御了承願いたいと思うのであります。
 その第二は、社会党の方々は、ややもすれば厚生行政が後退しておるかのごとく非難をされるのでございますが、先ほども触れましたように、いまやわが国の社会保障は総合開発が急務とされ、社会保険はすみやかな根本対策が要求されておる段階にあります。私、想像いたしまするのに、その際には、その対象となる各項目のどれもこれも全部が全部、制度的に、また金額的にも増大するとは限らない、勇気をもって総合調整に手術を加えなければならぬことさえもあり得ると考えておるのであります。ですから、一つの現象をもって直ちに社会保障の後退とばかりは言い得ないのでございます。ただ、ここに最も注意すべきことは、国が財政難に見舞われました場合に、その穴埋めを社会保障に求めるというがごときことがありますならば、それこそ隠れもなき社会保障の後退であり、鼓を鳴らし非難されてしかるべきだと思います。幸いに、わが国では、歴代政府にこのことなし、先進国といわれておりますイギリスにおいて一回このことがございました。それは、保守党内閣ではなく、アトリー内閣――労働党内閣のときでございました。しかも、わが国では、速度に問題はあるにいたしましても、年々社会保障が前進しておりますことは、まことに御同慶にたえざるところでございます。
 ロジックプレーをやろうと思えばまだたくさん論点はあるのでございますが、特に今回の措置には、瀕死の状況にあえぐ政管健保を救うために、抜本策ができますまでのわずかの期間、三者三泣きと申しましょうか、保険者である政府も、事業主も、被保険者も、はなはだしく無理にわたらない程度に一応泣いて健保を壊滅から守ろうとするものでありますので、賛成をすべきであると私は断言をいたすのでございます。
 以上の私どもの主張が必ずや国民諸君の大多数の理解と賛同を得ることを確信して、私の討論を終わります。(拍手)
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#60
○副議長(河野謙三君) 藤田藤太郎君。
   〔藤田藤太郎君登壇、拍手〕
#61
○藤田藤太郎君 私は、日本社会党を代表して健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案に反対の態度を明らかにいたします。
 本法律案の反対を叫んでいる国民の大多数は、「われわれには血と汗と労苦と涙のほか提供すべき何ものもない」と言っております。私は、この人たちに国民の厳粛な信託を受けて、この神聖な議場で、全力を尽くして本法案を審議し、政府がいままでの態度を改めない限り、廃案に追い込むことです、と答えてまいりました。
 言うまでもなく、本法律案は、今臨時国会における唯一の中心問題であり、国政の重点がすべてここに集中されておりまして、医療保険問題がこのような地位を占めたことは、国会史上いまだかってなかったことであり、したがって、政府管掌健康保険の赤字処理、医療費の緊急是正、医療保険の抜本改正など懸案の重要問題が本法律案の行くえに左右されるものとして、ひとしく国民の注目を集めているところでありますから、医療保障に対する政府の基本的姿勢を国民の前に明らかにしてこそ、健保国会の名に値する臨時国会の使命であると思うのであります。(拍手)
 私は、反対討論に入る前に、私の尊敬する佐藤さんが、いま自民党を代表してここで述べられたことに、簡単でございますが、一言、私たち社会党の意見を申し上げておきたいと思うのであります。
 第一点として、ただいま佐藤さんの言われたことは、赤字だからみんな寄って負担すればいいんじゃないか、こういうことでございました。そして赤字の原因は、薬剤費がかさんだからだとおっしゃいました。まことに、一兆三千億の四二%も薬剤費がかさんでおるわけであります。この薬剤費を含めて全体の医療制度をどうするか、抜本改正をどうするかというのが先でありまして、それには手を一つもかけないでおいて、一部負担は、初診料は取るわ、入院料は取るわ、そうして今度また薬代を取るわというような、ものの考え方が、どうしてできたか。私は後ほど論議をしたいと思いますが、昭和三十二年の健保改正のときに、どう約束したか、政府はこれに対してどういう態度をもって今後臨んでいくのか、いままでのものをどう清算するかということを、私はここで議論をしたいと思うのでございます。
 二番目におっしゃったことは、社会党は、現在の保険を無視して社会保障ばかし言う――こういうお話がございました。しかし、この政管健保の歴史の、三十二年のとき、政府は、今後社会保障確立の重要な問題として、この政管健保に補助、援助をしていくといって、法律までつくっておるわけであります。(拍手)このことも忘れないでいただきたい。
 それからもう一つ、三番目におっしゃった、厚生行政が後退していくのではないかということ、まことにそのとおりなのであります。厚生行政の柱になるものは、すべてといっていいほど、これは社会保障であり、人間の生命と健康を守ることであります。佐藤内閣の、一億国民の生命を預っているのは厚生省であると私は思うのであります。その厚生大臣が、残念ながら、社会保障とは何だと言ったって、すぐに答えられないということ、一般の事業と同じような感覚をもって社会保障を理解されておっては、日本の国民にとってこんな不幸なことはないと思う次第であります。(拍手)
 私は、以下数点の問題を提起して、そうして反対討論としたいと思うのであります。
 私は、医療保障、健保の基礎であります社会保障の問題より論じてみたいと思うのであります。社会保障というものは、その前提をなす基本理念が明確にならなければ、ただ技術的に収支を合わせて給付を行なうことだけで社会保障が果たせるというのではないと思うのであります。しからば社会保障とは何か。主権在民の国家における社会保障というものは、所得の再配分をして国の経済を発展さしていく。所得の再配分というものを柱にして、全体の社会で生活苦や病気で困っている人々、貧乏と病気は相関連して生まれてくるものでありますが、そういう経済社会の中で困っている方々を、社会全体が保障していくということではないかと思うのであります。このことがはっきりしない限りは、社会保障をどう進めていくかということが明らかにならないのであります。いまの自由主義、自由経済の中で行なわれている社会保障というものは、そのことが明らかにされなければ、制度をいくらつくっても、保険方式に片寄り過ぎて、赤字が生じたら労使の負担でまず処理をするというのが当然であるという態度で、社会保障制度としての前進はあり得ないと信ずるのであります。
 生産を高めることは国民生活を向上させるためでなくてはならないはずであります。しかるに生産力の伸び率は、昭和三十五年から今日までに日本の生産力は四倍になりました。労働者の実質賃金はどうかといったら、たったこの七年間に二五%しか伸びていないということであります。皆さん、片一方の生産力は四倍になった、生産指数は三〇〇%、三倍近く動いているわけであります、最近の状態を見ると。しかし、勤労者の実質賃金は二〇%から三〇%しか上がっていない。これが今日の実体でございます。
 私は経済の問題で、少しここでみなさんに訴えておきたいと思うのであります。最近の資料でありますけれども、国民総支出中に占める個人消費支出指数、一九六三年の指数であります。これによりますと、ベルギーは六八%、イギリスが六五・五、フランスは六五・四、アメリカは六四・二、イタリアは六二・二、西ドイツが五七%、日本が五三%であります。国民の生活を守る費用というのは一番どん底の五三%。ところがこの反対に、固定資本形成はどうであろう。日本は三二%であります。西ドイツが二五二%、イタリアが二三・二、フランス一九・八、ベルギーが一九・六、イギリスが一六・一、アメリカが二二・三であります。国民の生活はできるだけ押えて、しかし物をつくることだけは国民を犠牲にしてもやっていくというのが今日の日本経済であり、これが生産と消費のアンバランスを起こして、中小企業を塗炭の苦しみにおとしいれ、国民を物価値上げでしぼり上げて、これだけ経済が伸びているというのに、たった二五%か三〇%近くしか実質賃金が上がってないという、このことをどうするのかと言って、私は企画庁長官に問いただしました。数字はそのとおりでございます、よく私たちも努力せにゃいけませんという答えがありました。私はそういうところから、もっと主権者、国民を大事にしていくというものの考え方が佐藤内閣に生まれてこない限り、私たち国民の幸福はあり得ないと思うのであります。
 内閣総理大臣の指名による社会保障制度審議会というのがございます。その社会保障制度審議会は昭和三十七年、せめて日本の社会保障水準を所得倍増計画と見合って四十五年、すなわち一九七○年までに英、仏、伊、スウェーデン等、西欧の先進国の一九六一年の水準を下回らないようにしてもらいたいという勧告、答申を社会保障制度審議会が政府にやったのであります。ところが、昭和四十年において社会保障総費用の国民所得の中に占める割合は、たった五・三%であります。社会保障制度審議会といたしましては、七〇年においで、勧告当時六一年の西欧並み、すなわち国民所得の一四%水準に到達させるためには、社会保障総費用のせめて一〇%か一一%水準まで今日きていなければ、これが実行できない。そうでありますから、昨年の八月、せめて四十二年度の社会保障費は、昨年が六千億でありましたけれども、一兆円は少なくともしてもらいたいということを、社会保障制度審議会――これは各界の人が出ておいでになります。この人がうちそろって内閣総理大臣、大蔵大臣、厚生、労働大臣に談判といいますか、申し入れといいますか、建議と申しましようか、お話をし、何とか実現をしていただきたいとやったのでありますけれども、これいかに、ことしの四十二年度予算は、これは実現できませんでした。よく尊重するということを、私は総理大臣や政府の閣僚から聞くのであります。厚生大臣の言を借りれば、努力しましたけれども、できませんでした、そこで七千百億という社会保障予算ができたのでございます。――皆さん、これでいいのでありましょうか。こんなことで実際に主権者国民の国家、民主政治と言えるのでありましょうか。これこそ、佐藤内閣が命がけで、これと取り組む問題ではありませんでしょうか。
 今日のヨーロッパの産業国の国民所得に対する社会保障水準は、一五%から二〇%であります。病気になっても困らない、年が寄っても生活に困らない、子供たちのいる家族は児童手当も受けられる、老人ホームは建てられるというぐあいにして、社会保障が国民総所得の二〇%という水準にヨーロッパの各国があるということを見のがしてはならないと思うのであります。ところが、先日呼びました宮澤経済企画庁長官は、佐藤内閣のこのたびの経済計画は、昭和四十六年のときに、日本の国民所得に対する社会保障費は、これから二%を加えて七・五%にする、こういうことをおっしゃったのであります。
 皆さん、どうでございましょう。みずからつくった社会保障制度審議会の意見も聞かない、かってに内閣がお立てになった経済計画は、国民所得に対する社会保障費を七・五%まで努力をしようと思っていると、こうおっしゃっておるのであります。これが皆さん、主権在国民国家のやることでありましょうか。今日、大企業、独占事業だけがもうかって利益をあげて、中小企業以下がみな困っておるという事態というものを、もう少し大きい目をあけて見てもらいたい、私は佐藤総理大臣に申し上げたいのであります。国民生活が取り残されていく姿は是正されなければならないと思います。今年の税収でさえ、私はこれも企画庁長官に申し上げました。今度の健保法の改正は、いろいろ皆さんが議論されたように明らかになってまいりました。そこで、宮澤長官は、今年度の予算をお立てになるときには、ことしの税の自然増収は七千三百億と見込んで立てられた。四、五、六の実績を見てみると、四千億か五千億これにプラスして自然増収がある見込みではないか、全くそのとおりでございますと、こうおっしゃる。そんなら、なぜこれくらいの社会保障費を、社会保障費といいますか、これを、国民がいま困っているのに、いまも佐野君の議論がありましたように、医療担当者が困っているのに、なぜ五千億も予定してたよりふえたこの財源を回して処理しないかということを私は申し上げましたが、それはほかに使い道があるというような言い方で、どうしても納得されませんでした。皆さん、これも佐藤内閣の私は性格の一つだと思うのであります。これだけの自然増収と黒字がふえた金をどこへ使うのか。主権者国民のために使うのか、そうでなしに、大企業や余裕のある層の人のために使うのか、このことの分かれ道も、私はここにあると思うのであります。
 今回の健康保険の財政危機に対する赤字対策という問題が出てきましたが、私たちが社会労働委員会で、政府管掌の健康保険の赤字問題と取り組んだのは、ちょうど昭和三十二年でありました。私はその社会労働委員会に出席をして、あの当時の政管健保の問題で議論をしたのを、いままぶたに浮かべているわけであります。どうしてもこの処置をしなければならぬ、どう始末するかという問題で熱心な議論が戦わされた。私たちは徹底的に政府の案に反対をしたのであります。
 それはなぜかというと、政府の考え方には赤字を患者に負担させようという思想があったからであります。われわれが反対したにもかかわらず、残念ながらあのような結末をつけられたのであります。しかし、政府は、最終年度のそのときに、来年から黒字になる見通しも、そのときには議論されておりました。この年の赤字は五十四億だったと私は記憶するのでありますけれども、これから毎年三十億の金を出す、政府管掌が中小企業はじめ零細企業の労働者であるから、困らないように政府は出しますということで、社会保障確立のためにこの金を出して政管健保を守っていくのだ、その裏づけとして七十条ノ三を立法化したのでございます。ところが、それがどうなったのでございましょう。いつやら知らぬ間に五億になって、それで今度赤字になったら、おまえらまた負担せい、また今度、患者に負担せいというのが今日の法律になってきたというのは、私が申すまでもないわけでございます。そのときに入院料と初診料の一部を押しつけられたのでありますが、政府の肩を持った学者諸君がこういうことを言いました。健康な者と病気になった者は、同じ保険料を出しているのだから、病気になって医療給付を受けている者は、健康な人より利益を受けるのだから、受益者負担をすべきだという意見が出たのであります。これは非常に悲しいことであります。こういうものには絶対に賛成することができないのであります。これは十年前の議論であります。政管健保は、組合健保と違って、中小企業を中心とする健康保険制度であるから、何としても今後くずれることのないように守っていこうじゃないかということで、社会労働委員会において、大蔵大臣も厚生大臣も国庫補助の継続を約束して、そうして今日まできたのでありますけれども、残念ながらいまのようなことでございます。
 そして、私はここで申し上げたいのでありますけれども、たとえば、隣の人が病気になって医療給付を受けている。家庭はまつ暗である。それなのに健康な人が、隣の人が病気になって健康な私たちより利益を受けていると思う人が、日本の国民にあるでありましょうか。私はそれを言いたいのであります。負担の均衡とか、受益者負担とかおっしゃるけれども、ここにおいでになる皆さん方の周囲、皆さん方自身が、病気になったものは、あれは医者にみてもらって得をしているという考え方が出てくるであろうか、私はそのことが言いたいのであります。
 このたび、また赤字が出たから、とにかく薬剤の一部負担を新設するのだと言って、つじつまを合わそうとしておいでになっているわけでありますけれども、私たちは政府の政治責任を何としても追及しなければならぬ。昭和三十二年にきめて、約束して法律までつくったものを履行していない、これは私は政府の食言だと思うのであります。いままでも、私は何回も委員会に出ておりましたから、よく覚えておるわけでありますが、政府に食言だと言って追及をしてきたのでありますけれども、実行されなかったのであります。相続いての自民党内閣でございます。
 皆さん、私はきょうここへ参りまして、小柳君の、総理、厚生大臣、大蔵大臣に対する質問を聞きました。そしたら、佐藤総理は、立法の趣旨を尊重いたしますと、こうおっしゃられたのであります。そこで、佐藤さんも腹をきめて、昭和三十二年からのことを実行してくれるのだと、私は思いました。私はそのときにすぐ浮かんできたことは、あの当時の議論をするときには、定率で、政管健保を少なくとも一割ぐらいの定率で補助をすべきだということを、大臣にかわって保険局長が答えた。前の大臣も何とか定率にしなければいかぬだろうということを言われたことを私は聞いております。正式な会議とは言いませんけれども、国会とは言いませんけれども、そういうことを聞いておるのであります。だから、そういうことの流れを総理は理解をしていただいて、いま答えていただいたものだと私は理解するのであります。ですから、私は政府に対して、この三十二年からきまってきた七十条ノ三の実行を私は要求したいのでございます。どうぞ、総理大臣がおいでになりますから、この七十条ノ三の規定のとおり、この実行について格段の努力をお願いしておきたいと思うのであります。
 私は当時の議事録を――もう二、三、当時のことを思い浮かべてみたいと思うのであります。国会の審議においても、高田保険局長は、「改正法律案が成立いたしますれば、法律に明記してあるとおりに、今後黒字を出すようなことがございましても、金額のいかんにかかわらず、国庫の補助金というものはあるわけでございます。」と答弁しております。それからまた、この法解釈におきまして、執行に要する費用の一部に対して、予算の範囲内において国庫補助を行なうことを規定したのは、政管健保の財政危機に対処し、その健全化と制度の合理化をはかるべく、保険給付費等に対する国庫補助制度を明文化したのでございます。この補助をするという、この性格は、補助をすることができるとか、補助をすることを得という規定とは全く異なるのでありまして、その額は別として、毎年度国庫補助をすべき義務を負うことを表明されたものでありますから、私たちは、それをずっとそのとおり理解しているのでありますが、どうぞ、その点は、総理大臣、厚生大臣によって今後しかるべき処置をとっていただきたいことを、この際、おいでになっておりますから、私の意見として申し上げておきたいと思うのであります。今度の、国庫が補助した二百二十五億円についても、赤字の一部しりぬぐいなのか、あるいは、この七十条ノ三による趣旨を含むものなのか、その補助金の性質と、積算基礎を明確にしなければならないはずであります。
 私は、前にも申し述べましたように、社会保障制度審議会の答申と、去年の約束、それに、三十二年の政府が負担していこうという赤字に対する約束、一部負担はもうやりませんという約束、そして経済がその三年後の三十五年から生産力が先ほど申し上げましたように四倍にもなって、いまだに受益者負担でやっていこうなどという、このようなことが出てくるとは、佐藤内閣が人命尊重を表看板として経済政策をおやりになっているということと考え合わしたときに、私は非常に残念なのであります。佐藤内閣の厚生行政をあずかっている厚生大臣の厚生行政というものも、だんだん見てみると、結局赤字対策は労使の負担で処理しようということが、どうしても私たちに納得することができないのであります。経済の発展に応じて健保の黒字が出たけれども、約束しただけのものは国が出していこう、黒字は積み立てていこう、いずれ赤字になったときのために保険経済を守っていくというのが根本趣旨であると思うのであります。このことはほおかむりして、このたび赤字を生じたからといって、昨年は百五十億、それは黒字になった分を前の年に全部食ってしまったから赤字になったのです。今度は特別赤字になったから、国庫はこれだけ出すから、あとは国民で負担せよというものの考え方は、何とも理解することができないのであります。
 過般の社会保障制度審議会において、私は、厚生大臣がこうおっしゃったと覚えているのです。政管健保の問題については、やっぱり中小企業、零細企業であるから、今度は定率の問題を考えなければならないと言明している。おっしゃった。そして、三十二年のあの当時の約束も果たさないで、いま赤字になったから労使のほうに負担をかぶせて赤字解消をしようというものの考え方に、私は強く反発を感ずるのであります。そうでありますから、繰り返して私が申し上げましたこの問題は、三十二年の公約違反の問題をどのようにわれわれに理解させるか、そうしてその上に立って今回のような処置をとっていこうというのであるならば、まだ議論の焦点が合ってくると思うのであります。先ほど総理大臣が、立法の趣旨を尊重しておやりになるとおっしゃったから、私はしばらく総理の今後の処置を見てみたいと思うのであります。
 薬代の一部負担の新設によって、だれがどれくらい利益があるのであろうか、この問題は、薬価基準をはじめ、薬品の制度の根本的な問題に触れざるを得ないのでありますが、私は、一部負担を患者に押しつけようとするものの考え方について問題にしなければならないと思うのであります。この問題が負担の均衡という理由からであるとすれば、全くもって社会保障の概念からはずれたものの考え方であると言わなければならないのであります。日本の社会保障というものは、国が負担しないで労使から取り上げたらよいというように、私には受け取られるのであります。本法律案はこのような考え方の上に提起されている。病気になったものが他の健康な人より利益を受けているからという、先ほど受益者負担論について申し上げたような、そういうことにならないように、ぜひしてもらいたいと私は思うのでございます。何ゆえに、不幸な患者に負担させることによって赤字を解消しようとするのでございますか。
 政府は 口を開けば、外国にも一部負担などがあると強調されるのであります。外国のことに私は触れるのでありますが、一昨年の厚生白書の前段に、外国の保険制度の実態も言わず、国民に一部負担だけ並べて厚生白書に書こうとした諸君がおるわけで、私は残念でしょうがないのであります。たとえば、イギリスも一部負担はあります。しかし、労使どころか、保険経済の八〇%を国が負担しているのであります。フランスにしても、イタリアにしても、これは使用者が二を持って労働者が一であります。フランスは、もうちょっと使用者が高うございます。フランスに一部負担はありますけれども、償還制度になっているわけでございます。ちょうど日本と同じようなかっこうをとっておるのが西ドイツであります。これはフィフティー・フィフティーであります。保険料はフィフティー・フィフティー、しかし、日本ではもう初診料と入院費がとられておる。これをまた倍にするということであります。ドイツはそういうことはいたしておりません。処方せんの書き賃だけしか、そのほか一銭も取っていないのであります。日本の金にしたら十円くらいです。処方せんをもらって十円払えばそれで事は済む、これが西ドイツでございます。これら主要国をとってみても、一部負担でその保険経済のまかないをやっておる国がどこにあるでありましょうか。私はそれを言いたいのでございます。よく私は理解をしていただいておきたいのでございます。それを国民に知らさずに、各保険制度の問題を知らずに、一部負担の問題が外国にあるからあたりまえだと言わんばかりに、今日もそういう意見がだんだん出てくるのであります。やっぱり自民党の方々にも社会保障に対して非常に良識の人がおいでになるわけでありますから、こういうことはよくおわかりになっておることだと思うんです。これはもう速記を見ればよくわかることです。ところが、なかなかそれが無視されておる、こういうことでありますが、これでは、日本の社会保障の主権在民の国家における主権者である国民を守って行こうという制度というものが前進しないばかりか、明らかに医療保障の後退といわなければならないのであります。
 今回の赤字対策が一部負担制の改定を取り上げたのは、負担のバランス論よりも、むしろ医療費、特に薬剤費の値上がりに着目して、薬剤の乱用防止という趣旨にあることは明らかであります。わが国の制度は、先進国の例に見られるような、医療費の値上がりに対する調節作用を持っておりません。診療報酬支払基金の審査制度すら歯どめの役を果たしていないのであります。そこで、一部負担を窓口徴収することによって歯どめの効果を期待しようと企図するものであることは明らかでありますが、被保険者の、たとえば、この負担制度が実現すれば、どうなるでしょうか。健康保険のたてまえからすれば、財政対策による一部負担で見ると、被保険者の給付率は現行九八・二%であって一〇〇%でございません。これが九二・五%に下がるのであります。これは平均で見た場合でありますから、薬剤負担を行なっている被保険者にとってみれば、その時点における給付率は九割も、または八割も下回るという事態が起こるのであります。これは抜本改正につながる重要な問題であります。そもそも、現行の初診時百円、入院時一日三十円という一部負担は、過ぐる三十二年の赤字危機に際して、いわゆる三者三泣きの暫定対策として切り抜けるため、政府管掌健康保険における財政安定化を兼ねた補助支出と、保険料率の引き上げに伴った一部負担であります。それも、初診料や入院料と言わないで、初診時に支払う手数料的なもの、入院時に支払う一日分の米代に相当するものとの趣旨でありました。米代は入院すれば家庭での分が浮くという考えからで、船員は船内給食でありますから、入院しても家庭の米代とは無関係という理由で、船員保険には入院時負担はないことになっておったのであります。この三者三泣きの暫定措置によって、ともかく赤字危機を切り抜け、かえって黒字が生じたころから、政府の補助だけが逃げて、労使の二者泣きだけが取り残されて今日に及んでいるのは、前に私が申し述べたとおりであります。
 政府は、このような経過にほおかむりして、入院料と初診料の一部負担額を二倍に引き上げ、受診抑制の非難を回避するため、形ばかりの少額を外来投薬時に患者に一部負担してもらうことにしたと、例によって軽く弁解しておりますが、今回の暫定対策なるものが、再度、政府のほおかむり主義によって、三十二年の前例のように、いつの間にか固定化することは、国民はしばしば経験させられてきたところでございます。このようにして、薬剤費に対する一部負担の新設は、赤字対策として単純に提起されたように見えますが、これは、かねて問題になっている、被保険者本人九割ないし八割給付への実現に近づけるための、受診の抑制と、受益者負担の長期的固定化をねらった、将来の一部負担制へのたくらみであると私は思うのであります。この足がかりを築くものであることは明白であります。厚生白書の裏づけによっても、昨年から準備が進められていたものである。このことは、政府原案が期待した百二十六億の財政効果を、衆議院における与党修正によって、三十六億円という大幅削減を加えられても、なお、執拗に政府が薬剤の一部負担制を固執しているということによっても明らかな事実であります。
 ここで、私も一言触れておきたい。健保会計の問題であります。昨年から、当初予定された四十二年度の赤字は千四十六億でありますが、四十一年度の決算をしてみたら九百七十八億に赤字が減少したのであります。六十八億というのが、財政上の予算からしたら黒字になったのであります。四十二年度分の薬剤一部負担は十五億円であります。この十五億円を、厚生大臣は、これは赤字対策なんだから、もしも財源が見つかれば考えますということを、何回も社会労働委員会で言われた。そこで、六十八億というものが出てきましたよ、厚生大臣、薬剤の十五億をはじめ、その他の一部負担、また料率の引上げの財源ができましたよと、小柳君が執拗に言ったら、そのとおりですと、いや、その金が出てきた瞬間に、これはどうもごてごてと、はっきり返事がしなくなってきた。そこで総理大臣、大蔵大臣に来てもらった。いや、これは金が少ない多い、問題じゃない。問題じゃなくて、これは患者から薬の一部負担を取っていくという、まあ抜本対策の、基本方針とまではおっしゃらなかったですけれども、これは、今度の改正の柱だから、銭金の問題でないと、こうおっしゃる。さあ、厚生大臣と総理大臣と食い違うじゃないかと言って、大もめにもめた。結局、結論は出ないようなかっこうで今日にきているのでございます。
 皆さん、ここをよく考えていただきたい。これは三十二年度の、法律までつくって国民に約束したことが、いままで実施されていない。これは、国の補助金なのか、赤字対策の一時的なものなのかという解釈すら、明確に答えられないというところに、この問題があると思うのでございます。
 また、赤字解消のための暫定措置であるとするならば、健康保険財政のワク内で暫定措置を講ずれば足りる問題であるにもかかわらず、本来が健康保険より高い給付を法定されている各種共済組合の被保険者にまで、薬剤の一部負担を強制する事実を見ても、明白であるわけでございます。
 私は、以上述べてまいりました今回の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律の改悪は、昭和三十二年に政府が国民に約束した政管健保を、社会保障確立の一環として、経済発展、生産力拡大に伴って履行してくれば、今日のように被保険者、患者負担を主体にする本法律案は、今日議論をする必要はなかったであろうと、私はそう思うのでございます。私たち日本社会党は、このたびの政管健保、船員保険、薬代一部負担をはじめ、被保険者負担を中心にした健保改悪案には、断固反対するものであります。
 以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#62
○副議長(河野謙三君) 小平芳平君。
   〔小平芳平君登壇、拍手〕
#63
○小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案に反対の討論を行なうものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 まず反対の第一の理由は、政府自民党の医療問題に取り組む基本的な姿勢についてであります。現在日本の医療制度は、極端な赤字財政に悩まされてきたことは、周知の事実であります。そうして、この難問題解決のためには、政府も地方公共団体も、与野党を問わず各政党も、あるいはまた各労働組合、経営者団体、医師の諸団体、病院関係の諸団体等各階各層から、いわゆる抜本的な対策について種々検討がなされ、また制度改正に対する各団体の意見も発表されてきたところであります。また、政府の諮問機関であるところの各審議会においても、この抜本対策を強力に推進するよう再三にわたり政府に対して答申勧告をなされてきたことも、周知の事実であります。しかるに、医療財政の具体的な赤字対策いかんとなれば、関係諸団体の利害は激しく対立する面もあり、この対立する諸団体が社会的に強力な団体であればあるほど深刻となり、政府の諮問機関においても、その代表の意見が激しく対立し、一致した結論の得られないこともしばしばあったのであります。
 要するに、医療問題解決に関する各方面の具体的な意見や対策はすでに出尽くしている感が深いのに、現行制度の不合理や欠陥が一向に是正されようとしません。
 それではその具体策を実現するにはどうしたらよいかとなれば、何といっても現在においては、佐藤内閣と与党たる自由民主党に重大な責任のあることを自覚されなくてはならないのであります。なぜならば、今回の特例法案の取り扱いや、審議の経過から考えても、一たん政府案が決定してしまえば、容易にその内容は動かされないのであります。与党たる自民党は、多数をたてにアッという間にその一部修正をすることもできましたが、あとは野党各派がいかに反対意見を述べようと、参考人がどのような意見を述べようと、結局は政府与党が強引に押し切ってこの段階に来ているのではありませんか。
 ゆえに、私はまず政府与党に対して、このような重大問題をかかえ、責任ある地位にありながら、その使命感と自覚に立った行動をとられなかったことを反対の第一の理由にあげざるを得ないのであります。いまや医療問題は、与党と野党の対立とか、イデオロギーの対立にまかせられる問題ではない。国民大衆の健康を守り、生命を守るためにどうしたらよいかを真剣に考えて、早急に打開策を講じなければならない。
 要するに、各階各層のいかなる努力も、政府・自民党が無為無策であったのでは、一切が徒労に帰すことを明らかにしていかなくてはならないのであります。
 第二に反対の理由としてあげるべきことは、本特例法案が衆参両院を通じてきわめて非民主的な扱いを受けてきた点であります。この特例法案は、すでに第五十五特別国会に提出されましたが、野党の強力な反対にあい、審議未了、廃案となったものであります。しかるに、政府は、わずか五日おいてすぐに第五十六臨時国会を召集し、廃案となったものをそのまま再び国会へ提案をしました。その間に、強力な反対意見のある民意を一向に聞こうともせず、取り上げようともしなかったことは、民主主義の精神に反することはなはだしいものであります。しかも、衆議院においては、委員会及び本会議における強行採決、また参議院においては、野党のこぞって反対する中間報告を強行するという異常な混乱の中に本特例法案の強行成立をはかろうとする政府与党の態度に対し、われわれは絶対に反対をするものであります。
 特別国会において廃案となった二つの法案のうち、各方面から強力な反対の陳情請願のある健保特例法を、臨時国会を開いてまでも強行成立をはかりながら、他方において、政界浄化のため国民の各層から強くその成立を期待された政治資金規正法は、矛盾にも自民党が先頭に立ってこれを廃案に追い込み、顧みようともしないではありませんか。ここにわれわれは政界の根深い病根を見るのであります。
 第三は、政府の医療政策が、毎年の赤字対策に追われ、抜本策を怠っている点についてであります。本年四月二十一日の社会保険審議会においては、昭和四十年に抜本策について警告したのに、政府が、「有効な手段方策を講ずることなく、今日に至っていることは、まことに遺憾である」との強い意見を述べております。さらにまた、社会保障制度審議会においては、昭和四十年にいわゆる抜本策の確立を強調しその内容を具体的に指摘したが、その後においても政府は一向に対策を講じようともしなかった。ゆえに、本年四月二十四日の答申並びに意見には、「この間における政府の無策は、いかなる事情があったにもせよ、強く責められなければならない」と言い、また、「いまやこの問題に対する抜本策の確立は、まさに天下の声である。一内閣、一大臣の問題ではない」と言っております。このように重大な警告をも顧みない政府の態度に対して、われわれは佐藤内閣に政権担当の資格がないと断言せざるを得ません。はたして佐藤総理に政権担当の意思がおありなら、一日も早く総理みずから責任を持ち、重大な決意を持って医療問題解決のために全力を尽くすべきであります。しかるに、本院の社会労働委員会における総理の答弁のごときはきわめて不満であります。たとえ時間が短かかったにしても、総理は問題がどこにあるかさえ何も知らないで委員会へ出席をし、そして厚生大臣と食い違った答弁をしても平気でいるような態度に対し、われわれは強く反対するものであります。
 この特例法案は、二年の時限立法となっております。しかるに、抜本策というものが、二年たって降ってわいてくるのではありません。しかも、社会保険審議会の答申では、「引き続きすみやかに制度の抜本的改正に取り組み、昭和四十三年度から必ず実施に移すことを約束すべきである」と言っております。それが衆議院段階で二年となりましたが、政府が現状のような無為無策を繰り返していたのでは、いつまでたっても医療制度がよくなるわけがありません。四十三年から実施するためには、もうすでに多くの問題点が相当に整理され、問題によっては結論を得ていなくてはなりません。しかるに、これに対する政府の具体的答弁は、ついに一つもなかったと言わざるを得ません。四十三年を待たずとも、今年からでも実施できる方策はないのか。ただ「赤字対策の特例法の成立をお願いします」と、繰り返しているばかりの政府の態度を強く批判せずにはおられないのであります。
 第四に、特例法案の内容についてであります。すでに指摘してきたように、政府は医療制度の欠陥と政府の無為無策から来る赤字対策を、勤労大衆の負担や患者の一部負担の拡大によって穴埋めしょうとして出したのが今回の特例法案であります。
 厚生省は、政府管掌健保の昭和四十二年度赤字見込みを七百四十五億円としております。しかし、この七百四十五億円という数字にどれほどの根拠がありましょうか。過去においても、昭和三十八年度は、五億円の赤字見込みが実際には百三十一億円、昭和三十九年度は、七十五億円の赤字見込みが実際には三百六十三億円、昭和四十年度には、六百五十九億円の赤字見込みが実際には四百九十七億円と逆に減り、昭和四十一年度には、二百二十八億円の赤字見込みが実際には三百三十四億円となっております。これほど見込み違いばかりしているようでは、普通の事業会社なら、とうてい成り立たなくなるでありましょう。
 さて、この七百四十五億円の赤字を埋めるためと称して、保険料率を千分の六十五から千分の七十二に引き上げ、一部負担金の改定として、初診時の百円を倍額の二百円に、入院時の三十円を倍額の六十円に引き上げること、さらに外来投薬時の本人定額負担として、一剤一日分十五円を新設する。そのほかに行政努力と国庫補助となっております。次いで衆議院段階において自由民主党の修正により千分の七十二から千分の七十と減り、外来投薬時の定額負担を標準報酬二万四千円以下は免除すると修正になっております。
 このような改定にわれわれが反対する理由は、根本的にはすでに述べたとおり、医療制度の欠陥からくる赤字をなぜ大衆に負担をさせるのかという点であります。すでに総医療費は一兆三千億円となり、そのうちの約四〇%の五千二百億円が薬剤費となっております。そうして製薬会社は膨大な利潤をあげているといわれる現行の姿が、これでよいのかどうか、この負担を中小零細企業に働く勤労者大衆に負わせなくてはならない理由が一体どこにあるであろうか。
 政管健保は、中小企業の従業員を対象としておりますが、日本の中小企業は大企業に比較して所得が低く、また所得の低い層ほど罹病率が高いといわれ、病気はさらに貧乏を生むという悪循環を繰り返しています。さらにまた、青年時代、壮年時代の元気なうちは大企業の組合健保に加入していた者が、定年退職して政管健保へ移ってくる場合もある。また労務管理や健康管理の面においても政管は思うようにいきがたい面が多いのであります。このようにして見るとき、政管健保に収支均衡を求め、保険原理を適用することには無理があり、国庫負担をさらに増大しなくてはとうてい赤字の解消は困難なのであります。
 また料率の引き上げにしても、政府は昨年千分の六十三を千分の七十に引き上げるように提案して、国会で千分の六十五に修正となりました。今年は千分の六十五を千分の七十二に引き上げるように提案して、千分の七十に修正になったのであります。はたして厚生省は、ほんとうのところ料率は幾らが妥当であると考えているのか、はなはだもって疑惑を抱かずにはおられないのであります。
 本年度は料率と薬代一部負担の二つの修正と、実施時期がずれたことにより三百億円以上の赤字が出るという、はたして来年からも赤字対策としての料率引き上げや一部負担の引き上げを絶対にしないで済むといえるでしょうか。こうした安易な一時しのぎの対策にはわれわれは絶対に賛成できません。
 薬剤の一部負担の新設は、政府は四十二年度の赤字対策として創設するにすぎないと、繰り返し答弁していましたが、これは政管のみならず、組合健保や各種共済にも適用される根本的な制度改正であることは、だれの目にもきわめて明らかなところであります。各方面から一致して反対されているこのような新制度を、なぜ政府は強引に新設しようとしているのでしょうか。その理由として伝えられるところでは、一、乱受診の防止、二、受益者負担、三、医療費の節減などといわれております。ところで、どのような薬をどれほどくれるかは医師のほうで決定していることであって、患者としてはその代金だけを規定に従って払うことになる。その代金の負担が重荷となれば、病気になったからといって気軽に医者にはかかれなくなってしまうのです。これこそ社会保障制度の後退であります。ましてやそれを称して受益者負担とはどこから出ることばでしょうか。健康保険に加入している人が病気になって医者にかかることが利益を受けることといい、受益者とするなどというのは、きわめて非人道的な考え方であるといわねばなりません。
 次に、医療費の節減といっても、受診を抑制する効果をねらうならば、節減されるに違いありませんが、そうでなければ一体どれだけの効果をあげられるでしょうか。患者の負担を増大させて、医療費の節減をしようとする考え方そのものに反対するものであります。さらにまた、二万四千円で区切った修正の結果、医療機関における事務的な繁雑さ、また貧乏人は証明書を持ってこいというような非人道的な扱い等、きわめて問題を複雑化するだけであります。
 総じて今回の特例法案は、患者の負担を増大し、きわめて患者泣かせの特例法案であります。政管健保の総医療費を、国庫負担と、保険負担と、患者負担に分類して比較した場合、患者負担が最も増大する比率となっております。大多数の中小零細企業に働く人たちやその家族が、病気になった場合にどんな思いをするでありましょうか。家計がどんなに苦しくても、病気だけはなおしたいとの願いから、どんな無理をしてでも、お医者さんへかけつけようとする庶民の苦しさや悩みを少しでも思うならば、このような患者泣かせの特例法案など断じて成立させてはならないと信ずるものであります。
 第五に、政府管掌健保の問題点についてであります。
 この健保の責任は、文字どおり政府でありますが、政府の行政の拙劣さ、怠慢さから、多くの欠陥をかかえ、しかもそこから来る財政上の赤字を労働者大衆の負担によって補っていこうとする政府の態度は、きびしく追及されなくてはならないのであります。一人当たりの医療費を比較してみると、政管の二万七百三十一円に比し、組合健保は一万八千三百二十一円、国保は一万八千五百十二円となっております。また、家族の給付率は、あとから発足した国保がすでに七割給付を実現しているのに、政管は相変わらず五割給付です。その上に、今回の改正で料率も上がり、一部負担も増大していけば、政管と組合との格差はますます増大する結果になります。すなわち、保健施設、附加給付、一部負担の償還などによる相違がすでにあるからであります。したがって政府は、医療費の家計を圧迫する限度をどのくらいに見ているか、科学的に分析し、検討をしていかなければならないのであります。しかるに、現状は、これに対する政府の答弁は皆無と言ってよいのであります。また、被保険者証の検認及び更新について、政管では昭和三十六年ころからこれを全然実施していないのであります。その理由は何かと問うと、人手がないからとの答弁であります。すでに六年にもなるのに、こんなことがはたして理由になるでありましょうか。どこの組合においても、そんなのんきなことを言っていることはできないのであります。一千二百万人という大きな組織で手が回りかねるともいいますが、だからといって、ずさんな管理、だらしない経営でよいという理由にはならないわけであります。確かに第一線の職員は人手不足でたいへんであります。それならばそれなりに責任者が、第一線の実情をよく把握して適切なる対策を立てなければなりません。それもしないで六年間もほっておいたことこそ政府の重大なる怠慢であります。こまかいことかもしれませんが、第一、被保険者証を数年間も書きかえなかったら、まつ黒になったり、ぼろぼろになったりするでしょう。さらに喪失事故はどのように処理されているか、会社倒産や、事業所の廃止などで資格を喪失した者の被保険者証がどのように回収されているか、そこに不正使用がどのくらいあるか、いずれにしても、政府の管掌なるがゆえのずさんさというよりほかはないわけであります。
 次にまた、政管健保の一人当たりの医療給付費が県によって大きな相違があります。全国平均は二万六百二円に対し、全国の最高は、佐賀県の三万五百六十七円、京都府の三万四百四十六円で、約五割も高くなっています。また低いほうでは、静岡県の一万五千三百八十八円、東京都の一万五千四百七十七円で、全国平均の八割にも及びません。そうして最高と最低とでは実に倍の開きがあるではありませんか。このような事実に対しても、厚生省当局は何ら検討を進めてもいないし、その原因も把握しておりません。私はここで全国の県を平均にせよと言うのではありません。しかし、ここに二つの事業所があるとします。一人当たりの医療給付費が、一方が他方の倍だったとしたら、その原因の点検もしないでほうっておく企業主がどこにありましょうか。このような意味から、政府の怠慢のそしりは絶対に免れないと思うのであります。この都道府県別の格差は、医療制度全体としても大きな問題であります。いま、支払基金年報によって見れば、被保険者の入院外診療一件当たり点数が、昭和三十四年以来、京都府が全国第一をずっと続けております。この原因はどこにあるか。さらにまた、同じ病気に対する投薬料や注射料を地方別に見ても、大きな開きがある。要するに、このような点についての検討や究明を怠っているところに、納得のできないものがあるわけであります。いま私は、政府管掌健保の責任体制をすみやかに確立せよと叫ばずにはおられません。政管の責任者はだれかと言えば、厚生大臣であると言います。しかし、過去十年の厚生大臣の任期は平均して、岸内閣時代が八・五カ月、池田内閣時代が、九・八カ月です。一つの企業として見た場合に、これほど責任者のよくかわるのも珍しいでしょう。厚生大臣はどのように今後かわられようとかわられまいと、少なくともこのような重要課題は、総理みずから責任を持って、政管健保の立て直しに当たるべきであるということを強く要求するものであります。
 第六に、医療機関等のあり方についてであります。病院、診療所のあり方や、現行の診療報酬体系などの欠陥によって生ずる医療財政の赤字を、大衆に負担させようという考え方にはあくまで反対であります。医療経済の実態調査は、長い間実施していません。政府は、すみやかに第三者機関による実態調査を実施し、そこに客観的な結論を見出さなくてはならないのであります。
 また、保険医療機関に対し、指導及び監査を実施していますが、これがまた、あってなきがごとき現状であります。すなわち、指導、監査に当たる技官と、昭和四十年度に実施した監査の回数は、東京が九人で二十一回、京都は二人でたった一回というような状況であります。監査の強化だけが医療制度をよくするとは言いませんが、いずれにしても一部の不正医のために多くの善良な医者が迷惑をしたり、医師全体が社会から疑惑の目で見られるような悪弊は、一刻も早く打開していかなければならないのであります。
 また、監査の結果にしても、本年の二月に東京の一医療機関で、一千七十九万三千円の不正請求をした者さえありました。それが架空請求と出張診療のごまかしというのですから、きわめて悪質ではありませんか。これに対して政府の答弁は、悪質な者は厳重に処分すると言い、さらに監査を強化すると言っていますが、要するに医療制度の明朗化のために、より一そうの努力が必要なのであります。
 最後に医薬分業等について、現在医療費の三八%は薬代が占めていること、そのような薬代を患者に一部負担させたり、また、保険料でまかなうために大衆に負担させていくような制度には反対であることはすでに述べてきました。この点についても、利害の相反する面があり、また、現行の診療報酬体系が医師の技術を全く無視したような形態になっている点、また当然、実現していくべき医薬分業など、政府がもっと力を入れて実現に努力し、この面から大衆に無用の負担をかけないようにしなければなりません。特に委員会においても明らかにしたように、健保で十一円の薬を、医師は四・五円で入手している例がある。また、外国と技術提携した薬が、日本では市販で一錠百三十三円、健保で六十一円であるのに、香港では十五円で販売されているという実情であります。こうして大衆には高い薬をたくさん使用させ、その結果は、製薬会社の利潤があがるばかりであり、しかも薬価基準は実勢価格よりはるかに高くなっているにかかわらず、一向に薬価基準の引き下げが行なわれていないという現状であります。
 政府・自民党は、このような数々の矛盾を放置して、国民の反対する改悪法たる健保特例法案の成立をのみ強行しております。われわれは、そのような改悪強行には絶対に反対であります。
 以上をもって反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#64
○議長(重宗雄三君) 向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#65
○向井長年君 私は、民主社会党を代表して、ただいま議題になっております健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案に反対の討論を行ないます。
 私は、討論に入る前に、本案が委員会審議から中間報告に至る過程を顧みて、このような無謀な審議はいまだかつてないと断ぜざるを得ないのであります。多くの国民は、良識の府といわれている参議院のこの実態をいかに悲しんで見ていることでしょう。私たちが政府から提案された特例法のよって来たるその理由と内容について、国民が納得のいくようにまじめに審議し、国民の前に明らかにする考えで、委員会におきまして、社労委員長並びに各党理事、幹部にもたびたび申し入れを行なったのでありますが、ほとんど委員会においての質疑時間は与えられず、まことに遺憾しごくであります。自民党の諸君は、八月八日より十六日まで六日間、十分審議が行なわれたと言っておられますけれども、私の調査によりますと、実質審議は二十一時間、すなわち、その内訳は、八月八日二時間五十六分であります。八月九日三時間三十一分であります。十一日には四時間三十七分であります。十四日は二時間二十分であります。十五日六時間二十七分、十六日は一時間四十分であります。こうなってまいりますと、一日平均三時間しか審議を行なっていない現状であります。その間、わが党の代表質問発言時間は、佐藤総理に対して二分三十秒、厚生大臣に対する質問はわずか三分であります。これで十分な審議が行なわれたと言えましょうか。また、わが党に十分な時間を与えたと言えましょうか。常に民主主義の根底を流れるものは少数意見の尊重でなければなりません。はたしてこれで尊重したと言えますか、あるいは、また、十分に審議がなされたと言えましょうか。私は、十六日夕刻以来、本会議のこの場において静かに考えたとき、あえて皆さま方に申し上げたい。自民党の諸君にもう少し度量があるならば、かかる三日間もの長時間をいたずらに空費することなく、また、議事引き延ばしという目的ではなく、まじめな委員会審議に時間を傾けるべきではなかったかと存じます。皆さん、先ほどから社会党の皆さんがやむにやまれず牛歩戦術をとっておられます。この時間は、皆さん、一時間あるいは一時間二十分ではありませんか。かかる時間を委員会審議に回すならば、各党の質疑も、また、各委員の十分なる審議も行なわれるはずであります。私はまことにその点を残念に思います。先ほどわが党の同僚の高山議員が、この本会議場において、ようやく十分の質問らしい質問を許されたにすぎないのであります。かかる審議状況の中で中間報告をされたことは、まことに遺憾のきわみであります。私は、この際、率直に苦言を呈し、今回の暴挙に対し、憤りを感じつつ、反省を促して本論に入りたいと思います。
 さて、今回政府から提案されました臨時特例法案は、関係大臣の所信表明とははるかにほど遠い内容であると言わなければなりません。
 第一点は、政府は、昭和四十年度の答申の際に、四十二年度より抜本対策を講ずることをしばしば言明してまいっております。にもかかわらず、これらの言明とは全く逆に、何らの対策も講ずることなく、その怠慢が一千億円をこす膨大な赤字を生むに至ったのであります。もちろん、これらの原因について、薬剤費の急激な増加や、公害による疾病構造の変化などがあげられますけれども、しかし、それにもまして大きな原因は、基本的事項の検討を怠った政府の無策に基因すると私は断ぜざるを得ないのであります。政府みずからの責任を果たさず、きわめて部分的な臨時的な改悪を行ない、国民に一方的に転嫁させようとする非情冷酷な方法によって問題を糊塗しようとすることは、断じて許しがたいのであります。
 第二は、一千億円をこえる膨大な赤字について、その原因が医療需要の拡大と医療給付にあるとすれば、何よりもまずその責任をとらなければならない義務は政府にあるのであります。にもかかわらず、政府は、保険料率の引き上げ、初診料、入院料の倍額、薬価の一部負担という形での手直し策の実行は、政府の責任を最終的には労働者や国民に転嫁することであり、まさに誤った行為と言わなければなりません。また、政府は、四十二年度の赤字推定を七百四十五億としておりますが、ここに医療給付の伸び率を見るならば、四十年度までは約二〇%であったものが、四十一年度で一四%と縮小してきており、これに対し、被保険者一人当たり保険料は、四十年度まで約一〇%であったものが、四十一年度から一七・九%と伸びが大きくなっておるのであります。単年度の収支状況を見ても、四十一年度は三百三十四億で、三十九年、四十年度を下回っており、これらの状況を考慮すれば、七百四十五億は全く根拠のない数字であることは、衆目の一致するところであります。さらに、薬剤の一部負担という制度を新設することを強行しようとしておりますが、これらについて、政府は、今回の改正案により受診は低下しない、一部負担、薬代の十五円負担はわずかであると言っておりますけれども、これはまさに詭弁と言わざるを得ません。何となれば、医療費の現金窓口払いは患者を医療の機会から遠ざける原因となっていることは、国民健康保険や一般の健康保険の家族療養において三割から五割自己負担制がはっきりと実証済みであります。特に政管健保の対象者は、中小零細企業で働く労働者が大多数を占めており、きびしい労働条件と合理化の進んでいる今日の労務管理の中で、彼らの中小零細企業の置かれている条件を知る私どもにとっては、今回の負担がいかに苦痛なものであるか、十二分に察するに余りあるのであり、今回の改正案は低所得者の健康や生活を破壊する以外何ものでもないと断ぜざるを得ません。政府は、この低所得を救おうということで修正案を提示してまいりましたが、これは修正したからこれでよいという性質のものではないのであります。この薬価について、財政対策として薬価問題を扱う以前に、医薬分業を含めて薬剤対策の明確な位置づけが必要であることを強く訴えたいのであります。この修正案は、抜本対策の中で検討さるべきものであります。この薬価の一部負担に政府が固執しているのは、これを布石として薬剤の負担を拡大しようとしている基本方針はいささかもくずしていないことを如実に示していると言わざるを得ないのであります。
 最後に、薬剤について特に触れておきます。何ゆえ赤字補てんに薬剤の一部負担が出たかという点であります。この薬剤負担については、社会保障制度審議会及び社会保険審議会の答申の中でも、制度の抜本策で検討すべきであると述べられておるように、軽々しく取り上げる問題ではないのであります。それを患者負担によって歯どめをかける場当たり的施策が一体何をもたらすでありましょうか、真剣に考えるべきであります。これはいかなる抵抗があっても、たとえ一部でも薬代を窓口で取ることを法制化し、これを将来一般化し、さらに拡大して、保険制度の改悪を恒久化しようとする考え方を露骨にあらわしていると断ぜざるを得ません。少なくとも、今回の改正は弱い者いじめに尽きることは自明の理であります。
 私は以上の理由から、今回の改正案について強く反対の意を明らかにして、討論を終わる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#66
○議長(重宗雄三君) 春日正一君。
   〔春日正一君登壇、拍手〕
#67
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている健康保険等臨時特例法案に反対の討論をするものであります。
 反対理由の第一は、この法案は、政管健保の赤字解消を口実にして、保険料率、初診料、入院費などの大幅引き上げ、薬代の一部患者負担の新設など、被保険者と患者の負担を増大させ、必要な診療を抑制する悪法だからであります。労働者にとって、病気は最大の不幸の一つであります。病気になれば、労働者の生活はたちまち破壊されます。このような不安からのがれたいという労働者の要求と闘争を反映して、健康保険制度が社会保障制度の一つとして設けられたのであって、これは民間の保険事業と性質を異にするものであります。国の責任で、国と資本家の負担によって行なわれるということが、健康保険制度の本来あるべき姿であります。しかるに、わが国の医療保険に対する国の負担はきわめて少なく、昭和四十年度における国庫補助額は、健康保険医療給付費の一・六%にしかすぎません。この結果、わが国の健康保険は、イギリス、フランス等に比べても、非常に重い負担を被保険者に負わせながら、なおその上に赤字を出さなければならなくしておるのであります。したがって、政管健保の赤字の補てんは、何より国庫負担の増額によって行なうべきであります。赤字の原因の第二は、政府、自民党が、アメリカと日本の製薬独占資本に対して、医療制度を通じてばく大な利益を保障する政策をとってきたからであります。これによって日本の製薬独占資本は大きな利益をあげ、世界第二位にのし上がっております。製薬独占資本が国民の不幸を食いものにしてばく大な利益をあげているという現状こそ問題であります。健保の赤字問題を正しく解決し、医療保険制度を充実するためには、国の負担を大幅にふやし、製薬独占資本の利益を規制し、薬価を引き下げ、資本家の負担率をふやすべきであります。これは政府がやる気になればできることであります。政府・自民党は、日本の生産力が現在世界の第三位になったと自慢しておりますが、それならば、その生産力をからだでつくりあげ、それをになっておる労働者の医療保険制度も、それにふさわしいものにするのが当然ではありませんか。
 反対理由の第二は、この法案が、戦後勤労人民がかちとってきた医療保険を含む社会保障制度全体の根本的な改悪と再編成の第一歩となるものだからであります。政府は、この法案が医療保険の抜本改正のための暫定措置であると言っていますが、それは経済社会発展計画によって、保険料中心主義による医療保険改悪という政府の基本方針を具体化したものにほかなりません。その方針に基ついて、この法案は、政管健保の医療給付を大幅に切り下げ、これを組合健保、共済組合にも自動的に適用し、医療保険全体を低い水準にそろえようとするものであります。これは明らかに健康保険全体の改悪に通ずるものであって、この法案を二カ年の時限立法としたとしても、このような全面的な改悪を引き続き行なおうとしているものであると断言することができるのであります。政府・自民党の経済成長政策のもとで、一握りの独占資本が急速に肥え太ったのに反して、勤労人民は低賃金、労働強化、各種の公害などによって、その生活と健康は著しく破壊されているのであります。特に現在、佐藤内閣によって資本の自由化に対応する産業の再編成と新たな合理化が強行され、勤労人民の生活の困難と健康の破壊が一そう深刻になっております。いま、勤労人民の生活と健康を守るために必要なことは、医療保障を充実し、被保険者の負担を軽減することであります。にもかかわらず、この法案は国と独占資本の負担を最小限度に押え、逆に被保険者と患者の負担をますます増大させるものであります。したがって、わが党はこのような法案に絶対反対であります。しかも、政府・自民党は、このような悪法を特別国会の事実上の再延長である臨時国会の会期をさらに延長し、質疑の打ち切り、発言の制限、単独強行採決など数々の暴挙に加えて、中間報告を強行することによって、無理やりに成立させようとしております。これは、まさに人民の要求と議会制民主主義を踏みにじるものであって、私どもの断じて許すことできないものであります。
 わが党は、このような暴挙に反対し、本法案の撤回を政府に要求します。そうして医療制度を真に勤労人民のためのものにするために、あくまで戦い続けていくということ、このことを明らかにして、私の反対討論を終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
#68
○議長(重宗雄三君) 沢田一精君外一名から、成規の賛成者を得て、
 討論終局の動議が提出されました。
 これより、本動議の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#69
○議長(重宗雄三君) すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#70
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#71
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十票
  白色票          百二十七票
  青色票           九十三票
 よって、討論は終局することに決しました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十七名
      林   塩君    横井 太郎君
      植木 光教君    山崎  斉君
      二木 謙吾君    前田佳都男君
      白井  勇君    伊藤 五郎君
      林田 正治君    岡村文四郎君
      大谷 贇雄君    横山 フク君
      寺尾  豊君    笹森 順造君
      植竹 春彦君    新谷寅三郎君
      鬼丸 勝之君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      柳田桃太郎君    宮崎 正雄君
      船田  譲君    平泉  渉君
      八田 一朗君    和田 鶴一君
      木村 睦男君    高橋文五郎君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      園田 清充君    野知 浩之君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      温水 三郎君    岸田 幸雄君
      長谷川 仁君    沢田 一精君
      吉江 勝保君    石井  桂君
      豊田 雅孝君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      徳永 正利君    青柳 秀夫君
      佐藤 芳男君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      堀本 宜実君    塩見 俊二君
      鍋島 直紹君    近藤 鶴代君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      古池 信三君    郡  祐一君
      斎藤  昇君    米田 正文君
      小林 篤一君    栗原 祐幸君
      久保 勘一君    北畠 教真君
      西村 尚治君    中村喜四郎君
      内藤誉三郎君    任田 新治君
      土屋 義彦君    高橋雄之助君
      玉置 和郎君    藤田 正明君
      岡本  悟君    奥村 悦造君
      楠  正俊君    黒木 利克君
      金丸 冨夫君    日高 広為君
      丸茂 重貞君    山本  杉君
      谷村 貞治君    木島 義夫君
      谷口 慶吉君    柴田  栄君
      後藤 義隆君    鈴木 万平君
      竹中 恒夫君    天坊 裕彦君
      中野 文門君    仲原 善一君
      西田 信一君    迫水 久常君
      田中 茂穂君    梶原 茂嘉君
      八木 一郎君    森 八三一君
      三木與吉郎君    西郷吉之助君
      木内 四郎君    林屋亀次郎君
      安井  謙君    増原 恵吉君
      杉原 荒太君    平井 太郎君
      青木 一男君    小山邦太郎君
      重政 庸徳君    小林  章君
      近藤英一郎君    田村 賢作君
      櫻井 志郎君    鹿島 俊雄君
      井川 伊平君    赤間 文三君
      森部 隆輔君    津島 文治君
      青田源太郎君    紅露 みつ君
      小林 武治君    剱木 亨弘君
      松平 勇雄君    高橋  衛君
      吉武 恵市君    中山 福藏君
      小柳 牧衞君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     九十三名
      鬼木 勝利君    原田  立君
      山高しげり君    黒柳  明君
      矢追 秀彦君    瓜生  清君
      中沢伊登子君    市川 房枝君
      中尾 辰義君    浅井  亨君
      片山 武夫君    田代富士男君
      二宮 文造君    北條 雋八君
      高山 恒雄君    多田 省吾君
      小平 芳平君    向井 長年君
      渋谷 邦彦君    鈴木 一弘君
      山田 徹一君    柏原 ヤス君
      白木義一郎君    鈴木 市藏君
      達田 龍彦君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      相澤 重明君    木村美智男君
      村田 秀三君    小野  明君
      田中寿美子君    矢山 有作君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      杉山善太郎君    大森 創造君
      大矢  正君    森中 守義君
      小柳  勇君    中村 英男君
      伊藤 顕道君    加瀬  完君
      小酒井義男君    田中  一君
      光村 甚助君    久保  等君
      大和 与一君    岩間 正男君
      須藤 五郎君    野坂 參三君
      春日 正一君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      川村 清一君    柳岡 秋夫君
      瀬谷 英行君    稲葉 誠一君
      吉田忠三郎君    渡辺 勘吉君
      小林  武君    鶴園 哲夫君
      林  虎雄君    中村 順造君
      千葉千代世君    野上  元君
      武内 五郎君    山本伊三郎君
      松永 忠二君    北村  暢君
      鈴木  強君    藤田藤太郎君
      西村 関一君    占部 秀男君
      森 元治郎君    鈴木  壽君
      永岡 光治君    秋山 長造君
      岡  三郎君    藤田  進君
      成瀬 幡治君    亀田 得治君
      大倉 精一君    椿  繁夫君
      横川 正市君    佐多 忠隆君
      岡田 宗司君    藤原 道子君
      加藤シヅエ君    松澤 兼人君
      野溝  勝君
     ―――――・―――――
#72
○議長(重宗雄三君) これより採決をいたします。
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#73
○議長(重宗雄三君) すみやかに御投票を願います。――投票開始から一時間……すみやかに御投票願います。――すみやかに御投票願います。――投票開始から一時間を経過いたしました。すみやかに御投票願います。
 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#74
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#75
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十九票
  白色票          百二十八票
   〔拍手〕
  青色票           九十一票
   〔拍手〕
 よって、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案は可決せられました。(発言する者多し)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百二十八名
      林   塩君    横井 太郎君
      植木 光教君    山崎  斉君
      二木 謙吾君    前田佳都男君
      白井  勇君    伊藤 五郎君
      林田 正治君    岡村文四郎君
      大谷 贇雄君    横山 フク君
      寺尾  豊君    笹森 順造君
      植竹 春彦君    新谷寅三郎君
      鬼丸 勝之君    山本茂一郎君
      中津井 真君    林田悠紀夫君
      佐藤 一郎君    山内 一郎君
      柳田桃太郎君    宮崎 正雄君
      船田  譲君    平泉  渉君
      八田 一朗君    和田 鶴一君
      木村 睦男君    高橋文五郎君
      内田 芳郎君    大森 久司君
      園田 清充君    野知 浩之君
      源田  実君    熊谷太三郎君
      温水 三郎君    岸田 幸雄君
      長谷川 仁君    沢田 一精君
      吉江 勝保君    石井  桂君
      豊田 雅孝君    江藤  智君
      大竹平八郎君    大谷藤之助君
      徳永 正利君    青柳 秀夫君
      佐藤 芳男君    平島 敏夫君
      山下 春江君    山本 利壽君
      堀本 宜実君    塩見 俊二君
      鍋島 直紹君    近藤 鶴代君
      石原幹市郎君    上原 正吉君
      古池 信三君    郡  祐一君
      斎藤  昇君    河野 謙三君
      米田 正文君    小林 篤一君
      栗原 祐幸君    久保 勘一君
      北畠 教真君    西村 尚治君
      中村喜四郎君    内藤誉三郎君
      任田 新治君    土屋 義彦君
      高橋雄之助君    玉置 和郎君
      藤田 正明君    岡本  悟君
      奥村 悦造君    楠  正俊君
      黒木 利克君    金丸 冨夫君
      日高 広為君    丸茂 重貞君
      山本  杉君    谷村 貞治君
      木島 義夫君    谷口 慶吉君
      柴田  栄君    後藤 義隆君
      鈴木 万平君    竹中 恒夫君
      天坊 裕彦君    中野 文門君
      仲原 善一君    西田 信一君
      迫水 久常君    田中 茂穂君
      梶原 茂嘉君    八木 一郎君
      森 八三一君    三木與吉郎君
      西郷吉之助君    木内 四郎君
      林屋亀次郎君    安井  謙君
      増原 恵吉君    杉原 荒太君
      平井 太郎君    青木 一男君
      小山邦太郎君    重政 庸徳君
      小林  章君    近藤英一郎君
      田村 賢作君    櫻井 志郎君
      鹿島 俊雄君    井川 伊平君
      赤間 文三君    森部 隆輔君
      津島 文治君    青田源太郎君
      紅露 みつ君    小林 武治君
      剱木 亨弘君    松平 勇雄君
      高橋  衛君    吉武 恵市君
      中山 福藏君    小柳 牧衞君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十一名
      鬼木 勝利君    原田  立君
      山高しげり君    黒柳  明君
      矢追 秀彦君    中沢伊登子君
      市川 房枝君    中尾 辰義君
      片山 武夫君    田代富士男君
      二宮 文造君    北條 雋八君
      高山 恒雄君    多田 省吾君
      小平 芳平君    向井 長年君
      渋谷 邦彦君    鈴木 一弘君
      山田 徹一君    柏原 ヤス君
      白木義一郎君    鈴木 市藏君
      達田 龍彦君    前川  旦君
      戸田 菊雄君    竹田 現照君
      相澤 重明君    木村美智男君
      村田 秀三君    小野  明君
      田中寿美子君    矢山 有作君
      松本 賢一君    佐野 芳雄君
      杉山善太郎君    大森 創造君
      大矢  正君    森中 守義君
      小柳  勇君    中村 英男君
      伊藤 顕道君    加瀬  完君
      小酒井義男君    田中  一君
      光村 甚助君    久保  等君
      大和 与一君    岩間 正男君
      須藤 五郎君    野坂 參三君
      春日 正一君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      川村 清一君    柳岡 秋夫君
      瀬谷 英行君    稲葉 誠一君
      吉田忠三郎君    渡辺 勘吉君
      小林  武君    鶴園 哲夫君
      林  虎雄君    中村 順造君
      千葉千代世君    野上  元君
      武内 五郎君    山本伊三郎君
      松永 忠二君    北村  暢君
      鈴木  強君    藤田藤太郎君
      西村 関一君    占部 秀男君
      森 元治郎君    鈴木  壽君
      永岡 光治君    秋山 長造君
      岡  三郎君    藤田  進君
      成瀬 幡治君    亀田 得治君
      大倉 精一君    椿  繁夫君
      横川 正市君    佐多 忠隆君
      岡田 宗司君    藤原 道子君
      加藤シヅエ君    松澤 兼人君
      羽生 三七君
     ―――――・―――――
#76
○議長(重宗雄三君) これにて休憩いたします。
   午後一時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十五分開議
#77
○副議長(河野謙三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#78
○副議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 欠員中の裁判官弾劾裁判所裁判員、検察官適格審査会委員、同予備委員各一名、
 鉄道建設審議会委員二名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
#80
○園田清充君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#81
○永岡光治君 ただいまの園田君の動議に賛成をいたします。
#82
○副議長(河野謙三君) 園田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に林田正治君、
 検察官適格審査会委員に北村暢君、
 同君の予備委員に矢山有作君、
 鉄道建設審議会委員に大和与一君、田代富士男君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#84
○副議長(河野謙三君) 日程第二、国家公務員等の任命に関する件。
 内閣から、公正取引委員会委員長に、山田精一君、同委員に、有賀美智子君を、
 中央社会保険医療協議会委員に、高橋正雄君、東畑精一君を、
 労働保険審査会委員に、四方陽之助君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 いずれも内閣申し出のとおり、任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#85
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、いずれも全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#86
○副議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 本日、運輸委員長外七委員長から報告書が提出されました国鉄東北新幹線建設に関する請願外四百四十六件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
#88
○副議長(河野謙三君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#90
○副議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 本件は、各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は、各委員長要求のとおり決しました。
 これにて散会いたします。
   午後三時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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