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1949/05/23 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第20号
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1949/05/23 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第20号

#1
第005回国会 法務委員会 第20号
昭和二十四年五月二十三日(月曜日)
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月二十二日(日曜日)委員鈴木安孝
君辞任につき、その補欠として團伊能
君を議長において選定した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○弁護士法案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
   午後零時三分開会
#2
○委員長(伊藤修君) ではこれより法務委員会を開きます。本日は弁護士法改正法律案を議題にいたします。前回に引続き質疑に入ります……。質疑はこの程度において終局することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(伊藤修君) それでは質疑はこれを以て終局いたします。では直ちに討論に入ります。
#4
○大野幸一君 本員より一部修正案を提出いたします。弁護士法案の一部を次のように修正する。
 第五條第二号中「法務府事務官又は」を「法務府事務官、」に改め、「法務府研修所の教官」の下に「又は衆議院法制局若しくは衆議院法制局の参事」を加える。』この修正の趣旨は、衆議院法制局又は参議院法制局の参事にして、司法試驗を受け及第したる者に資格を與えようとするものでありまして、丁度法務廰の事務官を一定年限なした者と同じ資格を附與せんとするものであります。
 第三十五條第三項を削る。
 第五十四條中、見出に(会長の職務及びその身分等)とあるのを(会長の職務)に改め、同條第二項を削る。」この三十五條第三項を削り、第五十四條中の改正の部分は三十五條第三項を削つた結果として、その身分というものが必要でなくなつたために削るのであります。
#5
○委員長(伊藤修君) 三十五條の第三項を削つた結果、公務員という身分の表現が外れることになりますから、それで五十四條中の身分の事項は修正するのであります。そうして三十五條を五十四條の二項において延用しておりますから、延用の條項を外すことになりますから……。
#6
○大野幸一君 只今委員長の説明の通りであります。
#7
○松井道夫君 只今の大野君の修正の動議に賛成いたします。
 それから私からも修正案を提出いたします。原案を「(職務上の権利及び義務)の見出しにし、第二十三條として、弁護士は、その職務を執行するため必要な事実の調査及び証拠のしう集を行うことができる、但し、相手方は、正当の理由がある場合には、これを拒むことができる。」
 それから二項として「弁護又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」と修正する。理由を申上げますと、現在自由に委されておる事実の調査及び修拠の蒐集というものを、権利として確立しようという意味であります。二項の方は一項を新しく入れた関係で、一項が二項に代つたというわけであります。今の必要な事実の調査及び証拠の蒐集には勿論強制権は伴うわけではありません。將來実績によりましてことの適当な批判が確立するものと思つておるのであります。
#8
○來馬琢道君 只今の松井委員の修正に対して私は松井委員の言われる趣旨は了解いたしますが、たださえ裁判所その他において事務煩瑣で困難しておるという現状において、弁護士が権利として先程の調査及び証拠の蒐集を始めることになり、これを裁判所等に向つて質問し、又は弁護士によりましては、これを以て檢察官の類似の行動とするようなことになつては甚だ不安を増すものがあると思いますが、この点は松井委員においてはその弊害を考えておられるのですか。
#9
○松井道夫君 お答えいたしますが、さような弊害がある場合には弁護士会といたしまして速かに懲戒権を発動するなり、又將來裁判所の規則制定権で若し必要なら規制を加え、規範を作るようなことも考えられると存じますので、そういう弊害はできるだけないようにいたしたいと存じております。
#10
○來馬琢道君 私は東京浅草に住んでおりまして、社会の裏面についても相当目を光らしておりますが、防犯協会の役員の記章を持つて者が、これを利用して警察官を威嚇するようなことが随分あるということを承知いたしております。弁護士にしてさような卑劣なことをする者はないと思いますけれども、ここに権利として與えられたということになりますと、何か弁護士に類するような人が、そういう行動に出でて、却つて弁護士の体面を汚すようなことがないこともないと思うのです。松井委員の本日の発言は、これを記録に残して將來において研究せられる方がよくはないかと思うのであります。
#11
○松井道夫君 十分弁護士会等において、そういう御意見に副うように連合会あたりからも指令を出して貰うようにいたしたいと存じます。
#12
○委員長(伊藤修君) 松井君の動議に対して何か……。
#13
○大野幸一君 只今のは提案者に対する質疑應答なりと存じまして、松井君修正案提出の動議に私賛成の意を表します。
#14
○松村眞一郎君 私は第三條の第二項を削るということに修正したいのであります。その理由は皆さんのお手許にお廻してして置きましたのに書いておいたんでありますが、極く簡單でありますから、その理由を読みます「弁理士及び税務代理士法においては、弁護士が弁理士又は税務代理士たり得べきことを規定しおれるが、主務官廰の監督規定及び懲戒等に関する規定を、弁護士が当然弁理士及び税務代理士たる場合に如何に適用すべきかについて、不明確なる所あり、むしろ弁理士法及び税務代理士法において、弁護士に関し必要あるべき規定を置くを適当なりと考える。」こういう趣旨で削りたいのであります。併しながらこれは弁理士法乃至税務代理士法のできることを要望しての削除案でありまして、そちらの方が間に合いませんと、弁護士はやはり從來と同じような工合に、弁理士なり税務代理士になるときに非常に主務官廰との何かの面到が起ることを私は虞れるのであります。それでありますから、私も本旨は実はこういうふうにしたい。現在あります案の一弁理士及び税務代理士の事務を行うことができる。」という下に、「この場合には弁理士又は税務代理士として弁理士法又は税務代理士法の規定に從わなければならない」というこういう規定を入れて、実は三條の二項を存置したい。ところが手続きが間に合わなかつたために、私の本旨の方が進み得なくなつた。これは非常に審議が急ぎますから止むを得ず私の第二の意見として、前に出しました案で、一應はこの度はお纏め願いたいと思います。その意味は弁護士の方でも考えて頂くし、又弁理士、税務代理士の方で早く両方相談して頂きたいとこういう希望を以てお願い申上げます。政府委員もここにおいでになるからお聽取りを頂きたい。この両方共やつて頂きたい。削れば削つていいという趣旨ではありません。そういう意味でお願するのであります。
 それから第二に第十二條第二項中「常時勤務を要する公務員」を「裁判官又は檢察官」に改める。こういうのであります。これも皆さんのお手許に修正案としてお廻しして置きましたところの理由として書いております。極く簡單であります。それは「裁判官又は檢察官たりし者で」初めの方を申します。実は私は削りたいのです。十二條の第二項というものを削りたいのでありますが、これを裁判官と檢察官だけにして修正案にいたすといつて趣旨がはつきり分りませんから、お聽取り願いたい。初め私は全部これを削つてしまおうという案で進んであります。その理由をここ極く簡單に申上げます。「裁判官又は檢察官たりし者で、弁護士の職務を行わせることが、特に適正を欠く虞れがあるというがごときことがあるとすれば、それは裁判官又は檢察官として許されないことである。裁判官又は檢察官として國から不問に附せられておることを、弁護士として不登録の事由とすることは適当でない。」こういうことであります。「況んや制限なく、公務員たりし者について、かかる事由あることもあると予想することは行き過ぎである。元來登録請求拒絶の原因となることは明確に制限的に定むべきである。」こういう思想でありますから、これは実は削つてしまいたい。削るという趣旨はここにありますので裁判官、檢察官の方で規定して貰いたいという考えなんです。ところが檢察官の方で規定するんだという一向御用意がないようですが、そうなると便宜、この際の止むを得ざる処置としては、只今申しましたような修正案で進むの外はない。裁判官と弁護士だけに限つては、ここに書いてありますごとく、登録の際にいろいろ詮議する。こういう方法で進むより外はない。この趣旨は公務員法第百三條の第二項にこういうことが書いてあります。「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める國の機関と密接な関係のあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」ということが書いてある。このような意味のことが弁護士や、檢察官、裁判官の間にあるのではないかということを心配するのであります。若しありとすれば公務員法について一般の職員にかくのごとき規定をするがごとく、裁判官、檢察官の上においてもその在職中謹嚴に仕事をして貰う。後で暫くすれば、自分は弁護士になるからというような心持を示すような態度をもつて仕事をして貰つては困りますから、さようなことのないような規定を弁護士法でこのようなことを書くことは、裁判官及び檢察官に対する、或る場合においては侮辱だと思う。裁判官檢察官の方で必要であればこういう規定を書いて貰いたい。こういうのが、私の本旨であります。併しまだ政府の方で今申しましたように用意がない。檢察官や裁判官についてもそういうところについての檢討が十分でないのでありますから、この際止むを得ない審議の急を要します際におきましては、修正案として今申上げましたごとく、第十二條二項中の常時勤務を要する公務員というものを限定して、裁判官又は檢察官としたいというこういう趣旨であります。
#15
○鬼丸義齊君 私は第七十六條の「三年以下の懲役」の下に「又は十万円以下の罰金」という字を挿入することに修正の動議を提出いたします。その趣旨は法案第二十六條でありまする「弁護士は、受任している事件に関し相手方から利益を受け、又はこれを要求し、若しくは約束してはならない。」ということに対する、禁止についての処罰規定でありまするが、もとよりこうした行爲は、嚴にこれを禁止しなければならんことは言うまでもありませんが、併しながらその原則はおのずから軽重の差がある。又は事情においても非常に深刻なものあり、然らざるものあり、過去のこれまでの刑罰法規の批定を見ますれば、ひとり体刑のみの規定というものは、甚だ少い。從つて処罰の範囲を非常に廣くして置くということは、やがてはこうした原則者の微々たる者、或いは情状の軽き者等については、体刑はひどいということによつて許されるような結果にもなりましよう。結局法制定の趣旨を生かすという意味においての非常な妨害にもなると思う。從つて情状如何によりましては、金刑を選ぶ場合がある。こういうことにして置かなければ、ひとり体刑のみに限定することは、却つ法制定の趣旨を生かすことができないと思ひますから、この意味において、これは選擇刑として、やはり「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する」というふうにすることが、最も二十六條を生かす意味において適当である。こういう趣旨から修正の動議を提出いたします。
#16
○大野幸一君 本員は松村委員並びに鬼丸委員の修正案の動議に賛成いたします。
#17
○委員長(伊藤修君) 他に御意見がなければ、討論はこれを以て終局することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(伊藤修君) それでは討論はこれを以て終局いたします。
 お諮りいたします。只今鬼丸委員、松井委員、松村委員、大野委員各委員からいずれも修正案が出ておりますが、これを一括して問題に供することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(伊藤修君) それではさよう決定いたします。では鬼丸委員、松井委員、松村委員、大野委員の各修正案を問題に供します。
 修正案全部に御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#20
○委員長(伊藤修君) 全会一致、修正案通りに決定いたしました。
  ―――――――――――――
#21
○委員長(伊藤修君) では修正部分を除く原案についてお諮りいたします。原案全部を問題に供します。
 御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#22
○委員長(伊藤修君) 全会一致を以て、原案通り可決することと決定いたします。
 尚本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容については、予め御了承を願つて置きます、御賛成の方は御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    齋  武雄  遠山 丙市
    大野 幸一  星野 芳樹
    宮城タマヨ  深川タマヱ
    松村眞一郎  團  伊能
    來馬 琢道  松井 道夫
#23
○委員長(伊藤修君) 本日はこの程度で散会いたします。
   午後零時二十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鬼丸 義齊君
           宮城タマヨ君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           團  伊能君
           遠山 丙市君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
  政府委員
   法務政務次官  遠山 丙市君
ソース: 国立国会図書館
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