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1967/08/09 第56回国会 参議院 参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第3号
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1967/08/09 第56回国会 参議院

参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第056回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十二年八月九日(水曜日)
   午前十一時二十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長          山本伊三郎君
   理 事
                植木 光教君
                土屋 義彦君
                佐野 芳雄君
                藤田藤太郎君
   委 員
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                玉置 和郎君
                林   塩君
                船田  譲君
                丸茂 重貞君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小柳  勇君
                藤原 道子君
                森  勝治君
                柳岡 秋夫君
                小平 芳平君
                片山 武夫君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  坊  秀男君
   政府委員
       厚生政務次官   田川 誠一君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       厚生省保険局長  熊崎 正夫君
       社会保険庁医療  加藤 威二君
       保険部長
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○藤田藤太郎君 私は、昨日基本的問題の質疑をいたしました。その最後に申し上げましたことは、厚生省、厚生大臣として、社会保障制度審議会の答申や、それから、また、昨年総理大臣以下が制度審議会と懇談をして、四十二年度の予算は一兆円に上げてもらいたい、そうでなければ十年前の先進国の社会保障制度にはとてもならぬ、こういうことを申し入れたのに対して、厚生大臣の言を聞けば、保険の赤字には一生懸命やっておったのだと。まあ正直な答えか知りませんけれども、これだけではどうにもならぬじゃないか、どう答えてくれるかということが一つでありました。
 それから、二番目の問題は、昭和三十二年の健保法改正のときに約束された年間三十億、それから、きのうも申し上げましたように、三十五年から生産力が四倍になっている。国民の所得が、産業労働力の六割を占める労働者の実質所得は二割五分か三割しか上がっていない。そして政府は、あのときにみんな泣こうということで話がついたのに、政府だけはあっさり引き上げた。これは大蔵大臣も厚生大臣も約束した、この前段の解決をしてもらわなければ本論に入れないということについても御答弁がありませんでした。まあほかにも申し上げたことは、あの所得倍増計画が四十五年度二十一兆、ところが、本年の国民所得の見通しは三十二兆であります。それとの関係、それからいまの約束の履行、こういう問題についてはどうなのかということを、私は公害基本法の関係を申し上げましたけれども、この前段の三つについて明らかにしてもらいたいということを私は申し上げたはずであります。まあ事実はそうでありましたという保険局長の答弁がありましたけれども、結局やっておらなかったという結論になるわけであります。そういうことをほっておいて、そうして保険の審議に入るというのは、これは私に単なる食言としてこれを済ますわけにはまいりませんということを私は申し上げたのですが、この点について明らかにしてもらって、具体的な問題についてきょう私は審議がしたいわけであります。どういうぐあいにお答えをいただくか、お答えいただきます。
#4
○国務大臣(坊秀男君) 昨年の社会保障制度審議会と政府との間の懇談会におきまして、四十二年度における社会保障費というものは一兆ぐらいにならなければいけないのだというような内容の話がありましたことはきのう御指摘のとおりでございますし、また、私もこれを承知いたしておるのでございますけれども、私といたしましては、就任以来、その点につきまして一応めどとして努力を重ねてまいりましたけれども、しかし、そのめどが諸般の財政事情その他の関係からこれが実現いたさなかったということは、これは私といたしましても非常に残念には思っておりますけれども、どうも事実これが実現いたさなかったということを御了承いただきたいと思います。
 それから、三十二年に政管健保に対しまして政府が三十億の政府負担というものを出して、その後この三十億が幾変遷をしてまいっておることでございますが、藤田委員はそれがおかしいじゃないかと、こういうお話でございます。この点につきましては、政管健保につきまして、あるいは定額、あるいは定率といったようなことで、政府負担と申しますか、補助と申しますか、そういったようなことをやっていくということが、私は今後われわれに課せられました抜本対策の中の非常に重要なる問題として検討してまいらなければならぬ問題だと考えております。
 第三点は、御指摘のとおり、その後日本の国の経済が非常に向上いたしまして、そして国民生活もしたがいましてよくなっておる。しかるに、一体、政管健保を中心として、これの改正にあたってその赤字負担を被保険者、患者等に及ぼしていくことはけしからぬじゃないかと、こういうことでございました。今度の暫定対策は、しばしば申し上げておりますとおり、緊急のこの赤字をしのいでまいるために、保険関係者、すなわち、事業主も被保険者も、すなわち、被用者も、それから患者も、もちろんこれにつきましては最低限のひとつ御負担を願いたいと。そのためには、これはやっぱり国庫ができるだけ多額の国庫支出ということを前提といたしまして、そしてこの一時の急場をしのぐために保険関係者にひとつごしんぼうを願いたいと、こういうようなことで今度の財政対策を立てたと、こういうような次第でございます。
#5
○藤田藤太郎君 社会保障制度審議会のことについて努力したけれどもあかなかったと、きのうの答弁では全く知らぬような顔をして、そして全く理解していないような意識であなたは答弁されておる。まあきのう答弁を考えてこられたと思いますけれども、少なくとも私は、総理大臣とか関係大臣がおって立ち会って、そして五年前に答申を受けておいて、一年前に、もうこんなことをしておったらたいへんだということで、きょうは私はこの問題については長くは申し上げませんけれども、それであるのに知らぬ顔をして、一千億ふえただけで、そして努力したけれどもあきませんでした、できませんでしたという簡単なことばで私は済ますわけにはまいりません。これが一つ。
 それから、二番目に、経済成長したとおっしゃるけれども、また説明を何べんしたら理解してもらえるかと思いますけれども、生産力が四倍になっているのに、勤労者の所得が二割五分、そのくらいしか上がっていないという状態なんです。それに、三十二年のときにはきちっと社会保障確立のためということばもあった。ただ、中小企業労働者が集中しているのは政府管掌健保であるから、どうしても政府管掌健保をこの際ここでまとめてもらえば、あとは政府が三十億、また次第に応じて考えて政府管掌健保を守っていきますからというのがあの最終段階の政府側の答弁であった。それをそのままに置いて、赤字が出たから政府も幾らか出すけれども、労使で負担してください、特に病気になった者が利益を受けているから受益者負担だというような理屈をつけてここで出してくるなんというのはとんでもないと私は思っておる。しかし、その議論はあとにしますが、前段の、政府が約束したことをどう履行をしてくれるか、これはひとつ政府の中で閣議でも開いてもらって、その答えを明確にしてもらわなければならない問題だと、こう思っておるわけであります。あなた簡単にやってますとおっしゃるけれども、この数字を見て記録をきちっと――私が言うよりか政府が御存じだと思います、そのあくる年から打ち切っておられるわけですから。いまのその考え方が今日まで続いておったら、おそらく健保の被保険者にまた患者負担をぶっかけるというようなことはなかったと私は考えておるわけでありますが、そういう点は前段の問題として明確にしてもらいたい。
#6
○政府委員(熊崎正夫君) 実質的に、三十一年からの経緯でございますが、三十二年に保険給付の補助金を三十億導入をいたしました。そのときに、当時の池田大蔵大臣から、確かにいま先生御指摘のように、この三十億の国庫補助はずっと入れるというような御言明はございました。それで、経緯を申し上げますと、三十一年、三十二年は三十億の国庫補助があったわけでございますが、三十三年、三十四年とこれが十億になりまして、三十五年が五億、三十六年が八億、三十七年がまた五億になりまして、三十八年、三十九年は五億、こういうことになっておるわけでございます。片一方、この保険給付の国庫補助以外に、厚生保険特別会計法第十八条の七の規定によりまして、歳入不足を補てんするために昭和三十年度から三十九年度までに毎年度一般会計から十億健康勘定に繰り入れる、こういうふうなことも当時あったわけでございますが、それは片一方におきまして、三十二年から厚生保険特別会計健康勘定は黒字に転化をいたしまして、歳入不足の状態がなくなりましたので、この分はその後三十一年以降は入っていないわけでございます。当時の大蔵大臣のお約束は確かに先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、厚生省としましても、その後大蔵大臣のお約束に従いまして毎年予算要求をいたしておったところでございます。ところが、前々から御説明いたしておりますように、黒字に転化をいたしまして、厚生省のその他の重要施策が、逐次一般会計の規模が膨張してまいりますし、財政当局との折衝の段階で、もう三十億程度をそのまま導入するということはどうかというふうなことで、これがゼロになったわけじゃございませんで、逐次減らされていきながらも、なおかつ、国の責任としての健康勘定に対しまする国庫補助はそのままの形では残っておるという状態になりまして、それが例の赤字問題が非常にやかましくなりましたときの神田厚生大臣当時に三十億という形で実現され、また、昨年はこれが五倍の百五十億、それから現在は二百二十五億ということになりまして、いわば国の責任で国庫補助をする。厚生保険特別会計の国庫負担金につきましては、途中で多少金額は下がったことはございましたけれども、現状におきましては相当な金額が導入されておるということで、私どもは当時の約束はそのまま、紆余曲折はあったにいたしましても、現在は相当な金額が国庫補助されておるというふうに認識をいたしておる次第でございます。ただ、途中で金額的に多少の変動はあったということにつきましては、私どもは当時の財政事情その他から考えまして、やむを得なかった状態ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#7
○柳岡秋夫君 関連。三十二年当時のこの赤字の対策には、今度もそうですけれども、政府はこの三者三泣き論を出すわけですね。政府も負担をするから、保険者の事業主も被保険者も負担をしろと、こういうことですね。ところが、一たん黒字になると、政府はもうそういう措置はやめてしまって、事業主と被保険者だけにあとはおっかぶせてしまう、いわゆる二者二泣き論のままで現在に至っているわけでしょう。そういう政府の不正と申しますか、本来ならば、黒字になったんだから、政府がやめれば、いままで対策としてあげた一部負担金も、あるいは保険料の増額も保険率の上昇も、これはやめるべきが三者三泣き論のほんとうの私はあり方だと思うのですよ。それを政府だけはやめて、労働者のほうはそのままほうっておく、ここに私は昭和三十二年当時のあの三十億の問題の大きな問題があると思うのですよ。したがって、今度三者三泣き論をまた出しておるわけですけれども、これに対しては国民は非常な不信を持っておるわけですね。そういう問題に対する私は政府の反省というか、それがなければ納得ができない、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#8
○国務大臣(坊秀男君) 将来この医療保険というものを本質的に、基本的にどういうふうに考えていくかということは一応別といたしまして、これは抜本的、根本的の対策を立てるときに考えるべきものでございまして、これは別といたしまして、私は、現在のこの医療保険というものは、いずれにいたしましても、よしあしは別といたしまして、保険方式をとっております。保険方式をとっておるときに赤字が出た、何を標準としてこの赤字の処理をするか、何を標準とすべきかという場合に、これはやっぱりそういったような方式から考えるべきか、あるいはその負担ということを標準として考えるべきかというような私は問題があろうと思います。保険方式をとっておるのでございまするから、私は、現在のこの保険制度による措置という場合には、これはもちろん保険方式をとっておるのだから、これは事業主と被保険者だけがとるべきだ、さようなことは私は考えませんけれども、とにかく保険の方式として一応保険関係者という方々にひとつ負担をしていただいて、もちろんそういうようなことのみでもって能事終われりというようなことは考えておるわけではございませんので、これに対しましては政府が今日でき得るだけの政府のつっかい棒というものはやるべきものである、こういうふうに考えております。
#9
○藤田藤太郎君 大臣、何とおっしゃってもおかしいじゃないですか。きのう私は議論したことを繰り返したくないのだけれども、今後の社会保障は労使の負担で上げていくんだというようなことを白書に書こうなんというのは、その心持ちといまおっしゃっていることと違うじゃないですか。国の経済計画においても、保険料の負担によって云々ということが頭に出てきているのじゃないですか。私はきのうの一番冒頭の、社会保障とは何かというときに、あなたが答弁を渋られた、そこにも問題があるのではないか。ですからこういう問題で議論せざるを得ないのです、残念ながら。一言であなたが、やはり今日の経済の中では、低所得者をはじめ、社会保障というものは、大きく富や所得の再配分を中心に置いて、そういうものを柱にしてやっていかなければならないのだと一口であなたがおっしゃっておれば、私といたしましてもそんなにしつこくこの問題を追及しないのですけれども、しかし、そこらあたりがあいまいで、だんだんさかのぼってくると、いま局長がおっしゃったように、事実でありました、しかし、できませんでしたと。ほかに調整的な資金は幾らか出してきましたということは、私は次の国会、その次の国会にも審議せられたときに議論しておったけれども、実現されなかった。このようなことはほかにもあるのです。これは健康保険ですけれども、労働省担当の失業保険は労・使・政府各負担は三分の一となっております。ところが、ちょっと財政がよくなったからといって、その政府の資金負担だけを四分の一に切り下げて、そのまま今日までほおかむりしているというやり方、これは政府関連の保険全体から見たらこういう問題もあるわけです。私はそこらの根本がどうもわからない。ですから、前段の答えは私は委員長に預けます。これはこの委員会の中で、この二つの問題は委員長に、この問題の決着なしにこの保険法の決着をつけてもらっては困る。この二つの問題を政府として明らかにしてもらう、そうしてこの問題の決着をつけて、そしてこの保険法の審議の決着をつけるということにしてもらわなければならない。これをいつまでやっておっても、何かわかったようなわからないような、そのとおりでございましたけれども、できませんでした、そのとおりでございますけれども、努力いたしましたけれども、できませんでした、こんなことでは、少なくとも大臣の答弁としては、また、政府の答弁としてはなかなか了解しがたい。だから、私は委員長にこの問題を預けて、次の問題に進みたいと思う。委員長、いかがですか。
#10
○委員長(山本伊三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#11
○委員長(山本伊三郎君) 速記を始めて。
 それでは、ただいまの藤田委員の発言がございましたので、私といたしましては、その趣旨を体しまして、今後厚生当局とお話し合いをしていきたいと思います。
#12
○藤田藤太郎君 もう一つ、基本問題で私はお尋ねしたいのです。それは、政府は五十五特別国会に政府案を出されて廃案になった。それで、一週間もたたない間に臨時国会を開かれ、そうして修正をして出てこられた。私はよくわからないのですね、そこらあたりが。少なくとも国会の意思として長い国会の中で廃案になったのを、一週間もたたずに修正案を出してここへ持ってくる。具体的なことはいずれ皆さんが質問されると思いますけれども、どういう趣旨でそういうことになったか、どういうお気持ちでこういうことになったか、これを明らかにしておいてもらいたい。
#13
○国務大臣(坊秀男君) 健保等の特例法案につきましては、前国会において国会の諸先生の非常に御熱心なる御審議をお願いいたしたわけでございますが、残念ながら前国会において審議未了で、成立を見なかったわけでございますが、ところが、現在のこの政管健保を中心とする医療保険制度というものをながめてみますと、審議未了、不成立に終わったこの臨時健保対策というものが実現されざる限りは、いろいろ健康保険の運営上支障が出てまいります。と申しますことは、そもそもこの暫定対策というものは、政管健保が危殆に瀕しておる、これをどうしてしのいでいくかということについての措置をきめたのでございまして、その措置が実現を見ないということに相なりますると、依然としてそういった危殆に瀕しておるような状態を続けていく、こういうことに相なりまして、これがやがては国民の健康を保障するためにも非常な重大なる結果を招来するというようなおそれがありますので、ぜひともこの対策を本臨時国会において御審議、御決定を願いたい、かように考えまして再提出いたしたような次第でございます。
#14
○藤田藤太郎君 厚生大臣、片一方では抜本対策をやるのだ、こうおっしゃっている。医療行政全体に対して抜本対策をできるだけ早い機会にやるのだ、こういうことをおっしゃっておるわけです。そして国会は国民の意思として廃案にした。抜本対策というものをやるやると言うだけで、衆議院では二年間という期限がついたから、私はそんなにのんびりしてとふしぎに思ったのでありますが、この前の本会議答弁でも、すぐかかって、来年には少なくとも根本対策と取り組みたいという答弁をされておる。多数党だからといって、廃案になったやつをものの一週間もたたぬ間にまた出直してくるなんていうことは、私はなかなか考えられないことだと思うのです。そういうことはおかしいじゃないですか。廃案になるようなこういう議案なら、国民に判断する機会を与えて、国民から選ばれ、国民の意思を代表する国会において、国民の意思を国会に反映した中でこの問題が議論されていくというのが普通の筋道じゃないですか、代議制度をとる国の政治の姿として。それで、片一方では抜本対策をやるといって、そうして衆議院で二年間の歯どめをしてもらわなければならぬと、おかしいじゃないですか。そこはどういうぐあいにお考えになっていらっしゃるか、ちょっと聞いておきたい。
#15
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のとおり、抜本対策というものは、これはもうどうしてもやらなければならないという事態に逢着いたしております。そこで、そういったような抜本対策をやる上におきましても、いまのこの政管健保等が非常に危殆に瀕しておるというために、当分のさしあたっての対策といたしまして、これはどうしてもやらなければ、抜本対策もその実現がなかなか困難になってくる、こういうことでございまして、社会保険審議会におきましても社会保障制度審議会におきましても、今度のこの臨時緊急対策はやむを得ないものだ、こういうふうに、いろいろ少数意見の御意見もありましたけれども、両審議会におきましては、これはやむを得ないものだ、こういう御答申も受けておりますので、そこで、この緊急対策というものをどうしても実現をさしていただきたいということで、一には、いまの差し迫っておるこの緊急事態をしのいでいく。それから、もう一つは、そういったような憂いを除いておいて、そうして早急にこの抜本対策に着手したい、かような趣旨によりまして今度の緊急対策を御審議を願うことになったわけでございます。
#16
○森勝治君 関連。ただいま大臣からそういう御答弁をいただいたのだが、私はあなたの答弁がどうもそらぞらしいお答えとしかどうしても受け取れない。ただいま藤田委員からも申し上げたように、国民の意思として前国会で廃案になったものですから、それを再検討もせずに一週間そこそこでずうずうしくもまたこれを提案するというその心臓は一体那辺にあるか、われわれはまことに理解に苦しむ。佐藤総理はかねてから、口を開けば人間尊重などということばをうたい文句にしております。これは大臣、御承知のとおりですね。ところが、やっていることはどうですか。ベトナム問題にいたしましても、アメリカ一辺倒ではないでしょうか。防衛二法の問題はどうですか。われわれはその必要性を認めないと主張しておるが、あなた方は多数をもってこれを強引に通過させた。いまここで問題になっている本件については、前国会であなた方が多数の力をもってしてもいかんともなしあたわざる問題であった。ならば、私はここに国民の総意というものの、藤田委員もいみじくも指摘されたように、厳たる事実があるわけです。否決ではなくして、廃案という厳たる姿があるのだから、二カ年間の時限立法などというようなことを言うならば、われわれがかねてから主張しておるように、あなたが危殆に瀕する政管健保というならば、とりあえず国庫からこれを支出し、二カ年間の時限立法を考える間に政府が熟慮するならば、これが一番国民の納得するところだろうと思うのです。ところが、先ほど柳岡委員も関連して質問申し上げまして、「三泣き」ということばを柳岡君は言われましたが、三泣きではないでしょう。あなた方は国会に多数を擁しておりますから何でもできるということで強行採決をする、何でも通るという形であったが、しかし、先ほど申し上げたように、この件については廃案になった。佐藤内閣はよろしく反省して、この政管健保についても当然再検討あってしかるべきだと私は考えておる。
 先ほど三十二年以来の問題を持ち出されてもきのうあなたは何と言ったか。前大臣は答弁で答申を尊重すると言ったが、最後は尊重しませんでしたと言ったから、私はきのうあなたに食いついたところであります。あなたはいま苦笑いをされておるけれども、佐藤内閣のどこに国民生活、国民の健康について真剣に、真摯に、率直に取り組まれておる姿があるか。たとえばこういうことはあまり言いたくないが、きのうの当委員会の開会にあたって藤田委員が具体的な質問に入ろうとして、しばしこの会議が中断をいたしました。なぜ中断をしたか。答弁の衝に当たる宮澤長官が、時間にもかかわらず、姿を見せなかったからであります。大臣御承知のとおりでありますね。野党全員はそろって、自民党の皆さんもおいで願っておる席上で、前国会で廃案になったものを、前国会から一週間や十日で直ちに出すような緊急だとあなた方がおっしゃる、危殆に瀕する政管健保だとおっしゃる、そういう問題なら、なぜ率先出席をしてわれわれの審議に協力しないのですか。三十分もおくれて出てきて、午後三時には用があるから外へ行く、これでわれわれに慎重審議をしいるということはあまりにも一方的ではないでしょうか。どこに政府が本件に対する真剣に取り組んだ姿があるか。――あなたが先ほどいみじくも国民の健康を真剣に考えているという意味を、そういう表現を言われたが、口にはなるほどりっぱなことを言われるあなたは、まさに有言不実行ではないか。あなたのことばはきのう一日空転したとは私は言わないが、藤田委員の真剣な質問について、英邁なるあなたの答弁とはおぼしからざる答弁の数々であった。それはまさに苦々しいそのものでした。私はときどき腹を立ててやじを飛ばしましたが、もう少し政府みずからが、佐藤さんはえりを正すとよく言われたが、えりを正されてこの問題に真剣に取り組んだらどうですか。
 いまや、きのうも私は申し上げた、全国民注視のもとに開かれているこの法案審議であります。対外的な宣伝としては政府は真剣に――先ほどのあなたが言ったような、可及的すみやかになどというそらぞらしいことを言っているけれども、さてわれわれが審議に入ろうとすれば、出席を要請されている時の大臣は来ない、こういう姿ではないですか。したがって、それならばあなたに繰り返して申し上げるが、一週間や二週間で廃案になったものを出してこずに、二カ年間に抜本的なものをつくるとおっしゃるのですから、重ねて申し上げるが、あなたのように危殆に瀕する政管健保と言われるならば、とりあえず国庫支出をして当面の急場を切り抜け、二カ年間にこれを検討されたらどうなのですか。同じ質問を二度繰り返して、あえてあなたの誠意ある答弁をいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(坊秀男君) 御質問の趣旨は、今度の緊急対策によって事業主、被保険者、患者等にまで負担をさせずに、全額国庫が出せばいいじゃないか、こういう御趣旨かのように承ったのでございますが、先ほどからしばしば申し上げておりますとおりです。日本の社会保険制度が今日保険方式をとっております。その保険方式をとっておると申しますことは、いろいろなことについて、これは原則論でございますけれども、その保険に関係のある方々によって相互扶助をしていくということが私はその精神であろうと思います。しかしながら、この点につきましては、普通の民間における生命保険やそんなものとはこれは違う。いずれにいたしましても、これは国民の健康の問題であり、生命の問題である。しかも、国は政策として国民皆保険というような政策をとっておるというような立場から申しましても、私はこれについて、保険の関係者だけでもってものごとを片づけていくものではない、それについては政府もできるだけ腰を入れていかなければならない、かように私は考えておるのでございますが、この際、全額何らかの形における政府負担においてやるということは、これは私は必ずしも適当なことではないというふうに考えておるのでございます。
#18
○森勝治君 廃案との関連があるじゃないか。
#19
○国務大臣(坊秀男君) 前国会におきまして審議未了と相成って成立をしなかったということでございますが、しからば、それができなかったから直ちに何か抜本対策といったようなことは、これはできるものでもございませんし、それなら、それができなかったならば全額七百四十五億という赤字を直ちに国庫負担でやっていこうということは、先ほど私が申し上げましたとおり、これは必ずしも適当なことではない、かように考えまして、前国会において御審議を願ったこの法案を再提出いたした次第でございます。
#20
○森勝治君 関連ですから、あまり次々に質問したら質問者に恐縮だと思ったのでやめようと思ったが、あなたが答弁されたのは、きのうの答弁と若干違うのです。どういうところが違うかと申しますと、あなたは昨日の質問に対する答弁については、国庫から出すものはふやすほうがよろしい、あるいは全額国庫支出というのが望ましい姿だという意味の答弁をあなたはされておった。ところが、きょうは――もっともあなたは温厚なる紳士ですから、君子のごとき態度で豹変された。もっとも、あなたはヒョウではなくて、コマネズミだそうであります、けさの新聞では。ですから、ネズミに変わったかしれぬが、失礼な発言だが、どうしてそのように答弁が変わるのですか。ただいまは必ずしも好ましくないと言った。どうしてそのように変わるのですか。答弁がコマネズミのようにくるくる回っているうちに変わってしまったのですか、お答えいただきたい。
#21
○国務大臣(坊秀男君) 私は、この保険制度というものについて根本的、基本的、いわゆる抜本的な対策を立てるということと、いま御審議を願っておりまするこの臨時緊急対策というものとは、これは別にお考えを願いたい。抜本対策をやるという場合には、これは非常に各般の面から考えていかなければならないと思います。そういったような場合に、政府の負担と申しまするか、政府の補助と申しますか、そういったようなものをできるだけたくさん出していこうということでありまするならば、その一番の、何と申しますか、極端な考え方といいますと、これはそういった保険料だとか、あるいは一部負担だとか、そういったようなものでなしに、国家がこの費用の負担を全部やっていくんだ、これが一番の極端な場合だと思いますが、これを国家がやるということは、これは別にそれに要する資金が何かほかにあるというものではございません。やはり国家の資金というものは、これは一般の租税収入、ほかにもたくさんありますけれども、租税収入というものが、これが国家の資金の大半をなすものでございますから、そういったような税収入に全部求めるという行き方と、それから、いまの保険方式によりまして、保険に関係する方々の相互扶助的なもの、何と申しますか、拠出と申しますか、そういったようなことでやっていくという方式と、私は両方あろうと思います。そういったようなことにつきましては、これはほんとうにこの制度の基本的な考えとして議論をし、検討もしてまいらなければならないことでございまして、そういったような問題と、いまのこの臨時緊急対策というものとの理解と申しますか、検討と申しますか、そういったような考え方につきましては、これは私は分けて考えていかなければならない問題だと、かように私は理解をいたしておるのでございます。
#22
○小柳勇君 私もいまの藤田君の問題に関連して質問いたしますが、藤田君が質問しているのは、二十一日に国会が閉会になりまして廃案になった。それから、二十七日にこの健保国会を召集して、再び厚生省は原案を出した。ところが、その原案が通りそうにないので、自由民主党に加勢を願い、民主社会党に加勢を願って修正案を出してきておる。この日本は政党政治、いま自民党が責任を持って、その責任はこの問題については厚生大臣が持っているはずなんです。内閣の責任者である厚生大臣が責任を持ってこの前の国会に出した原案が、自由民主党並びに民主社会党から修正されてここに持ってきておる。こういうような責任は一体だれがとるのか。廃案になったものを、一週間たたずに原案のまま出した厚生省のその責任もちろん重要であるが、これを出さなければ保険財政は崩壊に瀕するという七百四十五億の赤字、また累積赤字千数百億、これを何とかしなければならぬということで、被保険者から余分に徴収しようとしている。その原案が自由民主党から修正され、しかも、期限が民主社会党から二年にワクをはめられてここに出されておるが、このようなぶざまなことで厚生大臣はつとまりますかと、こういうことを藤田議員は質問しているわけで、したがって、その廃案になりました原案をそのまま一週間足らずで出した、そのことについていまるるあなたは言われた。これを出さぬと保険財政はもう崩壊いたしますと言われた。それならば、自由民主党が修正した二つの修正、それは厚生省としてはどのように責任を持って処理するか。二カ年のうちには累積赤字もふえましょう。予算は一体どうするのか、どこから金を持ってくるのか、しかも、二年間のうちに抜本対策をつくるというが、その抜本対策の内容はどうか、こういうものを詳しく話さなければこの法案は通すわけにまいらぬ。厚生大臣は修正されたその原案をおめおめとここに持ってきておられる。そういうだらしない内閣でいいのか、こういうことを藤田君は質問しているわけです。厚生大臣の答弁を求めます。
#23
○国務大臣(坊秀男君) 審議未了になりました案をそのままお出しいたしました経緯については先ほどから申し述べております。これにつきまして与党及び野党の一部からそれぞれ修正がありましたことは、これは私はその際に、政府といたしましてやむを得ないという趣旨のことを申し上げているのでございますが、この両修正は、原案に対しまして根本的、基本的にこれを変改をしていくというようなことではございません。そこで、この修正によりまして原案が全くがらっと変わってしまうというようなことでありまするならば、これはこの原案をつくりました政府といたしましては責任はとれないことでございまするけれども、ある程度の修正ということにつきましては、これはその国会において御審議の結果修正があるということは、私はやむを得ないことである、かように考えておるのでございます。
#24
○小柳勇君 もう一問だけ質問して、具体的問題は私の質問のときに質問いたしますが、昨年は料率の引き上げを千分の七十と厚生省は考えた。ところが、千分の七十ではことしの七百四十五億の赤字も補てんできないということで、今度は千分の七十二を出した。ところが、ただいまの大臣の答弁では、千分の七十二を出して保険財政の崩壊を防止しようとした、これがなければやっていけないということでいままでやってきた。そのためにこの臨時国会を召集しておるにもかかわらず、千分の七十の自民党の修正もやむを得ないとは何事でしょうか。そんなら初めから千分の七十、昨年出した千分の七十で初めから出すべきである。そういう無責任な厚生省の提案のしかたについては納得できない。もう一度数字をもって具体的に、千分の七十では幾ら、千分の七十二では幾ら、ことしのこれからの赤字、来年の赤字、詳しく大臣から説明を求めます。
#25
○国務大臣(坊秀男君) 確かに衆議院段階における修正によりまして、予定されておりました収入というものが、その限りにおいて減額されるということは、これはもう否定できないことでございまして、その修正によりましてどういう財政効果において変更が生ずるか、また、これをどういうふうに処置していくかということにつきましては、事務当局からお答えさせます。
#26
○小柳勇君 事務当局が説明する前に、じゃ、詳しくもう少し問題を提起しましょう。一緒に事務当局から説明してもらいましょう。
 千分の七十を昨年提案したときの赤字及び累積赤字補てんの見通し、それから、ことし千分の七十二を出したことしの赤字及び累積赤字、この千分の七十二を千分の七十に自民党から訂正されて、これをやむを得ないという、しかも、一部負担については低所得層の修正をやる、これの減収はどうか、ことしの減収、来年の減収、民主社会党から二カ年間のワクをはめられておるから、二カ年で必ず抜本対策を出すだろうが、その来年までの減収、これをどういうふうにして赤字を補てんするか、詳しく説明を求めましょう。
#27
○政府委員(加藤威二君) 昨年保険料率の引き上げ、先生御指摘のとおり、千分の七十という引き上げを、当時の料率千分の六十三でございますそれを七上積みしまして千分の七十にしよう、こういう法案を国会に御提出いたしたわけでございます。その当時におきまする赤字見込みは七百二十億でございます。それに対しまして、そういう料率の引き上げによる財政対策を政府提案として提出いたしたわけでございます。その結果、国会で修正されまして、千分の六十三から二引き上げの千分の六十五にとどまったということは先生御承知のとおりでございます。
 で、今回は、四十二年度の見積もり赤字が七百四十五億に対しまして、当初千分の七十二、現在の千分の六十五から七引き上げることによりまして千分の七十二という当初案であったわけでございます。それによりまする財政効果は三百二十五億でございます。千分の七引き上げますことによって、満年度にいたしまして三百二十五億の増収になる、こういう計算をいたしておったわけでございます。それが千分の七十に下げられますことによりまして、千分の二下げられますことによりまして、九十二億ばかり減りまして、財政効果は二百三十三億、三百二十五億から二百三十三億に減る、こういう結果になるわけでございます。
 それから、薬のほうの修正でございますが、薬は、外来投薬の本人一部負担によりまして、満年度におきまして百二十六億の財政効果というぐあいに見ておったわけでございます。これがいわゆる低所得対策によりまして、所得の低い二万四千円以下の方、あるいは二万四千円以上でも、家族に応じましてそれぞれ六千円を限度の引き上げということで、そういう低所得者の方には外来投薬の一部負担を免除するという修正によりまして、この残りました財政効果は三十六億でございます。約九十億ばかり当初案よりも減りまして、満年度といたしまして三十六億、満年度の財政効果が九十億減るということになるわけでございます。で、それに対しまして、先ほど申し上げました保険料率で九十二億、それから外来投薬時の対策の減によります九十億、両方合わせまして百八十二億ばかりの減ということに相なるわけでございます。で、これの対策といたしましては、予備費が百億ばかりとってございますので、そういうものを充当するということも考えられますし、それでも足りない分につきましては、やはりなかなか困難なときではありましょうけれども、借り入れ金を何とかいたしまして、四十二年度は残りは借り入れ金によって何とかしのいでいく、まあこういう方法によらざるを得ないというぐあいに考えております。
#28
○藤田藤太郎君 まあいま議論がありましたが、その根本的な政治次元の問題を私はやって、いずれ具体的にこの問題はあると思いますが、政府が一週間もたたぬ間にその原案を出してきて与党が修正をして、そして出てくる。いま具体的な説明がありましたように、抜本対策というものをやらなければこの問題は解決しないのではないですか。抜本対策をやらなければね。ところが、厚生大臣は七月の十五日に、この法案が廃案になれば、抜本対策は行なわず、当面は赤字対策に終始するのだ、ビタミン剤、その他大衆保健薬は保険給付からはずす、または保険医に対する報酬の支払い遅延とか、健康保険の崩壊になるとか、または中央医療協議会でやっている問題も知らぬと言わぬばかりに厚生大臣は新聞記者会見でおっしゃっているわけです。で、こういうことをまるでおどしのようなことを言って、国民をおどすようなことを言って、国民から選ばれた国会に原案をそのまま出してきて、そしていま小柳君が具体的に触れましたけれども、与党で修正さして、それであとの財政対策云々、予備費が百億あるから云々、そういうことなら、なぜ原案についてもっと慎重に考えられなかったかということが私は指摘したいところです。もっと私は政治の倫理として考えなければならないことは、国会の意思できまったものを、一週間もたたぬ間に原案を平気で提案をしてくるという、そんな政治倫理や民主国家の倫理というものがあるのですか、私はそれが聞きたいのですよ。少なくとも国民に判断の期間を与えて、そうしてその間の対策は国がめんどうをみながら、私がこれから論議をしようという薬の問題にしてもそうであります。一兆三千億の総医療費の中で四二%の薬代を含んでいる、ここらの対策を含めて、医療行政全体をどうするかという抜本対策をやらなければ解決しないのではないか。それにあなたは新聞記者会見で、こんな状態では赤字対策だけにして、抜本対策も何もやれぬのじゃないかというようなことを七月の十五日に発表されているということはどういうことなんです。私は厚生大臣の真意がよくわからぬのですよ。ただ赤字だけを何とかしてどこかへ押しつけたらいいということだけの厚生行政です。政治的倫理を踏みにじっているという感じが私はします。それで、外へ向かってはそういう発言のしかたをする。これは厚生省の次官以下の諸君はみな知っているのですか、こういう厚生大臣が発言をしたことを。そういうおどし文句で、これを六日目に再提案をしてくるというようなことは、これは私は民主国家として許すべきことでない、私はそう思う。どうです、厚生大臣、どんな気持ちでそういうことを言われたのですか。
#29
○国務大臣(坊秀男君) 医療保険の抜本対策はどうしてもやらなければならないことでございます。また、この保険は運営に非常な支障を来たしたり何かしないように、この運営は堅実に守っていかなければならない問題でございます。さようなことは、政府、特に厚生省に課せられた大きな問題だと私は心得ております。そのためにも、私は今度の緊急臨時対策というものを御審議をお願いしておるのでございますが、もし万一これを、前国会において不成立に終わったのでございますが、そのままにいたしておきますと、しばしば申し上げておりますとおり、あるいは支払い遅滞になってくるかもしれない。これは最悪のことだと私は思います。それまでには、政府といたしましても、あるいは特に厚生省といたしましても、さようなことにならないように、根限りの私は力を尽くしていかなければならない、かように思うのでございますが、そういったような最悪の事態を引き起こさないためにもいろいろとこれは考えなければならぬ問題がございます。そういったような考えの中の一つといたしましては、医療保険における支出の節減ということも、その最悪の場合を予想いたしますと、さようなことが起こる前にはこれも考えなければならない問題であろうと思います。それから、別途に収入の面につきましても、何らかの収入補てんしていくということも考えなければならない。いろいろなことを考えまして、そうして最悪の事態におとしいれないように持っていかなければならない。さようなことを考えるときに、私は、大衆保健薬を給付の対象からはずす、そんなことは私はしたくありません。そういうことはやるべきことではないと思っております。だがしかし、もしもこれが支払い遅滞におちいるとか、あるいはこの健康保健制度が著しく崩壊をするというようなことに立ち至らないためにはあらゆる手を講じなければならない。そういったような手を講ずるときにはこういうこともあるいは考えなければならない。しかし、さようなことはやるべきではないけれども、いろいろな手を考えなければならないということを私は申し上げたわけでございます。
#30
○藤田藤太郎君 おかしいじゃないですか。だから私はきのう社会保障の根本の問題を言ったのです。あなた抜本対策をやらなければならぬといまおっしゃったけれども、抜本対策をやらぬで赤字対策だけに終止する、これはどうせあとで各委員から、大蔵大臣その他が来て、財政の問題、経済計画の問題に触れると思います。きのうの宮澤長官の話でも、いま五千億からのプラスの収入があるとまで言われているじゃありませんか。それに抜本対策をやらなければいかんということをあれだけあなたの口から、総理の口から言われておって、それもやらないのじゃ、こんな言い方がありますか。全く無責任きわまるじゃありませんか。これはどうなんです。いまはそうでないような、いろいろなことを努力せにゃいかんと、いろいろ保険経済の問題については努力せにゃいかんということはわかりました。そうかといって、まるで国民にも医療関係者にもおどしをつけて、それであとは抜本対策もやらぬ、これからは徹底的に赤字対策だけでいくのじゃ、法律案が審議されている中でそんな言い方というのはあるでしょうか。法律案が審議されている中で、七月十五日から、そんな言い方というものは、私は国家の厚生行政をあずかる大臣の言としては受け取れない。そんなことだけしか考えないでこれに取り組んでおられるのですか。国全体の経済の中で社会保障はどうあるべきか、いまは保険制度ですけれども、医療保障はどうあるべきかということで、もっと総合的にお考えになっておったならば、法案を通すために提案されたのですから、努力をせられるのは当然でしょう。当然でしょうけれども、こういう言い方をあなたが七月十五日にするなんていうことはどうなんです、これは。いまは一生懸命努力をせなければいけません、こうおっしゃってるでしょう。それをもう一度おっしゃってください。
#31
○国務大臣(坊秀男君) そういったような事態が起こりましたときには、厚生大臣として直ちに抜本対策といったようなものもなかなかこれはできるものではございません。また、大蔵省と折衝いたしまして、これは折衝の相手もあることでございます。そこで、そういったような場合に厚生行政としてとり得ることは、これは私はさようなことは避けるべきだと思っております。避けるべきことだと思っておりますけれども、厚生行政としてとり得ることは、その大衆保健薬に触れるといったようなことは、これは厚生行政としてとり得ることである。しかし、さようなことは、これは万々やるべきことではありませんけれども、しかしながら、いよいよこの支払い遅滞といったようなものが生ずるおそれがある、そういったようなことになってくるというようなことになると、それ以上に私はたいへんな混乱というようなことにも相なるということから考えてみまして十五日に私はそういうことを申し上げたわけでございます。
 なお、この抜本対策は、これはぜひやらなければならぬことでございますが、藤田委員十分御承知いただけるかと思いますけれども、この抜本対策は、きのう申し上げましたとおり、非常に複雑多岐にして根の深い問題を解決していかなければならない問題でございます。いわばこの人間の整形手術をやっていくといったような、非常に総合的な、根本的な整形をやっていくといったようなものが私は抜本対策だろうと理解いたしておりますが、それをやるためには、毎年毎年政管健保、あるいはその他のところに部分的な赤字赤字といったようなものが生じてきておるということは、これはその整形手術の前に、ひとつどこかに熱があると申しますか、あるいは盲腸の疾患があるといいますか、そういったようなことがある。そういったようなことをひとつ切開といいますか、部分的な解決をはかっておかないことには、全体的、総合的な整形、つまり抜本対策ということがなかなか困難になる。そこで、少なくとも毎年毎年のこの予算の上におきまして、この赤字ということの心配が要らないというまでにはいかないにいたしましても、それを埋めることがたいへんな仕事であるということだけはひとつこの暫定対策において片をつけておくということが、総合的、基本的、根本的な抜本対策をやっていく一つの前提条件であろうかと、かように考えるのであります。
#32
○佐野芳雄君 関連して。いまの大臣の答弁の中で非常に大事な点を聞きたいと思います。
 先ほどあなたは、局長の答弁も聞いておったんですが、修正によって当面出てくる赤字に対する対策はどうなんだということに対して、百億円の一応予備費を充当する考えを持っておる。そうすると、百億円の予備費があることはあなたは知っておるはずだ。先ほどあなたの言っておることは、支払い遅延の問題、最悪の場合にはそういうこともあるかもわからないということは私もわかります。しかし、少なくとも支払い遅延があるかもわからないというようなことを公表するということは、発表することは、発言することは、医者に、おまえ患者をみても何ら金を払わぬぞと、こういうことじゃないですか。患者からすれば、自分がみてもらいに行っても、自分がみてもらったことの健保からの払いがないかもわからない。そうなるとみてもらえないかもしれない。医者にとっても患者にとっても問題ですよ、支払い遅延ということは。医者には患者をみなくてもいいということを言っておる。患者には自分の病気をみてもらえぬかもしれないのだという心配をかけるもとになるかもわからない。金はないというけれども、予備費百億あるじゃないですか。少なくともそういうことがあるかもしれない。百億の予備費があるということが腹にあれば、支払い遅延というような暴言はできないと思う。そういうことについてもう一ぺん答弁していただきたい。
#33
○国務大臣(坊秀男君) 料率とその他一部負担といったようなものが、これは全然上がらないということに相なりますると、七百四十五億という赤字を埋めるのは、百億、あるいは政府負担二百二十五億といったような数字では、これはほど遠いものがございまするので、私はそこに非常に心配があるから十五日にそういうことを申し上げたわけであります。
#34
○佐野芳雄君 しかも、その問題については国会で審議中なんです。だから、あなたの支払い遅延というふうな答えは、あるいはそういうふうな話というものは、国会の審議に対してもあなたはまことに無責任だ、こう言わざるを得ないんです。その点もう一ぺん答えてください。
#35
○国務大臣(坊秀男君) 決して国会の審議に対して邪魔をするというようなつもりで申したのではなくして、事実こういうことに相なりますおそれがありますということを申し上げたわけであります。
#36
○藤田藤太郎君 それは厚生大臣が何と言われても、あなたは法律案を国会に提案をして審議中なんですよ。審議中に医療担当者や国民、国会にも抜本対策はやりませんと、廃案になったら。赤字対策だけでいくんだ、こんなことを少なくとも一国の厚生大臣が言っていいのか。私は、それがどうもあなたのそういう気持ちがいろいろのところに出てくる。そういう気持ちが社会保障の問題になったら、いや、保険の問題に一生懸命になっておりましたということで、正直に言われるのでありましょうけれども、そうかといって、社会保障を忘れてしもうたら厚生大臣というものはどういう姿ですか。そのためにこういう暴言を吐いて国民をおどし、国会をおどしているじゃないですか。許せないことですよ、それは。だれが聞いても私はそうだと思う。これを平気で国会の審議中にそういうことをいろいろと言われる。あなたの気持ちとして、診療がうまいこといくように努力をしたいという気持ちがあるんでしょう、善意に解釈して。私はそうだと解釈すると、こんなことをあなた国会の審議中に平気で言うなんということはとんでもないことだと私は思うのですよ。だれの気持ちもみなそうだと思いますよ。これは何とかひとつしてもらわなければ困る。これはひとつまた委員長発言にしなければどうにもならぬのです。取り消して、さらさらそんなことはありませんということをはっきりしてもらわなければ、それはあなたむちゃですよ。これはめちゃな発言ですよ、私はそう思う。
#37
○国務大臣(坊秀男君) 私は、もしもこの臨時緊急対策が実現しないというときにはこういったような非常な憂わしき事態が生ずるかもしれないということを申し上げたのでございまして、何ら国会に対する他意があって言ったのではございませんから、こういうことを申し上げたことについて、この際私はこれをどうこうするというような考えは持っておりません。私は自分の考えを率直に何ら他意なく申し上げたのでございます。
#38
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#39
○委員長(山本伊三郎君) 速記をつけて。
 暫時休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十四分開会
#40
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に開する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
 坊厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坊厚生大臣。
#41
○国務大臣(坊秀男君) 国会の法案審議中に、支払い遅延等の発言によって国民や医療担当者に不安を与えたことがあるとすれば、私の意図とは違いますので、何とぞ御了承をいただきたく存じます。
#42
○委員長(山本伊三郎君) では、これより質疑のある方は御発言を願います。
#43
○藤田藤太郎君 私は薬代の問題について質問をしたいと思います。
 薬代の問題で第一にお尋ねしたいことは、国民の総医療費が幾らか、それから、その中の今日の薬代の占める割合は幾らか。四十一年度の決算ももう出ておるころと思いますから、それとあわせてお答えを願いたい。
#44
○国務大臣(坊秀男君) 事務当局からお答え申します。
#45
○政府委員(熊崎正夫君) 総医療費につきましては、四十年度一兆一千七百十六億、四十一年度は一兆三千二百二十一億というふうになっております。四十二年度は大体一兆四千億程度というふうなことに相なるだろうと考えておりますが、ところが、薬剤費の占める割合につきましては、これは藤田先生御承知のように、社会保険医療調査というのを毎年五月にやっておるわけでございまして、これが総点数に占める薬剤費の割合は、四十年の五月で全体で三八・二%を占めております。そのうち、特に外来のほうが多いわけでございまして、外来が四六・七%、こういうことになっておるわけでございます。
#46
○藤田藤太郎君 政府管掌の健康保険の四十一年度の決算がもう出ておると思いますから、資料として出してもらいたいことを要求しておきます。
 そこで、今度の健保改正に対する、私はいろいろ聞くのでありまするけれども、政府の言い分を漏れ承ると、薬代の比率が多くなって、そして云々ということが言われる。それから、それが薬代の一部負担になってきた、こういうぐあいに聞いておるんですが、どうでしょう。
#47
○政府委員(熊崎正夫君) 今日の政府管掌の赤字を招来いたしました原因としましては、いろいろと各種の要素があることは先般も大臣から御答弁があったと思いますけれども、最近の医薬、医術の進歩、あるいは国民の医療に対する受診の増加、その他いろいろの原因がありますけれども、ただ現象的に数字的に見ますると、保険料の収入の伸びに比べまして、医療費の、特に外来の伸びが多い。そこで、その原因を現象的に調べてみますると、特に外来の中で薬剤の占める割合が非常に多いということでございまして、かつて二〇%前後でございましたものが、最近は三七、八%になっておる。こういうふうなことで、やはり外来の中の薬剤費の占める割合が高くなったことも一つの原因であろう、こういうふうに考えるわけでありますが、これはもとより新しい薬その他が非常に大量に出てきたというふうなことも原因としては考えられる、こういうふうなことになるわけでございます。
#48
○藤田藤太郎君 薬剤費が外来ですと四六・七%、四十年度で三八・二%、全体で。どこにその問題の根本があるのか。いま新薬や云々と言いましたけれども、どこにその問題の根本があるかということをお聞きしたい。
#49
○政府委員(熊崎正夫君) ただいま申し上げましたように、最近におきまして新しい薬が開発されまして、むろん新しい薬が外国から輸入されまして、それが国内で販売されるというふうなこともありますし、また、国内で新しい薬が製造販売されるというふうなことでございまして、そのために薬剤の使用が非常にふえたということでございます。それ以外に、やはり現在の社会保険診療報酬の点数表の仕組みの問題等も一因ではなかろうかというふうに推定できるわけでございます。
#50
○藤田藤太郎君 国民の健康を守るために医療行為が行なわれて薬剤給付が行なわれて、そして健康を維持していくというのが医療制度の根本だと思うのです。そこで、政府は、医療制度に使う薬品というのは、薬価基準というのをきめて、そしてその実施をされているわけです。その薬価基準が今日の事態に適合しているのかどうかということをよく厚生省から聞くわけですが、その点については、ひとつ薬事審議会の運営、それから、薬価基準をきめるときのきめ方、それから、品目をふやすときのふやし方その他について聞きたい。
#51
○政府委員(熊崎正夫君) 現在保険医療で使われます薬剤につきましては、厚生大臣の告示によります薬価基準をきめまして、これを定期的に告示をいたしておるわけでございます。それで、まず新しい薬が製造されますと、それにつきまして製薬許可の処置がとられます。製薬許可をするにあたりましては、これは薬務局長の職務でございますが、便宜私が御答弁いたしますが、薬事審議会で、新薬につきましては新薬の部会がございまして、そこで決定をされましたものを薬事審議会にかけまして、それで厚生大臣の製造許可が出される、こういうことになるわけでございます。ただ、新しい薬が許可をされましても、これは直ちに保険医療には採用されないわけでございまして、薬価基準に登載をされて初めて保険医療に使用されると、こういうことになるわけでございます。薬価基準に新しい薬を登載するにつきましては、これは毎年定期的に新薬の登載を行なってきておるところでございまして、これにつきましては中央医療協議会とは別に、厚生大臣の権限でもって新薬の登載は行なわれる、こういうことでございます。
 それから、薬価基準に登載される薬の値段につきましては、これは毎年一回、病院、診療所がどういう値段で薬を買っておるかということを調査いたします。いわゆる薬価調査をいたしまして、それに基づきまして病院、診療所の九〇%の数量が買える値段、これを通称九〇%バルクラインというふうに申しておりますが、九〇%の薬が買える値段でもって薬価基準の価格はきまる、こういうことになっておるわけでございます。その価格の改定につきましても、これは中央医療協議会とは別に、厚生大臣の権限でもってやっておるわけでございます。
#52
○藤田藤太郎君 そこで問題が起きてくるのは、その薬価基準と実勢価格、一番最初から言えば、メーカー、卸、それから薬価基準、それから小売り販売価格、この四つぐらいおおまかに――もっと何ですけれども、そういうぐあいになっておる。厚生省は、資料は今度はわれわれにお出しにならない。そういう具体的なものの資料はお出しにならないつもりかどうか知りませんけれども、私が調べたところによると、その薬によってだいぶ差のあるものができておる。そしてそこらあたりの問題をずっとうしろへ引き下げてみると、私は昨日もちょっと触れましたけれども、国民も制度の中におる、医療担当者も制度の中におる。それで、薬製造業者だけが自由主義経済の中におる。こういう形のものがこれで許されていいのであろうかということを私は非常に疑問に思うのです。これは電気製品やその他の商品販売業者と同じような薬製造業者である。一方、薬になって出てきたときには、そこの取引のところは自由であって、そしてこの医療制度の中できびしくやっていくということになると、それは医療制度で診療から品目から皆きめてやっているのに、薬品製造だけは自由経済の動きの中でやっていくというところに問題があるのじゃないか。それを厚生大臣は今後どうしようとされているのですか。これはもう抜本対策にも非常に関係があると思いますが、基本的問題だと、こう私は思うのです。これについてひとつ御意見を大臣から伺っておきたい。
#53
○国務大臣(坊秀男君) 医薬品の製造販売ということは、これは今日自由企業ということでやっておりますが、しかし、それが保険に関連してくるといったようなことでいま出たような御質問があったことだと思いますが、それによる保険制度というものに、何と申しますか、マッチするために毎年薬価調査をやりまして薬価基準というものをきめて、そうして遺漏のないようにやっていくのでございます。
#54
○藤田藤太郎君 それではあなた質問の答えにならないじゃないですか。もう一度それじゃ薬務局長から。
#55
○政府委員(坂元貞一郎君) 現在のわが国の医薬品企業は、先ほど仰せられましたように、現在の経済体制のもとにおきましては、自由企業というたてまえで企業全体の運営がなされているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、基本的にはそのような考え方で企業全般の運営が行なわれるといたしましても、先ほど来問題になっておりますように、保険医療というような問題に非常に密着した重大な関連を持っている産業でございますので、少なくとも現在の医薬品産業が自由企業というたてまえでかりにあるとしましても、保険医療の面から少なくとも見ますると、どうしてもある程度の調整をやらなければならぬというような考え方があるわけでございます。私どもは、その調整の役割りを果たしておりますのは、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、いわゆる薬価基準という制度をつくりまして、この制度の立て方、それから運用のしかた、こういうものを通じましてこの自由企業たる医薬品産業と保険医療とを結びつけていこう。つまり薬価基準という制度が、自由企業の製薬企業と、それから社会保障制度たる医療保険制度とのいわゆる接点になっている、私どもはこういう考え方を基本的に持っているわけでございます。したがいまして、そのような考え方から申し上げますと、今後医薬品産業が、現実の販売形態としましては、いわゆる一般の大衆向けの医薬品の販売形態と、それから医療機関に販売する医家向けの販売形態と両方持っているわけでございますが、医家向けの販売形態の企業活動につきましては、薬価基準という制度自体を、いろいろ不完全なものがありますならばりっぱなものにしていくし、その他その運用のいろいろ行き過ぎがあったり不都合な点がございましたら、その運用を直していく、このようなことによりまして、この自由企業たる医薬品産業と医療保険の制度との適切な調整をはかっていくべきである、こういう考え方を基本的に持っているわけでございます。
#56
○藤田藤太郎君 今日医薬品の製造がことしは五千億にもなろうとしておる、そして輸出はその三%。いま医薬品と大衆薬との、薬価基準に乗ってこない大衆品の分離がなされておる。しかし、ほんとうに技術的にそこまで分析しているところはともかくとして、薬品メーカーの宣伝費というものはたいへんなものだ。私は薬事審議会がどういう取り扱いをしておられるか知らぬけれども、一粒飲んだらかぜでも何でもなおるというような宣伝のしかたがテレビなどでどんどん行なわれて、ひどい会社になると四〇%も宣伝費に使っている。こういう形のものをそのまま置いといて、そして聞くところによると、一般の産業以上に非常に高い配当をしている。設備拡大はほとんど自己資本、それは薬業者の中にも研究所を持って研究をされるのに金が要る。むしろそういうところに国が、新しい保険のため、医薬品製造のため、そこらに国が力を入れて、そして今度はそれを医薬に持ち込もう。宣伝費を膨大に使っている、四割、五割も宣伝費に使っているそういうかっこうの薬を国民が買う。そこらをずっと考えてみると、日本の薬事行政なんというものはどうなっているか。そういう状態のものがそのままそっくりとこの医療制度の中に自由に持ち込まれている。このことをどうするのですか、このことを。そのことはほおかぶりで、薬価基準でございます、それで、片っ方では、九〇%ぐらい、薬品によっては九五で、一番高い基準で薬価基準をきめる、そんなことが世の中で通用するのでしょうか。それで、お医者さんの立場になってみたら、薬でもうけているもうけているということを言って、それでお医者さんは技術料も何も押えよということで、いみじくも先ほど言ったような問題を平気で厚生大臣が言う。一応釈明がありましたから、本心ではないと思いますけれども、はしなくも口からそういうことが出るということ、この医療制度のいま一番肝心なところは、私は薬剤の問題だと思う。そういうかっこうで入ってきて、総医療費の三八%――四〇%、四十一年はまだわかりません。最大四二%とか三%とか、薬剤のウエートがそうなっているとか、そういうもので高くなってきたから、これは患者に負担をさそうなんという理屈がそこから出てくる。このごろあまりお言いになりませんけれども、患者は利益を受けるから受益者負担だ。世の中、日本の民主国家の中において、ものの考え方がさかさまではないかと私は思う。社会保障の柱であるそういう一連のものに対していまのような答弁では私は納得しません。いまのような答弁では納得できないじゃないですか、だれが聞いても。それはどう説明するのですか。
#57
○政府委員(坂元貞一郎君) 仰せのように、現在の製薬メーカーの企業活動全般につきまして、いろいろ行き過ぎがあったり、あるいは不都合な点があることは事実でございます。私どももその事実は率直に認めているわけでございます。特に昨今、医療保険制度というものが非常に重大な問題として、厚生省だけの問題だけでなくて、各方面から関心を持たれているような情勢下においては、この製薬業の企業活動全般について、俗っぽいことばでございますが、販売態度、販売姿勢というものを厳格にしていくということは、もう当然なことでございます。仰せのような広告活動につきましても、私どもとしましては、まだまだ虚偽、誇大な広告の取り締まり等について不十分な点がございますので、鋭意そういう点について強力に指導をしておるわけでございますが、まだまだ国民の待望するような線まで到着していないことも事実でございます。
 それから、また、医療機関等に売り込む医薬品メーカーの販売姿勢の問題についても、いろいろ御指摘を受けておるわけでございます。昨年来、特に厚生省は、医薬品メーカーのこの販売姿勢というもろもろの活動について姿勢を正していくようにいろいろな強い勧告をして、逐次改善のきざしは見えているわけでございますが、日本の医薬品メーカーの全体の姿勢がまだまだわれわれの所期するところまで到達していないこともまた事実でございますので、私どもとしましては、今後広告活動を含め、販売姿勢全般の問題について、もっともっと意欲的に医薬品メーカーに積極的にその自覚を促し、また、健全な方向に企業全体の活動が進んでいくように努力をしていきたい、かように思っているわけでございます。たとえば広告活動の広告費の問題につきましても、最近はメーカー自身も昨今の情勢を十分自覚しまして、逐次広告費も減少しつつありますし、また、薬価基準に収載されております医家向けの薬につきましては、今後一切大衆広告をしないとかいうような方針を打ち出して、逐次指導をしておりますし、今後このようなもろもろの施策を通じまして、医薬品メーカー全般の企業活動を健全な方向に進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#58
○藤田藤太郎君 たとえば同じ薬でも名前が変わって、どれがきくやらわからぬという、ビタミン系統の薬でもそうであります。その他の薬でも、どれがほんとうにきくのやらわからぬ、まあ私はうそとは言いませんけれども、十ぺん聞きゃほんまかいなという、一ぺん頭をひねってみるという人間は弱い愛情を持っていると思う。そういう状態の中で、ほんとうに医療制度の中でどの薬を消費するか、どれだけ保険がより守られるかというようなことこそ薬事審議会でやるべきじゃないですか。そういうことと、国民の前に発表して私は宣伝したらいかぬというのではない。宣伝も国民に知らす方法の一つでありますから、いかぬとは言ってない。それよりか、政府がこのいろいろとビタミンの、二十か三十ありますけれども、この薬はこれだけこうやってこうする、この薬はこれだけこうやってこうするという、そのことを政府は国民に知らすべき義務がある、それが薬事法のたてまえであり、薬事審議会の私は任務じゃないか。そのことをやらないでおいて、いまの宣伝の問題ばかりじゃない、あまり企業の利益の問題ばかり――私はきょうここであまり議論したくはないけれども、そういう不安定の中でそれが医療制度に関係していく、とんでもないことじゃないですか、これは。そのことを明らかにせぬで、医療財政の中で薬の分野が多くなったから、病気になった個人個人にその負担をせいなんということはとんでもないことじゃないか。まず問題の前提を解決をして抜本体制とあなたのほうは言われるかもわかりませんけれども、抜本体制というものは、そういうところから薬価基準を陰で悪口言うだけで話にならぬのですよ。そんなことは国民は聞きたくない。最もよい診療、最もよい薬で一日も早く健康になって、社会に労働によって貢献をして社会を発展さしてよい制度にしよう、国民はみんなそう思っているのです。そのあいまいな、うやむやの状態で、それで健康保険の医療制度の負担は病気になった者がするなんということは、健康な人が病気になった場合得をしょうなんて思っている人がありますか。私はこれはきのうも言いましたが、そういうところへかぶせていって、肝心のことはほうっておいてそれでやるなんてものは、これはどういうことだ。私は、研究費がたくさん要るからという薬業会社がおるなら――実際にやっておられるから薬が出てくる、そういうことこそ政府は受け持つべきじゃないですか。
#59
○政府委員(坂元貞一郎君) 私どもも、現在のわが国の医薬品メーカーの生産の基本的たてまえというものについては、いろいろ問題点も実は私どもも意識をいたしております。たとえばいま先生お述べになりましたような卑近な例として、ビタミン剤等について非常に同種同効品、いわゆる類似品というのが数が非常に多いわけでありまして、こういう問題につきましては、私どもも昨年ごろから、何とかしてこの同種同効品の薬剤が大量に多種多様生産販売されるというような、この基本的なたてまえというのがどうも昨今の情勢に即応しない面が多分にあるというような問題意識を持っておりまして、実は、もちろんこれはわが国の製薬メーカーの企業体質の大きな転換になることになるかと思いますけれども、わが国の製薬企業もこれから資本自由化の問題と積極的に取り組んで、外国製品と対等の立場で競争しなければならぬというような段階にまいっておりますので、わが国の医薬品メーカーのこのような企業体質というものをまず私は改善をしていく、転換をしていくということが当面大きな問題だろう。いま具体的に先生がお述べになりましたような同種同効のビタミン等が数多く生産販売されている、これはどうしてもわが国の医薬品メーカーの企業体質というものにつながるわけでございますが、このような企業体質ならば、とうてい今後国際競争力をつけるというような点においても非常に問題があるわけでありますので、私ども、ただいま大臣の御指示によりまして、このような同種同効の薬剤なり、あるいは薬の配合をちょっと変えたような、いわゆる配合剤等が大量に多種多様生産販売されている、この規制を現在早急に検討を進めておりまして、これは私、抜本対策の以前に、できるだけ早い機会に何らか先生仰せのような同種同効の薬剤なり配合剤等の問題については一つの結論を出しまして、仰せのようなすっきりしたものにわが国の医薬品メーカーの生産体制を切りかえさせていきたい、かように考えているわけでございます。
#60
○藤田藤太郎君 そしてそういうあいまいな、何べん聞いてもようわからぬ。薬務行政を、最後の重点は薬価基準でございますということだけで、結局この一包み十五円がここに出てきた。この一袋十五円の薬を被保険者が負担したらだれの利益になるのですか。これはだれの利益になるのですか。お医者さんはそれだけ点数から引かれるわけでしょう、そしたらずっと詰まっていったらだれの利益になるのでしょうか、国民が薬価負担を十五円ずつ一袋ずつしたら。これをひとつはっきりしてください。
#61
○政府委員(熊崎正夫君) これは一部負担制度自体の本質的な問題でございまして、利益不利益という議論とは別に、やはり保険財政を維持するためにどのような負担をするか、どの部面でどういうところで公平に負担するのが適当かという問題に帰すると思うわけでございまして、結局利益不利益の問題ではないというふうに私どもは考えております。
#62
○藤田藤太郎君 そんな答弁、そんなことを言ってもらっては困る。それじゃ何で病気で困っている人に、まだその上に一部負担といってかぶせるか、それよりか先に、いまの四〇何%になっている医療制度の中における薬剤の占めるこれの位置でいいのかどうかということが第一じゃないですか。医療行政そのものの中で、毎年率がふえてきて、薬剤がふえてきている、新薬がふえてきている、それはいろいろ理由があるでしょう。あるでしょうけれども、このことを国民の前に明らかにして、そうして医療保険経済、いま保険ですから、医療の保険経済をどういうふうに維持していくか、国民がどう納得した上で、そのあとの処理をどうするか、そこのところをあいまいにしておいて、病気になった者から取るなんていうことは、受益者負担は繰り返しませんけれども、そういう理屈で一部負担で取る、そんな返事では納得できない。大臣、どうですか、あなたも答えてください。
#63
○国務大臣(坊秀男君) ただいま事務当局からお答えを申し上げましたとおりに、一部負担をすることによってだれがそれをせざることと比べて利益になるかということにつきましては、結局薬を使うということは、これはその一部負担をするしないにかかわりませず、結局その薬の製造というところ、薬の製造家が薬が売れれば売れるわけでございますが、そういうようなことでございまして、一部負担をするしないということには私は関係がない、かように考えます。
#64
○藤田藤太郎君 保険経済全体から出していくというのは、病気になって困っている人からその薬代を負担さすんですよ。病気になって困る人から薬代を取るんですよ。そんなことがあなたのような答弁で済みますか。どこへいっても、一般の人がそんなことで、そうですか、大臣、そうですかということを言うかどうか。
#65
○国務大臣(坊秀男君) とにかく保険財政が非常に逼迫しておる、そういうようなときに際しまして、この財政をどうして維持していくかというために、患者の方にも一応負担をしていただくと、こういうことでございまして、そういうふうに私は理解いたしております。
#66
○小柳勇君 関連して。同じことですけれども、いま国民の総医療費が、さっき医務局長の話では一兆四千億、その中で薬代が約三割八分から四割である。そうしますと、薬代が大体五千六百億かかる。その五千六百億が、もし薬代で皆さんの監督指導によって一割その薬が安くなるならば五百六十億これは浮くわけです。そうですね。あるいは二割といたしますと、一千百二十億浮くわけです。現在の製剤薬価は大体一八%から二〇%でありますから、もし二割とするならば千百二十億浮きますぞ。あなた方がいま一部負担を取ろうとするのは、この間の自民党の修正案によりますと、わずかに十五億円しか金額としてはない。金額としてはないが、いま藤田君が言ったように、病人から取るんですぞ。病人から十五億無理にむしり取るよりも、その薬品業者を皆さんが十分指導監督してやれば一千億くらい薬代から浮きませんか。薬代がそれだけ浮くならば、何も一部負担をせぬでも、料率を上げぬでもいいじゃないかということを藤田君は言っておるわけです。いま薬務行政の点でやっておりますから、全般的にはあとで質問しますが、そういうような薬務行政について大臣はどうお考えか、腹を据えて答弁してください。
#67
○国務大臣(坊秀男君) 薬務行政、薬というものは非常にこれは国民の保健上、医術とともに、私は薬剤というものが車の両輪のごとく大事なものであるということを考えておりますが、その薬について今日いろいろな点におきまして欠陥を生じておるということは、私はこれも認めざるを得ない事実だと思います。そこで、これを是正し、改正していくために、今日中央医療協におきまして検討をしていただいておる。で、この結果が近いうちに私どものほうへもたらされる、こういうことに相なっておりますので、その結果に基づきまして対処してまいりたい、かように考えております。
#68
○小柳勇君 いつも政府の責任を審議会に持っていくのはけしからぬと思うのです。審議会というものはそういうものではなくて、根本的に将来の計画について審議、諮問をするのが一番政府のとるべき道であります。私はいま質問しているのは、いままでもそうである、一番大事な点はやっぱり薬代、あるいは医療代、全般的な問題はあとに譲りますけれども、そういうような薬務行政を質問しているわけです。
 それじゃ具体的に質問しますが、薬価の調査についてはどのように調査体制をとっておりますか。これは大臣がよくわからなければ、薬務局長から聞きましょう。
#69
○政府委員(坂元貞一郎君) 薬価基準を改定いたす場合の前提条件としましては、いま仰せのように、薬価の実勢調査というものをやらざるを得ないわけでございます。私どもとしましては、三十八年まで毎年薬価の実勢調査をやりまして、そのつどそのつど薬価基準の改定を実施してまいったわけでございますが、その後三十九年、四十年度はこの薬価の調査ができませんので、四十一年度分としまして現在薬価の実勢調査をやっているわけでございます。具体的に申し上げますと、本年二月の一カ月間の販売の実績等をもとにしまして、医薬品の卸業から医療機関に販売するもの、販売の実績を二月分について調査をいたしまして、その調査が現在集計をしている段階でございます。この集計が非常にまあ手間取るわけでございます。と申しますのは、現在医家向け薬価基準の掲載品目は六千品目を上回っておりますので、この六千品目についてそれぞれの規格、容量、包装単位等が非常に千差万別でございます。それから、全国の医療機関等にそれぞれいろいろな立場で卸業から売られているわけでございますので、その販売の実態を正確に記入してもらうということでやりました。したがいまして、この調査自体も非常にまあ時間的に手間取っておるわけでございますが、現在そのような次第で、この四十一年度分の薬価調査というものを実施いたしまして、今月中ぐらいに全部の集計が終わります。大体そういうような状況になっております。それに基づきまして当然薬価基準の大改定というものをそれに引き続いて早急に実施する、このようなスケジュールに相なっておるわけでございます。
#70
○小柳勇君 いまの薬価調査の問題で、具体的にいま少し確かめておきたいと思うのです、非常に大事な問題でありますから、去る七月五日の衆議院で山本君が質問いたしました問題です。こういうものがあっては、私どもは皆さんの薬務行政というものは信頼できないから、ここで当時の速記録をそのまま読み上げて、その後の措置、これからの対策を聞いておきたいと思うのです。藤田君の質問中でありますから、詳細にはまたあとで質問いたします。「これはある薬局が私のところに送ってくれたものであります。」これは山本君が言っていることばであります。「全部は省略しますけれども」、これから先です。「先日県を通して厚生省の薬価の調査表が参りましたので、私の家は全部家際に正直に医家納入価格を記入して出しました。その前に某ビタミン剤をよく出す一流会社から、速達にて、医家納入薬品希望価格というマル秘の書類が参りまして、それを見ましたら、実際に医家に納入してる値段の四割、五割高の値段が書いてあってあきれてしまい、それによって薬価を不当に高くされては、医者はホクホクでしょうが、支払う国民が迷惑すると思い、その書類にかまわず実際に納入している値段を書いて出しました。」、これは薬店のことばです。「こう書いてあります。そしてそのあとに、「こんなくだらない薬業界のばかさかげんにあきれ、十分にもうかっている保険をまた上げては、喜ぶのは製薬会社と医者のみで、国民の利益にはなりません。」こう書いてあります。」これは山本君のことばです。「あなた方の行政指導は、赤字に対しては非常に厳密に赤字を補てんする、こうおっしゃっているけれども、こういうものが堂々と流されておるのですよ、」と山本君は質問いたしております。これに対して熊崎政府委員からいろいろ答弁になっておりますが、この問題について実際に調査されたのかどうか、調査したとすれば、その実態はどうか、これに対して熊崎政府委員はこういう答弁をしている。「私どもとしては非常に意外な秘密指令みたいなものが出ておるというふうなことにつきましては、非常に残念であると同時に、また、そのような指令を出したメーカーがおるとすれば、これはあとで私どもで究明をいたしまして、その事実を確かめた上でしかるべき処置をとらなければならない、こういうふうに私ども考えております。」、これは政府の答弁でありますが、これの措置について御答弁を願います。
#71
○政府委員(坂元貞一郎君) 衆議院の社会労働委員会でそのような質疑がかわされたわけでございますが、その後私どものほうで本件について調査をいたしているわけでございますが、現在までのところ、当該メーカーからお述べになりましたような希望納入価格という一覧表が関係者に配られていることは事実のようでございます。ただ、そこでお述べになっておりますような、薬価調査に結びつけまして卸業等に強制を加えたかどうかという点が非常に大事な点であるわけでございますが、その点につきましてはいろいろ現在までのところ調査をやっているわけでございますが、まだ確証を得るところまで至っておりません。したがいまして、目下まだ調査の段階中でございますが、この希望納入価格なるものが本年二月の時点における適正ないわゆる実勢価格、取引価格であったかどうか、この点については現在、先ほど申し上げましたような国の手でやっております薬価調査をやっておりますので、その薬価調査の結果等の全貌がある程度わかりますと、適正な取引価格であったかどうかという点もある程度はっきりしてくるわけでございますが、いずれにしましても、調査全体がまだ最終のところまでまいっておりませんので、現在までのところ、この事実については希望納入価格表を配布したところまではわかっておりますが、それ以上のところはまだわれわれのほうで調査を継続していると、こういうような情勢になっているわけでございます。
#72
○小柳勇君 熊崎政府委員の答弁では、そのようなマル秘の指令が出ていることは知らない、もしそれがあったならば、それには措置しますと答弁しています。その後の問題じゃないのですね。そんな指令が出ておったとすれば、それを措置しますと言っているが、出ておったことは事実であるといま答弁されました。どういうふうな措置をされましたか。七月五日からもう一カ月たっておりますから、その措置をお伺いいたします。
#73
○政府委員(坂元貞一郎君) ただいま申しましたように、希望納入価格の一覧表を渡したことは事実のようでございます。問題は、国の実施しようとする薬価調査に結びつけましてメーカーから卸等に強制したかどうか、この点が私どもは問題になろうと思います。したがいまして、その強制の事実の有無を最終的に調べまして、そういうような事実に基づきまして本件についての措置を考えなきゃならぬ、こういうふうにわれわれは思っておるわけでございます。
#74
○小柳勇君 あなたは厚生省の薬務行政の担当者です。この答弁はそんなになっていないのです。いま厚生省で薬価を調査しております、九〇%バルクラインで調査を始めました、したがって一部のメーカーがそういうふうに関連してやったかもしれない、しかし、そういうマル秘の指令はわかりませんからそれを調べますと、指令がわかりましたならば、そういうことはけしからぬから措置しますと言っている。あとの関連なんか何もないんですよ。どうしますか。その実態はあなた確かめたのだから、その業者をどうしますか。大臣から聞きましょう。
#75
○国務大臣(坊秀男君) このことにつきましては、ただいま事務当局に命じまして、厳重にその原因を探求さしておるのでございまして、その結果に基づきまして、もしこれが強要する、強制するというようなことであったとするならば、これは私どもといたしましてはこれに対して厳重なる措置を講じなければならない、かように考えております。
#76
○小柳勇君 大臣のもこれに答弁があるんですよ、速記録の中に。大臣の答弁は読み上げませんけれども、大臣もそんなことは知らないとおっしゃっている、そんな秘密指令が出ていることは知らない、そんなことはけしからぬと言っておられる。出たことはわかっておるのですが、その措置をあなた方が――あなた方の機関は日本の薬務行政をつかさどるただ一つの指導機関です。その指導機関の長、あるいは局長、担当者が国会だけで答弁をして言いのがれをして、そうしてこれ、もし国会終わったならばあとだれも究明しない。衆議院で山本君がやってからすでに一カ月、関連があるなしは何で調べます。ここに言っておることばは関連あるなしじゃない、そんなことがあったならば、そんなメーカーは処置すると言っている、どう処置するか、答弁しなさい。
#77
○国務大臣(坊秀男君) ともかく、いまその真相を厳重に探求しておるのでございます。その結果に基づきまして厳重に処置をする、こういう答弁を申し上げます。
#78
○小柳勇君 ここに言っているのは、これは新聞にもある。新聞の記事は読みません。たくさんの記事があるから読みませんが、一つの記事は「薬価を不当に水増し、製薬会社が指示、健保点数の改正に便乗」と書いている。これだけ大きく新聞に出ている、ほかの新聞にも出ている。これは一部です。新聞を引用しては委員会の権威にかかわりますから、私は速記録で言っているのですよ。速記録を全部読めば時間も相当かかります。もし全部読んでいいなら読みますが、大臣の答弁からして無責任ですよ、その答弁は。そういう秘密指令が出ておったら処置します、あとの関連なんか言っていないのですよ。何ですか。もちろん業界にも決して悪意だけとは私考えない、悪意だけとは考えないが、皆さんがせっかく正確に薬価を調べようとしているそういうときに、ほかに納入希望価格なるものを秘密指令で流して薬店に協力を求めている。正義な、正しい薬店のその人は、自分はもうかるのはわかるけれども、そういうことではばかばかしいから、しかも、健康保険法を改悪して被保険者からあなた方は金を取ろうとしている、そういうやさきにこういうことに応じてはならないというような証拠資料をそのまま持ってきているじゃないか。必要なら私がやります。私のところにも来ております。それをあなた方がそういうふうなことであるから国会議員に持ってこなければならぬのです。ほんとう言うなら厚生大臣のところへ、薬務局長のところへこの書類が来るべきはずなんです。あるいは来ているかもわからぬ。直ちに措置しなければならぬでしょう、そういうものは。私は、数年前から、医業実態調査を予算委員会のたびごとに、社労委員会でも何回も言った。それは決して医者の仕事が不当だとは言わないのです。しかし、国民多数が医者をたより、薬店をたよって医療をしているから、その実態をよくわかってもらって、そして正しい医療行政の前進のためにということで、しかも、一昨年の予算委員会では、予算表の中に予算が書いてない。それだけブランクにしておる。鈴木厚生大臣に詰め寄ったところが、それはこれからやりますから、予備費のほうから持ってまいりますと言って、それだけの答弁でのがれた。その後医業実態調査についても諮問しておられるようでありますから、これはまたの機会に言いますけれども、せっかく薬価調査をしておるときにそういう秘密指令が流れて、一部の悪い業者がもうけようとする、それを厚生省が見のがす、だれがそれじゃ監督しましょうか。はっきりわかったんですから、措置を答弁してください。でなければ、しばらく休憩してもらって、私は理事会ではかってもらいます。
#79
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど申し上げましたように、まだわれわれの事実究明の措置は完全に終了いたしていないわけでございます。この問題につきましては、二月の時点における医薬品の実勢価格というものが、納入希望価格表に掲げられている価格とどこまで差があるかということ、それが一番私どもとしてはつかみたい点でございます。したがいまして、メーカーのほうが単に希望価格ということで卸等に希望価格表を出したということだけでなくして、当時の実勢価格をほんとうに反映したものであるかなしか、もし反映していないとすれば、どの程度の誤差があるのかというような点が、われわれとしてはどうしてもこの点をつかまなきゃならぬポイントであるわけでございます。したがいまして、そのような実勢価格であるかないか、もし実勢価格でないとすれば、どの程度の、いわゆる投書の中にありますような水増し請求というような実態になっているのかどうか、そこらあたりの関係を資料に基づきまして計数的に調査をしなければわれわれの調査というものは完了いたさないわけでございます。したがいまして、そういうような点を十分いろいろな方面から現在事実の究明をやっているわけでございます。この点は私どももできるだけ急いで調査を完了したいということで、目下急がしておるわけであります。あとしばらく調査の時間を与えていただきまして、もし調査の結果、この点の事実がはっきりいたしますならば、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように厳重な措置を当然講じなければならぬということは、国会等でも言明してあるとおりでございます。
#80
○小柳勇君 この審議の経過を全部読み上げればいいんだけれども、これはあなたも聞いておるはずだ、衆議院に行っておるから、単価全部書いてあります。購入単価、希望納入単価幾らと書いてあります。全部平均すると一割ないし二割もうかるようになっております。速記録に書いてある。山本君の意見では四割ないし五割高い値段が書いてある。それがずっと表になっておりますから、その秘密指令さえ見たら、いい悪いではないのですよ。いい悪いではないのです。それで、実際薬店のほうは、厚生省から調査に行ったら、そういう希望納入価格で出した人が多数ある。そのほかの正義の士は出さなかったから、これはわれわれに持ってきておるわけです。しかし、多数の人は厚生省の調査にそれで出しておるわけです。何が調べる必要がありましょう。ほかに何がありましょう。それを、指令を出したそういうものがあったら処分すると言っておる。なぜそういうことを簡単に言いますか、国会で。その秘密指令が見つかったら処分しますと言っております。なぜ簡単にそういうことを言いますか。責任をとりなさい。
 委員長、私は休憩をお願いします。そして理事会を開いてください。(「大臣、答弁しなさい」と呼ぶ者あり)
#81
○国務大臣(坊秀男君) ただいま担当局長が申し上げましたとおりでございますが、究明を急ぎまして、早急に措置いたしたいと思います。(「休憩休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#82
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#83
○委員長(山本伊三郎君) それじゃ速記を起こしてください。
 以後三十分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時十一分開会
#84
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
 まず、休憩前の小柳委員の質疑に対し、薬務局長、保険局長及び厚生大臣から答弁があります。坂元薬務局長。
#85
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど小柳先生から問題になりました某薬品メーカーの希望価格表の件でございますが、納入希望価格表を配布したことは事実でありますが、当該文書の中に述べております表現だけでは、薬価調査について強制を加えたかどうかについて必ずしも明確ではありませんので、現在この強制の事実の有無等について裏づけのための調査を実施している段階でございます。したがいまして、私どもとしましては、早急にこの調査を完了いたしまして、その段階において、その事実に基づきまして当該メーカーに対して適切な措置をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
#86
○政府委員(熊崎正夫君) 先般の衆議院におきます山本委員の御質問に対しましての私の答弁については、当事実につきまして十分なる認識がないままにお答えをいたしましたので、釈明を申し上げます。
#87
○国務大臣(坊秀男君) 今回の問題につきましては、ただいま薬務局長から答弁しましたように、責任をもって措置いたします。
 なお、今後とも、かかることのないよう、厳重に注意いたしたいと存じます。
#88
○委員長(山本伊三郎君) それでは、これより質疑のある方は御発言願います。
#89
○藤田藤太郎君 私はぜひとも聞きたいのは、いまの薬剤メーカーの生産額、医療制度に入っている薬品の額、一般大衆薬として売られている額、その点を明らかにしていただきたい。
#90
○政府委員(坂元貞一郎君) わが国の現在の医薬品の生産高でございますが、昭和三十九年までが医薬品の生産高の一番ピークの時代でございまして、四十年以降は若干ずつ伸び率が低下いたしておりますが、昭和四十年度のわが国の医薬品の生産高を例にあげますと、わが国の医薬品の生産高の総額は四千五百七十六億になっております。このうち、お尋ねのいわゆる医家向けの医薬品の生産高と大衆向けの医薬品の生産高は、私どもとしましては、その比率関係は、厳密な調査データはございませんので推測になると思いますが、全体の生産高の大体五五%を医家向けが占めている、残りの四五%前後のものがいわゆる大衆向けの医薬品、このような比率関係になろうかと思っているわけでございます。
#91
○藤田藤太郎君 そういたしますと、先ほども小柳委員からも問題になりましたが、小売り価格、それから薬価基準、卸メーカー、こういう順序になって、もう一つ、薬務行政の中で、薬の安売り店というのがありますね。関西にもある、どこへ行ったってある。この安売り店は、卸やメーカーや薬価基準より安く安売りをやっているわけです。そうすると、この安売り店というのは、何と言ったって日本で製造した薬を売っておるわけですから、どういうルートでそういう安売りが行なわれていくのか、これを聞いておきたい。
#92
○政府委員(坂元貞一郎君) 医家向けの医薬品と一般大衆向けの医薬品との関係でございますが、医家向けの医薬品につきましては、私どもは薬価基準なるもので調整をやっているわけでございますけれども、医家向けの医薬品の、いわゆる薬品の価格の基本的な考え方としましては、先生御案内のように、医療機関というものは大体大量に医薬品を購入するということになっておりますので、その取引の実態といいますものは大体卸の取引実態を持っている、かようにわれわれは判断いたしているわけでございます。したがいまして、医家向けの医薬品の価格の算定の根拠といいますものは、大体卸の価格というものを基礎にして医家向けの価格の決定をやっておるということになるわけでございます。ところが、大衆向けの、一般小売り向けの医薬品につきましては、これは医療機関ほどの大量の購入はやれない、文字どおりいわゆる小売り価格というもので販売取引がなされているわけでございます。したがいまして、取引の実態から申しまして、医家向けのほうはいわゆる卸価格、それから一般小売り薬局のほうの取引は小売り価格というもので価格の形成がなされているわけでございます。したがいまして、そのようなことを申し上げますと、卸価格と小売価格との間には若干のそこに値幅があることは、一般の商慣習からいってやむを得ないわけであります。いま先生御指摘のように、医家向けよりも小売り価格のほうが高く買っているとか、あるいは、また、同じ小売り商店でも非常に安売りをしているというようなところもあるじゃないかということでございますが、小売り段階における取引といいますものは、大体わが国の製薬業の取引といいますものは、メーカーから卸――もちろん卸の中に、第一次問屋、第二次問屋、あるいは現金問屋、いろいろ取引の実態がございますけれども、――卸から小売りということになる。医家向けのほうは、基本的には、卸から医療機関に渡していくというようなことがあるわけでありますが、たまたま私どもが現在まで承知した事実としましては、医療機関あたりから一般の小売り薬店等に若干医家向けの薬が流れている、それが極端に安い値段で一般消費者に渡っているというような事実も間々ありますし、それから一般の小売り店等においても、スーパー等においては相当な値引きをして安売りをしているというような取引の実態もあるわけでございます。一がいにそういう安売り店というものの取引の実態というものは一様ではございませんで、多種多様の実態を持っている、このようなわが国の現状になっておろうかと、かようにわれわれは判断いたしているわけでございます。
#93
○藤田藤太郎君 いまの答弁ですね、どうも、薬務局長、納得ができませんがね。たとえばここに一つ資料が出ていますが、クロマイ系統の薬の問題について私は申し上げてみたいと思うのです。この小売り価格が、昨年十一月ですか、薬価基準が変わったのは。その変わるまでのクロマイ一粒の小売り価格が百円。それから薬価基準が七十七円ですね。そして安売り売店で六十円。卸はそうしますと七十七円であったのかどうか。そうなると、安売り店は六十円で売って問題になって、今度は小売り価格が七十七円になった。それから薬価基準と卸の値段が六十一円五十銭になった、二年前に安売り店の売っていた六十円が。それよりかまだ高いところに卸があるのに六十円の安売りができる。いまそういう情勢に薬の状態があることは、片一方では一生懸命になって赤字だ赤字だといって問題を出しておいて、それでそのメーカーから出たに違いない一級品ですが、安売り店では六十円で売られている。こういう姿というものをなぜ薬事審議会または薬務行政はしっかり監督せないのか。それは六十円で売っても、利益なしに売る売店はないと私は思うわけであります。この実態をどう見るかということを聞きたいわけでございます。それから、ちょっと古い話になりますけれども、三年ほど前に、やはりクロマイ系統の薬は国民にとって非常に大事な薬である、その大事な薬が少し売れ出してくると、品不足でマージンをつけて地方で売り出す。私は社会労働委員会でその薬務行政をものすごく追及したことを覚えている。急にそれを製造をしてつじつまを合わした。大衆薬の宣伝しているものだけじゃなしに、国民がいま実際に必要なその薬が、メーカーの思うままに、市場、全体の国民、社会の中に流れている。小柳委員のさっき指摘いたしました問題もそれと非常に関係をするわけであります。医療制度の中の薬品が五五%になるということでございますけれども、そのこと自身が国民に対しては非常にあいまいな状態で、そして私は、先ほどこの薬代一袋十五円を取ったらだれの利益になるんだと言ったら、医者のほうはそれは差っ引かれるという。メーカーがまた問題になる。いまの小柳委員の問題点も、薬値上げ方式のいまいろいろ処置をする話がありましたから、詳しく触れませんけれども、そういうことが平気で製造メーカーに行なわれている。そういうあいまいな、国民が納得できない問題を片一方に持ちながら、病気になった患者にその薬代を負担せいなんていうことは人道上ほんとうに言えるのかどうか。私はどうもそんなことはよう言わぬわけです。病気で困っている人に、これは一部負担だから別だという理屈、薬務行政と違うんだ、そんな理屈が国民にわかるかどうかということは重大問題だと私は思うわけであります。だから、薬務行政というよりか、今後の全体の医療制度についてもっとしっかり取り組む。そうして国民が納得した形でこの健康保険法の改正案というものが出されてこなければ、そんなことを心から、はあさようでございますかと、お医者さんに見てもらうのだから、病気になって苦しんで十五円出さなければならぬのですから、そんなことを思う人は私はおらないと思うんですよ。午前中問題になりましたように、それをそのままの状態で一週間の間に原案をほうり出してくる、私はたいへんなことだと思うわけであります。ですから、私は、将来の問題についても、たとえば外国がやっておるような医薬分業をどういうふうにしてやっていくのか、厚生省はこの問題についてどう考えているのか。そして、お医者さんの技術をうんと高めてもらって、そのためには、医療従業員をはじめ、お医者さんの生活や、それから技術の保障――技術料と一口にいわれていますけれども、これをやっぱしちゃんと国民の健康が守れるように保障していく。そして薬の整理もし、そうしてその全体の負担を国と国民との間にどう負担をしていくのか、こういうぐあいに明らかにしないのに、赤字だけやったらいい、これを通さなんだら、午前中もありましたけれども、抜本改正もやれぬのだというようなことも出てくるわけでありまして、こんなことを厚生行政で繰り返しておったら、とてもとても国民の納得するところではない、私はそう思うわけであります。だから、そういう点、全体の四十何%を占める薬剤の問題について、もっと根本的に検討が行なわれなければ、国民が納得するような形を持ってこなければ、私たちは今度の改正案についてはどうしても納得ができないわけであります。そのいまの一連の問題について薬務局長から聞きたいし、また、大臣からも答えていただきたい。
#94
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど冒頭にクロマイの問題を御指摘になりましたが、クロマイの価格問題につきましては、こういう事情が片一方においてあるわけでございます。と申しますのは、現在のわが国の製薬企業は、クロマイを含めて、抗生物質というものについての技術力というものが外国と比べまして極端に劣っているわけでございます。大部分の抗生物質というものは外国からの技術導入の形で国内で生産販売しているというようなかっこうになっているわけでございます。クロマイについても同様でございまして、外国の会社がクロマイについての製造技術の特許を持っております。そういう特許制度が外国にありますために、技術導入という形でロイアルティー等を払いましてクロマイの生産販売をやっておるわけでございます。したがいまして、そういう面が一部価格形成にも反映をいたしまして、藤田先生御指摘のように、若干クロマイの価格については問題があるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、クロマイを含めまして、抗生物質の一部について、まだ貿易自由化というものが完全に進んでいない点がございますので、できる限り早急に貿易自由化等によって開放体制に移るようにしていきたい。そうして国内の技術力を強化いたしまして、外国の技術に依存しないようにして国内生産価格というものを適当な線まで下げていく、こういうような行政指導が一つ大事なわけでございます。
 われわれはそういうような行政指導を目下逐次とりつつあります。できる限り早急に貿易等の自由化をいたしまして、国内価格というものを妥当な線まで落ちつけていこうと、こういういま過渡期に相なっているわけでございます。したがいまして、クロマイ問題については、御指摘のように、若干問題がありますけれども、逐次そういうような基本方針に沿って行政指導なり何なりをやっていきたい、また、現在やっているわけでございます。
 それから、医薬品の価格全般についての先ほど来からの御忠言でございますが、やはり医薬品価格の問題についてはまだまだいろいろな問題があることは、言うをまたず、私ども承知いたしております。したがいまして、一般の国民の方が医薬品の価格についてそういうようないろいろな疑問なり不安なり何なりを持っておられる向きもあるようでございますので、そういう点について鋭意われわれも医薬品の価格構成というものをどのようなふうにして考えていくかということも、薬価基準等も含めまして、現在研究態勢に入っているわけでございます。早急にこういう問題について一応のルールをつくってまいりたい、かように思っているわけでございます。
#95
○国務大臣(坊秀男君) 薬剤の問題につきましては、御指摘のとおり、たくさんの問題をはらんでおると思います。中でも、薬価調査を適正に行ないまして、そうして実勢価格というものを保険における薬価基準というものによく反映させていくというようなことも一つの大きな問題であろうと思いますが、厚生省といたしましては、そういうようなことにつきまして鋭意今日努力をいたしておるのであります。
 なお、御指摘の医薬分業につきましては、これはすでに制度としては医薬分業の方向に制度がきめられておるわけでございますけれども、長い間の日本の国の医療と申しますか、薬をも含めました医療費というものにおきましての長い間の慣習もございまして、まだこれが実際上十分行なわれていない現状にあるのでございますが、私どもといたしましては、できるだけそういう方向にこれを進めてまいりたい、かように考えております。
#96
○藤田藤太郎君 私は基本的な問題をきょう取り上げているのでありますから、締めくくり的な質問を一、二点して、またあらためてやりたいと思うのであります。ただ、いま薬務局長のおっしゃった貿易関係の云々というような話をここでされましたけれども、その三年前の話のときに、クロマイが不足したからといって、三万単位やっているやつを一カ月で一万単位つくって、やかましゅう言うて補充したことを覚えている。国内生産をですよ。だから、国内で生産力を持ちながら、生産をコントロールして値段をつり上げるというようなかっこうのことをメーカーがやっているところに問題がある。その他の問題もそのとおりです。そこのところをはっきりしておいてもらわなければどうにもならぬのじゃないか。
 それから、もう一つは、その安売り店はきょう始まったことではない。この前薬事法を審議したときからこの問題は始まっている。社会労働委員会で薬事法の改正のとき、薬剤師法のときに非常に論議して、政府は約束をして、国民はできるだけ安いほうがいいわけです。だから、安い薬を国民に与えるように製造メーカーからの順番の流通機構も考えてやりなさいということを申して、そういたしますという約束をしているわけじゃないですか。ところが、いまだにいまの問題が出てきていない。これは私はいずれ詳しいことについては後ほどやりますけれども、厳重に申し入れておきたいと思うわけでございます。
 それから、厚大生臣には、いままで議論してまいったこの薬剤の問題というものはたいへんな問題です。たいへんな問題を、小柳委員がさっき初めに触れましたように、五千億のたとえば四〇%といたしましても、五千億円の薬剤を使って、薬価基準その他で努力したら、一割やっても五百億だ。いまのように、ほかの全部は制度に沿っているけれども、薬剤製造メーカーだけは自由企業で、電器製品と同じようなかっこうに自由に持ち込まれている。そうして私が先ほど申し上げましたように、この薬の負担をしたらだれがもうかるか。結局また薬剤企業のもうけになっていくわけです。そんなものを患者に負担さすなんていうのはとんでもないと言わざるを得ないわけであります。私は、そういう意味から、健保法の今度の改正なんていうものは、二割も薬剤が実際に安くできておるわけだし、クロマイなんかは、最近外国から原料を輸入して何分の一でできるというような話まで伝わっているわけです。薬のそういうことをほったらかしにしておいて、それで、きのうの議論じゃありませんが、労使――結局 被保険者、またはその中でも病気になって困っている人に大きな負担をさせて、そうして医療制度をやっていこうというのは、医療制度、医療保障の破壊だと私は思うわけであります。この問題をもっと明らかにしてここに臨んでもらいたい。そのことを私はここで主張しておきたい。いずれ具体的にこれが実施されたら、甲表をやっているところと乙表をやっているところとどう変わるか、どうなるか、また、これを医療機関の手元の中で、医療機関がこれを扱うときに事務的にどうなっているのか、それから国民生活の中でどういう負担の影響がなっていくのか。根元は、いま私が見て、健康保険法の問題の焦点は、赤字云々と言われるけれども、薬剤という問題を焦点にして議論をしていいぐらいに思っているわけでありますから、その点は次のほかの方々も議論をされると思いますが、十分にもっと真剣に、一々一つの問題でも、休憩して答弁を理事会が相談して、かかることのないように、はっきりした形でこの審議に臨んでもらいたい。政府の態度もきちっとしてもらいたいということを私は希望して、きょうは、基本問題をきのうから続けてまいりましたけれども、一応具体的な問題はあらためてやることにして、私の質問は終わります。
#97
○国務大臣(坊秀男君) 藤田委員御指摘のとおり、薬剤の問題は、私はこの保険問題の中で非常に重大な問題と心得ております。さような意味におきまして、この薬剤の問題というものを今後非常に重大視してこれを研究してまいりたいと、かように考えております。
#98
○藤田藤太郎君 重大視してなんていうようななまやさしい返事をしている段階ですか。あした国会は終わるというんですよ。あした国会が終わるというのに、わしの案をのめと、そういう一言に尽きるじゃないですか。そんなものの言い方だったらば、もっと真剣に取り組んで、国民に負担をかけぬようなところへ案を撤回してでも考えて直していくというくらいのかまえがなければ話にならぬじゃないですか。私はそれを言っているんですよ。薬務局長も通り一ぺんのことを言ってもらったってしょうがない。実際の問題を一つ一つ言えといえば私はいま言いますよ。言いますけれども、基本的な問題だけできょうは終わるから言ったのですが、もっとまじめなやり方を――国会はきょうとあしたと二日あるわけですから、だから、もっと真剣に考えてください。
#99
○国務大臣(坊秀男君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、薬剤の問題は非常に重要な問題でございますので、私は、実勢価格等が保険の薬価基準などに十分反映していくように、そういうふうに推進をしてまいりたい、かように考えております。
#100
○柳岡秋夫君 きょうは、定められたといいますか、予定された時間が近づいておりますので、具体的な問題はあしたに回しまして、昨日来の藤田委員から提起をされておる基本問題、この基本的なわが国の医療制度に対する考え方と申しますか、厚生省の態度、こういうものについて一、二質問をいたしたいと思うのでございますが、その前に資料を要求しておきたいと思います。
 一つは、先ほど藤田委員も要求されておりますけれども、四十一年度の決算、さらに、四十一年度の行政努力として九十八億が予定されておったわけでございますが、その内訳と効果について出していただきたい。
 さらに、また、低所得対策が今度薬価の一部負担で出されております。この低所得対策の対象となる層の世帯構成。
 もう一つは、保険料の増加額と所得税の減税額との対比一これは各等級別に出していただけば一番いいんですけれども、そうもいかぬでしょうから、各平均した標準報酬をある程度抽出して出していただきたい、こういうふうに思いますが、この点はいかがですか。
#101
○政府委員(熊崎正夫君) 至急検討いたしまして提出いたします。
#102
○柳岡秋夫君 私も与えられた質問の日程というのはあすに控えておりますので、ひとつあすまでにお願いします。
 そこで、まず大臣に所信を聞きたいのですが、健保国会と今回はいわれております。国民の命と健康を守る具体的な問題、しかも、健康保険法ただ一つの問題で臨時国会が開会をされておる。このことは私はいままでにないことであろうと思う。それだけに、国民はこの臨時国会に対して非常なる関心を持って見ておる、こういうふうに思います。ですから、この国会の任務というものは、十分お互いの論議を尽くして、そうしてわが国医療制度の現在の問題点というものを国民の前に明確にしていく、このことがこの国会の任務である、こういうふうに思うんです。この点、大臣はどう考えられますか。先般の衆議院の段階では、そうした任務を忘れて、多数をもって質疑の打ち切りなり採決をされた。こういうことは、少なくともとるべき態度ではないし、国民に対する大きな背信行為だ、こういうように私は思う。この点についての大臣の所信を伺いたい。
#103
○国務大臣(坊秀男君) 今次の国会は、柳岡さんおっしゃるとおり、健保国会といわれております。そこで、この国会におきましては、私どもといたしましては、前国会におきまして審議未了で不成立に相なりました健保等の特例につきまして再び御審議を願いまして、そうしてこれを成立さしていただきたいというのが私どもの願いでございますが、こういったことに関連いたしまして、健保問題の全般について慎重に御審議をお願い申し上げるというのが今度の国会がいわゆる健保国会といわれるゆえんであろうかと考えております。
#104
○柳岡秋夫君 健保国会の意義はいま大臣の言われたとおりです。したがって、その大臣の所信に基づいた国会の審議というものがなされてきたかどうか、こういう反省をまず大臣はすべきだと思うんです。その上に立って私はお伺いしたいんですが、昨日来の藤田委員の質問、あるいは大臣はじめ、政府委員の答弁を聞いておりますと、少なくとも憲法二十五条の理念に基づいて国民の命と健康を守っていく、それがまた政治の基本である、そういう政治の直接の担当大臣の、あるいは厚生省全体の、社会保障、特に医療保障に取り組む姿勢と申しますか、態度に私は非常に消極的なものがうかがえるわけです。たとえば先ほど来議論がされておりますけれども、佐藤内閣は、常に、福祉国家を目ざしていくんだ、あるいは人命を尊重していく、こういうことを言っておるんですけれども、私は、少なくとも福祉国家への道は、この医療問題一つに限定をすれば、医療保険ではなくて、医療保障に進んでいかなければいけない、それがまた福祉国家への道である、こういうふうに思うんですけれども、先ほど来の答弁を聞いておりますと、どうも保険主義というものを強く打ち出している。それで、その保険財政の危機が来ると、保険主義の立場から一般大衆に対してしわ寄せを強く出してくるというのが今日厚生省のとっておる態度だと思うんです。これは、少なくとも佐藤内閣が日ごろ言っておること、あるいは厚生省という、国民の生活、健康を守っていく、そういう衝にあるところの省としてはとるべき態度ではない、こういうふうに思うんですが、一体健康保険制度というものに対して大臣はどういう基本的な考え方を持っておられるのか。いままでの議論の中ではどうも納得ができませんので、もう一度お伺いしておきます。
#105
○国務大臣(坊秀男君) 医療保障につきまして、これをきわめて厳密なる意味の保障方式でいくか、あるいは現行方式の保険方式でいくかということは、私はこれは非常に基本的な、ほんとうに医療保障の一番根幹の問題だと思っております。そういうようなことから考えまして、医療保障ということを、全部保険でなくて、国家の税金収入でもってまかなっていくというふうに解釈をいたしますと、こういったような根幹の問題は、抜本対策策定の際にむろん研究しなければならぬ問題だと思いますけれども、今日直ちに現行の保険方式を全部国家保障、税金収入でやっていくということに踏み切って考えていくということにつきましては、これは相当重大なる問題でございますので、いろいろ意見の交換、あるいは検討の余地があるのではないか、かように考えております。しかしながら、国民の健康、これは何よりも大事なことでございますから、そこで、今後国民の医療保障の問題を考えていく際には、とにかくいろんな角度から検討する必要がありましょう。財政の面からも経済の面からも、いろんなそのときにおける環境と申しますか、諸般の角度から考えていかなければなりませんけれども、これの負担はできるだけ軽く、しかも給付がよく行なわれる、そうして国民の健康を保持していく上においてできるだけ支障のない、各般の角度から総合的に見まして、できるだけそういったような遺漏のないようなものにつくり上げていかなければならない、かように考えております。
#106
○柳岡秋夫君 いま国民がわが国医療制度に期待をしておるのは、すべての国民にひとしくよい医療、しかもこれを無料で保障していくということを国民はわが国医療制度に期待をしているし、また、一日も早くこの実現を望んでいるのであります。しかも、そういう医療保障というものが福祉国家の目的であるように私は思うのです。保険方式というものは、これはイギリスの例を見るまでもございませんけれども、そういう医療保障に到達するためのいわゆる過渡的な技術的な手段、こういうふうに私は考えるわけです。ですから、いまのように医療費がふえれば、当然保険料が高くとられる、こういうような政府の態度、あるいは先般来いわれておりますような長期計画の中でのそういうような方針、これは社会保障の目的と手段というものを混同したそういうようなものではないか、私はこういうふうに思うのです。その点の見解はいかがですか。
#107
○国務大臣(坊秀男君) いま柳岡さんのおっしゃるように、全部保障でやっていく、つまり国家保障でやって、極端に申し上げるならば、現在の被保険者に当たる者、現在の患者、これが無料でもって保障せられるということ、こういうふうのお考えであるかどうか、私の独断であるかもしれませんが、独断であるならば、私は改めますが、そういう方式にしてまいりますと、いずれにいたしましても、医療費というものは、どこまでも医療費というものの支払いをしていかなければならない。支払い財源は、やっぱり国の、何と申しますか、税金収入でまかなっていくということに相ならなければならぬ。そうすると、国の税金収入というものは、やっぱり国民全般の収入の中から税金というものが徴収せられまして、そうしてその一部がこの財源に振りかえられる、こういうことに相なるわけでございまするので、そこいらのところが、私が先ほども申しましたとおり、たいへん複雑なる関係にございますので、そこいらのところも十分検討いたしまして、これは一朝一夕にどっちがいいかということが考えられないので、非常に真剣に検討してまいらなければならない問題である。しかしながら、そういったようなことがありますけれども、いやしくも国民の健康を守っていくためには、国家ができ得る限りこれに対しまして腰を入れていくということが必要なことであろう、私はかように考える次第であります。
#108
○柳岡秋夫君 国民が、よい医療が必要なときに受けられる、しかも安く受けられる、極端に言えば無料で受けられる、こういうような体制について、大臣は、これも一つの方法であるけれども、どちらがいいかという問題である、こういうのですか。そういうような医療制度のあり方については、大臣は好ましい状態とは思わないのですか。
#109
○国務大臣(坊秀男君) 私は、国家保障によって無料でもって医療の保障をすることは、必ずしも現在の保険方式よりまさっているとは考えません。
#110
○柳岡秋夫君 そうすると、四十一年度の国民総医療費が一兆四千億とか先ほど言われております。それで、そういう医療費が上がるたびに被保険者の負担がどんどん上がっていく。しかも、政管健保のごときは、非常に低所得の階層が被保険者になっているわけですけれども、そういう人たちにますますこの負担がしわ寄せをされる。こういうことは、やむを得ないと申しますか、当然だと考えておられるわけですか。
#111
○国務大臣(坊秀男君) 低所得者対策はこれは別個に考えるといたしまして、医療費がどんどんふえていくということについては、もしも国家保障でやるということでありましても、先ほど来申し上げましたとおり、これをまかなうものが税金収入であるということであるならば――そのほかにはないのでありますが、われわれに課せられるところの税金収入でもってやっていくとすれば、これはそれだけ税金によって負担しなければならないということでございまするので、いずれにいたしましても、医療費がどんどん上がっていくということは、これはいずれにいたしましても国民一人一人が負担をしていかなければならない、こういう問題ではないかと考えております。
#112
○柳岡秋夫君 政管健保、これは御承知のように、いま低所得階層の特別な対策をする、こう言われておりますけれども、それでは、今度出された厚生省の原案ではどうなっておりますか。医療費が上がって赤字になってきたから、これを穴埋めするためにどういう処置をとったかというと、被保険者が、政府原案では三百二十二億五千万もかかっていますよ。それから事業主負担が百六十二億五千万、国庫負担はわずかに七十五億ですよ。政府は二百二十五億だと盛んに言っていますけれども、予算書を見てごらんなさいよ。厚生保険の特別会計の予算書に七十五億と組んである。そうしますと、これは穴埋めの対策の負担割合というのは、六、三、一です。被保険者が六、事業主が三、国が一です。こういうような割合で負担をさせられて、それでやむを得ないとか、保険主義だからあたりまえだ、こういう態度でおられるとすれば、私は、佐藤内閣が日ごろ言っておるいわゆるスローガン的な政策は、それこそ実のないものだと、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
#113
○国務大臣(坊秀男君) 数字の問題でございますが、少し柳岡さんと私とは違うのでございます。国庫補助につきましては、これはしばしば申し上げておるのでございますけれども、二百二十五億、それから、料率改定に伴いまして、これは被保険者と事業主とが折半でございますので、それぞれが百六十二億ずつでございまして、初診料及び入院時というのが、これが一部負担を合わせまして四十四億円ございまして、それから、政府原案におきまする外来投薬時の本人の定額負担が百二十六億でございまするので、そこで、この四十四億と百二十六億とを入れまして、患者さんと申しますか、給付を受ける方々が百七十億と、それに政府の行政努力が二十五億でございますので、そこで、これと国庫補助を加えますとこれが二百五十億と、こういうことに相なるわけでございます。
#114
○柳岡秋夫君 この二百二十五億、これはあとでまた私は国庫負担の問題のときにやりたいと思いますが、いま大臣の言われたのは、これはもう間違いですよ。一部負担金の問題にしても、あるいは薬代の負担にしても、これは被保険者がみんな払うものですからね。合計して百七十億ですよ。それと百六十二億五千万を足せば三百三十二億五千万、これは被保険者が払う穴埋めのしわ寄せされた金額ですよ。しかし、そういうような大臣のお考えであるとすれば、私どもは今回の健康保険法の問題について大臣と議論をするのも何かばからしくなるような感じをします。私どもが願っておるのは、互いに国民が公平に負担をして、その負担の中から、それぞれ弱い者は弱い者なりに助け合い、そして生活をしていく、自分たちの健康を守っていく、こういうのが本来のあり方なんです。ところが、政管健保のみについては、こうした医療費の増大に伴って、保険主義を強調することによって被保険者に大きなしわ寄せをしていく、こういうことについては私は断じて許せない問題だと、こういうふうに思います。特に今回の、いままでの厚生省の態度を見ておりますと、先ほど来論議がされておりますように、自民党、与党が修正案を出すと、これに賛成をする、しかも、わずか一週間足らずの間にそういうようなことが行なわれるということは、厚生省自体の自主性というものはどこにあるか。全く日本の医療制度については自主性、方針を持たずに、あなたまかせの対策に終わっている、こういうふうに言いたいんです。もしそういう修正を簡単に受け入れられる、こういうことであれば、なぜいわゆる修正をした案というものをこの臨時国会に出さないのですか、政府自身が。それを、原案を出して、そしてすぐに修正に応じて審議をしてもらう、こういうような厚生省の、何というか、自主性のない態度、日本の医療制度に対する確信のない、方針のない姿勢、こういうものを私は強く批判をしなければならないのであります。その点はいかがですか。
#115
○国務大臣(坊秀男君) 厚生省といたしましては、今回の国会が開かれるにあたりまして、ぜひとも前国会において不成立に終わりましたこの原案を御審議、成立をさしていただきたい、こういうつもりでございましてこの原案を提出いたしたのでございますけれども、それが衆議院段階におきまして、御審議にあたりましていろいろと御意見もございまして、そして御案内のとおりの二、三カ所の修正が行なわれたわけでございますが、この修正が厚生省原案にとりまして非常に大きな変革になるということでもございません。厚生省といたしましては、原案を御審議、成立さしていただきたかったのでございますけれども、やはり国会の段階におきましてこういうふうに修正をする、与党及び一部の野党の方から修正をされるというような御意見がございまして、これに対して与党も賛成をいたしまして修正が行なわれたのでございまして、この点は厚生省といたしましてもやむを得ないことである、かように考えている次第でございます。
#116
○柳岡秋夫君 どうも先ほどの議論を聞いておりましてもいまの答弁を聞きましても、厚生省の先ほど申しました確信、医療制度に対する自信、こういうものは全然うかがえない。ほんとうにこれはあなたまかせの対策ですよ。そして、一方では、この特例法が通らなければ、先ほど問題になりましたように、医者のほうに支払う報酬がおくれるとか、あるいは医療制度の危機とか崩壊を招くとか、こういうことを言っておどかしているわけですよ。健康保険法の二十二条に基づく、国が保険者である、こういう規定に基づいて、保険者としての国の立場というものをもっと真剣に考えるなら、私はわずか五百億や六百億の赤字が出たとしても、この際ほんとうに健康保険制度の崩壊を招くというならば、厚生省内の、あるいは健康保険会計の中でも、保険料でまかなっているたとえば施設の問題、あるいは、いわゆる業務勘定の中での予算ですね、こういうものを一年間でもとにかくこの際はがまんをしてもらう、そしてそういう予算を穴埋めの対策に使うとか、そういうようなあらゆる真剣な努力をして、なおかつ赤字のために健康保険制度に大きな危機が来るんだ、こういうことであるならば、これまた国民を説得する、納得させる力もあると思うんですよ。ところが、単にどうかつ的な言辞を弄して、そうして危機だ、崩壊だと言いながら、一方では何らそういう特別会計の中における合理化、あるいは日本の医療制度の近代化というものについて手をつけない、こういうところに私は厚生省の医療制度に真剣に取り組んでいる態度というものが全然うかがえないのです。したがって、私は、この問題については、なお明日引き続いて私どもの意見を申し上げると同時に、厚生省の考えをお聞きして、さらに国民の前に現在の医療制度の問題点を明確にさせていきたい、こういうふうに思いますので、きょうはこの程度にとどめ、ひとつ明日によろしくお願いしたいと思います。
#117
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中上〕
#118
○委員長(山本伊三郎君) 速記をつけて。
 暫時休憩いたします。
   午後五時十二分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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