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1967/08/11 第56回国会 参議院 参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第4号
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1967/08/11 第56回国会 参議院

参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第056回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十二年八月十一日(金曜日)
   午前十一時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月十一日
   辞任          補欠選任
    林   塩君      山下 春江君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          山本伊三郎君
   理 事
                植木 光教君
                土屋 義彦君
                佐野 芳雄君
                藤田藤太郎君
   委 員
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                玉置 和郎君
                船田  譲君
                丸茂 重貞君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小柳  勇君
                藤原 道子君
                森  勝治君
                柳岡 秋夫君
                小平 芳平君
                片山 武夫君
   国務大臣
      大 蔵 大 臣   水田三喜男君
      厚 生 大 臣   坊  秀男君
   政府委員
      大蔵省主計局次   岩尾  一君
      長
      大蔵省理財局長   中尾 博之君
      厚生政務次官    田川 誠一君
      厚生大臣官房長   梅本 純正君
      厚生省保険局長   熊崎 正夫君
      社会保険庁医療   加藤 威二君
      保険部長
   事務局側
      常任委員会専門   中原 武夫君
      員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 本日、林塩君が委員を辞任され、その補欠として山下春江君が選任されました。
#3
○委員長(山本伊三郎君) 健康保険法及び船員保険法の臨事特例に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○柳岡秋夫君 一昨日、私は、現在の日本の医療制度のあり方、あるいは健康保険制度の厚生省の基本的な考え方、こういうものについてお尋ねをしたわけでございますが、厚生大臣の答弁を聞いておりますと、わが国の医療制度に対して、国民の期待にこたえているような答弁を得ることができなかったということについて、私はたいへん残念に思います。幸か不幸か、政府与党は一方的に会期を延長いたしまして、本日私に再度質問の機会を与えられましたので、私はじっくり腰を落ちつけて、ひとつきょうは一日、これらの問題を中心にして政府の、あるいは厚生大臣のお考えをお聞きしたい、かように思うのでございます。
 そこで、この間も質問いたしたわけでございますが、ここではっきりともう一度、国民の命と健康を守る直接の担当省である厚生省、厚生大臣として、日本のこれからの医療制度、医療保険制度というものがどうあるのが国民の期待にこたえる姿であるか、どうするのが福祉国家への道に通ずるのか、こういう点についてお聞かせを願いたいと思うのです。
#5
○国務大臣(坊秀男君) これは非常に重大な問題であるとともに、非常に広範な問題でございます。そこで、日本の国民が健康にして文化的な生活をしていくためには、私は、この医療保障としての今日のこの保険制度というものをでき得る限り充実強化してまいらなければならない、これは申すまでもないことだと思います。そこで、そういったようなわれわれの考え方に、この現行の医療保険制度がそういった考え方に対して十分充実整備されておるかといいますと、これには非常に私は大きな欠陥、大きな脆弱性、いろんなものが露呈せられておると思います。だから、そういったようなものを特に政府、厚生省といたしましては、これを是正してまいる、これを強化充実してまいるということが私どもに与えられました非常に重大なる使命であり、重大なる責任である、かように痛感いたしております。そういうような立場に立ちまして、私は常に申し上げておりますとおり、この医療保険制度の今日のこの状況というものをでき得る限りすみやかにこれを整備強化していく、そのためにも、抜本改正と申しまするか、根本的なこの立て直しということをぜひやらなければならないと思います。
#6
○柳岡秋夫君 非常に抽象的なお答えでございまして、体具的に方針というものが出されないということは非常に遺憾だと思います。で、私は、先般も医療制度の本来のあり方、福祉国家の中での医療制度、こういうものはすべての国民にひとしくよい医療を無料で保障していく、こういう姿があるべき姿ではないかと、こういう主張をいたしました。これに対して厚生大臣は、どうしてもそういうのはおかしいと、こういうニュアンスのある御答弁でございました。しかし、今日医療保険制度という中で、私どもが今日それでは具体的にどうあるべきかということを考えますと、それはやはり医療の機会均等、必要なときにいつでも必要な医療が得られる、よい医療が得られる、こういう医療の機会均等、それから給付の公平、さらに、また、特にこの政管健保等にその性格があるわけでございますけれども、非常に弱い立場にあるところの保険制度に対する負担の公平、こういうものが今日確立をされなければならないと思うのです。したがって、具体的に言えば、保険料を納めておれば、一切あとはそういう一部負担とか何とかなしに、ただでよい医療が得られる、こういうような今日の段階でなければならないと思うのです。それが逐次社会的に国が責任を持ってすべての医療を国民に保障していく、こういう姿に進んでいく、これが私は福祉国家の医療保障のあるべき姿ではないかと思うのです。これに対してはどうお考えですか。
#7
○国務大臣(坊秀男君) 柳岡委員おっしゃられるとおり、病気にかかるといったような場合は、これは必要なる給付がすぐ行なわれるということと、それから、また、いろいろな保険制度、また個人的に給付がまちまちであり、アンバランスであったり、また、これによって費用の負担が権衡を欠いておったりというような事態が今日そのまま行なわれておるということは、私は非常によろしくないことだと思います。そういったことにつきましては、これはぜひとも改正をしてまいって、そうして機会均等に医療行為の給付を受けられる、その給付の受け方等につきましてはいろいろ考え方もございましょうけれども、そういった制度を打ち立てていかなければならないということは、私は今度のこの医療保険を立て直していくという上におきまして一番大事なことだと思います。
#8
○柳岡秋夫君 そういう考え方に立つとすれば、今回の暫定対策というものは私はそういう方向に逆行する、後退をした対策ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#9
○国務大臣(坊秀男君) 今度の暫定対策は、しばしば申し上げておりますとおり、これは抜本対策、根本的な立て直しという考え方とは切り離しまして、そうしてきわめて臨時、緊急、暫定的にやって、政管健保を中心とする現行保険制度が非常に危殆に瀕しまして、ひょっとすると崩壊というような事態を生ずるおそれがあるというふうに心配せられまして、少なくとも、これは根本的な対策を立てる前に、その前にこれが崩壊したり何かするというと国民の医療保険上非常に御迷惑をおかけする、これだけは食いとめなければならない、こういうことで臨時、緊急的にしのいでいくためにとった措置でございまして、先ほどから私が申し上げました根本対策によって、そうして何と申しますか、柳岡委員仰せられたような制度をつくっていくためにもこの緊急措置が必要である、かように考えまして、そうしてこの措置を策定し、御審議を願うということに相なった次第でございます。
#10
○柳岡秋夫君 医療の機会均等、給付の公平、負担の公平、しかも、政管健保という、非常にこの被保険者が、あるいは事業主にいたしましても、社会の中で一番弱いといわれる立場にある人たち、そういう方がつくっておる保険制度、こういうものの中で今回の暫定対策を見ると、いま大臣も言われましたけれども、あとで数字的にはまた議論をいたすにしても、非常に負担が被保険者、患者にしわ寄せされている。この間私は六・三・一の割合で被保険者にしわ寄せをしているではないか、こういうことを申し上げましたが、保険局長はそうでもない、こういうようなことを言っておりますが、しかし、昨年のこの赤字対策のために、昨年は七百二十億という赤字、これに対して昨年はこの標準報酬の上限の引き上げ、これでもって百二十七億、そしてまた千分の二の引き上げによって七十七億、二百四億の財政効果というものをあげて、それに見合う国庫負担として百五十億というものが出されているわけですね。そして今回は七百四十五億の赤字のために、この穴埋めとして保険料を、今回の党の修正によれば二百三十三億、そして一部負担、これが八十億、合計して三百十三億、こういうことになって、そしてこれに二百二十五億という国庫負担をしてきた。この数字は二百四億プラス三百十三億というこの被保険者の負担に対して、国庫は百五十億に対する七十五億の積み上げしかしておらない、こういうことにならざるを得ないのではないでしょうか。したがって、当然これに見合う国庫負担ということになれば、少なくとも、ことしは四百億近いこの国庫負担というものがなければ、私は大幅な国庫負担というふうには言えないと思うのです。これはいずれあとにするにしても、こういうような被保険者に対する一方的なしわ寄せというものは、私は、先ほど来厚生大臣の言われる、これからのわが国の医療保険制度、あるいは医療制度のあり方から考えまして、非常に後退した、逆行するところの対策であると言わざるを得ないと思うのです。そこで、盛んに厚生省は、保険制度であるから、保険原理というものを忠実に守る必要があるんだ、いわゆる被保険者、事業主の当事者がお互いに負担をし合って、そうして収支相当の原理をたてまえとするのが保険制度なんである、こういう立場をとっているわけですね、これは間違いないですね。
#11
○国務大臣(坊秀男君) ただいまの制度はおっしゃるとおりです。保険方式をとっております。
#12
○柳岡秋夫君 その方式に基づいていままでの対策、さらには今度の対策にいたしましても、そういう考え方を基本にしてなされてきている、こういうことですね。
#13
○国務大臣(坊秀男君) 方式がそういうふうなことに現行法上相なっておりますから、厚生省といたしましてはそういう基本方針でもってやってまいっております。
#14
○柳岡秋夫君 今日先進諸国なり、あるいはヨーロッパ各国のこういう社会保険の姿を見ましても、いわゆる収支相当の原則をたてまえとする商業保険制度、こういうものとは非常に違ってきているわけです。社会保険としてはそういう原則から脱皮をして、社会保険としてのあり方をたどってきているのが今日の各国の社会保険の姿ではないかと思うのですね。ですから、国庫負担というものによって積極的に財政的な措置というものを考えていく、こういう姿が今日なければ、私はいつまでたっても日本の社会保障制度というものは拡充されない。政府が、選挙や、あるいは国会の中でたびたび唱えるところの社会保障制度の拡充、確立、福祉国家の建設、こういうものを私はそういう古い社会保険の理解のしかた、いわゆる収支相当の原則をたてまえとするようなそういう考え方を持つ限り、日本の社会保障制度の拡充というものは達成できない。百年河清を待つということばもありますが、それにひとしいと私は思うのですけれども、そういう考え方を脱皮していく、そういうことは考えておりませんか。
#15
○国務大臣(坊秀男君) もちろん国民の健康を目的といたしまする社会保険というものは、私は民間のコマーシャル・ベースの保険というものとは、これはもちろん同一の断をもってやっていくべきものではない、かように考えております。さような意味におきまして、すでに保険の中においても、柳岡さん御案内のとおり、国保におきましては国家が四割負担ということもやっておりますし、それから、いろいろな保険におきましても、少なくとも国民皆保険ということでやっておる。こういうことに相なっておるのでございまして、普通の民間における保険といったようなものとは違いまして、保険方式はとってはおりますけれども、国ができ得る限りこれに対して突っかい棒と申しますか、腰を入れていくということは当然のことだと思っております。
#16
○柳岡秋夫君 前の国会で前の鈴木厚生大臣は、保険方針は貫かない、負担の限度があるならば、これは国家が積極的に参加をしていくのだ、こういう答弁をしているわけです。厚生大臣は、先ほど、方式がそういう方式であるから、そういう方式に従って対策を立てている、こういう御説明でございますが、そうすると、その考え方に非常に違うところが私はあると思います。いま申されましたように、今回の対策の中でも、国庫負担というものを考えた場合に、まず被保険者なり事業主――当事者、この当事者のぎりぎりのところのものをまず出して、そうしてその上に国庫負担を考えるという、そういう姿勢と申しますか、態度があったのじゃないかと思うのであります。私は、少なくとも政管健保のようなものに対する措置としては、国の責任、これは政府が保険者でありますから、保険者としての責任からすれば、まず法律で定められているように、一歩譲っても、予算の許す範囲内でこれは補助することになっているわけです。ですから、全体の四兆九千億なら四兆九千億という大きな予算の中で、国が許す範囲の国庫負担をまず出して、その上に立って、この被保険者なり事業主の負担というものを考えていく、こういう姿勢が私は当然あるべき姿ではないか、こう思うのです。ところが、厚生省のとってきた態度を見ますと、それが逆なような感じがする。先ほど申し上げましたように、まず被保険者なり事業主の負担というものを患者の負担をぎりぎりのところまで取って、その上に立って、足りないから国庫負担をするということじゃないですか。大蔵省との折衝の中では、こういうふうにしますから、ひとつ金を出してくれと大臣は大蔵大臣と折衝したのじゃないですか。この辺はいかがですか。
#17
○国務大臣(坊秀男君) 保険方式をとっておりますから、考え方といたしましては、これは保険の方式でいっておりますけれども、決してその被保険者等にぎりぎりまで負担をしてもらって、そうしてその足らずまいを国が出すというようなことをやったんじゃないかと、こういう御質問でございますけれども、少なくとも、今度の暫定対策におきましては、さようなことは考えておりません。私は、大蔵省との折衝にあたりまして、まあこの赤字をいかにしてしのいでいくかということについては、とにかく一応これは関係者がすべてひとつ応分の負担をしていただかねばならない、しかし、どこよりも先に、国ができ得る限りの負担をしてもらわなければ困る、こういうことで、国に対しまして要求をいたして、そうして国の要求を、まず隗から始めよということで、国に対してできるだけの腰を入れさすということをまず考えまして、そうしてつくったのが今度の暫定対策でございます。
#18
○柳岡秋夫君 そうだとすれば、わずか五百億ぐらいの赤字が出たというようなことでこの政管健保の制度が崩壊する、何とか通してもらわなければならないのだというような、そういう私は考えが出てこないと思う。そういう言明が出てこないと思います。五百億や六百億、それだけの赤字というようなものは、私はいまの五兆円近いこの国家予算の中ではどうにでもなることだと思います。しかも、厚生大臣は、政府の原案が通らなければ崩壊するのだ、こう言明しておきながら、自民党の大幅修正に応じているわけじゃないですか。一体この大幅修正に応じてこれからの対策というものは立てられるのですか。しかも、そういう大幅修正に応じて、大臣が言われる政管健保の崩壊を防ぐことができるわけですか。これはどうですか。
#19
○国務大臣(坊秀男君) 七百四十五億、五百億や六百億やそこらの赤字でもって一体政管健保が崩壊するなどというのはあまりにもオーバーじゃないか、こういう御意見のようでございますけれども、これは金額が五兆になんなんとする予算の中で、それだけの金額なんというものはたいしたものじゃないじゃないか、こういうお話のようにお受けするのでございますけれども、七百四十五億というものは、これは柳岡さん御案内のとおり、四十二年度にそれだけ赤字が出てくる、こういう見積りでございまして、それより過年度の赤字というものも非常にたくさんございまして、このままにしておきますと、四十二年度の末には、千九百億、二千億に近いといった赤字がたまってくる、こういう数字のことは、それでも五兆の中ではたいしたことはないじゃないか、こういう御意見もあるいはあろうかと思いますけれども、保険財政といたしまして二千億に近いといったような赤字をかかえてまいるということは、これは非常につらいことでございます。それで、そういったような財政の脆弱性が露呈しないように仕組みを変えていくということが、これが今日企図されております抜本的対策でございますが、その対策は、いつもおしかりを受けますけれども、いろいろな事情で四十二年度におきましてこれが実施することができなかった。そうしてみますと、さしあたって、どうしてもこの累積赤字をも含めまして、少なくとも四十二年度の赤字対策というものはやらなければならない、こういうようなことで今度の対策というものをつくったのでございまして、それだけは、そこらのことでいかにもこの対策は健康保障というようなところから後退するのじゃないかというおしかりでございますけれども、さようなことのないように、抜本対策をつくる上におきましても、ぜひともこの一時しのぎだけはやっておかなければならない、かような考え方に出たわけでございます。
#20
○柳岡秋夫君 それで、そういう考え方で政府案を出して、それが政府与党の修正によって少なくとも三百億以上の落ちがあるわけです。それでこの崩壊が防げるのか、政府が予定している次への抜本対策というものに移れるのか、この点をお聞きしたい。
#21
○国務大臣(坊秀男君) お答えすべきものを忘れまして、まことに申しわけございません。おっしゃるとおり、この修正によりまして三百十九億というものの穴があくということに相なっておりますが、これにつきましては、いま私がこれでもいけるのだということを申し上げれば、何だ、ずさんじゃないか、最初七百四十五億というものが予定されておる、それが埋められないと崩壊するのだというぎりぎりのことを言っておきながら、これだけ三百十九億という赤字が出た場合に、それを措置することができるのだとすれば、おそらく柳岡さんは、おまえの初めの案は非常にずさんであった、こういうことをおっしゃられるだろうと思いますが、こういうふうに暫定対策、すなわち、七百四十五億を埋めるためにいろいろの措置をとったわけでございますが、その措置をとったことを、これを修正によってたてまえ上根本的に変えてしまうというような修正でありますならば、これはどうしてもお受けすることも何もできない。しかしながら、たてまえ上におきましては、それほど根本的に根っこから変えてしまうというようなことではございません。そこで、問題は財政効果の問題でございます。三百十九億というものをどういうふうに処理していくのか、こういうことのようでございますが、これにつきましては数字がいろいろ複雑な数字もございまするので、(「ごまかしているじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、私はごまかすつもりは毛頭ございません。正確に申し上げるために事務当局からお答えをいたさせます。
#22
○政府委員(加藤威二君) 修正によりまして四十二年度三百十九億の赤字が出るということは大臣が説明申し上げましたとおりでございますが、その対策につきましては、一昨日の委員会でも申し上げましたけれども、厚生省といたしましてはできるだけ大蔵省と折衝いたしまして、なかなか簡単にはいかぬかもしれませんけれども、借り入れ金で何とかしのいでいきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
#23
○柳岡秋夫君 私は、たてまえとか、そういうものではなしに、たてまえ上制度が変わるわけじゃないから何ともないと、こう言っていますけれども、それは大きな問題だと思うのですよ。暫定対策というのは、これは先ほどから大臣も言われているように、当面の財政危機を救済するための措置だと、こういうわけでしょう。そうすれば、それが三百十九億、約半分に近いものがだめになってしまう、穴埋めができないとすれば、それは大きな今後の問題として残るんじゃないですか。これはたとえば五月十九、二十日に全国の保険、国民年金課長全部を呼びまして、そこで何と言っていますか、次官なり熊崎さんは。中途はんぱな状態のままで抜本対策をやっても効果がない、こう言っていますよ。これは中途はんぱじゃないんですか、与党の修正は。どうですか。
#24
○政府委員(熊崎正夫君) 私の名前が出ましたのでお答え申し上げたいと思いますが、大臣がおっしゃられましたのは、今度の臨時特例で政府が提案をいたしました各種の対策、その趣旨が相当程度変わらないものであるとすれば、これは修正があってもある程度しのげるというようなことを大臣が申し上げたわけでございまして、私どもも、その保険料率の改定と、それから一部負担金の改定、いろいろ御指摘のように問題はありますけれども、この考えられました法律案の骨子が生きておるということであるとすれば、これはある程度衆議院のほうで修正されましても、今後の財政対策その他につきましては何とかしのげるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#25
○柳岡秋夫君 骨子が生きていれば当面しのいで抜本対策に移れると、こういうことですか。そうしますと、この骨子というのは一体何ですか。
#26
○政府委員(熊崎正夫君) 保険料率の改定が当初千分の七引き上げるというのが、衆議院段階におきまして千分の五にとどまりましたが、原案が千分の七でございますけれども、それが千分の二修正されましたことにつきましては、私どもとしてはやはり原案の趣旨は生きておるというふうに考えておりますし、また、一部負担金の改定につきましては、外来投薬時の本人の一部負担につきまして七〇%の削減はありましたけれども、残り三〇%外来投薬時の本人一部負担の趣旨は生きているというふうに考えておるわけでございます。
#27
○柳岡秋夫君 そうすると、そういう骨子がある限り、この暫定対策で、あるいは修正案でいいんだということになると、これは私は重大な問題だと思うのですよ。そうすると、そういう特に保険料率なんというのは、これは問題の一つですけれども、外来時のこの薬代の負担、これはいままで社会保障制度審議会でも、社会保険審議会でも、制度の抜本的な、基本的な問題に関することであるから、これはやめるべきだ、抜本改正の中で考えるべきだ、こういうことを言っているわけですよ。そうしますと、その骨子にそういうものがあるからいいんだということになると、暫定対策は抜本対策につながる、抜本対策のための素地をつくるんだと、こういうふうになるわけじゃないですか。
#28
○政府委員(熊崎正夫君) おことばを返すようで恐縮でございますけれども、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会におきましての本法律案の答申につきましては、抜本対策につながるようなものもあると、しかし、全体としてはこの際やむを得ない措置ではないかという答申をいただいておるわけでございまして、論議の過程におきまして、外来投薬時の一部負担等につきましては抜本対策に触れるおそれもある、しかし、当面としてはやむを得ないではないかという御答申をいただいているわけでございます。ただ、一部の方々には絶対反対というふうな御意見があったことはもとよりでございますけれども、大方としてはやむを得ないという考え方で御答申をいただいておるわけでございまして、これはかねてから、私前回も御説明申し上げましたように、今回の外来投薬時の一部負担といいますものは、新しい制度の創設ではございますけれども、しかし、その考え方は初診時の一部負担なり、あるいは入院時の一部負担を原案以上にさらにこれを二倍ないし五倍程度引き上げるのがいいか、あるいは薬の一部負担を、本人の場合、定額の金額の負担をするのがいいか、どちらを選ぶのが適当かというふうに私どもが考えた場合に、やはり初診の抑制なり、そういうふうな患者本人に対しましての非常な御迷惑をかけるよりも、むしろ新しい制度ではございますけれども、外来の投薬一部負担のほうが適当ではなかろうかということで、いわば肩がわり的な考え方として取り上げたものでございますので、その点問題があることは私ども重々承知いたしておりますけれども、このような事態に迫られました対策としては、臨時特例としては万やむを得ない措置ではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、決してこのような外来一部負担が抜本対策に再び登場するというふうな考え方は私どもは持っておらないわけでございます。
#29
○委員長(山本伊三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#30
○委員長(山本伊三郎君) 速記を始めて。
#31
○柳岡秋夫君 いま保険局長の言われたのは、私も社会保障制度審議会に関係している一員としてよく知っておりますが、この前の答申は、少なくとも薬剤費の一部負担というものは制度の根本的な問題に関連をするからやめるべきだ、そうして今回の答申の中では、いまの赤字を何とかするためにはやむを得ないという考え方です。そうすると、赤字を埋めるためにはやむを得ないという考え方ですから、少なくとも七百四十五億なら七百四十五億の赤字が埋められ、そうして次の抜本対策にすぐ移れる、そういう道筋であればというのが私は社会保障制度審議会のあの結論だと思うのですよ。ところが、与党の修正によって三百十九億の落ちがある、完全な赤字の対策ができない、こういうことであれば、私は、社会保障制度審議会なり社会保険審議会の意図しておる、答申の中で考えておることとは私は変わってきておると思うのですよ。それはひとつ大蔵大臣のほうの時間もございますから、あとでまた続いてやることにしたいと思います。
 そこで、大蔵大臣にこの際お聞きしたいんですが、大蔵大臣は、とにかく日本の財政を一手に引き受けているわけです。しかも、佐藤内閣は福祉国家を目ざして社会保障制度の拡充ということを常に口にしているわけです。今日医療保険制度の危機というものが叫ばれている中で、この医療保険制度に対する理解、考慮をどのように大蔵大臣はお持ちになっておりますか。
#32
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほどから抜本的解決とかいろいろ出ておりますが、この日本における社会保障制度は、年々必要に応じて積み重ねをやってきたために、どうしてもここで抜本解決というためには統合整理をする必要があるというふうに私は考えておりますが、同じ健康保険の中におきましても、みんなそれぞれ内容の違う運営をやっているということでございますので、これらをどう統一してやるかということは今後の問題になると思いますが、いまのところは、やはり性質に応じた健康保険の運営をやっていくよりしかたがないと私は考えております。たとえば国民健康保険のようなものは、御承知のように、使用主というものがございませんので、国家が使用主にかわって負担するということをやっておりますので、こういう国民健康保険については政府は千五百何十億――約千六百億円の経費を国庫が負担をしてこの健康保険の運営をやっているということでございますし、それから、大企業中心にする健保は、これはりっぱに保険制度としてやっていけますので、これについての補助というものは国はしないというたてまえで運営しておりますし、それから、日雇健保というようなもの、あるいは政府管掌の健保というようなものは中小企業を中心の健康保険制度であるということになりますというと、原則として保険制度のたてまえでいままで運営しておりましたから何とかやってまいりましたが、この一、二年赤字を出すようになったというために、原則的には政府が負担しなくてもいい保険を政府が補助金を出してやっていくというふうにいま変わっているというのですが、これはやはり被保険者の負担の問題、それから保険者の実力の問題、いろいろなことを考えて、国が補助していく必要があると認めていま補助金を出しておるというようなことでございますが、これは保険制度のたてまえとして運営することから考えたらほんとうに異例のことであるというふうに私どもは考えております。そういうふうに、それぞれいま別の形で、いろんな形でいま健康保険制度というものが運営されておりますので、これの抜本対策としては今後どうするかという問題が残りますし、しかし、そこまでいくのにはたいへんですから、個々の保険の運営について国が必要な場合の補助をするという形でいまやっておるのが実情でございます。今度の場合も、単年度の赤字を防ぐというためには保険者、被保険者、患者、それから政府、個々で応分の負担をしよう、そうしてこの赤字を応急的に防ぐほかないという考えから、政府負担というものも、これは昭和三十五年度から三十九年度までというころは政府管掌保険はほとんど負担しておりません。五億円程度のものでございましたが(「ごまかしだ」と呼ぶ者あり)ごまかしじゃなくて、これが保険制度のほんとうの運営のしかたでありますが、赤字が出た分を解決するために、いま二百二十何億という負担を今度はするということによってこの応急策を立てるという措置をとったと、こういう次第でございますので、これは将来この健康保険制度をどうするかという問題と、応急的に各保険会計の実態に応じて政府が応援をしてやらなければ運営ができないかということは、一応いま私どもは別に考えているというわけでございます。
#33
○柳岡秋夫君 私は、佐藤内閣が、常に先ほど来申し上げておりますように、社会開発あるいは社会保障制度の拡充、そして人間尊重、こういうことを唱えておる内閣の台所をあずかる大蔵大臣の考え方が、いまだもって古い社会保険の原則、そういう理解のしかたしか持っておらない、こういうのでは私は非常に残念だと思うのですよ。先ほど大臣が来ない前に私は申し上げたのです。いま各国の社会保険のあり方を見ても、いわゆる商業保険のような収支相当の原則をたてまえとするようなそういう古いあり方、たてまえから脱皮をして、新しい社会保険としての姿に着々と進みつつあるわけです。それが福祉国家への建設の道だ、こういうふうに言われているわけですよ。それをいま大臣の御答弁を聞きますと、なおかつ古い商業保険のような考え方をもって、まず当事者――被保険者なり事業主か収支相当の原則に従って負担をしなさい、それで足りなければ国家も幾らか見てあげましょうと、こういう考え方があるということは、私は佐藤内閣が常日ごろ言っておる福祉国家への建設の道に逆行する考え方だ、そう思うのです。
#34
○国務大臣(水田三喜男君) これはもう考え方が私は根本的に違うのだと思います。社会福祉制度を充実するためには国費をどう使うべきかということは、もうすでに審議会でもいろいろ答申が出ておりまして、まず生活保護費というような全部費用を国から出してやるというような方向が優先的なものであって、順々に優先度というものを審議会自身でも答申しておる、そして保険制度で運営しておる社会保障制度は順位としては一番あと回しであるというのが日本の社会保障制度審議会の中ですらきまっておる一つの方針で、保険制度で運営するということは、そこへ国費が当然介入するのだということにはなっていない。必要な場合介入するということは、ちょうどいま申しました国民健康保険などは政府が千六百億円も国費を出しておる、こういうふうに、必要に応じ、性格に応じて国が保険者になっておるという場合もございますが、そうでない政府管掌の健康保険というものは、もともとこれは政府が介入しないでいく保険制度で運営すべきだと、こういう性質のものでございまして、これに金を出さぬということは社会保障制度をどうこうというようなこととは考え方が違っておって、外国では現にこういう健康保険制度に国が補助を出しておるところはございません。そういうところから考えたら、将来この社会保障制度をどういうふうにやっていくかと、皆さんは抜本的抜本的と言うのですが、保険制度は保険制度のあり方としてやっていくということを一応はっきりと、そこを柱を曲げたら日本の社会保障はうまく整理ができないということ、ここのところの考えが私は重要だと思います。だから、政府にもし財政の余裕があったら、そのときは保険料を減らして政府が持てとか、財政が苦しいときは保険料を上げて政府が持たなくてもいいというような、財政によって左右される制度で社会保障を運営するなんといったらたいへんで、そこの問題のけじめをつけることがこれからの社会保障をどう抜本的にやるかという問題であって、そこで何か金を出さなかったらなにだというような社会保険制度では、それは保険制度ではないということから、一応われわれは考えを直さなければいけないのではないかと、私はこう考えます。(「かってなことを言うな。」と呼ぶ者あり。)かってじゃありません。
#35
○柳岡秋夫君 厚生省当局も財政当局に首の根っこを押えられておる状態では正しい抜本対策はできませんと、厚生省の次官もはっきりそういうことを言っておるのですよ。しかも私は、いまだもってそういう古い保険原理に大蔵省が固執をしておるということになると、これは日本の社会保障制度の拡充なんというのはまさに百年河清を待つにひとしいですよ、そういうことでは。先ほどから言っておりますように、なるほど社会保険制度です、いまわが国の医療保険制度は。これは間違いない。しかも、その原理原則というものは確かに商業保険の原則というものが入っておるかもしれませんけれども、福祉国家への道を歩むためには、先ほどからいみじくも大蔵大臣は、生活保護とか、弱いものにはそういう国の援助をしていくのだということを言われた。と同時に、政管健保のような、組合健保なり共済組合と違った弱いものに対しては、私はやはりそういう福祉国家への道に通ずる考え方をもって国が積極的に援助をしていく、そういう姿勢がなければ日本の社会保障制度なんというものはできませんよ。政管健保も組合健保も共済組合も同じような立場でものを見ているというところに私は問題があると思うんですよ。大蔵大臣も、日本の中小企業がいまどれだけ倒産をし、その中小企業に働いている労働者がいかに低賃金であるかということは、よく承知だと思うんですよ。
 この前の三十二年の赤字のときに、先ほど大蔵大臣は三十何年以来ほとんどやっていないと言われた。これは政府がごまかしてやっていないんですよ。これは先般来、藤田委員の質問の中でも明らかになっておりますけれども、三十億のあの当時の国庫負担を一方的に政府はやめたんですよ、あれは。三十億の赤字を埋めるために三者三泣き、国庫も出すけれども、事業主も、それから被保険者も応分に負担をしなさいということであの当時はやった。そして黒字になった、黒字になったら、国庫のほうはさっさと引き揚げてしまって、残ったのは事業主と被保険者の負担じゃないですか。事業主と被保険者の負担によって黒字になったならば、当然、三者三泣きならば、国庫が引き揚げるならば、事業主も被保険者も下げたらいいじゃないですか。もとに戻したらいいじゃないですか。そのままにしておいて、国庫だけさっさとやめてしまう。しかも、三十億というものは単なる赤字の補てんではない。これは日本の社会保障制度を今後拡充していくためのものなんたと、こういうこともあの当時の国会では政府も答弁しているんですよ。そして今後も三十億を続けてやります、こういうことを言っておりながら、その翌年から五億に減らしているじゃありませんか。
 こういうことを考えてみますと、いま大臣の言われたような古い考えをもってこの暫定対策なりこれからの抜本対策に政府が取り組むということになれば、これは私は国民は政府を信用しない、政府の政策に対して協力ができない、こういうふうになると思うんですが、いかがですか。
#36
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、社会保障制度を国が全額直接に費用を持ってやるのか、あるいは保険制度というもので運営するのかということが非常に大切な問題でございまして、保険制度で運営するといった以上は、これは保険制度で運営するのが常道である。
 で、保険制度とは何かといったら、掛け金によって給付が決定される、掛け金によって給付がまかなわれるというのが保険制度でございます。外国の例を見ますと、給付の質が非常に上がるために、国民の掛け金というものが非常に多い。日本の負担の倍以上の負担をしているから相当質のいい給付ができるということになっていますが、日本の国民所得は、遺憾ながら、まだそういう国の水準よりも低い。したがって、低いから十分の掛け金が取れない。取れないなら、それに合った給付をすればいいわけですが、それじゃ給付の質が悪過ぎるというようなときには、政府がこれに対して相当の補助をしてやらぬと一定の給付が確保できないということで、保険制度としてはむしろ変則的なことをいま私どもがやっている。それはその保険の実態に応じて政府が応援しているということでございまして、本来なら国民所得の水準をもっと上げて、外国並みの国民負担、保険負担というものをやるのなら、年金以下、全部保険制度で運営している給付というものはもっと質のいい、高水準の給付が受けられる。早くそこまで日本の社会を持っていくために、やはり国民所得水準を上げるということ、そこまでいかないし、暫定的に政府がどれだけ応援してやるかということ、このけじめをつけないと保険制度の運営にはならぬと思います。ですから、私は、いま苦しいときに保険制度で運営している。社会保障でも政府はできるだけ助けている。しかし、これを永久にその負担を定率化して国が入っていくものと考えたら保険制度の運営じゃございません。保険制度は保険制度で運営させていく、こういう長期的な一つの目標を持って社会制度の立て直しをしなかったら混乱するのじゃないかということを私は言っていますので、いま金を惜しんでいるわけじゃございません。たてまえに沿ってどうこれを改善していくかということがこれからお互いの考えなきゃならぬ問題じゃないかと私は考えております。
#37
○森勝治君 関連。大蔵大臣に質問してみたいと思うのであります。あなたのただいまの一番最後のことばで、金を惜しんでいないということは、確かにこの二つの耳で聞きました。そこで、私は質問をしてみたいのでありますが、あなたは、政管のこの健保は、本来政府が干渉すべきものではないという意味のことを言われました。保険というたてまえ、あなたの言われるのはおそらく民間の保険会社なぞを頭に想定されながらのお答えだろうと、乏しい私の知識でいま邪推をしてみたところでありますが、いいですか、あなたはそうおっしゃるが、ここにおられる現在の坊厚生大臣、前任者の鈴木厚生大臣は、しばしば佐藤内閣を代表してどう言っておられますか。本来、この種のものは政府ができるだけ金を出したい、本来ならばどんどん赤字も補てんしてやりたい、それが国の考え方です。そして弱い者、貧しき者をいたわり合い、ささえ合って、ささやかであってもしあわせな生活を国民が営むことができるように、ここに人間尊重の佐藤内閣の考え方があればということ、ことばが多少違いますけれども、そういう意味合いを込めて歴代の大臣は主張をいたしておるわけであります。ところが、あなたはいまここへ参られまして、佐藤内閣を代表する担当大臣の福祉行政に対する考え方を根本的にくつがえされた。根本からくつがえされた。私どもはここに非常に失望を感ずるのであります。したがいまして、私は、金があれば出すとかなんとかさっき言ったけれども、いわゆる金を惜しんでいないというあなたのこのお考え方の中には、弱肉強食という思想が厳としてあることを認めざるを得ないことを非常に残念に思うのであります。したがって、佐藤内閣は人間尊重などということばをうたい文句とし、あるいは、また、弱い者を助けるなどと言うけれども、福祉行政などということはあなたのいまのことばで一片だにないということ、福祉行政などというものは金が余ったらただ分けて与えてやるのだ、出してやるのだという、戦前のそうした政治の残滓というものが、あなた方の日本の政治を左右する心の中に重大な要素としてひそんでおること、これは非常に私は残念だと思うのであります。したがいまして、歴代厚生大臣のこの考え方、先ほどもそういう意味のことを答弁されておるわけですから、あなたと明らかにこの点について食い違いがあります。したがって、大蔵大臣、この点についてあなたの見解をいただきたいし、厚生大臣につきましても、大蔵大臣があなたの答弁とまっこうから相反する答弁をいたしておるわけでありまするから、両大臣からこの点について、一体佐藤内閣の健保に対する態度というものがまちまちなのか、一貫性があるのかないのか、この点について両大臣からお答えをいただきたい。
#38
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほどから申しましたように、私はできるだけ国がこの社会保障には金を使いたいということで、いま七千何百億という、国費の中で社会保障費はそれだけの額に達しております。一時よく、パンか大砲かと言われましたが、もうそういう時代ではございません。大砲の予算の二倍にもう社会保障費は達するというところへきておりますが、そしてその金の使い方はどこへ重点的に使ったらいいかというものは、当然そういう問題が起こってきますので、社会保障関係の審議会にもいろいろ御相談して、三十七年のときも、国庫負担に関するそういう問題で皆さんの御検討を願ったことがございましたが、社会保障費に金を使いなさい、使うには、まず第一は、たとえば生活困窮者に対して、これはもう保険制度なんかで運営すべきじゃないので、ほんとうに生活できない人は、国が月幾らというふうに現金給付でこれは助けるべきだ、そういうところにイの一番に使いなさい、それから順々にそういうふうに社会保障費を強化しなさい、そうして保険制度で運営していっているという、この社会保障制度については順位を一番あとにしなさい、それは保険制度の中でなるたけ赤字を出さぬでやっていけるような保険制度を育てて、それは一番あとまわしにしなさい、そのほか、優先順位があるから、社会保障費をもっと強化しなさいということが、大体社会保障についての考え方で、私どももその方向で順次にやっていきたいということでございますから、この国民健康保険というもの、日雇健康保険というもの、それからいまの健保は、これは御承知のように、国が金を出していますが、そのほかのりっぱにやっていける健保には金を出していないという運営をやっておって、この運営のしかたというものは間違いじゃないし、政府の金の出し方も私は間違っていないだろうと思います。決して金を惜しむということじゃなくして、社会保障費は日本はどんどんもっと強化しよう。ことに所得保障が日本では抜けておって、年金制度なんというものも発足したばかりですから、まだ老齢年金というものも、掛け金のほうは入っておりますが、給付はまだ本格的に始まっておりませんが、これも国民所得の多くなるに従って国民がやはり掛け金を多くして、老人になってからの給付というものはもっと大幅の給付を受けられるというほうへ保険制度を改善していくべきだと思いますが、保険制度で何と何を運営するかという問題は、これは重要な問題でございますので、日本では、健康保険制度というものは保険制度で運営するのだという立場をとっておりますから、そこの点のけじめだけはやはり私ははっきりしていただきたいというふうに考えております。
#39
○国務大臣(坊秀男君) この問題につきましては、先ほど来柳岡さんにしばしばお答えを申し上げましたとおり、現行の医療保険制度は保険方式をとっておりますから、その保険方式をもって基本方針としておる。しかしながら、国民の健康にかかわる問題でもありますし、それから国民皆保険のようなことに相なっておりまするから、これは民間のコマーシャル・ベースに乗った保険事業などとは同じように考えてはならない。さような意味におきまして、私は、保険方式はとっておりますけれども、できるだけ国民の負担といったようなものを軽減していくためには、これは政府が腰を入れていかなければならない問題であるというふうに私はお答え申したのでございまして、さような意味におきまして、大蔵大臣と厚生大臣がそれぞれ予算編成等につきましては、それは立場を異にいたしております。立場を異にいたしておりまして、私、さような意味において、保険に赤字が生じたといったような場合には、できるだけその赤字を、今度の暫定対策の例で申し上げますならば、二百二十五億を大蔵省から出してもらったわけでございますけれども、そういったような場合に、厚生大臣としてはできるだけたくさんの要求を認めていただきたい。私、大蔵大臣じゃありませんから、大蔵省のことを申し上げる必要も何もございませんけれども、財政の立場から、できるだけそのきんちゃくのひもを締めたいというようなことがあろうと思いますけれども、厚生大臣としては、できるだけさような場合において政府の負担、政府の腰入れということを大きく私は要求する。ここに立場の違いがあろうと思いますけれども、根本的な考え方といたしましては、私は現行制度としては、これはいま健康保険は保険方式をとっている。これは何も大蔵大臣が見えたから私は言っているのじゃない。先ほど大蔵大臣が見えないときも、柳岡さんに対しまして私はさようにお答え申し上げたのでございます。
#40
○藤田藤太郎君 いまの大蔵大臣の話を聞いていると、どうも私は意外に思いましたね。また、この委員会は、きょうは三日目なんですが、あなたここにおいでになったら、ここでどういうことが問題になったかぐらいのことはちゃんと事前に聞いてくるべきじゃないですか。ぱっと飛び込んできて好きかってなことをいまおっしゃった。そうじゃありませんか、あなた。たとえば社会保障制度審議会のこと、三十七年の勧告と、去年大蔵大臣、総理大臣が出席した四十一年度の勧告は、なるほど低所得者、それから順番にやりなさいという社会保障の問題を提起しました。七千何百億も負担しているから云々というようなことじゃなしに、ことしの予算を一兆円にしなければ、三十七年の勧告を受け入れた政府としては、これはどうにもならぬじゃないですか、あなた。これが一つです。
 それから、もう一つは、昭和三十二年の赤字の始末をするときに、これは政府自身が中小企業を対象とした政府管掌保険でありますから、政府自身が責任を持ってこれに当たる。社会保障制度確立のために三十二年から三十億ずつ出して、そうしてこの政府管掌の健康保険を守っていきますということを大蔵大臣も厚生大臣も約束した。それが今日までなおざりにされてきたのじゃないですか。これも私は委員長にお願いして、そうしてこの委員会でその政府のものの考え方を明らかにしてもらわない限り、この問題の結着はつけられぬ。
 もう一つの問題は、これだけきびしい社会保障制度で、総医療費一兆四千億の中の四二%も薬剤費に使われて、その薬剤は自由販売。こまかいことは私は言いませんけれども、この薬剤費を明確にしていかなければ、片一方は自由主義、自由企業の状態で、今度被保険者が負担するものはどこへ行く、どこへ。だれがもうけるのですか。たとえば薬価負担もそうであります。そういうことがこれも問題であります。
 そういう議論がされて、いま柳岡委員の抜本的改正の問題に入ってきた。あなたは保険制度保険制度とおっしゃるけれども、勘違いされているのじゃないですか、組合保険と。私はそういう気がするのです。そういうぐあいに善意に私は解釈をしたいわけです、あなたのを。しかし、考えてごらんなさいよ。外国は外国はとおっしゃるけれども、外国のいまやっているこの五カ国の医療制度をごらんになりましたか。外国の医療制度と一部負担との関係をごらんになっているのですか、あなた。それも何も知らぬと、外国はようなったようなったと、それはみな被保険者がかぶっているのです。そういうものの言い方がありますか。あなたも御存じのとおり、昭和三十二年からそれだけやろうというやつをそのまま置いてきぼりにしました。三十五年から所得倍増計画をやって、私は一番最初の日に宮澤長官に確認したのです。三十五年からの倍増計画で、今日までの日本の生産力は四倍をこえたと宮澤長官は確認しているのです。その間に、三十五年から今日まで労働者の実質所得は幾ら。二五%か三〇%、あるいは五〇%あったというけれども、労働省の出している経済指標を見てもそれだけしか出てこないじゃないですか。そんな状態で置いておいて、約束を守らないでおいて、それじゃ低所得者の委員長に預けている問題を私は申し上げたい。
 あなた、低所得者の問題をやっているのだとおっしゃるけれども、あの三十七年の勧告は、その当時の先進国の社会保障制度に今後十年でやってくださいというのが社会保障制度審議会の勧告じゃないですか。それでもひとつも遅々として進まないから、昨年八月、総理大臣、大蔵大臣、厚生大臣、労働大臣に、少なくとも一兆円の国家予算を四十二年度取ってもらわなければ、いま八月だから間に合いますかと、社会保障制度審議会全員が政府に申し入れた。何べん聞いても、努力しましたけれどもできませんでしたというのが厚生大臣の答弁なんですよ。あなたも健康保険法の改正についてここに審議に参加されるのならいままでの経過、この委員会が何をやって、何を議論して、何が問題になっているかということを聞いてからなぜおいでにならないか。そのことぐらいはっきりしないで、これは大臣は忙しいから何だから、事務官にでも、ちゃんと財政上の問題は財政上の問題がある、今後抜本的の問題はどういうものがあるということを聞いて予算をきめたんでしょうから、それぐらいのことは、ちゃんとここで問題になっていることは明らかにしてあなたがここに出席するのがあたりまえじゃないですか。そういうことをやっておいて、あなたはそれでもさっきのような言い方をするのですか。保険制度は保険制度でやったらいいのだと。中小企業の、特に政府管掌のこの健康保険は政府が負担する、政府が責任者ですよ。昭和三十二年に毎年三十億、日本の経済が上がればスライドするとははっきり書いてありませんけれども、三十二年ですよ。そこから三十億をもって社会保障制度確立のために政府は続けてこれをやっていくんだということを、はっきり当時の大蔵大臣も厚生大臣も言明している。それもほうっておいて、いまのあなたの意見は何ですか。保険制度の保険だから労使が出してあたりまえだと。そんな考え方で社会保障が進むのですか、国民生活が進むのですか、前に行くのですか。いまの労働者や国民はどれくらい物価値上げで困っておるか。ワクを幾らつくったって、幾ら生産をやったって、生産する場面があっても、消費する場面がなければ経済はアンバランスになるのはあたりまえ。成り立たないじゃないですか。そのことを考えてやらなければ経済全体、社会全体が進まないのじゃないのじゃないですか。そんなことを考えないで、保険制度だからそれでやったらいいといういまの言い方を開口一番目にするのはけしからぬじゃないですか。そうでありますから、社会保障の関係を明らかにしてわれわれは議論をしてきたのであります、一昨日、その前の日と。それにいまの大蔵大臣の答弁は何ですか。けしからぬ。答弁してもらいましょう。
#41
○国務大臣(水田三喜男君) いろいろ問題になっておることは十分存じておりますが、私が聞いたのは、一体この社会保障制度の運営をどういうふうに考えているかという御質問でございましたので、社会保障制度の運営はこうであって、どうであって、この保険制度はどうということを私が述べただけでございまして、質問されたから私が述べたということで、これを何だとおこられたのではどうも……。(「答弁がおかしいから言っている」「責任のある答弁をしたらどうか」と呼ぶ者あり)しかし、それは私は、またおこられるかもしれませんが、保険制度というのはそういうものであって、だからこそ、国民健康保険というものは政府が保険者となって、ちゃんと掛け金を政府が堂々と分担をするというのがこの政府の立場であるし、こういう保険である。それから、一方、こっちの政府管掌の保険というものはそういう運営でない保険だということで、最初からもう性格をけじめをつけて出発をしている。だから、赤字が出たときは助ける。政府も今後も助けるということを言いましょうが、一応赤字が出なくて収支償うような会計になったというときには、わずかの補助金でやってきましたが、今度は昭和四十年になりますというと、政府が三十億円補助してやらなければこの赤字はうまくいかぬというようなことで、昭和四十年に三十億補助しましたし、四十一年になりましたら、御承知のような累積赤字が出ているし、国費で百五十億円をみるというふうに、必要に応じて政府が補助金という形でこの保険制度の運営を助けてきている、これは立場から。そういうことでございましょうから、今後も必要な赤字を消すための補助金で、国庫負担はこの保険制度でやってもいいでしょう。これは政府みずからが掛け金を出す当事者になっている保険というものとそうでない保険というものは、社会保険制度で性質が違いますから、それはそれを区別していくやり方をしなかったら、いろいろ同じ保険制度でも混同するんじゃないかということを申しておるのでありまして、決してほかのことを申しておるわけではありません。
#42
○藤田藤太郎君 あなたね、きょう三日目ですよ。三日目なのに、あなた、経過も知らぬ。この赤字の原因や根本が何から始まっておるか。一兆四千億の中の四二%も食う薬代ですよ、そこに問題があるのです。その問題の根本も触れぬで、病気になって困っておる人に頭からかぶせ、それからいままでの一部負担も存続して倍にしていく。この根本は、健康保険の赤字が何が原因で赤字になっておるかということを、なぜ退及しないか。このことを明らかにしないで料率を上げます、困っておる患者にまで負担をさせます、こういう状態をあなたは予算を立てるときにどう考えたんですか。予算を立てるときに何を考えて予算を立てたのか。予算を立てるときにどうして立てたか。
 しゃあしゃあとして、衆議院であなたのところの廃案になったやつをたった六日目ぐらいに出してきて、そして修正された。一応政府は、百八十何億は、予備費が百億ありますから、あとは云々というふうな返事を平気でここへ来てする。同じ与党がそういうことを考えるならば、国民の側に立ってもっとなぜ真剣にやらぬか。この問題の中心が何にあるかということをなぜあなたは考えてこの法案を出さなかったか。あなた、予算の勘定をしてきたんでしょう。それに全く開口一番――そんなら私はここで聞きましょう、そういうことをおっしゃるならば。
 社会保障制度審議会から出して、これは委員長に預けておりますから、これは論議はすまいと思ったけれども、それができないから。昨年の八月、大蔵大臣もちゃんと参加して、総理大臣も参加して、四十二年度の問題は、予算は一兆円にしてもらわなければ十年間の間にヨーロッパ並みにならぬ、何とかしてくれと申し込んだときにはそれぞれ答弁されておるのですよ。それはどう答えられるか。昭和三十二年からの政府が社会保障確立のためにあげて三十億負担をして確立をしていく、そしてその状態は、三十五年から生産力が四倍になっておる、労働者の生活は物価値上げその他で給与は押えておいて、ワクだけつくったからいいと、これだけで事は済むのですか。そういうことを置いておいて、ただ吹っかけてやればいいということだけでは話にならぬのですよ。その解明ができますか。私はそういうことから解明してもらわなければ、こんな大蔵大臣のようなものの考え方で健康保険の審議を続けるなんということは――私は、あなたは聞いていないんだと思う。柳岡君の質問のこれは関連だからここでやめますけれども、あまり聞いていないじょないですか。
#43
○政府委員(岩尾一君) 昨年の社会保障制度審議会の答申のときには、大蔵大臣が福田大蔵大臣でございました。そのときの経過を私は存じておりますので御説明いたしたいと思いますが、先ほど大臣がおっしゃいましたのは、三十七年の社会保障制度審議会の社会保障の総合調整に対する答申ということでございまして、これは今後の社会保障を伸ばしていく場合に国庫負担というものをどういうふうな順位で入れていったらいいかということを答申したわけでございます。それから、昨年、社会保障制度審議会から、これは特に総会を開いていただきまして、社会保障制度の充実のためにうんと政府は金をつけろと、こういうお話でございまして、その際には、福田大蔵大臣は、できるだけ社会保障の前進のために金をつけたい。しかし、先ほど大臣がおっしゃいましたように、社会保障の金をつけるには、まあ鶏と卵でございますけれども、税金でございますから、国民の所得というものをふやしていくことを考えていかなければならぬ。そういう意味で、所得をふやし、全体の成長をはかりながら社会保障を推進していくことを約束すると、こういうふうにおっしゃいましたわけで、まあそれはそういうことでございますが、先ほど大臣のおっしゃいましたのは、その社会保障費の中の配分の問題をどういうふうに考えたらいいかということについての社会保障制度審議会の答申を引用されたわけでございます。
 それから、三十年の赤字のお話をなさいましたが、三十年度の予算編成のときに、これはよく先生御存じだと思いますが、百十三億の赤字が出るということが見込まれたわけでございます。そこで、その対策といたしまして、一般会計から十億、それから資金運用部の長期借り入れ六十億、それから保険財政対策といたしまして、保険料率の引き上げ等によりまして四十三億というようなことで、この百十三億を埋めようということを三十年の際には考えたわけでございます。ところが、その後一時赤字が、これはおもに結核の問題でございますけれども、多くなるというような見通しになりましたので、六十億の資金運用部の借り入れにつきましては、毎年政府から十億ずつ入れていってこれを返すと。しかし、それとは別に、健康保険の前進的な発展のために政府としても何がしかの金を入れたらどうかというような意見が参りまして、この両方の意見で、三十二年の予算を編成いたしますときに、片っ方で健康保険法の七十条ノ三の改正と、それから厚生保険特別会計法の十八条ノ七による改正と、この両方を行ないまして、一般会計からの金を繰り入れていったわけでございます。
 そこで、最初の三十年の際に入れました十億というのは、いま申しました原生保険特別会計法に基づく十億、いわゆる六十億を返していくための十億でございまして、それから三十一年から入れましたのは、これは健康保険法の七十条ノ三によります健康保険の執行に要する前進的な解決のための金だということで三十億を入れたわけでございます。その後非常に健康保険の収支はよくなりましたので、特に六十億の借り入れ金につきましては、国庫から入れる前に、むしろ健康保険の勘定自体の黒字によりこの借り入れが返されてしまうという状態になりましたので、特に国庫はその後は入れなかった。それから、三十億のいわゆる七十条に基づきます繰り入れにつきましても、その後非常に健康保険の収支はよくなりましたので、これは逐次削減をしてまいりまして、三十二年は三十億、三十三年は十億、三十四年は十億、さらに三十五年は五億というふうに減らしてまいったわけでございます。これは、るる申しますように、先ほど大臣の申されたように、健康保険というものの考え方に基づいた国庫負担のあり方という意味で行なってまいったわけでございます。
#44
○柳岡秋夫君 どうも大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、いまの答弁にもありましたけれども、昭和三十二年当時の感覚でいまのこの日本の社会保障制度の問題を考えている、こう私は思わざるを得ないのですよ。やっぱり世の中というものは進歩しておりますし、それから、この社会保険に対する考え方も、先ほど来私が申し上げておりますように、変わってきていると思うのですよ。諸外国はどうのこうの言っておりますけれども、諸外国は社会保険の中で占める医療の金額なんて非常に低いのですよ。もう年金にほとんど取られているのですよ。年金が多く占めているわけですよ。日本のように、医療制度の問題でこんなに金を使っているのはないですよ。というのは、医療制度そのものをいままでほったらかしてきたその政府の責任があるのじゃないですか。そういう責任を全然反省もしないし、考えないで、赤字になったからということで、しかも、非常に弱い立場にあるこの中小企業の労働者に負担をさせよう、患者に負担をさせよう、こういうところに私は一つの問題がある。同時に、福祉国家を目ざす佐藤内閣としてのこれからの考え方としては、やっぱりそういう商業保険の原則などに固執をしないで、やっぱり所得再分配によるところの国民の生活を保障をするという社会保障のこの考え方に立って国というものはあらゆる援助をしていく、そういうことが私は必要だと思うのですよ。
 社会保障制度審議会の問題を言われておりますけれども、先ほど藤田委員が言われたように、このいいところばかり取って、社会保障制度審議会はこういうことを言っているから、それに従ってやっておりますと言うけれども、そうじゃないのですよ。去年の八月に社会保障制度審議会は総理大臣を呼んで、大蔵大臣を呼んで、厚生大臣を呼んで懇談をしている。その中でどういうことを言っているか。社会保障の総費用を国民所得の一四%程度に高めるには、昭和四十一年度に国民所得の一〇%ないし一一%、金額にすれば三兆円近くにする必要があるのだ、しかし、いまそういってもなかなかたいへんだろうから、少なくとも四十二年度は一兆円の予算を組みなさいということを申し入れしているわけです。ところが、わずかに七千億。これでは、三十七年の際に勧告をした、一九六二年ですか、この当時の先進国の水準にまで日本の社会保障制度の水準を引き上げていく、これにはとても到達ができない、こういうことになるわけです。ですから、私は、大蔵省は、あるいは大蔵大臣が、もっとこの世界で第三番目の工業国だといわれるような日本の経済の繁栄の中でひとり立ちおくれておるこの社会保障制度の拡充について、頭の切りかえをまずやってもらわなければならない、こういうふうに思います。
 そこで、問題は――私は基本的な問題できょうは終わってしまいました。もっとこの今回の暫定対策の中で大蔵省が考えておられることを一つ一つ聞きたいと思っております。たとえば、これは問題の提起だけをしておきます。そして次の機会に答弁を願いたいのですけれども、一つは、この二百二十五億という国庫負担の考え方は何か。これはいままで大臣が言われた考え方だろうと思いますけれども、腰だめ式で出したというならば、それはそれでいいでしょう。しかし、そうでないとすれば、一体どういう根拠をもって、どういう積算基礎をもって二百二十五億というものをきめたのか。
 それから、もう一つは、いままでの赤字は全部たな上げしているわけですよ。資金運用部からこれやっているわけですね。それで、今度の修正案によってまた赤字が出てくる。これもおそらくたな上げするかどうか知りませんけれども、いままでの累積赤字のたな上げは一体どうするのか。いままでの大臣の答弁を聞いておりますと、これはやっぱり被保険者と事業者に負担してもらいましょうということにその考え方からいけばなると思うのです。これは大きな問題で、資金運用部資金だってマイナスになっているのですから、この一千何億の赤字の処理は一体どうするのか。これはやっぱり明らかにしてもらわないと次の抜本対策にも国民は入っていけない、こういうふうに思います。
 それから、こういう保険料の値上げとか、あるいは患者負担というものが、またまた米価の引き上げと同じ時期になされるわけです。去年も米価の引き上げと同じ時期になされている。ことしもなされている。これは明らかに国民生活を圧迫しているものです。こういう問題について、大蔵省側はどう考えているか。
 こういういろいろな問題、まだほかにもあります。きょうは十分までということですから、私はこの答弁は保留させていただきますけれども、この次にまた委員長、ひとつ機会を与えてもらって、きょうは、大蔵大臣に対する質問はこの程度にしておきたいと思います。
#45
○委員長(山本伊三郎君) 午後二時十分まで休憩いたします。
   午後一時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十二分開会
#46
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、御発言を願います。
#47
○柳岡秋夫君 午前中の質疑の中で、今度の与党の大幅修正を受け入れても、その骨子に変更がないから問題はない、こういう答弁だったと思うんです。これは私は非常におかしいと思うのですよ。今度の対策はあくまでも暫定対策であり、七百四十五億という単年度のこの赤字を解消するための対策だと、こういうふうにいままで厚生省は言ってきたと思うんです。毎年このふえていくところの赤字をこの際何としても解消しなければ、大きい穴をあけたままでは抜本改正に移るということはできない、こういうことを言って今日特例法というものを出したと思うのです。ところが、薬価の一部負担にしても、あるいは料率の問題にしても、与党の修正を受けて三百十九億という落ちができたということは、私は暫定対策としてはこれは何ら効果がない、その目的を達していない、こういうふうに思うんですが、もう一度ひとつお伺いしたい。
#48
○政府委員(熊崎正夫君) 今度の対策の立案にあたりまして、従来私ども御説明申し上げましたのは、満年度の七百四十五億の赤字をどのように消していくかという御説明をいたしておりました。これは柳岡先生おっしゃるとおりでございます。ところが、法案を提出いたしまして、その後実施がずっと延びてきておるわけでございます。当初は六月から実施をするという予定でございましたのが今日に至っておるわけでございまして、三百十九億の御指摘の数字の中では、すでに実施の時期のズレによります分が二百十七億あるわけでございます。これは当初の見込みよりも月のズレのほうがふえてまいりまして、二百十七億はもう満年度対策分からすでに落ちるような金額に相なっておるわけでございまして、結局それに残りの三百十九億と二百十七億の差の百二億といいますものが衆議院におきまする修正におきまして減になる分でございまして、確かに百二億もさらに減ぜられたということにつきまして、私どもとしましても、今後の運営につきまして非常に問題点が残ったことは間違いないわけでございますけれども、しかし、私どもとしましては、満年度のお話を申し上げますることは、これはひいてはやはり特別会計でございますから、来年のことも考えなければならぬわけでございまして、やはり財源的に原案に近い線にとどまっておるとすれば、厚生保険特別会計としては、何とかいろいろ策を講じましてやっていけるというふうな考え方に立って午前中の御説明を申し上げたわけでございます。
#49
○柳岡秋夫君 昨年やはりこの国会で修正を受けて、保険局長は痛恨の涙をのんだそうでございますけれども、二度とこのようなことは絶対にならないように努力をしたい、こう言われておるようでございますけれども、今回修正案をいとも簡単にのんでしまったということで、これはやはり涙をのまなければならぬことだと思うのですが、これは厚生省としては、何といっても次の残されたこの落ちた赤字をどうするかというような問題、それから、実施の時期のズレによるところの赤字、こういう問題についても今後どうするかということがやはり一つの大きな問題だと思うのですね。こういう問題を残したままで抜本対策に移る、こういうことですか。
#50
○政府委員(熊崎正夫君) すでに先生御承知のように、累積赤字が千億をこえるような状態になっておりまして、やはり実施時期のズレによります分につきましては、すでに御説明申し上げておりますように、六月一日実施の予定で、実施のズレがございました百十九億、これが四十二年度の厚生保険特別会計の借り入れの千三百億をこえる金額の中に入っているわけでございます。それから、また、月が六月以降ずれたという分につきましては、これはちょうど六月実施で満年度と違った百十九億がいままでの累積赤字のほうの借り入れ金に入っておると同じような考え方でもって、当然累積のほうに回ってくるわけでございまして、これは対策をやらなかったということではございません。物理的に延びたわけでございますから、したがいまして、私どもとしましては、この法律を御審議いただきまして、法律が成立しました時点から、いわばその時点から健保勘定をどのように立て直していくかということを考えなければならぬわけでございますから、したがいまして、なるべく私どもとしましては、単年度分につきまして収支のバランスが合うように全力をあげて努力する、そして支払い遅延の起こらないように努力をしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。
#51
○柳岡秋夫君 厚生大臣は、社会保障制度審議会なり社会保険審議会なりの答申は尊重している、こういうふうに言明しておりますね。しかし、昨年来の暫定対策の政府原案を見てまいりますと、まあ社会保険審議会の場合には多数意見、少数意見、いろいろあったと思うのですけれども、そういうものと、政府の都合のいいところだけをとって、いわゆるつまみ食い的な答申の尊重をしているというふうに思うのですね。ですから、決して尊重しているというふうには私は言えないと思うのです。それで、その両審議会とも、その答申の中では、いままでの政府の態度、今日までこの日本の医療制度を混乱におとしいれているそういう事態を放置してきた政府の態度に対してきびしい批判をして反省を求めているわけですが、厚生大臣はどういう反省をしておりますか。
#52
○国務大臣(坊秀男君) 両審議会における答申でございますが、御指摘のとおり、特に社会保険審議会の答申は、これが結局一本にまとまった御意見というものではございません。その中には少数の意見もございますし、各項目についてそれぞれまとまった御意見というものではございませんけれども、しかしながら、厚生省といたしましては、その審議会の御答申もいただいて何らかのこの結論を出しまして、そして四十二年度というものをしのいでまいらなければならない、こういうふうなことでございまするので、そこで、その中で別にそのより食いとか何とかいう、そういうことではございませんけれども、大体の御意見というものを徴しまして、それから、また、社会保障制度審議会は、これは柳岡さんもその審議委員として検討をしていただいたわけでございますが、これにもいろんな御意見がありましたけれども、結局いまの事態においてはこれでやむを得ないであろうと、こういうふうな御答申をいただきまして、そこで今度の臨時対策というものを策定いたしたわけでございますが、さて、そういったような赤字対策をやっていかなければならないのは、今日まで日本の医療保険に対しまして、根本的な、抜本的な対策というものをやらなかったからではないかと、こういう御意見でございますが、私は今度の赤字の出てまいりましたすべての原因がそこにあるとは思いませんが、大きな原因は確かに今日まで根本対策というものができなかったということに私はあろうと思います。そういうようなわけで、厚生省といたしましては、これは今日までできなかったことでございますけれども、いまやどうしたってすみやかにこの抜本的な立て直し対策を立ててまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。
#53
○柳岡秋夫君 今日のこの日本の医療制度の混乱というものがどういうところから起きているか、これはどういうふうにお考えになりますか。
#54
○国務大臣(坊秀男君) 今日の政管健保を中心といたしました医療制度のこの混乱といいますものは、これは私はいつも申し上げることでございますけれども、近来に至りまして医薬、技術というようなものが非常に進歩発達いたしまして、それから、また、国民の生活というものも向上いたしてまいっておりますが、そういったような、この何といいますか、背景と申しますか、そういった環境の中におきまして質量ともに医療というものがふえてまいった、質的には向上してまいった、ところが、それに対しまして、むろんそういうことに相なりますれば医療費というものが増大してくることは、これはもうやむを得ないことでございますが、それに対しまして、医療保険における収入でございますか、これが相伴わないというような制度上の問題もございます。そういったようなことでバランスを失したといったようなことが今日の混乱を生じた、ほかにももちろんあるでございましょうけれども、一番大きな原因はそういうところにあるのではなかろうかと、かように考えます。
#55
○柳岡秋夫君 私は、この今日の医療保険制度の混乱というものは、いま言われたことよりも、この医療保険制度の根底にあるところの日本の医療制度そのもの、それの整備、近代化、合理化、これをやってこなかったところにこの医療保険制度の混乱が起きたというふうに思うのです。大体国民皆保険になると同時に、その前に私は日本の現在の医療制度そのものに対して政府が適切な対策を立てて、そしてこの医療制度の近代化なり合理化というものをはかっていけば、私は、今日のようなこういう保険制度の混乱というものは起きてこなかったのではないか、そういう医療制度の問題を保険制度のほうに持ち込んで、今日危機だとか崩壊だとか言って問題にしているところに私は大きな問題があると思うのですよ。そういう反省というか、やはりそういう対策を放置してきた厚生省の反省というものがなければ、今後抜本対策を立てる上に、単に赤字対策のみに終わってしまって、ほんとうの国民の望む日本の医療保障というものに向かっての抜本対策というものは私はできないと思うのですよ。その辺いかがですか。
#56
○国務大臣(坊秀男君) 先ほどの柳岡さんの御質問は、一体なぜこういう混乱が起こってきたのだ、こういう御質問でございましたので、私は先ほどお答え申し上げましたように、医療の医療報酬と申しますか、医療費と申しますか、それが非常に増大してきた、片一方におきましてその制度というものがそれに追っつかなかったというようなことであった、こう申し上げたのでございますが、まさに柳岡さんのおっしゃられたように、その医療費の増大ということは、政府がもっと近代的に、科学的にこれを考えて措置をしていったならばかようなことには相ならなかった、つまり柳岡さんはそういったようなことを、何と申しますか、防いでいくといったような措置をとらなかったということをおっしゃるわけでございますが、私もそれはそう思います。確かに私がお答え申しましたのは、医療費が増大していった、これも事実でございますけれども、そういったような事実の前に、これに対して科学的な、合理的な何らかの手段方法というものを実際に考えましてこれを打ち立てていったならば、それから、もう一つ、私は制度にもあろうと思います。この両方の面におきまして、確かにいろいろな原因、いろいろな理由がございますけれども、それを樹立、確立していかなかったということにつきましては、たえず私は申し上げておりますけれども、そういったようなことが確かに原因の一つであるということを私も考えまして、それに深い反省をいたしまして、そうしてできるだけすみやかにこういったようなことを立て直していこう、そのように考えておるわけでございます。
#57
○柳岡秋夫君 反省をしておるといっても、ただ口先だけと思うのです。社会保障制度審議会は四十年の申し入れの中で、こういうかくかくの問題について問題があるから、これらのことを十分検討をして、できるものはすぐにやりなさい、予算とか、あるいは金さえちょっとつければすぐできるものがあるのだ、だからこういうできるものについてはどんどん手をつけていきなさいと、こういうことを言っているのです。ところが、そのできるものさえ今日なおかつ手をつけておらない。しかも、これから質問をしていく抜本対策の内容に至っても、衆議院段階においては具体的に何ら示されておらない。これから中医協なり適当な機関に諮問をして、それからやっていくんだと、こういうことをいまごろまだ言っている。こういうことでは私は決して両審議会の答申を尊重したということにもならないし、また、いままでにとってきた政府のみずからの態度にきびしい反省をしている、こういうようには私はとても受け取れないわけですが、そういう点はいかがですか。
#58
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、この制度審議会から御意見はちょうだいいたしておりまして、その御意見につきましては、先日も藤田委員から御質問もございましたので、そういったような趣旨をできる限り尊重いたしまして、その方向に沿ってこの問題を解決していかなければならないということは、私も絶えず考えておるのでございますが、これは藤田委員にもお答え申し上げましたとおりです。私は就任以来、いろいろな政界の――これは弁解になりません、国民に対しての弁解になりませんが、事実上はそういったような激闘の中に巻き込まれまして、そうしてこれの実現というような方途、つまりこれに対する抜本対策というものを策定できなかった、こういうことについてはまことに私は遺憾であるということも申し上げておる次第でございます。
#59
○柳岡秋夫君 そういういままで自分たちが怠ってきた、その結果赤字が累積をして今日の危機を招いたと、そういう危機を一切、大蔵大臣の言明ではないけれども、保険制度であるから当事者間でこれを見ろと、こういう態度は国民が決して賛成するものではないし、大きな怒りを持ってこの国会を見ていると私は思うのですよ。少なくとも、ほんとうに反省があるならば、私は今回の、先ほどちょっと言いましたけれども、五百億や六百億の赤字で崩壊するのだというようなおどかしではなくて、それくらいのものならば、政府が予算の中でできるだけのあらゆる合理化と申しますか、予算のやりくりをしても、当事者に負担をさせないで、国民に負担をさせないでこの危機を乗り切っていく、そうして一日も早く抜本対策に手をつけていく、こういうような具体的な態度を示すことこそ、そのことが私はほんとうにいままでの自分たちのとってきた態度に反省をする証明になるんじゃないか、具体的な証拠になるんじゃないか、こういうように思うのです。そういうことが一切なされないで、国民に全部しわ寄せをしている、こういうことは私は絶対に許されない、こういうように思うのです。そこで、それでは一体大臣は四十三年度に抜本対策をしていく、こういうことを明らかにしているわけですね。これは間違いございませんか。
#60
○国務大臣(坊秀男君) 四十三年度に抜本対策を必ず緒につかそうということの決意をいたしております。しかしながら、御承知のように、抜本対策というものはきわめて多岐広範にして根の深いものでございますから、そこで、四十三年度に完全にこの抜本対策というものを全部これを完成するということは、私はここで申し上げますけれども、なかなか困難であろうと思います。しかしながら、抜本対策につきましては、四十三年に必ずスタートを切る、こういうように考えております。
#61
○柳岡秋夫君 四十三年にスタートを切るということですね、それでは具体的にどういう手順で、どういう方針、計画を持って抜本対策をやっていこうとするわけですか。
#62
○国務大臣(坊秀男君) かねて厚生省におきましては、抜本対策についてどういうことをやっていこうかということの検討を続けてまいっておりますが、そういったような抜本対策で取り上げるべきいろいろな問題がございます。そういったような問題を整理いたしまして、これをどういうふうに組み立てていこうか、これをどういうふうにアレンジしていこうかといったようなことにまではまだまいっておりません。そこで、一体、抜本対策においてはどういったようなことを課題としてこれを組み立てていくか、こういう項目につきましては整理をいたしておりますので、これは事務当局からお答えをいたさせます。
#63
○政府委員(熊崎正夫君) 医療保険制度の抜本的改善を考えます場合に検討すべき事項としましては、非常に広範な中身があるわけでございます。おおまかに申し上げますと、制度の体系をどういうふうにするか、それから、給付水準をどのようにするか、それから、費用負担をどういうふうな方法にするか、また、診療報酬、いわば医療費、これをどういうふうに合理化していくか、また、それ以外に、医療保険の関連分野につきまして、柳岡先生が先ほど御指摘の、医療制度をどのようにするかという問題がそれぞれあるわけでございます。
 時間がかかりますと恐縮でございますので、簡単に中身だけ御説明だけしたいと思いますが、制度の体系の問題だけを取り上げましても、現在の医療保険と、それから、たとえば公衆衛生のほうでやっております疾病予防、いわゆる公費負担医療の関係と医療保険とどのように関連づけていくかということがまず問題でございます。それから、第二番目は、医療保険の各ばらばらになっております制度がありますことは御承知のとおりでございますが、これを統合したらどうだという御意見が出ております。しかし、統合する場合にも、全部一本にするのか、あるいは被用者保険、つまり雇われている人と現在の国民健康保険のような地域保険、この二本立てでいったほうがいいかどうかという問題があるわけでございます。それから、そういうふうな一本の統合よりも、むしろこれは社会保障制度審議会のほうで御提案がございましたように、プール制をやったらどうだというような考え方がございます。それから、さらに制度の体系の問題として、失業者、あるいは老齢退職者に対しまして特別の保険制度をつくったらどうかという御意見もあるわけでございます。また、五人未満の事業所、サービス業等は現在事業者保険のほうに入っておりませんけれども、この従業員に対しまして被用者保険に積極的に取り入れるべきである、これを年次計画でどのようにやっていくかという問題があるわけでございます。
 以下、給付水準につきましても、これはたいへん時間が長くなりますから省略いたしますけれども、給付水準一つ取り上げましても、相対としての給付率をどこまで持っていくか、社会保障制度審議会におきましては、医療保障の最終目標を九割というふうな線が出ておったこともございます。また、本人、家族間の給付率の差を設けることがいいかどうかという点もあるわけでございます。さらに、一部負担の方法といたしまして、定率がいいか、あるいは定額がいいか、また、薬の取り扱いをどのようにするのがいいか、さらに、支払い方法としても、現在のような出来高払い一本でいくのがいいかどうか、また、費用負担につきましては、国庫負担をどのような形で導入するか、定率がいいのか、あるいは定額がいいのか、また、保険料率につきましても、総報酬制がいいのか、あるいは標準報酬制がいいのか、また、事業主負担につきましても、現在のようにヒフティ・ヒフティの原則をどこまで貫くべきか、あるいはこの原則を変えるのがいいかどうか、さらに、診療報酬の問題につきましては、現在の甲乙二表をどのように一本化していくかという問題が基本的にあるわけでございます。それ以外に、医療保険の関連分野につきましては、医療機関の整備の問題、あるいは医薬分業の問題、あるいは医療従事者の養成機関をどのようにしていくか、あるいは僻地医療計画をどのようにするかというふうな関連分野に対する対策も、以上の保険制度の改正とあわせまして考えていかなければならないと私どもは思っております。
 以上、きわめて簡単でございますが、多少問題点を指摘申し上げましたけれども、このような問題を一挙に解決すか方法は、私はどんな方が立案されても全部の回答は直ちには出ないんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、その点はやはりこういうふうな根本的な制度の改革ということになりますと、少なくとも年次計画を持って確実にやれるようなものから逐次やっていくというふうな考え方で四十三年度からスタートすべきだ、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。非常に説明が簡単で恐縮でございますが、そのような問題を検討いたしておるというふうに御了解をいただきたいと思います。
#64
○柳岡秋夫君 私が聞いているのは、そういう問題等は、それはもう社会保障制度審議会でも指摘をしておりますし、それから、いままでの衆議院段階における答弁の中にも出ております。そういう問題点はもういま国民もみな知っておるんです。いかにしていつこれをすみやかに断行していくかということがいま国民の期待しているところなんです。それをいままで政府が延ばしに延ばしてきたというところに問題があるわけです。そこで、厚生大臣は、今回の暫定対策はぜひやりたい、そして二度とこの暫定対策は繰り返さない、あとは抜本対策でやっていくんだ、こういうふうに言明しておるんですが、それはここでお約束できますか。
#65
○国務大臣(坊秀男君) 私は、抜本対策をやる上においても今度の暫定対策というものを御審議、御決定を願いたい、かように申し上げておるのでございまして、この暫定対策といったようなもので今日の日本の国の医療保険というものがこれで解決をするなどということは私は全然考えておりません。これで能事終われりなどということは全然考えておりません。これをやっていただいて、そうして私はできるだけすみやかに、ただいま局長が御説明申し上げましたそういったような課題をつかまえまして、そうしてできるだけそういったような根本的な対策を立てていこう、かように考えております。
#66
○柳岡秋夫君 二度とこういう暫定対策、応急対策はとらない、このことは約束するわけですね。そうしますと、四十三年からその抜本対策に着手していくというならば、すでにこの抜本対策の方針、あるいは年次計画なら年次計画はどういうところからまず手をつけていくかというようなことが具体的にいまの段階で示されなければ、私は時期的にもおそいと思うんですが、どうですか。
#67
○国務大臣(坊秀男君) ただいま申し上げました問題点の整理ということはいま済んでおりますので、その中のどれから手をつけていって、初年度はどれをやり、次年度はどれをやるというようなところまでは、いまのところはまいっておりません。
#68
○柳岡秋夫君 そういう何といいますか、消極的と申しますか、一昨日ですか、私も申し上げましたように、あなたまかせの対策なんですよね。結局四十三年度から始めるというならば、その始める一番先のものは一体何か、しかも、それをやるには、おそらく社会保険審議会なり社会保障制度審議会にこれは諮問しなくちゃいかぬでしょう。そうすると、答申をする時期は一体いつか。これがもうすでに明らかにならないと四十三年度から手をつけるわけにいかないじゃないですか。一体諮問の時期、それから四十二年度からとりあえず着手をする事項、これを明らかにしてください。
#69
○国務大臣(坊秀男君) ただいま御審議をいただいておりまする応急対策というものを本臨時国会において御審議、御決定をいただきましたならば、厚生省は直ちに、先ほど局長が御説明申し上げました諸般の非常に広範なる課題と取り組みまして、そしてすみやかに厚生省の考え方というものをまとめまして、そのまとめたものを社会保険審議会及び社会保障制度審議会の御審議を願うというつもりでおります。
#70
○柳岡秋夫君 私はどうも厚生省の態度は納得できないのですね。もう暫定対策は暫定対策として、責任を持ってこれをやると、そして四十三年度からは抜本的な対策に入っていくのだ、こういうことを過去何回か厚生大臣は言明をしておるわけですよ。そうなれば、暫定対策は暫定対策としてこれはおいても、抜本対策にすでに手をつけられて、四十三年度から具体的に保険局長の言うように、全部一緒にできない、これは確かにそうでしょう。しかし、できるものから、しかも、国民に最も関係の深いものからやっていく、そういうものがなければ、これは何かいままで何回も言明していることがみんなうそだと、こう言われてもしかたがないじゃないですか。一体、抜本対策というものはどういう意味を持っているのですか。
#71
○政府委員(熊崎正夫君) いわば医療保険の抜本対策を私はいまいろいろな項目について申し上げましたけれども、私どもは国会その他の席におきまして、前の鈴木大臣も申し上げておられたと思いますけれども、いわば医療保険制度の問題と、それから医療報酬、診療報酬の問題はいわば車の両輪である、こういうふうなことを申し上げてまいっております。それで、医療保険制度の問題のほうは、これは法律でもって国会の審議を経なければならない問題でございます。料率一つをいじるにしましても、全部国会の審議事項に相なるわけでございます。ところが、診療報酬のほうの問題は、これは中央社会保険医療協議会で審議をいただいてきめる問題でございまして、法律事項ではございません。したがいまして、法律事項として国会の審議を経なければならない部面につきましては、ただいま大臣がおっしゃられましたように、各種の審議会の諮問を経て国会に御提案をして、それできめていただくわけでございますが、片一方の診療報酬の問題は、これは別でございます。ところが、その診療報酬の問題に基本的にからんでおる問題が、先生御承知のように、医業経営実態調査の問題、それから現在の診療報酬が非常に不合理である、これを合理化しなければならないというふうな問題があるわけでございまして、これはすでに四十年に社会保障制度審議会に明らかに指摘されておることでございます。そのような審議会の指摘もございまして、現在東畑会長がやっておられます中医協のほうで診療報酬部会と調査部会に分かれて審議をいたしまして、すでに調査部会のほうは二十七年以来全然行なわれておらなかった実態調査問題というものは、一応本年の十一月一日を目標にしてスタートに入っておるというような共同の意見が一致してなされておるわけでございます。必ず診療報酬部会のほうの結論と一緒になり、いずれは公表されると思いますけれども、そのように、いわば抜本対策の基本的な問題であります片一方の問題は、すでに車は動いておるわけでございまして、片や御指摘のように、制度のほうの問題が、いわば法律事項のほうの問題がいろいろ多岐な問題があるわけでございまして、これをひとつ国会が終わりましたら、ただいま大臣が言われましたように、精力的に成案を得まして各審議会に審議をお願いするというような心がまえでやってまいりたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#72
○柳岡秋夫君 診療報酬の問題は、これは法律事項でないからというようなお話でございますけれども、私は、やはりこの保険制度にも大きく関係してくると思いますよ。それじゃちょっと先に飛ぶかもしれませんけれども、保険局長は、一三・五%の医師会のこの診療報酬の引き上げについてはぜひ実現をしたい、こういう言明をしておりますね。そうすると、この診療報酬の引き上げによるところの財政措置というものは一体どういうふうに考えておりますか。
#73
○政府委員(熊崎正夫君) 私は一三・五%の引き上げを実現したいというふうに申し上げた記憶はないわけでございます。少なくとも、この医療費の引き上げなどの問題につきましては、私ごときがそのような発言をすべき性質のものでもないわけでございまして、これはあくまでも中央社会保険医療協議会の審議事項としてゆだねられた事項でございまして、私がとやかくすべき事項ではないことになっておりますので、そういうことを申し上げた例はございません。しかし、診療報酬の合理化をやるということで、合理化の線としてぜひ、たとえば入院料の引き上げをやるとか、その他いろいろな要求が現在中央社会保険医療協議会の診療部会で議論されておりまして、公益委員の方々が両側から意見を聞いて現在調整をいたしておるところでございます。したがいまして、これはまた審議中のことでございますので、その結果を待った上でないと、これをどうするこうするということは、ただいまのところは何ともお答え申しかねるような状況であるわけでございます。
#74
○柳岡秋夫君 言ったか言わないかということになると、これはまたあとで問題になるから、あまりあれですけれども、全国の保険年金課長の会議の中で、その会議録だと思うんですけれども、私はそういうものを見ました。ぜひともこの一三・五%引き上げは何としても実現をさせたいということである、こういうふうに言っておるのですね。まあこれは本人が言わないと言えばそれまでですけれども、いずれにしても、こういう診療報酬の問題もいま中医協で検討されておるわけですけれども、しかし、そういうものも私は保険制度にも大きな関係を持っているわけですから、そういう保険制度のほうもすでにそういうものとタイアップをして、同じ速度と申しますか、そういうものをもって、そして検討をされていかなければ抜本対策のほうはおくれてしまって何にもならないと思うんですけれども、この抜本対策というのは一体どういうことを意味するのですか。具体的に言えば、抜本対策というのは赤字対策なのか、それともそのほかに意味があるのか、どういう意味ですか。
#75
○国務大臣(坊秀男君) 抜本対策の対象となる項目につきましては保険局長から申し上げましたが、抜本対策と申しますのは、何もその赤字対策というようなものではございません。これは先ほど局長が申し上げましたとおり、現行のこの医療保険の制度のほうから見ましても、非常に給付率がまちまちであったり、あるいは費用負担がアンバランスであったり、そういうようなことや、それから、今日委員の皆さん方に御心配をいただいております保険財政がまことに脆弱であったり、そういったようなこと、これをそうでないように改めていくということと、それから、もう一つ、いま局長から申し上げましたような診療報酬体系といったようなものが、これが今日やはり非常に不合理であるというようなことがございますので、そういったようなことを合理化していくということを私どもは抜本対策ということに考えておる次第でございます。
#76
○柳岡秋夫君 具体的にいまだ答弁ができないということになると、私はどうも今後の厚生省が手をつけていく内容を推察すると、抜本対策だという名のもとに、なるべく抵抗の少ないものから少しずつ一つずつやっていく、なしくずし的に制度を改正していくというような方向をたどるのではないか、そうすると暫定対策だか抜本対策だかさっぱりわからない、そういうような区別が全然つかないようなことになるのではないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
#77
○国務大臣(坊秀男君) おことばではございますけれども、いまの保険制度の制度の問題一つとりましても、非常に分裂しておるといったようなことは、先ほど局長申し上げましたとおり、あるいは統合するのか、あるいは二本にするのか、あるいはプール制度にするのかといったようなことを、どれかをとりましてこれをやっていこうといたしまするならば、これはなしくずしのようなことではとうていやっていける仕事ではございません。根本的に考えてこれをやっていかなければ、何かできることからなしくずし的にというようなことでは、日本の今日の医療保険制度が立ち直るというようなものでは私はないと思いまして、これこそほんとうに口ぐせのように申しておりますけれども、根本的な、抜本的な建て直し方策を立てなければならない、なしくずしではとうていどうにもならない問題であると、かように考えております。
#78
○柳岡秋夫君 そういうような、いまだ態度が明確にされないというようなことでは厚生省もたいへんだろうから、来年度から抜本対策に手をつけてくれる、だからひとつことしの暫定対策についてはまあがまんしてやろうというような国民も中にはいるかもしれませんよ。しかし、そういう国民もいまだもって抜本的な対策について何ら具体的に方針が示されないということでは、私は暫定対策についても、これはただ単にしわ寄せを受けるだけであって、将来の保証はないとすれば賛成するわけにはいかない、こういうことになりはしないかと思うのですがね。大体外国ではもう十年ずつのパターンというものがちゃんときめられて進められておるといわれておるわけです。日本の場合はそういうことはいままでにない。幾ら抜本対策をこれからやろうといっても、いまだにはっきりした年次計画というか、そういうものが一つも具体化されていない。一体抜本対策の基本方針というのは何ですか。それも立っていないのですか。
#79
○国務大臣(坊秀男君) 基本方針は、ただいま私が申し上げましたとおり、制度間のアンバランスの問題、本人家族間の不均衡の問題、料率、費用負担の非常な不均衡の問題、それから、財政が脆弱であるというものを建て直すという問題、それから、その車の一輪の問題といたしまして、医療報酬体系といったものを合理化していく、これが基本方針でございます。
#80
○柳岡秋夫君 問題点ですよ、それはね。この抜本対策の三原則というものを政府は出しているでしょう。一つは給付の平等化ですよね。一つは負担の公平化、一つは財政の長期安定、これが抜本対策の三原則でしょう。これの具体的な内容を私は聞いているんです。
 給付の平等化、これはいま十割給付であるけれども、これを八割なり九割に線をそろえようということじゃないですか。今度の、薬剤費の一部負担をわずか十何億かに財政効果がなっても、たとい一円でも二円でも財政効果が下がっても、薬剤費の一部負担の制度はあくまでも固執をするんだと、これだけは絶対削除はできないという背景には給付の平等化というものがあるんじゃないですか。九割にしたい、八割にしたい、そういうことが頭にあるから、たとい一割のもの、五分のものがその制度にひっかかるというような状態になっても、大部分のものが免除をされても、この制度はあくまでも残すんだと、こういうことじゃないですか。
#81
○政府委員(熊崎正夫君) たいへん中身に入った御質問でございますので、便宜私からお答えさせていただきたいと思いますけれども、私どもとしましては、給付の平等ということにつきましては給付を十割にするか、あるいはこれを何割にするかという問題も含めまして考えていかなければならないと思いますし、また、大臣が御指摘されましたように、保険制度それ自体の中で現在差があるわけです、御承知のように。たとえば本人と家族の間には十割、五割。それから、国民健康保険においては本人も家族も七割、すでに。家族の分については国民健康保険のほうが七割までいっておりまして、被用者保険のほうは五割という形になっておるわけでございます。しかし、片や健康保険組合のほうでは、付加給付ということで家族十割までやっておるところもあるわけでございまして、これをどのように均等化していくかという問題になってまいりますと、給付率をどこでそろえていくかという問題が必ず出てくるわけでございます。すでに先ほども申し上げましたけれども、社会保障制度審議会では、かつて、将来の給付を一律九割という線を出したこともございますし、また、昨年から抜本対策の議論がやかましく出まして、関係団体からいろいろ御意見が出た場合に、ある団体からは、やはり将来の給付を九割というような線も出ておりまして、関係団体の専門の団体の中でも意見はばらばらになっておりまして、必ずしも一致はいたしておりません。それから、また、もう一つは、本人と家族とを給付率で分けるのがいいかどうかという問題もあるわけでございまして、これは場合によっては入院の場合には十割をする、しかし、外来の場合に同じように十割でいいか、本人であろうと家族であろうと、やはり病気の態様によって給付率を変えていくというふうな問題も、、おのずからこういう問題を議論する場合には考えられなければならない問題として出てくるわけでございまして、中身としては、考え方が非常に多種多様に分かれるわけでございます。これをどのような年次計画でもって目標をきめていくかということで、まだ私ども結論を出しておらないわけでございまして、これはもちろん非常に将来の大きな問題でございますので、やはり何年度までに何カ年計画でここまで持っていくというふうな線をきめて、しかも、関係団体の御納得のいく考え方、また、国民にも支持していただける考え方で政府案をつくっていかなければならない、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
#82
○柳岡秋夫君 今度の暫定対策の眼目は何ですか。
#83
○国務大臣(坊秀男君) これも繰り返し申し上げておりますとおり、四十二年度におきまして、政管健保を中心といたしまして、非常に財政が窮迫いたしております。その財政窮迫に対処するためと、それから、もう一つは、少なくとも、できるだけすみやかに抜本対策に入っていきたいというために今度の暫定対策を御審議願っておる次第であります。
#84
○柳岡秋夫君 その二つとも、私は、今度の暫定対策、修正された中では、これはもう条件を満たしていないじゃないですか。赤字対策もすでに何億か落ちている。そうして一日も早くこの抜本対策に手をつけたいということですが、先ほどからのお話によりますと、少なくとも、骨子が変更されておらない、だからいいんだと言う、中身は。いわゆる特にこの薬剤費の一部負担、こういう制度は抜本対策につながっていく、こういう背景があるから、私は、たとい何億――百億以上のこの落ちがあっても厚生省はその与党の修正に応じた、そういうことじゃないですか。それは違いますか。
#85
○国務大臣(坊秀男君) 暫定対策は七百四十五億というものの赤字対策であるとともに、先ほど申しましたこの抜本対策をやっていくためにこれをさしあたっては解決していく、この二つの目的を持っているわけでございますけれども、柳岡さん御指摘のとおり、暫定対策としてその赤字を解消するというのは、もうすでに三百十九億も消えたじゃないか、こういうお話でございますが、これは先ほど来局長も御説明申し上げましたとおり、その三百十九億の中には、国会におきまして何回か私どもがぜひとも成立をお願い申し上げたいと、こう思っておった時期でございます。その時期がおくれたことによりまして、その三百十九億の中で、時期おくれの分と修正の分とがございますが、その修正ということにつきましては、先ほど来いろいろ申し上げておりますけれども、その暫定対策としてのとり方についての骨子、その暫定対策としての骨子を大きく変改されてないということで、これは私どもとしてはまあやむを得ないことだと思いまして、それから、もう一つの時期がおくれたということにつきましては、これはどうしてもこういったような法律を成立さしていただくためには、これは何といっても、もう国会の御審議を経過しなければならないことでございますので、この点につきましては、これもまたやむを得ないことだと私どもは考えております。
#86
○柳岡秋夫君 どうもわかりませんね。この骨子というのは骨組みでしょう。暫定対策の骨がですね、変更されないからいいと言う。片方では穴埋めが完全にできなくてもいいと言う。そうすると、その中では、どうも抜本対策に骨子というものをそのままどうしても置かなければ抜本対策に入れないということもあるわけですから、そうすると、どうもこの暫定対策と抜本対策というものは何か関連がある。単に単年度の赤字を埋めて、その上に立って抜本対策をやるのだということでなしに、この制度そのものをやはり変えていく措置というものがこの暫定対策の中には隠されていると私どもは思うのです。違うと首を振っているけれども、そんなら、わずかに十五億、満年度としても三十六億ほどですよ、政府のあれでも。これくらいの金を、いま国民がみんなで反対をしている外来の投薬時の負担を、保険局長はわずか十五円じゃないか、こう言っておりましたけれども、平均すれば月九百円と言っております。また首をひねっておりますけれど、資料ではそうなっております。そういう反対の多いものをなぜ残さなければならないのか。これは明らかに抜本対策につながっている、こういうふうに言わざるを得ないのです。だから、給付の平等化というのはその内容をあくまでも八割なり九割という低給付に水準をそろえようとするそういう内容を持っているというふうに私は言いたいのです。それから、負担の公平化、これも患者に一部負担を今度はさせようというようなことから見ましても、負担の公平化というのは、被保険者にとにかくさらに負担を多くしようという、そういうねらいを持っている。あるいは財政の安定、これはどういうことだかわかりません。財政の安定と赤字対策というのはどういうふうに違うか、こういうものが明らかにされない。政府でこういうものに対する青写真なり、あるいはいままで出されたいろいろな審議会の勧告というものをこういう中でどういうふうな尺度で受け入れていくのか、そういうものの基準をこの際国民の前に明らかにしていただきたい。これがなければ暫定対策について国民の協力を得るということが、できないと思うがどうですか。
#87
○国務大臣(坊秀男君) これもしばしば申し上げたのでございますけれども、今度の暫定対策は、とにかく保険に関係のある政府、それから使用者、患者もひとつごしんぼうを願いたい。この赤字を解消いたしまして、そうして保険制度を保持していくためには、そういったような関係者がすべてひとつ腰を入れていただきたい、こういうことから出発いたしまして、そうしてもちろんそれぞれの政府をはじめ、赤字解消のために腰を入れていただく、こういうことに相なったわけでございますが、そこで、私どもが骨子が変改されていないということを申し上げておりますのは、このことが変改をされていない。つまり料率というものは労使の折半でございますけれども、その料率につきましては、七十二が七十になったということでございまして、この点についても根本的に骨子まで変わってしまったというわけではございません。それから、また、被保険者、患者等につきましてもひとつがまんを願いたい、こういうようなわけでつくった案でございますが、薬の一部負担につきましては、これは局長がしばしばお答え申し上げておりますとおり、患者さんにこれもひとつ腰を入れてもらいたい、負担をしてもらいたいというのに、初診時の負担、入院時の一部負担というものだけでは、これはかえって非常にそこへおもりがかかってくる。そこで、そういったようなおもりを何とかして軽くするためには、やはり投薬時の一部負担といったようなものにひとつ負担を願おうという、こういうような暫定対策における考え方の骨子が大きく変改されていないということで先ほどからの御答弁を申し上げている次第でございます。
#88
○柳岡秋夫君 今度の暫定対策の大きなねらいは、七百四十五億といわれる単年度の赤字をどうやって埋めていくか、これにあるわけです。ところが、それがほとんど半分ぐらい効果のない、しかも、反対が多い、そういうものをあくまで推し進めていこうとするその腹が私にはわからぬというんです。それを明快に答えていただくのには、抜本対策についての方針、基本的な姿勢というものをまず明らかにしていただく、このことが必要だということです。それが出されない。これでは、私は国民の協力を得るわけにはいかないというふうに思うのです。
 じゃ、こういうような抜本対策を今後検討していく場合に、その抜本対策に対処をする体制というものをどういうふうにお考えですか。たとえば政管健保は確かに厚生省が所管です。しかし、公務員共済、あるいは公企体、あるいは地方公務員共済、私学共済、こういうものとやはり関係が出てくるわけですよ。こういうものとどういうような連絡体制というものをとってきているのか、また、とろうとするのか。あるいはこの前、臨時医療保険審議会ですか、あれの法律案が流れておりますけれども、こういうような制度改正のために、審議会の機構というものをいまの社会保障制度審議会や社会保険審議会の関連においてどういうふうに考えていくのか、それを明らかにしていただきたい。
#89
○政府委員(熊崎正夫君) 御指摘のように、保険制度が非常に分かれておるわけでございますが、これを抜本対策の際にどうかみ合わせていくかということにつきましては、そのこと自体がきわめて方針としてはむずかしい問題でございまして、現在のところ、結論を私ども持っておるわけではございません。また、現在このような医療保険の問題を審議していただく審議機関が、中央社会保険医療協議会、あるいは社会保険審議会、あるいは内閣においての社会保障制度審議会というように、審議会が三つに分かれておりまして、その間、審議会の権限自体につきましても非常に問題があるわけでございます。したがいまして、鈴木前大臣のときに、臨時医療保険審議会というところで一本で抜本対策を御審議いただこうということで法律案を提出いたしましたが、不幸にして成立は見送られたわけでございまして、したがいまして、私どもは、二度と再びあのような審議会を持つような状況であるとはむろん思っておりません。したがいまして、やはり既存の審議会にそれぞれ諮問して抜本対策を考えていく、こういう
 ことにならざるを得ないと思いますけれども、しかし、いまばらばらになっております各種共済その他を含めましたものをどのような方向で今後考えていくかということについては結論は持てないわけでございますが、しかし、考え方としては、先ほど申しましたように、一本化したほうがいいじゃないかという考え方もございますし、一本化はむずかしいとすればプールでやったらどうかというような考え方もあるわけでございまして、ブールでやるということは、既存の制度をそのまま活用して、強いところと弱いところと、弱いところに腰の強い保険のほうから金を流していく、それでプールをしていくということでございますから、そういう考え方もあるわけでございまして、大きく分ければこの考え方をどのように取り上げていくかということがこれからの抜本対策のいわば基本的な問題になるだろう。結論はいまのところ私どもは持っておらないわけでございます。
#90
○柳岡秋夫君 一本化するための連絡体制をどうするのかということを私は聞いたのではないんですよ。今後、医療保険制度の抜本対策をやっていくのには、単に政管健保だけではなくて、組合健保にも共済にも影響があるのではないか。したがって、そういう問題もあわせて検討していくには、厚生省だけではこれはできないでしょう、いまの機構上。そうすれば、当然そういうような連絡体制というか、そういうような審議の機関というか、そういう体制ができておるのかできていないのか、今後どういうものをつくろうとするのか。諮問機関の相手としては社会保険審議会なり中医協なりと、こういうことのようでございますけれども、これも確たるものじゃないんですね。こういうものがいまだにさっぱり方針が立っておらない。これで四十三年度から抜本対策に着手をするんだと大みえを切っているわけですけれども、どうも厚生大臣の大みえがさっぱりほんとうに聞こえないわけですけれども、ほんとにそれをやる気があるんですか、どうですか。
#91
○国務大臣(坊秀男君) 何回か私は国会におきましても申し上げましたが、ぜひともこれをやってまいりたいと、かように考えております。
#92
○柳岡秋夫君 今度の暫定対策について、若干その財政等についても触れて質問をしてまいりたいと思うのですけれども、先般の国会で、特に昨年、標準報酬の上限の引き上げ、あるいは、千分の六十三から七十、これはもっとも六十五に修正をされておりますけれども、こういう改正で当面の応急措置がとられたわけです。それで、一年後にまた今夜のような、制度が崩壊されるというような理由をもって大幅な改正、特に薬剤費の一部負担、こういうものが新設をされて今日審議をされているわけですけれども、一体、前の国会で修正をされた千分の五というものの減ですね、これが今日の政管健保の制度の崩壊というところまで追い込んだというのですか。どうなんですか。
#93
○政府委員(熊崎正夫君) 昨年の国会に私どもが提出いたしました政府原案が、国会で料率につきまして修正があったわけでございますが、それによって昨年度は、少なくとも単年度としてバランスがとれるというふうに考えました。対策は、赤字が出たという形になって、当初の目的は達することができなかったわけでございます。しかし、少なくとも、昨年料率の千分の二の引き上げがあります以外に、標準報酬の当時五万二千円が倍額の十万四千円になりまして、これは標準報酬を料率で換算をいたしますと、大体千分の三程度に当たるわけでございますが、その標準報酬の上限の改正が行なわれたことによりまして、もしあのときの暫定改正がなかりとすれば、政府管掌健康保険においては、もうにっちもさっちもいかなかったというふうな状態であったものが、昨年の暫定対策によって、赤字は当初見込みよりはふえましたけれども、ある程度赤字のこれ以上の増大を防ぎ得たということは申し上げられるのじゃないかと思います。しかし、それがやはりすべての解決策ではなかったわけでございまして、引き続き、私どもといたしましては、暫定対策じゃなしに、抜本対策をぜひとも世間に問いたいというふうに思ったわけでございますけれども、前々から大臣から御説明いただいておりますように、抜本対策に手がつくような客観情勢でないままに再び暫定対策にならざるを得なかったというのがいままでの経過であったわけでございます。
#94
○柳岡秋夫君 昨年の赤字見込み三百三十四億ですか、これはどういうふうになっていますか。
#95
○政府委員(加藤威二君) 昨年の赤字見込みでございますが、ただいま柳岡委員御指摘の制度の改正をやったわけでごげいます。それで、当初、四十一年度は七百二十億の赤字が出るだろう、こういうぐあいに見積もられておったわけでございますが、それに対しまして、保険料率の引き上げ、それから標準報酬の上限の引き上げという対策を考えましてその赤字を消そうといたしたわけでございますが、それが国会の修正がありまして、結局全部消し得ませんで、二百二十八億残る。したがいまして、昨年の年度当初には、赤字が二百二十八億残るであろう、出るであろう、こういう見通しであったわけでございます。それが年度の半ばに至りまして、四十二年度の予算編成をいたしますときに、もう一度四十一年度の赤字はどうなるんだということを再検討いたしたわけでございますが、そのときの赤字の見通しがただいま御指摘の三百三十四億でございます。三百三十三億五千万でございますので、切り上げまして三百三十四億でございます。それがどうなっているかということでございますが、決算におきましてはそれが若干減りまして、二百六十六億ということになっております。すなわち、年度当初には二百二十八億と見ましたそれよりは三十八億ばかり赤字がふえておりますが、中間で見ましたところの三百三十四億に比べますと六十八億赤字が減っている、こういう状況でございます。
#96
○柳岡秋夫君 見込みよりも六十八億も少なくなっているというようなこと、しかも、この対策を四十一年度は先ほど申し上げましたようなことでやられてきている、それで四十二年度には制度が崩壊されるような危機に追い込まれた、これは一体どういうことなんです。四十一年度では、上限の改正なり保険料率の引き上げその他をやって、それで見込みの三百三十四億よりも少ない二百六十六億の赤字で済んでいるわけでしょう。それが四十二年度になると、が然今度は制度を崩壊させるような危機になってきたんだと、こういうことなんですね。これは一体どういうことなんですか。
#97
○政府委員(加藤威二君) 結局四十一年の年度途中での赤字の見通しが三百三十四億であった。それが二百六十六億に減少したわけでございます。確かに、六十八億減っております。これはどういうことかといいますと、結局四十一年度末の累積赤字が千四十六億になるだろうと見ておったのが、六十八億ばかり減りまして、九百七十八億ですか、それくらいの、千億ちょっと欠けるくらいの累積赤字になったと、こういう意味を持っておるわけでございます。で、七百四十五億との関係は、結局、七百四十五億というものはどうして出したかといいますと、これは四十一年度、四十年度、それから三十九年度、過去三カ年間の医療費がどういうぐあいに伸びるか、あるいは平均標準報酬がどういうぐあいに伸びるか、その三年平均をとりまして、四十二年度の医療費はこういうぐあいになるだろう、それから、平均標準報酬を中心といたしました収入はこういうぐあいになるだろう、その差が七百四十五億、こういうぐあいに見たわけでございます。六十七億は、数字的には直接関係はしないわけでございます。過去三年間の医療費の伸びを見て、そして四十二年度の赤字を推計した、こういうことになるわけでございます。
#98
○柳岡秋夫君 昨年、大衆に負担をかけて、そして赤字対策だということでやって、ことしまた崩壊するような危機だということで大幅の改正をしている。これは私はどこかに原因があると思うんですね。それの大きな原因は、抜本的な対策が依然としてなされていないところにあると思うんですけれども、この赤字というものに対する積算の基礎、そういうものに大きな問題があるんじゃないですか。今度の七百四十五億の赤字の算出基礎にいたしましても、私は、収入を過小に見、支出の伸びというものを大きく見ているんじゃないかと思うんですよ。七百四十五億について、過去の実積によって出したと、こう言われておりますけれども、最近の資料によると、だいぶ変わってきているんじゃないですか。収入の見込み、あるいは支出にいたしましても、一人当たりの医療費にいたしましても、七百四十五億というのは絶対に変わらない、こういう確信がありますか、間違いないという。
#99
○政府委員(加藤威二君) 七百四十五億の積算の基礎は、ただいま申し上げましたように、四十一年度と四十年度と三十九年度と過去三カ年間の医療費の伸び、これを推計いたしまして出したわけでございます。それから、収入のほうでは平均標準報酬の伸び、その積算の基礎となる数字が違うのではないかという御指摘でございますが、これは確かに決算の赤字の数字と、それから、年度中途の赤字の数字が違っておりますから、四十一年度における医療費の伸び方とか、あるいは平均標準報酬の伸び方は若干の相違はあるわけでございます。しかしながら、私どもが見ます限りにおきましては、結局その違いというものはさほど大きな違いではない。ことに七百四十五億出しますのには、過去三カ年間の平均ということになりますので、単年度の積算の基礎が若干違いましても、非常にそれが薄められるかっこうになりまして、七百四十五億をびた一文違わないとは申しませんけれども、差は非常に僅少なものである、こういうぐあいに考えたわけでございまして、対策といたしましては、ことに大幅に修正を受けました現在におきましては、この対策といたしましては、七百四十五億の数字を修正するほどの数字は出ないというぐあいに考えております。
#100
○柳岡秋夫君 四十二年度の七百四十五億というものは、保険料収入は一〇・二%の伸び率、医療給付費の伸び率は一五・四%という根拠で積算をされているわけですね。これは間違いないですね。
#101
○政府委員(加藤威二君) 四十二年度の保険料収入の積算の基礎でございますが、平均標準報酬につきましては九・六%の伸びというぐあいに見ております。それから予算でございますが、一人当たりの保険料収入は一八・九%の伸びというぐあいに見ております。これは制度の改正等もございましたから高くなっております。それから、保険給付費は一〇・九%の伸び、こういうぐあいなことを積算の基礎といたしまして歳入歳出の積算をいたしたわけでございます。
#102
○柳岡秋夫君 最近の社会保険庁で出した事業速報によりますと、昨年の十二月から今年の三月までの実績では、保険料収入の伸び率は一六・六ないし八%、給付費の伸び率は一三・一%になっているわけですよ。こうした傾向でいくとすれば、私は七百四十五億という赤字は相当減るんではないか、減少するのではないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
#103
○政府委員(加藤威二君) 結局医療費がどういうぐあいに伸びるかということは、現在の医療費が、先生御承知のとおりに、出来高払いの医療費でございますので、なかなか予断といいますか、予測を許さない形になっているわけでございます。非常に当たりさわりのある表現かもしれませんけれども、お医者さんのちょっとしたさじかげんで医療費が動いてくるという、表現は非常にまずいかもしれませんが、実体はそういう動きがあるわけでございます。そういうことでなかなか予測がむずかしいわけでございます。さじかげんというのは、お医者さんが非常に丁寧な診療をされますと医療費が高くなる、こういうことでございますが、そういうことでなかなか予断を許さないわけでございます。先生御指摘のとおり、医療費の伸びは、四十一年度の末に若干低目に出た時期もございますけれども、この七月支払い分あたりからまた伸び方が上がっております。六月、五月では一四、五%でありましたが、七月では一八・四%ぐらいの伸びになっております。そういうことで、ことにいまは医療費の、何といいますか、緊急是正問題が出ておりますが、これもどういう傾向かわかりませんけれども、過去の経験から徴しますと、緊急是正の行なわれる前というのは医療費が上がる傾向があるわけでございます。そういうこともありまして、医療費が今後どうなるのか、上がるのか下るのか、予断を許しませんけれども、私どもといたしましては、医療費の伸びは年度末には若干低目に出たか知らぬけれども、四十二年度におきましては、ことに緊急是正を控えておりますので、その前でございますので、決して四十一年度の末のような医療費の伸び方ではないだろう、むしろそういう懸念を持っている次第でございます。
#104
○柳岡秋夫君 そういう赤字を予想しておりながら、今度の与党の修正に同意して、財政効果というものが非常に落ちている。これで今後の赤字というもの、あるいは財政の危機というものを切り抜ける、そういう自信があるんですか。
#105
○政府委員(熊崎正夫君) 財政危機を乗り切る自信があるかということになりますと、私どもは完全に自信があるとはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、しかし、とにかく厚生保険特別会計の健康勘定を預かっております保険庁、それから、私どもは企画のほうでございますが、お互いに相談しながら何とかこの危機を乗り越えていかなければならないと思っております。ただ、繰り返し申し上げますようでございますけれども、実施の時期がずれたという分は、これはいわば物理的な赤字といいますか、そういう形で出た分でございまして、少なくとも単年度一年間の特別会計のあれからいえば確かに赤字はふえますけれども、しかし、特別会計を単年度分として見た場合には、つまりただいまは八月でございますけれども、八月から来年の八月というふうに一年間を見た場合には、少なくとも赤字が全然出ないとは申し上げられませんけれども、何とか今度の修正によってでも、厚生保険特別会計の健康勘定は、従来よりも、つまり全然手当てをせずに放てきしてしまうよりもはるかに健康勘定自体の中身は健全化していく、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
#106
○柳岡秋夫君 まあとにかく厚生大臣も立ち会って同意した以上は、今後の財政危機を乗り切る自信があってのことだと私は思うんですよね。で、いま保険局長も、今後の健康勘定は非常によくなっていくだろう、こういうことですが、それでは、一方では、先ほど、三たびこれ以上今度保険料の引き上げや一部負担の増額というような暫定対策はいたしません、こういう約束をしておるわけですから、今後万一赤字が出た場合には一体どうするんですか。
#107
○国務大臣(坊秀男君) 先ほどからも申し上げておりますとおり、四十三年度からは抜本対策のスタートを切ってまいる、かように申し上げておるのでございます。そこで、将来そういったような、いよいよ抜本対策に入った二年、三年先のことでございますけれども、もし今後赤字が出たらどうするか、こういう御質問のようでありますが、これは抜本対策の立て方でございますが、私先ほどから申しておりますように、財政が今日いまの制度では非常に脆弱である。財政が脆弱であるということが赤字を生む一つの大きな原因になるだろうと思います。そこで、われわれが考えております抜本対策というものは、財政を確立いたしまして、そうして赤字の出ないような仕組みに持ってまいりたい、かように考えておるのでございます。それでも、なおかつ、そういったようなときに赤字が出たらどうするんだ、こういうことにつきましては、私はここで、まだ抜本対策もできておりません今日に、その赤字が出たらどうするんだということについてはお答えいたしかねる次第でございます。できるだけ赤字ができないように仕組みをこしらえていきたい、かように思います。
#108
○柳岡秋夫君 赤字が出ないようにしたいといっても政府原案が修正をされているわけですから、それは実施の時期のズレによるものは別な考えがあるかもしれませんけれども、料率が七十二から七十にされ、一部負担が七一%以上のものが免除をされるということですから、赤字は当然出るんじゃないですか。さらに、来年度も抜本対策がいまだもって具体的に検討されておらないとすれば、来年度も赤字が出てくる。こういうものに対して、保険料率も上げない、あるいは一部負担の増額もしない、いわゆる暫定対策としてはそういうものはやらないということが約束されるならば、あとどういう形でやるんですか。これは考えられることは、政府が責任を持つ、国庫負担によってこれを解消していく、それ以外ないんじゃないですか。ほかにありますか。
#109
○政府委員(熊崎正夫君) ことし生じます赤字につきましては、これは先ほど保険庁の医療保険部長から申し上げましたとおり、何とか大蔵のほうと話をいたしまして、借り入れ金でもって、生じました赤字分については支払い遅延の起こらないように措置をしていくことにいたしております。
 それからこのまま放置をいたしまして、来年保険料率の改正なり、あるいは一部負担の改正などを私どもはやるつもりはないわけでございまして、来年は、何とかこのたびの法律案を御可決していただければ、その線に従いまして来年度もなるべく赤字が生じないように努力をいたしますと同時に、やはり片一方において抜本対策を来年度はスタートをする時期でございますから、抜本対策の中で片一方の政管の赤字が生じないような措置をとっていく、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
#110
○柳岡秋夫君 来年度の抜本対策の中で赤字の出ないように考えていくというその内容は国庫負担か、あるいは厚生省が考えておられるいわゆるプール制、健保なり共済とのプールによって、低いほうに高いほうから金を流して赤字を解消する、その以外にないのじゃないですか。ほかにありますか。
#111
○政府委員(熊崎正夫君) どのような抜本対策を講じていくかということにつきましては、まだはっきりしたことを申し上げる段階ではございませんので、先生のおっしゃられるような方法も一つの方法でございましょうし、その他いろいろの方法をこれから検討していくということでございまして、方法等につきましては必ずしもそれだけの方法というふうには私ども考えておりません。それはそういう方法もございますけれども、それ以外にいろいろな方法を今後とも検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#112
○柳岡秋夫君 とにかく、日本の現在の医療制度そのものが、さらに抜本的な改革と申しますか、近代化、合理化、こういうものがあわせてやられない限り、いまのままでいけば、今日よりさらに政管健保の危機というものは来ると思うんですよ。保険局長は、来年度は絶対に赤字の出ないようにしたい、この法律が可決されればと、そう言っておりますけれども、これは幾ら保険局長がそう言っても、私は、肝心な基本になるものが解決されない以上、来年度は今日よりもさらに赤字が出るということは必至だと思うんですよ。これに対してどうするか、これは一番国民が聞きたいところじゃないかと思うんですよ。また、ここで保険料の引き上げとか暫定対策はいたしませんというお約束をしても、これは大臣には悪いけれども、厚生大臣だって来年どうなるかわかりませんでしょう。厚生大臣でいられますか。福田大蔵大臣は、去年国会で、昭和四十二年度からは明るい展望をもって医療保険制度が発足することになりましょう、こう大みえを切っているんですよ、衆議院の予算委員会で。それが今日なお実現をされておらない。うそをついたまま今度は幹事長で居すわっているわけでしょう。これは坊厚生大臣にしたって、ここで約束しておりましても、また政管健保の崩壊するような危機が来ますと、だからひとつ国庫負担も若干ふやすけれども、被保険者の皆さんも負担をしてください、こういうふうにやることになっているわけですよ。絶対にないというならば、その赤字の対策についての具体的な考え方というものをここで示してもらわなければ、国民はやはり安心できないのじゃないですか。どうですか。
#113
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、私が来年厚生大臣の地位にいるかどうかというようなことにつきましては、これはここでどうだと申し上げる性質のことではございません。そういうようなことではございますけれども、佐藤内閣と申しますか、自由民主党内閣と申しますか、まあこれは社会党さんがまた社会党内閣をおつくりになるかもしれませんけれども、自由民主党内閣というものがもし続いておりますれば、やっぱりその政党が考えました抜本対策と申しますか、かりに私が考えました抜本対策というものは、その次の内閣なり次の厚生大臣に受け継がれていくのが政党政治であると思います。
 そういうようなわけでございまして、いま柳岡さん御質問の、一体、赤字ができたらどうするんだということについては、私や、あるいは熊崎局長がお答え申し上げましたとおり、できるだけ赤字のできないような抜本対策を立てていくと、こういうことで、それは厚生大臣が私であろうとだれであろうと、これは引き継いでいくのが政党内閣でございまして、私は鈴木前厚生大臣がいろいろとお約束をしたり言明をしたりしたことにつきましては、一々これを私は存じ上げてはおりませんけれども、しかし、鈴木厚生大臣が言われたことにつきましては、私はこれについて責任を回避するといったような考えは毛頭持っておりません。これははっきり申し上げます。
#114
○柳岡秋夫君 まあ抜本対策をやるのも、大蔵省に首の根っこを押えられていてはどうにもならないんだというのが厚生省の本音なんですよね。これは次官が言っているんですから、間違いないと思うんですよ。その大蔵大臣が、先ほど、日本の医療保険制度は保険制度であるから、あくまでも受益者負担と申しますか、それぞれの当事者間でまず財政というものを確立しろ、その上に立って、必要なら国庫で若干でも負担をしよう、補助しようというような考え方ですからね。そうしますと、厚生大臣は先ほどの答弁では逆なことを言われたんです。国庫負担をできるだけやって、その上で当事者間の負担を考えると、こういうことを言われたんですけれども、大蔵大臣とはまるきり違うんですよね、姿勢が。こういうような違った姿勢の中で、赤字が出た場合にどうするかとなると、これは大蔵省が首の根っこを押えているわけですから、私はまたまた水田大蔵大臣のあの考え方、当事者間でとにかく財政の危機を救うという、そういう考え方が出てきて、ここで約束されたものがほごになり、来年度また暫定対策というようなものが出てくるのではないか、こういう危惧を感じているわけですが、どうですか。
#115
○国務大臣(坊秀男君) 先ほど私が申し上げましたのは、今度の暫定対策を立てるにあたりまして、これはどうしてもまず政府ができるだけの金額を負担をしてもらいたいと、その政府が負担してもらうことによりまして、それによってその他の保険の関係者にひとつ負担をしてもらうと、こういうことを申し上げたのでございまして、何もみんなが先に負担をして、どうしてもいけないから、そこでぎりぎりのところで大蔵省に頼むと、こういったような方式は私はとらない。大蔵省に対しまして、まず第一に大蔵省がひとつ政府負担というものを思い切り出してもらいたい、こういうことを申し上げまして今度の暫定的な措置をとったと、こういうわけでございます。
#116
○柳岡秋夫君 医療保険部長は、この修正によって出る赤字の埋め合わせに、予備費が百億あるから、これを使っていいんだと、こういうようなことをこの間言われたですね。これはできるんですか、実際こういうことが。
#117
○政府委員(加藤威二君) 結局今度の修正によりまして、たとえば保険料率の改定ということによって五十六億の赤字が出ます。それから薬剤の一部負担を減免するということによって四十七億ですか、これは満年度実施時期を入れまして四十七億というような、合計百二億の赤字が出るわけでございます。予備費というのは、これは厚生保険特別会計にあります予備費で、予算上百億でございます。その予備費の財源といたしましては、借り入れ金を財源に充当しておるわけでございます。それで、ほんとうは予備費の財源というものは当然保険料で取っておくべきものでございますが、予備費に見合う収入というものは保険料で用意しておくべきものでございますが、こういう財政ではその余裕がございませんので、結局歳出の上に予備費百億と。この予備費というのは、歳出が予測以上にふくれたときに、歳出権を確保するために百億という予備費を、まあ医療費が先ほど申し上げましたように、非常に見積もりが動くものでございますから余分に取っておくと、その財源といたしましては借り入れ金の百億があるわけです。で、借り入れ金は四十二年度では千三百三十七億これは前の累積赤字も全部ひっくるめて千三百三十七億の借り入れを厚生保険特別会計としてやっておりますが、そのうちの百億というのは、これは四十二年度の予備費財源の借り入れ金のワクがございます。私が申し上げましたのは、したがって、この思わざる修正によりまして赤が出たという場合には、百億の財源が借り入れ金のワクとしてあるということでございます。しかし、これもまあ医療費がずっと増高して予算よりもワクがはみ出すということになりますと使えない場合も出てくるかと思いますけれども、一応財源としてそういうものもあるということを申し上げたのでございます。
#118
○柳岡秋夫君 いま中医協で、医療費の緊急是正ということで、入院料、あるいは手術料、そういうものの引き上げはやむを得ないだろう、こういうことを厚生省も考えているのじゃないですか。そうして、そのための財源としてこの予備費の百億を充当しよう、こういうことを言っているのじゃないですか。もしそうだとすれば、この百億を赤字のほうに使ってしまえば、入院料や手術料の緊急是正のための財源は一体どこから持ってくるわけですか。
#119
○政府委員(熊崎正夫君) 中央医療協議会の結論がどのように出るかということは、ただいまのところ、まだ予測はできておらないような段階でございまして、これは一応結論が出たときに考えなければならないことでございますが、いずれにしましても、いつからどのような形で上げていくかということにつきましては、結論が出た上で私ども財政当局その他と相談をしたい、こういうふうに思っておりまして、時期的な問題、それからどの程度の幅の問題等がいろいろございますので、現在のところ、まだ予測は全くついておらないような状況でございます。
#120
○藤田藤太郎君 ちょっと一言だけ。中央医療協の委員の任期はあしたでしまいだそうだね。そうしたら、あした結論を出さなきゃ中央医療協はいかぬ状態に追い込まれて、あした出るのじゃないですか。結論がいつ出るか知りませんというような、そういうよそのことのような答弁では、ちょっといま柳岡君の質疑と合わぬのじゃないか。
#121
○政府委員(熊崎正夫君) 委員の半数の交代の時期が八月十三日になっておりまして、したがいまして、中央医療協議会のほうに本日も精力的にその調整に公益委員の方々が努力しておられるところでございます。ただ、上げ幅がどの程度になるか、それからいつ実施するかというふうなことは、これはまだ私どもも正確には公益委員の方からも承っておりませんし、まだ煮詰まっていないような段階にございまして、これは上げ幅をいつから実施するかという問題が実は非常に、問題であると同時に幅が出ましても、その財源をどこから持ってくるかということにもからむわけでございまして、たとえば医師会のほうは、薬価基準の改定によりまして下がった分はこれを全部技術料のほうに振りかえてもらいたいというような御要望も出ておりますし、財源自体をどのような形でこれを配分していくかということについては、いつらスタートするという問題にもからみまして、なかなか確たる御返事はできないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、結論をいただきまして私どもとしては財政当局と協議いたしまして、慎重に対処してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#122
○柳岡秋夫君 厚生大臣は、この特例法が成立しなければ、職権をもって薬剤給付から大衆薬をはずす、こういうことを福田幹事長に言われておりますね。ところが、今度は大幅修正によって、幾ら保険局長や大臣が来年は赤字が出ないようにしますといっても、これは出るにきまっているわけです、いまの状態では。そうすると、明年度以降赤字が出た場合に、この大衆薬をはずすようなことをするのですかしないのですか。
#123
○国務大臣(坊秀男君) 確かに私は幹事長に対しましてそういうことを申し上げたということは否定いたしません。と申しますることは、今度の緊急対策が全然もうできない、不成立になってしまうということになりまするならば七百四十五億という赤字が生まれるわけでございますが、その七百四十五億の赤字をかかえたまま政管健保を運営していこうといたしますと、先ほど来申し上げておりますとおり、非常な危殆に瀕してくる。そうすると支払い遅滞なんというようなことが万が一にも起こりますと、これは国民保健上容易ならざる事態であろうと私は思うのです。さようなことになる前に、厚生大臣は、ほんとうに厚生省も、それから政府も、単に厚生大臣だけの問題で私はないと思います。懸命の努力を払いまして、そういう事態におとしいれないように努力をしてまいらなければならない。その努力をしてやっていく方法論といたしましてはいろいろございましょう。大蔵省と話し合って、あるいは緊急の借り入れ金をする、あるいは、また、そのことだけにでも、ひょっとすると臨時国会を開きまして、そうして措置を願わねばならないといったようなことさえ私は考えなければならない、支払い遅滞におちいるなどということになる前には。だから、そういったようなことをあらゆる手段方法を尽くしてやらねばなりませんけれども、その中におきまして大蔵省と交渉するのは、これは相手のあることでございます。いわんや、こういう問題で臨時国会をお開き願うということもなかなか困難なことだと思います。さような場合に、厚生大臣として制度上なし得ることは何が残っておるかと申しますと、大臣といたしましては、いま柳岡さんおっしゃられました大衆保健薬といったようなことが、行政行為として、これに対してただ一つそういうことが厚生大臣としての残されたことですが、しかし、さようなこともこれはやるべきことではない、私は重々さようなことはやるべきことではないということを考えておりますけれども、どうしても支払い遅滞におちいるといったような場合には、やはり保険の支出というものを押えてかかる一つの方法としては、そういったようなことがただ行政行為として許された一つの道であるというようなことで、いろいろの方法の中でさようなことはやるべきことではないけれども、やらなければならないといったような事態もあるかもしれない、こういうことを申し上げたわけでございます。
#124
○柳岡秋夫君 端的に答えてください。何だかさっぱりわからない。私の聞いているのは端的なんですよ。赤字が出たら大衆薬というようなものをはずすつもりなのかどうかということを聞いているわけです。端的に答えてください。
#125
○国務大臣(坊秀男君) 七百四十五億といったようなまるまるの赤字が出るというようなことがあった場合にはこれは私はやりたくありません、やりたくありませんし、今日御審議を願っておりまして、おそらくこの暫定対策というものは御審議、御決定を願えるものではないか、かように私は考えております。そこで、さようなことから考えまして、私は、でき得る限りそういったような、何と申しまするか、厚生大臣の非常手段と申しますか、そういったようなことはやるべきではないということは考えております。
#126
○柳岡秋夫君 どうもはっきりしません。
 そこで、今回の国庫負担の二百二十五億というものの根拠ですか、性格、積算の基礎というものを明らかにしてください。
#127
○国務大臣(坊秀男君) 数字でございまするので、二百二十五億がどういうことで積み上げていったか、こういったような御質問かとも思いますけれども、去年予算におきまして百五十億というものが政府の負担として支出をせられたのでございますが、去年のそういった予算をベースといたしまして、それよりもできるだけたくさん支出をしてもらいたい、こういうようなことで、厚生省の予算の中では五割増しになっておるのでございます、百五十億に比べまして。私どもといたしましては、先ほども申しましたとおり、できるだけ政府負担というものをまず大きく出してもらいたい、こういうことを要求したのでございますが、結局五割増しのさっきの二百二十五億というところで予算の、何と申しますか、まとまりがついたと、こういう次第でございます。
#128
○柳岡秋夫君 政府は三者三泣きということをよく言うんですよね。そうすると、昨年は千分の二上がって百五十億なんだ。これに比較すれば、ことしは千分の五上げるわけです。当然三百億以上の国庫負担というものがなければ、これは均衡というか、筋が合わないんですよ。
#129
○政府委員(熊崎正夫君) 御指摘のように、昨年は千分の二しか上がらなかったわけでございますけれども、政府原案におきましては千分の七を引き上げるということで、それに合わせて国庫負担を百五十億というふうに政府原案としては出しておったわけでございます。ただ、昨年と違います状況につきましては、昨年は、それ以外に、先ほども申し上げましたように、標準報酬を五万二千円を十万四千円に引き上げましたその分が、料率でいいますと千分の三に該当するわけでございまして、いわば修正されました残りのあとの千分の二と、それから標準報酬の上限を引き上げる、それが千分の三相当、それを合わせますと今回の場合と同じように千分の五に該当いたしまして、私どもは、昨年の百五十億に比べまして二百二十五億といいますものは、非常に国庫負担としては、まあ決して多いとは言いませんけれども、私どもとしましては、十分全力をあげた努力をした結果ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
#130
○柳岡秋夫君 数字はいろいろやりようによって出てくると思いますけれども、五割増しだというならば、今度の料率も私は千分の六十六が妥当だと思うんですよ。三者三泣きで、被保険者にも同じように泣いてもらいましょうというならば、国庫負担が五割増しなら、いまの千分の六十五を五割増しにして千分の六十六にしたらいいじゃないですか。そんならほんとうの三者三泣きじゃないですか。それを片方は千分の七十二、修正されて千分の七十、これは被保険者が、三者三泣きでも、大きな声で泣かなくちゃならない。いかがですか。
#131
○政府委員(熊崎正夫君) また最初の昨年の政府原案にこだわるようでたいへん恐縮でございますけれども、昨年の大体対比を申し上げますと、昨年は七百二十億の赤字につきまして、政府原案におきましては、料率と標準報酬の上限の引き上げで全体で四百二十八億、率にいたしますと大体五〇%はこういう歳入対策、しかも、事業主と被保険者の歳入対策でまかないまして、それに比べまして国庫補助が二〇%、百五十億ということになっておるわけでございます。これがいま柳岡先生御指摘の分は、料率のほうが千分の七十が千分の六十五になったということをおっしゃっておられるわけでございますけれども、それでも国庫負担と比べてみますと、標準報酬の上限の分のウエートが非常に高いわけでございます。ところが、今回の政府原案七百四十五億の赤字につきまして二百二十五億をきめた際の経緯につきましては、これは三者三泣きというふうな柳岡さんの御主張がございましたけれども、私どもとしましては、被保険者百六十二億、事業主百六十二億、それに患者の一部負担が百七十億、それに比べまして国の負担は二百二十五億ということで、四者のうちで国が実は一番多く負担をしておるというふうな考え方も成り立つのではなかろうかということを申し上げたこともございますけれども、いずれにしましても、昨年に比べまして私ども百五十億が二百二十五億にふえておるということは、修正の結果の数字で突き合わせましても、私どもとしては、国の負担は昨年に比べてずいぶん多いというふうに判断をいたしておるわけでございます。
#132
○柳岡秋夫君 大幅な国庫負担だということを盛んに厚生省は言うんですけれども、一番最初に私が申し上げましたように、決して大幅じゃないと思うんです。これは昨年の料率改定なりによって、あるいは一部負担というか、上限の改正によって千分の三相当と言われましたけれども、そういうような改正によって二百何億かの負担をしておるわけですよ。負担増になっていると思うんです、被保険者は。それにさらに今度の改正でもって三百億かの負担増になっておるわけですよ。そうしますと、それと国庫負担の百五十億から二百二十五億というものを見ると、これは被保険者の負担増と見合っての国庫負担としては七十五億しかふえていないのです。ですから、決して大幅な国庫負担ではない。だから、国庫負担というものに対しての考え方というものを私はこの際はっきりとしてもらわなくちゃいかぬと思うのです。何か先ほどから申し上げておりますように、厚生大臣の言うことと大蔵大臣の言うことでは、国庫負担に対する考え方が違うのですよ。その辺をやはり政府内で意識統一をしてもらわないと、これは今後のいわゆる抜本対策にも大きな関係があると思うのです。一体国庫負担の考え方をどのように持っておられるのか。大蔵大臣は先ほどああいう形で言われましたけれども、あれが佐藤内閣の医療保険制度に対する国庫負担の解釈なのか、あるいは厚生大臣の言っていることが国庫負担の考え方として統一をされているのか、その辺をやはり明らかにしてもらいたいと思うのです。
#133
○国務大臣(坊秀男君) この社会保障関係につきましての国庫負担、社会保障と国庫負担という問題でございますが、これはほんとうに私は根本的な重大な問題だと思います。で、先ほどからも申しておりますとおり、現在の日本では、これは御承知のとおり、保険方式をもってやっているわけでございます。これを保険方式を全然改めて、そうして国家保障方式でやるということも私は一つの考え方だと思います。しかし、いずれにいたしましても、根本的な考え方を述べろというお話であったものでございますから、そういう考え方もあろうと思います。そこで、私は、現行制度におきましては保険方式をとっておりますが、これを柳岡さん御主張のように、国家保障ということに持っていくべきだということは、これこそ私は根本的な抜本的な、議論をするときに相当私は慎重に議論を重ねていかなければならない問題だと、かように思います。と申しますことは、国家保障と申しましても、その財源というものは、これはやはり国民の税収入というものから出てくるものでございまして、釈迦に説法でございますけれども、ほかから出てくるわけのものではございません。そういったものと、いま保険方式というものは、その保険に関係するものが、これは総合的にひとつ補助をしていこうというたてまえでやっているのでございまして、そこを一体どういうふうにしていくかということは、非常に私は大事な社会保障の問題であろうと思いますので、これは当然真剣に基本的に議論をし、検討もしてまいらなければならない問題だと、かように私は考えております。
#134
○柳岡秋夫君 国家保障とか、飛躍しちゃいかぬですよ。私の言っているのは現実に合わせて言っているのですから、大蔵大臣が言ったのは、健保財政というものは、保険制度なんだから、本来労使で調達をすべきものだ、しかし、当事者では処理不能な場合に国家が補助をするのだという考え方が大蔵大臣なんですよ。ところが、厚生大臣は、できるだけ国庫から金をとる、その上に立って三者三泣き、国も泣きましょう、被保険者も泣きましょう。事業主も泣きましょうという三者三泣きなんですよ。とすれば、国も積極的に三者負担という方式に立ってその拠出に参加をしていく、そういう立場をとるのかどっちかと、こういうことを聞いているのですよ。保険制度か国家保障か、こういうふうな極端なものじゃないのです。現実に合わせて大蔵大臣の考え方に立つのか、それとも厚生大臣の言う考え方に立つのか、三者負担方式に立つのか、特にこの政管健保というような、組合健保や共済組合と違って、非常に財政的に弱い、そういうものに対して、さらには保険者が政府である、国であるという、この国の保険者としての責任の立場から三者負担というものをこの際とっていく、そういう方向を指向しているわけでしょう、厚生大臣も。一体どっちをとるのかというのです。そして二百二十五億というのは、これはどっちなんだということを聞いているんです。
#135
○国務大臣(坊秀男君) 非常に基本的な問題でございまするから私は先ほど来ああいうお答えを申し上げたのでございますが、今度の暫定対策というのは、これはもう臨時緊急対策でございますので、いわゆる三者三泣きと、こういうことで、それで二百二十五億というものは政府もひとつまっ先に負担をしてもらいたい、こういうことでやっております。これは暫定対策でございます。それから、恒久的な、抜本的な対策というものについてどうしていくかということにつきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、これは非常に重大なる基本的な問題でございますので、検討も議論も要する、こういうことを申し上げたのでございます。
#136
○森勝治君 関連で質し問たいんですが、先ほど大蔵大臣がおられましたときも私は関連で質問しました。そのときにあなたの御答弁と大蔵大臣の答弁は明らかに食い違いを見せ、この会議場が紛糾を重ねました。これは大臣御承知のとおりでございます。しかし、大蔵大臣が直ちにお帰りになりましたから、この問題は月曜日に持ち越しになりましたが、いま重ねて柳岡委員が、大蔵大臣と厚生大臣の食い違い、すなわち、佐藤内閣の本件に対する姿勢の問題について重ねて質問をいたしましたところが、そのことはどうしてもぼかして、あなたは明らかにしない。しかし、これは非常に大切でございます。佐藤内閣の禄をはむ厚生大臣と大蔵大臣ですね、大蔵大臣のこの政管健保に対する基本的な考え方が違っておるわけでありまするから、これは私どもは反対党の社会党といわず、国民にとりましては、はなはだ奇異な感を抱いたわけであります。なぜあなたは率直に言わないか、あなたはできるだけ国庫負担を取りたいと言う。大蔵大臣はそんなのは出す必要はないと言われている。特に大蔵大臣はこう言われておる。柳岡君が指摘しましたが、それはもう労使双方でけりをつけなさいよみたいに言われている。政府はわれ関せずと、こういうそぶりであった。だから私は高利貸しのようなことを言うなというやじを飛ばしたが、先ほど藤田委員もつぶさに指摘をされました。わが国の生産は四倍にふえておるわけであります。生産は世界第一流となりましたが、このわが国の産業興隆のために献身的に奮闘努力し、生産の第一線に立った労働者の生活はどうか。その収入というものは、あなた方よく外国の例を出されるから、私もちょっとまねして言いたいのですが、アメリカの労働者の賃金に比べて、日本の労働者の賃金水準は七分の一ではないでしょうか。西ドイツの例を見てごらんなさい。西ドイツの労働者の二分の一じゃないですか、わが国の労働者は。しかし、生産は第一流、四倍に上がっています。ところが、そこに働く労働者は、いま言ったように、低賃金をしいられている。大衆収奪が繰り返し繰り広げられておる。しかも、アメリカの労働者、外国の労働者は、御承知のように、自家用車を、はなはだしきは飛行機を持っておる人がおるという。ところが、どうです、日本の労働者はあばら家でしょう。外国の新聞の記事を見ますと、よく日本の労働者は木と紙と竹のあばら家に住んでおる、マッチ一本でその全財産が五分か三分でもう灰になってしまう、そういうみじめな生活をしいられておると言っておる。そこで、佐藤さんは就任早々、人間尊重ということばをうたい文句にして、盛んにこれを主張しておられるが、人間尊重という考え方が佐藤内閣にして看板に偽りなきものとするならば、厚生大臣、あなたのお答えと大蔵大臣の本件に関する答弁というものは明らかに一致しなければならぬわけであります。なぜ大蔵大臣と厚生大臣の見解が違うか、これは人間尊重などといううたい文句はしているけれども、大衆収奪に根ざすあなた方の政策というものの矛盾というものがここに出てきておると私は断ぜざるを得ないわけであります。関連質問でございますから、あまり多くを語ることはできませんけれども、この一事をとってみても国民生活を顧みないと言わざるを得ない。生産を興隆し、わが国の産業の伸展に著しく寄与したならば、その労働者が病気になったということならば、当然これは政府や経営者が日本の労働者の生活と健康を保障するのがあたりまえでしょう。憲法には明らかにこれを明記しているじゃありませんか。ところが、あなた方は、先ほどの答弁を私どもは聞いておったけれども、何が何だかさっぱりわかりません。のらりくらり、これでは話にならない。これではあなた方が国民に顔向けができますか。厚生大臣、どうですか。あなた方は真剣におやりだと言うけれども、一昨日以来の当委員会におけるこの質疑応答を国民は何と受け取っておられますか。厚生大臣の答弁は、まず投げやり、出たとこ勝負、大蔵大臣がいるときには低姿勢な発言をし、いなくなれば国庫負担をできるだけ多く取りますと、ぬけぬけと言う。私はつるし上げをする意思はないけれども、あなたの答弁を聞いておるとまさにそうだ。佐藤総理はえりを正すと言う。しかし、佐藤総理はよく団十郎ということを言われるけれども、いかに佐藤総理が国会というひのき舞台で団十郎ばりにみえを切ろうとも、国民を戦争のふちに引きずり込んだり税金を上げたり、こういうふうに国民の生活というものを顧みないようなことになっては、これは佐藤総理の言う人間尊重になりません。したがいまして、私は、特にもう一度大蔵大臣と厚生大臣でありますあなたの考え方の食い違いの点を――これでもう私が一番最初にこのことはやりましたが、しかし、柳岡君が再び食い違いをただしました。したがって、あなたは答弁をされておらぬから、三たびひとつはっきり言ってもらいたい。とにかく閣内の不統一が明らかになりました。したがって、ひとつお答えができなければ休憩していただいてもけっこうですが、直ちに閣議ということにもまいらぬでしょう。そうなると、閣議を待っておるわけにはまいりませんので、そのことはあとに回してもけっこうでございますが、少なくとも、これは非常に大切なことでございますから、いわば佐藤内閣の基本的な問題とも称すべきでありましょうから、どうかひとつこういう点を、福祉行政、消費者行政というものをなおざりにしてないという証拠をひとつ見せていただきたい。
#137
○政府委員(岩尾一君) ただいま大蔵大臣と厚生大臣の御発言に違いがあるようなお話でございますが、決して違いはないのでございまして、先ほど最初に大蔵大臣が参りました際に御質問になりましたのは、健康保険に対して大蔵大臣はどう考えるかというお話でございます。そこで、現在の社会保障制度の中におきます医療保険に対して、国はどういう考え方で国庫負担をしていくのかということを大蔵大臣がお話しになったわけでございます。その際には、三十七年の社会保障制度審議会の答申を引用されまして、どういうふうなテンポでやっていったらいいのかということを申し上げたわけでございます。そこで、本来、医療保険につきましては、国がその分について定率、あるいはそういった形で負担すべきものではないけれども、しかし、たとえば国民健康保険におきますように、使用者がいない、あるいは日雇健康保険のように、非常に低所得であるというような場合には国が負担することがある。あるいは健康保険に対して非常に赤字が出てきた、こういう場合には臨時応急の策として国が負担することもあり得る、こういうことを申し上げたわけでございます。そこで、厚生大臣は、今回の赤字につきまして、こういう赤字が出た場合に国としては十分みてくれ、こういうことをおっしゃったのであります。私らといたしましては、この今回の大きな赤字については、できるだけ厚生大臣のお気持ちも体して、国も負担していきたいということで二百二十五億円というものを負担した次第であります。したがって、大蔵大臣と厚生大臣の間には、何ら意見の食い違いはありません。
#138
○国務大臣(坊秀男君) 午前中にも私はお答え申し上げましたが、ただいまの医療保険は保険方式をとっております。そこで、本来ならば、それは保険方式でございまするから、これは保険関係者が運営をしていく掛け金と給付ということでございますけれども、しかしながら、厚生大臣といたしましては、これは日本の国民の健康に非常に重大なる関係のあることである、さらに、また、国民の皆保険ということがうたわれておるといったようなことでございますので、厚生大臣といたしましては、この医療保険というものを民間におけるコマーシャルベースでやっておる保険企業といったようなものとこれは分けて考えなければならない、そういうことであってはならない、これは午前中にも申し上げたわけでございます。そこで、そういったような立場に立ちまして、厚生大臣といたしましては、皆保険等の立場から、できるだけこの低所得者階級といったような人たちに対してやっぱり措置をとっていかなければならないというようなことから考えまして、あるいは赤字が出てきた場合、あるいはその他の場合といったようなときに、これはできるだけひとつ政府が腰を入れてもらいたい、こういうことを厚生大臣としては主張をしてまいっておりますし、今後もしてまいるというつもりでございます。
#139
○森勝治君 私は、先ほど厚生大臣に質問いたしましたら、はからずも大蔵省が答弁されたこと、これはこの考え方が那辺にあるか、私はまことに迷惑なんですが、この点ひとつ今度は大蔵省に、なぜ質問もしないのに、答弁を要求していない――大蔵省ちょっと待った。大蔵省には何ら質問をしてない。厚生大臣とはっきり私は恐縮ですが、名をさしてということばを使いますよ、質問いたしましたところ、大蔵省が出しゃばってきて答弁などということはまことに失敬千万、どういうつもりで発言をしたのか、私は大蔵省の真意を聞きたい。
#140
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#141
○委員長(山本伊三郎君) 速記を始めて。
#142
○藤田藤太郎君 ちょっといまの議論、まあ二人の食い違いの議論としてこう出ているわけですね。盛んに厚生大臣は大蔵大臣と食い違ってないと、こうおっしゃっておるわけです。いまの大蔵省の岩尾主計局次長さんですか、あなたのおっしゃっていることは、あなたのおっしゃっていることを聞いていて、さっき私は言おうと思っていたのだけれども控えたのですよ、関連ですからね。しかし、いまおっしゃったことと同じことを言うているのじゃないの。昭和三十二年に約束して、大蔵大臣も社会保障確立のためにやっていくという、中小企業労働者のことだから、これはやっぱし中小企業の苦しい中で働いている方々だから、今後社会保障確立のためにやっていくということをあなたの大蔵大臣が明確に言っているんですよ。そうしてその厚生大臣も約束をしているのです。それをのうのうとあんた全く知った顔をしてそんなことを大臣にかわって言っていいの。もっとよく調べてからおっしゃいなさいよ。そうでなければその政府管掌の保険の問題の理屈が出てこぬでしょう。それを出しゃばってという言い方をされたが、ほんとうにあなた何んにも知ってないのに、そんなことでまた大蔵大臣に忠勤をするような、そういう答弁のしかたは、これは混乱さすものじゃないですか。あなたはもっと調べて、ここでどんなものが議論になったかということを調べて、それから、委員長に預けてある問題まで関係して横からあなたがおっしゃるというのも少しおかしいんじゃないですか。これはいま私は議題になっていないから、これ以上は関連だからやりませんけれど、少しあなたちょっと出しゃばりですよ。ほんとうに出しゃばりですよ。もっと歴史をちゃんと調べてもらって、この委員会で何が議論されてきたか。これからあらためてこの委員会でやろうというときにあなたの考え方をおっしゃったり――間違っているか合っているか知らぬけれども。われわれ社労委員、長くみんなやっておる。先輩が苦労して苦労してあの三十二年の危機を救ってきたのじゃありませんか。みんなが与党、野党も苦労して、政府管掌の中小企業の労働者の健康を守っていこうと言って、ほんとうに腹の底からこれを守ってあれをやったのですよ。それをのうのうとそんなことを言っちゃだめですよ。これはあなた少し出しゃばり過ぎですよ。今度大蔵大臣が十五日に来ますから、そのとき一緒について来て、それまでによく調べて、そうしてあなた返答してくださいよ。あんまりですよ。
#143
○柳岡秋夫君 どうも大蔵省が言うと厚生大臣はそれについていく、大蔵省がいなくなると厚生大臣は厚生大臣らしき答弁をするということで、非常にあいまいなんですよ。じゃあ三者三泣きというのは一体どういうことなんですか、それを一つお聞きします。三者三泣きということをよく言われるでしょう、厚生省は。これはどういうことなんですか。
#144
○国務大臣(坊秀男君) 大蔵大臣がおるときとおらないときとでおまえの言うことは違うじゃないか、全然私はさようには考えておりません。けさ午前中にお答えしたこととさつき重ねてお答えしたこと、これは全然私は大蔵大臣のおるときといないときとで変更をしておるとは考えておりません。
 三者三泣きということでございますが、これは今度の暫定対策をつくるにあたりまして、これもしばしば申し上げておりますとおり、ひとつこの危局を乗り切るために三者三泣きでやっていただきたい、こういうことを考えたわけであります。
#145
○柳岡秋夫君 そうすれば、この二百二十五億という額が三者三泣きにふさわしい額であるのかどうかということが一つ問題になってくるわけです。それと、先ほど来言っておりますように、まず国庫で出せるだけ出さして、その上に立って当事者間の協力を得るのだ、泣いてもらうのだというならば、それはその考え方は、いわゆる大蔵大臣の言うところの考え方と違った三者負担方式によるところの考え方、こういうものになるでしょう。積極的にその財政の調達のために参加をしていく、こういう立場をとるわけでしょう。それは間違いないわけですね。
#146
○国務大臣(坊秀男君) 具体的に申し上げますと、三者三泣きと申しますことは、まず政府ができ得る限りの負担をひとつしてもらう、それから、保険をやっていくところの事業主にも泣いてもらう、それから、被保険者にも泣いてもらう、それから、もう一つは、この被保険者及びその事業主、それだけに泣いてもらうということになりますと、千分の七十というのは千分の八十幾つというようなことに相なる。それではあまり高い、あまり急激に引き上げるということもこれはどうかというので、そこで一部負担ということを考えまして、そうして現実に給付を受けるという患者さんに対しても、初診時及び入院時並びに投薬時というときに負担をひとつしていただく、こういうことが三者三泣きということでございます。
#147
○柳岡秋夫君 国が保険者であるという法のたてまえからすれば、私は、当然政府がもっと積極的なこの財源の調達のために役割りを果たすということが必要だと思うのです。最近お医者さんの中では、国民の寿命は延びたけれども、医療技術は縮まった、こういうことを言っておりますけれど、今度の暫定対策を見ると、保険財政は黒字になっても家計は赤字になってしまう、こういうことを国民は訴えているわけですよ。一体このいま言われた二百二十五億、これの考え方と申しますか、それは単なる赤字補てんのためのものなのか、それとも他に何か目的があるのかどうか。たとえば三十二年のときには単なる赤字補てんではないのだ、三十億の問題にしても、日本の社会保障制度をより充実するための意味もあるのだということを言っておるわけですけれども、今度の二百二十五億というのはそういう考え方というものがあるのかどうか。
#148
○国務大臣(坊秀男君) 二百二十五億は、臨時にこの四十二年度をどうしてしのいでいこうかということで、それで、そのしのぐためには赤字をふさがなければならない、かような意味におきまして二百二十五億というものは赤字を補てんをしていくというのでございますが、まあこういうことになりましたのも、ともかく、国というものがやはりこれは責任もございますから、そこで、赤字をふさぐとともに、責任も感じたわけでございます。
#149
○柳岡秋夫君 私は一つも責任を感じていないと思いますよ。そもそも、この政管健保というのは、これは組合健保とか共済組合と違って組合健保とか共済組合の場合には、労使の代表が、あるいは理事会、あるいは評議員会、あるいは運営委員会、健康保険ですと総代会、こういうような機関があって、それで、この財政と申しますか、健康保険制度の運営、経営というものをやっておるわけですよ。ところが、この政管健保は、これは一切厚生省の役人が独善的に運営しているわけでしょう。社会保険審議会で若干意見を述べることがあっても、日常の運営は全部厚生省がやっておるわけでしょう。それで赤字が出たからといって、一方的に被保険者や事業主に負担をさせている、こういう不合理なことはないと思うのですよ。こうした経営の責任というものについて、私は、単に口だけでなくて、具体的に国庫負担なら国庫負担の面で責任をとるべきだと、こういうふうに思うのです。この点はいかがですか。
#150
○国務大臣(坊秀男君) 二百二十五億というものは赤字をふさいでいくためのものでございますけれども、しかし、そうなりましたことについては厚生省が責任を感じておりますので、そこで、二百二十五億というものを大蔵省に要求いたした次第でございます。
#151
○柳岡秋夫君 私が何か言うと、あなたはそれに従って何かこううまいことを言っているような感じを私は受けるのですよ。二百二十五億、これで経営の責任の一端を果たしているのだ、こういう言い方を今度してくるわけですよね。それには私はあまりにも少な過ぎると思うのですよ。やはりこの保険制度について、もっとこの保険制度なら保険制度らしいこの保険経営に対する責任、まあそれぞれの被保険者なり事業主なりが責任をお互いに持ち合えるような、そういうようなこの経営のあり方というものをこの際私は検討する必要があると思います。そうでなければ、私は、もっと国がこういう赤字が出た場合には一切の責任を持つと、こういうことでなければ筋が合わない。こういう点についてはどうお考えですか。
#152
○国務大臣(坊秀男君) こういう赤字が生じた場合には実際に国が責任をとるべきだ、こういう御意見でございますけれども、これは先ほど来私はしばしばお答え申しておりますとおり、いまの制度がこれは保険方式というものをとっておりますから、そこで、ひとつこの際は、国もできるだけ負担をいたしますけれども、保険の関係者が三者三泣きでひとつやっていただきたい、こういうことを考えておるわけでございます。
#153
○柳岡秋夫君 それならそのような民主的な運営というものをこの際はかるべきじゃないですか。運営には一切関与させないで、一方的に厚生官僚がやって、そのしりぬぐいを保険制度だからといって被保険者、事業主だけに押しつけていく、これはおかしいじゃないですか。どうです。
#154
○国務大臣(坊秀男君) そこでこういったような案をつくりまして、これを社会保険審議会、柳岡さんの非常に御配慮をわずらわしております社会保障制度審議会等におかけをいたしまして、長期間にわたりまして御審議を願ったと、こういう経過をだどっておるのでございます。
#155
○柳岡秋夫君 たとえば、もう一つのこの運営責任の問題で、組合健保、政管健保、それぞれありますが、その中で非常に政管健保は組合健保に比べて問題が多いわけです。それで、赤字の出ることも、単に給与が低いとか労働環境が悪いとかいう、そのことが一番大きいわけですけれども、そういう中で、業務上の疾病ですね、こういうものがすべてこの健保の中に流れ込んできているというような状態が非常にあるわけですね。これに対して、組合健保の場合は、組合自身が、一応監査といいますか、審査をしております。ところが、政管健保のほうは、厚生省がそういう責任を持っておりながら、ほとんどやられておらない。もしやられているとすればどういうふうにしてそういう審査をしているか、あるいはそういう混入の実情というものがどうなっているか、これを私は明らかにしていただきたいと思うのです。現在労災保険の指定医療機関というのは一万三千七百三十八件、それでほとんどが公的医療機関になっているわけです。私的医療機関というのはわずかに九千百件でございまして、全国の病院の二割弱でございます。そこで、先般来の改正によって現物給付というものに改められた、そういう関係もございまして、この指定病院がないためにめんどうくさいというようなこともあるでしょうけれども、健康保険でやってしまう、あるいは千円未満の疾病には事業主が負担するというような、そういう制限が撤廃されておりますから、そういう関係もあって、業務上負傷しながら、労災保険でやるべきものが健康保険でやられておる、こういうところにも問題があるわけです。そういうものについて政管の運営の責任者として問題が出てくるんですが、一体どういうふうになっておるんですか。
#156
○政府委員(加藤威二君) 柳岡先生御指摘のとおり、業務上の傷害が健康保険のほうにまぎれ込んできているといいますか、そういう業務上の傷害の、当然労災保険で支払うべきものがこちらに入り込んできているというケースがあるわけでございます。これは善意によるもの、あるいは場合によっては悪意によるものがあると思いますけれども、私どもといたしましては、できるだけそういうものは排除していくということで努力をいたしておるわけでございます。それで、行政努力の一環として私どもやっておるわけでございますが、しかし、そういうものはどうやって排除するかという具体的な方法でございますけれども、これは結局医療保険では、患者がお医者さんのところに行きまして保険の医療を受けますと、お医者さんがその医療費を支払い基金のほうにレセプトということで請求されるわけです。それで、支払い基金のほうでその支払いをした後に、そのレセプトというのが、全国二百二十カ所あります社会保険事務所、私どもの第一線機関でございますけれども、社会保険事務所に回ってくるわけでございます。これが年間にして一億二千万円くらいございます。非常に膨大な量でございますが、それを私どものほうの事務所ではレセプト点検と申しておりまして、一つずつ点検するわけでございます。全部はなかなかできませんけれども、最大限この点検を励行させております。その結果、たとえば被保険者でない者が被保険者として医療を受けたとか、あるいは被保険者の身分を喪失していながら、被保険考証だけをまだ持っておって、それでお医者さんにかかるというような、不正受診と申しますか、そういうものも出てまいります。その中の一環として、業務上の災害でありながら健康保険のほうに回ってきているというものもそこで見つけ出すわけでございます。で、このレセプト点検で四十一年度は十四億三千四百万の財政効果をあげておりますが、そのうちで業務上に該当するものが四%でございます。金額にして一億二千五百万でございますが、金額としてはまだそう大きいとは申せませんけれども、そういうことで、極力私どもといたしましてはこのレセプト点検を励行いたしまして、そういった業務上、その他こちらで支払うべき筋でないものについて極力それを排除していくということを今後ともつとめていきたいと思っているわけでございます。
#157
○柳岡秋夫君 昨年の十月の調べによりますと、労災保険の療養給付の件数、これが百七十五万件、政管健保のほうは六千六百万件といわれております。こういう中に軽症者の業務上の疾病というものが相当含まれているんではないかということがいわれているわけですね。それで、衆議院の社労におきましても、川崎のある工場でそういうような実例があったと、しかし、お医者さんはこれを拒むことができなかったと、こういうことをいわれているわけですが、それで、厚生省は、実情がわからないので、よく調べますと言っていますけれども、そういうものをその後調査していますか。
#158
○政府委員(加藤威二君) 柳岡委員御指摘のあの件は、衆議院におきまして御質問なさった方はちょっと失念いたしましたけれども、労働省に対して御質問がありまして、そして、労働大臣と局長が出ておったと思いますけれども、労働省のほうで調べるということになっておったと記憶いたしております。
#159
○柳岡秋夫君 この政管健保の赤字というものは、私は、単に医療費なり医術、医学、薬学、そういうものの進歩、そういうものだけではなくて、この収入の伸びの鈍化というものはやはり構造的な欠陥があると思うんですよ。これはいわゆる中小企業労働者の置かれている現状からして推察できるわけですけれども、こういう非常に恵まれないいわゆる低所得階層、これの負担というものは私は限界にきているのじゃないかと思うのです。で、元の鈴木厚生大臣は、前の国会で、被保険者の負担が限度にきている、こういうことを言っているわけですね。坊厚生大臣は、一体、この負担の限界をどういうところに置かれておりますか。
#160
○国務大臣(坊秀男君) 私は、政管健保の被保険者の負担がすでに限界にきておるということは、これは中小企業といえども、所得の幅が非常にある。それぞれの人たちの所得の多寡と申しますか、幅がたいへん広いと思います。そういうような意味におきまして、政管健保全体を通じて限界にきておるということは私は申し上げかねますけれども、あるいは非常に標準報酬の下のほうの方々の中には、これも、それがすべて限界だということも私は断定いたしかねますけれども、相当負担というものがきわめて軽いというようなものではない。限界にきておるかどうかということは、私は全体から見まして、これは限界だとか限界でないと、上のほうは決して限界ではないというふうに考えます。
#161
○柳岡秋夫君 いま政管健保の方々は厚生年金で千分の五十五、これは年金ですが、あるいは失業保険で千分の十四、それで今度健保で千分の七十、こういう負担ですね。これをこういうような大きな負担をされておるわけでございますが、社会保険審議会では、やはりこうした低所得者の負担をふやすよりも、いま厚生大臣がいみじくも言われましたけれども、上のほうは限界にきておらないと思うならば、私は、というよりも、社会保険審議会でも言っておりますけれども、この際、標準報酬上限をいまの十万四千円から十五万へ引き上げる、そのことのほうが負担の公平が期せられるのではないか、こういっております。ところが、保険課長ですか企画課長ですかは、あまり標準報酬の上限引き上げは財政効果がないのだ、こういうことを言っておりますね。去年五万二千円から十万四千円に引き上げて千分の三の効果が保険局長あると言われた。今回もし十万四千円から十五万円に引き上げた場合には、財政効果は一体どのくらい出ますか。
#162
○政府委員(熊崎正夫君) 実は上限の十万四千円を十五万円に引き上げるべきかというふうな御議論は、社会保険審議会の審議の過程においても、労働者側代表、被保険者代表のほうからはあったことはあるわけでございます。その際にも当局側からお答えいたしましたが、企画課長が財源効果はないというのはそのときのことかと思いますけれども、大体五十億程度の見込みはあるわけでございます。しかし、社会保険審議会におきましてもそういうような御主張はございましたけれども、しかし、多数は、昨年五万二千円から十万四千円に一挙に上げた。さらに十五万円に上げることについてはいささか問題があるということで、少数の意見にとどまりまして、多数は十万四千円にとどめるべきだというふうな結論をいただいておるわけでございます。ただ、昨年の場合に非常に財政効果があったといいますのは、昨年の標準報酬の上限五万二千円といいますものは、これを十万四千円に上げることによって非常に上のほうに入ってくる階層が多かったわけでございます。ところが、今回の場合には、十万四千円をこえる標準報酬につきましては十五万ということになるとすれば、これは確かに階層が非常に少ないわけでございまして、いわばそこで財源が多分に出るということはあまり期待できないということと、それから、社会保険審議会におきます審議の過程においても多数を制するまでには至らなかったというふうな経緯もございまして、十万四千円どまりということに結論として落ちついておるわけでございます。
#163
○柳岡秋夫君 ですから、公平と申しますか、いわゆるこの低所得者の方々の負担をともかく少なくしていこうというような考えがあれば、私はそういう財政効果がある程度なくても、この際、標準報酬の上限の引き上げをやって、料率は見送る、そうして国が負担をしていくというような形の対策が本来とられるべきではなかったか。そうして、あわせて、この下限、いま三千円から保険料をとられております、月額三千円の労働者から。やはり保険といいながら、この保険料を徴収しているということは、私は、常々この低所得者のために国庫はできるだけ金を出しているのだというようなことをいいますけれども、こういうところをこそ私は事業主に負担させて、事業主といっても、中小企業の場合は問題があると思うのです。ですから、政府がこういうものについては援助をして、政府がもっとこういうようなこともあわせこの際考えていく、そういう必要があると思うのです。こういうような標準報酬の整理、大体三十六等級というように区分をしているのはほかの国には見られないと思うのですよ。標準報酬方式をとっている国でこういうような三十六等級というような区分をとっておるのは、やはりできるだけたくさん保険料の収入をとろうと、収入をふやそうという大きな考えというか、そういう意図があるからそういうふうになってくると思う。これはやっぱりもっと整理をして、そうして低い収入の方々からはとらない。そうして負担の公平というか、とにかく限界にきているのですから、そういう保険料の、もっと適正な報酬と申しますか、そういうものを私はやるべきではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
#164
○政府委員(熊崎正夫君) 柳岡先生の御意見ごもっともだと思います。ただ、社会保険審議会におきましてその議論も実はやってみたわけでございます。それで、実は三千円というふうな標準報酬の方々が確かにおります。私どもの調査でもそういう方々がおるわけでございますが、審議会の過程におきまして議論が出ましたのは、これは一昨年の社会保険審議会におきましても議論が出たのですが、大体三千円という標準報酬自体おかしいじゃないか、これは実態はどのような形になっておるのだろうか、むしろ現在の最低賃金法のたてまえからいいまして、三千円というふうな階層自体を残しておくこと自体がおかしいではないか、たとえば九千円、あるいは一万円ということにして、それ以下についてはもう全部一本にしてしまうというような考え方が適当ではなかろうかというふうな御意見も出ました。しかし、現実に三千円というものもあるとすれば、これを全然その等級を廃止してしまうわけにはいかぬのじゃないかというふうなことで、これはそのまま残すというふうになりましたのが実は一昨年の社会保険審議会の審議過程で、それで、そういった階層の方々は、実は私どもの調査でございますけれども、いわばフルタイムで働いておられる被用者じゃございませんで、あるいはパートタイマー、あるいは、たまたま、例は悪いかもしれませんけれども、事業主の家族の方々が病気の際に、そのような標準報酬の格づけをいたしましてやっておったというふうな例等がしばしば見受けられるわけでございまして、これはいわば保険の制度でいいますと逆選択的な考え方で、好ましい姿ではないわけでございます。しかし、現実にそういうものがあるとすれば、この等級を廃止するわけにいかないということで、もしこれを先生のおっしゃるような形にすることは、私は確かに御意見としてはごもっともだと存じますけれども、この標準報酬等級の改定問題につきましては、まさに今後これからの抜本対策の問題として私ども取り組まなければならない問題でございまして、標準報酬の等級改定をどうするか、あるいは場合によっては一昨年御論議をいただいたような総報酬制にするかどうかというふうな問題を含めまして、やはりこの階級をどのようにやっていくかということは、これからの大きな課題として私ども十分研究してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#165
○柳岡秋夫君 いずれにしても、今日の医療の水準の上昇と申しますか、高水準をどんどん進んでいく現在、医療に追いついてこの保険制度が運営されていくというには基盤が非常に脆弱だと思うのですよ。ですから、私は、この際、もっと政府は保険者としての立場から強力な援助をして、少なくとも、いま組合健保との間の格差が相当ありますけれども、そういうものも私は一日も早く解消していく、こういうことが必要ではないかと思います。特に問題になるのは、原案でいきますと千分の七十二、ところが、組合健保は平均いたしますとこれは六八・五六ですね。それで、組合健保の場合は労使折半じゃないのです。いま平均してみますと、事業主が四三・四五、それから被保険者が二五・一一です。非常に労働者の負担は低いわけです。ところが、政管健保のほうは、今度は千分の七十二だと、そうすると千分の三十五の大きな負担がかけられているわけです。これに対して厚生省は、組合健保の千分の三十五というのは、健保法上これは最高を定めたものじゃないのだ、だから政管健保のほうで今度千分の三十五に引き上げるとすれば、組合健保のほうもこれに見合って引き上げるのが正しいのだと、こういうような表現をしているのですね、厚生省の役人は。これは大きな問題だと思うのですよ。こういうことはいいことですか。今回は暫定だからやらぬけれども、抜本対策のときには政管健保の料率に合わして組合健保の料率も上げるのだ、こういう発言をしている。これはおかしいと思うのですがいかがですか。
#166
○政府委員(熊崎正夫君) ただいまの御質問、ちょっと誤解がおありになるのではないかと思いますけれども、実は、組合と政管のほうに開きがあることは先生御指摘のとおりでございいます。それから、労使の折半の原則を組合の場合にはとられておりませんで、平均いたしますと六対四、大体事業主が六で、被保険者が四という、六対四の比率になっていることは御指摘のとおりでございます。ただ、御指摘の千分の三十五、これは組合の場合の被保険者の場合、一応現行法では千分の三十五が上限の最高限度、こういうことになっておりますけれども、しかし、健保組合におきましては、御承知のように、上限は千分の八十までとれるようになっております。千分の八十までとれるようになっておりまして、被保険者の上限率は千分の三十五、こういうことになっているわけでございますが、これは実は千分の三十五にいたしましたときの経緯というものを当時保険課長が何らかのときに申し上げたその中身でございます、先生のおっしゃっておりますのは。従来、政府管掌健康保険の料率が上がる場合に応じて健保組合のほうの上限も、被保険者の負担率の上限の千分の三十五も上がってきたという経緯を説明しているわけでございます。したがいまして、今回の場合に政府管掌健康保険の被保険者の料率が上がってくるわけでございますから、それに応じて、本来から言えば組合のほうの千分の三十五という上限率も上げなければならないはずである、いままでの経緯からいいますと。そうすると、これを上げるということは、また一方、健保組合の場合の千分の八十という料率も、八十を九十にするとか百にするとかということで上限のほうも上げる必要がある。また、現実にそういうふうな上限を上げてくれというふうな組合のほうの要望もございます。しかし、これはいま今回の政府管掌健康保険の千分の七十二という料率は、あくまでも暫定的な特例的なものでございますので、また、一方、組合のほうの千分の三十五をそれをさらに上げていくというふうなことは、むしろ抜本対策の際に検討すべきであって、今回の場合、これをいじるということは問題があるということで、私どもは審議会の過程においても申し上げたわけでございまして、その料率をどうするかこうするかということは抜本対策の際に検討したいと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#167
○柳岡秋夫君 時間が限られていたようでございますけれども、まだ私としては、あと一部負担の問題についても解明しておきたいと思います。さらに、薬価の問題についても残されているわけですが、したがって、委員長に要請しておきたいと思うのですけれども、いずれにしても、また休憩後なり、あるいは後刻こういう問題についての質問をひとつお許しをいただきたいと思います。それでは、きょうというか、いまのところ、こういう質問を残して私の質問を終わりたいと思います。
#168
○委員長(山本伊三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#169
○委員長(山本伊三郎君) 速記をつけて。
 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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