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1967/08/14 第56回国会 参議院 参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第5号
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1967/08/14 第56回国会 参議院

参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第056回国会 社会労働委員会 第5号
昭和四十二年八月十四日(月曜日)
   午前十一時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本伊三郎君
    理 事
                植木 光教君
                土屋 義彦君
                佐野 芳雄君
                藤田藤太郎君
    委 員
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                玉置 和郎君
                船田  譲君
                丸茂 重貞君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小柳  勇君
                藤原 道子君
                森  勝治君
                柳岡 秋夫君
                小平 芳平君
                片山 武夫君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  坊  秀男君
   政府委員
       厚生政務次官   田川 誠一君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       厚生省保険局長  熊崎 正夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     加藤 威二君
       通商産業省企業
       局長       熊谷 典文君
       通商産業省化学
       工業局長     吉光  久君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
  事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○柳岡秋夫君 いま国民は、昨年に引き続く赤字対策、しかも被保険者なり、かよわい事業主に大きな負担をかけようとするこの赤字対策、これに対して非常な不満と申しますか、政府に対する不信を持っておると思う。しかも、数年前から、この政管健保に対する医療保険制度の財政的な危機を乗り切るためには、日本の医療制度なり保険制度に対して抜本的な対策を立てなければいけないのじゃないか、こういうことがあらゆる機関から勧告もされ、また、意見が出されておるにかかわらず、政府当局が今日まで怠ってきた。そういうところに国民の不満なり、あるいは政府に対する不信が起きていると思うのですけれども。私は、前回の質問の中で、国民の前に政府のほんとうに誠意のある態度が示されなければならない、こういう立場から、何回か何点かにわたって質問したのでございますけれども、ただ一点まだ明らかにされておらない点があると思うのです。
 それは何かと申しますと、政府原案がこの前の国会で廃案になって、一週間足らずして再び原案が提出されたのでございますけれども、その間、自民党の与党の修正案が出されて、厚生大臣もこれに同意をして、今日修正案を中心とした審議が行なわれようとしておるわけであります。この修正案が、しばしば私が指摘しましたように、財政的な危機を乗り切るための修正ではない、赤字対策にはなっておらない。赤字が七百四十五億といわれている、その対策として出された政府原案より大きく手直しをされておる。したがって、当然この修正によって今後さらに赤字が出るのじゃないだろうか、この赤字を一体政府はどうしようとするのか、どういう手段をもってこの赤字の穴埋めをしようとするのか、私が質問いたしますと、厚生省は、それは赤字の出ないようにいたしますと、こう言うだけです。じゃ、一体具体的にどういう方法をもって赤字を出ないようにするのか、おそらくいままでの答弁では、国民はなおかつ来年になればまた一部負担の引き上げなり、あるいは保険料率の引き上げなり、そういうことをやってくるのじゃなかろうかという、あるいは、また、標準報酬の上限の引き上げをやってくるのじゃなかろうかという心配を私は持っていると思うのです。ですから、この際、私は具体的に明らかに、一体どういう方法をもって赤字の出ないようにするのか、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
#4
○政府委員(熊崎正夫君) 前回もお答え申し上げましたけれども、本年度生ずる予定の見込みの赤字につきましては、実施の時期による赤字分と、それから修正によります赤字の増分につきましては、これは借り入れ金その他でもって支払い遅延を起こさないような措置をするつもりでおります。また、来年度に生じます赤字見込みにつきましては、これは昭和四十三年度から抜本対策が緒につくという形になりますので、この坂本対策の一環として赤字の出ないように処置をするということであります。
#5
○柳岡秋夫君 非常に抽象的な答弁で、それでは一体時期のズレによる赤字、あるいは修正による赤字を借り入れによりたいと言うけれども、これは大蔵省と相談をされて、その上に立っての御答弁ですか。政府が閣議なら閣議で決定をして、そうしてこの赤字は借り入れ金によってあるいはたな上げするとか、そういうことが決定をされた、そういう答弁でございますか。
#6
○国務大臣(坊秀男君) 原案に対する与党の修正が行なわれるということが進んでいったときには、大蔵大臣、厚生大臣も立ち会いまして、厚生大臣としては非常にそれについてはやむを得ないということを申し上げたのでございますけれども、そのときに、これによって、柳岡さん御指摘のように、赤字を押えるという財政効果がそれだけ減るということに相なるが、この減ることについては大蔵大臣においてひとつこれに関して措置を願いたいと、こういうことを私から申し入れたのでございますが、大蔵大臣はこれに対して了承をいたしておるというような経過でございます。
#7
○柳岡秋夫君 いずれ大蔵大臣に明日出席をしていただくようになっておりますから、この点についてはひとつ明らかにしていきたいと思います。
 さらに、抜本対策によって四十三年度以降は赤字の出ないようにする、こういうことです。それは抜本対策というのは四十三年度から緒につくということがいままでの答弁の中で明らかにされた。一ぺんに抜本対策はできるわけじゃない。そうすれば、この政管健保のような構造的な赤字、出るべくして出る赤字、これを抜本対策によって解消していくんだということになると、私は単なる一つや二つの抜本的な対策を立てただけで赤字は解消するものではない、こういうふうに思います。そうすると、具体的に赤字が出ないようにする抜本対策というのは一体何か、取りあえずやるものですね、どういうことなんですか。この前、私が考えられることは、一つは保険料率の引き上げなり、あるいは一部負担の引き上げなり、あるいは大衆薬の薬価基準からの削除、こういうものが赤字解消の一つの手だてとして考えられる。こう言いましたら、厚生大臣は保険料率の引き上げもいたしません、一部負担の引き上げもしません、これははっきり言われた。ただ、大衆薬の削除については、これはどうもはっきりやるともやらぬとも、まあ最後にはやらざるを得ない場面にはやりますと、こういうような御答弁ですから、おそらくこれは残された問題として私はあるのではないかと思います。しかし、そのほかに抜本的な対策としてやるとすればプール制なり、あるいはその他あるかも知れませんけれども、そういうような赤字が出ないようにする抜本対策というものは一体何か、四十三年度からすぐに着手のできるものとは何か、これをひとつお答え願いたい。
#8
○政府委員(熊崎正夫君) 柳岡先生いま御指摘のような形のものは、確かに抜本対策の一つとして考えられる案だと私どもは思っております。それ以外に、制度的な面以外に、たとえば医療費の合理化をどのようにしてはかるとかいうふうな問題も含まれると思います。しかし、御指摘のような形のものはあげられる対策の一つにはなりましょうけれども、それですべて全部だというふうにも私は思っておりませんし、その点につきましては前々から御答弁いたしておりますように、これから慎重に審議をしてきめていきたいということで考えておりまして、ただいまの段階では、それは回答としてこういうものをというふうに確定的な御回答はできないのではないかと思います。
#9
○柳岡秋夫君 非常に問題の大きい中で、国民が注視をしておるこの国会で、赤字対策について今後国民に迷惑をかけない、こういうことをはっきりと私は政府は言明をすべきだと思うのです。それがいまだ確定的に国民が納得するような形での答弁が得られないということについては、私は非常に残念に思います。きのう来、中医協で診療報酬に対する協議がされて調整がされて、きょうあたり結論が出るかどうか知りませんけれども、若干の引き上げが行なわれようとしております。こういう診療報酬の引き上げによって生ずる財政対策ですか、これは一体どうとろうとしておるわけですか。
#10
○政府委員(熊崎正夫君) 中央社会保険医療協議会の審議状況につきましては、けさほどの新聞報道に出ております中身が大体でございまして、委員の任期が十三日で切れるということでもって、事実上、総会並びに診療報酬部会も委員の再任を待たなければ開催できないというふうな形に相なりましたので、きょうあすというふうな形で審議が開かれるということではなくなったわけでございます。しかし、基本的な線では、やはり委員の再任を経た上ですみやかにやろうという話し合いができ上がっておりますので、再任以降、引き続き審議が開始されると思いますけれども、ただ、どの程度の上げ幅になるか、それから、合理化の方向がどういうふうな方向できまるか、全くまだまだ未知数のことでございまして、どのようになるか、私どももまだ確たる見通しはつけておらないような状況でございます。したがいまして、いつから医療費の合理化、それに伴う全体としての医療費のアップをいつからやるかということもまだ審議はいたしておりませんので、それができ上がりました段階におきまして、私どもとしては所要の財政措置その他につきましての対策を立てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#11
○柳岡秋夫君 いずれにしても、そういうような医療費の合理化と言われますけれども、しかし、これもある程度の医療費が上がることになると思うのです。したがって、それによって生ずるところの財政的な措置も必要になってくる。したがって、この修正による赤字、あるいは時期のズレによる赤字、そういう医療費の問題による赤字、これが今後また累積をされて国民にしわ寄せをされるということではこれはかなわぬですから、この際、政府はもっと具体的な対策というものを明らかにしていただきたい。これはやはり厚生省だけでは私は国民にはっきりと約束はできないと思う。何といっても大蔵大臣なり、あるいは総理大臣なりの、閣議の中で話し合われたものがやはり国民としては責任を持った答弁として受け取るわけですか、私は、大蔵大臣なり、あるいは経済企画庁長官が明日ですか、ここに出席をされるそうですから、また、そういう中でこの赤字対策について、さらには今後の抜本対策との関連において、国民にどのような対策をもって当たろうとするのか、明らかにしていきたい、このように思いますので、きょうはこの程度にいたして質問を終わりたいと思います。
#12
○藤原道子君 私は、まず最初にお伺いいたしたいと思いますのは、本改正案が提案されまして以来、全国各地から各層、各界におきまして非常な悪法として反対の声があがっております。地方の自治体におきましても反対の決議がなされ、これが政府に相次いで請願として寄せられておりますことは御案内のとおりでございます。しかも、これら地方自治体の長も議長も、さらに、また、議員も、絶対多数は政府与党の自民党であることは申すまでもございません。この事実を政府はどう理解しておるのか。しかも、これに対しまして政府は困惑をいたしました結果、首脳部会談を開いて、そうして福田幹事長の名において、地方自治体に対し、今後反対の決議などはしないようにという通達を出したと報ぜられております。私は、こういうやり方は地方自治体に対する圧力でありしかも、地方自治体に対する大いなる介入であって、地方自治の破壊にさえ通ずるものと考えますが、これに対してどのように考えておりますか。しかも、中央の圧力にもかかわらず、相次ぐ反対の決議、陳情は、一億国民の過半数に及ぶそれら自治体から寄せられております。こうした国民の世論に耳をかさず、あくまでもこの改正悪法を強行せんとする政府の行為は、まさに多数党の多数の暴力と言わざるを得ないと思いますが、大臣のこれに対する御所見を伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(坊秀男君) この特例法案につきましては、これに対する反対の声は、私もはがきや何かによって耳にいたしております。しかし、いま藤原委員御指摘のように、これが過半数であるかどうかというようなことにつきましては、これは私はつまびらかにいたしておりません。いずれにいたしましても、この医療保険の給付を受けるに際しまして、料率が若干重くなるということ、また、患者が一部負担をするということについては、これらの人々は喜んで賛成してということでは私はないと思います。しかしながら、私どもといたしましては、しばしば申し上げておりますとおり、これをこのままにしておきますと、せっかくの健康保険が崩壊に瀕する、健康保険そのものが参ってしまうというようなことを考えますと、これらの方々に対しましても、ぜひ一部負担をひとつお願いをしたいということでやったのでございまして、私はしばしば今日まで税の問題も扱ってまいっておりますが、あるいは物品税を新設するとかといったような場合には、これはそれに関係される方は全部反対される。反対されるけれども、税全体としてはそういったような姿をとっていくということが財政上必要な場合、まともな姿であるという場合には、関係者の方々に若干の反対がありましてもごしんぼうを願っておる。とにかく健康保険全体というものを保持していくというためには一部の方々にごしんぼうを願う、こういうような考え方をとったわけでございます。
 なお、党において地方に対しまして何か注文をしたというお話でございますが、私も聞かぬではございません。しかし、その間の事情については、私はこれをつまびらかにいたしておりません。党でやられたことにつきましては、私は厚生大臣といたしまして、与党がとられた態度というものについては、私はこれに対して非常に機宜の措置をとってもらったというふうに私は思っておりますけれども、しかし、その間の事情についてはここで私はお答え申すだけつまびらかに事情を知っておりませんので、これは私からお答えいたしかねるのでございます。
#14
○藤原道子君 子供だましのような答弁はやめてほしいと思います。大臣を含めて、政調会長、その他党の首脳部が集まって、そうして討議されたことと報ぜられております。その中心である、責任者である厚生大臣が関知しませんなどということは、あまりにもなめた答弁であって、私は了解することはできません。大体さきの国会でも廃案になった本法を、数日を経ずしてまた臨時国会を召集して、そのままの原案を再提出する、およそ議会主義の原則は、民意の前に廃案となった場合には、国民の反対の理由に耳を傾けて思いとどまるか、あるいは反対の民意を取り入れ、改めて提案すべきものと思います。今回のごとく強引に臨時国会を召集し、多数の力で強行採決せんとするやり方は、少なくとも主権在民の民主憲法のもとにおける議会政治の破壊に通ずるものであると思うが、いかがでございますか。およそものには一つのルールがあります。きめられた土俵の中で行なうお相撲にいたしましても、横綱があぶないからといって待ったをかけて土俵を広げる、そういう例はあり得ないことなんです。議会政治においては、ことさらにこのような暴挙は許されません。このやり方が許されるといたしますならば、多数さえ持っておればどんな悪法でも通過をするおそるべき独裁政治と言わざるを得ないところでございます。これらに対しまして大臣はどのように考えておられますか。
#15
○国務大臣(坊秀男君) この御審議をお願いしておりまする特例法案でございますが、これもたびたび申し上げておりますとおり、現在の健保制度が非常に崩壊に瀕しておる、そこで、やむを得ずその応急対策としてどうしてもこれをしのいでいかなければならない、こういうことで前国会にこれを御審議願ったのでございますが、それにつきましても、すでに社会保険審議会、社会保障制度審議会等におかけをいたしまして、そうして、なるほど少数意見はございましたけれども、大体におきまして、これはいまの措置としてはやむを得ないことである、こういうような御答申もいただいて、そうして前国会にこれを提出、御審議を願ったわけでございますが、審議未了、不成立ということになりました。この審議未了、不成立というままでもってやってまいりますと、しばしば申し上げておりまするが、健保が非常に危うくなっていく。万一さようなことを招来いたしました場合には、国民の健康保険制度というものがうまく運営されないで、そこに支障が生ずる、つまずきが生ずるというようなことがありますと、これこそ国民の健康上私は最も憂うべき状態を引き起こす、かように考えまして、そこで政府、与党相談をいたしまして、そうして臨時国会を開いていただいて、その臨時国会でこの特例法案を御審議を願う、こういう段取りと相なったのでございます。
#16
○藤原道子君 あなたは都合のいいときには審議会をお出しになる。審議会の勧告はほとんど無視してきているじゃありませんか。私はそういう言いのがれの答弁は了承できません。いま廃案になって、このままでいけば保険制度が破壊されるおそれがある、本法の七十条ノ三の規定には、国の補助義務が明文として厳として存在しております。これは単に赤字発生の場合のみについて政府がしりぬぐいをするという規定ではなくて、その対象が日進月歩の医療費に保険料等の負担が追いつかないという特質を十分に考慮して、私は赤字の場合ばかりでなく、黒字の場合でも、額の多い少ないはあっても、補助金を出し、財政基盤の脆弱な政管健保の安定をも考えた国是であると思います。これを無視した今回のやり方は、私はどうしても納得がまいりません。厚生当局は法七十条ノ三の規定をどのように解釈しておいでになるか、お伺いいたします。
#17
○国務大臣(坊秀男君) 健康保険法第七十条ノ三の規定でございますが、これは政管健康保険制度の健全な運営のために国が補助をすることができるということといたしまして、そしてこの運用をやってまいったのでございますが、それは昭和三十二年以来のことでございまして、以来、この規定に基づきまして、財政状況に応じて相応の国庫補助がなされてまいったという経緯でございます。今後もこの実情に応じまして、この規定の精神に沿いまして適当なる措置をとっていくということについては、政府はそういうふうに考えておるのでございます。
#18
○藤原道子君 赤字のときにのみ補助をするというように読み取られますのはあなた方のかってな解釈。私は、政府が何かといえば保険制度保険制度と言われますけれども、その保険制度の理念にすでに反したことが行なわれていると思うのです。保険であるからと主張する限りにおきましては、社会保険理念が貫かれていなければならないと思う。ところが、危険率の正確な把握を前提とする収支均衡の原則が予算と決算において成立して列めて保険制度と言い得るのではないでしょうか。とこが、三十七年度、八年度、四十二年度までに、この政府の見込みと実績はあまりにも差があり過ぎる。実態はこのとおりであります。読み上げてもよろしゅうございますが、時間の関係で省略いたしますけれども、お手元にその収支の計算はあると思います。したがって、赤字予算を編成してきたときから保険原則は放棄されていると見るべきではないでしょうか。政府は赤字の根源を財源不足に求めるでしょうけれども、危険率の測定が、過去三年間の平均から割り出した場合、それが正しいのか、正しくても変動させる要因がなかったのかということが再検討されてしかるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#19
○政府委員(加藤威二君) 藤原先生御指摘のとおりに、過去の赤字の推計におきまして、年度当初にこのぐらいの赤字が出るだろうと見ましたのと、その年度が終わりましたあとで決算を締めてみまして出た赤字との間に相当の食い違いがあったという事実は、過去数カ年現実にあるわけでございまして、御指摘のとおりでございます。これについては、私どもまことに申しわけないと思っておるのでございまするが、しかし、医療費というものは、この前の委員会でもちょっと申し上げましたけれども、なかなか来年度の医療費はこういうぐあいになるだろうということは、おそらく何人といえども的確な数字は出せないものだろうと思います。あくまでも確率で推計するよりしようがないというものだと思います。私どもといたしましては、そのための方法といたしまして、過去三年の医療費の伸びというものを基礎にいたしまして翌年度の医療費というものを推定している、こういうやり方を繰り返しておるわけでございます。で、確かに食い違いがあったわけでございますが、ただ、私どもがしいて申し上げますれば、その食い違いは、いつも何と申しますか、赤字を大目に見た食い違いではなくて、結果的に年度当初に推計した赤字よりも出た赤字のほうが大きく出ているという場合のほうが圧倒的に多いわけでございます。例外はごくまれにございまするけれども、大体私どものほうといたしましては、対策を立てますときに、赤字を大きく見て対策を大きく立てるというようなことではなくして、どっちかというと、むしろ赤字を下目に見ているという結果になるわけでございます。いい悪いは別にいたしまして、そういう結果に終わっておるということでございます。私どもといたしましては、これ以外にいい方法があるかどうかということについて、いろいろ検討してみましたけれども、やはり従来やっております方法というものが考えられるうちでは一番いい方法じゃないか。ことに最近狂いましたのは、三十八年、三十九年度あたりが非常に医療費の動揺が激しかったときでございます。この原因はいろいろ考えられるかと思いますけれども、とにかく三十八年、三十九年あたりが非常に医療費の動きが激しいといいますか、大幅に伸びた年でございます。そういうような異常な事態もありまして、医療費の推計というものが三十八年、三十九年を中心といたしまして、数年間にわたって相当の狂いがあったということでございまするけれども、医療費というものはいつもそう大きな動きを示すものとは必ずしも限りません。ある程度進展してまいりますれば、またこの推定というものが相当の確率をもって当たるであろう、こういうぐあいに私どもは考えておるわけでございます。
#20
○藤原道子君 三十九年、三十八年は赤字です。ところが、ここに六年間の統計が出ておりますが、四十年は、これは医療費よりも、見込み額よりも赤字が少なかったですね。四十年度では百六十二億も見込み違いで赤字は少なくなっておる。また四十二年度も七百四十五億という見込みでございますが、これも相当大幅に減っておるやに聞いておりますが、これはすでに統計が出ておると思いますが、それもお伺いしたいと思います。
 そこで、保険でございますから、五%とか一〇%のうちにおさめられるならば、まず常識としてよいでしょう。ところが、この表のように非常に大きく見込みが相違しておる。行政が正確な数理計算を行なっていないことを意味しておるのではないでしょうか。ここにも保険原理を放棄していると言われても抗弁はできないと思います。
 政府は、しばしば保険制度について相互扶助の組織を強調しておりますが、相互扶助は危険の分散という結果について言えることであって、加入にあたっては本来利己的なものであり、当初から利他的に加入するものではないと思います。今日、国民皆保険の体制下において、国家権力による強制加入でございます。それについては別途の考察が必要であります。すなわち、特別加入、強制加入は、利己的なものを基礎としての危険からの回避を集団的に勧奨するものであって、その集団が結果として相互扶助の組織となるにすぎないのではないでしょうか。その論理を抜きにして、国庫負担の限界、相互扶助だから赤字をみんなで負担せよというのは、私にとっては納得のいかない問題でございます。保険だからという以上、社会保険理念について筋の通った見解が政府にあるはずだが、御説明願いたい。
#21
○政府委員(加藤威二君) 数字の点について私からお答え申し上げますが、藤原先生御指摘のとおり、たしか昭和四十年は、年度当初の赤字見込みのほうが決算に比べまして相当大幅に赤字を大きく見ておったという最近における唯一の年でございます。これはなぜそうなったかと申しますと、三十八年、三十九年が医療費が非常な伸びを示したわけでございます。二〇%以上の非常な伸びを示した。これは最近に例のないことでございます。そういたしますと、私どもといたしましては、三十八年、三十九年がこういう伸びを示すのだから、四十年度も相当の伸びを示すだろう。これは過去の三年間なら三年間の推計で見ますと、そういう数字を出すということは、これはお許し願えると思うのですが、ところが、四十年の医療費がそのわりに伸びなかったわけでございます。原因ははっきりわかりませんけれども、とにかく三十八年、三十九年は異常に伸びましたけれども、四十年はそのわりに伸びなかった。そういうために、私どもは三十八年、三十九年で四十年を推計いたします場合に、その伸び率が非常に大きな基礎の計数となるわけでございます。そのために四十年度の赤字を相当大きく見たわけでございますが、実際はそれほど出なかったというのが四十年度の赤字を当初大きく見過ぎたということの原因でございます。
 これはいま申し上げました三十八年、三十九年が非常に異常な年であったために、四十年がたまたまそういうことになったということでございまして、今後医療費が落ちついてまいりますれば、そういう大きな赤字を見積もるという誤差は出てこないというぐあいに考えております。四十二年度七百四十五億につきましても、私どもは若干の差異はあるかもしれませんけれども、とにかく四十年度におけるような大きな差異は、これは出てこないというぐあいに考えておるわけでございます。
#22
○柳岡秋夫君 関連。先ほど第七十条ノ三について厚生大臣から答弁があったのですが、私はこれは一般的な考え方について答弁されたように思うので、私はもっと第七十条ノ三の意味するものは積極性があるような気がするのですよ。というのは、この国の補助義務については、第七十条で「国庫ハ毎年度予算ノ範囲内ニ於テ健康保険事業ノ事務ノ執行二要スル費用ヲ負担ス」と、こうあるわけです。さらに、七十条ノ三の中では「政府ノ管掌スル健康保険事業ノ執行ニ要スル費用ノ一部ヲ補助ス」、こうなっておるのです。それで、第七十条にはそういうことがなくても、現実に、たとえば石炭産業における組合健保には赤字対策として政府は支出しておるじゃないですか。ですから、政府管掌健康保険の場合には、赤字対策なら、何も法にこういうことが明確になっておらなくても、当然政府は財政的な惜置をすべきである。しかし、法上こういうふうに明確に規定されているということは、やはり政管健保というものの性格、そういうものに対する積極的な援助を国がしていくのだという、そういう考え方があるからこそ、私は、第七十条ノ三に明確に法上規定をされておる、こういうふうに思うのですよ。その点はいかがですか。
#23
○政府委員(熊崎正夫君) 七十条につきましては、先生御指摘のように、「健康保険事業ノ事務ノ執行ニ要スル費用ヲ負担ス」、こういうふうになっておりますが、これは事務費の負担をここで言っておるわけでございまして、七十条ノ三とは性質が違うことは先生御承知のことだろうと思います。ところが、七十条ノ三には、その事務費のほかに、予算の範囲内において保険事業の執行に要する費用の一部を補助するということでございまして、これが法上、御説明申し上げましたように、昭和三十二年の法律改正によって設けられたものでありまして、政管の財政状況に応じまして相応の補助がなされてきたということで今日まで適用されておる条文でございます。
#24
○柳岡秋夫君 だから、事務費の一部負担というのは、これは両方にかかるわけです、組合健保にも政管健保にも。しかし、組合健保でも、赤字が非常に大きく出て組合健保の財政上困るという場合、いままで国は援助をしてきたじゃないですか。あるいは組合に対しても、そういう法文上なくても。ところが、七十条ノ三では、政管健保についてはこういう予算の範囲内でやりなさいというふうにはっきりしているわけですよ。ですから、より積極的な国の援助の義務がここに規定をされておると私は解釈するのです。そうじゃないですか。
#25
○政府委員(熊崎正夫君) 法文上は「予算ノ範囲内ニ於テ」と、こういうことになっておりまして、予算の額の多い少ないということについては御議論のあるところだと思いますが、私のところでは、前々から大臣も申し上げていらっしゃいますように、この条文に基づきまして、四十二年度二百二十五億の補助をいただいているところでございまして、あくまでこれは定率とかいうような補助でなしに、予算の範囲内においての補助というように御理解いただきたいと思います。
 それから、御指摘の政管健保におきましての補助につきましては、これは臨時補助金としての取り扱いをいたしているわけでございまして、確かに石炭健保その他につきまして補助金を支出しているわけでございますが、それは名目的に臨時の支出という形になっておりますので、あくまでも予算補助、法律に基づく補助でないことは明白になっておるわけでございます。
#26
○柳岡秋夫君 関連ですから、私はもうやめますけれども、私は法の精神をただしているわけですよ。「予算ノ範囲内」というのは、これは明らかになっておりますよ、法文上。ですから、金額の多い少ないはあるかもしれない。しかし、法の精神の中では、私は、政管健保には組合健保と違った積極的な援助の義務というものがあると、こういうふうに考えているわけです、特別にこの条文を設けているたてまえからいって。だから、その意味では、私は、この国庫負担の考え方について、いずれ大蔵大臣が来ればお伺いいたしますけれども、その精神をただしているわけなので、いまのような答弁では私は納得できない。いずれこれはあとで質問をしますから……。
#27
○国務大臣(坊秀男君) 先ほど御指摘になりました組合健保につきましては、担当局長からお答えをしましたように、完全に予算上の原資の措置でございます。で、この政管健保につきましては、これは法律に基づきまして政府は補助を出すことができる、こういうことでございまして、この法律によりまして今日までいろいろな各面にわたりまして補助を出してきた、こういうことでございます。
#28
○森勝治君 柳岡君の質問は、そういう規定があるのだから、皆さんは、たとえば大臣は所管の長とし、局長は所管の局長として、本件の推進にあたっては積極的たるべきというのがこの法文の裏の解釈ではないか、こういう質問であったわけであります。ところが、予算が取れればやりますという消極的な発言のみしか皆さんからいただいておらぬから、それならば、出先において、国民の福祉行政のためにといって、いつもそういうことを言っておられるあなた方にしては、あるいは、また、大蔵省との予算折衝で一銭でも多く取りましょう、取りたい、かくあらねばならぬと、あなた方は過去幾たびかこの種の問題については声を大にして発言をされているわけであります。しからば、法の精神というものは、法律で定めたことは、国民の福祉のためにそれは積極的に法の運行をはかるのがしかるべき措置だと私は思うのです。柳岡君もそういう趣旨で質問をしたわけであります。ところが、大臣の御答弁にも局長の答弁にも、それらは前向きの姿勢がありますか。たとえば先ほど赤字の問題について答弁があったが、見通しというものをつけて策定せずして予算の計画は成り立たないでしょう。そうでしょう。私どもは、まことに恐縮だが、あなた方の御答弁を聞いていると、何となく投げやりな、何となくあなたまかせな、何となく無気力なそういう御答弁としか承れない。そういう対策としか承れない。これではならぬと思うのです。ちょうどお盆ですから、地獄のかまのふたもあくといわれております。お寺の坊さんはたいへん忙しい。厚生大臣の坊さんもたいへん忙しい。なぜか。お寺の坊さんは死んだ人の冥福を祈るために忙しいが、あなたは国民の健康を守るために忙しい。お互いに国のよき発展のために、国民のしあわせのために、この暑い中、努力をしておるわけです。それならば、もっと積極的に、果敢に、勇敢に主張をしてくださるのが所管の長としてのあなたの責務ではないでしょうか。お説教はきらいですけれども、私は言わざるを得ない。なぜもっと前向きにやらないか。あなた方は、失礼だが、この委員会の院外では何と言っている。この予算が通らなければわれわれは腹を切ると言ったことはないですか。巷間伝えるところの話でありますから、断言はいたしませんよ。これが通らなけれ腹を切る、こういうことを言われたかのごとくうわさとして聞いておる。ところが、こういうところで何となく時間がたつことを待つこと、のらりくらり、われわれは真剣に、慎重に、この委員会はそういう与野党のの約束ができて、十分審議を尽くす、そして国民の健康と福祉のためにがんばろうという申し合わせがありますから、われわれは真剣に質疑をし、討論に参加し、よき方途を発見したいと考えておるが、いまのような消極的な御答弁であるならば法は生かされないと私は思う。したがって、大蔵大臣にあなた方かけ合ったときに、一銭でもよけい取ると言ってがんばったじゃないですか。大蔵大臣が来ればこの間のようなことを言っておる。きょうは私が食い違うと言ったら、こういうわけのわからぬ政府見解なるものを出してきた。これは明日大蔵大臣が来て説明をするそうだが、私は関連質問だから多くを語らない。しかも、こういうことを言ったみたり、あなた方関係者、大臣以下の答弁は、なるほど毎日呼び出されてこういう質問を受けちゃ、うんざりでしょう。しかし、あなたが所管の長じゃないですか。最高の責任の衝に当たる人じゃないですか。なぜ果敢に、勇敢に、率直に自分たちが日ごろ持っている抱懐というものをこの席上で発表しないのか。なぜしないのですか。われわれも意見を出す、あなたも意見を出す、与党も野党も、こぞって国民注規の的のこの法案のよき方途というものを発見するのがお互いの責務じゃないでしょうか。もっと積極的に、そんな無責任な答弁をしないで、本来、厚生省のあるべき姿は何か。国民のしあわせと健康じゃないですか。社会福祉じゃないですか。佐藤内閣の看板の人間尊重の行政というものを最も果敢に、勇敢に実践躬行する担当の所管庁が厚生省であり、厚生大臣ではないでしょうか。したがって、あなたの従来の投げやり的な御答弁ではなくして、もっと積極的な、いま申し上げた法七十条の問題についても、積極的に一銭でもよけいに出すという、従来の説明はそうだったでしょう。鈴木善幸前大臣もそう言った。あなたもそう言った。この間は大蔵大臣が来たので、少し圧力を感じたせいか、ささやかな発言にあなたは変わったけれども、その後に、また私がその食い違いをただしたときに、あなたは胸を張って何と答えたか。一銭でも国民のために取りたいと言ったじゃないですか。そういう状態なら、法七十条の問題も、もっと胸を張って勇敢に答えるべきが至当じゃないですか。あえて大臣と担当局長の御答弁をいただきたい。
#29
○国務大臣(坊秀男君) この炎熱のおりから、社会労働委員の諸先生方はじめ、たいへんこの健康保険につきまして熱心に御審議をいただいておりますことは、私はただただ感謝いたしております。私自身が忙しいことぐらい、これはもう当然のことでありまして、私はどんなに忙しい目にあいましても、ただこの法案を委員の皆さん方に審議をしていただいて、そうして成立をさせていただきたい、これで一ぱいであります。
 七十条ノ三の精神に沿いまして、私は、この四十二年度の予算編成に対しましても、大蔵省と私の全力をあげてかけ合ってまいったのでありますが、今後も私は、健康保険の充実にできるだけ政府がこれに対して腰を入れてもらえるように骨を折ってもらいたい、かように私は考えております
#30
○小柳勇君 ここのところがやはり一番中心だと思いますから、少し私も関連して質問いたします。
 厚生大臣と大蔵大臣との間に見解の相違がないという文書の最後のほうにも書いてありますように、「医療保険に対する国庫負担の今後のあり方については、抜本対策の検討に際し、さらに総合的に検討したい。」、このように書いてありますが、これは根本的に検討してもらわなければならぬ問題です。いま柳岡君が言いましたように、七十条の問題の解釈ですね、これが今後政府管掌の健康保険をどの方向に方向づけるかの一番の基礎であろうと思うのです。御存じのように、国保に対しましては四割国庫負担が義務づけられておる。これは国保のほうでは低所得階層、特に農村あるいは零細企業など、低所得階層を中心にして、ばらばらの加入である。したがって、国が責任を持ってこの健康保険を充実していこう、向上していこうというたてまえ。また、組合健保のほうでは、大企業でありますから、使用者のほうで負担能力があるから、労働者のほうとしては負担割合も違う。七、三なりあるいは六、四の負担でありまして、しかも、大企業では労働者、働く者が給与が高いから、保険料を取られましても、率は同じでも、そう生活に困窮しない。また、かかる医師は国保でも組合健保でも政管の健保でも同じです。かかる医師は同じでありまして、かかるほうの働く人、国民は階層が違います。共済組合、あるいは組合健保、政管健保、国保と、だんだん収入が違ってくる。そこにいまわれわれは国庫負担をどうするかという問題を論議しているわけですが、私どもがいま言っているのは、本年度七百四十五億の赤字だ、この赤字を補完しなければこの政府管掌健保は危機に瀕するからということで、被保険者、いわゆる病人にしわ宿せをしておられる。このことが問題であるが、しかし、それは私どもの言い分としては、社会保障として国がめんどうをみるべきである。その国がめんどうをみる根拠は何かというと、法七十条である。したがって、その七十条を根本的に検討してもらわなければならぬが、本年度負担十五億、来年度負担三十六億、病人にとっては非常に大きな金でありますけれども、国全体から見ればわずか五十一億ではないか。その金を薬代、初診時、あるいは入院時の一部負担で取るとは何ごとか。その金は国が負担すべきである、それは社会保障という考えに漸次移行すべきである、国保がそうであるように。国保には国が定額四割の補助をきめたように、ただ赤字だから二百二十五億補助いたしますぞ、来年は知りません、そういうことではなくて、社会保障の精神を取り入れて、今回の赤字についても一部負担などをやりなさんな、本年度と来年度含めて五十一億ではないか、こう言っているわけです。したがって、いま七十条の解釈で行き詰まっておりますけれども、しかし、これは行政管健保を将来どうするかという基本的な問題であろうと思いますので、この最後に書いてあるように、「抜本対策の検討に際し、さらに総合的に検討したい。」と書いてあるように、検討しなければならぬが、そのときに厚生省としては、厚生大臣としてはどういう態度で大蔵省と話をされるか、その見解を聞いておきたい。
#31
○国務大臣(坊秀男君) 抜本対策を策定するにあたりましては、私はいろんな角度から考えていかなければならないと、かように考えております。そこで、この政府の負担、それから保険関係者の負担、そういうものにつきましては、これはなるほど国民皆保険ではございますし、これは国民の健康に関する問題でございまするから、この抜本対策をきめるにあたりましては、そのときにおける国民の経済の力または国民の生活の状況、そういったような各般の角度から考えまして、適当なる、最も妥当なる線を出していくべきものだと思いますけれども、しかしながら、事柄が非常に国民の健康という大事な問題であり、かつ、国民皆保険といったようなことからいたしまして、そういった環境の中においてできるだけ政府というものが力を入れるべきものであると、かように私は考えております。
#32
○小柳勇君 もう一つ、基本的な問題ですけれども、大臣、組合健保は、大企業の会社なり働く人が組合をつくって健康保険でやっておる。それから、政管健保は中間的に非常にレベルの低いいわゆる低所得階層、今度の修正案でも、約七一%は二十四万円以下の低所得階層であろうといわれておるが、そのような低所得階層が加入する保険であるということ、国保はまだそれよりも低所得階層の人が入るということ、この階層別の保険の特質についてはお認めになりますか。
#33
○国務大臣(坊秀男君) すでに現行制度におきましても、国保と政管健保と組合健保との間には、費用負担といったようなものについても相当の格差と申しますか、そういったようなものがある。また、これに対して政府のささえのしかたというものにつきましても、国民健康保険と政管健保と組合健保との間には非常に違いがある。しかし、その違いのあるということが、また一つ総合的に見ますならば、日本の医療保険制度の私は当然そうあるべきことであるとともに、また、格差のあるということ、これをどうするかというのも私は一つの問題だと思います。だから、そのようなことにつきましては、抜本対策を策定いたすに際しましては、各般の角度から考えてまいって、そうしてそこに何と申しますか、不調和の中の調和と申しまするか、非常にこれはむずかしい話でございますけれども、調和のとれた姿というものをここに樹立していくということが、今度の抜本対策の策定にあたって課せられた重大なる問題だと考えております。
#34
○小柳勇君 具体的にもう一問質問いたしましよう。政府管掌健保の場合、診療報酬支払い基金の事務費は補助いたしません。国保の場合は国がめんどうをみています。国保と政管健保の加入する国民の階層はどれくらい違うと理解しておられますか。大臣に質問いたします。
#35
○国務大臣(坊秀男君) 事務当局からお答えいたします。
#36
○政府委員(熊崎正夫君) 確かに政管健保の被保険者につきましては、組合保険に比べまして、中小企業でございますので、所得の状況からいいますと低いことは御指摘のとおりでございます。ただ、特色といたしましては、国保との差は、政府管掌健康保険のほうは非常に被扶養者の数におきまして少ない。つまり独身者の数が率からいえば非常に多い。ところが、国民健康保険のほうにおきましては扶養家族が非常に多い。これは農村その他の特殊な事情もございまして、扶養家族が非常に多いということでございまして、この辺に本質的な差はあると思います。
 ただ、ここで申し上げたいことは、国民健康保険につきましては、国が定率四割の補助を出しておりますけれども、片一方におきまして、これは市町村でやっておりますために、やはり国が千五百億以上の補助を出し、これを昨年定率四割の改正をいたしますと同時に、やはり保険料のほうも各市町村のほうで保険財政に見合って相当の引き上げを行なっておる事実がございます。これは国民健康保険の本質的な問題として、やはり抜本対策の際にこのような中小企業を対象とした政府管掌健康保険、あるいは国民健康保険の被保険者の費用の負担等をどのように均衡をとるかということも、抜本対策の大きな議題として私どもは検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#37
○小柳勇君 関連質問でありますから、これで最後でありますが、私は大臣にいま質問いたしましたが、大臣は答弁なさらぬで、保険局長が答弁いたしました。こういうところに私は根本的な問題解決ができないガンがあると思います。政党政治ですから、お互いの政党で政調会を持ちまして問題を論議いたします。そのときに、この国民の健康を預かる大臣が、その政調会で具体的に、国保、政管健保、組合健保の基本的な相違を力説されて、いまの政管健保についてはこういう矛盾があるから、この辺までは政府が責任を持たなければならぬということを主張してもらわなければ、ここでもう官僚の代表である保険局長が政府の代弁者として答弁いたしますと、それで国会は終わります。そとしてこれからまた改正する、次にわれわれが改正を出すには一年かかります。その間に患者はその診療報酬を負担しなければならぬのです。いま私はほんの初歩のことを質問いたしました。政管健保と国保との国民の階層的な、収入的な相違はいかがでしょうかと、これは基本でしょう。組合健保と政管健保と国保と、働く階層の収入の相違はいかがでしょうかと、これは基本でしょう。そうして、かかる医者は一緒です。病院も一緒です。国保の人だから安い診療所に入れるかというと、それはできません。かかる医者は一緒、薬は一緒です。そうしてその払う人、かかる病人は収入が違うのです。しかも、いまの日本の所得は、藤田君が何回も言いますように、十年たってわずかに三割くらいしか実質的にふえておらぬのではないか。これは平均です。その中で農村の収入、中小企業の収入、大企業の収入、その格差くらいはちゃんと大臣に知っておってもらって、この改正のときにどうするかという基本をきめてもらわなければならぬ。さっき森君がおこりましたけれども、通り一ペンの、厚生大臣と大蔵大臣の見解の差はありませんでしたなどということでこの国会を乗り切ろうなどという、そういうことでは私どもはこの審議はやるわけにはまいらぬです。あとまた藤原委員が具体的に質問いたしましょうけれども、基本的な問題は大臣がちゃんと御答弁になりまして、自民党の政調会でこういうふうに発言した、しかし、こうなった、国の予算はこうだと、それははっきり出してもらって、あとそれじゃどうするかということを審議するのがこの委員会の任務であろうと思います。
 もう一回私は質問いたします。大臣、これから抜本改正するとき、政府管掌の健保に対して国は一体社会保障的な考えで補助しないでいいものかどうか、もう一回大臣の見解をお聞きいたします。
#38
○国務大臣(坊秀男君) すでに政管健保につきましては、先ほど来問題になっております健康保険法七十条ノ三といったような規定もございますし、私はもともと、これは保険方式はとっておりますけれども、しかしながら、事柄の性質上、私はこれに対して政府はできるだけ腰を入れるべき性質のものだと、かように考えております。
#39
○藤原道子君 七十条ノ三の規定についての見解については、さらに問題をあとに残します。納得がまいりません。
 そこで、お伺いしたいのは、保険料の一〇%に対し、医療費が二〇%近い上昇を示しておる、これが保険財政の収支不均衡の原因であるとされております。ところが、四十一年度からこの傾向が逆転いたしまして、四十二年度の医療費の伸びは、保険料の伸び一九・三%に対して医療費は一〇・七%と、いままでの半分にとどまっております。これは、医療費の急増傾向はもう過去のものとなったというお考えであるか、それとも波及効果は期待していないといいながらも、薬価の一部負担の登場によりまして、実は医療費の伸びにブレーキをかけるということであるのか、その分析と所信をお伺いしたいと思う。
#40
○政府委員(加藤威二君) 保険料の収入の伸びが四十一年度一九・七%で、これは伸びが非常に大きくなっておりますが、問題は、その四十一年度に標準報酬を五万二千円から十万四千円まで上げた、これが非常に大きくなっております。それから、料率も千分の二でございますが、上げた、こういうことが入っておりまして、保険料の料率、こういうものを取り除きまして、そういう対策的なものを取り除きますと大体一〇%前後の伸びということで、やっぱり医療費は二〇%近く伸びておりますので、その医療費の伸びと収入の伸びというものは、そういう自然増的なものは、比べてみますと、やはり依然として医療費の伸びのほうが高いと、こういうことでございます。たまたまこの年はそういう制度的な改正がありましたので、対前年、そういう制度のない、制度改正のない前年度と比べますと伸び率が一八%か九%に伸びますけれども、そういうものがないとすれば、やっぱり一〇%であります。
#41
○藤原道子君 ないとすればというのは……。
#42
○政府委員(加藤威二君) ないとすればということは、四十年度は平均標準報酬を五万二千円で押えられておったわけです、全部。たとえば十万円の月給を取っている人も、五万二千円の収入があるものとして、それで保険料の千分の六十三というものをかけられておった。ところが、四十一年度からそれを天井を十万四千円まで引き上げたわけです。ですから、いままでたとえば九万円もらっていた人は、四十年度は五万二千円の月給の人として保険料をかけられておったけれども、四十一年度におきましてはそれが九万円と。自分のもらっている月給に千分の六十三を、今度は六十五ですか、かけられた。そういうぐあいに天井が約倍くらいに上がったわけです。そういうことによって保険料の入り方が、前年度のそういう制度の改正をやらなかった前に比べて保険料がずっとふえるわけです。そういうことで数字がたまたま変わっておりますけれども、そういうものがないと仮定して修正して比較してみますと、伸びは大体一〇%程度、こういうことでございます。
#43
○藤原道子君 ないと仮定したといったって、現実に取っているじゃありませんか。その上にさらに、薬剤費の一部負担をぶっかけてくる。これによって医療にブレーキをかけていると私たちは考えるわけですが、ブレーキをかけた場合を想定しておるのではないのかと、こう伺っている。
#44
○政府委員(加藤威二君) どうも説明があまりうまくないのでおわかり願えないかと思いますが、ないと仮定するというのは、たとえば医療費の伸びとか、それから保険料収入の伸びというものを比較いたします場合に、やはりり同じ条件にしてどういうぐあいに伸びがあるかということを見ないと傾向というものはわからないと思います。ですから、たとえば四十一年度と四十年度を比較いたします場合に、四十一年度のほうにいろいろな制度の改正をやって、そして保険料が幾ら入るのかというのと、四十年度の保険料収入との比較をいたしますと、そこにはそういう制度改正による新たなる増分というものが入ってくるわけですから、そういうものはその一年度限りで前年度と比べますと、その山だけは改正による収入と、こういうことになるわけです。したがいまして、そういうものを除いたというと語弊があるのでありますが、こっちはそういう制度を改正をやったとしまして仮定してもいい、要するに条件をどっちかそろえて比較してみて伸びがどうなるか、それによって医療費の伸びというものと傾向を比べてみないと比較にならない。ですから、そういうことで修正してやりますと、伸びではやはり医療費の伸びのほうがまだ高い、こういうことでございます。
#45
○藤原道子君 それでは、大臣にお伺いしますが、医療費の伸びがふえた、だから一部負担をかけるのだ、それから、また、悪法としてほとんどの国民が反対しております薬剤費の一部負担もぶっかけてくる、これであなたのいうところの医療保障――医療保険といっておりますけれども、目的はやはり医療保障を考えておると思うので、そのことは社会保障の二本の柱、その一つは医療保障でございますということは、池田総理、続いて佐藤総理もしばしば言明しておいでになる。ところが、実態はそれに反して、あなた方は保険だ保険だと主張しておいでになる。保険は一つの手段だと思う。目的はあくまで医療保障でなければならないはずのもの。ところが、先ほど来同僚議員から質問がございましたように、なぜ政管に赤字が出てくるのか、その検討をしたことがあるでしょうか。問題は、それを放置しておいて、赤字が出るから、医療費がふえるから、だから負担をぶっかけていけばいいんだ、この安易なやり方につきましては私はどうしても納得がいかない。貧乏が病気を生みます。病気がまた貧乏を生みます。中小企業に働いておる人たちの健康の管理は一体どうなっているのか。過重労働、それによる栄養摂取量の不足、あるいは住宅問題とか、あるいは公害等により、中小企業に働く人たちは、一そう健康をむしばまれておるということをお考えになったことがあるのでございましょうか。労働省からも見えておられますけれども、この中小企業の健康の管理の問題衛生管理の問題、こういう問題を検討され、さらに、また、どう処置しておいでになるか、こういう点も私はこの際伺わしていただきたい。入社のときには、大企業と違って、十分な健康診断もなされておりません。入ってからの健康管理もほとんどなおざりにされておる、そうした劣悪な条件のもとで働いている。しかも、組合健保と違いまして、高年齢層が多いのです。先ほど若年労働者が多いと言われましたが、それにも増して老齢労働者が多いのです。大企業で定年で首になった人、この人たちがさらに生活の資を求めて、そうして中小企業に働かざるを得ないいまの状態です。そうすれば罹病率もふえてくるのはあたりまえ。これらに対して一体どう考えておいでになるのか、これらの問題についてひとつお聞かせを願いたいと思います。国務大臣(坊秀男君) 藤原委員御質問の御趣旨は、一体、この被保険者なり患者なりに一部負担させるといったようなことに相なったのは、医療費が非常に増高したことが原因かと、こういうことでございますが、物事の原因をただしてまいりますと、私は、今度の特例の内容というものは、これはしばしば申し上げておりますとおり、政管健保が赤字が累積してきて、そうしてこのままではやっていけない、そこで、政府をはじめ、関係者の方々にひとつ負担を願いたい、こういうことで、そういうことが原因として今度の特別法を御審議願っているわけでございますが、しからば、そういうふうに政管健保が非常に危殆に瀕してきた理由はどこにあるかという、こういうまたもう一つ先の原因というものを探求してまいりまするならば、私は、御指摘のように、この医療費というものが増高してきた、これに対して、先ほど来議論になっておりました政管健保の収入の面が追いついていかないということが私はこの大きな原因であろうと、かように考えます。
 しからば、その医療費がなぜそんなに増高してきたか、こういうことでございますが、これもしばしば申し上げておりますとおり、医学、医術、また、薬学といったようなものが非常に進歩発展をいたしてまいりまして、質量ともに医療というものが進歩向上をしてきた、したがいまして、その医療給付というものの内容が非常に質量ともによくなったということであろうと私は思いますが、さて、そういったようなことでこの政管健保が非常な赤字に見舞われているといったようなことを、これこそ医療費と政管健保との運営ということの関連におきまして、私は抜本対策、根本的なひとつこの検討をいたしまして、そうして立て直し政策を立てていこうというのが、今日われわれが考えておりまするこの抜本対策の考え方でございます。
#46
○藤原道子君 だから、その健康の監理は一体どうなっているか。たださえ健康をおかされやすい状態のもとに働いている者に、その人にあなた方は今度は薬剤費の一部負担さえぶっかけようとしている。貧乏で苦しみ、病気で苦しみ、さらにその人に薬剤費の一部負担をかけようとしているのですよ。そうすると、一体これらの人は病気を治療したくても受けることができない、治療の中断をせざるを行ないということになりはしないでしょうか。したがって、羅病者が多い、この原因の追及をして、その人たちに健康で働けるようにしていくのが私は本来の趣旨でなきゃならない。赤字になるから負担をぶっかければいい、保険だから政府は知らぬ、これじゃ私は、話にならないと思う。したがって、労働省におきまして、この中小企業に働く人たちの労働の管理とか衛生管理、こういうものは一体どのようになされているか。
#47
○政府委員(村上茂利君) 先生御指摘のように、大企業と中小企業を比較いたしますと、たとえば賃金などは格差が緒小したとはいいながら、賃金その他の労働条件は大企業に比して劣っていることは、これは御指摘のとおりであります。そういう恵まれない労働条件のもとにおいて健康の問題についてどうかということでございますが、労働省といたしましては、労働衛生管理の徹底を期するために、これは一昨年でございますが、安全衛生規則を改正いたしまして、従来五十人までの規模のものについて労働衛生管理者の専任義務を課しておったのですが、それをさらに引き下げまして、常時三十人以上の労働者を使用する規模まで衛生管理者の専任義務を負う事業所を拡大した、それによりまして、使用者にかわりまして労働衛生管理を徹底するそういう専任の者を定めまして健康管理の向上を期したいというふうにいたしたわけであります。しかし、一般的な健康管理の問題につきまして、結果はどうかと申しますと、先生御承知のように、労働基準法によりまして定期健康診断等を実施いたしておりまして、その結果は、結核罹患率の減少等に伴いまして、健康診断の結果の有所見率――異常があるという、そういう異常所見を認めた率はだんだん低下してきておるという傾向にございます。
#48
○森勝治君 関連。関連で厚生大臣に質問したいのですが、先ほど藤原さんが、一体健康管理その他について政府はどういう努力を払っているかという質問をしまして、労働省から若干お答えになりましたが、あなた方が口を開けば、組合保険のほうはいつも黒字だということをよく言われるのです。そこで、私は、若干この組合保険と政管健保の問題を比較検討いたしまして質問してみたいのですが、この政管健保は約一千二百万人といわれております。国保のほうは約八百万といわれておるわけでありますが、これは政管健保と組合健保の場合は、労働者の平均賃金がすでにもう一万円政管健保は下回っていることは御承知のとおり、さらに健康管理の問題につきましては、採用時において組合健保のほうは採用時の健康診断をやって、健康体ならざる者は採用しない。政管健保のほうはどうでしょう、身体検査はせずに、たださえ人的資源が枯渇をしておる現今でございますから、来てくれる者は御の字ということで採用をいたします。政府もまた、政府の高度成長政策のあおりを食って中高年層がちまたに充満をいたしまして、そこで、この中高年層の就職ということで、中小企業で中高年層の労働力を吸収するならば、一定限度政府が適当な手当を支給して、これら諸君の生活安定をはかろうとされたことは皆さん御承知のとおりです。ところが、いま申し上げたように、採用時ですでに健康診断をしておらぬわけですから、これはもう不健康な方も間々あるでしょう。本来ならば、医者に十分かかり、養生しいたのですが、迫りくる生活苦のために、心ならずも家族をささえるために働かざるを得ないことが比較的この中小企業に多いわけです。そういうところからこの組合健保と政管健保の中高年層の比率を見ましても、五十五歳以上は政管健保で約一〇%おるわけです。組合保険のほうは五%程度、そうなれば、この一千二百万のうちの約一割の百二十万程度が五十五歳以上ということになります。したがって、成人病もまた多く発生し、健康管理の面も組合保険と著しく劣るわけです。賃金が少ないところへもってきて不健康になり、病気にかかる要素が環境上多い。そういう年配ということもあるし、会社の健康管理の状況からいっても多い。したがって、組合保険は健全だけれども、この政管健保は不健全だから赤字が出たなどとおっしゃっているが、これはいまの社会の構成上当然かくあるべき姿じゃないですか。組合健保から比較して、政管健保のほうは社会的なそういう収入のレベルからいっても少ない人が多いのですから、さらにまた病気にかかるのも、そういうふうに成人病の率も中高年層の五十五歳が約一〇%、一割もあるということになりますと、当然そういうものが起こる、したがって、医療費もかさむということになるのです。そうなれば、この中小企業は、比較的底の浅い日本の産業の中で、なかなか十分この産業の興隆の寄与もできないといわれる。かろうじて手当てをするが、容易でないとよくいわれる。したがって、中小企業の経営者は生産に従事する自分たちの工場の従業員の健康管理が全きを期することがなかなかできないということをよくいわれる。したがって、そういう弱いところには政府がいつも、七十条の問題で若干論議をいたしましたが、どんどん金をつぎ込んで、社会保障という――私どもはこれは社会保障費と主張いたしておりますが、社会保障の観点からこれらの方々の健康の全きを期したならば、これは政府の中高年層の完全就職のそういう指導の労働対策の見地からいっても、当然これは政管健保は政府の資金をどんどんつぎ込んで、中小企業に働く労働者が安心して生産の第一線に立つようにし向けてやるのが為政者として正しい道じゃないですか。そうじゃないですか、大臣。にもかかわらず、大臣はそういう点については答弁をほおかぶりされようとしているわけです。したがって、藤原さんの質問については、あなたはいまなかなか答えられようとしていない。抽象的な表明だけしか用いられない。たまたま労働省からの答弁があったから、あなたは自分のその責めを果たすべき藤原議員に対する答弁をしないで済みそうな顔つきをしておるから、私は関連質問で、あえてこういう失礼な発言をしておるわけですから、藤原さんの質問に完全に答弁していただくと同時に、私がいま二、三つぶさに指摘した問題についてもあなたの考え方を聞かせていただきたい。
#49
○国務大臣(坊秀男君) お答えを申します。
 御指摘のように、組合健保と政管健保との内容を比較いたしてみますと、これは被保険者、事業主として収入支出といったような点においてもある程度の開きがある。それから、また、健康管理というような面におきましてもこの両君には相当な違いがあるといったようないろんな面から考えまして、政管健保は組合健保に比べて通常上比較的困難であるということは、私はおっしゃるとおりだと考えます。それでありますから、今日まで政管健保につきましては、政府が三十二年以来、それは金額につきましては、いろいろの多かったり少なかったり消長がございますけれども、今日まで補助金を投入してまいっておるのでございまして、将来も、これは組合健保についてはさようなことは今日までやっておりませんけれども、こういったような行き方というものは、これはまあ抜本対策におきましてどういうふうにこの政管健保、あるいは組合健保、その他の医療保険制度を抜本的に立て直していくかということもございますけれども、それはそれといたしまして、組合健保と政管健保とのこの内容における必然的の非常な格差といいますか、そういったようなことについては、政府といたしましては絶えずこれに慎重なる考慮を払いつつ運営をしていくということが非常に大事なことであろう、かように考えます。
#50
○藤原道子君 大臣の答弁としては抽象的です。国民の健康の管理という点について、これを維持しなければならない厚生大臣としての答弁としては、私は納得がいきません。一時のがれの答弁では困ると思います。
 私はさらに続けてお伺いしたいのは、劣悪な労働条件である、しかも、健康管理も不十分である、定期健康診断などはほとんど行なわれていない、こういう状態に置かれておる上に、さらに産業公害が心身に及ぼします影響は、いまや看過することのできない段階にきておると思います。特に中小企業、零細企業に働く労働者は、労働過重、低賃金の上に、危険防除対策等が不備なために、さらに公害によって一そう心身をむしばまれつつあることは判然とした事実でございます。これらに対してどのような施策がなされておるか。中小企業対策を政府はやかましく主張される、この機会に強力な対策を行なう、こう言われておりますけれども、四兆九千九百八十四億というこの膨大な予算の中で、中小企業対策費はわずかに三百九十八億しか計上されておりません。このスズメの涙ほどの対策費で中小企業の近代化ができると思うか、さらに、また、公害防除施策がこれで可能と考えておられるか。これらについて、通産省も見えておりますね、労働省もあわせて御答弁を願います。
#51
○政府委員(熊谷典文君) 御指摘のように、中小企業関係につきまして今後の施策として相当思い切ったことをしなければいかぬというのは仰せのとおりでございます。中小企業に働く人々の賃金の問題もありますし、また、おっしゃいましたような被害の問題もございます。われわれといたしましては、中小企業の公害施策につきましては、中小企業といえども、一般国民に与える被害は防止しなければならないわけであります。それから、そのためには設備の関係、いろいろな問題で金がかかります。そういうものを低利の金でできるだけ確保するように努力をいたしておるわけでございます。四十三年度につきましても、その点につきましては一段の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#52
○藤原道子君 産業公害対策の責任は、主管大臣は厚生大臣だと思いますが、どういう対策をなさいますか。
#53
○国務大臣(坊秀男君) 産業公害につきましては、おっしゃるとおり、厚生大臣が主管いたしております。公害基不法の主管は厚生大臣がやっておりまして、そうしてその中で各省といろいろ関係のあるものがございます。たとえば交通についての都市公害といったようなもの、また、工場公害といったようなもの、そういったいろいろなものがございますが、たとえば通産省との関係、たとえば自治省との関係――あるいは建設省との関係、――そういったようなものがございますが、そういったような各種の関係のある場合には、厚生大臣とその所管の大臣とが、これが所管である、こういうことに相なっておりますが、これらの産業公害、あるいは都市公害といったようなものにつきましては、総合的な対策をとっていくということでございまして、そういったような総合対策を立てるためには、総理大臣を長とする公害対策推進連絡会議といったような機関も総理府に設置いたしまして、そこで産業都市その他の公害の根本対策の基本をそこで策定いたす、こういうことに相なっておるのでございます。そういうようなことから、私、厚生大臣といたしましては、その公害措置として都市公害、産業公害といったようなものを除却してまいるためにはいろいろの、いま基本法だけができておりますけれども、その基本法に基づきました各種の具体的な法律を御審議いただき、これを成立させていただきまして、その法律に基づきまして公害を防止していく、こういう立場にあるのが厚生大臣でございますが、そういったようなことから、国民の健康を維持し、保持していくというようなことがさらに一段と推進されていくというようなことでございまして、もちろん国民の健康を保持していくべき医療保険といったようなものにも、これは産業公害、都市公害、公害を防止していくということが相当な強い関係を持っているということを考えまして、私は、公害防止と、それから健康保険、健康を維持していくということを有機的に今後考えてまいらなければならないと、かように考えております。
#54
○委員長(山本伊三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#55
○委員長(山本伊三郎君) 速記をつけて。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時十分まで休憩いたします。
   午後一時十二分休憩
    ―――――――――――――
   午後三時十六分開会
#56
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続きまして、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次発言を願います。
#57
○藤原道子君 私は、本臨時特例法には全面的に反対でありますが、特にその中の薬価の定額負担は現行法のうちに持ち込むべき性質のものではなく、根本的な改正をこの際検討すべきではないか。元来、薬価の定額負担は、現行の負担制度の中のワクを拡げたものであるといっておるけれども、定額負担化は保険制度の基礎をゆるがすものであるから、暫定措置としては絶対に取り上げるべきものでないと思いますが、いかがでございますか。
#58
○国務大臣(坊秀男君) 外来投薬時の一部負担でございますが、これは今度の健保等の特例法におきまして、どうしてもこの赤字を克服していかなければならないというので、いろいろな手だてを講じましてその方法をとっております。その中で、国はじめ、各関係者の負担を願うという際に、被保険者の中で、現実に給付を受けまするその患者さんの一部負担ということも、これはひとつ現実に給付を受ける方々にも負担をしていただこう、こういう考え方をとりまして、そして、その考え方をとるにつけまして、現在すでに行なわれておりまする初診時及び入院時の一部負担というものの増額を考えたのでございますが、しかし、それにのみたよるということになりますと、原案におきまして百円を二百円、三十円を六十円ということに上げておりますが、二倍に上げておりますものを、これを三倍にも四倍にも上げなければならないというようなことでございますので、そこで、この一部負担という意味におきまして外来投薬時の一部負担ということをきめたのでございまして、とにかく給付を現実に受ける患者さんにも負担をひとつしていただこう、こういったような考え方に出たものでございます。
#59
○藤原道子君 政府は、この薬価負担について、受益者負担というようなことばをしばしば使われておりますが、病気になって医者にかかる、それだけでさえ非常な苦労でございますのに、この人を受益者と見る考え方にも問題がございます。さらに、この一部負担を強行することによって非常な矛盾が出てくることをお考えになっよことがあるでございましょうか。この受益者負担、薬価一部負担は、わずか十五円の負担であるから、たいしたことはない、こういうことを言明されておりますが、ほんとうにたいしたことはない、このように考えておいでになるのでございましょうか。
#60
○国務大臣(坊秀男君) 今度の外来投薬時の一部負担でございますが、むろん十五円以下は取らない、十五円以上については一剤一日分十五円を徴収する、こういうことになりますから、その限りにおきまては、これはやっぱり患者さんの負担ということになることは私どもは否定はいたしません。しかし、この定額十五円の負担というものは、患者さんの中で、頭数におきまして約九割までが月四百五十円という負担になりまして、そこから上の負担のかかるという方々は一割にすぎない、こういうような関係から考えまして、この崩壊に瀕しておる健康保険制度を保持していくためには、ひとつこの程度のことは御負担を願いたいということをお願いいたしておるのございます。
#61
○藤原道子君 あなたは、いま九割までが十五円の負担で済むと、こういうお答えでございますが、私どもの調査におきましては、さような数字は出てまいりません。いま医者にかかった場合、投薬一剤ということがどれだけ行なわれているか。その九〇%ということの調査の根拠を示していただきたいと思います。
#62
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもの調べました中身は、国民健康保険で全国の市町村でやっております病院、診療所の全部の処方を集めましたデータでございまして、それによりますと、四百五十円以下の負担でお願いできる方が九〇%程度、こういうことになったわけでございます。むろん例外的に、長期疾病の方で一日二剤ずつ高価な薬を医者からいただく場合には三十円ですから、それの三十日分で九百円か、九百円をちょっと上回るようなケースもございます。しかし、その数はきわめて少ない数でございまして、普通の外来患者の場合には、平均的に申しますと四百五十円以下でございますから、平均的に申しますと、大体百五十円から二百円程度、普通の症状の場合には。その程度で済む御負担になるのではなかろうか、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
#63
○藤原道子君 四百五十円で済むのではなかろうかということでございますが、政府管掌の健保におきましては非常に高年齢層も多い。これらの人は、高血圧であるとか、あるいはガンであるとか、あるいは心臓病であるとか、いわゆる成人病に悩む人が多いわけなんです。その人は特に長期の療養を必要といたします。そうして、これらの人の中には、一剤で済んでいるという例よりも、いろいろ医薬が進みまして、前にはもう不治の病といわれたものを投薬によって回復を非常に早めておる、こういう例のあることは、これはもうあなたも御承知のとおりなんです。私ども、こういうデータを集めております。したがいまして、これらを見ましても、ガンの場合、あるいは高血圧症の場合、いろいろと薬が出されておりますが、一剤というよりも、二剤、場合によれば三剤等を必要としておるものがたくさんに集められておるわけでございます。ということになれば、病気になったという苦痛、治療を受けなければならない、収入の減、これにプラスいたしまして、この一部負担が月に千三百五十円ですか、三剤もらえば。二剤でも九百円。これが長期にわたったときに、療養によって給付は下がってくる、そして薬代は払わなきゃならないということになれば、物心両面の苦痛ははかり知ることができないものがあると私は考えるのです。そのために、ある程度よくなったら、もう医者に行くのはやめようと、診療の中断ということが起こるのではないか、その結果を私たちは非常におそれるものでございます。低賃金、過労、その上に病気、そして医者にかかれば薬代負担までがかかってくるということになれば、結局そうした弱い者は死ねということになるのではないでございましょうか。私は、ことに厚生行政は、いま少し血あり涙ある態度で臨んでほしい。国民の健康を守るのが厚生行政であろうと思うのに、これに反した方向へいくこの一部負担制度には絶対に承服することができないわけでございます。
 ことに問題にしなければならないのは、過日の衆議院における修正によりまして、低所得層には免除する、こういう修正がなされております。ところが、この低額所得層に対して免除するという規定は、一そう私どもは繁雑な業務を加えると同時に、治療を受ける人たちをみじめな思いに追いやるのではないかと思う。その方法はどういうことをもって処せんとしておいでになるか、この点についてもお伺いしたいと思います。
#64
○政府委員(熊崎正夫君) お答え申し上げます。
 藤原先生御指摘の、たとえば三剤の場合に千三百五十円になる、これは御指摘のとおりだと思います。それから、いろいろとレセプトをお調べになっていただいた場合に、多剤投与といいますか、剤数の投与が多い例があることは、これは私どもは否定はいたしません。しかし、先ほど申し上げましたのは平均的な数字を申し上げたわけでございまして、それは症状によっていろいろ違うわけでございますが、私のほうの調査によりますと、外来の場合の投薬の剤数につきましては、二剤投与以下が全体の九〇%、三剤以上というのは、剤数としては非常に多いほうになるわけでございます。したがいまして、ケースによって違うわけでございますから、多い剤数投与の症例につきましては、それは確かに御負担がふえることは私どもは否定をしないところでございますけれども、しかし、普通の場合に、二剤投与という形で済む場合には、たとえばアスピリン等につきましては、かぜの場合のかぜ薬等については十五円以下でございますから、これは二剤投与であっても一剤は徴収されない、残りの一剤分だけが徴収されるというふうな場合もございますし、また、長期疾病にわたりましても、たとえば結核等につきまして、パスでございますか、粉薬をいただいた場合も、これは十五円以下の分に入りますから、これは全然負担がかからないというふうな、個々の例につきましてもいろいろとケースケースによって違うわけでございまして、ただ、平均的に申し上げますといま申し上げましたような形になっておるわけでございます。
 それで、今回の衆議院におきます修正によりまして、二万四千円以下の方で、あと扶養加算一人につきまして六千円という形になってまいりますので、いわゆる低所得者の方々につきましては薬代の徴収はないというふうな結果になろうと思いますけれども、これにつきましては、取り扱いととしましては、私どもは、たとえば被保険者証に免除というふうな判こを押したりすることになりますとすれば、御指摘のように、心理的にもいかがかと思う印象もあるわけでございますので、そういうふうな取り扱いはやめまして、証明書を発行するということで、被保険者証にはそういう形のものは取り上げないようにしまして、証明書によって免除をするというふうな形で、なるべく低所得者対策がスムーズにいくようなことを考えたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#65
○藤原道子君 重大だと思うのです。いまでも生活保護の医療扶助は、一々福祉事務所に寄って証明書をもらわなければならない。それを提出いたしております。今回低所得者であるという証明書を一々もらって来なければならない。しかも、これは病気なんです。病気の者がわざわざ役所に行って、そうして低所得者の証明書をもらい、これを再び病院の窓口に提出しなければならない。その本人の身になったらどう思うでございましょう。さらに、同じ窓口で、私は低所得者ですという証明書を出して薬をもらわなければならない。そうした行為が、病気になったことでさえどうしても異常な心理になっておるときに、一そうみじめな思いをさせる結果になるのでございます。だから、結局こんな煩瑣なことを一々やるより、ああ、あきらめましょう、初診料を取られる、薬代を取られる、これではやりきれない、こういうことで、つい診療中断の結果を来たすのではないか。そのよって及ぶ結果を考えまするとき、私たちは一そうこの案に賛成するわけにはいかない。そういう気持ちをお考えになったことがあるのでございましょうか。むしろ政府は、この診療中断をねらいとしているのではないかとすら勘ぐらざるを得ないのでございますが、局長に……。
#66
○政府委員(熊崎正夫君) 御指摘のような点も私どもいろいろ考えまして、これは実施の段階で藤原先生御指摘のようなことのないように万全の措置をとりたいと思っておりますが、原則的に、証明書を出すのは、そのつどということじゃなしに、それぜれの会社の事業所を通じまして証明書は本人に渡すという形をとることになるわけでございまして、その病気のつど証明書を取りに来るとかなんとかいうふうな、そういうような形は絶対に避けたいと思っております。運用にあたりまして、いろいろと先生御指摘のような不合理な点があったら困るということで、その点につきましては慎重にそういうことのないように配慮をして、しかも、これは一年間の分を発行する、こういうことになるわけでございますから、全然そういうことのないように努力をしたいと思います。
  〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕
#67
○藤原道子君 これはあなた方の考え方であって、現在でも、生活保護による医療扶助、この人たちがどんなみじめな思いをしているか。そのために医療をあきらめて売薬にたよる、こういう結果になっておるのです。私は生活保護者です、同じように、私は低所得者でございます、これを一々出さなければならないのです。ということになれば、結局私どもの考えからいけば、一つの大きな人権問題にもなるのではなかろうか、こう考えるのです。それはあなた方にはわずかなことで関係ない。けれども、一生懸命働いていてさえ生活のできない人、病気になれば収入は減るのです。そのみじめさに加えて、低所得者をうたわなければ薬がもらえない、こんなむごいことをやるべきでないと思いますが、さらに重ねてお伺いします。
#68
○政府委員(熊崎正夫君) 低所得というふうに先生御定義をいただいてお考えのところだろうと思いますけれども、千二百五十万の被保険者の七割が免除になる制度でございます。これは、たとえば、独身の場合に二万四千円、それから被扶養者一人につきまして六千円の加算でございますから、家族がふえるにつれて全体の標準報酬を洗っていきますので、それで大体七〇%が免除になるということでございますから、まあいわばこういう負担の徴収されることを極力少なくしていこうということで党のほうで修正をいただいたというふうに私ども承っておりますので、その点は、いわば医療扶助の場合の取り扱いとは全く取り扱いを異にするというふうに私どもは考えているわけでございます。
#69
○藤原道子君 低所得者対策であるということをはっきり大臣は言っていらっしゃったじゃないですか。ことに中小企業の給与ベースはどうなっておりますか。独身の場合二万四千円、扶養者一人あれば六千円、子供が一人あったらどうなる。平均賃金は幾らです。中小企業では三万ちょっとぐらいのところになっているじゃありませんか。やはり低所付属ということを位置づけていることは大臣の言明からはっきりしている。低所得者対策ではないということは詭弁だと思う。
 それならば伺いますが、この薬価の一部負担のねらいはどこにあるのですか。そんなに煩瑣なことをして、しかも、今年度上がってまいります金額はわずかに十五億と見込んでいるじゃありませんか。これは一体何をねらっておやりになっているのか、その点を伺わしてもらいます。
#70
○国務大臣(坊秀男君) 薬価の一部負担は何をねらっているかという御質問ですが、これは、先ほどもお答え申し上げましたとおりです。一部負担が、現行の入院時及び初診時の一部負担がございますけれども、その負担だけにしわを寄せますとたいへんなしわになりますから、そこで、投薬時の一部負担というものをこれに加味をいたしたわけでございますが、低所得対策――確かに所得には高額、低額と、非常に段階があるわけでございますが、比較的低所得者がこの対策を受けることによって、何と申しますか、何だか世間ていが悪いといったような気持ちが生じてくるじゃないか、こういうふうな御質問でございますけれども、比較的所得の少ない方々に対する対策は、これは所得税の非課税になるか課税になるか――独身、あるいは二人の家族、三人家族ないし五人家族等によりまして所得税の課税されるかされないかという標準があるわけでございますけれども、その所得税の課税、非課税というものさしを採用いたしまして今度の対策を与党のほうでとったのでございます。その証明書を持って行きますと、この人は所得税を払っているかおらぬかというようなことでございまして、これは非常に所得が低いとかなんとかいうことよりも、所得税を払っているかいないかということがこの証明書によって大体判明されるということでございまするので、私は、その措置によりまして、この対策を受ける御当人が非常に肩身が狭いとかなんとかというそういうようなことで、世の中には所得税を納める人、納めない人――納めない人もたくさんおるのでございまして、この場合だけに肩身が狭いというような感じはそれほどないものだと、かように考えております。
#71
○藤原道子君 私は、そういう考えで厚生行政をやられているかと思うと悲しくなりますよ。そういう答弁では納得がいきません。所得税を納めているか納めていないか、これだけを基準にするのだから、それでみじめな気持ちになるのはおかしい、そんな気持ちですか、あなたは。低所得層が、たださえ生活にあえいでいるのですよ。低収入で、しかも、長時間にわたる労働、しかも、健康管理も衛生管理も十分でない職場で働いている。これで健康をそこなうのですよ。だから病人が多発するのです。それでいくときに、何も低所得層を差別はしないというけれども、その窓口には一般診療者も来ているのです。組合健保の人も来ているのです。その中にまじって政管諸君も行くわけです。そのときに、何ら心に抵抗を持たないでございましょうか。人間とはそんな感情のない動物でございましょうか。いま、大臣、そうした人権侵害のおそれのあるようなことまであえてやりながら、しかも、上がってくる金はたった十五億じゃないか。したがって、この薬価一部負担の創設は何をねらいにしているのか、ねらいはどこにあるのか、これをお伺いしているわけでございまして、明確なる大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  〔理事藤田藤太郎君退席、委員長着席〕
#72
○国務大臣(坊秀男君) 薬価一部負担が何をねらっておるかと、こういうお話につきましては、先ほど来お答えを申し上げましたのでございますが、さて、その次に、みじめな気持ちになるかならないかと、こういう御質問でございましたので、私は、いまの日本の国民の中には所得税を納めておられる方とおられない方とがあるが、その所得税を納めていないという方が、所得税を納めていないという理由によりましてそれほどみじめな気持ちに皆さんがおなりになるということにつきましては、必ずしもそれほどみじめな気持ちになっていらっしゃらない、かように考えるのでございます。なお、また、実質的な意味におきましては、先ほども申し上げましたとおり、薬価の一部負担というものはきわめて低額なものでございまして、この際、政管健保を維持していくためにはひとつよろしくお願いしたい、こういうことでございます。
#73
○藤原道子君 どうも納得いかない。わからないんです、聞けば聞くほど。大臣には貧乏人の気持ちはわからないのです。また、一面からいたしますならば、こういうことは、結局患者と医者との信頼感をも傷つけることになるのじゃないか。結果、診療の目的を達し得ないということになるのじゃないか。低所得者だから安い薬しかもらえないのだ、こういう気持ちは起こらないでしょうか。同じ病人です。同じ健康保険に入りながら、こうした気持ちを抱かせるような法の改正は許されないと思う。と同時に、こういうことを強行されることは、一面におきましては、たださえ忙しい医療担当者、これらの人に、より一そうの煩瑣を強要することにならないでしょうか。一人一人診察をするたびに、この薬は幾らです、この薬は幾らですと計算しなければならない。低所得者の証明があった場合に、一々これを計算しなければならない。そういう場合に、いまですら待ち時間が多過ぎる、病院の待合室で。かえってかぜを引いて病気が重くなる、待ち時間二時間、診察はたった二分間だ、こういう国民怨嗟の声があるときに、これを一々区別して記載しなければならない、計算しなければならない。その機関における煩瑣な手続を一体考えてみたことがあるのでございましょうか。もし万一低所得者としての証明を見落とした場合には、その結果はだれが負担することになるか。まことに制度あって実質が伴わないこうした改悪に対しまして、大臣はそういう点までお考えになったことがあるのかどうか。一つのこれを見ましても、一々こうして、何の薬は幾ら、何の薬は幾らと全部積算しなければならぬでしょう。一体、これはどうしたらいいんですか。こういうことまでお考えになりましたか、大臣。
#74
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のような議論が、これをきめる段階におきましていろいろございました。医療担当者に対して手数が煩瑣になるんじゃないかという議論もございまして、これにつきましては実際上いろいろと検討をいたしております。全然煩瑣にならないとは私は申し上げませんけれども、これにつきましていろいろ実際の実証的な検討もいたしておりますので、それにつきまして事務当局から説明いたさせます。
#75
○政府委員(熊崎正夫君) 大臣がただいまおっしゃられましたように、医療機関の事務量がふえるということにつきましては、私どもふえないと申し上げておるわけではございませんので、ふえることは事実でございます。しかし、たいへん煩瑣になるという藤原先生の御意見でございますが、今度の定額十五円以上と以下に分けまして、それにつきまして、十五円以下はただ、十五円以上は一剤について十五円取ると、こういうふうにいたしましたのは、なるべく医療機関側の事務の繁雑化を招かないような配慮のもとに十五円というものがきめられたわけでございます。と申しますのは、お医者さんが支払基金に請求する場合に、レセプトに書き込みます。ただいま先生のお持ちのは、そのレセプトの写しだと思いますが、そのレセプトの中には、たくさん書かれておる薬の内容は、十五円以上のものについては必ず書かなければならないことになっておるわけでございます。どういう薬を何日分何種類投与したかということを書かなければならないことになっておるわけでございます。ところが、十五円以下のものについては書かないでいいことになっております。十五円以上のものについては現在も書くようになっておるのでございますから、その種類が三種類あれば、また、そう日数がたとえば五日間ということになれば、十五円掛ける三掛ける五というふうに医療機関のほうで簡単に計算していただけるものというふうに私どもは考えておるわけでございます。それから、また、医療機関側のほうでは、常に家族の場合については窓口で御徴収をいただいておるわけでございます。つまり、この薬については一体十五円以上であるか十五円以下であるかということを常に頭の中に考えておいていただいて、そして毎日毎日外来患者については窓口で徴収をいただいておるわけでございますから、大体事務的に習熟されておるというような点も考えまして一剤十五円というふうな刻みをいたしたわけでございます。それで、実際的に医療機関の事務がどのくらいふえるかということにつきましても、社会保険審議会、社会保障制度審議会で、私どもが実証的に計算をいたしました実際にかかる事務量の数字を申し上げてございますが、たとえば病院におきましては、一日当たり千人以上の外来で、四つの窓口で四人の事務員が処理しておる例で申し上げますと、一人当たりの事務量の増加は三十五秒でございまして、事務員一人当たりの作業時間増は二十五分ふえる。診療所の場合は大体四十分程度これによってふえるというふうな計算といいますか、実地の上での計算をいたしました。確かに事務量はふえてまいりますけれども、そう普通考えられるように、全く新しい仕事がつけ加えられてたいへんな事務になるというふうなことじゃなしに、若干の事務がふえるけれども、この際ひとつ何とかごかんべん、ごがまんをしていただきたいということで私どもは考えておるわけでございます。
#76
○藤原道子君 がまんができない。保険医がこぞって反対しているじゃありませんか。私は、あなたのように机上の計算で、机上の算術で何秒なんというものじゃないと思うのです。そんな計算どおりいきますか。いまいみじくも言われましたように、十五円以下ならそれはやらなくてもいい、結局十五円以下の安い薬を投与するということのねらいじゃないですか。患者はそういうふうに勘ぐりますよ。それと同時に、扶養家族の問題を私は言っていない。扶養家族は、あなたが言われたように、いままで金を払っていた。けれども、その家族というのは被保険者の半分くらいしかないのですよ。受診もぐっと減っているのですよ。いま言っているのは被保険者本人のことなんです。そうでしょう。それと同時に、患者のほうからは、みじめな気持ちで途中で診断をやめる結果になる、あるいは、また、安い薬をくれるのじゃなかろうかというような疑いを持たなければならぬ。そうすると、医者と患者のぴったりした信頼感がなければ治療効果は減殺されるのです。それが一つあると同時に、いまあなたは、機関における繁雑さはたいしたことはない、こう言われますけれども、これを一つ考えてみたいと思う。あるいはこれらの確認事務、あるいは、また、日常の診察中のものだけではなくて、診療報酬請求書の作成や診療報酬請求書の点検、支払基金の審査事務、あるいは低題所得者の証明の発行、交付による事務量の増加、これらを考えるときに、私は各方面に及ぼすこの結果は悪法だと思うのですよ。これだけ多くの方面に迷惑をかけ、みじめさを与え、しかも、その上に、あがる薬剤費はたった十五億ではないか。この十五億ぐらいのものがなぜ政府が負担できないのか。これはあなたの言われたように、やはり売薬に走り、あるいは診療を中断すると、こういうふうなことがねらいで、いわゆる乱診を防ごうとすることのみに考え及んだ改正案である、こういうふうに考えますが、これは間違いでございましょうか。この点についていま一度御意見を伺わせていただきたい。
#77
○小柳勇君 いまの藤原委員の最後の問題は一番大事な点です。この特例法の一番中心の問題でありますから、私も関連してその問題について質問いたしますが、この一部負担をきめられた目的は、赤字を補てんするのが目的であるのか、いま藤原君が言われたように、乱診を防止するのが日的であるのか、これはあとの抜本改正ともつながりますので、正確に大臣から答弁を求めます。
#78
○国務大臣(坊秀男君) 今度の特例法案は財政対策でございまして、赤字を補てんしていくこと、こういうことでございまして、治療、診療の抑制をしようなぞというような気持ちは毛頭ございません。
#79
○小柳勇君 そういたしますと、今年度十五億、来年度三十六億、合計五十一億の代替予算があれば一部負担は中止いたしますか。
#80
○国務大臣(坊秀男君) 決して治療の抑制というようなことは考えておりませんけれども、しかしながら、五十一億という財源でございますが、これは今回の赤字対策といたしましては非常に重要なるものでございます。そこで、これを撤回するというつもりもございません。
#81
○小柳勇君 いままでずっと可時間も論議したのは、こういうところに一つの焦点があります。乙の一部負担の問題と料率の問題、いわゆるいま危機に瀕した健康保険法を立ち直らせるためには、いま言ったように、一部負担をしなければならないし、料率の引き上げがある。したがって、一部負担の五十一億が一つの柱だと思うが、重ねて質問いたしますが、五十一億の金がだれでも納得するような金が出るならば、一部負担は今回に限り取り消しますか、もう一回見解を聞きます。
#82
○国務大臣(坊秀男君) そのだれでも納得する金と申しまするが、それはただ金がわいてくるといったようなものではなかろうと思います。さような意味におきまして、私は、いまの段階におきましては、その期待に確信を持っておりませんから、そこで、この五十一億というものをやめるというようなふうには考えておりません。
#83
○小柳勇君 それで、四十一年度の保険財政、政府管掌の収支決算が出たようであります。この聞いただいた資料がここにありますが、これを御説明願います。
#84
○政府委員(加藤威二君) 先般お手元に差し上げました「厚生保険特別会計健康勘定収支決算表」でございますが、これについて御説明申し上げます。
 その数字は、書いてございます左の欄が予算額、それから、まん中が決算額、右側が差し引き増減でございます。
 予算額につきましては、保険料収入が三千十四億五千三百万でございます。それから、一般会計より受け入れが百五十億、それから、借り入れ金が八百六億、それから雑収入を合わせまして予算額の収入が三千九百七十二億でございます。これに対しまして、決算額でございますが、その右でございますが、収入面における決算額は、保険料収入が二千七百三十三億、一般会計受け入れが百五十億、借り入れ金が八百六億、そのほかで、合計三千六百九十三億でございます。
 それで、保険料収入で、予算額三千十四億より二千七百三十三億に決算において減っておりますが、その右側にありますように、二百八十一億五千万減っております。そのおもな理由といたしましては、これは予算のときに、保険料率の引き上げを千分の六十三から千分の七十にするという制度の改正案、それから上限のアップがございますが、一応料率についてそういう改正案であったわけでございますが、国会審議の途中におきまして修正されまして、六十三から七十に上げるのが、六十三から六十五にアップということに修正されました結果、保険料の収入が予算よりも減になった、こういうことでございます。
 玉置和郎君「議事進行。藤原君の質疑をとどめ、直ちに次の質疑者の質疑に入ることの動議を提出いたします。」と述ぶ。
 「賛成」「発言を許可してないぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し」
#85
○委員長(山本伊三郎君) 暫時休憩いたします。
 午後四時四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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