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1967/08/15 第56回国会 参議院 参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第6号
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1967/08/15 第56回国会 参議院

参議院会議録情報 第056回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第056回国会 社会労働委員会 第6号
昭和四十二年八月十五日(火曜日)
   午前十一時四十七分開会
  出席者は左のとおり。
   委員長          山本伊三郎君
    理 事
                植木 光教君
                土屋 義彦君
                佐野 芳雄君
                藤田藤太郎君
    委 員
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                玉置 和郎君
                船田  譲君
                丸茂 重貞君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小柳  勇君
                藤原 道子君
                森  勝治君
                柳岡 秋夫君
                小平 芳平君
                片山 武夫君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       厚 生 大 臣  坊  秀男君
       労 働 大 臣  早川  崇君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       経済企画庁調整  宮沢 鉄蔵君
       局長
       大蔵省主計局次  岩尾  一君
       長
       厚生政務次官   田川 誠一君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       厚生省保険局長  熊崎 正夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     加藤 威二君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案の審査のため、明十六日、関係者に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山本伊三郎君) 異議ないものと認めます。
 なお、参考人の人選その他につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山本伊三郎君) 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を議題にいたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#6
○藤原道子君 私は、昨日の質問中にこれが中断されたことは、まことに遺憾でございます。大切な審議のさなかに時間を空費いたしましたことは、取り返しのつかない恨事でございます。私の質問に関連いたしまして、小柳議員が計数の問題で質疑の最中に中断されました。したがいまして、私は持ち時間を制約いたしまして、わずかな時間ではございますけれども、小柳氏のその結着をつけますため、関連してわずかな時間を小柳氏に譲りたいと思います。
#7
○小柳勇君 昨日の質問の続きを一、二問お伺いいたしますが、きのう打ち切られたときの質問は、四十一年度の保険庁の決算が出たので、その収支を明らかにしてもらいたいという説明の中で質問を切られました。最後のほうの説明がよく記憶がありません。この手元の資料の説明がありましたから、私のほうから言いますから、その数字だけ言ってもらって、あとは私の時間の中で質問していきたいと思います。
 それは四十一年度の医療給付費の支出、これの予算と決算、それから、四十一年度の累積赤字、それから、この四十二年度の七百四十五億の赤字の積算の基礎になりました四十一年度の推定の累積赤字、その推定の累積赤字と実際の四十一年度の赤字との差、とりあえず以上のことを発表願います。
#8
○政府委員(加藤威二君) 四十一年度の医療給付費につきましては、お手元に差し上げました資料では予算額が三千一億になっておりまして、決算で二千八百五十二億、こういう数字になっておりますけれども、これは四十一年度の医療給付費ということでは必ずしもないのでありまして、この決算は単年度ではございませんので、ずっと昨年度の支払い未済も含めて、そして本年度の支払い未済は翌年度にわたって、この中には入っていない。先生の御質問は、おそらく四十一年度単年度でどうなっておるかという御質問だろうと思いますので、それについてお答えいたしますと、医療給付費は、四十一年度については二千八百億と見ております。それが決算におきましては二千八百二十八億でございます。それから、四十一年度の累積赤字でございますが、端数は四捨五入させていただきますが、九百七十八億でございます。それから、四十二年度七百四十五億の積算の基礎となったときの推計の累積赤字、これは千四十六億でございます。実際にそれが九百七十八億になる、こういうことでございます。
#9
○小柳勇君 以上の数字を基礎にいたしまして、あと私の質問の時間の中で、昨日申し上げました今年及び来年度の一部支払いに充てる五十一億の金があるのではないかという議論は、こういうものを基礎にして、まだほかにありますが、予算はあるのだ、あるにかかわらず、なぜ一部負担を強行しなければならぬのかということは、私の時間で質問していきたいと思いますので、一応いまの数字で話を進めますが、ただ、決算が二千八百五十二億とこの表にありますが、実際は二千八百二十八億、これに間違いございませんか。
#10
○政府委員(加藤威二君) いまも私が申し上げました二千八百二十八億というのは四十一年度単年度の数字でございます。医療費でございます。お手元に差し上げました二千八百五十二億、この数字は、実はこれは前年度の支払いの未済がその中に一部入っております。私が申し上げました二千八百二十八億と比較していただくのにはちょっと必ずしも適当とは思いませんけれども、これは単年度ではございませんで、前年度の繰り越し支払い額、四十年度でできなかったもの、それが二百二十九億ございます。それから、当該年度の二千六百二十四億とあわせまして二千八百五十三億、このほかに、当該年度といたしまして四十一年度の医療費の百八十二億は支払えないということで翌年度に繰り越されておる、こういうことでございます。
#11
○小柳勇君 四十二年度の繰り越しと今年度の未支払い額は百八十二億ですか。
#12
○政府委員(加藤威二君) 差し引きまして百八十二億でございます。
#13
○小柳勇君 質問を保留いたします。
#14
○藤田藤太郎君 いまの小柳君との間の関係のものは資料で出してください。
#15
○政府委員(加藤威二君) 午後提出いたします。
#16
○藤原道子君 政管健保の赤字対策としての特例法、こういうことで審議をいたしておるわけでございますが、これを赤字のない組合健保、さらには共済組合にやはり一部負担を課そうとするのは納得がいきませんが、これはどういう趣旨であるか。特に、法十二条二項には、共済組合の給付の種類及び程度は、本法による給付の種類あるいは程度以上でなければならない、こういうふうな条文がございますが、これらをどう解釈しておいでになるか、この点をお伺いいたします。
#17
○国務大臣(坊秀男君) 今回のこの対策は、政管健保及び船員保険の臨時応急の対策ではありますが、医療給付の法定給付に関しては、御承知のとおり、政管健保、組合健保、共済組合等は一体的な取り扱いをやっておるということ、それから、健保組合、共済組合においても、全部が財政が非常に豊かであるということではなくして、財政の悪化を来たしておるというようなものも相当多くにのほっておるということ。それから、一部負担金の取り扱いを保険者によって異にするならば、医療機関の窓口における事務処理の面で非常な混雑の生ずるおそれがあること等から、一部負担に関する特例を健保組合、共済組合にも及ぼすことにしたのでございます。以上のような理由をもちまして他の保険にも及ぼすということにしたのでございます。
#18
○藤原道子君 そこが納得がいかない。赤字のところもある、だが、黒字のところもあるんです。ところが、これ一律に課すんですよね。ですから、あなた方のねらいは、特例法とは言うけれども、やはり抜本対策に通ずる意図を持っておいでになる。もしそうとすれば、将来はこの一部負担が増大いたしまして、つまり抜本対策を立案しようとするときに、これらの給付基準が非常に低下するのじゃないか、あるいは低下するような地ならしのためにこういうことを今回お出しになったのではないか、こう考えますが、それに対してはどのようにお考えでございますか。
#19
○政府委員(熊崎正夫君) 現在初診時、それから入院時の一部負担につきましては、特例法の前の現行のもの、これにつきましても共済組合、それから、組合健保のほうには適用になっておるわけでございます。したがいまして、藤原先生の御疑問は、薬の一部負担についてやはり同じような取り扱いをするのはおかしいじゃないか、こういう御疑問だろうと思いますけれども、これは前々から御説明申し上げますように、初診時、入院時の一部負担の肩がわり的な考え方として今度の薬剤一部負担を考えたわけでございまして、考え方は、現行の一部負担の拡大といいますか、考え方と大体同じ考え方に立っておるということでございますので、これ自体を特別な取り扱いにするという考え方を私どもは全然持っておらないわけでございます。したがいまして、前々から申し上げますように、抜本対策に通ずる考え方ではないということで、つまり現行の一部負担と全く同様の考え方に立っておりますために、自動的にやはり共済組合、健保組合のほうにも及ぶ、こういうふうな論理に相なるわけだろうと思います。
    ―――――――――――――
#20
○委員長(山本伊三郎君) それじゃ、黙祷の時間がまいりましたので、全員御起立を願います。黙祷。
  〔総員起立、黙祷〕
#21
○委員長(山本伊三郎君) 黙祷を終わります。御着席を願います。
    ―――――――――――――
#22
○藤原道子君 私は、先ほど厚生大臣の言われた、窓口の煩瑣があるから同様にしたんだというようなことはおかしいと思うのです。窓口の煩瑣は、すでに低所得層を分離することで同じような煩瑣になるじゃないですか。そういう何かごまかしのようなことは私は納得がいかない。赤字の補てんのために、穴埋めのために薬価負担をさせるんだ、私はこの問題は追及していきたいのでございますが、何としても時間の制約がございます。同僚議員からさらにこれを進めてもらいたい。ことに製薬会社との問題、薬価の問題は、その根ざすところが非常に深いものがある。これが究明をしないで安易なしわ寄せをするような今回のやり方にはどうしても私は納得がいかないことを申し添えておきます。
 さらに、医療の谷間にあるといわれております日雇健保の問題でございますが、これの給付はまことに悪い、社会保険のていをなしていないと思うのであります。政府は、一昨年の社会保険審議会の答申の線に沿って今回は見送った、こういうことを言っていらっしゃいますけれども、いまの日雇いの諸君の実情を見ますると、社会保険であるならば、何らかこの際手を打つべきではなかろうか。手を打つべきである、対策を講ずべきであると私は考えますが、この点についての所信をお伺いしたいと思います。
#23
○政府委員(熊崎正夫君) 御指摘のように、日雇健康保険の現状は、非常に内容も悪くなっていることは先生御承知だろうと思います。根本的な給付改善という考え方も私どもは検討しなければならないと思いますけれども、やはりそれにつきましては、現在の保険料、日雇健康保険の保険料自体が全体の医療給付に対しまして二割やっと、二〇%ぐらいにしか達していないというような関係もございまして、あまりにも他の保険制度と保険料の面ではなはだしい違いがあるというふうな現状があるわけでございます。しかし、これを一挙に日雇健康保険の保険料を上げるということにつきましても、他の制度との関連もございまして、やはり社会保険審議会で日雇健康保険については抜本対策の際に検討するということになっておりますので、給付内容の改善、それから、保険料の改善、そういった問題を含めまして抜本対策の際に検討したい、こういうふうに存じておるわけでございます。
#24
○藤原道子君 私はそこに問題があると思うのです。低所得層ほど罹病率は多いのです。私は、医療保障というのは、国民の健康をまず守っていくということが基盤になっていなければならないと思う。一つの例でございますが、岩手県の沢内村ですか、ここは日本のチベットといわれている。十一月から四月までは雪に埋もれて交通もできないような所です。したがいまして、そこでは非常に死亡率が高かった、最高の死亡率を示していた。これではいけないということで、村当局があらゆる団体と協力いたしまして、総合病院を建てるとか、あるいは健康センターをつくるとか、あらゆる努力をいたしました。三十五年以来十割給付に踏み切っておるわけです。三歳以下の子供、六十歳以上の老齢の人には十割給付をしておる。しかも、この村は年間予算は千二百万円です。その半分の六百万円をこれに投じて、財政は非常に苦しい、火の車です。けれども、村民の生命を守るためには予算上苦しいのはいたし方がない、こういうことでこれを踏み切ってやっております。その結果、ここ五年間ほとんど死亡はゼロに近い数字に到達したといわれております。私はこの精神が必要だと思う。ことに政府は、沢内村のような脆弱な僻村においても、やろうと思えば人の命が救えるのだ、こういうときに、予算がないから、保険料が低率であるからやむを得ないといって見過ごしておるところにあなた方の医療に取っ組む姿勢があらわれておると思うのです。低所得層ならばしかたがないじゃないか、一部負担ができなければやむを得ないじゃないか、こういうことでやられるところに私は問題があると思いますが、今度の薬剤費一部負担、こういうことで、あらゆる層でいわれておりますことは、受診の制限になる、こういうことをいわれておる。われわれから見れば、それは千円や千五百円は何でもないと思うのです。けれども、その人にとれば重大な問題がある。しかも、薬価の問題でも、あるいは診療の問題でも、検討する面が多々あるにもかかわらず、それをやろうとしない、一方的に負担増によって解決しようとする、その結果が、やはり先ほども申し上げましたように、貧乏が病気を生むのです。病気がまた貧乏を生んでおります。この悪循環を断ち切るためには、政府負担において国民の健康を保持していくのだ、こういうことになぜできないか。私は、特にこの薬剤費の一部負担につきましては絶対に了承をすることはできません。しかし、私といたしましては時間がございませんので、この点について、いま私が申し上げましたような一つの例がある。貧しい、チベットとさえいわれておる所でもこれをやろうと思えばやっておられる。大臣、御所見を伺いたい。
#25
○国務大臣(坊秀男君) 今度の特例における一部負担でございますが、しばしば申し上げておりますとおり、先ほど局長も申し上げたように、保険関係のこの赤字を何とかして解消するにあたって応分の負担をお願いいたしたい、こういうような趣旨に出たのでございまして、私どもといたしましては、これによっておっしゃられるような受診の抑制、受診の制限というようなことは全然私どもといたしましては考えていないような次第でございます。
#26
○藤原道子君 厚生大臣には低所得層の困窮の状態がわかっていない。私はまことに遺憾でございます。
 そこで、それならば厚生大臣にお伺いいたします。国民皆保険だといって保険料は取り立てておる。けれども、国民ひとしく医療の恩恵に浴しておるかどうか、この点を私は伺ってみたいと思います。いますべての国民がひとしく医療の機会均等、これを受けておるとお考えでございましょうか。
#27
○国務大臣(坊秀男君) 政府といたしましては、とにかく全国民がこの医療保険の恩恵に浴するように制度がつくられまして、そして漸次そういう目的が果たされておることは御理解願えると思いますが、残念ながら、僻地等におきまして病院、診療所等の施設がないといったような所が日本の国にはまだ相当残っておる。さような所におきましては、医療保険の実効がまだあがっていないというような地域のあることは、これは私も認めざるを得ない。できるだけすみやかにこれを解消をしていくということが今日の急務であると、かように考えております。
#28
○藤原道子君 そういう御答弁はもう長い間同じことを伺っている。僻地の人からも保険料を取っているのですよ。それで、この対策をいたしますいたしますと言いながら、遅々として進んでいないのです。やろうとしていないのです。このことは、ひとり僻地だけではございません。都会においても低所得層はやはり医療を十分に受けることができないのです。有病と診断され、なお治療を受けていない人たちが、政府の統計を見ましても、年ごとにふえてきている。これは何を意味するか。と同時に、あなたの言う、ひとしく国民は医療を受けておる制度になっておる、制度はそうなっているでしょう、ところが、受けるべき医療機関の内容はどうなっているか。私は、建物ができたから、それで医療が受けられる、万全であるとは言えないと思う。これに対して、その中で働く医療従事者の充実状況はどうですか。医者は、看護婦は、あるいはエックス線技師、あるいは衛生検査技師、これらの人の充実状況はどうなっているか、その処遇はどうなっているか。
#29
○国務大臣(坊秀男君) 医療機関の充実整備ということは、これは非常に保険を実行していく上におきましても大事なことでございますので、これについては毎年この充実整備ということに力を入れてまいっておりますけれども、もちろんまだ十分ではございません。それから、また、御指摘のとおり、そういったような医療施設といったようなものが、物質的なさようなものができても、人的な整備をしなければ何にもならぬじゃないか、こういうお話、しごくごもっともなことでございまして、そういう面につきましても、医師をふやしていくといったようなことにつきましては、これは文部省ともよく連絡をいたしまして、そうして大学の医学部といったようなものの定員をふやしていくというようなことをやっておりますし、それから、また看護婦等の医療従事員といったようなものにつきましても、これの充実整備ということをはかっていっておる次第でございますが、それらのこまかい具体的な実情につきましては、ここに医務局長がまいっておりますから、医務局長から詳細に御説明をいたさせます。
#30
○政府委員(若松栄一君) 医療従事者の確保の問題でございますが、医師につきましては最近非常に不足をいたしております。このことは各国とも世界共通のことでございまして、歴史的に見ましても、英国におきましても、あるいはスウェーデン等の非常に社会保障の発達した国におきましても、ここほんの数年前はそれほど医師の不足を訴えておりませんでしたけれども、最近に至りまして各国とも非常に医師の不足を訴えております。日本におきましても、十年くらい前は医師の過剰が心配されたことがございましたけれども、現在はきわめて深刻な医師の不足を訴えております。こういうような状況を十分に検討いたしまして、現在必要医師数の適正数の検討ということをもちろんやっておりますが、それに先立ちまして、ここ数年来、約数百名の医師の増員をすでに実施をいたしております。したがって、この効果が今後着々あらわれてまいることと思っております。看護婦につきましては、すでに当委員会等でも再々お話が出ておりますが、ここ数年来の深刻さは、若干ではございますが、緩和しておりまして、さらに数年後においてはやや緩和するであろうという見込みを持っております。
 なお、薬剤師につきましては、絶対数としてはそれほどの不足はしておりませんけれども、最近は薬剤師になる方が女性が非常に多くなってきたというために、その定着率といいますか、また、稼働期間というようなものが短くなってきておりますために、将来かなり問題が起こる可能性があるということを考えております。
 その他のパラメディカルにつきまして、たとえばエックス線技師というようなものにつきましては、現在国立病院におきましては、医者十人についてエックス線技師が一・三人おります。これに対して、現在の養成の速度は、医者十人に対して三・三人の養成をいたしております。したがって、約二倍半程度の養成速度になっておるわけであります。また衛生検査技師につきましては、医師十人について、国立病院では技師が三・二人でございますが、この現在の養成速度は、医師十人に対して六・六人、約倍以上でございまして、この速度でいきますと、近い将来といいますか、近年におきまして相当余裕も出てくるのではないかと存じております。ただ、これを一挙に一年、二年で短期間にこれを充足しようといたしましても、これは施設の都合上なかなか困難でありますし、また、一挙に施設を増加いたしますと、逆にごく近い将来に過剰ということも起こってまいりますので、これらの点を考えあわせまして、現在の状況は、パラメディカルについてはかなり満足すべき状態になっておるというふうに考えております。
#31
○藤原道子君 あなたは都合が悪くなると外国を例に出す、私いま伺ったのは日本の医療を伺っている。すでに医師の不足を来たしておる機関はたくさんございます。特に保健所に至っては、医師の充足率は五〇%を割っているじゃございませんか。これで機能が果たせるか。医療技術が進歩してくる、国民の生活が向上してくる、また、スモッグ等の公害等によって病人がふえてくる、交通災害が増加してくる、どんどんそういうところに必要なのはわかっている。これに対しての対策を立てるのが私の医療行政というものだ、そのときになってどろなわ式でやったって急にできるものではないことくらいはわかっております。それを今日まで放置してきたのは怠慢ではないか、こういうことになる。看護婦は漸次充足の速度を早めております、こういう御答弁でありますが、この保助看法が制定されたとき、患者四人に対して一人というきめはおかしいじゃないかという論議がございました。その当時、すでに厚生省は患者二・五人か、あるいは二・八人に一人が妥当だと思います、けれども、いまは看護婦がベッド数に応じて少ないから、やむを得ずこういうことにならざるを得ないわけです、この増員のためには大きく努力をいたしますと、こういうことだったわけです。ところが、その後その充足の速度は一体どうなんですか。その当時は看護婦が患者四人に一人だった。ところが、いまは看護婦が足りなくなって、すでにいま五・三・一となり、四・四・二となり、それさえも危うくなっておりますのが今日の現状ではございませんか。しかも、看護婦は年間六千余、准看護婦は二万をこえており、しかも、定着率が悪く、どんどんやめていくという原因がどこにあるか、お伺いいたします。
#32
○政府委員(若松栄一君) 看護婦の需給問題につきまして、養成速度がおそいのではないかというお話でございます。看護婦及び准看護婦両方の養成所における定員を年次別に申しますと、三十七年は約一万八千、それから、三十九年が二万六千、四十年が二万九千、四十一年が三万六千、四十二年が三万五千というぐあいに、六、七年前に比べて約倍近い養成数になっております。ただし、お話のような看護婦、准看護婦の比率が非常にアンバランスになっておりまして、医療法では看護婦、准看護婦と区別しておりませんが、保険の指定におきましては、看護婦、准看護婦の数を一定の割合で考えております。その割合の中にうまくマッチしないという状況でございますが、まあ幸い過去の看護婦のストックがあるために現在何とか間に合っているということでございますので、現在は准看護婦が看護婦になる道をできるだけ促進していくということで、准看護婦の進学課程を盛んに増設いたしましてこれにマッチさせようという努力をいたしております。
#33
○森勝治君 関連で質問しておきたいと思うのですが、ただいまそういう答弁がありましたが、先ほどの答弁の中でエックス線技師の問題が出されましたね、養成が急ピッチに上がっているというお話がありましたが、いま厚生省所管の技師の養成関係、文部省関係の所管の技師の養成関係が違っているのはどういうわけですか。昭和四十年エックス線技師法の法改正を議会に出したけれども、御承知のように、現在継続審議中であります。ところが、片や文部省においては、昭和四十一年度ですか、新学生から、すでに養成期間三年制という法改正の実施を見越して、厚生省に先がけて、文部省の所管の全国の大学病院の付属養成所においては三年制課程の養成がなされておる。しかし、法律はいま継続審議中、こういうことは一体いかなる現象なのか、ひとつお伺いしたい。特にこの問題は、私の乏しい知識を持って言わしむるならば、文部省と厚生省の所管争いの一環がこういう姿になってあらわれたことが第一点。もう一つは、この所管争いに端を発して、それぞれ唯我独尊的な、すなわち、相互の関連性がないというところにこういう姿が生まれたのではないかと思うのです。一体、私をもって言わしむるならば、珍なる現象というものはどこから生まれたのか、この点をひとつつまびらかにお伺いしたい。
#34
○政府委員(若松栄一君) 現在エックス線技師の養成施設につきまして、文部省所管の大学に併置されました養成施設においては、すでに三年課程を実施しておる。厚生省所管の養成施設では、依然として二年課程であるということは事実でございます。これは御承知のように、前の通常国会に私ども法案を提出いたそうとしてかなりの準備をいたしましたが、これが関係方面の了解が一致することができなくて見送らざるを得なかったわけでございまして、三年制の技師をつくりたいということは、これはもう文部省、厚生省のなわ張りとかいうことでなしに、一致した見解でございます。ただ、現状におきまして、三年制の教育を受けた放射線技師、かりに放射線技師と申しますが、放射線技師というものを必要とする施設というものと、現在二年制の教育で事足りる診療エックス線技師というようなものを考えてみますと、現在は三年制の高度の教育を受けたものを必ずしも多数必要としていないという現状から、私どもは現在二本立てにしていくのが適当ではないか。ただし、大学のように、高度の放射線機械を使用するところはどうしても三年制の教育が必要であるために、大学においてはいち早く三年制の課程を設けたということでございます。したがって、私どもといたしましては、先ほど来の経緯も両建てにしていきたいという考え方でございまして、決して文部省と厚生省のなわ張り争いというようなことに端を発しているものではございません。
#35
○森勝治君 私の言っていることにお答えがないわけです。いま社労にかかっている継続審議中のエックス線技師法は二年制を三年制にするかいなかという問題でしょう。したがって、この法案が通らなければ、文部省の養成所も従来どおり二年でやってしかるべきではなかったでしょうか、法律というたてまえから言われるならば。ところが、文部省のほうの予算は通ってしまったのですから、あなた方がもくろんでおった厚生省のほうは待ったをかけられて、法制定がなされなかったのだから、いわば三年制の文部省の卒業生は、一体資格認定の場合でも、エックス線技師法のこの法律に照らすとどういうことになるのですか。本来ならば、これは文部省と厚生省が十分連絡をとって、三年制の問題がいま国会のこの審議の俎上にのぼっているわけだ、審議の過程であるから。その帰趨を待って三年制を実施すべきかどうかという問題に移るのじゃないでしょうか。四十年度に厚生省が出した、だから、おそらく通るだろうというので、四十一年度の新年度から学生を募集してやってしまった。本来あれはとめるべきではなかったか、私はそう思うのであります。ところが、その点については口を緘してお答えがない。私はますますこの辺に文部省と厚生省の所管争いというものの姿がこういう問題に形となってあらわれてきたと思わざるを得ないのであります。したがって、一体これはどういうことなのですか。三年制は法律上どうなのですか、どういう資格があるのですか。あなたの考え方だと、三年制の学業を終えなくても、二年制でも事足りるというお話をあなたはされている。しかし、大学のような高度のところでは三年制が必要だとされている。あなた方の提案のエックス線技師法の改正の中では何と言っておられますか。私はいま関連質問ですから、あまり言うことは避けますけれども、説明をしてください、説明を。一昨年社会労働委員会でエックス線技師法改正の提案理由の趣旨説明を行なったときのお話と、あなたがいま私の質問に答えられたことは明らかに隔世の感があります。したがって、そういうところがどうにも私にはわからない。もちろんエックス線の問題は後ほど当委員会の問題になるでしょうけれども、いま藤原先生の従業員の充足の問題、医療関係の職員の充足の問題についての質問に端を発して、私はどうもあなた方のやり方がふに落ちないから質問をするわけだが、法律が通らないうちに、議会で審議中に通ることを想定して予算を組んでも、通らなかったならばそれはストップしておくべきが正しいのではないですか。法律が通ろうと通るまいと、唯我独尊、わが道を行くでさっさとやってしまう、三年制の卒業生の資格認定はどういう認定を法律上、下すのですか、法案の審議過程において。だから、文部省と厚生省のあなたは所管争いじゃないと言っているけれども、ここに見解の食い違いがあるんじゃないですか。これを詳細にひとつお話をいただきたい。
#36
○政府委員(若松栄一君) 文部省と厚生省の考え方に食い違いがあるということではございません。非常に緊密に連絡をとりながらやっておったわけでございまして、文部省におきましては、診療エックス線技師法の改正の有無、あるいはそれを前提として三年制を設けたのではございませんで、最初においては、実際の現実の必要性から、二年制のエックス線技師学校に、専科コースとして一年間を追加しておったわけでございます。しかし、それではせっかく専科を一年間追加してやっても、資格としては同じようなエックス線技師であっては気の毒だ、やはり三年制は三年制の学問をしたにふさわしい資格を与えてやるべきだということから、何とかこれを早急に法律上も認定する形にしたいということから、二年制の学校と三年制の学校の卒業生を、それぞれ現実に二本立てになってまいりますので、これを三年制の学校の卒業生は放射線技師、それから、二年制の学校は診療エックス線技師という形で二本立てにしていこうというのが私どもが文部省と話し合いの上で出した法案でございます。ところが、それが関係方面からいろんな意見が出まして、またこれをもう一度考え直すということで法案の提出が見送られたわけでございます。したがって、これは文部省と厚生省の意見の相違でなしに、むしろ関係諸団体の意見の食い違いということがこの法案の促進されていない原因でございます。
#37
○藤原道子君 私は、いま若松局長の答弁で納得のいかないことはたくさんある。看護婦のときでも、甲種、乙種のときにも問題になった。必ず職場で混乱が起きる。これを一本にいたします。ところが、たまたま准看護婦の制度を残した、新設したのだ、そうしていま職場がどういう状態にあるかということはあなたも御承知のとおりなんです。あなたの答弁を聞いておると、またエックス線技師にそういう同じようなことが繰り返されようとしておる点を非常に危惧するものです。ことに法律が通らないのにそういうことをどんどんおやりになる。いま看護婦の場合でも、高校を卒業して、さらに三年の課程を経ても、この人が就職するときには高校卒しか資格がない、これが非常に問題になる。そしてこれを教育法による養成所にすべきではないか、こういうことになっても、またこれも文部省と厚生省との間になかなか意見が一致しない、いろんな矛盾がある。どうしたらこれは国民のために利益になるか、どうしたら働く人たちが満足する方途にいくのか、こういうことを基本として、しかも、法律を尊重してやらなければならないと思いますが、私はこれを詰めていく時間がございません。これは当委員会の後の質問に残すといたしまして、先ほど若松さんは、古い人がいるからどうやら医療がまかなわれて、看護婦はどうやら仕事が回されているんだと、こういう意味の御答弁がございましたが、ほんとうにそうでございましょうか。いま看護婦は、この間、かん腸の誤薬事件で問題を起こしました看護婦さんの例を見ましても、日勤がたった六日でございます。深夜、準夜、あるいは早出、おそ出、日勤わずか六日である。若い看護婦さんが日勤たった六日で、しかも、夜間は夜間高校へ通っておる。こういうときに、その看護婦の上に責任が負わされている。過重ときびしい労働に追いまくられ、昼間の勤務はたった六日です。しかも、療養所であるのに、ここに筋ジストロフィー、あるいは重度心身障害児を入れたり、四十数名の患者のうちの半分は手術後の介助が必要である、歩行の介助が必要である、非常に手の込む患者であるにもかかわらず、夜勤はたった一人でやらしていたんですよ。准看護婦にたった一人で夜勤をやらしておる。これでは事故の起こらないのがふしぎじゃないでしょうか。しかも、薬品管理が十分に行なわれていなかった。別個に処理すべき石炭酸液が同じようなびんで同じ所におさめられている、こういうことが行なわれている。看護婦が間に合っているのじゃなく、過重な労働を押しつけて、そうして起こってきた事故に対しての責任は看護婦に負わしている。こういう無理な勤務状態、看護婦の定看しないのはあたりまえじゃありませんか。
 なお、これに対して労働省にお伺いしたいと思いますけれども、十八歳未満の若年看護婦でも、看護婦であるならば夜勤は許されるのだ、深夜勤は許されるのだというようなことを名古屋の監督局で言明したといいます。どこにそういうふうになっておるのでございましょう。しばしば私はこの問題は本委員会で取り上げております。夜勤で五十人、六十人の患者を一人の若い看護婦にまかしておる、休憩時間もございません。しかも、一カ月に十五日からの夜勤をしている人はたくさんあるのです。こういう状態で、これらの人に対する労務管理、こういうものはどのようになされておるのか、この点について労働基準局長に御答弁をお願いしたい。
#38
○政府委員(村上茂利君) 看護婦の労働時間問題につきましては、かねてからいろいろ問題がございまして、私どもも、労働基準監督の面からはこの点特に重視いたしておりました。本年におきましても、二月に特にこの関係を重点として一斉監督を実施して、その結果、労働時間、休日労働について違反がございましたのはまことに遺憾でございます。そこで、いま先生御指摘の満十八歳未満の准看護婦さんの深夜業はどうかと申しますと、これは法的には認められております。法文で申しますと、基準法の六十二条の第一項では、深夜業は満十八歳に満たない者、女子は禁止されておりますが、第四項の規定で、前三項の規定は労働基準法第八条第十三号の事業についてはこれを適用しない、こういう規定がございます。十三号の事業と申しますのは保健衛生の事業でございます。そのように労働基準法の第六十二条第一項では深夜業を禁止しているのですが、第四項では一部適用除外をいたしております。その中に保健衛生の事業が入っておりますので、深夜業が認められておるわけであります。ただ、それは法のたてまえでございますが、私ども病院の看護婦等の労務管理、ないしは、特に労働時間管理の実情を調べてみますと、一般の工場、事業場に比べまして、労務管理なり、あるいは労働時間管理が劣っている。たとえば作業開始の時間、休憩時間、それから、交代の場合の各人に対する割り振りの関係、そういった点につきまして、一般の工場、事業場に比較して、もっともっと研究をし、改善をしなくちゃいけない点があるというふうに私ども理解をいたしております。この点につきましては、かねてから厚生省ともそういった面についての改善指導の御連絡を申し上げておるような次第でございますが、労働省といたしましても、今後関係方面と、より密接な協力を保ちまして監督指導の徹底を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#39
○藤原道子君 その点不勉強でございますが、そこで、医務局長にお伺いいたします。法のたてまえはそうなんです。ところが、准看護婦は、やはり看護婦や医師の指導でなければやれない点がたくさんある。ところが、准看護婦が深夜一人勤務をしております。長時間にわたって一人勤務をしておる。その間に休憩はございませんよ。随時休憩ができることになっておるというけれども、一人で四十人、五十人、多きは六十人を担当してどうして休憩ができるか。私はその点に対しての真剣なお考えを願わなければならないと思います。私がこれを取り上げましたのは、保険はどんどん取り上げるけれども、差額徴収はしておるけれども、安心して入院ができないいまの状態ではございませんか。最近保育器の中で赤ちゃんが焼け死んだ、かん腸の薬を間違えて、そうして命を落とした人もある。点滴注射に人がいないで無人注射をしているために命を落とした人もございます。相次いで最近頻発しております赤ちゃんの取り違え事件、全く深刻でございます。しかも、これは今年度に入ってから四月、七月、八月と、相次いで起こっておるのはどういうわけでございましょうか。しかも、これはたまたま血液検査をしたから判明した、血液検査をする機会があったからわかったんです。血液検査をしないでそのままになっていたならば、わが子だと思っていても、それがだれの子かわからない。あるいは、また、血液検査をしても、たまたまその両親の血液が同じような型であったならば永久にわからないのですよ。しかも、この取り違え事件によりまして起こった親たちの悲劇、子供の悲劇はどういうことなんでございましょうか。これは起こるべくして起こった問題だと思う。看護婦が足りないから、二十人もの赤ちゃんをたった一人で看護婦が沐浴さしているところはたくさんございます。赤ちゃんの看護で過日も問題にいたしましたけれども、新生児は一人の人間としては扱われていないのです。おかあさんの付属物の扱いです。新生児室に常時看護婦がいるというところはまれでございます。こういう状態はなぜ起こっているのか、やはり看護婦の不足、ここに起因するのではないでございましょうか。相次ぐこうした問題に対して、最近家庭の主婦はノイローゼになっております。うちの子供は間違っちゃいなかったのかしら、病院でお産した人たちはまことに不安な気持ちにかられておるのをあなたは御承知でございましょうか。病院でお産するのがこわい、こういう声さえ起こっております。実に深刻な問題ではないでございましょうか。やむを得ない不可抗力ならいたしかたございませんけれども、そこに人を得るなら、対策よろしきを得るならばそうした間違いは起こらないで済むのです。この点についてどうお考えでございましょうか。私は、看護婦、准看護婦の問題については法案を出しております。いろいろ追及したい点はございますけれども、いま現に起こっておるこういう悲劇に対して厚生大臣はどうお考えでございましょうか。人間的な問題です。
#40
○国務大臣(坊秀男君) 現在、御指摘のような赤ん坊の取り違えといったような事態の起こっておるということは、まことに憂慮にたえないところでございます。原因は、御指摘のように看護婦の定員が非常に不足しておる、定員が窮屈になっておるということも一つ大きな原因としてございます。それから、また、管理面、これが十分でないといったようないろんな面が私はあろうかと思います。さような点につきましては、これは看護婦をできる限り充足していくということ、管理を整備していくというようなことに対しまして万全の措置を早急に考えていかなければならないという考えから、いま厚生省におきましてもこれに対する措置を検討いたしまして、早急にそういったような憂わしき事態が解消することを期して努力をいたしておる次第でございます。
#41
○委員長(山本伊三郎君) 藤原君、時間が大体参りました。
#42
○藤原道子君 いまの大臣の答弁は納得がまいりません。そういうことは、同じことがいままで繰り返されてきているんですよ。現に相次いでこうした人身事故が起こっておるのです。保険料は取り上げられている。入院したときには生命の保障もなければ、完全な医療も受けられないという状態で、鋭意努力をしております、これでは私は納得がまいりません。ことにこういう問題につきまして、新生児が一週間以内に死んだものは死産で届けられている。それで、厚生省の統計は、乳幼児死亡率は世界最低になったなどとほら吹いている。一週間以内に死んだ赤ちゃんは死産として扱われる、こういうことでいいのでしょうか。これは世界の例ですとまたあなたはおっしゃるだろうと思いますけれども、統計を見れば、若干の国がそうしていることもございますけれども、赤ちゃんは人間として扱われているから、それらの国が死産として扱っている数はごくわずかで、二三%というのが、日本の場合はこれらを入れれば五一%からの死亡率になっておるのです。ところが、このときあなたは、これからは新生児にも看護婦をつけるようにいたしますとはっきり言明なさった。だけれども、いまさえ足りない看護婦さん、これを新生児につけるといたしますならば、看護婦の充足をどうしておやりになるか、はっきりした答弁を聞かなければ納得ができません。大臣にも重ねて申し上げます。待ったなしで保険料は取るのです。薬の一部負担さえ強制するんですよ。それで入院したときに、その入院施設は不完全きわまるものじゃないですか。入院するのは病をなおしたいために入院いたします。入院したことによって医師の不足、看護婦の不足、これらによってその命が奪われるというようなことがありますか。この責任は一体だれが負うのですか。患者は死ねば死に損でございますか。大臣の御所見をお伺いいたします。
#43
○国務大臣(坊秀男君) いろいろな制度がありまして、その制度に従いましてこの運営をやってまいっておりますけれども、その運営にあたりまして、御指摘のように、この運営が必ずしも万事完全ということが期せられないために、その制度そのものにも、これも全く十分であって何らの欠陥がないといったようなものとは考えられないものもございます。また、これを運営していく上においても万全なる運営、これはわれわれはその万全なる運営を期しておりますけれども、そこに時に万全なる運営に遺漏が生じるということにつきましては、私どもといたしましてこれは十分気をつけまして、さようなことのないように戒心してまいるべきものでございますけれども、しかし、そういったような事態が生ずるということは御指摘のとおりでございますので、今後さようなことのできるだけないように、行政上も私どもといたしましても戒心の姿勢をいたしてまいる、かように考えております。
#44
○藤原道子君 時間がございませんので、もう質問終わりたいと思いますが、どうしてもその答弁では一時のがれのような気がしてならない。できるだけそういうことが起こらないように、絶対起こらないようにとなぜ言わぬのです。いつになったら充足ができるのですか。建物はあるけれども、看護婦がいないから改良のできないところもありますよ。かと思えば、まだ精神病患者、あるいは結核患者、結核患者の場合、減ったとは言うけれども、入院を要する人はたくさんございます。にもかかわらず、国立療養所、国立病院はどんどん整理されているじゃありませんか。廃止されているじゃありませんか。しかも、静岡県は全国ベッド数は四十五位でございます。埼玉県は全国最下位にございます。にもかかわらず、住民の期待を裏切って、やはりこれは廃止を強行いたしております。私は、こういう点におきましても、ほんとうに国民の医療を考えているのかどうか、生命の尊重があるのかどうか、私は疑わざるを得ないのでございます。大臣はいま一つ御答弁漏れがございますけれども、こうした事故の起こった場合、その衝に当たった看護婦が責任をとらされている。今度の場合も起訴されている、いや書類送検。大きな問題を起こしておりますこの看護婦さんの親は告訴を起こす、提訴する、こう言って非常な憤慨をいたしておりまして、無理な勤務をさしておいて、違法な勤務をさしておいて、それで起こった原因が一看護婦の責任として済まされるものでございましょうか。あわせまして、基準局長にも私は強く要求いたします。どうも看護業務に対する労務の監督が手ぬるい。厚生省に遠慮していらっしゃるのかわかりませんけれども、いつまでもそういう態度では、厚生省の努力ということがから念仏に終わる危険性があります。したがいまして、手心なく、基準監督局、労働省は、働く者の立場に立って労働行政が遂行されるべきものと私は思います。これらに対しまして、これらの責任を厚生大臣が、そうして労働省が的確にとっていただきまして、そうして生命の万全を期するこの対策を強く要望いたしまして、繰り返して言うけれども、低所得層からどんどん差額は徴収するのだ、医療の薬価の一部負担も押しつけるのだ、こうして抵抗の弱いものからはどんどん取り上げている。そうして保険によって入院すれば、その生命の保障もない。僻地では、保険料を納めても、医者にかかる道さえ閉ざされている、これで厚生行政の万全を期してがんばっておりますと大きなことが言えるでございましょうか。この点強く責任の追及をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。時間でございますからそれに対する御所見を最後に伺わせていただきます。
#45
○国務大臣(坊秀男君) 私ができるだけと申し上げましたのは、私のでき得る限りの力、全力を尽くしまして、さようなことのないように努力をしてまいりたいと申しますることは、私といたしましては、絶対にそういうことのないということを期しまして全力をあげてまいりたいと、かように申し上げたのでございます。私はそういうつもりをもちまして、決意を新たにいたしまして、厚生行政の万全な、遺漏なき運営を期してまいりたいと、かように考えております。
#46
○政府委員(村上茂利君) 労働基準監督行政は労働者保護という見地から進めなければならぬということは、これは当然なことでございますが、この看護婦の問題につきましては、厚生省の指導ないしは予算措置に関連するところが非常に大きいわけでございます。そこで、私は基準局長になりましてから、この問題処理のためには厚生省のほうでも相当努力していただかなければならない、こういう観点から、昭和三十九年十二月、四十年八月、四十一年八月と、予算編成の時期に関連いたしまして、定数であるとか、その他の財政措置につきまして改善方を従来強く要請してまいりました。若干ではありますが、逐次改善されつつありますことは、私どもも喜んでおるわけでありますが、しかし、現状は、何と申しましても、先生御指摘のような問題が社会的に取り上げられる情勢下にあります。そこで、先ほども御答弁申し上げましたように、労働省といたしましては、医療施設における労務管理の問題が、これはお医者さんが院長であるとか、あるいは施設の長であるとかいった特殊な事由もございましょうけれども、一般の工場、事業場と比較いたしまして、労働時間管理、あるいは労務管理一般が必ずしも十分でないという点から、労務管理のあり方、その中でも労働時間管理のあり方というものについて、近代的な水準に合致するようにひとつ改善指導をしていただきたいというのが、この問題を解決する一番基本的な問題じゃなかろうかと、こういうように感じまして、労務管理の改善について一そうの努力をしたいと思うわけであります。監督をいたしまして、たとえば二月一カ月中でも九百二十の病院につきまして一斉監督をいたしまして、その違反がございましたものにつきましてはそれぞれの処置をとっておるような次第でございますので、決して手心を加えるとか、あるいは措置適切を欠くということのないように、私ども厳に姿勢を正しましてこの問題に対処していきたいと存じます。
#47
○委員長(山本伊三郎君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時八分開会
#48
○委員長(山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#49
○小平芳平君 今回の臨時特例法案については、すでに社会党の各委員の方といろいろ質疑応答がかわされておりますので、私としまして重複する点は避けてまいりますが、初めに基本的な問題、また、財政問題について、重複する点は御答弁はけっこうでありますが、特に国民の立場として、医療を受ける者の立場として重要な点について初めに若干お尋ねしたいわけであります。
 今回の臨時国会に、前国会で審議未了で廃案になったものをすぐまた提案をしというような点については、私も前の質問者と同じ考えでありますが、その点については省略いたしまして、一つだけ厚生大臣にお尋ねいたしますことは、特別国会の終わり、あるいは、また、この臨時国会の審議を通じて、よくこの健保の特例法案などは二流法案、三流法案ではないかというようなことを聞いたわけであります。ところが、私たちは、こうした社会福祉の法律には二流、三流というようなことがどうしてあり得るだろうか。確かに実際に病気している人は国民全部でないにしましても、現に病気で悩んでいる人、そうした悩んでいる御本人にとっては何ものにもかえることのできない重要な法案であり、改正である、このように私たちは考えます。したがいまして、本来ならば、こうした二流法案、三流法案でそのように紛糾するのはおかしいとか、あるいは、また、普通の国会なら特に取り上げられるべき法案ではないが、特別に今回問題になっているとかというようなことも聞きますが、実際問題、健康保険財政の、あるいは医療制度の今日の現状からいって、あるいは、また、社会福祉という特別のこうした立場の法案という性格からいって、厚生大臣はどのようにお考えか、この点についてお尋ねします。
#50
○国務大臣(坊秀男君) 私は、今度の健保等の特例法案につきまして二流法案、三流法案などということは絶対に考えておりません。もしもそういったような御批判があるとすれば、これは赤字対策じゃないか、何ら前に向かって新たに建設をしていくための措置をきめた法案ではないから二流あるいは三流というのかもしれぬ、これは私のそんたくにすぎませんが、というような声があるのではないかと私は思いますけれども、私といたしましては、これはなるほど緊急赤字対策の法案ではございますけれども、決して二流、三流とは考えておりません。と申しますことは、私どもの考え方からいたしますと、もしもこの特例法案なしにこれから健保を運営していこうといたしますと、たいへんな累積赤字によりまして、今日まではどうにかこうにか借り入れ金でもってつないでまいりましたけれどもも、これだけ赤字が累積してまいりますと、あと一年間これを借り入れ金でもってつないでいくということは、これはとうてい不可能なことである。そこで、このまま放置いたしておきますと、この借り入れ金が万一できないということに相なりますると、政管健保というものがたいへんなつまづきと申しますか、これが運営が困難な事態を招来する、かようなことに相なりますと、それこそ国民の健康を保全していく上におきまして大きな支障に相なってくると、かような考えからいたしますと、今度の特例法案というのは決して二流、三流ではない。私は、法律の中に二流、三流というようなものがあろうとは思いません。どれもが法律である以上は、これはすべてが一流の法律だと私は思いますけれども、その中でも、私は、今度の特例法というものが非常に大事な重要なる法案であると、こういうふうに理解をいたしまして今日この国会において御審議を願っておる次第でございます。決して二流、三流というふうには考えておりません。
#51
○小平芳平君 重要法案であるという点については同じですが、どうも私の申し上げる点と厚生大臣のお答えとはちょっと違うように思います。といいますのは、赤字の問題、財政的な問題、これを大臣は主眼として重要であるというふうに言われますが、私たちは確かに赤字財政が問題であるにしても、より重要なことは、この点についてもしばしば当委員会で質疑応答がかわされましたが、対策がほんの目先の対策に毎年毎年追われているということに対する大きな不満があるわけであります。したがって、抜本対策を講ずるというふうに、またこの点についても大臣は答弁しておられますが、この抜本対策にしましても、当初は答申は一年ということで、一年を限って暫定措置をとり、抜本対策をすぐ二年目に講ずべきであるということであったはずですが、今回二年になっておりますが、しかし、かりに一年たったとしても二年たったとしても、抜本対策なるものが降ってくるわけではないわけでありまして、やはりそこでもって厚生省当局をはじめ、すべての総力を結集して対策を立て、少なくとも、こうした医療制度そのものからくる赤字を大衆に負担させる、患者の負担を増大させるというふうなことがないような、そういう措置がとられなくちゃならない、この点についてもしばしば言われたとおりであると私も考えます。したがって、大臣としまして、その抜本対策も四十三年、来年度からスタートするというばく然としたお考えでなくて、もう少し具体的に、こういう点について、四十三年度にはこういうスタートができる、あるいは四十二年においても手がけようとすれば手がけられない問題ではないと思うのですが、そういう点について、ただ赤字対策上、赤字を出さないための応急措置だけやってくれというだけでなくて、もう一歩前進した対策はお持ちになっていらっしゃるかどうか。
#52
○国務大臣(坊秀男君) 今度のこの特例法は、ただ赤字を解消するためのものであって、そういうようなことでは日本の医療保険制度を基本的に改正していくことではないじゃないか、そこで、どうしてもすみやかに抜本的な対策を考えるべきだ、こういう御意見でございますが、私も小平委員のおっしゃるとおりだと思います。ただ、問題は、今日現実に生じているところの赤字によって健保財政が非常にゆさぶられて、赤字によって健保財政が非常に困る、赤字によってその運営が支障を生ずるというようなことであってはならないから、そこで、まず、さしあたっての方策としてこの暫定対策を御審議願うのでございますけれども、しかし、それだけではおっしゃるとおり、もちろんこれはもう臨時緊急の苦しい窮迫した立場をしのいでいくということだけでございまして、これで能事終われりなどということは絶対に考えるべきではございません。そこで、私どもといたしましては、これを当分の間ということにいたしまして、抜本対策を四十三年度、来年度を目途にいたしましてスタートを切ってまいるということはお約束申し上げたとおりでございますけれども、しかし、まことに複雑多岐な抜本対策を全部四十三年度にこれを実現するということは、これは私どもといたしましても自信がございません。そこで、その中のできるものからなどと申しますと非常に安易なことに相なりますが、でき得るかぎり四十三年度からこれを実現してまいる、こういう決意でおります。
 一体、四十三年度から何をやるのだ、こういう御質問でございますが、いま、しからばその抜本対策の中の何を四十三年度に実施するかと仰せられましても、これを的確に申し上げるわけにはいきませんけれども、少なくとも、医療費の適正化、現在これは中央医療協におきまして御審議を願っておりますが、医療費の適正化、あるいは医業に対する実態調査といったようなことを、これは少なくとも、私はできれば本年度にもその実現を見たい、かように考えておる次第でございます。
#53
○小平芳平君 医業の実態調査をすれば、要するに診療報酬が上がる、診療報酬を上げなくちゃならぬ問題がたくさんあると思うわけですが、そうしますと、赤字解消じゃなくて、かえってふえるのじゃないですか。
#54
○国務大臣(坊秀男君) 医療費の適正化という中には、その内容は上がる部分もございますし、合理化等によりまして下がる部分もございます。そういったようなことで、結局その結果は、ある程度の支出はふえるであろうと私は思います。そろばん上はふえるだろうと思いますが、現在適正な対策が立っていないために非常に不合理なる支出が増大しておるということも考えなければならない、これが適正化されますならば非常に姿もよくなりますし、それから実際の保険の支出の面におきましても、私は相当将来にわたりまして合理化の結果、いい結果が生まれてくるということを考えておるのでございます。
#55
○小平芳平君 医療機関の経営実態を調査した、その結果あらわれてくるものは、不合理な面は是正する、しかし、結果としては支出がふえるであろう、こういうわけでございますね。ですから、それだけでは本年度七百四十五億の赤字も、それはいろいろ料率の改定をしたとしても、なおかつ今年度も赤字がある、来年はさらに赤字が増大する、そういう結果になるのははっきりしているじゃありませんか。したがって、たとえば薬価基準の問題などは、これは手をつけようと思えばすぐ手をつけられる問題であるし、これを改定する、そういう方針なり、具体的なことのお考えはいかがですか。
#56
○国務大臣(坊秀男君) ただいま薬価につきましては、本年二月の薬価について調査を進めておりまして、近いうちにその結果があらわれると思うのでありますが、そういったような調査に基づきまして、薬価基準と薬の実勢価格というものとの開きをできるだけ縮めていこう、こういうことでいまその作業を鋭意進めているところでございますが、これも遠からずして薬価基準の改定ということが行なわれるはずになっておるのでございます。
#57
○小平芳平君 ですから、その結果、およそいつごろどのような改定が行なわれる、したがって、財政面ではこのようなプラスになる、あるいはどの程度のマイナスになる、そういうような見当はおつきになりませんか。
#58
○政府委員(熊崎正夫君) 薬価基準の改定は、大体九月中には行なう予定にいたしております。しかし、これはまだ現在整理中でございまして、どの程度の医療費に対する影響が出るかどうかということは、まだ見当はついておりません。しかし、小平先生御承知のように、薬価基準の改定をやった場合に、結局従来の経緯から申しますと、数字が下がった分は、その分を医者の技術料のほうに振りかえたらどうかというふうな議論が中央社会保険医療協議会でも行なわれておるのでありまして、その辺は支払い団体側と医療担当者側との話し合いで今後どのような取り扱いにするかということをきめていくわけでございます。ただ、私どもとしましては、医師の技術料が上がっていくということは、現在の診療報酬体系が医師の技術を正当に評価してない、そのために、ものの値段でもって技術が正当に評価されてない部分を埋めていくというふうな形が不合理だということを中央医療協議会で論議をしておるわけでございますから、技術料が上がっていくと、しかし、ものは実勢価格に応じた適正な価格で、つまり実勢価格の値段そのままで払われる、ものによって技術の穴埋めをするというふうなことはやらないという合理的な体系ができるとすれば、その時点において、よし医療費が多少上がっても、これは従来のような医療費の上がり方とはまたおのずから別の正しい医療というものが行なわれるのではないかということを考えておりまして、その辺が、いわば抜本対策という、一つの車の車輪であります医療体系の合理化という問題であろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
#59
○小平芳平君 その他具体的な問題について私はいろいろ御質問するつもりでおりますので、この辺はまたあとで個々の問題についてお尋ねするようになりますので、御了承願いたいと思います。
 次に、保険料率についてですが、この点については、昨年は千分の六十三を七十という案で出して、そして国会では六十五にきまった、今回は六十五を七十二で出してきたが、七十に修正になったということになりますと、厚生省の立てるこうした料率改定の原案というものは、一体真意がどの辺にあるかということを疑いたくなるわけです。大体、どうせ下げられるであろうから、ちょっと上目に出しておけというようなことだったならば非常によくない、そういう立て方はけしからぬ話であって、やはり今回の七十二が七十になった点についても、ほんとうに審議を尽くし、論議を尽くした結果かというと、必ずしもそうだとも私たち考えていいのかどうか疑問にも思いますし、この点についてほんとうに七十でいいのかどうかという点についても種々論議されましたので、重ねてはお尋ねいたしませんけれども、基本的な厚生省の考え方としまして、こうした料率改定というものは少し多目に出すのかどうか、それはいかがですか。
#60
○国務大臣(坊秀男君) 厚生省といたしましては、いやしくも法律を改正するということについて、御意見のような、何か掛け値と申しますか、そういったようなことを考えておるようなことは絶対にございません。赤字が生じてきた、この赤字を埋めるためにはどうすればいいかということで、去年は私ではございませんでしたけれども、千分の六十三を千分の七十という原案で持っていったのが、これが千分の六十五に修正をせられた、つまり五だけ修正をされたといったことは、その間の事情は私はつまびらかにいたしておりません。私ではございません。しかし、思想といたしましては、おそらく千分の七十ということでもしも御審議、成立を願っておったならば、私は今度の四十二年度における赤字対策というものは、これは相当姿の変わったものになっておったであろう、かように考えます。今度千分の七十二ということでお願いを申し上げまして、衆議院段階におきましてそれが二だけ削減されたということに相なっておりますが、これはまあ議会政治の上におきまして、私は、議会において修正をなさるということについては、これは私どもといたしましてはやむを得ないことだと、かように考えておりますけれども、それだけ今後行政努力とか、いろんな方法を講じまして、そして二削減による影響、その財政効果の減ってくるということにつきまして、これを何とかいたしましてカバーしていくという努力を払わなければならないと、かように考えております。
#61
○小平芳平君 去年の段階では大臣は私ではなかったとおっしゃられますが、厚生大臣は非常にかわるわけですね。まあこれは大臣に申し上げてもどうかと思いますが、昭和三十一年以降、過去十年間の厚生大臣がどのくらい任期をつとめられたかということをちょっと見ますと、岸内閣時代平均八・五カ月、池田内閣時代平均九・八カ月。ですから、こういうように八カ月や九カ月で平均して大臣はかわるわけですから、そこでもって前の大臣のことだからということは、これは一切困るわけなんですよ。特に医療財政というものは十年、二十年、三十年という歴史を持ち、あるいは将来の問題でありますので、わずか八カ月、九カ月の一大臣のその責任やそのお考えで処理されることは非常に国民大衆が迷惑することである。したがって、今回のこの千分の七十にしましても、大臣として、坊大臣がおかわりになるかならないかという問題は別にしても、責任持ってやっていかれるかどうか、この点について。
#62
○国務大臣(坊秀男君) 昨年千分の七十が千分の六十五にせられましたことにつきまして、これはもう私は、そのときに私が責任の衝にいなかったからといいまして、そこで私はこの責任を回避するなどということは毛頭考えておりません。私がただ申し上げましたのは、その七十が六十五に削減せられましたことの事情につきましては、私はこれをつまびらかにいたしておりませんが、しかし、その結果につきましては、これは私は責任を持ちまして、そうして六十五ということではなかなかこれは今後四十二年度におけるこの運営が困難であるということで、各方面にいろいろのこれに対する御批判もあったし、また、あるわけでございますけれども、私はその御批判に自分の身をさらしながらこの七十二ということをきめてまいったのでございまして、私は、あくまでもその六十五になったという事情については詳しくは存じませんけれども、何とかしてこの責任をとりまして、そうして支障がないようにやっていかなければならないと、かように考えております。それで、厚生大臣の任期が非常に短いから、そんなこと言うておってもだめじゃないか、こういう御批判でございますが、これは一般論といたしましては私は御意見のとおりだと思います。しかし、このことにつきましては、一般論としては私は御意見どおりと思いますけれども、具体的な問題といたしましては、何とも私としてはここで申し上げることができないと存じます。
#63
○小平芳平君 具体的な問題は答弁の限りでないというのじゃ困るわけですがね。具体的に千分の七十ときまった場合、責任を持って対処していかれるかどうか。また、来年度また赤字が生じて、それで料率改定とか、そういうことは絶対ないということも答弁しておられますが、そういう点は事務当局まかせになってしまったのでは意味がない。これを具体的に責任を持っていかれるという体制でなくてはならないと思うのですが、これはよろしいでしょうか。
#64
○国務大臣(坊秀男君) 私は、六十五にせられた鈴木前大臣のあとを受けてやりましたが。それではどうもいけない。鈴木前大臣がもしもかわらずにおられましても、おそらくこれは御自分でお出しになった千分の七十というものが六十五になったために、それが大きな理由でもって赤字が生じたというようなことから、おそらく鈴木前大臣が現在厚生大臣であられましても、このままではやってまいれないということでございますので、さきに千分の七十、あるいは七十二といったようなものをお出しになったと私は考えます。これは具体的なことについては私は何とも申し上げにくいことでございますけれども、佐藤内閣であって、そして厚生大臣に限りませんけれども、その他の大臣があるいはかわるというようなことがありましても、おそらく私はこの次に出てくる厚生大臣が佐藤内閣の閣員としての厚生大臣であるということでありまするならば、今国会を通じて私が皆さん方にお約束申し上げましたこの抜本改正をするといったようなこと等につきましては、それから、今度の臨時暫定対策は、これは当分の間――衆議院段階において二年という時限立法に修正されておりますが、そういったようなことにつきましては、これは佐藤内閣の閣僚にだれがなるか、私は知りません。あるいは私がなるかもしれませんし、ここのところは私は何とも申し上げかねるわけでございますが、まあそれについては、そのなった厚生大臣にその責任が課される、また、その大臣はこの責任のもとに私は処理をしていくべきものである、かよううに考えております。
#65
○小平芳平君 少したよりない御答弁でもありますけれども、次に、薬代の一部負担について藤原委員から相当いろいろな点についての御質疑がございました。その点については私どもも非常に同感であります。三者三泣きということも言われましたけれども、今回は患者泣かせの対策みたいな、そういう色彩が非常に強いということは、これは厚生省からいただいた資料でありますが、この政管健保の場合、四十一年度は患者負担が五百二十億、一五・七%であった、それが四十二年度、今回の改正によってどうなるか、患者負担が六百八十二億、一七%というふうに患者負担がふえるわけですね。それは患者負担としまして初診料、入院料、あるいは薬剤というふうに負担が増大しますので。こういう点が患者負担をふやして赤字対策をしよう、ほんとうに病気になった、さあ病気をなおしていこう、その病気になった御本人、あるいはその御家庭の悩み、その暗い気持ち、そういうことをほんとうにお考えの上でこうした患者負担をいままでよりもふやそうとなさるのかどうか。特に藤原委員からもるる指摘されましたので、繰り返しては申し上げませんけれども、そういう点をほんとうにお考えの上でこうした患者負担をわざわざ一五%を一七%にふやすという、これはわずかの金額ということにはならないわけですよ、実際問題が。ほんとうに病気だ、お医者さんへ行こう、また、いつなおるかわからないというような、そういう人に対して負担を増大させよう、どうしてもこれは私たち納得できかねるのですが、いかがですか。
#66
○国務大臣(坊秀男君) 今度の対策は患者にしわを寄せて、そして患者泣かせじゃないか、そういう御趣旨でございますが、この一時をしのぐために私どもは患者さんだけを泣かす、そんなことは毛頭考えておりません。そのためにまず政府が負担する、それから、さらにこれらの被保険者及び事業主にもひとつ負担にあずかってもらうということで、それでまいりましたけれども、それだけで赤字を埋めるということになりますと料率を非常にふやさなければならない。また、政府の負担というものも、今日まで累積赤字で政府負担をいたしておりますけれども、さらにこれはふやさなければならない。私はずいぶん強く大蔵省と折衝いたしましたが、私の力としてはぎりぎりのところまでまあ大蔵省の政府負担というものをやっていただく。ところが、そのことだけではなお十分ではない。そこで、まあ保険関係者の中で、決して私は受益者負担などということは考えておりませんけれども、現実に給付を受ける方々と、それから、給付を受けない、いわば掛けっぱなしという方々と、そうした方々との間の若干の権衡というものも考慮いたしまして、そうして患者さんに対しまして、いままですでに一部負担という制度がございましたので、その一部負担の制度の百円を二百円、三十円を六十円にする。ところが、それだけでやりますと、これが非常にまたしわが寄ってしまうものでございますので、そこで、外来投薬時、本人に限っての薬剤の一部負担というものを新設したような次第でございまして、決して患者さんだけに泣いてもらって、そしてこの問題を解決しようというような挙に出たわけではございません。
#67
○小平芳平君 私の申し上げていることも、政府が何もやっていない、あるいは保険者も事業主も全然負担してないと言っているのではないのです。負担しながらも、患者の負担率をわざわざ上げるという意味をお尋ねしているのです。全体としての四千三億ですか、四千三億を、今回の改正を平年度に直して患者負担の割合を見ると、患者さんに限って率が上がるわけですよ。今回のこの結果はそれはどうかということをお尋ねしているわけです。
#68
○国務大臣(坊秀男君) 担当局長からお答えいたさせます。
#69
○政府委員(熊崎正夫君) 小平先生のお持ちの資料は、確かに患者負担が上がることになっておりますけれども、全体の総医療費の中で、国庫負担と、それから、いわば保険者の負担と患者負担がどのような率になるかということで出しました資料でございまして、全体の医療費の中でどのような率で構成されるかということになりますと、大臣から御説明のように、今回の措置は、初診時の負担百円を倍額にし、それから入院時の負担をまた倍額にし、さらに薬の外来の負担がふえるわけでございますから、したがいまして、患者負担が金額的にふえることは御指摘のとおりでございます。率からいいまして、やはりその率もふえることは当然でございます。しかし、その率自体がふえることは今度の改正によりましてやむを得ないことになりますけれども、これはしばしば申し上げますように、今回の財政対策として何とかお願いをしたいということでつくり上げたことでございまして、この率がはなはだしくふえる、たとえば二〇%、三〇%になるということになりますると、これはいわば抜本的な改正につながるものでございますから、率としましてはわずかに二%程度の増でございますので、まあこの程度のことはひとつぜひこの際お認めいただきたいということを私どもお願い申し上げておるわけでございます。
#70
○小平芳平君 ですから、その点についてしばしば指摘されてきましたように、患者の負担率、それがわずか二%というその考えが、ほんとうになけなしの、バス代がなければ歩いてでもお医者さんに行かなくちゃならなくなっちゃうわけでしょう。そういうような人たちに対して、わずか二%だし、上がるのは当然だぞというような考えが私たちとしては納得できない。それから、また、大蔵省にかけ合ったけれども、大蔵省が承知してくれなかったということは、それは佐藤内閣が続く限りと大臣が先ほどおっしゃいましたが、内閣として、大蔵省が聞いてくれないから患者に二%負担しろということは説明にならないと思うのですがね。
#71
○政府委員(熊崎正夫君) おことばを返すようでたいへん恐縮でございますけれども、確かに今回の措置によります患者負担分は、数字的に申し上げますと、先ほど資料として小平先生お持ちのとおりでございますが、 これは私どもとしましては、るる申し上げますようなことで考えた対案でございますが、たいへん過去にさかのぼって恐縮でございますけれども、政府管掌健康保険が赤字で非常に問題になりました十年前、そのときに新しい一部負担の制度が、たいへんこれも国会におきましていろいろと御審議をいただいたわけでございますが、でき上がりましたときに、本人の給付率といいまするものが、当時といたしましては九五・九%ということで、やはり当時としましては患者負担がふえたわけでございます。ところが、今回の本人の負担分のことを当時と比べてみますると、今回の場合にはそれが九五・六%ということで、十年前の新たに患者負担ができましたときの給付率の引き下げといいますか、それに比べますと今回のほうは〇・三%低いというふうな形になっておりまして、むろん十年前と今日とでは必ずしもこのような数字を申し上げることは、あるいは的確でないかもしれませんけれども、一部負担のかけ方自体につきましては、その率につきましては、十年前の赤字でたいへんな騒動をしましたときと比べまして、今回のほうがまだ〇・三%少ないということで、政管健保の非常に現在危機におちいっております対策としては、私どもとしてはぎりぎりやむを得ない対策というふうに考えておるわけでございます。
#72
○小平芳平君 この問題は非常に大事な問題ですので、再考をなさるように、再検討なさるように私は要望したいのです。それから、特に赤字が、これもしばしば指摘されましたように、医療制度自体からくる赤字、これを政府の無為無策とこれは答申でもはっきり指摘しているように、政府の無為無策から赤字を負担させよう、しかも、患者に負担させよう、こういう点について私たちは反対ということを申し上げているわけであります。
 次に、私がお尋ねしますことは、政府管掌健保自体についての問題ですが、まず初めに、この政管健保が赤字でということを前提にしていろいろ御説明を承ってきたわけでありますが、この政管健保ですね、一千二百万人という被保険者をかかえた大きな組合をだれの責任で運営しておられるか。これはほかの組合健保の場合でしたら、赤字だからといって大蔵省へ頼みに行けば何とかなるというわけのものでもないし、あるいは、また、赤字が増大した赤字が増大したといっては保険料を上げましょう、さあ今度は入院料を倍にしてもらいましょう、こういうぐあいにやっていて、はたしてこの政管健保自体赤字になった責任、あるいは運営の不備な点があれば、その責任はだれがお持ちになってやっていらっしゃるか。
#73
○国務大臣(坊秀男君) 政管健保は政府管掌でございまするから、これについての責任は政府が持っておるということでございます。
#74
○小平芳平君 だれが。
#75
○国務大臣(坊秀男君) 政府が。
#76
○小平芳平君 政府でも、だれかいるでしょう、人が。
#77
○国務大臣(坊秀男君) その所管は厚生省、厚生大臣でございます。
#78
○小平芳平君 ですから、そこで問題は、どこかほかの組合の健保の責任者はだれかと言えば、すっと本人が答えられないわけないじゃありませんか。どこの会社にしましても団体にしましても、責任者はだれか――御本人が私ですと言えないわけはないと思いますのに、厚生大臣御自身すら、責任者はだれか――政府だ、こういうようなところにもちょっとおかしいんじゃないか。あるいは、また、この赤字対策を立てる、赤字になったから困る、赤字になったから困ると言って、じゃあどれだけの赤字解消のための努力、政管健保としての赤字を出さないための努力、これをなさっていらっしゃるかどうか。
#79
○政府委員(加藤威二君) 政管健保の赤字を出さないためにどういう努力をしているかと、こういう御質問だと思いますが、私どもといたしましては、政管健保の財政の健全化ということのためには、これは小平先生御指摘のとおりに、やはり相当根本的な対策を立てなければ、行政上の努力だけではなかなか問題が解決しないということを、私ども行政に直接タッチしておる者として特に痛感いたすわけでございます。先生御指摘のとおりでございまして、したがいまして、行政上の努力というものには私は限界があると思いますが、しかし、第一線の職員を督励していろんな行政上の努力は継続いたしておるわけでございます。
 具体的にどういうことをやっておるかと申しますと、これはやはり収支の問題でございますので、できるだけ収入の増加をはかるということにまず第一の努力を払うということでございます。具体的に申し上げますれば、たとえば保険料の収納率を上げていくということでございまして、これは少なくとも、私ども保険料の収納率につきましては、この医療保険の収納率というものは、たとえば国税あるいは地方税に比べまして決して劣らない、むしろそれを上回った成績を最近あげておるということでございます。たとえば現年度分について申し上げますれば、現年度分については九八%をこえるような収納率をあげております。で、少なくとも、第一線の保険料収納率につきましては、ぎりぎりの限界まできているという感じがするわけでございます。この法案を国会に提出いたします前に社会保険審議会等に諮問いたしたわけでございます。あるいは社会保障制度審議会に諮問をいたしたわけでございますが、いろいろの御批判をいただきましたけれども、少なくとも、収納率に関する限りは、まあこの程度でやむを得ないというような感じの御感想をいただいておるわけでございます。そのほか、たとえば今度支出面でございますけれども、支出面につきましては、私どもといたしましては、先般もちょっと申し上げましたように、レセプトの点検ということをやっておりまして、社会保険事務所に入ってまいりますレセプトにつきましては大半の点検をいたしまして、そうしてむだを排除し、間違いを排除していく、こういうような行政努力を続けております。しかし、この赤字の解消のためには、この強い行政上の一々の努力ではとても追いつかない、やはり先生御指摘のような抜本的な対策を早急に立てる必要があるだろうということを感ずるわけであります。
#80
○小平芳平君 政管健保の場合、これも指摘されてまいりましたように、中小企業という所得の低い階層の人が対象であり、あるいは、また、罹病率も高い、あるいは、また、組合健保に入っていた人が大きな企業をやめて政管のほうへ移る等々のいろいろの問題点があるのです。それで、国保の場合も同じような問題点としては傾向があると思いますが、一人当たりの医療費、これはいかがでしょうか、政管と組合と国保と比べた場合。
#81
○政府委員(熊崎正夫君) 一人当たりの医療給付費の各管掌別の金額につきましては、数字を簡単にちょっと申し上げてみますけれども、四十年度の医療給付について申し上げてみますと、政管健保は一人当たり二万七百三十一円、それから、組合健保は一万八千三百二十一円、政管健保のほうが少し高いわけでございます。それから、船員保険、日雇健康保険になりますと、これよりもさらに高いわけでございまして、特に日雇健康保険は二万一千二百円、ということで、政管健保よりも高こうございます。国民健康保険につきましては一番低いわけでございまして、一万七千五百七十九円という状況に相なっております。
#82
○小平芳平君 それで、政管自体の問題は私あとで指摘したいわけですが、現にいま局長が御説明になったが、どうしてこういうような違いが生ずるか、この点についてはどのように感じられておるわけですか。
#83
○政府委員(熊崎正夫君) いろいろと原因につきましては要因が考えられるわけでありますが、組合健康保険に比べまして政管健保は若干高いわけでございますが、組合のほうはそれぞれ単一企業でやっておりまして、組合員、健康保険の被保険者の健康管理、それから、先ほど保険部長のほうから申し上げましたレセプトの点検その他につきまして、組合のほうは被保険者の単位当たりの人員も政管みたいに膨大な機構でございませんので、比較的把握しやすいということも一つの原因であろうかと思いますし、また、政管健保の加入者自身の構造的な問題も組合健保と比べて非常に違うという点、その他いろいろと原因はあろうかと思います。やはり組合健保に内在する問題と政管健保に内在する問題と本質的に違う点もあるわけでございます。
#84
○小平芳平君 もっと時間があればその点について局長もお述べになりたいことがあるかも知れませんし、私も、もっと時間があればいろいろお尋ねしたい点もあるわけですけれども、一つの問題としまして、これも先日委員の方からの質問に対して、政管健保の人たちがどの程度負担していかれるか、健康保険料として家計を圧迫する限度はどのくらいかという御質問に対して、大臣でしたか、それは家計を圧迫する限度といっても、月給の高い人はまだ出せるんだというようなことを簡単におっしゃっておられましたが、そういうような簡単な問題じゃないと思うのですね。やはりこれこれの所得階層の人たちのこれこれの食費、医療費、住居費、そういうものの全体のバランスから見てどの程度が限度かと、それはおよそ目標があってやっていかれるのでなければ、ただ赤字だから上げてくれ、赤字だから薬代も一部負担しなさいと、これじゃ厚生行政とは言えないわけだと思うのです。
 ちょっと話が飛びますが、家族給付は国保も七割給付を実現し、政管だけは赤字赤字で五割と、これは赤字だからといっていつまでも五割のままで置かれるおつもりか、これはいかがですか。
#85
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘の給付の内容と申しますか、給付の幅でございますが、これは各種の医療保険を通じて非常に重大なる問題でございまして、これらの給付の幅につきましては、これこそ抜本対策の一つの大きな課題としてこれを研究してまいらなければならない問題だと、かように考えております。
#86
○政府委員(熊崎正夫君) 保険料の負担の問題でございますが、先生御承知のように、今回の改正によります本人の月の増加額は、等級によって違いますけれども、三万円というのが平均になっておりまして、そのときの本人の月の増加額は七十五円でございます。月の増加額は七十五円、保険料が。今回の改正案を御可決いただいた場合にはそのような増加額になるわけでございます。七十五円上がるということがたいへん家計に響くではないかどうかという点につきましては、私ども、それは全然そのまま据え置かれるのと違いまして、確かに負担がふえるということは言えるわけでございますが、この程度の御負担は、この際何とか負担していただきたいというふうに考えておるわけでございまして、話をちょっと別の角度で申し上げて恐縮でございますけれども、いわゆる低所得階層が多いという国民健康保険につきましては、確かに給付は七割になっておりますけれども、最近の各市町村の保険料の引き上げの幅といいますものは、政管健保がほとんど料率は上がっておらないのに比べまして、国民健康保険のほうは、過去三年間において六〇%以上保険料が上がっておるわけでございます。六〇%以上保険料は上がっておる。それで、国民健康保険の保険料の料率といいますものは、これは政管健保にそのままで換算するわけにはいきませんけれども、われわれのほうで試算いたしますと、確かに千分の七十五をこえるぐらいの負担には国民健康保険のほうはなっておるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございまして、今回の千分の七十程度の料率の引き上げは、政管健保の現状からいって私どもはぎりぎりやむを得ない御負担をお願いするというふうな角度で考えておるわけでございます。
#87
○小平芳平君 それで、その七割給付は。
#88
○国務大臣(坊秀男君) ただいま給付につきましては、国民健康保険では七割給付ということになっておりまして、で、そういったような各保険を通じての給付率を一体どういうふうに持っていこうかということにつきましては、これはほんとうに私は医療保険の中の最も重大な問題の一つだと、かように考えておりまして、今後これにつきましては十分検討をいたしてまいりたいと、かように考えております。
#89
○小平芳平君 次に被保険者証の検認、それから更新ですか、これは政管はどのようにやっていらっしゃいますか。
#90
○政府委員(加藤威二君) 被保険者証の検認、更新につきましては、実はここ四、五年更新を中止いたしております。相当被保険者証が古くなっておる方もあると思いますが、これは政管の被保険者というものは各事業所単位でとられておりますから、たとえば同じ会社でも、東京に本店があって大阪に支店があるという場合には、大阪から東京に転勤になりますと新たに被保険者証がそのときに改められますので、そういう意味で、全国的な更新をやらなくても、相当毎年毎年三割から四割の被保険者証が更新されておる、こういう実績もございますので、最近ここ四、五年更新を中止しておったわけでございます。特に第一線の職員の非常に強い要望がありまして、この更新にはものすごく手数がかかるわけでございます。一方において赤字対策がございますので、保険料の徴収とか、あるいはレセプトの点検その他の財政対策を第一線の職員が努力しておるわけでございますので、労働過重という面から見て、ちょっと被保険者証の更新は中止してくれという職員組合からの強い要望もございましたので、それで現実にまあ三割ぐらいずつが毎年更新されておるということで、ここ四、五年被保険者証の更新は中止いたしておりましたが、本年度は、もうだいぶ古くなった被保険者証もございますので、更新をする予定でございます。
#91
○小平芳平君 じゃあ組合健保は、局長、どのようにやっておりますか。
#92
○政府委員(熊崎正夫君) 昨年、組合健保につきましては、支払基金のほうの事務を簡素化するというふうな関係もございまして、組合の名前を略式でやるというふうに簡素化をいたしましたときを契機に被保険者証の一斉更新をいたしました。大体毎年一回ぐらいずつ更新をするように考えて、大体そういう形で指導をいたしております。
#93
○小平芳平君 そうすると、そこで、この政管の責任者の大臣、いまお聞きのように、組合健保は毎年一回やると局長はおっしゃる。ところが、政管は四、五年で済まないようであります。もっと長いようであります。もっと長い間書きかえしていないわけです。したがって、第一線の職員はもちろん手不足で、とても一千二百万人の書きかえが容易な仕事ではない。かといって、そのままにしておいたのでは、たとえば会社が倒産したとか事業所が廃止になったような場合、一体その被保険者証がスムーズに返還されているかどうか。そのようなところから被保険者証を持ったまま、実際はやめていても、それを使ってお医者さんにかかるとかというようなことが行なわれているのではないかということも言われるが、いかがですか。
#94
○政府委員(加藤威二君) 確かに先生御指摘のとおり、ここ六年ばかり更新を中止いたしております。その理由は、あまり正当な理由とは申しかねますけれども、実情を申し上げれば、そういうことで第一線からちょっと待ってくれ、ほかの行政努力と一緒にやられてはかなわないということで、限りある人員でございますので、ちょっとストップしておったということのために、先生御指摘のような事例が全然ないとは申し上げかねるわけでございますが、しかし、被保険考証の資格を喪失した者についての回収率は九四%でございますので、六%程度がなかなか回収ができないという事態がございますが、大半は回収いたしておりますけれども、更新をするのがちょっと中止になっておりますために、先生御指摘のような事例はある程度あるものというぐあいに考えております。
#95
○小平芳平君 その九四%というのは全国の数字ですか、あるいはいつの数字ですか。
#96
○政府委員(加藤威二君) これは毎年調べておるらしいので、おそらく四十年度の数字だと思いますが、全国的なものでございます。
#97
○小平芳平君 全部で幾らですか。
#98
○政府委員(加藤威二君) 回収率九四%でございますが、その数につきましては、ちょっと調べまして後ほど御報告いたします。
#99
○小平芳平君 そういうようにあいまいな、何といいますか、やり方は、この人手不足の場合は、普通の民間の会社の場合、一つの経営をしていく場合、人手不足だからといってルーズな管理はできないわけです。実際上、第一線の職員の方にはそうしたオーバーワークを押しつけながら、しかも、政管事体が被保険者証すら何枚行くえ不明になっているかわからないのが実情じゃないですか。実際にかりに都内の保険事務所をずっと歩いてお聞きになってみたらいかがですか。
#100
○政府委員(加藤威二君) その数字については庁ではわかっているはずでございますが、調べて後ほど御報告いたします。
 それから、確かに九四%の回収率でございまして、残り六%は早急には回収できないという実態でございますけれども、それをもし資格喪失したその被保険者が被保険者証を返さないで、それを使ってお医者さんにかかる、こういうことになりますと、お医者さんではそれはわからないわけですから、被保険者証を見せてもらえば被保険者だということで診療されて、そしてその結果基金に請求される。基金では支払って、そのレセプトが社会保険事務所に回っていく。その場合に、社会保険事務所では、先ほど私が申し上げましたように、レセプトの点検というのを励行いたしておりまして、そこで一々当たるわけでございまして、そうして、その場合に社会保険事務所には被保険者の帳簿がございますから、そこでレセプトの番号を点検いたしまして、被保険者の帳簿から落ちている場合には、これは無資格診療でございますので、本人からそれを徴収するという努力をいたしておりますので、九四%の回収率でございますが、残った六%のその医療費が全部むだに使われているというわけではございません。六%の人でも、ただ忘れて返さないという方もおられましょうし、この中で病気にかかる方というものは何%おるかわかりませんけれども、若干の人がおり、その人がその被保険者証を使った場合に、そういう場合に事務所でもまたチェックしているということでございまして、残り六%が全部むだに使われているということではございませんので、その点御了承願いたいと思います。
#101
○小平芳平君 残り六%かどうか、その点は私ちょっといまここで、ああさようですかと言うわけにはいかないわけです。私が聞いた範囲では、そんなにスムーズにいっていないということです。第一線の方たちはこれこれこのように働いていても、ここまでは手が回らないというのが実情です。ですから、大臣に、ただ政管は千二百万人という膨大なものだから手が回りかねるのだということで済まされないものがありはしないか。もっと根本的に、責任者がまずその気になって現場の人のよくお話を聞くなり対策を立てるなり、それが必要じゃありませんか。
#102
○国務大臣(坊秀男君) そういったような管理指導の面でございますが、これにつきましては、現在地方事務官がその衝に当たっておりますが、そういったような機構といったようなものもこれを整備充実いたしまして、私はそういったようなことについては、できるだけ正しく適正なる管理運営が行なわれていくということに今後大いに努力をしていかなければならない、かように考えます。
#103
○小平芳平君 局長はどうごらんになっていますか。組合健保と政管健保を比べた場合、組合健保ならば健康管理の上からいっても、いまの被保険者証の問題にしても、政管のようなルーズなことをやっていないと思うのですね。
#104
○政府委員(熊崎正夫君) とにかく政管の加入者自体は中小企業ということで、一事業所平均にいたしますと二十二人というふうに、非常に零細な中小企業が集まって、それで千二百万人の被保険者を構成いたしているわけでございまして、確かに保険庁が第一線の社会保険事務所を、各県の保険課を通じて指導監督をやっておりますけれども、なかな相手の対象が膨大であり、各県別に十分な徹底をしても、御指摘のような、いろいろと多少ぐあいの悪い点が出るということは、私ども組合健保と比べてみますと、やはりその点はこれから大いに努力をしなければならないところだ、こういうふうに考えているところでございます。
#105
○小平芳平君 まあその多少ぐあいが悪いのは、少ないほうのぐあいが悪いではなくて、多いほうのぐあいが悪いということをよく検討していかなくちゃならないと思うのですね。
 次に、一人当たりの医療給付費を各都道府県別に見た場合に、これまた大きな違いがあるわけですね。これはいかがですか。
#106
○政府委員(加藤威二君) 都道府県別の一人当たり医療費でございますが、御指摘のとおり、相当府県によって差が出ております。四十年度で申し上げますと、一人当たり医療費の一番高いところが佐賀県でございます。金額にいたしまして三万五百六十七円、三番目ぐらいまで申し上げますと、高いところと低いところを申し上げますと、一番高いのが佐賀県で三万五百六十七円、二番目が京都でございまして、一人当たり医療費三万四百四十六円でございます。三番目に高いのが高知県でございまして、二万八千九百四十八円でございます。逆に、低いほうから申し上げますと、一人当たり医療給付費の一番低いのが静岡県でございます。金額が一万五千三百八十八円。二番目に低いのが東京でございまして、一万五千四百七十七円。三番目が山形、一万六千八百八十四円。このように、府県によりまして一人当たり医療費について相当の相違があるというのが実情でございます。
#107
○小平芳平君 平均。
#108
○政府委員(加藤威二君) 平均は二万六百二円でございます。
#109
○小平芳平君 そこで、やはり政管の責任者である大臣とし、局長として、こうした一人当たり医療費が平均二万円、高いところは三万円、低いところは一万五千円あるいは一万六千円、こういう現状は、まあいろんな要素があるに違いないけれども、これでよろしいかどうか、そういうことを第一に心に置いて取っ組んだことがあるかどうか、それをまずお尋ねしたい。
#110
○政府委員(熊崎正夫君) 私ども保険医療の指導監督をいたさなければならない者としましては、やはり府県別の一人当たりの医療費がどのようになっているかということは常に重視しなければならない問題だと思っております。ただ、なぜそのように一人当たりの医療が各県によってそう中身自体か――中身といいますよりも、病気自体が人によって変わっていないはずなのに、なぜ一人当たりの医療費が県によってそんなに違うのかということについては、いろいろの要因が私は考えられると思います。それで、この点は、従来も社会保険審議会、あるいは社会保障制度審議会でただいま小平先生御指摘のような議論を私どもはいたしたわけでございますが、その中身の原因の究明につきましては、確たる明白な事実関係を、議論はやってみましたけれども、明確につかむことはついにできなかったわけでございます。いろいろと事情はあろうと思います。いろいろと事情はあろうと思いますけれども、まさにその点にやはり現在の保険医療のあり方自体の本質的な問題が内在するんではなかろうかというところまでは解明はいたしておりますけれども、これはいわば現在の支払い報酬体系、いわば出来高払い制度につながる本質的な問題があるというふうなところまでは解明はついておりますけれども、なおそれ以上に、今後私どもは、そういうふうな地域的なばらつきがないように、やはり全国的に平均一人当たりの医療費がそう差のないように監査なり指導なりを十分やっていかなければならない、こういうふうに私どもは考えております。
#111
○小平芳平君 この新聞、日本医事新報ですね、ここでは、京都において三桁会が成功をおさめておる、ついに全国一位になった、それも第二位に五十点の差をつけたと、こういうふうに報道されていますが、これはいかがですか。
#112
○政府委員(熊崎正夫君) そのような記事が出たということも私ども見たこともありますし、また、そのような話を聞いたこともございますけれども、しかし、それが必ずしも直接の原因であったかどうかということについての確たる証拠はないわけでございまして、これは私ども風評として聞いておるわけでございまして、その事実それ自体を肯定することも否定することも私どもはできないような次第でございます。
#113
○小平芳平君 それから、支払基金年報によれば、入院外診療一件当たり点数、これは昭和三十四年以来、四十年まで京都がずっとトップで来ていると、こういう点ですね。それから、また、同じ病気に対して、感冒なら感冒に対して、投薬量がこれがまた地域によって違うのですね。こういう点についての分析、お考え、これはいかがですか。
#114
○政府委員(熊崎正夫君) 保険医療の内容をどのようにしていくかという問題につながる問題でございますが、私どもとしましては、各県のそれぞれの各医療担当者が保険医療に携わっていく場合にどのような方法でこれに対処していくかということにつきましては、それぞれの個別指導なり、あるいは集団指導――集団指導といいますと、保険医療機関の講習等を通じて、現在の保険医療の考え方につきまして、これが変わった形での運用がされないような指導を期しておるわけでございますが、ただ、間々いろいろと先生御指摘のように、それぞれの病気の治療方法が各県によってそれぞれ違ってくる、疾病によって、医療の中身が同一疾病についてもそれぞれ変わってくるというふうな事実を私どもはよくつかんでおるわけでございますが、これにつきましては、やはり患者と医師との人間関係の問題もございまして、必ずしも画一的に取り扱うということもいかがかと思いまして、ただ、それが乱にわたらないように、やはり医師なり保険医療機関の良心に従った診療内容でなければならないという点を十分強調しながら保険医療の適正な運用につきまして指導監督をいたしておるわけでございます。
#115
○小平芳平君 局長、そんなむずかしい答弁で、よくのみ込めないのですが、要は、大臣としてそういう点について検討していこうという姿勢ですね、責任ですね、これが大事だと思うんです。いまここで私が各県の一人当たり医療費を全部総平均にしろとか、あるいは感冒なら感冒、一つの病気に対しての投薬なら投薬、注射なら注射を平均にしろということを言っているわけじゃないのです。あるいは患者対医師の人間関係を無視しろと言っているわけじゃないわけなんです。こうした現状を、ただ赤字だ赤字だというだけじゃなくて、平均が二万円、高いところは三万円、低いところは一万五千円、こういう現状をどうつかまえ、把握しているか、あるいはそういう結果が出るのは、これこれしかじかの理由によってこうなんだという説明、これがなくちゃならないと思うが、いかがですか。
#116
○国務大臣(坊秀男君) 一人当たりの医療費が各府県によって非常に違いがあるじゃないか、一体それはどういうわけか、また、こういったようなことについてどう対処するのかという御質問でございますが、私は非常にごもっともな重大なる問題の御指摘かと思います。その要因につきましてはいろいろと私はあろうと思います。なかなか一つや二つではないということも考えられますが、これにつきましては、局長が御答弁申し上げましたとおり、社会保険審議会におきましてもこれを俎上に上げて検討をいたしたわけでございますが、しからば的確にどれが一番の大きな原因であるといったようなことも、まだその結論が出ていないということでございますけれども、私は、本来いろいろな理由があって各府県によっての違いということはあろうと思いますけれども、そんなに大きな違いというものがどういうわけでそういったような、一番高いところと一番低いところを比べてみますと、非常にこれは違うということについては、ほんとうに私はその真相をできるだけ正しくキャッチいたしまして、これに対する対処策ということについては、最も、何と申しますかきびしくと申しますか、正しく私はやっていかなければならない問題だと、かように考えております。目下のところ、その原因、要因はこれだということをしっかりと把握しておりませんけれども、これは把握をしなければならない問題だと、かように考えております。
#117
○小平芳平君 ですから、把握しなければならないと言われますが、それはどういう方法で、いつ把握されますか。
#118
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもが保険医療の指導監督をやっておりますのは、第一線機関に、各都道府県に地方技官を配置いたしまして、それで、ただいま小平先生御指摘のような、各県ばらばらの、しかも、診療内容に非常に誤った形が出ることを防止するために、指導監査という形で各県に技官を配置いたしております。そこで、はなはだしく不正なことをやったような保険医療機関につきましては監査を実施いたしまして、保険医の取り消し、あるいは戒告等の行政処分をやっておるわけでございます。ただ、私どもとしましては、なるべくそういう監査によって、保険医、あるいは保険医療機関の取り消しをするということよりも、未然にそういう形にならないように、やはり正しい保険医療をやっていただけるように、指導という形に重点を置いてあやまちをおかさないような形でこれからも保険指導の厳正な執行という形について努力をしてまいりたいと思います。
#119
○小平芳平君 どういう形で、いつといういまの質問に対しては、局長さんからは、技官を置いて指導監査をしていると、こういうわけですね。じゃその技官は何人おりますか。
#120
○政府委員(熊崎正夫君) 全国で八十五人の技官を配置をいたしております。
#121
○小平芳平君 先ほどあげられた県別に技官が何人いて、指導監査を何回やったか、これをお答えください。
#122
○政府委員(熊崎正夫君) 三十八年から四十年までを申し上げますけれども、指導監査をやりましたのは、三十八年が七千八十三、三十九年が七千六百十、四十年が六千七百二十五、四十一年はさらにこれよりもふえております。それから、監査は、三十八年が六十八、三十九年が百五十四、四十年が百九十三、こういうことになっておりまして、各県別に申し上げてみますと、全部申し上げるとたいへん時間がかかりますので、一番監査を多くやっておる県につきましては、東京が一番多くやっております。それから、次に長野、静岡、香川というところでございまして、大体東京あたりで二十一という件数でございます。それから、個別指導につきましても、東京あるいは埼玉等が多いわけでございます。
#123
○小平芳平君 まあ私のほうから申し上げますが、技官を置いて指導監査をしている、それで、それが問題解決のもうポイントみたいに答弁を聞いていると受け取られるおそれがありますが、実際問題が、先ほどの京都でいいますと、技官二人、監査は一回、よろしいですか。東京で申しますと、技官は九人、監査は二十一回、滋賀県で申しますと、技官一人、監査はゼロ、こんなことじゃありませんか。で、大臣、それがいま申し上げるような問題解決のポイントになるかどうか、いかがお考えですか。
#124
○国務大臣(坊秀男君) ただいままでの指導監査というものは、私は決してこれは十分ではない、非常に不十分である、その点につきましてはさらに強化をしてまいらなければならない、かように考えます。
#125
○小平芳平君 まあ大臣は監査を強化なさるとおっしゃいますが、監査を強化すべきかどうか、ちょっと私として結論を申し上げかねますが、私が厚生省当局に要望したい点は、とにかく国民がそうだとみんな納得できる、また、お医者さんが安心して治療に専念できる、また、患者は安心してお医者さんへ通える、そういう明るいものがなくちゃならないと思うのです。まじめなお医者さんが一緒くたにそういう疑いを持たれるとか、そういう点が医療制度の非常なマイナスになると思うのですね。
 それで、次に、この監査の結果、取り消しになった医療機関というもの、これはおよその事故件数と、取り消しになった医療機関の数、あるいはこの返還金ですか、返還ですね、一体どのくらいになっているのか。
#126
○政府委員(熊崎正夫君) 昭和四十年度で申し上げますと、監査実施の保険医療機関の数は百九十三ございまして、上記のうち、取り消しを行なったものは百九件ございます。事故の区分といたしましては、架空請求があったものが六十、つけ増し請求のあったものが七十、その他不正の請求があったものが百九、こういうことになっておるわけでございます。
 なお、費用返還額につきましては、三十八年監査によるもので返還を命じましたものが八百七十五万円、三十九年に入りますと千三百四十二万円、四十年になりますと三千三百十五万円、それ以外に、指導によりましてやはり一千万ないし三千万の費用の返還額を命じておるわけでございます。
#127
○小平芳平君 ちょっと数字がどの数字をおっしゃっているか、私のほうと一致しませんが、この昭和四十二年になってからでも、東京都の例で千七十九万三千円、これは一件でですよ、一医療機関で千七十九万三千円というものが不正である、そういう例がありますでしょう。それをちょっと御説明してください。
#128
○政府委員(熊崎正夫君) 監査によりまして返還を命ずる金額につきましては、それぞれの保険医療機関の事故によりまして中身がそれぞれ違ってまいりますので、金額は必ずしも一様でないわけでございます。御指摘は東京都の四十二年の事件のことだろうと思いますけれども、これは確かに御指摘のように一千万を若干こえる金額の返還命令をいたしておるわけでございます。中身としましては、架空の請求と、それから、出張診療という形で不正を行なっておった事例でございまして、夜間だけ開設しておる自分の診療所で、架空の請求を三カ月にわたってやったというふうな事例があるわけでございますが、このような事例につきましては、きわめて私どもとしましては悪質な事例であるというふうに考えておりまして、厳重に処分をいたしておるわけでございます。
#129
○小平芳平君 厳重処分とはどのような処分ですか。
#130
○政府委員(熊崎正夫君) 監査の結果は行政処分になるわけでございますが、この件につきましては、返還を命ずるとともに、保険医療機関並びに保険医の取り消しを行なっております。
#131
○小平芳平君 ですから、そこがふに落ちない点なんですね。まあ一千万円の不正、普通だったらちょっと考えられないじゃないですか、一千万円。五円や十円じゃないわけですから。それで、この一千万円の不正があったからといって、金を返せば、それから、指定を取り消せばそれでいいわけですか。しかし、取り消されても、また指定を受けられるわけでしょう。それはいかがですか。
#132
○政府委員(熊崎正夫君) 監査をいたしました結果、取り消しをするというのが普通の例でございまして、その事故内容につきまして、詐欺にわたるような行為があったり、その他の場合にはこれを送検をしておるという事例もしょっちゅうあるわけでございます。ただ、保険医並びに保険医療機関の数が、御承知のように、歯科医師を含めまして、非常に多数の人数にのぼるわけでございますが、その中で間々非常に不心得の場合の事例も出るわけでございますけれども、私どもとしましては、このような事故が発生した場合には厳重に処置をするつもりで、保険医療機関の取り消しをいたします。
 事態としては、取り消しだけで済むのかということでございますが、国民皆保険下の今日におきまして保険医療機関の取り消しをするということは、その担当のお医者さんにとっては、いわば、何といいますか、生活権を奪われたような形で、全然あと医者としての仕事ができないことになるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、そのあとの本人の生活態度その他等を、所管のその土地の医師会の幹部の方々等々とも十分相談をした上で、原則としては一年間ないし二年間は復活はさせないということで、その間いろいろと事情によりまして復活をさせる場合もございますけれども、原則としては一年以上は取り消し期間を続けるという形で指導をいたしておるわけでございます。
#133
○小平芳平君 送検するといいますけれども、それじゃ送検された例がこの何年間かの間、少なくとも二、三年なりにあったかどうか。どんな例があったか。それから、また、指定を取り消しても、一年たてばまた指定を受けられるというのでは、これはまるきり厳重処分のうちに入らないじゃありませんか。
#134
○政府委員(熊崎正夫君) いろいろとここで過去に起こりました事件の中身につきまして、こういう事件につきましてこのような起訴処分をしたというふうなことを個々に申し上げることはできないわけでございますけれども、最近の例といたしましては、佐賀の事件で、現在まだ裁判になっておりますが、新聞紙上でも、地方新聞はもとより、中央におきましても非常に問題になった、いわゆるニクビタン事件というものがございまして、これは現在まだ裁判係属中でございます。
 なお、取り消しをいたしまして、あと復活するにつきまして、非常に期間的な問題がございましたけれども、これにつきましては、実は監査をしたあとの処置につきまして、どのような行政処分が適当であるかどうかということにつきましては、私どもは、現在最高を取り消しという形にしておりますことがいいかどうかについては検討を要するというふうに思っております。つまり、あるいは罰金的なものを科するか、あるいはこれをすぐ直ちに裁判のほうへ持っていくかどうか、いろいろと問題があるわけでございまして、一時は、保険医の取り消しを受けた限りにおいては、その保険医は当然医師の免許の問題にまで波及すべきじゃないかというふうな議論も出たことがございます。しかし、それにつきましては、ただ、私どものところで直ちに結論を出すという段階にはまだまいっておりませんので、今日の国民皆保険になりました状況下におきまして、保険医療機関の不正事故につきましての取り扱いについては、抜本対策の際にあらゆる問題を検討いたしまして、慎重に結論を出していきたいというふうに思っているわけでございます。
#135
○小平芳平君 大臣はどのようにお考えですか、いまの問題。
 それから、それじゃ結局送検し、裁判になったのは一件ですか。
#136
○政府委員(熊崎正夫君) 直ちにいま何件ということをお答えすることはできませんけれども、一件ではございません。やはり数件はあるわけでございますが、事案によりましていろいろとあるわけでございまして、いずれ送検になった件数は、正しく数字を御報告いたしたいと思います。
#137
○国務大臣(坊秀男君) 保険医の不正なる行為についてどういうふうに思うか、こういう御質問でございますが、そういった不正行為というものは、これは私どもといたしましては、不正行為が起こるということよりも、これを未然に、起こらないように指導監督していくことが一番大事なことであろうと思いますが、しかしながら、何にいたしましても、数多い保険医の方々でございまして、全部が全部これは常に正しい行為をやっていらっしゃる方ばかりではない。その中には不正なる行為をあえてやるという方が、これは絶無ということは期しがたい。そこで、そういったような方々に対しましては、これは相当きびしい態度でもって臨むということが、これが一つの頂門の一針と申しますか、そういったことが一般予防をするというような効果もあるわけでございまして、私は、そういったようなことを未然に防ぐためにも、そういう不正の行為というものに対してはきびしい態度で臨んでいかなければならない、かように考えております。
#138
○小平芳平君 そこで、監査を実施する場合、「厚生省と日本医師会及び日本歯科医師会との申し合わせ、昭和三十五年二月十五日」という、これが非常に、監査に立ち会われると、民主的といえば民主的でしょうけれども、一体それでいいだろうかどうであろうかという大衆が疑いを持つもとになっているのじゃないか。これはいかがですか。
#139
○政府委員(熊崎正夫君) 保険医療機関の監査の問題につきましては、日本医師会、日本歯科医師会のほうと、御指摘のように、申し合わせ事項をつくりまして監査指導の励行をいたしておるわけでございます。何ぶんにも、先ほどからるる申し上げますように、監査をやって保険医療機関の取り消しをやるということは、個々の医師にとっては重大な問題でございますので、関係団体で監査の方法につきまして重大な関心を持つことは、これは私はやむを得ないことだろうと思います。といいますのは、過去におきまして監査の方法がきびしかったのかどうか、その辺は別といたしまして、監査によって取り消しを受けたという個々の開業医の方で、非常に心配をされまして、その結果自殺をされたという事故が二、三あったわけでございます。それが非常に世間的にも問題になりまして、監査方法自体について、そのやり方をもう少しやはり検討したらどうだというふうな話になりまして、それで、事故を起こした本人を追及することについてはあくまでも正しくしていい、しかし、未然に事故を防止すること自体に力を入れればそのような不幸な事件は回避できるんではなかろうかというふうな趣旨のもとに、まず徹底的に指導をやってくれ、指導をやった上で、なお改まらない、その保険医療のやり方を改めないお医者さんについては監査に乗り出すというふうなことで申し合わせ事項ができておるわけでございます。したがいまして、各県で監査をする場合に、明らかに不正であるということがわかった場合には、直ちに監査に移れるわけでございますけれども、ただ、ばく然と、どうもおかしい診療をやっておるのではないかというふうなことで直ちに監査権の発動ということについては、再び過去に起こったような不幸な事件を招かないためにも、やはり指導に重点を置いて、その上で監査をする、こういう形になっておるわけであります。これは三十五年以前におきましては、監査の件数は多くても、取り消しまでいくのはそのうちの何分の一という形で、監査の件数は確かに多くはございましたが、しかし、取り消しの件数は現在のほうが多いわけでございます。といいますのは、現在は監査をいたしましたら、明らかに不正であるという実証といいますか、証拠が残っておりますために、監査を受けた限りにおいては取り消しを受ける場合が非常に多いということでございますので、その申し合わせの趣旨は、私は現在においては十分活用されておる、こういうふうに思っておるわけでございます。
#140
○小平芳平君 反対のことを言っている。その申し合わせが大衆の疑いを持つもとになりはしないかということをお尋ねしているのです。ですから、先ほど来申し上げておることは、まじめな、ほんとうに国民の健康を守り、病気をなおしていらっしゃるお医者さんまで一緒くたにして疑いを持たれる、そういうようなことのないような、そういう行政のあり方でなくちゃいけないのじゃないかということを申し上げておるわけです。
 ところで、結局、注射、投薬でお医者さんが成り立つというような現状の制度、お医者さんの技術というものが全く評価されていない、どこのお医者さんに行っても点数は同じというような現状、これがどれほど大きなマイナスになっているか。この点について御質問しましても、大臣も局長も、結局それは協議会でやるのだというようにおっしゃると思いますけれども、これは単なる協議会や審議会に頼んであるからというのじゃなくて、これこそ本格的に取り組んでいかなくちゃならない医薬分業の問題、あるいは先ほどちょっと申し上げた薬価基準の問題にしましても、これはきょうからでも取り組んでいかなくちゃならない問題だ、このように私たちは考えるわけです。
 そこで、これも中医協で経営の実態調査を行なうことにきめた、あるいは反対の意見もあったということが新聞で報道されておりましたが、こうした経営実態調査は、結論だけ申し上げますと、第三者機関でやらなくちゃ意味がないじゃないか。これはいかがですか、大臣。
#141
○国務大臣(坊秀男君) この実態調査でございますが、御意見のとおりです。第三者機関でやっていくことが、これが一番公正であり、妥当であると、かように私は思います。そのような意味におきまして、この実態調査につきましては、中央医療協におきましてこれをやってもらうことに大体なりつつあります。
#142
○小平芳平君 それから、次に、時間がもうありませんので、実際に自分が病気になった場合、私なら私が病気になった場合に、日本のいまの制度は、どこのお医者さんに行くか、これが問題だと思うのですね。何となく夜だったら近所のお医者さんに飛んで行く、あるいはちょっと病気が原因不明のような、あるいは重体のような場合は大学病院なら権威があるだろうというような、ばく然としたものしかないのが現状じゃないかと思うのです。ですから、やはり開業医、町のすぐ簡単に行かれるところですね、それから、そこでもって解決できないような場合、設備のしっかり整った病院に入院できるような、こういう行き方ですね、これだと非常に病気になった場合に安心してすぐ飛んで行かれるということになると思うのですが、現在の日本の場合は、公的医療機関と私的医療機関、あるいは病院と診療所、こういうものが一体どれだけの別の機能を持っているか、また、実際医者にかかる場合にどう判断して飛んで行ったらいいか、そういう点から考えて、やはりそうした機能というものを考えなくちゃならないじゃないか、それが一つです。
 それから、もう一つは、今度は病院といい、診療所といい、とにかくお医者さんが向こうにいらっしゃるわけですが、そのお医者さんが、現在の日本の場合は、お医者さんは患者をなおすことが中心でなくちゃならないのは当然だと思うのですね。ところが、実際にネズミを研究して博士になった方が、それでも手だてはつくというわけですね。しかし、実際に見てもらうほうの患者としては、ネズミのことを知っているいないよりも、自分の病気をなおしてもらいたいわけですね。そういう点に患者不在の、現在の医師養成制度が患者不在のきらいがありはしないか。先ほどの技術の問題とも関連して、専門的なお医者さんというものが生まれていかなくちゃならないんじゃないか。こういう二つの点についていかがですか。
#143
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、現在の日本の医療の世界におきまして、診療所と病院とは、その間の区別と申しますか、分野と申しますか、これが非常にあいまいもことなっておるといったこととか、あるいは狭義の医療行為、それから、薬剤の関係とが、これが混淆しておるとか、いろいろそういったような点がございます。さらに、また、そういった点を是正していくためには、ひとつ専門医制度をといったような議論も今日行なわれておるというわけでございます。そういったような各般のことにつきまして、これは今後の医療行政といたしまして、十分これをどういうふうに持っていくかということを研究いたしまして、そうして、何しろ医者でも薬でも、そういった医療行為というものは、これはその人のためではない、病人をなおすというためであるというその立場から、これはそういう方向で検討を加えて、できるだけこれを適正にしていくということでなければならないと思いますが、そういったようなことにつきまして、医務局長が参っておりますから、詳しく御答弁をいたさせます。
#144
○政府委員(若松栄一君) 医療というものは非常に広範に行なわれており、非常に多数の、十万人の医師が働いておりますので、その間におのずから機能的な分化がなければならないということは当然であろうと思います。医師がすべて同じような能力を持っておるとは考えられませんし、非常に高度な技術、知識を持っている医師もございますし、一般平易的なものもございます。そういう意味で、医療機関に、特徴、あるいは特殊な性格づけをするということは当然必要であろうと思います。ところが、医学、医術が発達してまいりまして、技術が細分化し、非常に狭い専門分化が行なわれますと同時に、医療機械、医療設備、あるいは検査施設というものがまた非常に高度になり、かつ、非常に多額の費用を要するようになってくることもまた事実でございます。そういう意味で、そういう医師の能力、あるいは設備に対する経費というような面から、どうしても一般の平易な診療をする場合と特殊な高度の診療をする場合とが分かれてまいります。しかも、そういう特殊高度な診療を行ないますためには、どうしても通常の保険診療の報酬だけでもってなかなかまかなえない面が出てまいります。そういう意味で、特に高度の施設につきましては、公的な病院が公的な資本を投下してその整備に当たるということが当然であろうと思います。したがって、当然国立病院、あるいは都道府県立の病院、その他公的な病院におきましては、それぞれそのような性格づけがだんだん明確になってくるわけでございまして、国立の病院も九十二カ所ほどございますけれどもこれも当初、終戦直後におきましては荒廃して、これの立て直しが精一ぱいでございましたが、最近の十年間ぐらいは特殊な高度の機能を備えつけようという努力を非常に強くやってまいりまして、たとえばガンの診療部門については、がんセンターを設置し、あるいは地方にがんセンターを計画的に配置いたします場合に、国立病院がその幾つかを担当する、また、都道府県に百数十のガンの高度の診療機関をつくろうという場合に、国立施設がその相当部分を担当する。また、最近におきましては、救急医療機関を整備しよう、これにはやはり相当の設備、あるいは経常費がかかりますので、これらについても、主として国公立の機関を中心にしてこれを担当していくというような方向をとっております。また、そういう特殊なもの以外にも、一般的に見ていろいろな機能分化が行なわれますので、たとえば国立病院におきましては高血圧というような問題を特に取り上げて、高血圧の専門的な治療機関にしようというところが十三カ所、ガンの診療専門機関を三十七カ所、小児だけの特殊な専門機関を十二カ所、心臓病に関しての専門医療を行なえるものを十二カ所、その他リューマチ、あるいはビールス性疾患、アレルギー性疾患、脳神経外科、あるいは人間ドックというようないろいろな性格づけをいたしまして、ごく狭い分野においても高度な医療が行ない得るように努力をしてまいっているわけでございまして、これは国立、あるいは公的な病院であって、診療費以外にも何らかの財政的支出、あるいはささえのある医療機関として当然の任務であり、また、そういうことを行なって初めて国全体の医療機関の水準の向上、あるいは医療の内容の向上が期待されるものと思っております。
#145
○小平芳平君 この薬価基準については、先ほど調査中だと、九月には結論が出るというふうに言われましたのですが、で、現在の日本の医療費一兆三千億のちち、薬代が五千二百億と、三八%という、こういう実情というものが、非常に特殊な、また、マイナスな、ちょっと常識では考えられない現状にある。これはお医者さんへ行くのにふろしきを持って行って薬をもらってくる、その薬も、全部飲んだら中毒を起こすかもしれないと患者の間で言われるようなことは、決して医療費が増大したからといって、こういうところにむだに使われていたのでは何にもならないわけですよ。ですから、医薬分業が簡単にできないという事情もよく説明はされますけれども、かといって、現状このままで一体薬代がどこまでふえるか、そうしたふえる薬代まで患者が一部負担をしなくちゃならないのか、こういう点は何回も質問がありまして、御答弁もあったわけですが、特にこれは物価対策特別委員会で公明党の田代委員から質問のあった点ですが、同じ薬が――これは局長が答弁しておられるのですが、その点あまりはっきりした答弁がなかった。ですから、きょうは時間もないから、しかも、社労の健保のこの委員会ですから、はっきりしたことを御答弁願いたいと思うのですが、同じ会社の同じ製品で、健康保険の単価と、それから一般の小売り単価と、それから医家向けの単価と、これが非常に違うと、こういう点を具体的に質問したのに対して、藤沢薬品のノイロビタンですか、それから山川製薬の活性ビタミン剤、こういうものについて質問したのに対して、局長は、いまは突然聞かれてもわからないから、あとで調べてお答えするようにあのときは答弁しておられますが、もう調べられましたか。
#146
○政府委員(坂元貞一郎君) 医薬品の価格につきまして、先般来からもいろいろ御質疑があるわけでございますが、いま小平先生御質問のように、薬価基準の価格と一般の小売り価格等の間に格差があるんじゃなかろうかというような御指摘は、先般来から衆議院段階、あるいは参議院段階等で各委員会で御質問を受けているわけでございます。基本的な考え方をまず最初に申し上げたいと思います。
 私どものほうでやっております医薬品の価格につきましては、薬価基準、いわゆる治療薬の薬価基準価格につきましては、医療機関が医薬品の業者等から買います、いわゆる取引の実態といいますものが、卸の取引の実態を持っているのが通常の場合非常に多いわけでございます。したがいまして、医者向けの医薬品の価格の基礎になります薬価基準の価格といいますものは、そういう取引の実態からしまして、いわゆるB価というものを基礎にしまして医薬品の薬価基準価格をきめているわけでございます。ところが、一般の小売り薬局等で取引されております取引の実態といいますものは、これはもう御承知のように、小売りの取引の実態でございます。通常の取引価格は小売り価格の取引をもって構成されているわけでございます。したがいまして、一般の商品でもそうでございますように、卸の価格と小売り価格の間には若干そこに差があることは通例でございます。そのような基本的な考え方で現在の医薬品の薬価基準価格なり、あるいは小売り価格というものを、われわれはそういうような方針のもとで価格決定をやっていると、こういうふうに基本的に考えているわけでございます。
  〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕
 で、先ほどお述べになりました具体的な医薬品の個々の品目ごとの価格につきましても、そのような観点からしまして、お医者さんが購入する価格と、それから、また、一般の小売り薬局等で一般の消費者が購入する価格との間には、若干の差異があるということも事実でございます。で、私どもとしましては、このような取引の実態からしまする価格の形成でございますので、ある程度そういう基本的な考え方は当然でございますが、一般の国民の間にそのような認識なり何なりがまだ十分理解をされておりませんので、そういうような基本的な考え方を十分今後われわれもPRしながら、また、不当に両者の間に価格が異なるというようなこと、あるいは行き過ぎた価格形成が見られるというようなことのないように、今後十分気を配っていきたいと、かように思っているわけでございます。
#147
○小平芳平君 ほんとうに質問したことに答えてください。あのときの質問は、私、二点お聞きしますから。
 一つは、お医者さん向けの単価十二円四十銭のものが、これが健康保険では八円くらいで買える。八円くらいでくる。それゆえ五千買えば、五千のおまけがつくから、四円になる。そうすると、四円と十二円四十銭というこの大きな違いが起きているのがおかしいではないかという、そういう質問に対して答えてくださればいいわけですよ。それが一つ。
 もう一つは、これは当委員会で御答弁があったんですが、そういうような薬品をおまけにつけるのは、中小メーカーには厳重に警告を出したという御答弁がありましたが、そういうように同じ薬をおまけにつけてよこすとか、あるいはテレビをつけてくれるとか、そういうのに警告を出した。どういう警告をいつ出したか、それから、責任者はどういう責任をとるべきか、その二点についてお答え願いたい。
  〔理事藤田藤太郎君退席、委員長着席〕
#148
○政府委員(坂元貞一郎君) 後段のほうから申し上げますと、医薬品の販売の態度としまして、従来から医薬品メーカー、あるいは卸等の業者が、ただいま御指摘のありましたように、過度の行き過ぎたサービス行為をやっているということは事実であったわけでございます。それで、私どもとしましては、その一番激しい例としまして、いわゆる現品添付というものがあったわけでございます。この現品添付につきましては、昨年の十一月に、非常に行き過ぎた現品添付が行なわれているというような事実がございましたので、大手の二十社のメーカーの課長クラスを呼びまして、今後こういうような行き過ぎた現品添付等はできるだけ早急に自粛していただくということを厳重に警告をいたしたわけでございます。それに基づきまして、大体二十社のほうで相談をしました結果、本年に入りましてから、大手二十社の薬品メーカーが現品添付について実行に移したわけでございます。自粛方についての実行をいたしたわけでございます。ところが、中小メーカー等において、本年春先ぐらいから、大手メーカーのそのような自粛方策の間隙を縫いまして、依然として過度の添付等が行なわれているというような事実がございましたので、本年の四月と五月の二回にわたりまして、中小メーカーについても個々にその事実に基づきまして警告を発したわけでございます。と同様に、また、ただいまお述べになりましたようなカラーテレビ、あるいは自動車等の提供等の事実も一部見られましたので、そのような点についても厳重に今後廃止してもらうように、今年の五月から六月ごろにかけて当該メーカー等に警告を発したわけでございます。
 で、このような事実に基づきまして現在までいたしておるわけでございますが、依然としてまだ中小メーカー等の一部に現品添付なり、あるいは行き過ぎたサービス行為が見受けられるということを耳にいたしますので、そのつどそのつど、こういう事実に基づいて警告を発しながらいるわけでございますが、近くまた当面、そのような行き過ぎたサービス行為全般の問題につきまして、薬業界全般に姿勢を正させるように強い警告を発するということを現在考慮しております。
 それから、第一の御質問でございますが、ノイロビタンとノイビタという医薬品の価格でございまして、ノイロビタンとノイビタというものは同一のメーカーで販売をいたしておりますが、この成分が違っているわけでございます。したがいまして、厳格に申し上げますと、これをこのまま比較して両者の価格を論ずることは非常に不適当だと思うわけでございますが、かりにそのような成分なり分量なり等を一応度外視してこの価格を検討いたした場合で申し上げますと、ノイロビタンというものは医家向けの医薬品でございまして、薬価基準上は一錠二十四円二十銭ということになっているわけでございます。ノイビタといいますのはもっぱら一般大衆向けの医薬品でございまして、一部大包装につきまして、たとえば千錠包装というようなものにつきまして一部医家向けのものが認められているわけでございますが、このノイビタの一般小売り価格といいますものは百錠包装で十八円五十銭、このようになっているわけでございます。もちろん、先ほど申しましたように、両者の医薬品について成分が違いますので、十八円五十銭と、先ほど申し上げました二十四円二十銭とで、これをこのまま当てはめることは適当でないと思いますが、医家向けの薬価基準価格は一錠二十四円二十銭、片一方は一般小売り価格は十八円五十銭、このように相なっているわけでございますが、この基本的な考え方は、先ほど冒頭申し上げましたような事情によって若干の価格差が見られる、このような事情に相なっているわけでございます。
#149
○委員長(山本伊三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#150
○委員長(山本伊三郎君) 速記をつけて。
#151
○小平芳平君 質問に答えていませんよ。違った二種類のものを聞いたのではありませんですよ。私がお聞きしている点は、藤沢薬品のこの薬については、一般小売りと、健康保険の単価と医家向けと、これが違い過ぎるのじゃないか。それは局長おっしゃるように、基本的基本的と言われて、卸と小売りの値段が違う、それは当然ですけれども、その点が違い過ぎるのではないか、それが一つ。
 もう一つは、山川製薬の問題は十二円四十銭の医家向けの価格が健康保険で八円、それが倍のおまけがきて四円、こんなばかな話がありますかということをお尋ねしているのですよ。
#152
○政府委員(坂元貞一郎君) ただいま御質問の山川製薬の医薬品でございますが、これは薬価基準に収載されておりますのは十一円でございます。いわゆるわれわれのほうでは活生ビタミンのグループに属する医薬品としてTDS製剤といっているものでございますが、薬価基準の収載価格は十一円でございます。これを御指摘のように、若干一般の取引の実態からいいまして、八円なりあるいは四円なり、いろいろ取引がなされていることもわれわれは承知しております。したがいまして、いま薬価調査を実施中でございまして、この薬価調査の結果によりまして、かりに五円なら五円、あるいは四円なら四円というものが取引の実勢価格だということになりますならば、今回の薬価基準改定で、その実勢価格に合わせまして薬価基準の正式の価格の改定をいたす、こういうような方針で臨んでいるわけでございます。
#153
○柳岡秋夫君 先般の当委員会で、大蔵大臣の健康保険制度に対する考え方、特に社会保障の一つの大きな柱である医療制度に対する基本的な考え方というものについてただしたのに対して、私どもとしては、佐藤内閣が福祉国家という、そういう建設を目ざしている中での大蔵大臣の答弁としては、非常に納得のできない答弁があったわけです。いわゆる古いと申しますか、商業保険の原則に立って、あくまでも保険経済の収支相等の原則というものに固執をしておられることについて私は納得ができないので、さらに議論をしたい、こういうことで今日おいでを願ったわけでございますが、大蔵大臣としてもう一度、この大きな問題となっている政管健保の問題にひとつ焦点を合わせて、政府の責任、特にこの国庫負担というような立場からの政府の責任というものをどのように感じておられるか、あるいはとるべきであるかということについてお伺いしたいと思います。
#154
○国務大臣(水田三喜男君) この前は、いわゆる社会保障全体に対する国庫負担についてという問題で私は意見を述べたつもりでございますが、きょうは特に政管健保についての国庫負担についての考え方というふうに限られた御質問のようでございますが、お答えいたしますと、医療保険の中にもいろいろございまして、先般申しましたように、事業主負担のない国民健康保険、それから、保険料負担能力が非常に低いという日雇健康保険というようなものについては、これは特段の配慮をする必要があると私どもは考えておりますので、これは相応の国庫負担をいたしております。たとえば国民健康保険については、御承知のように、千六百億円くらいの負担を本年度いたしておるというふうに、現に相当の国庫負担をいたしておりますが、政管健保というほうは事業主を持たない健保ではございませんので、本来なら、これは普通の組合健保と同じように、普通の保険料の範囲内で運営していくというのがたてまえの保険であるというふうに考えておりますが、しかし、いろいろの事情で大きい赤字を出したというようなことになりますというと、これは一般中小企業者を相手にする保険でございますので、非常に負担力について弱い点がある、したがって、そういう赤字を出したような場合には国庫負担によってある程度の補助をする必要があるというふうに私どもは考えており、特に昨年から大きい赤字を出してまいりましたので、いままで赤字の出ないときには国庫の補助金をそう大きく出しておりませんでしたが、昨年からこの赤字が非常に大きくなったということにつきまして、私ども、昨年、ことしと、引き続いて相当大きく国庫負担で補助金を出して、で、これはやむを得ないことだろうというふうに考えております。
#155
○柳岡秋夫君 昨年の百五十億、さらには今年度の二百二十五億という国庫負担ですね、これはどういうような根拠に基づいてこれを負担をする、こういうことにしたのですか。
#156
○国務大臣(水田三喜男君) これはいま申しましたように、政管健保の性質から申しまして、国庫の負担額を幾らにするか、一定の率とか、あるいは一定の基準というようなものがございませんので、昭和四十一年度の国庫負担額を決定しましたときには、大体赤字の見込みがこれくらいという見込みをつけ、そのうちの百五十億円を国が補助しようというようなことで昨年きまりましたが、この負担の割合を一応頭に入れて、昭和四十二年度の赤字も昨年の赤字と大体同じ程度というふうに考えまして、昨年よりも五割増し、そうすると全体の赤字の三割を国が負担するというようなことになりますが、大体のめどとして五割増し程度の国庫負担をすることが妥当じゃないかというようなことから二百二十五億円というものをきめましたので、これをこうしなければならぬという、さっき申しましたように、一定の率とか基準というようなものは持たないので、要するに、昨年の国の補助を一応頭に置いて本年度の補助金をきめた、こういう事情でございます。
#157
○柳岡秋夫君 いまの御答弁を聞いておりますと、赤字の穴埋めと申しますか、赤字対策として百五十億なり二百二十五億というものを出した、こういうふうに私は受け取るのですが、そうすると、健康保険法の七十条ノ三では、特に組合健保とまた別に、政管建保に対しては予算の範囲内において国庫が補助する、こういうふうに規定をされておるんですね。そうすると、この条文は一体どういうふうに解釈されているのですか。赤字のときにはそういうことで補助するのだというふうに解釈するのですか、それとも、政管健保の育成のために、社会保障の医療保障のさらに前進のために、国庫はできるだけの予算の範囲内で常に補助をしていくというような考え方でこれが規定されておるのか、これはどういうふうに解釈されておりますか。
#158
○政府委員(岩尾一君) 健保法七十条ノ三の規定でございますが、先生よく御承知のように、これは三十二年の健保の赤字が出ました際に設定をされた規定でございます。この規定は、規定にありますように、補助することを得ということになっておりますが、いま申されましたように、赤字になれば補助をするというふうに限定をしたものではございません。その際、政府が何度も御答弁いたしておりますように、政管健保の健全な発展をするために補助をする、こういう規定だと思います。
#159
○柳岡秋夫君 そういう官僚的な答弁じゃなくて、それじゃ、なぜ特別に七十条ノ三という規定の中で政管健保のみにそういうような規定を設けたのです。
#160
○政府委員(岩尾一君) これは、二十九年に政管健保に非常に赤字が出まして、三十年も赤字が続いていくという状況であったわけです。そこで、二十九年に生じました赤字が大体四十億。その際、ちょうど予算を策定いたしますときに、三十年度にふえる赤字が七十三億ぐらいであろう。そこで、百十三億の赤字が出るのではないかということが考えられたわけです。そこで、まず政府としては、こういった累積赤字を消すことをやろうということで、この場合には厚生年金特別会計法の一部改正によりまして、運用部から六十億の金を借りて、それから、一般会計から十億を繰り入れまして、その六十億に対しましては毎年七年間の間で十億ずつ返していく、こういう規定で三十年の改正の際には考えたわけでございます。ところが、この法案が国会に出されまして、健保法は、当時、現在と同じように、保険料の引き上げについても千分の六十から六十五に上げるという案をつけて出したわけでございますが、健保法のほうは通らないで、そして厚特法のほうだけが国会を通ったという状況でございます。そういう状況で、政府も、さらに三十一年、三十二年におきましても健保の赤字は増大するのではないかという情勢でございましたので、その際、七人委員会等の医療制度に対するいろいろな御意見というものも参考にいたしまして、今後の問題については、健康保険全体の健全な発展をはかるために健保法の七十条ノ三というものを入れますとともに、さらに一部負担につきまして、現在やっております入院一日三十円、あるいは初診は百円というふうな一部負担制度の改正、そういうものも織り込みました改正案を出したわけでございます。ところが、この改正案も、三十一年度の予算編成の際には国会を通りませんで、非常に紛糾をいたしまして、三十二年度の予算で同じように改正案を出したわけでございますが、その間いろいろ紆余曲折がございまして、もしこの法案が通らなければ、三十億という三十一年度に計上した国庫負担というものが使えないということになりますので、そこで、ちょうど三月三十一日に国会を通過いたしまして、その法案がいま申しましたような健保のいろいろな対策とともに国庫負担をやるということで通った、こういう経緯でございます。
#161
○柳岡秋夫君 どうも答弁がかみ合わないと申しますか、先般配られた「大蔵大臣と厚生大臣との間に見解の相違はございません。」という文章の中で、「二百二十五億円」というのは、「政管健保が崩壊の危機に領しているという特別の事態であるので、いわば非常事態に対する国庫補助ともいうべきもの」である、こういうことなんですよね。そうすると、七十条ノ三で言うところの国庫補助というものとの関連ですね、これを聞いているのです。大臣が答弁してくださいよ。
#162
○国務大臣(水田三喜男君) これはいままでいきさつがある問題でございますから、次長に答弁いたさせます。
#163
○政府委員(岩尾一君) いま申しましたようなことで健保法の七十条ノ三ができております。そこで、根本的な対策といたしまして四十二年度に二百二十五億というものを計上いたしましたのは、先ほど申しましたように、非常に大きな赤字が出るので、そこでこれだけのものを計上いたしました。もとより七十条ノ三に基づくものでございます。しかしながら、従来は、これもるる御説明があったと思いますが、たとえば三十二年に三十億になっておりましたのは、たしか三十三年には十億に減らし、さらに三十四年に十億、三十五年に五億というふうに減らしてまいりまして、一時八億にふやしたことがございますが、一昨昨年までは五億ということで計上をいたしておるわけでございます。これもやはり七十条ノ三に基づく補助でございまして、その際には、全体の健保の財政というものが非常に積み立て金も出るというような収支のいい状況でございましたのでそういう額で済んだ。今回は、非常に赤字が出るという状況であるので、この五億に対して二百二十五億という非常に大きな額を計上した、こういう経緯でございます。
#164
○柳岡秋夫君 そうすると、この七十条ノ三の規定の精神ですね、先ほど言われましたような政管健保の健全な育成と申しますか、そういうもののために補助をすることができるようにしてあるんだと、そういう立場での国庫負担というのはことしは考えていない、こう言うのですね。
#165
○政府委員(岩尾一君) ただいま申しましたように、今回の二百二十五億も、やはり政管健保の健全な発達を願うために七十条ノ三に基づいて出ておるわけでございます。それから、従来の五億も同じような意味での補助でございます。そこで、具体的には当時三十億から十億に下げました際には、藤田先生はじめ、いろいろの方から御質問がございまして、政府は公約違反ではないかというようなことを言われたわけでございますけれども、
  〔委員長退席、理事佐野芳雄君着席〕
その際には、われわれは、三十億というのは全体の政管健保の健全な発展のために入れておる金である。そこで、その当時、いま申しましたような赤字の情勢が非常に変わってまいりまして、積み立て金がどんどん生ずるというような状況になったわけであります。そういう状況で、なおかつ三十億の金を国庫が負担をしていく必要があるのか、それが健全な発達になるのかということを判断いたしまして、当時はまだ社会保険が普及いたしておりませんので、保険の恩恵に浴さない方もたくさんあるわけでございますから、そういった面についての国庫負担というのを拡充しよう、そちらのほうに回そうということで三十億から二十億を減らして、そして十億に政管健保をしたという経緯でございます。同じような気持ちで、われわれは全体の政管健保というものが健全に発達するようにということを考えておりますが、そのときどきの収支の状況に応じてものを考えていきたい、こういうふうに思います。ただ、赤字になったから必ず補助をするとか、あるいは黒字だから補助はしないというような性質のものではございません。したがって、健保については、御承知のように、国庫負担の規定はございません。したがいまして、先ほどの政管健保の二十九年、三十年の赤字の際には、さようなことも考慮に入れまして、従来国は金利だけを負担しておったわけでございますが、新しくそういった政管健保発展のためにこの規定を挿入した、こういう経緯でございます。
#166
○藤田藤太郎君 いまの七十条ノ三が、昭和三十二年のときに、中小企業を主体にした政府管掌保険ということでできた。そのときの政府の約束は何であったかといえば、赤字が出ても困らないように毎年三十億ずつ積み立てて、大蔵大臣も厚生大臣も、社会保障確立のために、医療保障確立のためにこれを続けていくという確約をされてこの法律ができた。あなたの話もそれに似たような話をするのでありますけれども、それが十億になったり五億になったりして今日まで来ておるわけです。それは少し話が合わぬじゃないですか。法律を入れた趣旨はおっしゃるとおり、趣旨はそのとおりだと思う。医療保障の確立のために三十億ずつをやっていく。それから過ぎて三十五年から倍増で、あなた御存じのないように、生産力が四倍になっておるという状態。このときの精神が確立しておったら、政管健保というものは今日赤字じゃなしに守られてきたと私は思うんです。そんなら、黒字になった、なったから出さぬでもいいというならば、病気になったら入院費をなぜ取らないようにしなかったか。初診料の百円を、なぜそのとき、そういうことをおっしゃるなら廃止されなかったか。そういうことは取るほうはほうっておいて、そしてそういう趣旨で法律はできましたと、そんな理屈が通るんですか。今度また赤字が出たから、これに加えて、病気になった人に薬代を負担させる。私はそんな理屈は通らぬと思うのです。あなたがいまおっしゃった法律の解釈も、三十年前の赤字を、三十二年に約束をして、法律もつくり、そして約束をするということにして、それは黒字になったからといって政府の側はほうっておく。被保険者にかけた問題は、一部負担のほうはそのままにして今日まで来た。今度赤字になったら、また今度病人になった者におっかぶせて薬代を取っていく。そういうところにウエートを置いて社会保険、社会保障や医療保障を確立するために政府は財源の保障をしていくというこのことは、今日十年たっておりますけれども、私はその次の年にもう一つ政府の食言だと言って議論したことを覚えておる。そのことを筋を通しなさいよ。柳岡さんのいま質問しているのもそこなんです。
#167
○政府委員(岩尾一君) いま先生のおっしゃいましたように、七十条ノ三に対します解釈につきましては、私らも、特に赤字であれば入れられるが、黒字になれば入れなくてもいいというふうには解しておりません。これは健康保険の健全な発達のためにやるのだということで解しておるわけですが、しかし、その場合に、全体をごらんいただきまして、健康保険が二百億もの積み立て金を持ってゆうゆうとやっておるときに、同じように三十億の国庫負担を入れることが健全な発達になるのかということは検討しなければならないわけであります。そこで、同じ三十億の際に、いまおっしゃいましたように、この対策は、一部負担の当時の百円、三十円というような問題と保険料の引き上げと、さらに国庫負担、まあ三本でやったわけです。そこで、政府だけが三十億を十億に減らすのはおかしいじゃないかという議論がございました。そこで、私らがその際にお答えを申し上げましたのは、一部負担というのは、これは健康保険の本来あるべき姿であろう。そういう意味合いで、外国にもありますし、特にこれを減らすというわけにはいかない。しかし、保険料については、非常に赤字であるというので引き上げたのでございますから考えようということで、三十五年に保険料については六十五から六十三にしてきた、こういう経緯でございます。国だけが国庫負担を減らしたというわけではございません。
#168
○柳岡秋夫君 私は、いまの答弁は非常に重大な問題が隠されていると思うんですね。医療保険制度に国庫負担をふやしていくということ、補助をするということは保険制度の健全な育成のためにならない、こう言われたですね。私はそう聞きましたですよ。これは非常に大きな問題だと思いますよ。少なくとも、政管健保のようなものには特別な規定を設けているわけですよ。そして社会保険というものが、福祉国家建設に向かっての中では、古い保険経済の原則ではなくて、社会がそういう国民の命と健康を守るために補助していくような国の責任というものをどんどん大きくしていくような方向に進んでいる。それが今日の先進国の社会保険の趨勢だと思いますよ。それにもかかわらず、何か国が金を出すとそういう保険制度の健全な育成のためにならない、これはどういう意味なんですか。
#169
○政府委員(岩尾一君) 決して国が金を出すことは健全な育成にはならないと私は申し上げているのではなくて、もちろん赤字であろうと黒字であろうと、補助はいたしますけれども、その補助額については、非常に政管健保が黒字のような場合、あるいは積み立て金がたくさんあるような場合に、同じ税金をたくさん同じ政管健保にほうり込むということが、はたして健全な育成というものに大きなプラスになるかどうかということは疑問であるということを申し上げたのであります。
#170
○柳岡秋夫君 しかし、医療保障をさらに充実をさせていくという場合は、たとえば政管健保の場合でも、家族では五割とか、そういうような給付率でしょう。これをより給付率を高めて、そしてお互いの命と健康を守っていくということが医療保障の向かうべき道でしょう。黒字だからもう国庫負担はしなくてもいいんだというようなことではなくて、ほんとうに医療保障というものを前進していこうということが考えられるなら、いまの給付率の低いものをもっと高めていく、そういうためにも私は国がもっと責任を持った処置をとるべきではないか、こういうふうに思うんですが、この点はいかがですか。
#171
○政府委員(岩尾一君) 給付率の引き上げ、あるいは現在の政管健保の問題につきまして、いろいろと内容をよくしていったらいいではないかと、これは私らも同感でございますが、その点は、従来から厚生大臣が言っておられますように、健康保険の抜本的改正にからむ問題だと思います。
  〔理事佐野芳雄君退席、委員長着席〕
私は、そういう点を別にいたしまして、政府管掌健康保険の現在の状況だけを考えた場合に、七十条ノ三についてどういうふうに考えるかということを申し上げているのでありまして、七十条ノ三につきましては、したがって、本来黒字であれば入れなくてもいいというふうにはあるいは言えるかもわかりませんけれども、そういうことをしないで、五億あるいは十億という金でございますけれども、どんな状態でも出してきたということを御理解いただきたいと思います。
#172
○柳岡秋夫君 逆のことを言っているんですよ。そうすると、この同じ見解の中で、三項ですが、巨額な赤字を生じたようなときに政管健保には国庫補助を行なうということだと、そういうふうに書いてある。そうすると、いまの説明は、赤字が出たときでなくて、黒字でもやるんだということになると、これは間違いじゃないですか、この見解は。訂正しなくちゃいけないのじゃないですか、これをだれがつくったのか知りませんが。
#173
○政府委員(岩尾一君) それは表現の問題でございまして、二百二十五億というような非常に大きな国庫負担をするのは大きな赤字が出たときであるという意味で申し上げたのであります。ほんとうの内容は、先ほど申しましたように、私らは黒字になったら補助はしなくていいというふうには解しておらないので、いかに黒字の場合でも、とにかく補助はしなきゃいかぬということで毎年入れてまいっておる、こういう経緯でございます。
#174
○藤田藤太郎君 関連。おかしいじゃないか。あの二十九年、三十年、三十一年の経緯があります。しかし、もう三十二年には赤字がだんだん減ってきておった。来年度の見通しは、政府の三十億を入れれば保険財政はやっていけるだろうということをあの当時議論の中に判断をした。しかし、結果的には、それが三十二年から三十三年になって黒字になった。しかし、そういう見通しを議論した中で、今後こういうことのないように、医療保障、社会保障確立のために政府が責任を持ってこれだけを積みたい、そうして政府管掌の健康保険が再び皆さんに迷惑をかけないようにいたしますというのが、法律をつくると同時に、大臣の約束ですよ。それをいま言ったら、黒字が出たとか言われるが、そういうところへ金を出すのはむだである、何とかかんとか理屈をつけてあなたはその当時からの経過を逃げようとされる。私は、事務的にそろばんをはじくだけが政治じゃないと思うのです。だから、やっぱり当時の内閣は自民党内閣ですよ、約束したことは約束どおり、経済の成長において政管健保をどう守っていくかという筋道を今日まで立ててくるのがあたりまえだと私は思うのです。そのことをほうっておいて、またこの一部負担をかぶせていく。その一部負担をそのままやっているじゃないですか。一番困っている病人に一部負担をかぶせているじゃないですか。そんなかってな理屈があるか。大臣からはっきり言ってくださいよ。これはこの委員会でも委員長にあずけている重要な問題なんです。大臣からはっきり答弁をしてください。そんな政治の道義というものはないと私は思う。
#175
○国務大臣(水田三喜男君) いま次長が答えましたのは、いい悪いの問題じゃございませんで、あるいはいきさつを説明したのだと思います。組合健保のようなものは国が補助するという規定はどこにもない。しかし、政管健保は別であって、赤字が出るときには国が補助しなければやっていけない健保でございますし、したがって、国が政管健保の健全な発達をはかるために補助することができるんだという法律を置いたということは、必ずしも赤字が出た場合だけという意味じゃなくて、ふだんから補助していってもいいものだと思うのですが、しかし、これをきめたあとで事実上黒字経済になってきたというために、さっき話しましたような五億程度の補助金で来たのですが、四十年になったら赤字が出てきて三十億円補助しますし、四十一年以後は赤字が大きくなりましたので、百五十億、二百二十五億というふうになってきた。したがって、今度の応急対策において二百二十五億出すということは、とりあえずこの赤字を避けるために国の負担部分をきめたんだということで、これは赤字対策であるというふうに言えると思いますが、柳岡さんなんかの言われることは私どもにも十分わかります。問題は、この保険というものは、とにかくこれは応急対策であって、抜本対策をしなければならぬ、もうそこまで来ておりますので、じゃ抜本対策をするにはどうしたらいいかといいますと、制度間の不均衡というものが非常にこの健保にはある。この不均衡をどういうふうにするかという問題と、診療報酬体系をどういうふうに適正化するかという問題を中心にしてこの保険の財政の長期安定というものをどうはかるかというのが抜本対策だと思います。この抜本対策をつくる過程において、保険者、被保険者、患者、そうして国がどういうふうにこの補助金を分担したらいいかという問題が出てくるんでしたら、これは財政の長期安定化になるんだと思いますが、いまのように、まだ制度が合理化されていない、抜本対策をつくる必要があるんだというときの応急対策でございますので、その点について明確な国の関与のしかたというものが理論づけられないというだけでございまして、いよいよこれを本格的な、抜本的な対策を立てるというときになりますというと、あなたの言われた気持ちをどうこの抜本対策の中に織り込むかというのが初めて現実の問題になってくるのじゃないかというふうに私は考えております。
#176
○柳岡秋夫君 七十条ノ三の規定は、私も、少なくとも政管健保にこういうような規定を置いたということは、政管健保がほかの健保と違って財政的な基盤が弱い、しかも、その上に政府が保険者である、保険者としての責任をやはりあらわさなければいかぬ、そういうところに七十条ノ三というものが出てきたと思うのです。それと同時に、さらに保険主義の医療制度から、医療保障、保障主義の制度に向かっていく、そういう筋道をやはり考えて社会保障というものをもっと充実さしていく、そのために国がもっと関与していく、こういう精神も七十条ノ三の中に隠されている、こういうふうに思うのです。したがって、今後の抜本対策の中では、いま大臣も言われましたけれども、もっと積極的に、三者三泣きなら三者三泣きらしく、三割は国が持ったんだと言っておりますけれども、今度の応急対策を見ましても、国は三割など出していない。二百二十五億じゃなく、実際には七十五億しか出していないんです、去年から比べますと。ですから、三割どころじゃない。三者三泣きじゃないんです、実際のところ。三者三泣きなら、先ほどのお話の三十二年の当時だって、国がいままでの三十億というものをやめたら、これは藤田委員の言われるように、患者の初診料や入院料もやめるべきだ、黒字になったら。一方だけ置いて、そうして国だけはさっさと引き揚げてしまう、こういうことは七十条ノ三の規定を曲げて政府は解釈をしておる、ほんとうの精神を踏まえておらない、こういうふうに私は思うのです。
 そこで、それでは、二百二十五億というのは、予算の範囲内における可能なというか、最大限の額なんでしょうか。四兆九千億ということしの膨大な予算、さらには、この統一見解の第一項で、国民経済の発展に応じて国庫負担というものは充実強化をはかるべきだ、こういうふうに言い切りておるわけです。そうすれば、今日、日本の経済の発展の中で、政管健保に対する補助として最大の額なんでしょうか、二百二十五億というのは。どうなんでしょうか。
#177
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申し上げましたように、これが何億でなければならぬという基準のない問題でございますので、これが最大ということはむろん言えないと思いますが、じゃ何でこの数字をきめたかと申しますと、去年の国の補助を頭に置いて、その五割増しというのがちょうど三本の柱で解決しようという一本の柱になる、この程度が妥当ではないかということできめた額でございまして、少ないといえば少ないし、臨時対策としてわりあいに多い補助だといえば多いということで、別に基準はないわけでございます。
#178
○柳岡秋夫君 この前も私言ったのですが、五割増しだとすれば、これは保険料も五割増しでいいじゃないですか。千分の六十五の五割増し、千分の六十六ぐらいで均衡がとれるのです、三本の柱のお互いの均衡が。片方のほうは千分の七十あるいは七十二というふうに原案をぐっと上げておいて、片方は五割増し、これでは国の責任を果たしていないじゃないですか。それはどうですか。
#179
○国務大臣(水田三喜男君) もしいわゆる保険制度の本来の運営によってこの赤字を埋めようとしますというと、保険料を一六%ぐらい上げないとこの赤字は解消しないということになりますが、この負担はあまりに多いので、この負担を千分の七十二なら七十二におさめるというためには患者がどのくらい負担するか、国がどのくらい国庫の負担をしたらいいかというようなことで、保険料をいかに少なくするかという、そういう見地からやってきてみましても、大体五割増しというところが妥当ではないかというふうに最後の計算で出たということでございます。
#180
○柳岡秋夫君 経済企画庁長官も来ておりますが、一体、今日の日本の経済の発展の中で、経済成長の中でわずか五百億、あるいは六百億ぐらいの赤字でもって政管健保が崩壊の危機に瀕すると、一千二百万の被保険者、あるいは家族を含めると相当な国民の命が守られなくなるんだと、こういうふうな危機感を政府自身が訴えているのです。こういうわずか五、六百億の金が今日の経済成長の中で出せないものかどうかですね。国民のそうした負担なりしわ寄せでなくて、患者に負担をかけるということでなしに、政府自身の責任で抜本対策も来年度緒につく、そういうことが明らかにされている現在、政府は何らかの形でこの危機を切り抜ける、そういう余裕と申しますか、そういう財源というものの方途があると思うのですが、その点は企画庁長官としてはどうお考えになりますか。
#181
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、わが国のもろもろの経済、あるいは社会現象の中でこの問題だけを取り出して、ここにもう五百億というものを、ほかをどうしてもいいから出せないかと、極端にかりにそういうお尋ねであれば、それは出せないということはむろん申せないと思うのでございます。ただ、財政をやっておられる大蔵大臣としては、いろいろな財政需要があるわけでございますから、それらのどれもそれなりに意味を持っているので、その間のバランスをごらんになって、政管健保についてはこの程度がまず適当なところであろうと、こういう判断をなされたものと私は思います。
#182
○柳岡秋夫君 今度の修正によって、これは赤字が出ることはもう明らかになっておるわけであります。これは厚生省も認めている。そして、この赤字対策、さらに来年度の赤字対策については、厚生省当局は、今後保険料の引き上げや一部負担の引き上げなどはいたしません、国の借り入れ金によって処置をしてまいりたい、これは大蔵大臣とも約束ができておりますと、こういう厚生大臣の答弁です。大蔵大臣のほうは、これを約束して、政府のそうした統一した対策というものが確立されておるのですか。
#183
○国務大臣(水田三喜男君) 従来の赤字は、これはたな上げをしておいて、将来本対策を立てる過程においてその解消方を考えるという立場でございますから、これを本年度もさらに累積する赤字がいままでの引き続く赤字に加わるということになりますと、この保険財政の崩壊の危機に瀕するということになりますので、とりあえず単年度の赤字を避けるというための今度は応急措置でございましたが、この措置をとってもなおかつ赤字が出るというものにつきましては、これはやはり従来のように、この会計の貸し付け金によって運営してもらう、そして従来の赤字とあわせて根本対策を立てるというよりほかしかたなかろうと考えます。
#184
○柳岡秋夫君 いままでの累積赤字をたな上げしてきておるわけですが、このたな上げしているということは、いずれこれは解消しなければならない問題ですね。その場合、いままでのような次長なりの考え方、大蔵当局の収支採算主義的な考え方を固執されますと、これは非常に大きな問題になってくると思うんですよ。これはどういう形でたな上げ分を解消しようとするわけですか。これは結局資金運用部というものが赤字の担保の役割りをしておるわけですから、今後こうした赤字をめぐるところの債権債務、そういうものをどういうふうな形で決済をしていくのか、お答え願いたい。
#185
○国務大臣(水田三喜男君) それは、いま申しましたように、保険財政の長期安定をはかる抜本策はどうせ立てなければなりませんので、立てる過程においてこれをどう処理するかを私どもは考えたい。その場合、もう出てしまった赤字の処理というものは非常にむずかしい問題があると思いますが、これはいま事前にこうするのだというふうに申すことはできませんが、要するに、根本対策を立てる過程において、この処理は政府の責任においてつけなければならぬというふうに考えております。
#186
○柳岡秋夫君 私のおそれるのは、根本対策を立てる中で考えるというその中で、また被保険者に対する、あるいは患者に対するしわ寄せ、保険料の引き上げとか一部負担の引き上げとか、そういうものが赤字解消のために出てくるということをおそれるわけです。しかも、それは、いままでの御答弁の中で、あくまでも収支採算主義という保険経済の原則を固執しているという、そういう考え方がどうもうかがわれますので、しかも、国庫負担のあり方についていまだに明確にされておらない。やはりこれも抜本対策の中で考えられるだろう、こういう答弁ですから、したがって、私は、赤字解消のために再び国民にしわ寄せのされるということのないように、ここで強く私は要求をしておきたい、こういうふうに思います。
 それから、これは前回の委員会でやはり私どもの小柳委員が企画庁長官に質問をいたしております税の本年度の自然増収の問題です。この前の委員会では、閣議の了解と申しますか、という形で国債の減額というものもきめられた、それは明らかに自然増収というものが相当見込める、こういうことがあるので出されたということは答弁としてなされているわけです。どのくらいの自然増収をいま見込まれておられるのか、お答え願いたいと思います。
#187
○国務大臣(水田三喜男君) 先般お答えしたことがあると思いますが、いま法人税を中心にしまして、税収の状況は順調でございますので、私どもは、本年度の税収は予算計上額よりある程度上回るということはもう現在見通しているところでございますが、これが幾らくらいになるかということの推定はなかなかむずかしい問題でございまして、いま実績が、四月、五月、六月と三カ月しか実績がわかっておりません。金額で申しますと八千九百六十三億円であります、この三カ月の税収は。そうしますというと、去年の予算額に対する収入ぐあいは二一・六%、今年の予算額に対して四、五、六の収入の実績は二三・六%ですから、収入ぐあいが去年に比べて二%いいということですが、この二%も、四月前に入る金が五月にずれたとか、そういうふうないろいろな問題がございますので、これを正常に直して修正してみますというと、いまのところ一%前後しか去年よりふえていないということでございますので、現在出ている自然増収というものはきわめて少ない額でございます。で、この調子でいくかと申しますと、この調子でいきましたら、そうたいしたことはございませんが、問題は、この税収のよくなっているものが、国民の消費がふえているための物品税、輸入が非常に多いための関税、それから法人税、この三つが予想よりもふえている税金でございますので、このうちの法人税のあり方によってことしの自然増がきまっていくというように私は見ておりますが、それにはやはり九月の決算の状態を見ないというとほんとうの予想はできない。たとえば四月あたりは、私どもの予想した額よりも四月一カ月でわずか二億円しか金額としては増収になっていないということでして、要するに、四、五、六という三カ月の実績では一年間の自然増の全体を推定できないというのが実際でございますので、いまのところ、税収が最後にいってどれくらいかということは、ほんとうにまだ明瞭でないのが実情でございます。
#188
○小柳勇君 関連いたしますが、経済企画庁長官に、いまわかっている今年度の経済成長率、それから設備投資のいまの見通し、それから鉱工業生産の伸びを、現在の明らかなところで御説明を願います。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の正式の立場から申しますと、先般本予算御審議のときにお手元に差し上げました、いわゆる三月に決定いたしました経済見通しがただ一つの正式のものでございます。ただ、しかし、ただいまの御質問は、おそらくその後二、三カ月の経緯にかんがみて、いま現在どういう情勢になっているかというお尋ねであろうと思います。と申します意味は、ただいま現在のことを申し上げましても、これからあとの推移がどうなるかということが明確でございませんから一年度を通じましてこうなるでありましょうということは私申し上げにくいのでございますけれども、いまがどういうところになっているか、こういう意味の御質問としてお答えをいたします。
 大体、政府の当初見通しでは、鉱工業生産なり民間設備投資、これらはほぼ一五%を前後するものであろう、こういうように見通しておるわけでございますが、ただいまのこの時点における実勢は、それがやや二〇%に近い、二〇%をともに前後しておるというのがただいまの時点における実勢でございます。成長率についてまでは、これはいろいろな要素がもっと複雑な複合になりますので、統計がございませんから申し上げることはできませんが、民間企業の民間設備投資のただいまの実勢、それから鉱工業生産のただいまの指数は、概してそのようなものでございます。
#190
○小柳勇君 経済企画庁長官にあらかじめこの質問要旨を通告しておらないので、実は大蔵省だけ通告しましたので、数字の読みもないと思いますので、ここで数字の論争はいたしません。ただいま言われましたように、設備投資が当初の見込みよりもはるかに伸びているという点、それから鉱工業生産も伸びているという点、そういうものから総合しまして、経済成長も当初の政府の一三・四よりも相当伸びていると私は判断しております。そういうものから総合判断いたしまして、先般の国債及び政保債の減債のときの政府の考え方の基礎は、大体二千億くらいの自然増というものが見込まれていると仄聞しております。これはまだ大臣からはっきり聞いておりませんが、私どもはそういうふうに聞いています。私どもの見解では、税の自然増というものは二千億どころではない、おそらく倍以上伸びるだろう。したがって、この際、七百四十五億の赤字を患者から取り上げないで、とりあえず税の自然増などを向けておいて、いわゆる社会保障という考えでこれを補てんしておいて、そして早急に抜本策を講ずべきである、こういう見解で私は先般の本会議で質問したわけです。ところが、いまの私の心境としては、もうそれじゃ間に合わぬ。当面、厚生省がとるべき手段がある、そういうもので少なくともいまの薬価の一部負担などはこの際これはやらないで、そしてこの急場をしのいで、そして早急に政府は四十三年度から着手すると言っているから、この抜本策までは薬代の一部負担はやるべきでない、こういう見解に変わっているわけです。したがって、大蔵大臣が見えておりますから、もう少し税の自然増について論争いたしますけれども、これはきめ手がない、本日のこの委員会のきめ手ではないというような見解をいましているわけです。したがって、このあと正式に私の持ち時間になりましてから厚生省に直接この赤字の問題については論争いたしますけれども、せっかくの機会でありますから、大蔵大臣と経済企画庁長官からこの自然増の問題について聞いておいて、秋の予算の補正のときにそれをどう使うか、こういう問題については希望を述べておきたいと思う。したがって、いま私が申し上げましたような立場に立って、いま一度経済成長の問題について長官の見解を聞いておきたいと思うのです。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) 後段の問題につきましては、大蔵大臣から、政策の問題でございますので、お答えがあるかと思いますので、前段だけお答えを申し上げます。
 ただいま御指摘のように、鉱工業生産指数も、また、民間設備投資も、当初の経済見通しよりはかなり高いわけでございます。そこで、これが本年度の税収増に、ことに法人税を中心とした税収増に当然つながるであろうかどうであろうかということについては、二つ問題があると思うのでございます。その第一は、私ども、経済活動がこのままの水準で続くということは、いろいろ国際収支その他の観点から申しまして必ずしも適当でない、三月に閣議決定いたしました本年の経済運営の基本方針に基づいて何らかの措置を講ずる必要があるいはあるのではないかということを、少なくとも私自身、これは政府は何も態度をきめておりませんけれども、私自身感じている面がございます。したがって、もしそうであるとすれば、この下半期の推移はそういう政府側の措置によってかなりの変化を受けるかもしれない。これは可能性として一つ考えておくべきことだと思います。それが第一点でございます。
 それから、第二点は、鉱工業生産指数が高いということ、あるいは民間企業設備投資が大きいということは、これは申すまでもなく、それだけの投資が民間企業に行なわれているという結果でございますけれども、その企業の投資がすぐに法人の収益となって返ってくるかどうかということは、むしろ経験的には、それが収益になって返ってまいりますのはかなりあとであるというふうに考えられます。したがって、自然増を問題にいたします場合の中心は法人税でございますが、ただいまの投資活動が相当高いということは、必ずしも高い収益を意味しない。場合によっては、むしろこの際は逆になるということは、これは過去にもあり得たことでございます。その二つのことを考えますと、私自身も、ばく然とは当初の税収見積もりよりも自然増収があるであろうという小柳委員の御推論には、私は一般的にはそうであろうというふうに思いますけれども、ただいま申し上げた二つのことを考えますと、それが相当大きなものであろう、数字でいまの段階で推定できるではないかといったところまでは私はどうも賛意を表しがたい、こういうふうに申し上げていいのではないかと思います。
#192
○小柳勇君 さきの予算委員会で、わが党の木村委員との論争の中で、弾性値を一・五二か一・五四くらいで論争されています。そのころの景気の上昇ぐあいと現在の景気上昇ぐあいについてはどういう御見解でございますか。
#193
○国務大臣(宮澤喜一君) 租税の国民所得に対する弾性値という議論については、私はあのときに木村委員の御主張は承ってはおりましたが、実は私なりの感じを持っておりますので、過去十年余りの実績を見てみますと、国民所得の伸びと租税の伸びとの間の関係、すなわち弾性値でありますが、これはかなり乱調子のものでありまして、経験的に一であるとか一・二であるとか一・五であるとかいうことは申しにくい。それはなぜかといいますと、成長を押し上げている要素が何であるかということがその年々の経済で違いますので、それで弾性値がはっきり出てこないのだと思います。ただ、ただいまの成長の度合い、これは当初政府が考えたよりも高いであろうということについては、私もさように思います。それから、当初政府が考えた弾性値をそのままに考えた場合には、いまの成長が続く限り、租税収入はそれだけ多くなるであろうということは、そこも私も認めます。しかし、その最後のところ、この成長がこのまま政府が何もせずに持続するのであるかということと、かりにそうなりました場合に、弾性値というものが相変わらず当初考えたものと同じものであるかどうかということについては、これは私はそう断定ができませんと、こういうふうに考えるわけであります。
#194
○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、前の国会の予算委員会で千二百億の減債をやったのですが、その根拠になる税の自然増についてはどういう見解を持っておられたんですか。
#195
○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しましたように、自然増の正確な推定ができないままああいう措置に私どもは踏み切ったわけでございますが、これは御承知のように、国債の発行は市中消化を原則とするということと、市中の金融情勢を見ますというと、国債の消化、政保債の消化についていままでとは違った情勢が出てまいりましたので、フィスカルポリシーとして、私どもは自然増の数字が判明しないままあの措置を踏み切ったというのが実際の事情でございます。その場合に、ある程度の自然増があるという趨勢はわかりますので、自然増があればあるだけ、まず第一義的に国債の発行を削減することが今後必要であることは、しばしば私どもが申しておることでございますし、同時に、機会があるたびごとに、国債の発行は削減して、依存率を昨年より下げるということを言っておりますので、そういう意味から言いますというと、去年の国債の依存率の実績は一四・八幾らというふうに出てまいります。今度予算に対して七百億円をかりに削減するとすれば一四・七で、いずれにしろ、依存率は下げたということになりますので、そこらを一つのめどとして、自然増のいかんにかかわらず、経済情勢によって私どもがああいう措置をとったというのが実情でございますので、計算してそれだけの自然増が現在この三カ月間で出ておるからああいう措置をとったというものではございませんでした。
#196
○小柳勇君 少し大蔵大臣の答弁としては無責任と思いますけれども、その前の実態を聞いておりませんから、もう減債されたあとの答弁でありますから、幾ら追及してもそれはもう平行線でしょう。さっき柳岡君も言いましたように、運用部資金を担保にして、あと赤字の問題なども論及しておりました政府保証債を、そんならあまり自然増の自信もないのに五百億もさっと減債するということは一体どういうことですか。
#197
○国務大臣(水田三喜男君) 財政投融資計画においては原資の不足分を政府保証債として発行しておるのですが、この一方の原資、郵便貯金のほうが順調に伸びてまいりましたので、したがって、そちらのほうは政府保証債を切ってもいいということで五百億円の削減をやったということでございます。
#198
○小柳勇君 私どもは、これは安いかもしれませんけれども、ここにいま赤字七百四十五億を論争する。あるいは、もうきょう人事院の勧告が出ました。そういう財源を論争する、政府に迫る。したがって、政府がそういうのを封じるために政府保証債などを自然増の自信もないのに減債したんではないか、そう考えざるを得ないわけですよ。きつき柳岡君もそういうことをちらっと言ったように感じましたので、関連しておるわけでありますけれども、税の自然増を、そういう自信もなく、しかも、予算を組んでまだ一カ月か二カ月ですよ、予算が通過しましたのはことしはおそかったのですから。一カ月か二カ月ですぐ千二百億の国債及び政府保証債を減債することについては、それは責任問題だと思うんですよ、実際は。国会をばかにしておらぬかと言いたいわけです。あれだけの時日をかけて予算委員会で論議をし、しかも、本会議で論議して予算が通った。通って二カ月で国債七百億、政府保証債五百億を減債する。しかも、いま聞いていると、税の自然増には自信がないということで、そんならば、私ども邪推するならば、いま郵便貯金は伸びたとおっしゃる。そういうものをなぜこの保険の赤字に回せませんか。こういうふうに健康保険が国会で問題になるから、五百億減債して、もう金はありません、そういうことで大蔵省としては逃げられるかもしれませんが、私どもは、いま保険主義でなくて、社会保障としてそういうものは考えてもらわなければ困る。そうならば、郵便貯金など、大衆の貯金そのものを担保にして赤字解消をしていく、それが社会保障の精神ではないか、柳岡君の言うのはそういうことじゃないかと思うのですが、大臣の見解を聞いておきたいと思うんです。
#199
○国務大臣(水田三喜男君) 現在、健保の赤字は郵便貯金で貸し付けてまかなっておるところでございますが、郵貯がふえてくるということは、健保の赤字が出ても、これに対する貸し付けの余裕があるんだということになろうかと思います。
#200
○小柳勇君 さっき主計局次長が発言された七十条ということに関連しまして、保険主義と医療保障主義の問題これはどうも柳岡君の問題はこれで終わりそうですから関連して質問しておかなければなりません。それは、きのうも厚生大臣に私は質問したのです。保険主義ですから、保険料が足りませんから取るのです、保険料を上げても足りませんから薬剤の一部を負担するのです、こういう話です。そんならば、その薬剤の一部負担のほうでは、今年度はわずかに十五億でございますが、それは病人にとっては大きな金です。政府にとってはわずか十五億です。来年の平年度は三十六億ですね、全部で五十一億です。政府にとってはわずか五十一億です。しかし、これは病人にとってはたいした金です。その金が、ほかに財源があるならばそれで補てんして、今度はとりやめてくれませんかと、そういう話になってきたわけです。そのときに、私はこういうことを言いました。組合健保は大企業の健康保険です。それから、国民健康保険というのは、これは事業主がありません。その中間にあります政府管掌保険というのは、働く労働者の収入が違います。ここに数字があります。三割から四割違います、大企業の労働者と、それから政府管掌の労働者と。国民健保のほうはもっと違う。だから、いま大蔵大臣がおっしゃたように、国民健保のほうでは四割の国庫負担がつきます。国が責任を持ちまして千六百億を負担いたしております。ところが、組合健保も政管健保も、あるいは国民健保も、お医者さんは一つです。医療者は一緒です。そんならば、こっちのほうの大きな組合健保は黒字になりましても、政管健保が赤字になる。国保のほうでは国が四割国庫負担しています。その精神があるならば、組合健保と国保との中間の思想になってもらわなければ困るので、そう言ったわけです。それは、社会保障の精神、医療保障の精神、いわゆる保険主義でなくて、医療保障の精神に向かっていくということでございます。したがって、二百二十五億を補助したからそれで事足れりというのでなくて、もし崩壊の危機に直面しておると感ずるならば、七百四十五億の金がなぜ出せませんかと言ったわけです。そうしたら、医療保障の方向で努力しますと、きのう厚生大臣は言明されました。その思想がいま柳岡君が追及している七十条の解釈だと思います。法の解釈じゃありませんよ。法の解釈なら、あなたがおっしゃったとおりかもしれません。それはあなたのほうは役人ですからそれでいいけれども、大蔵大臣はそれで済まされぬと思います。抜本改正するときには、当然その問題が出てきます。国保は四割国庫補助でございます。組合健保は大企業でありますから黒字であります。政府管掌は医療代が一緒だから赤字になるんですよ。医療代で差をつけたら赤字にならぬのです。ところが、政管は、給料が安いから、掛け金が少ないから赤字になるんですから、その分を社会保障として補助しなきゃならぬのです。その思想になるかならぬかが、今後の政府管掌保険が正常に、健全に発達するかしないかの境だと思うが、この問題についてどうですかと言ったら、厚生大臣はその方向で努力するとおっしゃった。大蔵大臣、いかがでしょう。
#201
○国務大臣(水田三喜男君) これは、さっき私がお話いたしましたように、やはり抜本策を講ずるという過程でそういう問題を解決するよりほかしかたがないんじゃないかと考えております。
#202
○柳岡秋夫君 抜本対策の中で考えていくということは、これはもちろんでしょうけれども、しかし、実際問題として来年度からその抜本対策が緒につくと、こういうことが決定されているわけですね。
 これは厚生大臣からも明らかに言明されているわけです。そうすれば、私はここで国民に約束をしてもらいたいことは、そういう抜本対策の中では、いままでのような考え方ではなく、もっと積極的に医療保障の立場に立って国もこの保険制度に関与をしていく、積極的に参加をしていく、そういう立場をとるんだということを、ここで抜本対策にこれから移るにあたって、具体的に何割にするか、あるいはどういう形で国が関与していくか、これは定率化の問題とか、いろいろあるかと思いますけれども、しかし、いままでと違った考え方をもって関与をしていくんだということをここで言明してもらわなくちゃ困ると思うのです。その点はいかかですか。
#203
○国務大臣(水田三喜男君) これは、いずれ期限を切られておる法律でございますので、抜本対策に取りかからなけりゃなりません。私どもはこれから勉強したいと思っておりますが、いまそういう方向にすぐいくのだということが言えるかどうか、なかなかむずかしい問題だと思います。で、この前お話いたしましたように、日本の社会保障は、金額で申しますと七千何百億でございますが、恩給その他、いわゆる高度の社会保障と申しますと、もう一兆円近い金額になっておりますし、そうなりますというと、国民の所得税の大半が社会保障費になっているというようなことでございますので、いかに有効にこの資金を使うかということになりますというと、これは簡単な問題ではございませんで、過般来、いろいろ社会保障の審議会とかいうようなところへ相談して、今後経済が伸びるに従って社会保障は強化していかなけりゃいかぬ、強化する場合には、国民のそういう税を社会保障費に相当注入していかなければならないので、どういう金の使い方をしたらいいかということを諮問しているわけでございますが、一律に必ず理屈どおりにはいきませんが、大体こういう面から使うことが最も効率的だというものは出てくると思いますので、その場合に、社会保険でやる健康保険管理の問題についてはどういう金の使い方をしたらいいかということも、これは根本問題でございますので、私どもはゆっくりこの抜本策の過程においてこういうことも研究して、合理的な社会保障制度を確立したいと、こういうふうに考えております。
#204
○小柳勇君 いま柳岡君に許可を得まして、大蔵大臣と経企長官がおられますが、時間的な制限があるようでありますから質問いたしますが、先般から藤田君も言っておりますように、社会保障の金を、少なくとも今年度一兆円にしてもらいたいという要請があっているわけです。これは社会保障制度審議会でも、全員そろってそういう意見を政府に答申し、具申している。そして、いま中央医療協が一応まあ開店休業になっていますが、これが話が進みますと、当然秋には予算の補正をしなければならぬと思う。その場合に、いまおっしゃいました抜本対策とも関連しながら、この健保の赤字も含みながら、いわゆる一兆円社会保障予算の問題については、大蔵大臣はどういう御見解でございますか。
#205
○国務大臣(水田三喜男君) 私どももできるだけそういうふうにしたいと考えておりますが、参考の意味で申し上げますと、日本の租税及び社会保険の負担の率を申しますと、社会保険では四・七%、租税で一八・五%、合計で二三・二%というのが日本の負担しておる比率でございますが、米、英、西独、仏、伊は、アメリカが三二・五、イギリスが三六・五、西独が四四・一、フランスが四九、イタリーが四一・五というふうに、先進国の社会保障が普及し、かつ、給付内容がよくなっておるという背景は、国民の負担率が非常にものをいっているということでございますが、日本の場合は、国民所得がこれらの国に比べてまだ非常に低いということから、この負担のおのずから制限というものが出てまいりますので、そこらとの見合いにおいて社会保障費をどこまでふやしていくかというのがこれからの問題だと私どもは思っておりますので、できるだけ保障費の額を多くしたいと思いますが、そういう意味で、国民の負担との関係で無理のない社会保障費の強化をやっていきたいというふうに考えております。
#206
○小柳勇君 厚生大臣に質問いたしますが、中医協がいま休眠状態でありますが、今後の見通しについて御答弁を願います。
#207
○国務大臣(坊秀男君) 御承知のとおり、中医協は、半数の委員が昨日におきまして任期が切れる、その任期が切れるまでに二つの部会――調査部会、診療報酬部会と部会を二つつくりまして、任期が切れるまでに何とかしてひとつ結論を出してやろうと、こういうことで鋭意御努力をいただいたのでございますけれども、その結論が出ないままに任期が切れる、こういうことに相なったわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、でき得る限りすみやかにこの再開をお願い申し上げまして、そうしてその結論を出していただきたいと、かように考えております。
#208
○小柳勇君 先日も、新聞によりますと、十三日の日などは、医療費が約七・三%くらいまた値上げになるのではないかというような、まあこれは予想記事でありますが、そんな話がありました。医療費が七・三%上がりますと、大体、国の予算にどのくらい影響いたしましようか。
#209
○国務大臣(坊秀男君) 事務当局からお答えいたします。
#210
○政府委員(熊崎正夫君) 総医療費におきまして一%で百三十億くらいでございますから、七%としますと千億でございます。
#211
○小柳勇君 ちょっと数字が、前に通告していないから、正確でないようでございますが、大蔵大臣、医療費がまた九月か十月に値上げになりますと、政府は予算を補正しなければならぬ羽目になると思うのです。この影響についてはあとでまた論議いたしますけれども、そういたしますと、抜本改正も急ぎながらその予算を補正するときに、この健康保険の赤字などもひっくるめて、一兆円社会保障予算に近づくようにお考えは願えないであろうかと、そういうことをさっき質問したわけですが、いかがですか。――もう一つわかりやすく言いますと、いま七百四十五億の赤字を論議しております。柳岡君は、この金は、二百二十五億の国庫補助だけではなくて、もう少しうんと国でみてくれないかという意見です。私も、初めは、本会議のときにはそういう意見で政府に質問いたしましたけれども、いまはもうそれでは間に合わぬようでありますから、当面の問題はまた別途厚生大臣に質問いたしますけれども、もう目の前に医療費の値上げという問題が起こってまいりました。中医協を開会いたしますと、さっそく七%か七・三%くらいの医療費の値上げが問題になるでしょう。そういたしますと、いま保険局長が答弁いたしましたように、政府予算は千億くらい影響するでしょうと言っている。もう少し数字的には違うようでありますけれども、そういうものをひっくるめて予算を補正しなければならぬのですが、現在の国の予算の中で社会保障の占める社会保障費は約七千数百億ですね。ところが、社会保障制度審議会は一兆円予算にしてくれと言っている。あと三千億くらい何とか全体の国の予算の中で捻出してくれないかと。さっきから論争しておりますように、税の自然増収も四千億くらいあるように思いますから、そんなものを勘案しながら、予算の補正のときに、医療費の値上げ、政府管掌健康保険の赤字をひっくるめて、一兆円予算に近づく方向で検討してくれないかと、私もこういう質問をしているわけです。いかがでしょうか。
#212
○国務大臣(水田三喜男君) 広義の社会保障費がもう一兆円になるのは来年度予算の問題でございまして、本年度でも、もしそういう補正が行なわれたらほとんど一兆円になるのではないかというくらいのところまで現在社会保障費はきていると思います。(「どういう意味ですか」と呼ぶ者あり)たとえば、恩給そのほか、そういう所得保障費に類する費用など全部入れますというと、もう一兆円近い金額になっているわけでございます。
#213
○小柳勇君 中医協の答申というものは早いですね。これは、厚生大臣のさっきおっしゃったとおり、いま委員の任期切れでございますから、あと選任しますと、すぐ答申が出ます。もう秋の国会では予算補正をしなければならない。でないとやっていけない。そのときに、いま保険局長が申しましたように、国の予算も一千億くらい影響します。そのときに、この健康保険の赤字もひっくるめて考えてくれませんか、こういうことを言っているわけです。
#214
○政府委員(熊崎正夫君) 先ほど私が一千億と申し上げましたのは、総医療費に対してのパーセントでございまして、国庫負担といいますか、国が一般会計から支出する金額につきましては、昭和四十二年度で、生活保護、それから国民健康保険その他の定率の国庫負担がございます。そういったものを含めますと、さっきの一%で百三十億程度でございます。一%で百三十億程度でございますから、先ほどのように七%ということになりますと、それに七を掛けていただけばいいわけです。それ以外に、従来の慣例として、国民健康保険等につきましては、保険料値上がり分を数カ月分国庫負担するということになっておりますので、大体そのような見当で、一千億ということは一般会計負担とは別でございます。総医療費の分でございます。で、これはもちろん年間十二カ月分に考えた上での計算でございます。
#215
○小柳勇君 数字の問題は正確にまた検討してください。
 私が大蔵大臣に言っておりますのは、さっき柳岡委員の質問にもありましたように、税の自然増収もありますから、患者から取り上げないでも、国庫補助で考えてもらわなければならぬ、社会保障の方向で考えていただきたい。それならば、中央医療協の答申もありますから、秋の国会では予算補正しなければならぬでしょうから、そのときにこの健康保険の赤字も考えていただきたい、こういうことを言っているわけです。いかがでしょうか、大蔵大臣、御答弁願います。
#216
○国務大臣(水田三喜男君) 本年度の単年度の赤字を解消するために一応三本の柱で負担するということでございましたが、途中で衆議院の修正にあって、そこに若干の穴があきましたが、しかし、保険制度のたてまえはやはりくずさないというためには、この三つの柱でこれを負担するということが合理的じゃないかというふうに私は考えます。そのうちの二つのほうは非常に減って、政府負担だけが残るということでございますが、これはもうやむを得ないことだというふうに私どもは考えておりますが、これは国の財政の余裕がどうだとかいう問題でこの立場をくずすかくずさぬかという問題でございますが、やはり制度の立場をくずさないでこれを解決するということが望ましいことだというふうに考えております。
#217
○小柳勇君 制度の立場ということはどういうことですか。さっき七十条の論争がありましたけれども、私は、その保険主義の思想にとらわれないで、国保を四割国庫補助をしてよいような方向で検討してもらえないだろうか、こういう質問をしておるわけです。さっき主計局次長が言われたようなそういうことなら、これは何も大臣から答弁してもらう必要はないわけですが、それでは解決しないのです。
 で、宮澤長官がいらっしゃいますから、いまどんどん設備投資が進みまして経済成長いたしておりますが、企業の格差はいかに増大するでしょうか縮小するでしょうか。また、大企業、中小企業及び国民生活の個々に働く人たちの生活格差は縮まるでしょうか広がるでしょうか、見解をお聞きいたします。
#218
○国務大臣(宮澤喜一君) まず企業に働いておる人々の所得格差の問題について申し上げますと、三十年代から四十年ころまで格差はかなり急速に縮小をいたしました。平均についてもそうでございますが、いわんや、初任給につきましては、現金給与に関する限りはほとんど格差はないというところまでいったわけであります、平均はなかなかそうはまいりませんけれども。そうして、四十年、四十一年というところで少しまたその格差がせっかく縮まりましたものが少し広がりかかっておる、そこらあたりがただいままでの現況と思います。これからあとを考えますと、きまって支給される現金給与といったようなものは、毎月勤労統計に出ますものでありますが、これに関します限り、労働の需給関係から申しますと、おそらく格差は平均においても縮まっていくであろう、所得格差に関する限り、私はそう考えます。
 それから、企業そのものの生産性の格差でございますが、これも三十年代の後半から四十年まで、中小企業の資本装備がかなり進みましたから、これはおそらく四十一年くらいまで格差は縮まってきたと思います。しかし、まだまだ生産性の格差はございます。おそらく生産性の格差という点ではこれ以上急速に縮まるということはむずかしいのではないかと、 こう思っております。
#219
○小柳勇君 労働大臣が退席されましたから、正確なデータも御発表願えませんけれども、私どもの調査でも、いま長官がおっしゃったように、企業間の格差及び勤労者の実質収入の格差は縮まるものでないという見解です。そういたしますと、さっき申し上げましたように、組合健保と政管健保及び国保の保険料の能力の差ですね、保険料、医療費を支払い得る能力の差というものは広まるものと考えなければなりますまい。そういたしましたならば、医者のほうに払う金は同じですから、これが差があればいいわけですが、同じですから、組合健保のほうでは黒字でも、政管は赤字になる。国保のほうは、政府が四割国庫負担をしなければ国保はやっていけないのです。各市町村はいまどんどん保険料を上げています。したがって、私どもがこれから健康保険という問題を根本的に考えるならば、医療保障の考えを入れなければ健康保険というものは順調に発達せぬのではないでしょうか。そのことをさっきから主張しているわけです。その考えを持っていただかぬと、秋に予算を補正されるときにまたこういう論議をしなければなりません。だから、七十条の解釈がどうとか、つくったいきさつがどうとかでなくて、さっき大蔵大臣がちょっと言われたですけれども、そんなものにとらわれないで、病人にだけしわ寄せしないで、とにかく危機を切り抜ける。そうして抜本的に、財政のプールもありましょう、いろいろありましょうが、そういうことを考えてもらわなければ困る。そこで、とりあえず、少なくとも私どもが言っているのは、保険料率を上げたり、薬代を一部負担したり、そういうことはやってもらっちゃ困る、こういうことを言っているわけです。大蔵大臣の見解をお聞きいたします。
#220
○国務大臣(水田三喜男君) いまの社会保障費の四割を占めている医療保険の問題でございますので、先ほどから申し上げましたように、今後の抜本解決のときにどういう方針でどういう保険制度をつくっていくか、これについて国費の介入のしかたというものを、私は、今度の場合は、これは慎重にこれから勉強して考えたいと申しておるわけでございまして、なかなか簡単にここでこういう方針で抜本策に臨むということを、いまのところ、私としてはちょっとはっきり申し上げられない、これから勉強したいと思っております。
#221
○小柳勇君 じゃ、具体的な問題を大蔵大臣に質問いたしますが、今度の赤字補てんのために料率を上げます。それから一部負担をいたします。その金額は、これはもう大蔵大臣は十分御存じですけれども、保険料率の改定で今年増収になるのは百三十九億です。それは大蔵大臣からいえばわずかに百三十九億ですね。それから、外来投薬時の本人一部負担でふえる額はわずかに十五億円です。十五億円ですね。そのほかに厚生省の行政努力によって二十五億を生み出そうと、こういうものであります。来年になりますと、その金が保険料率の改定で二百三十三億、それから薬の一部負担で三十六億です。薬のほうだけとりますと、ことしわずかに十五億、それから来年が三十六億です。合計しまして五十一億ですね。五十一億の赤字を補てんするためにこれだけいま毎日論議しているわけです。それだけではありません。料率の引き上げは二百三十三億と百三十九億ですからね、全部合計いたしまして四百二十六億です。今年は四百二十六億の赤字を埋めるためにいわゆる健保国会を開いたわけです。四百二十六億の金を生み出すためにこの臨時国会が開かれて、ここにわれわれが論議しているわけですが、税の自然増収は四千億とわれわれは判断いたします。秋には、さっきおっしゃったように、一千億近くの医療費の補正をしなければならぬ、そういう問題でございますが、大蔵大臣としては、病人が医者に行きまして一剤十五円の薬代を払わせるその金がことしはわずかに十五億円でございますが、これでもこの国会を開かれて、この修正案を無理に強引に通さなければならぬのでしょうか。何とかひとつ、大蔵大臣、ほかに財源があるならば、それで補てんしてよろしいではないか、こう思うわけですが、いかがですか。
#222
○国務大臣(水田三喜男君) 今年度限りの問題とすれば十五億円というものはわずかでございますが、問題は、制度としてこれは今後も続く問題でございますから、やはり本年度は額が少ないからということで処理すべき問題ではございませんで、今後続く問題でございますから、この制度のたてまえをくずさないで、どう負担をしたらいいかということから出発しておるものでございますから、この保険制度で運営しようという以上、いろいろな赤字が出た、赤字は国が国費で負担すればいい、そう安易に運営できることではございませんので、そういう意味におきまして、金額はわずかでも、今後来年度も同じように負担をするという立場から、このくらいのものはとおっしゃられるかもしれませんけれども、そこがそうはやっぱり簡単にいかないのではないか。とにかく運営でございますので、これは保険者、国庫、患者、ここで応分の負担をするということがやはり制度を維持するゆえんになりますので、おっしゃられることもわかりますが、そう簡単にはいかない、このように考えております。
#223
○小柳勇君 いまの問題は非常に大事でございますが、きのう厚生大臣が答弁されたのは、その制度の問題ではなくて、七百四十五億の赤字があるから、この料率を上げて千分の七十二にしてもなお足りないので一部負担をするのです、そうおっしゃたのです。したがって、この点はいま閣内不統一でございますが、これは大蔵大臣は担当でないから、あした総理大臣にも来ていただきますから、これは総理大臣から基本的に、赤字補てんの問題であるのか、制度の問題であるのか伺い、制度であるならば、制度としてわれわれは論議をしなければならぬ。きのうまでの厚生大臣の答弁は、赤字を補てんするのです、そういう答弁でした。だから、赤字補てんならば、赤字補てんの財源をほかに見出しまして、国民が納得する財源があるならば、私どもはこれは一時やめてくださいよと――この論争はあとでやるわけですが、私はここにまだ資料を持っておりますけれども、その問題を、まあ大蔵大臣は専門家でないからそう言われたのでありましょう。したがって、その問題はあした総理から聞きます。
 そこで、基本的には社会保障として医療保障の方向に抜本的に改正する――大蔵大臣、笑ってもらっては困る。政治ですからね、政治家の責任として私どもがるるとして申しました、初めから藤田委員からずっと質問してきましたのは、そういう方向で考えてもらわなければこの保険崩壊の危機は脱出できないだろうという立場から言っているわけですね。ただ金を持ってくるだけではこの保険というものの崩壊の危機は脱出できぬだろうと言っているわけです。その前の制度の問題はよろしゅうございますが、あとの問題を重ねて大蔵大臣に質問いたしておきまして、大臣は六時までの約束でありますから、ひとつ御答弁願って、お忙しければ退出していただきますし、よかったら
 また……。
#224
○国務大臣(水田三喜男君) 抜本策をつくるときには、事実上の問題としましては、国庫の負担がある程度合理的でなかったらこの委員会でもこれは通らない問題でございましょうし、実際問題としてはそういういろいろな問題が出てまいりましょうが、いまこれから私どもは研究するところへきておりますので、その前にあらかじめそういうものは方針としてこういう方針だというのを打ち出すのはまだちょっと私も遠慮したいといっていることでございますが、事実上は社会保障の一環としての社会保険でございますので、それはいろいろなそういう思想も入ってくるでございましょうが、ここで原則論をこうだと、いま私が述べられないことを言っているだけでございます。
#225
○小柳勇君 それじゃ、財政の問題ですから、大蔵大臣も聞いておいていただきますが、厚生大臣に質問いたします。
 けさ質問いたしました財源の問題です。財源の問題につきまして、その前に厚生大臣に確認しておきますけれども、今年度の薬価一部負担の増収は十五億円ですね、それから、来年度になりましても三十六億でございますから、五十一億円です。その財源について、われわれが、いまかわり財源があるならば、わざわざ薬代の一部負担をしないでもいいではないかという立場から質問いたします。けさ質問いたしましたのは、政府の御答弁によりますと、四十二年度の予算で四十一年末の累積赤字を一千四十六億円見込んでおった。ところが、実際は九百七十八億で済んだ、そういたしますと六十八億円見込み違いがあります。四十二年度の予算借り入れ金は一千三百三十四億であります。四十一年度の累計赤字は一千四十六億円見込んであります。これだけでも五十一億を上回りますが、薬代の一部負担をやめていただくわけにまいらぬでしょうか、これが第一の質問であります。
#226
○国務大臣(坊秀男君) 薬代の一部負担は、おっしゃるとおり、今年度は十五億、来年度は三十六億ということは御指摘のとおりでございまして、それをほかに財源が、いまの六十八億でございますか、等があるから、これによって肩がわりをさせたらどうか、こういうようなお話でございますが、この薬代の一部負担と申しますのは、私がしばしば申し上げておりますとおり、この暫定対策の一つの柱ということで打ち出しているということでございますので、これをほかに財源があるから、そこでこれを肩がわりしてはどうかということにつきましては、私はこれに対しまして首肯をいたしかねるのでございます。
 それから、六十八億でございますが、これはつまりできるかもしれなかったところの赤字が六十八億減ったということでございまするので、つまり千四十六億円という累積の赤字が、これは先ほど御指摘がありました累積赤字をどうするのだ、こういう御質問がありましたが、この累積赤字の処理ということにつきましては、これはたいへん重大な問題だと私は思います。そういったような累積赤字が六十八億これが減ってくる、こういうようなことでございますので、直ちにこれを薬代一部負担のほうに回すということにつきましては、これは私は必ずしも適当な方法ではない、かように考えます。
#227
○小柳勇君 いまの暫定対策の一つの柱ということはどういう意味でしょうか。
#228
○国務大臣(坊秀男君) 暫定対策の一つの柱と申しますのは、これもしばしば申し上げておりますけれども、国、それから事業主、それから被保険者、それからこの被保険者の中で患者、現実に給付を受ける患者さんの一部負担ということも考えましたのが今度の暫定対策の一つでございます。
#229
○小柳勇君 きのうの答弁では、七百四十五億の赤字を補てんするために料率を引き上げる、それでもなお赤字補てんにならぬので一部負担をやるのだという答弁でしたが、違いますか。
#230
○国務大臣(坊秀男君) 七百四十五億のつまり赤字を解消していくためには、まず第一に国が負担をしてもらいたい、これが第一の要請でございますけれども、なお、その国が負担をした残りでございますが、それにつきましては事業主及び被保険者、被用者ですね、それに負担をしてもらうということが、これが料率引き上げでございます。その料率引き上げということだけでは、これはまたたいへんな料率引き上げをしなければならないというので、一部負担というものを考えて、その一部負担を、現在現行法としてありまするところの入院時の一部負担、初診時の一部負担というものだけにぶっかけてまいりますと、これは保険局長も常に申し上げておりますとおり、四倍にも五倍にもしていかなければならない、そこで、それの拡大と申しますか、延長と申しますか、外来投薬時の本人に限って一部負担ということをやったということで、これは暫定対策の中の一つの重要な柱である、かように考えております。
#231
○小柳勇君 そういたしますと、自民党修正案によりますと、七一%の方はその適用をいたしません。大臣、暫定的な一つの柱というもの、その問題はどういうふうに御答弁になりますか。
#232
○国務大臣(坊秀男君) 私どもといたしましては、政府原案というこの一部負担でございますが、それでやっていただきたいと、こう思ってまいったのでございますけれども、これが衆議院段階におきまして修正せられましたことは、これはやはり議会政治の上におきまして、政府なり与党、これまた野党もおありですけれども、議会政治におきまして、修正をされるということは絶対にまかりならぬなどということを申し上げる立場にございません。そういったようなことで、修正に対しましては、私はやむを得ないことだと、かように考えております。
#233
○小柳勇君 基本的な問題ですので、私、答弁をはっきりしてもらいたいんですが、きのうは赤字補てんが目的でありました。ところが、赤字補てんが目的ではなくて、その薬代を一部負担するということ自体が問題である、それをやりたいんだと、こういうことでございますか。
#234
○国務大臣(坊秀男君) 暫定対策は、これは総体的に見まして、緊急にこの急場をどうしてしのいでいくかという、赤字をしのぐべき暫定対策でございますが、その暫定対策の中の一つの柱が、これが一部負担ということでございます。
#235
○小柳勇君 あなたがいまおっしゃっているのはどういうことかわかりませんが、もういまここに特例法が出ている趣旨は、赤字七百四十五億あるから、保険財政が危機に瀕しているからこういう措置をやると書いてあります。その中で料率引き上げと一部負担があります。これが二本の柱です。その一本のほうの一部負担は、これは赤字を補てんするのが主体ではなくて、その制度そのものが大事である、こういうことでございますか。
#236
○国務大臣(坊秀男君) 広い制度全体から申しますと、私はこの一部負担というものは制度の問題ではない。しかしながら、この暫定対策というワクの中におきましては、これは暫定対策の一つの柱である、かように考える次第であります。
#237
○小柳勇君 抜本対策に対する暫定対策であるのか、赤字補てんということを大臣は暫定対策と言っておられるのか、どちらでしょうか。
#238
○国務大臣(坊秀男君) もちろん今度の特例は抜本対策ではございません。だから抜本対策に対しましては、もちろんこれは暫定対策でございます。
#239
○小柳勇君 そうしますと、この一部負担というものが次の抜本対策にすべり込んでいくのだ、こういうことでございますね。
#240
○国務大臣(坊秀男君) そこいらのことにつきましては、今日どういうふうに持っていこうかということは決定いたしておりません。
#241
○柳岡秋夫君 この間私が質問いたしましたように、今度の暫定対策は抜本対策の素地をつくるものだということを、あの企画部長ですか、ちゃんと説明しているのですよ、全国の保険課長会議の中で。だから、いまのような大臣の答弁は、これはおかしいですよ。抜本対策のための下地をつくる暫定対策だとはっきり言っているのですから。
#242
○政府委員(熊崎正夫君) 全国保険課長会議で担当課長が、担当課長といいましても、私どものほうの課長が申しましたのは、抜本対策をやらなければならない、しかし、政管健保の現在の赤字をそのままにして抜本対策に直ちに移るわけにはまいらないので、たびたび申し上げておりますように、政管健保につきましてある程度の臨時財政対策をやって、これを安定させておいて初めて抜本対策に手がついてくる、そういう意味での暫定対策は財政対策であるにしても、抜本対策に新たにスタートするための下地である、こういうふうに申し上げただけでございます。
#243
○小柳勇君 同じじゃないの。抜本対策の中に私はすべり込むということばを使ったけれども、あなたは下地であるということばを使った。同じじゃないですか。
#244
○政府委員(熊崎正夫君) ちょっと誤解を持っておられるのじゃないかと思いますけれども、いわば暫定対策として、つまり政管健保の臨時財政対策としてどういうことをやるかということは、ただいま論議されております一部負担の問題でございます。暫定対策としてどういうことをやるか、政管健保に限って。しかし、片一方のいわば抜本対策といいますものは政管健保の分を含めまして、日本の医療保険制度全体の抜本対策をどういうふうにやるかという問題でございまして、これはいろいろと前回も御説明申し上げましたように、国庫負担をどうする、また、患者負担をどのようにする。むろん患者負担の問題もどのような形でやっていくかということは抜本対策の重要な一環として考えられるわけでございます。しかし、臨時財政対策としてやる場合の患者一部負担につきましては、今回は初診、入院に加わった薬の一部負担を採用したということでございます。私ども申し上げたことは、ただそれだけのことを申し上げたわけでございます。
#245
○小柳勇君 それで、政管健保については赤字補てんの一部になる、同時に、この一部負担というのは、ほかの保険に対しましては将来の抜本対策の中に入ってまいる、こういうことでしょう。
#246
○政府委員(熊崎正夫君) 将来の抜本対策の中にこのような一部負担を採用するか採用しないかということは、これは抜本対策確立の際に検討しなければならない問題でございます。私は衆議院におきましても申し上げましたが、今回の薬の定額少額一部負担という制度を抜本対策の際に検討する場合には、この対策のような考え方はおそらく消えるでありましょう、やはり定額少額の薬の一部負担というのは暫定対策に限る、抜本対策の場合にはこのような考え方はおそらくとらないであろうということを申し上げました。しかし、他の共済組合なり健保組合のほうに及ぶといいますのは、これは現在も一部負担制度につきましては、初診、入院については共済組合、健保組合のほうに及んでおりますので、いわばそれの肩がわりとして出てくる今度の薬の一部負担は当然及ぶというふうに考えられるだけのことでございまして、これから新たに考えなければならない抜本対策の際には、このような考え方は全く新たな考え方でスタートしなければならない、このように思っておるわけであります。
#247
○小柳勇君 はっきりわからないのですがね。いまの薬代の一部負担については、赤字補てんとしては暫定対策である。また、制度としてもこれは暫定対策の一つである。これが将来の抜本対策に入るか入らないかは今後の問題である。したがって、ほかの健保にこれが導入されるかどうかについてもまた別途の問題である、こういうことですか。
#248
○政府委員(熊崎正夫君) そのとおりでございまして、現在の一部負担制度、初診、入院の分は、この法律を提案する前に、すでに政管健保で取り上げられました一部負担制度は他の制度に及んでおるわけでございます。これを今回の薬の一部負担制度が及ばないというふうに考えること自体は、現在のたてまえからいっておかしいわけでございまして、当然及ぶ。しかし、薬の一部負担というふうな考え方を、抜本対策の際、患者負担の一部として導入するかどうかという問題は、これは全く別の立場で考えなければならないというふうに言っておるわけでございます。
#249
○小柳勇君 また少しあやしくなったけれども、ほかの初診料及び入院料についてはほかのほうの健保にも適用しておる。これは将来抜本対策として入っていくのか。この薬代については、今度は赤字補てんの暫定制度として考えるのか。政管健保については赤字補てんの一部になる、それから、同時に、これが将来の政管健保の制度になるかどうかについては新たな立場で考える、こういうことですか。
#250
○政府委員(熊崎正夫君) 大体そういうことでございますけれども、政管健保の場合の赤字対策としても、現在の現行一部負担の初診、入院のほうはこれを倍額に上げておるわけでございます。また、たびたび恐縮でございますが、本来からいえば、これをもう少し上げなければならないところを、それの肩がわりとして薬の一部負担を今度採用していただくようにお願いをしておるわけでございますから、いわば一部負担制度としては現行法のワク内の考え方で考えてよろしいと私どもは思っております。しかし、抜本対策として考える場合には、これは初診の一部負担、あるいは入院の一部負担の分と含めて、今度の薬の分も含めて、患者の一部負担制度をどのような形で検討していくかということは全く別個の立場で考えていきたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
#251
○小柳勇君 じゃあ、先の論争をしながら、もう少し明らかにしますが、四十三年から抜本対策に入る、言いますならば、この薬代の一部負担というのはことし及び来年の問題である。そこで、この薬代の一部負担によって補てんする金はことしは十五億であるし、来年は三十六億である。また、これが四十三年度以降の抜本対策に入るかどうかについては、また別個の問題であるから、いま考えぬでもよろしい。言うならば、この薬代の一部負担というのは、ことしと来年で五十一億の補てんと、それから、七一%は適用されるのであるから、二九%の方はこの法律によって一部負担するということだけである、こう確認していいですか。
#252
○政府委員(熊崎正夫君) 大体そういうことでございます。
#253
○小柳勇君 そういたしますと、あと、金額の問題はまた別途論議いたします。
 その制度として、これはもういわゆる厚生大臣も言われるように、暫定対策として入るわけですね。ことし及び来年は暫定対策として入る。なぜそうしなければならぬのであるか、その理由をお伺いしたい。
#254
○国務大臣(坊秀男君) それはしばしば申し上げておりますように、今度の暫定対策というものは、俗なことばで申しますならば、三者三泣きというようなことをしばしば申し上げたわけであります。それが今度暫定対策の、何と申しますか、俗なことばではそうでございますが、これを打ち出しました根底の方針というのがそこにあるわけでございまして、そこで、この五十一億というのは、これを何かの財源によって肩がわりをするということは考えていない、こういうわけであります。
#255
○小柳勇君 三者三泣きということばは金の問題でしょう。労働者と事業主と政府と三者三泣きですね、金を負担する。その制度というのは、保険局長が、制度としてことしと来年入るとおっしゃるから、制度はなぜ入れなければならぬかと、それは答弁になりませんよ、いまの大臣の答弁は。保険局長答弁してください。
#256
○政府委員(熊崎正夫君) 大臣が申し上げていらっしゃいますのと私が御説明しているのとは、中身は全く一緒でございまして、暫定対策、つまり臨時財政対策としての暫定対策のたてまえをどのように考えるのかといった場合に、これは私どもとしましては、やはり患者の一部負担という考え方を全く無視することはできないだろうということで、患者の一部負担につきまして現行制度に手をつけると同時に、これをさらに金額を上げることもどうかということで、本人の外来の一部負担という制度をつくったわけでございまして、これがたとえば小柳先生御指摘のような、金額は減ったということになったとしても、同じような金額が減ったにつきましては、やはり現行制度の初診、入院時の患者一部負担の分も、実施の時期がおくれたことによって金額は減っておるわけでございます。同じように減っております。しかし、減り方の分が薬のほうが減り方が多いということでございまして、たてまえ自体は残っておるがゆえに、臨時財政対策としての柱は残っておるというふうに私どもは考えておるわけであります。
#257
○藤原道子君 関連。私は、聞けば聞くほどわからなくなるのです。あなたは意地でやろうとしておる。今朝来、いや、審議始まって以来、私たちがなぜこの問題に食い下がっていくか。けさほども申し上げましたように、生命の保障もできないような、医療機関はそのままにして、政府はその点については何ら手を打っていないのです。相次ぐ死傷事件が起きておるけれども、それに対しては何ら手を打たない。ただ患者から取り上げれば済むのだ、こういう考え方に問題がある。わずか今年度は十五億でしょう。なぜそれを意地でも取らなきゃならないのですか。それを取ることによってどれだけ多くの問題が起こってくるか。貧しい低所得層の方に、わずかな負担だと言われますけれども、御案内のように、物価はどんどん上がっております。公共料金、お米の値段もまた一四・四%上がるんです。交通料金も上がる。あれも上がるこれも上がる、ただでさえ生活が圧迫されておりますのに、病気になれば収入は減るんです。その人がみじめな気持ちで医者にかかるんですよ。その人にさらに料率はそれはみんな同じでしょう。入院時の一部負担、これはいままであった制度でございます。ところが、今度病む人にさらに追い打ちをかけるような薬剤の一部負担をなぜかけなきゃいけないか。額の問題を考えても、私はそのくらいなら処置ができないはずはないと思う。しかも、それによってそれぞれの機関の事務量もふえてくる。あるいは中には、わずかな金とあなたおっしゃるけれども、医者に通えない人も出てくる。こうした生命の危険さえも及ぼすような薬剤の一部負担、その金額もわずかだということになれば、私はここらで考えてもいいと思う。あなたの先ほど来の答弁を聞いていると、外堀は埋めました――現物給与であるにもかかわらず、一部負担、初診料、あるいは入院時の負担、この外堀を埋めたんですよ。今度あなた方がねらっておるのは、内堀を埋めようとしている。ここで一つのものを取って、それで抜本対策のときにはこれを押し込んでいこう、そういう下心があることは、先ほど来の答弁でもうちらちら出ているじゃありませんか。こういう重大な問題なんです。患者の立場からすると非常に重大な問題なんです。それぞれの機関においても非常な問題になっている。にもかかわらず、これに固執するということはどうしても納得がいかない。あなた方には低所得者の気持ちはわからない。貧しい病人の気持ちはわからないのですか。厚生大臣は、とりわけ人間的な愛情がなければできない仕事だとわからないのですか、大臣。私は意地じゃなくて、ほんとうに現実を直視していただいて、財政措置ができないというほどの金額じゃございません。いかがでございますか。好き好んでわれわれはやっているのじゃありません。
#258
○国務大臣(坊秀男君) 決して私は意地でやったり、私も好き好んでやったりしておるのではございません。私もこのたてまえをとるためにはいろいろと考えまして、そうしてとった制度でございまして、今日ここでしばしば繰り返して申し上げておりますとおりに、これは金額が十五億あるいは三十六億ということでございますけれども、その考えました基本方針とこの金額というものは、これは全く不可分の問題でございまして、これを撤回するというようなことに相なりますと、ほかのものと肩がわりをするというようなことに持っていくというような考えは持っておりません。
#259
○小柳勇君 保険局長に質問しますけれども、一部負担ということは、薬代を無料で医者にかかっていたのを、特別に薬代を取るというようなことにはならないのですね。医療費というのは全部保険料で取られ、診療報酬支払基金から医療費は支払われるのですから、現金一日一剤十五円払うか払わないかということがいま問題なのです。一部負担といいましても、みな負担をしているのですから、ただ、その中の診療報酬支払基金から金が出るのを、それを窓口にその人が診療のときに十五円持っていくかいかないかということです、いま論争しているのは。金の問題ではないのです。金は総ワクで、いま言ったように、診療報酬支払基金のほうのその基金が十五億少ない、現金で入れるやつとそうでないやつと、それだけの差なのです。したがって、いま問題になっているのは全体の受診者の二九%の方が窓口に一剤一日十五円現金で持っていかなければならない、これはどういう意味か、どういう目的か、それが一番端的なこれは質問だと思うのです。御答弁願います。
#260
○政府委員(熊崎正夫君) 前々からたびたび申し上げておるとおりでございまして、従来とも、初診の際には百円を現金で窓口でいただいているわけでございます。それを今回は二百円いただくことになって、合わせて現金で薬の分を負担していただきまして、これは十五円以下の場合には全然負担していただきませんし、十五円以上の場合には、大体平均いたしますと四日分とすれば六十円かかる、あるいは百五十円かかる、まあ何回も一ぺんに一月分も投薬を受けるというようなことはほとんどないわけでございますから、やはり窓口で現金を用意するということについては、従来の一部負担の考え方と全く同様だというふうに私ども考えているわけでございます。
#261
○片山武夫君 関連。きょう新しいまた資料が出されまして、前回見込みの累積赤字が千四十六億円、決算が九百七十八億円、こういったような数字が出されました。私もずっと今日まで厚生大臣あるいは担当の方からいろいろ今度の改正の法律案について説明を受けたわけなんでありますが、説明を聞いていればいるほど、何かこの根拠に混乱があるのではないかという印象を強めるばかりで、少しも理解の足しにならない、非常に私は残念だと思うのであります。そういう立場で、先ほど来問題になっておりました二百二十五億の国庫補助、この問題でありますが、これは医療保障なのか、あるいは保険方式なのか、これについては、これはもう見解の相違だろうと思います。これは論争していくと切りがないことだと思いますので、さておいて、この二百二十五億の国庫補助というのは特別会計でもはっきり補助することになっておりますが、これは赤字として考えるべきなのか、あるいは会計処理上赤字として残らないものなのか、これをはっきりしてもらうことによって、ある程度これは数字によって説明してもらったほうがいいのじゃないかと思いますので、これが第一点であります。会計処理上これは赤字として残るのか残らないのか、したがって、その説明いかんによって問題はまた先に残るわけでありますけれども、それがまず第一点です。
 第二点は、ここにこういう資料があります。非常に親切に書いてありまして、頭の悪いわれわれでもよくわかる資料なんですが、この資料はどこでおつくりになったのか知りませんが、私の手元にありました。で、何か衆議院ではこういう資料が配付されたということを聞いているのですが、どこでこれをおつくりになったのか、これをひとつ私はお聞きをしたいのであります。それで、この内容についてでありますが、非常にわかりやすく書いてありますから、だれが読んでもわかるんですが、ここに出ている累積赤字は千八百八十三億円というふうに表現されております。もちろんこれはいろいろ加算していきますと千八百八十三億円なんですが、しかし、いろいろ今日までいわれている累積赤字はまた数字が違います。千三百三十六億といわれたり、あるいはいろいろな形でいわれておりますが、その中に、従来のいわゆる国庫補助というものが累積赤字として考えられているのかいないのか、これが非常に資料によってあいまいであります。まず、その次の資料として、今度出されました説明資料の八一ページ、ここに表現されておる七百四十五億の赤字の説明、(3)のこの累積赤字の累計、それからさらに、八二ページの四十二年度累積赤字見込み千三百三十八億円、こういったいろいろの考え方が私は混乱していると思うんですよ。だから、この混乱しているものをわれわれに説明されるから、幾ら聞いても納得がいかない、こういうことになるのであります。資料をつくるには、もっと基礎になる数字と、それに予想されるべき数字と統一した資料でわれわれに説明してくれなければ納得はいきませんし、国民もまた私は納得がいかないと思うのであります。
 第三の問題は、この特別会計予算であります。これはもうすでに承認されておると思うのでありまするが、この四十二年度予算の説明の中にあります保険の特別会計なんでありますが、この資料で比較してみますと、約二百九十億ぐらいの収入見込みがはっきりしるされております。保険料収入ですね。これは一体どこから持ってきた数字なのか、これがどうも明確でありません。いろいろ調べてみても、これに当たる数字がない。そこで、第二の問題は、借り入れ金千三百三十六億円、これは一体どうしてこれだけの借り入れ金をしてくるのか。すでに今度の新しい処置によって増収の見込みを立てて、予算が、いわゆる収入が三千三百二十億円となっております。にもかかわらず、ここでまた千三百三十六億円の借り入れ金を持ってきている。これをしさいに検討して見ますると、去年の借り入れ金八百六億円ですか、これが返済、こういうことで収支を整えてあります。よろしいですか。そうすると、この八百六億円というこの返済は、いろいろ今日までの説明によりますと、累積赤字は返していくのがたてまえだということを言われておりますし、四十一年度に赤字として、いわゆる借り入れ金として載っている八百六億円の出どころですね、これは一体どうなのか、こういうことが非常に私は疑問になってまいります。だから、こういったような幾つかの資料の基礎が一体どれであって、その基礎によってこういうものを加算していって、そしてこういうふうに統一された説明がされていかなければ、この法案の審議自体が私はできない、こういうふうに考えて御質問をしたかったわけでありますが、そういう意味で、この法案を審議する基礎資料となるべきその基礎数字というものが混乱しておりますし、二百二十五億円の取り扱いについても、赤字として扱うべきなのか、あるいはこれは補助として会計上返さなくてもよろしいということになるのか、一体その辺の見解等が混乱していると思いますので、その点ひとつわかりやすく説明をつけてもらいたいと思うのであります。
#262
○政府委員(加藤威二君) 御指摘のとおり、いろんな数字が出ておりますので、非常におわかりにくい点があるかと思いますが、御質問の点についてお答え申し上げたいと思います。
 最初に、国庫負担は赤字として残るのかどうかというお話でございますが、これは、たとえば七百四十五億四十二年度赤字が出る。そのうち、二百二十五億の国庫負担をもらったということになりますと、赤字は消えるわけでございます。ですから、従来、国庫負担がそれぞれ毎年、年によって違いますけれども、もらいました場合には、それだけ赤字は消えてしまう。要するに国のほうでお医者さんに支払ったということにすればよいのかと思いますが、税金でその医療費を支払ってもらったということで、これは赤字としては残らないということでございます。
 それから、御提示になりました配付資料、これは厚生省の保険局のほうで配付した資料ではないかと思いますが、そこで累積赤字千八百八十三億という数字が出ておるこの資料でございますが、これは保険局だと思います。それで、この累積赤字の千八百八十三億というのは、結局四十二年度、だから本年度でございますね、本年度に何の対策もしなかった場合、ですから極端なことを言いますと、ただいま御検討願っておりますところの法案が全部流れてしまう、それから国庫負担も何もないという場合に、四十二年度の末に累積赤字は千八百八十三億になる、こういう数字でございます。ですから、四十二年度に何らの対策も行なわれなかった場合には、四十二年度の末には累積赤字が千八百八十三億ぐらいになる、こういうことでございます。
 それから、お手元に配付いたしました資料の中の千三百三十八億円という累積赤字でございますが、これは四十二年度におきまして国庫負担ももらう、行政努力もする、それから衆議院で修正になります前の制度改正、修正前の対策でございますが、これをやりました場合に、四十二年度の末に残るところの累積赤字でございます。千三百三十八億というのはそういう数字でございます。
 それから、四十二年度の千三百三十六億の借り入れ金の中で、借り入れ金償還金八百六億というのがございますが、結局累積赤字は借り入れ金で泳いでいるわけでございますが、借り入れ金は、これは財投計画に載った借り入れ金でございませんので、いわばやみの借り入れ金のようなものでございます。それで毎年毎年、年度を越えますと一応返す。しかし、返すには金がないものですから、返すための金をまた借りる、こういうことを繰り返しておるわけでごございます。とにかく年度を越えましたら一たん借りているものを返す。しかし、その場合に、返す金が保険料では足りませんので、また借り入れ金をして返す、まあ借りかえのようなものでございますが、それをやっておるわけでございます。したがいまして、この四十二年度千三百三十六億、借り入れ金でございますが、そのうちの四十一年度までの累積赤字の八百六億というものを、これを返す、こういうための借り入れ金償還金八百六億というものを予算に組んでおる、こういうことでございます。
#263
○片山武夫君 ちょっとわかりません、いまの説明では。全然説明にならぬと思うのです。ですから、私は基礎資料が一つであるべきではないか。で、その一つでないということならば、その理由としてちょっと時間のズレがある。だから算定の基礎が違う、こういうことがあり得ると思うのですが、私の調べた限りでは、基礎資料は一つだと思います。そこで、この資料にあります累積千八百八十三億円、何も処理をしないで赤字になるべき数字は、七百四十五億円を差し引きずると、千百三十八億になります。これと千四十六億円の差、これは一体どういうことなんだということをお伺いしているわけなんです。いいですか。
 それから、第二点として、昨年度借り入れ金は八百六億円、これは四十一年度の借り入れ金であろうと思います。いいですか、累積赤字ではないと思うのですが、累積赤字だという御説明だと私は疑問がある。そこで、千三百三十六億円を借りていながら、これは八百六億円を一部返して、あと残るのが五百三十億残るのです。五百三十億とこの増収見込みの二百九十億になりますか、二百六十億となりますか、これと足すと七百なんぼになると思うのですね、七百四十億近くになりますが、そうすると余ってしまうのですね。その余った金をどこに持っていくかということなんですよ、私のお聞きしたいのは。そこで、こういった基礎の金額が違えばまた別だけれども、私の見ている限りにおいては基礎は同じだと思う。その理由は、この資料の第一表にある保険収入、それから給付の金額、これを比較して見ると、予算書とはやはり一応符号するわけですから、そう違いはないと思うのですが、そういったようなあいまいなものを出してきて、どうもわれわれが頭がよくないわけだけれども、こういうふうにやさしく書いてあれば理解できますが、そのやさしく書いてあるこの資料が、どうも基礎が違う。こういうことで、これはわれわれを私は侮辱していると思うのですね。もうちょっと明快な説明をもう一度してもらいたい。大体私は、いまあなたが御説明になるであろうくらいのことは考えておったわけなんです。そのくらいの御答弁なら御答弁は要りません。もっと数字の基礎を並べて、きちんとしたものを出していただかないと、いま言ったいろいろと混乱した考え方が数字の上に極端にあらわれていると思うのですね。だから、一方においては累積赤字が加算してあってみたり、あるいはいわゆる国庫補助が加わってあってみたり差し引いてあってみたり、そういったような現象が出ているわけです。
 そこで、私は具体的に数字を申し上げましょう。いいですか。ここに、八三ページの第三、累積赤字、これはずっと合計していきますと、国庫負担の累積が百九十五億ですか、累積してくるのがありますね。このほかに累積赤字が千四十六億と、これだけあるわけなんです。先ほどの、これは赤字ではないのだ、これは消えていくのだという御説明の上に立って考えてみても、この資料の本年度分に、二百二十五億は赤字であるということをはっきり言っている。これはやはり何か混乱しているんですね、頭の中が。これは差し引いてもらわなければ困るのです。確かにこっちでは差し引いてあります。一体何をもってわれわれは審議をしたらいいのか。こういう資料を出していただいたのはありがたいのだけれども、そういう不確定な資料でこれを審議しろということは、私は無理だと思う。そういう意味でいま質問したわけです。もっと的確に御説明を願いたい。
#264
○政府委員(加藤威二君) 先ほどの四十二年度借り入れ金の千三百三十六億のうち八百六億、これはいま御指摘受けましたとおり、累積赤字ではございませんで、四十一年度の借り入れ金でございます。その償還でございます。失礼いたしました。それからいまの国庫負担でございますが……。
#265
○片山武夫君 いや、それに関連して、ことしの借り入れ金ですね、五百三十億が残るわけです、借り入れ金の中に。これは一体どういうことなんですか。増収見込みを入れているのです、収入の中に。さらに五百三十億の借り入れ金があるということは、結局これは浮いてしまうということなんです、全部これが処理されれば。
#266
○政府委員(加藤威二君) 千三百三十六億の内訳を申し上げますと、千三百三十六億というのは、それじゃどういうものが入っているかということを申し上げますと、まず第一には前年度支払い未済、要するに四十一年度に保険料が足りませんで全部医療費を支払うことができなかったという、前年度の支払い未済が二百三十八億入っております。それから、先ほどの借り入れ金の償還金が八百六億入っております。それから、四十二年度単年度赤字、これが当初六月から財政対策をやるということで百十九億の赤字、単年度赤字がございます。
#267
○片山武夫君 四十一年ですか。
#268
○政府委員(加藤威二君) 四十二年度の単年度赤字ですね。四十二年度に、最初百十九億出るであろう。財政対策を四十二年度やって、六月実施。この前の特別国会のときに出しまして、それで廃案になった。それは六月から実施でございますので、年度当初からでございませんので、百十九億の赤字は覚悟せねばいかぬ。それから、以上の利子が七十一億でございます。それから、前に申し上げました予備費が百億、予備費は本来保険料でまかなうべきものでございますが、その金もありませんので、借り入れ金で一応手当てをしておく、その百億を合わせまして千三百三十六億、こういう借り入れ金の内訳ということでございます。
#269
○片山武夫君 いまの数字、どういうことになりますか。
#270
○政府委員(加藤威二君) それで、前年度の支払未済二百三十八億、それから、借り入れ金の償還金八百六億を足していただきますと千四十六億、これは前年度四十一年度末の累積赤字と、こういうことになります。そのほかに四十二年度は単年度百十九億の赤字が出る。そういったものの利子も払わなければいかぬ。それから、予備費の百億、これだけのものを借り入れ金として四十二年度に千三百三十六億借り入れなければ運営できない、こういうことになっておるわけであります。
#271
○片山武夫君 千三百三十六億のうちの赤字はどういうことになっておりますか。
#272
○政府委員(加藤威二君) 千三百三十六億円……。
#273
○片山武夫君 これを差し引いた金額は幾らですか。
#274
○政府委員(加藤威二君) 何ですか。
#275
○片山武夫君 全部で千三百三十六億になるのですか。
#276
○政府委員(加藤威二君) 千三百三十六億のうち、先ほど申し上げましたように、前年度の支払い未済二百三十八億、それから、借り入れ金の償還八百六億を足しました千四十六億というものが四十一年度末までの累積赤字、そのほかに四十二年度に百十九億の赤字が出る、このときはそう見ておった。
#277
○片山武夫君 この予算のいまの説明については、これはこれなりにわかりますが、これとこの資料との比較において違ってくる数字を私は実はお伺いしているわけです。その根本になるのは、二百二十五億をいわゆる赤字とみなすかみなさないかという、その考え方の相違がこの表のいわゆる混乱に私はなってきているのであろう、そういうふうに思います。また、具体的には何がしかの数字の違いはありますし、そして、いま指摘しましたように、この数字は何か見せかけがばかに大きく表現されております。こういう資料によってこれは判断した場合に、これは千三百三十八億も赤字になる、これはたいへんだ、厚生大臣ならずとも、われわれだってそう思いますよ。ところが、よく検討してみますと、千三百三十八億でございますと、そういう説明をしてみたり、いろいろな形で説明してみたり、そういうことはこれに対する根本的な考え方の相違から私はそういったような混乱が起きているんだと、かように私は理解するわけですけれども、それに対して私は的確なお答えをいただきたいし、この私のいま質問しました内容について、基礎の数字と、それにいろいろ変化を来たしている数字、これをひとつ資料としてぜひ私は出していただきたい。いま一度検討してみたい、かように思うわけです。
#278
○小柳勇君 薬代の一部負担の問題は、この特例法の一つの大きな柱でもありますので、明日に譲ります。時間もありませんが、問題がたくさんありますので、大急ぎで問題を質問してまいりたいと思いますが、いま七百四十五億の赤字の原因はいろいろありますが、まず基本になるものは、診療、いわゆる医療費、次は薬価、次はさっき質問がありましたように、診療報酬の支払い方法が適当であるかどうか、それにいわゆる保険料、応分に保険料を出しておるけれども、それが間に合わぬで赤字になる、こういうことである。したがって、質問していく順序としては、医療費の問題、薬価の問題、診療報酬支払基金の問題、この順序でいかなければなりませんが、さっき薬価の問題で公明党のほうで質問があっておって、なお答弁で不十分の点がありました。それで、その問題から片づけていきたいと思うのです。これは私のほうでも正確な資料があるものですから、この問題をどうするかということを解決して、次に、医療費の問題と、それから診療報酬支払いの方法が妥当かどうか、こういう問題に質問してまいらなければなりません。
 まず、この基準薬価と実質購入薬価との比、比べてみますと、もう初めからずっと何人も質問しておりますように、基準薬価というものが実質購入薬価に比べまして高い、そのことが資料となって調査の結果出ております。これは、ある県の国保の診療施設、病院及び診療所を実際調査いたしました、薬を七百七十七品目調査いたしました実績であります。これによりますと、注射薬で、基準薬価の実質購入薬価との比、実質の購入薬価のほうは八割一分になっております。八一・二%、内服薬のほうで七六・四%、外用薬のほうで九四・二%、平均いたしますと、基準薬価のほうが高くて、実質購入薬価のほうが低くて、実質購入薬価のほうは基準薬価の八一・一%になっておる、こういう調査の結果が出てまいっております。これは最近調査された実績であります。県下全般を調査してありますから、正確であると確信を持っておりますが、さっきの答弁によりますと、薬の調査が九月にできて、薬価基準につきましても改定を行なわれてきましたけれども、もう少しこの問題について報告を願い、ただいま申し上げましたような調査の実績があるかどうか、お聞きします。
#279
○政府委員(坂元貞一郎君) 先般の当委員会でも御説明申し上げましたように、薬価基準の改定の基礎的な資料となります薬価調査につきましては、三十八年まで毎年実施をいたしたわけでありますが、三十九年、四十年、二カ年にわたりましてこの調査ができていないわけでございます。そこで、四十年度分としまして、本年の二月の時点の調査を現在実施いたしているわけでございます。この調査の結果、鋭意私どもも集計を急いでおります。
 現在の見通しでは、先般も申し上げましたように、今月の末ごろには大体全貌が明らかになるというところまで現在調査が進行いたしているわけでございます。
 ここで、ただいまお述べになりましたように、薬価基準の価格よりも実際の購入価格、つまり実勢価格というものが相当低いじゃないかという点でございますが、確かに私どもも、先ほど申しましたように、三十八年の調査以来、薬価調査を実施いたしておりませんし、医薬品の価格というものは、統計的な数字でも、年々一般的な傾向としては下がっていることが実証されておりますので、今回の薬価調査の結果は、おそらくそういう一般的な漸減傾向がそのままあらわれてくるだろう、われわれはこういうふうに期待いたしているわけでありますが、いま申しましたように、今月の下旬ごろになりませんとその全貌が明らかにならない、こういうことでありますので、あとしばらくその調査のほうをお待ちを願いたい、かように思っているわけであります。
#280
○小柳勇君 薬価は、昭和四十年の十一月の告示でいま基準単価が動いていますが、九月の調査で、いつになればこの基準単価の変更がなされますか。
#281
○政府委員(熊崎正夫君) 薬価調査をやっておりますのは厚生省の薬務局でございまして、その調査に基づきまして薬価基準の改定をやりますのが私のほうの局でございます。大体九月中にはやりたいと、こういうふうに思っております。
#282
○小柳勇君 基準単価が改定になるのが九月と確認してよろしゅうございますか。
#283
○政府委員(熊崎正夫君) 大体九月中には行なわれるというふうに御了解いただきたいと思います。
#284
○小柳勇君 わかりました。この実績によりますと、県下全般の実績でありますが、約一割九分、一九%ばかり下がっている実績がありますが、一割下がりましても、先般藤田君も言いましたし、私も言いましたように、金額として約五百億、医療費の中に薬剤費の占める割合からいきまして五百億くらいが出てまいりますが、九月、あるいは十月にいたしましても、これが医療経済の中に、あるいは保険医療の中に影響してまいりますのはどのくらいの比率でしょうか、予算的に、財政的には。
#285
○政府委員(熊崎正夫君) ただいまちょっとその前に国保病院の例をおっしゃいまして、だいぶ下がっておるという御数字をお示しいただきましたけれども、大体薬価基準のきめ方は、先生御承知と思いますが、九〇%の数量の薬が買える値段ということでございますから、病院、それから診療所、そういったもの全部含めまして、高い値段で買っておる病院、診療所もあるわけでございますから、必ずしも一つの例でもって全体を左右するわけにはまいらないと思いますけれども、まあかりに一割ですか、一割分の値上がりがあるというふうに考えた場合に、その分の医療費に対する財政影響があることは、これは御指摘のとおりでございます。ただ、前から申し上げておりますように、薬が下がったということでもって医療費がそのまま下がるというふうな考え方と、それから、やはり薬が下がったといった場合に、その下がった分を医師の技術料のほうに返さなければならないのじゃないかという議論と両方あるわけでございます。これは中央医療協議会で議論をいたしているところでございまして、薬の値下がりによる分は、これはひとつ技術料のほうに振りかえるというふうなことをやりましたのが一昨年の例でございまして、過去数カ年にわたって薬価調査をやっておらなくて、薬価調査の結果によりまして値下がり分が全体の医療費の四・五%あったわけでございます。その分を技術料のほうに三%振りかえた実績がございますので、この辺を勘案の上、中央医療協議会でそういう問題も含めまして、点数表の改定その他をやっておるわけでございますから、その辺は財政的にどのような影響があるかということは、その結果のきまりぐあいによって御判断をいただかなければならない、こういうように御了解をいただきたいと思います。
#286
○小柳勇君 問題をまあたくさん含んでおる発言でありましたが、第一は、九〇%バルクラインのいいか悪いかの問題ですね、これについては厚生省としてはどういう態度ですか。いろいろ批判はたくさん見ていますけれども、今度の抜本改正の中でこういうものまで手をつけて検討する意思があるのかないのか、聞いておきたいと思います。
#287
○政府委員(熊崎正夫君) 九〇%バルクラインをどのようなバルクラインにするかということは、まさに抜本対策の問題の一つでございます。しかし、これは厚生大臣限りでやれる問題ではございません。やはり中央医療協議会の議を経てきめなければならない問題でございまして、九〇%バルクラインを、たとえばこのバルクラインを下げるということになりますと、やはりいま申し上げましたように、バルクラインを下げた分を技術料のほうに振りかえるという問題があるわけでございまして、すでに中央医療協議会においては、支払い側代表のほうから九〇%バルクラインを下げる必要があるということで、中医協の議に付されておりまして、これは中医協の中で今後真剣に検討するという形にいたしておりまして、まだ結論はいただいておりませんけれども、やはり早急に解決すべき問題だというふうに思っております。
#288
○小柳勇君 第二の問題は、この技術料、薬剤費との関連でございます。さっき中医協の答申の、これ予想でありますが、あるいは七%のアップが答申されるかもわからぬというようなことも、新聞の予想ですからわかりませんけれども、そういう論議の中で、保険料などという、これは別途の場で、土俵が違いますけれども、その技術料と薬剤費だけの定木ではなくて、医療費というものが全般的な関連があるということは厚生省としてはお考え願わなければならぬと思うのです。中医協は中医協で独自に論議しましょうが、しかし、保険料が七百四十五億の赤字で、いま保険料率の引き上げ及び薬剤一部負担が論議されておるときに、医療費だけ上がったという新聞を見てびっくりしておる者もあるわけですから、そういう問題に対する厚生省の態度、これから答申を受けるのですから、態度といってはおかしいですが、見解を聞いておきたいのです。
#289
○政府委員(熊崎正夫君) たいへん重要な問題でございまして、医療費のアップをするといった場合に、その財政措置その他の問題もあるわけでございますが、ただ、御了解をこの際いただきたいと思いますのは、従来の医療費アップというものは、現行の診療報酬点数表の中で、緊急是正としてこれを一律に、まあ場合によっては多少手直しをしたこともございますが、一律に数パーセント上げるという考え方で上げてきたわけでございます。しかし、今回いままで中央医療協議会で議論されましたことは、そのような一律な上げ方はおかしい、やはりこれほど医療保険の抜本対策というものが議論されておるときに、単純な上げ方というのはおかしいので、合理化をやろうじゃないか、合理化をやった上で、それに応じて引き上げるものは引き上げる、下げるものは下げるということで議論をしようということでいままで議論をしておるわけでございますから、したがいまして、現在の診療報酬体系の中の基本的な問題について一応メスを入れるという形で考えておりますので、たとえば薬の問題等につきましても合理化をはかるということで、その合理化をはかることによって将来の医療費のあり方自体が、従来のあり方と相当変わってくる現時点においては、それは多少プラスになってきても、将来の医療費のあり方というものが、医師の技術が正当に評価されることによって、いろいろ問題にされております薬の問題その他を含めまして、合理化のほうに非常に前向きの前進というふうなものであるとすれば、やはりある程度の医療費アップについては、私はこの際は積極的に前向きにこれを受け入れて対処しなければならないのじゃないかというふうに私ども考えておりまして、公益委員の考え方でございますが、公益委員の考え方はそういう考え方のもとにこの中央医療協議会で診療報酬部会の検討を進めておるところでございます。
#290
○小柳勇君 技術料の問題、薬価の問題現在医薬分業でなくて、同時に論議されていくわけです。薬は、実は製造は自由でありまして、販売も自由にやっておる。そこの病院に入りますときからワクがはまってまいるという矛盾がここに問題を含んでおります。したがって、将来、メーカーから医薬品販売までの問題と、それから医師の問題と、これは別個の問題とならなければならぬ、こう思うわけですが、まあ私ども医師でありませんし、その点しろうとですけれども、最近医師会などでも医薬分業の問題が真剣に論議されておるように聞きますが、厚生省としてそういう問題について見解をまとめておられるのかどうか、医薬分業の問題についての見解をお聞きしたいと思います。
#291
○政府委員(坂元貞一郎君) ただいま御指摘のように、医薬分業の問題が医療保険の健全化、あるいは、また、医療制度、薬事制度、厚生省関係のすべての制度の根幹になる問題であることは当然でございます。したがいまして、先生御存じのように、十年前からすでに制度的には医薬分業の制度が一応できているわけでございますが、その後十年間、西欧諸国に見られるような完全分業というような理想のところまではまだまだほど遠いわけでございます。で、ここ数年来、御発言の中にございましたように、関係団体、つまり日本医師会、あるいは日本薬剤師会等においても、その医薬分業の推進策についていろいろ積極的に検討を重ねております。また、私ども役所の者としましても、医薬分業を今後積極的に推進するための方策としまして、先ほど来から問題になっておりますような診料報酬体系の合理化の問題であるとか、あるいはいろいろなこれ以外の医療制度、薬事制度、こういう問題が当面未解決のままになっておりますので、そういう基本的な問題を来たるべき抜本対策の際にも十分研究、討議しまして、一挙にはなかなか医薬分業制度というものは推進できないとしましても、やはり計画的に、積極的に推進をはからなきゃならぬ、かような見地から、抜本対策の一環として、この医薬分業制度の問題も取り上げていくことになっておるわけでございます。
#292
○小柳勇君 薬価の問題まだございますが、大体約束の時間がまいりつつありますから、あと残りました医療の問題、それから診料報酬支払いの問題については明日質問させてもらいたいと思いますが、赤字の補てんの問題の中で、具体的な問題としてぜひ質問しておきたいと思うのは、行政努力によって予算を生み出すということで資料をもらっております。「行政努力の目標と効果」、こういう資料をもらっておりますが、厚生省としては行政努力によって百億ばかりことしは生み出そうということで努力をした。ところが、実際は四十一年度では六十八億だけしか浮かび出しておらないという資料が出ております。その中で、特にレセプト点検の励行によって三十五億を生み出そうとして努力したけれども、結果は十四億しか出ていない、こういうような数字が出ておりますが、目標が百億であるのに、効果は六十八億、正確に言えば目標九十八億でありますから、その差三十億ですね。薬価一部負担の問題で五十一億を生み出す。ことしだけでは十五億生み出せばいいのですから、十五億生み出すためには、この行政努力をもう一歩してもらえれば三十億出るわけですね。なぜこの三十億の努力ができなかったか。特にレセプト点検の励行で二十一億目標よりも下回っておりますが、どうしてこういうようにできなかったのか、お聞きしておきたいと思います。
#293
○政府委員(加藤威二君) 御指摘のとおり、行政努力につきましては、四十一年度目標九十八億に対しまして、実績は六十八億で、三十億ばかり目標に到達しなかったわけであります。特にレセプト点検の励行の問題について御指摘がございましたが、レセプトの点検につきましては、先般もちょっと申し上げましたが、結局社会保険事務所に戻ってまいりますレセプト、これは年間に全国で一億二千万件くらいございます。二百三十くらいの社会保険事務所でございますから、一事務所年間六十万くらいのレセプトがまいるわけでございます。これを点検いたしておりますことは非常に作業としては大作業でございます。それで、四十一年度はこのレセプト点検実績一〇〇%やればいいわけでございますけれども、事実上現在の職員の手ではとても一〇〇%の点検をやりますことは物理的に不可能でございます。このほか、保険料の徴収にも出歩かなければいかぬ、現金給付の支払いもやらにゃならない、いろいろ仕事がございますので、全部やるということは不可能でございますが、実績といたしましては六三・二%まで点検を実施したわけでございます。それで、特に最近レセプト点検でどういう点がチェックされるかと申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、資格を喪失した人が診療を受けているというような場合、あるいは業務上災害の疾病がまぎれ込んできているというような場合がございますが、特に多いのは、健保組合とか共済組合とか、ほかの管掌のレセプトがまぎれ込んでくる場合が相当多いわけでございます。これは記号、番号等が類似しておるというような関係もあると思いますが、そこでお医者さんの窓口で間違ったりいたしまして、共済組合の職員とか、あるいは健保組合関係の人のレセプトが相当まぎれ込んでいる、これが三割近くあるわけであります。最近はそういう点に着目いたしまして、できるだけ健保組合なら健保組合の被保険者証、あるいはレセプトというものを政管のレセプトとはっきり分けることにいたしまして、ことに被保険者証もはっきり記号を変えまして、一見してこれは健保組合である、これは政管であるというように分けるようにいたしましたので、その結果ミスが非常に少なくなってきた、そういうようなこともありまして、なかなか目標までは到達しなかった。これは十四億というのは現実に見つけたものでありまして、結局三十五億やろうと思ったところが、そういう第一線における制度的な改正をやりましたので、ミスが比較的少なくなったというようなことで目標額には達しなかった、こういうようなことでございます。
#294
○小柳勇君 四十一年度は九十八億の目標で、実績六十八億でありますが、四十二年度の行政努力の目標は二十五億しか計上されていないんですが、これはなぜでしょう。
#295
○政府委員(加藤威二君) 確かにそういう御指摘はごもっともだと思いますけれども、行政努力と申しますのは、やればやるほど数字が出るというものではございませんので、たとえばレセプトの点検の励行にいたしましても、うんとやりますといろんな点が改善されてまいりまして、その努力の上にも、またもう一段四十二年度にたとえば同じ財政効果を上げんとすれば、四十一年度にやりましたより以上にものすごい努力をしなければいかぬ。結局標準報酬の適正化にいたしましても同様でありまして、標準報酬の適正化も、四十一年度は二十四億ということで十九億の効果をあげておりますが、標準報酬の適正化というものは、一々その標準報酬の届け出が正確であるかどうか、それを一々チェックするわけでございます。標準報酬の適正把握ということで、これはほとんどもう最近は九七%まで実地調査をやっているわけでございます。そういうことで、行政努力と申しましても、そういう行政努力の積み重ねを過去二、三年やっておりますけれども、そういう積み重ねで標準報酬というのが把握されております。それで、四十二年度は、たとえば三万一千円という標準報酬は、そういう行政努力の結果生み出されたものでありまして、それは三万一千円なら三万一千円というものは、四十一年度にそういう行政努力をやった、あるいは四十年度の行政努力をやって、そういう積み重ねを累計いたしまして四十二年度の標準報酬を出しているわけでございまして、したがいまして、この行政努力というものを別ワクに出すのは確かに減っております。二十五億に減っておりますけれども、たとえば四十二年度の標準報酬の三万一千円という目標の中には、すでに過去の行政努力を織り込んだものがここに出ているわけでございます。そういう意味におきまして、行政努力というものにつきましては、毎年毎年その金額が向上していくということは事実上不可能でございます。むしろ努力が成果をあげればあげるほど、先行きの金額は減ってくるという傾向にあるわけでございます。そういう意味におきまして、非常に金額的には少ないような金額が出ておりますけれども、基礎になりました数字につきましては、行政努力というものがすでに織り込まれている数字が相当予算の上に入っているということで御了承を願いたいと思います。
#296
○小柳勇君 さっきレセプトの点検も六一%とおっしゃったのですけれども、今年度百億近い九十八億の行政努力の目標を立てて、来年度は二十五億とはどういうことです。四分の一ですよ。これだけの大きな問題で、薬代一部負担で十五億を、これは強引に赤字補てんで取ろうとして――取ろうということばは失礼だけれども、そういうときに、行政努力で今年度九十八億なのに、四十二年度は二十五億とは一体何でしょうかね、これは。いまの答弁を聞いたって、それはことばはきれいだけれども、ちっとも真実として入らんですよ。去年は幾らですか。四十年は幾らですか。
#297
○政府委員(加藤威二君) 四十年度の行政努力は四十三億でございます。で、確かに先生御指摘のように、四十一年度の九十八億と、それから四十二年度の二十五億というものは非常に格差があるということでございますが、それは先ほどもちょっと申し上げましたように、何が減っているかということになりますと、四十一年度で項目が四つございまして、一つは標準報酬の適正化、それから、二番目が保険料収納率の向上、三番目がレセプトの点検の励行、四番目が現金給付支給の適正化、この四つの項目を四十一年度やったわけでございます。それで、四十二年度におきましては、そのうち一と四は、これはさっき私が申し上げましたように、すでに標準報酬の適正化というものにつきましては、実質的にもう九七%近い実地調査をやっておりまして、それから、四十年度も事実上同じような努力をやっておるわけであります。そうして標準報酬というものは、過去二年なら二年の標準報酬の伸びを推定いたしまして、四十二年度の標準報酬が幾らになるかということを推計いたすわけでございます。したがって、もうすでに行政努力が織り込まれた数字が四十二年度の三万一千円という数字の中に入ってきておる、こういうぐあいにわれわれは解釈しておるわけでございます。したがって、それをまた別ワクで標準報酬を何%上げるというようなことは現実に非常にむずかしいということを考えまして、そういう今度の行政努力の中には項目としては掲げなかったわけでございます。現金給付支給の適正化についても同様でございます。ただ、保険料収納率の向上、また、レセプト点検の励行、レセプト点検につきましては、先ほど申し上げましたように、まだ六〇%台でございますので、これはもう少し引き上げる可能性があるということで、レセプト点検はもう少しやろうということでございます。それから、保険料の収納率につきましても、前年度九八%をこえておりますけれども、これもまだ第一線の職員のいろいろな意見を聞いてみましても、もう少しがんばれる、できるだけやってみようということでございますので、第一線の職員のいろいろな労働条件とか、あるいは実地の意見というものも徴しまして、一応われわれとしては実現可能な数字ということで、非常に金額的には少ない額になっておりますけれども、四十二年度は二十五億というぐあいに算定いたしたわけでございます。
#298
○小柳勇君 それでは、まだ医療費の問題と、それから診療報酬支払いの方法の問題大きな問題が二つ残りました。いまの問題でも、どうせ明日診療報酬支払いの問題でもう少し論議いたしますが、きょうはこれで質問を終わらしていただきます。
#299
○委員長(山本伊三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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