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1967/09/09 第56回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第056回国会 農林水産委員会 第4号
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1967/09/09 第56回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第056回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第056回国会 農林水産委員会 第4号
昭和四十二年九月九日(土曜日)
   午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 本名  武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君
   理事 石田 宥全君 理事 東海林 稔君
   理事 中村 時雄君
      小澤 太郎君    大野 市郎君
      金子 岩三君    熊谷 義雄君
      坂田 英一君    坂村 吉正君
      丹羽 兵助君    湊  徹郎君
      粟山  秀君    赤路 友藏君
      兒玉 末男君    佐々栄三郎君
      實川 清之君    柴田 健治君
      森  義視君    玉置 一徳君
      斎藤  実君    中野  明君
 委員外の出席者
        内閣法制局第一
        部長      真田 秀夫君
        外務省アジア局
        参事官     吉良 秀通君
        農林政務次官  草野一郎平君
        農林大臣官房参
        事官      太田 康二君
        農林省農林経済
        局長      大和田啓気君
        農林省農林経済
        局統計調査部作
        物統計課長   雑賀 忠蔵君
        農林省農地局長 和田 正明君
        農林省農地局管
        理部農地課長  小山 義夫君
        食糧庁業務第一
        部長      馬場 二葉君
        食糧庁業務第二
        部長      荒勝  巌君
        水産庁長官   久宗  高君
        建設省河川局長 古賀雷四郎君
        建設省河川局防
        災課長     坂井 秀正君
       専  門  員 松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
八月十八日
 一、森林法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  第五十五回国会閣法第一三三号)
 二、農林水産業の振興に関する件
 三、農林水産物に関する件
 四、農林水産業団体に関する件
 五、農林水産金融に関する件
 六、農林漁業災害補償制度に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(新潟、山形地方
 の集中豪雨による農作物の被害状況、甘しょで
 ん粉問題及び漁業問題等)
     ――――◇―――――
#2
○本名委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、先般の新潟、山形地方における集中豪雨による農作物の被害状況について、政府当局から説明を聴取いたします。太田参事官。
#3
○太田説明員 先生方のお手元にお配りしてございます「昭和四十二年八月二十六日から二十九日豪雨による被害状況」の資料に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 八月二十六日から、新潟、山形両県下を中心に断続的な降雨があったのでございますが、特に二十八日から二十九日にかけまして新潟県下越・中越地方、山形県南部及び福島県北西部に強い集中豪雨がございまして、農林関係におきましても、以下に述べるような被害が発生いたしたのでございます。
 被害のはなはだしい地域は、主として農業関係では、加治川、胎内川、荒川、最上川等の流域でございまして、林野関係では、三県の県境ということになっておるのでございます。
 被害の概要でございますが、昨日現在の県報告によりますと、農林水産物関係の被害が約百十億円、施設関係等の被害が約四百六十八億円、両者合わせまして五百七十八億に及んでおるのでございまして、被害面積は、水田で約五万七千ヘクタール、畑が約四千ヘクタール、両者合わせまして六万一千ヘクタール。三ページを開いていただきますと、いま申し上げた数字の詳細な内訳が載っております。
 まず、施設関係で申し上げますと、治山施設が六千九亘二十万円、農地が百十七億二千六百万、農業用施設が一番被害が激甚でございまして二百四十一億六千五百万、林道が五億八千九百万、共同利用施設六千九百万、開拓者施設が三千八百万、少し飛びまして崩壊林地が六十四億九千三百万、国有林にも約三十億程度の被害が出ておりまして、これら一応施設関係と目されるものを合計いたしますと、先ほど申し上げましたように四百六十八億二千七百万。
 それから農林水産物関係は、次の四ページを見ていただきたいのでございますが、農作物関係で百七億四百万。その内訳は、やはり水陸稲が圧倒的に多うございまして九十七億五千八百万、野菜、果樹、桑園等が九億四千六百万、家畜が一億三千九百万、以下、畜産物、貯蔵加工品、水産物、林産物等合わせまして、先ほど申し上げましたように百十億五千万。
 それから田畑の被害でございますが、水田が先ほど申し上げましたように五万七千五百二十六ヘクタール。その内訳は、冠水、浸水が四万九千九ヘクタール、流失、埋没が五千三百九十九ヘクタール、倒伏が三千百十七ヘクタール。減収量は、山形がいまだ報告をつかんでおりませんので、合計いたしておりませんが、新潟県では約五万七千トンという減収量が見られております。畑は、全部で先ほど申し上げましたように四千二百三ヘクタール、冠水、浸水が四千二十六ヘクタール、流失、埋没が百七十七ヘクタール、田畑両者合わせまして合計六万一千七百三十ヘクタールの被害になっておるのでございます。
 そこで、私のほうの対策本部としてとりました当面の措置でございますが、まず第一に関係官の派遣をいたしまして、被災状況の調査と災害復旧工事の指導に当たらせたのでございます。
 それから、何と申しましても、今回の災害で最も迅速に措置しなければならぬ問題は湛水の排除の問題でございまして、山形県下は非常に早く水が引いたようでございまして、湛水はほとんど解消したというふうに聞いております。新潟県下におきましても、国と県で設置した排水機により、六ヵ所にわたる湛水地区、これは五ページに載っておりますのであとでごらんいただきたいと思いますが、一部自然排水がございますけれども、排水工事を行ないまして、九月六日までには全部完了を見ておる。被害のはなはだしかった加治川左岸地区におきましては、国で設置いたしました新井郷川の排水機のほかに、臨時設置のポンプ五十六台、内訳は、そこに書いてございますように、北陸農政局から十五台、関東農政局から十九台を現場に持ってまいりまして、それに県の二十二台を動員いたしまして排水につとめたのでございます。
 第三に、農地、農業用施設、林道、治山の災害復旧事業でございますが、これらにつきましては、災害の再発生等も十分考慮いたしまして、早急に実施すべきものにつきましては、査定前着工ということが行なえるよう指導いたしますとともに、早急な復旧をはかるために、特に新潟等につきましては、他県からの土木技術者の派遣というもののあっせんもいたしたのでございます。
 それから、被災者救援のための精米の応急配給でございますが、新潟県で百五十二トン、山形県で十七トンを現に実施中でございます。また、災害復旧用の備蓄材につきましては、秋田営林局で三千立方メートル、前橋営林局管内で四千五百立方メートルの備蓄をいたしておりまして、その売り払いについても遺憾のないよう指示をいたしたのでございます。
 それから、災害のつど地元等から要望のあります共済金あるいは保険金の仮渡しにつきましては、八月三十日付で、農林経済局長名をもちまして、被害県の知事に対し、こういった仮渡しを実施するため、関係の農業共済団体等を指導するよう通達をいたしたのでございます。なお、あわせまして、関係金融機関に対しましては、九月二日付で、被害を受けられました農林漁業者が必要とする資金の円滑な貸し付け並びに既往貸し付け金の償還金の償還猶予措置などの貸し付け条件の緩和につきまして依頼の通達を行ないました。これに基づきまして、山形と新潟の県信連におきましては、つなぎ資金の融通等を決定いたしたのでございます。
 第六番目に、天災融資法の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、農作物の被害も約百十億ということに、県報告でございますがなっております。御承知のとおり、農作物被害につきましては、統計調査部の数字の確定を待ちまして天災融資法の発動ということになっておりますので、多少おくれておりますが、統計調査部がいませっかく被害の調査を集計中でございますので、これを待ちまして発動する方向で検討中でございます。それから農林水産関係の激甚法の指定でございますが、第二章の治山施設等の復旧事業、それから第五条の農地、農業用施設、林道の復旧事業、それから第十条の土地改良区等の行なう湛水排除事業、それから小災害にかかる地方債の元利補給等二十四条の関係、これらの指定につきましては、昨日の閣議で政令の決定を見たのでございます。その他共同利用施設、入植者施設、それから天災融資法等六条から八条の関係がございます。それから森林組合の行なう堆積土砂の排除の問題が、たしか九条かと思いましたが、ありますけれども、これらにつきましては、その被害の状況をつかんだ上で、関係当局とも協議を進めまして、指定の可否について決定してまいる、こういう準備をいたしておる段階でございます。
 以上でございます。
#4
○本名委員長 次に、小作料改定について説明を聴取いたします。和田農地局長。
#5
○和田説明員 去る九月一日から、従来の小作料の最高限度額の改定をいたしましたので、その内容と経過の御報告を申し上げます。
 現在、小作料の最高額は、農地法で小作農の経営の安定を旨として農地ごとに定めることになっておりまして、昭和二十七年に現行農地法が制定されまして以後、いろいろな準備段階を経まして、昭和三十年に農林省令で統制小作料額を定めまして以後改定をいたしておりません。昭和三十年当時定められました最高額は、土地の生産力に対応いたしまして十五の等級に分けてございますが、中心的でございます六等級について申し上げますれば、田は十アール当たり千百十九円、畑は六百七十二円ということになっております。
 その後、御承知のように、生産力も非常に進みまして、反収も増加いたしましたし、また、いろいろな生産物の価格等、コスト等も含めましていろいろ条件の変化がございましたので、現状におきまして、そのような反当生産力、あるいは米価、あるいはコスト等からにらみまして計算をし直しまして、現在の各種の条件に適合するように改正をいたしたのでございます。
 結論から先に申し上げますと、田については従来の四倍、畑につきましては二・五倍でございますので、標準的な六等級の土地について申し上げますれば、田は四千四百七十六円、畑は千六百八十円、いずれも十アール当たりでございますが、そういう基準に改めたわけでございます。
 なぜ四倍にし、あるいは二・五倍にしたかという根拠でございますが、数字の詳細は省略させていただきますが、まず、田につきましては、全国の平均の反当平年収量、それに本年の生産者米価を基礎にして計算をいたしますと、粗収益が出てまいります。その場合に、販売分と自家消費分と副産物の収入等を計算いたしまして、その結果、平均的な田におきます粗収益が、十アール当たり五万一千四百二十一円でございます。それに対しまして生産費用は、本年の米価計算の際に用いました全農家の生産費調査等をもとにいたしました物財費、雇用労賃、直接家族労賃、間接家族労賃、資本利子、租税公課を計算いたしますと、生産費用として四万四千九百九十一円になります。差し引きまして純益が六千四百三十円ございますが、先ほど冒頭に申し上げましたような、農地法で小作農の経営の安定を旨としということもございますし、従来の小作料計算の場合にも利潤の計算をいたしておりましたので、当時と同様に、利潤を四%見まして、差し引き土地の純収益は四千六百三十円というふうに計算が出ますので、これを現在の基準額で割りますと、四・〇九倍という数字が出てまいりますので、それをまるくして四倍にいたしました。
 また、畑につきましては、昭和四十一年におきます田と畑の固定資産税の評価額の比率で、四千六百三十円という田における土地純収益を計算いたしますと、比率で伸ばしますと千七百七十八円になります。これを従来の基準額で割りますと、二・六六という数字が出たので、それをまるくいたしまして二・五というふうにしたわけでございます。
 それで、これは農林省令で定めるというふうに現行農地法が規定されておりますので、九月一日から施行いたしますように、農林省令を、以上申し上げました内容で改正をいたしたわけでございます。
 したがいまして、本年の小作料について最高統制額がそのように変更になるわけでございますが、具体的には、個々の契約が、省令が改正されたことによって自動的に変更されるのではないのでございまして、改正されました金額の範囲内において、個々の契約ごとに当事者間の話し合いにより、成規の手続を経て契約が改正されるという順序になるわけでございます。
 以上が、小作料を改定いたしました内容及び趣旨の大要でございます。
    ―――――――――――――
#6
○本名委員長 引き続き、農林水産業の振興に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田宥全君。
#7
○石田(宥)委員 先ほど御報告のございました今次八・二八災害に関連いたしまして、御質問を申し上げたいと思うのでありますが、特にきょうは建設省の河川局長においでを願っておりますが、時間がないそうでありますから、なるべく時間をかけないように御質問を申し上げたいと思います。
 今回の新潟県における災害は、委員派遣の件もございますので、やはり要点だけを申し上げておいたほうがよかろうと思いますが、大体、一つは昨年破堤いたしました加治川が、再度同じ個所が決壊をしておる。両岸とも決壊をしておる。しかも、上流は堤防ができたにもかかわらず、下流にまだ民有地があって、そこには、桑の木であるとかクルミであるとかが水を押えるような状態になって、この処理ができておらないということであります。
 それから、さらにもう一つ申し上げなければならないことは、昨年は水が堤防をオーバーいたしましたから、これはやむを得ないと私どもは理解いたしておりました。本年は、天端から一メートル以上も余裕があったにもかかわらず崩壊しておるということであります。これは常識ではちょっと考えられないのでありますが、実はきのう災害特別委員会でもいろいろとお伺いをしたように、本堤はほとんど浜砂または加治川の川敷にある砂でつくってある。砂というものは、水を含めばクイックサンドで水と同じ状態になりますので、堤防の内側が漸次崩壊をしていくということが、本堤ではいえるのであります。
 それから、当初決壊いたしましたのは仮締め切りでありまして、仮締め切りは八メートルの鉄矢板を打って、その上にじゃかごを積んであったのでありますが、やはりここが漏水をいたしまして、それがために崩壊をいたしておるわけであります。実は、きのうはっきりいたしませんでしたのは、きのうの段階では、新発田市長あるいは加治川の助役その他二、三の人たちの話で、私も現場に行ってみましたけれども、破堤の時点でどういう状況であったかということを把握しておらなかったわけです。そこで、けさ実は二十人ばかり消防団の諸君、破堤をする瞬間そこにおった人たちから実情を承ってまいりました。それによると、仮堤防は十五メートル幅で、本堤防は三十メートル幅だ。十五メートル幅の仮堤防の上の土を、洪水の前に本堤防のほうへ持っていってそこを低くしておった。これは間違いがないということです。きのうは河川局長は、この点については報告を求めておるけれども、まだはっきりした報告がないという答弁でございましたので、私はその点は、局長のほうもよくお調べを願いたいし、私のほうもはっきりした上で、今後の考え方をはっきりしなければならない、こういうつもりであそこでやめておいたわけです。
 ですから、皆さんにいまお聞きを願ったわけでありますが、私がいま申し上げたことについて、局長のほうでそうでない点があったならば、そうでない点があったということを明らかにされ、また、その後電話連絡等でその事実が明らかになったならば、明らかになったということを、ここで御説明を願いたいと思います。
#8
○古賀説明員 御質問にお答えいたします。
 まず、堤防の構造の問題でございますが、西名柄につきましては、仮堤防につきましては河川敷の土砂を掘さくいたしまして築堤いたしました。いま石田先生お話のように、鉄矢板を打ちまして、その上にじゃかごを積んでつくっておるという堤防であります。向中条につきましては、浜砂を持ってまいりまして、その上に粘土質の被覆土を五十センチやっておったという状況であります。あとの構造につきましては、向中条と西名柄とは同じような構造でございます。
 そこで、ただいま仮堤防のほうから本堤防のほうに土砂を持っていったというお話でございますが、調べてみましたら、天端から約五十センチ程度洪水前に切り下げておったという事実がございました。これを堤防に持っていったかどうかはよくわかりませんが、運搬のために堤防の土砂がそれだけ低くなったということがあります。そこで、直ちにそれにつきまして洪水期前に――洪水期前と申しますか、あの豪雨があるということで堤防をかさ上げして、旧堤の高さにいたしまして、さらに今回水防作業としまして、五十センチほど堤防積みをいたしたようなわけでございます。
 そこで、ただいま石田先生から、天端から相当余裕があったというお話でございますが、その余裕があった地点でございますけれども、その点がまだはっきりいたしません。余裕があったのは、鉄道から上にはあるいは余裕があった地点があると思います。その地点で余裕があったという御判断だとすれば、確かに私、現地でも鉄道から上の右岸側の堤防につきましては余裕があったことを確認いたしております。この堤防は本断面でつくっておりますので、余裕があるのはしかるべきだと思います。旧堤より高くつくってございます。実際破堤の現場におきまして、破堤したところで確認されたのかどうか、その点具体的にわかりませんので、いま私のほうも県と十分その点を打ち合わせていると申しますか、調査をさせているところでございまして、具体的に聞き込み等によりましてただいま調査をやっております。
 しかしながら、言いわけめいて恐縮でございますけれども、去年の雨の一・四倍程度の時間帯の雨量を生じておったということは、去年の洪水よりも大きかったのではないかと想定されます。去年、実はあの加治川の洪水によりまして、二千六百トン程度の雨量が流れてきただろうと想定されております。したがいまして、計画につきましては、三千トンの治水ダムを上流につくるということで計画をまとめてやってまいったわけであります。今回の洪水によりますと、先ほどテレビで東大の高橋裕先生からお話がありましたように、あの雨量を基礎とすれば、大体三千五百トンくらいは出ているだろうというふうに理解されております。三千五百トンが確かに正しいかどうかということは、さらに精細にチェックする必要があるかと思いますが、いずれにしても去年の二千六百トンに対しまして、三千五百トン前後の水が出ているだろうということは一応考えられます。したがいまして、相当な水であったことだけは確かでございます。
 ただ、堤防を溢水していないか溢水しているかという問題につきましては、石田先生からお話がありました地点がどの地点であったかという確認をいたしたいと思いますので、ただいまのところ私のほうとしましても県によりまして、実際破堤当時におられた方十数人につきましていろいろ聞き込みをやって、それぞれまとめておりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
#9
○石田(宥)委員 大体明らかになったようでありますが、ここで法制局の第一部長さんにお伺いをしたいと思うのでありますが、いま私から質問をし、河川局長から答弁があったとおりであります。何と申しましてもやはり河川管理の上において重大な瑕疵があったことは免れないと思うのでありまして、私どもいろいろ資料をあさってみたわけでありますが、国会図書館発行のレファレンスその他の著書などによれば、このような事実が明らかになれば、国家賠償法の第二条というものが当然適用になるのではないか、かように考えるわけでありますが、法制局の御見解を承りたいと思います。
#10
○真田説明員 お答え申し上げます。
 国家賠償法の第二条には、ただいま先生が御指摘になりましたように、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」とございますので、つまり、堤防その他河川の管理に瑕疵があれば、当然国または地方公共団体がその賠償の責めに任じなければならないことはむろんでございます。
 問題は、瑕疵があったかどうかということでございますが、具体的なケースについて瑕疵があったといえるかどうかということは、実はこういう公の席上で、私どもの役所として申し上げるべき筋合いでもございませんので、その点は御容赦願いたいと思います。瑕疵があれば、当然国家賠償の対象になるということは明らかであります。
#11
○石田(宥)委員 法制局にこれ以上の答弁を求めるのは無理かとも思いますけれども、私のほうも国家賠償法をおつくりになった学者の先生や、あるいはその他相当な資料に基づいて先ほど指摘をしました点は、とにかく八メートルの鉄矢板の上にじゃかごを置く。じゃかごというのは玉石ですから、漏水するのは当然です。その漏水で崩壊した。そしてそこが崩壊をすれば、水勢が強くなるから鉄矢板も曲がった。それが堤防崩壊の原因である。しかも、下流のほうには、すみやかに買収すべき民有地を買収してないで、そこにはクルミの木や桑の木がたくさんあって丘になっておって、上のほうは通水がよくなったけれども、下のほうは押えるようになっておった、そういう状態にしておった河川の管理者は、当然責任を負わなければならないのではないか。こういうふうにかなり具体的に申し上げておるのですから、そういう状態であれば、もう少しはっきりした答弁がいただけるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#12
○真田説明員 先ほど申し上げましたように、具体的なケースにつきまして、設置または管理に瑕疵があったということを言えとおっしゃいましても、私どものほうの役所はそういう役所ではございませんので、御容赦願いたいと思います。
#13
○石田(宥)委員 明らかになりましたから、あとは事実認定の問題になりますのでなんでありますが、もう一点局長にちょっと伺っておきます。
 備蓄資材ですね。その資材を、加治川周辺で二十四、五カ所たくわえておくことにきめられておったのでありますけれども、事実それは備蓄されてなかったのです。けさ私のところに参りました消防団の諸君も、あるべきところに備蓄資材があれば防ぎ得たと思われるのに、それがなかった、こういうことを強く訴えておりましたが、これはあなたのほうの行政指導の問題だと思いますけれども、今後もそういうことがあってはならないと思いますので、今後いままでのように、ただどういう個所、どういう個所にこれを備蓄しておきなさいという言いっぱなしでは困るので、そういうことのないような配慮を願いたいと思うのですが、どうでしょうか。
#14
○古賀説明員 備蓄資材がなかったことは、事実とすれば非常に残念でございます。これは、われわれも水防の重要性、特に加治川等のああいう仮締め切りの段階においては、水防は非常に重要なものでございます。したがって、そういったところに備蓄資材を集積するというのは当然でございまして、御指摘のとおりだと思いますし、われわれもそういう水防の場合の備蓄資材が、水防管理団体において実施されるように指導しておるわけでございます。特に本年におきましては、県に中央倉庫をつくりまして、その備蓄資材を補給するような倉庫を新設するようになっておるわけでございます。そういう状態で、われわれとしましてもその水防の重要性にかんがみまして、資材の補給という点を十分考えております。しかし、何ぶんにも地方財政の問題でございますので、非常にむずかしい点もあろうかと思いますけれども、先生の御趣旨に従って今後とも努力していきたいし、国でそういう制度が認められるならば、認められる方向で検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、先ほど下流に桑の木などそれらの木があったというお話でございますが、実は加治川改修は相当前からやっております。従来からあの川は天井川でございます。そして堤防には桜の木が植わっておったわけでございます。以前改修を相当急いだのでございますが、桜の木の保存会というのがありまして、なかなか桜の木を切らせないというようなことで、切る、切らぬでずいぶんもめた川でございます。そういう状態において七・一七の水害を受けたわけでございます。
 そこで、今回も七・一七の水害に関連いたしまして、私らとしましても水通しをよくする必要があるということで、下流周辺の堤防の拡幅あるいは掘さく等を行なうようにいたして、ことしは下流につきまして二億程度の予算をつけておりますし、特に、今回の西名柄、向中条は従来から非常に破堤の経験のある個所でございます。したがいまして、あそこのいわゆる屈曲を修正するという作業を行なっておるわけです。そこで、あそこには四十四戸の家屋がございまして、あれを移転していただくということになりまして、ことしの七月十七日にようやく移転を完了したという段階でございます。しかし出水がありますから、水は流通をよくしなくちゃいかぬということで、仮締め切りの天端をある程度切り下げまして、下流の堤防も一部掘り下げまして、水流しのいいようにしてあったわけでございます。そういう状態でございまして、従来の状態よりも、洪水の疎通に対しましては、大洪水の場合は疎通がいいような状態になったと私は判断いたしております。
 しかし、災害が起きてからさような問題をここにくどくど申し上げることは、たいへん弁解がましくて私としては申し上げたくないのですが、実はそういう事態でございますので、なお石田先生がおっしゃいましたいろいろな状態を、どういう状態であったかということは、確実にひとついまから――いまからというよりも、いままでもやっておりますが、調査をいたしまして、ひとつ具体的に御報告申し上げたいというふうに考えております。
#15
○石田(宥)委員 河川局長がいまお話のとおりで、私地元ですから実はよく存じでおりまして、ことに下流の水流しがよくなるようにしばしば県の土木部長に要求をいたしまして、ついせんだってようやくブルドーザーを入れて、若干水流れがいいような状況にしておったことも承知をしております。しかし中小河川の、これは加治川のみならず、今度被害を起こしました能代川にいたしましても、非常に立ちおくれをいたしておりますので、これはひとつ御留意を願いたいと思います。
 たいへんお忙しいそうでありますので、局長に対する質問はこの程度でよろしいと思います。法制局の方も御苦労さんでございました。なお何かありましたら……。
#16
○古賀説明員 御指摘のとおり、能代川にしましても、加治川にしても、たいへんな災害をこうむりまして、われわれも非常に遺憾に存じております。中小河川の改修の促進につきましては、大臣も非常に力を入れておられますし、われわれもその趣旨に従いまして今後十分留意してまいりたいと考えておりますので、どうかひとつ先生方も十分力を入れてくださるように、この席でお願いするわけでございます。
#17
○石田(宥)委員 それでは農地局長にお伺いいたしますが、ただいま小作料の値上げについて御報告がございましたが、いろいろな数字をおあげになりましたので、これについての資料を後ほどお届け願いたいと思います。実は、きょう大臣が出席されれば、この問題にも触れたいと思ったのでありますけれども、大臣は何か明日外遊の予定だそうでありますから、大臣の出席がないので、私からはこの問題については触れません。
 ただ、農地局長にお伺いをいたしたい点は、先般本委員会において大磯における農地管理の、農地法第五条の転用の問題について指摘いたしました際に、あのときにも局長のほうから、関東農政局管内で一〇%以上がほとんど野放しの状態である、使用目的以外に使ったり、あるいは使用目的のためにまだ使っておらないという状況であるという報告がありました。その後、実は私が強く要請いたしまして、二ヘクタール以上の大臣の所管事項である面積の大きな転用問題については、次官通達で、今後従来のようなことのないようにという通達をお出しになって、私も拝見いたしました。ぜひこれはひとつ行政指導として強くやっていただきたい。これは要望申し上げておきます。
 ところがその後、私は新潟の農業会議の委員をしておりますので、たまたま農地部会に出席をいたしまして実情を聞いておりますと、知事権限で転用のできるいわゆる小規模な転用ですが、この問題が県内にきわめて多い。ことに、私がはなはだ遺憾に存じますことは、この前もちょっと指摘したように、農業委員会の役員の中に、土地ブローカーと一緒になったり、あるいは土地ブローカーそのものといってもいいような役員がおるということは、これはもう何人も否定することのできない事実なんでありまして、大臣の管轄の大規模のものは、あれでひとつ御指導を願うとして、知事権限で転用のできるものについて、やはり同一趣旨の通達か何かで指導願えぬものであろうか、また、一体どうしてそういう小規模のものについてお出しにならなかったのか、承っておきたいと思います。
#18
○和田説明員 ただいま御指摘の、都道府県知事の許可事案の今後の許可の取り扱いにつきましては、実は九月一日付で農林事務次官名で出しました通達の中で、都道府県の許可事案についても、大臣許可の場合に準じて措置するように、都道府県を指導するようにということを、各農政局長に指示をいたしました。特に工場用地等につきましては、いま石田委員御指摘のように、許可を受けた後も放置しているものがあるように見受けますので、当面、工場用地としての転用許可には重点を置いて指導するようにということも、あわせて通達を出した次第でございます。
#19
○石田(宥)委員 どうも災害でこまかく読んでいなかったかもしれませんが、そういうことでつけ加えて書いてあればそれでよろしいと思いますが、ただ、通達を出しただけではなくて、今後機会あるごとに御指導を願いたいと思います。
 この点はこの程度にいたしまして、次に農地の災害復旧に関連してでございますが、実はこの間の災害で、いま河川局長といろいろ話をしたあの地点でございますけれども、昨年の破堤によって流失、埋没をいたしました水田が、ことしの六月までにどうやら完成いたしまして植えつけをしたわけです。植えつけをしたにもかかわらずその認証をしないといって、土地改良区関係の方あるいは村の助役さんが、この問題に強く不満を訴えておられました。もちろん三・五・二という災害復旧の原則はございますけれども、一年で翌年また植えつけが可能であるというような水田に対して、植えつけをしたにもかかわらず認証しないというようなことは、どうも納得がいかないではないかと実は私も疑問を持ってきたわけでありますが、これは一体どういう事情があるのか。今後このようなことがあってはならぬと思うが、やはり三・五・二というもので認証などはおやりにならなければならないのかどうか、これは問題でありますので、ひとつ明らかにしておきたいと思います。
#20
○和田説明員 三・五・二というふうに災害復旧の進度率のお話がございましたが、一般的には現在若干違っておりまして、別の比率で予算の計上はいたしておりますが、それは総額としての予算の要求の際の一応の基準でございまして、重要度の高いもの、あるいは早急に復旧可能なものにつきましては、その進度率とは関係なしに補助金を流す場合もございます。それからまた現地の人たちが仕越し工事をいたしまして、初年度で完成したあとで補助金だけを少しおくれて支給するというようなことも実際上やっているわけでございます。したがいまして工事が完了すれば、おっしゃるような完了検査をするのは当然だと思いますが、ただ、いろいろ個所数が多かったりいたしましたために、完了検査がずれるようなことがあったかと思いますが、今後十分注意をいたします。
#21
○石田(宥)委員 六月初旬に植えつけをしたんですよ。それが認証を拒否するということは一体どういうことか、どこに一体その問題点があったのか、どうも私は納得がいかないのです。植えつけをしないのならこれは別です。とにかく植えつけを完了しておって、そうして八月二十八日といえばもう刈り取りの一歩手前なんですよ。その時点でまだ認証されなかったということを訴えられているわけですが、これはどういう事情なんですか。
#22
○和田説明員 御承知のように、災害復旧事業が補助事業でございますので、主として検査をいたしますのは、府県の耕地課関係で処理をすることになると思いますが、いかなる事情でおくれておりましたかについては、私詳細に存じませんので、先ほど申し上げましたように、今後十分そういうことについての指導はいたしたいと思いますが、そういう土地が今回再度災害を受けました場合に、工事の完了の検査が済んでいないために、従来の災害復旧費が支給できないかどうかというところに問題点があろうかと思いますが、出来高の確認ができます書類なり写真等が整備されております場合には、再度災害を受けましても、過去の分につきましては補助対象にいたすという措置をとっておりますので、そういうことで、実態としては、検査が終わらなかったというただそれだけのゆえをもって、過去においていたしました災害復旧費の補助を打ち切るようなことがないように措置はいたしてまいりたいと存じます。
#23
○石田(宥)委員 この問題は、それじゃ御注意を願うようにしていただきまして、次に自創資金の問題でお伺いをしたいのであります。
 きのう太田参事官は、何か非常に楽観的な御答弁があったようでありますが、昨年は新潟県ではぎりぎり十七億の要請をしたわけです。ところが、国のほうからは九億八千万円ということで打ち切りになった。それがために相当部分は県が農協の金を借りさせて、その利子補給をやっておるわけです。きょうは実は自治省は呼んでおりませんけれども、地方自治体が二十年間も利子補給をするなどということが可能だとは考えられないのです。そういう事態を生じたわけでありますが、今回の災害にあたって県の当局は、貸し付け限度額を一災害五十万円ということにしてもらいたい、こう言っておるんです。ところが、新潟県の場合はちょうど北海道の冷害のように、昭和三十三年に集中豪雨があって、三十六年にまた第二室戸台風があって、三十九年に地震があって、それに昨年の集中豪雨で、ことしもまた集中豪雨。こういうことになると、一災害五十万円かりにあなたのほうで繰り合わせをしていただいても、百五十万円、二百万円という負債の償還というものが農業経営の中からは出てこない、こう私は考えるのです。
 そこで、太田参事官は、昨年は二度被害を受けて重ねて借り入れをする者については、五十万円の限度額は七十万円にいたしました、百万円にすることも可能です、こういうお話でしたが、私は百五十万円、二百万円というような維持資金を借りるにいたしましても償還計画が立たなくなる、こう考えるのですが、どうでしょうか。
 〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
#24
○和田説明員 新潟県の事務当局からは、一災害ごとに五十万円のワク云々という点は、県から提出されました陳情書等にはそのようなことが書いてあったわけでございますが、いま石田委員もおっしゃいましたように、本来金融でございますので、やはり償還能力ということを前提にして考えなければなりませんし、それから被害の態様は個々の農家によっていろいろ違いましょうし、また、個々の農家によって償還し得る能力なり現在持っております自己の資本力等違うと思いますので、やはり一災害ごとに五十万円とかいうふうに積み重ねていくのではなくて、ほんとうに必要な資金について一定の限度額を、つまり償還能力と見合ったような限度額を考えながら、災害の実態に合わせてできるだけお世話を申し上げていくというふうに考えるべきだというふうに私は思っております。
#25
○石田(宥)委員 そういたしますと、昨年収穫皆無、また本年も収穫皆無、こういう状態でありますから、豊栄町などでは、高橋というまだ若い農家の人が三ヘクタールも経営しながら、負債その他を苦にして将来の見通しの暗さから自殺をしておる。きのうは豊栄の町長が参りまして、第二、第三の高橋が生じないとは言いがたいと深刻な陳情をいたしておりますが、昨年限度額まで借りた者はそれほどありませんけれども、やはり重ねてある程度の借り入れをしなければ、今後営農を続けるわけにはいかないということは、これはもう明らかなわけです。
 そこで私は、先ほど申し上げましたように、最近になって五回も重ねて深刻な被害を受けた農家の貸し付け残高というものに対しては、やはりこれは一定年限――まあ一部の町村長などは、これは棒引きにすべきだ、年限なしにたな上げにすべきだということを強硬に主張しておりました。しかし、そういうことはわれわれとしては言えない。北海道の連年災害、何年間にわたる冷害の際にも、棒引きということは、下から声があったけれどもそれはなかなかできなかったので、やはり一定年限、少なくとも十年間くらいは利子補給をして、これを据え置くというような措置をとらなかったならば、収穫皆無の地域の農民が更生するということは不可能ではないだろうか、こう考えておるわけです。もしそういう措置をとろうとするならば、私はやはり立法措置でなければできないと考えるのでありますが、それも業務方法書でできるかどうか、きのうは太田参事官がその点あまりはっきりした答弁をしなかったようでありますが、ひとつ局長から御答弁願いたいと思うのです。
#26
○和田説明員 限度額の関係でございますが、今回の八月の豪雨で災害救助法の発動になりました新潟県下の二十六の市町村につきましては、八月末現在の自創資金の借り入れ残高の調査をいたしましたところ、全体で五千四百七十五件の貸し付け残の件数がございました。それを金額で区分をしてみますと、十万までが二三・二%、十万から二十万が二三・一%、二十万から三十万が一五・五%、三十万から四十万が七%、四十万から五十万が三〇%ということで、そこまでで九九%になります。五十万をこえて七十万円の限度までいっておりますものは、件数で六十六件ということできわめて少額でございます。こういう実態も考え、また、本人の被害の程度あるいは今後の償還能力等も十分考えなければいけませんが、先ほど来石田委員おっしゃっておられますように、たび重なる被害を受けた農家でもございますので、総合計で積み上げ七十万円までということで昨年措置をいたしましたこの限度額につきましては、なお詳細県とも打ち合わせをいたしまして、できるだけ最高額の引き上げについては考えてみたいと思っております。
 それから第二に、過去の分を棒引きにするとかいうことについては、やはり今後の個々人の金融に対する信用力というような問題もございますので、そういうことは方法論として不可能ではございませんけれども、あまり適切な措置ではないというふうに思います。
 この制度は、御承知のように三年据え置き期間を含めて二十年間という償還条件になっておるわけでございますが、いま申しましたような貸し付けの残高の実情と、それから昨年の七月豪雨の際に貸し付けいたしましたものの償還条件の実態把握をやりましたところが、据え置き期間を設けずに借りておりまして、今年うまく生産がいけばことしから返しますというような形の契約をしておるのがほとんど全部という実態でございます。いまお話のような若干の償還猶予制度を考えます場合に、現行法のワクの中での据え置き期間を設けるというような運用は、別に法律改正をいたしませんでも、また業務方法書を改正いたしませんでも、おそらく運用の幅で償還緩和をする方法が可能な実態のように思われます。しかし、個別にはあるいは問題があるかもしれません。そういう点につきましては、今後県とも実態把握につとめまして、できるだけ運用で処理してまいりたいというふうに思っております。今後の県との実態把握の結果にもよりますが、現段階では、御趣旨のような法律改正等の手続を経ることなく、現在の法律あるいは業務方法書の運用の範囲で、相当の償還猶予等の運用措置ができるような実態ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#27
○石田(宥)委員 立法措置をやらなくてある程度のことはできるというお話でございますが、いま数字を承って私どもも多少そんな気持ちはしないわけでもございません。しかし、昨年の据え置き期間なしという借り入れには、かなり県の当局などの指導に問題があったように思います。
 それからまた十七億の要請に対して九億八千万円で打ち切りをやって、それがために農協から借り入れをして利子補給をやったということについては、これは局長御承知のように、実は県の当局の取り扱いにも問題があったわけです。したがって、この問題についてはこれ以上御質問を申し上げませんけれども、やはり県の当局が十分これを理解しておりませんと、昨年のような轍を踏まないものでもございません。これらはやはり農地局長のほうから県の当局に対して、去年の轍を踏まないようにひとつ十分御指導いただきたい。去年は、非常な激甚な被害を受けた者は手続がおくれてしまって、被害の少ない者のほうが手続が簡単だからどんどん行って金が来てしまった、激甚な被害を受けたほうが金が来ない、こういう事態が起こったものだから、どうにもしようがなくて、ついには県も責任を負わされたような形になったわけでありまして、県の当局にも気の毒です。しかし、一面から言えばこれは県の責任なんです。同時に、やはり農地局のほうの指導も適切でなかったと私は言えるであろうと思うので、ひとつこの点は御留意を願いたいと思います。
 それから次に、あとの質問者もおられるのにどうもたいへん長くかかりましたが、食糧庁の買い入れの部長さんにお伺いをしたいのでありますが、一昨日の参議院の災害特別委員会で、いわゆる穂発芽の米の取り扱いについて、食糧庁で買い入れのできないようなものについても、これはひとつ業者の間にあっせんをしたい、こういうことを述べておられるわけですね。私も、実は災害地をずっと回っておりまして、もう相当伸びて青くなってしまっている。八〇%ぐらいまで出てしまって青くなっているくらいになれば、これは脱穀調製の段階でほとんど砕米になってしまうと思います。しかし、だからといってそれを飯米にするということも困難であり、食糧庁が成規の手続で買い入れするということにも限界があると思うのです。参議院では、食糧庁のどなたか存じませんけれども、とにかく加工用として何か業者にあっせんをしたい、こういう答弁をなさっておるわけですが、これについては具体的に何かお見通しがおありなのかどうか、ひとつ承りたいと思います。
#28
○馬場説明員 政府が買い入れますのは、あくまで主食として配給に適する米ということになっておりますので、たとえば玄米につきましては、いま検査等級の五等以上を買い入れておりますけれども、そういう被害米が相当発生しておりますので、いまお話の穂発芽を含めた規格外の米も、主食に適するものは、買い入れの道を近々開くことになっておるわけでございます。ただ、主食にならない、いまおっしゃったような相当被害のひどいもの、これは特定低品位米の取り扱いの用途がございまして、農家とそれから需要者、これは主として加工業者でございます。それの話し合いで取引が行なわれる、こういうことになりますので、その間食糧事務所が間に立ちまして、適正な価格で円滑な取引がなされるように指導をさせる。従来から麦などについては、たとえば政府の買い入れに適しない、えさにしかならないものについて、そういうことをやった前例がございます。米についても一部そういうとこをやっておりますので、今度新潟、山形、福島にはさらに通達を出しまして、一そう適正な取引が行なわれるように指導いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#29
○石田(宥)委員 どうぞひとつ積極的にこの災害地の農民に、特にほとんどの災害地が米の単作地帯でございますだけに、いろいろひとつ御配慮をわずらわしたいと思います。
 要望申し上げまして、私の質問を終わります。
#30
○仮谷委員長代理 次に、兒玉末男君。
#31
○兒玉委員 主としてカンでん問題についていろいろと食糧庁のほうにお聞きしたいのです。
 価格設定の時期あるいは価格の問題で、毎年同じことを繰り返しているわけですけれども、特に、最近砂糖の自由化あるいはコンスターチの進出によりまして、でん粉業界というものがかなり苦境に立たされている。こういう点からイモ作農民にとりましても、非常に価格問題について重要な段階にあるわけですけれども、特に、四十一年度のでん粉年度における需給事情並びに四十二年度のでん粉年度における見通し、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
#32
○荒勝説明員 ただいま御質問のございました四十一年度のでん粉の総合需給表は、九月末で締め切ると思いますが、一部推定が入っておりますけれども、私たちの計算でいたしますと、総供給量が百二十万トン前後、需要も百二十万トンぐらいでございまして、そのうち、いわゆる国内産供給のカンでんはほぼ五十四万トンというように見ております。それから馬でんは、本年北海道は非常な冷害でございまして、非常に減収いたしました結果約十三万トン、それから小麦からつくりますでん粉が約八万四千トン、それから、いわゆるコンスターチでございますが、コンスと申しておりますが、それが三十七万トン、そのほかに多少輸入でん粉、タピオカとか外国産のものを四万五千トン、四十一イモ年度の供給量として計約百十六万九千トンであります。そのほかに、この春からこの夏場にかけまして政府が持っておりました馬でんを三万一千トンほど入札でおろしまして、計大体百二十万トンというふうになっております。
 その需要面は、前年とほぼ同様でございまして、大体水あめあるいはブドウ糖に約六十万九千トン、それから、いわゆる水産練り製品と申しますか、かまぼこ等に約十万二千トン、それから繊維等ののりのほうに十四万四千トン、それから加工でん粉として九万四千トン、ビールに約五万トン、それからグルタミン酸ソーダに約七万トン、そのほか食料その他に十三万一千トンで百二十万トン、こういうふうな計算になっております。
 次に、四十二イモ年度、いわゆるこの十月から始まりまして来年九月までの見通しでございますが、これにつきましては、統計調査部のほうからことしの生産統計と申しますか、それを全部いただいておりませんので、確たることはこの席でまだ申し上げにくいのでございますが、北海道のほうの馬でんはおおむねいまのところ二十万トン前後ではなかろうか。それからカンショでん粉につきましては、九月の十五日になりませんと作柄概況の公表がございませんので、ほんとうの話つかみみたいなことになるのでございますが、まあわれわれの気持ちといたしましては、多少面積は減ってはおりますけれども、作柄が、特にカンでん地帯の南九州の作柄が比較的いいと思われますので、おおむね五十四万トンという数字を申し上げていいかどうかわかりませんが、大体昨年程度ではなかろうか、こういうふうに思っております。
 また需要量といたしましては、おおむね年率五%前後の需要の伸びがある、こう見ておりますので、百二十五、六万トンから場合によっては、景気の見通しいかんでは百三十万トンくらいいくのじゃなかろうか。そうしますと、約五、六十万トン前後のでん粉が不足するんではなかろうか、こういうふうに見ておるような次第でございます。
#33
○兒玉委員 正確な数字を把握してないかと思うのですけれども、カンでんのほうの作況状況といいますか、作付面積あるいは収穫の予想というのは全然わからぬのかどうか。いまの部長の御答弁によりますと、約五、六万トン程度の需要増があるということを言われましたが、作況との関係はどういうように把握されているのか、それは大まかな概況でもけっこうでございますが、どういうように把握されておるのかお伺いしておきます。
#34
○雑賀説明員 お答えいたします。
 まだ調査中でございますのでよくわかりませんけれども、量的にははっきりいたしません。ただ、七月の中下旬以降ずっと干ばつが続いておりまして、かなり干害が出ておるようでございます。目下も進行中であります。特に九州の熊本それから宮崎、鹿児島はまだ情報は入っておりませんが、大分など九州全般にわたって干ばつが続いておる、だからかなり被害が出るのではないか、こういうふうに考えております。
#35
○兒玉委員 第二部長にお伺いしたいのでありますが、すでに先般関東地区のカンショ生産関係者の大会があって、私の手元にも要請がありましたが、農安法に示されている基準価格の公示時期ということについてです。関東地区におきましてはすでに相当数の出荷があってから価格がきまる。昨年農安法が改正されまして、十日間繰り上げて十月二十日に公示されることになったわけですけれども、関東地区の生産農民の要望というのは、少なくとも九月末までに何らかの方法で価格の公示をしてほしい、こういう相当積極的な要請がなされておるわけでございますが、少なくともこういうふうな生産農民の要望にこたえるために、昨年度よりもやはり公示の時期を繰り上げてやるべきではないか、こういう感を深くするわけですが、この辺どういうふうなお考えを持っておるのか、お聞かせをいただきたい。
#36
○荒勝説明員 昨年農安法が先生方の御提案で国会で議論されました際にも、極力早くやるようにという御趣旨もございましたし、われわれといたしましてもその趣旨を体しまして、できるだけ早い機会にこの価格決定の作業をいたしたいとは思っておりますが、御存じのようにカンショの予想収穫高が、九月二十日現在で統計調査部のほうで調査されまして、十月五日にならないとほんとうの作柄が出てこない。その前に、先ほどもちょっと触れましたように、カンショについて作柄概況というものはこの九月十五日ごろに発表されますが、概況だけで作況を立てまして価格決定するのもどうかなという感じもいたしておりますので、できるだけ数字の整いましたところでこうなりますと、場合によっては十月の五日ごろの数字を待ってというふうになるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#37
○兒玉委員 この点は、作況状況の把握が具体的にできないので御無理もないと思うのですが、来月九日ですかまた委員会もございますので、その際、かなり具体的な御答弁ができるように準備をしていただきたいということを要望申し上げます。
 次に、現在でん紛業界が一番考え、生産農民が懸念しているのは、コンスターチの生産関係でございますが、御承知のとおり、カンでんの供給量は絶対数が足らない。こういうことでもって、コンスターチ業界から食糧庁にも、相当働きかけが積極的になっておるのじゃないかと思うのですが、現在の関税定率によるところの第一次関税一〇%、第二次関税の二五%、このいま食糧庁が考えておるところの第一次、第二次、それぞれの適用を受ける生産数量というのはどういう程度に把握され、また、去年からことしに続いてカンでんの供給が足らぬし、馬でんも昨年は不足だったという点等から、かなりコンスの生産量が拡大されるということが、私は非常に懸念されるわけですけれども、この辺はどういうふうに把握をされ、現在食糧庁に対する要請はどの程度の数量が要請されているのか、この点おわかりでしたらひとつお聞かせをいただきます。
#38
○荒勝説明員 先ほど御説明いたしましたように、四十二年度の総需要量は百二十六万から百三十万トン前後じゃなかろうか、こう見ておりますが、そのうち国産の分が、先ほど申し上げましたように端的にまだわかっておりませんので、コンスを来年どのようにするかというようなことを、まだ十分実際的に数字は確定的には詰めておらないのでございますが、いずれにいたしましても大体五十万トンから六十万トン前後のでん粉が不足するということになりますと、それはそれなりに補っていかなければならないのじゃないか。そういたしますと、先ほど答弁いたしましたように小麦粉系統からできるでん粉は、おおむね八万四千トン程度で、四十一年度と同様というふうにわれわれは見ておりますが、結局、昨年も輸入でん粉としてタピオカとかヨーロッパからバレイショでん粉を入れましたので、ほぼその前後程度のでん粉は、いろいろな事情で入れざるを得ないと見ております。結局、逆算的に申しますと、あるいは四十万トン前後コンスターチによって供給しなければならないのではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
#39
○兒玉委員 それで、四十万トン前後という概数は申されましたが、その場合、例の一〇%関税と二五%関税の割合は大体どういうふうに――現在、二五%の適用は制限はないわけですね。大体両方のうちで、一〇%の適用を受けるのがどの程度か、その辺わかりませんか。
#40
○荒勝説明員 実は、四十二年度以前の四十一年度の問題としてでございますが、われわれのほうで一次割り当てをいたしておりますいわゆる一〇%の関税の分につきましては、政府が直接的に相当業界を指導いたしておりますので、数字も非常にはっきりわかる。ところが、自由に入ってきますいわゆる二五%の、タリフクォータ外の自由輸入品といいますか、二五%の関税のかかった分は、現在のところわれわれといたしましても十分に掌握しておりませんが、四十一年度の、これはほんとうに十分統計をとっておりませんので申し上げにくいのですが、大体四十一年度は三、四万トン前後の、いわゆる俗称――こういう席で申し上げるのはどうかと思いますが、われわれの間ではベトコンと言っているのですが、四万トン前後のそういう二五%の関税のものが流通しておりまして、最近、そういう新しく二五%の関税がかかってもやっていける。と申しますのは、最近外国のトウモロコシが比較的世界的に豊作を伝えられておりまして、価格が低落しておるものでございますので、少し関税をかけても、日本へ持ってきてコンスターチにすれば採算が合うというので、小さなあめ屋さんが、自分でコンスターチをおつくりになる方がふえつつありますので、あるいはことしは、推定ばかりでございますのではっきりしたことを申し上げかねますが、あるいは十万トン近くいくかとも思っておる次第でございます。
#41
○兒玉委員 この点も、また後日の委員会でもう少し突っ込んで聞きたいと思うのです。
 次に、価格算定でありますけれども、とにかくイモでん粉の価格を見ますと、農安法が制定されました昭和二十八年ですか、当時三十七・五キロで千七百七十円であったわけです。これは歩どまり二〇%です。ところが、それから十何年経過しました昭和四十一年の場合においても、価格はわずかに千八百七十円、百円しか上がってないわけです。しかも、歩どまり二四%から算定するならば、ほとんど十数年の間イモ価格というものは据え置きの状態に置かれておる。こういう点等から考え、またさらに今後カンでんの需要が増加するという点から考えますならば、もう少し価格政策について根本的な改革をする必要があるのではないか。米の場合は、昭和三十年に一万二百五十九円であったものが、本年度は一万九千五百二十一円と、実に五〇%近い値上がりを示しておるわけです。
 そういう点等からも、この点さらに次の委員会等でいろいろと御討議したいと思うわけですけれども、そういう状況等から判断しまして、どうしても問題になりますのは、国内のでん粉に対する強敵といわれますコンスターチとの関係であります。現在このコンスターチの生産コストといいますか、カンでんとの関連におきまして、一次関税の場合と二次関税の場合において、大体どの程度のコストになっておるのか、この点お聞かせをいただきます。
#42
○荒勝説明員 お答えいたします。
 大体われわれのほうでつかんでおりますコンスターチメーカーの分で計算いたしますと、これも非常に大きい、いわゆる巨大な産業から、比較的小さな中小企業の方までおられまして、はっきりしたことも申し上げかねますけれども、おおむね加工費としましては、原料トウモロコシの一トン当たりの加工費だけだと、大体安いところで一万二千円ぐらいから高いところで一万五千円であります。もっとも操業度によってだいぶん違ってくるのであります、こういう装置産業でありますので。それで、最近大体六十七ドル前後の原料トウモロコシがCIF価格で入ってきておりますので、一〇%の関税をかけますと、製品価格にいたしますと、大体四万七千か八千円の間ぐらいというふうに見ておるような次第でございます。それに対しまして、いわゆる二五%の関税の分について、これまたピンからキリまでございますが、おおむね五万三千円ちょっとというところであります。いわゆる六十七ドルのトウモロコシを前提としての話でございますが、そのくらいになるのではなかろうか、こう申し上げたいと思います。
#43
○兒玉委員 そこで一番問題にしたいのは、現在のイモ価格の推移というものを見ておりましても、先ほど申し上げましたとおり、ここ十数年の間にほとんど、十貫当たり百円程度しか値上がりしてない。しかも、労賃にしてもあるいはでん粉の加工にしましても、諸物価の値上がりによって、とうていこれでは採算がとれない。そのしわ寄せば常に生産農民にきておる。しかも、カンショ生産地帯というのは、これ以外に自由に転換のきかないような宿命的な立場にも置かれておる。こういう農民が全国に四百万近くおるわけであります。この点から考えますと、どうしてもコンスとの価格差というのが常に対象となって、でん粉価格の引き上げを抑制しておるというふうな結果になるわけであります。
 そういう点等から、国内における生産農民を保護するという立場からも、特に無制限に放出されようとしておる二次関税については、やはり引き上げ等についても、この際検討してもいい段階にあるのではないかというふうに考えるわけでございます。特に国内のでん粉価格を維持する立場からも、あるいはまた現在の作付反別についても、減反の一途にあるカンショ生産農民の立場というものを十分考慮するならば、やはりコンスの無制限に生産できる第二次関税定率というものを検討する段階に来ておると思うのですが、この辺どういうような情勢になっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#44
○荒勝説明員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、実際問題といたしまして、政府がきめておりますいわゆる基準価格といいますか、でん粉のほうは去年も少し上げたのでございますが、実際のでん粉市場は非常な高値になりまして、場合によっては、われわれのほうの見ております二次加工のブドウ糖のメーカー等からの価格から逆算いたしますと、あるいはむしろ高い場合がありまして、二次加工を経ないとでん粉というものは消費形態にならないものですから、いろいろ苦慮しておるのでございますが、その一環といたしまして、去年から多少本格的に実行しておるのでございますが、一次関税の安いコンスターチと国内産の高い――高いと言っては失礼でございますが、国産のいわゆるカンショでん粉とを抱き合わせて調製して、主として全敗連を通じて販売いたしまして、いわゆる四十一年産のイモでん粉、カンでんにつきましては、約十万五千トンのカンでんをコンスターチと抱き合わせいたしまして、全国のそれぞれの二次加工メーカーのブドウ糖、あるいはコーンシラップメーカー、あるいはグルソーメーカー、こういった方々に引き取ってもらいまして、いわゆる高いものと安いものとで調製することによって、市場流通を何とか持っていったような次第でございます。
 それで、ことしも当然に、先ほど申しましたように五、六十万トン前後のでん粉が不足いたしますので、われわれといたしましても去年実行いたしまして成功したやり方をことし少し拡大しないと、農家の方々に非常に迷惑を及ぼすことになるのではないかというような感じがしておりますので、安い関税率のもので入れたコンスと国産のイモでん粉、カンでんとをプールいたしまして、ブドウ糖なりあめメーカーに引き取らせていくように、相当大規模に――大規模と言いますか、従来よりも密度を厚くしてといいますか、きめのこまかい実施をしようかなというふうに思っているようなところでございます。
 しかして、そのほかの二次関税のほうの二五%の分につきましては、当時これは関税定率法を議員修正というかっこうで、国会のほうでそういうふうに提案されたようなかっこうになっておりますが、いわゆる二五%の関税というものは、当時の考え方といたしましては禁止関税にひとしいものであったというふうにわれわれは理解しておるのでございます。現在でも穀物につきましての二五%の関税というものは、やはり高率関税でございまして、依然として禁止関税的性格が非常に強いのであります。これにつきまして、われわれ政府側といたしまして、いまの段階におきましては、ジュネーブで開かれますガットの問題等もからみまして、この二五%の関税をさらに引き上げるというふうな考え方は、現在の段階では持ち合わせていないという考え方でございます。
#45
○兒玉委員 まだあといろいろ聞きたいのですが、時間の関係もあるようでございますので、あと一点だけにしぼって御質問しますが、先ほど部長も言われたとおり、現在のでん粉の実勢価格というのは、大体二千三百円前後ではないかと思うのです。政府の出しました基準価格は千八百七十円で、現実に四百円以上の価格差を生じているわけですが、こういうふうないびつな状況といいますか、実勢価格とこのような差がありますということは、食糧庁の価格算定なり、その辺がどうも私はぴんとこないわけですけれども、なぜこういうふうに基準価格と実勢価格との間に開きが生じているのか。この点、今年度の価格算定についても十分検討を要する課題ではなかろうかと私は思うのですが、この辺の状況について部長の御所見を承りたいと思います。
#46
○荒勝説明員 私たちの感じといたしましては、だんだん食生活が改善されてきておりますので、いわゆる高たん白、高カロリー、そしてより良質なでん粉食料と申しますか、そういったものがだんだん利用されてきておりますので、こういうでん粉の需要は、単なるブドウ糖あるいは水あめというだけでなくて、その用途は年々非常に拡大されてきているのではなかろうか。ましていわんや日本の国民所得の向上に伴いまして、消費人口が非常にふえてまいっておりますので、こういういわゆるでん粉食品、でん粉を原料としましたものが、単なるブドウ糖のみならずいろいろな方面に使われていく機会が非常に多い。にもかかわらず、国産のイモのほうは供給がやはり非常に逼迫しておりまして、実際問題としまして、政府がこういうことを申し上げるのはあるいは自画自賛かもわかりませんが、いわゆる外国産に依存する輸入でん粉の系統を多少押えぎみといいますか、多少需給逼迫ぎみなかっこうに置いているような実態で、あるいは自然と市場価格が上がっているのではなかろうか、こういうふうに想定している次第でございます。
#47
○兒玉委員 最後に一点だけ御質問いたしますが、これはやはり関税定率の問題で、穀物関係の関税をできるだけ引き下げろというような国際的な動向からしましても、特に南九州等におきましては、でん粉一本に依存する形態から脱却する時期にもきている。だから、現益の畜産農家等の大半が輸入飼料に依存しているわけでございますけれども、特にイモ等の場合においては、飼料作物としても、この際技術的な改善を加えて検討し得る段階にあるのではないか。この点、先般農林水産技術会議ですか、この事務局長にもお聞きしましたら、そういうことも真剣に検討しているというお話でありますけれども、これは直接第二部長の所管じゃないと思うのですけれども、そういう多面的なイモでん粉の消化ということ等について、いわゆる消費市場というものを拡大していく必要があるのではないかと思うのですが、この辺どういうふうな御見解をお持ちでしょうか、お聞きしたいと思うのであります。
#48
○荒勝説明員 先生の御指摘のように、えさのほうは私のほうでは所管いたしていませんので、あまりお答えできませんが、つけ足しますと、イモはやはり高度な食品で、しかもでん粉という形にいたしますと、貯蔵性も非常によくなります。実は、食糧庁が三年前に買いましたでん粉を払い下げしたのでございますが、業界のほうからも何らクレームもつかず、むしろ三年間ぐらい貯蔵しましても変質しないというのがでん粉の特色でございますので、こういったものを大いに奨励いたしてまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
 なお、いわゆるでん粉の需要につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる接着剤あるいは加工でん粉としまして、あらゆる方面に非常に伸びつつありますので、将来としては、イモでん粉が余って国内で消化しきれないというような事態はおよそあり得ない、こういうように思っておる次第でございます。
 なお、イモのかす等につきましては、飼料のほかにも、われわれ話を聞いているところでは、そのほかアルコール等にも十分に転用されて完全利用されておるように聞いておりますので、そういう線に沿いましてわれわれも十分検討してまいりたい、こう思っております。
#49
○赤路委員 ちょっと関連して一点だけ……。
 昨年のカンショの支持価格が三十四円、四十一年度のこの三十四円の支持価格のイモが、実際上の現地における取引は、今度鹿児島のほうを調べてみましたら、大体四十二円から四十三円、こういうところで現地取引が行なわれておる。そうすると、いま部長から話のあったようにコンスターチとの抱き合わせ、これが行なわれた結果によって大きな欠損はしていない。欠損したところを調べてみると、これは工場能力以下の原料イモしか入らなかったというところに欠損の原因がある。ことしの場合なおこれを拡大して、できればきめのこまかい施策を行ないたいというお話があった。ことしの支持価格はまだわかりません。おそらく十月の初めになるのじゃないかと思いますが、現にすでに一番掘りのイモが出ておるのです。これが価格が五十一円、二番手で四十七円です。これはもちろんでん粉にするわけでありません。製菓用であります。一番イモというより御祝儀的なものがあったと思います。しかし、しょうちゅう屋が買い始めましたのが五十円、実際上の現地価格がそういう状態にあることをやはりお考えおき願わないといけない。
 それから、毎年同じことを繰り返しておるわけでありますが、農民のほうからは高く買い、そしてでん粉業者は十分やっていける、しかも加工業者が納得し得るという三者ともに理解できる、納得できるような方法、これを当面ことしは考えなければいけないのじゃないか。ただ単なる経済的な自由な面だけに放置するのでなしに、かなりの高度な政治配慮が要ると思いますので、この点特にひとつ御配慮おきを願いたいと思うわけであります。私は答弁を求めるわけではありませんが、そういう現実にあるだけに、ことしのものは四十一年度よりもなお政治的な配慮を必要とする、こういうふうに思うので御希望申し上げる。それが一点。
 もう一つは、毎年同じことを繰り返しておるわけですが、これではどうにもなりません。したがって、農政上イモの作付、これに対するしっかりした筋を通す、もっと卒直に言いますと、コンスターチがだんだんだんだん伸びてきます。それから、いまお話がありましたようにベトコン、これがちょっと押えがききませんから、へたすると十万トンから二十万トンいく傾向もある。そういうようなふうで、これが圧迫するカンショへの、あるいはバレイショへの影響というものも、必然将来は考えていかなければならぬ。そういうふうに考えてまいりますと、思い切ってここでやはりイモ作農家が安心してイモ作に専心できる、こういうような方向を打ち出さざるを得ないのではないか。計画生産、これをやらざるを得ないのではないか。そうしてその上で、自然現象による豊凶というものは当然ありますから、その場合はコンスターチなりベトコンなりで補っていく。需要に見合う計画生産ということをこの際思い切って踏み切ってやりませんと、イモ作に対する安定感というものはない、毎年同じようなことを繰り返していくにすぎない、こういうふうに思いますので、ひとつ十分御検討おきを願いたい。
 希望だけ申し上げておきます。
#50
○仮谷委員長代理 次に、中野明君。
#51
○中野(明)委員 水産庁に最初にお尋ねいたしますけれども、バンダ海周辺の海域におけるカツオ・マグロ漁業の安全操業については、かねて私どもも関心を持って、去る五月にも質問いたしたわけでありますが、重ねて本日質問に移る前提としまして、まず、同方面におけるカツオ・マグロ漁業の価値並びに日本漁業のその方面の操業実績について長官にお尋ねしたい。
#52
○久宗説明員 御質問の海域におきます価値と申しますか、実績の問題でございますが、いろいろな見方があると思いますけれども、私どもといたしましては、拿捕が始まりました一九六〇年以前の段階での数字で申し上げますと、一九五九年、昭和三十四年の同水域におきますわが国のマグロ漁船の進出状況でございますが、前にたしか御報告したことがあると思いますが、出漁漁船といたしましては約七百五十隻、漁獲量といたしましては約一万三千トン程度であったと推定されるわけであります。一九六〇年以降、漁船の拿捕が生じまして、操業も思うにまかせないということになりまして、その結果、年によって若干違いますけれども、ある年は一万三千トン近くとった年もございますけれども、おおむねその後の状況を見ておりますと、五千トンないし六千トン程度にとどまっておるわけでございます。したがいまして、もし安全操業が確保できるということでございますれば、一九五九年の段階の数字程度のものが一応推定されるというふうに考えております。
#53
○中野(明)委員 いまお話の中に少し出てまいりましたが、わが国の漁船がこの海域で不当に拿捕されている、そういう事件が毎年重なってきたわけですが、大体いつごろからこういう不当拿捕事件が始まったのか、またそのおもな理由、どういう理由で向こうは拿捕しているのか、そのことについて……。
#54
○久宗説明員 さっきちょっと申し上げましたように、拿捕は三十五年から始まっておりまして、年別の件数をざっと申し上げますと、三十五年が三件、三十六年二件、三十七年三件、三十八年四件、四十年三件、四十一年四件、計十九件あるわけでございます。
 これのおもな理由でございますけれども、これは先方でそう判定した理由でございますが、ほぼ五つのカテゴリーに分かれるわけでございまして、一つは内水での操業、これが一番多いわけであります。第二が領海侵犯、第三が封鎖水域航行、四が緊急入域に必要な現地連絡を行なわなかったこと、五といたしまして海賊密輸の疑いということになっているわけでございます。あとから申し上げることになると思いますが、これがおもな理由になっておりますけれども、主たるものは、無害航行との関連におきまして、漁具を梱包しておったかしてないかといったことが、実は大部分の問題になっておるわけでございます。
#55
○中野(明)委員 いま三十五年ごろからとおっしゃっておりますが、いろいろと過去の状況を調べてみますと、昭和三十年くらいからそういうことが行なわれておるようなんですが、その点どうでしょう。
#56
○久宗説明員 それは前もって、インドネシア側におきまして内水宣言をいつごろいたしまして、その後どういう経過であったかということを、若干詳しく申し上げておきましたほうがよろしいかと思いますので、御質問と関連いたしまして、そのほうから申し上げます。
 御承知のとおり同水域におきましては、いまいろいろ問題があるわけでありますが、一番最初に出ましたのは昭和三十二年の十二月でございまして、インドネシアの閣議におきまして、同水域の内水及び領海を決定いたしまして、これを宣言いたしたわけでございます。それから続きまして、昭和三十五年の二月十八日に、インドネシア水域に関する一九六〇年緊急政令第四号によりまして、そういうものを制定、施行したわけでございます。その前の宣言の国内法的な体制をそのときにきめたということでございます。このことによりまして、御承知と思いますが、同国の最外端の島嶼を結ぶ基線を公示いたしまして、この内側の水域を内水としまして、内水の外側にはさらに十二海里まで領海という定義をいたしました。そして内水中における無害通航は承認するということを宣言したわけでございます。この無害通航につきましては、ただし政令によりまして規制するということが明らかにされております。
 それからさらに進みまして、昭和三十七年の七月二十八日に同国政府は、インドネシア水域におきます外国船舶の平和航行に関する一九六二年の政令第八号というものを制定いたしまして、これが非常に具体的なものでございますが、三つの内容がございまして、この最初の一九六〇年の緊急政令第四号の施行前に、公海または異国の領海を構成していたインドネシアの内水における外国船舶の平和航行は保障する、しかし、この規定は、入り口の幅が二十四海里未満の湾、入り江及び河口には適用しないというのが一つの問題でございます。さらに、一番この拿捕と関連いたします問題は二でございまして、公海から公海へ航行する際に、インドネシアの領海及び内水において停泊中、またはこれらを横断中の外国漁船は、その漁具を船倉に梱包して、格納しておらなければならないという問題を出したわけでございます。これがカツオ・マグロの場合一番問題になる規定でございます。三といたしまして、外国漁船はその二で申しております。航行中は大臣、海軍司令官が定めた航路、または将来定める航路に従って航行しなければならないと、路線の指定があるわけであります。
 そのようなものを含めまして、かような宣言をいたしたわけでありまして、これは後刻外務省のほうからお答えがあると思いますが、これらに対しまして、わがほうといたしましては、この内水宣言そのものが根本的に認められないのでございますので、さような旨を申し述べますと同時に、日本国民がこうむることのあるべきすべての損害を請求する権利を留保する旨、インドネシア政府に申し入れたわけでございます。この申し入れば、昭和三十三年の一月及び四十年の五月にいたしました。そして現在に至っておるわけであります。
 先ほどのお尋ねでございますが、実際にさような意味で向こうの国内法が制定されまして、それによって拿捕されましたものは、三十五年以降先ほど申しましたような件数がつかまっておるわけであります。
#57
○中野(明)委員 本年になりましては、最近沖繩の船舶を除いて、そういう事件が起こっておらないのでありますけれども、それらの状態を調べてみますと、結局、いま交渉の過程にあるということを考慮して、その方面での操業を各県におきまして、業者が自粛しておるということがおもな理由のように感じられるわけであります。行っていないから当然つかまらないわけです。特に、拿捕の内容を見てまいりますと、政権がスカルノ政権より移ってから、スハルトの代になってから、内容が前よりも非常に過酷になってきたような感じを受けておるわけであります。
 特に顕著な例といたしましては、第二黒潮丸のごとき例を見ますと、百九日間も抑留されておる。しかも、その間の食糧代として九十九万数千円、約百万円の食糧代を徴収されておる。そういうことになりますと、実際に直接受けた船主並びに船員の被害というものを計算しますと、黒潮丸の場合約九百万円くらいが直接の被害になっておるのではないか。そういうふうな状態で、わが国としては一切そういう向こうの言い分を認めておらないという段階で、注意しては行っているのでしょうけれども、いま言ったような漁具の格納方法の相違、そういうような程度のことから、不当に拿捕され、そして百九日も抑留され、その上に食糧代も取られる、そういうことになって、家族の人の三カ月になんなんとする間の不安と心配、また損失、こういうことを考えると、非常にかわいそうな気がするわけであります。
 これはもう七年以上も経過しておるわけでありますから、早晩解決の方向に持っていかなければいけないというのは、関係業者の真実の願いでありまして、そういう点について、過日倉石大臣に私が質問しましたときも、経済的な援助も与えておることだし、早晩わが国の希望は達せられるというような旨の答弁があったわけであります。すなわち、当時の議事録を見ますと、「インドネシアとわが国とは特殊な友好の関係を特に最近は持ってまいりました。経済的にも御存じのように、とりわけわが国が援助をいたしておるような次第であります。相手方は、御承知のように政局が混乱いたしておりましたが、大体において安定をしておる。かたがた、いろいろな意味においてこれからわが国の援助を求めることが非常に多い立場にあるわけでありますからして、お説のように、わが国との外交ルートにおいては将来こういうことのないように至急取り組みをいたしたい、そういう方針で努力をいたしてまいっておりますが、私は、わが国の希望は達せられるものではないか、また、達成させなければいけない、」このように思っておるという答弁をしておられるわけでありまして、そのことについて、一応水産庁長官として解決策をどう考えておられるか、そこのところをお聞きしたい。
#58
○久宗説明員 大筋の考え方につきましては、五月の段階で、本委員会で大臣から申し上げたようなことでございますが、インドネシアで内水宣言が行なわれまして拿捕が始まったいろいろな一連の経緯、相当長くここに時間がたっておるわけでありますが、私ども、この問題は的確に処理できませんで、非常に時間が遷延しておりますことを遺憾に思っておるわけでございます。今後の交渉の問題もございますので、この種の問題の性質について、水産庁がどう考えておりますか、若干申し上げておいたほうがよろしいかと思います。
 御承知のとおり、同水域は、非常に問題の多い水域でございますが、私どもの関係から申せば、これはもちろん漁業問題でございますけれども、御承知のとおり、先方の内水宣言につきましては、単に漁業のみならず、当地におきまする治安ないし軍事的なものすべてが含まれて、あの段階であのような相当広大な内水宣言が行なわれたものと思うわけであります。両者の意図が、つくられましたものとこちらの問題というのは、いわば少し食い違っておるわけであります。したがいまして、これをいわゆる漁業問題といたしまして、国際法規そのものについての論議をいたしますと、実は相当行き違いと申しますか、それぞれ法律的にはなかなか譲りがたい問題が双方にあるわけでございます。さようなこともございまして、時間が非常に遷延したわけであります。
 この前大臣からも申し上げましたように、インドネシアにおきましても政権の交代があり、そしてあらためて国づくりの問題が中心になって動いてまいるといたしますと、もう少し経済的な問題を含めまして総合的に取り扱う可能性がほの見えてまいったと思うわけでございまして、年初以来、私どもも外務省とよく御相談しながら、いかにこの問題に対処すべきか、特に環境が非常に変わってきているという考え方で、主として経済協力との関連におきまして、総合的な友好関係の中でこの問題が処理されることが望ましかろうということで、大臣が本委員会でお答えいたしました前後から、外務省のほうにもさような考え方を申し述べまして、この七月の段階から、外交ルートを通じまして一連の提案をし、先方の意向を確かめつつ問題を詰めておるわけでございます。その詳細につきましては、外務省のほうからお答えいただいたほうが適当だと思うのでございます。
 いずれにいたしましても、過去数カ年の経緯とは若干場面が違っておりまして、解決のめどのつく可能性が出てきたというふうに考えますので、この機会に本格的な何らかの取りきめに達したい、またさようなことによりまして、法的な形式の問題にあまりこだわることなく、実際的な処理ができれば最もよろしいのではないかというふうに考えておるわけであります。
#59
○中野(明)委員 それで、この機会にもう一点だけ申し上げておきますが、そのように、漁民として経済的にも精神的にも非常に大きな影響を受けております。その人たちに対して水産庁としても、何かの形で漁民を守る、そういう意味からも、今後、経済的な問題についての援助といいますか、そういうことについては一応考慮に入れておいていただきたい、そのように考えるわけであります。まだ外交が七カ年にわたってもたもたして、なかなか折衝がうまくいってない、その途中におけるいわば犠牲のようなものでありまして、これについては何らかの形で一応漁民を保護する、そういう考え方で、水産庁のほうとしても配慮が望ましい、私どもはそのように考えておりますので、これは善処をしていただきたい、このように考えます。答弁のほうはけっこうだと思いますが、漁民の人たちがその点で非常に大きな不安も持ち、経済的にも圧迫を受けておるということでございますので、その辺を考えていただきたい、そのように思います。
 それから、外務省においで願いましたのでお尋ねいたしますが、いま申し上げておりますこの不当拿捕のインドネシアとの折衝についてでございますけれども、過日の、いま私が問題にしております黒潮丸拿捕当時には、外務大臣もアジア局長もたしか現地に行っておられたように聞いております。ところが、そういう時点においてもなかなか話し合いがはかばかしく進展しない。まあお話になったのかならないのか、それは存じませんが、ちょうどあちらに行っておられるときにこの拿捕があったということで、外務大臣が向こうに行っておられるのだから、何とかいい話がつくのではないかというふうに期待を持っておったようでありますが、はかばかしくいっていなかったということで、外交的に外務省のほうが非常に消極的でないかしらという感じを一般漁民も持っておるわけであります。
 それで、今回は特に、御承知のとおり佐藤総理が東南アジアをずっと、ちょうど十月の初旬から中旬にかけて訪問されて、インドネシアにも行かれるようなことで、関係漁民というものは、その総理の外遊の結果、この問題が一挙に解決することを特に願っておるわけであります。その辺について、過去にニュージーランドと漁業交渉の協約が成立した例もありますが、外務省として――相当大きな、過去七年にわたる漁民の不安であります。同時に、わが国の水産業の、特に世界のカツオ・マグロ漁でいえば日本が第一位を占めておる、そういうふうな重要な産業、これを保護し育成するためにも、早急にこの解決が望まれるわけであります。その点についての外務省の解決策、方針というものをこの際明らかにしていただきたい、このように思うわけであります。
#60
○吉良説明員 お答えいたします。
 この問題につきましての基本的な認識の点につきましては、外務省も水産庁も全く同じでございまして、何とかしてこの問題は早期に解決しなければならない。しかしながら法的な問題につきましては、すでに水産庁長官からも御指摘のとおり、なかなか双方の立場というものは早急に調整できるものではない。国際司法裁判所に持っていくというふうな手もございますけれども、それにしてもいつ解決するかわからない、長期の問題になるであろうということで、法的な問題はたな上げにいたしまして、現実的に具体的な解決をはかろうということで、水産庁とも御相談いたしましてやっておるわけでございます。
 スカルノ時代とスハルト時代の比較がございましたが、スカルノ政権時代には、漁船がつかまりましたらそのつどそのつどの外交折衝をやりまして、大使がスカルノ大統領に頼むということで、外交折衝を通じましてそのつど釈放を求めておりました。現在まだ抜本的な解決策のない現状におきまして、スハルト時代になりましても、やはり外交折衝を通じてそのつどの釈放を強くやっておる現状でございますが、そのつどそのつどこういうことをやることはどうにもいかぬという認識に基づきまして、この際抜本的な解決をやろうじゃないかということで、具体的な案を水産庁と御相談して作成いたしまして、七月の半ばには西山駐インドネシア大使からインドネシア政府に申し入れをいたしました。
 インドネシア側におきましては、関係各省、特に海事省というものがありまして、これが漁業を専管している。海事省が中心になりまして、外務省、海軍省、この関係省がわがほうの提案を目下検討中のようでございます。もっとも、七月半ばに提案してまだ返事はございませんですが、やはり問題の重要性にかんがみまして、ごく最近でございますが、九月六日には再びわがほうから西山大使のほうに、インドネシアのほうではせっかく検討してくれておると思うけれども、さらにインドネシア側に、本件の解決促進のためにインドネシア側の検討を進めてくれるようにという申し入れをいたしております。
 さらに、総理の御訪問も、先ほど御指摘のように近づいておりますので、われわれ事務当局といたしましては、でき得れば総理の御訪問前にこの問題は解決したい、そういう腹がまえで進めております。インドネシア側のほうでもいろいろな省の関係しておることでございますので、もし総理大臣がインドネシア御訪問になるまでに解決しないようなことでございましたら、総理のほうからも、スハルト大統領代理などに会われるときに、この問題の重要性を先方に指摘して、なるべく早く双方が満足するような解決方法を見出すように、スハルト大統領代理にも頼んでいただく、こんなふうに考えておりますが、できれば総理御訪問前にひとつ何とか解決の方途を見出したいと思ってやっておる次第でございます。
 簡単でございますが、お答え申し上げます。
#61
○中野(明)委員 この問題につきましては、民間におきましても、インドネシア・フィリピン海域かつおまぐろ漁業安全操業確保期成同盟会というものがつくられまして、非常に大きな要望になってまいっております。それらが一応協調してその方面における出漁の自粛もやっておる状態でありますが、これとても、非常に有望な漁場である以上は、いつまでもこの自粛が続くわけではないと私どもも見ております。なるほど、自粛をしろと言っても、何隻かは抜けてでも行くのじゃないか、そうすると、また再びみんなが心配しなきゃならない拿捕事件が続発してくる。そういうことを私どもも懸念しているわけでありまして、特にこの外交問題につきましては、東洋におけるわが国の指導的立場から考えましても、いわば後進国といわれるこのような国がかって気ままなことをしている。それを七年間も何ら進展を見ずに、無放任のような状態になっているということについては、一応歯がゆく思っている人も少なくないと思います。それで、ちょうど今度総理もそちらのほうに行かれる絶好の機会ですから、一つのチャンスというものはつかまえなきゃいけないと思いますので、関係漁民もそのことを特に願っておるきょう今日でありますので、外務省当局でもそういう点について、安心して操業できるような解決の方向に持っていってもらいたい。
 ただ、ここで、一部にそういう声もあるのですが、政府と民間団体とが一体になって早期解決をはかるというようなことが考えられないかという、そういう動きもあるように聞いておりますが、この点について、外務省並びに水産庁長官に御見解をお尋ねしておきたい、このように思うわけです。
#62
○吉良説明員 この問題につきましては、主管の水産庁長官からそのお立場で詳しく御説明があるかと思いますが、われわれ外務省といたしましては、本来が日本の民間の漁船の拿捕事件でございますので、その解決をいかにするかということで政府間交渉をやろうということでございますので、交渉をやりながらも、やはりいつも民間の立場を考えて、政府は民間と一心同体であるという気持ちでやっておるわけでございます。解決方法につきましても、政府間でやれることは政府間でやり、民間にまかしたほうがいい細目のものは、民間にまかしたほうがいい場面も考えられますので、政府間交渉を通じましてもその段階、段階に応じまして、水産庁を通じまして民間の御意向もよくくんでやっていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
#63
○久宗説明員 私どもも、いまの外務省の見解と全く同一でございまして、さような趣旨で対処いたしたいと考えております。
#64
○中野(明)委員 もう一点。ニュージーランド水域問題で、結局、日本が十二海里を認めたことによって解決しているようなんです。今度のインドネシアの場合に、そういう前例もあることですから、外務省と水産庁は、この十二海里を認めるかどうかということについてどうお考えになっておるか、それだけ伺っておきます。
#65
○久宗説明員 先ほどちょっと外務省からも、御説明の中でそれに触れておったように思うわけですが、いわゆる十二海里問題は、法律問題にあまりこだわってやる性質の案件ではないという感じを持っておるわけでございまして、こういう交渉を持てるような段階になってまいりました背景から考えましても、もっときわめて実際的な取りきめが望ましいのではないかというふうに考えております。
#66
○中野(明)委員 それで、先ほどからの答弁で、大体総理の外遊を前にして、話がいいところまで煮詰まってきた、そういうふうな感じを私も受けたわけです。非常に希望を持った次第でありますが、今後ともこの問題について誠心誠意骨を折っていただいて、一日早く関係漁民が安心して操業できるように骨を折っていただきたい、このことを要望いたします。
 なおもう一点は、先ほど長官からお話がありましたが、漁具の格納の方法でございますが、これにつきましても、やはりインドネシアの側とずいぶん考え方の相違があるように思います。そういう点も外交ルートを通して、特に日本の漁具の格納のしかたはこうなんだということを理解させる、認識させるということも大切じゃないか。ただ通っただけで、漁具の格納のしかたで、これはおかしいというわけでつかまったりしているような例もあるようでございますので、そういう点もあわせてこの際一挙に懸案している問題を解決して、安全操業ができるように持っていっていただくことを要望いたしまして、きょうの私の質問を終わりたいと思います。
#67
○赤路委員 いまの長官の答弁に、ちょっとひっかかるものがあるので関連して……。
 国際海洋法の四十四条がもうすでに発効しておる。この事実は無視するわけにいかぬ。いまのような水産庁、外務省を含む政府当局の消極的な国際漁業に対するやり方では、こういう問題はあとを断たぬと思うのです。なお、後進国側が海洋に対して非常な関心を持ってきておる、この事実は無視するわけにいかぬ。したがって、国際海洋法というものが何といっても中心になってくる。そういうような根本的な面を無視して消極的な態度をとっておれば、私はこういう問題は次から次へ出てくると思う。この点は長官のほうでも十分お考え願って、外務省のほうでも十分考えていただきたい。
 もう一点は、私はちょっといまのに関連してお聞きしますが、韓国の南部西海岸ですね、共同規制水域の中で米軍のミサイル演習があるのですが、それの交渉の結果どういう経緯になっておるのですか、それをちょっとお知らせ願いたい。わかりますか。
#68
○吉良説明員 私の承知している範囲でお答えいたします。
 いまミサイル演習と申されましたが、このミサイル演習は、米軍のミサイル演習でございますか、実はごく最近まではよくわからなかったわけでございます。われわれがわかっておりましたのは、韓国の海軍がよく済州島沖で演習をやりますので、その至近弾が日本の漁船に落ちるような事件がありまして、それじゃあぶないということで韓国に申し入れをいたしました結果、韓国海軍の射撃演習につきましては、外交ルートを通じまして、一部始終事前に通報を受ける仕組みになっておりまして、この点は安心しておったわけでございますが、ちょっと正確な日付は忘れましたが、約一カ月前に、一カ月にもならぬかもしれませんが、米軍がミサイル演習をやっているということが、ある日ラジオ放送を通じてわかったわけでございます。これは韓国政府がやるというのじゃなくて、米軍でございますから、韓国政府には一応申し入ればいたしましたけれども、片や在京アメリカ大使館にも申し入れいたしまして、やはりあの海域は、日本の漁船のみならず商船等も非常に往来のひんぱんなところと想像されるので、無警告にというか、先方はラジオを通じて、国際慣行に従ってやっておったのだとは申しますけれども、それでは徹底しないおそれがある、不測の事故が発生すると困るから、ぜひ米軍の演習といえどもしかるべく外交ルートを通じて、韓国にあるアメリカ大使館からわがほう大使館、わがほうの大使館から本省にというルートでもよし、また東京のアメリカ大使館から外務省でもよし、いずれの方法にしても、外交ルートによって事前に的確に通報していただきたいという申し入れをいたしましたところ、大体そのラインで了承しているようでございますので、今後米軍のその種ミサイルの演習のみならず、米軍そのものの射撃演習につきましては、われわれ事前に通報を得るものと確信しております。
#69
○赤路委員 もう一点お尋ねしますが、それは交渉の結果、演習するときは事前通報をする、こういうことですか。
#70
○吉良説明員 さようでございます。
#71
○赤路委員 外務省が八月二十四日に発表したものによると、八月十八日から十二月二十三日まで毎金曜日行なう、こういうことを発表しておりますね。これは外務省発表です。そうすると、事前通報というのはこれは何ですか。毎金曜日にやるということをすでに外務省が発表しておる。そこらのところがちょっと食い違いがある。
#72
○吉良説明員 実は、それがつまりわれわれが驚いた原因なんでございまして、十八日からやるということを二十四日に発表せざるを得なかった。それまでつまり通報のルートがなかったわけでございます。それで、われわれはそういうことをやっているのを聞きまして、おそまきながら二十四日に発表したわけでございまして、今後はそういうことがないようにアメリカ側にも申し入れてございますので、御心配ないと思います。
#73
○赤路委員 水産庁のほうへは、この件について別段――以西底びきが中心だと思いますが、以西底びきの業者からは何とも言ってきませんか。
#74
○久宗説明員 その旨要望がございまして、私ども事実関係がつかめないのではなはだまごついたわけでございますが、いま外務省から御説明したような経緯がございまして、その内容を業界からもすぐ私どもにお話がございまして、直ちに外務省を通じて処置をとりますように外務省のほうに依頼したわけでございます。
#75
○赤路委員 北緯三十五度ですか六度ですか、東経百二十四度から百二十五度といえば、共同規制水域の中でもかなり漁獲のあるところです。日韓会談でも相当問題になったところです。そういう経緯がありますから、その後あまりこういう問題が表に出ていないで伏せられているようでありますが、何さま韓国に駐留する米軍の演習なんでありますけれども、だからといってほっておくわけにいきません。外務省のほうでも、水産庁のほうでも、その点についてはやはり最善の手を打ってもらいたい。このことを希望して終わります。
#76
○仮谷委員長代理 次会は、公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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