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1949/04/22 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会 第8号
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1949/04/22 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会 第8号

#1
第005回国会 内閣委員会 第8号
昭和二十四年四月二十二日(金曜日)
   午前十時四十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○証人喚問に関する件
○行政機構の改革に関する件
○連合委員会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開きます、お諮りをいたしたいことがあります。これは一昨日に委員会におきまして証人喚問に件を御決定願つたのであります。そこで決定された証人の中農林省関係の資材調整事務について石塚登君を証人として願うことに指名したのでありますが、ところがこの方が御病氣だそうで、從いまして吉田和君に代つて頂くことにしたいと思います。これは御異存ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(河井彌八君) 御異存ないものと認めて……。
   〔速記中止〕
#4
○委員長(河井彌八君) 速記を始め……。吉田総理大臣が御出席になりましたから、総理大臣から今度政府で行われまする行政機構の改革、これにつきまして政府のお考えになつておる根本の方針を承りたいと思います。
#5
○國務大臣(吉田茂君) 行政改革を思いついた考えのもとは、御承知の通り先ず第一に財政縮減のためであり、第二は行政の簡素化ということか狙いであり、第三には役人の道徳昂揚とでも言いますか、本來いろいろな問題がありますが、これを成るべくないようにしたい、この三つの点が主なる考え方なのであります。御承知の通り今の行政機構というものは、長年の間の役人の考え方の結晶であり、殊に戰爭中いろいろな役所が統制の結果あるのでありますが、いろいろな役所が殖えた戰後のおいても、統制の結果その他で行政機構は可なり大きくなつております。殊に総司令部等の希望によつてできた役所が沢山あります。例えば経済安定本部もその一つでありますし、或いは外務省について言えば、連絡調整事務局ですか、或いは最近には内閣にある連絡事務局、又特別調達廳というような向うの希望によつて必要上できた役所などもあり、國は小さくなつたにも拘わらず役人は殖える、外務省を例にとつて言えば、私が外務省に入つたときは、総員四百五十人であつたか三十人であつたか、世界を通じて外務省の機構というものは四百何十人でした。それが私が終戰直後外務大臣になつたときは約五千人でした、対外の者、派査も入れての話ですけれども、尤もこの殖え方は余り急激な殖え方ではなくて、約四十年間に四百五十人が五千人になつたということでありますから、外務省のごときは殖えない方ですが、例えば鉄道にして見ると戰前と思いますが、戰前に十九万人というのが今日は六十万人以上でしよう、というような急激な殖え方もある、それは一つは、復員軍人を復職せしめて、そうして復員軍人の軍籍に入つた者の補充として入れた者をそのまま殘しておつたということもあるのであります。いずれにしても、十九万人が六十何万人となつたというのが最も甚だしい例の一つであります。かくのごとくして人が多ければ多いだけ、手続は複雜になつて來ると、役人がいるために却つて事務が捗るというよりも、事務が複雜になる、一例を申すと、或人が豚小屋を拵えようと思つたところが、届書が二十七通も要るというような、実にばかげた話だというのは、これは実際の話で、役人が多ければ多いだれ規則が多くなり、手続が煩雜になる、人のために自然に仕事が殖える、これが逆に行けば、行政は簡素化され、而して役人の手当のごときも自然よくなつて行く、これはよその國に例になりますが、曾てイギリスの警察官の手当を調べたことがありますが、ロンドンで、普通の警察官の初給でしたが、初給が一週に二ポンド、いいところで四ポンドと記憶しておりますが、四ポンド何シリングということに記憶しておりますが、二ポンドの俸給は、先ず普通の勞働者よりも惡いでしよう、併しその代り、厚生設設というか、服装、靴、その他の手当とか、或いは宿舎とかいうようなものは相当にいい待遇をしておるのです。それから又退官後においての手当などは、恩給などは、日本の警察官などに比べて相当にいいのです。そこで一生樂に暮せる、警察官を二十年か、そこら勤めれば、後は非常に樂に暮せる、アメリカはこれに反して、恩給とか、何とかいう手当よりも、月給を余計にして、そうして退職手当とか、恩給という方は余り考えない、考えが少ないが、その代り俸給は、非常にいいらしい、各國おのおの違いますが、從來日本の俸給制度は、月給は成るべく安くして、そうして人を余計使う、厚生施設というか、宿舎、その他の設備なども甚だ惡いように思われます。それから又貧弱な俸給を恩給で以て補い、それで役人の間には金を貯めたり儲けたりするということはさせない、役人は政治に甘んずべきものだという氣持で、官吏一般の俸給制度ができておるのでありますが、これは生活の甚だ樂であつた昔はよいかも知れませんけれども、今日みたいに、殊にインフレーションで以て、諸物價が高くなつたという今日に、警察官或いはその他の役人の下級官吏の手当というものは、生活ができない程低いものであつて、そのためにいろいろな不祥事件が起る、これは單に下級官吏のみならず、インフレーションの結果、上級官吏にも、御承知の取り收賄事件とか、いろいろな事件が続発しておるような状態でありますが、これが能率的になつて、そうして役人の数が少くなつて、そうして手当とか、待遇とかいうようなものが一方においてはよくなる、そうして行政が簡素化されてそれがために、人民方からいえば、手続は簡單になり、或いは届書のごときは、少くて済むということになせなければいけないと思います。そこで今行政を簡素化するたるに、役人の数の殖えたということ、或いは各官廳において認可制度、許可制度はどのくらい煩雜になつておるかということを調べさして、この認可、許可制度というものを成るべく簡素にするということにしたいという構想で以て、先ず行政整理にとり掛かつたのであります。そこで今本多大臣が見えましたけれども、本多大臣の立案では、三割を目標として人員を減らす、これに対しては、私の方から苦情を申して、三割というのは現情を土台とするところの三割だろう、我我の希望は、現情を打破して、新たなる機構で、本多大臣が役人の側からでなく、政治家側から見て、行政機構を簡素化するために、新らしい構想でやつて貰いたい、然るに現情を土台として三割は甚だ以て不満であるということお申入れたが、併し現在の國会に予算を提出する等の必要から言つて見れば、結局現情を土台として研究しなければ差当りならないでありましよう、それで三割を目標として企画したのでありますが、その結果どのくらいの人が整理されるに至るか等は、本多大臣からお聽きお願うこととして、とにかく今のような目標からして行政整理が必要である、財政的にも政行的にも、將來官吏の道徳高揚の上から言つて見ても必要だと考えてこれに着手したのであります。これは今のは中央の問題ですが、地方のおいても同じことで、曾て山口縣知事の見えての話に、山口においては、中央官廳からの出張所が三十幾つかある、そのために、それだけ地方の縣廳の事務が少くなつたかというと、そうではないんだと、その中央の出張所に便宜を与えるとか、その出張所が働くためには、縣廳が余程いろいろな事務について援助しなければならんということになるというと、中央からの出張所があるために、或いは分局があるために、それだけ地方の役人は減らせないのみならず、場合によつては、殖やさなければならないというような事情にあると、同じような不平は方々の地方から聞きます。それで成るべく地方の中央官廳からの出張所は、原則としては廃止すると、ただ必要止むを得ざるもののみ置くという建前をとつて進んでおるのでありますが、併し統制の関係もあり、或いは又連合軍との関係もあつて、輸入食糧或いは輸入原料等が闇に流れないように監視するというような必要から、中央かの出張をしなければならん、地方に事務所を持つていなければならんというような、当分の間必要欠くべからざるものを、必要の限度において残す、原則としては廃止する、置くとしたところが当分の間というような趣意で以て、地方の出先官廳等も整理する方針で以て本多大臣のところで非常に整理を急いでおります。今のような趣意で行政整理に著手し、そうしてその実行の結果、どのくらいな簡素化になるかということは本多大臣からお聽き願うとして、今のような趣意で以て行政整理に著手したのであります。
#6
○委員長(河井彌八君) ちよつと申上げておきますが、吉田総理は十二時には外に行つておられなければならんそうであります。長くおられることができないということであります。從いまして又質疑が残ると思いますが、他日もう一遍おいでを願うことにいたしまして、とにかく全般に亙ること、或いは根本的の問題につきましてこの際総理に対して御質問題いたいと思います。
#7
○堀眞琴君 只今吉田首相の御説明で一応今行われようとする行政整理の内容の大網を大体知ることができたと思うのでありますが、その理由として挙げられる三点も、私尢もだと思うのであります。併し例えば外務省の機構が四年間に十倍以上になつている、國鉄が戰前に比べて三倍以上になつているというお話なんですが、これは併し戰前と今日を比べますと、必ずしも日本ばかりがそうなつているのではなくて、イギリスでもアメリカでも行政機構は非常に複雜になつている、人員の点も多くなつていると思う、多くなつているという蔭には何かを基準にして多くなつているということが言われなければならん、首相は何を基準として行政機構乃至人員が厖大になつているということをお考えになつているのかお尋ねしたい。
#8
○國務大臣(吉田茂君) それは先程お話ししたように、予算の編成を急ぐために、三割とか或いは二割とかになるということを言いましたが、併し根本については今お話ししたように、私は現行政制度を土台として考えずに、現在の必要上から考えてみて、又科学的と言いますか、能率的に組織的に日本の行政機構全般を研究して整理をする必要があると考えて、行政機構刷新審議会というものを設けて根本的に研究をするつもりでおります。さて何を標準とするかと言うと、今お話したように、これはいろいろの議論の立て方もあるでありましようけれども、先ず第一に歳出を縮減するという趣意から出て、先つきお話ししたような三点の趣旨で出発したのであります。さて基準をどこに求めるかということになると、何分財政緊縮を必要とするものでありますから、主として緊縮の方面から立案したので、今お話のような外國の例はどうだとか何とかいうことではなくて、現在の必要から、現在の事情において節減し得るものを先ず第一に切る、こういう考えで出発したのであります。
#9
○堀眞琴君 政治的に考えられて現状から出発されるのではなく、むしろもつと根本的な見解から出発されるということは私は大賛成である、むしろそのように今度の行政整理を進めて頂きたかつたと思うのですが、併しまあ首相のお話になつているように、一応現状で以て三割減ということに落着いたようなんですが、戰前乃至は今基準として考えられている昭和六、七年頃の行政事務の内容と今日の行政事務の内容についてお考えになつていらつしやるかどうか、どういう工合にお考えになつていらつしやるかどうか。
#10
○國務大臣(吉田茂君) 勿論考えてはおりますが、御承知のように國土は非常に小さくなり、曾ては朝鮮、台湾、満洲まで拡がつておつた行政機構が、四つの大きな島に限られたようなわけで、戰前といつても場合によつては比べものにならない、例を採りにくいような、例えば大東亞省のごときはやめになつてしまつたのでありますけれども、必要の上からいつてみて、日本の行政組織は相当縮小していいものであるべきだと思います。その観点から一つは申すように、財政の必要上から歳出を成るべく切る。
#11
○堀眞琴君 おつしやる通り、大東亞省とか或いはその地戰爭中にできた官廳は是非なくなさなければいかんと思いますが、併し昭和六、七年頃はそういう官廳はなかつた、拓務省ができておつたかも知れませんが、そういうものを除いたとしても、あの頃の行政事務と今日の行政事務とは大分違つております。先程首相もお話になりましたが、統制事務のためにできた官廳が多いとか、或いは向う側からの希望によつてできた官廳も相当あるという話で、そのことが今の行政事務の内容に掛かつて來ると思うのでありますが、併し例えば人口の点から考えまして、昭和六年頃は、朝鮮、台湾、樺太その他を除いての内地人口が六千四百万、今日は八千万であります。約一千六百万の増加になつている、その上に統制事務であるとか、或いは戰爭によつて生じた復旧事務であるとか、或いは進駐軍関係の事務であるとかいうような事務の性質も、量も、大分違つて來ているわけであります。そういう違つて來ている事務を担当するための行政機構が大きくなつて來たと思うのであります。これをどうしてもやはり簡素化することが必要だと私は思うのでありますが、そのために一方に基準或いは科学的な根拠が必要であると思うのであります。首相は、本多さんのやられた三割減には自分は余り満足しておられん、政治的に解決されるのだというお話なんですが、政治的に解決される科学的な根拠を承わりたい。
#12
○國務大臣(吉田茂君) それは實は本多君に示して貰いたかつたのです。三割というのでなくて、お話のように日本の行政機構は今日の実情においてこうすべきである、科学的に或いは組織的にこうすべきものだというあなたの原則論から出発して貰いたかつたのですけれども、國会に予算を提出するというような時間的の制限があつたものですから、まあ何と言いますか、便宜的に三割ということになつたのだろうと思うのであります。そこで根本の今お話のようなことは、行政機構刷新審議会で各方面の学識経驗者なり、或いは又行政事務に通達している経驗者を集めて、根本的のあなたのお話のような理想は、その審議會において更に審議して貰ひたい、こういうつもりで審議会を設けたわけであります。
#13
○堀眞琴君 そうしますと、財政上の必要から当面している行政整理をやるために、現状を基礎にして三割減で今日は進む、併し將來はもつと根本的な行政機構の改革を吉田さんは飽くまでもおやりになる御決心でありますか。
#14
○國務大臣(吉田茂君) そうであります。
#15
○堀眞琴君 その時期はいつ頃ぐらいからおお始めになるのですか。
#16
○國務大臣(本多市郎君) 今委員の選考中でございます。
#17
○三好始君 行政機構の改革は、総理大臣の説明せられておつたごとく、いろいろの目的があるわけでありますが、今回政府において企図せられております行政機構の改革は、人員の整理による経費の節減に主な狙いがあると認められるのであります。政府は行政機構改革に当つて、部局の三割整理、或いは人員の三割乃至二割整理を基準として立案せられている模樣でありますが、これによつて経費の節減をどれだけ見込んでおられるのか、それが歳出の何%に当るお見込でこういう立案をせられているのか、その点を明らかにせられたいのであります。
#18
○國務大臣(吉田茂君) これは後から本多君から一つ説明して頂きます。
#19
○三好始君 今日行政機構が非常に複雜化し厖大になつたのは、行政事務そのものが複雜多岐になつて來たからであり、なかんずく有形無形の統制事務が非常に増大したためと考えられるのでありますが、行政機構を簡素化して人員の整理を行うためには、事務そのもの、なかんずく統制事務そのものについて檢討を加えてその結論がやがて機構改革の大綱を決するともいえると思うのでありますが、政府は今回の機構改革について、事務の簡素化、特に統制事務の整理簡素化のためにどれだけの結論を出されておるのか、その状態を承りたいのであります。
#20
○國務大臣(吉田茂君) 後から本多國務大臣よりお答を申上げます。
#21
○カニエ邦彦君 ちよつと総理に一、二点伺つておきたいのですが、今度の行政機構の簡素化を図るといつて総理はやかましく言つておられるのですが、この遞信省が一省であるやつが二省になつた、二省にせなければならんというようなことについて簡單にお聽きしたいと思います。
#22
○國務大臣(吉田茂君) これは本多君から後で……。
#23
○カニエ邦彦君 それに伴いまして郵政、それから電氣通信、それから鉄道等の國家の事業でございますが、これに対して今後総理は外資の導入をされるというようなお考えはあるのですか。
#24
○國務大臣(吉田茂君) これは外資の導入……、例えば電話のごときにしても、今のところ電話があつて通話がなかなか困難な実情でありますが、それは一つは資材が古くなつたとか、機械が古くなつたとかいうことがあるので、これを改良するためには相当の費用が要るのでありますが、さて費用を出して電話のごときは外國が投資の目的でやらないかと思つて相談をして見ましたが、日本の機械が相当古いから、この古い機械を直して、立派な電話にするのには相当金が要るというので、外資導入もなかなかむずかしいのです。正直なところを申すとですね、けれども一方においては政府においていろいろなことをしております。施設というか生産事業、例えばアルコール工業とか、その他アルコール工場のごときは相当完全なものだそうです。それはどういう工場がありますか知らないけれども……。例えば煙草專賣のごときは外國資本を入れて、日本の資本と合弁か何かでやれる見込はないか、これも今研究いたしております。官業を成るべく民業に移して能率的に経営した方が、それはこの間或る英米のトラストの人の話に日本の煙草は非常にまずい、まずい煙草を高くのませる理由はどこにあるかというけれども、実際專賣を行なつておる國ではイタリヤでも、フランスでもドイツでもそうだつたか……、とにかく專賣を行なつておる國は、多くは財政收入のために專賣を行うことが多いから、惡い煙草を高く賣るという結果になつてしまうのです。これを民営に移してそうして利益計算で以て行けば、高い煙草を而も質の惡い煙草を高い金を拂つてのむということは誰も好む者はないものでありますから、民営に移して自由競爭によつて値段が下り品質がよくなるということも考えられるので、專賣制度については私自身も非常な疑いを持つておるのです。できればこれを民営に移したい、併しながらそれが直ちに外資導入になるか、今の電話の場合においてもそれから煙草の場合においてもそうらしい、煙草機械は、もともと財政收入を図るためにやつておるのですから、修繕を行つたということでもなし、或いは特にそのために安い機械を入れたためでもないでしようけれども、現在の煙草工場の機械は古くて、のみならず戰爭中改良を加えなかつたといつておりますがね、事実どうか知らないけれども、とにかく品物の惡いものを高く賣らなければならんような現状にあるのです。でありますから若し外資の導入の目的になり得るものならば、これは外資に移してもよいと思います。
#25
○カニエ邦彦君 そこで最近これは共産党の人々が盛んに吉田総理が外資の導入をこれらに注入するというようなことにおいて、我が國の現状を奴隷化して行くというようなことが盛んに言われておるのですが、これについて総理はどういうお考えですか。
#26
○國務大臣(吉田茂君) これは私は外資の導入によつて日本が植民地化するということの議論は、これは受け入れられないのです。なぜかといえば、過去において電氣事業にしても、それから東京市公債、或いは電氣鉄道でしたか、外資によつて発達したものが沢山あります。或いは二十億ドルの米貨公債ですか、二十億パウンドの米貨公債ですか。とにかく相当な巨額の外資が入つて、そうして日本は從來外資に対する。元利償還を怠つていない、その点においては外國人なんかから非常な從來信用を持つておる、併しそのために然らば日本が植民地化したか、日本の工業がこれによつて発達はしても、植民地化していないのみならず、外國と競爭をして、外國の例えば紡績にしても、その他にしても、日本の工業のために押されるという結果にはなつたのですけれども、日本の工業がそのために外國の工業によつて抑えられるという結果にはならなかつたのですから、我々日本人の能力を信用して、工業的に能力を信用する以上は、外資が入つて來たからといつて植民地化するという虞れは全然ない、現在の経済危機を脱するためには、外資によつて、そうして新たなる機械と知識と原料とを得て、そうして発達せしめなければこの経済危機を脱することはむつかしいと思います。我々はそういう考えをしておるので、共産党の諸君の考え方とは根本において考えが違うのです。
#27
○堀眞琴君 まだ二、三点おききしたいので、時間がありませんから、極く簡單に総理に伺いたいと思います。行政整理によつて下級官吏の能率化を図りたいというのですが、数を少くして能率化を図るというお話なんですが、えて行政整理をやれば企業整備が当然これに伴つて起つて來ると思うのです。どれだけの数が整理されるかは、本多國務大臣の方からは御説明がされようと思いますが、恐らく相当労働市場に失業者が溢れるだろうと思います。そうなりますと、どうしても労働賃金が低下するということは、これは避けられない現象だと思います。総理大臣はその点について官公廳の下級職員について特に待遇を改善するとおつしやつておりますが、その点について低賃金というものが避けられないような情勢になりやしないかということはお考えにならないでしようか。
#28
○國務大臣(吉田茂君) これは日本の失業問題ということは、結局人口問題にも関係することでありますが、日本を工業化することによつて失業問題にしても、人口問題にしても解決される外に方法はないと思います。故にそのために結局外資を導入するということにもなるが、又輸出振興をせしめて、そうして輸出工業を盛んにせしむるとかというような以外に手はないと思います。併しながらそれにしても日本のこのインフレーシヨンを止めて、日本の財政経済を健全なる基礎の上に置かなければいつまで経つてもこの不安は除かれない、一度健全な状態に置かないというと、將來の発展がむずかしい、失業問題にしても、適当なる解決をするためには、一度外科手術を施して、そうして経済を健全なる基礎の上に一応立て直して、再出発する以外に方法はないと思います。
#29
○堀眞琴君 問題が豫算委員会の題材になるので、余りその点は何ですか、もう一つ首相は、失業対策についてどういう考えを持つておられるか、失業対策費は八億何千万円という少額であり、失業者のためのその他の費用といつても非常に少ない、全額で二十何億という状態で、公共事業費も、非常に少なくなつておるのですが、これに対して失業対策として首相はどういうお考えを持つておられるか。
#30
○國務大臣(吉田茂君) これは予算委員会において言つたことを、再び繰り返すことになりますが、要するに財政の實施面において、歳出の實施面において成るべく儉約する、或いはその他國有財産、國有事業の運営によつて多少なりとも、財政に余裕が生ずれば、これによつて失業效済費、或いはその他公共事業費等を増して行きたい、欲ばつた考えであますが、これによつて更に税の軽減をしたい、欲ばつた考えでありますけれども、全種目當のないことではないように私は思います。と言うのは現に外資の導入等についての話はいろいろありますが、纏つた話にはなつておりませんけれども、纏り掛かつた話は、相当あるのみならず、日本に投資したいという人は、最近において更に一層余計日々來るように思います。少くとも私に面会しておる外國人の数が、昨年、或いは第一次吉田内閣当時より余程殖えております。眞面目に日本に投資したいという考えの方が相当あります。と言うのは一つは、支那の状態がああいう状態になつて、從來中國、中國と言つた外國人が、中國に仕事を起すということは相當むずかしい、日本からして輸出をした方がいい、日本を足場にしてやるべきであるという考え方は、相当殖えたとみえて、我々のところへ來る外國人で、事業問題を持つて來る人は、一昨々年の吉田内閣時分より相当殖えております。でありますから投資は必ずしも絶望ではないのみならず、私は有望と考えておりますから、そう悲観しなくとも行きはしないかと思います。これは併し見込みに過ぎません。
#31
○堀眞琴君 外資導入が、すべてを解決するようなお話のようですが、先程カニエ君からの御質問がありましたように、外資の導入が果してできるか、できたとしてもそれはどういう形になつて入つて來るかが相当問題だと思う、例えば電氣通信企業などについて見ますと、外資導入の対象となる企業と、そうでない企業とがあるわけです。そうでない企業は、今後九原則の枠の外になつてしもうので、非常な窮状に立つだろうと思う、これは大企業ですが、大企業ばかりでなく中小企業というものは、相当私は倒産といつたような状態に陷ると思う、これは吉田さんは外交官を長いことやつておられたのですから、ドイツの第一次大戰後の情勢などを御承知と思いますが、そういうような情勢になり、外資の導入をされると、独占企業だけは特に保護されるが、その他のものはそういう保護を受けないということになつて、おつしやるような失業対策の面に役立たないのではないかということが一つ、もう一つは日本の科学技術というものが、外資導入によつて相当発達を阻害されはしないか、外國の技術や資本或いは資材の導入によつて、日本の科学技術の進歩が阻害されはしないか、これは東芝の研究所で現に一切の研究をやらんで、今後消極的な修繕などをやる、あすこの研究所長がこういう状態では、今後の科学技術の進歩とか、発展とかいうことは期待し得ないというので、日本学術会議の中に第十一委員会というものを作つて、日本の科学技術をどうして守るかという決議をやりました。これは日本学術会議の方の問題ですが、そういうところまで日本の科学者、技術者が日本の科学技術を守るために心配しておる、向うから資本や技術が入つて來ることはよろしいが、そのために日本の科学技術が発達を阻害されるということについては、私は日本の將來のために非常に憂うべきことではないかと思う、こういうことについて首相はどう考えられるか。
#32
○國務大臣(吉田茂君) その点は、私は逆に考えておるのです。一つの例を申しますと、例えば石炭増産ということを我々は頻りに言うのですが、この石炭増産は、今日の石炭を掘る技術から言えば行詰りなんです。それで外國の技術を輸入するより外、仕方がないというのが一つの見方でしよう、現に例えば九州あたりの海の底に石炭がある、海の底に新らしい炭坑なり、新らしい切り場を拵えるためには、例えば海の上からして、新らしい坑を掘る、その坑を日本の技術でやると、二、三年掛かる、アメリカの技術からいえば六ヶ月くらいで、海の上から坑をあけて炭坑ができるというくらいな話であつて、そうしてそれならばアメリカの技師を雇つて來て、やらして見たらどうなるか、一体どのくらいの金で來るかということを、話をしたところが、一年に二万ドルも出せば一流の技師が雇つて來られる、やつてみてはどうかという話があつた、やつてみようじやないかと言つておつたところが、GHQの方で、それは自分の方で雇うと言つたので、その話はおじやんになつてしまいました。日本の技術を守るというより、外國の技術を採ることが我々の希望するところで、日本の技術が、外國の技術が來たために圧倒されて、そうして発達を阻害されるということは、むしろ逆ではないかと、私共は考えているのであります。
#33
○堀眞琴君 只今お話の通り、外國の技術を採り入れることが、日本の技術を発達させることになると思う。決してアメリカの技術を我々は排撃するわけではないのですが、ただアメリカの技術が入つて來て、日本の技術の研究というものが、そこで止めになるというところが沢山民間企業の研究所あたりに起つて來る、向うから入つて來た技術を、そういう民間企業の研究所で採り入れて、それを基礎にして、日本の技術を発展させるというなら私は大賛成であります。そうではなくして、そういうのが実際に東芝や何かで起つている。
#34
○國務大臣(吉田茂君) 東芝のことは私は知りませんけれども、抽象論ですが、石炭の問題のごときは、確かに外國の技術を輸入することによつて、日本の技術がむしろ進歩するという結論に私は達しておるのですが、後は議論になりますが……。
#35
○堀眞琴君 確かにアメリカの技術を輸入して來て、日本の遅れた技術を刺激して、発達させることは一番望ましい、その意味において、日本の技術家がアメリカの技術を早急に採り入れることが必要だと思う、ところがそういう方向に向つていない、東芝の例を申上げると、あそこの所長は濱田という工學博士で、その方面の大家であつて、日本学術会議の会員にも出ておる人であつて、この人が從來は六百人の研究員を擁して電氣通信事業に関する研究を続けておつた、ところが最近になつて会社の方ではアメリカの技術が導入されるのだから、何もここで研究する必要はないということで研究所の規模を確か五分の一とかに切下げてしまつた、而も積極的の研究ではなくて單に修理に関するようなことだけをそこでやるようになつた、こういうことを訴えられておる、そうしますと電氣通信企業に関する少くとも東芝の研究所では進んだ技術の研究ということは全然できなくなる、こういう工合に考えることができると思うのです。こういうような事象は東芝ばかりでなく外の民間企業においても、これはまあ企業の経営がつまり赤字だということにも原因があると思いますが、ともかくそういうような状態になつて來ている、これは政府としてはそういう企業に対して研究のために相当私は保護なりその他のことをしてやならなければ駄目ではなかろうかと、こう思いますが首相のこれに関する御見解をお尋ねしたいのです。
#36
○國務大臣(吉田茂君) 今と同じようなわけになりますが、例えば財閥解体をしたために從來この三井、三菱が持つていた光学の研究所とかなんとかいう、その研究所が持ち切れなくなつて、そうして止まつたということもありますが、これを再興するにはどうしたらばいいかということになれば、結局日本の産業が大きくなり、日本の経済が大きくなつてそうして余裕ができると、今のは日本の窮乏した経済のために経費の上から言つて見た研究が阻害されるということがあり得ても外國の資本なり外國の技術が入つたがために日本の技術の発達が阻害されるとか、或いは損害を受けるということはないのではなかと思いますがね、問題は外にあるのじやありませんかね。
#37
○委員長(河井彌八君) 藤森先生から発言を求められたのでありますが。
#38
○藤森眞治君 現在行政整理の行われなければならんということは、これはもう先程の首相の御説明でよく分りました。ただ行政整理が機構の改革であるとか、人員の整理だけでは十分でない、どうしても官紀といいますか、綱紀といいますか、この肅正が伴つて初めて立派な行政整理ができると思います。吉田総理は曾てずつと官紀肅正のことを申しておられますが、又先程も官吏の道徳的向上ということを申されました。これについての一つ御構想を承りたい。
 尚殊にこの頃の樣子を見ますと地方からいろんな問題に対して続々と陳情に参りまして夥しい数に上つておる、これについては随分首相も恐らく御迷惑をお感じになる程多いと思います。こういうことを考えますると尚思い半ばに過ぎる点がありますが、この点をお伺い申上げます。
#39
○國務大臣(吉田茂君) この官紀の弛緩といいますか、役人の道義の頽廃ということが結局は生活が、或いは経済、インフレーション等によつて生ずる生活難から起るのが主なる原因だろうと思うのです。衣食足つて礼節を知るわけで、今の生活の苦労から自然、心ならずも收賄とかなんとかいう事件が随分起るのだろうと思うのであすが、これは今先つきもお話いたしたように役人の数を減らすと共に手当なり待遇なりの改善をする余地を生ずるというふうにして行くより外仕方がないかと思うのです。第一はインフレーションが止まることと第二は待遇なり手当なり或いは厚生施設なり、これを施せる余裕ができるというより外どうも道義の高揚については別段名案もないだろうと私は思うのですがね。それからいまもう一つの点はなんですか。
#40
○藤森眞治君 陳情に関して……。
#41
○國務大臣(吉田茂君) 陳情は随分参ります。参りますが中には何と言いますか、狎れ合いで、非常に率直に申すんですが、地方事務局をやめて貰いたいと、そうすると事務局の役人が縣民に頼んでそうして電報を打たせる、或いは陳情も寄越すとかいうような場合もあります。それでありますから陳情悉く当にならんとは言わんですけれども随分怪しいのがある。一つの例として申せばこの間私が総選挙のために土佐に行く途中に京都におりましたらば、お聞きでしようけれども、何でしたかね。ジフテリヤの注射で以て子供が何十人とか死んだ、病氣になつた、その陳情團が、親が陳情に私の宿屋へ來たんです。それからいろいろと言いますからね、私はどうしたらいいんだ、どうすることを希望するのかと、こう言つて聞いて見ますと、その陳情の雄弁を振るつておる人は代弁人であつて、その家族に代つて、そうして一緒に話をしておるわけなんです。雇つて來た代弁人であつて、結局どうしたらよいかということの問題よりは誠に困る、政府は怪しからんということを言えといつて頼まれて來た傭人なんです、結論については案がないというようなわけで、私は大いにびつくりしたのですが、そういう陳情もあるので、陳情は実に沢山数がありますけれども、中には本ものもあれば代弁者もあるというようなわけで、その区別はなかなかむずかしいのであります。併し、然らば言うことは悉く信ずべからざるものであるかというと実情を訴える陳情もあります。中には当てにならん陳情もあるということを自然感ぜざるを得ない場合もあります。
#42
○藤森眞治君 成る程おつしやるような場合への陳情もあるかも知れませんが、併し現状といたしましては、この地方公共團体にいたしましても、何にいたしましても何が事情があると必ず中央に陳情に來ないと即ち効果が挙がらないというのが、これが現在の事実であります。これによつて起つて來る地方の経費というものは相当これは掛かつて來ると思うのです。こういう事柄を成るべく政治の方面から駆逐して陳情はなくとも運行できるような方向に進まなければならんと思います。勿論行政事務の簡素化ということにこういうことは含まれるか知れませんが、ここでは官紀、綱紀の肅正ということが大きく取上げられれば勢い進捗することが非常に速いのじやないかと思いますが、特に御留意をお願い申上げるわけであります。
#43
○委員長(河井彌八君) 総理大臣に対する質疑はまだ続行しようと思いますが、今日は時間のお約束があるそうでございますからこの程度に止どめて置きたいと思います。
 それから本多國務大臣が見えておりますから、本多國務大臣に対しまして、只今の関連事項及び國家行政組織法の一部改正についての質疑を願いたいと思います。
#44
○國務大臣(本多市郎君) それでは最前の御質問の保留されておりました点についてこの際お答えいたしたいと存じます。行政機構が複雜になり、膨脹したのは統制事務等、即ち政府の事務量が増加した結果ではないかという御質問でありましたが、その点は誠にその通りであると存じます。ただ併しそれにいたしましても過大になつておると思われるのでありまして、この行政機構の厖大化した結果が國民負担の重圧となつておりますので、何とかして輕減し、更に機構の縮少を明確化する必要があるというので、何を基準に、どういう根拠で整理方針の二割、三割というものを決めたかということにつきましては、行政制度刷新審査会の方針もありますし、更に又達観いたしまして機構の三割種度を縮小しても何とかやつて行けるのではなかろうかということから出発いたしまして研究いたしました結果、三割くらい縮小しても支障はないという結論に到達いたした次第でございまして、行政官廳の事務の性質上、これを科学的に正確なる事務量に応ずる人員配置ということは、職階制等の問題が進行中のようでありますが、それができましても尚且つ非常にむずかしい問題だろうと思います。結局今回の縮小の基準は、それくらい縮少しても、残存の機構で支障なくやつて行けるであろうという点から出発いたしまして結論を得たと御了承願いたいと思うのでございます。又統制事務の縮小を同時にどういう程度に研究したかという点につきましては、御承知の通り野菜等のごとく統制の撤廃されてその事務と人員が減少したものもありまするし、更に指定資材の品目につきまして二百五六十品目に上つておる物の中から更に三十品目くらいは関係方面の了解も得まして除外されて參つたと思つております。更に残りの三十くらいが今懸案中でございます。こういうことで、でき得る限り役所の事務量も統制事務等の整理によりまして減少して行くという方針をとつておるのでございますが、今回の行政整理にすべてのそうした統制事務の調整までも盛り込んで行けたかと申しますと、これは一挙にできない事情もございますので、今後この統制事務の整理と機構の縮小、人員の整理というものは尚並行して続行して行きたいと考えております。更に又郵政省と電氣通信省との二省設置の問題でありますが、これはお話のごとく機構を縮小しようという際に二省に分割するということは、誠にその根本方針に反するようではございますが、すでに昨年の議会において両省の設置法案が通過いたして設置することの相当の理由があるものでありますので、これに從つてその設置法をでき得る限りこの際縮小して提案いたしたような次第でございます。
#45
○三好始君 人員整理によつて経費の節減をどれだけ見込んだのでありますか。
#46
○國務大臣(本多市郎君) この点につきましては、人員整理の数がまだ確定いたしておりませんので、これに伴うはつきりした正確な数字は出て來ないのでございますが、予算の面におきましては大藏省が予算委員会で説明いたしました数字、只今私の手許に資料がありませんけれども、その数字程度のことに処理されております。併しその予算上処理されたものよりも更に整理人員は増加すると考えておりますので、その一致せざる面はこれからこの確定の結果に基いて調整されて行くことだろうと思います。
#47
○堀眞琴君 只今本多國務大臣の御説明で、大体事務量とそれから人員の関係の問題は了承したのですが、ただこの前もお尋ねして私了解に苦しんでおるのですが、三割限度縮限しても事務をとる上に何ら支障がないというお話なんですが、その点は單に外局を内局に移す、或いは局を幾つかに減らすとかいうような形だけで果して可能なものかどうか、先程吉田総理大臣が言われたように、もつと根本的な改革をして、その上で事務量というものを科学的に按分するという形が出て來ないというと全然できないのではないか、結局從來の事務を三割縮減した行政機構で以てその中に押込んで行く、こういう形になる、その結果却つて事務の澁滯を來したり行政能率が上らない、殊に最近の官公廳の職員というものは、世相の環境から例えば遠距離から通つているとか、食糧事情が惡いというようなことで、そういう点において能率の上に非常に響く、そういうような実際の事務によつて生ずるその人の能率の事務上の低下よりも、もつと他の事情で能率の低下している場合があるのじやないかと思います。そうしますと、事務を三割縮減して機構の面に押込んでそうして能率の惡い現在の官公廳職員で以てやるということは、却つて能率が低下して來るのではないか、事務は澁滯するのではないかと思いますが、こういう点は如何ですか。
#48
○國務大臣(本多市郎君) 今日通勤しております。公務員職員が役所の中で事務以外に非常な勞苦を負担しているということはお話の通りであろうと思います。そうした環境の勞苦が緩和されるということが、役所内における事務能率増進の上に重大な影響があると考えるのでございます。官廳職員の数が膨大いたしました一つの理由は、やはりそうした点にもあつたろうと思うのでございます。こういう点につきましては、すべての政府の施策が伴つて改善されて行かなければならない問題でありますが、そうした点につきましても、漸次改善される方向に向うものであると思います。更に又事務が減らないのに人員だけを圧縮すれば非常に負担が大きくなつて却つて困難を生じやしないかという誠に御尢もな御意見でございますが、この点につきましては、最前も申上げました通りに統制事務の整理或いは各省各廳における手続事務の簡素化、そういうふうなこともでき得る限り図るようにいたしたいと思います。更に又事務の向上化とか産業の合理化というようなことについても支障なく現存する職員でやつて行きますように極力努力して行きたいと考えております。又一般職員に対しましても、この時局でありますから一層の努力を要請するということは、これは当然なことであると思いますので、大いに努力して能率を上げて頂きたい、こういうふうなことをいろいろ考え合せまして、大体においてやつて行けるのではないかと思います。ただ実際人員の査定に当りましては、一律に三割減といたしますと、非常な支障を來す面もあるであろうと思いまして、そうした細かい点につきましては、除外例等を研究いたしまして只今査定中であります。もう閣議に提出いたします案だけは両三日中のうちにできると思います。そこで内定いたしました案で関係方面に提出し、その上で皆さんのところで御審議を煩すことになろうかと思つております。どこまでも実状に副うように無理の行かないようにという考え方は十分持つておる次第でございます。
#49
○カニエ邦彦君 行政機構改革はしばしば本多さんから聞いておるのですが、出先機関の件につきましては、具体的にどれどれを一体廃止するのかどれどれを地方に委讓するのかどれどれを存置するのかというようなことについてはつきりしたものは決まつてないのですか。
#50
○國務大臣(本多市郎君) これは閣議で内定いたしました方針がありますから、それを一つ御報告申上げたいと存じます。出先機関のそれぞれについて研究いたしまして、閣議においてまだ決定に至らない懸案中のものもあるのでありますけれども、今までに方針の決定いたしましたものを挙げまして、ちよつとこれから読上げます。
 文部省内の大阪出張所というのが一ヶ所ございますが、これは廃止する、それから農林省の食品局駐在員、これは八ヶ所ありますが、これを廃止する、労働省内の管轄で各縣に婦人少年局分室というのが四十六ヶ所あります、これも廃止する、次に地方連絡調整事務局出張所というのがこれは四ヶ所ありますが、これを廃止して、府縣知事に主として渉外事務でありますが委任する、文部省の所管で教育施設局都道府縣駐在員、これが四十六ヶ所ありますが、これも廃止する、厚生省の管轄で防疫駐在官、これは四十六ヶ所、これも廃止する、農林省の部内では資材調整事務所四十六ヶ所、これも廃止する、商工省では商工局出張所五十二ヶ所、これを廃止して、資材調整事務所にいたしましても、商工局出張所にいたしましても廃止して、その事務を都道府縣知事に委任するのであります。運輸省関係では道路運送監理事務所四十三ヶ所、これも廃止して府縣知事にその事務を委任する、大体只今内定いたしておりますのは申上げた通りでありまして、但し資材調整事務所と商工局出張所と道路運送監理事務所は、これを廃止はいたしますが、その取扱つておる事務の中で必要止むを得ざる事情から府縣に委管し難い事務がある見込みでありまして、そうして事務については極めて少數の分室を置くことができるという、ここに廃止しながら又分室を作るということは誠に矛盾でありますけれども、そうした例外を認めるということになつております。
#51
○カニエ邦彦君 そうすると資材調整事務所、それから商工局の出張所、道路監理事務所等のこれらの事務を都道府縣に委讓した場合と、それから國が現在のようにやつている場合と、國民にとつて何れがよいかということについてお考えがありますか。
#52
○國務大臣(本多市郎君) 結論といたしましては都道府縣に委讓した方がいいという結論で決定いたしたのでございますが、ただ出張所が廃止されると、今まで出張所で扱つていた事務の中、商工局等のブロック機関に残されるというような事務があるということになりますと、結局縣ごとにあつた出張所に行けば用が足せたものが、今度は遠い役所へ行かなければならんというようなことができますから、その面においては今までよりも不便になる点があろうと思います。こうした点につきましては、当分の間どうしても離せない重要物資等の事務でありますので、こうした矛盾を生じて來るのでありますが、極端に不便な場所には又分室をその事務に限つて小さな機構で設けて調和を図つて行こうと考えております。これが全面的に委讓ということになりましたならば、現在の出張所があつた場合と縣でやる場合と少しも変りはないと思います。
#53
○城義臣君 議事進行について……、大体今日の日程では内閣法の一部を改正する法律案以下四件審議する予定になつていた筈でありますが、只今のカニエ君の御質疑は御尤もでありますが、多少予定から狂いますので、その辺一つ委員長の方で然るべく御整理を願いたいと思います。
#54
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#55
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて下さい。これより休憩いたしまして、午後一時より再開いたします。
   午前十一時五十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#56
○委員長(河井彌八君) それでは再開いたします。速記を止めて。
   午後一時五十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時十二分速記開始
#57
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。地方自治廳設置法案につき、地方行政委員会と連合委員会を開くことの申入れを行いたいと思いますが異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(河井彌八君) 異議ないと認めます。今日はこれにて散会いたします。
   午後三時十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     河井 彌八君
   理事
           カニエ邦彦君
           中川 幸平君
           藤森 眞治君
   委員
           河崎 ナツ君
           城  義臣君
           佐々木鹿藏君
           堀  眞琴君
           三好  始君
  国務大臣
   内閣総理大臣外
   務大臣     吉田  茂君
   國 務 大 臣 本多 市郎君
  政府委員
   総理廳事務官
   (行政管理廳次
   長)      大野木克彦君
   総理廳事務官
   (行政管理廳管
   理部第一課長) 佐藤  功君
ソース: 国立国会図書館
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