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1967/08/23 第56回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第2号
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1967/08/23 第56回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第2号

#1
第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第2号
昭和四十二年八月二十三日(水曜日)
    午前十時六分開議
 出席小委員
   小委員長 小峯 柳多君
      奥野 誠亮君    笹山茂太郎君
      西岡 武夫君    藤井 勝志君
      広沢 賢一君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    武藤 山治君
      村山 喜一君    竹本 孫一君
 小委員外の出席者
        大蔵省銀行局長 澄田  智君
        参  考  人
        (東京都民銀行
        頭取)     工藤昭四郎君
        参  考  人
        (信託協会会長
        三菱信託銀行社
        長)      千頭 暎臣君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
八月二十三日
 小委員広瀬秀吉君及び春日一幸君同日小委員辞
 任につき、その補欠として村山喜一君及び竹本
 孫一君が委員長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○小峯小委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として東京都民銀行頭取の工藤昭四郎君、三菱信託銀行社長であり、信託協会会長の千頭暎臣君が御出席になっておられます。
 本小委員会におきましては、今後の金融制度及び金融機関のあり方について調査をいたしておりますが、両参考人におかれましては忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。そしてそのあと質疑を行なうことにいたします。
 最初に、工藤参考人からお話を承りたいと存じます。工藤参考人。
#3
○工藤参考人 ただいま御紹介いただきました都民銀行の工藤でございます。
 申し上げるまでもなく、金融機構、制度というものは、従来のいろいろの体験とかあるいは必要があってできたものでございますから、情勢の変化に従ってこれを改めていくということは、当然のことであろうと思います。この点につきましては、決して異論はございません。しかし、近ごろのように遠き将来のイメージということがはやりのことばとして、実は現状認識も正確にできていない、二、三日先のこともよくわからないような状態で、そのイメージを基礎としていろいろな計画を立てるということには、私は反対でございます。大きな見通しを立てておいて、それに従ったいろいろの方策を講じていくのなら賛成でございますけれども、現在は何でも行き過ぎ時代でありまして、イメージ行き過ぎという感じがあると思いますが、この点は現状に即したような状態になっていただきたいと思います。金融制度なり組織を変更していく点につきましても、若干の問題点がございます。
 第一に、申し上げたいことは、制度とか機構とかいう問題は、これは外面的な形式的な問題でありまして、これによってすべてを改めていくということはなかなかむずかしいと思います。問題は、この機構なり制度なりを動かしております人の問題でございます。先刻も雑談にちょっと出ておりましたが、選挙制度の問題にしましても、問題は、議員さんがすっかり反省していただいて、りっぱな議員さんになっていただけますと、選挙資金規正の問題だとか、あるいは区割りの問題とか、そういう問題は自然に解決できる問題であって、これは枝葉末節の問題であると考えていいと思います。金融機関につきましても、その点にやはり同じような問題をはらんでおるのでありまして、金融機関の使命と申しますか、責任ということになりますと、これは公的性質が多いだけに、問題が広く大きいと思います。この点を金融機関の経営者が忘れがちになっておるところに大きな欠陥があるように思います。普通の企業でございますと、主として利潤の追求に主力を置くのでございますが、金融機関になりますと、ことに自由主義経済のもとにおきましては、金融機関は経済を健全に運営していく中核体になっておると私は考えます。これによっていろいろの規制をして、それで経済全体を健全にし、また発展も健全な発展にもっていくという大きな使命が課せられておると思います。またもう一つの使命としては、金融機関としては通貨の価値維持という大きな使命があります。そういう問題を忘れがちになっておるからいろいろの問題が起こってくると思います。したがって、経営する人の心がまえなりあるいは人柄なりが問題になってまいりますから、外面的な形式的な制度等の問題を一生懸命やりましても効果はあがらないというような感じがいたします。これが第一点でございます。
 第二点としましては、わが国の経済の現状が一般にいわれておりますような状態にあるのかどうか、正しく認識せられておるかどうかという問題でございます。いろいろ海外からもほめ上げられておりますけれども、これは実際とはだいぶ違った面もございます。経済の成長は早かったのでございますが、それだけに内容が充実していない、資本の蓄積も十分でない、そういう問題が並行して起こっておるのでありまして、現在が非常にいい状態である、こう頭からきめてかかるのは間違いじゃないかと思います。したがって、それを基礎として今後におきましても従来どおりの大きな発展を遂げていくというふうにきめてかかることについては問題がある。国際的な問題がありますし、大体日本の経済基盤といいますか、よく浅いといわれておりますけれども、国土は狭いし、資源は貧弱であるし、人口は多いし、こういう基本的な問題を忘れがちになっておる。しょっちゅう言いながら忘れておりまして、自然に生活等もはでになる、必要以上に生活水準の引き上げということも起こってくる、こういう状態になっておりますが、現状についても過信をしてはいかぬと思うのです。思い上がりになってはいかぬと思う点が一つありまして、現状を基礎にして機構なり制度なりをお考えになる場合も、その点をよく分析、吟味せられていただいたほうがいいのじゃないかと思います。
 それから、これは昔からそうでございますが、経済界には急激な大きな変動は禁物でございます。非常にきらいます。というのは、それによって無用の動揺が起こるわけであります。そのために、プラスの面とマイナスの面と比較してまいりますと、マイナスの面が大きい問題が従来の経験においてもずいぶん出ておるわけでありまして、その点から申しますと、金融制度なりあるいは機構を改めるにしましても、そういう弊害の起こらないようにやっていただくことが必要であるように思います。
 いま簡単に申し上げましたような点を考慮の上で、今後の金融制度なり機構のあり方を進めていただきたい、こういうふうに思います。
 ただ、申し上げられますことは、金融機関の数でございますが、特に中小企業については多過ぎるような感じがしております。これでは金融機関面でも十分な活動ができませんし、そのために起こってくるほうの弊害が多い。特に地方の自治体等におまかせして設立されております組合等が数が非常に多いものですから、内容に不健全な面も多いし、また動かしておる人に信頼を置けないような人も出てくると思いますし、そういう点についてある程度の整理統合が必要になってくると思います。また、自由主義経済で自由競争をしているわけですから、大きな失敗、つまずきがありますと、当然淘汰せられていくのが本来でございますが、日本にはそういうものがございません。したがって、数はだんだんふえる一方であります。アメリカあたりの金融機関では、経済情勢の変化あるいは経営のいかんによりましてずいぶん銀行がつぶれております。一般に与える影響が大きいということだけにとらわれましてこういう点を見のがしていく。何とか救済して細々でも経営ができるようにしたい、こういう方針でありますから、数が非常に多くなり過ぎておるという点であります。
 政府機関、長期信用銀行あるいは信託銀行等が問題になっておりますけれども、こういう長期の融資をする機関は、わが国の現状におきましては私はまだ必要だと思っております。したがって、これを極端に数を減らす必要もないのであって、まだそれほど日本経済は質的に発展していないと思います。これからまだそういう機関の手助けが要ると思います。
 この委員会の参考人の発言の中に、質的均斉といいますか、均質化の問題が出ておりますが、これはしいて均質化にもっていく必要はないと私は考えております。おのおの分業的にやっていけばいいのでありまして、信託銀行さんは信託銀行さん、長期信用銀行は長期信用銀行、こうしてまいりませんと、十分な効果はあがらぬと思うのです。
 例の問題になりました山陽特殊鋼の問題でも、あれは主力になっておるところがもう少し事業の審査その他に長期的にあらかじめ見通しが立つような金融機関でありましたら、ああいう不始末はさらさなかったろうと思います。現在でも短期の資金を使いまして長期の融資をやっておるところも多いのですが、山陽特殊鋼の場合はそれが多かったのですが、ああいうことのないように、やはり長期信用を与える特殊銀行が必要だろうと思います。
 明治維新以来、金融制度につきましては特殊銀行というものがありまして、わが国の産業発展を側面から助成してきたのでありますが、戦後におきましては、特殊銀行の性格は失いましたが、やはりこれにかわる政府機関というものが必要になっておりまして、そして、そういうものの設立が認められ、これまで開発銀行なり輸出入銀行なり、あるいは中小金融のそういう機関ができておるわけでございまして、これをいますぐに変更する必要はございません。
 また、長期信用銀行が債券を発行しておりますが、長期に貸し出す場合には、やはり資金の性質を変えていく必要があると思います。債券によって資金の性質を変えておるのである。そして長期に運用しておる。もしこれがなければ、金融機関に変動が起こった場合に、非常に危険な状態が生じてまいります。金融債券に適当な金額を振り向けまして、それによって長期の融資をやっていくというほうのたてまえが私はいいと思います。ただこの場合に、金融債券の流通について政府、日本銀行がもっと突っ込んだ措置をとられる必要がある。その際に日銀に持ち込めばすぐ資金化するのですから、そのほうが、われわれの先輩が金融の知恵と申しますか、そういうものでつくられたものでありますから、これをそっくり改めてしまって、そして各銀行が一様に何でも仕事ができるような方向に持っていく必要はないと私は考えております。
 長くなりますからこの辺で、あとは御質問にお答えいたします。
#4
○小峯小委員長 ありがとうございました。
 それでは、続いて千頭参考人からお話を承りたいと思います。
#5
○千頭参考人 私がただいま御指名をいただきました千頭でございます。
 本日は、信託協会会長として、今後の金融制度と金融機構のあり方について意見を述べるようにとのことでございますが、金融機関と申しましてもいろいろ種類がございますし、それぞれの業界の事情についてはよく存じませんので、勢い信託銀行の立場からお話し申し上げることになりますが、その点をあらかじめお許し願いたいと存じます。また、私個人としての意見がほとんどでございますので、この点もあわせて御了承いただきたいと存じます。
 昨年来の国債の本格的発行に伴い、わが国の資金の循環は変化を示しつつあり、これがまた金融の構造にも少なからざる影響を与えておるのでございます。また、懸案の資本自由化問題が検討から実施の段階に進むとともに、産業界に対する低利安定資金供給の要請が強くなっております。このような環境下におきまして、今後の金融制度、特に長期金融機構のあり方について、信託銀行としての立場から私の意見を申し述べさせていただきますが、お許しを願いまして、まずわが国における信託業の沿革と現状から申し上げてまいりたいと存じます。
 わが国の信託業は、大正十二年の信託法及び信託業法の施行以来、金銭形態の信託を中心に営業してまいりました。本来信託とは金銭をはじめ各種の財産の長期にわたる管理運用を目的とする制度でありますが、わが国においては金銭形態による信託が社会的環境に合っておりましたため、金銭の信託がその大宗を占めて発展し、今日に至ったのであります。このようにして信託会社は戦前から長期資金を取り扱う金融機関としてわが国産業界のお役に立ってきたのでございます。
 戦後の混乱期を過ぎて、昭和二十七年には時代の要請に基づき、貸付信託法が制定され、信託銀行は重要産業に対する民間設備資金供給機関として力を尽くしてまいりました。当時日本経済は復興から再建の過程に入り、資本蓄積が重大な課題とされ、広く長期資金を吸収する必要があり、貸付信託はこのためにきわめて有意義な手段として制度化されたのであります。
 信託銀行はこの貸付信託を中心に、個人大衆から直接に長期安定資金を吸収することに鋭意つとめてまいりました。この結果、昭和四十二年三月末における貸付信託残高は二兆四千億円に達しておりますが、このうち七〇%以上が個人によって占められており、その契約口数は一千万口を上回るに至っているのでございます。このようにして貸付信託は、いまや個人大衆貯蓄の中枢的存在として、国民の豊かな家計つくりに奉仕しており、貸付信託の存在意義の一面は、この個人大衆から直接資金を集めているところに見出されるものと考えております。
 一方、その運用面について見ますと、貸付信託は貸付信託法第一条にうたわれておりますとおり、緊要な産業に対する長期資金を円滑に供給することを目的として、時代時代の要請に応じ、経済発展のために必要な設備資金を安定的に供給してまいったのでございます。現在、信託勘定の主要民間設備資金供給残高に占める割合は、昭和四十二年三月末で二三%と、長期信用銀行三行の二七%と並んで、わが国の民間設備金融をささえる大きな柱となっているのでありまして、特に昭和三十年代以降、貸付信託がわが国経済の発展のため、長期設備資金供給面で果たしてきた役割りはきわめて大きかったと存じます。
 この間、信託銀行は企業の金利負担の軽減に貢献するため、貸し出し金利の引き下げにつとめてまいりました。最近では昨年一月、十月と二度にわたり、合計年〇・五%の引き下げを実施いたしましたが、受益者に対する配当率の引き下げは小幅の年〇・一五%にとどめ、その差は合理化努力によって吸収してまいったのであります。
 以上、申し上げましたように、貸付信託は直接個人大衆から集めた長期貯蓄をそのまま安定資金として企業に供給いたしておりまして、制度として見ますと、常に貯蓄の範囲内で投資をまかなうという、経済の安定成長に必要な要件を備えた合理的な仕組みでございまして、あたかも企業にかわって個人消化の社債を発行しているものといえるのであります。しかも信託銀行は、この豊富かつ安定した長期資金の供給を少ない店舗と少ない人員をもって行なっており、国民経済的に見てきわめて効率的な機関であると存ぜられます。
 さて、ここで今後の金融機構のあり方について私の考えを申し述べさせていただきます。
 わが国経済は、資本自由化に伴う企業の大型化、国際化をはじめ、低生産性部門の近代化及び労働力不足に対処するための合理化、さらには住宅建設の促進等の必要があり、このため民間設備投資需要はかなり根強いものと思われます。また、一方では社会資本の充実、新技術開発など、公共投資の需要もますます大きくなるものと考えられます。これらの需要をまかなうためには膨大な資金を要しますので、その円滑な供給体制の確立が要請されるのであります。このためには長期の資金を低利かつ安定的に供給し得る金融機構が必要でありますが、その機構は経済の安定成長を期する上から、国民経済全体との関係において、貯蓄と投資の均衡を確保し得るものでなければならないことは申すまでもありません。
 企業が外部から長期資金を調達する手段を大別すれば、株式、社債、長期借り入れ金の三つがございますが、いずれも企業にとって重要な手段と考えられます。このうち株式、社債につきましては、健全な市場形成のための環境づくりに一段と努力を払うことによって、市場原理の有効な作用のもとに適正な発行水準が維持されることが肝要と存ぜられます。
 公社債市場につきましては、ようやく最近発展の緒についたとはいえ、現状では遺憾ながら欧米諸国に比べその発達はおくれていると申さねばなりません。今後これを強力に育成していくためには、債券消化層の多様化が進むこと、なかんずく各種機関投資家の発達が必要でありますが、これには相当長期間を要するものと存じます。なお、米国の例を見るまでもなく、社債の個人消化にはおのずから限度があると思われます。
 また、機関投資家の発達した米国においては、近年これら機関投資家の引き受けによる私募債の発行が盛んに行なわれておるように見受けられるのでありますが、このような私募債の発行は、その機能においては長期の借り入れと異ならないのであります。このように見てまいりますと、将来におきましても社債のみが万能なものではなく、これと並んで長期借り入れによる資金調達も有力な手段として併存すべきものと思います。
 長期資金調達につきましては、企業の立場からは、必要なときに必要な額の供給を受けられる体制の確保が望まれ、金利、期間等に弾力性を備えた長期借り入れ方式はその意味できわめて有用なものであります。この場合、供給者である金融機関といたしましては、その原資調達が信用創造によることなく、個人貯蓄等本源的貯蓄から直接行なわれていることが望ましいと存じます。要するに、これらの方法は、いずれがまさるというものではなく、金利による自律的な調節機能に基づき、そのときそのときの状況と諸条件によって、企業が自由に選択できることが肝要であると考えるものであります。
 さて、わが国の金融制度は、戦前から一貫して長短分離の方針が貫かれてまいりました。これは、この方針が、わが国経済の実情に即し効率的であり、金融機関の健全性維持のためにも、金融政策の運営の上からも合理的に考えられたからだと存じます。長期資金の供給は、短期資金需給の変動によって、必要以上の影響を受けることなく、安定的かつ円滑に行なわれることが重要でありますが、このような資金供給の安定性は、長期金融専門機関の機能によって確保されると思います。もちろん、長期資金は専門機関によってのみ供給されるとは限りませんが、長期的観点から、国民経済上必要な部門へ適切に資金を供給する上でも、また金融政策を有効に作用させる上でも、長期金融専門機関による資金供給は、今後ともその必要性が大きいといわなければなりません。言うまでもなく、運営面においては、そのときそのときの経済状況に応じて弾力的な配慮が必要でありますが、私は、以上申し上げました意味において、長期金融と短期金融を制度的に分離するという方針は、今後ともこれを堅持すべきものと存ずる次第であります。
 次に、信託銀行の将来のあり方について申し上げます。
 さきにも申し述べましたように、今後のわが国経済は、資本自由化という新たな環境に対応するため、引き続き長期にわたって各種の設備投資を積極的に行なう必要があると存じますが、経済の安定的成長を期するためには、これらの投資を常に国民経済全体との関係でバランスを保つことが要請されるのであります。また、今後は、国民経済的見地から貯蓄の重要性は高まるものと思いますし、国民所得水準の上昇に伴い、欧米諸国の例を見ても、金融資産に対する選択は多様化してくるものと存じますが、このような情勢に対応して、貸付信託は大いにその特色を発揮し得るものと考えます。要は、今後特に質の面で企業の望む、より長期の、より低利の資金を安定的に供給することにあり、このために信託銀行は、一そうその機能の効率性を発揮することによって、企業の期待にこたえてまいりたいと存じます。
 なお、長期金利の問題につきましては、国際的な金利水準とのかね合いにおいて、引き下げの方向で努力すべきであると考えますが、この問題は、わが国の金利体系全般との関連において検討することが肝要であると存ぜられます。特にこの場合、今後ともますます必要となる貯蓄増強に悪い影響を及ぼさぬよう、十分慎重な配慮が望ましいと思います。
 信託銀行は、他面、財務管理機関の役割りをになっており、個人の証券、不動産等、あらゆる財産の管理運用の面で、広く一般の需要にこたえておりますが、一方、証券代行業務とか年金信託業務などを通じ、企業のお役にも立っているのであります。すなわち、証券代行業務は企業の合理化を助け、さらに株主の権利保護に寄与いたしております。また、年金信託業務は、企業における退職金制度の合理化、雇用の安定化に貢献しており、国の行なう社会保障制度を補完するという意味で、その発展は社会福祉の充実にもつながるわけでございます。将来は、年金信託財産の増大に伴い、機関投資家の一つとして、公社債市場の健全な発展に参画し得ると存じます。さらに、今後企業を中心とした法人財務管理面、従業員の福祉面等の分野におきまして、信託制度を有効に活用し、企業のお役に立ちたいと存じております。
 なお、これらの法人財務管理機能は、きわめて長期間にわたる仕事でございまして、企業に対する長期金融を行なっている信託銀行が、これらの業務をあわせ営んでおりますことは、企業との取引関係を長期にわたり円滑にするものと思うのであります。
 一方、時代の要請であります住宅問題につきましても、すでに住宅資金積み立てや住宅融資等、金融面に意を用いているのでありますが、同時に、土地や住宅等の物的供給面におきましても、長年にわたる不動産業務の豊富な経験と知識を活用し、積極的な協力を行なってまいりたいと存じます。四十年代は社会開発の時代といわれますが、信託銀行の独自の性格をこの面で十分発揮したいと考えております。
 信託銀行は、社会的にきわめて有意義なこれら信託制度のにない手として、長期金融機能とあわせてこれを営むことによって、わが国の金融機構の中にあって今後とも独自の分野を確保し続け、広く国民経済のお役に立ってまいる所存でございます。
 最後に、申し上げたいのは、金融機関の合併、再編の問題であります。
 資本自由化と関連して金融機関の合併、金融機構の再編成問題が最近盛んに議論されておりますが、私といたしましては、この問題は金融機構全般の問題として広い視野から将来の方向を十分見定め、慎重に検討を行なうべきであると思います。時代の変遷と社会情勢の変化に伴い、金融制度についてもいたずらに固定的観念からこれを律せず、弾力的な考え方をすることが必要であるのは申すまでもありませんが、今後の金融制度と金融機構のあり方を検討するにあたっては、信用機構保持という金融機関に課せられた公共的使命を考慮し、さらにわが国経済の特質に照らし、またその歴史的背景と社会的役割りを踏まえた討議が十分行なわれることを期待するものであります。合併や再編成の問題は、社会的な要請は何か、国民経済の真に必要とするものは何かということを冷静に見詰めた上で解決していくことが最も望ましいと存じます。むしろ当面の問題といたしましては、業界としては節度ある適正な競争関係を保ちつつ、それぞれの金融機関自体の経営合理化を一そう推進するとともに、国民経済的見地から大きな意味での協調関係を形成し、確立していくことこそ緊要であると考える次第であります。
 以上をもちまして、私の公述を終わります。御清聴ありがとうございました。
#6
○小峯小委員長 ありがとうございました。
     ――――◇―――――
#7
○小峯小委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#8
○堀小委員 ただいまの御意見について質問をいたしますについて、まず先に千頭さんに信託関係の問題をお伺いをいたしたいと思います。そしてあとで工藤さんに金融全体の問題について伺いたいと思います。
 いまお触れになりました中で、信託銀行の資金供給を今後より低利、安定した資金を豊富に供給したい、こういうお話でございました。実は、金融再編の今度の問題が出てまいりましたもとはどこにあるか、私なりに考えてみますと、一つは、現在の金融諸立法というのは、特に銀行法は昭和二年に制定をされておりまして、当時は非常に恐慌のために銀行がつぶれるという時期にあって、いかにして銀行を保護するかというのが立法の趣旨でありましたから、その当時と現在とを比べますと、そういう著しい条件の変更があったことはもう皆さん御理解がいただけると思うし、私のほうも、いまの銀行法がそのまま今後ともずっとそれでいくかというと、そうは考えておりません。やはり銀行法なるものは当然改正される段階にきておる、まず第一にこう考えておるわけであります。
 第二段の問題は、その後の相互銀行、信用金庫等の当初予想しなかったような発展の状況がありまして、全体としてかなり金融機構内部における変革が進んできておるから、やはりそういう変革の程度に合わせて何らかの条件の緩和を流動的に考える必要があるだろうという問題があると思うのです。
 その次に、当面の問題としては皆さんお触れになっております資本自由化の問題、これが長期低利の資金を潤沢に供給するという必要を特に強くかき立てておる問題だ、こう考えております。
 そこで、これらの問題の中で、低利で豊富な資金を供給するということは、その前者の問題はこれまでずっとあったことでありますけれども、この問題は資本自由化という問題を控えてはかなり強い要請が金融機関に対して行なわれると思いますし、同時にまた、そういう長期低利の資金が十分供給をされなければ、外資の会社と対等に競争していくことは、資本構成が非常に借り入れ金過多になっております日本の場合には、競争にたえられない面も十分出てくる可能性があると思います。皆さんお触れになりましたように、今後は労働力の需給関係が逼迫してくるという面から見ましても、競争力の点ではどうしても低利豊富な資金というものが非常に重要な問題になってきておると思うわけであります。
 そこで、ずっと伺っておりまして、しかし低利の資金を供給するとしても、個人の貯蓄を障害しないようにしたい、こういうお話でございました。そうなりますと、低利の資金を信託銀行が供給していただく場合には、やはり人件費、物件費の圧縮ということも当然合理化としてあるだろうと思いますが、信託銀行の場合には店舗数も少のうございますから、当然人件費、物件費の圧縮ということには非常に限界があるのじゃないか。そういたしますと、片方の要求は低利を要求し、しかし国民貯蓄の面から見ると、あまり信託報酬を引き下げるということといまの貯蓄の問題というのは競合する問題となってくるだろうと思いますので、この点いまの日本経済の要請にこたえて低利の資金を供給する道がはたしてあるのかどうか、私ちょっと疑問に感じますので、その点を信託銀行としてはどういう方向で解決されるのか、ひとつ具体的にお答えをいただきたい。
#9
○千頭参考人 ただいまの御質問の要旨は、要するにより低利な、より長期の安定資金を信託銀行としてどうしてやるのか、また一方においては貯蓄は大事だ、そのほうの考慮も必要である、そこへ具体的に何か方法があるのかという御質問だと思います。
 確かにいまのような御質問の要点を考えますと、信託銀行といたしましては、ただいま堀先生もお触れになりましたが、非常に店が少ない、それから人も非常に少ない。こういうことで効率的に私どもは資金を集めておるように思うのでございますが、いまのようにそれには限界があるじゃないかと申されますと、確かにその点はそうかと存じますけれども、私どもといたしましては、まだまだ事務の面、それからサービスの面で合理化する余地があるように思っております。その点で私ども合理化のほうをさらに一歩進めていかなければならない。ただ、先ほど公述申し上げましたが、昨年配当率の引き下げ以上に貸し出し金利のほうをかなり下げておりますものですから、これにはおのずから限界があると思っております。ただいまのところは、そういうところはさらに一歩進めて事務面、サービス面でせいぜいやっていきたい。また店舗の少ないということ、それから人員の少ないという点を大いに生かしていきたい、こういうふうに考えております。
#10
○堀小委員 お話の点で、確かに合理化の余地はあろうかと思いますが、さっき申し上げたように、人間がたくさんおれば、機械力に転換をすればかなり人件費は圧縮されるということになりますが、合理化は非常に限度にきておるように思いますし、それから物件費にしても当然十分合理化をしていらっしゃると思いますので、結局この問題は、すでにいまお話しのように配当を下げて、しかしそれ以上に貸し出し金利をお下げになる、これは私はやはり競争の原理が働いておってそこまでおやりいただいたことだ、こう考えておるわけでありますが、その点はいまのお話だけでは、何か大体ここらが限界で、あとは配当を下げなければ金利は下げられない、こういう問題にきておるのではないかという感じが私はいたしております。
 そこでもう一つ、それにも関連してちょっとお伺いをしたいことは、実は貸出金残高期間別調というのを要求をいたしまして、大蔵省から昨日配付を受けた資料がございます。いまお手元へちょっとお渡ししてごらんをいただきたいわけです。これの二枚目でございます。ここに貸出金残高の期間別調というので、都市銀行、地方銀行、長期信用銀行、信託銀行、こういうふうに分けまして、三十五年から四十一年までをとってあるわけでございますが、信託銀行につきましては、一年以上のものが大体最近は八〇%くらいということで、一年未満が二〇%程度あるようでございます。おそらくこの一年未満というのは銀行勘定から出ておるのではないかと思うのでありますけれども、ちょっとこの点大蔵省、一年未満で信託勘定から出ておるものがどのくらいあるのか、もしあなたのほうあれでしたら先に答えてください。
#11
○澄田説明員 これはいま言われましたように、銀行勘定と信託勘定の合計の数字でございまして、これの内訳はちょっといますぐにわからないようでございます。
#12
○堀小委員 これは大蔵省の資料でございますが、千頭さんにお伺いしたいのですが、よそのことはおわかりにならぬと思いますが、おたくの場合でこういう区分けをして一年以内の貸し出しという場合には、信託勘定と銀行勘定はどんな感触でございましょうか。
#13
○千頭参考人 私ども信託勘定で一年以内というのはほとんどないと思います。ついででございますから、ちょっと貸し出しの期間についてお答えいたしたいと思うのでございますが、ただいま五年以上というのは、これは私の会社だけでございますけれども、全体の貸し出しの八八・一%でございます。非常に長くなっておるわけでございます。ただ実際のことを申し上げますと、期間は五年以上、七年以上となりますと、これはまだ少し少ないのでございます。全体として一四%、しかし最近は非常にこれが延びております。ただここで御了解を得たいことは、実際問題といたしますと、期限が参りましてそのまま返済し切ってしまうというのが非常に少ないのでございまして、事実は返済分をまた新しく借りるということでございまして、私大きな考え方でございますけれども、大体実質は十年くらいにいっておるのじゃないか、かように考えております。それで銀行勘定のほうで一年未満というのは多いのでございまして、おそらく信託勘定で一年未満は私はないと思います。
#14
○堀小委員 いまあわせて融資期間をお答えいただいたので非常に参考になるわけでございますが、私どもは、ずっとこの間から各界の代表の皆さんにこちらへお越しをいただきながら感じておりますことは、地方銀行、長期銀行、きょうの信託銀行の皆さん、大体現状のほうに比重をかけていきたい、こういう御意見が強いようであります。私はこの問題の中でやはり非常に重要なのは、分化が進む方向になるのならばこれは非常に意味がある。要するにこれまでの過程の中で、工藤さんもおっしゃいましたように、やはり私ども将来のものを考えます場合には現状分析が非常に大事でございますから、最近における現状の変わってきた変わり方が同質化の方向に全体が向いているならば、これはどうも都市銀行のおっしゃるような同質化の方向もやはり考えなければならぬと思うのでございますが、この前長期銀行にお伺いをいたしましたし、きょうは信託銀行にお伺いしましても、方向としてはどうもだんだん長期の借り入れの方向にすべてがシフトしつつあるということになりますと、やはり長期銀行の役割りはそれなりに果たされていきつつあるというふうに現状を感じるわけでございます。その中で、私ども十分な資料がありませんのでひとつお伺いしたいのは、信託銀行としては一体その長期の資金の中に中小金融というような比重のものはどういうことになっているのか。われわれ都市銀行やその他の問題、しょっちゅう中小金融の比重を見ておりますが、この信託銀行では私どもどの程度の比重になっているのかわかりませんので、それをちょっとお伺いしたい。
#15
○千頭参考人 もともと貸付信託法は、制定以来第一条で、緊要な産業に対する貸し出しをする。昭和二十七年ごろできましたときは、もっぱら石炭であるとか海運でありますとか、今日におきましては全く斜陽化している大企業へずいぶん出したものでございます。それがずっと尾を引いておりますので、貸し出しのほうのウェートはやはり大企業のほうが多いのでございます。ただ、中小企業のほうもだんだんとこれから貸し出しをしなければならぬと見ておりますが、あまり新しい資料でございませんので、あるいは御参考にならないかと思いますが、四十一年の末の数字で、中小企業の貸し出しは大体七・三%ぐらいという、きわめて少ないのでございますね。ただ私は今後は、中小企業と申しますのは三十年代の高度成長に乗りおくれておりますし、これは先般堀先生もおっしゃったと思うのでございますが、内部留保もしたがって少ない。しかるに、今後開放経済におきまして、あるいは安定成長期における中小企業のあり方が非常に大事ではないか。最近は、一つには大企業のほうも設備投資のほうが少し減退いたしましたこともございますが、各社とも中小企業のほうへ力を入れるようにいたしております。
#16
○小峯小委員長 七・三%は三菱だけの……。
#17
○千頭参考人 これは信託銀行全体でございます。
#18
○堀小委員 そこで、長期的に見ますと、やはり私は日本経済の中における大企業は、何と申しましても償却が大きくなりますから、自己資金で設備投資がまかなえる方向に、それはどの程度のスピードでまいりますかは別として、方向はそうなるだろうと思います。そうなるとやはり資金の需要というものは大企業のほうがやや下がってくるのではないか。中小企業といいましても、その中には中堅企業もありますが、やはりそちら側がかなりきちんとなりませんと国際競争力はつかないのではないか。どうも日本の場合は、大企業の生産品はほとんど下請というのがかなりあるというかっこうになっておりますから、そういう点では、実は私は最近長期銀行のほうは相互銀行、信用金庫の代理貸しを通じて新しい中小金融でございますね、要するに長期銀行が行なう中小金融という方向にかなり道が開けつつある、こういうふうに感じるわけでございます。そういうことでこの資金の流れが、これまでは長期銀行及び信託銀行はほとんど大企業であったと思いますが、これはやはり時代の要請につれて中小の金融のほうにも少し流れをふやすということになることが、私は日本経済としても望ましいし、同時に各金融機関としての将来的な展望を含めて考える場合にも、そういう方向に出ていかれることが望ましい、こう考えるわけでありますが、現在長銀が相互銀行や信用金庫を通じて代理貸しを行なっております。こういうものに何か対応して信託銀行として新たに中小金融についての開拓の道があるかどうか。さっきおっしゃいました法人の企業財務管理というようなことをおやりになるとなれば、これは大企業の法人財務管理なんということは当然考えられないわけですから、中小企業というものを頭に置いてのお答えであろうと思うのでありますが、そこらに触れて、ひとつ今後の信託銀行としての中小金融に対するかまえはどういうことになるだろうかということをちょっと伺いたい。
#19
○千頭参考人 信託銀行としても中小企業にも貸し出しを十分考えなければいかぬだろうというお話、まことにごもっともでございます。それならば長期信用銀行がやっておりますような方法をいまどう考えておるかという御質問かと思いますが、実は私どものほうは、ただいま申し上げるまでもなく、やはり大企業が中心でございましたものですから、ここへ来まして、非常にまず各社とも調査機構を整備いたしましたり、審査機能を充実して、融資先の対象の拡大につとめておるわけでございます。われわれといたしましては、今後中小企業に対する信用補完制度など非常に拡充されてまいりますことを希望いたしますし、またそういうような意味で、できますなら償却などもひとつお手厚く願いますと非常にやりいいのではないか。とにかく少し出おくれておることは事実でございますが、いま一生懸命そのほうも開拓中である、かようにお答えいたしたいと思います。
#20
○堀小委員 その次に、歴史的な沿革として、日本の場合には金銭信託という、金銭形態の信託というものが大宗をなしておるというおことばでありました。確かにそうだと思いますが、ただ私はどうも信託ということばの本来の意味は、少なくとも財産をまかすということなんでありますから、まかせた財産が、今度は預ける側に立ちますと、最も高利に、有効に、安全に運用してほしいということが私は預けるほうの側の希望だろうと思うのです。ここはちょうど相反しているわけでして、借りるほうは低利に借りたい、しかし預けるほうは自分の財産を預けるのですから、できるだけ高利に回してもらいたい、ここが非常に矛盾しているようですが、接点になるわけであります。この点で私はいまの貸付信託というのは五年の定期預金というような感じがいたしておるわけであります。そうしますと、いまの長期信用銀行の場合には、これは直接預金者というものがありませんで、要するに一種の間接金融の間接間接金融というやつをやっているような感じがするのですが、皆さんの場合にはそういう対象が国民でありますから、その意味ではもう少し片方の信託をする側に対して魅力のある信託ということについてのお考えがないかどうか。要するに今後とも信託銀行は金銭形態の信託一本で定期預金変形方式でずっとおやりになろうというお考えなのか、そこらについてひとつお答えをいただきたいと思います。
#21
○千頭参考人 五年の貸付信託は五年の定期とあまり変わらぬではないか、何かこう魅力のある姿としてはどういうことを考えておるかという御質問かと存じます。ただいま御質問の要点はでございますね。私どもといたしましてもできるだけ――いま個人層がほとんど貸付信託の大半を占めておりまして、先ほど申し上げましたようにもう七〇%というものが個人でございますし、最近は退職者でありますとか未亡人あたりからも、生活の一つのかてとしまして非常にこれを利用していただいておりますが、ますます魅力あるものにしたいと思うのでございます。それにはやはり何と申しましても予定配当率を高くしておかなければいけないのではないか。ただいま七分二厘二毛でございますのですが、そこで、先ほどの低利の資金を供給することとこの魅力ある七分二厘二毛とのかね合いというような御質問かとも思うのでございますが、これは結局貸付信託の予想配当率のほうを――まあ、これは実績配当にはなっておるのでございますが、もうおわかりのように比較的安定した範囲においての動きをいたしておりますわけでございまして、真実の意味の実績配当とは申し上げることができません。したがってこの問題は、私やはり金利体系全体の中に占めます貸付信託の地位でございますね、これをひとつ考えることと、それから産業側の要請の強さということとのかね合いになってくるのではないか。私も長期金利はますます下げなければならぬというふうにお答えをいたしましたし、また事実合理化その他でできるだけこれは下げてまいるつもりにいたしておりますが、私といたしましては、ただいまは予定配当率のほうは全然手に触れないでいけるところまでいって、そしてそれによって受益者の皆さんの期待に応じていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
#22
○堀小委員 まあ私は、いま触れましたように資金供給としての機能というものは確かに信託銀行はあるわけですが、同時にまた、それだけならば銀行という名前でいいのではないかと思うのですね。信託という名前は要らないと思うのです。信託という名前をつけた以上はやはり信託をやってもらいたいというのが、これは国民の側からの問題ですね。国民と信託という関係でものを見ないと、私はもし資金供給の面だけから見たら同質化論に対して抵抗力はないと思うのです。この場合には、それでは都市銀行も五年の定期をやらせてくれと言われたときに、五年の定期と信託銀行の貸付信託で競争するとなれば一体どうなるか。これは私は勝負にならぬと思う。信託銀行は一敗地にまみれることは間違いありません。これは店舗の数からいっても、現在の力関係からいっても問題にならぬ。そうなると、私はよくこういうことを言うのですが、信託という名の銀行から信託銀行に脱皮をしていただくことが今後どうしても必要になるのではないかというのが私が特に信託銀行にお願いしたいことなんです。その中には、私はやはり今後の日本経済というものが現在のような間接金融だけでいいとは考えておりません。要するに長期低利の資金を供給しなければならない一つのもとは日本の資本構成にあるわけでありますから、これが自己資本がうんと高くなって借り入れ金が少なくなれば、何も特別低利でなくてもぺイできる競争力はできると思うのですが、資本構成が非常に借り入れに片寄っておるためにより低利の資金を借りなければならぬということになるわけでありますから、そうなりますと、私は国民の資金の最近の状態を調べてみますと、実は保有金融資産の増加の内訳という資料を銀行協会が出しておられる中で見てみますと、最近有価証券に対する国民の、特に個人の金融資産の増加というのは、もう増加ではなくて最近はマイナスになっているわけでありまして、株式については昭和四十年は比率でマイナス一・三、四十一年はマイナス〇・三、こういうことで、実はその他は全部伸びているにもかかわらず、証券に対する投資というものはほとんど増加しないで、逆に減りつつあるというのが現状でございます。しかし、私は、これがこのままでいいとはどうも日本経済の長期的展望に立つと考えられません。やはりどうしても、証券に対する投資が国民の増加した金融資産の中にある程度の比率を占めていくようになることが、国際競争力との関係でも必要になるのじゃないか。
 そこで、私はこの前からここで議論をいたしておりますのは、新しい投資信託の制度をどうしてもこの際つくり、大衆資金がより安心をしてその投資信託に参加のできるようなものをつくるべきだというのが私の発想でありますが、その中にはボンドの投資信託もありますし、それから株式の投資信託もあるだろうと思います。ただ現状のようなことでは問題がありますので、その点についてはやはりある程度会社型のような投資信託というものを考慮したほうが望ましい、こう考えておりますけれども、その際に、私はこの投資信託というのはまさに信託だと思うのであります。やはりもとは大衆に直接密着しておりますけれども、その投資信託は、運用のいかんによっては、かなり投資信託に参加をした人たちに対して効果的な配当を行ない得る可能性は、貸付信託と異なってあるのではないか。そのことが私は、やがてボンドを拡大しあるいは株式を拡大する中で、そこへ資金が流れ込んでくる過程の中では、資本構成が変更できてくる道がだんだん開けるのではないか。ですから、長期的に見ますとやはりその点が非常に必要なんですが、残念ながら今日まで国民が証券界に対して強い不信感を持っておりますから、これがどうしても現状でなかなか払拭できない。これが私は、四十年、四十一年の金融資産の増加の内訳にあらわれていると思うのです。ですから、ここでひとつ信託銀行が新たな観点で――これは証券界の人たちがどう言うかは別でありますけれども、新たな観点で投資信託に参加をして、そこで皆さんがいま投資信託をただ受託者として金庫に預かっていらっしゃるだけでなくて、受託者であり委託者である立場に立つような道がここで開けて、証券の人たちとここで適正な競争関係が出てくるときに、私は国民の資金がかなりここへ流れてくる可能性があるのではないか。いま国民に対して物的形態の信託をしろなんと言っても、国民はいま非常に貧しくなっておりますから、形態としては、とても物的資産を信託して皆さんがそれでペイできるようなことは考えられませんけれども、そういう新たな投資信託を開発するという形ならば、国民の期待に沿うものであるし、同時に証券界としてもそういう方面から新たな資金がどんどん入ってくれば、そのことは市場全体に対しての資金流入になるわけでありますから、全体として見れば、これはいま生命保険が株式を買っているこの買い方も、もし皆さんが投資信託によって市場でお買いになるものが出ても、これは証券界として何もそう反対される理由はないのではないか。あわせて適正な競争者ができたということで向こうも適正な競争ができることによって、日本の資本構成にも変革がもたらされ、信託という意味の内容もはっきりしてくるのではないだろうか、こう考えるわけであります。これは非常にドラスチックな提案でもありますから、お答えいただけるかどうかわかりませんが、感触としてひとつ、特に千頭さん個人の感触でけっこうでございますから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#23
○千頭参考人 ただいま、信託らしい信託をやったらどうかと思うが、証券を扱ったり不動産を扱ったりすることは、なかなか富の蓄積に時間がかかるだろうから、今後証券界とのかね合いで、投資信託その他の方面の、単に受託者たる地位を離れて何か考えているのかという御質問だと思います。
 私は、証券界と申しましても、株式市場と公社債市場とあるわけでございますが、まず公社債市場のほうは、これはやはりたくさんの機関投資家、証券投資家が出ませんといけないので、この点は年金信託が将来機関投資家に十分なり得るのじゃないか。ただしこれには時間がかかります。それから株式のほうにつきましては、証券界に対する不信感も非常にございますが、ことに最近は凍結株がいろいろ出るとか、それからかなり企業者側のほうで採算が非常にきびしくなられたために増資も慎重である。それから利益が出られても、内部蓄積のほうにできるだけお回しになるようでございまして、増配ということは非常に少なくなってくる、復配はございますけれども、増配ということはなかなかない。そういうようなところでなかなか妙味も失われてきているかと思います。投資信託につきましては、最近になりまして業界と大蔵省側とでもっぱら受益者保護の改正案に取っ組んでおるようでございまして、これで必ず、今後は株式市場等が立ち直れば、従来よりはまた少し変わってくるのじゃないか。
 そこで、いままでの投資信託の形態は全部が契約型でございます。そこで会社型の投資信託というものも私やはり必要じゃないかと思います。これはただいろいろ独占禁止法の問題がございましたり、また税法上の問題があるようでございますから、幸いにしてこういう方面が解決できましたならば、いま日本の経済はいろいろな問題をかかえておりますから、その問題の解決ができますような一つの手段として、ぜひこの会社型をお手伝いしてまいりたいというふうに思っております。ただ、信託銀行がこれをすぐやるのかとおっしゃっても、まだいろいろ前提があるものでございますから、私としてはちょっとこれ以上のことは申し上げかねますけれども、あしからずよろしくお願いいたします。
#24
○澄田説明員 先ほどお尋ねの信託銀行の貸出金残高の期間別のところでございますが、とりあえず一年未満の数字のうちで、銀行勘定がどれだけあるかということを数字を当たりましたので、数字だけ申し上げます。
 三十五年が全体が二千五百二十二億でございますが、このうち千八百八十三億、それから三十六年が二千八百十五億中二千百七億、それから三十七年が三千三百七十九億中二千五百二十八億、それから三十八年が三千九百三十四億中三千九十五億、三十九年が四千三百二十三億中三千四百六十億、四十年が四千七百九十九億中三千九百八十五億、四十一年が六千二百五十三億中五千二百九十二億、四十一年だけ百分比をとって出しますと、五千二百九十二億というのは一七・四%、かようになります。
 それから、いま一年以上のほうの銀行勘定の数字がまいりましたから、こちらを申し上げます。銀行勘定分だけ申し上げます。
 三十五年二百十四億、三十六年三百五十億、三十七年六百二十億、三十八年千百七十二億、三十九年千五百四十四億、四十年千六百四十九億、四十一年千六百三十三億、この四十一年の百分比は四・七%、そういうことでございます。
#25
○堀小委員 いま大蔵省の報告を聞きまして、私もやはり多少そういうことがあるのじゃないかとは思いましたけれども、この問題は信託銀行全体としてはやはり少し考えていただかなければならぬ問題ではないか。
 実は最近、長期銀行でも運転資金の供給というのがかなりふえつつある。これは都市銀行から見ますと、――都市銀行も設備資金をやっているのですから文句はないはずなんですけれども、都市銀行から見ると、どうも長期銀行が特に短期の運転資金を供給しておるというのは、おそらく非常に目ざわりな感じがしておるのだろうと思います。私はやはりそういう点は、長期銀行としてはできるだけ整理をしていただいて、特に信託銀行の場合には銀行勘定がはっきりあるわけでありますから、信託勘定で長期を扱い、銀行勘定で一年未満を扱うとなれば、これはどこから見ても議論のないところだと思いますが、いま報告を聞いてみますと、どうも特に四十一年あたりにおける信託勘定からの一年未満なんというものは、全体としてかなりの額にのぼっておりますし、また裏返して言うと、銀行勘定で長期をやっておるものがある。これでは、どうも私、やはり分化という本来の趣旨、長短金融の問題についてちょっと最初に千頭さんがお話しになったこととは、やや実態が違うような感じがいたしますので、どうかこういう点は今後協会としてひとつ自主的にお考えをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#26
○千頭参考人 四十一年におきまして多少信託勘定で短期のものが出ております。それから銀行勘定で逆に長期のものが出ておる。確かに信託勘定は、本来長期の資金を扱っておるものでございますから、それを短期に動かしてしまうというのは、やはり私はほんとうにまずいと思います。ただ、これは非常に弁解がましくなるのでございますが、四十一年は非常に資金需要が減退をいたしましたものですから、一時的でございますけれども、貸付信託のほうの資金がかなり余裕がございましたために、あるいはそういう事態が起きたかと思います。しかし、御趣旨は全くそのとおりだと思いますから、今後十分考えてまいりたいと思います。
#27
○堀小委員 そこで、いままでのお話の中で、再編、合併についての御意見も承りましたし、あとの残っております問題は、生命保険との今後のいろいろな競合の問題が一つ残ってくるのじゃないかと思います。これは、かつて当委員会で例のペンションファンドの最初に、生命保険と信託銀行のかなりせり合いがありました。私は当時の判断といたしましては、信託銀行のおやりになっておるほうが、年金信託に加入をする人たちの立場から見て有利だ。それはどこにあるかというと、物価が非常にどんどん上がっておる際でありますから、その際には、信託でおやりになっておるかっこうの年金信託のほうが、信託加入者に有利であるという判断のもとに、どちらかというと信託の皆さんの肩を持った歴史が実はあるわけであります。しかし、やはり長期資金の供給という面では、実は最近生命保険はなかなか――保険というのは個人の金融資産の中では非常にウエートが高くなってきまして、四十一年で見ましても保険に対しての比率は一四%、それから信託に対しては七・九%ということでありますから、個人の金融資産の増加分の中ではかなり高い率で保険のほうに資金が流れておるわけであります。ここらで生命保険と信託の今後のいろいろな面における問題が多少あるのではないかという感じがいたしますが、これはちょっと資金運用とかそういう角度の面でこっちからの問題――いまの年金信託は特別な例だろうと思うのでありますけれども、しかしどちらかというと、やはり長期資金を扱う立場としては似た立場でありますので、もし何かあるとすればひとつお答えいただきたいと思います。
#28
○千頭参考人 生命保険会社との今後の関係でございます。私のほうは今後もっぱら長期の貸し出しのほうへやはり指向いたしております。その点は保険会社さんのほうは有価証券投資というような面も多分にお考えでいらっしゃるように思います。年金につきましては、私が申し上げるまでもなく、それぞれの特徴がございまして、それとこれまでのいろいろの取引先との密度の問題がございまして、それによってただいまのところはそう摩擦もなく推移いたしておると思いますが、今後私どもといたしましては、証券界にすぐ出ますということはなかなか問題があると思います。将来年金信託があまり遠くない先には一兆円というような数字も予想されるものでございますから、そのときには証券界に出るのでございますけれども、それまでは生保さんのほうにそういう面を期待いたして、私どもは今後はもっぱら長期の安定的な資金を供給する、そういう方面に全力を尽くしてまいりたい。それともう一つ、たびたび申し上げておりますし、また御希望もございました信託らしい仕事、この二つで今後まいりたい、かように存じます。
#29
○堀小委員 以上で千頭参考人に対する質問は終わらしていただきまして、工藤参考人にお伺いをいたします。
 私、工藤さんのお話をずっと伺っておりまして、非常に同感の点が多いわけであります。きょう信託銀行にお越しいただきましたから、都銀、長銀、信託銀行の皆さんのお話を今日までずっと承ったわけでございますけれども、実はずっと承っております中で、先ほども私ちょっと触れましたが、やはりこの際同質化をして競争しなければならぬという必然性というものは、都銀の側にはあるのかもわかりませんけれども、全体としてはやや少し説得力に乏しいという感じを実は私持っておるわけであります。ですから、その点については私工藤さんの御意見全く同感な点がありますし、それからずっとお話しになりました中で、制度や何かの問題は動かす人の問題だとおっしゃる点については、私全く同感なんでありますが、ただここで、いまの制度は実は人についてチェックできないようになっているわけです。私ども、特に一番よく問題が起きております信用金庫の場合を見てみますと、信用金庫というのは、理事長に少し変な人がおりますと、たいへんなことが次から次へ起こってくるのですけれども、この理事長を取っかえるということが現行制度では簡単にできないわけです。この点は、銀行を含めてともかく運営者の責任といいますか、いま銀行法には第何条か、ちょっと私いま法文をここに持っておりませんが、要するに大蔵省の監査であるとか検査であるとか、何かそういうことで虚偽のことを答えたら、その責任者は処分されるという罰則が一つついておりますけれども、これだけでして、私は確かにこの点は、もう少し何かそういう人的なものについて著しく公共性といいますかを阻害するような問題が起きたときには、これは解任権が要求できていいのじゃないかというような気持ちがいたしておるわけでありますが、その点ひとつ工藤さんの考えを承りたい。
#30
○工藤参考人 人の問題は、さっきちょっとおしゃべりいたしましたけれども、まことにむずかしい問題でございます。しかし一つには、信用組合等を許可します場合に地方公共団体にまかしてありますね。あのために好ましくないような経営者が出てくるおそれがあります。この方面をもう少し厳重にしてもらう必要があると思いますが、それでもほんとうに鼻持ちならぬような経営者の出てきたときには、何らかの形で解任を要求し得るような道を考えたらいいと思います。大蔵省だけでむずかしいのなら、ひとつ議会で御審議を願うとか、ほかに道があると思いますが、同感であります。
#31
○堀小委員 それから、日本経済の現状を正しく認識しなければならぬとおっしゃる点、私も同感でありまして、将来へのものを考えます場合には、やはり現状分析が正確でなければ見通しも立ちませんし、現状分析なくしてビジョンもかけないと思います。その点は全く同感なんでありますけれども、それではいまの日本の全体の状況の中でこのままでいいのかどうか、こう考えてみますと、やはり依然として大きな問題なのは住宅の問題ですね。これはもっと全体のバランスの中で配慮されてしかるべきではないか。最近日本の設備投資の中に占める住宅部門の比重は高くなってまいりましたけれども、それまでは全体の設備投資の中に占めております比率というものは非常に低かったのでございます。これは諸外国の例を見ますと、いずれもかなり設備投資の中に占める住宅投資というものの比重が高かったわけでありますから、こういう点はもっと是正されなければならないのではないか。要するに国民生活を考えます場合に、私ども衣食住、こういうことばを使っておりますが、一応衣と食はすでに十分になっていますけれども、住についてはまことにどうも不十分な状態だという感じがいたします。そういうようなものを考えてみますと、最近たとえば地方銀行でも住宅ローンというものが開発をされ、長期銀行でも住宅に対してかなり積極的に取り組んでおられますが、私はいまの全体の中で、特に長期銀行がかなりこの住宅のローンというものを積極的に開発する責任があっていいのじゃないか。民間の設備投資にだけ金を持っていくところに、要するに経済の跛行的成長が起こるので、住宅投資のようなものはわりに継続性があり、安定性があり、急に供給過多になったりしないきわめて適切な投資ではないか、私はこう思っております。いまそろそろ手がけてはおられますけれども、この方向はもっと積極性があっていいのじゃないか、こういう感じがいたしますけれども、その点についての工藤さんのお考えをちょっと承りたいと思います。
#32
○工藤参考人 住宅投資の問題についてお話しございましたが、確かにいま住宅は払底しておりますね。また、団地等ができましてもそこにいろいろな問題が起こっておりまして、この点については総合的に力を入れていく必要があると思います。ただ現在やっております住宅は、大体国とか地方公共団体とか、あるいは公団がやっておりまして、経済性というものが第二義的に置かれているような感じがしますね。したがって投資をしましても、投資した金額が返ってくるかどうかということに不安がございますし、また利回りにしても非常に低いというような懸念もありますから、税制その他でそういう面の前提をよくする必要がありはしないかと思います。
#33
○堀小委員 三番目に、特に中小の金融機関が多過ぎるというお話がございました。これは私も確かに多過ぎると思います。
 そこで、実は今後のいろいろな問題の中で二つあると思うのでありますけれども、戦略的に安い資金を大量に供給しようということになりますと、私昨日もちょっと触れたのでありますけれども、一番簡単なのは都市銀行が横向けに合併してしまいますと、これは非常に資金効率がよくなりますから、これはとたんに安い資金を供給できる方向にかなりいくんじゃないかと思いますが、合併、再編成という問題の中には、そういう横の合併と縦の合併と二通りの合併問題があるわけであります。この場合に、最近ちょっと私のおります兵庫県では、信用金庫の合併というのをかなりやっておりまして、私たいへんけっこうだと思っておるのでありますが、もう少しそういう特に数の多い金融機関は、横向けの合併というものが何らか促進されないかどうか。この合併を促進するための手段だと誤解をされては困るのですが、実は私ども当小委員会では、歩積み・両建ての問題をずっと取り上げてきておるわけです。やはりいま安い金利で金を借りるのは、大企業であれ中小企業であれ零細企業であれ、必要なことでありますから、安い金利の金を貸すために、実は歩積み・両建ての解消を強く要求をしております。ところが、これを実は一番延ばされているのは、信用金庫やその他のほうが時間を延ばされているわけですね。延ばしているということは、依然としてそれが残りつつあるということですから、高い金利になっているということでありますが、やはり時代の要請からすれば、安い金利になるべきものでありますから、そういう点では、こういう歩積み・両建てその他を適正にやめることによってなおかつ競争できるように、信用金庫は当然信用金庫としておやりになればいいのですが、その過程に問題があるところは、できるだけやはり少し合併でもなさって、効率のよい形で、数は減っていくほうが私も望ましいのではないかと思う。誤解があるといけませんから、はっきりもう一回申しておきますが、歩積み・両建ての解消の促進を金庫の合併の手段と考えておるわけではありませんから、この点はちょっとはっきりいたしておきませんと、また誤解を生ずるといけませんが、しかし時代の要請としては、私どもが取り上げている歩積み・両建てというものは、安い金利の資金を供給させるという意味では私は当然のことだと考えておりますので、そういう面から見まして、いまの多過ぎる金融機関の問題、特に信用組合の問題というのは、私どもの目についておりません。私どもあまり資料も手に入っておりませんから、一体どういうことになっておるのか、大蔵省が直接所管をいたしておりませんからよくわかりませんけれども、問題が多くあるということだけは常々聞いておるわけであります。ここらを含めて、これの数を減らすということは、要するにここでは合併だと思いますが、この合併についてのお考え、横向け、縦向けという問題を含めてお答え願いたいと思います。
#34
○工藤参考人 ただいま合併の問題のお話がありましたが、横の合併でも合併というのはなかなかむずかしいものでございまして、特に人の問題があとあとまで残るものです。前にも帝国銀行というのができまして、すぐ三井銀行と第一銀行とまた分離しましたが、ああいういざこざが起こるのです。特に縦の関係、大企業が信用金庫に入り込んでくるということになりますと、信用金庫の役職員は将来希望を失うということになりまして、なかなか話が進みにくいと思います。
 金利の問題については、これはできるだけ低利に供給するというのが本来のたてまえでございます、中小企業と大企業が同一にいかぬということは、中小企業、つまり小口のものは非常に手数と時間と費用がかかるということですね。このために同じような立場でやろうと思っておりましても、なかなかそこまでいかない、こういう点がございます。
 歩積み・両建ての点につきましては、大蔵省も議会のほうもやかましくいわれるものですから、厳重にそれを励行されておりますから、この点はだんだん解消しつつあります。この点がネックになっておるということはないと思います。
#35
○堀小委員 しかし、あれでございましょうね。さっき公述で、多過ぎるために弊害が起きておるということを御指摘になったわけでありますから、やはり減らすというのは、合併以外に、まさかやめろというわけにいきませんから、おそらく合併だと思うのです。ですからこのことをここにお触れになったことは、やはりこういう数の多い金融機関はある程度合併によって数を減らせ、こういうふうに理解をしてよろしいわけでございましょうね。
#36
○工藤参考人 合併もその必要手段の一つでございますが、あまりつくらないことですね。それを望みたいと思うのです。
#37
○堀小委員 最後に、現状はあれでございますが、今後の金融機関の方向の問題にちょっと触れておきたいと思うのです。私はいま申し上げましたようなあれでありますから、信託銀行はやはり信託をやる銀行になってもらいたいし、長期銀行はより長期の資金を、要するに割引債なんというものは、私は将来やめるべきだろうと思っている。あれは過渡的な問題としては必要があったと思いますが、長期銀行はやはり割引債をやめて全部金融債にして、そして金融債もいまの五年をできれば七年にするとか長期にしていくことによって、長期安定の資金を供給するという、要するに長期銀行らしい長期銀行になっていくということにおのおのがなっていくのが、私はやはり今後の方向ではないか、こういう感じがしておるわけです。裏返して言うと、それならば都市銀行はどうなるのか。都市銀行はやはり商業銀行らしい銀行になっていただいて、いま非常に資金偏在で、一番資金が必要なところに金がないとこうおっしゃるのですけれども、しかしそれは長期資金まで貸すから資金がないのであって、ここがもし短期資金だけにかなり減ってくれば、そんなに資金がないないとおっしゃることにならないのではないか。そうしていまの国債発行後の資金偏在の問題で、下部金融機関、相互銀行や信用金庫のほうに資金がどんどんふえつつある、こういうお話でありますが、私はこれはたいへんけっこうだ、中小金融に対して資金は必要なわけでありますから、当然そっちへたくさんいくのがいい。どうも郵便局に金が集まるのは問題がある、こういう御意見もあると思うのですが、やはり今後の社会資本の充実、公共投資が非常に重要なのでありますから、その際には、銀行の皆さんは郵便局に金が集まったら、資金運用部で公共投資をおやりなさい、政府保証債はひとつごかんべんを願いたい、こういうふうになるのが筋道ではないか、こういう感じがいたすわけであります。いまのところは、どうも自分のほうで買いたくないのに政保債を買っておいて、そうして郵便局に金が集まるのはけしからぬというのは筋が通っていないような感じがしますから、そこらはもう少し整然と区画整理をされて、おのおのがおのおのの目的の方向にいくということのほうが全体のバランスがいいのではないか、私はこういう感じがしておりますので、その点はずっとこう伺ってきながら、どうも必ずしも賛成ができない。かえって特質を生かしながら適正な競争が行なわれるということが必要なのではないだろうかという感じがしておるわけであります。その点全く私、工藤さんのお考えと同感なんです。その方向として私が申し上げた、長期銀行は長期銀行らしく、信託銀行は信託銀行らしくという、こういう考え方についての工藤さんのお考えをひとつ承りたいと思います。
#38
○工藤参考人 第一に割引債の話が出ましたが、あれは本来長期信用銀行の仕事としてあったわけでないのです。非常に資金が枯渇しまして、何とかして資金を集めたいというので、都市銀行あたりの大反対があったにかかわらずああいうことになっておるので、これは早くやめたほうがいいと思います。ただ戦前におきましては、興業銀行、勧業銀行に興銀債、勧銀債というのがありまして、勧銀債については特に割り増し金つきの発行が許されておりましたから、ごくわずかの割り増し金でありましたけれども、あれの魅力がありまして、ずいぶん低利の債券が売れました。その関係で不動産金融なんかも長期のものを低利で差しつかえなくやったわけであります。現在のように割り増し金つきが多くなりますと、あの魅力がすっかりなくなって、もうああいう低利で発行ができなくなっております。しかし、債券発行を許されておるにしましても、これは自由主義経済のもとにおきましては、もっと債券発行側も努力しなければならぬと思うのです。興銀債の例から申し上げますと、前には、債券が売れなくて、何とか勧銀債に近づけたような、額面二十円くらいの債券をつくりまして、それをふろしきで背中にしょって、われわれみんな地方に行って、何とか買ってもらうような努力をしたのであります。そのような苦労がいまないのではないか。あなたがおっしゃったことと少し違うかもしれませんが、現在では国債をはじめ政府保証債、あるいは銀行債券等も発行がほとんど割り当て式になっておりまして、楽々と資金を集めておるのです。ここに問題があって、長期信用銀行ももう少し苦労されたほうがいいんじゃないかと思います。
#39
○堀小委員 横にいらっしゃいますけれども、信託銀行のほうもちょっと……。
#40
○工藤参考人 信託のほうもお話のとおりで、私は全然異論ございません。
#41
○小峯小委員長 奥野誠亮君。
#42
○奥野小委員 時間がだいぶんたっていますので、恐縮ですが、一言だけ工藤さんに尋ねしておきたいと思うのです。
 先ほど、金融機関が多過ぎる、ことに認可の金融機関に問題があるとおっしゃいました。おそらく協同組合法に基づく信用金庫のことをさしておられるだろうと思います。統合とか認可権限の一元化とかいったようなことをお考えになっているんじゃないかと思うのですが、一応その内容をお聞かせいただきたいと思います。なぜこんなことをお伺いするかといいますと、私も金融機関の合併、再編成を非常に希望している一員でございますが、半面、あらゆる金融機関についてそれを強く推していくことが唯一の道かどうかについては若干疑問を持っておる者でございます。庶民金融なんかになってきますと、若干の金利よりもほんとうに困ったときにす早く気持ちよく貸してくれるということを希望している向きも非常に多いわけでございますし、またそういうものならそういうところへ平素預金をすることもがえんずるというような姿もあろうかと思うのであります。またこういう問題につきましては、あるいは国の財政の役割り、あるいは政府関係金融機関、いろいろな補完的な運用も当然あわせて行なえばいいことじゃないか。やはり組合員なり、あるいは地域の実態なりに応じて金融業務が行なわれる、それも非常に大切なことじゃなかろうかという気持ちを持っておるわけでございます。そこでおっしゃった御意見の内容を伺っておきたいということ。
 また半面、町の金融業者が何万といるわけであります。貸し金業法でもつくって何らかの規制を加えるべきではないかという意見もあるのでございます。これは別に預金業務は行なっていない。もちろん人から金を借りてそれを原資にして貸し付けもやっておるわけでございましょう。そういう意見もあるわけでございますが、この町の金融業者について何らかの規制を加えるべきじゃないかという意見があることについて、工藤さんの御意見を聞かしておいていただければしあわせだ、かように思うわけでございます。半面また、貸し付け先はもう固定をしているという、いわゆる会社、工場の社内預金といったようなものもあるわけでございます。私は、こういうものもある意味においては企業の発展に従業員が積極的に関心を持つ、協力をする、過度にわたっちゃいけないと思うのですけれども、また大蔵省もそういう意味においての指導は行なっているようでございますけれども、ある意味を持っているのじゃないか、こういうふうにも思うわけでございます。
 そうなってまいりますと、金融機関といいましても、金融業務といいましても、非常に多種多様にわたっているものですから、金融機関になってまいりますと、ものによっては、ただ統合を強く推していくことが再建の道かどうか、私自身は非常に疑問を感じているものですから、こんなことをこの機会に伺っておきたいと思うのでございます。
#43
○工藤参考人 いま奥野さんからお話のありました合併だけで問題が解決するかどうか、これは疑問であると思います。二つの合併を取り上げましても、内容的には非常にむずかしい問題がありまして、長い間の折衝をしてきまりましても、それがうまくいかぬような問題もありますし、それよりも、私が申し上げましたように、金融機関をむやみにつくらぬということが先決であると思うのですね。それで地方公共団体に認可権を与えてあるものですから、わりあい簡単につくってしまうということがありまして、そのためにその後問題が起こっておるといううらみがあります。したがって、そういう点についてはもう少しこれこそ機構制度の上で考えていただいて慎重にやっていただく必要があるように思います。
 それからもう一つ、町の金融機関――その前に一つ申し上げますが、これは簡単に許しておるのではないでしょうけれども、金融政策について総合的な考え方がないものですから、たとえば最近は組合金融でも、農協のような非常に力の強いのができまして、そして単に金融業務だけでなく、保険もやれば、あるいは販売、購買もやる。最近はスーパーマーケットのようなものもどんどんやっておるというようなうわさでございますが、こういうものがものすごくできまして、そしてどこからも手がつけられない、十分な監督もできないということでは困るので、こういうものをなるべく監督なり規制ができるように考えていただきたいと思います。
 それから、町の貸し金業に対して厳重なワクをはめていただくことは大賛成でございます。これあるがために社会生活にいろいろな問題を起こしております。そしてああいう不正に近いものがまかり通るということは、ほんとうに社会生活に対して安心が持てないような感じがいたしますから、このほうは現状以上に厳重に、貸し金業法その他を制定していただいて取り締まっていただくほうがいいと思います。
#44
○小峯小委員長 広沢賢一君。
#45
○広沢(賢)小委員 ただいまのお話で、貸し金業者を取り締まる、これは当然ですが、そんな高い利息を払っても借りなければならぬという中小企業の立場があると思うのです。それからさっき言われた歩積み・両建ての問題についても、社会党はそれの解消の方向でがんばりましたけれども、その問題の根本は、やはり中小企業者が資金が非常に不足しているという問題があると思うのです。特に先ほど堀委員が言いましたけれども、中小企業の倒産が、最近は景気がよくなったにもかかわらず相当進んでおりますね。一方、大企業は自己金融力を充実して、今度は公定歩合の引き上げとかその他金融引き締めがあっても、さほど響かないというようなことをいっている。しかも設備投資は政府が幾らいっても、毎日の新聞でずっと出ておりますが、たかをくくっているのですね。そういうふうに大企業に資金が非常に集中している。それで一方、中小企業が倒産のうき目にあっている。それからさっき言われた貸し金業者の取り締まり、これは当然ですが、そればかりやっていってもだめです。それからいま工藤先生が言われました、中小企業の金融機関が多過ぎるということ、それはやはり今度は乱立しないようにこれから取り締まらなければいけない。合併集中ではないと言われましたが、この中小企業の信用機関、こういうものがいま奥野さんが心配したとおりなくなったり、合併集中をやたらにやっていったら、やはり中小企業の立場はさらに困る。こういう根本的な問題がある。
 工藤先生は中小企業の立場に立っておられますが、今回の金融再編成でもってやたらに出てくるのは、やはり、たとえば中小企業金融機関の再編成、整理ということばかりで、それで大きなほうにはあまり手がついていない。澄田銀行局長のこの前出しました論文を見ますと、現在のたとえば企業の自己金融力、資本充実という状態からして、今後の金融の流れは中小企業金融とか、住宅金融もそうですが、社会資本の充実とか、そういうものに流していくべきである、ただ単なる高度成長でなくて安定成長にいかなければいかぬということを政府当局もいっておるわけですね。そういう流れだと思うのです。したがって、今後金融再編成がそういうように中小金融機関とかその他をいじめる方向ばかりにいかないように、ことに中小企業者の立場に立っていろいろ考えなければいけないと思うのですね。そういう立場からもう一回、工藤先生がいつも言われている中小企業の立場に立った金融機関のあり方について思い切った御抱負、御意見をいろいろと聞かしていただきたい、かように思います。
#46
○工藤参考人 いまお話がありましたように、むやみやたらな合併、整理というものは好ましくないと思います。ところが、その反面、数が多ければ多いだけ中小企業金融が円滑に行なわれておるともいえない。その点はよくお考え願いたいと思います。中小金融ということを旗じるしにやっておりましても、事実はそうでなかったことは皆さん御承知のとおりです。たとえばコールレートの高いときにはコールに金を出したり、それで大いにかせいでおる。こういうような時期が相当長く続きました。これではいかぬので、やはり金融機関の使命観というものははっきり握っておらなければいかぬと思います。
 それで私どもの例を申し上げますと、私は最初から中小企業を主たる対象とするという旗じるしを掲げておりますから、現状におきましても中小企業に対する融資が全融資の八割強になっております。ところが、地方銀行全体の比率からいいますと、五割五分強ですね。だからその間にだいぶ開きがあると思いますが、やはり中小企業に対しては、中小企業に対する金融に徹するという意味で、もう少し親切に融資をやっていくということが必要だと思うのです。中小企業は非常に危険であるから、それで石橋をたたいて渡るようなやり方をやっておれば、中小企業に御満足がいきません。私はいつも申し上げますが、中小企業融資についてはボーダーラインがありますけれども、場合によればそのボーダーラインを踏み越してやらなければならぬ点がある。しかし、銀行の収益全体で健全な経営ができておるなら、決して不健全なことはない、こういう考え方でやっておりますが、私の経験からいえば、これで大体間違いがなかったように思うわけであります。そういうような扱いをすることによって初めて中小金融はほんとうの意味において緩和せられるし、うまくいくのである、こういう感じでおります。
#47
○広沢(賢)小委員 もう一回お尋ねしますが、それはたとえば先ほど信託協会の会長さんが、信用補完制度が十分完備すれば、信託銀行としても中小金融まで、ほとんどやってなかったけれども、今後は努力したい、最近の金融の流れから見てそういうことをしたいということを言われたのですが、この信用補完制度の問題ですね。ただ、大きな銀行とかいろいろなところはやはり利益を中心にする、安全を第一にする。そうすると、やはり政府措置が必要だと思うのです。それでいま信託協会の会長さんが言われた、信用補完制度が完備
 すればそういうふうに流すということについて、信託銀行のほうとしてはどういうような具体案をお考えか。今後努力したいというだけでなくて、何かそれについて政府がこうしなければいかぬ。それから、いま工藤先生が言われたとおり、中小信用機関というものはあまり安全ばかり考えなくても、思い切ってやっていけば間違いないと言われましたが、そういう点について、もういままで信託銀行はほとんど証券投資その他にいって、やはりそれが帰するところは大企業に集中するわけです。信託銀行としていかに中小金融に対して考えるか、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。
#48
○千頭参考人 中小企業に対して今後どういうふうに現実にやっていくかということですが、私は今後中小企業というものは非常に重要性がいままでよりもさらに増してきたというふうに考えております。先ほど申し上げましたけれども、開放経済のもとにおきまして、あるいは安定成長期における中小企業の重要性というものは当然見直されてきていい。しかも中小企業にはこれまでにない合理化その他の設備資金があるはずでございますので、私どもといたしましては、できるだけ従来の大企業中心主義を広げまして、そういう方面に融資をいたしてまいりたい。ただ、中小企業と申しましても、いろいろと範囲もございますし、信用度もございますので、願えますなら、信用補完制度のようなものが伴えば、まことにしあわせであると思います。ただ、それがなければ絶対にやらぬというものではございません。私どもすでに調査機構なり審査機構を拡大いたしまして、もちろん私どものほうの経営の安全性からでもございますが、十分調査その他の上でできるだけの融資をいたしてまいりたい。ただその際に、信用補完制度のようなものが完備されますと、非常にまた範囲も拡大できますし、非常に好都合ではないか、こういう意味で申し上げたのでございまして、現にもう範囲は十分広げておるつもりでございます。
#49
○小峯小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 両参考人には御多用中のところ、御出席を賜わり、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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