くにさくロゴ
1949/05/06 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会 第10号
姉妹サイト
 
1949/05/06 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会 第10号

#1
第005回国会 内閣委員会 第10号
昭和二十四年五月六日(金曜日)
   午後一時三十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○外務省設置法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。外務省設置法案を議題といたします。先ず提案の理由につきまして政府の御説明を願います。
#3
○國務大臣(吉田茂君) 外務省の今度の機構改革は、主として財政の方面から規模を縮小して、主として將來の外交再開の場合に備える程度に縮小する。外交が再開された場合には更に機構を考えますが、差当りとしては成るベく縮小して、そうして経費のかからないようにしてやつて参りたい。この間いろいろ衆議院において質問がありましたが、講和会議に対する準備如何ということでありましたが、これは外務省全体が講和会議に備える準備等は從來もすでにやつて來ているのであつて、この際特に講和会議準備局というようなものを設けるということもこれはどうか。連合國その他に対する関係から言つてみても、いよいよ講和会議というようなことになれば準備局を拵えるのも一案でありますが、今日のところ講和会議の開かるる時期等についても全く不明でありますから、差当りのところとしては置かないつもりであります。そのために準備を怠つているか、それは怠つておりません。もう過去約四年問に亘つて外務省全体として研究は進めとおりますので、その点については万遺漏なきを期しております。その他細かい機構等については政府委員から説明いたさせます。
#4
○委員長(河井彌八君) この際諸君にお諮りいたしますが、御異議がなければ佐藤外務委員長、外務委員の徳川さんがお見えになつておりますから、特に両君の発言を許したいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
#6
○委員外議員(佐藤尚武君) 私から一、二この設置法案について外務当局の御意見を承りたいと思いますが、委員長、これはどういうふうにしましようか。全般を通じて私の二三思つております疑問の点をお尋ねしてよろしうございますか。
#7
○委員長(河井彌八君) よろしうございます。
#8
○委員外議員(佐藤尚武君) それではお許しがありましたから、そういうようにお願いしたいと思いますが、第一に第三條以下の外務省の任務というところから入りまして、第三條を見ますると、「外務省は、左に掲げる國の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」とあります。そうしてその次の一から十までの項目が並ベられておるわけでありますが、この一体的に遂行するという言葉がちよつと私にははつきりしないので、その点についてお尋ねしたいと思うのでありますが、私の質問の趣旨とするところは、私の考えておりまする外務省なるものは、これはそれこそ日本國に関する限り、いわゆる外務行政、若しくは外交全般に関する問題を全部外務省において管掌するというのでなければいかんと思うのであります。これは何も取立てて正確を期する必要がないぐらいの問題であるといえばそれまでの話ではありまするけれども、何分満洲事変以來外務省に関する限りは、非常に外務省本來の任務というものが曖昧になつて、むしろ曖昧にされてしまつて、そうして外務省が当然管掌すベき事項でもその他の省がこれに当つて自分で管掌してしまつたり、若しくは軍部等からの掣肘を受けたり、いろいろして、外務省本來の職責というものが甚だ明確を欠いて來たというように私は感じておつたのであります。終戰以來は殊にそうであるのでありますが、これは占領下においては止むを得ないこととも考えるのでありますし、各省がGHQと直接に交渉されておる。そうして各省まちまちのことをやつておるということでGHQとの関係におきましても、外務省の存在というものは一貫を欠いておるというように考えられるのであります。これは占領下においては止むを得ない事態であるというようなことも考えるのでありまして、今の事態で今直ぐこのまま改善するとか何とかいうことは、これは私自身考えていないわけであります。併しながら若し他日講和條約ができて日本が本当に独立を回復したというような場合には、渉外事項、いわゆる外國との関係に関する一切の事項は外務省が一手でこれを管掌しなければならんと私は感ずるのであります。その点は私自身非常に強く主張したいのであります。というのは若しそうでなければ日本の外交というものは二途にも三途にも出て、そうして終始一貫しないのみならず、非常に弊害を伴つて來ることは、過去の経驗においてすでにはつきりしておるわけであります。再び独立を取返した後そういうことを繰返されるようでは、誠に日本全体のために歎かわしいと思うのであります。かるが故に私はここに掲げてあります左に掲げる國の行政事務を一体的に遂行する責任を負つておる行政機関であるということを字句通りに解釈して、一体的というのはそういうような意味で、他の省、他の行政機関は外交には携わらないのだ、すベて一から十まで掲げてある事項に関しては外務省を通じて行うベきものであるというように私は解釈もしたいし、そうして又政府においても嚴にその通りの方針で以て進んで行つて頂きたいと思うのであります。この点に関して外務大臣はどういうふうにお考えになつておるか、幸いにして総理が外務大臣を兼ねておられる。つまり外務大臣は同時に総理であられるという非常に何と申しますか、便宜の地位におられるのでありますから、今日から今申上げましたような趣旨に、幸いに外務大臣は御経驗もありますから、今日からその趣旨で筋途を付けて置いて頂きたい。こういうのが私の希望であります。その点について大臣のお考えを承りたい。
#9
○國務大臣(吉田茂君) 一体という字を用いましたのは、御趣意の通りの氣持で以て用いたのだそうであります。それから実隊問題については今御指摘になつた事実はございます。從來連絡事務局を拵えたときの趣意はすベての問題に連絡事務局が仲介の労を取るというような氣持でできたのでありますが、その後緊急を要するといいますか、便宜のために各省が向うに行つて交渉したり、同意を得たり、或いはGHQの言うことについて実務のテクニツクの上から意見を出すというような趣意でやつておつたのであります。そしてこれがだんだん拡張されたような事実はお示しのようにあります。併し現在においてもテクニツクで話が盡かなかつた場合に、いわゆる政治的解決ということになりますと、結局外務省に來ておりますが、何分各省の事務が煩瑣で、又技術的に亘る部分があり、例えば予算の問題等について、ただ外務省が出掛けて行つて説明するよりも、專門の事項などに亘りますと、外務省省員だけでは説明が足りなく、大藏省の省員も行つて事実の説明をするということを実際にやつております。併し技術的に説明ができなかつたり、同意が得られなかつたり、或いは協議が整わなかつた場合には、結局外務大臣として介入する。結局技術的の問題で折合が付かなくて政治的解決を要するという場合には、自然外務省がやはり最終の取り纒めに出て行くというような事実があります。御趣意のように、從來の経驗からしても、又過去における不幸な事態から申しても、外務省は外交について統一的に一体的に当つて、そして総合的にけじめを付けて行くようにいたしたいと思います。又そういうつもりでおります。現在の事実、それから又考え方について一應お答えいたしました。
#10
○委員外議員(佐藤尚武君) 只今の外務大臣の御説明で私の申上げた点についての心配は無用のように感じますけれども、更に申上げるならば実は終戰前、もつと遡れば満洲事変以來からでありますが、外務省の存在というものを一般に、殊に軍部において然り、又軍部のみならず一般に軽視してかかつたという傾きが顯著に見受けられておつたのであります。終戰以後に至つては私はそういうような考え方はあるべき筈でないと思つていたにも拘らず、或る内閣のときにおいては、外務省廃止論というようなものさえも持ち上つたことがあるということを聞いて、私は実はその当時日本におらなかつたのでありますけれども、後でそれを承つて非常に私は事の意外に驚いたようなわけであります。日本が永久に外國から占領されておる國であるべきであるならば、成る程外務省の存在は必要ないと言えましようけれども、そういう日本であるわけじやなし、当然我々としても近いうちに独立を回復しなければならん、又連合國の方でもそう考えていて呉れておると思うのであります。そういう場合に外務省を廃止するというようなことは全然問題になり得ないものであるに拘らず、今以て外務省の存在を疑い、或いは存在はこれを認めても、何か知らん無用の行政機関であるかのような考えを持つておる向きが現在においてもないではないかというような感じがするのであります。そこで私は一層この第三條の問題について強調したいと思うのでありますが、そういう考え方は日本國内において解消させるようにしなければならん、独立を回復した場合には外國に対する関係は一切外務省を通じてするという建前を是非取つて頂きたいと思うのであります。これを諸外國の実例に徴しましても、私は当然そうであるというように感じますので、例えばイギリスの制度のごときは、これは外務大臣がよく御存知のことでありまするが、私の了解しておる通りであろうと考えますが、フランスにおいて然り、殊にこのソヴイエトの制度におきましては、外國の使臣等は一切外務省以外の省、行政機関が接触することは阻止されておるのでありまして、そういうことは正に考えられないのであります。若しテクニツクの点においてソヴイエトの外務省が專門の知識を必要とするというような場合には、その專門の知識を持つておる官吏を外務省に呼んで、そして我々と折衝させると、こういうような仕組みを取つておるのでありまして、これはフランスにおいても然りであります。尤もこの占領下におきましては、只今大臣が説明された通りに、例えば予算の問題等については大藏省当局が例えばGHQならGHQと接触するということを便宜とし、且つ又これを必要とする場合が多々あつたと想像もされ、そして、又その必要性については、私も理解するものでありますが、これは占領下のことでありまして、一端独立を回復した曉には、純然たる國内問題即ち内政上の問題は日本自体が、つまり政府自体がやるべきことであつて、これは外國との折衝に俟つべきものでなくなりますので、予算の問題等につきましても、外國の官憲と折衝するというような必要は全然なくなつて來るわけであります。そういうようにこの独立を回復した場合には、外交というものは本筋の外交に限られることになると思うのでありますからして、そういう場合に、この外務省の一つのチヤンネルを通して外交が行われるということが本筋でもあり、且つ又是非そういうように仕向けて頂きたいと感ずる次第でありますから、重複に亘りますけれども、今一度御注意をし、喚起もする……
#11
○委員長(河井彌八君) ちよつと速記を止めて、
   〔速記中止〕
#12
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。
#13
○委員外議員(佐藤尚武君) 続いてそれでは簡單に伺いたいと思いますが、今申しました外務省の任務の中にはその二に「通商航海に関する利益の保護及び増進」ということがあります。戰後の日本の外交は通商を主として行わるべきであり、通商を主眼とすべきは申すまでもないことであります。外交の一元化、一元化という中に或いは通商を掲げられておるということは尤ものことであり、又非常に重要なことであると思うのでありますが、この通商こそややもすると方々の外務省以外の行政機関が干與し、且つ又從來の経驗から言うと、干與したがつた問題であるのであります。併しながらこれとて外務省の一体筋で行かなければ、例えば條約を結ぶときにおいても非常な欠陷を生じて参りますし、種々の点において日本が損をするというように感ぜられますので、この点も一つ是非外務省一本に纒めて頂きたいということをお願いしたいのであります。この点について外務大臣は当然そういうことにお考えと思いますので、一應の御意見を承ることができますれば仕合せであります。
#14
○國務大臣(吉田茂君) 第一の点については全く御同感であります。御趣意に副うよう努めるつもりであります。それから第二の点につきましては今私共考えておりますことは、具体的の話になりますが、例えば商務官とか或いは貿易事務官というようなものを將來外國に設置する場合の用意として、外務省の研修所においてこれらの貿易事務官、商務官になるような官吏を研修所に入れて養成して行くということまでやりたいと考えて、商工大臣と今協議いたしておりますが、この趣意も御趣意のような趣意で今考えておるわけであります。御趣意の点については全然御同感でありますから、尚注意いたします。
#15
○委員外議員(佐藤尚武君) 外に一、二些細な問題がございますが、これは後で外務省当局の方に御質問いたします。
#16
○委員外議員(徳川頼貞君) 外務大臣がおいでになる間に一、二質問さして頂きたいと思いますが、私も今佐藤外務委員長のお話になつた第三條に関しまして、一、二御質問申上げたいと思います。今のお話のように、今後の外交は通商貿易に重点を置かれるということは当然であり、又新聞紙上にもそういうことも出ておるようでありますが、今私として外務大臣に伺いたいと思いますことは、通商貿易の他の一翼といいますか、であるべき文化外交と申しますか、文化政策といいますか、日本が今後文化國家として立つて行く上におきましては、当然文化外交ということが考えられるのです。この中にも「内外事情の報道及び外國との文化交流」ということが掲げられておるわけでありますが、今更申すまでもなくフランスにおきましても、第一次大戰後文化事業に対して十分な注意を拂つて、文化事業ができたようなこともありますし、特に日本の今後におきましては、文化外交が最も重要なことと思いますのですが、この点につきまして外務大臣として今後どういうふうにお考えになつておるか、伺いたいと思います。
#17
○國務大臣(吉田茂君) これはお話の通り、我々も留意いたしておりますから、例えば外國の大学からして適当な教師といいますか、研究者を派遣して貰いたいとか、或いは招聘するというような要求がありましたときは、努めてこれに應ずるようにいたしたいと思いますけれども、今日においてはGHQの渡航制限というようなこともありますので、自由には行きませんけれども、併しその場合においてGHQの同意を得て送り出すというようなことについては遺漏なくやつておるつもりでおります。又学術万國会議というようなものが招集さられましたし、例えば昨年でありましたか、オスローに学術会議があり、これは委員として北海道大学の中谷博士が招聘されて、正に行かれるようになつたときに、GHQの同意は受けたのでありますけれども、イギリス或いはノルウエーの方々によつて実行できませんでした。最近中谷博士がアメリカのどつかの大学に行かれることになりました。その他段々そういうことになりまして、外國からしてそういう学術会議とか、最近は文学者の何か会議に招聘を受けております。その他一二招聘の話がありますが、こういうような場合には成るべく招聘に應じられるように努力しておるつもりでございます。決して怠つておるつもりではございませんが、併し尚外務省として氣が付かないこと等がありましたならば、その都度御注意を願いたいと思います。
#18
○委員長(河井彌八君) 諸君に申上げますが、大臣の出席せられまする都合によりまして、先ず外務大臣の発言を願いまして、それから質疑を願つたのでありますが、順序を元に戻しまして、外務省設置法案の提案の理由を政府委員から説明して貰うことにいたします。
#19
○政府委員(近藤鶴代君) それでは外務省設置法案につきまして、簡單に御説明申上げたいと思います。
 今般行政機構の改革及び國家行政組織法の施行に伴い、從來の外務省官制を廃止して、新たに外務省設置法を制定することになりました。
 この外務省設置法に規定致しました外務省機構は、今般政府の行政機構刷新の方針に沿い大いに機構の簡素化を行つた次第であります。その大要を申上げますと、從來の外務省官制による一官房、五局二部一所が一官房、五局(局内一部)一所となりました。即ち、総務局は政務局と改称されて、特別資料部を吸收し、情報部を局内の部として有することになりました。又特殊財産局は賠償廰に統合されて総理廰の外局となりました。その他総理廰の外局である連絡調整事務局を縮小整理し、連絡局として外務省内局の一といたしました。地方機関に関しましては、連絡調整地方事務局の出張所を廃止し、十一の地方事務局を存置して居ります。
 本設置法は四章及び附則、二十四條よりなつて居ります。第三條において外務省の任務を列挙して居りますが、この中には現下の日本の置かれている特殊事態に鑑みその行使を停止又は制約されている事項も含まれておりますが、これらは外交再開の暁には当然外務省の任務として遂行せられるものであります。
 以上が提案理由の大要であります。何卒愼重御審議の上御採択あらんことをお願い致します。
 尚設置法の細目に亘りましては、総務局長から説明を申上げます。
#20
○委員長(河井彌八君) 御質疑がありますれば、この際……
#21
○委員外議員(佐藤尚武君) 続けて一、二の問題についてお尋ねをしたいのでありますが、第四條の三にこれは私の間違いかも知れませんが、「所掌事務遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理する。」と言つておりますが、これはどういうことを意味するのでありまするか、外務省自体以外に何か事務出を設けてそして所掌事務の遂行に当らせる、こういうふうな意味なんですか。
#22
○政府委員(大野勝巳君) 佐藤外務委員長の御質問にお答え申上げます。第四号は外務省の事務を遂行するに必要な事務所その他の施設を設置するという趣旨でありまして、特別それ以外の意味はございません。尚一号乃至十一号と申しますのは、殆んど各省に共通の事項でございまして、各省の設置法案の中には大体同じ字句で以て出て來ております。
#23
○委員外議員(佐藤尚武君) 今の御説明で承わるというと、事務所を設置するということは、外務省を作るとこういう意味なんですか、
#24
○政府委員(大野勝巳君) そういうわけでございます。
#25
○委員外議員(佐藤尚武君) やはり今の権限の中の二十三号、それと関連して第六條の十四号、つまり栄典を授與するという問題でありますが、その最初の方では外國に居住する日本人に対する栄典の授與について推薦することとなつております。これは日本の栄典、勳章を外國人並びに外國に在住しておる日本人に対して授與する場合に外務省が推薦をする、こういうことになつておると思うのでありますが、この点は私はこのままで結構であると思うのでありますが、尤も日本に外國人なり、或いはそれらの日本人に対して授與する栄典があるかないかということはこれは又別問題であります。そのうちに栄典をお決めになることとは想像されるのでありますが、さてその次の第六條の十四号にいたりまするというと、「外國人に対して栄典を授與すること及び外國勳章又は外國記章を日本人が受領することに関しあつ旋を行うこと。」こうなつております。これは大臣官房で以てそういうことをやるということになつておるわけであつて、「外國人に対して栄典を授與する」ということは、これは先にもあつたのでありまするので問題はありませんが、その次であります。「外國勳章又は外國記章を日本人が受領することに関しあつ旋を行うこと」、少し理解が困難でありますが、第一に私は問題としたいのは、終戰後は日本人が外國の勳章を受領するということに関しては、これを禁止する法律はまだ出てないと思うのでありますが、建前から言えば、そうして又私の感情からすれば、敗戰後の日本人は外國の勳章を受けるというようなことはない方がいいというように思うのでありまして、そういう点で政府部内において何か問題になつたことがあるかないか。つまり日本人は外國の勳章を受けないのである。日本の勳章を外國人に授與するということはこれはあり得るとして、日本人は外國の勳章を受けない建前とするというようなことについて、政府で何かお考えになつたことがあるかないかということを先ずお伺いしたいと思います。その次に、ここに日本人がそういう勳章を受領するということに関して、外務省の官房が斡旋するということはどういう意味を持つのか、その点について御説明を願いたいと思います。
#26
○政府委員(大野勝巳君) 只今の御質問にお答え申上げますが、日本人が諸外國から勳章或いは記章を受くることが適切であるかどうかという問題を、制度的に研究して何らかの結論を出しておるかどうかという御趣旨と存じますけれども、私共が今日まで承知いたしております限りにおきましては、その問題につきましては、政府は特段の措置を取つておりませんし、從つて特定の方針も今のところない、かようにお答え申上げたいと存じます。
 第二の点でございますが、外務省が斡旋を行うということでございまするけれども、外國の勳章又は外國の記章を日本人に授與する場合は申すまでもなく、外國政府又は日本の在外公館が外務省に先ず紹介し、外務省は関係方面と打合せいたしまして、それからその適否を決定するのが從來の例でございます。当該日本人の受領許可申請等の処理はこれは賞勳部が行うべきでありますが、それ以前の手続きにつきましては、外務省がこれを行う、かような趣旨に御了解願います。
#27
○委員外議員(佐藤尚武君) 先程の二十三号という方では「栄典の授與について推薦をする」ということになつておる。然るに今問題にいたしました第六條の十四号では「あつ旋」をするということになつておりまするが、推薦をするというならば我々も了解ができるのでありまするけれども、外國の勳章を貰つてやろうというように斡旋をするというふうに、この「あつ旋」の文字を解釈するならば、おかしなことになりはしないかという氣がするのであります。これは文字の解釈如何によるのかも知れませんけれども、外國の勳章を貰つてやろうというような斡旋、そういう意味に了解すべきでないというのでありますか、その点をもう一應……
#28
○政府委員(大野勝巳君) 只今の御質問にお答えいたしますが、從來は佩用允許という手続がございましたのですが、今後はそういう手続がなくなる関係もございまして、その間それに代る何らかの手続を予想されるわけでございます。そういう意味におきまして、ここでは「あつ旋」という字を使つたのでございまして、今佐藤委員長のおつしやいましたような、外國から勳章が欲しい、又欲しがつておる人に、何か外務省がメデイエーターになつて極力貰うように口を利いてやるという趣旨ではございません。
#29
○委員外議員(佐藤尚武君) もう一つございますが、第十六條の問題で、連絡調整事務に関する問題であります。この分掌事務の中で一号には「第十一條第一号から第四号までの事務」とありまするが、第十一條の方を見ますと、これは外務省内の連絡局の分掌事務として、一号から五号まで掲げられておる。その中で一号から四号までの事務をこの連絡調整事務局で管掌する、こういうことになつております。つまり同じ仕事を外務省の連絡局においてやり、地方的には連絡調整事務局でやる、こういうことになつておると解釈されるのであります。そうすると、それと地方における連絡調整事務局と外務本省との関係はどうなるのか。というのは、地方の連絡調整事務局は外務省の地方局というもののごとく見えて、独立した機関ではない。而してそういう地方の連絡調整事務局なるものは外務省の管轄に属する。つまり外務大臣の指揮監督の下にある。そうして外務大臣の直接の監督の下に働いておるところの本省の連絡局なるものと密接の関係を保つて行くべきであるというように解釈されるのでありますが、この命令の系統というものはどういうことになつておるか一應、はつきり私は了解し兼ねておりますので、御説明願えれば大変仕合せであります。
#30
○政府委員(大野勝巳君) 只今の御質問でございますが、地方に設置されまする連絡調整局は外務省の地方における支、分、部局である、こういう建前を取つております。從いまして連絡調整事務局……現在の中央連絡事務局の仕事が機構的には縮小いたしまして、本省の内局である連絡局というものの所掌に属するわけでありますが、その面における仕事を地方における連絡調整局は当然にいたすのであります。併しながらそれ以外に、外務省プロパーの、從來からありました外務省のフアクシヨンの地方における代行であるとか実施であるとかいうことも、これは引受けるわけでありまして、その点が第十六條の二号乃至四号に規定してあり、又それ以外に、外務省以外にも賠償廳の所掌に属する賠償処理事務に関しましては、特に賠償廳長官の指揮監督の下に、地方における連絡調整事務局というものがこれを分掌することに相成つておる次第であります。從つてこの第十六條の一号に掲げてありまする第十一條一号乃至四号までの事務というのが、この第十一條の掲げてありまする一号乃至四号、つまり現在の体制の連絡調整事務局の当然に所管しておりました仕事を、機構的には縮小はいたしますが、本質的にはその仕事をそのまま持ち込みまして、それ以外に引揚に関する事務であるとか、或いは連合軍の占領及び管理に関する文書、記録の收集であるとか、或いは國際事情に関する知識の普及に関する事務といつたようなもの、或いは賠償処理事務といつたような事務を併せてここで統括する。かように御解釈願いたいのであります。從つて地方における連絡調整事務局の監督に関しましては、現行の連絡調整中央事務局の権限が持越されまして、連絡局というものの内局として外務者にイン・コオポレートされるわけでありますが、その場合の仕事については当然に連絡局がその事務に関しては地方の連絡調整事務局を指揮するということに相成るわけであります。勿論その場合と雖も外務大臣の指揮監督の下に外務者全体としての仕事と調整をしながらやるのでありますが、連絡局が主としてこれらの仕事について地方連絡調整事務局を指揮し、又区処する、こういうふうにお考え願いたいわけであります。但しそれ以外に、今申しましたように、くどく申上げまするが、引揚問題であるとか、國際事情の普及に関する問題であるとか、賠償事務に関する問題であるとかいう問題についても地方は働くのでありまして、その場合におきましては必ずしも、細かく申しますと、連絡局長だけの権限ではなくて、これは連絡局以外の他の外務省における当該部局乃至は総理廳にありまする賠償廳からの連絡によりまして、外務省全体として地方の連絡調整事務局を働かすと、こういう仕組に相成つておる次第でございます。
#31
○委員外議員(佐藤尚武君) よく分りました。そこで連絡調整事務局の事務の中に、その十六條の四号に、國際事情に関する知識の普及ということがありますが、これは連絡調整事務局という本來の性質から言えば、読んで字のごとく占領軍との連絡を保ち且つその関係を調節する。それが本來の目的であろうと考えられる、そこへ持つて來て國際事情に関する知識を普及させるという任務まで請負わせるということは少し筋違いのような氣がするのであつて、從來は確か外務本省がそういう仕事は直接これを管掌しておつたので、地方の事務局等にそれを任したことはなかつたのじやないかというように私は了解しておつたのでありまするが、今回これは新たにこういうふうな職務を地方の事務局に與えるわけでありますから、それを便宜とせられるのであるかどうか、そういう点について御説明願いたいと思います。
#32
○政府委員(大野勝巳君) 只今の御質問にお答いたしますが、從來も実は國際事情に関する知識の普及等に関しましては、外務省といたしましては便宜当該地区における連絡調整地方事務局に事実上仕事を依頼しておつた事実はあるのであります。と申しますことは、御承知のように地方における連絡調整事務局というのは第八軍司令部、或いは軍團司令部、管区軍政本部等のありまする地区に所在いたしておりまして、國際事情に関する知識の普及等の事業も概ねこういうふうな地方の文化的な中心地になつておるような所で開催される度数が多かつたのでありまするからして、自然一々事前に人を派しまして、その地方において依頼があつた場合に事務官を派しましてお膳立するという経費もございませんし、丁度連絡調整地方事務局というものがあるものでありまするからして、事実上お願いしておつた事実はあるわけでございます。本條におきまして規定いたしておりまする連絡調整事務局というのは、先程御説明申上げましたように、仕事の一部は当然に現行連絡調整中央事務局の縮小された形で外務省に包攝される場合の連絡局が仕事をするのでありまするが、同時に幸にして外務省の地方部局ということにはつきりなつたのでありますから、この際それ以外の仕事で從來事実上お願いしておつたこともあるような事務につきましても、今度は本格的に外務省の地方支分部局という形でそういう仕事に携つて貰いたい、これがこの十三條の趣旨でございます。
#33
○委員外議員(佐藤尚武君) 今の御説明で御趣旨はよく分りました。ただ私の心配するところは、地方におる連絡調整事務局の当局、それは勿論有爲な官吏を派遣されるわけでありましようけれども、第一が地方に偏在をしておるという関係から言つて國際間の事情を調査するには余り大きな便宜を持ち得ないことであろうと思いまするし、又國際事情に通ずるとか通じないとかいうことは、これはその人その人の趣味並びに天禀にもよることであつて、地方におる連絡調整事務局の当局が必ずしも國際情勢を普及せしめるという上から言えば常に適任者であるということも言えないと、想像されるのであります。從つて中央において、つまり外務本省において常に國際事情を研究しておる人達が手を分けて各地方に出張し、そうして必要な知識を普及させるようにし向けて行くということが私は最もいい仕組ではなかろうかと思うのでありまするが、今の御説明によると、そういう経費もないということであつて、果してそうであるならば止むを得ないことである、次善の処置としてこういう形式を取られるということもいたし方ないことかと思いまするが、併し趣旨から言えば私はどうしても本省から人を派せられるというような仕組にして頂きたい、今回はこういうふうな仕組になつておるにしても、本省から人を出すということについては経費の許す限り外務当局として考えて頂かなければならんではないかというような氣がいたします。その点についての御説明をお願いします。
#34
○政府委員(大野勝巳君) 只今の佐藤委員長の御質問にお答申上げますが、先程私が御説明申上げましたのは、少し言葉が足らなかつたのでございまして、その点甚だ相済まないと思つております。と申しますのは、國際知識の普及その他に関しまして何かのアレインジメントがありまして、大体これは中央から適切な人を選んで地方へやつておるわけでございます。但し何か地方の機関がございませんと、事前にお膳立をするために事務官などを派して準備をさせる、こういう点につきましては経費などの関係もございまして十分なことができないのでありまするから、自然中央から人をやつておつたのではありまするが、行く前に地方官憲であるとか、有力者であるとか、そういす方々と連絡をしてお膳立をすることを連絡調整の地方の事務局にやらせる、かような趣旨でございまして、この連絡調整地方事務局の長をしておる人、或いはそれの職員である人に國際情勢の話やなどを全部させるという趣旨ではなかつたのでございます。その点私の説明が不十分でありましたので、何とぞ御了承願いたいと思います。從いまして只今の御質問の通りでございまして、外務省といたしましては、連絡調整事務局の長乃至は主たる補助職員に関しましては、できるだけ視野の廣い、國際知識につきましても理解のある人物を選んで任命いたしたいと思いまするが、併し今の委員長の仰せの通り、一から十まで地方に永くおりまして、話が分るというふうにばかりも参りませんので、これは原則といたしまして、從來通り地方におきまして講師を選定して、そうして地方の連絡調整事務局と打合せをしまして、その打合せに從つて中央から人が行つて最も効果的にお話しする。こういう手順を取つておる次第でございます。
#35
○委員外議員(佐藤尚武君) 只今の大野政府委員の御説明でよく事情が分りまして、私の疑念もそれで了解いたしましたので、これで私の質問を打切りたいと思います。有難うございました。
#36
○中川幸平君 外務省の設置法案の御説明にもありましたし、大臣のお話しにもありましたが、最小限度の縮小をしたというお話でありますけど、今日の情勢から考えて見まして、この機構の上だけでは最小限度の縮小というように私共思われんのでありまして、定員法のそれを見て始めて分ることであろうと思いますが、ただ連絡調整事務局を外務省の中に吸收されたという点については、私共非常によい機構になつたように考えておる次第であります。と申しますることは、片山内閣当時に連絡調整地方事務局の設置法案が出た際に、私共は何故これを外務省の一局にでき得ないかということを言つておつた一人であるのであります。この際にもう一歩進んで各省の繩張りを撤廃する考え方を以て賠償廳、或いは貿易廳のごときを外務省の仕事にすべきではないかという考えを持つのであります。これらの点について大臣のお考えを聽きたいと思つておつたのでありますが、次官なり政府委員の方のお話を承りたいと思う次第であります。と申しまするのは、貿易廳はひとり商工省の所管物資の貿易のみではないのでありまして、農林省所管の農産、水産或いは林産の貿易が非常に多いのであります。これらを商工省の外局としてできたものを、そのままで今回もやはり通商産業省の外局として貿易廳で扱われておる。これは非常に考え方が違うのではないか。外務省は通商航海を掌るところであるから、これは貿易廳を外務省の外局に直して、地方に連絡調整事務局と併せた分局なり支局を設けるということで、初めて貿易の仕事も賠償の仕事も連絡調整の仕事も一貫してそこにできるのではなかろうかという考えを持たれる。これらの点について政府のお考えをお伺いいたしたいと思う次第であります。
#37
○政府委員(大野勝巳君) 只今の御質問につきましてお答え申上げますが、第一の点は誠に私共同感でございまして、今度この設置法が立法化されると、この法律によりまして、日本政府全体としての連合國官憲に対する窓口として外務省がその衝に当ることになるのであります。尚のみならずその事務に関連いたしまして、関係各行政機関の総合調整を図る趣旨がこの法律に盛られておるのでありまして、只今の御質問の趣旨は完全にここで生かされておる次第であります。御趣旨の存します点はよく我々といたしまして注意いたしまして、この法律が実施されました曉におきまして、只今の御意見の御趣旨に副うように運営いたして参りたいと存じております。
 第二の問題の賠償廳の問題、或いは貿易廳の問題でございますが、賠償廳に関しましては、仕事の性質から申しますと、只今の御意見が正しいのでありまして、やはり外務省に統合することが全体の重複なり、矛盾なりを省き、仕事を全般的にうまくやつて行く上において便利であろうと思いまするが、ただ賠償問題は御存じのように只今尚極東委員会におきまして懸案になつておりまして、事実上相当片付いてはおりますが、最終的な決定を見るに至つておりません。從つて賠償問題に関連いたしましては、相当國際的な反響というものもございまするので、從來の態勢をこの際乱すことなく、やはり外務省の中に入れるということではなく、これを総理廳の外局にして置くというのが最も適切であると、かように政府は考えまして、そのような処置を取つたのでございます。その点御了承願いとう存じます。
 もう一つ貿易廳に関しましては、この法律に規定してありまするように、外務省といたしましては、外務省の任務といたしまして、第三條の二号にありまするように、「通商航海に関する利益の保護及び増進」というようなふうに包括的に規定いたしておりますが、これは要するに通商航海條約に規定されるべき一切の事項につきまして、我が國の利益の保護及び増進を図るというのでありまするからして、極めて廣範な意味を持つておるわけであります。從つてこの中に通商の促進、或いは在外邦人の保護等々、あらゆる問題が一應含まれておりますので、当然に対外貿易についての外務省の発言権というものが問題になるわけでございますが、現下日本の置かれておりまする特殊事情に鑑みまして、外務省はまだ独立國の外務省としてフアースト・ハンドに外國との間に連繋を保つことが許されていないのであります。そういう関係に鑑みまして、貿易廳、或いは今度新らしくできまする通商産業省というものにおいて占領管理下の貿易というものを統一的に掌るということに相成つておりまするので、その方面と実質的に外務省といたしましては完全に協力をいたしまして、そうして輸出促進のために、表面に出ないにしても、あらゆる力をそつちの方に注いで、國家目的の一端に寄與したい、かように考えておる次第でございます。
#38
○中川幸平君 商工省の所管でありましても、外務省としてはいろいろお世話を願うことは御尤もでありますが、何としても外交的の手腕のある外務省の所管にした方が、今後の通商貿易に非常に裨益するのじやなかろうかという点を思うのと、今一面はこれは地方出先機関の徹底的整理を叫んではありまするが、ひとり貿易廳の地方出先を要望した一人であるのであります。と申しますることは、地方の産業人が一一貿易廳へ來て相談をしたり、教えて貰うというわけには行かない。この貿易廳だけは地方の要所々々に出先を拵えて貰いたい。又拵えることが國家の貿易産業上非常にいいことになる。かような際にはこの連絡調整事務や、そういうものを一緒にした外務省の地方出先機関を拵えた方が非常によくはなかろうかというようなところから申上げるのでありまして、それらの点についてお考えをお伺いいたしたいと思う次第であります。
#39
○政府委員(大野勝巳君) 只今の中川さんの御質問でございますが、今度國会に提案されておりまする通商産業省設置法案によりますると、貿易産業に関連を持つ重要な地方の箇所には地方通商産業局を置き得ることになつておりまするし、私共の承知いたしておりまする範囲におきましては、可なり廣汎に日本各地にその事務所が開かれるのでございますので、それで私は大体只今の御見解に副うものと考える次第であります。ただ外務省設置法案に、いわゆる地方に設置せらるべき連絡調整事務局でありますが、これは通商産業の面まで深く入つて具体的な行政に携ることは少し不適当だと思いますので、勿論この法律が通りまして、これを運用して行く上におきましては、外務本省といたしましては、中央における外務省と通商産業省との緊密なる協力態勢を地方に反映させまして、地方の連絡調整局に対しましては、地方における通商産業局とあらゆる問題について完全に協力し、効果を挙げるように十分留意もいたしますし、訓令も出しますつもりでおります。それによつて所期の目的を達していくより外、今のところ方法はなかろうかと思つておりますが、それを御承知願います。
#40
○委員長(河井彌八君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#41
○委員長(河井彌八君) 速記を始めて。それでは本会議もまだ今日は終了しないわけですから、内閣委員会はこれで散会いたします。
   午後二時四十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     河井 彌八君
   理事
           中川 幸平君
   委員
           河崎 ナツ君
           荒井 八郎君
           城  義臣君
           岩本 月洲君
           下條 康麿君
           三好  始君
  委員外議員
   外務委員長   佐藤 尚武君
           徳川 頼貞君
  國務大臣
   内閣総理大臣
   外務大臣    吉田  茂君
  政府委員
   外務政務次官  近藤 鶴代君
   外務事務官
   (総務局長)  大野 勝巳君
   外務事務官
   (情報部長)  與謝野 秀君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト