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1967/11/22 第56回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号
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1967/11/22 第56回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号

#1
第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第4号
昭和四十二年十一月二十二日(水曜日)
   午前十時三十五分開議
 出席小委員
   小委員長 小峯 柳多君
      大村 襄治君    奥野 誠亮君
      河野 洋平君    西岡 武夫君
      藤井 勝志君    毛利 松平君
      吉田 重延君    広沢 賢一君
      堀  昌雄君    武藤 山治君
      村山 喜一君    竹本 孫一君
      広沢 直樹君
 小委員外の出席者
        大 蔵 委 員 広瀬 秀吉君
        大蔵省銀行局長 澄田  智君
        参  考  人
        (日清紡績株式
        会社会長)   桜田  武君
        参  考  人
        (日産自動車株
        式会社社長)  川又 克二君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
十一月二十二日
 小委員笹山茂太郎君及び砂田重民君同日小委員
 辞任につき、その補欠として河野洋平君及び藤
 井勝志君が委員長の指名で小委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○小峯小委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として日産自動車株式会社社長川又克二君、日清紡績株式会社会長桜田武君が御出席になっておられます。
 本小委員会におきましては、今後の金融制度及び金融機関のあり方等について調査をいたしておりますが、両参考人におかれましては、産業人としてのお立場からの忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。そして、そのあと質疑を行なうことにいたします。
 最初に、桜田参考人からお願い申し上げます。桜田参考人。
#3
○桜田参考人 金融制度のあり方というものを産業人の立場から申します前に、いまの日本の経済について、私の見方をちょっと簡単に申し述べさしていただきたいと思うのでございますが、ちょうど戦後の世界各国、なかんずくアメリカとか、イギリスとか、ヨーロッパ諸国、それに日本がひとしくとった国民経済の運営の方針というものは、御承知のように労働力の完全雇用を達成するためにGNP、国民総生産の急速な成長をはかること、それによって国民の生活水準、国民所得のパーヘッドでございますが、これを引き上げることにあったと思うのでございます。これを実現する手段として、民間並びに公共投資を盛んにしたり、技術革新を勇敢に企業に取り入れたり、あるいは広域な、広いマーケットを開拓するために貿易と資本の自由化、後進国の援助等を行なったのでありますが、それぞれの国によってみな条件が違っておることは、御承知のとおりであります。そうして経済的、社会的条件が非常に違っておるものでございますから、この経済運営が今日の段階まで達しましたところが、国別に、経済競争力に非常にひどい格差か表面化してまいって、その格差は、ちょうどいま経済的はナショナリズムと、片方に国際化の強い要求と、両方が混在しておる時代で、当分国際経済の競争力の格差が、だんだんと大きく拡大していくと見ておる次第でございます。
 かような世界的な経済情勢を背景にしまして、日本の戦後の経済も、たいへん大きい転換期に直面しておると考えるのでございまして、昭和三十年代は、御承知のように高度の経済成長の時代でございましたが、これを可能にした条件は、すぐれた労働力の豊富な供給があったことで、当時不足した資本と技術は、資本のほうはオーバーローンとか、オーバーボローイング、外資の導入等でまかないましたし、技術は外国からの導入でほとんどまかなったのでございますが、四十年代になりまして、雇用がかなり逼迫してまいりました。したがって、経済成長率は当然鈍化する傾向に向かったのであります。この転換期におきまして、御承知の労働不足の売り手市場は、生産性を越すところのベースアップを引き起こしまして、物価、特に消費者物価の高騰を招くと同時に、高度成長時代のオーバーローンとか、オーバーボローイングのとがめが、コストアップの形をとったり、いろいろな形をとって出てまいったのが現在でございます。また技術も、自己開発を要するところまでに――ただ人のものまねだけでは相済まぬというところになりますと、当然、経済運営の経費の当然増を招来して、企業経営のいわば硬直化を来たしておると思うのでございます。財政の硬直化がいまさらのように唱えられておりますが、何も今日に始まったことではございません。個人の家計も、企業の経理も、国や地方公共団体の財政も、同じように硬直化しておるのが現状と思うのでございます。
 これを世界的に国別で見ますと、イギリスが私はファーストバッターだと思うのであります。昭和二十四年にポンド切り下げを三割いたしまして、今回また一四・三%いたしましたが、経済成長率も一%内外でありますし、失業率に至っては、一ないし一・五%という超完全雇用、それで選択的雇用税とか、あるいは民間企業への資本投資を政府がやろうとか、全く労働党内閣にあるまじき、というのはおかしいですが、政策をとらざるを得ないありさまでありました。これはイギリスのクラスコンシャスといいますか、階級が固定化している、社会保障制度が行き過ぎている、労働者も、経営者も、政府も、なまけて働かない。一週間の労働時間が四十・〇八時間だというふうなことが原因と思うのでございます。
 セカンドバッターはドイツであります。これも日本と一緒に奇跡的な回復をいたしましたが、一九六〇年代は成長率も実質五%からとうとう〇%に落ちてしまいました。失業率も二・八%とか、二%台ぐらいでございます。外国の労働者の移入が百六十万をこえておりますし、賃金はEECの中で一番高うございます。そして、財政も地方財政は特に放漫で、もう破綻を来たしておりますので、例のキージンガーが、キリスト教民主同盟と社会民主党との連立内閣で打開をはかっておりますが、労働意欲も減っております。これはアメリカよりももっと働かない。週四十・〇二時間というような労働時間でございます。年間五人の中で一人は外国旅行に出かけるといったような、戦前のドイツを知っている者には考えられないようなレジャーブームでございます。それで経済安定成長法をもって強いデフレ政策をとって、結局賃金と物価の悪循環を切ってしまう、経費を切り下げようということをいまやらんとしておるのであります。
 サードバッターが私は日本に回ってきていると思います。これをどうするかがわれわれが当面する大きい問題でございまして、金融制度につきましても、証券のことにつきましても、こういったサードバッターに立つかもしれない日本の救国的な観点から、そのあり方を考えていただきたいと思うのでございます。
 問題は、国民の持つバイタリティを、経済活動の面に発揮させるために、フェアな自由競争原理を導入すること、それから働く者のインセンティブと申しますか、結果に対する自己責任主義を徹底するということ、統制をできるだけ撤廃して、賢明な行政指導のやり方をやらせる、そして、あるルールのもとでの競争には、過当競争というものはないんだ、企業がつぶれることで、もう決して現在ソーシャルテンションは起きないということは、労働力不足経済時代だからでございます。そして、また近代化、合理化設備とか技術等に過剰設備、過剰技術はあり得ないということを、よく実施できるような体制を持っていただきたい。もう一つは、人間をもっと生まなければいけません。これは金融制度とは別であります。
 こういった産業界の立場から、金融がこうあってほしいと思う姿を申しますると、世界的に確かに高金利の時代に向かっておるのは現実でございまするが、われわれ産業界としましては、この国際競争に勝ち得る銀行から、国際水準の金利で長期、短期の融資をしてもらうことが産業の国際競争力を養う大きい条件であります。これがもし金融界にできないのだったら、先進国の中で日本の銀行ほど、この資本自由化下において、制限を強くしてもらって、政府の保護と同時に強い統制下に置かれておる銀行はございません。したがって、この状況を思い切って変えなければならぬと思うのであります。また、幾ら変えまいと思っても変えさせられるという考えを私は持っております。
 日本の銀行は、預金者保護の名目のもとに、決してつぶれないような保護のもとに置かれております。たとえば、先年の千葉銀行あるいは埼玉銀行等は、つぶれてしかるべきものではないかと私は思うのでございます。これをつぶさなかったのはよろしくございません。つぶれていいのです。その見返りにひどい統制と監督を政府から受けて、バイタリティはそのために失われていると思うのであります。
 一萬田先生が京都支店からこちらへいらしたころから私も御懇意願っておりまするが、あのころ市銀の頭取の俵給は、日銀の総裁をこえてはならぬというような裏の指導がなされまして、銀行の頭取は、ゴルフに行くと私にはなはだこぼしておったのであります。こういうことはやめなければいけない。それから増資も認可である、配当も認可である、店舗も認可制であります。企業としてこういうことは本社業務に属することであります。この本社業務の大半を大蔵省というのか、銀行局に預けたような経営者に、銀行業務で外国と太刀打ちできるような力を持てと言っても、これは無理ですな。
 たとえば三菱銀行でいいますと、私が初めて社長になるときにごあいさつに伺ったのは高木さんであります。高木、千金良、小笠原、中山、宇佐美、田實、もう六人の頭取さんに金利を払って銭を借りておりますが、人間がかわっても一向に規格品の総裁、頭取ばかりできた。これは優秀なんです。田貴君は私と大学が一緒であります。私よりもはるかに人物がよくて、学問もできて、仕事もできたのに、どうも規格品の頭取になってしまった。これが残念ながら銀行協会長なんであります。こうしたのはやはり統制であります。これをもう少し楽にしてやっていただきたい。だから、妙な競争ばかりやっておりますので、この六月と十二月、三月と九月末の一日でいいから預金をふやしてくれ――これは全く吹き出しそうになるやつをわれわれはがまんしておつき合いをしておるのであります。まあここらは罪がなくてよろしゅうございます。
 このごろは増資をいたしております。増資も、われわれ大株主ですが、何百万株か持たされておりますからそれはいたしますけれども、一株五十円の払い込みで九分の利息、それで四円五十銭、これで源泉二割引かれたら三円六十銭、手取りでは日歩に直すと一銭九厘七毛、一体日歩二銭以下の実効金利で借金できる個人なり会社なりがどれほどありましょうか。これじゃ罪なことをするじゃないかと言うと、配当制限があって、九%以上は銀行局がお許しにならぬのだ。なるほど銀行の公共性が高いということは、われわれでもわかりまするが、現在の経済情勢で、配当一割二分以下ならよろしいというくらいならわかりますけれども、過去十年間、世界の金利も、市中の金利も、非常な変化をしておるのに、九%一本で押えておるというのは、これはたいへんな心臓といいまするか、きつい話で、これでは株式会社、何々銀行の株主権は、不当に御当局によって侵害されてきたと、まあこれは言い過ぎだろうと思いますが、言えるわけなんでございます。銀行の体質改善なり、合理化努力なり、経営の効率化は、これは当然人間がやるのでありますから、企業の格差ができるのはあたりまえであります。この格差は当然社会的評価を正しく受けるべきであります。銀行と郵便局は違うのでありますから、預金者が銀行を選択する基準は、配当率なり、株価なり、その銀行の経理内容があらわされるようにしていただかないと、預金者保護にならぬのであります。預金者はいいものへ預けて安全な預金をしたい。預金者の銀行の選択が、経済法則に基づいてできる。ビルがあそこにあって、うちから十分で行けるとか、五分で行けるからというので銀行を選ぶということのないように、やはり経済的な評価を預金者ができるようにしていただきたい。これが一番の預金者保護なんであります。
 次に、銀行にルールのある競争をやらせていただきたいのであります。政府としては、行政権の分際をわきまえて見守っておればよろしい。競争したからには勝負がつくのであります。この勝負が結果に出なければ何の役にも立たない。取引先としましても、株主としましても、従業員にも、競争の結果の優劣がはっきり出なければ何の役にも立たぬ。しかし、ルールは、日本経済がこの段階にまで発達してきますと、自由に営業のできる範囲を広げないと、競争力も体力もつかぬと私は思うのでありまして、たとえば長短金融の区別を厳格に分けて、この銀行は長期専門だ、これは短期を主としてやれというような指導があったり、証券業への進出を規制したり、商業銀行の銀行債の発行をとめたり、こういうことをする必要は私はないと思うのであります。なぜなら、諸外国はみなやらせておるのであります。日本の銀行だけ手足を縛って、さあ競争しろといっても無理であります。強いやつにはやれるだけのことはやらせたらどうかというふうに、そこへきてバイタリティをつけなければならぬ段階に来ておるのでございます。
 経済が戦後復旧から成長へ、そして安定成長へと変わった今日、特殊銀行というものについては、私は整理すべきものがありはしないか。これは先生方専門家に御研究願いたいのであります。興銀とか、長銀とか、不動産銀行、開発銀行、また輸出関係でも、輸銀と、海外協力基金などというような、失業救済のためかと思うような機関までおつくりになっておる。中小企業関係につきましても、信用金庫とか、農協等の業務は、もう少し合理化、近代化されるべきであります。そうしなければ資金コストは下がりません。そうすれば、必ず効率化ができる。そうして市中銀行なり、地方銀行が、もっとこの分野に進出すべきだと私は思うのであります。特に、中小企業金融を担当する金融機関は、その手続がはなはだ官庁式でありまして、業務の指導力もございませんし、画一主義で、責任をのがれることにきゅうきゅうとしておる。これではむだが多くなるわけでございます。
 次に、金融の再編成について申しますと、市銀が十三行、地銀が六十三行について、これは行なわれるべきだと思うのであります。しかし、経済法則といいますか、ルールに基づく競争をオープンにやらせて、そうして格づけがはっきりした上でやらぬと、主導権がはっきりしないものの合併とか、系列化とか、協業化というのは、あとで混乱を招くだけです。これはやはりオープンに競争を一ぺんやらせる、そして負けたやつを競争から
 アウトするのでなくて、強いやつにくっつけて引っぱっていくというところをはっきり世間の前に示した上でやらなければいかぬ。私は、すべてが合併だけがいいのじゃないという感じであります。なぜなら、いまの銀行の頭取の統率力で、行員の二万、三万を統率できません。やはり人間の統率する統率力には限度がございますから、その限度を越えてむやみに合併したのでは、企業は弱くなります。そういった考えから、やはりちゃんと競争をやらせて、格づけがおのずからできるような方法が望ましい。
 それから最近、御承知のコンピューターが非常に進んでまいっておりますので、コンピューターの使用による事務の合理化等も、中小企業金融機関とか、あるいはいろいろな小さい金融機関、信用金庫にしましても、相互銀行にしましても、コンピューターの共同使用ということでは一つの企業グループである、それ以外は独立した銀行であるといったやり方が必要だと思うのでございます。
 最後に、金利をもう少し自由化していただきたい。これはゆうべも、実は宇佐美日銀総裁に文句を言ったんですけれども、コールマネーの金利を自由にしておって、だんだんだんだん下がるのを、下がりっぱなしにしておったので、これはいい、いいと思っておったら、一銭八厘のところへきて、日銀はこれ以上に下げるなと言った、これでは金利の自由化じゃございません。それからまた、今度上がって上がり出したから、いま自由化になっておるのであります。一銭八厘の下限――コールマネーなんかに下限と上限をきめて、これを人間の力でやるなんというのはとんでもない考え違いで、われわれは四十年も前から、コールを拾ったりいろいろいたしましたけれども、ほっとけばいいんです。そうして金利の機能の活用を特に私としては望みたいのでございます。あまりこれを統制するということはよろしくない。もちろん、国の中央銀行の公定歩合というようなものは、これは適時適当におきめになるべきものでありますけれども、毎日の相場をいじってうまくいくはずのものでないのであります。そこらは、うまいかじのとり方というものは、あまり毎日のマーケットを知り過ぎるとよくありません。おなくなりになりました池田総理が毎日の相場のことをあまりおっしゃり過ぎるのを、これだけはやめていただきたいということを何回か私は陳情したのでありますが、それと同じことで、やはり行政の衝に当たられる御当局とか、あるいは政府とか、あるいは議会とかいうものは、そういった大きいワクでの競争の土俵をつくって、あとはじっと見守ってやる、ワクからはみ出そうなやつは、これは整理調整してやる、ワクをぶち破りそうなやつは、これは取り締まるという大事な点だけ見て、あとは自由競争をやる。鼻血を出したやつは、それで負けだといった自己責任主義、これによってインセンティブがつき、それによってバイタリティがわいてくるというふうに考えますので、どうか金利につきましても、そういった賢明なかじのとり方ができるように御忠告を願いたいと思うのであります。
 以上をもちまして、私の、はなはだどうも放言にわたりましたが、意見の開陳といたします。どうもおそれ入りました。
#4
○小峯小委員長 たいへん率直な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 次に、川又参考人にお願いいたします。
#5
○川又参考人 ただいま御指名をいただきました川又でございます。
 本日は、金融制度のあり方につきまして、産業界から意見を述べよということでございますので、資金の借り手としての立場から若干の所見を申し述べてみたいと思います。
 私ども産業界にある者の立場からいたしますと、金融に対する期待は、安定した低利の資金を、豊富に供給していただくということに尽きるわけでございますが、最近では、御存じのように減価償却、内部留保など、内部資金でまかなう比率が上がってきておりますし、また、社債の発行、あるいは銀行からの借り入れ等につきましては、銀行の全面的な御協力が得られる状態でございまして、資金調達の面からいたしますと、少なくとも量的には、まず円滑に行ない得る状況でございます。このような状態は、よほど強度の金融引き締めか、あるいは不測の事態が生ずるということでもない限り、大きく変化することはあるまいと思っております。
 一方、金利につきましては、現状よりもっと下がってほしいと思いますし、実際われわれ借り手にとりましては、低ければ低いほどよろしいわけでございますが、現在議論されておりますような金融再編成によって、直ちに金利低下が実現するという保証は、私は必ずしもないと思っておるわしけであります。
 このような意味からいたしまして、金融制度のあり方なり、金融機関の再編成といった問題について、産業界の私の考えとしては、特にこうしてもらわなければ困るというような注文は、ここに申し上げるほど具体化したものは持っておらないのでございます。
 もちろん、わが国経済を取り巻く内外の環境の変化から、産業界は一段と効率化をはかることを迫られておりますし、金融界もまたそのような変化のらち外ではあり得ないわけでございまして、そのような観点から現在の金融のあり方を見直してみることは意義があるかと思います。
 申し上げるまでもないことでありますが、わが国は、本年七月、資本取引自由化の第一歩を踏み出したわけでございまして、わが国産業は、国際的競争場裏において、ワールドエンタープライズと激しい競争を展開しなければならなくなったわけでございます。また、特恵関税問題の進展もございまして、軽工業品、労働集約的商品の分野におきましては、低開発諸国との競争も激化する見通しでございます。総じてわが国産業をめぐる市場条件は、格段にきびしさを加えていくものと覚悟しなければならないと思います。
 他方、供給条件につきましも、市場の巨大化と技術進歩によりまして、最小最適設備の大型化が急速に進んでいる現状でありますし、さらに新規労働力化人口の著しい増勢鈍化傾向などを考え合わせますと、わが国経済、産業は、戦略産業における設備投資を主導力として、国際競争力を一段と強化し、構造の高度化をはかっていかねばならない時期に来ておると存じます。このような事情でありますから、今後ますます長期安定資金に対する需要は根強いものがあろうと考えております。
 また、これは特に私ども業界の経験でございますが、一台の自動車をつくり上げますためには、実に多数の下請企業の御協力を必要とするのでありまして、こうした企業の設備が近代化され、技術水準が向上し、コストが低下するのでなければ、私どもといたしましても、国際競争力を持った、品質のすぐれた自動車をつくることはできないと考えます。
 これを一般的に申しますならば、わが国産業の国際競争力を強化いたしますためには、中小企業の合理化、近代化が欠くべからざる条件であるということでございます。そのためには、中小企業分野に対する資金供給を円滑化する必要がございます。先日発表になりました金融制度調査会答申におきましては、デパート化した同一の金融機関が、大企業から小規模零細企業に至るまで、幅広く金融を行なうことは、実際上無理があり、とかく中小企業等に対する金融に消極的になりがちであるというところから、中小企業金融に関しまして、専門機関の必要性を是認しておられるように伺っておりますが、長期産業金融についても事情は似たものがあるのではないかと思うのであります。
 金融市場というものは、私ども詳細にわかりませんが、信用機構の性質からいたしまして、なかなか差別性の強いものであると思いますが、一国全体をカバーする金融市場が成立していて、その中で自由に資金が移動するというわけにはなかなかまいらないのではないかと思います。やはり特定分野の資金需要に対しては、専門機関が資金供給を行なうのが、金融を円滑化ならしめる上に効果があるのではないかと思います。特に、借り手の立場から考えますと、所要資金の性格も多様でございますので、それぞれの要請にマッチした金融を受けられることのメリットは否定しがたいものがあると思います。このような意味におきまして、これまでの金融制度の理念、職能分離、専門化という方向には、十分評価すべきものがあったと考える次第でございます。
 この点に関しましては、専門化でワクをはめるとその中に安住しがちで、金融機関の経営が安易に流れるという意見も聞きます。このようなことがあれば、これはまことに困ったことでございまして、実際激しい競争の中に身を置いておりますわれわれ産業界から見ますと、まだまだ金融機関の経営には、効率化の余地があると思います。ただ、そのことと金融の円滑化のための専門化の必要性とは別個の問題ではないか、専門の土俵の上で、経営の効率化を極限まで追求することが望ましいのではないか、このように考える次第でございます。
 次に、政策金融のあり方につきまして、感じておりますところを若干申し述べてみたいと存じます。
 御承知のように、資本取引の自由化に対処して、産業体制の整備をはかりますために、日本開発銀行にはいわゆる構造改善金融、体質改善ですから、そういった意味の資金ワクが設けられております。私どもも本年度この融資を受けたわけでございますが、実を申しますと、この金融につきましては、量的にはともかくといたしまして、金利その他条件面で、さしてメリットがないと申し上げて過言ではないかと思います。現在のような条件でございますと、これは私どもが長期信用銀行から受ける融資とあまり変わりがございません。国策として資本取引自由化を推進し、その対応策として産業体制の整備を促進するということでありますならば、これに要する資金については、思い切った優遇措置を講ずる必要がある、そうでなければなかなか合併、再編成などは進むものではない、このように考えております。一般的に申しまして、政策金融のあり方に関する認識が、不明確なのではないかという感じを持っております。戦後の絶対的な資金不足時代とは異なりまして、現在では政策金融には量的補完の意味はほとんどないと申してよいのではないかと思います。今日、われわれ産業界の政策金融に期待しますところは、質的補完であり、低利資金の供給ということでございます。もちろん、財政資金には限りがあるでございましょうから、国策の戦略的ポイントに限定して低利融資を行なうことが、政策金融の機能を有効に発揮させるゆえんではないかと思うわけでございます。
 次に、若干今後の企業金融の動向について考えておりますところを述べたいと思います。
 国債発行によってマネーフローが変わり、企業の手元流動性に余裕が生じ、自己金融力が高まったというような話をよく耳にするのでございます。なぜ国債発行によって企業の手元に余裕が生ずるかというと、国債発行によって、企業はそれに相当する国の財政支出による売り上げの増加という恩恵だけを受ける、これに対してはいわゆる企業の負担による税金というものがない、こういうふうな説明をどこかで承ったのでございますが、われわれ産業界にいる者の実感からいたしますと、よくわからないようなお話のような気がいたしております。
 確かに、さきにも申しましたように、企業の自己金融力と申しますか、設備資金調達の中に占める自己資金の割合が、最近顕著に上昇していることは事実でございますが、これはわれわれの実感といたしましては、ここ数年間経営体質の改善に一つとめ、設備投資在庫投資を控え目に合理的に行なってまいりました結果、若干余裕ができてきたのではないかと考えております。
 したがいまして、今後の自己金融力の動向は、基本的には設備投資の動向いかんによって左右されると思うのであります。この点につきましては、四十年代は、三十年代と違って、安定成長の時代であるというようなことがいわれております。確かに一二十年代前半のような超高度成長が再現するとは考えませんけれども、しかし、わが国産業の若々しい活力から考えて、今後とも相当高い成長を続けるでございましょうし、また、一人当たり所得水準がまだまだ低い現状からすれば、高い成長を続ける必要があると思います。加えて、先ほど来申し上げておりますように、資本自由化に対処しての設備の合理化、大型化、労働力不足傾向に対処しての労働節約的投資など、投資誘因にはこと欠かない状態でありまして、これらに要する資金を、企業の蓄積資金のみでまかなうことはとうていできないと思います。
 特に、私どもの業界から見ておりまして、今後強い資金需要としてあらわれてくると予想されますものの一つは、割賦販売金融のための資金でございます。一般的に申しましても、流通機構の整備、近代化のための資金需要が大きくなるのではないかと考えられます。流通機構の整備、近代化につきましては、すでに以前からその必要性は十分説かれているわけでございますけれども、これに対する有効な具体策は、いまだ不十分な状態でございまして、これに対する金融の円滑化をどのようにはかるか、今後の金融のあり方を考えるにあたっての一つの視点として要望申し上げたい点でございます。
 いずれにいたしましても、今後の資金需要は、依然として根強いものがあると思うわけでございまして、企業としては、どうしても外部資金にかなりの程度依存せざるを得ないと思います。外部資金の中では、何と申しましても、安定性の見地からいたしまして、株式、社債が重視さるべきでございましょうが、証券市場の現況、あるいは国民の貯蓄形態の選好などからいたしまして、このルートによる資金調達を一挙に拡大することは困難でございますし、銀行借り入れ金ほど機動性を持っていないという点も、考慮すべきであろうと思います。
 このように見てまいりますと、今後とも、民間の長期金融専門機関に期待するところはずいぶん大きいのではないかと考えております。民間の早期金融機関の問題につきましては、最近、長期信用銀行の資金調達が、困難な状態にあるやにいわれておりますが、私は以前、いささか銀行実務をやった経験がありました関係上、深い関心を持って見ておる次第でございます。このような長期信用銀行の資金調達面での難局は、もちろん、長期信用銀行自身の努力によって打開さるべきことは当然のことでありますし、またその努力の余地は、決して小さくはないであろうと思うのでありますが、そのような経営努力だけにまかせておいてよろしいかというと、そこには一つ問題があるように思われます。
 もっぱら経済の効率化とか、金融の効率化とかいう観点に立ちますならば、個々の金融機関の経営努力に一切をまかせ、優勝劣敗の原則を貫徹させるのが最もよろしいという考え方も成り立つことでございましょうが、効率化というのは、言いかえれば徹頭徹尾、商売の原則に従って行動せよということにほかならないと思います。これは経済を構成する単位のすべてが健全で、経済が順調に動いております場合は、きわめて有効な行動原則であると思いますけれども、経済を構成する単位の中には、保護を加えることが望ましいというものも当然存在いたします。いわゆる幼稚産業はその一例でございましょうし、あるいはまた、優秀な成長企業でございましても、たまたま不幸な事情で業績が停滞することもあるかもしれないと思います。このような場合、金融機関に対しましては、長期的観点に立った融資行動が期待されると存じます。特に、長期の信用を供与する金融機関の場合には、このような期待は、一そう大きいものがあるわけでございます。実際、戦前から今日に及ぶ長い歴史の中で、長期信用銀行が果たしてきた役割りは相当大きいものと存じます。以前はこれらの資金ルートには、資金運用部資金の投入という支柱がございましたが、今日ではそういうものはなくなっておるわけでございます。この点、長期信用銀行の特殊な役割りを認識いたします場合、その資金調達面では何らかの制度的なささえを考えてやるということも望ましいのではあるまいかと考える次第であります。
 最後に一言、最近の金融政策の運営について申し上げますと、去る九月に公定歩合の引き上げが実施され、それと同時に、窓口規制が実施を見たわけでございますが、窓口規制というような量的規制が行なわれますと、どうしても全業種にわたって一律的な資金供給制限が行なわれるという結果になりかねないように存じます。最近の国際収支の逆調傾向からいたしまして、ここで景気調整策をとり、経済全体の成長をある程度スローダウンさせることはやむを得ないことであると思いますが、このような一律的な資金供給の制限は、将来に禍根を残すことになるのではないかとおそれるのでございます。やはり国民経済の全体の立場から見まして、戦略的に重要なポイント、たとえば輸出増進に大きな貢献を行なっている企業、産業に対しましては、特段の配慮が行なわれるような金融政策の運営を希望いたしたいと存じます。
 以上、産業界の立場から金融の諸問題につきまして若干申し上げましたが、要は、金融制度論議にあたりましては、私ども借り手の立場を重視していただいて、金融の円滑化の観点から現実的な論議を行なっていただきたいと切に希望する次第でございます。
 以上をもちまして、私の公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#6
○小峯小委員長 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#7
○小峯小委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許しますが、両参考人とも十二時半ぐらいには退席をしなければならぬようでございますので、あらかじめこれをお含みおきを願いたいと思います。奥野誠亮君。
#8
○奥野小委員 私、途中で失礼せざるを得ませんので、お尋ねを遠慮すべきではなかろうかと思ったのでありますが、お許しを得まして、一言ずつお二人にお尋ねさせていただきたいと思います。
 桜田参考人にお尋ねしたい問題は、企業が外部資本による場合に、社債発行によってもっとまかなえるようにならないものかという希望を抱いているものであります。それによって企業の安定経営に資する。さらにはまた、国民に経済社会への関心を強めてもらいたい、こういう考え方があるわけでございます。金利の自由化のことをおっしゃったわけでございます。また社債については、流通段階の自由化についてはかなり努力のあとも見られると思うのであります。しかし、発行段階の自由化ということになってまいりますと、かなり局限されているという感じを私は抱いています。あるいは引き受け機関が限られているとかいろいろな問題があるだろうと思うのであります。そこで、いま私が申し上げましたような点について、どこに問題があるか、どう進めていくべきか、その辺についての御意見を伺いたいということであります。要するに、社債に依存する割合を高めていきたい、特に発行段階の自由化、そういう問題についてどのような努力をすべきであるか、この点についての御意見を伺いたいのでございます。
 川又参考人にお伺いしたい問題は、割賦販売などの消費者金融機関の整備のことでございまして、この点についてもお触れになりました。私は、政府関係金融機関がいろいろございますが、消費者の面からの配慮が必ずしも十分だとはいえない、こういう感じを抱いているものでございます。立法措置の問題もございましょうけれども、こういう機関を整備することを通じて、反面また、条件変更などで経済の調節手段にも使っていけるんじゃないだろうかというふうにも考えているわけでございます。したがいまして、具体的に割賦販売などのための消費者金融機関の整備について、政府にどのような配慮を期待されるか、御意見を伺わしていただきたい、かように考えるわけであります。
#9
○桜田参考人 ただいまの社債につきましては、私も、仰せのとおり、やはり企業の金融としましては、社債が非常に望ましいのです。そして社債くらいで縛っておきませんと、きちんきちんと返すときには返さなければならぬというアラームが自動的に鳴ってくる社債は、きわめて好ましい資金源でありまするけれども、社債に二つの問題がございまして、ただいまの御指摘はまことにそのとおりで、発行段階におきまして、社債のほうが市中借り入れ金よりも有利に発行できるという場合は非常にまれでございまして、社債の利回りというものは今日までかなり不利な状態に置かれてきたのでございます。それは発行機関が弱いからという点ももちろんございます。発行機関をいまの証券業だけでなくて、もうちょっとこれを拡大する、あるいは転換社債等ももうちょっと出し得るように、そして株主は株と同時に転換社債を持ってもらう。ただ、これが株主権の侵害になるかならぬかという問題がありますので、侵害にならないような発行方法をとらなければいけないのでございますが、社債の発行についての発行機関、これの市場化の機関の力が確かに仰せのとおり弱うございます。今度、証券業が認可制になりまして、証券業が強くなるのか弱くなるのか、これはやってみぬとほんとうはわかりませんのでございますが、優秀なセレクトされた証券業で強くなるということをわれわれは望んでおります。銀行でも信託銀行とかあるいは銀行業務としての中に、これにもつと介入できるというか、ジョインできるようなことも、私ども、発行者としては望ましい、そう混乱は起こさずにいきはせぬだろうかと思うのであります。片っ方の証券業は非常に減りまするから、そこらは摩擦のないやり方で何か手があるんじゃないかというふうに私は考えておる次第であります。
#10
○川又参考人 ただいまの割賦販売金融でございますが、いま私どもの業界では販売店の方々、冬メーカーごとに販売店の協会がございます。その協会を統合して連合会ができておりますが、われわれのサイドで割賦販売金融会社というものが考えられないかどうか、まあ考えたいほうで進んでおるわけでありますが、主管官庁の通産省におきましても、割賦販売会社というものを起こして広く組織化し、制度化して行なうことがいいのではないかと寄り寄り研究を進めておる段階であります。
 ただ、その際、私の考えといたしましては、最も問題になるのはその資金の供給のソース、資金源でありまして、これがどこから調達できるかという問題であります。割賦販売がもし一般の金融機関からの資金の供給で行なうということであれば、それだけ金利がかさみます。銀行のダイレクトのいわゆる最近の住宅ローンとか、あるいは銀行でも自動車ローンをやっておるところもございますが、そういう直接のものは金利の面で安くはないかというので、もし割賦販売会社という金融会社が起きるならば、政府関係の低利資金の供給というようなもの、あるいは割賦販売会社が一種の金融債、社債みたいなものを起こす、それを引き受けていただく。しかし、金融債というとやはり一般の金融機関の貸し出し金利よりは現在は高いですから、そのソースからしても金利が高い資金しか得られないのではないか、この点が一番頭が痛い点でございまして、まだいい知恵が出ておらない状況であります。
 で、昨今個人消費がわが国においても非常に伸びてまいっておりますし、アメリカなんかの経済の繁栄の基礎になっておるものには、割賦販売の非常な浸透がございます。土地を買うのに二十年、三十年というようなローンがあるやに聞いておるのでありますが、そういう非常に固定的な不動産の買い付け、住宅はもちろんあるようでありますが、そういうことで広範な需要を喚起しておる。これがアメリカ経済を非常に成長さしたのじゃないかと思うのであります。また、英国等におきましては、自動車につきましても割賦販売の、何といいますか、月賦の期間でございますね、これを二十カ月にせよとかあるいは二十四カ月にせよとか、金融の繁閑あるいは消費の動向に従いまして、それを規制するような割賦販売の条件変更によって消費を抑制するというようなことが制度的に行なわれるやに伺っております。そういうふうになりますと、日本でもいろいろの面で非常にいい面が出てくると思いますが、現在まだそのようなことにはなかなか縁遠いような状態にあるように思います。
#11
○小峯小委員長 堀昌雄君。
#12
○堀小委員 最初に桜田参考人にお伺いをいたします。
 実は、いまお述べになったいろいろなことを当委員会で私ずっとやってまいっておるわけであります。私は社会党でございますから、本来ならば統制をするというように国民は理解をしておると思うのでありますが、私は当委員会に八年半、約九年くらいいるのでありますが、まず何を言ってまいったかといいますと、金融機関についてはやはり自由化をして競争をさせろ、そうして金融機関の格づけがこれまで預金量だけで格づけをされているのはおかしいではないか。そこで、かつて高橋君が銀行局長のときに、新格づけ基準という問題を提起をいたしましたら、銀行のほうから、国会が行政に介入しておるなどという批判がたいへん出たわけでありますが、今日ようやくそれらの経過を経て統一経理基準などというまことにゆるやかな形で競争原則を導入しようということになってまいりました。さっきお話しのドレッシングの問題もかねて申しておりまして、一体何のためにドレッシングをやるのか、やはりドレッシングをやるということは、いまの預金量に比重がかかっておったという歴史からきておるものだと思いますし、その預金量を中心にして日本銀行がいろいろな取り扱いをやってきたというような過去の誤りが、私はドレッシングを必要以上に強化をしてきた、こう思っておるわけでありますが、ようやく私どもの強い要求によりまして、日本銀行もそういう態度を改めてまいりましたし、今期からようやく都銀におきますところの期末の預金の状況はだいぶ平常化をしてまいりまして、ドレッシングばだいぶ改善をされてきたと思うのであります。そういう問題が一つございます。
 もう一つ、いまお触れになりました金利の自由化も、実は長年にわたってこの問題を私は取り上げて、山際日銀総裁にも何回かお話をして、部分的にやりたいというところへきても、なかなかそれが前に進まない。金利の自由化をやりませんと、オープンマーケットというものはどうしてもできてまいりません。オープンマーケットをつくらないでおいて社債を発行しろといっても、これはできない相談であります。オープンマーケットのないところで国債を消化しようと考えますならば、当然的に金融機関割り当てになり、金融機関割り当ては全部日本銀行に回ってしまう、こういうことで日銀引き受けと何ら変わりのない国債発行をやらなければならない。日本の経済の中で最もおくれておりますのは、やはり金融に関する戦後統制が今日まで尾を引いておるという、これが日本経済に非常にマイナス要因として働いておる。高度成長が跛行的に起きて、異常な高度成長をやって、そのあとで必ずギャップがきて、深いギャップを経てまた異常な高度成長になるというもとは、私は、金利が自由化されておりませんから、そこで資本主義の本来のメリットである自律性がちっとも働かない。行き過ぎるときには加速度がつき、のぼるときには加速度がつくというかっこうで、今日の日本経済は繰り返してきたと思うのです。
 そういう原因を私は一体どこに求めるべきか、こう考えてまいったのでありますが、結論的には、まあ自民党の方を前に置いて申しわけないのでありますが、自民党に本格的な経済政策がないということじゃないかと思うのです。私は佐藤さんにもこの前予算委員会でも、あなたがほんとうに安定成長を望むならばまず蛮勇をふるって金利の自由化をやりなさい、こう申し上げても佐藤さんは、野党からたいへんけっこうな提言をいただいてありがたく思う。――ありがたく思っていただく必要はないのであって、やってもらいたいのでありますが、やらない。一体これはどこに原因があるのでしょうか。ひとつこの点を桜田参考人に最初にお伺いをしたい。
#13
○桜田参考人 ただいま堀先生からの御質問でございますが、私は政党のことはよく存じませんが、さっきセカンドバッター、ファーストバッターと申しましたが、ファーストバッターのイギリスでも、保守政権がどうしてもやれないところは労働党がとってかわってたいへんな自由競争原理を導入していま打開をはかっておりまするし、ドイツにおきましても、エアハルトが行き詰まったあとはキージンガーが社会党を二つくっつけていま打開をはかっておるのでありまして、私は決して社会党は統制論者ではないと確信しておるのでございます。和田君は私の学友でございまして、まあなくなりましたが、和田君とも学生時代から絶えず、彼が安本長官のころもそれを強く私が申して、和田君と一回も意見が食い違ったことがございません。日本の政党がどうなるかということは私には申し上げかねますが、私は自民党を支持いたしております。自民党に対するアドバイスは極力いたすつもりでございます。
 先ほどおっしゃいましたドレッシングは確かに――これはどうしてこう変わったかということはいま初めて私も了解いたしましたが、大体三割ぐらいのドレッシングをやらされておったのが二割前後まで確かに一般的に減ったことはこれは認めます。非常に改良されております。
 それから、金利の自由化というものにつきましては、私、財政制度審議会の会長代理を仰せつかって公債発行の口火を切った元凶でございますが、いま公債のお話がございましたように、確かに公債の発行について、公債の発行条件をそう簡単に毎年毎年バナナのたたき売りみたいにいじっちゃ、これはいけません。いけませんけれども、やはりこれがコマーシャルベースで市中消化ができるようなところまではどうしてもしなければこれは困る。社債においてもおっしゃるとおりなんです。この経済原則が適用されて作用するように経済運営がなされねばいかぬ。ただこれは、おっしゃるように党の経済政策という問題は、全然ないとは申しませんが、私は行政指導の面でかなりこれが解決できるのではないかと思うのでございます。大蔵省ができて四谷にありましたころ、私、大蔵省顧問をいたし、それからあと大蔵省にいろいろ関係いたしておるのでございますけれども、大蔵省の各局の持っておられる権限、これはまあ人間の優秀なせいもありましょうけれども、相当なものでございますな。だから、ここを何もおしかりになるだけでなく、うまく誘導して、行政の分際というものを心得て、そして非常なワイズな人間がおるのでありますから、賢明なうまい行政指導と申しますか――私は、行政というのは指導行政、民間の利害の対立を調整する調整行政、あるいは抑止行政、それから成長を助長する助長行政といういろんななにはありますけれども、やはりひとつの限度があるので、その分際をわきまえた賢明な、イギリスの役所がやるようなことまでやれるようにという御指導をいただければ、党と党とのプラットホームというか綱領でどうこうということでなくていけるのじゃないか、こう考えておるのでございます。
#14
○堀小委員 いや、私が申し上げたのは、政党内閣でございますので、本来ならもう少し政党が行政に優位に立ってもらいたいと思うのでございますが、残念ながらどうも行政優位で政党の力が弱いのじゃないか、その点をちょっとそういう形で申し上げたわけでございます。
 実は、金利の問題につきましても、上がるときには金利を自由化することはできないのでありますから、だんだん金融がゆるんでくるときにできるだけ幅を広げていって、そして底をついて、また上がるときにはほっておけば自然な調整がつくと思いまして、この前金融がゆるんできたときにかなり強く当委員会で要望しておりますけれども、なかなかはかばかしくまいりません。どうも金融、特に都市銀行の方たちの中に案外実は金利の自由化に必ずしも賛成しない方がある。賛成者もあるのですが、賛成しない方もある。ここらも多少関係があるのじゃないかと私は思うのでありますが、ともかく桜田さんはいろいろと政府の枢要な人たちにお近づきでございますから、いまおっしゃったことをひとつ、もう少し政府の上のほうの諸君も腹をくくってやるような方向でお考えを願いたいと思うわけであります。
 もう一つの、さっきおっしゃった、いま行政が金融について非常にきびしく言っている点は私どもよく承知しておりますが、私は日本経済を見ておりながら、さっきお触れになりました証券会社の免許制の問題等一連の問題は、私が当委員会で田中角榮さんと取り上げて進捗をしてまいったわけでありますが、私の考え方は、いま行政がそういう企業に少し介入し過ぎていると思うのです。私はハーゲンベック方式ということをそういう場所でよく申しておるのでありますが、ハーゲンベックの動物園というのは、ライオンがおりますけれども、山あり谷ありになっていて、外側に壕があって、中では自由に動けるけれども、外には壕があって行けない。ですから私は、ある一定のワクの中においては企業が自由にやれることができて、さっきおっしゃったように、クレームがきてそこから外に飛び出すものは大蔵省が免許取り消しというところまで権限を持って、あとは自主的にやる、その自主的なコントロールは内部における取引所なり協会でやるというのが、実は私の証券免許制に対する発想の土台でございますけれども、やはり資本主義である限りは競争がなければ国民は損するわけです。適正な競争が行なわれるところではじめて国民は非常に有利になる。川又さんがおいでになっておりますからあれですが、いま非常に生産性の進んでおる製品の中で最も目ざましく値下げが行なわれているのは自動車だけだと思うのです。電気製品は、御承知のようにわれわれが当委員会で何回もやかましいことを言って、再販維持価格問題を公取を押え押えしていく中で、ようやくカラーテレビが最近自由化をされてまいりました。要するに、私どもが取り上げなければ適正な自由競争が行なわれないような状態は、私は非常に問題があると思うのでありまして、資本主義社会では自由競争が行なわれるところに消費者のメリットがあると思うのでありますけれども、そういう意味で私は、やはり銀行間にも当然競争があるべきである、こういう考えに立っておるわけで、その点はちょっといまの考えと、余談でございますけれども、特にひとつお願いしておきたいと思います。
 そこで、今後の問題でございますけれども、日本経済の中で非常に問題がありますのは、資金の供給と申しますか、資金ワクという面から見まして、私ども一般的にちょっと見て気がつかない点が残っておりますのは、企業間信用の問題が依然としてかなりその資金の需給の中に組み込まれておる。それが大体多いときは三〇%をこえるような状態で、買い掛け債権なり売り掛け債権となって両方に働くわけでありますけれども、その差額が当然に資金需要の問題の中に入ってまいります。もう一つ、自己資本比率がどんどん下がってまいっております。自己資本比率が下がってまいっておりますことは、こまかく見てみますと、資本金そのものはそんなに下がってないのでありますけれども、内部留保がどんどん下がりつつある。内部留保が下がりつつあるということは、企業の収益性がどんどん低下をしつつあるということで、企業の硬直性の問題につながっておると思うのでありますけれども、昭和四十六年を目ざしての経済社会発展計画の分析をずっと調べてみますと、大体自己資本比率は四十六年でも経済社会発展計画ではあまり変わらない状態、少しまだ悪くなるような状態になっておるのじゃないかと思うのであります。そして企業の財務比率の点から見ますと、流動比率にいたしましても、大体希望されるものの半分ぐらい、固定比率においては倍ぐらいになるというようなかっこうになっておりまして、ともかくも、いまの日本経済のいろいろな問題というのをずっと見ておりますと、やはり体質をもう少し改善をしてもらわなければいけないのじゃないか、その体質の改善は、さっき川又さんがおっしゃいましたような設備投資とそれから成長の度合いというものをもうちょっとコントロールをしていただかないとまずいのじゃないだろうか、こういう感じがするわけであります。
 実は、自動車のほうをちょっとこれで見ますと、これはなかなか皆さんよくやっていらっしゃるという表現は適切でございませんけれども、いまの点は、自動車産業についてだけは、もう自己資本比率がたしか三二、三%ぐらいで、固定比率なんかもほとんどノーマルな状態にありますし、産業別の中では自動車産業というのは財務比率の点でも非常にいい状況にあると思うのでありますが、もう少しその点を考えてまいりませんと、――いまおっしゃる三番バッターになる問題というのは非常に近くにきているのじゃないだろうかという感じがいたしますが、これはやはり成長をある程度政策的にコントロールしないとまずいのじゃないか、こう思うのでありますが、桜田さん、この点はいかがお考えになっておりましょうか。
#15
○桜田参考人 ただいま成長のコントロールとおっしゃいましたが、これは確かに現在のような段階にまいりますと、当然昭和四十年代は三十年代と違って、成長、GNPの伸び方というものは実質六%前後に落ちるであろう、それから四十五、六年から先になると、それがもっと下がるのではないかというふうな感じを持っておるのでございます。ただ、同じGNPと申しましても、これは特に皆さまにお考え願いたいのでございますが、第一次産業はむしろ減るのでございます。第二次産業が、自動車と鉄鋼と合成繊維でございますか、そこらは伸びておりますけれども、ほかが減るからそうあまりふえません。一番ふえる率の高いのは第三次産業、ところが第三次産業が要するにGNPの中の比率の是正が必要になってくる。イギリスが、選択的雇用税をやって、第三次産業の雇用共には税金の取りっぱなしで、第三次産業を少し第二次、第一次のほうへ労働力も変えてくるし、GNPも少し変えようと努力しておる。これは成功はあまりしておりませんけれども、少なくとも日本においては、成長率は確かに鈍化いたしまするけれども、GNPの内容の調整もいまから懸命に考えていくべきである。まだ成長余力を持っておるから、このことを心がけてやれば救いがあるんだ。もうファーストバッターのイギリスだとかセカンドバッターのドイツまでいくと、これはとてもやれません。日本はまだ実質六%ぐらいの成長率は持っておる。だが名目でいいますと一〇%か九%ぐらいあるのでございますから、これのある間にそういった問題を片づけなければいけない。もちろん仰せのとおり、企業の自己資本比率というものは、戦前はたしか四割ぐらいあったのでございまして、いまでは平均しますと二〇%を割ったという非常に悪い数字が出ておるのでございますが、これはもっともっと自己資本比率を三五%ぐらいまでには平均が持っていけるようにやらなければいけません。これをやるためには、一つ重要な点は、税法に関係いたしまするが、企業によるところの償却率が非常に不公平にきめられておるわけでございます。繊維を例にとりますると、合成繊維は、機械は七年で償却してもよろしい。斜陽だ斜陽だといって、構造改革で通産省が非常に力んでいらっしゃる紡績業は十四年ですね。そうすると、紡績業は、ちょっと利益が出たらみんな法人税に取られる。合成繊維は、利益が出たのはほとんど自己償却で、自分の企業内蓄積ができる。こういうところをそのままにしておいてはいけないのでありまして、そこらの税法上のきめのこまかいところがやはり一緒に行なわれないと、企業の自己資本比率の充実ということは非常にむずかしいのではないか、こう考えますので、そこまでひとつ御配慮いただきたいと思うのでございます。
 企業間信用は、仰せのとおりに、大企業が中小企業との関係を持ちますると、どうしても企業間信用が非常に膨張いたします。それから、ビッグビジネスが加工段階でもって、エンドユーザーあるいはコンシューマーまでの間をめんどうを見るということになりますと、この企業間信用というものは、今後ふえても減らない傾向を私は持つと思うのであります。これは今後の金融ということを考える上に、企業系列、生産から消費までの、あるいは生産から輸出までの道程における企業間信用というものは、やはりふえても減らない。金融はそこらを見て金融してやらなければいけないというふうに考えております。
#16
○堀小委員 桜田さんにもう一つだけ伺いたいと思いますのは、さっきおっしゃった銀行に関する六十五条関係の問題であります。さっき、ちょっと信託銀行の問題にもお触れになったのですが、私はやはり資本金もふえなければうまくないんじゃないかと思う。内部留保もふえるべきだと思いますが、資本金もふえなければならない。しかし、資本金をふやすためにはどうすべきかということになりますと、さっき転換社債等の問題にお触れになりましたけれども、将来的にはやはり日本も時価発行のような形になっていくべきではないか。やり方はいろいろな方法があると思いますけれども、日本の企業とアメリカの企業を比べてみますと、日本の企業では、株主から増資払い込み金を取ったのと、それに配当で報いたのとを比べてみますと、取り上げているほうが多くて、配当で報いているほうが少ないわけであります。資産としてはふえておりますが、マネーフローとして見ますと、取り上げられっぱなしだ。アメリカの株というのは、大体小幅な増資でもあります関係もありますし、額面発行になっている関係もありましょうが、大体増資払い込みよりはるかにインカムのほうがふえるというかっこうになっております。そこらを含めて、企業なりのいろいろな問題があると思うのでありますが、しかし、それは長期的な問題でありますけれども、いまの証券界の不振というものは、これは証券業者の過去のあやまちに対する不信感が強いわけであります。私はこの間、信託銀行が少し投資信託をやったらどうですかという話を実は提起しているわけであります。ボンドなら当然やるべきでありましょうが、いま信託銀行というのは、実は信託業務をほとんどやっておりません。金銭信託なんというものは、あれはローンでありますから。そういう意味では信託らしいのをやっておりませんで、いま多少始まっておるのはペンションファンドが始まりましたから、この部分が信託らしい業務として将来多くなると思いますけれども、株式なり社債なりの投資信託というものは、信託銀行がやると信用がありますから、かなり大衆の資金が投資信託へ入ってくるのじゃないか。おまけに日本の投資信託というのは、私当委員会で何回も取り上げてまいりましたけれども、アメリカ人がやっておるジャパンファンドが、同じ時期に相当の収益性をあげておるにもかかわらず、日本の投資信託はいずれも収益性がないというような状態になっておりますことは、運用上に非常に問題がある。この運用は、企業会社と証券会社のつながりが非常に抑制的に働いて、投資信託の運営がほんとうに受益者の、投資家のためになっていない。ジャパンファンドの場合にはそんなことをおかまいなしにやっているので、現在の株価の情勢でもけっこう収益があがる。こういうふうないろいろな問題がありますので、そういう意味で私は、信託銀行がそういう投資信託等をやるということが、資本市場に対する資金流入のパイプになるし、結果として証券業者にとっていいことになるのじゃないか、こういうふうな感じを持っているのであります。
 その問題と、さっき長銀関係で、あんまり要らないというような御意見が桜田さんのほうにあって、川又さんのほうは、長期銀行関係はちゃんとしたほうがいいのじゃないか、こういう御意見で、若干分かれたような感じがいたしたのであります。いまの長銀の問題は、当面、すでに御承知のように、金融債の発行が非常に困難になってまいりました。これを、おそらく割引債を出して切り抜けようとするのだろうと思うのでありますけれども、私は、この前、興銀の中山さんに来ていただいたときにも、長期銀行がレーゾンデートルを主張されるなら、やはり長期銀行に徹することでなければならないのじゃないでしょうか、割引債を出して、そうして今度は一年以内の運転資金を貸したりするようなことが起きたのでは、どうも長期銀行としてレーゾンデートルがだんだん減るのじゃないかと思うというようなことをお話し申し上げたのでありますが、しかし、質の問題からいいますと、やはり長期銀行の資金というのは、長期化はできますけれども、金利は高くならざるを得ない性格があるわけです。将来的な展望として見まして、そういうふうな質的に国際競争力にたえるということになれば、もちろん安い金利でしょうが、いまのままで都市銀行に潤沢な資金が将来集まるかというと、私はどうもそう思いません。だんだん所得がふえてまいりますと、預金の単位が十万円単位から百万円単位、五百万円単位と、だんだんふえてまいります。そうすると、金利先行性というものは非常にはっきりしてまいるでしょうから、五分五厘でいまの税金が引かれるなら、六分のものにいこう、七分のものにいこうということになってまいるのじゃないかと思うのです。そういう意味では預金者側の選択というのは、ある程度シフトをしてくる可能性もありますが、都市銀行にいまのように資金が集まるかというと、私は、今後は都市銀行はだんだん定期預金というものは減ってくるのではないかという長期的な感じがするのであります。そうなりますと、やはり長期銀行というものの意味も出てくるのではないか。それはさっきのオープンマーケットの問題なんですが、実は最近金融債が八分五厘だのいろいろなことをいわれましても、私どもそういう安い金融債は買えません。国民は買えないのです。これは金融機関というか、機関が買っておるだけであって、安いものが出たとかいっても、われわれの手に合うのは、電信電話債券くらいならば証券会社の店頭で買えるかもしれませんけれども、国民は疎外をされて、そういう社債金利は動いて去る、市場が特殊市場の中だけで値段がついておるということなんです。こういうところがありますから、何とかそういう問題が広がってきて、国民を巻き込んだ中でそういう金融債とかそういうものの市場ができてくれば、ある程度下がれば、銀行の預金を引き出してでもそういう利回りのいい金融債の済度の短いものを買いましょうということになってくるのではないかと思いますが、そういうことはいま国民は疎外されてきております。そういうものの内容を考えてみますと、長期銀行もそういう長期金融に徹する形でレーゾンデートルがあるような気がするのでありますが、この二点を桜田参考人にお伺いしたい。
#17
○桜田参考人 ただいまの証券についての堀先生の御意見は、私は同感でございます。信託銀行が投資信託を扱うということはいいことだと思っておるのでございます。いまの証券は、もう四千倍はございませんけれども、例の証券恐慌――私はあんなものを恐慌だとは思っておりませんが、あのときに証券保有組合、それから共同証券というものにむやみにもたれてその上に立っておるのです。あれは国の金です、はっきり言いますと。日銀が融資して市中銀行が出したけれども、市中銀行はまた日銀から借りておるのですから、どっちが足かわからぬが、竹馬の足の上に株価が乗っかっておる。この不自然を早くやめてほしいのです。そして、いま利回り形式というものをもう一ぺん再確認して、もっと利回りのいい――はっきり言いますと、証券は少し不当に高うございます。下がっていいのです。四分だ、何だというものは少し安過ぎて、そういった安いときに投資信託でもっと国民に持ってもらうというためには、いままでの証券会社のやり方ではだれも持つ者はおりませんな。私どもはずいぶんおつき合いで持たされて、いま損しながら償還を受けておりますが、初め言ったときには、いたします、いたしますと言いながら、利息はだんだん下がる、償還のときには赤字の償還をするというとんでもないことをやっておいて、いまさらあの証券会社諸君が投信を何とかしてくれということは相手にされっこない。もっと信用のあるところにやらすべきなんです。これは私はやって非常にいいのではないかというふうに考えます。と同時に、ああいった不自然なところへ国の資金がいつまでも寝て、エアポケットの上に変な相場をしておるということは、やはり何も半年以内に解消せよというのではございませんけれども、三年以内くらいにするという方針を行政官庁の証券局なら証券局が一応おきめになって、いいときに、たとえば資本の自由化というのでお互いに持ち合いをするというような動きのあったときなんか、もっと自由に共同証券も証券保有組合も、買った相場よりも低くても、相場は相場なんですから、出すべきものを、あのとき頼みに行ったときに出すものがない、そして増資の払い込みが来たからそれではどうだろうなんて、全くこれは証券保有組合にしても共同証券にしても設立の由来を忘れてしまって、持ったお金がどこのお金なのかということも忘れて、やっておることはなっておらぬ。これはぜひ証券行政の立場から大蔵省として考えるべきではないかというふうに考えておるのです。結果としては、証券は下がるでしょう。下がるけれども、下がるべきものが下がるのはいたし方がないのではないかというふうに私は思うのでございます。これが第一点でございます。
 それから、都銀の預金が減るという御意見、あるいはそうかもしれませんが、郵便貯金ということもあわせてひとつお考え願わぬと、都銀の頭取諸君は不満を言うのではございませんか。郵便貯金の年々のふえ方は、ちょうど協和銀行の預金量全量くらいが、毎年協和銀行くらいが一つずつふえていっておるというふえ方です。これは税の手かげんもあるのでございましょうが、こういうところはもう少しフェアな競争ができる条件を都銀がもらえれば、都銀の預金はまだまだ開拓の余地があるのではないかというふうな感じを持つのであります。ただ、割長、割興が堀先生にはお買いになれぬというふうには、私どもはそれはよく理解できませんが、もし御必要ならいつでも店の人間を紹介してお買い上げ願いたいと思いますけれども、割長、割興はだれにも買えないかもしれません。だれにも買えないかもしれませんけれども、それは市場性の問題で、商売人の勉強の問題じゃございませんかと思っております。それは買おうと思えば、いまの金融債の八分、そんなうまい利回りのときをつかまえるかどうか、これは保証をよういたしませんけれども、七分くらいのところならばこれは買えるはずだと私は考えるのでございますが、それは別といたしましても、長期信用銀行を私は整理してしまえと申すのではないのでございまして、興銀、長銀と二つがある。いろいろなところは、私は専門家でないからよくわかりませんけれども、もう少し研究して合理化する余地はないだろうかということを申すのであります。
 それといま一つは、輸銀の融資のしかたにつきまして、輸銀はプラント輸出のものばっかしとか商社金融ばっかしというふうにやっておられるのでありますが、今度のポンド切り下げで日本の国際収支は五億ドルくらいの赤字は来年もどうしても考えなければいけない。そうなりますと、軽工業品等の輸出につきましても、やはり六%なら六%の輸銀の金を一年間貸してやるというふうな政策が何かあってよろしいのじゃないか。たとえば一つのAという紡績会社が繊維の輸出を百億円いたします。百億円全部貸せとは申しませんけれども、三十億でも二十億でもいいから輸銀が六%で――これは税務署でお調べになればすぐわかるのでございまして、全輸出の二割なり三割なりは輸銀から六分の金で貸してやる。そのかわり、それだけ市中銀行から借りておる分は市中銀行へ必ず返しなさい、それを持ってこなければ貸さぬというふうなやり方で、ある程度輸出入銀行というものが――プラント輸出の融資、あるいは海外でのアラビア石油にしましても、アラスカ・パルプにしましても、確かに輸銀に非常に助けていただいたのであの事業はやっと芽をふいたことは事実なんです。今後の激しい国際競争の中で、ポンドエリアに二割くらいはどうしても貿易は依存しなければなりません。そこが一五%近くも切り下げておるというような場合には、この程度の輸銀のアクティビティを広げて、そうして同時に、金融は引き締まるのですから、市中銀行のほうへそれだけは返してやるというやり方ならば非常にスムーズなやり方ができるのじゃないか。これは業務のやり方をそういったふうに変えることは、私は、法律が必要なら法律を改正してでも、そういったフェアな国際競争力というものをつけてやるという程度の援助はしてやってよろしいのではないかというふうに考えます。長銀の不要論は決して私は唱えてはおりません。
#18
○堀小委員 川又参考人にお伺いするのですが、さっきお触れになった金融政策で、窓口規制で一律にやるのは適正でないというお話、私も同感なんで、これは私、当然この間公定歩合を二厘引き上げるべきだと思ったのですが、結局どうも国債政策との関連で一厘にして、窓口規制で合わせて一本で処理しようというところに問題があるのであって、これがやはり何といいますか、本来の金融政策が行なわれていない点だと思うのであります。さっきも桜田参考人がコールのことにお触れになりましたが、私も日銀の総裁に、コールだけが唯一のフリーマーケットかと思ったら、日本ではコールすらフリーでなくなった、もうフリーのものは一つもありませんねと申し上げたのですが、これほどフリーでない自由主義経済なんというのは一体どういうことになっているのだろうかと思うのであります。
 そこで、政策金融の問題でも、いま桜田さんもお触れになりましたように、確かに政策金融というのはもう量的な問題でなくて質的な問題だと思うのでありますが、御承知のように政府は財政硬直化の宣伝を大いにやりまして、なかなかそういうところへ利子補給をしたり出資をしたりするということについては渋るのではないかと思います。私どもはしかし、政府関係金融機関というものの設けられておるレーゾンデートルというのはまさにそこにあるのであって、もう民間でできろことのさらにその上塗りを補完してみても意味がないと思うのであります。そういうふうな点は当面の戦略産業の問題としてあると思うのでありますが、長期的には、戦略産業とかいろいろということで政府関係金融機関が安い資金を出している、しかし市中のほうはある程度高い、こうなりますと、かつて日本は傾斜生産だとかいろいろなことでやってまいったのですが、非常にまた産業にアンバランスができてくるという問題も起きてくるのじゃないだろうか。当面心要なことはよくわかるのでありますが、そこらに――公平の原則というとおかしいのですけれども、政策金融で行ない得る資金量にまた当然限界が来るだろうと思いますと、そこらにちょっと公平の原則からして跛行的な問題が国際競争力との関係で起きてくる余地はあるのじゃないかという感じはいたしますが、その点はいかがでございますか。
#19
○川又参考人 先ほど何か窓口規制のお話が――実は銀行間の話を私ども聞いて言うわけでございまして、窓口規制をわれわれ受けているわけではございませんので、よく内容はわからないのですが、伺うところによると、設備投資も抑制しなければならぬから、銀行も貸し出しを昨年の実績の一五%減にしろというようなお達しがあったように――これは私が聞くべき筋じゃないのでございますが、そういうふうに伺っておるのです。そこで、ある銀行は資金ポジションが非常にいい、ある銀行はそうでないところがあると思うのですが、そういうぐあいに、どこに対しても、たとえば資金ポジションのいいところでもつき合えというようなことはいかがかと感じますし、貸し出し先の資金の必要性というものを吟味すれば、一律に昨年――これは総ワクでございましょうから、中ではいろいろ融資が行なわれる。その結果として選別融資なんというものが、いいところには昨年あるいは昨年以上に貸して、どうかと思うところはもっと減らしてしまう、かようなことになって、総平均が一五%減るような仕組みになるのかどうか。おそらくそうじゃないかと思うのでございますが、そういうことはいかがかと考える次第なのであります。
 それから、開発銀行を例にとったのですけれども、開発銀行というのは、私どもの考えでは、民間の長期銀行あるいは普通銀行、そういうものができないものをやるべきものだろうと思うのです。やるものがなくなったらもうこれは解散するよりしかたがない銀行だと思うのですが、今後住宅の建設とかあるいは社会資本の充実などで、普通銀行、民間銀行のビジネスにならぬ分野が相当出てこやしないかということを考えますと、その面では相当将来にわたっての存在の理由があると思うのです。いまの、開銀と民間銀行との金利差というものをつけたら公平の原則を欠くじゃないかというお説のように伺ったのですが、したがいまして、どういう性格の資金であるかということで区別をして、同じような性格で民間でもやれるものは民間にお譲りになればよろしいじゃないか。民間がビジネスラインに乗らぬというような面、あるいは多少のリスクを持っている面、こういう面について開銀がやるべきだ。ただいまの私が例にあげました、私どもで拝借したものはリスクは全然ないわけでございますね。ですから、これはリスクを負うべきものは開銀がやるという範疇には属しませんけれども、政府が、国際競争力を強化しなさい、体質改善のために再編成も、ときによっては合併もやりなさいと言っておって、その資金はつけてやると言っておりながら、何にも恩典もないものをやったのでは、看板だけじゃないかという、そういう面で政策の一貫性を欠いているということを私はおねだり申し上げた次第でございます。
#20
○堀小委員 終わります。
#21
○小峯小委員長 広沢賢一君。
#22
○広沢(賢)小委員 時間がないものですから、二つお伺いします。
 川又さんにお聞きしたいのですが、一つは、川又さんさっきおっしゃった、一台の自動車のために多数の下請工業の協力を必要とする、中小企業の合理化、近代化がいま必要である、これは国際競争力をつけるためにどうしても必要だ、したがって、中小企業分野に大きく資金を出さなければならない、こう言われました。これは社会党として大賛成でございます。それからもう一つ川又さんがおっしゃったのは、政策金融のことを重要視しなければいかぬということでございます。そういう点で、先ほど言われました政策金融というと、中小企業に対しても、たとえばさっき例があがりました開銀の構造改善、近代化の資金の問題、これを豊富にやはり下請企業とかその他に出さなければならぬと思うのです。自動車産業にしても、それで国際競争力が下からしっかり確立すると思うのです。日本の大企業、独占的な企業というのは、わりあいに中小企業、下請に依存しているという形になっておりますから。今後の資金の流れは、国債発行下でマネーフローが変わってきまして、中小企業にようやくそういうものがいきそうなときに、今度の国際的な環境、それから財政硬直化ということで、なかなかそちらに回らないと思うのです。そういう点で、中小企業の下請産業に対して安い金利の金が必要だと思います。桜田さんがおっしゃった、自由に競争すればバイタリティが出て能率があがる、そのとおりだと思うのですが、いま金利一つ見ても、中小企業は大体――下請産業のいろいろ話を聞きますが、信用金庫から借りているのは一割の高い金利でございます。多くの産業は、大企業の場合には、御承知のとおり八分二厘、政策金融だともっと安くなる、開銀、輸出入銀行だともっと安くなるということがあると思うのです。そこで、やはり公平な競争というからには、いろいろお考えになっていると思いますが、中小企業金融について思い切った資金が必要だという点について、もう少しいろいろと具体的にお聞きしたいと思います。
 それからもう一つでございますが、設備拡張競争が相当行なわれていた、八、九月から政府がいろいろ自粛を要請したときに、各産業界とも設備拡張には御承知のとおり非常に強気でございます。自己金融力ができたから、公定歩合の引き上げなんて何とも思わないということで、きょうの讀賣新聞にもそう書いてあります。「こうしてみると、引き締めに当たって“犯人”視された設備投資が、こんご大幅に鈍化する見込みはまずなさそうである。だが政府、日銀は、産業界がこのさい思い切った設備投資の自粛ムードを作らなければ、事態は相当むずかしくなる」これは国家的な問題だと思うのです。そのときに川又さんが、もう初めから啓発をしまして、財界の自粛を呼びかけた。それには私、非常に敬意を表しますが、その設備投資を、これから資本の自由化だということで非常にお互いに競争する、国際競争力をつけるためには設備投資はどうしても必要だ、これはそのとおりです。無秩序、無計画なこの状態に対してどのように思われるか、今後どういうふうにすべきかということ、根本的な問題についてお聞きしたいと思います。
 桜田さんにもお聞きしたいのですが、桜田さんは、さっき金融の問題で、堀委員が言ったとおりの非常にこまかい点の自由化の卓見については、私も賛成しますが、一番肝心なところでは、さっきの中小企業金融の問題ですが、特殊銀行は整理すべきである、中小企業信用金庫は合理化、近代化する、これは当然だと思いますが、ところが、中小企業信用金庫その他相銀も、都市銀行と比較すると数々の特典がございません。そこで市中銀行がその分野にもどんどん出ていけ、こういうことをおっしゃいましたが、そうすれば、中小企業信用金庫は圧迫されるのじゃないか、そういう点が懸念されるのです。桜田さんは、中小企業の問題、中小企業金融の問題についてお触れにならなかったのですが、この間、宮沢さんといろいろ議論したときに、宮沢さんは、大企業の賃上げは生産性向上があるから物価値上げの原因でない、ところが中小企業と農業は、大企業の高賃金が――高くもないですが、これが波及してそうなる。だから中小企業の人たちはなまけていて、働かなかったり何かしているということではなくて、うんと働いても能率で追いつかない、こういうことだと思うのです。したがって、日本の経済の二重構造を解消するという点で、中小企業に対してのお金を大きく思い切って出すという、そういうことにみんなが取り組まなければならぬ。これは澄田銀行局長も論文で触れています。これは大勢だと思いますが、その点について桜田さんの御意見をお伺いしたいと思います。
#23
○川又参考人 申し上げます。
 よくいわれる中小工業という中には、もっとあるかもしれませんが、私の考え方では、二種類あると思います。その一つの種類は、いわゆる大企業に系統的にくっついている人たち、いわゆる下請といわれているグループですね。もう一つは、どこにも属さないで自分なりの仕事をやっている中小企業の方々。つまり、親元がない中小企業と親元のある中小企業と二色あるのじゃないかと思うのでありまして、親元のある中小企業は、私はいろいろの施策ができると思います。問題は、親元のない、それなりの中小企業の方々の処置だろうと思うのでありますが、私も戦前一行員の端くれにすぎませんでしたけれども、私どもが昭和七年から十二、三年まで中小企業の金融をやってみた経験では、親元のない方々がどうして成長していくかということは、当時から非常にむずかしい問題であり、また、そういう方々を対象にした金融というものは、非常に危険度も高かったと思うのであります。当時は、政府が預金部資金を回して特に低利の産業資金なり中小工業向けの資金を出しておりました。戦後は、商工組合中央金庫とかあるいは中小企業金融公庫とか、いろいろその方面向けの金融機関もできておるわけでございます。
 もう一つのグループの親元のある中小企業はどうしているかというと、少なくとも自動車工業に関する限り、私は非常に恵まれた立場にあると思います。それは、中小企業の弱点は、一つは技術開発力がないということ、一つは経営能力に欠けておる面があるということではないかと思います。技術開発力というのは、優秀な技術者を養成したり、あるいは非常に端的に申し上げれば、大学の技術部門を出た人を採れるか採れないかという問題になるわけでありますが、そういうところからどうも技術面が非常に弱い。それから管理能力の面では、中小企業の方々は事業主が成長してきた形態、それが株式化され、株式会社になってきた方が非常に多いのであります。いわば家族資本でやってきたというようなことから、非常におやじさん中心の経営が行なわれる。ときによると企業と私経済と一緒になってしまう。つまり、家計と企業会計が一緒になって、どんぶり勘定のようなことをやっている方もある。つまり、一口で言えば、近代化が行なわれていない面が多々あるわけであります。しかし、大企業の系列にある方々は、少なくとも私どもの関係あるいは自動車工業全般について申し上げれば、技術的には御指導申し上げますし、経営管理の面につきましても、スタッフを派遣してその改善方について協力いたしておりますから、その面で非常に恵まれておりますし、また、金融の面では、自動車産業に関する限りは、非常に支払いがよろしいわけでございます。私どもを申し上げてはなはだ僣越でございますけれども、ただいま私どもでは、中小企業のいわゆる下請の方々には、必要とあれば全額現金でお支払いいたしております。そういう関係で金の流れは非常によろしい。また、場合によっては、われわれが銀行に対して保証することもございます。そういうことでございますから、親元のしっかりしている中小企業の方々は、いわゆる中小企業対策からはもうはずれても――はずれては困りますけれども、はずれてもほかに道はある。普通銀行にいって、信用力、担保力が足りなければ、親元が保証する場合もあるのでございます。
 そういうことですから、問題は親元のない中小企業で、これはもう先ほど申しましたように、昭和初期の年代からの長年の懸案でございますので、ひとり金融の面からばかり体質の強化、健全化をはかることはできないので、事業主それ自体も、経営の改善をみずからはかる努力をしなければならないかと思います。特に、昨今は人手が不足になりまして、中小企業の方々は人手がなかなか採りにくい。したがって、賃金も高く出さなければならないという面がありますので、困難の度は増すかと思います。もっとも、非常に小さい、十人、十五人、三十人くらいの、中小企業の小のほうの方々は、これは国元へ行って知り合いをかけ回ってきても人手が集まる。小さければそういう便利な点があるようにも聞いております。
 それから、もう一つのお尋ねの設備投資の関係でございますけれども、いまは設備を抑制しなければならないというふうにいわれておりますが、設備計画というものは、そもそも半年やそこらの計画ではございませんで、一年、二年、三年という長期的な計画のもとに行なわれておりますので、この八月、九月ごろに大急ぎで設備投資、民間投資を抑制しなければならぬという声を出されても、それのきき目があるのは、もう来年でなければブレーキはかかってこないわけであります。いまごろことしの年末とか来年の春ごろの設備を考えるようなそういう企業では、とてもいけないのでありまして、少なくも一年先、二年先あるいは二年間にわたる設備計画をやっておりますので、短期的な視野から、あるときは押え、あるときは自由にまかせる、こんな弾力的なものでは設備はないわけであります。それからもう一つは、日本のいまの立場から申しますと、どうしても国際競争力をつけなければならないという面がある。それは経営管理能力の面もありますし、技術開発の面もありますが、生産量の増大、つまり量産化という面が国際競争力をつけるのに非常に役立つものであります。多く国際間の企業規模の比較をされますが、私どもの自動車産業等に見ますれば、これからもっともっと設備投資をし、近代化をはかることの多額の金を投資していかなければ、とうてい諸外国の先進自動車工業企業と太刀打ちができないという事情があるわけであります。
 もう一つは、私どもは国内の需要だけを目標にして成長をもくろんでおるのではないのでありまして、やはりわれわれの日本の立場から申しますと、どうしても国際収支というものがすぐ頭にくる。国際収支というのは、とりもなおず、わが国は貿易収支じりの上に国民経済を立てなければならぬ。これはもう皆さんすでにどなたも御承知のことでありますから、国内の需要だけを目当てに設備をやっておるのではないのでありまして、国際的な、つまり市場開拓を海外に求める、こういう観点からやっておるのでございます。一面、私どもに対しましても、輸出の要請というものは非常に強い次第でございます。この際もし設備を抑制して、国内だけまかなうような設備にとどめておりましたら輸出は伸びないのであります。そういう意味で自動車産業の場合においては、国外に出ていく、市場を外国に求める、こういう見地からすれば、いまの程度の規模では足りないし、規模それ自体よりも中身ですね。私どもはいまもって戦前購入した機械も動かしておる面もあるのであります。それからもう一つは工程を、つまりトランスファーマシンとかいわゆるオートメーション、そういうような形態に移していかなければならない。でなければ、これからの人手不足に対応して生産量を伸ばすことができないわけであります。昔でございましたらシングルパーパスの機械をたくさん並べて、そのかわり人が一台に一人ずつついておるような、そういうプリミティブな生産でよかった時代もあったかもしれませんが、今日では一つのライン台にほとんど一人か二人しか人がついていない。そういうような非常にトランスファー化され、自動化された生産工程を採用するわけでございます。
 したがいまして、そういうふうにやれば生産量もふえますけれども、生産量をふやすことのみならず、中の工程を合理化し、そして原価の低減々はかるという要素を生み出さなければならない要請もあるわけでありますから、生産力の増加の面の設備の投資と、それから生産工程の合理化をはかるための投資それから新しい生産技術によって変えなければならなくなったような設備と、もう一つ付帯設備といたしましては住宅の問題がございます。よく設備投資というと、すぐに直接の生産設備だけが頭に浮かぶようでありますけれども、今日の企業の現在の立場から申しますと、生産設備と間接設備というものはバランスをとって進まなければならないのでありまして、いま人を雇い入れるためには、私どもは住宅から建ててかからなければならないのであります。ところが、住宅建設の土地は年々高くなりますし、その敷地を購入する投資もばく大にのぼってきております。
 設備投資をそういうぐあいに分類いたしますといろいろ種類がありますが、総括いたしまして、私どもは国際競争力、海外市場開拓、こういうような大きな使命のもとに活躍するためには、今後も相当の設備投資をしなければならぬ。決して設備競争をやっているのではございませんので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
#24
○桜田参考人 ただいまの中小企業金融のあり方につきましては、少し私の言い方がまずくて、先生にそういうふうに理解されたかと思うのですが、信用金庫なり相互銀行で足りないのです。非常に足りない。もっとおやりなさいと言うのだけれども、相互銀行の中で、御承知のようにまだ株式の公開をしていない銀行が一、二あるのです。もっと合理化しなければいけないです。大きな相互銀行を一人で持っているのです。こういうものももう少し近代化、合理化して、もう少し中小企業のめんどうを見てくれろ――われわれの紡績屋というようなものは三十五万台も織機が中小企業にあるし、絹、人絹も二十七万台もあるのです。メリヤス屋さんは四千軒もあります。それから染屋さんもずいぶんあるので、その連中が全部企業間信用をやられたら、こっちがつぶれてしまうのですから、信用金庫にしても相互銀行にしても、もっと近代化、合理化してめんどうを見ておくれというつもりなのであります。ただ、資金コストが高うございます。信用金庫にしましても、相互銀行にしても。これをやはり指導していただきたい、こういうっもりでございます。
 それから、大企業との関連については、いまの川又さんと同じ考えでありますが、中小企業の規定のしかたがまことにおかしい。三百人以下とか一千万円以下とか、あれではとてもいまの中小企業は救えないです。もっと大きいのが中小企業なんです。従業員三百人以下ももちろん中小企業でありますが、資本金一億以下は私は中小企業であると思う。もし少し中小企業のカテゴリーの範囲を広げてめんどうを見てやっていただかなければならぬ。それを、すぐそれに役立たぬから市中銀行がもう少しこっちにお出なさいというつもりでございますから、御了解をいただきとうございます。
 ちょっと、私、恩師のお葬式がございますので、小峯小委員長、たいへんかってでございます……。
#25
○小峯小委員長 それでは竹本孫一君。
#26
○竹本小委員 時間がありませんから、一、二簡単に申し上げます。
 桜田先生に、一つは金利の自由化、賛成でございますが、先ほど来御指摘のありました、GNPの内容を変えていかなければだめだ、このままでいくと第三次ばかり伸びていくのじゃないかとか、あるいは自己資本の比率の問題についても問題がありましたが、いまの日本の経営者の自覚、責任感、能力、全部がりっぱな方ばかりじゃないものですから、それで、そういうGNPの内容を変えていったり、自己資本比率を高めていったりする国家的な要請にどういうふうにしてこたえ得るであろうかということが一つ。
 次には、労働力不足が決定的な問題でありますが、桜田先生はいろいろ構想の多い方でありますので、何かこれからの労働力の決定的な不足に対して構想を持っておられれば、それをお示し願いたいと思います。
#27
○桜田参考人 ただいまの最初にお尋ねをいただきました問題は、私はやはり税制だと思うのでございます。税制でもって誘導できます。それは、性善説も性悪説も両方持っておる経営者でございますので、私も、経営者団体連盟の代表を二十年近くやっておりますから、経営者のはなはだけしからぬのに、おこることもあるし、同情することもあるし、めんどうを見続けてきておりますが、誘導してそちらに持っていくのに一番きくのは税制でございます。税制でいけると私は思います。
 それから、労働力の問題も、日本経営者団体連盟――川又さんにもいろいろ御心配願っておるわけでございますが、まだ日本の雇用構造が、いま五千万人くらいの就業者で、その中で二割二分くらいが農林水産業でございます。これは半分くらいに減るのではないか。イギリスやアメリカみたいに八%になることは望ましくないから、一二%ぐらいまで減るだろう。そこからこちらへ相当移動できる。それから不完全就労でございますね。家庭の主婦とか、あるいは年寄り、六十歳前後の人とか、そういうものをいろいろな託児所とか、事業に設備をし、それからウオッチングだけの仕事には六十の人でも十分だとか、もう少しきめのこまかい研究が行なわれなければいけない。これは労働省でも非常に研究していらっしゃるし、御指導願っていると思うのでございますが、まだまだそういった余力が日本にあると私は思うのでございます。ちょうどドイツがセカンドバッターになったのは、この余力がなくなっちゃって、しかも東独から逃げてくるやつまで減っちゃって、南イタリアのやつを雇ってくる、スペイン、ポルトガルから雇ってくる、これが二百万近くになったのに、同じ社会保障をやり、賃金も払い、これがドイツの事業を閉口させたので、日本はまだ非常な余裕を持っておりますから、いまこの際に、政府、民間が賢明な策さえとれば、第三バッターはアメリカに譲ることができる、こう考えておるわけであります。
#28
○小峯小委員長 桜田参考人、どうもありがとうございました。
#29
○竹本小委員 もう一つ、時間がありませんので簡単に申し上げます。
 川又先生にお聞きしますが、一つは、割賦販売の問題については、現在どのくらいの率を持っているものか、また、将来はどのくらいになるお見込みであるか、したがって、割賦販売の資金ということになれば、どの程度のことを考えられるかということが一つ。
 もう一つは、特に自動車工業では競争が激しいものですから、コストダウンの要請が下請に対して非常に強いわけですね。これを、先ほど支払いについては全額現金でやるというようなお話がごいましたけれども、支払いだけでなくて、ほんとうの意味の下請の近代化について、特に親企業として今後特別な構想を持っておられるならば、それをお示し願いたい。
#30
○川又参考人 割賦販売は、自動車について申し上げますと、実は日本では、いろいろな販売系統をずっとたどってみますと、外国、特に米国あたりと少し違っているのは、メーカーそれ自体が一種の割賦販売をやっているようなものでございます。と申しますのは、私どもが地方の販売店におろします代金の決済が、大体六カ月から十カ月程度の手形払いになっておりますので、それがまず割賦販売の形態に踏み込んでおると思うのであります。それから、地方の代理店から直接需要家に渡る、これがいわゆる消費者金融でございますが、これは今度は地方の代理店が私どもで取り計らった月数に足りない分をやっているわけです。それはつまり、地方の金融機関に依存して当該販売店が割賦販売をやっている。
 もう一つは、最近は銀行みずからが自動車の融資をやっている場合がございます。一例を申しますと、私どもの会社に日産信用保証株式会社というのがございまして、これはどんな方にでも無条件で銀行に対して車の購入代金の借り入れについて保証をいたします。銀行は私どもの保証によってほとんど無条件で貸していただけますので、若干の保証料をいただきますけれども、普通の販売店がやっている月賦販売よりは金利が安いと考えておるのでありますが、そこで、実際の貸し出しは銀行に依存している。そして危険担保は、私どもの会社がみずから会社をつくりましてやっております。こういうふうな形態がまとまると、割賦販売の金融会社というものはでき上がるように思うのでありますが、先ほど申しましたように、資金のソースというものが非常に困難でございますので、構想はよろしいかと思いますが、割賦販売が独立して、全国にネットワークでやる数いうことはなかなかむずかしい仕事だと考えます。
 総資金の所要量、これはいまちょっと手元に数字を持っておりませんが、全国で自動車のために融資されている手形代金見返りの貸し付け金は相当の額にのぼると思います、ちょっと数字を持ち合わせておりません。
 それからもう一つ、下請の指導でございますが、これはかなり密接にやっております。工程の管理の方法、それから加工の方法、そういうものは、そのときそのときに私どもから専門の者がその下請に参りまして、直接指導をいたします。それから経営の面では、あまり立ち至った干渉がましいところまでできませんけれども、ちょっとぐあいが悪くなってきたような下請先がありますと、向こうからも相談に積極的に参りますので、私どもも行って、どこがどういうふうになっているか見て差し上げます。先ほど申しました事例は、そういうところから申し上げたのでありまして、どうもおやじさんが依然としてがんばっておって、親戚ばかり役員にしておる。帳簿もつけてはおるけれども、家計の支出なんかどうもまじっているようだというようなことですね。そういうのは明確にいわゆる複式簿記による会計経理をしなさい。それから物の購入について、町の非常に高い金利を使っておるような場合があることもあるわけです。支払い条件が悪いと、どうしても材料を高く買わなければならない。支払い条件を改善するためには、場合によってはわれわれが融資をすることもございますが、そういうことで経営管理の面では、積極的に下請さんを回って、どうやっておる、どうやっておると内政干渉がましいことはいたしませんが、御相談がある場合には、いつでも相談に乗ってあげておるわけであります。それから、もう一つの技術、生産管理のほうは、これは必要上御指導申し上げなければならないわけでございます。
 それから、下請がよく値引きで安くしろ安くしろと言われて困るという訴えも私ども聞いておりますが、私どもが原価を引き下げてもらうために値引きの要求をする場合は、これは合理化によって下げられる、あるいは生産量の増加によって単位当たりのコストが減価償却の負担面あるいは金利の負担面で下がってまいりますから、全部私どものほうへ吸収してしまうのじゃございませんので、下請にも利益が増加し、われわれの部品の価格も下げていただく、こういう方向でまいっておりますので、少なくとも私ども、あるいは一般自動車産業の関係でも、場合によっては車を値下げした、おまえのほうも片棒かつげという向きがないとは申しませんが、極力そういうことのないようにいたしてまいりたいと思います。
#31
○小峯小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。−両参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席いただき、かつ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 次会は明後二十四日金曜日午前十時開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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