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1967/11/24 第56回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第5号
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1967/11/24 第56回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第5号

#1
第056回国会 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第5号
昭和四十二年十一月二十四日(金曜日)
   午前十時十三分開議
 出席小委員
   小委員長 小峯 柳多君
      奥野 誠亮君    笹山茂太郎君
      西岡 武夫君    山下 元利君
      吉田 重延君    永井勝次郎君
      広沢 賢一君    堀  昌雄君
 小委員外の出席者
        大蔵省銀行局長 澄田  智君
        大蔵省国際金融
        局長      柏木 雄介君
        通商産業省貿易
        振興局長    原田  明君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
十一月二十四日
 小委員村山喜一君同日委員辞任につき、その補
 欠として永井勝次郎君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
同日
 小委員永井勝次郎君同日委員辞任につき、その
 補欠として村山喜一君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
同日
 小委員大村襄治君及び河野洋平君同日小委員辞
 任につき、その補欠として山下元利君及び笹山
 茂太郎君が委員長の指名で小委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 金融に関する件(国際金融に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○小峯小委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 本日は、ポンド切り下げを中心とする国際金融情勢並びにそれと関連する国内金融情勢や貿易の将来等について、政府当局より説明を聴取し、質疑を行ないます。
 まず、大蔵省から、ポンド切り下げを中心とする国際金融情勢と見通し及び国際金融情勢の変化に伴うわが国の金融情勢、通商産業省から、ポンド切り下げの日本貿易に及ぼす影響と見通しについて説明を求めます。柏木国際金融局長。
#3
○柏木説明員 先週十八日土曜日の午後九時半、ロンドン時間でありますが、イギリスが平価切り下げを発表いたしました。一ポンド二・八ドルの平価を二・四ドルに切り下げたわけでありますが、切り下げ幅は一四・三二%であります。これは、イギリスの国際収支の現状、短期資金の流出状況等から、英国として、この際、思い切った立て直し政策をとらなければならないという判断のもとに、その一連の対策の一環としてとられたものであります。
 平価切り下げと同時に、イギリスは、公定歩合を六・五%から一挙に八%に引き上げております。
 それから、銀行貸し出しにつきましても規制を強化いたしまして、今年十月末現在の残高で貸し出しの総額を規制することを発表いたしております。もっとも、輸出関係は除外しておりますが、それ以外の貸し出しは十月末現在で残高を押える。さらに、消費者金融の規制を強化し、自動車の場合で申しますと、頭金の払い込みを、従来は二五%は少なくとも払い込むことといたしておりましたものを三分の一以上にする。さらに、消費者金融の期間の規制を三十六カ月を二十七カ月に短縮する。
 さらに、財政面におきましては、来年度の予算において軍事費の削減一億ポンド、選択的雇用税の還付と申しますか、その関係の交付金を約一億ポンド削減する。それから国有企業関係の支出を一億ポンド削減する。そして輸出リベートを明年度より廃止する、この関係の歳出削減が一億ポンド。合計約四億ポンドの歳出削減をいたしております。来年度のイギリスの財政規模はもちろんわかりませんが、本年度が大体百億ポンドでありますので、四億ボンドと申しますのは大体歳出の四%くらいかと存じます。そのほか、法人税率を明年度より引き上げる、現在の四割を四割二分五厘に上げる。
 そういうような国内における財政の引き締め、金融の引き締め、それを背景に、海外からの援助といたしまして、IMFからのスタンドバイ・クレジット十四億ドルを要請いたしております。それから主要各国の中央銀行との間の借款についても十六億ドルの借款を要請し、合計ポンド支援のために外資三十億ドルを要請いたしております。
 以上がイギリスのとりました措置でありまして、イギリスの平価切り下げは、十八日ワシントン時間のたしか十二町でありますかのIMF理事会におきまして承認を得られました。
 それからイギリス・ポンドの切り下げに伴いまして、これは当初から予想された点でございますが、イギリスと非常に関係の深い国々において追随引き下げが行なわれておりますが、ただいままでにわかっておりますのが、アイルランド、イスラエル、ガイアナ、スペイン、マラウィ、キプロス、ガンビア、ニュージーランド、デンマーク、ジャマイカ、セイロン、それから香港でありますが、十二、三カ国が追随して引き下げております。
 ここで注目していただきたいことは、一つは、スターリング地域のすべての国々が引き下げたというよりか、むしろ追随引き下げをした国が比較的少ないということと、スターリング地域外における引き下げというものは、スペイン、デンマーク、イスラエルというか非常に少数の国で、今回のイギリスの平価切り下げに伴いまして、その国際的な平価改定の動きというものが比較的少なかった。前回のイギリスの平価改定の際には、御案内のように西欧諸国の大部分から、世界の非常に多くの国々が追随して平価を改定いたしましたが、今回のイギリスの平価改定に伴いましては、いま申し上げました十二、三カ国の国が改定をいたしております。これからもあるいはふえるかもしれませんけれども、いまの見通しではそれほど多くの国が追随をするとは思っておりません。
 このイギリスの平価切り下げが日本に伝わりましたのが日曜日の朝でありますが、日本といたしましては、日曜日の朝午前九時に大蔵大臣談話をもちまして、日本としての態度としまして、日本の平価はこれを維持する、平価は変えないということを内外に宣明したわけであります。また同時に、イギリスの今回の平価改定に伴います国際的な援助につきましては、日本としても応分の措置をする、応分の協力を行なうということも宣明いたしております。
 それから、イギリスにおける公定歩合が六・五%から一挙に八%に上がることに伴いまして、それにつれてアメリカの公定歩合が日曜日、十九日でありますが、従来の四%から四・五%に引き上げられました。それからカナダの公定歩合が同様に五%から六%に引き上げられております。したがって、米英加の三国における公定歩合は一斉に上がったわけでありますが、これに対して西欧諸国のほうはいまのところ引き上げられる見通しはございません。
 日本の経済あるいは日本の貿易に対する影響につきましては、これは英国のとった措置というのは英国経済の抜本的立て直しのために必要なことであり、これによって長い目で見て世界経済の安定、拡大に審与するというふうに思いますけれども、しかし同時に、これがいろいろな意味で問題を提起するということもまた事実かと思います。直接日本に対する影響としましては、平価切り下げに伴って切り下げ国の輸出競争力が少なくとも一時的には増すということも事実でありますし、それに伴って輸出競争がますます激しくなるという問題、それからそういう直接的な問題のほかに、これから輸出競争が激しくなる、国際競争が激しくなるということに伴いまして、各国が若干経済を安定ぎみに運営していこうという気配も感ぜられますし、それに伴いまして世界経済全体の伸び、世界貿易の伸びが従来考えていたものよりもあるいは低下するということも考えられております。それに伴う間接的影響という問題もございまして、日本の今後の輸出、今後の経済の伸びについて問題があるということは認めざるを得ないかと思います。
 また、資本収支の問題としまして、先ほど申し上げましたイギリスの公定歩合の引き上げ、アメリカ、カナダにおける公定歩合の引き上げに伴いまして市中金利もまた上がってくるわけでございまして、その資本収支の面からくる日本への影響という問題も無視するわけにはまいりません。
 そういうふうな国際収支、資本収支の観点等、日本の国際環境はいままでに比べて一段ときびしさを増したということでございますので、これからの経済の運営につきましてはますます慎重に対処してまいらなければならない、さように感じております。
#4
○小峯小委員長 次に、澄田銀行局長からお願いいたします。
#5
○澄田説明員 御承知のように、本年九月に、わが国は国際収支の改善のために、総需要の調整という目的をもって財政、金融両面にわたって引き締め政策を実施してちょうど三ヵ月足らず経過した、そういうやさきに今回のポンドの切り下げというようなものが起こったわけでございます。そこで、このポンド切り下げが行なわれる直前における引き締め政策の浸透の状況と申しますか金融面の状況というのをまず最初に申し上げてみたいと思います。
 ちょうど引き締めましてからが財政資金の季節的な散超期に当たっております。ことに、本年は米の非常な豊作によります食管会計の散超が非常に大きいというようなことがございます。十月と十一月の実績で見ますと、昨年の実績で見ますと、昨年は食管のこの間の払いが約三千三百億程度でございましたが、本年は十月が払いは三千八百七十九億、それに十一月が今月の見込みを入れましておそらく千億ぐらいということになりますと、これで四千九百億近いというようなことになりまして、昨年に比べましてすでに食管だけでも二千億に近い払いの増、こういうような状況でございます。それ以外の払いもこの間昨年よりは多いというようなこともございまして、従来の金融引き締めの場合に比べまして、資金の需給関係の逼迫感が少ない、こういう状態で推移してまいりました。こういうような情勢もありまして、全体として生産や出荷の動向もなお根強いわけであります。そうしてことに個人消費の非常な堅調というようなことが最近もよくいわれておりますが、そういうような情勢と相まって経済活動は依然高い水準で推移している。その結果、日本銀行券の発行の水準というのも、十月の月末の平残でも一七・二%、月中平残をとりましても一七%、十一月に入っても対前年一七%台の平残を続けております。
 かような状態で、経済水準としてはかなり高い状態で来ている。特に、今回の引き締めにあたりましては、国債発行下のマネーフローの変化にもよりまして、企業の自己金融力が強化されている。あるいはコールレートが従来の引き締めの場合に比較いたしまして、比較的安定的にずっと推移してまいっております。それから日銀の貸し出し増加額規制、いわゆる窓口規制を行なっておるわけでありますが、その直接の対象になっている都市銀行等のシェアも従来の引き締めの場合に比べますと若干下がっているというようなこと等もございまして、かれこれな理由が重なりまして、貸し出し金利の上昇テンポというものも従来の引き締めの場合に比較して一般的におそい。こういう状態でございます。九月の全国銀行の平均貸し出し金利は三糸上がったわけでございますが、これは従来の場合ですと、最初の月の全国平均貸し出し金利、これはいろいろな例がございますが、一毛五糸程度上がっているというのに対しまして、三糸でございます。ただこれは、都市銀行については十月の数字まで、十月は暫定でございますが、出ておりますので、その辺を見ますると、都市銀行は九月には七糸、それから十月には暫定の数字で一毛二糸ばかり上がっておりまして、合わせて一毛九糸というような状況でございます。これは一毛九糸というようなところで見ますると、それでもやはり従来の引き締め後の二カ月の都市銀行の平均貸し出し金利の上昇歩合というものに比較すれば低い。先ほど申し上げました全銀の一ヵ月の数字ほど極端ではございませんが、やはりまだ低いというようなことで、全般的に企業金融の現在までのところの引き締め政策の影響の浸透状況というのは、さして強く影響を受けているとはいえない、こういう状況であろうと思います。そうしてまた、他方公共事業の繰り延べ等による影響、これもまだ十分に出ているとは申せないのではないか、かように思います。しかし、今後十二月に入りますと、年末の季節的な資金需要によって資金の需給というのは相当タイトになってくるものと考えられます。さらに来年の一−三月は、これは季節的に揚げ超期というようなことになりまして、金融引き締めの影響がさらに一段と浸透してくる。それから公共事業の繰り延べ等の影響も逐次そのころには出てくる、かように思われますので、今後の引き締め政策の効果の浸透というものを現在は注視をして、その効果を見守る、こういうような段階であったと思われるわけであります。
 そこで、今回発表されました英国のポンド切り下げ、それから公定歩合の引き上げ、それに伴うアメリカ、カナダ等の公定歩合の引き上げ、こういうような影響でございますが、ただいまも国際金融局長から申し上げましたように、今回の影響によって輸出競争の激化、さらに各国の経済成長率が従来見られたよりも鈍化をする、各国とも慎重な経済政策を運営するというようなことによって鈍化する、そういうことによる輸出環境の悪化等によって貿易収支についての影響というものもあると思われますし、また、今回の措置によって国際的に金利水準が一体に上がり、国際的な高金利時代というようなことになってまいりますと、それによる短期資本の動き、あるいは長期資本の影響というようなものもあるものと思われます。
 そういうようなわけで、国際収支の環境というのがきびしい問題を加えるわけでございます。今後の財政、金融政策は、従来にも増して国内経済活動調整というものにつとめて、輸出の増強、輸入の抑制というような点について、一段と貿易収支の改善というものにつとめなければならない情勢でございますが、さらに資本収支の動向というものも十分に注視する必要があると思われるわけでございます。そういうためには、もちろん来年度の財政規模等も極力抑制的に編成されることが望ましいわけでございますが、金融政策面においても十分情勢を見きわめて適時適切な措置を考えていく、こういうことでございますが、目下のところはそういう情勢をよく見守っていく、こういう段階であろうと思います。
 ただ、一部にいわれております円シフトにつきましては、昨年国際的な金利水準が非常に上がったという情勢において円シフトが起こったということがありまして、そういう関係で今回どうだろうかということがいわれるわけでございますが、現在引き締め下でございます。昨年は非常に金融が緩慢でありまして、そういう意味で円シフトの行なわれやすい国内金融環境があったわけでありますが、今度は企業の円資金調達もかなり困難の度を加えております。同時に、先ほど申し上げましたように、いままでは国内金利水準の上昇というのはテンポがおそうございますが、これからは貸し出し金利も上昇してまいります。そういうようなわけで、前回の円シフト、昨年の円シフトのときとは、今回は金融基調が基本的に変わっている面がある、こういうことがあるわけでございまして、そういう面における短期資本の動きによって国内の金融が影響される、こういう点につきましては、前回の場合とは、昨年の円シフトの場合とは違う条件がございますので、どの程度波及するかということはいまだ明らかではございませんが、そういう情勢を見守ってまいらなければならない。これからの内外の動き等を十分総合的に注視しながら、今後の金融政策の運営をいたしていかなければならない、かような段階であろうかと存じております。
#6
○小峯小委員長 次に、原田貿易振興局長にお願いいたします。
#7
○原田説明員 今回英国がポンドを切り下げました。それに引き続きまして二十カ国余りの国がその国の平価を切り下げられたと伝えられております。また、英国、米国、カナダ等におきまして、かなりドラスティックな公定歩合の引き上げ、特に英国におきましては非常に強い引き締め政策というものが並行して行なわれております。
 こういう点、特にポンドが国際通貨としてまだかなり重要な地位を持っているというようなことから考えまして、わが国の輸出輸入貿易というものに影響があるということは言うまでもないことであると考えております。ただ、今回のポンド切り下げにつきましては、先ほど大蔵省の局長からもお話がございましたとおり、追随して切り下げた国の数がわりと限られております。国の数では二十ヵ国をこえているようでございますが、わが国と貿易関係が大であるという国の数から見ますと、前回のポンド切り下げ当時に比べますと、はるかに少なくなっております。また、切り下げによりまして、切り下げをした国々の輸出競争力が激化をし、特に日本の主要市場である米国その他の第三国市場におきまして、日本との輸出競争が激化をし、かたがた、世界貿易市場において国際競争が激しくなるという点はまさにそのとおりであろうかと思いますが、英国におきましても切り下げ幅が一四・三%にとどまっております。また、今後の物価上昇その他によって吸収されてしまう部分があると思われますので、切り下げられた幅がそのまま切り下げ国の輸出競争力になって出てまいるというふうには考えられないような点もございます。また、日本の昨年来の輸出の停滞というものは、海外の市場にもよりますが、特に日本の国内において内需が強いために輸出が伸び悩んだような傾向もございますが、九月以来わが国も引き締め基調に転じておりますし、その間、輸出に向かう強さが昨年と比べると強くなっているというような状態もございますので、そういうものを全部総合いたしますと、どの程度わが国の輸出に影響するかという計算は、簡単にはできないように考えられます。
 わが国の輸出への影響を、主要国別、主要商品別に見てみますと、次のようになろうかと思います。
 まず、切り下げをいたしました英国でございますが、最も新しい年間の統計がアベイラブルな年であります一九六六年におきまして、英国向けの輸出実績は二億二千五百万ドル、総輸出額九十七億七千六百万ドルに占めます割合が二・三%でございます。主要輸出品は船舶を主体とする機械機器が六千六百万ドル、サケカン詰めなどの魚介類を主体といたします食料品が五千百万ドル、衣類、綿織物を主体といたしております繊維品が二千百万ドルでございます。こういう輸出構成になっておりますので、今回の切り下げに伴いまして、こういう物資の英国向けの輸出は影響を受けると考えられますが、特に船舶、オートバイ、カメラ、サケ、マス、ミカンのカン詰め、衣類といったようなものへの影響を懸念いたしております。
 次は、香港でございますが、香港に対するわが国の六六年の輸出実績は三億七千万ドルでございまして、総輸出額に占める割合は約三・九%でございます。主要輸出品は、合繊の織物を主体といたしております繊維品が一億三千四百万ドル、トランジスタなどの電気機械を主体とする機械機器が一億七百万ドル、人造プラスチックなどを主体としております化学品が三千五百万ドルでございます。
 今回、香港は、当初一四・三%、英国に追随して切り下げましたが、二十三日、これを一〇%引き上げいたしました。したがいまして、実質的切り下げ率は五・七%にとどまるといわれております。したがいまして、香港に対しましては、特に香港が中継貿易を非常に大きく扱っておるというような性格から考えましても、英国等に対する輸出が受ける影響に比べますと、わが国の輸出が受ける影響は、さほど大ではないのではないかと考えられますが、商品によりまして、人造プラスチック原料とか自動車、繊維、機械といったようなものの中に、英国との競争の激化というものが予想されまして、影響を受けるものが出るというふうに考えられます。
 第三国市場の雄でございます米国につきましては、わが国の輸出の三割を占めておることは御高承のとおりでございます。毛織物、工作機械といったようなものにつきまして、特に機械機器等につきまして英国製品との競争が激化をする。それからまた繊維の二次製品、トランジスタラジオみたいな軽工業品、雑貨といったようなものにつきまして、香港あたりとの競争が激化をするという懸念がございます。米国市場の需要弾力性というものは商品によって異なるかと思われますので、一がいにどの程度わが国の輸出が影響を受けるかというのは非常に困難でございますが、たとえば鉄鋼あたり日本の占めるシュアがかなり大きな率に達しておるものにつきましては、英国品その他の競争は激化をいたしますが、総じてみますと、大きな影響というものはないかと思いますが、価格面などでの競争が激しくなるのではないかというふうに考えられます。
 カナダでございますが、六六年のわが国からの輸出は二億五千六百万ドルでございます。カナダは、英国との特殊な関係から、英国の影響が非常に大きい市場でございますので、したがいまして、わが国のカナダに対する輸出につきましては、特に航空機、自動車などをはじめとする重機械類というものがかなり影響を受けるのではなかろうか。また、毛織物につきましても相当程度影響を受けるのではなかろうかと懸念いたしております。
 豪州は、六六年のわが国の輸出は二億九千八百万ドルでございます。この地域も最近ドル地域への依存が増大はしておりますが、まだまだ英国の影響が大きい市場でございますので、自動車をはじめとする重機械類というものに影響があり、また、有機化学品について競争の激化をおそれております。綿布、繊維二次製品あたりにつきましては、香港から豪州に伸びやすくなるという点も心配をいたしております。
 以上が大体今回の切り下げ及び公定歩合の引き上げ等によって大きく影響を受けるわが国の主要輸出市場及び輸出商品の概観でございます。
 こういうものを通じまして、特に公定歩合が引き上げられたということによりまして、こういう国々の景気の伸びが、いままでよりは少し落ち、経済活動が、もし切り下げ、引き上げがなかった場合に比べれば、若干落ちるのではないかという心配はございます。この点、米国は最近景気がやや上がりぎみになってまいっております。しかし、消費は、まだまだほんとうに伸びるというところまで至っていないような面もございますが、そういう段階で景気の上昇が押えられる傾向にある公定歩合の引き上げというようなものが実施されますので、その面からも、わが国への輸出の影響というものがかなり予想されるわけでございます。ただし、他方わが国からの輸出の伸びる力は、先ほど申し上げましたとおり、ことし前半までの輸出の停滞が、主として内需が強くて伸びにくかったという状況が作用しているといわれますので、その面が回復をしてきました場合、世界の貿易が伸びるのにつれまして、いままでどおり二倍程度の弾性値をもって伸びるという点はほぼ確実ではなかろうか。したがいまして、そういう総合的な考慮からいいますと、今年度あたりではこれから申し上げます輸入の節約とあわせますと、たいして貿易収支の面ではシリアスな影響は起こらない。ただ、来年度に入りますと、若干輸出の面に影響が出てまいり、国際的な輸出環境のきびしさが相当程度影響を与えてまいると存じられますので、この際、私どもますます輸出の振興に努力をいたしまして、このポンド切り下げ、公定歩合の引き上げの影響を乗り切らねばならないというように考えている次第でございます。
 他方、輸入面の影響でございますが、全般的にわが国の輸入は、最近、鉱工業生産に見合った輸入というレベルに近づいてまいっております。したがいまして、為替レートの切り下げを行なった地域からの輸入が、切り下げによってこちらの価格が安くなるという意味で急に増大をするというふうには考えられないわけでありまして、特に、機械類のように輸入量が輸入価格の変動にさほど左右されない、むしろ内地の需要に左右される、生産活動に左右されるというようなものにつきましては、今後一般的に輸入量が急激に増加するとは考えられないわけでございます。他方、平価の切り下げによりまして、そういう国からの輸入価格は若干下落をいたします。その面で、わが国の輸入面に節約ないし金額の減少という有利な結果が生じてまいります。そういう面で、輸入の面ではむしろ若干の節約が行なわれますが、しかし、総じて非常に大きな影響があり、ポンド切り下げその他によってわが国の輸入市場が大幅に転換するというような事態はまずないのではないか、かように考えております。一応この辺で……。
#8
○小峯小委員長 これから質疑に入ります。
 通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#9
○堀小委員 最初に、国際金融局長にお伺いをいたしますけれども、ポンドの切り下げのその前のイギリスの外貨準備の状態というのを少し見てみますと、一九六六年の六月ぐらいは十一億七千万ポンド、それからずっと見てみますと、六六年はほぼ横ばいで、そうしてことしの四月に少し上がってきて、これが十二億一千六百万ポンドまできて、それから五月、六月、七月、八月、九月とだんだんダウンしてきたということだと思うのですが、この切り下げのときというか、十月末くらいのポンドの外貨準備というのは幾らだったのでしょうか。
#10
○柏木説明員 お答えいたします。
 十月末のイギリスの外貨準備はドルで二十八億八百万ドルであります。したがって、ポンドに換算いたしますと、大体十億ポンドかと思います。
#11
○堀小委員 そうすると、それを外貨準備だけの面から見ると、七月、八月、九月というのが、九月は九億七千五百万ポンドまで下がっていたわけですから、少し回復をしておったというわけですね。それで、私ども今後、日本の場合をも含めて考えていかなければならぬと思うのですが、外貨準備というものは表の金額ではわからない。内部のポジションの問題が加わると思うのです。まあ、よその国のことですけれども、この二十八億ドルでもいいですし、約十億ポンドでもいいですが、この外貨準備の中身ですね、あなた方が大体推測し得る範囲でけっこうですけれども、この中身はどういう中身なんでしょうか。
#12
○柏木説明員 イギリス政府として外貨準備の内訳を、たしか公式に発表したことはないと思います。外貨準備として当然金及びドル資産が多いかと存じますけれども、幾らが金で、幾らがドルであるかということは承知いたしておりません。
#13
○堀小委員 私どもいろいろなものを見ますと、金の保有というものは大体書いてありますね。それは、あなたがここで公式の立場だから言えないということは別として、何かそういう報道によればどういうことになるのですか。あなたの意見ではなくて、一般的なそういう報道があるでしょう。われわれは大体フランスが六十億ドル金で持っているとか、いろいろ承知しているわけです。西ドイツは大体どのくらい金で持っているということは承知しているので、あなたがここで断定的に幾らあると言うことは、立場上まずければ、報道による状況をひとつ教えてもらいたい。
#14
○柏木説明員 十月末という数字でございますと全然見当がつきませんけれども、数カ月前の数字としては、私の記憶でありますけれども、たしか外貨準備のうちの六割近いものが金であったかと存じます。残りがその他の交換可能通貨で、交換可能通貨のうち幾らがドルであるか、おそらく大部分がドルであろうかと存じております。
#15
○堀小委員 そこで、イギリスの貿易なりいろいろな情勢の中で、平価を切り下げなければならなかった問題というものは、単に外貨準備の問題であるとか、そういうことだけではなく、総合的な問題のしわがここへきた、私はそう判断をするのであります。日本の場合、実は何かよその国のような感じがあると思うのですが、最近二十億ドルの外貨準備が上がったり下がったり。名目的には確かにそれでいいと思うのです。しかし、ポジションについては、これはあなた方ますます言いたくないところだけれども、非常に悪化をしておる。これは別に量でいきません。私の推測では、少なくともユーロダラー的なものというのが十億ドルをこえるくらい入っているのじゃないだろうかという感触で見ておりますけれども、そういうきわめて不安定な外貨準備の状態がある。金の保有に至ってはないにひとしいということです。
 実は一昨日ですか、通産省の産構審がいろいろな問題を取り上げた中で、大体やはり前年比三七%くらいの設備投資を認めるのだ、こういう話であります。確かに国際競争力の強化も必要でありましょうから、ある程度の設備投資は確かに必要だけれども、私は一般的な感触として、大蔵省、日銀はやはりいまの日本経済に対してかなり強い危機意識を持っておるけれども、通産省の側はどうも危機意識か少ないような感じがする。これは所管庁として当然な点もあるけれども、一体日本は、ことし大体五億ドルないし六億ドルくらいの赤になるだろう。この間、OECDはたしか一一%くらいの来年の貿易の伸びで、来年度もやはり相当な、五億ドルくらいの赤字になるのではないかということをいったと思うのですが、その点どういうことだったか、もう少しはっきり御説明願いたい。
#16
○柏木説明員 本年度幾らぐらいの赤字になるかということは、ただいま政府部内でいろいろ検討いたしまして、近々、本年度の見通しの改定というものがあろうかと存じますが、OECDのほうにおきましては、いわゆる国際収支というような、日本で申しておりますIMF方式の総合収支あるいは基礎収支というような推定作業はいたしておりませんで、もっぱら、いわゆる経常勘定の黒字が幾らであるかというような作業をいたしております。経常勘定と申しますのは、輸出輸入の貿易収支関係、貿易外関係、移転収支関係を含めた経常収支の黒字がどれくらいであるかという推測をいたしておりますが、本年も来年もそう変わらないのではないかというようなことをいっております。その一番の根拠としまして、来年度の世界経済の伸びぐあい、貿易の伸びから見れば、日本の輸出というものの伸び方はそれほど大きくない。一一%ぐらいの数字が出ておりますが、そういたしますと、来年の経常勘定における黒字というのは本年とそう変わらない数字になるのじゃないだろうか。ちょっとまたお答えいたしておきますけれども、私どものほうは、大体会計年度でいろいろ推算いたしますけれども、OECDのほうは暦年ベースでやっておりますので、その辺ちょっと食い違いがありますけれども、本暦年と比べて来年はそれほどの黒字の増加というものは期待できないのではないかと思います。
#17
○堀小委員 そこで、かりにいま新しい改定見通しをやっておられるところで、まあ、この間ちょっと電話で話をしたのですが、調整局長の赤沢君は、どうも通産と大蔵と意見がいままとまっておりませんので、きょうの委員会に出席をして私から答弁するのはちょっとこらえてくれというようなお話があったのですが、私も、こういう時期に公式な答弁を求めるのはどうかと思って、きょうは調整局長の出席を求めなかったのですが、もしかりに、ことし六億ドルの総合収支の赤があった、来年も六億ドルの総合収支の赤があった、こうなると、要するに四十三年度末赤が立っても、外貨準備は一応二十億ドルということに、それは減るかどうかは別として、表はそうなり、さらにそうなっていくという場合に、一体どこまでいったらほんとうの危機というか、そういう国際収支面で手をあげるというのは、どういう情勢のときに日本が手をあげることになるのか、その先々のことですね。要するに、ことしも五億ドル赤が総合収支で立つ、来年も赤が立てば、総合収支で十億ドル赤が立つわけですね。ことしの年度の初めから見て十億ドルの赤が出る。外貨準備として見たら同じ、表はこういっているわけですね。だから、それだけポジションがますます悪くなる。裏返していえば、もしかりに来年の年度末に二十億ドル外貨準備があるならば、私はほとんどそんなことにはならぬと思うけれども、もしあるとするならば、これは短資のものだけであって、本来の支払い能力のあるようなものはほとんどないというようなことになるのじゃないかと思います。ただ、いまのように、わりに一部人のたちは、いや、ともかくIMFから借り入れようとスワップの発動で持ち合いをしようと何しようといいから、設備投資をやるところはやってしまえという考え方の論者もいるわけですね。だから私は、そこのところの終点というのはどういうことなのかということを、きょうちょっと聞いておきたいと思うのです。
#18
○柏木説明員 どこまでいったら手をあげるんだといったら、ちょっと数字的にどうこうということは私はむずかしいと思いますけれども、私どもといたしましては、御指摘のように、外貨準備が幾らだということで国際収支を判断すべきでないと思います。これは、先ほどイギリスの例で、ずっと六六年からそう変わっていないということにもかかわらず、イギリスは非常な国際収支の危機に直面し、ああいうことになってきたということでありますけれども、私どもといたしましても、外貨準備ではなくて、やはり国際収支というものは、経常収支、資本収支を合わせました総合収支のしりで見なければならない。それが五億とか六億とかいう数字が出ておりますけれども、六億ドルの赤字があるとすれば、これはゆゆしき問題である。これはやっぱり長く続けてはならない。したがって、来年度も六億ドルの赤字が続くというようなことは、とうてい許せない。やはり何としてもこれは減らして、均衡状態まで少なくとも持っていかなければならぬ。長い目で見れば、若干の黒字をつくって、そして外貨準備を積み増すとか、ポジションを改善するような方向に持っていくべきものと存じます。したがいまして、来年度六億ドルの赤字が出るということはとうてい許せない。むしろ、そういうような観点を入れまして、本年の九月から、御承知のように公定歩合の引き上げ等の引き締め段階に入ったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年度はこういうようなことにならない、さように考えております。しかし、しからば来年度の国際収支はどうなるかという御質問があるとしましたら、それは政府部内でまだ検討中の段階でございまして、数字的にどうこう申し上げる段階ではございませんけれども、とても六億ドルの赤字というのは、私どもとしては容認できない状態の数字かと存じます。
#19
○堀小委員 そこに、私は、いま日本国内で、国際収支の問題を一体どれだけ比重をかけて、経済界の人たちが認識をしておるのかという点について、非常に疑問があるわけです。個々の企業そのものの問題は、私はイギリスだってそんなに危機感はないと思うんですよ、個々の企業から見たら。トータルとして見た場合に問題が起こってくるわけですから。今後の日本経済の問題というのは、単に財政が硬直化だとか、そんな末端の問題もさることながら、非常に重要な問題というのは、やっぱり率直にいえば、いま日本が平価の切り下げというようなところには全然いくことはないんだというような安易感ですね、それがもう何か国民的常識みたいなものになっていて、イギリスで起きたのは、それはイギリスで起きたことであって、何か別世界で起きたような感覚を持っておると思いますけれども、私はどうもそんなになまやさしい状態に日本があると思わない。そのことは、言うなれば、やはり外貨準備の中身をだれも知らない。特定のごく一部の者だけが多少知って心配をしておる。表づらの二十億ドルしか知らない人が、財界にもかなりいるんじゃないだろうか、私どもはこういう感じがしてしかたがないわけです。だから、やはりそこに危機意識がないから、二十億ドルちょっと切った、上がった、まあ何とかいっているではないかというようなことが、もし一般的になってくれば、私はなかなか問題は簡単じゃないと思う。ということは、いま銀行局長が触れましたように、いま引き締めは全然さいていないんですよ。いまそれじゃ少しきき出しておるように見える問題は、これは大企業は、何もいまの資金を手当てをしておるとは私は思っていないんですよ。来年の一−三月の部分をいま一生懸命手当てしているわけで、日本の経営者は引き締めにはなれていますから、そんなにぼやぼやしていないわけです。大体私どもが聞いておるのでは、九月のときに、来年の一−三月の貸し出しを、どんどん経営担当者は銀行にかけ込んでおるわけですから、もうある程度企業は金を借り入れた。一−三月の締まりを見て、かなり金を借り入れて、そういう意味では手元流動性は少し厚くなっておるぐらいじゃないかというふうな感じが私はしておりますから、今後一−二月になって、財政揚げ超になるから締まってくるなと思ったら、案外締まらないではないかという問題が私は起こってくるのではないかと思う。私は当初から、この前も宇佐美さんに来ていただいたときに、必ず私は将来的には二厘であるべきであったというときがくると思うとお話しいたしましたが、明瞭に私は今日二厘であったほうが全体としての結果はよかったのではないか、こういう感じがしておるわけです。
 それからもう一つ、これは今後の問題の影響でありますけれども、きょうの新聞あたりでは、各地でとにかく猛烈に金が買われていますね。この金を買っているのは、やはり私はドルを売って金を買っているのだ、こう思うのですが、きのう、二十三日には約二十トンくらいの金が動いたといわれておりますが、アメリカはいま金の保有額百三十億ドルくらい、いまのこの調子でずっといって、どんどん買われたら、アメリカの金保有というのは相当影響を受けるだろうと思うしするわけですが、アメリカの受ける影響の問題ですね。ポンド切り下げがアメリカに及ぼす影響の問題、アメリカにも、国内的に非常にいろいろ問題が現在あるわけですから、単に国際収支面から見る影響ということだけではないと私は思うのですが、アメリカの、特にドルが受ける影響というのは今後どういう形であらわれてくると思いますか。
#20
○柏木説明員 これは新聞報道でしか承知いたしておりませんけれども、ファウラー財務長官が、ポンドの切り下げに伴ってドルが現行通貨体制維持の第一線に出るようになったいうことを言って、したがって、アメリカとしてもここで思い切って財政、金融面を強化して、そしてドルの防衛に専念というか、力を出さなければならぬということを言っておりますけれども、ファウラー長官のことばのとおりだと思います。いままで比較的スペキュレーションの対象がポンドに集中していたものが、これからはスぺキュレーションがポンドからドルに向かってくる可能性があるという意味で、ドルというものが一段とそういうふうなアタックを受ける可能性があるということは認識しておりますし、それに対して、またアメリカとしてもそこで対策を講ずるという段階でありますので、いまお話しの、きのうのロンドン金市場における金の売却が二十トン余りあった、これは私は数字は存じませんけれども、そういう問題もこれからあるいは起きるかもしれない。要するに、金、ドルを通じての防衛をどういうふうにするか、これはアメリカだけの問題ではなくて、西欧のほかの国もいろいろ心配しておるものかと存じます。
#21
○堀小委員 これまでキーカレンシーのいろいろな問題の経過があって、SDRの問題もほぼまとまってきたと思うのですが、この際、あの中でずっと抵抗してきたのは御承知のようにフランスですね。フランスは、ずっと見ていると、例の金の決済プール機構ですか、なんかからも手を引いておる。自分のところはしこたま金を持っておる、いつでもひとつ何なら金本位でいきましょうかというかまえがあるわけですから、私は、いまのこの情勢から見ると、フランスはかなり意図的にゆさぶりをかけるであろうことはやはり間違いはないと思うのですね。そうなったときに、これは非常に政治的な問題になりますけれども、片やベトナム戦争を遂行しながらのアメリカの財政赤字、一体その財政赤字を増税で埋められるかというと、そう簡単には埋められそうにもない。このポンドの切り下げでやや変わるかもしれませんけれども、なかなかそう簡単ではない。アメリカは予防的に公定歩合を引き上げたといいますけれども、プライムレートを含めて、これは全体的に上がる情勢のところへ加速度がつく、こういうことになるのじゃないかと思うのです。そういうような全体の情勢、さっき振興局長は、ことしの輸出の伸びが悪かったのは、国内に原因があるように非常に比重をかけてお話があったのですが、もちろん国内の需要があったということもさることながら、実は西欧諸国の不況が輸出ドライブをかけておったということのほうが大きいんじゃないか、私はこう思っておるわけです。この西欧諸国の輸出ドライブは、今度の経緯を通じて強くなりこそすれ、弱くなる情勢はない。景気の立ち直りは、西ドイツ等を含めて非常に困難になる情勢に、やはりこのポンドの切り下げは影響するだろうし、アメリカ自身は、ドル防衛をはじめとしてますますもって壁を厚くしていかなければ、今度は自分の番だということになってくるわけです。一昨日、桜田さん、参考人でおいでになって、アメリカが三番バッターになるか、日本が三番バッターになるか、まことに興味のあるところだというお話があったのですけれども、まさにそういう意味ではアメリカと日本が三番バッターを――イギリス一番、西独二番ということで、三番バッターを争う段階に来ているようですが、いまの振興局長のお話を聞いておると、まだまだ来年度も楽な見通しのような感じですが、もう少し来年度の貿易というのはきびしくなるということになりませんか。
#22
○原田説明員 私が、輸出関係はきびしくならないように申し上げた印象をお与えしたとすれば、それは非常に誤解でございます。ポンドが切り下げられまして以来、非常に輸出に心配があって、輸出はとてもいかぬのではないかというくらい心配をしておる人が非常に多いように感じました。他方で、わが国の輸出競争力というものは、まだまだある程度残っておりますし、これからも伸ばしていかなければならないと考えております。したがいまして、いま先生から御指摘のございましたような、切り下げ及び公定歩合の引き上げ、各国の競争力の強化というようなわが国を取り巻いております輸出環境のきびしさの中で、決して悲観することなく、やはり伸ばしていかなければならぬであろうということを申し上げたつもりでございます。
#23
○堀小委員 いまのそれは、伸ばしていかなければならぬということは、それはわれわれの願いですね。しかし、願いがいかにあろうとも、客観情勢というものがあるわけですからね。私は、ここでの経済の議論というようなものは、やはりそういう主観的な願望の話をしても始まらないので、――それはあっていいけれども、われわれが議論しなければならないのは、客観的な情勢の中では、一体相対的にどうなるかという問題に焦点をしぼっておかなければいけないのじゃないか。ですから、いま品目別にずっとお話が出ましたけれども、確かに鉄のようなものは競争力がありますから――おそらく国内の需要が、これからまだまだどんどんことしのような伸びでふえるとは思いません。供給のほうはうんとふえてきますから、来年度になると、私は、鉄なんかは競争力がかなり回復をしてくるだろうと思います。輸出もことしのようなベースでなく、昨年ベースぐらいのところへ戻るだろう、こう思うのでありますけれども、しかし、アメリカ自身が、最近いろいろな関税障壁的な特別措置をとろうという努力を盛んにしておる情勢は、やはりドルに危機が近づけば近づくほど、そういう経常収支で何しろかぜがなければならないわけですから、日本と同じように、やはり輸入を減らして輸出をふやしたいということは、アメリカとしても当然起こることですからね。そういう場合に、これまでは何とかいけたからという情勢ではなくなるのではないかということを、私はちょっと指摘をしておきたいわけです。やはり鉄鋼についても、少し輸入を調整させる何かの手段を講ずることが、ドルの危機を前にして起き得るではないか。各種のそういう――この前KRの話をしたときに、非関税障壁の問題をずいぶんやりました。その後点検しておるけれども、あまりわれわれが期待したほどの非関税障壁の点検は起きてない。起きてないどころか、これは逆にいろいろな手を使って、そういう非関税障壁を高めてくることのほうが、いまのドルが第一線に出たという問題と不可分に出てくるのではないか。だから私は、あなたのお話のように、ポンドの切り下げそのものが、ストレートに直ちにショック的に影響するということは、私もあなたと同感です。しかし、それが起こしてくる余波が乗数効果のようになってはね返ってくる。このほうはなかなかたいへんなことが起こってくる情勢にある。だから、私はそういう意味では、通産省側と大蔵省側と、いまいろいろ議論があると思いますけれども、私は、もう少しきびしくあっていいのではないかという感じがしておるわけです。
 私、これまでも、ここで国債発行についても、幾ら多くても本年度は四千億くらいにすべきではないかという提案を一年ほど前にしておったわけだけれども、政府は一向に耳をかさずに、御承知のようにやって、そして減らせ減らせと言われて、いま四苦八苦している。一ぺん伸ばしたものはなかなか減らせない実情ですから、問題が起きているわけですけれども、大蔵省もでありますが、特に通産省は、今後の経済収支をどこまで黒で広げていくかということについては、願望だけではなくて、やはり具体的なこまかい措置が相当に今後検討されておらないと、そこへいって向こうが打つ手にどうにもならなかったというようなことではいけないのではないか。裏返して言えば、この間、通産省から、もしアメリカがいろいろなそういう手段によって日本の輸出を押えようというならば、日本にも報復手段があるなんということがちょっと新聞に出ましたけれども、私は日本の側が報復手段をとられても、もしアメリカがやってきた場合に、どっちが得してどっちが損をするかといったら、私は、被害を受けるのは日本のほうで、日本の報復は、アメリカはやあけっこうですということで押し切られるのが落ちではないかということを、この間のああいう一連の報道を見ながら感じたわけです。そういう意味で、通産省としては来年のアメリカに対する輸出の問題をどういう角度でいま考えておられるか、それをお聞かせいただきたい。
#24
○原田説明員 アメリカに対する輸出は、もちろんアメリカの景気がどうなるであろうかということに最も左右されるわけであります。アメリカのGNPがどのくらい上がり、消費需要その他の需要がどのくらい強くなるだろうかという見通しは、まだ十分に確定的なものがないようでございますが、ことし二・八%程度とOECDあたりが推定しております。ような低い経済成長が、来年には四−七%ぐらいまではいくのではなかろうかと、しばらく前までは見られていたようでございます。現に最近、アメリカの経済が若干回復をしてまいりました。先ほども申し上げましたように、特に消費あたりはまだ本格的に非常に強くなってきているという段階までには至っていないようでございますが、特に来年大統領選挙その他を控えまして、政府もいまの景気停滞を続けていたのでは困るということで、かなり努力をしている効果も少しずつ出てまいりまして、OECDあたりで予測をしておる程度の経済成長はいくのではなかろうかという予測が出ておりましたやさきに、今回の切り下げ及び公定歩合の引き上げという措置が行なわれたわけでございます。したがいまして、この点は先ほどから話が出ておりますように、全般的に経済の運営を慎重にせざるを得ない立場にございます。その意味で、国際的高金利時代と銘打たれるほど非常に強い引き締め時代に世界経済が全部入ってしまうということになるかどうかは、まだ若干注目を要するのではないかと思いますが、つい先般まで予想されていた当時よりは若干回復がおくれ、または下がるという感じが出てきているのではないかと思います。
 他方、日本の景気は、引き締めがなかなかきかないというお話もございますが、だんだんこれから財政、金融といったような両面から国際収支などを注目をして、いろいろな慎重な運営という方向に傾くというような傾向が見られておりますので、そういうことなどもございますと、どうしても輸出に重点を置かざるを得ないという立場が企業、産業それぞれの側で出てまいってくると存じます。現に八月、九月ぐらいからは、輸出もその前の停滞に比べますと伸びる気配が見え始めております。したがいまして、こういう両方の状況をあわせてどのくらいになるかということをきめなければならないわけでございますが、他方、ちょうど時を同じくしまして、輸入制限運動というのがちょっと火ぶたを切ったような形で出ております。これはケネディラウンドがやられております間は押えられていた保護主義が若干火をふいてきた。かたがた、アメリカの景気もよくなり輸入も若干ふえてくるというようなことで、むしろ政府が国の経済の運営のしかたとして輸入制限的な方向に踏み切ったというのではなくて、個々の産業、輸入によって被害を受けることをおそれている産業が、何とかちょっと保護をしてもらえないでしょうかという運動であろうかと思います。したがいまして、はなばなしく上がっておりますわりには、輸入制限運動が直ちに日本の輸出に対して影響を非常に強く及ぼすというふうに考えるわけにはいかないと思います。ムードとしまして阻害されるということが非常に大でございます。特に、これからの輸入の伸びぐあい、アメリカの景気の伸びぐあいによりましては、場合によってはシリアスな事態を生ずるおそれもなしとしないわけでございます。
 こういう状態を見まして、アメリカに対する輸出につきましても、いままでの気持ちではやはりいけない。この際、うんと何とか伸ばす手段を講ずる。一方では輸入制限運動などはもってのほかでございます。あくまで自由貿易主義を貫いていただかなければならない。また、経済の運営につきましても、世界の経済が一挙に引き締め、高金利という形で停滞の方向に向かうということで、ただ安定すればいいというのではないので、やはり経済交流を続けながら安定的発展の方向に向かうために、ドルその他の価値の維持から始めて全部努力をしていただかなければならぬ、こういう意味の国際協調を進展していただかなければならない、そういう総合的な環境の好転への努力をやっていただかなければならぬ。日本の経済もそういう方向で大いに努力をしなければならぬと思います。また、国内におきましても、なかなかガットその他の関係で直接的な輸出振興策というのはとれないような状態にございますが、可能な限りの努力を政府も企業にも要請をしなければいかぬということでございます。本日も貿易振興会議などをやって、業界に訴えたいと考えている次第でございます。
#25
○堀小委員 そこで、私は通産省に考えてもらいたいと思うことが一つありますのは、一つ端的に例をとると、鉄なら鉄ですね。鉄のようなものは輸入をしなければ輸出はできないわけです。これはどうしたって外貨の問題としてウエートも高い。そうすると、見ておりますと、企業別に、非常に輸出をずっと実績を積み上げておる企業と、ふだんはあまり輸出をやっていなくて、不況になってくると輸出をだっと出すところと、企業の中に二通りあるわけですね。そういうときに、ふだんやってないところはそれではどういう処置をとるかというと、個別的なユーザーに話をしているのではなくて、商社にどんと抱かせるわけです。そうすると、商社は向こうに持っていってダンピングをして売りさばこうとする、こういう問題が常に起きておるわけです。だから、私は、やはり通産省を一体として考えるならば、いろいろな設備調整の問題なりいろいろな問題が出てきたときに、あるいは生産をしぼるとかいろいろな問題が出てきたときに、輸出メリット制度といいますか、過去における輸出に多少リンクをしたかっこうでの生産を考えるとか、要する恒常的にやっているものと、そうではなくてどかりどかりとやるものとで、全然国内的な処置が同じだということになったのでは、裏返して言えば、まじめにユーザーを開拓して輸出に努力をしているものがばかをみることになるわけです。私は、そういう企業的な問題、たまたま鉄というような例を出したわけですが、ほかにもそういう問題があると思うのです。だから、やはり通産省として輸出の状態をずっと企業別にある程度調べてみて、コンスタントに輸出をふやしてきておるところについては何円かのそういういろいろな調整なりいろいろな通産省として処置ができるときにはメリットを与え、争うでなくて、そういう国内的な情勢によって輸出ドライブが出てきたときだけそれぱっといこうというようなもの、そういうものには多少デメリットがあるのだ。これはやはりみんなが着実にユーザーを開拓をして積み上げてあれば、多少西独から来ようがどこから来ようが、そういうところのメーカーの輸出は下がっていないのですよ。トータルとしては下がっているけれども、そういうのは下がっていないという問題を、やはりもう少し個別的な分析をした上で通産省全体としての指導――減産をやるときでも、設備投資をやるときでも、そういう全体の指導の中に反映をさせるようなことをしないと、要するにみそもくそも一緒にして処置をされているというのが現状ですから、その点をこの際強く要望しておきますので、通産省として真剣に取り上げてもらいたい。それでなければ、問題がはね返るのは、さっきのようにどかっと商社に抱かせるからダンピングになって、そして日本のやつはけしからぬ、とこういうことになるわけですね。そういうことにならないようにする事前の処置をふだんからやらなければだめなんじゃないかと思うのです。
 銀行局長にお伺いをいたします。さっきちょっと私が触れたように、引き締め必ずしも一−三月に皆さんが期待をしたようになるかどうかについては、私はかなり疑問を持ちます。それはやはり何だかんだといっても自己資金がかなり使えるところに来ておる。企画庁が出している経済白書を読んでも、もし設備投資が三五%伸びると仮定をしても、大体六四%ぐらいの自己資金というものでいけるのじゃないかということを経済白書の中で企画庁は出しているわけです。個別的にどうなるかは別としても、設備投資が上がってくれば当然自己資金のウエートは下がってくるわけですから、まあ四十一年におけるような情勢に比べると、これからの自己資金のウエートは下がるでしょうけれども、下がるとしてもかなり大きなそういう自己資金があるところに引き締めをやろうという問題ですから、私はそう簡単にその効果が出るというふうには思っていないわけです。実は当初から思っていなかったし、年内にはだめだと思っていました。一−三月になってようやく少し出てくるだろう、こういうふうに思いますけれども、一昨日も川又さんから、一律の引き締めというのは困るのだという話が確かにありました。それは確かに戦略産業ごとの問題として、個別的な指導が必要で、そのことは窓口でもやっていることだろうと思いますけれども、きょうここであなた方に公定歩合を上げるべきだとかなんだとか、そんなことは聞きません。これは政策問題だから大臣が出てきて言うべきことだから聞きませんけれども、方向として、要するに公定歩合をそのままにして、なおかつ引き締めを強化しようとすると、私はやはり必ずしもノーマルでない引き締めになってくると思いますから、プラスでない面が経済現象の中に出てくるのじゃないか。やはり引き締めをやるならオーソドックスにやるということでないといけないんじゃないか、こう私は思うのです。その点についてひとつ銀行局長……。
#26
○澄田説明員 現在までの引き締めの状況を先ほど私申し上げました。いままた御指摘もございました。確かに過去の引き締めを実施をしたときとは環境がいろいろな面で変わっている面が多いわけでございます。したがって、そういう意味から引き締めの浸透のスピードと申しますか、時間がかかるというような面も、確かに違っている点があろうかと思います。それに加えまして、先ほど申しましたように、本年は非常に散超が予想以上に大きく、米の代金を中心の散超が大きくなりまして、いままでのところはその散超期にちょうどぶつかっている。十二月からはこれが揚げ超に転ずるわけでございますが、そういうような時期に引き締めが行なわれた、これが一つさらにそれに加わった要因であろうと思いますが、そういうようなところでいままでとかなり様相が変わっておることは事実でございます。ただ、企業の手元の流動性が高まっている、設備投資に占める償却とかあるいは内部留保とかいうものの自己資金でまかなえる割合というものも高まってきている。そういう状況ではございますが、しかし他方、運転資金等の面においては貸し出し需要というものも非常に強くなり、金融機関に対する資金需要というものも大きくなってきている、こういうことでございます。それがこれから季節的に引き締められていく、引き締めが、いままで財政の散超によって相殺されていますような面がなくなりまして、揚げが強まるということになって、それがさらに強くあらわれてくるというようなことになった段階に来て、引き締めの影響が次第次第に強くなってくる。十二月にさらに強まり、さらに一―三月に強まってくる、こういうような情勢でもあるわけです。公定歩合の引き上げと貸し出し規制等の手段による引き締めと、両方でございますが、オーソドックスな金利機能によって引き締めが行なわれる、それに加えて、金融機関のポジションの指導とかあるいは貸し出し規制ワクで押えるというような、両方の措置が相伴って行なわれてくる。そういう状況でありますので、今後の浸透度合いというものを十分見ていかなければならない。もちろん、こういうポンドの今回の措置というような、状況の非常に大きな変化等もございますので、今後の情勢に応じ、よくそういう状況を見て、そうして公定歩合の引き上げの影響と、それからそのほかの金融調節の手段というものとの両方の状況というものをよく見守っていくべき段階である、かように考えております。
#27
○小峯小委員長 広沢賢一君。
#28
○広沢(賢)小委員 ただいまの堀委員の話を、さらに私はもっと強く要望したいことがあるのです。
 それは、どういうことかというと、まず第一番目に、通産関係、原田さんにお聞きしますが、先ほど堀委員が言われたとおり、今度の金融引き締めの問題の中で一つ重要な問題は、設備投資の抑制の問題、いまだかつて、金融引き締めをやっていながら少しも改善されてない。伸びはたいへんな伸びになっておるということになろうと思うのですが、新聞ではそれを大きく取り上げて、新聞面によっても明らかなのですが、通産省の態度は、ただいまの答弁でも、企業の輸出競争力を強化する、ただそれ一本やりなんですね。いままで公定歩合引き上げの当時から予想もしなかったようなこういうポンドの切り下げ、ドルの非常な危機という状況が出たわけですが、そういう国際的な要件とかいうものはあまり考慮を払わないで、設備投資を盛んにして輸出競争力を強くするということばかり言うし、大蔵省とそういう点で対立していると新聞には書いてありますが、そういう態度でいるから、財界は勢いに乗って、もう設備投資を押えるな押えるな、そればかり言っている。自己金融力が、先ほど申しましたとおり、むしろ強くなっているという状況のもとで、公定歩合引き上げもあまり考えないという点について、私は一昨日の当委員会で、日産自動車社長の川又さんに聞いたのです。そしたら川又さんは、自分のところの自動車産業の輸出競争力強化について、設備投資はどうしても必要だということ一点ばりですね。そういう態度をとっていると、これは悪循環だと思います。企業輸出競争力の強化一点ばり。それから国際的な状況については、先ほど堀委員の言ったとおり願望で、それで財界の設備投資の動きを抑制しなければ、公定歩合引き上げが今度またあるとしても、なかなか効果を発揮しないという点があると思います。一方、今度は公定歩合をさらに引き上げざるを得なくなる場合に、当然中小企業へのしわ寄せが一方的に来る。財界のほうはそれほどではないということになると、これは非常に国民生活にマイナスの面が生じるんじゃないか。こういう点で、まず第一番目に通産省のいま分析された態度ですが、それが少し甘いんじゃないかということは堀委員がずっとやられましたけれども、さらに企業輸出競争力強化の設備投資一本やりでないいろいろなやり方、それから現在の事態の認識ですね、もう一回お伺いしたいと思います。
#29
○原田説明員 私は、設備投資のほうを直接担当はいたしておりませんので、その点御了承いただきたいのでございますが、私ども通産省といたしましても、国際収支にどういう圧迫がかかっても、設備投資さえやって、国際競争力さえつければよろしい、こう申し上げているわけではないのでございます。つい昨日の新聞にも、本年度三七・八%も設備投資をふやすという話が出ております。私の理解いたします限りでは、これは産業がそういう希望を持っているという調査がまとまったわけでございまして、それがそういう高い率になっているというふうに承知をいたしております。これが今後どの程度に実現をするか、それからまた、どの程度の設備投資の規模ならば、その他の消費需要や財政支出等々の部門と相まって、日本の国際収支にさほど圧迫を与えないで経済成長をもたらし得るかというふうの作業は、これから省内及び各省とさしていただく段階に現在なっておりますので、まだ申し上げられないわけでございますが、設備投資に力を入れまして、国際競争力の増強を目ざしております基本的な理由は、たとえば英国あたり、現在までしばしば引き締めを行ない、輸入制限を実施し、あるいはまたポンド切り下げにしても、四十九年かにもやりましたにもかかわらず、依然として輸出が伸びず、経済が停滞をして、いわゆるじり貧とか動脈硬化とかという状態にまいっております。そういう状態におちいることを防止しますために、ただ設備をふやしさえすればいいということではございませんで、特に輸出競争力につながるような設備、それからまた、輸出の拡大にとって最も戦略的な産業、重化学工業を中心としました産業につきまして、国際競争力を強化するために、経営力、生産性の向上等々の強化と並んで、設備あるいは技術という面から競争力をふやさなければならないものにつきまして、質的な面から競争力をつけておくということが、長期的に、わが国が英国みたいな形にならないで、これからも経済成長を続けながら輸出を伸ばしていくことが可能な道ではないかというふうに考えておる次第でございます。もちろん、ただこう申し上げましても、それじゃ設備投資は野方図に国際収支に圧迫を加えてもいいという意味ではございませんので、国際収支という観点から、消費やその他の需要と並んで設備投資がどのくらいの規模にあるのが望ましいかということは、これからおそらく作業もし、そういう形で来年度の経済成長その他ともあわせて作業が行なわれる予定になっていようかと思います。輸出振興のために、国際競争力強化一点ばりではとても用が足りないということは、もう先生御指摘のとおりでございまして、私ども、設備投資だけではございませんで、技術ないし経営体制等々の強化あるいは産業基盤の確立、特に中小企業、中小輸出産業の強化といったようなものを全部ひっくるめまして、日本の企業と産業の体質を改善して、構造をも化学工業化していくということがやはり基本的な命題であろうかと思います。しかし、これだけでは、さしあたりきびしくなっております輸出環境には対処できないと存じますので、これをさらに補完し、総合的な対策として高めますために、海外市場の調査あるいは商取引のあっせん、見本市、あるいは販売促進といったような面に対する努力でございますとか、それから輸出金融、税制上の措置及び輸出保険、あるいは検査、デザインによる品質の向上といったような面をあわせまして、総合的な輸出振興策をいま一段強化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#30
○広沢(賢)小委員 ただいまイギリスの例があがりました。イギリスは、確かに長年にわたって技術革新その他のことを怠って老英帝国になったということがあるのです。だから、金融上その他いろいろの手段をとっても根本的に立ち直らなかった。ここで重要なことは、それでは日本の場合は、技術革新をやったのはものまねがうまかったということがよくいわれておるが、今後、資本自由化に対処して自主的な技術開発をやっていかなければいかぬ、こういうことは重要だと思うのです。そういうために政策的ないろいろな措置が必要だとは思いますが、いままでの日本の安易な伸び方及び今後の国際環境、並びに技術革新のものまねがもう出尽くしたという状況では、これはたいへんだと思いますから、そうすると、ただいま仰せになったいろいろの措置のほかに、通産省としては、たとえば自主的な技術開発はどういうふうに取り組むかという根本的な問題に取り組まないと、いままでの貿易振興の形ではうまくいかないんじゃないか。私が先ほど、いろいろほかの要件と言ったのはそのことなんですが、そういう点に配慮するということであれば、たとえばさっき堀委員がおっしゃった輸出リンク制ですね、そういう問題についてもいろいろと考慮しなければならぬと思うのです。
 そこで、もう一つ、今度は澄田さんにお伺いしますが、先ほどあげている散超の原因が、お米ばかりに集中しているのですね。お米ばかりというような印象を受けたのですが、確かにそれは去年より原因は大きいと思いますが、しかし、一番の原因は、これは前からいろいろここで議論されているのですが、やはり財界の設備投資がなかなかやまないということですね。先ほど堀委員が言ったとおり、もう一−三月の資金の手当てもして、銀行から金を借りてしまう。そういう財界の動きに対して、新聞では、大蔵省は非常に警告をしている、日銀も心配しておる、公定歩合をさらに引き上げなければならぬ状態になるかもわからないということを言っておりますが、やはり財界の設備投資に対して一般的な公定歩合の引き上げだけで、それ以外に策はないのかどうか、お聞きしたいと思います。
#31
○澄田説明員 私が、先ほどの御説明で食管の払いのことを申し上げましたのは、財政が払い超である――昨年も、もちろん例年第三・四半期は払い超の季節でございますが、昨年以上に払い超である。その昨年以上に大幅に払い超になった原因は、食管が一番大きな原因である、そういう意味で食管をあげましたので、引き締め以後の金融面への引き締めの波及という点が、米の支払いによって波及が少ない、こういうことでつないで申し上げたつもりではございません。財政の散超の一番大きな理由は米である、こういうことで、やはり散超などもあって、全体としてはいままでのところ波及の度合いが従来の場合に比べておくれている、こう申し上げたわけでございます。
 設備投資につきましては、これは金融面で公定歩合の引き上げ以外にも、現在御承知のように、日本銀行が各取引先の金融機関の資金ポジションを指導いたしまして、そうして貸し出し増加のワクを押える、そういうふうな形で資金の調節をいたしております。これは実際に金融機関の貸し出しの量を押えていくということでございますので、当然に企業の設備投資に影響するわけでございます。それ以外にも、一般にこれからの内外の経済情勢というものによって全体の規模を抑制型に持っていくというようなことであれば、それは当然に企業側の態度に影響を与える、今後の設備投資に対する態度を左右する、こういう心理的な効果というものも大きいわけでございます。金融面で措置をする、あるいは財政、金融面で設備投資に対して影響を与えるというような道は、以上のような面から行なわれていく、かように存じております。
#32
○広沢(賢)小委員 けさの新聞でも出ているのですが、財政硬直化によってどうしても生活保護費にしわ併せするのだ、引き上げ率を押えるという形で、次々といろいろ発表されますね。発表というか、これは「大蔵省が検討」とは書いてありますが、そうすると、今後ポンド切り下げによるこういう異常な国際環境のもとでは、先ほど堀小委員が言ったとおりなかなか楽観を許さないで、再度の公定歩合引き上げ、その他財政は抑制型にするということになって、中小企業とか生活保護費とかそういうところにばかりしわ寄せが来るという状況が考えられるのです。そうすると、それに対して財界のほうは、お互いに個別的に、自分の設備投資が三、四年かかるのだからこれは必要だ必要だという形で、政府の抑制も日銀のあれも聞かないで進めていくという状況ですから、いま澄田さんがおっしゃったその指貫を、もっとそっちのほうに規制するということが大事ではないか。ことに中小企業の場合、私がいつも申し上げているとおりで、いままでは中小企業にもまだ資金の余裕といいますか緊迫感がなかったけれども、もう一ぺん引き締めが強化されれば、今度はより以上たいへんな限度を越えた中小企業についての資金難が出てくると思うのです。そうすると、いままで国債発行がようやく中小企業に資金が潤うというマネーフローの変化によっていい状態が生まれたのが、逆戻りしてくるのではないかという点が心配されます。その点をよく配慮していただきたいと思うのです。
 もう一つ、これは国際金融局長さんにお伺いしますが、先ほど堀委員が言ったとおり、アメリカは大体百三十億ドルの金を持っておりますが、その百三十億ドルについて、各新聞は今度のポンドの切り下げによるドルの危機について異常な緊迫感といいますか危機感を政府以上に持っていると思うのです。ここに書かれているのでは「百三十億ドルの金があるといっても、外国政府またはその中央銀行からドルの金交換を要求された時、これに応じうるのは約三十億ドルしかないことになる。」そこで、「外国政府とその中央銀行の保有するドル残高は約百四十億ドルに達する。」から、したがって、ドゴールの動きその他ヨーロッパの動きいかんですが、どんどん要求された場合には金交換の停止になるのではないか。そうなれば、これはドルのたいへんな平価切り下げになるのではないかというようなことをいっております。これは一つの予測だけれども、さっきの御答弁にもあったとおり、非常に予断を許さないと思う。そうすると、そういう事態に対してはどういうように対処するか、どういうような準備があるのか、それをお聞きしたいと思います。
#33
○柏木説明員 アメリカの金準備は約百三十億ドルといわれております。そのうち外国に売り得る分が三十億ドルだ、これはアメリカの法律によりまして、通貨の裏づけとしてたしか発行額の二五%を金で持たなければならぬという規定があるわけでございまして、それによりますと、いま百億ドルくらいは通貨準備として保有しなければならない、外国に売り得るのは三十億ドルということになりますが、アメリカの国内におきましても、こういうふうに通貨に対して通貨準備として金を持たなければならぬというのはいささか古いというか、こういう制度を持っております国はアメリカ以外に非常に少ないわけであります。一挙に管理通貨制までいかないにしても、金との結びつきはそれほどする必要がないのではないかという議論がかねがねございまして、アメリカでも通貨に対する金の裏づけの割合は、たしか三、四年前か二、三年前に引き下げをやっておりまして、したがって、外国政府に売り得る金が三十億ドルしかないということは、いわば現行法というか現在の体制でそういうことであるということであって、これは必要があればまた変えられるというものかと存じます。また、百四十億ドルのドル債務につきましても、これは現在の金価値の維持という問題につきましては、累次の十カ国蔵相会議、あるいはIMFの総会等におきまして、各国ともその堅持を要望しておるくらいでありまして、百四十億ドルが全部金に交換を求められるということはちょっと予想できない状態かと思います。したがいまして、いまここで外国に売り得る金が三十億ドルしかない、外国政府の持っておる債権が百四十億ドルある。そこで、金の取りつけというかそういうような状態が起きるということは、とても予想できない状態なんではないか、さように考えております。
#34
○広沢(賢)小委員 そのとおり、全部急にということはないと思いますが、しかしながら、これは国際情勢の認識ですが、ドゴールの異常な決意はヤルタ体制に対する批判から始まるし、アメリカの資本、経済力の欧州支配に対する徹底した抵抗ということを決意している。それが英国のEEC加盟を阻止した一番大きな理由だと思うのですが、そういう異常な決意と、それからこの公定歩合の引き上げが各国にずっと加速度的に波及するとか、そういう動きの中から、先ほどの金の問題が出てきたと思うのです。したがって、全部急に交換するとは考えられないにしても、ここ数日、それからこの一ヵ月ぐらいの動きの中でどういう動きが出るかということは、やはり前と違った安定した貿易額がずっと伸びていくんだ、パーセンテージでよく通産省の方がやっているような、そういう国際環境ではなくなった、ドルとポンドの危機の累積が一挙にぱっとあらわれ始めた。こういう感じがするんですが、そういう国際情勢の認識についてはいかがですか。
#35
○柏木説明員 ポンドの切り下げ、それからアメリカ等における公定歩合の引き上げをきっかけとしまして、国際金融関係が一段とむずかしくなった、これはもうそのとおりだと思います。したがいまして、国際環境はもう非常に注意を要する段階であるかと存じております。
#36
○広沢(賢)小委員 最後に、これは質問というか要望ですが、いままでの国際環境と違ったような情勢が来ているし、日本の高度成長も安定成長に入り、どうしてもいままでのいい条件というのが、技術革新の問題にしても何にしても、だんだんとなくなってくる。成長率は高度成長と違って安定成長で六%と、この間桜田さんが言っていましたが、そういうような予想があるときに、やはりいままでの考え方、つまり安易に企業輸出力を強化するために、財政上、それから金融上、税制上、そういう優遇措置をやっていれば、野放しにしていればいいんだという考え方は、もう限度が来ているんじゃないかと私は思います。そういうふうに野放しにしているだけでは、すべてのしわ寄せが中小企業、生活保護者、そういうところにみんなかかってくる。したがって、そういう点で今後国際経済に対処するんで、大蔵省、通産省、その他貿易振興の会議があるとさっき申されましたが、そういうときに、日本経済と国際経済の変わり目に来たあり方について、根本的に十分御討論していただきたいと思うのです。そうじゃないと、国際情勢の変化によって、企業競争力強化だけで、もう全然はかり知れない新しいネックが一ぱい出てくると思うのです。今後その情勢はきびしくなると思いますから、そういう点について十分配慮していただきたい。
 終わります。
#37
○小峯小委員長 永井勝次郎君。
#38
○永井小委員 簡単にお伺いしたいと思います。
 第一は、原田さんに、貿易の国際競争が激化するだろうというお話でしたが、その激化の具体的な内容についてお伺いをいたしたいと思います。商品別あるいは国別、あるいはそれらの商品の競争相手などによっていろいろそれは違うだろうと思いますが、ケネディラウンドがすなおに発展していくような国際環境ではないと思う。輸入制限という問題、あるいは関税の逆な引き上げという問題、あるいは価格競争という形であらわれてくる競争、あるいは貸し付け資金の長期化という形における競争、それぞれいろいろな地域、商品別で違ってくると思うのですが、今後起こり得るであろうと予想されるそれらの競争の問題を、ひとつ商品別に、主要なものでいいのですが、方面別、ブロック別に具体的に提示していただきたい。そういうことは市場調査ができておれば、いろいろな場合に対応できる対策がすぐ確立できると思いますが、調査が間違っておりますと、じぐざぐ非常に困難な事態に当面すると思うので、これらについてお伺いいたしたい。
 それから、一つは柏木局長にお伺いいたします。先ほど広沢君のお尋ねに対して、金の価格維持というようなことが、これは不動の国際的の大勢であるというふうにお話があったのですが、私は、ブレトン・ウッズ協定が結ばれたときのような情勢ではありませんし、その後におけるいろいろな情勢から見まして、金の価格の問題は別途な角度から考え直される時期に当面しつつあるのではないか、そういう一つの予測から金の買いというようなことが強まっているのではないか、こう思うのですが、通貨と金の関係、それから金の価格維持の関係についての所見をお伺いしたいと思う。
 それから金の生産について、それを維持するために各国における金の生産について補助政策その他を禁止していたと思うのですが、今後は金の生産について各国いろいろ生産の刺激を受けてくるのではないかと思うのですが、そういう点についての見通しはどうでありますか。
 それから、資本収支における短期資金の引き揚げが日本に対して行なわれるのではないかという心配があるのですが、その心配についての所見を伺いたい。
 以上です。
#39
○小峯小委員長 いまの質問の中に資料にわたるようなものがかなりありやせぬかと思うので、御答弁で十分でないものは、資料としてひとつ御提出願うまうにお考えいただけばどうかと思います。
#40
○原田説明員 国際環境は非常に流動的になってまいりました。特に輸出環境がきびしさを増しつつあることは、先ほどお話しのございましたとおりだと思います。非常に大きな流れといたしまして、過去十数年間、自由貿易主義という旗じるしのもとで、当初一九六〇年ぐらいまで輸入の自由化という形で進められてまいりました自由化が、その後ケネディラウンドに進みまして、関税の一括引き下げと非関税、貿易障害の除去という形にまで発展をいたし、それがやっと、当初の目的からは後退いたしましたが、ある程度妥結を見たという状態でございます。そこまでは世界の買切は自由化の方向に一直線に進むような観もないではなかったわけでございますが、並行いたしまして、先ほどから問題の出ております保護主義ないし地域主義の動きが米国やその他でございます。またヨーロッパでは、対日差別制限その他の撤廃が進んではまいりましたものの、まだ若干残っております。そこへ最近、南北問題という見地から、発展途上国が七十七カ国共同声明を発表するということ、あるいはまた、国連貿易開発会議等を通じまして強力に先進国と発展途上国との格差是正を訴えて、援助、一次産品の購入、製品、半製品の貿易の増大というようなことを要求してまいっております。したがいまして、わが国を取り巻きます貿易の潮流は、いま先生御指摘のとおり、一方で自由貿易を進めたいという願望がありながら、他方保護主義、地域主義の動きがかなり活発になる気配がある。そこへもってきて、発展途上国からは特恵あるいは一次産品の購入といったような問題が突きつけられておる、そういう状況にございます。かたがた共産圏関係も、このところ、過去数年間に見られましたようなかなり顕著な増大のテンポというものは若干停滞をしているような感じがあるように思います。
 したがいまして、私どもとしましては、それが日本の貿易に影響を与えます場合、まず一番は、やはり最も輸出に向くような重化学工業品というものに重点を指向して輸出を伸ばしていかなければならないのではないかと思います。ケネディラウンドにおきましても、どの国も大体自分の国で斜陽になっているような、主として雑貨、軽工業品、繊維といったようなものについては、関税引き下げの例外をとっていることが多うございます。また、こういう軽工業品その他こそが、発展途上国が日本その他の先進国に対してより門戸を開放して買えということを迫っており、そのためには特恵までも供与しろと言っている商品でございます。したがいまして、今後は特にアメリカ市場、カナダ市場、あるいはヨーロッパの市場においては、そういう軽工業品関係ないし繊維関係につきましては、発展途上国からの競争が一そう激化をするという前提のもとに、商品の高度化、質的な転換、あるいは輸出入秩序の確立というような形で安定的な発展をはかるということに進まねばならないのではないかと思います。特に、アメリカの輸入制限運動につきましては、輸入制限運動の対象がそういう軽工業品に向けられているものが多うございますので、経済外交の実を発揮いたしまして、かかる制限の防止につとめたいと考えております。
 また、発展途上国に対しましても、最近単に延べ払いだけというような形だけでもなかなか進みがたいくらいの状態になってきております。したがいまして、発展途上国の要請にこたえて経済協力を一そう拡充をして、輸出と経済協力が両方補完をしながら日本の輸出を伸ばしつつ相手国の利益にもなるという形での発展をはかっていかざるを得ないと思います。このためには、特に発展途上国が望んでおりますようなプラントや重化学工業資材といったようなものの輸出に重点を注いでまいらなければならないのではないかと思います。
 豪州その他太平洋地域の国につきましては、またわが国とかなり経済的に補完的な関係にもございますし、従来英国の勢力下にあった国がかなり目をアメリカ、日本、その他の太平洋先進国地域に向けてまいっておりますので、この際、そういう国との提携関係を強めまして、日本の輸出の売り込みというものに努力をしていかなければならないのではないかと思います。
 たいへん簡単でございますが、以上、ケネディラウンド、自由化、差別、あるいは南北問題からきます特恵といったようなものを含めまして、輸出の構造を重化学工業のほうに向けつつ、また軽工業品等につきましても、品質の高度化というようなことを通じまして、これからの輸出競争にうちかっていくように努力をしたい、かように考えております。
#41
○柏木説明員 最初にお尋ねのありました金価格の維持の点でございますが、これは御指摘のとおり、ブレトン・ウッズ協定の、いわば現行の国際金融体制の基本をなす点でございまして、この点につきましては、各国とも、金価格は堅持すべきであるということに意見一致いたしております。少なくも非公式にはフランスも金価格の堅持には賛成いたしておりますが、ロンドンの金市場で金の買いが非常に出た、あるいはその他の金市場における動きが最近非常に活発になっているということがありますことは、確かに、金価格が改定されるのじゃないか、引き上げられることになるのじゃないかという一つの観測というか、そういうところから、いろいろのスペキュレーションが行なわれておることは事実でございますが、各国政府、特にアメリカや西欧主要国は、金価格の安定ということが国際金融体制の堅持のためにきわめて必要であるということから、たしかいまから五、六年前でありますが、金プールというものをつくりまして、ロンドンにおける金価格の安定をみなで協調しながらやっていこうという体制ができておりまして、したがって、こういう協調を通じて金価格というものが今後も安定していくものではないか、さように考えております。
 それから、金の生産につきまして、補助金はどうなっているかというお尋ねにつきましては、これはIMFの協定によりまして、各国政府とも金を一オンス三十五ドルの価格より高く買ってはならない、補助金については、いろいろ鉱業関係の補助金が必要がであろうけれども、それについては、たしかIMFの了解を求めてやるようにということでございまして、いろいろの国で各種の奨励措置が行なわれておるわけでございます。全面禁止ではなくて、IMFの承認する範囲内での助成というのは認められて、現に行なわれておるわけでございます。
 それから、最後のお尋ねの、日本の資本収支は今回のポンドの切り下げあるいは海外金利の高騰に伴って影響を受けるのではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては私どもも実は非常に心配している点でございまして、確かに金利の高騰が日本の資本収支に影響をもたらすかもしれない。まだ、公定歩合の上がっているのに伴いまして、海外の市場金利がそのまま上がっているわけではございません。アメリカの公定歩合が〇・五%上がったのに対して、たとえば銀行引き受け手形の金利はその二分の一程度、〇・二五%ぐらい上がっているとか、必ずしもスライドしておりません。ユーロダラーの金利は大体〇・五%上がっております。いろいろまだ海外の情勢がはっきりいたしておりませんけれども、私どもとしても、これから十分気をつけなければならぬ。まあ〇・二五%上がるとか、〇・五%上がって、直ちに日本の資本収支にどう響くかという点でありますが、これは先ほど銀行局長から御説明がありましたように、昨年のときと違って、日本は金融の引き締めをやっておる段階であります。したがって、海外の金利高がすぐ日本の短資の流出になるかどうか予断を許しませんけれども、私どもとしても、これから十分に気をつけてまいりたいと存じております。
#42
○小峯小委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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