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1967/10/06 第56回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第056回国会 災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会 第3号
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1967/10/06 第56回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第056回国会 災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会 第3号

#1
第056回国会 災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会 第3号
昭和四十二年十月六日(金曜日)
   午前十時五十五分開議
 出席小委員
   小委員長 天野 光晴君
      池田 清志君    井手 以誠君
      永井勝次郎君    小津 貞孝君
      小川新一郎君
 小委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      井上 幸夫君
        厚生省社会局施
        設課長     飯原 久弥君
        農林省農林経済
        局金融課長   松本 作衛君
        農林省農地局管
        理部長     中野 和仁君
        農林省農地局建
        設部災害復旧課
        長       松井 芳明君
        林野庁指導部長 木村 晴吉君
        建設省計画局宅
        地部宅地開発課
        長       林  光夫君
        建設省河川局水
        政課長     上妻 尚志君
        建設省河川局防
        災課長     坂井 秀正君
        建設省住宅局住
        宅総務課長   角田 正経君
        自治省財政局財
        政課長     首藤  堯君
        消防庁次長   川合  武君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 災害対策の基本問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○天野小委員長 これより小委員会を開会いたします。
 災害対策の基本問題に関する件について調査を進めます。
 本小委員会は、八月一日より小委員会を開会すること二回、小委員会を開かないで懇談すること三回にわたり、災害対策の基本問題に関して各党から試案を持ち寄り、法改正を要するもの、あるいは予算措置、行政措置によるもの等、それぞれの問題について小委員相互間あるいは政府関係担当官との間で鋭意意見の交換を行なうとともに、小委員会としての草案を得るため、各党一名ずつ起草小委員を選出し、一応の素案の作成につとめてまいったのであります。
 本日は、小委員会としての試案を得るため、起草小委員のもとでまとめられました案について協議を進めてまいりたいと存じます。
 起草小委員から報告を聴取いたします。井出小委員。
#3
○井手小委員 ただいま小委員長から報告がありました災害対策についての各委員の意見、要望を取りまとめるための起草小委員会を、小委員長のほか各党一名ずつでつくりまして、前後三回にわたって、立法措置をとるもの、あるいは行政措置をとるものについての災害対策要綱をまとめてまいりました。私からその結果を御報告申し上げたいと存じます。
 まず、内容に入るに先立ちまして、起草小委員会におきましては、激甚な被害の実情にかんがみまして、強い御意見もございました。また、広範な要望もございましたが、政府の意見なりあるいは従来のいきさつを考えまして、どの役所でも実現できる最低の要望をまとめてみたわけであります。
 次に、内容についての説明を申し上げます。
   災害対策要綱案(立法措置をとるもの)
 第一 公共土木施設及び農林水産業施設に係る災害復旧事業の範囲の拡大等
 1 災害によって必要を生じた事業で次に掲げるものは、災害復旧事業とみなすこと。
  一 災害にかかった施設で原形に復旧したものが再度災害にかかった場合において当該再度災害にかかった箇所につき必要な改良工事をすることを目的とするもの
  二 災害にかかった施設を原形に復旧するのみでは当該施設の再度災害の防止に十分な効果が期待できない場合において当該災害にかかった箇所につき必要な改良工事をすることを目的とするもの
  三 その他災害にかかった施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代わるべき必要な施設をすることを目的とするもの
 2 災害関連事業に係る起債については、災害復旧事業と同様に扱うこと。
 以上の公共土木施設及び農林水産業施設に関する改正について説明を若干加えます。
 大きな「1」のものは改良復旧でございまして、これに対しては各災害地から改良復旧の切実な要望がございました。各委員からもその御要望、御意見がございました。ただ、しかし改良復旧を是といたしましても、これを無限に拡大することの当否もありますし、また、財政上の事情もございますので、従来ありました「不適当な場合」というものを具体的に列挙して、さらに、救い得ないものを「不適当な場合」ということで、「三」にこれを補足するということではどうであろうか。従来本省間では、大蔵省あるいは建設、農林、各省間でかなりの調整が行なわれておりましたが、現地の災害査定において見ます場合に、地区によって査定に非常な相違があります。建設省、農林省がこれを改良しようという場合でも、大蔵省はこれを認めない事例が非常に多いのでありますから、なるべく列挙したほうがよかろうという全員の意見でございました。これは御承知の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第二条第三項及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律第二条第七項の改正を行なえば足りると存じます。
 次に、災害関連事業についても災害復旧同様に扱うべきだという意見が圧倒的に強うございました。それは激甚災害を受けた市町村の財政が非常に苦しうございますから、普通の公共土木事業あるいは農地、農業用施設の事業は、地元の負担がたえ得ないということでございまして、これに対する委員の意見も多くございましたが、関連事業をすべて災害復旧事業と同様に扱うことについては、当局においてもまた意見がありますし、同様にすることもまた問題がございますので、地元負担に関する起債については、災害復旧と同様に扱うということにしてはどうだろうかということに意見が一致したわけであります。これに対する改正の措置は、激甚災害法第二十四条の改正を行なえば足りると存じます。
 次に、
 第二 緊急治山対策等
 1 次に掲げる事業を激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(以下「激甚災法」という。)第三条の財政援助対象事業とすること。
  一 激甚災害に伴い発生した土砂の流出又は崩壊により生ずる著しい被害を防止するため緊急に施行することを必要とする砂防設備に関する事業又は森林法に規定する保安施設事業で政令で定めるもの
  二 激甚災害に伴い地すべり現象が活発となり、又はぼた山の崩壊が生じたため緊急に施行することを必要とする地すべり防止工事又はぼた山崩壊防止工事に関する事業で政令で定めるもの
 2 地すべり防止区域内の家屋等の移転等について次の措置を講ずること。
  一 都道府県知事は、地すべり防止区域内の家屋等が地すべりによる被害を受けるおそれがあると認められるときは、関係市町村長の意見をきいて、その所有者に対し、その家屋等を移転し、又は除却するよう勧告することができるものとすること。
  二 国は、都道府県が地すべり等防止法第二十四条の関連事業計画又は前記一の勧告に基づき家屋等を移転し、又は除却する者に対しその移転又は除却に要する費用につき補助する場合においては、当該都道府県に対しその補助に要する費用の一部を補助することができるものとすること。
  三 都道府県は、地すべり等防止法第二十四条の関連事業計画又は前記一の勧告に基づき家屋等を移転し、又は除却する者に対しその移転等に必要な資金を、二百万円を限度として、無利子で貸し付けることができるものとすること。
  四 国は、都道府県に対し、前記三の貸付けの事業に必要な資金に充てるため補助金を交付することができるものとすること。
 若干説明を加えたいと存じます。
 従来、災害対策については、公共土木施設あるいは農林水産業施設などについて一応災害復旧法または激甚災法によって軌道が敷かれておるわけであります。ところが今回の七月災害、続く羽越災害においては、急傾斜地帯の災害、山潮、がけくずれ等によってその下流にある河川、農地、家屋等を損壊したのが著しい特色でございまして、しかも、その災害に対する措置というのが実は盲点になっておりました。公共土木については公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、農地等については農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助法の規定がございますが、いわゆる急傾斜の林地、砂防地に砂防堰堤をつくる等の対策が、実は災害復旧法としては対象にされていないのであります。ただ、緊急治山事業――急傾斜地帯が災害を受けましたときには、緊急治山あるいは緊急砂防として、その緊急治山の事業の予算、計画の中あるいは緊急砂防法による計画、予算の中から、そのごく一部分を、予備費を設け、その予備費をもって第一年度だけ災害対策事業のような施設をやっておりました。ところが、その第一年度の事業においてすら、林野庁においては、災害復旧に要する総事業費のわずか八%程度しか計上していないのであります。しかも、災害復旧事業に要する用地の補償などについても、ほとんどその用意がないのであります。これらを考えますと、急傾斜地帯の被害に対する復旧については災害復旧事業からはずれておるといっても過言ではないのであります。したがいまして、今回の災害の特色にかんがみまして、緊急治山対策については激甚災害の取り扱いをさせようではないかというのが趣旨であります。したがいまして、その趣旨を生かすために、激甚災法の第三条財政援助対象卒業に、ここに掲げております「一」と「二」を加えようというのであります。
 すなわち、土砂の流出、崩壊などによって生じた被害を防止するため砂防堰堤などを施行する場合には、一般の公共事業または農地等の復旧と同じような取り扱いをさせようというのが第一の趣旨であります。
 次に、第二の地すべり防止の改正について御説明を加えたいと思います。
 地すべり等防止法については、その制定当時かなりの意見がございました。しかし、今回災害を受けました新潟県、山形県、佐賀県、長崎県は、御承知のとおり地すべり地帯でございまして、その地すべり地帯における災害が非常に激甚でございました。しかも、地すべり防止区域として指定されたもの以外の地域で多くの被害が発生したのでありますし、また、地すべりのおそれがあるために、家屋等の移転の勧告を都道府県の知事がいたしましたが、現実には、移転のために多くの費用を要しますので、なかなか移転がはかどらないのであります。それは、移転費用がないから、適当な移転先が見つからないから、それに父祖伝来の家屋、宅地から離れたくないという感情もございました。しかし、人命尊重の意味から申しましても、地すべりのおそれある危険な地域については、どうしても家屋等の移転を勧告しなくてはなりません。ところが、この地すべり等防止法によりますと、家屋の移転を勧奨するだけであって、公式に家屋等を移転する勧告は行なうことができないようになっております。それは、勧告を行なったために国が責任を生ずるからであります。これが制定当時の問題の焦点でございました。
 しかし、現地の状態から見ますると、佐賀県、長崎県においては、現実において緊急に移転しなくてはならない家屋が一千戸程度と私は承っておりますが、それが現地で進捗していないのは、家屋移転に対する勧告の規定がないこと、あるいは奨励、勧奨されてもその費用に行き詰まっておることなどを考えますると、ただいま読み上げましたように地すべり等防止法を改正して、都道府県知事がその所有者に対してその家屋等の移転または除却を勧告する規定を設けることが必要でございます。
 また、それに基づいて移転または除却をした者に対しては、その一部を補助することが必要であると存じております。現実に、新潟県、佐賀県、長崎県においては、県及び市町村は二十万円ないし三十万円の移転費用を補助しておるのでございますから、国も大体同額以上の補助金を出すことが国土保全を使命とする国の立場から必要であると考えます。
 そしてまた、家屋移転を行ないます者には、かなりの費用が必要でございますから、佐賀県においては、先般の県会において二百万円を限度として資金を融通する規定も設けました。それらも参考にいたしまして、この第三の項目に「二百万円を限度として、無利子で貸し付けることができるものとする」、これらの措置に対して、国が補助金を交付することができること、こういう規定を設けたいと考えておるのであります。
 要するに、この地すべり防止については、国土保全が十分でなかったために移転、除却をしなくてはならぬ事態におちいっておることが大きな原因でございますから、国もその責任の一半を持って、移転、除却の費用の一部と移転に必要な資金の貸し付けについて、その利子を補給することが必要である、そのための改正を行ないたいというのがこの第二の改正の要点であります。
 次に、第三は被災者援護対策でございます。
 従来、災害が起きますと、民家が流失、全壊する、あるいは半壊をする、死亡者が出る、あるいは家財を一切失ってしまう、こういう悲惨な事態に遭遇するわけであります。もちろん、これらは個人災害でございますから、直接国の責任はないという従来の方針でございましたが、しかし新潟県の先般の災害においては、仮締め切りの堤防が決壊したためにまた人家が流失したという悲惨な事態も起こりました。もっと国が治山治水に力を入れておったならば、個人災害は起こらずして済んだという事例もかなりあるわけであります。すなわち、個人災害が起こったときに国に責任がないというのは少し冷酷過ぎるのでありますから、もちろん財政の事情もございますけれども、こういう悲惨な個人災害を受けた者に対して、国が若干の援護措置をとってやろうとすることは、民心安定のため私は緊急な措置であろうと存じております。
 この対策については、従来災害がありますたびごとに、与野党を問わず、全委員から、個人災害の援護をやってはどうかという意見が出てまいりましたが、残念ながら今日まで実現を見るに至りませんでしたが、先般の七月災害、羽越災害においては個人災害が非常にひどうございました。この際十分な対策は無理であるかもしれぬけれども、一応国が個人災害に対して若干の援護措置をとろうということを立法することはきわめて適切ではなかろうかということに起草小委員の全員の意見が一致いたしました。委員の中には、もっと強い、金額も高いものをという要望もございましたが、最小限度のものにとどめまして、次のように措置を考えたのであります。
 第三 被災者援護対策
   被災者の援護に関し次の措置を講ずること。
  一 適用すべき災害の範囲は、災害救助法の発動の範囲とする。
  二 市町村は、災害により、住居及び家財の全部を滅失した世帯に対し五万円以内の、住居又は家財につき政令で定める程度(半壊程度)の被害を受けた世帯に対し二万円以内の見舞金を支給することができるものとすること。
  三 市町村は、災害により死亡した者の遺族に対し、その死亡した者一人につき三万円以内の葬祭料を支給することができるものとすること。
  四 前記二及び三の支給に要した経費については、市町村、都道府県及び国がそれぞれその三分の一を負担するものとすること。
  五 市町村は、災害により政令で定める程度の被害(床上浸水程度)を受けた世帯の世帯主に対し、二十万円を限度として援護資金を貸し付けることができるものとし、その償還期間は、二年間の据置期間経過後十年以内とし、無利子、無担保とすること。
  六 前記五の援護資金の貸し付けの財源に充てるために市町村が起こす地方債については、国が、その全額を引き受け、その利子補給を行なうものとすること。
  七 前記五の援護資金を貸し付けたことにより市町村が損失を受けたときは、国は、その損失に相当する額の損失補償金を市町村に交付するものとすること。
 各項目について若干説明を加えたいと思います。
 「適用すべき災害の範囲は、災害救助法の発動の範囲とする。」このほうが一番実情に適するのではなかろうかということに意見が一致しました。
 次には、住居及び家財を全部失った者と半分失った者、それに対して見舞い金を五万円以内または二万円以内支給しようというのであります。
 三番目は、死んだ方に葬祭料を三万円以内支給しようというものでありまして、この二つについては国と都道府県、市町村がそれぞれ三分の一を分担しようというのであります。
 その次に、いわゆる住居及び家財を全部なくした者、商売道具をなくした者、商品をなくした者などについて、従来は経営用のものについては融資の道がございましたけれども、何もない、その日の生活に困っておる者に対するいわゆる立ち上がりの援護資金というものがございませんでした。それをあまり多くすることは無理がありますので、二十万円を限度として無利子、無担保で貸し付ける制度を設けてはどうであろう。この貸し付けに対しては、国がその地方債の全額を引き受け、その利子補給を行なう、そして損失を受けたときには国が見てやろうというのがその骨子でございます。
 繰り返して申し上げますが、これは従来の立法体系と異なったものでありますが、財政の都合あるいはいろいろな事情から、国土保全に十分な対策が講じられていないために、災害を受けた個人の人々に対して、最小の見舞い金なり葬祭料なり立ち上がり資金を支給しよう、そういうあたたかい国の方針を国民に約束することが今日罹災者に対する最大の任務ではなかろうか、こういう趣旨でございまして、全員一致ぜひともこれを実現したいという熱意でありますことを、この機会に申し添えておきたいと存じます。
 なお、この立法措置の中に医療給付の点も入れる意見がございましたが、厚生省において、災害における医療給付期間を延長しようという意見もございましたので、その分は行政措置の実現に期待することにいたしました。
 次は、
 第四 被災農林漁業者等に対する融資条件の緩和
 1 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(以下「天災融資法」という。)及び激甚災法による貸付限度額及び貸付条件について次のような改善措置を講ずること。
  一 貸付限度額の引上げ全部読み上げますことは省略いたしますが、天災融資法については、一般が現行二十万円、それを五割引き上げて三十万円。激甚災法については、現行の二十五万円、それを四十万円、ほぼ五割引き上げる。以下、北海道、特別、法人、漁具、組合、連合会、それぞれ必要に応じて三割ないし五割の引き上げを内容とするものでございます。
  二 償還期限の延長
 天災融資法、経営資金は、現行の六年を十年に、事業資金は、三年を五年に、激甚災法では、現行の七年を、据え置き二年を含めて十二年に延長しようというのであります。
  三 利率の引下げ
 天災融資法において、現行は特別災害の場合は三分以内であるものを二分五厘以内、以下、開拓者、一般、組合等も大体同様五厘ずつ引き下げようというのであります。
 これは、御承知のとおり、農林漁業者の収穫は、年に一回あるいは二回でございまして、資金の回転がおそい、しかも所得が低い。その者が、その一番大事な土地その他について災害を受けた。それを復旧し、生活をしていくためには、やはりもっと天災融資法というものの条件を優遇すべきであるという多くの意見がございました。これを集約したのが、ただいま申し上げたものでございます。
 特につけ加えておきたいのは償還期限の延長でございます。せっかく天災融資法のむずかしい手続を経て受けましても、災害を受けて打ちのめされた被害者が融資を受けて間もなく返済しなければならぬという事態もございますので、ぜひとも据え置き期間を延長したい。また、利率については、最近低金利の方向に向かっておりますし、五厘ずつの引き下げは当然であろうと全員の意見が一致いたしました。これは天災融資法第二条第四項、第八項及び激甚災法第八条の改正で足りると存じます。
 次に、
 2 商工組合中央金庫が激甚災害を受けた中小企業者及びこれらの者を構成員とする中小企業団体に対し中小企業者の事業の再建に必要な資金を貸し付ける場合における貸付金の制限額を中小企業者一人につき百万円から百五十万円に引き上げ、利率を年六分五厘から年五分に引き下げるとともに、商工組合中央金庫が激甚災害を受けた中小企業団体に対しその事業の再建に必要な資金を貸し付ける場合における貸付金の利率を年六分五厘から年五分に引き下げる措置を講ずること。なお、償還期限の延長について適切な措置を講ずること。
 これはただいま読み上げました内容のとおりでありまして、最後の「償還期限の延長」については、二カ年で償還するということは、災害を受けた中小企業者にとっては非常に酷な実情でございますので、少なくとも据え置き期間は一カ年、償還期限は三カ年くらいに延長しなければなりませんが、これは法律事項ではございませんので、当局の行政指導によって適切な措置を講じてもらいたいと存じております。
 前段のものについては激甚災法第十五条の改正で足りると存じます。
 3 住宅金融公庫が災害復興住宅又は地すべり関連住宅の建設等に必要な資金を貸し付ける場合における貸付金の利率を年五分五厘から年三分五厘に引き下げる措置を講ずること。
 これは、災害を受けて住宅をなくした者、そういう関係の者の貸し付け金の利率が年五分五厘であることはいささか酷に過ぎると存じますので、年三分五厘に引き下げようとする措置でありまして、住宅金融公庫法第二十一条第四項及び第五項を改正すればいいと考えております。
 次に、
 第五 中小河川、都市河川等の改修の促進(検討中)
   急傾斜地、低地域等洪水による災害が発生するおそれが大きいと認められる地域を指定し、当該地域における中小河川、都市河川等について計画的な河川改修を促進すること。
 この委員会が発足いたしまして、すなわち災害が発生いたしましたときの一つの焦点は、中小河川の災害が多かったために、または都市上流地の小河川のはんらんによる被害が多かったために、急傾斜地あるいは低地域における中小河川、都市河川等の計画的な改修を促進しなければならぬという意見が圧倒的に強うございました。したがって、こういう項目をたててまいりましたが、この点については、やはり――やはりというよりも、当然建設省が考えねばならぬことでございまして、建設省においては、がけくずれ対策等についての立法措置もすでに計画が進められているようでございます。したがいまして、起草小委員においては、もし当局でそういう対策がない場合には、中小河川等改修緊急措置法(仮称)のようなものを立法化する必要があるけれども、当分建設省の出方を見守ろうではないか、こういう意味で、ここに「検討中」といたした次第でございます。
 第六 危険宅地対策(検討中)
  一 がけくずれのおそれのある地域を危険区域として指定し、一定の建築行為等を禁止又は制限すること。
  二 危険区域において地方公共団体が行なう防災工事に要する費用については、国がその一部を補助するものとすること。
  三 危険区域内の宅地の所有者等に対し、防災工事等を命ずることができるものとすること。
 御承知のとおり、今回の七月災害、羽越災害における特色の一つは、住宅の被害でございました。非常に危険な地域に住宅が建てられ、そのために上流からのがけくずれ、山くずれ等によるはんらんによって住宅地域の被害が非常に激甚でございました。しかも、その激甚であった地域に公営住宅が建てられておったということもかなり多かったのであります。したがいまして、委員の多くは、危険宅地対策というものを何とか立法化しようじゃないかという意見が圧倒的に強うございました。したがいまして、ここに「一」、「二」、「三」として掲げたように、危険地域の建築行為等の禁止、制限をしようじゃないか、また、危険区域における防災工事に国がその一部を補助するようにしようじゃないか、また、危険区域内の宅地の所有者に防災工事等を命令することができるようにしようじゃないか、その他、従来の宅地対策にざる法的な批判もございましたので、それも加えてはどうかという意見がございました。これらについては、当然建設省が対策を講ぜねばならぬ問題もございますし、建設省でも、そういう対策が講ぜられておるようでございます。また、国会の立場においても、宅地対策については常任委員会の建設委員会において立法化すべき使命もございますので、当委員会としては災害対策の一項としてこれを取り上げ、われわれが建設委員会にその立法化する項目を要望すべきであるということに意見が一致いたしました。要すれば、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律なども制定してはどうかという意見もございました。したがって、第六の危険宅地対策については検討中ということにいたした次第でございます。
 以上が立法措置をとるものの要点でございまして、なお「二」、「三」の点について、必要がある場合には、立法措置をとらねばならぬものもありますが、柱となるべきものは、以上六点でございました。
 なお次に、行政措置をとるものという、いわゆる委員会としての決議の内容にするものについては、「災害対策に関する件(案)」として皆さん方のお手元に配付いたしております。これはまだ十分論議しておりませんので、内容を申し上げることは差し控えたいと存じておりますが、根本的な考え方だけをこの際申し添えておきたいと存じます。
 一つは、抜本的な治山治水対策を確立し、特に中小河川の改修を促進すること。
 それから、災害復旧事業は三カ年以内に終わるように措置すること。
 三番目には、緊急治山、緊急砂防事業については、従来五カ年計画の予算の中から支出されておったものを、公共土木施設または農地等の災害と同じように予備費から支出して、大幅の促進をはかること。
 治山事業の工事に伴う用地については、補償制度を考慮してはどうか。
 その次に、災害発生のおそれのある地域における宅地造成や建築物の建築についての規制を強化すること。
 地すべり防止区域の指定については、実態に即してすみやかに措置すること。
 樹園地の造成にあたっては、防災上の見地から施設の整備について十分な指導を行なうこと。
 農地復旧の反当復旧限度額の引き上げについて措置すること。
 被災地方公共団体に対する地方交付税交付金の増額について措置すること。
 小規模災害について、災害復旧事業と同様の起債の手当てをすること。
 緊急治山、緊急砂防事業について、地方債を災害復旧と同様に扱うこと。
 災害救助法を整備拡充すること。
 激甚災害法の適用に関する指定の基準について、さらに整備拡充すること。
 大体そういったものが、立法措置を要するもののほか、当特別委員会並びに小委員会、起草小委員会で意見が出たものを集約した次第でございます。
 皆さん方、この行政措置に伴うものについては、さらに御検討を特にお願いしたいと存じておる次第でございます。
 以上、少し長くなりましたが、起草小委員会において取りまとめました災害対策要綱の立法措置をとるもの、及び行政措置をとるものについての起草小委員の集約でございました。よろしく御検討いただきますようにお願いを申し上げまして、報告といたします。
#4
○天野小委員長 これにて起草小委員の報告は終わりました。
 ただいま起草小委員のもとでまとめられました案につきまして協議を進めるため、暫時懇談いたしたいと存じます。
 これより懇談に入ります。
     ――――◇―――――
  〔午前十一時三十五分懇談に入る〕
  〔午後零時四十八分懇談を終わる〕
     ――――◇―――――
#5
○天野小委員長 これにて懇談を終わります。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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