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1967/11/29 第56回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第056回国会 災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会 第5号
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1967/11/29 第56回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第056回国会 災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会 第5号

#1
第056回国会 災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会 第5号
昭和四十二年十一月二十九日(水曜日)
    午前十時十五分開議
 出席小委員
   小委員長 稻葉  修君
      池田 清志君    湊  徹郎君
      渡辺  肇君    井手 以誠君
      石田 宥全君    佐野 憲治君
      神田 大作君    小川新一郎君
 小委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    上田 伯雄君
        大蔵省主計局主
        計官      井上 幸夫君
        厚生省環境衛生
        局水道課長   大野 文雄君
        厚生省社会局施
        設課長     飯原 久弥君
        農林大臣官房参
        事官      太田 康二君
        農林省農林経済
        局金融課長   松本 作衛君
        農林省農政局構
        造改善事業課長 白根 健也君
        農林省農地局建
        設部災害復旧課
        長       松井 芳明君
        食糧庁業務第一
        部長      馬場 二葉君
        食糧庁業務第一
        部買入課長   南日 禄郎君
        林野庁指導部長 木村 晴吉君
        林野庁指導部治
        山課長     松岡  明君
        中小企業庁計画
        部金融課長   井川  博君
        労働省職業安定
        局失業保険課長 増田 一郎君
        建設省計画局宅
        地部宅地関発課
        長       福地  稔君
        建設省河川局防
        災課長     坂井 秀正君
        建設省河川局砂
        防部砂防課長  倉上  靖君
        建設省道路局地
        方道課長    中野 孝行君
        建設省住宅局住
        宅総務課長   角田 正経君
        自治省財政局地
        方債課長    山本 成美君
    ―――――――――――――
十一月二十九日
 小委員小澤貞孝君同日小委員辞任につき、その
 補欠として神田大作君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 災害対策の基本問題に関する件
 新潟、山形地方の豪雨による被災者の集団移転
 に関する件
     ――――◇―――――
#2
○稻葉小委員長 これより小委員会を開会いたします。
 災害対策の基本問題について調査を進めます。
 本日は、昨日に引き続き、まず起草小委員の素案についてさらに検討を進めることとし、その後、新潟、山形地方の豪雨による被災者の集団移転問題について調査を進めてまいりたいと存じます。
 これより懇談に入ります。
     ――――◇―――――
  〔午前十時十六分懇談に入る〕
  〔午後零時一分懇談を終わる〕
     ――――◇―――――
#3
○稻葉小委員長 これにて懇談を終わります。
 災害対策の基本に関する諸問題につきまして、関係政府当局に対する質疑の申し出がありますのでこれを許します、井手以誠君。
#4
○井手小委員 建設省にお伺いします。
 本年度の豪雨による災害について、特に中小河川の被害、また急傾斜地帯における小河川による住宅の被害等々が非常に顕著でございました。したがって、中小河川の改修を急げという強い要望がありますが、これについて建設省ではどうお考えになっておりますか。
#5
○坂井説明員 中小河川の改修を重点的にやれというおことばでございます。これにつきましては、現在の段階でも大河川よりはむしろ中小河川に重点を入れた予算措置を講じておりますが、現在、最近起こりつつあります災害にかんがみまして、現行の五カ年計画を改定をいたしまして、そうしてなお一そう中小河川の改修には重点を指向していきたいというぐあいに考えております。
#6
○井手小委員 続いてお伺いしますが、先刻も触れた急傾斜地における郊外地、都市における小河川のはんらん、神戸、呉その他各地で起こった、中小都市河川というのですか、そういう急傾斜地における小河川の計画的な改修が必要であるという強い要望がありますが、これに対して特別の措置をお考えになっておりますか。
#7
○坂井説明員 ただいまお答えを申し上げましたとおりでございますが、中小河川の中にもいろいろとございまして、特に本年の災害は神戸とか呉とかという地点で都市内の河川の災害が非常に多かったということでございますので、中小河川の中でも特に都市河川については今後大いに努力を払ってまいりたいというぐあいに考えております。
#8
○井手小委員 続いて建設省に伺います。担当の人がおられるかどうかわかりませんが、ただいま申した都市河川のはんらんによる被害について住宅の造成に非常に不用意な点があったこと、建築物、工作物についてのあり方についてもっと厳重な規制が必要であるという強い意見があります。これは当委員会だけで論議する問題じゃございませんが、本年度災害の特色でございましたから、建設省でどういうお考えを持っておられるか、法律的な問題について方針を承りたいと思います。
#9
○角田説明員 お答えいたします。
 いま御指摘のとおりでございまして、そのために、法律といたしましては、宅地造成等規制法で宅地造成の事業を、それから規制の関係でございますと、建築基準法の中にそれぞれ必要な事項は全部法律上書いてございます。実際の運用面でいろいろ欠ける点がございますので、まず運用面での実際にできますような規制の強化を公共団体に指示いたしましたが、なお法律面で多少問題点のある部面もございますので、そういう面につきましては十分検討いたしまして措置いたしたいと思います。
#10
○井手小委員 十分検討して措置したいというのですが、これは法律の改正によらなくては困難です。宅地の問題、建築の規制については、これは権利義務の関係また実態からいって、行政指導では困難です。建築基準法ですか、ああいったものの改正が必要であるといわれておりますが、どうですか。
#11
○角田説明員 建築の関係の規制でございますが、基準法に災害危険区域の指定をするようになっておりまして、これは法律上は、その指定をいたしますと、条例をつくって必要な建築の禁止あるいは改造その他の指示ができるようになっております。ただ、これが法律上条例で都道府県知事がするような形になっておりまして、私どもとしては、法律上は制度としてはある、ただ現実にお使いになる公共団体のほうでその制度をお使いになっていないのじゃないかということで、いま申し上げたような指導をしていきたいということを申し上げたわけでございます。
 ただ実際問題といたしまして、現在までやっております災害危険区域の指定がたとえて言いますと、名古屋の災害のあととか、あるいは大阪の堤防の付近のような、非常に大きな区域にわたるような書き方をしてございますので、適用しにくい面もあれば、現在建築基準法の改正を作業中でございますから、その中で入れていきたい。宅地造成法のほうは実は私担当ではございませんが、いろいろ検討いたしましたところ、これは全部許可にかからしてございますので、許可条件をしぼっていけば完全な規制ができるということで、そういうふうな指導をしていきたいということでございます。
#12
○井手小委員 宅地規制と建築基準法の改正についてはいろいろな面から強い要望がありますので、災害の立場からいっても改正を本委員会でも要望されておりますが、特に御留意をいただきたいと思います。
 次に、農林省にお伺いいたします。
 農地復旧の反当限度額の引き上げについて何回か論議いたしましたが、今日の限度額は実情に沿わないようですが、本年はだめなのか、来年はどうお考えなのか、承りたいと思います。
#13
○松井説明員 農地復旧の反当限度額につきましては、その算出の基礎が現状に即しない問題も出てまいっておりますので、来年度改正するということで検討してまいりたいと思います。
#14
○井手小委員 本年度の災害に果樹園の被害がたいへん多うございましたが、果樹園について防災施設に足りないところがかなりあったと思います。農林省の今後の指導方針について承りたい。
#15
○太田説明員 御指摘のとおり、本年七月の集中豪雨によります被害の状況を見てまいりますと、傾斜地に造成されました果樹園の崩壊が各地に発生しておりまして、またこれに伴いまして、下方にある農地等が埋没による被害を受けている場合が相当多かったのでございます。これはいま御指摘のとおり開園にあたりまして、農地保全施設を合理的に設置していないということが原因であろうかと思うのでございまして、特に農家が独自で開園したものにこの種の事例が多く見られたのでございます。そこで、今後傾斜地の果樹園についてこのような被害を防止するために、新規の開園にあたりましては、適地の選定に十分留意してもらうこととあわせて、承水路とか排水路、土どめ工等の、いわゆる農地の保全施設の設置についても十分留意してもらいたい。なお、工事の施工中におきましても必要な防災措置を講じてもらうとともに、既存園につきましても維持管理を強化していただく、あるいは農地保全施設の合理的な整備につとめていただくというようなことにつきまして、市町村、生産者団体等の協力を得まして、一そうの指導の強化をはかってもらいたいという趣旨の通達を、八月十一日付で農政局長、農地局長、園芸局長三者連名の通達を知事にお出しいたしたのでございます。
 なおその際、農地の保全を無視して開園したものの災害復旧につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の適用除外となりまして、助成措置が講じられない場合もあるということも念のために申し添えまして、ただいま申し上げたような趣旨が今後守られるように通達をいたしたのでございます。
#16
○井手小委員 重ねてお伺いいたしますが、今度の干害対策に対して、応急対策はもちろんですが、恒久対策としては、天水地域やため池地域においては、小さなため池の新設を強く各委員から要望がございました。私どもは、果樹園に水の不用意な点があった、用水に不用意な点があったことを考えておりますが、これらを含めて千トン以上くらいのため池をうんとつくらしてはどうかという意見も持っておりますが、今後もかなりの干害を予想される気象条件から見まして、天水地域、ため池地域において、今後ため池をどういうふうにつくろうとお考えになっておりますか。現在の三万トン、五メートル以上という制限を画期的に引き下げる、あるいは何千トン以上はこれを認めるとかいう画期的なお考えはございませんか。
#17
○松井説明員 今年の干ばつにかんがみまして御指摘のように、ため池の対策は非常に重大であると考えておりますが、ため池の対策につきまして現在考えておりますのは二つございます。一つは御指摘の老朽ため池の対策でございまして、次は小規模水源整備事業の拡充でございます。
 第一の老朽ため池整備につきましては、従前の採択基準の緩和をはかって、さらに、小規模なものまで採択できるように四十三年度予算要求において要求を出しておりまして、現在折衝中でございます。
 次に、小規模の水源整備事業は、ため池を含めまして、従来団体営干害事業でやっておりました規模を、受益面積二十町歩を十町歩に引き下げるということで基準の緩和をはかって、水源整備事業をできるだけ拡大して、干ばつ、特に常襲干ばつ地帯についてこのような事業を推進してまいりたいと考えております。
 なお、これと関連いたしまして、その基準以下のさらに小さな事業につきましては、非補助土地改良事業として融資を行なうわけでございますが、この非補助融資につきましても融資率をさらに引き上げる等の措置を、同じく四十三年度予算要求において出しております。今後一そう努力いたしたいと思っております。
#18
○井手小委員 老朽ため池の整備については制限を緩和するということですが、大体の方針はどういう程度ですか。
#19
○松井説明員 現行の老朽ため池の採択基準は、堤高五メートル、貯水量三万トン以上となっておりますが、これを緊急のものにつきましては堤高三メートル、貯水量二万トン以上のものまで下げて施行したいということで要求を出しておるのであります。
#20
○井手小委員 この点は、先刻言ったように各委員の強い要望がございますから、さらに努力を願いたいと思います。これでもなお基準が高過ぎるようです。
 次に、食糧関係でお伺いいたしますが、概算金に関しての返納措置、いわゆる代位弁済に対して、国が代位弁済者の集荷業者に利子を補給される方針は変わりございませんか。
#21
○太田説明員 生産者で予約概算金が返納できなくなったものにつきましては、御承知のとおり指定集荷業者が代位弁済する制度があるのでございますが、昨年の北海道の冷害、それから七・一七の新潟の水害の場合におきましても、いま先生の御指摘の代位弁済をいたしました指定集荷業者に対しまして政府が利子の補給をした事例があるのでございます。本年度の羽越災害につきましても、最近代位弁済等の数字もわかってまいりましたし、かなりの額にも達しておるようでございますので、農林省といたしましては、この利子補給の予算を四十三年度予算に計上するための予算要求の準備を目下いたしておるのでございまして、従前の例に準じて措置する方針は変わりないのでございます。
#22
○井手小委員 林野庁にお伺いします。
 本年度の水害の特色は、急傾斜地帯における山腹崩壊、山潮とか、がけくずれとか、それが特色でございました。したがって、砂防堰堤などの防災施設をすることが中心であると考えます。本年度の水害によるそういう治山事業の総額は幾らですか。そしてまた、本年度の事業量はどのくらいですか。
#23
○木村説明員 被害総額は大体百五十億円程度に相なっております。今年度緊急にその被害に対して実施する金額は、約十六億円程度に相なっております。
#24
○井手小委員 続いてお伺いしますが、その百五十億円のうち、十六億円を本年度で措置をして、残るものは今後何カ年間でその復旧というか、防災施設をなさる方針ですか。
#25
○木村説明員 緊急に復旧を必要とするものにつきましては、特殊緊急治山事業といたしまて、今後三カ年間で実施いたしたいと思っております。その残のものにつきましては、やはり緊急性の中から五カ年計画の改定等の時期に組み入れまして実施いたしたい考えでございます。
#26
○井手小委員 この治山事業の実施にあたって、建設省では用地も補償しておりますが、林野庁のほうではこの治山事業について用地の補償はありますか、ございませんか。
#27
○木村説明員 現在では森林法のたてまえから、施設に対する用地補償は考えておりません。
#28
○井手小委員 施設に対する用地補償はない。それでは施設に関しての堰堤敷その他の立木補償は、本年度から実行なさるつもりですか、お伺いいたします。
#29
○木村説明員 立木補償については、運営上、現在実施いたしております。
#30
○井手小委員 現在実施しておるというのは必要なところは補償する、必要でないと思われるところは補償しないという意味ですか。全面的に補償が原則であるという趣旨ですか。
#31
○木村説明員 先生がいまお尋ねになっておられましたものの、前者のほうの傾向をたどっておるのじゃないか。そういう指導については、やはりまだ十分徹底していない面があるんじゃないかと思っております。今後立木補償については十分対処していきたいと考えております。
#32
○井手小委員 先刻お答えになった特殊緊急治山事業のワクに入ったものは、その性格からいっても、当然この分については立木補償を原則とすべきではないでしょうか、お伺いします。
#33
○木村説明員 立木を補償をする、しないは、現地の対象の立木の現況によるのじゃないかと思うのでございますが、矮林の薪炭林の低質林的なものにつきましては、やはりはずされているんじゃないかというふうに考えております。緊急というような問題ではなくて、立木現象によって判断いたしておるわけでございます。
#34
○井手小委員 干害についてはため池の問題、水害については砂防堰堤等の防災施設が、今年度災害の一番大きな対象になっておると考えられております。そういう意味からも、建設省の砂防事業、林野庁の治山事業、同じ災害を与えるものについての不均衡がございますし、また治山事業については災害と同じように取り扱わねばならぬという多くの委員の方々の意見があり、私も強くその点は感じておりますので、治山事業についてはさらに一段の努力を願いたいと思います。
 次に自治省にお伺いいたします。自治省の干害に対する対策をお伺いしますが、干害応急対策事業費に対する補助これは施設についても、ガソリン代などの経費についても、あるいは市町村の給水の施設についても、一括して特別交付税で見てやろうというお考えですか。またそうであるとするならば、どのくらいの交付税率を交付しようとなさるお考えですか、お伺いいたします。
#35
○山本説明員 干害対策事業につきましては、国庫補助の伴うものもございますが、これにつきましては、地元負担の七〇%を特別交付税で措置をいたします。これは従前どおりでございます。これに加えまして、単独で市町村がやります応急対策につきまして、地元負担が相当出ると思います。これにつきましては、ただいまのところ確実な資料がまだまとまっておりませんが、従前どおりの〇・五%の措置ではむずかしいかと存じますので、倍額にいたしまして、一%にすることによってほぼ可能であるというふうに考えております。
#36
○井手小委員 次にお伺いしますが、佐藤総理も農林大臣も干害対策として特に公約なさった救農土木事業について、本来なら補助金を交付すべきであると思いますが、先般の災害対策本部からの説明によりますと、満額市町村の事業として起債を認めようということであります。また、それだけの公約でございますから、全国の関係市町村は相当量の元利補給を期待いたしておりますがその点についての自治省の御方針はどうですか。
#37
○山本説明員 いわゆる救農土木事業につきましては、おっしゃられましたとおり、起債でまず措置するわけでありますが、公共農林災害につきまして国の地方債措置の充当率が七〇%、単独の事業につきましては六五%といったようなことになっておりますので、これとの均衡を考えながら、しかしながら若干これよりも高くするということで、七五%の充当率をもって措置いたしたいと考えております。
 なおこれの元利償還金につきましての交付税措置の問題でございますけれども、これは北海道あるいは前年度の新潟の災害につきましての措置との均衡も考えまして、また救農土木事業の性格が、要するに国庫補助事業でありましょうとも、あるいは直轄の事業でありましょうとも、現金収入があればいいということで、事業をどういうふうに特定するかにつきましては、相当高い程度に流動的でございますので、そういった補助事業等につきまして、裏負担についての起債措置に対して、元利補給が行なわれてないものも多くございますので、その点との均衡を考えまして、今回は、ただいまのところは交付税措置をする考え方は特段には持っておりません。検討の問題として残しておく以外に、ただいまのところないのではないか、かように考えております。
#38
○井手小委員 ただいまの救農対策については、先刻申し上げたように政府の公約でもあり、元利補給することが救農対策であるという立場から申しますと、はなはだ不満なお答えでございましたが、これは非常に重要な問題でございます。救農土木事業と銘打った以上は、国がかなりの補助金なりあるいは交付税を交付すべきである、かように委員一同は考えておりますので、次の特別委員会大体十二月二日を予定しておりますが、それまでに自治省の方針をきめていただきたい。同時にその時期までに、先刻申し上げた市町村が単独でやった応急事業に対する特別交付税の、その交付額のめどについても、まとめて御説明をいただきたい、こういうふうに特に要望いたします。二日でございますから、お忘れのないように願います。
 続いて激甚災害における小災害。従来は小災害という特殊の立場から、市町村の起債を一年限り認められておりましたが、水害、干害を受けた市町村では、とうてい小災害を把握することは困難でございます。そういう被災地の実態から考えて、少なくともそういう激甚災害を受けた市町村の小災害は、二カ年ぐらいは起債を認めるべきではないかと考えますが、どうですか。
#39
○山本説明員 地方の実情によりまして、翌年度にわたって申請の出てきますものにつきましては、翌年度にわたって許可をいたしたいと思います。
#40
○井手小委員 厚生省にお伺いします。
 本委員会においては、災害のたびごとに災害救助の金額が実態に沿わないという不満が表明されております。本年度も二、三回にわたって若干の引き上げが行なわれているようですけれども、なお実情に沿わないようですが、今後どういうふうになさるおつもりですか、厚生省の方針を承ります。
#41
○飯原説明員 災害救助法の救助項目の単価につきましては、ただいまのお話にございましたように、当委員会からたびたび御指摘もございまして、私どもといたしましては、今年度たき出しあるいは埋葬、応急仮設住宅等の単価の引き上げ等について再度改定してまいったわけでございますが、今後もこういったたき出し、埋葬、応急仮設住宅等の実態に即しまして、その応急救助の範囲内で改定に努力していくように考えております。昭和四十三年度予算においてさらに引き上げを行なうように努力いたしたいと思っております。
#42
○井手小委員 実情にかけ離れた災害救助法の交付基準というもの、これは特段の努力を願いたいと思います。
 それと災害は予想しない面であらわれてまいりまして、本年度は都市における、市町村におけろ飲料水の枯渇という問題で非常に難渋いたしました。これもなかなか適切な措置がとれなかった、こういう点についても、ひとつ適確に、その災害の実態に即するような対策をとってもらうように要望しておきます。
 次に、交付税、激甚災害の指定基準ですが、総理府にお伺いします。
 一応従来の二十八年災害から特別の措置を講ぜられておりますが、指定基準がなお実情に合わない点があるようで、各委員からいろいろ指摘をされました。特に激甚法二十五条の失業保険の特例については基準が明らかでないようです。やはり国民に対する約束ですから、実情に合うように――そのときそのとき労働省の認定でということもわからぬでもありませんが、国土保全に対する国の約束ですから、これは認定という問題じゃなくて、法律に明記すべきである、あるいは法律の委任を受けて命令で指定すべきである、基準を設けるべきであると考えます。さらに中小企業の金融についても、多くの委員から基準が高過ぎるという御指摘がございました。もちろん私どもは、ことさらに基準を引き下げよというだけではございませんが、基準が高いために、一方のほうでは適用を受け、一方のほうでは同じような被害を受けながら適用されないというような不公平も生じております。広域的な基準をきめる場合に、もっと実情に即するような地域的な基準のきめ方、そういったことも考えられるわけですが、こういった基準についての再検討なり、ただいま申しました二つの当面の問題などについて、総理府はどういうふうにお考えですか。
#43
○上田説明員 御質問の激甚法の適用の指定の基準でございますが、激甚法の成立の経過からいたしまして、国民経済全体に影響のあるような非常に広く、かつ深いようなものについて特別助成をしなければならない。しかしながら、この基準によりまして、一般の母法との間にかなりの差が出てくるわけでございまして、その差を埋めるべくいろいろ閣議決定その他の方法によって、その間を埋めるべく努力はしておるわけでございますが、ただいま御指摘のありましたような十二条、十三条関係の中小企業の問題あるいは二十五条の失業保険の支払いの特例等、当委員会でも問題になった点がしばしばあるわけでございます。この問題は助成措置それぞれの間のバランスとか一般の母法との関係でありますとか、あるいは地域の区別のしかたの問題でありますとか、あるいは財政上の観点でありますとか、非常に広範にわたる関係等がございまして、いままで、その後規定ができましてから大改正のごときものは行なわれておらぬわけでございますが、法律の、あるいは基準のたてまえそのものはそれまでといたしましても、実際の運用におきます基準につきまして、いままでの昭和三十七年以来の実情等にかんがみまして、あるいは基準のあるものの検討あるいはないものの検討、新設、そういうことについて全般的な将来の方向に向かっての検討を――これは防災会議のほうできめますので、一省一局だけの問題ではございませんので、各省庁ともおはかりしまして、将来の方向として検討していきたい、かように考えております。
#44
○井手小委員 関連して労働省にお伺いしますが、二十五条の特例についての基準を設けることは、どういうふうにお考えですか。
#45
○増田説明員 その点につきましては、先国会においても当委員会において御指摘がございまして、とりあえずの措置といたしまして、一時帰休をした場合に失業保険金を支給するという通達を八月の初めにいたしたわけでございます。その結果、佐賀県の場合にはPRの時期がおくれたこと、あるいはわりあいに復旧が早かったこと等のために約十名程度の支給しかなかったわけでございますが、新潟県の場合に、事前に周知がされておりましたので、約百名程度の離職者が出まして、支給をしております。それで非常に人心の安定と申しますか、その点で新潟県当局からも感謝をされているようなわけでございます。
 ただいまのこの基準という点につきましては、先ほど総理府のほうからもお話がございましたように、非常に広範にわたって検討を進めたいと思いますけれども、ただいまとっております措置は、考え方によりましては、画一的な基準なりそういうものをつくるというよりも、むしろ実情に即しているような点もあるのではないかというふうに考えるわけでございまして、このただいまとっております措置によりまして、なおそういった問題がいろいろ起こるようでありますれば、早急に検討したいと思いますけれども、現在の措置によりまして、事実上そういった要望には、相当私といたしましては、現地でも喜んでおりますし、実績もあがっているのではないかということでございます。
 現状の御説明でございますが、先般の国会で御指摘になりましたような趣旨に基づきまして、実情によりまして措置しているというのが現在の状況でございます。
#46
○井手小委員 意見もありますが、時間の関係で先に進んでまいります。
 最後に、大蔵省に三点お伺いします。
 第一は、災害全般についてですが、国土保全が十分でなかったために災害が起こらぬで済むものが起きた。世に行政災害とか人災とかいわれております。もちろん国の財政の都合もありますし、またそう一〇〇%の災害防止ができるとは思いませんし、不十分な点は確かにあると思います。今回の急傾斜における山地崩壊などは、その顕著な実例であると考えます。やはり何といっても災害とか防災については、ほかに緊急な財政措置も必要であると思いますが、この国土保全の立場からは、災害についてもっと実情に即する対策をとるべきではないか。しかも、災害が起こった現地査定において、二十八年災当時よりも改善はされておりますが、建設省、農林省の査定と大蔵省の査定とに、監督をなさるのか、立ち合いなのか知りませんが、非常に差がある。私は、具体的な露骨なことは省略いたしますが、もっと防災なり、災害復旧について予算の措置の上に特段の努力をすべきではないかと思いますが、お考えを承りたいと思います。
#47
○井上説明員 従来の国土保全の予算額が十分であったかなかったかという判断にはいろいろむずかしい問題があろうと思いますが、中小河川改修なり、砂防なり、治山事業なりにつきまして、財政上可能な限りの努力はしてきたつもりでございます。
 第二の問題として御提起になりました災害査定の問題でございますけれども、これは、基本的には建設省なり、農林省なり、各事業主管省の御査定の問題がございますので、私ども大蔵省のほうでは立ち合い、その場でもしかりに意見が合いません場合には、別途の調整手段もございます。特に個々別々の事案の裁き方につきまして最後まで意見が合わないということはあり得ないと考えております。
#48
○井手小委員 まだ言いたいこともありますが、意見にもなりますし、基本問題についてはこの程度にいたします。
 次に、先刻の懇談会や、ただいまの林野庁との質疑応答でお聞きのように、治山事業と砂防事業とで被害の現状は同じである。また、公共的な意味においても同じような場合に取り扱いに差がある。また緊急に防災施設をしなくてはならぬ。たとえば、先刻言われた佐賀県では、三十億ばかりの施設などについて、やはり初年度に一〇%などという工事ではなくして、もっと農地等とか、あるいは公共土木と同じように予算をもっと一般の予備費から回して、特殊緊急治山工事というものを促進すべきではないかと考えますが、大蔵省の考えを承りたい。
#49
○井上説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘のございました治山事業と砂防事業が、現象的に同じでありながら、取り扱いが違うではないかということでありますが、確かに現象的には非常に似通った事業をやっておることは事実でございます。ただし、寄って立っております法体系が違いますために、実際問題といたしまして、たとえば、立木の補償、農地の補償等について取り扱いが異るということがございます。新潟県等におきます現地の実情は、私どものほうといたしましてもよく承知しております。
 第二の問題でございますけれども、治山事業につきまして、初年度の金の出し方が少ないではないかということでございますが、私どもといたしましても、従来とも砂防事業と治水事業の予算のバランスというか、つながりをよく調整すると申しますか、そういうところにつきましては十分留意してまいったつもりでございます。ただ、災害の初年度におきます手当のしかたの問題でありますけれども、それは、現実には工事の場所が違う、工事可能の時期の問題がございます。そういう違いもございまして、従来とも、治山事業につきまして、特に特殊緊急治山系統のものにつきまして、初年度が少ないという御批判はございました。これは、おおむね後年度になりまして調整は行なわれておりまして、最終的には御心配のような問題は起こっておらないと思います。
#50
○井手小委員 いやしくも災害ですから、山潮が起こって、そのために今後再び豪雨が来るなり、部落が危殆に瀕するなどという危険なところに、何カ年先の後年度では同じだというお考えは承服できない問題です。しかし、これは意見になりますし、きょうは時間の関係がございますから一多くは申し上げません。
 最後に大蔵省にお伺いいたします。
 先刻申し上げたように、かなりの災害については、人災といわれ、行政災害などといわれ、たとえば新潟県の加治川の決壊などについて、当局が十分の用意があったならば、また、国土保全についてもっと世論を聞いて予算措置をしたならば、災害は起こらなくて済んだであろうし、人家は流失、全壊しなくて済んだであろうし、あるいはそういう災害のために人命が奪われるとか――それは本人の責任もある場合もあるでしょうし、天災といわれる場合もあるでしょうが、しかし、堤防が決壊する、砂防堰堤をつくるべきところにつくらなかったために家が全壊したり、不幸にして死人が出たなどという、こういう災害、あるいは中小河川の改修が遅延したために、そのはんらんによって市街地に濁水が流入して、中小企業者の商品が全部流失をしたり、あるいは二度と立ち上がれない惨害を受けた、そういういわゆる個人災害について国は補償できないという従来の考えはありましたけれども、そういう国土保全が十分でなかったために起こったそういう気の毒な個人災害に対しては、十分な補償ができないまでも、死んだ人には葬祭料、全壊家屋には幾らかの見舞金、あるいは立ち上がり資金としての若干の無利子、無担保の融資であるとか、そういった個人災害に対する援護措置というものが与野党を通じ各委員から長い問要望されてまいりました。もう時期であると思うので、何らかの措置をすることが国としての筋であると思う。天災だからしようがないという通り一ぺんのことばではなくして、行政にはあたたかい血が流れなくては意味をなさないのですから、そういう多くの委員の意見がありますが、大蔵省はこれに対してどういうお考えですか。若干でも認めてよろしいというお考えですか、お伺いいたします。
#51
○井上説明員 大蔵省といたしましては、個人災害につきましては、現在の社会制度あるいは法制度のもとにおいては、それに対して補償をいたすということはできないことであると思います。
#52
○井手小委員 補償ということは、国家賠償法もありますし、公式の場合には国家賠償になるでしょうけれども、そういうなさねばならなかった工事、たとえば堤防の決壊、不十分な仮堤防の措置などによって起こった家屋の流失、商品の流失、あるいは人命の損失などというものに対して、私が申し上げているのは、見舞金とか、葬祭料とかという、政治のあたたかい気持ちですよ。それも出せないというのですか。重ねてお伺いいたします。
#53
○井上説明員 現在、先生の御指摘のような問題につきましては、災害救助法その他の措置がありますし、それから十分かどうかは別といたしまして金融の措置がございます。現在、それ以上に新しい制度を設けるということは考えておりません。
#54
○井手小委員 委員長、これで終わりました。
#55
○稻葉小委員長 質疑はこの程度にとどめます。
 暫時また懇談に入ります。
     ――――◇―――――
  〔午後零時四十九分懇談に入る〕
  〔午後零時五十九分懇談を終わる〕
     ――――◇―――――
#56
○稻葉小委員長 それでは懇談を終わります。
 この際、本日まで検討を重ねてまいりました災害対策の基本に関する諸問題につきまして、本小委員会の一応の結論としてただいま各小委員において御協議いただきました点について、小委員長から申し上げます。
 まず、去る十月六日本小委員会に御報告のありました起草小委員の一応の素案中立法事項に関する部分につきましては、本小委員会といたしましてはいずれもその必要性を痛感いたしてまいったのであります。これにつきましては次の国会中に結論を得ることとし、今日までの経緯を小委員長から次の委員会に報告をいたしたいと存じます。御了承を願いたいと存じます。
 次に、委員会の決議事項といたしましては、昭和四十二年の豪雨による災害対策に関する件として本日取りまとめました案文のとおりとし、その旨委員会に報告することといたしますので、御了承を願います。
 井手以誠君に決議案文の朗読をお願い申し上げます。井手以誠君。
#57
○井手小委員 委員長の指名によりまして、決議案について案文を朗読いたしたいと思います。
    昭和四十二年の豪雨による災害対策に関する件(案)
  本年各地に発生した豪雨による災害は、複雑多岐にわたり、特に急傾斜地の崩壊による中小河川の氾濫、山津波など局地的な災害による人命住家をはじめ、公共施設、農作物等の被害は極めて激甚なものがある。
  然るに、これらの災害に対処するための各分野における災害対策の実態は、必ずしも充分であるとはいい難い。
  よつて、政府は、防災に関する現行法律並びに予算上、行政上の諸措置について、根本的に再検討を加え、諸制度の改善を積極的に推進するとともに、当面、左記事項について特段の配慮を用い、速やかに措置すべきである。
    記
 一 抜本的な治水対策を確立し、特に急傾斜地、低地域等における中小河川、都市河川等の改修を計画的に促進すること。
 二 災害復旧事業は三ケ年以内に完了できるよう検討すること。
 三 緊急治山、緊急砂防事業については、予備費等の支出により大幅な促進を図ること。
 四 治山事業の工事に伴なう用地及び立木について、補償制度を確立すること。
 五 緊急治山、緊急砂防事業については、地方債の充当率及び元利償還金の交付税算入率を災害復旧事業と同様に取扱うこと。
 六 災害発生のおそれのある地域における宅地造成、建築物の建築等の行為について規制を強化するなど適切なる措置を講ずること。
 七 地すべり防止区域の指定については、実態に即して速やかに措置すること。
 八 樹園地の造成に当っては、防災上の見地から施設の整備について充分なる指導を行なうこと。
 九 農地復旧の反当復旧限度額の引上げについて速やかに措置すること。
 一〇 激甚災害法の適用をうけた小災害については、次年度においても起債を許可するよう措置するとともに、起債充当率の引上げを行なうこと。
 一一 災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償に関する現行の措置について、大幅に改善を行なうこと。
 一二 激甚災害法の適用に関する指定基準について、災害の実態に即するよう再検討を加え、整備拡充を図ること。
 一三 災害応急対策については、地方公共団体に対して実情に即した処置を実施せしめるよう指導するとともに、これに要した費用については、国による総合助成の方式を検討すること。
 以上であります。よろしくお願いいたします。
#58
○稻葉小委員長 それでは午前の会議はこの程度
 とし、午後は二時から再開することとし、暫時
 休憩いたします。
   午後一時五分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十二分開議
#59
○稻葉小委員長 休憩前に引き続き小委員会を開
 会いたします。
 新潟、山形地方の豪雨による被災者の集団移転問題について調査を進めます。
 これより懇談に入ります。
     ――――◇―――――
  〔午後二時十三分懇談に入る〕
  〔午後三時三十四分懇談を終わる〕
     ――――◇―――――
#60
○稻葉小委員長 懇談を終わります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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