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1949/04/27 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 逓信委員会 第5号
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1949/04/27 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 逓信委員会 第5号

#1
第005回国会 逓信委員会 第5号
昭和二十四年四月二十七日(水曜日)
   午前十時三十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○郵便法等の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
 (右案に関し証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大島定吉君) 只今から遞信委員会を開会いたします。郵便法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 最初に証人としておいでを願いました方々の御意見をお伺いいたしたいと思います。証人の方々に申上げますが、皆様時節柄非常に御多用のところおいでを願いまして誠に有難うございました。厚く御禮を申上げます。政府は今回郵便法等の一部を改正する法律案を提出いたしまして、郵便料金の一部を約五割程度引上げ、同時に郵便貯金、郵便爲替及び郵便振替貯金の一部をも引上げようとしておるようであります。本委員会はこれを審査中でありますが、このことは一般的に関心を有する重要な性質を有する案件でありますので、公聽会を開くことができるのでありますが、審議の都合上公聽会を開かずに、実質上これと同様の効果を收めるために各方面の方々の御意見を伺うことにしたのであります。公聽会でありますと皆様に公述人として御出席願い、宣誓などのこともなくしてお話を願うのでありますが、公聽会でないために、証人から証言を求めるという大変四角張つた且つ性質上似つかわしくない出頭を求めるとか宣誓などという行事がありまして、誠に恐縮でありますが、現在のところ事務手続上そういう形式を履まなければならないそうでありますから、どうぞ御了承をお願いいたします。只今から御意見をお伺いいたします。発言の順序はこちらで適当に定めましたので御了承願いたいと存じます。御意見は賛成、不賛成を明らかにし、且つその理由をお述べ頂きたいと思います。一部反対、一部賛成、或いはこの案には反対であるが、こうすれば、こういう結果になつて値上げはせずに済むのではないかというお考えをお持ちの方は、その辺もお話下されば大変結構と存じます。御一人の発言時間は、時間の関係上大体二十分以内にお願いいたしたいと思います。尚又委員諸君の証人に対する御質問は、御意見の御発表が終つてから後で一括してお願いいたしたいと思います。それではこれから御意見のお述べをお願いいたします。その前に宣誓書の朗讀をお願いいたします。
   [総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた]
    宣誓書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
       証人  有竹 修二
       証人  山口 寛治
       証人  景山 準吉
       証人  荒木光太郎
       証人  飯澤 章治
       証人  村本誠一郎
#3
○委員長(大島定吉君) 最初に有竹修二君にお願いいたします。
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#4
○証人(有竹修二君) 時事新報社の有竹でございます。先ず簡單に結論を申上げますが、今回のこの措置は大体においていたし方ないのではないかと思うのであります。実はもう少し早く、もう少し又多量の材料を頂きますれば、もう少し纏つた意見が申述べられるのでありますが、極くこの直前に材料を頂いたということと、この材料がもう少しいろいろな面について詳しいものがあつたらばと思うのであります。さようなわけで、至つて無難な証言でありますがお聞取り願います。
 先ずこの案が結論的に申しますと、大体私が賛成していいと申しました理由でございますが、それは言うまでもなく、いわゆる独立採算制という根本方針、基本方針に則つてできたものであろうと思うからであります。即ち近く通信事業が電氣通信事業と郵便事業に分離されて、郵政省と電氣通信省、二省に分れる。從つて從來我々が承知しておる通信事業特別会計の中から、電信、電話に関する事業が除かれて、電氣通信省の仕事となつて、別な会計に移される。從つて後に残された郵便事業が独立の会計として、いわゆる独立採算制が採られる。こういう根本方針によつて採られた措置であろうと思うからであります。即ち今までの通信事業の中で電話が非常に儲かつておる。その儲かつておる電話を持つて行かれて、後の郵便事業というものは非常に採算上今までの郵便料金で苦しくなるわけで上げるというわけであろうと思うのであります。それと、ここに材料がございます一般物價、東京の小買物價、卸買物價との比較を見ましても郵便物の料金は比較的安い。昭和八年を百とするところの指数に比較しまして、二十四年度一月現在の指数が卸買物價、小賣物價の騰貴率に比べまして郵便物の料金の騰貴率は遥かに低いということから申しましても一應肯けるのであります。從つて今日、今度の改定料金というものは先ずやむを得ないんじやないかと思うのであります。殊にその中で、上げ方を見ましても、一種を上げる、そうして郵便葉書を二円に据置かれたということは、とにかく皆が上る中に一つだけ葉書という簡單な郵便物を据置かれたということは非常に結構だと思います。ただ後程御意見が出るだろうと思いますが、この日刊紙でない非日刊紙、即ち旬刊とか週刊で出しておるところの新聞の郵税が上つております。これは後程第一新聞協会理事長飯澤章治君がこの点について意見を述べられると思ひますが、これも何とか一つ据置いて頂ければ結構だと思うのでありますが、先ず大体においてはいたし方がない措置であろうと思うのであります。ただそこで附加えて申上げますが、それだからと申しまして、先程申しましたが、物價と比較して、物價が上つたから料金もそれに連れて上げていいという考え方で、今後物價にスライドして、しよつちゆう通信料金の値上げをやられるということは困ると思うのであります。いろいろ解釈はありましようが、郵便料金というものは一体物の値段、價格であるかどうかということなんです。これは昔、意見がございまして、学者的な意見が出たことがあります。郵便料金は物價であるか、それから手数料であるか、税金であるかという議論が経済学者の間にあつたのであります。郵税というような言葉がありますから、税金だということも言えるわけであります。即ち官業でやつているのだから手数料だという見方もある、併し又一つのサービスに対するプライス、値段であるという考え方もある。そういつたような議論がありましたが、そうやかましく分析的に考えなくても、官営で而も独占的事業でやつておられるということでありますと、これは普通の物價と同じように考えるということは困るのであります。從つて物價が上つたから、それにスライドして通信料金もどんどん上げていいということにはならないのであります。実際これは個人におきましては、個人の郵便利用率というものは非常に少くて、ここに第八表に出ておりますが、通常郵便物を利用する率は一年間にたつた十通、その金額が二十三円になつておりますから、これを幾ら上げたつて、個人がそれによつて受ける影響というものは非常に少いのであります。從つて鉄道運賃などと違つて非常に手軽に上げても、大衆負担を増すというような反対は出ないように思われるわけでありますが、この値上げによる被害を受けるのは個人ではなくて、多くの場合法人であります。銀行、会社、保險会社、殊に保險会社ねそれからいろいろな法人、これは多量に郵便物を使う。從つて極く些細と雖も、その單價の値上がりは非常な影響を受けるのです。私は或る団体に関係しておりますが、そこで時々講演会を開く、日の講演会を開くから聞きに來て呉れということを会員に通達する、郵便を以てするのでありますが、二千人会員がおりますから、それに葉書を出しますと二円で以て四千円かかる、それが一円上がりますとすでに二千円負担を増す。そういう文化団体でございますから、それほど多分の收入がないのでありますから、その郵便料金の負担というものは非常に大きいのであります。そういうわけで、法人というものはこの郵便料金の値上げというものに非常に影響を受ける、それから大きな量を持つているところの官業というものについて値上がるということは、非常に一般物價に刺戟を与える、郵便料金が上つた、國鉄の運賃も上つたということで、物價を引上げるという傾向を増すということは又当然であります。そういう意味から申しまして、今後議会があります度毎に郵便料金の値上げの法律案が出るということは非常に困るのじやないか、何とかこの点よろしくやつて、そう縷々上らないということに願いたいのでございます。それには、今までの電信、電話、郵便、全部一括した通信事業特別会計で、プラス・マイナスをうまく調節して行くという、今までの通信事業全体のプール計算のやり方というものが非常によかつたのでありますが、今日それを分けて独立採算制で行くということになつた以上、この通信事業の運営というものは非常にむずかしくなるのであります。この間衆議院のこの法案に関するやはり参考人を呼んでの会の場合に、或る民自党の議員の方が言われるのに、曾つて通信事業の中で、郵便はプラス勘定であつた、從つて今後通信事業だけが独立採算制になつても、必ずしも赤字ばかりを続けるものでもない、やりようによつてはプラス、黒字勘定にでき得るのじやなかということを言われましたが、確かに昔はプラスであつた。昔は、ここに景山氏がおりますからよく御承知と思いますが、遞信省の個々の会計の中で郵便物がプラスであつたことがあるのであります。併し島は昔と時勢が変つております。果たして郵便物だけの特別会計でプラス勘定を維持できるかどうか非常に困難であろうと思います。そのことを成否如何は一に掛かつて労務管理にあるのであります。つまり端的に申しますと、いわゆる全遞の皆さんとの協力よろしきを得る、そうして適正な労務行政が行われるということが、今後のこの郵便事業特別会計の將來に独立採算制を確保する一番大きなファクターではないか、かように考えるのであります。そういう意見でございます。大体において本法に賛成でございます。以上であります。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(大島定吉君) 次に山口寛治君にお願いいたします。
#6
○証人(山口寛治君) 全遞の副委員長をしておる山口であります。今回提案されました郵便法等の一部を改正する法律案につきましては、これは絶對反対の意見を表明したいと思います。理由として申上げたいことは、御承知の通り通信事業というものの公共性、普遍性、文化性に鑑みましても、終戰後四回にわたつて……今回値上げになれば四回になりますが、四回にわたつて値上げされておるということであります。從つてこういう点を考えてみますと、一体通信事業というものは特別会計又独立採算制によつて事業の運営ができるものであるかどうかということについては、私は非常に疑念を持つものであります。我々は戰争前にもそういう考えを持つておつたのでありますが、大体通信事業というものの公共性、普遍性から見て、独立採算制というようなものは採るべきではない。こういうような我々の日常生活と密接に関係のある運輸通信というようなもの、特に通信関係におきましては、これは何人がやつても非常にたやすく、而も安い料金で利用できるようにしなければならない、こういうように我々は考えておつた次第であります。これは御承知の通り通信が我が國の神経系統と言われるようなものであります。この神経系統の如何によつては文化が左右されるというような重大な事業であります。そこで、これは國家が経営しておるのでありまして、そういう意味からしましても、むしろ若しこれをやるならば一般会計でやるべきである、殊に現在のように國防というものが全然なくなつた今日、運輸、通信というものは、私は率直に申上げまして、曾つてあつた陸軍、海軍に代るべきものである、殊にあらゆる平和産業の基礎産業である運輸、通信をどうしてもこれを立派に建設して行かなければいけない、そうでなければ日本の経済の再建も或いは産業の復興もあり得ないという観点からいたしましても、これは私は特別会計は採るべきではない、勿論独立採算制を採るべきじやない、こういう点において、十分今まで海軍や陸軍、こういうような方面に莫大な國費を使つたものをこの運輸、通信に注ぎ込んで、そうしてこの基本産業であるところの運輸、通信をうんと復興さすことによつて、日本の経済再建、或いは産業の復興ができ得るのだという考えを我々は今でも持つておるわけであります。從つて無理をして特別会計にし、而も独立採算制を採ろうとするから、殊に郵便事業なんかに至つては、その公共性、普遍性の性質からしてやれないものを無理に独立採算制でやろうとするところに、やはり今回のように五十億円というような赤字が出た、その五十億円を埋めるために結局五割内外の郵便料金を値上げしなければいかんというようなことは、今でさえ御承知の通り本年度の予算の八〇%というものは國民大衆から收奪したところのものである、そういうような、すべてが国民大衆のものから收奪された予算の中に、尚郵便料金の値上げによつて拍車をかけるようなことをすれば、一般国民大衆の生活というようなものでありましようか。これはあらゆるものに対して大きな影響を持つわけでありまして、ますますインフレを高進するような状態になりまして、政府が考えておるように、これによつて我が国の経済的自給体制を速かに確立するというようなことに私はならないと思います。むしろ破壊々々となるような状態が私は起るのじやないかと思います。そういう点からいたしましても、又飜つて我々が戰前全、通信從業員であつた状態のことを考えてみますと、大体この通信事業が特別会計になつたのは昭和七年のあの満州事変の勃発した当時のことだつたと思います。そうして昭和八年に満州に我が国が進出したときに満州電信電話株式会社というものができた筈であります。そのときに、これは半官半民の経営でありまして、遞信省からその四〇何パーセントの出資をしておるのであります。そうして、ここで侵略的なもの、或いは独占制というものがこの通信事業に打立てられたということになります。昭和九年から特別会計が実施された、それから後、昭和十二年以後はこの国防体制を確立するために、遞信省では約八千二百万円の一般会計への繰入れをやつておるのであります。それが、いつまで続いたかと申しますと、これは昭和十八年まで一般会計に繰入れられていたのであります。その間、從業員の生活状態はどうかと申しますと、全く安い賃金で労働を強いられておる、その設備なんかに至つてはお話にならないような状態であつたのであります。それが故に結核患者も相当多数できる、尚、非常に安い賃金で、食つて行けないから、折角遞信講習所とか或いは官吏練習所というようなところで立派な人間を養成しても長くおらない、どんどん外の方へ去つて行くという、そうして又新規に子弟を入れて教育するというような、非常に不経済のやり方をしておつたのであります。こういうふうにして、その当時の八千二百万円を現在の價格に直しますと六十億から七十億になると思うのでありますが、それだけのものを昭和十年から十八年に一般会計に繰入れておつた、その間、遞信從業員は安い賃金で、而も局内の設備といい、労働その他については非常に恵まれない状態に置かれた。ところがその後、戰爭によつて通信事業そのものが全般的に荒廃し切つておるというような状態におきまして、これをできないものを要するに独立採算制でやろうとするから、やはり收支が相償わない。こういう点から考えまして、私はこの通信事業特別会計、或いは独立採算制によつてこれ強行するというようなことは、而もそれを一般会計から繰入れないで零細な郵便料金を値上げすることによつて、これをやらうということは私は非常に矛盾があると思います。大体、電信や電話の料金を、或いは電話規則によつて決められておりますが、郵便料金を郵便法で決めるということは、これは非常に意義があるのでありまして、こういうようなときに政府の権力によつて郵便料をどんどん値上げするようなことになつては、一般國民大衆に大きな影響を与えるということからして、例えば郵便料金に関する限りは郵便法で決める、こういうことになつておることは御承知のことと思います。從つて我々はあらゆる観点から行きましてもこれは絶対反対だ。これがために一般大衆生活、或いは経済復興、或いは産業復興に大きな影響を与えて、むしろ建設や復興でなくて、これは破壊に導くことになるという意味からいたしましても、私は絶対に反対を表明したいと思います。非常に簡單でありますが、これで一応終ります。
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#7
○委員長(大島定吉君) 次は景山準吉君にお願いいたします。
#8
○證人(景山準吉君) 私、藤化成株式会社の景山でございます。
 私は今度の値上案げに対しまして、万止むを得ないから賛成いたします。決して双手を挙げて賛成するんではなくして、止むを得ないから賛成する次第であります。その理由を若干申述べようと思います。只今山口君からいろいろ通信事業というものの本質につきましてお話がありました。それには觸れないで置こうと思いますが、今日の……從來でもそうでありますが、特に今日にオキマシテ一つの事業をつて置く上において、会計を拵える、これは当然のことだと思います。併しながら特別の会計を拵えておるということが、同時に独立採算制で行かなければならないものかどうか、その点については疑問を持つております。それは専賣局の從來のような特別会計の如く、盆金を出すのを目的としておるのもありましようし、又社会保險事業の多くの特別会計のように、その事務費を政府の方で負担するということを明らかにしておる特別会計もあるのであります。通信事業におきましては、どういうものであるかということを考えますと、これは非常に行政的な色彩の多い事業である、事業ではありますが、行政的な色彩が多いものであると私は思つております。それが証拠に、この度の郵便料金の改正におきましても、「葉書」というものにつきましては据置いておる。これは何であるか。政治の面から行きまして独占事業が縱横に權力を振う、威力を振うということのできる独占事業におきまして、今度「はがき」において一つの國民に逃道を与えておる。「はがき」の方は安くして置きますから、できるだけ「はがき」の方にお逃げなさい、場合によつてはそういうことができますということをやつておる。これは取りも直さず行政面の現われであると思います。政治の現われであります。さもなければ年々数十億を使う「はがき」の料金を上げれば非常に收入が多くなるのでありますが、それを敢えてしていない。そういう意味から行きましても、郵便事業というものは一つの事業ではありますが、行政的な色彩を非常に帶びておる、將來のことはどうか分りませんが、今日までこの外交と裁判と郵便と、この三つにおきましては、これは株式会社というものは成立しないのであります。どこの國へ行きましても、外交の株式会社はない。裁判の株式会社もない。又郵便株式会社というものも拵えることができない。將來は知りませんが、現在ではできないのであります。と申しますのは、結局郵便事業というものは、事業ではありますが、非常に行政的な色彩を帶びておる。從つて事業でありますから、たとえ特別会計を設けましても、必ず独立採算でやつて行かなければならんという性質のものではなくして、國庫が或る程度の保護をなすべきものだと私は思うのであります。それが証拠には、前回郵便と電信電話を併せまして、通信料金の値上げを敢行したのであります。然るに、將來のことは私は知りませんが、今回は、少なくとも、今日までは、電信電話の料金値上げは出ていないのであります。巨大な設備、多年に亘りまして政府が巨額な金を注ぎ込みまして、設備を拵えた電信電話においては、今日その設備が物を言つて來ておる。電信電話のサービスがいいか悪いか、これは別でありますが、確かに物を言つて來ておる。ところが郵便の方においては、これはそういう工合のものでないから、沢山の金を注ぎ込んで來ていない。注ぎ込み得る性質のものではない。從つてこういう性質になれば、どうしても郵便の方に赤が出なければならない。前回あの料金を引上げられました時に、こういうことが予想されたのであります。あの時には電信と電話と郵便との料金の内容を區別して示して貰いたかつた。又その支出を区別して貰いたいと思つておつたのであります。そういう資料を頂戴できなかつた。全体の感じといたしまして、電信電話はやつて行けるであろう。電話は少くとも電信の損失をカバーできるであろう。ところが郵便はそういうことをできるものではない。國庫の方で相当の負担をなすべきものであると、こう思つておつたのであります。今日でも私はこういう意見を持つておるのであります。從つて今日のような諸般の情勢から見まして、独立採算制を郵便事業は採らなければならんということそれ自体に疑問を勿論持つておるのでありますが、現在においては、これを引上げることは止むを得ないが、將來においては、郵便というものはどういう性質であるかということをとくと当務者はお考えになつて、平素から十分に関係の方面に折衝なされまして、そうして今後は料金の引上げの方に郵便事業の收支の不足を持つて行くということはお止めになりまして、一般会計からの補助を貰えるようになさるべきだと思います。尚、特別会計に触れましたから、ちよつとさつきの山口君のお話に触れて申しますが、遞信省が昭和九年に特別会計を拵えましたのは、政府に巻き上げられる、政府の方に出す金を殖やすためにしたのではないのであります。当時昭和八年の遞信省設備費といたしましては、僅かに私の記憶では宮崎縣の郵便局を直すための十五万円ぐらいの新営費だけしか持つていなかつたのであります。日本に非常に沢山の電信電話局を持つておる遞信省が、たつた十五万円で、その年の建物を直して行く、拵えて行くというような悲惨な状況であつたのであります。そうして年年料金の値上げと、行政整理に伴いまして、差額が出る。その出た差額は結局國庫の方で取上げておつたのであります。こういうことで、このまま続けて行けば、遞信省の事業は破滅するより外はないというので、特別会計を設けたのでありまして、その結果、どういう工合に戰爭中にしていたかということは、私おりませんでしたので存じませんですが、元の起りは、政府の奉仕するためでなく、一般会計に取上げられる、その取上げられる額を如何にして少くするかというので、八千二百万円ということで手を打つたのであります。その数年間は收入が増加しましたので、政府に納付いたします額は、比率といたしましてぐんと減つて來ておる筈であります。これは余談でありますから繰返しません。それから止むを得す賛成する点の一つでありますが、これはすでに有竹君のおつしやいましたように、他の物價との関係から見まして、先ずそれ程ひどくはなかろうと思われます。それからこれは結局、國民一人々々の負担という点におきましては、有竹君のおつしやいますように、大した負担にはならないと思います。一人当り三十何円という数字をここに頂載いたしておりますが、現在までは三十九円四十八銭というのが國民一人当りの負担であります。このたびは四割七分五厘の値上げでありますが、これを極く大ざつぱ推算いたしますと、十七圓ばかり上るのであります。合計五十何円、六十円足らずのものでありますから、先ずピース一個、一年間の國民一人当りの総額というものは、ピース一個に当らないという点から見まして、それ程國民一人々々に影響はないという点で賛成するのであります。併しながら、これも有竹君のお説の通り、会社なりが受ける負担は、これは相当な額に上ると思います。それと同時に、これも有竹君のおつしやつたように、郵便料が上るとか、或いは國鉄の料金が上るということが、どうしても物價が上るという方に、一つの大きな、金額は別ですが、心理的に大きな影響を与えますから、私としてはこの際むしろ引下げて貰いたかつたくらいであります。併し全体に亘り、國民一人の負担はそう大きくない。事業を行うところには大きな負担がありますが、國民一人々々の生活にはピース一個ということになろうかと思うのあります。それから私はこの案に対しまして止むを得ず賛成したのでありますが、尚一、二希望を將來のために申上げておきたいと思うのであります。それは將來は郵政省ですか、それから今度できます電氣通信省というものが、一つの役所になつた。從つて計画をして行く人は、意識的に考えていないといたしましても、今までは郵便の者が郵便の計画をする場合に、電信のことも考えたと思います。又電信の人が考える場合においても、郵便のことが頭にあつたと思います。その一例として、速達というものがあるが、あれも元々は電報配達を利用して速達をやつて行こうということによつて生れたと思います。つまり通信という大きな見地から見まして、この内容は違つておりましたが、郵便の方或いは電氣通信の方がお互いに若干の関連事項を持つて來た。それが將來分れるということになると、全然そういうことが頭の中にないと思います。そうすると、全体の通信料金というものについて不均一でありますから、今後二つの省に分かれても、両方の計画をする方には、十分に平素から御連絡を取つてお考え願いたいと思います。先程申しましたように、去年上げました電信電話料金は、今度は、今のところは揚げて行かないが、郵便を上げなければならんという点においても、それが一つの負担をしなければならん問題も、計画の上においてお考えを願つて置きたいと思います。
 第二に、先程委員長から縷々お述べになつたのでありますが、ここで速急にこういうことを述べるということにつきましては、甚だ困ると思います。私幸いに、むかし、遞信省に御厄介になつておつたのでありますが、大分前でありますが、平素私らこの方面の新聞記事に注意しておりますからいいのでありますが、それでない方から見まして、急にこういうことを言われても実は困る。同時に今日の新聞で見ますと、すでに衆議院を通過いたしまして、五月一日から遞信省の方で実施なさるということが書いてある。そうなると、これを我々が今申上げたところで、將來の御参考にはなるでしようが、非常に何となく、これを申上げて置きながら、はつきりしない点があります。こういうことから考えますと、郵便事業の当局におきまして、平素からもつと早くから、こうしなければならん、そうして葉書の方はこうだ、速達はこうだ、書留はこうだ、小包はこれで行くというふうなことを、もう少し早くから一般の利用者の意見をお聽きになつて、そうして意見をお聽きになつてから、國会の方へお出しになるとか、或いは國会の方で御審議になるといたしますれば、平素も委員会があるから、もつと早くから委員会の方で御相談になり、そうして証人の方ももつと早くお呼び下さい。それから後にむしろ案をお決め頂いた方がいいんではないかと考えます。こういう工合に、結論といたしまして、万止むを得ないから賛成いたしますが、併し通信料金の、郵便事業の本質から申しまして、一般会計から將來は繰入れて貰うようになさつて、独立採算制というものを強く堅持するという考え方はお捨てになつた方がよろしいということを申上げ、尚且つ將來分かれまする電氣通信省との間に十分御連絡を願いまして、総合的に國民に通信の利用をさせて頂きたいということと、そうして、こういう場合にはもつと早くから一般の本当に使つておる人々の意見を聽いて頂いて、そうして反映させて貰うようにして頂きたい。こういうことでございます。
  ―――――――――――――
#9
○委員長(大島定吉君) 次に荒木君にお願いいたします。
#10
○證人(荒木光太郎君) すでにいろいろ御意見が出たことと存じますが、一応私の考えを述べさせて頂きたいと存じます。今回の値上げの理由を拜見いたしますと、通信事業は終戰の年以來いろいろの経営難になつて、そのために赤字に苦しんでおつた。そこで能率増進とか或いは経費の節約をやつておつたのであるが、それでも依然とし赤字が出て來る。そこで赤字に対して借入金とか或いは数回の料金値上げをやつて見たが、尚不足である。結局一般会計から補てんすることになつた。併し二十四年度の予算編成に当つては、日本の経済的自給体制を確保するため、又特に独立採算制を確保する必要があるので、極度の経費を節減をしたが、五十億というものが足りないから、そこで値上げをするのだ、こういうようにして收支の均衡を得ようというのが理由のように考えるのでありますが、結局この値上げの要旨というものは、本來の建前であるところの独立採算制というものの確保にあるということであると拜見したのであります。併し私はこの問題を取扱うのに、やはり公共事業である通信事業の料金の値上げというものは、二つの見地からものを見て行かなければならんと考えます。その第一は、申すまでもなく公共的のいわゆる企業である、こういう見地から一つ見て行かなければならんと思います。即ちそういう場合に、公共事業であるところの郵便料金の値上げということをやつた場合に、どういうような影響があるか。直接的に考えますならば、各家庭における生計費に響いて来るということは、これは勿論であります。殊に今回の値上げというものは、当局のお考えになつておる如く、大衆的の負担というものを避けるために葉書の値段というものを上げない、即ちこれは通信事業の公共性ということを考えて、かようにお取計らいになつたのであると思います。つまり葉書については値上げをしないが、それ以外のものについては値を上げて行こう、こういうことであります。併しこの場合に考えなければならないことは、郵便というものを一つの公共……廣い意味において経済交通の一環であつて、或いはお話も出たかと存じますが、鉄道、運輸というものと併せて考えて行かなければならんと思うのであります。換言して申すならば、相手方に用向きを知らせるのに、交通機関によつて行くか、或いは郵便通信によつてそれを向うに到達させるか、ここに二つの問題があろうと考えます。この場合には、今日交通機関は非常に混雜しておるし、又その時間的な問題も考えなければなりませんから、そこで一般大衆にのこ殘された問題というものは、……、結局一つの方法というものは郵便によつてやつて行く、通信機関によるということが殘された途と私は考えます。從つて値上げというものは、この点から十分に考慮をせられなければならないと思います。或いは生計費に対する影響は、通信の度数を減らせばいいのではないかというようなお話も出るでありましよう。併しこれは先程もお話が出たと思いますが、大体各家庭におけるところの通信というものは最小の限度があると私は考えます。それ以上には減らし得ない、少なくともそれだけの、日常生活に必要な通信の度数というものが考えられると思います。これは経済の複雜化に伴つてますます度数というものは増して行くと私は考えるのであります。從つてこの点から、値上げは、その節約によつて生計費に対する影響というものを調和して行つたらどうかということは……、一概にはそれだけを以てこの影響なしということは言えないと思うのであります。又、一方この通信の値上げをする上において、できるだけしないようにしたい。又上げるならば僅かに上げるようにしたいということを申上げる。只今申しました理由によりまして、鉄道或いは運輸の方を是認しておいて、片方の通信の犠牲においてこれを調和して行こうという考えであるかも知れませんが、これはひとり通信機関のみならず、交通の方面にも同様なことがいえるのであつて、私は決して通信の犠牲において鉄道の方の値上げを是認しておるものではありません。從つてこの意味から申すならば、値上げというものは、でき得る限り交通機関と通信機関の兩者もよく並べて考えて、先程から電話とか或いは郵便とか、兩者を考えろというお話でありますが、御尢もであつて、私は鉄道或いは運輸の方面と通信というものは両方併せて考えて、それの社会的又経済的な関係というものを考慮して、この値段ということをお決めになるべきであろうと思うのであります。こういうような見地から考えますと、葉書は上げない、併し封書は上げる、封書の方は六割上げるというような法案でありますが、この間の果して区別をつける理由があるのかということは私は非常に疑問視しております。と申しますのは、葉書と封書というものは、それだけの間に六割上げる理由があるかということを考えてみましても、葉書というものは封書に比べますと非常に短い、それから封もしないで外に出す、開封のままで内容がさらけ出してある、一定のスペースで、限りがありますから、或る程度以上には書けない、これだけの違いであつて、封書との違いというものは封がしておるかどうかという問題である、こういうふうに長所の問題、長くなれば目方がかかり、余計料金がかかるのですから、これは別問題であつて、結局ただ問題は封がしてあるかどうかの問題であります。殊に今日においては、封書を出すときには、封筒も非常に昔より高くなつて一枚十銭とか十五銭かかる。又そうして中に使うところの紙というものも昔のごとく安くできないものでありますから、從つて封書を出すということは相当に各自の負担になつております。そこへ持つて行つて、更にこれの六割上げというものは、……葉書はむしろ紙は政府持ちであつて、そうしてそれ以外に更に向うに届けて呉れる料金が入るというのですから、この点から言えば、むしろ葉書の方も同様に少しの値上げをしても、封書の方の値上げをできるだけ下げた方が一般の負担から言えば私はいいのじやないかと思う。封書の方をそのままにしておいて葉書の方を上げろと言つても困ると思いますから、兩者の負担を均分にして、葉書も上げる、そうして封書の負担を軽くして頂いた方が私は大衆的じやないかと考えるのであります。この葉書は、一体内容から言つてどういうようなことをやつておるかといえば、これはむしろ内容から言つてもそう大した重要なことでなくて、実際の必要なことは皆封書でやるということから言うならば、大衆の特に必要なのは封書であると言つた方が正しいと思います。実際の時候見舞とか、儀禮的なものとか、新年の挨拶状というものは葉書でありますが、やはり実際のことになれば封書の問題になると思います。その意味から言つて、大衆ということを掲げて葉書を上げないというのならば、その意味から言えばむしろ私は封書の方にその考え方を持つて頂きたいというような考えを持つております。それから間接的な方面に、公共事業としての値上げの間接的な一つの影響として考えますことは、これは先程もお話がございました一般的物價への影響であります。これも成る程ごく僅かであつて物價の影響というものは殆んどないと言つてもいいかと思いますが、併しこれは一般大衆の氣持、人々の氣持というものを考えて見なくてはならないのであります。例えば少し上つても、政府がものを上げるということは、やはり今日のデイスインフレーションのときに、一方において値上げをするということはちよつと逆行したような形になります。そこで昨晩もラジオを聞いておりますと、街頭録音で政府が通信料の値上げをするということは、これはどういうわけか、そのために、きつと物價が上るというようなことを録音で言つておりましたが、こういうようなことは、やはり現実の、本当の理由がなくても、一般に与える氣持ちから物の値段というものは勿論上つて來るのでありますから、こらの影響というものも、やはり忘れてはならない問題であろうと思います。又更に社会的な方面の間接的な問題でありますが、社会的方面の影響を見ても、やはりこれは、いわゆる労務者、或いは俸給生活者というものに対する負担というものが、やはりそれだけ殖えて來るのであります。つまり一定の収入者という者の負担はそれだけ殖えることになります。又第三としては、商業取引上の影響というものも考えて見なければなりません。これは大企業よりも、むしろ中小の企業の方面にその影響というものが強く出て來る、いわゆる手紙を出すにしても、百万円の取引の手紙も、百円、二百円の取引の手紙も、これは同様なものでありますので、そういう点から言うならば、取引の小さいもの程負担が大になつて來るということは当然考えなければならないのでありますから、從つて通信の公共性というところから考えますというと、値上げというものは、できるだけ限度を小さくして、最小限度においてこれをなすべきであろうと考えるのであります。併し私はここにもう一つ第二の見方というものを、この値上げの場合には考えて見なければならないと思いますが、それは経済企業体としての一つの通信というものを考えて見なきやならん。先程も一番最初に申上げました値上げの理由として、独立採算制を確保するためにというようなことがあります。でありますが、通信会計の赤字を値上げよつて補てんして行こうという、こういうようなことが目的であるようでありますが、一体この通信事業というものは、これは官廳でなされておりますが、併しこれは普通の官廳と非常に違いがあるのであつて、一般官廳というものが行政官廳であるとするならば、いわゆる、この通信官廳は運輸と同様に一つの、何と申しますか企業官廳である、仕事をしておる、事業をしておるところの官廳である、この一点において他と区別さるべきものであります。又第二の点は、一般官廳が権力行使の一つの官廳である、機関であるに対して、通信官廳というものは運輸と同様に経済企業体の形をなしておるものであります。経済企業体としての特色というものを持つておるものであります。又第三としては、從つてこの一般行政官廳の会計というものは、与えられた予算をどう使うかという、消費会計である。でありまするに対して、通信官廳は一つの企業会計であるべきであろうと思うのであります。その性質を十分に持つべきであろうと思います。又從つて第四としては、経理面からこれを見ますならば、一般官廳が確定收入である、租税によつて運営がなされるのに対して、通信官廳というものは不確定收入、つまり通信收入というものに基礎を置いている。例えば景氣、不景氣によつてその収入が余計になつたり或いは少なくなつたりするというような点において、経理面におきましても、会計面においても、又行政面においても、それぞれ皆違う、一般のものと違うのであります。これらの特性がありますが故に独立採算制ということが言われておるのであつて、それがその理由であろうと思うのであります。一つの企業体として独立採算制をやることによつて、この企業体としての運営が最も合理的に且つ経濟的になされるというところが、これがいわゆる独立採算制の目的であろうと思うのであります。それで、その結果、いわゆる收支の均衡というものもなされているので、收支の均沼をするために、いわゆる独立採算制をするというのであつて、收支の均衡をすることによつて独立採算制を確保して行こうというのは私は逆になるものではないかと思うのであります。この点において理由は少しく私にとつては合点が行かないと思うのであります。従つて値上げをするということは独立採算制を目的としておられるようでありますが、それはむしろ経済企業体として能率の向上、そうして、それによつて企業の合理的な経済的な運営をするのに値上が必要である、そうなれば合理的な経営ができて、そうして、そのために独立採算制というものも目的を達する、こういうように考うべきものではないかと思うのであります。若し單に收支の均衡を得ようというならば、これは收入を増加させる意味において値上をし、それから他方において支出減をするために、いわゆる冗費の節約とか或は人員整理というようなことで辻褄が合う。極めて簡單なことでありますが、通信元來のいわゆる公共性ということから考えますと、独立採算制をとるゆえんからして、私は企業の合理的、経済的運営の改善を念頭に置いて、そうしてこの値上というものを考えて行かなきやならん。独立採算制を維持するがための收支の均衡であるということはむしろ逆に私は考えておるものであります。從つて例えば企業体として考えるなら、鉄道と同じように、毎日窓口からその日の金が入つて來るというような場合に、その金を例えば金融的に或いは銀行的にこれを管理して行くということによつて、必ずしも値上を或程度までしなくても、それによる利益によつて、これを補てんして行くこともできようと思います。でありますから、この独立採算制ということは、單に收支の均衡ということではなくて、企業体としての性質を持つておるために、ここに独立採算制という考え方が出て來ておるのでありますから、その目的を達するためには、企業体としての合理的、経済的な運営をするために必要なことであるということによつて、値上というものが初めて是認されなければならないと思います。この点について考えるなら、ただ收支の均衡を急ぐために忘れられたそういうような問題が私はあると思いますので、その点を御考慮あつて、初めてこの値上の問題が一般的に是認され納得され得る問題となると思います。或は皆さんのお話と重複しておるかも存じませんが、私の考えを申上げて御参考に供する次第であります。
#11
○委員長(大島定吉君) 委員の皆様に申上げます。荒木さんは約束の時間で中座されるように承つておりますので、この際御質問がありましたら荒木氏の分だけ願います。……別段御質疑もないようでありますが、次は飯澤章治君にお願いいたします。
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#12
○証人(飯澤章治君) 私は第一新聞協会理事長の飯澤であります。一昨日衆議院の同様の委員会におきまして、或る委員の方から、私に個人としての意味を賛成か反対かということについて御質問がありましたのですが、その場合、私の個人の意見としては、はつきりしておりましたけれども、この席上に私が罷り出るようなことに相成つたのは、郵便料金の改正案に対しまして各方面にいろいろ修正の陳情や何かをやつたというような関係から第一新聞協会の代表者の意見として申述べるということについてお招きにあずかつたのだろうと存じまして、本日申上げますことも大体我々の所属しております第一新聞協会を代表した意見としてお聽取りを願いたいと思います。
 結論を申しますと、大体において、或る一部分を除きました外は、止むを得ないものではないか、つまり賛成をするものでありますが、後程申しますように、我々の希望しております希望條件というものを申述べまして、その点をでき得べくん修正なり或いは据置きして頂く條件を附しまして、この案に大体賛成をする者であります。今回の郵便料金の改正は大体において平均の値上がりが四割七分五厘というふうになつておりますが、私共第一新聞協会に所存する者が先般集まりましていろいろこの問題について協議したわけでありますが、その席上、主として行われた意見は、政府がこの度の予算並びにいろいろの法律案を実行する上におきましては、國民経済の上に非常に大きな圧迫が來る、そうしてそこにおいて、たとえ低料であると雖も官業が一般物價値上りの先駆となるというようなことをやるということは差控えるべきだという意見が圧倒的に多かつたのであります。而して我々がなぜ非日刊新聞として、この郵便料金の全般ではありませんが第三種郵便物についてだけに限つた話ですが、これに反対して、できるだけ据置きして貰いたいという一つの考え方といたしましては、今の日刊新聞と非日刊新聞と区別いたしますと、普通の新聞全体全國に網目のごとく張られておりますところの配給に依存しておりまして、大体第三種用として郵便に依存する面というのは低率であります。我々の調べたところによりますと、大体二・二%というものが郵送に依存しておりまして、あとの九七%以上のものは全部配給所に依存しておるという形であります。ところがこの非日刊新聞というのは、御承知の通り一般新聞のスペースが非常に少い関係から、専門的の点になりますと余り深く報道されておらない、そういう点から、教育の面であるとか、いろいろ纖維の面であるとか、木材の面であるとか、そういういろいろの専門的の見地に立つた新聞は大分包含されております。政党ノ機関紙等もその中に入つておりますけれども、そういう新聞が若し假りに、ここで郵送料金を値上げされるということになるなると、どういうことになるかというと、一般新聞と異りまして、七八%ぐらいを郵送に依存しておるという形になつて参ります。一般新聞におきましては、大体定價を構成する上におきまして、郵送料というものが、そう考慮されておらないのでありますけれども、非日刊の新聞が多くは半年或いは一年の前納によつて、賄つておりますし、そうした定價を構成する上におきましては、大体郵送に依存するという関係からいたしまして、読者の方から一年分の郵送料徴收しておるということになります。從いまして月四回或いは、十五、六回ぐらいまで発送するものがありますけれども、それによりましては、一年の読者にかける負担がというものは五十円乃至八十円ぐらいの定價を上げなければ郵送料が出て来ないというようなことになりまして、非常な影響を被むるのであります。私共も新聞の持つ事業が社会教育的の面を持つておることは余り声を大きくして申上げませんけれども、併しこの郵便料を見ましても、第三種、第四種、第五種というものは、文化なり産業を助長するという意味において、非常に料金を低率にしておるということから考えましても、できるだけそういう意味から低率にて頂きたい、こう考えておるのでありますが、今回の改正を見ましても、第三種郵便物に新聞の如きは、改正の率が非常に高い。殊に新聞の如きは、平均四割七分五厘でありますけれども、六割の値上になつておるというような状態でありまして、非常に負担が重くなつておりまして、新聞社でこんなものを負担しなくても、これは読者に轉嫁されるからして、そんなことを言う必要はないじやないかという議論も出て來るかも知れませんけれども、我々は今國民の家庭経済というものが非常に苦しいのでありますから、一月一日にとる場合と違いまして、一年くらいずつを前納して貰うという関係からいたしまして、どうしても余り痛い負担をかけたくないというのが我々の常日頃考えておることでございまして、是非こうした点について若干の親心を示して頂きたいということが私共の主張なんであります。この度の全般的の改正におきましては、全部上つたのではなくして、第四種の通信教育の面につきましては、第三種並みに大体扱つております。これは通信教育というものが、非常に、地方において学校へ行くことのできない子弟に対して講義録その他を送りまして、通信教育をするという教育の民主化という点から行きまして、当然重大な問題でありますからして、この点を非常に親心を示して頂いて、第四種の現在四円になつておるものをむしろ三円に値下げしまして、第三種並みに扱つておることに対しまして、私共非常に文化的の仕事をやつております者からいたしまして、非常にこれはこの全部の改正案の中で私はヒツトであると考えておりますけれども、更に我々はこの方針を挿し推し拡げまして、第三種の非日刊新聞、この第三種の非日刊新聞というものの中にはいろいろ闇の紙を買つたり何かしておる新聞もありまして、これも第三種として遞信大臣が認定いたしますれば第三種の指定を受けるのでありますけれども、我々の協会に入つておるものは、政府の用紙割当委員会から正当の配給を受けたものでありますから、できるだけこういう力の弱い新聞を育成強化していただくという意味からいたしましても、この第三種郵便物というものを何とか据置き願えれば非常に我々は幸せと考えまして、そういう点を若し御修正願えればというように考えておりまするけれども、もうすでに衆議院でも通過いたしておりますし、將來の問題としてとり上げることができるかも知れませんが、現実の問題としてなかなかむつかしいことじやないかと考えておりますけれども、どうぞ我々の新聞に所属する者の伊のるところをお汲みとり下さいまして、將來かような場合が起つた時において十分御考慮を願いたいと存じておる次第であります。
#13
○委員長(大島定吉君) 有難うございました。次に村本誠一郎君にお願いしたいと思います。
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#14
○証人(村本誠一郎君) 村本でございます。職業は会社員であります。長らく経理事務を担当しております。
 今次郵便料金の値上げに関しましては、私個人といたしましては、賛成であります。その理由といたしますのは、第一に経済九原則の達成と独立採算制の立場から、國民の一人といたしまして、その成果盛夏の一日も早からんことを念願しております。又民主國家の一員として痛切な義務とを感ずる者であります。先程いろいろお話がございましたが、独立採算制のことでございますが、通信事業も一企業体として、何ら変るところはないと思います。從いまして、この経費はおのおのその利用者において負担することが当然なことだと存じております。独立採算制につきまして、從來一般会計に依存しておりましたが、やはりそれは一企業の收支で償わなければならないと思つております。例えば先程もお話がありましたが、電信電話において余剰を郵便事業に廻すというようなこともございますが、その余剰は電信電話の料金を値下げする方法において、十分その目的を達することができると思います。前回の値上において、郵種により低位に止つたものが少くないように感じておるのでありますが、分けて、書状においては、卸賣物價指数よりも、下位にあるように感じております。それから郵便貯金並びに郵便爲替、振替貯金等の手数料のごとく、用紙類を負担しますれば、当然所定郵税に満たないものがあのではないかと思われるようなものも見受けられます。
 第二に從來のごとく、その赤字を一般会計に求めることは、今日の実状を見ますと、すでにその限界に達しているように感じております。かく思いをいたすときに、今回の値上の内容は、一般葉書の据置き、それから通信教育に関するものの料金の値下げ等、十分その意を盡してあるように感じられまして甚だ好ましく存じております。
 第三といたしまして、我々利用者といたしまして、設備の不十分や、機材の荒廃で種々なる弊害を伴うように見受けられますので、我々利用者としては眞に妥当なる経費は支弁しなければならないと感じておる者であります。又國民一人々々の占むるこの値上に対する負担は、誠に微々たるものであると存じます。むしろ、これに籍口して物價の値上や賃金改訂を嚴重に警戒しなければならないことだと存じております。業種によつては今日の値上も大きく影響されると思いますが、それは生産者と販賣業者の工夫によつて、利潤の中から負担することも決してできないことではないと思うのであります。れから先程申上げました利用度のことでございますが、從來の遞信事業において痛切に感じておりますことは、運輸省に交通公社あり、戰時中はともかくといたしまして、人心の平常に復したる今日、活発なる活動をいたしております。独り遞信事業のみ立ち遅れの感あるのは、如何なものでありましようか、例えば郵政公社というようなものがあつて、普通郵便局で扱つて頂けないような飜譯とか代筆とか、外出の途次ちよつと手紙を書くような施設とか或いは例えば貯金通帳を持つて行きまして、どこそこへ幾ら送金してくれと、簡單に以来して置いて、直ぐにそれが用わ足せるようになる施設を望ましく思つております。このようにして收入源を得ますれば、郵便料金はもつと低廉なものとなり、そうして値上げの必要もなくなるのではないかと存じております。大体におきまして私の賛成のいたす理由はい以上ことでございます。
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#15
○委員長(大島定吉君) 有難うございました。これにて承認の公述は全部終了いたしました。この際、委員におかれまして証人の方々に御質疑がありましたら御質問願いたいと思います。
#16
○千葉信君 有竹さんにお伺いしたいのですが、あなたは今日の証言の中ですが、あなたは今日の証言の中で、独立採算制というものを初めから肯定しているお話のようでございますが、私共考えますのに、実はこの独立採算制というものは、公共事業の場合には、他の場合と違つて余程愼重に考えなければいかん、例えば採算を度外視して、地方村落なんかにこういう事業を拡張設備しなければならないということが当然起つて來る、こういう場合には、やはり独立採算制というものに縛られて、收益に縛られて、そういう事業の拡充発展ができないというようなことが相当生じて來るだろうと思います。こういう点についてあなたはやはり独立採算制というものは、何かの根拠に立つて首肯しておられるかどうか、この点ちよつとお伺いしたいと思います。
#17
○証人(有竹修二君) 独立採算制は非常に困難だと思うのです。併しこれは今日の場合、電氣通信省とそれから郵政省の分離ということが私の伺つたところによりますと、これはマツカーサー司令部の方のこの要請に対する専門家のご意見に從い、且つ日本の遞信関係殊に電氣通信の専門家、それから向うから來ておられるいろいろな専門家、殊にアメリカのベルですか、ああいう通信関係の会社の専門家、そういう方が來られて、アメリカと日本との両國のおのおのの専門家がコミツシヨンを作られ、頻りに研究された結果、どうしても電氣通信と一般郵便、この両事業を分離しなくちやいかんという結論を得られたように聞いております。その理由は、電氣通信というものと郵便事務というものは、その本質において非常に違つておると言うよりも、あちらの方のお考えによると、電氣通信、電信電話というものが非常に國家経済上ウエイトを置いて、これがいろいろな意味において一國の経営上非常に大事な事業である、そういう意味合において、むしろ郵便よりも電氣通信にウエイトを置いて、今度の電氣通信省と郵政省の分離案というものができておるように聞いておるのであります。そういう大きな國策上の見地からできたことであつて、その結果この独立採算制ということになつたわけです。これは非常に至上命令ではないかという意味において賛成したのです。賛成というよりむしろ承服しておるわけです。そこで仰せの通り電氣通信を抜いた、非常にいいところを抜いた。電信の方は赤字ですけれども、電話という今のところ非常に採算のいいところを抽出された後の通信事業を、独立採算でやつて行くということは非常に困難であろうということは重々考えております。併しこれはやつて行かなければ、ならない。今仰せのように非常に不便なところに郵便物を送るということは、これは非常に困難なわけです。そういう見地から申しますと、ずつと昔は遞信省においても、郵便料金のゾーンシステムというのがあつて、例えば北海道に郵便物を出す場合と、東京都内に出す場合とは値段が違つておつたのであります。ところが全國一括して郵便も一つ、電信も一つ、距離が違つたつて負担が同じ、画一料金主義に変つて來た。これはいわゆる一國一経営の大事業のうま味であつて、そういうことでやつて來ておるのであります。そういう意味合で見ますと、経営を合理化し、連営をよくすれば何とかやつて行けるのではないか、それからただ料金を引上げるだけでなくして、増收を起こすということは、まだいろいろ手を考えれば手があるのではないかと考えます。例えば郵便葉書が今二円で、封書の場合と違つて葉書の場合はその品物、紙を遞信省の方で出しているわけであります。これをどつか隅つこの方に何かの商品の広告を載せる、その広告料金によつて紙の代金を出すというような点も考えられます。それから先程私ちよつと申しましたが、この運営よろしきを得るか得ないかの分れ目は、僕は労務管理にあると思います。ずつと昔の郵便事業は郵便葉書だけで黒字であつた時代があつたというのは、それはマルクス流に行けば非常に搾取、数十万の遞信從業員が搾取されておつた。非常に厚生施設その他貧弱なところで、安い賃金で働いて來た結果というようなふうにも解釈できますが、私共はそれと同時に、日本独自の家庭的な割合に安い給金で働き得た仕組みを、特に特定郵便局のような親子、女中さんも手傳つておるというような仕組みになつた、それがつまり安い給与で働くその結果であつたかも知れません。今日それを望むことは非常に困難であろうと思います。併し先程申上げましたように労務行政をよろしきを得て、具体的に申しますれば、全遞の諸君、官とがうまく融和して、そうして能率を挙げるならば、やりようによつて独立採算ができるのではないか、かように考えます。
#18
○千葉信君 景山さんにお伺いしたいと思いますが、今日の御意見、遞信事業における先輩としての立場から、非常に傾聽に値する御意見を伺いましたが、ただその中で一つ、実は今度の政府から出された資料を根拠として、一人当りの通信料金というものは、今度値上しても、四割七分程度の値上をしても五十何円になる、從つて一人ピース一箱にも値しないものであるから大した負担とは考えない。こういう御意見であります。併しこれは非常に巧妙に作られた参考資料であります。
#19
○証人(景山準吉君) そうですか。
#20
○千葉信君 数字は嘘はないと思いますが、非常に巧妙に考えられた資料でありまして、例えば一人当りと言いましても、文化程度の高い地方の一人当りの國民が負担する通信料金というものと、文化程度の比較的低い地方の一人当りの國民が負担する通信料金とは相当の開きがあるだろうと思います。そうして又我々の立場として、そういう文化程度の低い國民の負担量というものを基礎として考うべきで、どうしても我々は文化程度を高めなければならん。文化國家にしなければならないということを考えますと、どうしても高い負担をしておるところの料金というものを主として考える方向に持つて行かねばならん。その程度まで通信料金というものをどしどし國民が拂つて行けるような文化程度の高い國家にしたい。そういうふうに我々考えておるわけですが、そういう点から言いましても今度の通信料金が、一人当り國民の負担する通信料金は決してピース一個程度であるあるからと考えるわけに行かないと考えますが、從つて今日お伺いしました一人当りの通信料金が安いという考え方については私首肯できないのですが、その点もう一つお伺いしたいと思います。
#21
○証人(景山準吉君) 別に安いとは申しませんがね。併しこれはちよつと計算して見たのですが、先ず五十七円ばかりになるわけであります。そうすると「のぞみ」の配給が一個四十五円ですか、これが大体五人の家族といたしまして、日本の平均が……そうすると一年間に「のぞみ」五個という、如何なる百姓でも一年間に「のぞみ」の五個くらいは一年のうちにすぱすぱ喫んでおるのですが、その点から言えば、有竹君からもお話がありましたが、今度八円になりましても、八円で北海道から鹿兒島まで手紙が行けば、先ず我慢してもいいのじやないかと思うのです。如何なものでしようか。
#22
○委員長(大島定吉君) 外にありませんか。
#23
○千葉信君 次に村本証人にちよつとお伺いしたいと思いますが、あなたは通信料金というものは公平な負担であるというような御意見でございましたが、これは私はちよつと再考を煩わしたいと思う点があるのですが、やはり先程申しましたようにですね、これからもそうですけれども、今までの郵政事業の施設というものにつきまして、やはり今までの施設の中に公共事業であるという建前から、採算を度外視した施設の拡先がやはり相当あつたわけですね。そうすると採算に伴なつて負担しておる額とはどうしても違つて來るわけです。そういう点で、必ずしも公平なる負担とは私は受け取れないのですが、その点如何でしよう。
#24
○証人(村本誠一郎君) 私としましては、やはりこれから日本が大体営永世平和の、そういう立場から世界の人と十分に意思の疎通をしなければならないと思います。それには貧弱な現在の施設では十分その目的を達しられないように思つております。結局郵便を通じて我々の精神的回復を考えておるような次第でございます。
#25
○小林勝馬君 山口さんにお伺いしたいのですが、この反対の理由として、経済的自給態勢の確立にならないというお話でございましたが、これをもう少し説明して下さい。
#26
○証人(山口寛治君) 私山口であります。この提案理由を見ますと、結局五十億の金を、まあ赤字を埋めるために通信料金の値上をするということが問題だろうと思います。私は先程申しました通り、これはもう平和産業におきまして、この運輸通信というものが私は基礎産業だと思うのです。從つてこういう基礎産業が円満に運行できなければ、これはやはり他の産業が発達しない。又復興できないということなんです。でこれを例えば特別会計や独立採算制によつて、その範囲内で、一般會計から少しも補助しないで、その範囲内だけで解決するということになれば、例えばこの戰争によつて、まあ電信電話、これは運輸もそうなんでありますが、非常に疲弊し切つておるのですね。それで今まで東京大阪間は郵便が一日で行つたのですが、一週間たつても來ないという不平があるわけであります。こういうことは設備の点、或いは人の面などを考えますと、このまま独立採算制を強行するならば、結局もう小さい枠の中で、例えば人の整理をやるとか、それから設備をそのまま放つて置いてやらなければいけない。それで労務強化を強いるということになりますと、これはもう到底私は通信の復興なんかできないと思います。むしろ破壊へ破壊へと行くのじやないかと思うのであります。そういう点でこの基礎産業を先ず私は根本的に建直さなければ他の産業は復興しないと思います。結局産業の復興ができなければ、如何に口に経済的自給態勢を確立するのだということを言葉でうまく言つても、それは不可能じやないかと思います。こういう観点に立つのであります。政府の提案の説明を見ましても、一般國民生活や諸物價に急激に影響を与えるということを非常に憂慮されておるようであります。從つて僅かに五十円や六十円の金だから、そうこたえないだろうと、こうおつしやるのですか、実際我々の実質賃金が形の上では六千三百七円貰つておりますが、実際我々は四千七百円の賃金しか貰つていないのであります。民間におきましてもまだ六千円ぐらいの賃金になつておりまして、それに諸物價が非常に今日値上りしておりますから、そういう点で実質賃金が非常に下がつておるのであります。そういうわけで五十円や六十円ということでありましても大衆の生活に非常に大きな影響を与える。運輸通信費が値上がりすることによりまして、諸物價は一・七倍から最近二倍に上つておるのであります。こういう点から如何に均衡財政ということをやかましく言われても、これは均衡財政でなくて、むしろ私はこんな財政で、七千四十九億円の一般会計が成立しましたならば、これはもう実行不可能の予算であり、十月までに破壊してしまうのじやないかというような、こういう見通しを我々は持つておるのであります。こういう観点からいたしまして、むしろこういう通信料金だとか、或いは運輸料金が大幅に値上りすることによつて、そうして経済的自給態勢を確立するというようなことは、これは逆行しておるのじやないかと思います。むしろ現在の軍備のなくなつた今日では、運輸通信に最も多くの金を注ぎ込んで、先ずこれから建直して行かなければあらゆる産業が起らない、産業が復興しない限りは、如何に我々が口で経済自給態勢を唱えても、これでは経済自給態勢はできないのじやないかと私は考えてお話したわけであります。
#27
○小林勝馬君 そうすると、結局独立採算でなくて一般会計から取れということになると、一般会計、國民の税負担においてやれということになるのだが、そういうわけですか。
#28
○証人(山口寛治君) 私は今度の政府の予算を拜見さして頂きまして、大体その歳入の七〇%、八〇%は大衆收奪によつてこれは行われておると思います。もつと外に私は取る方法があるだろうと思います。現在財務労働組合で調査したところによりますと、五千九百億円の脱税があるのであります。この脱税たるや卒直に申上げて、官吏の俸給、給料が非常に安いために優秀な財務官吏はどんどん民間の闇新興會社に廻つて脱税専門のことをやつておる。だから新らしい税務署の官吏が雇われても、何十年間が脱税のことを研究したものが、専門の闇屋或いは新興会社に雇われているから、二重帳簿を作つてあるのを摘発しようと思つても摘発できない、それでそういう状態が起きて、実際新興会社或いは財産家が大きな脱税をやつておる。こういうことを徹底的に摘発すれば、五十億、全部入れても運輸通信料七十三億、そんなものを一般大衆にこういうものをかけないで、もつと私は取る方法があるのじやないかと、こういうふうに考えるのであります。それで尚今年度の予算案を歳出の方を拜見さして頂きましても、例えば価格調整費だとかいうふうに、補助金に類するものが相当多くのものが出ておるのであります。それで勤労大衆に対する例えば失業対策費なんかの方は二十一億のうちただ八億だけが予算に含まれるとか、その他公共事業費につきましては、政府の七百五十億に対して予算には五百億に削減しておるという状態で、なかなか我我のために組まれた予算はないじやないかと思うのであります。政府はいつも勤労大衆の協力なくしては日本の再建はできないとおつしやいます。そういうことを美しう言われるのであります。今有竹さんの言われましたように、全遞の労務管理をやれば増産ができると言われるのでありますが、例えば今有竹さんにお聽きしたいことは、どうしたら労務管理をうまくやるかということで、私は方法はないだろうと思います。本当に最低賃金を保障してやらなければ、如何に美名に隠れても、家族主義を言われても、時代は過ぎ去つておるのでありますから、そういう点を考えて頂けばよく分るのじやないかと思います。こういうふうに私は考えておるのであります。
#29
○深水六郎君 ちよつと山口さんにお伺いしますが、そうすると具体的に合理的な料金というのはあなた方研究されておるわけでしよう、それでこれだけは一般会計から持つて來いというような大体の見当付けられておるのでありますか、その見当がお分りになればちよつとお聽きしたいのであります。
#30
○証人(山口寛治君) 残念ながら、その点については……大体実は昨日四國の國鉄の大会の方から歸つて來て、昨日この資料を貰つたのであります。研究を十分してありません。我々としては通信料金を現在上げられまして、終戰後四回に亘つて上げられたのであります。そういう方法によつてとにかく賄つて欲しくはないのであります。
#31
○深水六郎君 賄つて欲しくないということはあなたの言われることは分るけれども、それではあなた方がどれくらいが妥當だということは、長年の経驗で研究されて分るだろうと思うのでありますが、一般会計から繰入れる手数料というものは、どのくらい一般会計から持つて來たならばいいかということの大体の見当を付けておられるだろうと私は考えるのであります。
#32
○千葉信君 それに関係がありますから一緒に御質問いたしますが、山口さんの立場から言いましても、結局例えば歳入の面におきまして大衆を收奪するような……税金のことなどについて特に著しい。それから更に支出の面から言いましても、國内價格を調整するために補給金或いは價格調整金というような形で二千二十億という厖大な支出が行われておる。こういう立場から言えば通信料金を上げなくても、こういう一般会計からの繰入れをやることによつて通信料金の値上げということについても上げなくて濟むという考え方をお持ちなんですか。
#33
○証人(山口寛治君) その通りであります。我々としても千葉議員の言われた通りでありまして、御質問にありましたように、どれだけの程度に決めたらいいかということは、すでに数回に亘つて値上げをして現在の料金が出ておるのであります。現段階におきましてはこれ以上げることはできない、それならばどれだけにするかということは、非常にこれは見解があるだろうと思います。通信料金を他の物價と同じに見るか、又手数料式に見るかということによつて、これは学説にもいろいろあるのですが、我々としては本当に一人でも安い賃金て使つて貰う、本当に手数料だけで使えるようにしてやらなければいけないのじやないかと、こういうふうに考えておりますが、具体的な数字を私持つておりませんので、ここにお答え申上げられないことは残念であります。
#34
○委員長(大島定吉君) 大変時間も経過いたしましたので、証人に対する質問はこの程度で打切りたいと思います。この際、私は遞信委員会を代表いたしまして、証人の方々にお礼を申上げたいと思ひます。本日は皆様時節柄非常に御多用の中をわざわざお繰合せ下さいまして、委員会のために有益なるお話をなさつて頂きましたことを重ねて深くお礼を申上げます。
 これにて午後一時まで暫時休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十四分開會
#35
○委員長(大島定吉君) 休憩前に引続き開会いたします。別に御質疑がなければ討論に入りたいと思いますが、如何でございますか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#36
○委員長(大島定吉君) それでは御質疑がないものと認めて、これより討論に入りたいと思います。それから念のために申上げて置きたいことは、本案は五月一日施行との衆議院修正が原案となつておりますので、御承知願いたいと思います。これに對して御意見ございませんか。別にございませんようですから、討論に入ることにいたしますが、討論もございませんようですから、直ちに採決に入りたいと思います。御異議ありませんか。
#37
○下條恭兵君 討論はあると思いますが、委員長の言つたのは質疑の打切りだと思つて賛成しておつたのですが……
#38
○委員長(大島定吉君) さようですか。
#39
○下條恭兵君 私は本法案に對して反對するものでございます。反対の理由は二つあるのでありますが、私は第一番に挙げるのは、郵政業務が果して一般の鉄道事業と同じように独立採算制を堅持すべき性質を持つているかどうかということについて檢討する必要があると思うのですが、私の知る限りにおきましては、大体二省分離ということが、決して郵便事業の独立採算制を強行するという意味を持つておらなかつたと思うのでございます。それは電氣通信と分離するということによりまして、本來相当の成績を挙げられる電氣通信の方は、その成績の挙つた余剰利益によつて施設の拡充なり改善をやつて行く。そのために結局如何なる方法にしましても、獨立採算制による黒字出現が不可能な郵便業務を切り離して、この方は一般会計からの補給金に待つという考え方であつたと思うのでありますが、それが今度突然このような独立採算制の強行となつて、それに伴う郵便料金の引上げというわけでありますから、この点においては私共は飽くまで公共性に重点を置きまして、或る程度の不足分が出ましても、これは將來とも一般会計からの繰入金によつて賄つて、郵便事業の発達を期すべきであるという考えを持つているわけであります。
 第二には仮に今日の日本の國情からいたしまして、止むを得ず一年なら一年間だけ独立採算制を採らなければならんという実情があつたといたしますならば、それならば値上に待たなくても、やる方法が当然あるだろうと考えるわけであります。これは詳しくどういう点をどうすればよいかということに対しましては、一々例を挙げては申上げませんけれども、とにもかくにもその支出にしましても、收入の方にしましても、いずれも厖大な数字になりますからして、これはこの中で何とかやりくりをつけていろいろおやりになつたということは伺つておりますが、私の見解からすれば、更に一段やりくりをつけるならば、一応計算の收支は値上げに待たなくても、辻褄は合わされるであろうという考え方になつているわけであります。以上の二つの理由によつて本法案に反対する次第であります。
#40
○委員長(大島定吉君) 外に御意見はございませんか。
#41
○千葉信君 私は本法案に反対の意見を表明するのであります。理由の第一は二省分割においても、尚且つ二省ともますます独立採算制を維持強化するのでありますが、特に郵政部面においては過去の実績からして、独立採算制そのものが非常に自信のない、目算の立たない、行過ぎである点このことは從來の國会における質疑からも容易に窺い知ることができることであり、而も事業そのものが公共的性質を以て貰かれている関係上、ときには当然に採算を無視しても強化拡充の要があり、その義務を果すことが公共事業の建前でなくてはならない、且つ又文化的発展を期さなければならない我が國にとつては、通信機関はその媒介体でもある以上、この点からも採算を制約される制度であつてはならないこと。理由の第二点は、戰爭によつて受けた打撃と荒廃から復旧せしめなければならない立場にあること、特別会計移行後毎年九千万円、現在に換算すれば百六十億以上にも上つた一般会計繰入のために、著しく他省に立遅れた從業員に対する厚生福利施設を常態化する措置のため、多額の支出が見込まれなければならないこと。大臣はこれに対して行政整理を敢行することによつて相当な節約額をこの部面に將來充當できるというお答えでございましたけれども、現行六千三百七円の給与、本年一月までのCPI七・三%の昂騰ということのために、もうすでに更改期に到達しておるということ、並びに行政整理が行われた際は、事業の能率が、その縮減された人員だけの分が、能率向上を見ておるという点から見ましても、賃金の三原則によつて、これは逆に能率向上に対する反対給付が必要であるという状態に移行するであらうということ。從つて行政整理の節約額は、それに振向けられなければならないという考え方をとるのであるし、この点からも私に本法案に反対する者であります。理由の第三点は、これが大衆負担の増大に連なるものである、更に産業において、この種の悩みというものが心理的にも大きな影響を与えて、物價昂騰を招來するであらう、このことについてはすでに論議が相当多方面において盡されておりますので、この点に関する詳述は避けまして、以上の点から私は本法案に反対いたします。
#42
○委員長(大島定吉君) 外に御意見はございませんか……別に御意見もないようでありますから、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。
   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#43
○委員長(大島定吉君) 異議のないものといたします。それではこれから採決に入ります。郵便法等の一部を改正する法律案を議題といたします。尚本案は衆議院送付のものが原案となつております。原案通り可決することに御賛成の方の御起立を願います。
   [起立者多数]
#44
○委員長(大島定吉君) 起立者多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。
尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第四條によつて、多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ありませんか。
   [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#45
○委員長(大島定吉君) 異議のないものと認めます。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議員に提出する報告書には、多数意見者の署名を附することとなつております。翻案を可とする方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
     加藤常太郎  松嶋 喜作
     新谷寅三郎  深水 六郎
#46
○委員長(大島定吉君) 御署名漏れはありませんか……。それでは御署名漏れないと認めます。本日はこれで散會いたします。
   午後二時二十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     大島 定吉君
   理事
           小林 勝馬君
   委員
           下條 恭兵君
           加藤常太郎君
           松嶋 喜作君
           深水 六郎君
           尾崎 行輝君
           新谷寅三郎君
           千葉  信君
  國務大臣
   逓 信 大 臣 小澤佐重喜君
  政府委員
   逓信政務次官  武藤 嘉一君
   逓信事務官
   (総務局長)  大野 勝三君
   逓信事務官
   (郵務局長)  小笠原光壽君
  証人
   時事新報社編集
   局長      有竹 修二君
   全逓信労働組合
   中央本部副中央
   執行委員長   山口 寛治君
   藤化成株式会社
   社長      景山 準吉君
   日本商工会議所
   専務理事    荒木光太郎君
   第一新聞協会理
   事長      飯澤 章治君
   会  社  員 村本誠一郎君
ソース: 国立国会図書館
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