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1947/11/17 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第22号
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1947/11/17 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 予算委員会 第22号

#1
第001回国会 予算委員会 第22号
  付託事件
○昭和二十二年度一般会計予算補正
 (第七号)(内閣送付)
○昭和二十二年度一般会計予算補正
 (第八号)(内閣送付)
○昭和二十二年度特別会計予算補正
 (特第三号)(内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十一月十七日(月曜日)
   午前十時三十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十二年度一般会計予算補正
 (第七号)
○昭和二十二年度一般会計予算補正
 (第八号)
○昭和二十二年度特別会計予算補正
 (特第三号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。西川昌夫君。
#3
○西川昌夫君 大藏大臣にお聽きしたいと思います。この近い將來に本当の意味の貿易の始まるに際しまして、國民は為替のレートのことについて相当な関心を持つておるのでありますが、現在のいろいろ制約された條件の下における貿易におきまして、本來の意味の為替レートというわけには行かんでしようが、先般も同僚から御質問申上げ、私もお聽きしたのですが、安いのは一ドル百円以下、高いのは八百円以上というような率に換算されておるように聞いておりますが、かようなまちまちなレートで輸出しておりましては、これは本当の意味の貿易の状況に入つてから、どういうことになるかと申しますと、仮に一ドル二百円なり三百円ということに仮定しますと、八百円以上にもつくやつは、もう現在一生懸命で製造に從事しておつても、その貿易が開始されると同時に壊滅にその事業は瀕するのじやないか。仮に八百円で買上げられたものが逆に二百円なり三百円の安値で以て外國の製品が滔滔と洪水の如く入つて來るというようなことになる。又百円以下で仕切られておるところは現在の買上仕切値段の二倍にも三倍にもなる。案外な利益を得るというようなことになるのでありまして、この点につきまして、政府はどういうお考を持つておられましようか、この壊滅に瀕する側の企業と不当に利得を受ける企業等に対して、どういう政策をお持ちでありましようか、又為替のレートの設定に当りましての見透しというようなことにつきまして、お考を伺いたいと思います。
#4
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今のお尋に対してお答えします。この為替問題につきましては、私は貿易というものとの関連と、更に為替問題が日本の経済再建、再建後の日本の経済の振興、或いは日本産業の振興という面に與える影響の多いものでございますので、政府部内におきましても、私は最も愼重な考え方をしたい。こういうことで終始いたしておるのであります。為替につきましては、聊か関係も從事の仕事の上から持つておりますので、いろいろ経驗を持つておりますので、特に私はそういう考を持つておる次第でございます。そいで先般、為替問題につきまして、当面の問題と為替相場と講和條約ができて、その後の問題とについて混同されるような議論が大分民間及び政府部内にもあつたのでごいますが、この辺を先ず区別せにやならんということは、当大藏省としては関係を最も持つものでございますので、眞先に政府部内においても言つたのでありまして、昨今の問題としては、そこで自然根本の為替相場が本格的に決まるという問題と、当面の貿易振興のために、ドルとかその他の外貨と日本の円との間の換算率をどうするか、こういう問題になつて來ると、二つに分けて考えられておるのでありまして、今問題になつておるのは、当面の問題の換算率をどうするか、エキスチエンジ・エフアクターズといつておる問題でございますが、お尋ねもその点だとこう解釈いたしますから、その点についてお答をしたいと思うのであります。当面の問題としまして、成る程実情について調べて見ますと、速かに換算率の問題を決める必要のあることは確かでございます。政府といたしましても関係筋その他と連絡しまして、速かにこれを決めたいと思う次第であります。併し本格的な為替相場の問題は、これは講和会議後の問題で、國内的、國際的な諸情勢を睨み合せて、最も妥当なところで考えたいと思つておつて、これは別の問題といたします。当面の問題としましても、單に品物を輸入する、品物を輸出する、こういう関係から生ずる換算の問題があるのであります。それからその外に、例えば連合國側の船を修繕した料金を如何に拂つたらよいかというような、一歩進んだ換算率の問題もあるのであります。サービスその他に関する換算率の問題もあるのであります。それから更にドルでなしに、ドル以外の外貨というものとの換算の問題も生じておるのであります。只今生じておるのはこういうような問題であると思うのであります。そこで抽象的、原則的に言いましたならば、併し今換算率を決めましても、決めるという問題が將來の為替相場というものにも相当の関連を持たなければならんのでありますが、やはり將來の問題も併せ考えて、この換算率の問題を決めなければならんと思うのであります。將來の問題をも併せ考えて換算率を決める場合においては、單数的にこれを決めるということが一番望ましいのであります。併し日本の経済の情勢その他でどうしても單数的に決まらない。これは生産その他の……。輸出品の製造その他の原價とかその他の問題がありまして、どうしても決まらないような場合は、これは止むを得ず複数制に決めなければならんと思うのであります。止むを得ず複数制にしましたときにおいても、複数制というものについては、成るべく数を少くするということが必要であると同時に、その複数で決まりましたものの中で、只今御指摘のように開きが非常に大きくジグザグが非常に大きいということは、將來へのいろいろな問題を残すと思うのであります。そこでそういうような点をもいろいろ考えまして、單にこれは貿易廳その他で簡單に決める問題でなしに、商工当局、安本当局、大藏省、こういうような所が十分これを考えまして決めたい。かように、今いろいろ安本にも委員会のようなものがあります。私の方も局長が二人も出ておりますが、そういうものを通じて事務的にも案を作り、そうして更に根本的にも閣議その他で決めさす。決めるについては速かに決めよう。こういうような段階に至つておるのを率直に申しますと、そういうような次第であります。私は大藏大臣としましては今のお話のように一本が一番宜いのでございますが、これが仮にできなくて複数制を採つても、複数のものを非常に少くして行くということと、それから複数の物と物との間の開きを少くする。そうして凹凸などの余り甚だしいものを生じないようにする、こういうような考を以て臨む積りでございます。それからなお貿易の振興の点に関連をいたしますが、無論雜品の輸出ということも非常に大事でございますが、この際は雜品の輸出ということと同時に、回轉基金を有利に迅速に利用いたしまして、外貨の充実をも図りたいと思うものでございますから、棉花その他の輸入或いは只今設備というものよりも生産は資材の足らない、それがために生産がどうも伸びないという点がありますから、そういう生産資材というようなものの輸入を懇請をいたし、そうして回轉基金を高率に利用いたしまして、そうして外貨の取得というようなもの、更にそれは資材或いは棉花その他のものの入つて來る原因になるわけでございます。そういうこともいたしたい。かように考えて努力をいたしておるような次第でございます。
#5
○西川昌夫君 なおお尋ねいたしたいと思いますが、企業の面からどういう対策を施して頂けるか、その点をお伺いしたいのであります。つまり八百円といつたような率で以て仕切られている事業は、今度一本になりますと、その企業は壊滅に瀕するわけで、これの保護策をどうなさいますか。又百円以下で仕切られておるものは、三倍にも四倍にも非常な巨利を博するわけでありますが、これらに対して價格差金といつたような、政府で税金を取るとか何とかいつたようなお考をお持ちでありましようか。非常に惠まれる企業と非常に壊滅に瀕する企業とがその間に生じやせんかと思いますので、その点のお考を伺いたいと思います。
#6
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今のお尋の点は尤もでございまして、まだどういうようにはつきり決めるかということは決まつておりませんから、詳しいことを明確にここで申上げることはできませんけれども、今お話のように八百円とか或いは百円以下とかいうことがある場合に、仮にある場合を仮定いたしますと、その八百円はどうして出るかということを追究しなければならんと思います。これは経営の合理化その他の健全化ということで、もつと切下げ得るという道も相当あるだろうと思うのであります。又百円以下というような場合においても、それが將來輸出の大層大きな部分を占めるという場合におきましては、やはりこれに保護とかなんとかいうことを加えて行つて、相当のところへ引寄せて行くことが必要であると思うのであります。仮に複数制を決めましたときも、いずれは一本になるのでありますから、一本の方に鞘寄せして集めて行く政策を常にとらなければいかんと思うのであります。そういう場合において企業利潤というものに適正な利潤を與えるということは勿論必要でございますので、そういう場合に余りにジグザクとか凹凸が非常に大きいような場合には、適当な措置をとつて、そうして適正なる利潤のところへ落着くような方策もとりたい。かように考えておる次第でございます。
#7
○西川昌夫君 これは別の御質問ですが、これから、徴收なさる予定の税金が約一千億、この下期、今年度中の税金の概算が一千億に達するわけでありますが、先般の大臣の御説明によりますと、國民所得は九千億円である。かようにしますと、これから十二月から三月までの四ケ月といたしますと、約三千億円の收入に対して一千億円を徴收するということになります。かようなことが果して國民の生活を脅威しないで可能でありますかどうか。その点をお伺いいたします。
#8
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。國民所得が、安本の計算によると、大体九千億ということを査定ができるのであります。併しこれは昭和十年の生産面からの推算によつてそうなるのであります。併しこうしましても、この所得というものは、やはり賃金を値上げとか、或いは七月以降の價格の引上げ、これが徐々に行なわれておりますので、國民所得の面から申しますというと、毎月平均に幾ら幾らというような形で増加しておるのではなく、やはり下期に、今後に相当大巾に増加いたしておるのであります。これは賃金の問題につきましても、物價引上の問題についてもそこは、はつきりお認めを願えると思うのであります。そこで徴税ということにつきましても、やはり九千億を月割にして、そうしてその範囲内で三千億、それから千億とる。こういうような見方でなしに、相当大きな巾の下期、今後においても所得の増加がありますから、そういうものに相應して課税する。こういうような建前で政府はやつております。ただ追加予算その他が、関係筋との交渉その他によつて、大変遅れまして、実は八月頃に出せるものが、こうさし迫つて出さなければならん、こういうことになりましたが、國民所得としても、國民が千億近いものをどういうように拂うか。拂うについては、拂い易いような措置も、場合によつては考えなければならん。かように考えておる次第でございます。そこでこれは第一に、從來の本予算で決まつた課税などにつきましても、予算申告というものに馴れないためその他で、結局査定が遅れておるというような原因もございます。それから物納その他で遅れておるような現状でございます。そこで拂い得ざる者については、状況に應じては、やはり特別な措置をも考えたい。かように考えております。これは單に延納とか何とかいう意味でなしに、例えば非戰災家屋の特別税の如きものについては、法人にも課することになりますので、相当納税し易いような措置をとる必要があろうと思うのであります。これは或いは金融の面にも若干の含みを持つた点もあると思います。併し金融の面にそういうような働きを求めます場合におきましても、これはやはり日銀の兌換券が増発されるということでなしに、一面において國民の貯蓄の増強、こういう面で集めた金を適当に廻す。こういうような方法も考えなければならんと思うのであります。日銀通貨が増発されて、それで税が納收したのでは、これはナンセンスでありますから、そういうことをしないで考えなければならん。かように考えております。この予算が済みましたらば、この予算の実行という点において、納税の実行運動、貯蓄の運動も起しますし、それと同時に年末の金融対策その他のものを合せまして、この金融の面においても、相当の考慮をいたしたい。かように考えておる次第であります。
#9
○西川昌夫君 もう一つお伺いしたいと思います。所得税の歳入の見積りの御説明で、昨年度の率から類推しまして、いろいろ物價事情あたりを考えて見積られたような御説明を受けたのでありますが、今年度の申告制によりまする制度の変更からみまして、我々は前年度の率からそのまま類推した額は、到底收入できない。かようにみるものでありまして、同じ方法なら、大体同じ率で殖えるでしようが、全然行き方が違つて來ますれば、例えば宝くじを勸業銀行の窓口だけで賣つていたのなら、いくらの賣上ということでも、これを銀座や新宿の街頭まで進出したときの賣上高は、全然違う見積りを立てなければならんと思うのであります。それにも拘らず、前年の旧制度における見積りを以て見積つて行くと、非常な穴があくのであります。これを全然同じ考え方で行かれたとすれば、法律の改正をした意味がないように我々は考えるのですが、その点の御説明を願います。
#10
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えします。所得税の徴收その他についての問題でありますが、前にどういうような説明をいたしておつたが……、私共は実は、今までの所得税制というものは、御承知のように、前年度の收入を基礎として査定をしておつたものであります。そこでこういうようなインフレの進む階梯におきましては、前年度では今年度の收入というものがはつきり分らん点がございます。のみならず、この金は懐の中にあるうちに早く取らないと、徴税の点にもうまく行かないというので、そこで前内閣のとき、この四月から予算申告制というものが行なわれるようになつた次第でございまして、そうして最後には清算をして、早く取る。こういうことになつたわけであります。併しながら予算申告制というものが、日本人にはまだ十分普及し徹底しておらんのでありまして、それがために、自分で申告するのならば内輪に申告するというようなことが大変ございますので、そこで第一四半期、第二四半期等の、殊に第一四半期の実績などをみまして、これではいけないというので、各税務署を督励しまして、そうしてこの申告を基礎としながらも査定をいたしておるわけでございます。そうして査定をして税額を決める。その査定は、前年度の実績によつて査定するというのでなしに、現在の收入状態その他、或いは家を建てたとか、或いは店舗を造つたとか、そういうような点までも立入つて、それを材料にして査定をいたしておるような次第でございます。そこで最近になりましたらば、所得税その他にも又追加の拂いが沢山來るようになつたというのは、その間の事情を物語るものであると思うのであります。そこでその査定にあたりまして、材料といたしまして、前年度の收入によつて査定をするというようなことは、もう予算申告制からはいたさないように考えておるのであります。
#11
○委員長(櫻内辰郎君) 島村軍次君。
#12
○島村軍次君 私は総理大臣の御出席を求めて、予算編成その他経済に関する全般的のお尋をいたしたいと存じておりましたが、御出席がありませんので、二、三について大藏大臣に御意見を伺つて見たいと思います。
 第一は、予算の執行に当りまして、今囘公價主義をどこまでも政府は、採用されるということでありますが、度々先輩各位の御論議がありました通り、物價の騰貴の趨勢は依然として底止するところを知らないのでありまして、日銀の調査によりますと、十月の物價は一昨年の当時に比較しまして、三百九十幾つかの指数を示しておる。然るところ最近の調査によりますというと、五百七という総平均になつておるような数字が発表されております。そういう場合におきまして、一面においてはこの波は防ぐことができないという場合において、公價主義というものが果して實行できるかどうかということに、多大の疑問を持たざるを得ないのであります。特に本年の災害復旧工事等につきましては一應政府では予定をお立てになりまして、そうして今後の、特に土木事業等については、今後の査定に待たれるのでありますが、恐らく内務省が査定といたしました場合におきましては、実際にこの公價主義というものが災害復旧の如き特に緊急を要するものについて、なかなかその公價主義の徹底が絶対にできないということを考えざるを得ないのであります。又人件費におきましても、現在中労委の裁定によつていろいろ政府で御苦心のようでありますが、既に一般の企業においても、又政府みずからの人件費においても、相当増額の止むなき事情にある場合において、いわゆる流通秩序の確立を期する面から申しましても、最早本年の十二月を境にして、本年度中における公價主義というものは、絶対に採用ができないような趨勢にあるように感ぜざるを得ないのでありますが、こういう部面に対する政府の予算執行及び今後の財政経理についての所見を承つて見たいと思うのであります。
 尚第二には、食糧増産と申しまするか、食糧管理の事柄が、今後我が國の経済再建の基礎をなすものであり、いわゆる二合五勺の配給を絶対的に確保し、且つこれの供出が円滑になると同時に、將來の食糧供出の数字につきまして、農林大臣の確乎たる所見を承りたいと思うのでありますが、目下欠員中でありまして、非常な轉換期における重要な場合において、農林大臣の欠員ということは、我々國民としてはどうしても納得できないと思うのでありますが、こういう問題について、実は総理大臣に所見を伺いたいと思いますが、別問題といたしまして、先般本会議において質疑のありましたように、今後の財政及び日本再建の基礎をなすべきこの食糧増産に関する施設が、政府ではいろいろ、例えば農業生産調整法に伴なう経費であるとか、或いは農業保險、災害補償に対する法律と同時に予算の計上をされるとか、いろいろありまするが、これらのものは、一として將來の再生産増加に対する施設が殆ど現われていないということを、予算面から見まして甚だ遺憾とするところであります。先輩の石川議員からも本会議においてお話になりました通りに、基礎をなすべき産業に対する再生産と言いますか、増産に関する経費は極めて寡少であつて、而も前年度よりは相当減少しておるということの数字は、これは予算全部を通じて明かに感知することができると思うのであります。そういう部面に対して大藏大臣として如何なる御所見をお持ちになつておりますか、伺つてみたいと思うのであります。尚これに附加えまして、農村における資材面の裏付の問題であります。從來のことを余り申上げたくないのでありまするが、米の供出、農産物、或いはその他の供出問題を繞つて、常に資材の裏付には報奬物資の放出を約束されておる中に、その約束が殆ど履行されていない。又履行されておつてもそれが時期が間に合わない。尚且、例えば肥料であるとか、或いは農機具であるとか、或いは繊維資材というようなものに対しましては、政府の内部におきましてその徹底が不十分でありまするのか、横の連絡が不十分であるのか、或いは又予定通りの生産ができないのか、兎に角時期が非常に遅れて、一例をもつていたしますれば、現に麦の作付等におきましても、その裏付が約束されただけで、ちつとも本年の供出に対する政府の方の配給と申しまするか、配給がちつともまだいつ來るか分らないというような情勢にあるのであります。尚私は公團問題を繞りまして、総理大臣に十分御認識を願うようにお願い申し上げたいと存じておりましたが、これは省略いたしまするが、兎に角資材面の裏付、特に大藏大臣に関係のありまする事項については、私は二つの点について特に御所見を伺つてみたいと思うのであります。それは今回の煙草の値上によりまして、配給量が減じた。同時に煙草に対する農村における配給に対しては大体將來どういうふうな考をお持ちになつておりますか。つまり食糧増産に関連をもちましてこの点を伺つて置きたいのが一つ、それから尚その次には農村の金融の問題に関連をもちまして、御承知の通りに、最近における自由貯金の増加は、先般大藏大臣は相当の増加を示しておるというお話を承つたでのありますが、即ち百五十億円の増加というものは、これは一時のいわゆる特別当座にも比すべき一時的の預金が殖えたのであつて、而もその増加趨勢はいわゆる都市の新円階級に集中いたしまして、農村自体は特定のところを除きましては、非常に金融面においても、殊に米麦の單作地帶においては殆ど金がないと、こう稱せられておるのであります。そこで我々農村関係の者から申しますと、この農村の貯蓄を確保して行きまするには、どうしてもこれに対して何らかの措置を講じなければならんと思うのでありますが、たまたま現在の非常に少い煙草生産におきましては、その少い生産の中から特に報奬物資等の供出がある半面におきましては、この浮動性のある貯蓄を確保するということが必要ではないかと思うのであります。それに対しまして、特に煙草の特配、或いは三ケ月なら三ケ月という一つの定期的な貯蓄に対しまして、農村で望んでおりますものといたしましては、特に煙草の如きものは極めて重要なものだと思うのでありますが、それに対して特別な措置が必要ではないかと思うのであります。こういう問題に対しての御所見を承つて見たいと思うのであります。
 第三には、食糧管理の特別会計を繞りまして、價格差の資金を政府は徴收されまするが、農村の生産は申上げるまでもなく分散生産でありまして、極めて零細なる農家が各戸の独立経営によつて生産をされますので、他の工業生産に比較しましては、その生産の増強が極めて困難な状勢にありまする場合におきまして、必要に應じて從來の報奬制度は改廃の要ありとは申しまするものの、この食糧管理等を繞つた資金を、農村の食糧増産部面に持つて行くことに対しては、私は極めて適切な措置ではないかと思うのでありますが、これに対する御所見を承つて見たいと思うのであります。
 その次には開拓資金に関連の問題でありまするが、開拓が相当に廣汎に行なわれるようになりましたけれども、今日一番困つておる問題は、例と言つても資金難の問題であります。一農家が開拓をやつて、そうして独立経営をするのには、約一戸当り十萬円の経費を要すると称せられております。これは本年の八月時分の現在でありますから、現在の物價高の趨勢から行きますと、恐らく十五萬円以上を要するものであろうと思うのであります。そこで開拓資金に対しましては、別途に増額措置として政府の方からお出しになる御予定のようでありまするが、私はそれだけでは間に合わないと思う。そこで地方の資金からこれを地方の金融機関から開拓者が借入れる。その借入れた場合に、なかなか開拓は事業の当初においては困難でありますから、復金、若しくは政府みずからが、復金から金をお出しになりますか、或いは又政府みずからが地方の金融機関が出した場合において、これに補償するという制度の確立が必要ではないかと思うのであります。
 以上の諸点に対しまして大藏大臣の御所見を承りたいと思います。
#13
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。予算の実行に当つて公定價格を維持ができるかという第一の問題でありまするが、これは誠に御尤もな御質問だと思うのであります。政府といたしましては、既に申上げましたように、九月十二日附で司令部からも覚書を貰つております。これを主として政府がいたします政府関係の支出については法的措置を講じまして、そうしてこの公定で以てやつて行くということにいたす決意を決め、それを実行に移しつつあるのであります。そうして例えば終戰処理その他におきましても、これは資材が直ぐ手に入らないというようなことではいけない点もございますので、資材の例えば隱匿物資の摘発とかその他資材を確保いたしまして、或いは政府の指定する倉庫あたりにも資材を十分入れて置きまして、それから直接に庫出しをして渡したい。かように考えておるような次第でございます。それと同時に、大藏省ではございませんけれども、他省においても十分流通秩序、それから生産品を適当なルートによつて配給して行く。このことに十分力をつくして貰いまして、それと両々相俟つて公定價格を十分維持して、そうして政府の予算を実行して行きたい。かように考えておる次第でございます。特別な必要な処分等につきましては、これは又別途に考えますけれども、今はその方針で進んで行きたい。かように考えております。
 それから増産関係の予算が少いということでございましたが、これはやはり生産増強ということについては、一昨日も木村委員からもお尋があり、それに対してお答えいたしましたように、政府としては十分留意をいたしておるのであります。ただ生産の増加しないネツクというような点におきましては、先程來申しましたように、設備があつても資材が少い。その資材は國内的に少いというようなものが多々ありますので、貿易その他の点においてこれを確保したいということも懇請をいたしておるということを申上げたのであります。それから尚企業再建整備とか集中排除とかいうようなものを目前に控えておりますので、生産が十分行かないという点があると思います。尚労資の関係、こういうような点で、例えば会社の役員その他というものが追放その他によつて職を去るというような点もありましようし、他の点においても、労働問題等においても生産が非常に挙つておらんという点もあると思うのであります。こういうような点については十分政府といたしましては留意をいたしまして、そうして隘路にならんように持つて行きたいと思いますと同時に、予算につきましては誠に財政上の需要が非常に多いのでありまして、十分に割り振るということのできなかつた点も多々あるのでありますが、尚併し今回の追加予算だけでなしに、今後もいろいろ必要なものも出て來ようと思うのでありますが、そういうものは財源を十分見附けまして、財源と見合して、できるだけ必要な予算であるならば盛りたいとも考える次第でございます。政府は再生産ということについては、十分これを増進しなければこの危機の切り抜けはできんという点においては、十分考えておりますから、その点を御了承願いたいと思うのであります。
 それから煙草の特配、殊に農村向けでありますが、この点につきましては政府も、農繁期とかその他についての臨時の特配等についても、煙草の基本的な数量というものに左右もされますけれども、できるだけ考慮し、特配をもいたしたい。かように考えておる次第でございます。それから報奬物資としてこれを見るかというようなお話もあつたと思いますが、そこまで進みますかどうかわかりませんけれども、実は農村に対する裏付物資としては、大藏省所管としては塩とか酒、煙草というようなものがあるのであります。これは実は今まででは麦、馬鈴薯、今度は新米につきましても、大藏省としては、できるだけ最も大きい量を他の関係省と比べまして裏付けておるような次第でございます。これも十分努力いたしたいと思う次第でございます。
 それから貯蓄増強、農村における預金の問題のお話がございましたが、これは貯蓄増強でございますが、こういうような経済的のインフレーシヨンも相当進行した時期でございますので、一般に集つて來ます預金が、定期預金というような長期性の預金が大部分を占めるというまでは至つておらんのであります。短期性の預金も相当あるのでございます。例えば政府は終戰処理費として土建業者に相当の金を支拂つておりますが、それは本人に直ぐ手渡さないで、必ず銀行を経由し、指定された銀行におきまして一應預金に入れるというまで手続をいたしておりますので、こういうようなものも相当預金として残る。その代り浮動購買力が好ましからざる方面に立ち向うことを一時的にでも阻止する、尚その資金を一時的にも流用することができる。こういうような両々の方面をやつておるわけであります。農村におきましては預金は主に増加しないというお話もございましたが、これは資金の在り方が昨年は農村、漁村に非常に多かつたのが都市その他にも相当流れて來ておりまして、総量としても預金が少いという点もあるのでありますが、併しこれは農業会が今度は協同組合に改組されますが、そこらの移り変りに十分注意をいたしますし、又その他地方銀行その他の金融機関の預金の増加高をも注意をいたしておるのでありまして、相当の殖えもあるのでございまして、この十二月を控えての貯蓄運動あたりはこの辺も十分突いて見たい。こう考えておる次第でございます。
 それから農村の價格調整費の問題でありますが、これは実は今度の新米穀年度からは、價格調整費的のものは、國庫の財政が十分負担し切れないというような財政上の需要が非常に多いのでございますので、消費者價格の方に廻されておるような現状であります。併しこれは今の予算というものが到底負担し切れない状態にあるのでございまして、そういう特殊事情によつたものであるわけであります。尚今後の問題につきましては、いろいろ考えて見たいと思うのでありますが、併し物價安定とか或いは賃金と物價の惡循環を断ち切るということについても、相当進めないと價格調整費的のものが農村のみならず、その他にも非常に多く出るということは、國家としては到底財政的に背負い切れんということもあるのでありまして、その辺も併せて考慮いたしたいと思つております。
 開拓者資金についてのお話でありますが、これは実は日本のような沢山の人口を抱えて、食糧を相当量輸入しなければならんというような現状では、これは困るわけであります。これは國家の大きな大本として、やはり考えなければならん問題であります。それでその一つの方策としては、土地の開墾その他をも進めるということは勿論必要なことでございます。これに対する資金の問題でありますが、これは農村金融その他でも十分行かない。復興金融金庫を利用したらどうか。或いは國家が直接補償をしたらどうか。こういうようなお考もあつたのであります。実はこの開拓者に対する資金の融通ということは、相当長期性持つ金融でないといかないのでありましてこれにつきましては、今農林中金とか、或いは勸業銀行とか、或いは北海道拓殖銀行等も一部いたしておるのでありますが、政府はこの新しい日本の終戰後の事態、今後の経済発展のために、金融機関というものにつきましても、十分整備をいたしたい。殊に特殊の金融機関についても整備をいたしたいと考えておるのでございます。それでこの開拓者に対する金融その他の農業金融という点も、もつと突き進めて、そうしてこの制度等をも十分考えて円滑を期したいと思つておるのであります。これに対する政府補償はどうかという点でございます。只今の点におきましては直接政府が補償をするというようなことになるということは財政上の相当困難な時期でございますので、ちよつといたし兼ねるかと思うのでございます。併し長期金融であり、特殊の金融でありますので、或いはこれに向くような金融機関の再建整備の場合は、この機構をも作りまして、又それに対しての信用強化或いは信用の添加、加えるという点においても十分考えまして、運用をいたせるようにいたしたいと思うのであります。
 只今当面の問題といたしましては、然らばどうするかというのでございますが、これま農林中央金庫とか或いは勸業銀行その他をも十分動員をいたし、そうして考えて見たいと思うのであります。尚計画的に相当大量のものがあるのならば、政府にしても十分取上げて考えたい、かように思うておる次第でございます。
#14
○島村軍次君 大体御説明で分りましが、この資材の裏附の問題につきましては大藏大臣は簡單に片附けられましたが事実の面から申しますと実際有効に資材を配給するということに対しましては、現在の少量の範囲におきましても、農村地帶においては、資材の少々の裏附が非常に生産の増強に役立つという面を十分に御認識を願いたいと思うのであります。これは一つの例を以ちまして、そうして関係各省全部について、特に希望意見を申上げておきたいと思うのであります。それは農村の生産に使う鉄鋼材の事柄でありますが、戰時中におきましては、鉱工業に比較しましては、極めて僅かな数量でありまして、二万数千トンしか使つていなかつた。而もそれを配給する場合に、枠の決定に從來の実績を考えられました結果、本年度においては僅かに八千トンを割当てられた。而も事実に現れました実配給量は二千トンにも足らないというような極めて少量の数字に終つておるのであります。なかんづく一番農業者の困りますのは、先程も申上げたように、再生産の生産が極めて分散的でありますので、例えば鍬を一抵直す、或いは鎌を直すというような場合におきましては、極めて少量な鉄鋼材で間に合うのであります。これは從來野鍛冶というようなものがやつておつたにも拘わらず、全体の枠を数字的に、而も簡單に片附けられるために、ちつとも配給がない。配給の枠があつても事実は配給をされない。こういうふうな結果が、國民の間に非常に増産を呼ばれておる場合に、この鋼材の一トンというものが如何に有効であるかということに対しましては、これは日本経済の再建に僅かなクレジツトがいわゆる誘い水になつて、そうして役立つだろうということを唱えられると同様に、実に鋼材の少量は農業生産、特に食糧の増産の上に極めて重大なる役割を持つもりであります。そういう部面に対する資材の配給は勿論のこと、予算の点におきましても、從來補助政策を以てやつておつたのでありますが、これ等の問題が終戰と共に、農業に対する我が國の特殊性というものを無視されまして、そうして補助政策を全然取つてしまおうというような傾向にありますことを、私は特に遺憾に思うのであります。將來こういう問題に対しましては、大藏省としては、有効適切に、僅かな予算によつて、その生産の増強を期せられると同時に、資材面においても、この問題に対して特別なる配慮を願うことを附言いたしまして、希望を申上げておきたいと思うのであります。
 尚その他二、三についてお尋を申上げたいこともありますが、後は分科会に譲りまして私の質問はこれで打切ることにいたします。
#15
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今の最後の御希望でございますが、実は関係大臣が出ておりませんのでございますので、甚だ異例でございますが、大藏大臣からちよつと実情を申上げたいと思うのでございます。
 この間の米價が決りますに当りましても、今御指摘のように、十分農村に裏附がない、今野鍛冶のお話がありましたが、それは農林大臣からも十分説明があつたのでありまして、或いは僅かなことでございますが、せつけんが配給がないために、相当の負担になつておるというような事実を現実に見たのであります。そこでこの間の米價が決りますにつきましては、やはり関係大臣、大藏大臣も酒、煙草、塩については責任を持つておりますが、他の主として商工大臣及び農林大臣その他も又運輸大臣なども十分申し合せをいたしまして、相当裏附に協力する。殊に商工省においても十分したいというような話合をいたした次第でございまして、実行に移すということになつた次第でございます。
 尚今の鎌その他の農具でありますが、それに必要な鋼材その他であります。これも安本といたしましても十分考えて、数量の増加をすると同時に、粗製濫造して、一二囘使えば直ぐ使えないというようなものを渡さないように、尚報奬物資として農具を渡す場合には、極めて粗末なものを渡すというようなことが出たのでありまして、その点も十分考える。こういうことにいたした次第でございます。尚これは一つ政府といたしましては十分注意して、この裏附物資については、約束は果すという方面に全力を盡すということを閣議で決めたような次第でございます。ちよつと私から便宜申上げておきたいと思つております。
#16
○委員長(櫻内辰郎君) 服部教一君。
#17
○服部教一君 ちよつと簡單に、私の考えておるところを申上げたいと思います。
 物價が非常に上るについて、生活に困つておる者がだんだんありまして、それを希望通り大藏省の方から金を出すということになれば、インフレがますます進むし、成るべくこれを止めようとしておられるその御苦心は、私共は御同情申上げておるのでありますが、さりとて、現実に生活のできない者には、どうしてもこれを、インフレが進むからというて、要求のひどいところだけはやるし、弱いものは打つちやつておくというようなことにすると、よくないと思うのであります。
 そこでやはり困つておる者には、これを出してやらなければならん。例えば小学校教員を長い間やつて、そうして止めて、七八十歳になつておりまして、恩給を四十円や七十円貰つておつては、到底生活できないのであります。その中には、子供などもあつて、生活のできておる者もありますけれども、又不幸にして補助を受けることができないで困つておる、それらの者を今日は打つちやつてある。それでそういう者から私共のところへ向けて、何とかして貰いたいという要求があります。実に氣の毒に思うておるのであります。
 そこで、やはりそういう者に対しては、今物價が何十倍とするようになつておるときに当つて、そんな僅かな、……昔はよかつたですけれども、五十円や七十円の恩給を貰つておる者を、そのままにしておくというようなことは、実に私は無理だと思うのです。だからこれはやつぱり増してやらなければならんと思うのです。それで物價高に應じての、大藏省の方から出す金が、余程でこぼこになつておると思うのです。これはやはりよく考えて、これを一樣にせぬというと、目前日々食つて行かなければならんのでありますから、これは收まらんと思うのです。例えば千八百円ベースにしても、やつぱりその通りであります。インフレを防ごうと思つていろいろ苦心されておる点は、我々も同情しますけれども、できないことをやつたところで、これは到底いかない。それだからやはりでこぼこのないように、生活のできるように総ての者に対してやる。そうして一面物價高を防ぐ方法を講じなければならん。これは根本的にやらなければならん。或者は苦しめて、そうしてそれで物價高を防ごうというようなやり方は、私は間違つておると思うのです。そうだから私の希望するところは、來年度の予算を御編成になるに当りまして、大藏省に調査機関を設けて、内部の機構を変えて、そうして日々の業務に追われないで、本当に調査研究をし、地方にも出張し、專門的に研究する人々をおいて、そうしてこの課税の方法とそれから支出の点を、しつかりと一つに決められたらよかろうと、こう思うのです。即ち調査機関を設けることであります。
 それから具体案として私が質問したいのは、小学校教員などの恩給の少い者に対して、それをどういうふうにされるつもりであるかということが一つ。
 もう一つは、御承知の通り、「みかん」園とか、「りんご」園とかいうような果樹園を持つておる者が、一町歩持つておれば、百万円の收入があるとか二百万円、三百万円の收入があるというようなことを聞くのであります。それらのものに対して、あれは闇で賣つておるのだから課税はせんというやり方であるか。もつとこういう時に應じての課税方法というものはその時に適切なるやり方でやらんというと或者は沢山金が余つておる。一方には食うものがなくて困つておるというようなことになるというと、もう國内が騒然としてやかましくてこれは限りがないと思うのです。それだからやはりこれは徹底的に調べて貰うことと、それから今の二つの点を一つどういうふうに大藏大臣は考えておられますか、それを承りたいのです。即ち小学校教員の恩給など少い者の困つておる点をどうして救うかという点と、もう一つは一町歩果樹園を持つておれば、百万円三百万円という收入のあるものに対する課税はどういうふうにされるか。この二点であります。それからもう一つ、昨日ちよつと個人的にお伺いして私は非常に喜んでおるのでありますが、奈良縣、大阪府、京都府、和歌山縣、滋賀縣等二府六縣における今年の旱害は非常に大きなものでありまして、もう殆ど年の寄つておる人でも知らないというくらいな大旱害であつて、こういうものに対することもやはり打つちやられておりまして、僅かに五千万円ばかり今度追加予算に出ておるけれども、そんなことぢや仕樣がないから殖やしてくれというので、八十数名の者が上京して陳情に参つたことは、これはもう皆御承知の通りであります。それに対して今度何とかするというお話を承りまして、殖やす積りだということを承りまして、私は非常にこれを喜んでおるのでありますが、殖やすにしても、その金額はどのくらいに決まつておるのでありますか、皆この陳情に來た者などは日々待ちかねており、この二府六縣の農民は毎日そのことを言うて心配しておるのであります。一日も早くその金額を知らして貰いたいと思うのであります。そうすれば安心しますから、又次の年度の生産増強に対しても非常に力を得るわけでありますから、どのくらいの金額に決まつておりますか、それを承りたいのであります。その点を一先にお伺いいたします。
#18
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。この恩給生活者の問題を第一にお答えしたいと思うのでありますが、お説のように恩給生活者で、この物價高その他のために非常に困窮する者の多いということは、私もよく認めておる次第でございます。この恩給制度というものは戰前及び戰時中の制度が相当引続いて來ておるのでありまして、軍人その他などは拂はないようになつておりますけれども、この恩給制度というものは全体的に只今その筋とも交渉しまして、この見方を新たにし、そうして新しい制度を変えたいとこういうふうに準備をいたしておるのです。それまではちよつと今のままでおる次第でございます。恩給生活者にして非常に困られるというような方につきましては、生活保護法等の措置によりましても、これを考えるようにいたしておる次第であります。生活保護法の方におきましては、今回のこの物價高その他によりまして金額を増すようにいたしておるような次第でございます。
 それからその次には「みかん」等の闇所得に対して課税をどうするかということであります。これは申上げるまでもなしに、闇所得即ちインフレ所得者に対しては、これを第三者通報制度、或いは税務機構の拡充その他によりまして、あらゆるところに追及して所得税を取ろうというように考えておるのであります。これを取るか取らんかということが、この財政がうまく実行されるかどうか、ひいて経済危機が脱却されるかどうかということに大きな関連を持つたものでございますので、十分力を盡したいと思つております。現に例えば儲けが出て、その儲けが第三者の通報によるとか、或いはそうでなしにそのために新しく家を造るとかいうようなことがありますならば、その事実を直ぐ抑えて、どこから金が出ておるかというところまで、立ち入つてこれを抑えるような方法をとらしたいと思うのでありまして、この点は十分政府としても心掛けまして目的を達したいと思うのであります。そうしてこういうようなインフレ所得者に対しては、高率の税率をも適用したいとこう思うのでございまして、今回の「所得税法の一部を改正する等の法律案」には税率を引上げておるような次第であります。
 それから旱害対策の問題でありますが、これは今お話になりました通りな現状がございます。私も奈良縣には、大臣に就任直前にちよつと参りまして、植付も旱害のためにできないというような実情も見て参つたのであります。隣の和歌山縣においても相当なものがあるのであります。のみならず各地において旱害の相当甚大なものがありますので、政府としては只今のところは五千万円しか費用が計上してないわけでありますが、これは金額も相当増す必要もあろうと、こう考えまして、これを追加予算にするか、或いは予備費等によつてこれを賄うかということは今決めておりませんけれども、何とか金額は増したいということは決意しておるような次第であります。なおこの追加予算に盛る場合におきましては、只今若干の追加予算の補正予算をお出しするように準備をいたしておりますが、金額も農林省内務省とも連絡しなければなりませんので、十分金額が決まらん場合には、或いはその次の補正予算というようなものも考えたい。かようにも考えておる次第でございます。
#19
○服部教一君 それからもう一つお伺いしたいのですが、先のこの米の供出額に対しての報償物資として酒などを出されておるのでありますが、これは酒の量が適当であれば農民も喜びますが、一斗も一斗五升も貰つて、酒を飲まないのに貰つて、それを人に賣るとか何とかいうような事実もあるのです。それで誠にむずかしいことではありますけれども、酒や煙草などというものは大藏省の手にはありますけれどもこれは元來衞生上よくない品物でありまして、あまり余計出されるというと却て國民を害するということにもなるのでありますから、これは自分の手許にあるからというて、それをどんどん出さずに、成るべくそういうものよりも他に必要なものを出すようにして頂きたいと思うのです。これに対してどういうふうに考えておられますか。
#20
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。二十三年度の酒の造石量その他につきましても、これは今いろいろな交渉を重ねておりますが、或いはその少くなるようなものも材料の点で起ると思うのであります。そういうものにつきましては、或いは藷を腐らすよりも、アルコールを取つてそれで埋め合すというようなことも考えて、適当に調節したいと思つております。それを配給する場合でございますが、これはこの一部で非常に嗜好品として好まれる点、或いは又衞生上の問題もありますので、十分その点は考えたいと思うのであります。そのなお他の報奬物資を渡すということによつて、過度に酒など報奬物資として渡すことを避けたらどうかというお説でございます。これは誠に御尤もでございます。さようにも努めたいと思う次第でございます。
#21
○村上義一君 大藏大臣にお尋ねいたしたいと思うのであります。今回の補正予算編成に当りまして、健全財政方針を堅持せられたことにつきましては、非常に御苦心のあつたことと拜察いたします。又敬意を表する次第でありますが、この見地から復金資金とか、又は貿易資金というようなものまで課税なり、又は專賣益金なりによるという建前をとられることは勿論理想的であると思うのであります。併しながら現在の日本の実情におきましては、これらの資金は公債によつても差支ないのじやないか。必ずしもそうしても健全財政を破壊するものじやないと考えるのであります。むしろ生産増強、國民生活の安定というようなことに積極性を加味した財政計画こそ、眞の健全財政であるとも言うことができると思うのであります。即ち中小企業、その他一般産業の資金、或いは又引揚者の事業資金であるとかいうようなものを豊富にして、一面においては勿論その使途につきましては、嚴正な処置をとつて行くということが必要でありまするが、かくして生産力を増強するということがインフレを防止する上におきましても、國民生活の安定を斎らす上においても緊要なことであると思うのであります。で産業資金の如き甲一、甲二のランクにありまする産業ばかりでなく、今日兎角闇の高利資金に依存せざるを得ない乙以下の産業に対しても、その生産資金の流通秩序を的確に、つまり適正ならしめるということが必要であると思うのであります。現在のような高利資本によらしめるという場合には、その生産コストがいよいよ高くなり、自然インフレーシヨンは昂進するということにもなると思うのであります。勿論こういうような根本の方針につきまして、今日これを改変するということは実際問題としてそれはできないことだと思うのであります。二十三年度の予算編成も目前に迫つております。この際、健全財政の堅持ということは勿論緊要なことでありまするが、今少しく二十三年度の予算編成については、積極的な方策を盛り込んで頂くということが必要じやないかと思うのであります。この際大藏大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
#22
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今の村上委員の御質問に対してお答えしたいと思うのであります。この問題が実は大藏大臣といたしまして、多年金融の畑におりましたので、今回の追加予算にも十分の実は苦労をいたしたのでありまして、そこをもここで一應申上げることをお許しを願いたいと思うのであります。衆議院における公聽会でも実情に副わないような意見も出ておりましたので、十分申上げて見たいと思うのであります。実は村上委員のお説の通り、私は趣意としては賛成をいたしておるのであります。実は今回の予算にもそれを一部実行いたしてするのでありますが、その点をも申上げて見たいと思うのであります。財政法によりますと、この建設工事とか、或いは投資勘定のようなものは國債によるということが許されておるのでありまして、國債によつても十分この資金を賄える。そうして産業を大いに興すということは是非これはやりたいと思うのであります。今現状を申上げまするというと、実は國債といたしましては興業債で成立いたしておりますところの鉄道会計、それから通信会計等に國債の発行があるのであります。この國債の発行というものはどうして行くかという問題でありますが、これはやはりこの三月まで、是非続けて行きたいと、かように考えておるのであります。尚復金債についてでありますが、興業債に政府の出資は六十億、今度の追加予算に四十億ありますので百億であります。今この復金の出資、債券を補いまして五百五十億でありまして、尚残つておるのは、そういう三つの面からこれを賄いますというと、二百八十億くらいあるのであります。その中の百億だけが政府の出資になりますというと、百八十億はこの復金の補償によつてやるか、併しそれも或程度でありますから、大部分は復金債券というものを発行して行かなければならんのであります。そこでこの復金債券、復金の重要性は今ますます増しますので、資金的にこれを狹隘にするということは政府は毛頭考えておらんのであります。この百八十億の復金債を円満に消化して行き、尚鉄道、通信の両会計の公債発行を円満に消化さして行くということについて十分努めておる次第であります。ところで現下の問題といたしましては、これが消化ができなくて、日銀資金に頼つて日銀で引受けて貰うということになれば、今日までやつて來た方法であります。これでは貨は非常に増発されるのでありまして、決してインフレーシヨンを防ぐことはできないのであります。そこで大藏省としましては、日銀の資金の出ないようにして、公賃と復金債を消化する方法ということを考えたのであります。で鉄道公債でありますが、こういうような公債はどうしたかと云いますと、就任以來貯蓄の増強を隨分努め、殊に九月以來はその運動をも一段と盛にしたのでありますが、増加した預金の中の大体五〇%くらいは純増の預金で、五〇%は各金融機関の貸出資金に振り向けて、國債と復金債の共同引受に当てる。こういう方策をとつたのであります。最初に公債につきましては、その政策をとりまして、そうして戰爭以來殆どないことでありますけれども、この九月に十億を日銀に全く頼らないで、金融機関、証券会社を通ずる公募という形で完全に消化したのであります。それから十月につきましては同樣な方法によりまして十三億の國債を消化したのであります。これは日銀に全く頼らないのでありまして、日銀の通貨増発をしない関係にあります。それから復金債につきましてはこの十一月から共同引受の形をとるということで、実は先日も地方銀行の会合などに出まして、そうして保証によつて地方銀行は貸出をするか、復金債を引受け、そこでは利息等が違いますから、それを相当に調整をして、そうして共同的な引受の形をとるという話を大体決めたのであります。それによつてやりたいと思うのであります。かようにいたしますというと、起債市場その他の市場は、非常に狹隘でありますので、それ以外には六・三制とか地方債を一部引受けるという程度に留まつておるのでありまして、それ以上の余力はこの二十二年度には認められないのであります。そこが若し認められないのに公債を発行するというようなことになりますというと、それは全く日銀の引受になりまして、日銀資金が増発、即ちインフレーシヨンを激成するということになるわけであります。そこでそういう制度はとれないので又この際嚴に愼しまなければならんので、止むを得ずその外のものは一般資金、一般歳入によつてこれを賄うというような止むを得ない措置をとりました次第でございます。それから二十二年度はそういう事情で市場消化ができる範囲においては、公債の発行というものをこれを考え、そうして産業振興に向け得るならば、十分向けたいという根本の考は持つておるのでありまして、本会議における説明にもそれをしたような次第でありますが、今言つたような事情で復金債、地方債及び國債、國債は鉄道、通信の両会計に本予算で残つておりますものを発行して行く。そこで一杯々々でありますので、そういうようなことをしたのであります。併し二十三年度におきましては、私どもはこの歳入の面を十分考えますと同時に、國民貯蓄の増強その他も十分考え、企業再建整備その他も考えておるのでありますが、生産を是非上げたい。そうすれば國民貯蓄も相当殖えて來るというので、國民貯蓄と見合しまして、或いは一般財政と一般歳入というもので賄えないものについても、公債の発行ということが考えられるということをここで申上げたいと思うのであります。併しその公債を発行いたしましても、日銀で引受けて日銀の通貨が出るということでは、これは根本的に工合惡いのでありますので、市場消化起債市場を培養いたし、貯蓄の増強、起債消化に振り向け得る資金を増加さして、そうしてそういう一連の政策と共に、公債の市場消化ということをも実を挙げて、そうして一面においては浮動購買力を吸收すると同時に、他方、産業の振興という方面に十分の資金をも賄い得るようにいたしたい。かように考えておる次第でございます。
#23
○村上義一君 今一点大藏大臣にお伺いいたしたいのであります。過日西尾長官も、本会議にきまして大体述べられたことでありますが、又総理も過日の本委員会におきまして述べられた官廳機構の再檢討と同時に行政整理を断行すべく、既に調査を進めておるというような趣旨を本委員会においても総理が述べられた次第であります。今日におきまして國民全体としまして、職業に就いてない人の数は隨分多数に上つておると思うのでありますが、更に近き將來において厖大な失業者が現われるということは必至であると考えられるのであります。即ち手足を食つて生きておるような不合理な経営をしておる企業は、民間におきましてもさらに今日目につくのであります。又官業の面においても、その最も大なる國鉄のようなものも、いわば今日その日暮しの不合理な経営を継続しておると言うても過言ではないと思うのであります。今日の國鉄の特別会計は未曾有の不健全財政であると私は思うのであります。勿論これにつきましては、いろいろの原因もあるでありましよう。又なさんければならん措置、とり得る救済措置と申しますか、合理化措置も多数あるのでありますが、併しそれらはまだ緒についておらん。石炭價格の如きものでも、非常に價格が騰貴し、又品質が粗惡になつた。自然実質價格が異常な暴騰を來したということは事実でありますが、併しこの石炭の節約方法につきましても、或いは又助燃材等の活用によつて活用し得るカロリーを殖やす方法であるとか、或いは粉炭の煉炭化であるとか、いろいろ節約する方法があると思うのであります。又これらも板についてない模樣であります。特にその職員数は十一、二年頃は二十二万乃至二十四万の從業員であつたのが、現在六十二万人になつておる、大体この作業量と定員との最も適当な標準は、日々の列車キロであることは多言を要しないところでありますが、数年前には一日七、八十万キロに及んでおつた列車キロは、今日四十二万キロに減つておるのであります。而も人員は只今申しまするように非常に増加しておる。こういうことであるのであります。要するに收益勘定における今日の莫大なる赤字、百数十億に及ぶ赤字、十一月以降においても毎月十億づつ一般会計から繰り入れるということが本補正予算にも計上されておるのでありますが、年間を通じて百数十億に及ぶ巨大なる赤字財政であるのであります。而も償還計画というものは示されておらん。僅かに十億だけを償還するということは現われておりまするが、全般的の將來に対する計画は何ら示されておらない。又今後バランスがとれるような合理化方策なるものも示されておらないという状態であります。誠に遺憾に思うのであります。通信の特別会計も大体これに準ずべき実情にあると思うのであります。それで政府が既に二十三年度の予算編成に当つて、西尾長官の言を藉りて申しますれば、二十三年度の政治方針決定に当つて、官廳事業の合理化、行政整理を問題として取上げるということを述べておられるのでありますが、政府は、かく言明せられておる通りに、産業の合理化、官業の独立採算制の確立を断行せられるとするならば、官業、民業から出る失業者は近き將來において、厖大な数に上ることは必至であると考えるのであります。これに対應する準備態勢と申しまするか、これが極めて大事であると思うのであります。これなくしては事実上断行することはできまいと思うのであります。その準備としまして、失業手当法であるとか、或いは失業保險法というようなものだけでは準備としては頗る不十分であると私は思うのであります。即ち完全雇傭の精神に則つて積極的な失業対策の確立が必要であると思うのであります。治山治水の事業であるとか、或いは道路建設事業であるとか、水力発電事業であるとか、勿論資材の関係もあることでありまするが、いろいろの対策が考え得られる筈であると思うのであります。要するに今回の補正予算には、積極的な失業対策というものは、殆ど見受けることができないのでありますが、二十三年度の予算には、是非とも積極的に計上せられることが必要であると思うのであります。大藏大臣には御迷惑とは思うのでありますが、どうぞ一つ御方針を伺わせて頂きたいと思います。
#24
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。二十三年度の予算編成に当りましては、只今村上委員のお説の通りに、政府といたしましては、十分考えなければならんことが多々あるのであります。今度の二十三年の予算編成ということは、いろいろ將來の日本の経済の動きその他を十分織り込んで考えなければならんのであります。その一つとしまして、官房長官からも既に説明があつたということでありますが、この行政機構の改革その他に伴いまして、行政整理をするということも止むを得ないことだと思うのでありまして、そういう点も十分檢討をしまして、予算の編成の方針の中にも織り込み、そうしてこの実行をもできるようにいたしたいと考えるのであります。それと同時にやはりこの失業対策の問題でありますが、只今お話になつたように、これも十分受入れ態勢を整えて置かなければならんのであります。今囘は追加予算には僅か十億の失業手当の経費が挙げてあるのでありますが、こんな消極的なことでなしに、もつと積極的に考える必要があると思うのであります。これは予算面の問題のみならず、やはり受入れ態勢を生産増強の面と結び附けて考えなければならんと思うのであります。幸いに中小工業等が戰時中いろいろ統合の結果なくなつておりますけれども、今後の問題はこの企業再建整備その他との面とも睨み合せましても、相当中及び小規模の商工業というものも大いに振興を致し、殊に戰時中相当轉換その他によつて、抑制されておりました貿易関係の企業でありますとか、貿易向、輸出向の工業その他をも十分振興さすような手続、こういうような受入れ態勢というものも十分と採ることにいたし、なお且予算的な面としては、或いは公共事業の方に相当盛つて、そういうものをも受入れ態勢を作る。止むを得ない場合には、失業というようなことに行くのでありまして、その辺の一連の政策は十分考えて、これを実行いたそうと思うのであります。官業その他をもそういうような運営を合理化して行くということは、やはり民間における企業の再建整備の結果の合理化というものと相俟ち、むしろこちらがお手本を示さなければならん関係にもなると思いますので、その辺は十分考えて、一つ二十三年の予算からはこれを具体化して行きたい。かように考えるのであります。そうしてその受入れ態勢等をも先程來申しましたように、單に消極的に考えないで、これを中小工業、殊に、輸出向の工業その他の方にも十分振り向けるようにいたし、両方で処理の円満を期したいと思う次第でございます。
#25
○委員長(櫻内辰郎君) 午前中の質疑はこの程度で打切りまして、午後一時三十分から再開いたしたいと存じます。これにて休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十一分開会
#26
○委員長(櫻内辰郎君) それでは只今より開会いたします。木下源吾君。
#27
○木下源吾君 それでは大藏大臣に二、三お伺いいたしますが、第一点は、本年度予算に全体を通じて大衆の負担が非常に重いということが目に立つておるのですが、もつと取り難い方から收入を挙げるということに努力が拂われなかつたかどうか。今御案内の通り、大衆の面では、今日千円以下の收入のものも沢山あるのだがそうすれば、日に二、三十円くらいの收入で、煙草一個一日の働きで買えない。米二合五勾も買えないという、そういう時代は恐らく今日までに我々は曾て見たことも、聞いたこともないというようなことになつておるのであります。これは実際の問題でありますから、政府もよく考えておることだと思うのですが、しかも今回の税制の改革といいますか、酒に或いは又消費税に、間接に殆ど大衆におつかぶさつて來ておるが、一足三十円の下駄を買い、十円の鼻緒を附ければ、もうそれで子供の足の先きにでも十何円も税金が掛つておるという状態、このようなことは到底続くものではないだろうと考えます、大藏大臣は、この点についてどう考えておられるか、この一点を一つ御説明を願いたいと思うのであります。政府は税金を取るということの考が非常に強いようでありますが、もつと喜んで出させるという方面に十分な施策がまだまだ足りないのではないか、これについて閣内において、大藏大臣から何か外の方面に要求せられ、主張せられたことがあるか、どうか、この点もお聽きしたいと思います。
 それから次には、本年度の追加予算において歳入が一應形は整つておるが、実際においてこの歳入が入るということの條件が、先ず第一番に流通秩序が確立しなければならない。流通秩序が確立しないでおつては、到底この歳入が入るということは考えられないのでありますが、この流通秩序については、どういうような見透しを持つておらるるのか。追加予算の歳入を完全に收入するためのこの條件についてどういうように考えておれるか、これを先ず一つお尋ねしなければならんと思うのであります。
 又次には、今日の物價体系で政府の行う仕事はできるのかどうか。これは一面においては、今日の千八百円のベースにおいて人が使われるかどうか。物の面においてマル公で一体政府の事業が遂行できるという確信があるのかどうか、この点も一つお伺いしたいと思うのであります。
 又次には、現在國が背負つておるところの厖大な二千数百億のまあ一口にいえば借金ですが、これの減殺する方法です。こういう計画を一体持つておられるかどうか。このような減殺に対する一口の計画と將來の見透しなくしては、私は健全な財政ということはどうも考えられないと思うのですが、この点について政府はどういうように考えておられるか。
 以上の点について、大藏大臣からざつくばらんに一つ御答弁を願いたい。私達も國民の今日の生活にこの予算が繋つておるが故に、只今の質問に対する大藏大臣の御答弁によつて、耐乏の生活も、又苦しいことも負担しようと考えておるのでありますから、誠意ある而も確実な御答弁を願いたいと思うのであります。
#28
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。第一の点は大衆課税に関する問題であつたのであります。日本の平常なる場合としてでなく、敗戰後の窮迫した財政を盛ります場合に、それと睨み合せて、大衆課税の問題はこの追加予算を作ります際にも十分考慮いたしたのであります。併し敗戰後の日本の経済でありますし、財政需要が終戰処理費その他で非常に大きな金額に上りますので、大衆課税について即効的な十分な改善を加えるということはなかなかできないような現状にあつたのであります。併しながら大衆課税殊に勤労所得者或いは少額所得者に対する課税という点には相当意を用いまして、数次の交渉を重ねて、既に申上げましたように五十一億の減税になるのでありますが、負担軽減を断行した次第であります。その敗戰國において、そうして各國とも敗戰國が経済の財政の困難に喘いでおるのでありますが、まだ余りかようなことを直ちにしたというようなことを聽かないのでありまして、我々としてはどうしてもその点については現内閣の性格にも鑑みまして、断行いたしたいような次第であります。
 尚このインフレ利得者に対して高率の税を課せるということでありますが、これは年額七万円を超える所得者に対して税率の引上を行つたのであります。これには相当の税、殊に高い利得者に対しては相当の税を負担さすことといたしました次第でございます。
 なお大衆の負担を成るべく軽減したいというようなことは、趣意におきましては、全く同感であります。財政上の需要と両方とを睨み合せて、二十三年度の予算については更にできれば、事情が許しますれば、極力こういう点をも改善を更に加えていきたいと思うのであります。元來内閣といたしましても、既に準備、考究いたしたのでありますが、経済の危機を乘り切る政策と共に、経済の根本を建直し、日本の五ケ年計画というような、長年月に亘つての計画を立てる考で今進めておるのであります。この長い計画に当りましては、大衆課税、殊に勤労所得者、その他少額所得者の利得に対する課税の軽減ということは日本の財政経済の建直しということに見合せ、同じ歩調を以てそれに対應して実現をいたしていきたいと思うのであります。戰前その他と違いまして、軍事負担の小くなつた日本におきましては、それから浮かぶ金は大衆への負担軽減、或いは減免をいう方面に一部は向けますと共に、一部は教育、文化というような方面にも十分向けまして、新しい平和國家の建設というものに相應する財政の立て直し、改善ということを加えたいと思うのであります。
 それから歳入調達の方法についてのお尋があつたのでありますが、これは追加予算も非常に遅れて、その筋との関係でかように長い、丁度百日をも費したような次第でありまして、非常に差迫つての財政を実行することになつたのでありますが、この追加予算の実施につきましては、本予算の面での税收入、追加予算面での税收入と合せて、十分收入の徹底を期したいと思うのであります。これにつきましては、既に税務官吏の優遇ということは発表をいたしましたが、近くこれも実行に移るわけでありますが、質及び量の機構を改善し、一方において税務官吏の自粛粛正、税務運営の粛正ということを図ると共に、特殊な性質に鑑みまして十分に優遇を考え、尚且適材適所に人を配置いたしまして、十分徴收の実を挙げたいと思うのであります。
 なお國民の間においても、今回の予算申告制の所得税法、その他についても徹底を缺いている点が十分ありますので、國民の間にも貯蓄運動と共に、納税運動ということも強く推進いたしまして、そうして危機に直面しております日本の経済、財政が、納税と貯蓄の増強というこの二つによつて救われる趣旨を十分徹底させ、國民の方の理解と協力というものを求めて、歳入調達ということに遺憾なからしめるようにしたいと思うのであります、なお且そういうことにつきましては、閣議でも数次意見を述べ、又内閣におきましても関係筋とも数次折衝をいたしまして、第三國人その他の課税を免れるということのないように、十分の協力をも得るということもいたしたのであります。
 なお税務機関、税務官吏が徴税に当りまして、身辺の危險に暴されるということが、既に悲しむべき実例があつたのであります。この点をも十分考えまして閣議においてもすでに発言をし、檢察当局、警務当局等とも十分に連絡し、身の保護をして貰うということをも図つた次第であります。インフレ利得者、閣利得者に対する追求捕捉ということをも十分いたしたいと考えておるのであります。
 それから流通秩序、マル公の問題でありますが、政府の政策は、又この財政政策が圓満に実行され、所期の効果を挙げるということは其の他一連の経済施策が十分に総合的に行なわれ、相俟つて効果を挙げるということでありまして、流通秩序の確立、闇撲滅ということについては労働方面よりも或いは企業者方面に十分それを徹底するということにいたしておるのでありまして、これはいずれ安本長官その他からも説明があつたことと思いますが、どうしてもそういう政策を、一連の政策を総合的に行つて初めて難関が切り抜けられるのであります。お説のような点は十分心得て又実行いたすということに考えておる次第であります。それで政府の調達するもの、その他については九月十二日附で以てその筋からも覚書を貰い、それについては法的措置をも講じて、これを実行いたしたいと考えておる次第であります。例えば終戰処理費、その他の関係におきましては、やはり的確なる資材を受取りまして、これは隠退藏物資の摘発或いは生産という正常なルートから流れるようにそれを抑えて、そうして政府関係の指定した倉庫にも納め、業者に対してもその倉庫から直接渡してやるようなことをいたしまして、その間の無理を極力避けたい、こう思つておる次第であります。
 それから國の措材の返済の問題がありましたが、これは大きな金額は國債であろうと思うのであります。一戰時中発行した國債も相当大きなものに及んでおりのであります。これも國債の危機突破対策としては直ぐ考えられませんけれども、これは日本の國債はその九十%が國民の零細なる金からできて、金融機関その他が持つておるのでありますが、これを直ちにどうということは考えられないのであります。併しながら十分金融機関の再建整備ということ、或いは預金の安定性を確保するということとを合わせて、こういうものの返済をも確保すると同時に整理計画を立てて、長期計画の中に十分織り込んで財政建直しの一策の中に入れたいと思うのであります。
#29
○木村禧八郎君 明年度の予算編成方針に関して、簡單に御質問申上げたいと思うのであります。明年度の予算編成の時期はもう既に追つておるわけでありますが、併し明年度の予算編成に当りましては講和会議の問題もありましようし、或いは為替比率の問題その他企業整備の問題等々、いろいろ問題があります。又いわゆる分らない要素、アンノン・フアクターというものも沢山あつて、非常に予算編成は困難ではありましようが、従つて明確な編成方針というものをお伺いするのは無理かもしれませんが、この場合、その明年度予算を編成するに当りましての大綱につきまして、大きな心構え、そういうような点につきまして、三つの点についてお伺いしたいのでございます。
 その第一は、明年度の予算の編成方針は今年度の予算編成方針と同じような方針で行かれるかどうか。今度の追加予算は我々の目から見れば、石橋前大藏大臣の編成された予算の延長に過ぎない。それに対して物價の騰貴率を掛けたに過ぎない。そういうふうに思うのでありまして、特に今回の追加予算の編成方針におきましては、先ず先に財源というものを考えて、これだけの財源しかないから、その枠を最初に決めて、その枠内において政策を考えて行く、そういうような編成方針ではなかつたかと思うのであります。そのために六・三制の問題にしても、或いは又公共事業費、そういう社会党として、社会党中心の内閣として既に公約し、そうして実行しなければならない政策というものは、制約を受けてしまつておる。そういう予算の編成方針では、私はこれは逆だと思うのでありまして、明年度の予算編成におきましては、今の内閣が公約したところの政策を行なうには、どのくらいの費用が要るんだ、その費用を調達するには財源としてどれだけをどういう方面から求めなければならん。そういうような編成方針をとられるのが、これが至当であらうと思うのであります。特に我々としては政府の公約したところの政策をも織り込んで、そうしてその財源を見附ける、そういうような予算編成方針をとつて貰いたいのでありますが、こういうような編成方針につきまして大藏大臣はどういうお考えを持つておられますか。第一にその点をお伺いしたと思います。
 第二点は、明年度の予算は恐らく又非常に大きな予算額となると思うのでありますが、その場合この財源見附け、又その税を本当に机上のプランだけでなく実際に取るためには、これは余程の今から準備をして置かなければならないと思うのでありまして、今度の追加予算の財源を求めるのに際しましても、私は政府は非常に不用意、無準備であると思うのです。今頃になつて税務機構の改革とか、或いはそり他のことをお考えになつておるようでありますが、こんなに大きな税を取るのに、今の程度の税務機構の改革その他の対策で、私は非常に残念ではありますが、到底今のような対策だけではとても税は取れないと思います。この点はもつと大藏当局において眞劍に考えられる必要があると思います。況や来年度におきましては、もつとこの点については認識を新たにして、お考え直す必要があると思うのです。従つてこの点について、二つの点をお伺いしたいのでありますが、それはこれまで大藏当局において税務機構の改革その他第三者通報制等々の徴税対策をお考えのようでありますが、私はこれらのいろいろな対策を綜合しまして、一本として、脱税防止法という一つの法律を作りまして、それによつて綜合的に闇所得を把握し、そうして徹底的に税を取る。この脱税防止法の中に各種のそういう徴税対策を織り込む。そういうようなお考はないかどうか。これが一つでありますが、その次には明年度の財源を得るにつきましては、私は恐らくこれまでのようないわゆる政策協定の枠に閉じこもつておつたのでは、これはできないのないかと思うのでありまして、恐らく又第二の財産税というものを徴收しなければ、明年度においては健全財政というものは堅持できないのではないか。勿論新税を起すということは、現在の税務機構においてますます繁雑を加えて、実際の成績を挙げ得ないという虞れもあります。従つて実際には今の税法の下において、実績をうんと挙げるということが、これが最も適当な策と考えられるのでありますが、併しながら明年度においてはそれだけでは足りないのであつて、恐らく財産税というものを取らなければ、健全税制は堅持できないのでないかと思いますので、この租税防止法というものをお作りになる意志があるかどうか。そうして又第二は財産税というものについてお考えになつておるかどうか、或いは研究されておるかどうかその点をお伺いしたのであります。
 次に第三には、先程も大藏大臣の話にもありましたが、いわゆる長期計画を明年度の予算の編成方針でありますが、この長期計画につきましては公債の点についてもいろいろお考えのような御答弁がありましたが、私は明年度からいわゆる長期計画の段階に入るということは、しばしば言われておりますが、財政面においてはどういう財政計画、財政の長期計画をお考えになつておられるか、この点につきましてはどうして私は御質問するかと申しますと、これは今後終戰処理費その他の関係、そうして又日本の再生産を確保して行くという関係上、どうしても財政面においても一つの長期計画を立てまして、そうして終戰処理費その他諸般の費用との調整というものを考えて行かなければ、日本経済の再建はでき難いと思うのでありまして、そういう見地からも財政長期計画というものは、非常に立てることは困難ではありましようが、一應國民所得その他の点等々を睨み合わせまして、お立てになる、又至急お立てになる必要があるのではないかと思うのであります。その長期計画の点について第三にお伺いしたのであります。
 なお最後に、これは直接予算編成方針とは関係ないのでありますが、衆議院におきまして大藏大臣は通貨安定の方策として、預金保障制度或いは物の報奨制度というものをお考えであるということを御答弁されておりましたが、この預金保障制度というのは具体的にどういうものでありますか。或いは物の報奨制度というものはどういうものでありますか。預金保障制度は恐らく通貨價値が減價した場合それに対しての補償をする。大藏大臣のお考えではそういうもんではないのではないか。いわゆる安定價値計算みたいな形における預金の危険保障、そういう意味ではないと思うのでありますが、この点について具体的に御説明願いたいと思うのであります。
 以上の点を大藏大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
#30
○國務大臣(栗栖赳夫君) 木村委員の御質問に対してお答えしたいと思います。二十三年度の予算編成につきましては、近く閣議等に上ぼしまして決定をしたい、こういたしておるのでありまして、今政府として決まつた方針はないのであります。決めようといたしておるのでありますが、併しその決めるにつきまして、大藏大臣としての心組みをここで少し申上げてお答えといたしたいと思うのであります。
 今木村委員からもお示しの通り、この追加予算はその筋との交渉で百日も掛かりまして、大変遅れた次第でありますが、とにかく前内閣の本予算に対して足らざるもの或いは新たに出ました事情等のものに対する予算を盛つたような次第でございまして、いわゆる本予算の延長であります。そこで能う限りの点におきましては、片山内閣としての特質をも出すように、いろいろ努めたのでありますが、財政需要の非常に大きな金額等の制約を受けるとか、或いは既に本予算の制約を受けまして、十分できなかつた点も多々あるのであります。併し二十三年度の予算につきましては、これは全面的に片山内閣の編成するものであり、そういう意味においても十分日本の現状及び将来への、日本経済再建への計画等とも睨み合わせた予算を盛りたい、そういう方針を持つておるのであります。で、いろいろ日本のベースについて考えますと、終戰以来二年余を大体経過いたしたのであります。併しこの予算を見まして、本予算は勿論のこと、追加予算でも尚戰後應急処理の財政的措置を多分に含め、そこに相当の重点を置いた予算たらざるを得なかつたのであります。併しながらこういうような予算も危機を突破し、それが突破ができ得るについて、今度の本予算と、二十三年度の予算というようなものにつきましては、やはり先程申上げましたような長期計画というようなものも十分織り込みまして、むしろ日本の國民経済再建計画というようなところに重点を置いた予算をも盛りたいと思うのであります。終戰処理その他戰後の應急処置の費用も、相当段々減少することであり、その代わりには企業の再建整備とか、集中排除とかいうようなものによつて、民間の企業機構その他をも脱皮して、新しい形をとらなければならず、それに應じて政府の官業であるとか、或いは行政機構、そういうようなものも凡そ一新をした新しい形をとり得ると思いますから、それに即應する予算を盛りたい。かように、大藏大臣としては考えておる次第であります。それで片山内閣として、いろいろ公約をしたところもありますし、それからこの二十三年度の予算につきましては、すでに危機を突破することを目標としての政策協定というものはございましたけれども、長期協定というようなものについては、新たに更に與党の意向などを纒めて、そうして十分その政策を盛つたところに即應する予算といたしたい。かように考えておる次第であります。社会的文化的方面の施設、或いは産業振興、平和産業の振興への施設というようなものも十分盛りたい、こう考えておる次第であります。
 それから産業とか、いろいろの新しい日本の再建への諸施策と、財政政策というものは全く一連の関係を持つたものでありますので、綜合的にそれを考えてこれをやりたい。こういうことを、私強くここで申上げたいと思うのであります。それから租税徴收の問題でありますが、これも片山内閣が今年度の初めからできたのでなしに、中途からできまして、既に租税徴收とかその他については、予算その他の制約を受けない限りにおいて、機構の拡充とか、人員の増加とか、その他について十分いたしておりますけれども、併し尚これは木村委員のお示しの通り、十分でない点も多々あるのであります。そこで今度追加予算ができますれば、費用その他についても、相当大きな幅の経費を、大きな税を徴收するために費用が嵩むことは当然でありますから、思い切つて盛つたのであります。これによりまして更に機構拡充及びその人件費等も出して、十分徴收の実を挙げたい。かように考える次第であります。この税の徴收が遅れるとか、或いは不十分であるとか、それがために藏券で一時を賄うということにしなければ、度々申しますように、これ日本銀行券の増発であり、インフレーションを激成するわけでありますから、この点は十分心得でやりたいと思うのであります。そこで租税防止の問題でありますが、これも今までの税制と違いまして、申告制等をとりまして、日本國民の間に十分趣旨が徹底しない点もあり、普及しない点もあるのであります。それと共に、今度の税法改正でも、税法改正でも、一部採用したのでありますが、税組織を成るべく簡易にしまして、國民が租税はいくらだということを直ぐわかるようにして、徴收手続を簡単にするとともに、租税の算定その他をも簡明直截にして、十分趣旨を徹底し、そうしてこの脱税等の防止に努めたいと思うのであります。脱税等をする悪質者を防ぐために、処罰を厳重にするということは、すでに今回の税法改正で、その趣意を徹底するようにいたしたのであります。なお税を徴收しております。税の負担者ではありませんけれども、税を徴收している、或いは入場税その他の税等、或いは源泉課税を徴收しておる徴收者が、その金を徴收しなかつた場合、或いは徴收しても、他に流用した場合というような場合に対する制裁規定も十分なかつたのでありますが、今回財政金融委員会の方へお願いいたします改正の法律には、その点の趣意をはつきりいたしまして、十分悪質者には重罰にも処したいと考えておる次第であります。そうして従来大蔵省では悪質の脱税者にも刑罰の適用ということは殆どした例がないようですけれども、今回はそういう趣意は抛擲しまして、十分悪質の者に対しては、この刑罰の適用をもいたしたいと考えたのであります。すでに両三回も悪質の脱税者に対しては、非常な大きな追徴をし、又それを発表いたしておるような次第でございます。今後もそれを続け、更に悪質者には、体刑を以ても臨みたいようにも考えておる次第であります。そこでそういうふうにして、脱税の防止、それに対する制裁ということは、十分徹底していたしたいと思いますけれども、なほ今後におきまして、そういうような点がなほ不徹底な点がありますれば、木村委員のお説の通りに、特別の立法というものも必要に應じては考えたい。かように考えておる次第でございます。それから税の問題について、今後の税制、殊に二十三年度の予算は相当大きな金額に上るのでありますが、その收入はやはり税を大宗とするのでありまして、その税を徴收するという点においては、或いは新税を考慮し、財政税の如きものも考慮することが更に必要じやないかというのであります。これにつきましては、財産税を更に課するということは考えておりません。併しながら適当な他の新税等については、十分考慮いたし、そうして形式だけでなしに、実質的にも均衡を得た予算を立てたいと、かように考えておる次第であります。それから長期の五ケ年計画と、こういうものについての、或いは長期計画というもの、産業の計画というものについては、一環として財政の長期計画を立てる必要ということをお述べになつておるのであります。私尤もだと思うのでありまして、これは既に二十三年度のものもその長期計画の一つというように、部節というように考えて、編成をいたしたいと思うのであります。財政ということが、國民経済、産業、そういう面には誠に密接な関係を持ち、その他國民の生活の安定ということにも、誠に密接な関係を持つておるのであります。いずれにも長期的に考え、そうして長期的に綜合的に立て、綜合的に運営をし、実を收めたいと考える次第であります。
 それから預金保險制度のお話があつたのであります。これは実は政府としましては、金融機関の再建整備ということを急ぐことに相成るのであります。これはその他の企業の再建整備と共に急がなければならんのであります。金融機関の再建整備或いは集中排除等の関係において非常に急ぐことになるのであります。併しそれ以外にも特殊金融機関が沢山あるわけであります。日本銀行、復金というものはさて措きましても、勧業銀行、興業銀行或いは農林中央金庫、北拓、商工組合中央金庫、こういうような特設の機関が相当あるのであります。これはやはりこの一連のものであります。平和日本の將來再建への指針ということにすれば、これを一緒にこの制度をも考える、最も新しい最も時代に相應する制度に変えて行こうというように考えておるのであります。これをどういうふうに整備するかどうかということはまだはつきり決まりませんけれども、この際成るべく速やかに建直し、再建整備をいたしたいと思うのであります。
 それから農林中金の下部機構になつております農業会あたりも、今度廃止になりまして、協同組合が生まれることになるのであります。そういうようなものについても、地方の金融機関についても、民衆と最も接する金融機関につきましては十分改善、再建整備ということをも実行いたしたいと考えるのであります。そういうようなことを実行した暁におきましては、預貯金に対する安全性というか、保護ということを加えなければならんのであります。そこで預貯金の安全性の確保という意味におきまして、預金保險制度を採つたらどうかと考えておるのであります。これは只今研究中でありまして、そうしてその筋との交渉もいたしておりますがまだ成案を得るに至つておりません。これはすでに今日までの預貯金というものは、今申上げましたように特殊金融機関の再建整備とかそういうものによつて、すべて國民の預貯金というものは十分保護するように整備をして行きますけれども、將來に向つて新たにできる金融機関、これは銀行とか信託会社とかそういうもののみならず、下の協同組合とかその他或いは今度できるでありましようところの國民に接することの最も多い下部の金融機関というものの間においても、預貯金の安全を保護するということが貯蓄増強ということに非常に資するのでありますから、そういう意味において、將來に向つての預金保險制度をとりたいと思うのであります。その内容等については只今研究しておるのでありまして、まだこうだというところにまだ至つておりません。
 それから物の報獎ということでありましたが、物の報獎附きというお話でありましたが、これは預貯金の貯蓄運動を展開いたしまして、現在も展開いたしておりますが、この年末を控えては、更にこの展開をいたしたいと思うのでありますが、これについては今無記名の預金とか、その他の預金もあるのでありますが、やはり物資の報獎附の預金をも始めさしたらどうであろうかというような考えを持つておるのであります。そういう意味においてこの分は当面の問題でありますが、貯蓄増強に資することができるならばやりたい。かように考えて、衆議院の委員会でそれを答弁したような次第でございます。
#31
○左藤義詮君 只今木村委員の御質問にもありましたように、千八百十八億というような租税及び益金が確実に三月、或いは七月までに取れるかどうかということが、藏相が生命がけで守つておられますところの健全財政の鍵でありますが、今までお話がありましたように、所得税の内容の周知が不徹底で、申告納税制度というものが甚だ成績が不振である。これに対しては二万人からの増員をして、第三者の通報制とか、この通報制ということを私共文教の方面から申しますと、孔子が父を揆いた子供を罵つておりますように、私はこれを大きな問題だと思いますが、止むを得ませんので、あらゆる方法で……二万人と申しても、素人では、十数年の経驗を積んでも徴税の技術というものはむずかしい。そういうこつというものができるかどうか、いろいろ重刑を科するということでありましたが、存外それが大魚は逸して、真面目に働いておる小さいところへばかり強く当る。極端に言えば、税の問題から昭和の安政の大獄のようなことが起るというようなことまで、私心配するのでありますが、この問題についてはここで申しませんが、さようにいたしましても、なお非常に滞納が多い。そのために非常に支拂が超過になつて、通貨の膨張になつておるということでありますが、一体この四月以來、四半期毎に、どれくらい所得告税が申せられて、それをどういうふうに捕捉して行く見込でありますか、大体の額を一つお知らせ頂きたいと思います。
#32
○國務大臣(栗栖赳夫君) この四月以來九月までは税の徴收は二百六十億ぐらいで、百億の滞納が大体あるのでありますが、滞納等につきましても、現物の財産で代納をするという者もありまして、話が進まないで遅れておるのも相当あるのであります。併しこれらの点につきましては、今主税局長から資料を以て改めて詳しいことを御説明申上げたいと思つております。
 なほ今この滞納の点、税の徴收の確保という点については、御説の通り大藏省としても、或いは政府といたしましても、十分一段の努力をいたそうとしておりますのでございまして、單に刑罰を以て臨むというのでなしに、先程も申しましたように、一面におきましては、税の普及、財政の危機を十分に國民に認識して貰いまして、そういう方面と、それから惡質者に対しては、刑罰ということで、両方で臨みたいと考えておるような次第でございます。
#33
○左藤義詮君 今日までの税收の実際につきましては後刻伺うのでありますが、それでは今後特に年度末を控えまして、どういうふうに当初予算に加えて、又今後予算で非常な増税になりましたので、これを徴税して行かれる見込みであるか、これができるかできないかが、インフレを排除し、現内閣の使命を果すか、果さんかの問題でありますので、そのことにつきましては、年度末まで私共待つておれませんので、ひと月ひと月どういうふうの御計画をお立てになつておるか、それを伺つて置きまして、それが実現できるできないかが現内閣の健全財政のよく果されないかの鍵になると思いますので、若しそれができなければ、何らかの処置を執らなければならんと思いますので、今度いろいろの税收の状態、それから十一月どうなるか、十二月どうなるか、一月、二月、三月の月別に歳入に対する確実な政府のお見込みを伺つて置きたいと思います。
 総理がお見えになりましたので、沢山お尋ねしたいことがありますが、非常に質問者が多いようですから一つだけ……、去る十三日、衆議院の予算委員会において、磯崎委員に対して、講和会議に対する現内閣の心構えとして次の三つの点に非常に努力をしてその効果を收めておる、こういう総理の御説明でありました。第一は政治制度の民主化、第二は経済の民主化、これについても私はお尋ねしたいことがありますが、特に第三に、精神上の民主化を徹底するために精神運動を積極的に展開しておる。こういう御答弁でありましたが、私の見るところを以てしては、政府が身を以て國民に範を示して、世界に誇れるような精神運動を展開せられておるとは了承できないのでありまするが、一々ここでは申しませんが、内閣の不統一、今いろいろやつておられることにつきましては、國民としては本当に政府を信頼して、盛り上る精神的な復興の心構えを以て、政府に附いて行こうというような空氣があるように私は認められないのでありまするが、特に私は、その問題は他日にいたしまして、こういう精神的な民主化というものを、予算の上にあらわすものは教育費の外ないと思うのであります。その教育費が十分に……十分とはいかなくても、少なくとも最小限度盛ることは、六・三制を中心として日本の教育が、眞に民主化して行くということがそれを私は世界に示すことが、総理の十三日の御言明のように、講和会議を少しでも有利にする最も大事な條件だと思うのでありますが、その大事な教育費が内示までせられて、地方ではその準備をし、学童たちは非常にそれを樂しんで待つておる、それが僅か十四億のものが半分に削られた、こういうことは私どもとしては非常に遺憾なのでありますが、戰災者だとか、その他の方面に対するものが、お氣の毒でありますが、少々薄くなりましても、併し日本の精神上の民主化が世界上徹底し、講和会議が有利になれば、近き將來にそれを補うことができるのでありまして、私は総理大臣が、特に高度の民主化を唱えられます現内閣の総理として、教育の問題につきましては、あと七億を何とでもして一つ私は実現いたしたい。いろいろ資材の関係もございますが、終戰処理費そのものは動かせなくても、それに便乗しておるものが、他に随分あると思うのでありまして、そういう方面にメスを加えますならば、何とか私は途がつくと思うのであります。文部大臣があれだけ地方に内示して七億に切られても尚職に止まつておられますのはあとの七億を実現する信念があつて努力しておられるのだと信ずるのでありますが、この問題につきまして、政治的な処置の一任せられております総理として、あとの七億にしてどういうようなお見込をお持ちになつておるのか、この機会にお伺いしたいと思います。
#34
○國務大臣(片山哲君) 精神的方面より日本の民主化を促進するために、教育に重点を置かなくてはならないという御意見には全く同感であります、これと実際面において如何に現するかということにつきましては、乏しい財政の中よりなほできるだけの費用を削きまして、教育方面に使いたいと思つておるのであります。まあいろいろ既に政府から御説明をいたしましたので、御了承のことと思いまするが、水害等がありまして、支障を來したのでありまするけれども、とりあえず追加予算面には七億円を計上いたしておるのでありますが、これで打切りでは決してありません。あとの費用を、大体七億円と見当をつけまして、合して十四億円は六・三制のために使いたいと思つておるのであります。このあとの大体の見当といたしておりまする七億円は、今お示しの通り資材の関係もありまするので、今日のところでは直ちにこれを数字に現すわけに参りませんが、できれば追加予算として更にこれを計上いたすか、或いは予備金等よりこれを出しまするか、いずれかはまだ未定でありまするが、大藏省当局において事務的にこれを検討いたしております。見当がつきまして、大体の数額及びその財源等が分かりまするならば、早速諸君にお示しをいたしたいと思つておるのでありまして、やることは必ずやる予定であります。その費用をいかに捻出するかと、こういう実際上の問題に当面いたしておりまするので、暫く延びておるような関係になつておりまするが、必ずこれをお示しいたしまして、御審議を受けたいと存じております。
#35
○飯田精太郎君 私は総理大臣に水力電氣の開発についてお伺いしたいと思うのであります。本國会が再開されました劈頭において、片山総理大臣は、その施設演説の中で、日本経済再建の長期的な計画については、政府は緊急対策と並行してこれを立案しつつあり、後日発表し得る段取となると思う。この計画の中で、政府は特に水力電氣の開発を重視し、事情の許す限り速かに大規模水力電源の開発、ダムの建設に着手したいと考えているということをお延べになつておられます。時節柄誠に適切な施設と、双手を挙げて賛意を表する者であります。我々は一日も早くこれが発表せられ実施せられんことを待つておるのでありまするが、その後一向進展の模様が見えないので、甚だ遺憾に思う次第であります。御承知の通り我が國においては電力は実に石炭と共に、動力源として産業の基盤でありまして、これがありませんでは、産業の建直し又生産の増強も絶対に不可能であります。然るに現在の電力の需給の状態はどうであるかといいますと、休戰後の政府の指導がよろしきを得なかつたために、休戰によつて、産業停止により発生しました多量の余剰電力は、燃料不足の代用として、家庭の電熱や電氣風呂、電氣製塩等に悉く使用し盡されたのであります。そうして工業の生産はまだ戰前の三分の一にも回復しておりませんのに、電力は豊水期でさえ既に不足となりまして、一部工場の送電を制限しておるような状態となつておるのであります。從つて今後生産が回復する場合に、これに供給すべき電力の余裕は全然ないのでありますから、これに対しては新たに電源を開発して、需要に應ずる外はないのであります。勿論休戰後に激増しました曩に申しました電熱を戰前通りに圧縮することができますれば、新規開発を待たないでも、工場へ廻す電力は得られる筈と一應は考えられるのでありますが、実際問題としましては、戰後の我が國の燃料事情が甚だしく変化いたしまして、今日到底簡單には戰前の状態に戻せるとは思われないのであります。その上農村方面では、今後直面するだろうと思われます経済情勢に備え、自衛対策上、どうしてもこの際急速に農業の電化とか、機械化、並びに生産物の加工副業等を実施して、農村の基礎を確立することが最も必要で、これに要する電力の需要が益々急なるものがあるのであります。然るに他方現在電力の増加の状況はどうかと申しますと、セメントを始め、その他の資材配給の不足のために、この冬の渇水期を目指して、懸命の努力をしておりました復旧工事とか、補修工事とかいうものも遅々として進んでおりません。新規開発の如きは、全然工事を中止するの止むなき状態でありまして、電力の増強は、殆ど望みがない有様であります。その上この夏の関東地方の大洪水によりまして、更に電力の激減を來して、遂に昨今の如き混乱状態に陥つておるのであります。加うるに、政府の総合燃料対策が手遅れになつたために、この冬の渇水期の各都市における燃料問題は、いよいよ大化するのではないかと、眞に憂慮に堪えない次第であります。今や國民は毎日毎夜の緊急停電によつて、折角新憲法で保障せられております最低生活さえも保持することができないような有様で、誠に苦しい生活に追い込まれておるのであります。かような燃料不足の現状の下では、今回政府が発表せられました電力の緊急制限、割当制度も、恐らくこれを励行して、嚴守させるということは、不可能ではないかと心配いたす次第であります。單に取締りとか、罰則だけでは、到底目的を達することはできないのであります。勿論電力の濫用はこれを愼んで、できるだけこれを節約しまして、生産方面に廻すということは、我々としても極力努力しなければなりません。殊に電力の盗用は、國民の名誉にかけても如何なる犠牲を拂つても、これを絶滅する覚悟が必要でありますが、一方政府としましても、この危機を脱するためには、なほ一層の努力をするのが必要であると同時に、電力の新規開発を促進いたしまして、近い將來に電力の増強によつて、この耐乏生活から脱却することができる、そうして戰時生活が改善向上されるという機運に向うという希望を持たせることが、この危機突破に國民の協力を得る最善の方法であると信じます。この点からしましても、政府が先に約束された水力電氣の開発計画をこの際至急発表されて、実施に移されることを希望する次第であります。なほこの水力開発に関連しまして、ダムの建設とか、大貯水池を築造して、治水、灌漑に利用することを考えまするならば、この工事によつて、失業救済に資することも大なるものがあると考えるのであります。ルーズヴエルト前大統領が、ニユーデイールの一環として、一九三三年に、テネシー・バレーの開発法というものを制定しまして、これによつてダムを建設し、大量の水力電氣を開発して、失業救済と同時に、産業の振興に多大の成果を挙げたことを想い起しまして、この際片山総理大臣の英断を切望いたす次第であります。
 以上いろいろ申述べましたが、私が総理大臣にお伺したい点は、水力電氣開発の御抱負を申しますか、構想並びにこれがその後の進行の状況等、この追加予算の中にいかに取扱われておるかという点が伺いたいのであります。どうか明快なる御答弁をお願いいたします。
#36
○國務大臣(片山哲君) 産業隆盛のために、水力電氣を興さなければならないという問題につきましては、私が施政方針の演説において述べました通り、今日もその必要を痛感し、そういう方向に向つて進みたいと考えておるのであります。
 只今の飯田君の御意見は全く御尤もでありまして、できるだけこの問題を具体化いたしまして、今日の電力欠乏の際に、これを充実して行かなければならないと考えておるのであります。つきましては、この水力電氣の開発に関する問題でありまするが、なかなか資材を要することでありまするし、現在の我が國の置かれておりまする情勢におきましてはやはり各方面の意見を徴してやらなくてはならない問題となつておりまするので、目下政府において考えておりますることを直ちに実現するということが甚だ困難を覚えておるのであります。といつて、これを放置しておけるわけでは決してありません。できるならば、産業復興の長期計画の中心にいたしまして、水力電氣の問題を考えておるのでありまして、水力電氣の問題を考えておるのでありまして、來る通常議会におきましては、この長期計画の第一期というか。頭を出す案を具体化いたしまして、國会に提出いたしたいという計画を持つておるのであります。
 併し先程申しましたように、資材問題が実に大きな関係を持つておりまするので、思うような運びには参りませんが、併し目下経済安定本部におきまして、その問題を愼重檢討申でありまして、できるだけ速かなる機会において、その具体的な計画を國会にお示しをいたしたいと思つております。遺憾ながらこの追加予算にもこれを計上することもできず、又今ここで具体的に、こういうような案があるということも、お示しいたす段階にはなつていないのであります。甚だ残念であります。併しながらぜひともそれはやらなくてはならない。そうして今日の石炭問題と相並べて、重要な問題として取り上げて行きたいということに関しましては、非常に熱心に考えておるのでありまして、且又その檢討を決して怠つてはいないのであります。いろいろと檢討中でありまするが、以上のような次第でありますから、この点我が國の情勢と睨み合わせて資材不足の今日暫くお待ちをお願いたいと存じます。
#37
○委員長(櫻内辰郎君) 岡本愛祐君。
#38
○岡本愛祐君 私は総理大臣に対しまして、簡單に二つの事柄をお尋ねいたしたいと思います。
 第一は営業つまり國有國営事業の刷新について、この我が國を建直しますには重要産業を復興させ、振興させるより途はないことは言うを俟ちません。この産業の復興いたします上におきまして、営業の刷新ということは第一にやらなければならないことであると思います。ところがこの特別会計におきまして、國有鉄道事業、通信事業、それから國有林野事業この三つを例にとつて見ますと、頗る振わない状態であります。その事業そのものが非常に低調であるのみならず大きな赤字を出しております。独立財産制の特別会計といたしまして、実に情けない赤字を出しておるのであります。國有鉄道事業におきましては二百億以上の赤字を出しております。又通信事業におましては百億以上の赤字を出しております。又國有林野事業におきましては数十億の赤字を出しておる。これは國民の重要な資産を預つておきながら、非常になさけない言訳のない次第であると存じます。元は國有鉄道事業でありましても、通信事業でありましても、非常によくいつておりました。これは世界にも誇つておつたわけであります。ところがこの敗戰の結果とはいえ、こういう情けないことになつたのはどういう事情であるか、これについて総理大臣はどういう刷新の構想を持つておられますか、この点を第一にお伺いいたします。私は現在のこの状態におきましては、國有國営主義ということに大いなる疑問を持つて來たのであります。私は社会党が綱領に重要産業の國有國営ということをお掲げになつておる。これに対して、敢て反対ではなしに理想としては、結構なことであると実は思つております。併しこの現在すべてやつておられる國有國営事業の状態を見ますと、これは今の段階ではどうかなという疑問を大いに持たざるをえないのであります。ソ連の如き強制をして徹底的にやつて行く。怠けておる労働者をどんどん罰して行くというようなことでやつて行けば、國有國営主義というのは非常にうまく行くのであろうと思います。全國民の幸福のためにうまく行くのであろうと思います。又アメリカやイギリスのごとく社会連帯の観念が非常に発達をいたしております時には、又うまく行かない限りはないと思います。併し既にイギリスにおきましても、國営主義に対して大きな疑問が今出ておるのであります。こういう事柄を考えて見ますと、現在の段階において國有國営主義ということに、大いに疑問を持たざるを得ないようになつて來ておるのであります。それでこの問題を今三つの國有鉄道事業と通信事業と國有林野事業に限定して考えて見ますが、この官業のあり方、この形体、どうしたらばそれぢあ振興できるであらうか。これを我に民有に移すとか何とかいうことでなくとも、國有國営でやつて行くとしてどういうふうな形体にすれば、よくやつて行けるか、こういうことについて総理大臣がお考えになつておるところをお述べになることができればお述べになつて頂きたいと思います。新聞で見ますると、或いはこれを形体を変えまして公団の形体と申しますか、或いは公社、こういうところの管理にしないで一種の國営の株式会社でやつて行く。そういう形体についても考慮しておられるというようなことが出ていりますが、それはどういうふうにお考えになつておるのかそれをお尋ねいたします。
 尚これらの事業におきまして、種々の関係から非常に從業しております職員、從業員の数が多いように思います。これはもう既に本会議の自由討議においても、質問におきましてもしばしば挙げられておるところでありますが、これに対して今日の新聞でしたか、昨日の新聞でしたか、政府は一割の行政整理を断行するというようなことが新聞に出ておりましたが、果してそういう御決心をなさいましたとすれば、これに対する受入態勢、これらの人々を路頭に迷わせないでどういうふうにして受入れて行くかという態勢をお立てになつたかどうか、この点についてお尋ねいたします。
 官業経営の刷新については以上の諸点に止めまして、尚もう一つお尋ねいたします。政府は労働者、農民の幸福増進のために、種々いろいろの施策をなさり、御努力をなすつておる。これは非常に結構なことであります。私も労働は、勤労は何よりも優先すべきものだと思つております。併しその一方にやはり忘れられて行く階級がある。この忘れられて行く階級に対しても政府はすべからく保護をし、又その救済策を講じて貰わなければならない。第一にいわゆる旧地主階級であります。これは亡びて行くべきように運命ずけられておるのかもしれません。併しこれに対しても公平観を以てまあ亡びて行きつつも政府の処置があまり偏頗だという感じを起させてはならないと思うのであります。自作の創設のため小作地をどんどん取上げられる。自分の所有地を取上げられる。これは仕方がないと思います。併しその國家が買上げます價格があまりに低く過ぎやしないか、この物價が昭和十一年のときから六十五倍にも上つておる。昨年と今年と比較しても数倍に上つておるというときに、一反歩の田の値、畑の値が平均して僅かに七百円、煙草にすれば二百本足らずの代價で取上げられてしもう。如何にも不公平だと思う。土地を取上げることに対して何もそれはいけないと言うのじやありません。併し買上げる價格位はもつと正当な價格で國家が買上げるのでなければいかん。これを強制没收するのでなければ、やはり適当な價格で買上げてやるべきだと思います。我々の身辺を見ましても、この財産税、又農地の強制買上、そういうことによつて発狂をいたしましたり、又身を投げて自殺しましたりしておるものが頻々と起つておるのであります。これは実に公平な政治ではない。そこで買上價格だけでも公平にして頂きたい。こういうことに対して総理大臣はどういうふうにお考えになつておりますか、又切めて残された山林の問題があります。田畑け小作に出してあつたから買上げられる。これは仕方がないといたしまして、山林は自分で経営いたしております。これを小作地同様に取上げられてしまうのではないか。一町歩とか、二町歩だけ残して、あとは取上げられてしまうのではないかという恐怖が非常にあるのであります。併しこれは前農林大臣もそういうことは考えていないということで、声は小さくありましたけども、一應声明しておられますが、これに対して総理大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。この点を伺つて置きます。
 もう一つ、日本の旧城下町というような不正産都市におきまして消費階級があります。これはそういう都市におきましては、附近に耕すべき、開墾すべき適当な土地もありません。又重要産業もないのであります。そういうところは恩給者とか、それから主人や自分の夫や親やそういうものが戰死をし、遺族が僅かに賃仕事をいたしましたり、小さな闇商賣をいたしましたりして、又賣り食いを今まで、幸いに戰災には遭わなかつたから、いろいろ道産が僅かながらあります。それを附近の農民と物交をいたしまして、僅かに露命を繋いでおる階級が日本全國にしますれば、やはり数百万はあると思います。これがいろいろの産業に就けますればよいですけれども、そういう産業もなかなかございません。それで而も生活必需品である米とか麦とか、そういうものも非常に暴騰して來る。又非戰災者税も取られる。こういうことになつて來て賣り食いすべき物もなくなつて來る。こういう状態になりまして非常に窮地にあるのであります。こういう者に対しまして政府も何とかよい方法を考えてやつて、新聞で見ますれば、中小企業総局とかいうものが商工省の外商としてできるかというようなことも書いてありますが、そういうようなところでもこういう者に手工業を與えるとか、貿易に出しますドローン・ワークとか、そういうような仕事をさせますとか、そういう組織的な救済策、保護策を考慮される御用意がありますか、こういう点を伺いたいと存じます。
#39
○國務大臣(片山哲君) いろいろの方面にお質問がありましたので順を逐うてお答えいたしたいと存じますが、多少漏れもましたならば、御指摘願いたいと思います。
 第一の國鉄或いは逓信の今日の状態についての改善所見を求められたのでありまするが、今日の國鉄、或いは逓信事業が不振状態に陥つておりまする原因は、戰時中において殆ど改善補強の方策を講ぜずして、全くこき使うような状態が続いたからいうところに大きな点があると思うのであります。その酷使いたしました結果が今日に及んでおるのでありまして、全く機械はすり減るし、レールも非常に弱つておりまするし、客車も又破損をいたしておる状態であります。これの手当修繕に非常に費用も要りまするし、且つ又これに関連いたしまして石炭の價格も上がる、從業員の手当も上がる。物價騰貴によりまする影響を多分に受けまして、非常に経費が嵩んで來る。こういうような國鉄、或いは逓信の特別会計の性質に基いて自立して行かなければならない建前から、收入を賃金、料金に求める関係上、遺憾ながら赤字が出るというような結果になつたと思うのであります。そこでこれをどう改善するかということにつきましては、合理化を図るというところと、最も必要でありまするところの方面には資金を入れまして、その改善に努力いたしまするが、不急な仕事であるとか、或いは、減らしてもそう影響の少ないというような方面には辛棒をさしまして、整理をやらなければ到底立ち行かない。こういうことになつて來ると思うのであります。今までのような借金政策でやつておりますると、結局それは段々進行いたしまして、國家財政の面においても非常な支障を來たすということになりまするので、今回の追加予算におきましては、一般会計からこれを補給するような方法を執つたのでありまするけれども、これも原則的には余りよくないことでありまして、行く行くは特別会計の自立化を図つて行かなければならないと思います。そこで誠にこれは止むを得ざる状態であるが、これをその儘放置するわけには行きませんので、合理化を図り、整備を断行いたしたいと存じております。但し今日やたらに失業者を出しましても、その失業者に対しましても、更に手当保險法によつて國家の支出が莫大になるということも、又財政に非常な圧迫を加えることになりまするので、これらの問題を如何に処理するかは檢討いたしておるのでありまして、來たる通常議会には必ずこれに対して一つの積極的な対策を立てたいと存じて、その合理化を實施すべく努力する積りであります。
 第二の國有問題について疑点があるという御意見でありまするが、私共の考は岡本君のお述べになりました御意見と違つた方面から、國有問題の重要性を考えておるのであります。第一今日における國家は國民の幸福、産業の発展、経済の隆盛というような問題について、國民のために國民の代表という意味において仕事をもして行かなければならないのでありまするから、國家的な事業が非常に拡まつて來ると思うのであります。但し、そのやり方が民主的であつて、又社会福利のために、一般國民の幸福のために、便益を中心としてその事業が経営されなければなりません。その内容は極めて民主的に行わなれて來ることが必要と存じております。利益を中心といたすとか、或いは、又非常に官僚的なやり方でやるとか、そういうようなやり方を一擲いたしまして、本当に國民の十分に了解する民主的な方法でこれからの國営事業はやつて行かなければならないと存じておるのであります。その意味において資材、資金、労働力、或いは、企業の経営方針等につきましても十分注意をいたしまして、從來の弊害を一掃いたしたいと存じておるのであります。又國営に伴いましてそれに從事する官吏の数も殖えるのでありまするが、今までのようにサーベルを振り廻したり、肩書を持ち出して高圧的に仕事をするというような弊害を断じてさせないようにいたしまして、眞に國民のため國民の公僕としての観念に徹するように十分に留意しなければならないと思つておるのであります。即ち今日の如き資材の乏しい敗戰経済を建直して行くためには、どうしても國家が率先いたしまして、國民幸福のために新しい見地に立つて産業の経営をやつて行かなければならないと存じておるのであります。これに対しましては各國においてもいろいろの問題を起しておりまするが、特に我が國においては民主國家建設の建前から申しましても、産業の方面に民主主義を徹底しなければならないという建前から申しましても、是非ともこれをやつて、在來のような一部に偏したやり方を根本的に建直して行きたいと存じております。即ちそういうふうにいたしまして、國有問題或いは國営問題を考えて行きたいと思います。國有は余りに理想的でありまするから、今日においては國営或いは國家管理というような方法で、摩擦の少ない方法でやつて行くことが、我が國の経済情勢、産業情勢の上から申しまして必要なことと考えておるのであります。
 それから第三の、氣の毒な地主階級のために適当な施設を考えて行かなければならないという御意見でありますが、これも誠に十分考慮を拂うべき問題でありまするが、在來の地主、小作人の関係を見ますると、余りに小作人の立場というものが惨めな状態であつたので、この小作人を解放しなければならないということが、終戰後直ちに取上げられました農村問題解決の大きな点であつたのでありまして、そのために農地調整法が逸早く取上げられたのは、岡本君の既に御了承の通りであります。食糧増産のためにも、農村文化建設のためにも、或いは又小作人の立場をよくすることが我が國の農業生産の上において非常に重要である、こういうような意味から取上げられたと考えておるのであります。そこで地主には土地を買上げられるその價格が、普通の賣買と違つて、非常に割安になつておるということも、一面小作人の耕作権とか、或いは長い間土地に投じたところのいろいろな努力というような問題を考慮いたしまして、小作人の負担を軽減して行かなければならない。そういうことが耕作を保護する所以となり、食糧増産の役に立つのであるというような意味から、地主に辛抱を願わなければならないと思つておるのであります。價格は、或いは物價と比べまして安いのではありましようけれども、これも今日の情勢から申しまして止むを得ざる情報であつてこれを直ちに変更するというようなことも亦別の問題を起こしまするから、十分納得の行く方法で地主の協力を心から求めて、農村の民主化を促進し、食糧増産のために一役買つて貰いたいものであると私は考えておる次第であります。
 山林の問題がございましたが、山林は農地調整法の対象とはなつておりませんので、山林の強制買上であるとか、或いは又それに関連いたしまする問題は、今日直接の問題としては出ていないのであります。併し山林政策は今後においても重要な問題でありまするから、治水、治山の問題、又いろいろ方面における資材を保護して行かなければならない問題等を考えまして、山林保護のためには十分なる檢討をいたしたいと考えておるのであります。中小商工業の諸君に対しましては、政府の方におきまして対策を立てておるのでありまして、先般閣議決定事項を御発表いたしました通りであります。大体におきまいして政府の考えておりますることは、これからの國民生活というものは、各人が働いて、生活の基本を立てて貰わなければならない。地代の上りに依存するとか、家賃だけで生活をするというようなことはなかなか苦しくなつて來るのである。生活の基本はお互いに働くというところに基本を置かなければならない。そういうようなまあ建前でありまするが、できるだけ順序を踏んで、合理的に且つ又合法的な方法でこれらの問題を処理することが必要と思います。民主主義は漸を逐うて進むのであります。矯激なる方法や或いは非合理的な方法で進むべきものではないと存じております。特に戰後における急激なる社会情勢の変化に伴いまする我が國の諸制度の民主化は、平和のうちに行つて行かなければならない。順序を逐うて行かなければならないということを私共が建前にいたしておるもであります。なに分にも乏しい財政であり、非常に危機に瀕しておる経済であり、又非常に衰微いたしておりまする我が産業を建直すためには、國民全体の協力を求めなければならないのであります。労働者も事業家もすべて辛抱して貰いまして、そうしてこの祖國再建のため協力を願いたい。國家の財政につきましても、皆分に應じて乏しきを分け合つて、國家再建の費用を担当して貰いたいということを政府といたしましては念願いたしておる次第であります。
 序に私の申しておりまする精神運動と申しまするのは、特別に取上げてこれが精神運動であつて、これに対して政府は予算を計上して、精神運動を起すということよりも、政治的な民主運動、経済的な民主化運動に、國民の心からなる理解と協力を求めたい。そうしなければ日本は建たないのである。日本の産業は滅んでしまうのである。これには労働者諸君も、事業家諸君も、一つ心から理解をして、再建に協力を願いたい。こういう精神的な共鳴を私は冀つて、耐乏生活を求めておるような次第であります。どうかこの点に関しましては、指導者の立場に立たれる、諸賢の御協力を心からお願いする次第であります。
#40
○中西功君 私は三点、非常に簡單なんであります。第一は今度の追加予算で、終戰処理費が非常にまあ大きくなつております。それでポツダム宣言を受諾した日本國民といたしまして、終戰処理費をとにかく負担するということは、これは大なり小なり当然であると考えておるのでありますが、その額が非常に大きな負担になつておる。これが又非常な影響を持つておるということは、これはもう皆知つておる通りでありますが、問題は一体この処理費の負担ということが、今後の日本の講和会議、或いは又平和條約、或いは賠償問題ということとどう関連して來るかという点なのであります。で例えて言つて見れば、ポツダム宣言のいろいろな條項、或いは又その性質と、それから進駐軍の進駐という問題、その性質と、この進駐軍費が一体どういうふうな関連を持つておるか。或いは又將來の賠償を我々は勿論出します。これはもう当然日本國民は相当の賠償を出す覚悟でありますが、併しそれならばその賠償というものと、現在の終戰処理費がどういう関係にあるかというふうなこと、我々はこれはどんな関係があるのかということを知りたい。でこういう問題は、相当莫大な終戰処理費を我々が背負つて今後行くという場合に國民はその性格を良く知つて置くことが、又政府としては良く教えておく事が必要であると思いますので、一應これを総理大臣にお聽きいたすわけであります。
 第二番目は外資の導入という問題でありますが、この予算の政府側の説明のときに、法人税をなぜ増徴しなかつたというふうな質問に対して、或政府委員がこれは実は外の國と比べるとこれでも高い。將來外國から資本が入るときにこれが障害になるといけないから、この法人税は上げないのだというふうな説明があつたということを聽きました。でそうなりますと、將來日本の中には外資導入ということによつて個々の企業の中、法人税と関連する意味で私企業が入つて來ると、我々は考えられるのかどうか。そう考えて又いいのかどうかという点も、それを首相として、我々國民の非常に関心を拂つておる外資導入に対してどういうふうに考えられるか。政府のこれが見解はどうか。そういう点をお聽きしたい。
 第三はこれは非常に簡單なことでありまして、それは実はこの度農林省側の発表では、今までの米の遅配分、食糧の遅配分は棚上げするということが、一應公式か非公式か知りませんが、そういうことを言われております。ところが、いつでありましたか、これは速記録を見て頂ければ分かりますが、この予算委員会で以前私は首相にその問題を質したことがあります。それはこういうふうな打切りの話があるが、果して政府は打切りするのかしないのか。若しこれを打切るとなるならば食糧の完全配給ということを條件として千八百円ベースを維持しておる。突張つておる。そうなるならば、若しこれが現在において遅配であるものを棚上げするというようなことが、現に農林省側から言われるならば、千八百円ということは維持できないということを、政府は自分で言つておることになるのだが、果して遅配分を棚上げにするのかしないのか。はつり言つて貰いたい。そうしないと政府の言葉の中に矛盾があるといいましたときに、首相はつきりとそういう意思はない。又私は改めてそういう意思がないということを、私も同時にこれは非常に結構である。これを大きくはつきり声明して貰つたものとして受取るというふうに申したと思いますが、最近そうでなくてこれは又棚上げといいますか、打切りになつておると思う、而もこれに対して首相或いは政府側から一言もこれという公式のあれもないように聞いております。首相自身がはつきりと此処の予算委員会で、そういうことはしないということを云われました。これは千八百円の保持ということと非常に緊密な関連があつたのであります。そういう点で云わばそういう簡單な問題、政府自身が若し嘘をつかれるとなると、由々しき問題であると思いますので、この点についても御明答を與えて貰いたい。私の質問は以上三点であります。
#41
○國務大臣(片山哲君) 終戰処理費の問題は、ポツダム宣言を受諾いたしました我が國としては、当然引受けなければならない問題でありまして、この問題は現在において追加予算に計上いたしておりまする数額を限度といたしておりまするが、更に將來においてどうなるかというようなことは、次の予算のときにその都度その都度お諮りいたしまして計上したり、或いはその数額をお示しいたしましたりして、御協議を経る。こういうことになると思います。講和会議と関連をいたしまして、これを申上げることは非常に困難でありまするから、その点は御了承願いたいと存じます。
 第二の資金導入の点につきましては、相当大藏大臣からお答えいたすことにいたします。
 第三の遅配欠配の問題でありまするが、成る程中西君の御質問で、私は八月でしたか、できるだけこれを棚上げしないで十分補充したい。こういうふうに申上げました。これは当時における食糧関係から申しまして、さようにすることが最も必要であり、その方向に向つて努力いたしたのでありまするが、十一月の今日におきましてはいろいろの事情を勘考いたしまして、先に申上げましたやり方を今日続けるわけには行きませんことになりました。甚だ遺憾でありまするけれども、これは一應棚上げにせざるを得ない状況になりました。いろいろの食糧事情からでありまするから、その点は何卒御了承願いたいと存じます。尚他の罐詰でありまするとか、或いはその他の品物のよつて、今までにおきましてもこの欠配の分を補充すべく今日まで努力いたして参つたことは、まあすでにお認め願えることと存じます。今後の問題といたしましては誠に残念の至りでありまするけれども、棚上げせざるを得ないことになつた点を御了承願いたいと存じます。
#42
○國務大臣(栗栖赳夫君) 中西委員の御質問中、第二の点の法人税と外資導入のところだけを、担当の私から御説明申上げたいと思います。今回法人税につきましては一般には税率の引上をいたさなかつたのでありますが、これは各種企業とも赤字に悩んでおりますし、そうして法人税率はすでに終戰前においても相当高かつたのであります。この三月の税制改正で若干相当多額の資本を持つておるものの法人税について調整をいたしたのでありますが、併し今回におきましては、もう最高になつておりまするので、一般的には税率の引上というようなことをいたさなかつたのであります。これは企業者に恩惠とか、その他を考えるということは毛頭ないのであります。限界点に達しておる故にいたさなかつたのであります。尚併し、同族会社については引上の余地がございましたので、税率の引上をいたしたのであります。
 それから、或いは政府委員が、この法人税の税と外資導入との関係で何か説明したかと思うのでありますが、これは主管大臣として、ここではつきり纒めた御答弁をいたして置きたいと思うのであります。外資導入については、只今のところは、講和條約もできないのでありまして、先般來再々申しております同轉基金を主として、その活用によつていわゆるそれをクレジツトのベースとして、そうして資材その他の輸入を懇請しておるような次第でございます。講和條約ができてしまいますれば、日本への投資というような形におきまして、外資が日本に入つて來るということは、産業開発その他の資本の欠乏しております日本としましては、非常に結構なことであるのであります。その場合において、この外資導入にはいろいろ私長い経驗を持つておりまするけども、いろいろ基礎條件があるのでありまして、例えば産業が安定しておるとか、或いは企業として、或いは労資の問題その他について安定し、日本の経済が大体安定しておるということが必要でございますし、それから企業に対するヘヴイー・タツクスが外資導入を妨げるという点もあるのであります。そこでそういう場合には、外資導入の緊要性ということと、それに相應する適当な税の考慮と調整というようなこともいたさなければならんと思うのでありますが、併しこれは講和條約ができました後の問題でありまして、少なくともこの二十二年度の追加予算におきましては、まだそれまでには講和條約はできないのでありますので、法人税その他が外資導入関係を持つというようなことは全然ないのであります。そこで、現在としましては限界点に達しておるというような点から、特に一般的には引上げなく、引上げの余地のある同族会社について税率を引上げたような次第であります。
#43
○政府委員(井上良次君) 只今中西さんから総理に対して、遅配棚上げの問題について御質問がありましたので、補足をいたしたいと存じます。
 御存じの通り総理から申上げましたように、ちようど六月の末から七月にかけまして、非常な輸入食糧の輸入状況が不円滑の状況でありまして、國内食糧を以ていたしましたのでは、現行の二号五勺の配給を維持することができ得ない必然の結果遅配が起つたのであります。併し政府はこの穴埋めのために、御存じの通り、食糧緊急対策というものを立てまして、あらゆる努力を重ねて参つたのであります。この政府の國内の食糧総ざらいの運動に好意を寄せられました連合國は、七月の末にやつと外國食糧に対する十月末までの輸入の見透しを大体了解をしてくれますし、更に八月には、六大消費都市に対して枠外の放出をいたして頂きますし、更に八月に入りましてから、九月、十月分といたして、大体六十万トンに近い食糧が放出をされることになりまして、この状態で参りますれば、政府の國内食糧の総ざらいと、この輸入食糧の輸入状況から見透しますならば、大体本年は遅配は余力を挙げて穴埋めができるのではないか。こういう一つの見透しを立てるに至つたのであります。そこで総理は中西さんの御質問に対して、遅配はできるだけ棚上げをしないという方針を、以て進むという、当時の食糧事情からお話をされたことと存じます。ところが十一月になりまして、二十三年度の新米穀年度に入るのに当つて、御存じの通り、現行の二号五勺の配給を堅持し、且つこれにプラスする労務加配米、更に本年からは農家に対する農繁期の加配米、更に飼料用の身替り米等を、農家経営の合理化を図り、生産力を高めて貰う必要上から、それだけのものが余分に追加をされることになります。
 こういう形から來年度の食糧の見透しを考えて見ますというと、過去の遅配が現在大体二百三十万石くいらある予定であります。日数に直しまして十六、七日分ではないかと思います。この遅配は、昨年度の遅配に比べますというと、日数においては多少上廻つておりますが、併し昨年の一年間の配給と、この二十二年度の配給の総量におきましては、約六百万石程多く配給をいたしております。即ち二十一年度の配給総量よりも、二十二年度においては、遅配は今申したように十七日起りましたけれども、配給総量において約一ケ月以上分を配給いたしておるのであります。こういう二合五勺に引き上げた結果の当然の結論がそういうことになつておりまして、このまま若しこの遅配を新年度において穴埋めをするということになりますというと、当然現行の配給基準量を引下げなければならんことになつてしまいます。そこで政府といたしましては、來年度の新麦及び馬鈴薯の世界的収穫状況と國内収穫状況とを睨み合わせまして、國内の食糧を一〇〇%、即ち米、甘藷の供出を推進することに計算を見透しまして、甚だ不得手のことではありましたけれども、十六日分ぐらいの遅配はひとまず棚上げをせざるを得ない。その代り特に大消費地の遅配の深刻な地域に対しましては、「みがきにしん」「こんぶ」「するめ」「かまぼこ」「ちくわ」それから魚粉、こういう加工水産物約五百万貫を配給することにいたしまして、これは最初実は差引配給にするつもりでありましたけれども、実際上その操作の上いろいろな困難がございましたので、特にこれは遅配穴埋めとしての食糧緊急対策用であるということを、その配給所から消費者に徹底さして貰うことをお願いをいたしまして、それぞれの手続をとつて、これは八月、九月、十月と大体満配をいたして來ておりますが、この満配がありましたけれども、過去の遅配の穴埋め用として、ずつと十一月まで続けて参つております。この外に罐詰、更に油脂、それから調味料、これらをそれぞれ適当にこれら大消費地に対しまして増配をいたしまして、せめて、主要食糧によつては穴埋めできませんでしたけれども、これらの代替食料によつてその点についてのできるだけの手当を盡したような次第でありますので、何とぞこの点は御了承頂きたいと存ずる次第であります。
#44
○中西功君 首相の最後の点についてもう少し、ごく簡單ですから……と申しますのさきの説明によりして、して二合五勺の配給を続けて行く。とにかく十七日間打切らざるを得なかつたということは、これは数字の上でははつきり了承できます。又食糧事情の非常に重大化しておるということもよくわかりますが、問題は、こういうふうな食糧を完配するということの上に八千百円ベースが立つておつたわけであります。それで私は、今更千八百円ベースについていろいろ申しません。併し問題は尚そういうふうな意味で、單に食糧をみましても、これ程壊れておる。その他これは安本から我々に渡されておる資料を見ればわかりますように、ちやんと二合五勺がはつきり十一月までずつと続いておるわけであります。そうして千八百円が一應出されておるわけです。その他この問題に関してインフレーシヨンの部面や、或いは物價の面から、いろいろな点からみても歴然としておる。私は沢山申しませんが、そういうふうな政府自身の言葉の中でも、これが維持できないということがはつきりしておると思うのですが、尚この千八百円について將來変えるというのではなくて、現在この水準についてはつきり成るべく早急に改訂されるために何らかの処置をとる、その用意があるかどうか、この点はもう國民も均しくこの点を望んでおると思いますが、その点一つお聴きしておきたいと思います。
#45
○政府委員(井上良次君) 総理がお答えするべきでございますが、ちよつと中西さんの御質問で千八百円ベースの裏附として遅配問題を取上げておりますから、この点について一應お答えを申しておきたいと思いますが、御承知の通り政府が千八百円ベースを決定いたしましたのは、危機突破対策というものを閣議で決定いたしまして、これを具体化する一つの方法として新物價体系による千八百円ベースというものが新しく問題になつて参つたのであります。そこでこの裏附として当然主食完配、調味料、生鮮食品等の完全配給の責任を政府は持つておるのでありますが、ただ、只今申上げました遅配の石数というものは、又日数というものは、これは前内閣時代からの引継ぎでありまして、六月以前の遅配、片山内閣ができる六月までの遅配というものと七月以降に起りました遅配とは全然区別をして考えて頂きたいのであります。七月以降に起りました遅配というものは、大体五日分くらいしかございません。而もそれは今申しましたように、いろいろな食糧においてこれを裏付いたしまして、できるだけ努力を重ねて参つております。ただ今後食糧が完配をされず、且生鮮食糧品、調味料、その他生活必需品が裏付けされなければ、千八百円ベースは崩れるのであります。この点につきましては、政府が新物價体系を守り、千八百円ベースを堅持して日本の再建を図ろうというためには、我々その生活必需品を配給せねばならん責任を負わされておるものといたしましては、國民に協力を求めまして全力を挙げて主要食料は勿論のこと、生鮮食糧品、調味料に対して必要な手を打つて参りたい。そうして千八百円ベースを飽くまで堅持して参りたいというつもりを持つておりますから御了承を頂きたいと思います。
#46
○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいたします。総理大臣に対する御質疑の通告は、まだ沢山あるのでありますが、総理大臣の時間の御都合もあるようでありますから、分科会その他の適当な機会において御質疑を願うことにいたしたいと存じます。左藤義詮君の大藏大臣に対する質疑に対して御答弁を願います。
#47
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。先程申上げましたように、四月から九月までに二百六十三億の徴税をいたしたのであります。そうして第三・四半期で大体予定が二百二十億円でございます。それから第四・四半期が六百五十億円であります。そうして尚これは徴税をいたしますと、納税代理店その他で徴税をいたしましても、一ケ所で集計をして國軍に納めるまで一ケ月とかいう時間がかかるものであります。三月分その他の徴税は、大体四月以降に入つて來るものがあるのであります。これはずれは止むを得ない。從來もずつとあるのでございます。これが大体二百億と見ておるのでございます。尚詳しいことは、只今政府委員も來ておりますので、補足さしたいと思つております。
#48
○政府委員(前尾繁三郎君) 只今大藏大臣から、大体期別の徴收状況並びに徴收の見込額のお話がありましたのですが、幾分附加えまして詳細申上げたいと存じます。
 九月末までの徴收の状況及び收入済額の大きなものを申上げますと、所得税においては百二十億でございます。それから増加所得税が三十三億、法人税が十二億、酒税が四十六億、物品税が二十一億、入場税が十五億、それ以外は十億以下でございますので省略いたしまして、それがその他すべてで二百六十三億程度になるわけであります。尤もそれ以外に財産税の特別会計の收入といたしまして、百八億程度でありまするので、それを総計すれば三百七十一億というような数次に相成る次第でございます。この数字に対する問題といたしましては、先般お答え申し上げたのでありますが、結局において源泉課税のもの並びに消費税の面におきましては、勿論順調に入つておる次第でございます。問題になつておりますのは、要するに申告納税の分の成績がよくないという点にあるわけでございます。先程申上げましたように、所得税において九月末までに百二十億程度入つておるのでありますが、四月から六月までにつきましては、源泉課税のものが二十九億、申告納税の分が五億八千万円程度でございます。それから七月から九月までの間に、源泉課税といたしましては、五十三億八千七百万円、申告納税の分が二十六億九千九百万円というような数字に相成つておる次第でございます。申告納税の成績は、すでに幾たびか申上げておりますように、人員においては、当初の見込みからいたしまして、大体八割五分程度の申告がございました。所得金額といたしましては六割三分程度の申告になつております。ところがそれが税額になりますと、累進税の関係で二割六部二厘というような成績でございます。これは当初予算のままでありましたら、ここで更正決定を幾分やりましたならば、当然当初の予算からいたしますと入るわけでありますが、結局におきまして追加予算におきましては、賃金の引上、当初は千二百円ベースで考えておつたのが千八百円ベースになりますので、物價の改訂によつて二倍とか三倍というふうになつておるのであります、從いまして所得税は、当初の申告といたしましては前の物價を基準にして申告されておる次第であります。從つて幾分のずれがあるわけでございまするので、十月に修正申告がどの程度に出るかというわけでありますが、恐らく從來の第一回の申告、第二回の申告の成績から考えますと、あまり期待することはできない次第でございます。そこで我々といたしましては、十二月、一月頃に相成りますと、大体年全体の所得が分かりますので、十二月頃に更正決定をやろうというのが計画でございます。從いまして大体に今回の追加予算は我々は大丈夫であるという確信を持つておる次第でおりますが、その更正決定によつて納税されるのは、結局において第四・四半期になつて参るわけでございます。一月以降になつて参るわけでございます。それから物價の改訂によりましてそれらが先程大臣も申しましたように、幾分ずれが一月なり二月後に納税されます関係上、この物價の改訂なり、賃金の改訂によります收入は、大体において第三・四半期において現れて参るわけであります、尚又増加所得税の收入につきましては、六ケ月の廷納の期間を認めております関係上、これまた第三・四半期に納める分が可なり多いわけでございます。併しこれも滞納処分等によりまして相当整理をいたしませんと、予定のところまでなかなか困難であるというふうに考えておりましたので、当初は大体において第三・四半期には十月、十一月、十二月というふうに幾分段々上りではありますが、六十億、七十億、八十億という、大略申しまして、そういうような数字になりまして、二百五億という程度に考えておりましたのでありますが、何といたしましても最近の情勢で少なくとも二百二十億というところは、増加所得税の滞納整理というようなことを税務官吏の待遇改善等によりまして計画を立てて直したのでありまして、その点先程大臣のお述べになりました大体第三・四半期におきましては二百二十億というのが確実な数字であるというふうに考えておる次第でございます。それに引替ましても、一月以降になりますと、大体において一月が二百億、二月が二百三十億、三月が、二百億というふうに相当桁の違つた税金を取らなくちやならんという状況になるわけでございます。その一つの理由は、即ち今回の増税は十二月から実施いたしますので、それが実際に國庫に入りますのは一月ずれの一月以降になつて参るわけでございます。それから先程申上げましたように、所得税についても、申告納税に対する更正決定が十二月に行いましたとしましても、皆一月以降になつて参るのございまして、大体においてそれらを考えますと、結局一月以降に、実際止むを得ず、こういうような当然技術的な関係からいたしまして、又物價なり増税の関係からいたしまして、そういうようなことになるということは止むを得ないというふうに考えておる次第でありまするが、それにいたしましても、相当努力をすれば必ず取り得る、徴收し得るという考えの下に作成されておるわけでございます。それから尚二百億程度は三月後にずれるので一ケ月遅れになりまして四月になる。一月分のずれが、結局において本年度に入つて來る次第でございますので、大体一月以降四月までに毎月二百億というような数字になつて参るのでございます。尚滞納の状況は先程既に幾度が申上げておりますように、百億程度でありますが、その半分の五十億は増加所得税の滞納でございます。これにつきましては、只今申上げましたような税務官吏の特別待遇の下に、特別計画を立てて整理すれば、必ずしも入らないというようなものでないというふうに考えておる次第でございます。それ以外といたしましては、財産税なり、戰時補償特別税の滞納が二十五億程度と、後の二十五億程度が所得税なり外の間接税、最近は入場税等にも滞納が見られておるような次第であります。大体において所得税、入場税、物品税等の滞納が集まりまして、約二十五億程度になつておる次第でございます。併しこれにつきましても、十分なる滞納の整理計画を立てて、著々進行いたしておりますので、殊にこの第三・四半期に入れたいというような考えからいたしまして、計画は立つておる次第でございますし、又この滞納処分は税務署では庶務課という方でやつておるのでありますが、その庶務課員が財産税の物納、延納の処理で殆ど九月、十月までかかつた次第であります。最近においてやつと滞納処分の整理に出かけられたというような状況でありましたので、これまた止むを得なかつた次第でございます。併し相当努力をし、又國民の方に覚悟をして頂かなければ、勿論徴税は非常に困難になつております。併しこの難事中の難事は決して不可能だというような数字を上げておる次第ではございません。この点御了承願いたいと思います。
#49
○左藤義詮君 民間では月一割二割というような金利で非常に金に困つておるのでありますが、その中で一月から三月までに六百五十億という税をお取りになる。それが取れなければ、健全財政ができない。非常な難事中の難事だと思うのであります。これをするかしないかが、私は現政府が政治的な使命を達するか達しないかの岐路だと思います。只今お述べになりました数字をもつと詳しく伺いたいのでありますが、時間がありませんので……。このお示しになつた数字に対して月毎の数字も伺つたのでありますが、大藏大臣は、若しその数字に誤りがあるならば、一つ十分に責任を取る覚悟でこの健全財政を御推進頂きたいと思うのであります。これだけ苛斂誅求いたしまして、無理をいたしまして難事中の難事をやりましても、特別会計の事業資金の不足が五百五十一億とか、あるいは復金の事業資金が殆ど日銀の背負い込みになつて、地方財政の資金もございます、約千数百億というような支拂超過になるのでありますが、結局はそれは大藏證券、日銀の立替ということになるのでありますが、只今の徴税の見込と、その見込に應じてそれと見合いまして、どれくらい大藏證券、あるいは日銀の立替をなさるつもりであるか、これを一つ十二月、一月、二月、三月という順序に一つお示し頂きたいと思います。
#50
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。この財政と金融というものは相通ずるものであります。どちらも健全という主義をとつて進みたいという建前で、この原則を推し進めておる次第であります。私共は今お話の中での藏券でありますが、政府の收入が足らん場合には藏券で行く、その藏券を日銀引受でするというようなイージー・ゴーイングを考えるとか、あるいはこの復興金融金庫の債券が今までは成る程消化が思わしくない。それがために日銀資金でもつて引受けて行く。その代り日銀資金が増発される。インフレーシヨンを激化する。こういうことは、既にこの席でも、今朝も種々述べたのでありますが、その点は能う限り矯めたい。復興金融金庫については、丁度鉄道、それから通信の特別会計による公債発行と同じように、やはり市場の共同引受という建前で行く。それがためには金融機関の貯蓄増強をしまして、そうしてこの増加した純増の預金の中で、半分ぐらいは産業資金、今日はそれまでまだ廻つておりませんが、半分ぐらいは産業資金、残りの五〇%で財政資金へということで、公債とそれからこの復興金融債権の引受という方に当り、それがためには金融機関の採算点というものがあります。そういうものを考慮して、そうして十分採算のできるようなことをして引受けさせたいということで、実際実行に移したのであります。國債については既でに九月から移しております。復興金融債は今月からこれを実行に移すわけであります。通貨の増発は十分そういう点では避けたい。こういうように考えておるのであります。それから藏券につきましては、これは二十三年度については、まだ尚十分考えたいと思いますが、今回は追加予算であるし、既に片山内閣が六月にできたのであります。如何ともすることができなかつたのでありますが、日本の税收入は総じて申しますれば、上期よりも下半期に多く入ることになつております。そういうような中間的の極く小部分について藏券を発行して一時を凌ぐというようなことができるようになつておるのであります。この下半期の徴税ということは、先程申上げ、今又お話の通り十分全力を盡しまして、そうしてその間の繋ぎの藏券の発行をすることは極力避けるようにいたしたい。かように考えておる次第であります。そうして通貨増発というものは、この面からは起さないようにしたいと思うのであります。ところでこの年末もあり、又そういうような大きな徴税もいたしますのであります。この徴税のために資金がその方面に集積されて、政府の資金として吸い上げられる。それがために金融面を圧するようなことになるのではないか、こういう懸念であります、これは私も長く金融に育つておりまして、この点は一番大事なことであり、又年末などについては、それだけ必要であります。この点は十分考えてまして、そうしてやはり健全金融の方は原則をとつてまいりますけれども、緊急なる資金需要というものに対しては、やはり相当にこれを供給して参りまして、その間に財政資金だけ、掬われて、産業資金に掬われないというようなことはないようにいたしたいと思うのであります。実際申しますというと、産業資金の出廻りというのは五〇%も預金純増に対して認められておるのでありますが、企業の多くが再建整備の手続中にある。或いは集中排除の氣構え等で將來への見透しが十分つかないような点にあるのであります。そこで金融機関は貸そうにも十分貸せないということになります。そうするとどういうようになるかというと、いわゆる枠というもの、これも改善を加えたいと思いますが、枠を残すという條件で、一時その資金を日銀の借入金の返済という形で日銀に吸收されておるものであります。そこで産業資金の出廻りが惡いという現状があるのです。この点は十分考えたいと思うのでありまして、それがために先程來も申上げましたように復興債券を、復興金融債券というものを、地方の金融機関或いは市中機関で持たして、そのためには採算点を考慮いたします。それから更に將來への危惧のある企業でも、相当時期を見れば、立て直りが十分だということになりますれば、復興金融金庫補償の下に貸出しをしまして、復興金融金庫の信用を台にして、それによつて資金は市場資金を復興金融金庫に廻すというような形にして、そうして復興金融金庫が、非常な重要性を帯びて來ておりますが、今後も帯びることと思いますから、産業の整理状況はそういうような形にしてでも廻したいというように、今折角改善を加え、指導をいたしつつあるようなところであります。金融面というものも十分考えまして、右手で財政を操り、左手で金融を考えるというような立場にありますので、そういう点も十分考えて、遺漏のないようにいたしたいと思うのであります、現下が一番大事な時と思いますから、そういうふうに考えておる次第でございます。
#51
○左藤義詮君 右と左に金融と財政を巧みに操つておいでになるという、その果して実現できるのかどうかについては、今後刮目いたしますが、そういう御方針で大体年末及び年度末に通貨がどのくらいになるお見込でありましようか。安本長官の大体年末のお見込がありましたが、年度末は大体どういうお見透しでありますか。大内教授などは、衆議院の公聴会におきまして、非常な大きなものになるということを言つておるのでありますが、國民はそれを非常に不安に思つておるのであります。大藏大臣の責任において、金融財政は、しつかり握つておられる名大藏大臣において、年末及び年度末において、一体どのくらいの通貨でお止めになるおつもりであるか、その確信を一つ伺つて置きます。
#52
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたします。その大内教授の計算等については、いろいろ遺漏の点があるように思うのでありまして、昨日も衆議院の予算総会においても、安本長官からも指摘しておつたようであります、私もこの資金等は、新規資金だけが産業資金の貸出しなどに廻るのでなくて、して、短期の融通などで回轉して行く点が随分ありますので、そういうような点などを十分考えなければいかんと思うのであります。そこで大体私は安本長官と同じように、年末千九百億円を廻るくらいではないかと思うのであります。これは終戰処理費の支拂状況、或いは産業資金の需要状況、それから産業資金の回轉状況、これも非常に考えなければいかん。それから回收されてる金を、更に貸出しますが、こういう点が大内教授は勘定に落ちておると思います。そういうふうに新規資金ですべて貸出して行くというような点があるのではないかと思いますが、そういうものを考慮すると、今申上げましたような数字であります。それから年度末におきましては、これはこういう窮迫危機の時代において、尚四月ありますから、十分に目算を立てるということはむずかしいと思つておるのでありますが、安本その他大藏省当局でいろいろ話をいたしております。大体の見透しをつけておりますが、この点では大体二千二百億とか三百億というような、そういうようなところで大体いたしたいと思つております。これは年末の見透しと、年度末ではアンノウン、フアクターが大分ありますから、同一には行かないと思います。そのくらいで行きたいと、かように考えておるような次第でございます。
#53
○左藤義詮君 大内教授は財政に権威者で、財政の学者でありますが、その学問が勝つか大藏大臣の経驗が勝つか、ただ興味を持つだけでなし、これは國家の本当の大事な問題として、内閣がいつまで続くかも知れませんが、大藏大臣は責任を持つて只今の御言明を御実現頂きたいと思うのであります。時間がございませんからもう一つ全逓の今中労委の裁定ができました。それに從いまするとどれくらいの負担になりますか。これはこの予算を通します上において、やはり追加予算等の関係になつてきますので、これは重大だと思ひますが、仮に若しあれを通すとするならば、どれくらい又本年度にその分として必要としますか。その財源に対しては、大藏省当局としては、何かお見込みがありますかどうか。その点をお尋ねして置きたいと思います。
#54
○國務大臣(栗栖赳夫君) 中労委の裁定につきましては、実は本朝も中労委のお方に來て頂いて労働閣僚の懇談会において説明を求めたのであります。尚私はああいう裁定を下されるについては、財政的にも一應の考慮があろうということについての、説明を求めたような次第でございまして、これに対する措置としては、内閣としては十分考究をし、そうして中労委の考、その他諸般の事情を考慮しまして、善処いたしたいということになつておるのであります。まだこれがために閣議は勿論のこと、懇談会についても……直ちに私はこちらの席へ出て参りましたので、十分纒つた意見になつておらんのであります。それでどのくらいの負担が、能力があるかその他というようなことは、ここで直ちに申上げられないのであります、併し私もこの難関の財政を引受けております以上は、非常なリミツトなものであつて、一文の金も余力がないというようなことは、考えておらん次第でございます。併し財政が何分にも窮迫いたしておる現状でございますから、すべてを賄い得るか、どうかというような点は、十分考究せんと確たることを申上げられないと思つておる次第でございます。
#55
○中西功君 ちよつとそれに関連しまして。実はこの前予算委員会でも大藏大臣は、中労委の財政に関する、財源に関する説明を聴いてというふうな話がありましたが、今日お聴きになつたわけです。私はそれで一体中労委自身がどういうふうな財源を提供して考えて來ておつたのかという点を、若し公表できるならば公表して貰いたいと思います。私の質問は、実はそれについて中労委がどういう意向を持つておるかどうかは別といたしまして、この財源を捻出するについて、いろいろ意見もありますし、大藏大臣の肚を聴きたいと思います。で最初恐れ入りますが、中すが、中労委の方の説明がありましたら一つお教え頂きたい。
#56
○國務大臣(栗栖赳夫君) 中勞委の今日の御説明は、十分なる御説明の域に達しておらないのであります。そこで重ねて私の方から人をやつて、更に承わろうとこう思つておるような次第でありまして、十分ここで申上げるまでの域に達しておらんと思つております。なほそれで政府も十分この点につきましては、官公吏の生活の状態等も考えておりますので、大藏大臣としましても、その辺を十分善処したいと思つておるのであります。これはいずれ決まりました際には、この席で申上げ、そうして更に中勞委からはつきり承たところを、その際に併せて申し上げたいと思つておりますから、この点は丁度今日、直ぐこちらへ参つたような次第で、お許し願いたいと思います。
#57
○委員長(櫻内辰郎君) 岡本愛祐君。
#58
○岡本愛祐君 私は同僚各位が、大体聽きたいと思うことを、お聽きになりましたから、極く簡單なことを二点大藏大臣にお尋ねいたします。大藏大臣は、先程報奨預金制度を大藏大臣として考えておるというお話でございましたが、その外に生命保險とか火災保險とかいうものを、國営に引直すというような御腹案がおありになりますかないか。若しおありにならないとすれば、なぜそういう御腹案がないか。それについてお聽きしたいと思います。
 それからそう一点、終戰処理費は合計六百四十二億になつておりまして、一般会計全歳出の三三%を占めておる。その外に賠償施設処理費が四十億、外國貿易業者の來朝費が六億三千九百万円、こういう関係の費用が非常に多いのであります。これを若しうまく経理をいたしまして支弁するときに、経済的に実行したならば、非常に金が浮くと思う。これを一割節約ができたとすれば七十億近いものが浮く。一%としたところが七億浮く。七億というと、例の六・三制の残りの七億に該当する。これは当局の支弁の仕方によりまして、つまり單價をもつと節約する。あまりに今まで放漫であつたものを、もつと節約するというようなやり方、本当にやろうと思えば必ずできると私は思います。なぜそういうことを私申し上げるかというと、実例を持つております。それは、この外國貿易業者來朝費によつて今度追加予算が出ておりますが、これは戰災復興院関係の宿舎の改装費だけで三億五千万円という計上がある。これは非常に高いと思う。例えば帝室林野局、あれは昭和十二年の暮に造つたのでありますが、あれは百万円かかつておりません。九十何万円、あれは家具など全部入れまして九十何万円、それを改装するのに、これは私の聞いておるのが間違つておるかも知れません。五千六百万円、それは建てるのではなくて、改装するだけが五千六百万円、それはまさかと私思つておつたのですが、この予算を見ますと、そうも、本当はかかつておると思えるのです。それはなぜならば、三億五千万円を宿舎改装費に使つております。その中で帝室林野局など、相当かかつた方だと思います。五千六百万円というものを使つておる。これは非常に急いだとかなんとかいう関係がありますが、これはそういう関係でなくて、單價がべら棒に高過ぎる。外國人が來るのだから、なんとか急ぐのだからという名義で、非常に高くなつておる。そういうふうに私は思えて仕方がない。そういうところから類推をいたしますと、七百億近くの終戰処理費、その外の関係費におきましても、もつと嚴格に單價を査定いたし、業者に儲けさせないようにすれば、今申したやうな一%の節約なんて樂なもので、六・三制の問題もそう大藏大臣が苦慮せられないでできるのじやないか。こういうふうに思うのでございますが、そういうことに対する当局の御用意、どういうふうに一体経済的に実行に当つておるのか、又なさろうとするのか、その点を承りたい。
#59
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えします。先ず第一の生命保險、損害保險の國営の問題でありますが、これは大体生命保險につきましては、相互組織を善用いたしまして、そうしてあるいは新勘定へ増資をするとか、あるいは新会社を造るというようなことで大体実現をいたしまして、今の民営で成功をいたしたいと思うのであります。なお二つくらい保險会社の手続が遅れておるのがありますが、同じような形で、生命保險についてはやつて参りたい。今準備を会社においても進めておる次第でございます。損保でありますが、損保と、あるいは集中排除というような関係もまだはつきりいたさないのであります。損保につきましても、私といたしましては、やはり同様な國営の形をとらないで、十分再建整備ができるとか、かように考えておる次第であります。なお損保の実情につきましては、私いささか内容を知つておるのでありますが、大体そういうふうにできると思います。それから今の終戰処理費その他の支拂予算実行の点その他であります。今回の終戰処理費を三百九十億に圧縮した点であります。これは予算としましては、できるだけ圧縮をいたしまして、どれがためにも相当長い時間をかけておるような次第であります。予算面におきましては、十分その点は考慮し、努力をいたしたいと申してよろしいのであります。ところでこの予算実施についてでありますが、これは本朝も二人からの陳情を受けたもであります。支拂についてであります。支拂については改善を要すべき点も多々あると思われるのであります。政府としましては、監査制度を強力実行をいたしております。それと同時にこの請負等については、入札制度をとつておるのであります。監査制度などによりまして、この都道府縣とか、あるいは戰災復興院等が、一度相当監査をされておるのであります。それに更に支拂につきましては、大藏省自身が監査をいたしましで、更にそのうち相当額を削るというようなことで、最後の支拂までをいたしておるのであります。本朝も受けたのは、あまりにもひどい。復興院が三度監査をされる、その都度金額は減じて、更に大藏省が地方財務局でこれを監査して減ずるということは、ひどいということであります。併しそれは、そのくらいしなければ、國民から集めた一般歳入でこれを賄うのでありますから、その点は十分考えてこちらもしておるのであります。拂うべきものと、拂うべからざるものとの金額などにつきましても、圧縮するのは、そうすべき必要があれば十分したいということを、本朝申したような次第であります。さような状態で、相当圧縮をすべきものは、監査制度の活用その他でもいたしておるのであります。そうして大体見ますと、契約ができるまでには、既に事前に相当事業の性質上工事を進めておるような関係上、契約ができるまでには概算拂をしておりますが、最後の支拂は相当そのために遅れる。併し多少は遅れても止むを得ないと思いまして、やつとおるような次第でございます。ただこの実際としまして、一面におきましては、それを嚴重にいたしておりますために、非常に支拂が遅れる。それがために業者が困る。正当に立替えた金額もあるのだから、考えてくれという話もあるのであります。この点は、去る七月以來実情を調査いたしますと、そういう点もあるのでありますから、工事が完了した場合は、あるいは八〇%あるいは九〇%の支拂だけは、必要であればいたしております。併し最後は十分監査をいたしまして、その点において余分に拂うとか、甘く見ることのないように、嚴重に督励をいたしておるような次第でございます。今までこの前に既に仮拂をして、不当な支拂を仮にしておるということが分つた場合におきましては、それはその仮拂の部分は追徴をいたしまして、徴収をいたしておる次第でございます。
#60
○石坂豊一君 今までの御説明を聞いておりますと、大藏省その他、殊に総理大臣並びに大藏大臣も非常に鄭重な御説明で、同僚諸君も満足しておられる点が多かろうと思いますが、先程私、井上農林政務次官の中西君に対する答弁のうちで、遅配欠配の部分を、前内閣のときで、現内閣になつてからは九日しかなつておらん。それで千八百円ベースに何の影響もないというような、捨鉢的な答弁があつたのでありますが、これほどの内閣でありましようとも。遅配欠配になれば、國民がその腹を満たすために無理をする、無理をしまするがために、その遅配になつた分は、あとになつて家計に非常な影響を持つて來る。あるいはその当時は筍生活をしておつたかも知れませんけれども、その千八百円ベースというものは、一月から遡つてやつておるのではないのでありますから、前内閣の時だから、腹が減つたら放つておけと、そういうことにはいかんのです。それですから、これは中西君の質問は尤もなことであつて、これに対しては、遡つて給與をして、その制度ならいいですけれども、そうではないので、而して一面において千六百円ベースのでこぼこ調整は現内閣において、やつぱり遡つて、やつておられるのでありますから、どうもあの答弁は、中西君の質問に対してしつくりと正当な答弁になつておらんと思う。こういう答弁はどうかしないように、殊に國民の衣食に関する問題は、前内閣の責任である。こつちの責任であるというて澄ましておられることではないのでありまして、國民の生活にこれは即しておる問題でありますから、どうかこういう問題は、政府において余程親切な御答弁をお願いしたいと思います。我々は別に党人として、その言葉を聞きとがめるわけでもなんでもないのでありますから、それで井上君の答弁は、まだ答えて詳かならざる点がありますから、次の機会において正当にこれを補充せられるように、委員長から交渉願いたいと思います。
#61
○委員長(櫻内辰郎君) 尚第三分科で一つお考えおきを願います。
#62
○石坂豊一君 実は分科でちぎれちぎれになりますと、徹底しませんから、何かの機会に、予算総会の際において御説明を願いたいと思います。
#63
○中西功君 済みませんがちよつと…。…さつきの、まだ中勞委との間の話はよく纒まつていないという点で、それはよく了承いたしますが、ただ私はここで大藏大臣に、今度この給與を改善するについて財源を見つけるというときに、私の考え方について、実は大藏大臣に話して意見を聴いておきたいと思うのです。
 本会議においても我々はいろいろ沢山この点については質問したはずでありますが、勿論その一々については、本会議でありますから、回答は十分得られなかつたのでありますが、どうしても今度の場合、中勞委の裁定の限度は、政府においても絶対に新しい財源を見つけ出して支給するようにして貰わなければいけないと思いますが、それについては、ともかくも特殊物件費が一つも今のところは收入に見積つていないのであります。ところが現在においては、ずいぶん摘発されておるのであります。だから私としては、特殊物件費を何とかして正確に見積つて、そうして今度の給與改善に加えて貰えないかどうか。あるいは價格差益金、これが又非常に落ちておると思います。
 ですから、これを若し早く本当に徴收するならば、今度の給與改善費などは問題にならないと思うのであります。その他新円大口利用者に対する課税もありますし、これと、これはもう山沢他の費とから言われたので、私は改めて申しませんが、今無記名の秘密の定期預金が、一体どれ程あるか。これは我々が増税を考える場合に、一つの考え方の参考になると思いますので、今現に無記名の定期預金がどのくらいあるかという点を、一つここで教えて貰つておきたい。それで、要するに、こういう無記名のものがあるわけなんでありますから、勿論これを全部取つてしまえというのでありませんが、財源は必ずしも不足していないという一つの證據として挙げることができると思います。
 更に、これはちよつと移りますが、西尾長官が、勤務所得税を増税して廻すというふうなことを新聞で出しておりますが、これは非常に怪しからんことであると思うのであります。我々の要求としましては、官廳職員の給與を改善するということと、そうしてインフレを増進させないということとは、これは十分マツチできるし、しなければいけないと思います。若しも本当にインフレ利得者から、あるいは又そういう十分金を持つて來まして、そうしてそれを官廳職員の給與に廻すということになりますと、これは一石二鳥といいますか、一挙両得であります。即ち一方においてインフレを抑え、同時に勤労所得者の給與を改善し、その生産意欲を増して増産をさせるという点で、これは一挙両得なのであります。ですから今度の給與の改善の財源を発見するために、是非こういう方針で以つてやつて貰いたい。それが又栗栖大蔵大臣が口を酸つぱくしていわれるあの健全財政の精神だ。それでなければ本当でないというと思うのであります。これを若し勤労所得者税を増徴してやるとか、なんとかいうことになつたならば、これは結局たこ配当みたいなものであつて、問題にならんと思うのであります。こういうやり方が却てインフレを促進し、不健全財政にならしめると思うのであります。そういうふうな点、要約すれば、特殊物件費の問題や價格差益金の問題、なおその他新円大口利用者というものは、決して担税能力に不足していないという点、第二は今後財源を充たされるならば、インフレを抑止するという点と十分マツチして行ける方針をとつて貰い、勤労所得税、増加所得税というような問題は、これは絶対避けて貰いたい。それに対して簡單でよろしいですから、大藏大臣の答弁をお願いいたします。
#64
○國務大臣(栗栖赳夫君) 中西委員の重ねての御質問に対して、お答えいたします。官公吏諸君の生活ということについては、私も十分に考えておるのであります。これがために、必要なる財源を見附けるということにつきましても、これは單に上つ面とか、あるいは一部のものを掴み取りをするというようなことでなしに、十分この困難なる財政事情の多い現状でありますが、その辺でも、困難なところについても、尚又綜合的に、全体的に眼を配つて考えたいと思うのであります。
 それから特殊物件についてお話がありましたが、これは事実上勿論予定額にも達しない現状でございますので、十分督励もいたして見ますが、地方の実例、あるいは政府の物はむしろ只で使えるのじやないかというような考えも間々ありますので、十分現状においていては予期の成績を挙げ得ない状態であります。
 それから價格差益金の問題でありますが、小賣関係は、これはどうも追及をすることのむずかしい点もありますので、小賣関係は、むしろ所得税、あるいは法人税その他で、これを押えなければ、いかんというような関係にもなつておるのであります。併し財源というようなことにつきましては、その他あるいは法務廳とか地方自治に関する委員会とか、その他の個々の追加予算も若干あると思います。そういうようなものにも十分眼を配りまして、そうして最善の努力をいたしたいと思つておる次第でございます。
 尚官房長官の話は新聞にどう出ておつたか、私知りませんが、今中西君のお話のようであれば、何か間違いじやないかと思つております。私はそういうようなことはやらないと思つておるのであります。ただあるいは給料とかその他が上るということになれば、自然的に所得税が増加して來る。自然増收があるというようなことを言われたのかと思うのでございますが、特に勤労者に対してこれがために下の方まで、小額所得者に対しても更に税率を上げて課税するというようなことは、考えておらんのでございます。
#65
○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいたします。御通告によりまする質疑は大体において終了いたしました。つきましては会期の都合もありますので、本委員会における質疑はこの程度で終局することにいたしまして、明日より分科会に移して頂きたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議なしと認めます。それではそういたします。更に分科会は第二分科だけを明日御前十時から開会いたしまして、午後第三分科の委員会をいたしますから、さよう御承知を願います。いずれ公報によつて御承知を願いたいと存じます。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           木村禧八郎君
           西川 昌夫君
           西郷吉之助君
           村上 義一君
           中西  功君
   委員
           岡田 宗司君
           カニエ邦彦君
           木下 源吾君
           波多野 鼎君
           石坂 豊一君
           小串 清一君
           佐藤 義詮君
           鈴木 安孝君
           深水 六郎君
           伊東 隆治君
           大島 定吉君
           木内 四郎君
           飯田精太郎君
           江熊 哲翁君
           岡部  常君
           岡本 愛祐君
           奥 むめお君
           河野 正夫君
           島津 忠彦君
           島村 軍次君
           鈴木 直人君
           高田  寛君
           服部 教一君
           東浦 庄治君
           姫井 伊介君
           渡邊 甚吉君
           川上  嘉君
           藤田 芳雄君
  國務大臣
   総 理 大 臣 片山  哲君
   大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   大藏事務官
   (主税局長)  前尾繁三郎君
   農林政務次官  井上 良次君
ソース: 国立国会図書館
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