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1949/05/22 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 懲罰委員会 第4号
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1949/05/22 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 懲罰委員会 第4号

#1
第005回国会 懲罰委員会 第4号
昭和二十四年五月二十二日(日曜日)
   午後一時二十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○議員星野芳樹君の懲罰事犯の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(太田敏兄君) それではこれから委員会を開会いたします。先ず事実の審理から始めたいと思います。只今お手許に発議者の懲罰動議の御趣説明書を配付してありますが、これを御覧下されば大体分ると思いますが、改めて朗読いたしましようか……。そういたしますと発議者の動議説明の中の最後のところに、星野君の発言のうち、無礼の言を用いたり或いは品位を重んじない全く議員の体面を穢す重大なる発言があると思いますというところが動議提出の理由になつておりますが、それにつきましては、只今星野君の発言の内容が大体このプリントに載つておるようでありますが、このうちのどこが議員の品位を重んじない、又体面を穢したということになるかということを一應御審議願いたいと思います。これにつきましては、発議者の草葉議員なり岡元議員に御出張して貰つて説明を聞きますか、どうですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○大野幸一君 その間にちよつとお尋ねしたいことがあります。この淺岡議員、矢野議員、岡元議員からなにか議院に対して処分を求める請求があつたかどうか。草葉議員の動議だけでありましようか。どちらでしようか。
#4
○委員長(太田敏兄君) 草葉議員の動議だけです。
#5
○松井道夫君 本会議で私が聞いたのは、草葉議員外一名から懲罰の動議が出たように聞いておつたんでありますが、私の聞き違いでありますか。その点はどうですか。
#6
○委員長(太田敏兄君) その点は実は提出者は、草葉、岡元両議員になつております。それに賛成者があります。岡元議員と草葉議員が提出者であります。それでは動議提出の議員の一人である岡元議員が今見えましたから、岡元議員から動議提出について一應の御説明を願いたいと思います。
#7
○松井道夫君 時間の関係もありますから、星野君の発言のうちどの点がですね。その議員の体面を穢す重大なる発言であると主張されるのですか、その点に限つて……
#8
○委員長(太田敏兄君) それでは今松井さんの言われたような点について御説明願います。
#9
○委員外議員(岡元義人君) 丁度草葉氏がおりませんので……問題の点は星野議員から言われた、軍國主義的な思想の封建的な人格を持つた吉村というような、こういうものと一脈相通ずる議員がおり、而もその議員に速かに辞職を迫つておるということが、一番問題としておるのであります。苟くも星野一議員がです。我々議員に対して辞職を迫るという根拠に対しまして、私達は非常にこの言葉の中から問題を重要視しておるのでありまして、この点御了解願いたいと思うのであります。
#10
○大野幸一君 軍國主義を持つておるということに対して、あなたはどこに根拠を置かれたのか。辞職を迫つたと、「除名をすることが最も引揚げ促進に有効な手段と断ぜざるを得ない。」こういうように言つた点ですか。
#11
○委員外議員(岡元義人君) 勿論軍國主義的なという意味においても、私達はこれに対して重要だと考えておるが、それと関連いたしまして、これと共に私が先程申上げました点は非常に我々としては重要に考えておるのでございます。
#12
○大野幸一君 本特別委員会が発足するに当つて、懇談会でもよろしいし、委員会でもよろしいが、超党派的にやるというような決議か、或いは申合せがなされておつたか、おらなかつたか。
#13
○委員外議員(岡元義人君) 特別委員会はこの第五國会だけではありませんで、前からずつと続いて來ております。その間特に各國会の度ごとに委員長からしばしば超党派的にこの問題を処理して行きたいということは言明されておるところであります。
#14
○大野幸一君 特に常に意見が一致しておる人は或るグループで意見が一致し、他のグループで意見が一致するようであつて、その超党派的に進行されたるように思われなかつたような印象を外部の人が受けておるということでありますが、あなたの受けられた印象ではどうであつたでしよう。
#15
○委員外議員(岡元義人君) いわゆる引揚の促進という面におきますれば、これは厚生委員会と同じような性格になつて参りますので、殆んど一般の福祉を念願するという一点に参ります点におきましては、これは共産党の方であろうと、どなたであろうとも一致して來た、非常にうまく運営されて來たと思うのであります。併しながらこの吉村隊事件及び人民裁判等を取上げますにおきましては、当然いろいろな主観が今までの場合と違いまして、ここに違つた主観を持つておる方々が委員会を構成しておるわけでありますから、今までの、從來のあり方と今度のあり方については、多少結論を出すのには、これは止むを得なかつたのではないかと考えております。
#16
○大野幸一君 結論を出すために少数意見を発表したいとか、留保したいとかいうような意見が星野委員側の方から出たでしようか。
#17
○委員外議員(岡元義人君) 要求がございました。それで少数意見は自由にお出しになつたらいいでしようと、それからこの中間報告の場合に、少数意見を述べたいという星野議員のお話が、これはありました。その点につきましては、私的でありますが、私からこれは運営委員会が、いわゆる中間報告を求めるということは、委員会から求めるという形はないのであつて、運営委員会から必要を認めた場合に中間報告をしろと、こういうような形式を取るようになつておるのでありますから、当然そういう形式さえ踏めばできないことはないのだということを申上げたのであります。
#18
○大野幸一君 最初吉村氏でしたか、証人が上京するときに、どこか駅へ迎えた議員があるのでありますか。
#19
○委員外議員(岡元義人君) ちよつと私は今の御質問が……それにもお答えしなければならんのでしたらお答えいたしますが、委員長の方で適当に少し……先程委員長から私に対して、この懲罰動議の趣旨に対して、どことどこの点が重点を置いておるのかという御質問でございましたので、お話して参つたのでありますけれども、少し問題が外れて参つたような氣がするのでございますが、若しお答えしろという御指命がありますればお答えいたします。
#20
○松井道夫君 それに関連しまして……、星野議員の弁明を聞いた後で、更に例えば只今大野委員から質問されたような事項について、岡元議員から聞く必要があるといつたときに、又岡元議員から御説明を願つて聞くということにしたいと思います。
#21
○大野幸一君 私の質問の、特に簡單な質問は後に廻わす必要はないと思います。
#22
○委員長(太田敏兄君) どうです。皆さんの御意向は……今……
#23
○大山安君 只今の両委員の意見に対しましては、松井委員の意見に賛成するものであります。というのは、まあ申すまでもなく期間も切迫しておるのでありますから、或いは成る程一人一人でもよいわけですが、総合的批判として、只今大野議員の質問する点も分るのでありますが、内容の趣旨について一應両者の意見を聽いて、それから大野委員の質問に対する答弁を聽くようにしたいと思います。
#24
○齋武雄君 私は大野委員の御意見に賛成いたします。
#25
○大野幸一君 簡單な事柄であるし、本委員会は誰でも証人の喚問を求められるのであります。岡元議員は委員長代理としても、亦特別委員会の理事として私は証言されることが、あながち……。動議提出者としてこれを留保されるという御氣分が了解に苦しむのであります。
 それからもう一つついでに聽いておきますが、再び聽かないように、参議院宿舍に特に吉村隊長を宿泊せしめたる事情如何。この二点です。
#26
○委員長(太田敏兄君) その点岡元さんから一つ。
#27
○委員外議員(岡元義人君) 誤解のないようにして頂きたいのですが、私は先程の質問の範囲が、先に指示されましたので、一應委員長のその範囲において重んずればよいものだと、こういう工合に解釈しておりますので、決してお答えしないというのではありませんので、委員長から御指名がありますれば、いつでもお答えいたします。
 御質問の点でございますが、これは宿舍の方とも一括いたしましてお答えしたいと思います。実は御承知のごとく、非常に問題がジャーナリズムに取り上げられておりますので、世間の注目を浴びておつたことは御了解できると思います。而もこの私達の委員会に対しまして、U・S團というような、これは委員部の方にも分つておりますが、相当吉村隊長に対するいわゆる内容を知らない、これは極言するわけには行きませんが、よく知らない状態のままで感情的に憎しみを持つておる、いわゆる國民の人達が相当数あつたことは事実であります。それでお前の命は刻々に迫つておる。お前だけではなく、お前の子供も家族も死が迫つておるんだというような意味のいろいろ脅迫状見たいな通信が相当参つております。そこでこの吉村隊長と言われる池田証人を喚問いたしまするのには、非常に警視廳その他も心配をいたしております。私達は参議院として証人を喚問して、徒らに何かそこに間違いを起させるというようなことがあつては、これは又参議院としての責任もあることでございますから、できるだけ事故を未然に防ぎたいというような考え方から、理事、委員長と打合せをいたしまして、そうして誰かが途中で以て、東京駅ではみんな知つておるから東京駅に降さないで途中から降して、そうして万一の事故防止をしようではないかということになりましたので、わざわざ迎えに行つたわけでありまして、礼儀を盡して迎えたわけでは決してありません、それから議院宿舍の方へということになりましたのも、この点は旅館その他に対して斡旋すればよいのでありますけれども、そういう状態で非常にいろいろな事故が万一あつては申訳ないので、できるだけそういうことを防止しようということから、本人達は米を持つて來ておりますし、それから金も当然支拂うものは支拂わせまして、そうして矢野委員にお話して、矢野委員の部屋を借りたわけであります。決してその間に特別な待遇をしようとか、そういうような意味でしたのではなく、單なる事故をば未然に防ぎたいという一念であつたことをば御了解願いたいと思うのであります。
#28
○委員長(太田敏兄君) この際星野議員の弁明を聽いてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○委員長(太田敏兄君) では星野君にお願いいたします。
#30
○委員外議員(星野芳樹君) 私はこの懲罰の動議が全く理由のないものと考える者でありますが、その前に、この委員会が何が故か、公開を禁止されておるのはあまり穏当でないと思います。私のこの問題は、全國民がまじめに考えるべき問題であり、決して暗默裡に祕密的に裁判を行うべきではないと私は考えて、一面委員諸兄の御再考を促したいと思うのであります。
 それから理由がないという点では、大きく言いますと、三つになります。私の発言は何ら虚構の事実でなく、眞実を言つたことであるということ、これが説明は後にいたします。眞実を言い、而も眞実としては、或場合には眞実でも、あまり強過ぎることは遠慮すべきという場合もございましようが、この情勢におきましては、決して遠慮すべきではない事態があつたということを後に説明いたします。それからもう一つは、この草葉隆圓氏の懲罰に付する動議の説明というのは、甚だ議員諸公をペテンにかけるがごとき内容があると思うのであります。それは議会に対して非協力であつて、特に婦人議員が委員長であつたために非協力であつたと言つて、恰も私が婦人である委員長に対し、何か失礼があつたがごとき印象を取り上げて、そうして事情も知らない議員の雷同を求めた点がありますが、懲罰を要求された内容はこの発言であつて、断じてこういうことではなかつた筈なのに、こういうことを書かれたというのは、明らかに策謀的であります。
 それからもう一つ、あの委員会は、実は私が発言した委員会は定足数が足らない委員会であつたのであります。それで定足数が足らないのに拘らず、岡元委員その他が試案を押し通そうとされたために、北條委員その他は定足数に足らないということを再三警告して立つておるのであります。その後速記を取つて、我々の発言をずつと迎えていたんですが、併し速記だけ取ることになつたので、その際の発言だけであり、定足数に足らなかつた委員会であります。
 それから一番初め申した、私の言つていることが間違いではないと、事実その事情があつたということを申します。この吉村隊事件及びいわゆる人民裁判事件が参議院の特別委員会に取上げられた。その時の情勢といいますると、正に昨年は四月或いは五月から在ソ同胞の帰還が開始されていたに拘らず、本年はなかなか見通しがつかず、実は私共として、本年果して帰れるかどうかということに非常な心痛を持つている。数十万の留守家族は狂うばかりの心痛を持つていた時であります。この時に当つて、皆さんもよくお分りでしようが、この引揚問題の核心をなすものは、私は一部の人々のように、日本が船を廻さないから帰れないんだとか、或いは收容所の施設が足りないから帰れないといつたことは、院内院外を問わず一度も言つたことはない。成る程日本の受入態勢は十分でありません。帰つてから職に就きようがない。併しそれだからといつて、帰れないという事情はないのであります。でありますから、この問題の解決は飽くまでソヴィエト当局を動かすことであるということをかねがね確信しております。而もソヴィエト当局を動かすということになりますれば、これはやはり外交的に我々は考えなければならないと思うのであります。そしてソヴィエトが何故に動かないかということを考えて行かなければならん。この点から考えますと、今までの幾多の事象からして、ソヴィエトといたしましては、世界情勢というものを一番神経過敏に考えておるという情勢が明らかなんであります。例えば昨年の十一月には、一昨年は十二月まで引揚があつたのに昨年の十一月はぱつたり止つた。あのときの情勢はアメリカにおいて大統領選挙において下馬評ではデューイが圧倒的に勝つ。そしてデューイが勝つならば、米ソ関係が緊迫化して、あのときの有識者は米ソ戰爭が必至ではないかと恐れた事情があつたのであります。そのときは十一月の末でした。ところが十一月の二十日に大統領選挙が予想に反してトルーマン氏が当選して、米ソ関係の緊迫化が解かれてほつと安心した状態になつたのであります。そうすると十一月の後半には今まで曾てなかつた十五日間に三万七千だか帰したということも一つの例でありますが、かくのごとくソヴィエト政府としては、非常に徴妙に國際情勢ということを考えて考慮に入れておるのでありまして、これは私の発言中にもありますが、それでありまするから、この引揚の促進ということは今まで留守家族が非常に叫んでおる。私も血の叫びを上げておる。私共がソ連大使館の代表と会いましても留守家族の窮情はよく分るといつておる、帰してほしいという留守家族の熱情はよく分つておる。何故動いて來ないかというと、これは國際情勢の微妙なる点にあつて、日本が果して本当に平和國家になつたかどうか、ここに未だ安心を持てないという点があるというところが根本ではないかと思うのであります。
 それ故に我々は飽くまでもポツダム宣言の線に沿つた平和的民主國家になるということ、口だけではなく実行するということが引揚促進の核心だと思うのであります。そういう切迫した事情の下に当つて吉村隊事件が世間に喧傳されるや岡元委員、その他の委員は、こういうことをいうと又懲罰になるか知らないのですが、世間で持てはやされるので、持てはやされる問題としてニュース・ヴァリウを以て取上げることを主張されたのであります。併しこの取上げることに対して私は以上の事情を申上げまして、極力反対し、これに対しては良識ある議員は例えば民主党の伊東隆治氏などもこれに対しては反対意見を述べられたのであります。併しこの問題も少数の、八対七、一票の差であつたと思いますが、そういう少数の差で取上げられたのであります。これにおいても先程申上げたように引揚委員会を成るべく超党派的に行うという原則はここに無視されたのであります。八対七で以て実に外の人達を納得させずして、ちよつとの多数を以て押し切つて取上げるということになつた。
 更に人民裁判というようなものも取り上げ出した。この人民裁判の問題なども、いわゆる人民裁判によつて引揚げを後廻わしにされたという事実が聊かあると思いますが、それは大きな数ではなくて、問題は全体の同胞が還るか還らないかということが大問題になつておるとき、これを問題にするということは、決して全体の引揚げのためには有利ではないという事情の下に、これも強行的に行い、そうしていよいよ審議に入つたのであります。審議に入りましたら、その審議の過程において、今大野委員が指摘されたがごとく、岡元委員が吉村隊長を出迎えに行つた。この事情を岡元委員は述べられましたが、そういう身体の安全を期するならば、これは警視廳その他を督励をすれば十分なことであつて、何もカメラマンの追い廻わす駅頭に議員が出る必要もないことである。宿舎その他についても、これは明らかに警視廳その他に督励して嚴戒せしめればいいことである。これに容喙する必要もない筈なのに、こういうことに容喙しておること。それから審議中に吉村隊長と食堂において特に食事を供にするというような事件もあり、こういうことからも吉村隊長を何か英雄視しておる傾向が現われておるのであります。果せるかなその審議に当りましても事ごとに吉村隊長の援護をなされ、そうして我々といたしましては、岡元、淺岡、矢野三君の委員の意図は、この吉村隊事件の責任を全部外的條件、即ち蒙古政府、ソヴィエト政府の責任に帰して、そうして敵本的な宣傳を行うという意図があると見ざるを得ない討論の結果となつたのであります。
 そうして最後に至つて岡元委員が、この吉村隊事件調査についての参議院在外同胞引揚に関する特別委員会における審議の経過の中間報告書という草案を書かれたのであります。この草案においては吉村隊長についてはこの部隊管理の統卒に欠陷があつたことは免れん。その程度に書いてあり、ここに吉村隊長の重大なる道徳的錯誤があつたということは、一言も触れていないのであります。そうして軍國主義の指摘、封建主義の指摘というものを故らに避けるがごとき、常に我々が口外に出す時これを強行に反対しておる。事実審査といたしましても、いわゆる「曉に祈る」という処刑にされた者は証人十四名を喚びまして、吉村以外の者すべての者が百五十人程度、この人々は責任者でありませんから、記録を持つておりませんが、百五十人程度曉に祈らされる処刑をしておる。然るに吉村君のみが四十一人、それはすべて蒙古の命令だと、全く証言の結果は常に一対十四であつたのであります。而もそのとき証人に喚ばれたのは、決して吉村を告発せんとした反対派でない。委員会としてはむしろ半々、吉村支持派と目されると者と、その反対派と目される者と半々に公平に喚んでおる。而もその人々が一致して吉村を攻撃しておる。而も淺岡議員は宣誓をして言つたのだから隊長の言を信ずべきではないかというような発言をしておる。これなども甚だ常識違いなのであります。而も初め十四人でしたか、十五人でしたか、公平に彼らを喚んで、その証言の結果が全部吉村を非とする証言になつたのでありますが、更に淺岡議員は、今度喚んだのは吉村反対派ばかりだから、吉村を支持する者をもう一回喚ばなければならん。外の議員はもうすでに大体審理の状況が明らかになつておると言うのに、更に喚ぶことを強硬に主張いたしまして、更に四人を喚んだ。四人を喚んで、これも吉村支持派であつたと思つたのが、やはり吉村の事実を皆曝露してしまつた。こういうようにして公平に見れば吉村隊長の重大な責任、道徳的錯誤がある。その背景となすものが軍國主義的思想であるということが明らかなのにも拘わらず、この岡元委員の作つたこの中間報告書案というものは、全く事実を捏造したものである。
 それでありますから、これが委員会に提出された時に、熾烈な討論が行われたのであります。併しながらこの討論は甚だ非民主的に行われて、その原案を刷らずして、ただ読んで聽かして、不満のところにチエックしようということになつて、四十七ケ所各委員から不満のことをチエックして、そうしてチエックされたところを討論する。併しそれに対しては加えるものがまだあるという委員の意見はあつたのであります。然るにそれも時間の都合といつてチエックしたのみで通そうとした。そうしてこの岡元委員の草案を以てしては到底審議がまとまらず、而も決して私と細川氏のみが反対したのではなく、北條委員からこういう重大な報告書は、決を採つて八対七でもいいというなら、それはわけはないだろう。併し重大な報告書である以上、成るべく満場の賛同を得たものを出そうじやないかという発言があつたに拘らず、これを飽くまで押さんとし、そこで遂に結論の部分に至つて、これは北條委員に……、それから言い落しましたが、その四十七ケ所のチエックしたところ、これを委員会で以て審査することになつたのであります。ところが途中岡元委員は天田委員との感情的な対立から、突然席を立つてしまつた。仕方がないので、私や北條委員や細川委員でその続きをずつと審議しなければならなかつた。而もその先にこれに附加するところが、各委員にあるという意見があつたに拘らず、もう時間がないということで、附加することも殆んど許されないような、強硬的態度に出られた。そうして最後の日に又結論を理事に一任するということで、理事及び北條、細川委員に一任ということになつたところが、岡元委員はこの日は何か放送か座談会がございまして、この方が名前が賣れることでも思われたのか、これに出席されない。そこで北條委員と私は思想的には左右非常に違いますが、両方共紳士的に協議したので、その結論においては殆んどまとまつた結論が出たのであります。
 ところが又あくる日これが委員会に持ち出されると、これに対して一々問題をつけて、そうして相当問題があると、岡元案を無理に報告書として通そうとして、そうしてこれに対して十分なる討議をする、速記をつけて討論をするという約束があつたにも拘らず、もう速記が事実上間に合わないとか、いろいろなことを以てこの討論を抑えようとした。そういうようないきさつにおいて、全員が一致することができない報告書を無理やり押通そうとしたのであります。その裏が、一貫して吉村隊長を支持して、そうしてすべてをソヴィエト側の責任として、敵本的な宣傳を行うという意図にある。而も軍國主義的な反省、封建主義に対する反省というものは、すべて抹殺しようとする。こういう意図が明らかであるのであります。
 こういう事実からして、私共が公平に解釈いたしまして、これらの人々が吉村氏を何が故にこれ程庇うか。これにはこうしたいろいろな言行からして、明らかに思想が相通ずるものがある。矢野委員のごときは隊長となるには、あのくらいでなければというようなことも、放言されておるのであります。こういうところから推察して、明らかに軍國主義的影響にあることは事実なんであります。而も引揚げの問題が、先程申上げたように、ソヴィエト当局の考え方というのは、日本の再武裝化を非常に恐れ、再反動化を非常に恐れておる。このときに当つて眞に國会が引揚げ促進をするためには、誠に参議院から除名決議をするのが、至当であると考えたのは、私の意見であつて、何故これを謀略的に押しつけたとか、何とか言うのでなくて、私が正しいと思う意見をここに述べ、現実において私共非常に憂慮していた引揚げが、先ず開始はされるということになりましたが、私は今でも考えております。こうした反動的議員が引揚委員として横行しておることは、実に今後の在留同胞に対して暗い蔭をさすものであるということは、ちよつとも嘘ではないと思うのであります。而も眞実でありましても、余り問題が重要でない場合には御遠慮いたすべきが当り前かも知れませんが、あのときの情勢は、正に今年引揚が再開するかどうか、そうして数十万の留守家族が本当に狂い死するかどうか、という段階にあつたのであります。この段階において、私共はこうした間違つた行動をなす者に対しては一糾彈をするのが、我々在外同胞を救う唯一の途であると思つて、ここはやらざるを得なかつたのであります。
 私はこれだけのことを言いまして、若し引揚が再開しなければ実は自決するつもりでおりました。併し幸いにして引揚が再開されたのは、少くともソヴィエトとしてはこうした反動的な議員があることについて、甚だ不満でしようが、我々が少くとも日本の平和國家として育成するために、民主化のために、これら反動議員に屈することなく、言論を以て闘つたということが認められたと思つておるのであります。こういう理由で、私はこの事実に対しては、何ら間違つていないと思うのです。そうして軍國主義的影響下にあつたということを、影響下にあるということを指摘したので、それに比べれば今日の田村議員のごときは、労働運動のストライキを、あれは武力闘爭だというようなことを言うている。これの方が余程失言であつて、政治的意見が違う私共が、軍國主義的影響下にあると思う者、これを指摘するのが何ら間違いがない。而も除名を決議することが至当だという意見を述べたので、何ら陰謀的にこれを抹殺するとか、威嚇するとかしたのではなく、許されたる発言のときに、除名を決議することが、至当であるという意見を述べたので、何らこれは間違つてないと、こう考えるものであります。こういう事情において、この懲罰の理由は何ら私は存在しないと思うのでありまして、懲罰委員会から私の言つたことが嘘か本当か、御調査を願いたいと思う。
 先程大野委員から指摘されたごとき、迎えに行つた事実、宿舎に泊めた事実、更に食堂で食を共にした事実、それからこの委員会における議事の進行過程、そうして最後においては、定足数も欠いておる委員会、それで最後までこの報告書を押し切つて、独断的にこれを本会議に報告しようとしている、こういう非民主的行動、これが私が指摘するのが外れているかどうか。これを御審議頂きたいと思うのであります。
#31
○委員長(太田敏兄君) 只今の星野議員の弁明に対して、御質問ありませんか。
#32
○大山安君 各点について伺いますが、第一点は、委員会開会の際に定足数に達しないものを開会した。その開会した結果は、やはり審議は続行して行かれたのですか。
#33
○委員外議員(星野芳樹君) その事情は何日ですか、一番終りの委員会でしたが、岡元氏と北條氏と相当の意見の対立があつたわけです。そうして岡元氏が是非ともこれを強行的に通そうとされたに対して、北條氏から先程言つたように、八対七でも通すというなら、それは簡單だろう、併しこういう重大な問題だからできるだけ全員の納得でやつたらいいじやないかというのに対し、これを通そうとした。いろいろの意図で、それはお話しにならないこともあつて……、推定されるというのは、北條委員が考え直したらいいじやないかということに対しても、岡元委員は強硬に推定だと言つて、これを三十分も頑張るといつたような事情があつたので、北條委員は、そういうふうに非協力的ならば参加することはできない。定足数は足らないぞと言つて去られた。定足数が足らないので、私も帰ろうとした。ところが木下委員からの発言でとにかく最後に速記を取つて討論は二時間許すという約束が最後にあつたのであります。そうしてその速記は今とれた、今とれたからその際発言しろというので私は出て発言はいたしましたが、委員長は定足数は足りないということは北條委員も注意いたしましたし、私も幾度も注意いたしましたが、耳に聞えないようにすまして続けていたのであります。
#34
○大山安君 結果といたしましては委員会は続行することになつた……
#35
○委員外議員(星野芳樹君) 続行するともしないとも委員長は申しません。
#36
○大山安君 その場合にあなたはどういう考えで……、審議の構成委員となつた場合にどういうお考えでいたのですか。
#37
○委員外議員(星野芳樹君) 私は幾度か委員長にこの委員会はすでに定足数を欠くものであるということを言つております。ですから正式な委員会とは認められないと思うのであります。併し速記が正式の委員会ではとる機会がなく最後に速記をとつたというので、速記を得た機会に眞実のことを些か申述べたのであります。
#38
○大山安君 この動議は今申されたその欠員のときの委員会での発言に対する懲罰動議ということになるのですか。
#39
○委員外議員(星野芳樹君) そうです。定足数を欠いた一番後の発言であります。
#40
○大山安君 この発言を見ると相当委員会という氣持によつて発言したというように見受けられますが。
#41
○委員外議員(星野芳樹君) 委員会という氣持というのはどういうのですか。
#42
○大山安君 その場合に委員会の一人として発言をしたように見受けられる……
#43
○委員外議員(星野芳樹君) そうです。委員としての氣持ではあります。併し定足数が足らないということは……
#44
○大山安君 それでいいです。それから反動ということ、反動分子にひとしいというような内容になつておりますが、この反動という意味をどういう解釈の下に反動というのか。
#45
○委員外議員(星野芳樹君) 反動というのは日本がポツダム宣言の線に副つて、平和的民主國家になつてそれの方に進めるのが相当ですが、それを逆轉して、過去のごとき軍國主義的思想に引き戻そうとするのが反動であります。実際に吉村隊長というのは、考え方というのは誠にこれは軍國主義時代の産物であります。而もこれを了解し、これを支持するがごときは明らかに反動であると思うのであります。
#46
○大山安君 それからこの議事進行中に星野議員が、この問題となりました発言をしたためにその委員会は中止になりましたか。
#47
○委員外議員(星野芳樹君) 中止にはなりません。その後岡元氏が発言をし、草葉氏が発言をしております。
#48
○大山安君 それから三名を除名する決議案云々とありますが、これは國会議員を除名するという氣持であるか、委員を除名するという氣持であるか。これが眞実に除名する意思、氣持で言われましたか。
#49
○委員外議員(星野芳樹君) それは本当に参議院は在外同胞数十万の運命を考えて、本当の態度を取るとすれば、この参議院の議員から除名する決議をするのが至当であると思います。
#50
○大山安君 この場合に本当であるかないかという根拠はどういうことになりますか。
#51
○委員外議員(星野芳樹君) 今ながなが述べたように我々在外同胞数十万が外におり、その留守宅家族が非常に苦しんでいる。これを解決するというのが國会の任務であります。而もそのときに当つてこの解決を阻害するごとき敵本的な宣傳をなすつた。而もそれが公平ならいいです。私は白いものを黒に言えと言つているのではない。併しこの報告書のごときは、例えばソ連地区における待遇状況等も最初の一年は相当食糧も不足していたことは事実であります。併し証人の証言、或いは帰還者の報告によれば二年目には大分改善され、三年目には殆んど改善され盡したという証言があるにも拘わらず、こうした事実は一つも述べないで、惡いところだけを指摘し、三年前の惡いところだけを指摘する。こういうような態度をとつていれば、先方としては甚だ日本の國民というものは自分勝手なものだと考えるのも無理もないので、こういうような態度をする者が國会議員にいるということは引揚促進に重大な阻害になりますから、これは引揚促進を有効ならしめるためには、こういう参議院議員を除名するのが至当だと思うのであります。
#52
○大山安君 今一点、この除名というそれだけの根拠がある場合に國会議員が直接そういう発言をしていいか或いは惡いかということですね。
#53
○委員外議員(星野芳樹君) それですから私が述べたように、これは事実こうした方が國民のためにはいいのであります。併し國民のためにはよくても、事態が余り重要でなければこういうことまで言うことが本当であつても遠慮するのが本当であるかも知れないが、事態が甚だ迫つていると共に、引揚が促進するかどうかというような非常に憂慮されているとき、反対するような方向にばから持つて行つて更に人民裁判を取上げるというような行動をやつている。この事態において、これを默視しているのは私は議員としてはどうか知りませんが、國民の一人として、八千万の同胞を愛する者としてはこれは默つているときではないと考えたのであります。
#54
○大山安君 今一点、國会議員として、つまり常識判断でこれは正しくないという場合には、國会法に從わなければならないという法律があるわけですが、それは御了承なんですかどうか。
#55
○委員外議員(星野芳樹君) それは承知いたしております。
#56
○委員長(太田敏兄君) 外に御質問はありませんか。
#57
○松井道夫君 今の特別委員会における発言は冷静な考慮の上になされたのですか。或いは多少感情的に興奮してなされたのですか。
#58
○委員外議員(星野芳樹君) それは冷静なる考慮といつていいと思うのであります。併しながら同時に同胞が若し点らなかつたら自決もしようという熱情は、國民を愛する熱情を含めた冷静な考慮に燃えたといつていいと思います。
#59
○松井道夫君 今問題になつている淺岡委員、矢野委員、岡元委員、こうした反動的委員を除名するということが云々、この点は特に興奮状態で述べたというようなことはないのですか。
#60
○委員外議員(星野芳樹君) そういうことはございません。
#61
○大野幸一君 あなたの発言が終つたあと誰が発言しましたか。
#62
○委員外議員(星野芳樹君) その次は確か草葉さんが発言しました。
#63
○大野幸一君 それからのそ委員会は何人くらい発言しておりますか。
#64
○委員外議員(星野芳樹君) その次には岡元委員が発言しました。これはまあ私に対する攻撃もありました。私がもういいじやないかと言つて私も発言しませんでした。
#65
○大野幸一君 取消その他を委員長及び委員から要求されたことはないのですか。
#66
○委員外議員(星野芳樹君) そのときから草葉委員は取消を一應要求いたしました。
#67
○松井道夫君 発言の全趣旨からいいますと、反動的議員ということは、反動的という反対を考えると軍國主義的ということもあるし、封建的というようなこともある。反民主主義的である。その前に、「吉村隊長が軍國主義的な影響下にこうした思想を持つているというのでなく」云々ということになつておることなど総合いたしますと、反動的議員ということは、軍國主義的思想の影響を受けた議員という意味でありますか、或いは封建的という、單にそんな意味から軍國主義的な意味にような全趣旨から見えるのですか、その点はどうですか。
#68
○委員外議員(星野芳樹君) 要するに民主主義に反撥して軍國主義時代の思想傾向と同じ考え方を持つておる、軍國主義的というても私は間違いないのじやないかと思うのですが、この人たちの思想は……
#69
○松井道夫君 軍國主義的であるとあなたが認めざるを得ないという理由は、吉村隊長をあなたから見て殊更に庇護するといつた点からですか。
#70
○委員外議員(星野芳樹君) 庇護するのみならず、吉村隊長の行動の原因であるところは、從來の軍國主義的、封建的な制度及び思想にあるということを指摘することを極力避ける。
#71
○委員外議員(岡元義人君) それでは私から簡單に二三点だけ御参考までに申上げます。この吉村隊事件が取上げられるようになりましたのは、これは星野議員のおられます無所属懇談会の千田君の要求であり、私が企画部長をしておりました関係上これを取上げることになりました。それから先程の定員の問題はその当日の前の日に原案が認められまして、これは定員があつてその方法は委員長理事に一任ということに決つたのであります。それから今星野委員からお話になりましたように討論の際に定足数を欠いております。併し速記という要求がありまして、速記が非常に今足りませんので、速記の交渉が解決付きましたから定足数は足りないが御了解できるのかということを委員長が諮つておるのであります。この定足数につきましてはいろいろ問題がありましようけれども、併しながら了解を得ておる。特に星野委員の場合におきましても、先達、梁瀬美智子を証人喚問しましたが、そのとき星野君が委員長をしております。電報を打つてお待ちを願つた証人喚問の委員会でも定足足らずでおやりになつておりますから、これは御了解できると思います。
 それから報告書ですが、これはお読み頂けば分るのでありますが、証言を基礎いたしまして決して吉村隊長を庇つたということは、この報告書を読んで頂けばないのであります。指摘すべきはびしびし指摘しております。この報告書が岡元が提出ということになりますと非常にここに問題があるのでありまして、当委員会は專門調査員を持つておりません。それで議員の誰かが草案なりを作らなければ進行できないのであります。私が今まで企画を担当しておりまして、今までの殆んど書類報告書は皆私が書きました。草案としてただ出したに過ぎないのであります。以上の点だけ御参考に申上げて置きます。
#72
○大野幸一君 食堂で吉村等と会食されたということは事実ですか、それは何回ぐらいありますか。
#73
○委員外議員(岡元義人君) この委員会は証人喚問いたしまして最初の予定しておりました二日が、三日に延び、そういう工合に変更いたしましたので、各証人、汽車で帰る用意もあつたのでありますが、無理を言いまして晩、食事の準備もできておりませんために、委員長は特に下の食堂に頼みまして、それは別途に金を拂いまして、そして証人全部に食事を提供しております。
#74
○委員外議員(星野芳樹君) 特別委員会の議事運営、経過についてはこれは懲罰委員会が証人として北條委員をお呼び出しになつたら一番公平なる結果が得られるのではないかと思います。それから先程千田委員が吉村隊事件の提唱をされたと言いますが、たしか千田委員はこれを取上げたらどうかと言い出したと思いますが、ところが反対意見があつて千田委員はこれは固執しないと言われたのです。強硬に主張されたのは淺岡、矢野、岡元の諸委員です。千田委員も取上げることに賛成があつたと思います。
#75
○松井道夫君 この程度で休憩して懇談をお願いしたいと思います。星野君は席から去つて頂きます。
#76
○委員長(太田敏兄君) 只今の松井さんの御発言に異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○委員長(太田敏兄君) それでは暫次休憩いたしまして懇談会に移ります。
   午後二時二十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十七分開会
#78
○委員長(太田敏兄君) それでは開会します。証人として北條議員をこの席にお呼びすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(太田敏兄君) それでは北條さんに対して御質問がありますればお述べ願います。
#80
○松井道夫君 それでは私から先ずお尋ねいたしますが……
#81
○委員外議員(星野芳樹君) この発言のときは、北條さんはいられなかつたのです。その前の委員会の経過、それは北條さんが一番詳しいのです。
#82
○松井道夫君 淺岡議員が、委員会で十数名の証人を取調べた結果、すべての証人が暁に祈らされた人の数は百数十人だろうと思うと言うておるに拘わらず、吉村隊長のみは四十二人であると言つておる。それで大体事実の認定が、どちらが正しいか心証が得らるべき状態にあつたとき、更に淺岡議員が吉村隊長側の証人を数名呼ぶんだというようなことを特に主張されたような事実がありましたか。
#83
○委員外議員(北條秀一君) この点についてはすべてが速記録に出ておる筈なんでありますが、私は現在のところはつきりしておりません。その点につきましては……
#84
○松井道夫君 それでは淺岡議員が、外に矢野議員に岡元議員も加わりますが、特に殊更に吉村隊長を庇護する、その軍國主義的な、或いはまあ封建的なといいますか、そういつたような傾向を指摘することに反対したり、又はその外特に吉村隊長を庇護するというような事実がありましたですか。
#85
○委員外議員(北條秀一君) この点は殊更に当時の証人を淺岡、矢野両議員が庇護するという態度に出ておつたということは私は考えられません。併しこれは可なり各人の主観がありまして、その主観に基いてどういうふうに受取られたかという点が各人それぞれの立場においてあるということは、私は否定できないのでありますけれども、私の印象は先程申上げた通りであります。
#86
○松井道夫君 岡本議員が委員長代理として審理を運営されるについて、殊更に党派的に動いたといつたような事実がありましたか。
#87
○委員外議員(北條秀一君) それは先程お答えいたしましたところと同じであります。私としては岡元議員が委員長代理として党派的に動いたということは断定し得ません。
#88
○松井道夫君 今言つて三人の議員が軍國主義的な吉村隊長と相通ずるような、軍國主義的な影響をその思想に受けておるということが、あなたとして感ぜられておりましたか。
#89
○委員外議員(北條秀一君) これも今まで私がお答えいたしましたのと関連しておると思います。すべて各人の判断になりますが、從つて私としましては、この岡元、淺岡、矢野両議員が軍國主義的な態度を持つておつたという判定は下し得ない状態にあります。併し私のイデオロギーといいますか、から判定いたしますと、この両議員の諸君を判定しますと、いわば保守的な考え方を持つておるということは、私はそういうふうに考えております。
#90
○松井道夫君 これは保守的という言葉もありますが、今問題になつておるのは反動的という言葉を使つております。これらの議員達の特別委員会における態度が非民主的であつたというような、あなたとして感ぜられた事実がありますか。具体的に事実を挙げなくても、結論だけでもそういう事実があつたかどうか。
#91
○委員外議員(北條秀一君) いろいろ沢山のケースの中に非民主的なものが交つておると思います。併しそれは今松井委員から言われましたように、一一例証するまでもないと言われるが、今言いました通りであります。併しこれはそのことだけを申しますとそのことが全般を蔽うようなことになるのでありますが、そういう場合もあるということでありまして、極めて部分的な問題であるというように御理解願いたいと思います。
#92
○松井道夫君 この質問は証人としてお答えにくいかも知れませんが、併しながらあなたの心境からはつきりしておつたら一つ言うて頂きたいのです。星野議員の思想傾向からして淺岡議員以下二名の議員の行動が反動的である、或いは吉村隊長を特に庇護すると星野議員が感ぜられて、それと通ずる軍國主義的な影響下に今の三人の議員があるのではないかというように星野議員が感ずるについて、まあ尤もだと考えられるような事実、諸行動があつたかどうか。
#93
○委員外議員(北條秀一君) この吉村隊事件、或いは軍國主義的であるという点につきましては、先程私が申上げたところでありますが、反動的であるかどうかという問題については、星野君のイデオロギーの、それも私が理解する範囲でありますが、点から言えば、恐らく悉くが反動的であるというふうに星野君は考えて、又それを絶えず指摘しておつたというふうに私は思います。
#94
○委員外議員(星野芳樹君) 証人に伺いたいのですが、証人は岡元委員の起草した中間報告案、これを本会議で報告されることを至当と思われたかどうか。
#95
○委員外議員(北條秀一君) 岡元委員が作りました原案は五月の十五日に原案として提出されまして、委員会においてこれを審議することになりました。大体こうした報告書は文章を見て、そうして十分に納得行くまでこれを理解し、更に惡いところは訂正するという愼重な態度を取らなければならんのでありますが、遺憾ながらそれだけの暇がなくして、読んでそうして氣の付いたところを一々印を付けて、そうしてあとで自分の見解を述べるというような行き方を取つたのであります。さてその際にこれを吉村隊事件の報告書として出すことが適当であるかどうかということでありますが、五月の十五日の委員会におきましては、そういう氣の付いた点は直し、更に挿入すべきところを挿入しようということになつております。從つて次の機会の委員会におきまして、改めてプリントしたものを私は貰つたのでありますが、これを通読いたしまして、この報告書は私としては適切じやないというふうに考えました。從つてこの報告書を原案にして本会議に報告するかどうかという問題は、採決をいたしまして、多数決で理事会に任せよう、そうして理事会で更にこれを練つてやるということに決定したのでありまして、私としてはそれには反対をいたしました。
#96
○委員外議員(星野芳樹君) これは正式の委員会の発言じやないのですが、北條さんは、こんな報告書を出しちや同胞が帰れなくなるぞということを私に言われたことを記憶しておりますか、それが誤りでないかどうかということ。
 それから北條さんが、こういう重大な問題に対しては反対だというような、決を採つて済ますならばやさしいかも知れないけれども、重大な問題であるから全員の納得が行くようにやろうということをかねがね提議された。それにも拘わらず提案の審議において相当岡元氏が強硬に突張られた。例えば、考え、推定というようなことで二十分を頑張つたというような事実、これを私は指摘しましたから、北條さんは御記憶であると思うのですが、如何ですか。
#97
○委員外議員(北條秀一君) 今星野委員から言われたことは、大体その通りであります。ただ私はその報告書を出した場合に引揚が促進されないで、却つて引揚に支障を來たすということにつきましては、それまでに私は、殊に相手の抑留國人の神経というものが非常に太いということを私知つておりますので、こうした末梢的なというと語弊がありますかも知れませんが、この問題で引揚が促進したり、遅延したりするということに決定的な影響をするというふうなことは、私は考えていませんでした。併しこの報告書は各般の角度から考えまして、私としては納得行きませんし、そうして又特別委員会が出すには、言葉は当らんかも知れませんが、権威を疑われるという結果になると考えられたので、先程申上げました通りにこの案については反対したのであります。
#98
○松井道夫君 只今の星野議員の質問に対する御答弁のうちに、この報告書を出すと権威が疑われるとか、或いは納得が行かないとかという言葉があつたのでありますが、そういつたことのうちでこれはまあ沢山あるのでしようが、際だつたものを二三点御指摘願いたいと思います。
#99
○委員外委員(北條秀一君) 原文を持つておりますと特に申上げ得ると思うのでありますが、原文を持つておりませんので、殊に私は手を加えております原文を持つておればいいのですが、手を加えた原文を持つておりませんので申上げられませんが、総括的に言いまして、この報告書が可なり特殊な主観を以て書かれているというふうに私は考えております。尤も委員会の報告でありますので、殊に引揚に関する報告でありますから、言うまでもなく超党派的でなくなちやなりませんし、一切のイデオロギーを捨ててかからなければならんと考えます。從つてそういう点から言いまして、この報告書に私不満を唱えて、先程申しましたように反対をしたのであります。
#100
○委員外議員(星野芳樹君) この草葉隆圓氏からの懲罰動議には、私が悉くに非協力であつて審議を遅延せしめて、殊に婦人委員長だから非協力的だということを書いてありますが、私が事実を指摘した点では、いつの日でしたか、この原簿の四十七箇所をチエックしてそれを審議するというときに、二十何箇條だけ審議したときに、岡元委員は他の議員との感情的な問題から、これを放棄して席を立たれて、残つて私と北條委員と細川委員とその他の委員で審議を続けたことがあります。
 更にその結論の部分においては、北條案を基礎として起草された北條氏と細川氏を加えて審議するという決定になつたときは、もうこの際は岡元氏は他に何か放送かなんかあられて出席せず、私と北條氏と委員長で審議をして、これは非常に円滑に審議を進めたという事実を報告しましたが、これは私の記憶が誤つておりましようか。
#101
○委員外議員(北條秀一君) その通りであります。
#102
○松井道夫君 ちよつと確かめておきたいのですが、北條さんの思想傾向と星野さんの思想傾向とは、極く似通つたものなんですか、どうですか。
#103
○委員外議員(北條秀一君) 非常にむずかしい質問ですが、それは可なり違つておると思います。
#104
○委員外議員(星野芳樹君) ちよつとその点説明いたします。北條さんと私は思想的な点で非常に異なつたことがあり、随分激論したことがあります。例えば日の丸の國旗の問題などは全く対蹠的な立場に立つて討論いたしました。併し私は人間として常に民衆と共の暮すという点においては、私は非常に敬服しておるもので、北條君と思想的差といつたらば、他の議員たちと、私が指摘した人々と同じくらい違う点もあるかも知れません。併しそういう民衆と共に暮すという点では共通だと、こう思つております。
#105
○大山安君 ちよつと簡單なことですが、先きがた非民主主義的傾向と言われましたが、これは証人の氣持としては、勿論引揚関係の委員会でありますから、これは民族のつまり同胞愛ということについて、引揚問題についていま少し熱意を持つて呉れたらいいだろう、その熱意が、証人の氣持から言えば足りない、然らば非民主主義的であると、こういうように聽いていいですか。
#106
○委員外議員(北條秀一君) 大山委員の御質問でありますが、決してそういうふうな遍狹な考えは持つておりません。民主主義と引揚促進に関する熱意とがイコールだということはありません。民主主義は嚴とした民主主義であるし、引揚促進は、民主主義であろうと、或いは語弊があるかも知れませんが、他の主義であろうと、引揚促進とイデオロギーとは無関係でありますので、この点は十分御了解願いたいと思います。
#107
○大野幸一君 最後の問題になつた委員会にあなたが出席されていて、お帰りになるときに定足数を欠いて、あなたはこれでは定足数を欠くぞと言つて引揚げられたような事実はありますか。
#108
○委員外議員(北條秀一君) 常に定足数のことについては、殊に重要な問題につきましては、定足数がなければ委員会としては権威がないということを考えましたので、あの日も確かに定足数を欠くということを委員長に注意いたしました。段々と委員が少くなつて参りまして、從つてこれでは委員会としては成立しないということを申しました。けれども更に切実は問題に移りませんでしたので、從つて先ず私の良識の許す範囲内においていいだろうというふうに考えておりましたが、いつまでも切りがつきませんし、到底今晩重要部分に入れないというふうに考えましたので、私は委員会を出て家に帰ることにいたしました。そして私が帰るときにすでに委員会は数を欠いておつたことは事実であります。
#109
○松井道夫君 ちよつと速記を止めて下さい。
#110
○委員長(太田敏兄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#111
○委員長(太田敏兄君) 速記を始めて下さい。では本日はこれで散会いたしまして、明日午後一時から開きます。
   午後三時十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     太田 敏兄君
   理事
           荒井 八郎君
           松井 道夫君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
          池田七郎兵衞君
           大山  安君
  委員外議員
           星野 芳樹君
           岡元 義人君
           北條 秀一君
ソース: 国立国会図書館
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