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1967/06/06 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 地方行政委員会 第12号
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1967/06/06 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 地方行政委員会 第12号

#1
第055回国会 地方行政委員会 第12号
昭和四十二年六月六日(火曜日)
   午前十時四十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲原 善一君
    理 事
                林田悠紀夫君
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
                原田  立君
    委 員
                小柳 牧衞君
                高橋文五郎君
                津島 文治君
                中村喜四郎君
                林田 正治君
                鈴木  壽君
                松澤 兼人君
                市川 房枝君
   政府委員
       自治政務次官   伊東 隆治君
       自治省行政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○住民基本台帳法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○理事(林田悠紀夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 住民基本台帳法案を議題といたします。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○占部秀男君 あとで大臣が来てから総括的な問題について一、二お伺いをしたいと思うんですが、その前に、個別的な問題で二、三お伺いをしたいと思うんですが、それは、今度の法律案は基本台帳という形で、完全にでき上がれば、確かにこれは住民の利便にもなるという点については、われわれも発想の問題はこれを否定するものではないんですが、中身で問題のある点が相当あるんじゃないかと思うんです。
 そこで、まず三十六条でありますが、この三十六条には、「国の行政機関又は都道府県知事は、それぞれの所掌事務について必要があるときは、市町村長に対し、住民基本台帳に記録されている事項に関して資料の提供を求めることができる。」と、こういうふうになっておるんですが、これが資料の提供のために、これは簡単なものはとにかく、相当なものも将来は出てくるということになると、市町村としては、現在の執務体制の中で過重な負担がかかるようになる場合も出るんじゃないかと思うんですが、そういう点はどういうような見通しでこういう規定を設けられたか、それが一つと、それからもう一つは、提供させる場合の資料の質量に応じては、やはり経費もある程度国のほうで負担するようなことも考えてもらわないと、いまの市町村の財政と人員の中では、なかなか臨時を雇って大規模にやるということはできない、こういうような情勢もあると思うんですが、そういう点についてはどういうふうに考えておられるか、お伺いしたい。
#4
○政府委員(長野士郎君) 三十六条の「資料の提供」という場合でございますが、これは現在の住民登録法の場合と同じように、内容には、御指摘がございましたように特別な制限をいたしておりませんが、もちろんこの提供しますものは、基本台帳に登録されておる事項以外にはわたらないわけでございまして、結局その意味は、国や都道府県が別個に住民の関係の統計調査をするというようなことをいたしますと、かえって事務が煩瑣になりまして、また市町村に負担をかけるようなことにも相なるわけでございますので、そういう意味で、基本台帳に記録されております住民に関する記録をそのまま用いることによりまして、全体としての合理化を進めたいということが一つでございます。
 それからまた同時に、常住人口と申してはちょっと変でございますけれども、住民登録法の時代におきましても、住民登録法による人口というものを、いついつ現在の人口ということで常時把握ができるように、国としても、府県としても把握ができるようにいたしております。その便利さといいますか、能率のよさを「やはりここでも使いましたほうが、全体として効果があがるんじゃないだろうかということを考えております。しかし、御指摘のように、そのためにまた過重な負担がかかるということがあってはなりません。したがいまして、事務の性質とか、やり方によりましては、委託費、その他の措置をとりまして、御指摘のような負担にならないように、関係各省にはそういうことで連絡してまいりたいと思います。
#5
○占部秀男君 もう一つは、この資料の提供を求めるその場合の問題なんですけれども、もちろんこの法律案そのものが、住民の基本台帳でありますから、したがって、直接住民のいわば利益といいますか、利便を増進させる施策、そういうような場合にですね、利用するのが主だろうと思うのです、資料を求める場合が主であろうと思うのですが、何かこうやはり住民台帳というようにきちっとそろってしまうと、権力的な行政のために利用するというような場合は、やはりもう必要の最小限度にとどめるべきじゃないかと、もちろん権力行政の中には、これはもうやらなくちゃならぬという問題もありますから、これは幅は広いのですから、したがってぼくは一がいには言えないけれども、今度のこの基本台帳の法案を中、心に、これは結局、自衛隊や将来の何か軍関係の問題に組織的に利用されるのじゃないかと、こういうような心配も一般国民の中にはあるようにわれわれは聞いておりますので、少なくとも権力的な行政の場合には、これは必要最小限度にとどむべき方向をやはりとるべきじゃないかと、かように思うのですが、その点はいかがでございますか。
#6
○政府委員(長野士郎君) この住民台帳は、住民に関する正確な記録を整備をいたしまして、一つはそれによりまして、住民としての利便を得る、その利便の中には、届け出が便利になるということだけではございませんで、住民の権利の行使というものが確保されるという意味で、利便といいますか、非常に利益をはかるという点があるわけであります。
 それからもう一つは、行政をいたしますほうの側、立場から考えましても、行政をいたしますために、住民の実態把握というものができていない行政というものは、非常に不完全な非科学的なものにもなるわけでございますので、そういうことで、行政事務処理の基礎としての正確な住民把握ということもねらいとしていることは間違いのないことでございます。しかし、その中に、住民のいまの利益を増すような方向での行政ももちろんございますし、そういうものも多いわけでございますが、同時にまた、課税とか、その他いわば義務を課するというようなものについての、あるいは権力的なものになるかもしれませんが、まあ、あるわけでございます。しかし、これも、ある意味じゃ負担の公平とか、いろいろなことを考えますと、正確に把握したものによって実行することのほうが、むしろ全体としてはいいわけでございますから、そういうことにもなってまいるわけでございます。ただ、この法律の中では、御指摘がございましたが、たとえば国民健康保険とか国民年金とか、それは権利の行使という面につながっているわけでございます。まだほかにもなお考えていくべき、広げていくべきものは少なからずあると思っております。たとえば予防接種でございますとか、あるいは学齢簿でありますとか、いろいろなもので、広げていくべきものはたくさんあると思いますが、これらにつきましては、なお関係の各省と、今後ますますこれに結びつけていきまして、充実をさしていく方向でやってまいりたいと思います。
 それから、いわゆる御指摘もございましたが、自衛隊の適格者名簿とか、いろいろ議論がある。
 これはまあざっくばらんに申しまして、そういう名前をおつけになったこと自体にも問題があるわけでございまして、住民票そのものは、元来何人も閲覧ができるわけでございます。どういう機関が住民票を閲覧することも自由でございます。したがいまして、まあどういう編集のしかたも、これはほかのところでやることについて、住民票を整備しております側から注文をつけることはなかなかむずかしいのでございます。しかし、まあ住民台帳なり住民票というものの信頼と申しますか、そういうものが国民の中に定着することは必要でございますので、住民票のいわれのない目的に利用されるかのごときかっこうになることは、私どもも望んでおるわけではございません。したがいまして、その点につきましては、今後の運用上の問題といたしましても、十分注意してまいりたいと思います。
#7
○占部秀男君 いまの後段の点なんですが、確かにどんな機関が見てもへ個人が見ても、閲覧することはできるわけですが、その点はわれわれはもちろん否定しているわけではない。ただしかし、自衛隊なら自衛隊のような場合に、これは募集ですわね、募集、徴兵ではないわけですね。その場合に、何か募集、応募が少ないというようなことから、ある程度強制というか、押しつけるというか、そういうような方向に使っていきたいと、そのためには組織的に、これは見れば一ぺんでわかるのだから、これをもって、その中からチェックしてやっていこうと、こういうような、個々の閲覧の問題じゃなくて、組織的に何か権力的に押しつけるような方向にこれが乱用されていくということになると、かりに自衛隊の問題でも、徴兵でなく応募だという、応募ということの原則は、実質的にはそこなわれてくると、そこなわれてくるのは、この基本台帳がそのもとを応援しておると、こういうようなかっこうになると、住民基本台帳をつくったそもそもの目的から、だいぶ逸脱してくるというふうになるわけでありますから、そういう点についての取り扱いについては、ひとつ注意をして取り扱いをしてもらいたい。こういうふうに思うのですが、その点よろしゅうございますか。
#8
○政府委員(長野士郎君) 先ほど申し上げましたが、基本台帳は何人も自由に閲覧できるわけです。個人にいたしましても、それから関係の行政機関にいたしましても、理屈の筋から言いますと、利用方法につきまして、別段の異論を住民台帳の側から立てることは、なかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、たとえば極端なことを申しますと、百貨店のダイレクト・メールの台帳になりましたり、あるいはまた、何かそういう募集のためのいろいろな基礎の住所録になりましたり、そういうふうに使われますことも、まあそれがいかぬというわけにはいかないわけでございます。そういう意味で、御指摘のような、自衛隊の問題のようなものは、そのこと自体、そういう名簿をつくって行ないますこと自体が、いいか悪いかという問題ございまして、基本台帳制度自体と直接に、基本台帳の責任だというわけのものではないわけでございますが、私どもが心配いたしますのは、そういうことのために、住民基本台帳というものの性格が疑われるようになること、それは極力避けたい。むしろ本来の目的といたしておりますところの窓口事務の改善、住民の利便、行政事務の処理の基礎になるもの、こういうことが本来のたてまえでございます。そういう意味で言えば、そういういろんな行政の資料の一部として、自衛隊の関係の募集のためにこれが利用できる、これはできることは当然だと思います。そのためにのみあるというような形にならないように、これはぜひ運用してまいりたいものだというふうに考えております。
#9
○占部秀男君 次に、この基本台帳が、二年かかって全部整備されるのですね。整備されたとしても、それは形式は私は整っていくと思うのですが、基本台帳そのものの運営の面からいけば、むしろ住民が届け出をほんとうにこの法が示すようにやってくれるかどうか、また、その届け出の内容が正確であるかどうか、こういうところにこの基本台帳の私は生命が何かしっかり確立できるかどうかという、そのけじめがあると思うのです。
 そこで、この法律案では、四十四条でしたか、四十四条に「虚偽の届出をした者は、二千円以下の過料に処する。」と、それから、また、二項では、これはまた過料の分を五百円から四倍の、従来の、この前のあれから四倍の二千円にしておる。こういうふうにして、罰則の強化をはかっておるわけですが、これは罰則の強化がいい悪いという問題は、この程度の問題ですから、あまり私は論議したくはないと思うのですけれども、問題は、罰則よりも、この制度を利用することが住民にとっては利益であると、こういう点をもっと、内容を充実させることのほうが私は先じゃないかと、かように思うのです。つまり正確な届け出をするのだ。届け出をしたことによって住民の日常生活その他に利益があるのだ。このような問題といいますか、この事項の把握、そういうものを将来私はこの基本台帳の中で確立していくべきじゃないか。
 それじゃどういうことがあるかということを、まあ私、いま具体的には、すぐには申し上げませんが、そういうような展望をやはり持って、将来この基本台帳というものを改善していくべきじゃないかと考える。たとえば、いま配給の問題はたいして問題じゃないのですが、配給の問題が非常に問題になったときには、問題であったときには、必ずこの基本台帳の、やはり配給をもらうということから、台帳の問題に関連をしてきます。届け出内容の正確・こういったことも期せられると思うのですが、いまの事項以外にも、相当私は市町村の仕事の中で、そういうような対象になる仕事もあると思うのです。その点については、どういうふうにお考えになっておりますか、将来の改善の発展的な展望といいますか……。
#10
○政府委員(長野士郎君) 最初にお話しのございました罰則の関係でございますが、この罰則は、やはり正確性の最小限度の担保として、いろいろこの種のものにありますものとの均衡を考えまして、そうして規定をしておるわけでございますが、お話しのとおりこの罰則は、これ自体によりまして強制を進めるということのみを目的として考えておるわけではございません。むしろ利便を進めるということの裏づけになりますことが、勢い届け出の励行を促進すると、こういうことになってまいらなきゃいけないわけでございますが、この基本台帳法施行になりますと、現在住民登録法におきましても、住民登録法は、ただ住民の、住民に関する公証というものだけをたてまえにしておりましたけれども、やはり間接的には行政事務の処理の上で必要な場合の公の証明として相当用いられておったわけでございます。今度の基本台帳法につきましては、基本台帳それ自身に行政事務の処理というものを大きな目的にいたしまして、選挙人名簿でありますとか国民健康保険とか、国民年金につきましての結びつきをこれ自体行なっているわけでありますから、その意味でも正確性の担保という意味では、従来の住民登録法よりも格段に進んでいくものと思っております。同時にまた、それでありますから、各種の行政事務を処理するために必要な場合の諸証明の基礎になるということが、いよいよ軌道に乗って行なわれてくるものと思っております。
 それから市町村と府県、国、すべて住民基本台帳というものを中心にして、国民なり住民に関する行政の基礎にするということを考えてまいることに次第になってまいりますから、その意味でも、ちょうど国民が戸籍に対して持っております信頼感と同じようなものを植えつけていくようになれば、一番いいんじゃないかと考えております。
#11
○占部秀男君 次に、この基本台帳をつくるための市町村の費用の問題なんですけれども、まず法律案では、国が必要な措置を講じなければならないということが二条か何かにあって、私の聞くところでは、財政措置が補助金と交付税の中で行なわれるというふうに聞いているのですが、その内容は、今度の書きかえの分のみだというような話のようでございますけれども、一体、どのくらいな財政措置をするという気がまえでこの法案は出されておるわけでありますか。その内容をお聞きしたいのであります。
#12
○政府委員(長野士郎君) 基本台帳への移行につきましての財源措置でございますが、国の経費として、基本台帳への移行を促進いたしますためにまあ予定をいたしております額は、四十二年度、四十三年度におきまして、三億五千万円ばかりの国庫補助を予定いたしておりますが、実際に所要経費としていろいろ検討いたしますと、約十七億程度かかる。それでそのために、四十二年度におきましては、補助金を一億一千七百万円、交付税措置といたしまして四億六千四百万円、これは地方財政計画にも算入しておりまして、そういう財源措置で考えてまいりたいというふうにいたしております。
#13
○占部秀男君 いまの一億一千七百万円の補助金と交付税の四億六千四百万円ですか、これは四十二年度だけですね。四十二年度分ですね。
#14
○政府委員(長野士郎君) 四十二年度分でございます。
#15
○占部秀男君 そこで、十七億円かかるのですから、これはなるべく多いほうがいいわけですが、特にこの点について私は、将来的に心配をする問題は、移行についての帳簿の書きかえはある程度これで済んでいくのかもしれませんが、台帳制度を整備する場合に、私もこの方面の技術者でないですからあまりよく知らないのですが、区役所や市町村の職場を二、三たずねてみたところが、いろいろな方式があるわけで、やはり将来は書きかえだけでなくて、管理体制の整備ということが、相当市町村としては問題になってくるということを聞いておるのですね。
 管理体制ということはどういうことかというと、やはり台帳のつくり方によって、場所の問題あるいは人員の問題施設の問題、そういう問題が相当違ってくるということを私は聞いたのですが、今度の法律案のこの場合では移行だけで、その点についてはまだ自治省としてのあれは及ばないかもしれませんが、将来にはやはり完全な管理体制ということも考えて、その管理体制を完全にするためにはどういうふうな方向がいいか。そのためには、やはり国からもある程度補助を出して、こういうような問題についての確実なひとつ体制をつくり上げていこう、こういうことにならなくちゃならぬと思うのですが、そういう点はどういうようにお考えになっておるのですか。
#16
○政府委員(長野士郎君) お話しございましたが、現在考えております財源措置は、基本台帳に移行いたしますために必要な経費というものの算定を中心にいたしております。それで、それにしても十分でないというような御意見もあろうかと思いますが、ただ、住民基本台帳に移りますための、いわゆる個々の住民票の問題なんでございますが、住民票につきましては、現在の住民登録法施行時におけるいろいろな住民票がございます。あるいはまた、窓口事務の改善ということで、窓口事務の改善というものの努力をしております団体は、全体ではいろいろなやり方をしておりますが、七〇%をこえるくらい、いろいろと研究くふうをいたしておるわけでございます。そういうところで、ある程度いろいろなくふうのもとに、住民票なり個票なりというものの準備をしておるものも相当ございます。したがいまして、私どもとしては、そういうものがなるべくうまく使えるものは使っていきたい。それと、今度の選挙人名簿でありますとか、国保、年金等の関係のもので加えなければならないものは、それに別票でつけ加えられるような形のものも考えていきたい。こういうことで考えてきまして、それほど膨大な作業を伴わないで円滑に移行していくように考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
 お話がございましたのは、その後の組織なり人員なり、施設なりについて国としてどう考えるか。これを二年間のうちにやってまいりますときに、私どもが現在考えておりますことが、なお不十分な点があるかもしれません。そういうときにまた考えてみなければならないと思いますが、元来、住民台帳といいますものは、現在の選挙人名簿もそうでございますけれども、市町村の固有事務と申しますか、元来は固有事務だという考え方、その固有事務であるものについて、国がいろいろな法制を各行政ごとに立てまして、いろいろとむずかしい制約をつけまして、右に向け左に向けということを言っておりましたばかりに、自由にできない。そこに合理化ができない。それで住民基本台帳法として、あるいはそういう気がねをなるべく取っ払ってやろう、だれが考えても一番合理的だというところに落ちつけてみようということを目的にいたしておるわけでございます。したがいまして、現在のところまでは、今後の問題は、どういう事態が起こるかということは、なお推移を見なければならぬと思いますが、いままで考えておりますところでは、そういう意味での基本台帳の性質にかんがみまして、これは地方団体の自主的な発意によって、組織なり、いわゆる保管の形態なり、最も能率的で合理的なものを採用してもらいたいというように考えておりますが、その場合に国として、いわゆる補助金なり負担金という形で財政支出をしていくということを考えるよりは、その仕事の性質にかんがみまして、一般的な財源措置ということで考えていくべきではないか、こういうふうに思っております。
#17
○占部秀男君 それに関連をして、不交付団体の場合ですが、いまも四十二年度の国からの財政措置といいますか、それを局長から聞いたわけですが、交付税が出される場合に比べて、補助金が四分の一ですね、一億と四億。不交付団体の場合には、局長がいま言われたように、元来この事務は固有事務ですけれども、移行するということ自体は、これは今度の法律できめて、いわば一律に、一律という言い方はおかしいけれども、一律に移行をさせる。それだけ当該市町村あるいは区は、移行しなければ、この法律ができなければ必要のない金を出さなければならない、こういうことになっておるわけですね。そこでやはり固有事務ではあるけれども、こういうような場合には、私は交付税なりで見るんじゃなくて、移行の費用というものを全面的に見るのじゃないですから、十七億かりに要るということになれば、十七億見るというわけじゃないですから、したがって補助金で出すべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか、その点が一つ。
 もう一つは、不交付団体で金がある、金があるといっても、なかなかいまの情勢では相当苦しいのであって、不交付団体分にいつも結局は金がいかないんだ、こういうことは、どうもこういうような特殊な場合にはおかしいんじゃないかと思うので、そういう扱いについて今後改めるべきじゃないかと思うのですが、この二点いかがでございますか。
#18
○政府委員(長野士郎君) 確かに新しく制度を改良をいたしまして、統一的なものをつくるわけでございますから、実際に本来の仕事と申しましても、それを一定の時点で行なっていくということがあるのではないか。そのためには、そういう意味での強制と申しますか、金が要るから、国として考えるべきではないかというお話でございます。これにつきましては、そのようなお考えも確かにあるわけでございます。そういうことを含めまして、決して十分とは申しませんが、一応渡し切りの補助金というものを立てましたのも、実はそういう趣旨でございます。そういう意味で、不交付団体等の御苦労ということもありますので、こういう補助金も一応ととのえて用意をしておく必要があろう、こういうことを考えておるわけでございますが、しかし、不交付団体につきましても、財源計算上は不交付団体だから見てないということでなくして、財源計算上は見てあるといいますか、算入済みということにはなるわけでございますから、その点は交付団体、不交付団体を問わず、扱いはたてまえとしてはしておるということにならざるを得ないんじゃないかと思います。
 御指摘のありました中で、東京の特別区に関係のあるお話もあったんじゃないかと思いますが、この前選挙人名簿の改正の際にも同じような問題がございまして、結局都と特別区との間の都区調整交付金のようなものがございますが、そういうものの中で、要するに、都区調整交付金の中で、交付税の算定と同じように、あの場合にも永久選挙人名簿に関する調製費、その他算定をしてもらったわけでございます。今回の場合におきましても、同じようなことを考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#19
○占部秀男君 次に、今度の法律改正と同時に、地方税法の一部も改正されるわけであります。第八条その他の改正で、課税する場合には、道府県民税、市町村民税の納税義務者が、住民基本台帳に記録されている者に、ということになっておりまして、これははっきりしているわけですね。ところが、半面また、市町村では市町村民税を課する場合には、これによらないですることができるというような場合もこの中にはあるわけであって、その点がどうも私は釈然としないのでありますが、むしろ基本台帳なら基本台帳というものができたのですから、やはり地方税法第八条その他の改正を中心として、基本台帳にある者に市町村は課税をするのだ、こういう原則一本でいくべきではないか、なるべく反対のような形の、原則はそうであるものを、そうでなくてもいいのだというような、これはぼくの法律の読み方が違うのかもしれないが、というようなことは、これは法律をつくったそもそもの精神に逆行するような結果が出るのじゃないかと思いますが、その点はいか
がですか。
#20
○政府委員(長野士郎君) 税金の関係でございますが、住民基本台帳に記録されている者につきまして住民税を課することを原則とする。ただ、住民台帳に記録はされていないけれども、課税を決定いたしますときに住所を有しておったという者につきましては、記録されているとみなして市町村民税を課する、ここに一つ問題がある、もっと形式論に徹しろというお話でありますが、これは内部でも実はいろいろ議論したところなんです。両論ございまして、実際の扱いといたしましては、「記録されている者とみなして」、というのは、法律では書いてありますが、ここには税法でありますから、これ以上のことは書けないのですが、実はそのときに基本台帳に記録を登載すべきものでありまして、そうしてそこのところは合わしていくというふうに考えたいと思っているわけであります。ただし、それは基本台帳のほうの扱いになるわけであります。税法上はそのことは書けませんから、ただしその場合には、本人が他の市町村に載っているという場合もある、それは消していくということが必要になってまいります。そういう点が一つ。
 もう一つは、税法上の問題は、過去の、たとえば今年の一月一日にいたかいないかという問題を決定時に考えていくという場合があるわけです。そうしますと、過去にさかのぼって、現にそのときに記録していないという場合、また基本台帳に習熟する問題とか、いろいろ時期的なものも考え合わせまして、さしあたっては、こう考えざるを得ないのじゃないか。
 それから同時に、もう一つは、住民基本台帳に登録いたしますと、直ちに税金がかけられるということが、あまりはっきりするかっこうになるのもいかがかという多少の心配もございます。そういうことをあれこれ考え合わせまして、そこのところが扱いとして十分割り切っていないのじゃないかという御指摘は、確かにそのとおりでありますが、いろいろあれこれ実情を勘案をいたしまして、その市町村の住民台帳に記載されていない者、あるいはまた、いずれの市町村の住民台帳にも記載されていない者でありましても、現在あるいは過去の課税時の一定時点において住民であるということがはっきりいたします者については課税をする。しかし、そのときに、現在以降についてもなおその状態が続いております者につきましては、扱いとしては、必ず住民台帳に記載をして、そしてその形は、両方合わせるような運用は、これはぜひはかってまいりたい、こう考えております。
#21
○占部秀男君 そうすると具体的にいうと、その場合には、一月一日なら一月一日、そのときには某市にいて、それ以降に、今度は次の基本台帳の現在記載されておるところの市にいたと、そういうような場合に、一回だけ基本台帳なら基本台帳に記載されていたものとみなして、前のほうで課税しても、あとはずっと基本台帳に従って課税させるのだと、こういう思想ですか。つまり取り扱いの、移動の期間的な場合がありますからね。そういうときの便宜的な処置としてこれを扱うのであって、その移動期間後の――言い方がおかしいのだが、はっきりしたその当該市なら当該市の基本台帳に載った以降の問題については、あくまで基本台帳を中心にやるのだ、こういう考え方ですか。
#22
○政府委員(長野士郎君) 大体おっしゃるとおりだと思います。たとえばある甲という人間が三月に台帳に載った、あるいは二月でもけっこうでございますが、ところがその人間は一月からいたわけです。いたわけですが、一月からいたということを台帳にはかりに三月に載ったといたしますと、それは一月からいたということが確認されます限りは、一月から載っていたものとみなしまして、この者に当然に課税ができる、こう考えなければいかぬ、その課税の時点というものとの関連におきまして。それから三月以降は、これは当然載っておりますから、問題ございません。そうしますと、かりにその人につきまして、三月まではほかの市で載っていた場合、あるいはいずれの市町村でも載っていなかった場合、二通りあるわけでございます。いずれの市町村にも載ってない場合、これは問題ございませんが、ほかの市町村で載っております場合、この場合には、ほかの市町村との間の照合往復というものがどうしても必要なわけでございます。その処理をして、二重課税にならないようにしなくちゃなりません。そういう手続が要るわけでございますが、しかし本来載っておりましても、真実と違う状況にあったところには課税権がないということに考えていくべきものであろうというふうに考えられますので、そこのところの調整を、これはいろいろなケースが実はあるわけでございます。考えなければならぬと思いまして、これからなお検討するものも多いと思いますけれども、大体の趣旨はそういうことでございます。大体それで合わせていきたい、こういうことでございます。
#23
○占部秀男君 なるほど、局長のお話は前向きの話なんです。その点は私も了承するのですがね。たとえば、いずれの住民台帳にも載っていないなんていうものは、とんでもない話なんで、これはやはりそういう人があれば、みなして課税する場合もあり得ると思うのですが、ぼくは逆な場合で、ある市とある市で、A市とB市の場合に、A市のほうがどうも高いと、B市のほうが安いということから、B市の住民台帳に記録しておいて、実際はA市にいると、高いほうに実はいるのだけれどもという場合がかりにあったとしたら大問題だと思って質問したのですが、逆な場合を質問したわけなんですけれども、同じ住民税でも扱いで違いますわな。そういう場合を予想して言ったのですが、そういう場合はあまりありませんか。
#24
○政府委員(長野士郎君) 住民税につきましては、お話しのように高いところ安いところございます。最近は税法の改正によりまして、だんだんと平準化されてまいっておりますが、なおそういうことがございます。そうして、御指摘のようなことは、現在住民登録法なり何なりやっておりますが、現在それがありまして、現在でもなおその住所の認定というものが、いずれの住民であるかという争いがなおときどき起こるわけでございます。そこの関係は、いまお話しがありましたように、高いところにおりますけれども、低いところに住民登録をしておくというようなことが起こるじゃないかという問題でございます。しかし、これはそういう点もございますので、選挙人名簿、その他いろいろの行政事務の処理と一体として考えまして、あらゆる住民に関する行政を行なっております機関が、実態把握につとめるということによりまして、真実に近い市町村への帰属というものをはっきりさせる。今回はそういう問題もございますので、この法律の三十三条で「関係市町村長の意見が異なる場合の措置」というもので住所の認定について意見がととのわないときにはこうするということをこしらえておりますが、これはいま御指摘の税法上の、課税上の関係からの問題も、この条文によって統一的に整理をしていこう、こういうことを考えておるわけでございます。その混乱を最小限に防ぎたい、こう思っておるわけでございます。
#25
○占部秀男君 それから、最後に希望なんですけれども、これは、この法律によって施行される問題点については、主務大臣、都道府県知事が結局は助言、勧告をするようになっているわけですね。この助言、勧告が、前回のときには何か解釈が、解釈がというか、自治省の行政指導が曲げられたという、言い方はおかしいのですが、解釈違いから、だいぶ混乱を起こしたような場合があったということを私は聞いているのですが、もし、そういうことは、今度の場合ないと思うのですけれども、知事が市長村長に助言、勧告をするような場合には、ひとつ自治省の意向を誤りないように徹底さしていただきたいと思うのです。それは希望ですから、答弁は必要ございませんが、その点だけひとつお願いして質問を打ち切りたいと思います。
#26
○鈴木壽君 関連して一つ。いまの占部さんのお尋ねの中の税のことですが、ちょっと一、二関連としてお聞きしておきたいと思いますが、「台帳に記録されていない個人が」云々ということで、そういう者も台帳に記録されている者とみなして税を課するということですね。これはまあしかし、普通はちょっと、もし住所を変えたような場合のそういう手続、届け出、こういうものが適正に行なわれておればあり得ないことなんですね、どこにもないというやつは。理屈というか、可能性の上からは多少考えられるにしても、実際問題としてはないでしょうから。したがって、台帳をつくる場合も、住所をきめた日をやっぱりそこへ載せておかなければいけませんし、それから届け出の場合でも、かりに転入してきた場合、二週間以内に届け出をする。そうすると、そのときはやっぱり転入をした年月日が届け出られなければならない。届け出の日でなくて、何月何日に来たんだと、こういうことが届け出られなければならぬことになっていますから、普通の場合では、どこにもついてないでそこにおったというようなことは、まず考えられないと思うのです。かりに、さっき局長が例として述べられました、二月なりあるいは三月なりにそういうことをやった、しかし一月一日にはおったんだというようなことも、期間がちょっとずれていますから変なことになるわけですけれども、そういうことはちょっと、二週間以内に届け出なければなりませんからないはずなんですが、ただ故意に――故意にと言ったらいいか、多少あるいは手続を怠ったといいますか、そういうことのために、はっきり一月一日というようなことをきめる何もないというようなことが出てくると思いますね。ですから、そういうことのためにいまの税法の規定を置いたんだというふうに見るしかないんじゃないかと思うのですが、どうなんですか。やっぱりしょっちゅうこういうことがあり得ることだとしての規定なんですかね。
#27
○政府委員(長野士郎君) お話しのとおり、私どももこういう事態がしょっちゅうあるというふうには考えておりません。考えておりませんが、何さま基本台帳主義に徹底をいたしまして課税するということにつきましては、まだこの制度をこれから実施するという前でございます。また、いままで住民税の課税の基礎になる台帳を、こういうふうに住民登録の台帳とか、住民基本台帳のほうに結びつけるということは、とてもいままでの税務当局では踏み切れなかったわけでございまして、やはり一つの課税台帳を別につくるという長い一つの伝統と申しますか、因習と申しますか、そういうものもあるわけでございます。そういうような人たちの、と言いますといけませんが、考え方の一つの基礎になりますものは、やはり実質課税といいますか、台帳に載っていなくても課税すべきものは課税すべきじゃないか、あくまで捕捉して課税すべきものなんだという一つの主張が相当根強いわけでございます。また同時に、過去にさかのぼって住所認定ということが必要な場合があるわけでございます。そういう理論上の根拠があるということになりますと、それらを、全くのレアケースだとは考えますが、そういう意味で救済する。救済するということにして、この基本台帳と結びつけるということをはかっていくことが適当ではないかということで、こういう規定を置いたわけでございます。そうして書き方も、変でございますが、これは税法の中でございますので、「記録されている者とみなして、」としか書け
ないのでございまして、私たちは、この手続が行なわれますときには、本法、この法律によりますところの十四条でございますか、「住民基本台帳の正確な記録を確保するための措置」というのがございますが、実際はこれによりまして、住民基本台帳に正確に記録をしてしまうということとあわせてものを考えるということにしなければならぬと思っておりまして、そういう意味で、これはまあ最初にすべて基本台帳に結びつけるということを、いままでやったことのないことでございますのと、まあ理論上そういう場合があり得るということの主張の根拠も多少はあるわけでございますのでしょう。両方あわせまして、こういう法制で一応スタートするのもやむを得ないのじゃないかというふうに考えたわけでございます。もう全く御指摘のとおり、ほとんど考える余地のないレアケースだということでいいと思います。
#28
○鈴木壽君 これは突然降ってわいたようにどこそこの市町村に住みつくんだということも、これはあり得ないことですから、普通考える場合に。ですから前におったところで、かりにAからBというところに移る場合には、Aにおいて転出の届けをするようになっていますわね。それからBのほうへ来たら転入の届け出をする。ですから、故意に転入、転出の届け出を怠ったりなんか、あるいはまた故意にしなかったというような場合に、ちょっといまのような問題が出てくるかとも思うんですね。しかしそれにしても、かりに一月一日の居住云々ということが、税のいわゆる課税事務なんか、住民税の場合はずっとこれはおそいんですから、いま言ったように故意にわからなくしておくような場合だったらともかく、あんまりこういうことは問題にならないだろうと思うんですがね。しかし、いま言ったように故意の場合もあるでしょうから、そういうものも的確に把握し、税を課税するんだというたてまえからすれば、こういう規定もどこかなければいけないような気もするんだけれども、まあお互い税の問題なり、あるいはこういう登録の問題、これは御本人のやっぱり何といいますかね、そういうものをまっすぐに受け入れて、それを信頼してやっていくというのが、これはたてまえじゃなきゃいけないと思うんですからね。何かこういう規定を新たにつくってやるというのは、これは変なような感じがするのですがね。それはあれですよ、私の感想ですから。中には、特別の場合に、いま言ったように故意というようなこともこれは出てくることかもしれませんからね。ちょっとひっかかるところがありますわね。まあよろしゅうございます、関連ですから。
#29
○理事(林田悠紀夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
  〔理事林田悠紀夫君退席、委員長着席〕
#30
○委員長(仲原善一君) 速記をつけて。
#31
○原田立君 局長にお伺いするんですけれども、いまの占部委員の質問で、大事な要点は尽くされていると思いますが、現在すでに各市町村で非常に精度の高いものがっくられているわけですよね。これを今回特にこの法律でもってまたやろうという意図ですね、どういうところにおありなんですか。
#32
○政府委員(長野士郎君) さきに補足説明をいたします際にも、少し申し上げておきましたが、この住民基本台帳法、いわゆる窓口事務の合理化、市町村のほうからいえばそういうことになると思うのですが、この声が起こりましたのは、三十七、八年ごろから次第に自治体、特に市町村を中心にいたしまして、事務の機械化というか、合理化といいますか、そういうことが非常に研究されまして進められたわけでございます。ところが、どうしてもそういうことになりますと、機械化し、カード化して処理していくということになります場合に、非常に隘路になりますことは、関係法令による制約でございまして、そのために非常にむだな手数のかかる様式、その他いろいろ制約があるわけです。現在市町村におきましては、それもその難儀を承知で大いに努力いたしておりますが、最近はだいぶ改善されましたけれども、極端な場合には、これはどこともちょっと申し上げかねますが、たとえば縦書きにいたしたとします。縦書きにいたしたというのは、絶対に縦書きにしなければいけないので、横書きにならないのです。そうなりますと、そもそも組み合わせができないというようなことが実は起こるわけでございます。そういうことは次第に改善はされておりますが、そういう意味で、そういうことから窓口事務の改善、合理化をはかりますためにも、どうしても統一的に合理化をはかっていかなければいけない。国のいろいろな各省が、自分の行政だけの立場から、ほとんど同じようなものを、多少の様式が違い、多少の配列の順序が違い、多少の、何と申しますか、注文が多かったり少なかったりして、全部別個のものとして考える。それを統一するために合理化審議会が設けられまして、そうして関係の機関が集まっていろいろ審議をしていただいた。その過程におきまして、相当各省の考え方も改まってまいりました。したがいまして、そういう意味で、市町村の窓口事務の改善というものは、各省の理解とともに軌道に乗りやすくなったことは確かでございます。でございますが、やはりいままでのそういう関係のものをそのままにしておきますだけでは十分でございませんし、そういう意味で、各種の行政の基礎になるような、そもそも統一的な住民基本台帳というものがありさえすれば、あらゆる行政にそれが使えるという、最も基本的なものだけをつくっておくほうが、むしろ合理的ではないか、そういうことになってきたわけでございまして、御指摘のように、相当な市町村でいろいろと窓口事務の改善を行なっております。ただし、それでも、たとえばある仕事は、ある届け出の事務は支所や出張所でもできる。しかし、ある種の保険関係の事務は絶対に市役所までこなければ届け出を受け付けられない。こういうものが現在なおかっ残っておるわけであります。そういうものはどうしても一つにならない、ならないというのは変でありますが、やっぱりならないのでございまして、そういうものもなおございますので、やはり関係法令を整理をいたしまして、住民の利便と届け出事務等の統一ということを考え、そもそもそういう各種の行政事務に使えますような基本台帳をつくっていくことによって、現在及び将来の問題の解決に資したい、こういうことでございます。
#33
○原田立君 妥当な例ではないかと思いますけれども、さきの地方公務員災害補償法等にしても、地方の固有事務というものを何となく中央で統制するというような、そういう傾向が最近あるのではないか。今回もこの住民台帳制度の問題についても、何か中央で締めつけるというのですか、局長の答弁では、合理化してよくするんだということだけれども、何か中央で、何でもかんでもきめていっちゃうという、そんな方向のように思えるのです。そういうのは、やはり地方自治というたてまえからいって、確かに少しはしてやらなければいけない問題はあるだろうけれども、何か地方自治を侵害しているのではないか、そんなふうな気がするのですが、これは基本問題なんですけれども、これはどうでしょう。
#34
○政府委員(長野士郎君) この住民基本台帳につきまして、統一をはかる意味から、それが地方自治あるいは地方公共団体の自主性をそこなうというおそれはないかというお話でございます。先ほどから申し上げておりますように、この住民基本台帳をつくりますことは、現在国が実は各種の行政につきまして、住民に届け出義務を課し、市町村にその受け付ける義務を課し、そしてそれぞれの行政につきまして、市町村に台帳を整備することを義務として義務づけておるわけでございます。そのことが、非常に特定の行政について、実は市町村の事務処理を、極端にいいますと、はしの上げおろしまで拘束をしておりまして、そしてそれがそれぞれの行政ごとに行なわれておりますから、届け出がばらばらであり、台帳をつくることがばらばらでございますので、かえってそれが地方団体の自主的な事務処理の改善とか、合理化をはばんでおるという結果を来たしておるわけでございます。
 そこで、この基本台帳は、形としては、統一的なものをつくるという意味で、統一するというところが確かにございますが、内容を見ていただきましてもわかりますように、住民票の記載事項を、およそ行政を行ないますために、一号から八号までのことは、どうしても必要な共通事項だけでございます。それから九号以下は、これは各種の台帳なり届け出の中で著しいものをそこに加えまして、合理化をはかろうということです。各種の行政についての注文が法律その他できまっておりますので、これは法律をもって行ないませんというと、それぞれの届け出や、台帳に関するかきねを取り払ってやることができないわけでございます。
 この基本台帳におきまするところの、たとえば住民票の記載事項は、こういうふうに法律に書いておりますが、住民票の様式等につきましては、画一的な規格をつくろうというつもりはございません。むしろそれは地方団体が住民票をつくります場合には、これ以外の仕事についての資料をとってもいいわけです。それと合わせてやってくれていいわけでございまして、したがって、それは地方団体の自由に様式もきめ、この記載事項にさらにつけ加えまして、いろんなものを、行政事務の便利のために整理した、統一的な台帳として用いてくれてもかまわないわけです。そういうことでございますので、確かに形からいたしますと、住民基本台帳になってしまうということになりますが、現住すでに住民登録法があり、国民健康保険法があり国民年金法があり、いろいろあるわけです。数からいっても、台帳化するものは四つも五つもあるわけでございますが、それを一応住民基本台帳という一つにするわけでございますから、形としては統一されます。数の上からいいましても、それだけむしろ地方団体にとっては、矛盾を取り払う作用もあると、私どもはこのように考えております。その意味で、地方自治の趣旨に反するというよりは、住民の利便と、地方団体の行政事務の促進ということに役立つのじゃないか、まあこのように考えております。
#35
○原田立君 順序があちこちになって申しわけありませんが、第三十五条に、「秘密を守る義務」、「住民基本台帳に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」と、こういう事項があるのですけれども、これは具体的にいって、どういうふうな事項に当たるのですか。
#36
○政府委員(長野士郎君) 基本台帳の住民票の記載事項、このことは、たてまえとしまして秘密とは考えておりません。これはもう現在も住民登録法やその他の法律におきましても、閲覧をいたしましたり、写しを交付したりすることができるわけでございますから、このことはもう秘密ではないと。また、一号から大体七号あたりまでのことは、戸籍法でもみな戸籍の写しとか抄本をとれますから、これは秘密じゃないということでございますが、ただ、このことの調査等をいたす際に、このことを確かめるに関連をいたしまして、個人の秘密に属する、たとえば家庭内のいろいろな問題を担当の者が知るというようなことが起こるわけでございます。そういうことにつきましては、個人の秘密を保護いたしますために、そういうことがかりに知り得たといたしましても、これを漏らすことを厳重に禁止をしたい、このように考えております。
#37
○原田立君 そうですが。調査の段階で個人の秘密事項を知り得た場合と、こういうことに限るわけですね。「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金」というふうに罰則のほうで出ていますが、まあ一年以下の懲役というのは、ちょっと重きに失するような感じがするし、三万円というのは少し軽過ぎるんじゃないかと、こんなふうに思うのですが、どうですか。
#38
○政府委員(長野士郎君) この罰則のつけ方になりますと、これは各種の関係の法令における罰則の程度等と関連をいたしまして、これはまあ法務省なんかの、法務省刑事局の見解を中心にいたしまして行なうわけでございまして、たとえば地方公務員法におきましても秘密を守る義務というのがあるのでございますが、地方公務員法の第六十条というところにやはり、「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金」、こういうことになっておりまして、大体この辺をはずを合わせまして、罰則の規定を整備をしたことになっております。
#39
○原田立君 じゃ、それはその辺として、常時住民を把握することが、他の仕事のプラスになるという、こういうふうにさきに説明がありましたけれども、その具体的な方法としては、第三条に「正確な記録が行なわれるように努めなければならない。」、それから第五条には、「住民基本台帳を備え、」「第七条に規定する事項を記録する」と、こういう抽象的な題目しか掲げられていないわけですね。具体的な方法というものがこの法案ではできていない。この前のお話ですと、二年間余裕があるから、その二年間でゆっくりとというのですか、慎重にというのですか、つくるということですが、これはもはやこういう法案をつくる段階においては、そういうこともあわせ提案するのがぼくは妥当ではないか。最初にぽこっと項目だけあげておいて、あと具体的なものはあと回しというようなやり方は、これではいけないのじゃないか、こんなふうに思うのです。それで具体的な方法論、これはどういうふうになさるのか、その点をお伺いしたい。
#40
○政府委員(長野士郎君) 住民票の整備という点につきましては、結局本人または本人にかわって世帯主が届け出をいたします。その届け出をいたしましたものを、そのまま受理するということでございますけれども、その受理するにあたりましては、やはり一応疑問のことがございますれば、担当の者が質問をいたしましたり、あるいは住民となったことを証するに足る資料等の提示を求めたりするような場合もあるわけでございまして、そういうやり方で受理をする場合、それから三十四条にございますように、定期に調査をする、こういうこともやることにいたしておりますが、これは結局調査員による調査をするわけで、調査員の調査といいますのは、あらかじめ調査票というのが要るわけでございますから、調査票をつくりまして、それをあらかじめ送っておきまして、調査員が訪問したときに、記入してありますものについてそれを集めてくると、こういうやり方もございましょうし、調査員が各家庭を、世帯を訪問いたしましたときに、その話を聞いて、記入をして確認を求めるというやり方もあると思います。いろいろな方法が実はあるわけでございます。
 そこで、そういった方法については、いろいろ場合によってやり方もございます。また同時に、住民台帳それ自体の調査としてやります場合と、たとえば、ほかの行政の調査とかね合わせまして調査をするということをやる場合もあろうかと思います。で、そういうことで、いろいろ調査のしかた、記録のしかた、整理のしかたというものは出てくるわけでございますが、そういうものにつきましては、実はこうしろ、ああしろということまで言うか言わないかという問題がございまして、私どもも、いろいろな市町村の現在までにやっております最も望ましいやり方というものにつきましては、そういうものを、資料を集めておりますので、そういうものを参考までに市町村に連絡いたしましたり、資料の提供という形でやるようなことは、これからやりまして、お互いのむだを省くことはいいと思いますが、これもただ、そのところどころの条件や事情もいろいろございますので、そういうことで、実態に合うような形で目的が達せられるようにいたしてまいりたい。この方法だけしかないということにも、事柄の性質上なかなかなりにくいわけでございます。また同時に、そうすることが、かえって自治権の侵害といいますか、一種の拘束ということになってもいけません。そういうことをいろいろあわせ考えますと、これからいろいろな市町村で模範にするに足るような、能率的で合理的な処理のしかたをしておりますものを、これも幾つかの型が出てくると思いますが、そういうものを情報として各市町村に提供するようなことで、だんだんと合理化を進めていければいいのじゃないだろうか、このように考えておるわけでございます。
#41
○原田立君 その三十四条には、市町村長は、「定期に」という場合と、「必要があると認めるとき」と、これを二つのことがまず時期的に取り上げられて、そしてその次には、「いつでも」、常時ですね、調査することができると、こういうふうになっているんですが、いつでも調査できるというのと、必要があると認めるときというのと、定期というのとは、おのずと性質は全然違うんじゃないかと思うんですね。だから前段において、定期とか必要があるときとか認めて、法令でいっておりながら、最後には年がら年じゅういつでもできるんだと、こういうのは、ちょと明らかに表現のしかたがおかしいんじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょう。
#42
○政府委員(長野士郎君) 確かに三十四条の一項、二項の書き方については、二項がある以上は一項は要らぬじゃないかというような御意見もあるかと思いますが、一応こういうものにつきましては、いわゆる定期調査と随時調査というような考え方で、随時調査がどうしても必要だということが考えられます。ある地域的に考えられましたり、行政の必要から考えられましたりする場合もあるわけでございますから、定期調査を待たずに、臨時に一斉に調査する必要が出てまいりましたり、あるいはまた、地域的にある特定のところについて新しく団地ができたとか、いろんなことになってまいりますと、そこを調査するというようなことが必要になるわけでございますから、そこで定期調査と臨時調査というような意味で、随時調査といいますか、定時調査と臨時調査という意味で一項、二項を書き分けておるわけでございます。
 それから三項以下四項でございますが、これは今度は調査をするしかた、しかたの一つを示しておるといいますか、調査のしかたでございまして、調査にあたっては、その担当の者について質問させたり、資料の提示を求めたりすることができるんだと、こういうことを、調査のしかたとしては、当然にできるというわけにもまいりませんので、規定をいたし、そうしてあわせて四項では、その場合には、そういう意味で、法律に認められた調査を行使する正当な資格のある者であるということが明らかになるようにいつでもしておくようにということを規定をしておるのでございます。したがって、三項、四項が調査の態様といいますか、方法といいますか、一項、二項は、定期調査と随時調査という調査時の問題を書いてあると、こういうことでございます。
#43
○原田立君 これやっぱり調査の内容というのは、第七条の内容を調査する、それだけですね、第一号から十一号まで。
#44
○政府委員(長野士郎君) そのとおりでございます。
#45
○原田立君 そうすると、二項のほうの「必要があると認めるとき」、すなわち随時調査というのは、先ほどお話にあった、新たに団地ができたと、町の新しい構成等が、特に著しい住民の移動等ができたと、こういう場合に限るわけですね。
#46
○政府委員(長野士郎君) お話しのように必要があるという場合でございまして、必要がある場合というのは、必ず著しい変化があって、いまの住民台帳の記録のままではどうも少し心もとないという事態が起きたような場合でございますから、私がその一つの例として先ほど申し上げたのでございますけれども、たとえば新しく団地ができたとか、新しく工場が進出してきたとか、新しく駅が開設せられたり、いろいろなことをしたという、非常に地域的に変化があれば、これは必ずその場合は随時調査をすべきものであろうと思います。それからまた、行政上の必要によりまして、たとえば流行病が非常にはやった――流行病と申しますか、伝染病が非常にはやった、予防接種をするというようなことで、ある一定の地域をもう一ぺん精密に調査をしておきたいというような場合も、これは時期的、場所的にもあり得るであろうと思います。そういうふうに必要があるというのは、現在の住民基本台帳あるいは住民票を使って行政を行なうだけでは十分でないかもしれないという、住民の中における変動があった場合に、まあ随時調査をして、正確性を確保する、こういうことでございます。
#47
○原田立君 それでは第八条の問題ですけれども、第八条には、住民票の記載と削除と修正は、政令で定めるところにより、届け出または職権で行なうと、こうありますけれども、「政令で定めるところ」というのは、もうすでに御研究なさっておられるのですか。
#48
○政府委員(長野士郎君) この「住民票の記載」とか「削除」とか「記載の修正」というようなことは、いまの記載事項の変化によって行なわれるわけでございますが、そういうやり方につきまして、たとえば「記載」は、転入等の事由によりまして、たとえば新しく住民票をつくるという場合でございます。あるいはまた「削除」ということは、たとえば転出等の事由によって、特定の個人の住民票を除くというような場合でございます。
「記載の修正」といいますのは、転居――転居と申しますのは、一つの市町村の区域内で住所を動かすような場合、あるいは世帯の変更の事由によりまして、そういうような事由等によりまして、特定の個人の住民票に記載されているものに変更を生ずる、あるいは住民票の記載に誤記がありましたり記載漏れがありましたりした場合に、記載を変えるというような場合でございます。
 そこで、政令で定めますのは、届け出に基づいて住民票の記載を行な、うたとえば手続、届け出によってそういう記載を行ないますような手続でありまして、職権によりましてそういうものを発見しましたときに記載等を変えますような、行ないますような手続、たとえば戸籍による届け出を受理をいたしまして、そうして当然に記載事項の変わるというようなことがわかる場合でありまして、そういうような場合、あるいは他の市町村長からの通知によりまして、住民票の削除とか、そういうことが行なわれるような場合、あるいはまた、行政区画の変更等によりまして行なわれる場合、あるいは選挙人名簿の登録による通知の関係、配給による関係、あるいは異議の申し立てとか決定によって結果が異なります場合のやり方、まあ、分ければいろいろございますが、そういうものの基本的な手続を、政令のほうで、非常に多少技術的なことにもなりますので、規定をさしていただきたい、こういう趣旨であります。
#49
○原田立君 先ほど局長の答弁の中に、自衛隊の適格者名簿等をつくるとか、あるいはデパートのダイレクト・メールに使われるとか、そういうことは一向差しつかえないのだと、どうしようもないのだというようなお話だったのですが、使い方によっては、たいへん行き過ぎなことが将来起きはしないだろうか、そんなふうに思うのですが、そこら辺のところは、どういう御研究をなさっておられるのですか。一切がっさい何でもかんでもオール開放で、何をやってもかまわないのだ、こういうお考えなのか、いかがでしょうか。
#50
○政府委員(長野士郎君) 先ほどの占部先生の御質問でお答え申し上げましたが、住民票に記載されておりますことは、これは秘密とい、うふうには考えていないわけでございまして、そこで、これについてだれでも写しもとれますし、閲覧もできますし、利用ができるようにしておるわけでございます。また、国とか府県も、行政上の必要からの資料の提供という意味で、市町村から資料の提供として求めることができるようにしてあるわけであります。
 と申しますのは、この住民票の効果と申しますか、住民票は、一番正確な住民に関する記録としての地位が与えられるものと考えておりますので、それをせっかくそういう正確なものがありますれば、各種の行政の基礎にそれを使ってもらうことのほうが、この住民基本台帳をつくります目的でもございますから、その意味で、各種の行政のためにまた別に住民の調査をするというようなことは避けたいわけでございます。避けるためには、やはりこれを利用するというかっこうでものを考えなければいけない。また同時に、個人なり民間なり、いろいろなところで、住民の記録を知りたいという場合にも、これを利用するということによって、また住民票の正確さというものも保証できるわけでもございます。いろいろな意味で正確さを保証すると同時に、利用の率も高めたいし、またそれが制度本来の目的でもあり、そうすることがまた住民の利便にもなるわけであります。
 そういうことでございますけれども、そこで、そういうたてまえをとっておりますから、どういう利用のしかたをするかということについての制限を設けるということは、むしろ法の趣旨ではないわけでございます。法の趣旨としては、何人でも利用できるものは利用してよろしいという、ある程度開放的な考え方をとっていくことにいたしませんと、それで使えぬのなら別のものをつくると、こういうことになってまいりますので、そういうことのたてまえをとらざるを得ないわけでございます。しかし、これを今後やっていきますうちに、非常にそれによって住民台帳なり住民票について、何と申しますか、運営を非常にそこなうような、好ましくないような影響を与えるような利用のしかたが、非常に多く行なわれるというようなことになるといたしますと、それは、それをどういうふうに調節をしていくかということを考えなければならないことになろうかと思いますけれども、現在のたてまえからいたしますと、むしろ、あらゆる機関が、民間あるいは行政機関を含めまして、十分にこれが活用し得る、利用し得るということにしておきますことのほうが、住民の利便でもあるし、また、そうしませんと、別に調査をして、別個の台帳をつくっていくということになってまいりますので、そのことが必要ではないかというたてまえで出発をすべきだ、こう考えておるわけでございます。
 ただ、自衛隊の適格者名簿のようなものをどうするか、あれでもいいのかというお話でございますが、これは、住民基本台帳の側からとやかく申すことではないのじゃないだろうか。そういう利用のしかたというものについての、これはいろいろ御議論、御批判はあってよかろうかと思いますが、そういうことがあまり重なりまして、住民基本台帳の運用自体に響くようなことになりますと、これは基本台帳としても考えざるを得ないと思いますけれども、現在のところ、基本台帳のたてまえは、そういうあらゆる人、あらゆる機関に利用される、絶対――絶対と申しちゃ語弊がございますが、最も信頼の高い住民記録という役目を果たしたいと、こういうことで考えておるわけであります。
#51
○委員長(仲原善一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#52
○委員長(仲原善一君) 速記を始めて。
 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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