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1967/06/08 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 地方行政委員会 第13号
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1967/06/08 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 地方行政委員会 第13号

#1
第055回国会 地方行政委員会 第13号
昭和四十二年六月八日(木曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     野々山一三君     加瀬  完君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲原 善一君
    理 事
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
                原田  立君
    委 員
                岸田 幸雄君
                小柳 牧衞君
                沢田 一精君
                高橋文五郎君
                津島 文治君
                中村喜四郎君
                林田 正治君
                鈴木  壽君
                林  虎雄君
                松澤 兼人君
                松本 賢一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       自 治 大 臣  藤枝 泉介君
   政府委員
       自治政務次官   伊東 隆治君
       自治省行政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○住民基本台帳法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 住民基本台帳法案を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○市川房枝君 簡単にちょっと伺いたいのですが、この住民基本台帳と選挙人名簿との関係がどうなるのか、そのことを伺いたいのです。
#4
○政府委員(長野士郎君) この基本台帳法の第十五条におきまして「選挙人名簿の登録は、住民基本台帳に記録されている者で選挙権を有するものについて行なう」という内容のことを掲げておるわけでございますが、それを掲げました意味は、選挙人名簿と住民基本台帳の制度とを結びつけるという目的でございます。現在の選挙人名簿につきましては、御存じのように、住所を移転いたしましたり、あるいは選挙権を有する年齢に達しました場合に、選挙人のほうから届け出があるというのをたてまえにいたしておりますが、その届け出というものを実質上はこの住民台帳の届け出と結びつけてしまう、そういうことで、住民台帳の届け出と一つにいたしますれば、この台帳に載せておりますものを、続いて選挙人名簿をつくっていく、こういうことにつながるわけでございます。
 ただ、そこで、この台帳法の附則におきまして、お手元に差し上げました法案のつづりの二八ページでございますが、「公職選挙法の一部を次のように改正する。」と、公職選挙法の改正規定がこの中に入っております。と申しますのは、この選挙人名簿に結びつけますためには、これは選挙人名簿は統一的に実施をしていくことが必要でございますので――申し落としましたが、この法案の二三ページの附則の第一条というところがございます。附則の第一条におきまして、この法律の施行の日を書いておるわけでございますが、一般的には「公布の日から起算して六月をこえない範囲内」で施行する。ただその下にただし書きを書いておりまして、「第十五条の規定はこの法律の公布の日から起算して二年をこえない範囲内において政令で定める日から、」施行する。十五条の規定と申しますのが、先ほど申し上げました選挙人名簿の登録は、住民台帳に記載された者について行なうという規定でございます。したがいまして、その意味は、基本台帳法は一般的に六カ月以内に実施をいたしますが、選挙人名簿につきましては二年以内で政令で定める一定の日から結びつけをやる、こういうことを書いておるわけでございます。
 その意味は、選挙人名簿は、国会議員の選挙、地方団体の選挙、それぞれの選挙権行使の基礎になるものでございますので、あるところでは住民台帳に基づいてつくる、あるところではそういうことでないようなことになるというようなことになっては、いささか不都合であろうと思います。と申しますのは、この住民台帳のほうは、これに切りかえるのは、地方団体の準備ができたところがら切りかえていく、こういうことを考えておりますので、住民台帳のほうの実施のほうは、地方団体ごとにやや時期が異なるわけでございます。したがって、異なったときから逐次選挙人名簿と結びつくということにいたしますと、名簿のつくり方において統一がとれないという不都合を生ずることになるわけでございますので、そういう意味で、一定の日に選挙人名簿との結びつきは実施したい。ただ、それを行ないます前提といたしまして、そういう準備もあるわけでございますので、そこで今度は公職選挙法の改正を、先ほど申し上げました二八ページのところで、公職選挙法の一部改正というのをやっております。
 それはどういう意味かと申しますと、そこで個々の市町村におきましては、住民基本台帳に載ってしまうという手続ができていくわけでございます。そこで実施をいたしますためには、住民のほうからいいますと、いわゆる転入届けというのをするわけでございます。そこでその転入届けというものをした場合には、その届けとあわせて選挙人名簿に申し出というものをすることができるのだというつなぎを暫定的に入れておきたいというのが、この二八ページの公職選挙法二十一条の改正部分でございます。そういたしておきませんと、その間といたしましても、別々に届け出をするというのはいかにも不都合、不便であろうというので、ここに書いておりますように、この二十一条の改正といたしまして「登録の申出をしようとする者は、」と申しておりますのは、選挙人名簿への登録の申し出のことでございます。者は、住民基本台帳の届け出とあわせてその申し出をすることができる、こういうふうにいたしまして、つなぎをいたしまして、そうしてその場合には、選挙人名簿のほうは本人の申し出が原則でございます。そこでそれをあわせますために、その後段におきまして、「この場合において、その者の属する世帯の世帯主は、その者に代わって、当該申出をすることができる。」、こういうふうにつなぎまして、その間も届け出が重複しないようにしよう、こういうことを考えておるわけでございます。
 それから、附則の二十項と申しますのは、現在選挙法の附則の二十項におきまして、住民登録法にのっとって申し出をするようにという規定がございます。これを今度住民台帳法に直しますものでございますから、改めまして、住民基本台帳の記録に基づいて行なう制度を、この台帳法の公布の日から起算して二年以内に実施しなければならない、こういう規定を公職選挙法の附則の中に入れまして、平仄を合わせている。もう現在すでに改正法として、公職選挙法全部、住民台帳法の十五条にのっとって改正することができるわけでございますけれども、そういたしますとある一定時点というもの、二年以内に考えるということにいたしますと、その間は、わが国の法律の改正の形式からいたしますと、現行法がすっかり変わった形になってしまうわけであります。これはまた、非常にかえって取り扱い上混乱を起こしてもいけないということで、さしあたっては、住民基本台帳、公職選挙法の選挙人名簿との関係を、いま申し上げたような、十五条で一般原則を書き、附則の第一条で、この一般原則の実施日についてのある特別規定を置き、それから附則の十条で公職選挙法改正をいたしまして、とりあえず届け出、両方の登録の申し出と届け出とはあわせて同時に行なえるということまでにいたしまして、つながりをつける、こういうことにいたしておりますが、二年以内には完全に結びつけをすることを考えておる、こういうことを予定をいたして、そのことを法律であわせて規定をした、こういうことにいたしたわけであります。
#5
○市川房枝君 そうしますと、住民基本台帳が実施されれば、あとはもう選挙管理委員会への届け出はもう必要ない。住民基本台帳への届け出をすれば、自然に選挙人名簿のほうも訂正されるということになるのだ。しかし、それが実施されるまでは両方へ届け出、片方でもいいけれども、両方やってもよろしい、こういうように了解していいのですか。
#6
○政府委員(長野士郎君) 大体先生のおっしゃるようなことで、要するに、いま申し上げました十五条の規定が完全に働き出しますと、選挙人名簿に対する登録の申し出という制度はなくなるわけであります。したがって、住民台帳への届け出さえしておけば、選挙人名簿のほうは、それに基づいて訂正をしていく、こういうことになってしまうわけでございます。そこへ移行しますまでの間は、先ほど申し上げましたように、先生御指摘のように、両方結びつけまして、その登録の申し出と届け出をあわせて行なえる、こういうことにいたしておきたいと思うのでございます。
#7
○市川房枝君 あわせて行なってもいいのですか、片方だけでもいいのですか。
#8
○政府委員(長野士郎君) 別々に行なってもよろしい、こういうことであります。
#9
○市川房枝君 そうしますと、住民基本台帳が実施されるようになると、選挙人名簿というものは、もっぱら住民基本台帳によるわけですね。もし住民基本台帳のほうが間違っていたら、こういうこと言うのもなんですが、選挙人名簿のほうも間違っていくわけですね。
#10
○政府委員(長野士郎君) お説のとおりでありまして、選挙人名簿は住民基本台帳に基づいてつくるわけでございますから、住民基本台帳の記載が間違っておりますと、選挙人名簿も間違う、こういうことが起こってまいります。ただし、選挙人名簿につきましては、まあ言ってみれば、新しく記載をしましたこれは、今後技術的な検討をいたしますが、選挙人名簿自体の縦覧なり異議申し立ての制度というものは残しておきたいと思っております。したがって、そうしておけば、脱漏しておる、間違っておる、それは住民台帳が間違ったり、住民台帳に記載漏れがあった結果間違っておるものもございます。そういう場合に、そこで異議の申し立てをいたしまして直す、直した場合には台帳のほうも直す、こういうふうにいたしたいと思っております。
#11
○市川房枝君 住民台帳というものは、重要といいますか、それぞれいろいろな届け出をするわけですけれども、考え方によると、私は選挙権というものは基本的人権に関するものなんで、非常にこれは重大である。この方面で間違いといいますか、脱漏があってはならないのであって、そのためには、できるだけの手を尽くすということが必要ではないか。それには、住民基本台帳によるだけでなく、いまお話しのように縦覧をさせて、そして申し出をさせるとかいうような方法をとるとおっしゃったのですが、それは受身の態度ですね。もし申し出をしなければ、やはり間違って脱漏していく、こういうことになりますね。
#12
○政府委員(長野士郎君) 異議の申し立てその他が出てきませんと、間違ったものが間違ったままになるというおそれはございます。ただ、申し上げましたように、私どもも、この住民基本台帳と選挙人名簿を結びつける、住民基本台帳と国民年金あるいは国民健康保険というのを結びつける、こういうようなことにいたしまして、いろんな行政をつかさどるところが、住民の実態把握というものを、いろいろの行政の官庁から実態把握ができまして、基本台帳というものの不備が是正されていくという機会を多くつくる、そのことは、住民の実態把握がますます正確になり、そのなりました結果は、常に選挙人名簿のほうに影響してまいりまして、選挙人名簿自体の正確性を保持するのに役立つ、こういうことにもなるかと思うわけでございまして、現在のように、ただ選挙管理委員会だけが選挙人名簿をつくっていくということよりは、同じ住民把握を、いろんな行政を担当しておりますものが、一つの住民台帳というものに結びつけておりますがゆえに、実態把握につとめた結果が住民台帳のほうに反映をいたします。その反映された結果というものは、選挙人名簿のほうにまた反映していく、こういうことでございますので、従来よりむしろ選挙人名簿についても確実性を担保することになるだろう、こういうふうに考えております。
#13
○市川房枝君 この間の衆議院の選挙のときに問題になりましたね。これは選挙人名簿の問題なんですけれども、九月一日と三月一日ですか、で登録して、そして補充人名簿というものを認めない。したがって、新たにその間に成年に達した人たち、約七十万人が投票ができなかったという事態があり、問題になったわけなんですが、その問題はどうなんですか。
#14
○政府委員(長野士郎君) 選挙人名簿のいまの御指摘の問題は、たしか今度の公職選挙法の改正におきましては、いままでの年に二回のものを年四回に、さしあたって登録時を二回だけ回数をふやしたい、こういう案を提案するように聞いておりますが、この住民基本台帳と選挙人名簿がぴったり結びつく時点以降におきましては、いわば永久選挙人名簿がありまして、それから随時、住民台帳のほうに新しく載っていったり、落ちたりするものもございますが、そういうものが次に永久選挙人名簿のほうに載っていったり、落ちていったりするわけでございまして、それを整理してまいりますので、むしろ言ってみれば、従来ありました補充名簿に近い随時、選挙時の前には名簿が整備されていく、こういう態勢になれるだろうと思っております。その点につきましては、いままだこの法案の中で、それがすべて用意してあるわけではございません。これは、先ほど申し上げました、公布の日から二年以内をこえない範囲で政令で定める日までの間に公職選挙法との間のつながり、特に公職選挙法の中の問題をそういうふうに改めてまいりたい、こう考えております。
#15
○市川房枝君 いまの局長のお話しの、住民基本台帳から、選挙人名簿に写すという場合、それは始終写せるわけですが、そういう期限を、一年に二回とか四回に選挙人名簿では切るわけですが、切る必要がない、常時できるようにするわけですね。そうすれば、いわゆる補充人名簿みたいな形式で全部拾えるのではないかということを考えるんですが、これは選挙人名簿のほうの問題かもしれませんけれども、今後の大事な問題として伺っておきたい。
#16
○政府委員(長野士郎君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、今後基本台帳と結びつけてしまいますと、従来ありました補充人名簿と同じように随時訂正できる。ただし、選挙人名簿のほうは、先ほど申し上げました、一定の時点でいわゆる異議の申し出とか縦覧、これだけはしなければなりませんから、永久名簿に新しく加える部分ですね、こういうものを含めた名簿全体になるか知れませんが、それを選挙時の前の一定時点には縦覧に供しまして、そうして確定という行為をしていく、選挙人名簿自体としてはしていくということは必要になってまいると思います。しかし、それを含めまして、おっしゃいますように、従来の補充名簿と大体似た形となりまして、選挙時の最も近い直近の時点において選挙権の資格のある人が名簿に載る、こういうことになると思います。
#17
○市川房枝君 そうすれば四回とか何とか言わないで、月くらいの区別で、毎月といいますかくらいで、選挙人名簿というものを確定すれば、落ちる方が非常に少なくなりますね。全然落ちないということもできないかもしれませんけれども、どうですか。
#18
○政府委員(長野士郎君) そのとおりだと思います。
#19
○市川房枝君 ありがとうございました。
#20
○松本賢一君 いま答弁聞いておって、途中から入ってきたせいかもしれませんが、ちょっとふに落ちないんですが、いまの市川先生のおっしゃる、一カ月に一ぺんとか何カ月に一ぺんとかいうふうなやり方をなさるのですか。それとも、ほんとうにもう随時結びつきができた後においては、毎日のように選挙人名簿との関係を調整をしていかれるわけですか。どういうことになるのですか、常識的に説明してください、すみませんが。
#21
○政府委員(長野士郎君) これは技術的な問題がございます。と申しますのは、選挙人名簿には、選挙人名簿自体の縦覧とか、要するに選挙人名簿に、住民基本台帳から選挙権を有する者だけ抜き取りまして写しをつくるわけでありますから、写しをつくったそれによって選挙を行なうわけでありますから、それに載っていないものは投票させない、こういうことに相なりますので、これの写しではありますけれども、これ自身についての確定行為というのが、従来あります選挙人名簿の確定行為というものはどうしても必要だと思います。そういたしますと、これがやはり異議の申し立ては大体二週間、縦覧に供しましてから二週間の異議の申し立て期間を認めるわけでありますし、それから審査に大体二週間ぐらいはどうしてもかかる、こういうことになりますと、随時と申しましても、確定をいたしますまでの間に大体一カ月ぐらいの時間が実はかかるわけでございますので、先生のおっしゃいますように、名簿に住民台帳に載ったものを毎日写し込んでくればいいじゃないか、これは可能ではございますが、そうすると、写したもの自体について縦覧、異議の申し立て期間というものを毎日やっていかなければならない、これもいささか事務的には煩瑣だと思います。そこで両方の要求を達する形でするといたしますと、実質上は期限を切るとか、何とかというわけではございませんが、大体一ヵ月に一度整理するぐらいの間隔になるのじゃないだろうか、これは。ですから、たてまえは、そうするとか、そうはしないとかいうのじゃなくて、大体そういう技術的な処理になるのじゃないだろうかということを、おぼろげに感じましたものでございますから、ちょっとそういう申し上げようをしたわけでございますが、たてまえとしましては、基本台帳に載りましたものを直ちに名簿に持ってくることができるわけでございますから、そういうものがある程度集まりましたら、あるときに、それを異議の申し立てとか、縦覧に供しまして、確定したものは永久選挙人名簿の中に加えてしまう、こういうことになるわけでありますが、その処理に必要な時間的な時間というものを考えますと、幾ら詰めましても、大体一カ月に一ぺんくらいじゃないだろうかという気がいたしたわけでございます。
#22
○原田立君 この前に引き続いてお伺いしたいと思うのですが、今度の住民基本台帳ができ上がった場合に、従来各内部においてつくられておった国保の台帳であるとか、国民年金の台帳とか、そういうようなことは廃棄なさるのですか、それとも存続なさるのですか。
#23
○政府委員(長野士郎君) この住民票によりまして、国保の被保険者の資格とか、国民年金の資格というものは相当はっきり出てくるわけでございますので、資格につきましてはこれで済んでしまう。済んでしまうといいますか、別に台帳をつくる必要はない、これ自身が台帳になる、こう考えていいのだと思います。
 ただ事務処理上、一つの台帳を実際事務のためにあっち引っぱり、こっち引っぱりということになっては、原本が損傷したり、いろいろしますから、それの実際はコピーをもちまして、そしてそれによって認定をいたしましたり、給付をいたしましたり、いろいろなセクションがありますが、そういうところが、事務の補助の便宜のためにそういうコピーを使うということは起こるだろうと思います。
#24
○原田立君 そうすると、いまの局長のお話ですと、写しをとって、その写しのもとに各行政の仕事が行なわれるということでございますね。そうなると、過去十年くらい前から、そういうようなことは実はすでに各市町村でほとんど、ほとんどといってはどうかと思いますが、現にやっているのではないでしょうか、内部連結というものは。今回特に新しくやる理由は一体どこにあるのかというような、実は疑問点が起きてくるわけですけれども、すでに高度なやり方をしているのは、全国二千四百幾らの市町村の中で、現在どのくらいやっておられるのか、掌握なさっておられるだろうと思うのですが、お教え願いたいと思います。
#25
○政府委員(長野士郎君) 現在市町村で窓口事務の統合といいますか、改善ということで、何らかの形でそういうことを行なっておりますところは、昭和四十一年三月三十一日現在の調査によりますと、市におきまして四百七十六市、町村におきまして二千四十でございます。市のうちで八五%、町村のうちで七二・五%、全体で二千五百十六でございますから、市町村で七四・五%、こういうことになっておりますが、この中で、統合のしかたの問題でございますけれども、ただ並べて、形だけ、受け付け窓口は一つだけれども、全部仕事の系列は別々にしたという、こういうやり方をしておりますものが三八・五%、それから国保なり年金なりの受け付けをして届け出をするものも、いまの住民登録の受け付けをするところへ多少無理して持っていったと、こういうことをやって、ある意味の実質的な窓口改善につとめております市町村が三三・四%ございます。さらに、そのために組織まで統合をしたと、いま、さっき申しました二番目の持っていったというのは、組織まで統合したのではございませんが、権限の一部をそちらに渡した、それから組織まで統合してやったというのが二七・四%、こういうようなことになっておるようでございます。
 そして、戸籍、住民登録、国保、年金を一つの課で、少なくともいろいろやり方があると思いますが、別の面から見まして、一つの課で処理しております団体というのは七%ございます。これらの仕事のうちで、少なくとも二種類以上のものを一つの課で処理するようにしておる団体が六一%ございます。そういう面から見ますと、一つの課で、何らかの意味で窓口事務を統合したという見方から見た場合には、調査の対象にしました――いま申し上げましたのは、五百五十九都市のうちの三百四十二都市について調査をしたものの資料について申し上げたのでございますが、そういう調査対象になった市のうちの六八%が、何らかの形でそういう一つの課なり二つ以上の課なりにまとめてやろうとする努力をしておると、こういうことがあらわれておるわけでございます。それから、先ほど申し上げましたような組織だけでなくて、いろんな意味で窓口を何とかしてやろうというので努力しておりますものを全部ひっくるめて申しますと、七四・五%ぐらいの市町村が努力をしておると、こういうことでございます。
#26
○原田立君 いまの局長のお答では、六八%内外のところがすでに、法律ではばらばらであるけれども、内部連結等をやっておるというようなふうに理解するわけですけれども、そうしますと、今回の法改正の目的が、あとの三二%のやってないところ、そういうふうな住民の便宜をはかって窓口で合理化していないところ、それを対象のように思えるんです。要は、なぜこんなことを言うかというと、さきの委員会でも、今回のこの住民基本台帳をつくるにあたって、十七億とか二十億とかのたいへんな巨額なお金がかかるというようなお話もありまして、要するにむだなやり方をするんじゃないかというふうな感じが強いんですけれども、どうでしょう。
#27
○政府委員(長野士郎君) これはこの前の委員会でも申し上げたわけでございますが、確かにそうやって、いま申し上げましたように、市町村ではすでにいろいろと窓口事務の改善を、これは一面は住民の便利にもなることでございますし、一面はまた、市町村のほうの事務処理の合理化に資することでございますので、いろいろ改善くふうをいたしております。で、その改善くふうの過程におきまして、現在のように各種の法律によって届け出が強制され、別々に行政目的ごとに台帳をつくれということになっておりますと、統合改善に限度があるわけであります。そこで、どうしてもその壁が破れない。したがって、いま申し上げておりますように、どうしても組織の問題とか権限の問題で、すっきりと落ちついた形にはなかなかなりにくいのでございます。中途はんぱでございます。そこで、そういう各行政目的に従って法律が届け出を命じ、法律が台帳の整備を命じ、そしてその間に重複が非常にあり、そしてそれぞれの担当者によってそれが別別に行なわれておると、こういうことを改善をいたしたいということの努力はありますが、そこで、やはりいろんな壁があるので、それをひとつ統一的にそのかきねを払う。現在ある制度が法律のもとでございますから、そのかきねを払うにも、やはり法律を必要とするわけでございます。
 そこで、この法律によって、最も基本的に必要な共通事項だけを書き上げまして、そして今度は、住民基本台帳というものさえあれば、そういうものについて全部結びつきができる、こういうことに直していくことのほうが合理化を進める上にも役立ちますし、また住民の便利にも非常に役立つ。そしてまた、副次的には、一つの台帳に各行政事務の処理の基礎になるところの住民の記録というものがつながっておりますために、住民記録そのものが非常に正確性を担保されることにもなる、こういうことでございます。現に途中なかであろうが何であろうが、やっておるんだからそのままやらしておけばいいじゃないかという御意見でございますが、やはり究極的には、いまのようなばらばらの制度でやっておるというのは、どうしてもふっきれないところがございまして、各制度間の矛盾というものも出てくるわけでございます。その点をやはり是正をしたい。この直せという話は、実はそういう意味で、地方団体の側から要望として出てまいったわけでございまして、その間の消息から考えましても、その必要が認められるというふうに思っております。
 それから、そういうことをやるから非常に多額なお金を必要とするではないかということでございますが、いろいろと申し上げるようで恐縮でございますけれども、たとえば、現在住民登録法を実施いたしますためにも――現在まで実施中でございますが、そのためにも、実は地方財政計画の中におきましては九十七億ぐらいの経費を見込んでおるわけでございまして、その上に実はさらに各種の台帳の行政費というものが必要になっておるわけでございます。制度があります限り、そういう立て方をしておるわけでございます。その点も基本台帳ということにいたしまして、合理化をはかるということが――まあ一時的にはまた新しいものに切りかえるから、非常にお金がかかるじゃないかという御意見もございますが、この切りかえに際しましては、この前にも申し上げましたように、なるべくいま使っておりますところの住民票というものを使える限り使っていくということで、ただ、いまの住民票には、選挙人名簿との結びつきでありますとか、国保、年金あるいは食糧の配給の関係の結びつきができておりませんから、そういうものをもう一つ別票さえつけ加えれば、この住民票も同じように使えるようなこともいいじゃないかというようなことで、なるべく経費のかからない形で、そういう意味で、従来の住民票が世帯単位にできておりますものは世帯単位でもいい、個人単位でもいいというようなことで、実質上の効果を考えまして、そうして経費のかかるということは極力避けるような形での合理化を進めることにいたしたいと思っておるわけでございます。そういうことでいきますと、短期的にも長期的にも、それほど迷惑をかけないで移行ができるのではないだろうかというふうに考えておりますが、確かに制度改正いたしますから、改正に伴う経費が一つも要らぬなんということを申しておるわけじゃございません。これは確かに必要でございます。しかし、その点は、長い目で見れば、行政の合理化にも役立ち、経費の節約にもつながるものだというふうに考えておるのでございます。
#28
○原田立君 要するに、現段階において、法律では確かに局長の言われるようにばらばらであるかもしれません。だけれども、現実には各市町村においては内部連結を十分やっておる。やっておるのが、先ほどのお話しのように六八%だと、こういうようなお話でした。だから、結局今回のは、法律上合わせただけだというようなふうに思えるのがまず一点なんです。それと、いまのお話ですと、各行政機関の各種台帳は、使える限りのものは使っていくというようなことなんですけれども、そうすると、今回のこの住民基本台帳の法案というものの性格が、何だか非常にぼけてくるような感じがするんです。そうしてその費用等は、お聞きすれば十七億とか二十億とか、多額の金であります。だから、結局は、今回のは法律上、いままでやみでやってきたのを公式にやらせるようにするんだというふうに、じゃ解釈してよろしいわけですね。
#29
○政府委員(長野士郎君) まあやみでやってたのを表向きにさせるのかというようなお話でございますが、それだけではございませんで、やはりたてまえとして、住民基本台帳というのは一つになってしまうということが一番大きな特色でございます。それから、各種の台帳の中で使えるものは使うんだというふうにお受け取りになっているようですが、私が申し上げましたのは、その中で、いまの住民登録法によってできておりますところの住民票、これが一番問題なわけでございますから、住民票と大体似たもので、住民票では加えていないものを基礎に使うということで、今度の新しい住民票に切りかえるということのために、いまの住民票との間の調節をできるだけ弾力的なかっこうで考えていきたい。ただし、従来からの国保や年金のいろいろな台帳、こういうものは全部その意味では必要がなくなるわけでございます。と申しますのは、この住民台帳が整備されていきますと、住民台帳に基づいて、住民台帳そのものによって処理をしていくということになるわけでございますから、おっしゃいました内部連絡とか何とかいうことより、さらに一歩進みまして、台帳に基づいて事務をする、こういうことにしていくわけでございます。名実ともに届け出、あるいは台帳というものがその関係では一つになる。こういうことは、法律改正を待たなければ、現状においては改善を加えることはできない、こういうことになるわけでございます。
 いずれも地方団体で苦心をしておりますのは、事実上一つの台帳に近いものにいたしまして、それを縦から見た場合には、これを国保の台帳であるといい、横から見れば国民年金の台帳であるといい、というような、ある程度法律上の認められていない規制をしなければならない。その意味で、おっしゃいましたように、やみと言えばやみということになるかもしれませんが、そういうことでございますので、いずれもいろいろな意味の事務処理上の制約が出てまいります。それを一つに統一的なものにいたしまして、そして合理化をしていくということの効果は、これはやみのものを放任するというような意味以上に、住民が利便を受ける、市町村の行政の合理化に資する、そして住民の実態把握というものを正確にしていくという、むしろ積極的な意味を持つものというふうに考えておるわけでございます。
#30
○原田立君 私もこの住民基本台帳はあったほうがいいというような気がするのですけれども、どうも話の過程でよく納得がいかないのでお聞きしているのですが、いまの局長のお話の中ですと、住民基本台帳ができると、国民健保の台帳とか国民年金の台帳とか、そういうものは要らないんだというようなことをいまちらっとお話があったのですけれども、それはそうじゃなくて、住民基本台帳のほうには、この人の資格があるとかないとかいうことだけが記載されるのであって、各行政、各課における台帳は現存するんじゃないでしょうか。現存するとなると今回の法改正は、どうも納得がいかないというような気がするのですが、各行政機関の既存の台帳は残しておくのですね。
#31
○政府委員(長野士郎君) この国保とか年金の被保険者の資格については、この住民基本台帳だけで事足りるわけでございますから、その関係で、何と申しますか、国保、年金の基本的な被保険者の台帳というものは要らなくなる。要らなくなるといいますのは、この台帳そのものがそれになってしまう、こういう意味で申し上げたわけでございます。しかし事務処理をいたしますために、先ほども申し上げましたが、一つの台帳をお互いに引っぱり合うわけにまいりませんので、実際問題としてはそれのコピーによって仕事をするということは、これは避けられないと思います。それからもう一つは、特定の人間、たとえばAという被保険者がおりまして、Aという被保険者には何回分の給付をしたというような控えみたいなものがある。これはまた別のことでございますから、この控えを整理しておくというようなこと、それを一種の台帳といえば台帳といえるかもしれませんけれども、それはまた別のことでございますので、これは事務処理上は要ることは当然でございますけれども、そういうことはどうしても出てまいりますが、この被保険者の資格に関する一のとしては、この住民基本台帳がそのまま、その事務処理の基礎になるわけでありますので、従来持っておりました台帳というものは、まあ要らぬということに――要らぬと申しますか、法律上からいえば、それが被保険者の台帳だ、住民基本台帳が被保険者の台帳だというふうに言ってもいいと思います。要するに別のものは要らない、一つになるから要らぬというように言っていいのじゃないかと思います。
#32
○原田立君 住民基本台帳で基本のものができて、それ一冊のものだけでは事務処理ができないからコピーを取る。そうして今度は給付したとかなんとかいうものは、それはまた別な台帳ともいうべき性質のようなものがある。こうなると、いままではコピーなんか取らなくてやっていたのだと思います、内部直結で。そうすると、今回の法律改正によって、コピー取るだけよけいな仕事が一つできたということになりはしませんか。
#33
○政府委員(長野士郎君) いままでやっておりますものも、これは当然コピーを取っていると思いますから、その点ではそれが、仕事が一つふえたということになるとは思っておりません。ただ町村とかそういうところで、非常に規模の小さい団体でありますと、従来も基本台帳一冊で足りたでありましょうし、今後もそういう台帳一冊で足りるということになるだけだと思います。
 それから、何のだれべえという者に給付をした控えをつくる、これは別のことでもございますので、そういうものが必要な場合には、これは必要だということになるわけでございます。いままでの場合でございますと、それぞれの台帳ごとに届け出を命じ、台帳ごとに調査し、台帳ごとに届け出事項を点検するということになっておりました。かりにコピーを取るにしても、コピーを取るときに一生懸命に点検したり調査するのじゃなくて、住民に届け出を命ずるのじゃなくて、その点は質的に、一つの台帳に基づいて処理ができるというので、質的に合理化され、能率化されていくということも明らかだと思うのでありまして、かれこれ考えますと、やはりこういう台帳の統一化をはかりまして、そうして住民把握の正確性というものを元来確保すべきものでございますが、それが一つの台帳に結びついておりますがために、それぞれの行政を担当する者がそれぞれに台帳を持ち、それぞれの目で、住民に届け出を命じて台帳を整備するということよりも、一そう総合的な点検ができ、総合的な確認ができるということになるわけでございますから、その点では、従来とも窓口事務の統合という気持ちは、いま申し上げましたように相当多くの市町村で努力しておりますが、その努力にさらに拍車をかけて、合理化を徹底していくということになるわけだと思っております。
#34
○原田立君 拍車をかけるのに十七億や二十億もかかるのじゃ、たいへん金がかかり過ぎると思います。
 それで、もう少し端的に、ごく簡単に聞きたいのですが、従来ものすごく高いお金をかけてつくってきたところの現在までの台帳、これはもう使える限りのものは使っていくということでありますから、廃棄するのじゃなくて、従来のものを継続するというように考えていいのじゃないかと思うのですが、また前回は、様式を定めないと、縦なら縦、横なら横どちらでもかまわないんだと、そういうふうな御説明でありましたから、現在のを、今回の、住民基本台帳法案ができても、現在までのものを使ってよいのかどうかですね。それとも、むしろまた新しいのをつくり変えるのかどうか、その点はどうですか。
 それと、先ほど国保や国民年金のことばかり言いましたけれども、たとえば配給台帳とか課税台帳、くみ取り台帳、学齢簿なんといういろんな各種台帳があるわけですね。それなんかは存続をなさるんだろうと思いますが、ただ住民基本台帳のコピーをとって、それを持っていってやるというんではなしに、お使いになるんではないかと思うんですが、どうですか。
#35
○政府委員(長野士郎君) 資格に関するものは、この住民基本台帳に統合されてまいりますので、それはそれとして考えていただけばいいわけでございますが、ただ、まあいまお話しの用紙がたくさんあるじゃないかと、それを全部廃棄してしまうのかというようなことでございますが、私どもとしては、先ほど来申し上げましたように、使えるものはみな使っていく。あまりそういうことで、これは少しおかしいとか、おかしくないとかいう議論はまあするつもりはございません。使えるものは全部使っていく。そして、その中から次第に合理化していくことになれば一番いいんだと、それからまた、学齢簿とか課税台帳のお話がございました。まあ学齢簿というのは、就学児童の年齢に達しております者を拾い上げる作業でございますから、これはいままでは教育委員会なら教育委員会が各個にやっておったようなかっこうもあるだろうと思いますが、これをこれからは住民基本台帳に載っておりますところのいわゆる学齢児童を抽出をいたしまして、世帯主と学齢児童を抽出して学齢簿をつくると、まあこういうことになるわけでございますから、従来の学齢簿を正確に住民基本台帳によって点検をいたしました結果、誤りがあれば訂正をしていく、まあこういうことになるにすぎないんだろうかと思います。しかしその基礎は、住民基本台帳に結びつけて実質の運用がはかられていくと、まあこういうことになれば、それでもって目的を達するのではないかと思っております。
 それから、課税台帳につきましては、この前申し上げましたが、今度地方税法の改正を一部しておりまして、そして住民税の課税の基礎になる住民の把握というものは、住民基本台帳を原則とするということにしておりますので、それにつきましても、従来ありますところの課税台帳、お話しのように課税台帳あると思いますが、それを今度は住民基本台帳によってつくり直すというか、合っているものまで消してしまうという必要はございませんでしょうが、そういう修正なり追加なり、消除なりというものが行なわれていくと、こういうことになるだろうと思います。
 まあカードで大体整理をすることが多いと思いますので、まあいろんなやり方がございましょうが、一定の項目をひっかけてカードの抽出をやりますというと、すぐに該当するようなものだけ引き出せるようなシステムも、相当最近は進歩しておるようでございますから、そういうことになりますと、全く新しい台帳なり名簿なりというものもつくろうと思えばすぐできる。これも地方団体の規模によりまして、一々点検していくことがそれほど苦労でもない、手数でもないというところでは、むしろそうやって点検をしていけばいいと思いますし、それから、相当大きな規模で、台帳の整理と一緒に全部それに合わしてシステムをつくっていこうというようなところでは、従来のものがどれだけうまく利用できるかということをくふうしながら刷新をしていく。まあこういうことになるだろうと思います。
#36
○原田立君 それではどうもあまりよく納得いかないんですけれども、まあ納得することにして、それで今回の住民基本台帳をつくって、まあ現に内部連結をやっておるのは六八%からあると局長のお話ですから、あと三二%のものが対象というようなことになるだろうと思うのですが、今回の住民基本台帳をつくって、市町村の事務合理化というんですか、そういう面での簡素化は、はたしてどのくらいできるものなのか、どうも私は、現在すでにやっているんだから、法改正だけのものでいいんじゃないかと実は思っているんです。まあそれを提案があった当局のほうとして、どのくらい合理化、簡素化ができると判断なさっておられますか。
#37
○政府委員(長野士郎君) 住民に関する各種の台帳が統合されることによりまして、市町村の窓口事務が合理化される。それに伴いましてある種の負担の軽減がはかられる。これは住民の側でも、それから市町村の側でもはかられるということがまず第一でございましょうし、それからもう一つは、さらに市町村の行政全般につきまして、正確な台帳が整備されることによりまして、個々の行政のために必要であったそういう調査とか、個々の行政のために必要な統計とかというようなものについての、まあ物心両面の物入りというものも軽減される。しかも、行政そのものは正確にいくというようなことがいろいろ出てくるわけです。そういう意味でありますが、なかなか数字であらわそうとするとやっかいでございますけれども、これが必ず正確だというわけにもいきませんですが、いままでのところで私ども推定いたしましたところによりますと、窓口事務に要する経費というものは、要しておる経費というものは、大体約五十四、五億くらいのものがそういう経費として現在所要されておるというふうに考えておるのでございますが、この住民台帳の合理化を進めますために、合理化審議会で審議をしておる過程におきまして、いろいろな点の都市の、いわゆる実験都市とかモデル都市とかいうもので、こういう実験をいたしたことがございますが、そういうもので見ますと、たとえば住民台帳の関係の、ある市のことでございますけれども、従来は事務処理に八千七百七十七時間を要しておったものが六千二百時間程度に減少した。そういう意味で、事務処理のほうからいいましても、時間的にまあ約三割くらい時間が減少されたというような事例もあるようでございます。そうすると時間だけの問題で、これが金目でなかなか換算できないという問題もありますから、あまり大きいことは言えませんでございますが、非常に少なく見積もりまして、三割節約というのを経費のほうであらわすことは非常に無理かと思いますが、かりに一割といたしましても五億円くらいの節約にはなる。まあそれほど大きなものだとは言えませんけれども、それは直接なものであって、ほかの各行政ごとに行ないました住民把握のための調査、それに要しますいろいろな組織なり人員というものから考えますと、それをほかのほうに振り向けまして、住民のためのサービスをよりょくはかり得るということになりますれば、いろいろな意味の効果があるものと考えております。
#38
○原田立君 大臣せっかくお見えになっておるから、ちょっと基本的なことでお伺いしたいと思うんですが、税金面ですね。地方税関係においては、この住民基本台帳に登録されていない者もある時点において捕捉して、たとえ登録されていなくても、前もって登録されている者とみなして課税するんだというふうな一項があります。それからもう一つの、いわゆる基本的人権といわれる選挙権のほうは、それほどまで強目にはなっておりません。とにかく、住民基本台帳に載っかってからでなければいけないと、選挙権は有しないというふうになっていますね。これは一つの法律の中で相矛盾したものでないかと、こう私は思うんです。片方のほうは、住民基本台帳に載っかってなくても課税するんだと、税金のほうはですね。選挙権のほうは、載っかってなければだめなんだと、こういうのは明らかに法の矛盾だと思うんです。この点についてどういうふうにお考えになっておられるか。
#39
○国務大臣(藤枝泉介君) 選挙人名簿の登録は、この基本台帳制度をとれば、それに基づいてやるということでございまして、税も本来としては、住民基本台帳に載った者、住民から徴収すべきものと思います。ただ、住所というようなものにいろいろ問題もございますし、課税上における住所というものについてはいろいろ問題があります。現にそこに住んでおるという事実を把握いたしまして、税という特殊な、要するにそこに住めば、その地域社会の費用を分担するんだというような税特殊の関係がございまして、このような規定ができておるわけでございまして、元来選挙人名簿というようなものは、本人の届け出によって処理する。ところが、税というものは、いわば徴税者のほうが職権的な調査によって課税をしていくというようなところに基本的な違いもありますので、ただいま申し上げたように、この法律の中におきまして、地方税法を改正して、みなし課税をいたしたようなわけでございまして、この選挙人名簿と課税というもののいわば本質的な相違と申しますか、そういうところがここにあらわれておると考えるわけでございます。
#40
○原田立君 それでは、もう少し実務的なことになると思うんですが、今回この法律が通って、最初のこの住民基本台帳をつくる方法ですね。これは国勢調査並みなことをやってやるのか、現在の台帳をただ単に写しかえをするのか、それらの調査方法がどうもここにははっきりと明文化されてないように思えるんですが、いかがでしょうか。第八条では、政令で定めるところにより、届け出または職権で行なうものとすると、こういうふうになっているだけでありますけれども、どういうふうになさるんですか。
#41
○政府委員(長野士郎君) 基本台帳を個々の市町村に適用いたします関係につきましては、この附則の第四条におきまして「市町村長は、昭和四十四年三月三十一日までに、施行日の前日現在における住民につき、住民票を作成しなければならない。」、この法律が実施されましてからあと、いつまでに切りかえるかという問題を、まあ、二年以内といいますか、四十四年の三月三十一日までに切りかえるんだと、これは必ず切りかえてください、しかしその途中であれば、いつ切りかえるかは、それぞれの市町村のやり方によってまかせたいと、こういうことにいたしているわけでありますが、その切りかえにあたりまして、どういうやり方をするか、はっきりしないではないかということでございますが、これは住民の実態について、一斉調査をするというようなやり方もできるわけでございますが、全国一斉に台帳を切りかえるというようなことは、現状におきまして、市町村のそれぞれの組織なり準備態勢なり、いろいろ違いがございますので、これはそういうふうにいたしませんで、従来からのやり方等もございますから、市町村にある程度まかせてやっていくというようなことにいたしているのでございまして、一斉調査をして必ずやっていくと、職権調査をして必ずやっていくというようなことだけではなくて、場合によっては、お話しのように、従来すでにつくっておりますところの住民票というものを活用いたしながら切りかえをはかっていくというようなことも可能なようにいたしているわけでございます。
#42
○原田立君 すると写しかえをするということですね。
#43
○政府委員(長野士郎君) まあ、それも写しかえということに――言い方としちや写しかえと言ってもいいわけでございますが、事実問題は、前の住民票をそのままこっちへ写しかえまして、そうしてその前の住民票に足りないもの、たとえば国保とか年金とか、そういうものの関係をだんだんと整備していくと、こういうやり方も可能でございます。
#44
○原田立君 どうも話聞いているうちにだんだん――あまりはっきりしないのですけれども、小さな市町村では、その人口の把握などは、おそらく現在のやり方で九五%とか、おそらく一〇〇%に近いようなものも捕捉、掌握というものができているのだろうと思うのですが、今回のこの法改正によって、住民基本台帳をつくることによって、一〇〇%つかまえる自信がおありなのかどうか。また、非常に大きな大都市、人口の動態調査なんかがあまり捕捉されていないのじゃないかと思うのですが、それらが一体どこら辺までこの住民基本台帳によって捕捉されるのか、そこのところの見通しはどうですか。
#45
○政府委員(長野士郎君) お話しのように大都市等におきますところの台帳の整備ということが、一番問題と申しますか、事務量も非常に大きくなりますし、また住民の実態把握についても、非常にいろいろと困難があるわけでございます。そういう意味で大都市等の準備態勢というものが実は一番むずかしい問題でございます。大都市によって、それぞれまたいろいろと研究はしておるようでございますが、現在までに私どもが聞いておりますところでは、とりあえず、いままでの住民票を主体にして写しかえを行ないまして、そして逐次定時調査あるいは随時調査ということによって整備をはかっていく、こういう考え方で進んでいこうというところが多いようでございます。
#46
○原田立君 最後にお聞きしたいと思うんですが、大臣、三十六条に、資料の提供等の規定、あるいは助言、勧告等が規定されておりますけれども、最近の傾向として、地方の固有事務、あるいは地方で独自でやっていいようなもの、それがどうも中央で統制されて、いわゆる中央集権化と言うんですか、そんなふうなことを感じるわけなんです、感じだけのものですけれども。それで資料の提供あるいは助言、勧告等においても、地方自治の本旨をそこなわないように十分御配慮を願いたいと思うんですが、いかがでしょう。
#47
○国務大臣(藤枝泉介君) 今度の住民基本台帳制度をとりましたのは、市町村が正確な住民の記録を備えて、市町村のいろいろな行政にこれを反映させようというわけでございます。したがって、本来の市町村の固有の事務も、当然この台帳をもとにしてやられるわけでございますから、こうした点については、市町村がみずからの責任でやることが本来なんでございまして、私どもも、そうしたものについて、何か市町村の行政を拘束する、あるいはこれにいろいろ干渉をするというような意思は毛頭ございません。
#48
○原田立君 三十四条の「調査」のところですけれども、この調査の第一項と第二項では、定期に調査ができる、あるいは必要があると認めるときはいつでも調査ができる、定期と随時ですか、こういうようなことがきめられておりますが、これもひとつただむやみに乱用することは、この法の趣旨ではないと思うんですが、この点についても、地方自治を侵すような、そういうふうなことがないように特段の配慮をなすべきだとこう思うんですが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(藤枝泉介君) この台帳制度は、あくまで住民の届け出を基本にいたしまして作成るものでございます。しかし、十分な把握ができない場合には調査することもあるわけでございますが、それは戦前行なわれたような戸口調査というふうなものを全然考えているわけではないのでございまして、十分住民の人権と申しますか、が守られるように指導してまいりたいと考えます。
#50
○委員長(仲原善一君) ちょっと速記をとめて。
  〔午前十一時五十五分速記中止〕
  〔午後零時十五分速記開始〕
#51
○委員長(仲原善一君) 速記起こして。
#52
○松澤兼人君 この法律自身、別にどうこうということはないんですけれども、どうも大臣の前でたびたびそういうことを申しても恐縮なんですけれども、何か印象として、やはり中央の一つの住民行政の管理方式を画一的にする、あるいは中央の指令どおり、型どおりの地方行政の運営をしていくんじゃないかという、そういう懸念あるいは心配というものが、非常にこの法律に関して感じられるんですけれども、そういう一貫したいわゆる地方自治に対する中央介入という声がありますけれども、それに関連したというような底入れもあってこういう法律案が提出されたものかどうか。
#53
○国務大臣(藤枝泉介君) 元来、こういう台帳制度など窓口の問題は、市町村が独自で改善くふうをしていかなければならない問題でございます。そしてまた、各市町村ともそうした努力を払っておるんですが、それが国の行政の壁にぶつかってしまって、なかなか思うようにいかないというのが、いままでの状態であったと思うんでございます。したがって、そういう市町村の窓口事務の改革、それがやりやすいように、従来縦割りでいろいろな国の行政が行なわれていたものを、その壁を取り払ってあげて、そして市町村の窓口の事務の改善に役立たしたいというのが本来のねらいでございまして、これだけごらんになりますと、いかにも国がそういう台帳制度というものを画一的につくって、市町村に押しつけるというような御印象があろうかと思いますが、全然そういうことではなくて、いま申し上げましたように、市町村の窓口事務の改善、合理化の壁を取り払ったというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#54
○松澤兼人君 この法律が、どちらかというと、外から自治体の中にあるセクショナリズムを取っ払う、あるいはそういう縦割り行政をなくすということはわかるのですけれども、しかし、地方にだけそういうことを強制して、それでは上の政府の機構はどうかといえば、政府の機構には全然手を触れていないわけでしょう。少なくとも、地方行政の中におけるそういうなわ張り争いというものをなくすためには、やはり上のほうが何か、統一といいますか、合理化、簡素化して、そのパイプの先として地方行政もこういうふうにあってほしいというならわかる。上のほうはずっと縦割りで、下のほうへいってパイプを一本にしろ、こう言ってもちょっと無理なんじゃないか、そこにいわゆる外からの圧力というものをかけているのじゃないかという疑問があるのです。何か上のほうで、そういうパイプを一本にするとか、縦割り行政を簡素化して、少なくとも地方に対する命令、示達あるいは通牒というものを一本にまとめて、一つの行政官庁があることを命令する、そうすると、また、他はそれと反対のようなことを指示するというようなことがどこかで調整されなければ、下だけそういうふうにパイプを一本にしてもむずかしいのじゃないか、こういう気がしますが、この点はどうなんですか。
#55
○国務大臣(藤枝泉介君) 国の行政はなかなか複雑でございますので、各省に分かれている。したがって、末端において実施をしていただく市町村に対しましては、縦割りのいろいろな指導がいくということ、ある程度やむを得ない点であろうかと思います。それじゃどこか、国の段階において、そういうものを受け入れる窓口を一本にして、そうして地方団体にそれを流すということも、なかなか現在の機構ではむずかしいと思います。ただ、いろいろな行政機構の合理化、廃合というようなものは、これはっとめてやっていかなければならないわけでございますが、どう統廃合いたしましても、やはりある種の縦割りの指導というものは残るのだと思いますが、これをしかし、国の段階でまた、たとえばこれはほんのかりのたとえ話でございますが、自治省が全部引き受けて、それを一本に流していくということも非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#56
○松澤兼人君 本来の形からいえば建設行政でもあるいは厚生行政でも、自治省というパイプを通じてその承認なり同意なり、そこを経由して流れていくということが、少なくとも地方行政に関する限りはほんとうの姿であろうと思います。それをそうしないでおいて、他の行政官庁というものが、現在まで同じ姿で地方だけそういうふうにまとめてみろといっても、実際上はかえって繁雑になる。あるいは二重になる、三重になる、こういう形をとるのじゃないか、こう思うんです。そこで、これによってはたして地方行政、特に各種の台帳あるいは手帳などというものが簡素化される、あるいは機械化されるということであれば、合理的ということは言えると思いますけれども、単に合理化されたというだけで、住民に対して便利になるかどうかということは別問題だと思います。先ほど原田委員からもいろいろ質問がありまして、基本台帳というものができても、それぞれの行政の部課といいますか、そういうものの中にはメモも必要だ、あるいは副書類みたいなものも必要だ、あるいは各種の支給をやった場合には、それの帳面も必要だということになれば、基本台帳があって、実際の行政の運営といいますか、住民と窓口が接触する場合には、別個のまた台帳なり機械なりというものを使って、それを通じて、どの程度の住民に対する行政の奉仕ができたかということを検討しなければだめなわけですから、二重にも三重にもやっかいなことが起こるのではないか、原田君の質問を私聞いていて感じたことなんです。簡素化あるいは能率化、あるいは合理化ということと、今回の台帳との関係はどういうふうになるんですか。
#57
○政府委員(長野士郎君) 前にも申し上げましたように、台帳それ自体といたしましては、この住民台帳に統一をいたしまして、整備をしていくということになりますと、住民の側の届け出、それから台帳そのものの整備というものは、住民基本台帳をもってそのことを果たしていく、そして各種の行政につきましては、この台帳を基礎にいたしまして、関係の行政は、住民を対象にして行なうものは、この台帳を基礎にして行なっていく、こういうことでございますので、たてまえとして、それぞれの行政が縦割りに、住民に届け出を命じましたり、それから関係の行政機関に、それぞれの行政の目的のために、その届け出に基づく特殊な台帳をつくらせましたりすることがたくさんあるわけでございますが、少なくとも、住民の関係につきましては、この台帳一つでそれを間に合わせるようにしていきたい。
 ただ、先ほども申し上げました国保の被保険者のたとえば資格に関する台帳は、この住民基本台帳で事足りるわけでございますが、そのAという人にいつ、いつかものを払ったとか、給付を行なっておるとかいう問題は、Aという人について整理をしていく書類が必要になってくるわけですから、その点について、またそういう給付関係の仕事の整理のために控えをつくるということは、これはどうしてもその仕事として必要になってくるということになると思います。そこまで結びつけることは技術的にも困難でございますし、かえってこの台帳そのものを複雑にしていく。しかし、一番必要な、Aが被保険者の資格を持つ持たぬということの基礎になりますものは、これが全部カバーしていく、こういうことでございまして、その点では、この中にあらわれておりませんけれども、たとえば予防接種でありますとか、または学齢簿等につきましても、すべてこの台帳というものが実質上は基礎になって、予防接種の該当者なり、あるいは学齢簿――就学児童の名簿なりというものはつくっていく、こういうことになれば、その点が個々に就学児童の調査をして、そうしてやっていくとか、個々にまた衛生関係のために調査をしてやっていくということが省けるわけなので、その点が非常に合理化される、こういうことになると思います。
#58
○松澤兼人君 その場合でも、たとえば予防接種の場合を考えてもわかるが、基本台帳はほんとうに基本的な台帳である。ですから、そこにたとえば幼児の予防接種で何月何日、どこの保健所でどういうワクチンをしたというようなことは、この台帳に載るんですか。ほんとうはそうでなくて、やはり保健関係あるいは衛生関係の職員がその帳簿を持っていて、そこで見なければ、何月何日どこのお医者さんでどういう予防接種をしたかということはわからない。台帳にそれをちゃんと書き入れてあるんですか。
#59
○政府委員(長野士郎君) 台帳そのものにそういう個々の行政のものを記入、記録をいたしますと、非常に台帳そのものを損傷するということになりますので、結局台帳に基づいて該当者を拾い出しまして、そうしてその拾い出したもので、いまお話しがありましたような関係は整理をしていく、こういうことになると思います。
#60
○松澤兼人君 ですから、結局基本台帳はどこまでも基本の台帳であって、個々の衛生行政とか、あるいはまた教育行政とか、そういった末端のものは、それぞれ控えを持っていなければ、その個人、その幼児が、どういう健康状態にあるか、あるいは健康に必要な予防接種をしたかということはわからないでしょう。基本台帳は基本的な台帳であって、それに基づくということだけで、個々のそういう教育あるいは衛生の行政は、別個にそういう給付台帳なり、あるいは注射台帳なりというものを備えつけなければわからない。
#61
○政府委員(長野士郎君) そのとおりでございます。
#62
○松澤兼人君 たとえば、先ほども市川委員からいろいろ選挙権の問題が出ました。転入してきた場合には、本人か、だれかそれにかわる世帯主などが届け出をするわけですが、前に選挙権を持っていれば、その人は従来選挙権を持っていたということの届け出をして選挙人名簿に載せてもらうわけです。ところが、十九歳の人が満で二十歳になったという場合には、この基本台帳に載っている人が、まあ青年が成年式を終えて、そうして選挙権を持つようになったということは、この基本台帳から自動的に公職選挙法のいう、いわゆる選挙人名簿に登載されるということはないんですか。
#63
○政府委員(長野士郎君) 先ほども申し上げましたように、選挙人名簿の登録の申し出があるというのがいまの制度でございます。その登録の申し出の部分が、住民基本台帳の届け出ということに、名簿の関係でいえばやがて切りかえていくように考えたいと思うわけでございます。
 そこで、もうお話しのような場合には、この名簿に載っておりますから、成年に達すれば、当然にそれが選挙人名簿のほうに載っていく、もう成年に達するような関係の人の届け出というのは、住民台帳に記載されていることによって済んでいる、終わっている。こういうふうに考えていくのが一番いいのじゃないかと思っております。
#64
○松澤兼人君 いまのお話ですと、成年に達するような人の名前は、基本台帳に載っているから、成年に達した場合には自動的に選挙人名簿に登録される、登載されるというようなお話ですが、本人及びその世帯主が、成年に達しましたから選挙権いただけますかと、ひとつ名簿に載せてくださいという、そういう申し出がなくても、自動的に登録されるというふうに考えてよろしいですか。
#65
○政府委員(長野士郎君) そういういまのお話のようなかっこうで進めていくようにいたしたいと思います。
#66
○松澤兼人君 そうすると、成年に達しようとしている男の子、女の子、それが自動的に役所のほうでやってくれるものとして、自分も届け出もしなかった、あるいは世帯主も届け出しなかった、そのときに、載らなかったときにはどうするのですか。
#67
○政府委員(長野士郎君) それが、いわゆる選挙人名簿に載りますべきものが選挙人名簿に載っていないという結果であらわれてくるわけでありますから、選挙人名簿としては、この名簿を使って選挙をやるということになりますので、選挙人名簿は、実際は住民台帳を写したものでありますけれども、これ自身を縦覧に供しまして、そうして脱漏がありましたり、誤載がありました場合には、異議の申し立てをして、手続をとり、そうして脱漏とか誤載というものを訂正させる、こういうことをぜひやっていきたいと思いますし、それから選挙人名簿自体も、この住民台帳もそうでございますが、常時閲覧できるようにする制度がずっと今後も続いていくだろうと思いますので、その点はいつでも点検ができる、こういうふうにいたしまして、名簿の正確性を確保していくようにしたい。
 そこで、住民台帳は住民台帳でございますが、選挙のとき使う選挙人名簿については、選挙人名簿の確定というような、いままでやっておりましたような法律行為というものは必ずこれは残しておくということにやっていきたいと思っております。
#68
○松澤兼人君 そうしますと、住民基本台帳に載っている成年になろうとしている、あるいはなった人、それは役所の手続として選挙人名簿に載る。しかし載っていなかった場合には、その本人が、縦覧期間があるのに縦覧もしなかった、異議の申し立てもしなかった、だから確定した場合には選挙人名簿に載っていなかった。それは本人の責任だということなんですか。
#69
○政府委員(長野士郎君) いまの御指摘のような場合には、従来の選挙人名簿のたてまえ等もそれと同じでございまして、やはりそのときはやむを得ない、こういうことになります。
#70
○松澤兼人君 やむを得ない――やむを得ないということは、どこに責任があるということになりますか、本人が悪いということになりますか。
#71
○政府委員(長野士郎君) それは、もちろん行政機関の側にも手落ちがないともいえませんですけれども、そういうことがありますから、権利の行使を確保せられるために、縦覧をし、そうして異議の申し立てをし、点検をする機会を法律で与えておるわけでありますから、そこで、その機会を使って、みずからの権利を保持するという責任は、有権者側にもあるわけでございます。その機会をみすみす利用しないということになれば、訂正の機会を失なったと、こういうことにならざるを得ないと思います。
#72
○松澤兼人君 この法文を読んでみますと、選挙人名簿の関係あるいは公職選挙法の関係、そういうことから考えて、この基本台帳に載ってさえいれば、いま申しました成年に達しようとする人、成年に達した人が自動的に選挙権がもらえるという錯覚を起こして、公職選挙法でいままでのとおりですと、名簿の縦覧や、あるいは異議の申し立て、あるいは確定ということは従来のままだと、そこへ基本台帳というものが入ってきたから、基本台帳に載っかっていさえすれば、成年になったら自動的に選挙権をもらえるものだという錯覚を若い人たちに与えるという危険がないか。こっちはこのままなんだ、こっちの住民台帳に載ったからといって安心はできませんよという啓蒙をまたやらなければならぬでしょう。
#73
○国務大臣(藤枝泉介君) 啓蒙をやるというよりも、これはそういう制度をとれば、役所の側が当然載せなければならぬ。したがって、それを載せなかったというのは、役所のほうに責任があるわけでございますが、それよりも、そういう万一の場合があっても、縦覧の機会があるのですよ、なければ異議申し立てもできますよというようなことは、これはやはり役所の側として大いに周知徹底はさせなければならない。それを例の役場の公報の片すみに載せる程度のことではいけないのではないか、もう少し親切な行政をやっていく、必要なこういう制度をとる以上また生じてくると思います。
#74
○松澤兼人君 もう一つの問題は、先ほど原田君が質問をしたことに関連するのですが、これはもう個人、あるいはまた世帯として、基本台帳に載っけるわけですね、基本台帳をつくるわけですね。そうすると機械的な方法というと、カードみたいなものに載せるわけです。それはある何か、あいうえお順とか、何か地域別とか、ファイルをしなければならぬ、何冊かにファイルをしなければならぬ。そうすると、そのファイルの中にある百人なら百人の人が同時にいろんなことを、うちの子供が来年から学校へ行くんだということもあるでしょうし、あるいは米穀通帳の問題もあるし、百人の人が、少なくとも十人同時に窓口に行った場合にどうなりますか。一冊の基本台帳のファイルというものを取り合いになりますから、先着順で、十番目に行った人はお昼からになりますよということになりませんか。
#75
○政府委員(長野士郎君) もう確かにお話しのとおりでありまして、ファイルにしておりますのと、いままでの帳面にしておりますのと、その点は変わらないといえば変わらない場合がございますから、そういう意味で、同時に全部見せるということは、そういう一時に殺到されました場合にはなかなかできない。しかし、カード式で整理をいたしておきますと、関係の事項を引き出すことは、わりあいに簡単にできるように聞いております。
 それからまた、整理のしかたでございますので、百人分が一つのところで動かないというのか、いろんな単位で分けて整理をするとか、いろいろやり方があると思いますので、なるべく住民の便利になるようにはしていかなければならないと思います。一時に殺到されますと、少しは待っていただかなければならぬ、これはやむを得ないかと思います。
#76
○松澤兼人君 待っていただかなければならぬということは、十人の人が殺到したとしますね、そのうち二人は学齢児に関する届け出をするとか、あるいはまた縦覧するとかということであり、また他の二人は衛生関係の届け出をするとか、あるいは縦覧するとかいったようなことで、いままでの方法がいいというわけじゃないですよ。ないけれども、いままでならば、いわゆる行政別あるいは事項で、十人の人が一人になったり、二人教育のほうに行ったり、あるいはまた一人が違う配給のほうへ行ったり、十人がそれぞれ窓口が違ったところへ行けば一ぺんに全部話が済んでしまう。ところが基本台帳ということになると、順にやっていかなければならないわけでしょう。その住民の希望する窓口というものは十人が十人とも違っている。だから、いままでのやり方でいれば、十人が一度にどっと分かれていろいろな窓口へ行けば一ぺんで済む。しかし基本台帳というものがあると、何といいますか、あっちくくったり、こっちくくったりするということで、どうしても待たなければならない。それは機械化することとか、合理化することに何も反対しているわけじゃないけれども、そういう不便というものをお考えでおられるかどうかということです。そういうこともあり得るのじゃないかと心配しますね。
#77
○政府委員(長野士郎君) 御指摘のような点は確かにあり得ると思います。それで、主として都市地域、大都市等の関係におきましては、したがいまして、補助カードといいますか、これは実際上写しになるのだと思いますけれども、補助カードというものと基本台帳との関係を、どのように整備していくか、その点をいまいろいろ検討しておりますが、そういうことで、需要の非常に多いところでは、たとえば食糧のところへ行ってもそれがちゃんとあるということの、コピーでございますけれども、そういうものを考えなければいけないということは、確かに御指摘のような点があると思いますので、考えていく必要があります。
 現在のところ、この台帳管理の方法としては、バインダー方式によるとか、ファインリング・キャビネットによるとか、ビジブル・レコーダーとか、そういうようないろんな方式を市町村で使っておる現状でございますが、これと同じようなやり方が住民基本台帳についても出てまいりまして、そしてそれを各行政間におけるいまの補助カード・システムというものを、どういうふうに結合するかということが必要になってくるだろうと思います。
#78
○松澤兼人君 そうしますと、補助台帳というものがだんだんと出てくると、基本台帳のほうを素通りしてしまって、直接米穀なら米穀の台帳のほうへ行くというか、米穀の事務を扱っているほうへ行く。そうしてそっちの役場の職員から今度基本台帳のほうへ返ってきて、初めてそこで確認行為が行なわれる。基本台帳のところを素通りしていく、で、従前のやり方ということに戻る必要はないかということを心配しているわけです。
#79
○政府委員(長野士郎君) 閲覧とか、そういうことのためには、なるべく窓口が一本で事務が渋滞するということは避けたいということになりますが、届け出は住民台帳一本の届け出でこれはやっていかなければならない、こう考えております。
#80
○松澤兼人君 つまり、基本台帳に載っけるほうは一本になる。しかし、行政の個別的な窓口ということになると、やはり従来のことも考えてやらないと、住民に便利になるか、あるいは不便になるかというと、これは実施まで十分に検討して、住民に不便をかけるようなことのないように御注意を願いたいと思います。
 もう一つの問題は、占部君が自衛隊の問題を聞いておりましたけれども、これは基本台帳ができたから、直ちに自衛隊の募集に便利になるとか、利用されるということはないと私は感じますけれども、同時にまた、こういうふうに画一的に市町村役場で台帳整備をするというと、その台帳の整備、点検、あるいは何というか、確認、そういうことが役場の職員だけでできないことがあるのじゃないか。こういうことは、結局現にそこに居住しておるかどうかということは、どういう方法で確認されるか、届け出を信頼する以外に方法はない。そこで、補助的な方法として、従来の自治会なり町内会というようなものがある場合には、そこへ照会すれば、現にその場所に特定の人が、ある人が居住しておるということはわかる。そういう行政の補助的な機関と申しますか、末端機関と申しますか、そういうものが今後大いに利用されるのじゃないか。あるいはそういう組織を確立していかなければならないことになるのじゃないか、こう思いますが、こういう基本台帳なり、あるいは住所の確認なり、そういうことに町内会、自治会、そういったものをどのように考えておるか。何かそこに結びつきでもあるのですか、その点はいかがですか。
#81
○政府委員(長野士郎君) お話しのとおり、役場の職員だけで住所の確認というものは、はっきりそれだけに限ってはできない場合があって、補助的にそういう他の力を借りる必要がありはしないかというお話でございますが、確かにそういうことは必要になると思います。それで町内会とか自治会との結びつきということを、この制度の中で考えているわけはないのでありまして、ただこの前も申し上げましたが、調査をいたしましたりするときに調査員というものを委嘱する、これは国勢調査の例によってもあれでありますように、民間の人に委嘱するというようなことは、実際問題としては行なうことは出てまいると思います。そういう場合に、町内会とか自治会の関係者というものが調査員になるということも、これは起こり得るだろうと思っております。
 ただ、問題は、もう一つは住民基本台帳はだれでも閲覧ができるわけであります。役所のほうで確認をするということと一緒に、だれでも閲覧することによってあやまちを正すこともできる、こういうことによって、住民全体も協力しながら、台帳の正確さというものを維持していく、こういうことが一番必要なんじゃないだろうかというふうに思っております。
#82
○松澤兼人君 町内会、自治会というものの力を借りることもあるかもしれぬと、国勢調査なんかの場合にはそういうこともあるというお話ですけれども、しかし、自治会が非常によくできているところ、あるいはかたくできているところと、まだできていないところ、あるいはまた非常にルーズにできているところとある。基本台帳が末端住民との結びつきということを考えて、何かそこに補助的な末端機構が必要だというようにお考えになって、どうもそういうルーズの自治会では困る、もっと自治会というものは強制的に、一定の地区に居住しておる者はその会員にならなければならないというような、自治会あるいは町内会の強化あるいは組織の確立というようなことに進むという心配はないのですか。
#83
○国務大臣(藤枝泉介君) 自治会、町内会、部落会等、自発的に結成された、住民の意思で結成されておるもの、それを市町村等が末端の広報活動その他に使っておることは事実でございますが、あくまでこの台帳制度は、市町村がみずからの力で正確を期するというのが本来でございまして、先ほど局長がお答え申し上げたように、調査の際に補助的なものとして町内会、部落会等の役員等にお手伝いを願うというようなこともあろうかと思いますが、それはあくまで補助的な問題でありまして、そのために町内会、部落会等を一種の法制化するとか、強制するとか、そういう考え方は毛頭持っていないわけでございます。
#84
○松澤兼人君 大臣はそういうお気持ちであることは非常にけっこうだと思います。私たちは、どっちかというと、町内会とかあるいは自治会があまり強固に組織されて、選挙のときでも部落推薦だとかなんとかというようなことに苦い経験を持っておるものですから、不必要に町内会あるいは部落会、あるいは自治会というものに力を入れて強化するというようなことは、断じて避けていただきたいと思います。
 私の住んでいるところなどは、戦後、町内会というものはなくなったまんまで、いまだにまだできておりませんけれども、私はこういう姿でいいんじゃないかと思います。いやなことを言いますけれども、だんだんと地方自治体に対する中央の締めつけがきびしくなってくると、結局住民との結びつきも、そういう町内会、部落会あるいは自治会というものを通じて行なうようになってきて、戦前のいわゆる隣組みたいな非常に強固な地域組織というものができ上がりやしないかということを考えておりますので、重ねて行政局長、そういう意味の町内会なり、あるいは自治会あるいは部落会というものの強化育成ということは、この基本台帳の趣旨ではないし、そういうことをやる考えはない、そう了解してよろしゅうございますか。
#85
○政府委員(長野士郎君) 先ほど大臣からお答えになったとおりでございます。
#86
○松澤兼人君 大臣はかわってしまうけれども、行政局長はまだ自治省にいるわけだから、責任を持ってもらわなければ困る。答弁できないということは、何か多少そういう下心でもあるんですか。ないならないとはっきり言いなさい。
#87
○政府委員(長野士郎君) 大臣のお答えになったとおりでございまして、この基本台帳の整備のために町内会、部落会を活用したり、その組織を強化するなんということは毛頭考えておりません。
#88
○委員長(仲原善一君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 次回の委員会は来週火曜、六月三日を予定しております。
 本日はこれにて散会します。
   午後零時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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