くにさくロゴ
1967/06/27 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 地方行政委員会 第18号
姉妹サイト
 
1967/06/27 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 地方行政委員会 第18号

#1
第055回国会 地方行政委員会 第18号
昭和四十二年六月二十七日(火曜日)
   午前十時四十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     木暮武太夫君     玉置 和郎君
     岸田 幸雄君     内田 芳郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲原 善一君
    理 事
                林田悠紀夫君
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
    委 員
                内田 芳郎君
                小柳 牧衞君
                沢田 一精君
                高橋文五郎君
                玉置 和郎君
                津島 文治君
                中村喜四郎君
                林田 正治君
                鈴木  壽君
                林  虎雄君
                松澤 兼人君
                松本 賢一君
                辻  武寿君
                市川 房枝君
   国務大臣
       自 治 大 臣  藤枝 泉介君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       荒井  勇君
       警察庁交通局長  鈴木 光一君
       自治政務次官   伊東 隆治君
       自治省財政局長  細郷 道一君
       消防庁長官    佐久間 彊君
       消防庁次長    川合  武君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   説明員
       自治省行政局振
       興課長      遠藤 文夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○昭和四十二年度における地方財政の特別措置に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○道路交通法の一部を改正する法律案(内閣送
 付、予備審査)
○地方行政の改革に関する調査
 (住居表示に関する法律の施行状況に関する件)
○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動についてお知らせいたします。
 本日、木暮武太夫君、岸田幸雄君が辞任され、その補欠として玉置和郎君、内田芳郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(仲原善一君) 地方交付税法の一部を改正する法律案、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案を一括議題といたします。
 前回すでに両案に対する質疑は終了しておりますので、これより両案を一括して討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#4
○占部秀男君 私は日本社会党を代表して、ただいま委員長からお話しございました交付税法案並びに財特法案については、いずれも反対をいたします。
 前者につきましては、単位費用の改善をすることによって、給与問題その他行政水準の引き上げ、いろいろな点について時勢に見合うあり方をとりたい、かような趣旨でありますが、趣旨そのものには何も反対する必要はないのでありますけれども、給与費に含まれている単位費用の改善の程度、あるいはまた物価上昇に見合う改善の程度がほとんど不十分でございます。しかも、行政水準を引き上げる必要は、今日地方団体の中にきわめて各事項ごとにあるわけでありますが、見るべきものは改善されておりません。総括的に言って、機械的な改定だけであって、今日公害対策、住宅不足、環境衛生整備、交通対策、道路対策、当面山積した地方の課題にこたえるほどの、また、こたえなければならない実態にある、地方団体が財源不足に悩んでいる、そうした実態に対してはきわめて不十分な改善しか行なわれておらないわけでありまして、これが社会党として反対する理由であります。
 それからもう一つの財特法案についてでありますが、特別事業債千二百億円全部について、その元利を完全に補てんをして、地方団体には迷惑をかけない、かように、この問題が起こった最初に政府は言明していたわけでありますが、これに反して九百十九億円にしぼっておりますし、また、その利子補てんにあたりましても、交付税算定方式をとったわけでありますから、交付団体にのみ交付する、かような形になるわけであります。
 それからもう一つは、固定資産税の減収補てんのための四十二億円についてでありますけれども、減収分全部を満たす額を下回っておりますし、また、交付税に繰り入れて算定いたしましたために、減収補てんの意義が失われているのではないかとわれわれは考えております。
 第三には、道路目的財源でありますが、二十五億円は額としてはきわめて少額でありまして、算定の根拠もはっきりいたしておりません。今日、緊急を要する道路の改良、補修、その他非常に大きな問題があるわけでありますが、これでは道路財源の賦与ということにはあまりにも足りないのではないか、ならないのじゃないか。かように考えまして、この両案につきましては、日本社会党としては反対をいたします。
#5
○辻武寿君 私は、公明党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案並びに昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案に反対の意を表するものであります。
 まず、第一に、今日の地方財政制度あるいは地方財政問題を見まして、最も不満に感ずることは、臨時措置の繰り返しということであります。昨年も地方財源に関する臨時措置が行なわれましたが、これは、はたしてそのすべてが臨時措置が必要かどうかという問題でありますが、それはそれとして、本年度におきましても、一部は恒久化された部分もありますが、やはり特別措置という形で、恒久化の保証のない臨時措置がとられておる。こういう点が最も問題で、なぜその場限りの応急措置にとどまって、年を重ねるのか、国民はこれでは納得しがたいのであります。
 第二の問題は、地方交付税制度についてであります。すでに御承知のとおり、昭和四十年度の普通交付税の交付状況を見ますと、町村の九七%、市の八五%、これが交付税の交付団体となっておりますが、これは地方財政のあり方として、正常な姿と言えるでありましょうか。わが国の地域的所得分布の状況から見て、今後とも財政調整制度が重要な役割りを持っていくであろうことは想像できます。しかし、ごく一部分の自治体を除いて、ほとんどすべての団体が交付団体であるということは、断じて、容認できないのであります。口では税源の再配分の必要性を力説しながら、真剣にこれを実現しようとしない政府の長年にわたる施策が、このような結果を招いたと言っても過言ではありません。
 第三の問題は、町村の立場からは、地方財政の内部矛盾がますます拡大していることであります。人口の過度集中が、いわゆる過密都市対策を重大な政治課題としているが、他方では、人口減少による過疎地域の住民生活の保障もまた深刻な問題となりつつあります。しかも、町村の大半は第一次産業地域であって、全国的な工業化の波の中で相対的な後進性をますます深めつつあります。このような地域社会の流動化の中で、現行の地方財政制度は、十分これに対応し得る機能と財源の量を与えられておりません。地方自治の当面する本質的な問題がここにあると思うのであります。特に貧弱な町村は、税収よりはるかに多い交付税をもらっておる。このような実態でありますので、配分方法にわずかな変更があっても、当該町村では死活問題となってしまうのであります。
 以上の観点に立って見れば、予算編成のたびごとに、その場しのぎの財源争奪戦を繰り返す愚を避けるためにも、この辺で国と地方との事務と税源の合理的再配分を真剣に考えるべきであると思うのであります。特に最近の地方公共団体の役割りは複雑広範にわたり、財政需要も急増し、さらに、社会保障の拡充や地域開発の進行による建設事業の伸びも著しいが、それが今日のように、歳入の多くは人件費などの義務的経費に食われて、道路、住宅など、住民の生活環境を改善するための投資的経費が圧迫されるという財政構造を続けていては、住民のための地方自治など、とうてい期待できないのであります。
 以上の点から、私は恒久的な保証のない、その場しのぎの本法案にはとうてい賛成できないのであります。よって二法律案ともに反対の意を表するものであります。
#6
○委員長(仲原善一君) ほかに御意見がないようでございますので、両案に対する討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。
 地方交付税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(仲原善一君) 多数であります。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、昭和四十二年度における地方財政の特別措置に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#8
○委員長(仲原善一君) 多数であります。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 両案の審査報告書につきましては、前例によりまして、委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(仲原善一君) 次に、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。藤枝国務大臣。
#10
○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故の防止をはかるため、歩行者の保護のための車両等の通行方法に関する規制を強化し、大型自動車の運転の資格要件を引き上げ、悪質重大な交通事故を起こした者に対する運転免許の効力の仮停止の制度を新設する等の措置を講ずるとともに、大量に発生している自動車等の運転者の道路交通法違反事件のうち、現認、明白、定型のものを迅速かつ合理的に処理するため、交通反則通告制度を新設すること等をその内容としております。
 まず、交通事故の防止をはかるための改正規定について御説明いたします。これは、この法律案の第一条に規定されております。
 第一は、横断歩行者の保護の徹底をはかるため、車両等の通行方法の規定を整備することでありますが、これは、前車の側方を通過する車両等による横断歩道上の危険を防止するため、交通整理の行なわれていない横断歩道を通過する車両等の通行方法に関する規制を強化すること等がその内容となっております。
 第二は、大型自動車による交通事故を防止するため、所要の規定を整備することでありますが、その内容は、次のとおりであります。
 その一は、一定の自動車に関し、安全な運転を確保するため、運行記録計による記録及び保存について規定することであります。
 その二は、積載制限違反による危険を防止するため、積載制限違反の罰則を強化するとともに、安全運転管理者等が積載制限違反の運転を下命し、または容認することを禁止することであります。
 その三は、大型自動車の運転の資格要件を引き上げることであります。これは、大型自動車免許の資格年齢を二十歳に引き上げ、及びその運転免許試験は、運転の経験の期間が二年以上の者でなければ受けることができないこととし、あわせて第八十五条第五項の政令で定める大型自動車の運転の資格要件である運転の経験の期間を三年に引き上げることがその内容であります。
 第三は、運転免許の行政処分の制度の合理化をはかるための改正であります。
 そのおもな内容は、運転免許の効力の仮停止の制度の新設でありますが、これは、酒酔い運転、またはひき逃げの死傷事故 居眠り運転による死亡事故等、一定の悪質重大な交通事故を起こした者については、警察署長が運転免許の効力を二十日間の仮停止することができることとし、都道府県公安委員会がその者の運転免許を取り消し、またはその効力を停止するまでの間における危険を排除しようとするものであります。もとより、この仮停止を受けていた期間は、運転免許の取り消し、または効力の停止を受けた場合の期間に通算することとしております。このほか、運転免許の行政処分の迅速化をはかるため、都道府県公安委員会の運転免許の効力の停止等に関する事務の委任の規定を設けること、及び精神病者、その他の身体的免許欠格者の運転免許の行政処分の手続きを合理化することもその内容となっております。
 以上のほか、第一条の改正規定におきましては、高速通行路に設ける車両通行帯の数の改正、合い図違反の過失犯の処罰規定の新設及び酒気帯び加重の規定の整備を行なっております。
 なお、第一条の改正規定は、都道府県公安委員会の事務の委任に関する改正規定等については、この法律の公布の日、その他の改正規定については、この法律の公布の日から三カ月を経過した日から施行することとしております。
 次に、交通反則通告制度の新設のための改正規定について御説明申し上げます。これは、この法律案の第二条に規定されております。
 まず、この制度は、自転車、荷車等を除く車両等の運転者がした違反行為のうち、比較的軽微であって、現認、明白、定型のものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警視総監または道府県警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が反則金を任意に納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続きが進行するということを骨子とするものでありますが、これによって、大量に発生している自動車等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化をはかろうとするものであります。
 次に、この制度は、事案の軽重に応じた処理をすることを目的としておりますところから、反則行為をした者であっても、危険性が高いと考えられる無資格運転者、過去一年以内に運転免許の効力の停止等を受けたことがある者、酒気帯び運転をしていた者及びその反則行為によって交通事故を起こした者に対しては、この制度を適用しないこととしております。なお、少年につきましては、この制度を適用しないこととしております。
 次に、この制度は、警視総監または道府県警察本部長の通告によって反則金を納付するのがたてまえとなっておりますが、警察官の告知の制度を設け、この告知によって反則金を仮納付することができることとし、国民の利便をはかっております。
 次に、反則金の額は、その最高限度額を法律で定め、その限度額の範囲内で反則行為の種別ごとに政令で定額を定めることとしております。
 また、反則金は、国に対して納付することとしておりますが、国は、当分の間、交通安全対策の一環として、反則金収入額に相当する金額を、交通安全対策特別交付金として、都道府県及び市町村に交付することとしております。この交付金は、地方公共団体が単独事業として行なう道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、交通事故の発生件数、人口の集中度等を考慮して政令で定める一定の基準により交付することとしております。
 なお、この制度は、全く新しい制度でありますため、実施のための準備に相当の期間を要することが予想されますので、第二条の改正規定は、昭和四十三年七月一日から施行することとしております。
 最後に、第三条の改正規定でありますが、これは、昭和四十年の道路交通法の一部改正によりまして、自動車の種類としての軽自動車及び運転免許の種類としての軽自動車免許が昭和四十三年九月一日に廃止されることになっておりますことに伴い、第一条及び第二条の改正規定中所要の部分をさらに改正しようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
#11
○委員長(仲原善一君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(仲原善一君) 次に、住居表示に関する法律の施行状況に関する件を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#13
○鈴木壽君 住居表示の法律に基づいて行なわれましたこの仕事の実施の状況に関連をしまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。
 そこで、私、実はきょうここでこういう取り上げ方をすることについて、一見唐突のような感じも持たれるでありましょうし、あるいは奇異の念をもって見る方もあるのではないかと思いまして、私きょうここでこの問題についての質疑をするその気持ちを、冒頭若干申し上げたいと思うのであります。
 この住居表示に関する法律、さらに、その法律に基づいて行なわれております住居表示の仕事が、実はこの法律制定までの間に、当委員会においても一つの大きな問題として取り上げられまして、いろいろ質疑があり、さらには当委員会で、この住居表示のことに関する決議がなされておったのであります。当時、これは昭和三十四年のことでございますが、私、当委員会の理事といたしまして、この決議のそれに関与したこともございますし、そういう点からいいまして、実は私、この法律施行の状況、住居表示の実施の状況、こういうものに、単に個人というよりも、そういう立場から深い関心を持っておったのであります。その後、昭和三十七年にこの住居表示に関する法律が成立をいたしましたが、それに基づいて各市町村においてこの住居表示の仕事がいろいろ進められてきておるわけであります。
 くどいようでありますけれども、ちょっとこの問題についての、さっき申しました当委員会におきます決議をここでもう一度取り上げてみたいと思いますが、昭和三十四年の十二月十五日の当参議院の地方行政委員会におきまして、全会一致でこのような内容の決議が定められたのであります。
  町名地番は全国的に混乱錯雑を極め、これにより社会生活、行政あるいは公益事業等の実施に生じている不利不便は計り知れないものがある。
  政府は、この際すみやかに審議機関を設けて根本方針を確立する等所要の措置を講じ、急速に整理改善すべきである。
  右決議する。
 こういうのでございます。
 そこで私は、ただいま申しましたように、この仕事がどのように行なわれておったのか、この法律の趣旨がどのように生かされ、そしてまた、どのようにこの整理をすることによって効果をあげておるのか、こういう問題については、私この機会に十分考えてみなきゃならぬじゃないだろうか。特に市街地におきましては、昭和四十二年の三月三十一日、ことしの三月末をもって一応仕事が終わるようにということが法定されておるわけであります。これは一つの努力目標というようなことでございましょうが、そのようなことになっており、その三月三十一日が終わったこの時点において、この機会に、いま一応この仕事の実施の状況等について振り返ってみたい、こういうふうに考えまして、きょうこの問題についての自治省に対するいろいろな質疑、こういうことにいたしたいと思ったわけであります。
 そこで、最初にまずお聞きいたしたいのでありますが、法律が制定されてから現在までの間に、この実施状況をどういうふうに自治省としては把握なさっておるのか。当時早急にこの町名地番の整理をしなければならぬといわれたときには、相当個所にしてあったと思うのでありますが、そういうことから現在まで、どのようにそれが行なわれ、進捗状況が一体どうであるのか。こういうことをひとつお聞きをいたしたいと思います。
#14
○説明員(遠藤文夫君) 御質問がございましたただいままでの――実は御指摘がありましたように、ことしの三月三十一日で一応の努力目標の期限になるわけでございますが、それまでの実施状況を申し上げますと、これは現在四十二年の五月一日現在で住居表示の実施が完了したもの及び住居表示に関する法律の規定の告示を終わっている区域がございますが、これを実施済みとして押えますと、全部で、面積にいたしまして千四百十九平方キロ、人口にいたしまして千五百万ばかりになっておりまして、実施計画に対しまして、面積にいたしまして三八%、人口にいたしまして約四二%ということになっております。実施計画をいたしました団体が三百二十四団体でございますが、実施済みが二百五十一団体になっております。
 その実施状況を見ますと、東京都の特別区でございますが、これが大体現在のところ六〇%程度の完了を見ております。それから六大市が、これが一番おくれておりまして、大体人口にいたしまして八%前後、そのほかは、人口三十万以上の市が、これが三〇%程度、そのほかは大体五〇%ないし六〇%というようなところになっております。全体的に目標には及びませんけれども、必要な地区につきましては、逐次行なわれている。ただ六大市、その他非常に人口の多い市が進捗状況がおくれている、かように考えております。
#15
○鈴木壽君 面積あるいは人口等のそれから見た実施の状況、これはいまお聞きしたわけでありますが、さらにまた、当時実施の必要性のその度の高い地区、町村、こういうもの、これはたしか六百を越しておったと思うのでありますが、それから見ますと、いまお話によりますと、実施団体が三百二十四、告示を済ましたものが二百五十一と、こういうことでございますから、大体大ざっぱな言い方でありますけれども、当初必要として、実施をしなければならないと予定しておりましたその地区の大体半分は実施しているんだと、こういうふうに見てもいいんじゃないかと思うのでありますが、というのは、その人口とか面積といっても、なかなかこれは一がいにそのパーセンテージから見て、一%、二%の違いが、直ちに実施の進捗状況をそのまま的確に示すというわけにもいかぬだろうと思いますので、大体必要だと思った団体、その団体が現在まで幾ついわゆる実施されているか、あるいは告示されているかということを見たほうがいいと思いますので、一応のめどとしてそういうふうに考えていいんじゃないだろうか、こう思うんですが、その点いかがですか。
#16
○説明員(遠藤文夫君) 御指摘のように、一がいに団体の数で押えますのは、人口三万とか五万とかいうような市もございまして、適当でないかと思われますが、一応ここにかりに住居表示が必要なようなところは市街地でございますから、大体人口十万以上ぐらいの市で押えてみますと、そのうちでもって大体着手しておりません団体が三十四市ございます。着手していない理由はいろいろあるわけでございますけれども、たとえば京都とかあるいは札幌というように、現在の状況でもっていいのではないかというような考え方を持っているところもあるようでございます。あるいは区画整理というようなものをやっておりますので、それらを待ってやったらいいじゃないかというようなことを考えているところも、いろいろ一つ一つ事情があるようでございまして、ほんとうに住居表示が不便で日常生活が混乱しているところにつきましては、昨年なども必要な地区につきましてはすみやかに実施するようにというような指導をいたしてまいっているわけでございまして、何と申しますか、ほんとうにこの前御審議いただきましたように、住居表示が混乱しておりまして、住民の日常生活に不便を与えているという市につきましては、おおむね着手しているんじゃないか。ただ相当人口規模の大きなところは、特別区を除きまして、ペースがおくれているというような状況ではないかと、かように考えております。
#17
○鈴木壽君 法律にあるように、四十二年の三月三十一日までに完了しなければならぬというようなことがうたわれているわけでございますが、そういう点から見て、現在いまおっしゃったような進捗の状況であるとすれば、法で一つの努力目標ではありますけれども、掲げた、こういうことに対して、どの程度のところまでいっているというふうにごらんになりますか。
#18
○説明員(遠藤文夫君) 法律にありますように、何といいますか、確かに、形式的に市街地である区域につきまして全部完了するというような考え方によりますと、先ほども申しましたように、四〇%という数字になるわけでございます。おおむね四〇%程度という数字になるわけでございますが、実質的に法律が、何といいますか、住民の日常生活に著しく不便を与えている地域について行なうというような見方からいたしますと、特別区及び人口十万以下の市につきましては、若干ぺースはおくれておりますけれども、おおむね順調に進んでおる。人口十万以上、特に人口三十万以上ないし六大市というものにつきまして、これはおくれておるというように判断しております。
#19
○鈴木壽君 この法のねらい、そしてこの住居表示という仕事のねらいは、繰り返すようでありますけれども、国民生活に不便を与えており、経済活動に大きな障害を与えておる。さらには実際の市町村の行政事務の遂行という点からいってもいろいろな不利不便がある、こういうところから、ことばは少し変でありますけれども、整理、合理化をしなきゃならぬ、こういうことであったはずなんでありますが、私全部――全国にわたって調べたわけじゃありませんが、また調べられるわけでもないのですが、確かにこの整理によって、町名地番の整理によって、従来著しく不便であったり、あるいは不利であったり、いろいろな点において支障があったものに対してのそれは相当程度効果をあげておる、こういうことは私は言えると思うのであります。したがいまして、そういう面から、この仕事がさらに今後も続けられて、適正な町名地番というものの制度ができて、住民から喜ばれ、あるいはまた、各方面からもよくなったと言われるようにしなきゃならぬと思うのでありますが、今後の自治省のこの仕事に対する態度としては、そういうことでこれを強く進めていかれるというのであるか、あるいは、まあそのうちに市町村はやるだろうということで、いわばあまり積極的にタッチをしない、こういうのであるか、そこら辺ひとつ大臣どうですか。
#20
○国務大臣(藤枝泉介君) ただ、いままでお答えしたように、特別区あるいは十万未満の市町村等は、わりあいに進捗していると見ていいんじゃないか。ところが、十万以上あるいは六大市というようなものがまだまだ十分でないと思われます。先ほどからお話しございましたように、町名地番等が非常に錯雑いたしておりまして、住民側も不便であり、行政の面からいっても非常に不便であるというようなそういう、これを何と申しますか、この住居表示の方法によって改善していく、そういう必要のあるところにつきましては、今後も強くこの推進をはかってまいりたいと思っております。
#21
○鈴木壽君 そこで実は大臣並びに自治省のほうへさらにお伺いをしたいのでありますが、この推進のしかた、あるいは自治省の指導のあり方、こういうものについて、現在まで実施されてきましたこの経過、さらにもっと言いますと、その中には町名地番の整理にからんで非常に混乱が起こっておるところがあるわけなんでありますが、紛争と申しますか、混乱と申しますか、いずれ住民から非常に不満の気持ちということで迎えられ、実施がなかなか進まなかったとか、あるいは実施され、告示をされた後も住民の不満がなお消えやらないままに、いわばさまざまな問題にまで発展をして困った事態ができておるという、こういうことがあるわけでございますので、そういう点からいって、大臣がいまお話しになりました、この効果を高めるためにはさらに推進していかなければならぬ、私もそう思いますが、推進のしかたなり指導のやり方について、どうも端的にいって、従来のそれについては若干私は不満があると思うのであります。
 そこで一つお聞きしますが、法律に従って自治大臣が基準を示しておりますね。で基準が示されておるわけでございますが、どうもこの基準の受け取り方といいますか、これはいろいろあるようであります。そこで、法律でないものでありますが、この基準というものをもっと言いますと、基準のいわゆる拘束力といいますか拘束性といいますか、こういうものについてどういうふうに考えていくべきであるのか。もっと言いますと、これは単なる自治大臣から示された基準である、法律に基づいてつくられたわけでありますが、基準である、しかしそれはそれだ、おれのほうではこういうふうにやるのだというような場合と、それからいま一つは、これは法律に基づいてつくられた基準だからというので、非常に画一的に、何かこう一つの動かすべからざるそれのように考えて、これに忠実にのっとってやっていくという、大ざっばにいって二つの受け取り方が私あったのじゃないかと思う。さっき言いました各地における不満とか、あるいはそれから出てくるいろいろな紛争とかいうようなもの、これは、いま言ったようなことの基準を、どう受けとめてどうやっていくかということについての、それから私関連しているものがだいぶあるのじゃないだろうかと、こういうふうにも思うので、基準についてどう考え、どうこれを受けとめてもらいたいというふうにお考えになっておられたのか、それをひとつお聞きしたいと思います。
#22
○説明員(遠藤文夫君) 御指摘のように、法律に従いまして自治大臣が住居表示の実施基準を示しまして、それに従いまして指導してまいっておるわけでございますが、御指摘がありましたいろいろ問題があると申しますのは、そのうちの住居表示に用いるところのいわゆる街区符号と住居番号のほうではなくて、主として町の区域の合理化の問題であろうと思いますので、そちらのほうを中心に申し上げますが、実はこの実施基準は、一例を申しますと、たとえば町割りにつきましても、その地域の特性に応じて街かく式または結合式を採用するとか、あるいは町の名称として丁目をつける場合には一定の基準によって整然と配列し、丁目の数はおおよそ四、五丁目程度にとどめることが適当であるというように、基準そのものは非常に何といいますか、きめ方に非常に弾力性のあるきめ方をしているわけでございます。ただ現実に、この基準のままでは、直ちに一つの市町村におきまして住居表示を実施するのには、あまりにもばく然、弾力性がございますので、具体的な市町村におきましては、この基準の範囲内におきまして、たとえば基準においてはその街かく式または結合式を採用するといっているのに、その市町村によりましては、主として外かく式を採用する、あるいは町名、丁目、何丁目というのをつけるかつけないかということにつきましては、別にこちらはつけろともつけないでも、どっちでもいい、つける場合には一定基準といっているのに対しまして、主として町名をつける方針を採用している市町村もあれば、そうでない市町村もある、そういうふうな点から、比較的何か画一的な指導に流れるのではないかというような御指摘もございましたので、それ実施につきまして二回ばかりでございますが、通知も出しまして、弾力的な形でもって運用をするというような形でこの指導をしてまいっております。
#23
○鈴木壽君 大臣時間がないようでございますので、質問の順序からしますとちょっと飛んだ形になりまして……。
#24
○委員長(仲原善一君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#25
○委員長(仲原善一君) 速記起こして。
#26
○鈴木壽君 時間の関係もございますから、じゃあ、ひとつ問題の起こっておる地区のことについて、端的にその問題に入ってまいりたいと思いますが、さっき申しました各地の紛争といいますか、あるいは混乱、たとえば東京都内におきましても、ずいぶんあちこちにあったのでございますし、文京区においてもございました。本郷弥生町の町名の問題あるいは渋谷区等にもございましたし、千代田区にもございました。それから豊島区なんかにもあった。しかもその中では、解決をしたというふうにいえるところもありますけれども、なお豊島区の池袋駅の周辺の問題等については裁判沙汰にまでなって、いろいろこれは御承知だと思うのでありますが、そこで、これに対していろいろ紛争なり騒ぎなり、反対運動が起こっておったり、これに対して、一体自治省としてはどういう態度をとられたんでしょうか。全然ノータッチということでございましょうか、それとも、何かこれに対する指導とか、あるいは関与というもの、関与というと少しことばが悪いですが、そういうものがあったかどうか。
#27
○説明員(遠藤文夫君) 御指摘のように、特に住居表示の実施に伴う町の区域ないしは特に町名の問題にからみまして、いろいろ紛争が起きておるわけでございますが、実はこの実際の町の区域ないしは名称の決定というものは、法律上は市町村長と市町村議会というものの決定ということになっておるわけでございますが、実は当初より、このような住民の日常生活に結びついたような非常に手近なところにある問題につきまして、住民の意見を聞いて十分円滑に行なうというようなことにつきましては、当初からその点が、住民の理解と協力を求めるという方法が重要だと考えまして、実施にあたりまして、たとえば、現在必ずといっていいような、議会にかける前に、住民の代表なども加わりましたところの市区町村に審議会というものを置きまして、そこで住民の意見を聞き、さらにそれに基づいて議会におきまして決定していただくというような形で、住民の理解と協力のもとに円滑に行なわれるというように指導してまいったわけでございますが、特に私どものほうに、ものによりましては、直接いろいろ耳にする、あるいは住民の方からの御意見があるというようなことにつきましても、個別に、いま申しましたような方針で、十分地元の理解と協力を求めて行なうようにというように、個別的に指導もいたしてまいっておる、かような状況でございます。
#28
○鈴木壽君 個別的に指導なさったということですが、もっと、じゃはっきりお聞きしますが、目白、池袋周辺、目白の、いわゆる豊島区におけるいまなお問題になっておるところが三カ所ございますね、裁判ざたになっておるところが三カ所ございます。これはいま私三つの個所について、それぞれ具体的にどうのこうの言うことを避けたいと思いますが、そのうちの一つ、旧高田町に属する目白三丁目、四丁目、雑司ケ谷六丁目、七丁目及び旧西巣鴨町に属する池袋二丁目、三丁目であったところ、その大部分が目白地区であったので、住民の人たちの過半数は、その町名を、旧町名である目白ということにして、目白何丁目と決定することを強く希望したにもかかわらず、そうでなく、西池袋二丁目とすることで議会で議決をしてきまってしまった、こういうことが一つあるわけです。こういうことに対して、当時相当反対運動といいますか、そういうことで審議会にも、あるいは議会にも、住民の人たちは、自分たちの希望するようにやってもらいたいということの陳情といいますか、そういう意思表示をなさっておったのでありますが、そういうことに対して、かなりあそこではもめておるのでありますが、そういうことの具体的な御指導をなさいましたか。
#29
○説明員(遠藤文夫君) 実は東京都の問題につきましては、私ども直接特別区に対して指導するということではなくて、東京都を通じて指導してまいっておるわけでございますけれども、実はこの点がやはり住居表示の町の区域、もしくは町名の決定というものが、やはり最終的には住民の意思、それに基づきまして、まあ議会におきまして最終的には決定するという仕組みになっておりますので、具体的な事案につきまして、私どものほうから名称をどうせよ、あるいはどういうふうにせよというような、具体的な指示をするという形の指導はいたしておりませんですが、東京都に対しまして、いろいろそのような地元からの陳情等もありました際には、そういう案件につきまして、十分審議会、あるいは地元の納得を得た上でもって進めるようにというような形で、事情を聞いたり、適切な指導をするように指示したい、かような形の指導をいたしております。
#30
○鈴木壽君 東京都を通じての指導をおやりになったようでありますが、そうしてまた、具体的には町名をどうするとかこうするとかいうことまでの指導というものはあり得ないものだと思うというようなお話もございましたと思うのですが、確かに私も、町名をこうするのはけしからぬからこういうふうに直せとか、そういうふうなのはどうかという、こういうような指導というものは、これはあまり好ましいものではないと思うのです。ただ、おっしゃる、最終的には住民の意思に基づいて、そうして議会において決定されるべきものであるという、こういう一つの決定の、あるいは議決の、その間に至る手続的な問題として、私はもっと直接あなた方が手を下さなくても、東京都を通じてもっと指導がなされるべきではなかっただろうか、こういうふうに思うのですが、いま言ったように、この町名はけしからぬからこういうふうに変えろとか、おまえのところのやつはどうも少しおかしいじゃないかとか、まあこんなことはなすべきではないが、しかし、こういうものの決定にあたって、一番大事な基本的な問題として考えなければならないことは、住民の意思というものを尊重しなければいけませんということだと思うのです。おっしゃったように、最後は住民の意思に基づいてそれを尊重した上で議会できめる、あるいは提案する人も、その提案をそういうふうな形でなすべきだという、こういうことについて、どうも都の、私は、いまあがっております豊島区のいま裁判ざたになっておりますこの三つの個所のきめ方というものは、そういう意味でのルールといいますか、手続といいますか、そういうことにおいてどうも欠けたところがあるものだから、私は、自治省が指導する場合には、そういう面においてもひとつ適切なる指導があってよかったんではないか、こう思うのですが、そこら辺いかがでございますか。
#31
○説明員(遠藤文夫君) 実は、地元に対するところの十分な理解と協力を求める手段、あるいは住民の意見を聞く手段と申しますものが、都につきましては、私どもとしては、できる限りの指導をしてまいったつもりでございますが、たとえば地元に対して説明をするやり方その他も、地域の実態に応じていろいろ違うようでございます。しかしながら、私どもが一般的に、全国共通に指導しておりますのは、少なくとも住民の代表を含めたところの住居表示関係の審議会というものもつくり、その審議会を通じまして、その住民の意見を聞いた上でもって、最後には議会の決定を願う、かような形の指導をいたしてまいっておるわけでございます。
#32
○鈴木壽君 この問題に対するいわゆる自治省の指導ということですね。これは、法律にも、第十条に「自治大臣又は都道府県知事の勧告等」ということで規定があります。ことばは指導ということばは使っておりませんけれども、「援助若しくは助言」、あるいは場合によっては勧告をすることができるというふうになっておりますね。それからまた十一条には、「国及び都道府県の機関等の協力」ということがありまして、そういう点からしますと――それからいま一つは、技術的な基準の問題でも、自治大臣の権限として定められるものでありますし、したがって、その基準に基づいてどのように行なわれておるかというようなことについては、もっと積極的に私は自治省がこの問題について指導すべきであったのではないか、それは指導の手は、直接その地区の問題あるいはその地区の団体にいかなくて、たとえば都道府県を経由する場合があっても、ともかく自治省の意思というものは、もう少し明確に表明される形においての指導というものが私はあってしかるべきじゃなかったかと思うのだが、どうもこの際にそういうことがなかったように思うのですが、その点はいかがですか。
#33
○説明員(遠藤文夫君) 実は住居表示の制度の実施以来、いろいろな形で指導してまいっておるわけでございますが、おっしゃるように、自治省としてもう少しはっきり指導したほうがいいじゃないかというような意見もございまして、昨年の九月にも、前にもいろいろ言っておるのでございますけれども、重ねて全国の都道府県に対しまして、町割りについては、その地域の特性に応じて定めるようにし、町の名称についても、関係住民の意向を十分尊重するようにというような文書なども出しまして、重ねて指導してきておるというような状況でございます。
#34
○鈴木壽君 確かにいまお話しのように、昨年の九月に、これは政府部内でも問題になって、当時の愛知官房長官と、それから塩見自治大臣、この話し合いがありまして、それに基づいた、いわば指導ということが都道府県を通じて行なわれておりますね。それは確かにそういうことがあったことを承知しております。あるいはまたその前にも、実施の基準についての運用、そういうことにつきましてのいわば通達も出ておる。しかし、私の言うもっとという意味は、通達の上でこういう法律の趣旨がこうだからこのとおりやりなさいよというようなことを重ねてやったという、そういうことよりも、もっといま具体的に問題になって、大きな騒ぎになっている、そういうことの解決のために打つべき手があったのじゃないだろうか。何べんも言うように、直接でなくても、たとえばこの場合なら東京都を通じてもっと適切なる指導というものがあってよかったのじゃないだろうか、こういうふうに思うものだから言っておりますが、そうしてあとで新聞を見ますと、佐藤総理がこの問題について、四十一年の十一月でしたが、官房長官に、これは何とかしなければいけないじゃないかというようなことで、官房長官に話をし、官房長官からさらに自治大臣に重ねてその指導方といいますか、そういうことについての話し合いがあったということも新聞で見ておりますが、しかし、そういうことがあったにもかかわらず、いま言ったように、どうも抽象的な文章の繰り返しだけに終わったきらいが私はあったと思うのでありますが、もっとあの時点で、昨年あるいは一昨年からのこの騒ぎの時点で、単なる町の名前をこうだとかああだとかというようなことでなしに、きめるに至る段階、そういうルール、こういう事柄についても、いわばきめのこまかい指導があれば、いま起こって、なお解決できないでおるこういう問題というものが、私は起こらなかったのではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。
 そこで私は、過去の過ぎ去ったことでございますから申し上げません。今後の問題として、さっき大臣から、今後こういう仕事の進捗については大いに促進方については努力しなければならぬというふうなお話がありましたが、今後行なわれる町名地番のこの整理等において、あるいはかつて豊島区において、あるいは文京区において、あるいはその他の地区において起こったようなこういう事態が起こらないようにするために、ひとつ自治省として十分今後の指導のあり方というものについて私は考えていただきたい、こういうふうに思うんですが、いかがでしょう。
#35
○説明員(遠藤文夫君) 実は先ほども申しましたように、いろいろ批判も受けましたり、またそれを受けまして、私どもも指導いたしたりいたしておりますので、最近の実施の状況を見ますと、従来以上に市町村におきましても、住民の意向を尊重して慎重に進めていると、かように考えておりますが、なお御質問のような、御意見の趣旨をも尊重いたしまして、実施の状況を見ながら、その適切な指導をしてまいりたい、かように考えております。
#36
○鈴木壽君 政務次官、これは私は、事はたいしたことはない、ささやかなことのようにも見えるけれども、これは本質的に非常に重大な問題がこの中にあるということを考えるものですから、これはあとで申し上げますが、そういうことで、いま自治省の指導の方針なり態度なり、そういうことについてお伺いをしているのでありますが、ひとついま課長からお答えがあったわけでございますけれども、これは自治省としては、なあに町名や地番の問題はたいしたことではないじゃないかというようなことでなしに、ひとつ本気になって、今後この問題に取っ組んいただきたいということを私は申し上げたいのでありますが、まあそれはひとつ政務次官にお聞きをいただいておくということにして、そこで問題をもう少し別のことについて取り上げたいと思いますが、このいまの豊島区における目白という町名の問題、あるいはそのほかにももう二件ありますが、これはもう住民がいろいろな手を使って――使ってと言っちゃ悪いが、いろいろな方法で変更されるのは困る、ぜひ目白という町名を残してほしいということでやったけれども、ついに議会の議決は、区長が提案をした池袋、西池袋とするそれになってしまった。こういうのでありまして、それを不満とする住民は、これを訴訟に持ち込んでおります。
 ところが東京地方裁判所は、この訴訟に対して、まあいわば門前払いを食わしておる。まあそれはあとで取り上げることにしまして、住民がそのように強く望むこと、それを取り上げないで、住民が不満とする町名をつけてしまった、こういうこと。議会がそういうふうにきめてしまって、それに基づいて告示が行なわれた。東京都知事の告示が行なわれたということ。何とかあれですか、これは住民が望むような形で町名をきめてもらいたいという、そういう願いを達成する方法はございませんか。
#37
○説明員(遠藤文夫君) 実は、こういうケースの場合に、私どもがいつも困るわけでございますけれども、いろいろ住民の方の意向がある場合に、その最終的に区の議会においてきまるまでの間におきましては、通常のケースでございますが、やはり議会においていろいろ議論になったり、いろいろしておるわけでございます。その過程における話を聞きますと、通常の場合は、やはり住民の間におきましても、意見がむしろ分かれておるというケースが多いわけでございます。住民全部が一人残らずどうだというのを、それを全然住民全体の意思に反しているというようなケースは私どもまずないのじゃないだろうか。そこで結局意見が対立しておるような場合に、どちらをとるかというようなことでよく問題になっているわけでございますが、その場合におきましては、結局いろいろ審議を尽くしまして、その結果、区の議会におきましてきまる、それがやはり住民の意思なんだというような形で扱わざるを得ないのじゃないだろうか、かように考えておるわけでございます。
#38
○鈴木壽君 政務次官、私、大臣にお聞きしたいと思っておったが、大臣が見えておりませんから……。
 これはいま課長が言ったように、議会できまったことは住民の意思を尊重してきまったのだ、反対だとか不満だとかいうようなことをやっておっても、これはしかたがないのだ、あきらめろというような考え方ですか、この問題自体に対してはどうですか。
#39
○政府委員(伊東隆治君) この住居表示の変更でございますが、自治省としては、できる限りこれを押しつけないように、住民の意思に従うようにというやり方でやっておるのでございまして、今度のような場合なんかにおきましても、区議会できめたからそれに従えというような気持ちも持たずに、できる限り話し合いをやって、納得づくでいくようにという気持ちでやっておるのでございますが、そのことで、実は本郷の弥生町の場合では、住民の意思が勝って、弥生町という名前を残した実例もあるようなことでございまして、なるべく住民の意思を生かしていこうという方針で、東京都の指導もいたしておるような次第であります。
#40
○鈴木壽君 確かに形の上では、いまの制度の形の上からしますと、たとえば豊島区なら豊島区に設けられた審議会でも、それがよしとされておる、それに基づいて首長が提案したのでしょうが、議会においてもいろいろ意見があったけれども、しかしこうだというふうに決定されたという、これは形の上からすれば民主的なルールといいますか、一つのそういうものは整っておると思うのですが、実質においては、実はこの地区の場合そうじゃないのですね。それはもちろん、町内の関係の人が百人おれば、百人全部一〇〇%これに反対であったかというと、そうでもない。パーセンテージにすれば、もっと下がった七〇%とか七〇何%ということになるかもしれません。しかし、少なくとも過半数がこういうことに対して反対だと言って、現にそういう人たちが裁判を起こしている。こういう問題ですから、形の上では、私は一つの何といいますか、民主的な決定ということは言えるにしても、実質において住民の意思なり意見なりというものがくみ取られておらない決定だと見ざるを得ないと思うのですがね。ですからそういう場合において、しかし、いま言ったような、形の上で議会の議決にもそうあるのだしというような、おまえたちあきらめろ、やむを得ないのだというふうには、私は考えてもらいたくないと思うのであります。
 これは私少し理屈っぽくなりますけれども、これは一つの事例としてこういうものが出てまいりましたが、いわゆる地方における行政のあり方、民主的な行政のあり方、よく住民自治とかいうことが言われる、あるいは住民民主主義とかいうことが言われますが、こういう基本の問題に私はこの問題がかかってくるのじゃないかと思うのです。町の名前が変わること、たいした問題でないということも、これは一応関係のない者からすれば、そういうことも言えますが、しかし関係民にとってみれば、住民にとってみれば、何といいますか、これは一つの自分たちの望み、それが踏みにじられて、別の名前にされてしまうということは非常な一つの、何といいますか、精神的な面における打撃を与えられるということになるわけですね。こういうようなことが他の行政においても行なわれるというようなことになると、これは私どもがよく言う、皆さんもよく言う、地方自治とか、さっきも言いました住民自治とかいうようなことが、これはもう根底においておかしなことになってしまうと思うのですね。
 私はそういう意味でこの問題というものは、何か町名の、あるいは地番のそれがというふうなことで顧みられないというようなことがあるとすれば、非常に残念なことだと思うのです。
 そこで、さっきもお聞きしましたように、住民がそれほど望むものであるならば、住民の人たちがそれほど望むものであるとすれば、これはやはり何とかそういう希望に沿うようなことを考えなければいけないのじゃないか。あるいは、ことばは変でありますけれども、救済というものを考えてしかるべきじゃないだろうか、こう思うわけなんです。そこで裁判の問題ですが、法制局の方は………。
#41
○委員長(仲原善一君) 見えております。
#42
○鈴木壽君 議会や区長のほうへ幾ら言っても聞いてもらえない、再議に付するというようなこともしてもらえない。思い余ってこの救済を裁判に持ち込むことによってやろうというのが、ここの人たちの考え方で、訴え出たわけなんであります。ところが、さっきも言いましたように、こういうものは裁判の対象にならぬ、こういうことで却下されてしまったのですが、どうでしょう。これはいまの裁判のいろいろな制度、仕組みあるいは考え方からいう、裁判の、訴えの理由がないのだというようなことで却下されるのが至当であるのか、そこら辺はどうでしょう。私、しゃちほこばった裁判批判とか、そういうことでなしに、あなた方の見解をこの機会に承っておきたいと思いますが、いかがでございますか。
#43
○政府委員(荒井勇君) ただいま鈴木先生から御質問ございましたが、住居表示に関する町名変更決定が抗告訴訟の対象になるかについて、現在すでに、お話がございましたように、数件が訴訟に持ち込まれ、最終的には裁判所によって決定されるということなんで、政府としてここで見解を申し上げることは適当でないと考えますけれども、先生から、そういうことにこだわらないで申し述べるようにということでございましたので、その意味で率直に考えてみますと、やはり東京地裁の一審の判決がございましたけれども、こういう町名変更の決定を違法としてその取り消しを求める法律上の利益というものは、なかなか考えてみましてもむずかしいのではないかと思えるわけでございます。
 その抗告訴訟が成り立つためには、それが行政処分であるということ、それの違法を争うということと、もう一つの要件としましては、行政事件訴訟法の第九条に書いておりますような、原告としての適格性を持っていること、すなわち処分の取り消しの訴えにつきましては、その処分の取り消しを求めるにつき法律上の利益を有する場合に限り、提起することができると、こうなっておりますが、この「法律上の利益」というのは、法律によって保護される利益という考え方もございますし、法律制度で特別の権利あるいは利益としてまで規定していないでも、やはり保護に値する利益というものまで含んで広く解釈しなければならないというような説もありまして、本件の場合、行政処分であるかどうかという点につきまして、内容が議会の議決に基づいて、一般的な規範の定立をしている一種の立法的行為ではないか、その意味で処分性がないのではないかという見方がございます。ただ、まあその点は絶対に行政処分でないというふうには言いきれない。そういう法規定立行為でありましても、それによって直接人民に対して法律効果が及ぶというようなものであれば、それは行政処分だと考えられるというのが、最近の判例等の傾向からも見えますし、本件の場合にはある種の法的効果を生ずるという面がございます。すなわち、住居表示に関する法律の六条第二項の規定によりまして、登記簿の記載でありますとか住民票、選挙人名簿等における住居表示の変更をしなければならない、あるいは法人登記の記載の変更というような公簿面に変更を生じさせるべき行政機関等の側の義務が生ずる、そういう効果があるので、これが行政処分でないとは言えない。しかし、その東京地裁の判決にもありますように、その住民の権利義務に対する直接の処分に当たるかといいますと、これらの住民がその処分によって直接自己の何らかの権利、または法律上の利益を侵害されるという特別の事情がある場合は格別、通常の場合には、町名変更の決定及びその告示そのものを違法として取り消しを求める法律上の利益はないものというべきである。あるいはその旧町名を、非常にそれに愛着を感じまして、その表示を継続したいという希望あるいはそういう感情があり、それが侵害されたということが、行政事件訴訟法にいう意味の法律上の利益とか、あるいは法律上保護に値する利益というものの侵害に当たるかといいますと、その点やはりそのような断定をすることは困難ではないか、従来の判例で言いますと、たとえば町村議会が下した町村合併の決議というようなものが抗告訴訟の対象となり得ないのだというようなものもございますけれども、こういうような考え方からしてもなかなかむずかしい。
 ただ、まあ、東京地裁で言っておりますように、こういう住居表示の変更という処分によって直接自己の何らかの権利、または法律上の利益を侵害されるという特別の事情がある場合は格別であるということを言っております。そういうものの立証が十分にされる場合には抗告訴訟の対象となる余地があるということを言外にほのめかしておりますけれども、これは非常に極端な町名の変更決定というようなものをして、それによって現実に生活上の利益が侵害されるということが具体的に立証できるというようなケースがもしありましたとすれば、その場合には絶対にできないと言い切れないのじゃないかという感じは持っております。一般的に申し上げますとそういうことでございます。
#44
○鈴木壽君 私、根っからこういうことに対して知識も何もなくて、したがって、いまきわめて素朴な考え方に立っていろいろと自分自身も反省しているのだが、そこでそういう観点で、さっきも言いましたように、裁判の批判なり何なりということでなしに、一体こういう問題をどう考えるべきであろうかということの御見解を実はお聞きしたい。裁判所でこういう判例がある、ああいう判例がある、そういうことよりも、はたして、こういう性質のものが法律上の利益というものに該当しないと言い切れるのかどうか、あるいはまた行政処分、これはあなたからいまお話がありまして、行政処分でもないとも言えない、したがって行政処分であるとも言えるというようなことからしますと、今度の却下というものの理由の中に、訴訟の対象になり得ないのだというようなことを頭から言っておることに対して、ちょっと私は問題になるなと思うのですが、そういうようなことを、政府を代弁するとかいうような点よりも、むしろ法律的に一体どうなのかというあなたがたの見解をお聞きしたい、こういう気持ちなんです。
 そこで私はもう一つあわせてお聞きしたいのですが、あなたも言っておられるように、これは一つの行政処分と見るべきものではないかということを私は思いますし、それから抗告訴訟の場合に、具体的な、個人的な、実質的ないわゆる権利の侵害といいますか、それから権利を守るための訴え、こういうことを言われておるわけでありますけれども、この種の問題、もっと端的にいうと、住民からしますと非常に歴史的な伝統的な一つの自分たちの誇りともいっていいようなもの、これがいま変えられようということでございますから、いわゆる具体的な権利利益というそういうものの中に、それを単に物質的な金銭の問題とか何とかということに限定をしないで、もっといま言ったような事柄まで、これは人間の生活の上にとってきわめて大事な要素を持つものだと思うのだが、そういうものまで含めて考えるわけにはいかないものかどうか。したがって、そういうことを含めて考えるとすれば、やはり権利なり、あるいは利益を侵害され、したがって、それからそれを守ってもらうための訴訟というものが私は成り立つのじゃないかと思うので、そこら辺を含めてひとつ御見解を聞かしていただきたい。
#45
○政府委員(荒井勇君) この法律上の利益というものを、かりに物質的あるいは金銭的なものだけに限られるのかということで、それはたとえば、損害賠償請求訴訟等におきましても、精神的な損害というものに対する慰謝料の要求とかいうような損害賠償の要求というものもございましょうから、絶対的に物質的金銭的なものでなければならないというふうに考えておりませんけれども、それがやはり訴訟の手続を通じて十分に立証されないことには、この行政事件訴訟法の九条の規定からいって、これが法律上の利益があるとして抗告訴訟に持っていって成功するということは困難ではないかと思われるわけでございます。
 町名変更の決定というのは、その議会の議決に基づく処分であり、また、行政が法に従って行なわれるべきであるというか、そういうことに対する一般公共の利益というものは、原則として政治ないしは行政の過程において、その手続を公正に行なう、慎重に行なうというようなことによって保護すべきもので、いわば事後救済手続というようなものよりも事前手続の公正ということによって担保するのになじむものではないのかという感じがいたします。
#46
○鈴木壽君 そうすると結論から言うと、どうもこういうものはやっぱり抗告訴訟の対象としては向かない、向かないということばは悪いが、なじまないものだという御見解と承っていいですか。
#47
○政府委員(荒井勇君) そのとおりでございます。
#48
○鈴木壽君 行政事件訴訟法の中に民衆訴訟あるいは住民訴訟といわれるものが入っておりますね。この条文を読みますと、民衆訴訟というものが非常に限定された者だけに対してできるんだと狭く書かれておりますね。第四十二条を見ますと、「法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。」、非常に狭いと思うんですね。
 そこで、ちょっと問題変わるようでありますけれども、そもそもの民衆訴訟というものからしまして、これを幾つかの事項について、いわゆる「法律に定める場合」あるいは「法律に定める者に限り、」と、非常な窮屈な限定があるわけでありますが、もっとこういう問題に対しての、いわゆる民衆訴訟としてのそれというものを認めるべきじゃないだろうかと思うんですが、その点についてはどうですか、ちょっと問題変わりましたけれども。
#49
○政府委員(荒井勇君) 民衆訴訟といいますのは「国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。」とされているわけでございますけれども、わが国の訴訟の基本的な構造としましては、やはりその自己の訴訟上の利益というものがある者が、その利益に関して訴えを提起するということを原則として考えておりまして、こういう自己の法律上の利益というものにかかわりなく提起するという問題は、非常に、事によりましては乱訴の弊害があるとかいうようなこともございましょうし、一般的には認めない。特に必要があってそれがいわば私的な、法務総裁といいますか検事総長というような私的な法律上の利益の代表者としてふさわしいという、特別の事情がある場合に限って、特別の法律によって認めるという立て方をしておりますので、そういう基本的な立て方からいいまして、本件のような場合に、特に民衆訴訟のできる対象とするということは、立法政策の問題として考えて、なかなかむずかしい点があるのではないかというように思います。
#50
○鈴木壽君 そうしますと、これらの問題については、行政事件訴訟法からしますと、やはり訴訟のそれにはならぬ、こういうことにまたなるようでございますが、ただ、ここで一つお聞きしておきたいのは、これは法制局からも自治省からも伺いたいのですが、この訴えにおいて違法だということを言っているわけですね。こういうことの決定、告示ということが違法だと、さっきもちょっと言いましたように、形の上では確かに審議会なり、それから議会の議決ということ、手順を経ていますから、これは簡単に違法だとは言えないと思うが、この法律の、住居表示に関する法律の少なくともねらっている考え方、趣旨といいますか、精神といいますか、こういうものからすると、趣旨に反したきめ方をしているということは私は言えると思うのですが、というのは、第三条の四項に、「住民にその趣旨の周知徹底を図り、その理解と協力を得て行なうように努めなければならない。」という一つの規定がある。こういうことは単なる訓示規定みたようなそれと言えるわけなんだけれども、しかし、私は、このような問題の処理にあたっては、さっき自治省のほうからお答えがありましたが、最終的には住民の意思を尊重してやらなければならぬという、そういうことを私はここでうたっておるものだと思うし、そういう限りにおいて、当議会において決定された手続に基づいて告示されたことならば、違法とずばり言えるかどうか別としても、正しくないやり方であったというふうに思われますが、これについてどうですか、自治省なり法制局なり、どういうふうにお考えになりますか。
#51
○説明員(遠藤文夫君) 御指摘のこの点でございますが、このように、いろいろ地元の間において意見の調整と理解が十分得られないでこのような紛争を起こしておること自体、その運用につきまして問題があるのではないかと思っておりますが、ただ、この条文そのものにつきましては、簡単に私どもとして、間違っておるというように、法律上間違っておるというふうに判断するわけにはまいらないだろうと、かように考えております。
#52
○政府委員(荒井勇君) 同様に考えております。
#53
○鈴木壽君 そのことは、私もさっき言ったように、形の上からしますと、これが違法な決定だとか議決だとかいうことは、私は言えないと思うが、繰り返して申し上げますように、もっと内容に立ち至ってみると、どうも法律で考えておる、あるいはその趣旨とするところ、それから逸脱したような手続的な問題として、私はやはり問題になり得るのじゃないだろうか、そこに違法だといわれる一つの問題があるのではないかと思うので、それで、あなた方一体どういうふうにお考えになるのかと、こういうふうにお聞きしたわけなんです。形の上からは、そう簡単に違法だとは言えないだろうと私は思いますけれども、実質的に、どうもせっかくこういう法律がこういうことを言っておるのに、そういうことを、いわば趣旨に反したきめ方、こういうものがあることはまことに私は遺憾だと思うのですが、遺憾である点については皆さんどうです。
#54
○説明員(遠藤文夫君) このように、何と言いますか、御指摘のように問題になっているということ自体につきまして、私どもとしても、まことに残念だと思っております。
#55
○鈴木壽君 法制局にちょっとお聞きしたいのですけれども、こういう問題は、行政不服審査法によって取り上げてもらうということもできないわけですね。いまの、行政不服審査法のそれによって書かれてあることによって見ると、議会の議決にかかわるようなものについてはだめだということがありますね。そうすると、どうです。さっきからちょっと聞いておるように、何とか住民の利益を守る――利益にはいろいろ考え方があるでしょうが、意思を取り入れたことをやらせるというようなことに対して、ちょっといまの法律では手がないというようなことになりそうですね。いかがでございますか、その点。
#56
○政府委員(荒井勇君) その点につきましては、先ほどちょっと申し上げたわけでございますけれども、こういう非常に広範に影響のある問題につきましては、しかも、法律上の利益というものの立証が困難であるというものにつきましては、事後救済の手続で考えるよりは事前手続の公正慎重というようなものを確保するような方向でこれらを立法的にも考えるべきであるし、行政運営としても考えるべきである。この行政が法に従って適正に行なわれなければならないということは、確かに仰せのとおりでございまして、それを確保する手段としては、事後救済手続もあるけれども、事前に、そもそもそういう救済措置が要らないように公正な手続で、よく一般民衆の声も聞き、公聴会をやるとか説明会をやるとか、あるいは協議会を開くとか審議会を開くとか、そういういろいろな方法があるので、そういう事前手続をしっかり公正にやられるようにするということが適当ではないかと思います。
 それから法律的にいって絶対ないかといえば、議会のほうが考え直しをしてくれまして、再議をするということになれば、これは訴えによって、区長に対して再議に付することを求めるというような、いわば行政庁に特定の作為をすることを求める訴訟という形で出しましても、これは一般的にわが国の訴訟体系では認めておりませんので、それは困難だと思いますけれども、議会自身がそういうことをすれば、そういう道は絶対ないということではないと思います。ただ、一ぺんきまったものをさらに取り消すとか変更決定するということになりますと、また広範に一般住民の利害に関係してくるということになりますので、それは理論的にはあり得ないではないと考えますけれども、実際問題としてはなかなかむずかしい。その意味では、やはり事前手続の公正ということで担保をすべきではないかと思います。
#57
○鈴木壽君 いや、それは、事前の手続においてそういうことの起こらないように直すべきだということは、これはそのとおりで、ただまあ私は、そういうこともあるから、将来こういう問題が起こるであろうということも予想されるものですから、今後の自治省に対する指導方について、さっき要望したようなことはそういうことからなんです。
 そこで、しかし、現にできてしまったことを、いま問題になっているこういうことに対して、その救済措置というか、住民の意向というものを生かすようなことを法律的に何とかないだろうかと思って、まあいろいろ乏しいそれをやって、あちこち見てみますけれども、どうも裁判でもだめだし、それから、何といいますか、いまの行政不服審査法なんかでも該当しないと、一体あと何かないだろうか。それは再審、再議に付することを申し出て、やってくれればいいんですが、それはなかなかやってくれないで、現在まできてしまって、裁判事件ということになってしまっておるのですから、そういうことで何かないものだろうかということを考えて、それをお尋ねしたわけなんですが、そうしますとあれですね、これは自治省のほうにお聞きしますが、ほっておけないというふうに私は思うのですが、あなた方はどうです。さっきも言ったように、そんなものは一々どうのこうのといっていられるかというような気持ちはまさかないだろうと思うけれども、積極的にそのためには何か考えなきゃならんと思うが、いかがです、その点は。
#58
○説明員(遠藤文夫君) 結局このような問題は、一度町の区域及び名称が変わってしまった事案でございます。結局私どもとしましては、現在のきまっておる町、もしくは字の区域につきまして、むしろ法律上いうならば、それを変えてくれと、まあもとにするかどうかは別としまして、変えてくれというような問題であるわけです。で、そのような問題といたしまして、まあ先ほど法制局のほうからあれもありましたように、ただ変えるということになりますと、今度は逆に、現在ほかの住民に対する影響も非常に多いわけでございますので、まあそういう問題として、はたして可能かどうか、その辺のところにつきましては、今後とも研究いたしまして、さらに適切な指導の手段があれば指導すると、かように考えております。
#59
○鈴木壽君 今後の問題としてひとつ、それから、いままで起こったこういう事態に対する措置として、まあ大体二つに分けて、今後のことについては、このようなことが起こらないように、事前の段階における手続その他、措置すべきものを十分やって、ほんとうに法の精神にかなった、そうしてまた住民の意思も十分尊重し、それに基づいた決定ができるようなことをすると、そういうことを手続的にやれるような一つの法改正というものを私考えてもいいんじゃないかということが一つ。
 それから、すでにでき上がってしまったことについて、しかし、なおかつ住民の不満というものは消えないでおるということ、それがただこの問題だけにとどまればいいけれども、区全体のいろいろな仕事に対して、行政の面に対して私大きな障害を与えるのではないかという心配すらあるのですが、たとえば市当局に対する不信とか、議会に対する不信とか、こういうことが他の問題に波及してくるようなことがありますると、これはいろいろな面で問題が出てくるのじゃないかという、そういうおそれもあるのじゃないかと思いますので、そういうことを避けるために、いま右から左へ、こういうことに変えたのではけしからぬからこういうふうにやるのだといって、もとの、住民が希望するものにすぐ変える、そういうことでなしに、しかし、住民のそういう希望もいれられるような一つの手順、仕組みというものを、最終的にはこれはどうなるかわかりません。賛成の住民もおるでしょうから、あなた方しばしばおっしゃるようにね。しかし、そういう問題をいま一度取り上げて、ほんとうの意味での住民の意思あるいは意見というものをくみ上げていけるような仕組みの、何かこう法律によってそういうことができはしないだろうかということも考えるのですが、この二つの点についてどうです。
#60
○説明員(遠藤文夫君) 現在のところ、そういうところまでは研究が及んでおりませんが、御質問の趣旨もございましたので、研究してみたいと、かように考えます。
#61
○鈴木壽君 これはいま遠藤課長からのお話ですが、直接担当している課長のお話というよりも、もっとこれはやっぱり私高い次元で、こういうことももう少しまともに取り上げてやってもらいたいと思うのですが、大臣がおりませんので、ひとつ次官に、どうです、その点。
#62
○政府委員(伊東隆治君) ただいまおっしゃいました二点は、まことにごもっともな点でございまして、これから自治省におきましても、大臣とも相談いたしまして、この点には力を入れて、こういうことが二度と起こらんようにいたしたいと思っております。
#63
○鈴木壽君 私はいまのお答えで、きょうはこれで終わりたいと思いますが、問題は、住居表示が、町名の変更か、地番の変わることかというような、何といいますか、軽視した考え方があるとすれば、これはやっぱりいま私申し上げたようなことも、なかなか踏み切ってやれるということでないと思うのですよ。形はさまでみんなに重大影響を及ぼすというような問題ではないかもしれないけれども、事、私はさっきもちょっと触れましたように、ほんとうの地方行政のあり方、住民自治といわれる、住民民主主義といわれるこういうものの根幹にかかわる問題だと思う、今回のケースは。そういう意味で、ひとつ今後の地方自治の発展といいますか、そういうことのためにも、私はこの問題を重視して、ひとつほんとうに検討をいただいて、さっきも言ったように、そんならこっちのほうの名前にしてやろうかという、簡単なことを私言っているのではなくて、しかし、そういう要望なり希望なり、意思というものが、十分反映されるような過程をひとつやっぱり考えておく必要があると、こういう意味で、これからのもの、あるいはすでに決定されておるこういう問題についても、ぜひひとつ私は考えていただきたいと思います。いずれあとでこの点について、いまおっしゃったようなことについての考え方等についてお聞きする機会もあると思いますが、ひとつ次官、大臣にもよくお話をいただいて、この問題に対する善処方をぜひお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
#64
○委員長(仲原善一君) 本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#65
○委員長(仲原善一君) 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明はすでに聴取しておりますので、これより補足説明をお願いいたします。佐久間消防庁長官。
#66
○政府委員(佐久間彊君) お手元に御配付申し上げておりまする「消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案要綱」をごらんいただきながら御説明を申し上げたいと存じます。
 今回の法律案の改正いたそうとする点でございますが、第一は消防法の改正でございます。
 その一は、圧縮アセチレンガス等の届け出に関する事項でございます。圧縮アセチレンガス、液化石油ガス等の事故が最近頻発いたしておるのでございますことは 御承知のところでございます。これらの圧縮アセチレンガス、液化石油ガスにつきましては、通産省所管の高圧ガス取締法にこの規定、規制があるのでございますが、一たん事故が起こりますと、消火をし、さらに人命を救助するという仕事は消防機関が担当いたしておりまするので、今後これらの事故を防止いたしまするためには、あらかじめ消防機関が必要な関与をしておく必要があろうと考えておるのでございます。そこで今回の改正におきましては、それらの物質を貯蔵し、または取り扱うものは、あらかじめ消防長または消防署長に届け出なければならない義務を課そうということでございます。なお、高圧ガス取締法等、他の法令ですでに届け出あるいは許可を要することになっておりまするものにつきましては、重複を避けまして、それらの届け出あるいは許可をする機関から消防長または消防署長に通報をさせるというようなことにいたしたいと思っておるのでございます。それらの規定につきましては、別に通産省から今国会に、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律案が提案されておりまするので、そこに所要の消防機関の関与に関する規定を入れておりますことを申し添えておきます。
 第二は、救急業務に関する事項でございます。救急業務につきましては、政府といたしましては、近年これについては非常な力を入れてまいっておるのでございます。従来人口十万以上の市に義務づけておりましたのを、本年度から人口五万以上の市に拡大をいたしておりまするが、さようにいたしまして、救急業務を行なわなければならない市町村の範囲を拡大してまいりましても、なお、最近の交通事故の頻発する状況にかんがみてみますと、救急業務を行なっていない市町村の区域におきましても、交通事故による救急業務が必要とされる地域があるわけでございます。それは道路でございますが、そういうものにつきましては、都道府県知事が、すでに救急業務を行なっておりまする他の市町村に実施をするように要請することができる道を開こうというふうに考えておるのでございます。それから、さらに特に交通事故が頻発する高速自動車国道または一般国道で、救急業務を行なう必要の高い区間につきましては、政令で規定をいたしまして、都道府県が市町村にかわって補完的に救急業務を行なうということにいたしたいということでございます。
 次は、消防組織法の改正でございます。
 その一つは、地方の消防学校の内容の向上をはかりますために、消防大学校が地方の消防学校に対しまして、必要な技術的援助を行なうことができるようにいたそうということでございます。
 その二は、事務簡素化をはかりますために、現在消防庁の行なっておりまする消防に関する市街地の等級化に関する事務の一部を、都道府県に移譲いたそうとするものでございます。
#67
○委員長(仲原善一君) 本案に対する審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト