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1967/03/30 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第3号
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1967/03/30 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第055回国会 大蔵委員会 第3号
昭和四十二年三月三十日(木曜日)
   午前十時四十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹中 恒夫君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                小林  章君
                徳永 正利君
                西田 信一君
                林屋亀次郎君
                日高 広為君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                山本伊三郎君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        上村千一郎君
       経済企画庁調整
       局長       宮沢 鉄蔵君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       大蔵政務次官   米田 正文君
       大蔵大臣官房長  亀徳 正之君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省関税局長
       事務代理     細見  卓君
       大蔵省証券局長  加治木俊道君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       国税庁長官    泉 美之松君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       総理府統計局調
       査部消費統計課
       長        明石  頌君
       厚生省公衆衛生
       局栄養課長    坂村 堅太君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○期限の定めのある国税に関する法律につき当該
 期限を変更するための法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源
 泉徴収の臨時特例に関する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。米田大蔵政務次官。
#3
○政府委員(米田正文君) 期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につきまして、提案理由を説明いたします。
 内国税及び関税について設けられている特別措置は、それぞれ租税特別措置法及び関税暫定措置法に規定されているところでありまして、これらの措置のうち適用期限が到来するものについての、今後の存続、内容の改正等につきましては、別途これらの法律の改正案を提出して御審議を願うことといたしておりますが、とりあえず、その間に期限の到来するものにつきまして、期限を延長することが適当と考え、この法律案を提出いたした次第であります。
 この法律案によって適用期限が延長されるものは、租税特別措置法及び関税暫定措置法に規定されている特別措置のうち、昭和四十二年四月三十日に期限の到来する配当所得の源泉選択課税のほかは、同年三月三十一日までに期限の到来する特別措置でありまして、内国税においては利子所得に対する所得税の分離課税、配当所得に対する所得税の源泉徴収税率の軽減、法人税における交際費の損金不算入措置、新築住宅の保存登記に対する登録税の軽減、航空機の乗客に対する通行税の軽減等二十八項目の措置、関税においては重要機械類の免税、給食用脱脂粉乳の免税、肥料製造用揮発油にかかる関税の還付等十二項目の減免税措置のほか、米、小麦、バナナ、原油等百二十品目に対する暫定税率の適用がその内容となっており、これらの措置について適用期限をいずれも同年五月三十一日まで延長しようとするものであります。
 なお、来年度新設予定の石炭対策特別会計からの交付金に移行することが予定されている電力業等が使用する重油にかかる関税の還付制度等は、今回の延長の対象から除外することといたしております。
 以上、期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。
#4
○委員長(竹中恒夫君) 引き続いて補足説明を聴取いたします。塩崎主税局長。
#5
○政府委員(塩崎潤君) ただいま提案理由の説明のありました期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案につきまして、内国税関係に関します提案理由の補足説明をいたしたいと存じます。
 この法律案によって適用期限が延長されます特別措置のうち、内国税に関するものは二十八項目でありまして、すべて租税特別措置法に規定されているものであります。租税特別措置法の改正法律案は、近く御提案申し上げるつもりでございますが、さしあたり、この二十八項目につきまして、五月まで期限を延長しようとするものでございます。
 その内容について概略御説明申し上げますと、まず第一に、所得税におきましては、預貯金等の利子所得に対する分離課税及び税率の軽減、配当所得の源泉選択課税、配当等にかかる配当所得の源泉徴収税率の軽減、開墾地等の農業所得の免税、重要外国技術使用料についての税率の軽減等の九項目の措置でございます。
 次に、法人税におきましては、造林費の特別償却と交際費等の損金不算入の措置の二項目がございます。
 次に、所得税及び法人税に共通する措置といたしましては、海外取引等がある場合の割り増し償却、新築貸家住宅の割り増し償却等の五項目の措置がございます。
 次に、登録税におきましては、新築住宅の保存登記の税率の軽減、地方公共団体の新築住宅の保存登記の非課税、開拓農地等の所有権取得登記の税率の軽減、外航船舶の保存登記または抵当権取得の登記の税率の軽減等の十一項目の減免措置がございます。
 さらに、通行税におきましては、航空機の乗客に対する税率の軽減措置がございまして、合計二十八項目の措置がその内容となっており、これらの措置につきましては、先ほど申し上げましたように、別途、改正法律案を提出いたしまして、御審議を願うものであります。それまでの間、とりあえず、その適用期限をいずれも本年五月三十一日まで延長しようとするものであります。
 以上、この法律案のうち、内国税関係につきまして補足説明をいたした次第でございます。
#6
○委員長(竹中恒夫君) 細見財務調査官。
#7
○政府委員(細見卓君) ただいま上程いたされておりまする法律の第二条で、内国税と並びまして掲げられております関税につきまして御説明申し上げます。
 関税で今回延長をお願いいたしておりますのは、いずれも関税暫定措置法として、本年三月三十一日を期限といたしておるものの、とりあえずの延長をお願いいたしておるわけであります。この法律につきましては、いずれ別途、改正案を御審議願う予定にいたしております。このおもな内容を申し上げますと、一つは、本則のほうに掲げておりまするものでありまして、小中学校その他におきまする学校給食用の脱脂粉乳の免税措置、あるいは農林漁業用重油の免税措置といいますように、国民一般に関係の深いものや、国産困難な重要機械類の輸入、あるいは航空機の輸入免税といったもの、あるいは農業用の農薬、と申しましても、いもちの薬でございますが、農薬用に使います粗糖の減税措置、こういった産業政策上の非常に重要なものをおもな内容といたしております。別表として、関税定率法の特別措置として特別の税率を暫定税率として掲げておりますもので、今回御延長をお願いいたしておりますものは百二十品目でありますが、このうちおもなものは暫定減税をいたしております米、小麦、あるいはコーヒー豆といったようなもの、それから暫定増税をいたしておりますものといたしましては、バナナ、あるいはパイナップル、原油、重油といったようなものがございます。また、関税割当品目といたしましては、トウモロコシ、マンガン鉱といったようなものがございます。それからスライド関税と申しまして、海外からの輸入価格に応じまして関税負担が変更されるようになっておりまするスライド関税品目といたしまして鉛等のものがございます。いずれもこれはおもなものを申し上げたわけでございますが、これらはいずれも産業政策、あるいは消費者保護の見地から設けられておるのでありまして、いずれも国民にとって重要なものであろうと存じております。なお、今回特に延長をお願いいたしておりませんものの大きなものといたしまして、石炭を消費いたしまする電力会社、あるいは鉄鋼会社に対しまして、重油関税を還付する措置があるわけでありますが、これは御案内の近く設けられまする石炭特別会計のほうにおきまして、四月にさかのぼりまして、それぞれ交付金が交付されることになっておりますので、この法律におきましては、税率は暫定税率で増税、一〇%のものを一二%にお願いしているわけでありますが、還付のほうは、その特別会計の財源になりますので、還付の措置をこの延長のほうからははずさせていただいております。ほかに、こまかい品目につきまして申し上げればいろいろございますが、とりあえず、補足説明を申し上げます。
#8
○委員長(竹中恒夫君) 午前の審査はこの程度にいたし、午後一時より再開いたします。それまで休憩いたします。
   午前十時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十五分開会
#9
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 昭和四十二年分の給与所得等に係る所得税の源泉徴収の臨時特例に関する法律案、期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案、以上両案を一括して議題といたします。これより両案に対し質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○中尾辰義君 大蔵大臣に総括的に二、三お伺いをします。
 まず、このたびの税制調査会の答申でありますが、あの答申によりますと、従来税負担のバランスをくずしている非常に資産所得の優遇措置であると言われております利子、配当の課税に対する特別措置、これに対する答申は、従来の分離課税をそれぞれ五%引き上げる、こういう案が出ておりますが、この答申は、従来、税調の答申といたしましては、ほとんどこれは税負担のバランスをくずすものだということで、これは廃止すべきじゃないか、こういう議論がずっとあったわけですね。ところが今回わずか五%程度の引き上げで答申が出た、このことについて大蔵省のほうからかなりの圧力といいますか、そういうものが出たのじゃないか、私はこのように感ずるわけです。ですからこの辺のいきさつにつきまして大臣の私は見解を聞きたいと思います。
#11
○国務大臣(水田三喜男君) お答えする前に、まだ私が参議院の大蔵委員会の皆様方にごあいさつの機会がございませんでしたので、おそくなりましたが、先般の内閣の組閣によりまして大蔵大臣を拝命することになりましたので、今後よろしくお願いいたします。
 いまお尋ねございましたが、別に圧力はございません。ございませんが、これはなかなかむずかしい問題でございますので、やはりもう少しゆっくり検討をして改善案を考えたいという空気はこれはございましたが、しかし、ここまで、いままで長い間論議されておる問題でございまして、税制調査会の答申も漸進的にこれを改善するようにという答申もいただいておりますので、今後この問題を本格的に検討するにしましても、とりあえず、何かの措置を講ずべきであるということで、いまわずかと申されましたが、しかし、いままで一〇%の源泉課税率というものが、今度それに五%増すということは事実上五〇%のこれは増税ということでございますので、暫定の措置としては私は相当大きい、大幅な減税措置だったろうと思います。一応いまの制度の上に乗ってこの徴税を強化する、税負担を強化するということで、まず前進の一歩を踏み出すということくらいはやりたいということで、私どもは皆で研究して、そうしてむしろ私が非常に熱心でこの案をつくったというようないきさつもございまして、圧力があったとか何とかということはこの問題についてはほんとうに今度はございません。
#12
○中尾辰義君 まあ、圧力ないとおっしゃいますけれども、実際問題として税調の動向としましてはこれは撤廃すべきである。しかし、いまこの撤廃論を出してみてもおそらく政府が取り上げてくれぬだろう。取り上げてくれないとするならば、まあ取り上げられるような案を出したほうがいいのじゃないか、こういうような考えで税調のほうがどうも軟化をした、こういうふうに私も聞いておるわけです。それが一点と、しからば、あなたがいまそういうふうに一歩前進で御了解願いたいと、こういう答弁でございますけれども、いつも言われておりますように、わが国の税制は非常に各税種の間にアンバランスが多い、これが一つと、もう一つは税負担が非常に過重である、こういう面がいつも指摘されておるわけですね。それで、この配当所得に関しましても、私が申し上げるまでもないことでありますけれども、数字的にはこの配当所得の課税最低限は二百二十数万円になっておる。ところが給与所得の場合は昭和四十一年度六十三万ですか、四十二年度は七十三万九千円ばかしに引き上げられておる、こういうことですが、この数字だけ見ても相当な開きがある。ですから、これの実情はいま急に撤廃はできないといいましても、税制の面から見た場合に大蔵大臣はどのようにお考えになられているか。しかもこの特別立法というのは期限が切れるわけですからね。時限立法なんです。時限立法のものをわざわざまた五%だけ上げて延ばす、そこら辺のところをもう一ぺんひとつお答え願いたいと思います。
#13
○国務大臣(水田三喜男君) この問題はもう御承知のように、大もとはいわゆるシャウプ税制のときから発している問題でございまして、確かにそういうことにはなっておりますが、しかし、これを一挙に変えようとしますというと、いわゆる法人税の性格とからんだ問題でございまして、法人税というものが個人株主の税の先払いというような性質を持つのだということによって一応のこの構成ができておるものでございますので、これをそのままいじるというためには、日本の法人税というものそのものにもう一ぺん根本的な検討を加える必要があるというふうに思いますので、この検討も今後の問題でございますので、それとあわせてそのときに解決したいというふうに考えております。
#14
○中尾辰義君 それじゃ観点をかえましてひとつお伺いしますが、この利子配当に関する課税負担の特別措置ができましたいわゆる立法の趣旨といいますか、これはどういうところにあるのですか、おおよそのところ。
#15
○政府委員(塩崎潤君) 利子と配当に分けまして御説明申し上げたいと思います。利子につきまして、源泉分離課税制度が始まりましたのは昭和二十八年でございます。当時までは、それまでは五一〇%の源泉選択税率でございましたが、五〇%はきわめて高い。当時は、御案内のように、非常に日本経済がまだ戦後から立ち直っておらない状態でございまして、非常に貯蓄が必要である、現在においても貯蓄が必要であるという意見はございますけれども、その当時はなお強い要求でございました。そういった点を考慮いたしまして、五〇%から源泉徴収税率を一〇%に引き下げまして貯蓄をふやそう、預貯金、公社債その他のいわゆる確定利付債券だけにつきまして特例を設けたわけでございます。しかし、一方配当につきましては、御案内のように、ずっと総合でございまして、この源泉選択制度は、御案内のように昭和四十年分から設けられたわけでございます。この趣旨は、利子について源泉分離というきわめて低率の課税である。配当については、先ほど中尾委員御指摘のように、配当控除があるにいたしましても総合課税である。どうも間接投資は優遇されておる。つまり預貯金の利子については源泉徴収であるが、直接投資の果実でありますものについては総合課税ということで、その間にアンバランスがある。よって配当については源泉選択というような、完全に源泉分離制度ではありませんが、それに近いような制度によってバランスをはかるべきではないか。間接投資、直接投資との間の税負担のアンバランスを直し、直接投資に進むべきではないかというので設けられたのが配当の源泉選択制度でございます。同時に、今回期限切れの法案の中に織り込んでおりますように、少額配当、つまり五万円までの配当については申告の提出を要しないという特例を同時に設けまして、すでに預貯金にありますところの少額貯蓄に準ずるような特例を設けて現在に至っているわけでございます。
#16
○中尾辰義君 ですから、いま申し上げましたように、配当、資産所得に対する課税最低限と給与所得の課税最低限、五人家族、この違いがかなり開きがある。片や二百二十六万円、片や七十三万九千円、昭和四十二年度で。この問題に対して大蔵大臣はいますぐ廃止はできない、こういうことらしいのですが、方向としてはどうなんですか、大蔵大臣。撤廃すべきであるが、ことしはこの程度でしんぼうしてもらいたいというこういう意味なのか、もうずっとこのままほおかぶりしてやるというのか、この辺のところをお聞かせ願いたい。やるとすれば何年くらいであれば大体撤廃できるのか、こういう見通しについて伺いたい。
#17
○政府委員(塩崎潤君) この点につきまして、大蔵大臣からは大きな方向についての御説明がございましたが、私どももその大臣の仰せのとおり、税制調査会の中におきまして、企業税制部会におきまして法人税の根本的な検討をいたしております。昨年取り上げられましたのは、確かにおっしゃるように法人税、つまり、たとえば八幡製鉄株式会社の納める法人税を八幡製鉄の個人株主が納めるべき所得税の前払いと見る、つまり、今回の課税最低限のもとでは配当所得者につきましては、夫婦・子三人の場合に二百二十六万五千円まで税金がかからない。それはつまり三十三万九千円ばかりの自分の納めた税金を八幡製鉄が法人税の形で納めてあるから、自分のところでは三十三万九千円の税金は引いてあげましょう、こういうことになった。これが非常に擬制に過ぎるのではないかというふうな皆さま方の御印象であり、よくこれは言われるわけでございます。先ほど大臣がおっしゃいましたように、シャウプ勧告は、法人税は基準なくして徴収してはならない。一つ考えられる基準というものが、個人所得税の場合前払いと考えるべきである、個人株主が納めるべき税金と考えるべきである。したがって、法人株主は一ぺん益金が取られているし、いずれまた法人企業の場合やがては配当するのであるから、法人企業の株主の場合には益金不算入という制度をとって現在まできておるわけでございますが、おっしゃるように、二百二十六万五千円までは非課税ということは、どうも常識に合わないという御意見が非常に強いのでございます。しかし、大きな会社についてはそうですが、一方、中小会社については、たとえば個人経営者で会社と一体というような企業がたくさんあるわけでございます。これらについてはまだそのほうがいいというお説もあり、なかなか法人税の性格をどういうふうに持っていくか、議論のあるところでございます。しかしながら、外国の制度等を見ましても、イギリスはこの古い法人擬制説的な考え方を一九六五年からやめております。したがいまして、いまおっしゃったような点を考慮しながら、ひとつ法人税について常識に合ちょうな仕組みを考えるべきじゃないかということで、税制調査会では一応利潤税――法人税というのは、たとえば八幡製鉄株式会社が自分があげた利潤のうちから納めるべき税金と考えられないか、株主が受ける配当所得というものはこれは別の所得であるという考え方が成り立つのではないかというような一つの利潤税的な思想を打ち出しておりますが、いずれにいたしましても、この変革は非常な影響を来たす問題でございます。さらにまたシャウプ勧告の法人擬制説は世の中に受け入れられなくて、なかなか解け込めなかったように、単純に利潤税を打ち出したところで、だれにも理解されない、残るのは株価に対する悪影響であるというようなことでは済まないと思いますので、これは相当の時間をかけて、法人税に関係をいたしますところの会社の経営者、あるいは株主、証券会社、経済界全般の認識を得ながら法人税の根本的な仕組みを検討していくべきではないか、かように考えておるのでございます。
#18
○中尾辰義君 検討する、これが結論らしいのですが、私が申し上げたいのは、結論はまだ出ないわけですか、結論というか、大体の見通し、それをひとつ聞きましょう。
#19
○政府委員(塩崎潤君) 先ほども申し上げましたように、利潤税というのが一つの方向であるというような示唆はあるわけでございますが、まだ確たる結論にはなっておりません。しかし、これはいま申し上げましたように、よほどPRをしてかからないと再び同じようなあやまちを繰り返すという意味も多分にございます。
#20
○中尾辰義君 それでは水掛け論になりますから。先ほど私が質問したのですけれども、立法の趣旨に基づいて貯蓄を増強する、こういう意味でやったんだ、しからば、この法律を実施してみて、この政策的というか、具体的な効果ですね、あなたが先ほど貯金がふえたとか何とかおっしゃいましたが、その辺の効果はどの程度あがっているのか、そこら辺のところをお願いします。
#21
○政府委員(塩崎潤君) 数字的な御質問もございますので私からお話し申し上げますが、もう中尾委員いつも御指摘のように、租税特別措置の効果、あるいは利子配当に対する租税特別措置の効果をそれだけ抜き出して、こういうことをすることによって税金についてどれだけ効果が上がったかということを抜き出すことはなかなか容易でないと思います。衆議院でも要求され、この参議院においてもいつも御議論願っているところでありますが、その資料といたしましては過去の三十七年から四十一年までの預金残高の資料を出しております。三十七年には十兆八千億でございました預金が四十一年には二十一兆六千八百億ばかりに増強をしておりますが、これは言うまでもなく、何も税制だけのせいではございませんが、その背後にある最も大きな原因は、国民経済の大きな伸展、国民所得の増大、増加によるところが大きいのはもちろんでございます。しかし一方、この貯蓄に対する特別措置が、長い間やっておりますだけに貯蓄者の心理に緊密に結びついておりますので、利子配当に対する特別措置が相当にいい効果を及ぼしているということは言えようかと思いますが、しかし、その効果を抜き出して言えということはなかなかむずかしいことだと思います。
#22
○中尾辰義君 大臣はどういうお考えですか、私はあなたに聞いているが。
#23
○国務大臣(水田三喜男君) やはりいろいろな現象が起こっておりましても、これを左右する要因というのは多種多様ですから、はたして貯蓄がふえたということが事実であっても、これがこの特例のために出ておる効果であるかということを、数字をもって抜き出して検討するということは非常にむずかしいと思いますが、しかしこの措置が貯蓄に非常に役立っておる、そうして貯蓄を誘引することによって経済全体に効果を及ぼしておるという政策的な意味の効果はりっぱに私は果たしておるだろうと思っております。
#24
○中尾辰義君 貯金がふえたというのは、最近数年間、日本経済もかなり発展してきているのであって、当然国民所得がふえてきている、国民所得がふえれば預金のほうもふえるのは当然ですよ。ですから経済効果といいますか、政策的にはあまり期待できないようなものであれば、税法の面から見てもこういうあげ方は金持ち優遇の税法だというふうに言われている。だから、こういうものは撤廃をして、何かの形においてまた別の面で考慮をすればいい、こういうふうに思うのですが、その辺のところを。
#25
○政府委員(塩崎潤君) 確かに税の面から見まして、この租税特別措置が、大きな租税の生命でありますところの負担公平の原則を害していることはいなめないところであります。私はこの租税特別措置の存在理由は、若干の租税負担公平の原則を犠牲にしても、より大きく、特に国民経済全体が成長すれば効果がある、こういうことだと思います。したがって、その租税負担の公平の原則の犠牲の程度、貯蓄率の増加による経済の成長の程度をはかりにかけて、これがいいかどうか、改正すべきかどうかということを判断すべきだと思います。しかし、これもいろいろな意味において、先生御指摘のように、水掛け論的なところが多分にあるという意味では私は常識的な判断が必要であり、さらにまた時間の経過が改正のひとつの契機だと思います。しかも、その背後には長年のなれた制度でございますから、その改変に当たっては相当な配慮が要る、こういったことを判断して、今回五%の引き上げということが行なわれ、これによって、ひとつ租税負担公平の原則の例外としての租税特別措置について、一つの例外的な改廃が行なわれるというふうに見たらどうかと、かように考えております。
#26
○中尾辰義君 それで見通しとして、結局まあ結論がいまのところでは廃止するとも存続するともはっきりしない、こういうことですか。
#27
○政府委員(塩崎潤君) 大臣が先ほど申し上げましたように、この利子配当の問題はいずれ租税特別措置法の改正法律案といたしまして、近く御審議を願うわけでございますが、この期限切れの法案におきましては、四月、五月についての特例を認めて、暫定的に延長していただいておる次第でございます。本法律案では五%の税率の引き上げという形で、漸進的にひとつ整理、合理化をはかっていきたい、こういうことだと思います。
#28
○中尾辰義君 整理、合理化というのはわかりませんけれども、次へいきまして、これは国税庁長官ですか、この二つの法案がいま出ておるわけですが、給与所得及び退職所得等にかかる所得税の源泉徴収、これは四月一日にさかのぼって新しい税法でやるわけですか。
#29
○政府委員(塩崎潤君) 御案内のように、所得税法の改正法律案を近くまた御審議をいただくわけでございますが、この法律案は御案内のように、現在の課税最低限を夫婦・子供三人のものにつきまして十万円引き上げよう、こういうものでございますが、国会の関係で、本来の法律は私どもは六月一日施行でないと通過はしないであろうと、こう見ております。しかし、選挙というような事態によって、いつも毎年行なわれます減税がおくれるということは、この所得税負担について意見の多いおりから、これはひとつできる限り早目に施行する必要があろうと、こういうことで、四月、五月に支払われますところの給与あるいは退職所得につきまして、いま申し上げました課税最低減十万円引き上げという、これから御提案申し上げる、御審議をお願いいたしますところの所得税法の改正法律案の趣旨で、さしあたって二カ月分の給与あるいは退職金に減税の利益を与えよう、こういうものでございます。
#30
○中尾辰義君 そうすると、もう一つの利子配当に対する特例法のほうは、今度は五月三十一日まで延期をする、こういうことですね。
#31
○政府委員(塩崎潤君) さようでございます。
#32
○中尾辰義君 これを片方は四月一日にさかのぼり、片方は五月三十一日まで延ばすと、どうもこの辺のところが少し納得できない。であれば、両方ともさかのぼってやれば一番いいんじゃないか、こう思うのですが。
#33
○政府委員(塩崎潤君) 中尾先生おっしゃったように、確かに減税の利益を早く及ぼそう、つまり政府が意図いたしておりますところの所得税を早く実施するというならば、同時に政府が意図しておりますところの利子配当の税率五%引き上げを、四月、五月の支払いの利子配当に対してなぜ適用しないか、そうすれば首尾一貫するのではないか、こういう御質問だと思います。私どもは所得税のようにすべての人が喜ぶ減税法案は、これは一刻も早く、しかし一方、利子配当のように一部の人かもしれませんけれども、増税ということになるものは、ひとつ慎重な御審議をした結果実施すべきではないか、それまではさしあたって現状のままの制度を延長していただきまして適用したほうが、税の性質から見ては適当ではないか、こういう意味で二つの法律案を提案しておる次第でございます。
#34
○中尾辰義君 もう一つ、関税に関してお伺いいたしますが、バナナに対する関税ですが、これは四十二年度はどういうことになりますか。
#35
○政府委員(塩崎潤君) ちょっといま関税調査官が参りますので……。
#36
○委員長(竹中恒夫君) 政府委員がくるまでほかの質問をお願いいたします。
#37
○中尾辰義君 これは大蔵大臣もおっしゃったのだから、税法と関係して、ことしの経済見通しやら物価の問題等、それから税金等の関係で若干聞こうと思っていたのですが、行っちゃったので、あなたに景気の見通しとか経済の問題を聞くわけにいかぬでしょう。これまた途中でちょん切られてしまって、関税の話を聞こうとするとそれもストップされる。――それじゃ言いますけれども、ことしの予算の成長伸び率は四十一年度が四兆三千億、四十二年度が四兆九千五百億、それで石炭特別会計を入れまして一五・九%の伸び率ですか、大体どうなんですか。
#38
○政府委員(塩崎潤君) これもまた主計局の関係で、はなはだ恐縮でございますが、私は税の御質問をいただけば責任をもって答弁いたしますけれども、そういう御質問になりますと間違って御説明申し上げると申しわけございませんので……。
#39
○中尾辰義君 ことしは自然増収は幾らあるのか。自然増収が六千億も七千億もそういうふうに見積もられておるその中で、また国債を八千億出しているでしょう。六千億、七千億もあれば、当然これは減税額というものをもっとふやしたらどうか、これは国民感情としてそう思いますけれども、そういう点からことしの課税最低限というものが安すぎやしないか、低過ぎやしないか。それからそれだけ課税最低限は、昨年は六十四万でしたか三万でしたか、ことしは七十三万にふえている。それだけ引き上げて、一体五人家族で百万円あたりの所得の人でどの程度減税になるか。その減税額というものが物価の上昇と見合わしてみてほんとうに減税になるのかどうなのか。こういうことだって、ここのところだけぽつんと聞くわけにいかぬですよ。ずっと関連的にあなたが答えられる分だけでいい。
#40
○政府委員(塩崎潤君) 私よりも大臣が包括的にお答えするのが最も適当かと存じますが、いまのような御質問で私が答えられる範囲においてお答えいたします。まず第一に、来年度の成長率は一三%と見ておりますが、これによりまして私どもの税の面では来年度七千三百五十億円の自然増収が免ずると見ております。で、この自然増収についてはとかくの御意見があるようでありますが、私どもは去年の減税の平年度高を考慮いたしますと八千億の自然増収と見積られておりますので、現在のところ適正な見積りだと信じております。それに引きかえまして、先生のおっしゃることは、減税がその割りに少ないではないか、公債を八千億も出すのにかかわらず、減税が少ないではないか、こういうお話でありますが、そういった面は、今年度だけつかまえて見ますと、確かに七千三百五十億円の自然増収に対しまして、租税特別措置法による増収、あるいは印紙登録税によりますところの増収、これを差し引く前におきましては千百億円、差し引いた後は八百億円でございますので、一〇%から一四%くらいの減税では少ないという御批判のあるのもごもっともでございます。しかし、この点はどうも私どもは過去の自然増収と減税との関係を見てみますと、昭和三十年くらいまでは、たしかに減税というのが最も大きな政策でございました。と申しますのは、やはり所得税の負担が非常に高かった。所得税の合理化は最も魅力ある政策だと思うのでございます。したがいまして、その間の自然増収のうちの減税に割り当てられた割合は六三・八%でございます。自然増収が生じますと六割三分八厘、まあ六割四分は減税に向けられたわけでございますが、三十一年になりまして、ようやく戦後を脱してまいりますと、やはり歳出の増加の要請が非常に強まってきた、こういう傾向が数字的に見られるわけでございます。したがいまして、三十一年から四十年までの自然増収のうち減税にどの程度向けられたかを見てみますと、一六・一%、ここにまあ一時期を画した割合になっております。こんなふうに歳出の増加の要請が非常に強くなってきたと思うのでございます。一方、所得税の税金が、税負担というものが合理化された。相当合理化されてきた。御批判はございますが、相当合理化されてきて自然増収の相当部分は歳出のほうに回わすことになってきた。そのように見られるわけでございます。しかしそこで、四十一年になりますと、自然増収が非常に減ってまいりまして、当初予算では千百九十億円しかない。それにもかかわらず国税におきましては二千九十億円減税したわけでございます。つまり自然増収に対しましては一七五%ばかりの減税をした、こういうことになります。昨年はそれだけの減税ができましたのは、やはり公債発行で、それまで公共事業に回わされておりました税金分を引き抜きまして減税に回わしたと見られるわけでございます。しかし、公債発行による減税は一同限りの財源しかききませんので、その程度はひとつやはり自然増収の中で減税をしなきゃならぬ。そうなりますと、やはり減税の規模が制約されざるを得ないというのが第一でございます。
 第二には、景気過熱の折りからでございますので、公債発行の削減のほうに回わさなきゃいけない、こんなようなことで、一〇・九%ばかりの減税率になっております。もちろんネットでございまして、租税特別措置及び印紙税を差し引いた後でございます。これに三百億ばかり足しますと、四%くらい上がってまいりまして一四%くらいになりますが、この二年間を通算してみますと、結局三三・九%から三七%くらい減税したことになる、こういうふうに見られます。つまり少ない、少ないといわれる去年の減税とを通算してみますと、四十一年、四十二年は一時期でございます。三十一年から四十年の二八・一%に余る減税をしておる、こういうところでひとつ御理解を願いたい。しかし私どもは、やはり所得税の減税はおっしゃるように早く百万円まで持っていきたい、かように考えておるのでございます。
 なお、百万円くらいのところはどうかというお話がございます。これもお答え申し上げなきゃならぬと思います。二つばかり御質問ございましたが、まず第一に、百万円ぐらいのところでどの程度減税になるかというお話でございます。これもいずれ所得税の改正法律案の審査をやっていただくわけでございますが、現在の所得税負担は、夫婦・子三人の百万円のところでは年額三万四千二百十五円でございまして、これが今度の改正案では、初年度は二万五千百十円になりまして、軽減額といたしましては九千百五円になります。平年分になりますと、二万二千八百十円と下がりまして、軽減額が一万一千四百五円となります。よく清酒一級一本ぐらいの減税じゃないかと言われるわけでございますが、それは月に直してのお話のようでございます。七百五十円ばかりの清酒一級をもとといたしまして計算いたしますと、四十二年度の初年度におきましては、月額で七百五十九円軽くなるわけでございます。しかし、このたびの所得税が月額でどの程度の税金となっておるかを見ますと、清酒一級で評価いたしますと、三・八本でございます。だから三・八本税金を納めていただいておりますが、そのうちの一本だけひとつ政府は遠慮する。これは平年分になりますと、九百五十円軽くなりまして、一・三本だけ政府が遠慮する、そういうような関係になります。
 それからもう一つの点は、消費者物価の上昇がどういうふうに影響するか。これもいつも参議院の本委員会におきまして御議論になるところでございます。所得税の税負担と消費者物価の上昇とをどういうふうに考えるか、なかなかむずかしい問題であり、いろいろの意見があるわけでございますが、私どもは、消費者物価の上昇は、ここで御指摘のように、課税最低限と密接な関連がございます。生計費に影響をする、こういうふうに見られます。そこで、課税最低限について、これを影響すると見ますと、四・五%引き上がりますと、約三百億円ばかりの減税をするならば、そこの消費者物価の上昇は相殺される、こういうふうになるわけでございます。ところが、減税のほうは、御案内のように非常に大幅にいたしておりまして、独身者につきましては、平年分では二四%、初年度は二一%というような減税をいたしております。夫婦・子三人のところで、四十二年度、初年度では二八%ばかりの引き上げになっておりますので、四・五%の上昇は軽く吸収できるし、その上千百億円ばかりの減税をしておりますから、約八百億円ばかりの税額が、言うならば実質的な減税となっているということが言えようかと思います。
#41
○中尾辰義君 政務次官にお伺いしますけれども、今年の大体――まあ消費者米価もありますけれども、物価の値上がりの予想されるものにはどういうものがありますか。また、それがどのくらい上がる予想になっておりますか、この辺のところはおわかりになりませんか。
#42
○政府委員(米田正文君) いまのお話の米価は、十月から上げるという方針もあって、しかし、これは確定するにはなお十分検討をすると言っておりますから、その検討の上、あらためてまたはっきり申し上げる時期があろうと思います。そのほか保険料の改定等もありますから、そういう面では生計費に響く料金の改定があろうと思います。そのほか、いま特に予定されておるものも、いまここではっきり申し上げるものはございませんが、いずれまた時期を見てはっきり申し上げたいと思います。
#43
○中尾辰義君 さっきの続きを少し申し上げます。バナナの関税ですが、これも従来非常に問題になっておりまして、物価安定策のために、今年はどの程度税率を下げるのか、そこら辺の見通し、ひとつ聞かしてください。
#44
○政府委員(細見卓君) 後刻提出を予定しております暫定法におきまして、四十二年度及び四十三年度におきまして、それぞれ五%ずつを下げる。しかも、それは政令で定めます日以後ということにいたしまして、政令で定めます日ということを置きましたのは、それだけ関税を下げても、流通機構等の整備のためにそうした減税のメリットというものが末端まで及ばないではないかというような御議論もありますので、そうしたものの整備の状況とむ相まちまして、政令で定める日以後、両年度にわたってそれぞれ五%ずつ下げようということにいたしております。一方の議論といたしましては、非常に高いバナナ、御承知のように現在七〇%でございますので、こうした高関税をバナナのようなものにかけておりますのは世界じゅう日本だけということになっておりまして、アメリカとかイギリスとかいうふうに、それぞれ特殊な経済関係がかつての植民地との間にございましたので、一がいに比較はできないかと思いますが、それぞれ大体〇%つまり関税ありません、あるいはせいぜいあっても二〇%という程度のことになっておるわけでありまして、こうした点からは、御案内の国連貿易開発会議第一回の会議におきましても、日本は一体、先進国というか、後進国の仲間から離れて後進国に対して非常に冷いではないか、後進国の産品に対して非常に制限的だ、あるいはまた後進国に対してあたたかい愛情を示さないというような議論があります。そういう点からいたしますと、もっと思い切って下げたほうがいいではないかというような議論もございます。そういうような風潮もございまして、かつて三十九年に一度その七〇%を五〇%まで下げる案を出したことがございますが、残念ながら国会で修正をいたされまして、現行のままということになった次第もございますので、今回は、その場合の反対の論拠が国内の果樹生産業者に影響を与える、打撃を与えるということが論点でございましたので、そうした点を考えまして徐々に下げ、しかも、日本が国際的な場におきまして日本としての威信を傷つけないために必要な措置をとったというために、その両方を抱きあわせておりますので、措置としては徹底しない措置でございますが、一応五%ずつ両年度にわたって引き下げる、こういうことにいたしたいと存じております。
#45
○中尾辰義君 それで、ことし五%、来年また五%下げる、こういうお話ですが、そういうふうに税率を下げてみて、中間マージンもいろいろありますし、流通機構等の改善もしなければならぬでしょうが、その程度の関税率を下げることによって小売り価格というものにどの程度響くのか。また、あなたがさっきおっしゃったように、どうもあなたの最初の話を聞いていると、この程度では小売り価格にはたいして響かないと、そうであればこれは物価の安定策にはならないわけですがね、そういう面から考慮して小売り価格等が下がるにはどういうふうにおやりになるのか、そこら辺のところをひとつ説明してください。
#46
○政府委員(細見卓君) この関税、確かにいま七割になっておりまして、これが五%あるいは一〇%下がりましたところで、少なくとも最終小売り価格の中で関税そのものの占めておりますものは非常に小さいことは事実でございますが、しかし、このバナナの価格をずっと見てまいりますと、主として非常に腐りやすい一種の生鮮果実でありますから、若干保存がきくとはいいましても、生鮮果実でありますから、そのときの輸入の状況、つまり大幅な輸入増加がありますときはもう目立って価格が下がるというようなことで、関税がそういう意味で価格構成の中で占めておるウエートは比較的低いことは事実です。ですから先ほども申しましたように、流通機構の整備と、それから戦後バナナの輸入が事実上自由化されまして、そういう形で徐々に、供給圧力というようなものによって今後下がってまいります。そういうことと相まちまして、今回の関税引き下げ、このもの自体としてはそう大きな価格にはならないと思いますが、そうしたことも含めまして漸次下がっていくだろう、かように考えております。
#47
○田中寿美子君 総務長官にお尋ねしようと思っておりましたけれども、おそらく統計局長のほうがもっとお詳しいかもしれません。いまも標準生計費の問題を考えるのに当たっては、物価の上昇ということを考えないでは考えられないというお話がありました。私もそう思うわけで、大蔵省が標準生計費を設定して、そうして課税最低限をきめる。その場合に消費者物価の上昇をどんなふうに見るかということによって標準生計費が妥当かどうか、課税最低限が妥当かどうかということをやはり私たちは判断しなければならないと思うわけでなんです。それで、そういう意味で消費者物価指数のとり方について少しお尋ねしたいと思います。
 今度四十年基準に消費者物価指数を改正されたわけですね、その改正のおもな点をちょっと説明していただきたいのですが。
#48
○政府委員(細見卓君) おそらく私どもの課税最低限に関連いたします消費者物価の問題でございましょうから、総理府の方から御説明いたします。
#49
○説明員(明石頌君) 担当いたしております総理府の消費統計課長でございますが、ただいまの消費者物価指数を、最近、昭和四十年基準に改訂したわけでございますが、そのおもな理由と申しますか、あるいは経緯につきましてお答えさしていただきたいと思います。
 改正の要点が大きく見まして二つございまして、一つは、従前の指数が御承知のように昭和三十五年基準でございましたが、その後非常に家計のほうの消費構造が変わってまいりましたので、一応、統計審議会ともいろいろ検討いただきまして、国全体のいろいろな経済関係の指数がございますが、その指数の基準時をいつにしぼるか、そういった御審議をいただきまして、昭和四十年基準に改訂したわけでございます。したがいまして、それに伴いましてウエートを昭和四十年の新しいウエートに変えましたことが一つと、それからそれに関連いたしまして、いろいろ新しい商品がその後出ておりますので、たとえばインスタント製品でありますとか、あるいはプロパンガスでありますとか、そういった最近の時点から見まして新しい商品を拾いまして、従前の指数品目が三百三十二でございましたが、それを三百六十四品目にいたしました。そういった点で基準時の改正と、それに伴いましてウエート品目を変えたという点が一点でございます。それからもう一点といたしまして、従来の指数は二十八都市、つまり都市だけにつきまして、ごく一部の特定の都市だけについてつくっておりまして、それから都市平均を出したわけでございますが、その後、家計調査、あるいは指数の材料になります小売り物価統計調査を拡大いたしまして、全国的に百七十市町村、そういうふうに調査を拡大いたしまして、その結果が使えるようになりましたので、従来の一部の小さな都市に限られておりました指数を全国的に拡大したわけでございます。したがいまして、調査する価格の数が、従前でございますと、約七千店ぐらいから約三万四千ぐらいの価格に基づきまして毎月計算しておったわけでございますが、それを今回は画期的に拡大いたしまして、全国で約二万の店から、価格数にいたしまして十一万三千価格数とそのように拡大いたしまして、できるだけ精度の高い指数をつくろう、そういうふうな経緯でもって今回の改正を行なった次第でございます。
#50
○田中寿美子君 それでお尋ねしたいんですけれども、ウエートの問題ですね、品目のウエートの取り方なんですけれども、それは家計調査を基準にしてウエートを取っていらっしゃるわけですか。その家計調査の対象者ですね、これがはたして私はほんとうに日本の生活をしている消費者の平均的な層を代表しているものかどうかということが、つまり収入階層別なんかで見てもどういうものが家計調査の対象になっているかということですね。
#51
○説明員(明石頌君) 消費者物価指数の実際の計算の基礎となります家計調査のことでございますが、家計調査は御承知のように、ただいまのところ全国で百七十市町村につきまして約八千世帯について毎日家計簿を記入していただきまして調査しておるわけでございます。ただし、その八千世帯を選びますときに、非常にどこかに片寄りますと結果が非常に正しくありませんので、そこで八千の抜き方といたしまして、一応、戦後非常に数学的に発達しております標本抽出法、それを使いまして層化三段抽出法というようなことで抜いておるわけでございます。したがいまして、乱数表を使いまして、片寄らないで選ばれました八千世帯が全国の消費者世帯の正しい縮図になるように、そういうようなことで科学的と申しますか、人間の主観を入れないで乱数表を使ってひっこ抜いておるようなわけでございまして、したがいまして、その中には非常な低所得層と申しますか、そういった収入の低い層から、それからまた逆に収入の高い層も、これがありのままの姿で縮図として入っておるような次第でございます。したがいまして、ごく一部の低い層、あるいは逆に高い層だけそれだけを意識的に抜いておる、そういうようなことはいたしておらない次第でございます。
#52
○田中寿美子君 その収入階層別のそれは大体どのくらいということはおわかりでございますか、平均、月収にして。
#53
○説明員(明石頌君) その八千世帯の大体の平均でございますが、世帯の収入をちょっと手元の資料で、たとえば一番最近の資料でございますが、去年の四十一年を年間平均いたしました数字でございますが、実収入、これは統計的述語でございまして、税込みの収入なわけでございますが、一世帯にいたしまして七万五千三百七十二円という数字でございます。これはたとえば非常に高く感ずるいろいろな見方がございますが、これは税込みの収入でありますということが一つと、それから年間の一月から十二月までをならしまして、つまり夏期とか、あるいは年末の賞与も含めまして、それを全部ならしまして、しかも世帯の収入でございますから世帯主の収入以外の家族の収入も含めて、その結果が一世帯当たりで大体の水準が七万五千三百七十二円、そういった数字でございます。
#54
○田中寿美子君 その平均で七万五千三百七十円というのは、私やっぱり日本人の世帯の収入としては中及び中以下の非常に数の多いものを代表していないような気がするわけですが。それですから機械的に抽出して、乱数表で抽出して対象をとっても、ほんとうに実態が出ないんじゃないかという気がしているわけなんです。というのは、実際にいまここでお尋ねする問題でないかもしれませんけれども、実際に生活している側の非常に多数の勤労者の家計は非常に困難なものなんで、それで七万五千三百七十円というのはボーナスなんかを入れた、手当全部を含めたものにしても平均より高いように思うんです。ですから消費者物価指数をとる対象者に問題があるんじゃないかということを私は疑問として持っております。その点あまり問題にされないんですか。
#55
○説明員(明石頌君) 何と申しますか、私どもは統計をできるだけ純粋、客観的に正しくつくろう、そういうようなことで絶えず努力しておりますので、対象を選定する際におきまして、たとえば、ごく低い層あるいは収入のごく高い層がありますが、これらを意識的に引き抜くことを全然避けまして、そのために乱数表を使いまして客観的に抽出しておるわけでございます。したがいまして、平均の数字はそういうことになりますが、またそのほかにいろいろ五分位階層別とか、そういった階層別に分けました数字とか、そういうふうにいろいろこまかく分けまして検討しております。
#56
○田中寿美子君 これはたいへん技術的なことになりますから、そして私もそれの専門家でありませんからですけれども、ただ、全部無作為に抽出しますと、私はほんとうの実態を代表しない、むしろ作為的に一番収入階層の多いところがたくさんとられなければならないという、そういう意味で消費者物価指数のとり方も疑問点があるというふうに私は思っております。それから消費構造の変化に対応してそのとり方を変えたというような御説明があったと思うのですが、どんなふうにそれは……。
#57
○説明員(明石頌君) ごく大ざっぱに申し上げますと、前回の指数が昭和三十五年基準の指数であったわけでございます。したがいまして、その場合の指数に使いましたウエートは、昭和三十五年一年間の家計調査の実態結果につきましてウエートを算出したわけでございます。それから五年間たちまして、たとえば食生活の内容でありますとか、あるいは雑費関係が非常に支出がふえまして、そういったいろいろの家計内の生活上の変化が多々あったわけでございます。そこで、これは消費者物価指数だけ改正するわけにいきませんので、ほかの関連いたしました経済統計等も関連して変える必要がございますので、そこで、そういったウェートの変化とか、あるいはどのように価格の体系が変わっておるか、そういったこまかい資料を持ち寄りまして、統計審議会のほうで専門的に議論していただきまして、一応、現段階では昭和四十年に変えたらいいんではなかろうか、それと、もう一つは従前から大体五年ごとに指数の基準値を改正しておった、そういった経緯がございますので、統計審議会で、昭和四十年は一応いまの段階では基準値として適当ではないか、そういったことで改正したわけでございます。
#58
○田中寿美子君 統計審議会の内部でもいろいろ討論がおありになったと思いますけれども、それで四十年基準に変えたときに、三十五年基準の分も出ておりますね。それはそこの事情はどういうふうにお考えですか。
#59
○説明員(明石頌君) 統計審議会の内部でいろいろ議論がございまして、指数を、急に昭和四十年を一〇〇にいたしましてまた改正いたしますと、いかにも従来の物価上昇を打ち消したのではなかろうかといった点で非常に誤解も受けますし、といいましても、従来の基準であります昭和三十五年の品目と、それからウエートを使っておりますと、統計的に見まして非常に指数が片寄ってまいりますので、一応、昭和四十年基準に改正したわけでございますが、ただ従前の三十五年基準から、やはり物価相互間の格差を見たい、あるいはほかのたとえば卸売りの物価指数とか、ほかの経済指数との関連を見たい、そういった場合に、急に四十年に変えますと、不便を来たしますので、一応正式に昭和四十年の改正指数のほかに三十五年基準指数を参考にいたしておる次第でございます。
#60
○田中寿美子君 三十五年基準ですと、昭和四十年、四十一年、四十二年の物価指数の上昇率は幾らになりますか。
#61
○説明員(明石頌君) 三十五年で、一番最近の昭和四十一年平均の物価指数で見てみますと、これはこまかいことでございますが、指数の対象が先ほど申し上げましたように全国に拡大いたされましたので、人口五万の都市が時系列に続きますので、そちらのほうで申し上げますと、三十五年基準にいたしまして、人口五万の都市の総合指数が昭和四十一年で一四二・一、つまり三十五年からこの約六年間に四二・一%上がっております。そういうような数字になってございます。
#62
○田中寿美子君 消費者物価指数に関しましてはもうこれでけっこうです。どうもありがとうございました。
 実は、昨年も予算委員会のときに、厚生大臣にずいぶんお尋ねして――厚生省の方おいでになりますか。――大蔵省が標準生計費をいつも発表されるのですけれども、それは課税最低限を設定するための必要から発表されたと思うのですが、その際に大体おとなの男一日今度二百五円、食料費ですね、これは基準の栄養がとれる食料費を中心にした食料費だということですね。それで、それに対して厚生省のほうは一体基準の栄養量というもの、おとなの男はどんなもの幾らというふうに設定していらっしゃいますか。それから女ですね、それから子供。
#63
○説明員(坂村堅太君) ただいまの御質問でございますが、厚生省の栄養審議会におきまして、国民一人当たりの栄養所要量につきまして答申をいただいております。それによりますと、各年齢別にそれぞれ差があるわけでございますけれども、たとえば二十歳から二十九歳の男子におきましては二千五百カロリー、それから女子におきましては二千百カロリーという数値を答申していただいております。
#64
○田中寿美子君 カロリーだけでなくて、厚生省ですから、澱粉、蛋白もビタミンも、みんな出していらっしゃると思うのですがね。その辺どうでしょう。
#65
○説明員(坂村堅太君) 蛋白につきましては、やはり二十から二十九歳の男子におきましては七十グラム、女子におきましては六十グラム、それからその他の栄養素につきましては、カルシウムとか、鉄とか、ビタミンとか、そういうようなものをいただいております。それでたとえばカルシウムにつきましては、成人につきましては〇・六グラム、それからビタミンAにつきましては二〇〇
○国際単位、それから鉄の所要量につきましては一〇グラム、これは一日当たりでございます。それから食品の所要量は成人が一五グラム、それからビタミンB1につきましては男子が一・三ミリグラム、女子一・一ミリグラム、それからビタミンB2につきましては男子が一・三ミリグラム、女子が一・一ミリグラム、それからビタミンCにつきましては男子が六五ミリグラム、女子が六〇ミリグラム、ビタミンDにつきましては男子が四〇〇国際単位、女子が同じく四〇〇国際単位、こういうふうでございます。
#66
○田中寿美子君  それは実際に食品にしますとどんなものになるかということは、大蔵省は二年前にメニューを出したんですけれども、厚生省もその前に出されたことがあるのですね。その後やはり国民の栄養とか健康を指導する厚生省ですから、当然どういうものを食べるべきだということを、それはグラムや何かではわかりにくいのですね、国民を指導する上においては。そういう標準の食料を発表なさるべきものだと思うのでございますが、その後はしていらっしゃいませんでしょうか。
#67
○説明員(坂村堅太君) ただいまの御質問でございますが、先ほどお話申し上げました国民栄養審議会から答申をいただいて、昭和四十五年をめどにした栄養基準量についてという答申をいただいております。その基準を大体基本にいたしまして、昭和四十五年でございますけれども、なるべくそれに近づけるように指導して現在いるわけでございますけれども、一応のめどといたしましては、ただいまの成人一人、一日二五〇〇カロリー、女子につきましては二一〇〇カロリー、総カロリーにおいてはそういうこと。それから蛋白質については、同じく七〇グラム、六〇グラム、そういう基本的なことを一応示しまして、それで中身につきましては、一般的にバランスのとれた、いろいろの種類を取るというような、そういうバランスのとれた食事指導というようなことをいたしております。
#68
○田中寿美子君 そこが問題です。昨年ずいぶんお尋ねしましたけれども、まだそういうものを発表できないようにおっしゃいましたのですが、だいぶん、数年前にちゃんとメニューを出されたわけですが、一般国民はそれを見るほうがわかりやすいし、たとえば一日に大きなアジ一本はみんな食べなければならない。牛乳はみんな一合ずつ飲まなければならないという指導をほんとうはしなければならないわけですが、大蔵省の標準生計費では、二年前にメニューを出して、そのメニューは分量がなかったものですから、イカのさしみを食べろといっても、幾ら食べていいのか、あのときは百八十七円でしたか、もっと少ないでしたね、ですからイカのさしみは一切れぐらいしか食べられないという状況だったと思うのですが、今度の二百五円という大蔵省の標準生計費、成人の男子一日の食料費、これでもって厚生省はいまの段階で、国民がどういうものを食べればこの二百五円で二千四百カロリーとれるというふうに思っていらっしゃいますのですか。
#69
○説明員(坂村堅太君) このたびの大蔵省で発表になりました基準生計費の中の食費の部分でございますが、私どもが聞いておりますのは、いま先生のお話のように、前に栄養研究所でつくりました標準的な献立を基礎にしましてそれでつくられているように聞いております。それで、その際に、栄養研究所でもってつくりました際に意を用いましたところは、大体、春、夏、秋、冬の四つの季節にわたりまして、各季節ごとに三例ずつ、朝、昼、晩、合わせまして三十六種類の献立を一応つくったわけでございます。その献立は、ただいま先ほどお話しましたように、やはり成人の二千五百カロリー、蛋白の七十グラムを満たすという条件でもってつくられたわけでございます。それでなお、その献立に使っております食品の原材料の食品、これを当たってみたのでございますが、そうしましたところ、全部で百二十五の種類の食品が使われております。それで、したがいまして、献立は三十六種類ということになっておりますけれども、これらの食品の組み合わせによりまして、まだほかのバラエティーに富んだ献立ができるのじゃないか、そのように考えております。
#70
○田中寿美子君 そこまではわかったのですが、それじゃそういうものを食べるのに、厚生省の考えでは費用はどのくらいかかるかということですね。それはいろいろ収入によって違いますけれども、低所得層だったら、こういうものを食べればそれだけの栄養量がとれるのだというふうな指導をなさるべきだと思いますけれども、そういうことはないのですか。
#71
○説明員(坂村堅太君) 結局これらの食品を買うのに、御承知のようにいろいろ価格の違いがあるわけでございます。たとえば地域差でありますとか、それから購入の方法であるとか、それで一がいには幾らということははっきり申し上げることはちょっとむずかしいのじゃないかと思うわけでございます。ただ、私どもとしまして、こういうようなたとえば低所得層の方に栄養をとらせるということにつきましては、御承知のように、保健所に栄養士がおりまして、その栄養士たちが、たとえば民生委員であるとか、そういうような人たちと連絡をとりまして、それでその生活に見合う中でもって十分に栄養がとれるような献立を指導するというように心がけております。
#72
○田中寿美子君 その点は実態とたいへん私は違うと思います。生活保護家庭に、ある県で保健所の指導では千八百五十カロリーくらいしかとれないような食事の指導をしていらっしゃいまして、昨年、予算委員会でも問題になりましたけれども、実際にやっぱりこういうものを食べろという場合には、それには幾ら要るのだということも含めた指導がないと私非常に困ると思うのですね。実はこれは去年ですけれども――ですから、去年は大蔵省の標準生計費は百八十七円だったわけです、成人男子一日の食糧費。そのときに民間のいろんな団体やそれから研究者が研究しました。その中を見ますと、どれもこれも大体平均して一日二百三十円は必要だ、栄養の最低線を維持するのに必要だというのが出ているわけですが、たとえば女子栄養大学の調査、それから栄養改善普及会の調査、それから友の会というのがありますね、ああいうところの調査なんか。それから灘の生協なんかでは二百四十九円。生協で物を買えば幾らか安いわけですが、それでも平均以上です。しかも、大蔵省の言う二百五円というのはおとなの男です。ですから、妻や子供はもっと安く済むことになっていますね。それで、標準生計費としては非常に低いというふうに私は思うわけですけれども、その点を厚生省は避けられて、実際に費用のほうの算出ということをされないように思われるのですけれども、それは避けていらっしゃるわけではないのですか。つまり、大蔵省の設定した標準生計費に対して厚生省はものも言えないというわけですか。
#73
○説明員(坂村堅太君) 私どものほうでは、御存じのように国民栄養調査というのをしております。その際に、以前はどのくらいの食費がかかったかというのを算出したことが、ずっと前でございますけれども、あるのでございます。ただ、その国民栄養調査の期間がたかだか三日ないし五日間という短い期間で、しかも年に一回ないし四回というごく限られた回数でございますので、それでそのときの調査だけでもって年間の全体を類推するのも危険ではないかと思いまして、それで現在ではあまりその点を用いていないということでございます。
#74
○政府委員(塩崎潤君) 若干補足して弁解をさせていただきたいと思います。まず第一に、田中先生が、大蔵省がメニューを発表した、あるいは大蔵省が設定したと言われる問題でございます。まず発表という問題。私は、四十年に確かに内部的な課税最低限の一つの検討資料といたしましてつくったことは事実でございます。そのつくる場合に、私のほうは税の専門家ではありましても、決して栄養学の専門家ではございませんので、国立栄養研究所にたのみまして、これを一つの参考資料にしたことは事実でございます。しかしながら、四十年におきまして発表した結果、言われましたことは、御案内のように、昼からイカのさしみ、あるいは大蔵省メニューということで思わざる印象を与え、これが日常生活に直接結びつき、どうも基準生計費あるいは標準生計費であるというふうに誤解をされたり、あるいはまた課税最低限を無理なく見せかけるための非常にこじつけた説明であるというような印象を与えたように私は感ずるわけでございます。で、本来、私どもは課税最低限は何も生計費だけできまるものではない。住民税の際にもよく議論になりますように、税負担としてどの程度の方々が国あるいは公共団体に対しまして所得税を納めていくかという問題であり、あるいは所得税の分配機能をどのあたりから設けるか、あるいは他の税と比べまして、所得税にどの程度財政収入を期待するかといったようないろいろの要素できまると思っておるのでありまして、生計費だけを重視しているのではない。一つの私は大きなチェック資料だけだと思うのでありますが、しかし、生計費とは密接な関係がございますので、これまた何らかの形で私どもは検討する必要があるかと思っておりますけれども、これはどうも専門家ではないだけに、どこかの中立的な機関にでもお願いしてやっていただきたいぐらいの気持ちでおるわけでございます。したがいまして、去年も私ども発表するのはあまり好ましくなかったのでございますけれども、国会方面からどうしても出せ、こういうふうに言われますので、それでは四十年にお願いをいたしました栄養研究所の献立、それを私どもが再び変えるということはいろいろな意味におきまして誤解を招きますし、また適当でもありませんので、それをもとにいたしまして、家計調査からその原材料の値段を求めまして四十一年の百八十七円の金額を算出しただけでございます。それでもまた御非難を受けまして、それでまたイカのさしみかという御非難を受けたわけでございますが、本年もまた私どもはそういった意味で実は発表したくなかったのでございまして、いわば逃げ腰でございます。それは何といいましても、私どもの課税最低限の引き上げは、四十年におきましても妥当性があった、こういった国立栄養研究所に頼みました献立に基づきまして、いろいろな御非難ございますが、二千五百カロリーの食料費、これをもとといたします生計費、これで課税最低限が説明できるならば、その後の課税最低限の引き上げの幅を考えていくならば、消費者物価が引き上がりましても、十分その中で吸収できるような課税最低限の引き上げを行なえば、そんなにその問題を神経質に考えなくても済むのではないか。神経質に考えていただくなら別の団体でやっていただかなければならない。私どもでやりますと変な印象を持たれるばかりであるという感じがいたしたわけでございます。ちなみに、四十二年には御案内のように独身者は二一%、平均いたしまして一六%の課税最低限の引き上げを予定いたしております。したがいまして、いま見積もられる消費者物価の上昇は四・五%でございますから、十分私どもは消費者物価の上昇も吸収できますし、食料費だけを取り上げまして計算いたしますよりは、全体として生計費がどうなるか、消費支出がどうなるか、こういうことだけ計算して、差額はどの程度あるか、こういうことを出したわけでございます。それが夫婦・子三人で七万四千百二十一円の差額がありということになる、そういった計算根拠を裏返して申しますと、食料費は四十年の一日当たりの食料費に昭和四十一年の消費者物価の上昇率の五・一%を乗じ、四十二年の消費者物価の上昇率四・五%を乗ずれば二百五円になったということだけでございまして、私どもは二百五円にしなければならぬとか、二百五円でいいとかいう問題ではなくて、この問題からそろそろと離れまして、皆様方のところで、この課税最低限のよしあしはひとつ御検討願いたい。それで、私は食料費だけではなかろう。七万四千円の余裕があれば、これは食料費に回してもいいし、衣料に回してもいいだろう、こういうふうにも見られますので、ただ単に計算した結果を国会の強い御要求に基づいて出した、こういうふうに御理解願いたいわけでございます。したがいまして、厚生省を責められましても厚生省のほうも非常に御迷惑で、なかなか答弁がむずかしいかと存ずるのでございます。
#75
○田中寿美子君 終わりますけれども、別に責めるというわけではなくて、実際、国民が生活する上において食料費は一番基本のものなんですね。それが食べられなければ生活もむずかしいわけですから、非常に重要になってくるし、その食べ方も人間らしく食べなければならないから、厚生省が責められるというより、むしろそういう指導をすべきところが積極的にそういうものを出さないで、大蔵省のほうから出てくるということに私はいつでも疑問を持っている。それからその物価指数の上昇率も、私はさっき申しましたように、疑問を持っているものですから、単に五・一%、四・五%かけて出して七万何千円の余裕がある、これはたいへん簡単な数字の読み方で、所得税の課税最低限からはちょっと余っても、また住民税も払うわけです。また税外負担だって一ぱいあるわけです。決してあれは余裕にならない。厚生省は別に大蔵省から援護してもらわないで、私は独自の立場でもって、栄養の指導と、それから栄養に必要な費用というものを出して、みんなに積極的に大蔵省に向かっては要求もすべき筋合いのものだと思うのですけれども、栄養に関してはたいへん弱い感じがいたします。それだけ申し上げておきます。
#76
○山本伊三郎君 厚生省あるでしょう、調査していない……。
#77
○説明員(坂村堅太君) このように各種の食品の物価をそのつど調べて計算するというまだ仕組みを持っておりませんので出しておりません。
#78
○山本伊三郎君 それじゃ、生活保護法の基準をあなたたちつくるでしょう。もうそのことにめくらめっぽうでそんなことをやっておるのですか、一人の食費が幾らという計算をせずに。
#79
○説明員(坂村堅太君) 生活保護法の算出のしかたにつきましては生活保護課のほうで知っておりますので、申しわけございませんけれども……。
#80
○木村禧八郎君 四十二年度の予算と経済見通しとの関係について伺いたいわけです。
 まず最初に、四十二年度予算編成にあたっては、四十一年度の経済見通しですね、これは実績見込みですね、それと四十二年度の経済見通しというものが前提となって予算編成されたと思うのです。それでまず最初に伺いたいのは、四十一年度の経済は、御承知のように七千三百億の公債発行を財源とした積極大型予算を組まれまして、いわゆる財政主導型の景気対策が打ち立てられたわけです。その結果、日本の経済指標で見ますと、経済の伸びは当初予想よりはるかに大きくなったわけですね。それはまた、はるかに、設備投資なんか見ましても、一・一%の上昇率を予定したのが結局は一二・二%までふえた。だから予想外の上昇率を示したわけです。そこでこの評価ですが、不景気対策ですね、大型予算、公債発行を材料としてどういうふうに長官は評価されたか。それは佐藤総理は、公債発行政策は成功であった。不景気を打開したのだと、こう言われておる。そこでまたインフレも起こらなかったと、こう言っておるわけです。長官は、四十一年度の公債発行を中心とするいわゆる財政主導型の不況対策ですね、これによってさっきお話したように経済指標から見る限り非常に日本の経済は回復をした、これは成功であったと見ますか。あるいは一面成功の面もあるでしょうが、かなり私はマイナス面が相当あると思っているわけです。これは質問していきたいと思うのですけれども、全体として長官はどういうふうに評価して、その上に立って四十二年度予算を編成しておるわけですから、まず四十一年度の積極財政を中心とする不況対策の評価というものからまずはっきりさしておく必要があると思うのです。まずその点を伺いたい。
#81
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私は政府が所期の目的を達することができましたから成功であると概括的には思っております。私自身これは不明を申し上げるわけでございますが、あの程度では景気回復はむずかしいだろうと実は思っておりましたのですが、そうではございませんで、むしろかつて不況だと考えておった経済の落ち込みがそれほどではなかったということになるのかと思いますが、まず所期の目的を達したと、こういうふうに概括的には考えます。
#82
○木村禧八郎君 所期の目的を達したと言われますが、見通しの誤りについては率直に言われましたからこれ以上追及しませんが、特に福田大蔵大臣ですね、大きな誤りを犯したと思うのです。たとえば構造的不況という見方、それでデフレギャップを大体六兆から七兆円と見まして、それでこれは二、三年ぐらい続くのだ、低圧経済だ、それで公債発行も二、三年はふえていく、ふやさなければ不況を打開できないという、そういう見通しだったのですけれども、まあ、それはいまから見ると構造的不況というよりも、むしろ循環的不況ではなかったか、もちろん構造的要素もないわけではないのですけれども、この点責めても過去のことですから、また長官もその点はお認めになりましたから追及しませんが、しかし成功と言われれば、私は現在及び長期にわたっての観点から評価しなければいけないと思うのですね。ところが成功と言えない点が二つあるのですよ。一つは物価なんです。卸売り物価が〇・七%の上昇率を見込んだのが四%の上昇率になっているでしょう。これはたいへんな大きな変化です。いままで卸売り物価はほとんど上がらなかった。しかし、それが四%上がったということはこれは大きな変化です。それからもう一つは国際収支の輸出入の伸びの問題です。当初予想では輸出が一〇・五%、輸入の伸びは九・五%伸びるという見通しだったのです。ところがその最近の実績見通しでは輸出が一四・八%の伸びで、輸入が一九・一%の伸びになっている。輸出入の伸びが逆になっている。これは今後の国際収支に対して警戒しなければならない姿を示していると思うのです。とにかく物価と国際収支にこういう危険信号とも言われるべきようなものをあらわしておると思うのですよ。こういう点を反省しないで、ただ成功した、たとえば成長率とか、あるいは鉱工業生産が予想よりはるかに大きくなった、それだけで手放しに成功したと言っていいのか。これは今後に、将来に大きな問題を残すものと思うのですが、いかがですか。
#83
○国務大臣(宮澤喜一君) 成切したと申し上げましたもう一つの理由は、ちょうど昭和三十九年の夏ごろから昨年の暮れまででございますから一年半ぐらいでございますが、この間に為替銀行のポジションが九億ドルぐらいはよくなっていると思います。それはつまりそれだけわが国の外貨事情にゆとりができたということになるわけでございますから、国内で景気回復をはかりながら、なおそういう成果をあげたという点は、やはりその点も評価していいのではないかと思うのでございます。
 そこで、その次のお尋ねの問題でございますけれども、四%卸売り物価が昭和四十一年度に上がるであろう、そういうふうに考えますが、これには二つ三つ複合した原因があるように思います。一つはやはり非鉄金属の相当な暴騰があったということ。これは四十一年だけで見ますと、卸売り物価の高騰に対する寄与率がそれだけでたしか三割ぐらいあったように思うのでございます。これはまあしかし問題は片づいたと言ってよろしいのではないか。それから今後も片づかないであろうと思われますのは、木材のようなものでございます。つまり一種の第一次産品に近いようなものはなかなか供給が需要に簡単には対応できないであろうと思います。これは今後とも尾を引くかと思います。それから暮れから正月にかけまして、鉄、それから繊維類の上昇があったわけでございますが、鉄の中でも形鋼とか、丸棒とか、そういう中小企業の製品が御承知のように上がりました。これもしかし一月の半ばごろが峠で、もう大体落ちついておる。まだ高水準ではございますけれども、今後上昇の形勢にはないのではないかと思うのでございます。それから繊維は三月にカルテルをやめましたので今後落ちつくであろうというふうに期待ができます。そういたしますと、確かに四%の上昇があったということは前例のない意外なことではございましたが、その原因を一つ一つ尋ねてまいりますと、今後に問題を持ち越しそうなのは木材、そういうものではないだろうか。ウエートでいえば比較的小さいものでございます。したがって、卸売り物価については、私は消費者物価と違いまして、上昇があれば今度は反落がある。やはり商品市況のような性格のものだと思っておりますので、この四%の上昇というのが、再び四十二年度に起こるだろうとは私は考えておりません。それから輸出入の関係でございますが、確かにただいま御指摘のようなことがございましたが、これはやはり景気が徐々に回復するに従って、在庫の手当てをするとかいうようなことで、輸入が予想を上回るということはこれはしばしばあることでございます。ことに自由化をしておりますので、思惑の輸入があったというふうには考えません。むしろ景気上昇に伴うものであると考えております。輸出がこれが一番問題だと思いますので、どうもここへきまして内需に輸出が食われているような気配が見えますので、この点は確かに四十二年度は注意をしてまいらなければいけないと思っております。
#84
○木村禧八郎君 物価の騰貴に対する認識は非常に長官と違うわけです。また総理なんかとも非常に違うのですがね。インフレでないということを言っているのですよ。どうもインフレということを、悪性インフレの段階に入らなければインフレというようには理解しないようなんですね。私はインフレというのは、まあ講義めいて失礼ですけれども、近代国家では最近三つの原因があると思うのですね、値上がりの。長官もよく御存じの、一つはデマンド・プルですよ。もう一つはウエージ・プッシュでしょう。第三にはアドミニスタード・プライス、この三つだと思うのですよ、大体大きく分けて。日本の場合はそのデマンド・プルとアドミニスタード・プライス、これが物価値上がりを大きくしている原因だと思うのですよ。そこで一番見解が違ってくるのはウエージ・プッシュの問題なんですけれども、これはあとで質問いたしますが、したがって、これまでのずっと経過を見ますと、需要増加によって物価を押し上げてきたのは、ちょうど池田内閣の高度経済成長段階に入ってから日銀貸し出しが非常にふえて、金融面からいわゆるデマンド・プルの状態があったのですよ。それから四十一年度の高度成長段階に入ってから、今度は財政面からの公債発行によるデマンド・プルの段階に入ったと、こう見るのですよ。なるほど個々の商品の値上がりは、それは需給関係からやはり値上がりするのですけれども、その需給関係に影響してくるのは、やはりそのもとになるのはデマンド・プルなんですよ。どうもこれについての認識が十分でない、非常に安易に考えている。物価問題懇談会で、特に四十二年度予算編成にあたって、その成長率の範囲内に財政規模、予算の規模の伸び率を押さえよとか、あるいは公債発行を前年度より減らすべきだとか、そういう答申をしたのは、やはりデマンド・プルにこの物価値上がりの原因があるということを一つ私は考えての答申であると思うのです。いままでそういう答申はあまりなかったと思うのですよ、個々の価格対策についてはずいぶんあったですけれども。しかし、物価対策というのは、いわゆるデマンドの側の調整ということがほんとうの意味の物価対策で、それで悪性化した段階でないとインフレと認めないというような見方は私は当たらないと思う。今後その点は非常に日本の財政経済を運営するにあたりまして、そういう考えでは危険だと思うのですよ。ことに公債発行の段階に入りまして、この点は十分に私は認識を深めていただきたいと思う。
 それからあまり卸売り物価は上がらぬだろうと言いますけれども、四十二年度の見通しで、最初は〇・七%と予想した。で、一・二%にこれは修正したんですね。すでに修正しているのですよ。そういうところなんかやっぱり問題がある。それから消費者物価についても、これは前に長官と議論しましたが、やはり消費者物価指数を、あの点は拡大的に――統計局でお調べになっていただけば、約一ポイント、〇・八違いますよ。正確に〇・入違います。そうすると、大体五%平均ぐらいのところですよ、指数で見ますと。それは下がったとは言えないですよ。だから、この点とそれから管理価格、これがやっぱり物価値上がりの原因である、こう私は認識しなければいけないと思うのですが、どうですか。
#85
○国務大臣(宮澤喜一君) まず具体的な数字のほうから申し上げますが、四十二年度の卸売り物価一・二%上昇としておりますのは、これはもう木村委員、御承知のとおりでございますけれども、両年度の平均を比較いたしますために、私ども俗にげたと言っている部分がございます。そうして、実は四十二年度一・二%上昇ということは、年度自身をとってみますと、卸売り物価が下降しなければならないわけでございます。年度中に上昇があるのじゃなくして、何がしかの下降がございまして、なおこの両年度の比較ではこれだけのものが残る、こういう意味でございます。
 それから消費者物価について言われましたことは、私ども米価の値上げ等々を考えて、何か意図的に食料品のウエートを低くして、他のものを上げたのではないかというような、あるいはそういう意味合いを含んだ御質問かと思いますけれども、全然そうではございませんで、これはもう統計局が非常に独立の役所でございまして、そういうことはとても考えられないことでございます。なお、四十一年度について申しますならば、実は生鮮食料品はむしろ下がりぎみでありまして、保健衛生費でありますとか、教養娯楽費でございますとか、ああいうものが上がったわけでございますから、私どもには、旧指数のほうが、損得から言えば、むしろ得であったような感じもするのでございますから、そういう意図がなかったことだけは、これはお認めいただきたいと思うのでございます。
 なお、両方の物価指数をある程度計算して比較を一部しておりますのでございますが、まあどちらでとりましてもあまり大きな開きはないような資料を私ども持っております。あるいはお目にかけられるのではないかと思っております。
 それから、そのもとの問題でございますが、いまのデマンド・プルとアドミニスタード・プライスのことでございます。まあどの程度からデマンド・プルと言うかということはいろいろむずかしいんだと思いますが、しかしデマンドがあるから成長したんだということは言ってもいいじゃなかろうか。したがって、その成長を助ける意味で管理通貨がそれをささえて助けてきたということだと思いますので、まあ十何年という長期で見ます限り、私は日本の通貨の管理のしかたは大体成功してきておると考えております。それは政府の功績というよりは、やはり自由な批判だの、国民の監視だのがあるということが、この成功の根本の原因だったと思うのでございますが、私は成功してきたと思います。ただ、こうやって信用を造出いたしますから何がしかは貨幣の価値の減価があった、これは認めなけれげならないと思いますけれども、しかし、その間で経済がずっと成長してきたということから考えますと、この管理通貨方式そのものは成功であって、俗に言うインフレーションの原因になるようなデマンド・プルというものは、私はいままでなかったのではないか。今後もないように注意をしなければなりませんけれども、そういうふうな考え方をしております。
 それから管理価格、これは残念ながらやはり一部にまだございます。公正取引委員会等々の活動が最近はようやく活発になってまいりましたので、だんだん直ってまいるかと思いますが、一部にアドミニスタード・プライスというものがある。これは直していかなければならないと考えております。
#86
○木村禧八郎君 先ほどの新指数と旧指数の問題ですが、ことに食料のウエートなんか、主食なんかは全体のウエートを一万として主食は二二七三を八八九にしているのです。主食は非常にウエートを下げている。それから調味料は三二五を二二
○にしている。その他生鮮食料品は三二四を二九四に下げています。野菜は三五四を三三一に下げている。加工食品は四〇五を三五四に下げています。このようにかなりウエートを下げております。それは意図的ではなかったかもしれません。五年に一ぺんこれは変えることにはなっているのですよね。ですけれども、その事実は事実として、こういうウエートを変えたから指数が低く出ているというこの事実は認めなければならぬと思うのです。その事実は。それを私は言っているのです。たまたま特に主食と調味料のウエートが非常に下がっているものですから、そこで消費者米価の値上げと、それからみそ、しょうゆとか、調味料の値上げを前にしてそのウエートが非常に下がっているから、意図的じゃないかというふうに見たのですけれども、しかし、五年に一ぺん変えることになっているのは知っております。ですから、そういう事実としてそういう影響があったということを言っているわけです。
 時間がありませんから、もっと本質的な質問に入っていきたいと思うのですが、次に伺いたいのは、四十二年度の経済見通しですね。四十二年度予算編成の前提になったのは、昨年の十二月の見通しではなかったかと思うのですが、そうじゃないですか。
#87
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの前段のことでございますけれども、御指摘になりましたように五年ごとに改訂をいたしますので、カバレージも、品目にしましても地域にいたしましても今度はだいぶ広げましたのと、それから新しいもの、生活様式の変化に従いまして、インスタントラーメンであるとか、チーズとか、そういうようなものかと思いますが、そういうものを入れたり、古いものを落としたりして、一万のうちで確かにただいま仰せられましたようなものは下がりました。これは現実的にエンゲル係数が下がって生活内容が変わってきて、マーケットバスケットの中でそういうものが占めているウエートが減ってきたということを反映したのだろうとと思います。詳しくは統計局から御説明があれば一番よろしいと思うのでございますが、その反面では雑費、保健衛生とか、保養、交通、通信、教育、ここら辺のところは二〇〇くらい上がっておりますし、住居も一〇〇以上上がっておりますので、こういうものに生活のウエートがかかってきたということをそのまま反映したのだというふうに考えております。
 それから四十二年度の予算の編成についてでございますが、五兆円というワクをきめ、国債発行、当時は千二百億、ここらのところは年末の経済見通しで大まかにきめまして、そうして解散になったわけでございます。その限りでは、ですから、ただいま御指摘のようなことが言えると思いますが、しかし、年が変わりまして、具体的に予算編成をいたしますときに新しい経済見通しを立てまして、それに従って五兆円のほうは動かしておりませんが、国債のほうは減額をした。あと諸支出、それから減税計画等々もすべて新しい見通しに基づいてやったわけでございます。
#88
○木村禧八郎君 ほんとうですか。それはあとで、三月十三日の閣議で発表されておりましたね、新しいのを。そうでしょう。予算がきまってからですよね。そうでしょう。それから伺いたいのは、一応三月十三日の閣議で承認して発表されました数字は、これは注がついておりますけれども、かなり政策的意図が含まれている見通しであったということになっているでしょう。ですから非常に内輪ですよ。民間では設備投資一五%から二〇%、金額にして一兆二千億から一兆五千億、あるいは開銀なんかもっと大きな見通しをしておりますね。政府のほうは一四・八%、こういうあれです。ところが昨年の見通しは一二%だったですね。大体一番問題になってくるのは、景気が過熱化するかしないか、予算の規模が景気過熱に対してそういう刺激的に何かならないというか、一番問題になるのは設備投資の問題だと思うのです。それが五兆円のワクをきめるときには一二%の見通しだったでしょう。それがあとで一四・八%の見通しになっており、しかもそれが内輪であって、かなりの政策を加えなければ一四・八にならないというので、実際は民間あたりでは一五%とか、二〇%といわれているでしょう。ここで非常にもう狂っている。その点一つだけから見ても実際に合わないのです。この予算案は合っていないと思う。現実のいまの時点になってからの見通しと、予算編成のときの見通しとが合っていないから、したがって、結論的に言えば、あとでいろいろな指標で尋ねてまいりますけれども、かなり景気刺激的な予算になってしまっているんですよ。この点は長官は三月三日の閣議でかなり警戒論を出されたけれども、私は何もあれを改める必要はないし、むしろますます警戒的になると思いますよ。その点どういうふうにお考えですか。
#89
○国務大臣(宮澤喜一君) ほんとうでございます。といいますのは、これが三月十三日になっておりますのは、政府の財貨サービス購入というところの予算が確定いたしませんと数字が入りませんので、そうなっておるのでございますが、実際は私どものほうで見通しの作業をやりながら大蔵省がそれを見つつ予算編成をするといったような、ずっと何週間か期間がございますので、予算案そのものは実質的見通しによっておると申し上げて間違いないと思います。
 それから十二月の時点と三月の見通しとの関係でございますが、十二月に見通しを出しましたときに、確かに少し窮屈な見通しを私は出したと思います。それは多少意図がございまして、予算の編成に際して比較的放漫にならないような規模及び国債の増加が望ましいと考えましたので、多少窮屈なものを出したきらいはございます。それから三月のただいまの正式の見通しでございますが、どちらかといえば、私も木村委員のおっしゃっておられるように考えます。と申しますのは、ごらんのように国際収支をゼロにしておりますので、これ自身かなりある意味で警戒的な見方でございます。また運営の基本態度についても、もし事が起こったときには遅滞なくいろいろな処置がとれるようにということを相当はっきり申しておりますので、この見通しどおり経済を運営するということは相当の注意を必要とする。どちらかといえば見通しが窮屈だろうとおっしゃれば、私も相当注意をして運営いたしませんと、この見通しのようにはならないということを申し上げております。しかし、できないことではないという意味でございます。
#90
○木村禧八郎君 そこが非常に問題でして、政府は四十二年の予算は景気に対して中立的であると言うんですよ。中立的であるという立論は、昨年十二月の経済見通しに基づいて、さっきも長官言われましたように、大ワクは五兆円――四兆九千九百億円、それから公債発行が八千二百億、その後それでは今度の四十二年度予算は三月十三日に発表した新しい経済見通しを基にして編成した、それは認めていいですよ。しかし、そうなると、これは非常にその後の経済情勢が変わっているのに、本来ならばもっと圧縮しなければならないのにかなり景気刺戟的になっている。具体的にひとつ申しますと、政府は景気刺戟的でない理由として、たとえば一般会計の伸び率、財政投融資の伸び率、それを前年度に比べれば伸び率は低いと言っております。これが財政法二十八条によってわれわれに提出された純計予算――一般会計、特別会計、これを見ましたら、四十二年度のほうが伸び率が高いのです。これはどういうことなんですか、伸び率が高い。四十二年度の、四十一年度の特別会計と一般会計の純計に対する伸びは一兆三千七百五十七億で一七・八%、さらに前年は一七%なんです。だから特別会計を除いているものですから、これに今度は財政投融資がある。その財政投融資を入れてみましても伸び率は大きい。特別会計は除外しているのです。そうなると、一そうこれは景気過熱的ではないか。それから大蔵省のこれは赤羽総務課長さんが金融財政時報、これに載せられている資料を見ましても、財政投融資と一般会計の純計の国民総生産に対する比率を出している。これを見ましても前年度とたいして変わらないのですよ、比率は多少低い、〇・一%ぐらい。そうしますと、それは、四十一年度は当初予算は設備投資が一・一%程度しか伸びないというので財政主導型の積極財政を打ち出したのでありますが、今度はそれが一四・八%も設備投資がふえる。そういうもとで四十一年度より特別会計を入れた場合の一般会計、特別会計の純計、それから財政投融資も入れて、純計で見ても前年度より伸び率は高いですよ。だから政府の説明は不十分ですよ。特別会計を除いているのです。そうなると、これは景気刺戟的である、そういう面からも言わざるを得ない。これを単に運営だけでいいのだ――私は、運営だけで景気刺戟的でなくできるとそれは当局としては言わざるを得ないと思います。しかし、中立的であるということは根拠がくずれているのです。いまお話のように、くずれていないと言うなら純計で比較してごらんなさい。明らかに根拠がくずれている、その点はひとつ長官はお認めにならなければならないと思います。そういう中立予算であるという立場に立って今後運営していかなければならないと思います。私はそう思いますが、いかがですか。
#91
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政が景気に対して刺戟的であるとか中立的であるとか、私ども自身もそういうことばを使いますが、実際にそういうことばを厳密に定義しろと言えば、実際私ども自身も定義できないように思うのですが、感触というわけでもないと思いますが、定義づけはむずかしいと思います。ただ、私どもの申しております意味は、一番財政が国民所得の計算の上で直接関係いたしますのは、政府の財貨サービス購入でございます。これは特別会計、一般会計、中央、地方財政全部を含めたものでございますが、その中でも経常支出と資本支出とにそれを分けますと、資本支出の部分が一番経済に対して影響をする、作用をするものでございますが、これが四十二年度の場合には前年度対比で一四%になっております。四十一年は前年比で一八%――一七・九でございますか、でございますので、これで見る限りは、四十一年度よりは四十二年度のほうが政府の財貨サービス購入が経済に及ぼす影響は伸び率で言いますと小さくなっておる。これはそう申し上げてよろしいじゃないかと思うんでございます。ただ、だから経済に対して、景気に対して中立的であるかないかということになりますと、その中立的ということばがもう一つ厳密に定義できないわけでございますが、政府の財貨サービス購入をとってみて考えるということは私はそれでよろしいじゃないかと思うのです。そうしますと、それは伸び率としては確かにかなり低下しているということでございます。
#92
○木村禧八郎君 私は政府がこの一般会計と、それから財投の伸び率を比較しまして、そうして率が低い、だから刺激的でないと、こう言っていますが、いまお話ですと、財貨購入ですね、財貨購入を考えてみると、前年に比べて低いと、こう言っていますが、しかし、私は景気刺激的であるかないかを判定するにはそれだけではもちろん足りないのであって、私はもう一つ公債発行との関係があると思うんです。そこで伺いますが、四十一年度の公債発行は結局幾らになると最近見通しですか、七千三百億だったですけれども。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) 六千六百五十五億でございます。
#94
○木村禧八郎君 そうしますと、最初八千二百億発行するはずだったですね。それをまあ八千億に縮めましたね。二百億縮めましたけれども、四十一年度六千六百五十億ですか、それと比較すれば今度はたいへんに大き過ぎるんじゃないですか、どうなんですか。
#95
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はつい最近にさらに削減を四十一年度したわけでございますが、まあ笑い話では、そうしたらこの国債依存率が四十一年度と四十二年度の比較はどうなるであろうかと言って内輪で笑い話をしたんでございますが、しかし、この八千二百億自身も、大蔵大臣がしばしば答弁をしておりますが、税収との関係では弾力的に考えると言っておられます。したがって、最終的に四十二年度の国債依存率は幾らであるかということは済んでみないとわからぬということになると思うんでございますから、まあそれを気にして四十一年度の削減を渋るということもなかろうと、まあ申したんでございます。
#96
○木村禧八郎君 そこは非常に皮肉なことになってしまったんですが、最初は四十一年度の国債依存の率は一六・九%、四十二年度が一六%ですか、逆になってしまうと思うんですね。今度はむしろ依存率を低めていくというより高くなってしまう。しかし、今後八千億予定しても減らすかもしれませんが、しかし、これは成長率とそれから自然増収との関係になってくると思いますね。それから四十一年度の自然増収はどうなるか、四十一年度の予定よりどのくらい多くなりますか。
#97
○政府委員(塩崎潤君) 千四百六十億円の補正予算を計上したわけでございますが、その当時は十一月ごろの経済見通しのもとに立てましたが、先ほど来から申されておりますように、経済がだんだん大きくなりつつありますので、千四百六十億円を上回る自然増収が生ずることが確実であるということがだんだんと見込まれる。それが幾らになりますか、三月十五日の確定申告の収入が相当大きなウェートを占めてまいりますので、まだはっきりしたことは申せない段階でございますが、相当な自然増収は生ずるということが言えるかと思います。
#98
○木村禧八郎君 われわれに出してもらいました資料で、収入歩合ですね、租税の。あれを見ますと、ずいぶん伸び率はいいようですね。九〇何%でしょう、最近。前年度は八八%ぐらいですね。そうすると、かなり自然増収は多いんじゃないですか。四十一年だけでも、大ざっぱに、ちょっとどのくらいですか。
#99
○政府委員(塩崎潤君) 二月末の租税印紙収入では二・一だけいいわけでございます。それはもう法人税の即納率の上昇等がございますので、これがこのままいけば六百億ぐらいの自然増収が生ずるかと思いますが、ただ四月……。
#100
○木村禧八郎君 補正組んだあとに。
#101
○政府委員(塩崎潤君) あとでございます、補正後に対しまして。前年度は決算に対しまして八八・二%の収入歩合でございましたが、二月末の本年度におきましては九〇・三%、つまり二・一収入歩合の向上がございます。ただし、これには四月末日が日曜日という要素がありますので、それを差し引いて考えなければならぬ。それからもう一つは先ほど来申し上げております三月の確定申告の状況がまだ入っておりませんので、いま申し上げましたように確実な数字を言い得ないような状況でございます。
#102
○木村禧八郎君 もう一つ、長官に質問する前に主税局長に伺いたいんですがね、四十二年度の自然増収は幾ら見ましたか、本年度予算編成で。減税前の。
#103
○政府委員(塩崎潤君) 減税前で七千三百五十億円見積もってございます。しかし、これは四十一年度の減税の平年度化が千億ばかりございますから、実は八千三百五十億円ぐらい見積もった結果になります。
#104
○木村禧八郎君 このうち所得税の自然増収は幾らですか。
#105
○政府委員(塩崎潤君) 所得税だけの自然増収は……。
#106
○木村禧八郎君 減税前の。
#107
○政府委員(塩崎潤君) 減税前におきまして二千二百四十五億五百万でございます。法人税が、ちなみに申し上げますと、二千九百二億二千百万。
#108
○木村禧八郎君 それで弾性値はどのくらい見ていますか。
#109
○政府委員(塩崎潤君) 一・五三でございます。
#110
○木村禧八郎君 長官に伺いますが、七千三百五十億の自然増収ですね、これは大体四十二年度予算編成をするときに政府が発表した経済見通しに基づいて、あの成長率に基づいてこれだけの自然増収を見込んだと思うんです。あるいは昨年十二月に発表したあの見通しに基づいてこの自然増収を見込んだのか。私は昨年十二月のじゃないかと思うんです。そうでないと、そんなにあれが早くわかりっこないですよ。どっちなんですか。
#111
○政府委員(塩崎潤君) ごく最近の数字に基づきまして見込みました。
#112
○木村禧八郎君 じゃ、さらにこの成長率は内輪だと見られている。また物価の上昇いかんによっても変わってくるわけですけれどもね。ことに設備投資はこの予想よりもっと大きいと言われているんです。そこで、最近財界ではこの自然増収見積もりは過小だと言っていますよ。さらに三千億ぐらい上乗せできるのじゃないか。どうですか。そうなると、八千億の公債発行はこれは非常に過大ではないかと思うんです。長官、いかがですか。
#113
○国務大臣(宮澤喜一君) 大蔵省は見通しを間違えますときは大体控え目のほうに間違える役所でございますけれども、しかし、それがどのくらいの額であるかというようなことは、いまからとてもちょっと想像できないように思うのでございます。それはただの国会答弁としてでなく、ことしの経済がどういうふうにこれから歩きますのか、必ずしもその拡大の一歩をたどるというのではないかもしれませんし、途中でこの変化が生ずることもないとも言えませんし、私はいまそういう自然増収がさらにあるというふうに考えるわけにはちょっといかないんじゃないか。ことにそれを金額的に、ただいま仮の数字を仰せられましたけれども、ちょっとそれについては私何ともお答えができないように思うのでございますが。
#114
○木村禧八郎君 まあそれはたよりない答弁ですけれども、現時点から見れば、大体、経済企画庁の仕事というのはそういう仕事じゃないですか、総合的に経済指標から見まして。それでこの見通しは発表していいんじゃないですか、この見通しを発表し、この見通しもこれはかなり内輪に見た見通しなんですよね。かなり政策的に押えておる。常識的にいって四。五%に消費者物価を押えられると見ている人はありませんよ。大体六%ぐらいと、こう見ているでしょう。ですから私は自然増収を大蔵省はいつも内輪に見積もる。これは大蔵省としては当然だと思う、立場上。しかし五百億や六百億の自然増収の違いじゃないのですよ。私は前に何回も経済成長段階で歳入の問題についてずいぶん池田さんとも論議をしましたですよ。だから、ことに四十二年度においては自然増収の見積もりは非常に重要なんです、公債発行額と関連しまして。私はどうしてもこの八千億の公債発行をすればその面からも景気を過熱化させる、だからもし過熱の危険が生じたら、つまり国際収支が悪くなる、あるいは卸し売り物価、消費者物価が上がり出すというときに、これは三千億も予想以上に自然増収がありますよ、必ずありますよ。私はそう確信していますよ。三千億ぐらい公債を減らすのかどうかです、そのときに。
#115
○国務大臣(宮澤喜一君) それはこういうことではないかと思います。四十二年度が進んでまいりまして、ある段階までいきますと、ただいまよりはもう少しはっきりその辺のことがわかってまいると思うのでございます、経済がどっちの方向に動くかということが。そうしますと、ある程度大まかには八千億全部を発行しなければならないのか、あるいは相当の節約ができるのかという見当がついてまいりますと思うのです。そうしましたら、かりにそういうことになれば、その段階からの四半期ごとの発行量を調整していけばいいんではないか。ただ、それがそのとき次第だと思うのでございます。ただいまから三千億あるからといって、それをもうそれだけは削れるだろうというような即断をするわけにはやはりまいらないので、年度が進んでいきまして、その時点、時点で判断したらいいことじゃないかと思います。
#116
○木村禧八郎君 それはいろんな指標から見まして、そんなたよりない御答弁している時期じゃないと思うのですよ。それは前に、三月三日の閣議で、長官が警戒論を言って、新聞ではいろいろ若いくせになまいきだとかいって批判されていましたけれどもね。それはぼくは長官のあの警戒論は、その後もっと私は何とか真実性を持ってきていると思う。何も別にまた警戒論をここで繰り返して、あなたを袋だたきにさせようというわけじゃないのですがね。私はその後やはりいろいろの経済指標の動きを見まして一そうその感を深くしているんです。というのは、しょっちゅう日本の経済の変動のあれを繰り返すことはよくないわけですね。このままいきますと、また国際収支に問題が起こり、またデフレ的になって成長率は低下する、そういうことをまた繰り返して、それで物価のほうは不景気になる一方だ、こういう状況が必らず訪れると思う。それで最近、全国銀行協会の連合会が四十二年度の資金の需給を発表しました、御承知のように。これによりますと、資金不足が一兆一千二百億に達して、四十一年度実績見込みの二倍近くになるという見通しなんです。この中には、国債の消化というものも含まれて資金不足になっていくことになっておるのですがね。そうすると、この一兆一千二百億の資金不足を、これをどうして調整するかといえば、結局私は、日銀のすでに発行した国債の買いオペとか、あるいは貸し出しの増加とか、そういう形でこれは調整されていくと思うのですよ。そうなれば明らかにこれは通貨膨張、インフレになっていくのでありまして、実質的には八千億の公債が日銀引き受けと同じことになる可能性は、公算は非常に大きいと思うのです。その点はどうですか。
#117
○国務大臣(宮澤喜一君) いまの資金不足一兆一千億という数字は私も見たことは見たのでございますが、内容はこまかくは当たっておりません。おそらくまあ金融機関でも手持ちの証券もございますし、いろいろ流動化し得る資産もございますので、その辺のことはあの計算にどうなっておるのか、そこにもひとつ問題があるだろうと思いますし、私どものほうは大体とんとんくらいになるのじゃないかということを考えておるわけで、だいぶんその間に見方の違いがございます。しかし国債のオペレーションをするにいたしましても、先日来、総理大臣がしばしば申し上げておりますように、一年未満のものをオペレーションの対象にすることはないわけでございますから、したがって、まあこれはこんなことを申し上げるまでもございませんが、既発行の国債は、これだけの仕事をして、そしてオペレーションに買われていくわけでございますから、物と金とが直接日銀引き受けになる場合に生ずるようなアンバランスというものは生まれない、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、その一年未満は取らないという立場をくずせば別でございますが、くずすつもりはございませんので、そこから貨幣だけがふえるということにはならないと考えるのでございます。
#118
○木村禧八郎君 その点は長官まだよく御存じないのですよね。この前、四十一年度予算のときずいぶん議論したわけですけれどもね。市中銀行が何も当年度に発行した公債だけを持っておるわけじゃないのですよね。日銀の買いオペの対象になるとか、貸し出しの対象になる、有価証券はそのほかにも一兆円くらい持っています。それを日銀に持っていけばいいのですよ、買いオペの対象にするなり。ですから前に福田さんにも質問したことあるのですよ。社会党さんが、一年間はオペの対象にするな、貸し出しの対象にするなとやかましく言われますからそうしたのですけれども、実際には意味がないのですと言っていますよ、それは全然意味がないわけじゃないのでしょうけれどもね。だって片方でほかの担保を持っていけばオペの対象になるものを持っておるのですもの。そうでしょう、それで前にも銀行協会の方を呼んでここで公聴会やりましたがね。だからそういうことができる、だからそんな心配はないということになると思うのです。そうじゃなければ市中銀行に引き受けさせられるはずがないですよ、政府が。そうじゃなければ強制引き受けみたいになる。強制引き受けじゃないというのは、資金が逼迫すれば資金の需給を困難にしないようにするということになっておるのです。ですから一年買いオペの対象にしないとか、貸し出しの対象にしないから通貨膨張にならないというのは、これはあさはかな考え方なんです、しろうとの考えなんです。そうですよ。ですから、そんなことでこの公債発行の問題を考えたんでは、これは全く実際と違ってくるんですよ。その点はわれわれは甘く見ておりません。政府がそんなことを言ったってだまされませんよ。長官はだますことを言っているのじゃないでしょうけれどもね。それは違いますよ。それは知らない人にはそういうふうに答弁してもいいかもしれないけれども、それじゃ納得しませんよ。
#119
○国務大臣(宮澤喜一君) それは質草になる金融資産はたくさん持って市中銀行はおりますから、何も国債を出さなくてもいいのだとおっしゃる限りそうでございますけれども、そういう金融資産というもの、質草はそれだけの生産的な役割りを果たしておる、あるいは果たしつつあるものでございますから、政府が発行した国債がすぐにまっすぐに日銀引き受けになる場合とは、もう物と金とのバランスは明らかに違うと思うのでございますが。
#120
○木村禧八郎君 それから公債だけじゃないんですよ。政保債も前年度より千億よけい発行するわけですよね、政保債も、それから地方債もそうでしょう。全体を見ますると、その資金不足が一兆一千二百億になるのであって、この尻がどうしたって日銀券の膨張にならざるを得ない。そういうところからも、インフレなり物価値上がりになると思うのです。今後、日本のインフレの形は二つの形をとってくると思うのです。一つは国際収支が悪くなるという形、もう一つは、卸売り物価が上がるという形。ですから輸入をふやせば卸売り物価をそんなに上げなくても済む、そのかわり国際収支が悪いという形によってインフレの形が出てくるのですよ。ですから通貨を膨張させる、それで物価を上げたくなければ輸入をふやせばいい。そうでしょう。そのかわり国際収支は悪くなる。国際収支を悪くさせないとすれば、輸入をふやせませんから、そうすると資金量が多くなって、物との関係で物価が上がらざるを得ない。しかし、自由貿易が行なわれているんですから、結局物価が上がれば輸出意欲が停滞するでしょう、国内に売ったほうが得ですから。それで輸入がふえてくる。そのことがこの見通しにはっきりあらわれているんじゃないですか。先ほど長官も言われましたが、はっきりあらわれていますよ。四十一年度の当初の輸出入の伸びの見通しと、それから最近の見通しと、それから四十二年の見通しとでは、四十一年の見通しよりさらに悪くなっておりますね。輸出の伸びが一一・一%輸入のほうが今度伸びがさらにもっと多くなる。だからその点では非常に何というのですか、重大な変化があらわれている。こういうものを含めてやはりインフレ的な現象と見なければならぬのですよ。輸出が一一・一%の伸びに対して輸入が一四・八%ですよ。そうすると、四十一年度当初の見通しは、輸出の伸びのほうが輸入の伸びより大きかったのが、逆になって、輸入の伸び率が多くなってきた。こういうインフレ財政を続けていれば、こういう傾向はますますひどくなる。こういうのをインフレ的と言うのですよ、われわれは。ですから、そういう点を甘く見ないで四十二年度の予算を私は考えなければなりませんし、今後直すことができないというなら運営でやっていかなければならぬでしょうけれども、その点が中立的な予算であるとか、事実に合わないのに、いまだにそういう説明をしておることは、私はそれは誤りである。国民にほんとうのことを正しく伝えていない。実は四十二年度予算編成のときに、経済の成長をこの程度に見たけれども、その後非常に大きく変化したから、これはそのころと事情が違ってきているんだから考え直さなければならぬのだと、はっきりそう言われたらいいと思うんですよ。それだのに何かつじつまを合わせるようなことを言われているのは私はよくない、正しくない、国民に正しく伝えてない。このことは事実となってあらわれてきますよ、すぐに、この下期あたり。その点は、長官が最初警戒論を出したんですが、その点はますます私は警戒論を強めなければならない情勢になってきているのではないかと思うんですが、いかがですか。
#121
○国務大臣(宮澤喜一君) いまの輸入のところのご説はちょっと私違った考えを持っておりませんで、つまり一方で輸入が自由化されておるわけでございます。それは非常にいいことなので、政府はしたがって輸入を押える意思もございませんし、また押えることもできない。それで私はいいんだと思うのでございます。国際収支との関係は、冒頭に為替銀行のポジションのことを申し上げました。確かにこの二年ばかりで非常によくなっておりますし、したがって、まあ国際収支の天井ということを、昔言われたような意味で私どもあんまり心配しなくてもいいんだ、むしろせっかく貿易でしっかり稼いで資本輸出国にもなろうというんですから、そういう姿を今後とも続けていくべきだという意味で国際収支の問題を私ども考えておるわけでございます。ですから、国際収支が危くなって、輸入を政府がどうかしようということはその必要もないと思いますし、そういう意図は全然ございませんし、できもしないことだと思います。それで、確かに四十二年度は輸出の伸びより輸入の伸びのほうが多いと見ておりますのは、それはやはり景気回復に伴う、従来の二年近く止まっておりました設備投資が、やはり行なわれ始めるということからくる当然のもので、長期的に言えばこれはやはり一つの季節的なフラクチュエーションだと、こう考えていいんじゃなかろうかと思います。
 それから後段のことでございますけれども、私は別にどこかに向かって遠慮しているのではございませんので、正直のところ、一月、二月だけの統計では、両方ともちょっと普通の月でございませんから、もう一つさだかにどっちに向かって経済がいくのか、まだ言えないような気がいたしますんで、あるいは木村委員の御指摘になりましたような方向であるかもしれませんし、あるいはそうでないかもしれな、もう少しほんとは様子を見るのがほんとうなんじゃなかろうか、それならなぜあの機会にああいうことを言ったのかと申しますれば、一つはこの三月から四月にかけて各企業が新年度の設備投資の計画を銀行に提示をしていろいろ相談があるわけでございますから、そのときにシェア競争のようなことがまたぶり返さないように前もって申しておく必要があったということ、それは産業金融に対して望むことでございますが、労使に対しては、春の賃金決定というものが国民経済的に非常に大きな影響を持つものでございますから、それについてもなるべく穏やかな程度に願いたいということを言いたかったのと、それから政府自身のほうは国債を減額して心がまえを示す、こういうようなことを当面のねらいとして少し早目に申したということなんでございまして、過熱をするんだというふうに申したわけではございません。いまでもまだ私はそう思うだけの理由は持っておりません。注意をしなければいけないということは考えておるわけでございます。
#122
○木村禧八郎君 長官、いま国債発行下の財政経済になったんですね、この国債は一ぺん発行してしまうとなかなか翌年度において、八千億公債を発行したから、全部これをやめて税収に頼るということはできないわけですね、一挙には。そうすると、毎年毎年、前年度に発行した公債の上積み上積みにならざるを得ないんですよ、実際問題として。そうなると、将来の日本の財政経済が非常に不健全になる危険性があるし、四十一年度の公債発行下の日本の経済というものを十分ここで検討評価しなければならないし、私は公債発行によって財政インフレーションが起きた、つまり卸売り物価値上げが予想〇・七%が四%にも上昇する見通しとなった、輸出入が逆になってきているということは、かなり私は長期的にみてこういう傾向が続くのではないかとみているんですがね。一時的なものとは私はみていないんです。というのは、一番基本的原因になるのは公債発行なんですよ。これは簡単にやめられないということなんです。一たんスタートしちゃうと。ですから、そこに問題があるのであって、それがわれわれ公債発行に非常に強く抵抗したのは、一たん発行してしまうとそういうことになる危険があるし、したがって、四十二年度も輸出入の伸びが逆になっていることは、いま長官はこれは一時的な循環的な現象にすぎないと言われておりますけれども、私はそうじゃないと思う。もう四十一年から日本の経済は四十年の当時と変わってきているんですね。公債発行下の経済であるということにこれは十分留意しておかなければならぬと思うんですよ。それで私はいまのようなことを申し上げたんです。それで長官としては過熱化する過熱化するということは言えないでしょう、立場上。しかし、これは事実が証明してくれるものである。すなわち、設備投資についてシェアの拡大競争を起こしそうであるから、それを事前に調整するような警告的な意味でそういうものも含まれていると思う。現に鉄鋼のシェア拡大競争がとにかく調整つかないんですね。従来もそうだったわけです。従来もシェア拡大競争がなかなか調整つかない。権力でやらせれば統制経済になってしまうし、そこのところが非常なジレンマであると思うんです。
 これは議論になりますから、次に時間もなくなってきましたから伺いますが、消費者物価の値上がり四・五%と一応見通しておりますが、しかし、今後野菜なんかも循環的にことしは高くなっていくといわれておりますし、もうすでに牛乳も上がり、いろいろ消費者物価はもちろん、政府管掌の保険料の引き上げもありますし、私は四・五五%ではとうていこれはおさまらない。もしおさまるというんなら、どういう対処によっておさまるという自信を持っておられるか。
#123
○国務大臣(宮澤喜一君) 消費者物価は御承知のように積み上げ計算はできないものでございますから、いたしておりませんのですが、まあ四十一年度の場合五%でおさまるであろう、その場合にも四十一年には正月に米が上がりましたし、それから私鉄、国鉄、郵便料金、かなり大ものが幾つか上がったわけでございます。それに比べますと、四十二年度の場合、ただいま予定されておりますのは十月からの米でございます。それも年度に及ぼす影響はしたがって半分になるわけでございますから、四十一年度が五%でおさまったとしますと、四十二年度の努力目標として四・五%というのは私はそんなにできもしないことをいっているようなことではない。確かに野菜、生鮮食料品がもう一ぺん四十一年度のようにうまくいきますかどうか、それはわからない点がございますけれども、それに多少の動きがありましても、四・五%というのはそう希望的なといいますか、できそうもない目標ではないと思うのでございます。相当努力をしなければなりませんけれども、やってやれないほどの無理な見通しではないように思うわけです。
#124
○木村禧八郎君 主税局長に伺いますが、消費者物価値上がりがかりに五%とした場合の物価調整分はどのくらいになる計算ですか。
#125
○政府委員(塩崎潤君) 私どもは一%あたり約七十億円といういままでの約束どおりの計算では見積もっておりますので、四・五%約三百億といっておりましたが、それからやはり五十億円ばかりふえまして三百五十億円ばかりと推察されます。
#126
○木村禧八郎君 計算のしかたはいろいろあると思いますが、前に中山伊知郎氏が税制調査会で答申しましたね。あのときの答申では、大体所得税の三割、自然増収の三割、物価が五%上がった場合、そういう計算でしたね。
#127
○政府委員(塩崎潤君) その点につきましても昨年御説明申し上げましたように、中山方式と申しますか、あの計算方式では最高所得階層まで物価上昇の結果ノミナルな所得がふえる、その分まで調整しなければならない、そういった計算でございますので、それはどうも少し考え方としてはおかしいのではないか、消費者物価の影響は税制面への影響、つまり課税最低限への影響だ、こういうことで私どもは計算を出しまして、大体このほうがいいのだというようなことでございました。それがいま申し上げました一%あたり七十億ということでございます。
#128
○木村禧八郎君 私はそれでも一%七十億、三百五十億でしょう、物価調整分。だから、この物価調整分を引いたのが、これが減税というふうに理解すべきじゃないですか。
#129
○政府委員(塩崎潤君) これも約束でございます。約束といたしましては、消費者物価調整減税を引きましたものが実質減税というように言われるならば、そのとおりだと思います。
#130
○木村禧八郎君 そうすると、四十二年度千百億減税して約三百億、登録税、利子税等で八百億でしょう、この残り八百億円からこの三百五十億引いたものがいわゆる実質減税じゃないですか。
#131
○政府委員(塩崎潤君) その数字になりますと、私は千百億円から引いていただきたい。所得税の減税を対象とすべきでありまして、引かれるべき三百億のうちの中身が、先生いつも御指摘の利子配当分、あるいは交際費、それによる増収分でございます。さらにまた印紙税、登録税は増税というよりも、まあ、これまでの経済の実態に合わない低額税等の手直しでございます。その負担はおそらく企業の利益の中から私は払われると思いますので、そういった面では所得税の減税千百億円から引いたものを約束としての実質減税として御計算いただければいいかと思います。
#132
○木村禧八郎君 私は一応、中山方式でやれば六百六十億になるのです。二千二百四十五億が所得税の自然増収ですから。今後さらに自然増収が予想されるとすれば私は九百億ぐらいになると思う、中山方式ですと。三千億の所得税の自然増収とみれば、三割として九百億、それから百歩譲って、さっき言いましたように千百億から五%、消費者物価が上がった場合に一%七十億の増税になるわけですね。名目実質増加による累進課税によってその分引きますと七百五十億ですよ、百歩譲ってですよ。そうしたら八百億減税いかないじゃないですかね。そうでしょう、そういう点。それから消費者米価値上げによる千二百億円の負担があります。それから四百九十四億、政府管掌の料率の引き上げその他の負担があるわけですよ。そういうふうに考えますと、減税というけれども、それは物価値上がり等によって帳消しになっているじゃないかという、こういう考え方があるわけですよ。これは暴論ですか。
#133
○政府委員(塩崎潤君) 消費者物価調整減税というのは一つの考え方だろうと思います。そこで、いま先生が三百億あるいは三百五十億を千百億円の所得税の減税からお引きになったことは私は一つの考え方だと思います。しかし、そのほかにもう一つ消費者米価あるいは健保の保険料の引き上げ、これと減税額と比較しますことは二重に引いて計算したことになる。消費者物価の上昇の中には消費者米価の上昇も含めて四・五%と、こういうことになりますので、その点は所得階層によりまして必ずしも減税の及ばない面まで考えますと問題を生じますが、若干重複して引いた面もございますので、その点は問題かと思います。
#134
○木村禧八郎君 全部じゃないですよ、所得税を納めることのできないような人はこれは負担するのですよ、そうでしょう。そういう人はかなり多いわけでしょう。ですから、全部重複するとは言いませんよ。しかし、私の言わんとするところは、政府がいわゆる減税といっているけれども、実質的な減税は物価値上がりその他によって帳消しになっているということを言うのであって、ただ、ここに総理大臣を呼んでくればいいのですけれども、いま呼んでこられないから言うのであって、長官、言っておいてください、総理大臣に。佐々木委員長が衆議院の演説で質問したのですよ、帳消しになるじゃないかと言ったときに、そういう暴論はやめてもらいたいということを総理は答弁しているのですよ。暴論であるかどうか、いま私は実質的に物価調整分とか、その他の物価値上がりによるいろいろな国民負担を考えれば、実際には減税効果というのはほとんどなくなっている。減税というのはそれによって国民の暮らしが楽になる、そういう減税を欲しているわけです、国民は。だから、これは主税局だけはそれは減税だけを考えていればいいのですよ。主税局は減税ですよと言っている。しかし、全体として政府が考える場合には、一方で減税して一方で取ったらこれは何にもならぬわけですよ、実質的には。ですから、その点は長官どういうふうに考えているのですか。あとでまた総理にこの点はたださなければなりませんけれども、この法案を上げる前に総理に来てもらってもう一ぺんはっきり総理から答弁してもらわなければなりませんが、企画庁長官としての立場としてどういうふうにお考えですか、この点。
#135
○国務大臣(宮澤喜一君) 私はいままでのこの委員会の大蔵省の御説明するいろいろな約束等々を存じませんので、私は減税はやはり減税として、つまりノミナルなものを考えるのがほんとうなんじゃないだろうかと考えます。
#136
○木村禧八郎君 それでいいですよ、ノミナルである。それで、主税局長、あとで資料を出してください。ずっと、これは泉さんが主税局長のころから約束してあるわけですが、政府が減税といって発表するときには、物価調整分を引いたもので発表すべきです。両方発表すべきであるということを前にお約束を取りつけてあるのですよ。そういうふうにいたします、今後いたしますと言っておいて、いまだに実行していないのです。
#137
○政府委員(塩崎潤君) 資料はもうすぐにでも御提出申し上げることができるかと思います。これは全く、いま企画庁長官のお話にありましたが、約束でございますので、はたしてこれが減税と考えるべきかどうか、いろいろな意見がございますが、約束として計算すればすぐできるわけでございますので、資料として私どもは御提出申し上げたいと思います。
 なお、いま減税と消費者米価あるいは健康保険料の引き上げ、これとを対比されておりますが、確かに生活の面から見ますとそういうようなことがいえるかもしれませんが、私どもは所得税の減税は、やはり所得税の負担が重いから減税、そういった意味では私は長官と同じ所得税の減税はノミナルで見るべきだと思いますし、健康保険料あるいは消費者米価の引き上げはまた別個の理由、つまり消費者米価につきましては、背後にありますところの国民所得の増加とか、あるいは食管会計の赤字とかいろいろな理由がございましょうから、別の面からの引き上げであって、それは国民所得の増加の中でどういうふうに吸収されるかといった別の問題であろうというふうに私どもも理解いたしております。
#138
○木村禧八郎君 主税局長はそれでいいんですよ。われわれはわれわれ国民のさいふというものをもとにして質問しているんですから、一方で所得税が減っても他方で負担がふえてしまったんでは、それは意味がないということを、これは政府全体として――主税局長の守備範囲じゃないかもしれません。それはチームもいろいろありますからね。全体としてわれわれ考えなければならぬから質問しているわけですね。さっき資料としてすぐ出せると言いましたから、その場合、消費者米価については二重計算がある程度あるとします。二重計算を除いて所得税を納めることのできないような人の負担は幾らになるか。それから政府管掌のあれは、おもに中小企業ですからね、三十人以下の中小企業です。千二百万人対象ですから、そのほうが四百九十四億負担がふえるのですから。その点もやはり計算して、それは厳密に出してみてください、ちゃんと。ただいいかげんでなく、根拠をはっきりして。それから中山方式による場合はこうである。しかし、中山方式についてはさっきあなたが言われたように、こういうふうな問題点があるということはあなたのほうで説明してほしいのです。中山方式によると六百六十億になるわけなんですけれども、それについて御意見があれば出してください。
 それから次に、もう時間もあと十五分に私の質問時間がなりましたが、最後に長官に伺いたいのですが、長官は経済演説で、非常に重要なことを言われているわけです。それは物価と賃金の点に触れているんですね。そうしてさっきも警戒論を打ち出したについては、春闘を控えて、そうしてあまりに多額の賃上げをされると物価もまた引き上がる。それが経済を過熱化させる原因にもなるというので言及されたものと思うのですが、こういうふうに言われているのですね。「経済成長の過程において、賃金・所得が増加し、生活水準が向上していくことは、それ自体好ましいことと存じます。しかし、労働力需給の逼迫に伴って、それが生産性の低い部門の価格・料金の引き上げに転嫁され、消費者物価上昇の大きな原因となっていることも否定できません。このような現状にかんがみ、国民経済全体の立場から、名目賃金よりも実質賃金を重視して考えるべき時期にきているものと考えます。」、こういう演説をされている。それから総理も、総理の演説で賃金と物価の部分に触れております。これは春闘を控えて意識的にそういうふうに言及されたと思うのです。そこで、これはさっき質問しましたが、近代国家の物価値上がりの原因は三つある。ウエージ・プッシュが一つの原因になると言いましたね。デマンド・プル、アドミニスタード・プライス、どうもこの長官の演説からみますと、この所得政策を頭で考えているように私も考えるのですよ。そういうものを頭に置いて、いよいよ日本でもう所得政策を実行する必要がある段階にきている。それで総理と同じような演説をしているんです、賃金と物価についてはですね。これは私は非常に重要な発言だと思うのです。そこで伺いたいのは、日本のこれまでの賃金と物価との関係、それから生産性との関係をどういうふうに考えておられるか。賃上げが物価値上げの原因だと、こういうふうにいわれておりますけれども、それは賃金と物価と関係ないとは思いませんが、日本の場合、賃金の引き上げが物価値上がりの原因であるというふうに解釈していいかどうか。いつも長官は、大企業で賃金が上がると、そうすると、賃金は平準化していって、生産性の低い方面の賃金が上げられる。そうすると、その生産性の低いところでは生産性向上によってカバーできないから、料金の引き上げとか、そういう形で物価を押し上げていく、こう説明しておられるのですが、したがって、そういう場合に、物価値上げを押える物価対策として賃金を押える、こういういわゆる所得政策、生産性向上の範囲内におけるそういう政策を打ち出すということになれば、これは私は非常に重大な影響を今後及ぼしていくと思うのです。そこで、実際こういう日本の賃金と物価、生産性に対する考え方、それと今後の所得政策というものを一体考えておられるのか、この二点について伺いたい。
#139
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は所得政策ということばを口にするのは非常に注意しておりますんで、なるべく申さないようにしておるつもりなんでございます。いろいろ誤解も生じますと思いますので、根本的にはそういう立場でございます。そこで、と申します意味は、賃金と生産性との関係について、すべての人が一致して納得できるような研究なり資料なりが現実にないわけでございます。まあよく製造業を例にとりまして、昭和三十年から四十年までの前の五年間のほうは生産性のほうの伸びが大きかった、あとの五年間はやや賃金の伸びのほうが大きい、通計すると大体似たようなものになるというようなことがいわれますけれども、これはもう製造業だけをとった話でごいますし、第一、その三十年を基準にして考えることがいいか悪いかということだって問題がございましょうしいたしますから、まずこの問題について、全部の人がまず納得できるような研究なり資料なりが生まれることが先決だと思います。これは経済審議会の中でそういう研究を中立的な方々にやっていただこうかといま思っているのでございますが、しかし、三カ月やそこらでできる仕事ではございませんので、相当時間もかかることであろうと思います。ですから、そういう客観的な基礎を欠いておるということと、かりに何かそういうものがございましても、労使間の協調関係というのは決して円滑でございませんから、みんなが納得してそういうことをやろうではないかというふうにはとてもとてもいまの現状ではなりがたい。これはもうアメリカでもこわれたわけでございますから、それだけ所得政策ということは注意をして、むやみに言ったりしてはならぬことだと思っているのでございます。
 ただ、それにもかかわらず、いま木村委員の言われましたように、労働事情がこれだけ逼迫してまいりましたから、いわゆる生産性の高い部門と低い部門との間でその賃金の伝播があるということは、これはもう疑いない事実だと思いますし、生産性の低い部門ではそれを価格なりサービス料金なりに転嫁をする。また米の生産者価格が形成される段階でも、三分の二は都会の賃金の上がりを反映するわけでございますから、そういったようなことをいろいろ考えますと、つまり生産性の向上分というものを賃金だけがとる、あるいは利潤だけがとるということでなくて、やはり消費者にもある程度均てんさせるべきではないかという、そういうものの考え方だけはだんだん各方面で持ってもらいたいものだと、いまの段階では、いわば啓蒙のような段階かと思いますが、そういうことはもう労働事情がよくなる見込みがございませんので、私としては機会あるごとに申したいと思っておるのでございます。
#140
○木村禧八郎君 その点ですね、春闘を控えて賃上げ、大幅賃上げについてある程度控え目にしてもらいたいというような希望をこめて、こうものを言われておりますけれども、その場合、日本の賃金と物価と消費安定についてのはっきりした資料がない、データがない、こう言われますがね。これは私は非常に怠慢ではないかと思うのです。経済企画庁に経済研究所というのがあるんですよ、予算とってやっているんですよ。いままで一体何をやってきたんですか、そこで。こんな重要な問題について具体的なデータがないという方法はないと思うんですよ。私はあそこの研究所の、賃金と物価と生産性を研究した資料を一部もらったこともあります。それから、それがまあ正確とは言えないかもしれません、もっと積み上げていかなきゃなりませんが。それははっきりと、これまで賃金が上がってきた一番大きい原因は、労働の需給関係だという結論になっているんですね。労働の需給関係から賃金は上がってきていると、物価との関係では、むしろ需給関係から十のところまで賃金を上げるべきが、物価関係によって実質的にはそれ以下になっていると、こういう結論なんですよ。つまり、物価が三%上がった場合、賃金は物価に対しては一%しか上がっていない、だから、そういうやっぱり理解をしておかないと、賃金についていろいろ政府が言われますが、単に利潤の分配について、消費者と企業と労働者と公平に分配して、労働者だけが賃金の部分にそれをたくさんとってはいけない。これは一応日経連なんかで前に言っておりますし、それから所得政策をイギリスやアメリカで打ち出す場合にそう言っているわけですよ。ですけれども、日本の現実はそうじゃないと思うんですよ。まだ日本の労働組合が弱いんですね。弱くて労働の需給関係によって当然きまるべき賃金水準を、それさえも維持できない。物価値上がりによって実質的に下がっちゃっているんです。さっき長官は、三十六年から四十年まで五年間をとると、国民生産性より賃金のほうが上回っていると言いましたけれども、これは名目なんですよ。名目では国民生産性が一一・四、賃金が一二%、賃金のほうが多いです。上です。しかし、実質的には国民生産のほうが六・七で、賃金のほうは五・三です。賃金の上昇率のほうが低いんです。ですから物価の値上がりがいかに賃金――実質賃金を低めているかという、このことはやっぱり十分に認識されてですよ、そうして春闘なり、あるいは今後の賃金に対して発言されませんと、私は何かこの物価対策として賃金さえ押えれば――まあ賃金さえとは申しませんけれども、賃金を押えることが物価対策のかなり重要政策のようにどうも考えられやすいのですが、それは日本の現状では間違っている、このことははっきりさせる必要があるのじゃないかと思うんですね。まあ所得政策ということばを使うのを慎重にされていると言いますけれども、ことばを慎重にするだけじゃなくて、中身はちゃんと、実質的な所得政策をやる。やらぬのでは困るのであって、その点これは真剣に、われわれも根拠のない議論はしたくないですからね、やっぱりこれについては具体的なデータを――アメリカあたりでもこの点は実際に調査してみると、なかなかそう簡単なものじゃない。賃金と物価と生産性が言われておりますから、その点もわれわれは認めておりますから、客観的に、十分にこれは調査されて、そしてまあ、あんまり片寄ったそういう所得政策をやるということはいたさないように希望しておきますが、それについてひとつ御答弁をお願いしまして、私の質問はこれで終わります。
#141
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに生産性の計算は、製造工業なんかは比較的付加価値が出せますので計算がしやすいと思いますが、農業とか、サービス業になれば、どういうふうに計算をするのか、その方法論から問題がございますので、先ほど申し上げましたように、経済審議会で、おそらく学者の方になると思いますが、中心にしばらく研究をしていただきたいと思っております。そういう、みんなが一致し得るような基礎の上に立たなければ、軽率にあまりその関係について、かくあるべしという議論はしてならないということについては、私もそういう心がまえでおります。
#142
○山本伊三郎君 時間が相当制約されておるようでありますが、経済企画庁長官に若干――大蔵大臣が見えるようでありますから、その前提として、ひとつお尋ねしたい。
 私の質問はその性格ですが、あなたなり、あるいは政府が国会で発言された、また資料を出された、その範囲内において、時間もございませんので率直にお聞きしますが、四十一年度の経済成長は、あなたのほうの報告は実質で九・七%、名目で一五・二%ということが言われておるのですが、この上昇成長率から見ると、四十二年度の成長率が九%見込みということでありまするが、先ほど木村委員にも答弁がありましたが、私が、どうも四十年度から四十一年度ずうっと経済指標を――きょうは時間がありませんから言いませんが、見ますると、四十二年度は若干成長率を押えて見込みを立てておるのじゃないかという気持ちがする。この点について伺います。
#143
○国務大臣(宮澤喜一君) 四十一年度の場合には、比較になりました四十年度が非常に成長のない年でございましたから、したがって、比較としてはかなり高い率になっております。今度は四十二年度の場合は四十一年度との対比でございますから、したがって、相当床が上がってきておるということを、まず前提として申し上げる必要があると思うのでございます。私どものこの四十二年度の見通しが多少押えぎみではないかと言われますのは、経済運営の基本方針にも書いてございますように、この経済見通しを実現するためには、かなり各方面で努力をしなければならないし、また政府としても臨機の処置をしなければならない場合があるかもしれないと申しておりまするとおり、ほうっておいて、こうなるのだというふうには言えないので、やはりひとつこれを実現するためにみんなで相当の努力をしようではないかという意味合いは確かにございます。
#144
○山本伊三郎君 一つの指標を見ましても、経済成長の前提として、先行き指標といいますか、昭和四十一年度の第三四半期と第四四半期の機械受注の上昇率の傾向を見ますると、四十一年度よりも、これは私の感じ、見込みですが、四十一年度よりは、やはり経済成長率が高いという気がするのですがね。いまあなたが言われたように、いろいろの努力をして、それを抑制しなければならぬとか、その努力が、いまの政府のいわゆる自由主義経済では、誘導する政策はとれても、法律でそれを規制することはできない。したがって、もしそれが、努力が足らぬで経済成長率が上がると、これは物価にも影響する。また税収にももちろん大きい影響がある。したがって、その点が努力されると言いますが、はたしてそういう、これに書かれておるような事態が、私は努力するせぬは別として、出てこないのじゃないかと思います。あなた自身がやってやれそうだということであれば、私はそれ以上聞いたところで、あなたの自信を聞くだけで……それをひとつ。
#145
○国務大臣(宮澤喜一君) 見通しでございますが、これは客観的にこうなるであろう、なりそうであるというようなことと、こうしようではないかというような努力目標と、いろんな要素から成り立っておりますから、ほうっておいたら自然にこうなるというようなわけのものとも違いますので、まあ政府は、たとえば財政を通じていろいろな方法を持っておりますし、また金融のほうにもそういういろいろな方法がございますし、それから設備投資をされる側でも、先の経済予測いかんで、その投資の態度をいろいろに変えるわけでございますから、単なる誘導というよりは、もう少し実体的なものをみんなが持っておる、こう考えます。したがって、これでいけるだろうかという御質問であれば、これでいきたいし、いけると考えていいのじゃないかと思います。
#146
○山本伊三郎君 長官がそう言われたならば、私はそれ以上追及しませんが、いまの日本のこの四十一年度から四十二年度における経済の各指標から見て、単にいま言いました機械受注の傾向だけではない、その他の経済活動その他を見ましても、非常に私は過熱になる傾向が出ておると思う。あなたは、先ほど木村さんにいろいろと言われましたが、努力されるのでしょうが、しかし、その努力がいつも国会初めに、予算案を出すときには、そういういろいろ、政府は努力すると言いますが、現実になると変わってくるのです。そういう点が私としては非常に不安であるから、その点を追及したのですが、九%でかりに押えるとして、物価の上昇は四・五%ですか、それで一応押える。それは自信ありますか。
#147
○国務大臣(宮澤喜一君) これは先ほど木村委員にも申し上げておったわけでございますが、四十一年度が五%で済む、しかも、この五%はかなりたくさんの公共料金の値上げを含んで五%でございましたので、四十二年度四・五%という目標を掲げることは、私はそんなに無理なことを言っているのではないと、こう思っております。
#148
○山本伊三郎君 経済成長率は一応言われたようにして、これは別個にして、ほかの消費者物価の上がるいろいろの条件というものが、まあ消費者物価は、それはもう触れませんが、その他の料金の引き上げというものは相当出てくる。たとえば地方公共団体においても、水道料金、あるいはその他都市交通の料金の引き上げ等々、もう限界にきていることは御存じのとおり、ここで言っておきますが、そういうものは一切やらせない方針をとっておられるか、この点をひとつ伺いたい。
#149
○国務大臣(宮澤喜一君) 四十一年度が米、国鉄、私鉄、郵便とございましたのに比べますと、四十二年度は、いま予想されるものは、米だけでございます。その点から申しますと、圧迫要因が少ないと思います。それからいまお尋ねの、そういったような料金の値上げを一切認めないかと言われますが、私は別にそういうことは考えておりません。
#150
○山本伊三郎君 そうすると、現在そういうものの要素を入れずに四・五%ということを見込まれておるのか、そういう要素が出てきたならば、それ以上上回るという逃げ道をもっているのか、その点をひとつ。
#151
○国務大臣(宮澤喜一君) これも先ほど申し上げましたことでございますが、これは積み上げ計算をいたしたものではございませんので、したがって、この要素はどうか、あの要素はどうかという御質問にはちょっとお答えができない性質のものなんでございますが、消費者米価の値上げが十月にありそうだ、大まかな幅はこれくらいではないかといったような点は、およそこの見通しを立てますときにある程度見当はつけておりました。
#152
○山本伊三郎君 そうすると、そういうものはやるという政府の――その他の公共料金、そういうものはやらないということですか。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般に公共料金は何でもかんでも押え込むつもりかという御質問に対しては、別にそういう押え込むつもりはございません。ただ、昨年のように私鉄とか、国鉄とか、郵便とかいうものの料金はことしは動きませんので、昨年との対比においてはと、こういうふうに申し上げたわけであります。
#154
○山本伊三郎君 そうすると、そういうものはやらないけれども、その他のものについてはやらないということは言っておらないんですね、やることもあるということですか。
#155
○国務大臣(宮澤喜一君) どこかの都市のバスの料金を上げたいとか何とかいう問題が起こりましたときに、それは一切認めないというようなことを申すつもりはございません。
#156
○山本伊三郎君 それはどこかの都市という、物価の指数にあまり影響のないということでなくて、相当私は大きく出てくる気がする。その経済が行き詰まっておることは事実です。あなたもよく御存じのとおりだと思います。それからタクシー料金が値上げの申請をしておる。いろいろそういう要素がある。そういう要素を政府はどう判断しておるかということを聞きたい、いまのことと違うが。
#157
○国務大臣(宮澤喜一君) 判断と言われますのは……。
#158
○山本伊三郎君 物価の上昇率四・五%ですか、ということを認められておりますが、そういうものが出てきた場合には、これは動く可能性があるのかどうかということです。
#159
○国務大臣(宮澤喜一君) それでございますから先刻申しましたように、積み上げた計算はいたしておりませんから、よほど大きなものが出てくれば別でございますけれども、そういうものはいま申しましたようにございませんから、この四・五%そのものに影響するというふうには考えないといふうに申し上げたいと思います。
#160
○山本伊三郎君 それじゃ聞きますが、物価上昇の一番の要素は、これにも書いておりますが、生鮮食料品、そういうものが安定を保っておるから、たとえばそういうものが出てきたところであまり要素にならないと、こういう考え方ですね。
#161
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的に言われましたので具体的に申し上げますが、確かに生鮮食料品は四十一年度には安定しておったわけで、それがむろん自然のおてんとうさまのおかげということも多うございますけれども、他方で、加工とか、貯蔵とかという系統の施策がかなり進んで需給関係が安定してきたということもございますので、それで昔のように大きなあばれ方をすることはなかろう、こう思っております。
#162
○山本伊三郎君 ぼくは政府の考え方が甘いと思うんです。乳価の小売り価格の引き上げの問題もいままで論議されておらなかった、突然そういうものが出てきておる、いまの経済事情というのはそう簡単に動いているんじゃないですよ。生産者と消費者の間でいろいろ物価体系においてまだ非常に混乱しておる時代ですよ。それをぼくは四・五%に押えるんだということでやられておるが、私はむしろあなたの立場を心配しておるんですよ。去年は五・五%と言われた、これはむちゃくちゃな見込みですよ、五・五%に押えると。押えるどころじゃないですよ。今度は一%下げて四・五%にされておるが、ぼくは四十二年度は経済成長はあなたは自信を持ってこれでやるのだと言われたから、その点私は納得しましたが、その他の物価の上昇の要素というものが出てくるという判断でおるんですがね、乳価の問題でも、どうですか、あの生産者の要求というものは、これは押えられないでしょう。
#163
○国務大臣(宮澤喜一君) 生産者がもう少し手取りを多くしたいという、そういう要求は私は無理でない、無理からぬことだと、乳価の場合、現在思っております。ただ、だからそれが全部消費者価格に転嫁されるということは、何もそうならなければならぬ理屈はないので、途中で吸収できる部分がありはしないか、こう考えておるんです。
#164
○山本伊三郎君 ぼくはこれを見ましたが、経済成長――鉱工業あるいは農業等と書いていますが、農業の成長率は三・二%ですか、昭和三十五年の池田内閣が高度経済成長政策をとって以後、農業生産の経済成長指数はほんとに微々たるものですね、これはあなた言わぬでもわかっていると思うんですね。鉱工業の成長率は本年で二〇〇ぐらいになっておるんじゃないですか、一七〇−八〇になっておるんですね。したがって、農産物のいわゆる価格は、消費者価格が上がるということは抜かしても、あなたもいま言われましたように、成長しないから、価格を上げてもらうしか農民は生活できない。したがって、私に言わせたら、いまの政府のやっておるのは、ちょっと論点は変わりますけれども、鉱工業中心に一応経済成長をばく大に見込んでおるんですが、農業生産は、これは天候とか土地に支配されますから、鉱工業と同じような成長でいかないということは知っていますよ。そういう成長率をもって農産物を、いま言われた生鮮食料品、野菜その他を押えるといっても押えられないと見ている。どういう政策をやられるかわかりませんが、生産場を指定するとか、生産者と消費者の需給を調整するとか言われておりますが、コールドチェーンなんかをやると言われておりますが、生産者の農家が必要とする生産者価格というものはいま成り立っておらない、そこに一つの大きな問題がある。生産者米価の引き上げの問題がそこにある。それをあなたは簡単に、ここでそういうものが安定したからと言われるけれども、これは本年も生産者米価の問題もあるし、またその他の農産物の問題も出てくる。ところが米価については一つの統制といいますか、そういうものがありますからいいけれども、野菜その他についてはそういうものはない。したがって、どれだけ生産場を指定されても、野菜なんか安定しておるというよりも、むしろ今後安定さすためには、ある程度上げてやらなくちゃならぬという事態がくると思う。肥料は上がる――肥料はそう大きく上がっておりませんけれども、あるいは農機具の問題その他農家の必要な生活費なんかずっと上がってきておる、したがって、あなたの言われるのは、生鮮食料品、特に農産物の価格が上がらないように安定すると言われるけれども、むしろ逆に、農家からいうと、そういうものを上げてもらわないと安定しないという主張が強い。それはいまの乳価にも該当する。そういうことをどういうぐあいに見ておるかということを実はあなたに聞きたかったんです。
#165
○国務大臣(宮澤喜一君) 思想としては大体御指摘のように私も思っております。
#166
○山本伊三郎君 思想的にと言われると、ちょっとむつかしいんだけれども、哲学じゃございません、こんなもの、哲学を論じても教室ではないから、具体的に政策を論じてほしいんですがね。私は生鮮食料品、特に農産物、これは水産物もそうでありますけれども、そういうものを安定さすときは、安定をどういう方向でさすかという点について私はわからないのです、基本的には。それは何と申しますか、小漁家、漁村に行きますと全くそれはみじめなもんですよ。安定しておらない。あんたが安定しておると言うのは、物価は四・五%に押えるという意味における安定かもしれないが、生鮮食料品における安定価格というものはないのですよ。そういう点をひとつ聞いておるのですから、それに対する政策はないですか。
#167
○国務大臣(宮澤喜一君) それはたとえば出産者米価をきめますときに、もう三分の二は都会の賃金の上昇が、反映されるのでございますから、そうして都会の賃金が下がるなんということはもうあり得ないのでございますから、米の値段というものはそうやって徐々に上がっていく、またそれを中心に農産物価格が形成されますから、やはり徐々には上がっていく、水産物についても同様だろうと思います。ただ、問題は、それがなるべく多く生産者に帰属しなきゃならないわけですが、途中の流通機構で消えてしまったり、いろいろなことになる場合がしばしばあるので、その辺は改善の余地が大いにあると思います。
#168
○山本伊三郎君 それじゃ、もう一問だけ。ぼくの要求した大臣が来ましたから、最後に宮澤さんにお願いしておきますが、時間をとらずに私はこれからいよいよ自分の思うことを言おうと思ってたんですが、これでおしまいですが、いずれ機会があったらやりますが、あなたの言われることは抽象的に私は納得するが、いまの日本の価格体系というものがまだ戦前のように安定してない。その安定してないときに経済成長とか、そういうことを羅列しておるような要素で四・五%、あるいは四・四%に押えられるというその具体的な問題についてこれからやりたかった、政策論を。しかし、大蔵大臣忙しいようでございますから、そういう意図であったということだけ御了解願って、いずれ本予算審議のときにまたいろいろと御高見を拝聴いたしますので、きょうはこれで終わります。
 じゃ、大蔵大臣にひとつお聞きしたいと思います。いずれまた本予算のときにゆっくりやりますから、きょうは二、三だけあなたに聞いておきたい、時間もないようですから。先ほどから経済企画庁長官、あなたのほうの主税局長その他の方々に、私じゃないのですが、各委員が聞いておられたのですが、今度の減税ですね、減税については結局四十二年度は八百三億ということですが、その自然増の実情から見ると、もっと大幅な減税ができるだろうという、最初ですから大まかに常識的に考えておるのですが、その点どうですか。
#169
○国務大臣(水田三喜男君) まあ、いまになると、皆さんがそういうふうにおっしゃられるのですが、あの七千三百億という自然増の見方は、二〇%以上の伸びを見たことでして、もういままでの見方としては、ここもう三十五年以来そんなに大きい増収を見たことはないのに、相当大幅な伸びを見たということが一つと、それからまあ御承知だと思うのですが、昨年ああいう大きい減税をやった、その影響はことしに千億円以上及んでいるのですから、それを考えますというと、私どもは自然増を八千億円以上見たという気持ちでございます。だから相当見方としては大きいという感じで昨年は予算の編成にとりかかったのですが、その後、年を越して選挙を終わって、新内閣ができまして、そのときにあらためていろいろ検討いたしましたが、御承知のように、企画庁のほうでも経済見通しについて若干の変更をしてきた、で、それにつれて私どもも再検討いたしました結果、税収はもう二百億円ぐらい見込めるだろうということで、この見込み得る分だけ公債の発行予定を削減するという形で最後の編成を終わったといういきさつから見ましても、これで私は過去何年間と、これだけの大きい自然増を見た年はございませんで、相当少な目に見たといった感じでは実際ございませんでした。
#170
○山本伊三郎君 結論、何言われたかわからぬですね。
#171
○国務大臣(水田三喜男君) 結局、大体妥当な見方ではないかと考えております。
#172
○山本伊三郎君 それは妥当でなければあなたのほうでは法律は出さぬはずです。予算も組まぬはずです、おそらく。あなたは妥当と言うのだが、その事情を聞いているのです。昨年は御存じのように、四十年度と四十一年度の租税収入は逆に、当初の見積もりですよ、当初の見積もりではマイナス、ところが途中から景気が、政府から言わすと公債の発行の景気刺激政策をとったからうまくいったのだと、こう言われるけれども、それは別として、そういう税収がむしろ見込みはないという、まだ減ずるというときでも、昨年は相当な減税をした、本年度四十一年度はね。それなのに本年はかりにこの減税、あるいは増税です、いろいろ何かうまいことばを使っておりますが、増税に違いない、印紙登録税。これは増税なんですが、それらを全部差し引きしてこの法律が通るとしても、まだ六千億以上の自然増があるということの数字を示されている。あなたは予算説明されているのですね、そうすると、八百億――千億に足らない減税では――みなこれはいわゆる所得から税金を取るのですからね、みな働らいてもうけたんですよ、それだけ。あなたは、政府はかってに国民所得がふえたと言うけれども、そうじゃないんですよ、みんな働らいてもうけた金が国民所得として出てきている、それがふえたものだから税金がふえた。国民のものですよ、それを国民に還元するというのに、なぜちゅうちょするのですか。しかも、まだ国債は七千億、大体八千億ですか発行するというのでしょう。私はそういう点では国民は納得しないと思うのです。私は国民所得の二〇%がいいか、二五%がいいか、そういうものを論じているのじゃない。そういう大蔵省は考え方を持たなければ、六千億も自然増があるのに、その間わずか八百億程度だということでは、あなたらが選挙でいろいろ言われたことから考えると相当不満がありますよ、それを私聞いている、妥当であるかどうか。
#173
○国務大臣(水田三喜男君) これは昨年本格的な公債発行ということをやりまして、三千億円以上の減税をやったということと、今年度の減税、これはやはり減税としては昨年は異常の減税でございますから、これと本年度の減税というものを、二年合わせてやはり考えていただかぬと、この減税の幅が妥当かどうかという問題はきまらないのじゃないか。二つを合わせて考えて見ますと、三割三分というような減税の割合というものは、やはりこの十年間にない幅ということになりますので、そういう意味から申しますと、私は減税幅が非常に少ないということにはならぬのじゃないかという気がいたします。
#174
○山本伊三郎君 とてもとてもそれじゃ話にならぬ。昨年、四十一年度で約二千何億かの減税がされました。それでようやく、所得税を見て、先ほども局長がいろいろ説明されておったが、物価の上昇その他を見てまず妥当なものだと、こう言うのですね。国民の側から見てですよ。去年あれだけやったから、ことしはそうやらぬでもいいんだという論理が私はなっておらぬと思う。
#175
○国務大臣(水田三喜男君) 去年やったからというのじゃなくて、やはり減税について、昨年度と本年度の減税を合わせて見ていただけば、そう不当に少ない減税ではないという気が私はいたします。で、本来から言いましたならば、本年度は、御承知のように、経済の基調の強いときにフィスカルポリシーを行なおうとするならば、そういう立場から見ましたら減税を大きくやる年ではないというふうな判断を私はいたしましたが、しかし、日本のこの所得税の現状を見ましたら、やはり所得税は何といっても高い。したがって、これによって場合によったら国債の発行の幅を狭めることもできたのでございましょうが、ある程度それを犠牲にしても、ここで所得税中心の減税はもう一年、去年に加えてやるべきだという判断から千億以上の減税をやったということでございまして、ことしのこの経済基調の強い年のやはりフィスカルポリシーという立場からも、これは批判していただかねばならぬのじゃないかと思っております。
#176
○山本伊三郎君 大蔵大臣が言われることは、ぼくは全く頭が悪いかもしれませんが、たとえば去年とことしと一緒にして考えておる、そんなかってな言い方ないと思うのです。減税は、そのときの国民所得あるいはその他の状態、いわゆる経済成長その他を見て減税というものを私は考えるべきだと思っておる、基本的に。去年がよけい――よけいといいますか、若干やったから、ことしはそれでしんぼうしろというような言い方は私は納得できません。そうでないかもしれません、あなたの言い方は。税金を負担するというのは、その一年における国民所得の上昇その他をながめて幾らにしたらいいかということできめるべきだと思います。しかも国債発行もするというんでしょう。財政需要もふえることを私は知っております。政府の予算編成におけるいろいろのことを聞いておりますけれども、しかし、減税するということは、何もこれは金を動かすことではない。どう国民の生活を豊かにするかということが根本の政策ですね。われわれから言わせれば、物価を押え、そうして収入を多く与えるということはこれは政府の役目でしょう。そういうことから見ると、再度繰り返しますが、六千億以上の自然増があるのに、千億足らずの減税ではわれわれ了解できない。これはここで何ぼ言っても、あなたは妥当だ妥当だと言い切りましょうけれども、国民の側から見たら納得できないと思います。もし政府が踏み切ってやるならば、わが党が言っておる課税最低限が、ことしは、四十二年度は標準世帯で七十一万円程度だと思いますが、それを百万円にいかなくても、それに近いものが得られるのじゃないか、そういうものを期待するというのがわが党の主張です。財政も無視して、いたずらに人気取りの政策をやれとはわれわれは言わない。国には国の事情があります。しかし、いろいろ見ましても、自然増があったために、それだけ二百億か三百億、国債を減らすことも一つの方法でしょう、国民の借金を少なくするのだから。しかし、国債そのものには別に問題がありますけれども、これは触れませんけれども、減税をこの程度にしておいて、なおかつ国債をそれほど発行するという政府の意図が私にはわからぬのです。それについてもう一ぺんひとつお答え願います。そうしつこく言いません。
#177
○国務大臣(水田三喜男君) 税はこっちに専門家がおりますが、私の考えはこれはしろうとでございますが、昔、吉田内閣のときに吉田総理から言われたのですが、減税というものは、これはすす払いと同じで、年中行事たるべきものだ……。
#178
○木村禧八郎君 それは私が吉田さんに言ったんです。
#179
○国務大臣(水田三喜男君) 木村さんのことばを総理からぼくが聞いたのかもしれぬが、私はじかに吉田さんからそう言われました。国民所得がふえないのならいいですが、国民所得がふえていけば、所得税は累進構造を持っているのですから、これは年々経済が伸びれば自然に税の負担は重くなるという形になっておりますから、所得税については年々これはやる年中行事とすべきだというのが吉田さんのあれでしたが、私もそう思いますので、これは年々所得税の減税はこれはやるべきものだと私は思っておりますが、そうしますというと、昨年は御承知のように大きな減税をやって、もしことしやらないでおったとしても一千億円以上はことしもうやっている結果になるのですが、それでもなおかつ、所得税は足らないからやるべきものだというので、御承知のように十万円課税最低限を引き上げた。ここまではやりましたが、さてそれ以上今年度やることが可能かどうかという問題になりますと、これはお答えがあったかもしれませんが、私どもも野党の今回はいろいろ要求を受けましたので、計算もいたしましたが、一挙にこれを実現しようとしますと、四千億から五千億のやはり財源が必要だ、これは今年度の仕事としてはやれない。年次計画でもって、これで至急百万円までの減税計画を立てるべきだと、こう考えて、これはできるだけ早くやりたいといま思っております。
#180
○山本伊三郎君 あなた、自分でしろうとだと言って、先言ってしまったので、これは論議にならぬ。田中角榮さんみたいに、突っかかってくると議論になるが、私はしろうとだから専門の主税局長がそばにいるからという、ぼくは技術的なことは言ってないですよ。大まかな政治論として言っていることであって、あなたのように、これはもう昨年こうやった、おととしこうやったからということを論拠にされるなら絶対反対です。そういうことで減税論を国会で言うことには国民が納得しませんよ。ただ、国の需要がこうふえた、減税はここまでしたいけれども、こういう事情のために国債もこうなった、こういう論であれば、これまた国民も、納得するせぬは別として、耳を傾けますが、あなたのように、昨年は多くやったが、ことしはしんぼうせよと、まるで子供にだちんをやるような議論はそれは聞きとれない。池田さんもかつてそう言うた。この年のことを言わぬと私がやっている三年間の減税の構想がこうこうだといつも言ったが、私はそれに反駁したことがある。国民生活は去年とことしと変わっているのだ、物価も変わっているのだ、また生活水準も変わるのだ、それに合わせて国民の生活がどうあるべきかということで減税を論ずべきだと私は思います。これは間違いであれば間違いであるということで、あなたの言うように、昨年はやったが、ことしはしんぼうせよという、くろうとの人がいるので、くろうとに聞いてくださいと、これではあなたの基本的な考えというものが那辺にあるのかわからない。それを聞かなければぼくはここから入れない。
#181
○国務大臣(水田三喜男君) もうこちらは減税はしたいほうなんです。できるだけの減税はしたいと思うのですが、やはりそれには制約があるということを財政問題から言っているということでございます。
#182
○山本伊三郎君 まああなたに言ったところで、あなたの性格がそういう性格だから、こちらの舌が乾いてきますから、それでおきます。
 では、くろうとになっているらしいので、主税局長に聞きますが、今度の税制改革で印紙税、登録税の調整合理化を行なうと、説明はそうなっておりますが、これは増税じゃないですか、くろうとのあなたに聞きます。調整合理化というのと増税とはどう違うのですか。
#183
○政府委員(塩崎潤君) 私どもはこんなような考え方を持っております。登録税は、御案内のように、昭和二十三年に私どもの言っております定額税率部分の税率をきめたわけでございます。いずれ御案内申し上げることでございますが、お医者さん、弁護士の方、公認会計士の方々の税率は、昭和二十三年の当時の物価事情あるいは所得水準のもとでやっております。印紙税は、昭和二十九年の物価事情のもとで、原則といたしまして十円という現税率をきめております。現在、物価水準も所得水準も、その後非常に違っております。これは私は増税というよりも、むしろ現在の経済情勢に合わせたことと考えております。もしもそのままにしておきますれば、むしろ実質的な減税が自然に行なわれる。物価事情が変わり、あるいは所得水準が変わっておるといたしますと、たとえばお医者さんの所得は、当時から見ますとおそらく十倍くらいに上がっていると思いまするけれども、当時の三千円の登録税を払うことについては非常なつらい負担で、現在の所得水準の高いお医者さんにとりましては三千円は非常に軽い負担だ、これは時限的には非常に負担のアンバランスがあると考えなければならない。そんなように考えますと、現在の物価事情あるいは所得水準に合わすことは、これは決して増税ではない。現在の経済情勢に合わすことである。これを調整合理化と言っております。
#184
○山本伊三郎君 それがぼくには率直に言って気に入らない。税金が、この印紙税なり登録税のいわゆる上がることは、これは事実として認めるでしょう。物価に合わぬとか、いまの生活水準とか、所得の実態に合わぬという要素を言われるが、しかし、上げたことは事実でしょう、これは認めなさい。
#185
○政府委員(塩崎潤君) 上げたと申しますか、上がりまして、政府の収入になることは間違いございません。
#186
○山本伊三郎君 そんなことはないでしょうが。これに該当する行為があったならば、いままで千円で済んでいた人は二千円払うでしょう。それを私は言っている。政府の収入がふえるだけであればそれでいいですけれども、やはり払うんでしょう。増税じゃないですか。これはごまかさずに、ぼくはそういうのがいやだと言うのですよ。こちらではわずかなやつを減税減税と書いて、上がるほうは調整合理化、こう書いてある。あなたはそれは何とも思わぬ。おそらくそういう思想でやられておるから何とも思わぬけれども、一般国民から見たらけげんに思いますよ。まあこういう論議は別として、考え方はね、あなたはどう考えておられるかしらぬけれども。そこで、調整合理化というのは、ぼくの言いたいのは、この財源は百五十一億ですか、一方の不合理なところでとったやつを所得減税の多いのに回すとか、そうするなら私は調整合理化というやつは何もかも納得するのですが、先ほど大臣に聞いたように、昨年度よりも半令以下の減税、そういうものをやっておきながら、こちらのほうでよけいとる。あなたから言わせれば調整合理化、私から言えば増税、こういうことになるのですね。それはあなたは、印紙税はどうかと思いますけれども、あれが上がることによって相当一般大衆というやつは、ここから出せば十円や二十円、三十円は知れたもんだけれども、やはり相当影響がある場合があるのですよ。だから、こんなものは簡単に、調整合理化だから当然だというような考え方については、私は納得できない。
#187
○政府委員(塩崎潤君) まあ、確かに政府の増収になる点を増税と言われるように思いますが、私どもはこの増収が、主税局長ですから考えが狭いかもしれませんけれども、課税最低限十万円の引き上げの一部に充てられた、かように考えております。自然増収は七千三百五十億円ございましたけれども、私どもに割り当てられました減税をまかなう場合に、できるだけ税制の中で財源をさがしなさいというようなことは、私ども常に言われているところでございます。したがって、さがすといたしますれば、どういうところにあるか、これは私ども専門家の当然のつとめでございまして、私どもといたしましては、一つは常にここで言われております利子配当のような特別措置の中に百五十億円ばかり、さらにもう一つは、昭和二十三年あるいは二十九年から据え置かれておりますところの定額税率部分のところに印紙税、登録税の一つの財源を見出しまして所得税の減税をした、こういうふうにお考えになっていただきたいのでございます。
 第二に、これが国民大衆に相当な影響を来たすのではないかという御質問でございます。御案内のように、印紙税、登録税の転嫁関係はきわめてむずかしい税金で、私どももその転嫁関係がむずかしいゆえに、これをまた流通税というような名で呼んでおります。また大部分がこれが企業の負担になるものでございますので、これが必ずしも直ちに商品価格の中に反映するというふうにも考えられません。さらにまた登録に対する登録税の引き上げのようなものは、事務的比較をいたしましても、これは所得のうちから償却されるようなもの、そういったものを言うわけでございます。もう一つは、多分に商業登記とか、あるいは増資とか、企業が負担いたしますにいたしましても、偶発的な、毎年毎年やっている商品コストの中に織り込めるような、原価計算の中に算入できるようなものではございません。こういったことを考えますと、私は大部分この引き上げは企業の利益の中から支払われる、そういった意味では私は、法人税の引き上げは物価には影響しないというようなことが言われておりますのに準じまして、この引き上げが物価騰貴に影響を及ぼす、あるいは国民大衆の方々に影響をするというようなことはない。印紙税のたとえば受け取り書の免税点を三千円から一万円に引き上げるということは、むしろ国民大衆にいい影響を来たすのではないか、こんなふうに見ております。
#188
○山本伊三郎君 これは時間がないから、論議していたら仕方がないですがね、物価に影響がない、影響がないと言われても、いわゆる、その物の動く過程で吸収されるという仕組みだと言うが、それはそうではない。それは大きく見ればやはりみな物価にこれは重ねられてきます。これは百三十二億円くらいの問題であるから、これは触れられるものはなかなかあらわれてこないけれども、いまの自由主義経済においては、そういうものが全部やはり物価あるいはその他の問題に上積みされてくることは、これはあなた方がどう言っても事実はそうなる。商売人は収入が上がったら収入だけで負担をしょう、利益のある人であればいいけれども、利益のない人、中小企業であれば、やはりコストに影響します。それはどの程度影響するかは別ですよ。全然それがゼロであるということは私は考えない。これはあなたと見解が対立するところだと思う。しかし、それにいたしましても、増税であることはこれは間違いない。あなたがそう言われても、政府の収入がふえただけであると言うけれども、やはり、それに該当する者は、よけい払うのでしょう。その支出は、百三十二億はだれか国民の中から多く払っていることは事実だから、政府の収入だけふえて何もお前らに影響はないというあなた方専門家の論理は私は聞き取れないのだが、政府の収入だけふえて、国民に何もそういう影響はない、こうおっしゃるのですか。
#189
○政府委員(塩崎潤君) 私は決してそういうふうな意味で言っておるのではございません。確かに政府と他の経済部門、つまり家計、企業、この二つのうちから政府に百五十億円ばかりの収入をいただくわけでございますから、そこに増収という要因がございますが、私は税制的に申しましてこれを増税と考えていない。調整合理化、あるいはまた一つ所得税の減税財源を満たす方法だと、こういうふうに申したつもりでございます。
#190
○木村禧八郎君 関連して、簡単に。税負担率の中に入るでしょう、増収分。それならやはり税負担率はそれだけふえるんじゃないですか。
#191
○政府委員(塩崎潤君) 確かにおっしゃるように税負担率はふえます。しかし法人税を引き上げる、あるいは利子所得に対する減税率を引き上げた場合には、負担率に入りましても、それはおそらく物価にも影響ないようなお考えが出るのではないかと思います。流通税という性格のものは、最終的な転嫁の状況がなかなかつかめませんけれども、そういった意味では必ずしも直接物価に影響するものではない、商品価格に直ちに転嫁されるものでもない。多分に企業の利益のうちから支払われるものが相当多い、あるいは所得のうちから長年かかって、たとえば人的資格の登録のようなものは償却されていくような性質のものではないか、こんなふうに見ておるのでございます。
#192
○木村禧八郎君 われわれに出した資料はちゃんと増収分を差し引いて八百三億というふうに出ているじゃないですか。
#193
○政府委員(塩崎潤君) この八百三億というのは、慣例によりまして総減税から増収になる分を差し引くという意味で、私どもは純減税というかっこうで出しておりますが、正確に言うならば千百億円を減税と直して出してもいいと思います。
#194
○山本伊三郎君 そういうテクニックの問題は私は言っていない。大臣が言ったように、本年の減税がちゃんと千百億に見合うものがあればあなたの言うことはそうだと思うが、そもそも減税総額が、そういうことを言って、これが減税の原資に入っておるんだということを言われておる。それはあなたはそう言っても、一般の国民は了解できないということなんです。しかし、その論議は時間の関係でその程度にします。いろいろやりたいのですが、時間も過ぎておるようですから、いずれまた大蔵委員会で、きょうは私は大蔵委員にかわって初めての質問で、あまりひどいことを言ってきらわれるといかぬと思って遠慮して発言しているのですから、だから紳士的にやっておりますが、いずれまたやることがありますので、きょうはおきますが、大事なことが一つあるのです。これは今度出された法律案はあしたいろいろ審議されますが、どうも私が納得できないのは、今度出された改正案が二つありますね、昭和四十二年分の給与所得に関する問題と、いわゆる期限切れの問題とあるのですが、このうち衆議院でいろいろ問題が出された八条の四ですか、第一項中のものについてこれは追及しませんよ、経過は聞いておるから。これはどういうことでこうなったのですか、それだけ経過をひとつ。
#195
○政府委員(塩崎潤君) 経過を御説明申し上げます。昭和四十年度に、御案内のように、配当所得につきまして利子所得とのバランスをはかるという理由から二つの制度が取り入れられたわけでございます。一つは、配当所得の源泉選択課税の制度でございます。これは本年四月三十日で期限が切れますので、このほうは法律の施行後最初に利用できる機会から適用するということで、源泉選択でございますから五月一日から適用することにします。ところが、もう一つの少額配当につきましては、五万円以下の配当ならば申告をしなくてもよろしいし、課税所得にも入れませんという特例を設けたわけでございます。その考え方は、所得税は御案内のように一暦年の課税でございますので、総所得に算入しない配当についても四十一年の十二月三十一日までに支払いを受けるべきものについて、これを特例を設けたわけでございます。その裏づけといたしまして、そういった少額配当につきましては、支払い調書は支払いの確定期日から本来ならば一カ月以内に出すべきだけれども、支払い調書を出さなくてもよい、こういうふうにしたわけでございます。ところが十二月三十一日に期限が切れましたのですが、年分課税の申告不要ということは現在におきましても手当ができます。問題は支払い調書の提出という一つの事実行為の命ずること、これが実は期限が切れるのではないかということで、衆議院におきましてきびしいおとがめがあったわけでございます。
#196
○山本伊三郎君 その経過、てんまつは聞いておりますから私はそれ以上責めませんが、これに私自身まだ若干疑義があると思うのです。おそらく国会が解散をされておるし、法律案を出すそういう機会もないとか、そういうことも私はまだ非常に好意を持って考えておるのです。それをいまのようなテクニックの中で法律遡及の原則と申しますか、現在、法律は切れておる、それが手続であろうと何であろうと、いいほうのものだから問題はないが、不利益をこうむるほうの問題であれば国会論議はこれでおさまりませんよ。これは法律的な話かもしれませんが、これは衆議院で何かだいぶ責められてあやまったとかあやまらぬとか、こういう話がありますから、そういう問題がありますから、そういう点はまだ私は納得できないが、きょうは私はやりません。
 それよりも問題は、第八条の三第一項及び第二項の中の昭和四十二年四月三十日に期限の切れるやつを、なぜこの中でやらなければならないかということが法律論からいって問題がある。この前言ったのと違う。国会は開会されている。いつでも出せる。しかも、第八条の三というのは配当の分離課税に対する特例のやつですが、まだ一カ月も審議期間があるのに、これをこの中に含めてごたごたと一緒に通してしまおうという考え方は絶対に承服できない。たとえば、二カ月でも期限延長、法律で期限を付するということは、時限立法としてそれだけの理由がある、二カ月でも延長する、これは国会が解散されて国会がおくれたのですから、われわれは一応理解できる点もあるが、二カ月でも延長すること自体問題があるのに、この法律はいろいろ問題があるのに、まだ二カ月も審議期間があるのに、これを一括して期限切れと一緒にやらなければならないということをやられたことは、特に大蔵省のくろうと筋の見解が私は理解できないが、大蔵大臣どうですか。
#197
○政府委員(塩崎潤君) くろうと筋でございますが、ひとつ技術的な点でございます。これは非常に法律形式的な問題でございまして、一言御説明申し上げたいと思います。確かに山本先生のおっしゃるように、この八条の三についてだけ別扱いにいたしまして、現在のような多忙なときじゃなくて、この法律を提出する機会は四月のなかばごろにでも出して、これを別途に単独審議するということも可能だと思いますし、そういったことも十分考えられるところでありますが、むしろそのほうが適当だというお話のようでありますが、私はこれは全体といたしましては、配当所得に対する課税をどうしようかという問題に全部からまっているわけであります。先ほど来申し上げておりますように、配当の源泉選択、あるいは少額配当の特例、この二つを合わせてひとつお考えいただきたい。そういった意味で、現在、法律案を提案申し上げることが私は適当ではないかというのが第一の理由であります。第二の理由といたしまして、やはりこういった結論をいたしまして、できるだけ早い機会にこういう措置をするのだということをひとつ納税者に明らかにして、いまから予測いたしまして、株式の保有あるいは株式の処分、これらをきめさすことがより適当であろう、こんなふうな感じを第二の理由といたしてございます。第三の理由といたしまして、やはりこれは租税特別措置の一環でございますので、こういった機会に、法形式でもひとつ租税特別措置法の中に入れていただいて御審議をいただいたほうがいいという、こういう気持ちで私どもはやはり一体として、一カ月だけ――五月だけでございますが、少し早目になって恐縮でございますが、御審議をいただきたい、こういう意味で御提案申し上げておるところでございます。
#198
○山本伊三郎君 専門家はああ言っておるが、大臣……。
#199
○国務大臣(水田三喜男君) 私は専門家でございませんが、さっき御質問のこの手続の問題も、実は法制局の審議も経た、法律的に違法ではないということで国会に提出して御審議を願ったんですが、これもああいう御指摘を受けますと……。そこで、結局こういう問題は、法理論の問題ではございませんで、昨年の暮れに国会へ提出しておけば、この疑義がなくて済んだと思うんですが、いまあなたがおっしゃられたように、選挙を予期してない、解散を予期しないというような昨年のあれでございましたから……(「それを問題にしているんじゃない」と呼ぶ者あり)そういうことですから、もう法理論でどうこうじゃなくて、御指摘を受けたことについて、われわれのほうは確かにこれは適切じゃなかったと言って遺憾の意を表したのであります。いまこちらの問題も一応はそういう形で法律家の手は経ておるんでございますが、いまと同じようなことで、これは適切でないといういろんな問題がございましたら、これはもう一番いい方法で善処したいと思います。
#200
○山本伊三郎君 きょうはあっさり大蔵大臣言われましたが、それじゃここらで立たなくちゃしょうがない。第八条の三第一項については、専門家は要らぬことを……大臣がそう言うたんだから。それじゃ一応本院でこれは別に切り離してやるということを承認されたと、こう考えていいのですね。
#201
○国務大臣(水田三喜男君) いや、いまこれはそう簡単にいかないことで、私はそれは一番いい方法で善処したいと言ったんですが、いまこの第八条の三というものを特別に取り出して、これを別に提出するということは、なかなか技術的にはむずかしいようでございまするので、これはまあひとついまのことばを取り消させていただきます。
#202
○山本伊三郎君 これは、あんたがあっさりそう言うたんで、私は敬意を表して立って確認したんです。そうすると、隣から専門家が――くろうとですか、それは問題があることは知っていますよ。こちらはさきに知っておるんですよ。あんた、大蔵大臣ものわかりがいいと思って、私は立って確認したら、それはあとからそうはいかない、そういうことじゃこれは困りますよ。
#203
○国務大臣(水田三喜男君) ものわかりがよかったんじゃなくて、もう……。
#204
○山本伊三郎君 いやいや、ものわかりの問題じゃない。主税局長ね、あなたはそういう技術的なことを言うけれども、国会というものは、この第八条の三項以外のものでも、国会にそのものの改正案を出して審議するというのが当然なんですよ、改正されるやつは。ただ、期間がないので、その間、問題が、いいやつも悪いやつも中にはあります、だから一括していわゆるこの法律をつくったんだ。期限の定めのある国税に関する法律につき当該期限を変更するための法律案というのを出した。こういう法律を出さずに、租税特別措置法の各条文に――たてまえですよ――おのおの改正案を出すべきなんですよ。出して、期限を延ばすなら延ばすということを法律で改正するのが当然ですよ。日にちがないので、とにかく五月の末まで延ばそうということの措置でしょう、これは。あとからまた改正案出すんでしょう。もう出ていると思いますが。
#205
○政府委員(塩崎潤君) 租税特別措置法は租税特別措置法全体といたしまして、いずれまた改正法律案を提案することにいたしております。しかしながら、租税特別措置法は租税特別措置法として一つの体系を持っていつも御審議願っております。租税特別措置法全体の内容を規定するものでございます。したがいまして、各条ばらばらに御提案申し上げましてこれを御審議受けたことはございません。一体といたしまして、租税特別措置法は私どもいかなる意味におきましても全体として御審議をいただいているということが事実だと思います。したがいまして、この時期は少し早目だと言われれば早目でございますが、あまりおそく出してもむしろしかられるのでありまして、いまごろ出すこと自体私は決して間違っておるとは考えておりません。
#206
○山本伊三郎君 これはいよいよ論議がそうなってくるが、あなたはそう言うが、まあ暫定措置だ。先ほど言ったように二カ月でも延ばすということは、租税特別措置法の実体を変えることだ、言いかえれば。二カ月はそのままいくんだと言う。そもそも最初にこの立法をしたときに、昭和四十二年の三月三十一日まではやるべきであるということで国会の承認を得た、あの法律は。すべてここに出ているやつはね。それを二カ月でも一年でも延ばすときは租税特別措置法の各条であるかどうかを、それの期限の切れるものについては、こういう理由で延ばすのだということを、いろいろ国会で論議をして延ばすというのが、これは国会のあり方ですよ。法律のあり方です。二カ月ぐらいだから、まあ暫定的にいいんじゃないかということ自体にもわれわれ問題あるんだから。しかし、もう期限もすでにきているから、これを一々租税特別措置法の各条について論議をしておっては時間がないだろうし、困った事態もあるから、それは認めてもいいという気持ちはあるんだ、気持ちはね。しかし、第八条の三項はまだ一カ月もあるというんですよ。その一カ月もあるやつも同じような考え方で、あとはやらないんだからこれもやるんだということ、そういうことについてはわれわれは絶対承服できない。院の無視、国会無視ですよ。審議権を無視していますよ。そうでしょう。しかも、これを分離すると困るからということをいま言われるけれども、分離したって何も困ることはないですよ。期限はまだ四月三十日まであるんだから。そういうものを技術的な問題だとして主税局長が言った。これは政治的な大きな問題ですよ。一体、国会は何のためにある。そういうものはわれわれ認められぬから、最初私の質問に対して大蔵大臣が答えたように、これは除外をして提出する、し直してもらう。そうでなければわれわれとしては承服はできません。あしたの審議もこれが解決しない限りはこれは入りませんよ。
#207
○国務大臣(水田三喜男君) これは確かに御審議が早過ぎるといえば早過ぎるかもしれませんが、しかし、これはもうあらためてこれを抜き出してこれから御審議を願うというまでのこともないと、これはまあ……。
#208
○山本伊三郎君 早過ぎるとか、おそ過ぎるという問題じゃないですよ。それならば、これはまあ一カ月あとだけれども、六カ月あとの期限のものでもやれるかという問題です。まあ法理論からしてやれるでしょう。そうすると、国会がある場合でも、なかった場合のものまでも、国会があるときにやっておけというようなことになると、これはもう税金の問題ですからね。そういうものを一カ月も余裕を置いて、期限の延長だけを――だけですよ。はっきり内容が入っているのは別ですよ。審議をいたしますよ。そういうものを出して、早過ぎたからといって、人に借金を返すのに、期限より早く返したからそれでいいというような考え方では、これはだめですよ。本質論が入ってない。だから、最初あんたが言われたとおりにしない限り私は絶対、承服できない。何時間でもこれでがんばりますよ。あした一日でもやりますよ。
#209
○国務大臣(水田三喜男君) まあこれはよろしくお願いします。この二カ月、三カ月ということじゃなくて、一緒にまとめて期限のあるものをこういう措置をとるという、四月、あと一カ月の間のことでございますから、これはまあお願いします。
#210
○山本伊三郎君 あんた、まるでこんなものをおもしろ半分にやっていると思ったら大間違いですよ。将来にも影響ありますよ。これは国会の開会中、審議期間もあるのに、ほかの、二日か、あした一日できめるやつと一緒に出して、本則の審議も抜きにして延ばすんだ、そういうことで一カ月先出したからいいじゃないか――先へ出すのはいいんですよ。その法律自体を改正するというやつは幾ら早く出してもいいんですよ。審議期間を長くしたらいいんです。ただ、期限を長く延ばすということだけをここで早く出したい、やれということはできませんよ。だから委員長に言いますがね。これは私、初めて来てこんなことを言うと、どうも今後評判が悪くなるかもしれませんけれども、これはもう本筋の問題でありますから、これは大蔵大臣に言ったって水かけ論になりますから。そういうことじゃだめです、にこにこ笑って。これは理事の間で……。
#211
○国務大臣(水田三喜男君) 四月三十日のことでして、これがそう不当な出し方かどうか御判断を願います、これは。
#212
○柴谷要君 今回の暫定措置法の延期の問題については、これは何といっても政府側に重大なミスがあることは衆議院の審議の過程でわかっていると思う。まあ八条三項の問題は、ただいま山本委員の指摘された問題は衆議院でも問題にならなかった。しかし、慎重に考えますと、やはりこれも大蔵省のミステークだと思う。昨年の十二月三十一日で切れている問題、それから本年三月三十一日で切れる問題、それから四月三十日で切れる、こう三通りを一つの法律で出してきたというところに無理がある。これは大臣も率直に認められて、これに対する態度を明白にいたしませんと、あすの審議に支障を来たします。さりとて、山本委員がこれ以上この問題について質問を続行してやりとりをしていこうという決意はないようです。理事会におまかせ願うと、こういう御発言がありましたので、十分に理事会で検討して、しかるべき処置を打ち出したいと思う。その上であすの審議の冒頭なりに大蔵大臣にも御出席をいただいて、態度を明らかにしていただくかもしれません。これはまあ理事会の問題として取り上げていきたい、そういうふうに考えますので、委員長、しかるべき処置を願います。
 続いて木村先生のほうからひとつ何かあるようですから。
#213
○木村禧八郎君 二つ大蔵大臣に伺っておきたいのです、簡単ですから。
 一つは、主税局長もいますから、主税局長に意見を聞いてもけっこうですから。先ほど答弁ありましたが、四十一年度の補正を組んだあとの自然増収、それは幾らで、そしてその分は公債発行を今後さらに減らすのかどうか、公債発行をね。とにかくそれだけ自然増収、よけいあるのですから。これまで六百億減らすことにしましたね、七千三百億というものを六百億減らす、そうすると、六千六百億くらいになるのですか、四十一年度。その点はっきりしてください。自然増収が四十一年度は相当あるから、それは今後さらに見通されるのでしょう。それを剰余金として回さないで公債発行を減らすように、むずかしいようですが、その点をどれだけ減らすのか、その点を一つ。
 もう一つは、これはこれから調べて答弁してもらいたいのですが、その結果によってこれはまた質問しますが、もう一つはこうなんです。昭和三十八年度及び三十九年度の決算純計表について、われわれに財政法二十八条によって提出している資料がございます、大蔵省の。その大蔵省の純計表と会計検査院の純計表との間に非常な違いがあるわけですよ。歳出における重複額は、三十八年度三百三十五億、三十九年度四百五十四億円、これだけ大蔵省のほうが多いのです。その結果、当然、純計額は、三十七年度以前と異なって会計検査院のほうが大きいのです。この点はどうしてそういうことになるか、これはその理由をはっきり調べてください。会計検査院の純計と大蔵省の純計と違うのです。そうしてわれわれに財政法二十八条に基づいて出してくる、そういう資料が、これは正確を欠いているとすれば大きい問題ですからね。どうして会計検査院の純計と大蔵省の純計が違うか、その理由です。これを明らかにしていただきたい、調べてあとでもいいのですから。これは今後の質問として残しておきたいと思うのですから、この点あとで調べて、その結果によってまた質問いたします。
#214
○委員長(竹中恒夫君) 両案に対する審査は、本日はこの程度にいたします。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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