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1967/05/16 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第8号
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1967/05/16 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第055回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十二年五月十六日(火曜日)
   午前十一時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十六日
  委員西川甚五郎君は逝去された。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹中 恒夫君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                小林  章君
                徳永 正利君
                日高 広為君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                野溝  勝君
                山本伊三郎君
                二宮 文造君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局長       宮沢 鉄蔵君
       大蔵政務次官   米田 正文君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省関税局長
       事務代理     細見  卓君
       大蔵省理財局長  中尾 博之君
       大蔵省証券局長  加治木俊道君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       大蔵省国際金融
       局長       柏木 雄介君
       自治省財政局長  細郷 道一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とブラジル合衆国との間の条約の実
 施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関す
 る法律案(内閣提出)
○租税及び金融等に関する調査(当面の租税及び
 財政金融に関する件)
○資産再評価法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
○通関業法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 この際、皆さまにお知らせいたします。
 本委員会委員西川甚五郎君は、本日、東大付属病院において肝硬変のためなくなられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。ここにつつしんで同君の長年にわたる御功績をしのび、各位とともに黙祷して御冥福をお祈りいたしたいと存じます。御起立を願います。
#3
○委員長(竹中恒夫君) 黙祷を終わります。
 御着席を願います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(竹中恒夫君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約の実施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。
#5
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
#6
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約の実施に伴う所得税法及び法人税法の特例等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
#7
○委員長(竹中恒夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
#8
○委員長(竹中恒夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(竹中恒夫君) 次に、租税及び金融等に関する調査中、当面の租税及び財政金融に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○木村禧八郎君 大蔵大臣に、まず国債の償還計画についてお伺いしたいのです。
 御承知のように、社会党は、四十年度の赤字公債、それから四十一年、四十二年の政府の言ういわゆる建設公債についても反対してまいりました。それは四十年の赤字公債は財政法に禁じられているわけです。特例法を設けて一応しのいだわけですが、四十一年、四十二年は、政府はいわゆる赤字公債ではない、建設公債と言っておりますけれども、われわれの主張する建設公債というのは、いわばいま発行されている政府保証債みたいな償還性のあり、それから収益性のある、そういうものを財源としての公債発行、これをわれわれは建設公債と呼んでいるわけです。いまの政府の四十一年、四十二年発行しております公債は、われわれは赤字公債と呼んでいるわけです。したがって、この公債発行に反対してきたんですが、それは一応ともかくとしまして、政府はわれわれが言う意味での赤字公債を発行しているということから、これは財政法の四条に違反している。そればかりでなく、財政法四条二項で当然銘柄別の償還計画を国会に提出しなければならないと、こう規定していると同時に、財政法二十八条で国会に提出しなければならない義務を課しているところの国債償還計画表、こういうものも出していないんです。したがって、明らかに政府は財政法に違反しているんです。
 この問題については、昭和四十一年の公債発行の際に私も予算委員会で質疑いたしました。また、今国会におきましても、衆議院、参議院両院の予算委員会で社会党の代表が質疑いたしました。しかし、それを通じて政府はあくまでも、財政法に違反していないと、そうして財政法四条二項ではなるほど銘柄別の償還計画を出せと規定しているが、その銘柄別償還計画とは昭和四十二年度一般会計予算書、この中に政府はこれを明らかにしているんだと。それで、この一枚の計画表というものを出している。これをもって財政法四条二項に言うところの償還計画であると説明しているわけなんです。したがって、財政法に違反していないと、こう言っているわけです。
 それから、財政法二十八条では、御承知のように、やはり償還計画表を出すことになっています。これも銘柄別でなければならぬわけです。こういうものは償還計画とは言えないわけですね。これまで衆参両院でずっと論議をしてまいりましたし、また四十一年度の公債発行についても私は質疑いたしましたが、政府は、この一枚を四十二年度に発行を予定する公債の償還計画表と称しているが、これは期限が来れば償還するというそういう表にすぎないんです。これは七カ年の期限なら、八千億の公債発行をして七年後に八千億償還するというにすぎないわけです。こんなものは償還計画じゃないですよ。それを償還計画と称して、それをいままでずっと答弁して、財政法違反じゃないと、こう言ってきたんでしょう。もしわれわれがこれを認めてしまうと、政府のこういう解釈が定着してしまうわけです。そして毎年毎年これからかなり長期にわたって公債発行をされる場合、財政法四条二項に言う償還計画というものを実際は政府が出さないで、償還計画と称するものを出して、事実は償還計画ではないものを出して、財政法違反ではないと、こう政府が押し通してしまいますと、これは今後の私は日本の財政にとって重大な悪影響を及ぼすと思うんです。そこで、国会も、予算委員会も終盤近くなってまいりますと、どうしてもこの際償還計画というものを政府は出す義務があるんです。これを出さなければ財政法違反であるということをここで明らかにする必要が私はあると思う。これは国会としても義務がある。そんないいからかんな、政府は期限が来たら公債を償還すると言うが、この財源の措置の何の裏づけもない表が償還計画と言えますか。
 私は、これから具体的に償還計画というものはどういうものでなければならないかということを、具体的に社会党の考えを明らかにしながら質問してまいりたいと思う。
 まず最初に伺いたいことは、銘柄別の償還計画を政府はお出しになる御意思があるかないか、この点から聞いてまいります。
#11
○国務大臣(水田三喜男君) もう一昨年からの問題であり、今年度もこの問題については衆参両院でしばしばお答えいたしましたが、結局財政法の違反だというんですが、財政法の違反だという以上は、財政法の求める償還計画とは何を意味するか、この意味を確定していくよりほかに解決の方法はないということで、昨年来の論議のけりをつける一つの方法としまして、財政制度調査会にはかって、この財政法の求める償還計画とは何かということを検討してもらおうということでございました。
 昨年調査会にこれをはかりまして、調査会の法律部会、それから総会、数回会合を開いてこの解釈について論議いたしましたが、結論としては、やはりここで言う「償還の計画」とは年度別の償還の予定額を明記すれば足りると、償還の財源計画を求めているものではない、これを求めるものとすれば、これは非常に困難だ、というのが財政制度調査会の意見でございまして、いままでの政府の考え方を是認したという形に終わったわけでございますが、これ、かりにいま木村さんのおっしゃられるような償還計画、財源計画をこれは求めるものだとすれば、これはたいへんなことで、事実上はこれはもう不可能であるということは、財政制度調査会でも検討したことでございまして、過去政府の公社法の中における償還計画というもの、特別会計法における償還計画というのも解釈は同じで、償還財源の計画表ではないのだということで今日までずっとやってきたのが実情でございまして、いま突如この問題が起こったわけではございませんので、したがって、私どもは従来の解釈によるし、また財政制度調査会で検討してもらったこの解釈をもって財政法四条の償還計画、こうするより事実上はもうしかたがないものであって、またそれで足りるんじゃないかというふうに私は考えております。
#12
○木村禧八郎君 一応、大臣の言われるように、銘柄別の償還計画を出さないことが財政法の違反であるかないか、それを判定する場合には、一体償還計画というものの内容は何であるかということを明らかにする必要があると同時に、一体何のために償還計画というものを国会に出さなきゃならないと財政法で規定しているのか。償還計画どいうのは、財政法四条二項で、銘柄別にこれを国会に出さなきゃならない、あるいは財政法二十八条で、政府が国会に償還計画を出さなきゃならないと義務づけておるんですよ。出してもいい、出さなくてもいいというものじゃないんですよ。何のためにそういう規定をしているか、そのことからまず明らかにしなきゃならないと思うんですよ。大臣は、何のためにこういう償還計画についてきびしい規定をしているか、その理由はどういうところにあるかということを、これを私は明らかにしていただきたい。
#13
○国務大臣(水田三喜男君) やっぱり年度別の償還予定額を明示するということは、予算審議の重要な参考になるということでございまして、先ほどの調査会でも、この項目をそれなら削除するかどうかという議論も出ましたが、やはりこれが予算審議の重要な参考になるものである以上、これは置くべきであるという結論になったのですが、予算審議の参考には十分私はなるものだと考えております。
#14
○木村禧八郎君 そんなあいまいなものではないと思うんです、これを規定したことは。予算審議の参考になると言うけれども、こんなもの参考になりますか。期限が来たら返すのはあたりまえじゃないですか。会社が普通借金をする場合、この償還計画を立てる場合に、そのときに、これをまた借りかえるのか、あるいは現金で償還するのか、半分借りかえ半分現金で償還するのか、そうして期限が来たときに、この借金を返すときのその会社の資金状況がどうなるか、こういうことを明らかにすることによって、その会社の経理が健全であるかどうかということがわかるんですよ。政府が公債発行する場合、しかも、今後はかなり長期にわたってこの公債発行をするんですから、この期限が来たときに、一体それを借りかえるのか、あるいは現金で全部償還するのか、あるいは半分借りかえて半分現金で償還するのか、そういう計画を示すことによって、初めて期限が来たときの政府の財政のポジションですね、経理の状況が明らかになるんでしょう。そのために、いわゆる償還財源の裏づけのある計画を銘柄別に出すということですよ。それは不可能なわけはないですよ。われわれこれをつくってみましたけれども、こういうようにつくればできるのです。こういうものを政府が出すべきなんです。それがなぜできないのですか。できない、できないと言うが、技術的にできないわけはないじゃありませんか。
 それからまた、かりに――技術的にできないことはないんですから、これから私は具体的に質問してまいりますが、その場合、たとえば七カ年計画で赤字公債を発行したと、七カ年期限で。それでこれが期限が来たときに、政府はこれは借りかえはしないということを前に言いましたね。言っています。そうしますと、四十年度の赤字公債を、これが期限が来て償還するといたしますね。そのときに、今度は減債基金を設けましたが、かりにいまの制度の減債基金の積み立てをずっとやっていって、それで期限が来る。それまでに積み立てた減債基金の運用利益がありますね。それを寄せたものを引いた残りを借りかえるのか、あるいは全部現金で償還するのか、これによって財政上に大きな影響が来るわけです。これを明らかにすることによって初めて、今後さらに公債をもっと発行していいのか、あるいは公債発行をもっと減らさなきゃいけないのか、そういう判定がつくわけです。ですから、償還財源の裏づけのない償還計画を幾ら出してみたところで――政府の公債発行によって今後の日本の財政事情がどうなるかという、政府の財政のポジションというんですか、そういうものが明らかにならなきゃならぬわけですよ。そのための償還計画ですよ。そうでしょう。だから、償還計画は、公債発行し、毎年発行していく、それを償還するときに、政府の財政事情が一体どうなるか、そういうことを考えながら、これは毎年均分の償還をしていくのか、あるいは途中で買い人れ償還するのか、借りかえをするのか、いろいろやり方はありますよ。しかし、それが大切なんですよ。借りかえか、現金で償還するのか、半分借りかえるのか、あるいは買い入れ償還するのか、それが重要なんであって、それがあいまいで、どうして今後公債発行によって日本の財政がどうなると判定できますか。できないじゃありませんか。
 償還計画の目的は、いま私が申し上げましたように、この償還の時点において政府の財政事情がどうなるかということを明らかにするために償還計画を出すんでしょう。そうでしょう。計画を出したからといって、そのまま何でもやらなきゃならぬというものじゃないですよ。そのときの事情によって、借りかえなきゃならぬ場合もあるでしょう、あるいは全部現金償還する必要もあるでしょう。しかし、一応計画を出せということを財政法で書いてあるのに、なぜ出さないんですか。明らかに財政法違反じゃありませんか。
 大蔵大臣はさっき、財政制度調査会でこの規定を削ったらいいじゃないかという議論もあったというんでしょう。そういう議論があるのは、この規定があれば、私が申し上げたような、償還財源の裏づけのある償還計画を出さなきゃならないというのが財政法第四条の規定であり、財政法二十八条の規定なんですよ。そうじゃありませんか。ただ年度別の償還予定表を出せば予算審議の参考になるのでこれを出していると、そんなものじゃありません。大臣、よく事務当局にお聞きになってみたらいい。四条二項、これを制定したときの事情、それから、二十八条の中になぜ公債の償還計画を国会に出さなきゃならぬと義務づけたか、そのときの経過があるわけですよ。また、そういう資料もありますよ。あるのです。償還計画というものは、ただこんな、期限が来たら償還しますと。それで、それを借りかえるのか、現金償還するのか、財源の何ら裏づけのないこんなものを出すことが償還計画であるはずがないですよ。これをあいまいに通してしのごうとするから、われわれはあくまでこれを追及しなきゃならぬと思っているんです。それは今後の公債政策にとって非常に重要ですよ。
 いままでの単なる不況対策としての公債発行ではない、赤字を埋めるための公債発行ではないと政府が言っているわけです。いわゆる社会開発の財源として、かなり長期にわたって政府は巨額の公債をこれから発行するんですから、その場合、償還計画というものをはっきりさせないで、それでほおかぶりしてこれをしのいでいくということは許されません。われわれ国会議員としても、そんなことを認めたんでは国民に対して相すまないし、われわれの義務を怠るものですよ。また、もしわれわれがこのままほおかぶりして、政府のこんな解釈を認めて、これでこの国会を終わってしまうとしたら、一体野党の議員は何をやっているのか、めくらじゃないかと批判されてもいたしかたないですよ。ですから、私はあくまでもこれは明らかにしなきゃなりません。
 大蔵大臣、財政法四条二項と二十八条で、公債償還計画、年度別の銘柄別の計画を出さなきゃならないと、こう規定した理由を、もう一度明らかにしてください。さっき大蔵大臣の言われたような理由では、これは薄弱でありますよ。
#15
○国務大臣(水田三喜男君) もし年度別の償還予定額を出すだけで国会審議の参考になるという程度ならやめてもいいじゃないかという議論があったということを申しましたが、もしこれが木村さんのおっしゃるような償還の財源計画を求めるものだということでありましたら、これは事実上不可能だと。することはできますが、意味がないということを調査会も認めたからのことでございまして、つくろうと思えばこの償還計画はいろいろできるかもしれませんが、経済がどんどん変わっていくのを、何年先を予想して、その間における税収がどうなるのか、それを政府の政策によって減税政策をどれくらいとるのか、またかりに税金が少ないという場合には国民蓄積を活用してどれだけの財政支出の財源を別に求めるかというようなことを、全部不確定な、推定すればできるいろんな要素の組み合わせで計画を立てるとしましたら、これはコンビネーションなら何千でもできるかもしれませんが、比較的この辺の推定ならいいだろうというようなものをとって組み合わせてみても、現実にはおそらくもう全然計画と、予定したものと、その場になったら全部違うと。どれくらい借りかえをやっていくかとか、あるいはこの年には税収が余るだろうから、この減債基金の中に多く入れておくとかいうような予定をしろだなんということは、私はおそらく意味のないことだと。これを毎年発行する銘柄別にそんなものを立ててみたって、そのとおりにいくものじゃございませんし、国債の全体の管理策としての減債制度というものができれば、政府がそのときの情勢によって対処して、期限の来たものについては必ず償還する。これは期限については全部償還するのでございまして、借りかえをやるといっても、新しい国債を出すだけであって、古い国債はそれによって一応全部決済されるという形でございますので、そういう形で合理的な減債制度の中で運営ができれば、それでいい。しかも、国は税金をかけるという権限、いかなる者も持たない大きい権限を持っているんですから、公債の返還についても、そのときの情勢で、減税しようと増税しようと、いろんなことができる。これを全部銘柄別に予定してこの財源計画を示せなんてことは、財政法が事実問題として求めていないものだというのが一応の結論でございますので、私は財政法の求めるものはやはり償還の予定額でいいんだと、財源計画を求めるものじゃないという解釈にならざるを得ないのであって、ですからこそ、過去における財政法やいろんなところに使われてるこの文字は、世界的に、財源計画をきちっと立てろというものでないというふうに解釈されているのも、これは無理のないことでございまして、木村さんの言うように少しも変更しなくて済むほんとうの見通しの財源計画というものが立てられるというんだったら、話は別でございますが、こういうものは私は不可能だと思います。また、つくることはできますが、つくったものは全部無意味であると。そのとおりにやられるものじゃありませんので、これは財政法が求めてるものじゃないという解釈をするのが正しいんじゃないかと思っております。
#16
○木村禧八郎君 これは重大ですよ。財政法の精神を政府の都合のいいように解釈してるんです。あとでまた――この問題だけではないんですよ、この財政法については。
 この財政法は非常に窮屈な規定なんです。ですから、政府はこの財政法がじゃまでしようがないんです。政府の思うとおりにやろうとすれば、これはじゃまです。たとえば公債を発行する場合、償還財源計画なくして発行して、期限が来たら返すと規定しておいて、これが計画でございますよと、国会をごまかして説明しておいて、そうして期限が来たら借りかえ、借りかえでやっていく、こんな楽なことはないでしょう。それは楽です、公債発行するほうは。しかし、借金をするほうはいまのようで都合がいいかもしれませんが、金を貸すほうはどうでしょうか。だれだって金を貸す人が、期限が来たら返します、それだけで、あるいは借りかえしますというだけで承知できますか。やはり償還の計画というものは、どういう方法で償還するかというその方法を示さないで、償還計画とは言えないですよ。そうでしょう。それは借りかえという方法もある、現金償還もある、あるいは買い入れ償還もある、そういうときにはあらかじめお金貸してくれる人に、期限が来たらまた借りかえさせていただきたい、あるいはそのとき半分現金で返します、半分そのかわりまた借りかえさせてください、あるいは全部償還――たとえば私は毎月これだけ積み立てて、つまり減債基金みたいにこれだけ積み立てて、期限が来たら全部償還します。こういう条件、方法を明らかにして、それで借金するのがあたりまえでしょう。国の財政だって同じです。そういうための規定なんです。何か財政法を政府の都合のいいように解釈して、そうして公債発行を安易にしていこう。償還計画を財源の裏づけをしたら窮屈でしょう。これは公債を窮屈にするための規定なんです。政府を縛る規定なんです。それを縛られたくないから、期限が来たら返します、こんな表で、償還計画なんということで国会をごまかそうとしたって、できません。しろうとはごまかすことはできるかもしれませんがね。よく冷静に考えてみれば、こんなおかしいものはない。だれも承認していないですよ。政府はこれが償還計画だといっているが、もし財政制度調査会でこういうものが償還計画だと言った学者があったとしたら、その学者の良心を疑いたいです。御用学者だと言いたいです。これは財政法の解釈はいろいろありますよ、いままでの経過をたどっても。償還計画というものは償還の財源の裏づけがあってこそ、初めて計画じゃないですか。単なる予定表と書いてありませんよ。それはごまかしです、大蔵大臣の。
 それは実際問題、できないことはありません。大体政府は四十年度の赤字公債については借りかえしないというのでしょう。それは前にお約束しましたが、借りかえしない、まずこの点をもう一度私はこの際確認しておきたいです。期限が来たとき、四十年度の赤字公債は借りかえしないのですね。前に言われましたが。
#17
○国務大臣(水田三喜男君) これは赤字公債であって、ごく金額も少ないのですから、借りかえしない方針だと前の政府は説明しているそうですから、そうすれば、借りかえしないで済ませる方法もあろうと思います。借りかえしなくても、これは全部現金払いしてよろしい、そのときになればそういう償還の方法をとりたいと思っております。
 それから、いま木村さんがおっしゃられましたが、借りかえするのか、現金で払うのか、貸したほうはどうするのだというお話でしたが、これは期限が来たら、国はいかなることがあっても償還しないことはございません。いままでを見ましても、償還いたします。償還はするのですが、償還する資金を何によって求めるかというのが、借りかえによって求める場合もあるということでして、償還される人と借りかえる人はまた人が必ず同一人ではございませんから、期限の来た国債の保持者は全部一応決済されるということには変わりございませんで、これは期限が来ても国が払わなかったり、待ってくれというような性質のものじゃございませんので、これが公債の保持者にとっては、相手が国であります以上、そう心配になるはずはないと考えております。
#18
○木村禧八郎君 そうすると、赤字公債は、これは借りかえしないと。あれは期限が来た場合、そうすると公債費というのは非常に多くなるのです。なりますね。それは一般会計からそんなに繰り入れできますか。とにかくこれから赤字公債に対して減債基金の適用をかりにしてみると、それも政府の今度の減債基金の率ですね、一・六%ですか、あれでやったんでは非常に少な過ぎると思いますので、われわれはかりに〇・一四四の――まあ五%はあまり大き過ぎると思うので、一応〇・一四四で償還をしていくと、こういう計算をしてみたものがここにあるわけです。大臣、お手元にお渡ししましたから、これを見ていただきたいと思います。
 四十年度発行債の場合、この償還計画を試算してつくってみたわけです。そうすると、これは予算計上額は二千五百九十億ですが、発行額は二千億ですね。償還期限は昭和四十七年。この償還計画というものをつくる場合は、二千億の〇・一四四、これは二百八十八億円、これは減債基金ですね。これを六カ年としまして、千七百五十八億、これがまあ運用されるとしまして、五分五厘の複利で計算するとした場合、そうすると運用利益が二百五十四億になるわけです。これを入れますと、二千十二億ということになります。そうしますと、こういう減債基金の積み立てをやれば、四十年のものの期限が来たときに、二千十二億積み立てされますから、これを現金で償還できますね、十二億余るわけですけれども。こういうのが償還計画というのじゃないんですか。期限が来たらそれを償還するというだけでは、これは予定であって、償還計画じゃありません。だから、政府がもし借りかえしないというならば、減債基金は、〇・一四四で積み立てていくと、そうするとちょうど四十七年に二千億返済できるだけの金が蓄積されるわけです。減債基金の運用利益を入れてそうなるのですよ。こういうものをつくるべきですよ。
 こういうようにした場合に、じゃ財政上どういう影響があるか、これを勘案しなければなりませんね。その場合、一カ年、これによれば二百八十八億積み立てなければならないと。そうすると、財政上国庫の支出はこれだけ削らなければならない、あるいは予備費のほうをこのくらい少なくしなければならないとか、そこで財政上のほかとの関連が出てくるわけなんです。そうでなければ、償還計画を立てないで、こういう財源の裏づけのない――そういう計画を立てないで、期限が来たら返す、そんな安易な公債発行を財政法四条は認めているのじゃないんです。こういうふうにすれば窮屈でしょう。こういうふうに窮屈にしてちょうどいいのですよ。そうでなければ公債発行が乱発される、乱用されるというので、こういう窮屈な規定を設けているのです。ですから、もし大蔵大臣が四十年の赤字公債はこれは借りかえないと言いましたら、そうしたならば、こういう償還計画が立たなければ、私は健全な、借りかえ以外の方法による償還はできないと思うのですよ。
 そうでなければ、四十七年の公債費というものは相当多くなると思うのです。これはどのくらいになるか、計算できるでしょう。これは事務当局で答えてもらいたい。このままでいけば、四十七年度公債費、どのくらいになりますか。それに今度は、現金償還の約二千億が加わるでしょう。たいへんなものですよ、公債費は。四十七年にそんなことを一挙にできないです。できませんから、減債基金を毎年、いま私がお話ししたように二百八十八億ずつ積み立てていく、そうすれば現金償還できるのです。これが償還計画というものなんですよ。こういうものを出されないですか。なぜ出さないですか。これが償還計画ですよ。
#19
○政府委員(岩尾一君) 先ほどからいろいろ御議論がございますが、財政法の一番の権威である木村先生におことばを返すのはどうも失礼でございますけれども、償還の計画につきましては、先生もよく御承知のとおり、当時の立法をした方の意見もまちまちでございます。それから、学者の意見もいろいろありまして、どういうつもりでこの規定を入れたかというのは、はっきりしていないわけでございます。その条文を読みまして、「償還の計画」という――公債をある限定した場合に出すことができると。その場合には、しかし国会に償還の計画を出しなさい、こう書いておることだけで、先生のおっしゃいますような、いわゆる将来にわたっての財源をはっきり明示して書けという意味でこの「償還の計画」はあるのだというふうに考える考え方もあるかと思いますが、しかしまた、このとおり読んでいけば、先ほど大臣のおっしゃいましたように、償還の計画、償還の年次表を出せばいいんだということにも読めると思うのです。
 それから、二十八条で御指摘になりました、国債の償還年次表と申しますものは、これはずっと、財政法ができましたときから国会に二十八条の資料として出しておりますが、これは銘柄別ではございませんで、国債全体の償還年次を、それぞれその償還期限に応じまして計算をしたものを提示いたしております。
 ここに言っております償還の計画は、もちろん二十八条の要求資料ではございませんで、四条二項によってわれわれが国会に要求をされておる資料でございますが、その資料につきましては、先ほど申しましたようにいろいろな議論はあるかと思いますが、その辺が私らのほうもはっきり自信がつきませんので、これは先生にも御相談をしたかと思いますが、とにかく財政制度審議会で一ぺんよく相談をしてみようと、委員の方には当時の立法者もおられますし、そういった方の御意見も聞いてきめようということで、昨年いろいろ御意見を聞いたわけでございますが、その際に償還の計画というのは満期償還であるか、ある場合には年賦償還という区別もございます。そういう区別もあるわけでございますし、それから従来、先ほど大臣おっしゃいましたように、公社法なりあるいは特別会計等におきます「償還の計画」というのは、償還年次表、償還予定表ということで、ずっと国会の御審議も願っておりますし、それで解釈が統一いたしておるわけでございますから、したがって、審議会のほうといたしましても、この償還の計画は、そういう意味で償還の財源計画を出せというほどの規定ではない。償還の予定額を示せばいいんじゃないか。しかも、それで十分国会の御審議の役に立つというふうに御判断をされ、答申をされたわけでございます。したがって、その御意見に従いまして、私らもお手元に差し上げております償還計画、それから二十八条に基づきます償還の年次表というもので、法律が期待しておる償還の計画は御提示したつもりでございます。
 しかし、先ほど先生の申されましたように、たとえば今度二千億についてのお話がございましたが、こういったような一種の減債基金制度によって、そのときに一挙に二千億を一般会計から入れるのはたいへんだろう、したがって、いまから毎年これぐらい積み立てておいて、そのときに払えばいいじゃないかというような考え方、そういった考え方を政府としてはやはり御説明したほうがいいんではないか。そこで、その計画表の下にある程度、どういうやり方で返すかということについての備考を書いております。書いておりますが、それをさらに詳しく政府としては国債についての、先ほど御心配になりました将来の経済との関係もございますので、どういう考え方でこれを返していくのかということについては、公債償還の考え方、これを三月の二十日ごろでございましたか、衆議院、参議院にそれぞれ考え方をお配りいたしておるはずでございます。それによってどういうつもりで政府が償還していくのかという考え方はおわかり願えるかと思います。
 ただ、いま先生の申されましたこの案の算式をそのまま文章にいたしたものが私らの考え方でございまして、もちろん〇・一四ですか、こういうことは言っておりません。これは減債計画全体は、先生も御承知のように、前年度国債総額に対しまして一定比率を入れようという考え方でおりますので、百分の一・六という率で入れたい。これもあまり大きくいたしますと、先生の心配されましたように、それぐらいの金をもし入れるなら、むしろその年の公債発行を減らしたほうがいいじゃないかという議論も出てくると思いますので、私どもといたしましては、百分の一・六という率で戻していきたい。さらには先生も御承知の剰余金の二分の一の繰り入れもございますし、先ほど申しましたように、予算上その際に必要であれば一般会計から入れるというような考え方、この三本立てによって将来の公債を返していこうという考え方はお示ししておるつもりでございます。数字ではございませんが、そういう考え方についてはお示しをいたしておるつもりでございます。
#20
○木村禧八郎君 考え方だけでは、いかに作文に書いたって、それによって、じゃ公債発行して、それが償還を次々と銘柄別にしたときの財政との関係が具体的にわからぬのですよ。償還計画というのはそういうときの財政のポジションというんですか、事情を明らかにするための償還計画なんですから、ただ三本立てでございますと、一つは減債基金があります、もう一つは一般会計から繰り入れがあります、剰余金二分の一繰り入れがあります。そういう方法がありますけれども、その方法をどういうふうに具体的に適用するかというものが償還計画なんです。そうでしょう。それは三つの方法がありますよ、考え方は。そんなものは償還計画じゃありませんよ。それはわれわれに出された資料なんです。先ほど国会の審議に十分役立っていると言われましたが、それは政府がかってに言ったって、われわれはあくまでもそれじゃいけないというのでいままで主張してきたわけですよ。これは十分な参考にならぬのです。
 なぜ私はこんなに強調するかというと、これから巨額の公債がかなり長期にわたって発行されることになってきているんです。いままでの赤字公債で済む、あるいは四十一年度の不況対策のための公債発行でこれは終わってしまうならば、私はそんなにやかましく言わなくてもいいんじゃないかと思います。しかし、これが長期にわたって今後公債発行される――これもいつごろまで公債発行を続けるのか、大蔵大臣に伺いたいんですけれども、その見通しもあわせて。そういう場合に、償還財源の裏づけ、償還の方法が明らかにされないで、そしてむやみに公債発行をされたら、国民が心配するのはあたりまえですよ。だからこそ、償還計画というものをここで銘柄別、年次別に示せということになっているんですよ。
 それから、特別会計云々と言いますけれども、特別会計では法律によって別な規定ができるんですね、特別会計というものは。ですから、一般会計の場合と、財政法によっても違いますね。特別会計の場合は、法律によってかなり一般会計の場合よりは、いろんな一般会計に規定されたことと違った規定をできるようなたてまえになっているんです、特別会計は。御存じでしょう。ですから、特別会計はそういう法律によって一般会計と別の規定ができるからといって、それをすぐに一般会計のほうに適用したのでは私は当たらないと思うんですよ。だんだん特別会計はそうやって法律によってルーズにできるように、できるようになっていくので――私はこれは特別会計をたくさんつくることはよくないと思っているんですけれども。
 先ほど岩尾さんいろいろ説明されましたが、それは政府としてはそうしたいわけですよ。そのほうが都合がいいんですよ。ところが、それではいけないというのが財政法なんです。われわれは財政法を守らなければいけない。われわれが守らなければだれが守りますか。政府はいかにも三つの方法によって償還できるのだから、信用してくれということなんでしょう。しかし、剰余金は、規定はありますけれども、これから公債発行しなければならぬような財政状況でその剰余金なんか期待できない。そうでしょう。それから、一般会計から入れるというのは、公債発行しなければならないような状況で一般会計からそうたくさん償還財源が出せますか。そういう危惧があるからこそ、償還方法というなら償還の財源の裏づけのある償還計画を出せということなんですよ。くどいようですけれども、こういう償還方法というものがあるんですから、これは四十年度に限って言っているんですけれども。こういうことのできる償還計画を出される意思があるのか、ないのか。なければ、これは財政法違反ですよ、どうしたって。
#21
○国務大臣(水田三喜男君) 何の目的で公債を出すかということでございますが、結局公債はただ漫然とやたらに出すわけじゃございませんで、建設公債に限る、公共事業への投資に限るというふうに限定されておりますので、したがって、公債によって得られた資金はそのまま国民の資金となって、そうして長い間効用を発揮するということになるとしますというと、これは長い間国民経済に寄与する資産になるんですから、長い間かかって国民がこれを返済すればいい、国民の負担で返済すればいいということになりますので、したがって、建設公債に限るということにしました以上は、それに対する減債制度として百分の一・六の積み立てをするということは、きわめて妥当であろうと考えています。したがって、こういう減債制度をつくったわけですが、いま木村さんのおっしゃられるように、特殊な事情で国の財政資金が不足したから、それに対処するために借金をするのだということは、これはやはり前の大臣が答えたように、全部満期現金償還をすると言ったそうですが、これは国民の資産になっていないものですから、七年の期限なら七年目に全部払うことを考えておかなければならぬということから見たら、単純にいったら七分の一づつ毎年積んでおけばいいということでございまして、こういう特殊な公債について、いま言ったような償還計画、償還のめどを立てておくということは、これは可能であろうかと思います。
 しかし、それといえども、じゃそのとおりにいくかといいましたら、そうじゃなくて、かりに七年という期限ではあるのだが、今年相当税収があるようだから、千億円ぐらい基金のほうへ一般会計から積んでおこうという方針を政府が立てるならば、それで半分は償還資金を積んでおけるということになりますが、そういうことをする必要はない。七年間の処理を私ども考えればいいので、それよりもことしはやはりまだ所得税一千億減税する時期だということによって所得税の減税を急いで、そうして特に余力をつくってここへ積まなくても、これは財政運営としてはいいことでして、七分の一に割ってやるという計画をつくるのは簡単ですが、現実にそのとおりにいく必要はないので、その年の政府の政策、経済事情によって弾力的な方法がとれる。要するに、七年目の期限が来たら、政府責任においてみんな返すという処置をとればいいんでございまして、この二千億円の問題は、これだけで償還のめどを立てることはできるのじゃないかと言われたら、これはわりあいに簡単なケースでできるのじゃないかと思いますが、そうじゃなくて、四十一年度から始まり本年度、まだ今後続くであろうという公債は、量も相当大きい公債でございますので、これについての減債制度ということを考えますというと、これをここにあるように一割ずつ、一割四分も一年に積むのだというのでは、これはもう公債発行する意味もないし、財政を拘束する、これはたいへんなことで、こういうことはできない。
 なぜかといったら、五十年、百年の間効力を発揮する、効用を発揮する資産をつくるのに、その年の税でやることは無理だと思う。やはり国民の蓄積を活用してこの効用発揮の期間に対応する処置をとることのほうが正しいということで、公債政策是認もそういう意味からされておるのでございますから、公債政策をとっていながら資金をこんな大きい積み方をするということは事実上あり得ないことであって、もとの日本のあれを見ましても、一万分の百十六ですから、いままでとっておった日本の減債制度を見ても八十何年の積み立てという計算になっていまして、今度私どもの政府のとった一・六というのは、そういう意味から過去の日本の減債制度よりは非常に強化した年率だということになろうと思いますが、それでもなかなかこれは私はたいへんなことで、やはり財政が拘束される。拘束されるところにまた公債を無制限に発行できない、政府自身が縛られる問題がありますので、そういう意味からも、やはり減債制度は必要だと考えますが、もしそうだとしますというと、この公債を六十年も八十年も効用を発揮して資産をつくるのでございますから、その最後の償還期限に銘柄別に、これはこういう財源をもって充てるのだ、これはこういう財源をもって充てるのだという、いわゆる財源の償還計画というものはできるものではない。できても、そのとおりに全部いくものではないので、ほとんど事実上は無意味だということですから、結局財政法でいう償還計画というのは何かというと、そういうものを求めたのではないといってこの償還計画を解釈するよりほかしかたがないだろうと思います。
 そういう解釈は間違いだと、財源計画だとおっしゃられるのでしたら、財源計画というものができるのかといったら、私はできないと思います。かっこうをつくって推定でこしらえることは簡単ですが、こしらえるだけであって、全部毎年そのとおりいくものは一つもないことだったら、無意味である。それで、この事情を十分にいろいろ検討して財政調査会のみんな専門家の人たちが、一応こういう解釈を答申してきたのですから、やはり現実問題としては、この答申に従って処理するよりほかしかたがないと私は考えております。
#22
○木村禧八郎君 財政調査会の答申だって、政府が裏で指導して、こういう答申をしてくれというので答申していると私は思うのですよ。権威は認めませんよ。合理的でありませんし、第一。
 それから、大蔵大臣、もう一つ質問する前に、昭和四十七年度の公債費がどのくらいになる予定ですか、推定で言ってみてください。公債費はどのくらいになりますか、四十七年度は。
#23
○国務大臣(水田三喜男君) これはまだ推定しておりません。
#24
○木村禧八郎君 いまの調子でどのぐらいになるか、大体推定つくでしょう。四、五千億になりますか。
#25
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、初年度の公債も発行減額をやりましたし、本年度においてもこの財政の運営のやり方によって額はどうなるかわかりませんし、来年度の公債発行となりますというと、このいわゆる依存度の問題からも相当私どもは考えなけりゃならぬと思いますので、正直な話、来年度の国債の予定額もいまのところわからないという状態でございますので、とても昭和四十七年度現在の公債発行額はどのくらいになるか、累積はどれくらいになるかということも、これはいまのところわかりません。
#26
○木村禧八郎君 四、五千億になる。かりに三、四千億になるとしても、そのときに、四十年度の赤字公債を現金償還するというのでしょう。そう言っているでしょう。そんな財源がありますか。加えたら、六千億、七千億ぐらいになっちゃうでしょう。だから、どうしたっていまから積み立てておくか、そのとき借りかえでもしなきゃならぬ。借りかえすれば赤字公債で、これは特例法を設けなければ借りかえできないですよ。そうでしょう、赤字公債の借りかえだから。赤字公債は、特例法やめちゃっているのでしょう。だから、財政法違反ですよ、借りかえやれば。それじゃ特例法をまた設けてやるか。そうなれば違反とは言えないかもしれませんけれども、そういうまた借りかえということは、また再び赤字公債を発行する。ところが、それは特例法も――財政法に政府が違反しているのですから、そうならないためには、こういうふうにやはり償還計画立てて、そうして減債基金を積み立てていかなければならぬわけです、実際に。こういうことが償還計画というのですよ。
 さらに、時間がなくなるから伺いますが、四十一年度発行債の場合、これは見ていただきたい、お手元にございますから。これは予算計上額が七千三百億、それで発行額は六千七百五十億ですね。償還期は四十八年。政府の減債基金、これは一・六%の率で積み立てるとします。結局償還期までの減債基金の資金の積み立て累積額、これは運用利益を入れまして七百八十五億、こういうことになるのですがね。この減債基金をもとにして、どういう償還計画を立てるかということが償還計画でしょう。
 その場合に、ここに示してありますように、二つの方法があるわけですね。第一の方式は、償還資金を全部使って、残りを借りかえした場合という仮定をしてある。そうすると、六千七百五十億円から運用利益も入れた減債基金七百八十五億を引きますと、五千九百六十五億が四十八年度に借りかえが必要になるわけです。そうすると、借りかえ債が六千五十億必要になります。そうすると、六十三年後に二千五十二億残るわけです。これを一般会計で全額償還するのかしないのか、これは問題だと、こういう償還計画が一つあるのですね。第二の方式では、償還資金を全額運用して、償還は借りかえで行なう。そうすると、三十年後に償還資金の積み立て額は公債額をこえることになるわけですね。そういう方法をとるのか、あるいはこの償還期に一部償還して一部借りかえの方法をとるかですね。折衷方式があるわけですから、三つあるわけですが、折衷方式をとる場合、六十三年間に返済するとすれば、ここに書いてあるような計画表が出てくるわけです。これが償還計画というものなんですよ。
 こういうものが償還計画であって、単に期限が来たらそれを償還するというのが償還計画じゃありません。こういうものを出せというんです。また、財政法ではこういうものを出すことを規定しているんです。そこで政府は、こういうものを実際問題として出すことが困難だというんならば、財政法を変えるか、改正するか――改正しなければ出さなきゃならないんです。どっちかなんですよ。それを政府が強弁して、こういうような期限が来たら公債を返すという、そういう方法も何も示されておらないこんなものを出して償還計画表と言うから、われわれはどうしても承服できない。もしこういうものを出すことが困難――困難じゃないと思う。縛られるから困るんでしょう、政府は。計画表はこうやってできるじゃありませんか。しかし、こういうものをつくったんでは政府が将来の財政計画に支障がくる、これに縛られてしまうから困るということが出せない理由でしょう。やろうと思えばできるじゃないですか。このとおりに実行しようとすれば、政府の意思によってやろうとすればできるわけです。ただ、そうやると全体の財政の計画が非常に拘束されちゃうでしょう。それで困るというんであって、できないということじゃないんですよ。ただ困るということなんだ。だから、こういうものができないわけじゃないんです。不可能不可能と大蔵大臣言ってるけれども、何が不可能ですか。できるじゃありませんか。われわれ野党のしろうとの計算でもできるんですよ。だから、政府がこんなものを出してごまかしてるのはけしからぬというんです。出せないなら財政法改正しなさいよ。財政法改正しないで、そうしてこれでごまかそうとすることは、これは許されないです。財政法違反です。不可能不可能といったって、不可能じゃありません、できるんですから。どうですか、どっちかを選ばなきゃならないんです。その点、いかがですか。
#27
○政府委員(岩尾一君) いろいろ御議論ございました。しかし、大体まあ論点ははっきりしてきたわけでございますが、財政法に言っております償還の計画というものが、先生の申されますように具体的な財源計画までを要求しておる規定であるかどうかということが一点。この点につきましては、先ほど来お話しいたしておりますように、先ほど特会法のお話がございましたけれども、特会法でもちろんいろんな規定ができるわけでございますが、しかし、特会法に書いてある償還の計画というものは、やはりこういう償還の予定額ということで国会の御承認を願っておるという意味では、解釈が確立しておるではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。したがいまして、まあ先生のおっしゃる実際上の審議の参考の際にはこういう、将来の財源まではっきりわかったものが役に立つと、ほしいんだというお気持ちはよくわかりますけれども、まあ条文としてはそこは要求していないというようにわれわれは解しております。
 それから、かりに先生のおっしゃるような気持ちで何とかつくりたいと思いましても、大臣のおっしゃいますできないというのは、できないということではございませんで、いつでもつくれることはつくれますが、しかし、これがはっきり政府の態度である、計画であるというふうに言うことはできない。これはまあ長期の財政計画、財政収支について、世界各国ともいろいろそういうものをつくれという要望がありますが、どこも政府がそういった財政収支についての長期計画というものをつくることは、これはかえって誤解を招くし、できないということを言っておるので、つくること自体は可能でございますが、そのことのほうが弊害があるのではないかということでつくらない、こういうことをおっしゃっておるわけであります。
 それで、私らといたしましては、二十八条並びに四条二項、あるいは特会法の償還の計画という規定、あるいは公社法の規定その他すべてを通じまして、償還の計画というものは償還の予定額でいい。しかも、これも満期償還であるか年賦償還であるか、さらに将来ある年度にいろんな銘柄の公債を出すようなことがございましたならば、その点においても非常にいろいろな種類のものが入ってくるということで、かなり複雑と申しますか、お役に立つような表にもなるのではないか。そういう意味で償還の計画表としては現在御提出しているものでいい。しかし、先ほどお話にありましたような考え方について非常に先生も御心配になっておりますので、その点は文書にいたしましてお配りをいたしまして、審議の御参考にするということにしております。
 ここにございます先生のお考え方、これはその当年度だけのものについて一・六という減債計画をお立てになっておられますけれども、われわれは前年度期首の国債総額というもので計算をして、そうして実際上一・六がいいのか、あるいは一・二でいいのか、そういう計算はその辺のところをいろいろと試算をいたしまして、そうして一・六という数字を出して、これで御審議を、現在法律を提案いたしておるわけでございます。考え方は大体先生のおっしゃるような考え方でよろしいかと思いますが、それを数字にいたしまして、これが政府の考えだ、計画だというふうに言うのには、あまりにも期限前償還とか、買い上げ償還とか、あるいは一般会計から予算繰り入れとして特殊な場合に出していく金もございますし、そういうふうにそこで固定してしまうことはなかなかむずかしいという意味で、現在文書で差し上げております考え方で先生の御要望は私どもとしてはお答えしているのではないかというふうに考えまして、従来どおりの償還計画については、これから、考え方についてはなお御議論がございましたならば、その考え方についてはあるいはもう少し詳しく先生の御要望を入れて、いろいろ政府の判明し得る態度は入れまして、御説明してもいいかと思いますが、償還計画自体の表としてはこれで十分であり、決して財政法違反ではないというふうにわれわれは考えております。
#28
○木村禧八郎君 ちょっとミスプリントがあります。その出しました資料の、左の数字の上から六行目、六千七百五十億に〇・〇一六かけてありますね。それに六をかけていただきたいのです。六年間。それが六百四十八億です。この六が落ちておりますので。
 この問題についてはこれからも毎年やらなければなりませんが、政府は財政法を改正しない以上、またこういう償還方法なり財源の裏づけのないものしか出してきていない以上は、これはいつまでも問題になります。私の言いますのは、要は公債発行によって国の財政状況がどうなるかということを判断する資料として出すのですね。ところが、こういう予定表だけでは、それがどういう状況になるか、判断ができないのですよ。だから、償還計画を出したら、そのとおり何でもやらなければならぬということは私は言っていないのですよ。そうでしょう。そのときの状況によっていろいろ変化することは認めています。だけれども、この時点においてこれを出せば、なるほどこういう財政状況になるのだ、借りかえるか、あるいは現金償還するか、あるいは折衷でいくか。そうでなければこの財政状況を判断する資料にならぬ。そうじゃありませんか。そうでしょう。それを私は言っているのですよ。だから、財政法の求めるところはそこなんです。それをはぐらかして、こんなお粗末なものを出して、国会をしのいでいけると思ったら大間違いで、これを直さない以上は、つまり財政法を改正するか、償還計画を財源の裏づけの伴ったものを出さない以上は、私は繰り返しこの点については追及していきますから、これをやめませんから、その点は私は十分ここで政府に反省を求めておきます。
 次に、もう一つ伺いたいのは財政法違反の問題です。それは四十一年度……
#29
○国務大臣(水田三喜男君) 委員長、ちょっとこっちから御質問しちゃいかぬですか。
#30
○委員長(竹中恒夫君) 水田大蔵大臣。
#31
○国務大臣(水田三喜男君) いまの木村さんのお考えは、いま言われたように十分わかるのですが、この償還表ですね、結局これを見て、いまから二年目に行ったら一体減税政策はどうなっておるのか、景気・不景気の関係はどうなっておるのか、途中で繰り上げ償還をやるのかどうか、これを想像することはできませんね。そうすると結局、一億発行するんだといったら、十年としたら、毎年千万ずつ返す予定ですという、割って機械的に出すよりほかしようがないということでしたら、これは、これこそ意味のない償還計画であって、その辺をどういう推定でやろうとするのか、ちょっと御参考までにお聞きしたい。
#32
○木村禧八郎君 大蔵大臣から質問されたのは初めてだ。こういう慣例は非常にいい慣例ですね。大臣が委員に質問する、そうして私どもが答弁をする。これはまあ社会党が政権をとったときの練習にもなりますから……。
 水田大蔵大臣に御答弁申し上げます。それは、政府が社会経済計画、長期計画をおつくりになっております。したがって、これに照応した長期財政計画というものをつくらなければならないわけであります。それに応じて、長期資金計画――民間資金需要も含めて、政府の資金需要も含めて、長期資金計画、総合的資金計画がなければならないはずであります。それをやっていないじゃありませんか。それをおつくりになれば、その一環として、何年度は全部これは借りかえにするか、どれだけ償還したらいいか、全額償還したらいいか、回答が出るわけであります。その全体の長期財政計画、あるいは長期資金計画というものがないから、これはできないのです。大蔵大臣は、これはできないできないと言っているのは、実はこれができないのじゃなくて、全体の総合的な資金計画が非常にむずかしいのです。それはわかりますよ。いままで一番政府で不足しているのは、民間資金需要も含めた総合的資金計画がないのですよ。ですから、私がこういうふうに追及したら、これからおつくりにならなければいけません。おつくりになれば、何年度は民間資金需要計画を含めてこうこうこうなりますから、そこで、これは全額償還しますとか、あるいはその場合は民間資金需要が非常に多いから、全額償還がこうなんだから半額償還をして、半額は借りかえていこうじゃないかと、こういう計画が立つわけですよ。ですから、その前提のほうの作業を十分おやりになっておらないから――もし、おやりになっているというなら、お示しください。また、今後そういう長期財政計画なり、あるいは長期の民間資金需要も含めた資金需給計画をお出しになる意思があるならば、はっきりさせてください。また、出さなければなりません。単に、あの社会経済計画というものを、ああいうものを出しっぱなしでは何にもならない。あの資金計画なり財政計画の裏つけがなければならないですよ。この点は、大蔵大臣、いかがですか。今度はこっちが質問する順番になる。御納得がいきますかどうか。なお御疑問がございましたならば、この次に御答弁申し上げます。いかがですか、大蔵大臣。
#33
○国務大臣(水田三喜男君) 政府の、企画庁のあの計画によりましても、年次別の財政規模の計画というものは、事実上立てられないということで、こういう問題では私どもずいぶん苦労をしておりますが、木村さんは、それを立てて、それを土台にして借りかえ償還を幾らやるか、そのほかにこまかいものまで、それができなければこの償還計画が立てられぬという御意見のようでございますので、これは参考として承っておきます。
#34
○木村禧八郎君 時間がありませんから、もう一つ。これは四十一年度の補正予算を組んだときに、政府は十五の特別会計について補正を行なうことにしていましたが、十二の特別会計に所要の補正をしただけで、三つの特別会計については補正しなかったですね。これは明らかに私は財政法違反ではないかと思うのです。なぜ補正しなかったか。この三つの特別会計というのは国債整理基金特別会計、それから中小企業高度化資金融通特別会計、失業保険特別会計、この三つですね。そうして一般会計では補正しているのですよ。特別会計のほうは補正していないのです。これは明らかに私は財政法違反だと、こう思いますが、これはいかがですか。
#35
○政府委員(岩尾一君) 御指摘ございましたように、四十一年度の補正予算におきまして、一般会計のほうから国債整理基金特別会計へ入れます金を、ちょうど先生先ほど御指摘になりました二千五百九十億の四十年度の赤字公債の分が二千億で済みましたものですから、したがって非常に支払い利子が減りまして、そのために繰り入れ額を三十三億減らしております。それから、中小企業高度化資金貸し付け金におきましても、同じようにいま申しましたような集団貸し付けの件数が減少いたしましたので、一般会計から中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れ額を二十六億ほど修正しました。それから失業保険につきましても、失業保険の実際の給付が見込みを下回るということになりましたので、一般会計から御承知のように四分の一ないしは三分の一を負担しておる失業保険特別会計への繰り入れ額を二十一億減少いたしておる。一般会計では減少いたしておるのであります。
 この三会計についてそれぞれ補正が行なわれていないということが財政法違反ではないかという御質問でございますが、この点につきましては、先生も御存じのように、特別会計内におきまして既定の歳出権の範囲内で先ほど申しましたように経費の執行ができるわけでございますから、したがって、そういう意味で特別会計は特に補正をする必要はないのじゃないかということで、しなかったわけです。御指摘のように、補正予算につきましては、二十九条に「内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。」といたしまして、第一に「法律上又は契約上」いわゆる「予算の追加を行なう場合」とありまして、第二に「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」、こういうふうに書いておるわけでございます。したがって、いまお話しいたしましたことは、この第二項の「追加以外」ということに該当するかと思います。この場合にも実際上に、ここにございますように、政府は「補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。」としておりまして、その提出するかしないかという必要性の判断は政府にあるというふうに規定しておるわけでございます。そこで、実際上は、国会で歳出を議決なさいましたとき、われわれといたしましては、その額までは支出することができるという権限をいただくわけでございますが、その額を全部支出しなければならぬという義務は負っていないわけでございます。そこで実際上は、いま申しましたような客観的な事由に基づいてそこまで支出する必要はないというような経費については、特に修正までする必要はないじゃないか。具体的に、御議決になりました趣旨からいいまして、追加以外の変更ではありますが、これがたとえばいろいろな個別の部門にこういうふうに渡すのだというような中身できめておりますものを、その渡す中身を変えるという場合でございますと、これは先生のおっしゃいますような国会の財政民主化の立場から議決された精神自体にも若干触れてまいりますから、そういう意味ではこの変更についてはさらに補正予算を出して御審議を願うということをやってもいいかと思いますけれども、いま申しました三つの会計の歳出権限内でやれるということは、それぞれ客観的なことでできてきたことでございますので、それまで全部やる必要はないんじゃないかということで、従来からそういう方針で特別会計の補正につきましては――一般会計はこれは歳入歳出両建てで、一ぺん減らした分で財政をまかなうということにいたしておりますから、したがって両方補正をいたしますけれども、それを受け取ります特別会計のほうにおきましては、いま申しましたような国会の議決に反しない範囲に実行できるのであれば、補正をしなくても済むという状況であるならば、それを補正しなくても二十九条の違反ではない、かように考えております。
#36
○木村禧八郎君 それは旧憲法的考えです。二十九条がいわゆる修正予算につきましては、これは平井君も解説しておりますが、「財政法逐条解説」にこういうふうに言っております。これは御存じだと思うのですが、「二十九条の修正予算の規定は、これは全く新しい規定だ。従来、予算成立後に生じた事情に応じて、内閣限りで自由に、成立した予算の範囲で編成替えをして実行したことはしばしばである。これを実行予算と称している。この内閣限りで処理する実行予算の考え方は、予算に対する国会の議決はその支出の限度を国会が承認するものであって、その金額を支出する義務を内閣に命じたものではないという見解から出ておる。」、いまの御説明のとおりです。「しこうして、これは国会で政治論として認められたところである。ところが、憲法八十三条は、財政を処理する権限を国会の議決に置くことを明らかにしたものだから、当然、予算の実行に関しても国会の議決を中心とするように考えなければならない。したがって、成立した予算といえども実行上変更するような場合には、もう一度国会にはかり、予算自体を変更してから実行するのが民主的となるわけである。又、一方、国会における予算の増額修正権も認められたのであるから、もし従来のとおり内閣限りで実行予算を編成していくとすれば、国会で増額修正して内閣をして実行せしめようとした政策を内閣限りで実行しないことも可能になる。そういう結果になって実に不都合なことになる。そこで、予算成立後従来のような実行予算を編成しなければならないような情勢があるならば、実行予算を作成して国会の議決を求めてから、すなわち、予算自体を変更してから実行しなければならないという問題が起きてくる。」、これが新憲法の考え方ですよ。財政法の考え方です。ですから、旧憲法では実行予算のそういう制度があったのです。ところが、新憲法では実行予算の制度がないのです。だから、修正予算という制度ができたので、それをすることができるとあるけれども、それをしなければできないんですよ。だから、政府に修正予算を提出することができるという事由を与えたんですよ。できると書いてあるから、どうでもいいというわけじゃないんですよ。この点の考え方が違っていると思う。
 どうも大蔵省は、全体として、さっきの財政法でもそうですね、国債償還についても、こういう問題でも、旧憲法の考え方が抜け切れないんですね。大体旧憲法的なあれを受け継いでいるんですよ。ところが、財政法でも受け継いでおりますから、残滓が残っているのも無理はないと思います。そういう考えから頭を切りかえなければいけないですよ。やはり国会の増額修正を認めないというのですから、われわれ野党が要求しても。増額修正を認めた場合に、これは最高額の承認であって実行しなくてもいいんだ、そういう判断で実行しなかったらどうなるか。増額修正をせっかく認めた意義をなさないじゃないか。そのことを言っているわけです。ですから、三つの特別会計においてこれを補正しなかったということは、私はこの修正予算の精神に反していると思うのです。今後は私はこういうことは改めるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
#37
○政府委員(岩尾一君) いま先生の申されましたこれは、もちろんいろいろ議論があるかと思いますが、かりに増額修正権があるとした場合、こういう増額修正したものを政府が認めなかったらいかぬじゃないか、こうおっしゃいましたが、そういうような意味合いで、同じように歳出権の項を御議決いただきました場合にも、国会の御意思としてはこういうふうに使うのだという御意思が非常に強いものと、それから先ほども申しましたように、個々の事情によりまして、客観的な事情で当然支出しなくてもいい、不用に立ってしまうものと、いろいろあると思います。これはもちろん考え方だとは思いますけれども、そういった場合に、ほうっておいてもとにかく不用に立ってしまうというものをわざわざ御議決願うところまでこの条文が要求しているか。あるいは先生のおっしゃいましたような増額修正した場合のように、国会はとにかくこういうふうに使うのだというような御意図で議決された内容のものについては、その際にはわれわれは必ず補正予算を出したいと考えておりますが、そうでないようなものについては、この条文の規定からいいましても、特に補正する必要はないのじゃないかということで、これはずっと従来からもそういうような趣旨で扱っておりまして、決して旧憲法の実行予算的な考え方でやっているのじゃなくて、その点は特に財政民主化ということでできるだけ新しい方向で考えておりますが、いま申しました補正予算についてはそういった理由で私どもはやっているわけでございます。
#38
○木村禧八郎君 私は何か非常に政治的な意図があって修正したのではないか、こう思っておったのです。というのは、総選挙の前なんですね。これを減額修正するとしたら、中小企業の高度化資金、これを減らさなければならない、それから失業保険特別会計、これも減らさなければならない。それを減額修正すると、いかにも政府が中小企業や失業対策について何か不熱心であるというような印象を与えるのじゃないか。そこで、十五のうち十二はちゃんと修正しておいて、どうして三つだけ残したのか、おかしいと思うのです。だから、私はその点できちんとすべきじゃないかと思う。特に戦前あったものですから、それでわれわれはそういうことを考えておるのです。これはやはり財政法で非常に政府を縛って、窮屈な点がたくさんあるのでございますが、これは政府は窮屈であるのはある程度しかたがないんですよ、財政法は窮屈にする法律ですから。それを十分尊重すべきであって、行政面でいろいろな理屈をつけて、そうしてこの財政法の規定に従わないというようなことがだんだんひどくなると思うのです。いわゆる財政民主化の空洞化とか形骸化がひどくなると思う。そういう点で今後この点については、これ以外にもいろいろあるのですが、十分に注意すべきだと思います。
 最後に、これで終わりますが、この前決算の中で純計で間違いがあるということを指摘いたしまして、認めましたが、その後これをどう処理されたか、その処理について何らの報告がありませんが、どういうふうに処理されたか政府の御意見を聞いて、終わります。
#39
○政府委員(岩尾一君) 最初に、いま御質問になりました特別会計の補正でございますが、これはそういう政治的な意図を持ったものでは全然ございません。先生も御承知のように、一般会計のほうはちゃんと減っているのでありますから、したがって、それを見ればわかるわけです。特に特別会計だけ補正しなかったというのは、先ほど申し上げたような理由でございます。
 それから、純計につきましては、この前も御答弁いたしましたように、間違えました点については、四十年あるいは四十一年の予算の添付書類について間違えたわけであります。ところが、それを発見いたしましたのは予算も終わったころでございます、八月でございました。予算も通過いたしているという状況でございまして、はたしてここで正誤を出すべきかどうかということに非常に迷ったわけでありますが、まあどうもチャンスもないということで、正誤はとうとう出さないでまいったわけであります。そうしてこの前先生の御指摘を受けまして、ここではっきり釈明をいたしまして、おわびをし、誤りであるということを表明いたしたわけであります。
 それから、その後の四十二年の添付書類をどうしておるか。これは先生の御指摘もございますので、絶対そういった正誤に該当するような間違いはございません。
 そこで、なお議論をもう少し進めますと、検査院と大蔵省との間に純計についての考え方が違うじゃないかという御議論がございました。この点は、四十二年に添付いたしました添付書類の中におきましては、できるだけ意見を合わせまして、そしてもちろん考え方が、これも先般御説明いたしましたが、検査院のほうはいわゆる国と国以外のものということに限定をいたしまして決算書類の純計をつくっておるわけでございます。われわれのほうは特別会計と一般会計が一つの会計であればどうであるかという考え方で、したがって年次的に、たとえば剰余金の繰り入れでございますとか、積み立て金の繰り入れでございますとか、あるいは資金からの繰り入れ等、そういった縦の系列による繰り入れば純計上は差し引きをしない。これは検査院のほうはそうではなくて、国が国以外のものに対してどれだけの金の出入りがあったかということを、一般、特別会計を通じて整理をしたいという考え方でございますので、その点は検査院のほうでは控除いたしておるわけでございます。これは考え方の相違でございますので、この点はそのままにいたしておりますが、それ以外に証憑書類を検査院は非常に取れますが、私らは証憑書類が取れませんので、したがって個々の経費、たとえば役所が切手を郵政省から買いました場合、この場合にほんとういえば政府間のやりとりでございますから、検査院のほうはわかる。はっきりわかっておりますので、それは控除いたします。ところが、大蔵省のほうではつけた予算の中でどれだけ切手を買ったのか、電話のほうは幾らなのかということは、証憑書類がございませんのでわかりません。そういう意味合いで、そういう経費は従来は合わせていなかったわけでございますが、この点を四十二年度におきましてはできるだけ合わせまして、資料その他の関係で合わないものはしかたございませんが、できるだけ合わせていくということで整理をいたしました。
 なお、いま申しました考え方について、先生が御指摘になりましたような、ほんとうに予算審議に役に立つように純計というものを考えたらいいじゃないかという御指摘に対しては、あのときもお答えいたしましたように、財政制度審議会にもはかりまして、こういう規定をつくりましたときから、政府機関とかあるいは財政投融資というものが非常にふえておりますし、地方会計の内容も違っておるわけでございますから、全体を含めて予算の参考になるような純計というものはどういうものがよいかということは、今度十分検討して、できるだけ早く結論を出したい、こういうふうに考えております。
#40
○木村禧八郎君 どうして正誤表を出さないのですか。何か蔵にしまっている、出す用意をしてあったと言ったが、それは私が言うのは、過去にさかのぼって財政なりいろいろ研究したり調査する人も、そういう正誤表がはっきりしないと、あのままでずっと利用したりなんかするわけですね。そういう点もありますから、やはりそれは、何も責めるわけじゃないですけれども、それは明らかにしておいたほうがいいんじゃないですか。正誤表を出した、けしからぬと、もう言いませんから、もうすでに言ったんですから。ですから、それを実際利用する人の便宜のために、はっきりそれを、そこのところは間違っていたんだという、明らかにするようなことをされる必要があるんじゃないですか。そこのところなんですがね。
#41
○政府委員(岩尾一君) この点につきましては、私らは正誤を早く出したいという気持ちでございました。ところが、先生も御存じのように、国会の運営について、まあ国会の事務当局の方にもいろいろと御議論がございまして、いま正誤を出してもらうのがいいのか悪いのか、いろいろな議論がございまして、まあ現在の段階ではそれほどの必要はないんじゃないかという議論がございましたので、私どものほうは出さなかったわけでございます。これはあのときにもお話ししましたように、実はちゃんと刷って、出したいというつもりでおったわけですが、さような関係で実は出していないわけでございます。
#42
○木村禧八郎君 その理由がわからないのですが、それ、どういうわけでいけないのですか。
#43
○政府委員(岩尾一君) まあ国会事務当局の方、私、正式にあれしておりませんので、よくわかりませんが、やはりこれは済んでしまったものを、それについて、まあ審議の場でもないときに特に正誤を出すのはどうであろうかというような解釈があったのではないかと思います。しかし、先生のおっしゃるように、あとの人が困るじゃないか、どこかで直しておけという御主張については、われわれは委員会の席上で御答弁をしたことで直したというふうに理解をしておるわけでございます。
#44
○木村禧八郎君 これでやめます。それは私は事柄はそんな大きな問題じゃないんですけれどもね、この取り扱いについては、はっきりしなければいけないと思うのです。過去に間違ったことを、間違ったままにやってきたんでしょうが、それをどういうわけであそこで事務当局が渋るのか、せっかくそういう正誤表ができておるのに。これは国有財産のむだですよ。(笑声)理屈をいえばですよ。あっさりとどうして出していけないのか。大臣、どうですか。やはりこれは出したほうがいいんじゃないですか、大臣。ひとつはっきりさせてください。
#45
○国務大臣(水田三喜男君) これは国会の委員部のほうだそうでございますので、委員部と相談して善処いたします。私のほうはむしろ出したいんで、持っておるほうですから。
#46
○委員長(竹中恒夫君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後三時より再開いたします。それまで休憩いたします。
   午後零時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十六分開会
#47
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 資産再評価法の一部を改正する法律案、通関業法案、以上両案を一括して議題といたします。
 まず、資産再評価法の一部を改正する法律案について、政府から提案理由の説明を聴取いたします。米田大蔵政務次官。
#48
○政府委員(米田正文君) ただいま議題となりました資産再評価法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法により再評価が強制されております一定規模以上の会社の再評価積み立て金の処理につきましては、その資本組み入れ措置は、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度まで適用されることになっており、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度以降につきましては、別に法律で定めることとされております。一方、最近におきましては、強制再評価会社の再評価積み立て金の資本組み入れも、特定の業種を除き一般的に相当程度進捗しており、今後、配当制限などのような資本組み入れ促進措置を継続する必要はないものと認められるに至りましたので、この際、強制再評価会社のほか、その他の株式会社及び有限会社を含めて、再評価積み立て金の最終的な処理を行ない、再評価積み立て金の経理の簡素化をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、株式会社または有限会社が、昭和四十八年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度の終了の日において、なお再評価積み立て金を有している場合には、当該再評価積み立て金を当該終了の日の翌日において資本準備金に組み入れたものとみなすこととして、再評価積み立て金の最終的な処理をはかることとしております。
 第二に、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度から昭和四十八年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度までの五年間においては、再評価積み立て金を任意に資本準備金に組み入れることができることとしております。なお、この期間においては、現行どおり抱き合わせ増資による再評価積み立て金の資本組み入れも行ない得ることとしております。
 このほか、以上の措置に関連し、株式会社の再評価積み立て金の資本組入に関する法律を昭和四十八年三月三十一日に失効させるとともに、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法及び中小企業の資産再評価の特例に関する法律を廃止する等、所要の規定の整備を行なうことといたしました。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#49
○委員長(竹中恒夫君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。加治木証券局長。
#50
○政府委員(加治木俊道君) すでに皆さま十分御案内のことだと思うのでございますけれども、この規定あるいは措置の内容がきわめて経理技術的な措置、内容になっておりますので、蛇足になるかと思いますけれども、簡単にこのような措置のとられました趣旨と今日までの経過及び現状、これをお話し申し上げまして、御審議の御参考に供したいと思います。
 これは一言で言いますならば、戦後のインフレに伴う企業経理の措置のための一連の諸法律でございます。簡単に申し上げますと、まあドッジ安定があったわけでございますが、その後また朝鮮動乱があって、まあこまかく分けますと二度の大きなインフレーションがあったわけでございます。したがって、このインフレ前の企業の資産の帳簿価額が、買い入れ価額、それを若干償却しているわけですが、あれはですね、全くノミナルな価額になっちゃったわけでございます。物価指数からいいますと三百倍、五百倍になったわけでございますから、たとえば戦前に比べますと、まあ終戦直後のものもありますし戦時中のもありますから、倍率はそれぞれ収得した資産の内容によって違いますけれども、帳簿価額と時価とが非常に開いておりますので、企業の資本の実質というものを維持するためには、どうしてもこれを時価に引き直して、その時価を基準としてたとえば償却する。それから、それを償却したものの残で利益があがった場合に、初めてそれを真実の利益として配当等の社会流出を認める、こういうふうにしませんと、帳簿価額を基準にして利益が出ただけ配当するということにいたしますと、資本の実質的な食いつぶしになるわけでございます。
 まあこういう措置は、当然企業あるいは企業の経営者自身がそれだけの措置をとるべき筋合いのものでございます。しいて国家がこれに関与しなくちゃならないということは、通常の場合ならないのでございますけれども、まあ日本の経済の再建の途中でございますので、恣意的な会社の措置だけにまかせるというわけにもいかない。いわば国家としても、政府としても関心を持たざるを得ない。日本の経済の再建あるいは拡張再生産を進めるためには、どうしてもそれだけの措置を各企業がとってもらわなくちゃならない。まあこういうことでございます。
 ところが、非常に安易な経営者は、従来の帳簿価額を基準にしてやりたい、こうすれば幾らでももうけが出るわけですから。それから、たとえば再評価したけれども、資本に組み入れますと資本金が大きくなりますから、配当する場合にどうしても配当率を下げなければ従来の配当額が維持できない。そういう意味では、イージーゴーイングをやりたい企業は若干抵抗を感ずるわけでございます。
 この抵抗を排除して、何度かにわたって再評価、大体四回にわたって再評価の機会を与えたわけでございますけれども、資本金五千万円以上の会社に対しましては評価を強制さしたわけでございます。少なくとも限度額の八〇%以上は再評価しなくちゃならない。その上その再評価に基づいた償却をやらなくちゃならない。あるいはこの資本を、これを再評価積み立て金という勘定で一時処理したのでありますが、だんだん資本に組み入れさせていったわけでございます。その組み入れ限度のいかんに応じて配当を押える。たとえば当初は再評価額の三割以上組み入れてなければ少なくとも一割五分以上の配当は認めぬというような措置をとって、だんだん強化しまして、現在は六〇%以上組み入れてなければ一割をこえる配当を認めない、まあこういうところまで強化してまいったのであります。
 ところが、もう終戦処理、インフレ処理といいましても、十数年を経過いたしております。その強制再評価の対象となりました会社は約千八百社でございますけれども、実質的に残っておりますのは二百六十数社という状況になって、大部分の会社は所期の目的を達してまいっておる、こういうことと、まあ本来経営者あるいは企業のみずからの自覚に基づいて措置すべき事項であるので、まあ政府として強制措置をこのまま続けるということはもうやめようではないかというのが、今回の法律の御提案申し上げました趣旨でございます。
 ただし、従来この再評価積み立て金は便宜、それと現金増資の場合に、たとえば一株五十円の場合に、三十円払い込んで二十円は再評価積み立て金から組み入れるという、抱き合わせ増資といっておりますけれども、そういう便宜な措置を認めておったのでございます。したがって、株主としては三十円払い込むだけで五十円の株がもらえた。本来はこの再評価積み立て金の資本への組み入れと、それから増資は増資と、別個の手続でなければならないのを、一本の手続で便宜そういう増資の措置が認められておったわけでございます。これを急にやめますと、まあ株主の期待権の侵害にもなりますし、まあ会社としてはなおしばらくそういう措置を認めてもらって資本の充実を期したいと、こういう要望もありますので、その抱き合わせ増資――資本組み入れの便宜措置でございますけれども、この規定だけは五年間猶予期間を設けて、その期間はいままでのような強制はしないと。まあ抱き合わせ増資はできる。それから、資本組み入れもやりたければやってもよい。あるいは資本準備金への組み入れもやりたければやってもよい。しかし、最終的には、五年後に残りましたものは全部商法上の資本準備金として措置する。一般原則に返すのでございます。法律体系から全く通常の商法上の体系に返して、それぞれの経営あるいは企業にゆだねる、こういうことでございます。
 簡単でございますが、補足いたして説明いたします。
#51
○委員長(竹中恒夫君) 通関業法案については、すでに提案理由の説明と補足説明は聴取いたしました。
 これで両案につきまして質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#52
○藤田正明君 証券局長にお伺いしたいのですが、特に今回五年間の猶予期間を設けた理由ですね。三年であってもいいんじゃないか。まあ五年間にした、その辺に何か理由があるのでしょうか。大体いまの補足説明でわかってはおりますが、具体的にもう一度御説明願いたい。
#53
○政府委員(加治木俊道君) この五年間ということ、数学的に理由づけることは非常に困難でございますが、再評価積み立て金から、一種の無償交付でございますね、によって、増資の際に、株主が充当しただけより少ない金額を払い込むことによってまあ増資に応じられると。御承知のとおり、大体増資が発表になりますと株価が上がるというような状況でございますので、こういう措置が株主にとってもまあ一種の期待権とされておった。そうすると、この期待権というのは何年間見込んだらいいかということでございますが、まあいろいろな見方はございましょうが、まあ五年間見ておけば、それで今後は打ちどめになるわけです。通常の資本準備金からの組み入ればできるわけです。ただし、その場合は、無償分については五十円全額を資本準備金から組み入れることになります。有償増資は別個の増資としてちゃんと五十円払ってやることになるわけです。ですから、いままでよりは若干形態は変わってきますけれども、その意味で期待権はどの程度見込んだらいいかということで、五年間見ておけば株主の期待にも十分こたえることにもなるのじゃないかというようなことでございます。
#54
○藤田正明君 先ほども補足説明で、戦後の二度のインフレで、帳簿価額と時価の開きが非常に大きくなった、資本の実質的な食いつぶしがそこに行なわれる、これは従来ならば会社が自主的に才覚をしてやるべきものであるけれども、という話がございましたが、今後インフレがあるとは申しませんけれども、しかし、部分的にですね、非常に値上がりするものがあろうかと思うのです。ということは、土地、特に土地でありますが、今後の縦貫道あるいはいろいろな都市再開発、宅地造成、これらによりまして都市周辺の土地が非常な暴騰を来たすのではないか。そういう際に、やはり資産の再評価というものがやっぱりあり得るのかどうか、土地に対してですね。まあ建物はそれほどのものはないと思いますけれども。会社が非常に低い帳簿価額で持っておった、そういう土地が急激に値上がりするということは間々あることだと思いますから、今後ともそれはあり得ると思います。そういう場合はどのような考え方、また指導をされるのか、お伺いしたい。
#55
○政府委員(加治木俊道君) 土地の問題は、インフレ処理といいますか、償却資産でございませんので、この体系の法律の対象としては問題が少しずれると思うのでございます。確かに御指摘のとおり土地は、場所によりますけれども、一般の物価倍率よりは非常に大きい倍率を示しております。これをどういうふうにするか、課税の関係も出てくる問題でございますけれども、われわれの企業経営の立場からいいますと、これが持っております問題は、取得地のいかんによって同じ程度の財産内容を持っている企業の内容を帳簿価額だけで簡単に比較できない、実質的に比較できないという面があるわけですね。その辺の会社の財産内容を正確に株主あるいは関係人にディスクロージャーするというそういう趣旨からいえば、考えてみる余地がある問題でございますけれども、この法律が所期しましたインフレ処理というようなそういう問題とは若干違った問題になるかと思います。
#56
○藤田正明君 電力、私鉄が特に資本の組み入れが低い、そこらに問題があるのだというような話でございましたが、その理由をもう一度伺いたい。
#57
○政府委員(加治木俊道君) 現在、約五千四百億ぐらい強制再評価会社の再評価積み立て金が残っておりますが、その六割方が電力と私鉄でございます。電力は三千億以上、私鉄で四、五百億残っておると思います。電力会社は当時再評価しましたときには、資本金が当時の資本金で四百億ぐらいだったのですが、おそらく再評価積み立て金総額が四千億をこえるようなそういう状況だったと思います。非常に大きな再評価積み立て金ができたわけです。もちろん、それだけの実質を維持してもらわなければならないわけですけれども、これを資本に組み入れてもらいたいわけでございますが、一方で、必ずしも企業の経営努力だけで、資本を実質的に拡大するわけですけれども、それに耐えられる、またそれを維持するに足るような体質をみずからつくるということは、必ずしも自由がきかない公益事業でございますから、そういう意味でさっき申しましたように六割以上組み入れなければ一割をこえる配当は認めぬということに、最近の一番きついラインがそこでございますから、かりに七割以上組み入れなければたとえば八分ぐらいの配当しか認めぬということにしますと、電力会社はどうしても組み入れなくちゃならない。しかも配当は下げなくちゃならぬというところまで追い込まれるか、あるいは料金を引き上げて一割配当を継続するかということにせざるを得ないわけですね。そういう意味で、必ずしもこういう公益事業で会社の経営努力だけでは解決できない負担がかかっておる。そのためやむを得ず残っておるわけです。ただし、それを食いつぶしているわけではございません。大事にとっております。欠損金が出れば欠損の補てんに充てられるわけでございますけれども、全部残っておるわけでありますから、実質的な資本金としては食いつぶしてはおりませんが、資本金として確定したことが望ましいには違いないのでございますけれども、強制するのはいかがかと、こういうことで、強制措置からははずす、こういうことでございます。
 ただ、残りましたのは、そういう固定資産の非常に大きい電力とか私鉄、そういうものが再評価差額も非常に大きかった。資本に比して非常に大きい。したがって、組み入れもなかなか進まなかった。一方で料金が押えられておるために、組み入れてもなおかつ配当が維持できるようなそういうことを、会社の努力だけでは解決できない問題を持っておるのだ、こういうことでございます。
#58
○藤田正明君 業種別の資本組み入れの割合がどうなっているか、わかるならばひとつお教え願いたい。
#59
○政府委員(加治木俊道君) 資本組み入れの割合と、それからいまの資本金に対して残っている再評価の積み立て金の割合、これは対資本残存割合といい、前者を資本組み入れ割合といっているわけです。現在の法律では、再評価差額の八〇%以上を資本組み入れしたらもう自由と、もう強制しない。それから、八〇%以上入れてなくても、その後どんどん資本金が大きくなりまして、再評価積み立て金が新資本金に対して一〇%以下になっている、これも強制の対象にしないようになっています。そういう意味で、対資本残存割合と資本組み入れの割合というのがあるのでございますが、おもなる業種だけでよろしゅうございますか。
#60
○藤田正明君 けっこうです。
#61
○政府委員(加治木俊道君) いずれ詳細は資料で差し上げたいと思いますが、たとえば建設業が、資本組み入れ割合が七五・九%で、対資本残存割合は一・七%、こういうふうになっております。それから繊維は、資本組み入れ割合は六三%組み入れまして、対資本残存割合は一一%、もうすれすれのところまで来ております。それから化学は、五五%組み入れて、対資本割合は九・七%、それから石油は、資本組み入れは三八%組み入れておりますが、対資本、新しい資本に対する割合は二・八%になっております。それから鉄鋼が、もうすでに組み入れば七一%になっておりまして、対資本残存割合は全体として六・二%、こういう状況になっております。それから陸運が、再評価積み立て金のうち資本に組み入れたのは二一%、非常に少ないわけですね。資本に対する残存割合はなお三一%残っている、こういう状況でございます。それから電力でございますが、電力は組み入れた割合が二二・六%で、資本に対して残っている割合はまだ六五・四%残っておる、こういう状況でございます。これは強制再評価会社だけの数字でございます。
#62
○須藤五郎君 急なことで、あまり質問する勉強がまだされていないのでありますが、一、二点、通関業法について質問をしようと思います。
 通関業者の中でいまこういう不安があるんですよ。そうしてわれわれのほうにも訴えが来ておるのです。というのは、この法案によりまして通関業者が統合されるんじゃないか、つぶされるんじゃないか、こういう不安がこの人たちにあるんですね。その点、政府のほうはどういうようにお考えでございましょうか。
#63
○政府委員(細見卓君) そういう御心配はないように私どもは十分業者の方ともお話ししておったのでございますが、いまなお先生のところにそういうお話が来ているというのは、われわれの連絡の足らなかったところと思って反省をいたしておりますが、しかし、実際は先生のおっしゃいますようなことは絶対にございませんので、この法律自体は従来、明治三十四年の法律がそのままになっておりまして、提案理由のときにも申し上げましたが、当時、個人を中心としたような非常に大まかな法律になっていて、何事も税関の監督でできるという式のものを、むしろ業者の権利、義務その他をはっきりさせて近代的な業法にしようというだけのことでありまして、なお、その免許を持っておられる従来の方につきましては、三年間の経過規定も置きまして、この法律自体として何ら整理とかいうようなことを考えるのでなくて、むしろ新しい衣を着ていただきたい、これだけのことを考えております。
#64
○須藤五郎君 今度の通関業法案による通関士というんですか、名前は。それは国家試験によって選定するんでしょう。その試験の方法、内容はどういうことになるんですか。
#65
○政府委員(細見卓君) この試験をいたしますのは、営業所にたくさん人を使っておられる、その一人の人だけを通関士という試験を取っていただきたいというわけでございます。しかも、その試験の内容は、法律案の二十三条に書いておりますが、通関業者として不可欠な、通関手続の上に必要な法律、したがいまして、関税法とか関税定率法その他関税に関する法律と、それから通関書類の作成要領その他といった問題、あるいはこの、そのものであります通関業法というようなことで、およそ税関で通関の仕事を、輸出なり輸入なりの申告なり何なりされる上にも、どうしても知っておっていただかなければならない法律についての、法律あるいは実務についての知識をためすと。しかもこれは、その一営業所に一人ということでございますから、したがって、その程度のことは通関業をやっていただく上には要ると思います。
 なお、実際はどういうふうにやっておりますかといいますと、現在でも各税関ごとに講習その他のことをやりまして、試験という形で公認した手続にはなっておりませんが、実際上はこういうことをやって、相互に資質の向上をはかっておるというのが実情でございますし、なお、地方港あるいはその他特殊な業務をやっておられて、こういうふうな一般的な通関あるいは関税法についての知識を必要としないような営業所等につきましては、こういう通関士を置くというようなことも免じておりますし、また通関士試験もしたがって受けていただく必要はないということになっております。
#66
○須藤五郎君 業者の不安の中には、こういう不安もあると思うんですよ。いま一業者一人というお話ですがね、一営業所一人と。その一営業所一人の人が試験を受けて落第したような場合は、その営業所は営業ができなくなるという結果が来るだろうと思うんですね。そういう点はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#67
○政府委員(細見卓君) 先ほどもちょっと申しましたように、三年間の猶予期間もございますし、考えられます試験がそういう、何といいますか、非常に理屈っぽい学問のための試験というようなものじゃなくて、かなり実務を中心にしたようなものであります。しかも、現在私どもが承知しております限り、通関業者、現在は税関貨物取り扱い人と称しておりますが、ここで働いておられる従業員の学歴等を見ましても、短大卒以上が約二七%、それから高卒以上になりますと九三%と、およそ高卒程度の学力をお持ちになれば、この程度の試験はだいじょうぶだと、かように考えております。
#68
○須藤五郎君 あなたのお話を聞いていると、試験は非常に形式的なもので、はなはだ権威のない試験だということになると思うんですよ。そんな権威のない試験なら、試験する必要ないんじゃないですか。何で権威のない試験をことさら試験をして、そういうふうにしていかなければならぬのか、これは私たち非常に不可解な点ですね。だから、無試験でみんな資格をやったらいいんじゃないですか。それほど権威のない試験なら、やめたほうがいいですよ。
#69
○政府委員(細見卓君) もちろん、この試験にあたりましては、一部免除もございまして、長期間にわたってこうした業務に従事しておられる方につきまして、それぞれその人が経験しておられる業務に関係ある法令の試験は省略いたしておりますが、なおこの試験そのものは先ほど申し上げましたように、そんなに理屈の上のむずかしさを求めるという試験ではございませんが、今回の改正――前年度の改正でありますが、申告納税制度になりまして、通関業務が円満に進行するためにはやはりりっぱな申告が出てくるということが必要でありますし、相互にそういうことによって通関の迅速化ということがはかれるわけでございますので、やはり適正な申告書が書ける程度の知識を持った方が少なくとも一人ぐらいは営業所におってもらいたい、こういうわけでございます。
#70
○須藤五郎君 いまの答弁とさきの答弁とでは、相当私は開きがあると思うんですよ。さきの答弁では、こういう試験だから何ら心配ないと、試験に落第するようなことはないんだと、万々ないだろうという。いまのこの業務に携わっておる人は、ほとんど短大を卒業したり高等学校を卒業した人で、試験もむずかしくないし、大体みんな受かるような試験だと、こういうふうにさっきあなたは発言されたと思う。それならば無試験でそういうことはやったらどうだと、こういう私は意見なんです。そうすると、あなたはいま言ったような意見を述べられるんですが、その間に何らか――私はその話を聞いておると、これはたいした試験でもない試験をしてこういう資格を与えるということは、要するに試験によって大蔵省、税関がはぶりをきかして、にらみをきかす、そういう手段としてこういう試験制をとられるんじゃないか。おれたちの言うことを聞かぬとだめだと、試験制によってそのにらみをきかしていこうという、そういう考えが非常に、先に立っているんじゃないですか。どうも私たちにはそういう感じがする。そうしてその試験制によって通関業者をあなたたちがひとつ牛耳っていこうと、そんなことと違うんですか。
#71
○政府委員(細見卓君) 全く違うので、どういうふうにお答えしていいかわかりませんが、やはり通関業というものを新しい衣で、りっぱな業態として確立していく過程におきましては、皆さんにそれは通関士の試験をとっていただきたい。従業員全員ということはむずかしいと思いますが、いやしくも業として通関の仕事をやられるわけですから、そこに通関に関するいろいろな法規等について十分明るい人が一人おられるというのは、こういう知的職業においてはやはり必要なことであり、これがやっぱり全体としての通関業者の権威を高めるゆえんでもあろうと、先ほどもちょっと申し上げましたが、現状におきましてもいろいろ講習等をやりまして、相互に知識の向上をはかっておることは事実でございますが、それを一つの資格を与えると同時に権威も与え、同時にここにありますようにいろいろな権利、義務も規定いたしまして、いわゆるプロフェションとしての立場を確立したい、かように考えております。
#72
○須藤五郎君 まあどうも、あまり試験として権威がない試験をやるので、私たちのほうが見ると、そんな権威のない試験なら、しいてする必要はないんじゃないかという意見があると私は思うんですがね。このいまの提案理由の説明の中に、「その内容において現状に即さなくなっている点が少なくありません。」と、こういう点があるんですよ。この「現状に即さなくなっている点」というのはどういう点なのか、ずっとあげてほしいと思うんです。
#73
○政府委員(細見卓君) 一番大きな問題点は、お読み願って明らかなごとく、従来の法律は個人の業態を主にしてでき上がっております。したがいまして、いつか申し上げましたように、現在の業者の実際は大部分が法人になっておるわけで、個人業者は数軒あるだけでございます。そういう意味におきまして、個人を対象としたような規定のあり方はおかしいのではないか。
 それからいま一つ、当時は海岸にあって税関と荷主との間の取り次ぎということで、その間に介在する仕事を抽象的にばく然と規定しておったわけですが、現在は御承知のようにだんだん業務の分化が行なわれまして、そういうふうにばく然とした規定ではいけないわけで、機能的に分化して、この通関業者というのは税関と直接関係のある通関手続あるいはそれに伴ういろいろな貨物の移動ということに限定していきたいというわけであります。
 なお、近代的な業法におきましては、免許の基準とか、あるいは業者の権利とか、あるいは業務の規制というものにつきましても、それぞれ法律的に基準を明らかにして行なうというのが、近代――新しい業法の通例になっておるわけですが、これはいわば法三章で税関の監督に従うというだけになっておる。そういうことでは業者の権利を保護するゆえんにもなりませんし、また業者に対する適正な監督をするゆえんでもない。そういうところを直しているわけでございます。
#74
○須藤五郎君 まだ質問ありますけれどもね、きょうはこれで、これに対する質問は一応ここでとめておきたいと思います。
#75
○委員長(竹中恒夫君) 速記とめて。
#76
○委員長(竹中恒夫君) 速記を起こしてください。
 大蔵大臣がお見えになりましたので、質疑を続けます。
#77
○須藤五郎君 私は、きょうは共産党を代表しまして、大蔵大臣に課税最低限の問題、それから間接税、租税特別措置法などについて若干の質問をいたしたいと思うんです。
 政府は、毎年、減税をする、減税をすると言ってやってきたわけです。ところが、これを聞いて労働者たちは、来年こそは税金が少なくなる、こういうふうにぬか喜びをさせられてきたんです。ところが、もらった月給袋をあけてみると、去年の税金よりことしの税金のほうが高くなっている、たくさん月給から税金が差し引かれている、こういうことになるわけです。これを見て労働者は、また政府に一ぱいやられたか、こういうふうに大きな怒りを禁ずることができないんです。毎年これと同じことが繰り返されてきたわけですが、政府は来年減税と言いますが、また労働者は同じように腹を立てなきゃならぬ、こういうことだと思うんです。
 そこで、私は、まず第一に、課税最低限について大臣に質問をしょうと思います。
 政府は、昨年度五人家族で六十三万円を課税最低限と、こういうふうにきめました。ことしは、物価、公共料金の値上がりを考慮して、課税最低限を七十四万円に引き上げたとお得意になっていらっしゃるように思うんです。ところが、はたしてこれで、この七十四万円で五人家族が、憲法に保障されているところの健康にして文化的な生活ができるものかどうかという点を、大臣に伺っておきたいと思うんです。
#78
○国務大臣(水田三喜男君) 課税最低限という問題は、最低の必要生活費に課税しないということと関係しますので、いろいろむつかしい問題を持っておりますが、要するに、物価の上昇見込みに対して、ことしの減税政策、特に課税最低限をどのくらい上げたかということによって――最低限の上げ方の大きいということによって、この問題に対処していくよりほか方法はないんじゃないかと思います。そういう意味から見ますと、私どもは今年度の物価の上昇率を四・五%と見ている、これに対してまず独身者については課税最低限の引き上げを今回の場合は二一%の引き上げ率にいたしましたし、夫婦・子三人の世帯、いわゆる標準世帯が一六%、各世帯構成を通ずると、平均一八%の課税最低限の引き上げということになっておりますので、この点から見まして、昨年の生活よりも本年度のほうが、これは非常にゆとりがあるということは言えるだろうと思います。
#79
○須藤五郎君 大臣、私たちが生活するのは、パーセントやそんなもので生活しているんじゃない。実際に即した金額によって生活をしておるんです。昨年一年間の経験で、六十三万円の生活の内容がいかなるものであるかということは、もう私たち経験済みなんです。だから、ことし十一万円多くしたといって政府は自負しますが、この七十四万円の生活がいかなるものであるかということは、私たち昨年一年の経験ではっきりともう知っておるわけなんです。だから、私がことさらこういう質問をするんです。この前の当委員会におきましても、政府の出した資料によりまして私が質問したとき、五人家族四十二年度七十一万一千八百九十九円、ゆとりが七万四千百二十一円と、一人暮らし、二人、三人、四人とふえてきたこのゆとりが、五人のときにとたんにがたんと落ちていることは、これは不合理だということは大臣も認められた。そうしてこの手直しをしなければいかぬという意味のことを大臣もお答えになったのです。それほどこれは不備なものなんです。決して大臣が自負されるようなそんな上できのものと私は言えないのです。私はそのときに大臣に、だから、共産党は四人家族百万円まで無税にしなさいということを言っているのだということを申し上げたはずなんです。
 四十二年度の標準世帯で七十四万円をはじき出した根拠になっているところの基礎控除、それから配偶者控除、扶養控除、これは最低生活だということになっているわけなんですね。しかし、これで一年間の生活がほんとうにやっていけるかどうかということを、私は重ねて伺いたいんです。基礎控除十五万円で大の男が一年間りっぱに憲法で保障した文化的な生活ができますか。酒を飲むことすらもできないじゃないですか。大臣は酒が好きかきらいか知りませんけれどもね。酒の好きな人なら、十五万円じゃ酒一ぱい飲めませんよ。コーヒーの好きな人が毎日コーヒーを飲んでごらんなさい、コーヒー代も出ない金じゃないですか。奥さんはどうですか。十五万円で一年間暮らせますか。着物を買うことすらもできない金額じゃないですか。特にひどいのは教養控除の七万円ですよ。十四、五歳の子供といえば発育盛りで、うんとこさめしを食うときですよ。七万円で三度のめしが食えますか。これを月割りにしたら五千円ですよ。五千円で三度のめしを食って――あなたたちは二百五円という数字をすでに出しているんでしょう。二百五円に三十日かけたら、すでに五千円以上になりますよ。あなたたちがはじいた数字より以下の数字ですよ。学校に行く中学校の子供なんかは、くつ下も破れるし、洋服のおしりも穴があくし、たいていじゃないですよ。それに扶養控除七万円ということ、一体どういうことですか。これは全く最低生活以下の数をあなた方は基本にしているのです。それではじき出したのがこの七十四万円と、こういうことになるんじゃないですか。
 第一、アパートに住んでいる人たちは、アパート代がこれで出ますか。今度東京都のアパートなんか、月一万八千円。私たちの秘書たちも、アパート生活をしている秘書もありますよ。そういう人たちは、やはり一万何千円というアパート代を払っているんですよ。そういうものを計算したら、こんなことでとうていやっていけないんです。それを、やっていけないものをこういうところに出してきて、これが課税最低限ですと、去年よりは減税ですと。一体何事ですか。良心のある大臣ならそういうことは言えないはずだと私は思うんですよ。どう考えられますか。
#80
○国務大臣(水田三喜男君) まあ最低限の生活が幾らであるかというようなことは、さっき申し上げましたようにむずかしい問題でございまして、いまの課税最低限がちょうど最低の生活費を保障するものであるというような理屈は私はあまり言いたくないと思っています。これは議論になれば際限のないことでございますが、いずれにいたしましても、これは外国に比べてみて確かに日本は低いということが言えるだろうと思いますが、現実に国民がいままで低い生活をしており、税の負担が多かったということから、すでに御承知のように、昭和二十四、五年ごろから、私どもはもう毎年減税減税とやってまいりまして、今日に及んでようやくここまで来たと。にもかかわらず、まだ国民生活の現状から見て課税最低限が低過ぎるということでございましたら、これをさらに経済の進展、国力の伸びるに従って、財政力の伸びるのに従って、これを逐次減らしていけばいいのであって、まあいまのような行き方をあと何年か続けていったら初めていい国民生活になるのじゃないかと、私どもはそれを思って毎年これは努力しているところでございます。
 で、毎年それだけ減税をやっていながら、ちっとも減税をあんまりはだに感じないじゃないかというお話ですが、これはもう現に私どもがそうでして、相当減税をやったつもりですが、はだに感じないということは、全然国民の所得がふえなければまた別ですが、とにかく少しずつみんなふえておることには間違いございません。ですから、もし所得がふえるのに減税をやらなかったという場合には、これはいまの所得税の累進制から見まして、これはたいへんな税負担になるということになりますので、私が前に申しましたように、もう所得税というものは年中行事で、国民の所得がふえるに従って毎年これはやるべきものだと私ども思っておりますが、毎年やっても、やはり所得がふえていけばそれに従って税がふえている感じであって、絶対値が減らないということから、はだに感ずる度合いが少ないのじゃないかと思いますが、これをやめたら実際はたいへんで、ちっとも減税していないじゃないかというのですが、昭和二十四、五年ころのあの所得税の税率がいままでもっておったとしたら、これはたいへんなことでございますが、毎年やっているということは、これはやはりはだに感じなくても、実際はたいへんな減税政策をとっていることであって、私はそういう努力の上にようやくここまで来たと。五人家族でいいますと、いまの二百何円で計算しましても三万円、月三万円という所得まで税金がかからないというところまでいま来たということでございまして、今後これをさらに努力して、四万なり五万なり、最低生活を上げていくということをすればいいのであって、いまのあれで、これが合理的か、それで食えるかという質問には、ちょっと食えるとも言えませんし、食えないとも答えられないと、こういうことだと思います。
#81
○政府委員(塩崎潤君) 数字でございますので、ちょっと補足して御説明したいと思います。
 大臣のおっしゃることで尽きるわけでございますが、まあ確かにわが国の国民所得の水準、まだまだ低いのでございます。それに見合って課税最低限も私は諸外国に比べて低いのが、いま須藤委員の御指摘の点だと思うのでございます。現実の生活水準を見ましても、これは私どものつくりました基準生計費だといたしますと、もちろんいろいろな御批判がございますので、現実の家計調査の消費支出金額を見ましても、まだまだこれは生活水準が低いことをあらわしておる。たとえば四十一年は平均四・〇七人の世帯人員で消費支出金額は一カ月当たり平均五万三千円でございます。五人世帯で五万九千二百二十一円でございます。そういたしますと、これは六万足らずでございまするから、消費支出金額は全国平均を見ますと五人世帯で七十二万円になると。これと課税最低限を比較してみていただきますと、まあまあそう課税最低限がふつり合いなものではない。これは平均でございまするから、最低生活でもございませなければ、事実ある平均的なものでございます。
#82
○須藤五郎君 時間がないので、できるだけ短く答弁してくださいよ。
 いま大臣は、七十四万円というのが憲法で保障された文化的で健康な生活に値するとは言えぬという意味の答弁だと思うのですよ。だから、大臣は、七十四万円はまあ大臣自身もこれが非常に低いものだということは知っていらっしゃるのだろうと私も思うのですよ。それなら、何で減税だ、減税だといって自慢する必要がありますか。こんなもの減税じゃありませんよ。あなたは自分自身減税をはだに感じないと言っていますが、日本の労働者はみな感じていないのですよ。確かに所得は上がりますよ。所得を上げたら上げただけいい生活ができなければうそなんですよ。ところが、所得は上がったけれども、物価が上がってしまう、税金が上がる。だから、われわれの生活は去年もことしも同じじゃないですか。だから、六十三万円の生活の内容がいかなるものであるかということは、国民はみな知っている。去年もその前の年もみんな同じような生活である。少しも生活水準はよくなっていない。だから、ことしの七十四万円の生活がいかなるものであるかということを予測して、大蔵省はばかにしよる、こういうふうにみな思っているのです。
 そこで、私は質問したい。そんなもの、七十四万円というものを自負されるならば、七十四万円の内容、明細をここに出してください。被服費が幾らで、光熱費が幾らで、住宅費が幾らで、学校費が幾らで、文化費が幾ら、食費が幾ら、全部出してくださいよ。どうや。
#83
○政府委員(塩崎潤君) すでに衆議院大蔵委員会の横山先生の御要求で、おそらく参議院にも回っておりますが、これまでに大蔵省メニューという例の基準生計費の形での課税最低限の検算は御提出申し上げているつもりでございます。しかし、これは須藤委員のおっしゃったような、たとえば被服費が幾ら、教育費が幾らといったようなものではございません。例の国立栄養研究所の献立、これをエンゲル係数で逆算いたしまして、一つの消費支出金額をつかまえたものでございます。これから見まして、私は課税最低限はそんなに無理がない。さらにまた、先ほど申し上げましたように、現実の平均的な消費支出の金額から見ましても、十分納得できるような数字ではないか、かように思っております。
#84
○須藤五郎君 大蔵省は、二百五円で二千五百カロリーという数を出しているのですよ。ところが、厚生省のこれによりますと、独身男子一人の食費、去年で二百三十七円四十六銭。去年は大蔵省は百八十六円です。厚生省の査定と大蔵省の査定が五十円違うのですよ。その後厚生省のほうでは二千八百二十カロリーはじいているのですよ。ところが、大蔵省は二千五百カロリーですよ。同じ官庁でありながら、何でこんなことやるのですか。これこそ大蔵省はやっぱし税金を取ることばかり考えているからこんな低い査定をするのですよ。そこに、大蔵省の態度に問題があるのじゃないですか。大蔵省は物取り主義ですよ。
#85
○政府委員(塩崎潤君) この成人男子一日二千五百カロリーの数字は、国立栄養研究所が委員会の勧告に基づきましてつくったものでございます。私は二千八百カロリーということになったことについてはまだ聞いておりませんし、二百三十七円も去年の論議の際には私は伺ったことが、ございません。須藤委員から上野の動物園の食糧費とかいうような話もございましたけれども、二百三十円、二千八百カロリーが現在の日本人の食料費のベースになるというふうなことにはまだ至っていないのではないかと思います。
#86
○須藤五郎君 これ、厚生省の資料です。去年私は、塩崎さん、馬の話をして、馬以下だ、人間をばかにするなという話をしましたよ。ことしも同じことが言えるのですよ。馬は、上野動物園へ行くと、四百円。鹿が百円ですよ。人間はまん中の二百五円。人間を馬鹿扱いにしているよ。せめて馬並みにというのが今日の人間のはかない希望じゃないですか。そういう扱いを人間にしておきながら、減税をしましたと大きな顔をすべきじゃないじゃないですか。これから見ましても、課税最低限はいかに低いものであるかということが私ははっきりすると思うのですよ。だから、重ねて言いますが、私たち日本共産党は、四人家族で百万円まで今日の物価において無税にすべきだということを言っておるのです。時間がありませんから、その点はもうその程度にします。
 次に、政府は配偶者控除をことしから十五万円にすると、これまたいばっている。そうして、配偶者控除を基礎控除と同額にして妻の座を非常に高めた、こういうふうに言っておるわけですが、妻の内職が十万円をこえたなら、この配偶者控除十五万円を差し引いてしまうのでしょう、なくすというのでしょう。これは一体どういうことでしょうかね。内職によって得た金にまで課税しようというのでしょうか、どうでしょうか。日本の主婦たちが高物価の中で家計を切り盛りするために、いかに苦しい生活をして、苦労して、子供の養育まで犠牲にして、そうしてやっておるかということです。ここに参考資料がございますが、きょうの毎日新聞には詳しく内職のアンケートが出ておりますよ。みんな苦労して家計を切り盛りする。夫の収入が足りないために苦労してやっておる。こういう内職で得た金にまで課税をしょうというのは、これはずいぶんひどい。
 私は、選挙中方々を歩きまして、街頭演説をやりました。そうすると、おかみさんたちがたくさん集まってくる。そのおかみさんたちのところに、演説を済ませましてから車をおりていって、ことし大蔵省は二百五円で三度のめしを食えと言っております、これ以上食う者には税金をかけると、こういうふうに言っておるが、あんたたち二百五円で三度のめしが食えるかと質問すると、みんな、食えませんと言っておる。ある乾物屋さんに飛び込んで、そこのおやじさんに、夕方になるとたくさんのお客さんが見えるが、そのお客さんがどの程度の生活をしているとあなたは商売人として考えますか、二百五円でやっているように思えますかと言ったら、いや、そんなばかなことはありません、二百五円ではとてもみんなやっておりません、やれといってもやれるかどうかわかりませんけれども、二百五円をきちんと守って三度の食事をしておったなら、必ずその人は栄養失調になりますよ、こういうふうにそこの主人は言っておりました。これは偽らざるところの市民の声だと私は考えるのです。
 こんな困難な生活を守るために子供の養育を犠牲にしてまでして働いて得た内職の金に税金をかける、まさに残酷税ですな。これは酷税中の酷税と言わなきゃならぬ。私はそう思いますよ、大蔵大臣。こういう政治をやっているから、東京都のこの間の知事選で負けるのですよ。東京都の主婦たちがみんなおこったのですよ。だから、美濃部さんが当選し、あなたたちが推した知事候補が落選した、そういうことですよ。あなたたちは大いにこの点、反省しなければいけない。私は、こういう内職には課税はすべきでない、こういうふうに思いますが、大蔵大臣はどういうふうに考えますか。
#87
○政府委員(塩崎潤君) 内職所得という非常に技術的な点を含んでおりますので、私から前もって御説明申し上げたいと思います。
 その前に、非常にしつこいようでございますが、二千五百カロリーは先生のお考えでは二千八百二十カロリーではないか、こういうお話でございましたが、これは厚生省と私どもの考えが違わないことが先生の資料でわかりましたので、ちょっと補足さしていただきます。十八歳でございますので、二千八百二十カロリーでございます。東京都の男子一日一人当たりの熱量は二千百三十八カロリーである。これを成人換算率〇・八五三で除しまして、成人熱量、カロリーは二千五百六カロリーである。それを一〇%増しにしまして十八歳のカロリーの所要量を出した、こうなっておりますので、私ども二十五歳を二千五百六カロリーと見まして、若いほうはもう少し多目、年取ればだんだんカロリーが少ない、こういう計算をしておりますので、私のほうが非常に歩が悪いような先生の御質問でございましたが、ちょっと弁解だけさしていただきます。
 第二点は内職所得の問題でございますが、簡単に申し上げますと、内職所得も所得でございます。したがいまして、内職所得をどの程度見るか、そのあたりのしんしゃくはありましょうが、扶養親族の所得も合算して課税すると考える形に立てば、これはしんしゃくせざるを得ない。その関係で十万円という限度を置いておる、こういうことでございます。
#88
○須藤五郎君 そういうふうに人民大衆に対しては非常な残酷なものの考え方ですよ。私が先ほど酷税と言ったように、非常に残酷だと思うのですよ。そうして片っ方で一体こういうことをしているが、資産階級には利子、配当の非課税を今度やっているでしょう有価証券の売買益の非課税、こういうものを設けまして、ずいぶんたくさんの金をただでくれてやっておるのですよ。そうしてこの内職でやった人に対してはこういうことをやる。片手落ちじゃないですか、これは。これをどういうふうに考えたらいいんです。国民の立場に立ったら、金持ちに何で税金を負けてやるんだ、われわれから何で内職で得た金にまで税金をかけるのか、これは国民の立場に立ったら、どういうふうに説明すればいいんですか。だから、私は酷税中の酷税だと言うのですよ。説明つかないじゃないですか。何で金持ちからもっと金を取らないのですか、税金を。そうしてこういう人たちからは税金は免除するような方向に、何であなたたちはやろうとしないのですか。そこにぼくらの多くの不満がある。問題がある。大蔵大臣、これをひとつ答えてください、大臣として。
#89
○国務大臣(水田三喜男君) 日本の税金は低所得者と高所得者の差がないんじゃなくて、いま世界で一番差のある税制を日本でとっておる。最高は九三%まで税がかかるということでございますが、ほかの外国にはそこまで高率の所得税というものはないのです。というのにかかわらず、日本はそこまでやっておるということで、金持ちから税金を取らぬというような税制は現にやっておりません。
 ただ、おっしゃられる税の特別措置というようなものは、これはまた金持ちを助けるとか、そういうのじゃなくて、貯蓄というものが日本経済にどういう働きをするかという、国民経済全体から見てこれを奨励する必要がある場合には、どういう税制によって奨励するかという政策的意図から出たいろいろな減税というものは、これはまたおっしゃられるものとは一緒に、同律に言えない問題でございまして、これはいまの内職というものには税をかけるが、こっちはなぜかけないという比較すべきものでは全然ございませんで、全然別個の要請からできた税制でございますし、決して日本の税制が金持ちには有利になった税金とは私は考えておりません。
#90
○須藤五郎君 どうしてですか。あなたも京都大学で河上先生の教育を受けた方だと思うのですよ。もう少しものの見方が違っているはずだと私は思うのですよ。あなた、五万円までの利子は、銀行預金百万円ですよ、それまでは非課税です。一銀行一つでしょう。そうしたら、日本じゅうの銀行に預金をずっと分けて百万円ずつ預金をすれば、税金は一文もかからないじゃないですか。配当だってそうでしょう。一銘柄五万円までは税金かからないのです。そうしたら、百銘柄持ったら五百万円までは免税ということになるんですよ。そういうふうに金持ちにはやはり免税措置になっているじゃないですか。事実そうなっているじゃないですか。大蔵大臣がそんなことないと言ったって、そうです。それから、金持ちに九五%課税している、こんな高い課税をしている国はないとおっしゃるけれども、たくさんの収入――九五%税金を課せられる人は、うんとこさ収入のある人ですよ。それからまだほかに、いま言ったような利子、配当課税――たくさんこまかしのできる階級なんです、その人たちは。そうしてその人たちは九五%税金取られたって、あと残るものが大きいから、その人たちの生活は何ら脅かされない。十分な生活ができる。ところが、内職でかせいた金に税金を取られるというそういう低い階層の人は、わずか千円の税金取られてもこたえるのですよ。大蔵大臣、何でそんなばかなことをするかというのが私の意見なんです。あなたが幾らそういうこと言ったって、私は納得できませんよ。時間がありませんから、次へ行きましょう。大蔵大臣、五時十分退席といいますから、急ぎますよ。
 次は間接税について質問したいと思うのです。政府は所得税の減税によって、物価、公共料金の値上げを吸収する、こう言っておる。ほんとうにそうしているのかどうかという点。
#91
○国務大臣(水田三喜男君) 結果として、物価の上がりを所得税の減税がカバーするということはございましても、物価が上がるから所得税を減ずるのだという関係で、所得税を減じているというわけではございません。
#92
○須藤五郎君 この所得税を払っている人は、いわゆるあなたたちのおっしゃる減税措置で、いわゆる物価の上がりとか公共料金の値上げというものを何らかセーブできるというふうに考えることもできるかわからないですね。あなたたちはそう考えているのじゃないかと思う。ところが、所得税を払っていない人がたくさんあるわけですよ。数ははっきり私はつかんでおりませんが、その低所得者あるいは失脚者という所得税を払っていない人、その人たちも同じ国税である間接税を負担していると思うのです、この人たちも。所得税は払っていないけれども、間接税は払っている。あなたたちは、この物価高、公共料金の値上げ、こういう問題をどう処置しようとおっしゃるのか聞きたいのです。たばこのハイライトですと七十円で、税が四十二円でしょう。砂糖はどうですか、一キログラム輸入糖だと五十九円六十八銭が税でしょう。こういうような、所得税を払わない人でもどうしても使わなければならないような砂糖にまでこういう税をかけるのは、所得税を減税するといっても、所得税の減税に関係をしないこういう低所得者に対してはどういう処置をとってこれを埋め合わせをしょうと、どういうふうに考えていらっしゃるのですか。
#93
○国務大臣(水田三喜男君) その調整を間接税でやったらよかろうという御意見であろうと思いますが、いまの間接税はその課税の範囲も非常に狭いし、生活費に占める割合というものも比較的少ないという状態でございますので、間接税の目的というのはやはり消費抑制とか、その他いろいろな目的からできておるものでございまして、いまの所得税を払わない人の生活を緩和するというために間接税をもって補おうということは、これはもう問題でございまして、間接税の税自身の筋からいってそうすべきものではない、別個のことから、たとえば社会保障の制度のいろいろな拡充とかそういう面から考えるべきであって、間接税をもってこれに対処しようということは私は非常に適当でないというふうに思っております。
#94
○須藤五郎君 米価、物価、公共料金の値上げなどによって一番打撃を受けるのはだれかといえば、私は所得税を払っていない低所得者、いわゆる失脚者の連中、そういう人たちが一番大きな打撃を受ける階層だと思うのです。その階層に対しましてはそのままにしておる。何ら手を打っていないのです。それで、所得税だけで物価調整をやる、こういう意味のことを言っておるが、これでは全く筋が通らないのではないか。だから、共産党はこう言うのです、生活必需物資は全部間接税をなくしなさい、それでないと解決ができないんじゃないかと。大臣にもこういう低所得者の間接税に対する解決方法というものはないと思うのですよ。だから、共産党は、生活必需物資は間接税はなくしてしまいなさい、こういうことを言っておる。これ以外に私はないと思うのですが、ほかにいい方法がありますか、大臣。
#95
○国務大臣(水田三喜男君) 所得税を納めない人だけに間接税をどうこうするということは技術的にいまはできませんので、あなたのおっしゃるように、間接税をやめる以外にないと思いますが、間接税はほかの目的でできておるものでございますので、そういう意味だったら社会保障の拡充というようなものをもって対処すべきでございますし、例にあげました米というようなものは、これは米の消費者価格でございまして……
#96
○須藤五郎君 それは間接税じゃないでしょう。
#97
○国務大臣(水田三喜男君) 間接税じゃございません。もしこれを低所得者に対する対策として考えようということでしたら、いまも政府の中でも検討しておりますが、所得別によってこの配給の値段を考慮するかどうかというような問題は起こってくると思いますが、やはり低所得者には低所得者のための特別の保障制度をもって代行するのが本筋の行き方だと思います。
#98
○須藤五郎君 低所得者が間接税を払っている額は、七千億から払っているでしょう。失脚者が払う間接税というものは相当額なんですよ。決して少ない額じゃないです。そんな額を低所得者が間接税として取られているのですよ。だから、私は、大臣がいま言ったように、間接税をどうこうするということは非常にむずかしいとおっしゃるから、生活必需物資は、金持ちにも貧困な家庭にも全部生活必需物資は全部間接税をやめなさい、そうでないと解決の方法がないということです。そんな貧困な人が、低所得者がものを買いに行くときは、その人にものをまけるなんて、そんなばかげた措置ができますか。だれが貧困者だと証明書をつくるのですか。そんなことはできっこないですよ。だから、そうじやなしに、生活必需物資には間接税をかけることはやめなさい。あなたたちそれをやらない。ということは、低所得者に対しては何もやらないというふうに、私は大臣の話を聞いておって感じたのですが、そういうことになりませんか。
 時間がありませんから、重要な質問を大臣にしますよ。この間接税につきまして、現在直接税、間接税の比率は大体五八%と四二%、こういうふうなパーセントになっていると思います。今後この比率を変えて間接税の比重を高める方針ですか、どうですかという質問なんです。大臣、答えてください。
#99
○国務大臣(水田三喜男君) 間接税はいまむしろ生活必需品以外のものに実際においてかかっているのが実情でございますので、間接税の比重は……
#100
○須藤五郎君 砂糖は……。
#101
○国務大臣(水田三喜男君) そういうものはあると思いますが、全体としての比重はそういうことでございます。ですから、間接税の比重を将来上げる方向に持っていきたいと、税制としては持っていきたいと考えております。
#102
○須藤五郎君 間接税を上げるということは……。
#103
○国務大臣(水田三喜男君) 比重を上げる。
#104
○須藤五郎君 比重を上げるということは、これはたいへんなことになってくると思うのです。それでは、やはり間接税の比重が上がれば、物価は高くなると、こういうことになるし、また、税金もわれわれから間接税という名によってたくさん取られる、やはり減税の方向じゃなしに、増税の方向ではないか、こういうことになると思うのです。
 そうしていまあなたがおっしゃったように、間接税を上げる方向だとおっしゃいましたが、その証拠としていま出てきているのに、印紙、登録税の値上げという問題が私は出てきておると思うのです。最近における所得及び物価水準にかんがみ、この印紙、登録税を、税率等を調整するんだと、こう言ってらっしゃいますけれども、これは明らかに間接税の増税の第一歩だ、こういうふうに私たちは見ております。これだけではありませんよ。昭和四十一年十二月の税制調査会の答申でも、従量税率や物価を定期的に実情に見合ったものに改訂することを考えるべきである、このことは定額税制度をとる諸税において同様である、こう言っております。その点をいま大蔵大臣は是認をされたわけです。
 そうすると、われわれは今後間接税はどんどんと上がっていく、そうしてわれわれは間接税という名によってやはりたくさんの増税がされていくものだと、低所得者はますますこの間接税の率の上昇によって高いものを買わされ、そして生活の困難をしなければならぬ、そういう結論になると思うのです。
 そこで、もう時間が十分までというから、それで特別措置法について私は質問したい。
 私は、租税特別措置法につきましては、昨年三月二十九日の本委員会におきまして、前の福田大蔵大臣に対しまして、三十八年度の租税特別措置、大企業と大資本家のための免税、非課税措置を追及する中で、一兆数千億の減免税がこれらの人たちのためになされておるということを私は当委員会で明らかにしたはずです。そしてその租税特別措置法の廃止を要求したんです。ところが、政府は国民とわが党の要求を無視しまして、逆にこの特別措置を強化しようということになってきておるわけです。たとえましたならば、政府は四十二年度、減価償却につきまして特別償却制度をつくった上に、さらに特別償却準備金制度まで創設しようとしております。これは従来の普通償却による減税、特別償却による減税に加えまして、特別償却準備金による減税、つまり三重の減税を特定の産業の大企業、特定の設備を持つ大企業だけにやろうと、こういうふうにしておる。これは全く私は筋の通らない話だと思うんです。
 皆さん、鉄鋼業ですね、これはここ数年笑いのとまらないほどのぼろもうけをしておるんです。八幡製鉄の例をひとつ見ますと、この間日経に出ていましたが、計上利益が七十億です。減価償却が百八十四億です。そのうちの特別償却が四十六億になっているんです。大手五社で計上利益は二百三十七億です。減価償却が六百七十億です。特別償却はどうかといいますと、計上利益を上回るところの二百五十億を特別償却に向けておるんです。何でこのぼろもうけをしている鉄鋼業にこんな減税をしなきゃならないんですか。これが一点です。
 またもう一つ、企業合併による減税も全く私は筋が通らない話だと思うんですね。合併によって資本金が増加するんです。税金がふえるのは当然じゃないでしょうか。ところが、何で逆に減税をしょうというんでしょうか。企業合併の場合も、合併による利益の合計が非課税です。合併によって旧会社の赤字が新会社に引き継がれれば、これは減税になるんです。最後に、合併による減税というものがあるんです。ここでも三重の減税が行なわれることになっておるんです。
 さらに、研究開発の利益を見ますならば、ここに十億の会社が一つある。一億研究費に投ずると、三千五百万円がこれで減税になっちゃうんですね。一億は引かれるから、九億に三五%の税金がかかる。三千五百万円の税金がここでなくなる。一億研究費に投ずると、その一億の中の二五%がまた減税です。そうすると、この会社は研究費一億円使うことによって合計六千万円の減税をされるんです。これも二重三重の減税だと、こういうふうに言わなけりゃならない。
 一方では国民は高い所得税を払わされ、間接税を払わされ、さらに大企業の法人税も、独占価格のつり上げといいますか、独占価格に転嫁され、結局国民がみな負担させられるんです。このように、国民は二重にも三重にも課税を受けて、他方、独占資本には二重三重の減税をやる、これは全く私は筋の通らない話だ、こういうふうに思いますが、大臣はこれに対してどういうふうにお考えになりますか。
#105
○国務大臣(水田三喜男君) これは私どもの考え方とだいぶん違っておりまして、私どもはこういう特別措置というようなものを何のためにするかといったら、やはり国民経済の要請からするんだというふうに考えています。たとえば電力にしろ、鉄にしろ、国の基幹産業というもののコストが非常に高かったら、これがその国の産業にどう影響して、そこでつくられる品物がまた国民にどういう影響を与えるか。物価が上がる、国際競争力はそれによって奪われるというようないろんな一連のことを考えて、この部門に対して減価償却は相当多く見てやって、こうしなければならぬというこの国民経済の中の各層の有機性、企業の有機性というようなことから、私どもはいろいろ結論をつけて減税政策はきめているのでございまして、それを見ないで、この部門だけ何でこういう特別の措置が必要かという議論にはちょっと賛成しかねる、こういうことでございます。この何のためにこういうことをやるかという、これが重要でございまして、決して理由のない大企業の応援をするという税制など、私どもはやっているつもりはいささかもございません。
#106
○須藤五郎君 あと一問だけ。去年福田さんにこの質問をしましたら、要するに大企業が国の富を増すものだ、だからそういう見地に立って特別措置はしなければならぬ、こうおっしゃいましたよ。私はそのとき言った、そうじゃないと。国の富を増すものは大資本家じゃないのだ、労働者だ。物を生産、生み出すところの労働者こそが国の富を増すものではないのか。そういう肝心の、金の卵を生み出す人たちに課税をして、そうしてその人たちを搾取する大資本家に対してこういう減税措置をとるということはおかしいじゃないかという意見をしましたよ。だって、現に大企業は決して損をしていないです。ぼろもうけをしているのです。その上になぜこういう措置をしなければならぬのか。そうして国民からは何で税金をたくさん取らなければならぬのか。
 最後に一問。政府は標準世帯課税最低限を百万円に引き上げると言っておりますが、いっこの百万円に引き上げることを実現するのか、それが一点。政府は一方で百万円に課税最低限を引き上げると言っているかと思うと、他方、国民の税負担の水準を現在より二%引き上げると言っている。これは矛盾するのではないだろうか、こう思います。どうですか。
#107
○国務大臣(水田三喜男君) さっき私の言いましたことで誤解があるといけませんから、もう一ぺん言っておきますが、私は、日本ではもう少し直接税の比率を下げたい、いまのところは間接税のほうが比率は下がっておりますが、もう少し間接税の比率を上げたいと考えておりますが、この間接税を上げることが即大衆課税だということにはならない方法はたくさんございますので、この点は御了解を得ておきます。
 それから、いまの百万円の問題ですが、これは要するに日本経済の伸び方に関係いたしますので、それによって大体いまから何年と予定するわけにはいきませんが、大体いま程度の経済の伸びの速度でいきますれば、それに応じた税収の見込みというようなものを考えますというと、私は昭和四十五年度までこの実現がかかるのじゃないかと考えていますが、これは経済のいかんによって、これが四十四年度で実現できるというようなことでしたら、それに増したことはございませんで、私どもはできるだけ早く少なくとも課税最低限を百万円まで持っていこうというふうに努力するつもりでございますが、これを言ってそのとおりにできないと困りますので、責任を持って言える範囲が四十五年度なら実現できるということをいま言っておる次第でございます。
#108
○委員長(竹中恒夫君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十九分散会
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ソース: 国立国会図書館
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