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1967/05/18 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第9号
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1967/05/18 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第9号

#1
第055回国会 大蔵委員会 第9号
昭和四十二年五月十八日(木曜日)
   午前十時四十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹中 恒夫君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                徳永 正利君
                木村禧八郎君
                戸田 菊雄君
                山本伊三郎君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
   政府委員
       大蔵政務次官   米田 正文君
       大蔵省関税局長
       事務代理     細見  卓君
       大蔵省証券局長  加治木俊道君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○通関業法案(内閣提出)
○資産再評価法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 資産再評価法の一部を改正する法律案、通関業法案、以上両案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○瓜生清君 まず、私、通関業法の点につきまして、一、二御質問したいと思います。
 その一つは、いわゆる現行の税関貨物取扱人法というものは、明治三十四年から今日まで改正が行なわれていない。ずいぶんその間に多くの年数があるわけですが、どういう理由で、貿易量の増大その他いろいろの問題が拡大されておるのに、今日までこういうような状態でこられたのか、その内容についてお答え願いたいと思います。
#4
○政府委員(細見卓君) 明治の法律はいまの法律と違いまして、かなり広範な規定のしかたになっております。運用の細部等がかなり行政当局にまかされるというようなことで、かなりの実態の変化がありましても運用でやっていけるというような面があったことが一つでございますし、まあそういうことで業界のほうも特別な新しい、従来の法規制が窮屈になるというような声が業界からも実はあまり出てまいっておりません。なかったのと、それから、前にも申し上げましたように、これはわりあい専業と申しますよりも兼業の業者の方が多いものですから、いわば多くの場合港湾運送事業などの兼業者が多いのですが、貨物全体を扱っておられる部分の、その中の税関に関する通関のごく一部分であるというような点もありまして、さほど業界としても窮屈に、立法を必要とするような事態にいままでなっておらなかったというわけでございます。
 それが、昨年税関におきまして申告納税制度を採用いたしました機会に、やはり通関の円滑、しかも自主的な申告を尊重しての通関の円滑化ということには、この通関を専門として業としておられる通関業者の一段の資質の向上と、そうした外部の協力、税関を取り巻きます協力機構の整備ということもこの機会に取り上げるべきではないかというようなことを考えまして、取り上げた次第でございます。
#5
○瓜生清君 実際、私、横浜税関を見てきたばかりなんですけれども、結局、そうしますと、従来は法をどちらかといえば拡大解釈というような、そういう運用によってどうにかうまくやってきた。ところが、最近の輸出構造あるいは輸入のいろいろな変化に伴って、それをさらに整備したい。その側面には、いわゆる税関の業務というものを、そういう体制をとることによって、まあ協力関係を保つことによりまして円滑にしたい、そういうところにねらいがあるわけでしょうね。
#6
○政府委員(細見卓君) 事務の正確性といいますか、業界全体自体として、それ自身きちっとした、いわば新しい衣を着た業界になっていただきたい。従来の点について、役所が非常に広範な権限を行使したというお話でございましたが、この前の法律によりますと、「税関貨物取扱人ハ其ノ業務二関シテ所轄税関長の監督ヲ受ク」というようなことばがあって、「監督ヲ受ク」というようなことでいわばほとんどすべてのことができた。それからさらに、免許が一年更新であったものですから、新しいいろいろな要請は新免許のときにお願いする。たとえば、もっと企業の内容をよくしてほしいとかいうようなことはそのつどお願いできておったというようなことで、運用できておったわけでございます。
#7
○中尾辰義君 関連。いまの説明ですが、取り扱い人制度はちょっとまずかったので、通関士制度にすると聞いたんですけれどもね。ですから、もう少し具体的に、どういうところが問題になってどういうところがまずかったのか、そういう点を具体的にひとつ説明してください。
#8
○政府委員(細見卓君) いろいろございますが、一つは、現在の貨物取り扱い人は主として個人企業の形態をとっておるわけですが、この法案はごらんのとおり法人免許を前提にした法文になっております。そういうところも、現状に即さないところ、あるいは業務の内容を規定いたすにあたりましても、ただ貨物に関する手続を扱うというようなことで非常に広範なばくとしたことになっている。税関に関する業務、貨物の取り扱いというふうに規制されておらないというような点があります。それから、こういう業法でございますから、業者の権利と義務というようなものが当然規定されるべきものでありますが、その義務のほうは「所轄税関長ノ監督ヲ受ク」というようなかっこうになっておるというようなことが一つあるわけであります。それから、全体として税関の仕事あるいは通関の仕事が重要性を増してきました機会に、やはり申告納税制度の事実上の担当者としての税関貨物取り扱い人に一定のやはり資格なりあるいは一定の業務に関する知識なりを要求すること、そういうことによりまして資質の向上をはかることがあわせ必要ではなかろうかということで改正いたしました。
#9
○中尾辰義君 それで、同じような答弁ですけれども、具体的にどういうような事件が発生しているのか、これ、改正しなければならない理由としてですね。それと、いま通関業務で問題になっているのはどういう点か、どういう事件が発生しているのか、ちょっと具体的に説明してくださいよ。そうすると、聞いている者、皆さんわかる。
#10
○政府委員(細見卓君) おっしゃる意味が、何かまずいことが起こっているという意味でございましたら、何もございません。ただ、明治三十四年の法律が、先ほどおっしゃったように、そのままなぜほうってあったかというお話があったごとく、いつか改正しなければならないと思っておったわけですが、なかなか、いま中尾先生がおっしゃるような意味においてはまずいことが起こらなかったので、まあつい延び延びになっておった。それが申告納税制度にいたしましたそういうチャンスをつかまえまして、税関としては、いわば申告納税制度というのは税関百年の歴史の全く新しい段階でございますので、そういう機会をとらまえて、役所とそれから荷主あるいは通関の実際の取り扱いをする人、その三者の関係を円滑にする、それぞれ近代化するために、こうした法案を取り上げる適当な時期でなかろうかと考えたわけです。
#11
○瓜生清君 そうしますと、こういう法律によって通関業者というものの地位が、どちらかといえば強くなってくるといいますか、確立される。そのことのためにはいろんなそれを認可する条件等が、国家試験を受けるとかなんとかいうことで強くなってくるわけですね。ところが、その半面、その業者自体の持つ、何といいますか、力といいますか、自主的な営業の範囲といいますか、そういうものが相当逆に今度はずいぶん強くなってくると思うのですね。いわゆる税関とその業者との関係は緊密なといいますか、そういう強い結びつきというものが出てきて、いままで税関で取り扱っておった通関業務のある部分はその業者がやれるようになる。手伝いをするというかわりに、その一方では、何といいますか、自分の判断に基づいてやれる業務の範囲というものが広くなってくる。そういう場合に、不正というようなことが起こる可能性もあるわけですね。そうでしょう。いままでは強い監督のもとにあった。ところが、これからは、それは引き続いてやるけれども、そういう業者を認めた以上、その業者に対してある程度の幅というものは与えるわけですから、その自主裁量というか、そういう面が強く表面に出てくるというような危険性はありませんか。
#12
○政府委員(細見卓君) その点に関しましては、従来税関貨物取り扱い人という名前でやっておられた仕事と、今回通関業法によって取り扱っていただく仕事との間には実は格差がございません。同じことをお願いするわけで、ただ、今回は、そういう知的な仕事としての通関業者のレベルが上がりますのに伴いまして、たとえば税関でこの申告書は間違っておるというようなときに、いままでですと、これは間違っておるということで、税関限りで処理しておったものを、通関士の意見を聞いて、ここは間違っておりますよということを言うとか、あるいは荷物の検査をいたしますときに、いままでですと、税関だけでやっておった、やり得たものを、これを必ず関係の通関業者に立ち会ってもらう。そういう形で、むしろ権力についてある程度業者のほうにも、責任を持ってもらって、税関のほうも自主的に自制した態度をとる、そういうことにいたしたいというわけであります。
#13
○瓜生清君 それでは、通関業法はこれで終わります。
#14
○中尾辰義君 第十九条に秘密を守る義務という点について書いてありますが、「通関業務の従業者は、正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。」、この「秘密」というのはどういうのか。
#15
○政府委員(細見卓君) 通常の場合でございますと、Aという商社は甲という商品を幾らで買っておるというのは、これは商売がたきにとってはかなり大きな秘密だと思います。それからさらに、Aという商社は、たとえば新しい市場開拓をして、非常に変わった商品を買っておるようだけれども、あれは何だろうかというようなこと、こういうことは通関士が当然知り得ることで、これはまた商業上の秘密としては相手にとっては大事なことだろうと思います。
#16
○中尾辰義君 さっき納税申告制度にいろいろ問題もあるように承ったのですが、具体的にどういうのが問題になっていますか。また、どういうような点に間違いが多いのか。
 それから、もう一つ、最近税関でいろいろな密輸等の事件が発生しているが、そのおもなものといいますか、どういうようなものが起こっておるのか、そこら辺のところを聞かせてください。
#17
○政府委員(細見卓君) まあ一番めんどうな、通関の手続にあたり間違いが起こりやすのは、お手元に関税定率法がありますが、これだけたくさんの品目がこういうふうに分類してありまして、その分類が変わるごとに若干税率が変わる、これが一番めんどうなことで、税関のほうは業種ごとにある程度担当いたしておりまして、この辺はなれておりますが、従来の税関貨物取り扱い人でありましても、たとえば自分たちが扱いなれている商品についてはもちろん問題はないと思いますが、新しい商品なんかのときには間々間違いが起こり得るところであったと思います。
 それから、最近の密輸の状況でございますが、やはり一番大きいのは、金とか貴金属が一番多いのじゃないかと思います。それから、あと件数にして数が多いのは、船員などが外国のウイスキーとかあるいはたばことかをこっそり持ち込もうとするというのが数としては非常に多うございますが、金額の大きなものは、先ほど申しました貴金属のたぐいのものが多い。もちろんそのほかに麻薬とか拳銃とかといったものもございます。
#18
○中尾辰義君 もう一つ、これで終わります。
 旅をして外国から帰ってくる人、こういう人にはいろいろな意見があるんですが、せっかく外国でいい気分で旅行して帰ってくるのに、あそこの税関に来ると全く気分がこわれてしまう。トランクから何から何まで開けられてしまう。ですから、ああいう点がもう少し近代的にならないものか。これはあなたの御意見を伺いたいわけですが、どうですか。
#19
○政府委員(細見卓君) まさにその点につきましては、このあとこちらでお願いする関税定率法のほうにおきまして、通常の荷物については原則として二〇%の一本税率にいたしまして、それに物品税がかかるとかなんとかというこまかいことを省きまして、原則的に二〇%というようにいたしまして、もちろん特殊の高関税のものは別でございます。特殊な酒とか、あるいは特殊な貴金属といったようなものを除きますと、大体二五%ぐらいの税率になるわけでありますが、それを突っ込みまして二〇%にして、あらかじめ外国から帰えられるときに、おれの持って帰るものにはどのくらいの関税がかかるだろうということになれば、それこそ税関において、おれはこれだけのものを買ってきたというととでお話し願うと、こちらもそうですかということで、やはり関税をかける制度になっておりますから二〇%の関税はかけざるを得ないと思いますが、そういうことをいたしますし、それからまた一方、従来はそうしたときに大半の品物を没収いたしておったわけで、これがおそらく税関の一番不評を買っておった問題かと思いますが、こうした没収制度というようなものは、特殊な輸入禁止製品といったものは別でございますが、原則的に、密輸する場合は罰金は払っていただかなければなりませんが、品物まで取り上げるというようなことはやめるというようなことに、この定率法の今回の改正で提案いたしております。
 まあそういうことによってだいぶ変わってまいりましょうと思いますが、まあいつも皆さんから承わる苦情は、日本の税関ほどひどい扱いをするところはないということなんでございますが、これは税関が一番調べますのはどこの国におきましても自国民を相手にするわけです。それはいわば旅行者につきましては、あるいは外国人につきましては、それほど強くいたさないのが常でございまして、おれはパリあるいはどこどこで非常にいい待遇を受けたけれども日本に帰ってくるとひどい目に会ったというお話がございますけれども、そのことはフランス人なりイギリス人は、日本では非常にいい待遇を受けたけれども自国に帰ったらひどい目にあったということで、自国民を――やはり税関でございますから、貨物の輸入というところをとらえますから、内貨になるところをとらえるということで、どうも一番日本人相手になりますが、ここは最近人数もふやしましたし、いま言った制度も改正して、漸次よくなるだろうと思います。
#20
○大竹平八郎君 関連して。ちょっと伺いたいのだが、最近特に対アメリカですがね、航空便が非常に両方とも多くなっているわけだが、まあ日本から送るものも非常に多いし、船で送る場合は四十日かかるから、たとえばニューヨークを中心にして考えると、どうしてもやはり急ぐものは航空便にたよらざるを得ない。それからまた、向こうのものも、航空便としては数量はどのくらいかしれぬが、相当来ておるのだ。これなんかはただ税関としては、どうなんですか、申告用紙だけを中心にして、そしてまああまり厳重な調査をしないのか、それとも、やはりたとえば申告と同時に中身をみんなほどいて見るのか。中にはずいぶんひどいのもあるのだけれども、これが一つ。
 それから、いま一つは、中尾君がいま言った税関の窓口ですね、ことにいまの日本の羽田として一番多いのは、お客として一番多いのは香港帰りだと思うのです。香港帰りの日本人、それからまた向こうから、香港から来た人、これは非常に多いわけだが、一日に五便、六便という場合もあるわけで、これにはいろいろな連中もいるのだから厳格にやるということは当然わかるのだけれども、中にはこのごろ、香港製品といっても、メイド・イン・ジャパンも相当あるのだ。それまでも、とにかく見ておると相当厳格にやっているのだ。こういうのなんか、相当職員に対しての商品知識なんというものも与えておるのだろうと思うけれども、こういう点についてはどういうふうに考えておられるのか。その二つの点をちょっとお伺いしたい。
#21
○政府委員(細見卓君) 最初の航空便の点でございますが、おっしゃるように、アメリカなどは別として、たとえば香港なんかは、一日かかって税関が調べておれば、一日で着くわけですから、そういう非能率なことはとてもできませんわけで、原則としてその日のうちにお出しするようなことで、もちろん検査を全部省略するというわけにはまいりませんが、必要なものだけランダムチェックでやるというようなことをいたしまして、原則として航空貨物でありますから迅速をとうとばれる、その趣旨を生かすような通関をいたしております。
 それから、第二点の外国からの荷物の持ち込みに対するお話ですが、先ほど中尾先生にもお答えいたしましたように、われわれ羽田の職員は税金を取ることが目的ということではなくて、やはり全体としての関税が守られる、守っていただくということが本旨なわけですから、この趣旨でお客の扱いなどについてもできるだけていねいにしまして、できるだけ自主的に、おれはこれだけのものを買ってきて、関税はこれだけだ。いま申しましたように、原則的に普通皆さんがお持ち帰りになるものはこれからは二〇%の税率一本になろうかと思いますから、あらかじめ腹づもりをしておいていただいて、おれのものはこれだけのものがあってこうだ。なお、香港などにつきまして、従来は若干持ち込み制限の免税基準を低くしておりましたが、これらの点につきましても、あまり規則づめなことをいたしまして、かえって手間をとったりなんかいたしますので、むしろ、先ほど大竹先生がおっしゃったように、日本のものが香港から逆輸入するようなものもありますですから、あまりそういうものをお買いにならないように、だんだん皆さんもおわかり願うことでしょうから、お互いに気を長くして改善につとめたいと、かように思っております。
#22
○瓜生清君 それでは、次に、再評価の問題について一、二伺いたいと思うのです。
 いま再評価積み立て金の資本組み入れに伴う配当制限をやっているような企業は全体のどのぐらいあるのでしょう。大まかな数字でいいです。
#23
○政府委員(加治木俊道君) 現在再評価を強制されております強制再評価会社の配当状況を調べたものはございます。しかし、法律のたてまえは、最近強化されまして、当初は資本組み入れを促進するために三〇%未満の組み入れ比率の場合には配当は一五%まで、ここから出発したわけですが、一番きついところは、最近はだんだん強化されまして、六〇%以上組み入れなければ配当は一〇%までと、こういうふうに強化してきたわけであります。しかし、現在、たとえば一〇%やっている会社が百数十社ございます。一番ここにたくさん集まっているわけです。ごらんのように、その点配当らしい配当は一割ということで、配当の一種の常識的な基準になっている関係もあるわけでありますが、これははたしてこの法律の規制を受けてやむを得ず、ほんとうは一五%の配当の実力があるのにかかわらず、組み入れ比率が低いために一〇%であるのか、そうでなくてそもそも一〇%なのか、これは制限による配当率であるのか、制限がなくても当然その程度の配当をするということなのかという意味で、そういう資料もとりにくいわけでございますが、ちょっと的確に、ほんとうに一々当たって聞いてみなくちゃわからないのですね。あなたのところは、もしこれがなければこれ以上の配当をするおつもりであったかどうかと。頭を押えているわけですね。一〇%以下ならば自由である。そういう意味の的確な、直接それにお答えできるような資料は、残念ながら持ち合わせておりません。
#24
○瓜生清君 それでは、ひとつその問題をはずれまして、再評価積み立て金が昭和四十八年三月末ですか、それをもって資本準備金とみなすような最終処理を行なうという法案の内容ですけれども、五年間ですね。来年の三月三十一日に一応切れる。それを昭和四十八年までを最後の段階として完全に処理してしまう。その五年間というのは何か根拠があるのですか。
#25
○政府委員(加治木俊道君) この五年間の猶予期間を与えましたのは、この法律の中身はいま先生のおっしゃったとおりでございます。最終的に資本準備金に組み入れるということでございます。五年の間に自由に資本準備金に組み入れるし、あるいは資本金にも組み入れるわけでございます。その五年の組み入れの実質的意味は、現在特別法によって、この関連の法律によりまして、この再評価積み立て金の資本組み入れと増資の場合、その一部を再評価積み立て金の資本組み入れ、その一部を現金による払い込み、こういう抱き合わせ増資と言っておりますが、本来別の増資行為であるにかかわらず、増資を容易にするために、たとえば五十円払い込みのところを、株主からは三十円払い込んでもらって二十円は再評価積み立て金を組み入れて、合わせて五十円の一本の増資をやる、こういう俗に抱き合わせ増資という商法の特例でございますが、を認めているのでございます。したがいまして、たとえばこれは歓迎すべき事例ではございませんが、企業の内容が悪くて、額面五十円が、時価で四十円しかしていない、そういう場合でも、現金は三十円でよろしい。二十円は再評価積み立て金の繰り入れを抱き合わせまして、二十円分は無償交付になるわけですけれども、無償交付と有償増資を合わせて五十円の株券を差し上げますとなりますと、時価四十円のものでも払い込みが容易になるわけですね。通常の増資ですとそういうことができないわけです。五十円は五十円でぴったり取らなければならない。それから、資本準備金にしましたあとは、資本準備金を資本に組み入れる際には、やはり一株五十円の単位に分割して――普通は一株五十円です。これはもちろん無償でございますが、五十円の単位にして増資しなければならない。したがって、企業にとっての資本という意味では同じですけれども、株主にとって非常に払い込みやすい。したがって、増資がしやすい。
 これを直ちにやめますことは、やはり現在の株価のうちには、増資がある場合には、再評価積み立て金のある会社については、抱き合わせという形による、ただ実質上かなり低い金額での増資払い込みも容易になるという、そういう期待権もあると思うのでございます。この期待権を一挙に否定することはいささかどうか。これは五年がいいか、何年がいいかという御質問、一昨日も承ったのですが、これは数学的な根拠はないのでございます。株価は先見性があって、一体将来をどの程度織り込んでおるかよくわかりませんが、大体五年の猶予期間を与えてやれば、一応株主の期待権は満足させてやることができるのではないかと、まあそれだけのことでございます。
#26
○瓜生清君 それで、いま株式の話が出ましたが、それに関連しまして、証券局長に二つ三つ伺いたいと思うのですが、いまやかましく言われております資本自由化の問題とこれから真剣に取り組んでいかなければならぬのですが、御承知のように、日本の企業の資本構造というものは借り入れ金が多くて自己資本が少ない、これがまあ諸外国に比べると非常に特徴的な点だと思うのです。そこで、いわゆる金融上のそういう問題の体質改善というものをこれから先はかっていく必要があるのじゃないかということは、各方面で強く主張されておるところなんです。で、先ほど言いましたような企業の長期資金調達の方法として、借り入れ依存から自巳資本充実へ、すなわち株式とか社債を中心に資本調達するという方向が望ましいと思うのです。
 そこで、私が聞きたいのは、先年の株式不況のときに共同証券なりあるいは証券保有組合が相当数の株式を市中から買って、いま凍結していると思うのです。その額が一体いまどの程度あるのか、大まかな数字でいいから、両者の銘柄数、それから何といいますか、簿価ですね、それがわかっておれば、最近の資料でいいですから、答えてもらいたいと思います。
#27
○政府委員(加治木俊道君) 凍結株の問題は、非常に市場に微妙な影響を与えますので、概括的なところでひとつ御容謝願いたいと思いますが、まず共同証券でございますが、共同証券は現在の残高とそれから帳簿価額ですね、十六億二千万株、金額にしまして千七百八十億強です。こまかくいいますと、千七百八十五億でございます。それから保有組合のほう、大体似たような数字でございますが、十五億六千万株、それで帳簿価額にしまして、千六百八十三億、こういうふうになっております。したがって、一株当たり百円をちょっと上回るような単価に帳簿価額はなっております。合計しまして三千四、五百億になっております。
#28
○瓜生清君 それで、この凍結株の放出につきましては、証券局長がいま言われたように、非常に株式市場に対する影響が大きいと思う。だから、軽々に証券行政の指導のあり方を言うということは立場上非常につらいと思いますけれども、逆に大蔵省がこの凍結株に対してこれから大まかにこういうような考え方で放出していくんだということが暗中模索であるがために、かえって証券市場の不安というものを助長しているという面もあるのです。そこで、一体、私は率直にいいますと、大蔵省自体としては、外部に発表できないけれども、ほぼ骨組みというものはあると思うのですよ。それをどういうような株式市場の事態というものが来れば一ぺんに発表するのか、小出しにやっていくのか知らないけれども、明確にされようとされるのか、もし答えられたら答えてもらいたいですね。なるべく答えてもらいたいですね。
#29
○政府委員(加治木俊道君) おっしゃるとおり、見方によっては黙っていることがかえって不安の材料になるのじゃないかという点は確かにあると思うのでございますが、それでは何か確信のある、三千数百億――四千億は割っておりますが、三千五、六百億に達するものを、確信をもってスケジュール的に方針をきめることができるかというと、これも一日で処分できる程度のものならば問題はありませんけれども、長く市場に大きな影響を与える、その結果が客観情勢の変化によってどういうふうになるかわからぬということになりますと、一挙に解決するような大きなスケジュールというものをきめること自体も、事柄の性質上非常に困難だと思うのでございますね。それでは、わかった範囲で、大体見当のついた範囲で発表したらどうかということにもなるのですが、これはどうも公開の席上でどういうふうにするとかしないとか言うことは、そのこと自体が直ちに材料になる。そういう意味で、やり方としては現在市中の関係者――関係者といっても、たとえば保有組合であれば保有組合の理事長、共同証券であれば共同証券の社長、それと、なるべく業者を入れないで、たとえば取引所の当局、会員でない執行部、理事長をトップにした執行部限りで、極秘で状況を判断しながら通常の顧客の売り買いにまじってこれを処理していくということがやはり一番賢明なやり方じゃないか、こういう感じがするのでございます。
 ただし、考え方としましては、先先おっしゃいましたように、こういうものがいつまでもあるということは、いわばこれは異常事態のなごりでございます。これがあるということ自体が異常事態が解消しないということになるわけですから、常に市場を場合によれば圧迫する要因になる。いわば信用取引の大きな残高があるのと同じでございます。たとえば、日証金の残高が三百億あるか、四百億あるか、六百億あるか、ということで市場が動くような状況ですから、四千億近いたな上げ株があるということは、信用取引の残高と全く実質的に同じような内容を持っておることになりますので、そういうことでできるだけ早くこれは解消したい。しかし、早くというのも、それじゃ何日、何カ月ということが事柄の性質上きめにくいし、また公開の席で言うことになじまない面があると、こういうことでございますので、たいへん的確なお答えになりませんが、これ以上のことを申し上げるのはなかなかむずかしいと思うのでございます。
#30
○瓜生清君 少し問題が微妙ですから、非常に歯切れの悪い御答弁なんですけれども、いま私の聞いている範囲内では、共同証券の持っておるものは半永久的にたな上げをする、それから保有組合の持っておる分はいわゆる証券業者を中心にして金融なり産業界なりの協力を得て処理するのがいいではないかと、こういう考え方があるやに承っておるんですけれども、これは大蔵省としての行政指導上の考え方なんですか、それとも業者がそういうふうにしてもらえばいいというようなことなんですか、そこの点ちょっとお伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(加治木俊道君) 一部にそういう意見のあることは確かでございます。半永久的というほどのことじゃないかと思いますが、先に保有組合の分を片づける、共同証券はそうあわてなくてもいいじゃないかという意見が一部にあることは事実です。それは一つには性格にもよるのでございます。
 保有組合はわりあいにいい組合でございまして、匿名組合でございまして、期限が三年間ですから、来年の一月でしたか二月でしたか――ちょうど三年前の二月だったと思いますが、そのときまでということなんです。しかし、一年間は延ばせるということになっているわけです。したがって、そういう意味で、期限が切られておるということで、同じ凍結を解いていく場合にでも、そういう関係で性格上も保有組合を先にしなければならないという面があるわけでございます。その意味では、大蔵省としても、できるだけ保有組合のほうを先に片づけたほうがいいのではないかというふうに考えておりますが、しかし、市場が許せば、市場の状況が許せば、何も順序にこだわらずにやることも一向差しつかえないわけでございますが、なかなか日本の市場情勢は、だんだんいろんな意味で正常化されつつありますけれども、まだ十分な市場じゃございません。
 これはたいへん講釈めいたことを申し上げて恐縮なんですけれども、ほんとうは売りに出せば株は下がるわけですね、需給関係で。下がれば買いが出るはずなんです、ほんとうは株価というものは。株価によって需給が支配され、安ければ買いが出る、高ければ売りが出ると。逆であってはいけないわけなんです。売り買いの結果によって株価が形成されるよりも、むしろ株価によって売り買いが出たほうが正常な市場といわれるわけです。ところが、どうも残念ながらいまの実際の投資家は、また投機筋も、下がれば売りに出るわけですね。上がり始めると買いが出るということで、かえって市場を激化させる。こういう市場の性格がありますために、どうも理論的、理屈で考えれば、できるだけ一般国民大衆に安く分けてあげたほうがいいじゃないか、私たちそういう下がることを一々気にするのはおかしいじゃないか、そのほうが安く分けられるからというのですが、どうもそうもまいらない面がございますので、実際問題の見込みとしては、一挙にこれを両方くつわを並べて、大体保有組合の期間に合わせて処理するというふうにはまいらぬのじゃないかと。しかし、まいらぬほうがいいということを申し上げているわけじゃございませんが、そうすると、序列はやはり保有組合が先、共同証券があと。
 ただ、共同証券をどういう形で残すか、これはいま一応証券会社になっておりますから、この九月末に免許申請を出さなければならないわけです。われわれのほうとしても、どういう免許を与えるかということを考えなければならないことになるわけです。たとえば、これをいわば会社型の投資信託にしたらどうかという意見も言われておりますが、あれは主として都市銀行が出資者でございますと同時に大債権者でございます。あれは構想としましては、きわめて異常なときに、それぞれの銀行が少し株を買おうじゃないかと。しかし、銀行が別々に買ったんでは、銀行も株に対する知識がないために、銀行の買い方ということになりますと、その銀行の系列だけを買うということで、必ずしもいわば市場対策的な株の買い方ができないという意味で、各金融機関の資金を共同証券という窓口にしぼって、金融機関にかわって買っているようなわけです。したがって、どうしてもそういう意味で、政策協力という意味で、金融機関が資金を出しているわけですが、その金融機関の首脳部の意見もまだ将来のあり方については十分きまっておりませんが、できるだけ早く、先生のおっしゃるとおり、共同証券はいつどうするということをきめないにしても、共同証券は大体こういうものにするのだという、それでできるだけ早く保有組合のほうだけを先に処分するのだということがきめられれば、その程度のことであれば、私は市場に対して決してそうマイナスになることはないと思うのですが、残念ながらそこまでまだ情勢が熟してきておりません。
#32
○瓜生清君 これは私の考えなんですがね、局長がいま言われました保有組合の分ですね、これはやはり性格からして、早く積極的に処理すべきものじゃないかというふうに思うのです。で、しかも、たとえば証券市場は、局長の言われるように、そういう機が熟していないというふうにおっしゃいますけれどもね、私、どうも現在の凍結から受ける利益といいますか、それは一般の国民大衆というより、むしろ証券業者自体が恩恵を受けている面のほうが多いような気がするんです。そこでね、この間からいろいろな証券会社の動向だとか合理化だとか、そういうふうなものを大蔵省としては指導もされ、またそういう方向にいま徐々ながら向かいつつある、業界そのものが整備されていくということは、これは明確だと思うのです。そこでね、私はその保有組合がいま持っている程度の株式を処理できないようないまの証券業界じゃこれはどうにも、何といいますか、正常化というものが――そういうものを通じてそれを吸収できるぐらいの体質がないとおっしゃいますけれどもね、私は必ずしもそうじゃないと思うのです。
 そこでね、結局具体的にいうと、さっきちょっと言いましたように、金融機関にはめ込むとか、あるいは証券会社が財務比率上の最高限度までそれを吸収するとか、そういうふうないわゆる方法で、そういう形で処分することがいいというめどがつけば、たとえば日証金が融資するとかなんとか、そういった形でやっていけば、そう私は市場に大きな混乱を起こすことがないというふうに考えているのです。局長、いかがですか。
#33
○政府委員(加治木俊道君) 一つの考え方だと思うのでございますが、ただ、私たちは業者に持たせるということを極端に、まあ少しあつものにこりてというあれがあるかもしれませんけれども、大体いままで証券会社の失敗の大部分は持ち株のリスクによっていためたという例が多いわけでございます。それから、それが自己の体質を弱めるばかりでなく、一たん持たせますと、どうしても証券会社の利益を先に考えるようになる、その株の処分について。したがって、対客勧誘態度が必ずしも適正を期せられない。いま出張販売はやらせないようにしておりますけれども、ともすると、そういう大きい負担を持っておりますと、金利の負担――どうしても金利ですと、七分とか八分の金利になります。ところが、株式の利回りはもちろん四分かそこらですから、できるだけ早く売りたい、しかも損をしないように売りたいということになりますと、自分の勘定に今度なりますと、どうしてもそういう意識が先に立って、いま厳重に取り締まってはおりますけれども、はたしてお客にもいい結果になる、証券会社の体質を弱めないといううまい処理の結果に終わるかどうか、そういう結末になるかどうか、その辺はなはだ自信がないわけでございます。証券会社もだいぶ正常化されてきましたから、昔のようなことはないと思いますけれども、そういう危険がありますために、できるだけ証券会社に持たせない形で早く処分する。したがって、まずお客を見つけてこい、注文を取ってこいと。注文に合わして処分するというやり方が一番いいんじゃないかというふうに考えておりますが、しかし、これはもちはもち屋なんだと。ある程度はそういうこまかいことは言わずに、もちろん限度を越えた持たせ方はいけないけれども、ある限度内では持たして自由に処分さしたらどうかという意見も確かにございます。ただ、あれは日銀から資金が出ているわけでございます。いわば国家資金が出ているわけでございます。また、この国家資金を使ってまで凍結した株を業者に分けてやって、業者がそれを材料にまたもうけたらもうけたで、これは一体何だ、国家資金でもうけてと、政策的な意図で出した株の処分についてまたこれを業者がいじくって何しているというような意見、批判があるいは出る可能性もあるわけでございます。絶対に損するように売れということもできないことでございますので、やはりできればストレートに市場で保有組合がさばくというような方式、先生のおっしゃるような方式のほうがあるいは妙味があるかしれぬという点は私もよくわかるのでございますけれども、妙味のあるところがいわく言いがたいところに実は問題があるというので、非常にむずかしいので、いまのところはどうもそういう考え方については私は消極的でございます。
#34
○瓜生清君 時間がたちましたので、最後に、局長の立場じゃなかなかずばっとした御答弁ができないでしょうから、一点だけ質問してやめます。それはいま保有組合の問題が出ましたが、今度は共同証券ですね、これのいわゆる分につきましては、いまたしか日興証券の湊社長ですかが提案しているIRI構想というのがありますね。それからまた、資本自由化対策に備えて、共同証券の保有株式そのものをいわゆる持ち株会社の形にしてはどうかという構想が出ておるのですね。これは私、従来の産業金融のあり方を越えた一つの構想だと思うのですよ。これに対しまして局長は一体どういうふうなお考え方ですか。立場上無理があれば個人の見解でもいいですが、それを聞いて私の質問を終わります。
#35
○政府委員(加治木俊道君) もちろん、その問題について大蔵省として結論を持っておるわけではございません。証券局としても結論持っておりませんが、個人の立場からでよろしいということでございますのであえて申し上げますけれども、どうもあの共同証券のできました経緯、趣旨と、資本自由化を迎えての持ち株会社構想あるいはIRI的な構想というものは、はたしてうまくなじむものかどうか、ちょっとその辺に問題があるわけでございます。
 IRIということになりますと、国家資金を主体として会社の資本構成あるいは財務体質の改善をはかっておるわけでございますけれども、開銀が融資という形でそういうことをやっておりますが、はたしてそこまで国家資金を資本として投入するという形の構想というものが、この問題を離れて、はたして受け入れられるものか、あるいはまた各方面から見ても十分な評価をし得るものかどうか、これが問題でございます。これはもちろんIRI構想そのものの問題を申し上げているわけでございますが。
 それから、持ち株会社の問題は独占禁止法の関係もございます。したがって、その持ち株というものはどういう持ち株であるか、いわば全くの大衆資本をバックにした持ち株ということであれば、これはまた考えようもございましょうけれども、かりにもしそれが財閥化するというような形になりますと、そこにまた問題が出てくる可能性があるわけですね。
 したがって、これは持ち株会社構想そのもの、IRI構想そのものがまだ十分熟しておりません。それと、この共同証券のいきさつ及び趣旨からいって、かりにIRI構想なり持ち株会社構想というものが十分受け入れられるようなものができたとしましても、こちらとはたして十分結びつき得るかどうかという点にもう一つ問題がございますので、ちょっと結論が出しにくい問題だと思います。
#36
○瓜生清君 終わります。
#37
○戸田菊雄君 関税局長に質問をしておきたいと思うのですが、その第一は、この間問題になりましたベトナムの映画――映画というよりも写真、これが税関に差し押えられた問題。私が見た範囲では、いわゆる風俗違反といいますか、俗に日本でいうところのエログロ、そういうものに類似をするというかっこうで税関が差しとめたのですが、これはだれがその写真に対してそういう解釈をし、そうして差し押えたか、こういうことなんですが、その点をひとつ聞きたい。
#38
○政府委員(細見卓君) この関税定率法第二十一条の問題につきましては、過去何回か衆議院あるいは当委員会においていろいろ御議論ございまして、法の改正も見ておることは御案内のとおりでございますが、その際、こうした問題を税関で取り扱うにあたりましては特に慎重にすべきであるという附帯決議が衆議院の大蔵委員会でございまして、政府としましては、確かに言論の自由とかあるいは非常に問題の多い運用のむずかしい法律でございますから、そういうことを考えまして、輸入映画等審議会というものを設けまして、そこに民間の有識者に参加していただきまして、そこで――税関で押えましたものについていろいろ異議が出てまいります、その異議が出てまいりましたものをその審議会におはかりして、それでそこで最終的にきめていただく。そういたしますと、おのずから、その審議会におはかりした過程でいろいろ先例といったようなものが出てまいります。そういうものに従いまして、実際の扱いにおきましては、税関の第一線でこれは二十一条に該当いたすと思いますということを話して、もしそのことについて御異議があるときは税関長に異議の申し出をしていただいて、いま申しました輸入映画等審議会におはかりする、こういうやり方をいたしております。
#39
○戸田菊雄君 いまのそういう審査機関というものがあるのですけれども、問題は私は歴然としていると思うんですね。俗に国内でいうところの享楽本位のエログロ・フィルムとかなんとか、そういうものが一ぱいあるわけですが、全く風俗法違反、風俗を紊乱させるもの、そういうものは歴然としている。ただいま現にベトナムでもってあのような苛烈な戦争が戦われて、そういう実況というものですね、ことに、いま日本国民というものは総体七二%ないし八〇%近くの人が、あらゆる調査によっても平和を希求している。非常に強い熱望を持っているんですね。いわば、戦争罪悪というものをじかにやはり見せていくという、こういうものが非常に私は大事だと思うのです。そういうものがエログロ文化かなにか、そういうフィルムと同じような感覚でもってやられるということは、新憲法に対する冒涜である。いま局長が言われたように、言ってみれば言論の自由、そういうものにも抵触をしてくるでありましょう。ですから、こういう問題については、私はそういう本質、真実の発表、こういう憲法の大精神を踏まえてやはり大局的に判断をすべきじゃないか、こういう考えがあるのです。ですから、こまかいことはあとでまたやりたいと思うんですが、ひとつ局長に、この機会にそういう本質と真実性を発表していく、そうして戦争というものに対して罪悪感というか、そういうものをやはり国民が正しく判断をするようなそういうフィルムというものは、やはり一官僚で、あるいはそういった行政機関においてこれを取り抑えるというようなことは私は納得しませんね。もう少しこういう点については検討していただきたいと思うのです。
 それから、第二点は、この間も税関を見せていただいたのでありますが、各所に行って、私はいままで北海道税関、あるいは塩釜税関、あるいは横浜と、こう見ておるのでありますけれども、年々輸出輸入というものが増大をいたしまして、いわゆる業務量が非常にふえておる。それを取り扱う要員が各所で非常に少ないのですね。ですから、これらの問題について率直に各税関の責任者の方からも出されるわけでありますけれども、こういう要員補充政策について関税局長のほうとしてはどういう対策を持ち、横浜等についてもいまの業務量からいけば非常に少ない――非常にという表現は使わなかったですけれども、業務消化の上に立って完全なものではない、こういう表現だったと思うのですが、そういう問題について関税局長として、具体的に、横浜の例でけっこうです、幾らいま欠員があって、これに対して今後どういう措置をとっていくか、適切にそういう措置がとられるのか、こういう問題についてひとつお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(細見卓君) 二十一条の扱いにつきましては、御指摘のように非常にむずかしい問題でございますので、先ほどもちょっと申しましたように、輸入映画審議会を設けまして、われわれだけの意見でものを判断をするということでなくて、むしろそうした審議会の皆さんの御意見といったようなものが直接税関の窓口に反映するようなことで、かなり慎重にやってまいったつもりでございますが、なお、国会におきましても今回の問題を契機にしていろいろ御議論があったことでございますので、われわれもこうした国会の御議論を十分審議会等におきまして反映するようにいたしまして、さらに一段と慎重にいたしてまいりたいと思っております。
 それから、第二点でございますが、確かに事務量がふえてまいることは事実でございます。貿易量が大体五年で倍くらいになってまいるわけですから、それをもし同じ仕事のやり方でやってまいるということになりますと、現在百億貿易といわれておりますが、これが二百億になるとかした場合には、さらに現在の定員の倍要るとかいうようなことになるわけでございます。そこで、われわれといたしましては、もちろん必要な検査、あるいは税関関税の取り締まり、あるいは関税の執行機関として必要な検査なりあるいは調査なりはいたさなければならないことは当然でございますが、従来のようにすべての貨物を全部検査するというようなことはとても実際問題としてできませんし、かりにできたといたしましても、それは現在の狭い港湾地区におきましていたずらに混乱を招くというような要素もございますので、先般御審議願いました関税におきましても申告納税制度を取り上げまして、輸入をなさる個々の業者の方がお互いに通関の円滑化をはかり、またスピードアップ化をはかるといった意味でりっぱな申告をしていただき、われわれのほうではそれをつとめて尊重していくということで、直接欠員の補充が困難であるということを目的として申告納税制度をやったのじゃなくて、申告納税制度そのものはより高度な役所と通関の皆さんとの間の信頼関係を打ち立てる、それが本来の行政の姿であるということでやったことは事実でございますが、結果的にはそういうことによりましてお互いに信頼のできる通関ということになって、人員的にもあるいは時間的にも相互に余裕ができるというようなくふうもこらし得ることになりましたので、そうしたことをあわせ実行しながら、現在の職員の不足を補っていきたいと考えております。
 なお、税関の欠員の状況でございますが、これは大体百人くらいいつもございまして、御承知の欠員不補充というのが内閣の方針としてとられておるわけでございますが、税関につきましては、こういう通関事務がふえていく港の実情を反映していく意味におきまして、欠員不補充の原則をはずしていただきまして、欠員が出た場合にはむしろそれを積極的に埋めていくということを認められまして、大体年々百数十名採ってまいりました。もちろんこれで十分だとは申しません。なお、根本的に、現在の仕事を考えましたときにはさらにさらに人員は要ると思いますが、一方では私どものほうにおきましてなるべく仕事のやり方を考えて、いまの人員でしかも労働過重にならないような方法を考えながら対処していく、あわせて定員の増加については関係方面に強く要請していくというような二段がまえで事柄に当たっているわけでございます。
#41
○戸田菊雄君 いずれ詳細な資料をいただいて、私もいろいろこれから検討してみたいと思います。確かに局長が言うように、一つは業務を簡素化してできるだけ削減しようとしている、その閣議決定の不補充というものを打ち破って百何名かを補充している、こういう努力については私は非常にいいと思うんですけれども、それでもなおかつ現地ではまだまだ不足を来たしているというのを、職員が言うのではなくて、責任者あたりまで言っている。これは職務の遂行というやはり忠実なあらわれだと思うんですね。ですから、そういうものに対して本省あたりで真剣に問題を取り上げて、でき得るだけ最大の努力をやっていくのが私は非常にいいのではないか。ことに現地へ行ってみますと、これは待ったなしですね。税関などは非常に危険な作業を伴うわけであります。そういうところに一人か二人くらい、職務をかぶせられていろいろとかけ回っている。こういうことでは私はうまい作業もできないのではないか、事故が起きたら当該人がばっさりやられるわけですから。普通の作業が多いときにはそれを何とかして知らないふりをしている。事故が起きればその人間が処断をされていく。こういうことでは、二重三重の苦しみを受けておるのは全くああいう現地で働いているそれらの人々じゃないか、こういうような気がしますから、これはいずれこまかい資料を各税関ごとに私も教えていただきまして、もう少し能率的な、そうして喜んで働けるようなそういう職場環境の確立のためにも、適正配置といいますか、足らないところにも具体的にやはり補充策をとっていく。これはできるはずだと思うんですね。大体局長あたりがやる気になればこれはできるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
#42
○政府委員(細見卓君) 御要望というか、御意見のとおりで、私どももいまの百数十名くらい採用する過程におきまして、何と申しましても、荷物は、都市近辺といいますか、五大港湾に集中してまいりますので、そちらのほうに新規採用等の機会に差等を設けまして、そちらに持ってくるとか、あるいは古い職員は職員構成の点でいろいろ問題が起こりますから、むしろ地方の税関から中堅職員もある程度採りまして――採りましてというんですか、忙しい税関に回しまして、そのかわり新規職員を見てあげるとか、職員構成も考えながらできるだけ努力をやってまいらなければならないと思いますし、私どものほうの税関の職員は、比較的といいますか、非常にまじめによく働いてきてくれております。おかげでこういうふうに戦後の通関の実績から考えますと三倍四倍にふえた荷物を今日まで何とかやってきておるのも、そういう職員の努力によるところが大きいものですから、その点については今後ともそういう職場の士気が阻喪しないように、われわれとしてもできるだけのことはいたさなければならぬと、そう覚悟いたしております。
#43
○委員長(竹中恒夫君) 両案に対する審査は、本日はこの程度にいたします。それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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