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1967/05/29 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第13号
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1967/05/29 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第13号

#1
第055回国会 大蔵委員会 第13号
昭和四十二年五月二十九日(月曜日)
   午前十時五十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     山本伊三郎君     柳岡 秋夫君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     柳岡 秋夫君     野上  元君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹中 恒夫君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                小林  章君
                西郷吉之助君
                西田 信一君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                野上  元君
                野溝  勝君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
   政府委員
       法務省刑事局長  川井 英良君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省理財局長  中尾 博之君
       国税庁長官    泉 美之松君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○理事(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 五月二十七日、山本伊三郎君が委員を辞任され、その補欠として柳岡秋夫君が選任されました。本日、柳岡秋夫君が委員を辞任され、その補欠として野上元君が選任されました。
#3
○理事(青柳秀夫君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑に入ります。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#4
○中尾辰義君 所得税法に入る前に、最初にお伺いしたいんですが、今度の歳入予算を見ましてだれしもがふしぎに感ずるのは、四十二年度は非常に自然増収が前年度に比べまして多い、七千三百五十億も出ておる、そのわりあいに減税額が非常に少ないじゃないか、わずか八百億円しか減税をしていない、このことがだれしもがもう一番最初に感ずる点でありまして、従来もいろいろと答弁がありましたけれども、説明がきわめて不十分でありましたので、あらためて私はこの点につきまして大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 その前に、自然増収というものはどういう性格のものであるのか、それから自然増収と減税との関係、また公債が発行されておる今日における自然増収と減税との関係、これも従来いろいろと質問されてきましたが、この際に私はあらためてお伺いしたいと思うのです。
#5
○国務大臣(水田三喜男君) これはもうたびたび御説明したつもりでございますが、ことしの減税の幅が多いか少ないかということでございますが、これを外形的に見る方法としましたら、幾つもあろうと思いますが、いままで自然増収のうちどれくらいを減税しておるかという割合を見ますというと、終戦直後から昭和三十年ごろまでは、これは自然増のほとんどを減税に充てておるというような形になっておりますが、昭和三十年以後はせいぜい二割以内、平均一六、七%になりはしないかと思いますが、それくらいを減税に充てておるというような形でずっときておりますが、ことしは、昨年自然増がなくてもあれだけの大きい――まあ公債発行ということによってあれだけの大きい減税をしてきましたので、昨年を標準にするわけにはいきませんで、昨年とことしを合わせてどれくらいの減税をするのが至当かというようなことから見ますというと、自然増に対して三四%の減税をやることになりますので、そういう点から見ますと、いままで過去十年にない減税の幅であるということがまず言えようと思います。
 それから、毎年この減税の率が前年度に比べてどうかというような姿から見ても、ことしの減税の幅は多い。経済成長率から見た弾性値においても、一・五三というような最近にない大きい弾性値の見方でございますし、そういう点からいっても、私どもは特にこれを過小に見るということではなくて、少し多目にむしろ見ておるというのが実情でございまして、ただ、経済の伸び率の見方というようなものも、いまの情勢から見ますと、一三・四%余にいきそうな様子でもございますので、そういう点からさらに自然増がないということは言えないと思いますが、見積もりをする当時においての見方からは、普通な見方をして見ると、むしろ目一ぱい見ているというような見方を私どもはしておるつもりでございます。
 で、この前、御説明しましたように、実際は八千億以上の自然増を見ておって、そうして去年の税収の平年度化の影響一千億を引いて七千億余ということでございますので、見方としては八千何百億の見方ということは、過去一番多い年が六千何百億という自然増のときから見ましても、本年度は異例に多く、経済情勢の回復期でございますので多く見たというようなことで、自然増の見方も過小ではないというふうに考えますと、そこから減税の幅として考えたものも決して少ないものじゃないというふうで、私どもの感じとしては、特に妥当でなかったという感じはいまでもまだしておりません。
#6
○中尾辰義君 まあこれは極端な言い方か知りませんけれども、まあ自然増というものは、国民所得が増大して、租税収入が自然とふえてきたんだから、当然これは税金の取り過ぎである、だから、むしろ国民に還付すべき筋合いのものじゃないか、こういうような意見もあるんじゃないか。これに対して大蔵大臣はどうか。
#7
○国務大臣(水田三喜男君) それは昨年公債発行ということをやりましたために、大幅な減税をやっていると。それに引き続いたことしの減税がどうあるべきかということを考えますと、ことしはそう大きい減税が期待されなくてもいいという年であろうと私どもは考えますが、しかし、この所得税の現状から見て、税の軽減はする必要ありと認めたために、さらに本年度も引き続いて減税をやったということで、そういう意味では国民に還付しているつもりでございますが、私はことし二年続いてこれだけの幅の減税というものはいままでの減税に比べて低いものではないというふうに考えております。
#8
○中尾辰義君 そうしますと、七千三百五十億の自然増収の行くえはどうなったのか。その歳出の面における自然増もかなりありますし、一方また、公債の発行を減らしたかというと、そうでもないし、公債も昨年よりずいぶんふえております。それで、減税の幅だってそんなに大きくはない、新規の施策はあんまりやっていない。そうしますと、この七千三百五十億という租税の自然増収は、支出の面にこれはどういうふうに振り当てられてきたのか、そこら辺のところをひとつ……。
#9
○国務大臣(水田三喜男君) 国債を発行しておりますし、国債が建設公債でございますので、公共事業費をもっぱらそれによってまかなうということになりますので、一般の自然増収のほうから公共事業費に回った分は大体七百七十五億円、それから社会保障費に回っておる部分が千四十五億円、それからその他一般経費に回っておる分が四千二百五十五億円、それから新設の石炭特別会計四百七十五億円、そして合計六千五百五十億円。減税を引いたあとの六千五百五十億円は大体そういう形になっております。
#10
○中尾辰義君 それじゃ、次に政治献金に対する税利上の優遇措置の問題についてお伺いしたい。きょうの新聞に出ておりますがね、自治省案とそれに対する大蔵大臣のお考え。目下それは検討の最中でありましょうけれども、政治献金に対してですね、税制上の優遇措置をするのかしないのか、するとすればどういうふうにあなたはお考えになっていらっしゃるのか、なぜしなければならないのか、その辺のところをひとつ大蔵大臣じかじかにお伺いをしたい。
#11
○国務大臣(水田三喜男君) いま与党にもいろいろ政治資金規正法について意見があるようでございますが、私ども、できるだけ答申の線を尊重するという立場の立法化を、いま政府としてはやっております。そういうことになりますと、この答申の中で個人の献金についても優遇措置を検討してほしいというのが答申の線でございますので、答申でございますので、その線に沿って一応は検討しなければならぬだろうという考え方から、いま政府部内において検討はしておりますが、なかなかこれはむずかしい問題で、いまのところまだ結論が全然出ていないところでございます。
#12
○中尾辰義君 大臣はその答申をたてにとっていらっしゃるのですがね、いままでの経過を見ますというと、別にこの答申に限ったことではないのですが、政府はいつも都合のいいところは答申を尊重する、都合の悪いところは答申を尊重していないんです、いままで。これはまた総理大臣にお伺いしましても、答申が出ても、それを法律化するのは行政府の権限であると、こういうところで突っぱねておるわけです。あなたの答弁は、答申答申と、さっきから答申一点ばりでおっしゃるわけですが、答申は答申としてですね、やはり当局であるあなたのお考えというものがあるわけですよ。それで私はお伺いするわけですが、自治省はこういうことを言っておりますよ。自治省はですね、ここに出ておりますのは――いや、自治省じゃない、事務当局は。あなた御存じでしょうけれども、一ぺんこれを読みますというとこうです。新聞に出ておる。政治献金に対する税の優遇措置については、まず「1全国の父兄が強く要望している教育費控除(子どもの教育にかかった経費を税の対象からはずすこと)さえ実現をみていない現在、政治資金に税の減免措置を講ずるのは、税負担の公平の原則からみて好ましくない」。さらにですね、「2政党、政治団体あるいは政治家を法律の上ではっきり定義づけることができない場合、優遇措置が脱税の抜け道に悪用されるおそれがある」。まあそういうことで、事務当局は大体これに反対である。ところが、あなたの御意向はどうなのか、それをひとつお伺いしたい。
#13
○国務大臣(水田三喜男君) これは私自身の意向ということになりますと、答申の線にあまり沿いたくないという意向なんですが、そう言うと、いまあなたの言われたように、かってなときには答申の線に沿い、かってなときには答申の線に沿わぬといういろいろ意見もございまして、やはり答申の線に一応沿った検討をするのがいいという意見も非常にございますので、一応その線で検討はしておりますが、いま言ったように、むずかしい問題でまだ結論が出ていないと、こういうことでございます。
#14
○中尾辰義君 結論が出ていないというそれ一点ばりじゃ、これは質疑になりませんよ、ある程度答弁をしてもらわないというと。目下検討中である、検討中である、これじゃ、あなた、ああそうですかと、これで黙らなきゃしようがない。検討中であるけれども、あなたの胸の中にはやはり大体の大まかな考えというものがあるんでしょう。そういうものを、私はこういうふうに考えているんだ、それをいろいろと審議検討するのが委員会でしょう。それを検討中であるとか、こういうことじゃ話にならぬですね。新聞にあらあら出ているでしょう。あらあら出ているから私は聞いているんであって……。
#15
○国務大臣(水田三喜男君) これはうそを言っているわけでございません。ほんとうに検討中なんです。ということは、まだ政府案を作成する過程で、自治省のほうでもそのほかにたくさんの問題がございましたから、この調整で自治省案というものがまだこの問題を除いた部分でいままでかたまっていなかった、したがって正式に自治省がこの税制についての問題を私どもに相談するところまでまだ政府部内では行っていなかったということは実情でございますので、これからこういう問題の、政府部内のいろんな相談が始まるでしょうが、したがって、それに間に合わせるように私のほうでも検討中でございますが、問題はたくさんございますので、大蔵当局としての案というようなものも、折衝のときにどういう案をもって出るかというようなことも、まだその原案もきまっていないというのが実情でございまして、ほんとうに結論は出ておりません。
#16
○中尾辰義君 それでは、ここに出ておりますこれは、まああなたの、大蔵大臣の主張と、こういうことで出ておりましょう。これを読みますと、「たとえ優遇措置をとるにしても、税負担の均衡を貫くためには、いまの所得税法のワク内(各種の寄付額の合計が年間所得の一五%までを控除)に押えるべき」である、こういうふうに出ておるのですがね、あなたのお考えとして。これはいかがです。
#17
○国務大臣(水田三喜男君) まだ私はどこへも考えを言ったことはございません。ただ、いま言ったように、答申がそうなっておるとすれば、何らかの形でその答申の線に沿った検討はしなきゃなるまいということで、部内でも研究はしておりますが、どういう方向で、どういう考えでいま検討に当たっておるかというような、具体的な問題についてはまだ私は自分の考えを言ったことはございません。
#18
○中尾辰義君 それじゃ、主税局長にお伺いしますけれども、いまの所得税法におきましては、個人なり会社なりが政治献金をした場合には、税法上の優遇措置があるのかどうなのか、その辺……。
#19
○政府委員(塩崎潤君) 現行法について御説明申し上げます。
 まず第一に、法人でございますが、法人は、政治献金ということに限定しないで、一般の寄付金につきましては、御案内のように、資本金の千分の二・五と利益の百分の二・五との合計額の半分、これを限度といたしまして所得の中から控除されるたてまえでございます。個人所得税のほうは、特定寄付の制度はございますけれども、現在寄付金控除の対象といたしまして政治献金はその中に含めておりません。したがいまして、個人で控除されますものは、学校に対してであるとかあるいは非常に程度の高い育英資金に対してというふうなものに限定されておりますので、現在のところ政治献金は、個人がいたしましても、これはもう課税済みの所得の中からなされるものである、こういうたてまえでございます。
#20
○中尾辰義君 そうすると、会社等におきましては、ただいまあなたがおっしゃったような控除が認められる。個人の場合は、全然税法上の優遇措置というものは政治献金に対してはない、こういうことですか。そうすると、所得税法に、これはやはり個人の場合でしょうが、国または地方公共団体、あるいは蔵相が指定した公益法人または学校、試験研究法人や日本赤十字社などに寄付した場合、その合計が年間の所得の一五%までは所得から控除し、税の対象としないことを認めていると。この中には政治献金というのは入ってないわけですね。
#21
○政府委員(塩崎潤君) 入っておりません。
#22
○中尾辰義君 まあいま検討中でありますけれども、何しろ昨年来黒い霧問題で騒がれた今日、世論も非常にきびしいですから、やはり大蔵大臣は、税の公平という点から見ても、全額それはもう課税をする、そのほうが私はすっきりしていいと思いますがね。まあこの点を要望しておきます、あなたに質問してもまた検討中と、こうおっしゃるから。
 次に、これは本会議でも聞いたのですけれども、答弁がはなはだ不十分でありましたので、再度お伺いしますが、政治献金はこれからまあ雑所得とこれをして、その中から政治活動の必要経費というものを認めていくと、こういうことを大蔵当局は言っておるわけですけれども、それで、こり政治活動必要経費というのはどういうものをいうのか、この点につきまして、大蔵大臣でも国税庁長官でもけっこうですよ。
#23
○政府委員(泉美之松君) お話のように、国会議員の方あるいは都道府県議会議員の方々など政治活動をなさっていらっしゃる場合に、個人または法人から収入があるわけでございます。これを政治活動のために使って政治活動が行なわれるわけであります。従来の考え方におきましては、個人から受けるものはまあ贈与である、それから法人から受けるものは一時所得であると、こういうような考え方のもとに御承知の所得税法及び相続税法の公職選挙法に関連しての非課税規定ができておるわけであります。しかしながら、政治家の収入、支出ということをよく考えてみますと、単純に贈与であるとかあるいは一時所得と見るべきものでなしに、まあそういうふうに見られるものもあるでしょうけれども、しかし、課税上考えていきますと、むしろ一時所得でありますと、必要経費というわけにまいりません。それから、贈与ということになりますれば、いわんやそういうことになるわけであります。必要経費ということが出てこないわけですが、政治活動の実情を見ますと、その収入はむしろ雑所得の収入であり、それについてその収入を得るために政治活動を維持していくということの経費は必要経費として見て、残りの所得に対してのみ課税すべきものではないかというふうに考えられますので、従来その点が必ずしも明確でございませんでしたので、昭和四十一年分の所得税の申告に際しまして、そういった政治家の方が政治活動のために個人または法人などから受ける政治資金は、原則として雑所得にかかる収入金額になりますということを申し上げたのであります。
 雑所得は総収入金額から必要経費を控除して計算するわけですが、それではその必要経費は何かということにつきましては、これはなかなかデリケートな問題がございまして、ことにその人の政治活動の態様いかんによりまして、いろいろ問題の面があるわけであります。私どもとしましては、公の政治活動のために支出した費用、たとえばもっぱら政治活動のために使用する事務所の、それを借りておる場合にはその借料、自分で建てておられる場合にはその減価償却費、それから政治活動のために使用している秘書の給料、あるいは政見発表のために会場を借りる場合の会場費、それからそれに行くための交通費など、こういったものが必要経費になるわけであります。しかし、もちろんそのほかに政治活動としていろいろな形態の活動がございます。したがって、それらにつきまして個別に検討していかなければならない面があるわけでありますが、代表的な必要経費というものはそのようなものであります。
#24
○中尾辰義君 そうしますと、なかなかこの政治活動必要経費というものは、いまおっしゃった事務所の費用だとか、秘書の費用だとか、電話代だとか、こういうものは比較的つかみやすいけれども、それ以外のものはなかなかっかみにくい、そういうことですね。ですから、そうしますと、料亭なんかで一ぱい飲みながら政治活動というか、話し合い等をやった、政策の研究会あるいは調査の名目で。そういうものはこれは当然入らない、こういうことになりますか。何も一ぱい飲まなくてもできるのですが。
#25
○政府委員(泉美之松君) いまお尋ねの点が、政治活動の必要経費として認められるかどうかという点で、一番デリケートな問題でございます。まあよく引き合いに出ますのが小説家の場合でございます。小説家の場合に待合で飲んだり食ったりするということが必要経費になるかどうか、そういうことを小説の材料にして書いておられる方の場合でありますと、これは必要経費と見るべきじゃないかというお話があります。確かにそういった点で必要経費に認めるものもありましょうが、しかし、中にはやはり楽しみをしておられる面もあるわけであります。純粋にそういった金の全額が必要経費にはなかなかなりにくい、こういうことを私ども申し上げておるわけでありますが、政治家の方々の場合、そういう料亭で政策の打ち合わせをなさったり、あるいは政策の調査研究をなさるということはあり得ることだとは思いますけれども、それを政治活動に伴う必要経費として認めるかということになりますと、なかなか問題があって、やはり国民感情の上からいきましても、そういうのを必要経費と認めるということはなかなかむずかしいのではないか、このように考えております。
#26
○中尾辰義君 これに対する大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
#27
○国務大臣(水田三喜男君) 交際費という中にはそういう飲食費が認められることから考えますと、やはり政治活動費の一つとして、こういう意味の会合費というものもある程度私は活動費として見られていいのじゃないかと思いますが、これはやはりいろいろ限界がありますから、実際問題としたら、私は、個別審査によって、画一的に全部否認さるべきじゃなくて、こういう場合のこれはやはり活動費として認められるべきものだといって特別に認められる場合があってもいいんじゃないかというふうに思います。
#28
○中尾辰義君 結局はっきりしないので、国税庁の裁量によってそれはきめる、こういうようなことになりますね、いままでのお話を聞きますと。
 それから、いま政治家の宴会政治というものが、中央に限らず地方においても非常に国民のひんしゅくをかっておるわけでありますから、きめたらきめたで、それが実効があがるように何かの方法を考えないというと、ただ有名無実であったのでは、これはもう何にもならない。いわゆるざる法じゃないか、こういうふうにまた非難を受けるわけですけれども、そこで、徹底的に追及もしませんけれども、さらにひとつ検討していただきたいと思います。
 それから、もう一つお伺いしたいのは、政治献金を受けた者には、それに対して政治活動必要経費というものを認める。ところが、まじめにそういう献金なんか受けないで自分の所得だけ、極端な例をいうと、もうほとんど歳費だけで政治活動しておる、そういう者に政治活動必要経費というものは認めない。ところが、実際はこっちのほうが一生懸命やっておる場合もある。そうすると、この政治活動必要経費というものは、これは片手落ちじゃないか、こういう感じが私はするのですな。片方は認めて、片方は認めない、この点はいかがですか。
#29
○政府委員(泉美之松君) まず前のほうの問題につきまして。確かに政治活動に伴う収入支出があるわけでありますが、課税の実務の点からいたしますと、やはり所得税でありますから、所得とは何ぞやというところから入らなければならぬと思います。で、そういった点から申し上げますと、所得というのは確かに収入と支出があってその残りでありますけれども、それが現象としては私的財産の増加または私的な消費についての支出ということにあらわれてくると思われるわけであります。したがいまして、私どもは所得税の課税にあたりましては、やはり政治家の方の場合におきましても、その私的財産が増加したかどうか、私的な消費が、御自身及びその家族を合わせてでありますが、御家族の方を合わせて私的な消費がなされたかどうか、そういった面から把握していくということになるわけであります。したがって、政治活動に伴っていろいろな調査研究費であるとか、国会対策であるとか、いろいろな金が支出されますけれども、それが政治活動のために使われてしまって、私的財産の形成あるいは私的消費に使われておらない場合におきましては、これは所得なしと言わざるを得ないことになるわけであります。所得のあるところに課税していくというたてまえを守っていきたいと思っております。
 その次の、いまそういう雑所得の収入がある場合には、それに対して必要経費と認めるけれども、議員歳費だけしがなくて、それによって政治活動をなさっていらっしゃる場合には、御承知のとおり、議員歳費は給与所得ということになっておりますから、給与所得控除以外の必要経費は認めない。それは片手落ちではないかというお話がございました。これは立法論にわたりますから、あとで主税局長からお答えいただいたほうがいいと思いますが、これは結局、政治家の所得、議員歳費をはたして――給与所得としていま課税しておるわけでありますけれども、はたして給与所得としてのみ見ておいていいのかどうかという、非常に根本的な問題があると思うのであります。そういう点からいたしますと、議員歳費を給与所得として課税すべきかどうか、ここから検討しないと、いまの権衡の問題は片づかないのではないか、このように考えております。
#30
○中尾辰義君 それで、いまの給与所得控除の件についてですが、この給与所得控除というものは、ただ給与所得者にだけあるわけですが、いままでもこれについていろいろと検討されておりますけれども、事業所得者の必要経費に相当するものだ、こういうようなことをおっしゃっているわけですけれども、これについて、いまの政治活動必要経費と関連して、一ぺん答弁してもらいたいと思います。
#31
○政府委員(塩崎潤君) 給与所得控除は、雇用関係にありますところの給与所得者だけにある控除でございます。その趣旨は、私どもがたびたび御説明申し上げてありますように、第一には、なかなか計算が正確にできない、また、納税者が税務署を説得するだけの資料も乏しいと思われる給与所得者の必要経費を、第一に概括的に見積もっている点でございます。第二には、御案内のように、これはもうどこの国でもいわれておりますが、事業所得者あるいは資産所得者と違いまして、サラリーマンは一代限りの所得である。したがいまして、その人が死亡するならば全く所得が失われるわけでございますから、資本あるいは資産から生まれる所得、あるいは資本、資産と労働との共同で生まれる事業所得と違いまして、担税力が乏しい、こういう理由から給与所得控除があるわけでございます。第三には、わが国独特の論拠だといわれておりますが、何といいましてもガラス張りのサラリーに対する課税と、みずから帳簿をつけ申告して納税していただく事業所得とでは、所得に対する申告の程度が違う、納税の割合が違うということが第三の理由としてございます。第四には、これも少し大きな理由ではございませんが、サラリーマンの所得は源泉徴収を受けており、早目に税金を納めている。その利子をしんしゃくしなければならない。その四つばかりの理由があげられております。
 今度の提案いたしておりますところでは、給与所得控除は、定額で八万円までを文句なしに控除いたします。なお、最高二〇%の一般的な控除限度がございますが、これは六十八万円をこしますと一〇%に低下いたしまして、最高二十二万円の控除を認められているわけでございます。これが当然、現在の考え方では、先ほど長官が言われましたように、歳費も一つの給与所得であるということから来ているわけでございます。
#32
○中尾辰義君 それで、給与所得がありましても、結局世間でもクロヨンと呼んでいるように、納税者の中で八五%までが給与所得者である。しかも、税務署にがっちりと源泉徴収でやられている。こういうことで、給与所得者の納める税金が一番高いのじゃないか、こういうことを言われているわけです。
 それで、給与所得控除に対していろいろな意見がありますけれども、これを事業所得の必要経費に見合うものであるとするならば、給与所得者といいましても、これはいろいろな種類があるわけですね。職業によっていろいろ異なっている、その必要経費というものは。新聞記者もあれば、これなんかかなり動かなければならない。一般の会社につとめているサラリーマンの方もある。これも交通費だけでもだいぶ違う。あるいはまた、片方は家賃を一万円ばかり払っている家もあれば、全然これは家賃を払わないでおやじの家に入っているのもある。あるいはもう交通機関もないので、車で通わなければならない。いろいろあるわけです。ですから、給与所得控除という点につきまして、立証できる必要経費というものは認めてやったらいいじゃないか。給与所得控除だけでけっこうでありますという人はそれでもいいし、いや、うちのほうはこれくらいの控除ではとても合わないのだ、このように要っているのだ、そういう人は認めてやればいい。そうしますと、いわゆる事業者とのバランスがとれていくのじゃないか。いわゆる選択制度ですか、アメリカなんかこういうふうに選択制度になっているそうですがね。その辺のところはいかがですか。
#33
○政府委員(塩崎潤君) いまの中尾先生の御提案、私どもも税の理論的な考え方といたしまして十分理解できるところでございます。証明のつかない方は二〇%、一〇%、最高二十二万円の控除でがまんするけれども、それ以上かかった人は、証明のつく限り引いたらどうか、こういうお話でございます。あたかもアメリカが実行している方法でございます。
 しかし、これは考えてみますと、なかなか私は税務行政の現在の日本の基盤あるいは納税協力の実情から見て、この制度はよほど慎重に判断しなければ、また大きなトラブルのもとになるのではないかと思うのでございます。つまり、先生も御指摘のように、先ほども政治家の必要経費とは何ぞやという御質問がありましたように、非常にその範囲がむずかしいものが、ボーダーラインとしてたくさんあるわけでございます。現在サラリーマンにかかっております、たとえば通勤費は文句なしに給与所得控除の外に置いておりますので、通勤費は明瞭になっているわけでございますが、問題は、たとえば研究費とか、あるいは事務所に通う靴の修繕費あるいは償却費、衣服の償却費あるいは修理費、さて、そこまでまいりますと、どの程度のものが必要経費かということが非常に争いになろうかと思います。先般、同志社大学の大島教授が裁判で争っておりますが、自分がかけた学会への出席費あるいは運動部の部長として生徒をいろいろな意味において激励する費用、こういった費用を考えますと、給与所得控除を上回る費用がかかったんだというようなお話ございましたが、さてこのあたりになりますと、ほんとうの経費といえるかどうかという点が、多分に私は税務署との間にもトラブルが起ころうかと思います。さらにまた、そういったことは費用といたしましても、領収証その他、あるいは証明技術、これらを考えますと、ややともすれば証明技術のうまい人が得をするというような私は欠陥も出てくる。このあたりがどうもまだまだ日本の現状におきましては、税務行政の現状では、個別的に非常に個人消費と必要経費との間のラインが引きにくいものについての控除は、やはり一般的な率の中におさめていくほうが公平と申しますか、画一的な欠陥はございますが、まだまだ公平な、トラブルも少ないような、そういうような点がございますので、ひとつこの点はよほど慎重に研究してみたい。
 自由職業者でも、そういった意味で、たとえ帳簿がよくつけられ、あるいは証明が、受け取り証等がございましても、それがはたして個人消費に向けられたものであるか、あるいは取材活動等に向けられたかどうか、非常に限界がむずかしいものでございます。そんな意味では、標準率というような制度で一応の線を切って争いをなくするというようなことも、大きな一つの柱として現在行なっておりますが、そんなことを考えますと、アメリカの制度あるいはドイツの制度は、理論的にはこれはわかりますけれども、千六百万のサラリーマン一々につきましてそこまでやっていくのがいいかどうか、これはひとつ慎重に検討してみたい、かように思っております。
#34
○中尾辰義君 それで、私の言うところは、現行の定額控除でけっこうでありますという人は別に云々する必要はございません。ただ特別に、例外的にといいますか、病気にかかった、そういう人は、証明のできるものだけ認めてやる、こういうような制度ですね。あなた、アメリカの制度をおっしゃったけれども、日本じゃトラブルが起こると言うが、アメリカではどうなっておるのか、トラブルが起こっていないのか。大蔵大臣もひとつ、御意見をお伺いしたいと思います。
#35
○政府委員(塩崎潤君) 私の聞いておりますところでは、アメリカでも特殊な経費を要求する事例は非常に少ないようでございます。いま先生のおっしゃいましたように、一般的な経費控除の中でまかなわれる。ただ、まれにそういった事例が起こるように私どもは聞いておりますが、そこが私どもアメリカの税務行政の関係と日本の税務行政の関係とは相当な違いがあるというふうに、私の経験では感ずるわけでございます。
 なお、いまおっしゃいました医療費等は、これは明瞭でございますので、これはサラリーマンのみならず事業所得者につきましても、別途に医療費控除といたしまして所得から控除することになります。したがいまして、問題は、給与所得者について起こりそうな議論は、大島教授の訴訟から御案内のように、研究費、あるいは交際費、あるいはまた組合費とか、そういった個人消費と必要経費との間が非常にむずかしい問題、こういった問題になってくると思って私は見ております。
#36
○国務大臣(水田三喜男君) 私も、政治献金のあった人は必要経費を認められ、ない人は通常の収入でまかなわなければならぬということは、やはり不公平だと思いますので、それと、さらにそれをどうしたらいいかということになりますと、いま国税庁長官が言われたように、公職者のいまの歳費を一般の給与所得と同じものだと一体見ることがどうかという根本の問題がそこに出てくるというお話がございましたし、主税局長の言うように判定のむずかしいという問題もあると、こういうことを考えますと、まだ私の考えは熟しているわけでは全然ございませんが、もうこれに対処するしかたとしては、一応ここで全部を考え直すという必要があるんじゃないか。そうすれば、ある程度合理的に解決する方法も出てくるんじゃないかというふうな気がいたします。たとえば個人会計と公職者としての会計を区別するようにして、各人みんな二つの会計を持つ、そういうことにすれば、一定の公職者会計とでもいうべきものは、寄付を受けてその中で政治活動費をまかなう、個人の所得とはもう別にするというようなことにすれば、まず不公平の点がなくなるし、いろんなむずかしさがある程度解消するんじゃないか。そうすれば、いまの議員の歳費にしましても、生活保障というような給与と、それに通信費とかいうようなものが加わっておりますが、まさにこういう費用は公職者なるがゆえの一つの費用である、収入であると考えますので、場合によったらこういうものは各個人が公職会計らしいものを持てば、国がそちらのほうに一定額を支払うというようにすれば、個人の収入とは別になるというふうなことで、公職者の政治活動ということについて、活動を中心とした税のあり方というようなものを、ここで従来の仕組みと変えた別の構想をもって研究する必要がありはせぬかというのが私どもの考え方で、これはいま衆参両院の議員の集まったときでも始終これが議題となって、それぞれいろいろ考えた案を私どもは見せられておるのですが、それらから考えましても、これについては政治資金規制正法なんというものができるときを機会に、この問題はもう一ぺん掘り下げて私どもは別の考え方をするほうがいいんじゃないかというふうに考えております。
#37
○中尾辰義君 何かすっきりしないようなものは、これはもうとにかく課税の対象にすると、こういうふうにすれば、これは公平であると、私はこう思っております。
 それから、一般の給与所得者に関してですが、非常に最近は住宅難で、御承知のとおり家賃が高いわけですね。家族三人あるいは五人のところで、まあ四万なり五万なりもらっておる。その中で一万円なり一万五千円なりあるいは八千円、そういうようなことで家賃を払っておる。これはかなり生活に食い込んでおるのですね。ですから、この家賃を控除すると、そういうことはいかがですか。家賃控除。
#38
○政府委員(塩崎潤君) 現下の家賃の状況から見て、課税最低限と別途に、家賃控除をしたらどうかという御提案でございます。一つの考え方で、絶対に成り立たない私は所得税のたてまえと思いません。しかし、私どもは七十四万円までの課税最低限のうちには、食料費あるいはその他住居費を考慮して、さらにまた現在の消費者実態調査から見て、七十四万円で住宅費も、平均的なもので恐縮でございますが、引かれておるというふうに考えております。
 なお、住宅費をかかったものだけ引くということになりますと、たとえば通勤費についても、どんなに遠くから通っても、いろんな個人消費の、自分の多分に習慣的な生活態度によって引く金額が左右されてまいりまして、また不公平という問題が起こってまいります。そのあたりはできるだけ課税最低限を大幅に引き上げる方向で、一般的な、あるいはフェアな方向でやるべきではないか。
 給与所得者の必要経費の問題も、二十二万円という最高限度をできる限り多目に引き上げて、個別的な解決のほうはこれは進歩的な方向でございますけれども、やはりいろんな問題を考えますと、一般的な引き上げの形で解決するほうが適当ではないか、こういうふうに見ております。
#39
○中尾辰義君 私はいまの生活から見まして、片方は家賃がほとんど要らない、あるいは家賃を払ってもわずか二、三千円だと。ところが、片方のほうはどうしても家が見つからないで、二万円くらい払わなければならない。これは非常に不公平じゃないかと、こう思っているんですよ。ですから、聞いているわけですけれどもね。それはよく検討していただきたいと思います。
 それで、今度課税最低限がかなり上がりましたので、独身者で二十六万七千円と、そういうことになっておりますが、今度の改正でどうなりますか。従来は高校出たらすぐ税金がかかると、こういうこともいわれておったんですが、独身者の課税最低限を今回引き上げたことによりまして、高校卒業程度の初任給でどうなるか、あるいは大学を出ての初任給程度でどうなるのか、その辺のところをひとつ聞かしてください。
#40
○政府委員(塩崎潤君) 賞与まで入れまして考えますと、高校卒では就職の年はかかりませんが、今度の改正案では翌年目ぐらいからまあかかるというふうになります。なお、中学卒は、現行法では就職の年はかかりませんが、翌年からかかるというたてまえになっておりましたが、今回の改正案によりますと、中卒ならば翌年もかからないということになろうかと思います。
#41
○中尾辰義君 大学、大学。
#42
○政府委員(塩崎潤君) 大学では、もう卒業のときからかかってまいります。
#43
○中尾辰義君 大体、主税局はどのくらいになっておりますか、高校、大学と。
#44
○政府委員(塩崎潤君) 中卒は一万六千九百五十円と私どもは見ております。高校卒は二万三百四十円。これは四十三年でございます。四十二年は中卒は一万五千二百七十円、高校卒は一万八千三百二十円。四十三年にはそれが一万六千九百五十円と二万三百四十円にベースアップするだろうと、こういう仮定の計算での設例でございます。
#45
○中尾辰義君 それで、私もいろいろなことを考えているんですが、結局いまのところでは、高校出て一年くらいするとまたかかってくる。ところが、高校出て一年しましても、これはまだ未成年である、こういうことになるんですがね。未成年というのはいまだ成人式も終えていないし、しかも選挙権もないわけです。こういう人たちにいきなり、権利を与えなくして義務だけ負わせるということ、これはどうだろうかと、こう思うんですがね。日本の将来を背負っていかなきゃならないこういう未成年者がですよ、これから社会へ出て働いていこうと、こういう人たちですね。しかも、未成年の間はいろんな面において、これはもう人生の修業の時代です。勉強もしなきゃならない、技術も習わなきゃならない、そういう人たちにですね、おまえ、所得がよけいあるからこれだけ払いなさいと、こういうことは私はどうも賛成できないんですがね。むしろ未成年者は無税にしろと。これに対して、大蔵大臣、いかがですか。
#46
○国務大臣(水田三喜男君) まあこの国会では、本年度から、独身者に対する税の優遇については一般よりも多くしたのですが、財政上の都合もありいろいろあって一度にいかないために、来年も引き続いて独身者優先の減税をやるということを言っておりましたが、これは引き続いてその問題の解決をはかろうというふうに考えています。
#47
○中尾辰義君 引き続いてこれは問題の解決にかかるということは、ちょっと答弁が的はずれになったような気がしますね。私が質問をしているのは、未成年者に税金をかけるのはいかがなもんですかと、こう聞いているのですよ。
#48
○国務大臣(水田三喜男君) ですから、そういう方向で年々課税最低限を上げていって解決したいということは、いま初任給がどんどん上がっているというようなことでございますので、そことその上の独身者でない層の所得との均衡のいろいろな問題が出ておりますので、相当の所得がありながら全部の独身者を無税にするということにしますと、世帯持ちとの均衡とかいろいろな問題が出てきますので、私は、やはり所得ある者には所得に応じて税を払ってもらうという形で、年々課税最低限を上げるということで、独身者は税がかからないというところへ持っていくというのを一年にはやれませんので、引き続いて毎年努力してやりたいと、こういうことでございます。
#49
○中尾辰義君 いや、独身者を言っているのじゃないのですよ。未成年を私は言っているのです。あなたはさっきから独身者、独身者とおっしゃっているが、中年の人の独身者もおるわけですからね。ですから、確かにそれは未成年の方でも、一部の人はまあかなり高額な所得のある人もありましょう、現に。芸能人でありますとかね。そういう人は例外として、それで、まあ一般的に未成年は無税にすると。いますぐできないけれども、未成年者は無税になるような方向に課税最低限を上げると、こういうような意味ですか。
#50
○国務大臣(水田三喜男君) 年齢で制限するということは非常にむずかしい、ということを言っているわけでございます。
#51
○中尾辰義君 ですから、私は言っているのですよ。未成年というものはですよ、もう私がいまさらあなたに説明するまでもないことですけれどもね。ですから、これから人生勉強していかなきゃならぬ、勉強もし、技術も習っていかなきゃならぬのですから、私はそう言っているのですよ。ところが、まあ一部、そういうような一部の人に限って、かなり高額を取っておる人もありますので、そういうものは例外として幾らか一線を引くなりして、そうして無税に未成年者をすると、そういうように尋ねておるのです。ところが、あなたは、そんなことをするよりか、課税最低限をどんどんどんどん引き上げていけば自然とそういうふうに、未成年にも税金がかからぬようになるじゃないか、こういう御意向のように思いますが、それならば、未成年者が無税になるようにこれから課税最低限を引き上げていくと、こういうお考えですか。
#52
○国務大臣(水田三喜男君) そうです。
#53
○中尾辰義君 次は、今度の利子、配当の租税特別措置法の問題ですけれども、これも再三もう論議をされておるのですが、私は今度は撤廃になるのかと思っておったんですけれども。それで、五%ずつ利子、配当ともに上げて、そうして三年間期限を延ばしたということになっておりますが、それに関連をいたしまして、いまの法人税というものは、もう再三局長から私聞いているんですが、法人を株主の集合体と見て、法人税を個人株主の所得税の前払いと見ている、こういうことになっているので、いまの制度ができておるわけですけれども、つまり一ぺん法人税払って、それから個人のところにも、配当が行くと、その場合に配当控除というものがあるんだ。そこで、いまの利子、配当の分離課税に対する特別法の問題もからんで出てくるわけですが、これを、法人税を企業独自の負担と考える、そして配当控除や配当益金の不算入をやらない、こういうことはどういうふうにして考えていらっしゃるのかお伺いしたいんですが。
#54
○政府委員(塩崎潤君) この点につきましても、大蔵大臣からもしばしば御答弁ございましたように、まあ現在の法人企業に対する社会感覚と申しますか、社会の評価が、どうも現在の単純なる擬制説だけでは済まないような一般的な皆さんのお考えのようでございます。しかしながら、この制度、昭和二十五年からでき上がりまして、株価その他にも非常に大きく影響する問題でございますので、これをどういうふうに改変するか、これは慎重に検討すべき問題であり、さらにまたこういった改正の方向は企業あるいは投資家、あるいはもう世間一般大衆が十分その仕組みを納得してからスタートすべきである。私の個人的な印象では、昭和二十五年のシヤウプ改正というものは、大きな改革ではございましたけれども、どうもわが国の中でも十分の論議が足らなかった。したがいまして、法人擬制説というたてまえが取り入れられたんですけれども、そのたてまえが配当率の中に織り込まれていないというようなことがありました。さらに株主側から見ても、なぜ配当控除があるんであろうかという疑問を持ったり、どうも仕組みについての理解が足らないままにスタートした。ここに大きな欠陥があると思うのであります。そういうような意味で、今回基本的な仕組みを検討するにあたりましては、過去の経験から見まして、十分大方の理解を得るような方向で検討すべきではないか、こういうふうに考えております。
#55
○中尾辰義君 ですから、趣旨は私どもはわからぬではないんですが、結局一般的に、いまもおっしゃったんですけれでも、配当控除なんかはこれは税制上の株主優遇の恩典であると。ですから、金持ちのために、資産者のためにあるんだから、けしからぬじゃないかと、こういうことになっているわけですからね。ですから、いまの質問をして聞いているんですけれども、同時に、税制の体系を乱さずむしろ別の方向で何とかならないのか、こういう考え方ですね、いかがですか。
#56
○政府委員(塩崎潤君) 私は、法人擬制説が正しく評価されまして、企業の経営者も、法人税は株主所得税の前払いである、したがいまして、配当率の中にそれが織り込まれて、結局配当の中に法人税が転嫁される仕組みがとれれば、配当控除は決しておかしくはないものだと思うのでございます。しかしながら、法人税というものをそういうふうに評価されていないところに、まあ先生の御指摘のような非常な問題点、矛盾があるわけでございます。
 そういった意味で、先生の御指摘のような、法人というものは独立の社会的な実在である、それに対する課税は法人企業独自の負担であるというのも、これは一つの大きな流れでございますので、そういったことは今後の検討問題として大きく私ども取り上げてみたいと思いますが、その実施につきましては、何ぶん大きな改正でございますので、先ほど来申し上げておりますように、ひとつ企業、投資家、国民大衆、これに十分理解を得るような方途を講じながら進むべきではないかと、このように考えております。
#57
○中尾辰義君 時間がありませんので、次に進みます。
 景気調整機能を強化するために税制の面におきまして若干の改正があったわけですが、新聞を見ましても、大蔵大臣は、今後予算が成立して財政支出が本格的に動き出すと、場合によっては景気過熱ということも考えられるので、国債をどうするか、減らすか伸ばすか、いろいろとそういうのは六、七月の動きによってまた検討したい、こういうことが出ておりますが、その場合に、今度出ておりますね、延納利子税率の引き上げということも、これもまあ適用していこう、こういうお話のようでありますが、それで、延納利子税率の引き上げにつきまして、どういうことなのか、少し説明をしていただきたい。
#58
○政府委員(塩崎潤君) 御審議願っております租税特別措置法の中の六十六条の五にこの仕組みが詳しく書いてあるわけでございますが、まず景気調整措置と申しますか、税制上におきまして少なくとも景気過熱に対して刺激的な要因は除くべきであろう、こういうことで、二つの仕組みを御提案申し上げておるのでございます。一つは、延納の利子税の特例でございます。もう一つは、特別償却の停止でございます。
 で、延納の利子特例のほうは、御案内のように、日本銀行の公定歩合が、危険信号といたしまして、現在一銭五厘でございますが、そのあたりからだんだん引き上げられますと、この利子税の歩合も上がってくるという仕組みにしてございます。その趣旨は、御案内のように、非常に金融引き締めのときには法人税の延納がふえてまいります。つまり、コールが三銭五厘に上がりましたようなときには、これは市中からなかなか金借りられませんから、二銭の利子率は非常に企業にとって安く感ずるわけでございます。したがいまして、法人税は半分だけ納めて、残りの半分は三月延納するという傾向が非常に強くなっている。しかし、一方、景気過熱が鎮静いたしまして現在のような状態になり、市中金利が下がってまいりますと、即納、即納というわけで、現在ではほとんど延納というものがない。これはどうも金融引き締め自体政府が金を貸さないということの一種のあらわれだと思うのです。日本銀行かもしれませんが、あらわれだと思うのでございますが、一方、法人税を貸したのでは意味がないわけでございます。そこで、公定歩合が一厘引き上げられるような場合には、市中銀行の金利の推移を見ますと、それ以上に金利が上がっておるわけでございます。公定歩合一厘引き上げるような場合には、二厘法人税の延納の利子率を引き上げていこう、最高は三銭五厘でとどめよう、法律には三銭五厘という限度がございますから。そういうふうにしてございます。もちろん当然、公定歩合がもとの姿に返ればもとの二銭に戻る、こういう仕組みでございます。
 一方、特別償却のほうは、御案内のように、景気過熱時代に特別償却まで認めまして、景気を刺激する、あるいは設備投資を奨励するようなことは適当でございませんので、これは日銀の公定歩合が引き上げられる、しかもまたその景気過熱が、設備投資の行き過ぎが原因である場合に、その期間中は特別償却は一時停止する、また鎮静状態になりましたときに特別償却を認める、こういった仕組みでございます。
#59
○中尾辰義君 税金を延納する場合には、やはり資金繰りが苦しいとかいろいろな理由があろうかと思うわけでございますね。ですから、これは中小企業に対してもかなり影響があるのじゃないか、こういうふうに考えております。それで、あなたのほうでこれでどのぐらいの税金の増収を考えておりますか。
 それと、一応今回の場合は延納利子税率の引き上げだけだ、そういうことになりますけれども、景気調整機能のための税制の強化ということを考えた場合に、法人税に対してある程度の幅を持たして、そして景気の変動に応じて、幅の中において法人税を上げ下げして強化していくんじゃなかろうか、こういうことも心配されておるわけですね。これは前兆であるかもしれないのだ、こういうふうに警戒もしておるわけです。その点のところを大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
#60
○政府委員(塩崎潤君) 第一の、延納利子率の引き上げでどの程度の増収を見込んでおるかというお話でございますが、きまった法人税を延納する場合の利子率でございますと、税収の増加は、これでは税金自体としてはないわけでございます。ただ、時期的に年度のズレがございまして、早目に徴収することになるだけでございます。ただ、利子率としましては、利子だけの収入は若干ふえるかと思っておりますが、私どもはこういった措置がほんとうは発動がないほうが好ましいという気持ちを持っておりますので、これは税収の増加ということは見込んでおりません。また、いつ発動するかということも現在のところ予定しておりません。
 第二のほうの、法人税率を一般的に上げ下げする権限を政府に付与しておいて、景気過熱あるいは景気のスランプのときにこれを上下することはどうかということが心配されておるかどうかというお話でございます。もちろん、諸外国の景気調整措置はおっしゃるような非常に強い措置も予定しておるようでございます。まあわが国の現在の経済状態のもとでは必ずしもそういった税率、あるいはアメリカのように普通償却まで制限するというふうに持っていくことは、国の企業の蓄積の状況から、あるいは国際競争力の点から、まずどうであろうかという点が第一。第二は、むずかしい租税法律主義の問題、税率のような基本的なものを政府の裁量権にゆだねること自体なかなか問題があろうというようなことで、おそらく今後の景気情勢いかんによりましょうけれども、現在のところ御提案申し上げていないところでございます。
#61
○国務大臣(水田三喜男君) これは税収の増をねらった措置ではございませんで、国の政策と税制の中に矛盾があってはなりませんので、一方で引き締め政策をとり、設備を押えようというようなことを政府が政策としてやっているときに、税制のほうは特別の償却を許したり、あるいはこの延納を認めるというようなことをやったら、政策上そこに矛盾が出てきますので、税制上も一般の政策に合わせるという意味からの考慮でございまして、税収の増をねらった措置ではございません。
#62
○中尾辰義君 第二の問題の法人税の幅の……。
#63
○国務大臣(水田三喜男君) そこまでのことを考えての筋ではございません。
#64
○中尾辰義君 まあこれは増収をはかったわけじゃない、それはよくわかるのですよ。けれども、いま大体延納しているものが過去のいろんな統計上からどの程度あるのか、そういうことも知りたいために、結果的にはまあ今日この法案を実施した場合にどのくらい出てくるか、それを逆算して聞きたいため聞いたのであって、それわかっておれば……。
#65
○政府委員(塩崎潤君) この数字が端的に延納制度の利用状況と、景気過熱の特例と申しますか、金融引き締めと関係があることを示しておると思います。三十六年、三十七年、三十八年、三十九年、四十年とずっと並べて見ますと、延納の利用割合は、金融引き締めが三十六年に始まりまして、四一・二%。三十七年の終わり、九月ごろ引き締めが終わりまして、四一・六%でございます。三十八年は引き締めが終わりまして、三六%と下がり、三十九年にまた引き締めが始まりまして、三八・七%と上がりました。四十年の不況で、二五・五%と下がりまして、現在四十一年は九・九%と一〇%を割るような延納の利用状況でございます。これはしかし、いま申しましたように、きまった税金の延納するかしないかだけの問題でございまして、税収の増加はございません。これはしかし、いま先生御指摘のように、利子税が上がるから利子税だけでどれだけの増収かということになりますが、付帯税全体としまして、五十億ばかりの収入金額でございますので、微々たるものである。ただ、この引き上げによる心理的な影響が非常に大きく響くのではないか、こういうふうに見ております。
#66
○中尾辰義君 もっと具体的に。
#67
○政府委員(塩崎潤君) これは五〇%が一〇〇となるわけでございますから、半分だけ延納するわけでございますから、その利用率が五〇%なら全部の法人が利用したわけでございますが、三十六年、三十七年は四一・二%、四一・六%まで利用しております。四十一年は九・九%こういう利用率でございますから、言うならば、五〇で割りますと約二〇%が延納を現在は利用しておる、三十六年、三十七年も約九〇%の法人が延納を利用しておる、こういうことになります。
#68
○中尾辰義君 ですから、これは景気調整の一つの手段となるわけですから、その分の割り当てというものがわかっておれば、この法案を実施した場合にどの程度の額になるか、大ざっぱでよろしいが、これを聞かなければ、景気調整機能の強化といってもどの程度の役割りを果たすかわからない。
#69
○政府委員(塩崎潤君) これは最高三銭五厘まで二銭の延納利子率が上がるわけでございますから、三十六年、三十七年のように、四一・二%、四一・六%という延納という割合にならなくて、おそらく私どものねらいといたしましては、もう四十一年の最低の二〇%程度――九・九%と申しますか、そういった程度の延納状況になることを期待しております。まだ、ただし非常に推測でございますので、一応大ざっぱな見通しでございます。
#70
○中尾辰義君 これで終わりますが、この少額貯蓄非課税制度の若干の改定があったわけですが、これで元金百万円までの利子所得、これに対するまあ非課税制度でございますけれども、これが今度一種類一店舗から多種類多店舗でも合計額が百万円までであれば非課税にする、こういうことになったわけでありますが、従来この制度をあまり知らぬ人があるのですね、PRが足りないというのか。ですから、この申告をしない者は税金がかかってくるわけでしょう。申告をした者のみがこれが適用されるわけですね。ですから、いままで百万円以下で申告をした者がどの程度あったのか、それが一つと、それから、今度からあっちこっちの銀行に少しずつ貯金をしておったのが合計百万円までは無税になる。非常にこれはつかみにくいのじゃないか、こういうふうにも考えるわけですが、どうやってこういう点を把握していくのか、その辺の技術的な問題になりますけれども、お答え願います。
#71
○政府委員(塩崎潤君) おっしゃいますように、この少額貯蓄非課税制度はまだ十分徹底していない面があることは御案内のとおりでございます。その一つに、一店舗一種類主義ということ自体が徹底に障害を来たした面もあるかと思うのでございます。この少額貯蓄非課税の制度は、御案内のように、百万円までの貯蓄の残高ならば、これは大衆すべてが持つことが望ましいということからまあスタートしたものだろうと思うわけでございます。ところが、そういうねらいが一店舗一種類――日本人の貯蓄慣行と申しますか、住所地と勤務地とぐらいに二店舗に分けて預金をつくるような習慣から見ますと、少し一種類一店舗ということ自体も私は少額貯蓄のねらいからはずれておるような気がするわけでございます。少し技術が勝ったような気がするわけでございます。
 今回は、その欠陥を直し、さらにまた先生もおっしゃいましたようなPRの点を考えますと、やはり若干の税務上の繁雑さ、あるいは監査のむずかしさもございまするけれども、少額貯蓄の大きなねらいに合わしまして、数種類数店舗、つまり勤務先と住所地と両方に持ちましても、これは少額貯蓄の対象にする。しかし、百万円という限度は依然として押えます。そういった意味では、非課税貯蓄申告書は依然として出していただきまして、それが税務署に送られまして、総合してはたしてこの人はどの程度の非課税貯蓄を持っているかということは依然として税務署に申告書が出る体制はとりたい、とるたてまえで法案はお願いしておるわけでございます。
 なお、少額貯蓄の申告をしておる者がどの程度あるかということでございますが、非常に数が多うございまして、四十一年九月末では三千五百万が預金関係でございまして、その他証券会社、勤務先預金を入れますと、約四千九十万口の少額貯蓄の利用者がございます。非常に多いのは、これは家族も一人と計算いたしております。所得者だけでございませんので、銀行を通じまして出ました非課税貯蓄利用者はいま申し上げました四千九十万口、こういうふうになっております。
#72
○戸田菊雄君 時間があまりありませんので、一応余った点はあしたまたお聞きすることにいたしまして、さらに私が質問を予定しておったものに中尾委員も質問された点がありますので、できるだけ重複しないで質問してまいりたいと思います。
 第一点は、中尾委員もちょっと質問されたようでありますが、ただいま大臣もそういう答えをされておったようでございますが、減税減税と、こう政府は言われるのでありますけれども、国民全体に――全体ということはないのですが、いろいろあると思いますが、それはとても税金が高くて困る、端的に言っているのはこういうことです。大ざっぱにいっても、直接税、間接税、あるいは税外負担金としていろいろな形で、これは出す人は絶えず一人ですから、そういう意味合いにおいて非常に支出というものがかさんでいるようないまの状態なんです。ことに今後の物価上昇などを考えますと、大体十月にいききすと、米価が一四・四%、約一千二百億、さらに政府管掌保険の改悪でもって三百四十億、こういうことになりますと、政府がことし減税だと言われた八百三億は埋没しちゃってくる、すでに。これで一体減税減税ということが言えるか、こういうふうに一つは考える。
 それからまた、いろいろ各種の統計をずっとながめてまいりましても、自然増収の見合いといいますか、減税規模との割合、こういう問題が三十年度以降ずっと拾いあげてみても、四十二年は最低じゃないか、この割合は。さらに四十二年の税収の弾性値を見ましても、これは一・二ということで大体政府は査定をおいておるようでありますが、私は自然増収はもっともっと実際問題としては増収の傾向にあるのじゃないか、そういう見通しにあるのじゃないかと思うのですが、この辺についてひとつ大臣にも見解をお聞かせいただきたい。
#73
○国務大臣(水田三喜男君) 昨年は、御承知のように自然増収というものはあまり期待されない年でございました。したがって、昨年は普通なら減税というものはできない年であったというふうに考えますが、御承知のように、公債発行という踏み切り方をいたしましたために、自然増がないのに大幅な三千億をこす減税を昨年はやりました。その昨年の減税の平年度化の影響が本年当然出てまいるのでございますが、本年がいま言ったように普通の、単純に見たら最低の率のようでございますが、昨年度がそうしますというともう最高の率になりますので、この減税は本年度と昨年度と――公債発行した二年目の年でございますから、初年度と一緒にして考慮しなければこの減税の幅が多かったか少なかったかということは言えないというふうな立場で見ますというと、いつも説明しておりますとおり、過去十年間の平均は十何%、二〇%以内の減税率でございますが、この二年間はそういう意味から一緒に見ますというと三四%といういままでにない大きい減税の幅ということになりますので、これを昨年度、今年度というものを切り離してこの減税がどうなっておるかと見ることは私は妥当でないというふうに考えております。一緒に合わせて見るというと相当の減税であって、まあ過去に比べて少しも少ない減税でないというふうに考えております。
#74
○戸田菊雄君 決して国民はいま大臣が言ったようなことで納得していないということは、今年度、四十二年度は一体どのくらい減税になるのかということが問題であって、いま大臣が言われるように通算をするなんということを言われると、これは私は数字の魔術だと思うのですね。少なくとも四十二年度の自然増収は、さっき中尾委員も言われましたが、七千三百五十三億、そのおもなるものを見ると、所得税で二千二百四十五億、法人税で二千九百億、こういうことです。その減税規模は、一千百三億の中から登録税、印紙税、それから特別措置法による増収、こういうものを差っ引いて、八百三億、そして自然増収と減税の割合というものがわずかに一〇・九%、少なくとも三十九年度の税制長期答申によりますと、これは大体二〇%を目標にして減税対策をとれ、こういうことになっておると思うのです。前に中尾委員がこれも指摘をされたと思うのですけれども、やはりそういう割合の置き方というものについて、この自然増収と減税規模の割合から見た範囲内においては、ことしは何といっても最低である。三十年以降四十一年度までの統計で見ると二〇・六%の平均になっているが、数字的に私が通算計算をしてみても、この一つの角度から見た限りにおいては四十二年度は最低である。これで一体減税減税というようなことがいま大臣がおっしゃられるように言えるかどうかということであります。
 それから、もう一つは、この税収の弾性値の問題でありますが、これは私は少なくとも平均の一・四くらいになっておるわけであります。ことしは少なくとも一・二を原則に置いておるわけでしょう。そういうことになりますというと、私の計算でいきますと、一・四だというと一兆二千七百九十億の自然増収を見積もっているということになる。だから、七千三百五十三億というものはきわめて低く見積もられている、こういうことになるのでありますけれども、この辺の見解はどうでしょう。
#75
○政府委員(塩崎潤君) 数字にわたりますので、私から御説明申し上げますが、四十一年度の弾性値はおっしゃるように一・二四と見ておるわけでございます。四十二年度は一・五三と、過去の平均より高目に見てございます。
#76
○戸田菊雄君 割合は、自然増収と減税。
#77
○政府委員(塩崎潤君) 自然増収の割合は、これは時期によって区別いたしますといろいろな割合が出てまいりますが、先ほど大蔵大臣が御説明申し上げましたのは、二十五年から三十年までの平均が六三・八%。この間は所得税が非常に終戦後のひずみもあって高かったわけで、大臣御説明申し上げましたように、自然増収のほとんどは六割三分、六割四分まで減税に回される。ところが、三十年代に入りますと、御案内のように歳出に対する増加の要請が強くなりまして、自然増収は相当部分が歳出のほうに向けられる。したがいまして、三十年――四十年の平均は一六・一%でございました。いま戸田先生がおっしゃいましたのは、おそらくずっと長らく平均したわけでございましょうが、これは三十二年から四十一年を平均いたしますと二六・三%。これは時期の区切り方でいろいろな数字が出てまいりますが、一般的におしなべまして三十二年から四十一年が時期の区切り方で出てまいります。四十一年の減税割合は御案内のように一七五・六%、当初予算における自然増収見積もりは千百九十億円しかないにかかわらず、二千九十億円の減税をした。そのために四十一年度の減税割合は過去にない一七五・六%という割合でございますので、三十二年から四十一年を通算いたしますと二六%、こんなふうに数字が出てまいりますが、一般的に財政の趨勢からまいりますと、二十年代、三十年代、それから四十年代というふうに区別してまいりますと、先ほど大臣が申し上げたような数字になるのでございます。
#78
○戸田菊雄君 所得税関係について若干お伺いをしたいと思うんですが、サラリーマンの場合、給与所得控除は認められたようになりますが、私は、普通全体の標準から見て、非常に水準が低いのじゃないか、こういうふうに考えるのです。もちろんこの四十二年度の改正案で定額控除は四万円引き上げられておりますけれども、たとえばさっきもちょっと問題になりました作家の場合ですと、五〇%控除、こういうことになっております。全体の平均が少なくとも三〇%。ところが、サラリーマンの場合はそれをはるかに下回っておるのが現状です。この辺についての控除額の引き上げということについてどういうふうに考えておりますか。
#79
○政府委員(塩崎潤君) 給与所得控除についてはいろいろの御批判があり、全体としての御意見は、これをできるだけ高めるべきであると。これは先生御指摘のように、特に独身者につきましてこれはもう少し上げたらどうかという御意見は、私は一般の世論のように聞こえます。中尾先生も、未成年者はどうかというような御提案がありましたけれども、そういった形での給与所得控除の引き上げ、これは将来考えていかなければならぬ問題だと思います。
 ただ、問題は、給与所得控除はあくまで給与所得控除でございますので、これは作家の必要経費と違った面がございます。作家の必要経費は多分に取材費という、収入を得るに直接結び付きました費用があるために、いま申しましたような経費率で算定されておるわけでございますが、私どもがどう計算いたしましても、これは概括的でございますけれども、なかなか給与の収入から控除いたします給与所得控除といたしましては、単純な費用計算ではそんな大きい金額にはならない。問題は、先ほども申し上げましたように、一代限りの所得であるということ、つまり事業所得者、資産所得者はいま貯蓄しなくてもすでにでき上がった貯蓄で所得を得ているのであるけれども、サラリーマンは自分の体で働いておる。体がなくなれば所得が消滅する。そういった意味で、いまから貯蓄をしなければならない。まあ一種の支払い能力を加味いたしました給与所得控除がこの中に入っておる。まあ言うならば、社会保険のほかにみずから所得のうちから、所得が絶えることに対していまから準備金を引き当て、それを所得から控除するというような性格を持っておりますので、この控除の性格をどういうふうに考えるか、ここらあたりが非常にむずかしい問題でございます。おっしゃいますような給与所得控除に対しまする一般の常識にこたえまして、財政事情の許す限りだんだんと引き上げていくべきではないか、こういうふうに見ております。
#80
○戸田菊雄君 引き上げるべきだという回答はいただいたのですけれども、一体どのくらい引き上げるべきだと思いますか、どうですか。
#81
○政府委員(塩崎潤君) 税制調査会の長期答申では、もう現在二割が基準でございますが、八十万こしますと一〇%という限度が置いてありますが、もう一方で二〇%にしたらどうかと。さらにまた、現在二十二万円で頭打ちしておりますが、これを三十万円ぐらいになるようなことにしたらどうかと。最高三十万円ぐらいまでになるように控除したらどうかという提案を、現在私ども勧告として受け取っております。なお、定額控除につきましては十万円という勧告が出てございます。
#82
○戸田菊雄君 大臣、どうですか。
#83
○国務大臣(水田三喜男君) 私も、いま主税局長が言いましたように、給与所得控除はもう少し上げるという方向で努力するつもりでございます。
#84
○戸田菊雄君 ぜひこの点は、いまの考えのように私は実現をしていただきたいと思う。いま主税局長から具体的に割合を示されたのですが、二〇%というものでは、若干私はこれからの推移からすると低いのじゃないか、せめて三〇%ぐらいまで引き上げることができないか、その辺を中心にして検討していただきたい。あらためて回答は求めません。
 次に、所得税の関係でもう一つ問題があるわけですが、給与所得控除の引き上げに便乗して、所得税の最低税率の問題ですね、これが昨年に引き続き、ことしも〇・五%の引き上げが行なわれたのでありますけれども、九%になっていると思いますが、これではボーダーライン層といわれる、俗称低い所得者がそのとおり一体、何といいますか、適用されておるかどうか。どっちかというと、高額所得者にほとんど最低税率のそういう引き上げ率というものは持っていかれる、こういうふうに私は考えるのですけれども、その辺はどうですか。
#85
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、昨年は八%から八・五%に引き上げました。さらにまた、今年度は八・五%から九%に引き上げ方をお願いしておるわけであります。最低税率は何かという問題でございますが、これはもう御案内のように、課税最低限と密接な関係がございまして、課税最低限が低い間は最低税率が低いと。しかし、課税最低限がだんだん上がってまいりますと、最低税率はそれに見合って引き上げるほうが適当である。さらにまた、申告あるいは徴税上の費用等を考慮いたしますと、そのほうが適当であるというのが定説でございまして、外国はいずれもわが国の最低税率より高目でございます。
 そこで、先生の御指摘のように、低額所得者だけに適用になるので、高額所得者には引き上げの適用にならずに、引き上げも影響ないのではないかというお話でございますが、これは課税所得はだんだんと、最低税率の八・五%から七五%はすべての所得者に適用されるわけでございますので、どんな金持ちの方でも一番最初のブラッケットは、所得刻みは八・五%の適用を受けまして、今度はそれが九%でございますので、どんな高額所得者も税率の引き上げの影響は受けるわけでございます。
#86
○戸田菊雄君 私の計算でいきますと、結局、課税最低限におられる納税者の控除をたとえば一万円引き上げた場合、減税はわずか八百五十円です。ところが、一方、年収千万円、この人に同じような適用をした場合には五千円の減税である。その差約八倍、こういう状況ですね。それからまた、独身者で年収三十万、こういう人は二千六百四円見当、百五十万円の場合は九千七十五円という減税になる。少なくともそういう計算でいきますと、いまの最低税率の適用によってはほとんどが高所得、中高所得ですね、この人たちは七〇%以上持っていかれるという格好です。これがいまの実態だと思うので、これはやはりこの最低税率の引き方に私は問題がある。だから、そういう問題について減税効果のアンバランスといいますか、そういうものを是正する意味合いで漸減段階方式というものはとれないのか、最低税率について。そういう点についてお伺いしたいと思います。
#87
○政府委員(塩崎潤君) いま御指摘のように、課税最低限を引き上げますと、低額所得者と高額所得者では減税額の絶対額におきましては高額所得者のほうが大きいことはもう御指摘のとおりでございます。これはしかし、現在の累進税率のもとで高額所得者が多目の税金を納めたということの結果でございます。したがいまして、十万円の課税最低限の引き上げがございますれば、一番最高の方は七万五千円軽減になります。しかし、一番最低の方は十万円に対して八・五%でございますから八千五百円ということになることは御指摘のとおりでございますが、したがいまして、そのこと自体、最低税率の問題とは関係なく、課税最低限を単純に引き上げますと、上のほうの所得者のほうが減税額の大きいことは言うまでもございません。そういった意味では、衆議院では課税最低限の引き上げを高額所得者に影響を及ぼさないように、少なくともだんだんと減税の恩典が上にいけば消えるようなやり方はないだろうかというふうなお話がございました。そんなようなことも研究してみたわけでございますが、なかなか技術的にやっかいであるということが第一の理由でございます。
 第二には、基本的にはやはり累進税率は高額所得者に適用になるわけでございます。したがいまして、一万円所得がふえましても、そのかわり、一方七千五百円の税金が直ちに徴収されるような仕組みが現在の累進税率でございます。そういうことを考えますと、どうも累進税率の構造から見まして、課税最低限を引き上げますと上積みの所得から落ちてくることはしかたがないことではないか、これも累進税率に当然伴う仕組みではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 なお、最低税率は、おっしゃいましたように、それを相殺する要素を持つわけでございますが、これはひとつ私どもが御提案を申し上げておりますところの資料の中の高額所得者と低額所得者の減税割合で見ていただきますと、高額所得者のほうが減税割合が多いことはもう御案内のとおりでございます。たとえば、資料では夫婦・子三人の千万円の所得者の減税割合は平年分で一・三%でございますが、夫婦・子三人の百万円の給与所得者の減税割合は平年分で三三・三%、この減税割合でひとつ比較していただきまして、減税のしかたがいいかどうか、ここで御判断を願うのが――所得税の構造上こうならざるを得ないのではないだろうか、こう思いまして御判断を仰ぎたいと思うのでございます。
#88
○戸田菊雄君 その最低税率の構造上どうも技術的にむずかしいという見方ですがね、しかし、一面においては租税特別措置法ということでそういう税体系というものを破壊するぐらいなことをやってきておるのですね。いまこの所得税の税率の問題については技術的にむずかしいというのは、私は逃げ口上じゃないかと思うのです。やはりほんとうにやる気なら、もっと私はやる方法があるのじゃないか。一つの方法としては、私が申し上げたように段階控除方式とか、そういうものがしいてできないのかどうか。そういうことでほんとうに低くて全く生活に食い込んで税金が取られるというのがいまの実態です。そして子供を一人でも持っていれば、これは学校にでもやろうものなら、あれでしょう、小学校一つ建てるのでも国では三分の一交付、こういうことになっているけれども、それは実際この交付基準単価というものは低く見積もられている。そうして結局PTA、税外負担というのができている。講堂をつくるにしても同じです。また、消防協会に協力費を出さなければならぬということで、全くいま取られることしかないのですよ、国民は。そのくらい苦しいところに追い込まれて、なおかつ所得税が源泉徴収ですからね。そういう中でこういう税率を適用されてひどい目にあっているというのがいまの実態です。だから、こういう点に対していま最低税率の引き方について私はあると思う。だから、もう少し熱意を持って政府はこれらの問題について対拠すべきではないかと考えるのですが、大臣、どうですか。
#89
○国務大臣(水田三喜男君) それがうまくいけばそれに増したことはないと思いますが、実際においては複雑になり、私は非常にむずかしいのじゃないかと思います。
#90
○戸田菊雄君 租税特別措置法関係についてはあした質問したいと思いますが、間接税についてどうしても私は触れておかなければいけないと思うのです。ことにこの生活必需品の間接税は、総額の私は六割を占めておると思うのですね。こういったこの間接税の大幅減税という考えがないかどうか。具体的には、私の記憶では四十一年だと思いますが、六十品目くらいの物品税の減税、あるいは免税、こういうものをやったと思う。私はその品物をずっと拾ってみたのですが、全く国民の生活物資と関係のないものばかり免税もしくは減税措置をとっているのです。たとえば、例としてあげてみますと、ゴルフ用バッグでしょう、それから銃、薬きょう、それから大型テレビ、真珠、それから貴金属、小型自動車、こういったぐあいです。もっと私は物品税をほんとうの意味で下げていく、あるいは免税措置をとっていく、こういうことであれば、国民の生活必需品と関係のあるそういうものをやはり本格的に検討する段階である、ことに砂糖税なんというものは消費税と間接税と二重にかかっている。だから、これをかりに私はひとつ免税措置にするということであれば、それに付随する物価下降というものはおおむね一〇%くらい下がると思う。ことにいま子供さんがほしいと言われるキャラメルとか、そういうあめというものは軒並みに下がってくる。そういうものをほんとうにやるならば、大衆減税、軽減という形に私は検討するのが本来の筋道じゃないか。ゴルフなんかに行くのは、それは大衆ゲームだという人があるかもしれませんけれども、いま働いて税金を納める者の何割がそういうものを持ってやっておりますか。割合からいったら、全く私は微々たるものだ。そういうものをなぜ一体優先化して免税もしくは減税措置に織り込んでいかなくちゃいけないのか。至るところに、税金の態様、そういういろいろな適用措置を考えていくと、すべてはお金持ちや大資本や独占のみに、またそれに係累する高額中小所得者、こういうものにだけ至れり尽くせりの保護政策がとられている。それでは全く、汗水たらして病気を押しのけて働かなければめしが食えないといった、そういういわば大衆の働く人たちに冷酷な仕打ちじゃないか。この例を一つとっても私はそうだ。いまの税制体系というのはすべてがそうなんだ。こういう問題について、大臣はほんとうにそういう問題について大衆軽減というならば、こういう問題についてどういう考え方であるか、明確なお答えを願いたい。
#91
○政府委員(塩崎潤君) 昨年の物品税の改正の問題もいま御指摘になりましたので、私からちょっと大臣の前にお答え申し上げます。
 戸田先生の御指摘のように、間接税の課税物品といたしましては、もうでき得る限り生活必需品が排除さるべきことは私どもは言うまでもありませんし、減税の機会がありますれば、そういった面は常に反省いたしまして検討すべきことは言うをまたないところでございます。昨年度の改正もそういった方向で考えたわけでございますが、現在のところ、全体といたしまして、国税の面におきましては、生活必需品的なものが特に間接税の重い負担をしておるというふうに見受けられないのでございます。物品税はもうほとんどそういった面からの改正が加えられておりますし、昨年度の改正も、物品税については大幅でございましたけれども、主としてねらいは国際競争、それからもう一つは、これは非常に大事な問題でございますが、間接税は間接税としての性格を当然税務執行の面においても帯びなければならない。
 ところが、中小企業者の製造する物品は往々にいたしまして消費者の負担にならないということがよくいわれます。つまり、中小企業者の事業所得のうちから負担される傾向が、非常に競争の激しい現在の事業者の中にまで出てまいります。そういった意味で、中小企業者のつくる物品はでき得る限り、それはたとえぜいたくなものであっても、別な角度からこれは間接税の負担を廃止したほうが公平な負担になる、こういう考え方がございまして、いつも国会では、物品税の議論になりますと、中小企業製品についての減税の御要望がございます。御指摘のようにゴルフバッグなどもそのあらわれでございまして、非常に中小企業のつくるもので、しかも脱税が多いようなもの、あるいは転嫁関係が非常に不明確なもの、こういったものを排除しろということで、昨年の改正では取り上げられたのでございます。
 さらに、もう一つ御指摘の点がございましたが、私どもも考えなければならないし、これはまた別途の方策もあるかもしれませんけれども、間接税は種々の目的がございます。しかしながら、でき得る限り任意なる消費、自由なる消費、あるいは嗜好的な消費を考うべきだと思うのでございます。
 砂糖消費税は、大部分業務用に向けられて、英子の原料でございますが、そういった意味では必需品の要素もございますけれども、嗜好品の要素も一つございます。それからまた、もう一つ、国内甘味資源の育成、砂糖は御案内のように、わが国では北海道の一部を除きまして原料ができないわけでございますから、そういったわが国の置かれました環境において、国内の甘味資源育成の見地から税金を徴収し、その間ブドウ糖その他の甘味資源の自給が成り立つようにしようというねらいがございます。特に砂糖に対する関税、あるいは消費税のねらいがございまして、非常に問題がむずかしくなるわけでございます。さらにまた、揮発油税にいたしましても、確かにタクシー、あるいは軽油のようにバスの料金がございますが、一方、道路事情の要請から申しますと、これもある程度負担願わなければならない。
 こういうように、簡単に大衆負担だからというような理由だけで間接税を引き下げるというのは、なかなかむずかしい。ことに所得税の減税が非常に叫ばれております今日だけに、財政事情を考えますと、いろいろな要素を総合して間接税の負担についても考えなければならない、こういうふうに私どもは見ておる次第でございます。
#92
○戸田菊雄君 過日の須藤委員の質問に対して、大臣は、今後直税と間税の徴収割合というものを、間接税は引き上げていく、こういうことをお答えになったですね。そうなりますと、これは高額――高中小所得者とその失格者といいますか、こういう割合において、間接税においても私は消費の割合というものはほぼ一致していると思う。たとえば、まさか給料を多く取るから、たばこ――それは人によって例外はありますけれども、やはり消費の割合というものは変わらない、こういうことになると思います。そういうことになりますと、勢い間接税の引き上げが増大すればするほど、そういうみじめな失格者と見られる人たちが間接税の割合を多く負担しなければならない、こういうことになると思います。
 その一例でありますけれども、失格者のたばこの負担率はどのくらいあるかというと、四八%、九百六十一億。これは三十五年のときです。それから砂糖は四四%、百一億、それから入場税は四三%、酒税は三三%、電気ガス税が三六%、こういうぐあいにほとんど間接税の負担割合は五〇%近いものを失格者が負担をしなければならない、こういう状態になっていると思う。こういう問題について、大臣はもう少し間接税の負担割合というものを、失格者に対して具体的に軽減措置をとる意思があるのかどうか、これをお伺いしたい。
#93
○国務大臣(水田三喜男君) 間接税は、たとえば従量税、従価税のようなものは、これは毎年変えられるというものではございませんので、一定期間はたいてい据え置かれるのが普通でございますが、その間物価の変動とかいろいろなことで、捨てておくと、間接税の割合というものは直接税に対して割合が非常に低くなるということになりますので、ときどきこれを見直して、そして税の調整をやる必要がある、そういう意味でこの間接税と直接税の割合をあまりバランスを失しないようにしようという努力が必要だということをこの前は申しましたし、それともう一つは、将来の税制のあり方として即大衆課税にならぬ形の間接税というものを考える必要があるだろうというようなことを申したわけでございますが、間接税というのは即大衆課税ということでなくて、いろいろ考えられる方法はございますし、現にいままで何回もの税制改革のときに国民の必需品にはなるたけ間接税をかけないというような努力を何回も続けてきましたので、いま大体そういう方向になっておると思います。
 したがって、今後も間接税について、特に直接税についての減税要望というものは非常に多いときでございますから、この要望に応ずるためには合理的な間接税の引き上げと申しますか、比率を落とさないような税制上の考慮というものがやはり私はこれから必要であるというふうに考えております。ただし、国民の生活必需品にかけるというような方向を避けることは必要でございますが、そうかといって、年々直接税に対して間接税の比率を落としていくというべきものではないというふうに考えます。
#94
○戸田菊雄君 大臣の答弁を聞いていると、非常によくなるような錯覚を起こすのです。しかし、実態をいろいろ検討した改正措置というものは逆に悪い方向に行っているのです、毎年毎年。ことに四十一年度と四十二年度の比較をしますと、四十二年度はもっと悪い。負担割合が悪化しておる、こういうことになっております。そういうことから、ぜひひとつこの失格者に対する各種物品税等の負担割合というものを何とか軽減するように、間接税全般についてもそうでありますけれども、そういう意味合いにおいて私は十分ひとつ検討していただきたいというぐあいに考えるわけです。
 ことに、そういう中で私は一つだけ最後に問題にしておきたいのは、電気ガス税で、これはかつて私は本会議においても質問したのでありまするが、明確な回答は得られませんでした。あらためて委員会でひとつ質問をしておきたいと思う。これは佐藤総理自身も全くの悪税だと言っております。でき得れば廃止をしたい、こう言っている。その考えについてどうですか、大臣。
#95
○国務大臣(水田三喜男君) 池田内閣のときから電気ガス税は悪税だということで、その解消に努力はしてきてまいっておりますが、一挙にこれが廃止できないということは、御承知のように、いま地方税収の中で六百億をこすこれは税源になっておりますために、一挙に解決できない。そういうことで年々順を追ってこの解消をはかりたいという方針でいまおりますが、やはり問題はかわり財源をどこに求めるか、この問題の検討によってこの解決がはかれるだろうというふうに考えますが、地方の自主財源というものになかなか合理的な財源がないときでございますので、それでこれが廃止できないでいるという事情にございますが、私はやはり順を追ってこれを廃止する方向に努力したいというふうには考えております。
#96
○戸田菊雄君 そういった大臣の答弁は、私は国民の中には通用しないと思うのですね。たとえば、われわれの考えでありますけれども、こういう面でいまかりに大臣がやる気なら、私はできると思う。たしか六百億でしょう、この電気ガス税を廃止すれば減収見積もりは。このくらいの金は私はできると思う。さっき質問しました自然増収の見積もりからいって、大臣がその内容についていろいろ言われましたけれども、統計とってみると四千四百億、約五千億ぐらいですよ、社会保障費、石炭対策費見ましても。だから、今日のように景気上昇期の中でもっと自然増収上がるはずじゃないかということになれば、かりに一兆円近い自然増収があったとすれば、その中でもできるじゃないですか、やる気なら。あるいは租税特別措置法の一端の手直しをして、不当な利子配当課税というものを若干引き上げれば、そういう問題からも出てくるんじゃないですか。あるいは日韓会談見ても、かりに貸し付け金をもう少し時期的に待ってくれといえば、そこからも財源ができるじゃないですか。やる気なら私はいろいろな方法が幾らでもあると思う。こういう問題について、もう大臣のいま言われた答弁の内容では国民は了承しない。こういう点についてどうですか。
#97
○国務大臣(水田三喜男君) 地方財政は最近、いままでと違ってよくなってきまして、増収もことしは非常に多い。そういうときでございますから、そういう増収の中でこれを処理できるということでしたら、これは廃止することができるかもしれませんが、地方財政の収入が多くなるに従って、地方の財政需要というものも多くなってきて、そのために、この電気ガス税について中央の政府がいろいろな案を出しても、ほとんど地方公共団体はあげて反対というような情勢から見ましても、これを解決するためにはやはり必要な財政需要を満たす財源を他にどうするかということが解決しないと実際において廃止できないのじゃないかと思います。国の事情じゃなくて、地方が全部この電気ガス税を一気にとることに反対というのがいまの実情でございますので、そこで折り合いをつけて徐々に解消するという策をとっておるのでございますが、一気にやろうとするには、やはり財源の問題ということが一つ、それから、地方財政がもう決心して五、六百億の費用を全部節約するというぐらいの英断を示してくれるんなら、この問題解決できるかもしれませんけれども、なかなかそういう情勢ではないということから、やはりこれは一度じゃなくて、何年かの間に解消するという、計画的に処理するよりほか私は方法がないんじゃないかと思います。
#98
○戸田菊雄君 計画的に解消するというお話なんですけれども、具体的にはどういう構想を持っておられますか。
#99
○政府委員(塩崎潤君) 過去何年間かに電気ガス税につきましては一%ずつ税率を下げて、現在まで至っております。なお、今年度には御案内のようにガスにつきまして電気と違った免税点を設けまして、大衆負担をできるだけ下げるような方向でいま努力しておる最中でございます。
#100
○戸田菊雄君 私はもっと真剣に考えていただきたいと思いますね。いまのこの電気ガス税の負担の割合は一体どういうふうになっているかというと、少なくとも私が調べたところでは、一般家庭や中小工場、こういったところでは一律に使用料金の七%がかかっているのですね。ところが、大資本や大工場使用のものについては一キロワット当たりたった三円しかかかっていないですよ。一般家庭は十二円、大資本や大工場は四分の一しか税率がかかっていない。こういういわば税負担行為においてもきわめて不公平な、そうして今度さらに電気ガス税の非課税品目というものを最近どんどんふやしてきておる。たとえばどういうのかというと、石炭、鉄鋼、石油、セメント、塩化ビニール、あるいはウランとか、あるいはチタン、こういうようにいわば大工場でつくるような製品品目につきまして、この電気ガス税の非課税課目としてどんどんそれが最近増大をする傾向にある。そして一般家庭や中小工場で使う場合においては依然として高い税率というものをかけておる。こういう問題について大臣は一体矛盾を感じておりませんか、どうですか。
#101
○政府委員(塩崎潤君) 税の仕組みの御質問でございますから、私から若干説明さしていただきます。
 消費税のみならずすべての税につきまして、産業のコストというようなものの税負担というものは、極力下げるべきだというのが、税の哲学かどうかわかりませんが、そういう考え方が非常に強いわけでございます。したがいまして、消費税という以上、やはり個人の消費、ここをねらって課税すべきである。個人家計はやはり企業から所得を得るわけでございますが、企業はやはり国際的な競争をしておる、さらにまた輸出の面におきまして激しい競争をしておるときに、わが国だけが電気ガス税をかけましてコスト高になりますと、国際競争もできなくなる。こういったことが私は電気ガス税を工業用につきまして課税していない昔からの基本的な考え方でございます。消費のほうは、多分に弾力的な面もございますし、免税点制度、これはいまでは低いような感じもございます。これをうまく運用することによって消費税の性格に適合させる。こういう意味で、私どもは電気ガス税が工業用が免税され、家庭用が課税されることもあながち消費税の理論からいいまして説明できないものでもない、こういうふうに思っております。そういった意味で、私どもは地方税にもいろいろございますけれども、種々の工業用免税、これは一定の電気ガス税の使用料というところに基準を一応設けておりますけれども、さらにまたそのことと免税点の――個人につきましては免税点でございます、それとの対比において電気ガス税の当否の判断をすべきではないか、こういうふうに見ております。
#102
○戸田菊雄君 どうも私は詭弁を弄されておるようでたまらないのですがね。たとえば根本的に考えると、今年度の国家予算は約五兆円、このうち一体国民の納める税金はどのくらいあるかというと三兆八千億円、その少なくとも八八%は大衆課税と、われわれ俗称こう言うのですが、そういう人たちが納めた税金ですよ。ところが、そういう国家予算を使っていく場合には、少なくとも一億円以上くらいの資本金をもっていろいろな事業をやっているそういう人たちは、逆に七四%になっている。これはあした租税特別措置法でやりますけれども、使うときには逆なんです、取るときはそういう人から多く取っている。逆に国政の立場でいけば、私はそういう税金は正しく国民に非課税として奉仕するのが、還元するのがあたりまえ。税金の場合もそうです。そういう角度からいけば、いまの政府のやり方というものは全くさか立ちをしているんじゃないかというように私は思う。少なくとも電気ガス税においても、これは三十一年から三十七年までの――三十七年、四百九十二億という数字になっておるのですが、これは倍になってくる。そのように中小工場やなんかからは、電気ガス税一つとらえてみても、取り過ぎです。まして大資本や大工場については、非課税品目というようなものをいろいろきめて免税措置ないし減税措置をやっておる。もう一つの税を追っていってもそういうことなんです。こういうことでは国民はいつまでも黙っていないと思う。そういうものに対してやはり国政の立場から考える場合、もう少し善意ある、良識ある判断のもとにあらゆる税全般の問題について考えていくべき時期じゃないか、こういうふうに考えるのですが、大臣、どうですか。
#103
○国務大臣(水田三喜男君) やはり税は全体のバランスででき上がっていることと、一応の政策的な意味をことごとくが持っている問題でございますので、かりにこの電気ガス税というものを漸進的に解消するのだといっても、現在ある以上は、やはりいま言ったようないろんな政策上の問題もございますし、こういう形でやるよりほかしかたがない。それがいけないというんでしたら、当初の私の予定どおりこの税は廃止したいと思っておりますので、早く廃止すればこういう矛盾がなくなるということになろうと思いますが、置く以上はやはりそういう考慮をせざるを得ないというふうに私は考えております。
#104
○戸田菊雄君 率直に聞きまして、大臣の意向としては廃止をしたいという意向ですか、その点。
#105
○国務大臣(水田三喜男君) これはもう歴代内閣が、いい悪いにかかわらずこれは廃止の方向に持っていくといってもうお約束してある税金でございますから、私どももその方針に沿って廃止の方向へ持っていきたいと考えております。ところが、現実は、さっき話しましたようなことで、予算折衝においても、毎年これは私どものほうでは、もう少しというかりに意見が出ても、地方の現在の公共団体はことごとくが反対という形で、いつでもこの問題をきりをつけようというときには、政府部内も、やはり地方団体を持っているほうの意向としては踏み切りはなかなかつけないというようなことから、漸進的な解消策ということで折り合いをつけているというのが実情でございまして、なかなか税問題としても一挙に解決できないというのが実情でございます。
#106
○戸田菊雄君 最後ですが、国税庁長官に一点だけ、これは時間もありませんから簡単に聞きますが、税徴収ないし徴税の態度についてでありますが、いま税務署へ行きますと、中堅クラス、いわば課長とか係長とかでやめる人が非常に多い、こういうことが私が聞いていることなんですが、それはどういうことかといいますと、一つは職場環境というのが希望がないという。言ってみれば、徴税作業の密度が非常に強化される、賃金はそれほど上がらない、そういうことで暮らしはひどい、あるいは上の締めつけは非常に多い。さらに徴税でもっていろいろ各所に行けば、争いになる。これは当然そういうことで非常に希望を失っている、こういうことなんです。そういう問題について国税庁長官としてどう考えるか。
 それから、もう一つは、最近税務署に行くと、増差額を取ってきたかということが合いことばになっている。そういう問題について、それほど徴税強化態様というものは税務署の中に押しつけられておるのかどうか、この点をひとつ国税庁長官にお伺いしたい。
#107
○政府委員(泉美之松君) おことばではございますが、現在税務職員の退職率全体として見ますと、これは他の一般の行政職の職員の退職率と比べて、むしろ少ない程度でございます。問題は、戸田委員もよく御承知のように、民間でございますと、最初に就職してから一年目、三年目、五年目という程度で、五年目ぐらいまでに退職するのが非常に多いのであります。ところが、税務職員の場合には、もちろん五年目までに退職する者も若干おりますけれども、その率は少ないのであります。
 いま私どもが問題といたしておりますのは、大体三十歳から四十五歳までの職員、これは先ほど課長クラスまたは係長クラスというようなお話がございましたが、四十五歳ぐらいになりますともちろん係長あるいは人によって課長になりますけれども、むしろ係長になる手前の人がかなりやめている。これは確かに問題になるのでありますが、これはどういうわけでその辺がやめるかと申しますと、いま仕事が非常に忙しくていろいろ締めつけがあるというようなお話がございましたが、これはそうではなくて、御承知のとおり、税務職員は、直接税の事務を担当いたしておりますと、十年たつと税理士の試験において税法が無試験になるわけです。したがって、簿記、会計についての試験を受ければ、税理士の資格が取得できる。そうしてまた、現状におきましては、税理士の収入が税務職員としての収入より相当多いということからいたしまして、そういう十年から十五、六年たった人が、税理士の試験を受けまして税理士に転向していく、そこに問題があるわけであります。私どもといたしましては、したがって、そういった状況を十分考慮して、職員の処遇の改善等について努力いたしてまいりたいと思っております。
 いま一つは、これも戸田委員御承知と思いますが、国税庁の職員の場合、戦後、それまで市町村に委託しておりました租税の徴収事務が、地方自治ということからいたしまして、国のほうでやらなくてはならぬということになりまして、あわせて申告納税制度になりまして、戦後二十二年から二十四年、五年ごろにかけまして、急激に職員が増加いたしたのであります。それらの職員が、ちょうどいま係長になりつつあり、また係長の一歩手前で、非常に多数の職員がそこにいるわけであります。ところが、そういった職員は、係長の数に比べて非常に多いわけでありまして、そこに将来、課長、係長になる見込みがないといったような点で、希望を失うという向きもあるやに聞いております。そこで、私どもとしましては、本来税務職員というのは、そういう係長、課長制だけでなしに、一人一人の職員が、賦課徴収について専門的な知識を要求され、また専門的な仕事をする立場にありますので、したがって、専門職として、つまり調査官なりあるいは徴収官という専門職の面で給与がそのまま上がっていく、課長、係長にならなくても、専門職という形で給与が上がっていく、こういう形に持っていけば、そうした職員のいまの不満を解消することができはしないか、こういうようなことで、いろいろ対策をとっているところでございます。
 それから第二の、まあ、いま税の職場におきまして、増差額を取ってきたかというようなことが合いことばになっているというようなおことばがありましたが、私どもは決してそのようなことで税務行政は行なっておりません。もちろん、税の調査に行きます場合におきましては、調査した結果、不正発見ができて、増差税額が出ることがあれば、それに越したことはありませんけれども、それをねらいに税務行政をやっているわけではございませんで、むしろ国民の間の税負担のアンバランスがないように、脱税をしている人からは納めてもらうし、適正に納めておられる方はそのままでいいし、むしろいろいろ手続等を知らないためによけいに納めている人がいるならば、そうした人にはむしろちゃんと手続を教えて、それだけよけいな税を納めないようにするということが望ましいわけでありまして、単純に増差税額を出すということを目途に仕事をやっているわけではございません。
#108
○委員長(竹中恒夫君) これにて休憩いたします。
   午後一時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五十八分開会
#109
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#110
○田中寿美子君 国税庁長官がお急ぎのようでございますが、特に職員との団体交渉のためだそうでございますから、協力申し上げたいと思いますので、先に国税庁長官への質問からさしていただきます。
 前回にも私は、零細な事業者、企業家に対しての税の徴収のしかたというものが非常に冷酷なものがあるということについて幾つか事例をあげましたけれども、ちょうど大臣がおいでになりませんでした。それで、きょう少しダブるかもしれませんけれども、もう一度お尋ねしたいと思います。
 けさほども戸田委員から税務職員の立場の上での御発言がありました。私も第一線の税務職員が非常に苦労しているということはよくわかるのですが、しかし、零細な企業にとりましては非常におそろしい存在になっている。その徴税のしかたについて、非常に実情に即さないことが多い。何となく納税者を悪者扱いにするといいますか、疑わしきは課税せよというような法則があるんじゃないかというように感じられる場合が非常に多い。で、特に実情に即さないで損金否認される場合が多い。その事例をたくさんこの間あげましたが、そのうちの一つをもう一度、国税庁長官おいでになりませんでしたので、あげてお尋ねしたいんですが、ここにAという会社がありまして、それが破産をします。それで負債をしょいましたけれども、五、六十人の従業員がおりますので、その生活もありますので、新しい会社Bをつくって、全員を残したわけです。債権債務を負わないで発足した。しかし、裏のほうでその債権者に対して、表向きは債権債務を負わないけれども、支払っておったわけなんです。で、借り入れ金も、借り入れ金というふうに帳簿にはつけておらなくて、まあ交際費をたとえば三千円のところを五千円にするとか、それから家賃を水増しするとか、あるいは売り上げ高を落としたりして、何年かかかって三分の一まで返したわけです。非常に零細な額で、千八百万円の債権を支払った。そこで税務署員に見つかったわけなんですが、それで売り上げ計上漏れというので、これは架空の経費だということで、非常にきびしく追及されて、重加算利息までついて、一千万円の支払いの命令を受けたんですね。そうしますと、ほんとうにようやく立ち上がりかけた新しい会社も、またつぶれなければならないような状況になった。で、まあAの負債を支払いながらBをも生かしていこうというその苦肉の策だった零細企業に対して、非常に実情をくんでくれない。このような零細企業をもう再び倒産させてしまう結果になるわけですね。こういうことに対して、もっと実情に即した徴税の方法はないか、救済の方法はないかということなんですけれども、国税庁長官はどうお思いになりますか。
#111
○政府委員(泉美之松君) きわめて具体的な事例のようにお聞きいたしたのでありますが、まあ本来からいいますと、Aの会社が破産によって解散をしたことによって、債権債務はBの会社には引き継がれないというのは、これはもう会社法のたてまえからいいまして当然のことだと思います。したがって、B会社を設立してA会社の旧債務の支払いのためにまあ架空の経理をするということになりますと、それはまあ確かにB会社の売り上げ計上漏れなり、あるいは架空経費の計上ということで否認されて、B会社に対して課税を行なう、しかもこれは仮装隠蔽の行為でありますから、重加算税を適用するということになるのは、私はやむを得ないと思うのであります。
 ただ、お話のように、世間では、A会社が破産して、もう破産しっぱなしということでなかなか処理できない。まあA会社の代表者もB会社の代表者も同一人であるというような場合、B会社を設立してA会社の旧債務の返還を多少でもしたいと、こういうのが人情であろうとは確かに思いますけれども、しかし、本来A会社の債務を負担しないB会社において、そういう架空経理までやって払っていくということは、法律上の問題といたしまして当然認めらるべきことでありませんので、実情はわかりますけれども、B会社において課税をせざるを得ないということもまた法律上当然のことであります。まあそれを税務職員の裁量によってそういうことのないようにしろとおっしゃっても、なかなかそうはまいりかねると思います。むしろ、このA会社が破産した状態がどういう状態であったか存じませんけれども、この際におきまして、その代表社員の責任ということで個人の責任にすべきであって、B会社たる法人の責任ということにすべきではない。むしろB会社の代表者とA会社の代表者が同一であれば、その代表者の個人的な責任として、B会社からその代表者が正当なる報酬を受けて、その正当なる報酬のうちからまあ少しずつでも旧債を返済していくと、こういうような手段をとらるべきであって、B会社の経理で売り上げ計上漏れなり架空経費を計上することによってそこから払っていこう、これが間違いのもとだと思うのであります。やはりそこは、したがって、実情はわかりますけれども、そういうおっしゃったような形でなしに、もっとほかの方法でやらるべきではないか、このように考えます。
#112
○田中寿美子君 おっしゃるとおり、法律上はそうだと思うのです。ですけれども、まあ税務行政によってそういうときの指導、つまり、零細企業の人々はいろいろ知識がないことが多いのです。ですから、今度の改正法案でも公正妥当な会計経理の基準なんというのがありますけれども、そういうものだってやっぱりよくわかっていないと思うのですね。ですから、知らないでそういうやり方をして、義理がたくA会社の債権を払っていったというような場合の実情に対してですね、もっと税額を減らしてやるとか、そういうような行政措置というものは全然できないものなんでしょうか。
#113
○政府委員(泉美之松君) おっしゃるとおり、この税務行政というのは、税法に基づく法規裁量の行政行為でありますから、その普通の行政措置のように任意裁量の余地がないわけであります。法律に基づいてそのとおり執行していくというわけでありますから、お話のように、B会社を設立して、もう破産したA会社の債務を何とか払ってやろうということで、その心情はよくわかるのでありますけれども、B会社において売り上げ計上漏れ、あるいは架空経費を計上していくということは、これは許されない。したがって、まあその方がそういう手段を知らなかったとおっしゃるのでしたら、まあそういうことを私のほうでお教えすべきであったとは思いますけれども、代表者の方が自分の税金を払った残りでぼつぼつ旧債を返還していくという以外に手がないわけでありまして、そこを税務職員の自由裁量で何とかB会社の負担が軽くて済むようにしてやってとおっしゃっても、なかなかそうまいりかねると思います。
#114
○田中寿美子君 たとえば山一証券とかマルマンなんかに政治的な配慮で、それこそたいへんな救済がされるわけですね。零細な企業はいまのような事例がたくさんあって、そのために倒れていかざるを得ないということがあるわけです。で、税務署員の裁量でできないとして、さっきお話がありました調査官とかなんとかというようなものは、あるいは課長以上のところまで話が行くということは全然ないのでございますか、そういう場合ですね。
#115
○政府委員(泉美之松君) もちろん、そういう場合の課税処理につきましては、課長、署長の決裁を経ていくわけでありますから、そういう話は全部署長まで通っておると思います。ただ、署長にいたしましても、そういった行政裁量の余地はない。法規裁量でやっていくことであります。ただもしそのB会社の代表の方が、Aの会社が破産したことに基づく債務を何とか片づけたいので、それにどうやったら一番うまくいくかというような御相談をなさってくだされば、それならばお教えしたと思うのであります。そういう御相談もなしに、B会社のほうでそういった売り上げ計上漏れ、架空経費の計上という措置をとられますと、もはやいかんともしがたいのであります。
 中小企業者の税の知識がないということをおっしゃいます。確かに私もそういった面が非常にあると思います。したがいまして、私どもといたしましては、税務行政の運営方針といたしまして、できるだけ納税者の方に有利な方法を税務職員のほうからお知らせするというように指導をいたしておるのであります。そして特に毎月五の日、五日、十五日、二十五日、この五の日におきましては、税務署におきまして幹部職員が必ずおりまして、そういった御相談に応ずるような方法を講じておるのであります。しかし、なかなかそういった方々が、最近非常に利用率が高くなっておるのでありますけれども、まだそれを利用なさらない方がおありのようでありまして、そういうことのためにあとになって非常に困ったということでおいでになるのでありますが、あとになって非常に困った状態では私のほうも困るのでありまして、そういう非常に困らない前、あらかじめどうしたらいいかという御相談をいただきたいと思っております。私どものほうのPRもまだ十分でございませんので、そういった意味でも中小企業者の方が、いろいろ問題があります、土地を売った場合、工場を移転した場合、それからいまお話しのような破産した会社の債務を何とか少しでも片づけていきたいと、そういったいろいろな場合に、あらかじめ、自分のお名前をおっしゃる必要もないのでありますから、どうやったら一番うまくいくかということの御相談をしていただきたいものだ、このように考えております。
#116
○田中寿美子君 大口脱税がありましたり、それから大企業の倒産しようとするときの手厚い援助に比して、実に零細企業に対しては冷たいし、それから課税の上での矛盾はずいぶんあるわけです。その例はもう省きますけれども、たとえば床屋さんなんかが営業用に使う白い布なんかを自分で洗たくをすると、自分で働いた分の利益だとして税金がかかりますけれども、クリーニングに出したら損金に計上できるというような、そういうことになりますと、あれはもうてくてく歩いたら税金を取られた、タクシーに乗ったら損金になるというようなわけで、非常に矛盾がたくさんありますので、この辺はやはり……。そのことが結局納税意欲をそいだり抜け道を考えたりすることにもなると思いますので、税務署員の数も少ないでしょうし、PRのことも大事でございますが、何とかそういう零細企業の非常に苦しい立場を十分考えてあげるような徴税のしかたをお願いしたいと思います。
 それから次に、税務職員に対してノルマというのがあるのでしょうか、つまりこれだけは取ってこいという。いかがでしょうか。
#117
○政府委員(泉美之松君) まず前段のほうの散髪屋の場合、カバーなどをクリーニングに出すとその経費が必要経費になって、自分で洗うと必要経費にならぬ、そこで税金がかかるというお話ですが、経費にならぬから、収入が同じであれば所得が多いということにはなろうかと思いますが、自分で洗うから税金をかけるという意味ではないわけでございまして、それから確かに中小企業者の方は税についての知識がないために、ときによって非常にお気の毒なような場合がいろいろ出てまいります。私どもといたしましては、そういうことが起きないようにあらかじめ御相談をお願いしたいということを申しておるのでありますが、できるだけ中小企業者の方に過酷な行政が行なわれないようには十分配慮いたしてまいりたいと思います。
 それから、いまお尋ねの税務職員にノルマがあるかというお話でございますが、幾ら税額を徴収しなければならぬとか、課税しなければならぬというノルマは毛頭ございません。ただ、調査に参りますと、所得税の概況調査でありますと、一人一日何件を処理するというようなことで事務計画は一応つくっております。しかし、それはノルマでは別段ございません。
#118
○田中寿美子君 勤評の制度がありますね。成績をあげた者は二階級特進とかなんとか、そういうようなことがあるんじゃないですか。
#119
○政府委員(泉美之松君) 税務職員につきましても、他の官庁の職員と同様に勤評制度はもちろんございます。しかし、二階級特進ということではございませんので、勤評におきましてAないしBの成績を得ました者につきましては特別昇給の措置がとられる。これは人事院におきまして特別昇給は全職員の一〇%以内で毎年実施するということになっておりまして、これは税務官庁もほかの官庁も同じでございます。
#120
○田中寿美子君 成績をあげれば昇進するというようなことで、一生懸命に法律主義で、疑わしきは課税するという立場で働かざるを得ない税務職員がたくさんいるのじゃないかというように私たち思っております。
 次に、例の「税金とらの巻」事件のことをお尋ねしたいと思います。大阪府の堺の税務署員の岡田禎勝さん、あの裁判事件ですね。昭和三十三年にいわゆる「税金とらの巻」を部外者に渡したということで裁判にかけられて、三十五年の第一審で無罪の判決、それからそれに対して検事控訴して大阪地裁へ差し戻され、この間、五月の十一日に第二審で無罪の判決がありました。そうすると、再び大阪地検が控訴したわけでございます。この事件なんですけれども、大体「税金とらの巻」というのは、一体正式にいえばどういう名称のものですか。
#121
○政府委員(泉美之松君) 最初に、勤務評定につきまして若干申し忘れましたので申し上げますが、勤務評定のとき、成績をあげたからAをつけるとかBをつけるということではございません。課税をたくさんしたから、あるいは徴収をたくさんしたから、AなりあるいはBがつくというものではございませんので、まじめに税務職員として勤務したかどうかということが評定になるわけでございまして、たくさん課税いたしましても、本来課税すべからざるものに対して納税者に無理に課税するというようなことはけっして勤評の上で成績がよくなるものではないわけでありまして、どうかそういう意味で、税務職員が何だかいわゆる取り主義のようなことにおちいっているような誤解をなさらないようにお願いいたしたいと思います。先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、脱税をしておる者に対しましてはその脱税を追及して適正な納税をしていただく、しかし税の知識がないために納め過ぎになっているような人についてはそういうことが起こらないようにする、そうして税負担の公平を期して行政をやっておるわけであります。
 それから、あとでお尋ねになりました大阪地裁の裁判につきましてのいわゆる「徴税とらの巻」と申しますのは、所得税の所得標準率表というものと、それから業種日別効率表という、この二つのものでございます。
#122
○田中寿美子君 あの場合、所得税の所得標準率表とそれから業種日別効率表というのは、これは大体見積もりで課税する標準をつくっているものじゃないでしょうか。
#123
○政府委員(泉美之松君) そういうものではございませんで、業種日別効率表のほうは、いろいろな業種につきまして、従業員数あるいは設備の台数等からいたしまして、一台当たり幾らの売り上げがあるのがその業種では普通である、あるいは従業員一人当たりの売り上げはどの程度であるのが普通だ、こういうようなのが効率表でございまして、したがって、私どもが納税者の方から申告書を受け取りまして、その申告が妥当かどうかということを検討する際に、その手がかりといたしまして、効率表で見た場合の売り上げに比べて、この店は売り上げが少ないかどうか、こういったことを検出するためのものでございます。
 それから、所得標準率表のほうは、これは売り上げ金額百円当たりにいたしまして普通の業態であればどの程度の所得率になるものかということを、いろいろの実例につきまして調整いたしまして、その実例のうち極端なものを避けまして、できるだけ標準的なものをとりまして、その標準的なものから見れば、どの業種では売り上げ百円当たり幾らぐらいの所得になるという標準をつくっておりまして、これまた納税者の申告書につきまして売り上げ幾らに対して幾らの所得になっているか、したがってその申告が正しいかどうかということを検討する一つの材料として持っておるわけであります。
#124
○田中寿美子君 そうしますと、それは国家公務員が刑罰に処せられるほどに――守らなければならない、それを破ったならば、表に出したならば、刑罰に処せられなければならないほどの公務員の秘密に属するものなんでしょうか。
#125
○政府委員(泉美之松君) この点につきましては、裁判所の見解は違うようでありますが、私どもといたしましては、標準率表、効率表の性格からいたしまして、これを公表いたしますと、かえって納税者の方はそれの率によって申告しなきゃいかぬのかというような誤解を招くおそれがありまして、適正な申告納税の上にかえってマイナスになることも考えられます。また、せっかく青色申告をするために帳簿の記帳をなさっておられる方が、その効率表なりあるいは所得標準率表を見ることによって、それに合わせたような不実の記載をするということになりますと、かえって青色申告の奨励の趣旨からいたしましても好ましくない。したがって、これは公にすべきものではないという扱いをいたしておるのであります。
 もっとも、この標準率表の中には、田中委員御存じだと思いますが、たとえば農業の標準率のような場合におきましては、農業を営んでおられる方は、青色申告なさっている方も若干ございますけれども、普通の場合なかなかその記帳ができにくいというようなことからいたしまして、そういう記帳のできにくい方に一々収入、支出ということを調べ上げて課税するということはなかなかできにくいものでございますから、この場合には標準率を用いまして、それに基づいて申告をなさればしいて更正をしない、こういうような扱いをいたしております。また、たとえば、午前中もお話がございましたと思いますが、文士の方などの場合あるいは普通のサラリーマンの方が原稿を書かれたような場合、こういった場合におきましても一応、公表ということではございませんけれども、関係の人にはわかるような方法を講じまして、標準率に基づいて申告されている場合には、農業の場合と同じようにしいて更正をしない、こういう扱いをいたしておりますが、これはそういった営業所得者と違って収入、支出を一々記帳するようなことがなかなかむずかしい人について、申告納税をしていただくための便宜の手段として用いられているものであります。特に、営業所得の場合のように、収入、支出の記帳ができるし、また、営業上当然そういう収入、支出を記帳して、営業成績がどうなっているかということを御自身で判断して経営をやっていかれる方につきましては、そういう標準率あるいは効率表を公表するということは適当でない。したがって、税務職員がかってにそういうことを漏らしたことは秘密を漏らした罪に当たる、こういう解釈をいたしております。
#126
○田中寿美子君 そうしますと、国税庁長官は、国家公務員法百条に違反する行為だというふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。
#127
○政府委員(泉美之松君) 私どもはそういう気持ちでおります。
#128
○田中寿美子君 事実は、国税庁長官なんかは一番上のほうにいらっしゃいますから、一番末端の企業のところでどういうふうになっているかおわかりでしょうかどうかと思いますけれども、さっきの一定の効率表あるいは標準率表に達しない申告をしている者は非常にきびしくそこまで追及されるのですね。それから、それより多い者は、これは税理士なんかを使えば、簡単にといっては悪いですけれども、その線まで引き下げることができる。ですから、午前中おっしゃいましたように、税務職員が係長級ぐらいになる前にやめて税理士の試験を受けて税理士になる者が多いと言われまして、税理士もみんなそういうものを知っているわけですね。ですから、大体それを基準にして申告するということを、まあ税理士に頼めば税金は安く済んでみたり、あるいはもう少したくさん申告しなければだめだというふうに言われたりするということは、だからそれほどの秘密ではないと思うんですけどね。ですから、国家公務員法の百条に触れるような、職務上知り得た秘密というのには当たらないものだと思うんですけれども、いかがですか。
#129
○政府委員(泉美之松君) 確かに、以前に所得税の事務を担当いたしておった者でありますと、その人が標準率がどれくらいになっているということをそのときの状況は知っておると思います。したがって、それを知識にして税理士としての仕事をいろいろやっていくということは考え得られますが、しかし、標準率表は必ずしも毎年同じものではございませんで、何年かのうちにいろいろ変更をいたしておるものでございます。したがいまして、税理士になられた方が、自分が在職中知っておったようなことが必ずしも常に通用するというわけのものでもございません。したがいまして、私どもは、過去の標準率表でございますと、場合によっては、それを追及するつもりはございませんけれども、当年分課税にあたって特に重要な標準率表を漏らしたということになりますと、これはその責任を追及せざるを得ない、こういうことになってくるのであります。
#130
○田中寿美子君 それはおかしいじゃないですか。国家公務員法百条というのは、退職後も在職中に知り得た秘密を公にしてはならないということになっているでしょう。
#131
○政府委員(泉美之松君) さようでございます。ただ、私どもは、過去の標準率表は秘密扱いでなくするような措置をとっておるのであります。その秘密扱いでなくなったものについては問題はないわけでございます。
#132
○田中寿美子君 私は、国税局が一定の標準率表、効率表を当てはめて見積もり課税をするということは、これは憲法八十四条違反じゃないですか。租税法律主義の精神に反するんじゃないかということ、それから、国民の私有財産権を侵害するんじゃないかというふうに考えるんですけれども、どうですか。
#133
○政府委員(泉美之松君) 租税法律主義の実体が何であるかということにつきましては、種々の見解があるようでございます。しかし、私どもは、租税法律主義というのはあくまで、納税をする場合におきまして、だれが納税義務者であり、その課税標準が何であり、課税標準に適用さるべき税率がどうなっており、その税をいつまでにどこに納めなければならないかと、こういうことを法律上明らかにしておくのが租税法律主義だと思います。そこで問題は、課税標準につきまして、所得税でございますと、所得ということでありますが、課税標準である所得の計算をどうするかということになりますと、だんだんと最近はそういった事柄も全部法律で規定するべきだと、そういうふうに租税法律主義の内容がだんだん拡大されてきておるように思うわけであります。現行法におきましても、所得計算の基本的な事柄は法律で規定しておく、こういうことになっておるわけであります。そしてその法律の委任に基づいて政令でこまかいことを規定していくというわけでありますが、しかし、所得というものの内容も非常にむずかしい問題でございまして、法律、政令だけで書き切れない。そこで国税庁におきまして解釈通達をつくって、その政令なり法律の解釈を明らかにするというような措置をとっておるわけであります。
 問題は、所得という課税標準の計算につきまして、ほんとうならばその所得者である人が一番よく知っておられるはずのものであります。ところが、申告書を、その正しい所得の申告をなさっておられる場合にはいいのでありますが、そうでない場合に第三者である税務職員のほうからその内容を調査するということになりますと、非常にむずかしい問題になってきます。ほんとうならば、そういった所得者ごとにその人の一年間の収入が一々幾らであり、またその収入を得るための必要経費が一々幾らであるかということを調査いたしまして課税すれば、これは問題がないわけでありますが、しかし、多数の納税者に対して税務職員の数は非常に少ないわけでありますので、一々そこの収支実調まではできにくい。そこで、売り上げのほうを計算いたしまして、売り上げはこの人は幾らあったということからいたしますと、所得標準率に照らすと、まあこの程度の所得があるんではないかということからいたしまして、納税者の方が申告においでになると、あなたの昨年の営業の状態はどうでしたかということから始まりまして、売り上げがこれぐらいなら収入がこれぐらいあったんじゃございませんかというようなことを申し上げることになっておるわけであります。更正決定を行ないます場合におきましては、それでは済みませんで、きらんと調査をいたした上で更正決定をすると、こういうことになるわけであります。
 したがって、見積もり課税というようなお話がございましたけれども、単純に所得標準率表で見積もり課税をしておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、申告書が出てきて、申告が適正であるかどうかということを判断する一つの材料として使っておるわけであります。
#134
○田中寿美子君 もう時間ですから、たくさんの例がありますけれども、省きますけれども、税務職員が自分から意地悪くたくさん取ろうとしているんではないと私は思っております。ただ、いまの標準率表のありますために、実際には、たとえば税務職員が物価を上げることだってあるんです。それは、たとえば同じ近くに八百屋が二軒あります。一方のほうが片方より安く売る、それは利益をあまりあげなくてもいいと思うので幾らか差があるんだと思うんですが、そうしますと、やっぱり徴税に見えた職員が、あちらではこれだけもうかっているではないか、これはこれだけで売るべきものであるはずというようなことで、で、売り上げ金に対して文句をつける。そこで、やむを得ず同じ高さで売らなければならないというようなこともあるんです、実際に。ですから、やっぱり疑わしきは課税せよというような一つの法則があるように思いますので、徴税のしかたについてはもっと実情に即していただきたいということと、それから今度改正される法案で、簡素化と合理化が目的になっているわけですけれども、実情としては零細企業には非常に非近代的なものがあるんですね。それで、当てはまらないようなものもたくさんございます。しかし、いまは時間がありませんから、これで国税庁長官への質問を終わりますけれども、どうかもう少し、零細企業はどんどん倒産しているんですし、あたたかい態度をとっていただきたいということをお願いしまして、国税庁長官への質問は終わります。
#135
○政府委員(泉美之松君) 八百屋のお話がございまして、もしそのようなことが徴税によって生じておるということであれば、たいへん問題だと思います。私どもは、標準率があるから、安く売って利益の薄い八百屋に対しても、他の高く売って利益の多い八百屋と同じように課税するというようなことはいたしておらないつもりでございます。ただ、そういった事例を田中先生が御存じだとおっしゃれば、私どももそういったことのないように是正をはからなければならぬと思っておりますが、私はそういうことがあるとは思っておりません。
 それから、なお、おことばを返すようで恐縮でございますが、疑わしきは課税する、あるいは疑わしきは課税するなというようなことが世間でよく言われますけれども、私は両方とも間違いだと思います。疑わしいから課税するということもよくありませんけれども、疑わしいから課税するなというのも問題でありまして、やはりあくまでも所得があるかないかという真実を探求して、その真実に基づいて行政をやっていく、これが一番大切なことであろうと思うのでありまして、私ども決して疑わしきは課税するというようなつもりで行政をやっておるつもりはないのでございまして、どうかそういったことの誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
#136
○田中寿美子君 さっきお尋ねしかかっておりましたが、調査官の仕事はどういうことをするんですか。
#137
○政府委員(泉美之松君) 先ほど午前中申し上げましたように、専門官に調査官というのと徴収官というのと二つの制度を設けております。調査官と申しますのは、直税あるいは間税につきまして課税標準を調査いたしまして、税額の更正あるいは決定を行なうわけでありますが、その調査を専門にいたしておる者でございまして、現在は国税局のみならず税務署にもそういった調査官を置いておるわけでございます。徴収官のほうは、これは滞納処分を執行するための専門的職員であります。
#138
○田中寿美子君 徴税とは関係なしに実情を調べて歩くんですか。
#139
○政府委員(泉美之松君) 納税者の方々から不服などがございまして、その不服について実情を調べて歩くといっておりますのは、これは協議官と申しまして、協議団の中にそういった苦情処理を専門にやっておる者がおるわけでありまして、協議官と申します。
#140
○田中寿美子君 続きまして大蔵大臣にお尋ねしたいんですけれども、前回のときにだいぶたくさんお尋ねしましたけれども、大臣おられませんでした。それでもう一ぺんちょっと。少しダブるかもしれませんけれども、いまの税制のあり方なんですが、税制調査会の答申の基本的な姿勢というのは、国民の税負担を軽減させていく方向あるいは負担の公平化という方向にあるはずだと思います。簡素化もそうだと思う、あるいは合理化もそうだと思いますけれども、今回の簡素化というのはその基本的な方針と逆行しつつあるのじゃないかという感じがするのですけれども、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#141
○国務大臣(水田三喜男君) ちょっと、具体的な事例で伺いたいと思います。
#142
○田中寿美子君 どうも失礼いたしました。刑事局長が来ていらっしゃるそうなんで、さっきの堺の裁判事件ですね、あれに対する御意見を、国税庁長官がだいぶ代弁なさったと思いますけれども、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#143
○政府委員(川井英良君) 実はまだ正確な判決書ができておらないのでございまして、私どものほうへも大阪の地方検察庁からおおよその判決の骨組みだけをとりあえず報告をしてきておるような状況でございますが、それを見ますというと、先ほど問題になりました租税法律主義のたてまえからいって、先ほどのような標準率表とか効率表というようなものは、これを公にすることによって脱税のおそれはあるけれども、憲法八十四条の法律主義のたてまえからいって秘密にしておくことは相当でないというようなこと、それから、国家公務員法百条でいいますところの職務上の秘密、職務上知り得た秘密、この秘密というのは実質的な秘密をいうのであって、ただ役人がとりあえずある文書について秘密の表示をしたというだけのことでは、この法律が保護する秘密にはならないのであって、実質的に事柄自体が秘密でなければならない、こういうふうな大きな二つの前提のもとに本件の標準率表並びに効率表は、ここでいう秘密として法律が保護するというふうに考えることはできないのだというように理論づけまして、本件の起訴を無罪の判決をした、こういうふうな報告を受けておりますが、おそらく正式な判決書の理論もそういうふうな筋道をたどってくるのだろうと、こういうふうに考えております。
 そこで、私どもの立場からの考え方でございますが、この百条の秘密というのについて、従来いわゆる実質的な秘密だけをいうのであって、形式的な指定された秘密はここにいうところの秘密にならないんじゃないかというふうな意見もあるわけでございますが、これにつきましては、御承知かと思いますけれども、かつてラストボロフ事件というのがございまして、この事件の関係者の裁判で東京高裁、それから最高裁まで行って確定した事件がございますが、この裁判の過程で、この百条の秘密は実質的な秘密だけに限るのかあるいはいわゆる形式的な指定秘も含むのかということにつきまして争いがございまして、これにつきましては、東京高裁の判決は、この立法趣旨その他から考えまして、これは純然たる実質的な秘密だけをいうのではなくて、国家機関がその行政の推進上公表することが適当でないと、こういうふうに判断いたしまして、その事項を秘密の指定をしたというふうな場合に、いわゆる指定秘の場合におきましてもこの百条の秘密に含まれるのだと、こういうふうな見解を明らかにいたしまして、問題になりましたラストボロフ事件の関係は税の関係のものではございません、外交関係の秘密文書でございますが、これにつきましては実質的にも秘密であるし、また指定された文書そのものによりましても秘密の指定があるというふうなことから考えまして、有罪は免れないのだというふうな趣旨で高裁が判決し、また最高裁に行ってその判決が確定しているというふうな先例が一つあるわけでございまして、学説はいろいろあるわけでございますが、私どもの立場から、この百条の秘密につきましては、先ほどの判例を一つの手がかりといたしまして、純粋の実質秘だけを含むんではないというふうな立場をとっておりますので、そういうふうな考え方から申しますというと、今回の大阪地裁の判決は私どもの従来の考え方と食い違っておりますので、そういうふうな点におきましてもこのまま確定するわけにはいかないんじゃないかというふうなこと。
 もう一つ、くどいようでありますが、租税法律主義の解釈が問題になると思いますが、課税標準なんかについて、確かに法定主義をとるということはわかるのでありますけれども、先ほど長官の御説明にもありましたように、効率表でありますとかあるいは標準率表とかいうふうなもの、私どもしろうとでございまして十分な研究ではございませんけれども、一とおり研究した範囲内におきましては、これは憲法が法律をもって規定すべき事項だと、こういうふうにきめている事項ではありませんで、まことに徴税の行政を推進するために必要な事項であり、それがまた国民の納税義務を履行させるための徴税という大きな行政事務を十分に円滑に履行するため、ひいては、さかさに申しますというと、要するに脱税を防止するというふうな目的からこれを公表することは適当でない、こういうふうな立場に立っているものと考えるのでございまして、そういうふうな考えから申しましても、この判決の八十四条についての解釈はややきびし過ぎるのではなかろうか。それから、もう一つ、全く同じ事件でございまして、その後三十八年に横浜の地裁で、この効率表とそれから標準率表を公にしたやはり職員が起訴されておりまして、この事件は一審で有罪になりまして、上訴しないでそのまま確定している事件もございますので、全く同じようなことを同じように漏らしたということに対して、一つは有罪が確定し、一つは無罪になっておるというふうなことにもなっておりますので、判決を統一するというふうな目的からも、何度も上訴してくどいようでありますけれども、検察官の立場といたしまして、もう一回控訴して判決を統一するということもこれもやむを得ないことかと、こう思いまするので、この判決に対しまして再び大阪検察庁が大阪高裁に控訴を提起したということは、私ども中央におります法務当局の立場といたしましても、やむを得ないことではなかったかと、かように考えるものでございます。
#144
○田中寿美子君 どうもありがとうございました。まあ税務署職員というのはほんとうに私は気の毒な立場にあると、いまの話を聞いていて思います。どうもありがとうございました。
 それでは、大蔵大臣に、いまの税制ですね、シャウプ勧告以来今日に至りますまでたいへん大衆に重いということは、たびたびいろんな方々もすでに言われてきております。で、今日までの間に日本の国情に合わないというのでたびたび改正されてきておりますね。本来ならば、税負担の公平の方向あるいは大衆の税負担の軽減の方向にいかなければならないのが、ますます高額所得者や大資本に有利な方向に、アンバランスになってきている。そして三十四年に税制調査会ができまして以来、税制の根本的な改正の方向を打ち出して、それで負担の公平化ということが非常に強くいわれてきたと思うのですが、それがむしろ逆行してきている。そうしてことに本年度の、四十二年度の改正のねらいは簡素化にあると一番いわれているのですけれども、その簡素化の名において非常にかえって複雑に――毎回の改正ごとに複雑になっているような気がするのですけれども、こういう方向をどこまでもとっていかれるものなんでしょうか。これは所得税にしても法人税にしても、それから租税特別措置法なんというようなものは特に臨時の例外的な法律なんですけれども、これがますます何らか項目がふえていっているというようなことを考えますと、税体系を合理化していこうという方向とむしろ逆行していくのじゃないかという感じがするのですけれども、いかがでしょうか。
#145
○国務大臣(水田三喜男君) まあ税制調査会がございますが、ここの仕事は、御承知のようにここ数年にわたって税の公平ということを中心に、一応ばらばらな税体系を整えるという仕事を今日までやってきました。その答申によって、私どもも答申の線に沿った税制改正を今日までやってきましたが、方向としては私は逆行の方向をたどっているとは思いません。ただ、租税特別措置法が次次に改廃があるのですが、多く新設されるのじゃないかというようなことに対する御質問かとも存じますが、そうだとしますというと、これは前々から言っておりますように、政策的な要請によってつくられる特例の措置でございまして、今度の国会におきましても、特別措置をつくるのは賛成だがほかは反対というような御決議もあったくらいで、社会が複雑になり経済がだんだんに変わってきますというと、その間に処して、そのときの要請による特別措置というようなものは、今後も流動的に改廃されてその政策の目的を果たしていくということに活用されることが、今後も私は多いものだと思っています。これは租税公平の原則に反する、これは一がいにそういうものではございませんで、やはりそのときの必要に応じて例外としてつくられるものであって、適当に調整されることが好ましいことでございますので、私どももこの調整をとりながらいま改廃をしているということでございます。これが非常に目のかたきになっているような形でございますが、いまある特別措置は全部洗ってみますというと、事実上は中小企業のための措置が圧倒的多数になっているというようなのが実情でございますので、この点もひとつ御承知を願いたいと思います。
#146
○田中寿美子君 私はたいへん異論がありますけれども……。第一、いま特別措置法はそのときどきの政策によってまた新設するとともあり得るようにおっしゃいましたけれども、税制調査会の会長の中山会長でもやっぱり、一番悪いのはこの租税特別措置法である、税不公平の最大のものであるから、これは臨時の措置法であるから、あくまで縮小し撤廃の方向に向かわなければいけないと言っておられるので、やはりこれはあくまで臨時の特例というふうに考えて、そうして恒久的な必要のあるものは本法に入れたらいいと思いますね。そういう考え方をお持ちになっていらっしゃいますと、税体系はますます複雑になり、めちゃくちゃになってしまうのじゃないでしょうかね。いかがですか。
#147
○国務大臣(水田三喜男君) 四十二年度におきましても、改廃はこの措置について四つございまして、三つ廃止するというようなことをしましたが、すでにもう政策効果を果たしておるというようなものは、ここでは見直しまして随時やめていく、そのかわり必要な特別措置は新しくつくることもやむを得ない、こういう態度で私どもはいきたいと思っております。
#148
○田中寿美子君 租税特別措置法のことはもう少しあとにしまして、けさ戸田委員の質問に対して、直接税が増収がふえていったら間接税も自然それに見合ってふえていかなければならないというふうに言われましたんですが、これは大蔵大臣は、いまは税の立場から考えていらっしゃると思いますけれども、大蔵大臣というのは国の予算全体に関係なさいますし、国の財政全体にも関係なさいますわけですが、私どもは納税者の立場から少し考えていただきたいのですね。で、納税者意識というものを十分持たせる。そしてそのためには税の負担がほんとうに苦しくてしようがないという実感が国民の中にありますと、納税者意識なんというのも育たない。やはりこれには税の負担が重いということと同時に、国民の所得がもっと上がっていかなければならない。大蔵大臣はそういう立場から、税の方面からだけじゃなしに、国民所得を上げていく方向からもう一つお考えいただきませんと……。税というのは、税そのものというようなことはあり得ないので、税を納める国民、生活をしている国民の立場ということをお考えいただいて……。いま世界で第二十一位の国民所得であるということですね。これをもっと上げるということがないと、いつまでたっても、減税しても減税しても、国民の側には税負担が重いという感覚が残るわけです。
 それで、少し、国民の税負担の状況を外国と比べてみていただきたいのですけれども、一体、課税最低限ですね、これが日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスあたりと比べてどうでございましょうか。
#149
○政府委員(塩崎潤君) どこに基準を置くか、私が例示いたしまして申し上げますが、独身者の課税最低限を申しますと、日本は二十六万七千六百二十二円、アメリカは三十二万四千円、イギリスは二十八万五千二百六十円、西ドイツは三十万七千八百円、フランスは四十四万五千六百十四円でございます。夫婦・子三人になりますと、日本は七十一万一千八百九十九円、アメリカは百三十三万二千円、イギリスは九十二万三百四円、西ドイツは八十八万二千円、フランスは百十六万九千七百八十三円となっております。なお、外国の課税最低限は非常に長らく据え置かれておりますけれども、私どもの課税最低限は最近の国民所得の上昇に応じまして毎年毎年引き上げられておりまして、だいぶん私は接近してきておるかと思います。
#150
○田中寿美子君 いまの課税最低限の数字、そうすると、アメリカは四十一年度の、それからイギリス、西ドイツ、フランスは四十年度のですね。日本だけ四十二年度のですね。
#151
○政府委員(塩崎潤君) はい。
#152
○田中寿美子君 そうしますと、これはみんな据え置かれておるということですか。
#153
○政府委員(塩崎潤君) 私どもの見ますところ、最近各国におきまして課税最低限が引き上げられるような改正が行なわれておりません。
#154
○田中寿美子君 いまのことはですね、一人当たりの国民所得との関連があると思います。一人当たりの国民所得が高ければ、課税最低限が日本よりもみんな高いわけですね。ですから、課税最低限も日本に比べて苦しくなり、日本は国民所得は低いから非常に苦しく感じるということだと思うのですが、国民の平均の所得額に対して所得税の負担額は、比較してみたらどんなになりますか。日本では平均家族五人ということになっておりますから、五人で平均して。
#155
○政府委員(塩崎潤君) 平均所得に対しまする所得税の負担の国際比較を申し上げます。わが国の平均所得は一人当たり、これは五人世帯でございますので、一人当たりを五人分といたしまして夫婦・子三人で出してございます。平均所得は百六十二万二千四百五円となりますが、わが国の税法では十三万六千八百円の税がかかりまして、八・五%になります。アメリカでは平均が一万五千五百九十ドルになりまして、アメリカの税制では二千百七十ドル、つまり一三・九%とアメリカのほうが高めに出てまいります。同じくイギリスで計算いたしますと、イギリスは二千五百九十ポンドになりますが、イギリスの税金では四百九十四ポンドとなりまして、実効税率一九・一%、これはアメリカよりも高めでございます。西ドイツは二万八千九百六十マルク、税額は三千七百九十四マルク、実効税率は二一丁一%でございますので、アメリカに匹敵いたします。フランスは三万五千四百四十五フラン、税額は二千五十七フランで、これは実効税率が低いわけでございます。五・八%、こういう割合になります。
#156
○田中寿美子君 いまの数字だけ聞いておりますと、日本は比較的負担率が低い、八・五%ということになりますけれども、これは単純な五倍した計算で、実情ではないわけですね、これは。夫婦や子供の関係があり、扶養家族の関係があるし、実情ではなくて、ほんとうに単純な平均所得を五倍して比べたのにすぎないのですから、決して日本がそれだけ負担率が低いですというわけにはいかない。
 もう一つは、税金が、国民所得が低いからと非常に重く感じる。なぜ重く感じるかというのは、所得の割合に税の負担が重いということと、もう一つは国民の支払った税金が国民に戻ってくる振りかえ所得が、こういうものが西欧諸国は非常に高いわけです。日本は先日の経済社会発展計画の発表ですと、四・三%になっております。西欧諸国はみんな一〇%、フランスなんかな一八%以上も振りかえ所得として戻ってきておりますね。ですから、賃金収入所得が多いだけでなしに、社会保障その他で生活をささえるものが戻ってくる。つまり、税金が戻ってくるということだと思うのです。それが非常に少ないということ、やはり大蔵大臣は大きな立場からぜひ考えて、振りかえ所得の方向にもっと税を振り向けるようにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#157
○国務大臣(水田三喜男君) あの計画の中でも言っておりますように、日本の社会保障は医療保障に傾いておって、そのために所得保障の面が非常におくれておるということを指摘しておりますが、そのとおりであろうと思います。その原因は結局、外国で発達しておる年金制度がまだ日本で出発したばかりでございまして、国民年金におきましても、まだ老齢者への年金を支払うところまでいっていないというようなことから、非常に保険制度の面でおくれておりますので、したがって、国民にこの金が現実に返ってくるというところまで軌道に乗っておりませんので、そういうことが言えるのじゃないかと思います。
 それで、昔――この間も話したことでございますが、イギリスへ行って、あるおばあさんをわれわれ国会議員団がつかまえて、その話をしましたら、自分の納めている税は明確でして、一年幾ら納めている。そうして、その金はこういう形で自分へ戻ってくるのだということをはっきりと説明されたのであります。私どももびっくりしたのでございますが、いまこういう年金制度も何も発達の途上で、そういうことになっておりませんから、国民がどういう形で自分に戻ってくるかということが日本の社会政策でははっきりしないという状態でございますが、今後これをはっきりさせるような方向でまた内容を充実していく、こういう所得保障という面にもっと社会保障制度が前進するようにやっていきたいと、こう思っております。
#158
○田中寿美子君 大蔵大臣は、もうそういうことをたいへんよく御存じでいらっしゃるのですから、ぜひそういう方向に向けていっていただきた
 いと思うのです。
 それで、毎年減税があるわけですけれども、実際には、だから、いかにも数字の上では減税されているようだけれども、給与所得者でも、あるいは事業所得者でも、みんな税金がふえていっているという事実を、やはり大蔵大臣、一番下情をもっと知っていただきたいと思うのです。大衆課税の実例を知っていただきたいと思うのです。
 それで、前回私がちょっとあげました数字に間違いがありましたので、訂正しながら申し上げますけれども、これは電報局に十五年もつとめている家庭の家計簿からとったのですけれども、昭和三十九年度の平均所得月六万二千百九十七円、これは二期のボーナスが入っているものでございまして、毎月の手取りは三万五千円ぐらい。それから四十年度の平均が六万四千七百七十三円、四十一年が六万七千二百九十九円、毎年収入は上がっていくわけです。そうしますと、それに従って税金がふえていくのです。三十九年の所得税が、これは平均して月二千四百二十五円、四十年度はちょっと減りまして二千九十三円、そうして四十一年度は二千七百五十四円、また上がっているのです。あの三千億減税という昨年です。さらに、地方税が三十九年は九百九円だったのが、四十年度は千二円、四十一年度は千二百八十三円。ですから、合計いたしまして、毎年上がっていくわけです。
 企業所得の場合も同じ。たとえば、これは資本金三百万円の印刷屋さんなんです。法人ですけれども、同族会社です。四十年度は法人利益三百万円、それに対して、租税特別措置として貸し倒れ引き当て金十四万円、中小企業近代化資金十一万円、計二十五万円が免税されているのです。そうして課税所得が二百七十五万円に対して、法人税が八十一万千二百五十円、留保課税五万四千九百二十円、合計八十六万六千百七十円、三百万円の利益に対する実効税率二八・八七%、四十一年度三百六十万円の法人利益に対して、租税特別措置として貸し倒れ引き当て金十六万円が免除され、そうして、差き引き課税所得三百四十四万、収入は上がっているのですけれども、法人税が九十五万九千円、留保課税が七万一千百二十円、計百三万百二十円、だから実効税率は三百六十万の利益に対して二八・六一%、実質的に出す税金はふえるという状況になっておるわけですね。ですから、総額でこれだけ減税しましたという幻想を国民に抱わせて、実はみんなのふところから出ていく税金は多くなっていくということ、この点を大臣はどうお思いになりますか。やはり国民のふところは日増しに楽になっているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#159
○国務大臣(水田三喜男君) 減税を毎年やっておることは、税制を改正してやっておることは事実でございますので、もし所得が全然ふえなかったら所得税はふえないということでございますが、所得税が上がっておる、少しずつ絶対額で上がるということは所得が絶対額で伸びていっておるということでございまして、所得の伸びが減税の率よりも多いという現象だろうと思います。ですから、毎年減税はやりますが、所得がふえておる限りは税の絶対額は少しずつ上がっていくということも当然だろうと考えます。
#160
○田中寿美子君 それは家計をやっておる者から見ますと、実はたいへん違っておりまして、物価がどんどん上がりますから、非常に苦しいということです。この電報電話局に勤めておる家庭の主婦は十年間オーバー一つつくっておらないのです。子供が二人おりまして、非常に苦しい。そのときに、たとえば佐藤総理の政治後援会に入った十億の政治資金ですか、あれには一円の税金もかからないのに、私たちほんとうにもうきゅうきゅうとして暮らしておる者になぜこれだけの税金がかかるのだろうということをおっしゃっておりましたけれども、やはりこの点は、この前も大臣がおっしゃいましたように、独身者の一番下のほうからの底上げをしてもらうということがないと、生活を税金が圧迫するということがいつまでも続くだろうと思いますので、思い切って、御決心されておりますように、独身者の税金の免税点から引き上げていっていただきたい。
 時間がもうなくなりましたので、租税特別措置法のことはあした戸田委員がお聞きになると思いますが、先ほど、租税特別措置法は大部分が中小企業に対するものだと言われましたので、その点私は異論がございますが、一体中小企業に対してどれだけのものが適用されているか、そのための減収はどれだけになっているか、四十二年度はどれだけを予定しておるかということを御説明願いたいと思います。
#161
○政府委員(塩崎潤君) 先般、国会の御要求によりまして、昭和四十二年度の租税特別措置による減収額を二千四百十九億円と御提出申し上げました。そのうち貯蓄の奨励関係、つまり個人関係、個人家計にかかる分を言えばいいかと思いますが、その金額が千七百四億円になっております。したがいまして、残りの七百十五億円が企業、産業関係の特別措置でございますが、これがこのうち中小企業分が三百九十四億円、大企業の分が三百二十一億円、こういうふうに見られるのでございます。そういった意味では大体五五%程度が中小企業の減税に充てられている分、こういうふうに見られます。
 なお、これは租税特別措置という一つの私どもの考えた基準の減収額でございますが、なお、たとえば法人税の軽減税率三百万円以下は、普通の税率が三五%にもかかわりませず、一億円以下の法人につきましては二八%という税率を設けておるということによって、当然減収がそこに生じておるわけでございますが、そういった特別な考慮はこの中に入れておりません。中小企業構造改善準備金とか期限のつきました中小企業の貸し倒れ引き当て金の割り増し、こういった部分でございます。なお、何と申しますか、支払い能力をしんしゃくする意味におきまして基本的な税制の中に織り込まれた部分はその中に含まれておりませんことを、御参考までに申し上げておきたいと思います。
#162
○田中寿美子君 いまあげられました中の貯蓄奨励その他の措置による減収額が千七百四億円というのは、これは大企業も中小企業も含めて共通に適用されるのでしょうか。
#163
○政府委員(塩崎潤君) 貯蓄奨励関係は、これは個人というふうになっておりますので、大企業、法人企業とか、それから個人企業とかいう問題ではございません。法人には利子の分離課税とかいう制度もございませんし、配当の源泉選択というような問題もございません。したがいまして、そこには高額所得者であるかどうかといった問題が起こり得ると思います。
#164
○田中寿美子君 中小企業に対しての租税特別措置の適用の見方というものはいろいろあると思います。はっきりは取り出せないだろうと思いますが、先ほど特に資本金一億円以下のものということですので、私はほんとうは規模別あるいは従業員別、それから資本金別で知りたかったのですけれども、どうしてもそういう資料がいただけませんでしたが、それはどうしてもわからないものでございますか。
#165
○政府委員(塩崎潤君) 私どもは資本金階級別に見ておりまして、従業員という基準は使っておりませんし、資本金階級別ならばある程度の計算はできるのでございますが、あまりこまかくなりますと、たとえば各種準備金のこまかい内容等につきましては簡単にできない。むしろ先生がどうしても御要望が強いといたしますならば、サンプルで私どもが抜き取りで計算しまして、その影響を見るということができようかと思います。
#166
○田中寿美子君 大蔵大臣は、特別措置法は大部分中小企業のためだということを言われた、このたいへんオーバーな言い方は事実はそうではないと思うんです。国税庁の税務統計でこれは古いんですが、三十八年度の会社表によりますと、諸準備金として、特別償却の利用状況で見ますと、大法人ほど恩典が大きいということが明らかに出ておるんですね。というのは、会社数全体の中で一億円未満の会社が九九・三%、一億円以上のものが〇・七%、これは租税特別措置の適用を受けたものですね。そうして一億円未満のもので諸準備金を利用したものは一九・七%であって、一億円以上のものは八〇・三%利用しておりますね。それから特別償却なんかも、一億円未満が三四・八%、一億円以上のものが六五・二%、輸出所得控除、これも一億円未満が二四・五%、一億円以上は七五・五%、つまり〇・七%の大企業のほうが大部分を使っておるというんですね。ですから、そのほかいろいろの点から申しまして、これは戸田さんが先日も八幡製鉄の事例をあげておっしゃいましたけれども、中小企業と申しましても一億円以下の一千万、二千万なんという少さなものでないところに大部分が使われて、全体として大企業のほうに大きな恩典があったというふうに私は考えておりますけれども、大蔵大臣は大部分が中小企業のためにと言われたのは、あれはちょっとうそじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
#167
○国務大臣(水田三喜男君) 金額でも中小企業のほうが多いんですが、私の大部分と言ったのは、いま特別措置をいろいろ積み重ねてまいりまして、現在ある特別措置の数のうち、中小企業を対象とした特別措置の数が非常に多いということを言ったわけです。
#168
○田中寿美子君 数だけ多いというんですか。
#169
○国務大臣(水田三喜男君) 金額でもそうです。
#170
○政府委員(塩崎潤君) 田中先生のおっしゃいましたように、私どもの法人企業の実態といいますか、国税庁から出しております法人企業の実態という統計では、準備金あるいは引き当て金あるいは特別償却の利用率は大法人のほうが高いということがございまして、四十年におきましてもそういった表現が掲げられております。ただ、これも、この中でお気づきのとおり、貸し倒れ引き当て金、退職給与引き当て金、価格変動準備金と、三つ並べておりますが、特別措置として考えられますのは、御案内のように価格変動準備金だけでございます。貸し倒れ引き当て金、退職給与引き当て金は、御案内のように、会計理論におきましても、当然企業の費用を構成するものだ、こういう定義づけがなされておりますので、これはひとつ除外して考えなければならない。しかし問題は、価格変動準備金で大企業は利用率が高いといわれておりますが、おっしゃるとおり、たなおろし資産は大企業の保有度が大きく、またこの準備金はたなおろし資産額のうちでも危険の程度の高い国際商品には繰り入れ率が高いので、大法人が高くなることはもう申すまでもないことでございます。特別所得控除は輸出関係でございますので、金額といたしましてはもちろんメーカーあるいは商社の利用度が高いということは間違いございません。しかし、それを考慮いたしまして計算いたしましたのが、いまの特別措置の大法人分の三百二十一億円、それからまた中小企業の三百九十四億円が別にある、こういうことでございます。
 なお、そのほかに税率の差、これをどういうふうに考えますか、いまのところ特別措置と考えておりませんけれども、これをかりに特別措置と考えますれば、三月四十億円なお追加しなければならない、こんなような計算になります。
 つまり、先ほど田中先生もおっしゃいましたように、中身は、特別措置と言いながら、本法に入れられてしかるべきものもあるし、あるいは特別措置の中で大いに改廃されるべきものもある。こういった意味で、特別措置の基準は非常にむずかしい問題を含んでおるということを御了承願えればしあわせでございます。
#171
○田中寿美子君 それじゃ、もう時間がなくなりましたので、明日の戸田さんの質問に譲りますけれども、一つだけ最後に。
 今度の租税特別措置法の改正で、新たに縮小とか新設されたものが何項目かございますね。それらについて疑問がいろいろありますけれども、中でも社会開発促進をはかるための特別措置というのがありますね。その中に公害防止施設とか、都市交通緩和のための私鉄の地下乗り入れ施設についての特別償却制度の新設と、これはどういうことですか。私鉄のほうに非常に便宜をはかるというのですか。公害防止施設についてどういうのですか。
#172
○政府委員(塩崎潤君) まず公害防止施設について特別措置を講じようとしておる内容を御説明申し上げます。もう御案内のように、最近公害防止法が大きな政策になっております。したがいまして、企業が、たとえ収益に関係なくても、社会的な強制力によりまして公害防止施設をつくらなければならないというような社会的な義務が課されておることは、もう御案内のとおりでございます。たとえば重油脱硫装置は公害防止の上で六十億円ばかりの資本投下額を必要とするといわれております。企業の収益は、六十億円の重油脱硫装置をつけられたからといって、特に利益が上がるわけではございません。そういったところから、企業の経営者、企業は何となく、資産性がない、社会によって強制されたものだと。資産だとすれば収益にはね返るべきものだ、こういう感情を持つわけでございます。さらにまた、そういった公害防止施設は非常に技術の革新が早くて、取りかえも早い。こんなようなことを考えますと、ひとつ特別償却を認めて早目に資本を回収させて、公害防止施設を早くつくらそう。これは特別償却でございますから、免税ではございません。早目に減価償却をやらせて、企業の資産性がないという心理状態、これに合致させようということでございます。
 もう一つは、都市の勤労者の輸送の問題、これは大問題でございます。現在過密都市対策といたしまして、私鉄は地下へもぐること、あるいは高架に上がること、こんなようなことで、勤労者輸送に協力しなければならない。さらにまた、施設を改造しなければならないというような義務が、社会的な義務でもございますから、これが相当強く言われております。これまでは私鉄は非常に利益が、御案内のように料金が認可制度でございまして、押えられておりまして、特別償却は認められても償却に力がないと言われておったのでございます。そこで、いろいろなことを考えてみたわけでございますが、この過密都市の――都市の再開発には、勤労者輸送のことを考えますと、私鉄はそんなに収益がなくても、勤労者輸送施設を早目にやっていただきたい。そのためには、ひとつ特別償却を認める、しかも特別償却が利用できるような方法を講じよう、こういう趣旨でございます。利用できる方法は何かと申しますと、非常にそういった私鉄の作業は長期間にわたって初めて完成するわけでございます。ということは、建設仮勘定に長らく置かれまして、でき上がりましたときから償却が始まるわけでございますが、ひとつ建設仮勘定の中からこの特別償却を認めまして、それが資産化する前にひとつ収益の中から特別償却を認めていただく、そうして早目にこの特別な施設をつくらそう、こういった考え方でございます。これも減価償却の一種でございます。免税というよりはむしろ早目に償却していこう、むしろ、公害防止施設ほどではないにいたしましても、私鉄の収益状況から見ますと、やはりそういった収益のない、そういった高架とか、地下乗り入れの安全施設は、ややもすれば怠りがちでございます。おくれがちでございますので、ひとつ税の面から刺激を与えまして社会開発の促進にあてよう、こういう趣旨でございます。
#173
○田中寿美子君 伺っておりますと、租税特別措置というのはだんだんこれから広がっていきそうな感じがするのですが、いまのような項目などは、これはやはり恒久的に本法の中で考えるべき性質のものではないかと。やはり租税特別措置というのは、さいぜん申し上げましたように、臨時の特例ですから、これは整備し、縮小し、やがて廃止する方向に向かっていくべきだというふうに私は考えるのでありまして、大蔵大臣は、そのときの政策に応じてやはり拡張してもいいのだというふうに言われたが、もう一度念のため、その点、大蔵大臣のお考え方を聞かせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
#174
○国務大臣(水田三喜男君) 特別措置の中には、これは本法に入れてもいいという性質のものはあるいは出てくるかもしれませんが、しかし、いまやっております措置は、大体政策効果を果たしたらもうやめていいと考えるわけでございまして、たとえば都市対策もいろいろいまやっておりますが、この過密対策が終わったら、特にこの優遇を償却の面においてする必要はない。これについてはいつでもやめられる体制をつくるためには、私は特別措置の対策がいいのではないかと考えております。
#175
○委員長(竹中恒夫君) 本日の質疑はこの程度にいたしまして、明三十日午前十時から開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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