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1967/05/30 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第14号
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1967/05/30 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 大蔵委員会 第14号

#1
第055回国会 大蔵委員会 第14号
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
   午前十時二十九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹中 恒夫君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                小林  章君
                西郷吉之助君
                塩児 俊二君
                徳永 正利君
                林屋亀次郎君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                野上  元君
                野溝  勝君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       経済企画庁総合
       開発局長     加納 治郎君
       大蔵政務次官   米田 正文君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省関税局長  谷川  宏君
       大蔵省証券局長  加治木俊道君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       大蔵省国際金融
       局長       柏木 雄介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        海堀 洋平君
       大蔵大臣官房財
       務調査官     結城 義人君
       大蔵大臣官房財
       務調査官     青山  俊君
       大蔵省大蔵省理
       財局次長     広瀬 駿二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○印紙税法案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 印紙税法案を議題といたします。
 まず、提案理由の説明を聴取いたします。米田大蔵政務次官。
#3
○政府委員(米田正文君) ただいま議題となりました印紙税法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、今次の税制改正の一環として、印紙税の税負担が最近における所得及び物価水準に適合するものとなるよう、その税率及び免税点について所要の調整を行ない、あわせて課税範囲の整備合理化等、制度全般にわたっての合理化をはかるため、印紙税法の全文を改正することとしてこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容についてその大要を申し上げます。
 第一に、税負担の調整合理化及び課税範囲の整備合理化について申し上げます。現行の印紙税法による税率及び免税点は、おおむね、昭和二十九年以降据え置かれておりますが、その後の所得及び物価水準の推移を考慮して、定額税率を原則として現行の二倍とし、階級定額税率の適用範囲の若干の拡大や階級区分の組みかえによる税率の調整を行なうほか、免税点を原則として二倍ないし三倍に引き上げること等により印紙税の負担の調整合理化をはかることとし、また、課税対象の明確化に資するため、財産権の得喪変更に関する証書、帳簿はすべて網羅的に課税対象といたしております現行法の方式を改め、課税文書を限定的に掲名する限定列挙課税の方式を採用することといたしております。なお、これに関連して、現行法では一通の文書で同時に二以上の課税物件に該当するものにつきましては、原則として複数の課税物件として課税することとされておりますが、これを一通の課税文書として課税することとする等、所要の規定を整備することといたしております。
 第二に、納付方法の合理化につきましては、印紙を張ることにかえて税務署長の承認を受けて書式表示をする場合の現金納付の手続を、現行の事前納付から事後申告納付に改めることといたしております。
 第三に、罰則の整備合理化について申し上げます。まず、印紙を張らず、または印紙に消印をしない等の印紙税法違反について、現行法は刑法総則の適用を除外して、故意過失を問わず刑事罰の対象としておりますが、これを改め、刑事罰の対象は刑法総則の原則に従い、故意犯のみに限定することといたしております。また、印紙税を国税犯則取締法による通告処分制度の対象外とする一方、印紙による印紙税の納付の確実な履行を担保するため、課税文書に相当額の印紙を張らず、または印紙に消印をしない場合には、新たに、過怠税を課することといたしております。この過怠税の額は、相当印紙が張ってない場合には、その不足税額とその二倍相当額との合計額、すなわち不足税額の三倍、消印をしなかった場合には、その印紙の額面相当額とし、いずれも最低額は五百円としております。
 第四に、現在かたかなの文語体であります印紙税法の全文をひらがな口語体に改めるとともに、印紙税の納税地その他所要の規定の整備合理化をはかり、また、印紙税法の全文改正に伴い、国税通則法その他の関係法律について、所要の改正を行なうことといたしております。
 なお、この法律案は本年六月一日から施行し、七月一日以後に作成される文書について適用することとしております。
 以上が印紙税法案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(竹中恒夫君)引き続いて、補足説明を聴取いたします。結城財務調査官。
#4
○説明員(結城義人君) ただいま提案理由の説明がございました印紙税法案につきまして、提案の理由を補足して御説明申し上げます。
 現行の印紙税法は、明治三十二年に制定されたかたかな文語体の古い税法を基本とするものでございまして、現行の税率及び免税点はおおむね昭和二十九年以降据え置かれており、その後の所得物価水準の推移等に顧みますと、現状に適合しない面も生じておりますので、この際、その全文を改正することとし、印紙税の税負担の調整合理化及び課税範囲の整備合理化を行なうとともに、納付方法の合理化、罰則の整備合理化等を行なうことといたしております。
 その内容といたしましては、第一に、税負担の調整合理化でございます。昭和二十九年以降の十数年の間に所得及び物価水準が相当上昇しておりますことを考慮して、まず受け取り書の免税点を三千円未満から一万円未満に引き上げる等免税点を原則として三倍程度引き上げる一方、税率については受け取り書等に適用されている定額税率を十円から二十円に引き上げる等原則として二倍に引き上げ、また不動産等の譲渡証書、手形等に適用される階級定額税率についても、階級区分の一部組みかえによる税率の調整を行なうこととしております。
 第二に、課税範囲の整備合理化でございます。現行法は、印紙税の課税範囲につきまして、明治三十二年の制定当初からその第一条において「財産権ノ創設、移転、変更若ハ消滅ヲ証明スヘキ証書、帳簿及財産権ニ関スル追認若ハ承認ヲ証明スヘキ証書ヲ作成スル者ハ此ノ法律ニ依リ印紙税ヲ納ムヘシ」と規定して、財産権の得喪変更等に関する証書、帳簿はすべて網羅的に課税対象としておりますが、改正法案では、課税範囲の明確化をはかるためこれを改め、課税文書を限定的に掲名列挙する方式を採用することとしております。また、非課税規定につきましても、現行法では第五条に各種の文書が混然と規定されておりますのを、改正法案では、別表第一の非課税物件の欄、別表第二の非課税法人の表及び別表第三の非課税文書の表にそれぞれ分類規定いたしております。
 第三に、納税方法の合理化でございます。現行法においても、印紙税の納付方法として印紙による納付のほか、税印による方法、現金納付計器の使用による方法、書式表示による方法等現金納付の制度が設けられておりますが、これらの手続規定を整備するほか、書式表示をする場合の納付手続が現行では事前納付になっておりますのを、翌月末日までに申告納付する事後申告納付に改めることといたしております。
 第四に、罰則の整備合理化でございます。まず、課税文書に相当額の印紙を張らずまたは印紙に消印をしない等の印紙税法違反について、現行法は、故意過失を問わず刑事罰の対象としておりますが、過失で印紙を張り忘れまたは消印をし忘れた者にも刑罰を課するのは酷に過ぎるきらいがありますので、これを改め、刑事罰の対象は刑法総則の原則に従い故意犯のみに限定することとしております。また、国税犯則取締法施行規則を改正し、印紙税を国税犯則取締法上の間接国税から除外して通告処分制度の対象外とすることとする一方、印紙による印紙税の納付の確実な履行を担保するため新たに過怠税の制度を設けることとしているわけであります。この過怠税は、課税文書に相当額の印紙を張っていない場合には、その不足税額とその二倍相当額との合計額、すなわち不足税額の三倍の金額を課することとし、印紙に消印をしなかった場合には、その印紙の額面相当額を課することとし、最低額は五百円といたしております。
 以上、印紙税法案につきまして、補足説明をいたしました。
#5
○委員長(竹中恒夫君) 以上で提案理由の説明、同補足説明を終わりました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(竹中恒夫君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、印紙税法案、以上五案を一括して議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○瓜生清君 まず、大臣に二、三お尋ねをしたいと思います。
 第一は、最近といいますか、現在資本自由化という問題が非常に日本経済にとって重要な課題となっておるわけですけれども、外資審議会というのがございますが、そこでその問題についていろいろ論議をされておるようでありますけれども、大臣として、この資本自由化という問題について、どういうようなお考え方でいわゆる日本の企業を守るのか、基本的な考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#8
○国務大臣(水田三喜男君) 日本の国際的地位から見ましても、もう先進国型の経済を営んでおる国になっておるときでございますので、この際、資本の自由化が日本経済にとってプラスかマイナスかということを考えました場合に、プラスの面のほうが非常に多いということは、これはもう十分認識されていることでございますし、これによって生ずるマイナスの部面に対する対策を十分行なうことによって、これは日本経済をさらに将来発展せしめるやはり基礎的な問題である、この際前向きの姿勢をもって取り組むべきであるというのが、大体私の基本的な態度でございます。
#9
○瓜生清君 どうもちょっと抽象的で、あんまりよくわからないのですが、現実に資本自由化によって起こるマイナス面というのはどういうものか。大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
#10
○国務大臣(水田三喜男君) やはり資本力の弱さ、そういうようなものから、日本の企業が外資によって左右される、俗語でいいますと、取られるというような危険性というものは、まだ日本の各業種において多く現実には存在しておるということだろうと思います。
#11
○瓜生清君 私はこういうふうに思うんです。ちょっとですね、日本の場合は、貿易の自由化にしても、それから資本の自由化にしても、なるほど先進国の仲間入りをしておりますけれども、国内体制の整備というものが十分なされないうちに、何かそういう進んでおる国のグループの中に入っていくという勇み足のような感じがしてならないんです。
 で、たとえば昭和三十九年の四月以降、九四%程度の貿易の自由化が達成されましたけれども、それはまだ日本の国の中においていろんな産業がそれに耐え得るような状態になっていないけれども、何かしら少しいちびるという、ことばはよくないですけれども、そういう中へ入っていかなければならないという流れはわかりますが、準備不足のままそういうようなことを決定しておるというような感じがするんですけれども、資本自由化についても私は同様の考え方を持っておるんです。ということはですね、資本が自由化されて、いつでも来いと、こういうような状況にないから、外資審議会その他で、たとえば持ち株の比率でもフィフティー・フィフティという案が出てくる。しかし、そういう大きな欠陥というものが日本経済の中にあるけれども、先進国のいろんな勧告、特にアメリカあたりの強い要請によって、まだそこまで機が熟していないにもかかわらずそういうところへ入っていくと、こういう印象を受けるんですが、大臣はどうお考えになりますか。
#12
○国務大臣(水田三喜男君) たとえば貿易の自由化をやるときでもたいへんないろいろ議論がございましたが、準備ができなければやれないというのか、やる踏み切りをすることによって自然に日本の経済は準備を自分の力で完了するか、どちらが先かというようなことを言いますというと、完全に準備態勢ができない間はこの世界の自由化の中へはいれないという態度をとったら、これは永久にはいれないということになりますので、貿易の自由化が必要である、これがやはり日本の貿易を将来において伸ばす道であると考えたら、これはやはり踏み切って、一つのプログラムをつくって、それによって急変を避けながら、徐々にその方向へ向かってやっていくということが必要だ。昭和三十五年に日本は貿易の自由化を踏み切りましたが、現在、当時の予想よりも多い九三%の自由化をやっても、日本経済はそういう当初心配されていたようなことはほとんど何もなく、克服して今日まで来たということを考えますと、一番最後の資本の自由化に対しても、やはり私どもは準備ができなければやれないというのじゃなくて、世界の先進国型の経済に日本がはいり込んでこれからの日本の国際的地位を上げようとするからには、やはり踏み切ることによって、同時におくれた準備をしていくということが、やはり私は必要じゃないかと考えまして、いますぐに全部を一〇〇%自動承認制というような体制には入れませんので、業種別にこれを分けて、そうしてそれぞれの対策を立てて資本自由化への前進をやっていくという方向で、いま審議会でいろいろ作業をしている最中でございます。
#13
○瓜生清君 大臣、具体的にお伺いしますが、大臣以外の方でもいいのですけれども、資本自由化体制になって一番、何といいますか、まっ先に外国資本、特にアメリカの資本が日本に入ってくるというような産業はどういうものがあるか、教えてもらいたいと思います。
#14
○国務大臣(水田三喜男君) これはそう簡単にはいま予測できません。たとえばこの業種は外国資本が入ってくる、そしてもしこれを一〇〇%の自由化にしたらどうなるかという吟味をしますということ、また日本のいまのその業種の力においては、たとえ自由化しても、新たに日本へ来て外国資本が同じ仕事をするということは考えられないというような面もございまして、一つ一つ検討はしておりますが、一がいにこれは必ずこうだというようなことは簡単にいま結論はできないと思います。
#15
○瓜生清君 ゆうべかけさか、ちょっと忘れましたが、テレビで、造船業界に対する資本自由化の問題で、いわゆる中小の造船会社については一〇〇%資本自由化に踏み切ると、こういう報道がなされておるのですが、私は日本の企業の中で中小企業ほど弱いものはないと思うのですけれども、こういう問題について大臣はどういうふうな御見解をお持ちですか、お尋ねしたいと思います。大きな造船会社というものにはある程度の制限というものを加えて、中小の造船会社については一〇〇%の資本自由化を認めるという、こういう考えは逆じゃないかというふうに私は思うのですけれども、この一つの事例について大臣のお考えを聞きたいと思います。
#16
○国務大臣(水田三喜男君) これはいま造船問題もそうでございますが、各業種について検討中でございまして、その中にはいろいろの種類がございまして、中小企業といえども政府の許可事業になっておるというような問題については、また運営のしかたにいろいろな問題が出てきますし、そういうあらゆる条件をいま検討して、これから業種を振りかえをしようというときでございますので、もう少し、何はどうするということだけは差し控えたいと思います。
#17
○瓜生清君 そうしますと、大鹿、業種の振り分けですね、外資審議会の結論、答申というものをにらみ合わしておきめになるのですけれども、大体いつごろ、この資本自由化に対してこういう業種はどうだ、ああいう業種はどうだというのがきまるのは、いまからどのくらいかかりますか。
#18
○国務大臣(水田三喜男君) 予定は、審議会の答申は、業種を入れた答申が大体六月二日になされるのじゃないかといま期待しております。それを受けまして政府としての方針を決定するのは、それから四、五日おくれる、六月六日ごろまでに政府部内の意見を統一して方針をきめたいと、いまそういう考えております。
#19
○瓜生清君 よくわかりました。
 それじゃ次に、租税特別措置法に関連して一、二御質問したいと思うのですが、一昨年の暮れに答申された、いわゆる長期答申で示された租税特別措置に対する基本的な考え方、すなわち租税特別措置は負担公平の原則、税の中立性を阻害する等のデメリットがあるから縮減すべきであって、かりに必要な場合でも税制以外に有効な手があるのかどうかをよく検討して、さらにその政策目的の有効性についてきびしいテストを経た上で設けるべきだという考え方が出されております。この考え方と現在の大臣の考え方は同じなのかどうか。
 それから、ことしですね、租税特別措置法でたくさんの問題が、措置がなされておりますけれども、この内容と、そのいま言いました長期答申の関係というものはどうなるのか、伺いたいと思います。
#20
○国務大臣(水田三喜男君) 大体考え方は私はそれでいいと思います。
#21
○瓜生清君 どうも大臣、あんまり答弁が簡単過ぎて私は理解できないのですが、結局そういたしますと、大臣としてはその答申の線に沿ってこれから租税特別措置ということを考えていくという方針をお持ちなんですね。そういうぐあいに解釈してもかまいませんか。お答え願います。
#22
○国務大臣(水田三喜男君) 大体その線に沿っていこうと思いますが、その税制調査会の考え方も最近はだいぶ変わっておりまして、方針はそれでいいのですが、もう少し流動的に、必要なものは新設するし、もう効果がなくなったものはこれを十分に直して、逐次改廃していくべきだという方向へ非常に強い意見を傾けておりますので、私どももやはりそういう線で今後租税特別措置に対しては臨みたいというふうに考えております。
#23
○瓜生清君 大臣の考え方はよく了解できましたが、大体この租税特別措置法というのは戦後の経済の混乱期に、どちらかといえば資本蓄積のためにいろいろな特別措置が設けられたと思うのです。ところが、現在では、そういう資本蓄積というようなことよりは、むしろその資本がどういう面に投資されるかというようなことが重要になってきていると思うのです。ある程度資本蓄積をするための諸措置というものは効果をあらわして、むしろそういうところに――いまの租税特別措置法のあるべき姿というのが、そういうものから漸次離れて、そうしてむしろ何といいますか、資本というものが、新しい地域開発とかあるいは社会開発、佐藤内閣の唱えておりますそういう面のほうにいわゆる租税特別措置というようなもののウエートがかかっていくべきだと私は考えるのですが、その点はいかがですか。
#24
○政府委員(塩崎潤君) 租税特別措置の内容に関連いたしますので、私から御説明申し上げたいと思います。
 三十九項目にのぼる租税特別措置の内容が問題でございます。いま瓜生先生のおっしゃいましたように、単に資本蓄積ということよりも、何か別な新しい政策的な要請のほうに資本を誘導するような租税特別措置でなければならないと、こんなような御質問ではないかと思うのでございます。現在の項目、非常に三十九項目という多い項目でございますが、いま申されましたようなものといたしましては、たとえば低開発地域の特別償却、あるいは住宅対策のための特別償却、あるいは買いかえの特例その他、その他まだあれですね、今回行なわれておりますところの公害防止施設の特別償却、あるいは都市再開発のための私鉄の特別償却、こういった問題は、私は先生のおっしゃいましたような新しい最近の政策に応ずるような誘引措置だと思うのでございます。ただ、まだまだ過去の特別措置的なものの中で、そういった政策的な点から見ると少し総花的なものがあると思いますが、方向としては大体そんなようなことを頭に置きながらつとめておるつもりでございます。
 その例といたしまして、大正二年から設けられておりました重要物産免税措置、これあたりは日本の非常におくれました産業構造から見て、過去には鉄鋼業とかあるいは戦後は合成繊維とか、こういったものにつきまして、新規産業の助成という見地から免税制度まで設けました。こういった制度はもはや新しい特別措置の線に譲るべきであるということで、昨年廃止いたしまして、いま申しましたような新しい特別償却制度で最近の政策的な要請に応ずるような特別措置を講ずることとしている次第でございます。
#25
○瓜生清君 だから、局長、私がいま言いました観点からしますとね、利子所得だとか配当所得に対する優遇措置などは、これはすみやかに打ち切るべきだと思うのですけれども、それに対する大蔵省の方針はどうなんですか。
#26
○政府委員(塩崎潤君) いま私が申し上げました特別措置は、これは産業面と申しますか、先生のおっしゃいました資本の使途を誘引する方向の問題でございます。利子配当の問題は、その資金を個人家計から拠出さす問題でございまして、そこに私はねらっておる面が違うかと思います。ただし、利子配当につきましては、いつも私ども大臣が申されておりますように、漸進的な措置を講ずるということで、これまでの長らくの制度でございますので漸進的な措置を講じていこう、こういうことを常に申し上げておるところでございます。
#27
○瓜生清君 そういうふうな特別の措置をですね、利子配当所得に対して一体今後何年間ぐらい続けていかれるのか、お伺いしたいと思います。
#28
○国務大臣(水田三喜男君) 何しろ昭和二十八年ですか、十何年間ともう実施されている制度でございますので、今回のようにまあ一〇%を一五%に、税率を五割上げるという一応措置をとったのでございますが、急激な変化を与えるということは、もう十二年間実施しておった制度であるだけに考えなければならぬところがございますし、この実施したあとの結果を見る期間を置いてその次の措置に移りたいというふうに考えて、三年間今後の改正で余裕を置いて次の改正に移るということがいいんじゃないかというふうにいま考えて、三年間の期間を付しているということでございます。
#29
○瓜生清君 そうしますと、大臣、三年たったあとこの問題については何らかの改善を加えるというお考え方でございますか、伺いたいと思います。ということは、われわれが抵抗を感じますのは、この委員会でも何回か他の委員の方々から御質問なさったと思うのですけれども、五人標準世帯で七十何万円までは税金がかからない、利子配当の場合は二百何十万円までは非課税だ、あの特別措置を講ずると。そういう大きな格差はどうもおかしいじゃないか。そうでしょう。銀行利子とか株の配当で生活しておる連中には、そういった、まあ何といいますか、大きな優遇措置がとられておる。で、汗水出して働いておる連中は年間七十数万円をこえると税金が賦課される。そんなばかなことないじゃないかというのが私は国民のいわゆる感情論だと思うのです。そこで、私はそういうようなものについて、これから三年間たってから再検討するというのですが、その方向はやはりこういうものを廃止するというのか、それともまた三年たって少し税率を上げて、いま大臣は五割増しとおっしゃいましたが、ことばを聞くと非常に大きなように聞こえますけれども、一〇%が一五%になっただけであって、そうたいした私はあれじゃないと思うのです。その点、どうなんですか。
#30
○国務大臣(水田三喜男君) これは税率の改変ということから見たら、漸進的とは言うのですが、五割の税率を上げるということは相当大きい措置であるというふうに考えます。で、私どもいい対策というものがすぐにあるのでしたら、考え方もありますが、税制調査会からも、まずこの問題は漸進的解決をはかるというのが答申でございますし、その線に沿って今回のような措置が漸進的解決をはかった一つの措置であるというふうに考えて、そしてこれを実施し、これからの影響を見てから次の措置を考えるということが一番いいことじゃないかと考えております。三年間の間には、当分、物価を見ながら私どもは次の措置を検討したい。
#31
○瓜生清君 そこで、もう一つ大臣にお伺いしたいのは、この間証券局長の加治木さんに質問したんですけれども、答弁が事の重大性もあってなかなか私が聞きたいと思うずばりとしたお答えがなかったのですけれども、いわゆる日本共同証券、それから証券保有組合、そういうところでいまかかえておる株が相当額あるわけですけれども、ここ一、二カ月間の株の動向を見ておりますと、ほぼあの下がった時期以前の状態に立ち返ったんじゃないかと私は見ているわけです。しかも、これからの動向というものを予測しますと、おそらく景気回復に伴って株式市場もいまの状態以上に活況を呈してくるのじゃないかというふうに考えるわけですが、この共同証券なり保有組合の株の放出について大蔵大臣としてどういうような構想をお持ちになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#32
○国務大臣(水田三喜男君) これはまた証券局長と同じ程度の答弁になると思いますが、この放出はやはり市場に悪影響を与えないように、慎重にこの放出は考えていきたいというふうに思います。
#33
○瓜生清君 私はこの間も聞いたのですけれども、影響を与えないようにということ、これはもちろんそのとおりでしょう。だけれども、共同証券なり保有組合の所持しておる株式というものは、これは政府の資金が相当出ているわけですから、いつまでも持っておるというわけにはいかないと思うのです。むしろいまのように相場が上昇機運にあるときには、それを鎮静させるという意味で、そういう効果でお出しになっても私はそう悪い影響は出てこないと思うのです。特にこれは大蔵大臣と私とは見解が違いますけれども、多少インフレ的な要因というものが市場の中でもあるというふうに私は見ておるんですが、そういうものを押える役目を果たす上においても、やっぱり私はこれから、貴重な政府資金を出しておるそういう株式というものを大体こういうような段取りで市場に流していくのだ、そういうふうな計画があってもいいんじゃないか。逆に、そういうものが明確でないから、市場ではいつ大蔵省がどういう方針を打ち出すのかという一種のおびえのようなものがあるのじゃないかというふうに私は思うのです。ですから、全部一ぺんに出してしまうということになれば、これは相当大きな問題を惹起するでしょうけれども、まあ三千億円か四千億円の株式ですから、大体こういうふうな計画で、それが短期であろうが長期であろうがかまわないけれども、ほぼ大蔵省の考え方というものを明確にしたほうが、かえって株式市場の安定というものが維持できるのじゃないかというふうに私はしろうとなりに判断するのですけれども、ただ慎重に検討したいという大臣の御答弁では、どうも納得しかねるのですが、もう少し何といいますか、われわれがなるほどそうかというようなあれがあるはずだと思うのです。ございませんか。あったら、お聞かせ願いたいと思います。
#34
○国務大臣(水田三喜男君) やはり、要するに民間の金融事情とのにらみ合わせが一番必要でございまして、こういうふうに市場が平常に復したから、これを放出するには可能な時期というふうに考えられることも考えられますが、そうじゃなくて、株式の値段が非常に低いときに、株価の非常に低いときに、しかも金融事情によってはそのときに放出して引き受けてもらえるならそのほうがいいといって放出しても、すぐそれが影響なしに消化できるということが一つの時期になることもあり得ますし、そういう時期が幾つかあったと思いますが、しかし、いずれにしましても、これはやはり慎重に扱うべきものであって、政府が事前にこうするああするということをはっきりしないで、情勢によって善処するということが一番私はいいやり方ではないかと思っております。
#35
○瓜生清君 大蔵大臣の立場としちゃ、そういうふうな何といいますか、証券業界なり市場に波を起こさないようなお答えしかできないと思いますけれども、しかし、いま株式市場というものは活況を呈しているわけです。いわゆる買い上げた当時の、以前の株価に復しているんです。しかもまた、これからいわゆる民間の設備投資というものが非常に積極化しようとしておる。そういうときに、いまの政府出資による相当の金を使っておる株式をこういうような計画で流していくのだ、そういうことをやっぱり大蔵省の証券行政としてはっきりしたほうがいいというふうに私は考えているのです。この間も、証券局長の加治木さんに聞いたのだけれども、肝心のところにいくと逃げられちゃうわけですね。だけれど、私はこれは自分の自説を固持するようですけれども、株式市場というものは常に流動的なんですから、いまのようないわば調子のいいときに多少のものを放出しても、株式市場というものを圧迫することにならないと思うんです。それをただ、大臣のおっしゃるように、時期を見て慎重に――そのことがかえって証券業者も不安であり、かつ市場の安定というものが長期固定化しないという要因になっておると思うんですが、この点についてはどうお考えですか。くどいようでございますけれども、お答えをお願いいたします。
#36
○国務大臣(水田三喜男君) 逆に、いま言ったような態度を持っていることが安定させる一つの要素になっていないとも限りませんし、私は市場が平常に復したというときが実際放出の条件を備えているというふうには、単純にこの問題は見られないと考えております。
#37
○瓜生清君 時間の制限がありますので、あまり同じ問題で大臣を追及するわけにもいきませんから、話題を変えます。
 今度の租税特別措置法の中に、繊維産業に対する税制上の対策というものが出されておりますが、大臣にお聞きしたいのは、この間ケネディ・ラウンドの交渉が妥結いたしまして、日本の各産業界にプラスの面あるいはそうでない面、いろいろあると思いますけれども、その中でお聞きしたいのは、いま私どものとっておる繊維産業に対する保護政策について大臣がどのようにお考えになっておるのか、承りたいと思います。
#38
○国務大臣(水田三喜男君) ちょうどケネディ・ラウンドの交渉に行った局長がおりますから、お答えをさせます。
#39
○政府委員(谷川宏君) アメリカのケネディ・ラウンド全体に対する方針は、当初から、アメリカを含めまして全世界の自由貿易をできるだけ増大させる、そのためには関税を引き下げ、また関税以外のいろいろな障害を撤廃するということを主要な狙いといたしまして、各国に呼びかけ、またケネディ・ラウンドに参加各国もそういう方針のもとに、世界貿易の拡大のためには関税をある程度引き下げることの必要性を感じまして、そういう方針で交渉に当たってまいっていたわけでありますが、アメリカにおきましても、国内に保護貿易主義的な考え方を持つ勢力も相当強いわけでございますけれども、いま申したような根本的な考え方を中心に交渉に臨んでまいったわけであります。特にアメリカにおきましては、輸入制限はやっていないわけでございますが、その半面、関税以外の貿易を阻害するいろいろな制度があったのでございますが、そういうものにつきましてもできるだけ廃止の方向を打ち出しまして、そうして貿易の拡大に貢献しようという態度でいるわけであります。
#40
○瓜生清君 そうしますと、今度貿易関税一般協定によって大まかな交渉を妥結して、細部交渉に入るわけですが、繊維製品を例にとると、これから先、政府の方針として関税というものが従来以上にふえるということは阻止できますか、見通しはどうですか。
#41
○政府委員(谷川宏君) 繊維製品の中、特に綿製品につきましては、ガットの場におきまして綿製品の長期取りきめが行なわれておるわけであります。で、ことしの九月末で期限が切れますけれども、これを延長するかどうかということが問題になったわけでありますが、輸入国でありまするアメリカ、EEC等におきましては、いますぐこの取りきめをやめるわけにはまいらないと。わが国といたしましては、綿製品の輸出国でございまするから、この種の貿易障害をできるだけ排除したいということで、いろいろ話をしたわけでございますけれども、いまのようなことで、綿製品の長期取りきめを三年間期限を延長すると。しかし、その内容として、輸出国側に利益になるようにその内容を改善する。また、運用の改善をはかるとともに、綿製品の関税につきましても相当程度引き下げるということで大体の話がまとまりまして、今後細目の交渉に入るわけでございまするので、私は今後日本の綿製品はアメリカに相当その輸出の増加が期待できるというふうに考えております。
#42
○瓜生清君 私、なぜそういうことをお聞きするかといいますと、実は昭和三十九年にいまの富士銀行の頭取をしておる岩佐さんと私は、訪米ミッションですねについて渡米したことがあるのです。そのとき、いまなくなられましたけれども、貿易関税一般協定のアメリカの代表であるハーターさんにお目にかかって、この関税問題で討論したことがあるのです。そのときに、アメリカは確かに日本の品物をたくさん買っております。ところが、いわゆる自由貿易を唱えておるアメリカ自体が輸入制限をやったり、保護貿易主義というものをとっておるわけですね。特に中西部はその傾向が強いと思うのです。で、アメリカの考え方というのは、まあことばは悪いけれども、これだけ日本から買ってやっておるのだからそういうようなことをやったっていいじゃないかと、こういう何といいますか、いばっているといってはおかしいけれども、恩着せがましい態度なんです。そういう中で日本の貿易のあり方というものを見ておりますと、これは私は外交交渉がまずいというか、弱いと思うけれども、結局相手方に多数のものを輸出しておる、その市場というものを失っちゃいけない。これは当然のことだと思うのですが、その強い配慮のあまり、この関税その他の問題について非常に譲歩しているのじゃないか、あるいはまた、アメリカの保護貿易主義に対してこれを徹底的に批判する勇気に欠けているのじゃないか、こういう感じを強く持っておるわけです。したがって、ケネディ・ラウンドの交渉妥結にあたって、これからいろいろこまかい問題についてお話し合いをなさると思いますが、やはり私は日米間のそういう問題については、外務省、通産省、大蔵省を問わず、もっと積極的な姿勢で交渉に当たるべきじゃないか、こういうふうに考えているわけです。その点に対する態度をひとつお聞かせいただきたい。
#43
○政府委員(谷川宏君) ただいまの御意見、全く私どもも同感でございまして、また、今回の交渉にあたりまして現地に参りました代表団も一致結束いたしまして、ただいま御指摘になりましたような従来の御批判を十分に反省いたしまして、日本の自主的な立場を堅持するとともに、相手の国、すなわち日本は輸出立国でございまするから、相手の国の関税を相当引き下げてもらわないと困るわけでございます。関税のみならず、関税以外のいろいろな問題の解決をやってもらわないと困るということで、相当強く強硬な方針を打ち出しまして、まだ細目の品目について全部きまったわけでございませんので、五月三十一日に最終のリストをガット事務局に出す手はずになっておりまするが、アメリカに対しましても、EECに対しましても、日本が譲許、すなわち関税の引き下げを認めた品目の基準年次の貿易の量と、それからアメリカあるいはEECから獲得いたしましたそれぞれの国の日本の輸入品に対する関税の引き下げを行なった品目の貿易量を比較いたしますると、日本のほうが若干有利な結果になるようになっています。いずれ、これは細目がきまりましたならば、公表されることになろうかと思います。
 ただ、いま御指摘のように、アメリカにおきましても、輸入制限はしておりませんけれども、相手の国に、たとえば綿製品の長期取りきめでありまするとか、自主規制でありまするとか、そういうことを求めております。これは輸出国としてははなはだ困るわけでありまするが、そういうことを強く要求いたしますると、先方は日本に対しまして、日本だってまだ完全に貿易の自由化をやっていないじゃないかと。まだ相当数の非自由化品目があるじゃないかと。これは日本のハードコア品目であって、絶対これはいまの中小企業でありますとか、また国際競争力の点からいって、まだ自由化できないということを強く主張して抗弁しておりまするけれども、アメリカの国の立場に立って考えた場合には、やはり日本も今後貿易の自由化、すなわち非自由化品目につきまして、国内の産業体制との関連を考えながら相手の国の関税の引き下げを求めるとともに、また関税以外のいろいろな障害の撤去を求めると同時に、わが国といたしましてもできるだけ国内産業の体制を整備して、わがほうの関税もある程度引き下げ、また関税以外のいろいろな障壁を廃止するという方向で、わが国のほうでも努力いたしませんと、今後なかなかむずかしい状況になろうかと思います。
 いずれにしましても、今回の交渉に際しましては、日本は外国に対しまして従来いろいろ抗議がございましたけれども、わが国の利益を、国全体の利益を増大させるという方向で国別にがんばり、また多国間の交渉におきましてもそういう態度で交渉した結果、ある程度まあまあというところで交渉が妥結したと、かように信じております。
#44
○瓜生清君 大体わかりましたが、いま御答弁のありましたように、そういう姿勢で私は今後交渉に当たってもらいたいと思います。といいますことは、くどいようですけれども、一例を繊維製品であげれば、綿製品の場合はガットでいわゆる二国間協定というものによってアメリカ自体が実質上の輸入制限をしている。そうでないものは自由経済のリーダーでありながら、アメリカ自体がそういうものがない場合には関税というものを高くして実質上の輸入制限と同じような政策をとっておるわけです。日本のほうはそれこそ甘くて、いま後進国から追い上げられているそういうものについてはフリーであって、日本の国内産業が痛めつけられているのに、それに対する障壁のようなものはない。アメリカのごとき強大な国から言われると、私はそうじゃないと思うけれども、何か知らぬけれども、へっぴり腰で交渉をやっているようなふうに受け取られるわけでして、その点を政府に私は要望して、そういうようなことを繰り返さないようにひとつ折衝に当たってもらいたいと思うのです。
 そこで、最後の質問ですが、これで終わりますけれども、主税局長に具体的な問題を三つ申し上げますから、時間がないから一括お答え願いたい。
 一つは、配偶者控除のように、学校に行っている何といいますか、教育費控除といいますか、この問題が税制調査会その他でたびたび取り上げられておるのです。そういうような大学、高校に行っている子供に対する教育費というものはばかにならないと思う。そういうものを今後設けてもらいたいというように私は考えるのですが、それに対する見解。
 それから、第二点は、いわゆる勤労学生がおりますね、定時制高校その他そういうような人たちが。言うならば働きながら学校へ通っているというような人たちに対して、何らかの税法上の特例的な処置というものをやる、そういうお考え方があるのかないのか。
 以上二点。あと一つありますが、お答えが終わってから質問します。
#45
○政府委員(塩崎潤君) 特別な控除を所得税法上講じたらどうかという御質問で、二つ申されたわけであります。第一は教育費控除、第二は勤労学生控除だと思います。
 まず最初の教育費控除は、御指摘のように非常に要望の強いところでございますし、私も所得税に残された最後の控除項目ではないか、かように考えております。さらにまた、その控除の理由は、単に父兄の生計費に非常に関連するという理論、理屈だけじゃなくして、いわば教育に投資いたしましたその投資の回収――資産に投資いたしますと減価償却でその投資額が回収できますが、教育に結びつきまして収入があがる、それはひとつ教育の効果であるから、その分は減価償却と同じく資本の回収部分と考えるべきであるという理論も一つあるわけでございます。しかしながら、わが国ではなぜこれが設けられていないか、さらにまた世界各国でも理論的には唱えられながら採用されておらないのも、言うまでもなく、一般の課税最低限との関連だろうと思うわけでございます。七十四万よりももう少し、百万円くらいまで早く近づけてはどうか、さらにまた扶養控除を一人当たり七万円というようなことで、教育費を含めて生計費が十分まかなえるかどうかというようなお話、こんなような議論が強いさなかで、特定の高校、大学生にかかる教育費を控除するということの問題でございます。減税額といたしまして私ども一応の仮定を置きまして計算いたしますと、約二百五十億円ばかり要ると思います。これはもう先生御指摘のように、義務教育費は当然だれでもかかる費用でございますから、普通の七十四万円の生計費の中に入っていって優先的に考えているものだと思いますが、高校、大学となりますと、一つの義務教育を離れた特別の教育でございますので、これだけ取り出して見ますというと、二百五十億円も要る状況でございます。したがいまして、ほかの一般の課税最低限を引き上げることがいいかどうか、それとの優先順位はどうか、そんなような問題とひとつあわして検討すべき問題だと思います。しかし、一番要望の強い、私ども理論的にもまた成り立ち得る最後の教育費は特別控除ではないか、かように考えております。
 第二の勤労学生控除の問題でございます。現在所得年二十五万円という限度がございまするけれども、勤労学生控除の制度がございまして、現行法では六千円税額控除でございますが、これを所得控除にいたしまして――一番費用がかかるというような考え方から所得控除にしたほうがわかりがいいという趣旨から所得控除に改めまして、今回七万円の特別控除にいたしてございます。なお、これにつきましても非常に要望が多うございまして、そんなような要望にこたえる意味におきまして、昨年度からは各種学校の学生にも勤労学生控除を認めるように措置いたしてございます。
#46
○瓜生清君 終わります。
#47
○須藤五郎君 本日当大蔵委員会に提案されております租税四法につきましては、五月十六日の当委員会で大臣に対しましてかなりの質問をいたしましたし、他の委員諸君も相当御質問をなされましたので、まだ重要な問題点が残っていると思いますが、きょうは時間の都合もあり、こまかい質疑はいたさないことにいたします。ただ、五月十六日、当委員会で私の質問に対しまして、大臣は間接税の比率を上げると、こう言われました。この発言はかなり世間の注意を引いたようであります。さらに翌日の五月十七日、衆議院の大蔵委員会におきまして、大臣は売り上げ税の構想と法人税斜陽論を初めて明らかにされました。売り上げ税は日本の中小工業者、一般消費者にとりましてはたいへんな問題です。わが党もこれを重大視しておるわけです。したがって、私は大臣に対しまして、まず売り上げ税について質問をいたしたいと思います。
 大臣も御承知のように、売り上げ税は大衆課税です。松隈さんはその著書の中でこう述べております。「売り上げ税が問題とされるということは、それが流通課税の整備という作用のほかに、きわめて低い税率で巨額の税収を上げることができる上に、弾力性に富むという長所が感ぜられたからである。財政収入調達の手段として大きな魅力を持つものであったからである。しかし反面においては転嫁関係が不明確であり、かつ取引段階の負担が最終段階になだれ式に累積して物価に悪影響を及ぼすといった欠点もあり、これらに対する懸念が売り上げ税実施への踏み切りをためらわせていたものと考えられる。」、こういうふうに松隈さんは言っております。しかるに、大臣は売り上げ税を考えねばならぬと、こう言っておられるんです。
 そこで、まず第一は、売り上げ税が日本経済発展のためになるというならば、大臣の御意見を伺いたいと思います。第二は、売り上げ税が日本国民のためになるとおっしゃるならば、その点を実証していただきたいと思うんです。
#48
○国務大臣(水田三喜男君) これもしばしばもう申し上げましたとおり、売り上げ税をどうこうすると言ったわけではございませんで、税制調査会でもいろいろ議論があり、昨年の答申でもその創設についてはそれを見送るということになって、一応税制調査会の結論はついている問題であることは承知しておりますが、将来においてこれを再検討するということもときによっては必要じゃないか、一つの課題であるということを言っただけでございまして、いま売り上げ税を急に創設しようとかなんとかということを提言したものではございません。
#49
○須藤五郎君 あなた、この衆議院の、いま申しました五月十七日の答弁の中で、「やはり売り上げ税といいますか、そういうような税源というものが、現に外国においても、これは斜陽税ではなくて相当成長税となっているものでございますので、そういう新しい成長税源の開発ということも私どもは考えなければならぬじゃないかというふうに私は考えております。」と、こう述べておられます。もうすでにあなたの腹の中には、将来売り上げ税を開発しなきゃならぬ、こういう考えがあなたの腹の中にあるのです。ところが、それが世間から反撃を食うだろうということを察知されて、その次の段階で、「まだ現実にどうするという具体案を持っておるものではございません。」と、一たん出したものをすぐここで引っ込めておる。これは世間が反対をするからだ、こういうことを考えられてあなたはやられたものです。どうです。
#50
○国務大臣(水田三喜男君) そうではございません。たとえばと言って述べておるのですが、問題は、私は、やはり公債発行ということを踏み切った以上、この公債の将来の償還の財源というようなものについての研究を私どもはやはりいまからしなければならぬ。従来の税制の研究では、公債発行とからんだ、その角度からの研究というものは別に特別にされていなかったということを考えますというと、将来成長する税、成長財源というようなものの開発もやはり研究する課題である。たとえばということを言ったんで、これによらなくても付加価値税とかいろいろ考え方もございましょうし、いずれにしましても、他の税金というものは私は将来そう期待できない財源であると。やはり国民の経済がよくなって国民の所得がどんどんふえて、そして国民の消費がいまよりももっと高い水準になっていく、国民生活水準が上がるということを考えますというと、成長財源というものは、ふえていく国民所得、国民消費の中に隠されているということも一応考えられるので、こういう点について将来長い目の研究をすることは必要であろうということを言っただけでございまして、この売り上げ税を近いうちに実施するように考えたいとかどうとかいう提言をしたわけではございません。
#51
○須藤五郎君 しかし、この速記録から受ける印象は、あなたがすでにそういう考えを腹の中に固めておりつつある、固めておるというふうに、この速記録を読んだ印象では受け取れるんですよ。ところが、あとですぐ取り消しておるということは、これに対して大きな反撃が来るだろうということを予測されて、これはまずいことを言ったから取り消すのだ、こういうふうに私は受け取りましたよ。また、ほかの人もそういうふうに受け取っておるわけです。
 じゃ、ここで売り上げ税を絶対やらないというようなことは言えないでしょう。将来そういうことを考えておるのだということ、あなたはやっぱりそういう腹づもりでおるということなんだ。それほどけっこうなものなら、私は即刻やったらいいと思うのですよ。遠慮しないで、ちゅうちょしないで。水田大蔵大臣ともあろう人がそれほど確信をもって、それはけっこうな税だと考えておるなら、何もおそれなくて実行してみたらどうですか。私は、あなたがああいうことをおっしゃったのは、実際はそうじゃないと思うのです。
 わが国では国民の反対でこの売り上げ税が葬り去られた歴史が三つあるのですよ。第一は、昭和十二年の馬場税制改革草案におきまして、国民の反対と政局によりまして、国会に提案される以前にこの馬場さんの売り上げ税案は葬り去られてしまったんです。第二は、昭和二十三年の取引高税が、国民各層の反対が強くて、わずか一年四カ月でこれが廃止されたという歴史もあるのです。第三は、昭和二十五年シャウプ勧告に基づきまして付加価値税がつくられようとしましたが、これも毎年実施に至らず、二十九年これも廃止されてしまいました。外国でも、売り上げ税は第一次、第二次大戦の戦費調達のために設けられたものだと私は聞いております。
 昭和四十年八月三十一日財政金融統計月報百六十六号には、こう述べておるのです。「売上税は、両次の世界大戦の戦費調達とか、戦後の混乱期における財政窮迫の打開とか、いわば異常な財政的経済背景の下に創設されたといえよう。危機の時代は裏口から忍びこみ、臨時措置であるという弁解まじりに正当化された税だといわれる所以である。」と、こうこれには書いてあるわけです。インフレ時には、所得税はその機能を失ってしまうといわれております。そのかわりに、あるいは戦費調達などの財政需要の膨張の結果、悪いと知りながらつくられたものであると言わなければなりません。その証拠に、ドイツではこの売り上げ税ができましたのは、第一次大戦中の一九一六年です。フランスでは一九一七年、第一次大戦の直後につくられたのです。売り上げ税というのはこんなものなんですね。
 あなたが売り上げ税を採用しようというのは、かかる事態を予測しておることではないでしょうか。すなわち、かかる事態とは、将来悪性インフレが起こったり、恐慌が起こったり、戦争が起こったりするときには、これをやらなければならぬ、こういうふうにあなたの腹の中に考えがあるのではないか。衆議院大蔵委員会で、売り上げ税の開発ということも私どもは考えねばならぬと、こう答えておりながら、国民の反対をおそれまして、先ほど申しましたように、まだ現実にどうするという具体案を持っているものではございません、こう引っ込めておる。人民の反対がこわいのです。だから、そういうことを言わざるを得なかったのじゃないでしょうか。国民のためだ、正しいものだというならば、なぜ即刻やろうとしないのか。実際は、やろうと思ってもできないのではないでしょうか、大臣。
 そもそも、売り上げ税が悪税だといわれるのは、メーカー段階、卸段階、小売り段階などに課税されまして、ついには消費者に転嫁されるからであります。転嫁できない場合は小売り業者、問屋が負担させられ、独占資本といわれる大企業は絶対に負担にならない。これが売り上げ税の正体だと思うのです。売り上げ税は、生活保護を受けている人も、失業対策で働いているおばさんにもおじさんにも、全部かかってくる税なんです。低所得者ほど重くかかってくる税、これが売り上げ税だと考えます。
 あなた方は、税率はきわめて低い、わずか二%にすぎない、だから軽いと言われるかもしれませんが、資本家団体やあなた方自民党などで計画されているとうわさされておりますところのものは、流通の全段階に課税しようということではないでしょうか。流通の段階は業種によって違いますが、最低四段階から最高は八段階、九段階になるわけです。
 繊維産業の場合を例にとってみまするならば、第一段階が輸入商社から製造会社へ入ってくる、第二段階が糸製造会社から織物メーカーへ、第三段階は織物メーカーから総合商社、産地問屋へ、第四段階は総合商社、産地問屋から一次問屋へ、第五段階は一次問屋から二次問屋へ、第六段階は二次問屋から小売り商へ、第七段階は小売り商から消費者へ、こういうふうに七段階を経てくるわけです。
 ガソリン税に至りましては、自動車用ガソリンは一キロリットル当たり五万円から五万三千円となっておりますが、自動車会社が石油会社から買うのは――これはいまのは自家用のガソリンでありますが、自動車会社が石油会社から買うのはキロリットル当たり四万三千円から四万五千円であります。このうちガソリン税は幾らになりますかというと、五四%から六四%になる。だから、私たちがタクシーに乗って、二キロで百円払う。その百円のうちガソリン代が約十五円、その約六〇%が税金だ、こういうことになっております。
 売り上げ税が二%なら、四段階では八%、八段階では一六%、こういうふうに一つの商品につきまして最低八%から最高二八%を負担させられる。生活するためには繊維だけ買っているのではない。ほかにたくさんの品物もわれわれは買わなければなりません。それらの品物に全部八%から一六%の税金がかかる。累積すれば実に膨大なものになると思うのです。一体どのくらい負担させられるのか。通産省の商業販売金額、卸売り、小売り、百貨店の統計では、三十九年度約四十七兆円、四十一年度は六十兆円の金額になるだろうと、こういうふうにいわれております。これに単純に売り上げ税率二%をかけてごらんなさい、一兆二千億という税収になるわけです。政府は、売り上げ税をつくることによりまして簡単に税収がふえると喜ぶかもしれませんが、これを負担しなければならない消費者、特に低所得者の国民大衆はたまったものではないと私は考えます。そんなことを国民は黙って見ておりませんよ、大臣。だから、あなたがもしそういう考えを持っているとするならば、それはたいへんなことだということを、私は実は警告をしておきたいと思うのです。
 続きまして法人税に移りますが、あなたはこの間、当委員会におきまして、田中委員の質問に答えまして、法人税は期待できない、こういうふうにおっしゃいました。なぜ法人税が期待できないのか、法人税がなぜ斜陽税なのか、そこを説明していただきたいと思います。
#52
○国務大臣(水田三喜男君) まあ法人税が利潤に対する課税であるという限りにおいては、将来において法人税がどうなるであろうかということは、企業の利潤というものがどういうふうに変化していくかということを考えますと、利潤にかける税というものは、率直にいって斜陽的な性格を当然持ってくるであろうというふうに私は考えます。
#53
○須藤五郎君 大臣が衆議院で、その点ももっと詳しくお答えになっているんですがね、それを私は拝見しておりますと、一体、この法人税を斜陽税にしているのはだれかということなんです。これは私は政府自身だと思うのです。人為的に法人税を斜陽税にしているのは、いまの自民党政府だと言わなければならないと思うのです。税金は利益にかけるわけでしょう。これがたてまえだと思うのです。だから、独占に対しましては、利益があっても、租税特別措置法とかいろいろの口実を設けまして、税金をまけてやっている。税金を取ろうとしない。税金を取らないことにしてやっているのです。そうして一昨年、この租税特別措置法並びに他の免税、非課税で一兆三千億余りの減税が、独占に対しては、大企業に対してはなされているのです。何でこの税金を取らないのか。これを取れば、法人税は斜陽税だなんていうことはできないと思うのです。おかしいじゃないですか、こういうことは。政府みずからが、法人税が斜陽税になるようなやり方をしている。取れる税金を取らないでおって、法人税は斜陽税だ斜陽税だと。そうして法人税の斜陽税をたてにとって将来売り上げ税をつくらなければならぬというような考えをあなたが持たれるということは、これはとても許すことができないものだ。
 独占はね、ずいぶんもうけておりますよ。この間も私は一例をことしの製鉄会社にとったんですが、ことしの三月決算によりますとね、八幡製鉄は計上利益が七十億円です。減価償却百八十四億、特別償却四十六億、こんなばかげたもうけを製鉄会社がやっているのです。大手五社合計いたしますと、計上利益が二百三十七億、減価償却六百七十億ですよ。特別償却は二百五十億ですよ。こんなばかげたことを許しておいて、それで法人税は斜陽だ斜陽だといって、あくまでも独占を太らしている。こういう政策をとっておる、これが自民党の政治じゃないですか。何でこういう独占から税金を取らないですか。取るべき税金を取らないで、斜陽だ斜陽だといって売り上げ税を創設し、大衆を収奪しようとする。こんなことは許さるべきものではないと思いますよ、大臣。
 あなたは、福祉国家への阻害税だと衆議院の大蔵委員会で言っております。「私は、法人税というものは、将来福祉国家への阻害税になりはしないかということを実際は考えるので、国民に散らすものを散らしておいて、国民の所得の中から税金を取るという方向もございますし、」と、こう答えておる。福祉国家への阻害税だと、こうあなたは言っておるが、それは単なることばのあやでありまして、独占にとっては確かに阻害税と言えるかもわかりません。そんなことを大臣がおっしゃるならばね、消費税、間接税、所得税、事業税、すべては、われわれ人民の側からいいますならば、これらの税も全部、われわれの側からいうならばこれは阻害税なんです。そういうことになりますよ。これを一体あなたはどうしようとするのですか。
 このわれわれの立場をほうっておいて、一方で売り上げ税を創設し、一方では独占に対する法人税を有名無実のものにしょうと、こういうふうにしようとしておる。大臣はよく、国の宝は資本家だと、国の宝を生むものは資本家であると、こういうふうに言っていらっしゃいますが、国の宝はこれは労働者であって、決して資本家ではないのです。国の宝労働者を縛り上げておいて、大衆福祉を保障する国家など、そんな大きなことが、大臣、言えると思いますか。資本の自由化に備えて国際競争力を強めなければならぬ、こうあなたはおっしゃるかもわかりませんが、それならば、人民の犠牲による資本の自由化などはやめてしまったほうがよいと思います。やめるべきだと思うのです。あなた方は人民の犠牲によって独占専制の国家をつくろうと、こういうふうに考えておる、こう言われてもしかたがないと思います。
 次に、時間がありませんから、租税の景気調整機能につきまして……。
 答弁しますか。
#54
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところですね、答弁します。
 だいぶこちらの考えておるのとは違うことを一人で述べられたような感じがいたしますが、私は、税理論において、いまあなたの考えておるほうが古いと思いますよ。たとえば、大きい企業をしておって何千億という所得のあった会社が、赤字であったら一円も税は出さなくてもいい、小さいところでは、営々として冗費を省いてほんとうに能率をあげてわずかに黒字を出しても、これは税金を払う、このたてまえが合理的であるかどうか。結局、利潤に課税するということがこれからの近代的な税制であるのか。これは相当福祉国家の建設というような面を阻害する税制であるかどうか。利益にかけられるということになったら、正当な労賃の分配というものも、それによってなかなかしないそれが原因になるでしょうし……。いろいろな問題がありましたら、共産党なんかが率先して、利益に税をかけるなんて古い税制をやめたらどうだという考えが私は出そうなものだと思うのですが、そうでないで……。それはちょっとまたここで短時間に議論すべき問題ではございませんので、ゆっくり私はその議論はやりたいと思います。
 私はちょうど、昭和二十五年でしたか、シャウプさんが来られたときに大蔵省の政務次官をやっておりました。あのとき付加価値税についてシャウプさんに反対して、しまいまでみな抵抗したのですが、ああいう形になって、実施はしませんでしたが、当時研究が私どもいま考えて足らなかったような気がいたします。というのは、敗戦後の日本の経済の中へああいうものがすぐ取り入れられるかどうか。条件の未成熟という点ははっきりあったと思いますが、しかし、この付加価値税というようなものが将来日本の税制において一ぺんも考えられないでいいか、あるいは再検討される時期が来るかどうかというようなことも、まだこれは予測はできないので、これもやはり私は一つの将来の課題であるというふうに考えていまして、そういう課題を幾つかこの間述べたということで、いますぐ付加価値税を日本にどうとか、売り上げ税をやるとかということを言ったわけではございませんが、経済がどんどん変わっていくときに、長い将来を見通して、新しい税制の開発というようなものをやはり私は考えていく必要があるだろう、これを述べただけで、さっきあなたはもうずいぶん研究されているように、何段階にどういう課税をするというふうなお話までございましたが、まだ私どもはそこまでは考えておりません。
#55
○須藤五郎君 私がいま言ったのはね、税というものは利益にかけるものがこれが本質だ、本筋だと、こう言っているのですよ。私たち、事実そういう税を取られているじゃないですか。私たち人民労働者が得た利益を資本家に一ぺんしぼられて、そしてまた国家権力によって税金という形でそのもうけた金をしぼり上げられる。そして苦しい苦しい生活をしておる。ところが、独占資本はですね、あなたのおっしゃるように、もうけたものに税をかけない。もうけた人に追い銭をやるような形で、減税措置をどんどんやっているのですよ。一昨年の減税ですが、私らの計算ですと一兆数千億ですよ。かりに一兆としましょう。一兆という金額はたいへんな金額ですよ。私はこの間計算してみましたよ。毎月十万円われわれが会社から金をもらって帰ってくる。飲まず食わずで十万円たんすの中にしまい込むのですよ。何年たったら一兆円になると思いますか。八十三万年かかるのですよ。八十三万年ですよ。はるかはるか向こうですよ。われわれ人間の歴史の始まる前から、それから毎月十万円ずつたんすの中にしまい込んでやっと今日一兆円になるのです。そういう膨大な金を、これを独占資本にはただでやる。税金まけてやる。こんな政治をしているのはけしからぬ。何でこういう人たちからは税金を取らないか。われわれからばかり巻き上げて、何んで取らないか。税金というものは利益のあるところから取ったらいいじゃないですか。あなたの言うのはへ理屈ですよ。
 まあきょうはあんまり理屈を言い合っている時間がありませんから、私はその点についての議論はこれでやめますがね、私たちの言うことももっとすなおに受け取って……。今日日本の労働者はどんな立場に立っておるか。そしてあなたは、独占に金をくれてやるのは福祉国家をつくる。――冗談じゃありませんよ。そんなことをしておって福祉国家ができるものではない。働く労働者に十分に給料を出して文化的でりっぱな明るい生活のできるような政治、これをやらなかったら、どうして福祉国家なんて言えますか。独占に金をくれてやって福祉国家をつくるなんて、全く私はふざけた言い方だと思うのです。
 次に、租税の景気調整機能についてひとつ伺っておきたいと思うのです。租税特別措置法の六十六条の五、「延納に係る利子税の特例」、これは憲法違反ではないだろうか。私は憲法違反だと思うのです。憲法八十四条の租税法定主義に反するのではないか。この点の大臣の所見を伺いたいと思います。
#56
○説明員(結城義人君) 租税法定主義でございますが、これは税率、課税標準、義務者といった基本的な点において法律の規定を要するということでございまして、手続関係ないしは利子税等につきまして、法律の委任によって政令に委任するというようなことは憲法違反ではない、かように考えております。
#57
○須藤五郎君 私は、憲法違反だ。なぜ違反しないのかという点を、もう一ぺん重ねて聞きたいと思うのですが、この条文は、延納利子税を日歩二銭から日歩三銭五厘の範囲内でまとめて課税する権限を政府に与えてくれ、こういうことなんでしょう。まとめて課税する権限をくださいとは一体どういうことなんですか。そんな課税の対象はありますか。税金というものはちゃんと税率がきまっておるのですよ、所得税でもなんでも。それを日歩二銭から日歩三銭五厘までのこの幅を一つもきめないで、全部政府にまかしてもらいたい、これがこの法案の精神なんでしょう。いままでの税法では、上限下限の範囲内でまとめて課税するというような権限を政府に与えた法律はただの一つもないのです。明らかに租税法定主義に反するものだと私は考えておりますが、大蔵大臣、ひとつ御意見を……。
#58
○国務大臣(水田三喜男君) 政府に広範な裁量の余地を与えられたものがありましたら問題でしょうが、この場合はそうでございませんで、一定の要件を満たした場合にそうするということで、政府はいわば要件が満たされたかどうかを確認するだけの立場ということでございまして、実質的に政府の裁量の余地はないというようなことからしまして、租税法定主義にそむくというような性質のものでは全然ないと思います。
#59
○須藤五郎君 こうなってきますと、法制局の方を呼んで、法制局の立場でこれらが憲法に違反しないかどうかということを明らかにしなければならぬと思うのですよ。私たちは、これは明らかに憲法違反だと思うのですよ。租税法定主義でちゃんと税率というものはさまっているわけですよ。これは日歩二銭から三銭五厘。きまっていないじゃないですか。上と下を区別しただけで、その中間も何もきめないで、そうしてこういうものを国会に出してきて、国会にのめ、政府にこういう権限を与えろ、こういうことは憲法違反だ。租税法定主義の精神に反する。明らかにこれは私は憲法違反だと思うのですよ。もしもここに法制局の方がいらっしゃったら、法制局の方の意見を聞いてみたいと思います。来ていませんか、きょうは。
#60
○委員長(竹中恒夫君) 見えておりません。
#61
○須藤五郎君 それじゃ、後日この問題は……。私は憲法違反だと思いますよ、こういうやり方は。あなたは違反じゃないというなら、もう一ぺん明らかに理由を述べてもらっておいて、そして後日法制局長を呼んできて、そうして法制局の意見も確かめようじゃないですか。私たちは、これは違憲だ。こんな税のかけ方はないですよ。たとえば、所得税だって全部税率がきまっておるんじゃないですか。税率をきめないでこれだけの幅を持たして、これは全部国会で承認して、そして政府が自由にやらせるようにしてくれ。これは明らかに租税法定主義に反するものですよ。時間がありませんので、これは後日に留保いたします。
#62
○国務大臣(水田三喜男君) 法定主義の求める基本的な問題に触れた問題でない限りは、別に租税法定主義と衝突するものではございませんし、いまの場合はそれ以外の問題において、たとえば公定歩合が上がった、どれだけ上がったときにどういうふうに金利を増すかというような、ほとんど、別に政府がかってに裁量の余地を持ったものではございません。一定の要件が満たされたらこういうふうになるというものが詳しくきめられた上での措置でございますので、私は全然、政府がかってに広範な権限を持ってどうこうという問題ではないので、どこにも問題はないと思います。
#63
○須藤五郎君 それはこういう法案を通してほしいという政府の立場からそういうことを言うのでしょう、しかし、それは政府の一方的な御都合主義ですよ。やはり租税法定主義を厳密に守っていく精神があるならば、こういうことはできないはずです。あくまでも私たちはこれは租税法定主義の精神に反する、そういうふうに考えますよ。これは後日にもう一ぺんひとつやり合いましょう。
 次に、政府は租税特別措置法に新しく一節を設けまして、第七節の二、「景気調整のための課税の特例」という節をつくりました。今後、政府は租税の景気調整のための条文を拡大し追加していくおつもりであるかどうか、そういう点をお聞きいたします。
#64
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところはございません。
#65
○須藤五郎君 将来はどうですか。
#66
○国務大臣(水田三喜男君) 将来も……。いま考えておりますのは、たとえば政府の政策が一方で引き締めをする、そうして設備投資を押えるという政策をとっているときに、税制のほうではそれに対応した措置がとられていない、そこに矛盾があるということを、やはり政府の政策において税制も自動的にそこが変更されることが好ましいということからできた特別措置でございまして、そのほかに税をもって、それからもっと広範にしようというような考えはいま持っておりませんので、今後もこの程度にし、これ以上拡大しようとは思っておりません。
#67
○須藤五郎君 じゃ、当面は拡大しない、将来もそういうことはしない、こういうふうにはっきり理解していいんですか。
#68
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところはそう考えております。
#69
○須藤五郎君 いまのところというから、それじゃ将来はどうなんですか、また将来そういうことをやり出すんじゃないかということを私は質問しているんです。だから、現在こうやったけれども、将来はこういうことは絶対しませんというふうにはっきり確約できるのですか、どうですか。
#70
○国務大臣(水田三喜男君) いまの税制では、せいぜいこの程度以外のことは考えられないと思います。
#71
○須藤五郎君 あなたはいまでは景気調整というようなことを言っていらっしゃいますが、究極のねらいはそこにあるのではなく、全く別のところに考えがあるのではないか、こう私たちは考えておるんです。現に、あなた方が手本としておるところのアメリカ、イギリス、フランスなどで、売り上げ税などの間接税や所得税の税率を政府の権限で上げ下げし、消費抑制という名目で人民の生活を抑圧しておるんですよ。その上にイギリスとフランスでは、こうして公共企業体の労働者の賃金を政府の権限でストップして、凍結しておる。これがあなた方のお手本である欧米の実態なんです。この点は大蔵大臣も御承知の点だ。あなた方のほんとうのねらいはそこにあるのではないですか。現に売り上げ税や賃金ストップをもくろむ所得政策とあなた方はすでに口に出して言っておるではないですか。日経連や経団連と一緒になって、日本の労働者の賃金をストップしなければならぬというようなことを言っていらっしゃるんじゃないですか。あなた方がこのような政策をあくまでもやろうと思われるのなら、フランスではすべての経済政策に関する権限の政府委譲に反対をいたしまして、先ほど、フランスの労働者千二百万人以上がゼネストを打ちましたように、日本でも労働者はじめ全人民は、売り上げ税の創設とか人民の生活と権利抑圧の政策に対しましては黙っておりません。必ず、そういうことをされるならば、労働者人民は立ち上がって戦うであろうということをあなたに私は警告して、私の質問を終わりといたします。
#72
○委員長(竹中恒夫君) これにて休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#73
○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、印紙税法案、以上五案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#74
○野上元君 質問に入ります前に大臣の都合を聞いておきたいのですが、大臣は二時から衆議院の本会議に出られるのですか。
#75
○国務大臣(水田三喜男君) 二時から出席要求が出ております。
#76
○野上元君 そうすると、十分間しかないので、あまり聞けないと思いますので、できるだけかいつまんで質問をしたいと思います。
 まず最初に、税制調査会が本年答申を出しておりますが、四つの問題について答申が出ております。つまり、この基本的な考え方といいますか、調査会に流れておる思想というものは、長期税制のあり方についての中間答申、この中におおむね明らかにされておると思います。したがいまして、この長期税制のあり方についての税制調査会の考え方、あるいは思想というものについて政府当局はどのように考えられておるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
#77
○国務大臣(水田三喜男君) いままでもそうでございましたが、税制調査会一の答申に対して、大体その線に沿っていままで全部施策をしてまいりました。今後も大体その線に沿っていきたいと思っております。
#78
○野上元君 ただいま大臣から御答弁がありましたが、大体の線に沿って尊重していこう、こういうお答えでございまするが、この税制調査会の考え方の中に、どうしても大蔵当局としては、あるいは政府としては納得のできない、反対であるというような個所はございますか。
#79
○国務大臣(水田三喜男君) いままでのところ、政府としてどうしても納得できないというものはございませんでした。ただ、御承知のように、租税の特別措置について毎回税制調査会のいろいろな御意見がございましたが、従来これは政府側において取り上げなかった。今回私どもはこの答申の線も取り上げて解決に乗り出すということでございます。従来からそのほかには特に政府は反対するというものはございません。
#80
○野上元君 大蔵大臣は同僚委員の質問に答えまして、たとえば間接税の比重の引き上げというようなことを将来やりたい、このように考えておられる二とを答弁されたのでありまするが、この税制調査会の二二ページに出てまいっておりますが、昭和四十一年度予算ベースとしても、国税収入総額の約四二%は間接税、こういうことになっておるようでありまするが、この四二%という比重というものは大蔵大臣としてはさらに上げていかなければならぬ、このように考えられておるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#81
○国務大臣(水田三喜男君) 税制調査会ではその比重を何%、何%にしろということは言っておりません。いまの程度は維持することが望ましいという大体意向のようでございますから、もしそうであるとしますというと、これをほうっておけば、従量税にしろ、従価税にしましても、ほうっておけば比重というものは年々下がっていく、こういうことになりますので、途中でこれを見直して、そうして訂正していくという努力をしないというと、間接税の比重というものは下がるということになりますので、今回やりました印紙税とかあるいは登録税というような見直しをときどきやるということでないと、この比重は保てないというふうに考えております。
#82
○野上元君 税制調査会は、ここでもはっきりさせておりますように、個別消費税を中心に間接税等は直接税の補完税としてその存在を認めておる、こういうふうにはっきりと言い切っておるわけです。この補完税であるという考え方に立つと、四二%というのでもすでに高いのではないかというふうに考えますが、その点は大蔵当局としてはどのようにお考えになっておりますか。
#83
○政府委員(塩崎潤君) ただいま数字の御指摘ございましたので、私から補足させていただきますが、先ほど大臣が御発言されましたように、所得税の累進効果あるいは法人利益の増大等によりまして直接税のウエートはまあほうっておけば高まりつつあるところでございまして、税制調査会は四二%と言っておりましたが、今年度はこれを減税後で見ましても間接税はさらに低下いたしまして、四〇・七%が間接税の割合でございまして、直接税は五九・三%、前年は間接税は四一・二%でございますから、〇・五%下がり、直接税は五八・八%でございましたから、〇・五%上昇している、こんなような数字になっております。
#84
○野上元君 そのことはこの税制調査会の答申の中にはっきり出ておりますね。将来直接税が経済の発展に伴って飛躍的に増大してくるであろう。弾性値も高い。したがって、直接税のほうが飛躍的に増大し、間接税は比較的に減っていくだろう、こういうふうに見通しを持っておるわけですが、そのとおりに、いまあなたが言われたように出てきておりますね。これは大蔵大臣としては答弁の中で、間接税はもっと引き上げたいのだ、こういうふうに答弁されておるので、それではちょっと現実の姿とあなた方がやっておられる政策と、行政施策と大臣の考え方は逆行しつつあるのじゃないか、こう考えたので、ちょっと大臣の考え方を聞いたんですが、その点はどうですか。
#85
○国務大臣(水田三喜男君) これは午前中の御質問と関連することでございますが、提案というわけではございませんでしたが、将来の長期税制のあり方を考えるときに、将来、いまの税制以外に別個な税制、たとえばということで売り上げ税を申しましたが、そういうようなものを検討していく、再検討する必要が出てきやしないか、一つのそれは課題であろうということを申しました。そうしますというと、将来もしそういうものが検討されるということになると、間接税の比重は上がっていく可能性もございますし、この点は将来どうだという見通しを聞かれたときにそういうことを述べたわけでございまして、まだこれが具体的に、いまどういう税を将来取ってどうするということをきめておるわけではございませんので、ただあのとき将来の見通しとしてそういうことを申し述べただけでございます。
#86
○野上元君 大臣が将来の見通しを述べられたということ、気持ちはわかります。しかし、大臣がすでに今日そのような考え方を持っておるとするならば、少なくとも四十一年度の予算ベースにおいて間接税の占める率より、今年度、四十二年度の予算ベースにおける間接税の占める率は当然高くしなければならぬ。そういう努力をしなければいかぬはずでしょう。このまま放置しておれば、だんだん下がっていくという見通しを税制調査会も持っておるし、あなた方もそういう見通しを持っておるのに、あなたは上げたいのだが実際には何も手をつけておらない。結局下がっていっているのじゃないかということになると、あなたが上げたいと言われることは、単なる答弁なんですか、それともあなたの本心なんですか。その点はどういうふうにお考えなんですか。
#87
○国務大臣(水田三喜男君) まあ、努力のあらわれは、印紙登録税等にもあらわれておりますが、それよりも、何としても所得税の伸びのほうが非常に大きいということでございますので、比重という点からいいますというと、なかなか間接税が普通の形では直接税に比重を保って追いついていくということはできないのじゃないか。下がる傾向が強いと思います。
#88
○野上元君 いずれにいたしましても、直接税と間接税のバランスということを大臣は言われておると思います。したがって、そのバランスがくずれたときには、再びもとに返すというような努力をする必要がある、こういうふうに言っておられると思うんですが、しからば、いま大臣がお考えになりまして、あるいはまた大蔵当局が考えておる、直接税と間接税との比率がどの程度が最も好ましい姿であるか、どういう比率を実現するために努力をしておるのか、その点を聞かしてもらいたい。
#89
○国務大臣(水田三喜男君) これはどうも、一概にどの程度ということはむずかしいことと思います。
#90
○野上元君 その根本的な比率が、バランスというものが確立しておらなければ、その比率がくずれてきた、あるいはばらばらになってきた、だからもとへ戻すのだといっても、指標がないんですから、あなたは言うだけに終わるんじゃないですか。やはりその基準をどこかに早く求めなければならぬのではないですか。その点はあまり重要ではない、こういうようにお考えですか。
#91
○国務大臣(水田三喜男君) 間接税の比重が増すということは、これは国民所得との関係できめなければならぬと思います。将来国民所得が非常に多くなり、国民消費が非常に多くなって、生活水準が上がるというときには、この間接税の比重が若干上がるということも言えると思いますが、いまの国民の所得水準で間接税を上げるということにはいろいろ問題がございますし、したがって、やはり所得水準に応じて直接税と間接税の比重を適宜にはかっていくよりほかにしかたがないのじゃないかということを考えますと、いま何%になるのが理想かということは、簡単に言えないと思います。
#92
○野上元君 その点は私もわかります。わかりますが、あなたがそう言われるものだから、もう少し引き上げなければならぬと言うものだから、それなら何%ぐらいを目標に引き上げを計画しておるのかという質問をしたところが、現実には下がっておる。それであなたの言ったことは、ただ口で言っただけで施策の中には全然あらわれておらないのじゃないか、こういうことを実は心配したわけなんです。その点はその程度でとどめておきます。
 日本における税制のタイプを、いわゆる英米型にしょうとしておるのか、あるいは大陸型にしょうとしておるのか、その点はどういうふうにお考えですか。
#93
○政府委員(塩崎潤君) 大陸型の中でもドイツとフランス、イタリーじゃ違っております。ドイツのよく予算書なんかを見ますと、ドイツの直接税、間接税の割合は半分半分ぐらいで、この程度がドイツ人の心理状態に合致しているのだというような説明がございます。フランスやイタリーになりますと、間接税の割合が多い。アメリカのようになりますと、断然直接税の割合が多い。こういうことでございますが、これまでの趨勢から見、一般の納税者の心理状態の要請から見ますと、日本型と申しますか、ドイツに近いような割合、あるいはそれより少し直接税の割合が多いような趨勢をこれまでたどってきております。
 二十五年の六月、シャウプ税制は非常に直接税に重点を置いたように見えますけれども、そのときよりも現在のほうが、所得税の減税が行なわれながら、直接税の割合が多い。しかし、このことは税制がそうしたというよりも、むしろ経済成長が世界の各国に比べて激しくて所得水準の伸びの上昇が著しかったと。したがいまして、所得税の減税があったにかかわらず、直接税のウエートが高い、こういった結果だと思います。
#94
○野上元君 大臣も忙しいようですから、あまり長く聞けなくて私も残念なんですが、さらに、この税制調査会の長期答申の中では、たばこ益金の問題に触れておりますね。たとえば物価の上昇であるとか、あるいは原料の上昇であるとかいうような関係で、実際に実質的国民の負担率というものは低下しつつある。したがって、他の税率も勘案して将来これを手直しする必要がある、こういう勧告をしております。一言でいえば、たばこの値上げをやるべきである、こういうふうに考えられるわけですね、この答申を読みますと。この答申については大臣はおおむね賛成であると、こういうふうに言われておるのですから、大蔵当局としてはたばこの料金を近いうちに値上げする、こういうふうに考えてよろしいですか。
#95
○国務大臣(水田三喜男君) たばこについては、いろいろ政府部内でも慎重な検討を行ないました結果、値上げはしないといういま方向をきめております。
#96
○野上元君 それでは、政府委員の方にさらに続けて質問したいと思いますが、いまのたばこ益金の問題ですが、税制調査会の答申をすなおに読めば、これは値上げをしろということに解釈ができると思いますが、大蔵当局としてはどのようにこれを解釈されておりますか。
#97
○説明員(海堀洋平君) 税調の長期税制のあり方についての中間答申で、いま先生のおっしゃいましたような答申を受けております。これは長期の見通しでございまして、まず前段で言っていることは、たばこの原価が上がったにもかかわらず、これを定価に転嫁させないで据え置いておる場合には実質的な減税が行なわれていると。したがって、たばこ消費者の実質的税負担が他の間接諸税と均衡をとれるような価格の改定について検討してはどうか、こういう答申でございます。
 で、おっしゃっていることは、そのとおりでございまして、問題はいつ、どういう形でそこの均衡をとっていくかというあとは時期と政策の問題だろうと思います。ただ、まあたばこが非常に広く国民に消費されている嗜好品でございますので、税体系の均衡という問題とともに、国民の消費生活に与える影響も考えなけりゃいけませんので時期、方法等は慎重に検討する必要があろうかと思いますが、基本的な考え方は税調の中間答申で、間違っていないのじゃないかと考えております。
#98
○野上元君 ただいまお答えがございましたけれども、税制調査会の私は考え方もあまりよくわからないのです、このたばこ益金に関しては。というのは、他の税率と均衡をとる、均衡を失する、あるいは意図せざる実質的な減税が次第に行なわれつつあるので、他の税率との均衡を失するようになるだろう。したがって、これをもとに復元せよという意味だと思うのですが、そもそもたばこの益金が他の税率と均衡を考えるほど安いものではないですね。低いものではないですね。これは圧倒的な高さなんで、それではどこが正しい均衡なのか、その点はどういうお考えですか。
#99
○説明員(海堀洋平君) 何が妥当な税率かという問題でございますけれども、これは本質的にどうあらねばならぬというよりも、やはりある状態において均衡をとっていたと考えられる時点、たとえば戦前における間接諸税の体系、あるいは戦後一応安定したときの間接諸税の体系、そういう中にあって、その後税率がどういうように推移してきたかということを税制調査会は見ているのだろうと思います。あまり正確な統計ではございませんけれども、戦前の安定時であるといわれます九――十一年の益金率が五八・二%でございます。その後戦後、一応昭和二十七年に独立いたしまして、その後三十年代に入りましてほぼ日本経済は安定したかと思われますが、その時代の益金率が大体六六%程度で数年推移しております。大体六〇%程度、諸外国の例を見ましてももう少し高いのでございますが、一応戦前の五八・二%、あるいは三十年代の数カ年の六五、六%、そのあたりをめどにいたしますと、現在の税率が――税率といいますか、益金率が原価の上昇によりまして五五%程度になっております。したがって、税体系の上で、間接諸税の体系の中で税率が徐々に下がってきているということは、税制調査会が言っているように事実でございます。
 価格も、まあたばこは新銘柄を出しておりますので、正確なことは申し上げられませんが、ピースが四十円になりましてからすでに十五、六年経過いたしておりまして、価格も長く据え置いている。その中で葉たばこを中心とします製造原価がどんどん上がっていくということで、益金率が五五%程度まで低下いたしておるわけでございます。
#100
○野上元君 そういう説明もありましょう。ありましょうが、たばこ益金の場合は形式的には間接税的な手続がとられております。しかし、これは実際には他の税と均衡を保つということが大切ではなくして、国家の財政需要の面においてこの点は大きく左右されるのではないですか。その点のほうが大きいのではないでしょうか。
#101
○説明員(海堀洋平君) 専売益金を含めまして、税自体が財政需要からの要請に基づくわけでございまして、たばこの事業も専売である限り、基本的には財政需要がいかにあるかということが価格を考える基本だろうと思います。その財政需要をどういうふうに全体の税体系の上で処理するかということで、間接税の一つの形態でありますたばこ事業も他の間接諸税との均衡がその次に問題になってくるだろうと思います。
#102
○野上元君 いずれにしても、この税制調査会の答申をすなおに読めば、近い将来値上げしなければならぬだろう、しなさいという勧告だと思いますが、大蔵大臣は、値上げをしません、こう言っておりましたが、これは大臣がいないので答弁が願えないと思います、この問題は非常にむずかしい問題になりましたから。幸いに企画庁長官が見えておりますから、経済企画庁長官は長期経済計画の立案責任者としてこの問題をどういうふうにとらえておられますか。
#103
○国務大臣(宮澤喜一君) いま前のほうでどういうお話の続きがあったか、中途から参りましたのですが、この問題と言われましたのはどれをさして……。
#104
○野上元君 いまのたばこ益金の値上げの問題。
#105
○国務大臣(宮澤喜一君) いまお話を伺っておりまして、私は局外者でございますが、そのたばこの益金率と租税との均衡ということばは確かにどういう意味合いなのか、先ほど政府委員が答えられたようにでも理解をすべきものか、しかし御質問の趣旨も私にもよくわかるような気がして承っておりました。私ども、こういう物価情勢でございますから、当面たばこの値上げはしてほしくないと、すべきではないということで、ただいままでまいっておりますし、大蔵大臣も先ほどそういうふうに答弁をされたわけでございます。
 ですが、まあその現実のいつからどう上げるというようなことでなく、純粋に経済理論の問題として考えますと、確かにいろいろなコストも上がっているわけでございましょうし、十何年据え置いておるということであれば、やがてはそういう問題を検討する時期が来るのではないだろうか。まあ物価安定の見地から申しますと、その時期はなるべく延ばしたいと思いますが、もし消費者物価が非常に落ちついてきたというようなときには、ある程度現状に照らして調整をするということは、これは経済理論としては考えなければならない時期が来るであろう、そういう感想を持っております。どうも局外者でございますので、あまり明確に申し上げられませんことをお許しいただきたいと思います。
#106
○野上元君 さらに税制調査会の答申に触れていきますが、この税制調査会の答申の中には、租税特別措置についてやはり触れております。そしてこれが既得権にならないように、あるいは慢性化にならないように、こういうことが強く要望されておるわけでございますが、これはちょうど例の独禁法と同じでありまして、不況カルテルを簡単に結んで、それが既得権になってしまう、あるいはトラストを行なう、それが常態になってくるというようなことがしばしば産業界で問題になっておると同様の傾向が、この租税特別措置の中に生じてくる心配がある、こういうふうな考え方から特にこれが出ておるのだと思いますが、今日租税特別措置の適用を受けている業種はふえつつあるのですか、減りつつあるのですか。
#107
○政府委員(塩崎潤君) 租税特別措置はいま非常に数多くございますので、一概に業種と言われましても、なかなか答えにくいわけでございますが、特別償却の業種となりますと、これは時期に応じまして整理縮小、あるいは増加したこともございますが、大体縮減の傾向でございますけれども、なおその他のたとえば今回公害防止施設の特別償却というようなことを追加いたしておりますが、そんなことを入れますと、追記の点もあり、調査会の言っております流動改廃が行なわれておりまして、必ずしも一がいにふえた、減ったとは言いにくいと思います。
#108
○戸田菊雄君 あとで大臣が来ましたら、詳細は聞いてまいりたいと思うんです。関連質問をやります。
 一点、いまの問題で聞いておきたいんですが、非常にいまの主税局長のお答えの内容は抽象的だと思うんです。私の調べた範囲内では四十七項目に分類される。そこで、具体的に聞くんでありまするけれども、四十一年から四十二年十二月までの期限のもので、所得税関係でどのくらいあるか、それから法人税関係でどのくらいあるか、それから所得税、法人税共通のものでどれぐらいあるか、それから登録税関係でどのくらいあるか、それから通行税関係でどのくらいあるか、この内容についてひとつ詳細にお答え願いたい。
#109
○政府委員(塩崎潤君) 期限の切れます租税特別措置の一覧表は、資料といたしまして御提出申し上げてございますので、一つ一つ説明しますとたいへんでございますが、いずれも資料として御提出申し上げたいと思います。
#110
○戸田菊雄君 数です。いま言った分類の数でいいです。
#111
○政府委員(塩崎潤君) 四十二年の三月に期限の切れますたとえば利子所得の分離課税、それから配当の源泉徴収の税率の軽減、それから配当の源泉選択及び確定申告の不要、それから証券投資信託の収益分配金の分離課税、これが貯蓄関係の一つグループでございます。それから、四十二年に期限の切れますものといたしましては、輸出割り増し償却制度、それから航空機の通行税の軽減、それから協業のための現物出資の特例、新築貸し家住宅の割り増し償却、新築住宅の登録税の軽減、特定公共事業に関する譲渡所得税の特例、交際費課税の特例、大体以上でございます。
#112
○野上元君 この税制調査会の答申に言っておるような既得権化あるいは慢性化というような傾向は、現実にあらわれておるんですか。おるから、こういう一つの強い勧告が出ておるんじゃないですか。その点はどのように見ておられますか。
#113
○政府委員(塩崎潤君) 非常にむつかしい御質問でございますが、私どもがときおり慢性化するではないかということを申しますと、いや、まだまだ効果が十分出てきていない、まだ時期的にこの措置を切るのは早いというようなお話もあり、そこに効果について非常な見方の差異がございます。そのあたり、むつかしいので、私どもは判断に苦しむ場合がございますが、そういったことの評価を考えますと、一がいには言い切れないのではないかと思います。
#114
○野上元君 この問題は後ほどまた戸田委員が集中的に質問されるそうですからこの程度にとどめておきたいと思います。
 さらに、税負担率の問題についても触れておりますが、これを見ますると、新長期経済計画の最終年度においてはおおむね現在より二%程度上昇するのであろうと、こういうふうに見通しをうたっておるようでございますが、現在の税負担率というのはどれくらいですか。
#115
○政府委員(塩崎潤君) 改正後の国税におきましては一八・五%でございます。
#116
○野上元君 これは改正直後ですね。そうすると、平年度になると、給与所得などが上がってまいりますると、これは少しまたパーセンテージがふえてきますか。
#117
○政府委員(塩崎潤君) 来年度の国民所得の計算がまだ出ておりませんので、税負担率は正確に申し上げることができないと思います。いまの一八・五%と申しますのは、地方税を入れました改正後の数字でございます。
#118
○野上元君 大蔵省としては、大体どの程度が適当であり、その守るべき率というのをどの程度に置いておられますか。
#119
○政府委員(塩崎潤君) 経済発展計画におきましては、所得税の減税が一応予想されておりますが、それをしんしゃくいたしまして、二%程度上がってもやむを得ないであろう、こんなふうな見方をしております。
#120
○野上元君 そうしますと、端的に御質問しますと、大体二〇%程度が適当であろう、こういうふうにお考えですか。
#121
○政府委員(塩崎潤君) 適当であろうという評価まではいたしておらない、大体現在のところではそんなふうな推移をたどるであろうというふうな見方でございます。
#122
○野上元君 それは努力する目標ではなくして、流動的な経済の結果としてそういうところに落ちつくだろう、こういう見通しですか。計画というものは、一つの基本方針というものはないのですか。
#123
○政府委員(塩崎潤君) 所得税につきまして、一つの計画を税制調査会では長期答申の中に示しておりますが、それを行なった後の一応の目安でございます。
#124
○野上元君 この答申で言っておる「二%程度上昇するものと予想される」というのは、現時点に比較して二%程度の上昇を見込んでおりますね。この税制調査会で言う現時点における税負担率というのはどれくらいのものですか、この答申の時期における。
#125
○政府委員(塩崎潤君) GNPの計算方式は違っておりますが、そのときでも二〇%程度に考えておりました。
#126
○野上元君 そうしますと、税制調査会では、傾向としては二〇%ぐらいになるだろう、こういうふうに予想しておりますが、ここで言っておる「新長期経済計画の最終年度」というのですが、これはどういうことなんですか。これは大蔵省でなくて、経済企画庁長官のほうですか。「新長期経済計画の最終年度においては景気の回復とあいまって現在の水準よりおおむね二%程度上昇するものと予想される。」、こういうふうに言っておりますが、そういう長期経済計画がいまなされておるのですか。
#127
○国務大臣(宮澤喜一君) これは最終年度でございますから、昭和四十六年を考えておるわけでございますが、あの計画をつくりましたときに、やはり振りかえ所得の伸びを相当私どもとしては思い切って見たわけでございます。年率にいたしまして一六ないし一七%ほど見ておるわけでございます。したがって、これはそういう意味で、納税者の社会的な負担がやはり重くなるということでもございますし、また、公共投資も御承知のように相当考えておりますし、そのときには所得水準も相当向上することでございますので、ある程度租税負担率が先進国に近づいていく、またいっても負担をしてもらえるのではないか、基本的にはそういう考え方がございまして、ああいう、ただいま仰せのような二ポイントぐらい上がるということを予想したことになったわけでございます。
#128
○野上元君 国家の予算をきめるとき、税収と対比してやられるわけですか。どちらが先なんですか。たとえば財政需要の計画ができて、そして国家の行政施策というものがきまって、それに幾らぐらい要するから税金は幾ら要るのだ、こういうようなやり方をされるのですか。それとも、税収はこれだけしかないから、財政需要はこれだけあってもこれだけに縮めるのだ、こういうふうな関係にあるのですか。その点はどちらの関係にあるのですか。
#129
○政府委員(塩崎潤君) 私が答えていいかどうかわかりませんが、まあ税収、さらに公債の規模、財政需要、総合的にきめられると思います。
#130
○野上元君 まあ後ほど公債の問題でもちょっと聞きたかったのですが、今日は御承知のように、財政法四条が非常に大きな強い制約をいたしておると思います。したがって、公債による財源の補充はあまりむちゃくちゃにはできないと思いますね、戦前のように。そうしますと、ある一定の限度があろうと思います。今日八千億の公債発行をしようとしてもいろいろ問題があるところなんですが、これをさらにふやすということになると、これまた相当大きな論議を呼ぶものと思います。そうしますと、公債の発行というのはそう大きな要素を持てなくなるのじゃないか、将来。それよりやはり税収というものがどうしても大きな財源になってくるというふうに考えられるのですが、その場合、いまあなたが述べられたように、いろいろなものを勘案しながら国家財政がきまっていく、こういう御答弁でございますが、それは当然そうなると思います。なると思いまするが、それでもなおかつ、今日私の聞きたいのは、財政需要が非常に強い、そしてやらなければならぬというような場合には、租税収入が足らないというような場合には、公債に求めることができないとするならば、増税をやらなければならぬ、こういうような関係にあると思いますが、そういうことについて大蔵当局としては、いままではそういう経験は全然なかったのですか。
#131
○政府委員(塩崎潤君) 考え方によりますれば、今回の登録税、印紙税も、やはり自然増収がありながら、さらにまた減税をしながら、登録税の増収を求めているのでございますので、財政需要あるいは減税の要請にこたえる意味におきまして、別途にいま財源を求めるということも行なわれている結果を示すものではないかと思います。
#132
○野上元君 確かに若干の目的税等について引き上げがあるということは御答弁のとおりでしょう。しかし、そんなのわずかな金ですね、そんなものは。財政需要というのは非常に大きくなってくる。特に日本の国会というのは、あなた方の予算を、組んできた原案をふくらまそうとする。ちょっと私はおかしいように思うのですが、そういう傾向にあるときに、租税収入というものが非常に重要な問題になってくると思うのですが、そういう場合に、たとえば増税の余地があるというようなときには増税をやり、増税の余地がないというような状態のときには財政需要を切っていく、こういう関係になるのですか、その点はどういうのですか。
#133
○政府委員(塩崎潤君) なかなかむずかしい御質問でございますが、過去の趨勢から見ますと、一般的な増税が行なわれたことはないと思います。財政需要が非常に強いわけでございますが、同時に、経済成長が非常に早いし、大きかったおかげで、しかもまた税制の構造が相当累進的でございましたため、税収の増加、自然増収の増加が非常に大きかったために、いまおっしゃったようなことはしなくて済んだと、こういうふうに私どもは見ております。
#134
○野上元君 次にお聞きしたいと思いますのは、納税人口の推移なんですが、たとえば、戦前最もノーマルな時期といわれる昭和九年ないし十一年ですか、このときの納税人口と現在の納税人口を比べた場合に、納税人口の全人口に占める率といいますか、これは相当大きくなっているんじゃないかと思うのですが、その点は数字的におわかりになりますか。
#135
○政府委員(塩崎潤君) 現在と同じような所得税の課税単位で直しますと、戦前は所得税は九十万人でございます。現在は二千七十五万人でございますから、おっしゃるような納税者の全人口に占める割合はもう断然違っております。
#136
○野上元君 私もこの税についてしろうとなんですからよくわからないのですが、常々考えておりましたことは、支那事変が勃発したり、あるいは満州事変が勃発したり、そして日本の軍費というものが非常に国家予算の中に大きく占めるようになりましたね。そういうときにおいても、たしか私どもは無税だったと思いますね。月給百円ぐらいの人までは税金を直接払ったというようなことは、所得税を払ったというようなことはないと思うのですね。ああいう時代でさえ、あれだけの納税人口で、しかもあれだけの軍費をまかなって、もちろん公債もありましょう、軍事公債もありましょうが、しかし、それにしても、ほとんど税金を払っておらなくて済んだ。今日は、当時の軍費から見れば、防衛費でも当時の軍費から比較すれば微々たるものだと思いますが、それにもかかわらず租税人口はどんどんふえて、二千何百万ということになっておりますが、これはしろうと考えで非常に私は疑問に思っておったのですが、これはどうですか。結局財政需要が大きいということでございますか。
#137
○政府委員(塩崎潤君) 第一の理由は、もういま先生の御指摘の財政収入中に占める税金のウエートが高いということでございます。数字的に申し上げますと、一般会計に占める税収は、当時は四四・七%でございますが、現在はそれが七六・九%と、租税のウエートが非常に高まっておる、これが第一でございます。
 第二の理由は、これはここでたびたび議論が出ますので、ぜひ申し上げたいと思うのでございますが、税体系の構造が全く違っておるということでございます。当時は、所得税は税制中でウエートを占めなかった税制でございます。私どもは収益税体系、それから間接税体系の税制といっておりますが、したがいまして、当時の税収の内容を見ましても、御案内のように所得税が一億三千六百万円でございます。酒税が二億一千六百万円、たばこ専売益金が二億二百万円で、所得税の倍近くの税収入を酒税あるいはたばこ専売益金が持っておったような時代でございます。
 なお、もう一つは、収益税体系の例といたしまして、昭和十年の数字を見てみますと、地租、家屋税のほうと所得税を比べてみますと、所得税と固定資産税の――当時は地租、家屋税と申しておりましたが、所得税が二億二千六百万円でございますが、地租、家屋税のほうが三億をこえるようなときでございます。現在、御案内のように、所得税は一兆一千億円ばかりでございますが、固定資産税は三千三百億円ばかりでございます。
 こんなふうに体系が違いまして、言うならば当時の税制は非常に累進的な性格の少ない、大衆から見えざる形で相当な税収をあげておった、こういうところでございます。したがいまして、私どもが見ますところ、現在の税制のほうがより所得税のウエートが高い、しかるに一方、累進的な効果は相当あげておる、こんなような税体系、それが現在の税制で、免税点を戦前までいけない大きな理由となっていると見ております。
#138
○野上元君 税体系の根本的な問題ですから、いろいろと御意見があると思いますが、ただわれわれが、何といいますか、一納税者として率直に感ずるという点は、とにかく昔は間接税でいわゆる取り上げられておったんだけれども、実際はよくわからなかった、直接税を払っていなかったものですから。しかし、いまは直接税も払わなければならぬ、所得税も払わなければならぬ、間接税も払わなければならぬで、何か二重に取られているというような、一般の大衆はそういう気持ちが非常に強いわけです。そういうことを考えてみますると、昔のやつはなるほど理論的には大衆課税であったというかもしれぬが、現実に国民が受ける感じとしては昔のほうがよかったんじゃないか。憂しと見し世ぞ今は恋しきということばもありますが、そういう感情論として成り立つような気がするんですが、いまはあなた方が苦心惨たんしてやって国民にあまりありがたがられておらない、こういう傾向になるんじゃないでしょうか。その点が非常にはっきりとぼくらには印象があるものですから、ちょっとお聞きしてみたんですが、どういうふうにお考えですか。
#139
○政府委員(塩崎潤君) その点は、先ほども申し上げましたように、一般会計と申しますか、財政が税収にたよるウェートが高くなったことだと思います。二億円の酒税をデフレーターで五百倍いたしますと、約千億円でございますから、現在酒税は四千億をこしておりますが、おそらくそういった部分では間接税も物価指数のデフレーターで直した以上にふえていることは、これはとりもなおさず私は税収によって財政がまかなわれておる、この関係だと思うんでございます。所得税は当時わずか一億三千六百万円でございますが、これが一兆一千億でございますので、これはもう千倍以上だ。このことからいくと、やはり財政をどういうふうに考えているか、財政規模をどういうふうに国が考えるか、こういう問題だと思います。
#140
○野上元君 そうしますと、当時はそういう税体系であっても、財政規模というものが小さかったからまずまずやれたと。それで、現在はそれをやろうとしてもできないということですか。たとえば、予算に占める税収入の比率が非常に高いという状態になっておるので納税人口がふえたんだと、こういうように説明があったわけですが、当時のような考え方で現在の予算を編成する場合に、今日の状態ではやり得ないと、こういうことなんでしょうか。
#141
○政府委員(塩崎潤君) 主税局長でございますので、歳出予算を含む財政の問題について発言権はないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、公債のウエートが当時は非常に高かったということが大きな財政運営の支柱をなしておったことは事実でございます。なお、最近は、軍事費以外の歳出の増加が非常に大きなことが税収に対する依存度を高めておる結果だと思いますので、私は簡単には戦前のような所得税の免税点あるいは税体系には返らないのではないか。税負担も私は同様に考えております。
#142
○野上元君 そうしますと、その戦前の所得税というのが非常に低かった。しかし、消費税等の間接税は非常に高かった、これでほとんどまかなわれた、こういうことになりますが、それを現在の間接税と比べまして、当時の間接税の総収入とこれは比較いたしまして、どういうバランスの状態になっておりましょうか。
#143
○政府委員(塩崎潤君) 数字を用いればできると思いますが、当時間接税のウエートが六五・二%、直接税のウエートが三四・八%という数字でございますので、間接税のウエートが非常に高かったことはこれでもう立証できると思います。なお、デフレーターをもちましてこれを現在の数値に直しますれば、その関係はより明瞭になると思いますが、なお非常に地方税等の出入りもございますので、これらを資料的に相当こまかく吟味する必要があると思いますが、私は全体を見まして、間接税あるいは収益税、地方住民税のようなものは当時は戸数割りという見立て割り的な外形的なウエートが非常に高かった時代でございますので、いまのような指数を中心とするような純粋の所得税と違うような体系でございますので、簡単に比較もできませんし、またそういった体系に返ることは時代の逆行という感じすら私は持つのでございます。
#144
○野上元君 現在、法人税法上の課税対象となっておる法人というのはどのくらいの数になりますか。
#145
○政府委員(塩崎潤君) 課税の意味がよくわかりませんが、法人税の対象となっております会社数は、四十年度の統計は七十万八千八百四でございます。
#146
○野上元君 それを分類して、たとえば資本金一億円以上のものは幾らか、零細のものはどれくらいあるか。簡単でけっこうですが。
#147
○政府委員(塩崎潤君) 一億円以上が五千三百十八、〇・七%でございます。一億円未満が七十万三千四百八十六、九九・三%でございます。
#148
○野上元君 そうしますと、その一億円以上の〇・七%がこれらの総資本額に占める比率というのはどれくらいですか。
#149
○政府委員(塩崎潤君) もう率だけで申しますと、全体の総資本が七兆八千億ちょっとでありますが、七五%は一億円以上で占めております。二五%が、九九%の一億円未満の法人が占めております。
#150
○野上元君 それから、これもお聞きしておきたいと思うのですが、物品税収入の内訳をちょっとお聞かせ願いたいと思いますが、第一種、第二種、第三種とやっぱりあるですね、いまでも。それのそれぞれのパーセンテージをお聞かせ願いたいんですが。
#151
○政府委員(塩崎潤君) 一種二種、三種とございますが、もう三種はマッチだけでございまして、ほとんど税収のウェートはございません。一種が千六百九十五億六千万のうち五・七%でございます。二種が九四・二%程度になっております。
#152
○野上元君 この比率を見ておりますと、先ほど大蔵大臣が言われたように、将来間接税の比重を上げるということになりますと、この九四・二%占めておる比較的大衆にとっては生活必需品的なものに課税しなければ、間接税の物品税の引き上げというものは現実的にはむずかしいということになりますか、そういう点はどういうようにお考えですか。
#153
○政府委員(塩崎潤君) この二種の税収を分類いたしますと、一番大きなウエートを占めておりますのは自動車類でございます。三七・八%でございます。その次がテレビ、蓄音機類二〇・三%、こんなふうな構成を示しておりまして、私どもの気持ちでございますが、物品税は生活必需品に対する課税と申すよりも、やはり耐久消費財あるいは高級文化財といったものをねらった課税だと思うのでございます。私は、増税ということは、この物品税につきましては、これまでの経過から見ますと、昨年度の改正ではむしろ減税あるいは税率の引き下げ、免税点、こういった大幅な改正をいたしました経過から見ますと、これについていま直ちに増税の方向をたどるということはできないかと思います。しかも、たばこ益金についてお話がありましたように、この税金は従量税とか定額税というものではございません。値段にスライドいたします比例税率になっておりますので、値段が上昇するようなときには自然に税収も上がりますので、そういった意味では税率の引き上げをしなくても自然に税収が上がってくる要素がございます。
#154
○野上元君 交際費に対する課税の問題ですが、ただいま大蔵省のほうから資料が届いたのですが、これを見てみますると、八幡製鉄、富士製鉄、日本鋼管、神戸製鋼所というようなところが交際費あるいは会費という科目ではっきりあげておるのですが、川崎製鉄あるいは住友金属等については交際費の科目が掲載されていない、こういうことになっておるようでありますが、この川崎製鉄、住友金属工業というものは、したがって交際費としての項目がないために、いわゆる必要経費としてこれだけが税の免除の対象にならないということになるのですか、これは。
#155
○政府委員(塩崎潤君) これは広沢委員が衆議院の大蔵委員会におきまして、個別会社について、特に製鉄会社につきまして、交際費の数字を出せと責められたわけでございますが、私は、個々の会社についての税務上の情報は、これは提供することができない、こういうふうに申しましたところ、それでは有価証券報告書で大蔵省に届けて、しかも現在公開されているではないか、それをひとつ出してくれというお話がございましたので、有価証券の報告書からそれは取り出したものでございます。したがいまして、税務の勘定科目とは合っておらないことを御了承願いたいと思います。そういった意味では、私どもがこのうち交際費が幾らであり、どの程度が否認になったかということは、ちょっと申し上げにくいかと思います。
#156
○野上元君 そうしますと、この表だけで見ますと、川崎製鉄あるいは住友金属が交際費あげなくて、いわゆる必要経費で免除してもらうというようなことをやらない、そういうことはないのですね。それでは、これは何かはかのところで出ておるということになるのですか。
#157
○政府委員(塩崎潤君) もう税務上はもちろん交際費の科目がございまして、是否認を受けた、あるいはみずから自己否認をしたものもございまして、交際費が全くないということはございません。
#158
○野上元君 交際費というのは、これは全体を掌握するのはなかなかむずかしいと思いますが、四十一年度なら四十一年度、あるいは四十年度なら四十年度でわかるものでけっこうでございますが、大体日本における交際費の総額というものはどれぐらいですか。
#159
○政府委員(塩崎潤君) 四十年度の実績では会社は五千七百四十九億円支出したといわれております。
#160
○野上元君 これの会社の数は幾つですか。
#161
○政府委員(塩崎潤君) これも全体、いま申し上げました七十万の会社全体の交際費でございます。
#162
○野上元君 じゃ、これが必要経費として認められておるのは、五千七百九十億のうちどれくらいですか。
#163
○政府委員(塩崎潤君) 四十年度におきましては七百四十六億九千五百万円が損金不算入となっております。
#164
○野上元君 五千七百九十億のうち七百四十六億が損金不算入を許された、こういうことですか。
#165
○政府委員(塩崎潤君) さようでございます。正確に申し上げますと、損金不算入、逆に申しますと、それだけが益金に算入されたと御理解願います。
#166
○野上元君 これの何といいますか、算入する限度というのはどういうふうに……。
#167
○政府委員(塩崎潤君) 現行法では四百万円プラス資本金の千分の二・五の合計額が損金に認められる額でございます。さらにまた、それを上回る部分について五割が否認されることになりますので、つまり、いまの資本金の千分の二・五プラス四百万円と、その残りの五割相当分が損金として認められる、残りが益金に算入される、こういう関係になります。
#168
○野上元君 宮澤長官おいでのようですし、戸田さんのほうから質問があるようですから、私はこれでやめたいと思いますが、最後に、先般宮澤経済企画庁長官の御努力によりまして、ガットにおけるケネディ・ラウンドが最終的に決定を見た、こういうことを新聞で拝見したのですが、これは関税収入にはどういう影響をもたらすものですか、その点をひとつ。
#169
○政府委員(谷川宏君) 今回のケネディ・ラウンドにおきまして、わが国が関税引き下げを認めたものにつきましては、目下細目の整理を現地においてやっております。五月三十一日にガット事務局にこれを提出する運びになるわけでございますが、正確な数字はそのようなわけでまだ整理できておりませんけれども、達観いたしますると、わが国の現在の関税収入は約三千億でございます。そのうち石油、砂糖等は関税引き下げをしない品目として認められる。またそのほかの品目につきましても、わが国の国内の産業の立場から申しまして、関税引き下げを五〇%引き下げしないもの、あるいは五〇%引き下げはできないけれども三〇%ないし二〇%等の引き下げをするものということになっておりまして、三千億の収入のうち約千億円の収入が関税引き下げの対象になると考えられるわけでございます。
 で、この千億円の収入のうち五〇%引き下げのものもございまするし、それ以下のものもございまするので、平均いたしまして約三割と考えますると、三百億円が関税の引き下げの対象になるところの関税収入の減ということになるわけでございます。これは五カ年にわたりまして引き下げるわけでございまするから、平均いたしますると年年六十億円程度の関税収入の減少になるものと見込まれるわけでございます。
#170
○野上元君 ただいまの御答弁の中で、大体関税収入というのは全部で三千億、その中に石油、砂糖の関税はケネディ・ラウンドが成立してもこれは除外された、引き下げなくてもよろしいということになったといういま御答弁ですが、そうしますと、この石油、砂糖の関税収入というのは、この三千億のうちどのくらいを占めておりますか。
#171
○政府委員(谷川宏君) 四十二年度の関税収入の合計は二千八百九十三億円でございます。このうち、砂糖の関税が六百六十九億円、それから石油の関税が六百三十八億円となっております。今後関税収入は、関税を引き下げましても輸入数量が年々国内産業の発展に呼応いたしましてふえますので、四十三年度から関税引き下げを開始するといたしまして、初年度三千億といたしますると、約千五百億円程度のものが砂糖及び石油、そのほかわが国が関税引き下げができないものとして認められたものといたしまして、電子計算機でありまするとか、高級工作機械でありまするとか、大型の蒸気タービンでございまするとか、そのほか数多くのものがございまするので、関税引き下げの対象となるものは先ほど申したように約千億前後のものである、かように考えております。
#172
○野上元君 私の質問は一応中止いたします。
#173
○戸田菊雄君 企画庁長官に四、五点質問いたしたいと思います。非常に会議のさなかで忙しいときで、ありがとうございます。だいぶ待たせたものですから、時間を節約して、できるだけ早く終わりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 その第一点は、東北開発等の問題についてであります。衆議院の議事録によりますと、これは四月二十二日でありますが、わが党の華山委員が東北開発等の問題について長官にいろいろと質問をしたのであります。その中で長官が、東北開発は大きなむずかしい問題を持っている。そういう考えが一つある。もう一つは、東北については何か特段のことを考えなければいけない、開発に向けてですね。そういうプログラムというものも、実は夏あたりまでに検討して、具体的政策をとってまいりたい、という答弁がなされておるように、私、拝見をしておるわけであります。その具体的な検討内容が、もう大体長官が言われた夏の時期まで近いのでありますが、もし検討されてきた内容があるとすれば、ひとつ内容を具体的に教えていただきたい、それがまず第一点。
 それから、答弁の内容を一貫して感ずることは、非常に私たち東北に置かれておるものとしては非観的ですね、長官のあのいろいろと回答された内容というものは。こういうことからいきますと、私は一まつのさびしさを持つのでありますが、大体東北一帯というものは、明治以来一貫して現在に至っても、政治的に浮き上がっている、そういうところに非常に東北の後進性あるいは封建性というものがまだまだ介在をしているように私は判断するわけです。さらに経済的な面からいっても、非常に格差が拡大しておる。東京でビフテキが食えるときに、東北ではみそ汁でがまんしなければならない、こういう生活上の格差というものがいまだに全然解消しておらない。工業誘致その他についても、発展の見通しというものはそう明るい見通しじゃない、こういう状況に大体置かれてきている。ことに自然の条件から来る開発の制限が非常に多いわけです。寒冷多雪、こういういわば極寒の地帯が多いのでありまして、そういう状態からも非常に立ちおくれを来たしている。こういうのが東北六県、いわば新潟を含めた七県の実情じゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、そういう問題についての今後の経済企画庁長官の、政府としての具体的態度と申しますか、そういう問題もあわせて、お聞かせ願えれば幸いだと考えます。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は私が一番頭を痛めております問題の一つでございます。東北地方の開発がなかなか思うようにまいりませんで、ただいま御指摘になりましたような姿になおあるということは、実は私ども、ことにこれだけ国全体の経済が興隆してまいりますと、非常に申しわけない、相すまないことだという感じすら持っておるのでございます。
 先般、華山委員に私がお答えいたしました気持ちは、実はただいま戸田委員がやや悲観的だとおとりになったように仰せられましたけれども、私のほんとうの気持ちはそうではございませんで、どうもいままで東北開発を中心にやってきたことがなかなかうまくいっていない、しかし、いっていないでは済まされませんので、どうかしなければならない、その方向を模索しております、ということを実は申し上げたかったわけであります。で、仰せのように、この夏まで云々と申し上げましたのは、八月三十日が四十三年度の予算の概算要求の締め切りでございますので、それまでにという気持ちで申し上げました。つまり、何とかして来年度から新しい方向を打ち出したい、こう思っておるわけでございまして、ただいままだ口に出して申し上げるほど具体的な案をきめておりませんけれども、どうぞただいまからそれまでの時点の間でこの問題につきましては超党派的に御教示を仰ぎたいと思いますし、またお力添えもいただきたいと考えておるわけでございます。
 で、従来、東北地方の開発につきましては、政府はずいぶん金を使ってまいったわけでございます。しかし、今日地方の住民に必ずしも喜んでいただけるような実績をあげていないと思うのでございます。それのみならず、そのにない手でありますところの東北開発の事業の内容は、御承知のように、はなはだ悪いわけでございまして、したがって、昭和三十九年に再建計画を立てまして、昭和四十三年までの五カ年間に何とか会社の累積赤字を食いとめてまいりたい、今日までそういう努力がなされてまいりました。最近では会社の内部でも、もう四百人程度の人員整理をいたしますとか、相当熱意をもって再建に当たってはおられます。しかし、この三年ほどの実績を見ておりますと、昭和三十九年度では全体で十六億の損失をいたしております。その中の営業の損が三億六千万円ほどございます。この十六億八千五百万円という損失は、再建計画で予定しておりました損失に比べまして、なお一億四千万円ほど実は大きかったわけでございます。で、四十年度になりますと、御承知のように、ここらが不況の時期でございますために再建計画よりもさらに製品の値段等々が悪うございまして、四十年度で営業の損失が二億九千万円、全部の損失は二十億円でございます。この四十年度の損失を再建計画では十二億円と見ておりましたから、再建計画よりも八億円ほどもう一つズレができたわけでございます。この四十年度を終わりまして、この会社の累積赤字は七十二億余りとなりました。昭和四十一年度は会社の再建の努力が効をあらわしてまいりましたのと、それから経済界の回復がございまして、営業ではようやく黒字を出したわけでございます。三億四千万円ほどの黒字を出しました。しかし、営業外の損失、それからいわゆる特別損失とございまして、締めまして四十一年度は五億七千万円の赤字でございます。これは再建計画で予定しておりました四十一年度の赤字に比べますと、一億八千万円ほどの赤字の増と申しますか、ズレがございます。
 で四十一年度を終わりましたところで累積損失が七十八億円でございます。大勢といたしましては、確かにこの再建の結果が計画よりずれてあらわれてはまいっておりますけれども、どうも私が考えますのに、これは東北開発の再建策であって、東北開発そのものではないと、こういう感じが率直に申すといたしますんです。会社の熱意を疑うわけではありませんけれども、東北開発が東北のためと称してやっておりますいろいろな事業等々に使います金に比べて、現実に東北の開発のためにどれだけなっておるかという疑いを持っておるんでございます。したがって、これだけの金を、今後やっぱり東北のためでありますから、私どもつぎ込んでいきたいと思いますけれども、何とかもっと住民の気持ちに沿うような、効果のあるような金の使い方はないものであろうかということを切実に考えております。他方で、東北開発そのものは八十億に近い累積赤字を背負っているということでございますから、私ども財政当局との関係では、現実にここにこれだけある赤字の始末を何とか考えながら、他方で東北のために前向きに金を使っていかなきゃいけないという、この二つの問題を持っておりまして、ただ過去の赤字の始末をしただけでは全然問題は片づかぬという、非常にむずかしいことになっておるわけでございます。
 そこで、私ども、従来からこの問題で非公式にいろいろ知恵を借りております常識経験者、実務家等々にももう一度お願いをして、意見も聞かせていただきたいと思っておりますが、同時に、私どもの役所の内部で、これから一体東北開発をどうやっていくか、それから東北開発株式会社をどうやっていくか、その二つの問題を、この八月の終わりまでには何とか安を立てたいのですが、なかなかうまい知恵が出てまいりませんので、これにつきましては、先刻申し上げましたように、いろいろ御教示も、またお力添えも超党派的にいただきたいと、こう考えておるわけでございます。
#175
○戸田菊雄君 長官から申しわけないというお話があったわけですが、私はやっぱり中央政府の政治的な欠陥がそうさしているんだろうと。そこで、長官の話をただいま聞いておりますと、意欲的にこれから取り組んでいこうと、こういうために、目下進められている再延計画というものにまで触れられて具体的に説明されたことは、私たちとしても、これは地方の議員としても、おっしゃられるとおり超党派でこの問題については開発に取り組んでいく、そういう気がまえを持っているわけです。ぜひひとつ、そういう長官の意欲的な熱意を今後ともずっと継続していただきたいと考えるわけです。
 そこで、もう二、三点、具体的にお伺いをするわけでありますが、そういった、いま長官自体が悩んでおる当面の赤字解消の再建ではなくて、真に東北開発にどういった措置をとるか、こういった問題については、やはり同じく衆議院の華山委員の質問に答えて、東北開発株式会社あるいは北東開発公庫等を中心にして、この辺と十分相談をし合いながら、前向きの姿勢で開発計画というものを具体的に立ててみたい、こういうことも言っておるわけでありますが、そういった今後の見通しについては、やはり長官としてはその考えにお変わりないかどうか、これが第一であります。
 それから、もう一つは、やはり東北全般を考えれば、福島に行けば常磐、郡山が考えられる、青森に行けば八戸や大湊が考えられる、秋田に行けば秋田、これが考えられる、岩手もそれなりに考えていくわけでありますが、どうしても中心地帯と思われるのが、仙塩を中心とする仙台湾にあるんではなかろうか。ことに今後のシベリア開発等を含めたそういう重要な位置づけについては、政府としてもおそらく考えられていると思いますが、この辺の開発構想と申しますか、これらのことについてお考えであれば、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) 東北開発会社と北海道東北開発公庫との関係でございますけれども、東北開発が投融資をいたしております現在額が二十九億円ほどございます。そのうち出資が四億円余りでございますから、二十五億近いものは融資でございます。東北会社と北東公庫との関係で、東北会社の融資の対象になっておるところへは北東公庫は融資をしないというような業務の分界のようなものがございますようでして、どうもここらに一つ問題があるのではないだろうか。私は、できれば東北開発会社の融資のほうは今後北東公庫のほうにお願いをして、そうしてなるべく東北会社を身軽にしていきたい。また、融資を受けるほうも、やはり北海道東北公庫から受けるということで喜んでいただけるのではないだろうか。その問題をひとつ、できるものなら片づけたい。
 それから、東北会社が現在、直接に生産をいたしておりますもの、セメントでございますとかハードボードでございますとか、いろいろございますが、これはいまのままではなかなか民間の企業にそのまま買ってもらうというわけにはどうもまいらない、やはりもう少し、たとえばセメントでございますと、新しくキルンを一本入れるとか二本入れるとか、ともかく企業体としてペイできる姿にしていきませんと、民間でも引き受けてくれないように思いますので、私の気持ちとしては、将来売れる、買ってくれるというような姿にして、なるべく早い機会に切り離していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 そうすると、残りました東北会社は、今度どういう仕事をすることになるか、それだけ身軽になりましたら、今度はなるべく自分で事業に手を出さずに、各県あるいは各地方でいろいろ考えておられる仕事に対して、できるだけと申しますか、リースでもよろしゅうございますし、出資でも必要があればよろしいと思いますが、何かの形で、なるべく役人が企業を経営するというようなことでない、民間の経済活動を応援するというようなものにしていくのがいいのではないだろうか。もちろん私ども、東北で仕事をして政府がもうけようというような気はさらさらございませんし、それは事の本来ではございませんのです。しかし、毎年十何億円ずつも累積赤字が出ていくというのでは困る。こういう、考えがまだ熟しておりませんので、もう一つ詳しく申し上げられませんけれども、何かそういう方向の模索をいたしております。
 さて、後段のお尋ねでございますが、仙台・塩釜地区というのは、やはり東北開発の門でございます。そこで、あそこは新産業都市になっておるわけでございますが、基本はやはり港湾の整備ということが、どうしてもこれが一番大切なことではないかと考えます。これは仙台地方ばかりでなく、東北全体の、ことに東側の門であるというふうに考えますから、そういうこと。それから内陸型の工業をあの辺に誘致していく。他方で、東北六県の知事がいろんな提案をしておられます、これは必ずしも装置産業だけが能ではない、やはり日本の農業の基地としての東北の将来も考えなければならないし、また観光ということも考えなければならぬということを言っておられるわけでありますが、そういったような開発構想についてできるだけお助けする、協力をしていくということが政府に課せられましたつとめであろうというふうに考えております。
#177
○戸田菊雄君 時間もありませんが、聞きたいことがあるのですけれども、これも衆議院の華山委員に答えられたことで長官が言われておるわけでありますが、東北開発会社の投資部門について、この北東公庫に移してもよろしい、こういう考え方を述べられておるのですが、その考え方についてはいまも変わりはないと思いますが、さらにそういう考え方について関係大蔵大臣と具体的に検討されたような状況があるかどうか、その辺をひとつお聞かせを願いたい。
#178
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は華山委員に答弁を申し上げましてから、私、関税一括引き下げ交渉でしばらく留守をいたしましたので、その二週間ばかり仕事がちょっとおくれておるのでございますが、火北開発会社当局には、直接に私は実は総裁に私の考え方をお話ししたく思いながら、まだその機会を得ておりません。ただ、この融資分を北東公庫に移しかえるということについては、おそらくは北東公庫側にとっても異議はおありでないであろう、したがって、財政当局にもそのこと自身には異議がないであろうというふうに、ただいまこれはある程度非公式に打診をいたしましたところでは、そう思っております。
#179
○戸田菊雄君 冒頭の答弁の中でも、東北会社は赤字だといういわば批判があるわけですが、結局、この未開発地域というものに対しては、私はそう短期間において採算ベースに乗るというようなことは考えられないのじゃないか。結局、東北開発というものが発足をしてわずかまだ十年ですね。ですから、当然この開発に向けて大きく発展をさせるためには相当長期な年月を必要とする、私はこう考えます。その辺に対する長官の考え方をひとつ教えていただきたいと思うのですが、それを含めて、まあ社会主義国は別といたしましても、資本主義諸国におけるたとえばイタリアとか、イギリス、あるいはフランス、こういうところでは地域開発構想に基づいていろいろな地域開発も具体的に推し進められていると思いますが、一体そういう各国においてはどういう状況で地域開発というものが進められておるのか、その辺の事情がおわかりであれば、ぜひ教えていただきたい。
 それから、もう一つは、やはりそういう立場でわれわれが考えていく場合に、政府の投資というものがどうしても必要じゃないか。目下東北開発会社では再建委員会というものをもっていろいろ再建に努力をしている。長官も認められるように、いろいろ赤字はあるけれども、累積赤字というものは逐次解消の方向に向かっている。もう少したてば、これは開発の見込みが立つ状況にまである、こういう姿にまで現地では相当努力をしているわけです。ですから、そういうものに加えて、やはり政府のあたたかい保護政策というものが私は大胆に行なわれていかなければいけないのじゃないかというふうに考えますが、そういう意味合いにおいて、政府の投資形態というものは今後やはり長官が考えられておるのかどうか、この辺をひとつお聞かせを願いたい。
#180
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政当局にはまたおのずから違った考え方があるかもしれないということを、いまの段階では私はひそかにおそれているのでございますが、私の考えておりますことは、東北開発会社が赤字を出すということは、そのこと自身では、本来もうけるつもりでございませんから、金額にもよりますが、そうそう気にしておるということではなくて、赤字を出した結果が東北の開発に大いに貢献をして東北の人に喜んでもらっているという実情であればよろしいのでございますが、どうも私の見るところでは、赤字は出しておるが、その結果は必ずしも東北の人々に喜ばれていない。そこに問題があるような気がいたします。そこで、私自身の気持ちとしては、したがって、東北開発そのものの再建を考えながら、他方で、同じ金を使うならばもっと東北の人に役に立つような使い方はないだろうか、こういうふうな二面からの考え方をいたしておるわけでございます。それはまあ東北開発会社の改組という形だけを通じて全部ができるか、あるいはまた北東公庫などの力も借りるか、これからいろいろな方法があると思いますので、来年度の予算の概算要求までに試案をまとめたい、こう考えておるわけでございます。
 仰せられますように、五年やそこらで開発の効果があがるというものではもとよりありません。したがって、赤字が出たからこれはあきらめてしまうということでは、私の考えではさらさらそうではございません。会社の葬式さえ出せばそれでいいという考え方は、私は全然いたしておりません。したがって、そこがむしろ問題のむずかしいところだと私は申し上げておるわけでございます。
 諸外国のことは私も不案内でございますけれども、たとえばイタリアにつきましては、御承知のとおり、あの国は北部、南部で開発の非常な格差がございまして、南部が非常におくれておりますから、特殊法人南部イタリア開発公団というそうでございますが、これが投融資や技術援助をやっておる。それから、フランスの場合には、パリに人口が集中する問題と、西部のフランスでは人口が減少していくという状態がありまして、そこで工場の立地規制などをやって西部地域における工場については助成をする、こういうやり方をやっております。それから、イギリスでは、失業の非常に多い地帯に地域開発政策をやってきたわけでございますけれども、最近ではまたロンドンなどの大都市への人口の集中を排除するためにニュータウンをつくっておる。そうしてその大都市には工場や事務所の設置の規制を行なっておる。また、スコットランドは、御承知のとおり、低開発地域でございますから、工場立地に対する助成をやって工場の地方分散をやっておる。地域開発金融についても、政府が直接に、あるいは特別の金融機関をつくって、一定の条件で低利長期の貸し付けをやっておる。この点はまた北東公庫でありますとか、あるいは日本開発銀行の地方開発融資でありますとか、こういうことにやや似ておるように思いますが、大体においてそんなことをやっておるように聞いております。
#181
○戸田菊雄君 これで終わります。最後に一点だけお伺いしてみます。結局、私は、地域開発の整備はやっぱり金融政策にあるのじゃないかと考えておるのです。ですから、そういう面について十分ひとつ長官のそういう方針なり具体的政策なりあるいは考え方というものを、あとで大蔵大臣のほうに逐一質問してまいりたいと思っておりますが、十分ひとつ意思の統一をはかられて、東北開発がほんとうに軌道に乗るような姿でひとつ御努力を願いたい。
#182
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もそういう方向が出ることが非常に望ましいということを、実は先年来考えております。
#183
○野上元君 企画庁長官にちょっと地域開発の問題でお伺いしておきたいと思うのですが、私も各地を回ってみると、痛切にそれを感ずるのですが、政府も都市政策あるいはまた都市の人口集中化の問題等、いろいろな問題に悩んでおられる。まあ地域開発に早く乗り出さなければ東京は破裂してしまう、あるいは京阪神地区がたいへんなことになる、こういうことであろうと思うのですが、実際そういう状態に近づいておる。そこで、政府としては例の新産業都市指定というようなことで、地域開発にまあ一応筆を染めたわけですが、しかし、実際問題として、長官はどういうふうにお考えになっておるか。
 たとえば、私はいま千葉に住んでいるのですが、千葉のような京葉工業地帯が、これは地域開発だとかなんとか言わなくても、あるいは県がこれを誘致しなくても、とにかく一千万以上の人口をかかえている、消費人口をかかえている東京がすぐそばにあるのですから、企業にとってはこんなにいい場所はないのです。何ぼでも来ると思うのです。ところが、一度宮崎なら宮崎の海岸を埋め立てて、あそこに一つの工業地帯をつくろうというようなことをやってみても、実際問題としてはできないのではないか。あるいはまた山の中の県に、東京から離れた交通の不便な県にもっていって、新産業都市を指定してみても、現実の問題として、政府がよほどの政治力を発揮しない限り、経済の自由の原則から見て、そんなところに企業が行くようなことはないのじゃないでしょうか。その点を私は非常に全国を歩いてみて考えるわけであります。
 したがって、所得の都市と地方における格差というようなものが次第に開く傾向にある、こういう気持ちを実は持っておるのですが、長官としては、この際、この都市過密人口の問題を解消したり、いわゆるその他交通地獄を解消したりとか公害の問題を解消したりというようなことで、地域開発をどうしても私はやらなければならないと思うのですが、的確なひとつ何はないものでしょうか。その点、ひとつ現状とにらみ合わせながらお話をしていただきたい。
#184
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題は新産都市指定のころから非常にいろいろ御承知のように議論があるところでございますが、私ども新産都市を今日まで財政投融資をやって進めておりますのは、大体その当時申し上げたかと思いますが、ほぼ昭和五十年というものを目ざしての先行投資というふうに考えてきたわけであります。工業整備特別地域のほうは、これはもうすでにかなり熟度がございますから、これはもっと早い時点を目ざしてもいいわけでございますけれども、新産都市はまあ五十年だろう、こう考えております。今日までまずまず投融資は一、二の地域を除きまして計画どおり進んでおるわけであります。
 そこで、私はやはり、高速道路等々がだんだん整備されてまいりますと、都会における土地が非常に高い、それから労働力が得にくいというようなことから、ある程度の先行投資が進んでいけば企業が経済法則に従って地方に入っていくということに、もう数年すればなるのではないだろうか。野上委員の仰せられますように、経済法則に反したことをしろということは、どうしてもこれは無理なことでございますので、幸か不幸か人口密集地帯への投資が経済的にだんだんむずかしくなってきております。そうして他方で新産都市には先行投資が行なわれつつあるという、この両方の条件から考えますと、やがては企業の工場等の地方分散が行なわれるようになるのではないか。そのためにはそれなりの先行投資がございませんといけないわけでございますが、たとえば新産都市の中でも諏訪、松本といったような地域は、私どもの予想よりはかなりうまく動いているわけでございます。それから、岡山県南もまあまあうまく動いておると思います。
 で、宮崎細島でございますが、ここは忌憚なく申しますと、やはり県当局の先行投資が結果としては少し早過ぎた。これは妙な表現になって、せっかくやられた方を批判をするつもりはないのでございますけれども、多少先行投資が県の力で早く行き過ぎた。御承知のように、あの辺は台風常襲地帯でありながらも、港湾がいい方向を向いておりますから、そういう心配がありませんし、水がありますし、労働力がありますし、ある時点ではきっと企業が入っていく地点だと思うのでございますが、確かに少し県の負担が早過ぎた。したがって、負担が重いということに現在なっておるのではないか。
 全体としては、私は昭和五十年というものを考えますと、この先行投資はじみちに続けていくべきである。都会地の過密状態は簡単にはとうてい直りませんが、一方企業の集中を排除するような方向に進んでおりますから、多少時間がかかってもやはり新産都市等々への先行投資をいまからしておく、なるべくこの果実が実るまでは地元の負担を軽くしていってあげる、こういう方向で考える、これが正道であろう。仰せのようになかなか気ばかりあせりまして、思っているようにはまいりませんけれども、それが正道ではないかと考えております。
#185
○青木一男君 主税局長に、印紙税法の適用上の疑義をなくするために簡単に質問しておきたいと思います。
 今度の印紙税法改正案によりますというと、大体倍額に引き上げられておるのでありまするが、国民の日常生活で一番関係の深い委任状の印紙税が、これは五円が二十円になっている。これだけが四倍になっていますね。これはどういう理由によるものですか、伺っておきます。
#186
○政府委員(塩崎潤君) 先生御指摘のように、これまでは委任状は普通の証書に比べまして半分の税金でございましたが、今回は、委任状の性質をよく分析いたしましたことと、もう一つは、旧法におきましてはこれまでいろいろな見解がございましたけれども、委任状には種々財産権に関するものが多いけれども、まあそうでないものも相当あるであろうといった考え方、あるいはまた委任状の納税方法、これらを考えた結果だと思います。これまでは普通の証書の半分の税金にしておりましたが、今回は文章を例示いたしまして――例示と申しますか、網羅的に限定列挙いたしまして、これに対して課税する。そういった趣旨を考えてみますと、財産権の創設や移転という限定のつかない課税範囲に改めたことを考えますれば、特にその他の証書と区別しなくてもよかろう、こういった考え方から、普通の証書と同じく二十円の税率に戻したと、こういうことがその考え方の基礎にあるわけでございます。
#187
○青木一男君 今度の改正案によりますと、委任状は権利の得喪、変更とに関係なくすべての委任に課税することになるのでございますが、たとえば公益法人の役員の選挙であるとか、あるいは法人格のない社団とか、あるいは学校の同窓会とか、そういうような場合に、役員でも選挙するときは規約によって委任状を集めてそれで活動をやっておりますが、そういうものまでも全部一律にこの二十円の印紙を張ることになるのですか、その点はどうですか。
#188
○政府委員(塩崎潤君) 例外が一つございまして、もっぱら金銭の受領を委任する委任状で営業に関しないもの、その委任状は非課税でございますが、その他の委任状は、先ほど御指摘のように、すべて二十円の印紙税を納めていただくことになります。
#189
○青木一男君 金銭の受領というようなことは、むしろこれは経済取引に関係あるのですが、たとえば学校の同窓会の役員を選挙する委任状、これはどういう根拠で課税するのですか。
#190
○政府委員(塩崎潤君) なかなかむずかしい問題でございますが、これまでも委任状の中でそういったものがあることを知りながら課税しておる根拠は、やはり何といっても、こういった行為は広い意味では経済取引に関係するという考え方から必要があったかと思うのであります。今回は非課税といたしましたが、身元保証書、これもやはり課税していたわけでございます。これも考えてみますれば、将来の損害賠償、これにも関係いたすという意味におきまして私は課税物件になっておったと思いますが、なかなか「財産権ノ創設、移転、変更若ハ消滅ヲ証明スヘキ証書」という、証書ということばの、用語の意味は広く解しておった。その結果、現在委任状もその範疇に入っておる、こういうふうに私ども考えております。
#191
○青木一男君 私は、学校の同窓会とかああいうような場合は、従来印紙を張ってなかったと思うのですが、これは法律の根拠法は権利の得喪、変更と大体あるから、法の精神から見ても、私はこれに印紙を張るべきじゃないと思っておったのですが、どうも課税の根本の点からいって、私は全然関係ないように思う。ただ、社交上の団体の秩序を保つために役員を選ぶということにすぎないので、全然経済取引に関係ないのですが、そこまでも今度課税することになったのはどういう理由でしょうか。私は問題が残ると思いますから、課税するならその理由をはっきりしておいていただきたい、こういうふうに思います。
#192
○政府委員(塩崎潤君) 現行法でも、財産権の創設、移転に関する証書の規定が第一条にございますが、そこでそういったものを例示する中に委任状という規定がございまして、おそらく厳密にいえば、委任状は課税というふうに読むべきだろうと思うのでございます。執行面、委任状のみならず、印紙税につきまして非常に問題が多いのでございまして、現実に張られていない場合も相当あるかと思いますが、現行法の解釈でも私は、委任状というものが単に委任状と書いてございますので課税というふうに考えられると思いますが、今回はそれを「財産権ノ創設」という字句を省略いたしましたので、委任状は当然入ってその点が明らかになった、こういうふうに解されます。
#193
○大谷贇雄君 関連。たとえばPTAの総会などで、現実問題として私ども東京におるからほとんど出たことがないのです。そうすると、委任状をくれというのです。それには印紙なんかむろんない。おそらくどこの高等学校にしても、中学校にしても、小学校にしても、PTAの総会に出るという人はおそらく何分の一、十分の一くらいだと思います。それがいまの課税されるということになると、たいへんなことになると思います。その点、関連してちょっとお伺いいたします。
#194
○政府委員(塩崎潤君) なかなか、委任状の性質を一々区別いたしまして、財産権の創設あるいは経済取引に関係するものであるかどうか区別することが実務上も私は非常に困難だろうと思います。弁護士に関する委任状についても、その背後には報酬を支払うということで経済取引に関係するかもしれませんが、いろいろな場合の委任契約をあらわす文書があろうかと思います。そういった意味では、今回は委任状の性質を一々実体で区分するのじゃなくて、形式的な委任状ということで割り切ったということで御理解願いたいと思います。
#195
○青木一男君 現行法には財産権の得喪、変更というワクがあって、ただその範囲が不明確であるために今度は明確にされたのだろうと思うのですが、非常に私は課税の対象に不適当な、社交的な理由に委任状が使われている。委任状ということばは、ほかに使いようがないから委任状というのだが、民法あたりの委任というのは大体法律行為の委任から来ているのでありますから、おのずから民法における委任というのは範囲が限定されているのですが、税法の委任はそれよりもはるかに広いということになると、どうも公法と私法の関係から不一致が来て非常に不都合な課税になるというおそれを持っているのですが、その点はどうですか。私はそういう意味で、今度は増税する理由はちっともないのですから、税率を上げるのはいいにしても、課税の範囲を経済取引に関係ないそういうものまで課税するということは、どうも行き過ぎじゃないかと思うのですが、この運用上ワクをはめることはできませんか。そういうように思うのですが、これは非常に適用が多いから、これはそういう立法の趣旨ではないように思いますが、どうも文章を読むと、いま主税局長の言われたように入ってしまうので、それで心配してお伺いしているのですが、いかがですか。
#196
○政府委員(塩崎潤君) この問題は衆議院でも御議論がございまして、労働組合の大会出席の役員選任の委任状、これはどうかというお話もありましたが、それで先ほど申し上げました答弁を繰り返したわけであります。つまり、委任状の性質によって一々区別することは税務ではなかなかできない、やはりそこは印紙税という形式的な文書を重視する性格で、さらに大体の文書には経済的価値ありということで、印紙を張してもらうという一般的な慣行をつけていただくという意味においての印紙税の性格を申し上げたのであります。問題があることは私も十分存じておりますので、そういった点はひとつ検討してみたいと思います。
#197
○青木一男君 労働組合はこれはある意味では経済団体とも言えると思う。けれども、学校のPTAとか同窓会とかは、これは全く経済取引とかその他に関係ない組織だと思うのです。そこに課税するということはどうも少し行き過ぎじゃないかという議論が非常に強いのですね。これは何か、いまさら一日施行を前に方法がないかもしれないが、立法の趣旨から見て、ちょっと適当なるワクがはめられるならば、国税庁長官の通達かなんかでワクをつくられたらいいと思うのだが、これ、まあひとつ希望を申し上げておきます。
#198
○植木光教君 いきなり印紙税法の各論のほうに入りましたけれども、私はちょっと総論的なことから聞いていきたいと思います。
 今回のこの改正にあたって、税制調査会の答申をどういうふうに取り入れたか。あまり詳細にわたらなくてもけっこうですけれども、おもなところをお聞きしたいと思います。
#199
○政府委員(塩崎潤君) 御質問は、印紙税についての税制調査会の答申をどう取り入れたかということでしょうか。
#200
○植木光教君 そうです。
#201
○政府委員(塩崎潤君) そういうことに理解いたしますれば、印紙税は御案内のように定額税でございます。昭和二十九年に税率が改正されたまま現在にまで至っているわけでございます。その後の所得水準あるいは経済取引の実態、さらにまた貨幣価値の状況から見まして、定額税を据え置くのはおかしいではないか――これは税制調査会は印紙税のみならず登録税についても述べておったわけでございます。登録税も、昭和二十三年という古い時代の税率でございますので、こういった定額税的なものにつきましては、やはり新しい経済情勢に応じて見直すべきであるという答申が出てございます。そこで、原則といたしまして二倍程度――もちろん例外がございまするけれども、二倍程度に税率は引き上げる。さらにまた、一方、印紙税も昭和二十九年以来三千円と据え置きでございます。これも現在の取引の実情から見ると非常に酷である。特に中小企業者に繁雑な負担をかけておるという御答申がございまして、いずれも大体税制調査会の答申どおり取り上げて、御提案申し上げた次第でございます。
#202
○植木光教君 いまのお話の中にも、所得だとか物価水準に対応して定額を上げるべきだという考え方で、二倍程度に上げた、こういうことでありますが、現行の印紙税率構造が現在の証書だとか帳簿の作成状況に適合しているということが前提でなければならないと思うんでありますけれども、その点いかがですか。
#203
○政府委員(塩崎潤君) ちょっと意味が明確につかめませんでしたが、もう少し御敷衍願えますれば……。
#204
○植木光教君 二倍程度に引き上げたわけですね。第一番にお聞きしたいのは、印紙税率構造が、現在の印紙税率というものが、各稲の証書だとか帳簿の作成状況に適合しているということが前提でなければならないと思うんでありますけれども。
#205
○政府委員(塩崎潤君) なかなかむずかしい御質問で、答えることがむずかしいかもわかりませんが、私どもは、「旧税は良税」ということは、いいかどうかわかりませんが、一つの経済秩序ができ上がっておるわけでございます。したがいまして、長年検討いたしまして新しく税率構造を変えたものもございますが、全体に申し上げますれば、現行法の税率の構造というものは、私は、先ほど青木先生から委任状につきましての御批判ございましたけれども、証書に対して適合しておる、こういうふうに見ております。
#206
○植木光教君 昭和二十九年に現行法がきまったわけですね。この二十九年度の所得だとか物価水準に対して、四十二年度は二倍ないし三倍だと。こういうふうに引き上げられた根拠と申しますか、それをお聞きしたい。
#207
○政府委員(塩崎潤君) 国民所得は二十九年から四十一年にかけまして、四・三倍に上昇しております。国税収入は三・七倍、消費者物価は一・五倍に上昇しております。そのほかいろいろな指標もございますけれども、おも立った指標は以上のとおりでありまして、これらを参考にいたしまして二倍に引き上げております。
 なお、この二倍という数字は、私どもはしばらく安定して、若干の所得の増加とか、あるいは物価の上昇はございましても、税の性格から見まして相当安定すべきである、こういうふうに考えております。したがいまして、印紙税につきましては、他の税と違いまして、漸増方式といったものはとらないほうがいいという考え方に立っております。
#208
○植木光教君 国民所得は四・三倍ということですが、その物価水準はもちろん二倍にまでも行っていない。公共料金も、これは日銀の統計局の調べでありますけれども、ものによっては、一番高くなっているのは、私のところにあります資料では、新聞代が二倍くらいになったくらいで、あとは一・五倍とか一・七倍とかいうような数字が出ておるわけでありますけれども、そういたしますと、今回は二倍程度に引き上げられたのは、国民所得が上がっているからという理由で引き上げられたのか。物価水準を勘案しておられないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#209
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、公共料金は二倍に行っていないものもございます。しかし、私的なものにつきましては、料金につきましては二倍に行っておるものもございますし、私が申し上げましたのは、物価だけじゃなくて、やはり国民所得の水準と税金というものは密接な関係があろうかと思います。やはり税金は所得の中から支払われる。したがって、一定の所得水準を前提といたしまして立てられた税率は、やはり所得の水準によって見直さるべきだ、これが私は第一の理由だと思うのであります。
 なお、先ほども申し上げましたように、税の性格から、頻繁に上げますと、経済取引に及ぼす影響が重要でございますので、二倍というのは相当大幅のようでございますけれども 今後しばらくはこれを安定してもっていきたい、こういうふうに見ております。
 なお、昭和二十九年、これは、私は税制二課長でございましたが、所得税の減税財源という理由から五倍上げた経過もございます。
#210
○植木光教君 次に、税制調査会では新規課税の検討ということで、自動車の免許証だとか旅券に対する課税、こういうものについて答申をしてきているわけでございますけれども、今回はこれを見送られた。どういう理由で見送ったのか、また今後はどういう態度をおとりになる意向であるかを伺いたい。
#211
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、まず第一に、自動車運転免許証につきましては、税制調査会の答申がございましたが、これを今回御提案申し上げておりません理由は、第一には、地方税との関係の調整でございます。現在、御承知のように、運転免許証は手数料といたしまして地方公共団体の収入になっておりますが、これとの関係でどういうふうに印紙税を考えるか、こんな点をもう少し考える必要があろう。それが第一でございます。第二は、また運転免許証に課税いたしましても、印紙税の形で課税をするがいいか、地方税の形で課税をするのがいいか、そういった意味においての検討、さらにまた地方税といたしましても、偏在度の程度、これらを見てもう少し研究すべきであるというようなことで、今回は提案を見送っております。
 その次は、やはり同じく税制調査会から答申のございました旅券でございますが、これにつきましても、渡航の自由化と申しますか、渡航に対してできる限り制限を加えないという要請がOECD等にございまして、そういった面からの批判がございます。私どもは、支払い能力の観点から見て、何も経済取引をあらわす文書だけが印紙税の対象とは考えておりません。やはりその文書の中に、支払い能力、担税力のありますものは、技術的な手段として印紙税を課税することは十分考えられていいことであろう、こういうように考えておりますが、渡航の自由化の問題、さらにまた今年度は日本におきまして国際観光年の行事もありますので、こういった支払い能力というものも税の理論よりも別な角度からもう少し慎重に検討したらいいだろうという観点から、今回は提案を見送ったわけでございます。
#212
○植木光教君 この間、二十六日の閣議で観光白書が了承されたわけですね。それによりますと、四十一年度は外人客は四十三万三千人が来日して、四十年度に比較して六万六千人、一八%の上昇。しかし、収支のほうを見ますと、収入のほうは七千五百六万ドル、支出は非常に多くなっている、一億一千七百九十六万ドルで、三千八百九十万ドルの赤字だということが報告されているわけです。いまお話がありましたように、国際観光年に当たるとか、あるいはまた渡航の自由というものは阻害しちゃいかぬとか、そういうふうな理由で見送られたわけでしょうが、しかし、これはこういうふうに海外旅行収支が悪化していくというような傾向が続くとするならば、別の観点から、旅券に対して印紙税をかけるとか、あるいはまたそのほかの何かの措置で制約を加えるというようなことが考えられるかどうか、お伺いしたい。
#213
○政府委員(塩崎潤君) 国際収支に及ぼす観光客の影響、これらから見まして、よく海外渡航に対しましては少し税金を取ったらどうか、こういうお話があり、外国におきましても出国税と申しますか、飛行場で税金を取るというふうなことも御案内のとおりでございます。私どもが考慮いたしましたのは、外人観光客、外国から来る観光客からは税金を取らないほうがいい、むしろわがほうから出る方から税金を支払っていただくほうがそういった目的から見ると適当じゃないか、こんなような考え方から、旅券に対しましての印紙税を考慮していただいたわけでございますが、今後のこれは国際収支にも影響いたしますが、財源といたしまして、また税制といたしまして、これは慎重に検討すべきものだと思います。そういった意味では賛成者もございましたが、観光年であるという別の理由から、少し慎重にというお話もございましたので、今回は御提案を差し控えた次第でございます。
#214
○植木光教君 そうしますと、将来は出国税だとかあるいは印紙税というような何らかのかっこうで渡航の制限を加えるかもしれないということですか。
#215
○政府委員(塩崎潤君) 私どもは渡航の制限というふうには考えておりません。海外渡航をするような人は支払い能力は十分あるであろう、しかもまた、考えておりましたような税金ならば十分支払っていただけるものだ、それによってしかも渡航を制限したことにはならないであろう、こういうふうに私どもは考えておりまして、今後各方面の御批判もございましょうが、いろいろな財政事情もございますので、これは十分ひとつ検討してまいりたい、こういう意味でございます。
#216
○植木光教君 印紙税の税率を見てみますと、定額税率というのと記載金高階級別定額税率、記載金高比例税率、こういうふうに三つに分かれておりますけれども、三つに区分する基準がどこにあるのかということと、また定額税率のほうから記載金高階級別税率に改正したものは、その理由について伺いたい。
#217
○政府委員(塩崎潤君) 印紙税の根本的な性格が何かという問題でございます。なかなかむずかしい私は税の性格だと思いまするけれども、基本的には、経済取引の中に担税力を見出し、それも文書であらわれたときに担税力を見出したのが印紙税だと思います。言うならば、文書にあらわれた売り上げ税に似たような性格であろうかと思うのでございます。そういたしますと、基本的には比例税率ということが考えられるわけでございます。しかし、一方この税が経済取引に非常な支障を与えてはいけないと思うわけでございます。そういった意味では、一通の文書につまきしての定額税率が便利であるということがいえるかと思います。そういった意味で、私どもは定額税率あるいは比例税率、階級別税率、こういった区分を認めております。これは経済取引を阻害するかしないか、さらにまた文書作成の技術、大量性、反復性、これらを考慮いたしまして、おのおのの税率を区分している、こういうふうに考えております。
#218
○植木光教君 最後にお聞きいたしますけれども、印紙税収入の国税収入の中に占める割合なんでありますけれども、手元の資料によりますと、昭和三十六年が〇・八%、三十七年が〇・八%、それから三十八年から四十一年までが〇・九%、四十二年が一%、こういう姿になっているわけでありますけれども、だんだんこういうふうに〇・一%ずつでも国税収入中に占める比率が高くなっていく。これはこういう理由があるのかどうか、たまたまこういう姿になっているということであるのかどうか。
#219
○政府委員(塩崎潤君) 御疑問ごもっともでございます。定額税率で据え置くならば、本来税収中のウエートは減少するのじゃないか。それにもかかわらず、ウエートは同じである、あるいは若干の微増という傾向も見られる。そういう傾向があるのに、なぜ定額税率を引き上げるかという御疑問でございます。また、定額税率でありましても、御案内のように取り引き金額が上昇してまいりますので、ウエートが低下するということはないことは事実でございます。これが一つでございます。もう一つは、階級定率部分が非常に多い。これは手形なんかは、手形の税収が印紙税中相当なウエートを占めている。これは階級税率でございますので、取引金額が上昇しますればだんだん上のほうの税率になりますので、これはウエートがむろん高まる傾向に働くと思います。しかしながら、最高に達しますと逓減いたしておりますので、一定限度に達しますと、これは階級定額の最高税率を据え置くとしますと、税収のウエートが下がる傾向に働くわけでございます。印紙税は必ずしも定額税率なるがゆえにウエートが少なくなるゆえんでない。一方、所得税あるいは法人税につきましての減税が行なわれてきた関係から、ウエートが一定という面もございます。
 そんなようなことを考慮いたしまして、定額税率につきまして、やはり現在の水準、昭和二十九年度の水準等を考慮いたしまして、やはり二倍ぐらいに引き上げるのが適当である。そうして大体現在のウエートを若干上回る程度で、そのうちにまた下がる傾向に、所得税、法人税の減税がなければまたウエートが下がってくると思います。そういった意味でウエートは必ずしも私は下がるというよりも、現状程度を維持するというところをねらって、この税率を引き上げようというのが適当であろう。しかし、印紙税をやめるというなら別でございますが、やはり税制の一部といたしまして、所得税あるいは法人税の補完税と考えますと、どうしても現状に適当する税率を盛り込む必要がある。これに所得税の減税、財源の必要性の大きいときでございますので、こういった税率の引き上げも十分許されるところではないか、こういうふうに考えております。
#220
○委員長(竹中恒夫君) 速記をとめて。
#221
○委員長(竹中恒夫君) 速記を起こして。
 大蔵大臣がお見えになりましたので、質疑を続けます。
#222
○戸田菊雄君 大綱二点について大臣に質問してまいりたいと思いますが、その第一点は東北開発についての問題であります。
 第一に質問いたしたいのは、地域開発金融に対する大蔵省の基本的な態度を承りたい。
#223
○国務大臣(水田三喜男君) 地域開発は必要でございますので、今後地域開発についての各種の施策――金融、税制その他にわたって策を政府は現にとっておるということでございます。特に金融につきましては、専門に日本開発銀行、それから北海道東北開発公庫のこの二つが地域開発の金融に当たっておるということでございます。
#224
○戸田菊雄君 いま大臣もおっしゃられましたように、金融、税制各般の諸措置が必要だ、この中でことに金融措置ですね、これはやはり何といっても最重要の問題ではないかと考えるのでありますが、ことに地域開発というものは、どうしても投資いたしましても直ちに採算ベースに乗るというようなことはないと思うのです。そういう意味合いからいけば、金融措置に対する大臣のその基本的な考えはどういうふうにお考えになっているか、その点を一つお伺いしたい。
#225
○国務大臣(水田三喜男君) どう考えるかということでございますが、財政資金をもって年々開発銀行及び開発公庫に分けて一定の資金量を確保しているということでございます。
#226
○戸田菊雄君 金融措置でありますから、私は何といっても金利がやはり問題になってくると思うのです。それからもう一つは、何といっても時期的な問題であると思うのです。やはり期限が長期というか、そういう角度で金融措置等が行なわれなければいけないと思うのでありますが、そういう点は大臣はどうお考えですか。
#227
○国務大臣(水田三喜男君) いま政府の各金融機関、大体基準金利を八分二厘ということにしておりますし、地域開発の期限は原則として十年以内、特に必要あるものは十年以上というような条件でやっておりますが、金利の点は、大体政府の各機関の基準金利はいま統一されておると思います。
#228
○戸田菊雄君 地域開発に対する金融措置のいわば長期かつ低利であるという、こういう考え方についてはどうお考えですか。
#229
○国務大臣(水田三喜男君) できるだけそうあるべきだと考えます。
#230
○戸田菊雄君 大臣もいまおっしゃられましたように、日本開発銀行ないし東北開発については北東公庫、こういうものを担当としていろいろやられるわけでありますが、そのほか中小企業金融公庫であるとか、農林漁業金融公庫であるとか、こういった業種別金融機関がいま存在をするわけでありますが、これの返還期限ですね、これは一体どうなっておりましょうか。また、その金利は、いま大臣がおっしゃられましたように、標準金利は八・二%、こういうお答えがありましたが、これに対する解釈を明確に願いたいと思います。
#231
○説明員(青山俊君) 現状を御説明いたします。
 開発銀行につきましては、平均の融資期間は現在大体七年でございます。しかし、これ以外に電力とか海運とか、特殊なものは非常にこれ長期になりますので、こういうものを除きますと、平均大体七年ということになっております。それから、北東公庫の場合は、これは四十年度の実績でございますが、これによりますと、六年九カ月、こういう状態になっております。それからなお、中小公庫は三年六カ月、農林漁業金融公庫は、これは農業という特殊なものを対象にいたしますので、二十年という非常に長期なものになっております。なお、国民公庫は二年以内、こういう大体状況でございます。
#232
○戸田菊雄君 世界的に見まして、社会主義国は別でありますけれども、資本主義国のイギリス、ないしフランス、イタリア、こういうところでもいろいろと地域開発がやられている。これは先ほど企画庁長官に聞きまして、たとえばイタリアあたりにおきましては、南伊開発ということに具体的に取り組まれておるわけですけれども、さらにイギリスにおいては、企画庁長官のお話でもおっしゃられましたように、地方雇用法、こういったものを含めて開発地区への融資措置、フランスにおいてもラ・クレディ・ナシォナル、こういうもので開発というものを具体的に進めておるわけでありますね、こういう面に対するいわば諸外国の期限、金利というものが一体どういう状況になっておるか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
#233
○説明員(青山俊君) 実は十分な資料がございませんので、あるいは不備にわたるかもしれませんことを御了承をいただきたいのでありますが、一応手元の資料で申し上げますと、イギリスの場合は十年、六%ということになっております。それから、フランスの場合には、設備の場合に二十年以内、約七%、こういう状態になっております。それから、イタリアの場合は、設備で大体十五年、金利が五%程度というふうな資料しか現在ございませんので、その程度で御了承願いたいと思います。
#234
○戸田菊雄君 いまの説明でありますと、イギリスは期限が十年で六%、フランスは二十年で七%、イタリアは十五年で五%、こういう状況であって、言ってみれば、先ほど大臣がお話をされましたように、八・二%という日本の基準金利よりはやはり低くなっておりますね。ことにこの年限につきましては、相当やはりイタリアあたりにおいては十五年、フランスは二十年ですね。そういうふうに私は地域開発というものは長期に見なければほんとうの意味での開発の意味はなさないのだ、こういうふうに考えるのですが、それから比較をしますと、いま日本でやられている地域開発、ことに東北開発――御承知のように東北開発はこれは緊急事だと思いますね。何か東京ないし京阪神一帯は全く政府の手厚い保護政策のもとに最重要工業地帯としていまどんどん発展をしております。したがいまして、生活度合いも東北などと比較すると数段格差が上回っている。こういう状態からいったら、経済上の格差、あるいは政治面の力の入れ方、各般のいま国家政策の中で行なわれている施策の中で、やはりこれらの問題については最重点にやるけれども、主として農村地帯とか、東北の後進封建的なこういう地域については、きわめて私は片手落ちではないか、こういう印象を強く受けるわけでありますが、そういう点についても含めて、大臣の今後の開発構想を、特に東北についてどういう一体熱意と施策をもって対処していくのか、この辺についてひとつお聞かせを願いたい。
#235
○国務大臣(水田三喜男君) 諸外国に比べて確かに日本の長期の金利水準は高いと思います。日本では民間の長期金利で、長興銀で最も最優遇のレートでちょうどいまの八・二%ということでございますので、やはり長期金利の水準は高いということははっきりしております。最近日本の金利水準はだいぶ外国の水準に近寄ってはきましたが、長期部面においては金利をこれから下げるということを私どもは努力してやろうということでございますので、今後長期金利を下げる方向に努力するつもりでおります。
 で、東北開発というようなことをいいましても、やはり結局はこの金利の問題が一番大きい問題になると思いますので、これ一つを特に金利を下げるということはなかなかむずかしいことでございますので、全般としての日本の長期金利を下げるという努力の中で、特に東北地方の開発に寄与させるという方向で進めるよりしかたないじゃないかと思います。
#236
○戸田菊雄君 下げることに全体としては努力すると、こういうことなんですが、それがひとつ東北開発、いわば北東公庫等に対するこの問題だけを一つとらえて下げるとかいうことはできない、こういう現状だ、しかし将来は下げるということなんですが、その見通しと時期などについて大臣の考えがあればお聞かせを願いたい。
#237
○国務大臣(水田三喜男君) いま金融制度調査会においてとりあえず中小金融機関のあり方というものを中心に検討をしておるときでございますし、引き続いて一般の金融機関の問題についても検討をするという順序で、いま審議会がやっておりますが、こういう一連のものを通じて私どもは将来日本の金融をどういうふうにしていくか、その過程においてまた長期金利の引き下げをはかっていくかというような問題にいま取り組んでおるところでございますので、こういう作業をしてから、このいま言ったような目的を、いま言ったような方向への解決をしていこうということを考えておりますが、問題はやはり金融事情というものとからんで考えなければなりませんので、早急に実現するということはできないと思いますが、方向をきめてかかったら、二、三年のうちにはそういう方向をはっきり出せるというふうに思っています。
#238
○戸田菊雄君 それで、その北東公庫の四十一年度の決算をながめてみますと、予算の使い残しですね、これが七十億余りある。これは御存じだろうと思います。これは一体どうして七十億も余ったかというと、各種報道やいろいろ情報を聞いてみますというと、これはやはり金利が高いというところに原因があるようです。ですから、結局、金利の安い市中銀行のほうに集中的に行ってしまう。こういう弊害が結果的には、せっかく融資されて、それだけの予算執行でもって年度計画を建て直したのだけれども、決算をしてみたらそういう結果が出てきた、こういうことになっている。これは全く私は、いまの金利というものがあまり高過ぎる。地域開発用としては活用でき得ない。実際借りようとしても、それではとても間に合わないということです。こういう現象が反映しているものと考えるのですけれども、このようないわば実効のあがらないこの地域開発金融等について、具体的にどういう一体これからの対策をもって臨んでいったらいいと思いますか、大臣。
#239
○説明員(青山俊君) 実情をまず申し上げます。四十一年度の貸し付けの当初の予定は、いま先生から御指摘のとおり三百八十五億でございますけれども、契約ベースの実績は三百十億円で、当初の計画に対しまして七十五億円減ということになっております。で、このうち五億円は手持ち自己資金の増といたしまして、四十二年度の貸し付け財源に繰り越されております。なぜこういうように予定どおりいかなかったかということについては、いろいろ原因があると思いますが、御承知のとおりに、四十一年度は景気の停滞から企業全体の設備投資が非常に減退いたしまして、その傾向がやはり東北地方にも非常にあったということが一つの大きい原因だろうと思います。
 それから、もう一つ、いま民間のほうが安いからそのほうから金が出たんじゃないかというお話でございますが、やはり地域開発のような仕事は相当長期の、いま先生から御指摘のように、長期の期間を要しますので、これを一般金融機関から借りますと、非常に長期のものはやはり相当金利が高いわけでございます。先ほど大臣から御説明いたしましたように、興長銀は一番最優遇レートで八・二でございまして、実際はこれより相当平均金利は高いわけでございます。したがいまして、やはり設備をするということになりますれば、北東公庫の金を借りましたほうが、金利の面におきましても、期間の面におきましても、有利なわけでございます。ただ、いま申しましたように、全般的な設備意欲の減退ということが基本的な原因ではなかったかというふうに考えております。
#240
○戸田菊雄君 先ほど諸外国、特にイギリス、フランス、イタリアに対しての説明をいただいたのでありますが、それによりますと、各国とも、三国を比較した場合は、年数二十年、十年、十五年ですか、日本より長い。日本は六・九カ月、北東公庫は。こういうことですから、全部長い。そうしてなおかつ金利の点についても六%、七%、五%ですから、これも下回る。しからば経済情勢からいって、フランスと日本、あるいはイギリスと日本、あるいはイタリアと日本、そう私は日本は下回っておらぬにもかかわらず、いま言われたように、日本は依然として八・二%を現実北東公庫に適用しております。これは一体どういうように考えておりますか。
#241
○説明員(青山俊君) その点を補足して御説明申しますと、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、全体の日本の長期金利水準と各国の長期金利水準は相当の差があるわけでございます。北東公庫の六年九カ月と申しますのは平均でございまして、先ほど申しましたように、原則として十カ年までは貸せるわけでございます。また、必要ならば十年以上も貸し得る。その点で英国の十年というものとは同じだというふうに考えられるわけでございます。英国の場合、現在この長期の金利というものは、大体十年の民間の金融機関が六・五%程度でございます。それに対して地域開発分が約六%。それから、フランスの場合には、いろいろ機関によって違いますが、五%から八%四分の一というぐらいまでの金利がいろいろございまして、先ほどの地域開発については七%ということで、日本の場合は基本的に民間の長期金利というものが平均いたしまして八・四、五%、興長銀の約定平均で申しますと、八・四六になっております。そういう意味において、全体の金利水準が高いわけでございまして、いきなり各国の金利をすぐそのまま横にとるというわけにはいかない事情がございまして、その点につきましては、ただいま大臣から申しましたように、長期金利の引き下げということについて今後も努力をいたさなければならない。
 なお、御参考までに、昨年四十一年の一年間で従来の八・七%から八・二%というふうに、〇・五%引き下げをいたしておるわけでございまして、今後におきましても金融機関の経営の合理化という線を進めまして、こういう点について不断の努力をしていかなければならぬというふうに考えております。
#242
○戸田菊雄君 それでは、ひとつお伺いしたいと思うのですが、この北東公庫の資金コストをちょっと調べた資料があるわけですが、これによりますと、総資金原価は四十一年度、実績六・八%ですね。四十年度では六・八四%、三十九年が六・八九%、大体年々下がっておるわけです。下がって六・八%総資金原価でありますから、八・二%の基準金利との開きは相当あると思う。いわばこの資金コストの状況からいっても、私は基準金利というものが相当高く置かれている。もっとこういう問題について私は検討されてしかるべきじゃないかと思いますし、ことに地域開発の金融という問題については、量もさることながら、質の問題に非常に私はウエートを置かれていかなければならない、こういうふうに考えるのですがね。せっかく地域開発として国家から融資した資金が全然実効が伴わない、あるいは使用できない、またされない、こういうようなことでは全然私は意味をなさないと思う。それがすべてこの金利にあるということになっているのですね。この資金原価のコストから見てもそうだと思う。こういう点については一体どういうお考えですか。
#243
○説明員(青山俊君) ただいま資金コストの問題についてお話がございましたが、だんだん、資金コストにつきましては、全体の資金量がふえますとともに、人件費率あるいは物件費率等の割合が減ってくるわけでございまして、そういう点においては漸次資金コストは逓減いたしてくるわけでございます。現在利ざやが大体〇・九四くらいになると思いますが、それくらいの利ざやがございますが、これはほとんどすべて貸し倒れ準備に積みまして、そして公庫としての資産に備えておるわけでございます。これは民間金融機関についても同じことでございますが、やはり合理化を進めまして資金のコストを下げまして、貸し出し金のほうの利回りを下げていくということは、当然金融機関として努力すべきことでございます。
 ただ、先ほど大臣からお話し申しましたように、政府金融機関の金利はいろいろ各方面の公庫との関係がございます。そういう点を十分に考えまして、今後対処していかなければならないというふうに考えております。
#244
○戸田菊雄君 四十二年度はまだ組み込まれておりませんけれども、四十一年の予算の資金調達の中に政府借り入れ金というのがあるのです。この率は一体幾らですか。
#245
○説明員(青山俊君) 政府借り入れ金、四十一年度は当初予算では七十億でございます。それが実行では四十億になっております。先ほどお答えいたしましたときに七十五億の差がございまして、その七十五億につきまして、五億は手持ち資金として翌年度へ繰り越しました、それから政府借り入れ金のほうを三十億減少いたしました、それから債券の発行を四十億減少いたしましたのが、四十一年度の資金調達の実績でございます。
#246
○戸田菊雄君 その内容は前に聞いてわかっておるんですが、金利は幾らですか、利息。
#247
○説明員(青山俊君) 借り入れ金の利息でございますか。
#248
○戸田菊雄君 はい。
#249
○説明員(青山俊君) 七%でございます。
#250
○戸田菊雄君 そうしますと、私はいろいろ疑問を感ずるんですよね。たとえばこの資金運用部からの政府借り入れは通常六・五%だと私は思うのですよ。そうして政府から北東公庫が借りているものは七%で、〇・五%高い。この高い利子を払っているのは一体どこどこかということを調べてみましたら、これは北東公庫と地下鉄営団と二つだけです。こういういわば北東公庫と地下鉄営団、この二カ所適用のものが七%も取られるという一つの姿というものは、一体どういう理由によるんですか。その辺の理由についてひとつお答えを願いたい。
#251
○説明員(広瀬駿二君) 北東公庫の資金調達としましては、債券発行でいくというのがたてまえでございまして、運用部から出すにつきましても、債券発行と同じレートでお貸しするという慣例でもって従来やっております。地下鉄につきましても同様でございます。
#252
○戸田菊雄君 いろいろいまお話をされているんですが、どうも私は政府が資金運用部から借りるときは六・五%、その金を今度は北東公庫なり地下鉄に貸し付けるときは七%、そしてなおかつ平均金利というものは八・二%ですよ。どうもこういう一貫した国政、施策を実行していくには、その出口が同じなのにもかかわらず、何かかってに使用途というものの方向をきめて、そして金利に対する差別、こういう形をとっていくことは理解できないのです。こういう問題について、大臣、一体どうお考えになっていますか。矛盾だとは考えませんか。
#253
○説明員(広瀬駿二君) 資金運用部の貸し付け金利の中で大体が六・五%なのに、北東公庫については何で七%かという、それにつきまして矛盾を感じないかということで大臣に御質問ございましたが、とりあえず事務のほうから申し上げますと、資金運用部の資金は大体郵便貯金あるいは特別会計等の預託金、これは厚生年金とか国民年金、そういったようなものですが、資金コストが大体六分四、五厘、ほとんどすれすれのところにございまして、貸し付け金利もしたがって六分五厘というぎりぎりのところになっておるわけでございます。こういうところにつきまして、昭和三十六年でございましたか、国民年金制度がしかれたときに資金運用部審議会でいろいろ検討がされまして、運用部としましても、これは大事な国民の零細な郵便貯金なり、あるいは零細な年金掛け金なりをお預かりしている立場からいきまして、利回りの向上をはかるべきだという関係もあり、そのころこういう地下鉄とかあるいは北東公庫というものに対する貸し付けの金利を七%というふうに定めたわけでございます。
 それで、この七%とすることにつきましては、確かにおかしいという、そちらの面からいえばあるわけでございますけれども、一方北東公庫が貸し付けなさる金利のほうは八・二%、その当時はもっと高かったわけでございますが、八・二%である程度の利ざやが見込み得るわけでございます。八・二%をもっと下げればいいじゃないかということがおそらく先生のお考えかと思いますが、八・二%につきましては、北東公庫からお貸しする北海道、東北の開発のための金利と、それから開発銀行からお貸しする、これは北海道、東北以外の九州なり、四国なり、あるいは北陸なりの地域開発への金利、これとのバランスというものが当然ございますし、それから、そういった地域開発の金利が、先ほど来大臣がおっしゃいましたように、八・二%というのは非常に勉強した金利ということが申せると思いまして――と申しますのは、地域開発事業というのは各種の産業、中小企業等々ございますが、これらは原則として八分二厘という基準金利でいくのがたてまえで、他の市中金利を見ますれば、歩積みの問題もありましょうし、あるいは基準金利、興長銀の平均金利といっても、さっき青山調査官のほうからおっしゃったように八分四厘でございましたかぐらいになっているというようなことでございますので、そういった面のバランスも考えなければならぬ。そういう意味で八分二厘は動かしがたい。したがって、その辺の利ざやはある程度当然予想して、私のほうは七分の金利でもってお貸ししておる、こういうことでございます。
#254
○戸田菊雄君 結果は金利が高いということはお認めになると思いますが、ですから、もう少し金利を下げろというのです。先ほど一般的に大臣は金利を下げたいという意向を述べられた、その中に当然北東公庫に対する金利ももちろん含まっておると私は考える。そういう問題について、私は、どうしてもやはり下げても金利が高いのだから、北東公庫のそういう面からいって、下げてもまだ十分運営の方途がつくのだ、こういう状況が出ておるものですから、こういう問題を十分検討されて、近い将来、私は直ちにと、こう言いたいのでありますが、ぜひひとつこれら開発公庫を含めて大臣のほうでも検討していただきたいと思うのですが、そういう検討はいかがですか。御意思はございますか。
#255
○国務大臣(水田三喜男君) 検討はいたします。さっき申しましたが、いわゆる資本自由化というようなものをめぐって、この金利の問題が日本経済からいろいろ要請される度はきつくなると考えますので、私どもはそういう意味から日本の長期金利全体を下げるというためには、日本の金融コストをとにかく下げなければなりませんので、これはたいへんな仕事だと思っておりますが、こういう仕事をやらなければならぬところへ日本経済は日程としては来ているというようなことも考えておりますので、こういう仕事の一環として当然いまおっしゃられるような問題は検討したいと思います。
#256
○戸田菊雄君 先ほど宮澤企画庁長官にお尋ねをしたのですが、その考え方としまして、投融資部門を北東公庫に移してもよろしい、こういう考えを長官がさっきお話しされておったのです。この点、大蔵大臣としてはどう一体考えておられますか、お聞かせを願います。
#257
○説明員(広瀬駿二君) ただいまの御質問は、先ほど宮澤長官が東北開発株式会社の投融資部門を北東公庫に移すと言われたことについての御質問であったわけでございまして、その点まだ大臣がお聞きになっていなかったようでございますから、私から申し上げたいと思いますが、これは東北開発株式会社の経理状況が非常にむずかしい状況になっておる。これはいろいろな事情があるわけでございまして、現在その再建にかかっておるようなわけでございますが、これに関連しまして、行政管理庁のほうからも、東北開発株式会社自身をどうするか、事業を民間に移したらどうか、いろいろな議論が出ておる際でございますので、それとの関連だと思います。この辺につきましては、実は先ほど長官からいろいろ御答弁があったわけでございますが、投融資部門については北東公庫のほうへ移していいじゃないかということを方針としては考えているが、まだ財政当局には相談していらっしゃらないというような御答弁だったそうでございます。そのとおりでございまして、われわれのほうもまだ御相談を受けておりません。したがって、大臣のほうにもまだ御報告申し上げておりませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
#258
○国務大臣(水田三喜男君) その問題は、私は宮澤さんから聞いております。というのは、ことしの総選挙のときに、東北地方を回る役を私と宮澤さんが担当しましたために、この東北開発の工場も一緒に見て回って、これを将来どういうふうにするかというようなことが出ましたので、これはゆっくりまた今後相談にあずかろうということになっておりましたが、その後こういう問題で話し合ったことはございませんし、したがって、まだ役所として検討するというところまで行っていないかもしれませんが、話は聞いております。
#259
○戸田菊雄君 十分ひとつ長官とも打ち合わせの上に立って、熱意を持って前向きでひとつ対処してもらいたいと思います。
 で、またお尋ねしたいと思うんですが、これも宮澤長官が言っておられるんですが、財政資金の二重融資はできるだけ避けるんだと、そういうことをおっしゃられているわけですが、大蔵大臣としてはこの点についてどう考えますか。
#260
○国務大臣(水田三喜男君) それはそうと思います。
#261
○戸田菊雄君 そういうことだとすれば、しかし、東北開発会社が投融資しています青森の南部縦貫鉄道というのがあります。これには北東公庫が融資しているんですね。融資している。これは明らかに財政資金の二重融資というふうに考えますが、そういう面はしからばどう考えますか。
#262
○説明員(広瀬駿二君) いま御指摘の南部鉄道でございますが、これは全くの例外で、これだけにつきまして両方から二重融資になっておりまして、その他のものにつきましては、行政運営としまして、行政の指導方針としまして二重にならないように指導され、実績もそうなっているというふうに私ども承知しております。
#263
○戸田菊雄君 例外と言うんですが、そうすると、できないということではないと思うんですね。できないということではない。そういうかっこうに法律で明確に定めてあって、こういうしかじかの法律によってできない、こういうことではない。いまおっしゃられたように、行政上の指導でたぶんこういうものが入ってくるだろうと思うのですが、そういうことだとすれば、これは東北開発会社の荷物となっておる投融資部門、北東公庫にそういった問題を肩がわりさせてもいいんじゃないか。そういういわば例外といいますか、運営面における一つの弾力的な取り扱いですね、こういうものがあってもいいんではないか。ことさら法律にも抵触はしない。すべて行政指導上そういうことをやられる、そして例外もできる、できないということではない、こういうことであるとすれば、そういうことがあってもいいのではないかと考えるのですが、この点はどうですか。
#264
○説明員(広瀬駿二君) 突然のお尋ねで、そこまで、肩がわりしてもいいじゃないかというお話はいま初めて伺って、ちょっと検討しておりません。経済企画庁当局がどういうふうに考えているか、それから今後どういうふうに持っていくつもりかというようなことにつきまして、もう少し慎重に勉強さしていただきたいと思います。したがいまして、いまのところはちょっと、私のほうのあまり私見にわたることにもなってもいけませんから、十分内部で相談してから御返事申し上げたいと思います。
#265
○戸田菊雄君 私は、ふところは同じなんですね、ふところは同じだと思う。だから、それを右にするか、左にするかという、いわば運用上の問題だと思うのですね。だから、そう問題じゃないというふうに考えるのですけれどもね。こういった問題について、東北開発会社に対してもっと抜本的な国の姿勢確立といいますか、こういう問題があっていいのではないか、こう考えるのですね。東北開発会社としては非常に荷物となって苦労している。しかし、その全部出どころは政府なんですから、ふところは同じなんですから、それを右にするか左にするか、いわば技術的な問題だ。こういう問題について、やはりこれは基本的にそういう国家姿勢といいますか、こういうもののやはり姿勢確立がないところに、いま言った次長の答弁が私は出てくるのだろう。だから、そういう問題については私はさほど慎重にならないでもいいと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
#266
○説明員(広瀬駿二君) 大臣がお答えになります前に、もう一度ちょっと私の考え方を申し上げたいと思いますが、いま実は東北株式会社は再建計画を実施しておりまして、従来の非常に大きな累積の赤字を整理する段階に入っておるわけでございます。したがいまして、いまおっしゃったような融資も私は具体的にはどういうものがあるか、不勉強で存じておりませんけれども、かなり焦げついて困っているものがあるのじゃないか。で、それにつきまして、いま先生がおっしゃったように、結局は国の財政資金によってめんどうを見ているのだから、それについて整理して助けてやるという方法があってもいいのじゃないかというような御趣旨じゃなかろうかと思います。で、そういうこまかいと申しますか、再建についてのいろいろなやり方につきましては、いま経済企画庁が責任持って指導しているわけでございまして、それについてはそういう方法があるのかないのかということにつきまして、十分経済企画庁と相談してまいりたいということを考えております。
#267
○戸田菊雄君 まあいまおっしゃられて、先ほど宮澤長官もそういうことを指摘をされて、非常に真剣にこれから前向きで努力をするというお約束をいただいたのですが、結局、この東北開発会社が赤字で非常に悩んでおることはそのとおりです。三十九年から再建五カ年計画というのをもちまして、八人委員会も設立して、そこでいろいろと努力をし、部内的に合理化その他をやりまして、最近では累積赤字に対しても相当克服をしてきている。それは長官も認めておる、大蔵大臣も認めるところだと思います。
 結局、私は地域開発というものは相当長期な年限と国家投資というそういう手厚い保護政策というものがなければ、ことに東北のおくれた自然条件からいけば、きわめて不平等な、寒冷、積雪、酷寒の地帯である、そして明治以来何年か農耕一本でやってきた、そういう状態です。政府の施策といえば、農政に対してもそう真剣に、農民が喜ぶような政策をいま具体的にやっていないわけですから、そういういわば悪平等下に置かれる東北の一帯の地域の中でやはり開発をしていくということになると、これも当然採算ベースがとれない時期が、あっていいとは私は言いませんが、そういう時期は必ずある。しかし、それに見合う一つの熟慮をもっていまやっておることは事実なんでありますが、そういう問題の熱意というものをあとにどこにまつかということになれば、私は国家の施策だ。そういう大乗的な見地からこの東北開発をどう進めるか、こういうところにどうしてもいかなきゃいけないというのがいまの現状ですから、そういう意味合いからいけば、赤字だ、赤字だといってそう非難されるべき性格の問題じゃないのじゃないか。
 ことに、この東北開発会社が旧振興事業団から引き継ぐときは、相当の赤字を背負って引き継いでおるはずなんだ。そこで、いまハードボード工場なり、石灰石なり、そういう問題もいろいろとやられています。こういう問題についても非常に立地条件の関係でいろいろな困難を克服して、それらを採算ベースに乗せようという努力をしているわけです。こういう問題について大臣として一体これからこの赤字の克服、こういう問題について、もし積極的に政府としてこういう具体策をやるべきだというお考えがあれば、お聞かせを願いたい。
#268
○国務大臣(水田三喜男君) いずれにしましても、東北開発の再建方策は企画庁を中心にいま研究されておるときでございますので、その対策の過程で、私どもいろいろ善処したいと思っております。
#269
○戸田菊雄君 端的に聞きますが、そういうことで現地では再建策でいま努力をしているわけですがね。これに対して政府は財政資金を今後も引き続き投入する、こういう意思についてはどうですか。大臣の考えをずばり言ってもらいたい。
#270
○説明員(広瀬駿二君) いま再建計画を実施中でございますが、これは前向きに、東北開発株式会社が本来の目的に従って、より有効に機能するように考えられておるわけでありまして、それの裏づけとしまして、財政投融資なり何なりの方向でもって、従来どおり今後とも見ていかなければならない、こういうふうに考えております。
#271
○戸田菊雄君 大体、東北開発会社はいま累積赤字よりも資本金のほうが上回っておるが、さらに、今後も赤字の傾向は私は大きくなるというように考えております。したがって、政府はこの際やはり積極的に、資本投資、そういう部面の努力をしていただきたいと思うのですが、この点はどうでしょう。
#272
○国務大臣(水田三喜男君) 実はこの前にセメント工場をつくるときなどは、私どももだいぶこの計画についてもう少し慎重に検討しようというようなことを言ったときがございましたが、いろいろ要望がございましてああいうことになったのでございますが、やはり東北開発にはいろいろな、無理もない問題があるにしましても、相当私は事業計画がいままでずさんなところが多かったというようなことがやはりあると思いますので、今度の再建計画につきましては、そういう点について相当真剣な検討をやっておるということでございますから、ここで立てられた策については、今後政府も十分投融資の面においても応援していけると考えております。いままで少し私はずさんではなかったかと思うのですが、これが改まるのでしたら、もっと応援できると考えております。
#273
○戸田菊雄君 できるだけ今後も投資形態を継続して、さらに金利を引き下げてと、こういう方向で、まあ大綱的な大臣の御意思はわかりました。どうかひとつ経済企画庁における具体的な再建、そういうものを含めて、地域開発構想、計画、こういうものが、先ほど長官のお話では、夏まで、大体七月ごろと私たちは想定いたしますが、このころまでに大体つくり上げるつもりだと、こういう話をしておるわけでありまして、ぜひひとつそれに見合う、この地域開発に絶対不可欠の金融、金利、こういう問題についてひとつ大蔵大臣の多くの御努力と御検討を私はお願いをいたしまして、東北開発関係に対する質問はこれで打ち切りたいと思います。
 続きまして、第二の問題は、租税特別措置に関係する問題についてでありますが、だいぶ大臣も疲れておるようでありますから、できるだけはしょって効率的にやってまいりたいと思いますので、何ぶん答弁のほうもぜひひとつ、それに見合った答弁で進めていただきたいと思います。
 特別措置法の問題を一点にしぼってお伺いしてまいりたいと思いますが、その第一点は、利子配当の優遇措置についてでありますけれども、何回かいままでの質問の中で、日本の所得税構造というものは総合累進税、これが原則だということを言われておるわけですが、その総合累進税制というものを最近こわしつつある。そのおもなるものは一体何かといえば、これは明らかに特別措置法である。そのことによって、いわば大臣等がかねがね主張してまいっております税負担の公平であるとか、あるいは徴税の民主化であるとか、こういう問題が逐次疎外もしくは破壊されようという、そういう状況になってきている。ことに私はその中心は、利子配当優遇措置がその元凶じゃないか、こういうふうに考えているのでありますけれども、この点について一体大臣はどうお考えになっているか。
#274
○国務大臣(水田三喜男君) たびたび申しますように、利子所得及び配当所得の優遇課税制というものについては、一応貯蓄の奨励とか資本市場の育成とかいうような政策的要請によって生まれたものであるとは申しましても、これについて検討すべき問題はたくさんございますので、私どもはこれを順を追って解決するということで、今度そのとりあえずの措置をとるということでございますが、前から申しておりますように、これは今度の改正の結果を見て、三年ぐらいの間に次の措置を考える、こういう立場で現在はおりますが、利子のほうが分離課税になって、総合賦課税から離れたということの均衡問題が配当のほうから出てまいりまして、やはり配当の分離課税という要望も出てまいりましたが、これは利子所得においてこういう措置がとられておりますので、この均衡でやはり配当所得においてもそういう分離税として離れるという措置をとったということでございまして、これがぐあいが悪いということになりますと、利子所得のときの措置が悪いのだということになろうと思います。これはやはり両方ある程度措置としては均衡をとる必要があるということで、おくれてこういう措置を配当所得のほうはとったわけでございますが、こういうものを一括して検討するという期間を、私どもは三年間といま予定しているということでございます。
#275
○戸田菊雄君 私はずばり表現をするなら、分離課税制度というのは、税務署の調査範囲外に置いて、いわば一種の脱税行為じゃないかと考えるのですがね、脱税行為。制度上から見て、一体どう
 いうふうにお考えになりますか。
#276
○国務大臣(水田三喜男君) 政策目的によって、法律によってきめられている制度でございますから、脱税制度ではないと思います。
#277
○戸田菊雄君 本来、シャウプ税制勧告以来、いろいろと税体制というものは変革をされまして、今日の総合累進税制度というものが打ち立てられた。これはさっき主税局長も野上先生の質問に答えて、そういうことを言われた。そういういわば税態様というものがあるということは、大蔵大臣百も承知である。そういう中で利子配当、こういうものの分離課税、そういう制度を設けて、いわば徴税の、そういう対象外に置いている、こういうことになるのだと思うのだが、これは明らかに税態様というものをそこからこわすことになる。そのことによって全く税制の――これは大蔵関係あたりいろいろ主張され、少なくとも税金というものは国民の負担能力に応じて公平に取りなさいというのが原則なんです。口ではそう言う。しかし、この利子所得、配当所得については全く分離され、ワク外に置かれている。これは明らかに私は制度上からいえば全く脱税行為じゃないかというふうに考える。
 この論争をいまやっておってもしようがないから、次に進みたいと思いますが、そういう具体的な数字を見ましても、たとえば、私は三十年、三十一年、このことについては、利子所得についてはこれは非課税だ、税金をかけておらない。三十九年に五%、分離をして、四十年に初めて一〇%、今回の改正で五%入って一五%、これは一体なぜかというと、そういう脱税行為を政府が認めても国民が了承しませんから、おかしいぞ、いわばそういう国民世論なり、筋からいってもおかしいという結果から、そういうように歴史的に歩んでいる。こういうことがいま問題になっておりますように、利子配当優遇措置等についてはどうしても理解ができないのであります。
 そこで、やはり私はいまの一つの土台として、そういう改革のためのよりどころは一体何かといえば、やはり税制調査会で、これは最も公平な審議機関としてそういう意見を政府に持ち込み、大臣もしばしばいままでそういった答申については尊重いたします、こういうことを言っているのでありますが、これに対する税制調査会の一つの答申というものは次のようなことを言っているのです。利子配当課税の特例等資産所得に対するものは、一部高額資産所得者を不当に優遇するものである、と明らかに指摘をしている。したがって、弊害を償うほどの政策効果も立証しがたいのでこれは廃止すべきだ、具体的にそう指摘している。こういういわば答申に基づいての大臣のこの対処方といいますか、こういう見通しは、この問題に対する答申の内容については、尊重、こういう態度は一体どういうお考えなのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
#278
○国務大臣(水田三喜男君) いま言いましたように、一挙に利子所得に対する特例措置がやめられるということでございましたら、配当課税に対する特例措置もこれは廃止できると思いますが、さっき申しましたように、一方にこういう制度がありますために、その均衡からきている措置でございますので、これをやめるというためにはやはり利子所得に対する措置について何らかの改革をする、改正をするというときでないと、これは一緒に解決できないのじゃないかと私は考えますので、一括してこれを将来の検討材料にしたいということでございます。
#279
○戸田菊雄君 事務的な面で一つだけ聞いておきたいと思いますが、大体四十一年度の利子配当の、そのことによる減収見積もり額というものは、私の調査でいきますと、国税で二千二百二十億、地方税で六百三十九億、合わせまして二千八百五十九億、さらに、地方独自減収分が若干ありまして、それらを含めますと三千六百十五億、ほかに貸し倒れ引き当て金、これは本法に組み入れた振りかえ分と見ますと、これが七百億、総体しめまして四千三百十五億程度ございますが、四十二年度の見積もりは、一体これを下回らないと思いますが、その辺の見解はいかがでしょう。
#280
○説明員(結城義人君) 租税特別措置全体でございますが、全体では、四十二年度平年度ベースにおきまして、国税は二千四百十九億円でございます。それから、地方税関係は千六百十六億円でございます。
#281
○戸田菊雄君 地方独自の減収分は……。
#282
○説明員(結城義人君) 地方独自のでございますか。――いまの千六自十六億円の内訳でございますが、国税の租税特別措置による地方税の減収の見込み額が七百八十七億円、したがって、その差額の八百二十九億円が地方税法の独自の非課税措置による減収見込みであります。
#283
○戸田菊雄君 貸し倒れ引き当て金は幾らでしょう。
#284
○説明員(結城義人君) 貸し倒れ引き当て金の残高でございますか。
#285
○戸田菊雄君 本法組み入れの振りかえ分。
#286
○説明員(結城義人君) 四十年度末におきまして期末残高六千二百八十六億円でございます。
#287
○戸田菊雄君 そうしますと、やはりこれは四十一年度分を下回らないということになるのですが、やはりこのはケースはだんだん年々ふえてきておるのですね。やはりふえてきておるのですね。総体の額からいけばそう私は大きな額ではないと思いますが、ふえてきておるという現実自体が私はやはり問題じゃないか。この辺についてどうお考えですか。
 これはこういう意味ですよ。それは全然、大臣に質問した際にも、できるだけ政策目的は遂行したい、そういうものを廃止をして、ないしは税制調査会の答申に基づいてそういうものをできるだけ縮小の方向にいく、この考えというものは尊重するんだと、こう言っておるのです。ところが、これはやはり利子所得、配当所得の問題一つ考えても、年々やはり増加の傾向にあるわけですね。これでは私は全く大田が前にわれわれに答弁した内容とは実態が違ってきている、こういうふうに考えるわけです。ですから、そういう質問をするわけです。
#288
○説明員(結城義人君) ちょっといまのその前年度に比べてふえている問題にお答えする前に、貸し倒れ引き当て金も特別措置だというあるいはお考えでおっしゃっておられるかと思いますので、その点につきましてちょっと御返事いたしますが、貸し倒れ引き当て金は、これは私どもは実は特別措置だとは考えておらないわけでございますが、これは企業会計上当然認めらるべき筋合いの引き当て金である、かように考えておる次第でございます。
 それから、いまの租税特別措置による減収額の拡大の問題でございますが、四十二年度は実は現行法そのままでいきますと、二千四百九十七億円になる見込みでございます。それを整理いたしました分が三百二億円でございます。しかし、今回の新しい措置等によりまして、ふえた分が二百二十四億円、それを差し引きいたしまして二千四百十九億円と、こういうことでございます。もちろん制度の改正を行ないまして整理に努力する分もございます。若干拡充する分もございますが、基本的には、経済基盤が拡大いたしまして、同じ措置によりましても、見積もられ得べかりし税収金額が多くなるに従って、特別措置により減収する金額が多くなるということもございます。制度を拡大したことによって租税特別措置による減収額がふえているということではございませんので、その点をひとつ御了承をお願いしたいと思います。
#289
○戸田菊雄君 四十年だと思いますが、絶対廃止をしないということを言明したことがある。加えて、最近そういう利子配当優遇措置の延長をめぐって、公然たる不明朗な話をわれわれは耳にするのです。そういう不明朗というのは、具体的に自民党の選挙資金を調達するために、全く自民党の中心幹部がある経済連団体の中心幹部とこの利子配当優遇措置等について、その政治資金の見返りとしてこの措置を延長すると、そういうような取りかわしなり密約があったということを耳にするのですが、これは大臣、どうですか。
#290
○国務大臣(水田三喜男君) 私は全く知りません。私は現に暫定措置をとることを踏み切ったほうでございますので、全くそういうことは知りません。
#291
○戸田菊雄君 私は決して大蔵大臣を疑惑をもって見ておるわけではないのです。まさしく大臣は清潔だろうと思うのですが、しかし、自民党全体の中でそういうことがあったということは、これは公然たる秘密なんですね。それは自民党の皆さんにはあるいは聞こえないかもしれませんが、われわれ野党全体の中ではそういうことがだいぶ取りざたをされている。
 具体的にはこういうことなんですよ。四十一年の十一月末に、大蔵省は税制調査会に対して利子配当優遇措置の取り扱い試案を提出をした。その提出内容というものは三段階に分かれている。第一はこの優遇措置の存続、段階的な廃止、一年断続で廃止、こういう三案を大蔵省は持っておった、こういうことなんですね。ところが、十二月の十七日に経団連のある幹部と自民党の中心幹部がいろいろ話をいたしまして、そうして二年間延長というものが十二月の二十日に自民党筋から発表された。正式に発表された。で、その裏の取引は何かといえば、言ってみれば、自民党の政治資金倍増だ。こういうことが確約をされたから、そういうことにじゃいたしましょうと、こういうことになりますと、私はやっぱり、過去における共和製糖事件じゃないけれども、いろいろうわさにうわさを呼んでいろいろな話が取りざたされるそのこと自体、政治がきわめて不信であります。こういう状態、少なくともいまの佐藤内閣というものはそういうものを一掃した清潔な大臣ばかりいると私は考えますけれども、しかし、自民党全体のある一部なりにそういうことがあったということです。こういうことがもしあったとすれば、これは一体大臣はどういうふうに考えますか。
#292
○国務大臣(水田三喜男君) もしあったとすれば、あったとすれば、私が五%引き上げると、これは税率としていつも言うとおり五割増ですから、たいへんなこれはやはり措置でございますが、引き上げという案を持って与党に示したら、これはどこからか牽制が来るとか何とかというものがあってしかるべきだと思いますが、何もなくて、私どもの案が与党にいれられ、そして国会の御審議を願っている、この過程を見ますというと、私はそういうことはあったとは思いません。きわめて順調円満にこの案はできておるのでございますから、そういうことがあったということは私自身は信じません。
#293
○戸田菊雄君 時間も過ぎておりますから、これで終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、この利子配当等の問題については、世論も非常に不評判であります。先ほど申したように、脱税行為の一種だとわれわれは解釈しています。そういうものが税の原則からいずれているということは間違いないのでありまして、でき得れば早期に、これは十二月に期限が切れていると思います。――これは三年間延長だから、ずっといっちまうわけですね。いずれにいたしましても、大蔵大臣、先ほど来もいろいろ御発言があったが、その内容に従って私は良心的に早期に、政策目的それ以前に、この問題についてはやはり解決をするように、こういう一つの検討というものをお願いをいたしたいと思います。そのことをお願いをして私の質問は終わります。
#294
○委員長(竹中恒夫君) 本日の審査はこの程度にいたし、明日は午前十時より開会いたします。
 それでは、本日はこ証にて散会いたします。
  午後六時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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