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1949/02/14 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第1号
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1949/02/14 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第1号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第1号
昭和二十四年二月十四日(月曜日)
   午前十時二十八分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
   委員長     岡本 愛祐君
   理事      吉川末次郎君
   理事      岡田喜久治君
   理事      鈴木 順一君
           藤井 新一君
           黒川 武雄君
           寺尾  豊君
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           柏木 庫治君
           西郷吉之助君
           島村 軍次君
           鈴木 直人君
           太田 敏兄君
           小川 久義君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○総選挙において選挙関係諸法令の実
 施状況に関する件
○選挙違反の取締等に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより委員会を開会いたします。今日会議に付しまする事件は、過般衆議院議員の総選挙が施行されまして、初めての公営選挙でありまして、その施行につきましていろいろ問題がありましたでありましようし、果して選挙公営の趣旨が徹底したかどうか。又金のかからない選挙ということが眼目でありまして、諸種の特別の禁止規定なんかも設けられまして、選挙特例という法律も出て実施されたのでありますが、その実施状況がどうであつたか。民主的な選挙ということにふさわしかつたかどうか。そういうような点につきまして、全國選挙管理委員会の調査の結果を聞きたいと思います。先ず全國選挙管理委員会事務局長の説明を承わります。
#3
○説明員(鈴木俊一君) 今度の選挙の状況につきましては、すでに速報に基きます総選挙結果調はそれぞれこちらの專門員の方の手を通じまして差上げてあるように承わつておりますが、大体それを中心にいたしましてお話を申上げたいと思います。
 先ず、最初に今度の選挙の全体の空氣でありますが、御承知のように、年末年始の休暇にかけて選挙が行われました関係並びに特例法によつて、從來と相当いろいろな点において選挙運動の方法が制限せられました関係上、選挙期日が告示になりました二十七日以後、最初の一週間乃至十日間くらいというものは、果して選挙が間近にあるのかどうか、それらの民衆の関心と言いますか、空氣が非常に低調であつたようであります。いつもならば早速ビラが出るのが、とにかく目に付くポスター、ビラというものが暫くの間は出て來ない、立会演説会等も結局東京都等では六日から行われたのでありますから、二十七日からその頃までくらいというものは殆んど選挙らしい氣分も出ないということで、新聞の方も非常に低調である、低調であるということをやかましく言い、その理由はやはり選挙特例法によつて選挙運動を非常に制限をしているからだというようなのが一般の新聞の輿論であつたようであります。又この点に関しまして、地方の選挙管理委員会等からの全國選挙管理委員会に対します報告等によりましても同樣な見解が洩らされておりまして、尚司令部当局の方からも非常にこの点についての心配的な老婆心に基くいろいろ勧告注意等がありまして、何とかしてもつと選挙氣分を昂揚することができないか、この調子で行くと非常に棄権率が高くなるであろうということで、啓蒙、宣傳、棄権防止というようなことに更に強力に拍車を加えるようにという趣旨の注意勧告があつたのであります。全体といたしまして、当初はそういう出発をいたしまして、而も新聞紙上を賑わしました選挙運動に関する各種予算経費の決定がいろいろな事情から非常に遅れましたために、又新聞その他の輿論をいろいろ喚起いたしまして、非常に選挙の執行の結果についての危惧の念が朝野には充ちて來たという実情であつたのでありますが、これらの非常に選挙氣分が低調であるということ、選挙経費がなかなかうまく出ないということ、その他のいろいろな危惧がありましたにも拘わらず、選挙の執行の結果におきましては、いずれも当初の予期に反して相当の投票率を收めまして、終戰後三回の選挙では最高の投票率であつて、結果としては先ず成功に属することになつたのでありまして、これらの選挙全体の施行の結果に関しましては、総司令部の選挙を主管しております局からも非常によかつたという最大級の讃辞を全國選挙管理委員会も貰つたのであります。大体そういうふうな状況でございますが、逐一の問題につきまして一つ一つ申上げて見たいと思います。先ず最初に選挙運動の特例法に関する問題でありますが、これにつきましては今もちよつと触れましたように、新聞にいろいろ輿論もございまして、尚この点につきましては関係方面も多大な関心を示しまして、新聞紙上にはインボーデン少佐が、もつと新聞紙は積極的に選挙についての記事を掲載すべきであるという趣旨の主張をした記事が出たのであります。ひとりインボーデン少佐のみならず、民政局方面におきましても、この点に関しましては、新聞の本來の使命、社会の啓蒙指導の公器であるというその本來の使命から申しまして、もつと積極的に新聞は選挙に関する記事を出すべきであるという強い主張示唆がありまして、全國選挙管理委員会といたしましても関係の各機関に連絡をいたしまして、この趣旨が十分に生かされますようにそれぞれ手を打つたのであります。新聞紙の記事につきましては、特例法の関係條文等の適用上如何にこれを解釈するかということがいろいろ問題になつたのでありますが、いずれにいたしましても、新聞が正当の業務行爲として客観的な公正な記事を報道し、又論評意見を書くということは、これは新聞の本來の使命から言つて或る程度許されなければなりませんし、又一面選挙の公正という面から申しまして、それらの新聞が権利の濫用と申しますか、惡用になつて、又選挙運動文書に堕してしまうということになつても、これ又困るわけでありまして、その辺の限界をどこに引くかということがやはり具体的にいろいろ問題があつたのでありますが、結果におきましては左程の大きな支障にもぶつかりませんで、概ね適当に推移して行つたように考えるのであります。尚選挙公営に関しまする特例法のその他の規定の関係におきましては、先ず立会演説会についての問題でありますが、これはすでに輿論にもございますように、非常に成功をしたようであります。一個人候補者の演説会に選挙人を動員し得る力というものは、特殊な候補者である場合は別といたしまして、一般的に非常に少いものになるのは当然でありますが、立会演説会によつて全候補者の中に二分の一或は三分の一或は全候補者というようなものが一ケ所に集まつて選挙民に対して演説をする、こういう制度でございますから、非常に從來に比較いたしまして多くの選挙人が演説会に動員せられたということが言えるのであります。尚立会演説会につきましては、これを更の成果あらしめるために各選挙委員会におきましてもいろいろ努力をしたようでありまして、例えば長野縣等におきましては候補者の班を二つに分けましたけれども、それよりも、とにかく全候補者の演説を聞かせるようにした方がよりよく人が集まるであろうという心組から、甲の町でA班の候補者の演説会をやる場合におきましては、午前中にA班の者がやりまして、隣村の乙の村の方では午前中にはB班の者がやつて午後A班の者がやる、甲の方はAB班午前午後に分けてやるというようなことで、候補者が両方甲の町、乙の村で午前、午後に分けて全員の演説が聞けるというような仕組にいたしまして、そういうような関係で長野縣の演説会なども、雪が深く寒さも相当寒かつたにも拘わらず相当集まつたようであります。尚地方の各新聞がすべて演説会につきましての日取り、候補者の名前、時間というようなものも、それぞれ特に協力して記事中に書いて呉れましたので、これらも非常に立会演説会の成功したゆえんだと思うのであります。尚その外にも立会演説会につきましては、いろいろの批判がございますが、大体平均いたしまして、農村地区においては二、三百から四、五百、都市方面においては、五百、多い所では一千といつたような聽衆を引付け得たということは、非常にこれは成功だつたと思うのであります。その半面におきまして個人演説会の公営の方は非常に、御承知の通りの状況でありまして、結局個人演説会のポスターを貼つて貰うために申込をする、併し候補者は現実には個人演説会には出て來ないというようなことが実情になつてしまいまして、これは今迄の演説会の公営に比較いたしましても甚しく低調なものになつたのであります。これはむしろ將來の問題としては、ビラ、ポスターの方法を何らかの形で生かして、立会演説会の制度について考慮すべき問題じやないかというふうに考えるのであります。街頭演説会は都市地帶等におきましては、相当に効果を收め得たようであります。農村地帶におきましても相当周密に街頭演説会を開いて効果を挙げておるようであります。街頭演説会とか立会演説会につきましては、相当の効果があつたと思うのであります。ただ立会演説会に関しましては、交通事情その他の事情がありまして、候補者が定刻迄に來ない。そのためにみすみす二十分なら二十分という時間を空費して行かなければならんというようなことになりまして、いろいろ問題があつたようであります。この点につきましても、將來の問題といたしましては、例えば一定の時間までに來なければ棄権とみなして次の者がやるとかというようなことも考えて置くべきでございます。又立会演説会の合間におきましては、今回は特に國民審査に関する啓蒙富傳が非常に不十分でありましたので、これらについても説明をして選挙人に知らせるというようなことで、これも或る程度の効果を收めたようであります。大体特例法に関しましては以上のような状況でございます。
 次に、棄権防止と申しますか、選挙の啓蒙運動に関しますることにつきまして申上げます。これは結果から申しますと、非常に投票率がよくなりまして、これはお手許にすでに差上げてあると存じますが、全体の全國平均が七割四分一厘ということでありまして、棄権率が二割五分九厘、こういう状況でございます。これは昭和二十二年及び二十一年の投票率に比較いたしましても、それを上廻つておる投票率でありまして、非常に成功であつたのでございますが、このような結果を得ました理由といたしましては、先ず第一に何と申しましても天候が小春日和で、全國的に非常に平穏な氣候であつたということに大きな原因があると思うのであります。ただ北海道だけは吹雪で、そのために今少し上るべき投票率が落ちたということが言えるのでありますが、北海道にいたしましても、昨二十二年の選挙においては二割五分九厘ですか、そういうような投票率であつたのですが、今回は五割よりはもつとよいところまでになつておりまして、全体としてやはり非常によかつた。日曜日を投票日にいたしましたことは、若しも天候の状態が惡い状態でありましたならば、恐らくは一般の勤労者はわざわざそのために投票に出るということがなく、從つて投票率は普通の日を定めるよりも却て惡くなるであろうと予想せられておつたのでありますが、天候がよかつたために却て樂に投票に誘うことができたということが言えると思うのであります。尚昭和二十二年の選挙並びに和昭二十一年の選挙はいずれも四月でございまして、非常にまあ農家といたしましては忙しい時期に入つておる。ところが今度はいわば農閑期でありまして、それらの点からもやはり農村地帶におきます投票率については、寒いという、そういうマイナスはありましたが、仕事の関係から申しますと、投票を誘う原因になつたと思うのであります。
 第二に、投票率のよかつた理由としては、やはり選挙管理委員会その他各種の政府及び地方機関或いは民間團体の選挙啓蒙の努力というものがやはり相当に効果があつたと思うのでありますが、島根縣等におきましては租税完納、棄権防止日本一運動というような運動を展開しまして、午前中は租税完納の打合せをする、そのために市町村の各種の役人、團体長というようなものを集めまして、事後、午後におきまして更にそれに選挙人を加えて立会演説会をやるというようなことで、二つの催しを接続いたしまして行いまして、棄権防止の趣旨の徹底に努めたというようなことから、これは日本一の投票率になつておりまして、男子の方におきましては九割二分四厘、女子が八割九分八厘、平均して八割九分九厘という投票率でありまして、非常に高い。殊に男子の投票率の九割二分四厘というのは、ちよつとああいう農村地帶におきましても想像し得ない程のすばらしい成績であつたのであります。これらはやはり選挙委員会の努力が非常に効果があつたと思うのであります。又その他の縣におきましても各種の啓蒙宣傳の試みをやつております。学童を動員いたしますとか、花火を上げますとか、或いは啓蒙宣傳隊を繰出して戸ごとに慫慂するとか、その他各種の方法を行なつたようであります。これらの努力も大きな原因であります。それから新聞紙とか、ラジオ等の協力でありますが、新聞も今回は選挙経費が非常に少いというようなことで、これを先ず当初は盛に取上げまして、そういうようなことから選挙に関する関心というものも非常に新聞によつて振起された。又インボーデン少佐の新聞における各種の声明、これに関連するいろいろな記事というようなものも新聞に頻繁に出まして、單なる棄権防止、啓蒙宣傳という正面からの記事よりも、そういうような選挙に関連をいたします重要問題についての報道が非常に頻繁にありましたために、これ又選挙民の選挙に関する関心をそそつたと思うのであります。又ラジオに関しましてはこれも大体の、何と申しますか、或る放送と或る放送の中間の二十秒なり、三十秒なりの間の放送におきまして投票を慫慂する、殊に投票当日は、あなたは投票はすでに済みましたか、済まない方はすぐ投票して下さいというようなことを繰返し繰返しいたしまして、ラジオも相当にこれは投票率向上に力があつたと思うのであります。その他先程申しましたように、立会演説会において、從來見られなかつたような多数の選挙民が演説会場に動員せられまして、眞に言論戰による候補者の價値判断というものが選挙民によく徹底したということが大きな原因だと思います。又もつと根本的な理由といたしましては、やはり國会の選挙直前におきまする各種の活動というようなものにつきまして、非常に新聞にも盛んなる論議が出ましたし、國民としてもこれによつて、どうしても衆議院の構成ということは非常に大事なことであるということが身につまされていろいろ考えられた結果、一票を投じて是非一つ立派な衆議院の選良を選びたいと、こういう氣持が國民全体の一つの雰囲氣として漲つておつたということがやはり言えると思うのであります。これらいろいろな理由から非常に終戰後、最も高い投票率を得たということになつたと思うのであります。尚選挙に関連をいたしまして非常に問題になりました今一つの予算の点でございますが。これは当初全國選挙管理委員会が二十一億という予算を提出いたしまして、それが逐次減額せられて、一時六億五千万円で決まるというようなことで、とてもそんなことではやつて行けないという地方からの非常に強い声が出て参りました。その後逐次折衝の結果、総額七億七千五百万円というものが選挙の予算として確定をいたしたのであります。ところがこれでも尚少いというような意見が地方の委員会当局にありまして、我々もいろいろと努力をいたしたのでありまするが、如何せん残されておりまする予備費が非常に少いということと、尚総司令部の関係当局におきましても、選挙予算につきましては非常に大きな関心を持つておりましたが、それにも拘わりませず、実際の日本の経済、財政の実情から申しまして、なかなかそう潤沢には出ないということで、結局七億七千五百万円ということになつたのであります。その選挙経費の実際の各都道府縣への割当の状況からいたしますと、半数ぐらいの縣におきましては、大体これはうまく收まつているようでありまするが、大都市、その他特殊の縣におきましては、やはり或る程度不足しているのが実情ではないかと思うのであります。ただ選挙に関する経費一切が國の負担であるという現在の地方財政法の建前からいたしますと、鐚一文と雖もこれは府縣市町村が出せないということになるのでありますけれども、去りとてその文字通り、そういうような形にも実際問題として参りませんので、國庫におきまして現在実際に不足しておりまする府縣予算の不足をどの程度カバーをいたしますか、目下各府縣の委員会から不足額を取寄せておりまして、近くこれは集計ができると思うのであります。その集計に対しまして國庫予算としてどれだけ出すかということは今後の折衝によつて決しなければならないわけでありますが、前内閣におきまして、第二次吉田内閣におきましては、選挙予算に若し不足を生じたならば、これは事後の措置として十分に考慮するということを閣議了解を経て官房長官談で声明をいたしておりまするので、この点につきましては、実際の不足額と睨み合せまして、何らかの措置を講ずる予定でございます。
 次に投票に関しまして、いつもいろいろ脱漏事件とか、その他事故が起るのでありますが、今回の選挙におきましては、この投票に関しまする各種の事故というものも非常に少なかつたのであります。一、二起りました事例は、新聞にも出ておりましたように、千葉縣、兵庫縣等におきまして、投票用紙の一部が散逸したという事件がございました。千葉におきましては、或る縣廳の職員と選挙管理委員会の職員とが相談をいたしまして、その手許にあつて一應不用になつた投票用紙を特定の候補者の選挙運動員に賣付けようとしたのでありますが、その選挙運動員から候補者に話しましたが、そういうことをしてはいけないということではね付けられましたので、これも結局事なくして済んだのでありますが、そういう事件が一つございます。又兵庫縣におきましては、これは警察の方から、投票用紙が散逸いたしておりますことが、散逸いたしておるのではないかという疑いが生じたのでありますが、これも実際問題としては、大した問題は起きなかつたようでありまして、果して散逸いたしたものかどうか、その辺も明瞭でなく今日に至つております。そういうような事件、これも結果としては問題を起さなかつたのでありますが、そういう二つの事件がございます。尚その外に投票選挙人名簿の脱漏事件といたしましては、廣島縣の福山市にある会社関係の選挙人が集團して脱落したという事件がございまして、これは非常に残念な事件でございましたが、これは事実数百人のものが脱漏いたしたのであります。それから千葉におきましても、一部同様の事件がございました。大体投票に関しまする事故といたしましてはその程度でありまして、その他特に申上げる程のことはなく、極めて平穏に推移いたしたのであります。
 投票の結果についての状況でございますが、これはすでに新聞紙、その他に時々発表いたしましたものによりまして御承知の通りと存じますけれども、概略簡單に申上げますと、先ず党派別の当選者数及びその比率というのは、これはそれぞれお手許に配つてあるので御承知の通りであります。それから党派別の投票数及び比率、これも前回の投票と今回のとを比較して書いてございますが、民自党が千三百万票で四三・八%、前回は二六%でありまして七百三十五万票でありますから、非常に大きくなつておるわけであります。結局これはそれぞれすでにいろいろ出ておりまするので、特に詳しく申上げる必要はないと思います。ここでちよつと申上げますと、選挙人の総数が、今回は四千二百九万百十六人ということでありまして、前回は約三千九十万だつたと思いますが、それだけ殖えておるわけであります。尚この投票総数におきましては、前回の選挙では……。
#4
○委員長(岡本愛祐君) 大体プリントにございますことは、皆拜見しておりますからよろしゆうございます。
#5
○説明員(鈴木俊一君) 大体プリントで御承知を願いたいと思いますが、尚いろいろ御質問に應じまして御不審の点はお答え申上げたいと思います。
#6
○委員長(岡本愛祐君) 御質問なり、御意見は後程一緒にお願いいたしまして、次に選挙違反関係につきまして、國家地方警察本部の溝淵次長に説明を願います。
#7
○説明員(溝淵増巳君) 今回の選挙は我々としても終戰後第三回目の選挙でありまして、相当経驗を持つておる次第でありますが、御承知のように新らしく選挙特例法が出まして、これを先ず解しまして全体に徹底することが相当必要だつたというわけで、たびたび会議を催し、或いは講習会等を開きまして徹底を期したのであります。もう一つの問題は警察制度が解体になりまして初めての選挙でありまして、自治体警察とどういうふうに連絡を取るかということが非常に苦心した問題でありまして、これにつきましては連絡会議を開きまして、法律の解釈の統一その他について絶えず連絡いたしたのであります。警察は何と申しましても選挙事務には終戰後一切関與しないという建前を取つて参つておりますので、取締りに專念をしたわけであります。今回の選挙は從來の選挙に比しまして、最も嚴正にやろうじやないかという空氣が自治体警察並びに國家警察共にそういう氣運が向いておりましたので、相当勢い込んで取締りはやつたつもりであります。ところが先程選挙管理委員会の事務局長からもお話がありましたように、可なり特例法が細かい、むずかしい規定がありますために、選挙がどうかすると表面に選挙氣分が上つて來ない。如何にも警察が取締りを余り強くやり過ぎておるのじやないかというような感じもいたしましたし、途中で又インボーデン少佐の声明、或いはGHQ、GS方面のサゼスチョン等もありまして、選挙運動の取締りについては、或いは買收であるとか、それから變應であるとか、或いはその他の惡質な実質犯に重点を置いて行くという方法を取るべきであるというような指示を選挙中に出して、そうして形式、表面に現われる犯罪よりも、違反が潜行するということを防ごうという態度を取つてやつて來たのであります。併しながら、いずれにいたしましても依然として選挙特例法の條文は出ておりまするし、これについての或いは告訴、告発、密告等も相当ありまするし、又候補者同士の摘発等といつたようなものもありまして、事件は可なり沢山の事件を檢挙いたしておるのであります。一月二十三日現在で取調中のものは総計千九百三十九件あります。このうち無論極めて軽微なものもありますが、買收違反が二百二十八件、事前運動が百件、戸別訪問が四百十四件、選挙妨害が八十七件、演説違反が百十五件、文書違反が七百十九件、政治献金等の違反が十九件、こういうようになつておるのであります。無論これは取調中の事件でありますので、これが果して起訴されるかどうかということは檢察廳で更に吟味されることになろうと思います。以上のような結果になつておるのでありますが、この間最も取締面としまして苦労いたしまする点は、特例法が極めて微細な点までも違反としてこれを挙げておる。而も法律の解釈上、可なり解釈の幅がある面があるというような点でありまして、第一線の警察官としましては右か左かはつきりするような條文が明示されることが最も取締上はいいのではないか、そのように私共考えておるのであります。大体選挙違反の取締状況は概要以上であります。
#8
○委員長(岡本愛祐君) 只今までの説明につきまして御質疑なり、御意見ございましたら御開陳を願います。
#9
○小川久義君 この警察の取締に当りまして、特定の者に対しては殆んど晝夜尾行したというような訴えがあるのですが、而もその人間に対しては鞄をあけろとか、所持品までも調べたということなんですが、これは本部から地方の方へ特定な指示があつてやられたのですか、地方だけでそういうことをやつたのですか。この点をお伺いします。
#10
○説明員(溝淵増巳君) 選挙違反の取締は非常にむずかしい問題でありまして、ときにはそういう方法を取るということもやむを得ない場合があるかも知れませんが、本部としましては捜査の方法について何一つそういうことを指示したことはありません。
#11
○委員長(岡本愛祐君) 只今のお話に、選挙運動等の臨時特例に関する法律において規定が幅を持たし過ぎておる点がある。それで執行する警察官において非常に困つたというお話がありましたが、例えばどういう規定であるか、二、三例を示して頂きたいと思います。
#12
○説明員(溝淵増巳君) 私共の感じておりますることは、例えば選挙運動のための文書、文書というものにすでに新聞紙が含まれているか含まれていないかということも、又我々法律常識では含まれておると感じておりまするが、無理な解釈をすると、或いは新聞紙は含まれていないのじやないかという感じもする場合もあります。又文書の内容の書き方が果して選挙運動の文書なりや否やということ等が極めて解釈がしにくいのでありまして、そういうことはできるかどうか知りませんが、選挙運動の文書そのものの数とか何とかいうものは制限しても、中味の書き方というものは極めて微妙なものがありますので、そういうものは何とか制限しないで、まあ警察官が見れば直ぐ分るというようなことにして貰えば取締りがしやすい、こういうふうに考えます。
#13
○委員長(岡本愛祐君) 今度の選挙違反の取締りの費用は、國家警察の方に配付されて、自治体警察の分は國家警察から又配付せられた、こういうふうに聞いているのですが、國家警察の方は沢山取つて、自治体警察の方へは少なくやつたというような不平があつたと思いますが、その点はどういうふうになつておりますか。
#14
○説明員(溝淵増巳君) 選挙取締りの費用につきましては、我々が大藏省に要求する場合、國家警察の費用を要求するのが建前でありまして、自治体警察の費用については、我々が財政委員会で面倒を見るのが筋道じやないか、こういうように私共思つておりましたが、自治体警察と連絡その他におきまして、我々の方で斡旋して経費を取つてそうしてやる方が便利じやないかというようなことも考えまして、相当額の要求をいたしたのであります。ところが大藏省その他におきましては、自治体警察へやる金は國家警察で扱うべきものじやない、國家警察の予算に入れるべきじやないという建前を取られまして、一應我々は國家警察だけの経費を要求いたしまして、それが約三千万円にちよつと足りませんが、頂きました。ところが財政委員会の方とも打合せをした結果、やはり特別に自治体警察の選挙取締りに関する費用は或る程度國で直接見る必要があるのじやないかということにもなりまして、又閣議でも自治体警察に今までの配付税その他の財源から見る以外に、特別に考えたらいいじやないかというようなことが議論になつたそうでありまして、俄かに大藏省も態度を変えまして、出そうということになりましたが、その額は自治体に対して総額で二千万円ということに切られたのであります。我々としましては二千万円で引き下るわけには行かないということを最後まで持しておりましたけれども、財源その他で二千万円に切られた。ところがこの二千万円は選挙費用の金額を見るものではなくして、國庫の補助金である。その補助金で足らない額は当然警察の費用を自治体警察が見るのは当り前だ、足らない分は自治体の方で予算を組むべきものだ、こういう建前を取つているのであります。縣によりましては多少外に予算を組んでいるところもありますが、中には衆議院議員の選挙は國の事業だから、自治体から金を出す必要はないというので、出さなかつた所もあるようでありまして、自治体警察としましては可成り苦労されたようでありますけれども、建前は補助金でありまして、全額を見るべきものじやないという國の方針で二千万円ということに決まつたのであります。ただ二千万円に決まりましたが、自治体警察の大小によりましてその金を配つておりますので、金額が、小さな警察になると非常に小さいようでありますが、大きな警察とか、大阪とかいうような所は國家警察以上に配布されているという所もある、そういう実情であります。
#15
○委員長(岡本愛祐君) この点は全國選挙管理委員会の方ではどう考えておられますか。これは地方財政の委員会にも関係がありますが、地方財政法において國家事務のごとき費用は國家が負担をする、自治体では持たないということになつておる。それで自治体警察の取締りの費用といつたつて、それは衆議院議員の総選挙という國家事務に附随して起る取締りなのですから、これも國家事務と見なければならんだろうと思います。その地方財政法の規定から言えば、勿論自治体警察の総選挙取締費用も國家で持たなければならん、國家の補助金でなくて國家で全額負担しなければならん、こういうふうに解せられるものだと思うのでありますが、その点はどうですか。
#16
○説明員(鈴木俊一君) この地方財政法の解釈の問題は私共の方としてすべき筋ではないと思いますが、私共の方といたしましては今委員長のお話にございましたように、衆議院議員総選挙の施行に要する費用は、これは地方財政法によつて明かに國の負担でありますし、ただその施行に当つて生ずる違反を檢挙する経費、捜査する経費というものは大藏省の方で恐らく本來の施行の経費には入らないところで、これに即應しないというふうに含んでおるのだろうと思いますが、これはそういう総選挙施行があればこそ要する経費でありますから、やはり國が負担をすべきものであろうというふうに一應考えております。
#17
○委員長(岡本愛祐君) 他に御質問ありませんか。
#18
○藤井新一君 予算の問題ですが、この選挙において全國選挙管理委員会の査定した予算と大藏省との間において差額が非常に大きかつたのですが、結論的に言えば幾ら大藏省が許可いたしましたか。と同時に地方の都道府縣が幾らぐらい支出しておるか、その総額が分りませんか。
#19
○説明員(鈴木俊一君) 総選挙施行の予算としては、当初二十一億を全國選挙管理委員会として要求いたしたのでありますが、これは昨年の九月でありまして、その当時の状況においていろいろ査定をいたしておりましたので、やはりその後段々と計算の上において或る程度少なく見積つて差支えないところ、或いは見積費目のなくなつたもので出て参りまして、大藏省との間に数次の折衝の結果、全國選挙管理委員会としては最後に要求をいたしたのが八億二千万円になつたのであります。その八億二千万円に対して大藏省は六億五千万円、そこまで渡すという査定をいたして來たのであります。ところがそれでは到底やつて行けないということを主張いたしまして、これも全國選挙管理委員会の委員長から総理大臣に話をし、その他大藏省事務当局に直接折衝いたしますと同時に、そのような大きな立場からも再考を促して貰うことにいたしまして、結局七億七千五百万円という金を出すことになつたのであります。これは七億七千五百万円というのは、今の全國選挙管理委員会の最後の要求である八億二千万円に対して不足いたしておるのでありますが、これは要求の筋としては全部全國選挙管理委員会の要求を容認したのでありますが、ただ新給與実施法が國会を通過いたしまして、一月の三日が、今までの計算ならば休日になる、從つて超過勤務手当が出るという建前で計算をいたしておりましたのが、これは休日でない、本來勤務すベき日である。從つてこの日働いても格別に超過勤務手当は出ないのだということに法律上なりましたので、その関係で減つて参りました。そういう超過勤務手当の計算の関係で動いて來ただけでありまして、その他は全國選挙管理委員会の経費の要求を容認したのであります。ただ各府縣の選挙管理委員会の連合会がございますが、連合会の方では、やはりこれでは到底やつて行けないということで、最小限度十億の金は必要だというのが連合会の方の見積であります。そこでその足りない分は実際やつて見なければ分らない。全国選挙管理委員会の七億七千五百万円という経費は、選挙がもう突込んで参りまして、一月の……、定際決まりましたのは、昨年の暮の三十一日に決まつたのでありますが、その後関係司令部当局の承認を得るために非常な時間がかかりまして、結局決まりましたのが一月の十日頃だと思いますが、その七億七千五百万円になりますというと、実際の経費と比較いたしまして、大部分は余るし、大部分は足らないということになつております。これはやはり相互流用で融通を付けるということにいたしまして、全体の枠として七億七千五百万円ありますれば、先ず相当はやつて行けるということで、一應早く決めなければならんという段階になりましたものですから、これで下つたわけでございますが、ただその際に足らない部分は、追加予算その他適当な方法で考慮して貰うということを閣議で了解を経まして、同時に発表いたしております。そういう裏付がありましたので、各府縣の選挙管理委員会の連合会の方も了承いたしまして、足らん部分については、あとから何らかの手が打たれるものと了承して、引下つたわけであります。そこで選挙施行後直ちに全國選挙管理委員会としては、各府縣に予算の使用状況、清算を附しました使用状況を十五日までに出して貰うようにいたしております。これは大部分集まつておりますが、それの集計は從つて尚一週間ばかり先になるのでありますが、その数字を見ませんというと、どの程度不足になつておるか分らんのであります。その数字を見ました上で、それを追加予算に盛込むかどうするかということを決定したいと思つておりますが、政府としては是非考えるということを承認しておりますので、問題は関係方面の支出についての了承を求めるということに一にかかつておるように思うのであります。
#20
○藤井新一君 そうするとまだいくら決損があつたかどうかということは分つていないわけですね。
#21
○説明員(鈴木俊一君) これはまだ分つておりません。皆府縣も現実にまだ予算しかございませんので、実際使つた経費というものは、予算と又大分違うと思います。その清算を今收集中でございます。
#22
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。
#23
○藤井新一君 これと別個のことですが、我々地方財政委員会は調査に参りますが、ついては我々はどういう方と会合して、どういうことを……。
#24
○委員長(岡本愛祐君) そのことは打合会の席上でお願いします。
 尚もう一件お尋ねしたいと思いますが、今度各府縣の選挙管理委員会でその縣限りですが、或いは中央から大体指示をされたのかも知れませんが、立会演説と街頭演説の関係なんかについて規定を拵える。例えば或る縣におきまして立会演説会の開催中は、その立会演説会場の五町以内では街頭演説会を催してはいけないという規定を拵えておる。そこで又一方には立会演説会に時間がちやんと決めてありまして、Aは何時から三十分、Bは何時から三十分と、こう決めてあつて、そうして必ずその時間の十五分前に來なければいけないという規定を拵えておる。ところがそのBなる候補者がその約束に違つて十五分前でなくて、五分前に來たという事件があつたといたします。そうすると選挙管理委員会においてはそれは協定違反だから因るというので、立会演説にBの演説会をさせなかつた。ところがそれでは自分の方は街頭演説をやるというので、立会演説会の会場の直ぐ直前で街頭演説をやつた。こういうような事例があるやに聞いておるのでありますが、それが非常に問題になつた。それがその縣の協定違反ということになるのですが、その協定違反でも余り程度が大きいのでありまして、それで立会演説会の連中がぱつと出てしまつて、街頭演説の方を聞いたというようなことで、実は立会演説をするCの番になつた人は随分因つたということがあつたように聞いております。そういうときにはこの協定の方ですから、法律の違反ではない、協定違反に過ぎない、こういうようなことに解釈がせられるのじやないかと思いますが、法律違反の非常の軽徴な点を取締つておつて、その方は嚴罰に処せられる。そうしてそういう重大な協定についての違反は、そのまま道義的な問題になつてしまうということは、そこに何か非常に齟齬するようなことがあるように聞いておりますが、そういう点についてどういうふうにお考になつておりますか。
#25
○説明員(鈴木俊一君) 今のお話ですが、私共の方にはそのような具体的な報告は受けておりませんので、的確なことを申上兼ねるのでありますが、府縣の選挙管理委員会の規則で、今お話のありましたようなことを作つておらないで各候補者と選挙管理委員会との相互協定ということで、一人の異議もない状態において、そういう協定が行われておるということでありますれば、その協定を守ることはやはり各候補者の精神的義務であり、それに從うのがよいと思うのでありますが、ただそれが違反になりましても、それ自体としては何ともしようがないのだと思うのであります。法律にはそのような制限を設けていないのでありますから、そういうことを規則で設けることはいずれも適当ではないのであります。事実上の協定ということで全員異議なく決めたものでありますれば、これは守るベき精神的義務があるというように解するの外ないものと思うのであります。
#26
○委員長(岡本愛祐君) 只今の法律問題はその通りで疑いの余地はないと思います。併し法律に極く小さなことまで規定してある。そういう点からすれば、立会演説会と街頭演説会の関係、街頭演説は立会演説会開会中はその会場の一町以内ではいかんというような規定が勿論必要になつて來るのではないかと思うのであります。そういう点についての必要が出て來たというので端的に申上げたのであります。
 それで外に御質問がありませんでしたならば、これで委員会は閉ぢることにいたします。御質問ございませんか……それでは委員会は散会いたします。
   午前十一時三十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長
           岡本 愛祐君
   理事
           吉川末次郎君
           岡田喜久治君
           鈴木 順一君
   委員
           藤井 新一君
           寺尾  豊君
           林屋亀次郎君
           柏木 庫治君
           小川 久義君
  説明員
   全國選挙管理委
   員会事務局長  鈴木 俊一君
   國家地方警察本
   部次長     溝淵 増巳君
ソース: 国立国会図書館
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