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1967/05/17 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第2号
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1967/05/17 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第2号

#1
第055回国会 石炭対策特別委員会 第2号
昭和四十二年五月十七日(水曜日)
   午後一時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    委員亀井光君は議員を辞職した。
 三月十六日
    補欠選任        館  哲二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大矢  正君
    理 事
                西田 信一君
                小野  明君
                鬼木 勝利君
    委 員
                井川 伊平君
                石原幹市郎君
                徳永 正利君
                柳田桃太郎君
                吉武 恵市君
                阿部 竹松君
                大河原一次君
                近藤 信一君
                片山 武夫君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
       労 働 大 臣  早川  崇君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       通商産業省鉱山
       保安局長     中川理一郎君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の石炭対策樹立に関する調査
 (昭和四十二年度石炭対策の施策及び予算に関
 する件)
○臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
○石炭鉱業再建整備臨時措置法案(内閣送付、予
 備審査)
○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大矢正君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、通産大臣から石炭対策の施策について所信を承ります。
#3
○国務大臣(菅野和太郎君) 第五十五回特別国会におきまして石炭対策特別委員会の御審議をいただくにあたり、一言ごあいさつ申し上げます。
 御承知のとおり、石炭鉱業につきましては、従来から、第一次及び第二次石炭鉱業調査団の答申に基づき諸般にわたる施策を講じてまいったところでありますが、エネルギー革命の進行過程における石炭鉱業の構造的な危機は予想以上に急迫の度を強め、現状のまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。
 このため、石炭鉱業審議会は、一年有余にわたる慎重な審議を経て、昨年七月、石炭鉱業の抜本的安定対策について答申を行ない、政府といたしましても、同年八月、この答申を尊重し、石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策の基本的方向を確立した次第であります。
 その内容としましては、第一に総合エネルギーの中における石炭の位置づけを五千万トン程度とし、そのための需要の確保については、長期的観点に立って五千万トン以上となるよう積極的に努力することとしております。このため、電力及び鉄鋼業界に対しては、合理的な負担増対策を講じ、長期引き取り体制を確立するとともに、電源開発株式会社の石炭専焼火力発電設備の建設計画を繰り上げることとし、所要の財政措置を講じております。
 第二に、石炭鉱業の安定をはかるため、炭鉱の近代化、機械化を一そう促進するほか、炭層探査及び坑道掘進に対する助成制度を拡充強化することといたしております。
 また、過去の閉山合理化過程において発生した過重な債務約一千億円を市中金融機関については十年間、政府関係金融機関については十二年間たな上げするとともに、その間において当該債務の元利を毎年均等に償還するための補給金を交付することとし、あわせて必要に応じ、一定額の安定補給金を交付することとしております。
 なお、鉱区の再編及び調整、流通体制の整備についても、これを強力に推進するとともに、新鉱開発の重点的促進、炭鉱終閉山の円滑化をはかることとしております。
 第三に、保安の確保と雇用の安定は石炭鉱業安定の基礎であることにかんがみ、人命尊重の基本に立って保安に関する監督指導体制を充実、強化し、保安教育訓練の徹底を期するため鉱山保安センターの設置をはかるとともに、特別年金制度の実施等労働者の安定した職場を確保するよう努力することとしております。
 第四に、鉱害について、その総合的かつ計画的な処理を促進するとともに、鉱害復旧事業にともなう地方公共団体の財政負担の軽減をはかることとしております。
 第五に、産炭地域の振興については、新長期計画を早急に策定し、産業基盤の整備、及び中核企業の誘致を強力に推進することとしております。
 また、今回、これらの画期的な石炭対策を実施するに際しまして、その内容を他の会計と区別して明確に経理するため、石炭対策特別会計を創設することいたしております。
 以上の方針に沿いまして、これまで、対策の具体的措置について鋭意検討してまいり、その一部はすでに実施に移しているところでありますが、抜本的安定対策の大部分は、本国会で御審議をいただく立法措置及び予算措置の成立をまって早急に実施をはかってまいる所存であります。
 私は、さきに、石炭対策の重要性を現実に認識するため、筑豊地域を視察する機会を得ましたが、石炭問題の実情につぶさに接し、このたびの抜本的安定対策が早急に実施されなければならないことを、従来にも増して、痛感いたした次第であります。
 石炭対策につきましては、単に石炭鉱業としての問題にとどまらず、エネルギーの安定供給、雇用の安定、国際収支、地域社会経済等をも含めた国民経済的観点からする国家的課題とされているところであり、私といたしましては、今後とも、その解決に一そうの努力を傾注してまいる所存であります。さきにも申し上げましたように石炭鉱業の直面している事態はきわめて緊迫しており、産業存亡の危機に立つものと言うも過言ではない現状であります。したがいまして、石炭対策の実施はきわめて緊急を要するものであり、関係各方面の深い御理解とあたたかい御支援がぜひとも必要とされるのであります。
 本委員会におかれましても、この事情を御賢察の上、今後とも、一そうの御協力を賜わりますようお願いする次第であります。
#4
○委員長(大矢正君) 次に、昭和四十二年度石炭関係予算の説明を願います。井上石炭局長。
#5
○政府委員(井上亮君) ただいまお手元に昭和四十二年度の石炭対策特別会計予算の概要、石炭関係投融資計画の資料をお配りいたしますので、この資料によりまして概要を御説明さしていただきます。
 まず、四十二年度の石炭対策特別会計予算の概要でございます。これは二枚目の一番下に書いてございますが、総額で五百二十一億八千万円でございます。
 内容といたしましては、最初の第一枚目の石炭鉱業合理化事業団出資金でございますが、これは四十一年度が六十六億に対しまして、本年度は四十五億七千万円と減っております。減っておりますが、これはあとで申し上げます坑道掘進につきまして、従来融資でありましたものを補助に切りかえましたために減っておりますが、実質はふえておるわけでございます。
 その内容といたしましては、まず第一に近代化資金出資金でございますが、これは備考欄にも書いてありますように、大規模近代化資金、これが先ほど申しました坑道掘進の補助に振りかえられましたために大幅に減ったわけでございます。それから中小炭鉱の機械化は二億八千万円、新鉱開発につきましては、昨年から本格的に北海道における開発を始めましたので、本年度は既存の九州の有明の開発と合わせまして十億を計上いたしております。それから保安施設の整備は十二億九千万円、これも坑道掘進等の中に保安関係の、保安を維持するための坑道掘進等は補助で見ておるというような趣旨になっております。
 それから炭鉱機械化促進出資金、これは昨年度から新設いたしましたが、本年度は倍額の六億を計上いたしました。この過半は中小炭鉱向けに主としてめんどうを見ていきたいというふうに考えております。
 それから、その次に、再建資金出資金五億というのが計上されておりますが、これは新規でございます。この再建資金は、御承知のことと思いますが、従来は財投から合理化事業団にいきまして、合理化事業団から再建企業に立ち上がり資金として融資をしておったものでございますが、事柄の性質上、むしろ財投的性格ではなく、特別会計からの出資が適当だということで、特別会計に計上いたしたわけでございます。
 それから、次は炭層探査及び坑道掘進費補助金でございますが、この制度は同じく昨年度から実施いたしたわけでございますが、本年は抜本策との関連もあり、五十億の計上をいたしております。
 それから、その次は、石炭鉱業元利補給金いわゆる政府による肩がわり措置と申すものでございますが、これは金額としまして百二十五億一千万円計上いたしております。これはただいま大臣が所信表明でお述べになりました石炭鉱業再建整備に関連いたしまして、政府関係の金融機関につきましては十二年間、市中銀行につきましては十年間で、双方合わせて千億円相当の異常な債務を元利均等補給の形で償還しようという予算でございます。
 それから、次は石炭鉱業安定補給金でございますが、二十五億計上されております。これは、答申では中小炭鉱に限定しない考え方に相なっておりまして、肩がわり措置を講じてもなおかつ安定を期せられない企業につきましては、あわせて安定補給金を交付するということになっておりますが、本年度におきましては、中小炭鉱を主体にしまして、大手につきましては、再建企業を対象にするという方針で二十五億計上されております。
 それから、次は石炭増加引き取り交付金でございますが、従来は原重油関税の還付制度で負担増対策をやってまいりましたが、従来の還付制度によりますと不合理な点も多かったわけでございまして、たとえば引き取りに応じて交付金が出ない、重油をたくさん使えばたくさん還付がいくというような不合理な点もありましたので、これを改めまして、特別会計から増加引き取りの数字に応じまして交付金を交付するという方式にいたしました。そして四十一億を計上いたしております。これは九電力といたしましては二十二億八千万円。電発は一億五千万円。鉄鋼は十六億八千万円でございます。
 それから、次に電発の出資でございますが、これも特別会計の中に入れられまして、これは御承知のように、現在三基を建設いたしまして、本年度からその三基が稼働に入りますけれども、さらに追加二基、これを本年度から実施いたしたいというようなことで必要な出資を計上いたしたわけでございます。
 それから、次が炭鉱整理促進費でございますが、六十三億四千万円。これは備考欄に書いてありますように、予算といたしましては三百三万トンの閉山を見込んでおります。なお、ほかにいわゆる保安の不良炭鉱の整理として六万トンを見込んでおります。そういう予算が計上されております。
 それから、次は二枚目の鉱害対策でございますが、これは六十三億五千万円計上いたしました。
 これは特に鉱害復旧事業費としましては、昨年度四十二億が六十億一千万円にふえたわけでございまして、特に六十億で復旧の規模といたしましては七十八億程度の復旧規模を想定いたしております。
 それから、なお鉱害につきましては無資力鉱害の調整費、それから特に答申でもうたっておりましたが、有資力者が鉱害復旧に対する負担金を負担する場合に、なかなか金繰りがつかないというような意味で鉱害基金から融資を受けてやりますが、その際の利子補給、これを計上いたしております。これは三%の利子補給でございます。
 それから、次は鉱害基金の原資を確保する意味の出資を二億計上いたしております。
 次は、産炭地域振興対策の予算でございますが、四十一年度二十八億に対しまして三十億六千万円、このうち産炭地域振興事業団の出資は二十七億六千万円でございます。内容といたしましては、事業団のほうから申しますと、特に新規の施策といたしまして融資業務の中で、中核企業の誘致というようなことのために、従来の融資比率四〇%、原則として平均四〇%程度の融資をするということになっておりましたのを、中核企業誘致のためには六〇%程度に引き上げようというような方針を一応この中に取り入れております。そのほか出資業務がありますが、これは昨年度から始めました出資業務でございます。昨年度は筑豊のボタを利用いたしました事業に出資いたしましたが、本年度は活性炭の製造事業、活性炭はいわば新技術でございまして、技術庁の試験研究機関でただいま工業化の試験がほぼ完成した段階でございます。これを本年度企業化そう、企業化に際しまして事業団から出資するというような性質のものでございます。それから土地造成につきましては、現地との計画のすり合わせ等によりまして十億を見ております。また本年度から特に新規のものとして工場建物の貸与制度を掲げております。これは現在具体的な問題としては、佐賀県あたりにいま一つ有力な企業の誘致、それに関連いたしまして建物を貸与するというような計画が進められておりますが、今後その他の地域におきましても、その工場建物貸与制度を活用して企業の誘致をするというような計画も進められております。これは新規でございます。
 なお、特別会計の予算としましては、そのほかに保安対策、これは御承知のような鉱山保守センターの問題が非常に大きな問題になっておったわけでございますが、これにつきまして三億の予算が計上されております。
 それから、ほかに労働省の関係で炭鉱離職者の援護対策としまして、これは五十億三千万円が計上されております。
 以上、合わせまして特別会計の規模といたしましては五百二十一億八千万円。
 以上申しましたのは支出の面を申し上げたわけでございますが、歳入につきましては、原重油関税をまず引き当てまして、原重油関税では足りない面を一般会計から繰り入れていただいたわけでございます。原重油関税収入といたしましては四百七十五億円の見通しでございます。それに対しまして支出が五百二十一億八千万円でございますから、四十六億円あまり一般会計からの繰り入れを認めていただいたわけでございます。
 以上、簡単でございますが、特別会計関係の御説明を終わります。
 もう一つ、財政投融資関係の計画につきまして、半ページの紙がございますので、この別紙によりまして簡単に御説明申し上げます。
 石炭の投融資関係につきましては、開発銀行につきましては昨年当初と同じ百十億、少しこれでは足りませんので、秋になりますと年末融資等の問題があるわけでございますが、近い将来、再建整備計画等もできると思いますので、そういった諸計画を勘案いたしまして、百十億で足りない場合には大蔵省も補正に応ずるというような話し合いに相なっております。
 それから、ほかに石炭鉱業合理化事業団から整備資金が十五億出資されております。
 それから、産炭事業団は、先ほど一般会計で申しました事業に伴いまして四十億の財政資金が産炭事業団に出されます。
 それから、鉱害基金としましては、同じく鉱害復旧のための原資としての融資基金として財投から先ほどの一般会計のほかに十八億支出されます。
 合計しまして百八十三億の計画でございます。
 以上、簡単でございますが御説明申し上げます。
#6
○委員長(大矢正君) ただいまの通産大臣の所信表明並びに石炭対策予算の説明に対し、ただいまから質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#7
○小野明君 大臣が言われますように、今回の立法措置、また予算措置によりまして、石炭産業について安定を得るかどうかということはきわめて問題でございまして、私、そういった観点から二、三の疑点についてお尋ねをしてまいりたいと思うのであります。もちろん、今回の措置というのは、昨年七月の本答申を経て、それらの答申を受けて今回の措置がなされているわけでありますけれども、前二回、三十七年と三十九年の二回にも答申がなされまして、これが石炭産業危機を打開することができない。そうして中途で挫折をしたのでありますが、それで第三回の答申というのはやはり同じ性格のものではないかという疑点を持っておるのであります。それで以下順に疑点について述べてまいりたいと思うのでありますが、たしか、昨年度の電力の引き取りというのは二千五十万トンですかね、局長そうですね。――それで五千万トン程度という目標を立てられたのでありますが、現在貯炭の状況ですね、それをまず伺ってみたいと思うのであります。
#8
○政府委員(井上亮君) 今日の石炭の貯炭は、業者並びに需要部門合わせまして千二百万トン程度でございます。
#9
○小野明君 そうすると、四十三年の三月末での貯炭の見通しというのはどういうふうでございますか。
#10
○政府委員(井上亮君) 千三百万トン近いものになるのではないかと思います。ただ、しかし、これにつきましては、なお今後鉄鋼業界の好況等の関係もありまして、原料炭の増量引き取りというようなことの可能性も見通されますので、まだ正確にはそこのところが明確でございませんが、いずれにしましても千二百万トンを相当大きく上回るという見込みでございます。
#11
○小野明君 それで、五千万トンという目標を立てられておるのでありますけれども、いま局長から説明がありましたように、千二百万トンという貯炭がある、しかも四十三年の三月末、本年度末になりますというとさらにふえる傾向にある、こういうわけですね。しかも、原料炭の消費というのは、もちろん鉄鋼業が好況でありますからこれは見通しが立つとしましても、従来からも問題になっておりますように、一般炭ですね、この消費が、需要がどうして確保できるのかということが、やはり五千万トン目標を達成することができるかどうか、これの一番大きなかぎではないかと思うのであります。それで、問題は一般炭の政策需要をどう確保していくかと、これについて具体策を述べていただきたいと思うのです。
#12
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり貯炭が予想したより以上に多いのでありまして、一般炭の需要が漸減する傾向にあると思います。そこで、この一般炭の処置をどうするかという問題でありますが、これにつきましては共同火力でその一般炭を使用するということをひとつ考えてみたいと思っておるのでありまして、まだ具体的にはきまっておりませんけれども、そういう方向でこの貯炭の処置をしたいと、こう考えております。
#13
○小野明君 まあ私はやっぱりこの電発火力なり共同火力でもいいかと思うのでありますけれども、それの充実によって一般炭の需要を確保する、現在ではそれ以外にもうないのではないかという気がいたすのであります。で、そこから見ますと、昨年の院の決議から見ますというと八基建設するようになっておるのですね。それで今年は何基ですか――二基ですかね、それしかつくられていない。計画にない。これではやはりこの一般炭について政策需要をつけることが不可能なのではないか、こういうふうに見ておるのですが、この点はどうですか。
#14
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、政策需要を増加する以外に手はないということ、私も同じ意見でありますが、まあ幸い九電力については昭和四十二年度は二千百三十万トンでありますが、四十五年には二千三百万トンということで需要を増してもらうことにしております。電源開発につきましてはいま三基稼働しておりますが、もう二基また増設いたしまして三百三十万トンの需要が見込まれておるのでありますが、そこでお話のとおり、この電源開発の問題、火力の発電の問題とあわせてひとつ考えてみたいと、こう存じておる次第でございます。
#15
○小野明君 私はこの二基では当然不足するのではないか、八基という決議があるのでありますから、この点をさらに増設するという見通しをお尋ねいたしておるわけです。
#16
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいまも申し上げましたとおり、政策需要を増す以外に手はないと思いますので、したがいまして、この電発の増設あるいは共同火力の増設というようなことで政策需要を増していくという方針で前向きに検討したいと、こう存じておる次第でございます。
#17
○小野明君 そのことは、ことしは二基建設するということになって大体三年くらいかかるといわれておるのですが、さっそくこれは今年度なり明年度の予算に組み込まないと実現が四十五年ぎりぎりになる、こういうことになりますので、大きな努力をお願いをしておきたいと思うのであります。
 それから四十五年までの見通しということなんでありますが、最近エネルギー部会の答申があっておりますね。これとこの安定策といいますか、この安定策の中にエネルギー部会の答申というものがどう組み合わされておるのか、かみ合っておるのかその点をお尋ねしたい。全然関係がないということはもちろんないと思いますけれども、答申がおそく出されておりますからどうかみ合っておるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。
#18
○国務大臣(菅野和太郎君) エネルギー部会のほうでは五千万トンということの位置づけをしてもらっておるので、石炭は五千万トンという前提のもとで石油資源というようなことを考えて、あるいは将来は原子力のエネルギー資源というようなことを考えて案を立てておる。結局この石炭問題につきましては石炭鉱業審議会のほうで審議していきたい、五千万トンを確保していきたい、こう考えておる次第でございます。
#19
○小野明君 それでは、一つは炭価の据え置きということをそのまま前提の条件にして価格差の分析といいますか、そういうものがなされていないのではないかということを心配するわけです。特に競合エネルギーとの関係ですね。競争すれば問題にならない、特にまた石炭がだんだんウエートが下がっておる、こういうことが予想されるのでありますが、それで石油の価格低下ということから石炭需給というものに大きな変動がくるのではないか、この点を私は心配しておるのであります。それがどのように措置されるのか、対応されるのか、お尋ねをしたいと思います。
#20
○政府委員(井上亮君) 御指摘のように石炭の競合エネルギーである重油――一般炭につきましては重油が競合エネルギーになりますが、これとの価格差の問題が今後の需要確保に大きな問題となってくるわけでございますが、今日の価格差の現状は、電力あたりを例にとってみますと揚げ地におきまして平均千百円から千二百円程度、これが重油と石炭の価格差でございます。なお、今後のこの価格差の開きの見通しは、石炭は先生の御指摘ありましたように、今後少なくとも四十五年度くらいまでは横ばいというふうに想定されておりますので、重油の価格の見通しがどうなるかということになるわけでございますが、これについては石油業界等につきましてはできるだけ価格は引き下げたくないという希望意見があるわけでございます。しかし、まあ通説的と申しますか、一般的な見通しからしますと、やはり重油の価格はなお若干ずつ低落の方向にいくんではないかというのが一般的な見方になっております。
 で、そうなりますと石炭の需要についてのまた問題が起こるわけでございますが、先ほど大臣が御答弁されましたような電力業界につきましては、政策需要で昭和四十五年度に九電力で二千三百万トン、ほかに電発火力等で増量引き取りがありますという約束になっておりますので、この需要確保については私ども心配をいたしておりません。そのために負担増対策等も講じておりますので問題はないわけでございますが、問題は一般炭の、一般産業向けの石炭の需要、それから暖厨房用炭の今後の見通しということが問題になりますが、これらにつきましては、私どももそういった重油価格との関連から今後石炭の需要は逐年減少していくんではないかという見通しを立てております。今日一般業業炭、暖厨房用炭等の需要は全体で千五百万トンぐらいあるわけでございますが、おそらく昭和四十五年度には一千万トンを割るのではないか、七、八百万トン程度の需要になるのではないかということが予想されます。したがいましてそういった一般産業炭、暖厨房用炭の需要の減少を見越しまして、政策需要ということを考えておる次第でございます。
#21
○小野明君 それでは次に、肩がわりの問題をお尋ねしたいと思います。この肩がわりをやることによって四十五年に黒字になる、こう言うのですが、はたして黒字にすることができるかどうか。これのひとつ根拠を再度説明してもらいたいと思う。
#22
○政府委員(井上亮君) 率直に申しますと、正確なところは今日、まあことしの一月くらいから、今後の石炭鉱業の長期計画について検討をいま鋭意連日のようにやっておるわけでございまして、近い将来はっきりした姿が出ようかと思いますけれども、手元にある資料で申し上げますと、結局昨年、石炭鉱業審議会が答申を出されまして、政府はそれを受けて閣議決定したわけでございますが、その当時の見通しといたしましては、昭和四十二年度の赤字は、大手につきましてトン当たり五百円あまりの赤字が見込まれておったわけでございますが、四十二年度になりますと、ただいま、いわゆる抜本対策として考えておりますような肩がわり措置とか、あるいは安定補給金の制度とか、あるいは抗道掘進補助金の制度とか、こういうような助成策を講じてまいりますと、大体四十五年度の姿では、大多数の企業――なお三、四社程度につきましては赤字問題が残ろうかと思いますけれども、大多数の企業については何とかやれるということになるのではないかというような数字に相なっております。
#23
○小野明君 大体五百円くらいの見当でプラス、マイナスを計算されておると思うのですね。しかし、その計算の前提基礎に私は問題があるのではないか、こう申し上げたいのであります。それは、五年間に生産性を四〇%伸ばすということ、これはいまでもおそらく能率からいえば、生産性は西欧並みの、あるいはそれを上回る能率をあげているので、この点はまずいいとしても、――労働者にとってはいいことじゃないのですけれども、物価の上昇を大体年一%と押えている。この点が一体どうなるのか。それから賃金の上昇を年これは七%ですか、これに押えておる。で、こういった点ですね。実は問題なのは、物価の上昇を年一%と押えているというところにこの五百円プラスマイナスになるという計算の大きな危険があるのではないかと思う。この点はどうですか。
#24
○政府委員(井上亮君) お説のように、石炭鉱業審議会が答申を出すに際しまして、いろいろ各個別企業にわたっての現状並びに将来の見通しについての分析をいたして検討したわけでございますが、その際、まあ物価の上昇につきましては一%程度という試算をいたしまして、そういうことで計算したことは事実でございます。で、この一%といいますのは、石炭鉱業の昨年までの過去数年間にわたる物価の上昇率といいますか、物価といいますのは普通の物価ではなくて、石炭鉱業の物品費に影響する価格の変動、この実績が大体一%程度というようなことから一%を採用したわけでございますが、しかし、ひるがえって今日の情勢で、今後再建整備計画等を組みます場合に一%が妥当かどうか、三%というのが妥当かどうか、こういった点は今後慎重に検討していきたいというふうに考えております。
#25
○小野明君 この一千億で安心するのは、私は銀行だけではないかと思うのです。新しい事業をやるには新しい借り入れをしてまたこの債務が出てくる。そうしますと、結局負債というものは減らない。しかも、銀行から言わせれば、非常に危険なこういった企業に対して貸ししぶる、あるいは選別融資をしていくという心配は、これはないのですか。
#26
○政府委員(井上亮君) やはりこの肩がわり措置につきましては、これは単に金融機関の問題というよりも、どっちかといいますと石炭鉱業みずからの利益になるわけでございます。むしろ今日、こういう措置を逆にありがた迷惑と申している銀行もあるわけでございまして、私ども再建整備計画を組みまして肩がわりをするというその際に、一面において、金融機関に対して異常債務を肩がわりするわけでございますから、金融機関は喜んでくれてしかるべきでございますが、しかしながら、私どもはこの肩がわり措置と並行いたしまして、当該金融機関に対しましては、今後この石炭産業の融資に対する協力を要請するというような方針でおりますから、金融機関の中には、肩がわりをしてもらうというよりはむしろ、石炭企業と縁を切ったほうが得だというふうに思う銀行もあるわけでございまして、この辺は私ども必要な資源を守るためには金融機関に要請をしたいというふうに考えております。しかし、そういう事情もあるわけでございまして、ところでこの肩がわり措置によりまして――大体過去の今日の石炭産業の不況の一番大きな原因は、何と申しましても、過去の重荷にございますので、この重荷を払うことによってまず再建のスタートラインにつかせる、こういうような趣旨で考えているわけでございます。
#27
○小野明君 おっしゃるように一部の――一部ではございません。大手の経理はやはり若干好転していくだろうと思うのです。しかし、この恩恵をほとんど受けない中小の場合は、いまの収支の状態は非常に困難を感じていると思うのですが、これについては、政府としてはこういった企業格差を埋めるための努力というのはされないものであるかどうか、この点はいかがですか。
#28
○政府委員(井上亮君) 今日の大手と中小の間に企業経営、企業経理の格差が確かにございますが、一言で申しますと、大手につきましては、過去の終閉山対策等のために過重なこういった負担、負債を背負っておりますが、中小炭鉱につきましては、ほとんど大部分の企業についてそういった過去の重荷は持っておりません。したがいまして、金利負担等、大手につきまして平均的にトン当たり四百円くらいの負担がありますが、中小についてはほとんどそういうような負担はないというような企業格差がございますが、中小につきましては、もちろん私ども肩がわり措置に際しましては、中小の中にも相当やはり炭量を持ち、将来の安定的企業としてやっていけるものもあるわけでございまして、当然これは大手だけではなくて、中小炭鉱にも当然一視同仁の措置を講じたいというふうに思っております。しかし、中小炭鉱の、一般的にいえば過去の重荷のない企業につきましては、この対象になりませんから、したがってそういう企業につきましては、安定補給金等の施策で中小の経理改善対策をはかってまいりたいというふうに考えております。
#29
○小野明君 次には、これは大臣に御答弁いただきたいと思うのですが、これは労働大臣でも通産大臣でもいいですよ。この五年間に五千万トン程度といえば、ほぼ一千万程度のスクラップが出てくる。私どもは、その数字はほぼ三万人くらいではないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、離職者につきましては十分ではないですけれども、かなり措置がされてきつつある。問題は、いまいわれておるように、労働力の不足、炭鉱における労働力の不足をどう補っていくか。こうしないと、結局、安定産業ということになり得ないのでありますが、労働力の不足を補うための、あるいは質のいい労働者を確保していくというための施策というのは、一体どういうことを考えられておるのか、それをお尋ねしてみたいと思うのです。
#30
○委員長(大矢正君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#31
○委員長(大矢正君) 速記をつけて。
#32
○国務大臣(菅野和太郎君) 炭鉱の労務者を確保するということが、今後において私は重要な問題だと思います。離職者手当よりも炭鉱に必要な労力を確保するということに今後は重点を置いていかなければならぬ、こう思うのであります。それには産炭地の振興というようなことも一つの方策だと思いますし、それから年金制度、これもそういう意味において一策だと考えます。幸い年金の制度につきましては、先般炭鉱審議会のほうで答申が出ましたから、目下厚生省のほうにおいてこの年金制度の法案を作成しておられることと存じます。そういうようなことで、炭鉱から労務者が離れないようにするということが今後の重点じゃないか、私はこう存ずる次第でございます。
#33
○小野明君 大臣の答弁はそれなりにいいと思うのですけれども、答弁の中身というのはあまりないわけですね。いまおっしゃられた年金だけなんですね。それで、これは年金が出ましたからお尋ねをしてみたいと思うのですけれども、年金制度小委員会ですか、ここから出ておる結論といいますか、それを見ると、抗内、抗外と分けて抗内だけに適用するというわけでしょう。そうして、二十年ですか、抗内におって五十五歳以上にならないと月七千円はもらえない、こういうことなんですね。これは年金を加えて魅力ある職場にして、いくというのについてはあまりにもお粗末ではないか。しかも、年金について見ても、二十年も坑内におるということは、現実考えてみてこれはたいへんなことではないかと思うのですね。で、抗内労働というものは相当激しい労働であります。しかも、五十一、二歳になると抗外にぽんとあげられる。けがをするとみんなあげられるということになってしまうのですから、そういうことから見ると、この小委員会が出しておる結論というのはきわめて非現実的な結論ではないかと思うのです。この年金問題だけでも、坊内、抗外の差別なく支給をしていく、こういうことに変えられるものかどうか、また私は変えてもらいたい。魅力ある職場にするためにはこのように思うのですけれども、この点はいかがですか。
#34
○政府委員(井上亮君) 先般、年金小委員会から年金少委員会としての最終的な答申が出されたわけでございますが、それによりますと、従来は、先生からただいま御指摘がありましたように、労働者の対象につきまして坑内夫に限定しておったわけでありますが、今回の年金小委員会の報告では、抗外夫についても対象にしようということで答申がなされております。ただ、抗内夫と坑外夫とでは当然労働の質等の点からいたしましても根本的に違うわけでございますので、給付の額については坑内夫に重くということになろうと思いますけれども、一応年金の対象にすべきであるということで、従来の説を変えていただいて、そういった答申が出されております。
#35
○委員長(大矢正君) ただいま労働大臣の出席がありましたので、労働大臣から石炭対策についての施策の所信を表明していただき、引き続き質疑を続行いたしたいと思います。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#36
○委員長(大矢正君) 速記をつけて。早川労働大臣。
#37
○国務大臣(早川崇君) 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について、一言所信を申し述べ、各位の御解理と御協力を得たいと存じます。
 昨年七月、石炭鉱業審議会から石炭鉱業の抜本的安定対策に関する答申が行なわれたところでありますが、今後答申に基づく諸施策が講ぜられる過程におきまして、閉山合理化に伴う新たな離職者の発生が予想されております。
 このような事態に対処するため、昨年十二月の臨時国会において、鉱業離職者求職手帳の発給要件の緩和、移住資金の支給対象者の拡大等、急を要する事項について、炭鉱離職者臨措置法の改正が行なわれたところであります。引き続き、今特別国会においても、離職者対策の充実を期するため、炭鉱離職者が自営業を開始する場合における自営支度金の支給、開業資金を借り入れる場合の債務保証、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限の延長等の措置を講ずることとし、炭鉱離職者臨時措置法の改正案の御審議を願うことといたしております。
 次に、石炭鉱業における労働災害は、昨年におきましてもガス爆発等の災害が続発し、まことに遺憾と存ずるのであります。今後とも、一そう、通商産業省との連携を密にし、鉱業労働災害防止協会による自主的災害防止活動の積極的展開をはかる等石炭鉱業の労働者を危害から防止するよう努力いたす所存であります。また、不幸にして事故にあわれた労働者の保護につきましては、従来からも努力してまいったところでありますが、なかんずく一酸化炭素中毒患者に対する医療対策につきましては、三井三池の災害発生以来、専門病院及びリハビリテーション施設の開設、産炭地付近の労災病院に高圧酸素室等の救急器材を整備する等被災労働者の保護に万全を期してきたところであります。また、かねて各方面から要請されていた一酸化炭素中毒症に関する特別対策については、現在労災保険審議会において審議をお願いしているところであり、成案を得次第、今国会に法案を提出する考えであります。
 なお、石炭鉱業における賃金不払いについては、かねてから監督指導につとめてきたところでありますが、昨年末の石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部改正よる石炭鉱業合理化事業団の交付金の大幅引き上げ等により、今後、賃金不払いの解消が促進されるものと期待されるのでありまして、労働省としても、関係機関と連絡を密にし、さらに一そうの努力をしてまいる所存であります。
 以上、当面の諸施策について所信の一端を申し上げた次第でありますが、今後とも各位のご意見を十分拝聴しながら行政の推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じます。
#38
○小野明君 先ほど井上局長が答弁をされました年金について、坑外内にも適用するこう言われているのですけれども、この具体的な内容はわかりませんか。
#39
○政府委員(井上亮君) 答申によりますと、抗外夫でもやはりこの際適用すべきである、ただし抗外夫でありましても、抗外夫の概念自体が非常に広いわけでありますがたとえば二次製品部門、いわゆる炭鉱では付帯事業部門と言っておりますが付帯事業部門とか福利厚生、こういうような点については除いて考えるべきではないかというような趣旨の答申がなされております。なお、具体的にどこまでの範囲で考えるかという点につきましては、関係者の間でも非常に関心の強い問題でございますので、ただいま検討しておる次第でございます。
#40
○小野明君 労働大臣いまお見えになりましたが、先ほど通産大臣のほうに質問申し上げたのは、炭鉱労働者が非常に流出している、また炭鉱に働いても先の見通しがない、こういうようなことで、この労働力不足というのが、この抜本策を実施するにあたって一番大きな欠陥になって出てくると思われるわけですね。そういった面で、この労働力を確保するためにはどういった施策が必要なのか、それを考ておられるか、こういう質問を申し上げておったのであります。
 それでこれは労働大臣にお伺いをしたいと思うのでありますけれども、いま炭鉱労働者には、特にまた管理炭鉱、再建炭鉱ですか、こういうところには能率の向上、四十五年で五十三・六トンですか、非常なこれは高能率ですね、そういうまあ過重な負担がかけらる。しかも出勤率の向上、あるいは基準賃金の一部たな上げ、あるいは期末手当は制限するわ、こういうきびしい措置がなされているわけですね。一方、ことしの春闘の結果を見ましても、鉄鋼が約四千円から四千五百円、軒並み大きな賃上げをかち取っているわけですね。これから見ると、炭鉱労働者というのは七%に押えられるわ、しかも、過酷な労働条件はしいられるわでは、結局、炭鉱で働こうという、こういう意欲がなくなってしまうわけですね。いま通産大臣のお話の中には、魅力のある職場にするために年金と、こう言われているのですが、年金だけではどうにもならぬ。やはり賃金アップこの点を考慮いただかないと、あるいはあわせて保安の確保ということを考慮いただかないと、いわゆる労働力不足というのは避けられない結果を見るのではないか。このように私は考えるのであります。
 そこでこの一千億の肩がわりにせよ、あるいはその他のいろいろな施策にせよ、炭鉱経理というのは、会社は救われるけれども、企業が優先して労働者のほうに薄いと、こういうふうに見ざるを得ぬのであります。そこで賃金アップ問題なり、炭鉱労働者――炭鉱に働くことが魅力のある、将来性のある職場なんだ、こういうことにするための施策について労働大臣のお考えを承りたいと思うのです。
#41
○委員長(大矢正君) いま小野君の質問がありましたが、この際、私も関連してお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、それは御存じのとおり、今日の炭鉱労働者の平均年齢というのは三十九歳を上回りまして、現在ではおそらく平均年齢が四十歳になっておると思うのであります。しかも、今日の炭鉱労働者の平均賃金、先般労働大臣が予算委員会で説明された内容のものは、言ってみますれば、坑内作業という非常に危険な、他にその類例を見ないような産業の実態をあわせ考えた数字になってあらわれておるわけですね。
 そこで私が特に承りたいことは、ただいま小野君の質問の中に七%ということばがありましたが、私は七%というのはどこにあるのか、どういう理由のもとに存在をするのかよく存じませんが、いずれにいたしましても、今日、労働力の不足が、一つにはこれからの石炭産業の行くえというものをはばみ、日本の重要産業というものが危機に瀕する事態になることが予想される今日、それに直接的には関係はないかもしらぬが、しかし、労働力の確保という面から見た場合に、労働行政を担当する労働大臣の立場というものは、まことに私は重要なものがあると思うのであります。したがいまして、そういう立場にあられる労働大臣として、今日、ほかの産業の労働者の賃金がほぼきまりつつありまする段階で、大臣自身として、今日の石炭産業に置かれている労働者の賃金の水準は、一般的な常識として、たとえば従来の水準は一応おくといたしまして、今日の段階で考えられる賃金の水準というものはどの程度のものが妥当であるとお考えになっておられるか、あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
#42
○国務大臣(早川崇君) 石炭労働が魅力あるためにはどうすればよいかという小野先生の御質問でございますが、これは、単に賃金が上がるだけではだめなんで、まず私たちが心配しておるのは、災害の多過ぎるという点、一般の産業平均に比べまして十二倍も労災率があるということ、これをどうするか、これはなかなかむずかしい問題でございますが、労働省といたしましては鉱山保安局とも連絡しまして、いまCO中毒立法というような措置も考えておるわけでございまするが、まずこの点が第一であります。
 第二番目は、抗内夫の労働条件が著しく悪かったのです。いわゆる十六時間ぶつ続けに労働しているというようなこともございまして、労働基準法にのっとった労働条件の改善、これは非常に進んできております。こういった面で、労働省といたしましては、大いに施策の成果があがりつつあると思っているわけでございます。
 根本の賃金の問題でございますが、昭和三十三年までは大体全産業の五番目の高水準の賃金でございました。ところが、昨年は大体十番目というところまで落ちまして、平均賃金が四万五千円、ボーナスその他、手当を合わせましても五万円というので、一般の製造業の平均賃金は四万二千円ですから、それよりは低くはありませんが、上昇率がほかの産業に追い越されてまいりして、十番目という業種に落ちてきておるわけでございます。で、たまたま燃料革命によりまして石炭が斜陽産業といわれるようになりましたのでございますから、これに伴って、鉄鋼その他のような好景気の産業のようにはあるいはベースアップがいかないかもしれませんけれども、七%という一応の積算の基礎というものはございますけれども、まあできるだけひとつ労使間でただいま析衝中でございますので、労働大臣としては妥当な賃金上昇ということを念願をいたしておるわけであります。
 今後の問題としては、さしあたってここ一、二年は御承知のようにむしろスクラップすることから失業者が出るという状態、中高年を主とした現在の労働力というものが直ちに逼迫するとは思いませんが、弱年労働力というものがそういうところに魅力を感じないという事態は、これは、単に石炭産業のみならず、全般的な人手不足ということに影響されておりますので、私も率直に言いますと、五年、十年後の石炭産業を考えますと、人手不足が石炭産業の溢路になる時期が来るのではないかと心配をいたしておるわけでございます。そういう立場から特別年金制度、非常にけっこうなことで、関係各省ともに推進してまいったわけであります。できましたら石炭合理化が進んで生産性が上がって、まあそういう災害が多い産業には、いわゆる災害危険というものを見込んだ賃金というところまでいかなければ、やはり十二倍も普通の産業に比べて災害率が多いということではどうにもならぬ。ですから、今度の合理化案によりまして、石炭産業が非常に生産性のあがる、支払い能力のある産業に一日も早くなってもらわなければ、いかに来い来いと言っても弱年労働力はまいりません。そうなると外国労働力を入れなければならぬという、非常にわれわれにも好ましくないような姿になる危険すら起こってきはしないかと思っております。
 どのぐらいの賃金が妥当か。これはなかなかむずかしい問題でございまして、ただいまも総評の議長や事務局長からも陳情を受けたのですが、全炭鉱並びに炭労、それぞれの立場で使用者側と折衝しておる段階でございます。労働大臣としてこれに介入する権限はございませんが、できるだけひとつほかの産業とも考え合して、妥当な、良識ある賃上げが労使間で妥結されることを心から望んでおる次第でございます。
#43
○委員長(大矢正君) 労働大臣、いまの御答弁ですが、あなたは七%ということを口にされたが、七彩というものは一体具体的にはどこから出てくるかということを私は存じませんけれども、かりに七%ということを言われるからには、七%というのは一体幾らかということを数字の上で御存じですか。これはいまあれですよ。七%というと大体一方八十円という計算になる。一方八十円ということは、二十五日全部働いても二千円にしかならないということです。かりにそれを平均二十二日に、坑内外を平均すると稼動日数は大体二十二日ぐらいにしかなりませんが、そうなりますと千七、八百円のアップにしかならぬということですね。そうなりますと今度は相場が四千円とかいうことをあなたは予算委員会で説明されていたが、これがいかに低いものであるかということがおわかりになると思うのです。単に七%というだけではなくして、金額的にどれほどの違いがあるかということを御認識になりませんと、私は話が合わないのではないかと思うのですが、もう一回ひとつ御答弁を願いたいと思います。
#44
○国務大臣(早川崇君) 私の承知しているところでは、第三次答申の検討にあたって対前年の賃金アップの試算率でございまして、これでなければならぬという問題ではないのではないかと承知をいたしている次第でございます。昨年は対前年の増加率は一〇・四%、一昨年は一〇・七%ということで、実際にはそれだけの賃金というものが上昇しているという実績でございまして、本年がどういうようなアップ率になるかということは目下労使間で大いにひとつ折衝している、こういう実情でございます。
#45
○小野明君 いまの賃金の問題で、結局、これだけ政府が企業に肩を入れるといいますか、腰を入れる、通産省のほうでむしろ会社側にブレーキをかける、このおもしが非常にきいていると思うですがね。それで労働大臣の答弁もありましたけれども、この問題について通産大臣の答弁をお願いしたいと思うのです。
#46
○国務大臣(菅野和太郎君) この労賃の問題については労使の間でおきめになることでありますが、問題は炭鉱産業自体の安定ということが先決問題だと思うのであります。したがって、今度の特別会計でいろいろきめられておることも、炭鉱自体の安定ということを主眼としてやっておる。したがって、労働者あたりも、いままで不安に思っているのは、自分のところの炭鉱がいつつぶれるかわからぬ、これが続けてやっていけるかどうか、これだけ借金があってやっていけるかどうかということで、非常に不安を持っておられると思うのであります。でありますからして、炭鉱自体が、炭鉱産業自体が安定するという方針でいって、それによって適当な賃金をきめてもらうということにしてもらったらいいんじゃないか、こう思っておるのであります。
#47
○小野明君 いまの考え方、私は間違っておるとは言いませんけれども、やはり炭鉱、石炭産業の安定というのは、あるいは抜本策の成功するかどうかの要素の中に、優秀な労働力を確保するかどうか、できるかどうか、こういうことが非常に大きな要素として私は考えてもらわなければならぬと思うのであります。しかも、先ほど申し上げたように、西欧の炭鉱労働者以上の非常な高能率を要求されている。あるいは労働大臣が言われたように、労働災害、保安の問題も非常に大きくある。こういうところで、やはり労働力の流出を防ぐという観点から、この抜本策も諸施策も考えてもらわなければならぬと思うのです。こういう点についてどうなのかと、こうお尋ねをしているのであります。
#48
○国務大臣(菅野和太郎君) お説のとおり、労働者を確保するという意味においては、賃金というものが大きな要素になるということはわれわれも考えておりますが、そこで、それだけの賃金を出し得る炭鉱の経理状態であるかどうかということが、結局先決問題ではないかと思うのでございまして、その点において労使の間でひとつ相談して、賃金をもう少し上げてもらってもいい、あげてもいいというように経営者も考え、また炭鉱労務者もひとつ上げてもらいたいということで話し合いができれば上げてもらってけっこうだ、こう思うのでありまして、私といたしましては賃金をストップすると、そういうような考えはないので、要するに炭鉱の産業が安定するということで労使双方がひとつ考えてもらったらけっこうだと、こう存じております。
#49
○阿部竹松君 関連して。通産大臣にお尋ねいたしますが、私、立法府の議員ですから、行政府の仕事に干渉するようなことは質問を避けるべきですが、しかし通産大臣の御所見として承りたいことが一点ある。労働大臣の答弁もございましたし、あるいはさいぜんの提案説明の中にもございましたが、石炭鉱業における労働災害は、昨年に増してガスの爆発等、災害が続発しておる状態であります。災害がますます起きておるということを労働大臣が提言なさっておる。佐藤総理大臣は、人命尊重ということについては、歴代の総理大臣中、一番多く言明されておるわけであります。したがって、保安ということは車の両輪ということが、池田さんなり岸さんなり、あるいは今の佐藤さんの言明だったが、今日では、生産と保安と車の両輪から、生産より保安のほうが大事でございますという言明になっている。にもかかわらず、これはあなたのほうの省で決定することですから私は言いませんけれども、石炭のせの字も、保安のほの字も知らぬ人をいきなり保安局長に持ってきておる。保安行政なんというものは、保安の仕事なんというものは、五年、十年、二十年というように、やっぱり専門的にやらなければならない。繊維局長が重工業局長になったり、あるいは重工業局長が公益事業局長になったりするということは、これは通産省の行政の一環としてやむを得ないということは私は認めます。しかし、鉱山保安というものは、そう簡単な通産省の人事行政で解決できるものではない。山より海のほうが災害が多いとか、海より山のほうが災害が多いとか、あるいは交通事故でなくなったりけがをする人は日清戦争の死傷者よりも多いといわれておる。しかし、それよりも炭鉱での被災者のほうが多い。日本全国で、重傷か軽傷か、どれだけの犠牲者が出ているか、どれだけ災害が起きているかわかりません。そういうことをやっておって、大矢委員長やあるいは小野委員の質問に対して、それは、保安は大事だなんということを言っておるが、全然、それは話にならぬ。それは、保安ということを知らないでそういうことをなさっているのかどうか知らないけれども、あなたの省にも保安という仕事について幾多の対策を立てたエキスパートがたくさんおられるはずだ。人の名前をあげたくございませんから、これ以上私は申し上げませんけれども、ほんとうに炭鉱の状態とか保安の行政を守ってやらなければならぬと、こういうことであるならば、もう少し、もっと慎重に取り組むべきですよ。単なる序席、単なる人事でもって、ぽつりぽつりと全然知らない者を、かりに二十年前に東京大学卒業の当初、かつて一年半ほどおりましたというような人を持ってきて、仕事ができますか。これは全然できませんよ。それを単に人事で解決して、保安を守ります、これはとんでもない話だと思う。しかし、これは行政府のおやりになることですから、立法府ですから、私は、人事問題に介入できませんけれども、答弁できないなら答弁できませんと、しかし、答弁できるならば、こういうことで私はやりましたということをはっきり答弁していただきたい。あなたのその心境を私は承っておきたい。ほんとうに保安を守る、炭鉱を守るというお話であるならば、そういう一問一答では、これはだめですよ。あなたは労働大臣をなさっておって、一体、恥ずかしくありませんか。
 それから、基準法によれば、労働大臣は、災害が頻発した場合、勧告することができるということになっておる。一体、労働大臣が勧告されたことがありますか。労働大臣にもお尋ねしたい。あなたは就任されてから日にちが浅いから、そういうことがあったかどうかわかりませんと言うかもしれないが、ちゃんと基準法に書いてある。勧告できるということが書いてある。あるいは、ここに基準局長は出ておられませんけれども、あなたのほうから、基準局長から保安局長に対して、勧告できる。一体、そういう例があったかどうか、お示しを願いたい。
#50
○国務大臣(菅野和太郎君) まあ局長がかわりましても、課長にみなそれぞれたんのうな人がおりますから……。したがいまして、この保安の問題については、有能な課長がみなそれぞれやってもらえることでありますからして、保安のことについての不安は私はないと思います。また、有能な人でありますからして、局長として私は十分に職責を果たすことができる人と存じまして局長にいたしたのであります。また、有能でなければ、それは問題でありますが、私のほうでは、この人であれば保安局長としてけっこうやっていける人だというように考えましたから、任命をいたした次第であります。
 それからなお、労働省からその保安の問題についてのことは実は私が大臣になってからまだ聞いておりません。
#51
○国務大臣(早川崇君) 三池災害の直後、勧告をいたしたことを承知いたしております。
#52
○阿部竹松君 三池災害以後、山野炭鉱から伊王島、北炭夕張、奔別等、あのくらい炭鉱の大災害が起きて、法律で明示しておることをやっておらぬということになれば、これはぼくは労働省の怠慢だと思う。少なくともあれだけの大事故が起きたら、炭鉱の大災害が起きれば、労働省の守るたった一つの線なんですから、それをやっておらぬということになればあれですが、しかし、それはそれとして、通産大臣の話を聞くと、局長がだめでも有能な課長がおる、これは大臣がかわっても、有能な次官がいればいいと、そういうことに通ずるので、そこまで言うと私は何をか言わんやだけれども、それではあなた、真剣味が足らぬでしょう、真剣味が。そういうことでいいわけですか。特にただ、国の財産を――通産局長が東南アジアと貿易交渉をやって、やれガットなり、やれ何をして一億ドル負けたとか、損をしたとか、こういうことは国にとっては損失である。しかし、これはいつかは取り返すことができるのです。しかし、炭鉱で人命を失ってしまうと、いかに大臣を責めたところで、保安局長を責めたところで、これは話にならない。特に保安局長なんというものは技術に練達の人でなければならぬわけです。あなたのように、局長がわからぬでも、課長がおると、何でその課長を、そのくらいの課長がおられれば局長にせぬのですか。そのくらいあなた、考えていただかなければ、永劫、炭鉱災害はなくなりませんよ。労働大臣もかわっているのだから、昨年よりもまだ炭鉱災害は増しておるということを堂々と提言されておるのだから、あなたは並んでいて恥ずかしくはないですか。通商産業大臣に責任があると思わぬですか。あなたはにこにこ笑っておりますけれども、こういう間にも遺家族がたくさん出るわけですよ。そういう通産大臣だったら質問したってつまらぬですが、そうなったら一体どうなるのですか、通産大臣。
#53
○国務大臣(菅野和太郎君) 保安ということが石炭産業においては重要なことであるということは、たびたびいままでの前任大臣からも申しておりますし、私のほうでも保安ということが重要だということを申しておるのでありまして、保安が確保されてこそ労務者が安心して働けるということでありますので、その点においては今回、先ほど局長から申し上げましたとおり、予算も増し、また保安センターも設けるというようなことで、極力保安を確保することに努力いたしております。したがいまして、ひとつ保安ということについて従来よりも熱意を持ってやっておるというところを理解していただきたいと思う次第であります。
#54
○阿部竹松君 委員会の答弁でなしに――委員会では、熱意を持ってやります――そういうことは何十回も聞いておるので、そういうことをぼくは聞いておるのじゃない。具体的に実例をあげて大臣の心境を聞きたい。
 しからば、保安と別個に、去年、北海道で一日内閣があったとき、あなたは通産大臣ではなかった。三木さんが通産大臣で、佐藤総理と一緒に北海道へ行って、豊里のような炭鉱災害をなくします、こうおっしゃった。間違いない。どうやったのですか。それをまず第一点お聞きしたい。
 それからもう一つ、つい先週、佐賀県の杵島炭鉱で災害が起きたが、あなたの言明と違う。それをどういうふうに処置したのですか、あなたの答弁……。
#55
○国務大臣(菅野和太郎君) 豊里炭鉱のことにつきましては、労使の間でもお話し合いができて、閉山することに決定したのであります。これは円満に話がまとまったということを聞いております。
 杵島炭鉱につきましては、これの善後策について、目下関係者と相談をいたしております。杵島炭鉱の火災の起こったことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。
#56
○阿部竹松君 佐藤さんが言明し、労使双方で解決しなければならぬほど現内閣は微力なんですか。少なくとも総理大臣が言明し、当時の通商産業大臣の三木さんが、しかるべく処置をする、と言って、だめになったのじゃないですか。そんな答弁だったらもう聞く必要がございません。
 それからもう一つお伺いしたいのは、あなたの提案説明の中の第三項目、保安センターを云々ということで、保安にあまり触れておりませんけれども、第三項目に触れておる。これも私どもは、国で金を出して炭鉱経営者並びに炭鉱労働者を教育して、保安の万全を期すものであると私は信用しておった。ところが、国でちょっぴり金を出して、あとは全部炭鉱経営者に金を出させておるでしょう。たとえば防衛大学にしてもほかの大学にしても、国の場合は防衛大学、あなたたちの言う、あるいは自由民主党の諸君の言う、あるいは政府の言う、防衛大学でも全額国でしょう、一人の――とにかく航空自衛隊をつくるのに三千億もかかる。ところが炭鉱労働者を守るためには国は金を出さぬ。呼び水としてスズメの涙ほどの金を出して、あと全部炭鉱経営者に金を出せと、こういって、そうして炭鉱経営者に金を出させる。炭鉱経営者は、労働大臣、通産大臣から話があったように、斜陽産業なんですからなかなか出したくない。しかし保安ということで出しておる。飛行機一機買う金があれば、もう万全な措置を講じることができる。私どもと思想、考え方が違うから、自衛隊もけっこう、防衛大学もけっこうでしょう。しかし、それはそれなりに、これだけ三人に一人災害が起きると、世界一のとにかく災害の多い石炭産業に、飛行機一機分の金が出せぬというばかな話はない。それは全部炭鉱経営者の金だ、政府は三分の一か五分の一かわかりませんけれども、そういう金を、通産大臣、それしか出しておらぬわけですよ。ひどいじゃないですか。あなた良心的にとがめませんか。大臣に聞いておるのだ。
#57
○国務大臣(菅野和太郎君) 政府委員から、数字のことですから……。
#58
○阿部竹松君 政策的のことを聞いておるのだから、あなたが――何という人かわからぬけれども……。
#59
○委員長(大矢正君) それじゃ、具体的な数字をまず局長から説明して、そのことに対して政府が金を出さない、出して足らない部分を業界に依頼をするということの説明については、大臣から御答弁を願う、こういうことにしたいと思います。
#60
○政府委員(中川理一郎君) ただいま阿部先生からお話ございましたように、私どもの保安の中央協議会の御意見によりまして、保安センターというものを設置すべきであるというお話が、結論が出てまいりました。今年度予算の要求に際しましては、北海道と九州に一カ所ずつの保安センターを設置したいということで、財政当局と話を進めてまいったわけであります。ただいまお話ございましたように、当初私どもが要求をいたしました数字は、全額予算で設置する、こういうことであったわけでありますが、事柄の性質上、利用者側その他にも応分の負担があってしかるべしという御意見もございますし、また全体としての石炭予算の一環としての保安センターでございますので、全体の予算額をも勘案してもらいたいといういろいろの経緯がございまして、最終的にはいま御審議を願っております予算は、必要経費の三分の二であるところの一億五千万円に相なっておるわけでございます。残りの三分の一の建設費その他の分につきましては、ただいま阿部委員おっしゃいましたような石炭産業の状況ということもございますので、なるべく企業者側の負担の少ないように、と申しますことは、地元の地方公共団体等からも応分の御援助をいただくということで話を進めておりますので、私のいま力を入れております点は、北海道、九州の地元の道、あるいは県といったところから、これはかなり、推定ではございますけれども、かなりの御協力を得られ得るという見通しがついておりますので、できるだけ企業側の負担というものが少ない方向でいく努力をいたしておるわけでございます。したがいまして、数字はいまのところ確定はいたしておりませんが、建設費等の三分の一のうちのある割合というものを企業側にお願いしよう、かようなことで考えておるわけでございます。
#61
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま保安局長からも御説明がありましたが、大体、もともとこれは全額国庫負担ということでこちらのほうでは希望したのでありますが大蔵当局との折衝でいまの三分の二ということになったのでありまして、しかしながら、なるたけ企業者の負担を軽くしようということで、いま保安局長のほうでせっかく地方団体から出してもらうということで苦労しておるようであります。でありますからして、お話のとおり、これはできればやっぱり国庫全額負担ということが私は理想だとは考えておりますが、まあそういうことで、企業者の負担はできるだけ軽くするように努力したいと、こう存じております。
#62
○阿部竹松君 その点が、大臣、あなたと全く見解が違う。さいぜん石炭局長の井上さんから五百二十数億の予算の説明を承った。たとえば、坑道堀進に金を出しましょう、補給金を出しましょうあるいはこういう手当を出しましょう、そこから切るのは忍びないことである。しかし、忍びないことであるけども、保安を第一と考えるならば、そこからやっぱり切るべきである。特にいま私、保安局長ですか、話を聞いてけしからぬと思ったのは、地元の公共団体からお世話になると、こうい言う、協力すると。土地を拝借するのかあるいは工業用水の拝借をするのかどうかわかりませんよ。北海道で農林省の直轄である農産物検査所が、北海道の妹背牛というところへ行って、土地を借りて家を建てる寄付を農協団体とか地方公共団体から仰いだというわけです。これは北海道でたいへん問題になった。国の機関が地方公共団体へ行って、そうしてそれが協力を仰ぐなんてとんでもない話だ。いい土地をあっせんしてくれとか、ここを譲渡してくれという話ならいいけれども、金銭的にはぼくはびた一文もらう必要もないし、お世話になる必要もない。これは大問題になる。委員会で問題になったからいいけれども、先に新聞で問題になってごらんなさい、一番先びっくりするから。それほどばかげた話はない。炭鉱労働者が苦しい目にあって犠牲者が出るのに、地方の公共団体に御協力いただいてなんてとんでもない話だ。なぜ通商産業省の直轄にしないのか。保安監督局の下部機関にして、あなたの部下の課長の一人ずつやって、九州、北海道にやってそうして厳重にやらぬのですか。石炭経営者からも金をもらう、地方公共団体からも金をもらう、そういうものの機関をつくったって何にもなりませんよ。ぼくはそういう精神なら質問したって話になりませんがね。そこへ行って、それはどこへ行くかわかりませんけれども、土地も拝借いたします、住宅も拝借いたします、こういう調子だ、くだけて申せば。そんなばかなセンターがございますか。もう少し筋の通ったものをやっていただけぬものですか。それは筋が全然通らぬですよ。
#63
○委員長(大矢正君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#64
○委員長(大矢正君) それじゃ、速記をつけて下さい。
#65
○国務大臣(菅野和太郎君) いま阿部委員のお説のことは、私どもごもっともだと存じますので、しかし、まあ予算がそういう予算になっておりますが、御趣旨の線に沿うように努力したいと考えております。
#66
○委員長(大矢正君) 本件については本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#67
○委員長(大矢正君) 次に臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案、石炭鉱業再建整備臨時措置法案、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 順次提案理由の説明を願います。通産大臣。
#68
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま議題になりました臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 臨時石炭鉱害復旧法は、昭和二十七年に制定され、同法に基づき、過去十五年間にわたりまして、鉱害復旧の促進につとめてまいったのであります。しかしながら、現在なお、石炭鉱業による累積残存鉱害量は膨大な量に達し、国土の保全、民生の安定の見地から深刻な問題となっております。
 かかる事情にかんがみ、政府といたしましては、今後とも鋭意鉱害復旧の促進に努力してまいる所存でありますが、本年度におきましては、七十七億円の復旧事業を実施することとし、石炭対策特別会計予算の要求の中に鉱害復旧事業資金補助金として六十億円を計上しております。この石炭対策特別会計は、本年度から新設され、従来関係各省に各事業ごとに計上されていました鉱害復旧事業費予算についても一括してこの特別会計に計上しているのでありますが、この際、鉱害復旧事業のための国からの補助金の交付方式につきましても鉱害復旧事業団に一括して交付することに改め、今後の復旧事業の実施をより適切に行なうよう配慮することといたしました。今般、これに伴う制度の改善につきまして、臨時石炭鉱害復旧法の一部改正を提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、従来、国が、復旧工事の施行者に対し、復旧工事に関する補助金を交付していた方式を改め、国は、鉱害復旧事業団に対して、その事務経費及び復旧工事にかかる費用に充てたるための補助金を一括して交付することといたしました。
 第二は、事業団は、復旧工事の施行者に対し、復旧工事費を負担することとし、これに関連する規定について所要の改正を行なうことといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、わが国石炭鉱業は、エネルギー革命の渦中にあって、経営基盤の悪化等きわめて憂慮すべき状況に置かれており、このまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。
 このため、石炭鉱業審議会は、一年有余にわたる慎重な審議を経て、昨年七月、石炭鉱業の抜本的安定対策について答申を行ない、政府といたしましても、同年八月、この答申を尊重し石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策の基本的方向を確立した次第であります。
 この抜本的安定対策のための諸措置は、本年度から本格的に実施する所存であり、その中核をなす肩がわり措置につきましては、さきに石炭鉱業再建整備臨時措置法案を提案いたしたところでありますが、さらにこれらの諸措置の前提として、石炭鉱業合理化基本計画を昭和四十五年度を目標とした新たな計画に改め、そのほか再建資金等につきまして制度の改善をはかる必要がありますので、今回、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正を提案いたした次第であります。
 次に、この法案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一は、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度を現行の昭和四十二年度から昭和四十五年度に改めることとしたことであります。これは、今回の抜本的安定対策が、当面、昭和四十五年度までの石炭対策の基本骨格を設定するものであるので、昭和四十五年度を石炭対策の目標年度とする趣旨であります。なお、これに合わせて、石炭鉱業合理化事業団の主要業務の廃止期限も、現行の昭和四十二年度末から昭和四十五年度末まで延長することといたしております。
 第二は、石炭鉱業合理化事業団が行なう石炭の運賃の延納にかかる債務の保証業務を廃止することとしたことであります。石炭運賃の延納措置は、昭和三十六年及び昭和四十一年の国鉄運賃の引き上げに伴う暫定的な措置であり、当初の目的は達成されましたので、今後は、抜本的安定対策により対処すべきものと考えて、予定どおり廃止することとしたものであります。
 第三は、石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区等の区域においては、石炭と同種の鉱床中に存する他の鉱物を目的とする鉱業権等を有する者についても、石炭を掘採してはならないこととしたことであります。
 第四は、最近の石炭鉱業の資金経理面の実情にかんがみ、石炭鉱業合理化事業団が行なう経営改善資金の借り入れにかかる債務保証制度及び再建資金の貸し付け制度を拡充強化することとしたことであります。経営改善資金の借り入れにかかる債務の保証については、現行の中小炭鉱のほか、再建資金の貸し付けを受けている者についても適用できるものとするとともに、再建資金の貸し付けについては、現行の六分五厘の利率を改めて無利子とし、そのほか償還期間等につきまして所要の規定を加えることとしたものであります。
 第五は、鉱害賠償に関する通商産業局長の裁定制度を、石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区等にかかる鉱害紛争についても適用することとしたことであります。現行の裁定制度は従来の炭鉱買収制度により買収された鉱区等に適用される制度でありますが、交付金交付制の円滑な運用をはかるため、石炭鉱山整理促進交付金制度により放棄された鉱区等についてもこの裁定制度を適用する必要があり、制度の拡充を行なうこととしたものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
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 次に、石炭鉱業再建整備臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、わが国石炭鉱業は、エネルギー革命の潮流の中におきまして急激かつ大規模な閉山を行なうなど各面にわたる合理化を遂行しておりますが、その経営基盤の悪化はきわて憂慮すべき状況におかれており、崩壊の危機に直面しております。わが国におけるエネルギーの安定供給、雇用の安定、地域経済の発展などの国民経済的観点から見まして、このまま放置することは許されない情勢に立ち至っているのであります。
 このため、石炭鉱業審議会は、一年有余にわたる慎重な審議を経て、昨年七月、石炭鉱業の抜本的安定対策について答申を行ない、政府といたしましても、同年八月、この答申を尊重し、石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行ない、今後の石炭対策の基本的方向を確立した次第であります。
 この抜本的安定対策のための諸措置は、閉山交付金制度などの一部の措置につきましては、すでに昭和四十一年度から実施いたしましたが、大部分の措置つきましては、本年度から実施する所存であります。その中でも最も重要かつ画期的な施策といたしまして、石炭鉱業の過去数年にわたる急激かつ大規模な閉山合理化過程において発生した過重な負担を軽減するため、約一千億円の借り入れ金を財政資金により肩がわりする措置を講ずることとしております。
 この肩がわり措置は、現在の石炭鉱業の危機が特に資金経理面の悪化に集約的にあらわれており、過去の資金経理面における過重な負担を取り除かない限り、石炭鉱業の経営基盤の回復は不可能であり、将来の再建もあり得ないことに着目いたしまして、このような思い切った措置を取ることといたしたのであります。また、このような画期的な措置を講じます以上は、この措置の対象となる石炭企業については、今後、長期間にわたり安定的な出炭を継続するため、その再建整備について適正な計画が樹立され、かつ、その誠実な実行が義務づけられるべきであり、さらに国として、かかる企業に対して、経理、業務面における規制を一そう強化し、石炭鉱業の再建が効率的かつ適正に行なわれるよう当然配慮すべきものと存ずるのであります。今般、これらの事項につきまして国の施策を明確にするため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一は、再建整備計画に関する規定であります。肩がわり措置の対象となる会社は、財務の状況及び掘採可能鉱量が一定の基準に該当することといたしておりますが、これに加えまして、将来にわたる石炭企業としてのあり方を明確にするため、生産、販売及び財務計画、生産合理化のための措置、経営合理化のための措置並びに資本構成是正のための措置を織り込んだ再建整備計画を作成し、その計画の適否について通商産業大臣の認定を受けることとしたのであります。
 第二は、元利補給契約に関する規定であります。再建整備計画の認定を受けた企業が、金融機関からの借り入れ金のうち一定額につきまして、当該金融機関との間に、借り入れ契約の内容を、財政資金については償還期間十二年、利率年六分五厘、市中資金については償還期間十年、利率年五分とし、元利均等に償還することに変更した場合におきまして、政府は、その借り入れ金の元本の償還及び利子の支払いのための補給金を交付する旨の元利補給契約を結ぶことといたしております。
 第三は、利益を計上した場合の納付金の規定であります。政府から元利補給金の交付を受けている再建整備会社が、財務の状況が改善されました場合及び元利補給金の交付終了後五年以内に一定額以上の利益を計上しました場合には、それぞれ一定額の利益を国庫に納付させることといたしております。
 第四は、元利補給契約の解除の規定であります。再建整備会社が石炭の生産を止めた場合、財務の状況が一定基準以上に改善されました場合及び再建整備計画の実施、変更などについての政府の勧告に従わない場合には、元利補給契約を解除することといたしております。
 第五は、金融機関に対する損失の補償の規定であります。再建整備会社が石炭の生産をやめたことにより元利補給契約を解除された場合に、金触機関が元本の償還に関して損失を受けましたときは、回収できなかった元本の二分の一を国が補償することといたしております。
 第六は、再建整備会社に対する政府の指導監督体制の充実に関する規定であります。再建整備会社の経理の適正化と再建整備計画の適正な実施をはかるため、利益金の処分を認可制にすること、投資や重要な財産の処分を届け出制にすること、毎営業年度再建整備計画の実施状況を報告させること、再建整備計画が適切に実施されるよう政府が所要の勧告をすることができること、政府が毎年業務及び経理の監査を実施することなどの規定を設けることといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその要旨について御説明申し上げた次第であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#69
○委員長(大矢正君) 労働大臣。
#70
○国務大臣(早川崇君) ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 石炭鉱業の合理化に伴う炭鉱離職者の援護対策につきましては、昭和三十四年炭鉱離職者臨時措置法の制定以来、同法に基づき、その職業及び生活の安定に資することを目的として諸般の施策を講じ、その再就職の促進に努めてまいったところであります。
 しこうして、昨年七月、石炭鉱業審議会から今後における石炭鉱業の抜本的安定対策について答申をいただきました政府は、この答申の趣旨を尊重して石炭対策を強力に推進することにいたしました。また、その実施に際しまして、離職者対策については現行諸施策の実施期限をさらに延長することとし、特に今後は、その再就職について、石炭鉱業内部における配置転換を促進するとともに、離職者の年齢、生活環境等の実態に即して援護対策を推進するよう特段の配慮をすることにいたしました。
 離職者対策の拡充のうち、昭和三十七年四月以降新たに炭鉱労働者となった者が石炭鉱業の合理化に伴い離職を余儀なくされた場合にも炭鉱離職者求職手帳を発給できるようにすること、炭鉱離職者が炭鉱労働者として再就職するために移住する場合にも移住資金を支給できるようにすることなどにつきましては、急を要する問題と考え、すでに第五十三回臨時国会において立法措置を講じていただいたところであります。今般はその他の事項につき援護対策を充実するため、この法律案を提出した次第でございます。
 次に、その内容について概略御説明申し上げます。
 この法律案による改正の第一は、独立して事業を行なおうとする炭鉱離職者に対する援護措置を拡充することであります。
 炭鉱離職者の中には、その有する技能を生かして自営しようとする者など、かなりの者が自営業を開業することを希望いたしております。しかるに、これらの者に対する援護措置としましては、現在、雇用促進事業団により生業資金の借り入れのあっせんなどが行なわれているところでありますが、開業資金のくめんなどにこれらの者がなお相当困難を感じているのが現状でございますので、炭鉱離職者が事業を開始する場合に、自営支度金を支給すること及び金融機関から借り入れた資金の債務を保証することを、援護業務の一環として雇用促進事業団に新たに行なわせるようにいたしました。
 改正の第二は、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限を三年間延長することであります。
 炭鉱離職者臨時措置法は、現在昭和四十三年三月三十一日までに廃止することになっておりますが、石炭鉱業審議会の今回の答申が、昭和四十五年度を、石炭鉱業を安定させるための目標年度としていることにかんがみ、この廃止期限を昭和四十六年三月三十一日まで延長して、離職者対策につきましても万全を期そうとするものであります。
 このほか、現在法律で規定されております就職促進手当の最高日額及び扶養加算額を、諸般の状況の推移に即応して改定できるよう政令で定めることといたしましたほか、炭鉱離職者に対して雇用促進事業団から支給されるすべての給付金について、就職促進手当についてと同様、その支給を受ける権利を保護するため、差し押えなどを禁止するとともに、租税その他の公課を課する際の標準とすることも禁止することにいたしました。
 以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。なにとぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#71
○委員長(大矢正君) 以上で四法案の提案理由の説明は終わりました。
 質疑は後日に行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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