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1967/05/31 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第5号
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1967/05/31 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第5号

#1
第055回国会 石炭対策特別委員会 第5号
昭和四十二年五月三十一日(水曜日)
   午前十時三十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木  壽君
    理 事
                西田 信一君
                二木 謙吾君
                小野  明君
                鬼木 勝利君
    委 員
                井川 伊平君
                石原幹市郎君
                沢田 一精君
                高橋雄之助君
                徳永 正利君
                柳田桃太郎君
                山下 春江君
                吉武 恵市君
                阿部 竹松君
                大河原一次君
                大矢  正君
                近藤 信一君
                宮崎 正義君
                片山 武夫君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       通商産業省鉱山
       保安局長     中川理一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       通商産業省石炭
       局鉱害課長    藤谷 興二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○小野明君 前回、私は、この石炭鉱業審議会の答申がなされておるのでありますけれども、この答申の骨子に沿いまして若干の基本的な事項について質疑をいたしております。引き続いてその問題について質疑をいたしたいと思うのであります。
 この前、鉱害復旧の促進地域制度、この問題について資料の要求をいたしておりましたが、いただいております。この問題は、資料はいただきましたけれども、新しくこの答申によりますというと、この地域の制度を拡大をせよと、必要な地域を加えると、こういうふうにされておるわけですね。それであの資料では四十、四十一でありますか、地域は若干ありますけれども、拡大をするという、これは地域指定を広げていくという方針がどうも具体化されていないようにお見受けするわけであります。それでこの地域を広げるという点についてどのような配慮をされておるのか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
#4
○政府委員(井上亮君) この促進地域制度は、三十九年度から実施いたしまして、三十九年度に五地域、四十年度に五地域、四十一年度に五地域、それから前回私、四十二年度にはさらにこの答申の趣旨に従がいまして、単に終閉山の無資力鉱害地域だけではなしに、従来はこれだけだったわけですが、今後は終閉山いたしました有資力の鉱害地域、これも追加をいたしたいという答弁をいたしたいわけでございますが、これにつきましてはさらにただいま検討中でございます。それで、従来の無資力の五地域に加えまして、さらに有資力につきまして二地域程度は追加いたしたいというふうに考えておりまして、ただいま具体的な地点につきまして、現地の関係者等とも具体的にいま案を策定中で、できるだけ早く決定いたしたいというふうに考えております。
#5
○小野明君 次に、この鉱害復旧事業に伴う地方公共団体の敗政負担の問題ですね、それで、各地方公共団体から非常に、閉山をいたしますと税その他の減収になりますから、これを国が大きく負担をするようにしていただきたいという要望が非常に強いのであります。たしか農地で国が八五でありますか、それから宅地になりますと八三ですか、下がるのですね。で、地方公共団体の負担、これを一〇%程度にしてもらいたいという非常に強い要求があるわけです。こういった点について、どのように措置をなさるお考えであるか、お尋ねをしておきたいと思う。
#6
○政府委員(井上亮君) 鉱害復旧に際しまして、地方負担の問題でありますが、国が大部分を援助いたしておりますが、地方公共団体にも一部負担をお願いしております。ただいま先生御指摘になりましたように、たとえば農地の例でいいますと、農地の無資力でいいますと、従来国は八三%、それをことしから八五%国が負担するということにいたしまして、従来県が一七%負担というのを今回一五%負担に軽減いたしました。
 それからもう一つ、先生御指摘の家屋の問題ですが、これは国を八三に改めたわけですが、従来家屋は八〇であったわけです、国の負担は。それを国の負担を八三%、県のほうは、従来は家屋の負担は八〇対二〇、二〇の割合でありましたものを今回は、ことしからは一七%に改めた。なおこれではまだ不十分だというような御意見でございますが、一応私どもこれは二、三年越しの懸案でございまして、卒直に言いますと、政府部内で大激論をして、ことしようやく引き下げが実現したわけでありまして、なお私どもの立場といたしましては、地方公共団体の負担力等も勘案いたしまして、今後とも検討してまいりたいというように考えております。
#7
○小野明君 いずれにいたしましても、この鉱害復旧の問題は、産炭地の地域振興ときわめて重要な関係にあるわけでありますし、その基礎になるわけであります。さらにまた、鉱害復旧について長期の計画を策定せよ、こういうことにもなっております。地方公共団体はそれぞれ赤字に非常に悩んでおるという実情でもありますので、やはりこの長期計画の中に、一〇%程度になりますように入れていただきたいと思うのですが、いかがなものでございますか。
#8
○政府委員(井上亮君) 先ほど申しましたように、これは従来なかなかいろいろな理屈から、県も当然何といいますか、国土保全、民主安定というような見地からの復旧でございますので、全部無資力については国が持つというのは、やはりなかなか筋が通らないというようなことで激論を重ねて、二年間過ごしたわけでございます。答申では私どもの主張をいれていただきまして、さらに国の負担率を多くすべきだというような答申をいただいて、その応援のもとに、先ほど申しましたように県あるいは公共団体の負担軽減についてある程度の成果をあげたわけであります。なお不十分だというような地元の声がありますので、それらにつきましては、私どももその実情を見ながらさらに軽減の努力をしてまいりたいというように考えております。
#9
○小野明君 御努力のあとは認めるわけでありますけれども、やはりこの二、三年一%、あるいは二%という、きわめてわずかの前進しか見ていないのでありまして、ぜひひとつこの問題は、強力にこの中に盛り込むように御配慮をお願いしたいと思うのであります。
 次に鉱害復旧事業団の全国統一をやりなさい、こういうふうに書いてあるのでありますが、それについて構想がございますか。
#10
○政府委員(井上亮君) この全国統一の問題につきましては、私どももぜひ実現をいたしたいというふうに考えておるわけですが、御承知のように復旧事業団は全国四地域にございます。九州、宇部、東海、常磐地区と四地域にあるわけでございますが、やはりこの業務の性格からしまして全国統一をいたしまして、できるだけ、何といいますか、事務経費の節減等にもなりますし、合理化にもなりますし、かつはまた特に今般ただいまの御審議いただいております臨鉱法の改正、特別会計の関係の鉱害の予算を全部一元的に鉱害復旧事業団を通しまして交付しているというような簡素、強力な鉱害復旧対策、それを整備するというような意味で、そういう措置をやっているわけでございますが、それに伴いまして事業団もそのように全国統一をするというほうが簡素、強力な体制もとれますし、また同時にこのことが将来の鉱害復旧の方向でありますところの、国ができるだけ鉱害復旧にタッチしていくという方向にもなるわけでございますので、従来は、これは釈迦に説法でございますが、三者構成、これは政府機関ではないわけです。従来の事業団は経営者とそれから地方公共団体と関係者の団体、いわゆる行政管理庁のやっておりますような政府機関になっていない。こういうような性格もございまして、この際むしろ全国統一いたしまして、国がこの事業団を通じて復旧していくというような政策方向に持っていく必要があるのではないかというような見地からいたしましても、この全国統一をぜひとも早急にまとめたいということでただいま検討いたしております。なお、来年度全国統一いたしますに際しましては、この答申より一歩前進しておりますが、できますれば鉱害基金も加えた文字どおり鉱害の一元的な機関というようなふうに持っていこうというふうなことで検討中でございます。
#11
○小野明君 局長があとのほうで言われました鉱害基金についてはたしか林業の答申もついておったと思うのですね。これもそうしますと合わせて統一と、こういう形になるわけですか。
#12
○政府委員(井上亮君) できる限りそうしたいと思います。私の決意はそうしたいと言いたいところですが、まだいま検討中ですが、できるだけそうしたいと思っております。
#13
○小野明君 それは来年度通常国会に具体化する、こういうことでございますか。
#14
○政府委員(井上亮君) 予算措置がやはり伴いますので、来年度から実施したいというふうに考えております。
#15
○小野明君 来年度の構想ですが、これは実に鉱害の問題については重要な時期になるだろうと思うのですが、ぜひそういった統一なり、余分なものについては一本にして強力な機関にしていくという配慮をお願いいたしたいと思うのであります。なお、石炭関係その他の問題についてはほとんど法律化されておりますし、鉱害の問題だけは法案化されていないという点が衆議院でも指摘をされておるようでありますけれども、そういった点ではかなり鉱害の問題はウエートが下がっているように受け取るわけです。そういう見方もあるわけでありけすから、どうかひとつ来年度やりますときにはさらに強力な措置といいますか、前回この点は大臣にも要望をしておったのでありますが、大体五年間で歩調を合わせて鉱害復旧が促進されますように御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#16
○大矢正君 この前の委員会で小野委員から鉱害の量といいますか、復旧する場合における金額的な見積もりといいますか、その数字が発表になったようでありますが、もう一回重ねて、全国一本でけっこうですから、お答え願いたい。
#17
○政府委員(井上亮君) 私どもといたしましては、昭和四十年度に全国鉱害量調査を実施いたしたのでございますが、その集計結果によりますと、全国で既存の鉱害量は六百七十億という数字になっております。六百七十億のうち福岡の関係、これが六百三十億、大部分でございます、というよなことになっております。なお、このうち安定鉱害というものが、すぐ復旧に着手できるというようなものとおぼしきものが大体五百億程度というふうに考えております。
#18
○大矢正君 これは四十年度の調査結果ですから、その後鉱害量はまだふえているという解釈になりますね。それからこれから五ヵ年計画で対策を立てることになると思いますけれども、その間にまた新たに出てくる鉱害もありますね。おおむねそういうものはどの程度の見積もりになるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
#19
○政府委員(井上亮君) ただいまお答えいたしましたのは既存の鉱害の量でございますが、将来発生といいますか、予測でございますが、これは昭和四十五年度一ぱいぐらいまでを見ておりますが、今後百五十九億程度予想いたしております。なお、それを合計いたしますと、大体八百三十億程度の鉱害の量にのぼるというふうに考えております。
#20
○大矢正君 いまの段階で八百三十億程度が予想されるということでありますが、御了承のとおり、労務費その他もろもろの費用というものは年々高くなっていきますから、金額で見積もる場合においては、最終的に八百三十億という今日の段階の数字が出たとしても、かりに五年後ということになりますれば、これは優に一千億に近い被害総量、鉱害量、こういうものになるのではないかと私は懸念をしておるんですが、一千億ということばが多過ぎるかどうかわかりませんが、いずれにしても八百三十億という、今日の時点において調査し、かつ予想される被害量よりはかなり鉱害の量というものは増加をすることは間違いないですね。
#21
○政府委員(井上亮君) 私どもの集計の方法につきましては、これは経営者側から見ますれば、被害は効用回復というような見地ですから、そうたくさんは、効用回復するだけという意味で比較的低目に押える傾向がある。被害者のほうから見ますると、これは非常に高く評価する傾向があります。私、先ほど申しました数字は、これは関係各省が相寄りまして、被害者、加害者の両面からの推定とか、それから現地の実情とかいうのを見まして評価いたしたわけでございまして、なお、大矢先生が言われるような、常識的に言いますと、これは四十年時点の調査だから、なおふえるようになるというような問題もありますし、これは将何発生の問題も加わることは事実でございます。ふえる傾向にあるということは御説のとおりでございます。しかし、これを復旧いたしますときには、できるだけ私ども国費の節約ということも考えなきゃなりませんから、したがいまして、工事につきましてできるだけ合理化していくというようなことも考えなきゃいけないというふうにも考えております。
#22
○大矢正君 大臣にお尋ねしますが、まあ今日ですら調査結果及び予想される数字で八百三十億円、これが労務費その他の値上がりによっても九百億円、あるいはそれをこえるということはもう明らかな状態にあります。そこで答申は、五ヵ年間一〇〇%とはいわないが、大部分の鉱害は五ヵ年間のうちに計画的にこれを処理、解決しなさいと、こうなっていますね。これは一体どうやって解決するのですか。
#23
○国務大臣(菅野和太郎君) 既存の鉱害については、まあ大体いまお話のように、その後における物件費、人件費など高くなっておりますが、四十年に調べたものから見れば、今日もっと金額がふえているということは、これは想像ができると思います。そこで、これに対してこの五ヵ年間に鉱害を大体まあ解決せよという答申でありますが、大体今後の予算でできるだけ鉱害対策についてはまあ多く見積もって、そうしてひとつこの鉱害の問題の解決をはかりたい、こう存じておる次第でございます。
#24
○大矢正君 あなた、まあ予算から出してと、こうおっしゃるのだが、それはなるほど予算から出るに違いないのでありましてね、ただ、予算ということになれば、ことしでいえば五百二十一億円の特別会計の中で処理、解決をはかる以外にないじゃないですか。それからたとえば一時的には起債その他借り入れ金等でまかなうとしても、結果としてはそれは処理、解決しなきゃならぬ問題になってきますね。これだけ膨大な既存のものでさえ六百七十億円ある鉱害というものを、これはたとえば五ヵ年間でこれからの分、それから四十年度の調査時点以降にあらわれてくる鉱害の被害総額を入れないで、単純に四十年度までの六百七十億円で計算してみたところで、五ヵ年間で、それはもちろん総額国費でやるわけじゃありませんから、若干の地方自治体の負担なり、あるいは業者の負担というものがありますけれども、無資力鉱害がどんどんふえている今日の時点で、これからもなお山が閉山になったところで鉱害が起こる、復旧したものがまた鉱害になるという事態だって過去においても今日の時点でもあるわけでしょう。一体いまの特別会計の中でどうやってこれだけの多額の鉱害というものを解決しようとしているのか、お答えを願いたいと思います。
#25
○国務大臣(菅野和太郎君) 御承知のとおり、この特別会計は大体重油関税収入の大部分を特別会計に充てることになっておりますから、重油の輸入量がふえるに従って特別会計のほうの収入がふえるということになります。また、実際今後において鉱害の復旧費が相当ふえるということであれば、これは一般会計からもまた交渉してこちらの特別会計のほうに回してもらうというような折衝はしなきゃならぬのじゃないかと、こう考えております。
#26
○大矢正君 大臣、ことしの鉱害の予算は六十三億五千万円。まあ事業量で七十八億円という数字になるが、国の予算面からいえば六十三億五千万ですね。そうすると、四十年度の時点で既存鉱害として鉱害量を計算したその十分の一にも満たないという結果になるわけですね。まあ事業量七十八億円ですから、事業量全体の規模からいえば十分の一というとにこなる。しかし、いままで対策をしてきてもなおまた重ねて鉱害が起こるという、また起こってきておるという現実もあるわけですよね。そうすると、これに加わるわけですね、六百七十億円の既存鉱害の上に。それはなるほど、あなたは一般会計から特別会計に繰り入れるのか、あるいは特別会計の中ではなしに、一般会計自身として鉱害対策をやるというまで決意を持っておられるのかわかりませんけれども、ことしの五百二十一億円の中で考えてみた場合にですね、この六十三億六千万円ということしの鉱害対策費を、それ自身だって、非常に大きな特別会計の中においては負担になっていると思うんですね。それから、あなたは簡単に一般会計から持ってきて入れると、こうおっしゃるが、この特別会計ができ上がるときに、われわれも大蔵大臣とずいぶんいろいろやりとりもした。ずいぶんいろいろな努力もした。それで、あなた、幾ら一般会計から特別会計へ繰り入れられたですか。四十億をちょっと上回る程度じゃないですか。それ以上のものは出てこなかったでしょう。これからもなおそれは想像できることでしょう。そうすれば、一体どうやって鉱害の解決をはかるんですか。これから五ヵ年間でやれという答申なんか問題じゃないと、こんな答申にしたってやれるものじゃないと、これから二十年くらいの計画を立ててやるんだというふうに考えられるのか。あるいはそうじゃなくて、特別会計の中からこれからもっとやる、鉱害に持ち出してもしかたがないという立場でやられるのか。この基本的な考え方が不明確です。だから、もう一回ひとつお答え願いたい。
#27
○国務大臣(菅野和太郎君) これから生ずべき鉱害については、これはまたあらためて対策を考えなきゃならぬと思いますが、今日までの残存鉱害については、これはなるべく五ヵ年以内で解決しなきゃならぬと、こう考えております。したがいまして、先ほど申しましたとおり、特別会計の収入も増加いたしますし、またその収入だけで不足する場合には、一般会計から繰り入れることを極力ひとつ交渉したいと、こう考えておる次第でございます。
#28
○大矢正君 あなたね、考えてごらんなさいよ。六百七十億を五ヵ年間で消化をするということになったら、一年間百三十億になりますよ、平均して。ことしは六十三億六千万ですからね。そうなると、昭和四十五年度の最終年度になったら、二百五十億だの三百億だのという金を出さなかったら、この鉱害の解決はできないということになるんですよ。そんな金出せますか。それだけ一般会計から持ってくる自信がおありですか、実際問題として。そういう抽象的な逃げる答弁じゃなしに、できないならできないと言ってもらいたいと思うし、それから石炭対策は現実の問題としてはうしろ向きで鉱害をやっていきたい、離職者対策だけに金を使って、現在残っておる炭鉱をこれから残すという方法は全く二の次になるような石炭対策が出てもいいというお考え方なのか、どっちなのか、もっと誠意あるお答えをしてもらわなきゃ困る。
#29
○国務大臣(菅野和太郎君) 御存じのとおり、五千万トン程度の石炭を確保するということが今度の石炭対策の根本方針でありまして、それをくずすようなことはしちゃいかぬと思うんです。したがって、今後の予算で、特別会計の収入の範囲内において鉱害復旧費というものが不足するということであれば、その分については大蔵省と強力にひとつ交渉したいと、こう存じておる次第であります。
#30
○大矢正君 あなたは予算折衝のときにおられたかどうかわかりませんがね。特別会計の五百二十一億円というものができ上がる過程の中では、大蔵大臣はこう言ってるんですよ。いまの段階では、若干の一般会計の中からの繰り入れもやむを得ないだろう、しかし将来はこれを返してもらわなきゃいかぬと、こう言っている。なぜかといえば、原重油関税がふえていくから、ふえていった段階では、むしろ一般会計から繰り入れるどころじゃない、一般会計のほうに戻してもらわなきゃいかぬ、言うならば、われわれが四十二年度で行なおうとしている特別会計の中の一般会計の部分というものは原重油関税の先食いですよと、それぐらいは認めなきゃならぬから、将来は返してもらうが、いまの段階では認めると、こう言っているのです。ということは何かといえば、原重油関税以外には、もう石炭対策の金は出てこないということを、この四十二年度の予算をきめるときに大蔵大臣が明確にしたということですよ。大蔵省の役人も、主計局もそのとおりに認めているということなんだ。遺憾ながら。私は反対だよ、反対だけれども、遺憾ながら認めていることなんです。そうなったらこれだけの鉱害というものは一体どうやってやるのかということが問題になってくるのです。
 それからもう一つ、関連して言わしてもらえれば、五ヵ年計画というのは一体あるのかないのか。たとえば特別会計ができて、新しい抜本策がこの昭和四十二年度の予算からでき上がってくるということになるならば、五ヵ年間にどうやってこの鉱害をなくするのかという対策が同町に提示をされて、したがって初年度のことしは六十三億六千万円が必要だという数字が出てこなければならないでしょう。その数字がひとつも出てこないで、単に六十三億六千万円だけが出てきて、五年後には何とかなるだろうという、そんな甘っちょろいことでは私はこの鉱害の法案を通すわけにはいかないと、こう言うのです。
#31
○国務大臣(菅野和太郎君) 将来重油関税が増加したときに、もしこの特別会計に余裕があれば返してこれということは私は聞いております。私が直接、大蔵大臣と折衝したのでありませんが、そういう報告を受けております。したがいまして、鉱害対策の必要な費用も支出してなお余裕があった場合は、もちろんこれは大蔵省のほうへ返さなきゃならないというように考えております。
#32
○大矢正君 私が申し上げたのは、あなたが、あたかも特別会計以外に一般会計からたくさん金を持ってきて入れるから鉱害はできるのだと、こういう答弁をさっき言うから、そういうことは無理なんじゃないですか。というのは、予算の折衝の経過から言って、井上局長だっていままで大蔵省と長い間苦しんで折衝されてきて、はたして、一般会計から五十億なり、百億なりという金を特別会計に入れて鉱害対策ができるかどうか、という余裕があるかどうかということはおわかりでしょう。それはできるならいいですよ。あなた方が責任を持ってやります、五十億でも百億でも、来年度、四十三年度以降は一般会計から特別会計に金を入れてきて鉱害対策をやるというのなら、これは話は別ですよ。現にここでは言えないでしょう。これからはやりたいと言ったって、できないでしょう。さすれば一体これはどうやって鉱害が解決できるのか。あなたは、原重油関税がふえていけばと言う。なるほどふえるでしょう。ふえたって、それでこれだけ膨大な鉱害の被害量をまかなうだけの金なんか出てきませんよ、全額注ぎ込んだって。かりに全額鉱害対策に注ぎ込んだら、一体石炭対策はどこでどうなってくるのですか。現にいまの石炭対策も手おくれになってきているから、アフターケアをやらなきゃいかぬのじゃないかという意見すら現在は出てきている現状でしょう。そういう中から、一体どこから財源を求めるのですか。
#33
○国務大臣(菅野和太郎君) できるという確言はできませんが、それは一般会計から繰り入れてもらうことについて極力努力するということを申し上げておるのです。まあその点について大蔵省にも十分折衝申し上げて、助力してもらいたい、こう存じておる次第であります。
#34
○大矢正君 この鉱害対策の法律も、それから四十二年度の特別会計の中に盛られた六十三億六十万円の予算というものも大臣――ね、この法律も、四十二年度の特別会計の鉱害に対する予算も、言ってみれば答申に基づいて考えられていることなんでしょう。そうでしょう。ところが、石炭対策はなるほど答申の線に乗ってきているがね。この鉱害対策の一体どこが答申の線に乗って具体的に出てきているの。単に法律として法律案にあらわれてきているだけでしょう。具体的な計画がどこにある。
#35
○政府委員(井上亮君) 御指摘にあたりましたように、鉱害復旧の長期の計画につきましては、現在作業中でございまして、先ほど大臣からお答えがありましたように、少なくとも安定鉱害と目されます五百億程度の鉱害につきましては、できるだけ五ヵ年以内ぐらいに処理できるようにというようなことで、ただ、鉱害復旧いたしますに際しまして、やはり緊急順位等もありましょうから、そういった点を配慮して、ただいま計画作成に努力している。ただし、今年度につきましては、復旧費としては六十三億のうち六十億が復旧予算になっておりまして、これをもちまして七十七、八億程度の現実の復旧が完了するというような計画で、これは本年度につきましてはもう地点別にそういう計画を立てておるわけでございます。長期につきましては、今後の優先順位、緊急度等を勘案してただいま検討中でございます。
#36
○大矢正君 まず私は、この法案を通すことのできない第一の理由は、答申が出て、その答申に基づいて計画が立てられ、その計画に基づいてさらに具体的には、ことしはどうする、来年はどうする、どういう内容の対策をするということが出てきて、初めてこの法律というものが生きてくるのであって、そういうものがないままで、計画がない具体的な措置、その措置はどうするということがなくて、ただ法律だけを通して、この六月の一日から新年度の予算が始まるから、とにかく予算さえ使えるような方向でやればいいんだというような考え方では、この法律を通すわけにはいかないというのがまず第一の問題。
 それから第二の問題は、六十三億六千万円という金額は、鉱害対策費はどういう理由から出てきたのか、どういう計算の根拠で出てきたのか、それをお答え願いたい、その背景を。
#37
○政府委員(井上亮君) 復旧予算の六十億につきましては、これは各鉱害県帯、これはもう逐年、長期の計画はないというのは――具体的にこの答申に基づく、これは政府全体が確認した、大蔵省を含めて確認した長期の計画は、ただいま策定中でございますが、従来といえども、長期のそういった復旧計画がないわけではございませんで、やはり毎年既存の鉱害については、地点は明確に把握しているわけでございますから、長期の復旧の私どもとしての計画はあるわけでございます。
 ただ、私は先ほど、ただいま検討中と言いましたのは、ことしは確定しておりますが、将来のこの答申に基づく長期の計画と申しますのは、これは単に私どもだけの、あるいは鉱害復旧の責任を持っております農林省等を含めまして、鉱害復旧官庁の計画というだけでなしに、大蔵省も含めて、国全体としての長期の計画を立てたいということで、ただいまそういうことで検討中なわけでございます。従来といえども、私どもや鉱害復旧官庁の長期の計画はあるわけでございます。したがって、それに従って従来予算要求はやってきているというのが実態でございまして、ことしにつきましても、したがいましてことしの復旧予算も、ことしの具体的な精緻な、被害地帯についての復旧計画を土台にして積み上げて予算を取ったというのが実情でございます。
#38
○大矢正君 私は、いままでの鉱害対策というものは、その年度で予算がついたら、その予算の範囲内である程度優先順位もあるだろうから、それをやっていくという限度であって、何年後にはどうなる、何年後には鉱害は原形に復旧するんだというような計画は私はなかったと、こう解釈して質問をしていたのですよ。あなたは、それは計画があって、その計画に沿って六十三億六千万円というものが出てきたと言うならば、その資料をもらってからひとつゆっくり検討しようと思う。
 私の質問を終わります。
#39
○政府委員(井上亮君) いま資料を持ってきまずから、後刻答弁させてさせていただきます。
#40
○大矢正君 それではもう一つ、ついでだから質問させてもらえば、大臣に答弁願いたいのですがあなた御存じのとおり、この鉱害対策費は六十三億六千万円だ。それから炭鉱の整理の促進費がこれまた六十三億円だ。それから離職者対策の費用が五十億、産炭地域振興が三十億、こうやって全部はずしてくる、と言うと語弊がありますがこれは全部あと向きの姿勢、対策ですね。いまある石炭企業というのがこれからどうやって歩いていくか、伸びていくかという内容のものじゃない。全部事後処理です。整理です。これは言ってみれば、一体、この五百二十一億円の予算の中で、いま五千万トン掘らなければならぬ。売れるか売れないかは通産大臣の手腕にかかっているけれども、いずれにしても五千万トン掘らなければいかぬというのぼりを立ててやっている石炭対策というものは、よくよくせんじ詰めていけば、一体、いま残っている、これからも残していかなければならぬ石炭に対する対策の金というのは、予算面でどれだけあるかということになれば、まことに微々たるものなんだ。私はそういうこととの関連もあるから、ここで鉱害の問題を指摘しているわけです。あなた、どう思いますか。こういうように鉱害対策費、産炭地域振興、電源開発――電発はまだ幾らか石炭を使うから前向きにしても、離職者対策と、全部拾っていったら、ほんとにわずかなものですよ。これで石炭対策に多額の金を出していると言い、そうしてこれで石炭産業が生き延びれるという理由があるならば、私はむしろあなたに聞かしてもらいたい。
#41
○国務大臣(菅野和太郎君) 御承知のとおり、石炭鉱業の長期的安定対策について、石炭鉱業審議会の答申に基づいて、昨年の八月に閣議決定いたしたのであります。したがいまして、この答申案の要綱に従って予算を組んでいる次第であります。したがって、この予算全体が石炭鉱業の確保、また今後の五千万トンの需要確保、また産業の維持という目的のために支出さるべき費用にみななっているわけであります。したがって、どれもみな、うしろ向きのものもあるが、それは同時に石炭鉱業のやはり確保のためだし、前向きの資金もありますし、それも石炭鉱業の確保のための資金なのでありまして、いずれの費目も五千万トンの石炭を確保するということのためにみなそれぞれ間接直接の目的を持っているものであると、こう私は解釈しているのです。
#42
○大矢正君 いずれその議論は、再建臨時措置法あるいは合理化臨時措置法が参議院に送付されてくるでしょうから、その際にあなたと議論することにして、根本問題はきょうはいたしません。鉱害問題に限っていたしますが、いずれにしても、これは非常に金額が多いだけに、私は鉱害対策というのは重要な問題だと思うのです。ですから、あなたに先ほど来質問しているのですが、あとで資料をいただいてからひとつ勉強させてもらいますから、私はとりあえずここでやめておきます。
#43
○政府委員(井上亮君) 先ほど大矢さんに、後刻資料でと申し上げましたが、とりあてず全貌の資料がございますので、説明させていただきます。
 四十二年度の復旧事業の計画といたしましては、これはまず全国について申し上げますが、全国では、農地関係といたしまして四十五億九千九百九十一万一千円、これが本年度の農地関係の復旧費でございます。この復旧費につきましては、国の補助と先ほど言いましたような県の補助、それから有資力につきましては賠償義務者が一五%負担ということに相なるわけでございます。それから河川関係につきましては六億九千八百万円、下水道関係が六千二百九十万円、上水道関係が一億六千六百万円、それから学校関係が六千六百万円、鉄道関係が四千七百万円、それからなお公共用の建物関係が二千九百万円、それから家屋等が二十億六千五百九十万円、この合計額が七十七億三千六百万円でございます。なお、一番この大部分を占めております九州について申し上げますと九州はこのうち七十一億四千万円、これが本年度の復旧費関係でございます。農地関係は四十一億七千万円、河川関係が六億一千三百万円、下水道が六千二百九十万円、上水道関係が一億五千五百万円、学校が六千六百万円、鉄道関係が四千七百万円、なお公共建物が二千九百万円、家屋等が十九億九千八百万円、以上合計いたしまして七十一億四千五百万円。以上が大体四十二年度の鉱害復旧の計画の概要でございます。
#44
○大矢正君 誤解があっちゃ困るが、四十二年度六十三億六千万かの予算をね、それをきめるにあたっては、根拠がなくてはきめられないのだから、だから、こういう事業こういう事業をやるのだから六十三億になるのだと、こういうものがあるのはあたりまえの話なんだ。私が聞いているのは、将来の展望から逆算してきて六十三億が出てきたのはどういう理由かということなんです。それはちょっと勘違いされては困りますよ。被害総額や答申の五ヵ年間で大部分を処理しなさいという考え方や、計画性を持ちなさいというそういう考え方に基づいて六十三億六千万円という金額があらわれてきたと思う以外にないので、その背景というものはどういうものなのかということを聞いているので、四十二年度の予算は当然のことながら、それは積み上げたものがなければ、大蔵省はうんと言わない。つかみ金で六十三億六千万円よこしなさい、そしたら適当に鉱害やるからとそんな大蔵省はばかじゃないから、それはわかるのですよ。そういうことじゃなしに、将来の展望から逆算してきて、ことし六十三億円になったということは、その根拠は何なのか、そしてその資料があるということだから、その資料を見せてくれということを言っているのです。
#45
○政府委員(井上亮君) その資料は冒頭でお答えいたしました四十年度の精緻な全国各地を関係各省一致して一年かかって調査いたしました全国鉱害量調査、これがもとの資料でございます。
#46
○委員長(鈴木壽君) ちょっと速記をとめてください。
 〔速記中止〕
#47
○委員長(鈴木壽君) 速記を起こして。
#48
○阿部竹松君 大矢委員の質問と、大臣、石炭局長の答弁に関連ある部分をまずおお尋ねします。
 まあ、私しろうと考えで石炭局長あるいは通産当局のように全国に組織がないわけで、正確な数字をもって反発するわけではありませんけれども、石炭局長のお話のような数字ではとても筑豊をはじめ佐賀、長崎、これは常磐、山口もあるでしょう。大矢委員の発言のように北海道がカットされたとしても、とうていあれだけの金額じゃ私は現地の人が十分とまではいかぬでも得心してくれる程度の復旧はできなかろう。端的な例を申し上げてたいへん恐縮なんですが、大臣がやがて来たるべき万国博の担当大臣、あの万国博の準備をするために千里丘に膨大な土地造成をはじめ建物をつくる、あれぐらいの金を持っていかぬと筑豊は直りませんよ、実際問題として。あなた笑ってお聞きになっておられるが、そうなんですよ。ですから抽象論は抜きにして、一番手っとり早いのが九州に員島炭砿というのがある。この一社だけで私は八十億も九十億もかかるんじゃないかと思う。とても――まだ将来起きるでしょうが、将来は別として、いまあの貝島炭砿一つ取り上げても、大臣、局長の御答弁のようにいくかどうか。私はさいぜんも申し上げておりますとおり、機関を持って調査しておるのではないのですが、あの一例を見ても、あなた方の御答弁に納得できないわけです。やがて五年後に、それ、ざま見たかというようなことは言おうと思っておりませんがね。もし自信があればお答え願いいた。
 それから、確かに重油関税を特別会計で使用することになるわけですから、ことしは四百七十億で来年は五百五十億になるかもしれません。しかし物価上昇その他の諸経費も御承知のとおりどんどん上がっておるわけですから、五十億ふえたからといって五十億分多く仕事ができるとは限っておらない。そうでしょう。そうすればとうてい大矢委員の心配されるようにこれは不可能だ。不可能なんです。ですから、そこのあたり明確にしていただければ、やがて来たるべきこの次の国会なり、明年度の予算にまた再度もの申さぬでもいいわけですが、皆さん方の答弁どおり了解すれば、明年度得心、昭和四十五年度まで了解しましたというかっこうになる。私はとても四十五年度――皆さん方の御計画はわかるし、説明はわかるけれども、とうてい不可能であると判断するがゆえに、もし、いまの抽象論じゃなくて、貝島炭砿の例でもいいですよ、ひとつお聞かせ願いたい。
#49
○政府委員(井上亮君) 個別炭鉱の資料はいま手元にございませんので、後刻お答えさせていただきます。
#50
○阿部竹松君 次にお尋ねいたしますが、北海道、九州でも同じ通産省の統轄下にあるわけですから、同じ方針で施業案を認可されると思いますが、どうも北海道と九州では施業案の認可が違うような気がするのです。なるほど大矢委員の発言にございましたように、北海道に鉱害はない、お尋ねすればおそらく地質が違うとか、あるいは炭層のある場所が違って鉱害が起きないなどと答弁するかもしれませんけれども、これも一例をあげますと、三年前に九州の八幡地区あそこに日本炭鉱という炭鉱会社がある。一方、黒崎とか三菱というセメント会社がある。同じ通商産業省で、片方は産業公害、こっちは石炭、大臣は一人だ、これはどうしてそこに問題が起きたかというと、石炭を掘っていくほうは、おまえさん、工場を建てるのは知らなかったかというように聞きましたところが、いや、一晩のうちに工場ができたと答弁する。それから工場側に、あなた、そこの地下に石炭があるの知らなかったかと言ったら、これは個人の機密に属することであって全然知りませんでした、したがって大きなセメント工場、化成工場を建てた、同じあなたのほうの管轄ですよ、そしてけんかして国会から委員派遣までやって調査して――これが一つの事例です。こういうことを幾つともなくやっている。ですから鉱害が起きる。五、六年前の法律のできた当時から、昭和二十七年から始まっているのですが、五、六年前からの速記を読んでみなさい、みんな同じことを言っている。依然として毎回金額と日付が違うだけで同じことを繰り返している。抜本対策をやらんとする今日、これが最後ですから、最後の交通整理ですから、また来年この委員会でいろいろ苦言を呈したり御答弁をいただこうなんて考えておらぬ。特に予算五百二十一億八千万の中に労働省の予算が入ってくるなんて、これは立法措置としては邪道じゃないですか。男を女にせぬ限りは国会何でもできるというのですが、これは邪道ですよ。どこのあらゆる産業を見ても、そこの部門に離職者対策費などといって失業者の対策費をこれに盛っていくなんてことはないですよ、いかがですか大臣 あなたも経済閣僚でしょう。
#51
○国務大臣(菅野和太郎君) 違法とは言えぬと思うのですが、特別会計ですから。そういうことでやはりおよそ石炭に関する事項はすべてこの特別会計の中へ入れていくというのが大蔵省の案で、まあわれわれの最初の案は、そういうものは特別会計の外でやってもらいたいということをこっちが希望したのですが、大蔵省としてはおよそ石炭に関する事項はすべてこの中へ入れてやってくれということで、こういうことになったので違法とは言えない、私はこう思うのですが、しかしまあ御説のとおり、われわれとしては特別会計の外でそういう離職者対策とかそういう事業を、労働に関する費用は労働省、あるいは農林省に関する費用は農林省、鉱害にしても農林省でやってもらうということにしてもらったほうがわれわれとしてはすっきりしておるのでありますけれども、しかし、およそ石炭ということに関連しておる事項は、この際特別会計に入れてそして石炭対策として打ち出したほうがよいというように大蔵省のほうでそういう意見を持って、結局、大蔵省の意見に従ったわけでありまして、違法というわけにはいかぬと思うのです。こう考えておるのです。
#52
○阿部竹松君 菅野通産大臣は、大臣であると同時に大学の校長先生までやった人ですから、内閣法などお読みになっていると思った。通産省としては何々をやっておる、石炭局としては何々をやっておる、労働省は何々をやっておる、一つの予算で切るほうと切られるほうと、全部チャンポンにして、国会で議決してやるからこれはよろしいのだという御答弁ですが、あなたのほうでは何、ここでは何をやる、商工委員会としては何をやるときまっておるわけです。石炭委員会としては何をやるときまっている。そこに出てきてみそもくそも一緒にした法案を審議するということは、憲法上でなくても、行政府としてのあり方からしてぼくは違法だと思う。それが大体賛成できないのと、なぜその予算を外へ出さなかったのか不思議でならない、不思議なんです。ぼくは石炭産業安定のために五百億のワクをつくった、特別会計をつくって、大矢委員の話じゃないけれども、全部あと始末だけで、これからの石炭産業を発展させようという石炭産業に使う部分は五百二十一億の中で顕微鏡で見なければならぬものを補給して、百二十円か百三十円しか出てない、汽車賃が上がるから、あるいは厚生年金に使いましょうという話が出ておるから、これは全然問題にならない。それから若干の行動対策費を応援しましょうという、二つ三つの分ですよ、石炭産業の安定とあと始末という法律じゃないですよ。そういう問題について通産大臣は矛盾をお感じにならぬですか。
#53
○政府委員(井上亮君) 阿部先生のおっしゃいましたように、私どももこの特別会計をつくりましたときには、石炭鉱業安定対策に直接関連する対策費だけを盛り込んだ特別会計にいたしたいということで、当初私どももそういう主張をし、これはまあ国会の先生方ともそういうことでお話しした経緯があるわけでございます。国会のほうにおかれましても、与野党一致でやはりそういう考え方が正しいのではないかというような御支持を得まして、私どもとしましては、対大蔵予算折衝に際しまして、この特別会計の中には、産炭地域振興、これは地域振興の問題ですから、これを特別会計でなくて一般会計で見たらいいじゃないか。第二は、離職者対策、離職者対策の一般の失業対策、これはまあ炭鉱については特別措置をやっておりますけれども、それにしても事柄の性質は、労働省が一般会計予算で取っていささかも取りにくい性質のものではない。そういったことからして、これも特別会計の対象にしなくてもいいじゃないか。それから第三には、鉱害対策。この鉱害対策は、これは石炭鉱業には産炭地域振興、あるいは離職者対策よりも少し石炭対策に濃い関係が私はあると思います。といいますのは、鉱害復旧をいたしますときには鉱業権者の負担、やっぱり損害賠償義務があるわけですから、鉱業権者に。しかし、今日の情勢では石炭の鉱業権者は今日の経理事情からなかなか負担が十分できないということもあり、かつまた国土保全、民生安定という見地から、国が大部分を負担するという制度にはなってまいりましたが、しかし、本質はやはり鉱業法の精神からしましても、鉱業権者が損害賠償に応ずべきという関係がございますから、少し他のものよりも関係が深いわけですから、それにしても実態面から見ますれば、やはり無資力鉱害にも見られますように、これは国、地方公共団体の全額負担で復旧するというたてまえになっている、そういう性質でもありますから、したがって鉱害もできますればほかで見てもいい筋合いではないかというような議論をいたしまして、大蔵省と国会与野党の応援を得まして折衝いたしたわけですが、これは大蔵省としましては、全体を入れて、この特別会計というものは事業特別会計ではなくて、やはり一般会計からの区分経理というような性質でもありますので、石炭対策に関係のあるものはすべて入れたいという主張を曲げなかったわけでございます。しかし、先生方、大矢先生がら御指摘がありましたが、阿部先生も指摘しておられますが、すべて入れては、私どもとしましても、長期の見通しを考えましたときに、原重油関税収入、これは年々増加をいたしてまいります。その見通しは明確にあるわけでございますけれども、しかし、これだけでは石炭対策を今後やっていく者の立場としては責任を持てないというようなことを申しまして、最後に政府として、考えましたのは――したがいまして、原重油関税収入だけでは石炭対策に責任を持てない場合には、必要とあれば、全部入れるかわりには、一般会計の繰り入れを行なうということで、一般会計を繰り入れると言われますと、私どもとしましても、それでもまだだめだということは言えません。必要なものは一般会計で出すのだ、こう言われますと、これを断わるすべもございませんので、最終的に政府が組みましたのは、そう言った以上、産炭地振興あるいは離職者対策、鉱害対策を入れるかわりに、一般会計から必要なものは必ず出すという確約を得まして、今日国会にも御了承をいただきましたような特別会計法をつくったわけでごごいます。
#54
○阿部竹松君 さいぜん懇談の中で、石炭局長の覚悟のほどを承ったので、原因がわかったような気がするのですが、予算の大詰めにまいりまして、ここにおられる大矢委員はじめ関係議員が大蔵大臣とお会いして、こま切れに予算を使ってもだめですよ、したがって三年分ぐらい一ぺんに予算を組んでください、そのかわり関税も若干ふえていくこともある、そのとき弁済してバランスをとったらいかがですか、こういう話で一応了としたわけです。しかし、さいぜんの懇談で井上局長の馬力を聞いてぼくはびっくりしたのですが、それはそれとして、そういうところに原因があったのじゃないかという気がするのですが、いまおっしゃった国土保全、民生安定、私はことばじりをつかまえて言うわけじゃないのですが、そういう話になると、石炭産業の安定と産炭地域振興と違うのですよ。それは一部によっては石炭産業の安定することによってその地方自治体が安定するところもあります。しかし、いかに石炭産業が安定したところで、もう廃山、休山、閉山相次ぐ地方自治体もあるわけですから、石炭産業の安定と産炭地域振興とは全然違うのです。もう同じであるというところは非常に数少ない。そうしますと、この通産当局から提案になっておる提案理由の説明の中にも、いまおっしゃった民生の安定は書いてある。それから有沢さんがお出しになった答申書の中にもそれが書いてある。そうしますと、私はここで考えるのに、あの港なり、あるいは海岸線の防壁なり、あれは農林省も、建設省も両方でやっている。ところが、こちらでは全部一緒なんですね。これから発展させようと思うところも、終掘、あと始末も一緒なんです。民生の安定とかあるいは国土の保全というのは建設省にやってもらったらどうですか。なるほど五百億の予算というものは膨大なものである。しかし、さいぜんから大矢委員も指摘しておるし、私も言うているように、膨大な五百億の金であるのですが、労働省にも持っていく、そっちにも持っていったら、ほんとうの石炭蔵業あるいは産炭地域振興に使う金は微々たるものです。しかし、君のところには五百億行っているじゃないか、来年五十億ふえますよと言うが、何だか局長が幾ら大蔵省と折衝しても、そういうあなたがおっしゃっているように私どもは期待できぬような気がする。こういうわけで、石炭も何もなくなったところは建設省がやるというようなことはできぬですかね。たとえば港とかあるいは海岸線の至るところ、建設省でもやっておりますね。それから河川にしてもそうですよ。ですから私は全部集めてきて、まさか通商産業省のなわ張り争いで自分のところに集めておきたいというのが役人の根性だ、そういう憎まれ口はききませんが、一ヵ所に全部集めて、おまえは五百億使っているが、あがる成果というものはきわめて僅少である。全部整理してしまって特別会計つくったんですから、この機会にこそ整理するぼくは唯一の時期だと思うのですがね、いかがでしょう。
#55
○政府委員(井上亮君) ただいま阿部先生から今後の鉱害対策あるいは鉱害政策についての基本的な考え方をお示しいただいたわけですが、私も個人的に申し上げますと、これはまあ私、事務当局ですから少し先生とは違って方法論も考える場合があるかもしれませんが、基本的には先生のおっしゃるようなことを配慮して今後の鉱害の抜本対策を考えませんと、なかなか鉱害対策というものは、今日の状況から、関係者一同が、被害者も加害者も両面から満足のいく鉱害対策というのはなかなかむずかしい。これは個人的に率直に私もそう思います。しかし、現に河川とか国道の鉱害については建設省がやっておられるわけです。これはしかし、阿部先生のおっしゃったような趣旨ではなくて、これは河川とか国道につきましては建設省所管というような意味で建設省がこの鉱害復旧を担当している。予算はこれは今度は特別会計一括計上ですから、鉱害復旧事業団を通じて建設省が復旧するということになるわけですが、今度この法案を通していただきますと、先生の言われます姿に一歩近づくことになると私は考えております。といいますのは、いままではばらばらで関係各省が予算をとってそれぞれ鉱害復旧をしていた。それに無資力はわりあいにすっきりしておりますが、有資力となると有資力の負担というのはそれぞれの各省の復旧に関連して支出されるという、わりあいに複雑な復旧であったわけですが、今後はこれを通していただきますと特別会計に一本ですっぱりと鉱害復旧予算がつく。それが復旧事業団に一元的に交付されて、鉱害復旧事業団が一元的に財政面の支出を担当するという形になりますから、あと工事の施工者が復旧事業団の場合もあるし、あるいは市町村の場合もあるというような問題はありますが、そこを今後どのように強力にやれる体制にするか。それから同時に鉱業権者の負担を今後はこういった機構の前提でどのように改善していくかというようなことをやりますると、阿部先生のおっしゃるような構想に近づいていくことができるのではないかというふうに考えております。
#56
○委員長(鈴木壽君) 速記をとめて。
 〔速記中止〕
#57
○委員長(鈴木壽君) 速記をつけて。
 暫時休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十一分開会
#58
○委員長(鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
#59
○鬼木勝利君 これは午前中、大矢委員からの御質問もありましたが、まず大臣にお尋ねいたしますが、提案理由の説明の場合も、現在の石炭鉱業における累積残存鉱害量が膨大な量に達しておると、非常に抽象的で、二十七年に鉱害復旧法は制定されておる。これは先ほど大矢委員もそうおっしゃっておりましたが、自来十五年間かかって鉱害復旧ということに対する抜本的な長期復旧計画というものがないために、結局こういう累積残存鉱害量が膨大な量になった、膨大な量ということに対してはっきりした――いろいろいわれておりますけれども、的確な数字を明確にひとつ述べていただきたいと思う。そうしなければ、鉱害復旧の計画というものは私は立たないと思う。これは大矢委員もおっしゃっておりましたが、その点をひとつ御説明願いたい。これはぜひ国土の保全、民生の安定ということから一番大事なことだと思う。それを大臣にひとつ。
#60
○国務大臣(菅野和太郎君) いまお尋ねの鉱害量の問題ですが、昭和四十年度に実施しました全国鉱害量調査の結果では残存鉱害が六百七十億円程度ということになっておるんですが、そのうちの安定鉱害としては約五百億円程度の鉱害が残存しておるということになっておるようでございます。
#61
○鬼木勝利君 それは単なる推定であって、実際に調査された結果は、私はもっと数量は多いと思いますが、石炭局長はどういうふうに考えておられますか。
#62
○政府委員(井上亮君) ただいま私ども正確なお答えといたしましては、先生も御承知のように、昭和四十年度に大がかりな、一年がかりの調査をいたしたわけでございまして、その結果がただいま大臣からお話になりましたような新字に相なるわけでございます。これはもう地点別に詳細に調査したものでございまして、ただ、先ほどからお話がありましたように、これは四十年度調査でございますから、ことし四十二年度ということになりますと、この地点についての妥当なる復旧計画ということになりますとし工事費等のことも勘案しなきゃいかぬというようなことはあろうかと思います。四十二年度の予算につきましては、そういった点も配慮しながら予算を計上したというのが実相でございます。
#63
○鬼木勝利君 四十二年度の調査ということをおっしゃっておりますが、それでは本年度の予算をあなた方は七十七億と組んでおられるけれども、その算定基準、どういうところから七十七億ということを見積もられたか、その根拠を承りたいと思う。
#64
○政府委員(井上亮君) この七十七億という復旧量にいたしまして、予算をことし国の補助としては六十億ということで計上いたしたわけでございますが、これは四十年度に悉皆調査をいたしました――地点、鉱害の程度等につきまして悉皆調査をして、その時点の評価を一応加えたものが先ほど大臣のお答えでございますが、四十二年度の予算要求につきましては、この四十年度調査で、地点とか鉱害の程度とか被害という点がすべて把握されておりますので、このうち特にやはり緊急を要するものから順に計画を個別的に積み上げまして――積み上げにつきましては各県とも十分協議をいたしまして、あるいは地方公共団体等の意見も聞きまして、そして各県とか地元からこの程度の復旧を四十二年度にやってもらいたいというものにつきまして、さらに十分の検討を加えて予算要求をいたした次第でございます。
#65
○鬼木勝利君 そうしまと四十二年度は、全国で四十九山が閉廃山される、こういう通産省の案だと承っておりますが、それは間違いないですか。大臣がおわかりにならなければ石炭局長。
#66
○政府委員(井上亮君) 四十二年度の閉山の数につきましては、まだ今日の状況では的確には申せないわけでございます。といいますのは御承知のように、閉山は私どもが計画的に山をつぶしていくわけではございませんで、やはり鉱業権者から閉山をしたいということで閉山をいたしまして、交付金をもらいたいという申請を受けて判断するというようなことでございますから、まだ年度の途中でもございますので、正確にはその点は申しません。ただ、私ども予算要求の関係とかあるいは何と申しましょうか 離職者対策等を組みます関係から、先生御承知のように、年度の初めに石炭鉱業審議会の合理化部会を聞きまして、そこでおよその閉山の見通し量、これは今年度三百三十七万トンというふうに見通しておりますが、これは見通し計画といたしましてそういうものを想定しておることは事実でございますが、しからば具体的にどの地点で、どの山がどうということは、年度が終わってみないと明確にははっきりしないというようなことでございます。
#67
○鬼木勝利君 閉山規模が四十一年度の実績見込みが二百四十一万トン、それに対して四十二年度の閉山規模が三百三十七万トン、そうしまするというと勢いこれは山を対象としなければならぬ。あなた方、山はわからぬとおっしゃっているけれども、三百三十七万トンというのは空でそのトンが出てきたんですか。山を対象としなければ三百三十七万トンという閉山規模は出ないでしょう。そういうおかしなことをあなたは言われる。それをもう一回。
#68
○政府委員(井上亮君) 山を対象にしなければトン数はわからないわけでございますが、その点は先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ実際問題としてたてまえといたしまして、やっぱりいま生きている企業が今後この四十二年度のうちに、夏になりますか、秋になりますか、現在も申し込みがございますが、あるいは秋になって申し込まれるかもしれぬ山もございますし、冬になって申し込まれる山もある。それは、正確には経営者が労組と話し合ったり多少されまして、そうして閉山するかどうかを決意されるというような性質のものでございますので、的確には私ども本年度中に何山、ということを断定することはできないわけでございます。ただ、そんなことを言っておりますと、かりに将来閉山申し込みがあったときに閉山の交付金の予算が足らぬというようなことになってはまた申しわけないわけでございますので、私ども推定をいたしまして三百三十七万トンというふうにいたしたわけでございます。
#69
○鬼木勝利君 まあ、あなたのお考えは、それはそれでいいと思いますが、そうしましたときに、鉱害復旧費として七十七億組んであるが、三百三十七万トンの閉山規模に対して、鉱害の――まあこれは閉廃山すれば、あとに残るのはボタと鉱害だけなんだから、それに対する鉱音量とか、そういうような点はよく調査されておりますか。ただ合理化ばかりを急いで、あとの大事な処理をあなた方いつも忘れられて、あとへ残していかれるから、累積赤字が膨大なものになっていく。いつも鉱害はあとへあとへと回していく、合理化を急ぐから。だから、三百三十七万トンなんというようなのも、これは一部では、決してこれは合理化じゃない、単に失業者をつくったり、あとに鉱害を残して、決してこれは炭鉱の合理化ではないじゃないか、こういうような批判が多いのですよ。その点をひとつ。
#70
○政府委員(井上亮君) 先生の御指摘のように、閉山勇えますときは、同時に――特に閉山いたしますと、有資力の場合は年々賠償という問題が可能でございますからまだよろしいわけでございますが、無資力になるような山が閉山いたしますと、なかなか年々賠償ということも簡単にはいかないという問題がございますので、鉱害復旧等につきましては、先生御指摘のように、まず国といたしましては無資力鉱害の復旧というものをできるだけ急いで復旧いたしたいというふうに、計画面上でもそういう配慮をいたしておるわけでございます。それから、さらに本年度の問題について言いますと、三百三十七万トン、推定をまじえて計画は一応立てておるわけでございます、これは予算を取る関係もありまして立てておるわけでございますが、その三百三十七万トンといいます場合にも、その中で鉱害等に影響する無資力炭鉱は大体どの程度になるだろうかということは、これまた一応推定で配慮して、遺憾のないように計画を組みたいというような配慮をいたしております。
#71
○鬼木勝利君 じゃその三百七万トンの閉山規模に対して、あとに残る無資力鉱害に対する予算まで七十七億の中に組んでおる、こう解釈していいわけですか。
#72
○政府委員(井上亮君) まあことしの予算に直ちに響く問題もありますが、ことしの予算につきましては、先ほども言いましたように、現在残存鉱害、これは特に無資力の鉱害もありますし、有資力もあります。そういったものが残存鉱害としてあるわけでございまして、それに今後出てくる無資力あるいは有資力ということになるわけでございますが、それが安定鉱害になっておれば、それは対象になるわけでございます。ですから、本年度、いままで山を、石炭の採掘をやっていた、それが夏なら夏に閉山したという時点では、これは常識的には安定鉱害になっておりませんので、まあそれは安定を待って復旧する。それから無資力につきましては、御承知のように、二年ほど前から、そういう場合に、復旧がおくれます場合には、国が年々賠償を払う、有資力に準じて国が払うというような制度を二年ほど前から実施いたしましたが、待っていただいておる間は年々賠償で、国の補償で処理するというような考え方でやっております。
#73
○鬼木勝利君 いや、それは毎年賠償ということは、それはあなたがおっしゃらぬでも私は知っていますけれどもね。でございましたらお尋ねしますが、閉廃山の場合に、御承知の閉山の促進交付金ですか、この促進交付金を交付した場合に、鉱害の補償は四〇%以下ということになっておりますね。そうしますと、交付金から、実際に鉱害賠償、もうその四〇%を鉱害の賠償債務に充当されておる額がそれで十分かというわけなんですね。実際はそれよりも下回って、当然優先的に賠償しなければならぬのに、実際はその賠償額の全額を受けておらぬ。そういうことがやはり年々積もって、無資力鉱害ということになって、毎年賠償の不足額がずっと累積しているのですよ。それは御承知でしょう。そういう点をあなた、七十七億に見込んでおるかと私は言っておる。ただ単に七十七億とおっしゃるけれども、この実際の毎年賠償の不足額があるのですよ、四〇%になるんだから。その四〇%が、今度率が上がっているのですか。その点をひとつお聞きしたい。
#74
○政府委員(井上亮君) 先生御指摘のように、鉱害賠償をこまかく申しますと、先生のおっしゃいますように、国が復旧計画を立てて復旧をするといいます場合には、先ほど来由な上げているような復旧計画でやるわけでございますが、さらに現実には、先生おっしゃいますように、先ほど大臣がおしゃいましたような残存鉱害全部を同時にやるわけではありませんから、逐次やるわけでございますから、したがいまして、その間の、何といいますか、復旧までの間の補償問題という問題があるわけでございまして、その補償のやり方としましては、有資力なら有資力でやるのでございますが、無資力については、先生御指摘のような、例の閉山交付金の交付金の中から一定額を鉱害に引き当てるという制度がいまあるわけでございますが、その点につきましては、先生御指摘のように、それで足りる場合もありますし、要すれば足りない場合もケースによってあり得ることは御指摘のとおりでございます。そこで政府といたしましては、一昨年から、今度はそれとは別に、この復旧までの間の年々賠償、これを国が予算をもってやる制度をいたしまして、たしか四十一年度は、私の記憶では一億五千万ほど、ことしは一億三百万ほど予算を計上いたしまして、その穴埋めと申しますか、復旧を待っていただく間の補償に充てたいというような措置を講じております。
#75
○鬼木勝利君 じゃ本年度はその点はスムーズにいくと、一億三百万円の予算を組んでおるからそれで穴埋めをする、それで万全だと解釈してようございますか。おかしな話だな、それは。昨年より減っているじゃないか。
#76
○政府委員(井上亮君) 無資力の毎年賠償としてはそれでいけるというふうに考えております。
#77
○鬼木勝利君 それはまたあとでゆっくり、もう一ぺん私はよくお話を聞きたいと思いますが、有資力でありましょうが無資力でありましょうが、鉱害補償ということに対しては、先ほど大矢委員からの御指摘もありましたように、非常に予算が少ない。そこで累積赤字が私は出ているのだと思うのですが、特に農地補償に対しては、あるいは農業用の施設の復旧ですね。これは毎年賠償の不足が非常に累積しておるのですね。これは全国でどの程度見込んでおられるか。その不足分ですね、足らない分、それ計算してありますか。
#78
○政府委員(井上亮君) 恐縮でございますが、先生のおっしゃいます不足という意味をもう少し御説明いただきたいと思います。
#79
○鬼木勝利君 無資力の農地ですね、それから農業用の施設ですね、そういうものの復旧の際、復旧完了まで毎年賠償するわけでしょう。復旧完了まで、その不足分です。走らなかった分は、促進交付金等あたりで、足らない分が毎年出ているじゃないですか。それが累積赤字になっていく。
#80
○説明員(藤谷興二君) ただいま御質問の点は、鉱害の農地、農業用施設につきましては、有資力の場合は鉱業権者が年々賠償しているのでございますけれども、無資力の場合は年々賠償がどのくらいあると予想されるかという御質問かと思いますけれども、実はその点は、私ども役所としての調査はいままでやったことはございませんが、最近四十一年度から、鉱業権者から企業再建整備のための整備計画を聴取しておりますので、それの調査を目下集計している段階でございます。
#81
○鬼木勝利君 集計している段階……。これは無資力鉱害の農地、あるいは農業用の施設に対して、毎年賠償の不足額の補てんということは一番大事なことじゃないか。それを石炭局長がわからぬようでは、石炭対策ができるわけがないじゃないか。一番大事な問題だよ。不足額を補てんするというのは。
#82
○政府委員(井上亮君) お答え申し上げます。大別しまして、先ほど大臣がお答えしましたように、われわれがいま鉱害復旧計画を立てようというようなものの大きな幅としては、六百七十億の既存鉱害、既採掘鉱害を対象にしておるわけでございますが、この中の安定鉱害五百億程度と言いましたが、この六百七十億のうち有資力鉱害と無資力鉱害を分けますと、有資力鉱害は五百四十二億、無資力鉱害は百三十億というふうに私ども、全国鉱害量調査で把握しております。なお、ことしの予算、四十二年度予算では、七十七億の復旧計画のうち、有資力は四十億、無資力は三十七億の復旧をいたしたいという計画を組んでいるわけでございまして、したがいまして、無資力につきまして、無資力は全体で既存鉱害は百三十億あるわけでございますが、このうち安定鉱害――これは全部安定しているとは限りませんが、安定鉱害について計画を立てたいというふうに考えておりますので、こういった点から、無資力についての年々賠償というようなものを考慮しているわけでございます。
#83
○鬼木勝利君 そうすると、あなたたちのは計画であって、だから私はさっき言ったのです。四十九山程度の閉廃山をやる。それに対する鉱害の実態調査をしているか、有資力、無資力のですね。これが私は一番大事なことじゃないかと、これを冒頭に、それから私は論をいま進めているわけです。結局、合理化を急いで三百三十七万トンの閉山規模でやっていくという計画だけは立っているけれども、それに対して鉱害の処置をどうするか。これが一番大事な問題で、閉廃山をやれば、先ほどから言っている、残るのはボタと鉱害だけなんだから、それを処理していかなければ、労働省が来ておれば離職者問題も聞くけれでも、それは問題が別だが、さしあたってあなたに聞きたいことは、ただ閉山規模がこうだ、あうだ、合理化の先走りをしないで、どうも勇み足で、一番大事なことはあまり力が入れてない。その点を私は先ほどから聞いているんですよ。そこをもう一ぺん。
#84
○政府委員(井上亮君) 山が閉山いたしますと、特に無資力の場合には、合理化事業団が閉山交付金を交付いたしますが、その際鉱害に充てるべき留保分、これを鉱害の被害者に差し上げるわけでございますが、したがいまして、交付金を出しますときには、これは事業団が詳細に、交付金の計算のためにも山の実態を調べ、あるいは鉱害の被害額^これがどの程度あるのかという点を調べ、私どもの調査、これはもちろんございますが、その上にさらに事業団が具体的に検討するというような事務を行ないまして、しかる上に、この交付金のうち鉱害に充当されます金を交付するというような仕組みでやっているわけでございます。なお、無資力鉱害について、国が復旧することがおくれることに伴う年々賠償の額につきましては、私もそうこまかい事の末に至るまで知ってはおりませんけれども、少なくとも申し上げられますことは、うちの事務当局がこれだけの年々賠償が必要であるといって出しました金額は、私は満額、予算をとっている記憶があるわけでございまして、これで少なくともいけるのではないかというつもりを持っているわけでございます。
#85
○宮崎正義君 関連。いまお話がありましたけれども、事業団の調査は、大体どのくらいまでかけているのでしょうか。
#86
○政府委員(井上亮君) 大体山が閉山いたしますと、非常に急ぐ場合が多いわけでございます、通例は。と申しますのは、多数の離職者が発生されますので、これに対する退職金、未払い賃金等の支払いを、現実には直ちにさせて上げたいというようなことで急ぐ例はありますが、どんなに急ぎましても最低二ヵ月以上はかかります。通例は三、四ヵ月かることが相当多い。ややこしい、そういった鉱害の関係等があります場合には、わりあいに時間がかかる。鉱害の関係のないところは、比較的早く処理できるというのが実情でございます。
#87
○宮崎正義君 いまお話がありまして、大体二ヵ月ないし三ヵ月、四ヵ月、その程度かかるというのがあたりまえのようなお話ですが、実際問題は、その閉山をされて事業団が調査するまでに保坑するのにどこからも手当がもらえてないというのが実情なんです。その人たちが生活に余裕があるかと言ったら全然ない、悲惨な生活をしている中なんですから、もう少し、この点も調査の進め方ということについて政府がもっと積極的に、事業団にまかせるんじゃなくて、当然これはやらなければならない。これはもう毎回叫ばれるのじゃないかと思うのですが、それがやはり徹底されてないというところに悲惨な生活を積み重ねているという実情を知るべきじゃないかと思うのです。こういうことに対してどう積極的におやりになるか、お伺いしておきたいと思います。
#88
○政府委員(井上亮君) お説のとおりでございまして、私も事業団が交付金を交付するに際しまして、石災鉱業からの閉山の申請を受けてから非常に時間がかかる。そのことによって、先生御指摘のように、保坑費もかかりますし、それから同時に関係者、いままでおりました労働者あるいは鉱害の被害者等に対する手当がおくれるわけでございます。非常に迷惑をかけるわけでございますので、この点については極力急ぐようにということでいまやらしておりますが、かつてはこれが一件について一年ぐらい長い調査を行なって、それでもまだきまらなかったというような例が三十六、七年ごろには往々にとてあったわけでございます。それを私ども先生おっしゃるような趣旨を体しまして、最近では比較的早く処理できるようになってきたというのが実情でございます。ただ、今後ともまだ四ヵ月だとか何とかいいますのは決して早いとは思いませんので、先生の御趣旨を体して鋭意督励をして、できるだけ早く、スムーズな円滑な閉山の処理ができるように努力してまいりたいと思います。
#89
○鬼木勝利君 時間がないから、これはもっと私は掘り下げて聞きたいのですが、最後にもう一、二点お尋ねしたいと思いますが、鉱害補償についての実態をあなた方が御存じであるか、交付金からの先ほどの弁済が、実際山元においては、これから毎年賠償に充当されなければならぬ額が、実際は閉山以前の未払い分に充当されている、こういうことがあるのですよ。いまあなたは交付金でこうやるのだ。安定鉱害に対する場合もおっしゃっておるが、実際はもう終閉山するような炭鉱の大半は、御承知のとおり、もう交付金などに依存する以外にはほとんど資力がないのだから、資力がないから行き倒れるのだから、ですから交付金をもらっても当然賠償債務が優先するから、それを、その債務を賠償しなければならぬけれども、閉山以前の不足分があるでしょう、それを払っている。そうしますというと、実際に賠償は皆無だ、こういうような実態があるのですよ。そういう点は御存じですか。
#90
○政府委員(井上亮君) 先生の御指摘のような例が皆無だとは私も思いません。私ども鉱害の答申をいただきます際にも、そういった点をいろいろ実例について討論をいたしました。そういう中に、ただいま先生御指摘のようなケースもあるわけでございます。しかし、すべてではもちろんございませんが、あるわけでございます。その場合には、私どもそれでは足りないというふうに思いますので、なお、復旧までの間の年々賠償というのを鉱害賠償交付金の留保額以外の予算としてやはり措置する必要があるというような考え方でただいまやっているわけでございます。
#91
○鬼木勝利君 それでは、そういう特殊なケースに対しては特殊な措置をしていると、こう解釈していいですね。簡単なことを言うてはつまらぬ、実際ぼくは調べておるから。
#92
○政府委員(井上亮君) 先生御指摘になりました今後の復旧までの間、ですから閉山交付金の鉱害に充当すべき割合、部分があるわけでございます。それでまず既存のものを補う、補て余りあれば将来の年々賠償に充てるということになるわけですが、その場合はよろしいですが、先生のおっしゃったのは、いままでの足りない分、それが閉山交付金でなお足りない、あるいはそこまでは足りるというような場合、この場合には、とにかく既存のものに全部充当してみる。それで余りあればよし、なければ年々賠償と、こういうことでいくのですが、しかし間々例外的に既存のもので交付金では万一足りなかったという場合には、その分の補てんは要するに交付金の一定割合で、鉱害に向けるべき一定割合でこれが限度になる、今後の分については年々賠償でいく、こういう形を現在とっておるわけでございます。
#93
○鬼木勝利君 まあいずれにしましても時間がありませんから、鉱害問題に対しては私は九州が一番、まあ北海道もそうかと思いますけれでも、一番被害をこうむっておるので、私が九州に下れば毎日のごとく鉱害問題で訴えられるのです。あなた方が机上でいろいろ計画はされておるかもしれぬと思うけれども、実際は鉱害事業団なんかもほうとうに遅々として何をやっておるかわからぬような状態なんです。事実そうなんです。だから実際この法律案ももっと練りたいのだけれども、時間がありませんから、実際問題の具体的なこの法の運営ということに対しては、問題を将来に私はあなた方に希望したいと思うのですね。だから、この法案を生かして使ってもらってやってもらいたいと思うのです。鉱害問題に対しては局長なんかももう少しやはり勉強してもらわぬと困りますよ、こんなことは。実態がわかっていないのです。法のたてまえばかりでなく、ただ理論的に観念をもてあそぶのでは炭鉱は救われないのです。その点をもう少し、九州あたりにもちょいちょい来て見るんだよ。(笑声)机の上にじっとすわっておってどうだこうだ、ああだこうだと言っておっても始まらぬのです。実際見てみるのです。それを要望して、一日も早く、炭鉱合理化ということに対してはあとに残るのはボタ山と鉱害だ。人はむろん苦しんで離職者は出るけれども、そういうことを念頭において石炭政策を推進してもらいたい。時間がございませんからこれで終わります。
#94
○委員長(鈴木壽君) 速記をとめて。
 〔速記中止〕
#95
○委員長(鈴木壽君) じゃ速記を起こして。
#96
○大矢正君 午前中私は、この膨大な量にのぼりまする鉱害の対策が、これから答申に基づき年次計画を策定するにあたりましてどのような方向をとるのか、そしてまた、その財源をいかにして求めるか、こういう点について質問を申し上げましたが、この際最終的に、法案を可決するにあたりまして、大臣にお尋ねを二点いたしておきたいと思います。と同時にまた、この際決意のほどを披瀝していただきたいと思いますることは、一つは、単年度の単なるこの実施計画ではなしに、答申にありまするとおり、長期の展望に立った、しかも何年後には現存する鉱害というものはどの程度その復旧ができるのかというような計画をすみやかに樹立して、その線に従ってこれからの鉱害対策を進めるべきではないかということが第一点。
 第二点は、その鉱害対策を進めるにあたりまして、当然原資が問題となりまするが、今日の石炭特別会計の中に四十二年度において盛られておりまする五百二十一億円、あるいは今後年々増加をするでありましょう原重油関税の増加等の中においては、鉱害対策はあっても石炭対策なしという結果にならないとも限りませんので、そういう原資の確保につきましては、通産省としても全力を尽くすべきであると私は思うのでありますが、お答えを願いたいと、こう思います。
#97
○国務大臣(菅野和太郎君) 第一番のお尋ねの件でありますが、お説のとおり、やはりこの復旧計画につきましては、長期的にこの鉱害対策の計画を立てるべきだと思いますので、先ほど局長も申しましたとおり、これは農林省関係その他のほうの関係もありますので、目下各方面と打ち合わせをして計画を立てておるようでありますが、できるだけ早く計画を立てて、そしてこの鉱害、残存鉱害のないようにひとつ立てるようにいたしたいと思います。
 それから、お話しの原資の確保でありますが、今回石炭鉱業審議会の答申もあり、また皆さん方から熱心に御奔走していただいたおかげで、この石炭対策についての特別会計制度というものを設けたのでありまして、要するにこれは日本の石炭というものを抜本的に石炭鉱業の安定をはかりたいという政府の方針でやったのでありますからして、したがいまして、鉱害などの対策費が予想に反してより多く要るというような場合には、これはこれはそれに対して特別なやっぱり配慮をしてもらわなければ、せっかくのこの石炭対策というものが効果があがらぬということになりますからして、政府は石炭対策の抜本策として今回の特別会計を設けたのでありますからして、この点につきましては、われわれこの原資の確保ということにおいては全力を注いでひとつ御期待に沿うようにやりたいと思いますが、同時に私のほうからも先生方にお願いしたいのは、どうぞ先生方もひとつ応援をしていただきたいということをお願い申し上げるわけであります。
#98
○委員長(鈴木壽君) それでは、他に御発言もなければ、質疑は尽きたるものと認めて御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別御意見もないようでありますが、討論はないものと認めて御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
 〔賛成者挙手〕
#101
○委員長(鈴木壽君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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