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1967/06/16 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第7号
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1967/06/16 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第7号

#1
第055回国会 石炭対策特別委員会 第7号
昭和四十二年六月十六日(金曜日)
   午後一時五十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木  壽君
    理 事
                西田 信一君
                小野  明君
    委 員
                井川 伊平君
                石原幹市郎君
                高橋雄之助君
                柳田桃太郎君
                山下 春江君
                吉武 恵市君
                大河原一次君
                近藤 信一君
                宮崎 正義君
                片山 武夫君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       通商産業省鉱山
       保安局長     中川理一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業再建整備臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 石炭鉱業再建整備臨時措置法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○大河原一次君 先に、こまかいことですけれども、条文の内容にちょっと触れて、石炭局長の御意見を伺いたいと思います。今回の臨時措置法によって再建整備計画の対象となるべき企業がきまるわけですけれども、その際いろいろとそのための条件がここに出されているようであります。一号から四号までの石炭生産に対する計画なり、鉱区調整に対する措置、不要資産の処分に対する措置あるいは資本金の増加、固定した債務の整理に対する措置等がなされておるわけですけれども、これらの条件が満たされるためには、その前提として通産省令で定める基準に該当すべきものであるというふうに書かれておるようですけれども、現在はこれがきまってから省令なり、基準というものがつくられるわけですかどうですか、この点ちょっと伺いたい。
#4
○政府委員(井上亮君) 第二条の再建整備計画をつくります場合に、これに該当をします企業は、省令できめます基準に該当するものでなければならないということになっておりますが、この省令で定めます基準は、二つの要件を盛りたい。一つは法律に書いてありますように、財務の状況――この財務の状況につきましては、一応今日までにあります実質累積赤字、これがあることを省令でうたいたい。この実質累積赤字と申しますのは、普通の公表損益ではございませんで、公表損益と申しますとどうしても経理の内容をよく見せたがります。たとえば、退職金の積み立て等につきましても、十分な積み立てをしないというようなこと、あるいは償却等に関しましても、税法上の認められておる償却を十分行なわないというようなことが今日の石炭産業の常でございますので、苦しい企業でありますから、どうしてもそういう形になりがちになる。そこで私どもとしましては、公表損益の形でなしに、公表損益をもとにしますけれども、さらにそれに実質の損益を見たいというふうに考えております。実質と申しますのは、ただいま申しましたように、税法上引き当てべきものは十分に引き当てるというような形をとって、その結果としての損益を見たいというふうに考えております。
 それから第二の条件は、当該企業の今後の採掘可能鉱量、これが少なくとも十年程度はなければ困るというのを条件にいたしたい。と申しますのは、この再建整備計画は、今後長期にわたっての資源産業としての石炭鉱業を国が抜本策をもちまして、特に肩がわり措置というような異常な助成策をもちましてめんどうを見るわけでございますので、やはり長期の安定出炭を確保する、そういった資源を守っていくというような精神で行ないますので、二、三年先には閉山であるとかいうようなところにこういう再建整備計画をつくるというのはどうかというようなことからいたしまして、少なくとも十年程度の炭量は必要であるということを省令でうたいたいというふうに考えております。
#5
○大河原一次君 そうしますと、結局はここに出されました四号というものがこの中のどの一つでもよいということでなくて、全部の項目が一応基準の中に入り込まなければいかぬ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
#6
○政府委員(井上亮君) ただいま申しました通産省令で定める基準は、私が申しました財務の状況と採掘可能鉱量の点だけを規定いたしまして、先生御指摘になりました一号から四号まで列記しておりますこれは省令の内容ではありません。再建整備計画をつくりますときに、こういう一号から四号までありますような事柄を内容として盛って計画をつくってくださいということでございます。
#7
○大河原一次君 その内容いかんによっては、結局その中で取捨選択される対象になる、あるいはならぬということになるわけですね。
#8
○政府委員(井上亮君) この一号から四号までにつきまして、こういった内容を網羅していただくわけでございますが、この再建整備計画というのは、たとえば鉱区調整あるいは合理化のための措置というような計画も出していただくわけでございますが、これが悪いからと言ってだめになるわけではございませんで、いかにして当該企業がりっぱに再建できるような計画を持たれるかというところがねらいでございますので、一概にそういうわけではございません。ただ、再建整備計画をつくりますときには、今後の生産なりあるいは合理化なり、その他の財務の改善措置等につきましても、やはり真剣に企業が再建のために取り組んでいるという姿勢が必要だというようなことはございますけれども、まあ入り口の要件としては、むしろ先ほど言いました二つの要件が問題であって、これはむしろ私どもが再建整備計画を検討する際の内容資料であるというふうに御理解いただきたいと思います。
#9
○大河原一次君 大体わかりましたけれども、これはもちろん大手、中小を問わず同様な立場になると思うのですが、ただ第三条の中でいわゆる「当該会社に対する金融機関の協力の見通しに照して確実であると認めるときは、」云々ということがうたわれております。しかし、これは特に私、大手もそうであろうと思いますが、中小企業の場合考えられるんですけれども、今日一千億の肩がわり資金が出されて、対象炭鉱となるべきものは一応の重荷はおろすということになりました。しかし、中小炭鉱は必ずしもそうでないし、もちろん中には中小炭鉱の場合には赤字を持っていない炭鉱がありますから、したがって、それらのものは対象にならぬということは前もって局長からも伺っておるわけです。ただ中小炭鉱の場合にこのような条件、金融機関の協力の見通しが明確でない場合は対象にならぬということになると、やはり今日、中小企業に対する金融機関の融資の見通しというものが非常に暗いのではないか。そういう場合に政府当局、あなたのほうで金融機関に対して強い要請等があった中であるならばともかくといたしまして、中小企業自体が金融機関に対する融資の見通しが可能であるかどうかということはかってに判断はできない問題ではないかと思うし、かりにまた金融機関の見通しがとれたような場合といえども、だれがそれを明確に判断するかということになると、ここにも私は容易でない問題が出るのではないか、こういうように予想される。私の考え方としては、率直に言うならば、むしろ当局が金融機関に要請して、これこれの炭鉱はこれこれの条件を備えているから、したがって、融資の面に対してはひとつ協力をせよというような要請があるのが当然であって、企業自体が金融機関に対して見通しをつけるということは容易ではないんじゃないか、このような判断がされるのですけれども、その見解をひとつ伺いたい。
#10
○政府委員(井上亮君) 私も、この第三条の「金融機関の協力の見通しに照して確実であると認めるとき」と、この実際の運用にあたりましては、ただいま大河原先生のおっしゃいましたような指導方針で、むしろ私どもの側から金融機関に対して協力要請をして、率先、再建整備計画ができるように市中銀行等にも強く要請をいたしたいと、実際の運用はそういたしたいというふうに思います。しかし、ひるがえってまた考えてみますと、この法律に基づきます元利補給契約、いわゆる肩がわりと申しておりますが、これによりまして金融機関も相当な恩恵を受けるわけでございますので、私どもは当然金融機関もこの再建整備計画の作成にあたりましては、石炭鉱業に協力をしていただいてしかるべきであるというふうに私ども考えております。そういった意味合いからも、まあこれは極端な言い方をすれば、むしろ金融機関は協力すべき筋合いがあるというふうに考えておりますので、そういった面で、ただほうっておきますと、特に中小炭鉱につきましては、先生おっしゃったような懸念も起こるかと思いますけれども、しかし中小炭鉱の場合でも、金融機関はやはり石炭鉱業の再建施策の一環として、とにかく国の石炭鉱業の助成の恩恵を金融機関もまた受けるわけですから、そういう意味で私どもは特にそういう指導をいたしたいというふうに考えております。
#11
○大河原一次君 それは望ましいことだと考えておるわけですが、そこで、中小企業の問題が出ましたから、続けて中小企業の問題についてちょっと触れてみたいと思うのですけれども、これは先般も井上局長が言われましたように、中小炭鉱はおしなべてということではないけれども、赤字を持っている炭鉱は少ない。しかし、赤字がなくても実際面からいうと経営の面において非常に不安定なものがある。不安定というよりかも、どちらかといえば、私知ってる限りにおいては、何か不合理な経営をやっとるとか、あるいはまた正常な経営のもとに運営されておるというふうには考えられないわけです。これは先般も井上局長が言ったように、一つには御承知のように低賃金のままくぎづけされているという山が相当ある。これは私自分で知っておりますが、そればかりではなくて、炭鉱労働者には、生活条件の一環としてのやはり福利厚生施設、住宅あるいはまた環境衛生等のいわゆる福利厚生の面が、これは局長もあちらこちら歩かれてわかっておられると思うのですが、ほんとうに惨たんたる中で生活を続けておるわけですから、そういう厚生施設の面なんか全くなってない。さらにまた保安の面も、これまた不安定の中にさらされておるという、きわめて悪条件の積み重なった中で、中小炭鉱経営者もそうでしょうけれども、労務者は全く死ぬ苦しみをしておるというのですから、正常な運営ではないと思う。で、赤字がないから対象にならぬということ、これもまたわからないわけではないけれども、しかし、今後の自立安定をせしめていくためには、このままの姿でいいかどうか、赤字がなくて対象にならないからやっていけるんだという考え方ではなくて、やはり個々の中小炭鉱を、大手並みにはいかないまでも、大手に準ずるような、そういう経営のあり方を当局の力によって押し上げていくというような、そういう方向をとられるべきではないか、かように考えておるのですが、そういう点は、やはり積極的に取り組んでもらわなきゃならない問題ではないか、かように考えておりますが、その点について局長の……。
#12
○政府委員(井上亮君) 中小炭鉱の実態につきましての先生の御意見に対しましては、私も全く同感でございまして、確かに中小炭鉱は、大手に比べますと比較的赤字も少ないわけでございます.が、しかし実態を見ますると、やはり大手と違いまして、賃金を取り出してみましても、まあ北海道はだいぶ大手に近い水準の賃金でございますが、九州あたりはまだ相当な開きがあるというようなことでございますので、まあ今後、中小炭鉱は、少なくとも賃金等につきましては、だんだん今日の労務事情を反映しまして、大手の賃金水準にやはりさや寄せしていかなければならないというような事情もございますので、そういった意味では、現在においては赤字が少ないわけでございますけれども、そういった苦しい将来の見通しがあるわけでございますので、私ども施策を進めるに当たりましても、そういう点を十分配慮をしていろいろな面で努力してまいりたい。なおこの再建整備法は、私ども大手だけを対象にするつもりはございません。大手、中小もなく、この考え方に基づいて差別なく扱ってまいりたい。差別なくというよりも、実際の運用に当たりましては、先ほど先生御指摘がありました金融機関との関係等におきましては、私どもがあっせんして、できるだけこの再建整備が成り立つようにむしろ持ち上、げる努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 そのほか中小炭鉱につきましては、御承知のような安定補給金等も答申では大手もみていいような筋合いになっておるのですけれども、本年度におきましては中小炭鉱を中心に――大手の再建等も入りますが、中小炭鉱を中心にめんどうを見ていくというような措置、あるいは中小炭鉱が非常に望んでおります機械貸与制度、これは合理化事業団が最近始めたわけでございますが、この機械貸与制度などは、私は中小炭鉱中心にこの制度を運用していきたいというふうに考えております。その他いろいろな面がありますが、全体として先生のただいまおっしゃいましたような趣旨に沿うようにやってまいりたいというふうに考えております。
#13
○大河原一次君 そういう対策が今後とられるだろうと思いますが、さしあたっての私やはり当面する問題として考えられるのは、確かに赤字がないから再建炭鉱としての対象にはならないわけです。これはよくわかるんですが、じゃ、これにかわるべきその他の政策についていま述べられたのですけれども、百二十円の安定補給金なりあるいはまた機械の貸与制度なり、あるいはまた坑道掘進等に対しても助成されるんでしょう、これは。そういうような一連の手当てが中小のために行なわれても、実際にさっき言った、もう少し大手に準ずるように賃金の水準を引き上げるようなところにいく、福利厚生の面も徐々にでも是正されるというような方向にいくには、ただそれだけの問題ではなかなか容易ではないのではないか、それ以上のやはり、大手に対しては一千億という、これは中小も対象になるのでしょうが、一体効果は、大手に対してはそれほどの措置をとっておられるのですから、補給金なり坑道掘進というものばかりでなしに、それ以外に何か力強い、中小炭鉱を生かしてやるというような意欲に満ちた施策というものはないんでしょうか、ひとつありましたらお聞かせ願いたいと思います。
#14
○政府委員(井上亮君) 中小炭鉱と言い、大手炭鉱と言いましても、大手の中にもいろいろありまして、中小炭鉱の中にも大手炭鉱に負けないだけの炭量も備え、出炭量も備えておるというようなものもあるわけでありまして、いろいろでございますが、ただ中小企業いろいろある中でも、まあ零細炭鉱につきましては、私ども安定補給金を交付するに際しましても、もうかっているとかもうかってないとかでなしに、先ほども申し上げましたような、一般的に苦しい見通しがあるわけでございますので、できるだけ一律に安定補給金を交付するというような配慮もいたしてまいりたいというふうに考えておりますし、それからなお、御指摘のように中小炭鉱については私どもは差別するつもりはないのですが、炭量等の関係でどうしても閉山を余儀なくされる炭鉱もあるわけでございますので、こういうところにつきましては、御承知のように今度閉山炭鉱について倍額の交付金を交付するというような措置も決定いたしておるわけでございますが、炭量のある中小炭鉱については、私どももろもろの助成策の中で大手炭鉱と全く同様の措置を講じてまいりたい。
 で、概括的に申しますと、中小炭鉱対策としては、先ほどちょっと一端を申し上げましたが、やはり大きい問題は金融問題が大きい問題ではないか。これは特に中小炭鉱の場合には金融機関との関係がなかなかつきにくい面が多いわけでございます。それから担保がなかなか最近の現状ではないというような事情もございますので、金融措置については、私ども中小公庫等政府関係の金融機関から特別に融資してもらうように従来もやってまいりましたが、今後もそういった面で努力してまいりたいというふうに考えております。
#15
○大河原一次君 そこでぼくが心配しておる点が局長のほうから述べられたわけですよ。というのは、閉山交付金が倍額出るわけですね、今度は。この閉山交付金そのものに取りついておるわけではないと思うんですが、やはり今後の金融の見通しに対する非常に暗い面があるということを相当身にしみて感じている経営者も中小の中にいるわけです。しかし、今後いろいろな政府からのあたたかい施策が講じられるからといって、一応それに乗っていこうという意欲的な炭鉱もあるわけですが、それもなかなか容易ではないし、同時に労働者のほうから賃金の要求でもされると、とてもやっていけないということで、この際ひとつ思い切って炭鉱をやめてしまったほうがよいのではないかというような、そういう面に取りついている。特に今回のいわゆる交付金が倍額だということになっているわけですから、それをぼくは心配しておる。それを、そういう企業に対しては、やはりおれはやめたいんだからやめるという申し出があるのだから、これを事業団にかけて取りつぶそう、買いつぶそうというように簡単に考えられたのでは困るのではないか。もちろん、それまでに労使間では閉山がいいかどうかという論議がされることと思いますが、これは労使だけの問題じゃない。今日までの閉山、廃山というのは簡単に経営者の申し出によって、結局閉山もやむを得ないということで、労使の交渉の中で閉山もやむを得ないということで、労働者も泣きの涙でそれを認めてしまうというケースがあるわけです、現在までも。そこへもってきて、今回の交付金の倍額交付ということになると、経営者は、この際だ、ということになりがちなんであります。したがって、その中からいわゆる閉山というような方向が強く出てくる危険性があるので、そういう面に対しては、やはり当初再建整備の対象にするというためのいろいろな条項というものが並べられているわけですが、閉山の場合も今日までやってきておられるかどうかわかりませんが、そういう企業診断をやった後に、ほんとうに閉山を認めていいかどうかというような、その程度まで積極的に当事者もそうだし、当局も介入して経理の公開を迫る号、企業診断をやってもいいのじゃないかという、そういう体制があっていいのではないかと思うのだが、今日までの経過と今後の措置について伺いたいと思います。
#16
○政府委員(井上亮君) 閉山につきましては、これは一言で申し上げますと、政府といたしましては計画的に山を取りつぶすというような考え方は今日まで持ってきておりません。ただ、御承知のように毎年、年度の初めに石炭鉱業合理化臨時措置法に基づきまして合理化計画、あるいは合理化計画の中で閉山の見通し計画等を一応審議はいたしますけれども、しかし、これはあくまでも見通し計画でございまして、政府が計画的につぶすという方針は今日までとっていなかったわけでございます。ただ、閉山されますときに交付金を交付しなければいけませんので、そうなりますと、やはり今後の閉山の見通しというものは、政府としても把握しなければいけませんので、そういうものも見通し計画を立てて、それに基づいて予算措置をとっておるわけでございます。
 先生は、安易に閉山する傾向があるとおっしゃるわけでございますが、確かにいままでの閉山交付金、これはトン当たり千二百円時代に比べればトン当たり二千四百円になった。そうすると労務者等に迷惑をかける迷惑のかけ方が違ってくる。特に今回は賃金、退職金に優先的に――二千四百円の金を優先的に確保するというような措置を講じておりますので、したがって迷惑のかけ方が少ないから経営者としても山をつぶしやすいというような面で、その面からみれば事実だと思いますが、現実はどうかといいますと、今日閉山の申し込みをしておられます企業のほとんど大部分がやはり炭量問題が第一でございます。炭量が枯渇しており、先行き十分でない、枯渇しますと、どうしても採掘条件が悪くなってまいります。採掘条件が悪くなると赤字要因が非常に大きくなるというような点、第二の点は保安上の問題、保安上非常に問題が出てきているというような場合に、やはり閉山せざるを得ないというような点がある。そういうような角度から大体申し込んでおられる山がほとんど大部分でございますが、相当まだ有望な、炭量がありながら閉山というような申し出はほとんどと言ってもいいほど、私の記憶ではあまりないわけでございます。もし、そういう事態があれば、かりに炭量も非常にあり、有利に今後とも資源産業の一翼をになってもらわなければ困るような山が経営者の御都合主義でやめるというようなことがあります場合には、それは先生おっしゃるように、私どもこれは行政指導として介入せざるを得ない、話し合いをいたさざるを得ないというふうに考えております。
#17
○大河原一次君 そういう閉山気分になっているところに対しては、そのような対処がぼくはぜひ必要だと思うのです。今回の答申の中には、一面には政府みずからが取りつぶしはやらぬと言うけれども、答申の内容を見ると、おかしいやつは積極的にやめてもらうという答申の背景があるのです。そればかりでなくて――一面にはそういう面もなくちゃならぬ、行政指導じて、これはやめてもらったほうが労働者もいいというようなところもあるでしょうし、一面には、中小炭鉱の経営者の中には、この際だから、われわれは今後続けても意欲はわかないから、ますます苦しくなるばかりだからということで、簡単に将来に対する希望をみずから捨てておる、そういう炭鉱が実際あるわけです。そういう面については、簡単に経営者の申し入れがあるからということで、十分な企業に対する診断なり手当てをやらぬままにやめさせてしまうということになると、それが一つの波となって、何といいますか、波状的になってくるのじゃないか、連鎖反応を来たすのじゃないか、その点を憂えて申し上げるのでありますが、石炭局長の強い意思表示がありましたので、よくわかりました、納得します。
 そこで問題は、いま再建整備法が出されることによって、再建の対象となる炭鉱が、これから法案が出てくるのだと思いますが、現在もうすでに大手なり中小なり、すでに申し入れ炭鉱があると思うのですが、それは差しつかえなかったら大手の中で何社、中小の中で何社がすでに再建計画の対象になってくるというような、そういう要望なり手続をとっておられるかどうか、ひとつ差しつかえなかったらお知らせ願いたいのですが。
#18
○政府委員(井上亮君) 大手でははっきりこの際、再建整備計画を辞退すると申しますか、自分のところはこういう恩典は要らないからとはっきり申しておりますのが一社ございます、大平洋炭砿。断わるということではありませんが、あまり該当しない、あるいは累積赤字もありませんし、それから一割配当も現在やっておりますし、大平洋炭砿は今後十年間一割配当をやると豪語しておりますので、そういう勇ましい、りっぱな、かえって称賛すべき企業が石炭産業の中にありますので、これはむしろほめるべきだと思います。そのほか経理良好な会社で非常に黒字といいますか、そういうような企業がほかに一、二社ございます。ですから、まあ十四、五社が一応対象に当初なるのではないかというふうに考えておりまして、大手十七社のうち十四、五社、それから中小炭鉱でいま申し出ておりますのは約十五社程度でございます。だから大手と大体同数が申し出ております。そういう状況でございます。
#19
○大河原一次君 そこで、ひとつやはりこれは、これからの問題で考えなければならぬと思うのですけれども、この条文の中にもございますように、利益を計上した場合の納付金の問題があるわけです。この問題についてはぼくも個々に会った炭鉱もあるわけですけれども、せっかく企業努力によって一応何とか経営がやれることになったから、むしろこれからが問題である。これからが問題のときに結局、利益が計上されたから納付しなければならぬということになると困るのではないか。これは私の立場からいうとこんなことを言うとおかしいのですけれども、しかし、せっかく再建途上の波に乗ったというとたんに結局、納付金制度によって納付しなければならない、こういう状態があるわけなんですけれども、これ、中にはまた利益の配当くらいしたいというような、これも直接会った炭鉱の経営者から聞いたのですが、配当くらいしたいのだ、しかしながら納付金制度によって納付しなければならぬので困った問題であるということで、そういう要望等もあるわけだけれども、こういう炭鉱に対してはどういう処置をとられますか。
#20
○政府委員(井上亮君) 利益を計上した場合の納付金につきましては、業界あたりでも少しこの立法の趣旨を誤解しておられる向きがまだあるわけでございまして、まだ私ども十分な説明をしていない面があるわけでございますが、これは率直にいいまして、いわゆる公表損益、先ほども申しましたが、こういうことで利益をあげた場合に納付金を出させるという意味ではございませんで、この第六条の利益金を計上した場合の納付金というのは、実質的な損益の計算をこの法律に基づいてさせる。で、先ほどもちょっと触れましたように、退職金の引き当てを十分していない場合には十分税法一ばいさせる、あるいは償却等につきましても、税法上認められておる償却については十分に行なったものとみなして――行なった場合にですね、したがって、健全経営を全部やった、しかも従来ずっと逐年赤字が出ておった、その累積赤字もほとんどなくなって、なおただいま申しましたような経理を行なって、しかも利益が出たというような場合には完全な健康体になるわけです、企業経営としまして。そうなった暁にはその納付金を納付していただく、こういう考え方でございますので、私どもそこまで健全な姿になれば、これはもう完全に卒業したものとみなさざるを得ないわけでございますので、そういう場合には五年間を限って納付金を一部納付していただく、こういう考え方でございます。
#21
○大河原一次君 確かにこれはもう国の金ですからね、これは返す筋合いのものであるというように考えるのは当然だと思うのですね。ただ中小炭鉱等はなかなか立ち直ったといえども、むしろこれからという炭鉱もあるわけですから、そういう意見も出るのもやむを得ないと思うのですが、ただ同時に、これと関連するのですが、これ大臣に聞きたいのですが、今回一千億の肩がわり融資をやるわけですね。しかしこれは利益を計上したという一つのあれもありますけれども、一体利益が計上できなかった、そういう状態のもとでこの一千億の金、これはどうなるかということを非常に心配するわけです。
 これは先ほどちょっと委員会の始まる前に局長に聞いたんですが、私は前に、かつて昭和二十三年ころですか、片山内閣か芦田内閣の時代だと思っているんですが炭鉱を復活せしめなければならぬというわけで、あの当時三千六百万トンが至上命令だということで、わざわざ天皇までが常磐地方においでになったことがあるわけですね。そのとき、とにかく増産対策だということで、やれ価格差補給金なり調整金を出す、それから復興金融公庫の中から相当金を出したわけですよ。それは特に僕は炭鉱の福祉施設をやらなければならぬという面だったと思いますが、よく記憶ありませんが、住宅資金だと思うのですね。住宅建設のためにどんどん出した。ところが、経営者はこの際借りなければ損だという考え方に立ってどんどん借りて、しかもその借りた金がまっこうから住宅建設のほうにつぎ込まれたかというと、そうではない。別の面に使われたということで、われわれ非常におこったわけですね。
 今回のこれはもちろんそういうものと性質は違うのでありますが、ただしかし、あの当時はもう石炭再建というところに重点を置いたための政府の金の出資でありましたが、今回は炭鉱をどうするかという、炭鉱の危機に直面した中で出された資金である。しかし、今回といえどもやはり大手の中には、この際借りなければならぬのだということでやるとなると、一応いろいろな条件の計画を、経営計画を示さなければならぬと思います。計画を示した中でこの肩がわり融資金を得なければならない、そういうことになると思うのですが、その場合私が心配するのは、借りなければ損だという考え方も全部持っているわけじゃないでしょうが、中にはあるのではないかというふうに考えているわけですね。だからこういう欠点とあわせて、結局そのためには赤字の計上なりいろいろな計画の中に、こんなことを言ったんじゃ、疑っちゃたいへん悪い話だけれども、いわば偽りの計画といいますか、そういったものを出して、ぜひこの際借りなければ損だから借りたいというあまりに、どちらかといえばそういう不合理な計画を出すという危険はないかどうかということ、それからいま私が申し上げたいのは、一千億というのは間違いなく取る、返済してもらうのかどうかということの決意のほどをひとつ大臣からお聞きしたい。
#22
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま述べられた、大体いままでに放漫経営をしておりゃせぬか、放漫経営のための赤字じゃないかという、そういう点はまあいろいろ実情を調べてよくやりますから、放漫であれば放漫のつもりで、またこちらが対策を構ずるわけですが、そこでこの肩がわりは、これは借金の肩がわりという意味じゃなくて、結局いままでまじめにやって、そうしてどうしても経営がやっていけなかったので借金したというのでありますからして、これは政府が借金の棒引きをしてあげるという意味なのであります。しかしながら、もし健全経営ができて余裕がある場合には、納付金として返してもらうということでありまして、そういう意味でありますからして、政府は一千億というものは、これは全く棒引きというと語弊があるけれども、炭鉱経営者にかわって金融業者に対して借金を支払うということでありますからして、そういう意味で、それだけは肩がわりする場合には厳格にひとつ調査してそうしてまたやらなければならぬということだろうと思います。
#23
○大河原一次君 それわかるのですけれども、私の申し上げておるのは、私の不勉強かもしらぬけれども、いずれにしても一千億肩がわりするわけですから、当然返してもらうわけでしょう、それはどうなんですか。そうじゃないんですか、違うのですか。先ほどの納付金の問題、違うのですか、これ。
#24
○政府委員(井上亮君) 千億の肩がわりと申しますのは第四条にありますように、まず企業に再建計画をつくっていただく。これは先ほど大臣がおっしゃいましたように、今後こういう肩がわりというような大きな助成策をするに際しまして、やはり企業が今後放漫な経営をやられてはたまらないというような考え方から、再建整備計画というものをぴっちりつくっていただく。で、これが妥当だということになりましたときに、この当該再建会社の借りております借入金につきまして政府が、市中銀行については十年で元利均等償還する。それから政府関係につきましては十二年間で元利均等償還するというような形での元利補給契約を政府が結ぶという形ですから、性質はこれは一種の補給金、利子補給と元本補給金というような性質の補給金でございまして、ただしかし、補給金ではございますが、当該再建企業が将来非常に経営成績が好転して、十分一本立ちができる体制になったというときには、国はこういう補給金を出しましたけれども、やはりその一定額以上の利益については、国に納付金を納付していただく、こういうことを規定しておるわけでございます。
#25
○大河原一次君 その点は当初からぼくはわかっているのですが、ぼくが言い回しが悪かったかもしれませんけれども、たださっき言ったのは返すか返さぬかということなんで、結局さっきに戻るんですけれども、利益が計上された場合はそうですけれども、利益が計上されないという場合には、結局そのままになってしまうのじゃないかと、こういうことをさっき言ったわけですよ。そのとおりなんですね。
 次に、話を変えて大臣にひとつお伺いしたいんですが、今回一応抜本策というような――私どもは抜本策ということについては、抜本策なんていうそういう策があるかどうかというふうにも考えているわけですけれども、一応五千万トン、あるいはそれ以上を、四十五年度を目途として、あるいは五十年度を目途としてやっていきたいというような、そういう考え方に立って総合エネルギー対策の中のいわゆる位置づけとしての五千万トンを考えられておるわけですが、これはしばしば大臣の衆議院における答弁の議事録も見ましたし、井上局長のも見ましたけれども、重複するようなことは申し上げないけれども、しかし、当委員会において、先般の大臣の答えの中にも何か勝負を、ぎりぎりのところでやる、維持したいが容易ではないという、そのためにいろいろ施策をとっているけれども、それといえども万全ではないということを聞いておるわけでございますが、そうしまするとわれわれから申しますると、結局五千万トンというのは少し不満の数字なんですが、しかし、これはおそらく政府としても、特に井上石炭局長が五千万トンを位置づけるにあたって、相当努力されたあとも私はよくわかるのですが、ですから私は一応不満ではあるけれども、しかし、この、五千万トンというものはやはり明確に総合エネルギー対策の中の五千万トンというふうに私は解釈しておるわけですから。当初は、ぼくは何か不勉強で、総合エネルギーの中の五千万トンということではなくて、ただ石炭のみを考えた五千万トンであるかというような印象を受けた。なぜかと申しますと、先般の石炭局長の答弁の中にも、この五百億にのぼるところの今回の特別会計ですね、これといえども十分でないが、今後特別会計の金のワクもふえるということを言われておるわけですね。その特別会計のワクがふえるということは、ことばをかえて言うならば、当然今後の原重油等の輸入が見込まれる、消費が認められるということになるわけでしょう。そうすると、確かにそれは石炭ばかりではなくて、総合エネルギーの中の石炭の位置づけでありますから、当然私は石油も総合エネルギーの中の位置づけとして明確にされておるというふうに考えておりますが、そう解釈してよろしいのですか。四十五年度を目途とする石油の位置づけは、石炭の位置づけとあわせて当然総合エネルギーの中の一環でありますから、位置づけられておるわけでしょう、それはどうですか。
#26
○政府委員(井上亮君) 先般石炭の位置づけにつきましては、石炭鉱業審議会におきましても慎重審議をいただきまして、五千万トン程度の位置づけが妥当だという答申をいただいておりますが、同時に総合エネルギー調査会においても、石炭の位置づけの御検討をいただきました。総合エネルギー調査会におきましても、石炭鉱業審議会の答申と同様に五千万トン程度が必要であるというはっきりした位置づけの御答申をいただいておるわけでございます。なお、総合エネルギー調査会におきましては、石炭の位置づけを行なわれますとともに、これは石油の位置づけということばは使われておりませんけれども、少なくとも石炭の位置づけを行なうに際しまして、総合エネルギー調査会が検討し計画を立てました長期の見通し計画の中では、石油も、位置づけということばは使われておりませんが、石炭の五千万程度の位置づけに対応して、経済成長をしていきますから、そうするとエネルギー需要も増大する、その問原子力がどの程度ふえ、石油がどの程度にふえると、そうして全体としてバランスはどうとれるんだというような試算はこのエネルギー調査会において行なわれております。そういう意味で、位置づけといえばそういう意味の石油の位置づけもあるわけでございます。
#27
○大河原一次君 その辺が私どもとしては、いやしくも総合エネルギーの中で、各部門ごとに数字の上で四十五年度は四十五年度として、総合エネルギーの中における石炭は幾ら幾らで何%、石油は幾らで何%というように、総合エネルギーの中の各部門のエネルギーというものの位置づけを私は明確にしなければ――そういうような明確な位置づけがなければ、石炭だけを五千万トンにくぎづけておるというような――他のエネルギー部門におきましては、特に石油等はどんどん今度は入ってくるんだから、それをきちんと押えるわけにいかぬという気持ちもよくわかりますけれども、伸びた率がたとえば今年度二〇%なら――総合エネルギー全部の全エネルギー需要が二〇%伸びておるという場合に、伸びた二〇%は全部石油のほうに持ってくるというような、そういう考え方の位置づけとなるならば、それは明確な私は総合エネルギー対策の位置づけであるというふうには言えないのではないか。結局エネルギーがふえた量だけは、全部石油のほうにばかりウエートを持っていってしまう、石油だけが伸びるということになると、そうするとそのことによってはね返って、結局せっかくきめた石炭の五千万トンすら危ぶまれる結果になるのではないか。
 そういうことを考えると、私はそういうような明確な位置づけはないかというような井上局長のことばはわからぬわけではないけれども、何かそこに私は不合理なものを感ずるし、同時に五千万トンという線もそういう中からくずされてくるのではないか。たとえば年間二〇%のエネルギーがいわゆる需要としてふえるという場合は、少なくともその一五%は石油であってもあとの五%は五千万トンを維持する、カバーするという、そういう方向づける位置づけでなければ、せっかくの総合エネルギーの位置づけにはならぬのではないかと、こういう心配を私は持っておるわけです。確かに石油の需要というものはますます伸びておる、消費がどんどん高まるということはわかります。それを何とかここで押えろということは言いません。言いませんけれども、伸びるがままに伸ばしておくということになると石炭のほうはどうなるかということが心配なんです。その点大臣に……。
#28
○国務大臣(菅野和太郎君) 昭和六十年度について申しますと、国内炭は五・三%、それから石油はほとんど海外輸入ですが、石油について申しますと七四・八%、それから原子力は一〇%というような大体の目標でエネルギー対策を講じておるのであって、問題の石炭はあくまでまあ五%前後で押えようと、押えるといってもまあ実際それ以上に出炭がはたしてできるかどうかということは問題ですが、石炭についてはもうできるだけ五千万トンは確保したいということで、これは申すまでもなく石炭鉱業の安定あるいは安全保障という問題もありますから五千万トンで、それ以上のエネルギーの需要が増してきまずから、それはもう石油で供給するということで、それから将来原子力の研究が盛んになれば原子力でエネルギーを供給しようということで、ちゃんと目標を立ててこのエネルギー供給の対策を講じておる次第でございます。
#29
○大河原一次君 石炭を今後五千万トン以上出しても、結局これが需要がこれに伴わなければどうなるのだというようなお考えだろうと思うのです。それもよくわかるのですが、そこで私は、今度いろいろ安定補給金であるとかあるいはまた特別会計をつくったとかいうような一連の政策がとられておるようですけれども、ドイツあたりで大体これに似通った方針をとられております。大体ドイツ方式に似ておるのですが、ただぼくはそこで考えられることは、ドイツあたりではもっともっと――炭鉱経営者ももちろんそうですが、政府もこの石炭問題については真剣に取り組んでいるようですね。特に石炭政策につましてはやはり社会的影響というもの、それから経済的影響といいますかいわゆる社会性と経済性というものを両立性しめる、両立せしめるというよりかむしろ社会的な側面を強くドイツは出しておるのですね。それは単に炭鉱を守るというばかりではないと思いますけれども、とにかくその他の産業部門においてもそうだと思うのですが、いずれにいたしましてもこの経済性というよりか社会性を重視しているところにドイツのこの石炭政策の基本があるのではないか。
 そういう点を考えると、日本の場合は今度のこの法案の背景になっておる抜本策にいたしましても何かしら社会性というよりかやはり企業性といいますか経済合理性、こういうことを強く出しておるし、あるいはまたエネルギー低廉の原則というものを強く出しておるし、あるいはまた選択の自由ということも強く日本の場合出ている。確かに今回はエネルギー選択の自由という面については多少の手心は加えられておるようです、電力等において引き受けられておりますけれども。全体として私なりにながめたときには、どちらかといえば経済合理性という面が強く政策に出ておるのではないか。
 そういう点から申し上げますと、ドイツと比較して非常に低調なような気がしてならないわけなんです。現在この政策需要がとられておるわけですが、この政策需要の面、いま火力発電所が二基ですか、三基の増基が認められておるようでありますが、これは当然三基の火力発電所の増設が認められたということは、これはこの五千万トンを維持する中に含まれているわけでしょう。これは石炭局長どうですか。
#30
○政府委員(井上亮君) 電発火力につきましては従来三基建設を続けてまいりまして本年度から逐次稼働に入る段階でございます。なお本年度から、この従来の三基に加えまして二基電発火力の追加をする予算を取っておるわけでございます。合計いたしまして電発火力五基というのは従来この五千万トン体制を維持するための需要の確保の一環と、こういうふうに考えております。そのほかに九電力が今後四十五年度には二千三百万トン程度を引き取るという公約もあるわけです。それらを合わせまして五千万トン体制を維持したいというのが従来の考え方でございます。
#31
○大河原一次君 五千万トン維持のためにあらゆる施策をとられる、これからもまたいろいろな努力をせられると思うのですが、私はそういうあるいはそれ以上の何か強力な政策需要の面というものが考えられないのかどうかということなんです。たとえばこれはいまこんなことを、ドイツ方式をまねしてもしようがないが、ドイツあたりでは火力発電所の原重油の何か規制を行なうという方針を聞いているし、あるいはまた石油の市場支配といいますか、市場進出に対する自主規制というものもとられておるというようなことだが、日本ではそういう面が見当たらないようなんですが、それくらいのことまでやらないと――いま局長は、電発火力の三基増設によって何とか五千万トンの中に食い込んで五千万トンを維持しようということですが、もっと積極的な線でやるべきではないか。そうでないと五千万トンすら危ぶまれる状態になるのではないかということを私は心配するがゆえに、政策需要の面はもっと何か強い一つの政策というものが考えられないかどうかということ。いま日本が直ちにドイツあたりのまねをして、たとえば火力発電所で使うところの重油を規制せよあるいは石油の市場進出を自主規制せよということはなかなか容易なことではないが、そのくらいの当局において気概がなければ五千万トンすら危ぶまれるのではないかと考えておりますので、大臣の御所見を伺っておきたい。
#32
○国務大臣(菅野和太郎君) ドイツは日本以上のこの石炭需要の強制をやっておるのでありますが、御承知のとおり日本でも石炭は国内炭だけでは足らぬので、これは原料炭ですが海外から輸入しておる状況でありますが、ドイツの石炭の需給は日本より非常に大きいのです。したがいましてドイツは日本以上に石炭鉱業の、安定ということについては一そう努力しておると私は思っております。日本でもいままで、どうしても石炭を使わせなければいかぬというので重油及びボイラーの規制をやったのですが、この石炭対策を実施するので重油、ボイラーの規制は廃止することにいたしたのであります。そこで最近は五千万トンというところに、われわれこれはあくまで確保したいということで今日までの政策需要ということで一応見通しを立てておるのでありますけれども、これが今後において五千万トン貯炭がだんだんふえて一般炭の処分がどうもできぬというようなことになれば、あるいは共同火力というようなものをつくらすとかいうようなことで、やはりこの五千万トンは是が非でも需要さすという政策を今後もとりたい、こう考えておるわけであります。
#33
○大河原一次君 ぜひそういう方針で……。何か今日までの大臣の答弁を聞いていると非常に心配な点がありましたものですから、念を押した形でいろいろ愚問を申し上げたわけでありますけども、ただ私はさっき言ったように、さっきの答弁では答えられていないのですが、今後強力な施策をとるということの中には、ドイツのまねをしろというわけではないけれども、ドイツとは事情が異なるとはいうけれども、今後やはりそういう自主規制なりあるいはまたある程度の強い諸規制というものを考えてもいいのではないかと思うのです。ただぼくはそこで、何か口を開けば経済合理性だ、国民経済の中で云々だということを言われるけれども、何かそういう石油に対する規制の面が弱いということは、そこに何か背景として一こんなことを言うとまた大河原始まったというように思われるかもしれないけれども、何か背景に日本の財界なりあるいは政府当局を縛っておるものがあるのではないかというふうに考えられてならないのですよ。ということは、先ほど言ったように、いまほとんど中近東から七〇%−八〇%のいわゆる石油がきているわけですよ。一切がっさいあ、げて海外のエネルギーに依存しているという形なんです。この形自体はもういなめない現実でありますが、しかしその形の中からは別な面としてやはり大きな政治的な圧力がかかっておるのではないか、私は私なりにそう判断するのですよ。したがって石油に対する自主規制なりあるいは法的な規制ができないという反面には、私は以上のような面があるから申し上げておるわけです。そういう自主規制なり強化ができないという反面には、日本のたとえば石油業者が首根っこを外国の石油資本によって押えられているがゆえに日本においてもそういう自主規制ができないのではないかという、これは私は私なりの考え方を持っておるわけであります。この点はあまり申し上げません。この点を申し上げると、さらに大臣と国営の問題までいくのですが、国営の問題については何かすでに論議済みのようですから申し上げません。あとでまた時間がありましたら申し上げたいと思うのですが、最後に、これからのこの方針を貫く過程において、あるいはまたこの五千万トンを維持するのにあたって、問題になりました鉱区調整の問題に対して当局はどのような態度でこれから――いままでも確かに井上局長もお骨折りになったと思いますが、今後の鉱区調整に対する方針といいますか、どういう態勢で進められたか、それだけちょっと最後にお聞きしておきたいと思います。
#34
○国務大臣(菅野和太郎君) いま大河原委員からいろいろ御心配の御発言があったようでありますが、結局、石油というものをエネルギー資源としてより多く国民が消費するようになったことは、日本ばかりでなく、世界の大勢なのであります。したがいまして、ドイツ、においても、やはり重油の輸入はだんだんふえておるのであります。そこで、この石油の消費を押えるということは大勢に反するということになると思うのでありまして、これは産業全体から見ても、生産性を高めるという意味において、できるだけ安いエネルギーを使ったほうが産業の生産を高めるのでありまして、これを押えること自体に私は非常な矛盾があると思うんです。そういう意味で、石油をより多く使うということについては、これは世界の大勢であるということで、そこで、これをどうしても民族資本で日本が確保しておかなければあぶないということで、今度、石油開発公団というものをつくることに考えたのであって、これは日本のエネルギー資源の百年の大計を立てる意味でやったのであって、従来は外国資本によって海外の石油鉱を採掘しておったのでありますが、日本の資本でひとつ海外の石油を採掘しようということで、今度思い切って石油開発公団――公団をつくることについては、いろいろ皆さん方からも御批判がありますが、これは日本のエネルギー資源の百年の大計だということで、各方面を説得してこれを設けることにしたのでありまして、ただいま御心配になっておられるとおり、今日は中東から九〇%も石油が人っておる状態であるからして、したがって、これをインドネシアあるいはアラスカ、あるいはまた、将来はソ連というようなところから石油を輸入する、しかも、日本の資本で採掘するという対策で今後進んでいきたいと、こう思っております。そういう点において日本のエネルギー対策の根本策を立てていきたいと、こう考えております。決して一部の資本家の――というような、そんな意味はありませんから……。これは大所高所から政府がそれを立てておる次第でありまして、そういうことで今後やっていきたいと、こう存じておりますから、石油開発公団についても、できるだけ皆さんの御支援をお願いしたいと、こう思っております。
#35
○政府委員(井上亮君) 鉱区調整の問題につきましては、まず鉱区調整の最近の進捗程度から御説明申し上げてみたいと思います。石炭鉱業審議会の鉱区調整部会が、この鉱区調整について非常な検討を加え、また活動を願っておるわけでありますが、最近、この鉱区調整につきましては、石炭産業みずからが従来の態度とだいぶ変わってまいりまして、やはり今日の段階になりますと、遊休鉱区については、率先必要な方には提供しようというような空気が生まれてまいっております。従来ではなかなか鉱区調整ができなかったケースでも、これは大手炭鉱の中で円満にそういう鉱区調整が行なわれているというようなのが最近の現象でございます。昨年、ただいま申しました石炭鉱業審議会の鉱区調整部会で、特に大きな鉱区調整――いわゆる中小炭鉱が大手のすそをもらうというような意味の小さい鉱区調整じゃなくて、大きな鉱区調整について鉱区調整が必要だと認めましたものが七つあったわけでありますが……。
#36
○大河原一次君 どことどこですか。
#37
○政府委員(井上亮君) これは三井砂川と北炭系の空知炭鉱、それから、北炭の夕張と三菱の大夕張、それから、住友赤平と北炭の空知、明治の本岐と三菱の阿寒鉱、この四つでございますが、これにつきましてはすでに解決を見ております。それから、なお現在引き続いて調整を進めている事案としては、三件ありまして、これは雄別、茂尻と北炭の空知、それから先生御承知の常磐の茨城と宇部向洋のものでありまして、最後に日炭高松と宇部の問題でありますが、これは実質上片づきました。したがいまして、常磐とそれから茂尻、空知というのがいま残された大きな問題と、こういうことになっておりまして、特に、先ほど申し上げましたように三菱あたりではたくさん鉱区を持っておりますから、ほとんど取られる一方でございます。しかし従来三菱では――こう言うと非常に語弊があるかもしれませんが、これは労働組合も非常に関心を持ちます、自分の鉱区を人に譲るということは、自分の働く職場の寿命に関係するわけですから、労働組合も非常な関心を示すわけです。しかし、最近におきましては、三菱あたりは大局的に非常によくこの鉱区調整に努力しているというような例でございます。
 なお、このほかに、中小炭鉱との関係がありますが、これはただいま合理化法の改正等でも一部鉱区調整の問題にからんで、改正案をお願いいたしておりますが、合理化法の改正で、前国会で、消滅鉱区について中小炭鉱等から鉱区調整できるような道を開いたわけでございます。こういった案件につきましても、現在、相当数が順調に進められておるというような現状でございます。
 なお、私ども鉱区調整の問題については、これで全部だとはもちろん思っておりませんが、今後の基本的な考え方としましては、少なくとも遊休鉱区についての鉱区調整については、政府も相当あっせんに乗り出しまして、積極的に鉱区調整を行なうように努力してまいる考え方でやっております。
#38
○大河原一次君 いま一つ調整の問題で、私どもこれから鉱区の統合調整の問題については、もっと当局側が積極的にしていかなければ成果があがらぬのじゃないかと考えております。いま報告されました各山のを聞きましたけれども、ただ、どういう条件のもとに統合されたか、調整されたかという問題もあるわけですが、それはいいと思うんですが、これからの問題は、鉱区の統合調整にあたっての条件という問題の中で、スムーズにいかない場合があると思うのです。ですから、それは調整される各山だけではなかなかできない問題があるので、そういうところには、石炭局長がいま言われたその条件をどうするか、どうすれば統合しやすいか、調整ができるかということで積極的な指導をなさって今後とも鉱区の調整を進めてもらいたい、一応こういう要望だけで私の質問を終わります。
#39
○委員長(鈴木壽君) 本案については、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#40
○委員長(鈴木壽君) なお、この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 石炭鉱業再建整備臨時措置法の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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