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1967/06/21 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第8号
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1967/06/21 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第8号

#1
第055回国会 石炭対策特別委員会 第8号
昭和四十二年六月二十一日(水曜日)
   午後一時二十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木  壽君
    理 事
                西田 信一君
                小野  明君
    委 員
                井川 伊平君
                沢田 一精君
                高橋雄之助君
                徳永 正利君
                柳田桃太郎君
                山下 春江君
                吉武 恵市君
                阿部 竹松君
                大河原一次君
                大矢  正君
                近藤 信一君
                宮崎 正義君
   政府委員
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       通商産業省鉱山
       保安局長     中川理一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   参考人
       日本石炭協会会
       長        麻生太賀吉君
       日本石炭鉱業連
       合会会長     植田  勲君
       日本炭鉱労働組
       合事務局長    灰原 茂雄君
       全国石炭鉱業労
       働組合書記長   早立 栄司君
       全国炭鉱職員労
       働組合協議会事
       務局長      遠藤 一三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業再建整備臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 石炭鉱業再建整備臨時措置法案を議題といたします。
 本日は、本法律案について、意見をお述べいただくため、参考人として日本石炭協会会長麻生太賀吉君、日本石炭鉱業連合会会長植田勲君、日本炭鉱労働組合事務局長灰原茂雄君、全国石炭鉱業労働組合書記長早立栄司君、全国炭鉱職員労働組合協議会事務局長遠藤一三君の御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に本委員会を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多用中にもかかわらず、特に御出席いただきましてまことにありがとうございます。本委員会は、目下石炭鉱業再建整備法案の審査を進めておりますが、本日は労使の代表の方々にそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。参考人各位には、最初お一人十五分以内で御意見をお述べいただき、そのあとで委員の質疑に応じていただきたいと存じます。それでは麻生参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(麻生太賀吉君) 日本石炭協会の会長をいたしております麻生太賀吉でございます。日ごろ石炭政策の確立につきまして、本委員会の皆さま方には特別に御配慮をいただいておりまして、心から感謝をいたしておるわけでございますが、本日は御審議中の石炭鉱業再建整備臨時措置法案につきまして、業界の意見をお聞きいただくことになりまして、私どもの意見を申し述べる機会をいただきましたことを心から感謝申し上げます。
 御承知のように、一昨年、石炭の抜本的安定対策が叫ばれまして以来、石炭鉱業審議会を中心にいたしまして関係各方面において慎重審議せられました結果は、昨年七月の審議会答申及び八月にきまりました閣議決定を経まして、先ごろ成立を見ました本年度の予算及び本委員会において目下御審議中の石炭関係諸法案にこれがまとまってきたわけでございますが、ようやくこれが近く実現に移されようとしているのが現状だと思います。問題が起こりましてからこれが具体的な実施になりますまで実に二年間経過いたしております。もう世間では、石炭政策は、すっかり解決済みだという印象を持っておられる方が相当あるように思うような状態でございます。しかし、実はこれまで実施を見ましたのはごく一部でございまして、坑道掘進費補助金というようなものが一部出ましただけで、ほとんどの抜本策は、まだ、私どもから申しますと、お預けの状態になっているというのが現状だと言えると思います。二年前、石炭鉱業はすでに行き詰まりの様相を示しておりました。その後石炭鉱業の経営は、一方には物価とか賃金の上昇に伴ないますコストアップ、他面において一般炭の需要減退に伴います過剰な貯炭、この先月末、五月末の石炭会社の手持ち貯炭は約六百七十万トンになっております。こういうふうに非常な貯炭がふえてまいりまして、今日までひたすらこの抜本策を頼みにして耐えてきたわけでございますが、申すまでもなく、その間政府及び金融筋のあたたかい御配慮によりまして、つなぎ金融や返済猶予等の一時しのぎの措置によって今日まで何とかきたというのが石炭の状態でございます。しかしながら、その間におきまして経営の悪化は著しいものがございます。大手十七社の平均で申しますと、四十一年度におきますトン当たりの純損益は実質的には六百数十円の赤字になっております。また借り入れ金の残高は四十年度末の二千億円が四十一年度末には二千二百十六億円にふえております。また資金の窮迫はいよいよはなはだしくなってまいりまして、本年度の資金不足は約四百数十億円になるのではないかと思われます。したがいまして、金融筋の援助にも限度がございますし、最近におきましては非常に危険な状態に入っております会社も一、二出てくるという状態でございます。
 以上のような事情でございますので、目下御審議中のこの石炭鉱業再建整備臨時措置法案につきましては、特に一日も早く成立さしていただきますようお願いいたす次第でございます。私どもといたしましては、この再建整備法に基づきまして、異常債務の肩がわりを受けることによりまして資金をつなぎ、経営を正常な軌道に乗せていきたいという所存でおるわけでございます。
 再建整備法の内容につきましては、とやかくここで申し上げる大きな問題もございませんが、ただこれらの運用にあたりましては、あまりに形式的、画一的になりまして、いわゆる角をためて牛を殺すという結果にならないような運用をしていただくようにお願いいたしたいと思っております。国の手厚い御援助を受けているわれわれ企業といたしましては、いろいろな制約を受けることは当然とは存じますが、企業は一つの生きものみたいなものでございますので、その行き方とかその他にあまり拘束されますと、かえって石炭鉱業再建の所期の目的に沿わない結果になるのじゃないかという心配があるからでございます。
 われわれ業界といたしましては、再建整備法によります肩がわり、及び、現在予算に計上されております諸対策のみで再建にこれで十分だとは考えておらないわけでございます。それは先ほど申し上げましたように初めの答申のときの想定以上に需要が減っておりますことと、また、この施策がおくれましたために経理状況が悪化いたしておるからでございます。したがいまして、まずこの法案が通りましたあと、肩がわりを受けることによりまして、当面の資金をつなぎまして、その上で、需給不均衡に対する方策であるとか、想定以上の経理悪化の改善策を今後抜本的安定対策の基本路線に沿って何とかお考えをいただきたいというのが私どものお願いでございます。
#4
○委員長(鈴木壽君) 日本石炭鉱業連合会会長植田勲君。
#5
○参考人(植田勲君) 私は日本石炭鉱業連合会の会長植田勲でございます。
 石炭政策につきましては、かねてより格段の御高配を賜わり、厚く感謝申し上げます。本日はまた、参考人として意見開陳の機会を与えられましたことはありがたく御礼申し上げます。
 意見を求められました石炭鉱業再建整備臨時措置法案についてでございますが、石炭鉱業はエネルギー革命の中にあって急激かつ大規模な合理化を強行いたしましたが、その結果、過重な負担を背負い、経理は悪化し、経営基盤は崩壊の危機に瀕したため、二年前石炭鉱業の抜本的安定対策が検討せられましたことは御高承のとおりでございます。
 昨年七月、石炭鉱業審議会の答申が出され、それに基づき石炭対策特別会計予算が成立し、関係諸法案の成立を待って、諸施策が実施に移されようとしておる現在であります。業界はこの二年間、抜本対策の実施が一日も早からんことを願いながら、かろうじて経営を続けてきているのであります。答申において想定されました経理状況、需要の状況はこの一年間に予想以上に悪化しておるのであります。このため、対策の実施まで持ちこたえられず、すでに閉山のやむなきにいたった中小炭鉱も数多くあるのでございます。対策の実施が一日おくれますことは、それだけ炭鉱の苦境はさらにきびしくなり、従業員の不安も増し、このため長期安定生産体制にひびが入る結果となるでありましょう。
 したがいまして、この法案は一日もすみやかに成立さしていただきたいというのが私たちの本意でございます。法律が成立いたしませんと、経営を圧迫しています過重な負担の軽減のための肩がわり措置はもちろん、他の諸対策も進まない現状であります。
 なお、今後諸対策の具体的実施にあたりましては、政策の実施が大幅におくれたため、想定された以上に悪化している実態を十分考慮していただくとともに、中小炭鉱に対しましては格段の御配慮をもって運用していただきたいと存じます。
 この機会に中小炭鉱として一、二お願いを申し上げますれば、第一は安定補給金についてでありますが、本年度決定いたしました二十五億円の予算のワク内でぜひ弾力的に運用していただきたいことでございます。次は、対策がおくれていますために、そのつなぎ資金、それから越盆資金の確保につきましては、中小企業金融公庫の特別措置により借り入れができるようお願いいたしたいのでございます。
 以上申し述べましたが、法案のすみやかなる成立を重ねてお願いいたすものでございます。以上でございます。
#6
○委員長(鈴木壽君) 次いで、日本炭鉱労働組合事務局長灰原茂雄君。
#7
○参考人(灰原茂雄君) 炭鉱労働者を代表いたしまして、率直な意見を申し上げたいと思います。
 その前に、前の発言者の方もおっしゃいましたけれども、確かに非常に取り扱いにくい状況の中における石炭産業の問題でありますから、いろいろと委員の皆さま方はじめ、政府当局の皆さま方もお骨折りいただいたことにつきましては、深甚の敬意を表しております。ただ、働いておる炭鉱労働者の実態の中から、ぜひ真剣にお訴え申し上げ、意見を申し上げたい。
 第一は、三回目の答申でございまして、抜本策という立場から、去年の八月にも閣議決定がなされました。そのときにやはり、労働条件の改善が必要だということを明記されておったわけでありますが、たとえばことしも賃金闘争をやりました。こういう状況ですから、炭鉱労働者としては実力行使なぞしたくないわけでありますけれども、御承知のとおり、つまり七%というようなワクで、現実に申し上げますと、一方八十一円というところでストップになったわけであります。で、経営者のほうも努力をいたされまして、一時金五千円という回答になりましたが、私どもはやはり炭鉱労働者として少しでも魅力のあるような、あるいは働いておればいつかよくなる、いままでもう昭和三十四年から比べますと、すでに十五万人という仲間が去っておりますし、五百近い炭鉱も閉山になっておるわけであります。そういう状況の中ですから、一生懸命いままで働いていた者として、ほんとうに世間並みの賃金ぐらいはほしい、こういうのがあたりまえでございますが、申し上げましたとおり、わずかに七・四%ということで、一方八十六円です。これは月にいたしますと二千円以下でありまして、一時金は三千五百円になりました。で、いろいろな方が、炭鉱の賃金は七%というけれども、実際はふえるのだ、たとえば残業しているからふえるのだと、こういう意見があるのです。しかし、御承知のとおり、貯炭がありますと残業しなくてもいい、あるいは公休出勤なんかもうやめろ、こういうことになりますので、不確定な要素を含めて三千円ぐらいと、こういうのです。しかも、いま申し上げたとおり、基準内賃金では非常に低い七%と、こういうことになっております。こういうことでは私どもはやはり問題がある、こう思います。
 二番目には、保安の確立、雇用の安定、このことが石炭産業の再建の基盤である、こういうことも閣議決定あるいは石炭特別委員会の決議にもありました。ところが、災害の問題でありますけれども、今年の六月十一日現在で百十八名の殉職者が出ております。これは例年に比べてよくないわけでありまして、少なくともいろいろ政府の施策はありましたが、災害も続きましたけれども、どんどんよくなる、災害が少なくなるということがあればいいのですけれども、すでに百十八名の仲間が殉職をした、こういう状況であります。しかも、いろいろ施策もあったわけですけれども、たとえばガスマスクなども、働いている者が一つづつ確保して、いざというときにはだいじょうぶだと、こういうことをやればいいのですが、いまのガスマスクは三十分ぐらいしかきき目がないということになっております。もちろん通産当局の保安局長なども努力をされておりますけれども、とにもかくにも三十分内外しかきき目のないガスマスクを、しかも一人一人みんなが持てないという状況なんです。これは御承知のとおりずいぶん深いところもございますから、一時間も一時間半もかかるところがあるのです。そういう炭鉱の実態の、一番奥の切羽で働いておる労働者一人一人に三十分しかきき目のないガスマスクが持たされていない。こういうことも私たちは問題があると思いますし、またガス検定器などについても、なるほど融資だとかいろいろありますけれども、まだ非常に不十分、こういうことが現状であります。
 さらに雇用の安定と、こういうことになるのですけれども、災害はあまり減らない、また、保安対策も不十分だ、賃金は上がらない、せめて一時金、ボーナスくらいと、こうなるのですけれども、一時金につきましても、一番最高で去年の暮で、四万三千七百円というところなんです。四万三千七百円というのは平均二十年以上の勤続者、四十歳をこしている炭鉱労働者、この組合の人たちに四万三千七百円は最高であるということです。言うまでもありませんが、子供がやっと高校を出た。女の子でもいいですけれども、どこかに働いておりますと、すぐおやじのボーナスを追い越してしまう、賃金から一時金、期末手当まで追い越してしまう、こういう状況です。ことしも私たちはよそと違いまして六万円の要求を出しているのです。全炭鉱の皆さんと一緒になってやろうとしているのですが、賃金にしても一時金にしても、もう少しその辺のところをやはり考えていただかないと私はうまくいかないんじゃないか、こういうふうに率直に考えております。
 それから、いろいろ要望にわたる点でありますが、たとえばいまごろいろいろ問題がありますように、資本の自由化と、こういうことでありますが、やはり政府も当局も限度がある。日本の企業を守らなければいかぬ。資本の自由化についてもワクがあるのじゃないか、こういうことを当然おっしゃっていますし、これは国民の要望です。ところが、石炭に関しては御承知のとおり一次、二次答申もございましたけれども、将来先細りばかりです、こういうことです。
 具体的に申し上げますと、当局その他の非常な御努力によりまして、たとえば原料炭が四十二年度一千二十万トン、こういうことになっておりますが、それが三十万トンふやして一千五十万トン、こういうことにいろいろ努力をしている最中なんです、需要ですね。ところが、第一次の答申のときには千百八十万トンが四十二年度の原料炭需給の割り当てだったんです。それから考えましても百三十万トン以上も減っているのです。第一次答申は三十七年の十月ですから四、五年前になりますけれども、そういうことになるのです。あるいは一般炭の問題が非常に多いのですが、電力用炭、これもいま二千百万トン、これを二千百三十万トンにする、こういうのが四十二年度需要計画ですけれども、第一次答申では、昭和四十二年度二千五百五十万トンということが電力用炭で言われておった一般炭の需要なんですけれども、こういうぐあいに一次答申、二次答申、今度は三回目、抜本策と言われておりますけれども、炭鉱労働者にいたしましても、一体それでいいのだろうかと思うのです。鉱区、炭量もまだたくさんありますし、石炭も何とかここで真剣に需要の問題を解決していただかないと、石炭経営者はもとより、われわれは山を追われてしまいます。そうして閉山と同時に地域社会では中小企業、関連産業にもいろいろ問題が波及いたします。おまけに退職金もわれわれがもらうにいたしましても、これも一〇〇%の保証がない。ようやく五〇か七〇ということに一応なっておる。こういう状況の中でいろいろ問題があります。
 とにかく石炭の位置づけというものについて五千五百万トンと言われておったものが五千万トンということになったのですけれども、いま申し上げたとおり、資本の自由化を含めて国内企業を守らなければならぬという立場から考えまして、将来、七五%も八〇%も外国のエネルギーに依存して、国内の石炭はどんどん減らしてよろしいということになると実態に合わないし、私どもは国民に訴えてもそれはおかしいということになると思う。幸か不幸か、まだ私たちの宣伝も足りないものですから、石炭は一応斜陽だと、こう言っておりますけれども、現実に一たん事あるときは要るわけです。
 ところが、縮小、縮小と、雇用の安定、保安の確立が必要だと言っておりますけれども、こういう現状ですから、いまの方針でいくと、石炭はほんとうにたいへんな状況になる。第一、労働者がどんどんやめていくということになります。いくら肩がわりを確保されましても、融資をされましても、労働者がほんとうに働けない機運である。賃金は安い、ボーナスも悪い、先行きも政府が考えてくれない、これではこういうことになるのは必然であります。これは何も私どもの賃金や労働条件のことだけではありませんけれども、一体エネルギー政策の中で石炭がこんな状況でいいかということを私はぜひお考え願いたいと思います。
 さらに合理化臨時措置法の問題ですけれども、ことし合理化部会などでいろいろきめられたことは、たとえば能率で言いますと、平均四〇・二だそうですが、これを四三・八ぐらいに能率をあげていくとおっしゃる。それから一万何千人かの人たちが山を追われる、閉山をされる。三百三十万トンですか、その程度の閉山があるということです。一方ではさらに労働強化と私たちは言いたいくらいに能率だけは何%もあげていこうという体制、しかもいま申し上げたとおりの実態の中で、はたして抜本策にふさわしいような措置法であるのかどうかということについて、私どもは十分お考えを願いたいと思います。
 きょうここで私どもがいろいろこまかいことを申し上げることは求められておりませんので、これからいろいろ院内で御討議があると思いますけれども、私どもも一生懸命山を守ってきたつもりです。死にたくはありません。けがもしたくありません。人並みの賃金を要求する権利もあると思います。しかし、ストライキをしないように、しないようにということで指導してまいりました。一応そういう状況でありますから、この法案だけではありませんけれども、石炭鉱業については、政府当局の考えを国民にも理解されるように、働いておる者が安心できるようにしてもらいたいということをお願いいたしまして、要望にかえたいと思います。
#8
○委員長(鈴木壽君) 全国石炭鉱業労働組合書記長早立栄司君。
#9
○参考人(早立栄司君) 私全炭鉱労働組合書記長の早立でございます。諸先生方にはふだんから石炭対策につき格段の御努力を賜わっておることを感謝申し上げます。
 さて私どもは、石炭対策の基本は、わが国国内炭の一定規模を維持するために、強力なる国家的な助成と、それに対応するところの公共的規制を実施していくことにあるというように考えておるわけであります。したがいまして、そのような意味におきまして、昨年の七月に出されました答申に基づいて抜本策が今日実施をされようとしておる。その抜本策の最も大きな柱として、各炭鉱企業がかかえておるところの異常債務を国が肩がわりをするということ、さらにそれとの見合いにおいて必要なる規制を行なっていこうという、こういう趣旨に立つところの石炭鉱業再建整備臨時措置法案に対しまして、私どもは基本的に賛成をいたしますとともに、先ほど来経営者代表の参考人が述べておりますような、今日の非常に窮迫した石炭鉱業の実情でございますから、この法案を一日も早く成立をさしていただいて、この法律に基づくところの個別企業に対する具体的な施策の展開を一日も早く実施をしていただきたいということをまず冒頭、心からお願いを申し上げる次第でございます。
 さて私はこの機会に、石炭鉱業再建整備臨時措置法の実施、運用に関連する問題について、特に私どもが痛切に感じておる点の一、二を要望意見として申し上げたいと考えるわけであります。
 その第一は、この法律に基づきまして、個別企業に対する補給措置、肩がわりその他の救済措置が実施されます際に、それぞれ企業の現状における問題等は十分いろいろの角度から検討され、それに対応されることと思いますが、あわせて今日までの、つまり過去における企業努力、あるいは労働者の努力というものについても十分評価を行ない、これにこたえるという配慮をも含めてひとつ施策を実施をして、いわゆる正直者がばかをみないというような立場において施策の個別企業への展開というものを実施していただきたいということが第一番の希望でございます。
 さらに第二には、この石炭鉱業再建整備臨時措置法案の国会に対する提案理由を拝見いたしますと、その中に、「この措置の対象となる石炭企業については、今後、長期間にわたり安定的な出炭を継続するため、その再建整備について適正な計画が樹立され、かつ、その誠実な実行が義務づけられるべきである」という考え方が出されておるわけでありますが、われわれがそこで問題としなければならないのは、先ほども灰原参考人が申し上げましたが、炭鉱の労務対策に関してであります。
 すなわち、今日までの長期にわたる石炭政策あるいはいま実施されようとしておる今次のこの抜本策等を通じまして、炭鉱の生産構造あるいは資金経理面等についてはかなり対策が進んできておると考えられるわけでありますが、その反面、炭鉱の労務対策については依然として相当におくれておるということを指摘せざるを得ないわけであります。石炭鉱業の再建のためには生産構造あるいは流通あるいは需要対策等各般のいろいろの近代化施策が進められなければなりませんが、同時にあわせて労務関係すなわち生産の重要なにない手となるところの労働者に対する対策面についても、並行してこれが近代化されていくということでなければならないと考えておるわけであります。ところが先ほども灰原参考人からいろいろこの面の現状が述べられましたが、たとえば賃金、期末手当というような労働条件について見ても、他の主要産業から著しくおくれておる状態でありますし、さらには住宅、医療、保険等を含む生活環境の改善、福祉の向上という面の対策もかなり今日取り残されておるということを指摘せざるを得ないわけであります。
 そこで、こういう労務対策面について相当の改善措置を講じない限り、今後再建のために必要な労働力を確保していくということ、労働者の心底からの再建意欲を結集していくということはたいへんむずかしいことであるし、むしろ不可能とも言うべきことになってくるのではないかというように考えるわけであります。すなわち、先ほど述べた再建整備法の趣旨であるところの長期にわたり安定的出炭を確保するという、このことが、実は労務対策のこういう面からくずれてくる危険すらあるということをわれわれは懸念せざるを得ないわけであります。
 そういう意味から、今回の抜本策の一つにおいて炭鉱特別年金制度がようやく打ち出されまして、今国会の御審議を通じてこの制度が確立されようとしておりますが、これは私ども、内容的にまだまだ不十分でありますけれども、しかしながらやはり画期的な制度であり、炭鉱労働者の労務の定着性を強めるという意味において一つの効果的な大きな措置であるというような評価をいたしております。しかしながら、ただこれだけではなかなか私の申し上げたような問題の解決にはならないと思うわけであります。このような炭鉱年金制度とあわせてさらに賃金あるいは期末手当等の措置についても十分なるひとつ対策が必要ではないかと考えておるわけであります。
 ところが賃金については先ほども言われましたが、再建整備法に基づくところの個別企業の再建計画の中で、賃金、期末手当等を含むところの年収年率七%アップという線で企業の再建整備計画の中に織り込まれておるようでありますが、七%というものが、率直に申し上げて私ども、年々七%ずつ給与が上がっていくということは、必ずしもこれはそう低い措置ではないというふうに考えております。しかしながら、御承知のように今日消費者物価が五、六%も上昇しておるというこういう状態の中で、名目七%というものが、実際これは賃金の向上としてもまことに微々たる措置にしかすぎないということでありますし、あるいはまた今年の各産業における賃金引き上げの解決状況を見ましても、定期昇給のあるところについては、ベースアップと定期昇給を合わせて五、六千円程度の収入アップになっているのに対比して、炭鉱の場合は七%、わずかに千七、八百円ということであります。
 この際申し上げておきますが、炭鉱においては他産業のように定期昇給制度というのがございません。これは炭鉱の賃金形態が一般産業のごとく年功序列型の賃金体系になっておらないということと、そういう面からいわゆる労務の新陳代謝、労働者の新陳代謝面から財源を見つけ出してきて、これで定期昇給制度を実施するということができ得ない状況になっておりますから、そういう意味で定期昇給制度がございません。しかしながら働く労働者から見れば、定期昇給制度であろうとベースアップであろうと、みずからの賃金がそれだけ上がるわけでありますから、所得が上がるわけでありますから、他の産業の労働者との所得の比較という面で言うならば、やはり単なるベースアップではなくて、炭鉱にはなくて他産業にあるところの定期昇給というものも含めて考えるべきであり、そういう意味では他産業の五、六千円というものに対する、炭鉱の場合は七%というのは千七、八百円にすぎないという状態であります。先ほど申し上げたような物価上昇の今日、さらに他産業のそういう状況の中で、七%程度の賃金アップということであっては、ほんとうに炭鉱の労働者がやる気になって、本気になって働いて取り組んでいくというような態勢に持っていくことはきわめて困難なことになってくると思うわけであります。
 そういうような面を考え、何とかこの面の打開をしなければ、炭鉱における必要な労働力を確保して再建をしていくということが不可能ではないか、こういう立場から、われわれは過般の賃金交渉に当たりましても、きわめて遺憾なことでありましたが、やむを得ずストライキという事態にまで発展していかざるを得なかったわけであります。幸いにしてその賃金交渉におきましては、石炭局長等の非常な御努力と政府のバックアップ措置によりまして、計画化されておりましたところの七%のワクというものをきわめてわずかではありましたが打ち破って解決を見ることができました。しかし、この賃金交渉の際に明らかになったことでありますが、今後この石炭鉱業再建整備臨時措置法に基づいて、各個別企業に肩がわりその他の補給措置の実施展開がなされる前提として、各個別企業ごとの再建整備計画がつくられ、この再建整備計画が石炭鉱業審議会の資金経理部会あるいは資金経理審査会ですか、そういうところで相当厳重な審査を経て初めて国の補給措置が実施をされるということになってくるわけでありますが、そういう経理審査会等における個別企業の再建整備計画の審査段階において、賃金、期末手当等を含むところの給与面の改善措置について、七%という頭打ちが非常なる拘束、強い拘束性を持っておるということが明らかになってきておるわけであります。先ほど申し上げたように名目的な七%程度の措置では、いまやこういう状況の中でどうにもこうにもならないわけであります。しかも経営的には今日の状態の中でそれ以上にこたえるほどの力もありませんし、加えて今後、再建整備措置法等に基づいて国からの個別企業に対するいろいろな施策を求めようとする際に、実は賃金等に対する措置の七%というものが頭打ちとなり、強い拘束を持っておるわけですから、それ以上に上げることはできないということになってくるのではないかと思われるわけです。
 そういう意味において、私どもはひとつそういう面についての関係者の十分なる御配慮のもとに、もう少しこれを改善できるような、他産業と同じような相場に、他産業における賃金の引き上げと同じ程度のものまで引き上げられるような措置が、今後検討されるところの個別企業の再建整備計画の中でもって十分配慮をされるべきではないか。同時にまた、そういう配慮のもとに国が石炭政策のいわゆるアフターケアとして、今後の政府予算の審議その他適当な機会にいろいろ直接のバックアップ措置を施してもらいたいし、施すべきではないかというように考えておるわけであります。
 さらにもう一点、これも先ほどの参考人の意見と重複をいたしますが、賃金と同じような性格にある期末手当問題について一言触れてみたいと思うわけであります。炭鉱の期末手当は、先ほども申し上げましたように、最高のところで四万三千円程度、中小炭鉱に至っては実に二万円以下というところがたくさん今日あるわけであります。ところが、私、つい先日、失対労務者関係の夏期手当あるいは年末手当と称する期末手当についてその実情を調べてみましたところ、昨年の暮れには神奈川県の失対労務者の場合に、国からの支給分と、それから県、すなわち地方自治体からの交付分と両方合わせまして、四万五千五百円になっておる。東京都の場合には、同じように国からの二十・五日分と、加えて失対からの補給分と合わせまして、これは区によって違いますが、一番低いところで三万七千円、高いところで五万七千円という期末手当をもらっておる。炭鉱の場合は先ほど申し上げましたように、一番高いところで四万三千円という程度、低いところでは二万円以下のところは中小炭鉱にざらにあるということでありまして、これではほんとうに炭鉱の労働者がやめていっても、たとえば失対労務者になったところでこれぐらいもらえるのだからというような考え方も出てくるでしょう。同時にまた、私ここで具体的には申し上げませんが、失対労務者と炭鉱労働者との、特に炭鉱の坑内労働者との労働態様、作業態様の違いというものは、私たち申し上げなくても、先生方十分これは御想像つくことだと思いますが、そういう炭鉱の労働者の期末手当がこの程度の状況でありますから、これではほんとうに炭鉱が必要とする労働力を確保して、そして同時にそのそれぞれの労働者がほんとうに腹の底から、しっかりがんばってりっぱな炭鉱をつくりあげていくんだというような再建意欲に目ざめていくような、再建意欲を持って取り組んでいくような、そういう態勢をつくりあげていくということが非常に困難になってくるのではないか。こういう面についての相当なる改善措置というものがなされていかない限り、他の面において幾ら近代化施策が進められていったとしても、ほんとうに再建整備措置法に言うところの長期にわたって安定的に出炭を確保していくという、そういう態勢が炭鉱でつくられるかどうか、非常に私ども疑問にすると同時に、その事態を懸念せざるを得ないわけであります。
 こういう意味におきまして、私お願い申し上げたいことは、いままで申し上げましたような労務対策面におけるおくれ、この面についての措置が今後の石炭産業再建対策上きわめて重要な問題であるということについて、諸先生方も御承知のところと思いますが、十分ひとつ御理解をいただきまして、今後の再建整備措置法等の運用にあたって、これらの改善措置が十分織り込まれ、同時にその実現を可能とするような政策のアフターケアを実施していただくように、国会の場においても格段のひとつ御努力をお願いしたいと思うわけであります。
 最後に、私どもは今日までも、真剣に石炭産業の苦しい中でがんばって続けてまいりましたし、今後も、いま苦しいけれども皆さんがしっかりがんばってやっていけば、必ず石炭鉱業の未来は明るいものになる、われわれが希求するような魅力ある炭鉱が実現されるということで、働く者労働者一人一人にもそういう希望を持たせて、またわれわれ労働組合の姿勢そのものもそういうところに置いて取り組んでまいりましたし、今後も取り組んでいく決意でおります。しかし、ただそういう精神的なわれわれの組合に対する説得のみではなかなか問題の解決にはならないわけでありますから、われわれの取り組むべきそういう決意、意欲とあわせて、全炭鉱の労働者に訴えていくそういうわれわれの説得と、それに加えて労働者がほんとうに身に感じ、はだに感ずるような具体的な労働条件の向上施策というものを、ぜひとも今後の石炭対策上の、言うならば長期にわたって安定的に出炭を確保していくための重要な対策という立場において、これらの点をぜひとも御検討願い、対策の御考慮を願いたいということを最後にお願いを申し上げまして、きわめて簡単でございましたが私の意見にかえたいと思います。
#10
○委員長(鈴木壽君) 次に全国炭鉱職員労働組合協議会事務局長遠藤一三君。
#11
○参考人(遠藤一三君) 炭職協の遠藤でございます。前の四人の方々がるる述べられましたのでございますが、せっかくの機会でございますので、多少重複する面もあろうかと思いますが、二、三の問題点につきまして述べさせていただきたいと思います。
 まず最初に、今度の石炭新政策をわれわれはじめ一般組合員がどう受けとめておるかということでございます。抜本策と言われておりました答申、そしてそれに基づいた新政策、そしてこれに基づく初年度の予算だけに、私どもとしましても諸先生方あるいは政府当局にもいろいろとお願いをし、また期待もしていたのでございます。しかしながら、端的なあらわれ方としまして、今次賃金交渉で見られるごとく、政府首脳の方々にいろいろ御努力をなさっていただいたにもかかわらず、他産業では一二%から一三%と上がっておるのに対しまして全く遊離しました七%で押え、管理炭鉱におきましては三%ということでありましたのですが、このことは予算的には五百二十一億という膨大な予算でございますけれども、その内容につきまして、施策がほんとうに抜本策にふさわしいものかどうかということになりますと、この点私ども幹部はもちろんでございますが、一般組合員も抜本的なものではないというふうに非常に失望しているというのが実態でございます。いな、これまでの激しい合理化、すなわち十年前と比べますと炭鉱の労働者数におきましては、昭和三十二年のときには二十九万八千名、それから炭鉱数におきましては八百二十、能率は一四・六トン、出炭は五千三百万程度と、こういう規模だったわけでございますけれども、現在では人員は九万六千名、三分の一でございまして、炭鉱数にしては二百以下ということで四分の一、それから出炭は横すべりの大体五千三十万トン、それから能率にしましては四三・八トン、これはまさに三倍ということでございまして、答申を出されました政策メンバーの諸先生方も同情するほどの、過酷なまでの合理化の体験を経てきた人たちに対する抜本策というものはこういうものなのかということを思いますと、失望というよりかは、むしろ憤りを感ずるというのが私どもの真意でございます。
 このことは、五百二十一億という多額な予算とは言いますが、企業収支に関係するものにつきましては約二百億、それから当面の五千万トン確保を前提としてのビルド対策費が百二十数億と、こういうふうに少ないわけでございまして、これらの施策をもってしても、なおかつトン当たり二百円程度の赤字だといわれておりますが、これは企業の背景が根底に横たわっているからでありましょう。さらにまた、今後の展望を見まするに、物価それから運賃、電力料金、それから異常な貯炭でございますから、貯炭の維持経費の増大、それから賃金など、コスト要因は上昇の一途をたどることは明らかでございます。反面、炭価は据え置き、むしろ低下しつつあるのではないか。さらにはまた今後の生産能率等をいろいろ考えた場合、企業のみの努力ではなかなかこのコストアップを吸収し得る状態にはないということもまた明らかではないかと思う次第でございます。したがって、先ほどから労働側の代表からいろいろ言われておりますが、企業再建の原動力でありますところの労働力の確保、それからさらには生産意欲の高揚をはかるためにも、社会性に順応した賃金であること、さらには石炭産業のビルド対策に重点を置いた真の抜本策にふさわしい諸対策を講じていただきたい、こういうふうに心からお願いする次第でございます。なお、これまでの対策が常に時期おくれという感もいたしますので、補正もしくは明年度の予算で思い切った抜本策を講じていただきたいとお願いする次第であります。
 次に需要の確保についてでございますが、鉄鋼の好況からして原料炭につきましては当面問題はないようでございますけれども、問題は一般炭でございます。一般炭の大口需要先である九電力につきましては二千百三十万トン、それから電力計としましては二千五百四十四万トンの需要計画で昨年よりかは約二百万トン程度の増が見込まれておるわけでございますが、反面、いわゆる政策需要以外の一般炭の需要は答申時の見通しよりも百六十五万トンも減退をする見通しでございます。ちなみに四十一年と四十二年の二年間でこの一般炭の減退が五百六万トンにも達しているということは、私どもは重大な問題として取り上げねばならない、こういうふうに考えております。
 その内訳を見ますと食料品あるいは繊維、紙、パルプ関係が百二十五万トン、それから化学重工業が百十二万トンで、この二年間で約二百四十万トンのものが減退をいたしているということでございますし、今後、重油ボイラー規制法の失効等の関係から、こういう傾向はなお拍車をかけるのではないかというふうに予想されますし、また一般炭のうちの暖厨房炭につきましては四十年度までには幾らか増す傾向であったわけでございますけれども、重油の進出によりましてこれも年間三十万トンの減退をしてきた。四十一年、四十二年では三十万トンの減退、さらに今後もこの減少傾向が続くことが予想されます。結局四十五年度時点では答申よりも少なくとも二百万トン程度減退の方向で狂うのではないか、こういうふうに考えられますので、緊急な対策が必要であろうというふうに判断いたします。
 一方、貯炭のほうでございますけれども、先ほど麻生会長さんのほうからるるお話がございましたけれども、ことしの三月で千三百十五万トン、それから明年の三月ではおそらく千四百万トンに達するでありましょう。ひいてはこのまま推移するならば、四十五年には千五百万トンとなることも予想されますので、この面は資金繰りあるいは企業収支に重大な影響を与えることは明らかであります。したがって、このようなことは不十分とはいえ、せっかくのビルド対策を無にすることでもありますし、また生産意欲の減退にも波及する問題でもありますので、そのうち特に貯炭の特定会社への片寄りは政策の破綻をもたらすものでございますから、ひとつ貯炭対策というものは最重点項目として御検討をお願いしたい、こういうふうに考える次第でございます。
 対策としましては、一応一般産業への需要拡大というものはなかなかむずかしいわけでございますから、勢い政策需要の拡大ということにならざるを得ないわけでございまして、昨年国会で御決議いただきました電発火力の三基増設を早期に御決定願いまして、そうして着工に移していただきたい、こういうのがお願いでございます。また一般産業につきましても、電力用炭と同じような形のもので奨励金制度というものも御検討をひとつお願いしたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 それからこれは政府に対するお願いでございますけれども、業界の努力としましては暖房用炭の販路の拡大、こういうことをひとつお願いできぬものだろうか。一つには燃焼器具の改良を推進する。石油のほうではポット式という新しいストーブがどんどんできておるわけでございますから、石炭のほうでも機器の改良を行なって、そうしてPRをし、アフターケアもするという態勢も必要ではないかと思います。それから、おもに北海道関係でございますけれども、今度は関東、北陸、東北方面までひとつ新規需要開拓を行なうための調査なり、あるいはそういう班をつくっていただいて、そうして積極的に暖房用炭の確保につとめるべきではないかと、こういうふうに思います。あわせてこれらに対する行政指導なりあるいは資金的な援助なりもお願いいたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
 次に貯炭でございますけれども、何といっても、いま急にこの貯炭を解消するという見込みはないわけでございますので、こういう貯炭が資金繰りあるいは企業収支に重大な影響を与えますので、ひとつ無利子の貯炭融資なり、あるいは安定供給というたてまえから三百万トンないし四百万トン前後のプール貯炭ということもひとつ考えてはどうかというふうに考えております。
 次に保安対策でございますけれども、三池の大災害あるいは山野、一昨年ですか起きたああいう続発した大災害はこのごろ起きませんので、非常にこの面は喜ばしいことでございます。しかしながら、頻発災害による死亡者なり重軽症者はあとを断たないわけでございます。昨年の実績でございますけれども、死亡者は何と四百三十六名ということでございますから、二日に三人は殉職されておる、こういう状態でございまして、重軽症者は昨年の統計によりますと約四万五千人、一稼働日当たり百五十名がけがをしておる、こういう実態でございます。頻発災害に対します対策は、いろいろ保安局を中心にして検討しておるわけでございますけれども、なかなかこれだというきめ手はございません。しかしながら、その背景としまして、やはり一つには貧困した石炭産業の暗雲ムードというものがただよっている限りはなかなか明るい職場なりそういうものはできないわけでございますから、こういう精神面のものを払拭する意味においても、先ほどお願いしましたような収支の改善なり企業の改善というものをひとつやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 それから災害につながる問題としまして、もちろん賃金の問題もございますけれども、基本的な技術の面が欠けておる面も非常に災害の原因として私ども見受けるわけでございます。それからモラルの欠けているところも確かにございます。したがって、これらについては何といっても徹底した保安教育を通して改善をしなければなかなか直らないのじゃないかというふうに考えております。幸い保安局等の御努力によりまして、ことしは九州、北海道に半分ずつ、来年は常磐にもということで保安センターの設置が一応決定を見ているわけでございますけれども、どうかその保安センターを設置しても、今後の運営につきまして、なかなか企業からは人は出せない、そういう面が危惧されますので、そういう運用の面についても当局あたり、あるいは諸先生方の側面的な御援助もひとつお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、災害の原因になっておりますのは、やはり労働時間の問題、もちろん年齢構成の問題もございますけれども、労働時間の問題も取り上げなければならぬじゃないか、常時生産体制としましては二時間残業、いわゆる一日当たり十時間労働、いな十二時間労働をやっているところもございますものですから、炭鉱労働者の平均年齢が四十歳というふうに言われておりますので、やはりこの面からもひとつ保安対策にメスを入れまして、十時間あるいは十二時間働かなければやっていけない山の実態でございますから、こういうことを政策の抜本的な素材として取り上げてもらって改善をしていただきたいと思います。
 次に経理規制の問題でございますけれども、国家の資金が非常に企業にいくわけでございますから、当然経理規制というのは厳重であるというふうに考えます。ここで、私どもは職員でございますから、何とか石炭産業というのはこれより飛躍的な発展はないわけでございますから、横ばいという形でございますから、他の仕事なり事業を起こして、そして企業を繁栄させる、こういうことでいかなければならないと思います。したがって、いままでの、いわゆる傍系の会社をつくるとかなんとかいっても、非常にちゃちな事業でございますので、どうかひとつがっちりした大規模な事業をつくっていただきまして、これからもいろいろ流通機構の問題とかで合理化が推進されるでしょう。その人員を引き取るためにも。そして共存共栄のためにも、ひとつ寛大な措置あるいは特別な措置を講じていただきたいと思います。
 以上、簡単に申し上げましたけれども、何せいま一番私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、失望という感度が非常に強いわけでございますから、ひとつ今後当面の目標でございます五千万トン、さらには四十五年ごろには五千二百万トン、将来的には五千五百万トンという石炭の位置づけをなされまして、そしてこれは国の恩恵的なものではなくて、国の要請として受けとめられるような国の姿勢、こういうことが確立されるならば、私どもも炭鉱マンとしまして誇りを持って、そして将来に明るい希望を持って働けるもんだと、こういうふうに考えております。簡単でございますが、意見にかえさせていただきます。
#12
○委員長(鈴木壽君) 以上で参考人各位からの意見の陳述は終わりました。
 これより参考人各位の御意見に対する質疑を行ないます。
 質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#13
○大矢正君 麻生さんに二つほど私お尋ねしたいと思うんです。実はこの法律案がこの委員会に本付託になりましてから若干の質疑はいたしましたけれども、私実はまだ一度も質問してないわけです。あす委員会を開く予定でありますから、あすは井上局長、大臣その他とこの法律の内容、そして効果等について十分議論をいたしたいと思いますし、それからこの再建整備臨時措置法というものは予算と並んでこれからの石炭対策の、いわば骨格となるものだと、私はそういう判断をしているのであります。なぜかといえば、なるほど合理化臨時措置法はありますけれども、しかし再建計画というものを提出させて、その再建計画というものが妥当なものかどうかということの判断を通産省がされて、もしそれが将来ともに妥当なものでありとすれば、その前提に立ってあらゆる措置が生まれてくるわけであって、私はこの法律は単なる肩がわりの措置ではなしに、石炭企業というものの、言うならば生殺与奪の権を握るような、まことに重大な内容がこの法律の中にあるという解釈を私自身はしているわけです。
 そこでそういう点はあした大いにやりたいと思うのでありますが、ここでその本質的な問題でぜひ私麻生さんの御意見を承りたいと思いますことは、結局のところ、この長期の計画を立てて、それが認められるかどうかというまず第一の段階で、通産省の監督的な行政とあり方というものが出てまいりますね。それからそれの実施の段階では、今度は生産あるいは技術それから流通、そして最も大きな問題としては、その経理について監査をしなければならないと、こうなっているわけですね。監査ができるということであればやらなくてもいいから、これはけっこうですが、監査をしなければならないというふうにもう義務づけているわけですね。私はここらあたりが非常に問題点として残るのではないか、言ってみますると、これは会計検査院の監査が一つあり、そして通産省の監査が一つあり、合わせて二つの監査をくぐらなければならぬということにもなるわけですね。
 そこでいまの石炭産業というものが一体どういう立場にあるかといえば、私は今日の自由経済のもとにおける私企業では当然ない、特にこの法律ができ上がればなおさらのことである。しかしさればといって国家管理であるかといえば、まあ見ようによってはそういうことも言えるが、そこまでもいっていない。とすると、その中間だということしか言いようがないわけですね。そこで私は政府が国家管理にしないということの一つの考え方の前提というものは、中身で若干の問題はあっても、その体質においては私、企業が持つ、たとえば創意なり、くふうなり努力というものを生かすものがやはりあるから、こういう形のものでやろうとしているのだと、私こう思うのです。
 といたしますと、そこに矛盾する問題が出てまいりますのは、いま申し上げたように、特に経理面における監査というものが義務づけられて一年に一度か二度か、あるいは場合によっては立ち入り検査権によっていつでもその会社の経理の監査ができるんだと、そしてまたしなければならないんだということになりますと、これが行き過ぎたらそこに私企業としての創意や、くふうや努力というものが生まれてこない危険性が出てくるのではないかという心配を私はするのです。もちろん私は社会党ですから、国家管理ないしは国有化をすべきであるという原則を持っております。しかしいまここでその議論をしても、これは歯車がかみ合いませんから、そういうことを一応よけておいて、現状の段階で議論をすれば、私は私企業の持って生まれた使命なり、そしてその効果なり、そしてまたそのよさというものがどうしてもこの法律では規制される。なるほど一千億にのぼる膨大な金の肩がわりをするのでありますから、国としても何らかの措置をしなければならぬことはわれわれとしても当然考えなきゃならぬことではあるけれども、これが一歩誤ると、結局のところどうなるかといえば、働く者は営々として努力をする、経営者も一生懸命になって真剣にやる、やって何とかかんとか黒字を幾らかでも出した、出したがその金は、その利益は勝手に処分しちゃいけない、その金は政府が吸い上げるぞと、こういうことになったら、はたして、そこに経営者それから労働者の、その双方の企業内における努力や意欲というものがわいてくるかどうかという疑点があるわけです。
 それからもう一つの問題は、私が心配するのは、たとえばこれに該当する炭鉱というのは三分の一とか四分の一とかという限定されたものならば別でありますけれども、特殊の炭鉱を除いてはほとんど大部分がこの法律の適用を受けることになるわけですね。そうすると、通産省というものは全部の企業の会社の経理の実態だけではない、労働者に賃金を実際は幾ら払っている、たとえば七%賃上げはした、しかし実際幾ら払っているんだ、残業は幾らさしているんだ、福利厚生面でどれだけ金を使っているんだ――ということを全国全部つかむことになりますね。そうすると、お前のところはこっちと比べると高いから、これは下げて、もっと黒字を出しなさいとか、あるいはお前のところは、低いところは上げろと、そういう意見ならいいけれども、高いところは下げなさいと、そういうような意見が当然出てくる心配を私はするわけですよ。
 しかし、そうは言っても、何もなくてもいいかといえば、そうは私はいかぬと思いますから、何らかのものは必要であるけれども、これを実際に運用するという段階になったら、やはり運用するものは相当なその面に対する、なぜ国家管理ではいけなくて、私企業の形をかりた今日のものをやるのかというその意義を十分監督行政にあずかるものが考えない限り、私は逆に石炭産業をつぶしてしまう危険性すら生ずるのではないかという心配をひとつするんですが、まずこの点について伺いたいと思う。まあ簡単にほんとうは質問すべきなんですが、私の考えていることを申し上げて御意見を承ったほうがよいのではないかと思いまして、実はまず第一点質問したわけであります。
 それから、もう一つだけでやめますが、もう一つは、先ほど炭職協の方の御発言もありましたが、需要の確保というものがあらゆるものに優先をするわけですね。売れない石炭を幾ら掘ってみたって意味がないのであって、労働力が不足だというのも、結局のところは、炭を堀って売りたいからだし、売れるから労働力を必要とするわけです。結局今日の経済構造の中にあっては売ること、売れることが第一条件ですね。
 そこで、私は今度の予算の中では、たとえば鉄鋼あるいは電力、電発も若干ありますけれども、負担増対策として多額の金を出しております。なるほどこの分野におきましては、ある程度の需要の確保は当然はかられてまいると思いますけれども、しかし、四十一年度の需給計画を私は克明に業種別に拾ってみますると、たとえばガス――ガスはこれは原料炭でありますから若干性格は異なるといたしましても、国鉄あるいはまた食品製造、繊維それから豆炭、練炭あるいは暖厨房用炭というところで、軒並み需要が減退をしております。これは去年だけの現象ではなしに、おそらくこれからいくとまだまだ落ちていく心配があります。何にも増して私が第一番に必要なことは、やはりいかにして需要を確保するかということの前向きの姿勢と態勢と政府の施策だと、こう思うのです。
 なるほど近く、すでに稼動しているところもありますが、電発の火力も動き出しましたから、そういう面について一般炭の需要が若干伸びることは期待はできても、それを上回る、電力を除く一般炭を使用する業種の需要の減退というものが非常にこれから脅威なんですね。ですから、私は考えてみまして、やはり政府がもっと前向きで、つぶれた山に金を出す、鉱害を起こしたら鉱害対策に金を出す、山の労働者が首切られたら離職者対策でもって五十億円金をくれてやるというような、そういう方向だけではなしに、どうして、もう少し前向きに、いかにして需要確保するためにどうするかということで頭を使わないのかということを常々私は強調しているわけですがね。
 ですから、たとえば負担増対策の問題にしたって、電力や鉄鋼に限定をしないで、もっとやはり幅を広げてやるとか、あるいはまたかりに油を使う場合と石炭を使う場合で、その設備というものが、金がよけいかかるとかいうような場合でありましたならば、低利の金を融資するかわりに、その金利の差は、たとえば石炭特別会計の中でこれを負担してやるとか、いろいろそういう前向きの姿勢が私は必要ではないかと思うんでありますが、しかし、私がここでこういうことを申し上げても、おそらく麻生さんは、いま法律は通っていないのだから、その段階で、この対策ではとても石炭は生き延びられませんよということは言えるはずでもないし、また言うべきでもないと思うから、おそらくまともなお答えはできないと思うが、事、需要に関してのみは私は関心を持つという意味において意見がおありになるのではないかと思うし、かりにここで麻生さんが御意見を述べられたからといって、われわれはそれじゃ、あしたこの法律案は通さないとか、あさって通さないとかということを言うわけじゃないのでありまして、ひとつお答えをいただければ幸いだと思います。
#14
○参考人(麻生太賀吉君) いまの御質問、二点あったように思います。最初のほうのからお答えいたしますが、これは先ほど私のことばが足りなかったのかもしれませんが、先ほど一番最初に述べましたときに、この法律でもって角をためて牛を殺さないようにしていただきたいという一語に尽きておるわけでございますけれども、私どもといたしまして、これからこういう私企業に対してこれだけの大きな国民の負担をする税金でもってめんどうを見ていただく、政府資金でもってめんどうを見ていただくということになるなら、政府の監督のあるのは当然だと思います。しかし、そのあり方というものについては、いま大矢委員がおっしゃったように、いろいろ心配いたしておる点は多々ございます。これは、これからの監督官庁と申しますか、お役所の、政府の良識によってそういうことが起こらないようにしていただく、まあ起こらないものだと、こういうふうなことになると、こう思います。御心配の点は私は同じ心配をいたしておりまして、よく御理解をいただいて感謝しておるわけでございます。
 需要の問題でございますが、これは現在やはり一般炭のほうが問題だと思います、原料炭よりも。で、これも先ほど一番最後に触れました、この法案が通りましたあと、この法案を骨格として、その上にアフターケアをお願いしたいということで、先ほど申したように、需要の問題もちょっと触れたのでございますけれども、やはり私は一般需要と申しますとちょっと――御承知のことでございますから私から申し上げるまでもないことと思いますが、ヨーロッパ、ドイツとかイギリスの石炭と油の値段は大体合っております。そして、その上に乗っての市場での販売をやっておるわけでございます。日本の場合、石炭の値段と油の値段との非常な違いがあったままで動いている。そして、大きな政策需要である電力であるとか鉄において、大体負担増対策でやって、一般の企業にはないということでございます。考えようによると、逆の形のほうがよりいいのじゃないかと思うこともあるわけで、現在はそういう状態で、無理を願って大きなところに、大口のものに非常にウエートを置いてやっていただいているという政策がとられていると思いますが、いまの一般需要を何とかふやそうといたしますと、やはりこの価格の問題を少し考えていただかないと販売といたしましても非常にむずかしい。
 そこで、やはり政策需要というものを一般炭についてはふやしていただくというお願いになるわけでございますが、この前から、電発の火力をもっとふやすという話も出ておりますが、それもございますが、私といたしましては、もう少し石炭の出ますところでございますね、運賃をかけないところで電力にするということをもう少し考えていただけないか。例をあげますと、三池、常磐という二カ所になるかと思いますが、こういうところで東京電力なり、九州電力がやると申しますか、場合によっては地元と、大牟田は三井グループ、常磐には共同火力というものが現在あるわけでございますが、こういうものを各自持っていくというところの需要増というものを考えていただくと、私はいまよりか――結局、電発火力をつくりましても、今後つくるということになりますと、この五百億のワクの中で、その建設のある程度のお手伝いをするということになるわけでございますから、それのなるべく少なくてできるものと考えますと、やはり現地につくっておる共同火力の形でつくっていくという形にすることが一番目先の政策需要と申しますか、一般炭の需要をふやす方法としてはいいのじゃないか、こういうふうに考えております。
#15
○小野明君 大体大矢委員の質問したような点で私も疑問を持っておるのでありますけれども、この再建整備臨時措置法なり、あるいはこの石炭対策特別会計と、こういったものによって抜本策になり得るかどうかという点で、非常に私も疑問を持っているのであります。その疑問のあります点は、先ほど麻生さんが言われましたように、非常な貯炭量。昨年から、この点については全然減っておらぬ。減っておらぬどころか、むしろ増加の傾向にある。こういう点で、おっしゃるように、やはり政府の需要対策というものが不徹底に終わっている、こういう欠陥があるように私も考えるわけです。当面はそういった三池なり、あるいは常磐に電発火力を拡充、あるいは新設をするということで補えるかもしれませんけれども、あるいは流通対策としては、さらに貯炭の問題に対処する恒久的な対策、案というものが要るのではないかということが一つであります。
 それからいま一つの問題は、各産別に軒並み石炭のウエートがずっと下がっており、逆に油のほうがずっとウエートが上がっておる。このまま推移しますと、野放ししますと、これはたいへんなことになるのでありますけれども、昨年の、おたくから出ておる「石炭時報」を見てみますと、昨年の輸入炭というのは最高であったというわけですね、いままでの。数字でみますと、千九百五十一万トン程度になっておるわけですね。これはまあ無煙、瀝青と、こうなるのですが、原料炭なんですけれども、この点が、当然鉄鋼がうんと使わなければならぬのに、輸入炭にたくさんウエートをかけておる。国内炭を多く使わなければならぬのに、外国炭がいままでの最高の輸入を示しておる。こういった点について御意見を伺ってみたいと思うのであります。
#16
○参考人(麻生太賀吉君) いまの輸入炭の問題でございますが、これは少し申し上げておかないとおわかりになりにくいかと思いますが、輸入炭は一般炭はゼロでございます。原料炭、特に強粘結炭がおもで、次に弱粘結炭と、この二つだけでございます。昨年の場合も、それは鉄鋼があれだけ伸びたのでございますので、国内炭だけではまかないきれないわけでございます。それで、ああいうふうに輸入炭がふえておりますので、輸入炭が弱粘、強粘がふえたために国内の弱粘炭が出炭を押えられるということは、あまり影響しておらないわけでございます。国内の弱粘炭は、現在でも、ことしも相当の輸入量になりますが、それをされても、国内炭だけではまだまかないきれない。最近また弱粘炭が足りないで、鉄鋼で輸入するという話も出ているくらいであります。これは歴史的に見まして、昔、戦争前は満州、中国から全部輸入していたものでございます。国内にない炭は、先ほどおっしゃった数字の半分くらいでございます。あとは国内にもございますが、国内でまかないきれないものを豪州なりカナダから持ってきている、こういう数字でございまして、いまの貯炭のふえているものは、先ほどお話の出ました一般炭の貯炭がふえている、こういうふうに御解釈願ったらいいのじゃないかと思います。
#17
○西田信一君 ちょっと、麻生さんにお尋ねする時期じゃないかもしれませんし、あるいはまた当を得ないかもしれません。ただ私は、新聞で読みましたので、直接大槻さんにお尋ねすればいいのかもしれませんが、新聞に出ておりましたね、私はこの間、実は石炭産業の再建整備のために、抜本策といっても不十分かもしれませんが、とにかくことしを初年度としてスタートを切るわけです。不十分ならば、さらにその内容を充実していく必要があると思うのです。それにあわせて、私は石炭産業が十分再建できるような充実された政策というものが必要だと思うのですけれども、しかし、こういう政策をやる上に、この間も実は質問の中でちょっと触れたのですが、社外投資をあまり厳重にやり過ぎてしまって、政府の規制が強過ぎるというと、ときには――社外投資にもいろいろあります。ありますけれども、有効な社外投資はあまりよう縛らんほうがいいのじゃないかという意味の質問をしたわけです。ところが新聞に、石炭産業の再建、その生きる道として、海外のウラン鉱の採掘をやることが、非常に石炭産業にいいという話が出ておった。あれは大槻さんだけの構想かもしれませんし、あるいは石炭業界全体としてそういう研究をされているのかどうか。ちょっと新聞を見ましたから、これはきょう麻生さんにお聞きするのはどうかと思いますが、ちょっとお聞きしたいわけです。
#18
○参考人(麻生太賀吉君) いまの御質問でございますが、それは確かにそういう話は、私どもで寄り寄りいたしている話でございます。ただ、業界が全体としてどうこうということをきめているわけではないのでありますが、ただ一番ああいうものは、ちょっと普通の金属鉱山と違って、石炭に近い鉱でございます。そういう関係上、技術屋としては私ども石炭業界が一番持っている、こういうふうに思っているのです。そういう関係で、先ほど社外投資とおっしゃいましたが、社外投資をウラン鉱にするだけの金の余力が石炭業界にあるかどうかは問題でございますが、そういう一つの技術的なものは石炭でやりたい。極端なことを考える方は、ひとつウラン鉱を掘る日本での、何と申しますか、権利といったら語弊があるかもしれませんが、石炭業界はこれだけ持っているのだから、石炭業界の者にやらしてくれといったようなことを言いたいものだというような方もございますし、いまこれは誤解のないようにお願いしたいのは、業界の中で、大槻さんの名前が出ましたのですが、全員でどうこうという協議をしている問題ではございませんが、やはり大きいところで、技術屋をたくさんお持ちになって炭鉱が縮小してきたというようなところ、それからまた原子力の関係でいろいろございますが、石炭会社の幹部の方はお考えになるでしょう。私もその話の中にはやはり入って伺っております。しかし、具体的にどうこうということじゃございませんので、それはさっきお話の出ましたように、社外投資のどうこうということもございますが、持っている技術屋をもっと有効に使いたいということにウエートがあって始まっていると御解釈願います。
 それからお話のございました社外投資も、先ほど大矢委員の御質問と同じように、これはあまり窮屈に縛られますと、やはり有効に会社の運営ができないという問題にからむと思います。これもやはり先ほどの話と同じでございますが、角をためて牛を殺すようなことのないようにお願いしたいと思います。
#19
○小野明君 麻生さん、先ほど二つお尋ねしたのですけれども、貯炭の対策のほうは三池なり常磐でひとつできればいい、こういうことなんですけれども、やはりこれだけの貯炭がありますと、一般炭が五百五、六十のウエートを占めると思うのですけれども、それまでの間一体どうすればいいのか、こういう問題がありますので、流通問題も含めてお尋ねしたいのと、立ったついでに、今度は参考人の皆さんにお尋ねしてみたいと思うのですが、これは、これほどの援助になりますと、もう私企業の限界をこえているという感じを持つわけです。そうしますと、国有、公社、公団運営というようなものが当然考えられる。それへ至る一つの過程というような見方も成り立つのではないか、こういう感じを持つのであります。したがって、前回麻生さんが衆議院でお述べになった議事録を読みますと、それには前提が幾つかございます、こういうふうに言われているようなんですが、そういった国有に持っていくための前提等について、お考えがあればあわせてお述べいただきたい。あるいはいまお尋ねいたしました国有問題について、植田さん、灰原さん、早立さん、遠藤さん、それぞれ御意見をいただきたいと思います。
#20
○参考人(麻生太賀吉君) 先ほどの御質問に一つ忘れました。失礼いたしました。
 貯炭はやはり非常に私ども持っております。貯炭といたしましては、業界としては三百トンそこそこが適当だと思っております。これはひとつランニングとして、業界で持つべきものだと思いますが、いまみたいに五百万トン、六百万トンというようなことになりますと非常に大きな負担になります。私どもとしては今後お願いして、共同貯炭と申しますか、この貯炭をいまは全部われわれの自腹と申しますか、市中銀行の金融でもってつないで、高い金利を払っておいておりますが、もう少し安い金利を使わしていただくように何か考えてもらいたい。共同の貯炭をしていくといって、これはやはりいままでと違いまして、ずいぶん大きな、電力会社の二千万トンというような数字を持つわけでございますから、やはりそれに対する貯炭はいままでの三百万トン、われわれ持ちます貯炭以上、やはり二、三百万トン持ってもいいんじゃないか、こう思います。ただ、いまの会社の経営内容では非常にこれは大きな重荷になってまいりますので、それについては今後もまたいろいろなことをお願いしていかなくちゃならないのじゃないか、こう思います。
 それから第二の御質問。衆議院では確かに現段階では私はその時点でないというふうに申し上げておったわけでありますが、いまのところ政府のお考えになっておりますように、現在は私企業の限界を越えているというお話もございますが、限界のぎりぎり一ぱいのところだろうと私思っておりますけれども、いまのところはいまの形で進んでいくというのが私はやはり一番いいかもしれない、こういうふうに思っているというふうにお答えいたします。
#21
○委員長(鈴木壽君) それではどうですか、植田さん、灰原さんというふうに、こういう順序でやっていただいては。植田参考人。
#22
○参考人(植田勲君) さっきの話の国有とかあるいは国家管理の問題でございますが、どうしても国で五千万トンなら五千万トン、五千五百万トンなら五千五百万トンを必要とするというのでありまして、そういう前提がありますと、やはり民間でやるとすれば、どうしてもここに利益配当とかいう問題が起きてきますから、どうしてもこの抜本策、この政策でやっていけぬようになった場合はやはりそういう方向に、国有民営とか、この前衆議院のほうで、北海道の舟橋さんがちょっと言いましたが、そういう方向もやむを得ぬのじゃないか、私たちもそう考えております。どうしても私企業でやっていけぬようになれば、それで国がどうしても五千万トン必要とするということでございますればやはり国有民営の線というような点がいいんじゃないかというような考え方も出てくるんじゃないかと思います。これは一応抜本策でございますからこの方向にいって、それで、将来はそういう方向もやむを得ぬのじゃないか、どうしてもやっていけぬ場合ですけれども。そういう考え方でございます。
#23
○参考人(灰原茂雄君) 政府がたくさん金を出してめんどうを見る、そうして、もうかったら政府に返せと、それから労働者のほうでいうと、賃金はもう世間並みの半分の相場でがまんしろ、それから命の保障や健康の保障もなかなかできない、そういう石炭産業の状態の中で、石炭は要らぬ、外国の石油を全部使いますということなら別ですけれども、いまの植田さんもおっしゃったように、ある程度の、五千五百万トン程度の石炭はどうしても国内で保有しなくちゃならぬ。需要もほんとうに全能力を発揮すればいろいろと方法はある。石炭の使い道はあるのだ。たとえば、スラリー輸送とか、あるいは専用船の問題だとか、電発増設の問題とか、いろいろあるわけです。そういう点をいろいろやれば需要は確保できるわけですから。そうなりますと、賃金も世間並みにならなければならぬ。それぞれ命も健康も保障してやらなければならぬということになって、それから私企業でもうかったら取り上げてしまうということになりますと、これは私企業の限界というのは経営者のほうで言うでしょう、資本のほうで。だからどう考えましても、まさに私企業の限界であって国の責任でやるのが当然だ。現にいろいろ公団、公社はほかにもあるわけです。たとえばイギリスだってフランスだって一部そうですし、国有炭鉱はたくさんあるわけですから、あるいは公社化しているところもあります。
 ただ問題は、公社化したり、国有化すると、労働者は働かないだろう、こういうのです。労働者はこういう低い賃金でも山をおりたくても山を守って働いておるのです。つまりそのことが地域社会では炭鉱が中心になって栄えておるような根拠となっております。だから国有化になったらなまけるということでは話にならないので、そんなことはないわけです。ただもし、保安を十分にしたことによって多少でも石炭の能率が下がるということがあったとすれば、それはいままでのほうが悪いのであって、普通の国民を保護すると同じような立場で石炭労働者もめんどうを見てやる、命や健康の保障をするということであれば、その前提に立ってやはり一生懸命働くということになり、先行きも安定だ。いつ首になるかしれぬ、いつ山がつぶれるかわからぬということで、そうでないとすれば、私はいま私どもの日本炭鉱労働者の組織でも、全炭の皆さんも、炭職協も国有になったらなまけるということではないので、そういうことはないと思います。
 ただ問題は、そういういろいろ関連はありますけれども、国民の皆さんにもしアンケートでもとれば、どうしても必要なら国有化しなさいということになるだろうと思います。また一説では、当局のほうもいろいろやるけれども、これは私企業の限界だから施策であり、これは何も国有、国管を全く無視してあくまでも会社だけを守ってやるということにならぬはずです。そういう意味でいいますと、やはり具体的に公社をつくる、あるいは国管をもっと強化するという方向にあるのが常識的な理解ではないかと考えております。これは決してイデオロギーで言うとか何とかいうことではなくて、事態は実際はそうじゃないかと、こういうふうに私は考えます。
#24
○参考人(早立栄司君) 私ども全炭鉱は、実は結成以来、石炭産業の社会化すなわち公有化ということを指標として掲げてきております。しかし、しからば現段階においてその点についてどう考えるかということになりますが、私どもはまず炭鉱を国有化するとか、国営にするとかどうとかいう、そういう制度的なものを考える前に、制度的なものについて云々する前の段階として、ともかく今日のエネルギー革命の中で、国が必要とする石炭をしっかり掘って維持できるような、そういう炭鉱をつくり上げていかなければならぬ。炭鉱の労働者もほんとうに喜んで真剣に取り組んでいくような、そういう魅力ある炭鉱をつくり出していくということに考え方を持っていって、そのためのいろいろな施策というものを追求していかなければならぬし、そういう意味で、私は先ほど冒頭に申し上げたような必要な面については、国から強力な助力を求め、同時に対応するところの国家的規制、公共的規制というものがなされていく、そういうものが炭鉱対策として必要で、必要なためにそういう措置がなされていった結果が実際的にはもうその時点において公有化され、あるいは国有化されていくという状況にだんだんなっていくかもしれませんが、いまそのためにそうしなければいかぬということではなくて、必要なことは制度的なもの以前の問題としての炭鉱対策であると、こう考えておるわけであります。
 私どもはこの石炭対策について、もう少し具体的にいえば、たとえば私企業であっても国のこれほどの強力な助成を受けるからには、それとの対応においてそれぞれが私企業だから勝手気ままということは許されませんから、炭鉱全体が生き伸びるために、発展していくために必要な措置というものは、それぞれ企業の恣意を離れて、国家的な指導といいますか、そういう措置を受けつつ、いろいろな施策というものをなしていくべきである。その具体的な面についていえば、たとえばしばしば言われるような鉱区の調整、統合、これも必要であります。そうしてメリットがあるならばその地域についての企業の合併、集中、統合というようなことも必要でありましょう。あるいは流通機構等についても必要な面については、機構を改革するなり、あるいは統合するなりというような措置も必要になってくると思います。あるいは労務の面については、国からのいろいろな保護、助成、援助を受けつつ労務対策の実施をしていくわけでありますから、そういう関連において、労務対策面についても、必然的に、ある程度労働条件の平準化というものが志向されていかなければならなくなってくると思います。そういうような措置を通じて、炭鉱のいわゆる協同化体制というものが実際につくり上げられていく。つくり上げられていった結果として、それが公有化という段階に発展していく。こういうことになっていくのではないかということを描きつつ、現段階では、最初申し上げたように、制度的なもの以前の問題としての実際的な対策面に集中していこう、こういう考えで取り組んでおるわけであります。
#25
○参考人(遠藤一三君) 私どもの組織構成は、まあ近き将来経営者に入るという人もおるわけでありまして、非常に、この国管あるいは国有ですか、非常に討議がしづらい問題でございますだけに、まだ、これらについての結論と申しますか、そういうものは出していないわけでございます。したがって、ここで私がいいとか悪いとかという問題は述べられないのでございますけれども、確かに国の援助なり助成策が拡大すれば拡大するほど、そういう国管、国有民営ですか、こういうふうになっていくのではないか。また、現在の置かれている労働条件等の問題から、やはりそうしたほうがいいのではないかという陰の声は聞きますけれども、組織としてまだ決定していないわけでございますから、ここでどうのこうのは言えませんので、私個人の考え方として述べますと、やはり早立さんが申し上げましたように、まだ私企業として努力する余地が残されているのではないか。たとえば鉱区の調整なり、これは当局あたりの相当強い行政指導を要する問題でございましょう。あるいは流通機構の整備の問題、こういう問題も、もっと私企業内で最大の努力をしての経過を経て、そうしてこの問題が論ぜられるべきではないかと思います。それから、ひとつ国有とそれから私企業という形でどちらがメリットが上がるだろうか。灰原参考人が、これは働かないとかどうとか、そんなことはないとこう申しました。確かに日本人は勤勉でございますからそういうことはないと思いますけれども、ただ私どもの感度としまして、やはりいままで一生懸命やってきましたのは、山を愛してそうしてまあ会社を愛すと申しますか、そういう愛社精神がつながっているわけでございますから、同じ国の助成をするならば、国有国管という形で同じ金をあれするよりも、やはり私企業という形でやったほうがむしろメリットがいまの段階では私はあるのではないかというような気がいたします。以上でございます。
#26
○阿部竹松君 御参考人の方々たいへん忙しい方々なんで、時間も三時過ぎましたし、簡単にひとつお聞きして参考にしたいわけです。恐縮ですが植田さんと灰原さんにお聞きいたします。
 いま御意見を聞いても、法律は将来十年にわたる法律ですから、いまこの時点の現象を見てなかなか私どもも判断しかねるわけですが、通産大臣のお話をお聞きすると、これでだいじょうぶである、まあこうおっしゃっておられるわけです。私ども社会党の立場からすれば、なかなか通産大臣、あなたのおっしゃるとおりにはまいりませんよと、まだまだ足りませんということで、委員会で論議しておるわけですが、さいぜんの早立参考人のお話の中にあったように、もうすでに、法律がきまらぬうちにアフターケア云々と言って論議しておる人もおるわけです。まあ不幸にして私どもの、これは足らぬという意見が当たらぬで、通産大臣のおっしゃる、これでだいじょうぶだという御意見が当たればけっこうなんだが、これから植田参考人にお尋ねしたいことは、いろいろと五人の方からお伺いしましたが、労働力が足らない。しかし反面石炭が余っておる。売れない。労働力が足らぬ、石炭が余っておる。しかし一番使ってくれる電気会社は、これはいやだいやだ、なるべく油を使わしてくれぬか、こう言うておるわけです。したがいまして、これ話としては、労働力が足りませんよ、石炭は余っている、何とかせいと、あるいは電灯会社はなかなかうんと言わないが、石炭局長に言って電灯会社をくどけと言うことはできるのですが、現実の問題としてなかなかその三つは矛盾しているわけです。
 さいぜん遠藤参考人が、これから需要の拡大をせい、努力してくれぬか、こういうお話でございましたが、一月から地方選挙あるいは衆議院選挙がございまして、九州から北海道までずっと私歩いてみました。これはまあ九牛の一毛で、これはもう九九%九以外の一しか見ない私の発言かもしりませんけれども、石炭関係のある山の事務所、そういうところが重油をたいている、暖房のためにね。石炭あずかっているみずからが石炭を使わないで重油によって暖房をとっているわけです。こういう現実の姿を見て、私がっかりしました。国会でわれわれが論議することと現実とはなかなか違うなと、まあこういうことを考えてですね、政府が出してくるものを、われわれ立法府なんですから、行政府で出したものを立法府のわれわれは真剣に討議し、イエスかノーの結論だけ出せばいいわけですが、しかしそれではいかぬので、私ども議員という立場を離れての発言であるかどうかは別として、これはやってくれませんか、これはこうこうですよと言って、とり上げてくれるかとり上げてくれぬか、意見を具申したり、またお答えを聞いたりしていることがあるのです。しかし結論は、いま言った石炭はどんどん使いなさいと言うけれども、なかなかね。自分が掘っている人さえ油をたいている。石炭を使えと言っても無理な話ですから。――これは麻生会長、いやみで言っているのではないのですよ。そういう小さい九牛の一毛を見て結論言ってはいかぬけれども、そういう現実の姿を見て、人が足らぬ、しかし石炭は何千万トンも余っている、日本の政府はけしからぬ、通産大臣何しているかと、声を大きくしておこるのは簡単ですが、この現実を処理しなければならぬ。せっかく参考人おいでになったのですから、この問題を、参考人という立場をお離れになってもけっこうですから、これはどうしたら解決できるのですかということを参考人にお教え願いたい。これは植田参考人にお願いしたいのであります。
 次に灰原事務局長にお願いすることは、一千億の金を出して、前回特別会計で五百二十億がきまったのですが、私ども社会党の立場からすれば、一千億の金を炭鉱経営者に出すのは大反対。国民の税金を、炭鉱経営者もつらいかもしれません、しかし、炭鉱経営者に出すことは私ども反対。しかしながら、炭鉱経営者をつぶしてしまえば、そこは何万かの炭鉱労働者の家族がおる。角をためて牛を殺すようなことをやってはいかぬのですから、反対だと言いながらも、これは何とか通るように、努力しているわけではありませんけれども、とにかくそこらあたりでわれわれ非常に苦労しているわけです。ところがあの条文を見ますとね、何年何月から何年何月までの赤字であって、したがってその間の赤字になったものでその種類は何々であるという定めがあるわけです。したがいまして、私はやがてこの委員会で皆さん方お帰りになったあとで、当局にお尋ねしてみなければなりませんけれども、あれをものさしとしてあれすると、どの会社がどのくらい一千億のうちで融資を受けるかということがわかるわけです。そうすると、三井、三菱、北炭、住友こういうところがA級に該当するであろうということが想像されるわけです。したがいまして、これから灰原さんにお尋ねするのだが、さいぜん申し上げましたとおり、一千億に反対しなければならないのですけれども、そのあとにおる労働者家族を何とかしてもらいたいというだけで目をつぶるわけですから、そのときに、私どもの委員会ではございませんけれども、社会労働委員会にかかっておるかつていまより五年前の炭鉱爆発で膨大な犠牲者を出した三井三池、三井鉱山が出るわけです。さっぱり労働者を優遇してくれぬということで、毎回問題になっている。だからそのあたりわれわれもう少し事情がわかればお聞きしておきたい。
 この二点です。
#27
○参考人(植田勲君) 通産大臣のお話が出ておりましたが、十年とかあるいは二十年、この抜本策、この臨時措置法が通過すれば、十年あるいは五年という線もあるかもしりませんが、こういう法律でこれだけやっていけば大丈夫というようなことは、私は大丈夫じゃないと、こう私なりに考えておるわけです。というのは、ことしは五百二十億ですか、予算ですが、これはだんだんふえていくと、油の輸入がふえていくんですから、関税がふえていく、それが六百五十億になるとかいう話も出ておりました。二、三年後には突っ込むというようなことが考えられておるとすれば、あるいはことしは五百二十一億ですか、来年は六百何ぼとか、あるいは七百億とかいうことになれば、あるいはやっていける炭鉱ももちろんあるでしょうから、やはり中小炭鉱はおもに一社一山ですから賃金を――いまの労務問題ですね、魅力ある炭鉱ということに持っていくためにはやはり賃金あるいは賞与とかいうものを多くしてやらにゃいかぬだろうと、こう思うんですが、現在平均年齢が四十歳になっておるというので、これはやはり魅力ある炭鉱にするためには若い労働者が必要になってくるわけですから、そういうことから考えますと、やはりなかなか十年というと非常に一昔で、ずいぶん長い年月でございますが、どうも私たちの感覚では十年なんという長いのは考えずに、まあことしか来年、二年ぐらいはもっていくんじゃないかという気持ちもしますし、どうも私もよくわからぬわけです。そういう私自身の感覚とすれば、十年なんというのはどんどんこの予算がふえていって、それでうんと国家で助成するということになればやっていけぬこともないかもしれませんが、私の感覚としては現在の、六百億とか七百億といわれても、前向きのほうにうんと突っ込んでもらわねば、うしろ向きばかりやっておったんではいかぬのではないか、こういう感覚でございます。
#28
○参考人(灰原茂雄君) 結局、石炭問題というのは何といってもエネルギー問題なんですから、普通のつまり重油はうんと便利で安く入るようになったと、そういう面で石炭は要らぬとか要らなくなるということではなくて、やっぱり国の政策としてたいへんな、つまり使う比重は少なくても、石炭問題は特に原油の少ない日本では国策の問題だと思うんですよ。これはもう間違いないと思います。したがって、その国策が昭和三十年代に、つまり第一次答申、第二次答申という形で進行してきたのは、ぐあいの悪いところはつぶせということだったと思います。能率を高めていく過程でつぶれるのはしようがないということでやってきたと思うんですよ。したがって、いま赤字がずいぶん、千何百億あるから、そのうち一千億程度は肩がわりをしてやるというのは、ぼくは労働者の立場を離れてみましても、決して資本家の立場に立つわけじゃありませんが、つぶせ、合理化促進をしろといってきた過程での赤字をしりぬぐいという形で政府が出すんだと、これはもうそのとおり私たちも受け取る面があります。しかし、肩がわりを出すためにはこれから経理を観察するとか賃金を規制するとかいう面があるから、やっぱり資本のほうも、会社側のほうも文句があるんじゃないかと思いますよ。
 そういう面から考えてみますと、いま御質問のあった点ですけれども、私どもも阿部先生と同じような悩みがあります。つまり一千億反対したいんだと、資本救済になるんじゃないか、銀行救済みたいになるんじゃないかと、反対したいんだが、炭鉱労働者一ぱいおって家族がおる。こういう悩みは全く私ども同じなんです。つまりここで政府自民党、与党の方を含めて、当局を含めて、これは抜本策は国有化しかないぞ、そのかわりよく働け、賃金は世間並みにしてやろう、こういう国管、国有あるいは公社法案なんというのが通ってくれればいいんですけれども、私はどう考えてもこの場合与党や政府のほうがイデオロギーが強いものですから、社会党が言いよるからだめだ、何か炭鉱労働者にやってやったぞと鼻高々言うからいかぬ、用心しろ。こんなイデオロギー過剰はむしろ国民や労働者じゃなくて政府、与党にあるんじゃないかと思います。そうは言うけれども、実際に実現できないというのですから。ですから炭労の方も全炭鉱の方も同じですから、一千億反対だということはないのです。わかっているのですから、深刻な問題です。これは反対ということは言っていない。
 ただ矛盾があることは、国民の声、市民、国民の一人としても矛盾は矛盾だと言っているわけですよ。賃金をこんなに規制してしまってよそ並みの半分しかやらぬ。けがはよそよりも多い。ガスマスクも当たらない。こんなことで何の保障もなければ、だれだって炭鉱労働者として安心して働けない。それで政府はいいんですか。これはあたりまえのことですから声を大にして盛んに言っているのです。したがって石炭地区において、会社側はもちろん労働組合の事務所でも、重油をたいているとか何とかいうお話でありましたけれども、それどころか、このままでは炭鉱労働者が自分のせがれに、おまえ二代目の炭鉱労働者になれとか、あるいは娘に炭鉱夫のところに嫁に行けとか言わないですよ。みんなそうですよ。そういうことでいいのかどうかです。私はほんとうに炭鉱労働者の気持ちになってみると、だれもそうなんですが、愛山精神というか、炭鉱で食っている者はボタ山で暮らしたい願いを持っている、ほんとうに。そういう意味で、いろいろ賃金の問題なんかも申し上げましたけれども、これはひとつ矛盾のないようにしてもらいたいと思います。
 それから三井三池の問題ですけれども、たとえばガス患者の問題なんか、いま先生方御承知のとおりになっております。これも人間的立場で処理していただきたいと思います。それはなるほど定年までは会社で雇っておくとか、そういうことはたいへんな問題だということはわかりますけれども、少なくもこれからの抜本策に沿う立場としては、ガス患者が出たらそれは国なり資本なりが最大限めんどう見るのだ、責任負います、ということでないと、何言っているか、うそばかりということになりますよ。それは小学校三年や二年の子供が、帰ってきたガス患者のおやじに、国語、算術を教えているんですよ。そういう情けない悲惨な状態で、先生方もごらんになったらよくおわかりになるのですけれども、それを見て奥さんが泣くわけですよ、そうするとおやじがおまえなぜ泣くか。ガス患者ですからわからないわけですよ。子供から二年や三年の国語を教えてもらいながら、奥さんが泣けば、何で泣くのかということで、また泣くという悲惨な状態です。したがって、三井三池に限りませんけれども、やはり保安や災害のアフターケア、これらのアフターケアはありませんから、そういう問題を抜本策で見てもらわなければ問題にならないと思います。
 それからもう一つ。私は三池出身だから言うわけじゃありませんけれども、これだけのばく大な投資をし、投資と申しますか、肩がわりなどで石炭産業を再建しようとおっしゃっているし、答申の中にはやっぱり労使が一生懸命やってもらわなければいかぬ、こういうことになっているわけです。ところがそういう事態になりますと、二つ労働組合があってがたがたしているというところはもう、宇部は今度ああいうことになりますから、三池炭鉱だけなんですよね。しかも一番いい炭鉱だと言われている三池で二つの組合がある。これなどもどっちがいいとか悪いとかいうことよりも、これは国民としては石炭政策の上から見てもトラブルが起きているということについては国民は黙っていないと思います。
#29
○大矢正君 一つだけ。これは阿部さんがさっき言っておられたとおり、私ども実は非常に矛盾を感ずるんですよ。なぜ矛盾を感ずるかというと、私、「石炭時報」というものを非常に愛読して、毎号必ずこれは全部読んでいるわけです。今度の最も新しい「石炭時報」の中にこう書いてあるのです。言うなれば再建整備計画というものについての判断のしかたとして「情勢変化が大きいため、安定自立達成への経営実行計画を立てるのに苦悩しているというのが実情ではなかろうか。」こう書いてあるわけです。私全くこのとおりだと思うのですよ。たとえば三井、三菱、住友あるいは北炭というような大手中の大手であっても、これから先十年、十五年間絶対にあなたの企業は残れるかと言われたら、今日のような激動するこういう状態の中では、残れるという確信は私はないと思うのです、率直に申し上げて現在の状態の中では。ところが、この整備計画というのは言ってみれば、十年ないし十二年間で一千億の元利の肩がわりをすると、こういうことでしょう。そうすると、少なくとも十二年間はその山元が残れますよ、残れる条件がありますという山でない限りは、この肩がわりをやるということは本質的にはできないと、私はそういう解釈が法律上からいけば正しいと思うし、考え方の上においてもそうあるべきだと思うのですよ。
 ところが、そうは言ってみても八年ぐらいならもてそうだけれども、十二年ぐらいはちょっと無理だという場合には、おまえのところは八年しかもたないからこの中に入れない、肩がわりできないと、こう言えないわけですよ。そこにこの法律と矛盾があって、われわれも実際に賛成すべきものか反対をすべきものなのか、直そうとして直してみてもこの法律の中だけをいじってみてもこれはどうにもなるものでないし、そういう意味で非常に苦悩しているということを率直に申し上げたいと思うのです。労使の方々と一緒にこうやってほんとうになごやかに話を聞かしていただけるという機会もあまりありませんから、われわれの苦衷を申し上げたような次第であります。
 ただ私は、これは麻生さんにお願いをしておきたいと思うし、それから井上石炭局長もおられますから、一つの例を申し上げて、もっともっと積極的にやはり考えかつ行動をしなきゃいかぬのじゃないかと思いますことは、ここに西田さんおられるのだが、西田さんの地元は北海道苫小牧ですよ、御承知のとおり北海道は重油専焼火力がない。全部石炭専焼火力なんです。そこが北海道の特色なんですよ。ところが苫小牧にどうしても重油専焼火力をつくりたいというのが北海道電力の言い分なんです。どうしてかといえば、これは試験的にやるのであって、決して石炭火力のほうを落として重油専焼火力を一〇〇%フル運転するのじゃないのだ、石炭火力の足らないところを重油で補うのだからと、こういう言い方なんですよ。それは私が電力会社の立場だったらそういうことを考えざるを得ないと思うのです。幾ら公益事業だといったって、日本の経済を電力業界が背負って立っているわけではないから、国家的見地に立ってやれという理屈だけではなかなかそうは割り切れるものではないし、電力会社といえども企業には違いないわけですから、ですからそこで私どもやはり考えることはもっと具体的な問題で、電力業界とけんかをするのじゃなしに話し合いの中で問題を解決していくような方向が必要ではないか。
 たとえば苫小牧にアルミ工場を持ってくるという計画がある。御存じのとおりアルミというのはべらぼうな電力を使う。そのために石炭にするか重油にするかといったら、結局油にしたほうがかなりコストが安くなる。幾ら北海道でも港ですからアルミの業界の希望を入れるとすれば、あそこで石炭専焼火力じゃなくて、重油専焼火力をつくってやらない限りは安い電力が供給できないから、そこでひとつ北海道に重油専焼火力をつくろうじゃないかという理屈がそこから生まれてくるわけですよ。
 しかし、私は北電の考え方が間違いだし、そんなばかなことがあるかということを申し上げるのではなしに、やはりそういう問題の解決についても負担増対策なら負担増対策の中で何らかそれの肩がわりをする方法がないだろうか。あるいはかりに、あそこに何十万キロの火力発電なんかつくったとしても、一年間の石炭の使用量というのはそんなにべらぼうな数量でもありませんから、ですから重油との間における格差が、かりに原料としての油と石炭の中で出たとすれば、その面をどうやって特別会計の中で、あるいはそれもはみ出せばなおいいが、なかなかそうは言っても、そう簡単にはいきませんが、その電力会社の意思もそんたくしながら、ひとつお互いに共存共栄をはかるという方向でやはり大いに努力をしなければならぬ部面があると思うのですよ。
 ただ、電力会社とけんかして、お前のところ炭安く買ってしようがないというような調子でやるのではなしに、もっとこまかい部面にわたって、電力と石炭というものがもっと話し合いをしながら、せめて北海道だけは石炭火力専門だけでいくような方向をとっていかないと、需要の確保ということは困難になってまいりますから、やはり石炭局もさることながら、業界それ自身においても需要確保の面においては、もっともっとやはり細心の注意と努力を持って私は善処してもらいたいということをお願いしておきたいと思うのです。
#30
○吉武恵市君 大体各委員から要点は御質問もありましたし、また皆さん方からも御答弁があったので蛇足と思いますが、私はこの石炭対策の問題が起こったのは一昨年の秋ごろからで、もうこのままでいくと石炭はつぶれちまうぞ、何とかしなければいかぬじゃないかということで問題が起こったのですね。それから今日やっと国会に出されて、まあおそらく与野党とも賛成されるだろうと思うのですが、その間に約一年半以上かかっているわけです。まあこういう一千億の肩がわりという問題を含んだ抜本策ですから、そう一夜づけで問題が処理できるとは私は思わない。これは私どもの責任もあるのですけれども、きょうは労使とも一緒になって石炭をどうしようかということであるので、皆さん方の感覚なり今後の心がまえについて承りたいのです。
 これで国会は近いうちに通りましても、おそらく今度は整備計画で回って、そこでまたいろいろと計画が立てられてほんとうに実施されるのはまた非常におくれると思うのですね。今日の経済の動向というものは非常に激動的に移っている、ほかの他産業は。それでこの石炭関係を、まあ追い詰められてきたからでありますけれども、じゃあこれをつぶしていいかというと、先ほど来労使ともおっしゃったようにつぶせない。日本の唯一のエネルギー源でありまするし、つぶせない。つぶせないとすれば前向きにこれを何とかして立ち直る方法を考えていかなければならぬときでありますので、ほんとうに一体これで取っ組んでやっていくつもりがおありでないとは言えないけれども、よほどの覚悟でないと私はできないと思うのです。で、おくれた点につきましてはわれわれにも責任のあることですけれども、これについて率直な御意見を麻生さんなり、またほかの方からお聞きしてみたいと思うのです。
#31
○参考人(麻生太賀吉君) いまの吉武委員からの御質問でございますが、一つだけお話いたしますと、一年半とおっしゃいましたが約二年間でございます。一昨年の六月からこの問題ずっとあれしてちょうど二年かかっていると思います。そして一昨年出たときにも、四十二年度を待たずということにもなっておりましたのですが、それが四十一年になり、ちょっと先ほど申し上げましたように坑道掘進費の一部が援助をいただいてそのままになって二年間おくれたということは、私どもとしてはたいへん困ることであります。そして法律が先ほど植田参考人からもお話ございましたように十二年間ということで安定する、私は通産大臣のおっしゃる安定というのは、この法案を骨格として、今後これにいろいろ肉づけして安定していくのだというふうにおっしゃっているのだと解釈するわけでありますが、そういうことなしに、ただこの法案に、いまの五百億、今度五百二十億ですか、これがもう頭打ちでやっていくということは非常に困難だということを申し上げざるを得ない。しかし、これを、今度のこの案を骨格として、その後にいろいろと施策を考えていただくということになると、私どもとしては、ある程度非常な困難はあるかもしれませんが、やっていかなければならぬ、またやりたいと、こういうふうに思っております。
#32
○吉武恵市君 同じことになるかもしれませんが、まあこれはどうしても皆さん方でやっていただかなければならぬと思うのです。そこで、まあぐずぐずしておられるわけじゃありませんけれども、ぐずぐずしていると手おくれになってしまうので、一つは貯炭ですね。貯炭の問題も、昨年から貯炭貯炭といって一向これが実現しなかったから、貯炭対策もそのままになって、電力用炭の引き取りも去年一年間延び延びになってしまって、今日あれだけの貯炭が出ているのですね。これを解決するにも、よほど先手を打っておかないと、私はこのままずるずると貯炭が続くと思うのです。そうすると、それだけコストもかかるし、また生産意欲も、貯炭がたくさんあって掘れ掘れと言っても、なかなかそうはいかない。ですからこの点は私どもも努力しなければなりませんが、皆さん方もどうせつぶさない、取っ組んでいくということであれば、前向きにひとつぶつかっていって、早く問題を解決して、立て直す方向にひとつ――それでないと、先ほど来お話がありましたが、どうも一体これでほんとうに立て直す気があるかどうかという非常に私は心配があるけれども、心配があるからといってほうっておけないのですから、やはり立て直すためには相当のてこ入れも必要と思いますけれども、それには熱意が私は必要だと思うのです。幸い石炭問題はここへきたので、労使ともに一生懸命やっていらっしゃいますから、この上ともひとつぶつかっていただいて、早く解決のめどをつけたいと、こう思って申し上げたのであります。
#33
○委員長(鈴木壽君) 他に御発言もなければ参考人に対する質疑は終了したものと認めます。
 参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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