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1967/06/22 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第9号
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1967/06/22 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第9号

#1
第055回国会 石炭対策特別委員会 第9号
昭和四十二年六月二十二日(木曜日)
   午後一時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     高橋雄之助君     近藤英一郎君
     館  哲二君     小林  章君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木  壽君
    理 事
                西田 信一君
                小野  明君
                鬼木 勝利君
    委 員
                井川 伊平君
                石原幹市郎君
                小林  章君
                近藤英一郎君
                柳田桃太郎君
                山下 春江君
                吉武 恵市君
                阿部 竹松君
                大河原一次君
                大矢  正君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業省鉱山
       局長       両角 良彦君
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       通商産業省鉱山
       保安局長     中川理一郎君
       通商産業省公益
       事業局長     安達 次郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業再建整備臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動についてお知らせいたします。
 本日、館哲二君及び高橋雄之助君が委員を辞任され、その補欠として、小林章君及び近藤英一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鈴木壽君) 石炭鉱業再建整備臨時措置法案を議題といたします。
 直ちに質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○小野明君 昨日、参考人五名においでいただいて、それぞれ石炭政策に対します御意見を伺ったのであります。そういった中で強く感じさせられておりますのは、この石炭の消費というのがやっぱり各産業別にわたって、ずっと年々あるいは月々下がっておるわけですね。それに比べまして、油の需要というのが逆に非常にふえておる。ボイラーの規制法も撤廃されたというのも一つはその問題に拍車をかけるのではないか、こう考えられるわけです。そこでこの際、この抜本策ということでありますが、やはりこれは柱であって、手抜かりというものが感じられてならぬのであります。これが抜本策になり得るかどうかということに疑問を感ぜざるを得ない。というのは、これは何度も言われておることでありますけれども、総合エネルギー政策というものをにらみながら石炭の位置づけを明確にしていく、その需要を確保していく、こういう点が特に必要ではないかと思うのです。その関連を、総合エネルギー政策の中における石炭の位置づけというものを強くにらみながらいく、ここ五年なりあるいは十年の御計画について、配慮についてまずお伺いをしてみたいと思うのであります。
#5
○国務大臣(菅野和太郎君) 参考人がこの石炭の消費の問題についていろいろ心配されておられるということでありますが、私も実はそのことが一番気になっておるのでありまして、大体今度の石炭対策は、皆さん方にお願いしておる対策は、石炭鉱業審議会の答申によってやったのでありますが、これが大体昭和四十年の実情によって立てた案でありまするからして、その四十年からもう今日になりますと、このエネルギー資源の問題がだいぶ変わってきております。したがいまして、一般炭の需要というものはだんだん減るのではないか。したがって、貯炭量がだんだん増してくるのではないか。一体これをどうするかという問題。この問題については、これは答申案とまた違った立場であらためて対策を講じなければならないのではないかというように考えておるのでありまして、この点はもう皆さん方からもいろいろ御注意をいただいておるのでありまして、したがいまして、さしあたりこの政策需要ということで本年度やってみまするが、来年度については、もういまからこの一般炭の消費ということをよく計算して、そしてこれが対策をまた考えていく必要があるのじゃないかということで、いまその心づもりをいたしておる次第であります。
#6
○小野明君 大臣は一般炭の需要という問題についてお答えになったのでありますけれども、その前にやっぱり総合エネルギー政策というものが、これはまあ答申も出ておるようでありますが、それをにらんでの長期計画であるかどうか、消費計画であるかどうか。その点は言うまでもないと思うのでありますが、それをさらに強く考慮する必要がある、このように考えるわけですが、その点について伺いたい。
#7
○国務大臣(菅野和太郎君) 総合エネルギーの問題といたしましては、これも答申がありましたですが、大体石炭は五千万トンということで答申が出ておるのでありまして、したがいまして、五千万トンというものはこれはひとつ確保するという方針でいきたい、こう考えております。この五千万トンという数字は安全保障というような問題あるいは石炭産業自体を維持しようという考え方、そういうようなことから、この五千万トンという数字が出てきたのでありまして、これはほかの石油需要はこれからどんどん増しますが、しかし、石炭はあくまで五千万トンを確保していきたいということを考えている次第でございます。
#8
○小野明君 それでは一般炭需要については別に考えなければならぬだろうというお答えでありますけれども、昨日も麻生さんがお述べになったのは六百七十万トンの貯炭がある、こういうお話をなさっておるわけであります、貯炭が。それでそのことがやはり今日の石炭政策の一つの欠陥を示しているのではないか。その破綻がもう大きな貯炭量ということになってあらわれておるのではないかと思うわけです。抜本策はありながら、やはりこういう貯炭がある。昨日の意見では、三池なりあるいは常磐でも、電発増設あるいは共同火力というものをつくってそこで消費していけばこれは消化できるだろう、こういうお話でありますけれども、やはりかなりこれは長期的な話になるわけで、ところが貯炭というものは、当面どうするかという問題であって、一般炭の問題については大臣が言われますように、やはりさらに積極的なくふうというものが要るのではないか、こう考えられます。そこで、この問題について、具体的な案がありますならばお答えを願いたいと思います。
#9
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、問題は現在の貯炭をどうするかという問題、それから将来一般炭をより多く――だんだん減っていきますけれども、これを減らさないように消費を続けていくということ、それについては現在の貯炭については、これはさしあたり融資等のあっせんをしてもらいたい。そうして長期的な見方からすれば、もちろん九電力は石炭の消費量を増すことをすでに約束しておりますから、その点はそれでよろしいのでありますが、その他いまお話のとおり、あるいは九州のほうなりあるいは常磐のほうで共同火力とかあるいはその他の会社との共同火力をつくるとかいうようなこと、これらについては早晩、計画をもうすでに立てていかなければならないというように考えておりますので、その点についてはわれわれのほうももう内々そのつもりで来年度の予算は考えていかなければならぬことだと、こう考えております。
#10
○小野明君 それではこの法案の問題でありますが、第二条で再建整備計画というものがつくられると、適当であるかどうかについて認定をしていく、こういうことになっておるのでありますが、この再建整備計画ができ、この基準に合致するような会社というのはあまりないのではないかと思うのですが、この点どれくらいあるのですか。
#11
○政府委員(井上亮君) 第二条でこの再建整備計画の問題を触れておるわけでございますが、ただいま私ども、大手、中小両面につきまして本法の適用になるべき企業についての申し込みといいますか、希望調査をいたしておりますが、大体大手につきましては十四、五社――大手は十七社ありますが、十七社のうち二社ははっきり、相当いい会社でありまして、自前で今後十年間続けていくというような企業でありますので、この対象になりませんが、その他の企業につきましては、再建整備計画をつくって、この肩がわりの措置を受けたいという申し出がございます。それから中小炭鉱につきましては、今日まで申し込み、申し出のありました企業は大体十五社程度でございます。
#12
○小野明君 そういった会社が二条の一項一、二、三、四と、こうありますけれども、生産及び販売の計画ももちろん会社としては立てなければならぬ、こういうことになると、やはりこれは国の石炭政策というものを大きく左右してくるわけですね。一社でもちろん生産計画についてはこれはまあ別といたしまして、販売等についてもかなり国が関与しなければならぬ部面ができてくるのではないか、このように考えられますが、具体的にはこれはどのように運ばれるのですか。
#13
○政府委員(井上亮君) 第二条できめております第一号から第四号まで、生産計画あるいは販売計画、財務に関する計画等、いろいろこの二条で触れておるわけでございますが、この再建計画をつくりたいという企業につきまして、またこの要件に合致する企業につきましては、各社がこういった計画を政府に提出してきまして、政府といたしましては、こういった諸計画が妥当であるかどうか、また実現可能な計画であるかどうか、それから企業としての今後の経営努力というようなものは十分であるかどうかというような点を審査いたしまして、まあそういう計画であれば十分そういう計画が実現可能であろうというようなものにつきまして、通産大臣が石炭鉱業審議会の意見を聞きまして、その後に通産大臣が一応認定するというようなことに相なるわけでございます。
#14
○小野明君 販売というような面になると、やはり国がいろいろサゼスチョンをしませんと、いまの流通機構の中ではやはり大きな問題が出てくるのではないかと思うわけです。この流通の問題についてそういった各社がそれぞれ競争しておる、あるいは非常に遠距離を輸送してくるということで、コスト高になってくるのですが、そういった問題をどう調整なさるかということです。
#15
○政府委員(井上亮君) 確かに先生御指摘がありましたように、特に生産計画あたりはよろしいわけでございますが、販売計画になりますと、各社がそれぞれ個別に計画を立てますので、どうしても、たとえば東京電力に売るのが一番有利だというふうに思いますと、各社がみな東電に私のところは売るのですというような計画を持ってこられます。あるいは電力に売るのだあるいはその他のところに売るのだ、いろいろ思い思いの計画で、それを全体として集計しますと、これはとんでもない実現不可能な計画だというふうなこともあろうかと思います。そこで、この販売計画といいますのは、東電とか何とかいうところまでは法律で要求しております販売計画の中では求めませんけれども、裏の付属資料としては、その辺まで一応付属資料としては要求したいというふうに思いまして、それらの計画が全体として、個別では一応成り立つごとく見えましても、全体として見ましたときに矛盾がないような検討を行ないまして、個別企業についての計画の当否を判断したいというふうに考えております。
 それからなお、生産計画につきましても、これは大体五千万トン程度の位置づけでございますので、これが全部各位の個別企業の出炭計画を足してみますと六千万トンになったというようなことになりますと、これは主要各社との関連等もありまして、もちろん私どもこの運用に当たりましては、全部マクロで見ましたときに、全体の量が五千万トンでなければならぬとは思っておりません。これが五千百万トンでありましても五千百五十万トンでありましても、その程度のものはこれはほんとうに個別企業の生産の実態を見まして、その生産が妥当であるということであります場合に、これは私ども五千万トンでなければならぬという判断はいたしません。いたしませんが、しかし、それがあまりに現実とかけ離れた、あるいは山の生産能力から見まして実際にそういう炭が出もしないのに炭がたくさん出るという見通し、計画を立てないと経理状態がきわめて悪くなるから、見せかけでそういうような計画を持ってくるというような場合には、これはやはり妥当な水準までおろしていただく、いろいろな配慮をいたしまして個別に検討すべきでございますけれども、全体とのからみ合いにおける検討をあわせて行ないまして、当否の判断をいたしたいというふうに考えております。
#16
○小野明君 これは一、二、三、四とある各号ともに基準を満足しなければならぬのではないかと思うのですけれども、そうなりますと、一号はそれぞれ会社に必須の事項でありますから、これは当然といたしまして、二号の「鉱区の調整、」というところがありますね、これは一社だけでできるか、これは国の政策としても非常に問題のところであるし、国が手を入れてもできるかどうか、こういう心配も出てくるのではないかと思うのですよ。これはどういうふうに具体化するわけですか。
#17
○政府委員(井上亮君) これまた御指摘のような問題があるわけでございます。しかし、ここであえてこの再建整備計画を個別企業がお出しになりますときに、特に鉱区調整についても計画の中に触れていただきたいというふうにいたしましたのは、結局、今後個別企業におきまして、どうしても隣接したところに遊休鉱区があるというような場合には、その鉱区の調整をすることによって、より当該企業が堅実な長期の安定した経営が可能になるという場合もあり得るわけでございます。その辺については、やはり勇敢に自分の計画として出していただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。しかし、計画を出されても、実際問題としては相手のあることでございますから、したがいまして、相手と十分話し合い、調整をつけなければ具体的な計画にならぬわけでありまして、ただしかし、だからといって、そういう隣接に遊休鉱区等があります場合に、その申し出もない、計画もないということでは、やはり政府が積極的な鉱区調整に乗り出そうという場合もできませんので、そういう意味合いからいたしまして、当該企業が鉱区調整を希望したからといって、直ちにその計画ができるものではありませんけれども、相手のあることですから。しかしそれをあえて書いていただきまして、それによって石炭鉱業審議会の鉱区調整部会、これは同じく鉱区調整部会というのがございますから、ここでその鉱区調整の必要性、当否の問題等について検討していただき、そうして当該企業についての計画たらしめるように、側面から努力していくというように考えております。したがいましてこの鉱区調整につきましては、一応計画を通産大臣が認定いたしますときに、同時に鉱区調整ができているという場合もありましょうし、認定しますときに同時にできてはいませんけれども、方向として通産大臣の認定の際に、やはりこの鉱区調整は必要だ、やるべきだ、政府も間に入ってでもやろうというような方向はできるだけ出してまいりたいというふうに考えております。
#18
○阿部竹松君 関連して。小野委員の鉱区の調整問題についての質問に対する石炭局長の御答弁は理解できます。しかし、この法律を読ませていただくと、そこまでおそらくできないのではないかというように判断されるわけです。ということは、なるほど申し出があったり、申し出がなくても行政指導の面でやるということはでき得ましょう。しかし現実の問題として、日本の国は資本主義国家であって、計画経済ではございませんし、国にそれだけの力がない。したがって、国に力がないということは、主務大臣である通産大臣にそれだけこの法律によっては権限を与えておらぬわけですよね。ですからなかなか困難であるし、それからもう一つプリンスと日産と合併したとかあるいは大阪商船と三井船舶が合併した、船会社が。こういうように三井と三菱が合併したとか、あるいは北炭と三菱が合併したというようなことにこの鉱区の場合にはまいらぬわけですよ、その地域地域によって各社が持っておるわけですから。ですから通産大臣はどういうお考えかわかりませんけれども、いま局長の御答弁を完全に実施するとすれば、いまの政府のお考えあるいは政治形態からすると、いま取り上げるということは不可能でしょう。しかし、明治時代からあるいは大正、昭和にかけて微々たる金額で、ここは何何会社の鉱区、ここはだれだれ君の鉱区といって通商産業省の皆さん方のところへ登録してあるわけですよ。これを遊休鉱区が権利を取得してから十年間採掘しなければ、もうこれはかってに通産大臣が指令を出すことができるですよと、五年間権利を取得して採鉱をやらなければ大臣の命令によって整理統合ができると、そういうような条文でもあれば局長の答弁が一段と迫力が増すんですがね。いまの答弁では、大臣があっせんの労をとるとかあるいは勧告程度にとどまるのではないかという疑念が持たれるんですよ。ですから、その点関連ですからあとはあれですが、その点……。
#19
○大矢正君 同じことをぼくも聞いておきたい、いま阿部さんの言われたことと大同小異ですがね。私はたとえば国が一つの権力によってというか、法律的な背景によって鉱区の調整問題というものを提起されるということであれば、その是非について議論をする価値はあると思うのですね。ところがここに出てきているのは、あくまでも企業が通産省に出す、言うなれば計画書ですね。その中における鉱区調整、私企業の限界の中において、動ける範囲においての鉱区調整と、こういうようになっているわけですよね。そこでまあいま阿部さんも言われたとおりに、この法律自身が昭和六十年まで有効ですね。考えてみれば、十二年間銀行に金を払って、それからあとこの法律の中にある五カ年間を過ぎたあとで云々というやつがあるから、合わせれば結局は十何年になるから六十年ということになるわけですね。今日十五年も二十年も先まである程度見越した上に立ってこの法律が立てられておるとすれば、結局のところ企業というものが存在をする限り、十五年後にはこの法律がなくなって、炭鉱が国家管理になる、あるいは国有化になるのだから、その際は、私企業ではないから鉱区の調整はもう自由だという判断ならば別ですよ。しかしこの法律がある限りは、昭和六十年までは現在の私企業に幾らかちょっと色をつけたものでいこうという考え方が貫かれておるわけでしょう。だとすると、憲法上におけるたとえば個人あるいは法人の財産権侵害の問題もあるけれども、よしんばそれを除いてみても、これから三十年、四十年、五十年というものを石炭会社が経営していかなければならぬとすれば、たとえば隣のほうでは同じ鉱区がつながっておるが、隣のほうでは六百も八百も深いところを掘っている。こっちのほうは二百のレベルで掘っている、これだけの差がある。したがってこれはすぐ調整をして、同じようなレベルで石炭が掘れるような状態にしてコストの低下をしたほうがいいではないかということは、議論としては成り立つかもしれぬが、企業として見た場合にこれは重大な問題があるのですよ。
 それは鉱区というものがぽつんととんでもないところにあって、しかもそれは何ら手も加えてないというふうな場合ならば、まだそれは議論の余地があるが、しかし今日そんな状態ではない。鉱区がみんなふくそうしているわけですから、その中でたまたま古い炭鉱と新しい炭鉱では深さが違うという限度において問題が残っておるだけで、だから私はこの鉱区の調整という問題を、単なる計画の中に入れてくるということについては疑義があるのですよ。もしそういうことを現に通産省が考えるならば、別途の法律で、鉱区というものは絶対的な権限において通産省が調節をするならするというふうにやるべきで、ここで私企業が出す単なる計画の中の鉱区の調整ということでは非常に私は疑義が残るのでお答えをいただきたいと思います。
#20
○政府委員(井上亮君) 阿部先生の御意見もありましたし、大矢先生の同様趣旨の御意見もありましたが、私は両先生の御意見まことにごもっともだと思います。ただ私が先ほどお答えいたしましたのは、むしろ遊休鉱区を一応例に引きまして申し上げたわけでございまして、ごく最近、この一年来といいますか、特に最近一年来の実情を見てみますと、石炭産業みずからが非常に何といいますか、今日の事態を御認識いただいておると申しますか、それとも資源の活用といいますか、こういった点に石炭産業みずからが御理解いただいておると申したほうがいいのかもしれませんが、というようなことから比較的いわゆる遊休鉱区についての鉱区調整は当事者間の話し合い、それからあるいは私どもがあっせんの労をとります場合の中にもありますが、そういった際に相当円満に、円滑に処理されておるのが最近の実情でございます。
 たとえば例をあげますと、明治鉱業の再建整備計画をつくりますときに、本岐の隣接鉱区に三菱の鉱区があったわけです、阿寒鉱区……。これをやはり相当程度この鉱区を活用してもらわなければ明治が助からないというような事態がありましたので、これにつきましてもきわめて三菱に大乗的に譲っていただいたと、それからごく最近の例では日曹天塩、これが先般火災を起こしまして、従来の鉱区が使えなくなった、どうしても隣接のこれまた三菱ですが、三菱鉱区をもらわなければ今後の操業がきわめて困難になるというような事例があったわけですが、これにつきましても円満に解決を見ましたし、そのほか錯綜した地域、これはむずかしい地域ですが、遊休鉱区というよりもむずかしい地域、つまり北空知あたりのむずかしい地域におきましても、三井の砂川と北炭の空知との間で円満に調整ができたというような例が最近非常に多いわけでありまして、私が先ほど遊休鉱区について特にお話申し上げましたのは、そういう地域については、なお、最近のそういう傾向からしまして、当事者間の話し合いも相当要りましょうし、あるいは大火等につきましてなかなかむずかしいときには、私どもがあっせんの労をとるというようなことをすることによりまして円満に妥結する場合も相当あろうと思います。
 したがいましてここに言っております鉱区の調整につきましては、そういった場合にはやはりこれも通産大臣が認定の時点までには困難なものが多いと思いますけれども、しかし、そういう可能性のあるものもあるというふうに考えます。ただ、認定の時点までに鉱区調整がつかぬものについては、鉱区調整ができることを前提にしての計画の検討はできません。それは認定のときまでに調整が済むとかほぼ確実だというのでない限り、それを前提にして再建計画のよしあしは判断できませんけれども、しかし、引き続いてそういう努力をして、それがうまくいけばさらによくなるという場合もありましょうし、そういうような考え方で申し上げたわけでございまして、両先生がただいま関連質問をされました問題は、むしろ私はまだ十分触れませんでしたむずかしい地点、これが相当あります。たとえば、非常に生きた山同士が――遊休鉱区でなくて生きた山同士が錯綜して経営をやっておられる、そういった地点におきます鉱区の調整については、それは私も簡単にできるとは思いません。できるとは思いませんが、しかし、これは時間をかけて長期にどうやるのが一番合理的であろうかというような検討は、今後ともやっていかなければならぬと思います。私は、そう簡単に再建計画の中で解決されるというような性質のものではないというふうに考えております。
#21
○阿部竹松君 もう一言。いま局長の御答弁の中にございました本岐と三菱の関係、こればかりでなく、おなくなりになった高碕さんが通産大臣当時、佐賀県の山口鉱業と三菱古賀山で問題が起きまして、高碕さんが中へ入って努力をされて、鉱区を譲り合ったことがあります。しかし、明治の本岐の問題にしても、あるいはいま申し上げました佐賀県の問題にしても、それは盲腸の悪いときに注射をして一時とめておく程度のもので、何百分の一か何千分の一なんです。少なくとも抜本対策というキャッチフレーズで出ている法律にはあれは例になりませんよ。
 昨年だと思いますが、常磐炭鉱の木山さんという参考人に来ていただいてここで聞いて、井上局長もたいへん努力されたそうですが、常磐はなぜ合併されぬのか、モデルケースとしてやったらどうですか、こういう話をしたところが、いや中小の炭鉱は葬式料をたくさん取るつもりだからだめだと、こういう答弁をしておられました。こういう希望を持たせる御発言はけっこうだけれども、現実の問題としてなかなか不可能である。
 したがって、現在の佐藤内閣の政治形態で、通産大臣に権限を持たせるということは、いいか悪いかは別として、通産大臣がもう少し権限を持って指令、指示を出すくらいの力がなければ、なかなか日本の炭鉱の鉱区調整というものはでき得ない。私の言うのが危惧であればいいんですが、長い経験からしてみると、そういうふうになるのではないかというのが大矢委員と私の心配なんです。あなたのおっしゃるようにできれば、何も法律をきつくかえて押えるようなことをやることが望ましいことではないけれども、その答弁とこの法律とは合っておらないのではないかという危惧を持っております。以上です。
#22
○小野明君 私の質問は、これが単なる作文に終わってしまうんではないかという点がありましたので、いまお尋ねをしたのでありますけれども、そうならないように、これが強力な指導、施策といいますか、をお願いしたいと思うのであります。
 次に元利補給契約のことでありますけれども、これは炭鉱と会社と銀行が契約をして、これが認定されれば国が肩がわりをするという、大事なところは政省令になっておりまして、まあここで当面問題にすることはできないと思うんですが、その辺が一つ問題があるのではないかと思うのと同時に、納付金ですね、利益を計上した場合の納付金というところがある、これを見ると、納付金で利益を計上した場合には国に還付をしてもらう、こういうことになっておるのであります。そこで一千億円という金の性格ですね、これは還付されることはもちろん石炭対策が成功したということになるんでありましょうけれども、そうならない場合が多いんじゃないかという気がするのであります。
 そこで一つお尋ねをしてみたいのは、先ほど大手で十四、五社ですが、中小でもそれと同じぐらいですか、そういう程度のものは再建整備計画に大体乗ってくるだろうと、こうなっているんですが、利益を計上してくる見通しがあるのかどうか、その辺をひとつお尋ねをしておきたい。
#23
○政府委員(井上亮君) 率直に申しますと、なかなかここで第六条で言っておりますような条件のもとで利益を計上する企業というのはそうたくさんはないと思います。なぜならば、ここで第六条で納付金を納付しなさいと言っておりますときには、これは「通商産業省令で定める計算の方法により」と書いてありますが、この計算の方法は通常の公表損益による赤字、黒字というような通常の利益ではありませんで、私どもここで考えておりますのは、やはり普通、公表損益を企業は決算期ごとにつくりますが、その際には必ずしも、たとえば退職金の引き当て等につきましても、税法上認められる限度一ぱいやっておるわけではございません。しかし、私どもここで言っている計算の方法では、そういった退職金の引き当てについても限度一ぱいやってもらうというようなこと、それからあるいは固定資産の償却等につきましても、企業が通常やっています公表損益の場合には、必ずしもそれを税法上認められる限度一ぱいまでやっているわけではございません。ところが、ここで言っておりますのは、そういったもろもろの積み立てあるいは引き当て等については、税法上認められる限りにおいては十分に行なうというようなことを要求いたしまして、そういう計算に一応し直しまして、それでもなお利益があります場合に国に納付金を五年間だけ、その後卒業しましたあと五年間納付してもらいたい、こういうことを申しておるわけでございまして、こういうことになりますと、石炭鉱業が過去の累積赤字とか、あるいは企業として健全な経営をしますために必要な引き当て金、こういうものを十分に行なった、過去の赤字も全部解消し、引き当ても十分行なったその後の利益でございますから、そういう事態になると非常にりっぱな健全経営になる企業というのはやはりそうたくさんは私はないかと思います。
 なお、今後やはり石炭産業については私どもいろいろの助成策を講じていかなければいかぬと思いますけれども、やはり置かれております客観情勢からしまして、なかなかむずかしい問題がある。しかし、私ども再建整備計画のいま予備審査的なものを一応やっておるわけですが、正式な審議会の検討ではありませんが、一応各社のいま持っておる計画を予備的な審査で一応見ております限りにおいては、こういった計算をしても、なお自立する企業も中に二、三いまあるわけでございまして、ただこれは今日の想定における各社の計画ですから、現実にはもう少しきびしい面もあろうと思いますが、全然ないわけではありません。しかし、なかなかここまできれいな姿になるというのはやはり容易ならぬ努力であろうというふうに考えております。
#24
○小野明君 まあ事態のむずかしさというのは私もそれなりに理解ができるわけであります。しかし、一千億の国費を突っ込んで、そうして再建できるかどうかというのは、これは重大問題ですね。で、この二条に合致する会社というのは、当然これによって卒業できる、こういう見通しのある会社でなければならぬ。そうでないとすれば、政府の言う石炭政策の足らないところを埋めないというと卒業できない。一千億の金を生かして使うか、あるいはどぶに捨てたようになるかというのは、これはきわめて重大な問題だと思うんですね。そこで、生かして使うように、利益金を計上するようにしてもらうには、やはりいまの政策だけでは私は不足ではないかと思っておるんです。これが生きた金になって返ってくるというようにするためには、いろんな先ほど申し上げた貯炭の問題もあるでしょうし、あるいは石炭政策全般について再度つけ加えなければならぬ点もあろうかと思うんですが、そういった点で、さらに計画があるならば、いま想定している事態というものが計画というものがおありになるならば、ひとつ伺わせていただきたい。
#25
○政府委員(井上亮君) 企業の再建整備計画は各企業においてまだ本格的に検討している段階でございまして、予備的に一部私どもその企業の計画を一応拝見しておるという段階でございますが、先生御指摘のようになかなか、たとえば本年度の助成策、本年度の政府の対策、これが今後横ばいしていく、これだけの助成策が横ばいしていくというようなことでは、先生御心配になりましたように、また御指摘ありましたように、納付金を納付するというような健全経営の段階までは私はなかなかいかない見通しでございます。
 ただ私ども、御承知のように本年度から特別会計を政府として設けたわけでございますので、特別会計の収入は今後逐年ふえてくるというふうに考えておりますので、さらに助成策も財源的にも与えられておりますし、さらにまた必要があれば一般会計からも補充できるというようなことがありますので、そういった今後の政策も加味して長期に検討してまいりたいというふうに考えております。
#26
○小野明君 やはりおっしゃるように五百二十一億の中を見ましても、かなり一千億が生きて使われる部門にどれだけいくかというと、これは非常に薄いわけですね。それで、やはりこの政策というものは肩がわりだけで、当面の苦況をのがれるだけの糊塗策であろう、こう思うわけです。さらに、ほんとうにこれが死に金にならないような万般の施策というものを私はお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。
#27
○阿部竹松君 私は大臣はじめ各局長さん方に、いままで生産する立場でいろいろお尋ねしましたが、しかし、いかに生産しても、ときどき出てまいりますように電力を中心とする消費者側においてもやはり問題があって、ものをつくったけれども売れぬということになりますと、これは石炭会社に対する一つの再建投資ですから、再建投資がそのまま死んでしまうということになりますと、表現は違いますけれども小野君の意見と一緒になって、これはたいへんなことになるということで、たいへん恐縮ですが、公益事業局長さんにお尋ねしたいのです。
 これは通産大臣も御承知のとおり、河野一郎さんが生存中は、ときたま九つの電力会社を一本にせいと、御本心であったか、はったりであったかは別として、そういう発言を新聞なりラジオでお聞きしたことがあるのですが、今日は自民党の中に九つの電力会社を一体にしなさい、こういう声は聞えない。私どもとしては、何としても九つの電力会社を一本にして、公共事業ですから、電力の安定によって民生の安定をはかるべきじゃないかと常に主張しているのですが、現在の政治情勢はそれを受け入れない。したがって、石炭の大部分は電力会社に使っていただく、これも生前の河野さんの問題と一緒で、これだけ電力会社使えという命令を出すわけにはいきませんね。したがって、一電力用炭の販売会社を通じてやるのか、あるいは通産省独自で公益事業局長が電力界の連合会と話し合うかどうかは別として、これも現在どういうような関係になっているのか。電力会社が石炭を使うのにあまり賛成しておらぬようですが、それにどういうふうに指導をして使ってもらっているのか。それとあわせて、使った場合、国はどういうような援助と申しましょうか、補助と申しましょうか、手当てと申しましょうか、ただ使えということでなくて、何らかの措置をとっておられるか、お尋ねします。
#28
○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおり、これを命令するわけにはいきませんが、大体電力会社にこれだけの石炭を使ってほしいということを希望して、話し合いの上できめておるわけであります。したがって、電力会社としては重油を使ったほうが安くつくのでありますからして、それだけ石炭を使えば電力会社としては損失をきたすわけでありますからして、それだけの差額の負担増だけは政府が負担するということで電力会社を説得している現状であります。
#29
○政府委員(安達次郎君) 昨年の閣議決定で石炭の抜本策の結論が出ました際に、電力の昭和四十五年度における引き取り量、いわゆる九電力で二千三百万トン、それから電発その他を合わせまして合計二千九百三十五万トンというような数字が出されたわけでございます。そのうちの電発その他の需要は、これは問題がないわけでございますけれども、九電力の二千三百万トンの引き取りについては、確かに御指摘のようにいろいろ議論があったわけでございます。それについては昨年の抜本策の趣旨なり何なりを十分通産省としても説得をいたしまして、業界側も理解をいたしまして、先ほど大臣の申しましたように負担増対策の措置などについての改善をすることを条件として引き取りの協力をいたしますというような回答を大臣にいただいたわけでございます。
#30
○阿部竹松君 局長、たいへん恐縮ですが、答弁いただくとき、もう少しオクターブ上げてひとつ発言願います。
 次にお尋ねしますことは、電力会社と折衝する担当局長である井上さんが陣頭に立って石炭を何とか引き取ってくれぬかという交渉をなさるのでなかろうかと思うわけですが、しかし、電気の総元締めはもちろん大臣でしょうけれども、あなたが中心としてやっておられるんでしょう。そうしますと一昨年ですか、安達さんがたまたま公益事業局長の宮本さんと一緒におられたことがございましたね。そのとき電気事業法ができて十九条に料金やその他の問題ができ上がっているんですね。そうしますと石炭使うか、重油使うか、原油をそのまま使うかということが重大な問題なわけです。井上局長さん、そう石炭ばかり使ってくれと言っても電気のほうもやかましいから困るという内輪話があるかもしれません、ないかもしれません。そういうことで一昨年でき上がった法律に、とにかくいろいろ書いてあるわけですね。したがって、「適正な利潤」云々と、こう書いてある「適正な利潤」というのは、一体何を指しておりますか。金額でもけっこうですし、中身でもけっこうですから、電気会社の。
#31
○政府委員(安達次郎君) 御質問は、第十九条の料金決定のここで言っております「適正な利潤」と申しますのは、ただいま電気の料金の算定基準が定まっております、その中で、これは真実有効なる資産に対して八%の資本報酬といいましょうか、資産報酬といいますか、これを原則として与えることにいたしております。大体この「適正な利潤」と申しますのは、いろいろ複雑な内容でございますけれども、一言にして言えば、真実有効なる資産に対する八%の公正報酬というふうに私たちは理解しております。
#32
○阿部竹松君 この法の解釈ははっきりわかりませんけれども、電気の一キロ当たりの生産コスト、これは正しいコストは通産大臣は認めなければならぬでしょう。変更の場合も通産大臣が認めるということになる。その認める場合に正しい利潤というのを加味しておるわけですよね。かつていまより十年ぐらい前に小出さんという人が公益事業局長時代に、東北電力が電力料金を上げてくれと言ったら国会で問題になって、幾らが正しい料金か、こういう論争になりましたときに一四%と一七%と両方出してきた、二つの案をどちらも正しい料金だと、こういうわけであります。これは昔の話で御承知おきないかもしれません。
 そこで私がいろいろと調べてみたところが、この正しい利潤というよりも端的な表現を用いると、配当を多くせんがために、利潤を多くするためにはやっぱり油を使ったほうがコストが安くなって、油を何トン使って石炭を何トン使ったからといって、電気料金が一カ月に一ぺんずつ上がったり下がったりするわけではありませんからね。そうするとかつての三重の新鋭火力のように、石炭をたくことになっておったが、調べてみたところが重油をたいておったという事件が起こるわけです。ですから石炭を掘る、石炭を使ってもらいたい立場からすれば、ここらあたり電気料金と関係があるし問題があるわけです。利潤の追求をしなければならぬ資本主義、強い者勝ちの社会ですから、これは少しでも安いコストで高く売ったほうがいい、これはわかっておる。あなたのほうの、法律でいうところの十九条に書いてある利潤というものはどのぐらいまで通商産業省としてお認めになるのか、それをお尋ねしておきます。
#33
○政府委員(安達次郎君) この十九条は、電気の料金その他の供給条件をきめて認可を受けなければならない。そのときに、次のような「各号に適合していると認めるときは、」「認可をしなければならない。」ただ第一号でただいまの「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」という規定をいたしておるわけでございまして、料金を定めます場合に、先ほどお答え申し上げましたように料金の算定基準がきまっておりまして、その中では「適正な原価」というものはこういう基準で判断するんだというような数多くの項目があがっております。そのうちにいわゆる適正な報酬というものは、考え方としては政府としては二種類あるわけでございまして、過去においては、いわゆる配当、金利等を積み上げて、実際上かかるコストを、これを原価の中に織り込むという、いわゆる積み上げ報酬方式と申しましょうか、そういうやり方が過去においては日本においても採用されておったのでございますけれども、昭和三十五年のいわゆる電気料金制度調査会というものの答申に基づいて、ただいま行なわれております電気料金制度におきましては、その真実公正なる資産に対して八%の公正報酬を与えるという基準が定められているわけでございます。したがってこの法律で言っております「適正な利潤」というものは、そういうふうに理解しているわけでございます。
#34
○阿部竹松君 八%ですか。そうしますと、八%に満たない場合には、石炭を使った場合にそれだけの差額を、トン当たり幾らになるかわかりませんけれども、大臣の答弁の中にございました「差額は政府が補償しております。」と、いうのと合致するわけなんですね。
#35
○政府委員(安達次郎君) ただいまの石炭の問題と直接のつながりはございません。というのは、電力会社の料金はただいま申し上げましたように、料金の算定基準できまるわけでございます。そのきまった時点、たとえば北海道電力ならば昭和二十九年、関西電力なら二十九年にきまり、北陸電力は昨年昭和四十一年度に料金を改定しております。そのようなぐあいに、その料金をきめます際に、ただいま申し上げましたような算定基準できめるということでございまして、それが料金がきまりました後に、たとえばいろいろの経費はそのとき見ました適正な原価といううちに上がっております。たとえば人件費がふえた、これもそれは当然企業努力で吸収しなければいけないし、あるいは企業の合理化、設備の合理化など、そのような企業努力によってコストの下がった分、その分はそれぞれの企業の収益となるわけでございますし、出たり入ったりいろいろするわけでございまして、ただいまの石炭の価格あるいは油の価格、そのようないわゆる燃料の上がり下がりというのも、直接的にはただいま申し上げましたような料金をきめる――そのもののきまった後においては、その一つのふところの中で処理される、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#36
○阿部竹松君 昨年か一昨年の暮れだと思いますが、その法律ができ上がったとき、北海道と九州は五十円、それからはっきりした小さい数字、私わかっておりませんけれども、北海道と九州は安くて本州は高いというようなことを聞いた記憶がございますが、それをいま適用してやっておると思うんですが、とにかく電気会社はこれは私企業ですから、政府が行政指導の面で、ある限界を越えれば命令するわけにいかぬわけですから、それはある程度の幅は認めましょうけれども、国からどんどん金を出してやって、その利潤分を積み上げるというようなことについて私はきわめて疑問を持っておるわけです。
 そこで次にお尋ねすることは、日本とドイツはきわめて国柄が、戦争に負けたばかりでなくて似ておって、第二次大戦の当時ドイツにはあまり石油が出なかった、日本ぐらい。ところが、第二次大戦後ドイツで日本と違って相当油田が発掘されて、国内消費量の三割ぐらいまで油が出ておる。にもかかわらずドイツは日本から炭鉱労働者を連れていくぐらいまでしてドイツの石炭を掘って、油を買うより国内の石炭を使いなさいということで、三割以上国内の油があるにもかかわらず石炭を使っておるわけです。ところが、日本の場合は九九%まで外国から油が入ってくるわけです。にもかかわらず石炭を使わないで、そうして今度油を使え油を使えという方向に進んでいるわけです。これは決してあなたの責任だということをぼくは申しませんけれども、少なくとも石炭の大部分、七割までは電力によって消費してもらわんとする、あるいはもう少し、通産当局に、特に電力会社等においてはドイツに右へならえということは申し上げませんけれども、お考えになっていいのではないか。これは電力会社に私どもが言うことばかもしれませんよ。しかし私どもは、私企業にものを言う筋合いのものではございませんので、当然、たいへん恐縮なんですが、それを担当し、指導しておられるあなたにお尋ねすると同時に、どういうわけで日本とドイツとこういう差ができるのか、そういうことについてもう少し電気会社に石炭を使ってもらう方法がないものかどうかということをお尋ねしたいのですが。
#37
○政府委員(安達次郎君) 先ほども申し上げましたように、電力会社もただいまの国のとっております石炭対策、これに対しましてはいろいろ注文はございますけれども、全面的に御協力なさっております。そういう結論になりますまでには、役所側もいろいろと説明をし、説得もし、協力を要請するというような手続をやっておるわけではございますけれども、結果としては業界の協力をいただいておるわけでございます。考え方といたしましては、この電気事業、これはガス事業も同じでございますが、やはり公益事業でありますし、そういう意味ではそういう料金の形で、いわゆる経理状況が悪くなれば料金を上げなければならない結果が起こってくるわけでございますので、何としてもできるだけ料金については長期的な安定をさしたいという考え方を私たちも考えておるわけでございます。同時に企業形態自体が一応そういう公益事業を遂行し、事業法などで規制は受けながらも、いわゆる私企業体制でやっております事業でもございますし、そういう経営の合理化等についても極力会社としては努力もしなければいけないし、そういう意味ではそういう使用いたします燃料等についても、やはり経済性の高いものを使用するという方向に指向することは、本質的にはやむを得ないものと思います。ただ、現在の国の石炭政策が、先ほどちょっと大臣も触れましたように、いわゆるエネルギーの安定供給とか、あるいは安全保障とか、そのような、その他いろいろな現在の石炭政策の考え方のベースになっているそういう方向、その国の施策に対しては、電力会社も十分に理解して協力してくれているものと私もそのように考えておりますし、今後とも十分業界に対してはそういう国の定めた石炭政策に対する協力を要請してまいりたいと思います。
#38
○阿部竹松君 ところが、その御答弁どおりにいっておらぬのですね。継続中の火力発電所、これが相当数あるわけですね。北海道から始まって相当数あって、まあ中には原子力――これ火力と言えるか――水力より火力に近いでしょうから、火力のほうに入るのでしょうが、この相当数の継続工事中の発電所全部を調べてみますと、これほとんど重油ですね。もちろんこれ審議会の答申もありましょうし、大臣の決裁もありましょうから、一公益事業局で右する左するという筋合いのものじゃないでしょうけれども、それをおまとめになるところがあなたのところだと思いますので、お尋ねするわけですが、もうほとんどというと極端になるのですがね、油のほうが圧倒的に多いのですね。石炭のほうがもう顕微鏡で見なきゃわからぬくらいですね。そうすると、答弁と現実の問題と違うじゃないですか。たとえば発電所をつくるためには、起工してから半年くらいでできるのであれば、ぼくは文句言いませんよ。しかし長い年月をかけて計画し、長い年月をかけて起工し、いよいよとにかく発電開始するわけですから、そういうあなたの答弁のように、いわゆるここの委員会で答弁するようなわけに、一つの火力発電所といえどもできませんよ。そうすると、これを見ると、その答弁どおりにいっておらない。この数字が誤りであれば別ですがね、圧倒的に油のほうが多い。これはまたどういうわけですか。
#39
○政府委員(安達次郎君) お答えいたします。
 先ほど申し上げました電力業界の石炭に対する協力の内容は、昨年国の方針としてきまりましたとおり九電力のワクで二千三百万トンの石炭を引き取るとともにそれと別ワクで電発に石炭火力を建設させてその電気の卸売りを受ける、こういう形での協力でございます。しかも二千三百万トンの消化のために必要な石炭火力の設備は、ただいままであります設備と現在建設中の設備で大体消化できる見込みでございます。
 そういう意味で申しますと、先ほど申し上げましたように、現在の特にいわゆる北海道、九州の積み地ではなく、内地の揚げ地におきましての石炭火力の建設が、大部分が重油であるということも、ただいままでの国の施策である二千三百万トンに対する電力側の協力ということを裏切っていることにはならないものと考えます。しかし、今後また国の方針として、石炭の需給状況の動向いかんによって、またその数字――いわゆる九電力に協力を要請しなければいけない数字が変わってくるというような場合には、そのときの変わってきた時点において、いわゆる現有石炭火力設備及び建設中の設備で、もし間に合わないというようなことになれば、早急に建設をしなければいけない事態が起ころうかと思いますけれども、ただいまのところでは、そのような状況でございます。
#40
○阿部竹松君 これは石炭局長にお尋ねしたいわけですが、衆議院の石炭特別委員会で――田中さんという人が通産省におられますか――田中さんという人の答弁の中に、これは電力用炭でなくて鉄鋼用の原料炭を昭和五十年に二千九百五十万トン、約三千万トン国内の石炭を使用する、こういう御答弁をなさっているわけですが、そうすると、昭和五十年になると国内の炭は幾らくらいお使いになる予定ですか。あわせて公益事業局さんにもお尋ねしたいのですが、その場合、昭和五十年において大体幾らくらいお使いになる予定ですか。
#41
○政府委員(井上亮君) 衆議院では、おそらく田中エネルギー政策課長のお答えであろうと思います。原料炭の問題につきましては、私ども今後の需給の方向でございますが、鉄鋼業界の今日持っております長期の実践計画を前提にして考えてみますと、概括的に申しまして国内の原料炭、これは弱粘結炭でございますが、これは鉄鋼業界が使用するのに足りないというような状況であろう、言いかえますと、鉄鋼業界は、この国内の原料炭につきましては、優先使用するというお約束になっておりますので、国内の原料炭を産出しまして、まず国内炭を優先的に使って、足りない原料炭につきまして海外から輸入するという方針になるわけでございますが、長期的に見まして、やはり国内炭の出炭のほうが需要よりも少ないということになろうと思います。
 先ほど二千何百トンと申しましたのは、これは強粘結炭でございまして、強粘結炭が入っての数字でございますので、強粘結炭は、これは私が申し上げるまでもないことでございますが、これは輸入はやむを得ません。弱粘結炭につきましては、やはり国内炭の出炭のほうが需要よりも少ない今日において原料炭の長期の供給見通しを立てておりますが、当面昭和四十五年度におきましては、千五百十万トン余りというふうに言っておりますが、この程度が原料炭の供給量ではないかというふうに考えております。しかしいろいろ新鉱開発等を急いでやっておりますので、さらにその後逐年原料炭の供給はふえまして、昭和五十年ごろには、千六百万トン台の出炭は可能ではないかというふうに考えております。いずれにしましても、原料炭につきましては、需要に対して供給が追いつかないというのが実情でございます。
#42
○政府委員(安達次郎君) 昭和五十年度の電力側の石炭使用の見込みという数字は、私は正確にはわかりません。ただ、ばく然とした推定でございますけれども、昭和四十五年度は大体九電力二千三百万トンその他を含めまして約三千万トン程度という予定になっておりますが、これが若干の増加をしながらの横ばいということではなかろうかというふうに予想しております、ただいまのところでは。
#43
○阿部竹松君 わかりませんと言われれば、お尋ねする由もないわけですが、年々とにかくエネルギーの需要がふえまして石炭のほうは御承知のとおりなかなか伸びないわけです。そうすると、油のほうはどんどん伸びる、やがては原子力が出てくる。そうしますと、いまであれば三分の一であったのが、今度は四分の一から五分の一、六分の一になってしまうということになりますと、その総エネルギーの中に占める石炭の消費量というものはきわめて微々たるものになるわけですが、少しぐらい入っておっても、そうじゃま者扱いにされぬでもいいのではないかというような気がするわけです。したがって、さいぜんもドイツの例を申し上げたのですが、ドイツでは油がたくさんあっても自分の国の石炭を使うわけですから――日本はたまたま鉱山局長さんもおいでになっているからあわせてお尋ねしてみたいのですが、港に行くとずいぶん重油のタンクか、あるいはガソリンのタンクかわかりませんが、タンクがある。これだけ戦前と違ってタンクがたくさんあるんだから、われわれしろうと目には半年分くらいのわが国には油の貯蓄があるというように考えておったところが、新聞を見ると、例の中東の争乱で一カ月半しかありませんと新聞に出ている。新聞記事がうそだったら別問題として、一カ月半しかないわけですから、特にそういう問題が起きると直ちに問題になるわけです。そのときになって石炭掘れといったって間に合いませんね、そう簡単にできませんから。そういうときの準備はどうするのかということと、鉱山局長にお尋ねしたいことは、ほんとうにあの新聞に発表したような数字かどうか、あれが事実とすれば、わが国のエネルギーというものは底が非常に浅くて自信がなくて、きわめて危険であるということが言えるのじゃないですか。
#44
○政府委員(両角良彦君) 現在の貯油状況は、ただいま御指摘がございましたように、原油におきまして約二十日分、精油におきまして二十二日分、合わせまして一カ月半をちょっと下回っておるという状況でございます。したがいまして、これが重油その他の石油製品の安定供給の上に十分な備蓄量でないという点は私ども全く同感でございます。さような意味から今後石油の貯蔵設備の増強のために、たとえば大型の原油基地の建設を促進するとか、いろいろな方法によりまして政府も協力をいたしまして備蓄体制の強化をはかってまいりたいと考えております。
#45
○政府委員(安達次郎君) ちょっと先ほども触れましたように、原子力におきましても、安定供給のためにはやはりたった重油一本ということでははなはだ危険でございます。そういう意味で確かに重油も石炭も原子力も、こういう発電用エネルギーの多様性は、やはり安定供給のためにも確保しなければいけないことと思います。そういう意味では将来において、そでにしておると言われましたけれども、決してそういうつもりもございません。ただいま電力のほうの長期計画で、昭和五十年度における設備などを、先般の電源開発調査審議会で御審議いただいたわけですけれども、その場合、長期計画の中における火力の中で、重油や石炭の内訳まで議論していないわけでございまして、そこで石炭火力の設備がどのくらいになるか、その辺のところのあれが最終的には全然出されていない、そういう意味で石炭の所要量の計算が現在はできておりませんと申し上げた次第でございます。
#46
○阿部竹松君 鉱山局長にお尋ねしたことは、中東の動乱で油の在庫高がわかったから、これからタンクをふやして石油をたくさんためておけという私の質問ではなかった。大臣に聞くのが当然だけれども、通商産業省の最高幹部の一人であるから、やはり政策その他は、政治は大臣がおやりになっている、栗原次官等がおいでになっておやりになることだけれども、参謀本部の最高責任者の局長さんですから、なるほどタンクをふやして倍置くのもけっこうですが、動乱が長引けば、倍あったって同じことです。ですから国内の資源があるのだから、そのほうもやってもらわなければならぬという答弁があってしかるべきなのに、タンクをふやさなければというのでがっかりしたのです。そういう通商産業省の考え方だから……私の話は古いのですから、あなた方その後何回も行かれて御承知おきだと思うのですが、やはり外国にドルを持ち出して、外国の油を地中海を通って持ってくるよりも、こちらのほうがいいのだ、こういうことを言っているわけです。これは通産省ひとりでやれといっても無理ですけれども、そういうことを通産省の最高幹部の方々がお考えおきないのかどうかということをお尋ねしたいわけです。残念ながら木によって魚を求めるような御答弁でどうにもなりませんが……。
 そこでその次にお尋ねすることは、石油をたいた場合と、水とそれから石炭たいた場合と、電力のコストが出てきますが、一キロ当たりのコストが、これは個所個所によって違うでしょう、ですから全国平均なりあるいは東京電力の場合はこうですよ、こういうことでけっこうでございますから。それからだんだんと、いいところはダムができてしまってこれから山奥、山奥というところになるのですね、ダムをつくって、水力発電の場合には。したがって発電所をつくる場合にはコストは水力のほうが高いのでしょう、だと思うのですが、そのあたりちょっとお示しいただきたいのですがね。
#47
○政府委員(安達次郎君) 手元の資料でお答えいたしますが、まず重油火力と石炭火力の原価の比較を先に申し上げます。手元にそれぞれ石炭の揚げ地といたしましての東京、中部、関西はたまたま同じ時点に建設した重油火力と石炭火力ですけれども、資料がございますので申し上げます。
 関西の例で尼東一号、二号というのが石炭火力でございます。それから堺港二号、三号というのが、これは重油火力でございます。送電端の発電原価を申し上げますと、尼東一号、二号平均でキロワットアワー当たり三円二十四銭、それに対して堺港二号、三号、二円三十一銭という数字が出ております。これは建設時期が大体同じ四十年の九月から四十一年の半ばごろということでございますが、ここで決定的に違うのは、出力が石炭は十五万六千、重油のほうが二十五万でいっておりますので、ユニットの違いがちょっとございますので、それだけちょっと天引きして考えなければいけないだろうと思います。それから名古屋の中部電力の例で申し上げますと武豊の一号が四十一年八月でございます。これが石炭で三円八十八銭、それに対しての知多の一号、二号、これがユニットが武豊の二十二万に対して三十七万五千でございますが、これは同じ時期でございます。これは二円八十二銭というふうになっております。東京の例で川崎五号というのが、四十年十月、横須賀五号が重油で四十一年の五月で、少し数字はずれておりますが十七万五千と三十五万でユニットが倍になっております。それを念頭におきまして川崎五号が三円二十八銭、横須賀五号が二円四十三銭というような数字になっております。この選び方によって単純な比較をすることは危険かと思います。一応、ただいまここに出ました数字を概観しますと、送電端のコストでいまの三社の例で申しますと、大体三割程度違いましょうか、そのような数字が出ております。
 それから水力でございますが、水力は四十年度の従来ある水力全体の発電原価で申しますと、キロワットアワー当たり二円八十六銭という数字が出ております。
#48
○阿部竹松君 つまり、石炭火力なり重油専焼火力なりの、つまり十万キロなら十万キロの発電所をつくった場合と、現在では水のほうは山奥になってしまって道路工事から始めなければならぬので、水のほうが高くつくでしょう。したがって、そのコストの差とか、そういうことをあわせてお伺いしておるのですがね。
#49
○政府委員(安達次郎君) 大体、御指摘のように水力発電は相当奥地のほうにまいりますし、いわゆる開発しやすい地点がだんだん乏しくなってきたというような事情から、キロワットアワー当たり建設費が大体十二、三万ぐらいするようでございます。それに対して火力のほうは、建設費が大体キロワットアワー当たり四、五万程度、こう考えたらいいかと思います。
#50
○阿部竹松君 四、五万ですか。それ調べてみてください。私のうろ覚えですが記憶しておる数字と違いますから。
 ということで、水力のほうが高いコストにつく。ところが、調べてみましたところが、一番便利で一番やりやすい、しかもすでに去年のうちから予算化されておる横浜の発電所一基がまだ起工されておらぬのですね。あれは電源開発の責任であるかあなたのほうの責任であるかどうかわかりませんけれども、あれはどうもふに落ちぬですね。公益事業局長のおっしゃった閣議決定の線に沿って産炭地振興云々とおっしゃるのであれば、もう去年許可になっておる、予算化もされておるわけです。それがまだ着工もしておらぬ。もしやったとすれば一年半前に、あるいは二年前に、まあその当時から起工しても今日発電できたかどうかわかりませんけれども、まだ起工しておりませんから、二年なり三年なりおくれるわけですね。そういうことは私はまことにけしからぬと思うのです。なぜ、とにかくもう決定し、許可を受けておるものをやらぬのか、こういうことです。
#51
○政府委員(安達次郎君) 電源開発会社が横浜市の磯子に石炭火力を従来から、三年前でございましょうか、三十九年から着工いたしまして、一基やっとことしの五月に運転開始をいたしました。そして昨年の、いわゆる今回の抜本対策が打ち出されましたときに二号基の追加着工を、昨年度のうちに追加着工するたてまえで、いわゆる補正予算等の措置も講じられたわけでございます。ところが、一号基の建設当時にも、横浜市当局といたしましてはその建設地点、これは横浜の住宅地区の真下にある埋め立て地点でございます。そこで一号基の建設の当時にもいわゆる公害防止のために地元、市当局が相当神経を使いまして、その発電所の機械、建屋その他の施設につきましていろいろこまかい注文もあり、それに最大限度即応するような結論を出してやっと着工した次第でございますが、同時に、従来横浜市におきましては、発電所以外の一般の大気汚染、いわゆる基礎汚染と称する、ベースとして相当空気がよごれているというような事情がありまして、特に二号基の追加について地元から、そういう公害対策についての地元民説得に時間がかかるので待ってほしいというような強い要請があった次第でございます。そういうようなことで、それに地方選挙などもからみまして、それやこれやでまだ地元の了解を得られるところまできょう現在はなっておりません。大体の見通しといたしましては、今月一ぱいぐらいに地元の了解が得られるのではなかろうかという大体の予想でございまして、もしもそうなりました暁には、もう来月中には電源開発調整審議会を開いてすぐ二号基の着工を決定いたしたい、こういうふうに考えております。
#52
○阿部竹松君 明治の末期とか大正の初期ですと、煙突から黒い煙がもくもく出ました。しかし、今日の発電所で公害なんかありませんよ、別に亜硫酸ガスが流れるわけじゃありませんからね。なお加えて選挙がありましたなんといったって、それはオリンピック道路をつくるといっても障害はございましょう。万国博覧会をやるといったって若干は、それは地方の人は要りませんよと言いますよ。しかしそれを排除してやるのがあなた方の仕事じゃありませんか。それを電力会社に持っていったところでなかなか、人間がたくさんふえて市民がふえても、市民税を納めるわけでも何でもありませんし、直接その市の住民は利害得失がございませんから、これはそんなものができたら困るぐらい言う人もおられるでしょう。しかし、昨年のうちに予算化され、計画され、答申案は五つつくりなさいといって、三つにしぼっておるそのやさきに予算が決定したのをおやりになっておらぬわけです。口で言うことと行なっておることと全然逆です。あなたは、火力発電を横浜の磯子の海岸でやったら公害が起きて住民の人が困るとお思いですか。
#53
○政府委員(安達次郎君) 私自身はそのようには考えておりません。現にこの磯子一号基の着工が決定された時点におきまして私は東京通産局長を拝命いたしておりまして、たまたま地元との接触等に直接当たらされた。私自身というよりも私のところの職員がいわゆる地元の説得について長期間いろいろ骨を折ったような経験がございます。地元公共団体の立場としては、やはり石炭火力の場合にはこういう電気的、機械的な集じん装置をつければ、そのばい煙のうちから九八%が全部除けるというようなことを立証したり、あるいは煙突の高さをどれくらいにすればどういうような拡散がなされるというような説明をいたしましても、地元住民に対する説得のために、あるいは造船所の設備を使っての風洞実験をやってみせたり、あるいはふうせんを飛ばしての現地の風向実験をやってみせたり、いろいろ現地の説得には手間ひまがかかったようでございます。今回の場合は一号基で公害についてのおそれがほとんどないという、一号基の場合のその確認ができておるわけですから、案外二号基の場合には地元の了承を得られるのは比較的簡単にいこうかと当初は予想いたしておったのですけれども、なかなかそう思うようにはいきませんでした。やっと今月一ぱいぐらいで地元の了解を得られようかという段階にまで到達したのでございます。
#54
○阿部竹松君 これはひとり公益事業局ばかりでなくて、電源開発にも責任のあることですから、さっそく一日も早く着工され、石炭をたくように格段の努力を願いたい。
 その次にお尋ねしたいことは、北海道の釧路などというところに、これはあなたの前の前の局長さんからも承っておるわけですね。衆議院で御質問されたかどうかわかりませんけれども、これは一体どういうことになっておるのですかね。一つ一つ小さいことを申し上げてお尋ねするのもなにかと思うのですがね、きまってもさっぱりできないですね。ですから、なかなか石炭を引き取ってもらえないと、こういうことになるんでお尋ねするわけですが、この点はいかがなんですか。
#55
○政府委員(安達次郎君) 釧路火力につきましては、北海道東部の将来の電力の需要増加に備え、その上に産炭地振興というような趣旨をも加えまして、昭和三十九年に第三十七回の電源開発調整審議会で着工が決定いたされております。ところがその内容は、七万五千キロワットの小さな発電所を一つつくるということでございますが、すでに用地などにつきましては、地元釧路市当局がその土地を提供し、まあ北海道電力においてもすでに整地などは一応完了しているわけでございます。しかし、その後御存じのように日本経済はいわゆる不況状態に突入してしまいまして、電力需要の伸びが著しく北海道のあの地区において落ちたというようなことから、供給力が過大となったために、これは電力サイドの事情で着工が約二年間延期されてまいったわけでございます。当初の予定では、三十九年五月着工というのが、四十二年まで延びてまいったということでございます。そして、今回やっとその着工が決定いたしました。まあ着工決定いたすまでに若干過去のいきさつから申しますればちょっとややこしい事情もございまして、といいますのは、いわゆる当時ここは冷却用水の関係で小さなユニットのもの一基しかできないというようなことから、大規模の利益、ユニットの大きな利益が得られない、そのような事情から発電コストが高くつくというような事情にあったわけでございます。したがって、ここに発電所をつくるためには、当時この着工をきめる時点においては、ある程度石炭の価格においてまあ調整をしていただくというような話し合いが電力会社と石炭会社との間にあったようでございます。それで、先ほど申し上げたように、二年間着工が延びている間に、延びて今度着工いたします際に、その石炭価格の相談をいたしました場合に、今回はやはり基準炭価の、国の政策もございますし、そういう面から、そう簡単に希望するとおりの炭価をきめるわけにはまいらぬというようなことで、少しいろいろと時間をかけてもんだ事情、いきさつ等もあったわけでございますが、その点は解決いたしまして、ただいまはそういう意味ではいわゆる問題がなくなりまして今年度着工いたすことにいたしております。現在のところは、準備から申しますと、石炭会社との間の引き取り炭の内容等についての具体的な取りきめを急げるだけ急いで、その炭の規格なり何なりに応じた仕様書なり設計なりができたら機械の発注をするというようなことで、さらに整地の――いまのところではその前の段階の何か準備をしているというふうに承知しております。
#56
○阿部竹松君 いろいろお尋ねしたいこともありますが、担当局長さんでございませんので、これで安達局長さんに対するお尋ねは終わりますが、最後に、石炭が膨大な貯炭があるのですが、しかし一般炭についてはあなたの御関係でないので、最近の電力用炭の受け渡しの状態をお尋ねします。
#57
○政府委員(安達次郎君) 昭和四十一年度におきまして、電力用炭のまず受け入れは、九電力、電発その他を合わせまして合計二千三百十五万トンの受け入れをいたしております。消費が、大体同じ程度、二千三百四十九万トン、それから年度末の貯炭で四百十四万トン、こういうことになっております。大体四十一年度分につきましても、引き取りのお約束をいたした分は、九電力においては引き取っております。
#58
○阿部竹松君 さいぜんのお尋ねは――現在どうですか。現在ですね、四十一年度がどうとか何とかというのじゃなくて、いまはもうスムーズに、途中もう五十万多く取れとか、百五十万多く取れという話がなくて、スムーズに、いまは流れておるのですか、こういうことをお尋ねしている。
#59
○政府委員(安達次郎君) ただいまスムーズに流れております。
#60
○阿部竹松君 どうも安達さんありがとうございました。
 で、石炭局長に二、三お尋ねいたしますが、今度は一般炭のほうですね。これが一番いま貯炭が多い多いといわれておる中でダブっておるのですね。ところが、流通機構の影響するところかどうかは別として、これが何%か入っている。石炭会社の場合もそうだと思うのですが、一つのAという大きな会社があって、その下にBという会社がある。その下に孫会社のCというものがあって、流通機構がきわめてスムーズにいっておらぬ。パイプが詰まっているところがあるわけですね。これはここにおる通産省の職員の皆さん方、これはガスストーブを使っていらっしゃるか、石炭を使っていなさるかこれは別として、一トン五千五百カロリーで東京で一万二千円ですよ。現地へ行くと二千円です。もちろん汽車賃から積みおろし賃から、中に入ったマージンも要ると思うのですが、とにかくトン一万円、常磐の炭です。これが現状なんです。東京で石炭を買っておふろをたいたり、暖房に使っている人はよくおわかりだと思う。これが実態なんで、とにかく石炭を高くせい、高くせいといっても、時代に逆行ですね。ですからコストを下げるためにはどこがじゃまかと、こういうのを幾つか調べていくと、やはりそこらあたりに問題点があるわけです。したがって、こういう点について、もちろん電気に納入する石炭の場合もそういうことがあるでしょうけれども、このあたりを規制することができんものかどうか。この法律によっても規制できませんね。ですからやはり抜本対策を立てるときに、また値段を上げて、国から金を借りて抜本対策などといったって長持ちしませんから、そういうところ、一つ一つメスを入れる必要があるのではないかというような気がいたしますが、そこあたりメスを入れる方法がないものですかね。
#61
○政府委員(井上亮君) 一番むずかしい問題で、また一番大事な問題だと思いますが、ただいま阿部先生から御指摘いただきました流通機構の整備の問題、これに伴います販売価格を引き下げる努力の問題でございますが、この問題は私どもも痛感しておりまして、御指摘がありましたように、東京で暖房炭を買いますと、トン当たりに直しますと一万二千円、コストは幾らかといいますと、大体三千円から四千円、山元では、というようなことでございますから、あまりに格差が大きいわけでございます。常識的に大きいわけでございます。この問題につきまして、私自身といたしましても、数年来その疑問を業界に投げかけまして、この改善ができないかというような話をし続けてきておるわけでございまして、この点については、いろいろ私どもも検討しておるわけでございます。
 しかし、これはやはり何といいますか、船賃がかかることはもちろんですけれども、そのほかにやはり袋詰めにすると、最近非常にきれいな包装をしたり、袋詰めにしたり、使用のあと便利なようないろいろなこともするというようなことで、まとまった大きなロットをして取り引きしますときにはこれはよろしいわけですけれども、こま切れになりますと、家庭用というようなことになりますと、非常に手数がかかるというようなことから、人件費の高騰等もその間あって、なかなか引き下げがむずかしいというのが関係者の言い分になっております。しかし私、それだけでは納得いたしませんので、たとえば消費地につきましては、やはり共同貯炭場をつくるというようなこと、あるいは共同して袋詰めをやるとか、できるだけ扱いを大きくするというようなことで能率を上げるようにということで、これに関しましてはやはり国としましても近代化資金の融資までしてもいいじゃないかというような政策もやっておるわけでありますが、それもあまり実績としてはかばかしくない。
 それから次に考えておりますのは燃焼器具の問題がございます。燃焼器具の隘路は各社がまちまちに燃焼器具を開発しているというようなことで、これは消費者のほうからしますと、やはり適性炭というのがありますから、だからしたがってその適性炭というようなことからいうと、当該山の炭に適する燃焼器具というようなこともありましょうけれども、しかし一面において燃焼器具を統一することによって消費者のほうは非常に便利なことになるという一面もあるわけでございますので、燃焼器具の改良につきまして本年度からこれについての助成策、燃焼器具の改良についての助成策、こういうものをいまとろうということにいたしております。
 いろいろこまかい努力を積み上げていきませんとなかなか、特に暖房炭の消費者、家庭用暖房炭についての小口の需要の合理化の問題はなかなかむずかしい問題がありますから――そうかといってこれを一がいに何といいますか、一元的な配給機構にしましても、それじゃ需要確保という面で十分かといいますと、これまた消費者というものはやはり家庭まで配達してもらわなければいかぬというようなこともありましょうし、サービスの問題もありましょうしというようなこともありますので一がいに言えません。そういうような問題もありまして、どういう方策がいいか、今後とも私どももやはり大きな課題として検討し、少しでもいいことはどんどん業界に実行してもらいますし、私どももそれに非常に助成策が必要だということになれば、惜しみなく助成策によって応援していきたいということでやりたいと思います。
 しかし概略的、率直に言いまして、特に小口の暖房炭等の需要確保についてはあるいは流通の問題も含めましてなかなかむずかしい問題があって、今日まで十分な成果をあげてない。ただ個別企業にとってみますと、たとえば常磐炭鉱等につきましては各県に共同元請貯炭場をつくるというようなことをしたり、共同行為でやらしておるというような努力のあとは具体的に見えますけれども、まだ全体として自慢できる程度ではないというふうに考えております。
#62
○阿部竹松君 前回も申し上げましたが、池田さんの総理のときに五千五百万トンから始まって後退の一途をたどってきておりますので、そのつど政府の答弁を信頼してきた私どもとしては、今度はもう信頼できなくなっておる。しかし猜疑心を持ってものごとを論議してはこれはなりませんから、すなおな気持ちで受け取っておきますが、ここで通産大臣おいでになったからお伺いするわけですが、なかなか五千万トンと一口に言っても、いま石炭の状態についてもお聞きしましたが、容易なものでないのですね。確かに、いま井上局長さんのことばの中にもございましたが、船積みで持ってくるとコストが高い、北海道から持ってくると二千円もかかるでしょう、トラックで東京都内まで運ぶと。それにしても膨大な差額があるわけですよ。ということは、石炭を掘っている人が約十万人ですね。経営者から従業員まで全部入れると十万人、しかもその十万人以上の人が石炭産業によってあらゆる場面で生活をしておるということですね。ですから石炭産業がいかれれば、十万人の人たちがその石炭産業を離れればいいのかというと、そういうことではないわけです。したがって通産省は川口の工業技術院ですね、あそこに膨大なお金を投じて石炭の研究をなさっておるわけですね。石炭は単に暖房だけでいいのか、電気だけでいいのか、鉄鋼だけでいいのか、それじゃ石炭の使途が幅が狭いのじゃないかということで、ナイロンあるいは染料という幾多のものを研究なさっておるわけなんです。その成果について大ざっぱでよろしゅうございますから、お尋ねいたします。
#63
○政府委員(井上亮君) ただいまお話ありましたように、石炭の需要拡大のために、いろいろな研究を工業試験所でやっているわけでございますが、それからなお、石炭業界がやっております技術研究所もあるわけでございますが、まず一般炭につきましては、さらに一般炭の原料炭転用の研究、これにまあ相当な力を入れておりまして、現実には北海道におきましては富士製鉄の室蘭、あるいは八幡製鉄等におきましてもこの試験所とタイアップしていろいろ一般炭の原料炭転用の試験研究をやるというようなこともいたしております。そのほか石炭化学についての研究もいたしておりますけれども、石炭化学につきましては、今日までのところ、多年いろいろやってはおりますけれども、まあなかなか石炭の需要を拡大するというようなところまでの成果は必ずしもあげていないというようなのが現状でございます。なお、先生御承知だと思いますが、最近試験所におきましては活性炭の研究もいたしております。で、これはある程度の試験成果をあげまして、近く実用化ができる段階になるのじゃないか、これも当初は量的にはそう大きな需要拡大との結びつきは期待できないかと思いますけれども、しかし、それにいたしましても、石炭を使っての新技術による新分野の拡大というようなことには、この研究が寄与するのじゃないかというふうに考えております。いろいろやっていると思いますが、これらにつきましても、さらに国も努力していかなければいかぬというふうに考えております。
#64
○阿部竹松君 これは石炭ばかりでなくて、日本人の国民性であるかもしれませんがね。まあ繊維にいたしましても、あるいは重工、軽工にいたしましても、みな自分のところはわが社中心で工場をたくさん持っているのですね。そうして大きな力をあげて金を出し合ってひとついいものを研究しようじゃないかという気がない。これは石炭ばかりではないので、石炭局を責めるわけにいきませんけれども、しかし、北炭に研究所あり、三菱にも研究所あり、通産省にもあり、あるいは三井も持っている。かってかってにやっているわけです。何とか通産大臣として、これも命令というわけにはいかぬでしょうけれども、御努力によって一カ所で、石炭を単に電気だけに押し売りするとか、鉄鋼に使ってもらうということでなくて、研究することができないものかどうか。たとえば最大の貯炭がある三井三池炭鉱などは、これは硫黄分が多くて売れないということも一つの原因です。単に石炭が売れないということだけでなくて、硫黄があって、最後には百万単位で残る。ところが、これはいま急に三井の石炭が硫黄分が石炭の中にあるというのではなくて、過去十年も二十年も前からわかっているわけです。これ全然研究しておらぬわけですね。こういうことは大臣少し遺憾だと思うのですが、通産大臣というかみしもを脱いで、学者としても、あなたは工のほうか文のほうかわからないけれども、日本人の島国根性というか、民族性というか、小さいからに閉じこもって、おれのところが、おれのところがということでやりますと、やがて原子力の問題も本委員会にかかりますので、そのときにも言いたいと思いますが、こういうことを一掃しない限り、そう発展はあり得ませんね。いかがですか。
#65
○国務大臣(菅野和太郎君) いま阿部委員の言われたことは、私自身がかつてからも言っていることでありまして、私が科学技術の特別委員をしていたときから、この研究所の統合をやるべきだということを盛んに唱えてきたのです。お説のとおり、各省に研究所があり、民間でもやる、みんなばらばらでやっております。これは外国に行ってみますと、外国は官民ともに一致してやっているし、みな大きな試験所を持ってやっております。研究所も持っております。その点においても、日本のやり方がばらばらであるということは、まことに遺憾に存じているのでありますが、これはもう阿部委員の言われたとおり、やはり国民性が原因していると私は思います。ことに、ここにおられるかしれませんが、学者はまたことにそういう点においては自分独特で何でも研究したいという考え方を持っているのであります。そういう意味で、日本においてはこの統合ということが非常むずかしいのでありますが、しかし、私自身としては、こういう試験所なんかの統合ということをやりたいという私自身の念願を持っておりますし、またできればそういうことにひとつ実現するように努力したいと考えております。
#66
○阿部竹松君 他の委員の方々の発言も予定されておりますので、私これで終わらせていただきますが、いま菅野通産大臣のおっしゃった、科学技術庁長官をおやりになっておった当時、いわゆる七、八年前、たまたま商工委員会で大臣のお話を承ったことがあります。あのまま今日までおやりになっているとよかったかもしれませんけれども、大体自民党というところは一年交代か半年交代か、一番短いので、私は北海道ですが、北海道開発庁長官、これなどは大体九カ月平均で北海道を開発せいというんですから、これはだれが悪いこれが悪いというよりも、そのあたりが大体問題で、日本の科学の発展がそこにないわけです。したがって、そういうことについての今後の格段の努力をお願いしておきます。
 最後にお尋ねしたいことは、この法律が通って、それぞれ会社に手当てされる。その場合に、石炭だけ掘っておれば問題はない。しかし、それぞれの、各社によってほかの企業をやる場合がある、石炭会社がね。一例をあげると、その会社から五十万円出資しよう――五千万円出資しようというときには簡単明瞭である。しかし、その会社が金を出資せぬでも、裏判押して第二会社、第三会社的なものをつくると、法的には何でもない。しかし、政治的には国の融資を受けて肩がわりをしてもらって、会社の信用を増して裏づけしてもらって仕事をするわけですから、これは問題になるだろうと思うんですがね。こういう場合に、石炭産業に対する国の手当てですから、石炭産業以外のことをやる、しかし、その会社がやれば一目りょう然、君のところはけしからんぞと、こうなるでしょう。会計検査院からも追及されるでしょうが、その前に通産省もおやりになるでしょうが、もし法的根拠によらないで――法的根拠には追及することができない。しかし、政治的にはけしからん、こういう場合になったらどうなるんですかと、これが最後のお尋ねです。
#67
○国務大臣(菅野和太郎君) いままでの石炭企業におきましても関連事業と申しますか、ほかの投資などをやって、それによって赤字を埋めておる事業もあるし、また赤字をますます増大しておる事業もあったと思うんであります。したがって、今後におきましては、本来の石炭鉱業以外の事業に投資する場合には、一々届け出をしてもらう。また届け出してもらって、われわれのほうから見て、これは非常に不当だというような場合には、ひとつ勧告して、そういう会社にそごを来たさないようにひとつ指導するというように今後やっていきたい、こう思っております。
#68
○鬼木勝利君 前回質問申し上げまして、まだ私、残っておりますので簡単にお尋ねしたいと思いますが、本法案に直接関係はございませんが、石炭鉱山整理促進交付金について、ちょっと通産省にお尋ねしたい。大臣が御存じなら大臣。従来この千二百円であったのが二千四百円になったと、これは私は大いにけっこうだと思いますが、これに特別加算額というのがございますが、この特別加算額の性質並びにこれの配賦のしかたについてちょっとお尋ねしたいと思います。
#69
○政府委員(井上亮君) ただいま鬼木先生から閉山交付金の交付に際しまして特別加算金というおことばがありましたが、これは二つ――御質問の趣旨がちょっと私、取り違えていると申しわけありませんので、包括的にお答えいたしたいと思いますが、特別加算の意味に二つございます。一つの問題は、離職金を交付いたしますときに、特に中小の炭鉱に対しましては――従来の実績から見まして退職金が非常に少ない、中小炭鉱の退職金は。ところで中小炭鉱が閉山いたしますと、したがいまして大手と違いまして退職金がきわめて少ないわけでありますから――きわめて少ないといいますのは、最高二十万円ぐらい、少ないところはほとんどないというようなところもございます。したがいまして、閉山に際しましてそういうことではあまりにお気の毒であるというような意味で、現行合理化法におきましては、一般の離職金のほかにそういう加算離職金というような制度を設けております。
 それからもう一つの問題は、今度、先生ただいま御指摘がありました従来の交付金――従来千二百円であった交付金を今回二千四百円、これは平均でございますが、大体平均としてその程度の交付金を交付したいというような決定をいたしたわけですが、その二千四百円ときめますときに、当面特に閉山の多いこの数年間につきましては、通常の交付金の二千円の額に特別に四百円加えまして二千四百円にしよう、こういう考え方でおります。
#70
○鬼木勝利君 この特別交付金の内容でございますが、むろんこれは賃金とあるいは鉱害その他閉山に際しての交付金だと思いますが、内容ですね、どの程度まで加味しているか――二千四百円の内容がですね。賃金の場合は何%、鉱害の場合は何%、こういうような場合には特にこういうふうなことまで認めるという、そういう点についてですね、簡単でいいですから。
#71
○政府委員(井上亮君) 一応交付金の額は、千二百円に対しまして二千四百円と引き上げたわけでございます。この配分に際しましては、国会の御決議等もありましたことも考慮いたしまして、賃金、退職金等の未払い――退職金は未払いということはありませんが、退職されるわけでありますから――退職金、それから社内預金等も入れまして、全体の二千四百円のうち半分につきましては、未払い賃金とか退職金とかあるいは社内預金、これを優先引き当てするという考え方を持っております。なお、残りの五割のうちの半分――二割五分につきましては、鉱害に優先引き当てするという考え方、それから最後に残りました二割五分につきましては、一般債権に引き当てるというふうな考え方をいたしております。なお鉱害のない地域がございます、たとえば北海道。こういうところにつきましては、七割を賃金に引き当てるというような考え方でおります。
#72
○鬼木勝利君 それは大体わかりましたが、この賃金の未払いがない、賃金がゼロの場合、その場合の交付金の内容はどういうふうになりますか。
#73
○政府委員(井上亮君) 賃金のないというところは――未払い賃金あるいは退職金のないというところはあまりないわけでございますけれども、むしろ私ども一般の例で言いますと、二千四百円の単価に対しまして、その半分をただいま申しました未払い賃金とか退職金等に優先的に引き当てしますが、これではむしろ足りないくらいで、まあ中小炭鉱等で退職金協定等ない場合もありましょうけれども、しかしその場合についても、やはり原則としては、労働組合との間に退職金協定がないという場合でも、できるだけこの五割につきましては退職金等に引き当てていただくのがほんとうだというふうに思いますが、しかしそれも労働者が理解して要らないということになれば、これはむしろあとのその他一般の債権者等に回ろうと思います。
#74
○鬼木勝利君 あなたの説明でたいへんよくわかりましたが、事実この交付金をもらって、それから閉山をした。それで足らないと、どうやっても多額なあとに赤字が出るというような場合に、特別なまた措置をとるか、特別加算金というのは、そういう意味の場合の特別加算金ということを認めるのか、その点もひとつ聞きたいと思う。
#75
○政府委員(井上亮君) 先生のおっしゃった意味の加算金というのは、これは四百円の、二千円に対する上積み四百円の意味だと思いますが、配分に際しましては、それを込めて私ども考えております。
#76
○鬼木勝利君 それでは、これはこの法案に直接関係ないからその程度にしておきます。
 その次にお尋ねしたいのは、今度の法案の最も軸になっておるのは一千億の肩がわりだと思いますが、大手十七社ですか、それから中小炭鉱ということになると思いますが、大手の十七社であなた方のほうの対象となっているのは、山の名前はおっしゃらなくてもいいですが、何社ぐらいになっていますか、十七社の中で。
#77
○政府委員(井上亮君) ただいま希望が出ておりますのは十五社ぐらいありますけれども、まあ落ち着きは大体十四、五社になるんではないか。これは内容を審査しませんとわかりませんが、ただいま希望されておりますのは、二社は明らかに、何といいますか、自前でやっていくということで、辞退しておられますが、他の十五社、これは一応……。
#78
○大矢正君 希望というのはどういうわけだ。通産省令が出ないうちに希望が出るわけがないじゃないか。
#79
○政府委員(井上亮君) 希望といいますのは、これは正確な意味では、何といいますか、この法律に基づいて申請が出されるわけですが、まあ申請の段階でございませんので、事前の各業界の、まあ当社はこの再建計画をつくって肩がわりの対象になりたいという法律に基づかない御希望が出ておるわけでございます。
#80
○鬼木勝利君 ところが、それはわかりますが、なかなか簡単に、あなた方もむずかしいと思いますが、実際の借り入れ残高、四十年九月末の実際の借り入れ残高、大手の、それから希望の出ておるところをはっきりあなたのほうでつかめておるかどうか。また一千億肩がわりするということにおいて、大手がどれだけだ、中小がどれだけだ、合計一千億でこれで十分だと、こういうふうにお考えになっておるか。あるいは大手のほうの借り入れ高が一千億をこしておる、なおかつ中小のほうで百何ぼ、あるいは二百何ぼの借り入れ残高がある、それでは一千億の肩がわりではできない。だけども、それを案分的に一千億で押えると、そういうようにあなた方のほうで的確な計算ができておるかどうか。
#81
○政府委員(井上亮君) お説のように千億の肩がわりをやるわけでございますが、これはこの法律に基づきまして法律で指定しております金融機関の借り入れ残高に対しまして、借り入れ残高は、先生ただいま御指摘がありましたように、全体としますと、大手だけで見ましても二千百億をこえておるわけでございまして、中小炭鉱を入れますと、二千二百億をこえておるというような段階でございます。したがいまして、実際に千億の肩がわりといいますのは、この借り入れ残高から見ますと、半分以下に相なるわけでございます。この配分に当たりましては、各社の残高を中心にいたしまして案分比例できめたいというふうに考えております。
#82
○鬼木勝利君 多分そういうことだろうと思いますが、実際に一千億ではとても私の手元の資料ではそうはいかない。そうしますと、今日の全出炭に対する中小炭鉱の出炭率はどういうふうになっているか。
#83
○政府委員(井上亮君) この中小炭鉱の定義がなかなかむずかしいわけでございますが、いまかりに石炭協会所属の炭鉱とそれ以外の炭鉱というふうに分けてみますと、石炭協会といいましても、ごく最近大手の系列会社が石炭協会に加盟いたしましたので、石炭協会加盟は十七社だけでなしに系列会社全部入っておりますから、もっと数はふえたわけでございますが、一応従来言っております十七社とその他ということで分けてみますと、五千万トンのうち十七社以外が大体千四百万トン程度ということでございます。ただ、純粋中小となりますと七、八百万トンというのが実情でございます。
#84
○鬼木勝利君 そうしますると、全出炭に対する中小炭鉱の出炭率は三〇%以上になるのですね。いまあなたの計算ではそれ以上になりますね。
#85
○政府委員(井上亮君) まあ中小の定義にもよるわけですが、いま私が申しましたのは、一応従来言われております石炭協会加盟の十七社とその他で分けてみますとそういうことになります。しかし、その他でも、やはり規模から言いまして、いわゆる大企業もその他に入っておりますし、いたしますから、同時に、大手企業の直接の全額出資のいわゆる系列会社、これは分離しました企業等も入っておりますので、いわゆる純粋中小企業ということになりますと、七百万トン程度の出炭というのが実情でございます。
#86
○鬼木勝利君 いずれにしましても、パーセンテージは、私の計算によりまして、いまあなたの御答弁によりましても、五千万トンの七百万トンということになりますというと、やはり三〇%以上四〇%近くなると、こういうことになる。そうすると、一千億の肩がわりが、中小炭鉱に対する肩がわりの率がどれだけになるか、これもまた計算してみますると、わずか一〇%くらいにしかならない。こういう大きなそこに誤差がある。そうしますると、大手のみ救って中小炭鉱は救わない、まあ計算の上からそうなる。そこで中小炭鉱から、これは非常に不公平な国家の石炭産業に対する抜本対策だ、決して抜本対策ではない、これは不公平な対策だ、こういう声が出てくるのも私当然だと思う。そういう点は大臣、どういうふうにお考えになりますか、ひとつお尋ねします。
#87
○国務大臣(菅野和太郎君) 石炭鉱業を長期的に安定さすという意味で今度のいろいろな対策を講じておるのでありますからして、大手に有利とか中小に不利だということを考えずにわれわれのほうではやりたいというつもりをいたしておりますので、まあ、ある場面においてはあるいは不利のような点があるかもしれませんが、そういうようなことはできるだけ是正して公平にやっていきたい、こう存じております。
#88
○鬼木勝利君 そういうことがあるかもしれぬがと言うが、事実ある。あるかもしれぬじゃない、事実ありますから、その点をあなた方にお尋ねしているんです。そういう点は公平に私はやっていただかなければいかぬと思う。そうしなければ、大手の抜本対策でなくして、わが国の石炭合理化の対策でございますので、炭鉱再建の対策でございますから、全部が恩恵に浴するように、一部のものが恩恵に浴して一部のものは恩恵に浴しない、どうも佐藤内閣にしても前の池田内閣にしても、大きいところにはよくやる、大企業、大財閥は助けていっている、しかしそれより以下のものはほったらかす、そういうような一部の特権に対する援助政策、援護政策ということは、これは私はほんとうの政治ではない。そういう考え方は間違いである。あくまで弱いものを助けていくというのが、これが正しい政治のあり方である。この点は通産大臣に私は強く要望を申し上げておきます。そうしなければ、小さいところの炭鉱は大きい炭鉱の犠牲をこうむって、みずから崩壊していく。
 その次にお尋ねしたいのは、一千億の肩がわりに対して算定されるということは、たいへんこれは大ごとだ、容易なことではないと思いますが、企業自体が各方面にいろいろな投資をして、そのほうから収益をあげておる、単一企業でなくて、そういう大手もあるんじゃないかと考えておりますが、そういう点は十分参酌し、計算に入れてありますか、その点は局長にお尋ねします。
#89
○政府委員(井上亮君) 肩がわりは、当該企業の石炭会社の借り入れ残高を対象にしていたすわけでございますので、たとえば子会社等から利益があるというような場合、その利益は一応肩がわりの算定からは除かれるわけでございます。無関係、関係ございません、子会社の収支とは関係ございません。当該石炭会社の借り入れ残高をもとにして肩がわりの額を決定するというふうに考えております。
#90
○鬼木勝利君 全然関係がない、そうしますると、中小炭鉱は単一企業で、しかもあらゆる手を使って、そうしてもうその企業を推進するためにはどうやら黒字になっている。そうすると、大企業、大会社においては、他のほうでは非常な利益を上げている。炭鉱そのものでは赤字で、ずっと累積赤字になっている、そういうような点は全然考えられないわけですね。
#91
○政府委員(井上亮君) 子会社の別会社との関係は、私ただいま答弁しましたように無関係でございますが、しかし兼業というようなことになりますと、収支の面では、肩がわりの額の算定には直接的には関係ありませんけれども、たとえば肩がわりを受ける対象企業たり得る資格要件ということになりますと、これは第二条にうたっております財務の状況を勘案して資格要件をきめる、もう一つは、将来の相当長期にわたる炭量があるというようなことを基準にいたしますから、その二条の財務の状況という点につきましては、やはり過去に異積赤字も何もない、きわめて健全な経理内容である、好収益もあげているというようなところにつきましては、この対象にはならないというのが二条にうたわれているわけでございますが、その意味の累積赤字があるかないかというような点につきましては、お説のように子会社から収益が入っているというようなことがあります場合には、その収益性の対象になりますけれども、過去の累積赤字の計算の過程で赤字があるないの一つの計算の対象にはならないということでございます。
#92
○鬼木勝利君 大体わかりました。その点はそれでいいと思います。
 次に金融の面でお尋ねいたします。今後安定出炭確保に必要な資金調達をする場合に、そういうような場合に、鉱業権とか、あるいは鉱業施設等の担保、これはまあ当然でございますが、個人の財産、私有財産ですか、そういうようなものを担保に入れて借り入れている。そうするというと、今後の借り入れはもうこれで限度で払うものは全部出すものは出してしまった、担保を設定する物件がない、こういうような場合に、あるいは合理化事業団あたりからこれに肩がわりをしてやるというような考え、政策はありませんか。
#93
○政府委員(井上亮君) 確かに先生御指摘のように、特に中小炭鉱につきましては、大手でも一部弱い企業については、そういう傾向が出てまいっておりますけれども、特に中小炭鉱につきましては、ただいま金融問題につきましては担保が乏しい、担保力がほとんどないという点が金融上の、御指摘のように大きな問題でございます。そこで私どもとしましては、もちろん政府の金融としましては、一がいに中小といいましても、相当大きいのもございますから、そういうところはもちろん開発銀行融資等いたしておりますし、合理化事業団の近代化資金等も対象にしておりますが、非常に零細な企業につきましては、中小企業金融公庫から毎年越盆資金あるいは年末基金という特別ワクを設定していただきまして金融をはかっておるわけでございますが、さらに市中銀行に対しましては、これはいわゆる担保力の問題等が特にございますので、合理化事業団をして金融機関に対して信用保証をするというような制度をただいまつくりまして、合理化事業団が八割程度のリスクは背負うというような信用保証制度によって、できるだけ中小炭鉱の担保力のないのを補うような施策を現在やっておるような次第でございます。
#94
○鬼木勝利君 その点はわかりましたが、せっかくそこまで行かれたのですからもう一歩進められて、そして政府機関によってそういう個人の私有財産というようなそういう担保を肩がわりして、そうして担保余力を与えて、なおまた、その人が次の市中金融機関からでも金が調達できるように、そういうもう一歩手を伸ばして、政府の金融機関からそういうものを肩がわりしてやるというところまでは進められませんか。
#95
○政府委員(井上亮君) 本法に基づきます肩がわりといいましても、これは借り入れ残高の半分以下について行なうわけでございまして、これは既往の異常な閉山合理化過程で千二百円を実行してきたとか、あるいはかつて前例を見ないような閉山合理化を強行してきた、その過程から、私企業としてひとり負うにはあまりに過重な負担を、過去のそういった負債につきまして政府が肩がわりを行なって、今後の金融体制を強化していくというのがねらいでございまして、やはり今後の金融につきましては、一般の金融常識に従って金を借りる、ただその場合に、できるだけ国もいろいろ補助助成政策あるいは政府機関等の融資の量をふやすことによって、足りないのを補っていこう、こういう政策でございますので、今後の借り入れた分について国が肩がわりするということは少しむずかしい点があるのではないか。現在私どもが考えてやっております合理化事業団をして八割程度の市中銀行に対して債務保証をする、これ自体相当大きな思い切った助成策だと思いますので、八割以上に全額ということになりますと、これはむしろ市中融資の問題ではなくして政府融資の形と同じような形になるわけでございますので、その点につきましては、現状において十分とも思いませんので、なお私ども研究すべきことだとは思いますけれども、なかなか困難もあるのではないかというふうに考えております。
#96
○鬼木勝利君 全額でなくとも、半額でも今後そういうことを研究しなければならぬ問題だと思っております、と、そこまではよかったけれども、あとは、なかなかこれはむずかしいと、そういうことをおっしゃる。それでは単なる答弁にすぎない。あなた方も実際に半額でもあげたい、これは考えなければならぬことだということを認めておる以上は、これはなかなかむずかしいのでございますなんというようなことを最後で振りかえられたのでは、何の答弁だかわからない。それははっきりあくまでそういうことは実現して、大手の肩がわりをするならば、中小の肩がわりもしてやる、私は当然だと思う。それをむしろやるべきだと思う。
 それから、時間がありませんのであまり長く質問もできないが、結局いまお話をしましたように、今度の再建整備計画の認定に対して、私は金融機関の融資については非常に見通しが暗いと思うのです。あなた方は将来の金融機関の見通しについて万全を期しておると、こう考えておられるか、果してどのような運用が行なわれているのであるか、今回の法案に対してはその点を私は非常に不安に思う。そういうことに対してあなたたち成算があるかどうか。
#97
○政府委員(井上亮君) これまた御指摘のように今後の石炭鉱業に対する金融問題は非常にむずかしい問題であると思います。しかし、私どもとしましてはこの再建整備法をつくりましたのも、結局は今後の金融をより円滑ならしめるためにつくったわけでございまして、こういうこともなしに推移していきますれば、私企業は全く石炭鉱業から離れていくという事態だと思います。そういう意味でこの再建法を特に考えたわけでございますが、しかしこの再建整備法ができましてからも、なお金融はなかなかそう簡単ではないというふうに考えるわけです。
 そこで政府は、昨年抜本策の閣議決定のあとに金融懇談会をつくりまして、全体の金融懇談会とそれから個別企業についての懇談会――個別金融懇談会というのをつくりまして、再建整備計画の実施されましたあとにおける金融体制、それからそれまでのつなぎの対策というような点につきまして種々打ち合わせをしてまいったわけでございますが、私どもこの再建整備計画ができます場合には、同時に金融機関に対して国もこれだけの助成施策をやるわけでございますから、市中につきましても当然今後借り増し等が可能のような約束をさせて認定をいたしたいというふうに考えておりますので、むしろこの法律施行後におきましては、従来よりは格段の金融協力を得られる体制ができるのではないか。また、それでも企業によりましてはなかなか金融が困難な企業もあろうかと思いますが、そういった点につきましては私どもこの法の運用と相まちまして金融機関に対して十分の要請をいたしたいというふうに考えております。
#98
○鬼木勝利君 その点に対してまだ私、意見もありますが、次に進みます。
 政府と認定企業との間に今回締結される元利補給契約についてでございますが、昭和四十二年の四月一日現在における借り入れ残高、これが基準ということになっておりますが、その四月一日の現在時における貸借対照表によるのみでなくして、過去における企業自体の努力等を参酌して、だから私はきつく、きびしくやれというのじゃないですが、公平にそこをやっていただかないと――そういう点は十分考えていらっしゃるかどうか。そうしないというと私はこれは非常に不公平な契約ができるのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そういう点、どういうふうにお考えですか。
#99
○政府委員(井上亮君) やはり残高を対象にして肩がわりをいたすわけでございまして、その場合に残高のとり方でございますが、これはこの法律には四十一年三月までに借りましたものについての四十二年三月末の残高ということにいたしておるわけでございまして、閣議決定が昨年の八月でございますので、その後この一年間にいろんな工作もあってはいかぬというような意味で、この対象にいたしますのは四十一年三月末までに借りたものにつきまして、その分の四十二年三月末残高ということにいたしたわけでございまして、過去の企業努力等の問題につきましてはお説は非常によくわかるわけでございますが、ただこの企業努力の計算といいますか、これが非常に事務処理能力というような点からいたしまして、なかなか計数的にはじくことがきわめて困難でございまして、へたにはじきますと、むしろ公平を期して不公平になるというようなおそれもありますし、まあいわばこれは行政の事務能力といたしまして限界がやっぱりそこにおのずからあるわけでございます。やはりどうしても一つの基準をきめまして簡明に処理する以外にないというような考え方から、こういう時点を選んで肩がわりの額をきめようということにいたしたわけでございます。
#100
○鬼木勝利君 その点はひとつ万遺憾なきを期してもらいたいと思います。
 次に、今回の一千億の債務肩がわりによって出炭の赤字を解消していく、こういうふうになっておりますが、いまのところ、トン当たり四百六十数円、将来五年後になりますと、大手十七社あたりでも平均二百五、六十円だと、そういうことではとても私は一千億の肩がわりをされても、それは単に肩がわりだけであって、炭鉱の再建そのものに対しては私はあまり貢献しないと思う。これは先日大臣とお話をしたときたいへん大臣に失礼なことを申し上げましたが、安定補給金の総額がこういう状態ではもうすでに将来はわかっておる。それではこれはもう火を見るよりも明らかでありますが、四年後、五年後にはトン当たり二百円やそこらではこれはたちまちお手あげ、そういうことがわかっておりながら安定補給金は百二十円だと、そういうことでは私は抜本対策にならない。だれが考えたってこれはわかっておる。この安定補給金を増額してもらいたいということを私はしきりに申し上げたい。大臣の答弁ではさっぱり要領を得なかったけれども、局長どうですか。
#101
○政府委員(井上亮君) 非常にありがたいおしかりを受けたわけでございますが、私もことしの政策だけで今後推移していく、これ以上助成策はふえないというようなことになりますと、先生御指摘のように石炭鉱業の安定は期せられないというふうに私も考えております。今年度におきましては一応安定補給金は百二十円程度ということで決定いたしましたが、今後の石炭鉱業の実情の推移を見まして、さらに特別会計との運用という点も考えあわせながら、今後の助成策をさらに補強してまいりたいというふうに考えます。
#102
○鬼木勝利君 法案自体に対しては私は大体賛意を表しておりますけれども、内容に対しては非常に問題が多い。先般来申し上げましたように、貯炭は非常に増大しつつあるんですね。しかも、積極的な需要量の開拓にはあまり熱心でない。こういうことになりますというと、石炭の将来ということに対してはますます不安が増してくる。そこで最後に大臣並びに局長に対して的確な御答弁を願いたい。貯炭が増大しつつある今日、これを解消していくためには、また五千万トンの出炭目標を達成していくためには、強力に需要量の開拓を私はしていただきたい。そして石炭が安定するように。まだほかにたくさん問題がございますけれども、後日また石炭の審議はございますのでその場合に譲るといたしますが、最後にその点について大臣と局長の明確なお答えを願いたい。
#103
○国務大臣(菅野和太郎君) この石炭の五千万トンを確保するということがこの対策の基本でありまして、これはどうしてもこれを確保しなければならぬという考えをいたしておりますが、しかしお話のとおり貯炭がだんだんふえてまいりましたので、したがって、五千万トンの確保ができるかどうかということの危惧の念をお持ちになることはごもっともだと思います。私たちもどうしてもこの五千万トンを確保しようという覚悟をいたしておりますので、結局は政策需要を増していくよりほかに道はないという考えをいたしておりますから、で、本年度の推移を見て来年度からこの政策需要を増すということでひとつ対策を講じたい、こう存じておる次第であります。
#104
○政府委員(井上亮君) 大臣のお答えになりましたとおりでございますので、大臣の御趣旨を体しまして、私も全力をあげて努力いたしたいというふうに考えます。
#105
○鬼木勝利君 以上で私は終わります。
#106
○大矢正君 私はおとなしくて人がいいから質問が最後になったんですが、しかしあまり長時間質問して皆さんに御迷惑をかけても困りますし、また他の省と違って通産省は、特に石炭に携わる局長以下皆さんは、法律が通ってしまえばあとはどうでもいいという、議員の言うことなんか相手にするものかというような感じではなしに、日ごろからたいへんわれわれの意向をもそんたくしてくれますものですから、質問をごく省略いたしまして、二、三お尋ねをしたいと思うのであります。
 そこで、大臣にまずお尋ねをいたしたいと思いますが、この間石炭鉱害復旧法の一部改正法案を審議いたしました際に、私は、いまできました特別会計、この特別会計の中で石炭対策を処理するということになりますと、どうしても資金が不足である、原資が不足である、したがって、それを解消して、もっと積極的に財政面から石炭にてこ入れをするということになりますれば、一つには一般会計から特別会計への繰り入れがどうしても必要である。それからまた、これは裏を返して逆の意味で考えれば、もしできることであったら特別会計の中にある、たとえば鉱害復旧費であるとか、あるいは産炭地域振興対策費であるとか、あるいは離職者対策費であるとか、こういったような、言ってみれば石炭プロパーの問題ではない、そういうものは、極力これを特別会計のワクからはずす方法でやっていく以外に、石炭の将来の計画を立てる上において、まず財政的な面で立ち行かなくなる心配があるのではないかということを申し上げたのでありますが、それに対して大臣から、一般会計の中からの繰り入れ、それからあるいはまた、いま私が申し上げました特別会計からはずして一般会計の中に持っていく内容等の問題については全力をあげて努力されると、こうおっしゃって、私もまことにけっこうだと思うのであります。
 そこで私の心配は、お気持ちはよくわかるのでありますが、この間成立いたしました石炭特別会計法の内容からまいりますと、御了承のとおり、特別会計には一般会計から繰り入れるということにはなってないわけですね。特別会計というものは、第一には関税の収入である。第二には、この再建整備法が施行されて、かりにある会社が黒字を出し、利益金を出して、それが納付される、その納付金を使う、あるいはまた一時的な借り入れ金、この限度において特別会計というものはまかなうものだ、歳入としては。それからもう一つは、この特別会計が歳出をする場合にはこうこうこういう内容のものしか出せませんよと、ぴしっときめられている。その中には鉱害もあるし、産炭地振興もあるし、電発の出資もあるし、離職者対策も、全部羅列されているわけですね。そういたしますと、法律的な根拠として、一般会計から特別会計に金を入れる、あるいは特別会計の中からはずして一般会計のほうに持っていくということが現実にはできなくなると思うが、大臣の先般の答弁とこの法律の実際の姿というものとの違いを、あなたは一体これからどう解消されるのかお答えをいただきたい。
#107
○国務大臣(菅野和太郎君) お話のとおり、特別会計の規定によってそういうようにきめられておりますけれども、大蔵省との話し合いで、特別会計の収入だけで間に合わないときには、必要な金額は一般会計から繰り入れるということの約束があるのでありまして、現に四十二年度の予算にも一般会計から繰り入れておるのであります。お話のとおり、産炭地振興とかあるいは離職者対策というようなプロパーでないものは、これは特別会計からはずして一般会計からというようにわれわれも初め希望しておったのでありましたが、大蔵省のほうでは、必要な金額は一般会計から繰り入れて、とにかく石炭対策は全部通産省でやれというようなことで今回の予算を編成しておるのであります。でありますからして、大蔵省との話し合いは十二分にできておりますから、必要な金額は来年度からも一般会計から繰り入れるということでやっていくつもりであります。
#108
○大矢正君 大臣ね、あなたそうおっしゃるけれども、それはとんでもない間違いなんです。なぜかというと、この特別会計法というものが成立をした時点というものは予算編成のずっとあとなんですよ。ですから、予算編成の際にも大蔵大臣が言ったことは特別会計、その特別会計は関税収入の限度においてということで当初きたけれども、いろんな皆さんの努力によって、ここで一般会計から、私の記憶に間違いなければ四十億程度の金が入ることになった。ところが、これはあくまでもこの特別会計法というものができ上がる以前の段階のことなんです。そうするとどうなるかといいますと、明年度の四十三年度の予算編成の段階では一般会計から繰り入れるんだ、あるいは入れるべきだという根拠が法律的になくなると、私はこう言うのです。ことしはなるほどそれでできたんですよ。ところが来年からは、かりにあなたが通産大臣をやっておられたとしても、この法律の中に一般会計から特別会計に繰り入れることができるとか、そういうものがない限りはあなた方が要求する根拠がなくなる、それをどうするかと聞いているんです。
#109
○国務大臣(菅野和太郎君) その点についての御心配はごもっともだと思いますが、大蔵省とはそういうように一般会計から繰り入れるという約束をいたしておりますから、その点において私も安心をいたしておる次第でございます。
#110
○大矢正君 あんまりこれをやると、あなたのほうでそれじゃあもうできないんだから来年はやめたと言われたら困るから、むしろこれ以上言わぬほうがいいと思うが、ただ私は、法律的にもそういう問題点が出てきますよ、だからしっかりとしてもらわなければ困りますよということを申し上げているのです。
 次に、この再建整備法の具体的な内容に入りますが、この法律の第二条に「石炭鉱業を営む会社であって、その財務の状況及び掘採可能鉱量が通商産業省令で定める基準に該当するもの」すなわち、これは再建整備計画を通産省に提出をすることができるんだと、提出されたものが認められるかどうかはその次の段階ですが、そのまず第一の段階の「通商産業省令で定める基準」とは具体的にどういう内容のものか、この際局長からお答え願いたい。
#111
○政府委員(井上亮君) 二つの基準を設けておるわけでございますが、第一の基準は「その財務の状況」という点でございます。この省令の内容といたしましては、やはり今日までの実質累積赤字が出てくるということにいたしたい。これは公表損益の赤字ではありませんで、先ほどもちょっと申しましたように、実質赤字、つまり税法上限度一ぱいまで、退職手当とかあるいは償却とかというものを全部やったとした場合になお残る赤字というような意味合い、つまり健全経営というものをやったというその姿を一応財務上とったというようなこと、つまりなおそれだけ赤字がふえるわけでございます。公表損益の場合は赤字をできるだけ少なくするような会計経理をやっておりますが、ただいま申しましたように、引き当てるべきものは全部引き当てるというような姿をとりますと、それだけ赤字額がふえるわけです、というようなのを一つの入り口の基準にいたしたい。
 それから第二点は、採掘可能鉱量の問題でございますが、これはこの法律の趣旨からいたしまして、長期の石炭の安定出炭の確保というような意味、特に資源政策的な資源、石炭資源というものを今後長期にわたって維持したいというような石炭政策のたてまえからいたしまして、これは特に肩がわり等の措置とも関連いたしまして、この採掘可能鉱量は少なくとも十年程度以上の鉱量があることを条件にいたしております。つまり、二、三年先、あるいは数年先に閉山が炭量の面から余儀なくされるというようなところにつきまして、十年の均等償還というようなこともできませんので、特に資源政策的な配慮をいたしまして、あるいは長期の安定出炭を確保するのだという国の政策、そういう意味合いから、これはただいま申しましたように、おおむね十年以上の可能鉱量があることを条件にいたしたいというふうに考えております。
#112
○大矢正君 そこで私は問題が二つこれは出てくると思うのですね。この累積赤字というものがないものに対して肩がわりをもちろんする必要はない。これはあたりまえの話ですけれどもね。ただ、考え方には二つ私はあると思うのです。その累積赤字というものと、それから借り入れ金が多いという場合と、これは本質的に違うのですね、こういう問題があります。それから、そうすると累積赤字が多過ぎる場合にどうなのか、累積赤字が多過ぎる場合、累積赤字というものが、たとえばこの法律に基づいて十年ないし十二年で肩がわりをしてやれば、ある一定の金額を肩がわりしてやれば、問題が解決をする。しかし、これはいろんな企業への振り合いもあるわけですね。片一方だけに、特定のところに累積赤字が多いからといってどんどん財政資金をつぎ込んでしまって、片一方のほうには少ししかやらないということになれば、そこに企業の努力や熱意も生まれてこないという問題点ももちろんかかってきますね。そういたしますと、累積赤字というものの限界というものが、非常に私はむずかしくなると思うのですよ。単に累積赤字がいいという問題ではなくて、あり過ぎる場合にどうするか、それからわずかの場合にどうするかという逆の問題ももちろんあるが、これはけっこうなことだから、もちろんあまり気にすることなしに、累積赤字が一般の企業、規模を同じくする企業と比較して見た場合に、多過ぎる場合にこの炭鉱に対しては肩がわりをするかしないかというような問題が出てまいりますね。そうすると、その段階における基準は具体的にどうするかという問題がある。
 それからもう一つ、第二の問題の長期安定出炭、しかも長期安定出炭という一つのめどは十年間の掘採可能鉱量といいますか可採炭量といいますか、持ち合わせの炭鉱に限るということになると思うのでありますがね。そういたしますと部分的にこの鉱区をわずかずつでも売ってもらいながら――鉱区を持っているものから売ってもらいながらやるという会社があった場合、それから租鉱でやっている場合、租鉱権というものはそんな長いものはありませんね。たしか私の記憶では三年しかないはずです。そういたしますと、十年という問題と非常に問題点が出てきますね。この問題はどう処理されるか。
#113
○政府委員(井上亮君) まず最初のお尋ねでございますが、累積赤字があり過ぎる場合には――あり過ぎましてもこれがいわゆる元利均等償還に影するということはあまりないわけでございますが、ただ入り口の問題として累積赤字があるということを要件にいたしますから、あり過ぎる企業もあるかもしれません、あるわけでございますが、その場合にはむしろ逆に私はあんまり累積赤字があります場合には、この助成策――この再建整備計画による肩がわりの助成策あるいは他のこれ以外の安定補給金とかあるいは坑道掘進補助とかというような助成策をこれにプラスしてやっていくわけですが、それをやりましてもなおその累積赤字があまりにあり過ぎるために今後やっていけるかいけないか――いけないという場合があるあり得ると思います。特にこの再建整備計画を検討するに際しましてはやはり累積の赤字があるものを対象にして、できるだけそれが重荷にならぬようにという配慮の助成策をこれでやるわけですが、これでやりましても、あるいはなお他の助成策をこれにつけ加えましても、なおかつこの再建がむずかしいという企業もあろうかと思います。その場合には通産大臣はこの認定が遺憾ながらできないということになろうと思います。ただまあ今日私ともいろいろ実際の例で――ただいま抽象的に言いましたけれども、実際の例で当たっておるわけでございますが、大多数のもの、ほとんど全部の企業につきましては――まだこれは審議してみないと何ともここで確言はできませんけれども、大部分の企業につきましては大体この助成策とそれから他の安定補給金とかあるいは坑道掘進補助等々の国の助成策を加えて考えました場合には、まあ企業努力によりまして一応認定できるのではないかと想定をいたしております。しかし、まだ全面的にすべてがいいということはもちろん言える段階ではございませんが、大部分はだいじょうぶだというふうに考えております。
 それから第二の可能鉱量の問題でございますが、租鉱権等の場合は一体どうなるか。――確かに御指摘のとおり租鉱権の認可をいたしておりますのは大体五年単位くらいに租鉱権の認可をいたしておりますので、十年間ということになりますと次にまた、次の隣接鉱区についての租鉱権の設定がないと十年にはならぬわけでございます。こういう例が確かに――私先ほど中小炭鉱で十五社ほど希望があるということを申しましたが、この中に確かに一、三社につきましてはそういう会社もあります。ありますが、まあこれは実際問題として、従来その親会社といいますか、鉱業権を持っておる会社と租鉱権の会社と、この関係、相当親子みたいな関係がありますために追加的な租鉱権の設定は可能だというような見通しがある場合が多いわけですが、そういう見通しがあります場合にはそれを十年として考えるというふうな運用をいたしたいと思います。しかし、それが全然見込みがないというような場合には、遺憾ながらそういう場合はその対象にはならないというようなことになろうかと思います。
#114
○大矢正君 私、議論的にといいましょうか、あるいは現実的にといいましょうか、そういうことで議論を進めていきますと、かなり個々の企業にとっては重大な影響の内容のものが出てくると思うのですね。したがって私は、これ以上こまかい部分にわたって、それじゃこういう場合にどうなるのだということであなたとここで議論はいたさないつもりであります、影響が大きいだけに。特にこの法律は全般を通してながめてみると、省令にゆだねられる部分というものが、個々の企業にとっては非常に重大な影響のある部分が多いわけですよ。それだけにこの法律の運用の当事者である通産省としてはよほどしっかりしたものを持って周囲を見てやっていかないととんでもないことになるわけですよ。きのうの麻生さんの話じゃないけれども、ほんとうにたいへんな結果になるものですから私は申し上げているし、ただ、法律としてここに出てきた場合に、われわれ国会議員である限りは、問題点を指摘しないで黙ってあなた方に一切をおまかせしますというようなことはできないから、問題点として申し上げているのであって、その点はひとつ御理解を賜わりたいと、こう思うわけです。
 それから次に、同じくこの第二条の第二項に「前項の財務の状況及び掘採可能鉱量の計算の方法は、通商産業省令で定める。」と、こうなっております。この第二項といま申し上げました第一項の省令というものとの違いは一体何なのか。
#115
○政府委員(井上亮君) 本質的には同じことを言っているわけでございますが、前の二条の本文に書いてあります「省令で定める基準」といいますのは私が先ほど答弁したようなことばで表現される。で二項のほうの鉱量の計算等につきましては、もう少しそれを科学的な表現つまりJIS規格によるとか何とかいうようなことで技術的な計算方法まで加えて書くという違いでございます。実体は同じ、前は抽象的な表現で書いた、こういうふうに考えております。
#116
○大矢正君 それから第四条に同じく元利補給契約を結ぶ際の企業主が借り入れている先の金融機関、この内容は省令にゆだねるのだと、こうなっているが、これはもちろん銀行の、たとえば都市銀行から始まって地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合、いろいろありますが、同じ都市銀行の中でもAという銀行の債務については肩がわりしてやるが、Bという銀行の債務は肩がわりできないなどということは私はないと思うのですが、少なくとも都市銀行から始まって信用組合まで、中小企業であればそこまであると思うのですね、現実には。それだけの幅の広いものがあるが、その限度というのは一体具体的にどの程度のことを考えておられるのか。
#117
○政府委員(井上亮君) 先生おっしゃるとおりでございまして、この肩がわりは単に大手炭鉱だけでなしに中小炭鉱も対象にいたすわけでございますので、政府の金融機関はもちろんでございますが、都市銀行、地方銀行、それから長期信用銀行、信託銀行、生命保険、損害保険、相互銀行、信用金庫、信用協同組合等のお説のような広範な内容にいたしたいというふうに考えております。
#118
○阿部竹松君 石炭局長、省令持っているじゃないか、省令見せればいいじゃないか。
#119
○大矢正君 さっき鬼木さんがちょっと質問していましたけれども、肩がわりの内容の問題ですね。これは大手十七社だけでも、長期借り入れ金でしょうおそらく、二千二百億円くらいと、こう言われておりますが、中小を入れるとかなりの金額になってまいりますが、その中の部分の一千億円と、こういうことになるわけですね。
 そこで、再びまた、さっきの質問に関連があるんですが、各社別に割り当てる場合ですね――結局各社別に割り当てる以外にないと思うんです、銀行別にやっていくわけにはいかないから。で、各社別にやっていく場合に、その借り入れ金の内容というものは、非常に複雑なものがあると思うんですね。たとえば閉山に要した費用、それがほんとうに累積赤字となって残ったり、借り入れ金になったりして残っているという場合もあるでしょうし、そうではなくて、そういう、言ってみれば整備のための費用ではない、合理化のための借り入れ金という場合もあるでしょうし、いろいろ複雑なものがあると思うんですが、その際に、やはり単に累積赤字だけで計算しようとしても問題が出るし、それから、借り入れ金だけでやろうとしても無理があるというならば、たとえば大きな銀行と特殊な関係にあるところは、やはりそれだけ金を借りる力があるけれども、小さな炭鉱は銀行と直接取引が非常にやりにくい状態にあるとすれば、幾ら金を借りたくても借りられないという問題が残るから、借り入れ金は比較的少ないという問題があるわけですね。そういうように、実際に一千億円というものを割り振る際に、非常に問題が出てくるんではないかと思うんですが、公平にやるというさっきのことばもありましたが、公平とは一体何なのかということになるわけですね。まあ、なかなかむずかしいことであなたも御答弁しにくいと思うが、しかし、私はこの際、具体的に、問題点はこういうところにもある、こういうところにもあるということを指摘しておかなくちゃならぬと思うから、申し上げているんだが、この点どうでしょう。
#120
○政府委員(井上亮君) お説のように、個別企業への配分の方法につきましては、私ども全く文字どおり公正を期して、個々の企業の有利、不利ということにこだわらない、全く公平を期してまいりたいというふうに考えております。ただ、これを決定するに際しましては、これは私どもこの法案通過後、さらに経理審査会――審議会の中立委員で構成しております経理審査会があるわけでございますが、ここにもはかりまして、さらに、私どもの意見ももちろん加えますけれども、衆議を尽くしまして公平をさらに期してまいりたいというふうに考えております。今日のところ、私考えておりますのは、やはり公平の意味では、あまり役所の裁量的な余地の入らないような方法、できるだけ簡明にとらえ得る実績をもとにして配分いたしたいというふうに考えております。
#121
○大矢正君 次に、元利補給契約というのは、十年ないし十二年間、もっと具体的にいえば、一千億円というものを、この法律が成立をし、そして省令が出て再建整備計画というものが認められた段階で全部その契約を結んでしまうのか、そうではなしに、単年度契約を結んでいくのか、その点は具体的にどういうことになるんでしょう。
#122
○政府委員(井上亮君) 契約といたしましては、一応、再建整備計画ができました場合には、市中銀行でやる場合には十年間、政府でやる場合には十二年間の元利補給契約を結びたいと思います。一応全期間を通じての契約を……。
#123
○大矢正君 それは銀行じゃないでしょう、会社と結ぶんでしょう。
#124
○政府委員(井上亮君) いや、政府と金融機関の間です。元利補給契約でございますから……。
#125
○大矢正君 これは、銀行との間に契約は結ぶのですか。
#126
○政府委員(井上亮君) ちょっと言い間違えで……。政府が、先ほど来御質問ありました再建整備計画を認定しました場合に、その認定をしました会社との間で補給契約を結ぶということでございます。
#127
○大矢正君 そうでしょう。で、結局、私の言う、法律から考えたことが間違いであれば直していただきたいと思うが、まずAという会社がある、いろいろな銀行と貸借関係にある。それらの銀行との間に、今度は政府が再建計画を認めてくれそうだから、したがって、十年ないしは十二年で払うということを、あなたの銀行は認めてくれるかどうか。銀行は、よろしい、しかたがないでしょうと、そういうことになって、初めてそこで元利補給契約というものが、その再建会社と政府との間に結ばれると、こういうことになるわけですね。
#128
○政府委員(井上亮君) そのとおりでございます。
#129
○大矢正君 そこで、こういう問題は出ないでしょうか。そして、また、出たらどういうことになるか。たとえば、銀行との間にそういう契約がまずできています。しかし、これは銀行対政府の契約ではないから、これは全然関係がないわけですね。あくまでも再建会社との関係ですからね。そういたしますと、たとえば十億なら十億、その再建会社に今年度分の契約に基づいて金を渡すと、こういうことになったとする、その会社はそれを銀行に払わないという場合が起こり得るか、起こり得ないか。そうして、起こったとしたらどうなるか。
#130
○政府委員(井上亮君) これは衆人環視の中で肩がわりをいたすわけでございますので、特に政府は、この肩がわりの額を決定するに際しましては、各個別企業の各金融機関別の借り入れ残高というものを正確に政府の責任において把握するということをまずやりまして、その中で当該企業の元利補給契約分というものが、先ほども御質問ありましたように、各社の案分によりまして決定されるということでございますから、その額につきましてはこれは秘密事項ではございません、各個別企業につきましては――ということですから、これにつきましては当然にそういうことは……。それから、同時に、石炭会社が金融機関からいままで借りていたものは、やはり十年とか十二年に直さなければいかぬわけですから、十年とか十二年に直す、そういった契約を結んでもらって、その上で元利補給契約をいたすわけですから、その契約書というものは政府も確認する行為をいたすというようなことでございますから、これに違反するということは万々ない、ありました場合は、もちろんこれは法律上の問題で、当該企業に対する罰則の適用というようなことになろうかと考えております。
#131
○大矢正君 局長、こういう場合にはどうなりますか。いまの石炭会社というものが一年や二年や三年で黒字になって、もうかってしようがないなんていうことはあり得ないと思うが、しかし、例外として事実あるところも私はあると思うんですね。これは大手炭鉱あたりはちょっと不可能に近いと思うが、中小なんかでは、かりにそういう契約を結んだ以降においても、利益金が出るという場合があり得るわけですね。ただ、その利益金のあり方だけれども、結局、どの銀行に対しては、ことしは幾ら、来年は幾らといって返済計画をやりながら、逐一計算をしながら払っていくわけだけれども、そういうきまったものを払って、なおかつ、金が残った場合に、この金はどうなるのか。これは特別会計に納付をするということになるわけですか。その辺はどういうことになりますか。
#132
○政府委員(井上亮君) 利益が出ました場合の納付につきましては、大矢先生御指摘がありましたように、最初に一応、元利補給契約というものを政府と石炭会社の間で結ぶと同時に、石炭会社と金融機関では、十年なら十年の補給契約に合わせて従来の借り入れ契約を変更するという行為が伴うわけでございますから、それによりまして、今後年々元利補給契約を更新してゆく。で、かりに十年で市中については、元利補給契約は終わるわけでございます、政府といたしましては。終わるのですが、かりに八年目に当該企業の状態が完全に、何といいますか、過去の入り口でありましたような赤字、それにこの八年間に赤字が出るかもしれません。そういう赤字を加えて入り口の赤字とこの八年間に加わった赤字を加えて、加えたその赤字額がその八年間に赤字が出るときもあるし、黒字のときもありましょうけれども、八年間には。しかしそれを差し引いた赤字というものは完全に消えてしまった。しかも、その時点の八年後の、八年というのはかりに申しておるわけですが、そのときの会社の経理の内容について見ますと、いわゆる税法上認められておりまするようないろいろな諸引き当て、これも十分に行なっておるというような場合に十分に行なってなお利益が出ました場合に、その利益について一定額を五年間国に納付させる、こういう考え方でございます。ですから、先ほど小野先生に対して、なかなか十年間の間にそこまで、相当膨大な過去の累積赤字が出ているものを、今後も黒字のときもありましょうが、赤字のときもあるというような場合に、その赤字は加算されるわけですから、したがってそれを全部償って、しかも企業の経理内容、先ほど申しましたように実質上安定しても――実質上と申しますのは、公表損金というような形でなくて、安定しているのはなかなかむずかしい、文字どおり健全企業になりますから、そういう場合に納付金を払っていただく。これはなかなかそこまでいく企業は少ないだろう。こういうふうに申したのはそういう意味でございまして、ですが、八年後にそういう姿になれば事後において、あと二年間補給契約はあるわけですから、その補給契約は打ち切るという考え方です。
#133
○委員長(鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#134
○委員長(鈴木壽君) 速記を起こして。
#135
○大矢正君 時間もありませんから最後に大臣にお尋ねをいたしますが、第十六条に監査の規定があります。この監査の規定は私は本来この種のものは「監査をすることができる。」というふうにあるべきものであって、「監査をしなければならない。」というのはあまりにもきつ過ぎるのじゃないか。なるほど一千億、十二年間かかって返してもらうのだから、国民の税金を使うという意味においては、なるほどたいへんかもしらんが、「監査をしなければならない。」ということは、まあ平たく言えば監査には二つありますよ。会計検査院の監査、それから、ここで言う監査、二つになってくるわけですがね。ここでこれだけの規定をしておけば、この一カ所で済むのだというならば、これはそれなりのまた聞きようもあるわけです。しかし、私はこの種のものは少なくとも監査をすることができる。随時やっぱり必要によって必要なときに監査をするという限度であって、しかも、この「毎年、」という、毎年の定義自身がなかなか問題があるわけですよ。それから、あとのほうを読みますと、「必要があると認めるときは、再建整備会社からその業務若しくは経理に関し報告をさせ、」――報告をさせないで監査できるはずがないのだから、どうしてこういうきまりきったことを書かなきゃならぬのか。報告も受けないで監査できるわけないでしょう、人も行かないで監査できるわけないでしょう。監査というものは報告をさせ、報告に基づいて不満足であったら係官を派遣して調べる。これが監査でしょう。「監査をしなければならない。」と書いておいて、何のために報告をさせるとか、人間をやるとかいうことも書かなければならぬのかということが私にはよくわからない。
 いずれにしても、私の言いたいことはこういうことです。あまりこれをシビアーにやっていくと、結局のところは黒字を出さないようにうまくやっていこう。なるたけ黒字にならないように、しかし赤字になると、これまた問題だから、ほどほどにしながら、その限度で、ぬるま湯につかってやろうということになったのでは、せっかくのこの一千億円の肩がわりというものが、政府が企業の自立性をつくるのではなくて、ぬるま湯に入れたままこれからいくという結果になる。そういう心配があれば、行政に携わるものとしては、やはりそこら辺を十分考えていく必要性が私はあると思うし、企業が行なおうとしている創意なり、くふうなり熱意なりというものについて十分生かせるような形で私はこの法律の運用を心がけていくべきだと、こういう意見を持っているものですから、最後にこの一点を大臣に申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
#136
○国務大臣(菅野和太郎君) 法律のたてまえとしては一応こういう規定は政府の資金でありますから、こういう規定を設けておかなきゃならぬと思う。問題はやはり運営の問題だと思うのです。でありますからして、いま大矢委員の言われたようなことは、そういうようなことになること自体は決して好ましいことではないのであります。したがって、この運営についてはひとつ寛厳よろしきを得るように指導したい、このように考えております。
#137
○委員長(鈴木壽君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#138
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 石炭鉱業再建整備臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(鈴木壽君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、西田信一君から発言を求められておりますので、これを許します。
#141
○西田信一君 ただいま多数をもって可決せられました法律案に対し、私は、この際、わが国石炭鉱業の長期的な安定確保をはかる趣旨からここに附帯決議案を提出いたします。
 決議案を朗読いたします。以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#142
○委員長(鈴木壽君) ただいま西田信一君から提出されました附帯決議案を議題といたします。
 西田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#143
○委員長(鈴木壽君) 全会一致と認めます。よって、西田信一君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議といたすことに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し菅野通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
#144
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま御可決になりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して善処したいと思います。
#145
○委員長(鈴木壽君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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