くにさくロゴ
1967/07/12 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第10号
姉妹サイト
 
1967/07/12 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 石炭対策特別委員会 第10号

#1
第055回国会 石炭対策特別委員会 第10号
昭和四十二年七月十二日(水曜日)
   午後二時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     近藤英一郎君     高橋雄之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木  壽君
    理 事
                西田 信一君
                二木 謙吾君
                小野  明君
    委 員
                井川 伊平君
                石原幹市郎君
                小林  章君
                高橋雄之助君
                柳田桃太郎君
                山下 春江君
                吉武 恵市君
                阿部 竹松君
                大河原一次君
                大矢  正君
                宮崎 正義君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
   政府委員
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       通商産業省鉱山
       保安局長     中川理一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       通商産業省石炭
       局産炭地域振興
       課長       飯島 三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭対策樹立に関する調査
 (雄別礦業所の落盤事故に関する件)
○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木壽君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動についてお知らせいたします。
 七月十一日、委員近藤英一郎君が辞任され、その補欠として、高橋雄之助君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鈴木壽君) 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。
 この際、去る六月三十日に発生いたしました雄別鉱業所の落盤事故に関する件について通商産業省当局から説明を求めます。
#4
○政府委員(中川理一郎君) 去る六月三十日、雄別炭鉱におきまして、落盤事故がございました。本年に入りましてから人災といたしまして、貴重な人命を一瞬にして六名なくするという遺憾な災害を起こしたわけでございます。
 災害の状況につきましては、ただいまお手元にお配りしてございます概況をまとめたもの、これはただ、七月四日につくりましたので、たとえばあとで御説明いたしますが「取り明け中」であるというようなことを書いてございますが、取り明け作業はもう終わっておりますので、この資料を中心にしながら、その後の経過につきましては若干口頭でもってつけ加えてお話しするということで御説明をいたしたいと思います。
 資料に即して申しますと、災害が起こりました炭鉱名は雄別炭鉱、坑口名は通洞坑でございます。所在地、鉱業権者名、発生年月日等はここに記載のとおりでございます。発生個所は次の二枚目の略図をちょっとごらんいただきますと、まん中に北進昇というのがございまして、そのやや右側に黒い線でバツじるがつけてございますが、これが災害の発生個所でございまして、坑口から約二千九百九十メートル。その左のところに二片下層払いとございますが、これが切り羽面でございまして、ここから採掘を進めまして、黒い太い線のところまで採掘が進んだ状況で、このバツじるしの個所で落盤が起こったわけでございます。
 一ページに戻りまして、当鉱は鉱山労働者千九百三十名、月産五万六千三百トンを出炭しておる甲種炭鉱でございます。災害を発生しました払いは一卸の保安炭柱として残していた雄別本層中の下層を払い面の長さ百二十四メートル、払いの傾斜十四度ということで、前進式で油圧の鉄柱、一・二メートルのカッペによって支保いたしまして、日立製作所製の八十馬力のジブカッターを使用してハッパ採炭を実施しておったのでございます。ちょうどこの日はこの切り羽面を払い出しましてから一日二・四メートルで十二メートル進んでいた、たしか二十四日からこの払い面をやっておるわけであります。
 災害当日の払いには係員が三名、鉱員が二十八名の計三十一名の採炭作業員が作業に従事しておったわけでございますが、たまたま災害の発生時の払いの戸樋口から肩に八メートルの地点、及び十九メートルの地点にそれぞれ抜柱方が就業し、またその抜柱方の中間位置で二名のせん孔夫がせん孔作業中でありましたときに、ふけ部の抜柱開始と同時に戸樋口より肩約九メートルの地点、先ほど図でお示しいたしました地点より肩の約九メートルの地点から二十四メートルの地点にかけての十五メートルの間にわたりまして、突然全面崩落したために、さきに申しました六名の方が埋没し、罹災されたのでございます。
 災害発生直後、同払いの就業者及び救助隊によりまして罹災者の救出作業にあたりました結果、当日の十五時に三名、十六時五十分に三名、それぞれ遺体として収容したわけでございます。
 災害の発生直後、札幌鉱山保安監督局及び釧路鉱山保安監督署より鉱務監督官三名を現地に急行させまして、罹災者の救出作業の指揮に当たらせるとともに、原因については取り明け作業と同時に調査を実施してまいったわけでございます。この書類では「取り明け中の作業と並行して調査を実施中である」と書いておりますが、きょうの時点におきましては、大体取り明け作業は完了いたしました。一応の現場調査を完了したわけでございますが、目下関係者から災害前後の状況を聴取しておるところでございます。
 現場検査で判明した事実を申しますと、崩落の現場のまっすぐ上、直上二メートルのところに、切羽面に並行いたしまして旧坑道が存在していること、また崩落部内に二筋の、二条の小断層の存在が認められました。さらには崩落範囲内の鉄柱が抜柱したと思われるものを除きまして、いずれもが払いのふけ側ややあと方方向に倒れておるという事実が明らかになっております。以上の事実からいたしますと、崩落は抜柱と同時に払いの肩部よりふけ部に向かって発生したと判断されるのでございます。
 本災害の原因につきましては、調査完了を待って検討することいたしております。ただ、先ほど申しました旧坑道と断層の存在、これらとの、原因との因果関係につきましては、もう少しく究明を加えた上で明らかにしたいと考えておりますが、現在、ただいまの私どもの感じといたしましては、旧坑道の存在だけでも崩落があり得たかどうかということは、在来、この種の形のところを雄別では同様な採掘をいたしておりますので、避け得たのではなかろうか、それにプラス二つの断層があった、これによってこの不慮の災害が起こったのではなかろうかというような感じを持っておるわけでございます。
#5
○委員長(鈴木壽君) ただいまの説明に対し、質疑のある方は、順次御発言願います。
#6
○大矢正君 いま保安局長から説明がありましたが、私はいままで伝え聞くところによると、この炭鉱は以前からかなり崩落事故が多いということでありますので、とりあえずこの炭鉱の今日まで一、二年間における事故、ありましたらひとつ説明を願いたいと存じます。
#7
○政府委員(中川理一郎君) 雄別炭鉱の災害発生状況を稼働延べ百万人当たりについて見ますと、全災害では三十八年に千四百九十六、三十九年に九百三十四、四十年に九百九十、四十一年に八百九十八、大体におきまして、多少のでこぼこはございますが、傾向としては逐年減少の傾向を示しております。また、落盤災害のみについて見ますと、三十八年に五百七十六、三十九年に三百四十、四十年に三百九十八、四十一年に三百十五と減少の傾向を示しておるとは言いますものの、北海道全道の平均のそれに比べますと、必ずしも良好とは言い得ない状況でございます。ただ四十二年の一−四月の状況について見ますと、いずれも全道平均を下回る状況で推移してきて、本年度は本炭鉱もやや好成績になってきたかというふうに感じておりましたところ、六月のこの事故が出たわけでございます。
#8
○大矢正君 元来、この爆発事故の場合には、非常に広範囲に坑内が閉鎖状態になるし、したがって、出炭もできないし、会社に与える経済的な影響というものも甚大なわけですね。そういう意味で、爆発事故に対しては、通産省としても非常に神経質になっておられるようだけれども、この種の事故は、言ってみれば、払いなら払いの局所的にとまるだけであって、山は依然として操業体制に入っているから、会社に与える被害なり損失なりというものはまことに微々たるものだ、しかし、失われる人命においては変わりはないわけですね。
 そこで、どうも私はこの雄別炭鉱の事故にからんで、落盤事故だから、これはたいしたことはない、爆発と比べて落盤事故はそれほど社会的にも問題になるものでもないから、したがって、そんなに神経質に考えたり、判断する必要性はないのじゃないかというようなお気持ちがどうもあなたのほうにおありのように見受けられてならないので、まことに遺憾なことだと思うのでありますが、元来、炭鉱の事故というものは私は不可抗力のものではない、そう考えることが正しいし、そうあるべきだと思うのであります。しかし、そうは言いましても、実際にこの事業をやっていく上におきましては、不可抗力ではないと言いながらも、まあやむを得ざる場合もあり得ると私は自分自身考えておるわけであります。が、しかし、この雄別炭鉱の今回の落盤事故に限っては、どうも不可抗力どころではない、十分な注意、細心な保安に対する考え方があれば、この種の事故は私は防げたと、こういうように考えざるを得ないのであります。保安局長としてどうお考えになっておられるか、お答えを願いたいと思います。
#9
○政府委員(中川理一郎君) ただいま大矢先生おっしゃいましたとおりに、ガス、炭じんの爆発が非常に大きな社会的な取り上げ方をされるに比較いたしまして、落盤事故がそれほど目立たないということは御指摘のとおりだと思いますけれども、保安局といたしましては、これは保安の成績をよくするために私どもは絶えず二つのことを区分けして頭に置いておるわけでございます。全体の災害率を低くいたしますためには、落盤事故、運搬事故といった頻発災害というものを、その繰り返しをできるだけ少なくすることによりませんと、全体の数字は低くならないわけでございます。御承知のように、落盤と運搬で全罹災率としては半分以上のものがそれに該当するわけでございます。その上に爆発事故等がございますと、これは先生、先ほどおっしゃいましたように、非常に規模の大きな事故に相なりますので、下に毎年ございます頻発災害の上に一つの大きな山が積み重なって、その年度の災害件数を非常に大きくする、こういうことでございますから、私どもとしましては、ガス爆発等の重大災害の絶無を期するということと相並びまして、落盤、運搬災害等につきましては、ただいまおっしゃいましたように、事前の綿密周到な配慮があれば、一〇〇%とは申しませんけれども、相当程度防げるはずのものであるということにおいては、大矢先生と同じ気持ちでこのことに真剣に取り組んできておるわけでございます。
 落盤災害は自然条件のちょっとした違いが防止対策上に大きく影響する性格を持っておりますために、画一的にこうやれば絶対だいじょうぶだというようなきめ手を見出すことがなかなか困難ではございます。これはそうでございますけれども、過去の実例より見ますと、技術的に解明することも可能ではないかと思われるものが相当数あるわけでございます。また、関係者の注意によって防止できたと思われるような種類のものもかなり見受けられるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、非常に自然条件の変化に関係がございますので、状況変化に対して即刻適切な対応策が取られ得るということが、落盤のような事故につきましても特に大事なことでございます。
 私どもとしましては、落盤事故の重大性にかんがみまして、昭和三十九年から三カ年の期間を費しまして、学識経験者及び炭鉱関係者からなる落盤防止部会を設けまして、検討を重ねてまいりまして、やや一般的な結論ではございますけれども、最近やや広範な資料といたしまして結論をまとめたわけでございます。これはやや一般的な結論に相なっておりますので、採掘にあたって付近の岩板を痛めないような方法を採用する。そのためにはなるべくハッパを使用しないというのが一つでございます。第二には、天盤に対する支持密度を大きくして、かつ支持抵抗を増大するとともに、均一的な力で支持する。そのためには、水圧鉄柱を使用することが望ましい。第三には、裸天井下での掘採作業をできるだけ少なくする。このためにはドラムカッターの機械採炭への移行を考慮すべきである。第四番目には、掘採個所の地質状況を事前に十分把握すること、このためにできるだけ後退式の採掘方法を採用することについて検討すべきであるというような結論を出して、これに関しての具体的なデータ等もつけておいたわけでございます。
 しかし、前に申しましたとおり、こういった基本線も、落盤防止に対する絶対的なきめ手になるかどうかということでは多少問題がございます。少なくともこの線に沿って操業を行なう場合には、相当の効果が得られるものだとは確信しております。したがって、今後は監督を通じてこれらの実施を強力に推進するとともに、抗内の自然条件の変化に対する応用動作といいますか、先ほど申しましたようなことを、状況変化に対しての適切な措置、判断、こういうものの力をつけることを主眼にして、広い意味での保安教育というようなものを、現場の作業員、監督者、さらにはその上層部にいる経営のトップの人たち、こういった各層に対して十分に徹底してもらう。そして応用動作を炭鉱の方々全員に身につけていただくということに、どういうことをやればいいのか、一そう真剣に検討を進めたいと思っておるわけであります。
#10
○大矢正君 保安局長、この切り羽はその後どうなっているのか。現に稼働しているのかどうか、払っているのかどうか。払い始まっているのかどうか。
 それから、それと関連してお尋ねをしておきたいことは、さっきの報告の中で、あなたのほうは、目下この原因について調査中とおっしゃるけれども、取り明けはすでに完了しておるわけで、取り明けが終わってもなおかつ原因がわからないなどというばかな話は私はないと思う。目下取り明け中だったらそういう話は成り立つかもしれない。しかし、事故が起きてもうすでに十二日たちますね。十二日たってもうすでに取り明けが完全に終わったということは、なぜ崩落があったのか、なぜ崩落したのかという原因については、特にこの山のこの種の事故について私は十分結論が出ているものと思わざるを得ないわけです。したがって、たとえば北海道、この炭鉱のありまする北海道の新聞等を見ますると、従来、この落盤事故というものについては新聞はあまり取り上げなかった。しかし、今回のこの問題に限ってかなり大々的に取り上げて、世論に対して警告を発しているというこの事実を見ましても、私は、いまあなたが、まだ原因が不明だとおっしゃるけれども、そうではなくて、二十一日の国会が終わるまでは明らかにしないという考え方があるから言わないまでで、当然のことながらわかっていると思われるのです。もしおわかりになっていたらこの際それを述べていただきたいと思います。
#11
○政府委員(中川理一郎君) 第一点のお尋ねでございますが、先ほどの図面をちょっとごらんいただきますと、この黒い太い線で示しました災害の発生個所の直上二メートルのところに旧坑道があったわけでございますが、さらにその右にやや黒い線で上のほうから下のほうまで相当長く一卸と書いたのがございます。いまの災害個所からさらに採掘を進めていきますと、同じような条件でこの坑道の下にまた出るわけです。したがいまして、ただいまのところは採掘は停止いたしておりまして、第一点の御質問に対しては、いま稼働はいたしておらない。次にまた、この坑道の下に来ることも考えまして、どういう採掘方法がよろしいかということは、もう少し慎重に考えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
 第二点でございますが、先ほど申しましたとおり取り明け作業は完了いたしまして、関連があると思われる事項、つまり直上二メートルの所に古い坑道があったということと、崩落個所内に二条の断層があったということ、これが抜柱作業中に崩落した。ここまでは取り明け作業を了した現在においてわかっておることでございます。なお詳細検討中というのは、この事故の前の状況につきまして、当日その現場にいらっしゃった方々、その他の関係者から話を聞いております。それを聞き終えましたところで、全体としての結論を出したい、かように考えております。
#12
○大矢正君 これは働く者は図面を持っておるわけではないし、それから過去に旧坑道が走っておったかどうかということもわかるわけではないわけで、何もわからないままに結局作業せいと言われてやるわけです。しかし、少くともこれだけの炭坑でありますから、坑内の図面についてはかなり整備をされているはずだと私は思う、のですね。そうすると、直上二メートルの所に旧坑道があり、それを支えていた鉄柱を抜いたら必ず崩落は起こるのではないか。それは起こらない場合もあり得るだろうけれども、起こるのではないかということは、一般に私は考えてよい事柄ではないかという感じがするのです。私はやはり、経営者もそうであるし、保安を監督する立場にあるあなた方の判断の中にも、爆発事故というものについては、ガス、炭じんを問わず、まあ世論の上から見ましても、また人命尊重の上から見ても、企業の経済的な立場から見ても重大なものがあるというふうにはお考えになるが、崩落事故については非常に注意が緩慢な点があるのではないか。もちろん経営者だって崩落してもらいたいなどと考えるばかはいないのであって、崩落がないことを願っていることには違いないが、しかし、坑内が全面閉鎖される爆発事故とは比較にならない軽微なものであるだけに、それが故に細心の注意を怠っているという面も私ども指摘せざるを得ないわけです。
 しかも聞くところによると、さっき私が述べましたとおりこの炭坑はしばしば崩落事故があるということを聞いておりまするし、そういう点から見れば十分注意する必要性がある。ただ私は長々とここでこの問題について保安局長と質疑をしてもこれはせん方ない、すでに事故が起こってしまったのでありますから。先ほどあなたが当面の保安対策についてお述べになったが、それを極力実行をするように全力を尽くしてもらいたいと思うし、ガス爆発だけが事故ではない。やはり崩落事故、あるいは言われたとおり、運搬系統の事故というものが事故の中では非常に大きなウエートを占めているわけですから、そういう点について監督官その他十分な監督に当たらせるよう私は指導してもらいたいと思うのであります。
 そこで井上局長か大臣、いずれかお答えをいただきたいと思うのでありますが、私は、先般の再建整備法に従って、これから四十五年度までの石炭産業の再建整備計画というものが目下当局と会社との間に進められておると思うのでありますが、私はこの再建計画を経営者と議論をする際には、やはり保安面からも炭鉱、鉱山が災害の続発をさせないで再建ができるかどうかということを検討しなけりゃならぬ部面があるのじゃないかと思うのであります。再建整備計画は石炭局だけでつくられてしまうと、どうしてもそういう保安面に対する判断がその中に盛り込まれないというきらいがありますから、これから再建整備計画を進めていくにあたりましては、十分鉱山保安監督局とも連絡を取って、そうしてその上に立って再建整備計画というものを打ち立てるべきだという判断を持っておりますが、この際お考えを聞いておきたいと思います。
#13
○政府委員(井上亮君) ただいま、大矢先生から再建整備計画をつくる上に、やはり保安計画との一体的な計画の進め方が必要であるというような御趣旨の御意見を賜ったわけでございますが、私ども石炭局の側におきましても、ただいまの御意見につきましては全く同感でございまして、今日、石炭鉱業審議会におきまして再建整備計画を一応検討を始めておるわけでございますが、この原案作成は企業がいたしますけれども、これをさらに幹事会等におきまして事務的に検討を行ない、それから経理審査会というような段階で議論を進めたわけでございますが、この過程におきまして特に生産体制というような面に関連いたしましては、十分保安局の事務当局と私ども石炭局の事務当局とが一体的な作業をいたしまして、会社の原案についてのいろいろ意見を取りまとめておるわけでございます。今後も私はこの体制を持続していくべきであるというふうに考えております。なお、単に再建整備計画だけでなしに、全体としてのやはり長期計画を考えますときにも、ただいま先生おっしゃいました御趣旨に沿いまして、その御意見どおりに実行してまいりたいというふうに考えております。
#14
○阿部竹松君 大臣に基本的な問題をお尋ねして、あと事務的な問題については保安局長にお尋ねしたいのです。
 大臣、御承知おきないと思いますが、いまより五、六年前ですか、東京で御承知の列国の石炭業界の代表者の会議がございました。たまたまそれに出席したイギリスの燃料長官ですね、長官が日本のように炭鉱災害が起きれば、わが国においては死刑になるであろう、こういう発言を残してイギリスへ帰ったわけです。まあどういうようにも取れる発言ですが、端的にいうと、いかにイギリスと比較してわが国が災害が多いかということをこれは表現しておると思います。そこで古いことは抜きにいたしまして、戦争以前、戦争中と戦後の今日とを比較してみて、現在のほうが災害が多い。戦争中激しい戦いで日本に御承知のとおり燃料がなかったのでありますから、そうしますと、石炭の一塊は血の一滴であるということで相当無理して採炭をやったわけなんです。十万トンの出炭に一人必ず犠牲者が出るということで、当時の中国あるいは朝鮮、こういうほうからなれない労働者が来ておる関係もありますが、とにかく十万トン掘ると一人犠牲者が出るということだったんですが、今日、終戦以来、私の知っておる限りでも三井三池のあの大災害とか、山野の災害を除きましても北海道……、ちょっといま若干考えてみますと、いま大矢委員が問題にした雄別、この同じ会社の茂尻炭鉱というところがいまより十二年前に六十名なくしている。それから雄別の隣りの大平洋炭礦というのがあるのですが、三十九名一瞬にして失っておる。それから夕張ですね、それから九州へ行って伊王島から上清炭鉱六十名、あるいは大辻炭鉱とか、山口県の松浜炭鉱とか、次から次へと大爆発が連続して起きているのですね。戦争中といえども、あの保安を無視されたときといえども、こういうことはなかった。もういまや保安の問題は明治時代ですよ、明治時代。明治の時代には確かにそういう問題が、いま当時の記録をたどってみるとあるわけですが、昭和の時代になって、戦争中よりも災害が起きるとは一体何たることですか。これは別に保安局長を責めるとか何とかという意味でなしに、根本的に改めなければならぬ情勢である。あなたのさいぜんの雄別炭鉱の御説明の中に加えて、そうして今度何年は何百何十名で、何年は何百何十名という報告がございまして、数は確かに減っておる。しかし三〇%災害の数が減ったといたしましても、人員が五〇%減れば、一人当たりの災害率というのは多くなっているわけでしょう。減った数だけ言っておる。五十万人のときに十万人のけが人が出るのと、十万人のときに三万人に出るのとこれは違うじゃないですか。ですから、この保安問題に関しては、明治時代と何ら変わりない。こういうばかげたことがあっていいものであろうかということをしみじみと考えるわけです。
 ですから基本的にこれはやはり問題がある。そういうことでひとつ大臣――大臣にお聞きするのもたいへん、これは……。大臣の担当が担当ですからお聞きしなければなりませんが、いま保安局長のおっしゃったようなことは何十回となく国会で聞いてきた。そんなことで保安の確保はできませんよ。有沢さんの答申にも、保安の問題は第三項目目ぐらいに入れているでしょう。再建のほうは、金を貸す法律は二つか三つ出てきたけれども、保安を確保せいという法律は出てきやせぬじゃないですか。甲種炭鉱の問題についてはたくさん問題がある。三池の災害から、甲種、乙種のガスについての規制が主たるものです、落盤は直接関係はありませんけれども。こういうことを早く是正しなさいというふうに何回か申し上げたはずなんです。政府もそれを納得したはずなんです。したがって、大体根本的に保安というものに対する考え方が、佐藤総理が演説なさる人命の尊重だけでは解決にならないということをしみじみ思っているわけですが、根本的にひとつお聞かせください。
#15
○国務大臣(菅野和太郎君) この炭鉱の災害がいかに多いかということを、実は大臣になってから私もいろいろ教えられたのでありまして、炭鉱産業というものの確保をはかるためには、どうしても保安ということがやはり先決問題だということを痛切に感じておるものであります。従来、この保安の問題については、いま阿部委員から御指摘があったとおり、あるいは多少とにかくやったかもしれませんが、今後についてはこの保安の問題についてもう一そうわれわれ再検討して、そして将来こういう炭鉱の災害の起こらぬように、十二分にひとつ用意をしたいと、こう考えておる次第であります。
#16
○阿部竹松君 特に大臣の指示を受けて保安の総括をなさっておる保安局長ね、山の数が三分の一に減っている。減った人員が三分の一ですよ。しかし、保安監督員は減らぬわけですから、年々若干ずつでもふえておるわけです。保安局の要望するだけはなかなか大蔵省も認めてくれぬですから、あなたの要望するだけふえておらぬですが……。しかし、山が三分の一になって監督しなければならぬ保安係員、これは炭鉱従業員が三分の一に減れば人間が同じ数でも三倍監督あるいは指導できるという理屈になるでしょう。距離の近い遠いがありまして、それはなかなか私の言うように、三分の一に減ったから三倍監督できるだろうということはこれは極端かもしれませんけれども、たとえば雄別の問題にしても三名派遣したと書いてある。釧路に保安監督署があるわけです。ですからもう少し熱心にやられたらどうなんですか。こういうあたり、なくなってしまってから言ったって、なくなった人は帰ってこぬし、崩落したやつはもとに返らぬから、ぼつぼつやったのでしょうなどという皮肉は言いませんが、もう少しあなたのほうでしっかりできるはずなんだ。これはおそらく私企業の民間産業だったら、山が二分の一になって、炭鉱従業員あるいは指導しなければならない保安の職員が減ったのだから三分の一にせよというふうなことを言いますよ。あなたのところでは、山が三分の一に減っても監督する人は減らないで逆に事故がふえているわけですからもう少し……。ここでいかに声を大にしてあなたを責めても、これは覆水盆に返らずでしょうが、これは私はどうも了解できぬのですが、そこで、どういう指導をなさっておるか、お尋ねいたします。
#17
○政府委員(中川理一郎君) ただいま阿部先生御指摘のとおり、いま手元に私が持っております数字によりましても、昭和三十一年のときの石炭鉱業における保安での見方でございますが、鉱山労働者数三十三万三千人となっておりまして、四十一年度のところでは十五万九千――もっと減っておると思いますが、おっしゃるとおり、ずいぶん労働者数は減っておるわけでございます。それに対しまして稼働延べ百万人当たりの災害率をとりますと、三十一年から三十五年ぐらいまでは大体横ばい、微増程度でございましたものが、そのあとかなり高い水準まで上がりまして、その後横ばいになっている。御指摘のとおり、稼働延べ百万人当たり罹災率をとりますと、たとえば死亡者の絶対値は減っておるというようなこととは関係なく、分母と分子の関係で申しますと、あまりりっぱな成績ではないというよりは、多少ではございますけれども、悪い傾向が出てきておるということは御指摘のとおりでございます。それに比べまして、私どもの保安確保に当たっております監督官を中心にしました保安の職員というものは思うように増員はできませんけれども、微増しておることも御指摘のとおりでございます。そういうことでございますので、もし私どもの関係者のうちに、先ほど大矢先生もおっしゃいましたような、いろいろな意味でのマンネリズムが起こっておるというようなことがございましては、御指摘のとおり、たいへん申しわけのないことでございます。できるだけ絶えず気持ちを新しくいたしまして、絶えず気持ちを引き締めて監督指導に当たらせておるつもりではございます。
 それと、先ほどおっしゃいましたような状況でございますので、監督、検査等の頻度は確かに昔よりは足しげく鉱山に行っておるような状況に相なっております。にもかかわらず、いま阿部先生おっしゃいましたように、必ずしも成績がよくならない。どの辺に一体問題があるのだろうかということを私どもしょっちゅう部内で議論をしておるのでございます。あまり過度の監督をやりますと、つまり回数だけが多いということになりますと、山側の労使ともに、大きい違反があれば監督官が直してくれるというような、変な意味での無責任さが出てきはしないだろうか、そういう意味では頻度をふやすことだけが能事なのかどうかというようなことを最近私どもはたいへん考えさせられておるわけでございます。そのために数年来から自主保安というようなことで、まず鉱山の労使が保安問題を真剣に、一致した目標として努力をしてもらい、その上に私どもの国の監督指導が加わっていったならば、もっといい成績になるのじゃなかろうかというような議論をいたしておる状況でございます。
 ただ、多少弁解がましく聞こえますと、これはかえって申し上げないほうがよろしいのでございますけれども、御承知のような自然条件との戦いでございますので、採掘個所も漸次深部に移行するとか、先ほどの雄別のように、上の本層を取った下の層を採掘しているというようなむずかしい条件がだんだん出てきておるわけでございます。またここ一、両年の状況で申しますと、ガス突出というような技術的にまだ予知と予防についていろいろと問題のある災害も起こっておるわけでございます。ことしに入りまして私ども一番頭を痛めましたのは、人災にはなっていないのでございますけれども、一たん状況が変わると非常に大きな事故になりかねない性格の自然発火とか、ガス突出というようなものが起こっております。技術的にもまだ解明しなければならぬものがずいぶんあるという感じがいたしておりまして、技術面でも力を入れておるわけでございますが、それよりもやはり基本的に、監督官をはじめとした私どもの監督指導の衝に当たる者、鉱山でお働きになる方々全部をくるめまして、何がしかの意味での緊張感とか真剣さとかいうようなものが薄まってきておるというようなことがあっては、これは基本的に技術が幾ら進みましても直らないのじゃなかろうかというような感じがいたします。そういうような意味合いにおきまして、私どもは監督のあり方というようなものについてもなお考えなきゃならぬものが相当あるという感じでおります。
 それからさっき阿部先生は監督官の数についておっしゃいましたが、私どもかえりみまして数だけではやはり事足りるのじゃなくして、ほんとうに監督指導をする能力があるかどうか、監督官の研修問題といいますか、教育問題をもう少しまじめに取り組んでみる必要があるのじゃなかろうか、最近さようなことをいろいろと考えさせられておるわけでございます。御質問に直接お答えしたことになったかどうか、はなはだ心苦しいのでございますが、私どもとしてはなお先生方の御指導も得まして、できるだけこういう点、ああいう点というふうに御指摘を受けながら勉強を進めて、保安確保の実があがるように努力いたしたいと思っておるわけでございます。
#18
○阿部竹松君 保安の確保については労使双方やってほしいと、これは当然のことで、ただなかなか経営者だけで保安の確保ということができない。それは労働者も当然協力しなければならぬ。しかし私はこのなくなった六名の方に会ったわけではないからわかりませんけれども、二メートル上にはまた穴がありますよということをおそらく知らぬかったのではないかと思う。一般従業員は、ガス何%あるということはなかなかわからない、干渉計を一人一人持っておりませんからおそらくわからないのですよ。きわめて情けないのですが、私の言うことが間違っていれば指摘していただきたいのだが、それはそうなんですよ。ですから協力したいのにできないのですよ。したがって、その二メートル上ですな、その坑道のあるところを掘らせるという、いままでやっておったというのですから、たまたま間違ってそこに当たったというならいいのですが、常時それをやっていたというのだが、それはとんでもない話で、それは鉱山保安監督局の責任もあろうかと思います。
 いまより七、八年前東中鶴炭鉱というのがございまして、四百メートルもよそへ掘っていって、旧坑に当たって水が出て、そこで十四名がなくなって永久にその死骸が出ぬわけですがね。それはあなたのところの下僚が――当時あなたは保安局におったわけじゃないのですが、あなたのところの下僚が認めている。四百メートルもよそに行っているのを監督官がわからないのですから……。四十メートルぐらいというならまだわかるわけですけれども、こういうことを全部保安監督署員なり監督員がやっているとは思いませんけれども、事故があるたびにそういう問題が起きてくる。ですからぼくはことばは激しく言いたくないのですが、事故があるときは必ず原因があるわけですよ。したがってなくなった方にはたいへん気の毒ですからこういう例を申し上げてはたいへん恐縮ですが、一番手っとり早くわかるもんですから申し上げるのですが、いかなる大災害が起きても保安管理者で責任を問われた人がない、野球を見なさい、なくなった人には気の毒ですから野球の例をあげて言うのはたいへん失礼なんですが、あの野球チームでも選手があまりチームがだらだらしたり、監督がだらしなかったりすると罰金をとる、それを強行したために成績良好になったチームがある。これは例が卑近ですからこれ以上申しませんけれども、保安管理者、保安監督者が、いままで何百名の犠牲者を出し、どんなに大災害が起きても、罪になった人はない、やはりなくなった人が一番貧乏くじ引いたことになる。私どもが国会で何回やってもだめなんです。だからこれは抜本的にやらなければならない。保安法の改正の意思でございますか。
#19
○政府委員(中川理一郎君) 阿部先生いまおっしゃいましたように、こういう大事な仕事でございますので、やはり鉱山の経営者に対しましても、これは係員も含めまして、信賞必罰ということはやはり先生御指摘のとおり厳格にやっていくべき事柄だと思っております。少なくとも最近は、従来よりは送致件数をふやすという方向でその点はきびしく臨んでおるつもりでございます。
 それから保安法でございますが、具体的な事項はそれぞれ規則で具体的に定めておるわけでございまして、これにつきましては最近の技術上の問題点の変化、解明というものに即応いたしまして、必要なものは逐次改善を加えていくというつもりで進んでおるのでございます。ただ保安法そのものに何か根本的な改正を加える必要があるかどうかということでございますが、現在私どもは具体的な案は持っておらないのでございます。
#20
○阿部竹松君 中央鉱山保安協議会などはほとんど開かれておらぬ、こういうのですね、ここで委員会でやかましく言ってから一、二年間の、今日は一年に一回か二回、専門部会かなんか開いているようですが、過去などほとんど開いていなかった、こういう話なんですね、実態はどうですか。
#21
○政府委員(中川理一郎君) 私はいま開催の回数等についてのデータを持っておりませんので正確なことは後日またお答えしたいと思いますが、私が就任しましてから現在で三カ月ちょっとだと思っておりますが、この間に中央鉱山保安協議会はかなりの回数開いております。ただ中央鉱山保安協議会といういわば総会にあたるものの回数は、私が就任いたしましてからまだ一回しか開いておりませんで、その回数をおっしゃいますとそれほどの実績にはなっておらぬかと思いますけれども、これはいま部会構成にいたしまして、総合部会と、技術部会と、石炭部会、金属部会という四つの構成にいたしておりまして、この部会の審議は非常に熱心にやってもらっておるわけでございまして、後ほどまた数字をもってお示しする機会をつくりたいと思っておりますが、最近におきましては少なくとも相当の頻度で、かつ内容的にも真剣に御審議を願っておるということはお答えできるんではないかと考えております。
#22
○阿部竹松君 石炭局長、お尋ねしますがね、石炭局長は保安の担当じゃないから直接関係ないわけですが、おれのほうは石炭さえ掘ればいいんだというようなことでなしに、保安にも石炭全般を通じて関係があり、やはり責任もあると思います。ところが、今度再建整備の法案が通ったので、まあ国が一〇〇%じゃなくても、肩がわりその他でいろいろめんどうを見てあげる、世上に流布されていることばを借りて申し上げると、三井鉱山が一番政府の恩恵に浴するだろうと言われている、その三井鉱山はいろいろな問題で赤字が膨大になって累積されたんだと思うのですが、あすこは炭鉱で一番大きな災害を起こして、炭鉱従業員に迷惑をかけて、そこが国の一番恩恵にあずかるということになると、これは私ども政府の行政指導としてもどうかと思うのです。そういう大災害を起こして迷惑をかけた人はやはり反省し、保安局長の言われる信賞必罰――どういう意味でおっしゃったかわかりませんですけれども、具体的にあらわしてもらわなければ、ただ委員会を終わらすための答弁用語であってはならないわけです。一番国に迷惑をかけ、一番大ぜいの人に迷惑をかけた人が、一番国のお世話になるという話は筋が通らぬですね、やはりこの法案が国会を通過したことによって一番お世話になるのは、別にぼくは何億何千万ということはお聞きしませんけれども、ざっと見て、三井鉱山が一番お世話になるということになるのですか。
#23
○政府委員(井上亮君) 私ども石炭局におきましては、先ほども申し上げましたように、この山の保安の問題につきましては、これはもう炭鉱の経営者といたしましては最大の問題でございまして、大きな事故を起こしますと、会社の経営の基礎を失うようなことにもなりかねない事態になるわけでございますので、経営の立場から言いまして、あるいは生産確保の面から言いましても、特に人命尊重というような観点はもちろんのことでございますが、生産体制の上に基本的な問題として、やはり保安の確保というのは私は最も大事なことだというように常日ごろ考えてもおります。なお、業界に対して生産計画を組むとか、あるいは再建整備計画を組むとかいうようなときには、常にやはり私みずからも保安の問題についての発言をしまして、保安確保の体制はこの計画の中に十分織り込んであるかどうかというような質問をして、審議を進めているのが実情でございます。
 なお、ただいま信賞必罰の問題にからみまして三井鉱山の問題が出ましたが、私も炭鉱の経営につきましては、やはり信賞必罰というようなことは大事なことだと、特に保安を守る経営者の怠慢のために保安事故を起こすというようなことは、これは許せないことでございます。こういった点につきましては、今後監督の面で、ことばだけでなしに厳重に警告を発したいというように考えております。
 なお助成策の問題でございますが、これは再建整備法に基づく肩がわりの措置につきましては、ただいま経理審査会で検討中で、結論はまだ出ておりませんけれども、しかし私の見通しとしましては、三井鉱山が一番手厚いというふうには考えておりません。特にトン当たり出炭量等で国の助成策を考えてみますと、ここが一番ということはございません。ただしかし、三井鉱山全体の総出炭量が国の石炭生産全体の相当なウエートを占めているような関係もありまして、金額的にはおそらく一番多いことになろうというように考えておりますが、だからと言いまして三井鉱山が特別手厚いということはない見通しでございまして、またそのような気持ちも私ども持っておりません。公平に考えて再建整備計画の確立をいたしていきたいというように考えております。
#24
○阿部竹松君 本委員会は合理化法の審議が目的ですから、これ以上保安の問題について言うことはやめますが、通産大臣に、これは答弁があったらいただきたい。答弁がなければお聞き取りだけ願っておきたいわけですが、大臣は経済の専門家ですから、山の小さい問題について、うるさく言ってもこれは御理解いただけぬ点もあろうかと思いますけれども、いかに山の保安というものはむずかしいことであるかということぐらいは大臣御理解いただけたと思う。
 ですから前回も申し上げたから言いませんけれども、保安センターの問題一つにいたしましても、予算化して半年たってまだ今日どこに保安センターを設置するやもまだきまっておらぬわけですね。政府で全部保安センターをつくるために金を出しますという方針で出発したところが、予算ができ上がってみると、炭鉱経営者に、お前は何割出せというようなことで、炭鉱経営者から金を出させる。炭鉱経営者も金を出すのは楽じゃないから、保安のサボタージュをやって金を浮かしているとは思いませんけれども、そうしたことではけしからぬ。それからまた置く場所にしましても、いかに研究あるいは勉強のために置くかということがなおざりにされてしまって、ここに持ってきたら三千万円か四千万円上げますよと地方自治体から言われれば、その三千万か四千万の金がほしいために甲の候補地が乙になってみたり、乙の候補地が丙になってみたり、うろうろしてまだ今日きまらない。いかに保安を無視しているかということがこの一つの例をとってみてもわかるわけですよ。これはこの前大臣にだいぶ申し上げましたからこれ以上申し上げませんけれども、とにかく即刻ああいう問題を解決して、そしてやはり保安の万全を期していただきたいと思うわけです。
 最後にお尋ねしますが、雄別の二メートル下は今度掘らせないのですね、保安局といたしましては。たとえば地質は頁岩であるか砂岩か何であるかわかりませんよ。わかりませんけれども、二メートル下を掘るということはこれは危険ですよ。そういうことをよく――私はしろうとですからわかりませんけれども、よく釧路の保安監督署が認めておったかふしぎでならないわけです。ですからこれはそのことは言わなくても私は掘らせぬと思いますけれども、その対策をお聞きして保安に関する質問はこれで終わります。
#25
○政府委員(中川理一郎君) これは専門家等に十分議論をしてもらって結論を出すべきだと思いますが、こうやれば絶対安全に掘れる、採掘できるという自信がない限りは安全採掘にいくべきではないと思っております。
#26
○委員長(鈴木壽君) 本件については、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#27
○委員長(鈴木壽君) 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案理由の説明はすでに聴取いたしましたので、直ちに質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
#28
○小野明君 今度の国会というのは石炭鉱業に関する抜本的な安定策を具体化していく、これがまあ目的であったわけでありまして、あと年金法を残すだけになったのでありますが、この審議を通じましてやはり私は、非常にこれで大丈夫という感じを持てないのであります。というのは、答申をされましてやっぱり二年間というブランクがひとつあった。その間に非常に実勢の変化というものも考えられるのでありますけれども、大体この合理化法に示されておりますように、昭和四十五年までに石炭鉱業が安定するかどうか。安定の見通しが立つかどうか。この点にやっぱり私は不安を感ぜざるを得ないわけです。というのは、いままでも何回か出たのでありますけれども、やはり五千万トン体制における供給過剰の問題、それから資金繰りといった資金難の問題ですね。この二つをみましてもやっぱりそういった懸念が出てきておるのであります。それでこの辺で大体最終的な場であるということも考えられますので、再度四十五年までに安定するかどうか、もし隘路があるとすれば、それはどの点からこの安定策というものがくずれてくるのか、こういった点についてお尋ねをしたいと思うんです。
#29
○国務大臣(菅野和太郎君) この石炭鉱業につきまして、今後の見通しについていろいろ御不安の趣を述べられたのでございますが、なるほど今回とりました対策は、二年前の実情によってつくった対策でありますし、二年間の間において事情がだいぶ変わっております。また今後も変わると思います。でありますから、そこで、せっかく答申によって今度特別会計をつくって、そして答申案のとおりに大体対策立てておるのでありますから、一応これで本年度やってみたいと思っております。
 そこで、問題は、いまもお話のとおり一般炭の需要があるかどうかという問題、それも考えられると思いますが、それから資金の点あるいは炭鉱で働く労働者の確保ができるかどうかというような問題、そういうような問題でいろいろ今後困難な問題が起こってくるということは大体予想ができるのでありますが、それについては、一般炭の問題については政策需要というものをもっと拡大していくということ、あるいは労働問題についてはできるだけ労働者を引きとめる策を講ずるというふうなこと、そういうふうなことで今後進んでいきたい。したがって、それに対しては、それぞれまた予算の増大も見なきゃなりませんからして、したがって、今後そういう問題については予算の増大をはかって、そしてそういうような問題の解決もやっていきたい、こういうように存じておるのでありまして、今回の対策のままで決してわれわれ甘んじておるわけではありませんから、事情の変化に応じてそれぞれ対策を講じていくつもりでありますからして、さようひとつ御了承願いたいと思います。
#30
○小野明君 どうも千億突っ込む、あるいは特別会計を五百億ばかり入れたという今度の国の施策における大臣の答弁としてはきわめてあやふやで、そういう御答弁ではちょっと納得がいきかねるのでありますけれども、局長にお尋ねをしたいと思うんですが、昭和四十二年度の合理化計画大要についてひとつ御説明いただきたいと思います。
#31
○政府委員(井上亮君) ただいまお尋ねの四十二年度の石炭鉱業合理化実施計画の大要につきまして御説明を申し上げます。
 御承知のように、石炭鉱業の合理化実施計画は毎年、年度の初めに通産省が石炭鉱業審議会の意見を聞いて決定するならわしになっております。本年度も年度の初めに一応決定いたしたわけでございますが、まず内容といたしましては、合理化実施計画の全体の生産量といたしまして五千三十万トン、これを本年度の生産計画といたしております。それからなお、能率は、平均生産能率といたしまして、全国平均で本年度は四十三トンというように想定いたしております。なお、これらにつきましては、炭種別にもこの供給計画を展開いたしております。それからただ、この生産計画を実施するに際しまして、各企業におきまして炭鉱の整備を計画いたしておりますが、この整備計画の見通し、それからそれに伴います離職者数、これも一応この計画の中で想定いたしておりまして、なお想定されますこの離職者に対しましては、同時に労働省におきまして再就職計画の実施概要を取りまとめまして、この合理化計画と再就職計画とをあわせて石炭鉱業審議会におはかりして、両方を同時に御審議して政府に意見を提出願うというような仕組みにいたしております。
 ただいま申しました整備の状況、離職者の数の状況について簡単に申しますと、閉山トン数としましては、大体本年度といたしましては三百三十七万トン、全国でこの程度の閉山を見通しとして確認いたしております。これは地域別の内容でございますが、北海道では百四十二万トン、それから東部地域におきましては二十一万トン、それから宇部地区は本年度は御承知のように相当大きくて七十四万トン、これは宇部興産の一般炭の閉山の影響でございます。なお九州は三地域に分けておりますが、合計いたしまして百万トン。本年度は北海道が従来に比べますと比較的多い見通しに相なっております。合計いたしまして三百三十七万トンの閉山見通しという数字でございます。
 それからなお再就職を必要とします離職者の数につきましては、常用労務者と職員と臨時労務者及び請負労務者というふうに分けて見通し計画を立てておりますが、常用労務者といたしましては七千八百七十名、それから職員は千四十名、それから臨時労務者と請負労務者合わせまして千四百八十名、以上総合しまして一万三百九十名の方が本年度に再就職を必要とされる離職者となるのではないかというような見通し計画を確認いたしております。
 なおこの離職者の方々につきましては、労働省のほうが、このただいま申しました離職者数に対応いたしまして、本年度の再就職計画を進めております。これは労働省の問題でございますが、石炭鉱業審議会におきまして、私どもの合理化実施計画を同時に審議いたしておりますので、簡単に申しますと、四十二年の三月末の求職者、これは前年から引き続いておる求職者でございますが、これは年度の初めに九千名あったわけでございます。これに対しまして、ただいま申しましたように、一万人余りの新規の求職者が加わりますと一万九千名余りの求職者が一応労働省の再就職計画の対象になるわけでございます。これに対しまして労働省では安定所――これは広域関係と一般関係と合わせまして九千六百名の方を職業紹介所の関係で再就職を完了いたしたいという計画を地域別に持っておるわけでございます。そのほか産炭地域振興事業団の事業による再就職これを七百名程度見込んでおります。その他会社あっせんによる就職が千五百名、その他合わせまして本年度の就職者は一万二千九百名程度の就職を本年度労働省として計画をお立てになっておるわけでございます。
 以上が大体本年度の初めに審議会で決定いたしました。政府として、ただいまこの線に沿っていろいろな諸施策を実施している合理化計画と再就職計画の概要でございます。
#32
○小野明君 石炭鉱業の合理化基本計画の完成年度を四十二年度から四十五年度に置くと、こういうことが一つのポイントになっておるのであります。それで、当然ですね、いま局長からことしの計画というのを御説明いただいたのでありますが、三百三十七万トンですか、ことしはね。離職者はほぼ一万四百人、この二つの点でありますが、同時にこれは五千万トン程度という目標もあるわけですね。そうしますと、四十五年度を目標にする以上は、年次計画というものが立てられておらなければならぬと思うんですが、それを四十五年度まで累積加算といいますか、累計いたしますとどういうことになるんでございましょうか。
#33
○政府委員(井上亮君) 一応本年度の四月に石炭鉱業合理化基本計画につきましても一部改正をいたしたわけでございますが、これが、先ほど御説明申し上げましたのは、実施計画のことでございます。この改正の中に、閉山の見通しにつきまして、現在二千万トン程度というふうに告示されておるわけでございますが、これを二千三百万トン、三百万トンふやしたわけでございますが、これは長期の基本計画として考えたわけではございません。とりあえず、短期的に見まして、その程度増量を考えておるというような改正をいたしたわけでございまして、今後の長期の閉山見通しにつきましては、ただいま私ども内部で検討を進めておるわけでございます。
 御承知のように、再建整備計画につきましても、昭和四十五年度までの計画を第一期の計画としまして、さらに昭和四十六年から昭和五十年まで、これを第二期の計画というようなことでただいま各社の再建整備計画、あるいは再建整備計画に乗らない企業につきましては、長期計画の名のもとに、全企業についてそういった将来の見通し計画をただいま策定中でございます。その集計がまだできておりませんので、正確な見通しはここで申し上げることができないわけでございますが、ただ今日、私の個人といたしましての単純な見通しを申しますと、昭和四十二年度、本年の三百三十七万トンという閉山トン数を入れまして、大体四十五年度までに八百万トン程度の閉山が予定されるんではないかというふうに見通されております。なお、この八百万トン程度の見通しにつきましては、大手炭鉱の見通しにつきましては比較的正確に把握されやすいわけでございます。これは経営者が比較的長期計画の中で意思表示をいたしておりますし、労使の間でもそういう了解がされている山もございますから、比較的明確にとらえられるわけでございますが、中小炭鉱につきましては、あくまでもこれは政府が中小炭鉱の経営者といろいろ懇談をしたその点からくみ取った単純な見通し計画というふうに考えておりますのでまだ正確だというようなことを申し上げるわけにはいきませんが、ただ、私どもの感じといたしましては、そういった作業の結果、大体八百万トン程度の閉山が出るのではなかろうかというような見通しをとっております。
#34
○小野明君 人員はどうでしょうか。
#35
○政府委員(井上亮君) 閉山の原因といたしましては、やはり圧倒的な多数の閉山の山につきまして……。
#36
○小野明君 人間、人間。
#37
○政府委員(井上亮君) ああ、人数はこれはまたなかなかむずかしいわけでございまして、閉山の山だけですとまあ一万人余りぐらいではなかろうかと思いますけれども、しかし、ほかにいわゆる規模縮小に伴う合理化解雇者というようなものもございますので、いま正確なものに作業中でございますが、かつて私どもが答申を出します際に調べましたときには、三万人近い離職者が今後――これはもっとも四十一年度からですから、四十二年度からということになりますと、まあ二万人程度ということになろうと思いますけれども、答申をつくりましたときは、四十年の姿で四十一年度以降を考えましたものですから、三万人程度ということを申しましたが、その後四十二年度以降ということになると、四十二年度も含めてみますと二万人程度になるというような見通しをやったことがございますが、まあ正確な点は、先ほど言いましたように、今日もう一ぺん再建計画と長期計画で検討いたしておりますので、正確なことは申せないわけでございます。そういう程度の数字がかつて出たことがございます。
#38
○小野明君 ことしも五千万トン、五千三十万トンですよね。ところが四十五年までは大体五千万トン程度ということになっておるわけであります。そうしますと、答申自体も何回か重ねられているうちに五百万トン落とされてきているわけですね。五千万トンになってきた。そうすると、私はこの石炭対策の目標年度を昭和四十五年度、こういうふうにする以上は、能率のほうはこれはすぐ出るといたしましても、閉山規模なり、人員というものがぴしゃっと策定された上で計算がされておるものだ、こういうように了解しておったのですけれども、どうもことしの規模が三百三十七万トンで四十五年までいくと八百万トン程度であろう、こういう試算というものが少な過ぎるような感じがしてならぬわけです。そこで、いま五千万トン、五千三十万トンであり、そうすると五年先はやはり八百万トン落とされるのに五千三十万トンである、こういう理屈がどうして見通しが成り立つのか、その辺をひとつ伺いたい。
#39
○政府委員(井上亮君) 本年度を含めて閉山の規模が八百万トン程度と申します場合には、本年度が、先ほど申しましたように三百三十七万トンという計画になっておりますので、今後大体四十三年以降につきましては五百万程度の閉山ということですが、これが少ないという感触をもってただいまおっしゃったわけでございますが、この点につきましては、大手の閉山につきましては、四十二年度におきましては相当な大手の閉山もある予定になっておりますけれども、明年度以降におきましては、もちろん大手の閉山も一部入りますけれども、大規模な閉山というのはそうたくさんはないのではないかというふうに考えております。今日までに相当炭量の少ない、また、きわめてコストの高くかかる非能率な山につきましては相当急テンポで閉山が行なわれてまいりましたので、今後は、今日までのようなテンポでの閉山はないというふうに考えております。
 それからなお、閉山に伴いましてそれだけ生産が減少することになるわけでございますが、その反面、まあ北海道あるいは九州におきますビルド山の増産が見込まれるわけでございますので、このビルド山の増産というものと、ただいま申しました閉山による減産というのがちょうど相殺されるような形になりまして、今後の出炭の供給力の規模は大体五千万トン程度ではあるまいか。なお、ただいま再建計画をいろいろと検討を加えておりますが、まだ結論は出ませんが、ただいままで出ております、まだ確認していない計画でございますが、この見通しによりますと、四十五年で五千百五十万トン程度の供給力というのがただいまの企業の原案になっております。したがいまして、以上申しましたように、閉山とビルドの増産というような関係から、五千万トン体制の供給力が確保されるというふうに考えております。
#40
○小野明君 ことしは四十三トンということですが、能率はどうなりますか、四十五年には。
#41
○政府委員(井上亮君) これも、ただいま長期計画の検討中でございますから、正確なことはもうしばらく時間を貸していただきたいと思いますが、私の見通しでは、全国平均で五十五トンくらいになるのじゃないかというふうに考えております。
#42
○小野明君 石炭事情というのはこれから――中東紛争などはこれはまあ意外に、何といいますか、これは悪いのですけれども、明るい見通しに、ちょっと一時的ではありますけれども、なった。あるいは、四十四年度から公害対策として脱硫装置などもできてくる。そうすると、コストの関係で大体よくなってくる、こういうことが言えるのでありますけれども、やはりこの計画、いまお聞きをいたしました計画を見ますと、労働者は減るわ、合理化は進んでいくわ、こういうことで残っておる労働者の非常な過重労働によってこれが支えられていく、五千万トン体制が。だから機械技術の導入といったような問題もありましょうけれども、現状ということであれば、そういう五十五トンという非常に予想だもつかぬ能率ということによって想像されるのですけれども、その点はどのようにお考えですか。労働者の非常な労働過重の犠牲の上に、この体制が維持されるのではないかという心配をするわけです。
#43
○政府委員(井上亮君) 能率があがりますと、ただ能率をあげることだけにきゅうきゅうとした経営政策をとりますと、お説のような労働過重の問題が起こりかねないと思います。その点につきましては、特に今日の、これから先もそういう見通しがあろうかと思いますが、炭鉱の労働者を定着させることが非常に大事な段階にきておりますので、いたずらに労働面にのみしわ寄せする再建計画ということは、私どもとらない方針でおります。したがいまして、この能率の向上と労働面との調和をはかりますためには、やはり機械化以外にはないというふうに考えております。そのために、私どもといたしましては、再建計画の中では特に生産体制の確立の面におきまして、坑内の機械化体制の強化という点に重点を置いて計画を立て、かつまた、それに対応する資金計画も組もうということで取り組んでいるわけでございます。
 ただ、機械化といいましても、山によりまして機械化が非常に進みやすい山と、それから機械化がなかなか自然条件の関係でむずかしい山と、いろいろございますけれども、しかし、特に労務者につきましてはなかなか確保しにくい状況でございますので、やはりそれだけに機械化体制を強化する政策をとりまして、できるだけ能率を向上し、労働時間もあまり延長を前提にしないような計画にしてやるように、ただいま今後の再建計画を検討している段階でございます。
#44
○小野明君 やはり御説明を聞きましても、一つの問題は、私が持っている心配というのは、五千万トン体制というものが維持されるとすれば、閉山、合理化の推進によってそれが維持される。政策需要ではなくて、合理化の推進によって維持されるのではないかという心配が一つ。もう一つは、生産を維持するとすれば、はなはだしい労働過重によって、この五千百三十万トンなら、それが維持されていくのではないかという、これはもう背反するわけですからね、この二つの心配を持っているわけです。この点はどうです。
#45
○政府委員(井上亮君) 確かに供給力の問題といたしましては、一面には閉山の問題が不可避な問題としてあるわけでございますが、その反面、またビルド山につきましては、どうしても今後増産をしていくという体制が、経営上からもまた山を維持する上からも必要になってまいるわけでございまして、偶然の――私ども意識的にそういう計画を組んでいるわけではございませんが、たまたま自然条件の点とか、あるいは炭量のあまり多くないというような点から、見込まれます閉山のトン数と、それから各山が増産をしていくというその増産分とが、ほぼ同じ程度に見込まれているわけでございますが、ただ、だからといいまして、私どもビルド山につきまして、増産を特に不可能を強いるような計画はすべきでないという見地で指導いたしているわけでございます。先ほどもお話が出ましたように、いくらビルド山と申しましても、今後やはり保安体制の面から生産におのずから限界が出る面もありましょうし、あるいは自然条件の点から無理を言えないという面もありましょうし、そういうそれぞれ山によって事情は違いますけれども、しかし全体として労務者の確保という点はなかなかむずかしい問題があるわけでございますので、やはりその調和点としまして、炭坑の機械化を思い切って進めていく以外にないというような考え方から、機械化の推進というものを中心にいたしまして生産体制の強化をはかって、先ほど先生おっしゃいました矛盾をその面から解決していくように努力してまいりたいというふうに考えております。なお、そうすることによって、また賃金の上昇等につきましても可能性が出てくるというような体制が必要ではないかというふうに考えているわけであります。
#46
○小野明君 四十五年度で五千百三十万トンと、こういう予想を立てられておるのですけれども、この目標を大幅に割っていくと、たとえば四千五百万トンになっていく。なかなか予想がつかないところかもしれませんけれども、そういうおそれはないですか。
#47
○政府委員(井上亮君) 非常に先生きわどい御質問をなさったわけでございますが、率直に申しまして、私は今日の石炭政策、特に抜本策につきまして、これは石炭鉱業審議会も相当長期にわたってそういった点を心配しながら今日の抜本対策の結論をまとめていただいたわけでございますが、先ほども大臣が御答弁されましたように、今年度の助成対策の程度で今後推移しますならば、私はやはり限界企業と申しますか、弱い企業も中にございますから、こういった企業につきましてはなかなか経営が立ちいかないという事態が起こり得るかと思います。そうなりますと、先生御心配になりましたような四千五百万トン程度しか供給力がなくなるような事態というものもないとは申しません。しかし、私どもの石炭政策についての決意と申しますものは、先ほど大臣もお答えになりましたように、今年度の助成対策で決して満足いたしておるわけではございません。幸いにして特別会計の設置も認められたわけでございますので、この特別会計につきましては、これは関税収入も当初私どもが考えておりましたより関税収入はふえる見込みでございます。従来は大体年々五十億程度の収入増というふうに考えておったわけでございますが、最近の石油審議会等における見通しでは、おそらくこれは六十億を下回ることはあるまいというような、年間の伸び率を見通しておるわけでございます。なおこれだけではありませんで、これは私ども大蔵省とこの制度をつくりますときに、なおこの関税収入をもって足りない場合には、一般会計からの追加繰り入れを認めるというような話し合いもできておりますし、特別会計法の附則におきましてそういう条文も入れていただいた経緯もあるわけでございますので、私どもは、大臣も毎々申しておられますように、こういった助成策をさらに補強して五千万トン体制の確保は全力をあげてまいりたいというふうに考えております。
#48
○小野明君 石炭といいましてもなかなかそのやることが多くて、特別会計を見ましてもこの前から指摘がありますように本体ですね、金が非常に少ないわけですね。そうかといってアフターケアをやらないでいいかというと、これはたいへんな問題になる。そういうような非常に重要な問題ばかりをかかえておる特別会計なんですけれども、ひとつ私はいまの問題を離れて別の問題ですね、産炭地振興の問題を二、三お尋ねをしておきたいと思うのです。
 どうも産炭地域振興といいましても実効があがっておらないわけですね、筑豊あたり見てみますと。大臣はまだ九州お見えになったことありますか、筑豊ありますか。土地は広くこしらえてあるのですけれども、土地代が非常に高くて何も来ない。工場誘致とか何とかというけれども、野球場でもつくったらどうかというような話まで出て、土地ばかりこしらえて肝心の企業が来ない。中小企業は来ておりますけれども、これは体質がよくない、ばたばた倒れていく、地元のそういう労働力を吸収し得ない、こういう悩みがあるわけであります。地元の一体産炭地域の振興というものが、これもやはりこれで見ますと三十億もの金を注ぎ込んでいるわけですから、もっと気のきいた産炭地域振興対策なんというものはないのか、こういう気がしてならぬのです。この前もお尋ねしたときには、これは年次計画、五カ年計画ですか、これでおやりになるというお話を伺ったんですけれども、その後どういうふうになっておりますか、これをひとつお尋ねいたしたい。
#49
○政府委員(井上亮君) 産炭地域振興の問題につきましては、御指摘がありましたように、なかなか目に見えて活発な進出がないという御意見でございますが、確かに数は相当ふえております。今日までにおそらく私の手元の資料だけでも三百四十企業の進出があるわけでございますが、これは一年近い前の数字でございますから、四百近い企業進出が行なわれておると思いますが、ただこの実態を見てみますと、中小企業がほとんど大部分でございます。そこで産炭地域の市町村あるいはその他地元の関係者の方々からもっと大きな企業を誘致したいといって、いわゆる中核企業を誘致したいという声が非常に強いわけでございまして、私どももそういった声に対しまして、中央におりまして、たとえば自動車工業等につきましては、私どもも関係の自動車工業の責任者の方々とも何度かお目にかかっていろいろ打ち合わせをしておるということでございます。ただそこから知り得ましたことは、やはり時間の問題であると私は思っております。いま直ちにと言われますと、各社のいろいろ今後の生産拡充計画との関係がありますので、いま直ちにということはできないけれども、近い将来においては考慮したいというような御返事が今日まであるわけでございます。私どもとしましては、こういった大きな企業を産炭地域に導入いたしますためには、それに先立ちまして基盤整備がやはり第一に大事ではないかというような観点から、ただいまお尋ねのありました第二次産炭地域振興の五カ年計画に際しましても、この基盤整備というものを第一に掲げまして、これは道路の建設であるとかあるいは港湾の整備とかいうものはもちろんでございますが、それと関連した土地造成計画というようなこともその中に織りまぜて計画を立てていきたいというふうに考えております。
 それからなお産炭地、特に筑豊におきましては水の問題が従来から非常に叫ばれてまいっておりますが、私ども昨年度からわずかではございますが、小規模ダムにつきまして産炭地域振興事業団がこれを建設するというような新しい事業を開始しておりますが、今後におきましても懸案の地点もまだございますので、こういった地点につきましてはさらに調査を行ないますとともに、できるだけ早い機会に産炭地域振興事業団が水の確保のための工事ができるようなひとつ計画をつくりたいというような考え方でおります。
 いずれにいたしましても、この五カ年計画につきましては、ただいま産炭地振興審議会におきまして審議中でございますが、七月末までには全体としての取りまとめができるのではないかというふうに考えております。ただいま産炭地の各県知事さんはじめ、市町村の皆さま非常に御熱心で、たびたびひんぱんな会合をいたしておりますが、もうしばらくの時間で第二次五カ年計画ができるのではないかというふうに考えております。この計画が審議会で確認されました場合には、私どもといたしましては、直ちに通産大臣にもこの内容を御説明申し上げまして、要すれば閣議で御報告いただき、御確認いただくような措置もとりたいというふうに考えております。
#50
○小野明君 まあ、この辺でやめたいと思うんですが、筑豊の衰微がひどいんですね。人口が八十八万ぐらいあったのが最近は六十八万、生活保護者でも全国の七、八倍の数になっているわけですね。そういうふうになっておるのに、地元の中小企業が労働力を吸収し得ない、おまけにここ何年かたてばというお話もありましたが、大臣が非常に力を入れておられる万博ですね、これはまあ千五、六百億円ぐらいのお金ですか、これが九州のほうにも影響しておりまして、労働者が全部大阪へ行くんですよ。最近流出がひどくなりました。大臣が石炭よりも向こうに重点を置かれておるかとも思うんですけれども、それはまあ別にいたしまして、非常に万博へ向けて人口の流動が激しいわけです。でありますから、いままでもう産炭地振興が叫ばれて長い。そして問題が水と道路であるということも、これは産業の基盤でありますから、これはわかるのでありますけれども、あながちその産炭地振興というのは、そういう質の悪い、すぐ倒れるような企業を持ってくるということではいけないと思うんです。やっぱりほんとうに自立できるような、北九州と福岡というようなかなりな大都市を持っておる、消費地を持っておるんですから、その辺で農林省あたりとも十分連絡をとりながら、そういう産炭地におけるいろんな農業といいますか、野菜あるいはいろんな畜産もあるんでありましょうが、そういった面についてもいろいろごくろうを願うと、こういうこともあわせてやっぱり必要ではなかろうか、こう思うわけです。そういった点については御検討いただいているかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#51
○政府委員(井上亮君) ただいま先生から御指摘のありました農業面についての施策でございますが、私ども先ほど申しました第二次五カ年計画の検討の際にもそういう議論が出ておりますし、あるいは事務的にも農林省といろいろ打ち合わせておりますので、少し詳細に担当課長から説明さしていただきたいと思います。
#52
○説明員(飯島三郎君) 特に筑豊の農業の問題につきましては、かねがねいろいろ問題もございましたが、今度の計画の審議の過程におきましても、まず第一は、鉱害復旧との関係の問題、この問題につきましては当然のことながらできるだけ鉱害復旧の促進をはかっていただきたいということがあるわけです。
 それからもう一つは御承知のようにボタ山の問題がございます。ボタ山につきましては、かねがね有沢調査団の答申以来、その多角的な利用ないしは環境整備という観点から、その処理の促進を考えるべきであるという答申が出ているわけでございますが、この趣旨に沿いまして、たとえば工場団地の造成だとか、あるいは先般企業化しましたボタ山を使います軽量骨材の企業化ということを進めてきたわけでございますが、そのほかに牧草地に使えないかという問題がございます。これにつきましては、私のほうの産炭地域の振興調査で、四十一年度から調査を進めているわけでございまして、最近四十一年度の調査結果が出ているわけでございますが、これによりますと、冬季間の牧草の育成につきましては非常にはっきりした見通しが出たわけでございます。ただ問題は、夏場にはたしてうまく育つかどうかという問題がございまして、これに力点を置きまして四十二年度はさらに調査を進めていきたいというふうに計画を考えておるわけでございます。いずれにしましても、それらの研究成果というものはぜひ生かすようなことでボタ山の活用というものを考うべきじゃないかということも議論になりました。
 それからもう一つは、筑豊の農業につきましては、一つは非常に兼業農家が多い。それから同時に規模が非常に零細であるという点が問題でございまして、これにつきましては農林省ともいろいろ御相談しているわけでございますが、たとえば農業の構造改善事業あるいは土地改良事業というものをできるだけ重点を置いてやってもらうということも必要じゃないか。それからさらに蔬菜園芸の関係、これも場所によっては十分考えられるところもございますし、それらを含めまして特に鉱害復旧の問題と関連させまして、たとえば県の段階では農業センター――農業センターというような特殊な農業の施設を考えたらどうかという案もあるわけでございますが、これも現在審議会で検討の対象にしております。まだ結論は出ておりませんが、いずれにしてもそういう施設は必要ではないかという空気でございます。
 そういうことで、農業問題というのは単に鉱業を振興するだけではなくして、場所によっては農業、さらには観光というようなものも考えるような、できるだけ適地適産ということで振興の方向を考えていくべきじゃないかという状況でございます。
#53
○小野明君 終わります。
#54
○大矢正君 まず最初に、先般当院を通過しました石炭鉱業に関する再建整備の措置、すなわち平たく申しますと千億の肩がわり、これが申し上げましたとおり法案がすでに通過をいたしておりまするので、当局とそれぞれの企業との間におきまして折衝が進められておるものと判断をいたしますが、この再建整備計画の最終的な個別企業の決定、それに基づく肩がわり、こういう措置が日程としてこれからどのように計画をされていくか、まずお答えをいただきたいと思います。
#55
○政府委員(井上亮君) 再建整備計画につきましては、ただいま法案が通過いたしましてから直ちに政令、省令を公布いたしまして、まず各社の再建計画につきましては、八月五日までの間に再建整備計画の提出を求めております。で、すでに再建整備計画につきましては、まだ最終的なものではありませんが、各社が相当、数カ月にわたって検討しました内容は、すでに非公式に出されておりまして、ただいまそれをもとにいたしまして石炭鉱業審議会の経理審査会で検討を始めております。今日までの検討の経過は、大体大手につきましてはいわゆる再建企業と称しております四、五社を除きまして、大体一巡的な論議を終わっております。それからなお中小炭鉱につきましては、今週の金曜日にまず中小炭鉱につきまして、その六、七社につきまして検討を進めよう、それから来週の段階で、ただいま申しました再建会社についての検討をする。再来週は中小の残りの六、七社につきまして検討を加えるという措置を実施してまいりたい。で、八月五日までにいわゆる各社から正確な通産大臣あての再建整備計画の承認申請が――認定を受けるための申請が出ると思いますので、それ以後におきまして、現在石炭鉱業審議会で審議しておりますこの審議会の意見を参酌しながら通産大臣の認定という行為を行ないたい。したがいまして、今日の進捗状況では、八月の早ければ上旬には通産大臣の再建整備計画についての認定ができる段階になるのではないかというふうに考えております。ただ、中に一、二なかなかむずかしい検討を要する企業がございますので、大多数のものについてはそのテンポでいけると思いますが、一部のものにつきまして、あるいはもうしばらく時間のかかることもあるかと思いますが、大体以上のようなことでございます。
#56
○大矢正君 この再建整備計画の最終的な確定というのは、全部の石炭企業が、もちろんこれは提出した会社だけですが、検討され終わってから一括確定ということになるのか、あるいは各社ごとにやってまいりますから、これは再建計画で十分やっていけるという認定をした段階に個々にではあってもそれをやるのか。ということは、私がなぜそういうことを聞くかといいいますと、かりに再建整備計画を提出いたしましても、企業によりましては、その再建整備計画なるものが、通産省が考えておられる方向に沿えるかどうかという点において疑問とする炭鉱も中には出てくることと思われます。したがって、そういう炭鉱まで含めて議論をしていくということになりますと、あなたの発言からいけば八月の上旬までには全体として確定をするようなまあ認可といいましょうか、認定といいましょうか、決定をするようなお見込みのようでありますけれども、しかし、いま私が申し上げましたように、特定の企業で再建整備計画がはたしてその計画どおりいくかどうかという不安等があった場合に、時間的にはかなりおくれる部面もあらわれてまいります。そういたしますと、そのわずかの会社のために全体としての再建整備計画の推進がおくれるということにもなるわけでありますが、そういった点についてどういうふうにお考えになっておられるかお答えしていただきたいと思います。
#57
○政府委員(井上亮君) 先ほど申し上げましたように、ただいま長い間の数カ月にわたる予備審査はすでに終わっておるわけでございまして、この予備審査の段階で各社の問題点も大体わかっておるわけでございまして、そういう中でこの法案が通ります直後から正式の経理審査会をただいま毎週開いて御審議を逐次やっていただいておるということでございますが、まあ、大体七月中には私は全体としての審査は一応終わるのじゃないか、しかし、ただいま先生が御指摘ありましたように、やはり将来の再建計画についてなお問題のある企業というものも中にはあるかと、そういう予想もできるわけでございます。
 そこで、ただいま正式な経理審査会を開いておりますが、これが一巡しましたところで、今後の通産大臣の認定の方法については、そこでひとつはっきりいたしたい、言いかえますと、問題の少ない、問題のない検討され尽くしてだいじょうぶという企業につきましては、これは一括最終的に審議会の御了承をいただくというふうにいたしたい。これにつきましては、八月五日をこえましたできるだけ早い時期に通産大臣の認定をいたしたい。残りました企業につきましては、これは何社くらいになるかということは、もちろん必ずしもまだ正確ではありませんが、私の見通しとしても、若干の企業については、なおもう少し精査しようということになろうかと思います。これにつきましては二段がまえで配慮していくというような考え方で進めてまいりたいと思います。
#58
○大矢正君 私は、なぜただいまのような質問をしたかと言いますれば、今日の石炭企業というのは、御承知のとおり、先ほど他の委員の指摘にもありましたとおり、金融上非常に困っているという状態にあります。特に市中銀行においては、この再建整備計画にその企業がはたして乗るかどうか、乗った場合に結果としてどうなるかというような、将来に対する見通し等が立たないという部面もあって、この金融措置ができないという面もあるわけでありますし、いま一つは、すでに予算として議会を通過しておる限りにおきましては、早い期間に返済をすることのほうが金利の面でかなりの違いが出てまいりまするから、私はまずくてもいいから早いほうがいいんだという意味で申し上げておるわけではありませんが、そういう二つの問題を考えまする際には、極力精力的に合理化計画、再建整備計画を検討されて、法律の実施に踏み切ってもらいたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、次にこれは法律に関係のないことでありまするが、四十二年度予算で新たに予算措置となりました安定補給金につきましては、具体的に現在どういう状態にあり、そしてそれがいついかなる形で助成されるということになるのか、その点お答えをいただきたい。
#59
○政府委員(井上亮君) 安定補給金の問題につきましては、いろいろ問題があったわけでございますが、ごく最近におきまして、大蔵省当局とも打ち合わせを何回かいたしまして、一応根本方針といたしましては、トン当たりの百二十円という単価をいじることは、やはりことしの予算のきめたたてまえの上からいってむずかしい。したがって、これは百二十円でいかざるを得ないだろうというふうに考えておりますが、ただ、これにかけますところの出炭量につきましては、これはまだ予算編成の段階におきましてもいろいろな意見があったままになって、石炭の生産量に対してトン当たり百二十円というふうにきめたわけでございまして、通常の解釈でいえば、これは精炭ベースの出炭と考えるのが通常の考え方でございますが、しかし、今日の再建企業や、あるいは中小炭鉱の窮状等から考えますと、精炭ベースでトン当たり百二十円では少し気の毒ではないかというような考え方もありまして、一応雑炭も概数としてこれに加えて考えてみたらどうかという考え方をただいま検討中でございます。で、雑炭を加えますときに、特に大手炭鉱の場合には、雑炭の生産数量というものはある程度把握が可能でございますが、中小炭鉱についての雑炭の出炭量というのは、今日正規の雑炭統計がございませんので、なかなか把握が困難でございますし、これは先生も御承知のように、私ども需給計画を昔からつくりますときに、大体五千万トンの出炭に対して雑炭の生産量は大体五百万トン程度というふうに考えてまいっておりますので、大体精炭の出炭量に対しまして、一割程度が雑炭というのがこれまでのまあマクロ的な数字でございますけれども、それが常識に相なっておりますので、この精炭の出炭をもとにいたしまして、それに雑炭の生産も加味して大体一割程度を加える出炭量にというようなことで安定補給金の交付をいたしたいというふうに考えております。これがもう少し雑炭につきまして実際に調査が可能であればいいのですが、五十万トン以下の中小炭鉱になりますと、この把握が非常に困難であります。一応、ですから、できるだけ一律的な考え方で計算をしてまいりたいというふうに考えております。
#60
○大矢正君 この安定補給金というのは前年度の出炭を基礎として交付をされるのか、当年度の出炭で交付されるのか、これはいずれをとることになるのでしょうか。
#61
○政府委員(井上亮君) 当年度になりますと、実際の交付は翌年になりますから、私としましては、前年度の実績を基礎にして計算して交付したいというふうに考えております。
 それから、先ほど時期の点を言い落としましたが、時期といたしましては、大蔵省ともだいぶ話し合いが進んでまいっておりますが、再建整備の肩がわりにおくれない時期にできるだけ早目に出るように努力したいというふうに考えております。
#62
○大矢正君 安定補給金が前年度の出炭を一応基準とするということでありますれば、すでに前年度の出炭は確定をしているわけでありますから、この安定補給金についても私は同様に早期に支給をして、一日も早く石炭各社が合理化を進め、かつ基本的な方向が打ち出していけるように御配慮を願いたい、こう思うわけなんです。
 次に、需要に関連をしてお尋ねをいたしたいのでありますが、生産に関する計画というものは合理化法で合理化計画なり、また年度ごとの実施計画というものが立てられて進められますが、しかし、幾ら石炭を掘ってみたところで、需要に対する具体的な見通しなり対策なり方途がなければ、何ら意味をなさないわけですが、残念ながらきょうこの委員会で審議をしております法律は、合理化をするための法律でありますから、この合理化をするための法律に、需要の問題を盛り込めということ自体あるいは問題があるかもしれませんけれども、ただ私は、生産の計画だけをきめて、需要の問題に対する点になりますと、法律的に何らの政府に義務がない。これはどうもこれからの石炭企業を考えまする際に、私は問題が残るのではないかという気がしてならないわけですね。今日の経済機構の中で需要問題を考えない生産計画というものはあり得ないわけなんですね。したがって、石炭におきましても、なおさらのこと需要に対する基本的な考え方があり、その考え方に基づいて政府としてもある程度は法律的に需要の確保についての義務を負うような内容のものがあってしかるべきではないだろうか、私はこう思うのでありますが、通産大臣としてどのようにお考えになっておられるか、お答えを願いたいと思います。
#63
○国務大臣(菅野和太郎君) 需要の点について法的に規制したらどうかという御意見でありますが、原料炭のことは大体需要がありますからして、この点の心配はないと思いますが、一般炭のことについては大体電力会社、電発などと協議をして、大体幾ら買ってもらうという話し合いでやっておりますから、したがいまして、この点については大体こちらのほうの希望するいわゆる需要を確保することができるのではないかというように考えておりますので、これを法的にきめるということはどうかと、こう私は考えておる次第であります。
#64
○大矢正君 先ほども私申し上げましたとおり、いまの経済構造の中で、需要問題を法律的にきちっと一〇〇%裏打ちをするということは、なるほど私は困難性があると、こう思うのです。しかし、大臣はいま、たとえば原料炭については心配がないとおっしゃっておられるけれども、しかし、最近の鉄鋼等の状況を見ますると、必ずしも将来ともに原料炭だからといって需要が確保できるという状態にはならないのではないかと、私はこう思うのであります。それから一般炭につきましても、私はまた同様なことを言えると思うのでありますが、たとえば、今年度は石炭の増加引きとり交付金として四十一億円が、九電力、電発、そしてまた鉄鋼も若干ありますが、今年度この三者に交付されることになるわけでありますが、年間少なくとも四十一億円の金をもらうこれらの企業といえども、対政府との間においては法律的には何らの拘束義務もない。社会的に道義的に業者間における話し合いなり、あるいはその仲立ちをする通産省という立場はあっても、これだけ多額の交付金を受けるにもかかわらず、あくまでも道義的な立場のものとしかないということは、まず第一点として私は問題があるのではないか。少なくとも四十一億円という多額の金をもらうからには、ある程度の法律的な拘束は私はやむを得ないものと考えてしかるべきではないかというふうに思うのです。
 それからいま一つは、やはりいまの石炭政策の中で一番欠けているものは何かと言いますと、需要を確保する分野においての努力です。なるほど合理化事業団による買い上げ、そして閉山、生産の調整という問題はありまするし、開銀や事業団融資等を通じての個別の山の合理化計画、政府自身の総体的な合理化計画というものが着々と進みつつあることは間違いがないのであります。しかし、一たんこの需要確保と需要面ということになりますと、窓口が開かれているという意味では九電力と鉄鋼の間に窓口はありますが、これとて法律的には何ら拘束をされない。いやだと言われてしまえばそれまでです。将来にわたってはたして需要が確保できるかということになりますると、非常に不安定な要素が多い。こういうことで私は、日本の石炭企業というものが生き延びていくということはなかなか困難ではないか。したがって合理化法の中に需要確保に関する規定を盛り込むことの是非の議論はあったといたしましても、何らかの形で私は政府が積極的に需要確保のために努力をする旨の内容のものがあってしかるべきだと思います。ところが、通産大臣は、どうも現在の段階で法律的にそういうものの必要性はないとおっしゃるが、私はこの点をある程度法律上拘束するようなことにしていかないと、将来ともに需要の確保をはかることはむずかしいと思うのでありますが、重ねてひとつお答えをいただきたいと、こう思います。
#65
○国務大臣(菅野和太郎君) 現在の段階においては、電力会社も電発も必要な石炭は購入するということについて確約いたしておりますからして、大体四十五年までの何は、買入れ量は確約いたしておりますから、したがって、現在の段階においては私はその必要はないと思います。しかし、将来においては政策需要ということは、これは今日国策でありますから、したがって電力会社も、国策であるということを認識して石炭を購入するということを確約してくれておると私は思うのでありますが、しかし将来電力会社などが、こういう国策について順応せずして引き取りをこばむというような傾向がもしもあるとすれば、それはそのときにはある意味において強圧的というか、あるいは法制上と申しますか、そういうことで少し制約を加える必要はあるかと思いますが、まあ現在の段階においては私はその点はない、こう考えておる次第であります。
#66
○大矢正君 大臣、御存じのとおり、昭和三十九年度は五千九十二万、約五千百万トンの需要がありましたが、四十年度はこれが二百万トンくらい減少しています。それから昨年度は四千八百万トンをこえる程度にしか需要がないわけです。このまま推移をいたしますると、昭和四十五年ころになりますれば、いま五千万トンとこう称しておりますけれども、四千五百万トン程度しか需要が見込まれないのではないかという心配すら私は持っているのです。そこで結局のところ、五十万トンの生産は合理化計画の中で生産計画として政府が認める、そのことのために金も出してやろう、これまではいいのだが、政府が認められる五千万トンについての需要の確保ができないという前提がありながら、なぜ一体五千万トンの生産計画を認められるのか、私はどうもこれがわからない。昨年四十一年度は四千七百八十万トンしか需要がなかったという厳然たる事実があるわけです。しかも前年度に比較して、約百万トン近い需要減があるということもこれは事実です。昭和三十六、七年の合理化が始まりましたあの時点から、ただの一年といえども需要が前年を上回るという事態はないわけです。政府はいまだにまだ五千万トンという一つの基本的な考え方の上に立って生産計画を立てて、一千億円の肩がわり措置をし、安定補給金を出すでしょう。需要が四千七百万トンあるいは八百万トンしかないということがわかりつつ、なぜ五千万トンの生産計画というものを合理化の基本計画としてお認めになるのかどうか、これが私にとってはまことに不可解なことです。お答えをいただきたいと思います。
#67
○国務大臣(菅野和太郎君) 問題は五千万トンの需要があるかどうかというところだと思います。そこで、今度も特別会計などを設けて五千万トンは確保するということは、それは生産も確保するし、同時に需要も確保するという前提のもとにおいて今度の五千万トンという数字が出てきておるのでありますからして、したがいまして、政策需要によってこの五千万トンの需要をはかりたい、こう存じておりますが、事実その他の一般炭の消費などが減ってきて貯炭などがだんだんとふえてくるというようなことが現在でもすでにあらわれておりますが、それがなお顕著にあらわれるというようなことであれば、あるいは共同火力の問題というようなことを、また別に特に考慮して、そうして一般炭の需要の増加をはかるというようなことで、とにかく五千万トンは生産はしてもらえる。同時にまた需要してもらうということで努力したい、こう考えておる次第であります。
#68
○大矢正君 その政府の努力はいままでもやってきたわけです。やってきたけれども、昨年は四千七百八十万トンしか需要がなかったわけです。で、大臣は無責任に五千万トンを生産させて、それに見合う需要を確保したいと、こうおっしゃるが、それじゃもっと具体的にお尋ねをしますが、四十二年度、すなわち今年度は精炭ベースでいわれるとおりの五千万トンの需要を絶対に確保できるとお考えになっておられるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思う。
#69
○政府委員(井上亮君) 数字的な御答弁を少しさしていただきたいと思いますが、四十二年度におきます需給計画の見通しでございますが、大矢先生もおっしゃいましたように、過去二年間におきましては、五千万トンの需要確保を割っております。おっしゃったような数字でございます。本年度の計画といたしましては、私ども、先ほど大臣がお答えになりましたように、九電力の長期引き取り契約に基づく増加引き取り、これをお願いいたしますとともに、本年度からかねて建設中でありました電発火力が稼働いたしますので石炭の引き取りがふえるというような点、そういった点を考慮いたしまして、それからなお原料炭が、本年度におきましては以前に考えましたより以上に需要が旺盛であるというような点を考慮して計画を見てみますと、大体四十二年度では四千九百四十万トンないし四千九百七十万トン程度の需要確保が可能ではないか、ただいま四千九百四十万トンないし四千九百七十万トンと、「ないし」と申しましたのは、これは原料炭の引き取りいかんの問題にありまして「ないし」と申し上げたわけでございますが、しかし、この原料炭の引き取りにつきましては、これは出炭さえあれば引き取るということになっておるわけでございますが、出炭力の点に若干問題があるものですから、私どもは需要確保の見通しにつきましてもただいまのような考え方を持っておるわけでございます。
 なお、来年度――四十三年度以降におきましては、先ほども申しましたような九電力の増加引き取り、それから電発火力の増量引き取りと、これは建設が逐次進んでまいりますので、その増量引き取り、それからさらに原料炭の増加引き取りというような点を考慮いたしますと、一般炭の需要減少はございますけれども、一応計画上五千万トン以上の需要確保が少なくとも四十五年度までにおいては可能ではないかというふうに私ども見ておる次第でございます。ただ、四十六年度以降になりますと、さらにやはり電発の増設とか、あるいはただいま大臣のおっしゃいました共同火力の増設というようなことがありませんと、五千万トンの確保はむずかしいという事態になるのではないかというふうに考えております。
#70
○大矢正君 井上さんは計画をつくるまことに能力がすぐれておって、あなたの計画は全くいいんだけれども、実際はあなたの計画どおりにはいかないと私は思うのです。で、まあ衆議院の段階でだいぶ混乱が起きつつあるようで、私があまり長い間これを質問しておりますと響いてきても困りますから、この程度で終わりたいと思います。後日あらためてまた基本的な点、具体的な点で質問をいたします。
 ただこの際、特に申し上げたいと思いますことは、五千万トンの生産を政府が認めたのであるから、私は政府みずから単純に考えて、五千万トンの需要については責任を負うべきではないか。万一、かりに百万トンなり二百万トンなり、貯炭が累増するような事態に立ち至れば、その部面については政府が直接それを買い上げろとまでは、無理は申しませんけれども、少なくともその貯炭増加に伴うところの過重な各企業の負担というものは、政府において措置しても私は何ら誤りがないと、こう思うのであります。
 それからいま一点は、やはり単に生産に関する計画だけを政府が立てられるのではなしに、需要に関しても、法律に基づいて私は何らかの方途を考えるべきであるということを特にこの際強調いたしまして、私質問を終わりたいと、こう思います。
#71
○委員長(鈴木壽君) ほかにありませんか。――他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#74
○委員長(鈴木壽君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(鈴木壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト