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1967/07/11 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 商工委員会 第16号
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1967/07/11 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 商工委員会 第16号

#1
第055回国会 商工委員会 第16号
昭和四十二年七月十一日(火曜日)
   午後一時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     白木義一郎君     和泉  覚君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿島 俊雄君
    理 事
                井川 伊平君
                柳田桃太郎君
                阿部 竹松君
    委 員
                上原 正吉君
                重政 庸徳君
                津島 文治君
                村上 春藏君
                横井 太郎君
                大矢  正君
                小柳  勇君
                近藤 信一君
                竹田 現照君
                椿  繁夫君
                矢追 秀彦君
                向井 長年君
   衆議院議員
       修正案提出者   石野 久男君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
       国 務 大 臣  二階堂 進君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        始関 伊平君
       科学技術庁官房
       長        小林 貞雄君
       科学技術庁原子
       力局長      村田  浩君
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業省重工
       業局長      高島 節男君
       通商産業省化学
       工業局長     吉光  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       通商産業省重工
       業局航空機武器
       課長       加藤 博男君
       運輸省航空局監
       理部長      手塚 良成君
       運輸省航空局技
       術部長      松本  登君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に
 関する法律案(内閣送付、予備審査)
○航空機工業振興法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○原子力基本法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○動力炉・核燃料開発事業団法案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の変更について御報告いたします。
 本日、白木義一郎君が辞任され、その補欠として和泉覚君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律案を議題といたします。政府の提案理由の説明を聴取いたします。菅野通産大臣。
#4
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま御提案になりました液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年、家庭用燃料としての液化石油ガスの普及は目ざましく、昭和四十二年度の全国需要世帯数は約千三百万戸に達し、国民生活の向上に大いに寄与しておりますが、これに伴い、液化石油ガスによる災害事故も増加しており、特に一般家庭等の消費先における事故が激増しているのが実情であります。加うるに、液化石油ガス販売事業は、容器による販売という特殊な形態によるものであるとともに、きわめて短期間に急速に発展した事業であること等のため、計量等に関する取引条件も必ずしも適正とはいえない状況にあります。
 これに対し、現在液化石油ガス関係の規制は、その製造を含め、高圧ガス取締法により行なっておりますが、同法は、本来事業所を対象として制定されたものでありますため、一般家庭等における液化石油ガスの災害の防止をはかるためには、種々不適切な点が生じてきております。
 このため、一般消費者等に販売される液化石油ガスにつきましては、販売事業者が一般消費者等の保安能力を補完することによりその災害の防止をはかるとともに、その取引を適正にするため、一般消費者等に対する液化石油ガスの販売を規制するとともに、保安の万全を期するため、液化石油ガス器具等の製造及び販売等を規制する必要があります。
 次に、本法案の概要を御説明申し上げます。
 第一は、液化石油ガス販売事業の規制であります。すなわち、一般消費者等に対し液化石油ガスを販売する事業は、通商産業大臣または都道府県知事の許可を要することとし、許可の基準といたしましては、販売施設及び販売方法が一定の基準に適合すること並びにその事業を的確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること等を規定しております。
 この許可を受けた販売事業者に対しましては、液化石油ガスの保安の確保と取引の適正化をはかるため、必要な義務を課しております。すなわち、販売事業者は、その販売施設及び販売方法を一定の基準に適合するように維持しなければならないものとし、この基準に適合していない場合、またはその事業の運営が適正を欠いている場合には、通商産業大臣または都道府県知事は、必要な措置をとるべき旨の命令または勧告をすることができることとしております。
 さらに一般消費者等の保安能力を販売事業者が補完することにより液化石油ガスによる災害を防止するため、販売事業者は、定期的に、一般消費者等の消費設備を調査するものとし、これにより消費先の保安指導に当たらせることとするとともに、保安の確保のための順守事項を一般消費者等に徹底し、あわせて取引条件の明確化を通じてその取引の適正化をはかるため、所定の事項を記載した書面を一般消費者等に交付しなければならないこととしております。
 第二は、液化石油ガス指定製造事業に関する規定であります。
 これは、液化石油ガス中の有害な成分を一定の許容限度以下に押えることによって保安の確保をはかるとともに、液化石油ガスの成分による規格を明示することによって取引の適正化をはかるため、液化石油ガスの充てん事業を行なう者のうち、液化石油ガスの分析のための機械器具を有する等一定の資格を有する者を指定し、その指定を受けた者が分析し、かつ、これを充てんした容器に所定の表示を付したものでなければ、液化石油ガスを一般消費者等に販売してはならないこととしたものであります。
 第三は、消費設備の規制であります。
 過去の事故例についてみますと、消費先の配管工事の欠陥が原因となっているものが少なくない実情にかんがみ、この種の工事で一定規模以上のものは、十分な知識経験を有する者の監督のもとでなければしてはならないこととしております。
 第四は、液化石油ガス器具等の規制に関する規定であります。
 圧力調整器、燃焼器等の液化石油ガス器具等は、一定の基準に適合する製造設備及び検査設備を有する登録製造事業者が通商産業大臣の型式承認を受けて製造したものまたは登録製造事業者以外の者が製造した場合にあっては、通商産業大臣等が行なう検定に合格したものでなければこれを販売してはならないこととし、液化石油ガスに関する規制と相まって保安の万全を期しております。
 これが、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(鹿島俊雄君) ただいま説明になられました法案につきましては、審議を後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付の航空機工業振興法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#7
○竹田現照君 この間の質問に続いて若干御質問いたします。
 これからの販路の重点を輸出に置いているわけですけれども、お聞きするところ、中南米等における売り込みの合戦は相当すさまじいものがあるようでありまして、決してなまやさしいものではないと思いますが、そこで、航空機会社だけにこの販売をまかせておくわけじゃなしに、政府自体がもう少し積極的にこういうことに力を貸すべきではないか、こう思うのですけれども、そういうことについてどんな対策を持っていらっしゃるのですか。
#8
○政府委員(高島節男君) 販売を促進いたしますには、やはり主体となります日本航空機製造が中心でやっていく、これは当然でございますが、外まわりの環境を整備してまいりまするために、最近私どものやっておりますことの要点だけを申し上げますと、これは会社が中心になってまいりますが、一つはやはり日本のYSというものの性能を世界にはっきり示していく、いわゆるPR活動ということになるわけであります。これは会社自身がデモンストレーションフライトをやりまして、南米、北米でやりましたのは前回申し上げましたとおりでございますが、これに関連しまして在外公館等はジェトロも含めまして非常に親切にこれの運営について協力をしてくれたと私は信じております。それと同時に、ジェトロの協力活動といたしましてこれは特別に費用を計上いたしまして、業種別PRの中で航空機の販売につきましてPR費用を特に計上して、刊行物等によるPRにつとめるという姿勢をとっております。それが第一点の航空機の広報活動と申しますか、PR関係でございます。
 それから第二点としましてアフターサービスの問題でございます。これも会社みずからがやるのが主体になりますが、アフターサービスの状況は、実はそうむずかしいものであるということは最初のうちはなかなか会社自身もお思いにならなかったような点もございますが、現在のところ補用品の円滑な補給とか、パイロットの訓練とか、ユーザーに対する技術者の派遣とが、積極的にいたしております。これは政府みずからがやるという点はほとんどございません分野でございますが、大事なことだと心得ております。政府の一番大きく関与してまいりますのは、いわゆる輸出入銀行の資金の問題になってまいります。輸出入銀行の資金は貸し出し規模三千億程度でございます。その中で特に航空機につきましては、こういったものが延べ払いになってまいります関係もあって、輸銀資金の積極的利用をする姿勢で目下進めておるわけでございます。三千億の中で極力優先的にやっていく、こういう姿勢をとっておるわけでございます。
#9
○竹田現照君 たとえばアメリカは無理として、総理なんかが外遊されるわけですけれども、東南アジア等の訪問も考えていらっしゃるわけですが、こういうような場合にYSでも使って日本の総理が乗り込んでいくというようなことのほうが、むしろ地についた宣伝になると思うのですけれども、そういうことは政府で考えたことはないのですか。この間韓国に飛んだようなときもYSで飛べば一番いいんです。
#10
○国務大臣(菅野和太郎君) YS11は遠方へは飛べない、大体中距離の飛行機でありますからして、したがいまして韓国あたりだったら飛べます。しかし韓国のほうは、日本航空会社が航空路を持っておりまするからして、ほかの飛行機会社があすこに飛ぶというわけにいかぬ、今度は日本航空の特別機で行ったわけですが、御意見のとおり、これから近いところは、私はやはり総理みずから乗っていくということが一つの宣伝になるということは、私も全く同感であります。
#11
○竹田現照君 そういうような政府の積極的な姿勢があれば、海外の販路もおのずから開けていけると思いますので、いま大臣のお答えが実現できるようにひとつ政府で考えてもらいたい。
 それからいま局長の御答弁がありましたが、特にこの北・南米にかなりの数がいくわけですけれども、販売と並行して、このアフターケアの設備ですね、これがあわせて行なわれなければいけないと思うのですが、それはあれですか、六十機のうち大半がそっちにいくわけですけれども、そういう面は心配なく進められる態勢にあるわけですか、いま。
#12
○政府委員(高島節男君) アフターサービスの内容といたしましてトレーニングをパイロット等について行ないますが、この仕事につきましては、日本の国内で南米等から積極的に受け入れられるように、名古屋周辺に土地も当てをつけまして、ここで大規模な訓練をやっていくつもりで用意をしております。
 それから一つは補用品の問題がございますが、これは現在羽田に補給所を持っておりまして、海外関係はこれから補給をしていく形になっております。これは輸出が中心になってまいりますと、行き届かぬ面があるのではないかという感じがいたしますので、今後南米がいいか、あるいは北米も含めましてやったほうがいいか、まず南米であろうと思いますが、南米のしかるべきところ、どこかに補給所をつくるということを具体的に場所をきめて答えを出していきたい、こういうことでいま検討をいたしておる最中でございます。
#13
○竹田現照君 それで四十二億の出資は、YS11に関する限りこれで終わりだと、今後増資するということはない、この点再三衆議院でもこの委員会でも局長お答えですけれども、それはあらためて確認してよろしいですか。
#14
○政府委員(高島節男君) 御説明いたしましたとおり、YS11の事業については、半分を過ぎたところにきて、一つの見通しを持った。したがって百二十機の計算の基礎において、この事業を完結するまでの見通しは、四十二億の限度の政府出資で乗り切る、こういう見通しをつけたわけでございます。非常に大きな事業の変更がいつあるかわからないことが飛行機のいままでの過去の歴史でございます。したがって、前申しましたのと食い違うことがいろいろできてきておりますが、今回については需要の見通しが非常に現実的になってきた。輸出先である南米、北米への商談が具体化しつつあるという段階でありますから、限度をここで切りまして、ここでYS11は完結するのだと、こういう計画を政府として持っておるということをはっきり申し上げていい段階だと思います。ただ禁止するという意味ではございませんし、次期輸送機について、またあらためて新政策がとられるという段階にも来年度以降なるかと思います。そういう際には、あらためて法案としての御審議をいただき、単に予算だけでなく、法案としても御審議をいただいて、出資の是非ということを御検討いただくというのが順序ではなかろうか。したがってYS11に関する限り、この四十二億円でやり抜こうという事務当局としては計算上の基礎を持ち、計画を立てた次第でございます。
#15
○竹田現照君 これは当初の御説明もそうでありましたけれども、今度はより確実な見通しの上に立ってやられたわけですが、そこで、次期の民間輸送機について本年度二千万円の研究開発費が計上されていますが、これは局長のお答えによりますと、ことしの十一月ごろまでにこの次期の民間輸送機に対しての一つの調査の結果が出ると言われているわけですね。そうしますと、これはいまどこで、そういう調査をやっていらっしゃって、その調査の結果が出ますと、四十三年度に基本設計に着手して、四十七年に試作の完了、四十六年から四十七年ごろに初飛行、こういう想定を持っていらっしゃるようでありますけれども、これも日本航空機製造にやらせるお考えですか。
#16
○政府委員(高島節男君) 次期輸送機の計画が現在日本航空工業会を中心といたしまして、御指摘のとおり計画を立てます基礎になる調査をやっておりまして、十一月ごろに、正式答申ではございませんが、予算とも関連いたしますので、中間仮答申をいただきたいという予定で進めておる次第でございますが、これをどこでやっていくか、まず設計から取りかかってまいりますが、そういう点の最後的な決定は、もちろんまだいたしかねる段階ではございますけれども、私の考えとしては、やはり日本航空機製造がYS11について団結の中心になったという事実は大いに尊重していいのではなかろうか、したがって、これに今後の基本設計等に着手してもらってやり抜いてもらうということが一番現実的な感じがいたしております。
#17
○竹田現照君 そうすると、それに多額の開発資金が当然必要になってきますけれども、それはこの会社の出資四十二億、YSはこれで打ち切りでありますけれども、ことし中間答申が出て、具体的に着手していくということになると、日本航空機に対して、来年度あたりからその面の出資金というものは当然に想定されてくるんではないですか、それはどうなりますか。
#18
○政府委員(高島節男君) 今度の輸送機は、もし日本として自信が持てまして着手をするということになってまいると、大きな資金が要ることは御指摘のとおりでございます。ただその資金のやり方は、これはいろいろあると思います。YSの場合は、ただいま御審議をいただいておりますように、出資を中心にいたしまして、それに対して若干の補助的な助成金をつけていくことによって量産資金をまかなう。開発段階は全部これは出資によってまかなっていく、こういう形できた歴史になっておりますが、これから先、はたしてこの出資方式がいいのかどうか、輸出が中心になるものでありますと、輸出入銀行の資金が量的には流れてまいりますが、それとかみ合わせて、あるいは助成金的なやり方、特に開発資金については、諸外国の例を見ますと、いわゆる出世払いといいますか、一種の補助金で、うまくいったらお返しなさいということで出しておるところが相当多いわけでございます。そういうような点を考えてまいりますと、はたしていかなる手を打ったらいいかということは、調査の結果が十一月ごろで、それからあと開発等にも若干着手しまして、本格的な資金が流れるのは来年度より相当あとになるんではないか、その時期までに具体的な方法をきめたいということで、方法論をきめておりませんので、現在出資でいくということに必ずしも考えていないということは申し上げざるを得ないと思います。
#19
○竹田現照君 ところであれですか、次期の民間輸送機というのは、構想としてはどういうようなものをお持ちなのですか。ジェット飛行機を開発していくのか、きのうの日本経済にちょっと出ていましたけれども、日航がエアバスを計画しておる。記事によると、これは「近い将来の航空輸送の主役になるものとみられる。」という記事がありますが、こういうようなものをより具体的に国産で開発をしていけば、「交通量の多い都市間を安く大量に輸送できるのが特色。」ということが書いてありますけれども、そういう一つの目標というようなものはあるのですか。
#20
○政府委員(高島節男君) 具体的には現在やっておりますオペレーションズリサーチの結果を待ちませんと何とも言えないことではございますが、私の勘と申しますか、大ざっぱなねらいどころを考えますと、エアバスのような何百人乗りというような大型をねらっていくということは、決して得策ではない。日本の技術も残念ながらそういった分野に取りつき得るところがあるとは見れないかと思います。YSの経験もひとつ頭にあってのことではございますが、やはり中距離、短距離の飛行機であって、相当離着性能が優秀で、比較的大人数乗れるというもの、その辺がやはりねらいどころではないか、開発の態様としては、ジェット化という方向がかなり進んでまいりまして、短距離のジェットも世界的にあらわれてまいり、これはYSと非常な競争者になるんじゃないかと心配いたしておりますが、まずそのあたりのもので、これも相当値段が高く出回っておるようでございますけれども、比較的これが安くいって、性能に特色があるものを発見していかなければいかぬのじゃないかと思います。したがいまして、OR調査で、データに基づいて単純に電子計算機で答えを出すということでなくして、自分と競合する飛行機はどんなものか、世界的にどんなものがあらわれつつあり、あらわれる可能性があるかというのを十分考えて、それとにらみ合わせて答えを出していかなければならぬ性格のものではないかと思って、現在目下検討を進めている次第でございます。
#21
○阿部竹松君 高島局長さん、世界の航空機云々とおっしゃっているが、いまアメリカで、ボーイングで737という短距離の足の短かい航空機をつくっておりますですね、性能の点においても価格の点においても、わが国の、いま論議されているYS11よりも安い。そうすると、このYS11が出発してまあ十年になるのですから、その当時のことを云々してもいけないかもしれませんが、あのときアメリカなどは大型化大型化で足の短いローカル線を運航する飛行機をつくりませんという前提条件です。したがって、わが国でつくってもこれは十分いけるという御答弁と政府のお話を私どもが承って賛成しておるわけです。ところが、今次の段階では、アメリカにおいて、いま申し上げるような飛行機をつくっておるわけです。あるいはフランスにおいてもしかりなんです。東南アジアに売りましょうといってもドルがない。よかったか悪かったか別として、インドネシアの政情も変わったから、これはやむを得ないかもしれませんけれども、ドルがないことは昔も今日も変わっていない。これは竹田委員に対する御答弁もあったが、これはゆゆしき問題でないかというようにしろうとながら心配するんですがね。関連してですから、簡単でけっこうでございますが、御答弁いただきたい。
#22
○政府委員(高島節男君) 私どもがYS11の将来、また次期の輸送機の開発に関連して一番心配いたしております点は、いま阿部先生のまさに御指摘のところにあるのかと思います。世界の航空界で現在ターボ・プロップで六十人乗りで性能その他において日本のYSを凌駕するものはちょっと見当たりません。しかしジェット機の中で相当おっしゃいますような短距離、中距離に飛ぶのに適切であって、そちらのほうの分野をねらってくるというものが、御指摘のB737でございましたか、というのが確かにそういう性能を持っているわけでございます。ただ現在の段階で申しますと、ボーイングのほうは値段が相当にまだ高うございます。わがほうが大体御説明いたしておりますような五億円見当のところでいっておりますが、向こうは十一億か十二億、まだはっきりした値段はもちろん申しませんけれども、その場によって違いますが、その見当ではないか。乗っかる人数は向こうのほうが九十何人かございます。こちらが六十人と見て割ってみるとその開きが出てまいりますけれども、その辺の経済性は、はたして値段とのかね合いでどうか、これが一つの勝負のしどころになっているわけでございます。
 それから第二に、これは私もしろうとでございますけれども、飛行機の経済性ということは、その値段と非常に関連するので、高い値段を払ってジェット機を買って、そのジェットの効用ということは相当高いところに飛び上がりまして、相当の距離行くということでないと、ほんとうのジェットの効用は出てまいりません。したがって、距離の関係もいま一息よく掘り下げてみないと、必ずしもジェット機がこれを制覇するということには至らぬと思います。しかし値段は、だんだん向こうも合理化なり何なりを重ねて下げてまいりまして、いずれにしても競争相手として最も注意を要するところではないかという点においては非常に戒心をいたしておる次第でございます。
#23
○竹田現照君 それじゃ最後に一つ。エンジンの開発、これは局長非常にむずかしいもので、開発費というのはまるまる政府がまるがかえでもっていかなければ将来の日本のエンジン開発というものはどうもうまくいかない、こういうふうに衆議院でお答えになっているのですね。しかし、いまさらそんなことわかったわけじゃないんでしょうけれども、そういうふうな御説明がいまあることについては、私は理解というより了解ができない。それは三十四年に航空機の国産化について終局の目的は機体関係の備品、それから航空機に搭載する各種の装備関係はもちろん、エンジンに至りますまで全部国産でやるというのが終局の目的でありますと、そういうふうに当時の重工業局長お答えになっているわけでありますが、そうしてその際YS11に使用しているロールスロイスのエンジンにかえて国産のエンジンを使用するまでには大体七、八年の研究開発の期間を要する、そういうお答えになっているのですが、ちょうどそれから八年たっています。このエンジン開発は一体いまどうなっているんですか。
#24
○政府委員(高島節男君) 御指摘のとおりエンジンの開発というものは非常なむずかしい技術を伴いましたために、今日まで非常に大きく進んだとは申し上げかねる実績になっておることを非常に残念に思います。
 ただ歴史を振り返ってみますと、御指摘の三十何年かに将来の国産化ということはエンジンぐるみという理想的な目標を確かに掲げておりまして、それによって着手いたしましたジェットエンジンの開発ということが、ある程度進められたわけでありますが、この開発の実体は、石川島播磨造船の会社に引き継いで委託しまして、結局利用されたところは防衛庁の練習機、それから哨戒艇――ヘリコプターみたいなものであります。ヘリコプターじゃございませんが哨戒艇のエンジン程度のところの非常な小型の小さい分野にとどまって、そこで足踏みをした形になっております。かたがたYS11はいろいろ御指摘のように、当初の計画と狂いまして、需要の予測それから開発の過程等もいろいろの苦労を繰り返してやってまいっております。端的に申しまして、正直のところ日本の航空機工業というのはどこまでいき得るかということの自信が十分持ち切れなかった。したがってエンジンの開発をみずからやるのだというだけの、特に国の力でやるだけの研究出資を大幅にやっていく事業というものに着手するだけの踏み切りがまだつかないで今日まで至ったのではないかというふうに、私もあとから担当いたして逆に推測をする次第でございます。
 それで、今回幸いにYS11というものがめどがついてまいりまして、日本の航空機工業が必ずしもねらいどころによっては捨てたものではない。かたがた今度はエンジンの開発はある意味において足踏みしておりましたが、この時期に中途はんぱなやり方ではだめだということで、むしろ思い切って国の力で全額、いわゆる大型プロジェクトの技術開発のラインに沿った形でいかんといかぬのではないか、前回のように民間を主体においた形では、この開発はなかなかいき得るものじゃない、こういう感じがいたしますので、今回も次期の輸送機の問題の開発費をねらいますのみならず、エンジンについてこれは次期輸送機には事実上間に合わないと思いますが、もう一つ先になるのは非常に残念でありますが、われわれも非常に責任を感じますが、もう少し先の段階においてやり得るように大幅な予算を研究費としてまるがかえで取る方向で努力をしてまいりたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
#25
○阿部竹松君 高島局長さんの答弁を伺っていると、どうも質問の要点をはずして核心に触れてこぬのですね。いまのジェットエンジンの製造についても、日本ジェットエンジン株式会社でつくります。こういうて政府が明確に言明し、約束しておるはずです。ですから大体その会社はどうなったのですか。
#26
○政府委員(高島節男君) 日本ジェットエンジンの会社は、ちょっと詳しく存じておりませんが、確かに当初スタートいたします際には、日本ジェットエンジン株式会社というものがこれに出資をいたしまして、それを開発資金に充ててそこからやっていく、こういう姿勢であったと思います。
 ところがやっております間に、これの担当をしております各社あるいは政府側のほうの見通しというものが思うようにいかなかったせいかと思いますが、結果的には、石川島にこの研究の主体を引き継ぎまして、石川島にすべてまかせてやることになっておるようでございます。それが、おそらく三十四年にスタートしまして、三十八年ぐらいにそうなったんではなかったかと思います。で、その結果、先ほど申し上げましたように、石川島で、結局、ジェットの中間練習機あるいは哨戒機のエンジンというものの開発は、そのときの流れでこれはできたわけでございますが、YS11あるいはそれに準ずるような民間の輸送機というような大もの、大型のもののエンジン開発ということにはいかないで今日きておる次第でございます。それで阿部先生の御指摘のように、この会社でやり抜くと、八年前でございますか、言ったという点においては、実績としてそういう形になっていないと、こういうことはまさに御指摘のとおりの結果に相なっているかと思います。
#27
○竹田現照君 そうすると、これは雲散霧消してしまったというわけですね。それの開発資金というものは国が全然出さなかったのですか、いままで、このエンジンの。
#28
○政府委員(高島節男君) 出資金は全部民間から仰いでおります。
#29
○阿部竹松君 ちょっと補足して……。それは局長違うでしょう。三億国が補助出しているはずですよ。それをエンジンに全部使っているかどうかは別としてね。ちょっと調べて答弁してください、調べて。
#30
○政府委員(高島節男君) 出資は民間でやった形になっておりますが、それに対して、政府としては、補助金を交付いたしまして、ジェットエンジンの開発の一部に充てている。補助の体制をとっております。
#31
○阿部竹松君 補助金ということになれば、国から出したことにならぬのですか。
#32
○竹田現照君 そうすると、少なくとも、国から金が出てそのエンジン開発をやった目的というものは、やっぱり民間輸送機のエンジン開発に主たる目的があったはずなんです。それが、何か、防衛庁関係の何かに化けてしまった。そうして、いまごろまた局長が、政府がまるがかえでやらなければとてもエンジン開発なんというものはどうにもならない、そんなことを言っていますけれども、じゃこの点については、そうすると、いまの段階では、政府としては投げているということですか。全く新たな観点で、時期を見てエンジン開発のほうに政府がまるがかえで金を出して取り組ませると、そういうふうにいま理解していいですか。
#33
○政府委員(高島節男君) 前回の飛行機のエンジンの開発は、御説明いたしましたように、大型の民間機にいくところまでのエンジンの開発にならず、小型に利用されたという形になっております。エンジンの開発ということからスタートしてまいりましたが、これがいかなるところへ落ちつくかということは、その成果によることだと思いますので、この点は、よほど大がかりにやっていかねばエンジンの開発という非常にむずかしいものはできないのじゃないかということの、一つの教訓ではないだろうかと思います。世界各国ともに、みずから飛行機をつくっている国が多うございますが、エンジンについては、どうも、ロールスロイスのものを輸入しましてはめ込んでいるという飛行機がかなり多うございます。それほどエンジンというものは心臓部に該当いたしまして、この開発は容易ならぬ技術が要るということがどうもいえると思います。当時は比較的楽観をして、一つの体制を考えて進めておったかと思いますが、その点は思うような結果をあげていない。したがって、今後取り組んでいこうといたします以上は、やはり政府として相当大きな金を出して大がかりにやっていくということでなければ、このエンジンの開発というものはいかない。したがって、出資は民間に仰いで、わきから後援をいたしましょうという形の補助金スタイルといいますか、そういう軽いかっこうでは、これはとてもいかぬのではないかという感じが私はしております。十分これは、予算の問題ともからんでいきますから、政府部内で論議をしていかなければならぬ重大問題でございますけれども、やはり本格的な予算の計上ということが、将来のエンジン開発のために必要ではないかというように痛感いたす次第でございます。
#34
○竹田現照君 少なくともこの国産の航空機を開発しようといって八年、エンジンの問題について先ほど私が言ったような国会における御答弁があったわけです。それが何か途中からわけのわからぬようなかっこうに持っていって、三億なら三億の国の金というものは、言うならば、実を結ばなかったわけです。しかし、それを要するに、通産省ほおかぶりをして、いま質問があるからそんなことを答えていますけれども、これはやっぱり国会で答弁をされたのですから、その方針を変更するなら変更する、エンジン開発は、ことしの衆議院で局長がお答えになっているような方向で取り組まなければならないのだということを、やはりこの場で、国会の場でやはり明らかにする責任があるのじゃないか。それを全然ほおかぶりをされているということについて私は納得がいかない。そこで、まああれですか、そのYSの説明書を見ましても、わが国航空機工業は世界的水準にあるというようなことで、たいへんな自信のあることを――事エンジンに関する限りは、その点は当分の間見込みがないと。それで先ほどお尋ねをしたように、次期の民間輸送機の開発も、外国のエンジンを使いますと。その後にエンジンの開発に取りかかろうとするのか。それがいま直ちに航空機、次期の輸送機に間に合わないとしても、エンジン開発に直ちに着手されようとしているのか、されるのかどうか。その基本的な考え方、姿勢というものをここで明らかにしておいていただきたいのです。
#35
○政府委員(高島節男君) 次期輸送機及びそのエンジンというものの開発体制につきましては、先ほど申し上げましたようなOR調査等のデーターが積み重ならないと断言はできないところでありますが、基本ラインとしてどういう姿勢で臨むかを、まとめて繰り返して申し上げます。
 御指摘のように、エンジンと飛行機とのこの関係は、やはり簡単に同時に進んでいくというものではないと思います。エンジンの開発ということには国が大きな金を出し、しかも相当御指摘のような長期をかけてやってはじめて成功するものでございまして、これは世界各国ともにその意はあってもなかなか思うようにいっていないで、ロールスロイスの制覇を相当許しているような状況でございます。日本としてこれに取っ組む以上は、やはり本年度の予算からスタートしまして、長期的な体制でエンジンの開発に向かっていく過程にあるかと思います。その間にYSがちょうど四十四年度で一定のところまで売れまして、それからあとの段階の次期輸送機というものの開発問題になってまいります。その次期輸送機の開発につきましては、これはやはりエンジンはやるとしても、輸入にたよらざるを得ないのではないかと、私は思います。それまでにとてもエンジンの基礎的な開発が行なわれるという性格のものでございません。基本設計をやりますときは、どういうエンジンであるかということが前提になってまいるわけでありまして、基本設計に着手するまでにエンジンの開発はこれはいかないというように考えざるを得ぬのであります。したがって、次期の輸送機は非常にこれはむずかしい調査を基礎といたしまして、日本として、じみながら、うまく世界の競争に伍していき得るような場所を見つけないといけませんが、その調査を十分にいたしました上で、やはり非常な大型のものとか、高性能のものとかというものではなく、YSの場合に準じたような、エンジンがジェットになりましてもYSに準じたような、じみな飛行機を中心にした部分に日本の技術を求めるべきものではなかろうか、こういうふうにあらましの計画を考えている次第でございます。
#36
○阿部竹松君 高島局長のお話を承っているとね、別にあなたを責めるわけでなしに、いままでやってきたことと、あなたの答弁と全然合わないのです。なるほど尾翼とか計器類とエンジンと一緒に開発できないということ、私どもも理解できる、またそう理解して第一回目から賛成申し上げてきておる。ところがそれを政府がやっておらぬのですね、たとえば計器は三年、翼は五年、エンジンは十年でもけっこうなんです。ところがエンジンのほうは、あなたの説明の中にもあったように、なっておるようでありますということで、石川島にいった。ほんとうに政府が真剣であるならば……。十年の間に、もう三億円国会で承認してください、もう十億円出しなさいということで国会の承認を求めて予算化してきた。日本ジェットエンジン株式会社がだめなら、やはり機構を改めてやるべきなんだ。あなたとうとうと一席ぶつけれども、いままで十年間あなたの言うとおり一つもなっておらぬ、やはりひとつ反省してもらいたいですね。どうも法律を上げるような話ですから、ここで切り抜ければいいということですが、そんなことじゃだめなんですよ、新聞ごらんなさい、上がるのは全部物価だ、落ちるのは飛行機だ、こういっている。東京都の都庁のあやしげな新聞じゃなくて、天下の大新聞がそう書いておる。あなた笑って聞いているけれども、これはYSだけではない、あるいはボーイング、あるいはBOACも責任ありましょう。しかし一番やはり日本国民をびっくりさせたのはYS11ですよね。通産大臣にお尋ねしたいが、全日空の社長さんを佐藤さんぽんと首切ったね、そんなことありませんとあなたは御答弁するでしょうけれども、あれは佐藤さんが首にしたに違いない。そこで、なお深く調べたところが、全日空と日航と合併する前提条件としてあれをやった、一般常識でそういわれておる。これはぼくばかりでない、経済雑誌を見ても実際そう書かれている。そこで、なおかつ調べてみると、この日本航空機製造会社に全日空が金払いが悪い。あまりお客さんが乗らぬし、事故ばかり起こしておる、だから政府から金を出す、三段論法でそうなっておるのです。したがって、大臣からでなくても、事務的なことですから局長からでもけっこうですが、この航空機製造会社と全日空との経理状態をひとつ教えてください。
#37
○政府委員(高島節男君) 全日空の経理状態につきましては、運輸省から係の部長さんがお見えになっておりますから……。
#38
○阿部竹松君 日航の経理状態でなくして全日空……。これ一番お得意さんでしょう、防衛庁と全日空は。YS11の製造会社対航空会社、あなたのほうで経理状態を調べたんでしょう、経理状態を調べないで国の金をぽんと出すなんということはないのですよ。ですから資産が幾らで借りの分が幾ら、明細にわかって、かつ結論が出たために予算化し立法化してきたのだと私は思っている。
#39
○政府委員(高島節男君) 飛行機の製造業者対需要者である全日空とのつながりということになりますが、製造業者のほうの損益状態は、前回御説明いたしましたように、現在までのところ、過去の実績の上に今後百二十機売れるという想定で基礎を固めてやってまいりますと、現在予定いたしております十二億円の出資があって、それに若干の補助がございますと、これは大体収支とんとんのところで上がっていくんではないか。百二十機以上の経理になりますと、それは若干の余裕が出てまいります、こういうつかまえ方をいたしております。現在の決算で見てまいりますと、期末の未処理の損失四十三億程度現在のところあります、これはスタート以来、売れぐあいが現在までのところ四十三機でございます。そこにとどまったという結果と、まだ習熟していないため、コストが高いためそうなっております。これは百二十機の完結で終え切れると思います。全日空は、今回の助成につきまして、直接の対象にはいたしてないわけです。全日空と日航製の関係から申しますと、一定の値段で全日空は日航製から飛行機を買いまして、そしてそれを飛ばしていく、ただ買います際の資金は、開発銀行等から、全日空に対して運輸省のほうで財政投融資で予算を取られて低利の資金を供給するという組み合わせに相なっている次第でございます。
#40
○竹田現照君 十二億の出資金ですね、どこから金出るのですか、産投から二億ですね、あと十億予算書のどこに載っているんですか。
#41
○政府委員(高島節男君) 一括して一般会計に載らず、財政投融資の中から十二億出ることになっておりますが、産投から二億。経済援助資金特別会計という特別会計がございます、これを今後取りくずしまして十億、合わせて十二億が政府出資という形に予算上の形は整えてあると思います。
#42
○竹田現照君 経済援助資金特別会計というものはあれですか、こういうものに金を出す特別会計ですか、ちょっとぼくはわからないのですが、詳しく説明してください。
#43
○政府委員(高島節男君) 経済援助資金特別会計法の使用の目的の中に、こういった日本航空機製造に対する出資ということが用途の一つとして書いてあります。
#44
○阿部竹松君 運輸省からおいで願っておるんですが、まあ製造監督をするほうが通産省で、飛行機飛ぶ場合の監督は運輸省がやっているわけです。ところが、つくるほうの監督がお粗末なのか、飛ぶほうの監督がお粗末なのか、とにかく事故がひんぱんとして起きておるという実情は否定できませんね、まず松山沖に突っ込んだり、大阪で足を……、函館でも問題が起きておる、ときどき問題が起きている。皆無ということが望ましいことであるけれども、なかなか言うべくしてできない。しかしながら、やはり皆無の方向に努力していただかなければならぬわけですが、滑走路ですね、千百メートルということなんですね、あれで十分なんですか、現在のYS11の滑走路は。
#45
○説明員(手塚良成君) 滑走路の長さにつきましては、空港別によりましていろいろございます。空港の種別からいいますと、第一種空港といいますか、管理するところを簡単にいいますと、国際空港、第二種空港といいますのが運輸大臣が設置し管理しますが、一部地方公共団体がその施設の費用を負担する空港。第三種空港といいますのは、地方公共団体が施設し管理します、これに国が半額補助を出す、こういった空港でございまして、第一種空港については、これは羽田あるいは大阪、こういうところの滑走路は、一応大阪にいたしましても、現在一番短い滑走路が千八百、羽田等は三千メートル級が二本、こう一応主滑走路の状態になっております。第二空港につきましては、現在千二百のものと、それからそれを上回った長さのものといろいろ入りまじっております。第三種空港、われわれ通称ローカル空港と呼んでおりますが、ローカル空港は現在二十九ありますのが千二百という滑走路になっております。ただ、これらの滑走路につきましては、いま先生御指摘のような、昨年の未曽有の事故がございましたのに徴しまして、先般閣議了解で空港整備五カ年計画というものを確定をいたしました。第二種空港につきましては、滑走路の長さを原則として二千メートルに延長する。第三種空港につきましても、需要の度合いその他で若干の順序がございますけれども、原則的には千五百メートルに延長しよう、こういう計画を策定して、今年度四十二年度から逐次実施に移しております。
#46
○阿部竹松君 第一種とか第二種あるいは第三種、こういうのをお伺いしているんじゃないのです。いまYS11が問題になっておりますから、YS11に限ってお尋ねしておるんです。ということは、この飛行機をつくる計画は、出発当初は千百メートル程度で完全に離陸できますということは、千百メートル走らなければならぬということでなしに、七百なり八百走ったら離陸できる。千百メートルというのは相当安全性を、アローアンスを見た話なんですよ。ですから千百メートルあった場合には飛行機が飛べるという条件下にあれば、風が五メートル吹こうが雨が降ろうが、千百メートルあれば完全に飛べなければならない。いまお話を承ると、千二百じゃ、千五百じゃという話になる。そうすると出発当初からこの飛行機の規格が間違っておった、こういうことになるんですね。それはちゃんと記録に残っているわけですから、それはおそらく通産省は独自で私どもに示したものではない。法案の提出者は時の通産大臣であったけれども、運輸省あなたのほうで今度最後は、飛行するときは監督するわけですから、あなたのほうと十分相談して立法化したものだと私は考えておるわけです。そうするとあなたのほうは千二百とか千五百だ。つくるほうは千百である、こういうことになったらこれは大きな差ができる、そこが私もふしぎです。
#47
○説明員(手塚良成君) いま一般的な滑走路の長さを御説明したわけでございますが、YS用の滑走路の長さといたしましては、当初から千二百ということで、私どもと通産省と打ち合わせの上でスタートをいたしました。YSはすでに御説明あったと思いますけれども、過去に使っておりましたDC3型の国産代替機ということでスタートいたしまして、DC3型の滑走路長よりなお短かいということを目標にいたしまして、千二百メートルというものは安全な滑走路長である。現在でも私どものほうでは、そういうことでYSについては千二百メートルということで安全であるというふうに考えて運航さしております。ただ、私がいろいろ申し上げました滑走路の延長問題等につきましては、やはりこの千二百の場合に、場所、時期あるいは気象状態等によって若干の制約が起こる場合があります。いわゆる運航能率、運航率が低下するという場合がありますので、それらのものをさらに向上させ、いわゆる交通機関としての使命でございます定時制を確保する、こういうような使命をもとにいたしましてただいま申し上げたような計画を立てておるわけでございます。
#48
○阿部竹松君 千二百という数字がどっから出てきたかわかりませんけれども、当時運輸省の皆さん方を呼んでお伺いすればよかったんですが、これは私どもがうかつであったので、通産省のみ御答弁をいただいて論議したわけです。あとで速記録をあなたのところにお送りしますから読んでください、参考までに。しかし、いつの間に変わったか私ふしぎなんです。どういうわけで飛行機課長ですか、わかりませんか、あなた。
#49
○説明員(加藤博男君) YSはネットと申しますか、実際に離着陸いたしますために必要な距離というものは、六百メートルから七百メートルぐらいで済むわけでございますが、しかし、飛行場の滑走路といいますのは、飛行機がある程度浮き上がりましてから一定の高さに達するまでの距離が必要であるということから、YSの場合には場内では九百七十メートルございますと離着陸できる、当時の長さとして千メートル弱で実は離着陸できるという性能にいたしております。それをきめましたのは、先ほど御指摘がございましたように、日本の国内航空の長さを勘案してきめたものでございます。そういうことで千百メートルで十分離着陸できる格好にはなっております。その点は前に御説明したのもそういうことで御説明したと思います。
#50
○阿部竹松君 格好になっておるということでは困るのですね。明確にそのものずばりで、格好になっておるぐらいで飛行機を飛ばされたのじゃ乗った人は大迷惑ですよ。もう少し自信のある、別に言質を取って追及しておるわけじゃないわけですから、もう少し責任あるやっぱり断言できるような御答弁をいただきたいと思います。
 その次に、最後に一つ、これは本法案と直接関係ありませんけれども、私ども社会党の立場からすれば、やはり航空機というものの発達を願っておるわけですから、本法案に賛成するということに決定しておりますので、もうお尋ねしませんけれども、もしできれば松山の空港の惨事の結論だけ、ひとつ運輸省からお聞かせ願いたい。以上です。
#51
○説明量(松本登君) 松山の事故は、先生御承知のように、昨年の十一月の十三日に起きた事故であります。事故の起きましたのは、午後八時半ごろでございます。それで、ただいまこの事故につきましては、東京大学の航空学科の主任教授の佐貫先生を団長にいたしまして、その飛行機の事故の調査団を事故の直後に編成いたしまして、その調査団で目下事故調査中でございます。それでこの調査団が四つのグループをつくりまして、専門別に構造とか、発動機とか、運航とか、ヒューマンファクターグループをつくりまして目下調査中でございまして、ただいまの段階では、事故の結果につきまして御報告するまでには至っておりませんですが、できるだけ早く事故調査を完結していただきまして、一般に発表できるようにいたしたいと思っております。したがいまして、ここで申し上げることができますのは、いまどのような調査をやっておるかということを簡単に御報告いたしまして、それによりまして大体いつごろ事故調査の結果が発表できるかというようなことを御推定お願いしたいと思います。
 まず、機体の状況でございますが、これは調布の格納庫に運びまして、ここで全部元の格好に調査しやすいように並べまして、それで調査団の方がいま調査をやっておられます。破損の状況は、非常に破壊の状況がひどうございまして、同じ全日空の羽田の沖で起きましたボーイング727、あの場合、あるいはBOAC、あのような機体の破損状況に比べまして非常に破損の程度がひどうございます。このようなことから考えますと、機体は相当大きな前進速度をもって水面に激突したのじゃないかというようなことは、いまの段階でも申し上げられると思います。それで機体の破損状況は、大体胴体は水平の姿勢で左に傾いたような状況でかなり大きな沈下速度で、大きな前進速度をもって海水に接水したのじゃないかということが考えられます。
 それからエンジンとプロペラでございますが、これにつきまして事故当時からいろいろ飛行中にエンジンのプロペラシャフトが疲労のために、プロペラが飛んでそのための事故じゃないかとか、あるいはプロペラの羽が一枚飛んでそのために起きた事故ではないかというようなことが巷間いわれておったのでございますが、いまの調査の状況から見まして、このようなエンジンのプロペラシャフトの疲労というようなことは、顕微鏡写真から見ましても、そのようなことはいまのところ認められませんし、プロペラの羽が空中で飛んだというような風説がありましたが、いまのところは機材からは発見されておりません。それから先ほど申しました機体の構造部分につきましても、いまのところは構造がふぐあいであったための事故というようなことは考えられておりません。そのほか遺体の状況とか、そういうものもいま調べておりまして、各グループごとに精力的に調査をしていただいておりますので、いまの段階では、これというきめ手は発見されておりません。非常に概括的に申しますと、この事故は、いままで昨年起きました四つの大きな事故のうちでも調査が非常に困難な事故であるということが非常に考えられますので、御承知のように全員死亡でございますし、機体、発動機、プロペラによる欠陥は発見されておらないというようなことで、非常に調査としてはむずかしい事故ではないかと考えられております。簡単ではございますが、以上でございます。
#52
○委員長(鹿島俊雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 航空機工業振興法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#55
○委員長(鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#57
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付の原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題といたします。
 ただいま議題といたしました両案のうち、動力炉・核燃料開発事業団法案につきましては、衆議院において修正をせられておりまするので、まず最初に修正点の説明を聴取いたします。衆議院議員石野久男君。
#58
○衆議院議員(石野久男君) ただいま議題となりました動力炉・核燃料開発事業団法案に対する衆議院修正につきまして御説明申し上げます。
 本修正は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかるものであります。
 修正案は、お手元に配付されていると存じまするので、案文の朗読は省略させていただき、修正の趣旨を御説明いたします。
 第一点は、事業団設立の目的について、平和利用及び自主開発の趣旨を明確にするため、この点を修正いたしました。
 第二点は、内閣総理大臣が行なう理事長の任命については、原子力委員会の同意を要するというふうに修正いたしました。
 第三点は、原子燃料公社法の例にならって、事業団の業務として核燃料物質、核原料物質の輸出入、売り渡し等を加えるとともに、核燃料関係の業務についても、基本計画に従って実施されなければならないと、このように修正したのでございます。
 以上でございます。説明を終わります。
#59
○委員長(鹿島俊雄君) 以上で修正点の説明は終了いたしました。
 それではこれより両案の質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#60
○向井長年君 本案に対して特に衆議院におきましては二十一回の審議を行ない、相当長期間にわたってこの審議がなされておりまして、いろいろ不明確な点がある程度明らかになったと思います。そうかといって、本院におきましても慎重審議をしなければならぬ使命を持っておりますし、しかし会期もわずかになっておりますから、こういう点を勘案いたしまして、できるだけ簡明な形で質問もし、また答弁を願いたい、こう思うわけであります。
 まず、実はこの法案が本会議において趣旨説明がなされたときに、私がまず第一に質問したことは、今後この科学技術の振興は二十世紀後半の各国の課題であるということ、したがって資源の乏しいわが国においても、まことに重要な工業技術の開発、あるいは振興をはかっていかなければならない、こういう立場から、政府の責任は非常に重かつ大である、そういう意味で特に二階堂長官が科学技術庁長官として就任されたので、科学技術振興開発についてまず第一に抱負をお聞きいたしたい。その抱負をまずお聞きし、その中から私逐次質問をしてみたいと、こう思います。
#61
○国務大臣(二階堂進君) ただいま向井先生の御質問は、科学技術振興に対する基本的な政府の考え方であろうかと思っておりますが、これはもう申し上げるまでもなく、最近この技術革新の時代を迎えているときでもありますし、しかもいろいろな研究開発が一方においては非常に広範なすそ野をもって開発が進められておりますし、また細分化されている、また一面におきましては非常に大型なプロジェクトが進められておる今日でありますので、やはりこの科学技術全体の振興に対する一番大きな問題点は、この政府の取り組み方の私は姿勢の問題であろうかと思っております。この姿勢の問題につきましては、最近政府も非常な熱意を入れて取り組んでおることは御承知のとおりでございますが、遺憾ながら私は世界のこの先進諸国が科学技術全体に取り組んでおる姿勢と比較してみますというと、まだまだわが国の科学技術全体の振興開発に対する取り組みが十分ではないと率直に痛感をいたしておるのであります。先進諸国と申しましても、アメリカとかソ連とかいう国は、これは軍事目的が相当入っております。そういう国と比較してはどうかという議論もあるでありましょうが、西ドイツなんかと比べてみましても非常に政府の取り組み方、また一般の国民の世論、あるいはまたユーザー、メーカー等の開発に対する熱意、こういうものがまだまだ私は日本において西ドイツの現状と比べて劣っているのではないかと考えております。そこで、何と申しましても今後はこの世界の技術革新がどんどん進んでいきまする今日、まずもって政府が科学技術に取り組む姿勢というものを明確にしていかなければならぬ、それには研究投資、これは国の予算に占める投資の割合もふやしていかなければならないと思っております。また研究費全体、これはもう産業界と言わず、あるいは大学と言わず、そういうものを含めても先進諸国に比べて非常に少ないわけでございますので、将来の方向といたしましては社会経済開発の中にも明確にされておりますとおり、現在国民所得の中に占める率が一・七%程度でありますが、これを数年後には約二・二%程度に持っていきたい、こういうことが私は明確に示されておりますので、そういう線に沿ってこの研究開発費の増大に努力していかなければならぬと思っております。
 もう一つは、やはりこのおくれを取り戻すために、追いつけ追い越せという姿勢をとるためには、やはり国民総力をあげて、官民一体となっての総力の結集をはかっていくということが大事ではなかろうかと思っております。今回御審議願っております動力炉・核燃料開発事業団の問題につきましても、この点が一番総理をはじめとして私どもが真剣に考えておる点ではなかろうかと思っております。
 第三に、人材の養成でありますが、この人材の養成につきましても、最近文部省等と緊密な連絡をとって人材の確保には努力をいたしておりまするが、
  〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
特に電子産業、原子力あるいは人工衛星等に関する人材が十分でない、非常に不足いたしておる、こういうことからいたしまして、やはり技術者の養成ということにつきましても相当な努力を今後も傾倒していかなきゃならない。それにつきましては、技術者並びに研究者の処遇、待遇の改善等も行なっていかなければならないと考えております。いろいろな問題は、これはもう御審議の途中にも出てくるかと思いますが、要するに、国の取り組み方の姿勢、官民一体の総力を結集する体制の確立、それにまた付随して研究費あるいは人材の養成等に十全の力を入れること等々が私はおもな基本的な考え方になろうかと思っております。何べんもこの席でも申し上げましたとおり、技術というものが一つの国力のバロメーターになっていく、しかも日本は戦争を放棄し、武力を放棄した今日、立っていく道は、やはりこういう科学技術の平和利用の開発になくちゃならぬと思っておりますから、こういう面につきまして、自主的な技術開発はもとより、国際協力等も求めまして、そしておくれておるわが国の科学技術の全体の振興に真剣に取り組んでまいりたい。簡単でございますが、こういうようなことを考えております。
#62
○向井長年君 なかなかりっぱな抱負を聞かしていただいたんですが、どうも自民党政府は、科学技術に対して、そういう所信表明を常に歴代長官が言われるわけです。しかしながら、その人が本気に打ち込んでやろうとする意欲は持っておると思いますけれども、文部大臣兼任であったり、あるいはまた短期間で長官がやめられたり、ここに本院におきましても上原前長官おられますけれども、本気にやろうとする姿勢を持っても、すぐ変わってしまう、こういう傾向があるのですが、今度の事業団法、特に平和利用の立場から、国産自主開発という立場で非常に熱意を持って二階堂長官が取り組んでおられることは非常にけっこうだと思います。ところで、次期内閣改造の中で、また長官は変わっていかれる。そうすると、新しく出てきた長官は、本気にまたやる気になるのかならぬのか、あるいはまた、やろうとしても過去の問題についてどういうように消化していくか、こういう問題を常にわれわれ痛感しております。原子力開発の問題、原子力行政の問題、総合エネルギーの問題という立場から、たびたびの、いわゆる科学技術委員会あるいは商工委員会等でそれをわれわれが質問をし、あるいは意見を述べてまいっておりますが、次に進むときにはもう長官が変わっていく、こういう現状がしばしばある。したがって、二階堂長官は恒久的に、自分が希望してでも、自民党内閣の中でこの科学技術に取り組む姿勢を今後とも持っていかれるのか、私はまずその点をひとつお聞きしておきたい。
#63
○国務大臣(二階堂進君) この大臣のいすの問題は私に言われてもどうかと思うのでございますが、私は向井さんのおっしゃったような、そういう気持ちで取り組んでおるわけであります。私は就任以来六カ月になりますけれども、世界の先進諸国の技術革新、開発に払っている努力、また現状等を聞いたり見たりしておりまして、このままでは日本の将来はどうなるのか。燃料問題一つを考えてみましても、中近東に問題が起こっただけで国内は大騒ぎする、こういう状態であります。十年後の日本というものはどう変わっていくか、世界がどう変わっていくか、通信の革命が目に見えております。スピードがずいぶん変わってくる。電子計算機によるいろんな頭脳の開発、生産あるいは評価等がずいぶん開発されて、アメリカなどにおきましては情報産業というものが一大巨大産業をつくり上げて、世界の頭脳を一手に集めて医学から生産からすべてのものを牛耳ろうという態勢にある。そういうときに、今日までほとんど導入技術をもって開発された日本の技術が、しかも資本の自由化や技術の自由化を迎えている今日、いかに対処するかということは、わが国にとりまして重大な問題だと思っております。こういう問題が今国会におきましては、委員会の場において非常に熱心に議論され討論されたことは、私は非常に大きな成果であったと思っております。私もそういう世界の現状と日本の現状とを比較しながら、わが国の将来を決するものは技術であるし、技術が一つの国力のバロメーターだということを痛切に考えておりますので、私は非常な熱意を持って今日も努力しておりますが、もし引き続いて私が仕事をすることができますならば、このような気持ちをさらに続けて、国産技術の開発、わが国全体の振興に精根を傾けてまいりたいと、かように考えております。
#64
○向井長年君 そこで、しばしば言われますように、日本の、特に科学技術というよりも原子力開発ですね、この問題に限ってでも考えられることですが、世界先進諸国よりも十年以上おくれておる、こういうことがしばしばいわれ、政府も確認されておる。しからばこのおくれた理由は、先進諸国においては軍事予算等をめぐって、そういう軍事力的な増強に開発も合わせておるであろうということもあろうと思いますが、それ以外に、やはり平和利用の立場からも日本がおくれたという理由が、一つにはいま言ったやはり行政機構あるいはまた責任者のいま言う意欲の問題あるいは人材の問題等もこれは影響してくるかと思います。そういう意味におきましては、私はおくれた理由の責任というものは、非常に政府に大きくあると思います。これに対して最もおくれた理由は何か、これを私はお聞きをしたい。
 いま意欲をもって取り組もうとしておるが、今日までもちろん行政機構であります原子力委員会もあるし、科学技術庁もあるし、あるいはエネルギーの立場からは通産省もある。こういう形でいろいろな政府機関等ができておりますけれども、今日までこれが実を結ばずしておくれておるという理由、この点は一にかかってどこにあるのか、その責任はまたどこにあるのか、これをまず長官にお聞きしたい。
#65
○国務大臣(二階堂進君) なかなかこれは一言にして何かと言われてもむずかしい問題であろうかと思っておりますが、私は先ほど率直に申し上げましたとおり、何としても科学技術振興政策に対する国の取り組み方、私はこれは率直に言って足らなかったじゃないかと思っております。それと、やはりこういう科学技術に対する国民の認識、世論、こういうものが、私は非常に、たとえば西ドイツなどと比べてはるかに軽視されてきたのではないかと思っております。そういうことが官民一体の総力を結集する形にもおくれをとってきたし、人材養成、特に技術者というものが日本において軽視されてきた。私もアメリカで長年勉強いたしましたが、技術者というのは一つの権威者として国民全体が尊敬しておる。日本は逆な立場に置かれてきて、文科系統、法科系統が尊重されて、技術者というのは非常に軽視されてきた。そういうところにも私は国民の科学に取り組む熱意というものが欠けておったのではないか、こういうふうに率直に私は私なりに考えておりますが、いろいろな原因がその他にもあろうかと思っておりますが、しかし頭脳と技術というものは私はすぐれたものは確かにあると思っております。アメリカにおける二世、三世いろいろな大学において研究所において、軍事的な機械の発明においても相当な実績を示しております。日本人がそれだけの技術と頭脳と英知を持っておるということの立証にほかなりません。ですから私はそういうものを引き出して、そして開発に熱意を示すような体制を政府もつくっていく、あるいは民間もつくっていく、こういう体制ができるならば、私はこの十年おくれたものもやがて追いつくことができる、そして追い越すことができる、こういうふうに考えております。動力炉開発の問題に取り組む今日の気持ちも、追いついて追い越せという私は姿勢をとるべきだと、そうするならば、いまおっしゃったような、どこに原因があったかということはおのずから国民の総力によって解決ができるんじゃないかと、こういうふうに考えております。
#66
○向井長年君 現在のこの行政機構ですが、大体原子力委員会の、幼稚なことを言うようですが、使命は何ですか、あるいは原子力委員会の権限といいますか、これは何ですか。それからあわせて、いま政府機構の中で研究所がございますが、研究所の使命あるいはまたそれに対して科学技術庁はどういう権限を持っているか。原子力委員会はこれに対してどういう示唆を与えられるのか。こういう点はどうなっていますか。いまの行政機構全般の問題に伴ってお聞きしたいわけです。
#67
○政府委員(村田浩君) 原子力委員会は、原子力基本法に基づく原子力委員会設置法によりまして昭和三十一年一月に設置されたものでありますが、その設立の趣旨、目的は、原子力基本法に定めますとおり、わが国の原子力研究、開発及び利用を平和目的に限り自主的にかつ民主的運営のもとにこれを推進する。そうしてその成果は公開し、進んで国際協力に資する。こういうことがうたわれておりまして、そのような広範にわたる原子力の研究、開発及び利用の推進にあたりまして、原子力委員会はその設置法に定められました業務を行なう。その業務は、一言に申しまして、このような原子力政策の基本的事項につき企画し、審議し、決定する権限を与えられております。このようにして決定しましたものを総理大臣に報告いたしますと、総理大臣はこれを尊重していかねばならないという尊重義務が同じく設置法に掲げられております。各省庁に対しましても原子力委員会は必要と認めるときは総理大臣を通じまして必要な勧告を行なうこともできるようになっております。
 それから原子力研究所は、同じく原子力基本法の中で第七条で原子力開発機関の規定がございますが、わが国の原子力の研究、開発及び利用を効果的に効率的に推進するために必要な機関の一つとしての原子燃料公社とともに設立すべきであることが基本法に明示され、この基本法に基づいて原子力研究所ができておるわけでございます。
 原子力研究所の業務につきましては、原子力研究所法に明らかではございますが、これを要約して申しますと、原子力に関する基礎的研究を進める。それから原子力に関する応用的研究を進める。さらに原子炉の設計、建設並びに運転を行なう。その他放射性同位元素についての生産、販売を行なう。それから原子力に関係します科学技術者の養成を行なう等がこのおもなる業務とされております。したがいまして、原子力研究所は、わが国における広範にわたる原子力研究、開発及び利用の中で最もそのベースになりますところの基礎的研究、応用的研究、そういうものを深めてまいりますとともに、原子力の研究、開発及び利用全般にわたって必要とされる人材の養成という面につきましても非常に大きな役割りを課せられておるわけでありまして、いみじくも原子力のセンターといわれるゆえんがそこにあるわけでございます。
 それから原子燃料公社は、同じく原子力基本法の中で核燃料関係の開発並びに利用を行ないますための機関として設けられたものでございまして、核燃料は言うまでもないことながら原子力研究、開発、利用の基本となります物質でございますので、これについての開発並びに利用を効率的に行なえますようにこの原子燃料公社が核原料物質の探鉱から始まりまして、核燃料物質の精錬、加工及び再処理といった一連の核燃料サイクル関係の仕事を行なうことができるように、かように業務の範囲を定めておるわけでございます。したがいまして、わが国の原子力研究、開発体制を総括的に見ますと、中心の企画、立案機関として原子力委員会があり、原子力委員会が企画し、審議し、決定いたしました政策に基づいて、これを現実の研究、開発に進める上に、まず基礎的な分野あるいは一般的な分野、さらに人材の養成等につきまして原子力研究所がこれに当たる。特に核燃料に関連しましては原子燃料公社が国の立場で当たっていく。こういうふうな役割りをそれぞれ持つように構成されておるわけでありまして、もちろん行政上の組織のほかに、民間の機関の実質的な研究開発を促進させるために、科学技術庁原子力局におきましては、これらを助成する方策をとり、政府の組織とあわせて民間の研究開発体制を推進いたすようにやってまいっておるわけであります。
#68
○向井長年君 そうすると、原子力委員会はやはり原子力基本法に基づいて企画いわゆる政策、この問題をきめて、それが総理のほうに答申されて、これが実施に向かうと、こういうかっこうになるわけですね。しかし、これはただ政府機関としてはそういう公社とかあるいは研究所に対していろいろと研究開発をやる、あるいは核燃料の自立サイクルあるいは探鉱をやると、こういう形になってまいると思いますけれども、いろいろな政策論あるいは企画された問題は、少なくとも民間が大きくこれを受け持っていかなければならぬ、こういう結果にいまなっておりますね。したがって、そういう形になってくると、やはり長期計画というものが、いまここにも出ておりますが、したがって、この長期計画というものは一つの政策論であって、実施の舞台ではないわけですよね。そうすると、この実施というものはどういうところにやらすかという問題が私は出てくると思うのですよ。だからこの点行政機関として原子力委員会の性格というものが何だかほんとうの企画、立案だけであって、何ら権限がない、言うならば大きく期待をすると、政府機関に対してはいろいろこれは指示もできますけれども、そういう結果になるんじゃないですか。そういう点は現在のやはり原子力委員会の性格というものについて、これが最も万全であるという考え方を持たれるのか、あるいは非常にこの委員会は、ただ企画、立案あるいは政策論、こういう形で考えておっていいものであるのか、この点はどうなんですか。
#69
○政府委員(村田浩君) 御指摘のとおり、行政組織法上は原子力委員会は第八条機関に属するわけでありまして、したがいまして、原子力委員会が企画、審議し、決定しました政策の実施につきまして関係各省が行なえるようこれを勧告し、あるいは総理大臣に報告し、それを尊重させることはできますが、それが実施されることを監督いたします責任は、諮問機関でございますので、とれないわけでございます。したがいまして、そのような監督の責任は、法律上は総理大臣、実際上は権限委任を受けまして科学技術庁長官がこれをとっておるわけでございます。そこでまあこの長期計画でございますけれども、長期計画も、したがいまして、国として今後十年あるいは二十年という長い期間にわたって、わが国の原子力研究、開発、利用をどのように、どの方面において進めていくべきか、全体のバランスの上においてこれを包括的に取りまとめ、そしてこれを基本として万般の施策、措置がとられるようにと、こういうことでつくられておるものでございますが、おそらく私の承知いたすところでも、これだけ包括的な長期計画をつくっておる組織は海外にもないと思います。各国におきましては、たとえば原子力発電の計画とか放射線利用の計画とか、そういう個々の項目についての長期計画はかなり詳細なものがあるようでございますが、あらゆる分野にわたる原子力平和利用を、そのいずれもが片寄ることなく調和のとれた形で推進されるようにと、しかもその反面において非常に大きな問題であります安全性というものを十分確保しつつ進められるようにという配慮で、このように包括的につくられた長期計画は、非常に特色のあるものだと思っております。
 これは原子力委員会が決定しますと、設置法に基づきまして総理大臣に報告いたしまして、同時に各省庁の大臣にこの内容に即してそれぞれの省庁の原子力に関連する行政事務を進めるようにということでお願いしてまいるわけでありますが、その実施がどのようになるかは、先ほど申しましたように、科学技術庁のほうで行政的な責任をとっているわけであります。では原子力委員会は、ただ計画を出しっぱなしで、あとのことはみな科学技術庁まかせかといいますと、そうではございませんで、原子力委員会設置法第二条の規定にもございますように、関係各省庁の行ないますものにつきましては、原子力研究開発利用関係の予算を見積もり、調整する権限を与えられておりまして、その線で関係各省庁の実施計画を予算の面から調整して、この調整につきましての責任をとっているという形になっているわけです。
 ただ、おそらく御指摘は民間の研究開発についてはどうかということであろうかと思いますが、民間の行ないます研究開発あるいは民間の行ないます発電計画、こういったものにつきましては、この長期計画で向かうべき筋を示しており、あるいは期待すべき事項を明示いたしておりますが、それがどのように実際は行なわれたか、行なわせるかという点につきましては、むしろ民間の協力というものを十分に期待して行なう、こういう形をとっているわけでございます。
#70
○向井長年君 そういうことになってくると思うのです。いわゆる期待に過ぎないと思うのです、民間の場合においては。したがって、そういう点について、民間ということになれば、やはり何はともあれ経済性、特に電力事業というのは公益事業であるという立場から、そういう問題が大きな問題になってくる要素の大きな問題ですね。そういうことで、ひとつ原子力委員会のいわゆる性格そのものについて……。一つの企画立案あるいは長期計画あるいは政策的な方向、こういう問題が立案され答申せられ、内閣はそれを受けて各省庁の連携をとりつつ実施に移していく、こういう一つの筋書きはいいのですが、しかし、その立案そのものに対して、やはり実施する、あるいはまたそれに向かって進む一つの、何と申しますか、実施舞台のような一つの権限というものは、これは大体通産が持つものなのか、科学技術庁が持つものなのか、その点どうなんですか。
#71
○政府委員(村田浩君) 一口に原子力の研究開発及び利用と申しましても、非常に広範にわたっているわけでありますが、民間が行ないますそのような研究開発及び利用のうち、一般的に申しまして研究及び開発に関連するものは、ほとんど全面的に原子力委員会のほうで調整いたしております。利用の点になりますと、それぞれの省庁、たとえば原子力発電で申しますと、電力行政を担当しております通産省との間の関係が出てまいりまして、原子力発電といえども一つの電気事業でございますから、全体としての電気事業に対する国としての行政の中で当然見られなければならない。他の電気事業との関連を十分調整しつつ進められなければならないわけでございますので、そういった点におきましては、原子力委員会としては科学技術庁を通じ、通産省の行政指導、措置等と十分調整連絡をとりまして、そうして調和をとり、遺憾ないようにしていく、こういう形をとっております。現実の姿といたしましては、向井先生御案内のとおり、原子力委員会のほうには各種の専門部会を設けまして、この専門部会に民間の電力関係その他メーカー等の代表者を入れ、あるいは大学の代表者を入れ、さらにそこに必要に応じましては通産省の担当局長というものに入ってもらいまして、そうしてこのような民間の行なう利用推進等についての調整が行なわれるように努力いたしておりますし、他方、通産省の行なっておりますたとえば総合エネルギー調査会のようなものにつきましては、原子力委員である有沢委員がメンバーの中に入り、あるいは原子力委員会の事務局の立場にございます原子力局長がその幹事として一緒に仕事をする、行政的責任をともに負う、こういう形で、両方の行政上の問題を互いに食い違うことのないように調整していくように現実の姿としてはやっておるわけでございます。
#72
○向井長年君 そうすると、事実そういう原子力委員会で立案計画されたやつが、実施の中で行政上の問題として各省との関係でうまくいかない、こういうことが全然ございませんか。特に通産の関係とあわせて、その点は何ら支障なし、したがって現在の原子力委員会の性格そのもので、権限もあわせて、これは万全である、こういうような考え方を持っておられますか。長官どうですか。
#73
○国務大臣(二階堂進君) これは具体的な問題として原子力エネルギーの長期計画を立てておるわけですが、これはやはり電力総合エネルギーの総合計画との関係がありますから、これを立てる場合には通産省と十分連絡をとって、そうして原子力委員会のほうでも計画をきめられたわけでございます。これを年次別に具体的に、二十年の計画ですから、二十年間に毎年どういうふうにやっていくかということについては、原子力委員会が調整をとって、そうして電力の問題でありますから、
  〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
通産省と協力して、その実施計画を行なっていくのは、通産省の指揮監督のもとにありますが、御承知のとおりメーカー、ユーザー等も最近非常に意欲的に原子力発電の計画を行なっております。私どもはこの計画は、民間の協力によって大体この計画どおりに間違いなく実施されるもの、なおこの実施の過程においては、関係各省ともに、通産省、原子力委員会等、密接に連絡をとって、しかも、実施をする取りまとめをする官庁は私のところでありますから、この計画を強力に進めていく責任のある地位にある役所でありますから、そういうことを十分考えて行なっていきますれば、大体私はこれは二十年後の見通しでありますから、いま、だいじょうぶだと、こう言うことはどうかと思いますけれども、大体間違いのない方向に実施がされていくものだと私は確信をいたしております。
#74
○向井長年君 次に、今度出されている事業団でございますが、この事業団とこの燃料公社は、特に有機的な関連を持つという立場から、これは包含して今度の事業団に入れた。――研究所は有機的ななには持ちませんか。研究所はなぜここに入らないのか。この理由はどうですか。この事業団の設立に対する経緯ですね。したがって、いま言う燃料公社は一応事業団に入れて、ともに燃料サイクルあるいは再処理等を、これを分担さしていかなけりゃならぬ、こういうことはわかるのですが、しかし研究所もあわせてこれは一つの研究開発ですね。だからそういう立場で、どうせできれば有機的にやるんでしょうが、しかし、なぜこれはこの中に入れて一元化してやるという形を当初とらないのか。この点どうですか。
#75
○政府委員(村田浩君) 原子力の研究開発をすべて一つの機関のもとで一元的に推進するというやり方は、外国の例を見ましてもあるわけでございます。したがいまして、そのような考え方というのは一つわが国においてもあり得ることだと思います。ただ、しかし昭和三十年のわが国で、先ほど御説明申し上げましたような、原子力委員会を頂点とする原子力研究開発体制ができましたとき以来、原子力研究所というものがいわゆる研究のセンター、原子燃料公社とか核燃料関係の開発並びに事業の中心となるという形でまいったこれまでの歴史の中で、今般御審議いただいております、ことに動力炉の開発という点につきまして、当然のことながら原子力研究所法の中で原子炉の設計、建設並びに運転、操作に関することという業務を示されておりますとおり、原子炉でございますからあえて動力炉とは限りませんけれども、動力炉を含めてここで研究開発を進めるということも可能なわけであります。で、実際に原子力委員会はこれまでいろいと長期計画立ててこられましたことにつきまして、前回――今回の長期計画の前――昭和三十六年につくられましたときも、この長期計画では原子力研究所にこの動力炉開発計画を持たせてやるという考え方を打ち出しておったわけであります。そのときは、御承知かと思いますが、原子力研究所のほうでいわゆる半均質炉型の原子炉というものの構想を持ちまして、そしてひとつ具体化していく、こういう研究者の要望もございましたし、原子力委員会としても長期の観点から、原研を中心として育てていくことにしようというふうに考えまして、長期計画の中でその点を国の研究プロジェクトということに指定して行なわせることにしたわけであります。しかしながら、現実には原子力研究所は今日すでに総人員二千名をこえておりますけれども、何せ十年前に何もないところからスタートした。したがって研究所としまして、これまでのウエートは、何と言いましても基礎的な研究、あるいは応用的な研究にあったわけであります。中心がそういうところにあったわけであります。ところが、動力炉の開発を具体化するということになりますと、プロジェクトとしては、年次に、いついつまでにどれどれのものをつくっていくということが中心でありまして、いわゆる開発のほうにウエートがかかってくるわけであります。そういった点からいたしますと、原子力研究所は残念ながら開発関係のスタッフがまだ十分でない。研究関係には、特に基礎研究等につきましては非常にすぐれた人もおります。いろいろとりっぱな論文を出しておられるわけでありますが、開発ということになりますと、どうしても民間関係にウエートがたくさんあります、人としまして。そういった点からいたしまして、まあそのほか半均質炉それ自体にもいろいろ問題がございましたが、結局その際に原子力委員会の考えましたプロジェクトというものは実らなかったわけであります。そういった点から原子力委員会ではさらに引き続いて昭和三十八年には、同じようなことでありますが、国産動力炉計画というのを持ちました。これは今日の動力炉開発計画の中の新型転換炉とほぼ同一の型であります重水減速型を原研を中心にやってもらおう、こういう構想を打ち出し、そのためのいろいろと各方面との協議をいたしたわけでございますが、これも残念ながら全国的な総力結集体制でこれをやるという点におきまして、まあ準備の不足もあったかと思いますが、必ずしも十分な見通しが得られませんでした。今回第三回目で、この国産動力炉計画というものが打ち出されることになったわけであります。その際に、どういうようなシステムでやるのがよいかということを、これまでの十年間の経験からいろいろ反省を原子力委員会としてもしました。原研当事者、さらには民間の関係技術者の意見等も十分聴しました結果、総力を結集できる体制でなければ、これだけ大がかりの動力炉開発ということは、プロジェクトとしてきめられた時間内に実績をあげていくことはむずかしい。そういうことからいたしますと、何らかの新しいこれに開発中心の組織というものを考えたほうがいいのではないか、こういうことが原研を含め、まあ原研からは理事長等が出ておられたわけでありますが、民間の電力業界あるいは製造業界等の代表の方々との間の御意見でも非常に強くございまして、そういった点から原研とは別に、新たに開発機関をつくろう、つくるべきだ、こういうことに相なったわけであります。
 そこでこの場合の開発機関でございますが、当初すでに御案内のことと思いますが、原子力委員会では、単純なというと、ちょっとことばが悪いかもしれませんが、動力炉開発に限った関発機関を考えたいという構想で出発いたしましたが、政府の側におきます新しい特殊法人をできるだけつくらないという政策、並びに先ほど向井先生から御指摘ございました核燃料開発、動力炉開発との密接な関係、こういったことから、従来核燃料の開発機関としてつくられておりました原子燃料公社をあわせて、動力炉の開発をこの事業団でやらせるようにするのが最も現状では適切である、こういう判断に到達したわけであります。少しく前に戻りましてくどくなったかと思いますが、経緯といたしましてはそういう趣旨で、権限を一体にしてやることなく、開発機関というものでこれを取り上げてやるようにしたい、それによって開発にウエートが置かれていることを明らかにして、できるだけ早くこのプロジェクトを成功させたい、こういう趣旨でございます。
#76
○向井長年君 今度の事業団は、開発に主眼を置いてやるのだということですが、しかし、開発をやるためには研究をやらなければいかぬでしょう。研究をやらずにきまったものをつくるならばこれはいいけれども、国産炉、いわゆる国で研究し開発していこう、こういうことであるならば、いま原研においてもいわゆる開発しているでしょう、研究開発やろうとしているでしょう。したがって、私の聞いているところは、やっていいんですよ、やっていいんだが、なぜ事業団に、有機的な連関を持っている、関連を持っているということで、公社の問題はもちろん、事業団創設の問題は政府の一つの方針でもあるのでしょうが、これを一つにしよう、原研の場合はこれは別のかっこうで将来協力をするという体制をとっておるが、この点が、同じように開発を自力でやると言ったところで、研究しなければ開発できませんよね。これは研究所のほうでも研究し開発していこうとするでしょう。だから同じ一つ一つの部門を持っていると思うのですよ。それを事業団が別にしておられるところに、どういうところに理由があるのか。一元化をなぜしないのか、こういうことなんです。
#77
○政府委員(村田浩君) この点はいろいろ御議論のあるところでございましょうし、これまた原子力委員会の検討の際にも議論の一つになったことであったと記憶いたします。ただ、原子力研究所が、これが十年間の蓄積をもってこの基礎の上に立った開発でございますから、同じ機関でやるのが一番能率がいいのではないかということにつきましては、他方におきまして別な観点から、そのようなことになりますと、原研が行なってきております、かつまた相当な成果もあげてまいるようになりました基礎的な、応用的な研究というものが逆に影響を受ける。そうして、いわゆる動力炉の開発にすべてが引きずられるといいましょうか、そういうことになりますと、わが国の原子力研究のセンターとしての性格を持ちます原子力研究所としましては、ほかにそれに当たる役割りを持つところがなくなってしまう。これは動力炉の開発は非常に大切な原子力開発上の部門でございますけれども、これに劣らず幾多の重要な将来のわが国国民経済の発展成長のために必要な原子力発展計画があるわけでございまして、そういった点がおろそかになることがあっては、かえって長い目で見ますとマイナスになる。研究者というものは、やはりそれぞれの専門の分野で大いに研究を推進していくことによって、そこに新しい利用の芽を生み出すわけでございますが、そういった研究環境というものが非常に重要だと思うわけでありまして、今後十年間に約二千億からの開発資金を投入しようというこの事業が――現在原子力研究所の予算は年間約九十億程度でございますが――バランス等からしましても、非常にウエートが動力炉のほうに傾いてしまう、こういう危険性も一方で感ぜられるわけでございます。そういったものを配慮しまして、むしろ別機関にしまして、そのかわりに実際に開発事業を推進するについては原子力研究所の蓄積された技術能力というものを十分に活用するようにいたしていきたい。そういった点で、人的あるいは組織的なつながりというものについて十分配慮してまいりたい。このたびの事業団法案にも委託研究につきましての条項が入れてございますが、これは従来も原子力研究所法にもございますけれども、それに比べますと、委託の基準というものをきめまして、その基準という範囲で、かなり事業団の裁量により、まして柔軟性を持った委託業務ができるように取りはかるようになっております。そういった点からして、原研の技術能力を十分事業団の仕事に吸収し、これを生かしていくという方途を講ぜられるようにすることによって、むしろ原子力研究所としての本来の使命というものが害されることなく、かつ有益にこの事業団の仕事に役立つものではないか、こういうふうなことに考えられました結果、このような形をとるに至ったわけでございます。
#78
○向井長年君 そうすると、具体的に、国産炉――新型転換炉、あるいは高速増殖炉――これについては事業団が研究開発をやる。したがって原子力研究所はそれについては大体こちらに協力をして、向こうでは別にやらない、こういうかっこうになりますか。そうしないと、新型転換炉あるいは高速増殖炉という一つの国産炉の自主開発、こういう目的のために研究所は研究をして、別に資金を持ってやっている。事業団は事業団で別にやる。こういう形は、これは不経済であり、国の政策としてもおかしいと思うのですよ。したがって他の全般の研究が、ここは国産炉の事業団だからこれだけに集中するんだ、研究所はこのほかの研究もあるからできない、こういうことはこれはわかります。しかるに、いまの状態では新型転換炉あるいは高速増殖炉の研究もあわせてやはり研究所はやっていくのでしょう。そういう形をやって、こちらはいわゆる国産炉の自主開発を進めていくということは、これは重複するのじゃないですか。同じ開発だけというけれども、研究開発ですよ。これはどういったってまだないのですから……。日本には導入じゃないから。そういう点がわれわれ明確じゃないということですよ。そういう不経済な、いわゆる同じように進めていくのかと、その部門だけは事業団でやるというかっこうになるのか、この点、どうもはっきりしないと思いますが、その点を聞きたい。
#79
○政府委員(村田浩君) その点、はなはだ動力炉開発を進めていく上での重要なポイントだと思います。それで、この事業団の構想ができます際から、その点につきましての種々検討が行なわれたわけでありますが、この事業団が行ないました動力炉開発は高速増殖炉とそれから特定のタイプの新型転換炉に限られております。この二つの動力炉の開発並びにこれに必要な研究については事業団が責任を持つわけです。その責任を持つということは、もちろんみずからそれに必要な研究開発をやるということも責任をとる通常の方法でございますが、しかしながら他方において、せっかく原子力研究所のような研究機関があり、あるいはまた大学でも相当の原子力工学科というものができておりまして、そこで相当未臨界実験装置等をもっての実験が行なわれておりますし、さらにまた民間のグループにおきましても、それぞれ原子力研究開発の施設を持って、またスタッフも持っております。したがいまして、こういった各方面の研究開発機関を有効にこの動力炉開発計画に協力してもらうことが一番大切な点だと思いますので、責任は当然事業団が負うわけでありますが、その責任の負い方は、まず第一にこの二つの動力炉の研究開発についてのスケジュール並びにその内容、何をどういうふうにやっていくか、こういった、いわゆる企画であります。これは全面的に事業団がやらなくてはいけないわけでありまして、そのやられました企画の中でたくさんあがりました研究項目のうち、この研究項目は、たとえば原研のどこでやってもらうことが一番いい、これは民間のそのグループのところがいいじゃないかということも検討いたしまして、その線に沿った形で委託研究をやっていきたい、その際に、たとえば原研で申しますと、本来原研に備えてあります研究設備、これは相当な設備がございますが、これを使って協力できるものはその必要な研究費を委託費としてお渡しする、あるいはこれは今後のことでありますが、原研に新たな施設を――一般的な施設でございますが――必要とするその新たな施設の中で動力炉開発に必要な点を付加したほうが非常に効果的な研究ができるという場合には、そういった一部の設備等も含めた形の委託ということも考えなければいかぬかと思っております。しかしながら、いずれにしましてもそういった二つの動力炉の開発に必要な資金というものは、一元的にこの事業団につけまして、その事業団がただいま申しました計画に沿って各研究機関の協力を得るように運用してまいります。しかし、どこの研究機関もができない、やるところがないという場合、こういった場合、事業団がやるほうが能率的である、その必要性があるというものにつきましては、やはり事業団がみずからやらなければならぬものも出てくるかと思います。しかしその点につきましては、事業団が事業を始めます際に、原子力委員会の議決を経て定められますところの基本方針並びに基本計画というものがございます。これに即してそこのところを円滑に運用してまいるようにしたい、こういう趣旨でございます。
#80
○向井長年君 そうなってくると、これまた性格論に入ってくるのですが、とにかく一般の民間に委託、こういう問題については、これはわかります。しかし研究処理、この部門だけはひとつ委託するということになれば、これはやはり資金的というか、予算も事業団から渡してやらす、こういうかっこうにならざるを得ない。そういうかっこうでいくのは事業団そのものの性格、だからやはり事業団においては研究開発の施設をまずみずから持つ、こういうかっこうになりますか。そうして部分的にはやはり民間に、あるいはその他の機関にいろいろと委託してくる、こういう形が若干生まれてくるのじゃないかと、こう思うわけですよ。その点、いま言われた研究所の場合においては、独自の研究開発をやっておる。しかしこの部分については事業団から委託するという場合も、あるいは吸収するという場合もある、こういう場合においては研究所みずからの予算をもってやっておるわけです。事業団は事業団としての予算をもって委託するということになれば、こちらからそれに対する裏づけをしなければならぬ、こういう結果になってきます。そこで具体的にそういうことになってくると、やはり衆議院でもいろいろ問題になった、あくまでもこの事業団の性格そのものがボード的な性格、まず頭脳である、こういう形から、実施部隊からはある程度遠ざかる形になるのじゃないか、これはあちらでもだいぶ問題になりましたけれども、この問題をまず本院におきましても一応説明を願いたい。
#81
○政府委員(村田浩君) 先ほど来申し上げましたように、わが国としてこれまでに経験のない大規模な開発、プロジェクトをこの事業団を中心として行なうわけでありますから、いろいろな面で新しい問題に逢着するわけでございます。そこで、事業団のあり方あるいは運営の方法というものもこれからその基本的な考え方はもちろん当然あるわけでございますけれども、実質的な、実際的な運用のやり方というものは、原子力委員会を中心に、事業団の理事長、理事者あるいは私ども、さらに関係の民間の各機関、大学等とも御相談しながら、最も能率的な方法を開拓していかなければならぬわけでありますが、基本的に申しますと、向井先生の御指摘のように、何はさておいてもこの事業団でやってもらわなければならぬのは、この動力炉の開発についての頭脳的な仕事でございます。これはどのように相談がなりましょうとも、これをはずして事業団の存在理由はない、その点はきわめて明確でございます。つまり原研にいたしましても、あるいは民間の機関にいたしましても、あるいは大学の研究室にいたしましても、事この二つの動力炉の開発計画に協力する限りにおいては、事業団の立てた実施計画に沿ってやってもらう、そういうことによってこの開発を効果的に進めなければ、ばらばらになりまして、いつになってもまとまらないわけでございますから、そういった中心の企画を行ない、さらにそこの企画されましたことが各研究機関をフルに動かして能率的に仕上げていくわけでありますが、その仕上げ方、つまり取りまとめ、この責任は、やはり事業団が当然のこととして負わなければならない。その取りまとめにつきましては、その取りまとめられたものが当初の企画と照らし合わせまして、はたしてこれでいいかどうか、さらに改良を要する点があるかどうか、こういった評価、研究開発の評価、これは非常に大切な点でございますが、この責任も事業団がとらなければ総合的な評価というものはむずかしいと思います。そういった仕事は事業団がぜひともやらなければならないことでございます。ですから、そういう意味で、この点事業団の性格は、先生のただいまのお話で申しますボード的ということばがよろしいのかどうか、ボード的というのは具体的にどう意味するのか定義がございませんので、はっきりしませんが、そうしたような企画推進的な役割りを非常に強く持つものであるということはそのとおりだと思います。問題は、実施機関というのが何をもって実施機関というかということでありますけれども、研究開発そのものにつきましては、特に資金を別といたしまして、人材の面でいまにわかにこの事業団に全国から何千人からの人を集めるということはとうてい不可能でございまして、かつまた各機関におられます人材を一人、二人と引き抜いてきて連合軍をつくりましても、すぐに実際の仕事ができるものでもございません。したがって、最も能率のいい研究開発の姿を考えねばならぬとすれば、当然一つの組織として持っておる頭脳、人材というものをフルに活用する方法を考えつつ、それにふさわしいやり方をつくり上げていかなければならぬ、こういうことだと思います。そういったことに最大の眼目があるわけでありますが、先ほど私が申しましたのは、そういうふうに活用しようと思いましても、新しい仕事でございますので、国内に適当なそういう組織がない、あるいはまたありましてもこちらに協力してもらう余裕がないという場合に、ただ漫然とそこをあけておくわけにはいきません。そういった場合には、何らかの形で事業団が考えざるを得ない、その考えますのがみずからやるのがいいのか、あるいはまたどこかいまやってないけれども、そこにやってもらうことを新たに考える、そして協力してもらうように努力するのがよろしいのか、それは今後の基本計画というものの中で具体化していく上において漸次明らかにされていかなければならぬ問題であると思います。
#82
○向井長年君 長官これはしろうとにわかるように話してください。ということは、事業団ができるとなれば、国産炉の自主開発、こうなってくると、どこかに事業団みずから研究所をつくって、そこで人材を集めて一つの国産炉をつくっていこう、こういうようにしろうとは思うのですよ。しかしながら参謀本部的な、いわゆる頭脳のいい事業団であるとするならば、一つの設計立案をやる、その実施を既存の機関とかあるいは民間とか、あるいはメーカーとか、こういうところへやらしていく、こういう形が考えられるわけですよ。だからその点、いまのところは明確じゃないような感じがする。そういう点を今度の事業団は、きょうあしたの問題じゃない、長期にわたった研究開発ですから、人の問題はたいへんだと思うんだが、そういう形をどうつくっていこうとするのか、参謀本部的な形で設計あるいは立案、そういうかっこうでいろいろ研究をし、そうしてそれを実施、実験、そういうかっこうをメーカーなり研究所なり既存部隊にやらしていこう、こういう形の事業団であるのか、あるいはみずから研究所を持って人材を投入してやっていくのか、どうもはっきりしないのですよ。その点、いままでの衆議院の審議過程においては両面あるような感じがするのです。この点いかがですか。
#83
○国務大臣(二階堂進君) この問題は、衆議院でも佐々木良作先生から、もうえらい御構想も披瀝されましたし、お説も承りました。大体私どもはその佐々木先生の考えのように今後の運用を持ってまいりたいと思っておりますが、何しろ広範にわたるプロジェクトに取り組む事業団であります。したがって運営も私は従来ある事業団の運営とはやや形を異にした運営にせざるを得ないと思っております。もちろん参謀本部的な事業団だと、こういうことに全部なってしまうと、トンネル会社じゃないか、金さえ取って配ればいいじゃないか、こういうことになりますと、実際この長期の計画を具体的に進めてまいります場合に、たとえば予算の折衝がございました場合に、一つのプロジェクトをつくる場合、これを民間の団体、あるいはたとえば原子力の株式会社、あるいは原子力研究所、そういうところに委託するような場合には、やはり大蔵省がそういうものは民間から金を借りてやったらいいじゃないか、国の金はできるだけ少なくていいじゃないか、こういうことになってしまうと、せっかくこの長期計画というものが、国の責任において進められなければならない計画というものが、おくれてしまうという心配が私は多分にあると思うのです。ですからその辺のところは今後の運営に待たなければなりませんけれども、私は、一から十までこの事業団が研究してものをつくって実施をやるということにはならぬと思っております。これは実際頭脳を持った実施部隊と申しますか、研究機関があるわけであります。先ほど申し上げたようにそういうものに委託してやらしたほうがより効率的であるし、より時間も少なくて済む、こういうことが明らかでございますので、そういう場合にはそういうところに委託をして仕事を進めたほうがいい、しかしそれなら純然たるトンネル機関になってしまう。ただ頭脳を、参謀本部があればいいんだということになりますと、この事業団の性格がぼやけてしまう、つまり国の責任において総力を結集してこの仕事を進めなければならないという大きな使命が失われてしまうことになる、この点は率直に申しまして多少私はぼやかしていくということを言うと、それでは困るとおっしゃるかもしれませんが、実際これから二千億の予算というものを実はつぎ込んでいかなければならない、そうすると、そういう姿なきものであってはなかなか予算がつかないというのが現実でございます、いまの財政法、予算の仕組みから申しまして。ですからその辺のところは、これは打ち明けた話ですけれども、ひとつ先生のおっしゃる私は考え方もよくわかっております。そういうことを頭に置きながら、いかにして国が責任をもって、総力を結集してこの事業団を計画的に進めていけるかということを頭に置きながら実際のこの具体的な事業の実施にあたっては、いろいろな実施部隊に委託をしてやらしていったほうがいいんじゃないか、そうしたことが両々相まって、この中にも書いてあります、総力を結集した事業団の新しい運営になるのではないかと考えておりますから、いまここで明確にしろということもわからないではありませんが、その辺のところは多少手綱をゆるめて御質問くださったほうがいいのではないかと私は打ち明けて申し上げるわけですが、御了解願いたいと思います。
#84
○向井長年君 苦衷のほどわかりますが、長官、ぼくはそんなに大蔵省は考えていないと思うのですよ。一番冒頭に言ったように、日本の今後の技術水準の確保から考えて当然大きな問題ですから、堂々と胸を張って私は大蔵省に言うべきだと思うのですよ。ただトンネル会社でないと思うのですよ。トンネル会社でなくて、いま言ったようなボード的な性格、こういう形は少なくとも事業団で設計、立案をし、そうしてやはりみずから金を出し、委託をしてやらす仕事ですから、別にトンネル会社ではないですよ。あくまでもこれは委託してやらすのだから、政府でやっているわけですね、この政府側の事業団でやっているわけですから、そういう意味においては別に、大蔵省いろいろ言いますけれども、ひとつ胸を張って、堂々とやっていただいていいと思うのですが、ただ心配することは、事業団をつくった既存のいわゆる研究開発ですね、その問題とのかみ合わせがどうなるだろう。われわれは、既存の機関というものは十分活用しなければいかぬ、こういう立場に立っているわけですよ。しかし、それがそういう形でなくて、特定の形になりゃしないか、あるいはまた、それが場合によれば、うやむやになるんじゃないかという、若干そういう心配があるから、この問題の性格論を言うわけでありますから、ひとつこれは胸を張って堂々とやはり予算を取って、それから本来の目的を達成するようにやってもらいたいと思うのですがね。
 そこで、具体的な新型転換炉の問題でございますが、われわれは本来、まだ世界各国で開発されていない高速増殖炉一本で日本は取り組むべきだという考え方を当初から持っているわけです。新型転換炉の場合においては、これはカナダ、英国でそろそろ完成するのじゃないですか、来春くらいに、あるいは来年くらいに。そういうようなこともわれわれ聞いているわけです。したがって、もちろん国産炉自主開発、けっこうですよ。しかしながら、各国で開発されていないものをみずから長期にわたってこれから開発しようということは、これはいろいろな意味から当然必要だと、しかし新型転換炉がそろそろでき上がりつつある。こういう方向であるならば、われわれから考えるならば、コスト、経済性も考えて導入、改良開発ということも考える必要があるんじゃないか、こういう感じがあるわけです。この点を初めから新型転換炉、高速増殖炉と、こう打ち出しておりますが、この点は、そういう形も一つの要素ではなかろうか、こう思うのですが、いかがでしょう。
#85
○政府委員(村田浩君) 事業団が行ないます動力炉の開発が、先ほど申し上げたように、高速増殖炉と新型転換炉の二つになっていることは、御指摘のとおりであります。その場合に、わが国の将来の原子力発電、これは非常に大きな規模になる見通しでございますが、これをささえる動力炉として必ず必要なのは高速増殖炉であります。わが国のように核燃料事業の決して十分でない国においては、特に高速増殖炉の実用化ということが、一刻も早く期待されるわけであります。したがいまして、この動力炉開発事業団において、高速増殖炉の開発ということにまず十分な力を入れていきたいということは、そのとおりでございますが、高速増殖炉と申しますのは、何と申しましても、熱中性子型の原子炉と違いまして、原爆と同じ高速の中性子を炉の運転に使うという点において、やはり非常な技術的な困難さを伴ってくるわけであります。わが国のように、特に安全性につきましては、当初から非常に慎重に扱ってきている国において、やはり安全性を中心とする技術開発というものは、わが国において、十分納得をされるようになされていかなければ、ただ早ければ、早いほうがいいということでは済まないと思うわけであります。
 さらにもう一つの点としまして、高速増殖炉を実用化し、また高速増殖炉、たとえば百万キロワットのものをどんどんつくっていけばよろしい、技術的にそうなりました段階において、もう一つ問題になりますのは、これに必要なプルトニウムであります。御案内のように、高速増殖炉の炉しんはプルトニウム燃料でつくる、これは現在の世界を通じての基本理念でありまして、その線からまいりますと、百万キロワットの高速増殖炉でありますと、大体炉しんに、設計によって違いますが、少なくても二トン、大体四トンぐらいのプルトニウムが必要とされております。これだけ多量のプルトニウムをつくりますには、そう一挙にできることではございません。わが国は、このような平和利用として使われるプルトニウムをこれからつくっていかなければならぬ。でございますから、ただいま主として軽水炉による今後約十カ年六百万キロワットという計画ですが、あるいは主として熱中性子炉によりますところの二十年間に三千万ないし四千万キロワットという計画は、それ自体の経済性、実用性ということについて、日本で将来の高速増殖炉のために、プルトニウムの生産ということが一つの大きな役割りとしてあるわけであります。そういった点から考えますと、やはり熱中性子炉が相当ある、そのベースの上に高速増殖炉が成り立っていくのでございますから、この技術的な困難性とプルトニウムの問題、両方からあわせ考えますと、わが国の置かれた条件からしては、どんなに早くても十五年ぐらいかかる。大体十五年から二十年の間かかると見るのが最も妥当であろうというのが、原子力委員会の検討の結果でございます。そういたしますと、その間外国で開発されました、いわゆる今日在来炉といわれているものを導入し、これを国産化していくわけでございますが、これに対してなぜ新型炉を必要とするか。これは今日の在来型炉、これはイギリス、フランスで開発されました天然ウラン黒鉛減速ガス冷却型と、それから米国で主として開発されました軽水減速冷却型でありますが、わが国の条件からしましても、今日の見通しでは、まず軽水減速冷却型が実用性並びに経済性において、天然ウラン型よりすぐれていることは、ほぼ間違いないと見てよいわけでありますので、そうなりますと、電力会社としましては、この軽水型を今後どんどんつくっていくということになるわけであります。ところが、軽水型は困ったことに、経済性、実用化の点においては、すでにすぐれた点を立証しているわけでありますけれども、燃料としてどうしても濃縮ウランが要る。濃縮ウランでないと動かないわけでありますし、そうなりますと、濃縮ウランをどこから入手するかという問題にぶち当たるわけでありまして、今日の情勢では、アメリカ以外にその供給源がない。そうしますと、他のエネルギー源に比べまして、非常に国内的な純国産的なエネルギーとしての意味を持つ点で重要である原子力発電が、ある一国に供給を依存しなければならない燃料によるのだ、こういうことになるわけで、その点一つの矛盾が出るわけであります。将来非常に大規模の原子力発電を行なう際に、大量の濃縮ウランをアメリカからだけ輸入するほかないということは問題であります。これを解決するためには、一つは、濃縮ウランを国産化するということ。他の一つは、濃縮ウランでない燃料で発電ができないか。しかも経済的にできないか。こういうことでありますが、この第二の点につきましては、軽水炉というものが濃縮ウランを必要とするということとあわせて第二の点で問題なこと、それは燃料経済が悪いということでありまして、この型によっておりますと、地中から掘り出されましたウランの有効に使われます比率が非常に低いわけであります。天然ウランで申しますと、一トンの天然ウランの中で軽水炉にずっと使っていきます限りにおいては、エネルギーに利用されるものはわずか一%にすぎない。そういたしますと、軽水炉による限り、この天然ウランに関しての燃料消費量が非常にふえるわけでありまして、これは日本のような国では非常に大きな問題であります。そこで、わが国としては燃料の有効利用、このことは、結局燃料経済をよくするということでありますが、そういった観点がどうしても大切な問題である。そういたしますと、先ほどの濃縮ウランに依存しないということと、燃料の有効利用をはかるという観点から、何かほかに新型炉はないかということで、この問題にぶつかるわけでありますが、この新型炉として、ただいま向井先生はカナダとかイギリスとかですでにもう近々できるではないか、したがって、これももし必要であれば輸入すればいいじゃないか、そして国産化をはかれば事足りるではないかという御質問かと思いますが、これは一つの考え方だと思います。ただ、私どもとしましては、第一にカナダ、イギリスで行なわれておりますものは、それぞれの国の背景のもとに進められている計画でありまして、日本の国情に適したことを向こうでわざわざ考えてやってくれているわけでは当然ありません。カナダで申しますと、カナダは御存じのとおり、プルトニウムの回収を考えないたてまえであります。いわゆるワンス・スルー方式をとっております。日本はプルトニウムこそ国内でできます新しい核燃料資源でございますから、これを有効に使わなくてはいけないという立場で、この点は全く違うわけでございます。イギリスの場合には、御案内のとおり、最近ケープンハーストにありますところの濃縮工場の規模を拡大しまして、国内で濃縮ウランを、アメリカより若干高目ではあるようでございますが、相当量生産できる体制をつくっております。したがって、低濃縮ウランを使うということにつきましては、別にアメリカに依存する必要がない。したがって、低濃縮ウランを使う新型炉をいまつくっておるわけであります。
 ところが、これらの状況に比べてわが国の場合は非常に違っておるわけでありまして、濃縮ウランを国内でいまつくる計画は、事業としてはございません、研究はやっておりますが。他方、また、カナダと違ってプルトニウムを十分再処理して回収して利用したいわけです。そこで、簡単に申しますと、カナダ型の原子炉とイギリス型の原子炉の中間的な性格を持ったものが最も日本として適しておるということで、この型をわが国の新型転換炉の開発計画として取り上げておるわけでありまして、したがって、カナダで来年完成するといいますのは、わが国が考えているようなものではありませんで、重水・重水型でありますが、これはなおさらわが国の背景とは遠いイギリスの場合の濃縮ウランを使う原型炉も、これは来年にはできますが、そのままではわが国の実情に適しない、こういうことからこの事業団で取り上げることにしたわけでございます。
#86
○向井長年君 いま言われたように、新型転換炉でやはり燃料サイクル、特にプルトニウムの生産、こういう立場から新型転換炉が必要になってくるでしょう。したがって、英国、カナダにおいても、新型転換炉というのは燃料が十サイクルということでしょう。したがって、それから考えると、微濃縮ウランというのですか、そういう形になって、私も技術のことはあまりわからぬけれども、そういう型で新型転換炉は、やはり燃料がいわゆる軽水炉から考えると要らないのだ、そういう立場で考えるならば、いまカナダなり、あるいはイギリスで開発しつつある、ほとんど完成に近い、それを取り入れて国産、いわゆるわが国に合うような改良開発を行なっていくべきじゃないか、こういう考え方があるわけですよね。だから、そうなれば、やはり燃料の問題、プルトニウムの生産ということが生まれてくるんじゃないか、こういう形で私はいま聞いたんです。高速増殖炉というのは、世界各国どこでも開発されてないから、これに総力をあげて取り組むということは当然のことだし、またやらなきゃならぬ。これは最も核燃料が少なくて済むわけですから、これはいいんですが、新型転換炉がもう完成に近いではないか。しからば、それを導入して国産の、いわゆる日本に向いた改良開発をやるべきではないか。そのことによって初めて燃料の問題も解決するんではないか、こういう考え方があるわけですよ。われわれあまり技術的にはわからぬけれども、この点どうなんですか。だから、カナダ流あるいはイギリス流と言われるけれども、このまま持ってこいと言っているのではない、それを導入、改良開発をやれ、ここに私は重点を置いて、高速増殖炉一本で日本は開発に進むべきじゃないか、こういうことを言っているわけです。
#87
○国務大臣(二階堂進君) いま向井さんの質問、私もしろうとでありますから、しろうとが答弁したほうがわかりやすいかもしれませんが、先日、英国の原子力公社の副総裁という人が技術者と見えまして、それで私は、あなたのほうでは新型転換炉は大体いつごろから実用化される段階になると聞いたら、少なくともまだ七、八年かかると言っております。七、八年――いま向井さんは大体二、三年のうちになるのじゃないかという御質問でございます。私は、これはじきじき英国の副総裁から聞いたことばですから、私も英語はわかりますから間違いありませんが、七、八年かかると、こう言っておりました。そういう段階であります。
 それからもう一つは、先ほど局長が御答弁申し上げたように、やはり新型転換炉と申しましても、燃料も違う、それから冷却剤も違う、これは独自のものを日本でやるように考えて研究しておる。これは多少しろうと的な答弁になるかもしれませんが、そういうことがあるようであります。究極の目的は高速増殖炉、私もいろいろ調べて見ましたが、アメリカ、ソ連、イギリス、カナダいろいろやっておりますが、これは十数年、二十年かかる。それで究極の目的は、日本も燃料の対策から考えまして、高速増殖炉に取り組む姿勢は、これは最終的のターゲット、それが将来になりますというと、これは核融合の熱量において発電になるでしょう。これはどうしても三、四十年、五十年のあとの問題でありまして、とりあえず――高速増殖炉ですから、それにいきなり取り組めばいいじゃないかというお話はわからぬじゃありません。しかし、やはり段階として、日本は日本独自の国情を考慮して、燃料を考えた新型の転換炉というものを研究して、十分開発できるという自信を原子力委員会も持っております。原研も持っております。そういうものを開発したほうがいいんじゃないか、こういう考え方であるようでございますから、究極は、どこの国も同じでありますが、私はやはり日本独自の技術をもって開発する。しかも、燃料の問題を考慮に入れて転換炉を研究開発することは、これは当然であろうと思っております。その間やはり部分的には、外国のすぐれた技術があれば私はこれを導入して、さらにそれに改良を加えていくことはこれは当然じゃないかと思っております。
#88
○向井長年君 その点はいろいろむずかしい問題もあると思うのです。われわれしろうとが、ただいろいろな資料を見て言っておるだけではいかぬと思いますが、本質は在来炉ですね、現在の軽水なり、この問題は濃縮ウラン一本で、しかも燃料がたくさん要る。一国から輸入しなければならぬということはよくわかりますが、しかし現在、原子力委員会においても計画して進めておるのは、一般民間がいま開発しようとしているのがそれですが、これとても国産炉の開発をやっていく必要があるのですね。ただ事業団は、新型転換炉、高速増殖炉一本の方向で進んでおるけれども、これは既存の機関でやりなさいという立場になっておるのか、やはりコストの問題を考えれば、当面する問題、高速増殖炉、新型転換炉、いま長官が言われたように八年かかる、外国ですら、あるいは場合によれば二十年かかる、こういう中でやはり実際軽水炉で開発していかなければいかぬという、こういう形でいま現にやっておりますから、これは簡単ですが、したがって、やり方としてはそうなってきたら、これはもう原子力委員会でいいのだ、こういう形でいいのか、これもあわせて、やはり国産改良開発というものが必要ではないかと思うのですよ。これは事業団では全然扱わぬ、既存の機関でやりなさい、こういう考え方でこの問題をとらえておるのか、この点いかがですか。
#89
○政府委員(村田浩君) 事業団のほうでは、直接軽水炉の国産化について仕事をする予定ございません。ただ事業団のほうで開発します新型転換炉は、いわゆる重水減速と軽水冷却型でございまして、これに使われる燃料要素等は、ほぼ軽水炉と似たようなそういう技術のものであります。したがって、そういう意味での軽水炉の国産化に利用される共通部分がございます。それを除きまして直接メーカーの国産化のための助成をするというようなことは、この事業団では行ないません。しかし、政府としましては、ただいま科学技術庁で持っております原子力平和利用の補助金委託費を国産化に利用する、あるいはまた原子力研究所で行なっております動力炉開発研究のほうで協力する、たとえば現在あそこにございます一万二千五百キロワットのJPDR、動力試験炉というものがございますが、これを出力倍増に改造することにしております。改造費としては約十億円余りを必要といたしますが、その趣旨は、あの炉は非常に小型でありまして、つくりましたのが古いので、これから国内にできていきます大型の軽水炉とかなり条件が違っております。それを今度改良しまして、大型の実用炉と同じような条件に炉の中をいたしまして、そして、国内のメーカーがつくりました材料、ことに燃料要素をこの中に装入して実地試験をさせる、それによって成績がどうかということをはっきりさせまして、これを実証するといっておりますが、そして電力会社が、これならば国産の燃料を使ってもだいじょうぶだということで、国の力によって助成してまいろうと、こういうふうなことを考えておるわけで、事業団とは別なチャンネルで国産化の推進をはかっていきたいということでございます。
#90
○向井長年君 矢追君も質問があるようでございまして、またあさって質問したいと思いますから、きょうはこのくらいでおきたいと思いますが、最後に一点だけ。
 この原子力開発利用長期計画、この中でね、高速増殖炉の開発は昭和六十年代の初期に実用化することを目標として開発を進めると、こうなっておるわけですよね。だからたいへんですよ。昭和六十年度ということはもう十七、八年しかありません。そこで、十年の間に、先般総理からも答弁がありましたが、あるいは長官からも言われておるし、大蔵大臣も確言しておるようですが、二千億程度の資金を投入すると、こう言っております。ところが、いろいろ諸外国の炉の今日までに至るいろいろ調査いたしますと、とっても二千億でできるような状態じゃないですよ。大体数千億は最低かかるという、こういういろんな学者の資料もありますよね。しかし、こういうようにして一つの計画を進められる。政府は二千億、今度こそ大きな力をもってこれは推進するんだと、こう長官も言われておるが、この計画、これは総理なり、大蔵大臣に聞かなけりゃ問題でしょうが、年次計画ですね、いわゆる長期計画ですから。この中で、やはり資金的な裏づけという問題について、長官は、十年間で二千億という政府の現在の形である程度完成できると、こういう考え方を持っておられますか。この点は予算のこれからの進め方ですから、むずかしい問題である、直ちにどうということは言えぬでしょうけれども、やはりそういう覚悟をもって進まなきゃならぬじゃないか、諸外国の実例を見まして。その点二千億といえば、鬼の首をとったような気持ちで十年間二千億ということを総理は本会議でも言いましたけれども、こんな状態ではとても足らない。あわして、この年次計画はどうなっておるかということだけを、きょうお聞きしまして、あさっての質問に譲りたいと思います。
#91
○国務大臣(二階堂進君) この具体的な計画につきましては、数字をもって局長も説明するでしょうが、私は、この問題は、この二千億で必ずしも十分であるとは思っておりません。予算折衝のときも、もっと大きな数字を持ち出したわけですけれども、一応大体十年間に二千億という目標をきめて大蔵省と話をしたわけですが、先日、衆議院の委員会において、総理も、あるいは大蔵大臣も、いろんな問題はあるけれども、国が政策としてこれを取り組むときめた以上、必要な金は出しますと、また、財界等の協力も二千億程度の中であれば、日本の経済がどういうふうに変わっていこうとも、それだけの負担能力は心配ないという確信を持っていると、こう大蔵大臣も、総理も答弁なされましたが、私は、まあこの資金の問題については、来年度からがいよいよ勝負と思っております。ですから、私はこの予算の問題については非常な決意をもって予算折衝に当たりたいと思っておりますが、これには皆さんの御協力もなければなりませんが、そう私は心配はいたしておりません。これはむしろ大蔵大臣にお聞きになったほうがもっと明確な答弁が出るかと思っておりますが、私は、そういう金は二千億以上も要る、もし要る場合には、政府も民間も十分これにこたえ得る態勢が私はある、できると、こういうふうに確信を持っております。
#92
○向井長年君 ここに昭和六十年度の初期にはほぼ完成だということをこれは出している。この計画に基づいて二千億というものが出たのですか。したがって、ただ現状では二千億ぐらいひとつぶち込むのだ、こういう覚悟でなくて――これは原子力委員会ではこれを出していますよ。したがってそういうことを、完成は、日時的に言えば二十年後になりますからね。そういうことで二千億ということを考えられたのか、この点どうですか。
#93
○国務大臣(二階堂進君) いま昭和六十年とおっしゃると、まだことしは昭和四十二年ですから、まあ約十八年あるわけですから、十年間に二千億と、こういう考えでございますから、まあ十年立ってみてまたどうするか。そのときさらに、七、八年後の問題ですから――十年間に二千億ということですから、その程度のものは計画的に進めても十分間に合う、こういうふうに考えておるということを申し上げておるわけです。
#94
○向井長年君 あさってやりますから……。
#95
○矢追秀彦君 時間もおそくなりましたので、簡単にきょうは終わりまして、また次に譲らしていただきたいと思いますが、原子力の問題に入る前に、科学技術全体についてお聞きしたいのですが、現在の日本の科学技術に対する政府の取り組み方は、非常に弱いということを私たちは感じております。この科学技術が現在の世の中で占める影響力というものはますます重要になってくるわけです。現在、特に政府機関の科学技術庁というものがありますけれども、私は、これは将来もっと大きくさせなきゃいけない、科学技術省にまで昇格をさせるべきだ、まあこう考えておりますけれども、諸外国においては、すでに科学技術というものは省になってきておりますし、この点について、長官はどのようにお考えになっているのか、まずお伺いします。
#96
○国務大臣(二階堂進君) まあ私も、この機構を大きくしていけばそれで十分だという考え方そのものが適切であるかどうかは、これは問題があると思っておりますけれども、しかし、科学技術庁ができて十年間、しかも、この科学技術庁は、原子力の問題を中心にして総理府からでき上がった庁だと承っておりますけれども、いま先生がおっしゃるとおり、やはりこれは今後の科学技術の国の産業経済等に占める比重から申しますならば、私は、やはり将来できるだけ近い機会に省というものに昇格、そして科学技術全般に対処する体制というものを私はつくったほうがいいのではないか、これはまあ個人的な考えですけれども、そういうふうに私は考えております。
  〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
#97
○矢追秀彦君 いまの意見だけではなしに、やはりそれを具体的に実現させるような方向に行ってもらいたいと、こんなように思います。それとともに、これはきょうの議題とは直接関係はございませんけれども、大きな科学技術という問題になれば関係が出てまいると思いますが、科学技術基本法でありますけれども、これがなかなか出てこないわけですけれども、一昨年だったと思いますが、私もこの科学技術基本法については質問をいたしました。当時は上原長官でありましたけれども……。要するに、科学技術基本法の考え方のいわゆる科学技術というものは、自然科学に限られるのではないかと、このようにあの当時は聞いておりました。ところが、政府委員の答えは、人文科学を含むと、こういう話でありました。ところがまた自民党の党内のほうで、人文科学はとってしまうという議論が起きたとか、そういうことでなかなか基本法として出てこない。まあ学術会議の意見等もあるかと思いますけれども、これは今後どのような見通しでおられるのか、長官からお聞きいたしたいと思います。
#98
○国務大臣(二階堂進君) 私は、これは科学技術政策を国の基本方針として進める場合には、やはり基本法といったような法律をもって裏づけていかなければならないと、これはもう根本であると思っております。したがいまして、この問題は、就任以来文部省との間に話も進めていっておりますが、両省の間では大体基本的には考え方がまとまっておりますが、いよいよ法律を提出する際になりますと、御承知のとおり政府、与党という立場で党側の了承も求めなければならない。ところが党側において、文教委員会等において、人文、自然科学等の範囲内に関することでいろいろ問題があるようでございますが、大体六月の二十日ごろまでには出したいということで鋭意検討をお願いしておりましたが、意見の一致を見ずに今日になっておりますことは、まことに私は責任者として申しわけないと思っておりますが、しかし、せっかく党側におきましても特別の小委員会等をつくりまして、この一致点を見出すべくせっかく努力をいたしてもらっておりますが、少なくとも私は今国会中においては、法案として国会に提出することは断念せざるを得ない状態に追い込まれておりますが、しかし、一致点を見出して次の国会には法律を提出できるようにお願いいたしておりますし、また、大体そういうふうにまとまるものではなかろうか、かように考えております。
#99
○矢追秀彦君 長官は、いまの自然科学と人文科学の問題ですね、どうお考えですか。
#100
○国務大臣(二階堂進君) これはいろいろ議論があるようであります。私も学者でないからここで意見を申し上げて、またどうかというふうにお尋ねになるのも困りますが、科学技術会議等の答申を見ますと、やはりこれは自然科学のほかに、関係のある人文科学も取り入れるべきだという一応の、中間答申でありますが、答申が出ておりますから、その答申から申しますならば、自然科学の分野だけに限るという考え方ではいかがかと思っております。しかし、そういう法律はまた別といたしましても、私はこの秋ごろまでには、科学技術の計画を樹立する上に必要な、わが庁として考えておりまする科学技術開発の基本計画というものを出したいと思っておりますが、学術会議等の答申から受けまする考え方は、必ずしも人文を除外すべきではない、こういう考え方になっておるようでありますから、その線に沿って私どもは文部省との間に話を一応きめておるわけであります。
#101
○矢追秀彦君 それから原子力の問題ですが、現在科学技術庁の中に原子力局というものがあります。また、原子力委員会というものが別に設けられておりますけれども、おもに諸外国の例を見ますと、原子力というのを一つの省にしてしまって国務大臣が担当して、担当大臣がついている国もあります。
  〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕
やはりこれからのビッグサイエンスの方向としては、宇宙開発それから原子力、この問題は、相当さっきの科学技術省の問題にかかりますけれども、やはり科学技術省というものにして、そうして宇宙開発庁、また原子力庁というものをつくって、それに大臣を担当させる、やはりそういう方向に持っていかなければならないんじゃないかと思います。そういうことに対して、いますぐというわけにはそれはいかないかもわかりませんけれども、それに対しての方向ですね、プログラムというものをお持ちであるかどうか、お聞きしたいと思います。
#102
○国務大臣(二階堂進君) 原子力庁とかあるいは宇宙開発庁というものをつくったらどうかと、これはお考えのようでありますが、これは将来の問題として私は検討に値する問題だとは思っておりますが、いま直ちにそういう機構をつくるということは、なかなかむずかしいのではないかと思っております。将来にわたる考え方としては、私はそこまで持っていかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
#103
○矢追秀彦君 いまから法案のほうに入りたいと思いますけれども、この原子力開発につきまして、特に原子力発電について、いろいろ現在も行なわれておりますけれども、いままで民間でもやってきて、特に民間のほうの話を聞いておりますというと、相当な赤字を出して今日までやってきた。今後こういった動力炉というものは、かなり先の話でありますけれども、転換炉の話はただいま相当お話を伺いましたが、そのつなぎとしてやっていくと、こういうふうに言われておりますが、今後その原子力発電の、これは株式会社になっておりますけれども、これからの方向として、いままでの赤字を埋め合わして、しかも、かなり経済性が成り立って、しかも現在アメリカでは相当安く電気は供給されておりますけれども、そこまでいくには、どういうふうな方向でいくか、このプログラムを示してもらいたいと思います。
#104
○政府委員(村田浩君) わが国で原子力発電を最初に実施いたしましたのは、日本原子力発電株式会社の東海発電所でございますが、これは昭和三十二年に原子力発電会社が設立されましてから、イギリスと交渉しまして、三十四年でございましたか、契約が成立して、イギリスで開発されましたコールダーホール改良型炉を導入いたしたわけであります。これが建設に約六年を費やしまして、一昨年五月に臨界に達し、その後種々の性能試験を行なった結果、今般所期の定格出力である十六万六千キロワットまで出すことができるようになっております。ただ発電所を建設するにあたりまして、原電としましては、何せ新しい問題にぶつかりましたために、技術的な問題のみならず、いろいろの点においていろいろな経験を経ながら苦労してきたわけでありますけれども、特に最初の原子力発電所でありますために、わが国として耐震構造を中心とする安全性という問題に特別の力を入れまして、そういった点では、導入炉とはいいながら、構造設計にはわが国独自のものを取り入れてもらった、そういうことから、かつまた、工期が当初予定よりかなり長引いたことと相まちまして、建設費が当初予算より相当大幅に増加いたしたことは、御案内のとおりであります。したがって、これによりまして発電されます電力のコストは相当の高いものになるわけでありますけれども、しかし、第一号原子力発電所としての、いわば経験を得るためのいわゆる勉強代というものもあるわけであります。そういった研究開発費に相当するものをまあ勉強代として電力会社がこれを埋めてまいることによりまして、東電にしかるべき価格で電力を買ってもらうという形で現在運転を進めることになっております。この発電コストは、当初の見通しでは、キロワット時当たり四円九十九銭ということになっておったわけでありますが、これを上回ることになったわけであります。しかし、ただいま原電が建設中でありますところの敦賀発電所、これは沸騰水型に属します三十二万二千キロワットの発電所でありますが、さらに関西電力が建設中の三十四万キロワット加圧水型原子炉、それから東電が福島に建設中の四十万キロワットの沸騰水型原子炉、これらによりますと、大体建設費が、キロワット当たりでおおよそ十万円程度に下がってきております。それからまた規模が大きくなったこともございまして、当初発電コストは、大体キロワット時当たり三円程度で可能である。原子力発電所の特性として非常に資本コストが高いために、償却が進みますと発電コストが下がるわけであります。二十年の平均でとりますと、この三十万ないし四十万キロワットの原子炉におきまして、二円五十銭余り、二円五、六十銭のところで発電可能というところまでまいっております。現在、同規模の火力発電所は、重油専焼においてやはり二円三、四十銭、新しいものでそのくらいでございますから、ほとんど重油専焼に近づいてきている。
 そこで今後の見通しは、ただいま電力会社としましては、同じ軽水型に属する炉の規模の大きなものを建設することを考えておりまして、東電あるいは関電あたりでは、その二号炉あるいは三号炉に、出力七十五万キロワットのものを入れる計画であります。その程度になりますと、大体平均した発電コストが、二円から二円十銭程度に下がってくる見通しでございます。その後において百万キロワット程度までこれを大規模化しますと、それが動く時点というのは昭和五十五年くらいになろうかと思いますが、そのころになりますと、二円を割りまして、一円六十銭から一円九十銭程度まで発電コストを下げ得るものと見ております。もちろん諸般の物価その他の変化ということはここに織り込んでおりませんけれども、これらの点からいいまして、同一規模の重油専焼火力、これは重油の価格の見通しにもよりましょうが、今日見通し得ます範囲から見ますと、同規模の重油専焼火力よりも、発電コストにおいて下回るものと予想されております。
#105
○矢追秀彦君 いまの原子力、日本の原子力発電の燃料は、結局濃縮ウランである。で、これはいま現在建設されている電力会社のが動き出して、いま言われるようなコストになるまでには相当日数が必要だと思いますが、どの程度見込まれておりますか。
#106
○政府委員(村田浩君) これから約五年間の間に建設されます予定の原子炉は、ただいま私が申し上げました敦賀発電所、美浜発電所、福島発電所を含め十二基程度が予定されておりますが、この出力の合計は、約六百万キロワットであります。これが全部運転開始いたしますのが、昭和五十年と見られますので、長期計画にいいますところの約六百万キロと見合っているものと考えております。これらをすべて軽水型で運転する、その可能性が非常に大きいと思うのでありますが、そうなりますと、これらの炉の燃料として濃縮ウランが相当量に必要である。しかも、最初に動かすときに必要な燃料だけじゃなくして、これらの原子力発電所が、耐用年数のある、つまり寿命のある限り運転されるに必要な濃縮ウランというものが確保されませんと、安心して建設をするわけにはいかないのであります。
 そこで、先ほど向井先生の御質問に御答弁申し上げましたように、濃縮ウランの今日における供給源はアメリカ一国でございますので、ただいま政府といたしましては、アメリカ政府との間に日米原子力協力協定の改定の交渉を進めております。この改定をされます原子力協力協定におきまして、ただいま申し上げました約六百万キロワットの原子力発電所を、その耐用年数の限り、と申しますことは約三十年でございますが、三十年間運転するに必要な燃料、これを濃縮ウランの量にしまして、大体ただいま手元にございます計算だと約百六十トンになるわけでございますが、これを協定によって供給できるように取りきめてまいりたい、こういう趣旨で現在アメリカ側と折衝いたしているところでございますが、私どもが折衝を通じ非公式に米側の意向を得ておるところによりますと、この程度の濃縮ウランの供給について、米国側には現在何ら異存はないということでございますので、この十年間における濃縮ウランの供給につきましては、協定面でのワクというものは十分確保されるものと考えております。
#107
○矢追秀彦君 この新型転換炉は、大体いつごろをめどとして完成いたしますか。
#108
○政府委員(村田浩君) この新しくつくられます事業団が行ないます新型転換炉の原型炉でございますが、その原型炉の建設は、ただいまの計画では、昭和四十四年まで詳細設計を進めまして、昭和四十四年末あるいは四十五年の初めに建設に取りかかり、四十九年までに完成いたす、したがって、昭和五十年から試運転に入りまして、五十一年にはいわゆる通常の運転に入る、こういうのがただいまのプログラムでございます。
#109
○矢追秀彦君 まあほんとは高速増殖炉もできないと、濃縮ウランの供給がなくてもいいというふうにはならないと思いますが、要するに、五十一年から動き出すまでの間十年間も――十年は十分ありますので、いま言われましたように濃縮ウランの供給はだいじょうぶだと、こういうことでありますけれども、その間にどんな突発事故が起こるかもわからないと思います。また、やはりアメリカへの依存でありますので、どうしても現在の第二の石油のようにならないとも限らないと思います。やはりこの開発は、相当一面は急がなければならない、こう思うんでありますけれども、実際この転換炉ができて濃縮ウランは直ちに全然要らなくなるかどうか。あと濃縮ウランはやはり発電所がある限りはかなり要るんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
#110
○政府委員(村田浩君) 昭和五十年までに完成します原子力発電所の規模が六百万キロといたしましても、その後十年、つまり昭和五十一年から六十年までの十年間に、さらに計画によれば二千数百万キロワットから三千数百万キロワットもの規模の原子力発電所を計画しなければならない、こういうことに相なるわけでございます。このような大規模な原子力発電所が、どういう型の原子炉でつくられるかということは、今日いきなりここでこうときめてかかるべきでないと思いますが、私どもの考えは、一応今後の軽水型動力炉の改良発展ということも考慮に入れますと、かなりの部分がそのようなやはり低濃縮ウランを使う動力炉になる可能性はあるのではないかと思っております。しかし他方において、ただいま私申し上げましたようなプログラムで新型転換炉を開発してまいりまして、昭和五十年にその技術的な、あるいは経済的な実用性というものが立証されてまいりますと、これを原子力発電所の計画の中に取り入れていくということになるわけでありますが、その取り入れ方につきましては、いままでありましたものをいきなり全部新型炉に取りかえるということは、国内における製造能力等も考え合わせますと、必ずしも実際的でない面もございまして、順次これを取り入れていくということに相なろうと思っております。先般衆議院における科学技術特別委員会での御審議の際、有沢原子力委員は、昭和五十一年から六十年までの間において、わが国において建設されるであろう原子力発電所のうち、約半数近くが新型転換炉になるのではないか、あるいはそのような期待を持っていいのではないかという御答弁をされておりますが、まあ目標としてはそういうところを掲げてまいりたいというふうに思っております。
#111
○委員長(鹿島俊雄君) 両案に対する質疑は、本日のところこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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