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1967/07/13 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 商工委員会 第17号
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1967/07/13 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 商工委員会 第17号

#1
第055回国会 商工委員会 第17号
昭和四十二年七月十三日(木曜日)
   午前十時四十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十二日
    辞任         補欠選任
     松平 勇雄君     森 八三一君
 七月十三日
    辞任         補欠選任
     小柳  勇君     大橋 和孝君
     和泉  覚君     白木義一郎君
     向井 長年君     高山 恒雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鹿島 俊雄君
    理 事
                井川 伊平君
                近藤英一郎君
                柳田桃太郎君
                阿部 竹松君
    委 員
                上原 正吉君
                重政 庸徳君
                津島 文治君
                森 八三一君
                横井 太郎君
                大矢  正君
                小柳  勇君
                近藤 信一君
                竹田 現照君
                椿  繁夫君
                矢追 秀彦君
                高山 恒雄君
                向井 長年君
   国務大臣
       通商産業大臣   菅野和太郎君
       国 務 大 臣  二階堂 進君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      小林 貞雄君
       科学技術庁原子
       力局長      村田  浩君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     乙竹 虔三君
       通商産業省公益
       事業局長     安達 次郎君
       中小企業庁長官  影山 衛司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力基本法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○動力炉・核燃料開発事業団法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○特定繊維工業構造改善臨時措置法案(内閣送
 付、予備審査)
○小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内
 閣送付、予備審査)
○中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣送付、予備審査)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の変更について御報告いたします。
 昨日、松平勇雄君が辞任され、その補欠として森八三一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、衆議院送付の原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#4
○向井長年君 一昨日、概略の質問を長官はじめ科学技術庁にいたしたわけでございますが、特にその中で、まあ通産にも関係いたしますけれども、この今回の事業団発足に伴って、今後の原子力行政という立場で、今度の事業団発足も、御承知のようにまず科学技術の振興という立場、それからもう一点はエネルギー政策という立場、二つの両面を持っておると思います。したがって、事業団ができた、あるいはある程度軌道に乗ったということで、すべて原子力の開発がこれで緒についたということではまだないと思うのです。この点について、少なくとも今後原子力はエネルギーの最先端をいくという立場を持ちますから、これに対するいわゆる原子力開発について、今後エネルギーの立場からどういう形で進めていこうとするか。科学技術振興と、それからエネルギー政策と、こういう二つの立場で、このいわゆる事業団が発足されることと思う。ややもすれば、事業団ができたから、これで原子力政策はある程度済んで、軌道に乗ればいいんだ、こういうものの考え方があるかもわかりませんけれども、これは私は大きな間違いだと思う。原子力開発に対する一部がそういう形で軌道に乗る方向をとっただけであって、今後いわゆるエネルギー政策という立場から考えるならば、これは非常に、まだまだこれからやらなければならぬ問題がたくさんあると思うのですが、この点についてどう考えておられるか、ひとつお聞きしたいと思います。
#5
○国務大臣(二階堂進君) 向井先生おっしゃるとおり、原子力開発の事業団ができたからといって、原子力の政策が全部緒について、円満にこれから進んでいくんだ、それで十分であるとは私も考えておりません。おっしゃるとおり、 エネルギー政策はわが国産業政策の根幹をなすものでありまして、特に、現在エネルギーの中心は油に依存していることは御承知のとおりでありますが、この油の問題を他国に九〇%以上も――もっと多い割合になろうかと思っておりますが――依存しているということは、わが国の将来の産業を考えてみた場合に、たいへんな問題であると思います。そこで、エネルギーの供給、ことに電力が中核をなすものでありますから、電力の開発ということについては、今日まで産業政策の立場からも全力を注いできたところでありますけれども、いま申し上げるとおり、燃料政策の上から申しましても、今回開発いたそうとしております動力炉の開発は、非常に大きな私は意義を持ち、役割りを持つものであると考えております。昭和六十年度の計画によりますと、大体原子力による電力の供給量は、わが国総電力供給量の二〇数%から三〇%程度の供給を考えておるようなわけでありまして、これが昭和七十年度になりますと、もっと大きな割合を占めるものと思っております。したがいまして、この電力関係の一つをとってみましても、今後動力炉開発によるエネルギーの供給というものは、非常に大きな役割りを持つものでありまして、今後この政策を遂行していく上におきましては、先般も申し上げましたとおり、国の総力をあげて取りかかっていかなければならない。これは産業政策の上から申しましても、また技術開発の上から申しましても、きわめて重要な課題でございますので、そういう観点からも一そう強力に政府は進めていく中心になって、官民一体の総力をあげていくような体制をつくっていきたい、こういうふうに考えておるようなわけであります。
#6
○向井長年君 これは科学技術庁の所管のみならず、通産にも関係いたすわけでありますが、いずれ通産関係も来ると思いますので質問したいと思いますが、私一昨日質問いたしました中で、いわゆる在来炉の開発についてどう取り組みをするお考えがあるか、こういうことをお聞きをしたわけです。したがって、御承知のごとく在来炉には、いま日本で大きく取り上げられているのは軽水炉である。この軽水炉は代表的なもので、濃縮ウランを中心にしてのいわゆる炉である。これは現在原電においても、あるいはまたこれからつくろうとする東電なり関西においてもこれをつくろうとして、いま建設途上にある。いまそういう形であると同時に、また、ガス炉もあるわけですね。これが東海、敦賀でやろうとしているのがこれだと思うのです。それから先般も申し上げましたが、英国、カナダ、こういうところで、御承知のごとくAGR、英国においてはこれは大体微濃縮ですか、このいわゆる炉を建設しようとしている。あるいはまたカナダにおいてはCANDUというのか、あまりわからぬけれども、こういうやつをいま在来炉として建設にかかっておる。日本においての軽水炉の今後の開発、国産化という問題ですね、これについて、いま事業団においては、まず新型転換炉並びに高速増殖炉、これに焦点を合わしてやろうというのが事業団の一つの目標であるわけですが、しからば在来炉のこの問題について、どうせ事業団が発足いたしましても、新型転換炉、高速増殖炉というのは、原子力委員会の計画にもあるように、十年あるいは場合によっては二十年、こういう長期計画の中から国産炉の開発をやろうとするのでありますから、これは一つの方向としていいと思うのでありますが、しかし、たとえばエネルギー政策として現在取りかかっているところの軽水炉に対する取り組みはどうしていくか、あるいはこれに対する国産化という問題についてはどうするか、この問題について、この間まだ十分な答弁をいただいておりませんので、この点ひとつ質問をいたしたいと思います。
#7
○政府委員(村田浩君) これからわが国で実際に建設されます原子力発電所は、当面主として軽水型動力炉になろうかと思います。ただいま電気事業連合会のほうで取りまとめてもらっております、今後約五年間の間に各電力会社が建設に着手することを予定しているといいますか、あるいは計画している発電所につきまして見ますと、いずれも大体軽水炉ということでいま考えている、こういうことでありまして、その規模は約六百万キロワットになっております。さらにそれに引き続く、つまり六、七年以降におきましても、ただいまのお話のごとく、新型転換炉あるいは高速増殖炉というものが実用化されますまでの期間に、さらに多くの在来炉というものが、もちろん改良されつつでございますが、実際に建設されることになろうかと予想されるわけであります。
 そこで、現在在来炉といわれているものには、この軽水型動力炉のほかに、天然ウラン黒鉛減速ガス冷却型というのがございまして、東海発電所はその型に属するものであります。また、私どもはまだ在来炉のカテゴリーに入れておりませんが、在来炉のような実証炉に近づいたところまで技術開発が進められてきている、いわばセミ・プルーブンといいますか、そういうカテゴリーに、ただいま向井先生のお話のありましたイギリスのAGR型あるいはカナダのCANDU型重水炉というものが入るかと、こういうふうに考えております。
 そこで、これらの炉型の今後の実際に建設されていく、国内で国産化されていく過程でありますけれども、軽水炉がその主流をなすのであろうということを考えます根拠としましては、わが国の状況におきまして、諸外国に比べ、一般的に申して金利が比較的高い、こういう点、資本費の非常に大きな原子力発電所の場合には特にこのことが相当経済性に影響してまいります。原子力発電所の建設は、規模大型化もございますけれども、最近の情勢ではまず六十カ月、五年あるいは五年をこえるくらいの建設工期が必要と見られている状況でありますので、なおさらそういった金利問題というのは経済性の上に大きな影響を持ってくるわけであります。それからもう一つ、わが国の状況としまして、たとえば耐震設計というようなことを考えましても、濃縮ウランを使います比較的原子炉の小型にできるものというのは、比較的そういう意味では設計しやすい、そういう点もございます。したがいまして、経済性あるいは実用性、そういうことを含めての実用性という点から申しますと、まず現在ございます各国の開発した実用炉につきましては、軽水型動力炉が一番適当しているということがいえる、こういうふうに判断されるわけであります。
 ただ、たびたび申されますとおり、軽水炉は濃縮ウランが必要である。その濃縮ウランの供給国は、いまのところアメリカ一国に限られる。アメリカは、協力協定を結びましたならば、その協定のもとで約束しました量は必ず供給するということをはっきり申しておりますので、そのアメリカの政府の確約は十分信頼できると考えておりますけれども、しかし非常に長期にわたって考えますと、まあいろいろエネルギー政策上考えなくちゃならぬ問題があろうと思います。そこで、将来非常に大きな規模の軽水型発電所ばかりができた、つくったということになりますときの問題を、やはりエネルギー政策上からとらえて、できればやはり炉型につきましても、燃料につきましても、多様化をはかるという配慮がやはりどこかでなされておかなくてはならない。そういった点から、たとえばただいまのAGRでございますが、AGRも微濃縮ではございますけれども、やはり濃縮ウランを使用します。ただ、その場合に私ども聞いておりますところでは、一九七〇年代に入りますと、イギリスのほうでもAGRの使用するような程度の濃縮ウランでございましたならば、イギリスから供給可能であるといっております。もしそのようなことが今後具体的になってまいりますと、濃縮ウランの供給源が、いままでのアメリカ一国からイギリスまでふえてくるということも考えられるわけでありまして、そういった将来の可能性ということも一応念頭に置いておく必要があろうかと思います。ただ、それはやはり可能性としての配慮でございまして、現実の問題としては、とにかく軽水型発電所が多数つくられるわけでありますから、この軽水型動力炉を一刻も早く国内で製造できるような体制に持っていくことが、今度は産業政策としてはぜひ必要だと、こう考え得られますので、この国産化促進ということにつきましては、前回も若干御答弁申し上げましたが、国の立場からは、主として軽水型動力炉のわが国の国情に適した安全性についての研究開発並びに一番のポイントであります燃料の研究開発、この二つに重点を置いて民間の会社の行なっております研究開発を助成し、育成してまいるようにしたい、そういう目的で一方では補助金、委託費制度を活用するとともに、他方におきましては原子力研究所にございます種々の施設をフルに活用して、そうして国産化に役立ててまいる。たとえば先般申し上げましたが、原研にございます出力一万二千五百キロワットの軽水型動力試験炉JPDRを燃料の国産化の実証試験に使いたいという計画を目下急速に進めております。また来年の三月になりますと、大洗に建設中の材料、試験炉が完成いたします。熱出力五万キロワットのものでして、各国に比較しても決して遜色のない材料試験炉でございまして、この材料試験炉によりましてわが国における動力炉用材料、特に燃料の国産化試験というものがフルに行なえるようになる、こういう計画で考えておるわけでございまして、これら一連の施策を通じて軽水型動力炉の国産化を確実にかつ迅速に行なわせる一方、将来の問題としまして、高速増殖炉、新型転換炉を中心に動力炉型並びに燃料の多様化、それらを総合しての核燃料サイクルの確立並びに核燃料の有効利用安定供給ということをはかり、エネルギー政策上に重要な位置を占めるべき原子力発電の役割りを十分実現さしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#8
○向井長年君 いま局長も御答弁されましたが、大体現状においてエネルギー政策上からやはり軽水炉の実用化というかっこうで取り組まれておる情勢ですが、そうなってくると、結局アメリカに依存しなければならぬ、こういう形になってまいりますね。そこでエネルギー政策から考えるならば、少なくともやはりまず第一に低廉の原則がなければならない。第二番目には、やはり安定供給、この二つの大きな原則がまず必要だと思うのですよ。しかし、現状においては民間においてこの開発を促進しておる。こういう現状であるならば、いわゆる低廉、安定供給という立場に立ってものを考えていくならば、少なくともこの国のエネルギー政策の一環として考えることは、いま局長も言われたように多様化の方向をとらなければならぬ。ただアメリカだけじゃなくて、やはりイギリス、カナダ等のも研究開発していかなければならぬ、こういうかっこうになってくるかと思いますが、この二つの原則から考えて、やはり民間にこれを依存しようとするならば、やはりまず第一にこの二つの原則の中からコストというものが出てまいりますね、御承知の。そういう中で一つの矛盾というか、あるいは接点というものがなければいかぬ。これを政府はどう考えて結びつけていくか。ただ先ほどから、この法案にあるような将来長期にわたった高速増殖炉とか新型転換炉の開発計画は、これはいいといたしましても、これはやはり長期の問題であって、いまここ五年、十年という中で原子力委員会で計画されているやつをやはり国のものとしていかなければならぬ、そういう立場の中でこのエネルギー政策上の二つの原則からくるところの接点をどこへ求めるか。この点を私は明らかにしなければならぬのじゃないか、こう思うわけなんですよ。いかがですか。
#9
○政府委員(村田浩君) エネルギー政策上、低廉の原則と安定供給の原則と、この二つを満足させるような方針を考えなければならないというただいまの御指摘は全くそのとおりだと思います。そこで軽水炉というものが当面経済性、つまり低廉ということから考えますと、わが国の国情におきましても、アメリカが濃縮ウランを十分供給してくれる限り、まず最も低廉なものであるということは間違いないと思います。そこで多様化等を含めた供給安定というもう一つの原則とのかね合いでございますが、この点につきましては、結局軽水型動力炉による発電規模というものが、全体の発電規模との比率においてどの程度になってくるとそのような点での問題が出てくるかということに帰するのではないかと思うわけであります。これはいろいろ不確定な要素も入りますことで、一がいに何万キロワット以上は困るということはないと思いますが、ただ私どもといたしましては、この約十年には運転開始をする、こういう計画で進めております。約六百万キロワットという規模は規模といたしまして、昭和五十年当時におきます電力施設全体から見ますと、約七・八%に当たります。八%足らずであります。発電量にしますと一〇%近くになりますが、いずれにしましても全体の一割のうちに入る量であります。そういった点から考えまして、この六百万キロワットというもの自身をたくさんの炉型に分けて多様化する。そうしなければ供給安定という点での問題がきわめて切実に起こってくるというふうには考えておらないわけでありまして、問題はそれより以降、つまり全体としての電力生産量に対する原子力発電量の比が、たとえば一〇数%あるいは二〇%以上になってくるというふうになってきますと、そのような供給安定化というほうの要素をより大きく考える必要が生じてまいるのではなかろうかと思います。
 そういった点からいたしまして、ただいまこの新しい事業団において開発する計画を立てております新型転換炉につきましては、目標が御案内のとおり大体十年であるいは十年余りで実用化することを考えておりまして、この十年、それまでにおける約六百万キロワットの中で必ずこういった他の型を入れなければならないかどうかという点は、やはり低廉の原則というものを十分配慮する必要があろうと思っておるわけであります。
 そこで、わが国で開発します新型転換炉が私どもとしては実用化する時代、そのころわが国の原子力発電計画におけるエネルギー政策上の要請を二つ考え合わしたときに、低廉性と合わせて供給安定性の意味からすなわち新型転換炉を発電システムに導入していく必要性の出てくる時期と大体見合うものであろうというのが私どもの考え方であります。ただ、と申しましても、もちろんその間におきまして、諸外国でいわゆるセミ・プルーブン型の動力炉、イギリスのAGR、カナダにおけるCANDU等の開発が進められておりますので、この十年の期間にも、確かにわが国の条件に持ってきましても、軽水炉と匹敵する低廉性を発揮できることが立証されることがあるいはあるかもしれませんが、そういった場合は確かに御指摘のような低廉性とあわせて供給の安定性、つまり多様化という要素をもそういった炉を入れることによってある程度実現できるということにもなろうかと思いますが、そういった点は、私どものいま考えておる新型転換炉の開発計画とはまた別に、そういう諸外国の状況というものを十分その間におきましても、よく調べまして、そうして実体に即した、つまりエネルギー政策上の二つの要請に十分こたえ得るような形で原子力発電所の建設計画を進めるべきであろうというふうに考えておるわけであります。
#10
○委員長(鹿島俊雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#11
○委員長(鹿島俊雄君) 速記を起こして。
#12
○向井長年君 質問に対して簡便に答えていただいてけっこうと思いますので、同じようなことを二回も三回も必要ございません。
 そこで、公益事業局長参られましたが、通産大臣は予算委員会に出ておられるらしいので局長にもお伺いするのですが、いまこれは通産におきましても、科学技術におきましても、少なくとも今度の事業団発足に伴って長期計画が立てられている。これはまあ一つのこととしてけっこうでございますが、しかし当面する問題があるということですから、その当面するという問題について、いま私が聞いておることは、エネルギー政策上の問題として考えるならば、少なくともエネルギー政策は、しからば何に将来中心を持っていくかといえば、原子力発電である、こういうかっこうに言われるわけであります、中心はですね。そういう中で、しからば原子力発電はだれがやるかといえば、民間がやるわけですね。株式会社であるいわゆる民間の事業者がやるわけです。事業者がやるとするならば、低廉、あるいはまた安定供給、これは国の政策でもあると同時に、そういう形が最も重要でなければならぬということが当然言われてまいる。ところが、いま言うならば、このままでいくならば、コストの問題必ず出てくるというわけですよ。そして長期にわたった十年間ぐらいはこれを開発していかなければならぬという立場に立って考えていくならば、国の政策として民間に対してどういう指導を行ない、あるいはどういう一つの助成を行なっていくかという問題が私は出てくるのではないか、こう思っていま聞いておるわけなんです。したがって、これはひとつ安達局長のほうからもエネルギー政策上の問題として、現在の、在来の、言うならば軽水炉、こういう問題についてどう国は取り組んでいくつもりであるか、この点を公益事業局長からも御答弁を願いたいと思います。
#13
○政府委員(安達次郎君) さしあたり原子力発電の当面の開発すべき種類は、向井委員御指摘のように、軽水炉になるわけでございますが、いままでもあるいは論議が出たのかもしれませんが、今後当分しばらくの間は、やはり軽水炉が開発の中心となると思います。この場合、いわば軽水炉が従来実証された炉という意味で、その開発の主体は電力会社がコマーシャルベースで推進することにいたしております。その場合にも、たとえばいわゆる国産化推進のためには国内メーカーの国産化の推進、あるいはちょっと一部に例がございますが、立地地点のトラブルなんかもございます。いろいろな、そのような形で、やはりコマーシャルベースで電力会社自体にその軽水炉を中心とする動力炉開発を推進しながら、それに必要な国の援助措置というようなものを今後考えていきたい、こういうふうに考えております。
#14
○向井長年君 安定要件、いわゆる安定確保という立場から、国が政策をどこへ求めるかという問題は、私がいま質問したわけです。少なくともこの現状においては、一刻も早くエネルギー政策上、供給体系の中でこれの安定要件をつくって炉の開発に向かわなければならぬ。こういう点について、私は明確じゃないと思うのですよ。一応事業団として、新型転換炉と高速増殖炉等、長期的なやつは一生懸命にこの事業団をつくったらやられるような考えを持っておりますけれども、しかし、やはりいま当面は十年あまりこれでいかなければならぬというかっこうになっておるのだから、これに対してコストの問題が出てくるというならば、リスクをどうするかという問題が私はあると思うのですよ。あるいはまた助成をどうするかという問題が私はなければならぬと思う。こういう問題について、政府はどう考えておるかということを私は聞いているわけなんですよ。あるいはそれに対して、民間依存で適当にやってしまうんだということでは、本来のエネルギー政策でもなければ、いま言う事業団発足の前提となるものに対しては、忘れてやしないか、こういう考え方を持つわけだ。
#15
○国務大臣(二階堂進君) 当分はおっしゃるとおり軽水炉を中心として開発を進めているわけですが、現在開発されておる約三十万キロくらいのものを見てみますと、まだ少し高いという計算が出ておるのでありますが、これが七十数万キロから上になりまして、四十五年ごろまでには百六十万キロですか、大体そういうころになりますというと十分経済性に見合うというこれは計算が出ております。したがいまして、いま電力会社でも建設中のものもありますし、また次から次に将来の計画を発表しておりますが、これは経済性に十分見合うという確信があるからやっておるわけであります。そこで政府といたしましては、そういう施設等については、助成の方法、融資の道を開いて、開銀等を通じて積極的にやる方針でもありますし、また現在もやっておるわけでございますが、そういう道を開く。また研究費等につきましては、税制上の優遇措置も考えている。将来のことになりますと、リスクもあるじゃないか。このリスクを一体民間だけに背負わせて、こういうエネルギーの安定供給、低廉なものを供給するという方針からいうと、そのリスクが出た場合に、民間にまかせておくか、こういうような御懸念もあるようでありますけれども、そのような大きなリスクが出てくるような場合には、そのときにまた私どもは政府として何らかの援助措置を考えていかなければならぬと思っておりますけれども、現在の私どものほうで考えておりまする軽水炉を中心とする開発については、濃縮ウランも大体百三十万トンですかのワクがアメリカとの間に協定が成り立ち、その燃料についてはここ十年くらいは心配はない。それから経済性についても、百万キロ以上になりますというと、十分経済性に見合うということでありますし、ですからその建設については先ほど申し上げたとおり、融資その他税制上の優遇措置を講じてめんどうを見ていく、こういう考え方でございます。
#16
○向井長年君 いま長官言われているのは、それは導入して、開発していって、いわゆるコストといいますか、経済性が見合う、こういうことですが、私の言っているのは、軽水炉中心の国産化を言っているのですよ。国産化を、一応開発するために、政府がどういう方向を持っているかということを質問をしているわけです。いまやっているような、アメリカから導入しての経済性の問題を私はいま質問しているのじゃない。したがって、私はいま言うように、政府の、現状、いわゆる軽水炉在来型、これに対するところの国の開発計画があるかないのか。しからばいろいろな形があると思うのですよ。言うならば三十五万キロを導入して、その三十五万キロのやつを開発していくという方法もありましょう。あるいは三十五万キロを導入しておいて、それを五十万キロに国内で開発していくという方法もあるでしょう。あるいはまたライセンス・アグリーメントのいわゆる設計図をもらって、国自体で開発していこうという問題もあるでしょう。そういう問題について、国はどういうように考えているのかということ、国の軽水炉を中心とする開発計画というものはどこにあるか、これを先ほどからお聞きしておるわけなんで、経済性の問題もここから出てくるわけなんです。この点についてどうなんですか。
#17
○政府委員(村田浩君) ただいまの軽水炉は、日本の民間の、東芝、日立あるいは三菱というようなところは、アメリカのGEあるいはウェスチングとライセンスを結びまして技術導入をしておりますし、三菱、東芝、日立等はこのライセンスに基づいて今後国産していくわけでありますから、そのライセンスの中身にはいわゆるノーハウ的な要素がたくさん含まれておりまして、これを国が取り上げて、国が開発していくというのとは筋が違うのではなかろうかと思うのです。そこで、政府は、むしろ導入されました原子炉が国内で製造されるものについては、これは後ほど通産省のほうから御答弁いただくのが筋かと思いますけれども、重電機械に対する融資の中に、原子力発電の国産化部分に対する融資を含めまして、今年からその方式の適用を現にしてきております。そういうようなことによって、電力会社ができるだけ国産化部分をふやしていく方向へ持っていきやすいように、融資上の措置をはかっておる。他方で、先ほど申しましたように、安全性とか燃料というキーポイントの技術については、国が直接間接に助成して、国内において十分その技術が確立していくようにする。そのことによって電力会社が国内のメーカーに一刻も早くフルに発注していく状況をつくり出す。ここに現在の軽水炉の国産化の政策があるわけであります。
#18
○向井長年君 いま私はそんな、国で直接やれ、そういう意味で言っておるのじゃないのですが、それに対する姿勢が、何だか適宜民間依存であるという考え方があって、先ほど来言うのは、この事業団ができれば、一応それは済んだというものの考え方が一般にあるのではないか。それよりも、当面する問題があるのではないか。これに対して政府はどれだけの姿勢をもって取り組むか。直接政府が開発するということを言っておるのじゃない。もちろんメーカー等が先ほど言った形において開発を促進していかなければならぬが、これに対する政府の指導性と、あるいはそれに対するところのいろいろな助成という問題が必要になってくるのじゃないか、こういう立場でいま質問しているのですから、こういう意味において、私はやはり科学技術庁あるいは通産あわせてエネルギー政策の中から当面する問題として取り組まなければならぬのじゃないか。ここを私は強調し、御意見を聞いておるわけですから、ひとつ長官御答弁を願いたい。公益事業局長からも御答弁願いたいのです。
#19
○国務大臣(二階堂進君) 先ほどの答弁、少し私も勘違いしておりましたが、これはおっしゃるとおり輸入炉だけにたよっていくというわけではないのでありまして、国産化という、いわゆる日本の国情に即したものを自主的に開発していく、またその中ですぐれた外国の技術を導入していく、そういうふうに、電力会社、民間の会社が自主的に開発がしやすいような環境をつくっていく。そのためにはそれに必要な基礎的な研究などについては国がめんどうを見るし、また民間に対する研究の助成あるいは税制上の優遇措置を行なっていく、こういう考え方を基本に持っておるわけであります。これらのことにつきましては、通産省とも十分連絡を緊密にいたしまして、政府全体の責任において在来型の自主的開発ということもおろそかにしてはならない問題でありますので、政府全体の立場において強力にそういう施策を進めていくことはもとより大事なことであることはおっしゃるとおりでございます。
#20
○政府委員(安達次郎君) ただいまの、輸入の軽水炉によるメーカーのいわばいろいろな技術の修練が行なわれておるわけでございますが、今後のそういう輸入された軽水炉の技術、これを国産化するためには、ちょうどかつて電力業界におきましては、いわゆる重油火力をだんだんと大型化していった過程に、それの最初の一号機は輸入で、二号機からは国産でという基本的な方向をとって従来指導してまいったわけでございます。軽水炉の導入においても同じような考え方でまいりたい。たとえば、これは容量は若干動くようでございますが、大体同一の型式、同一の容量のものは一号炉は輸入しても、できるならば二号炉からは、国産化できるように、そのために一号炉の輸入炉の建設におきましても国内のメーカーがサブコントラクターの形でいろいろな技術の修得に努力していただく、そのようなことで、二号炉からの国産化を技術的可能ならしめる道を開く。同時に海外からの輸入競争と申しますか、海外からの競争に国内メーカーを金融力の面で補完する意味で、ただいま重電機械の延べ払い制度もございます。それと一緒に原子力のいわば延べ払い制、これはすでに開銀に対しては道を開かしております。それからもう一つは、重機械開発制度というので、これは国産一号機についての税制上の特別の措置を講じたりいたしております。そのような援助の措置をいたして、ただいま長官からも説明ありましたように、国産化を一日も早く可能ならしめるような環境を整備するというような方向で今後努力してまいりたい、こういうように考えております。
#21
○向井長年君 衆議院において、この法案に伴って附帯決議がつけられた。すなわち第四項にありますように、「当面の原子力発電の大部分が在来型炉によるものであることにかんがみ、その建設及び国産化については、特段の配慮を払うべきである。」こういう附帯決議がつけられておりますが、これに対して科学技術庁長官はじめ担当大臣は、十分にその趣旨を尊重してやっていくということを答弁されたのです。したがってそれを私はいま言っておるわけなんで、したがっていま答弁されましたように、今後在来型炉に対する開発の促進、それに対する指導助成、そういうものをあわせて、リスクあるいは助成、これを十分やられるというかっこうで確認していいと思うのですが、この点について特に大蔵省はどうですか。
#22
○政府委員(岩尾一君) ただいま長官その他から御発言ございましたように現在の状況をよく判断いたしまして、それに合ったような適切な手段という意味において御検討いただければ、私どもも予算上配慮したいと思います。
#23
○向井長年君 まあそういうことで、それは十分あるというかっこうで私は理解いたします。
 次に、新型転換炉ですね、これの開発でございますが、どういう種類のもの――日本的と、こう言われておるが、どういう種類のものを開発しようとするのか、いわゆるイギリスなり、あるいはまたカナダ等でもいまやっておりますが、おそらくそういうやつをモデルとして中間的な日本的なものというかっこうで取り組むのではないかと思いますが、どういう構想を持っておられますか。
#24
○政府委員(村田浩君) この事業団で取り上げます新型転換炉につきましては、先ほど来お話がございましたエネルギー政策の要請もございますので、将来天然ウランを燃料とし、しかも経済的な発電コストで運転できるそのような重水減速型の軽水冷却方式による炉を考えております。このような炉は、カナダ及びイギリスでも似たようなことを計画しておりますが、カナダの場合は、このプルトニウムの再利用ということを考えずに、燃やし切りの形の重水炉を考えております。他方イギリスの場合は天然ウランではございませんで、濃縮ウランを燃料とする重水減速型を考えております。わが国の場合は、最初計画の初めの部分では、建設費というものをできるだけ安くしていくということも考え、かつまたプルトニウムの国内における平和的利用も考えまして、天然ウランに若干プルトニウムをまぜたそういう燃料を使う重水減速型の動力炉を考えているわけでございます。その規模は、この事業団で行ないます原型炉としては、大体将来の実用炉へのつながりを考えまして、二十万キロワット程度を考えております。
#25
○向井長年君 時間があまりないようでありますので、簡単に質問していきますが、まずその自信のほどはどうであるかということ、それから実験炉の規模はどういう規模で行なおうとするのか、なおまた、この工事のタイミングはどういうように見通しておられるか、いいですか、その仕事をどういう形で、いわゆる委託しようとするのか、この四点についてお伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(村田浩君) 新型転換炉につきましては、すでに原子力委員会に動力炉開発懇談会ができたときから両三年にわたっていろいろ検討を続けておりますが、その結果、すでに各グループの概念設計を行なっておりまして、ただいまその概念設計を推進本部で評価しております。この評価が近々終わりますと、その評価した結果に基づいて第一次の詳細設計に本年度から取りかかります。来年度一ぱいくらいまでいたしまして、それに引き続いて第二次詳細設計入る。スケジュールでは四十四年度末くらいに建設に着工できるように持っていきたいと思っております。建設には約四年要すると考えられますので、原型炉が完成するのは四十八年、あるいは四十九年になろうかと思いますが、建設が完了しましたならば直ちに試運転、それから各種の実験運転ということに入る予定でありまして、このプログラムは、各国の開発のこれまでの経験等を動力炉調査班によって詳しく調べて、これならばやっていけるということを、関係各国の専門の方々にもお集まりいただいて、十分見通しをつけまして立てた計画でございまして関係者としては、このプログラムに従ってぜひやってまいりたいというふうに考えております。規模は先ほど申し上げましたように原型炉でございますので、電気出力は約二十万キロワットと考えております。
#27
○向井長年君 だいぶ時間を迫まられておりますので、残念でありますが、協力しなければならないと思いますけれども、次に燃料問題について、一番これは大きな問題ですが、燃料はまず第一に確保しなければならぬ。それからその確保に対する精錬あるいは加工、こういう問題にも大きな必要な問題になってくる。次には、この間も視察いたしました再処理問題が重要な問題であります。再処理問題は事業団の問題を待たずして直ちに必要になってくる。現在やっておるやつにしても、すでに二年、三年次々と再処理問題が起きてくる。こういう問題について、一応現在までは燃料公社ですか、あるいはまた研究所等の研究は続けられておると思いますけれども、この間も視察したところが、いまだにあの敷地に再処理のなにを建設したいという程度であって、何もこれに対してまだ取りかかっておらないという姿ですね。したがってこの再処理問題もあわせて緊急の問題になってくると思う。それに対して、政府はこの事業団を発足すると同時に、この問題をどうやろうとするか、資金的な問題も大きな問題だと思います。あるいはこれに対する敦賀とか、あるいは各所で出てくるならば、これに対する運搬の問題も安全性の問題も含めて問題になると思うのです。これについてどういう構想を持っておられるか、この点を聞きたい。
#28
○政府委員(村田浩君) 燃料の精錬加工につきましては、濃縮ウラン型の燃料が当面一番需要が多くなりますので、これにつきまして、すでに民間各グループのほうからそれぞれ計画を立てまして、政府に加工事業の許可申請が出ております。この加工事業の許可申請につきましては、原子力委員会の審議を経まして、できれば年内、年度内にも審査の結果によりまして事業の許可を与えるように進めてまいりたいと思っております。
 それから再処理につきましては、すでに燃料公社におきまして、過去数年来予備設計から始まって、詳細設計を行なっておりまして、現在フランスのサンゴバン社との間の契約に基づき詳細設計を着々進めております。この詳細設計も来年の十一月に一応完了する予定でございますので、順調にまいりましたならば、それに引き続いて建設にかかる、こういうことになるわけでございまして、現在この敷地予定地がまだあいておるというお話でございますが、詳細設計が済んでおりませんので、手をかけるに至っていないということでございます。
 それから使用済み燃料の輸送につきましては、別途原子燃料公社等におきまして検討を進めておりまして、近いところは陸上、遠いところは船というような形で使用済み燃料のキャスクを運搬することを考えまして、種々問題点等を検討し、運輸省とも協議をいたしております。
#29
○向井長年君 将来プルトニウムの利用なり、あるいは保存という問題ですね、あわせて重要な問題になってくるでしょう。その問題について、研究面について非常に力を入れなければならない。プルトニウム、あるいは場合によれば高速増殖炉の保存ということ、こういう問題についてどういう考え方を持っておりますか。
#30
○政府委員(村田浩君) プルトニウムの燃料としての研究開発は非常に重要でございまして、そのために現在の燃料公社に相当の資金をかけ、プルトニウムの開発室も設けてございますが、ここで現在着々とプルトニウム燃料の研究を行なっておりますが、将来の需要を予想した場合、今後これは増設計画が出てまいるであろうと思っております。
 それからプルトニウムにつきましては、当面高速増殖炉、あるいはプルトニウムの熱中性子用の炉の利用等の研究の開発のためにここ十年くらいの間は相当量の研究開発のためのプルトニウムが必要でございまして、私どもの計画では、国内で生産されますプルトニウムの全量がこの研究開発にほぼ見合うくらいになろうかと思っております。したがいまして、将来の蓄積というようなことがもし起こるとしても、それから後のことでございますが、原則的には燃料の民有化でございますので、プルトニウムを民有化した場合、それぞれの所有者である電力会社が蓄積するわけでございますが、必要に応じこの事業団が、その業務範囲にございますように、保有ということが書いてございますが、必要に応じこの事業団が保有するということになろうかと思います。
#31
○委員長(鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#32
○委員長(鹿島俊雄君) 速記をつけて。
#33
○向井長年君 昨年十月でしたか、この燃料の問題について、民有化という方針が政府で出されたと思うのですが、これは特に原研とか原電とか、合併問題もそのときあったと思いますが、そういうかっこうになってくると、非常に政府は燃料問題については責任のがれのような状態が当時感じられた。したがって、今後この事業団が発足してやはり核燃料の問題が大きな要素となるわけですから、これについては積極的な立場に立ってこの問題の推進をはからなきゃならぬ。この点についていま質問いたしましたように、ただ事業団が発足して、これから予想される国産炉の開発じゃなくて、これは直ちの問題ですから、推進しなきゃならぬと思いますが、この点について、大臣どうお考えでございますか。
#34
○国務大臣(二階堂進君) 燃料の問題は、御承知のとおり一番大事な問題でございますので、もとよりこの燃料の確保につきましては国内資源の探鉱もやります。また、燃料公社においても引き続きプルトニウム燃料等の確保、再処理等についてもさらに施設の増設等をはかって研究を重ねてまいりますが、同時に、国内におけるウラン燃料の確保につきましても、この事業団も総理大臣の認可があればやれることも考えておりますし、さしあたりは民間電気事業界あるいは原子力産業会議等、それぞれアメリカとかカナダとか、調査団を派遣いたしまして、そうして委任契約あるいは共同探鉱等の計画を進めておるようでございますので、今後ともこの燃料の確保につきましては、長い将来の見通しの上に立って、積極的に政府も現状の政策なり自分みずからの指導によって、遺漏、遺憾なきを期してまいりたい。これは当然なことでございますので、異常なる努力を今後も払ってまいりたいと考えております。
#35
○向井長年君 委員長から、だいぶ時間せいておられますようですから、大いに質問ありますけれども、協力しますよ。したがって、私は最後に、きょうは大蔵大臣にぜひ出席願ってお伺いしたいと思ったんだが、衆議院の予算委員会の関係で出られない。そうして主計の責任者が来ておられますから、私は大蔵大臣に聞くつもりで、答弁を願いたいと思います。これは衆議院でもしばしば言われたのでございますが、特に今度の事業団発足に対しましては、これは総理も言明されておりますし、あるいは二階堂長官も言明されておる。あるいは通産大臣もそういう気持ちで進んでおられる。こういう中で、特にこれに対するいわゆる資金的のまず裏づけの問題と、あわせてもう一点は、少なくともこれは性格的にあくまでも事業団は参謀本部的な性格を持って、そしてあらゆる現存機関を活用し、その中から委託等を行なって推進をはかる、こういう立場が中心で衆議院におきましても論議がされておりました。答弁もされておりました。そういう点について、大蔵省も、大蔵大臣も、そういう気持ちであろうと思いますが、この点ひとつ大蔵大臣の代理として御答弁を願いたいと思います。
#36
○政府委員(村田浩君) 事業団の将来の資金の問題、それから役目の問題の御質問でございますが、この資金につきましては、先生御承知のように十年間で大体二千億というような計算に一応なっております。さように多額を要しますものでございますし、原型炉だけでも七百億といっているようなわけでございまして、実際上は動力炉ができれば電力会社等がこれを使うものだと思います。私らといたしましては、現在の科学技術振興費が四十二年だけでも六百億くらいでございますから、全体で二千億、その一年分としては二百億でございますから、非常に大きな負担になるということを心配しております。しかし、先ほど来お話がございますように、将来のエネルギー政策あるいは燃料の安定確保ということから、こういうことをつくり出した以上は、できるだけ資金的にもめんどうを見ていきたい、特にいま申しましたように、結局は電力会社が使うことになるわけですから、そういう意味でも、産業界等からの協力も仰ぎ、官民一体となってやりたいという意味で、その意味から政府としてもできるだけの資金的な援助をしたい、かように考えております。
 それからやり方につきましては、先生のおっしゃいますように、これは一種の参謀本部的なものでございますが、また自分のところでもいろいろと研究もやり、原型炉をつくっていこうというわけでございますから、そういうような役目も頭に入れて、全体として無駄のないように、しっかりした、いい新型転換炉ができるようにやっていただきたい。また、そういうような資金的な配慮もいたしたい、こういう考えであります。
#37
○向井長年君 原子力委員会は、これはいわゆる総理の諮問機関であって、そして行政機関として科学技術庁があるわけですから、それに対して総理も、あるいは科学技術庁長官も、そういう立場を先般来答弁されているわけだ。それを大蔵省が特に別な考え方を持つということはおかしいと思うのですよ。それで、本来が参謀本部的な性格を持って、既存機関とか、政府機関その他の機関等も活用して、委託等もやっておるのだ、こういう答弁をされておるのだから、そのとおりでいいのじゃないですか。これを別に、いや、みずからもこうだというようなことをあえてそれを大蔵省だけが言わなきゃならぬことはないのじゃないですか。もちろんみずからもやらなきゃならぬ問題もありますよ、別に。そうでしょう。だから、そこに私は疑問を抱くから、いま大蔵省として私は聞いているわけだ。
#38
○政府委員(岩尾一君) ちょっと私が言い過ぎたようでございますが、いまおっしゃったようなことでけっこうだと思います。
#39
○矢追秀彦君 時間がありませんので、簡単に三点だけお聞きしたいと思います。
 一つは、出たかとは思いますが、人材の確保の問題でありますけれども、こういった計画がなされまして、今後、大学からの卒業者、また大学院等の要するに人材供給ですね、この面については十分準備が万端できていると思いますが、どうでしょうか。
#40
○政府委員(村田浩君) この事業団ができまして、動力炉の開発を進めますにあたりまして、人材の点は最も慎重に考えたわけでありますが、五十年度におきまして動力炉開発のこの計画に関係します人は約千二百名と予定しております。現在動力炉関係におります全国の科学技術者が約三千五百名でございまして、五十年にはそれを一万名余りに拡充していく計画を持っておりますので、十分この程度の人を確保することは可能と考えております。
#41
○矢追秀彦君 まあほかにも聞きたいことはあるのですが、これはやめまして、少し問題は変わりますが、結局エネルギーの今後の確保につきまして、もちろん原子力発電のために動力炉、転換炉、まことにけっこうでありますけれども、核融合に対する研究でありますか、これがもう一つわが国においては非常に弱いのじゃないか。もういままでから名古屋大学等にもプラズマ研究所がありますし、そのほか文部省からも予算が出ていろいろやられておりましたけれども、四十年度は再検討のために中止になったこういうふうに原子力十年史ですか、に書いてあるわけですが、核融合の研究ですね、これに対する現在までの日本の国におけるあり方、また今後の計画ですね、これについてお伺いしたいと思います、長官に。
#42
○国務大臣(二階堂進君) 核融合による熱量を利用する電力開発の問題は、これはまだ遠き将来と申し上げたほうがよろしいかと思いますが、各国におきましてもいまいろいろ研究されてやっておりますけれども、実用段階に入るのは相当まだ先の見通しであるようであります。名古屋大学の伏見教授を中心とするプラズマ研究所で研究しておられますが、また名古屋大学のほうから、理研のほうでもやっておられますので、理研に対しても研究協力を申し入れてきているというような状態でございますが、何しろ非常に高い温度、一億度にも耐えるような資材等もいま研究開発をいたさなければならないということで、わが国といたしましても、高速増殖炉が完成いたして、これは電力が十分開発できる段階になった。その次は何と申しましても核融合による熱量を中心とする電力開発を当然これは考えなければならぬということは、もういろいろな学者が見通しを立てておりますので、わが国もこれにおくれをとらないように、大学等におきましても文部省を通じて研究を進めております。また理研におきましても現在もやっておりますが、そういう遠い将来に対する考え方で研究を進めております。これにつきましても私どものほうといたしましても、長い将来の問題ではありますが、将来どうしてもやらなければならないという一つの部門であると思っておりますので、積極的にこれから取り組んでいきたいと考えております。
#43
○矢追秀彦君 いまの答弁聞いておりますと、結局原子力発電のほうに力を入れて、動力炉を開発されて、それからその次の段階だ。それは実用からいえばそうかもわかりませんけれども、やはりそういうことも含めた長期プランというものをもっと具体的に立てなければならないのじゃないか。特に日本の物理学というのは昔から優秀でありますし、決して諸外国にそんな、設備の点においては劣るかもしれませんけれども、そういった理論面においてはすぐれておるわけですから、日本じゅうの学者の英知を集めてつくれば幾らでも長期プランというものは私はできると思います。そういった点において、ただそういう行き当たりばったり的なことではなしに、ほんとうにこれからの人類のエネルギーを確保していくには、やはり長期プランを立てていかなければならぬじゃないか。どうも科学技術の政策を初めとしていまの日本の政府のいろいろなやり方は、非常に行き当たりばったり的であるし、また特にこれは日本の事情、日本人の国民性かもわかりませんが、要するに共同研究ということが非常にへたくそである。なかなか団結できない。一つに集めて、そして次の前進をしていくということが非常に欠けておると思うのです。したがって、もっと長期プランを、いまおっしゃったのは、お気持ちはわかりますけれども、具体的に示していただきたい、こう思うのですが、その点はいかがでしょう。
#44
○国務大臣(二階堂進君) 私もおっしゃることはわからぬでもありませんが、当面、ここ十年、二十年は、やはり新型転換炉なり、あるいは高速増殖炉、これは最終的ないまのターゲットでありますからこれに主力を注いでいきますが、同時に、並行してエネルギー全体の将来にわたる長期計画の観点から考えますと、これはいまおっしゃるような計画も考えながら政府としては施策を進めていくことが、これはもう当然のことだと思っておりますが、まだ基礎的な研究が十分なされなければならないという世界的な情勢からも、そういうことが痛感されておりますので、まず基礎的な研究を進めていくことが大事ではないかと、こういうふうに考えております。
#45
○矢追秀彦君 もう一つだけ。これもちょっと観点がはずれますが、海水の脱塩ですね、原子力の。これに対してはどうお考えですか。
#46
○国務大臣(二階堂進君) これは外国でも非常に進められております。私どもの科学技術庁におきましても宇宙開発、原子力、電子、そうして海洋科学――これは海の開発、海底の開発のみならず海水の脱塩等の技術につきましても研究を進めておりますが、海の中にあるいは海水に相当な貴重な資源があるということはもちろんもうあらゆる学者の認めておるところでありますので、単に海水から塩を取るということはもう日本でもやっておりますが、非常にコストが高いということで、本格的な生産に取り組む体制ができておりませんが、しかしその過程においていろいろな貴重な物資が得られる、こういうようなことも研究は進めておりますので、私は来年度はもっとそういう面について、これは大蔵省とも話をいたしていかなければなりませんが、海洋全体の科学的な開発につきまして、一そう積極的に策を進めてまいらなければならぬのではないか、かように考えております。
#47
○阿部竹松君 委員長、たいへん恐縮ですが、議事進行についてですが、さいぜん向井委員の発言中、大蔵大臣を代表して御答弁しなさいという前提条件で大蔵省の次長に答弁を……。私が知っている内閣法、国家公務員法によれば、そういう答弁は、法の解釈とか、その他については答弁できるが、その他の問題については一切できないことになっている。したがって、私もはっきり記憶しておりませんから、法と照らし合わせて、代理として御答弁してあるのだったら削除していただきたい。
 次に、私は前回東海村に参りまして、同行された村田局長さんはじめその他の方々から現地を見ながら一切をお聞きしておりますので、ほとんど質問ございません。ただ二、三点当時お尋ねしなかったことについてお聞きしておきたいと思うわけですが、日本に公団、公社、事業団等が百近くございまして、いろいろ行政監理委員会等から批判があるわけですが、それをあえて今回できるわけですが、しかし、悪いやつはやはり切らなければならないし、いいやつは行政管理庁の意見や審議会の意見があろうと、つくらなければなりません。しかし、百近い公団、公社、事業団の中で、相当優秀な、ナンバースリーくらいに入る大きな事業団になるわけですが、しかしこれは予算と人と運営の問題だと思います。ですから、予算化の問題、これは村田局長に前回お尋ねいたしましたが、あと運営の問題、人の問題、やはりりっぱな人材を集めなければなかなか容易でないわけです。それから公社が吸収合併されるわけですね、特に多くの優秀な技能者もおられれば一般職員もおられると思う。そのあり方、処遇、そういう点をどうされますか、お尋ねいたします。
#48
○政府委員(村田浩君) 資金の問題と並びまして人の確保、運営が非常に大切なことは御指摘のとおりだと思います。人の問題につきましては、上は理事長から下は一般の研究者まであるわけでありますが、理事長等の理事者につきましては、最も適切な人を広く全国的な視野に立ってお願いするようにいたさなければならないと思っております。それから研究者等の職員につきましても、原子燃料関係につきましては、燃料公社から全部引き継ぐことにしておりますから、大体その基盤があるわけでありますが、動力炉開発につきましては、むしろ少数精鋭の人を各方面から御協力いただいて、そして理事長を中心に一体の運営がなされるように持っていかなければならないと思っております。で、その点で、運営方式でありますが、運営方式につきましては、原子力委員会の議決を経て定めますところの政府の基本方針及び基本計画に沿って円滑かつ効率的に行なえるようにするつもりであります。現在、基本方針及び基本計画につきましては、原子力委員会でも予備的な検討を行なっております。その際に特に留意いたしたいと思いますのは、既存の研究機関、既存の開発機関等もございますので、そういったところの力を十分活用していけるようにしようということで、新しい運営方式を打ち立ててまいろう、こういう考え方でございます。
#49
○阿部竹松君 昭和三十五年十月ですか、原子力委員会の中の原子力船専門部会、ここで出した日本に原子力商船をつくるべきであるという結論に基づいて、三十八年と記憶しておりますが、原子力船開発事業団ができまして、現在やっておると思いますが、なかなか難航しておるというふうに承っておるのですね。九カ年間でできるということになると、昭和四十九年にできるということになるのですか、四十六年ですか。
#50
○政府委員(村田浩君) 四十六年です。
#51
○阿部竹松君 ところが、私の仄聞するところによりますと、予算、技術、いろいろな問題がありましょうが、その実態はどうなっておりますか。これは運輸省でやっておると思いますが、あなたのほうのお力を相当かりて予算もあなたのほうについておるのではないかというふうに承知しておるのですが、その点を若干お伺いしておきます。
#52
○政府委員(村田浩君) 原子力船開発事業団につきましては、当庁と運輸省の共管でやっております。したがって私ども監督の責任を持っておるわけでありますが、事業団が設立されましたのは昭和三十八年の八月でございまして、約四年を経過しておりますが、この間、当初立てました原子力第一船の計画が検討されました結果、改定を要するということになりまして、一昨年からその種々な面から検討された結果、究極的には当初六千トン級の船という予定を八千トン級の船に改めまして、そうして国産の原子炉を積みまして、四十二年度から建設に着工し、四十六年度に完成させる、完成しました後は、約二年程度実験航海をいたしまして、実験航海が終わりましたならば特殊な貨物の輸送用途にあてまして、今後の原子力商船時代への準備に遺憾なきを期するようにしたい、こういう手順で現在本年度の着工を具体的に持っていくためにいろいろと努力しておるわけでございます。
#53
○阿部竹松君 ただいまの村田局長のおっしゃるように六千トンが八千トンになっただけであれば、これはいいわけですね。ところが三十六億円、当時計上された。ところが付帯工費その他がいろいろ問題になりまして、七つの会社にそれぞれ依頼したわけでしょう、入札してくださいって。七社が拒否したんでしょう。そこで予算も大体倍額になった。特殊な輸送船ということについてはこの次にお尋ねしますが、大蔵省から何か注文ついて予算が倍増されたんじゃないですか。あなたのおっしゃるように単に六千トンが八千トンになったというだけでございませんでしょう。
#54
○政府委員(村田浩君) 御指摘のとおり、当初この計画を立てました昭和三十八年には予算的に原子力第一船の六千トンのものの建造費は三十六億円、その他サービス・サイトその他研究開発等も含めまして事業団が九年間に使います総経費が約六十一億円と、まあこういう予定であったわけでありますが、六千トン級の海洋観測船の契約をいたしますために入札を求めましたところ、ただいま御指摘のとおり造船七社から、この価格では入札に応じられないということが一昨年の三月にございました。それから検討を始めたわけでございますが、一つの問題は、その際にまあ三十六億円という価格の見積もりが今日から見ますと、当時の情報の不足等もございまして低過ぎておったと言わざるを得ないかと思います。それで、この船価についての慎重を期するために、再検討の期間におきまして、もしこの原子炉――原子力船でございますから原子炉が中心になるんでございますが――を外国から買ってきたときにはどのくらいでできるかということも並行的に調べました結果、大体その外国の原子炉を積みましても船価としては五十数億円かかるという結果が明らかになりまして、そのことから大蔵省と再度御相談しまして、船価を五十数億円に改めることにいたしたわけでございます。現在予算上は五十六億七千二百万円の船価に改訂されております。この改定いたします段階において、この間約数年を経過いたしましたので、今後の原子力船の実用化の見通しということもあわせて配慮しよう、そういうことから一九七〇年度には原子力商船、特に原子力コンテナ船というものが実用化されるであろう、こういう見通しも出てきておりますので、そういった時代は備えるためには、当初考えた海洋観測船よりも、ある程度貨物を運搬できるもののほうが実用性への接近方法としてはより実際的ではないかという配慮も出てまいりまして、だから総トン数を約二千トン増加いたしまして、貨物が運搬できるように船型を改めたわけでございます。で、その際、船価はやはり約五十六億円ということで話をまとめたのでございます。
#55
○阿部竹松君 その貨物は何かということを聞きたいわけですが、それは別として、特に最後にこれは長官に、私の意見も入りますし、また御答弁も聞きたいわけですがね、さいぜん申し上げましたとおり、東海村におじゃまして、原子力発電所あるいは燃料公社あるいはまた研究所も見せていただきました。ところが、やっぱり一番問題は何と言っても再処理問題ですね。そこで村田局長にお伺いすると、この次は敦賀であってやがて候補地として尾鷲とかあるいは志摩半島にも計画中である。何年何月にできるか、これは別として、そういう各地で計画があるわけですね。ところが東海村に再処理場があって、東海村の現在の発電所の処理は、いろいろ困難はあってもこれは処理できるでしょう。しかし実際問題としてその次は福井県敦賀に工場ができたとしても、そこに再処理工場をつくるわけにいきません。それはもちろんできるかもしれませんが、コストが高くなってこれはどうもならぬと思います。そうすれば、関西あるいは中部その他に原子力発電所がたくさんできれば、関西にも置きましょうということになるでしょうけれども、一つの発電所に対し一つの再処理場を設けるということになれば、コストが高くなって、私はしろうとですからわかりませんけれども、ただ常識的に考えてみて困難である。そうすれば、再処理せんがために敦賀からやはり東海村まで、ある地点までは運ばなければならない。こういうことになってくると、いま局長の御答弁なさった原子力船を使って運ぶのが一番よろしい、こういうことになろうかと思うんです。そこで、原子力商船いまつくっているそうですが、それをどこの港に着けるかということになりますと、横浜港に着けるか、東京港、大阪、名古屋それぞれあると思いますが、あらゆるところでこれを着けてもらっては困る、こういうことが起きてきはせぬかということは一つの危惧を持っておる。ですからこの際ひとつ、商船ができるまで、いまから長官、計画なさって、久慈の港使えとは言いませんけれども、どっかにやがて十年、二十年後には原子力使う商船もたくさんできてくるでありましょうし、いまから計画しておいて、原子力商船はやっぱりウラニュームを取りかえなければならぬわけですから、そういう個所もいまからやっぱり考慮しておく必要がある。そうしなければ、商船ができてしまってから、さあ横浜に着きますよとか、大阪港ですよ、晴海埠頭ですよと言うても容易なことではない。したがいまして、大蔵省の次長さんもおいでになっておるのだが、いまの問題ではないのですが、やっぱり次の予算等から、敷地とか土地買収とか計画しておく必要があるのではないか。まあ私はこう、しろうと考えですが考えて見せていただいて帰ってきました。ですから、この事業団にはそういう点が書いてございません、実際は。高速増殖炉と新型転換炉ということになっておりますがね、それを一体どこでだれがどうするかということもやっぱりいまから計画しておかぬとたいへんなことになるというふうに私考えてまいりましたので、これは私の意見も入るわけですが、大臣に、もしお話があれば最後に承って、私の質問を終わりたいと思います。
#56
○国務大臣(二階堂進君) いま阿部先生の御質問は、再処理工場をどこに置くかということであろうと思っておりますが、これは再処理工場につきましては、現在原子燃料公社を中心として東海村が一番いいんじゃないかというこれは有力な候補地として、私が就任以来から内定と申しますか有力な候補地として、地元にも交渉をしておるわけでございますが、まだ地元の方々の十分な了解を得ていないわけでありまして、まあいろんな問題がありますから、一部の人から、もっとほかのところも考えたらどうだろうかという話もあります。しかし当面は、先ほどおっしゃいましたとおり、どっか一カ所、たとえば東海村を中心とするところに再処理工場ができますと、まあ二百万トンか三百万トンぐらいのキロワットのものはやはり一カ所に集めて処理したほうが経済的にもよい、こういう考え方でございますが、その後の相当な量がこれは出てまいりますと、やはりまたほかの個所も適当なところを――一番大事なことは、これは安全性の問題でございますから、そういうことを十分考えて、他のところにもこの適当なところをさがさなければならぬと思っております。そういうことについては原子燃料公社を中心として今日までも数カ所、まあ実際地元に行って交渉したことはございませんが、大体こういうところが将来の候補地ではなかろうかということは考えておるところでございますので、これは将来の問題でございますけれども、おっしゃったようなことは重要な問題の一つでございますから、将来のことも考えながら、この敷地の問題等については考えていきたい、かように考えております。
#57
○阿部竹松君 大臣、最後という発言をして、もう一回お尋ねするのはたいへん恐縮ですが、現在どうするのですか。たとえば東海村の発電所ではもうすでに再処理をやっていただかなければならぬという話をしておりましたね。しかし現在直ちにやるという体制にもないように見て参りましたが、そうしますと、イギリスに持っていくか、アメリカに持っていくかという、こういう事態が起きますね。その点、もう一回お尋ねしておきます。
#58
○国務大臣(二階堂進君) これはもう来年度からどうしても敷地をきめて、そして工場の設備を建設していかなければ間に合わないということでございますので、地元のいろいろな問題等の解決につきましては、燃料公社、また私ども、あるいは県等が中心になりまして、了解を得るべくいま一生懸命努力をいたしております。私はでき得れば、地元の方々の了解が得られれば、東海村にぜひ持っていって、一日も早く建設いたしたい、こういうように思っておりますが、当分はこれは貯蔵するところをつくって、そこにしばらく貯蔵するか、あるいは英国等に持ってまいりまして、再処理をお願いするか、こういうことにならざるを得ないと思っておりますが、外国に、英国等に持っていって再処理するということは、これはいかがなものかと考えておりますので、どうしてもこれはわが国の国内、先ほど申し上げましたようなところの有力な候補地に一応ひとつ地元の方々の御了解も得ておきめ願って、早急にこの施設の着工に当たらなければならないと考えております。
#59
○向井長年君 議事進行。先ほど私の質問の中で、大蔵省に対する質問をしたときに、阿部委員から、大蔵大臣の代理だとか何とかというかっこうで、速記録をその後削除する、こういうことを委員長に要求されたのですが、私はこれは了解できない。ということは、さきに委員長を通じて本委員会に大蔵大臣の出席を要請いたしたはずでございます。しかしながら、大蔵大臣は衆議院の予算委員会に出席のため、どうしても出られない。こういうことから岩尾主計局次長ですか、これが来られた。本来であるならば大蔵大臣に私は質問をしたいわけです。そこで来られないから代理として来られたと思うのです。したがって、大蔵省を代理して出席されたと私は見ているわけなんですよね。主計局次長個人が来たわけじゃない。それだから、私は大蔵大臣に質問したいけれども、大蔵大臣が見えないから大蔵省として当然私は大蔵大臣の代理として答弁するのがあたりまえだ、こう見ておるのだから、そういう立場で私は質問あるいは答弁を了解したわけですから、そういう点に対して、公務員法云々とか言われるけれども、これはどうも話が違う。だからそういう削除はやめてもらわぬと困る、こういうことです。
#60
○委員長(鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#61
○委員長(鹿島俊雄君) 速記を起こして。
 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより両案の討論に入ります。
 御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより両案の採決に入ります。
 まず、原子力基本法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、動力炉核燃料開発事業団法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#65
○委員長(鹿島俊雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 一時四十分に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#67
○委員長(鹿島俊雄君) これより商工委員会を再開いたします。
 先刻委員の変更がございました。和泉覚君、小柳勇君及び向井長年君が委員を辞任され、その補欠として、白木義一郎君、大橋和孝君及び高山恒雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(鹿島俊雄君) 午後は、まず特定繊維工業構造改善臨時措置法案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしております。
 まず、政府委員から補足説明を聴取いたします。乙竹繊維雑貨局長。
#69
○政府委員(乙竹虔三君) 特定繊維工業構造改善臨時措置法案の補足説明をいたします。
 提案理由及び概要について説明いたしました特定繊維工業構造改善臨時措置法案に関し、さらに条文に沿って補足的に御説明申し上げます。
 第一に、この法律案の目的でございますが、これにつきましては、第一条に規定されておりますとおり、繊維工業の経済的諸条件の著しい変化に対処いたしまして、その国際競争力を急速に強化するため、繊維工業の中核的地位を占めておりまする特定繊維工業すなわち特定の紡績業と特定の織布業につきまして、その構造改善をはかり、国民経済の健全な発展に寄与することを目的といたしております。これは提案理由の説明中でも述べましたとおり、国内におきます労働力の逼迫と、これによります賃金の急上昇、外国におきます発展途上国の急速な追い上げなど、繊維工業を取り巻く内外の経済的環境が一段ときびしさを加えておりますので、このわが国の国際競争力を急速に強化することをねらっております。
 次に、対象業種でございますが、特定繊維工業すなわち綿糸、スフ糸、合繊糸及び混紡糸を製造する特定紡績業と、綿スフ織物及び絹人繊織物を製造する特定織布業を考えております。これらは、いずれも繊維工業の中心的業種であり、かつ、現在のところ国際競争力の低下が現実の問題となっていることから、対策実施の必要性が大きく、一方、業界の熱意とこれに対する準備が整いつつあることも考慮したためであります。
 第二章以下は、この法律の目的を達成するための具体的な措置の内容について定めているのであります。このうち、第二章は紡績業の構造改善について、まず、基本計画及び実施計画を策定し、これの達成をはかるため所要の助成措置を定めるとともに、過剰設備の処理についての法的措置を定めるという構成をとっているのであります。
 なお、特定過剰精紡機につきましては、現在過剰があるとされております部門に属する精紡機を政令で指定いたしまして、過剰設備の計画的な処理を行なおうとするものでありますが、これは通産大臣の指示を受けた業界の共同行為をもって行なわせたいと思います。
 第二の部分は、基本計画及び実施計画の実施が円滑に行なわれまするよう、政府が実施計画に定める設備の近代化等に必要な資金の確保等につとめることとし、また、基本計画に定める過剰設備の処理に関し、現行スクラップ税制による課税の特例と同様の特例を認めることとしていることであります。これとともに、構造改善対策については、一方において労働者の減少を招くとともに、他方において労働力の確保が重要な意味を有するので、これらの施策を講ずるにあたっては、関連労働者の職業の安定について配慮することとしているのであります。
 第三章は、特定織布業の構造改善に関する種々措置を定めているのでありますが、ここではまず、特定織布業構造改善事業計画の承認を通産大臣が行なうこととし、次いでこの承認を受けた計画の実施についての助成措置を定めるという構成をとっているのであります。
 特定織布業については、それが産地ごとに異なった構造上の特性を有し、かつ、商工組合を中心にまとまりをみせていることから、産地主義組合主義をとることとし、産地ぐるみの構造改善に関する事業を実施するため特定織布業構造改善事業計画を産地ごとに作成し、通商産業大臣の承認を受けて行なうことといたしております。
 そして、第二の部分におきましては、この改善事業について、政府が所要の資金の確保等につとめ、設備の近代化に伴ってする設備処理の事業につき、繊維工業構造改善事業協会を通じて補助金を交付することができるものとし、また、特定織布業商工組合による特定織布業構造改善準備金への積み立てに関して課税の特例を認めることにしております。
 なお、特定織布業の構造改善に関する施策を講ずるにあたっても、特定紡績業の場合と同様に関連労働者の職業の安定について配慮することとしております。
 第四章は、繊維工業構造改善事業協会について定めているのであります。協会は、特定繊維工業の構造改善に関する業務を行なうことを目的とし、特定繊維工業の構造改善に関する措置を実施するについて重要な役割りを果たすものであります。
 協会は、この法律の規定に基づき、業界関係者、関係都道府県知事及び学識経験者が発起人となって定款を作成し、通商産業大臣の認可を受けて設立されるものであります。このような民間設立方式をとることとしたのは、業界の構造改善に対する意欲と主体性を協会の設立とその後の運営に反映させようとしたためであります。
 協会の資本金は、その設立時等に政府が出資する金額をもって構成するものとし、この資本金は、すべて、特定織布業構造改善事業に必要な資金についての債務保証、及び融資に関して設けられる信用基金に充てられることとなっております。
 協会は、特定紡績業における過剰設備の処理のための特定精紡機の買い取り及び廃棄、特定紡績業及び特定織布業の事業廃止者からの設備の買い取り及び廃棄、特定紡績業にかかる納付金の徴収、特定織布業構造改善事業に必要な資金調達をはかるための債務保証および融資その他構造改善に関する業務を行なうものとしております。
 このうち、特定紡績業における過剰設備の処理のための特定精紡機の買い取り及び廃棄は、特定紡績業構造改善基本計画及び実施計画に基づき、協会が設備を買い取って代金を支払うこととなるので、その代金、金利等相当額につき協会が特定紡績事業者から納付金を強制徴収手続の裏づけをもって徴収できるものとしているのであります。
 また、特定織布業構造改善に必要な資金調達をはかるための債務保証および融資の業務は、もともと財政基盤が強固でない特定織布業商工組合が主体となって実施する特定織布業構造改善事業の円滑な推進をはかるため、特に重要な意義を有するものであります。協会によるこの業務に関しては、前述の政府からの出資金及び特定織布業商工組合からの出捐金によって構成される信用基金が設けられこととなっております。
 次に、協会の監督については、その業務の公共的性格から、通商産業大臣の強い監督のもとに置くものとしております。
 第五章及び第六章は、この種の法律の通例に従い、報告徴収、不服申し立ての手続等の雑則及びこの法律の実効を期するための所要の罰則を規定したものであります。
 附則では、この法律の施行、廃止、経過措置および関係法令の改正等について定めております。
 このうち、この法律の廃止については、構造改善対策が五年間にわたって実施されることと関連して、昭和四十七年六月三十日までに廃止することとしております。
 また、本法律の附則により、繊維工業設備等臨時措置法の一部改正を行なうこととしております。同法は、昭和四十三年に失効する限時法であり、精紡機等の制限登録を行なうとともに、当初格納せしめた過剰精紡機の廃棄を条件とする二対一のスクラップ・アンド・ビルドによってその廃棄を促進し、しかる後に、繊維工業を自由競争にゆだねようとしたものでありますが、今回、特定繊維工業の構造改善対策を進めるにあたり、従来の制限登録を、なお当分の間存続させることなどが必要であり、構造改善対策の円滑な実施を確保するため、同法の存続期間を昭和四十五年六月まで延長する等所要の改正を加えることとしたものであります。
 本法律案の内容の主要な点については、以上御説明申し上げたとおりであります。
#70
○委員長(鹿島俊雄君) それではこれより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#71
○大矢正君 国会もいよいよ終盤になりまして、余すところわずかとなりましたが、御了承のとおり、この委員会にもかなりの法案がまだ残っておりまして、私は今日まで繊維問題につきましては、いろいろな角度から検討を進めてまいりましたが、この法律は紡績業にとりましても、また織布業にとりましても、将来の経営基盤、また日本の経済の中で果たす役割等を考えますと、重要な内容のものでありまするし、申し上げましたとおり、会期があとわずかしかないということで、あまり前例のない、予備審査をすることにいたしたわけでありますが、あすは遠州に参りまして紡績と織機の現状を視察し、あわせて業界の代表とも懇談をする機会がありますので、そういう意味でも本日若干の質問をいたしておきたいと思いまして、基本的な点について二、三お伺いをいたしたいと思います。と同時に、私は資料の要求を中心として質問を進めてみたいと、こう思いますので、これから申し上げる内容の資料はぜひすみやかに提出をしてもらいたいと思います。
 そこで第一にお尋ねいたしたいことは、現在の繊維新法、これが成立をいたしまする段階における通産省の答弁は、スクラップ・アンド・ビルドすなわち古い紡績機械をスクラップにして、新たに二対一の比率で新鋭の機械を導入することによって、糸の需給関係は調節をされるという当時の御答弁であったのであります。ところが御了承のとおり、一昨年そうして昨年と、長期にわたりまして業界の共同行為がなされ、最近はその共同行為は解かれましたけれども、従来の新法制定の際の需給安定とか、新法が成立すれば需給が安定をするといわれておりましたのとは、現在の新法成立以降大きく情勢が変化をしている、私はこう思うわけであります。そこで、現在の新法制定以降の変化について、どのように受けとめておられるか、まずお答えをいただきたいと思いまするし、それからまた、新法以降のスクラップ、それからビルドの実施状況というものはどういうようになっているのかという点については、当然のことながら資料としてこれは提出してもらわなければならぬと思いますが、とりあえず考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
#72
○政府委員(乙竹虔三君) お答え申し上げます。
 新法の制定当時、現在及び将来の過剰設備を想定いたしまして、格納をいたしまして二対一でビルドないしはオープンをはかったわけでございますけれども、遺憾ながら、現状においてなお相当数の過剰紡機が存在するに至りました。数字は資料をもって提出いたしますが、われわれの考え方は、まず第一に、世の中一般経済不況が非常に深刻なものであったということが第一であります。それから第二におきましては、これはまあけっこうなことではありまするけれども、紡績設備の能率すなわち一錘当たりの生産量、糸の紡出量、これに重大なる誤謬があったという点が第二であります。第三に、不況及び好況時におきまする流通在庫の、在庫の作用につきまして十分なる把握検討がなされておられなかったという点が第三と考えます。数字につきましては、資料をもって詳細提出いたします。
 スクラップ・アンド・ビルドの実施状況につきましては、当初予定されましたような数字で大体順調に進んでおりまするけれども、現在のところ、なお当時凍結いたしました三百三十三万錘のうち、凍結残八十九万錘を残しております。詳細は資料をもって提出いたします。
#73
○大矢正君 私は、現在の新法ができまする際に、はたしてこの新法で業界が安定をするかどうかということについては、かなり疑問を表明しておいたつもりでありますが、結果としては、新法だけでは需給の安定をはかることができないという結果になって、さらに構造改善という立場から今度の法律が提出をされることになったのだと思うのでありますが、この問題は資料が提出されてから具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、続いてお伺いをいたしたいことは、御了承のとおり、共同行為が長期にわたって続けられましたが、なかなか糸の値段が安定をしない。低い位置でとどまっておりましたが、昨年の暮れあたりから糸の相場がかなり高騰をいたしまして、特に、これから先の見通しはもちろん私もわかりませんが、最近では、衣料品が、糸の相場の高騰によって値上げをしなければならないような状態にまでなっている。こういう、糸の市況が好転をしているにもかかわらず、何のために、多額の資金を使って、紡績業の、これは織機は別でありまするが、紡績業の構造改善をしなければならないのかという疑問が率直に出てくるわけですね。従来までのように、ポンド当たり二百円とかあるいは二百十円、二百二十円などという、非常にこの想像もつかないような糸の市況から判断をいたしますれば、政府が音頭をとって何のために構造改善をしなければならぬのか。構造改善が必要だとすれば、業界みずから、自分の意思と自分の能力に応じてやればいいではないか。こういう議論が成り立つと思うのでありますが、この点についてどのように判断をされておられるか。お答えをいただきたい。
#74
○政府委員(乙竹虔三君) 先生御指摘のとおり、糸値は現在直っております。この案を考えました当時の不況のどん底、四十番手百五十円を割りました糸が、現在二百円ちょっとになっておりまして、採算点を相当上回っております。ただ、遺憾ながらと申しますか、この値段は私は絶対に永続をしない値段であると思います。一例を申し上げましても、パキスタンから三万コリ、中共の糸すら現在入ってこようという状況でございまして、この糸は、日本の糸に比べまして、コリ当たり、ものによって違いまするけれども、一万円近い安値のものでございます。当然、日本の紡績業は、そこの標準までは、合理化によりまして糸値を下げる必要があるというふうに考えます。その場合に、現存するところの設備能力でございまするけれども、遺憾ながら相当なる過剰老朽設備がございます。この過剰老朽設備を、御指摘のように、業界が自分の手をもって新陳代謝を行なうべきでございまするけれども、このわれわれの体験、経験によりまするに、昭和三十五年以来の法律の教えるところは、格納ないし廃棄をみな法律は規定したのでございますけれども、結局廃業は行なわれなかったということ。どうしてもこの廃棄を思い切ってやって体質改善をしますためには、業界の自主的な決意が基礎にはなりますけれども、政府が手をかしてやりまして、一括して処理をしてやるという必要があるということを痛感したわけでございます。業界におきましては、イギリスのように、政府の補助金を依頼がございましたけれども、これは当然自主的にやるべきであるということで、終局的には業界の負担によりまして、いわゆる一時的に政府が財政融資の手をかし、ないし強制徴収の手をかして、過剰設備の処理をやらなければ、従来の経験に徴して困難であるという認識に立っておるわけでございます。
#75
○大矢正君 いまの御答弁は、私はちょっと納得いかないといいましょうか、私の質問にまともな答弁にはなっていないのではないかという感じがするのでありますが、通産大臣どう思いますか。端的に言って、繰り返し申し上げますが、いま繊維局長が、四十番手の市況が二百円前後と、そのとおりになっていますね。四十番手の、まあ私が今日まで聞いている採算点といいますと、百八十円かその前後で、大体企業によっては多少の変化はあるのでありますが、平均すればその程度で、コストは十分補いがつくという計算になるわけですね。それがすでに二百円を現在依然としてこえているということ、と同時に、そのために衣料品の値上げをしなければならぬという状態の中で、政府が何のために金を出して力をかしてやらなければいかぬのかという疑問が出てくるのは、それは私は当然ではないかと思うのですね。これは相場ですから、半年先、一年先も二百円でいくかどうかはわからないけれども、しかし、現状を判断して考えますれば、織布についてはなるほど構造的にも非常に立ちおくれた部面がありますから、政府が積極的に力をかしてやって構造改善を進めなければならぬという理屈はわかるけれども、糸高のために、賃織りをしているところは別としても、みずから糸を買って織っている機屋にしてみますと、全く反対の立場があるわけですね。高い糸を買わされて、そのあげくにこの構造改善ということで、紡績業に対して政府がてこ入れがあるということは、どう考えてもおかしいと。私はそのいろいろ議論のあるところだとは思いますが、この法律が提出される時期としては、紡績業にとってまことに悪い時期にこの法律が提出をされているような感じがするわけでありますが、これは局長でなくとも、大臣からひとつお答えをいただきたい。
#76
○国務大臣(菅野和太郎君) この法律案が提出されたことについてのいまの大矢委員の御疑問は、もっともだと思います。ことに最近綿糸の値段が高くなったおりからでありますからして、政府が特別にそれほどの助成策を講じなくてもいいのではないかという一応の疑問はお持ちになるのがあたりまえだと思います。がしかしこの繊維産業に対する特別措置法を考えましたのは、もう少し基本的な理由があるのでありまして、それはもうすでに大矢委員も御了承のとおり、第一は国外的な理由、これは発展途上国家が安い綿糸を生産しておるということ、それが日本の競争相手になっておるということ、一つはいままで日本に追われておった英国などが思い切った繊維産業の構造改善事業をやっておるということ、そういうことで日本の繊維産業がはさみ打ちになっておるのでございます。したがいまして、これに対しては日本の繊維産業というものを今後発展せしめるためにはどうしたらよいかという問題。そこで、内に省みてみますると、過剰紡機とか過剰の織機とかいうようないろいろな問題があるし、あるいはすでに老朽した織機などもあるというようなことで、どうしても構造改善をやらなければならない必要に迫られておると思うのであります、がしかし、それは自力でやったらいいじゃないかというお考えであれば、それは実はいままでは大体この紡績業というものは今日まで自力でやってきた産業でありまして、これこそ政府の援助というものはほとんど受けずしてやってきた産業でありまして、また紡績業それ自身が政府の援助を得ずしてやってきたということについて、彼らは非常な誇りを今日まで持ってきたと思うのであります。がしかし、自主的にいろいろのことをこれまで考えてみたけれども、どうしてもやはり今日の情勢は彼らだけの自主ではやっていけないということで、できるだけ自分でやることはやるけれども、この上は政府のやはり助成がぜひ必要だということを彼らも認識してまいりまして、そうして今回のような特別な措置をぜひつくってくれということを彼らが要望してまいったのでありまして、でありますからして、そういう理由で今回の特別措置法というものを考えた次第でありますが、しかし、私はこの法律を出すについては、実は業者の方にも数回会いまして、ほんとうに君らはこの特別措置法を望むのかどうかということを実は二度も三度も念を押し、ことに最近においては綿糸高というようなことで、とかく彼らがぐずぐずしておる、ちゅうちょしておるというようなうわさも聞きますので、そこでまた彼らを呼んで、綿糸が高くなったからもうこういう特別措置法の必要かないというように君らは考ええておるかどうかということを私は念を押したのでありますが、いや決してそうではない、われわれは特別措置法をぜひやってもらいたい、綿糸高はこれは一時的な現象だというようにわれわれは考えておるので、この際、日本の繊維産業の構造改善をこの際やらなければ今後においては繊維産業の発展を望むことはできないからして、ぜひひとつこの際お願いしたいということを彼らはわれわれに誓っておるのでありまして、そこで政府といたしましても、明治維新後の日本の産業というものは繊維産業が基本産業であったのでありまして、今日においても約二割近くの輸出をしております。でありますからして、私は繊維産業はやはり日本の重要産業としていま発展せしめなければならないと考えておるし、また人口が増加すれば当然衣料品をより多く需要するのでありますからして、したがって、やはり繊維産業は存続発展せしむるように政府の政策をとらなければならないし、なお繊維産業自体は、私は日本人に向いておる産業だと考えておるのでありますからして、したがって、こういう日本の産業の重要産業である繊維産業を、政府が存続発展せしめるという政策をとるということは、これは当然な私はやり方であると考えますので、したがいまして、彼ら自身の手で構造改善ができないのであれば、できるだけやはり政府がこれに対して助成して、そして構造改善をして対外的な今後の発展、あるいはまた国内的にもこれらの需要を十分満たしてくれるような生産を存続発展をせしめていくという意味で今回の法律案を出した次第でございまして、どうかその間の事情を十分御認識していただいて御審議のほどを特にお願い申し上げる次第でございます。
#77
○大矢正君 繊維局長、あなたも御存じのとおり、現在の新法というのは、一つにはそれまでありました複雑な区分というものを整理するということ。一つには設置の制限をするということ。もう一つは二対一の比率でスクラップ・アンド・ビルドをやって紡績業の体質改善をはかるということ。私は大きなねらいはこの三つだったと思うのですね。こうすることによって日本の紡績業の構造改善ができ、需給の安定ができるのだという前提でやられたのだけれども、しかし、それをやってはみたが、その法律の効果というものは設置の制限という点においては、従来のようなやみ紡機その他がなくなるというような新しい事態もありますけれども、結果としては必ずしも今日までの経緯では、紡績業の構造が改善をされたということにはならない、したがって、今回さらにそれに上積みをして、もう一回新々法で紡績業の構造改善をやろうということになっているんだと私は思うのであります。
 そこで、先ほども申し上げましたとおり、現在の新法ができて以降のスクラップ並びにビルドの進みぐあいというものが、効果が必ずしも所期の目的どおりにはいかなかったという問題点がありますから、私はこれから議論をする上において、いままでのそういう経緯を資料としてひとつ提出をしてもらいたいというごと。それからもう一つ問題点としてあげられますことは、今度の新々法では完全にスクラップ化する、すなわち鉄くずにしてしまう、廃棄してしまうということが構造改善上の大きなねらいとしてあるように見受けておりますけれども、新法で設置の制限をする、設置の制限はするけれども、しかし新々法による合理化がはたしてできるのかどうかという点になりますと、私は法律上の現在の過剰紡機を廃棄せいということできめつけておるわけではないわけで、あくまでも業界の自主的な判断によって行なうということでありますから、設置は制限をする、しかし、反面で過剰紡機に対する実際の完全廃棄が進まないという事態になった場合にどうするかという問題点が私は残ると思うのでございますが、この点についての考え方を、この際お聞かせいただきたいと思います。
#78
○政府委員(乙竹虔三君) 今回の法律案の改正におきましては、新法の設置制限の規定を一年九カ月弱延長をいたしまして、制限登録の期間がそれだけ延びるわけでありますが、この意味はいま御指摘の過剰紡機をスクラップ化する、それも業界の自主では確実性がないから事業協会をつくりまして、業界には共同行為を通産大臣が指示するとともに、対象紡機を事業協会に一括買け上げましてスクラップにする。で、ただこのスクラップにいたします場合に、ただで買い上げることはもちろんできないわけでありまして、相当な金額が要る、相当な金額は現在予算で四十八億組んでおるのでありますけれども、四十八億をもって民間から紡機を買い上げる、しかし、この四十八億は一時政府の金は財政投融資というかっこうで立てかえていますけれども、業界から返還される必要があるので、その返還はこれを確実にいたしますために、とかく正直者はばかを見るということをモットーとする業界でございますから、一律的に返還させるために強制徴収権を事業協会に与える、事業協会は負担金を業界から徴収することによって政府から借りた金を返すというようなやり方、たてまえになっておるわけでございまするが、業界に負担金を負わせますためには、ある程度、ある期間、制限登録によりまして業界の収益力を確保する必要がある。これが今回の制限登録制、すなわち、新法の制限登録制をある期間延長せざるを得なくなった主たる理由でございます。したがいまして、もし一括処理ができない――この一括処理は、中途で御説明申し上げましたとおり、業界の共同行為、業界の発意によるわけでございますが、業界でできないというふうな事態に立ち至りますならば、この一括処理をするために、それを主たる理由として制限登録制の延長がはかられたのでございますから、当然この制限登録制の延長については再検討しなければならないというふうに考えます。当然また国会におかれましても、そういう御指示がわれわれに対してあるというふうに考えます。
#79
○大矢正君 繊維局長は、衆議院の商工委員会に行かなければならぬようなおおむね時間になりましたから、私は、この程度できょうは終わりたいと思いますが、最後に言わしていただきますならば、結局のところ、紡績業の構造改善を進めるにつきまして、こういう法律を通して政府がある意味においては力を貸し、助成をするということなんでありますが、しかし、いまのように糸値が高いということで、思ったように構造改善が進まないのではないかという心配が一つあるわけです。従来の二対一のスクラップ・アンド・ビルド計画自身にも、今日問題が残っておりますが、しかし、さらに一そう合理化をしようとしても、いまのように二百円を上回るような糸の値段が続いている限り、私は、なかなか紡績の業者が構造改善に正面からはたして取り組むかどうかという不安を持たざるを得ないわけです。聞くところによると、この法律ができて紡績業の構造改善をやろうとしても、従がわないといいましょうか、そのベースに乗らない業者がかなり出るという不安も感じないわけにはいきませんので、私はやはり通産省が今日まで紡績業の業界といろいろ話し合いは進められていることと思いますけれども、しかし、一そうこの法律の意味というものは、単に希望する者だけ参加をすればよろしいということではなしに、日本の紡績業全体にこの法律の精神と考え方が浸透をするような方向へ努力をせにゃいかぬのではないかというふうに思うわけでございます。
 最後でありますからお答えは要りませんが、資料だけ要求したいと思いますのは、昨年の暮れから今日までの糸の値段の推移ですね、これをひとつ出してもらいたいと思いますし、それから最近は、東南アジア各国から太番手の糸がかなり日本に逆に輸入されているという状況がありますが、最近は、それがどんな状態になっているのかということも、資料として出していただきたいし、それから対アメリカとの間の綿製品の輸出に対しての話し合い、そして規制が今日あるわけでありますが、その内容というものはどういうものか、現状はどうなっているか、これも資料として出していただきたいと思いまするし、それから現在区分が四区分ですか、に分れておりますが、その区分別の紡機の現、それから今日まで長期に格納をされている、現に使われていない紡機、そういうものの推移、それから重ねて申し上げますが、共同行為がとられて以降の状況、こういうものをひとつ資料としてまとめて提出をしてもらいたいと思います。
#80
○国務大臣(菅野和太郎君) いま大矢委員が述べられたことについて、私も同じような実はことを考えておりましたので、この際私の私見を申し上げておきたいと思いますが、お話のとおり、今度の特別措置法について、希望者だけがやって、あとは希望しない者はやらぬでもいいというようなことでは、目的を達成しないのでありますからして、したがいまして、今度の特別措置法については、全業者がやっぱりこれに参加してもらうという前提のもとにおいて今度の特別措置法を考えたのでありまして、いままでは正直者がばかを見るという、政府がやったことの逆をやったほうが得だという考え方の人が、民間人にはとかくあったと思いますが、しかし、今度はひとつ正直者が得をするというようにやっていきたいという、われわれは固い決意を持ってやっていきたい、こう考えるのでありまして、今度の、私はこれがもしうまくいかなければ、日本の繊維産業というものはもう浮かぶ瀬がないというように私心配しておりますので、その意味において、政府といたしましては、この繊維産業の構造改善ということについては、みな熱意を持ってやりたいという考えを持っておりますから、どうかひとつその点においての御了承、また、したがいまして本案の御審議を特に重ねてお願い申し上げる次第であります。
#81
○政府委員(乙竹虔三君) 大矢委員よりお指図のありました資料のおのおの、すみやかに差し出します。
#82
○委員長(鹿島俊雄君) 本案に対する質疑は、本日のところ、この程度にいたします。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(鹿島俊雄君) 次に、小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、まず、政府委員から両案の補足説明を聴取いたします。影山中小企業庁長官。
#84
○政府委員(影山衛司君) まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案につきまして、その補足説明を申し上げます。
 小規模企業共済制度は、小規模企業者が相互扶助の精神に基づきまして、退廃後における生活の安定あるいは事業の再建、転業に備えて、その拠出による共済事業を行なうことに対しまして、国からも所要の助成措置を講じつつ、これを安全確実な制度として確立することを目的といたしまして昭和四十年に発足したものであります。
 現行共済契約は、共済事由を、事業の廃止のほか、法人成り、隠居、老齢給付、三十年満期等としておりまして、いわば貯蓄共済的な性格を持っておるものであります。したがって、掛け金は、生命保険料控除のワク内での所得控除にとどまっているのでございますが、現行の共済契約も、みずから額に汗して働く小規模事業者にとりまして、老後の生活安定等のための制度としてきわめて重要な制度となっておりますが、中小企業を取り巻くきびしい環境のもとにおきまして、やむを得ない廃業を余儀なくされる場合も多いことにかんがみ、新たに第一種共済契約を設けることとし、現行共済契約を第二種共済契約とするものであります。
 次に、第一種共済契約の内容を申し上げます。
 第一種共済契約は、事業の廃止及び会社の解散等の共済事由に限りまして、現行の共済契約による共済金額よりも、一〇%増の共済金額を支給することとするとともに、これが社会保険的性格を有することにかんがみまして、掛け金について、全額所得控除の税法上の特別措置を講ずることとした次第であります。
 小規模企業共済事業団の発足後、一年半にすぎないため、いまだ加入者は、二月末現在で一万五千人、六月前半で約二万人にすぎませんが、今後とも啓蒙につとめますとともに、新制度が加わったことにより加入者は大幅に増加していくものと考えております。
 なお、以上の改正点のほか、個人事業者に対しまして共済契約の実質的な承継を認めることといたしております。
 これは、個人事業者の家族で事業を譲り受け、あるいは相続により承継した者が共済契約を締結しました場合におきまして、その者と譲渡人あるいは被相続人の共済契約につきまして、掛け金納付月数の通算を認めようとするものであります。
 以上、本法案の補足説明を申し上げました。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
 次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その補足説明を申し上げます。
 わが国の中小企業構造の高度化を進める一つの方策といたしまして、この数年来協業化の動きが多くの業種において活発に行なわれております。この協業化のための組織のあり方につきましては、過去三年間、中小企業政策審議会において検討を重ねてまいりました結果、協業化を推進するための組織制度として、新たに協業組合制度を創設する必要があるという意見具申がなされたのであります。そこで、中小企業者を中心とする事業活動の協業化という面に着目いたしまして、協業化をはかるために最も合理的な、そして中小企業者が最も利用しやすい機能と性格を持った組合制度、すなわち協業組合制度を創設するため、ここに中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律を提案いたした次第でございます。
 次に、協業組合制度の概要について御説明申し上げます。
 まず第一に、協業組合は、組合員となる中小企業者等が加入前に営んでいた事業を統合して行なう事業、すなわち協業の対象事業及びその関連事業並びにこれらに付帯する事業を行なうことができます。
 第二に、協業組合は、中小企業者のための組織でありますから、その組合員となる者は、原則として中小企業者に限られます。ただし、定款で特段の定めを置いた場合にのみ、中小企業者以外の事業者の参加を一定の制約のもとに認めております。
 第三に、組合員一人の出資限度を百分の五十未満として資本の充実をはかるとともに、地方一部の組合員の専横を防止することとしております。
 第四に、加入及び脱退について、ある程度の制限を付し得ることといたしまして、組合事業の一体性と資本の維持とをはかります。
 第五に、議決権は各組合員平等を原則といたしますが、定款により全体の議決権数の二分の一以下の範囲で出資割りの議決権を与えることとし、意思決定が機動的に行なわれるように配慮しております。
 第六に、組合員は協業組合の行なう事業について競業禁止義務を負い、それにより事業の統合を保障することといたしております。
 第七に、剰余金の配当は、定款により別段の定めがないときは、出資に応じて行なうこととします。
 以上が、協業組合制度の概要でありますが、この協業組合に対しましては、中小企業振興事業団の助成対象とするなど、金融面、税制面での育成措置を講ずることといたしております。
 以上、本法案について補足説明を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#85
○委員長(鹿島俊雄君) それでは、これより両案の質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#86
○近藤信一君 私は、まず中小企業団体法と小規模企業共済法、この二つの法律案の内容に入る前に、一言大臣に注文をしておきたいと思うのです。
 それは、大臣がいつも提案説明の場合にも言われることばで、慎重審議をやってもらいたいということでございますが、いつも会期末になると参議院のほうに、わが委員会でもどんどんと法律が来て、私どもが慎重に審議する実際の時間というものは少ないと思うのですよ。いままで本委員会では予備審査ということをやったことはないのです。その慣例を破って、今度は委員長・理事の協力で、予備審査をやろうということで、非常に協力的に参議院ではやっているわけなんです。それと申しますのも、やはり衆議院で長いこと法案をやっておりまして、衆議院ではなるほど慎重審議をやっておるけれども、参議院ではその時間的な余裕というものは非常に制限されてくる、これは私は非常に遺憾だと思うのですよ。やはりこういう会期末になって、どしどしと法案が来るんでは、われわれとしても、たまったものではないと思うのですよ。これは今回だけではない。いつもこういう調子で参議院に法案が回されてくる。これは私は、本来の行き方と若干そごをしておるのじゃないか。やはりこの点、もっと政府は衆議院の審議を促進するなり、そういうようなことで参議院に送ってもらわないと、参議院の本委員会としても非常に困る。特に委員長・理事が困ることは、私も長い間理事をやってまいりまして、大いに体験をしておるわけなんですが、そういう点、今後大臣としても十分気をつけてもらいたい。そういう点について、大臣の今後の決意といいますか、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#87
○国務大臣(菅野和太郎君) いま近藤委員の言われたことはまことにもっともでありまして、私自身も非常に遺憾に存じておるのであります。やはり参議院も衆議院と同じように慎重審議を願うべきだという考えを持っておるわけでありますから、まあ衆議院のほうの審議が慎重過ぎたと申しますか、都合よく進捗せずして、そして会期が迫ってから参議院に法案を送り込むというような、こういう慣例はひとつ破らなければならぬということを私のほうも痛切に感じまして、ことに、この参議院の商工委員の方々は、委員長はじめ皆さん方がほんとうに協力的に御審議していただいておるので、われわれ非常に感謝いたしておるのでありますが、そういうように皆さん方が御協力していただいているだけに、まことに申しわけないという感じもいたすのでありまして、その点につきましては、今後われわれ自身も反省をするし、また、政府としても、そういうことのないように閣議でも一応そういうような発言をしてみたい、こう存ずる次第でございます。
#88
○近藤信一君 いま大臣から今後の決意についてお述べになりましたが、実際こういうふうに会期末に法案が押し迫ってくると、ともにこれは重要な法案でしょう。あなたのほうでも、どうしても今国会で上げなければならぬと思っていらっしゃるだろうし、また私どもとしましても、本来ならばこの審議日数もないので、これは継続審査なり廃案へと、こういうことになろうかと思うのだけれども、これは重要な法案であるということで私どももこれに協力してやっていこうということでございますから、やはり今後はそういう点、大臣、私に言わせれば、参議院を軽視しているのじゃないか。参議院は何でもこんなものはすぐやってくれるからというような甘い考えを持っておられるのじゃないか。こういうふうに私は思わざるを得ないのですよ。それで私どもといたしましては、今後もあることだし、やはりいままでのいきさつからいっても、私はほんとうに遺憾だと思うのですよ。その点ひとつ今後十分御配慮を願っておきたい。
 そこで、まず私は団体法の改正からお尋ねしたいと思うのですが、中小企業庁また政府は、中小企業に関する法律案の改正等については、毎国会これを立ててくるわけなんです。
  〔委員長退席、理事近藤英一郎君着席〕
実際中小企業の問題と取り組んでおりますると、中小企業を解決する道として、即効薬的なものがあるかというと、私は残念ながらこれだという自信を持てない。だから、毎国会これはしょっちゅういろいろな角度から出てくるわけですけれども、私どもがよく見ておりますると、何か政府のほうでは、中小企業問題の法律をいじくらなければ、中小企業の皆さんに面目ないというふうなことで、あっちをいじってみたり、こっちをいじってみたり、そうして法律が改正されて、その後に、この法律に基づいてうまくいっておるかというと、あまり成功しておるという姿も見られないように私思うんですが、その点どうですか。
#89
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のように、いろいろと中小企業対策につきましては、数も多うございますし、種類も多いわけでございますが、私どもといたしましては、中小企業の実態というものは、業種につきましても、あるいは地域的にも、あるいは階層別にも、いろいろ複雑でございますので、それに対応してできるだけいろんな政策、手段を用意をいたしておりまして、それに乗ってきていただくというふうに、私どもいろんな政策を用意いたしておるわけでございますが、なかなかこれが十分消化されていないものもございますし、あるいは、私どもとしましてはどんどん成功していっておると思いますけれども、中小企業全体のレベルアップという点は、まだまだこれからやっていかなきゃいけない点が多いわけでございます。そういう点につきましては、今後私どもといたしましても、指導面にも、あるいは啓蒙というふうな点にも力をいたしまして、できるだけこの私どもの用意いたしましたところの施策を十分中小企業者の方が理解をしていただいて、一緒になって中小企業改善、近代化というところに進んでいきたいと思っておるところでございます。
#90
○近藤信一君 現在でも、中小企業の組織に関する法律としては、いろいろあるのですね。たとえば中小企業団体法、中小企業等協同組合法、それから環境衛生関係営業の適正化法とか、いろいろ中小企業の組合はある。その中で、一体いままでに成功しておるという組合、たとえば事業協同小組合、これも団体法の中にありますね。これをつくったときに、一年たってやっと五つか六つの小組合しかできていなかった。まあ環境衛生関係は、ずっといま各地にできておる。商工組合もこれはできておる。しかし、その実態というものは、私はできておるというだけのことで、実際の運用についてうまくいっておるかというと、なかなかうまくいっていないのじゃないか。今度またここに協業組合というものができてくる。協業組合ができると、いま御説明を聞いておりましても、まことに趣旨としてはいい趣旨なんだけれども、やはりこれをつくってみても、組合をつくってみて法文化して、一体今後もどんどんこの協業組合というものはいけるかどうか。また、これは法律つくったって、実際運用されないというふうな、しり切れトンボみたいなかっこうになるのじゃないか、こういう心配が私はあるのじゃないかと思うのです。実際いまこれらの事業協同組合が一体どれくらいあるか、商工組合がどれくらいあるか、そういうことを、まあいまでなくてもよろしいのですけれども、資料としてあとから出していただいてもいいと思うのですが、今度の協業組合の問題も、私は、いまのところではこれでなきゃならぬというのは、まあ一、二はあるかもしれませんけれども、そのほかの法律で現在運用しておる組合もあるわけなんです。この点、この協業組合がここで団体法の改正によって成立した場合に、一体どれくらいの見通しというものをあなたのほうでは立てておられるのか、この点、お尋ねしておきます。
#91
○政府委員(影山衛司君) いろいろと協同組合その他組合関係の法制はたくさんあるわけでございますが、おのおのその設立の趣旨、目的に基づいてたくさんの組合の制度ができておるわけでございます。ところが従来私ども、中小企業構造の高度化あるいは共同化、協業化というものを指導してきたわけでございますが、従来協同組合によるところの共同事業というものが大部分進んできておりましたけれども、それがだんだんと高度に達しまして、自分たちの事業というものはやめて、この組合全体が一つの企業体となって活動をしようじゃないか、これを私どもは協業と申しておるわけでございますが、そこまでやらなければ、中小企業者のほんとうの意味の近代化というものはできないのではないか、この自覚に基づきまして、そういう協業の動きというものが非常に多くなってきておるわけでございます。ところが、現在の協同組合法では、その全部協業の場合におきましては、事業者でメンバーがなくなるという点とか、あるいは員外利用の制限というような点がございまして、現在の協同組合法ではこれは違法な組合になっておるわけでございます。ところが、経済の実態におきましては、そういうものがどんどんできておりますし、また、それが必要性があるわけでございますので、その点を正面から取り上げまして協業組合という制度を今度つくることにいたしたわけでございまして、現在、協同組合の場合におきましても、協業化をいたしておりますものの組合が約二千ございまして、そのうち全部協業に至っておる、で、場合によるとこれは違法の協同組合になるのじゃないかというふうに思われているものが約二百ぐらいある。だから、この二百というものは、協業組合に現在でも移行をしなければいけないし、移行できる組合だというふうに考えておるわけでございます。また、その他、新設の協業組合につきましても、相当広範囲の業界からこの制度をつくりたいということで、私どものほうにも相談が来ておるような次第でございまして、最近の新しい経済実態に相応じたところの、また中小企業者の企業感情にもふさわしいところの一つの制度であるというふうに私どもは考えておりますので、今後ともこれは制度としては発展していくべき制度であろうというふうに考えておるわけでございます。
#92
○近藤信一君 それからいま一つは、こうして幾つかこの法律をいじくっては同じような、類似したような組合が幾つかある。あなたのほうでいじっているのじゃなくして、これを一元化したような大きなものを何か法文化して、それによって全部いけるのだというふうな、こういう案というものはあり得ないものか。そういうことをひとつ考えたいというふうにあなたのほうは思っておられないものか、この点はどうですか。
#93
○政府委員(影山衛司君) 中小企業の組織関係の法律を一元化するということは、私どもも、これは理想としていいことであるというように考えておりまして、検討いたしておるわけでございますが、まだそこまでは踏み切ってはおりません。しかしながら、その必要性については検討しなければいけないので、現在も、中小企業政策審議会の組織小委員会におきまして検討を続けておるような次第でございます。
#94
○近藤信一君 これは審議会でやっていると、どうしても部分的な問題しか考えてこないと思うのですよね。それが今度またこれでしょう。協業組合になってきたわけです。審議会でいろいろ検討してやってきたんでしょう。私たちとしては、組織化に対しては、やはり一つの一元化したそういう法律で、組合を全部それによって組織していく、こういうふうなことがいいのじゃないかと思うし、それからこういうように非常に中小企業関係は複雑だ。ただ通産省だけじゃない。各省庁にこれはまたがっているわけなんだ、中小企業は。だから私どもは、やはり中小企業省の設置ということを長い間主張しておるし、それから中小企業の組織法、これも国会に出しておる。いずれ私どもは、政府もわが党もこの提案に対しては賛成をして、政府みずからもこの提案をなさるだろうと私は心待ちにしておるのだけれども、一向に政府はそういう方向に動かずに、ただ部分的にいろいろと、審議会でああでもない、こうでもないということをひねくっている、こういうように私感じるのですが、大臣、どうですか、その点。私ども何回も歴代の大臣にもこれを質問しているのだけれども、通産省としては中小企業省を設置する考えはないと、こう突っぱねられておるのです。ところが、中小企業団体の総会なんかに行きますると、非常に中小企業省の設置ということについては強い要望があるわけなんですね。これを満たしてやるというふうなあたたかい親心というものを通産省がまず率先してやれば、他の省庁もこれに賛成してくるだろうと思うのですが、通産大臣、この点どうですか。
#95
○国務大臣(菅野和太郎君) 中小企業省の設置の問題については、社会党のほうからも御提案になっておることでありますが、実は、私は自民党の中小企業振興議員連盟の代表委員をいたしておりまして、そのときも私は、中小企業省を設置したらどうかということを提案した一人なんであります。でありますからして、中小企業省を設けるということについての勉強は、そのときからさしてもらっておるのでありますが、さて、自分が通産省に入ってみますると、この政府の行政機構というものが非常に複雑なんでありまして、たとえば、中小企業省というものを設けますと、農林省、厚生省の仕事をもこっちに含めるというような問題も考えなければならぬし、というようなことで、この中小企業省を設けるについては、政府が大英断――よほどえらい総理が出てきて、すべての行政機構を総とけ合いして、そうして再編成するというぐらいなことをやらなければ、とても中小企業省を設置するということはむずかしい。佐藤総理も本会議で、中小企業省を設置する意思はないということをもう発表されたのでありますが、そこで私自身としては、中小企業省を設けるということよりも、問題はやはり制度よりも人だという考えをいたしておりますので、したがいまして、微力でありますが、この中小企業の振興の問題では、私としては、私の力のある限りこの問題に挺身したいというつもりでやっております。で、先ほどから、いろいろの中小企業に関する団体がたくさんあるじゃないかというお話で、何か新しい案を出さなければ済まぬような気で出しているのじゃないかという皮肉な御質問もあったようでありますが、しかし、中小企業問題というものは、これは複雑多岐であるし、また、時の経過によっていろいろ新しい問題が起こってまいります。したがいまして、新しい問題の起こるたびに新しいいろいろな法律を、これを解決するための法律案を出さなければならぬというようなことになってきておると思うのでありまして、そういう意味でやはりそのときどきの必要に応じていろいろの組合ができておると私ども考えておるのであります。
 今度の協業組合の問題も、これも私は新しい時代のやはり産物であろうと思うのでありまして、いままでいろいろの組合をつくったり、あるいはまた中小企業の問題については、資金を貸したり、あるいは税制の問題でいろいろのことをやってまいりましたけれども、もう一つ、今日になってみると、中小企業自身が協業してやることのほうが、結局中小企業を存立せしめる道ではないかということを結局考え出してきたし、中小企業者自身が、もう自分らの力では及ばぬということ、やはり同業者と相助け合うて協業しなければならぬということを自覚してきたと私は思うのであります。というのは、第一、この生産設備の装置が大規模になりましたからして、個人企業ではとてもそういうような生産設備をすることはできないし、それから資本力も第一足らないし、それから最近においては労働力も不足するというようなことで、そこで、同業者が相寄って一つの企業をつくろう、事業をやろうじゃないかという機運が最近出てきたと思うのでありまして、また、そうすることが中小企業者の打開をはかる道であろうというように、われわれ自身もそういう確信を持ちましたので、そこで、今回協業組合の案を提案して皆さん方の御審議をお願いする次第であります。しかし、また業者の間では協業の必要を感じない人はたくさんあります。であるからして、せっかくこれをつくっても、これに参加しない人が出やせぬかという御心配は、これはまことにごもっともであると思うのでありまして、これについては、やはり指導することが必要だと、啓蒙運動をすることが必要だと思うのでございまして、協業組合を結成しなければ、今後の中小企業はやっていけないということをかなり十二分に理解するように、われわれとしてはできるだけ指導して、そうして中小企業を何とかして一人前にさしてあげたいということで考え出した案でありますからして、どうぞその点についての皆さん方の御賛同を特にお願い申し上げたいと存ずる次第であります。
#96
○近藤信一君 今回のこの協業組合制度を新しくつくるにあたって、主として調整事業のための商工組合の法律である団体法の中にこれを規定しようと、こうしておられるわけでございますが、それならば、なぜ中小企業者の組織として長年中小企業者に非常になじみの深い、さらに多くできておる協同組合の中でこれを調整できなかったか、この点はどうですか。
#97
○政府委員(影山衛司君) 協業組合につきましては、これは組合ではございますけれども、この組合が企業体として活躍できますように、いわゆる協同組合原則というものが、これの組合の組織からは除かれておるわけでございます。そこで、協同組合法の中には入れることをやめたわけでございまして、しからば、これは単独法でやったらどうかというような議論もあったわけでございますけれども、これは中小企業者が中小企業の構造の高度化をはかるためにお互いに出資をいたしまして、自分の事業をこれに投入いたしまして共同事業をやっていこうというものでございまして、これはやはり組合性というものが残っております。したがいまして、中小企業団体の組織に関する法律にいいますところの中小企業団体の一つであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。また、この中小企業団体の組織に関する法律、先ほど先生御指摘の点もあるわけでございますが、できるだけこの組合関係というものの法律は、中小企業団体の組織に関する法律に合体していきたいという考え方のあらわれもございまして、この中小企業団体の法の中に入れたわけでございます。だから形式的には、事業協同組合あるいは企業組合、商工組合等、ほかにもこの中小企業の団体の中に入っているわけでございます。
#98
○近藤信一君 いまも言われましたように、協同組合が、今度この法律が改正されれば協同組合から協業組合に移行するのもあるわけですね、これもできるわけですね。そうすれば、私は、商工組合より協同組合のほうが協業組合に近いのじゃないか。そうすれば、協同組合のほうを直していけば、これのほうがうまくいくんじゃないか、こういうようにも考えざるを得ないのであります。やはり協同組合事業としてやれないから協業組合へ移行しようと、協業組合ができなければ、自分たちの存立というものが認められない、こういうのもあるわけですね。いまもあなたが言われました違法的な行為をやっておるのが約二百あるということなんです。これは現在協同組合事業として成立しておる中で行なっておる事業だと私は推察するんですが、そうなれば協同組合のほうを改正していけばこの問題は私はスムーズにいくんじゃないか、こういうようにも考えざるを得ないんですが、この点はどうですか。
#99
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘の点もごもっともな点がございまして、私どもも協同組合法の一環としてこれをつくったらどうかということも検討いたしたわけでございますが、この協同組合法につきましては、やはりこの第五条でございましたか、協同組合原則というものがはっきりうたってあるわけでございまして、やはりこの協同組合法は協同組合原則で実施されるものを純粋にこれに残しておきたいという単純に立法技術的なものもあったわけでございまして、やはり中小企業等協同組合法とは性質の多少違うところのこれはやはり組合でございますので、別の体系にしたわけでございます。
#100
○近藤信一君 まあ予備審査ですから、あと今後の質問に対することで一、二お尋ねしていきたいと思うんですが、たとえば政府が説明したり答弁されるときに、いわゆる協同組合、協業組合、共同化、協業化、合併と、こういうことばがしょっちゅう出てくるわけなんですが、いわゆる協業と合併とどう違うか、これは専門的な字句だけの問題か、それとも実際運用上について協業と合併とどう違うか、そういう点はどうですか。
#101
○政府委員(影山衛司君) 協業と合併でございますが、中小企業法人であるところの、会社であるところの中小企業者が一緒になるということにつきましては、合併も協業も同じでございますけれども、しかしながら、今度合併の場合には両方の、四つなら四つの会社が一つの会社になりますと、これはなくなりまして、あとかたもなくなるわけです。ところが、協業の場合につきましては、その会社が四つあれば、その四つがメンバーとしてこれは残るわけでございます。そういう点が組合制度、組合員が残るという点が違うわけでございます。
#102
○近藤信一君 合併の場合は、たとえば株式なら株式として残るんじゃないですか、自分の持ち分というものが。
#103
○政府委員(影山衛司君) それは出資という関係だけで残るわけでございまして、いわゆる私どもが協業組合の組合員に課しておりますところの、たとえば競業の禁止の義務でございますとか、あるいはこれの議決権を認めておるとか、というふうな制約というものはないわけでございます。
#104
○近藤信一君 それからもう一つ、小規模事業と小企業、この相違ですね。たとえば小企業に対してはこれは信用保険公庫法の改正で、小企業とは次に掲げるものであるということで、常時使用する従業員の数が五人、商業またはサービス業を主とする事業者については二人、と、こうあるんですね。ところが今度は小規模になりますると、これが常時使用する従業員の数が二十人、これは定義の問題ですね。それから商業、サービス業に対しては、これは五人と、こうなっているんですね。われわれが考えると、小規模のほうが人数が定義の点では多くて、小企業のほうが人数が少ないと、こういうふうなことが法律にも出ておるんですが、実際、小企業と小規模とではどう違うのか、その限界はどうしてこんなことになっておるのか、この点はいかがですか。
#105
○政府委員(影山衛司君) 小規模企業と小企業でございますが、これは小企業というのは零細企業というふうに考えたらいいかと思いますが、ただ、あんまり零細企業、零細企業というのがどうも語感が悪いので、小企業というふうになっておるわけでございますが、小規模企業につきましては、これは中小企業基本法の第二十三条で、おおむね製造業等において二十人、それから商業、サービス業については五人というふうな定義がされておりますので、それに従っておるのでございます。また、その中でも特に零細層につきましては、大体五人または二人、たしか事業協同小組合の加入資格につきましても、五人または二人というふうにもなっておるわけでございまして、これが零細企業というものの定義ということに大体なっておるわけでございます。だから小規模企業、その中の零細企業を小企業としまして五人または二人というふうにいたしておるわけでございます。
#106
○近藤信一君 まあ小規模というのが零細企業だと、ところが小規模というのはいわゆる小の企業、こうなると、中小企業の定義の中に、実際区別すると、それじゃ三つに区分けをしなければならぬ、こういうことになるのですね。中と小規模と小と、こう三つに区分せなけりゃならぬ。それがいつも中小企業ということで片づけられておる。したがって、法律の面でおおむね出てくるのは、中のほうの問題が主として優遇されておるような私感じがするんですね。やはり今後私どもが審議していく上に、零細企業に対しては小企業、それからそのちょっと上のほうにいくと小規模、こういうことでお尋ねなんかをしていかなければならぬということになるので、私ちょっとお尋ねしたわけなんですが、こういう点で私、はなはだ矛盾していると思うのですよ。中小企業は資本金が五千万円まででしょうね、五千万円までに押さえられている、その三百人と五千万円と。
  〔理事近藤英一郎君退席、委員長着席〕
小規模の範囲はどの辺までかということになると、この定義からいくと二十人と五人と、こういうことになる。小規模というと十人から五人と二人と、こういうことになっていくが、実際これはなかなか理解するのも理解しにくいと思うのですよ。何かこれいい方法ないか、あなたのほうで何かこういう点をもっと革命的な考えは持っていないのか。
#107
○政府委員(影山衛司君) 先生御承知のように、中小企業の中にもいろいろ階層がございまして、たとえば小規模事業者二十人あるいは五人の場合には、中小企業の数三百五十万の中で三百万ぐらいであります。そういうふうに多数を占めておりまして、私どもも中小企業対策の大部分は、小規模事業対策、それは零細企業も含めてということだろうと思うのですけれども、大体そういう点もございまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、各階層別にできるだけきめのこまかい施策も講じたいというわけでこういうふうに区分けをしたわけでございますが、なお、先生御指摘の点につきましても、私ども検討を進めたいと思っております。
#108
○近藤信一君 いろいろとまた御質問をするわけでございまするが、本日はこの程度にして私、終わります。
#109
○高山恒雄君 一つ、これは大臣にお聞きしたいのですが、これは中小企業対策でやられる問題として決して不適当とは考えておりません。いま出しておられる問題、これは現実の問題じゃないかと、この点は私もそう思うのですが、しかし問題は、共済制度にしろ、あるいは五人、二人――五人から二人のこの零細企業の組合組織をどうするかという問題、これは必要だと思うんですよ。しかし、そんなことだけをお考えにならないで、なぜ中小企業が今日まで、ここまで苦しい立場に追い込まれておるかという問題ですね、基本的な問題ですが、そういう問題を私は根本的にやっぱり中小企業の対策としては考える必要があるんじゃないかと思うのです。一つ例を申し上げます。問題は、中小企業といえども付加価値の問題でしょう。中小企業なるがゆえに付加価値が少ない。下請業界であればそれでたたかれる。金融の処置であるならば選別融資しかしない。結局中小企業の立つ瀬もないような構造になっているのですよ。それをやっぱり根本的に私は論じてもらって、たとえて例を申し上げますならば、百貨店法、こういう問題はやっぱり中小企業対策の中で大きく私は論じてもらって、そして百貨店の横暴販売ですね、こういうものはやっぱり規制する、そうして零細企業に対する付加価値を生ます、こういう問題が改正されない限り、現実に出てきておるものをその場その場だけでその対策を立てておられるところに私は大きな問題があると思うのです。さらに、近藤委員の質問があったように、五千万円の資本金に三百人以下。したがって、この最低はサービス業で二人あるいは五人以下、こういうとんでもないちょっと判断に苦しむような法案が次から次に法制化されるということになると思うのですね。そうじゃなくて、中小企業を生かす道はむしろ付加価値をどうして生ますか。付加価値を生ます方法は、流通機構の改善もございましょう。あるいは共同購入もございましょう。あるいは百貨店法の改正もありましょう。私は、ちょっとそういう面におけるその考え方を変えていかなければ、出てきたものの勝負の対策は事後対策であって、建設的な中小企業の前向きの姿の対策でないと思うのです。この点、大臣どうお考えになっておるか、私はお聞きしたいのです。
#110
○国務大臣(菅野和太郎君) ただいま中小企業の問題の基本問題についてお話がありましたが、私もその問題については、同じようにいろいろと考え、また悩まされておる問題であります。要は、中小企業と大企業との間の所得の格差をなくするということだと思うのです。付加価値の問題は、だから中小企業は中小企業として存立ができて、あえて大企業と比べてもそう所得の格差がないようにしてりっぱにやっていけるというようにするということが、私は中小企業問題の基本目的だ、こう思うのです。そういう意味で、中小企業なるがゆえに弱みがある場合には、それを助けるとか、大資本によって圧迫されるときにはそれを助けるというようなことで、いろいろの今日の中小企業の問題の対策が、法がたくさん出ておると思うのであります。今度の協業の問題も、これによってひとつ大企業と対立のできるようにしてあげたいということで考え出された問題でありますが、しかしながら、お話のとおり、これで全部解決するというわけじゃありません。その点において、先ほども近藤委員も言われたとおり、中小企業の問題は一ぺんにずっときれいに解決できる案が、対策があれば、これはわれわれも喜んでそれをやりたいのでありますが、今日までみんながやっぱり苦心をして、そうしてあれをやりこれをやりして、何とかして中小企業を助けたいということでやってきておるのでありまして、幸い今度皆さん方の御賛同を得ました中小企業の振興事業団というようなものは、これは私はいままでの対策の中で一番まとまった対策じゃないか、こう考えておるのでありまして、これによってひとつこの際中小企業の問題も新しい道を歩んでいきたいという考えをしておりますし、また、ここの新事業団によって、私は、中小企業の問題については政府がほんとうに決意を持っておるということをひとつ示したいということを考えておるわけでありまして、したがいまして、皆さん方からもこの間からも御質問がありましたが、この事業団の理事長の問題でも、天下りはいかぬとかなんとか、いろいろ皆さん方から御批判を受けておるのでありますが、私は、中小企業の問題で苦労して、そしてほんとうに同情心を持った人がこの理事長になってもらいたい。それによって多小中小企業の問題の解決が一歩一歩進むのじゃないか。単なる月給だけもろうて理事長をやっておったらいいというような人ではいかぬということで、実はそういう点においては、そういう人物はないかということでさがしておるし、皆さん方にも御推薦をお願いしたいということを申し上げておるのであります。そういうことでいま私も苦心をして、何とかしてこの事業団でひとつ中小企業の問題について一つの曙光を見出したいというのがわれわれの考えでありますから、どうかひとつ、その点において御協力を特にお願い申し上げたいと存じます。
#111
○高山恒雄君 それは前向きの姿で事業団法をつくられたことは、これは私も一歩前進だと思うのです。しかし、それができる範囲内は、現行法律でやっぱり制限があるのです。したがって、その制限を改正をしてやるという方向に進まないと、私は、やっぱり一人でやるよりも十人の力でやったほうが強い、これは当然のことですから、そういう組織をつくられるということについては、私は決して反対をしておりませんが、それ以外の問題、たとえばその事業団が生まれて、二十人なら二十人の協業の組織ができたとしますと、そこで生産をしたものをあるいは集荷所に持っていく。そこで三%、四%の集荷手数料というものを取られる。百貨店に出して、百貨店で売れ残ると、またその品物が集荷所に返って、ここでまた二%取られる。何にもしないでそこで六%ないし七%の手数料というものを取られておる。百貨店は売れ残れば全部返すんだから、これくらいりっぱな商売はない。こういうものに基本的にてこ入れをしないで私は付加価値は生まれてこないと言うのです。生まれてこないのに、幾ら協業組合が、一人よりも十人が強いことはわかっておりますけれども、私はそれではしかし範囲が小さい。もっと根本的にメスを入れてもらいたい。これは自民党さんですから大資本にはなかなかそういうことは言えないと思うのですけれども、どうですか、大臣、百貨店法でも変える意思はありませんか。
#112
○国務大臣(菅野和太郎君) ここで中小企業の問題を解決するについて、中小企業自体の改善策ということも考えなければなりませんが、同時に、一般国民の消費という立場も考えてあげなければなりません。百貨店があれだけ繁栄するというのも、一般消費者側から見ると、百貨店というものが買いやすいとかというようなこと、また定価が一定しているとかというようなことで安心して買えるとかというようなことでありますからして、したがって、やはり一般消費者側の立場ということも考えていかなければならぬのでありますからして、そういう点からして、百貨店が大企業であるがゆえにわれわれは擁護する意味ではなくて、一般消費者の利便ということでわれわれも考えていかなければならぬ、こう存じておるのであります。しかし、百貨店が特に付加価値を多くとるというようなことは、これはその点においての規制ができれば規制をしたい。たとえば売れ残りというような問題なども、これなどは将来考えてみたい問題だと、こう存じておる次第でございます。
#113
○近藤英一郎君 近藤委員が先ほど質問しました中に、中小企業省の設置問題に触れたわけですが、ところが、ちょっとさっき聞いておりまして、大臣も、佐藤総理が本会議で、いまつくる意思はないのだ、そういうようなことを言っているのでだめだ。それからもう一つは、たとえば厚生省なり農林省に影響してくる問題なんで、もっとえらい力のある総理大臣が出なければこれはだめだろうと言っておられるのですが、実態は、これはいま大臣が言われるように、大企業、中小企業、特にわが党といいますか、選挙になりますと中小企業は大事だということを言うのです。ところが、中小企業団体の会合に出ますと、中小企業の施策の面でまだだわれわれは不満があるのだ。そしてこれを実現させて、われわれがもっと日の目を見るような政策を実行してもらうためには中小企業省をつくれという声がうんとある。そういうことをまず第一に、大臣は知っておられますか、どうですか。それからそれについて、中小企業省の設置という問題について、これはいろいろ勇気と英断が要ろうと思うのですよ。要ると思うのですが、産業分野の内容もずっと検討してみたり、その層の幅が非常に広いという、そういう点を考えますと、非常に大事な層なんですね。これに対して中小企業者を設置しろという、いわゆる各団体からの陳情願がずいぶん出てきておるわけです。わが党の中でもまだ意見のまとまらない面もありますけれども、そういう声が非常に強いということでありますので、そういう点を大臣が知っておるかどうかということと、大臣のそれに対するお考えはどうかということをちょっと聞いておきたい思います。
#114
○国務大臣(菅野和太郎君) 私も中小企業のそういう会合に出たときにいつも聞いております。私は先ほど申し上げましたとおり、それは皆さん方も御参加願っておると思うのですが、中小企業振興議員連盟――私が代表委員をしておったときに、この中小企業省の問題についてひとつ検討しようじゃないかということを提案した一人でありますが、できれば中小企業省をつくりたいというのが、私の考えでありますけれども、現時点の段階においては、それをつくるということはよほど困難だというふうに考えております。これにはいまの行政機構というものは伝統のあることでありまするし、でありますからして、現在の段階においては、いま中小企業省をつくるということは困難だと思いますが、しかし、通産省の仕事というものは、これは大別したら中小企業と貿易のことをやっておるといっても差しつかえないのです。でありますからして、いまの通産省の仕事というものは、中小企業のことを通産省の本体の仕事としてやっておるのでありますからして、その点だけはひとつ御了承願いたいと思います。
#115
○近藤英一郎君 大臣、よくわかりましたけれども、いずれかの機会にこの問題はまた御質問したいと思いますが、大臣も中小企業振興議員連盟の会長をやっておられて、これをつくろうという旗頭であったわけです。そういう点から考えて今後一そう推進していくつもりであるという点はそう理解していいかどうか。今後それを推進してもらいたい、こういう点で私の質問は終わります。
    ―――――――――――――
#116
○委員長(鹿島俊雄君) この際、参考人の出席要求についておはかりいたします。
 ただいま議題といたしております両案審査のための参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#119
○委員長(鹿島俊雄君) 両案に対する質疑は、本日のところはこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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