くにさくロゴ
1967/06/23 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第11号
姉妹サイト
 
1967/06/23 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第11号

#1
第055回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第11号
昭和四十二年六月二十三日(金曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松澤 兼人君
    理 事
                石井  桂君
                宮崎 正雄君
                大倉 精一君
                柳岡 秋夫君
                原田  立君
    委 員
                植木 光教君
                木村 睦男君
                楠  正俊君
                黒木 利克君
                中津井 真君
                柳田桃太郎君
                加藤シヅエ君
                小平 芳平君
                瓜生  清君
   政府委員
       首都圏整備委員
       会事務局長    鮎川 幸雄君
       経済企画庁水資
       源局長      松本  茂君
       運輸省港湾局長  佐藤  肇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局公害部長    武藤g一郎君
       林野庁指導部長  手束 羔一君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  馬場 一也君
       建設省都市局下
       水道課長     久保  赳君
       日本国有鉄道常
       務理事      仁杉  巌君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業公害及び交通対策樹立に関する調査
 (産業公害対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松澤兼人君) ただいまから、産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。
 質疑のおありの方は、順次発言を願います。
#3
○大倉精一君 調査に入る前に、念のためにお尋ねをしておきたいんですけれども、いま公害基本法案が審議中でありまするが、その間において公害対策を総括する責任者はだれになっていますか。これは厚生省、通産省の部長さんがお見えになっているんですから、どこで総括するのか、こういうことをひとつお答え願いたいと思います。
#4
○説明員(武藤g一郎君) ただいまの御質問でございますが、御質問のように、公害問題はいろいろ関連するところが多いんでございまして、現在、総理府に連絡会議が設けられております。したがいまして、各省にまたがるような問題につきましては、現在総理府にあります連絡会議でいろいろ討議をして行なっているところでございます。基本法が成立いたしますれば、対策会議のもとに幹事会というものが設けられるようになっております。したがいまして、基本法が成立するまでの間は、現在総理府に設けられております連絡会議を主宰する総理府のほうで調整する、こういうことになろうかと思います。しかしながら、実施問題につきましては、それぞれの省庁がございますので、その点は各省庁で具体的に問題を処理すると、こういうことになろうかと思います。
#5
○大倉精一君 その連絡会議というのは別に権限、任務というものはないんですか。ただ、みんな集めて、たとえば単なる連絡であって、総括をするという任務はないんですか。
#6
○説明員(武藤g一郎君) 連絡会議は、政府部内に設けられております事実上の連絡会でございまして、問題によっては総理府のほうで調整を行なっているところでございます。
#7
○大倉精一君 どうも、はっきりしないようですがね。これは、あなたに言ってもしょうがない。委員長、じゃ今度、総理府を呼んでこういう問題についてはっきりさせる、それで常にこの公害対策委員会には、総括する人に私は出てきてもらう、こういうことをひとつ委員長、おはかり願いたいと思います。
#8
○委員長(松澤兼人君) ただいま大倉君から御発言がありました、次回には総理府から担当する人に出てきてもらいまして、また大倉君からその際、要請することと思いますが……
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#9
○委員長(松澤兼人君) 速記を始めて。
#10
○原田立君 河川の問題でお伺いしたいと思うんですが、従来河川の浄化ということは古くから言われていることでありますが、わが国の河川は遠く明治の時代から昭和に至るまで、環境衛生、特に河川関係の対策がヨーロッパあたりより非常におくれている。現在では抜きさしならぬような状態になっていると、こういうふうにいわれております。それほど大事な問題でありますが、私はきょう河川問題について若干お伺いしたいと思うんです。冒頭に申し上げましたように、すでに一般家庭の汚水とか、あるいは工場廃液等によって汚濁している河川の浄化対策、これは大まかに言ってどういう対策をなさっておられるか、経企庁……。
#11
○政府委員(松本茂君) 河川の汚濁につきましては、その原因がいろいろございますし、またその対策も、それに応じましていろいろの対策を講じていかなくてはならないと思います。で、原因につきまして大別いたしまして、自然的な災害とかそういったことで汚濁になってまいるものを除きましては、一つは工場排水でございます。一つは家庭下水でございます。
 で、工場排水につきましては、これは水質保全法によりまして水質基準を設定し、次に工場排水規制法によりまして、その水質基準を各工場が順守するように所要の施設を講じさせるということで、その水質基準を守らしていくということで、水質の保全という措置を講じているわけでございます。
 家庭下水につきましては、これは非常に各戸それぞればらばらでございますので、水質保全法の対象にはなっておりませんが、しかしこれにつきましては下水道を整備いたしまして、それによって河川の汚濁を防止していくという措置が不可欠なことであると思っております。下水道に家庭下水道が集められまして、そうして処理場から河川に排水されるわけでございますが、その下水道からの河川への排水につきましては水質保全法が適用になります。これにつきまして水質基準を、工場排水と同じように、その状況に応じましてきめている。処理場の管理者はそれを順守して排水するというたてまえになっているわけでございます。
 もちろん、この下水道の整備ということは、家庭排水だけの問題ではございませんで、工場排水も下水道に受け入れ、これを終末処理場で一括して処理するということが非常に望ましいわけでございます。これは工場排水、家庭下水両方に通じまして、下水道の整備ということが非常に大切なことだと思っております。
 そのほか、河川の水質を保全してまいりますためには、適当な量の河川維持用水を確保しておくということが非常に大切なことだと思うわけでございまして、たとえば隅田川の浄化につきましては、秋ヶ瀬から荒川あるいは利根川の水を引っぱりまして、通常の場合は通水いたしているわけでございます。それが非常に大きな効果を発揮している。そういった措置を講じていくことも、河川の状況によりましては私たち必要なことであると、こういうふうに思っております。
 さらにまた、河川は、水が流れよくなっているということが非常にまた大切なことでございます。これにつきましてはしゅんせつを行なうということが、非常に大切な一つのやり方であると考えております。たとえば隅田川等につきましては、建設省におきまして、また都市におきまして、しゅんせつが実際に行なわれているということでございます。
 そのほか、ごみを清掃するというふうなことも、これまた、非常に一つの大切な水質保全のためのやり方だと思っております。
 さらに進みましては、土地利用と申しますか、工場立地と申しますか、そういったことにつきまして、あらかじめ計画的に措置していく、そうして工場立地あるいは住宅地として今後開発していくような地域につきましては、あらかじめ下水道を整備しておく、そういった措置を講じていくことが、今後特に重要になってくる、こういうふうに思われるわけでございます。河川の水質の維持につきましては、そういったいろんなことを総合的に実施していくことが必要であると、こういうふうに思っております。
#12
○原田立君 現在、飲料水の原水として取水している川、それらの保護策はどうなっていますか。
#13
○政府委員(松本茂君) 上水道源として利用されております川につきましては、特にその重要性にかんがみまして、水質保全、水質基準の設定、そういった点につきましても特に留意いたしまして、できるだけそういった地域につきましては早く措置するようにいたしたいと、こういうふうに思っているわけでございます。で、一つの方法といたしまして、上水道の水源として取水されるあたりにつきましては、普通厚生省のほうでそういった場合にはBODで三PPM以下に汚濁を押えなくてはならないというふうな原則がございますので、その原則に適合するように、流水基準を想定し水質基準を設定していくという措置を講じているわけでございます。同時にまた、先ほど申しましたように、そういった地域につきましては、下水道の整備ということに特に重点を置いてやっていかなくてはならないことだと思っております。
#14
○原田立君 東京の近郊を流れている河川の一つである多摩川は、その水質基準はもうすでにきめられておりますか。
#15
○政府委員(松本茂君) 多摩川の上流につきましては、四十一年の三月五日に水質基準を設定いたしまして、また多摩川の下流につきましては四十二年の二月二十四日に水質基準を設定いたしました。
#16
○原田立君 水道原水として取水している河川の沿岸、そういうところに工場などもつくられていくんではないかと、こう思うのですが、そういう工場設置基準、これはきびしくすべきじゃないかと、こんなふうに考えるのですけれども、その点はいかがなっておりますか。
#17
○政府委員(松本茂君) 水道の取り入れ口の上流に工場を立地するという点につきましては、水質保全上、その工場につきまして、上水道としての水質に支障を及ぼさない程度に工場排水の水質が守られておるということが大切なことであると思います。で、これにつきましては、水質基準をなるべく早く設定するように努力いたしておるところでございます。同時にまた、こういった点につきましては、工場個々にそういった措置を講ずるということも、非常に工場としては負担のかかることでございますので、なるべくならば、そういった地域につきましては優先的に下水道が整備されることが非常に望ましいことだと、こういうふうに思っているわけでございます。で、今後工場立地等につきましては、そういった点を十分考慮されまして、そういった水道水源となっているところの上流に工場が立地されるような場合につきましては、あらかじめ下水道の整備をはかるとか、あるいはまた、そういったところの工場の立地につきまして法令的な根拠を設ける、あるいは行政指導によりまして支障のないように、それぞれの産業所管省におきまして考慮されることが必要かと思っております。
#18
○説明員(武藤g一郎君) 飲料水の衛生確保につきましては、現在水道事業の認可にあたりましては、水道水源の水質が最も低下した場合におきます試験の結果を提出させまして、その水源を水道法の水質基準に適合させますことができる浄水施設を有する水道でなければ認可しないというようなことで、制度的には飲料水の衛生確保をはかっております。それから第二に、いま経企庁のほうから御説明がありましたように、原水を河川表流水に依存しておる場合には、河川の水質の悪化しているものにつきましては、水道法に基づく水質基準と、それから浄化基準等を勘案しまして、水道取水点におきます水質の基準を経済企画庁に提出いたしまして、水質保全法の地域の指定とか、水質基準の設定、規制を行なうようにしておるわけでございます。以上二つのような点を制度的には一応やっておりますが、御指摘の工場等の問題につきましては、ただいま経企庁から御説明がありましたように、関係官庁でよく連絡をとりまして問題がないように十分の措置を講じたいと、かように思っております。
#19
○説明員(馬場一也君) 御質問の点につきましては、すでに企画庁なり厚生省なりから答えましたとおりでございます。重複する点は私から申し上げませんが、そういう水道の水源等に利用される川の特に上流のほうに、工場の立地について一定の規制をすべきであるという点でございます。特に、そういう場合が最も問題になるわけでございますが、一般に水質汚濁は、工場ができまして排水する。それによりまして、その水質規制をやりましても、なおかつ、水質基準が守られないというような場合には、そういうところに工場の立地を新規にどんどん認めていきますということは、結局非常に問題でありますので、私どものほうでは、これは汚水に限りませんが、汚水なりあるいは大気汚染なり、一定の環境基準なり、そういうしっかりしたものがきめられますことになりました場合には、それに適合するという条件でなければ、工場の立地を――新増設を認めないというような法的措置が必要ではなかろうかということで、目下そういう法的措置につきまして――工場のことでございますので、私どものほうでできるだけすみやかな機会に成文化して、成案を得まして国会に出したいということで、目下真剣に検討いたしております。
#20
○原田立君 企画庁にちょっとお伺いしますけれども、先ほどの多摩川ですけれども、上流及び下流それぞれ指定されたというのですが、どのくらいの基準に指定されたのか、ちょっとそれだけ。
#21
○政府委員(松本茂君) まず上流のほうでございますが、上流は調布の取水せきから上のほうでございます。これにつきましては、水素イオン濃度、これが水素指数で五・八以上八・六以下、それから生物化学的酸素要求量、これは日間平均が二〇PPM以下、浮遊物質量が七〇PPM以下、クローム含有量が二PPM以下、シアン含有量が一PPM以下、フェノール含有量が一PPM以下でございます。いま申しましたのは、四十一年の三月五日におきましてすでに設置されている工場または事業場についての原則でありまして、紙製造業の五工場、医薬品製造業一工場につきましては生物化学的酸素要求量BODにつき若干の例外がございます。これに対しまして、四十一年三月五日におきましてすでに設定されております工場または事業場につきましても、一日の通常の排水量が三百立方メートル未満五十立方メートル以上のもの、また昭和四十一年三月五日以後におきまして新たに設置され、あるいはまた増設されるもの、とういつたものにつきましては、その数値は先ほど申し上げましたものとすべて同じでございまして例外はございません。下流のほうにきましては、まず新増設のものについて申しますと、地域を三つに分けまして、下水道のすでに設定されております地域、これにつきましてはPH、水素イオン濃度でございますが、これが五・八ないし八・六、BODは二〇PPM、それからSSは七〇PPM、それから下水道計画区域、これは二年以内に下水道が設置されることが計画上はっきりしている、こういう地域でございますが、これはPHは五・八ないし八・六というのは同様でございますが、BODは一二〇PPM、SSは一五〇PPMということになっております。それから一般区域、先ほど申しました二つの地域以外の地域でございますが、これはPHは同様でございますが、BODは二〇PPM、SSは七〇PPM、こういうことになっております。
 次に、既設のものについて申しますと、下水道整備区域は、PHは五・八から八・六まで、BODは二〇PPM、SSは七〇PPM。下水道計画区域は、PHは同じで、BODは三〇〇PPM、SSは三〇〇PPM。一般区域は、PHは同じで、BODは一二〇PPM、SSは一五〇PPMでございます。
#22
○原田立君 たいへん詳しく御説明になったのですが、元来水質保全法はきたなくなってから基準をきめるというふうなことになっているわけですが、すでに水質保全法の改正を考えるときにきたんじゃないか、こういうふうなことが世上いわれております。事後の規制のみで行なっているのが現状ですが、これは事前の予防的施策が必要ではないか、こういうふうな意見があるわけですが、その点どういうふうにお考えになっているか。要するに、きたなくなってからの規制のしかたではおそい、前もって規制するという、そういう姿勢を持つべきじゃないか、こういうふうな意見があるのですが、いかがですか。
#23
○政府委員(松本茂君) 水質保全法の第五条の規定によりますと、「公共用水域のうち、当該水域の水質の汚濁が原因となって関係産業に相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又はそれらのおそれのあるものを、水域を限って、指定水域として指定する。」、その指定水域につきましては水質基準を設定する、こういうことになっているわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、なるべく早目に手を打っていくということが今後非常に大切になってくると思うわけでございまして、今後このおそれのある場合、そういった場合につきましても十分よく考えまして、後手にならないように十分事前によく調査も早目にやり、水質基準の設定もなるべく早目にやるということでやっていきたいと思っております。
#24
○原田立君 なるべく早くやっていくというのではなしに、やはりもとのほうの法を変えていかなければ、やはり後手後手になっていくのじゃないかと思うのですが、それは部内で研究なさっておられることだろうと思いますけれども、いかがですか、法の改正について。
#25
○政府委員(松本茂君) 現在、公害防止に関する基本法案が審議されているわけでございますが、その基本法案におきましては環境基準を設定するという規定が設けられておりまして、水質につきましての環境基準という点につきましては、現在の水質保全法でも水質基準を設定する以前におきまして、その前提として流水の水質――流水基準というものを想定し、それを維持するために各工場、事業場の水質基準を設定しているわけでございます。しかし、今度基本法におきまして、環境基準というものが明文をもってはっきり規定されることになるわけでございまして、そうなりました場合には、この環境基準の設定につきまして、どういうふうにやっていくかということを、関係各省あるいはまた、この基本法によって設けられます公害対策審議会でいろいろ御審議いただくことになると思います。そういった場合には、先ほど御指摘の、なるべく早目に手を打っていくというふうな趣旨も生かされるような方向で環境基準を設定するということを十分検討していく必要があると思います。また、それを受けまして、水質基準の設定につきましても、先ほど申しましたように早目早目に措置を講じていくというふうに運用していきたいと思っております。なお、この水質保全法につきましては、基本法が制定されました場合には、その基本法の精神、その規定を受けまして、それの実施法となるわけでございますので、そういった点から、もう一度水質保全法を十分よく検討いたしまして、必要な点があれば早急にその改正の手続を進めていく必要がある、こういうことで現在いろいろ検討しているところでございます。
#26
○原田立君 先ほど御説明の中に、工場排水と一般家庭の汚水、それが河川の汚濁の原因である、こういうお話がありました。それで下水道の完備をするしか河川の清浄化の方法はないというふうに思うのですが、最近五ヵ年計画等をつくっているそうでありますが、その構想はどうですか、建設省。
#27
○説明員(久保赳君) 下水道の五ヵ年計画につきましては、先般下水道法の一部改正案並びに下水道整備緊急措置法案を提案いたしまして御審議をいただいた結果、今月の二十一日に公布になったわけでございます。したがいまして、その下水道整備緊急措置法に基づく五ヵ年計画を早急に決定の上、閣議で決定をしていただく、こういうことで目下準備中でございます。なお、これにつきましては本年の三月二十四日に五ヵ年計画の閣議の了解がなされておりまして、総額にいたしまして九千三百億円の下水道投資を昭和四十二年度から五ヵ年計画にすることに閣議で了解になっております。したがいまして、総額はきまりましたけれども、細部の計画につきましては、今後の閣議決定でいたす予定で準備をしておる次第でございます。
#28
○原田立君 いろいろと計算されるだろうと思うのですが、単純な計算で九千三百億を五で割れば千八百六十億というふうなことになるわけですが、いままでの計画では年別にしてどのくらいだったのですか。今回たいへん多くなったというような話は聞いておりますが、いかがですか。
#29
○説明員(久保赳君) 実は下水道整備五ヵ年計画につきましては、生活環境施設整備緊急措置法によりまして昭和三十八年度から昭和四十二年度に至る五ヵ年の計画がきまっておりまして、その内容は下水道整備五ヵ年計画分といたしまして三千三百億円ございます。そのほかに、終末処理場が別になっておったわけでございますが、終末処理場整備五ヵ年計画といたしまして一千百億きまっております。合わせて四千四百億円がいわば第一次の下水道整備五ヵ年計画であったわけでございます。その五ヵ年計画の四十二年度は、一年残っておるわけでございますが、それを繰り上げまして四十二年度からさらに五ヵ年計画で九千三百億円になりましたので、ほぼ二倍以上ということになるわけでございます。
#30
○原田立君 質問が飛び飛びになってたいへん申しわけありませんが、通産省にお聞きしたいのですが、新設の工場については工場排水の規制を強化すべきだというふうな意見が支配的になって、何PPMかきめられたそうですが、これは一体どのくらいにきめられてあるのか。関連して、水資源局のほうでそれは妥当であると考えておられるのか、ないしは既設の工場、これについてはどういうふうになさっておられるのか。
#31
○説明員(馬場一也君) 先生の御質問でございますが、いわゆる都市河川方式で企画庁が水質基準をおきめになられた河川につきましては、既設の工場と新設の工場につきまして、ある程度新設の工場にきびしい基準がつくられておる水系が幾つかございます。これが妥当かどうかというのは企画庁がそういう基準をおきめになることでございますので、私どもお答えする限りではございませんが、そういう河川が幾つかございます。
#32
○原田立君 何か二〇〇PPMというふうにお聞きしておりますけれども、二〇〇PPMということは、それできちんと清浄化が保たれるのかどうか、その点はどうですか。
#33
○政府委員(松本茂君) 首都圏近辺の河川につきましては、ほとんど大部分のものにつきましていわゆる都市河川方式という方式で水質基準を設定いたしておるわけでございます。それで、この方式によりましてきめております水質基準は、既設のものにつきましては下水道整備地域はBODで二〇PPM――簡単にBODだけで御説明したいと思いますが、二〇PPM、下水道計画区域二年以内に下水道が整備される地域、これは三〇〇PPM、それ以外の一般地域、これは一二〇PPM、それぞれ以下でございますが、そういうふうにきめております。これに対しまして新、増設のものにつきましては、下水道整備地域は同様に二〇PPMでございますが、下水道計画区域につきましては一二〇PPM以下、こういうことにいたしております。また、それ以外の一般地域につきましては二〇PPM以下という、きびしい基準にいたしておるわけでございます。
#34
○原田立君 いまのお話の中に、下水道が整備されていないところは三〇〇PPMというようなお話がありましたが、三〇〇ではたいへん数値も多いですが、くさくてしょうがないじゃないですか。それから一二〇PPMというふうなお話もありましたけれども、一二〇くらいですと、やはり金具の腐蝕とか悪臭とか、そういうのがあるのじゃないですか。
#35
○政府委員(松本茂君) 先ほど申し上げましたのは、多摩川下流を例にとりまして申し上げたわけでございますが、下水道整備地域につきまして二〇PPMと、こういうふうにいたしておりますのは、下水道があるわけでございますから、もう、そういったところは必ず下水道に入れてもらう。どうしても下水道に入れないで直接川へ排出するという場合には、これは下水道の恒久処理と同じ程度の二〇PPMにしてもらわなくてはならないという考え方でございます。
 それから、この下水道計画区域というのは、先ほど申しましたように二年以内に下水道が整備されるということが確実に見込まれておる地域でございます。こういった地域につきましては、この二年間は三〇〇PPM以下で出るわけでございまして、その点は残念なことではございますが、二年たてば下水道が整備され、そうしてその工場排水も下水道のほうに引き取ってもらうということになるわけでございますので、企業のほうに非常な経費の負担をかけて汚水処理施設をいろいろ設けさせるということも、いかがなものであろうか、こういうことで三〇〇PPMに押さえたわけでございます。つまり、この三〇〇PPMというのは、そういった趣旨から出ておるわけでございまして、長くても二年間だけのことであるから――こういう趣旨でございます。同時に、この三〇〇PPMというのは、下水道が整備されました場合には、東京の場合は三〇〇PPMが前処理基準でありますので、ここまでしておけば下水道に引き取ってもらえるという水質でもあるわけでございます。そういったことを考慮いたしまして三〇〇といたしました。それから一般区域につきましては一二〇と、こういうふうにいたしておるわけでございます。これは、一つは今後の工場あるいは人口のふえ方、それによる汚濁、あるいはまた、片一方で下水道もおいおい整備される、あるいはまた、工場排水も規制されるというようなことで、よくなっていく要素もございます。そういったことを勘案いたしまして、多摩川下流でございますれば流水の水質といたしまして大体一〇PPM程度には維持されるであろう。こういうことで一二〇PPMと、こういうふうにいたしておるわけでございます。しかしながら、東京近辺の川でございましても、川によりましては――この多摩川下流というのは東京にもそそいでいるという事情も考慮したわけでございますが、川によりましてはこの一般地域につきましても七〇PPMに押え、あるいはまた、九〇PPMに押えているという場合もございます。それから新増設のものにつきましては、下水道整備地域、それから一般地域、いずれも二〇PPM以下で押えているわけでありますが、下水道計画区域につきまして一二〇PPMということにいたしましたのは、新増設の工場でございましても、二年以内に下水道が整備されれば、それに工場排水は引き取ってもらえる、こういう状況でございます。といっても、既設のものと同様に三〇〇PPMほどのものを出してもらっては困る。新しく工場を増設するのでありますから、そういう地域に工場を新設する場合には当然それを考えてやってもらわなくてはならないということで、既設のものは三〇〇でございますが、ここのところは一二〇PPMで押えると、こういうことにしたわけでございます。
#36
○原田立君 たいへんこまごまと御説明していただいたのですが、ごく簡単に答えていただいてけっこうです。それで、隅田川浄化問題というものはたいへん大きな課題でありますけれども、先ほどのお話ですと、新河岸のほうの処理場によって、あのきたない汚水、工場排水を一二〇PPMまで戻して、そして隅田川のほうに流す。また、それと同時に、利根川のほうの水を流入して清浄化するんだと、こういうふうなお話がありましたけれども、現実に、今回のように渇水時期になってしまったんでは、たいへんくさくてしょうがないと、こう言われておりますし、ただ、利根川の水を入れたからよくなったんだと、そういうようなことでなしに、対策の立て方はもっとほかに方法はないのか。とにかく、あすこの川は最近でも、そばへ行けばすぐぷーんと、いやなにおいがしますし、あの浄化ということは、東京都民にとって一番大きな問題だと思うんですけれども、ただ利根川の水を引き入れて、それが非常に効果があったというような、そういうようなことでなしに、ほかにないのかどうかということを……。
#37
○政府委員(松本茂君) 新河岸川につきましては、これは隅田川と一括して考えているわけでございますが、これにつきましては三十九年の八月に水質基準を設定いたしました。で、最近の状況――その後の状況でございますが、三十九年の年間平均では志茂橋のところでBOD六〇PPMでございましたが、四十一年、一年間をとって見ますと一六・五PPMにまでなっておるわけでございます。で、比較的こういうふうによくなってまいりましたのは、一つは水質基準を設定して、工場排水あるいは処理場からの排水につきまして規制を行なったということ、それから一つには、先ほど申しましたように浄化用水を流入さしたこと。それからもう一つには、昭和四十年度以降かなりの経費を投じまして下水道の整備が行なわれてまいりました。そういったこと、そのほか、しゅんせつ、あるいは清掃、そういったことが総合的にいろいろ実施されまして、こういったことになってまいったわけでございます。こういうふうに渇水になってまいりまして、その浄化用水の導入という点は、この五月末ごろからストップいたしておりますが、これも水量に余裕が出てまいりますれば、また復活さしていくことになるわけでございます。そういうふうに総合的にやっていっておるわけでございます。
#38
○原田立君 あの新河岸川の沿岸に製紙工場が二つか三つあるそうでありますが、その製紙のパルプの汚水を入れるので非常に水が黒くなる。このパルプの水を入れなければ、非常に、飲料水かと見間違えるほどきれいになるんだ、こういうふうな係の人の説明がありました。先日の当委員会でも、岐阜県のほうの工場が、パルプの汚水を流して、たいへん汚濁して農家が困ったというふうなことがありましたけれども、パルプの廃液の処理については、これはどこでも困っているんだろうと思うんです。そこで聞くところによると、通産省の工業技術院発酵研究所というところで研究をなさっておられるそうでありますが、その結果というか、実用化の現状はどうなっていますか、お伺いいたします。
#39
○説明員(馬場一也君) 御指摘になりましたように、紙パルプの排水の処理というのは、たいへん技術的にも問題がございますし、かつまた、これは事後処理いたしませんと、たいへん水質をよごすもとになるのでございます。紙パルプ工場から排水が出ます過程は、大きく分けると、大体四つぐらいございまして、一つはパルプ工場でパルプをつくります際に、原料の木材の皮をむいていわゆるチップというものにいたしますが、これを調木といいますが、その過程から出てくる排水、この調木過程から出てくる排水は、大体こまごました木材の細片を除きまして沈でん処理をいたすのでございますが、この技術につきましては、特にそういった沈でん処理、あるいは必要に応じて薬品処理をいたしますと特に問題はございません。最近におきましては水を使いませんで、いわゆる乾式の皮むきというものがございまして、これによって行ないますれば、この調木からの排水問題というものは、かなり解決をされるわけでございます。
 次に、一番問題になりますのは、いわゆる浄解過程――そのチップにいたしましたものを薬品で処理をいたしまして、そうしてそこでパルプをつくる過程、一番主要の過程でございますが、この浄解過程で出てくる排水、これをまあ俗に黒液と称しておりますが、これの原液は非常に――数万PPMというようなBODになるわけでございます。この黒液を処理いたしますときに――このパルプの種類によって差がありますけれども、たとえばパルプの種類によりまして、クラフトパルプというような種類におきましては、この黒液を濃縮いたしまして燃焼する技術がかなり確立されておりまして、これは大体このクラフトパルプを使います工場はその処理方法をとっておりまして、これで処理いたしますればあまり問題はないということでございます。しかしながら、同じパルプでも、たとえばSP――サルファイトパルプでございますとか、あるいはセミケミカル・パルプ――SCP、あるいはCGPといいますようなパルプの黒液の燃焼技術は、相当技術的に困難な問題がございます。現在のところにおきましては、これに対しまして、これでやれば大丈夫であるという適切な処理方法がございませんので、そういう燃焼処理方式というものはまだ確立されておりませんので、もっぱら沈でん処理という方式でやっておるのでございます。しかしながら、このSCPあるいはCGPにつきましては、最近諸外国で濃縮燃焼技術が開発されておりまして、わが国におきましてもこの方式を数工場でとっております。また、通産省におきましても、積極的にこの装置を取り入れるように、いろいろ指導いたしておるのでございます。ただいまお話に出ました岐阜の三興製紙におきましても、排水の問題がございましたので、これは先般も御報告申し上げましたが、会社がこの方式を採用することで多額の投資をいたすことになっております。
 それから次に、パルプの洗浄、パルプができましたあと、そのパルプを洗浄いたしまして、これを精製するという工程で排水が出てまいるわけでございます。この場合は、大体凝縮いたしまして、これを沈でんするということで処理をいたしておりまして、特別に技術的なむずかしさという問題はあまりございません。
 以上がパルプ工程でございますが、次にできましたパルプから紙をすく過程、つまり抄紙過程といっておりますが、この過程で出てまいります排水のうち、特に問題になりますのはBODよりも、むしろSSでございます。それを沈でんさせまして処理をいたしますれば大体問題はないわけでございます。したがいまして、紙パルプから出てくる排水は大きく四つに分かれますが、技術的に一番問題になり、かつその技術開発を進めなければいかぬというような過程の問題は、何と申しましても、この浄解排水、特にパルプの濃縮燃焼装置の技術開発というのがたいへん問題が多い。これはなかなか技術も確立されておりませんし、かつ多額の投資を要しますので、たいへん技術的にも問題である、かつまた企業にとりましては経済的にも相当負担の大きいというような問題がございまして、ただいま仰せになりましたように、こういう方面の技術開発につきましては、工業技術院の各試験所におきましていろいろ技術開発を重点的に進めておるのでございます。
#40
○原田立君 そのいろいろな装置をつけて実際に川に放流するときには、どのくらいきれいになっていますか。
#41
○説明員(馬場一也君) これは、パルプの性質によって、先ほど申しましたように、少し排水の処理技術というものに難易がございます。方法も違いますので少し違いはございますが、たとえば、クラフトパルプの工場のような場合でございますと、先ほど申しましたような沈でん処理その他を十分行ないますと、大体排水のCODは一五〇から二五〇PPMというような数値になるのでございます。しかしながらSCP、いわゆるセミケミカルパルプというようなパルプをつくっております工場の排水におきましては、まあ何ら燃焼の処理をいたしませんと大体八〇〇から一、〇〇〇というPPMになるわけでございますが、燃焼装置を採用いたしましてこれを取り入れますと、その装置を施しますと、大体排水は四五〇PPMというくらいの値になるのでございます。
#42
○原田立君 たいへん技術的に開発がむずかしいというお話がありましたけれども、四五〇PPMというふうにいまお話がありましたSCPの廃液についてですね。これはちょっとひどいじゃないですか。それで、水資源局のほうでどうですか、そういうふうな四五〇PPMみたいなようなのが河川に放流されるから、だから今度のような三興みたいな事件も起きるし、新河岸川のそばにある某製紙工場なんかの出す廃液もまっ黒けだ。あんなことやっていたのでは、将来、隅田川の浄化だとか、あるいは各河川の浄化などと言っても、これはたいへんむずかしいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、こういうパルプ関係の工場廃液については、どういうふうに将来なさるのですか。
#43
○政府委員(松本茂君) 水質保全を考えていきます上で、このパルプ製造業は非常に問題の業種でございまして、なかなか汚水処理がむずかしいという状況でございます。そういったことから、昨年度、特殊問題調査の一つといたしまして、パルプを対象にしてその実態並びに今後の方針を特に研究いたしたわけでございますが、水質基準を設定するにつきましては、できるだけその企業で負担し得る限度一ぱいに一方で考え、同時にまた、守るべき水産業なり、あるいは農業の利益、それから考えました水質の程度というものを考えまして、できるだけ会社のほうに汚水処理の設備をさしていく、こういう方向で水質基準を設定するように従来もやってまいりましたし、今後も特にそういったことで厳重にやってまいりたいと思っております。
 なお、これにつきましても、下水道の整備ということがやはりこれと関連して特に考えられるわけでございまして、たとえば新河岸川におきましては、ある工場につきまして、従来は一部を直接放流し、一部を下水道に落としておったわけでございますが、六月上旬以降は、全量を下水道に落とすようにいたしました。そういたしますれば、いまの下水処理場におきまして処理されまして放流されるわけでございますが、それが現在では一二〇PPMになっておるわけでございます。でありますから、そこまで改善される。また、さらに昭和四十五年度におきましては新河岸汚水処理場も完成されますので、そうなりますれば、恒久処理いたします二〇PPMまで能力が出てくるという予定になっておりますので、そういった下水道の整備という方向も同時に兼ねて、その地域の実情によりまして考えていく必要がある、こういうふうに思っております。
#44
○原田立君 どうも、基本的な問題だろうと思って、前置きばかり長くなってしまったのですが、衆議院のほうの産業公害委員会でも取り上げられたと思いますが、福岡県の大牟田川の汚水問題でありますが、今回、五月に厚生省及び経企庁、農林省へそれぞれ陳情があったと思うのですが、その内容等は、河川の保全法に基づく水域指定及び水質基準の決定をすみやかにやってもらいたい、それから関係会社工場排水の処理の促進をしてもらいたい、水産物の水銀含有の検出を早く医学的にやってもらいたい、川の底にある堆積物の処理をすみやかにしてもらいたい、こういうふうな内容であっただろうと思うのですが、水域の指定及び水質基準の設定ということを、地元では早くしてもらいたいということを強く要望しておりますが、その指定及び基準をきめるのはいつごろになる予定なのか、おわかりでしたらばお教え願いたいと思います。
#45
○政府委員(松本茂君) 大牟田川につきましては、昭和四十年度に福岡県から水質基準調査を実施して、もらいたいという要望もございましたので、昨昭和四十一年度にこの水域を調査計画の中に取り上げまして水質基準を設定するための調査をいたしました。この一年間にわたります調査の結果が最近手元に参っておるわけでございまして、現在、これの調査の取りまとめ、解析をやっておるところでございます。まだ、そういうわけで調査結果が到着いたしましたばかりで、これから十分その内容につきまして解析等を行なう必要があるわけでございますが、その報告がありましたところを一部見てみましても、たとえばC
○Dで見てみますと、上流で一三、中流で八五、河口で一六、海域で干潮時に五・四、満潮時には一・三というふうに、かなり汚染されておりますし、また、いろんな金属類等も含んでおるわけでございます。早急にその解析等を終了いたしまして、関係各省とも相談し、また水質委員会にもおはかりいたしまして、できるだけ早く水質基準を設定するように取り進めていきたいと思います。ただ、これは今後の調査の取りまとめ及びそういった手続を踏みましてのいろんな過程において出てくる問題でございますが、かなり汚染の程度がはなはだしい状況でございますし、川の性質そのものが、現在ではほとんど、何と言いますか、工場排水を取りまとめて流れておるというような状態になってきておりますので、水質基準を設定するだけでは事足らない、もっと根本的に下水道を整備するというふうな方向で考えていかなければならないというふうなことになるのではないかというふうなことも考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、できるだけそういった手続を急ぎまして結論を早く出したいと思っております。
#46
○原田立君 いままでお話しした中に、水銀の含有の検出があったということなんでありますが、現地も、久留米大学の山口教授に、市独自で調査を依頼して、六月ごろまで継続して行なう予定であるそうですが、その中間的調査の報告によると、無機水銀が含有されている、こういうものが検出されたと、こういうことですが、以前にも、無機は無害であるというようなことが前に議論になったことがあるのですが、やはり水銀が入っているということは、これはちょっと薄気味悪い話ですし、水銀が入っているのだから、そのほかのいわゆる有毒物が川を流れているのじゃないか、この点を地元の人たちは非常におそれている。いま取りまとめ中ということでありますけれども、ほかの水銀以外の毒物はどんなものが流れていたのか、おわかりだったらお教え願いたい。
#47
○政府委員(松本茂君) 水銀といたしましては、全水銀ということで今回の調査では検出されておるわけでございまして、お話のように、その点につきましてはさらによく調査していく必要があると思います。したがいまして、本年度引き続きこの全水銀ということで検出されましたもの、さらによく検討してまいりますために、経済企画庁のほか、通産省、厚生省とも相談いたしまして、協力いたしましてさらに進んだ調査をすることで計画をいままとめておるところでございます。なお、全水銀のほかに、亜鉛とか鉛とかいったものが検出されております。
#48
○原田立君 それと、これはちょっと厚生省のほうにお願いしたいと思うのですが、あの河口にあるノリ等が、三千こま、九十万坪にわたってあるそうですが、被害の作付面積三百八十こま、そして三十六年には約二億四千万、三十七年には約四億、現在推定では約二億と、こういうふうな被害が出ていると、こういうふうに言われております。そのために約六百世帯ぐらいあった漁業関係の人たちが約半分ほかの職業に転職しているというようなことがあの川ではあるわけですが、いかに下のほうから言ってこなかったからといって、これを放置しておく必要はない、放置しておくなんというのは非常に問題がある。それから水資源局のほうでも、県のほうで四十年に言ってきたから四十一年に調査したのだと、こういうふうな、最初に水質基準のことで申し上げたわけですけれども、事件が起きてから処理をする。こういうことでは非常になまぬるい感じがするわけです。特に、現にいま申し上げたようなノリのような被害も出ているわけです。私のほうであらあらつかんだ数字でありますけれども、厚生省のほうは、この点、被害状況をつかんで今後どうなさるのか、処置はおきめになっておりますか。
#49
○説明員(武藤g一郎君) 現在のところ、厚生省では、県当局と連絡をとりまして、大牟田川関連水域の河川、どろ、あるいはノリ等の海産物の中に含まれております有機水銀を中心といたします問題につきましては、県当局を指導いたしまして、先ほど先生からお話のありましたような久留米大学のほうで検討を進められておるところでございます。厚生省といたしましては、この問題につきましては、本年、公害調査研究委託費によりまして、水銀関係の工場調査をやる予定にしておりますけれども、その中で大牟田川分につきまして実施したい。現在、この計画につきましては県及び市と具体的に打ち合わせ中でございます。
#50
○原田立君 ひとつ、大いに早く促進してもらいたいと思うのですが、ただ単に打ち合わせ中だけで、また半年も一年も長くならないように、その点はお含み願いたいと思うのです。
 それで、こういうふうな水銀が出た。たとい無機であったとしても、過去に水俣あり、あるいは阿賀野川あり、またここで大牟田川が出てきた。非常にこわい話であります。いつごろまで……。なるべく早くということしか言えないだろうと思うのですが、今後の予定はどうですか。
#51
○説明員(武藤g一郎君) 先生の御意見のとおり、こういう問題につきましては早急に調査し、かつ結論を得ないと、いろいろ社会不安を起こしますので、現在の計画につきましては、できるだけ早く県当局を督励いたしますが、七月上旬には少なくとも現地で打ち合わせを行ないたい予定でございます。
#52
○原田立君 この大牟田川のことで二、三またお伺いしたいのですが、福岡県の河川管理規則によると、河川放流水の許可基準は透視度で二度というようなことが設けられているそうでありますが、工場側には既得権があって、全くそれは有名無実になって、工場廃液が野放し同様であるというふうなことが言われておりますけれども、その点いかがですか。それから、通産省のほうとしても、これはどういうふうに指導なさっておられるのか、水資源局のほうからと、両方お願いします。
#53
○政府委員(松本茂君) 先ほどからお答え申しましたように、最近、流水の状況また工場排水状況の調査の結果が手元に届きましたばかりで、現在それを解析調査中でございますので、まだ具体的な実情をはっきりつかんでおりませんので、至急その点作業を進めまして、早く実情をつかみ、今後の方針をきめていきたいと思っております。
#54
○説明員(馬場一也君) 先ほど来お話がございましたように、大牟田川をめぐりますこの地帯、大牟田は、御承知のように、いわゆる石炭を原料にいたしました、非常に古い、日本でも有数の古い工業地帯でございまして、三井化学の大牟田工場であるとか、あるいは東洋高圧あるいは電気化学あるいは三井金属というような一連の工場が昔から立地をしておるのでございます。それで、特に排水につきまして問題になります三井化学の例を申し上げますと、三井化学は相当排水をしておりまして、最近までのところは確かにほとんど処理せずに放流をしておるのでございますが、最近、この大牟田川なりあるいはその河口海域の水銀問題というのが出てまいりましたので、昨年度から、会社が五ヵ年計画ということで相当この処理施設の整備に計画的に乗り出しておりまして、この五ヵ年計画で、一応四十五年までに大体約五億の投資をこの処理施設のためにするという計画をしております。その四十五年度の目標を会社のほうでつくっておりますけれども、この施設を全部完備いたしますと、それぞれ数字を申し上げますればこまかい数字もございますけれども、現在の排水よりは相当改善をされる、こういう状況になろうかと思います。
 それで、どうしていままでそういう工場排水をそのまま放置しておいたのかという問題でございますが、これは、この地方が非常に有数の古い化学工業地帯でございます。元来、この大牟田川それ自身は、先ほど来からお話が出ましたように、たとえば上水道の水源に使われておるとか、ほかの川のように漁業というような関係もございますれば、これはもちろん昔からこういうことでは済まなかったでございましょうし、おそらく、そういう問題があれば、こういう古い化学工業地帯がこのままにできるということも、たぶんなかったのではなかろうかと思いますけれども、元来が、大牟田というのは工業地帯として、大牟田川は現在でも上水道あるいは漁業というような用途に特に用いられるということなしにまいったものでございますから、工場のほうでも、いわゆるこの排水をそれぞれ処理をせずに流すということをやっていたのだと思います。しかしながら、今日非常に水がきたない、よごれておる、あるいは異臭を放つ、あるいは下流のほうにいろいろ問題があるというようなことから、先生お話しのように、いろいろな水質問題が出てまいりましたので、現在企画庁のほうで水質調査をなさり、近き将来一定の水質基準がきまるのではなかろうかと思いますが、そのきまります前に、ただいま申し上げましたように、三井化学のほうでも相当の投資をいたしまして、現在の排水を処理するという気がまえになっておる、こういう状況でございます。
#55
○原田立君 部長のお話ですけれども、それは多分に認識が誤っているのじゃないか、こうぼくは思うんです。前々から、あの川のきたないという苦情は非常に多かった。しかし、いままであそこは三井系の会社で食べてきた恩恵があるというので、言いたいけれども黙ってきた、それだけの話なんです。いま、ノリの関係とか漁業関係、上水道関係に使っていないから文句を言わなかったというふうなお話でありますが、そうではないでしょう。私は、あのような川になるまでに放置しておった責任の所在も実は大きい問題だと思うんです。いまここでそんな責任問題を言ってもしようがありません。いまお話しのように、三井化学は五ヵ年計画で投資をして浄化装置をつくるということですが、それは会社にもいろいろとあろうと思いますが、五ヵ年たたないときれいな水にならないということは、言わば、今後五ヵ年間はそのきたない水のままでいるということになるんでしょうね。それは何とか通産省のほうで指導をして、もう少し早くするとかいうようなことはできないんですか。
#56
○説明員(馬場一也君) ただいま五ヵ年計画と申しましたのは、むろん五ヵ年たたなければきれいにならないということではございませんで、すでにいろいろの処理装置がございますので、逐次毎年毎年改善されていく。五ヵ年の目標は、一応相当きれいになるということを目標にしておる、こういう意味でございます。もちろん、これは会社側のいままでの五ヵ年計画でございますけれども、ただいま企画庁のほうで水質調査をなさり、水質基準がそれまでにきめられるということであるならば、むろんそれに即応できますように、会社側のほうで必要があればこの計画を繰り上げて、それに即応した処理態勢をつくるということは当然のことかと思います。現在では水質基準がまだきめられておりませんが、そういう状況におきまして、会社側が、最近の情勢にかんがみまして、こういう計画をつくって、逐次処理施設の改善を行ないつつある、こういうことでございます。
#57
○原田立君 では、これで終わりにしたいと思うんですが、実は、あそこの大牟田川は、別名悪水川あるいは七色の川というふうに言われて、いろいろな企業から流される水が、赤だとか黄色だとか黒だとか、こういうふうになっているわけです。当委員会においても、四十年でしたか、前紅露委員長とともに視察をしてもらったわけですが、その後の動きが、私の見る目では、ちょっと遅々として進まないような感じがして非常に残念に思っているわけですが、それはそれとして、この水質保全法の水質基準を定める場合に、こういう色ですけれども、いま申し上げた赤、黄、黒だとか、こういう色の点についての規制というようなものはないものかどうか。また、将来この面での規制を考えることはないのかどうか、その点、いかがですか。
#58
○政府委員(松本茂君) 水質の基準といたしまして、色の点も確かに重要な一つの点でございますが、これにつきまして、具体的にいままでの水質基準のきめ方につきましては、COD、BOD、SS、その他の金属の含有量あるいはPH、そういうことでやってまいりまして、色について基準を定めたということはなかったわけでございます。その点につきましては今後十分検討してまいりたいと思います。
 ただ、最近加古川の水質基準の設定につきまして、いろいろ関係各省、また地元と話をしておるわけでございますが、あの中流に織物染色工場がございます。どういうふうな措置を講じてCODを少なくしていったらいいかということをいろいろ考え、研究したわけでございますが、煙道ガス処理法というのがよろしいということで、いまテストプラントをつくってやっておるわけでございますが、これを実施いたしますと、むろんCODにも効果がありますが、それ以上に色を取る点に十分効果があるということになってきております。そういう事例も出てまいりましたので、今後染色等の色の点についても十分よく検討してまいりたいと思っております。
  〔委員長退席、理事大倉精一君着席〕
#59
○理事(大倉精一君) 松澤君。
#60
○松澤兼人君 簡単に御質問申し上げたいと思います。
 新幹線、特に山陽新幹線の建設について、地元からいろいろと国鉄当局に対しましても意見なり要請が出ておりますことは御承知のとおりだと思うのであります。去る五月三十一日に山陽新幹線の阪神地区の通過ルートが認可になりまして、いままで地元からいろいろ国鉄当局に要請し、陳情したことが無視されて、一方的にルートの認可があったということにつきまして、一方では驚愕し、一方では非常に憤慨しているという話を聞くわけであります。私どもとしましては、新幹線、特に山陽新幹線の建設について、この国家的意義とか、あるいは経済的な効果に対する認識、こういう点では全面的に山陽新幹線の建設に反対だという立場ではございません。ただ、国鉄当局としては、もう少し地元の皆さんと話し合いをして、納得の上でこの経済的な意義のある山陽新幹線の建設に着手せられることがよくはなかったかと、こう思うわけであります。
 いま申しましたように、認可がおりまして、国鉄当局としては一日も早く立ち入り測量をしたいというお考えのようでございますけれども、実際測量が開始せられる時期、あるいは国鉄として測量したいという時期、この時期は、全体の建設計画の中におきましてある時点が設定され、いつごろから始まっていつごろに終わらせたいという、そういう考えがあるのじゃないかと思うのですけれども、立ち入り測量、あるいは測量調査の時期というものはいつごろに設定されておりますか。まず第一、この点からお伺いしたいと思います。
#61
○説明員(仁杉巌君) 山陽新幹線は、御承知のとおり、全長が百六十キロございますので、場所によりましていろいろ違いますが、たとえば、新神戸を中心といたしました六甲山系につきましては、現在すでに工事に出しておりまして、これはこれで四十六年度一ぱいと申しますか、四十六年の十月ごろを一応の開業目標として考えたいと思っておりますが、それにぎりぎり一ぱいでございます。ただ、たとえて申し上げますと、新大阪から六甲トンネルに入ります地区、これらの地区におきましては、大体平らなところでございますので、四十五年度一ぱいくらいに完成させたいというふうに考えます。そういたしますと、四十四年度くらいから実際に着工いたしたいというふうに考えます。したがいまして、ぎりぎり一ぱいで申し上げますと、来年度に入ってから測量に入っても間に合うというようなことでございます。これは、いまの新大阪から六甲までばかりでございませんで、大きいトンネルを除き、あるいは大きい橋梁を除いたところでは、物理的に申しますと、大体最終二年間を見込めば工事が完成できるというふうに考えております。
#62
○松澤兼人君 測量の問題につきましては、地元では、現在、地元の反対期成同盟といったようなものがございます。これは、実力をもっても測量調査に反対する、一切立ち入らさないという強いかまえを持っているようであります。私は、建設そのものにつきましては、運輸委員会の所管でありますので、もちろんそのことには触れたくないのでありますが、あるいはこれに関係する市としましては、尼崎、伊丹、それから西宮という三市が、直接トンネルに入るまでは関係をしていると思うのであります。それで、それぞれの市には新幹線対策協議会とか委員会とかいうものがありまして、その三市がまた連合いたしまして三市の連絡協議会というものを持っているわけであります。その人たちがいろいろわれわれのところに陳情に参りますのには、もう少し国鉄は話し合いをしてもらいたい、結局、市議会あたりは現在のところ反対であるということを言っておるけれども、しかし、その国家的意義というものは十分にわかるから、要するに、どういう考えを国鉄は持っているのか、あるいはどういう設計を考えているのか、ということを地元の人たちによく話をしてもらいたい、さもなければ、実力をもってでも阻止しようと思う、こう言うのです。また、国鉄としては、どのようないわゆる実力的な反対があっても、権力によって立ち入り測量をしようと考えているかもしれない。その両者が正面衝突をするようなことのないように話し合いの場を持ってもらいたいということが、結局、いま申しました、反対であるけれども、しかし、国鉄当局の意思あるいは公害防止に対する設計というものをよく話してくれれば、あるいは理解できるかもしれない、こういうことでありますので、もう少し率直に、国鉄当局としては、地元のそれぞれの機関、あるいは市、市議会、あるいは地元の有志の方々、そういう人たちと話し合いをすべきでないか、こう考えますが、この話し合いということに限定して、国鉄はどのような話し合いをなすっていらっしゃるか、あるいは今後なさろうとするのか、これをはっきりさせていただきたいと思います。
#63
○説明員(仁杉巌君) 国鉄といたしましては、五月の三十一日に正式認可がおりました。それまでは、正式の認可がございませんので、市当局、市の理事者等に参りまして、内々のお話は申し上げておりますが、正式の話し合いは持てずにおりました。五月三十一日に正式に運輸大臣の認可をちょうだいいたしましたので、それから市当局、議会、あるいは地元の方々等とお話し合いをするつもりで逐次準備をいたしておるのでございますが、実は数日前に地元の方が上京されまして、私にも、現地の工事局の話し方が少ない、説明のしかたが少ないというような、ただいま松澤先生から御指摘のございましたような趣旨の話がございました。そこで、現地も全線百六十キロにわたりまして展開をいたしておりますので、ちょっといまおくれぎみでございますので、現地の局長以下幹部にもよく連絡をいたしまして、十分現地とお話し合いをするようにということを私からきつく連絡をいたしてございます。
 それで、話し合いの内容といたしましては、やはり公害問題を中心といたしました話し合いが一番やっかいであろうかと思いますが、現在、地元の方は、先生も御承知のとおり、高架でなしに地下という問題を言っております。この点につきましては、実は兵庫県知事からも御要望がございまして、いろいろの関係の学者の方々等、部外の方も入れまして研究をいたしました結果、どうもぐあいが悪いということで、知事さんにはその旨をお話し申し上げてございます。しかし、地元の方々に御納得のいくような説明がまだなされておりません。この点につきましては、これから地元の方々、各市ごとに、あるいは必要ならば各部落単位にお話し合いをするように、私から現地の局に申してございます。
 それから次に騒音の問題でございますが、これは解決のなかなかむずかしい問題でございまして、まあ騒音源を断つということが非常にむずかしい。そこで、騒音をどういうふうに少なくするかという方法につきましては、東海道新幹線の関係のいろいろなデータを基礎といたしまして、ただいま技術的に検討いたしておりますが、その点につきましても、場所場所につきましていろいろ問題点もございますので、地元の方々に具体的に御説明するように連絡をいたしております。いずれにいたしましても、それらの点につきましての説明がおくれておりまして、地元の方々にたいへん焦燥感を与えているという点につきましてもわれわれは反省をいたしておりますとともに、地元の方々にもおわびをしなければならぬと思いますが、現在そういうような方向で努力をいたしておりますので、しばらく御猶予を願いたいというふうに考えております。
#64
○松澤兼人君 仁杉常務理事からそういうお話を承りますと、非常に安心ができるわけなんですけれども、出先の工事担当者は必ずしもそうではなくて、親方日の丸だというような意識でもって、予定どおりこれは強行するのだ、そういう気持ちが非常に多いのじゃないか、こう考えるのです。いま仁杉常務がお話しされましたようなことが実際末端まで徹底して、いわゆる威令が行なわれるならば、地元におきましても、いろいろ初めからおしまいまで決して反対ということでなしにできるのじゃないか、こう思っております。私はそれを希望しております。先ほどお話がありましたように、ルートの決定がない場合には、公式に国鉄としてはそれぞれの立場の人々にお話し申し上げることができない、それはもっともだと思います。今回はルートの決定がありましてから、工事担当者が言うことには、立ち入り測量させてもらわなければ、実際どういう設計になるのか、または騒音をどういうふうに防除するのかということは申し上げられませんということで、一つ既成の事実をつくって、またそれから次に既成の事実をつくって、それであっと気がついたときには、もう高架の建設工事が始まっているというような、そういう心配がありますので、ここでひとつゆっくり国鉄当局と話し合う場をこしらえてもらいたいということを希望しているわけでございます。
 お話のとおり、最初、兵庫県知事も地下式ということを強く国鉄に要望しておりましたけれども、現在の段階としては、それは国鉄のいれるところとならず、地上式あるいは高架式という方式でやられるらしいのであります。現在の東海道新幹線におけるいわゆる公害という問題は、どのくらいの範囲に起こっておりますか、あるいはテレビ、あるいは学校教育、その他の問題につきましていろいろと苦情があると思うのでありますが、それはどのように解決されているか、具体的な例を説明していただきたいと思います。
#65
○説明員(仁杉巌君) 東海道新幹線におきましては、初めてでございましたので、いろいろ問題がございました。一つは、各変電所でございます。これはちょっと気づかなかったのでございますが、変電所がほうぼうにございますが、その変電所のリレーの切りかえをコンプレッサーを使ってやります。それが切りかわるたびに非常に大きな音を発するということでたいへん問題がございまして、神奈川県の新横浜、愛知県の安城、滋賀県の五個荘というところで問題がございました。これは私のほうで処理をいたしまして、工事をいたしまして、とめて、現在は何も御異論はございません。
 それ以外のところは、騒音というものの定義から問題になるわけでございますが、たとえば騒音が非常に苦情になりますのは、鉄げたをかけてある個所でございます。これは、場所によりましては一〇〇ホンぐらいの音が出るところがございます。現実にございます。そこで、これも、たとえば、東京都の馬込で第二京浜を横切っております九十メートル近い鉄げたがかけてございます。これは第二京浜を横浜のほうから来ますとごらんになれますが、これもやはり一〇〇ホンぐらいの音が出ますが、これは、第二京浜が非常にひんぱんに通っておりますためにほとんど問題にならない。同じようなことが名古屋市内にもございます。ところが、同じ型の橋梁でも、浜松付近にございますところは非常に苦情が多うございます。これは、わりあいまわりが静かなために起こっていると理解いたします。しかし、いずれにいたしましても、まわりがやかましければ一〇〇ホンあってもいいということを考えるのはまことにいかがかということで、今後は、われわれの方針といたしまして、橋の長さが長くなりますと、どうしても鉄げたになりやすいのでございますが、でき得る限りコンクリートの形式のものにいたしたい。それにいたしますと、やはり八〇ホンぐらいで済むと思いますので、そういうふうに人家の集中しますところ、あるいは集中していなくても、わりあいに将来市街地化しやすいというようなところにつきましては、鉄げたは使わないというような方針でまいりたいというふうに考えております。
 そのほかの音は、やはり先ほど申しました学校、病院等につきまして、五、六個所におきましてやっぱり九〇ホンというようなことを言うておりますが、これらにつきましては、場所と時間、あるいは風速というようなものでいろいろ違うようでございますが、これは、学校あるいは病院等につきましては防音壁というようなものを設けることによりまして、線路の側にそういうものを設けることによりまして、ずっと減らして、八〇ホンやあるいは七〇ホンというふうに減らすことによりまして、まあ忍んでいただいているというところもございます。しかし、一般の沿線、全線にわたりましてこれをやるということに対しましては、金の関係もございまして、なかなかむずかしい問題がございます。そのほかまだ二、三問題のあるところもございますが、八〇ホン程度には下げるように努力はしなければならぬというふうに考えて、いま技術的にいろいろ研究をいたしております。
 今後できます山陽新幹線につきましても、それらの東海道新幹線のいろいろの問題を考えまして、現在の技術においてでき得る限りの処理をいたして、御迷惑をかけないようにいたすつもりでおります。また、その間におけるこまかいことは、その場所場所につきまして十分地元の方に御説明をいたして御了解を得るというような方向でいきたいと思っております。
#66
○松澤兼人君 この地区は、御承知と思いますけれども、いわゆる文教地区とか、あるいは非常にりっぱな住宅地域とか言われております。トンネルの上になりますけれども、関西学院大学、あるいは神戸女学院大学、あるいは聖和女子短大、さらに県立あるいは私立の高等学校、離れたところでは報徳学園、あるいは中小学校があるわけです。トンネルの上にある学校はどれだけ振動を受けるかということは、よくわれわれもわかりませんが、この場合においては、振動が少なくなるようないろいろくふうができるかと思います。いま仁杉常務理事からお話がありました東海道新幹線の場合には、これは全く未知数のものでありまして、付近の人たちもどのような公害が起こるかということは予測できなかったろうと思います。今回の場合は、東海道新幹線というものの公害についていろいろ地元の方があっちこっち行って調査をされたりしておりますから、よけいに心配になります。さらに、この東海道新幹線よりは山陽新幹線のほうがスピードも上がるわけでしょう。そういうことからいって、新しい技術的な開発ということもあるというプラスの面もありますけれども、同時にまたマイナスの面としては、スピードアップによるいろいろな公害が生ずるかもしれないということがあるわけでございまして、地元の人たちは、まあこれは妥協案でありますけれども、できるだけ高架の新幹線そのものに対する技術的な改良をするとともに、あるいは幅広く、防音地帯と申しますか、グリーンベルトと申しますか、あるいは緩衝地帯と申しますか、そういうものを置いて、直接騒音なり振動なりが付近の住宅に影響のないようにしてもらいたいというような希望もあるようであります。そういうことは可能なのか、あるいは不可能なのか、経済的にいってそういうことは絶対にできないということでありますか。具体的な公害防止の施策の一つとしてそういうものが可能かどうかということについてお聞かせ願いたいと思います。
#67
○説明員(仁杉巌君) 騒音防止のためにグリーンベルトを両側に設けるというような問題は、確かに効果があるということは、いままでの測定結果からわかっております。そこで、先ほどちょっと私が触れましたように、相当人家の密集いたしておりますようなところでは現在の状態から非常に悪くなりますので、その辺のところでそういうグリーンベルトも考えられないかというような考え方が出されております。これは決して山陽新幹線に限ったことはございませんで、東海道新幹線のときにもそういう問題がございましたですが、これは、現在のわれわれの財政的な考え方から申しますと、ちょっとなかなかやりにくいということで、しかし、市街地の密集しているところには、われわれもできるだけの金を捻出する、知恵を出すということと同時に、兵庫県なりあるいは西宮市なりというようなところの御協力も得まして、何らかのかっこうのものができないかということも、ただいま研究いたしております。しかし、先ほど申しましたように、ある一部にいたしますと、全線にこれをやれという御要求が出ますと、その用地を買うだけでもたいへんなことになるということになりますので、その辺のかね合いもいま考えまして、最終的には、関係の知事さん、あるいは市長さんあたりの御意見を尊重いたしまして処理をしていきたいということでございます。この辺、なかなか申し上げづらいのでございますが、あっさり申し上げますと、あまりやりますと金がかかります。また、やりますと、他官庁の道路、街路等の関係もございまして、簡単にまいりません。できるだけ知恵を出して、できるだけ地元の方々に御迷惑をかけないように努力をいたしたいというふうに考えております。
#68
○松澤兼人君 もう一つの問題は、いまのトンネルまでの東側の問題と別に、トンネルを掘りまして、斜坑から土砂を掘り出すという問題、これは西宮市やあるいは神戸という関係になるかと思いますけれども、実際のところ、トンネルが掘られるのだから、自分たちのところは何も関係ないと、こう地元の人たちは安心したところが、最近、工事現場ができる。工事事務所ができたり、あるいは飯場ができた。これは一体何のためだといったら、実は山陽新幹線の六甲トンネルを掘る場合に、斜坑をこしらえて、ここから土を出さなければ工事ができないのだということを聞いてびっくりした。それからダンプが走り回ったり、あるいは学童に対する交通事故ということがあるのじゃないかということを非常に心配しておるわけであります。そういう点も、やはり事前に、ここのところはこんなふうになるのだということを地元の人たちが納得、理解していれば、そういう、こぞって反対ということはなかろうと思うのです。ここで、やはり話し合いの足りないことが、そういうごたごたの一つの原因になっております。これにつきましては、すでにでき上がった住宅地でありますし、新幹線の線路あるいは運行それ自身とは関係のないことなんですが、工事に関するトンネルの掘さく、土砂の搬出、そういういわばそばづえを食ったというかっこうで、住民の人たちは非常におこり、かつ嘆き悲しんでおるわけです。そういう静穏な住宅地にダンプを数十台も乗り入れて土砂を運搬するという場合における、国鉄当局として、どうせこれは請負に出して、土建業者に仕事を頼むわけだと思いますが、ダンプの問題は最近非常に大きな問題で、一方では交通安全の立場から、どんどんと運行の道路を規制したり、学校の周辺にダンプが一定の時間入らぬようにということを心配しておる。その反面に、国鉄新幹線工事のためにダンプが数十台も一定の個所に集まって上り下りするということは、非常に住民の人たちは心配を感ずるわけなんです。こういう点に対する国鉄当局の善処を要望いたしたいと思うのですが、どういうお考えなんですか。
#69
○説明員(仁杉巌君) トンネルの、ことに六甲トンネル付近の土砂の搬出ということ、市街地を通って海のほうに土を捨てなければならないということで非常に苦心をいたすわけです。それで、あの斜坑が六本ございますが、そのうち三本は山側のほうに捨てる計画をしております。三本を海側に持っていくということです。これらにつきましては、実は前々から、現在ですから申し上げますが、まだ認可になります前から、神戸市とはいろいろ御意見を拝聴いたしております。しかし、正式に認可になりましてから、神戸市から、これは警察も含めまして、いろいろと御指導をいただいております。しかし、まだ地元の皆さま方に説明をするという段階まで至っていなかったようでございますが、最近、大体の計画もきまったようでございまして、市が窓口となられまして、国鉄、請負業者、それから神戸市、あるいは芦屋市等もあると思いますが、そういう市並びに地元の代表者の方、この四者を集めました連絡会というようなものをつくることによりまして、詳しく地元の方々に御説明をいたしまして、御納得を得てからズリを運搬するというような方向にして考えたいというふうに努力をいたしております。
 なお、学童の通学、あるいは狭いところをダンプが通るという場合の速度、あるいは信号のしかた等々につきましては、十分な配慮をいたしまして、少なくとも皆さま方の御迷惑を幾ぶんでも減らせるようにという努力はいたします。ただ、いずれにいたしましても、ダンプを通さなければトンネルができませんので、御迷惑をかけることは重々ございますが、できるだけの処置をいたしまして、御迷惑を少なくするように努力いたしますので、御納得をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#70
○松澤兼人君 要望でございます。仁杉常務理事のお話を聞けば私自身納得する。しかし、中央で号令をかけるばかりじゃなくて、実際に常務理事が現場のほうにいらっしゃるとか、細心きめこまかいひとつ地元対策ということをやっていただきたいと思います。すべての個所にあなたがいらっしゃるということは必要ないと思いますけれども、肝心なところは、ぜひとも納得がいくようにあなたのほうからお話し合いをしていただいて、非民主的な強制的な態度で新幹線の工事を邁進するのだという印象を与えないように御要望申し上げます。
#71
○理事(大倉精一君) 加藤君。
#72
○加藤シヅエ君 私は、先だって公害基本法につきまして、本会議でわが党の柳岡議員から質問がございまして、その質問の内容は非常によく検討され、内容が整っておりまして、言い尽くされておりましたということを感じました。けれども、現実に公害によってたくさんの方が全国的にいろいろの種類の被害を受けている、犠牲者になっている、命さえもとられて、そうして自分たちが長年住んでいた平和な環境がどんどんと破壊されている、こういうような現状をにらみ合わせてみますと、いまごろ基本法が出たというようなことは、すでに十年以上もこれは手おくれであったのではないか。私はそういう感想を持ったわけでございます。しかし、一方、日本は資源はあまり十分ではございませんし、人口は非常に多いのでございますし、国土は狭隘でございまして、その中で産業開発をしていかなければならないということになれば、そこに相当程度のいろいろの無理が起こってくるということは理解されるわけでございますけれども、私が今日申し上げたいことは、どうか、この手おくれになっている公害の問題がこれ以上手おくれになったり、それから事後処置の問題だけを追い回しているような対策であってはならない、こういう見地から今日は質問をいたしたいのでございます。
 せんだって、今月の初めでございましたか、NHKの朝の八時四十五分のプログラムで「こんにちは奥さん」という番組があるのでございますが、それには厚生大臣も出られましたし、それから東京都立大学の柴田教授とかおっしゃる方がお出になりまして、そうして全国から集まりました主婦あるいは男子の方、これは、それぞれの地区においていろいろの種類の公害を受けて、もうひどい目にあっていらっしゃる方たち、こういう方たちがその実情を現実にそこへ持ち出して素朴な声で訴えられたのでございます。これは非常によくできたプログラムでございまして、
  〔理事大倉精一君退席、委員長着席〕
私はすぐNHKに聞いて、あれがもしビデオテープでとられているものならば、ああいうものは国会の先生方の皆さんに見ていただきたい、政府の方々にも皆さんに見ていただきたいと思いましたのですけれども、そういう用意がなかったそうでございまして、一回限りで終わってしまったのでございます。けれども、その中には、大気汚染の被害者、濁水、汚水の被害者、騒音の被害者、もうそれはお話にならないような現実の被害者たちの訴えでございます。私は、それを一々ここで皆さんに、もう一度繰り返して申し上げたいくらいでございますけれども、それは時間の都合上省きます。ただ今日は、原田委員から水質の問題につきまして、先ほど非常に行き届いた御質問がございまして傾聴いたしました。その中で、あるいはこの問題もタッチされるかしらと思っておりましたが、ついにそこが出ませんでしたのは、最近、福岡県の博多湾で起こった黒い水の問題でございました。
 それで、先ほど水資源局長あたりからいろいろと許容量とかなんとかいうことで、むずかしいことばで、いろいろ御説明がございましたけれども、そういうようなむずかしいことを何べんも何べんも繰り返して伺いましても、五年先になったら何とかなるであろうというような結論では、これはほんとうに被害を受けている方たちにとっては耐えられないことだと私は思います。それで、ことに今日は、私も、部長、局長の方々においでいただいて答弁していただくつもりなんでございますが、こうしたような問題をその取り扱っていらっしゃる局の責任者の方だけに伺ったのでは、ほんとうは十分ではございませんで、これはやはり政府の責任者が答弁なされ、責任を持たれなければならない問題だと思います。ただ、この委員会にそうした方々を一々お呼びしてくることができませんから、やむを得ないと思いましたけれども、たとえば、原田委員からもいろいろ御質問になっておりましたが、私、せんだってテレビで見ました博多湾の黒い水の問題なんかを見ておりましても、もう現にそこは、福岡市がもっとよく浄化装置をしてきれいな水で博多湾に流すという約束をしておきながら、一番いい浄化装置を省いて二番目のほうの簡単な方法でやったために、黒い水がどんどん流れ込んで、そしてもうすでにアカガイが億という額でそこで死んでしまった。漁民にとっては実に死活の問題であるというわけで、はち巻きをした漁民の男女が市役所になだれ込みまして苦情を訴えているのでございます。ところが、それに答弁なすったのはどなたかといいますと、まことにお気の毒な一人のお役人さんが、まん中の椅子にぽんと腰かけさせられて、まわりのみんなにつるし上げられて、げんこで卓をたたかれて漁民たちに取りかこまれている。そんなことではこれはどうにもならないのでございます。したがいまして、今度のこの公害基本法というようなものがほんとうに完全なものになって、そしてこの間総理の答弁を伺っておりますと、これは問題が多岐にわたるから窓口を一本にして総理大臣がその窓口を受けつけるというような、そういうようなことにしなくちゃいけない、こういうようなおことばもあったように思いました。早くそうした日が来て、五年先とかなんだとか、許容量がどれだけだとか、それをいま調べ中だとか、そんなことを言ってないで、もっと具体的にどんどん先手を打って防がなきゃならない。これはちょうど、病気で申しますと、今日の公害対策というのは、病気のいろいろな悪い症状があらわれてから、やれこう薬を張るとか、あるいはこれは手術をしなければならないけれどももう助からないだろうとか、そういったお医者さんの診断を受けているみたいで、病気になった方にとっては、ほんとうに、とってもやりきれない。全く救いのないというような状況に立っていると思います。
 それで、私が今日質問をいたしたいのは、どうか、こういうような状態でございますから、この公害の発生源というものを未然に防ぐために手を打たなければならない、そのためにどういうようなことがなされているか、こういうことと、それから公害がいろいろ出てくるその一つの根拠であるところの産業開発のための土地の利用でございます。この土地の利用計画というものに対して、予防対策というものを考えながら土地の利用計画が立てられているかどうか。この二つの点に集約して私は今日質問いたしたいと思います。
 それで、土地の利用計画の問題でございますが、いままでは産業開発ということが優先的でございまして、この開発の目的が非常に強く追求されておりますので、その利用計画の周辺にいろいろの被害が起こるというようなことがほとんど見のがされている。いまも松澤委員長からの御質問を伺っておりましても、やはりそのことがよくうかがわれるわけでございまして、これではいけないので、どうか、その土地土地の特殊性を見ながら土地の利用計画が立てられなければならない、こういうところにほんとに専門的な知識を持った対策というものを立てていただきたい。
 それで、私は今日はそういう観点から伺うのでございますけれども、もう一つは、具体的にそういう観点に一番適合いたしました一つの例をここに持ってまいりました。それは、東京湾の江戸川河口の新浜地区、この地区の埋め立ての問題でございます。
 ここは東京湾に面しておりまして、場所は千葉県でございます。市川市から浦安町、前の干がたで、そこには宮内庁のカモ猟の御猟場があるところでございます。で、その周辺が、いま産業開発という目的で埋め立てがどんどん行なわれようといたしております。その産業開発の目的はたいへんけっこうだと思いますけれども、先ほど申し上げました一つの公害が発生することに対する予防ということと、それから土地利用の計画という面でこの新浜地区というものを見たときに、適切なる計画が立てられているかどうか、このことを私は伺わなきゃならないと思うわけでございます。
 それで、柳岡さんのせんだっての質問の中にも、予防の対策というようなことから、こういう問題をきめる場合に、研究機関、試験研究機関というものが十分になければならない。いわば公害防止の総合研究機関の設置、それから大幅な研究費の増額、これが必要だということを柳岡さんは主張されました。私もこれは非常に大切なことで同感でございます。ところが、この研究というようなことを一言で申しましても、これの内容というものは非常に多岐にわたっておるわけでございまして、私がいまこの新浜の地区と関連して申し上げます場合には、この試験とか研究とかいうことばの内容には、自然界と生物保護の学術的な研究というもの、そうした知識を十分に考えた上の土地利用計画、こういうものがなされなければいけない、こう考えるわけでございます。私は、との問題につきまして各方面の権威者に教えを請うたわけでございますが、このことにつきまして、英国でも米国でも、こうした土地利用の計画、公害を未然に防ぐということにつきましての研究が非常に進んでいて、大学などでは、自然保護というものはどういうふうにしたらいいか、自然を保護することによって、生物を保護し、人間が住むのにふさわしいような環境をつくる、それが産業開発とどういうような調和を持っていったらいいか、そういうようなことが大学における一つの講座になっていて、そして、将来政治家になり、あるいは役人になるというような人々は、こうした講座をほとんど必須科目のようにして大学で学んでくる。したがって、いま柳岡さんが主張されましたところの総合的な研究機関というようなものに参加していろいろ発言する方たちは、そういう知識を十分に持っていて発言をする。したがいまして、英国あたりでは相当うまく調和のとれるようなことができているという実例を伺っておりますけれども、日本の場合には、不幸にして、まだ大学でそういうような講座があるということを聞きません。これは、文部当局にも将来はいろいろと進言しなければならない点だと思いますが、現在は、たとえばいま私が取り上げようとしているこの新浜地区の問題などにつきましても、これに対してどういうような調査がなされたかというようなことを調べてみますと、県当局から委任されました学識経験者の諮問委員会のようなものがあって、そこに県から委嘱された数人の方々が出て、いろいろ発言していらっしゃるようでございます。しかし、その発言なさっていらっしゃる方々の中に、必ずしも、こうしたほんとうに人間が住むために必要な環境、自然保護地区というようなものを持つためにこういうことが必要であるというようなことを強く発言なされるような立場にいらした方が非常に少ない。また、発言なすったかもしれないけれども、その声は必ずしも強くはなかったというふうに私は受け取りました。したがいまして、将来は、そういう点も大いに政府に要求して考えてもらわなければならないのでございますが、いま当面私が問題にしなきゃならないのは、この東京湾に面した新浜地区の埋め立ての問題、この問題でございます。この問題は、すでにたくさんの請願書が「新浜を守る会」という名で国会議員の諸先生方が紹介議員になって提出されております。それで、この請願書の一部をちょっと読ましていただきます。「千葉県新浜の野鳥保護に関する陳情書、新浜を守る会」、こうなっております。そして、その中にはこういうことが言われております。「東京湾に面した江戸川河口附近の干潟は古くからシギ、チドリ、ガン等の渡来地として知られ、記録鳥種は最近一〇カ年をみましても二一三種の多きに至っております。また、この地の特色としては非常に珍しいとされる鳥が多々訪れることがいえ、国内にての記録がここのみというものもあります。大都会の近くにこのような地が残されていること自体珍しく、国際的な研究である渡り鳥の標識試験等も行なわれて学術上の価値もまた極めて高いところであります。ところが最近、埋立てが着々と進行し、ために数種の鳥はその数を著しく減じております。かように昔日のおもかげのなくなった干潟に、なお、わが国の名誉を傷つけまいと努力しているかの如く、年毎にシギ、チドリ等の旅鳥が来ております。」――こういうようなことを言っております。そして、「やがて全面的に埋立てが完成し、渡るべき干潟のなくなった時、あらためて東京近郊からこのような地を失ったことの重大さに気のつくこと、歴史に示されているとおりであります。干潟はなくなりつつあります。住吉浦、鍋田はすでになくなり、東京湾のここが最後である。」――こういうことを言っております。
 それで、こういうようなところは、私は、ただ鳥が好きだとか、鳥をかわいがるとか、そういうことで言っているんではございません。こういうような野鳥というようなものが来る環境というものが国民の健康を守る環境として大切であるということと、一たびこれをこわしてしまいますと、今度はどんなにお金をかけても、どんな優秀な技術をもってしても、干潟というものを人工的に再びつくることはできない、取り返しのつかないことになる、ということをおそれますので、これはどうしても守る必要があるのではないか、こういうことを考えまして、ここの埋め立てに直接御関係していらっしゃる方々に御質問いたします。
 最初に、首都圏整備委員会の鮎川事務局長、おいでになっていらっしゃいますか。――鮎川さんに伺います。
 この首都圏整備委員会の計画の中に、こういうところの干潟――東京の過密人口、衛生的な、そして平和な環境がだんだん狭められて困っているというときに、この東京からすぐ隣のこうした地区にこんないい環境がまだ残されている、こういうようなものは、ぜひ、首都圏の整備委員会としても、将来の計画の中にできるだけこういうものは残しておくということが、東京都民あるいは首都圏整備圏の中に住んでいる人々のために、あるいは日本じゅう全体の人のために、これは非常に大切なことだというふうにお考えにならないかどうか。そういうようなことにつきましていままで何か委員会で審議があったかどうか、そういうような経過がもしございましたら、そういったことを聞かしていただきたいと思います。
#73
○政府委員(鮎川幸雄君) ただいまお話がございました行徳地区の宮内庁新浜御猟場の件についてお答え申し上げますが、首都圏計画の全般について申し上げますと長くなりますので、特にいまのお尋ねの点に限ってお答えを申し上げたいと思います。
 御指摘のように、この地区は、古く江戸時代からの御猟場として非常に歴史的な由緒のあるところでございまして、また、明治の初期から宮内庁の直轄御猟場として、越谷などとともに、重要な、大事なところであるわけでございます。また、この地区は、自然の環境の面から申しましても非常にりっぱな条件を備えているところでございます。そこで、この地区について首都圏整備委員会においてどういうふうなことを考えてきたかということでございますが、首都圏整備委員会は、前々から、東京の既成市街地の周辺に相当大規模の緑地帯、グリーンベルトと申しておりますが、英国のロンドン方式を一応モデルとした大グリーンベルトの計画があって、この十年、それを基本として計画をつくってきたわけでございます。ただ、この計画は、人口、産業の非常な激しい集中等によりまして、必ずしも十分これを守ることができなかったという点もございまして、先般、二、三年前に、首都圏整備法が改正されまして、このグリーンベルト計画、近郊地帯という制度はとりやめられまして、現在、近郊整備帯という区域を設けて、首都及びその周辺の整備をはかる、こういうことに相なっているわけでございます。しかしながら、緑地を保全するということは、いろいろな意味から大事なことでございます。また、現在の首都周辺の状況を見ますと、人口の集中に伴う工場の立地、あるいは住宅の建設等によりまして、周辺地区はその自然環境のいいところがどんどん荒らされてまいりました。特に、山林地域等は宅地の開発等によってどんどん荒らされておる。こういう状況でございます。
 そこで、昨年の国会に首都圏近郊緑地保全法というものを提出いたしまして、従来のグリーンベルトほどの大規模のものでございませんが、特に自然環境のいいところにつきましては、これを保存するために一定の区域を限って権利の規制をする、また、権利の規制に伴う土地所有者に対する権利を保護するために予算の措置が必要であるということで、昨年から始めまして今年度、合わせて五億円になりましたが、そのための買い取りの資金も合わせまして首都圏近郊緑地の保全を行ないたいということで進んで来ておるわけでございます。
 ただいま御指摘になりましたこの御猟場につきましては、私どもも、これは前々からいろいろな意味で大事な役割りを持つということで、ぜひ、私どもといたしましても、この地域を近郊緑地の保全区域にしたらどうかという意向を持っておったわけでございます。その点については、千葉県及び地元の市川市と相談をいたしておったわけでございますが、御承知のように、この地域については、東京の周辺の地区で、市街化の非常に著しいところでございます。そのために、いろいろ地下鉄の計画等も進んでまいる。また、東京湾の開発、あるいは京葉工業地帯のいろいろな進展等によりまして、東京湾全体を通ずる道路網の計画、湾岸道路、あるいは湾岸鉄道、まあこういうような地域全般の開発というものの交通機関等もいろいろ検討される、こういうことでございました。また、埋め立ての問題もいろいろな面からも検討されております。そういう非常に市街化の激しい地区になってまいりまして、特にこの地区の北側に当たる部分は地下鉄五号線が通る。こういうことで、非常に市街化してまいる。そういういろいろな諸事情等もございまして、県、市とも十分検討してまいって来ていただいておるわけでございますが、現在、まだこの地区を近郊緑地保全区域にするという段階までは至っておりませんが、県のほうとしましても、この地域は非常に大事なところであるということから、慎重な角度で、この地域の問題については、いろいろな開発の問題とも含めまして検討をいたしておる、こういう状況でございます。
#74
○加藤シヅエ君 非常に大事な地域であるということを認めていらっしゃると同時に、市街化が著しいからなかなかそういうような傾向に対して、グリーンベルトの計画もだんだん狭められてきたという御答弁であったかと思います。これは、局長さんだけのお力でどうにもならないことであることはよくわかっておりますけれども、先ほど私が申し上げましたような趣旨で大切であるということから、これはどうしてもほんとうに大切にしなければならないと私は思うわけでございます。
 それで、大切であるということの中の一つには、局長もおっしゃいましたように、御猟場を中心にしたあの辺は、野鳥の、特に渡り鳥のただ一つの足を休める場所として特徴のある大切な場所だということでございますので、きょう林野庁の指導部長がおいでのようでございますから、この鳥類というものをここに保護していくことが、われわれの健康、よき環境をつくるためにどういうふうに大切であるかということと、それからこの地区であればこそ、こういった鳥類がいままでたくさんここに渡来してきたという、そういうような、鳥類をここで保護することの重要性、こういうことにつきまして、指導部長から、いままでの状態と、もしここを温存しておいたらどんなに住民のため、あるいは東京から、過密都市からこういうところに来て、よき環境をここに求めることができるというその重要性、こういうようなことにつきまして述べていただきたいと思います。
#75
○説明員(手束羔一君) 鳥獣の保護につきましては、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」、これに基づきまして、都道府県知事が農林大臣の定める基準に従いまして、鳥獣保護事業計画を立てて、それを実行していく、かような形で進めておるわけでございます。その財源としては、ハンターの納めます入猟税等の目的税、これらが充てられておるような次第でございます。
 そこで、この地区でございますが、これは先ほど請願等の中のお話にもございましたように、シギ、チドリ、ガン、カモなど、あるいはまた珍しいミヤコドリとか、あるいは黒トキとか、かような鳥の渡来地でございまして、東京周辺には非常に珍しい野性味のある場所でございます。鳥獣保護――ここでは特に鳥でございますけれども、では、何のために国としてこの鳥の保護をやってまいるかということでございますが、一つには、農林水産業の保護という観点もございます。一つには、国民の生活環境の美化という目的のためにこれを保護すべきものと、かように考えておるわけでございます。
 この地区ということになりますると、だんだんと農林水産業は縮小をいたしてまいりますので、主といたしまして、国民の生活環境の美化、かような観点からこの地区の価値が認められるであろう、かように考えられる次第でございます。現在におきましても、御猟場を中心といたしまして約二百七十ヘクタールばかりは狩猟禁止区域ということになりまして、鳥類の保護につとめておるような次第でございます。
 ここは、先ほどもお話がございましたように、干がたがあるということによって、さような遠いところからの珍しい渡り鳥等の渡来地になっておるということでございます。干がたが失われれば、これは足場がなくなるわけでございますから、そこには渡来しなくなるであろう、かようなことは想像されるわけでございまして、一応鳥類の保護という観点からいたしますれば、さような自然環境が保存されるということが望ましい、かように考えられると思います。
#76
○加藤シヅエ君 干がたというような環境を温存することが非常に望ましいという御答弁でございましたが、今度は運輸省の港湾局長に伺いたいのでございますが、そこの場所というのは、私の聞いているところによりますと、デルタ地区になっていて、埋め立てをいたしましても、そこの土地の利用度というものは、ほかのもっと地盤のいいところのようなわけにはいかない。そういうような非常に利用価値があまりない、低いのではないかというふうに考えます。したがいまして、そういうような利用価値の低いところであるにもかかわらず、そういうところを埋め立ててしまって、大切なものを犠牲にして、そうして利用価値の低いものを得るということは、これは国家的にも決して賢いプランではないと思うわけでございます。この土地のデルタ地域というものに対して埋め立てるというようなことがどのくらい価値があるものか、ほかにそういうようないままで港湾で埋め立てられたところがどんなような結果があったか、もし例がございましたら、それをも入れて答えていただきたいと思います。
#77
○政府委員(佐藤肇君) ただいまお話がございましたこの市川の先の埋め立て地でございますが、これは京葉全体の埋め立て計画の中の一部でございますが、デルタ地帯に埋め立てをした場合に利用価値が非常に少ないのじゃないかというお話でございましたが、地盤の悪いところに埋め立てをすれば、地盤を改良するために非常にほかの地盤のいいところよりもお金がかかるということが一つと、もう一つは、重い、たとえば重工業のようなものの土地としては不適であるということではございますが、住宅であるとか都市型の工業というようなものにとってはそう不適ではないわけでございます。ただ、いまの自然保護という観点との利用価値という問題は別でございますが、デルタ地帯の埋め立てについて申し上げればそういうことでございます。
#78
○加藤シヅエ君 たいへんお金がかかるところで、利用価値がどちらかといえば産業開発の面ではやや低い、そういうことでございますなら、なおさらこれを保存しておくことの価値というものは非常に希少価値として認められなければならないことだと思います。
 そこで、こういうような港湾を埋め立てていく手続というものを伺いたいのでございますが、それをひとつどうぞ聞かしてください。
#79
○政府委員(佐藤肇君) 港湾だけでございませんで、公有水面の埋め立てにつきましては、公有水面埋立法という法律がございまして、これは大正年間にできた法律でございますが、それによりまして埋め立てを免許する免許権者というものがきまっておるわけでございます。それをおのおの所管している大臣が認可するわけでございますが、港湾の区域につきましては港湾管理者の長がやる、それからそれ以外の一般の公有水面につきましては建設省の出先としての知事がやる、こういうことに相なっておりまして、おのおのそれによりまして、面積の大きいものについては、大臣の認可にかかわらせる、こういう制度になっておるようでございます。
#80
○加藤シヅエ君 その手続につきまして、それぞれの責任当局についての御説明がよくわかりました。私は、これ以上このことにつきまして質問はいたしません。ただ、私の意見を申し上げておきたいと思います。
 それは、私が最初から申し上げましたような問題点を考えていただきましても、これは公害の予防の一つの措置であるということと、それからしかも、もうすぐ目の前に直面しているところの一つの問題であるということと、それから土地利用計画につきましては特に予防ということをもっともっと重点的に考えることが必要であるというという、そういう観点から、いま局長から承りましたそれぞれの当局に対しまして私はなおその必要性を強く要請したい、こういう私の所見を申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#81
○委員長(松澤兼人君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト