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1967/07/20 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第18号
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1967/07/20 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第18号

#1
第055回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第18号
昭和四十二年七月二十日(木曜日)
   午後二時二十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松澤 兼人君
    理 事
                石井  桂君
                宮崎 正雄君
                大倉 精一君
                柳岡 秋夫君
                原田  立君
    委 員
                植木 光教君
                奥村 悦造君
                木村 睦男君
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                塩見 俊二君
                土屋 義彦君
                中津井 真君
                柳田桃太郎君
                横山 フク君
                加藤シヅエ君
                戸田 菊雄君
                小平 芳平君
                瓜生  清君
                林   塩君
   衆議院議員
       発  議  者  山下 榮二君
       発  議  者  古川 丈吉君
       発  議  者  太田 一夫君
       発  議  者  山田 耻目君
       発  議  者  松本 忠助君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  坊  秀男君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房陸上交通安全
       調査室長     宮崎 清文君
       厚生省環境衛生
       局長       舘林 宣夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局公害課長    橋本 道夫君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  馬場 一也君
       運輸省自動車局
       整備部長     堀山  健君
       運輸省航空局飛
       行場部管理課長  梶原  清君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害対策基本法案(内閣提出、衆議院送付)
○土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の
 防止等に関する特別措置法案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 公害対策基本法案(閣法第一二八号)を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。戸田君。
#3
○戸田菊雄君 きのう、大臣が帰られて局長のほうからいろいろ答弁願ったのでありますが、その中で、ばい煙処理施設改善措置について、局長の答弁ですと、財政はきわめて不十分である、こういう回答が出されておりますが、こういう問題について大臣はどのように考えられておるか。そうしてまた、今後のこういった問題に対する財源確保について大臣は具体的にどういう構想を持っておられるか、その点について質問してまいりたいと思います。
#4
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、現時点、現段階におきましては公害防止の施策を行なう、また、そういったような設備を行なうというような場合に、財政上あるいは金融上、または税制上といったような面からの、これに対する便宜をはかる突っかい棒を出すということにつきまして、もちろん十分ではないと私は考えております。で、この公害基本法を御決定願って、そしていよいよこの法律に基づきまして諸般の公害防止対策を実現するという上におきましては、ただいま申し上げましたような面から、さらにこれを推進していく手だてを講ずる必要が少なからずあろうということを考えております。
#5
○戸田菊雄君 この被害者救済制度について、大臣もきのうはその具体化の方向で大いに努力をしてまいりたい、こういうことを言われておるのでありますが、この水俣病の場合に、現地で具体的にこの補償問題が解決をされたのでありますが、その内容を見ますると、死亡者に対しては三十万円、それから葬祭料が二万円、生存者に対しては、おとな十万円、子供三万円、こういう年金がそれぞれつけられております。さらにこの子供が成人になれば五万円、こういうことでありますが、少なくともこの公害で死亡したというような場合に、わずか三十万円で人の命が片づけられる、こういう事態が現にこの水俣病の場合にやられておるわけでありますが、こういうことに対して、大臣は一体どういうふうにこれらの問題について考えているか、この問題についてひとつ御回答願いたいと思います。
#6
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘の水俣病――九州の水俣病の場合だと思いますが、そのときには一体原因者がだれであるかということがはっきりと――これはまあ常識的には大体見当がついておるのでありまして、ところがいよいよこれに対して、この問題を処理するにあたって加害者がだれであるか、損害賠償の責任にある者はだれであるかということにつきましては、いまだ何と申しますか、法律的にと申しますか、確定をしていないような状態におきまして、とにかく加害者と目される――常識的にそうであると目されるところの会社が、一応何と申しまするか、見舞金と申しまするか、そういったようなものを出しまして、そして一応この被害者と手を打ったといったときの金額が御指摘のような金額であろうと私は思いますが、そういったような、これはちょっと十年近く前のことでございますが、おっしゃるとおり、人命がわずかに三十万円、こういうふうに割り切って考えますと、それはもう話にならぬことでございまして、そういったような点につきましては、何と申しますか、そういったようなことで御指摘の場合にはそれで一応和解と申しますか、お互いに話し合いをしたというようなことでありますけれども、今後この公害を処理していく上におきましては、私はそういったような点につきましては十分これは考えてまいらなければならない。和解の仲介をいたすにいたしましても、また何か救済とか紛争の処理をするといったような機構をつくるとか、そういったようなものを通じて、これを処理する場合には十分これは気をつけてやっていかなければならぬ問題であると、かように考えております。
#7
○戸田菊雄君 現地で、県知事あっせんで、これは当時の十二月の三十日に妥結をしたわけですが、これと並行して現地から厚生大臣に対しましては、当時の水俣病の発生原因が何であるかということに対しましては、明確に有機水銀だということを答申になっておるのですね。だから、当時の処理方式等については、十分厚生省としても関与、もしくはその事情というものは知っておったはずなんです。しかし、厚生省としてはそれらに対してはノータッチ、こういう状態で、すべて現地まかせという状況になっておるわけであります。その点から、きわめて被害者に不利なような一つの和解策というものがとられた。これがまた強制的にやられているのですね、一面、内容を見ますと。そういうことがあっていいのかどうかということなんであります。そういう事実等について、一体厚生省は当時の状況について、おそらく現大臣ではないと思いまするが、厚生省としてこういう事情というものを、答申があったのかどうか、こういう点についてひとつ御質問いたします。
#8
○政府委員(舘林宣夫君) 今後もこういう問題が起こってくると思いますが、公害として取り上げられた事例の原因が必ずしも明確でなかった。原因がはっきりしており、しかもその原因者が単独の特定の者でございますれば、これは民事の裁判によりまして、法律の保護によって補償金がとれるわけでありますけれども、そうでなくて、原因が明確に判定できないという背景のもとに、原因者かもしれないと目せられる側と、被害を受けた側とが話し合いで見舞金のような形で、補償にかわる措置が講ぜられるという場合には、だれかがその仲介に立ち、また両者が納得する金額で話し合いがなされ、和解がなされるということになるわけであります。したがいまして、これはあくまで話し合いでございますので、客観的に、あるいは時期を違えてこれを見れば、少し妥当とは思いかねるというものもございましょうし、また和解の仲介に立つ、そういう調停者が適当であったかどうかという問題もあろうかと思います。たた、水俣病のときに、仲介の労をとったのは知事でございますが、今日法律上、ばい煙規制法並びに水質保全法におきましても、やはり知事が和解の仲介に立つという法律上の制度になっておるわけでございまして、おそらくは今後におきましても公害は個々に、それぞれの地方地方において地方特有の状態を背景にして出てまいるものでございますので、第一次的には地方公共団体が仲介の労をとるという形が行なわれるものと推定されますし、またそれが最も時宜に適したものであろうと私どもは思います。一々国が末端の事情を必ずしも明確にしないで、国がこまかい問題を一々仲介をとっていくということもできかねる事例がほとんどであろうかと思うわけでありますので、この形式そのものが今日から考えて妥当でなかったとは私どもは思っておりません。ただ、そのような和解の仲介がとられても、なおかつ、問題は非常に大きい問題であって、また知事が和解の仲介の労をとろうとしても問題がこじれてむずかしいというような場合に、国がやはり乗り出すということも、今後ともあり得ると思いますが、この公害の処理に関しては、そういう筋合いで今後とも進めていくものと思います。お尋ねの、これが強制的なものであったかどうかというのは、私どもには今日ではわからないことでございますが、金額においてかなり今日の考え方から見れば、低額のようにも思われるわけでありますが、この問題を判断する一つの根底には、完全に原因との間の因果関係が証明されたものでない、ある程度推定を加えた上で原因者と目せられるものが見舞金のような形で出したという事情も、この金額には加味された判断であろうかと思います。
#9
○戸田菊雄君 次に、大気汚染の汚染質の基準濃度についてでありますが、一体どのようにこれらについては考えておられるか、具体的にひとつ説明を願いたい。
#10
○政府委員(舘林宣夫君) 大気汚染の場合の基準の濃度の考え方が二つございまして、一つは、今日採用いたしております排出の規制の濃度でございます。これは個々の煙突から出てくる有毒ガスの濃度を規制するというものでございます。この濃度をきめる場合の配慮は、今日の化学常識あるいは産業の実態から考えて、でき得る限りの高度の装置を考えた場合の濃度を想定するという方針で、今日ばい煙規制法に基づいて規制が行なわれておるわけであります。ところが、そのようにいたしまして、かなり古い施設にとってはつらい濃度の規制をいたしましても  すなわち個々の事業所はかなりきびしい規制をされましても、これが何千、何万と集まりますと、その大気はよごれてくるわけであります。その集まった場合の大気全体の濃度をこれ以上よごさないという、これがいわゆる環境基準であります。この環境基準はとの法律でこれからきめようとするものでございまして、今後の日本の事例を大気にとりますれば、わが国の空をどの程度以上はよごさないという政策目標であり、国としての決意でもあるわけであります。その場合の国としての目標及び決意は、もちろん国民の感情からいえぼ、きれいであれば、きれいであるにこしたことはない。幾らでもきれいにいたしたいということでございますが、そのようなことは近代都市においてはほとんど不可能だと思います。ある程度はやむを得ない。そのある程度はやむを得ないという程度をどこにきめるかということでございますが、その考え方の基本は、病人が出て、なおらぬような慢性病が起こつ光り、死亡者が出るというようなひどい状態には絶対しない。もしそういう事態が起こるのであれば、工場の操業をとめても、あるいは工場をそれ以上ふやさないというような強い行政措置を講じてでもそれは守り抜く。しかし、病人が出るというほどではないにしても、生活環境としてはきれいな空にいたしたいというその限度は、やはり産業の発達という面も考慮しながら、そのバランスをとっていく必要がある。今後の日本がまず化学工業で国を立てていくという場合に、それを過大に要求したのではほとんど重化学工業の育つ余地がない。したがって、ある程度産業も育つし、また生活環境も維持できるという、そのような基準を定めていきたい。もちろん、そのような大気の標準というものは場所によって違うだろうと想像いたします。公園のようなところ、観光地のようなところをもっとよごしてもいいというようなものではなかろうと思いますが、そういうその立場立場によって、その実情に即して環境の美しさというものと産業の発達というものとのかね合いを考えてきめていく、かようになるわけでございます。
#11
○戸田菊雄君 どうも局長の話を聞いておりますと、全くこれが役所かと思うのですね、少なくとも私は公害問題が云々されるようになったのは十年前、昭和三十二年からいろいろな処置がなされてきているけれども、その大部分はいわばばい煙その他による空気汚染、いわば大気汚染、こういうものによっていろいろな弊害を受けている。具体的には四日市等におけるいわばぜんそくやなんかの発生、こういうものからくる自殺行為、こういうところまで追い込まれている。そういうものを、ばい煙その他これから規制をしていくというのだけれども、一定のそういうものの濃度基準というようなものがなければ、私は規制をしていく方法がないと思うのです。だから結果的には、何にもやっていないということに通じてしまう。局長はいま必要性は説くのだけれども、実際は何にもやっておらない、国としては。こういうことになりはしないかと思うのですね。現にこの四日市なんかでは、大体三百八十一名ぐらい明らかに公害と思われる、そういう病気が続発をしておる。ぜんそくなんかになった場合、かりに四日市から転地をすると即座に二日ぐらいでなおる。そういう状態に市民生活が追い込まれているのですから、こういう問題について具体的に、何年かかれば――これからの将来の見通しはわかりませんけれども、早期に一定の規制措置の土台となる基準というものを設定をして、そうして市民生活を守るという、国民の生活を守るという、健康を守るという、こういう具体的な処置がなされていかなければ、私はいけないだろうと思うのです。いまの局長の話を聞きますと、いろいろ必要性は説くけれども、具体的なものは何もないのですね。こういう大気汚染基準濃度について、厚生省は具体的にこういう取り組みをしたものがありますというものがあれば、ひとつ教えていただきたい。
#12
○政府委員(舘林宣夫君) いま先生のおっしゃったことは、現実おっしゃったとおりでございます。いままで政府としましては、個々の工場から出てくる濃度だけを規制しておったわけでございまして、個々の工場から出てくる濃度を幾ら規制しましても、それが数集まればその町の空気はよごれるということでございまして、したがって町の空気というものを一定の標準を設けて、それ以上よごさないということをしない限りは、いまおっしゃるように病人が出てくるというおそれがあるわけであります。そこで新たに、これ以上町をよごさないという標準をきめ、それを目標にして公害対策をするということが、一番今日大事なことでございますので、それをこの公害対策基本法の第八条に、環境基準としてうたってあるわけであります。今後そういうやり方で、公害対策をやっていくということでございます。ただこの方式は、世界のどこでもやりたいという気持ちがあって、相当努力しておってもできませんので、これ以上大気をよごさないという、その標準というものは非常にむずかしいものであります。従来公害の関係者の問で、どこの国でも努力してきておってなかなかできなかったものであります。それを、あえてわが国が、これからのわが国の将来を考え、重化学工業が非常に発達するという事態、国の狭さというものも考えて、どうしてもこの対策が必要だということで、今回公害基本法によって、これからこれをきめようということでございまして、それではわが国の空を、どの程度きれいにするという具体的な数字はどうかということでございますが、それはただいま厚生省にこれの審議会を設けまして、その審議会で、先生方に諮問をしておる最中でございまして、私どもといたしましては、専門家の御答申がいただけることを待っておるのでございます。
#13
○戸田菊雄君 世界各国にないということを、局長いまおっしゃられたのですか、ないということを。私は一、二の例でありますが、欧米ではこの不飽和の割合三〇%をこえると、これは非常に危険だという、そういう割合というものが一応出されているわけですね。それでアメリカのカリフォルニア州の大気汚染八時間の基準の濃度というものが一応出されている、あるいはまた、ソビエトの大気汚染許容濃度というものは一日平均として幾ら、こういうことで具体的にやられているケースがあると思いますが、その辺はどうですか。
#14
○政府委員(舘林宣夫君) いまお尋ねのような数値は出ております。たとえばソ連は一定の標準としてはこういうものにするという数値を出されておりますが、それを目ざして具体的な施策をそれに集中し、それ以上は絶対越さないというような施策を強く講じているというようには私どもは聞いておりません。今回のわが国の公害対策基本法でうたっております環境基準は、日本国全体に共通する国の法律といたしまして、この基準でわが国全体の公害対策をやっていく。したがって、あらゆる施策をこれに向かって集中するということでございますので、既存の、各国にございますアメリカの一部の都市にあるとか、あるいはソ連の一応の標準というようなものとは、質を異にしたものと私どもは考えております。
#15
○戸田菊雄君 これはアメリカでもソビエトでも、いわば人身擁護という立場に立って、こういった基準濃度というものはきわめて化学的に確定をされている。これを見ますと、アメリカの場合には、一酸化炭素の場合は三〇ないし四五PPM、硫化水素の場合は〇・九PPM、亜硫酸ガスの場合は〇・一から〇・二PPM、あるいはオゾンの場合は〇・一五から〇・二PPM、こういうぐあいに一定の基準単位というものが出ている。ソビエトになりますともっと極端にこの抑制措置が強いわけであります。ですから、そういうことで先進諸国におけるアメリカ、ソビエトにおいても一定のものが出ているのでありますから、確かに局長が言っているように、これから具体的に審議会の答申等を待っていろいろと作業を急ぐ、こういうことを言うのでありますが、そういう見通しについて一体いつごろまでに厚生省としては具体的な基準濃度の算出といいますか、そういうものができるのか、具体的にひとつ説明を願いたい。
#16
○政府委員(舘林宣夫君) これは専門の審議会の御審議の内容でございますので、私どもとしては推定で申し上げるだけでございますが、本年中には御答申がいただけるものと、少なくとも大気汚染の、そのうちでも、ことに問題となっておりますSO2に関しましては本年中に御答申がいただけるものと、かように期待をいたしております。
#17
○加藤シヅエ君 ちょっと関連。いまの局長の審議会のお話でございますけれども、もうそれはスタートしているのでございますか。それで、いま今年中に答申とかおっしゃいましたけれども、その審議会の構成はどうなっておりますか。そのメンバーの資格、どういうような専門家であって、それが何人とか、そういうような資格、そういうことがおわかりでしたら、それをちょっと知らしていただきたいと思います。
#18
○政府委員(舘林宣夫君) 審議会は、厚生省にあります公害審議会の中に環境基準に関する特別の部会を設けて審議をいたしております。審議会は、昨年の暮からすでに審議にとりかかっていただいておりまして、いままでに再々会議が開かれております。審議会のメンバーは課長のほうから申し上げます。
#19
○説明員(橋本道夫君) 審議会の中の専門小委員会のメンバーでございますが、専門小委員会の委員長をしておりますのは、慶応大学の衛生学の教授で、労働衛生法の大家、原島教授でございます。その下に、公衆衛生院の鈴木部長、労働衛生研究所の労働衛生関係の坂部部長、それから大阪市立大学の堀内教授、そういう衛生関係の方々。工学関係の人々は、横浜国立大学の北川教授、東京工業大学の清浦教授、慶応大学応用化学の柳澤教授等の方々で、医学と工学、物理、そういう関係の方が専門小委員として現在やっておられます。
#20
○加藤シヅエ君 その小委員会のメンバーはわかりましたけれども、それに対してもっと――その小委員会でない委員会というものがあるわけでございますね。そして、全部でメンバーがどのくらいあるか、その中に産業人を代表してどういう方が入っているか、それを聞かしていただきたい、思います。
#21
○政府委員(舘林宣夫君) 公害審議会は、委員新四十名でございまして、これは全員学識経験者であらゆる分野の公害に関連する科学の専門学者、あるいは一般的な学識経験者等をもってなっておりまして、その中には財界関係の公害の専門家、経団連の公害対策委員長である大川鉄雄氏、あるいは東京電力の社長木田川一隆氏、日本石油の社長の上村英輔氏、高圧ガス保安協会会長の黒川古武氏などが経済分野での専門家として入っております。
#22
○加藤シヅエ君 いま純粋な学者、それから経団連等の専門家ということでございましたが、その名前を伺いまして、私も大体承知している方々でございます。どの程度専門家でいらっしゃるかということも大体承知しているつもりでございますが、そういう方をお入れになって、今度は労働半側のこういう問題の専門家はどういうふうに入っておりますか。
#23
○政府委員(舘林宣夫君) 特に労働者というと心え方ではございませんで、一般住民といいますか、国民としての学識経験者という形で、別に労働衛生ではございませんので、労働者代表、資本家代表という形でそれをとらえることを私どもとしてはしていないわけでございます。産業公害の発生源の方面の専門家と、あるいは被害を受ける一般国民の側の専門家という意味合いから、評論家の安藤鶴夫氏、あるいは市民代表で川崎市長の金刺不二太郎氏、毎日新聞論説委員五島貞次氏、読売新聞社顧問高橋雄豺氏、劇作家田中澄江氏、評論家戸塚文子氏、千葉県知事友納武人氏、全国人権擁護委員連合会会長長野国助氏、評論家細川隆元氏、朝日新聞社論説委員八木淳氏などが入っております。
#24
○加藤シヅエ君 もう一つだけ。いまの顔ぶれで、労使という、特にそういうようなとらえ方をしないということは、まあその御説明はわからないわけではございませんけれども、現在三池で起こっているCOの問題、そういうような問題について、だれが働いている者の側に立って、そういうような被害について強くその対策を講じようとしているかというような現状をごらんになれば、大臣もよくおわかりになると思うのでございますけれども、やはりこういう問題では、働いているほうの側の代表で、やはりいまおあげになったような方々と同じような専門知識を持っている方は少なくないわけで、そういうような方もここに加わることが必要ではないか。そうでないと、どういうことになるかというと、これは純粋な学術研究ではなくて公害対策の一つの基準をつくろうという目的でこの審議をなさるわけですから、その間に、そういうような立場の人の声がないということは、結論がおのずからどういうような線のほうに引きずられていくかという、そういう危惧もなきにしもあらずということを私どもは考えるわけでございます。ですから、やはり労働者側を代表されると世間でも思われるような、そういうような人の中から、また知識を持っている方をここに加える必要があるのではないか、それで初めて非常に公平な結論が出ると世間でも納得するのではないか、私はこういうふうに思うわけでございますが、厚生大臣、どうお思いになりますか。
#25
○国務大臣(坊秀男君) この環境基準をきめていくという点でございますが、環境基準というものは、私は、これはもちろん学問の問題ではございませんけれども、非常に客観的なものでなければならない。そうなってまいりますと、立場立場によっての主張ということよりも、やっぱり何と申しますか、立場ということを離れまして、ただいま局長がお話し申し上げましたとおり、労使といったような立場の方々に、お互いに議論をやってもらうということでなくして、環境基準という一つの標準をきめていく、こういうようなことで、ただいま申し上げたようなメンバーになっておる。それで、こういう環境基準でなしに、どんなことについても、ものの運用をやっていく、たとえば、いま問題になっておりまする社会保険審議会といったようなもので審議する保険医療といったようなものにつきましては、これは、それぞれの立場立場、中立の方もございますし、それから事業主また被用者というような立場の方々から、いろいろな議論を伺うということになっておりますが、環境基準という、行政の目標になる一つのものさしをつくるというような場合には、それぞれの立場立場からの御主張をお願いするよりも、きわめて客観的にきめていくということがほんとうではなかろうか、こういうふうに考えまして、こういうメンバーといたしたのでございますが、このメンバーの方々におきめいただいたものにつきましては、今日まで非常に妥当であるということで、御非難の声はなかったのでございます。このメンバーにより答申されました公害対策基本法については、政府はずいぶん後退したじゃないか、こういうふうなお叱りを受けておりますけれども、そういった答申をこの審議会で御答申願ったというようなところでございまして、非常にへんぱということはないと思っております。
#26
○加藤シヅエ君 大臣の御答弁で、私は別に労使の立場をここで主張することが妥当というふうに考えて申しておるわけではございませんで、基準をきめるといったって、たとえば五にきめるか、十にきめるかというような、いろいろなそこに具体的な問題が出た場合に、やはりいろいろの生活環境の中から出てくる、特にどっちかといえば、いままで、いろいろな公害なんかを受けるようなごみごみしたようなところに住んでいる人たち、そういうような生活のいろいろ苦しみをよく知っている人たちが、そういう限度ではちょっと困ります。もうちょっと限度をこういうふうにしてもらいたいというようなことを言うのは、私は適当なことではないかと思うのでございますが、特に、そういうような声が大きくそこに反映されるような形が少し欠けているのではないか、こう思うのでございます。いま、もうやっていらっしゃるなら、それ以上これをどうしていただきたいと、いま申し上げてもしかたないと思いますけれども、この審議会の構成が、どうも私は納得のできない点があるということを申し上げるわけでございます。
#27
○戸田菊雄君 いま審議会の構成について御質問がいろいろあったのでございますが、これはいまの安全管理体制をみれば、具体的なものがわかると思う。少なくとも各職場におきまして安全管理委員会というものがあって、そういうものの構成は労使双方の案分でなっているというような状態、それでいささかもうまくないなんというようなことはない。きわめて円滑に運用されておる。だから、そういう安全管理とか、あるいはこういった公害防止に関する一つの濃度基準は化学的に算出されておるわけでありますから、そういうような問題に対してのイデオロギー的な論争が入ってくる余地はないのです。そういう面から見れば、いま大臣が客観的に正しいものと言うのだが、従来いろいろとこういったものが数多くやられてきているのでありますけれども、えてして、政府の付属機関みたいになっているのですね。その答申をされた内容も、都合のいいところだけ政府は選択して、法案なり、そういうものに加味していく。こういう審議会なり、そういう構成なり運営等について、あるいは採択する政府の態度、こういうものについて、やはりもっともっと再考ないしは検討する余地が一ぱいあるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども、大臣はその点どうですか。
#28
○国務大臣(坊秀男君) 今日まで、いろいろこの審議会の御審議、御活動を願って参ったのでございますが、この審議会でいろいろの御意見を出していただいておりますが、きょう初めて両先生から、それは少しおかしいじゃないかという御意見をいただいたのでありますが、今日までは全く、何もこれは学問の研究ではございませんけれども、きわめて客観的な立場にある学者諸先生に、ことに環境基準小委員会、この小委員会では、学者の先生方に、全く中立的と申しますか、客観的と申しますか、そういう立場で御審議を願っておるのでございまして、これは非常に、何と申しますか、偏向と申しますか、片寄った意見、政府の御用機関、そういうようなことでは全然ないというふうに私は理解をいたしておるのでございます。
#29
○戸田菊雄君 それで、時間もありませんから先を急ぎますが、この大気汚染の健康への影響等を厚生省でお調べになったことがございますか。あるとすれば、主として罹病する病名ですね、こういうものは一体どういうものにかかっているのか、あるいは青少年、あるいは壮年、それから老年、いわゆる年齢の相違もございますが、そういういわば年齢構成による一つの罹病率というんですか、そういう問題についても、おわかりになればちょっとお示しを願いたい。
#30
○政府委員(舘林宣夫君) 大気がよごれまして、その影響を受けて人が障害を受ける場合に、大別して二種類ございまして、一つは急性の影響を受けるもの、いま一つは慢性の影響を受けるものでございます。急性の影響を受けるものは、多くの場合一過性でございまして、一時的に涙が出るというようなことで、これでもって病人が出たというような種類のものではなくて、目がチカチカするとか、せきが出るとかいう程度でございまして、たまに起こりました事例としましては、先年、富山市で塩素ガスが漏れて、その周辺の人に異常なせきが出たというものとか、先日、大牟田市で火事がございまして、三井化学の工場が焼けて、やはり目をやられているというような一過性のものでございます。そのほか、大気汚染の場合でも、大原町の交差点の自動車の排気ガスによる障害の場合でも、交差点の周辺の人がせきが出るとか目がチカチカするとかいうような、比較的単純な粘膜の刺激ということが生ずる場合がございます。それに対しまして、慢性の毒のほうは、知らない間にだんだん病気になっておりまして、慢性の気管支炎を起こすとかいうように、なおりにくい病気にだんだんなっていくわけでございます。そういうことで、通常、公害の障害を調べる場合には、急性の刺激ともいうべき変化も調べないわけではございませんけれども、慢性障害を主として調べておるわけでございまして、いままでに大気汚染に基づきます障害の調査は、大阪、四日市、東京等に対して行ないまして、また、自動車の排気ガスにつきましては、東京都下に対しまして行なっております。
 その場合のばい煙の調査の例を申し上げますと、やはり年輩の人のほうがおかされやすく、四日市におきましては、この公害のひどい地区の慢性気管支炎の症状を持っておる者は、公害のない地区に比べて二、三倍多い。それから学童を調べてみますと、四日市では、のどが痛い、せきが出る、頭痛がするという学童が四〇%をこえており、呼吸器疾患による年間の延べ欠席率も、汚染のひどいところでは高い傾向にある、こういう調査が出ております。ただ、これらの障害のある人々をレントゲンの検査等をいたしまして、肺に実際上の変化を起こしているかどうか、器質的な変化を起こしているかどうかというようなことを、レントゲンとかあるいは呼吸器の肺活量というようなもので実質的な変化を調査いたしますと、実質的な変化はそれほどひどく起こってない。これは四日市の汚染が起こってから十年、二十年という長期のものでないということも影響があるかもしれませんが、せきが出るという慢性気管支炎の症状を呈している者が実際にたくさん見られるほどではないということであります。それから年齢別には、先ほど申しましたように、四十歳以上になると特にひどくなるという現状でございまして、この点は、先年ロンドンでスモッグのひどいのが四日間も続いたことがございます。その際、平常時に比べて四千人ほど余分に急に死んだ、この四千人はスモッグのせいである、こういわれておるのでありますが、これも老人が非常にたくさん死んでおるわけであります。これは、その短期間のスモッグの急性の毒で死んだわけではなくて、日ごろから慢性でやられておった人が、急に悪くなって死ぬ、こういう現象が起こるわけであります。
 それから、一酸化炭素につきましては、先ほど申しましたように、汚染地区――交差点の非常にたくさん自動車の通るところの汚染地区の住民には、目の刺激を訴える人が多いということでございまして、肉体的に調べてみますと、一酸化炭素ヘモグロビン――ヘモグロビンに一酸化炭素の結合しておるもの、これが相当量ふえておる。大原町では平均四・二七%、普通の町に住んでおる人では二・七九%程度のものが四・二七%というふうに一酸化炭素におかされておる状況である。こういう実態がわかっております。
#31
○委員長(松澤兼人君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#32
○委員長(松澤兼人君) 速記をつけて。
#33
○戸田菊雄君 私、大体質問も終わりにきておるので、厚生大臣に、公害基本法について今後十分、公害対策が進展できるという自信をお持ちですか、その点ひとつお伺いいたします。
#34
○国務大臣(坊秀男君) 今度御審議をお願いしております公害基本法でございますが、これはその基本方針、公害に対する基本的態度と申しますか――をとうしていくか、こういうことをきめたのでございまして、私は、この法律だけでもって、公害の防止ということはこれで足れりというようなことは考えておりません。この法律に伴いましていろいろ具体的な施策を法定するということによりまして、公害防止の実があがるということでございまして、この法律に伴う諸般の体制というものを、あるいは立法によりまして、あるいはその他の方式によりまして整備をいたしていくということによって、公害の対策というものは、これはもちろんでございますが、人間のすることでございますからこれで万全だということを申し上げることは差し控えますけれども、大体において目的を達成することができる、また、この基本法におきめいただきますれば、さらに逐次必要なる措置、必要なるやり方というものを整備をしていくことによりまして、目的は達成されるであろうということを考えております。
#35
○戸田菊雄君 大臣の熱意なり決意は伺いましたから、ぜひそうしていただきたいですけれども、いま、国民の中には、少なくとも基本法ができたら終わりだという、全く信用されていない実情があるというんですね。農業基本法しかり、中小企業基本法しかりです。そのことによって、ほんとうに国民が期待する方向にいっていないというのが、いままでの現状です。ですから、そういうことのないように、大臣に特に要望いたしまして、大臣に対する質問は終わります。
#36
○小平芳平君 きのう厚生大臣にお尋ねいたしました点でありますが、これは厚生大臣から非常にはっきりと言われた経済の健全な発展と調和の問題ですが、厚生省としては国民の健康保護を第一に考えていく。それでまた、公害の問題については因果関係を明らかにして、まず公害をなくすということを最重点にしてやっていくというふうな概略御答弁を伺ったわけであります。私が申し上げたい点も、大臣がおっしゃる点も大体同じだと思います。といいますのは、経済発展のほうを厚生省は一生懸命やる省でないのであって、また通産省、その他運輸省等は国民の健康の保護を一生懸命やる省でないのであって、これは当然厚生省としては大臣が御答弁くださったように、国民の健康の保護また生活環境の保全、これを第一義にやっていくのだというふうに、大臣もそうお考えと思いますけれども、私もそう考えるわけであります。そこでもって結局、政府の公害に対する姿勢と申しますか、公害に対する厚生省以外の官庁も公害防止に対する姿勢が大事でありますけれども、特に厚生省は公害防止に対しては生活環境の問題、あるいは国民の健康の問題について中心になって、一番先頭に立って、これを運営し、甘本法を具体化し、また今後の問題として公害防止の第一の働きをするのが厚生省である。したがって、先ほども局長が経済の発展との調和をはかるような御答弁をしていらっしゃったわけですけれども、それは経済の発展が必要ないわけじゃもちろんありませんが、厚生省のなすべき任務は先ほど来私が申し上げておるような点にある、こういうことでよろしゅうございますか。
#37
○国務大臣(坊秀男君) 公害基本法の目的は、まさにいま小平委員が仰せられたとおりでございます。
#38
○小平芳平君 基本法は各省にまたがりますから、各省それぞれの分野で公害防止に対する任務についていろいろな意見が出るはずだと思うんです。そうした場合に、厚生省は少なくとも経済の発展、そういう問題より、あるいはほかの省よりも第一に国民の健康を守り、生活環境を守る、これが厚生省の任務だ、これでよろしゅうございますか。
#39
○国務大臣(坊秀男君) いやしくも生命、健康にかかわるという場合には、厚生省としましては絶対に生命、健康を守る、こういう態度でもって徹底してまいりたいと思っております。
#40
○小平芳平君 それで生命、健康を守るという点から見れば一番大事なのは、先ほど来も戸田委員からの御質問、あるいはそれに対する御答弁の中で環境基準がどのように定められるか。要するにある基準があって、その基準からして――非常に基本法ですから具体的にこれをどうしろ、この基準をこうするというふうには出ておりませんけれども、この基準のきめ方次第で、結局、公害としてこの基準が低くきまっていれば、そうすると非常に住みにくい。せっかく公害防止ということを言いながらも、住みにくい環境しかできませんし、その基準が最低基準でなくて、ある程度の基準にきまっていれば、その基準を各産業界が守っていけば、非常に住みよい町になるわけだと思うのです。したがって、そういう点を審議会が今年中に答申なさるといわれますが、そういうような基準についてどのようにお考えなさいますか。
#41
○国務大臣(坊秀男君) その基準につきましては、先ほども申し上げましたとおりです。ただいま審議会においてやっていただいておりますけれども、およそ人間の健康というものに関係するといったような場合には、これはきわめて何と申しますか、峻厳に、基準を非常に高くと申しまするか、これをきめていく。ただし、生命とか健康とかいうことはまあこれでだいじょうぶだ、これで保つことができる、しかしながら、この程度では快適な生活がまだできないじゃないか、もう少しこれは快適な生活をしようというときには、各産業とのそこに調和と申しますか、そういったような観点から産業との調和を考慮いたしつつ、さらにこの基準のものさしを上げていく、こういうふうにやってまいりたい、かように考えております。
#42
○小平芳平君 もう少し具体的に……、基準は審議会でこれからどういう答申をなさるか、大体厚生省の見通しとしては、先ほど御質問のあった水質、あるいは大気汚染、こういう点についてはどのような基準が示されるか、これは厚生省としてももちろん審議会に諮問をしていらっしゃる段階であっても、検討していらっしゃると思うのですが、全然研究しないで公害基本法ができても、結局何もできないわけですから、実際問題として水質汚濁、それから大気汚染について、どの程度のものが環境衛生基準として定められるか、今後定めようという厚生省のお考えか。あるいはまた審議会では、どの程度の基準をお出しになるという見通しか。これは水質、大気、その他、項目で言えばどの範囲、たとえば悪臭といえば基準のきめようがないのじゃなかろうかというふうにも言われますが、そのさしあたって答申が出るであろうと考えられる項目とその基準、これはいかがでしょう。
#43
○説明員(橋本道夫君) 現在、この環境基準として何か少し具体的な考えを持っていないかといろことでございますが、具体的な数字ということは別にいたしまして、まず初めに大気汚染という問題で申し上げますと、健康は絶対に守るという点から、最もわかりやすい事例を引きまするならば、ロンドンで見られたような事件は、絶対に日本では起こさない。それから、ここ数年前、四日市の磯津で見られたような事態は今後絶対どこの場所にも再現させないということは、今後最低限度でございまして、これは健康を守っていきたい。これは亜硫酸ガスを念頭に置いて考えております。そういうようなものを、ある程度の安全性を見ながら、きびしくやっていく必要があろうというふうな考えでございます。
 それから、亜硫酸ガスにつきましては、人間よりも鋭敏な植物も、ある一定の時期ございますので、そういうものは地域的に何らかの差をつけることの必要な地域も中にはあるのじゃなかろうか。これは、あくまでも生活環境上の問題でございます。経済との調和という問題が起こってまいります。そういうことで、亜硫酸ガスの場合には健康絶対という問題、生活環境の保存、快適という両方の要素がございます。
 それから、もう一つの問題は、一番よく問題になります降下ばいじんということになると、降下ばいじん自身が別に直接健康に影響があるわけじゃございませんで、生活を妨害するというような要素でございまして、その辺にほこりがたまる、洗たく物がよごれるということでございますから、これは生活公害の要素として、どの程度まで押えるかということでございまして、これは従来ある程度各国にそういうことのケースもございますし、日本でもいろいろコントロールしてみたケースもございますので、そういう問題は亜硫酸ガスについては検討したいと思います。
 一酸化炭素の問題でございますが、これは自動車の排気ガスの問題として非常に大きな問題でございますが、一酸化炭素の問題は、純粋に健康だけの問題でございます。一酸化炭素の環境基準を生活環境要素を考慮してきめるということではございません。全く健康の問題でございまして、私どもはこの一酸化炭素の中毒なんか、これは絶対に起こさないというところを頭に置きながらこれを処理していく。もちろん、労働衛生なんかの基準よりもはるかにきびしいものでなければなりません。と申しますのは、老人も子供もみんなそれを吸うわけでございますから、労働衛生と同じではとうてい話にならないという考えでございます。
 それからもう一つは、炭化水素の問題が、自動車などで問題になっておりますが、炭化水素のほうは、これは人間のほうには鼻のにおいではひっかかってまいりますが、はたして病気になるかいなかということでいきますと、労働衛生では非常に濃度が高うございます。そういうことは、健康ぎりぎりなんといったらひどい濃度になる。その辺がみんな荒れ果ててしまいます。これは、まわりがどの程度保存され、どの程度荒れないかといったことが中心となって考えられると思います。
 水のほうにつきましては、今回の問題として一番大きなのは、一つは水道の原水としての問題がございます。これは処理技術とのからみで、ぜひとも、どの程度にすべきかということを考えなければいけないということが目的です。従来の水質保全法におきましては、水道処理技術とのからみにおいて、一応ここまでは飲めるということは出しております。経企庁でもそういうことを中心としながら水質保全等の基準を適用した事例もございます。これはあまり困難はございません。
 それから、もう一つの問題は、遊泳場の問題でございますが、遊泳場はどの程度の水質でいいのかという問題につきまして、すでにプール等につきまして行政指導基準を設けておりますが、今後。フール以外の天然の遊泳場所という問題は、厚生省としてもぜひともきめていかなければならないことでございまして、この点はそうむずかしい問題ではないというふうに思っております。
 それから、水の点で厚生省の健康の関係に関係して非常に大きな問題になってまいりました、たとえば有機水銀ということになってまいりますと、出てくる排水だけを見ますと、全くきれいな排水でございます。見かけは何ともないから、古た魚の中に蓄積されても別に魚が死ぬわけではないということでございまして、生活環境要素だけの問題ではないので、全くこれはいままでの事例と経験を中心としながら、非常にきびしく、絶対人間に障害を起こさないというような程度をきめていこう、そういうような考えで大気と水質ということには臨んでおるわけでございます。
 それからもう一つは、騒音ということでございますが、騒音の問題につきましては、現在の段階では、騒音は、非常にはなはだしい生活妨害的九公害として取り上げられております騒音で、明らかに健康障害を起こす騒音のレベルと申しますと、非常に強烈な騒音となりまして、そういう騒音は実際上存在しないということでございまして、労働衛生的に四六時中八時間さらされるというならば別でございますが、公害の場合は四六曲中のべつ幕なしに、非常な高度の音にさらされ三という場面はないわけでございます。そういう関係におきまして、地域別、たとえば住宅専用地域と工業専用地域、これはやはり違う。あるいは胸間別、つまり夜は眠れるようにされなければならないというようなことでございまして、地域別、時間別に相違が出てくるというような考えでおれます。
#44
○小平芳平君 こうした環境衛生基準をきめていく場合には、いろいろな困難な問題もありますが、しかし、このための公害基本法ですから、この点について、たとえば亜硫酸ガスの場合でも、いまの御説明だと、四日市のような例は二度と煽り返さないというふうな――当然のことだと思うのですが、こうしたものをはっきりここの工場から――これをきのうずいぶん質疑応答されていらっしゃったんですが、ここの工場からそういうガスならガスが出て、こういう迷惑をしているという場合は、もう当然それは企業が責任を持って公害を防ぎとめるということと、また被害者に対する損害補償をすべきであるということになると思うのです。ところが実際問題、有機水銀の場合も、水俣病の場合でも、あれだけの長い研究が必要だったわけですが、そのほかにも、ここにある中小企業の工場があります、その工場から出たガスによって、このたんぼの稲がこれだけの被害を受けたということはどうやって判定するかという問題ですね。どうやって――現に私の知っているところで、そういうガスによる稲の被害を受けたということを言われて、その中小企業の経営者は、びっくりしまして、さっそく何十万円と、向こうから言われたとおりのお金を払ったというわけです。そこで私、それじゃ一体、稲のたんぼが被害を受けたというけれども、どこでそれを判定してもらったのだといったら、経営者はそれは知らないという。ですから、こうした問題は、現在としてはどこで判定しているか。将来はどういうような機構でそれを判定していくのが妥当だと思われますか。
#45
○国務大臣(坊秀男君) いま小平委員御指摘の問題は、公害を処理する上において一番私はむずかしい問題であり、かつまた、大事な問題であろうと思います。いまの制度におきましては、いま仰せられましたように、ある中小企業者の工場が、農民のほうから苦情が出まして、すぐ何十万円かのお金を払う、そういった方もございますし、その逆の場合も非常に多い。そこで一体、その公害の発生者と目される原因者と、それから公害を受けた被害者との――原因と結果との、因果関係のつながりと申しますか、結びつきと申しますか、これがなかなかはっきりしにくいところに公害の一つの大きな特徴があろうと思います。そこで、いまの制度等からいきますと、いずれにいたしましても、損害を賠償するとか、責任を持たすということは、これはもう原因者に責任を持たす、原因者に損害賠償をさすのが、これはもう当然のことでございますが、そこの因果関係がはっきりしない。そこで、いまの日本の私法によりますと、損害の賠償をさすとか、あるいは責任を持たすというようなことにまで持っていくためには、ほんとうに証拠が完全でなければ――疑わしい場合には、これは刑法の問題じゃございませんけれども、疑わしい場合にはこれは証拠不十分とか何とかいうことで損害賠償をさすとか、責任を持たすとかいうところまでいかないわけでございます。ところが公害を受けた現実の被害というものはきわめて明瞭である、そういったような場合に、いわゆる私法上あるいは刑事上の損害賠償あるいは責任を持たすといったようなことの因果関係がはっきりしないからできないといったような過程においても、何とかこれを救済をしなければならないというところに、私は公害処理の一番大事な問題があろうと思います。現在のところは、それは御指摘のとおり整っておりません。だから私は、この基本法が御審議、御決定をいただいたならば、何とかそういった場合の紛争というものを処理していくための何らかの機構といいますか、そういったような機関と申しますか、そういったようなものを前向きに考えていかなければならない、かように考えておるところでございます。
#46
○戸田菊雄君 きのうからだいぶ長いことお待たせをして、運輸省の堀山部長ですか、非常に申しわけなかったんでありますが、先ほど大気汚染等によって一般庶民もその被害というもので非常にやられたわけですが、それをまともに受けて一番その被害が多いというのが、ハイヤー運転手とかそういう方だと最近言われて、ことに何か作業を終わったあとに非常に頭が痛いとか、そういうことを訴える者が非常に多くなってきている、こういう話でありますが、そういう問題に対して何か調査とか、実情というものを運輸省でお調べになっているものがあるかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#47
○説明員(堀山健君) 直接、私どもで調べたことはございません。
#48
○戸田菊雄君 これは四十二年の六月十二日の「朝日」でありますが、東京都小中学公害対策研究会というのがありまして、そこでいろいろ児童に対して公害の被害調査をやったわけであります。そのときに、この東京医科歯科大学の前田博教授が、東京はどこへ行っても公害の被害というものが続発している、そういう状況である、こういうことをはっきり言っているわけです。そういう中で、ことにこのタクシーの運転手とかあるいは警察の、交番のおまわりさん、そういう方が非常に被害の度合いにおいては多いというのですね。ですから、こういう問題に対するいわゆる運転者の健康管理と申しますか、こういう問題については格段の注意を払っていく必要があるんじゃないかというふうに考えますが、そういう健康管理の問題については、何か行政上運輸省として指導したとか、何かそういう問題はございますか。
#49
○説明員(堀山健君) 実は、先生御指摘のと少し違いますけれども、私ども各県の陸運事務所で車体検査をやっているわけでございます。車体検査をやっておりますと、車は連続して一つのコースで一日に百二、三十両やる、こういうことで、たとえば品川の鮫洲のようなところでありますと、一つの建屋で四コースになっております。そうすると大きな建物ですから  雨天体操場のような建物でございますから、中に車が四列に並んでぶうぶう排気ガスを吐きながら検査を受けておる。こういうことで私どもの職員内部に、そういう面で非常に健康状態が何となくおかしい、こういう話がありまして、実はいろいろ何といいますか、労働安全規則ですか、何かあのほうの基準ではかってもらったのですが、どうもその基準から言うと別に差しつかえはないと、しかし実際にはどうも調子が悪いと、こういうことで実はおととしから、これは一ぺんにするわけにまいりませんので、逐次やっておるわけでございますが、検査場の中でガスを抜くという装置をつけまして、逐次二本以上のコースのところにそういう設備を全部つける、こういうことをやっております。そういう環境は、大体何といいますか、ちょうど車が徐行しながらガスを吐く、低速で走るという状態で−1こういう状態はちょうと澁滞した交差点しか、そういうところの環境と非常にいま似ておるのではないかというふうに思っております。ただいま私どもは、まあ具体的にどういう状態になったということではございませんが、そういう装置をつけながら、感じとしてはどういうふうに変わってきたかということは調べてございます。
#50
○戸田菊雄君 やはりいまのタクシー運転手の場合ですと、大体朝の八時半ないし九時、このころから午前一時ころまでですかね。あと四時間くしい休んでまた交代時間まで稼働すると、こういうことになっておるわけですね。ですから、ほとんど二十時間くらいは動くというかっこうになる、思います。そういうことになりますと、いま言ったような公害によって健康を害されていく、非常に頭痛がする、運転上においても非常に危険な要素というものが出つつある。こういうものを、さしあたって防止する方法として一般に言われておるのは、酸素吸入というものを事業主のほうで適当な休憩室か何かに置いて、そこでひとつ吸入をやらして、それで健康を回復させる。こういうものをやはり事業主に対して運輸省あたりで積極的に指導に乗り出してもいい時期ではないか、こういうふうに考える。もちろん健康診断は少なくとも最低一年に一回くらいは各事業者がやっておるようでありますが、そういう問題についても何か適切な健康管理方式というものをひとつ行政的に指導していくような情勢になっておるのじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺はどうです。
#51
○説明員(堀山健君) 先ほど申し上げましたように、私ども職員自体でもそういう点について検討しておるわけで、御指摘のように、その面につきましては今後適当な措置を講じたいと思っております。
#52
○戸田菊雄君 それから運行管理ですね、この運行管理もそういう部面からいけば相当検討を加えられていいのではないかと考えるのですが、非常にそういう一酸化炭素とか何とかいうものでいろいろ大気が汚染される、そういうものが時間帯でだいぶ違うようであります。ですから、そういう部面での運行管理、いわゆる稼働実数というものをやはり科学的に検討されて、その部面はやはり運行管理に取り入れる。こういうものが作業形態としてやられないと、一面いろいろ保健上の問題が積み重ねられてきて片手落ちになるのじゃないか、こういうように考えるので、そういう総体の上に立って健康管理というものを考えてもらいたいと思うのですが、その辺はどうですか。
#53
○説明員(堀山健君) 従来の私どもの健康管理という面につきましては、実は労働基準のほうから押えるというのが実情でございます。そこで労働基準法のワク内で仕事をするということで、その面で縛っておったのですが、御指摘のように、タクシーのようにわりあいに渋滞する場所を通らなければいかぬ、一日の走行の中の相当部分を渋滞した場所を通らざるを得ない。こういう面については従来の労働基準法にのっとった運行管理とは別の角度から、あらためて検討する必要があると思います。その他、路線トラックとか区域トラックとか、一部何と申しますか渋滞地区を通るところもあるけれども、大部分はそうでないところを通る、こういうのと、タクシーのようにほとんどそういう渋滞地区を通るというのとは、やはり違うと思いますので、今後そういう面についてはあらためて検討したいと思います。
#54
○小平芳平君 それでは大臣が席をはずしていらっしゃるので、局長から御答弁願いたいと思いますが、先ほど具体的な一つの例を申し上げましたような場合、そのほかにも公害の問題はいろいろな問題がありまして、相当科学的な、あるいはまた相当長期間にわたる研究をしなければ結論の出せない問題、それからまた一般にそう時間的に長くかかるわけでもないけれども、そうした苦情を持っていた場合、これはきのう局長が答弁していらっしゃったことは、そういう受付機関を設けるということを答弁しておられましたが、そうした苦情をどこへ持っていけばいいか、そしてそれは受付機関をつくるということを検討しているという御答弁でありましたが、それはたとえば厚生省の機関なのか、あるいは地方公共団体の機関なのか、そういうような点に具体的に何かございますか。
#55
○政府委員(舘林宣夫君) 公害の苦情の処理ということは、現在でもばい煙規制法並びに水質保全法で仲介の労をとるという条文があるわけでございまして、これは都道府県知事がその衝に当たるということになっております。それと申しますのも、公害はほとんどが局地的な問題でございまして、その地方の実情に最も通暁した、また公害のその局地局地に起こる問題の紛争の処理ということは地方の処理に属する仕事の範疇にあると考えられますので、やはり今後といえどもこの紛争の処理には都道府県知事が当たるというようにすることが適当であろうかと思います。ただ、問題によりましては、きわめて広範にわたる、非常にむずかしい、影響の大きい問題であるというようなものにつきましては国みずから調査をし、国みずからその処理に関しまして指導をするということは十分あり得ることでございまして、現に阿賀野川の事件に対しましては、
  〔委員長退席、理事大倉精一君着席〕
国がみずから調査をし、国の指導によって県がやっておるという実態がございますので、これは問題によりましては国と県と一体となって処理に当たる、こういうことになると思います。
#56
○小平芳平君 この苦情の受付、また苦情の処理について、たとえば労働関係でしたら地方各県ごとに地方労働委員会があり、また二以上の県にまたがる場合は中央労働委員会というように、労働関係のそうした問題でしたら、大体現在の制度が二十余年にわたる歴史を持ち、また活動の成果を積み上げてきているわけです。ところが実際問題、公害は、きのうも局長がよく説明しておられましたが、たらい回しになるとか、非常にそういう点が不備だったわけです。したがって、いままで都道府県知事にまかしてある、今後ともそれでいくというだけでは安心できないわけですね。ですから基本法ができまして、さらに具体的に公害を防止していくこの段階で、具体的なこういう機関をどのようにつくっていけば、およそ苦情のある方には納得のいける処理ができるという、そういう制度をここでもって新しく検討し、考える必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
#57
○政府委員(舘林宣夫君) お説のように実は最近、私もそれほど研究はしてなかったのでございますが、公害を受け付けるというか、処理する機関は七十六と書いた雑誌がございまして非常に驚いたわけでございますが、そのようなことでは被害を受けた人の苦情の処理ということはとうていできない、どうしてもこれは苦情を受け付ける主たる窓口を一カ所に設けるという必要があるわけでございます。これはおそらくは地方公共団体の何部局に属するということでなくて、地方公共団体の公害の苦情を受け付ける施設として設置せられるものであると思うわけであります。その苦情を受け付けた場合に、必要に応じては調査をする必要がある。先ほど先生がおっしゃられたように、かなり化学的に高度の調査も必要とする処理もあろうかと思います。そのために特別の研究機関というものを設けても、とうていそれによって足れりというようなものではなくて、主たるものは衛生研究所という今日ある研究所がやりましょうけれども、それだけでは足りなくて、農林関係の研究所も要りましょうし、あるいは商工関係の研究所も要りましょう。場合によりましては大学あるいは研究機関の協力を得て調査をするというようなことが必要になってくるわけでございます。その調査の際、調停に立つ、苦情の処理をする、こういうようなことをその機関がやるようになると思うわけでございます。ところが、そこで片がつかない、あるいは問題が非常に大きいという場合には国みずからも調査に乗り出す、あるいは指導に乗り出すというようなことがあるわけでございまして、あるいは調停になかなか服さないという場合には、それが国に持ち上げられてくるというような事態も起こってくるのではないかと思うのであります。このようにして、そういう紛争の処理に当たる国の機関というものは別に今日、国できまっているわけじゃございませんけれども、府県の部門とは絶えず連携を密にして、一致してその処理に当たるというようにする必要があるわけでありまして、そのために新しい地方労働基準局――何かそういう労働委員会のようなものが要るかどうか。場合によれば、地方の公害対策審議会というようなものに対応した、何か中央を反映した地方の特殊な施設というようなものを早急に考えてまいりたい、かように考えております。
#58
○小平芳平君 そこで大臣がいらっしゃるならば一番いいのですけれども、ただいまいらっしゃらないから非常に詳しい局長さんにお尋ねするわけですが、行政の一本化について、これもきのうずいぶん戸田委員あるいは大倉委員からの質問に対して、そういう一本化するという考え方もあるが、今度の基本法で考えているような公害対策会議、これでこういう行き方もあるのだ、また公害対策会議に各省各係が持ち寄って物事を処理していくのが非常にスムーズに処理していく方法である、こういうことを非常に強調しておっしゃったわけですが、実際問題として、それは国の最高政策を決定するような場合には公害対策会議へ持ち寄るということも確かに一つの行き方でありますけれども、こうしたいま御説明のような窓口は、都道府県知事がどのような窓口をつくっていかれるか、そのことを厚生省としてどのように指導していかれるか、これは今後の問題だと思いますが、少なくとも行政が縦割りだからといって、ばい煙の方は向こうの建物です、水質の方はこっちですというようなことは、非常にまぎらわしいし、また不親切じゃなかろうか。やはり行政の一本化ということは、こうした中央の機関ももちろん大事でありますが、より一そう大事なのは窓口において、たとえば騒音はこっちです、悪臭はこっちですというような――それも一つの部局の中で扱ってくれればまだしも、それとそ、この問題は県の土木部ですとか、この問題は衛生部ですとか、そういうような苦情の処理のしかた、窓口のあり方というものは非常にむだじゃないか、また不親切じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#59
○政府委員(舘林宣夫君) おっしゃるとおりでございまして、地方で問題が起こり、あるいは被害者が生じた場合に、中央に持っていって訴える場所が一定しない、あるいはたらい回しになって、責任のなすり合いのようなことになるということは、ゆゆしいことでありまして、この公害基本法が制定され、それに基づいて各般の施策が行なわれる、その各般の施策が行なわれるためには個別の法律がこれから施行になり、あるいは、いままでの法律がより改善されて施行になるわけであります。それぞれの法律にはそれぞれの所管が明記されることになるわけでありまして、たとえば自動車の排気ガスの対策で、どうしても道路を立体交差にしなければならぬというときには、当然に建設省へ行って話をつけなければならない、あるいは工場排水が非常に多くて、それで特殊の下水道をつくらなければならぬということであれば、これまた建設省へ行く。あるいは工場側に対して働きかけるということであれば、通産省に行って協力を仰ぐというように、それぞれの部局がおのずからきまってくるわけでございまして、お尋ねの、たとえばトラブルが起こって、被害者がたくさん生ずる、この問題の解決をするというような場合には、当然に国民の健康を保持する責任のある厚生省が、まず窓口となって、その処理に当たる、こういうことになるわけでございまして、窓口がはっきりしないというようなことのないように、特に気をつけてまいる必要がある、かように思います。
#60
○小平芳平君 それで、次はこの被害者の救済についてですが、このことについても基本的な救済の考え方については、大臣からも局長さんからも御答弁がありましたので、基本的な考え方はまたこの基本法にも出ておりますので、そうダブってお尋ねするわけではありませんが、私がお尋ねする点は、具体的にいま一つ四日市の場合で申しますと、公害関係医療審査会で認定された患者には治療費の全額を市が補償している。これに対して四十二年度予算では国が八分の一を負担して、百万円出すというふうな――予算書ではそうなっておりますが、これは具体的に国がなぜ八分の一を負担するか、どういう名目で負担するか、どういう形でいつ支出されるか、そういう点はいかがでしょうか。
#61
○政府委員(舘林宣夫君) この四日市のような事例でだれが幾ら負担するかということは、なかなかむずかしい問題でございます。なぜかと申しますと、まず非常に厳密に言いますと、これらの患者が、全員一人残らず、百人が百人すべて公害によるかどうかという保証は必ずしもございません。あれは慢性気管支炎、あるいは、ぜんそくというような状態の患者を一応調べた上で、四日市へ移転してきて、あるいは四日市に住んでおって公害の影響を受けたと思われるような背景を十分審査をした上で一応やってはおりますけれども、しかしそうだといっても、公害がなくてもあるいは慢性気管支炎になったかもしれないし、ぜんそくを起こしたかもしれないという不確かな要素を一部含んで、一応行政的に公害病患者として扱っておるわけでございます。そういう要素が一つにあるわけでございます。いま一つ、あのようにして公害病患者として選び出された人が確実にどことどこと、どこの影響で公害病になったか、慢性気管支炎になったかという結びつきの因果関係というものは医学的にも非常にむずかしいわけでございます。一応そういう前提のもとにこれを行政的に処理しよう、かように企図しておるわけであります。従来はそういう考えのもとに四日市市が患者負担分を一応全部出しておったわけでございますが、政府といたしまして今回特に予算を組んだゆえんのものは、これが公害の被害者に対する救済措置の一つのサンプルである、こういう形を今後一応参考にして、他の地区に生じた場合にもそれを参考にして応用いたしたいということで一つの考え方を打ち出したわけであります。そしてこの患者負担の半分を企業側に持ってもらう、その企業側も常識的にあの慢性気管支炎を起こす公害の発生源を多量に持っておると目される大きな企業者のグループ、これに対して少なくとも半額を持ってほしい、残りの半分を、すなわち四分の一を四日市市が持ってほしい、最後に残った四分の一を国と県が折半をするということによって、全員が必ずしも公害病患者でないかもしれないし、因果関係が必ずしも明確でないかもしれないけれども、これに対して国と県と市と企業側と共同して医療費を持っていこう、こういうように措置する、救済措置を講ずる、こういうことにきめておるわけでございまして、この支出は、国は県の支出に対して補助金といいますか、支給金で出す形で今後出してまいることになるわけであります。
#62
○小平芳平君 もう一つは、阿賀野川の水銀中毒の被災者に対する治療費二百万円というこれも、同じ考えでしょうか。
#63
○政府委員(舘林宣夫君) 阿賀野川の患者の自己負担分に対しましても、地元の地方公共団体がいままで出しておりましたけれども、同じ発想の考え方によりまして本年度から国も治療研究費の一部を持つ、かようにいたしたいと考えております。阿賀野川の問題につきましては企業側の問題がまだ訴訟状態にございまして、完全に了解の状態にございませんので、本年度におきましては企業側にその一部を持たせる、こういうことに至りませんで、国と地方公共団体がその分を持ってまいりたい、かように考えております。
#64
○小平芳平君 そこで、ほかには例はございませんか。四十二年度予算では同じような例としては。
#65
○政府委員(舘林宣夫君) 九州の水俣病の患者の治療が今日といえども継続いたしておりまして、この患者の治療に対しまして治療研究費として国は本年度におきましても百万円持っております。なお富山県の痛い痛い病が、これはまだ公害として明らかになったわけではございませんけれども、本年度におきまして治療のための研究の部門に対して国が一部を持つという目途のもとに、いま予算措置を講じておるところでございます。
#66
○小平芳平君 そこでもって、この公害の患者の認定が、確かに局長がおっしゃるように、その人が持っている本来の病気なのか、公害による病気なのか、また公害病患者の範囲といいますか、あるいは程度といいますか、病状といいますか、そういう点はいろいろむずかしい点があることはよくわかりますのと、したがって、こうした国が補助金なり助成金なりとしてお金を支出する場合のむずかしさということも大体想像いたしますけれども、しかしもう公害基本法ができたという新しい段階で、この基本法にもそうした救済制度は積極的にやるというふうにうたってありますが、ここでもって個別的に四日市百万円、阿賀町川二百万円、水俣百万円と、こういう行き方はやはり法律上の制度なり、あるいは実際具体的な救済制度として確立されたものが要求されるのではなかろうか。これが四日市等、いまあげられた三県ないし四県で公害の同じようなケースががっちりなくなるともちょっと考えられないし、かといって、また、これが今後ふえるかどうかということも必ずしもはっきりいたしませんけれども、いずれにしても、こうした基本法でもって十分な救済制度を確立していくということを具体化していくためには、やはり苦情の受け付け処理とともに、大事なのは、こうした現に公害に悩んでいる人たちをどう救済していくか、これが制度上このように処理していけるんだというふうなものが必要になりませんか。
#67
○政府委員(舘林宣夫君) お説のように、一つの制度として私どもとしては確立いたしたいと思っております。ただ、先ほど来申し上げております今日の事例そのものが、四日市では一応金額は予算計上では百万円となっておりますが、国は八分の一という、そういうある部分――何分の一を国は持つという何分の一というものをかなり割り切って考える。ところが同じ方式が――四日市では半分を持つ立場にある事業者のほうが、阿賀野川ではいまのところゼロであるということで、一つの方式が全部適用できる状態にないわけでございます。同じことが神奈川下流の痛い痛い病についても言えるわけであります。まだ公害と言い切れない今日の段階であって、事業者に持たせるということにはなかなかなっておらぬ。そういうことで、これをいま一つのルールとしまして何分の一を持つというようなはっきりした線を打ち出したいのでございますが、なかなか打ち出しにくい状況にございますのが一つと、いま一つは、公害対策は今後ともこういう被害者を生ずるような施策をやりたくない。政府は被害者が出ないような施策をするのが公害対策でございまして、被害者が出ることを予想して負担区分を法律で規定するというのはなかなかむずかしい問題でございますが、しかし、私どもが四日市で本年度打ち出しましたあの負担区分の考え方が一つのサンプルである。今後の公害の治療費に対する持ち方のかなり重要な事例である、かように私どもも考えております。
#68
○小平芳平君 厚生省が四日市でこうした公害病の実態調査を始められたのは、何年か前からだと思いますが、それで、大体公害関係の説明を承ったときにも、厚生省としては公害関係の予算はこれだけ計上しております。その中で、先ほどおっしゃったように四日市、大阪、東京ですか、どの程度の大気汚染による病気があるかということを調査しております。ところが実際に住民の側に立ってみると、確かに厚生省では予算をつけて調査はしてくださる。そうして厚生省から、調査してくださって、あなたは病人ですというふうにきめてくれるわけです。ところが、きめてくれただけで、治療とか救済というものがいままではなかった。これは結局、企業の負担あるいは国の負担という問題は、むずかしい問題ではありますけれども、実際住んでいる一市民にとっては、一体厚生省という役所は何を私たちにしてくれるか、とにかく一年がかり、三年がかりで係官が来て、調査だけはよくやってくれる。あなたは病人ですときめてはもらったけれども、それが公害による病人ですというふうに認定はされましたけれども、お金は一こう出してもらえるわけではないというような行き方は、やはり住んでいる市民としては納得できません。なんてまあ、おかしなものだろうというふうな感じを受けるだろうと思うのですがね。ですから、そういうような病人を出さないのが、基本法の第一の目的であることもよくわかりますけれども、現にそういうふうな病人が発生しているかどうか厚生省は調査はします、あなたは病人ですということは認定します。しかし、お金は自分でお出しなさいというような行き方です。ですから四日市のこのやり方が一つの例となって、いままで調査されたところの東京や大阪にも、そういうものが拡大されて適用されるようなお考えがあるかどうか、そういう点はいかがですか。
#69
○政府委員(舘林宣夫君) 原則的には、先ほど来申し上げておりますように、四日市のような行き方が、今後の公害の被害者に対する救済措置のサンプルであるということでございますが、具体的に言いまして非常にむずかしい問題があるわけであります。従来から実は国会でたびたび御質問がございました場合は、国としてお答え申し上げておったのは、公害には原因者があるのであるから、被害を起こした者のほうが、それによって患者が生じたということであれば、全額持つべきである、国は何も持つ責任は何もないというのが、従来の国会で、私どもがお答え申し上げておった態度であったのであります。しかし実際は、理屈そのとおりであって、私は今日といえどもその考え方を変える必要はないと思っておりますけれども、そういう原理原則では、公害病の被害者は救われない、なかなか因果関係を突き詰めることができない。推定はできても、大体あれが原因だと思われるというところまではいきましても、全額を義務的に負担させる、場合によっては、訴訟をしてでもその金をとるというほど、きめつけることによって、原因者に負担させるということはできにくい公害がたくさんあるわけであります。そういう場合には被害者はいつも泣き寝入りになってしまう、救われないということで、国は今回はかなり思い切ったつもりで、国も一部を持つ、こういう線を打ち出して八分の一持つようにいたしたわけであります。そういう考え方から、今後こういう考えで押してまいりたいというわけでございますけれども、ただ公害の事例の中には、先般ここでも質問があったかと思いますけれども、小さい部落で、四軒ぐらいの公害を発生する工場がある。そうしてその周辺の何十人が被害を受ける、中には病人が出る、それをいちいち国が見舞金を出していくかというと、そういうこまかい問題まで割り切っているわけではございません。かなりな広い広がりに対して国は施策をしていく、また、そういうこまかいところまで国が全部調査団を出して、調べるということをするつもりはございません。ある程度社会的に大きな問題となり、国の施策に関連して起こったような公害に対しては国としてもある程度配慮していきたい、かような考えであるわけであります。その場合、大阪とかあるいは京浜地区というようなところの問題であれば、当然に四日市と同じように配慮すべきでありますけれども、ただ、これはきわめて要素が非常に多いわけでございまして、東京や大阪の人間に四日市と同じような基準で慢性気管支炎患者がおる、これが公害だということはなかなかきめつけにくい諸種の要素がございますので、非常にむずかしいわけでございますけれども、かなり明確に公害であるということが学問的に立証することができれば、同じような考え方で私どもは処理してまいりたい、かように考えております。
#70
○小平芳平君 それでは、厚生省が病気だけはきめてくれた、病気をなおすのは自分でなおせというような、いかにも残酷なような印象を受けないようにするために、むずかしい点があることについては、むずかしい点があるということをよく納得させるような説明なり、また施策というものが必要だと思っているわけです。
 それで次に、この工業立地を規制するところの法律があって、そうして工場の規制をおやりになる。ところが実際問題として、四日市の例などでは、きわめて古い感じの木造の市営住宅がある。その市営住宅地に道路一本つくって、そして海を埋め立てて、そこへ火力発電所をつくった。これでは発電所ができれば、もろにガスなり、ばい煙の被害を受けるのは初めからわかりそうなものだ。それをわざわざくっつけてつくったために、いろいろと公害の問題が起き、社会問題となる。そこで今度は、発電所側では相当な、何億円というお金をかけて公害防止の装置をつくるというふうに聞いておりますが、こういう点は国の政策としてどうなんだろうか。わざわざそうした住宅地へくっつけて、そういうものをつくる場合の規制なり、何らかの措置が必要じゃないか。この点についてはいかがでしょうか。
#71
○政府委員(舘林宣夫君) 公害ができてしまってから、あとから広範な地域の住宅地の移転というような問題、あるいは工場の移転というような問題を起こすということは、非常に下の下でございまして、そのような事態が起こらないように、工場の設置に際して配慮していくということこそ、最も公害対策上必要なことでございまして、今後これは行政措置でやるか、あるいは指導によってやるかは別といたしましても、そういう方向は極力国としても考えていきたい。ただ、もちろんそれだけですべては解決し切れない。既存のものはすべて尊重するということであれば、産業の出る余地はないわけでございますので、その調整というものは、場合によっては、ごくわずかの人なら別の場所に移っていただくなり、あるいはごくわずかの漁業でございますなら、ほかの仕手に転業していただくなり、調整の措置はいろいろとるにいたしましても、基本的には住民の方々と産業との調整ということは十分配慮して進める必要があると思います。
#72
○小平芳平君 それでは大臣、いまの問題ですけれども、これがまた地域住民にとって痛しかゆしでもって、わざわざ住宅地へ工場をつくるというのはちょっとこれはよくない。いま局長がおっしゃったように法的規制をするなり、そういうことが必要であるし、また地方の農産物、水産物にすぐ被害が起きて、それの補償が当然考えられるような場合は、あらかじめ補償に対する折衝も必要になってくると思うのです。ところが、かといって、今度はあまり公害ということをやかましく言いますと、今度は工場がこないというのですね。それでむしろ工場誘致運動が盛んであって、いきそうであったけれども、あそこは住民が公害にうるさいからいかないと、こうきめちゃうということになると、今度は公害が起きても少々がまんしよう。私たちの住宅地の隣りに工場ができると、それはもう煙やガスでたいへんらしいけれどもがまんしよう、これが地域発展のためだというふうなことになってしまっては、公害基本法でいうところと逆の結果になってしまう。そういう点は「政府の政策によって今後やっていただかないと――住民を特に公害でより苦しい環境に追い込むような結果にならないように、あるいはまた地域格差がますます拡大してしまうような結果にならないように――そういうことこそ、政府の政策として一番大事な点じゃないかと思いますが、いかがですか。
#73
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のようなケースが、いま日本全国に私は相当たくさんあろうと思う。ともかく、ある地域のある調査におきまして、これは農業一本でやっておる、農業一本ではどうにもならない。労働力を消化するにも、これはもう農業一本ではどうにもならないから、若い者はどんどん出て行ってしまう。それからまた、生産性が農業だけでは、ほかの産業に比べましてお話にならぬものですから、その地域の生産性というものがきわめて貧弱であるというような場合に、そういったような地域がぜひともといって、望んで一つの工業を誘致する。そうすると、その工業から、いずくんぞ知らん、副作用として大気汚染とかいったような公害が起きてくる。こういったようなことで、私は今日まで純粋な農村が――私の郷里なんかにもたくさんございますけれども、非常に生活環境のいい農村が公害のためにだんだんむしばまれていくというような傾向が、非常に各地において見られる顕著なる事実でございます。そういったようなことこそ、私は、例の人間の健全な生活と産業の発展との調和ということが――とにかく従来のままの農村、非常に清浄な空気、これは生活環境に適した農村であるということにウエートを置きまして、徹頭徹尾そういうことを考えておりますと、非常に経済的な格差というものが生じてきて、これは必ずしもそこの住民のしあわせではない。そういうことであったならば、やはり少しは煙突から公害が発生しても工場を誘致していく。ここに一つや二つの工場が誘致されても、これはどうということは――それは確かに生活環境が前よりは悪くなってきますけれども。それを無制限にやっていくと、これはつまり経済の発展とそれから環境維持ということの調和がとれなくなってくる。ここに私は産業との調和ということが具体的な事例としてあらわれてくる現象ではなかろうかと、かように考えて、その調和点をどうしていくかということが非常に大事な点ではないかと思います。
#74
○小平芳平君 ちょっといま私が申し上げた点と――大臣のおっしゃる意味もよくわかりますけれども、私が申し上げておる点は、結局公害基本法ができましたと、そこでこれを具体的に運営していけば、公害はこのように防止できるのですということを基本にして考えた場合、そうした場合に、一つの例で申し上げますと、これは岐阜県ですけれども、ずっと山奥にある町がありまして、その町の大体まあ中心部に工場がありまして、この工場が非常な騒音と、ほこりがひどいわけです。この町の人たちは、風向き次第でほこりをかぶり、また、しょっちゅう騒音に悩まされておる。ところが実際、もちろんその町の人自体も、また周辺の農村からも、その工場に相当働きに通っている。そうした場合に言えないわけですね、とても。もう少しその音を防ぐような装置ができないものか、ほこりを防ぐような装置ができないものか。これは企業がその気になってやれば、多少なりともできる余地があろうと思うにもかかわらず、そこに住んでおる人たちは、そこの悪口を言ったら子供がいじめられるとか、あるいはこの町にいられなくなったらたいへんだというようなことがあるわけなんです。ですから、そこでもって、企業の立地条件をまず第一に、つくる前に考えることが一つ。それから現に、そうした苦情のある場合、これは先ほど局長から御答弁いただいたわけですが、大臣にもう一ぺん御説明しますと、そうした苦情がある場合に、どこへ持っていくかという問題ですね、どこへ持っていくか。これは現在までは都道府県知事がその窓口になっている。しかし、その行政の一本化については、きのういろいろ御説明がありましたが、少なくともそうした住民がどうもうるさい、その音を防いでもらいたいという人の苦情は、東のこの建物に行きなさいとか、ほこりをかぶるほうは西のこの建物に行きなさいと、そういう行き方はおかしいではないか。やはり行政の一本化とともに、窓口をつくり苦情処理できるような機関、それをまた科学的に研究して処理できるような方法、それが必要じゃないかと、こういう点ですが……。
#75
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、そういったような公害に対しまして被害者が現時点におけるこの解決のためには、おっしゃられたように、この都道府県知事といったようなところへ行きまして、これが和解の仲介をするといったような、きわめて何と申しまするか、きめ手と申しますか、そういうものになっていない現状でございまして、それなるがゆえに、この解決ということが非常に遷延したり、じんぜん日をむなしゅうしておるということは、これは認めざるを得ないと私は思います。さような意味におきまして、被害者の身にとってみれば、何とかここにきめ手というと、これは現在でも裁判所というものがありますけれども、これじゃとても話にならない。そういうようなことでなくして、何らかこの苦情処理をする機関というものは、どうしても、これはつくっていかなければならない。いまの時点におきましては、そういうものがなくて非常に問題の処理がおくれたり、できなかったりしておるということは、これは私も認めざるを得ないと思います。その事実にかんがみまして、何としてもそういったような紛争を解決する何らかのものはつくっていかなければならない。ただ、しかし、それをつくったからといいましても、いつも申し上げておりますとおり、これはもう万能薬であって、それさえできれば、これはもう、たちまちにしてこの問題が解決するのだというわけには、私は公害の性質上なかなかそこまではむずかしいと思いますけれども、しかし、何にいたしましてもそういうようなことをやっていくことによって、この解決を一歩でも二歩でも前進さしていかなければならないと、かように考えます。
#76
○小平芳平君 最後に、いま大臣がおっしゃったように、万能薬ではないと――確かにそうであって、先ほども戸田委員が最後におっしゃったように、中小企業基本法ができた、さて中小企業が倒産がそれじゃ減ったのかどうかと。農業基本法ができたと、じゃそれほど農村が繁栄しているかどうか、つまり公害基本法の場合こそ、これが出発点であって、基本法ができたから公害が減るというようななまやさしいものではなくて、これを出発点として今後の政府の積極的な取り組み、また具体的な政策の実施、これが特に大臣だと思いますので、そのことについて積極的な対策を要望したいわけであります。
 次に、運輸省の問題ですが、自動車の排気ガスについて先ほどもお話がありましたが、私が具体的にひとつお尋ねしたい点は、まあ自動車の排気ガスが相当いま町ではたいへんな公害といわれておるのです。ではそれを、どこで対策を立てるかといえば、運輸省の船舶研究所のこの中の一部門でわずかの人数でこれをやっていると。これでは行政機構上も少し貧弱過ぎやしないかということで、本会議でお尋ねしたら、大蔵大臣は、そういう研究機関には幾らでもお金は出しますと、大いに拡充しますというふうに言っておられたわけですが、ちょっとそれだけだとばく然としているわけですが、直接の衝に当たっておられる部長さんから、ひとつ今後の方針なりお考えを承りたい。
#77
○説明員(堀山健君) 実は排気ガスの問題につきましては、昨年の九月から新しい自動車につきましてはCO三%規制ということでございます。ところが、こういう問題は、事前のいろいろな試験研究、それから製造会社の受け入れ体制、こういうものが非常に大事でございまして、何事にいたしましてもそういうものを始めるときには、そういう段取りが必要である、そういうことで、実は数年前からまあ少ない人間でございますけれども、そういう体制を整えながら規制を実行しておると、こういうのが実情でございます。それでただいまのところCOだけについて規制しておりますけれども今後HCとかNOとか、いろいろな有毒ガスがございまして、それがどのように国民の健康に影響するかということは、これからいろいろ検討さるべき問題だと思います。そういった意味で、四十二年度予算につきましては、これは私どもの中のほかの研究機関との振り合いもありまして、船舶技術研究所の中にこの自動車関係の安全公害の部門を、外局と申しましょうか、こういうことで予算要求をしたわけでございますが、結果としては新しく部の増設をしたということにとどまったわけでございます。もちろん私どもといたしましては、行政のほうからいいましても、やはり規制をするためには今後研究が必要でございますので、そのほうの協力がなければ行政部門のほうもうまくいかないということは、先生おっしゃるとおりでございます。そこで来年度におきましては、これはまだ時間がございますので、最終的決定ということではございませんけれども、排気ガスだけでなくて、安全を含めて、今後の自動車の体制を強化していくということで、船舶技術研究所から独立した機関にいたしたい、こういうことで現在事務的に仕事を進めておるところでございます。
#78
○小平芳平君 それも、先ほどの厚生大臣のおことばのように、部局がふえたからといって、それが公害防止の万能薬じゃないのはもちろんですけれども、やはりそうした研究が大事だと思うんです。ですから、そういう面に力を入れていかなくちゃならぬと私たちも痛感するわけです。
 それから、ちょっと新聞で見ましたが、アフターバーナーというものを取りつけることについて、運輸省ではそういうものをつけても大した効果はない。けれども、東京都等では現につけている。この効果についても意見の対立があるというようなことがありましたが、そういう点はいかがですか。
#79
○説明員(堀山健君) 実はアフターバーナーというのは、使うほう、つくるほうの立場でいろいろ意見がありますが、現在の段階では完成されたものではないというふうに見ております。排気ガスを浄化するためには、いろいろな方法があります。その中の一つの方法として、浄化装置をつけるということも確かに一つの方法だと思います。これは私どもも、昨年、一昨年にわたって補助金を出して、あるメーカーに研究開発をさした例もございますし、また独自に何社かが現在つくって、それぞれ市場に出しておるのもございます。ただ、はかり方とか、使い方によっていろいろあると思うのでございますけれども、いわば決定版といいますか、そういったものがまだ出ていないんではないかというふうに私どもは判断しておるわけであります。現に私ども役所でも、三台の車について、三種類の違ったメーカーのものをそれぞれ使って、定期的に研究所でそういうものをチェックしておるわけでありますが、はかり方にもいろいろあると思いますし、いろいろな条件、要素がありますので、この評価のしかたがいろいろ違うと思います。いずれにいたしましても、現在これならば完全であるというものはないような気がいたします。
#80
○林塩君 私は、ごく簡単に質問いたしたいと思いますが、この基本法が至って抽象的であるということはよくわかります。しかし、将来これを指針といたしまして具体的な方法が講じられていくということもわかります。先ほどからお話がございましたように、これを基本にして立法化していくとか、あるいはその他の整備をしていくという御意図でございますので、私は、具体的な問題について、ひとつどういうふうにお考えになっているかということを伺ってみたいと思うのです。
 先ほどからお話しになりましたように、どうも徹底的に公害を排除していくようなことはできないと、ある程度のところまでいくけれども、あとはそう徹底的に、これをしたからどうということはできないというふうなお話がございました。四日市の例をとってみましても、私はそういうことが考えられます。それでありますので、一人一人の健康を守るという、そういう意味からいきまして、それを予防していく上にどのような対策が講ぜられておりますか、また、どんなふうにお考えになりますか。この基本法によりますと、「住民の責務」ということが書かれておりまして、「住民は、国又は地方公共団体が実施する公害の防止に関する施策に協力する等公害の防止に寄与するように努めなければならない」とあります。公害だからしようがないというのじゃなくて、積極的に自分の健康を守っていくためにどうするかというようなことを考えていくのが、住民の責務であろうかと思います。
  〔理事大倉精一君退席、委員長着席〕
しかし、そういう公害の知識の普及ということが行き届いていないのでないかと考えられる点がございます。それからまた、この知識の普及をすると同時に、日常生活のこまかい点に対しまして、だれがそういうことを指導していくかという点も考えられるわけでございます。由来研究はよくたされます。いろいろな研究はよくなされまして、その過程においては何にも施策がないために、結論的に、結末をみんな病気のほうに追い込んでしまって、そうしてその負担を相当国なり県なりがしていかなければならないというようなことがよくあるわけでございます。したがいまして、予防の面で、国民自体の毎日の生活の中で、どうすればある程度この公害を防いでいくことができるがということについては指導が必要だと思うのでございます。そうでなければ、予防の実があがっていかないと思いますが、そういう点ではどんな丸うにお考えになっておりますか、それの具体策がありますればおっしゃっていただきたいと思うんです。
#81
○国務大臣(坊秀男君) おっしゃるとおりでございます。公害を防止するためには、公害を発生する事業者、そういったような人たちが非常に公害を防止する、公害を起こさない、こういったような公的な考え方に徹してもらうことは、これは第一に大事なことでございますけれども、おっしゃるとおり、一般の住民がやっぱりそれぞれ自覚をいたしまして、そうして公害というものを防止していく。こういったような気持ちになるということが非常にこれは大事なことでございまして、いかに政府が公害対策基本法などをつくって、そうして政府だけが一生懸命にやる、また事業者に白粛をさすというようなことだけではもちろん私は十分でないと思っております。さような意味から、いまおっしゃいましたのは第十五条でございますが、「知識の普及等」ということで「政府は、公害に関する知識の普及を図るとともに、公害の防止の思想を高めるように努めなければならない」と、政府がそういうことをやっていくいろんな手段、方法が考えられておりますが、これはひとつ環境衛生局長からお答えいたさせます。
#82
○林塩君 環境衛生局長さんに伺いたいんですが、こまかい点でどういうことを考えられておりますか。ただよく言うんですが、先ほども申し上げましたように、研究所と、それから一般の生活の中に大きなはしごがかかっていないということをよく言う。だれがそれを皆に伝えるかということは研究はされている。予算なんか見ましても、研究所はできる、そこにいろいろなものはあるけれども、それは研究所であって、その研究の成果というもの、その決定版が出なくても、ある程度こういうふうにしたらどうかというようなことがわかりますれば、それを一般の住民に伝えていく、その方法を少しは伝えていく、少しでも公害をなくするために。たとえば四日市の例を申しますと、こういうことがあるからということを早くから伝えておく。こういう場合にはこうしたほうが少しはいいのだ、たとえば昔、戦争中のお話をしては悪うございますけれども、予防する意味で、毒ガスがくる、そういうときにみんなに伝えましたのは、そういうときがきたときには、ハンカチを水にぬらして、そうして少しの間息をとめておれとかいうような、ごく具体的な指導があったはずでございます。それは戦争でございますので、そうしなければやられますから。しかしこれも、毎日の生活の中の一つの戦争と思えば、健康を守るのは自分であるという観念に立ちますれば、それがたいへんに、ちょっとした手段を講じることによりまして、まあ慢性的の  急になったものでない慢性になっているものがあるということになりますれば、毎日の生活の中でおっくうがらないで、そういうことをするという習慣を養うとか、何とかそういうようなごく具体的な、ごくじみな、積み重ねていくような活動というものをどこがやるのか、だれがやるのか、そしてそういう施策があるのかということなんでございます。それで、そういうことについては厚生省としてはどのように考え、だれを使っていくか。それに、研究所の費用は出ますけれども、人の費用はちっとも出てないということになりますと、やはり一般の政策と、それから研究所との間がはしごがかかっていない。ですから、そういう何と申しますか、研究の成果はちっともあらわれていないで、とどのつまりがそこへいってしまう。そして大きな問題が起こってくるということがあり得るように思われます。私は、一般の住民の人たちの生活状態を見まして、そう思うのでございます。そういう点につきましては、厚生省としては健康を守る、そして予防が大事なんだと、それからこういうことだというようなことは、理念としては私たいへん大事である、そのとおりであろうと思いますが、どういう手段を講じるかという点について、お考えがございましたら伺いたいと思います。
#83
○政府委員(舘林宣夫君) 今回の公害基本法におきましても、第十五条で、国が啓蒙の努力をする必要があるとうたっております。お説のとおり国民に十分周知徹底させる、もちろん企業側に対しても公害防止の措置を講ずるようなことの啓蒙も必要でございますが、住民全体が公害防止の施策に協力するとか、あるいはみずからも公害防止そのものを講ずるというようなことに努力をするように、啓蒙する必要があるわけでございます。その手段としまして今日とられておるものは、公害のための映画の作製とか、新生活運動を通ずるとか、あるいは地区組織を通ずるとか、あるいは全社協のような組織を通ずるというようなことによって、やろうとすればできるという組織はあるわけです。しかしながら、必ずしも私がここで口だけで申し上げるわけにまいらぬほどの実情でございます。まだ公害防止というようなものが公衆衛生の分野のルートに必ずしも乗り切ってない、非常に不十分な現状があるわけです。私は、お説のように公害防止を住民に徹底させ、あるいは住民の間に公害による患者が出たような場合に、それを早急に発見し、公害防止措置を講ずるという意味合いからも、今後は保健所を活用する必要があるのではないかということを感じております。従来、保健所の特に保健指導の立場にある保健婦は、結核とか母子保健というような分野の活動を主としてやっていただいておるわけでございますが、やはり保健の活動分野の重要な一つとして、公害に対しましても十分配慮していただきたい。もちろん、本来の職務としての環境衛生監視員のような人たちの努力もさることながら、保健婦みずからもやはりそういう目で見ながら公害防止の指導をしていただきたい、かように思いまして、今後の保健所の活動をそのようにしむけてまいりたい。これを一番末端の中心機関にしてまいりたい、かように考えております。
#84
○林塩君 そこで、これができますと、保健所は公衆衛生局でございますか、それからそれぞれ厚生省の中でも行政が縦割りになっているというようなことで、なかなか保健婦がそういうところに使われていくというような機構ができにくいわけでございますが、この基本法ができますと何らかの形で、そういうものがつながりがっくお見込みでございましょうか。
#85
○政府委員(舘林宣夫君) 今日といえども、保健所の一応の窓口としての世話役は公衆衛生局の保健所課がやっておるわけでございます。保健所の中の事業活動そのものは、公衆衛生局の事業ばかりでございませんで、環境衛生局の全般的な事業、児童家庭局の母子衛生の事業、あるいは医務局の各種の事業というような、各般にわたる仕事をやっておるわけでございまして、したがいまして、保健所の活動に対しましては、公害基本法によって国民の健康を守る立場での公衆衛生分野の活動が特に必要となってまいります暁には、私どもとしましても、十分組織的に活動されるように筋を通して保健所の活動のルートに乗せるように努力をしてまいりたいと思います。
#86
○林塩君 それで保健婦につきましては御意見はよくわかりました。それが当面非常に大事なことじゃないかと思いますが、医師の方々の御意見はどうでございましょうか。
#87
○政府委員(舘林宣夫君) やや言い過ぎるかもしれませんが、従来の保健所行政の主要点というのは、ことに医師の人々の主要点というのは、予防行政といいますか、結核とか精神病とか伝染病、あるいは栄養というような分野に主力が向けられておりました。今日のわが国における公衆衛生の活動分野では、しかしそういう時代からだいぶ変わりまして、環境衛生の分野こそかなり重要な分野になってきつつあるわけでございまして、したがいまして、保健所の活動は、特に保健所長たる医師、あるいはその保健所長たる医師のもとで活動する医師の方々にも時代の要請というものを十分認識していただきまして、公害に対しても積極的に努力をしていただきたいということで、私自身、全国の衛生部長の会議、あるいは所管の課長会議においては特にそれは強調しておるところでございますし、最近地方におきましても漸次その方向に向いてきているように思います。
#88
○林塩君 厚生大臣に伺いますが、厚生省のほうではそういう御意図であるのですけれども、とかく、医育教育と申しますか、お医者さんの教育の中で公衆衛生的な、そういう教育が足りないというようなことをよくいうわけでございますが、これは文部省がそういうことに当たっておられるということでございますが、これは基本法によりますと国全体の問題でございますので、それは医師の教育の問題についてもこの面を強調していかなければいけないというようなことは、この基本法ができますと要請ができますでしょうか。非常に飛躍する考え方ですけれども、それをやっていきます上には医師、保健婦みな参画しなければ、とても実はあがらないと思いますので、そういう意味で基本法が使われるというようなことならば、まことに大事だと思うのですが、御意見いかがですか。
#89
○国務大臣(坊秀男君) これからは公害を防止するということが、いままでにも増して非常に大事な国としての仕事になってくるだろうと思います。国といたしましては、行政府も国会も、これは今日以上に公害の対策ということを考えていかなければならないことは当然でございますが、そんならその公害防止に対して、一番民衆と触れ合って、そうして仕事をやっていただくという方は――医師とか保健所におられる従業員はただ病院で病気をなおすということだけでなくして、い
 かに予防していくか、士気を鼓舞していくかというようなことに関しましては、そういった方々の御協力ということが非常に大事であり、かつまた、そういったようなことに従事していただく方方ができるだけ量的にも多くならなければならないという事態に私はなってきておると思います。さような事態をながめまして、できる限りそういったような国家的要請にこたえ、これが充足していくように、厚生省といたしましてもそういった方方の養成と申しますか、これははなはだ失礼でございますけれども、お医者さん、看護婦さん、その他保健に従事する人たちの育成といいますか、そういう方向に力を注いでまいらなければならない、かように考えます。
#90
○林塩君 そういう要望は特に強いわけでございますので、公害基本法ができますのを契機に、その方面に各別の力を注いでいただきまして、具体的なことにつきまては遺漏のないような御措置をいただきたいわけでございます。
 それから次に、騒音のことでございますが、私が騒音についてと言いましたら、騒音は、これは運輸省だということでございましたので、そうかと思いました。ですが、私は騒音――ただ飛行場周辺の騒音ということでなくて、一応騒音が――これは健康を守るという基本法ではございますけれども、健康を回復するために入院している病人に対して、健康回復の妨げになるというような場合の騒音もあると思うのです。そういうことについては、大臣はどのようにお考えになっていますか。言いかえますと、たとえば病院が非常に騒音の激しいところにありますれば、心身の安静が回復に一番大事なことでありますのに、重症患者とか、あるいはまた手術後の患者とかいうような人たちの苦痛でございますね、そうして回復をおくらせているという状態があるわけでございますが、厚生大臣としましては、そういう意味で、健康者だけでなくて、やはり騒音が、健康に向かう人たちの回復にどう影響しているかということについて、どのようなお考えでいらっしゃいますか、御意見を伺いたいわけでございます。
#91
○国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、騒音というものはわれわれの生活環境から申しましてまことに不愉快なものであり、またいま御指摘のように、健康を回復しつつあるといったような状態に置かれておりまする、非常にデリケートな療養を要するというような方々にとりましては――普通人ですら騒音は不愉快だ、そういったような方方に対しての騒音というものは、それ以上に私は不愉快であり、かつまた、その気持ちをいらいらさせたり、せっかくなおりかけておるところの疾病というもの、これを治癒していくことにじゃまになるということは、私にもこれはよく理解されるのでございます。さような意味から申しましても、今日、飛行場だとかあるいは基地だとかといったようなところでは、騒音を防止するための工事等についてはある程度の助成とか、なんとかということを考えておりますけれども、そうでない一般的の騒音というものは、何らかの手段でもってこれを規制していかなければならないということでございますが、現在のところは騒音に対する一般的の規制ということが行なわれておりません。そこで、この公害基本法の方針に従いまして、この一般的の騒音をどう措置していくかということは、これは一つの重大なる具体的な問題として今後早急に検討をいたしまして、できるだけそういったような騒音による公害というものを、これははなはだむずかしい問題だと思いますけれども、いろいろな面からこれを規制していく、この騒音を少なくしていく、人間に被害を与えないようにしていく方法を講じなければならないと、かように考えております。
#92
○林塩君 それで、大体この基本法が役に立ちまして、たとえば病院の立地条件だとか、あるいはこういう騒音のところでは防音もやらなくちゃならないとかいうようなことにまで及ぼすような法律、医療法の改善だとかいうような――施行規則でございますか、そういうところまでお考えになっていらっしゃいますか、どうかということであります。
#93
○政府委員(舘林宣夫君) 今日でも都市計画法におきまして用途地域というのがございまして、住宅地域と工場地域に分けております。しかしその上に、さらに騒音防止の見地から何らか強制的に措置するかどうかということ、ことにお説のような非常に細密な医療機関に対する措置  一定の装置をしなければならぬというような措置をどうするかということは、今後の研究課題として私どもは検討してまいりたいと思います。
#94
○林塩君 それではその辺もよろしくお願いしたいと思います。
 それから次に、特に飛行場周辺の医療施設でございますが、このことにつきましては、運輸省の関係だそうでございますが、たとえばジェット機によります騒音はどうしようもないというようなことにつきましては、運輸省関係ではそういうようなことに対して責任をどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#95
○説明員(梶原清君) 東京国際空港あるいは大阪国際空港につきましては、ジェット旅客機がひんぱんに離着陸いたしまして、付近の住民の方から非常に大きな苦情をちょうだいしているわけでございます。運輸省といたしましては、騒音対策委員会を設けまして、その対策につきまして審議検討を進める、あるいは騒音の実態調査をやる、それから深夜におきますジェット旅客機の離着陸を原則として禁止する、こういうような措置をとってまいったわけでございます。特に東京国際空港は海に面しておりますので、できるだけ海面のほうを利用するように指導いたしております。しかしながら航空の発展に伴いまして、運航量が非常に増大してまいりますにつれて、住民の方に及ぼします影響が非常に大きくなりまして、したがいまして私ども従来の措置では十分でございませんので、昨年の七月に制定をみましたところの防衛施設周辺の整備等に関する法律のような措置を、私ども民間空港につきましても、とるべきである、こういうようなふうに考えまして、本国会におきましては、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律案、こういう法律案を提出いたしまして、慎重審議いただきました結果、先ごろ通過成立をみさせていただいた次第でございます。今後この法律によりまして積極的にいろいろの施策を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
 それで、この施策と申しますのは、まず航空のほうの規制というものがございますが、これはできるだけ住民の方に迷惑のかからないように、運航の時間とか、それから経路とか、そういうものを告示で指定いたしまして、それを守ってもらうということが一つの柱でございます。
 それから、ほかのことは騒音防止法に言われていることでございますが、まず第一点は、学校、病院その他の施設に対しますところの防音工事の助成をやりたい、学習、集会等の共同利用施設の助成をいたしたい。それから一定の区域内におきます土地の買い取り、あるいは民家の移転をいたしたい、それから特別に損失をこうむる方に対しましては損失補償をやりたい。こういうことを内容といたしますところの法律の制定をみたのであります。本年度におきましては三億の予算がついておりまして、さしあたり東京国際空港、大阪国際空港の周辺における小中学校の防音工事を進めていきたい。で今後逐次その範囲を広げていきまして防音工事なり、その他の施策を積極的に推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#96
○林塩君 学校のこともございますが、私は特に健康を守る、そういう意味でそういうところにあります医療施設  ジェット機の騒音からどうしてものがれようのない医療施設、そういうことに対してはどうなんですか。
#97
○説明員(梶原清君) 先ほども申し上げましたように、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第五条に規定をいたしておるわけでございますが、学校教育法に基づきます学校と、医療法に基づきます病院、それからそれに類する施設といたしまして診療所を予定いたしております。これは政令で定めることになっておりまして、近く政令で指定したい、かように考えておるわけでございます。
#98
○林塩君 そうしますと、その予算がことしは三億なんでございますか。そうして、その飛行場周辺の病院、学校を含めてでございますが、含めてどのくらいあるか調べてありませんが、何かそういう調べでもありましたら……。
#99
○説明員(梶原清君) 先ほど申し上げましたように、四十二年度の予算の三億と申しますのは、東京国際空港、大阪国際空港の小中学校に対する防音工事の予算でございます。これは、さしあたり小中学校の防音工事から進めたい。ことしが初めてでございまして逐次この範囲を広げてまいりたい、かように考えるわけでございます。
#100
○林塩君 医療施設はどうです。
#101
○説明員(梶原清君) 御指摘の医療施設でございますが、私ども現在対象といたしたい空港は、東京国際空港と大阪国際空港と、それから目下計画中でございますところの新東京国際空港、この三つを対象にいたしております。その周辺にございます病院の数でございますが、現在のところ、私どもの調査しました結果では、東京国際空港では病院が二十六、それから病院に類しますところの施設である診療所が六十、大阪国際空港におきましては病院が三十一、診療所が約六十、新東京国際空港は診療所が十一と、こういう結果に相なっております。
#102
○林塩君 かなりたくさんあると思いますが、それにつきましてことしは医療法の適用を受けております医療施設については補助はないわけですか。ただ学校だけですね。来年以降は、そういうものにつけられる予定でございますか。それはどうなんでしょう。それで、この基本法ができますことによって、そういうことがますます助長されていく傾向にありますかどうか。基本法がどんなに役に立ちますかどうか、その辺の関連をお願いします。
#103
○説明員(梶原清君) 私どもの今度制定していただきました法律は、公害基本法の個別法に当たるわけでございまして、基本法の精神を体しつつ進めていく、こういう精神のものでございます。公害基本法を制定していただきまして、他の飛行場周辺の住民の方々が騒音によって迷惑されているものを少しでも緩和したい、かような趣旨でもって考えているわけでございます。この病院に、あるいは診療所につきましてでございますが、私ども、まず小中学校――たくさんございますので、まずそれから進めまして逐次病院、診療所に及ぼしていく、かように考えているわけでございます。
#104
○林塩君 学校のことも伺いたいと思いますが、多少時間もかかりますので、一応質問をこれでやめたいと思いますが、要は、この基本法が制定されますことによって、各方面にいろいろな整備がなされると思いますが、それができるだけ具体的に、そして健康を守るに役立ち、同時にまた、どのような省でどのようにお考えになるか、それはまあ将来の問題としましても、私といたしましては健康を取り戻すために悩んでいる人たちのためには、できるだけこの基本法の精神に沿って御努力をいただきたいわけでございます。厚生大臣に、最後にぜひそのようにするとおっしゃっていただきたいと思いますので、お願いいたします。
#105
○国務大臣(坊秀男君) 林先生の御意見しごくごもっともと思いますので、そういう線に沿いまして努力をしてまいりたいと考えます。
#106
○委員長(松澤兼人君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#107
○委員長(松澤兼人君) 次に、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案を議題といたします。
 まず、提案理由の説明を聴取いたします。発議者・衆議院議員古川丈吉君。
#108
○衆議院議員(古川丈吉君) ただいま議題となりました土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、私からその提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 わが国経済の驚異的発展に伴い、建設工事は年年増大の一途をたどっており、建設工事量の増大は、これらの建設工事に必要な土砂等を運搬するダンプカー等の大型自動車の交通量の著しい増大をもたらしております。ところで、これらの土砂等の運搬に関する事業を行なう者は、その大部分が零細規模の事業者であるため、自動車の安全運転管理等が十分に行なわれておらず、また、これらの零細事業者の過当競争は、土砂等の取引価格又は輸送料金の低落を招き、その結果、これらの事業者の使用する大型自動車によるスピード違反、過労運転、積載制限違反等の交通違反が増加しているのが実情であります。これらの交通違反は、一方において国民の社会生活に大きな不安を与えるとともに、他方において昨年来の愛知県猿投町における悲惨な事故のような重大事故の頻発をもたらしているのであります。
 したがいまして、これらの土砂等を運搬する大型自動車による交通事故を防止することは、今日の社会における急務であると考えられるのでありまして、そのためには、土砂等を運搬する大型自動車の使用について必要な規制を行なうとともに、土砂等の運搬に関する事業の育成を図ること等が何よりも必要とされるのであります。
 以上申し述べましたような見地から、このたび土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案を提出いたすこととした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明いたします。
 第一に、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故を防止する見地から、その実態を把握するため、土砂等の運搬の用に供するため大型自動車を使用しようとする者は、氏名または名称及び住所、当該自動車の自動車登録番号、行なう事業の種類、主として運搬する貨物の種類、雇用運転者の労働条件等を運輸大臣に届け出なければならないことといたしております。
 第二に、土砂等の運搬の用に供する大型自動車を容易に認識することができるようにするため、右の届け出の際に、当該自動車一台ごとに運輸大臣による表示番号の指定を受けさせることとし、指定を受けた表示番号は、自動車の外側に見やすいように表示しなければならないことといたしております。
 第三に、土砂等の過重積載を防止するため、土砂等の運搬の用に供するため大型自動車を使用する者は、通商産業省令、運輸省令で定める技術上の基準に適合する積載重量の自重計を当該自動車に取りつけなければならないことといたしております。第四に、土砂等の運搬の用に供する大型自動車が悪質な交通違反をし、よって交通事故を起こして人を死傷させた場合または土砂等の運搬の用に供する大型自動車の使用者が、運転者の過労運転等をもたらす労働基準法違反の摘発を受けた場合において、当該自動車の使用者の使用する大型自動車による交通事故の発生を防止するため、運輸大臣は、当該自動車の使用者に対し、六カ月以内の期間を定めて、大型自動車の使用を制限し、または禁止することができることといたしております。
 第五に、土砂等の運搬に関する事業の協業化及びその経営の近代化を促進するため、国及び地方公共団体は、中小企業近代化促進法、中小企業近代化資金助成法等により、税制上及び金融上の措置、その他必要な措置を講ずるものといたしております。
 第六に、土砂等の運搬に関する事業を行なう者が、交通事故の防止に関する事業を行なうことを主たる目的として組織する団体の実態を把握するため、当該団体が組織された場合には、当該団体は、その成立の日から三十日以内に、内閣総理大臣または都道府県知事に政令で定める事項を届け出なければならないことといたしております。
 第七に、右により内閣総理大臣または都道府県知事に届け出をした団体が十分に交通事故の防止に寄与することができるようにするため、国及び地方公共団体は、これらの届け出のあった団体の指導及び育成につとめるものといたしております。
 第八に、安全かつ合理的な土砂等の輸送体系の整備をはかるため、国及び地方公共団体は、土砂等の輸送について、鉄道または船舶による大量輸送を促進すること等につとめるものといたしております。
 第九に、この法律案の規定に違反する行為について、所要の罰則を設けることといたしております。
 最後に、附則といたしまして、この法律案の第六条以外の規定は、公布の日から六カ月をこえない範囲内において、この法律案の第六条の規定は、公布の日から九カ月をこえない範囲内において、それぞれ政令で定める日から施行することとするとともに、所要の経過規定を設けることといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞすみやかに御審議の上、御可決くださるようお願い申し上げる次第であります。
#109
○委員長(松澤兼人君) 本案に対する質疑は明日に譲り、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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